JP2508403Y2 - 貯氷庫のクラッシャ―構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、貯氷庫の内部に画成した氷塊貯留空間に
堆積貯留されて大塊化した氷塊群を、クラッシャーによ
り掻き崩して氷塊搬出空間側に放出する貯氷庫におい
て、前記氷塊群の確実な掻き崩しを達成し得るクラッシ
ャー構造に関するものである。

従来技術 例えば漁港では、大量の砕氷塊を使用して漁獲物を冷
凍保存するのが一般的であり、この使用目的に向けて砕
氷塊には旺盛な需要がある。前記砕氷塊は、一般に大型
製氷機で製造した板氷をクラッシャーにより破砕し小氷
塊化することにより得られるものであって、これは貯氷
庫内で大量に堆積貯留され、庫内底部に配設したスクリ
ュー等の氷塊搬出手段により、必要量だけ庫外に搬出さ
れる。

ここで砕氷塊（以後は「小氷塊」と称す）は、可融性
固体である氷の物理的性質として、結晶粒子が凝固して
大塊化する現象（ケーキング）を有する。また大量の小
氷塊の集積は、貯氷庫内で架橋（アーチング）する傾向
があり、このため貯氷庫の底部から小氷塊をスクリュー
により搬出する間に内部でアーチングして空洞を生じ、
その後の小氷塊の庫外への搬出を著しく困難にしてい
る。

このように貯氷庫内で小氷塊が大塊化したり、アーチ
ングしたりして、当該小氷塊群の搬出が困難となる現象
に対処する手段として、第５図および第６図に示す如き
構造の貯氷庫が提案されている。すなわち、全体が略箱
形をなす貯氷庫10の内部には、大量の小氷塊を所定レベ
ルまで堆積貯留し得る空間12が画成されている。この空
間12は、後述するクラッシャー16により氷塊貯留空間12
aと氷塊搬出空間12bとに画成され、氷塊貯留空間12a側
の底部にスラットコンベヤ15が走行自在に配設される。
また、貯氷庫10の上部には、複数の板氷を同時に製造す
る製氷機13が搭載され、ここで製造された板氷は公知の
クラッシャー（図示せず）により砕かれて大量の小氷塊
となった後、シュート14を介して前記氷塊貯留空間12a
に落下放出される。なお貯氷庫10の側壁外面には断熱材
が被覆され、貯氷庫10の内部は冷凍ユニット（何れも図
示せず）により強制冷却されるようになっている。

第５図に示す如く、前記スラットコンベヤ15の走行方
向下流側の上部に、前記空間12を氷塊貯留空間12aと氷
塊搬出空間12bとに画成すると共に、氷塊貯留空間12aに
堆積された小氷塊群11を掻き崩すべく機能するクラッシ
ャー16が配設されている。このクラッシャー16は、第６
図に示す如く、スラットコンベヤ15の走行方向と交差す
る方向に延在する回転自在な回転軸17に、多数の突出ピ
ン18を適宜の配列で植設した角形クラッシャー体19を、
上下方向に所定間隔離間して複数段配置して構成され
る。また、氷塊搬出空間12b側の底部にスクリューコン
ベヤ20が回転自在に配設され、該空間12b内に放出され
た小氷塊を、当該スクリューコンベヤ20により貯氷庫10
の側壁に開設した開口21を介して庫外に搬出するように
なっている。

すなわち、前記製氷機13で製造された小氷塊は、第５
図に示す如く、氷塊貯留空間12aに配置したスラットコ
ンベヤ15の上に放出貯留され、ここで堆積した小氷塊は
相互に固結して大塊化するに到る。大塊化した小氷塊群
11は、スラットコンベヤ15の走行に伴ってクラッシャー
16に向けて搬送される。このときクラッシャー16を構成
する各角形クラッシャー体19を強制回転させることによ
り、小氷塊群11は走行方向下流側から順次掻き崩されて
氷塊搬出空間12bに放出される。そして掻き崩された小
氷塊は、前記スクリューコンベヤ20により庫外に搬出さ
れるものである。

考案が解決しようとする課題 前記製氷機13で製造された板氷をクラッシャーで破砕
すると、表面積の大きな小氷塊とは別に必然的に細かい
粉粒状の粉氷を生ずるのが一般的である。この粉氷をシ
ュート14を介して氷塊貯留空間12aに落下放出させる
と、該空間12a内で粉氷だけが偏って堆積する個所を生
ずることが往々にある。そして、このような粉氷の堆積
した個所が前記クラッシャー16にまで到来すると、第７
図に示す如く、前記角形クラッシャー体19に突設した突
出ピン18の周囲の小氷塊群11だけが掻き崩される現象を
生ずる。この場合は、それ以後における小氷塊群11の掻
き崩しが行なわれず（いわゆる「空運転」となる）、氷
塊搬出空間12bへの小氷塊の放出が停止されて、スクリ
ューコンベヤ20による小氷塊の搬出がなされなくなる。

また、前記突出ピン18で掻き崩されない部位が、スラ
ットコンベヤ15の走行により角形クラッシャー体19の回
転軸17に押付けられ、該軸17が変形したり破損したりす
る重大な問題があった。しかもこの現象は、スラットコ
ンベヤ15の走行および角形クラッシャー体19の回転の障
害をも招き、該スラットコンベヤ15やクラッシャー16の
駆動モータ（図示せず）に過大な負荷が与える難点も指
摘される。

考案の目的 本考案は、前述した貯氷庫のクラッシャー構造に内在
する前記欠点に鑑み、これを好適に解決するべく提案さ
れたものであって、氷塊貯留空間に貯留された小氷塊群
の確実な掻き崩しを達成して、クラッシャーに過大な負
荷が加わるのを未然に防止し得る手段を提供することを
目的とする。

課題を解決するための手段 前述した課題を克服し、所期の目的を達成するため本
考案は、大量の氷塊が堆積貯留される収納空間に配設さ
れて、該空間氷塊を貯留空間と氷塊搬出空間とに画成す
るクラッシャーを備え、前記氷塊貯留空間に堆積貯留さ
れて大塊化した氷塊群を前記クラッシャーに向けて移送
しつつ、該クラッシャーにより氷塊群を掻き崩して氷塊
搬出空間側に放出するよう構成した貯氷庫において、 前記クラッシャーは、前記氷塊群の移送方向と交差し
て延在する回転軸に螺旋状の羽根を形成すると共に、該
回転軸に多数のピンを前記羽根と干渉しないよう半径方
向に突出形成したスクリュークラッシャー体を備えるこ
とを特徴とする。

実施例 次に、本考案に係る貯氷庫のクラッシャー構造につ
き、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以
下説明する。なお第５図〜第７図に関連して、従来技術
で説明したと同一の部材については、同一の符号を付し
て、その詳細な説明は省略する。

第１図に示す如く、貯氷庫10の内部に画成した空間12
の底部には、スラットコンベヤ15が走行自在に配設さ
れ、該コンベヤ15の走行方向下流側の上部にクラッシャ
ー16が配設されている。このクラッシャー16は、複数の
角形クラッシャー体19と、複数のスクリュークラッシャ
ー体23（後述）とを、所要の配列で上下方向に平行に所
要間隔で配置して構成される。そして、これらクラッシ
ャー体19,23で構成されるクラッシャー16により、前記
空間12は貯氷庫内方の氷塊貯留空間12aと貯氷庫前方の
氷塊搬出空間12bとに画成されている。

前記スクリュークラッシャー体23は、第２図および第
３図に示す如く、前記スラットコンベヤ15の走行方向と
交差する方向に水平に延在する回転自在な回転軸17に、
螺旋状の羽根22が形成されると共に、該羽根22と干
渉しない位置において半径方向に突出する突出ピン18が
適宜の配列で多数配設されている。実施例では、スクリ
ュークラッシャー体23と角形クラッシャー体19とが交互
に段階的に配置され、これにより全体として前記クラッ
シャー16が構成される。なお、スクリュークラッシャー
体23における羽根22の半径方向の突出長さと、突出ピン
18の突出長さとは、第４図に示す如く略同一寸法に設定
されており、該クラッシャー体23の回転時に、羽根22お
よび突出ピン18の両方で小氷塊群11を掻き崩し得るよう
構成されている。

前記クラッシャー16を構成する各クラッシャー体19,2
3は、図示しない駆動モータにより同一方向に回転駆動
され、該クラッシャー16で掻き崩された小氷塊は、各ク
ラッシャー体19,23の間から前記氷塊搬出空間12b側に放
出される（第１図参照）。なお、前記スラットコンベヤ
15の表面に固着する小氷塊群11が、クラッシャー16で掻
き取られることなく運転を継続すると、コンベヤ15の走
行に支障を来たすおそれがある。そのため、クラッシャ
ー16の最下段に配置した角形クラッシャー体19におい
て、その突出ピン18の数が多くなるよう設定し、スラッ
トコンベヤ15の表面に固着する小氷塊群11を確実に掻き
取るようにすることが推奨される。

実施例の作用 次に、本考案に係る貯氷庫のクラッシャー構造の作用
につき説明する。第１図および第２図に示す貯氷庫10に
おいて、製氷機13での製氷運転が完了すると、生成され
た板氷は落下してクラッシャー（図示せず）により破砕
され、多数の小氷塊となって貯氷庫10内に堆積貯留され
る。このとき貯氷庫10内は、前述した如く図示しない冷
凍ユニットにより冷却保持され、前記スラットコンベヤ
15,クラッシャー16およびスクリューコンベヤ20は駆動
を停止して待機状態にある。

氷塊貯留空間12aに放出された小氷塊は、該空間12a内
で所定レベルまで貯留される過程で、前述の如く各小氷
塊同志が固結して大塊化するに到る。なお、小氷塊の貯
留過程で、氷塊貯留空間12a側から氷塊搬出空間12b側に
該小氷塊がなだれ込むのを防止するために、前記クラッ
シャー16を構成する各クラッシャー体19,23に配設する
突出ピン18の配設間隔（回転軸17の軸方向の間隔）を狭
く設定するのが望ましい。

次いで、貯氷庫10内に貯留された小氷塊を取り出す場
合は、氷放出ボタン（図示せず）の操作により前記スラ
ットコンベヤ15,クラッシャー16およびスクリューコン
ベヤ20を始動させる。これにより前記氷塊貯留空間12a
に貯留されている小氷塊群11は、スラットコンベヤ15の
走行に伴いゆっくりと前進し、その前端部がクラッシャ
ー16に当接するに到る。このときクラッシャー16は回転
しているので、各クラッシャー体19,23に突設した突出
ピン18により小氷塊群11は掻き崩されて、氷塊搬出空間
12bに放出される。

このとき、第４図に示す如く、前記スクリュークラッ
シャー体23の羽根22によって小氷塊群11は掻き崩される
ので、スラットコンベヤ15で搬送される小氷塊群11の下
流側面は、前記突出ピン18と対応する部分だけでなく、
長手方向の略全体に亘って掻き崩されることになる。す
なわち、各クラシャー体19,23の回転軸17に小氷塊群11
が押付けられることがなく、該軸17が折れ曲がったり破
損する等の事故の発生を未然に防止し得る。また、スラ
ットコンベヤ15やクラッシャー16の駆動モータに過大な
負荷が加わることもない。

氷塊搬出空間12bに放出された小氷塊は、前記スクリ
ューコンベヤ20の回転により開口21を介して庫外に搬出
される。また、氷塊搬出空間12bには小氷塊が確実に放
出されるので、貯氷庫10からの小氷塊の確実かつ安定し
た搬出が達成される。

なお実施例では、角形クラッシャー体とスクリューク
ラッシャー体とを組合わせてクラッシャーを構成する場
合につき説明したが、本願はこれに限られるものでな
い。例えばスクリュークラッシャー体のみでクラッシャ
ーを構成しても、小氷塊群の確実な掻き崩しを好適に達
成し得るものである。

考案の効果 以上述べたように、本考案に係る貯氷庫のクラッシャ
ー構造によれば、氷塊貯留空間に堆積して大塊化した小
氷塊群の円滑かつ確実な掻き崩しを達成することができ
る。従って、小氷塊群がクラッシャーに押付けられて、
該クラッシャーの軸等が破損する等の事故を未然に防止
し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の実施例に係るクラッシャー構造を採
用した貯氷庫の概略構成を示す縦断側面図、第２図は、
貯氷庫の縦断正面図、第３図は、クラッシャーの要部を
拡大して示す正面図、第４図は、クラッシャーの要部を
拡大して示す縦断側面図、第５図は、従来技術に係るク
ラッシャー構造を採用した貯氷庫の縦断側面図、第６図
は、第５図に示す貯氷庫の縦断正面図、第７図は、角形
クラッシャー体に配設した突出ピンの周囲の小氷塊群の
みが掻き崩された状態を示す説明図である。 11……小氷塊、12……空間 12a……氷塊貯留空間、12b……氷塊搬出空間 16……クラッシャー、18……突出ピン 22……羽根 23……スクリュークラッシャー体

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】大量の氷塊が堆積貯留される収納空間（1
   2）に配設されて、該空間（12）を氷塊貯留空間（12a）
   と氷塊搬出空間（12b）とに画成するクラッシャー（1
   6）を備え、前記氷塊貯留空間（12a）に堆積貯留されて
   大塊化した氷塊群（11）を前記クラッシャー（16）に向
   けて移送しつつ、該クラッシャー（16）により氷塊群
   （11）を掻き崩して氷塊搬出空間（12b）側に放出する
   よう構成した貯氷庫（10）において、 前記クラッシャー（16）は、前記氷塊群（11）の移送方
   向と交差して延在する回転軸（17）に螺旋状の羽根（2
   2）を形成すると共に、該回転軸（17）に多数のピン（1
   8）を前記羽根（22）と干渉しないよう半径方向に突出
   形成したスクリュークラッシャー体（23）を備える ことを特徴とする貯氷庫のクラッシャー構造。
2. 【請求項２】前記氷塊群（11）の移送方向と交差して延
   在する回転軸（11）に半径方向に突出するピン（18）を
   多数配設した角形クラッシャー体（19）と、 前記氷塊群（11）の移送方向と交差して延在する回転軸
   （17）に螺旋状の羽根（22）を形成すると共に、該回転
   軸（17）に多数のピン（18）を前記羽根（22）と干渉し
   ないよう半径方向に突出形成したスクリュークラッシャ
   ー体（23）とを備え、 前記角形クラッシャー体（19）とスクリュークラッシャ
   ー体（23）とを交互に段配置してクラッシャー（16）を
   構成した請求項１記載の貯氷庫のクラッシャー構造。