JP2502960Y2 - 陰極線管試験器用水平偏向回路 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、テレビジョン受像機，ビデオモニタ等にお
いて使用される陰極線管を試験するための陰極線管試験
器に関し、特に、各種の異なった種類の陰極線管に対し
て適正な偏向電流を流すことができる水平偏向回路に関
する。

〔従来の技術〕

テレビジョン受像機，ビデオモニタ等においては、画
像を表示するために陰極線管が使用されている。この陰
極線管を動作させるためには、蛍光面を発光させるため
に高圧を印加するとともに、陰極線管のネック部に設け
られた偏向コイルに偏向電流を流す必要がある。この偏
向コイルに偏向電流を流すために偏向回路が設けられて
いる。

たとえば、テレビジョン受像機等の水平偏向回路にお
いては、水平偏向コイルに鋸歯状波電流が流されるが、
単に鋸歯状波電流を流しただけでは陰極線管の形状等の
影響により歪のない画像を得ることができない。このた
め水平偏向コイルに流れる電流の波形を補正するための
種々の補正回路が設けられている。

第３図は、通常のテレビジョン受像機において使用さ
れる一般的な水平偏向回路を示し、エミッタが接地され
た水平出力トランジスタ１のベース・エミッタ間にドラ
イブトランス２の二次捲線が並列に接続され、水平出力
トランジスタ１のコレクタがフライバックトランス３を
介して電源に接続される。また、水平出力トランジスタ
１のコレクタ・エミッタ間にダンパダイオード４及び共
振コンデンサ５がそれぞれ並列に接続され、さらに水平
偏向コイル6,S字補正用コンデンサ7,リニアリティ調整
用コイル８及びサイズ調整用コイル９の直列回路が並列
に接続される。

この第３図の水平偏向回路においては、例えばＳ字補
正用コンデンサ7,リニアリティ調整用コイル８及びサイ
ズ調整用コイル９の値を変えることにより水平偏向コイ
ル６に流れる電流の波形及び大きさを調整している。

また、特に陰極線管の画像の歪を小さく抑える場合、
各陰極線管に合わせて補正を行う必要がある。

第４図は、補正条件を切り換えることができる従来の
水平偏向回路を示し、第３図の回路と同様に水平出力ト
ランジスタ１にドライブトランス2,フライバックトラン
ス3,ダンパダイオード４及び共振コンデンサ５が接続さ
れる。さらに水平出力トランジスタ１のコレクタはピン
クッション補正用トランス10の二次捲線10aを介して複
数の容量の異なるＳ字補正用コンデンサ7a,7b,7cの各一
端が共通に接続された接続点Ｐに接続される。また各Ｓ
字補正用コンデンサ7a〜7cの他端は１回路３接点の切り
換えスイッチ11の各固定接点11a,11b,11cに接続され、
切り換えスイッチ11の可動接点11dはその一端が接地さ
れたマッチングトランス12の中間端子に接続される。マ
ッチングトランス12からは複数の切り換えタップ13が導
出され、これらの切り換えタップ13の何れかと接地との
間に水平偏向コイル６が接続される。

第４図に示す回路においては、ピンクッション補正用
トランス10の一次捲線10bに垂直周期の偏向電流を流せ
ばピンクッション補正用トランス10のインダクタンスが
変化し水平偏向コイル６に流れる水平偏向電流が変調さ
れるのでピンクッション補正を行うことができる。ま
た、切り換えスイッチ11を切り換えることによりＳ字補
正量を変える。更に、水平偏向コイル６のインダクタン
スに合わせて切り換えタップ13の位置を変えて水平偏向
コイル６のインダクタンスマッチングを行う。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、第３図或いは第４図に示す通常のテレ
ビジョン受像機において使用される従来の水平偏向回路
では、大電流が流れる水平偏向コイル６に対して直列に
Ｓ字補正用コンデンサ7,7a〜7c,リニアリティ調整用コ
イル8,サイズ調整用コイル9,ピンクッション補正用トラ
ンス10等が接続される。このため、これらの部品として
大電流に耐える比較的大型のものを使用しなければなら
ずコストアップとなると共に、これらの部品により無駄
な電力が消費され効率が悪くなるという問題があった。
また、これらの部品の存在により水平偏向回路自体の特
性が劣化するという問題もあった。

また、水平偏向電流の波形調整の際には各部品の値を
変える必要があるが、第３図に示す水平偏向回路では部
品自体を他の値のものと取り替えるか、或いは各部品の
値を可変できる構造にする必要があり、調整に手間が掛
かったりあるいは可変範囲に制限があり完全な調整が困
難であった。特にＳ字補正用コンデンサ７はその容量が
比較的大きいため可変容量構造とすることはできず、異
なる容量のものを付け替えることしかできなかった。

また、第４図に示すように予め容量の異なる複数のＳ
字補正用コンデンサ7a〜7cを用意しておき、スイッチ11
により切り換えるものもあるが、この場合でも調整は不
連続的にしかできず、細かな調整が不可能であるという
問題があった。

なお、通常のテレビジョン受像機であれば、使用され
る陰極線管の種類は決まっているので、第３図や第４図
に示すような水平偏向回路を使用してもある程度の調整
は行うことができるが、以下に説明するように、陰極線
管試験器において使用される水平偏向回路においては、
非常に広い調整範囲が要求され、しかも微妙な調整が可
能であることが必要である。

たとえば、陰極線管を製造する製造所等においては、
製造した陰極線管が予め決められた仕様内の特性を持っ
ているかどうかを検査する必要があるが、陰極線管に
は、画像サイズ，偏向角度の相違により種々の種類があ
り、それぞれの陰極線管によって偏向コイルに流すべき
偏向電流の波形が異なっている。たとえば、画像サイズ
としては数インチから数十インチまであり偏向電流の振
幅が大幅に異なっている。また、偏向角度も数十度から
100度以上のものまであり、偏向角度が大きくなるにつ
れて偏向電流が増加するとともに、画像の直線性を維持
するための偏向電流の補正の量も増加する。

このため、第３図や第４図に示すような通常のテレビ
ジョン受像機で使用されているような偏向回路では、陰
極線管の仕様の相違に対応することができず、従来は各
陰極線管毎に、或いは、類似した仕様を有する陰極線管
毎に専用の偏向回路を設け陰極線管の検査を行ってい
た。

しかしながら、各陰極線管毎に偏向回路を用意するこ
とは、陰極線管を多機種少量生産する場合には検査に要
する費用が増大するという問題がある。

そこで本考案は、検査すべき陰極線管の種類に応じ
て、水平偏向電流を大幅に且つ連続的にしかも微妙に調
整することができる陰極線管試験器用水平偏向回路を提
供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の陰極線管試験器用水平偏向回路は、上記目的
を達成するため、水平周期でスイッチング動作し動作電
流が水平出力トランスを介して供給される水平出力トラ
ンジスタと、前記水平出力トランスに接続された水平偏
向コイルと、垂直周期の鋸歯状波信号と該垂直周期の鋸
歯状波信号に同期した垂直周期のパラボラ波信号と水平
周期の鋸歯状波信号と前記水平出力トランジスタのコレ
クタに発生するパルス電圧を波形整形することにより得
られた水平周期のＳ字形の補正用信号と直流信号とをそ
れぞれ独立に調整する複数の可変抵抗器と、該複数の可
変抵抗器を介して供給される各信号を共通に増幅して前
記水平出力トランジスタに対する動作電流として供給す
る増幅器とを備えていることを特徴とする。

〔実施例〕

以下本考案の実施例について図面を参照して説明す
る。

第１図は本考案による水平偏向回路の補正回路を示
し、エミッタが接地された水平出力トランジスタ１のベ
ースにドライブトランス２の二次捲線の一端が抵抗器14
aとコイル14bの並列回路を介して接続され、ドライブト
ランス２の二次捲線の他端が接地される。水平出力トラ
ンジスタ１のコレクタは水平出力トランスイ15の一次捲
線15aを介して増幅器16の出力端子16aに接続される。ま
た、水平出力トランジスタ１のコレクタ・エミッタ間に
ダンパダイオード４及び共振コンデンサ５がそれぞれ並
列に接続される。水平出力トランジスタ１が水平周期で
スイッチングされることにより、水平出力トランス15に
水平周期の鋸歯状波電流が流れる。

水平出力トランス15の二次捲線15bの一端と、二次捲
線15bの中間部に設けられた複数の切り換えタップ17の
何れかとの間に直流カット用コンデンサ18と水平偏向コ
イル６の直列回路が接続される。また、正負電圧を可変
抵抗器19で分割した直流電圧が増幅器20を介して水平偏
向コイル６の直流カット用コンデンサ18側の一端に供給
されるとともに、水平偏向コイル６の他端がセンタリン
グコイル21を介して接地される。したがって、水平出力
トランス15に鋸歯状波電流が流れることにより水平偏向
コイル６にも水平周期の鋸歯状波電流、すなわち水平偏
向電流が流れる。

このとき、可変抵抗器19を調整することにより水平偏
向コイル６に流れる直流電流の方向及び量を変えること
ができるので、陰極線管の画像の水平方向の位置を変え
ることができる。また、水平偏向コイル６のインダクタ
ンスに合わせて切り換えタップ17を選択することによ
り、インダクタンスマッチングをとることができる。

また、増幅器16は５個の入力端子16b〜16fを有し、第
１の入力端子16bには第２図Ａに示すような垂直周期の
鋸歯状波信号S₁が増幅器22及び可変抵抗器23を介して供
給されると共に、増幅器22の出力は乗算器24に供給され
て自乗され、第２図Ｂに示すような垂直偏向に同期した
パラボラ波信号S₂が形成され、可変抵抗器25を介して第
２の入力端子16cに供給される。したがって、増幅器16
から水平出力トランス15に流れ込む水平周期の鋸歯状波
電流は、垂直周期の鋸歯状波信号S₁及びパラボラ波信号
S₂で変調され、水平偏向コイル６に流れる水平偏向電流
も同様に変調される。別の表現をすると、水平偏向回路
に対する電流が信号S₁,S₂で変調されることになる。

このとき、可変抵抗器23及び可変抵抗器25を調整する
ことにより台形補正量及びピンクッション補正量を変え
ることができる。

また、増幅器16の出力電流が電流トランス26で検出さ
れ、増幅器27で増幅され第２図Ｃに示すような水平周期
の鋸歯状波信号S₃が可変抵抗器28を介して第３の入力端
子16dに正帰還され負性抵抗として作用する。可変抵抗
器28を調整することにより正帰還量が変わるので、鋸歯
状波信号S₃のリニアリティを調整することができる。

水平出力トランジスタ１のコクレタに発生するパルス
電圧はコンデンサ29,30で分割され波形整形器31で第２
図Ｄに示すような水平周期のＳ字形のＳ字補正用信号S₄
に波形整形され、可変抵抗器32を介して第３の入力端子
16eに供給される。このときＳ字補正用信号S₄の補正量
は、可変抵抗器32を調整することにより連続的に可変す
ることができるので、従来のようにＳ字補正用コンデン
サを切り換えるものに比較して、使用する陰極線管に応
じた微妙なＳ字補正の調整を行うことができる。

また、増幅器16の第５の入力端子16fは可変抵抗器33
を介して接地され、この可変抵抗器33を調整することよ
り増幅器16の直流オフセットを変え、水平出力トランジ
スタ１に掛かる電圧を変化させることにより、水平偏向
コイル６に流れる水平偏向電流の振幅を変えサイズ補正
を行うことができる。

上述した各可変抵抗器23,25,28,32,33を通過した信号
は、いずれも増幅器16により増幅され水平出力トランジ
スタ１に対する動作電流となるので、各可変抵抗器23,2
5,28,32,33に流れる電流は非常に僅かなものとなり、定
格電力や電圧低下の制限を受けることなく可変抵抗器と
して調整に最も適したものを使用することができ、微妙
な調整を行うことができる。

また、可変抵抗器23,25,28,32,33を介して供給される
信号の変化は、増幅器16により増幅されて水平出力トラ
ンジスタ１に供給されるので、可変抵抗器により広い範
囲にわたって連続的に、台形補正、ピンクッション補
正、リニアリティ補正、Ｓ字補正及びサイズ補正を行う
ことができる。

〔考案の効果〕

以上述べたように本考案によれば、可変抵抗器を介し
て供給された各種の補正信号を増幅器で増幅して水平出
力トランジスタに動作電流として供給するようにしたの
で、各種補正を独立に連続的かつ広範囲に行うことがで
き、また微妙な調整も可能となる。したがって、検査す
べき陰極線管の種類が多数あるような場合でも、同じ陰
極線管試験器を使用して検査を行うことができる。ま
た、陰極線管の種類が変更になったような場合でも直ぐ
に対応することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例による水平偏向回路の補正回路
図、第２図は動作説明のための波形図、第３図は一般的
な水平偏向回路、第４図は従来の水平偏向回路である。 1:水平出力トランジスタ、2:ドライブトランス 3:フライバックトランス、4:ダンパダイオード 5:共振コンデンサ、6:水平偏向コイル 14a:抵抗器、14b:コイル 15:水平出力トランス、15a,15b:捲線 16:増幅器、16a:出力端子 16b〜16f:入力端子、17:切り換えタップ 18:直流カット用コンデンサ 19,23,25,28,32,33:可変抵抗器 20,22,27:増幅器 21:センタリングコイル、24:乗算器 26:電流トランス、29,30:コンデンサ 31:波形整形器

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】水平周期でスイッチング動作し動作電流が
   水平出力トランスを介して供給される水平出力トランジ
   スタと、 前記水平出力トランスに接続された水平偏向コイルと、 垂直周期の鋸歯状波信号と該垂直周期の鋸歯状波信号に
   同期した垂直周期のパラボラ波信号と水平周期の鋸歯状
   波信号と前記水平出力トランジスタのコレクタに発生す
   るパルス電圧を波形整形することにより得られた水平周
   期のＳ字形の補正用信号と直流信号とをそれぞれ独立に
   調整する複数の可変抵抗器と、 該複数の可変抵抗器を介して供給される各信号を共通に
   増幅して前記水平出力トランジスタに対する動作電流と
   して供給する増幅器とを備えていることを特徴とする陰
   極線管試験器用水平偏向回路。