JP2505212Y2 - 離型剤供給ロ―ラ - Google Patents

離型剤供給ロ―ラ

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JP2505212Y2
JP2505212Y2 JP2480193U JP2480193U JP2505212Y2 JP 2505212 Y2 JP2505212 Y2 JP 2505212Y2 JP 2480193 U JP2480193 U JP 2480193U JP 2480193 U JP2480193 U JP 2480193U JP 2505212 Y2 JP2505212 Y2 JP 2505212Y2
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隆雄 西川
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ミツマ技研株式会社
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、ヒートロール定着装置
用の離型剤供給ローラ、特にクリーニング性能に優れ、
安価に製造することができる離型剤供給ローラに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】複写機、プリンタ装置、ファクシミリ装
置等の画像形成装置においては、定着装置としてヒート
ロール定着装置が広く用いられている。このヒートロー
ル定着装置では、金属ローラの外周面に離型性を有する
フッ素樹脂層をコートしたヒートロールが用いられてい
る。このフッ素樹脂がコートされているヒートロールで
は、コートされているフッ素樹脂の離型性だけでは十分
な離型性能が得られないため、シリコンコイルのような
離型剤を供給するオイル供給ローラと組み合せて用いら
れている。
【0003】従来のオイル供給ローラでは、ローラ本体
として外周面に多数の貫通孔が形成されているアルミパ
イプが用いられ、このアルミパイプの両端にボス部材を
結合し、アルミパイプとボス部材とによって画成される
空間内にシリコンオイルが収容されている。また、アル
ミパイプの外周面には多孔質フッ素樹脂被覆がほどこさ
れている。そして、動作中、シリコンオイルは、アルミ
パイプに形成されている貫通孔及びフッ素樹脂被覆に形
成されている孔を介してローラ外周面に供給されてい
る。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】上述した既知のオイル
供給ローラは、ローラ材料としてアルミニウムパイプを
用いているため材料コストが高価に欠点があった。特
に、アルミパイプに多数の貫通孔をアルミパイプの全表
面に亘って形成しなければならず、作業性が悪く、しか
も貫通孔の形成に長時間かかってしまい、この結果製造
コストが大幅に高価になる欠点があった。
【0005】また、シリコンオイルはアルミパイプに形
成した貫通孔を経て供給されるため、貫通孔が位置する
部位からだけシリコンオイルが供給され、貫通孔が存在
しない部位からはシリコンオイルが供給されず、この結
果ヒートロールの外周面にはシリコンオイルが供給され
た部分と供給されない部分とが生じてしまいヒートロー
ル全面に亘って均一にシリコンオイルを塗布することが
できなかった。この結果、ヒートロールの離型性が不十
分になり、ヒートロールの外周面にトナー粒子が付着し
てしまい、ローラ汚れやオフセットの原因になってい
た。この場合、アルミパイプに形成する貫通孔の形成密
度を多くすればオイル塗布量の均一化を図ることができ
るが、逆に生産性が悪くなり製造コストも一層高価にな
ってしまう。
【0006】さらに、ヒートロール定着装置では、ヒー
トロール表面に付着したトナー粒子や紙粉を除去する必
要があるため、離型剤供給ローラとは別に、付着したト
ナー粒子等を除去するためのクリーニングローラやクリ
ーニングパッドが設けられている。しかしながら、別途
クリーニングローラやクリーニングパッドを設けるので
は、ヒートロール定着装置の部品点数が増加し製造コス
トが高価になってしまう。
【0007】従って、本考案の目的は上述した欠点を解
消し、製造コストを大幅に安価にすることができると共
に、ヒートロールの全面に亘って均一に離型剤を供給す
ることができ、しかもクリーニング性能にも優れる離型
剤供給ローラを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本考案には離型剤供給ロ
ーラは、細孔を有する紙を、これら紙間に離散的に形成
した接着剤層を介して巻回して構成される円筒状の紙管
と、この紙管の両端にそれぞれ結合したボス部材と、前
記紙管とボス部材とによって画成される空間内に収容し
た液状離型剤とを具え、前記離型剤を、前記紙管を構成
する各紙の細孔を経てローラ外周面に供給するように構
成したことを特徴とするものである。
【0009】
【作用】紙は本材繊維構造体であり、その内部には無数
の細孔が存在する。従って紙を多数枚積層して紙管を構
成すれば、紙管の内部空間内に収容したシリコンオイル
のような離型剤を各紙の細孔を経てローラ外周面に浸み
出させることができる。一方、紙管の内部にシリコンオ
イルが浸透すると紙管全体としての機械的強度が低下し
てしまう。この機械的強度の低下は、積層した紙と紙と
の間に接着剤層を介在させることにより防ぐことができ
る。すなわち、紙にシリコンオイルが浸透すると、紙中
に存在する本材繊維間の結合がこわれて紙の機械的強度
が低下するが、シリコンオイルは接着剤層の内部に浸透
できないため、接着剤が介在する部分は機械的補強剤と
して作用することになる。すなわち、各紙間に塗布した
接着剤は、接触する紙の繊維中にも侵入するから、この
部分は、紙の繊維が接着剤により補強硬化された状態と
なり、しかも接着剤中にシリコンオイルが浸透しないた
め、紙管の内部にシリコンオイルが浸透しても十分に高
い機械的強度を維持することができる。
【0010】一方、積層した紙と紙との間にその全面に
亘って接着剤層を介在させたのでは、紙管の内部空間内
に収容したシリコンオイルを外周面に浸み出させること
ができない。このため、本考案では、紙と紙との間に離
散的に接着剤を介在させる。例えば、巻回する紙の表面
にメッシュ状、ドット状に、又は紙の表面の一部にすじ
状に接着剤を塗布して巻回積層する。このように、接着
剤を離散的に介在させることにより、紙と紙との間の接
着剤が存在しない部分はシリコンオイルが浸透する経路
を構成するので、この経路を介して内部空間内に収容さ
れているシリコンオイルを紙管の外周面にすみやかに浸
み出させることができる。シリコンオイルの浸み出し速
度は、紙間に介在する接着剤層の面積比率,シリコンオ
イルの分子量分布又は粘度,紙管の厚さ,ヒートローラ
の回転速度,ヒートロールの設定温度等によって定まる
ため、ヒートロール定着装置の設定条件に応じてこれら
の因子を決定することにより所望のオイル浸み出し速度
を得ることができる。
【0011】本考案による離型剤供給ローラは、クリー
ニングローラとしても優れた性能を発揮することができ
る。すなわち、本材繊維の離型性は、フッ素樹脂に比べ
て大幅に低く、しかも、紙管ローラの表面には本材繊維
構造による微小な凹凸が無数に形成されているため、極
めて高いトナー除去効果を有している。従って、ヒート
ロール表面にトナー粒子が付着しても、付着したトナー
粒子は、離型性の低い紙管のローラ側にすみやかに転移
する。従って、本考案による離型剤供給ローラをヒート
ロールに対して従動回転するように接触配置すれば、ヒ
ートローラに付着したトナーは直ちに離型剤供給ローラ
鋼に転移し、ヒートロール表面を常時クリーンな状態に
維持でき、特別なクリーニングパッド等を設けることな
くオフセット等の発生を有効に防止することができる。
すなわち、本材繊維の低い離型性を有効に利用すること
により、離型剤供給ローラとしての作用としてもクリー
ニングローラとしての作用も有効に発揮することができ
る。尚、離型剤供給ローラの外周面には多数の離型剤供
給路が存在するため、ヒートロール表面に均一に離型剤
を供給することができる。また、トナー付着しても離型
剤の供給性能に何んら不都合を生ずることはない。
【0012】ヒートロールは、通常 160〜170 ℃程度に
設定されるが、本材繊維の熱劣化する温度はこれよりも
はるかに高い温度であるため、紙管をヒールロール表面
に直接接触させても紙管の表面が熱劣化するような不都
合は全く発生しない。特に、紙管の内部及び表面にシリ
コンオイルが浸透しているので、紙管自体の耐熱性も一
層高くなるため耐熱性に関して何んら不都合は生じな
い。尚、紙管の外周面に耐熱布,多孔質フッ素樹脂フィ
ルム又は多孔質耐熱性樹脂膜等で被覆することも可能で
ある。これら耐熱紙,耐熱布等で紙管表面を被覆するこ
とにより、紙管の外周面を機械的,熱的に保護すること
ができ、離型剤供給ローラとしての耐久性も向上する。
【0013】
【実施例】図1は本考案による離型剤供給ローラを具え
るヒートロール定着装置の一例の構成を示す線図的断面
図である。ヒートロール1は、例えばアルミニウム製の
芯金ローラを有し、その外周面に高い離型性を有するフ
ッ素樹脂又はシリコンゴム層をコートする。ヒートロー
ルの内部空間内に赤外線ランプ2を配置する。ヒートロ
ール1にバックアップロール3を圧接配置し、ヒートロ
ール1とバックアップロール3との間に未定着トナー像
が形成されている記録紙4を通過させ、未定着トナー像
を定着する。ヒートロール1に離型剤供給ローラ5を接
触するように配置し、ヒートロール1の回転に伴ない剤
型剤供給ローラ5を従動回転させる。離型剤供給ローラ
5の内部空間内にシリコンオイルのような離型剤6を収
容する。このシリコンオイルは、離型剤供給ローラ5の
回転に伴ってそのローラ外周面に徐々に浸み出し、ヒー
トロール1の表面上に塗布される。尚、離型剤供給ロー
ラ5は、バックアップロール3と接触配置してバックア
ップロール3を介してヒートロール1の外周面に離型剤
を供給することもできる。
【0014】図2は本考案による離型剤供給ローラの一
例の構成を示すものであり、図1(b) は全体構成を示す
断面図,同図(b) は紙管の一部を拡大して示す模式的断
面図である。円筒状の紙管11の両端にボス部材12及び13
をそれぞれ結合する。紙管11は、例えば堅紙のような木
材繊維構造体から成り、高い機械的程度を有する。この
紙管11は、堅紙を複数層積層して多層構造体とすること
ができ、例えば1〜4mmの厚さを有するものであれば、
離型剤供給ローラとして十分に実用に耐えるだけの機械
的強度を有している。紙管11に対するボス部材12及び13
の結合は、例えばシリコン系接着剤のような耐熱性接着
剤により結合することができ、或は接着剤の結合に加え
てピン留め結合を利用することができる。紙管11とボス
部材12及び13とによって密封される内部空間内にシリコ
ンオイルのような離型剤14を封入する。封入された離型
剤14は、ローラの回転に伴ない紙管1の内部に存在する
微細孔内に侵入し紙管11の外周面に浸み出ててヒートロ
ールの表面に塗布される。
【0015】図2(b) に示すように、本例では、紙管11
は紙を多層に巻回積層して構成する。各層の紙15〜18間
に接着剤層19を離散的に介在させる。接着剤は隣接する
紙の内部まですなわち紙の繊維間に浸透し硬化するの
で、各紙間を接合すると共に紙管に対する補強剤として
の効果も達成する。接着剤層を離散的に形成するには、
紙を巻回する際紙の表面に接着剤をドット状又はメッシ
ュ状に塗布することにより容易に形成することができ
る。
【0016】図3は本考案による離型剤供給ローラの変
形例の構成を示す線図的断面図である。本例では、紙管
11の外周面に耐熱紙,耐熱布又は多孔質耐熱性樹脂層の
ような多孔質耐熱性被覆層20を設ける。耐熱紙及び耐熱
布は多孔材料であるから、紙管11の外周面に浸み出した
離型剤は耐熱紙又は耐熱布の孔を経てローラの外周面に
浸み出ることができる。また、耐熱紙及び耐熱布は離型
性が低いため、ヒートロールの表面に付着したトナー粒
子はすみやかに離型剤供給ローラ側に転移し、ヒートロ
ール表面のクリーニング作用を果たすことができる。
【0017】
【考案の効果】以上説明したように、本考案によれば細
孔を有する紙を複数回巻回して多層構造の紙管を形成
し、各紙間を離散的に形成した接着剤層により結合して
いるから、各紙の細孔及び接着剤層のない部分を介して
離型剤供給経路が形成され、この結果紙管の内部に収容
した離型剤をローラ外周面に適切な速度で浸み出させる
ことができる。この結果、穴形成作業が不安になり、製
造コストを大幅に安価にするこができる。また、紙管の
外周面は離型性が低く溶融トナーを除去する効果が高い
ため、離型剤供給ローラとしての作用と共にヒートロー
ルに対するクリーニングローラとしても作用することが
でき、特別なクリーニングパッドが不要になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案による離型剤供給ローラを具えるヒート
ロール定着装置の構成を示す線図的断面図である。
【図2】本考案による離型剤供給ローラの一例の構成を
示す線図である。
【図3】本考案による離型剤供給ローラの変形例を示す
線図である。
【符号の説明】
11 紙管 12, 13 ボス部材 14 離型剤 15〜18 紙層 19 接着剤層

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細孔を有する紙を、これら紙間に離散的
    に形成した接着剤層を介して巻回して構成される円筒状
    の紙管と、この紙管の両端にそれぞれ結合したボス部材
    と、前記紙管とボス部材とによって画成される空間内に
    収容した液状離型剤とを具え、前記離型剤を、前記紙管
    を構成する各紙の細孔を経てローラ外周面に供給するよ
    うに構成したことを特徴とする離型剤供給ローラ。
  2. 【請求項2】 前記紙管の外周面を多孔質耐熱性被覆層
    で被覆したことを特徴とする離型剤供給ローラ。
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