JP2508775B2 - 組換えdnaおよびこれを用いたポリペプチドの製造法 - Google Patents

組換えdnaおよびこれを用いたポリペプチドの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、組換えDNA、これにより形質転換された微
生物、およびこの微生物を培養して目的ポリペプチドを
製造する方法に関する。
〔従来の技術〕
組換えDNA技術を用いて大腸菌により真核生物由来の
遺伝子を高レベルで発現させるためには一般に大腸菌の
trpプロモーターなどの強力なプロモーターを用い、さ
らに大腸菌遺伝子の有するシャイン・ダルガノ配列を、
開始コドンATGを付した真核生物由来遺伝子の上流に連
結する方法がとられる。
しかしこの方法の場合、真核生物の蛋白が菌体内に顆
粒状となって蓄積されるほど高レベルに生産されること
は稀であり、通常は菌体内に溶解した状態で蓄積される
にどどまる。このような顆粒状に蓄積されない場合の蓄
積量を顆粒状に蓄積された場合の蓄積量と比較すると、
蛋白の性質により異なるが、通常1/100ないし1/1000と
極めて少量である。従って真核生物の蛋白を大腸菌を用
いて工業的に生産する場合、目的蛋白を顆粒状に菌体内
に蓄積せしめることが出来るか否かは工業生産を実施す
る場合には極めて重要な要素である。
そこで、外来遺伝子の発現性を高める手段として、大
腸菌が本来生産している蛋白の中で高レベルに生産して
いる蛋白の遺伝子、例えばlacZ、tufBなどの遺伝子に外
来遺伝子を連結すると、大腸菌の高レベル発現蛋白と外
来遺伝子由来蛋白が融合蛋白の形で多量に生産される場
合が多いことが知られている〔ウイリアムス(William
s,D.C.)ら、Science,215,687〜689(1982)〕。これ
は、蛋白発現系が、大腸菌が本来的にもっている蛋白を
コードする遺伝子を含むものであるために翻訳がスムー
ズに開始されること、ならびに生成した蛋白が大腸菌自
身のもつ蛋白と異種蛋白との融合蛋白であるため、大腸
菌のもつプロテアーゼによって異種蛋白とは認識されに
くく、プロテアーゼの分解性に抵抗性をもつこと、によ
ると考えられている。しかしこの方法で得られた蛋白は
その分子内に外来蛋白の構造を含んではいるものの融合
蛋白であり、外来蛋白そのものではない。そこで外来蛋
白そのものを取り出すための技術がこれまでに3つ開示
されている。
その1は、大腸菌の高発現蛋白であるβガラクトシダ
ーゼ蛋白の一部の3′末端にメチオニンコドンを付加
し、さらにその下流にソマトスタチンペプチドコドンを
連結した遺伝子を構築し、これによって形質転換した微
生物を培養して融合蛋白を取得し、これをブロムシアン
処理してメチオニン部分で切断してソマトスタチンを得
る方法(イタクラら、サイエンス198、1056〜1063(197
7))である。しかしこの方法は、目的とする蛋白にメ
チオニンが含まれない場合にだけ適用出来るものであ
り、一般の真核生物由来蛋白を取得するのにこの方法を
適用することはできない。
その2はヨーロッパ特許出願公開第35,384号(カリフ
ォルニア大)記載の方法で、大腸菌の高発現蛋白遺伝子
と、外来蛋白遺伝子との間に特定の切断が可能となるよ
うな切断リンカーを配したDNAを構築し、この遺伝子に
より形質転換した微生物を培養して融合蛋白を得、これ
を酵素により特定の切断位置で切断することにより外来
蛋白質を取得するという方法である。具体的には、切断
酵素としてエンテロキナーゼを用い、切断リンカーとし
てX-(Asp)n‐Lys-Y(n=2〜4)を用いた例が開示さ
れているが、この方法は、特異性がやや低いという問題
がある。
その3は、ヨーロッパ特許出願公開第161937号(セル
テック社)に開示されている方法で、基本的には、上記
ヨーロッパ特許出願公開第35384号と同様に、大腸菌の
ファージであるλの高発現遺伝子と外来蛋白遺伝子とを
切断リンカーを介して連結するものであるが、切断リン
カーとして血液凝固因子Xaが作用するようにDNAを構築
したものである。
また築瀬ら(第58回日本遺伝学会、第9回日本分子生
物学会合同年会講演要旨、103頁、1986年)はヒト成長
ホルモンの上流のアミノ酸122残基或は45残基の下流に
血液凝固因子の認識配列を介してインスリン様成長因子
蛋白を接続させた。
融合蛋白が、全蛋白の20%を占めるほどに蓄積したこ
とを報告している。しかしこのような真核生物蛋白と他
の真核生物蛋白との融合蛋白が著量蓄積されるとの報告
はこの報告のみであり、ヒト成長ホルモン以外の蛋白と
インスリン様成長蛋白以外の蛋白との融合蛋白の場合に
も著量の蓄積がなされるか否かは不明である。
一方、目的蛋白を工業的に得るためには以下の大きな
技術的問題を解決しなくてはならない。
その一つは融合蛋白から目的蛋白を得るためには特異
的プロテアーゼによる切断を行なうことが必須の工程で
あるが、これを行なうためには先ず特異的プロテアーゼ
が作用する条件下に融合蛋白を溶解せしめなくてはなら
ない。一般に顆粒状に蓄積した融合蛋白は高濃度の塩酸
グアニジン、尿素などを用いてこれを変性させることに
より可溶化させることが出来るがこのような溶液では特
異的プロテアーゼにも変性が起り、そのために酵素活性
が失なわれ、目的とする融合蛋白の切断は不可能となっ
てしまう。そこで透析或はクロマト法などにより塩酸グ
アニジンなどの可溶化剤を除去、或は希釈することによ
り特異的プロテアーゼが作用し得る条件をつくり出すこ
とが必要となるが、このような条件にすると融合蛋白は
一般に溶解度が低下し、不溶化或は極めて希薄な濃度の
溶液となる場合が多く、工業的に目的蛋白を得る際の障
害となる。
さらに技術的問題の第2としてジスルフィド結合の問
題がある。蛋白は一般にその分子中にいくつかのCys残
基を含み、特定のCys相互間にジスルフィド結合が存在
している。このジスルフィド結合はその蛋白の立体構造
及び活性保持のために必須のものであるが、大腸菌を用
いて融合蛋白を顆粒状に蓄積せしめた場合には、殆どの
蛋白分子にこの分子内或は分子相互間のジスルフィド結
合は存在しない。従って天然形の蛋白と同じ位置にジス
ルフィド結合を存在させるような操作、すなわち通常、
巻き戻しといわれている操作を行う必要がある。巻き戻
し操作は通常グルタチオンを用いる酸化還元系などでそ
の蛋白に適合した条件を設定することにより可能となる
場合が多い。またこの操作は、融合蛋白の段階で行なう
ことも、特異的プロテアーゼにより目的蛋白を切断・遊
離したあとで行なうことも可能であるが、融合蛋白で行
なう場合は融合蛋白の性質により巻き戻し操作の反応
性、反応条件が異なること、また巻き戻し操作を行うこ
とによって特異的プロテアーゼ反応条件下での融合蛋白
の溶解度が大きく異なってくることを本発明者らは見出
している。従って融合蛋白を蓄積せしめこれから目的蛋
白を、活性を有する形で取得する場合、どのような融合
蛋白をデザインしてこれを蓄積せしめるかは工業的に目
的蛋白を得る上で極めて重要なことである。
〔発明が解決しようとする問題点〕
叙上のごとく真核生物由来の蛋白を大腸菌を用いて工
業的に有利に生産するためには、 目的とする蛋白を大腸菌の菌体内に顆粒状に蓄積せし
めること、生成した顆粒から、目的とする蛋白を活性
を有する形で容易に取得出来ること、の2つの条件を満
足させなくてはならない。したがって本発明の目的は、
これらの2つの問題点を同時に解決して真核生物由来の
蛋白を、大腸菌を用いて工業的に有利に生産する技術を
提供することである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは叙上の目的とする真核生物由来の蛋白を
大腸菌の菌体内に顆粒状に蓄積せしめることと、生成し
た顆粒から目的蛋白を工業的に適用出来る方法で取得す
ることの2つの問題点を同時に解決するため種々の研究
を行った結果、ヒトインターロイキン2(以下hIL2と
いう)蛋白のアミノ酸配列をN末端側よりコードしてい
るが制限酵素切断部位が存在するように改変した種々の
大きさの遺伝子を合成し、得られた種々の大きさの合
成遺伝子の下流にヒト血漿カリクレイン或は血液凝固因
子などの特異的プロテアーゼの認識配列を介して目的蛋
白の遺伝子を接続した融合蛋白遺伝子をそれぞれ構築
し、これを大腸菌に組み込み培養することにより融合
蛋白が顆粒状に蓄積される場合が多いこと、顆粒状の
融合蛋白を蛋白可溶化剤で溶解後、特異的プロテアーゼ
が作用する条件下においたときにその溶解性は融合蛋白
のhIL2遺伝子の大きさと目的蛋白の組み合せで大きく異
なること、蛋白の活性発現に必須となる分子内或は分
子相互間のジスルフィド結合架橋反応、すなわち巻き戻
し操作の反応性も融合蛋白のhIL2遺伝子の大きさと目的
蛋白の組み合わせで変化すること、さらに巻き戻し操作
を行うことにより特異的プロテアーゼの反応条件下での
融合蛋白の溶解度が著しく増大すること、従って多く
の大きさの異なるhIL2遺伝子と目的蛋白の融合蛋白を特
異的プロテアーゼ切断配列を介して接続した融合蛋白を
コードする遺伝子を取得し、これを大腸菌に組み込んで
発現させたとき、融合蛋白が顆粒状に蓄積するか否か、
顆粒蛋白は特異的プロテアーゼ反応条件下で溶解性を有
するか否か、或は融合蛋白の段階で巻き戻し操作が可能
であるか否かを検討し、これらの条件を満たす融合蛋白
を取得することが工業生産を行う上で極めて重要である
こと、を見出し本発明を完成させるに至った。
以下にその一例として特異的プロテアーゼにカリクレ
インを用いる場合の各種アミノ酸残基数を有するhIL2蛋
白(以下、上流ポリペプチドともいう)と、カリクレイ
ン切断特異的配列(以下特異的配列ともいう)を介して
接続される目的蛋白(以下、下流ポリペプチドともい
う)がマウスインターロイキン2及びヒト造血系細胞増
殖増強因子(Hematopoietic Cells Growth Potentiatin
g Factor)(以下HCGPE)である場合の大腸菌による融
合蛋白の顆粒状での蓄積状況及び顆粒のカリクレイン反
応条件下での溶解性(巻き戻し前及び後)を調べた。そ
の結果を次表に示す。
本発明は特異的プロテアーゼを作用させることにより
目的ポリペプチドが取得可能な融合蛋白を顆粒状に形成
せしめるための遺伝子を提供するものである。
すなわち本発明の遺伝子は (イ)hIL2のアミノ酸配列のN末端から21残基以上をコ
ードする遺伝子の3′末端に、 (ロ)特異的プロテアーゼによって加水分解される特異
的アミノ酸配列をコードするDNAを3′末端に有するオ
リゴマーDNAをリンカーとして結合させ、 (ハ)該リンカーの3′末端に目的ポリペプチドをコー
ドする遺伝子の5′末端を結合させたことを特徴とする
ものである。
本発明に用いられる上流ポリペプチドをコードするDN
Aは、hIL2のアミノ酸配列の21個以上のアミノ酸残基を
コードするものであればよく、hIL2をコードするDNAの
一部であっても全部であっても適用出来る。またそのDN
Aの塩基配列はhIL2のアミノ酸配列をコードするもので
あれば、いかなる配列をとってもよく、hIL2の天然形遺
伝子の塩基配列に限定されるものではない。
本発明に用いられる特異的アミノ酸配列を切断する特
異的プロテアーゼは特異的アミノ酸配列を認識しその認
識部位のC末端側を切断するものであり、その代表的な
ものとしてはカリクレイン、血液凝固因子Xaなどが挙げ
られる。特異的プロテアーゼとしてカリクレインを用い
る場合は特異的アミノ酸配列はPhe-Argであり、血液凝
固因子Xaを用いる場合はIle-Glu-Gly-Argである。した
がってこのようなアミノ酸配列をコードするすべての塩
基配列をもったDNAを本発明で用いることが出来る。
目的とするポリペプチドは、特異的プロテアーゼとし
てカリクレインを使用する場合はその分子内にPhe-Arg
配列を、また血液凝固因子Xaを使用する場合はIle-Glu-
Gly-Arg配列を含まないことが原則であるがこのような
配列を分子内に含む場合でもその部分のアミノ酸配列が
活性発現に影響しないような場合には、この部分のアミ
ノ酸配列を変換して本発明を適用することが出来る。
本発明の下流ポリペプチドとしては、真核生物由来の
任意のポリペプチドを用いることが出来るが、好ましい
例としてマウスインターロイキン2、HCGPF、hEGF(ヒ
ト上皮細胞増殖因子)などを挙げることが出来る。
上記遺伝子を適当なベクターに組み込み、これを適当
な宿主に導入して形質転換させ、この形質転換株を培養
して、上記遺伝子がコードする融合蛋白を得るのである
が、本発明において、このようなベクターとしては従
来、DNA組換え技術に普通に用いられている公知のベク
タープラスミドを使用することができる。このようなベ
クタープラスミドの代表例としては pSC101、ColEl、pMB9、pBR322、pACYC184 等が挙げられる。
本発明のプラスミドの具体例としては次のものが挙げ
られる。
プラスミドpT13SΔhIL2-KS-mIL2(BglII) プラスミドpT13SΔhIL2-KS-mIL2(SacI) プラスミドpT13SΔhIL2-KS-mIL2(XbaI) プラスミドpT13SΔhIL2-KS-HCGPF(PstI) プラスミドpT13SΔhIL2-KS-HCGPF(BglII) プラスミドpT13SΔhIL2-KS-HCGPF(SacI) プラスミドpT13SΔhIL2-KS-HCGPF(XbaI) プラスミドpT13SΔhIL2-KS-hEGF(H3) また本発明に使用される適当な宿主としてはエシェリ
ヒア・コリが用いられる。具体的には、C-600(F-,thi-
1,thr-1,leuB6,LacY1,tonA21,supE44,λ-),X1776
(F-,tonA53,dapD8,minA1,glnV44(supE42),Δ(gal-
uvrB)40,λ-,minB2,rfb-2,gyrA25,thyA142,oms-2,metC
65,oms-1,(tte-1),Δ(bioH-asd)29,cycB2,cycA1,h
sdR2),HB101,(F-,hsdS20(rB -,mB -),recA13,ara-1
4,proA2,lacY1,galK2,rpsL20(Smr),xyl-5,mtl-1,supE
44,λ-),JM103(Δ(lacpro),thi,strA,supE,endA,s
bcB,hsdR-,F′traP36,proAB,lacIq,ZΔM15)等が挙げら
れる。
こうして得られた融合蛋白から、目的ポリペプチドを
採取するには、融合蛋白を適当な溶媒に溶解し、特異的
プロテアーゼを作用させてリンカーと下流ポリペプチド
との結合を切断すればよい。
特異的プロテアーゼとしてカリクレインを用いる場合
は、上流ポリペプチドと下流ポリペプチドの連結部分に
Phe-Arg配列が挿入された融合ポリペプチドを適当な溶
媒に溶解し、これにカリクレインを作用させて加水分解
を行う。この際、溶解度の高い適当な溶媒が存在しない
場合は、巻き戻し操作を行ってから溶媒に溶解し、これ
にカリクレインを作用させる。これによりArgと下流ポ
リペプチドとの間で切断が起り、目的とする下流ポリペ
プチドが生成する。尚、巻き戻し操作は、常法、例えば
リドックス系を用いる方法で行うことができる。該リド
ックス系を用いる方法は、pH6以上(上限は、目的蛋白
が変性しないpH値)の水溶液中で、目的蛋白が変性しな
い温度、通常は常温で、数時間〜1日、グルタチオン
(1〜100mM還元型グルタチオン及び還元型グルタチオ
ンより少量の酸化型グルタチオンの混合系)、ジチオス
レイトール(DTT)等の酸化還元剤で目的蛋白を処理す
ることにより行う。
また、特異的プロテアーゼとして血液凝固因子Xaを用
いる場合は、上流ポリペプチドと下流ポリペプチドの連
結部分にIle-Glu-Gly-Arg配列が挿入された融合ポリペ
プチドを適当な溶媒に溶解しこれに血液凝固因子Xaを作
用させて加水分解を行う。溶解度の高い適当な溶媒が存
在しない場合、巻き戻し操作を行ってから溶媒に溶解さ
せることはカリクレインを用いる場合と同様である。こ
れによりArgと下流ポリペプチドの間で切断が起り目的
とする下流ポリペプチドが生成する。カリクレイン、血
液凝固因子Xaの何れを用いる場合でも基質の融合ポリペ
プチドとのモル比は凡そ酵素:基質=1:50〜100が望ま
しく、また反応温度は20°〜50℃、望ましくは35°〜40
℃であり、時間は一般に10〜20時間程度で十分であり、
反応液のpHは6〜10、望ましくはpH7.5〜8.5である。酵
素反応を終了した反応液から目的とする下流ポリペプチ
ドを単離するには、通常の蛋白分離に用いられる手法、
例えば逆相HPLC、陽イオンまたは陰イオン交換クロマト
グラフィーなどが適宜使用される。
なお、目的とする下流ポリペプチドのN末端がプロリ
ン(Pro)であり、このProに隣接する下流側のアミノ酸
がPro以外のものである場合は、特異的プロテアーゼに
よる切断が、一般に不能或は不良となる。このようなポ
リペプチドの場合には、特異的プロテアーゼに対応した
特異的アミノ酸配列のC末端側にPro以外のアミノ酸を
1個付加し、特異的アミノ酸配列−X−下流ポリペプチ
ド(XはPro以外のアミノ酸)とするか、さらにXのC
末端側にProを1個ないし複数個連結し、特異的アミノ
酸配列−X−(Pro)n−下流ポリペプチド(nは1以上の
整数)の融合ポリペプチドを取得する。これに特異的プ
ロテアーゼとX-Pro結合(XはProを含む任意のアミノ
酸)を切断するアミノペプチダーゼP(大腸菌などから
容易に取得出来る)を順次或は同時に作用させることに
より、目的とする下流ポリペプチドを純粋な形で得るこ
とが出来る。
また本発明で使用する上流ポリペプチドはいかなる目
的ポリペプチドとも接続して用いることが可能であるた
め、上流ポリペプチドを抗原として作成した抗体は、下
流ポリペプチドが変っても生成した融合蛋白と抗原抗体
反応する。従って上流ポリペプチドを抗原とした抗体の
みを取得しておくことにより、異なる下流ポリペプチド
の融合蛋白に対してアフィニティークロマトグラフィー
の技術により容易かつ非常に効率よく精製を行うことが
出来る。これは本発明の特徴の1つである。
実施例 以下実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例1 hIL2蛋白の一部(アミノ酸59個)の下流にカ
リクレイン切断認識配列を付加し、さらにmIL2蛋白を接
続した融合蛋白質(ΔhIL2(59)‐KS−mIL2)の例 (1)プラスミドDNAの構築と組換え菌の取得 大腸菌菌体内にhIL2を著量に蓄積させることを可能と
した発現ベクターを用いて、hIL2遺伝子中の下流にPhe-
ArgをコードするDNA(プロテアーゼカリクレインの切断
のための認識アミノ酸配列)を付加し、さらに、その下
流にマウスインターロイキン2(以下mIL2と略す)遺伝
子を融合させたプラスミドpT13SΔhIL2-KS-mIL2(Xba
I)を構築し、それを大腸菌HB101に導入して形質転換株
を取得した。
pT13SΔhIL2-KS-mIL2(XbaI)の構築方法は以下の通
りである。まずpBR322の由来でトリプトファンプロモー
ターを搭載したhIL2発現プラスミドpT13SNcoを基本ベク
ターとして用いた。pT13SNcoは次のように作成した。
pIL-2-50A(欧州特許出願公開91539号)をPstI、DraI
で切断し、このhIL2構造遺伝子を含む断片とBamHIリン
カー、pBR322のPstI-EcoRIの大きい断片(EcoRI切断部
位はクレノウ処理)とをT4DNAリガーゼで連結しプラス
ミドを造成した(第1図)。このプラスミドをHgiAIで
切断しDNAポリメラーゼI(クレノウ)処理後BamHIで切
断した。そしてこのhIL2構造遺伝子のCCTより下流を含
む断片とpDR720〔trpプロモーターを搭載したプラスミ
ドでpKO-1(Russel,D.R.& Benett,G.N.Gene,20 231(1
982))のSmaI切断部位にtrpプロモーター、オペレータ
ー断片が組みこまれたもの〕をHpaIとBamHIで切断して
得られた大きいHpaI-BamHI断片と、第1図に示した合成
オリゴマーa′をT4DNAリガーゼで連結しpM1-9′を得
た。
一方、pBR322をPvuIIとSalIで切断し大きいPvuII-Sal
I切断と合成オリゴマーbとを連結し、pTrpAを得た。
このようにして得られたpM1-9′とpTrpAを共にEcoRI
とBamHIで切断しpM1-9′のhIL2遺伝子を含む断片とpTrp
AのtrpAターミネーターを含む断片を連結しpT9-11′を
得た(以上、第1図参照)。
次にこのpT9-11′をClaI、XbaIで切断し、大きい断片
に第2b図の合成DNA断片を挿入、連結し、hIL2をコード
する合成遺伝子を有するプラスミドpT13SNco(第2a図)
を構築した。
pT13SNcoのpT9-11′との構造上の違いは第2a図の
(3)の部分であり、この部分のDNA配列は第2b図に示
したとおりである。このDNA塩基配列はMetをN末端に付
加した成熟型hIL-2の59アミノ酸残基までをコードしう
る配列であり、かつその配列内に制限酵素切断部位が多
数(SacI,BglII,PstI,XhoI等)存在するようにデザイン
した。
pT13SNcoをE.coli HB101に組み込んだ菌(E.coli pT1
3SNco/HB101)は、次のようにして得た。すなわち、構
築したpT13SNcoとE.coli HB101菌体をTCN(10mM Tris-H
Cl pH7.5、10mM CaCl2、10mM MgCl2)200μl中で0℃
にて20分保ち、その後42℃、2分間静置し、さらにこれ
に1mlのL−ブロス(トリプトン1%、酵母エキス0.5
%、NaCl 0.5%グルコース0.2%)を添加して37℃にて
1時間振とうした。その後、その培養液の一部を、アン
ピシリン(50μg/ml)を含むL−ブロス平板に塗抹し、
その平板を37℃で20時間培養して出現したコロニーを釣
菌した。得られたコロニーをL−ブロスに植え、37℃で
20時間培養後、常法によりプラスミドDNAを調製しpT13S
Ncoを得た。そのコロニーの菌株の中から1株(E.coli
pT13SNco/HB101)を選択した。
また一方、mIL2遺伝子部分については第3図に示すよ
うに、pMIL2-45(特開昭61-58590号公報、mIL2 cDNAをp
BR322上のPstI部位に入れこんだプラスミド)を制限酵
素HhaI、DraIにて切断しDNA断片Iを回収した。また第
3図に示した核酸塩基配列をもつDNA断片IIを人工合成
した。この断片中にはPhe-Argをコードする5′‐TTC-C
GC-3′配列が含まれている。また制限酵素XhoI切断部位
も存在するように合成した。次にpT13SNcoをBamHI、で
切断後、DNAポリメラーゼ(クレノウ)処理して、さら
にXbaIにて切断して得られる大きいDNA断片IIIを回収し
た。
以上のDNA断片I、II、IIIをT4DNAリガーゼによって
連結しpT13SΔhIL2-KS-mIL2(XbaI)を構築した。
このpT13SΔhIL2-KS-mIL2(XbaI)プラスミドは、IAA
(インドールアクリル酸)等により誘導可能な高発現性
トリプトファンプロモーターの下流に、天然型hIL2のN
末端に大腸菌内での発現に必要なMetをコードするATGを
付加したhIL2構造遺伝子の第59番目Leuまでと、その下
流にDNA断片の連結にともない形成される塩基配列GTC-C
TC-GAG(Val-Leu-Glu)、そしてカリクレイン認識部位
となるPhe-Argをコードする塩基配列5′‐TTC-CGC-
3′、その次に天然型mIL2のN末端アミノ酸であるAlaで
始まるmIL2構造遺伝子が連らなる構造をもっている。こ
の連結部分の構造を第4図に示した。
プラスミドpT13SΔhIL2-KS-mIL2(XbaI)をE.coli HB
101に組みこんだ菌(E.coli pT13SΔhIL2-KS-mIL2(Xba
I)/HB101)を先と同様にして得た。
(2)培養及び生産物の取得 選択した形質転換株pT13SΔhIL2-KS-mIL2(XbaI)/HB
101を、トリプトン1%、酵母エキス0.5%、NaCl0.5
%、グルコース0.2%、アンピシリン100μg/ml、ストレ
プトマイシン25μg/ml及び寒天2%の組成の平板培地に
塗抹し、37℃で15〜20時間培養した。そこから1白金耳
を100mlのM9−カザミノ酸培地(カザミノ酸0.2%、NH4C
l0.1%、NaCl0.05%、MgSO4・7H2O0.05%、CaCl2・2H2O0.
00147%、L-Leu0.02%、L-Pro0.02%、VB1・HCl0.0002
%、Na2HPO4・12H2O0.6%、KH2PO40.3%、グルコース0.2
%、アンピシリン100μg/ml、ストレプトマイシン25μg
/ml)を含む坂口フラスコに接種し、31℃で培養を行な
った。培養開始後、3〜4時間経過した時点で25μg/ml
の3−インドールアクリル酸を添加し、さらに培養を15
〜20時間行なった。
菌体内に生成した顆粒を以下の手順で抽出した。遠心
分離により、菌体を集め、10倍濃縮になるように、30mM
NaClを含む20mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)を添加し、
懸濁後、そこにリゾチーム1mg/ml、EDTA0.05Mを添加し
攪拌した後、氷中にて、1時間放置した。次いで、超音
波により菌体を破壊し、10,000rpm、5分の遠心分離
で、顆粒を回収した。
得られたΔhIL2(59)‐KS-mIL2顆粒を6M塩酸グアニ
ジンで可溶化後、SephadexG-25による脱グアニジンを行
ったところ本融合蛋白は析出し殆ど不溶の状態となっ
た。この不溶性の融合蛋白をカリクレイン反応条件をみ
たす各種組成の溶媒を用いて可溶化を試みたが可溶性の
溶媒を見出すことは出来なかった。そこで6M塩酸グアニ
ジンに溶解した本融合蛋白を2M塩酸グアニジン溶液中で
グルタチオンなどを用いて巻き戻し反応を行った。この
反応液を逆相HPLCで分析したところ、数種類の蛋白が生
成していることが判明した。この結果からmIL2分子内に
ある3つのCysと、上流ポリペプチド58番目Cysの計4つ
のCys相互間で複雑なジスルフィド結合反応が生じたも
のと推定された。従って下流ポリペプチドとしてmIL2を
用い、アミノ酸残基数が59個の上流ポリペプチドとの融
合蛋白を生産させた場合には、菌体内に著量の顆粒が蓄
積するが、これから目的蛋白を切断遊離させるには技術
的に容易な方法を見出すことが必要であると考えられ
た。
実施例2 hIL2蛋白の一部(アミノ酸51個)の下流にカ
リクレイン切断認識配列を付加し、さらにmIL2蛋白を接
続した融合蛋白質(ΔhIL2(51)‐KS-mIL2)の例 (1)プラスミドDNAの構築と組換え菌の取得 hIL2蛋白中のN末端より51番目Thrまでをコードするh
IL2遺伝子の下流に実施例1と同様にPhe-Argをコードす
る塩基配列を含むDNAを付加し、さらにその下流にmIL2
遺伝子を融合させたプラスミドpT13SΔhIL2-KS-mIL2(S
acI)を構築し、これをE.coli HB101に導入して組換え
菌を取得した。
pT13SΔhIL2-KS-mIL2(SacI)の構築方法を以下に示
す。
第5図に示すように、実施例1で用いたpT13SNcoをSa
cIで切断後T4DNAポリメラーゼにて切断末端の突出して
いる3′を平滑末端になるまで削除しその後、PvuIにて
切断しhIL2遺伝子の上流側を含む小さい方のDNA断片IV
とさらに実施例1で構築したpT13SΔhIL2-KS-mIL2(Xba
I)をXhoI切断しクレノウ処理後、PvuIで切断して得ら
れる、mIL2構造遺伝子を含むDNA断片VをT4DNAリガーゼ
により連結することによりpT13SΔhIL2-KS-mIL2(Sac
I)を構築した。hIL2-mIL2連結部分の構造を第6図に示
した。
実施例1と同様にしてpT13SΔhIL2-KS-mIL2(SacI)
をE.coli HB101に組みこんだ菌(pT13SΔhIL2-KS-mIL2
(SacI)/HB101)を得た。
(2)培養及び生産物の取得 実施例1と同様な方法によりΔhIL2(51)‐KS-mIL2
顆粒を抽出し6M塩酸グアニジンで可溶化後、SephadexG-
25による脱グアニジンを行ったところ本融合蛋白は析出
し殆ど不溶の状態となった。この不溶性融合蛋白をカリ
クレイン反応が実施出来るような各種組成の溶媒を用い
て可溶化を試みたが可溶性の溶媒を見出すことは出来な
かった。そこで6M塩酸グアニジンに溶解した本融合蛋白
を2M塩酸グアニジン溶液となしグルタチオンなどを用い
て巻き戻し反応を行った。
この反応液を逆相HPLCで分析した結果、巻き戻しされ
た蛋白と巻き戻されていない蛋白の2つにわけられた。
巻き戻し率は20ないし30%にとどまっていたがこの巻
き戻しされた融合蛋白部分を分取したところ、カリクレ
イン反応溶液(113mM NaClを含む50mMTris-HCl緩衝液pH
7.8)に溶解することが可能であった。
(3)カリクレインによる切断 巻き戻されたmIL2融合蛋白ΔhIL2(51)‐KS-mIL2 25
μgとヒトプラズマカリクレイン7μgを上述のカリク
レイン反応液に溶解し37℃、15時間反応後、逆相HPLCに
よりmIL2相当画分を分取することによりmIL2をほゞ定量
的に取得した。
実施例3 hIL2蛋白の一部(アミノ酸21個)の下流にカ
リクレイン切断認識配列を付加し、さらにmIL2蛋白を接
続した融合蛋白質(ΔhIL2(21)‐KS-mIL2)の例 (1)プラスミドDNAの構築と組換え菌の取得 hIL2蛋白中のN末端より21番目Leuまでをコードするh
IL2遺伝子の下流に実施例1と同様にPhe-Argをコードす
る塩基配列を含むDNAを付加し、さらにその下流にmIL2
遺伝子を融合させたプラスミドpT13SΔhIL2-KS-mIL2(B
glII)を構築し、これをE.coli HB101に導入して組換え
菌を取得した。
pT13SΔhIL2-KS-mIL2(BglII)の構築方法を以下に示
す。
第7図に示すように、実施例1で用いたpT13SNcoをBg
lIIで切断後、クレノウ処理し平滑末端とした後、PvuI
にて切断しhIL2遺伝子の上流側を含む小さい方のDNA断
片VIを得、これと、さらに実施例1で構築したpT13SΔh
IL2-KS-mIL2(XbaI)をXhoI切断し、クレノウ処理後、P
vuI切断して得られるmIL2構造遺伝子を含むDNA断片Vを
T4DNAリガーゼにより連結することによりpT13SΔhIL2-K
S-mIL2(BglII)を構築した。hIL2-mIL2連結部分の構造
を第8図に示した。また実施例1と同様にしてpT13SΔh
IL2-KS-mIL2(BglII)をE.coli HB101に組みこんだ菌株
(E.coli-AJ12332)を得た(本菌株は微工研寄託9101番
である)。
(2)培養及び生産物の取得 実施例1と同様な方法によりΔhIL2(21)‐KS-mIL2
顆粒を抽出し、6M塩酸グアニジンで可溶化後、Sephadex
G-25による脱グアニジンを行ったところ本融合蛋白は析
出し、殆ど不溶の状態となった。この不溶性融合蛋白を
カリクレイン反応が実施出来るような各種組成の溶媒を
用いて可溶化を試みたが可溶性の溶媒を見出すことは出
来なかった。そこで6M塩酸グアニジンに溶解した本融合
蛋白を2M塩酸グアニジン溶液となしグルタチオンなどを
用いて巻き戻し反応を行った。
この反応液を逆相HPLCで分析した結果、本融合蛋白は
定量的に巻き戻されていることが判明した。
この巻き戻しをされた融合蛋白を分取し実施例2に示
したカリクレイン反応液に溶解したところ完全に溶解さ
れた。
(3)カリクレインによる切断 巻き戻されたmIL2融合蛋白ΔhIL2(21)‐KS-mIL2を
実施例2と同様な方法でヒトプラズマカリクレインで切
断反応を行ったところ定量的に切断が起り、定量的にmI
L2を取得した。
実施例4 hIL2蛋白の一部(アミノ酸51個)の下流にカ
リクレイン切断認識配列を付加しさらにヒト造血系細胞
増殖増強因子(HCGPF)を接続した融合蛋白質(ΔhIL2
(51)‐KS-HCGPF)の例 (1)プラスミドDNAの構築と組み換え菌の取得 大腸菌体内にhIL2の著量蓄積可能な発現ベクターを用
いて、そのhIL2のN末端より51番目Thrまでをコードす
る構造遺伝子中の下流にカリクレイン切断認識配列Phe-
ArgをコードするDNA配列を付加し、さらに、その下流に
造血系細胞増殖増強因子(HCGPF、特開昭63-267277号公
報)遺伝子を融合させたプラスミドpT13SΔhIL2-KS-HCG
PF(SacI)を構築した。その後、このプラスミドをE.co
li HB101へ導入し、その組換え菌を取得した。HCGPF
は、ヒト由来のFDC-P細胞を増殖せしめる活性を有する
蛋白質で第9図に示すアミノ酸配列よりなるポリペプチ
ドであり、その遺伝子の核酸塩基配列は第9図のとおり
である。
このHCGPFcDNA部分は特開昭63-267277号公報に記載さ
れているpDE-2のEcoR1切断部位内に挿入されている(第
10図参照)。
そこでまず、第11図に示すようにHCGPFcDNAがpDE-2に
挿入されたp4-15をEcoR1で切断し、HCGPFcDNA領域を含
むDNA断片を切り出し、そのDNA断片をApaIで切断後、T4
DNAポリメラーゼにて切断端の3′突出部分を削除し平
滑端とした後HgiAIで切断した。こうして、その構造遺
伝子内のHgiAIから3′非翻訳領域内のApaIまでのHCGPF
構造遺伝子の多くを含むDNA断片VIIを調製した。
また、第12図に示したDNA断片VIIIを人工合成した。
この断片にはカリクレイン切断認識配列Phe-Argをコー
ドする塩基配列5′‐TTC-CGC-3′及びその下流にHCGPF
のN末端側をコードする塩基配列が含まれている。
一方、pT13SNcoをBamHIで切断しクレノウ処理し、そ
の後SacIで切断して得られるDNA断片IXを調製した。以
上のDNA VII VIII IXをT4DNAリガーゼにより連結させpT
13SΔhIL2-KS-HCGPF(SacI)を構築した。
また実施例1と同様にしてpT13SΔhIL2-KS-HCGPF(Sa
cI)をE.coli HB101に組みこんだ菌株(E.coli-AJ1232
5)を得た(本菌株は微工研寄託番号9094番である)。
(2)培養及び生産物の取得 実施例1と同様な方法により培養し、さらに、菌体よ
り顆粒を抽出した。この顆粒を6M塩酸グアニジンで可溶
化後、ΔhIL2(51)‐KS-HCGPF融合蛋白濃度が100μg/m
l及び2M塩酸グアニジン溶液となるように濃度調製を行
なった。次に、0.1M Na2CO3-NaHCO3緩衝液(pH10)で透
析し、塩酸グアニジンを除いた後、0.1M Tris-HCl緩衝
液、57mMNaCl(pH8.8)で透析し、20μg/ml濃度のΔhIL
2(51)‐KS-HCGPF融合蛋白質相当画分を得た。
(3)カリクレインによる切断 上記の緩衝液を用い実施例2と同様の方法によりカリ
クレインを作用させた結果、反応に用いたΔhIL2(51)
‐KS-HCGPF融合蛋白質の5〜10%がHCGPFに変換され、
逆相HPLC、イオン交換クロマトグラフィーにより精製
し、HCGPF蛋白を取得した。
実施例5 hIL2蛋白の一部(アミノ酸21個)の下流にカ
リクレイン切断認識配列を付加し、さらにヒト造血系細
胞増殖増強因子(HCGPF)を接続した融合蛋白質(ΔhIL
2(21)‐KS-HCGPF)の例 (1)プラスミドDNAの構築と組換え菌の取得 hIL2蛋白中のN末端より21番目Leuまでをコードするh
IL2遺伝子の下流に実施例4と同様にPhe-Argをコードす
る塩基配列を含むDNAを付加し、さらにその下流にHCGPF
遺伝子を融合させたプラスミドpT13SΔhIL2-KS-HCGPF
(BglII)を構築し、これをE.coli HB101に導入して組
換え菌を取得した。
pT13SΔhIL2-KS-HCGPF(BglII)の構築方法を以下に
示す。
第13図に示すように、実施例4で構築したpT13SΔhIL
2-KS-HCGPF(SacI)の合成DNA断片内にあるXbaIとhIL2
遺伝子内にあるBglII切断サイトを各々それらの制限酵
素により切断した後、クレノウ処理し、その大きいDNA
断片をT4DNAリガーゼにより自己連結してpT13SΔhIL2-K
S-HCGPF(BglII)を構築した。
また、実施例1と同様にしてpT13SΔhIL2-KS-HCGPF
(BglII)をE.coli HB101に組みこんだ菌株(E.coli-AJ
12326)を得た(本菌株は微工研寄託番号9095番であ
る)。
(2)培養及び生産物の取得 実施例4と同様な方法により培養、顆粒抽出、可溶
化、脱グアニジンを行った。その結果120μg/ml濃度の
ΔhIL2-KS-HCGPF融合蛋白相当画分を得た。
(3)カリクレインによる切断 実施例4と同様の方法によりカリクレインを作用させ
た結果、40〜60%がHCGPF蛋白に変換され、逆相HPLC、
イオン交換クロマトにより精製し、HCGPF蛋白を取得し
た。
実施例6 hIL2蛋白の一部(アミノ酸12個)の下流にカ
リクレイン切断認識配列を付加し、さらにヒト造血系細
胞増殖増強因子(HCGPF)を接続した融合蛋白質(ΔhIL
2(12)‐KS-HCGPF)の例 (1)プラスミドDNAの構築と組換え菌の取得 hIL2蛋白中のN末端より21番目Leuまでをコードするh
IL2遺伝子の下流に実施例4と同様にPhe-Argをコードす
る塩基配列を含むDNAを付加し、さらにその下流にHCGPF
遺伝子を融合させたプラスミドpT13SΔhIL2-KS-HCGPF
(PstI)を構築し、これをE.coli HB101に導入して組換
え菌を取得した。
pT13SΔhIL2-KS-HCGPF(PstI)の構築方法を以下に示
す。
第14図に示すように、実施例4で構築したpT13SΔhIL
2-KS-HCGPF(SacI)をXbaI(合成DNA断片VIII内に存在
する部位)で切断し、クレノウ処理後、PvuIにて切断し
HCGPF遺伝子を含む大きいDNA断片Xを得た。また一方pT
13SNcoをPstIで切断し、T4DNAポリメラーゼによりその
切断末端を平滑端化(PstI切断後の3′突出末端の削除
による)後、PvuIにて切断しhIL2遺伝子の上流部分をふ
くむDNA断片XIを調製した。以上のDNA断片X、とXIをT4
DNAリガーゼにより連結しpT13SΔhIL2-KS-HCGPF(Pst
I)を構築した。
また、実施例1と同様にしてpT13SΔhIL2-KS-HCGPF
(PstI)をE.coliHB101に組みこんだ菌株(E.coli-AJ12
327)を得た(本菌株は微工研寄託番号9096番であ
る)。
(2)培養及び生産物の取得 実施例4と同様な方法により培養、顆粒抽出、可溶
化、脱グアニジンを行った。その結果7μg/ml濃度のΔ
hIL2(12)‐KS-HCGPF融合蛋白相当画分を得た。
(3)カリクレインによる切断 実施例4と同様の方法によりカリクレインを作用させ
た結果、10〜15%がHCGPF蛋白に変換され、逆相HPLC、
イオン交換クロマトグラフィーにより精製し、HCGPF蛋
白を取得した。
実施例7 hIL2蛋白の一部(アミノ酸59個)の下流にカ
リクレイン切断認識配列を付加し、さらにヒト造血系細
胞増殖増強因子(HCGPF)を接続した融合蛋白質(ΔhIL
2(59)‐KS-HCGPF)の例 (1)プラスミドDNAの構築と組換え菌の取得 hIL2蛋白中のN末端より59番目Leuまでをコードするh
IL2遺伝子の下流に実施例4と同様にPhe-Argをコードす
る塩基配列を含むDNAを付加し、さらにその下流にHCGPF
遺伝子を融合させたプラスミドpT13SΔhIL2-KS-HCGPF
(XbaI)を構築し、これをE.coli HB101に導入して組換
え菌を取得した。
pT13SΔhIL2-KS-HCGPF(XbaI)の構築方法を以下に示
す。
第15図に示すように、実施例4で構築したpT13SΔhIL
2-KS-HCGPF(SacI)をXbaI(合成DNA断片VIII内に存在
する部位)で切断し、クレノウ処理後、PvuIにて切断し
HCGPF遺伝子を含む大きいDNA断片Xを得た。
また一方、pT13SNcoをXbaIで切断しクレノウ処理後、
PvuIで切断し、hIL2遺伝子の上流部分を含むDNA断片XII
を調製した。
以上のDNA断片XとXIIをT4DNAリガーゼにより連結しp
T13SΔhIL2-KS-HCGPF(XbaI)を構築した。
また、実施例1と同様にしてpT13SΔhIL2-KS-HCGPF
(XbaI)をE.coli HB101に組みこんだ菌株(E.coli-AJ1
2331)を得た(本菌株は微工研寄託番号9100番であ
る)。
(2)培養及び生産物の取得 実施例4と同様な方法により培養、顆粒抽出、可溶
化、脱グアニジンを行った。その結果5μg/ml濃度のΔ
hIL2(59)‐KS-HCGPF融合蛋白相当画分を得た。
(3)カリクレインによる切断 実施例4と同様の方法により、カリクレインを作用さ
せた結果、5〜10%がHCGPF蛋白に変換され、逆相HPL
C、イオン交換クロマトグラフィーにより精製し、HCGPF
蛋白を取得した。
実施例8 hIL-2蛋白の一部(アミノ酸36個)の下流に
カリクレイン切断認識配列を含む部分を付加し、さらに
hEGF蛋白を接続した融合蛋白(ΔhIL2(36)‐KS-hEG
F)の例 ヒト上皮細胞増殖因子(human Epidermal Growth Fac
tor:hEGF)は1975年グレゴリー(Gregory)らによって
単離された上皮細胞の増殖を促進する蛋白で胃酸分泌抑
制作用も示す物質である(Gregory,H.,Nature257 325
(1975))。このhEGFは53個のアミノ酸から構成され、
糖鎖をもたない単純蛋白質であり第16図にそのアミノ酸
配列を示した。hEGFのcDNAはまだ得られておらず、本発
明者はhEGFをコードする遺伝子を、既知のアミノ酸配列
からDNA塩基配列へ容易に逆翻訳することにより、化学
合成し構築した。第17図にその塩基配列を示した。
(1)プラスミドDNAの構築と組換え菌の取得 hIL-2蛋白中のN末端より36番目Leuまでをコードする
hIL-2遺伝子の下流に実施例1と同様にPhe-Argをコード
する塩基配列を含むDNAを付加し、さらにその下流にhEG
F遺伝子を融合させたプラスミドpT13SΔhIL2-KS-hEGF
(H3)を構築し、これをE.coli HB101に導入して組換え
菌を取得した。
まず、hEGF遺伝子の構築について以下に示す。
第17図および第18図に示したように、hEGF遺伝子は前
半部(A断片)と後半部(B断片)に分けて合成し、2
ブロックから構築した。
A断片の構築 A断片は9本のサブフラグメント(即ち、#1,2,3,4,
0,1′,2′,3′,4′)から構成されるようにした。β−
シアノエチルホスホアミダイト法により化学合成した各
オリゴヌクレオチドは、その5′位のリン酸が付加され
ていないので、サブフラグメントの2,3,4,0′,1′,2′,
3′をリン酸化した。各サブフラグメント10pmolをKinat
ion緩衝液(50mM Tris-HCl(pH7.8)、10mM MgCl2、1mM
DTT)に溶解し、〔γ−32P〕ATP(300Ci/m mol)を10
μCi、T4ポリヌクレオチド キナーゼ(宝酒造10単位/
μl)を1μl加え、37℃で30分反応させた(反応容積
10μl)。次に冷ATP(2.5mM)を1μl加えさらに30分
反応させた。合成オリゴヌクレオチド10pmolに対して加
えた〔γ−32P〕ATPは3.3pmolであるため、完全に各フ
ラグメントをリン酸化するために冷ATPを追加した。
次にキナーゼを失活させるため反応液を65℃で10分処
理した。その後、リン酸化しなかったサブフラグメント
#1と#4′、各々10pmolずつを上記の他フラグメント
混合液中へ加え、もう一度65℃で加熱した後、徐冷し、
各サブフラグメントをアニールさせた。すなわち、65℃
の湯を入れた100mlビーカー中へ各フラグメントが入っ
ているチューブを浮かせて、室温放置することにより徐
冷した。
室温まで溶液が冷えたところでT4 DNAリガーゼ(宝酒
造6単位/μl)を1μl加え15℃で一晩反応させた。
ライゲーションされたオリゴヌクレオチド混合物は15
%アクリルアミドゲルで泳動され、ゲルをオートラジオ
グラフにかけることによって解析された。目的のA断片
は両端のサブフラグメント#0,#4′の非リン酸化のた
めに最も分子量の大きいDNA断片としてオートラジオグ
ラフ上にバンドが出現することになる。目的産物は写真
上のバンドを指標にゲルから切り出し、1mm角程度に細
切れにした後、TE緩衝液(10mM Tris-HCl(pH7.5)1mM
EDTA)2mlに懸濁し37℃で一晩溶出した。溶出液はフェ
ノール/CHCl3/イソアミルアルコール(25:24:1)混液
で3回抽出し、エーテルで処理(3回)後、エタノール
沈澱させた。こうして目的産物であるA断片DNAを回収
した。
回収したA断片DNAを第18図に示したように、SacI、H
incII処理したpUC19(約1μg)と混合し連結用緩衝液
(ligation buffer)(50mM Tris-HCl(pH7.8)、10mM
MgCl2、1mM DTT、1mM ATP)中で15℃にて連結反応を行
った。
ここで得られた連結反応混合物を用いてJM105を形質
転換し、Amp、X-gal、IPTGを含むプレートで白いコロニ
ーを選択し、プラスミドpUC19-Aを調製した。。得られ
たhEGF遺伝子のA断片は、両方向から塩基配列を決定す
ることにより確認された。
B断片の構築 A断片構築と同様にサブフラグメント#6,7,8,5′,
6′,7′をリン酸化した後、#5と#8′も加え混合し
アニール後、連結反応を行い、目的B断片を電気泳動に
より分離、回収した。その後、XbaI、BamHIで処理した
プラスミドpUC19へB断片を組み入れ、プラスミドpUC19
-Bを得た。と同様に塩基配列をB断片の両方向から決
定し、目的どおりのhEGF遺伝子B断片を確認した(第18
図参照)。以上のようにしてhEGF遺伝子のA断片、B断
片を作成した。
次にpT13SΔhIL2-KS-hEGF(H3)の構築方法を以下に
示す。
第19図に示したように、最初にhIL-2合成遺伝子上のS
acI部位(hIL-2N未則より53アミノ酸領域の利用)でhEG
F遺伝子が融合遺伝子となるようにプラスミドを構築し
た。その後にhIL-2合成遺伝子上のHindIII部位でhEGF遺
伝子が連結した構造をもつプラスミドpT13SΔhIL2-KS-h
EGF(H3)を作成した。
詳細に記すと、プラスミドpUC19のポリリンカー上のH
incII、SacI領域へhEGFのA断片を組み込んだpUC19-Aを
XbaI、SacIで処理し、A断片を含むDNA断片を単離し
た。同様にプラスミドpUC19-BをXbaI、BamHIで処理して
B断片を含むDNA断片を得た。一方、プラスミドpT13SNc
o(実施例1参照)をSacI、BamHI処理して得られるtrp
プロモーターを含むDNA断片を単離し、これと、上記A
断片、B断片の3者をT4DNAリガーゼにより連結した。
その結果、hIL-2の53番目アミノ酸残基までをコードす
る領域に、カリクレイン切断認識部位を介してhEGF遺伝
子が連結した構造を有するプラスミドpT13SΔhIL2-KS-h
EGF(S1)が得られた。
次にこのプラスミドpT13SΔhIL2-KS-hEGF(S1)をHin
dIII処理後、自己連結(self-ligation)することによ
りプラスミドpT13SΔhIL2-KS-hEGF(H3)を作成した。
第20図にプラスミドpT13SΔhIL2-KS-hEGF(H3)の制
限酵素地図を、又第21図に合成融合遺伝子部分の塩基配
列を示した。
実施例1と同様にしてプラスミドpT13SΔhIL2-KS-hEG
F(H3)をE.coli HB101に組みこんだ菌(pT13SΔhIL2-K
S-hEGF(H3)/HB101)を得た。(本菌株は微工研寄託番
号9719番(FERM P-9719)である。) (2)培養及び生産物の取得 実施例1と同様な方法により、形質転換株pT13SΔhIL
2-KS-hEGF(H3)/HB101を培養し、3−インドールアク
リル酸を添加することにより誘導を行なった結果、菌体
内にΔhIL2(36)‐KS-hEGF顆粒が生成した。
つづいて、以下の手順でその顆粒を抽出した。
遠心分離により菌体を集め、10倍濃縮になるように、
30mM NaClを含む20mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)を添加
し、懸濁後、これにリゾチーム(最終濃度1mg/ml)、ED
TA(最終濃度0.05M)を添加し攪拌した後、氷中にて1
時間放置した。次いで超音波により菌体を破壊し、9,00
0rpm、5分の遠心分離で顆粒を回収した。
得られたΔhIL2(36)‐KS-hEGF顆粒を6M塩酸グアニ
ジンで可溶化後、その溶液を希釈し、2M塩酸グアニジン
溶液中でグルタチオンなどを用いて巻き戻し反応(ジス
ルフィド結合形成反応)を行った。
この反応液を逆相HPLCで分析した結果、本融合蛋白を
定量的に巻き戻されていることが判明した。
この巻き戻しをされた融合蛋白は、1M〜2M尿素を含む
カリクレイン反応溶液(100mM NaClを含む50mM Tris-HC
l緩衝液pH7.8)に溶解することが可能であった。
(3)カリクレインによる切断 巻き戻されたhEGF融合蛋白ΔhIL2(36)‐KS-hEGF(1
0μg)溶液にヒトプラズマカリクレイン0.03単位を加
え37℃16時間反応後、逆相HPLCによりhEGF相当画分を分
取することにより、hEGFをほぼ定量的に取得した。こう
して得られたhEGFは、そのアミノ酸配列を調べたとこ
ろ、予想どおりN末端をAsnとする天然型アミノ酸配列
であること、また生理活性を有することも判明した。
〔発明の効果〕
本発明によれば、目的ポリペプチドが、大腸菌菌体内
で顆粒状に蓄積されないものであっても、これを融合ポ
リペプチドの形で顆粒状に蓄積せしめ、しかもこの融合
ポリペプチドを酵素処理することにより目的ポリペプチ
ドを純粋な形で、多量かつ安価に製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はプラスミドpT9-11′の構築工程を示す図面であ
る。 第2a図は、プラスミドpT13SNcoの制限酵素切断地図であ
り、 第2b図はMetをコードするDNA配列を5′末端につけたhI
L2のAla(1)〜Leu(59)までのアミノ酸配列をコード
する合成DNA配列を示す。 第3図はプラスミドpT13SΔhIL2-KS-mIL2(XbaI)の構
築工程を示す図面である。 第4図はプラスミドpT13SΔhIL2-KS-mIL2(XbaI)のリ
ンカー連結部分のDNA配列を示す図面である。 第5図はプラスミドpT13SΔhIL2-KS-mIL2(SacI)の構
築工程を示す図面である。 第6図はプラスミドpT13SΔhIL2-KS-mIL2(SacI)のリ
ンカー連結部分のDNA塩基配列を示す図面である。 第7図はプラスミドpT13SΔhIL2-KS-mIL2(BglII)の構
築工程を示す図面である。 第8図はプラスミドpT13SΔhIL2-KS-mIL2(BglII)のリ
ンカー連結部分のDNA塩基配列を示す図面である。 第9図はHCGPFのアミノ酸配列およびこれをコードするD
NA配列を示す図面である。 第10図はプラスミドpDE-2の構築工程を示す図面であ
る。 第11図はプラスミドpT13SΔhIL2-KS-HCGPF(SacI)の構
築工程を示す図面である。 第12図はプラスミドpT13SΔhIL2-KS-HCGPF(SacI)の構
築に使用される合成DNA断片VIIIを示す図面である。 第13図はプラスミドpT13SΔhIL2-KS-HCGPF(BglII)の
構築工程を示す図面である。 第14図はプラスミドpT13SΔhIL2-KS-HCGPF(PstI)の構
築工程を示す図面である。 第15図はプラスミドpT13SΔhIL2-KS-HCGPF(XbaI)の構
築工程を示す図面である。 第16図はhEGFのアミノ酸配列を示す図面である。 第17図は合成hEGF遺伝子及び連結部の塩基配列を示す図
面である。 第18図はプラスミドpUC19-A及びプラスミドpUC19-Bの構
築工程を示す図面である。 第19図はプラスミドpT13SΔhIL2-KS-hEGF(H3)の構築
工程を示す図面である。 第20図はプラスミドpT13SΔhIL2-KS-hEGF(H3)の制限
酵素地図を示す図面である。 第21図はプラスミドpT13SΔhIL2-KS-hEGF(H3)の合成
融合遺伝子部分の塩基配列を示す図面である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 21/02 (C12P 21/02 C12R 1:19) C12R 1:19)

Claims (23)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(イ)ヒトインターロイキン2(以下hIL2
    という)蛋白のN末端から21アミノ酸以上をコードする
    遺伝子の3′末端に、 (ロ)特異的プロテアーゼによって加水分解される特異
    的アミノ酸配列をコードするDNAを3′末端に有するオ
    リゴマーDNAをリンカーとして結合させ、 (ハ)該リンカーの3′末端に目的ポリペプチドをコー
    ドする遺伝子の5′末端を結合させた ことを特徴とする遺伝子。
  2. 【請求項2】特異的アミノ酸配列が、Phe-Arg又はIle-G
    lu-Gly-Argであることを特徴とする特許請求の範囲第
    (1)項記載の遺伝子。
  3. 【請求項3】特異的アミノ酸配列がPhe-Argであり、特
    異的プロテアーゼがカリクレインであることを特徴とす
    る特許請求の範囲第(1)項記載の遺伝子。
  4. 【請求項4】特異的アミノ酸配列がIle-Glu-Gly-Argで
    あり、特異的プロテアーゼが血液凝固因子Xaであること
    を特徴とする特許請求の範囲第(1)項記載の遺伝子。
  5. 【請求項5】目的ポリペプチドがマウス・インターロイ
    キン2又はヒト造血系細胞増殖増強因子(HCGPF)又は
    ヒト上皮細胞増殖因子(hEGF)であることを特徴とする
    特許請求の範囲第(1)項記載の遺伝子。
  6. 【請求項6】(イ)hIL2蛋白のN末端から21アミノ酸以
    上をコードする遺伝子の3′末端に、 (ロ)特異的プロテアーゼによって加水分解される特異
    的アミノ酸配列をコードするDNAを3′末端に有するオ
    リゴマーDNAをリンカーとして結合させ、 (ハ)該リンカーの3′末端に目的ポリペプチドをコー
    ドする遺伝子の5′末端を結合させた ことを特徴とする遺伝子を含有するプラスミド。
  7. 【請求項7】プラスミドpT13SΔhIL2-KS-mIL2(BglII)
    である特許請求の範囲第(6)項記載のプラスミド。
  8. 【請求項8】プラスミドpT13SΔhIL2-KS-mIL2(SacI)
    である特許請求の範囲第(6)項記載のプラスミド。
  9. 【請求項9】プラスミドpT13SΔhIL2-KS-mIL2(XbaI)
    である特許請求の範囲第(6)項記載のプラスミド。
  10. 【請求項10】プラスミドpT13SΔhIL2-KS-HCGPF(Pst
    I)である特許請求の範囲第(6)項記載のプラスミ
    ド。
  11. 【請求項11】プラスミドpT13SΔhIL2-KS-HCGPF(BglI
    I)である特許請求の範囲第(6)項記載のプラスミ
    ド。
  12. 【請求項12】プラスミドpT13SΔhIL2-KS-HCGPF(Sac
    I)である特許請求の範囲第(6)項記載のプラスミ
    ド。
  13. 【請求項13】プラスミドpT13SΔhIL2-KS-HCGPF(Xba
    I)である特許請求の範囲第(6)項記載のプラスミ
    ド。
  14. 【請求項14】プラスミドpT13SΔhIL2-KS-hEGF(H3)
    である特許請求の範囲第(6)項記載のプラスミド。
  15. 【請求項15】(イ)hIL2蛋白のN末端から21アミノ酸
    以上をコードする遺伝子の3′末端に、 (ロ)特異的プロテアーゼによって加水分解される特異
    的アミノ酸配列をコードするDNAを3′末端に有するオ
    リゴマーDNAをリンカーとして結合させ、 (ハ)該リンカーの3′末端に目的ポリペプチドをコー
    ドする遺伝子の5′末端を結合させた ことを特徴とする遺伝子を含有するプラスミドによって
    形質転換されたエシェリヒア・コリ種に属する微生物。
  16. 【請求項16】エシェリヒア・コリHB101(pT13SΔhIL2
    -KS-mIL2(BglII))である特許請求の範囲第(15)項
    記載の微生物。
  17. 【請求項17】エシェリヒア・コリHB101(pT13SΔhIL2
    -KS-mIL2(SacI))である特許請求の範囲第(15)項記
    載の微生物。
  18. 【請求項18】エシェリヒア・コリHB101(pT13SΔhIL2
    -KS-mIL2(XbaI))である特許請求の範囲第(15)項記
    載の微生物。
  19. 【請求項19】エシェリヒア・コリHB101(pT13SΔhIL2
    -KS-HCGPF(PstI))である特許請求の範囲第(15)項
    記載の微生物。
  20. 【請求項20】エシェリヒア・コリHB101(pT13SΔhIL2
    -KS-HCGPF(BglII))である特許請求の範囲第(15)項
    記載の微生物。
  21. 【請求項21】エシェリヒア・コリHB101(pT13SΔhIL2
    -KS-HCGPF(SacI))である特許請求の範囲第(15)項
    記載の微生物。
  22. 【請求項22】エシェリヒア・コリHB101(pT13SΔhIL2
    -KS-HCGPF(XbaI))である特許請求の範囲第(15)項
    記載の微生物。
  23. 【請求項23】エシェリヒア・コリHB101(pT13SΔhIL2
    -KS-hEGF(H3))である特許請求の範囲第(15)項記載
    の微生物。
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