JP2501250B2 - 低摩擦抵抗性機械部品 - Google Patents

低摩擦抵抗性機械部品

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JP2501250B2 JP5790291A JP5790291A JP2501250B2 JP 2501250 B2 JP2501250 B2 JP 2501250B2 JP 5790291 A JP5790291 A JP 5790291A JP 5790291 A JP5790291 A JP 5790291A JP 2501250 B2 JP2501250 B2 JP 2501250B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低い摩擦抵抗性を有す
る機械部品に関する。さらに詳しくは、自己潤滑性を有
するマイクロマシーンなどの機械部品に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的な機械部品の一例である歯車、軸
受、ベアリング、ローター、回転軸、クランク、タービ
ン等の摺動部材は、潤滑性を保つために潤滑油を供給す
ることが通常は必要である。そして、潤滑油がなくなっ
たり供給不足になると、摺動部は摩擦熱が発生したり、
磨耗して破損に至る場合がある。ところで、前記一般的
な機械部品の場合、機械の用途によっては潤滑油を使え
ないか、その使用に当たっては大きな制約がある。たと
えば食品製造装置や医薬製造装置では、製造物に潤滑油
が誤って混入しないように細心の注意が払われる。同様
に、医療機器の場合も細心の注意が払われる。またたと
えば時計などのように、使用者が一般的な消費者である
ものであっても、長期的には潤滑油が必要な場合があ
る。
【0003】さらに、いわゆる大きさが約1mm以下の
部品で構成されたマイクロマシーン(微小精密機器)
は、その部品が余りにも小さいため潤滑油などを使用で
きず、マイクロマシーンの摺動性を良くするためには、
表面をできるだけ滑らかにするしか方手段なかった。
発明に関連する公知例としては、ケイ素及びフッ素を含
むプラズマ重合膜からなる低摩擦性薄膜付き物品(特開
昭59−1505号公報)、パーフルオロ基と加水分解
可能な有機基を含有する塗膜を透明性の基材表面に塗布
し、撥水撥油防汚性透明基材を得る例(特開平2−24
8480号公報)、パーフルオロ基含有化合物をシラン
化合物、または合成樹脂の塗膜表面に塗布し、撥水防汚
性塗膜を得る例(特開昭60−40254号公報)、パ
ーフルオロ基含有シラン化合物または該化合物の加水分
解縮合物とシランカップリング剤とコロイダルシリカと
からなる撥水撥油剤をガラス基材表面に塗布し、ガラス
表面に撥水防汚性膜を形成する例(特開昭58−147
483号公報)などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
たような一般的な機械部品の場合、細心の注意を払って
いても、潤滑油が漏れ出す危険性が皆無であるとはいえ
ない。また時計などのように使用者が一般的消費者であ
る場合、潤滑油を供給することは期待できない場合があ
る。
【0005】さらに前記マイクロマシーンの場合、ホト
リソグラフィーを用いた加工方法では、部品表面を滑ら
かにするのには限界があり充分な耐久性が得られてない
のが現状である。また前記特開昭59−1505号公
報、特開平2−248480号公報、特開昭60−40
254号公報及び特開昭58−147483号公報の提
案は、基材表面に膜分子が化学結合していないので耐久
性が低いという問題があった。すなわち、機械部品の摺
動部表面は、部品と部品の摩擦がとくに激しく行われる
部分であるので、摩擦によって容易に脱落してしまう物
質では耐久性に問題が出てしまうのである。
【0006】以上の通り従来は、優れた摺動抵抗が低い
高性能機械部品は得られていないという課題があった。
とくに精密機器や医療機器にとって、このような性能を
有する機械部品は強く要望されていた。
【0007】本発明は前記従来技術の課題を解決するた
め、摩擦抵抗が低く自己潤滑性に優れた機械部品を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の低摩擦抵抗性機械部品は、機械部品の少な
くとも摺動部表面に、表層に炭化フッ素基を含み、基部
がシロキサン結合によって化学結合した、厚さがナノメ
ーターレベルの化学吸着膜が形成されているという構成
を備えたものである。
【0009】前記構成においては、化学吸着膜が単分子
膜であることが好ましい。
【0010】また前記構成においては、機械部品として
マイクロマシーンにも好ましく適用できる。
【0011】
【作用】前記本発明の構成によれば、表層がフッ素基を
含み、基部がシロキサン結合によって基材に化学結合さ
れている化学吸着膜が、少なくとも機械部品の摺動部表
面に形成されてなるので、摩擦抵抗が低く自己潤滑性に
優れた機械部品とすることができる。すなわち、前記化
学吸着膜の表層にはフッ化アルキル基が存在するから、
摩擦抵抗が低く自己潤滑性に優れたものとなる。また、
前記化学吸着膜の基部は、シロキサン結合を介して化学
結合して形成されているので、耐久性に優れた膜とする
ことができ、表面が繰り返し摺動されても前記化学吸着
膜は基材の表面から容易には剥離しない。さらに、本発
明の化学吸着膜は、ナノメーター乃至オングストローム
単位の極薄い膜であるので、加工された機械の寸法精度
を損ねることがない。
【0012】また、化学吸着膜は単分子膜であるという
本発明の好ましい構成によれば、均一な厚さの薄い膜と
することができるので、透明性に優れ、機械的特性を損
ねることもない。
【0013】さらに、機械部品としてマイクロマシーン
にも適用できるという本発明の好ましい構成によれば、
潤滑剤を必要とすることなく自己潤滑性を付与でき、し
かも耐久性に優れたものとすることができる。
【0014】
【実施例】本発明に使用できる、機械部品の材料は、金
属、セラミックス、プラスチック等その種類を問わな
い。また適用する機械部品の種類はいかなるものであっ
てもよい。以下説明の都合上、マイクロマシーンを例に
挙げて説明する。マイクロマシーン摺動部材としては、
歯車、ローター、回転軸、クランク、タービン等、大き
さが約1mm以下の部品がある。
【0015】一般のマイクロマシーンの部品は、セラミ
クスまたは金属製であるため表面に水酸基を含む酸化膜
がある。そこで、一端にクロルシラン基(SiCln
3-n基、n=1、2、3、Xは官能基)を有する直鎖状
炭素鎖を含む分子、例えばフッ化炭素基及びクロロシラ
ン基を含むクロロシラン系界面活性剤混ぜた非水系溶媒
に接触させて前記マイクロマシーン部品摺動部表面の水
酸基と前記クロロシリル基を複数個含む物質のクロロシ
リル基を反応させて前記物質よりなる単分子膜を前記マ
イクロマシーン部品摺動部表面に析出させる、あるいは
クロロシリル基を複数個含む物質を混ぜた非水系溶媒に
接触させて前記マイクロマシーン部品摺動部表面の水酸
基と前記クロロシリル基を複数個含む物質のクロロシリ
ル基を反応させて前記物質を前記マイクロマシーン部品
摺動部表面に析出させる工程と、非水系有機溶媒を用い
前記マイクロマシーン部品表面に残った余分なクロロシ
リル基を複数個含む物質を洗浄除去し、前記マイクロマ
シーン部品摺動部にクロロシリル基を複数個含む物質よ
りなるシロキサン系単分子膜を形成する工程と、一端に
クロルシラン基を有する直鎖状炭素鎖を含むシラン系界
面活性剤をマイクロマシーン部品摺動部に化学吸着し単
分子吸着膜を累積する工程とによりマイクロマシーン部
品摺動部表面にフッ化炭素系化学吸着単分子累積膜を形
成できる。
【0016】これにより、きわめて薄いナノメータレベ
ルの膜厚のフッ化炭素系単分子膜をマイクロマシーン部
品表面に形成するため、マイクロマシーン部品本来の機
能を損なうことがない。また、この膜はフッ化炭素系単
分子膜は摺動性に優れており、表面の摺動抵抗を少なく
することが可能となる。従って、摩耗が少なく信頼性の
高いマイクロマシーンを提供することができる。さらに
また、本発明で示したマイクロマシーンは、潤滑油を必
要とせず、また形成された単分子膜は人体に対して不活
性であるため、人体に挿入することも可能となる。
【0017】前記フッ化アルキル基を有するクロロシラ
ン系界面活性剤としては、例えば (1) CF3(C 27(C 22SiCl3 (2) CF3CH2O(CH215SiCl3 (3) CF3(CH22Si(CH32(CH215SiC
3 (4) F(CF24(CH22Si(CH32(CH29
SiCl3 (5) F(CF28(CH22Si(CH32(CH29
SiCl3 (6) CF3COO(CH215SiCl3 (7) CF3(CF25(CH22SiCl3などのような
トリクロロシラン系界面活性剤をはじめ、例えば (8) CF3(CF27(CH22SiCln(CH33-n (9) CF3(CF27(CH22SiCln(C25
3-n (10)CF3 2 CH215SiCln(CH33-n (11)CF3 2 (CH215SiCln(C253-n (12)CF3(CH22Si(CH32(CH215SiC
n(CH33-n (13)F(CF24(CH22Si(CH32(CH29
SiCln(C253-n (14)F(CF28(CH22Si(CH32(CH29
SiCln(CH33-n (15)CF3COO(CH215SiCln(CH33-n (16)CF3(CF25(CH22SiCln(CH33-n (但し式中のnは何れも1又は2)等のような低級アル
キル基置換のモノクロロシラン系あるいはジクロロシラ
ン系界面活性剤が挙げられる。これらの中でもとくにト
リクロロシラン系界面活性剤の親水性基と結合したクロ
ロシリル結合以外のクロロシリル結合が、隣合うクロロ
シラン基とシロキサン結合で分子間結合を形成するた
め、より強固な化学吸着膜となることから好ましい。
【0018】また、CF3(CF2nCH2CH2SiC
3(但し式中のnは整数であり、3〜25程度が最も
扱いやすい)が、自己潤滑性、及び撥水・防汚性等の機
能性との釣合が取れているため好ましい。さらにまた、
フッ化アルキル鎖部分にエチレン基やアセチレン基を組
み込んでおけば、化学吸着膜形成後5メガラド程度の電
子線照射で架橋できるのでさらに化学吸着膜自体の硬度
を向上させることも可能である。
【0019】本発明に使用できるクロロシラン系界面活
性剤は、前記したように直鎖状だけではなく、フッ化ア
ルキル基又は炭化水素基が分岐した形状でも、又は末端
の珪素にフッ化アルキル基もしくは炭化水素基が置換し
た形状(即ちR、R1、R2、R3をフッ化アルキル基又
は炭化水素基として一般式R2SiCl2、R3SiC
l、R12SiCl2もしくはR123SiCl等)で
あってもよいが、吸着密度を高めるためには一般には直
鎖状が好ましい。さらに、例えば、SiCl4、SiH
Cl3、SiH2Cl2、Cl−(SiCl2O)n−Si
Cl3(但し式中nは自然数)、SiClm(C
34-m、SiClm(C254-m(但し式中mは1〜
3の整数)、HSiCl k (CH33-k 、HSiCl
k (C253-k (但し式中は1又は2)等のようなク
ロロシリル結合を複数個含む物質を化学吸着させた後、
水と反応すると表面のクロロシリル結合が親水性のシラ
ノール結合に変わり、プラスチック成形品表面が親水性
となる。
【0020】なお、このクロロシリル基を複数個含む物
質の中でも、テトラクロロシラン(SiCl4)は反応
性が高く分子量も小さいためより高密度にシラノール結
合を付与できるため好ましい。このようにして親水性化
すると、高分子を含む基体の基体の酸化処理よりも親水
性をより高くすることができる。この上に例えばフッ化
アルキル基を含むクロロシラン系界面活性剤を化学吸着
でき、このようにして得た化学吸着膜はより高密度化さ
れるためより好ましい。
【0021】機械部品がプラスチック製の場合は、プラ
スチック成形品表面にシロキサン結合を介してフッ化ア
ルキル基を含有する化学吸着膜を形成する、その手段と
しては、プラスチック成形品表面を酸化処理して親水性
にする工程と、酸化処理した表面を非水系の有機溶媒に
浸漬等により接触させて、基材の表面にクロロシラン系
界面活性剤を化学吸着させ、シロキサン結合を介してフ
ッ化アルキル基を含有する化学吸着膜を形成する工程を
含むことが好ましい。
【0022】プラスチック材料を酸化処理する方法とし
ては、例えば酸素プラズマ処理、コロナ処理、もしくは
濃硫酸と重クロム酸カリウムの混合溶液に浸漬する方法
(クロム混酸液処理)等通常の手法が適用される。
【0023】本発明に用いる非水系溶媒は、化学吸着膜
を形成するプラスチック材料を溶解せず、かつクロロシ
ラン系界面活性剤と反応する活性水素を持たない有機溶
媒であればよい。その例として例えば1,1−ジクロ
ロ,1−フルオロエタン、1,1−ジクロロ,2,2,
2−トリフルオロエタン、1,1−ジクロロ,2,2,
3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロ
ロ,1,1,2,2,3−ヘプタフルオロプロパン等の
フッ素系溶媒、例えばヘキサン、オクタン、ヘキサデカ
ン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、例えばジブチ
ルエーテル、ジベンジルエーテル等のエーテル系溶媒、
例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢
酸アミル等エステル系溶媒の何れかが好ましい。
【0024】以下に本発明に関するマイクロマシーンと
しては、歯車、ローター、回転軸、クランク、タービン
等1mm以下のおおきさの部品で構成されたものがある
が、代表例として歯車と回転軸を取り上げ順に説明す
る。
【0025】実施例1 まず、加工の終了した直径が100ミクロンのSiO2
製のマイクロマシーン1(歯車は1a、回転軸は1b)
を用意し(図1)、有機溶媒で洗浄する。次に、フッ化
炭素基及びクロロシラン基を含む物質の溶媒の一例であ
る、CF3 (CF2 7 (CH2 2 SiCl3 を、非
水系溶媒の一例である80重量%n−ヘキサデカン(ト
ルエン、キシレン、ジシクロヘキシルでもよい)、12
重量%四塩化炭素、8重量%クロロホルム溶液からなる
混合溶媒に2重量%程度の濃度で溶かして、原料溶液を
調整した。この原料溶液に、少なくとも前記摺動部1’
(全てでもよい)を2時間程度浸漬すると、SiO2
面は水酸基が多数含まれているので、フッ化炭素基及び
クロロシラン基を含む物質のSiCl基と前記水酸基が
反応し脱塩酸反応が生じ摺動部表面全面に亘り、CF3
(CF2 7 (CH2 2 Si(O−)3 の結合が生成
され、フッ素を含む単分子膜2が歯車及び回転軸と化学
結合した状態で約15オングストローム(1.5nm)
の膜厚で形成できた。また、この膜の臨界表面エネルギ
ーを測定すると、15ダイン/cmであった(測定装
置:協和界面科学株式会社製造、自動接触角計、CA−
Z型)。さらに動摩擦係数は0.15であった(測定装
置:協和界面科学株式会社製造、全自動動摩擦係数計、
DFPM−SS型)。
【0026】なお、この単分子膜は、歯車及び回転軸の
寸法に比べ充分薄く、フッ化炭素基を含んでいるため潤
滑性が高く、きわめて強固に化学結合しているので、高
速の回転にも耐え全く剥離することがなかった。さら
に、この歯車を1万回回転させて試験してみたが、処理
しないものに比べ約30倍の回転に耐えた。
【0027】実施例2 親水性ではあるが水酸基を含む割合が少ないアルミナ製
(ステンレス等の金属でも同じ)の場合、トリクロロシ
リル基を複数個含む物質(例えば、SiCl4、または
SiHCl3 、SiH2 Cl2 、Cl−(SiCl
2 O)n −SiCl3 (nは整数)。特に、SiCl4
を用いれば、分子が小さく水酸基に対する活性も大きい
ので、表面を均一に親水化する効果が大きい)を混ぜた
非水系溶媒、例えばクロロホルム溶媒に1重量パーセン
ト溶解した溶液に30分間程度浸漬すると、アルミナ製
部品11の表面には親水性のOH基12が多少とも存在
する(図3)ので表面で脱塩酸反応が生じトリクロロシ
リル基を複数個含む物質のクロロシラン単分子膜が形成
される。
【0028】例えば、トリクロロシリル基を複数個含む
物質としてSiCl4 を用いれば、部品表面11には少
量の親水性のOH基が露出されているので、表面で脱塩
酸反応が生じ、下記に示す(化1)、(化2)のように
分子が−SiO−結合を介して表面に固定される。
【0029】
【化1】
【0030】
【化2】 その後、非水系の溶媒例えばクロロホルムで洗浄して、
さらに水で洗浄すると、部品表面と反応していないSi
Cl4 分子は除去され、下記に示す(化3)、(化4)
のように部品表面に等のシロキサン単分子膜13が得ら
れる(図4)。
【0031】
【化3】
【0032】
【化4】 なお、このときできた単分子膜13は部品表面とは−S
iO−の化学結合を介して完全に結合されているので剥
がれることが全く無い。また、得られた単分子膜は表面
にシラノール結合(SiOH結合)を数多く持つ。当初
の水酸基のおよそ3倍程度の数が生成される。
【0033】そこでさらに、フッ化炭素基及びクロロシ
ラン基を含む物質を混ぜた非水系の溶媒、例えば、CF
3 (CF2 7 (CH2 2 SiCl3 を用い、3重量
%程度の濃度で溶かした80重量%n−ヘキサデカン、
12重量%四塩化炭素、8重量%クロロホルム溶液を調
整し、表面にSiOH結合を数多く持つ単分子膜の形成
された部品を1時間程度浸漬すると、表面にCF3 (C
2 7 (CH2 2Si(O−)3 の結合が生成さ
れ、フッ素を含む単分子膜14が下層のシロキサン単分
子膜と化学結合した状態で部品表面全面に亘り高密度に
15オングストローム(1.5nm)の膜厚で形成で
きた(図5)。なお、この単分子累積膜は剥離試験を行
なっても全く剥離することがなかった。また、摺動抵抗
は、フッ素を含む単分子膜をそのまま部品表面に形成し
た場合に比べ約半分であった。
【0034】さらにまた上記実施例ではフッ化炭素系界
面活性剤としてCF3 (CF2 7(CH2 2 SiC
3 を用いたが、アルキル鎖部分にエチレン基やアセチ
レン基を付加したり組み込んでおけば、単分子膜形成後
5メガラド程度の電子線照射で架橋できるのでさらに単
分子膜の硬度を向上させることも可能である。
【0035】以上説明した実施例によれば、マイクロマ
シーンの部品寸法に比べ充分薄いナノメータレベルの膜
厚の潤滑性フッ化炭素系単分子膜をマイクロマシーン摺
動部表面に形成するため、マイクロマシーン本来の機能
を損なうことがない。また、このフッ化炭素系単分子膜
は人体に対して不活性であり、摺動抵抗もきわめて低く
でき、剥離や模摩耗することもない。従って、潤滑剤な
どをしようできない人体内で使用するマイクロマシーン
においてはきわめて効果大なるものである。
【0036】
【発明の効果】以上説明した通り本発明によれば、表層
がフッ素基を含み、基部がシロキサン結合によって基材
に化学結合されている化学吸着膜が、少なくとも機械部
品の摺動部表面に形成されてなるので、摩擦抵抗が低く
自己潤滑性に優れた機械部品とすることができる。
【0037】また、化学吸着膜は単分子膜であるという
本発明の好ましい構成によれば、均一な厚さの薄い膜と
することができるので、透明性に優れ、加工された機械
の寸法精度を損ねることもない。
【0038】さらに、機械部品としてマイクロマシーン
にも適用できるという本発明の好ましい構成によれば、
実用上潤滑剤を必要とすることなく自己潤滑性を付与で
き、しかも耐久性に優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のマイクロマシーンの代表的な例であ
るSiO2 製歯車及び回転軸の斜視図である。
【図2】 本発明の歯車の表面を分子レベルまで拡大し
た断面概念図である。
【図3】 本発明のマイクロマシーンの第2の実施例を
説明するためにアルミナ製部品の表面を分子レベルまで
拡大した処理前の断面概念図である。
【図4】 本発明のマイクロマシーンの第2の実施例を
説明するためにアルミナ製部品の表面を分子レベルまで
拡大した処理中の断面概念図である。
【図5】 本発明のマイクロマシーンの第2の実施例を
説明するためにアルミナ製部品の表面を分子レベルまで
拡大した処理後の断面概念図である。
【符号の説明】
1…SiO2 製歯車及び回転軸 2,14…単分子膜 11…アルミナ製部品 12…水酸基 13…単分子膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16C 33/20 7123−3J F16C 33/20 A (56)参考文献 特開 昭59−1505(JP,A) 特開 平2−248480(JP,A) 特開 昭60−40254(JP,A) 特開 昭58−147483(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機械部品の少なくとも摺動部表面に、表
    層に炭化フッ素基を含み、基部がシロキサン結合によっ
    て化学結合した、厚さがナノメーターレベルの化学吸着
    膜が形成されている低摩擦抵抗性機械部品。
  2. 【請求項2】 化学吸着膜が単分子膜である請求項1記
    載の低摩擦抵抗性機械部品。
  3. 【請求項3】 機械部品がマイクロマシーンである請求
    項1または2記載の低摩擦抵抗性機械部品。
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DE69211181T DE69211181T2 (de) 1991-02-27 1992-02-19 Selbstschmierende Vorrichtung
CA 2061728 CA2061728C (en) 1991-02-27 1992-02-24 Self-lubricating device
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