JP2506817B2 - インタ―ナルポンプの取扱システム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はインターナルポンプの取扱システムに係り、
特に新型沸騰水原子炉用の取扱いの操作性，安全性，信
頼性を確立し、定期検査短縮に好適なインターナルポン
プの取扱システムに関するものである。

〔従来の技術〕

従来のこの種装置は、特開昭62−93693号公報記載の
ように、取扱具とそのガイドは圧力容器内壁とシユラウ
ド外壁間と垂直方向の位置決めに用いられていた。しか
し、炉内構造物の取合い上圧力容器内壁とシユラウド外
壁間のインターナルポンプの移動には、水平方向の旋回
動作が必要であり、この際の位置決め及び干渉防止に関
しては配慮されていなかつた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記従来技術は、新型沸騰水原子炉の炉内構造物とす
べての取合いの点について配慮がされておらず、インタ
ーナルポンプの圧力容器内壁とシユラウド外壁間の移動
動作のうち垂直方向の位置決め及び干渉対策のみに適用
する取扱具とガイドとなつていた。

一方、実際の炉内構造物とのすべての取合いを満足し
たインターナルポンプの取扱いを考慮すると、その移動
動作はさらに複雑となる。

特に、インターナルポンプを取扱いを行う上で、クリ
アランスが厳しい圧力容器内壁とシユラウド外壁間での
インターナルポンプの移動動作においては、インターナ
ルポンプの装着のための垂直方向動作のほかに、圧力容
器内壁とシユラウドの外壁とのクリアランスの厳しい条
件下で、水平方向での旋回動作をインターナルポンプに
させる必要があり、この旋回移動動作において、インタ
ーナルポンプと圧力容器内壁及びシユラウド外壁との干
渉が発生する可能性があるという問題があつた。

本発明の目的は、インターナルポンプの水平方向の旋
回移動動作において、インターナルポンプと圧力容器内
壁及びシユラウド外壁との干渉を防止するとともに、イ
ンターナルポンプの取扱作業の信頼性及び安全性を確保
し、原子力発電所の定期検査を短縮できるインターナル
ポンプの取扱システムを提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

すなわち本発明は、圧力容器と、この圧力容器の底部
に設置されたインターナルポンプと、圧力容器上方部の
オペレーションフロアに配置され、前記インターナルポ
ンプを吊り下げた状態で昇降させるホイストとを備え、
前記インターナルポンプの組立て分解時に、インターナ
ルポンプを前記ホイストにより圧力容器内壁とシユラウ
ド外壁との間を通して昇降させるようになしたインター
ナルポンプの取扱システムにおいて、前記圧力容器の底
部近傍の圧力容器内壁とシユラウド外壁とに、水平方向
のガイドレールを設けるとともに、前記ホイストのイン
ターナルポンプを吊り下げているインターナルポンプ取
扱具に、前記ガイドレール上を走行するローラを設け、
かつ前記オペレーションフロアに、インターナルポンプ
の吊り下げ移動時の現在位置および炉内構造物の位置が
表示される表示装置を設けるとともに、前記ホイストに
インターナルポンプの吊り下げ垂直位置別に水平方向の
移動制限範囲を決定する三次元インターロックシステム
を設けるようになし、所期の目的を達成するようにした
ものである。

〔作用〕

本発明のインターナルポンプの取扱システムについ
て、３つの特徴となる作用について以下に説明する。

1.インターナルポンプ及びインターナルポンプ取扱具
は、圧力容器内壁あるいはシユラウド外壁の水平方向に
設けられた位置決め用旋回レールに沿つて圧力容器内壁
及びシユラウド外壁間を安定して旋回できるため、干渉
等を回避し、高い信頼性及び安全性を確保するととも
に、効率的なインターナルポンプの取扱いが可能とな
る。

2.インターナルポンプのモニタリング装置は、インター
ナルポンプ及びインターナルポンプ取扱具を吊り下げて
いる燃料取替機上のホイストの垂直方向の位置信号と燃
料取替機の水平方向の位置信号をインターナルポンプの
水平方向の位置に換算した値を組み合せ、取扱中のイン
ターナルポンプの現在位置を表示する。

それによつて、インターナルポンプを取扱中の作業員
及び運転者は、モニタ上に表示されたインターナルポン
プの現在位置をモニタ上にあらかじめ表示されている複
雑な炉内構造物の表示とを比較しながら操作することが
可能となり、操作性，信頼性及び安全性を向上させるこ
とができる。

3.インターナルポンプの取扱システムの三次元インター
ロツクシステムは、複雑な炉内構造物の干渉を避けなが
らインターナルポンプの取扱いを行うためのもので、複
雑な形状をした炉内構造物は、その垂直方向の位置によ
り水平方向の干渉物となり得る構造物の位置が相違して
いる。これに対応するため、垂直方向の位置別に水平方
向の移動制限範囲を決定し、干渉等を防ぐようにしてい
る。

垂直方向の位置信号は、燃料取替機上のホイストの位
置信号を用い、水平方向の位置信号は、燃料取替機の位
置信号をRIP水平方向位置に換算したものを用いる。

それによつて、インターナルポンプの移動動作を三次
元にわたり制限することが可能となり、炉内構造物との
干渉を事前に防止することができる。

〔実施例〕

以下本発明を第１図〜第６図に示した実施例を用いて
詳細に説明する。

第１図は本発明のインターナルポンプの取扱システム
の一実施例を説明するための新型沸騰水原子炉の全体構
成図であり、インターナルポンプ１は、圧力容器２の底
部に複数台取り付けられており、原子力発電所の定期検
査時に点検のため取り付け、取り外しを行う。本作業
は、圧力容器２の下部と上部との作業に分けられる。

本発明の対象である圧力容器２の上部からの作業は、
オペレーシヨン・フロア５上に設置されている燃料取替
機４で実施するものであり、インターナルポンプ１まで
のアクセル距離が長いこともあり、非常にむづかしい作
業となつている。

第２図は第１図の燃料取替機４の一実施例を示す概略
構造図であり、燃料の取扱いの他にインターナルポンプ
１（第１図参照）の取扱いが可能な設備を搭載してあ
る。インターナルポンプ１の取扱いは、燃料取替機４の
インターナルポンプ取扱い用ホイスト７の先にインター
ナルポンプ１の操作ポール６を取り付け、さらにその先
にインターナルポンプ取扱具10（第４図参照）を取り付
け、インターナルポンプ１を取扱う構造となつている。

第３図はインターナルポンプ１の取扱手順の一実施例
を示す図で、（ａ）は上面図，（ｂ）は正面図である。
インターナルポンプ１の上部部品は、圧力容器２の間を
通り、使用済燃料プールの仮置台まで搬出される。ま
た、取り付けはこの逆手順となる。しかし、第３図に示
すようにその手順は複雑となつている。インターナルポ
ンプ１の上部部品は、使用済も燃料プールより炉心上の
下降位置（図中Ｄ）まで移動する。移動後、スパージヤ
８の回避位置（図中Ｅ）まで下降させ、シユラウド３の
フランジ切欠き位置通過位置（図中Ｆ）まで水平移動後
下降し、シユラウド３のフランジ切欠き部（図中Ｇ）を
通過する。

その後、シユラウド３と圧力容器２との間でレール上
を旋回し、インターナルポンプ１の挿入位置（図中Ｈ）
まで移動後、インターナルポンプ１を、例えばシリンダ
装置など周知の伸縮できる装置で下降させて取付けを行
う。

この取り付け動作において、特にシユラウド３と圧力
容器２との間隔は非常に狭いので、通常の移動作業では
インターナルポンプ１及びインターナルポンプ取扱具10
がシユラウド３及び圧力容器２に干渉することが考えら
れる。そこで、この干渉を回避するため、以下の構造に
した。

第４図は旋回位置決め用レールの一実施例を示す説明
図である。第４図はシユラウド３と圧力容器２との間で
インターナルポンプ１をインターナルポンプ取扱具10で
吊つている状態を示してあり、旋回位置決め用レール９
は、シユラウド３の外壁及び圧力容器２の内壁に取り付
ける。インターナルポンプ取扱具10には、複数個のロー
ラ11が取り付けてあつて、これを旋回位置決め用レール
９に沿わせることにより旋回動作を行う。これにより、
インターナルポンプ１及びインターナルポンプ取扱具10
は、シユラウド３及び圧力容器２の干渉することなく正
確に、また、安全に旋回することが可能になる。

第５図はインターナルポンプのモニタリングシステム
の一実施例を示す説明図である。第４図に示した旋回位
置決め用レール９を用いたインターナルポンプ１の取扱
方法とともに、インターナルポンプ１のモニタリングシ
ステムを併用することにより、より高い信頼性を確保す
ることができる。第５図に示したのは、インターナルポ
ンプ１のモニタリングシステムの表示部である。表示部
には、あらかじめ炉内構造物の位置が表示してあり、そ
の中をインターナルポンプ１の表示部が移動時の現在位
置通りに移動する。現在位置は、垂直方向に関しては燃
料取替機４（第１図，第２図参照）の位置信号をインタ
ーナルポンプ１の位置に換算した値を用いる。これによ
り作業者及び運転員は、インターナルポンプ１の取扱時
にその位置を目視で確認しながら実施できる。また、監
視モニタ12には、水中テレビによるインターナルポンプ
１の映像を表示する。

第６図はインターナルポンプの三次元インターロツク
の一実施例を示す説明図である。上述した２つのインタ
ーナルポンプ１の取扱方法に加え、三次元インターロツ
クを組むことにより安全性の向上をはかるようにしてい
る。インターナルポンプ１の取扱いの三次元インターロ
ツクは、垂直方向位置別に水平方向の移動位置方向制限
を行うものである。垂直方向の位置は、燃料取扱機４の
インターナルポンプ取扱用ホイスト７（第２図参照）の
位置信号を用いる。この垂直方向位置別に各種設置され
ている炉内構造物を避ける水平方向の稼動範囲を設定し
ている。これを垂直位置方向全般にわたつて記載したも
のが第６図の斜線部13となる。

このインターロツクにより、インターナルポンプ１の
取扱時の三次元にわたる稼動範囲制限が可能となる。

上記した３つのインターナルポンプ１の取扱方法を用
いることにより、インターナルポンプ１取扱時の信頼
性、安全性等を確保するとともに、作業の効率化をはか
ることができ、定期検査短縮の効果が期待できる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明によれば、複雑な炉内構
造物の取合いの中でインターナルポンプを正確、かつ、
安全に取扱うことができ、高い信頼性を確保でき、ま
た、インターナルポンプの取扱いが効率よくできるの
で、原子力発電所の定期検査を短縮できるという効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のインターナルポンプの取扱システムの
一実施例を説明するための新型沸騰水原子炉の全体構成
図、第２図は第１図の燃料取替機の一実施例を示す概略
構造図、第３図はイナターナルポンプの取扱手順の一実
施例を示す図、第４図は旋回位置決め用レールの一実施
例を示す説明図、第５図はインターナルポンプのモニタ
リングシステムの一実施例を示す説明図、第６図はイン
ターナルポンプの三次元インターロツクの一実施例を示
す説明図である。 １……インターナルポンプ、２……圧力容器、３……シ
ユラウド、４……燃料取替機、５……オペレーシヨン・
フロア、６……インターナルポンプ操作ポール、７……
インターナルポンプ取扱用ホイスト、８……スパージ
ヤ、９……旋回位置決め用レール、10……インターナル
ポンプ取扱具、11……ローラ、12……監視モニタ、13…
…稼動範囲。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】圧力容器と、該圧力容器の底部に設置され
   たインターナルポンプと、圧力容器上方部のオペレーシ
   ョンフロアに配置され、前記インターナルポンプを吊り
   下げた状態で昇降させるホイストとを備え、前記インタ
   ーナルポンプの組立て分解時に、インターナルポンプを
   前記ホイストにより圧力容器内壁とシユラウド外壁との
   間を通して昇降させるようになしたインターナルポンプ
   の取扱システムにおいて、 前記圧力容器の底部近傍の圧力容器内壁とシユラウド外
   壁とに、水平方向のガイドレールを設けるとともに、前
   記ホイストのインターナルポンプを吊り下げているイン
   ターナルポンプ取扱具に、前記ガイドレール上を走行す
   るローラを設け、かつ前記オペレーションフロアに、イ
   ンターナルポンプの吊り下げ移動時の現在位置および炉
   内構造物の位置が表示される表示装置を設けるととも
   に、前記ホイストにインターナルポンプの吊り下げ垂直
   位置別に水平方向の移動制限範囲を決定する三次元イン
   ターロックシステムを設けるようにしたことを特徴とす
   るインターナルポンプの取扱システム。