JP2500034B2 - β−アミノ−α−ヒドロキシカルボン酸誘導体 - Google Patents

β−アミノ−α−ヒドロキシカルボン酸誘導体

Info

Publication number
JP2500034B2
JP2500034B2 JP4021385A JP2138592A JP2500034B2 JP 2500034 B2 JP2500034 B2 JP 2500034B2 JP 4021385 A JP4021385 A JP 4021385A JP 2138592 A JP2138592 A JP 2138592A JP 2500034 B2 JP2500034 B2 JP 2500034B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
acid
group
amino
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP4021385A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0578311A (ja
Inventor
裕一郎 矢部
満也 桜井
勧 東田
知明 駒井
隆 西垣
宏 半田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sankyo Co Ltd filed Critical Sankyo Co Ltd
Priority to JP4021385A priority Critical patent/JP2500034B2/ja
Publication of JPH0578311A publication Critical patent/JPH0578311A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2500034B2 publication Critical patent/JP2500034B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pyrrole Compounds (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Thiazole And Isothizaole Compounds (AREA)
  • Other In-Based Heterocyclic Compounds (AREA)
  • Plural Heterocyclic Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れたヒト後天性免疫
不全症症候群発症ウィルス(HIV)由来のプロテアー
ゼ(以下、HIVプロテアーゼと称する。)阻害活性を
有する、新規なβ−アミノ−α−ヒドロキシカルボン酸
誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】HIVプロテアーゼ阻害活性を有する物
質として、ペプスタチンAをはじめとして、既に幾つか
の化合物が知られている(特開平第2-42048 号公報;特
開平第2-117615号公報;特開平第2-145515号公報;特開
平第2-152949号公報;特開平第2-202898号公報;特開平
第2-202899号公報;特開平第2-209854号公報;Proceedi
ngs of the National Academy of the United States o
f America 、85巻、6612頁、1988年;Biochemical and
Biophysical Research Communications、159 巻,420
頁、1988年;Biochemistry、29巻,264 頁、1990年;Pr
oceedings of the National Academy of the United St
ates of America 、86巻、9752頁、1989年;ネイチャ
ー、 343巻、90頁、1990年;サイエンス、246 巻、1149
頁、1989年;サイエンス、247 巻、454 頁、1990年;サ
イエンス、248 巻、358 頁、1990年;サイエンス、249
巻、527 頁、1990年及びJournal ofMedicinal Chemistr
y 、33巻、1285頁、1990年等)。
【0003】一方、HIVのpol遺伝子の領域には、
プロテアーゼ、逆転写酵素、RNase H及びエンドヌク
レアーゼの活性をもつ遺伝情報があり、これらの酵素
は、HIVが増殖するために必要不可欠であり、どの酵
素活性が失われても感染力のあるウィルスを生じること
ができないことが知られている(サイエンス12月号、19
88年)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、これら
の酵素のうち、HIVプロテアーゼに着目し、この酵素
を阻害するβ−アミノ−α−ヒドロキシカルボン酸誘導
体の合成及びその阻害活性について、永年に亘り鋭意研
究を行った結果、新規な構造を有するβ−アミノ−α−
ヒドロキシカルボン酸誘導体が、HIVプロテアーゼに
対し特異的で、かつ、優れた阻害活性を有することを見
出して、本発明を完成した。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の新規なβ−アミ
ノ−α−ヒドロキシカルボン酸誘導体は、一般式
【0006】
【化2】
【0007】(式中、R1 は、キノキサリン−2−カル
ボニル基を示し、R2 は、水素原子を示し、R3 は、カ
ルバモイルメチル基を示し、R4 は、ベンジル基を示
し、R5 は、2−(t−ブチルアミノカルボニル)ピロ
リジノ基を示す。)で表わされる化合物及びその塩であ
り、又、本発明の新規なHIV感染予防若しくは感染治
療剤は、上記化合物を含有し、更に、本発明の新規な抗
AIDS薬は、上記化合物を含有する。
【0008】本発明の化合物(I) は、塩にすることがで
きる場合があり、そのような塩としては、好適には弗化
水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩のよう
なハロゲン化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、
燐酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオ
ロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低
級アルカンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-ト
ルエンスルホン酸塩のようなアリ−ルスルホン酸塩、フ
マ−ル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、蓚酸
塩、マレイン酸塩等の有機酸塩及びグルタミン酸塩、ア
スパラギン酸塩のようなアミノ酸塩を挙げることができ
る。
【0009】本発明の化合物(I) は、分子内に不斉炭素
を有し、各々が R配位、S配位である立体異性体が存
在するが、その各々、或いはそれらの混合物のいずれも
本発明に包含される。
【0010】本発明のβ−アミノ−α−ヒドロキシカル
ボン酸誘導体は、例えば、以下に記載する方法によって
製造することができる。
【0011】A法
【0012】
【化3】
【0013】上記式中、R1 、R2 、R3 、R4 及びR
5 は前記と同意義を示し、R6 はアミノ基の保護基を示
し、通常アミノ基の保護基として使用するものであれば
限定はないが、好適には、前記「脂肪族アシル基」;ベ
ンゾイル、α- ナフトイル、β- ナフトイルのようなア
リ−ルカルボニル基、2-ブロモベンゾイル、4-クロロベ
ンゾイルのようなハロゲン化アリ−ルカルボニル基、2,
4,6-トリメチルベンゾイル、4-トルオイルのような低級
アルキル化アリ−ルカルボニル基、4-アニソイルのよう
な低級アルコキシ化アリ−ルカルボニル基、4-ニトロベ
ンゾイル、2-ニトロベンゾイルのようなニトロ化アリ−
ルカルボニル基、2-( メトキシカルボニル)ベンゾイル
のような低級アルコキシカルボニル化アリ−ルカルボニ
ル基、4-フェニルベンゾイルのようなアリ−ル化アリ−
ルカルボニル基等の芳香族アシル基;メトキシカルボニ
ル、エトキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル、イソ
ブトキシカルボニルのような低級アルコキシカルボニル
基、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、2-トリメチ
ルシリルエトキシカルボニルのようなハロゲン又はトリ
低級アルキルシリル基で置換された低級アルコキシカル
ボニル基等のアルコキシカルボニル基;ビニルオキシカ
ルボニル、アリルオキシカルボニルのようなアルケニル
オキシカルボニル基;ベンジルオキシカルボニル、4-メ
トキシベンジルオキシカルボニル、3,4-ジメトキシベン
ジルオキシカルボニル、2-ニトロベンジルオキシカルボ
ニル、4-ニトロベンジルオキシカルボニルのような、1
乃至2個の低級アルコキシ又はニトロ基でアリ−ル環が
置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基;
トリメチルシリル、トリエチルシリル、イソプロピルジ
メチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、メチルジイソ
プロピルシリル、メチルジ-t- ブチルシリル、トリイソ
プロピルシリルのようなトリ低級アルキルシリル基、ジ
フェニルメチルシリル、ジフェニルブチルシリル、ジフ
ェニルイソプロピルシリル、フェニルジイソプロピルシ
リルのような1 乃至2 個のアリ−ル基で置換されたトリ
低級アルキルシリル基等のシリル基;前記「アラルキル
基」;又はN,N-ジメチルアミノメチレン、ベンジリデ
ン、4-メトキシベンジリデン、4-ニトロベンジリデン、
サリシリデン、5-クロロサリシリデン、ジフェニルメチ
レン、(5- クロロ-2- ヒドロキシフェニル) フェニルメ
チレンのようなシッフ塩基を形成する置換されたメチレ
ン基であり、更に好適には、アルコキシカルボニル基及
びアラルキルオキシカルボニル基であり、最も好適に
は、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル
及び4-メトキシベンジルオキシカルボニルである。
【0014】第1工程は、化合物(II)又はそのカルボン
酸の反応性誘導体と、アミノ化合物(III) を反応させ
て、化合物(IV)を製造する工程である。反応は、通常の
ペプチド合成法に準じて行われ、例えば、アジド法、活
性エステル化法、混合酸無水物法又は縮合法により行わ
れる。
【0015】アジド法は、アミノ酸又はそのエステル体
をヒドラジドと、不活性溶媒中、室温付近で反応させる
ことによって製造されるアミノ酸ヒドラジンを、亜硝酸
化合物と反応させ、アジド化合物に変換した後、アミン
化合物と処理することにより行われる。使用される亜硝
酸化合物としては、例えば、亜硝酸ナトリウムのような
アルカリ金属亜硝酸塩又は亜硝酸イソアミルのような亜
硝酸アルキル化合物を挙げることができる。使用される
不活性溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、
ジメチルアセトアミドのようなアミド類、ジメチルスル
ホキシドのようなスルホキシド類、N-メチルピロリドン
のようなピロリドン類を挙げることができる。本工程の
2つの反応は、通常、1つの反応液中で行われ、反応温
度は、前段が-50 乃至0 ℃であり、後段が-10 乃至10℃
であり、反応時間は、前段が5分乃至1時間であり、後
段が10時間乃至5日間である。
【0016】活性エステル化法は、溶媒中、アミノ酸を
活性エステル化剤と反応させ、活性エステルを製造した
後、アミン化合物と反応させることによって行われる。
使用される溶媒としては、不活性であれば特に限定はな
いが、例えば、メチレンクロリド、クロロホルムのよう
なハロゲン化単価水素類、エーテル、テトラヒドロフラ
ンのようなエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルアセトアミドのようなアミド類を挙げることができ
る。使用される活性エステル化剤としては、例えば、1,
1'- オキザリルジイミダゾ−ル、2,2'- ジピリジルジサ
ルファイド、N,N'- ジサクシンイミジルカ−ボネ−ト、
N,N'- ビス(2- オキソ-3- オキサゾリジニル) ホスフィ
ニッククロライド、N,N'- カルボニルジイミダゾ−ル、
N,N'- ジサクシンイミジルオキザレ−ト(DSO) 、N,N'-
ジフタ−ルイミドオキザレ−ト(DPO) 、N,N'- ビス(ノ
ルボルネニルサクシンイミジル) オキザレ−ト(BNO) 、
1,1'- ビス( ベンゾトリアゾリル) オキザレ−ト(BBT
O)、1,1'- ビス(6- クロロベンゾトリアゾリル) オキザ
レ−ト(BCTO)、1,1'- ビス(6- トリフルオロメチルベン
ゾトリアゾリル) オキザレ−ト(BTBO)を挙げることがで
きる。
【0017】また、N-ヒドロキシサクシイミド、1-ヒド
ロキシベンゾトリアゾール、N-ヒドロキシ-5- ノルボル
ネン-2,3- ジカルボキシイミドのようなN-ヒドロキシ化
合物をジシクロヘキシルカルボジイミドのような縮合剤
の存在下、反応させて、活性エステル化合物を得ること
ができる。
【0018】反応温度は、活性エステル化反応では、-1
0 乃至25℃であり、活性エステル化合物とアミンとの反
応では室温付近であり、反応時間は両反応共に30分乃至
10時間である。
【0019】混合酸無水物法は、アミノ酸の混合酸無水
物を製造した後、アミンと反応させることにより行われ
る。混合酸無水物を製造する反応は、不活性溶媒(例え
ば、エーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル
類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのよ
うなアミド類)中、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸イソ
ブチルのような炭酸低級アルキルハライド又はジエチル
シアノリン酸のようなジ低級アルキルシアノリン酸とア
ミノ酸を反応させることにより達成される。反応は、好
適には、トリエチルアミン、N-メチルモルホリンのよう
な有機アミンの存在下に行われ、反応温度は、-10 乃至
25℃であり、反応時間は、30分間乃至5時間である。混
合酸無水物とアミンの反応は、好適には不活性溶媒(例
えば、エーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル
類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのよ
うなアミド類)中、前記の有機アミンの存在下に行わ
れ、反応温度は0℃乃至室温であり、反応時間は、1時
間乃至24時間である。
【0020】縮合法は、アミノ酸とアミンをジシクロヘ
キシルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾールのよ
うな縮合剤の存在下、直接反応させることによって行わ
れ、前記の活性エステルを製造する反応と同様にして行
われる。
【0021】第2工程は、化合物(IV)のアミノ基の保護
基を溶媒中で除去し、化合物(V) を製造する工程であ
る。
【0022】アミノ基の保護基として、シリル基を使用
した場合には、通常、弗化テトラブチルアンモニウムの
ような弗素アニオンを生成する化合物で処理することに
より除去される。反応溶媒は、反応を阻害しないもので
あれば特に限定はないが、テトラヒドロフラン、ジオキ
サンのようなエ−テル類が好適である。反応温度及び反
応時間は特に限定はないが、通常室温で10乃至18時間反
応させる。
【0023】アミノ基の保護基として、t-ブチルオキシ
カルボニル基のようなアルコキシカルボニル基を使用し
た場合には、不活性溶媒中、酸で処理することにより除
去される。反応溶媒は、反応を阻害しないものであれば
特に限定はないが、ジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミドのようなアミド類;ジエチルエ−テル、ジイ
ソプロピルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチル
エーテルのようなエ−テル類;メタノ−ル、エタノ−
ル、n-プロパノ−ル、イソプロパノ−ル、n-ブタノ−
ル、イソブタノ−ル、t-ブタノ−ル、イソアミルアルコ
−ル、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノー
ル、シクロヘキサノール、メチルセロソルブのようなア
ルコ−ル類が好適である。使用される酸は、酸であれば
特に限定はないが、好適には、塩酸のような無機酸、ト
リフルオロ酢酸のような有機酸、トリフルオロボロン・
エテレートのようなルイス酸である。反応温度及び反応
時間は特に限定はないが、通常、0 乃至30℃で、20分間
乃至1 時間処理することにより行われる。
【0024】アミノ基の保護基が、脂肪族アシル基、芳
香族アシル基又はシッフ塩基を形成する置換されたメチ
レン基である場合には、水性溶媒の存在下に、酸又は塩
基で処理することにより除去することができる。使用さ
れる酸としては、通常酸として使用されるものであれば
特に限定はないが、好適には、塩酸、硫酸、リン酸、臭
化水素酸のような無機酸が用いられ、使用される塩基と
しては、化合物の他の部分に影響を与えないものであれ
ば特に限定はないが、好適には、ナトリウムメトキシド
のような金属アルコキシド類、炭酸ナトリウム、炭酸カ
リウムのようなアルカリ金属炭酸塩、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物又は
アンモニア水、濃アンモニア−メタノ−ルのようなアン
モニア類が用いられる。尚、塩基による加水分解では異
性化が起こることがある。使用される溶媒としては、通
常の加水分解反応に使用されるものであれば特に限定は
なく、水;メタノ−ル、エタノ−ル、n-プロパノ−ルの
ようなアルコ−ル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン
のようなエ−テル類等の有機溶媒又は水と上記有機溶媒
との混合溶媒が好適である。反応温度及び反応時間は、
出発物質及び用いる塩基等により異なり特に限定はない
が、副反応を抑制するために、通常は0 乃至150 ℃で、
1 乃至10時間実施される。
【0025】アミノ基の保護基が、アラルキルオキシカ
ルボニル基である場合には、不活性溶媒中、接触還元触
媒の存在下に還元することにより除去される。使用され
る溶媒としては、通常の還元反応に使用されるものであ
れば特に限定はないが、好適には、ジエチルエ−テル、
ジイソプロピルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチ
ルエーテルのようなエ−テル類;メタノ−ル、エタノ−
ル、n-プロパノ−ル、イソプロパノ−ル、n-ブタノ−
ル、イソブタノ−ル、t-ブタノ−ル、イソアミルアルコ
−ル、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノー
ル、シクロヘキサノール、メチルセロソルブのようなア
ルコ−ル類である。使用される接触還元触媒としては、
例えば、パラジウム炭素、パラジウム黒等を挙げること
ができる。反応温度及び反応時間は、出発物質等により
異なり特に限定はないが、通常、常圧乃至10気圧の水素
と室温付近で1時間乃至8時間反応することにより行わ
れる。
【0026】アミノ基の保護基が、アラルキル基の場合
には、通常、溶媒中、還元剤と接触させることにより除
去され、好適には、触媒下に、常温にて接触還元を行な
い、除去する方法又は酸化剤を用いて除去する方法が好
適である。接触還元による除去において使用される溶媒
としては、本反応に関与しないものであれば特に限定は
ないが、メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ルの
ようなアルコ−ル類、ジエチルエ−テル、テトラヒドロ
フラン、ジオキサンのようなエ−テル類、トルエン、ベ
ンゼン、キシレンのような芳香族炭化水素類、ヘキサ
ン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類、酢酸エ
チル、酢酸プロピルのようなエステル類、ギ酸、酢酸の
ような脂肪酸類又はこれらの有機溶媒と水との混合溶媒
又は脂肪酸類とアルコール類の混合溶媒が好適である。
使用される触媒としては、通常、接触還元反応に使用さ
れるものであれば、特に限定はないが、好適には、パラ
ジウム黒、パラジウム炭素、ラネ−ニッケル、酸化白
金、白金黒、ロジウム−酸化アルミニウム、トリフェニ
ルホスフィン−塩化ロジウム、パラジウム−硫酸バリウ
ムが用いられる。圧力は、特に限定はないが、通常1 乃
至10気圧で行なわれる。反応温度及び反応時間は、出発
物質及び触媒の種類等により異なるが、通常、0 乃至10
0 ℃で、5 分乃至24時間実施される。酸化による除去に
おいて使用される溶媒としては、本反応に関与しないも
のであれば特に限定はないが、好適には、含水有機溶媒
である。このような有機溶媒として好適には、アセトン
のようなケトン類、メチレンクロリド、クロロホルム、
四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類、アセトニト
リルのようなニトリル類、ジエチルエ−テル、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサンのようなエ−テル類、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホ
スホロトリアミドのようなアミド類及びジメチルスルホ
キシドのようなスルホキシド類を挙げることができる。
使用される酸化剤としては、通常、酸化に使用される化
合物であれば特に限定はないが、好適には過硫酸カリウ
ム、過硫酸ナトリウム、アンモニウムセリウムナイトレ
イト(CAN) 、2,3-ジクロロ-5,6- ジシアノ-p- ベンゾキ
ノン(DDQ) が用いられる。反応温度及び反応時間は、出
発物質及び触媒の種類等により異なるが、通常、0 乃至
150 ℃で、10分乃至24時間実施される。
【0027】アミノ基の保護基がアルケニルオキシカル
ボニル基である場合は、通常、アミノ基の保護基が前記
の脂肪族アシル基、芳香族アシル基、アルコキシカルボ
ニル基又はシッフ塩基を形成する置換されたメチレン基
である場合の除去反応の条件と同様にして、塩基と処理
することにより達成される。尚、アリルオキシカルボニ
ルの場合は、特にパラジウム、及びトリフェニルホスフ
ィン若しくはニッケルテトラカルボニルを使用して除去
する方法が簡便で、副反応が少なく実施することができ
る。
【0028】第3工程は、化合物(V) と、化合物(VI)又
はそのカルボン酸の反応性誘導体を、第1工程に準じて
反応させ、本発明の化合物(I) を製造する工程である。
【0029】B法
【0030】
【化4】
【0031】B法は、本発明化合物(I) の別途製法であ
る。上記式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は前記と同意
義を示し、R7 は水素原子又はカルボキシ基の保護基で
あり、例えば、前記「低級アルキル基」;前記「ハロゲ
ノ低級アルキル基」;前記「アラルキル基」に代表され
る反応における保護基を挙げることができ、好適には、
低級アルキル基及びアラルキル基である。
【0032】第4工程は、化合物(VII) と、化合物(VI)
又はそのカルボン酸の反応性誘導体を、第1工程に準じ
て反応させ、化合物(VIII)を製造する工程である。
【0033】第5工程は、化合物(VIII)のカルボキシ基
の保護基を除去し、化合物(IX)を製造する工程である。
保護基の除去はその種類によって異なるが、一般にこの
分野の技術において周知の方法によって以下の様に実施
される。
【0034】カルボキシ基の保護基として、低級アルキ
ル基を使用した場合には、酸又は塩基で処理することに
より除去することができる。酸としては、塩酸、硫酸、
燐酸、臭化水素酸が用いられ、塩基としては、化合物の
他の部分に影響を与えないものであれば特に限定はない
が、好適には炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなア
ルカリ金属炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
のようなアルカリ金属水酸化物又は濃アンモニア−メタ
ノ−ル溶液が用いられる。尚、塩基による加水分解では
異性化が起こることがある。使用される溶媒としては、
通常の加水分解反応に使用されるものであれば特に限定
はなく、水又はメタノ−ル、エタノ−ル、n-プロパノ−
ルのようなアルコ−ル類若しくはテトラヒドロフラン、
ジオキサンのようなエ−テル類のような有機溶媒と水と
の混合溶媒が好適である。反応温度及び反応時間は、出
発物質及び用いる試薬等により異なり特に限定はない
が、副反応を抑制するために、通常は0 ℃乃至150 ℃
で、1 乃至10時間実施される。
【0035】カルボキシ基の保護基がジフェニルメチル
のようなジアリ−ル置換メチル基である場合には、通
常、溶媒中、酸で処理することにより除去される。使用
される反応溶媒としてはアニソ−ルのような芳香族炭化
水素類が好ましく、使用される酸としてはトリフルオロ
酢酸のような弗化有機酸が用いられる。反応温度及び反
応時間は、出発物質等により異なるが、通常は室温で30
分乃至10時間実施される。
【0036】カルボキシ基の保護基がアラルキル基又は
ハロゲノ低級アルキル基である場合には、通常、溶媒
中、還元剤と接触させることにより除去される。使用さ
れる還元剤としては、カルボキシ基の保護基がハロゲノ
低級アルキル基である場合には、亜鉛−酢酸が好適であ
り、アラルキル基である場合には、パラジウム炭素、白
金のような触媒を用い接触還元を行なうか、又は硫化カ
リウム、硫化ナトリウムのようなアルカリ金属硫化物を
用いて実施される。使用される溶媒としては、本反応に
関与しないものであれば特に限定はないが、メタノ−
ル、エタノ−ルのようなアルコ−ル類;テトラヒドロフ
ラン、ジオキサンのようなエ−テル類;酢酸のような脂
肪酸又はこれらの有機溶媒と水との混合溶媒が好適であ
る。反応温度及び反応時間は、出発物質及び用いる還元
剤等により異なるが、通常は0 ℃乃至室温付近で、5 分
乃至12時間実施される。
【0037】第6工程は、化合物(III) と、化合物(IX)
又はそのカルボン酸の反応性誘導体を、第1工程に準じ
て反応させ、本発明の化合物(I) を製造する工程であ
る。
【0038】尚、所望により、化合物(VI)のアミノ基が
保護された化合物である場合には、上記、第3工程及び
第6工程の終了後、アミノ基の保護基を除去して、相当
する保護されていない、本発明の化合物(I) を製造する
ことができる。
【0039】上記各工程の反応終了後、各目的化合物は
常法に従って、反応混合物から採取される。例えば、反
応混合物を適宜中和し、又、不溶物が存在する場合には
濾過により除去した後、水と混和しない有機溶媒を加
え、水洗後、溶剤を留去することによって得られる。得
られた目的化合物は必要ならば、常法、例えば再結晶、
再沈殿又はクロマトグラフィ−等によって更に精製でき
る。
【0040】本発明の原料化合物は、公知であるか、又
は公知の方法に従って容易に製造される。例えば、化合
物(II)及び(VII) は、例えば、ロザリオ・ヘランツ等の
方法(シンセシス、703-706 頁、1989年)及びマンフレ
ッド・T・レーツ等の方法(テトラヘドロン・レター
ズ、29巻、3295-3298 頁、1988年)に従って合成され
る。
【0041】
【発明の効果】
【0042】
【試験例1】HIV pol プロテアーゼ阻害活性の測定 大腸菌に発現させたHIV プロテアーゼと合成した基質を
用い、本発明のペプチド誘導体のHIV プロテアーゼ阻害
活性を、Ki値を指標として次のようにして求めた。
【0043】a)発現ベクターの作成 HTLV IIIB プロウィルスの主要部分を含むBH10クローン
(Flossie Wong-Staal'等、Nature、313 巻、277-284
頁、1985年に記載)より、同ウィルスgag 領域中のClaI
部位及びpol 領域中のEcoRI 部位にはさまれる領域を切
り出し、得られたフラグメントをpBR 322 の同部位中に
クローンした。次いで、この挿入部位の5'側上流に存在
するBamHI 及びClaI部位の間に、翻訳開始コドン(ATG)
を含む合成フラグメント
【0044】
【表1】
【0045】の塩基配列よりなるフラグメントを挿入
し、更に同BamHI 部位にT7 Promoter 領域[(Bgl II 〜
BamHI フラグメント)Barbara A. Moffatt等、J.Mol.Bi
ol. 、189 巻、113-130 頁、1986年に記載]を挿入し
た。得られたプラスミド中のBgl II部位(pol 領域最上
流域)を切断後、クレノウ(klenow)フラグメントにて
修復合成を行ない、次いで、T4 DNAリガーゼにて、再結
合させ、HIV gag 領域及びpol 領域の一部分を含む発現
ベクターpT7HIV.GP(-) を構築した。 b)大腸菌での発現 T7ポリメラーゼ遺伝子を含む大腸菌BL-21 [(DE-3) Bar
bara A. Moffatt 等、J.Mol.Biol. 、189 巻、113-130
頁、1986年に記載]に、pT7HIV.GP(-)を導入し、得られ
たトランスフォーマントを、200 μg/mlのアンピシリン
を含むM9CA-10%LB培地中で、600nm での吸光度が2に達
するまで、37℃にて培養した。0.4mM のイソプロピルチ
オ−β−D−ガラクトシドを加え、更に、3時間培養を
継続した。得られた菌体を集め、これをペレットとして
-80 ℃にて保存した。尚、本発現ベクタ−より合成され
るポリプロテインは、菌体中において、自己消化により
分解され、HIV プロテアーゼ自体が生成する。
【0046】c)精製 2リットルの培養液より得られた菌体を60 ml のバッフ
ァーA(50mMトリス塩酸(pH 7.5)、1mM ジチオスレイト
ール、0.7%リゾチーム、10μg /ml アプロチニン、5 mM
エチレンジアミン四酢酸、10μg/mlベンズアミド、1mM
弗化フェニルメチルスルホン酸、10% グリセリン)に懸
濁し、0℃にて10分間放置した後、Triton X-100(0.1%
) を加え、更に0℃で10分間放置した。凍結融解を4
回行ない、DNase I(0.1mg)、10mM塩化マグネシウムを加
え、懸濁液中のDNA を分解した。本懸濁液を遠心分離し
て得た上清を、DEAE Sephadex A25 カラム(5cm 内径×
20cm)に付し、分画を行った。尚、同カラムは、バッフ
ァーB[50mMHEPES(pH 7.8)、1mM ジチオスレイトー
ル、10μg /ml アプロチニン、5mM エチレンジアミン四
酢酸、10μg/mlベンズアミド、1mM 弗化フェニルメチル
スルホン酸、10% グリセリン]にて平衡化して用いた。
活性の認められた素通り画分を集め、硫安沈殿(60%) を
行ない、得られた沈殿を、2 mlのバッファーC(50mMト
リス塩酸(pH 7.5)、1mM ジチオスレイトール、1mM エチ
レンジアミン四酢酸、200mM 塩化ナトリウム)に溶解
し、TSK. G2000SWゲルろ過カラム(7.5mm内径×60cm、東
ソー株式会社)に付し、バッファーCを用い、0.5ml/分
の流速にて分画した。得られた活性画分を、分画分子量
1万ダルトンの限外濾過膜を用いて、2倍に濃縮し、酵
素液として-80 ℃にて保存した。
【0047】d)活性測定 1mM 又は1.5mM の基質(Ac-Ser-Gln-Asn-Tyr-Pro-Ile-Va
l-NH2)、各種濃度の被検化合物溶液1 μl(20% のジメチ
ルスルホキシド水溶液に溶解したもの)、上記酵素液2
μl 及び反応バッファー(50mM トリス塩酸(pH 6.0)、0.
25M 塩化ナトリウム、0.1mM エチレンジアミン四酢酸、
0.1mM Triton X-100) 共存下、総量 10μl にて、37℃
で30分間インキュベートした。0.1%のトリフルオロ酢酸
と10% のアセトニトリルを含む水溶液250 μl を加え
て、反応を停止させた後、この溶液をSep-pak light
(ウォ−ターズ)に付し素通り画分を得た。これを、HP
LC(ODS-120T カラム、4.6mm 内径×25cm、東ソー株式会
社、溶媒:9%アセトニトリル-0.05%トリフルオロ酢酸水
溶液)を用いて、分解生成物(Ac-Ser-Gln-Asn-Tyr)を定
量した。なお、Ki値は、常法のミカエリス−メンテン法
に従って算出した。
【0048】
【表2】 ────────────────────── 実施例の化合物 Ki (nM) ────────────────────── 1 11 Ro31−8959 58 ──────────────────────
【0049】
【化5】
【0050】Ro31−8959は上記式で表される公
知化合物である。
【0051】
【試験例2】HIV持続感染Molt4 細胞(Molt4 /HTLV
IIIB)におけるHIVgag polyproteinのプロセシング阻害 (方法) HIV(HTLVIIIB)持続感染Molt4 細胞(Molt4 /HTLV
IIIB)をRPMI-6140 培地(10%非働化牛胎児血清を含
む)を用いて2回洗浄後、同培地に2×105cells/ml
の濃度になるようにうえこみ、さらに種々の濃度の化合
物を添加して37度。5%炭酸ガス下にこれを培養し
た。48時間後にこの培養上清を遠心分離によって得、
ポリエチレングリコール6000を10%になるように加
え、0度にて6時間放置した後、10000xg 30分遠心分
離しウイルスを沈殿として得た。
【0052】このウイルス画分を常法に従いSDS-PAGEに
アプライし、さらに抗HIVp17抗体(DuPontモノクロ−ナ
ル抗体)を用いてウエスタンブロット法によりgag poly
protein p55 の切断によるp17 蛋白の生成を検出した。
そしてこのウエスタンブロット上において、p17 生成が
認められなくなる化合物添加濃度を求め、これをIC100
とした。
【0053】(結果)
【0054】
【表3】 HIV 持続感染Molt4 細胞( Molt4 / HTLVIIIB) における gag polyprotein 切断阻害濃度(IC100 ) ───────────────────────── 実施例1(Ki、11nM ) 0.6 μg/ml Ro31-8959 ( 58nM ) 20 μg/ml ─────────────────────────
【0055】
【試験例3】HIV持続感染Molt4 細胞(Molt4 /HTLV
IIIB)からのウイルス放出の抑制 (方法) 試験例2において得られた Molt4/HTLVIIIB細胞の48
時間培養上清中に含まれるHIV抗原量をEIA法(H
IV抗原.EIキット,アボット)より測定し、化合物の
添加によりその放出が50%抑制される濃度をIC50とし
た。
【0056】(結果)
【0057】
【表4】 HTLVIIIB持続感染Molt4 細胞からの HIV放出抑制濃度(IC50) ─────────────── 実施例1 0.56μg/ml Ro31-8959 >20 μg/ml ───────────────
【0058】
【試験例4】ヒト非感染CEM 細胞にHIV(HTLVIIIB)
を感染させた後の、HIVの二次感染の抑制 (方法) CEM 細胞をRPMI-1640 培地(10%非働化牛胎児血清を
含む)に2×104 cells /mlの濃度にてうえこみこれ
に等量のHIV含有培地を加え、さらに化合物を加え
て、37度、5%炭酸ガス下にて培養し、一週間後に培
養上清中のHIV抗原量を試験例4と同様に定量した。
【0059】なお、HIV含有培地として、Molt4 /HT
LVIIIB細胞の48時間培養上清をRPMI-1640 培地にて階
段希釈したものを用いた。
【0060】(結果)
【0061】
【表5】
【0062】上記グラフ中、□は実施例1の化合物を加
えた場合のウィルスの放出量を示し、○は無添加の場合
のウィルスの放出量を示す。
【0063】この条件下において、実施例1の化合物は
1μM(0.6 μg/ml)の濃度でヒトCEM細胞におけ
るHIVの二次感染をほぼ完全に抑制した。
【0064】以上のように、本発明の新規なペプチド誘
導体は、ヒト後天性免疫不全症症候群発症ウィルス(HI
V) 由来のプロテアーゼに対して優れた阻害活性を有
し、且つ、毒性もないので、エイズの治療剤として有用
である。本発明の化合物(I) の投与形態としては、例え
ば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤若しくはシロップ
剤等による経口投与又は注射剤若しくは坐剤等による非
経口投与を挙げることができる。これらの製剤は、賦形
剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤等の
添加剤を用いて周知の方法で製造される。その使用量は
症状、年齢等により異なるが、経口投与の場合には、1
日0.1-100 mg/kg 体重を通常成人に対して、1日1回又
は数回に分けて投与することができる。
【0065】以下に、実施例を挙げて、本発明を具体的
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0066】
【実施例1】(2S,3S)-3-[N-(キノキサリン-2- カルボニ
ル)-L- アスパラギニル]アミノ-2-ヒドロキシ-4- フ
ェニルブチリル-L- プロリン tert- ブチルアミド 参考例5の化合物64 mg(0.11ミリモル)と2-キノキサリ
ンカルボン酸21 mg(0.11ミリモル)を用いて、参考例6
と同様にして、目的化合物56 mg を無色粉末として得
た。 融点:129 〜131 ℃ 元素分析値 C32H39N7O6・H2O (分子量635.7 )とし
て、 理論値:C,60.46; H,6.50; N,15.42 実測値:C,60.70; H,6.26; N,15.43
【0067】
【参考例1】(3S,6S,1’S)−3−[1’−
(N−ベンジルオキシカルボニル−L−アスパラギニ
ル)アミノ−2’−フェニルエチル]−1−アザ−4−
オキサビシクロ[4.3.0]ノナン−2,5−ジオン 参考例3で得られた(2S,3S)−3−(ベンジルオ
キシカルボニル−L−アスパラギニル)アミノ−2−ヒ
ドロキシ−4−フェニルブチリル−L−プロリン tert
−ブチルエステル380mg(0.64ミリモル)に、氷冷下
アニソール0.21ml(1.91ミリモル)及びトリフルオロ酢
酸5mlを加え、室温で4.5 時間撹拌した。溶媒を減圧留
去後、残渣にエーテルを加えると、目的化合物300mg
が無色粉末として得られた。
【0068】融点:260〜262℃ 元素分析値 C27H30N4O7・1/4H2O(分子量527.0 ) 理論値;C,61.53; H,5.83; N,10.63 実測値;C,61.37; H,5.78; N,10.51
【0069】
【参考例2】(2S,3S)−3−(N−ベンジルオキ
シカルボニル−L−アスパラギニル)アミノ−2−ヒド
ロキシ−4−フェニルブタン酸 (2S,3S)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フ
ェニルブタン酸塩酸塩900mg(3.9 ミリモル)をDM
F15mlに溶かし、氷冷下この溶液にベンジルオキシカ
ルボニル−L−アスパラギン p−ニトロフェニルエス
テル2.26g(5.8ミリモル)及びトリエチルアミン1.89m
l(13.6ミリモル)を加え、4℃にて2日間撹拌した。
溶媒を減圧留去後、残渣に1N塩酸を加え結晶とし、得
られた結晶を水、酢酸エチルで順次洗浄し、目的化合物
1.52gを無色結晶として得た。 融点:225〜227℃ 元素分析値 C22H25N3O7・H2O (分子量461.5 ) 理論値;C,57.26; H,5.90; N,9.11 実測値;C,57.33; H,5.61; N,9.18
【0070】
【参考例3】(2S,3S)-3-(N- ベンジルオキシカルボニル
-L- アスパラギニル)アミノ-2- ヒドロキシ-4- フェニ
ルブチリル-L- プロリン tert- ブチルエステル (a)(2S,3S)-3- ベンジルオキシカルボニルアミノ-2- ヒ
ドロキシ-4- フェニルブチリル-L- プロリン tert- ブ
チルエステル (2S,3S)-3-ベンジルオキシカルボニルアミノ-2- ヒドロ
キシ-4- フェニルブタン酸[ヘランツ等の方法に準じて
合成した。(R.Herranz, J.Castro-Pichel,T.Garcia-Lo
pez, Synthesis, 1989 年, 703-706 頁)]183 mg(0.56
ミリモル)とプロリン tert- ブチルエステル105 mg
(0.61 ミリモル) をN,N-ジメチルホルムアミド( 以下DM
F と略す。)5 ml に溶かして氷冷した。シアノリン酸ジ
エチル( 以下DEPCと略す。)107 mg(0.61ミリモル) を加
え、次いで、トリエチルアミン62 mg(0.61ミリモル)を
滴下し、3時間撹拌した。反応混合物を減圧下に濃縮
し、残渣に1規定硫酸を加え、析出した油状物を酢酸エ
チルで抽出した。有機層を水、5%炭酸水素ナトリウム水
溶液及び飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで
乾燥した。溶媒を減圧下に留去すると目的化合物260 mg
が無色シロップ状物として得られた。
【0071】マススペクトル:483(M+)(b)(2S,3S)-3-(N-ベンジルオキシカルボニル-L- アスパ
ラギニル) アミノ-2- ヒドロキシ-4- フェニルブチリル
-L- プロリン tert- ブチルエステル (a) で得た化合物の全量(0.54 ミリモル) をエタノール
20 ml に溶かし、1規定塩酸0.6 ml及び10% パラジウム
炭素60 mg を加えた後、水素を導入した。5時間後、触
媒を濾去し、濾液を減圧下で濃縮乾固した。得られた(2
S,3S)-3-アミノ-2- ヒドロキシ-4- フェニルブチリル-L
- プロリン tert- ブチルエステル塩酸塩とN-ベンジル
オキシカルボニル-L- アスパラギン p-ニトロフェニル
エステル( 以下、Z-Asn-ONp と略す。)217 mg(0.56ミリ
モル) をDMF 5 mlに溶かし、氷冷下、トリエチルアミン
63 mg(0.62ミリモル) を加えた後、室温で5時間撹拌
し、更に一夜放置した。反応液を減圧下に濃縮し、残渣
に1規定硫酸を加え、析出してきた油状物を酢酸エチル
で抽出した。有機層を10% 炭酸ナトリウム水溶液及び飽
和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
溶媒を減圧下に留去し、残渣にエチルエーテルを加える
と、目的化合物215 mgが無色粉末状晶として得られた。
【0072】融点:109 〜112 ℃ 元素分析値 C31H40N4O8・1/2H2O(分子量605.7 )とし
て、 理論値:C,61.47; H,6.82; N,9.25 実測値:C,61.25; H,6.62; N,9.32
【0073】
【参考例4】(2S,3S)-3-[N-(キノリン-2- カルボニル)-
L-アスパラギニル] アミノ-2- ヒドロキシ-4- フェニル
ブチリル-L- プロリン tert- ブチルエステル 参考例3の化合物215 mg(0.35 ミリモル) をエタノール
10 ml に溶かし、1規定塩酸0.4 mlと、10% パラジウム
炭素50 mg を加えた後、水素を導入してベンジルオキシ
カルボニル基を除去した。触媒を濾去し、濾液を減圧下
に濃縮乾燥し、(2S,3S)-3-(L- アスパラギニル)アミノ
-2- ヒドロキシ-4- フェニルブチリル-L- プロリン te
rt- ブチルエステル塩酸塩179 mgを固状残渣として得
た。このうち90 mg(0.18ミリモル) を用い、キナルジン
酸33 mg(0.19ミリモル) と共に、DMF 3 mlに溶かした。
氷冷下、DEPC 35 mg(0.2ミリモル) とトリエチルアミン
38mg(0.38ミリモル) を加え、3時間撹拌した。反応液
を減圧濃縮し、残渣に10%炭酸ナトリウム水溶液を加
え、析出してした黄色沈殿を酢酸エチルで抽出した。有
機層を水及び飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで
乾燥後、溶媒を減圧留去した。黄色残渣を分取薄層クロ
マトグラフィー(展開溶媒;塩化メチレン:メタノール
=10:1)で精製し、目的化合物98 mg を無色粉末として得
た。 融点:109 〜112 ℃ 元素分析値 C33H39N5O7・H2O (分子量635.72)とし
て、 理論値:C,62.35; H,6.50; N,11.02 実測値:C,62.29; H,6.50; N,10.60 マススペクトル:617 (M+)
【0074】
【参考例5】(2S,3S)-3-(N-tert-ブトキシカルボニル-L
- アスパラギニル)アミノ-2- ヒドロキシ-4- フェニル
ブチリル-L- プロリン tert- ブチルアミド (a)(2S,3S)-3- ベンジルオキシカルボニルアミノ-2- ヒ
ドロキシ-4- フェニルブチリル-L- プロリン tert- ブ
チルアミド (2S,3S)-3-ベンジルオキシカルボニルアミノ-2- ヒドロ
キシ-4- フェニルブタン酸329 mg(1ミリモル)とプロ
リン tert- ブチルアミド塩酸塩204 mg(1ミリモル)
を用いて、参考例3(a) と同様にして、目的化合物410
mgが無色シロップ状物として得られた。 マススペクトル:479(M+)(b)(2S,3S)-3-(N-tert- ブトキシカルボニル-L- アスパ
ラギニル)アミノ-2- ヒドロキシ-4- フェニルブチリル
-L- プロリン tert- ブチルアミド (a) で得た化合物の全量(0.86 ミリモル)を、参考例3
(b) と同様にして、ベンジルオキシカルボニル基を除去
して得た、(2S,3S)-3-アミノ-2- ヒドロキシ-4- フェニ
ルブチリル-L- プロリン tert- ブチルアミド塩酸塩と
Z-Asn-ONp 0.36g(1.03 ミリモル)を、参考例3(b) と
同様にして、目的化合物0.14 gを無色粉末として得た。 融点:108 〜110 ℃ 元素分析値 C28H43N5O7 ・1/2H2O(分子量570.7 )とし
て、 理論値:C,58.93; H,7.77; N,12.27 実測値:C,58.74; H,7.84; N,11.90
【0075】
【参考例6】(2S,3S)-3-[N-(キノリン-2- カルボニル)
-L- アスパラギニル]アミノ-2- ヒドロキシ-4- フェニ
ルブチリル-L- プロリン tert- ブチルアミド 参考例5の化合物64 mg(0.11ミリモル)を4規定塩酸/
ジオキサン2 mlで処理し、tert- ブトキシカルボニル基
を除去して、(2S,3S)-3-(L- アスパラギニル)アミノ-2
- ヒドロキシ-4- フェニルブチリル-L- プロリン tert
- ブチルアミド塩酸塩を得た。この全量とキナルジン酸
21 mg(0.12ミリモル)を参考例4と同様にして、目的化
合物46 mg を無色粉末として得た。 融点:133 〜135 ℃ 元素分析値 C33H40N6O6・H2O (分子量634.7 )とし
て、 理論値:C,62.44; H,6.67; N,13.24 実測値:C,62.16; H,6.49; N,13.15
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 駒井 知明 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共 株式会社内 (72)発明者 西垣 隆 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共 株式会社内 (72)発明者 半田 宏 東京都世田谷区桜上水1丁目17番16号 (56)参考文献 特開 平5−170722(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 【化1】 (式中、 R1 は、キノキサリン−2−カルボニル基を示し、 R2 は、水素原子を示し、 R3 は、カルバモイルメチル基を示し、 R4 は、ベンジル基を示し、 R5 は、2−(t−ブチルアミノカルボニル)ピロリジ
    ノ基を示す。)で表わされる化合物及びその塩。
  2. 【請求項2】請求項1記載の化合物を含有するHIV感
    染予防若しくは感染治療剤。
  3. 【請求項3】請求項1記載の化合物を含有する抗AID
    S薬。
JP4021385A 1991-02-08 1992-02-06 β−アミノ−α−ヒドロキシカルボン酸誘導体 Expired - Fee Related JP2500034B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4021385A JP2500034B2 (ja) 1991-02-08 1992-02-06 β−アミノ−α−ヒドロキシカルボン酸誘導体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3-17341 1991-02-08
JP1734191 1991-02-08
JP4021385A JP2500034B2 (ja) 1991-02-08 1992-02-06 β−アミノ−α−ヒドロキシカルボン酸誘導体

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22212195A Division JPH0848627A (ja) 1995-08-30 1995-08-30 β−アミノ−α−ヒドロキシカルボン酸誘導体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0578311A JPH0578311A (ja) 1993-03-30
JP2500034B2 true JP2500034B2 (ja) 1996-05-29

Family

ID=26353841

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4021385A Expired - Fee Related JP2500034B2 (ja) 1991-02-08 1992-02-06 β−アミノ−α−ヒドロキシカルボン酸誘導体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2500034B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU4188096A (en) * 1994-12-14 1996-07-03 Sankyo Company Limited Ahpba-containing tripeptide derivative
AU4953796A (en) * 1995-03-15 1996-10-02 Sanyko Company, Limited Dipeptide compounds having ahpba structure

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2056911C (en) * 1990-12-11 1998-09-22 Yuuichi Nagano Hiv protease inhibitors

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0578311A (ja) 1993-03-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2120447C1 (ru) ПРОИЗВОДНЫЕ β АМИНО α ГИДРОКСИКАРБОНОВЫХ КИСЛОТ ИЛИ ИХ ФАРМАЦЕВТИЧЕСКИ ПРИЕМЛЕМЫХ СОЛЕЙ ИЛИ ЭФИРОВ, ФАРМАЦЕВТИЧЕСКАЯ КОМПОЗИЦИЯ
RU2106357C1 (ru) Пептидное соединение и способ его получения
CA2568104C (en) Intermediates useful in production of antivirally active heterocyclic azahexane derivatives
KR910001721B1 (ko) 레닌-억제 디펩타이드의 제조방법
JP2003534239A (ja) 新規なスクシナート化合物、組成物、並びに使用及び調製方法
KR100255099B1 (ko) 약리학적으로 활성인 히드라진 유도체, 이를 포함하는 약제학적 조성물 및 이의 제조방법
WO1990012005A1 (en) New amino acid derivatives having prolylendopeptidase inhibitor activity
EP0130679A2 (en) Alpha amino fluoro ketones
WO1992017176A1 (en) Retroviral protease inhibiting compounds
US5932550A (en) Dipeptide compound or pharmaceutically acceptable salt thereof and medical use thereof
AU626361B2 (en) Retroviral protease inhibitors
US11518759B1 (en) Protacs based on VHL ligand targeting coronavirus 3CL protease and preparation method and application thereof
WO1996028423A1 (fr) Composes dipeptidiques de structure ahpba
JP2500034B2 (ja) β−アミノ−α−ヒドロキシカルボン酸誘導体
DK164855B (da) Spergualin-beslaegtede forbindelser med en phenylengruppe, fremgangsmaade til fremstilling deraf samt en farmaceutisk sammensaetning
JPH0649093A (ja) モルホリン−およびチオモルホリン−4−イルアミド
JPH0848627A (ja) β−アミノ−α−ヒドロキシカルボン酸誘導体
SK3242000A3 (en) Pyrrolopyrrolone derivatives as inhibitors of neutrophil elastase
EP0842180B1 (en) Penam sulfones as beta-lactamase inhibitors
WO1991004977A1 (en) Novel 2-spirocyclopropyl cephalosporin sulfone derivatives and processes for the preparation thereof
KR100980145B1 (ko) 펩티드 데포르밀라제 억제제
US6262080B1 (en) 3-(thio-substitutedamido)-lactams useful as inhibitors of matrix metalloproteinase
JPH11286478A (ja) Ahpba誘導体を含むジペプチド化合物
EP0372818A2 (en) Imidazole-containing peptide and preparation thereof
DE3902615A1 (de) Aminomethyl-peptide, verfahren zur herstellung und ihre verwendung in arzneimitteln

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees