JP2504281B2 - 複合部品 - Google Patents

複合部品

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JP2504281B2
JP2504281B2 JP2116597A JP11659790A JP2504281B2 JP 2504281 B2 JP2504281 B2 JP 2504281B2 JP 2116597 A JP2116597 A JP 2116597A JP 11659790 A JP11659790 A JP 11659790A JP 2504281 B2 JP2504281 B2 JP 2504281B2
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博史 森井
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えばLC複合部品のように異種のセラミッ
クス材を接合した構造を有する複合部品に関する。
〔従来の技術〕
電子部品の小型化、多機能化及び高性能化を果たすた
めに、複数の電気部品素子を複合化した複合部品が普及
してきている。この種の複合部品としては、誘電体セラ
ミックス材と磁性体セラミックス材とを一体化した構造
を有するLC複合部品(特公昭62−57042号、実公昭63−3
9958号等)や半導体セラミックス材と磁性体セラミック
ス材とを貼り合わせたもの等種々のものが提案されてい
る。
〔発明が解決しようとする技術的課題〕
しかしながら、上記のような複合部品では、異種のセ
ラミックス材を接合した構造を有するために、以下のよ
うな問題があった。
誘電体セラミックス材単体であれば、成形及び焼成に
際し何ら問題が無い材料であっても、磁性体セラミック
ス材と貼り合わせて一体焼成して得られた焼結体中に構
成された誘電体部分として評価すると、耐めっき性並び
に信頼性(高温負荷時及び湿中負荷時等における信頼
性)に問題の生じることが多かった。
これは、誘電体セラミックス材と磁性体セラミックス
材とを貼り合わせて一体焼成すると、焼成収縮率のよう
な各々の材料の焼結特性が異なることによる。すなわ
ち、焼結特性が異なるために、両材料の焼結が互いに阻
害されたり、焼結の進行が不足したり、相互拡散により
焼成が変化したり、あるいは気孔の残留等が生じたりす
るためと考えられる。
上記のような問題は、誘電体セラミックス材と磁性体
セラミックス材とを貼り合わせて一体焼成した構造を有
する複合部品だけでなく、他の複数種のセラミックス材
を貼り合わせてなる複合部品でも同様である。よって、
上記のような問題が生じ難い組合わせのセラミックス材
を選択することが必要であるが、一体焼成を行った後の
耐めっき性及び信頼性を満足する材料系は極めて少な
く、従って複合化の要望に応えることが非常に難しかっ
た。
すなわち、従来の複合部品では、高性能化を図るため
に異種のセラミックス材を接合して複合化したにも関わ
らず、逆に、複合化により耐めっき性や信頼性が低下す
るという問題があった。
本発明の目的は、異種のセラミックス材を接合した構
造を有する複合部品であって、耐めっき性及び信頼性に
優れたものを提供することにある。
〔技術的課題を解決するための手段〕
本発明は、少なくとも2種類のセラミックス材を一体
焼成により接合してなるセラミックス複合材と、セラミ
ックス複合材の外表面に形成されておりかつ外部との電
気的接続に用いられる外部電極とを備える複合部品であ
って、下記の構成を備えることを特徴とする。
すなわち、セラミックス複合材の外表面の外部電極が
形成されている領域を除いた残りの領域のうち、セラミ
ックス材同士の接合部分を少なくとも覆うようにガラス
コーティング層が設けられていることを特徴とする。
〔作用〕
異種のセラミックス材を接合する場合、グリーンシー
ト状態における積層面において、積層、圧着、カッティ
ングあるいは焼成に際しクラックが発生し易い。また、
積層面には内部電極が形成されることが多く、この内部
電極は部品の外表面に形成された外部電極と電気的に接
続するために外部電極に連ねられていることが多い。従
って、この積層面においてめっき液が侵入したりあるい
は水分が侵入し易く、その結果、めっき液の侵入による
特性の劣化や水分の侵入による吸湿劣化が生じ易い。
上記のように、複合部品における特性の劣化は、シー
トの積層面すなわち異種のセラミックス材を接合した部
分において生じがちであることを考慮し、本発明は、セ
ラミックス複合材の外表面領域のうち、少なくともセラ
ミックス材同士の接合部分を覆うようにガラスコーティ
ング層を設け、それによって耐めっき性及び信頼性を改
善したことに特徴を有する。
〔実施例の説明〕
第1図は、本発明の一実施例にかかる複合部品を示す
斜視図である。本実施例の複合部品1は、誘電体セラミ
ックス材2と磁性体セラミックス材3とを接合してなる
焼結体4を用いて構成されている。焼結体4の両端面に
は、一対の外部電極5,6が形成されており、焼結体4の
両側面中央領域にも外部電極7,7が形成されている。
本実施例の複合部品1の特徴は、焼結体4の側面領域
において、外部電極7が形成されている部分を除いてガ
ラスコーティング層8,9が設けられていることにある。
すなわち、焼結体4では、誘電体セラミックス材2と磁
性体セラミックス材3との接合部分が焼結体4の両側面
に露出しているが、この露出している部分を覆うよう
に、ガラスコーティング層8,9が設けられている。
ガラスコーティング層8,9が設けられているため、焼
結体4にめっきを施す場合、めっき液が誘電体セラミッ
クス材2と磁性体セラミックス材3との接合面から内部
に侵入し難く、また湿度の高い雰囲気中に置かれても湿
気が該接合面から内部に侵入することが効果的に防止さ
れる。
次に、上記実施例の複合部品1の製造方法の一例を具
体的に説明することにより、上記実施例の構造をより詳
しく説明することにする。
まず、誘電体セラミックス材2を構成する材料とし
て、Pb系複合ペロブスカイト系材料であるPb(Mg1/3Nb
2/3)O3−PbTiO3−Pb(Zn1/21/2)O3系粉末またはPb
(Ni1/3Nb2/3)O3−PbTiO3−Pb(Zn1/21/2)O3系粉末
を用意する。他方、磁性体セラミックス材3を構成する
材料として、(NiO−ZnO−CuO)Fe2O3粉末を用意する。
上記誘電体粉末及び磁性体粉末を、それぞれ、トルエ
ン及びエチルアルコールを容量比で1:1の割合で混合し
てなる混合有機溶媒に分散させ、バインダとしてポリビ
ニルブチラール、可塑剤としてDOPを加えて混合し、そ
れぞれのスラリーを得る。なお、ポリビニルブチラール
の混合量は、誘電体または磁性体粉末100gあたり6〜12
gであり、可塑剤の混合量は誘電体または磁性体粉末100
gあたり1〜3gである。
上記のようにして得られた誘電体スラリー及び磁性体
スラリーを、それぞれ、ドクターブレード法により成形
し、シート状とする。次に、得られたシートを所定の寸
法の金型で打ち抜き、矩形状の誘電体セラミックグリー
ンシート及び磁性体セラミックグリーンシートを得る。
次に、第2図(a)〜(c)に示すように、3枚の誘
電体セラミックグリーンシート11〜13を用意し、誘電体
セラミックグリーンシート12,13の上面には、それぞ
れ、容量取出しのための内部電極14,15を形成するため
に導電ペーストを印刷する。
他方、第2図(d)〜(f)に示すように、3枚の磁
性体セラミックグリーンシート16〜18を用意し、グリー
ンシート17上に、インダクタンス取出し用の導電路19を
形成するための導電ペーストを印刷する。
次に、第2図(a)〜(f)に示す誘電体セラミック
グリーンシート11〜13及び磁性体セラミックグリーンシ
ート16〜18を積層し、1.0トン/cm2の圧力をかけて厚み
方向に圧着し、所定の大きさに切断して、空気中1000℃
の温度に1時間保持することにより焼成し、第3図に示
す焼結体4を得る。
焼結体4では、焼成により、誘電体セラミックス材2
と磁性体セラミックス材3とが接合面4aを介して接合さ
れている。
次に、第4図に示すように、焼結体4の両端面と側面
中央領域に導電ペーストを塗布し750℃の温度に1分間
保持することにより、外部電極5〜7を形成する。
最後に、焼結体4の両側面に、硼珪亜鉛ガラスを含む
ガラスフリット・ペーストを塗布し、700℃の温度に10
分間保持することにより焼き付けて第1図に示されてい
るガラスコーティング層8,9を形成する。
上述のようにしてガラスコーティング層8,9が設けら
れた複合部品1では、誘電体セラミックス材2と磁性体
セラミックス材3との接合面がガラスコーティング層8,
9で覆われているため、耐めっき性及び信頼性が高めら
れる。
本実施例のLC複合部品1の場合には、外部電極5〜7
をAg−Pdで形成し、その上にNiめっきをした後において
も、誘電体部分の容量の変化率は±5%以内であり、85
℃、1000時間及び100Vの負荷を与えた後の絶縁抵抗(I
R)の低下が1桁以下であり、IR>109Ωを維持している
ことが確かめられた。
また、信頼性についても、70℃、95%RHという高湿度
雰囲気中において、50V負荷×500時間経過した後でさ
え、容量変化率は±5%未満であり、IR>109Ωを維持
していることが確かめられた。
なお、上記実施例の複合部品1では、焼結体4の両側
面にガラスコーティング層8,9を設けたが、第5図に示
すように、焼結体4の外表面領域において外部電極5〜
7が形成されている領域以外の残りのすべての領域にガ
ラスコーティング層10を形成してもよい。要するに、少
なくとも異なるセラミックス材同士が接合される面が外
表面領域に現れている部分を被覆するようにガラスコー
ティング層が設けられれば、他の部分にガラスコーティ
ング層を形成するか否かは任意である。
また、上記実施例のLC複合部品1では、ガラスコーテ
ィング層を形成するために、硼珪酸鉛系ガラスを用いた
が、LC複合部品では、硼珪酸鉛系ガラスが好適であり、
ガラス材の焼結体への拡散による特性の劣化はほとんど
生じない。さらに、ガラスフリットのコーティング方法
については、上記実施例のペーストを塗布する方法に限
らず、ガラスフリット粉末を直接部品本体に付着させ焼
き付けてもよい。
なお、上記実施例では、誘電体セラミックス材2と磁
性体セラミックス材3とを積層してなる複合部品につい
て説明したが、他のセラミックス材、例えば半導体セラ
ミックス材と誘電体セラミックス材とを積層してなる複
合部品にも本発明を適用することができる。また、上記
実施例のように2種のセラミックス材を積層してなる複
合部品だけでなく、3種以上のセラミックス材を積層し
てなる複合部品にも本発明を適用することができる。
〔発明の効果〕
以上のように、本発明では、セラミックス複合材の外
表面に外部電極が形成されている領域を除いた残りの領
域のうち、セラミックス材同士の接合部分を少なくとも
覆うようにガラスコーティング層が設けられているた
め、複合部品の耐めっき性及び信頼性が高められる。従
って、高性能化を図るために異種のセラミックス材を接
合してなる複合部品の特徴を活かした高性能かつ多機能
の複合部品であって、信頼性に優れた部品を提供するこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例にかかる複合部品を示す斜視
図、第2図(a)〜(f)は、それぞれ、本発明の一実
施例の複合部品を得るのに用いられるグリーンシート及
びその上に形成される電極パターンの形状を説明するた
めの各平面図、第3図は本発明の一実施例において用意
される焼結体を示す斜視図、第4図は焼結体に外部電極
を形成した状態を示す斜視図、第5図は本発明の他の実
施例にかかる複合部品を示す斜視図である。 図において、1は複合部品、2は誘電体セラミックス
材、3は磁性体セラミックス材、4はセラミックス複合
材としての焼結体、5〜7は外部電極、8,9,10はガラス
コーティング層を示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも2種類のセラミックス材を一体
    焼成して接合してなるセラミックス複合材と、 前記セラミックス複合材の外表面に形成されており、か
    つ外部との電気的接続に用いられる外部電極とを備える
    複合部品において、 前記セラミックス複合材の外表面の前記外部電極が形成
    されている領域を除いた残りの領域のうち、セラミック
    ス材同士の接合部分を少なくとも覆うようにガラスコー
    ティング層が設けられていることを特徴とする複合部
    品。
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