JP2506085Y2 - 熱交換器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、例えばカークーラー、ルームクーラー用
のアルミニウム製凝縮器等に用いられる熱交換器に関す
る。

従来の技術 上記種類の熱交換器として、マルチフロー型と称され
る熱交換器が知られている。この熱交換器は、第９図に
示すように、平行状に配設された１対の中空ヘッダー
（103）（104）間に複数本のチューブ（101）が並列状
に渡されて該ヘッダーに連通接続され、かつ隣接チュー
ブ間及び最外側のチューブの外側にフィン（102）が配
置された構成となされている。そして、一般的には、最
外側のフィン（102）が保護等を目的として、このフィ
ンのさらに外側にサイドプレート（105）が配置され、
またヘッダー（103）（104）の端部開口部は蓋片（10
6）により閉塞される。

従来、上記のようなサイドプレート（105）と蓋片（1
06）とはそれぞれ独立した部材として構成されていた。
このため、次のような欠点があった。

考案が解決しようとする課題 即ち、チューブ（101）、フィン（102）、ヘッダー
（103）（104）、サイドプレート（105）、蓋片（106）
の接合は、これらを仮組して熱交換器組立物を製作した
のち、上下サイドプレート間にバンドを巻回して固定
し、この状態でろう付等することにより行われるが、サ
イドプレート（105）は両ヘッダー（103）（104）の間
隔よりも短くかつ独立しているためバンド締めの際に該
サイドプレートが長さ方向にずれて最外側のフィン（10
2）が倒れてしまい不良品となる虞れがあった。また、
自動セッティングも困難であった。一方、蓋片（106）
はこれをキャップ形状に成形して外嵌め式や内嵌め式に
て用いられるが、キャップ形状であるが故に蓋片の占め
る全容量が大となり保管、取扱い上不便であった。もと
より、サイドプレート（105）と蓋片（106）とが独立し
ていることから部品点数が増え、それだけ部品管理や組
立時のセッティングが煩雑になるというような欠点もあ
った。

この考案は、かかる欠点を一挙に解消しうる熱交換器
の提供を目的とする。

課題を解決するための手段 上記目的は、図面の符号を参照して示すと、平行状に
配設された１対の中空ヘッダー（３）（４）と、両ヘッ
ダー（３）（４）間に架渡して並列状に配置され、両端
が前記ヘッダーに連通接続された複数のチューブ（１）
と、隣接チューブ間及び最外側のチューブの外側に配置
されたフィン（２）と、最外側のフィンの外側に配置さ
れたサイドプレート（10）（11）と、前記ヘッダー
（３）（４）の開口部を閉塞する蓋片（20）（21）とを
備えた熱交換器において、 前記サイドプレート（10）（11）と蓋片（20）（21）
とが、連続する１枚の平坦状板材をもって構成されてい
るとともに、ヘッダー（３）（４）の端部周縁内方側に
周方向の切欠き部（3a）が形成され、あるいはヘッダー
の端部周壁内方側に周方向の挿入孔（3b）が形成され、
かつ前記切欠き部（3a）または挿入孔（3b）は蓋片（2
0）に対応する厚みに形成され、前記蓋片（20）は、ヘ
ッダー（３）（４）の内周に適合する径小部（20b）（2
0d）と、切欠き部（3a）または挿入孔（3b）の周方向両
端縁に適合する突出鍔部（20f）（20h）を有して該切欠
き部または挿入孔に嵌まり込む径大部（20b）（20g）と
からなり、 前記径小部（20b）（20d）がヘッダー（３）（４）の
内面に適合し、前記突出鍔部（20f）（20h）が切欠き部
（3a）または挿入孔（3b）の周方向両端縁に適合し、か
つ前記径大部（20b）（20g）が切欠き部または挿入孔に
嵌まり込んだ状態で、蓋片（20）とヘッダー（３）
（４）とがろう付されてなることを特徴とする熱交換器
によって達成される。

作用 熱交換器の製作は、ヘッダー（３）（４）のチューブ
挿入孔（５）にチューブ（１）の両端を挿入したのち、
隣接チューブ間にコルゲートフィン（２）を介在状態に
配置するとともに、最外側のチューブ（１）の外側にも
コルゲートフィン（２）を配置する。次いでサイドプレ
ート（10）（11）及び蓋片（20）（21）とを構成するア
ルミニウム板を最外側のコルゲートフィンの外側に所定
配置にセットする。このセッティングはサイドプレート
（10）（11）を把持して蓋片（20）（21）をヘッダー
（３）（４）の端縁の切欠き部（3a）に載置し、あるい
は挿入孔（3b）に挿入することにより容易に行いうる。
また、サイドプレート（10）（11）と蓋片（20）（21）
とを同時にセットできるから効率も良い。次いで、上下
サイドプレート（10）（11）に渡してバンドを巻回する
ことにより組立物を固定し、この状態でろう付すること
により、各部品を接合一体化する。サイドプレート（1
0）（11）は蓋片（20）（21）と一体であるから、蓋片
（20）（21）をヘッダー（３）（４）の端部開口部に配
置することにより、該サイドプレートの位置及び最外側
のチューブとの間隔が一義的に定まり、バンド締めの際
にサイドプレート（10）（11）がずれて最外側のフィン
（２）が倒れるというような不都合はなくなる。

実施例 次に、この考案をカークーラー用のアルミニウム（そ
の合金を含む）製凝縮器に適用した実施例に基いて説明
する。

第１図〜第５図において、（１）は水平状態で上下方
向に配置された複数のチューブ、（２）はその隣接する
チューブ（１）（１）間及び最外側のチューブの外側に
配置されたコルゲートフィンである。

前記チューブ（１）はアルミニウム材による偏平状の
押出形材からなるものである。このチューブ（１）はい
わゆるハモニカチューブと称されるような多孔形のもの
を用いても良い。また押出形材によらず電縫管を用いて
も良い。この場合、チューブ内に伝熱効率の向上と補強
を目的としてインナーフィンを装填した構成としても良
い。

前記コルゲートフィン（２）は心材の片面または両面
にろう材が被覆されたアルミニウムブレージングシート
からなるもので、チューブ（１）とほぼ同じ幅を有し、
ろう付によりチューブに接合されている。コルゲートフ
ィン（２）は、その壁面にルーバーを切起こし形成した
ものが用いられている。

（３）（４）は左右のヘッダーである。これらのヘッ
ダー（３）（４）は心材の片面または両面にろう材が被
覆されたアルミニウムブレージングシートからなる断面
円形の電縫管をもって形成されている。なお、電縫管に
よらずアルミニウム押出形材をもって構成しても良い。
また、ブレージングシートのパイプ成形体をその衝き合
わせ部を電縫溶接することなく用い、チューブとヘッダ
ーとのろう付と同時に衝き合わせ部をろう付しても良
い。各ヘッダー（３）（４）には長さ方向に沿って間隔
的にチューブ挿入孔（５）が穿設されるとともに、該孔
（５）に各チューブ（１）の両端が挿入され、かつろう
付により強固に接合連結されている。さらに、左ヘッダ
ー（３）の上端部外周には冷媒入口管（６）が連結され
る一方、右ヘッダー（４）の下端部外周には同出口管
（７）が連結されている。また、左ヘッダー（３）には
該ヘッダーを上下２室に分割する仕切板（８）が設けら
れる一方、右ヘッダー（４）にも該ヘッダーを上下２室
に分割する仕切板（９）が設けられ、もって冷媒入口管
（６）から左ヘッダー（３）に流入した冷媒は、チュー
ブ群によって形成される全冷媒通路を巡って蛇行状に流
通して冷媒出口管（７）から流出するものとなされてい
る。そして、冷媒が各チューブ（１）を流通する間に、
チューブ（１）（１）間に形成されたコルゲートフィン
（２）を含む空気流通間隙を流通する空気と熱交換を行
い、凝縮するものとなされている。

（10）（11）は最外側のコルゲートフィンの外側に配
置された上下のサイドプレートであり、（20）（20）及
び（21）（21）はヘッダー（３）（４）の両端開口部を
閉塞する上下の蓋片である。これらサイドプレートと蓋
片とは、上側あるいは下側に位置するものどうしが連続
する１枚のアルミニウム板をもって平坦状に形成されて
いる。即ち、アルミニウム板の長さ方向の中間部がチュ
ーブ幅にほぼ等しい幅のサイドプレート（20）（21）と
なされるともに、この中間部に連続する両端部が蓋片
（20）（21）となされている。かつこれらの蓋片（20）
（21）は、内側の半周がサイドプレート（20）（21）と
の連接部を除いてヘッダー（３）（４）の外径に等しい
径大部（20a）（21a）に形成されるとともに、外側の半
周がヘッダー内径に等しくヘッダー内面に適合する径小
部（20b）（21b）に形成されている。従って、径大部
（20a）（21a）に形成されるとともに、外側の半周がヘ
ッダー内径に等しくヘッダー内面に適合する径小部（20
b）（21b）に形成されている、従って、径大部（20a）
（21a）は径小部（20b）（21b）との連接部に径方向外
方に突出する突出鍔部（20f）（20f）を有している。さ
らに蓋片（20）（21）の中央部にはヘッダー側に膨出し
たリブ（20c）（21c）が設けられている。このリブ（20
c）（21c）はヘッダー（３）（４）内に充満される冷媒
に対する蓋片の耐圧力向上を意図して設けられたもので
ある。一方、ヘッダーは上下両端部周縁の内側半周に亘
って蓋片（20）（21）の厚さに等しい厚さの切欠き部
（3a）（4a）が形成されている。そして、前記径小部
（20b）（20d）がヘッダー（３）（４）の内面に適合
し、前記突出鍔部（20f）（20f）が切欠き部（3a）の周
方向両端縁に適合し、かつ前記径大部（20b）（21b）が
切欠き部（3a）に嵌まり込んだ状態で、左右ヘッダー
（３）（４）の両端を架け渡してサイドプレート（10）
（11）と蓋片（20）（21）とが配設され、かつろう付に
よりサイドプレート（10）（11）と最外側のコルゲート
フィン（２）、蓋片（20）（21）とヘッダー（３）
（４）とが強固にろう付されている。

上記のような熱交換器の製作は、ヘッダー（３）
（４）のチューブ挿入孔（５）にチューブ（１）の両端
を挿入したのち、隣接チューブ間にコルゲートフィン
（２）を介在状態に配置するとともに、最外側のチュー
ブの外側にもコルゲートフィン（２）を配置する。次い
でサイドプレート（10）（11）及び蓋片（20）（21）と
を構成するアルミニウム板を最外側のコルゲートフィン
の外側に所定配置にセットする。このセッティングはサ
イドプレート（10）（11）を把持して蓋片（20）（21）
をヘッダー（３）（４）の端縁に前述した所定配置にセ
ットすることにより容易に行いうるとともに、サイドプ
レート（10）（11）と蓋片（20）（21）とを同時にセッ
トできるから効率も良い。次いで、上下サイドプレート
（10）（11）に渡してバンドを巻回することにより組立
物を固定し、この状態でろう付することにより、各部品
を接合一体化したものである。サイドプレート（10）
（11）は蓋片（20）（21）と一体であるから、蓋片（2
0）（21）をヘッダー（３）（４）の開口部に配置する
ことにより、該サイドプレートの位置及び最外側のチュ
ーブとの間隔が一義的に定まり、バンド締めの際にサイ
ドプレート（10）（11）がずれて最外側のフィンが倒れ
るというような不都合はなくなる。

第６図〜第８図は他の実施例を示すものである。この
実施例では、蓋片（20）（21）の径大部（21g）とサイ
ドプレート（10）（11）がヘッダー（３）（４）の外径
に等しい幅で連続形成され、先端半周がヘッダーの内径
に等しい径小部（20d）に形成され、さらに径小部（20
d）の中央先端に係合突起（20e）が形成されている。な
お、（20h）（20h）は径大部（20g）と径小部（20d）と
の連設部に形成された突出鍔部である。一方、ヘッダー
（３）（４）はやや長尺に形成されるとともに、サイド
プレート（10）（11）の延長線の高さにおいて内側半周
に亘って蓋片（20）の厚さに等しい厚さのスリット状挿
入孔（3b）が形成されている。さらにこのスリット状挿
入孔（3b）と同一高さ位置においてヘッダーの側周部に
係合孔（3c）が形成されている。そして、前記蓋片（2
0）の径小部（20d）をヘッダー（３）の挿入孔（3b）か
ら挿入してヘッダー内面に当接状態に適合させるととも
に、蓋片の係合突起（20e）をヘッダーの係合孔（3c）
に嵌合させ、突出鍔部（20h）（20h）を挿入孔（3b）の
周方向両端縁に適合させ、かつ前記径大部（20g）がま
たは挿入孔（3b）に嵌まり込んだ状態とし、この状態で
ろう付されたものである。この場合も、係合突起（20
e）と係合孔（3c）との嵌合により蓋片（20）の耐圧力
を向上することができる。なお、第６図〜第８図におい
て、第１図〜第５図に示した実施例と同一構成部分につ
いては同一符号を付しその説明は省略する。

考案の効果 この考案は上述の次第で、最外側のフィンの外側に配
置されるサイドプレートとヘッダーの端部開口部を閉塞
する蓋片とが、連続する１枚の平坦状板材をもって構成
されているから、仮組後の接合に際してのバンド締めそ
の他においてサイドプレートがずれてもサイドプレート
と最外側のチューブとの間隔は一定に保たれるため、最
外側のフィン倒れの危険を低減できる。従ってフィン倒
れによる不良品の発生を防止でき、歩留を向上しうる。
また、蓋片をヘッダーの端部開口部にセットすること
で、サイドプレートのセット位置が自動的に決定される
から、機械による自動組立も可能となるとともに、蓋片
のセッティングとサイドプレートのセッティングとを同
時に行うことができ、しかもかかるセッティングはサイ
ドプレートを把持することにより行いうるから、組立作
業の簡素化、作業効率の向上を図りうる。もとより、部
品点数を減少しうるから部品管理も容易となる。さらに
また、蓋片とサイドプレートとはこれを１枚の板材から
簡単に製作できるとともに、蓋片も含めて全体が平坦状
であるから、部品の保管時にも嵩張ることがなく取扱い
にも極めて便利である。

また、蓋片は、ヘッダーとの内周に適合する径小部
と、切欠き部または挿入孔の周方向両端縁に適合する突
出鍔部を有して該切欠き部または挿入孔に嵌まり込む径
大部とからなり、前記径小部がヘッダーの内面に適合
し、前記突出鍔部が切欠き部または挿入孔の周方向両端
縁に適合し、かつ前記径大部が切欠き部または挿入孔に
嵌まり込んだ状態で、蓋片とヘッダーがろう付されてな
るから、ヘッダーの切欠き部または挿入孔が、突出鍔部
および径大部によって確実かつ十分に閉塞され、切欠き
部または挿入孔からの液漏れのおそれの極めて低い熱交
換器となしうる。加えて、蓋片はヘッダーの長さ方向の
外側に突出しないから、その分熱交換器の寸法を小さく
できる。しかも、蓋片は平坦状であるから、内嵌め式の
キャップをヘッダー端部に嵌め込んだ場合のようなヘッ
ダーの内部空間を狭めることもなく、熱交換効率を低下
させることもない。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例に係る熱交換器の構成部材
を分離状態で示す斜視図、第２図はサイドプレートと蓋
体の斜視図、第３図は一部を断面で示す熱交換器の要部
正面図、第４図は熱交換器の全体正面図、第５図は第４
図に示す熱交換器の要部平面図、第６図はこの考案の他
の実施例を示すもので、熱交換器の構成部材を分離状態
で示す斜視図、第７図は熱交換器の要部正面図、第８図
は第７図の平面図、第９図は従来の熱交換器の要部正面
図である。 （１）…チューブ、（２）…フィン、（３）（４）…ヘ
ッダー、（10）（11）…サイドプレート、（20）（21）
…蓋片，（3a）…切欠き部、（3b）…挿入孔、（20b）
（20d）…径小部、（20f）（20h）…突出鍔部、（20b）
（20g）…径大部。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】平行状に配設された１対の中空ヘッダー
   （３）（４）と、両ヘッダー（３）（４）間に架渡して
   並列状に配置され、両端が前記ヘッダーに連通接続され
   た複数のチューブ（１）と、隣接チューブ間及び最外側
   のチューブの外側に配置されたフィン（２）と、最外側
   のフィンの外側に配置されたサイドプレート（10）（1
   1）と、前記ヘッダー（３）（４）の開口部を閉塞する
   蓋片（20）（21）とを備えた熱交換器において、 前記サイドプレート（10）（11）と蓋片（20）（21）と
   が、連続する１枚の平坦状板材をもって構成されている
   とともに、ヘッダー（３）（４）の端部周縁内方側に周
   方向の切欠き部（3a）が形成され、あるいはヘッダーの
   端部周壁内方側に周方向の挿入孔（3b）が形成され、か
   つ前記切欠き部（3a）または挿入孔（3b）は蓋片（20）
   に対応する厚みに形成され、前記蓋片（20）は、ヘッダ
   ー（３）（４）の内周に適合する径小部（20b）（20d）
   と、切欠き部（3a）または挿入孔（3b）の周方向両端縁
   に適合する突出鍔部（20f）（20h）を有して該切欠き部
   または挿入孔に嵌まり込む径大部（20b）（20g）とから
   なり、 前記径小部（20b）（20d）がヘッダー（３）（４）の内
   面に適合し、前記突出鍔部（20f）（20h）が切欠き部
   （3a）または挿入孔（3b）の周方向両端縁に適合し、か
   つ前記径大部（20b）（20g）が切欠き部または挿入孔に
   嵌まり込んだ状態で、蓋片（20）とヘッダー（３）
   （４）とがろう付されてなることを特徴とする熱交換
   器。