JP2024525870A - 抗pla2r自己抗体媒介膜性腎症の治療 - Google Patents

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Abstract

本開示は、抗PLA2R陽性膜性腎症の治療に関する。抗CD38抗体であるMOR202は、特定の投与計画で患者に投与すると有効である。
【選択図】なし

Description

本開示は、CD38タンパク質に結合する抗体を用いて、抗PLA2R自己抗体媒介膜性腎症を治療する方法に関する。特に、それは、抗PLA2R自己抗体媒介障害を有する患者の治療に安全かつ有効である、抗CD38抗体、例えば、フェルザルタマブ(MOR202)の改善された投与計画に関する。
自己免疫性腎臓疾患である抗PLA2R自己抗体媒介膜性腎症(aMN)は、原発性膜性腎症(MN)であり、世界中の成人におけるネフローゼ症候群の主な原因である(Ronco P,Debiec H Lancet.2015 May 16;385(9981):1983-92)。米国では、MNの発生率は100,000人あたり約1.2人である。毎年約3,000人の成人が新規診断を受けている。通常、50~60歳の人々が罹患する(Couser WG.Clinical Journal of the American Society of Nephrology.2017;12(6):983-97)。MN患者の40~50%は、診断から10~15年以内に末期腎臓病(ESKD)に進行する(Passerini P,et al.Front Immunol 2019;10(JUN):1-9;Lai WL,et al.J Formos Med Assoc 2015;114(2):102-11)。ESKDがない場合でも、長期ネフローゼ症候群の患者は、重篤で生命を脅かす血栓塞栓症や心血管疾患のリスクにさらされている。MN症例の約80%は自己抗体によって媒介される原発性疾患であり、20%は他の疾患に起因する続発性疾患である。原発性MN症例の約75%は、足細胞上のPLA2Rを標的とするホスホリパーゼA2受容体(PLA2R)に対する自己抗体が原因で発生する(Bomback AS,et al.Am J Nephrol 2018;47(suppl 1):30-42)。これらの自己抗体の結合は補体の活性化と炎症を誘発し、糸球体膜を厚くして腎機能を悪くする(Zhang P,et al.J Immunol Res 2021;1-12)。ネフローゼ症候群は主に、重度のタンパク尿(1日あたり3.5gを超えるタンパク質の損失)、低血清アルブミン、及び顕著な浮腫の存在を指す。患者の30~40%は自然寛解を経験する可能性があるが、患者の30%は腎機能が長期間維持されたまま持続性タンパク尿を経験し、更に30%~50%は10~15年以内に腎不全に進行する(Trujillo H et al.Portuguese Journal of Nephrology & Hypertension.2019;33(1):19-27)。ネフローゼ症候群の患者は腎不全に進行しなくても、生命を脅かす血栓塞栓症や心血管事象のリスクが高く、感染症にかかりやすくなる。
M型ホスホリパーゼA2受容体(PLA2R)は足細胞に発現する膜貫通タンパク質であり、MNの主要な自己抗原として定義される(Beck LH Jr et al.N Engl J Med.2009 Jul 2;361(1):11-21)。PLA2R抗原に結合する自己抗体は、原発性MNに対して非常に特異的である。最近の調査により、MN患者の約75%に疾患活動性とかなり相関する抗PLA2R自己抗体が存在することが明らかになった(Bomback AS,Clin J Am Soc Nephrol.2018 May 7;13(5):784-786)。疾患を定義する糸球体基底の変化には、PLA2Rタンパク質と抗体沈着の両方が含まれるという事実は、抗PLA2R抗体がMNの主要な原因役割を果たすという証拠を提供する。抗PLA2R抗体が陰性である患者の更に5%は、別の足細胞抗原であるトロンボスポンジン1型ドメイン含有7A(THSD7A)に対する抗体を持っている(Tomas NM et al.N Engl J Med 2014;371:2277-2287)。MNの症状は、脚及び足首の腫れ、タンパク尿、浮腫、低アルブミン血症、血清脂質の上昇、特に高コレステロールを含むが、これらに限定されない。従って、aMNは、抗PLA2R自己抗体及び/または抗THSD7A自己抗体の存在を特徴とする免疫介在性糸球体疾患である。
抗PLA2R抗体の主な供給源は、CD38+/CD20-形質細胞と形質芽細胞である(Halliley JL,et al.Immunity 2015;43(1):132-45)。より高い抗PLA2R自己抗体力価は、より重篤な疾患、疾患寛解までのより長い期間、及び抗CD20リツキシマブ治療に対する応答の低下と関連する(Pozdzik A,et al.Biomed Res Int 2018;6281054;Bech AP,et al.Clin J Am Soc Nephrol 2014;9(8):1386-925)。従って、抗PLA2R抗体レベルを低下させる、及び/または抗PLA2R抗体レベルの上昇を防ぐことが有効な治療選択肢であることが証明される可能性がある。しかし、これまでのところ、MNに対する承認された標準治療はない。腎臓病改善全体的転帰(KDIGO)ガイドラインでは、患者をリスク別に層別化し、治療コースを決定するために、抗PLA2R抗体力価やタンパク尿などの基準を使用することを推奨している(kdigo.org/wp-content/uploads/2017/02/KDIGO-GN-GLPublic-Review-Draft_1-June-2020.pdfAccessed September 2021)。現在の治療計画は主に、様々な非免疫抑制薬(ACE阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬、スタチン、利尿薬など)、従来の免疫抑制療法(IST)(例えば、シクロホスファミドとステロイド、カルシニューリン阻害薬(CNI)、ミコフェノール酸モフェチルの組み合わせ)、及び標的免疫抑制薬(例えば、リツキシマブなどの抗CD20抗体)適応外使用で構成される(KDIGO 2020;Ronco P,et al.Journal of Clinical Medicine.2021;10(4):607)。
しかし、これらの治療法は全ての患者に効果があるわけではなく、特に従来のISTは毒性の高いリスクと関連する(Couser WG.Clin J Am Soc Nephrol 2017;12(6):983-97)。ほとんどの免疫抑制剤の欠点は、かなりの程度の毒性を示し、重大な副作用と高い再発率を伴うことである。有害事象は、感染症、不妊症、血液毒性、及び晩年の悪性腫瘍を含む。例えば、CNIの欠点は、長期にわたる腎毒性、薬剤レベルを注意深く監視する必要性、高血圧や糖尿病のリスク増加などを含む。
MNでは、疾患の臨床経過と抗PLA2R自己抗体力価との相関関係が報告される。抗PLA2R自己抗体力価が高い患者は、より重症であり、疾患寛解までの時間が長くなる(Pozdzik A,et al.BioMed Research International.2018:1-19)。治療中の高力価及び抗PLA2R抗体力価の持続または再発陽性は、転帰の陰性予測因子として浮上する(Bomback AS,et al.American Journal of Nephrology.2018;47(1):30-42)。対照的に、抗PLA2R自己抗体レベルの低下は、タンパク尿の将来の寛解の可能性を予測する(Ruggenenti P,et al.Journal of the American Society of Nephrology.2015;26(10):2545-58)。
抗PLA2R抗体が疾患活動性と相関することを示す多くの証拠により、以前に確立された治療アルゴリズムが変化しつつある。
高い自己抗体力価を示す患者は、原因となる抗PLA2R自己抗体を産生する形質細胞の前駆体として関与するB細胞集団を枯渇させることにより、より特異的なISTを可能にする抗CD20治療抗体(例えば、リツキシマブ)による適応外療法を受ける。リツキシマブの応答率はアルキル化剤やCNIと同様のようであるが、副作用はISTで使用される他の薬剤よりも少ないようである。しかし、リツキシマブの標的であるCD20は、成熟した長命の抗体を分泌する形質細胞(内因性免疫グロブリンの主な供給源である)には存在しない。成熟B細胞でのCD20発現と比較して、初期形質芽細胞ではわずかなCD20発現しか残らない。これは、抗PLA2R抗体力価が高いMN患者におけるリツキシマブ療法の有効性が最適以下であることの説明となる可能性がある。その結果、最大40%の患者が抗CD20療法に応答しなかった(Bomback,2018,Couser 2017)。
この点において、形質細胞だけでなく形質芽細胞も直接標的にすると、一般に免疫グロブリンがより顕著に減少し、従って、自己抗体も減少するはずである。aMN内の抗PLA2R抗体のかなりの部分は、分化中のB細胞の継続的な補充に依存しない、CD20陰性だがCD38陽性の免疫表現型を持つ長命形質細胞プールによって産生される可能性がある。従って、形質細胞を直接標的とする戦略は、病原性自己抗体の抑制により大きな効果をもたらす可能性がある。特に、これは、B細胞枯渇にも関わらず高レベルの自己抗体力価を維持するリツキシマブ(抗CD20)療法に対する応答が不十分な患者など、高レベルの自己抗体力価を有する患者にとって重要である。
現在のaMNの治療は有害事象や強い副作用を伴うことが多いため、aMNの治療には新たな治療選択肢と用量投与が必要とされている。
フェルザルタマブは、カルシニューリン阻害薬(CNI)、アルキル化細胞毒性薬(シクロホスファミド)、抗CD20抗体などの現在の(適応外)治療選択肢と比較して、aMN患者にとって重要な治療選択肢として浮上する可能性がある新しい作用機序を提供する。フェルザルタマブは、形質芽細胞及び形質細胞を枯渇させる治験中の完全ヒトIgG1モノクローナル抗CD38抗体である。フェルザルタマブは、細胞表面抗原CD38に特異的に結合する。フェルザルタマブがCD38陽性形質細胞に結合すると、i)形質細胞がナチュラルキラー(NK)細胞によって溶解される抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、及びii)マクロファージが形質細胞を一掃する抗体依存性細胞媒介性食作用(ADCP)の2つの作用機序によってそのような細胞の枯渇を促進する(Endell J,et al.Blood.2012;120(21):4018-4018;Raab MS,et al.The Lancet Haematology.2020;7(5):e381-e394)(図10)。その作用機序には、注入関連反応(IRR)と関連する補体依存性の細胞毒性は関与しない。
ほとんどの治療用抗体は、固定用量または体の大きさに合わせた用量で投与される。体の大きさに基づいた用量計画では、患者間のmAb曝露を均等にするために、mAbは体重または体表面積に基づいて投与される。
フェルザルタマブMOR202C101(NCT01421186)のヒト初臨床試験の結果、多発性骨髄腫患者における推奨用量は16mg/kgと定義された(Raab MS,et al.The Lancet Haematology.2020;7(5):e381-e394)。この臨床試験の薬物動態学的及び薬力学的結果に基づいて、モデリング及びシミュレーションのアプローチを使用して、aMN患者の治療に適した用量及び投与計画を特定した。適用されたモデルは、i)以前に発表された薬物分布概念(Niederalt C,et al.J Pharmacokinet Pharmacodyn 2018;45(2):235-57;Cao Y,et al.J Pharmacokinet Pharmacodyn 2014;41(4):375-87)、ii)主な標的細胞としてのCD38高発現形質細胞が主に薬物分布が限られた狭い区画(例えば、骨髄)に位置することへの考慮を実装する最小限の生理学的PKモデル(mPBPKモデル)であった。CD38代謝回転について特定の時間範囲を仮定することにより、確立されたmPBPKは目標占有率を予測することができ、これを効果的な細胞死滅、ひいては臨床効果を予測するインビトロの結果と比較することができた。
驚くべきことに、16mg/kgと同様の用量レベルで規定の体重範囲に相当する固定用量のハイブリッド投与計画は、最良の目標占有率を予測した(実施例2)。この発見は予想外であった。MM患者と比較して、aMN患者には腫瘍細胞が存在せず、従って、aMN患者に存在するCD38pos細胞の量は有意に少ない。それにも関わらず、狭い区画(骨髄など)への薬物分布が限られるため、用量レベルは同様のままである。予測された薬物レベルは、定義された体重範囲に相当する固定用量レベルを使用することによって最もよく達成された。
更に、最初の4週間(毎週または2週間ごとの投与)でのより高い薬物曝露により、治療開始時の標的細胞の数が効果的に減少すると期待されるため、適用される治療間隔はaMNの治療に特に適している。その後は、さらなる投薬を行わないか、薬物曝露を大幅に減らしても、時間の経過とともに形質細胞の減少が維持されると予測される。実施例3に記載されているように、2つの異なる曝露期間及び3または5か月後の潜在的な再治療は、長期効果及び再治療後の潜在的効果を考慮して、曝露/有効性関係の個人間のばらつきを最もよく特徴付けるために選択される。
現在、フェルザルタマブは、第Ib/IIa相試験(M-PLACE、NCT04145440)及び第IIa相試験(New-PLACE、NCT04733040)において、抗PLA2R陽性aMNを対象として研究される。
予備データは、フェルザルタマブが抗PLA2R自己抗体を産生する細胞を排除することにより抗PLA2R陽性aMNの治療に有効であることを示す。そのため、フェルザルタマブは、これらの患者における病的な抗PLA2R自己抗体の減少をもたらす(例えば、図4、5、8、9A、B)。フェルザルタマブは、従来の治療法では応答しないか、応答が乏しい、医療ニーズが満たされない抗PLA2R陽性aMN患者において有効な応答を示す。
本発明は、抗PLA2R膜性腎症患者における抗CD38モノクローナル抗体MOR202(フェルザルタマブとしても知られる)を用いた改善された有効な投与計画に関する。
一態様では、配列GFTFSSYYMN(配列番号12)またはSYYMN(配列番号1)のHCDR1領域と、配列GISGDPSNTYYADSVKG(配列番号2)のHCDR2領域と、配列DLPLVYTGFAY(配列番号3)のHCDR3と、配列SGDNLRHYYVY(配列番号4)のLCDR1領域と、配列GDSKRPS(配列番号5)のLCDR2領域と、配列QTYTGGASL(配列番号6)のLCDR3領域とを含み、上記抗体は、固定用量レベルで投与される、自己抗体媒介膜性腎症を有する対象の治療に使用するためのCD38に特異的な抗体を提供する。いくつかの実施形態では、上記自己抗体媒介膜性腎症は、抗PLA2R陽性膜性腎症である。いくつかの実施形態では、上記抗体は、対象の体重範囲に相当する固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、それぞれ<50kg、50.5~70kg、70.5~90kg、>90.5kgの体重範囲に相当する、650mg、975mg、1300mgまたは1625mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、16mg/kgの固定用量レベルで投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、最初の3週間に週1回(QW)投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は2週間に1回(q2w)投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、i)3か月の治療期間を表す1日目、8日目、15日目、29日目、及び57日目、またはii)1か月の治療期間を表す1日目及び15日目の間隔で投与される。いくつかの実施形態では、使用するための抗体は、前の治療期間の終了後3または5か月後の再治療を更に含む。いくつかの実施形態では、上記抗体は、24週間の治療期間中、1日目、8日目、15日目、及び22日目の間隔で投与され、続いて29日目、57日目、85日目、113日目、及び141日目に投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、85日の治療間隔で2回投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、85日の治療間隔で5回投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、24週間の治療間隔で9回投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、141日の治療間隔で9回投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、治療の最初の1か月間は週に1回、その後は4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、2時間かけて静脈内投与される。いくつかの実施形態では、スクリーニング時の前記対象の抗PLA2R抗体の血清レベルが≧50RU/mL、≧100RU/mL、≧150RU/mL、≧200RU/mL、≧250RU/mL、≧300RU/mLである。いくつかの実施形態では、上記対象の抗PLA2R抗体の血清レベルが≧150RU/mLである。いくつかの実施形態では、上記対象の尿タンパク質対クレアチニン比(UCPR、g/g))が≧3.0g/g、≧4.0g/g、≧5.0g/g、≧6.0g/g、または≧7.0g/gである。いくつかの実施形態では、24時間尿スクリーニングで、上記対象は、タンパク尿が≧3.5g/24時間、≧4.0g/24時間、≧4.5g/24時間、または≧5.0g/24時間である。いくつかの実施形態では、上記抗体はベースラインの抗PLA2R力価から>10%、>15%、>20%、>25%、>30%、>35%、>40%、>45%、>50%、>55%、>60%、>65%、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%または100%の変化をもたらす。いくつかの実施形態では、上記対象の血清抗PLA2R抗体が≧50RU/mLであり、ベースラインと比較した抗PLA2R自己抗体力価の減少がサイクル1の8日目で>10%、>15%、>20%、>25%、>30%、>35%、>40%、>45%、>50%、>55%、>60%、>65%、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%または100%である。いくつかの実施形態では、上記抗体はサイクル1の8日目でベースラインの抗PLA2R力価から>10%、>15%、>20%、>25%、>30%、>35%、>40%、>45%、>50%、>55%、>60%、>65%、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%または100%の変化をもたらす。いくつかの実施形態では、上記抗体は、ベースラインの抗PLA2R力価から25%~80%の変化をもたらす。いくつかの実施形態では、上記抗体は、4週間の治療期間にわたってベースラインの抗PLA2R力価から25%~80%の変化をもたらす。いくつかの実施形態では、上記抗体は、ベースラインの抗PLA2R力価から>80%の変化をもたらす。いくつかの実施形態では、上記抗体は、4週間の治療期間にわたってベースラインの抗PLA2R力価から>80%の変化をもたらす。いくつかの実施形態では、上記抗体は、4週間の治療期間にわたって抗PLA2R力価を増加させない。いくつかの実施形態では、上記抗体は、配列QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYYMNWVRQAPGKGLEWVSGISGDPSNTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDLPLVYTGFAYWGQGTLVTVSS(配列番号7)の可変重鎖と、配列DIELTQPPSVSVAPGQTARISCSGDNLRHYYVYWYQQKPGQAPVLVIYGDSKRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAEDEADYYCQTYTGGASLVFGGGTKLTVLGQ(配列番号8)の可変軽鎖と、を含む。いくつかの実施形態では、上記抗体は、IgG1 Fc領域を含む。いくつかの実施形態では、上記抗体は、650mg~1,000mgの経口パラセタモールと組み合わせて投与するために配合される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、25mg~50mgの経口または静脈内ジフェンヒドラミンと組み合わせて投与するために配合される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、100mgの静脈内メチルプレドニゾロンまたはその同等品と組み合わせて投与するために配合される。
別の態様では、本発明は、抗CD38抗体を患者に投与することを含む、患者の抗PLA2R媒介膜性腎症を治療する方法に関し、抗CD38抗体は固定用量で投与される。好ましくは、上記抗CD38抗体はフェルザルタマブである。上記抗体は、16mg/kgで週1回投与される(すなわち、サイクル1では合計4回の用量)。治療サイクル2~6では、フェルザルタマブは4週間に1回、各サイクルの初日に16mg/kgで投与される(すなわち、C2D1、C3D1、…、サイクル2~6で合計5回の用量)。
別の態様では、本発明は、抗PLA2R媒介性膜性腎症を有する対象の治療に使用するためのフェルザルタマブまたはそのバイオシミラーを提供し、フェルザルタマブまたはそのバイオシミラーは、それぞれ<50kg、50.5~70kg、70.5~90kg、>90.5kgの体重範囲に相当する、650mg、975mg、1300mg、または1625mgの固定用量で投与され、フェルザルタマブまたはそのバイオシミラーは、i)3か月の治療期間を表す1日目、8日目、15日目、29日目、及び57日目、またはii)1か月の治療期間を表す1日目及び15日目の間隔で投与され、必要に応じて、前の治療期間の終了後3か月または5か月後に再治療を行い、ならびに、フェルザルタマブまたはそのバイオシミラーは静脈内投与される。
別の態様では、本発明は、自己抗体媒介膜性腎症の治療方法を提供し、該方法は、配列GFTFSSYYMN(配列番号12)またはSYYMN(配列番号1)のHCDR1領域と、配列GISGDPSNTYYADSVKG(配列番号2)のHCDR2領域と、配列DLPLVYTGFAY(配列番号3)のHCDR3と、配列SGDNLRHYYVY(配列番号4)のLCDR1領域と、配列GDSKRPS(配列番号5)のLCDR2領域と、配列QTYTGGASL(配列番号6)のLCDR3領域とを含むCD38に特異的な抗体の治療有効量を、治療を必要とする対象に投与することを含み、上記抗体は、固定用量レベルで投与される。いくつかの実施形態では、上記自己抗体媒介膜性腎症は、抗PLA2R陽性膜性腎症である。いくつかの実施形態では、上記抗体は、対象の体重範囲に相当する固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、それぞれ<50kg、50.5~70kg、70.5~90kg、>90.5kgの体重範囲に相当する、650mg、975mg、1300mgまたは1625mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、16mg/kgの固定用量レベルで投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、最初の3週間に週1回(QW)投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は2週間に1回(q2w)投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、i)3か月の治療期間を表す1日目、8日目、15日目、29日目、及び57日目、またはii)1か月の治療期間を表す1日目及び15日目の間隔で投与される。いくつかの実施形態では、該方法は、前の治療期間の終了後3または5か月後に再治療することを更に含む。いくつかの実施形態では、上記抗体は、24週間の治療期間中、1日目、8日目、15日目、及び22日目の間隔で投与され、続いて29日目、57日目、85日目、113日目、及び141日目に投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、85日の治療間隔で2回投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、85日の治療間隔で5回投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、24週間の治療間隔で9回投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、141日の治療間隔で9回投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、治療の最初の1か月間は週に1回、最初の1か月間の後は4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、2時間かけて静脈内投与される。いくつかの実施形態では、スクリーニング時の前記対象の抗PLA2R抗体の血清レベルが≧50RU/mL、≧100RU/mL、≧150RU/mL、≧200RU/mL、≧250RU/mL、≧300RU/mLである。いくつかの実施形態では、上記対象の抗PLA2R抗体の血清レベルが≧150RU/mLである。いくつかの実施形態では、上記対象の尿タンパク質対クレアチニン比(UCPR、g/g))が≧3.0g/g、≧4.0g/g、≧5.0g/g、≧6.0g/g、または≧7.0g/gである。いくつかの実施形態では、24時間尿スクリーニングで、上記対象は、タンパク尿が≧3.5g/24時間、≧4.0g/24時間、≧4.5g/24時間、または≧5.0g/24時間である。いくつかの実施形態では、上記抗体はベースラインの抗PLA2R力価から>10%、>15%、>20%、>25%、>30%、>35%、>40%、>45%、>50%、>55%、>60%、>65%、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%または100%の変化をもたらす。いくつかの実施形態では、上記対象の血清抗PLA2R抗体が≧50RU/mLであり、ベースラインと比較した抗PLA2R自己抗体力価の減少がサイクル1の8日目で>10%、>15%、>20%、>25%、>30%、>35%、>40%、>45%、>50%、>55%、>60%、>65%、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%または100%である。いくつかの実施形態では、上記抗体はサイクル1の8日目でベースラインの抗PLA2R力価から>10%、>15%、>20%、>25%、>30%、>35%、>40%、>45%、>50%、>55%、>60%、>65%、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%または100%の変化をもたらす。いくつかの実施形態では、上記抗体は、ベースラインの抗PLA2R力価から25%~80%の変化をもたらす。いくつかの実施形態では、上記抗体は、4週間の治療期間にわたってベースラインの抗PLA2R力価から25%~80%の変化をもたらす。いくつかの実施形態では、上記抗体は、ベースラインの抗PLA2R力価から>80%の変化をもたらす。いくつかの実施形態では、上記抗体は、4週間の治療期間にわたってベースラインの抗PLA2R力価から>80%の変化をもたらす。いくつかの実施形態では、上記抗体は、4週間の治療期間にわたって抗PLA2R力価を増加させない。いくつかの実施形態では、上記抗体は、配列QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYYMNWVRQAPGKGLEWVSGISGDPSNTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDLPLVYTGFAYWGQGTLVTVSS(配列番号7)の可変重鎖と、配列DIELTQPPSVSVAPGQTARISCSGDNLRHYYVYWYQQKPGQAPVLVIYGDSKRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAEDEADYYCQTYTGGASLVFGGGTKLTVLGQ(配列番号8)の可変軽鎖と、を含む。いくつかの実施形態では、上記抗体は、IgG1 Fc領域を含む。いくつかの実施形態では、上記抗体は、650mg~1,000mgの経口パラセタモールと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、25mg~50mgの経口または静脈内ジフェンヒドラミンと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、上記抗体は、100mgの静脈内メチルプレドニゾロンまたはその同等品と組み合わせて投与される。
別の態様では、本発明は、抗PLA2R媒介膜性腎症を治療する方法を提供し、該方法は、治療有効量のフェルザルタマブまたはフェルザルタマブのバイオシミラーを、治療を必要とする対象に投与することを含み、フェルザルタマブまたはフェルザルタマブのバイオシミラーは、それぞれ<50kg、50.5~70kg、70.5~90kg、>90.5kgの体重範囲に相当する、650mg、975mg、1300mg、または1625mgの固定用量で投与され、フェルザルタマブまたはフェルザルタマブのバイオシミラーは、i)3か月の治療期間を表す1日目、8日目、15日目、29日目、及び57日目、またはii)1か月の治療期間を表す1日目及び15日目の間隔で投与され、必要に応じて、前の治療期間の終了後3か月または5か月後に再治療を行い、ならびに、フェルザルタマブまたはフェルザルタマブのバイオシミラーは静脈内投与される。
図1は、B細胞分化の主な細胞タイプと、それらのCD19、CD20、及びCD38発現レベルを模式的に示す。抗CD38抗体療法(MOR202による治療など)の標的となる主な抗体分泌細胞タイプが示される。 図2は、抗PLA2R媒介膜性腎症の治療のための投与スケジュールを示す(New-PLACE試験、NCT04733040)。免疫応答が得られないか、部分的のみである場合、最初の3か月の治療段階の後に、同じまたは類似の投与間隔でさらなる治療段階が続く場合がある。 図3は、フェルザルタマブを5回または2回投与した後のCD38目標占有率のシミュレーション結果を示す。固定用量のフェルザルタマブ投与後のCD38受容体占有率の予測結果。1300mgの用量を受ける85kgのaMN患者の例。(A)5回投与、(B)2回投与、最良のシナリオ:CD38の半減期は800分、薬物分配係数は0.85、最悪のシナリオ:CD38の半減期は80分、薬物分配係数は0.95。 図4は、治療開始から8週間後のベースラインからの抗PLA2R抗体力価の相対変化を示す(コホート1(5回投与スケジュール)(現在進行中のNew-PLACE試験NCT04733040の予備データに基づく))。 図5は、治療開始から8週間後のベースラインからの抗PLA2R抗体力価の相対変化を示す(コホート2(2回投与スケジュール)(現在進行中のNew-PLACE試験NCT04733040の予備データに基づく))。 図6は、M-PLACE試験(9回投与スケジュール)NCT04145440の研究デザインを示す。抗PLA2R+:抗ホスホリパーゼA2受容体陽性、C:サイクル、EOT:治療の終了、FU:経過観察、IST:免疫抑制治療、IV:静脈内、MN:膜性腎症、TEAE:治療中に発生した有害事象。 図7は、M-PLACE試験(9回投与スケジュール)NCT04145440の予備データに基づく、投与前及び投与後の1~4週目のフェルザルタマブの血清濃度を示す。治療の最初の1か月間にわたるフェルザルタマブの血清レベルの評価後、全ての患者が予想される濃度範囲での薬物曝露を示した。 図8は、M-PLACE試験(9回投与スケジュール)NCT04145440からの予備データに基づく、C1D8におけるベースラインからの抗PLA2R抗体力価の相対変化を示す。分析された患者31人のうち、25人は1週間の治療後に抗PLA2R抗体レベルの低下を示し、3人は増加し、3人は来院しなかったまたは早期中止によりサイクル1の8日目のデータが利用できなかった。Ab:抗体、抗PLA2R:抗ホスホリパーゼA2受容体、C:サイクル、D:日、IgG:免疫グロブリンG、IPR:免疫学的部分奏効。 図9Aは、M-PLACE試験(9回投与スケジュール)NCT04145440からの予備データに基づく、抗PLA2R応答(治療後≧4週間)に基づく予備的な表現型サブグループ分析を示す。抗PLA2R抗体力価の大幅な減少である(最後の利用可能な来院時、ベースラインからの変化は>80%減少、または絶対値<20U/mL)。驚くべき発見は、フェルザルタマブが、コホートまたは初期抗PLA2R力価とは無関係に、抗PLA2R自己抗体力価の急速かつ持続的な減少を誘導できることであり、それによってメカニズムの証拠が示される。 図9Bは、M-PLACE試験(9回投与スケジュール)NCT04145440からの予備データに基づく、抗PLA2R応答(治療後≧4週間)に基づく予備的な表現型サブグループ分析を示す。抗PLA2R抗体力価の中間的な減少である(最後に利用可能な来院時、ベースラインから25~80%減少の間の変化(下限及び上限を含む))。驚くべき発見は、フェルザルタマブが、コホートまたは初期抗PLA2R力価とは無関係に、抗PLA2R自己抗体力価の急速かつ持続的な減少を誘導できることであり、それによってメカニズムの証拠が示される。 図9Cは、M-PLACE試験(9回投与スケジュール)NCT04145440からの予備データに基づく、抗PLA2R応答(治療後≧4週間)に基づく予備的な表現型サブグループ分析を示す。可変な抗PLA2R抗体力価である(大幅減少または中間的な減少の基準を満たさない患者)。患者が複数のカテゴリーの基準を満たす場合、上位カテゴリー(可変<中、減少<深い減少)に分類される。驚くべき発見は、フェルザルタマブが、コホートまたは初期抗PLA2R力価とは無関係に、抗PLA2R自己抗体力価の急速かつ持続的な減少を誘導できることであり、それによってメカニズムの証拠が示される。 図10は、MNにおけるフェルザルタマブの作用機序を示す。形質芽細胞及び短命と長命の形質細胞はCD38陽性細胞である。抗CD38抗体フェルザルタマブは、ADCC及びADCPを介して形質芽細胞及び形質細胞の破壊を引き起こし、それによって破壊的な抗PLA2R自己抗体の分泌を減少させる。ADCC:抗体依存性細胞媒介性細胞傷害、ADCP:抗体依存性細胞媒介性食作用、CD:分化のクラスター、FcγR:Fc-ガンマ受容体、NK:ナチュラルキラー。
定義
「CD38」という用語は、CD38として知られるタンパク質を指し、以下の同義語を有する。ADP-リボシルシクラーゼ1、cADPrヒドロラーゼ1、環状ADP-リボースヒドロラーゼ1、T10。
ヒトCD38(UniProt P28907)には、以下のアミノ酸配列がある。
MANCEFSPVSGDKPCCRLSRRAQLCLGVSILVLILVVVLAVVVPRWRQQWSGPGTTKRFPETVLARCVKYTEIHPEMRHVDCQSVWDAFKGAFISKHPCNITEEDYQPLMKLGTQTVPCNKILLWSRIKDLAHQFTQVQRDMFTLEDTLLGYLADDLTWCGEFNTSKINYQSCPDWRKDCSNNPVSVFWKTVSRRFAEAACDVVHVMLNGSRSKIFDKNSTFGSVEVHNLQPEKVQTLEAWVIHGGREDSRDLCQDPTIKELESIISKRNIQFSCKNIYRPDKFLQCVKNPEDSSCTSEI(配列番号9)
CD38は、II型膜貫通糖タンパク質であり、抗体分泌細胞(自己抗体分泌形質芽細胞及び形質細胞を含む)で高度に発現される抗原の例である。CD38に帰せられる機能は、受容体媒介接着、シグナル伝達事象、及び(外部)酵素活性の両方を含む。CD38は外部酵素として、環状ADP-リボース(cADPR)及びADPRだけでなく、ニコチンアミド及びニコチン酸-アデニンジヌクレオチドリン酸(NAADP)の形成のための基質としてNAD+を使用する。cADPR及びNAADPは、Ca2+動員のセカンドメッセンジャーとして機能することが示される。NAD+をcADPRに変換することにより、CD38は細胞外NAD+濃度を制御し、それにより、NAD誘導性細胞死(NCID)を調節することで細胞の生存を制御する。Ca2+を介したシグナル伝達に加えて、CD38シグナル伝達は、T細胞及びB細胞上の抗原受容体複合体、または他の種類の受容体複合体(MHC分子など)とのクロストークを介して発生し、このようにして、いくつかの細胞応答に関与するだけでなく、IgG抗体の切り替えや分泌にも関与する。
「抗体」という用語は、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgEなどのあらゆるアイソタイプを含むモノクローナル抗体を意味する。本発明で使用するための抗体の好ましいアイソタイプは、IgGである。IgG抗体は、ジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖と2つの同一の軽鎖で構成される。それぞれの重鎖と軽鎖は、定常領域と可変領域とを含む。各可変領域は、「相補性決定領域」(「CDR」)または「超可変領域」と呼ばれる3つのセグメントを含み、主に抗原のエピトープへの結合に関与する。これらは、N末端から順にCDR1、CDR2、CDR3と呼ばれる。CDRの外側の可変領域のより高度に保存された部分は、「フレームワーク領域」と呼ばれる。「抗体フラグメント」とは、それぞれがCDR及びフレームワーク領域を含む、少なくとも1つの可変重鎖または可変軽鎖を含む、Fv、scFv、dsFv、Fab、Fab’F(ab’)2フラグメント、または他のフラグメントを意味する。このような抗体または抗体フラグメントは、マウス、ラット、キメラ、ヒト化またはヒト抗体または抗体フラグメントなどの任意のタイプのものであり得る。
「VH」は、抗体または抗体フラグメントの免疫グロブリン重鎖の可変領域を指す。「VL」は、抗体または抗体フラグメントの免疫グロブリン軽鎖の可変領域を指す。
本明細書で使用される「抗CD38抗体」という用語は、最も広い意味での抗CD38結合分子と、CD38に特異的に結合するか、CD38の活性もしくは機能を阻害するか、あるいは他の何らかの方法でCD38に影響を与えるあらゆる分子とを含む。
CD38に特異的な抗体は、例えば、WO199962526(Mayo Foundation)、WO200206347(Crucell Holland)、US2002164788(Jonathan Ellis)、WO2005103083、WO2006125640及びWO2007042309(MorphoSys AG)、WO2006099875(Genmab)、ならびにWO2008047242(Sanofi-Aventis)に記載される。CD38に特異的な抗体と他の薬剤の組み合わせは、例えば、WO200040265(Research Development Foundation)、WO2006099875及びWO2008037257(Genmab)、ならびにWO2010061360、WO2010061359、WO2010061358及びWO2010061357(Sanofi Aventis)に記載され、これらは全て、その全体が参照により組み込まれる。
本明細書で使用される「ヒト抗体」または「ヒト抗体フラグメント」は、フレームワーク領域及びCDR領域がヒト起源の配列に由来する可変領域を有する抗体または抗体フラグメントである。抗体が定常領域を含む場合、その定常領域もそのような配列に由来する。ヒト由来は、ヒト生殖系列配列、ヒト生殖系列配列の変異バージョン、または、例えば、Knappik et al.,(2000)J Mol Biol 296:57-86)に記載されるような、ヒトフレームワーク配列分析に由来するコンセンサスフレームワーク配列を含む抗体を含むが、これらに限定されない。ヒト抗体は、例えば、合成ライブラリーまたはトランスジェニックマウス(例えば、Xenomouse)から単離することができる。抗体または抗体フラグメントは、抗体が物理的に由来する、単離される、または製造される種に関係なく、その配列がヒトである場合にはヒトである。
免疫グロブリン超可変ドメイン、例えば、CDRの構造及び位置は、よく知られた番号付けスキーム、例えば、Kabat番号付けスキーム、Chothia番号付けスキーム、またはKabatとChothiaの組み合わせを使用して定義することができる(例えば、Interest,U.S.Department of Health and Human Services(1991),eds.Kabat et al.、Lazikani et al.,(1997)J.Mol.Bio.273:927-948)、Kabat et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th edit.,NIH Publication no.91-3242 U.S.Department of Health and Human Services、Chothia et al.,(1987)J.Mol.Biol.196:901-917、Chothia et al.,(1989)Nature 342:877-883、及びAl-Lazikani et al.,(1997)J.Mol.Biol.273:927-948を参照のこと)。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、単一分子組成物の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する独特の結合特異性及び親和性を有する独特の結合部位を示す。
本開示は、治療を必要とする対象に、開示される抗CD38抗体の治療有効量を投与することを含む治療方法を提供する。本明細書で使用される「治療有効量」または「有効量」とは、所望の生物学的応答を誘発するのに必要な、CD38に特異的な抗体の量を指す。本開示によれば、治療有効量は、自己抗体媒介膜性腎症及び前記障害に関連する症状を治療及び/または予防するのに必要なCD38に特異的な抗体の量である。
特定の治療目的に有効な量は、疾患または傷害の重症度、ならびに対象の体重及び全身状態に依存する。特定の個人にとっての有効量は、治療対象の状態、患者の全体的な健康状態、投与経路及び投与量、副作用の重症度などの要因によって異なる場合がある(Maynard,et al.(1996)A Handbook of SOPs for Good Clinical Practice,Interpharm Press;Dent(2001)Good Laboratory and Good Clinical Practice,London,UK)。
本明細書で使用される場合、「治療」、「治療する」などの用語は、症状を軽減すること、一時的または永続的に症状の原因を除去すること、または指定された障害または状態の症状の出現を予防または遅らせることを意味する。
「予防する」または「予防」は、病気や疾患に罹患または発症するリスクの軽減を指す(すなわち、病気の原因物質に曝露される可能性がある対象、または病気の発症前に病気の素因がある対象において、病気の臨床症状の少なくとも1つが発現しないようにすること)。「予防」は、病気もしくはその症状の発症を予防することを目的とする方法、または病気もしくはその症状の発症を遅らせることを目的とする方法を指す。
「予防法」という用語は「予防」に関連しており、病気の治療や治癒ではなく、予防を目的とした措置や手順を指す。予防措置の非限定的な例は、ワクチンの投与と、例えば、固定化によって血栓症のリスクがある入院患者への低分子量ヘパリンの投与と、マラリアが流行する地域、またはマラリアに感染するリスクが高い地域への訪問前のクロロキンなどの抗マラリア薬の投与とを含む。
「投与される」または「投与」は、吸入のための吸入用の点鼻スプレーまたはエアゾールとして、または摂取可能な溶液、カプセルまたは錠剤として、静脈内、筋肉内、皮内または皮下経路または粘膜経路などの注射可能な形態による薬物の送達を含むが、これらに限定されない。好ましくは、投与は注射可能な形態によるものである。本開示の抗体は、異なる時点で投与することができ、治療サイクルは異なる長さを有し得る。抗体は、毎日、隔日、週に3回、毎週、または隔週で投与され得る。抗体はまた、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも11週間、または少なくとも12週間にわたって投与され得る。
本明細書で使用される場合、「対象」、「治療を必要とする対象」などの用語は、自己抗体媒介膜性腎症の1つ以上の症状もしくは徴候を示すヒトまたは非ヒト動物、及び/または自己抗体媒介膜性腎症と診断されたヒトまたは非ヒト動物を意味する。好ましくは、対象は霊長類であり、最も好ましくは自己抗体媒介膜性腎症と診断されたヒト患者である。好ましくは、自己抗体媒介膜性腎症は、抗PLA2R陽性膜性腎症である。
この文脈で使用される「対象」または「種」は、マウスまたはラットなどのげっ歯類、及びカニクイザル(Macaca fascicularis)、アカゲザル(Macaca mulatta)などの霊長類、またはヒト(Homo sapiens)を含む任意の哺乳動物を指す。好ましくは、対象は霊長類であり、最も好ましくはヒトである。
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特定の列挙された数値に関して使用される場合、その値が列挙された値から1%以下だけ変動し得ることを意味する。例えば、本明細書で使用される場合、「約100」という表現は、99と101、及びその間の全ての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4など)を含む。
本明細書で使用される「薬物動態」または「PK」は、吸収や分布などのメカニズム、体内の薬物の代謝変化、薬物の代謝産物の効果と排泄経路などを通じて、投与後に身体が特定の薬物にどのような影響を与えるかを表す。薬物の薬物動態特性は、投与経路及び投与される薬物の用量によって影響を受ける可能性がある。
「薬学的に許容される」は、連邦政府、州政府の規制当局または米国以外の国の対応する当局によって承認または承認可能なもの、または動物、特にヒトでの使用に関して米国薬局方または他の一般に認められた薬局方に記載されるものを意味する。
「薬学的に許容されるビヒクル」は、抗体または抗体フラグメントと一緒に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤または担体を指す。
本明細書全体を通じて、文脈上別段の必要がない限り、「含む(comprise)」、「有する(have)」、及び「備える(include)」という語、及びそれらのそれぞれの変形、例えば、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「備える(includes)」、及び「備える(including)」は、特定の要素または整数、または要素または整数のグループを含むことを暗示するものとして理解されるが、他の要素または整数、または要素または整数のグループを排除しない。
「MOR202」は、「MOR03087」または「MOR3087」または「フェルザルタマブ」としても知られる抗CD38抗体である。これらの用語は、本開示では交換可能に使用される。MOR202にはIgG1 Fc領域がある。
Kabatによると、MOR202 HCDR1のアミノ酸配列は以下のとおりである。
SYYMN(配列番号1)
Kabatによると、MOR202 HCDR2のアミノ酸配列は以下のとおりである。
GISGDPSNTYYADSVKG(配列番号2)
Kabatによると、MOR202 HCDR3のアミノ酸配列は以下のとおりである。
DLPLVYTGFAY(配列番号3)
Kabatによると、MOR202 LCDR1のアミノ酸配列は以下のとおりである。
SGDNLRHYYVY(配列番号4)
Kabatによると、MOR202 LCDR2のアミノ酸配列は以下のとおりである。
GDSKRPS(配列番号5)
MOR202 LCDR3のアミノ酸配列は以下のとおりである。
QTYTGGASL(配列番号6)
MOR202可変重ドメインのアミノ酸配列は以下のとおりである。
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYYMNWVRQAPGKGLEWVSGISGDPSNTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDLPLVYTGFAYWGQGTLVTVSS(配列番号7)
MOR202可変光ドメインのアミノ酸配列は以下のとおりである。
DIELTQPPSVSVAPGQTARISCSGDNLRHYYVYWYQQKPGQAPVLVIYGDSKRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAEDEADYYCQTYTGGASLVFGGGTKLTVLGQ(配列番号8)
MOR202可変重鎖ドメインをコードするDNA配列は以下のとおりである。
CAGGTGCAATTGGTGGAAAGCGGCGGCGGCCTGGTGCAACCGGGCGGCAGCCTGCGTCTGAGCTGCGCGGCCTCCGGATTTACCTTTTCTTCTTATTATATGAATTGGGTGCGCCAAGCCCCTGGGAAGGGTCTCGAGTGGGTGAGCGGTATCTCTGGTGATCCTAGCAATACCTATTATGCGGATAGCGTGAAAGGCCGTTTTACCATTTCACGTGATAATTCGAAAAACACCCTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGCGTGCGGAAGATACGGCCGTGTATTATTGCGCGCGTGATCTTCCTCTTGTTTATACTGGTTTTGCTTATTGGGGCCAAGGCACCCTGGTGACGGTTAGCTCA(配列番号10)
MOR202可変光ドメインをコードするDNA配列は以下のとおりである。
GATATCGAACTGACCCAGCCGCCTTCAGTGAGCGTTGCACCAGGTCAGACCGCGCGTATCTCGTGTAGCGGCGATAATCTTCGTCATTATTATGTTTATTGGTACCAGCAGAAACCCGGGCAGGCGCCAGTTCTTGTGATTTATGGTGATTCTAAGCGTCCCTCAGGCATCCCGGAACGCTTTAGCGGATCCAACAGCGGCAACACCGCGACCCTGACCATTAGCGGCACTCAGGCGGAAGACGAAGCGGATTATTATTGCCAGACTTATACTGGTGGTGCTTCTCTTGTGTTTGGCGGCGGCACGAAGTTAACCGTTCTTGGCCAG(配列番号11)
HuCALによるMOR202 HCDR1のアミノ酸配列は以下のとおりである。
GFTFSSYYMN(配列番号12)
本明細書における「バイオシミラー」という用語は、(臨床的に不活性な成分にわずかな違いがあるにも関わらず)参照製品と「非常に類似している」ものをバイオシミラー製品と定義する、FDAによって公布された実用的な定義と一致する方法で使用される。実際には、安全性、純度、効力の点で、参照製品とバイオシミラー製品の間に臨床的に意味のある違いは存在しない(公衆衛生サービス(PHS)法§262)。「参照製品」は、例えば、市販のフェルザルタマブを指す。
実施形態
本開示は、自己抗体媒介膜性腎症、好ましくは抗PLA2R媒介膜性腎症または糸球体腎炎の予防及び/または治療に有用な、CD38に特異的な抗体であるMOR202の改善された投与計画に関する。
配列GFTFSSYYMN(配列番号12)またはSYYMN(配列番号1)のHCDR1領域と、配列GISGDPSNTYYADSVKG(配列番号2)のHCDR2領域と、配列DLPLVYTGFAY(配列番号3)のHCDR3と、配列SGDNLRHYYVY(配列番号4)のLCDR1領域と、配列GDSKRPS(配列番号5)のLCDR2領域と、配列QTYTGGASL(配列番号6)のLCDR3領域とを含む、自己抗体媒介膜性腎症を有する対象の治療に使用するためのCD38に特異的な抗体が提供される。
本開示はまた、上記抗体を含む医薬組成物、及び自己抗体陽性膜性腎症、好ましくは抗PLA2R陽性膜性腎症または糸球体腎炎の、本発明の提供される投与計画下で上記抗体を患者に投与することによる、予防または/または治療方法も提供する。
本開示の一態様は、配列GFTFSSYYMN(配列番号12)またはSYYMN(配列番号1)のHCDR1領域と、配列GISGDPSNTYYADSVKG(配列番号2)のHCDR2領域と、配列DLPLVYTGFAY(配列番号3)のHCDR3と、配列SGDNLRHYYVY(配列番号4)のLCDR1領域と、配列GDSKRPS(配列番号5)のLCDR2領域と、配列QTYTGGASL(配列番号6)のLCDR3領域とを含む、自己抗体媒介膜性腎症の治療に使用するためのCD38に特異的な抗体を提供し、上記抗体は、固定用量レベルで投与される。
好ましい態様では、抗体は抗PLA2R陽性膜性腎症の治療に使用するためのものであり、上記抗体は体重範囲に相当する固定用量で投与される。
さらなる態様では、抗PLA2R陽性膜性腎症の治療に使用するための抗体は、それぞれ<50kg、50.5~70kg、70.5~90kg、>90.5kgの体重範囲に相当する、650mg、975mg、1300mgまたは1625mgの固定用量で投与される。
別の実施形態では、抗PLA2R陽性膜性腎症の治療に使用するための抗体は、最初の3週間は週1回(QW)または2週間に1回(q2w)、上記固定用量レベルで投与される。
別の実施形態では、抗PLA2R陽性膜性腎症の治療に使用するための抗体は、上記固定用量レベルでの最初の投与後85日の治療間隔においてi)1日目、8日目、15日目、29日目、57日目、または、ii)1日目及び15日目に投与される。
抗PLA2R陽性膜性腎症の治療に使用するための抗体は、i)3か月の治療期間を表す1日目、8日目、15日目、29日目、及び57日目、またはii)1か月の治療期間を表す1日目及び15日目の間隔で投与される。
抗PLA2R陽性膜性腎症の治療に使用するための抗体は、i)3か月の治療期間を表す1日目、8日目、15日目、29日目、及び57日目、またはii)1か月の治療期間を表す1日目及び15日目の間隔で投与され、前の治療期間の終了後3か月または5か月後に再治療が行われる。
別の実施形態では、抗PLA2R陽性膜性腎症の治療に使用するための抗体は静脈内投与される。
本開示の一態様は、CD38に特異的な抗体の治療有効量を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における抗PLA2R陽性膜性腎症の治療方法を含み、上記抗体は、配列
GFTFSSYYMN(配列番号12)またはSYYMN(配列番号1)のHCDR1領域と、配列GISGDPSNTYYADSVKG(配列番号2)のHCDR2領域と、配列DLPLVYTGFAY(配列番号3)のHCDR3と、配列SGDNLRHYYVY(配列番号4)のLCDR1領域と、配列GDSKRPS(配列番号5)のLCDR2領域と、配列QTYTGGASL(配列番号6)のLCDR3領域とを含み、上記抗体は、約16mg/kg以上の用量で投与される。
本開示の一態様は、CD38に特異的な抗体の治療有効量を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における抗PLA2R陽性膜性腎症の治療方法を含み、上記抗体は、配列
GFTFSSYYMN(配列番号12)またはSYYMN(配列番号1)のHCDR1領域と、配列GISGDPSNTYYADSVKG(配列番号2)のHCDR2領域と、配列DLPLVYTGFAY(配列番号3)のHCDR3と、配列SGDNLRHYYVY(配列番号4)のLCDR1領域と、配列GDSKRPS(配列番号5)のLCDR2領域と、配列QTYTGGASL(配列番号6)のLCDR3領域とを含み、上記抗体は、体重範囲に相当する固定用量で投与される。
本開示の一態様は、CD38に特異的な抗体の治療有効量を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象における抗PLA2R陽性膜性腎症の治療方法を含み、上記抗体は、配列GFTFSSYYMN(配列番号12)またはSYYMN(配列番号1)のHCDR1領域と、配列GISGDPSNTYYADSVKG(配列番号2)のHCDR2領域と、配列DLPLVYTGFAY(配列番号3)のHCDR3と、配列SGDNLRHYYVY(配列番号4)のLCDR1領域と、配列GDSKRPS(配列番号5)のLCDR2領域と、配列QTYTGGASL(配列番号6)のLCDR3領域とを含み、上記抗体は、体重範囲に相当する固定用量で投与され、上記抗体は、それぞれ<50kg、50.5~70kg、70.5~90kg、>90.5kgの体重範囲に相当する、650mg、975mg、1300mgまたは1625mgの固定用量で投与される。
さらなる態様は、抗PLA2R陽性膜性腎症の治療用の薬剤の調製におけるCD38に特異的な抗体の使用を含み、上記抗体は、配列GFTFSSYYMN(配列番号12)またはSYYMN(配列番号1)のHCDR1領域と、配列GISGDPSNTYYADSVKG(配列番号2)のHCDR2領域と、配列DLPLVYTGFAY(配列番号3)のHCDR3と、配列SGDNLRHYYVY(配列番号4)のLCDR1領域と、配列GDSKRPS(配列番号5)のLCDR2領域と、配列QTYTGGASL(配列番号6)のLCDR3領域とを含み、上記抗体は、約16mg/kg以上の用量で投与される。
さらなる態様は、抗PLA2R陽性膜性腎症の治療用の薬剤の調製におけるCD38に特異的な抗体の使用を含み、上記抗体は、配列GFTFSSYYMN(配列番号12)またはSYYMN(配列番号1)のHCDR1領域と、配列GISGDPSNTYYADSVKG(配列番号2)のHCDR2領域と、配列DLPLVYTGFAY(配列番号3)のHCDR3と、配列SGDNLRHYYVY(配列番号4)のLCDR1領域と、配列GDSKRPS(配列番号5)のLCDR2領域と、配列QTYTGGASL(配列番号6)のLCDR3領域とを含み、上記抗体は、体重範囲に相当する固定用量で投与される。
さらなる態様は、抗PLA2R陽性膜性腎症の治療用の薬剤の調製におけるCD38に特異的な抗体の使用を含み、上記抗体は、配列GFTFSSYYMN(配列番号12)またはSYYMN(配列番号1)のHCDR1領域と、配列GISGDPSNTYYADSVKG(配列番号2)のHCDR2領域と、配列DLPLVYTGFAY(配列番号3)のHCDR3と、配列SGDNLRHYYVY(配列番号4)のLCDR1領域と、配列GDSKRPS(配列番号5)のLCDR2領域と、配列QTYTGGASL(配列番号6)のLCDR3領域とを含み、上記抗体は、体重範囲に相当する固定用量で投与され、上記抗体は、それぞれ<50kg、50.5~70kg、70.5~90kg、>90.5kgの体重範囲に相当する、650mg、975mg、1300mgまたは1625mgの固定用量で投与される。
特定の態様では、本開示は、抗PLA2R陽性膜性腎症の治療に使用するためのCD38に特異的な抗体に関し、上記抗体は、配列GFTFSSYYMN(配列番号12)またはSYYMN(配列番号1)のHCDR1領域と、配列GISGDPSNTYYADSVKG(配列番号2)のHCDR2領域と、配列DLPLVYTGFAY(配列番号3)のHCDR3と、配列SGDNLRHYYVY(配列番号4)のLCDR1領域と、配列GDSKRPS(配列番号5)のLCDR2領域と、配列QTYTGGASL(配列番号6)のLCDR3領域とを含み、上記抗体は、16mg/kg以上の用量で投与される。
一実施形態では、抗体は、配列GFTFSSYYMN(配列番号12)のHCDR1領域を含む。一実施形態では、抗体は、配列SYYMN(配列番号1)のHCDR1領域を含む。
特定の実施形態では、開示されたCD38に特異的な抗体は、16mg/kg以上の用量で投与される。
好ましい態様では、抗体は抗PLA2R陽性膜性腎症の治療に使用するためのものであり、抗体は16mg/kgで投与される。
特定の実施形態では、抗体は、85日の治療間隔で2回投与される(すなわち、2回)。
特定の実施形態では、抗体は、85日の治療間隔で5回投与される(すなわち、5回)。
特定の実施形態では、抗体は、24週間の治療間隔で9回投与される(すなわち、9回)。
特定の実施形態では、抗体は、141日の治療間隔で9回投与される(すなわち、9回)。
別の実施形態では、フェルザルタマブは、治療の最初の1か月間は16mg/kgで週1回、その後は4週間に1回16mg/kgで投与される。
特定の実施形態では、抗体は、静脈内投与される。
特定の実施形態では、上記抗体は、2時間かけて静脈内投与される。
特定の施形態では、抗体は、配列
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYYMNWVRQAPGKGLEWVSGISGDPSNTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDLPLVYTGFAYWGQGTLVTVSS(配列番号7)
の可変重鎖と、配列
DIELTQPPSVSVAPGQTARISCSGDNLRHYYVYWYQQKPGQAPVLVIYGDSKRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAEDEADYYCQTYTGGASLVFGGGTKLTVLGQ(配列番号8)
の可変軽鎖と、を含む。
特定の実施形態では、抗体は、IgG1 Fc領域を含む。
好ましい実施形態では、抗CD38抗体はフェルザルタマブである。別の実施形態では、抗体はフェルザルタマブのバイオシミラーである。
別の実施形態では、本開示は、個体における抗PLA2R陽性膜性糸球体腎炎に関連するタンパク尿の治療及び/または予防方法を提供し、この方法は、有効量のCD38に特異的な抗体または抗体フラグメント、または本明細書に記載の1つ以上の医薬組成物の投与を含む。
別の実施形態では、本開示は、抗PLA2R陽性膜性腎症を有する個体における腎機能の低下を予防する方法を提供し、この方法は、有効量のCD38に特異的な抗体もしくは抗体フラグメント、または本明細書に記載の1つ以上の医薬組成物の投与を含む。
別の実施形態では、抗PLA2R自己抗体媒介膜性腎症の治療方法は、i)抗PLA2R陽性膜性糸球体腎炎を有する対象の体重を測定するステップと、ii)50kg、50.5~70kg、70.5~90kg、>90.5kgの体重範囲に相当する、650mg、975mg、1300mgまたは1625mgの固定用量スキームに基づいて、投与される抗CD38抗体の投与量を決定するステップと、iii)決定された固定用量の抗体を対象に投与するステップとを含む。
別の実施形態では、対象における抗PLA2R自己抗体媒介膜性腎症を治療する方法が提供され、該方法は、i)抗CD38抗体の投与前に、抗PLA2R陽性膜性糸球体腎炎を有する対象における抗PLA2R力価を決定するステップと、ii)抗CD38抗体フェルザルタマブを16mg/kgの用量で1日目、8日目、15日目、22日目、29日目、57日目、85日目、113日目、及び141日目に対象に投与するステップであって、対象はスクリーニング時に血清抗PLA2R抗体≧50RU/mL、≧100RU/mL、≧150RU/mL、≧200RU/mL、≧250RU/mL、≧300RU/mL(血清ELISAによって検出)を有するステップとを含む。
一実施形態では、抗PLA2R力価は血清ELISAによって決定される。
別の実施形態では、フェルザルタマブ(MOR202)またはフェルザルタマブのバイオシミラーは、抗PLA2R陽性aMN患者における抗PLA2R自己抗体力価の減少に使用される。
一実施形態では、決定された固定用量の抗体は、最初の3週間に週1回(QW)または2週間に1回(q2w)投与される。
別の実施形態では、抗体は、i)1日目、8日目、15日目、29日目、及び57日目、またはii)1日目及び15日目の間隔で投与される。
別の実施形態では、抗PLA2R陽性膜性腎症の治療に使用するための抗体は、24週間の治療期間中、1日目、8日目、15日目、22日目の間隔で投与され、続いて29日目、57日目、85日目、113日目、及び141日目に投与される。
別の実施形態では、抗PLA2R陽性膜性腎症の治療に使用するための抗体は、24週間の治療期間中、1日目、8日目、15日目、及び22日目、続いて29日目、57日目、85日目、113日目、及び141日目の間隔で16mg/kgで投与される。
一実施形態では、抗体は、抗PLA2R陽性膜性腎症を治療するために使用され、上記抗体は16mg/kgで投与され、抗体はベースラインの抗PLA2R力価から>10%、>15%、>20%、>25%、>30%、>35%、>40%、>45%、>50%、>55%、>60%、>65%、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%または100%の変化をもたらす。
一実施形態では、抗体は抗PLA2R陽性膜性腎症を治療するために使用され、上記抗体は16mg/kgで投与され、抗体はサイクル1の8日目でベースラインの抗PLA2R力価から>10%、>15%、>20%、>25%、>30%、>35%、>40%、>45%、>50%、>55%、>60%、>65%、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%または100%の変化をもたらす。
別の実施形態では、フェルザルタマブ(MOR202)またはフェルザルタマブのバイオシミラーは、抗PLA2R陽性aMN患者における抗PLA2R自己抗体力価の減少に使用され、ベースラインと比較した抗PLA2R自己抗体力価の減少がサイクル8の1日目で>10%、>15%、>20%、>25%、>30%、>35%、>40%、>45%、>50%、>55%、>60%、>65%、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%または100%である。
別の実施形態では、フェルザルタマブ(MOR202)またはフェルザルタマブのバイオシミラーは、抗PLA2R陽性aMNを有する対象における抗PLA2R自己抗体力価の減少に使用され、対象の血清抗PLA2R抗体が≧50RU/mLであり、ベースラインと比較した抗PLA2R自己抗体力価の減少がサイクル8の1日目で>10%、>15%、>20%、>25%、>30%、>35%、>40%、>45%、>50%、>55%、>60%、>65%、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%または100%である。
別の実施形態では、抗体は抗PLA2R陽性膜性腎症を治療するために使用され、上記抗体は16mg/kgで投与され、抗体はベースラインの抗PLA2R力価から25~80%の変化をもたらす。
別の実施形態では、抗体は、抗PLA2R陽性膜性腎症を治療するために使用され、上記抗体は16mg/kgで投与され、抗体は4週間の治療にわたってベースラインの抗PLA2R力価から25~80%の変化をもたらす。
別の実施形態では、抗体は抗PLA2R陽性膜性腎症を治療するために使用され、上記抗体は16mg/kgで投与され、抗体はベースラインの抗PLA2R力価から>80%の変化をもたらす。
別の実施形態では、抗体は抗PLA2R陽性膜性腎症を治療するために使用され、上記抗体は16mg/kgで投与され、この抗体は、4週間の治療にわたってベースラインの抗PLA2R力価から>80%の変化をもたらす。
別の実施形態では、抗体は、抗PLA2R陽性膜性腎症を治療するために使用され、上記抗体は16mg/kgで投与され、抗体は、4週間の治療にわたって抗PLA2R力価を安定化または維持する。
別の実施形態では、抗体は、抗PLA2R陽性膜性腎症を治療するために使用され、上記抗体は16mg/kgで投与され、抗体は4週間の治療期間にわたって抗PLA2R力価を増加させない。
一実施形態では、フェルザルタマブ(MOR202)またはフェルザルタマブのバイオシミラーは、抗PLA2R抗体減少薬剤として使用される。
一実施形態では、フェルザルタマブ(MOR202)またはフェルザルタマブのバイオシミラーは、抗PLA2R抗体力価安定化薬剤として使用される。
一実施形態では、抗PLA2R陽性aMNを有する治療対象は、尿タンパク質対クレアチニン比(UPCR、(g/g))≧3.0g/g、≧4.0g/g、≧5.0g/g、≧6.0g/g、または≧7.0g/gを有する。
別の実施形態では、24時間尿スクリーニングで抗PLA2R陽性aMNを有する治療対象は、タンパク尿が≧3.5g/24時間、≧4.0g/24時間、≧4.5g/24時間、または≧5.0g/24時間である。
実施例1:研究対象集団-NewPLACE研究(NCT04733040)
NewPLACE試験は、免疫抑制療法の適応となる抗PLA2R抗体陽性膜性腎症の対象におけるヒト抗体MOR202の有効性、安全性及び薬物動態/薬力学を評価する2群、多施設、非盲検、並行群間第II相試験である。
ClinicalTrials.gov識別子:NCT04733040-NewPLACE研究
患者は以下の基準を満たした場合に研究に参加する資格があった。
試験対象患者基準
・対象の年齢は≧18歳から≦80歳(インフォームドコンセントに署名した日)。
・スクリーニング時の尿タンパク質対クレアチニン比(UPCR)が≧3.0g/g(24時間の尿採取から測定)、または24時間尿からのタンパク尿が≧3.5g/24時間である。
・推定糸球体濾過速度(eGFR)は≧50ml/分/1.73mである。
(腎生検で間質性線維症及び尿細管萎縮(IFTA)スコアが<25%の場合、eGFR>30及び<50ml/分/1.73mを含み得る)。
・臨床実践及び科学的ガイドラインに従って、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)による適切な治療(十分な用量と治療期間)にも関わらず、自然寛解に至らない。対象がACEI及びARBに不耐症である場合、その理由を文書化し、メディカルモニタから登録の承認を得なければならない。
・5分間の休息後の収縮期血圧(BP)<150mmHg、拡張期血圧<100mmHgである。
・Euroimmun ELISAによって測定された血清抗PLA2R抗体は≧50.0RU/mLである。
・女性対象について、女性は妊娠しておらず、授乳中でもなく、以下の条件のうち少なくとも1つが当てはまる場合に参加資格がある。
a.妊娠の可能性のある女性(FCBP)ではない、または
b.治療期間中及びMOR202の最後の投与後少なくとも3か月間は避妊指導に従うことに同意するFCBP。
主な除外基準
・ヘモグロビン<80g/L(4.96mmol/L)
・血小板減少症:血小板<100.0x10/L
・好中球減少症:好中球<1.5x10/L
・白血球減少症:白血球<3.0x10/L
・低ガンマグロブリン血症:血清免疫グロブリン≦4.0g/L
・B細胞<5x10/L
・2型糖尿病:2型糖尿病の被験者は、スクリーニング前6か月以内に行われた腎生検で糖尿病性腎症の証拠のないMNが示され、
-糖化ヘモグロビン(HbA1c)<8.0%または64mmol/mol、
-糖尿病性網膜症は知られていない、
-末梢神経障害は知られていない、
によって示されるように糖尿病がコントロールされている場合にのみ臨床試験に参加できる。
・総ビリルビン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼまたはアラニンアミノトランスフェラーゼ>1.5xULN、アルカリホスファターゼ>3.0xULN。
主な結果の尺度
この研究の主な目的は、ベースラインと比較した3か月後の抗PLA2R抗体レベルの変化を特徴とする抗PLA2R抗体陽性膜性腎症患者におけるMOR202の2つの異なる投与計画の有効性を評価することである。
副次的結果の尺度
3か月、6か月、12か月、及び24か月後の免疫学的完全奏効(ICR)率の観点から、抗PLA2R抗体レベルを特徴とするMOR202の2つの異なる投与計画の有効性を評価する。
6か月、12か月、及び24か月の時点での総タンパク尿応答(OPR)率の観点から、MOR202の2つの異なる投与計画の有効性を評価する。
MOR202の安全性を評価するため、治療中に発生した有害事象(TEAE)の頻度、発生率、重症度から治療終了まで(治療期間あたり平均3か月)を評価する。
経時的な血清濃度によって決定されるMOR202のPKプロファイルを評価する。
抗薬物抗体の形成によって決定されるMOR202の潜在的な免疫原性(すなわち、抗MOR202抗体を発現する対象の数)を調査する。
実施例2:線量モデリング
以前、MM患者を対象としたヒト初臨床試験MOR202C101の結果に基づいて、フェルザルタマブの集団PK(POP-PK)モデルが確立された(NCT01421186;Raab MS,et al.The Lancet Haematology.2020;7(5):e381-e394)。aMN患者の治療に適した用量と投与計画を予測するために、両方の集団間の総CD38レベルの違いを考慮して、既存のPop-PKモデルをaMN患者に適応させた。aMN対象は、健康なボランティア(HV)と同様のCD38発現レベルを有すると仮定された(発現レベル=細胞型当たりのCD38分子数×細胞数)。MM患者の場合、同量のCD38発現にMM腫瘍細胞集団を加えたものと仮定した。総CD38発現の値は様々な出版物から得られた。(Brooimans RA et al. Cytometry.Part B,Clinical cytometry 76(1),S.18-26;Donohue DM,et al.The Journal of clinical investigation 37(11),S.1564-1570;Terstappen LW et al..Blood 76(9),S.1739-1747;Muschler GF et al.J.Orthop.Res.19(1),S.117-125;Hernigou P et al.International orthopaedics 37(11),S.2279-2287;Fennema EM,et al.Acta orthopaedica 80(5),S.618-621;Halliley JL,Tipton C,Liesveld J,et al.Immunity 43(1),S.132-145;Loken MR,et al.Cytometry.Part B,Clinical cytometry 76(1),S.27-36;Mei HE,et al.Blood 125(11),S.1739-1748;Sambuceti G,et al. European journal of nuclear medicine and molecular imaging 39(8),S.1326-1338;Trepel F(1974)Klinische Wochenschrift 52(11),S.511-515;Hassan et al.Journal of the Royal Society of Medicine 97(10),S.465-471)。
この評価に基づいて、CD38発現の合計について以下の値が使用され、MM患者ではaMN患者と比較して4.54倍高い標的発現が得られた。
MM患者の平均CD38発現レベル:約3.5x10^16分子
IgAN患者の平均CD38発現レベル:約7.7x10^15分子
この係数は、モデルのミカエリス・メンテン様の非線形クリアランス項部分を調整することにより、FiH研究MOR202C101の既存のPOP-PKモデルに実装された。
ステップ2では、aMN対象に対する上記Pop-PKモデルを、最小限の生理学的PKモデル(mPBPKモデル)と組み合わせた。この組み合わせにより、PK/PDモデリングアプローチが実現され、様々な臓器におけるフェルザルタマブレベルの予測が可能になった。フェルザルタマブの主な標的細胞(すなわち、CD38高発現形質細胞)は主に、モノクローナル抗体が限られた分布しか示さない区画(例えば、骨髄の免疫ニッチ)に位置するため、ステップ2は重要であった。
MOR202の主な作用機序(すなわち、ADCC及びADCP)を考慮すると、CD38占有率が臨床効果を評価するための関連するPDパラメータとして特定された。インビトロ実験で示されたように、フェルザルタマブ誘導性の細胞死滅は、標的細胞の細胞表面に発現するCD38分子の数、及び細胞当たりに結合するフェルザルタマブ分子の数に依存した(Boxhammer R(2015).MOR202,a Human Anti-CD38 Monoclonal Antibody,Mediates Potent Tumoricidal Activity In Vivo and Shows Synergistic Efficacy in Combination with Different Antineoplastic Compounds.Poster Publication ASH)。エフェクター細胞として十分かつ活性なNK細胞またはマクロファージが存在すると仮定すると、両方の作用機序で高い細胞死滅が細胞あたり約≧150,000個の抗体結合(ABC)で観察された。ABCレベルが減少すると、細胞殺傷効果が低下する。骨髄内の形質細胞当たり平均CD38発現率が約430,000分子であることを考慮すると、適切な細胞死滅を誘導するには、目標占有率約35%を達成する必要がある。それにも関わらず、特に治療の開始時には、形質細胞上のCD38発現の違い(約220,000~780,000のABCの範囲)や、NK/マクロファージ細胞の数や細胞活性の違いなどの個人間のばらつきを考慮して、より高い目標占有率が好ましいと考えられる。
どのフェルザルタマブ用量がそのような目標占有率を保証するかを評価するために、確立されたPK/PDモデルをシミュレーションに使用し、以下のことを仮定した。
・フェルザルタマブの主な標的細胞(すなわち、CD38高発現形質細胞)は主に、モノクローナル抗体が限られた分布しか示さない区画(例えば、骨髄)に位置し、そして、
・CD38代謝回転の特定の時間範囲を考慮することによるものである。
5回目と2回目の投与スケジュールを考慮して、固定用量のフェルザルタマブ1300mgを投与した85kgのaMN患者のCD38占有率をシミュレーションした結果を図3にまとめる。フェルザルタマブを5回投与すると、最良の場合のシミュレーションシナリオ(CD38の半減期は800分、薬物分配係数は0.85)で、治療の最初の1か月間で目標占有率が81%~92%と予測された。最悪の場合のシミュレーションシナリオでは、治療の最初の1か月間で37%~54%の目標占有率が予測された(CD38の半減期は80分、薬物分配係数は0.95)。フェルザルタマブを2回投与した場合、目標占有率は最良のシナリオでは81%~88%、最悪のシナリオでは24%~52%と予測された。実施例3に示すように、他の体重範囲についても同様の結果が観察された。
実施例3:NewPLACE-投与
MOR202は患者の体重に応じて投与される。体重は注入の前日、または好ましくは当日に測定する必要がある。4つの体重範囲に相当して4つの固定用量レベルが使用される。
Figure 2024525870000001
M1群:
1日目、8日目、15日目、29日目及び57日目にMOR202を5回投与
M2群:
1日目及び15日目にMOR202を2回投与
6か月後(183日目)に抗PLA2R抗体レベルにICRがないM1群の対象は、204日目から始まる同じ治療コースを受ける(5回投与)。免疫学的部分奏効(IPR)を有するM2群の対象は、204日目から同じ治療コースを受けることになる(2回投与)。6か月後(183日目)の時点で抗PLA2R抗体レベルがICRもIPRもなかったM2群の対象は、204日目から始まる5回投与療法を受ける(5回投与)。従って、対象は、1日目、8日目、15日目、29日目、及び57日目に投与される5回の用量、または1日目及び15日目に投与される2回の用量で、1用量当たり(静脈内、IV)650mg~1625mgのMOR202を受けることになる。
MOR202による注入関連反応(IRR)のリスクを軽減する薬剤は、注入の30~60分前に投与する必要がある。
・経口パラセタモール650~1,000mg
・経口または静脈内ジフェンヒドラミン25~50mgまたは同等品
・メチルプレドニゾロン100mgまたは同等品を静脈内投与
MOR202の最初の注入は約90分間続く。注入反応が起こらない場合、注入時間は2回目の投与では1時間に短縮されてよく、またはそれ以降の注入ではさらに短くなってもよい。注入時間は30分以上でなければならない。
Figure 2024525870000002
6か月の来院時(すなわち、183日目)に抗PLA2R抗体レベルの完全奏効が観察されない場合には、対象は204日目に再度治療を受けてもよい。
実施例4:予備段階の結果New-PLACE(NCT04733040)
フェルザルタマブによる治療開始から8週間後の抗PLA2R抗体レベルの予備評価を図4(コホートM1、5回投与スケジュール)及び図5(コホートM2、2回投与スケジュール)に示す。ほとんどの患者で、8週間の治療後に抗PLA2R抗体レベルの低下が観察された。コホートM1(5回投与スケジュール)の少数の患者では(図4)、8週間の治療後に抗PLA2R抗体レベルの低下が観察されず、自己抗体レベルの強い増加はなかった。コホートM2(2回投与スケジュール)(図5)のほとんどの患者は、8週間の治療後に抗PLA2R抗体レベルの大幅な減少で応答した。コホートM2(2回投与スケジュール)では自己抗体の低下が起こらなかった少数の患者における自己抗体レベルの増加は、コホートM1(5回投与スケジュール)の対応する患者の場合より顕著であるように見えた。
全体として、8週間の治療後に観察された抗PLA2R抗体力価の減少はコホートとは無関係であり、フェルザルタマブで治療された患者のほとんどでCD38+形質細胞の除去が成功したことを示唆する。
実施例5:予備段階の結果M-PLACE(NCT04145440)
施設調査員によれば、登録された患者は、ISTを必要とする生検で証明された抗PLA2R陽性MNを有する18~80歳の患者であった。その他の主要な試験対象患者基準は以下のとおりである。
-24時間尿スクリーニングによる尿タンパク質対クレアチニン比(UPCR)≧3.0g/g、またはタンパク尿≧3.5g/24時間
-推定糸球体濾過速度(eGFR)≧50mL/分/1.73m、またはeGFR≧30かつ<50mL/分/1.73mで、腎生検における間質性線維症及び尿細管萎縮スコアが<25%である。
合計31人の患者が2つのコホートのいずれかに登録された。
-コホート1:新規診断した患者(コホート1A)及び以前の治療で再発した患者(コホート1B)、血清抗PLA2R抗体が≧50RU/mLである患者(中央検査室、Euroimmun ELISA)
-コホート2:以前のISTに難治性であり、別のISTを必要とする抗PLA2R陽性MN患者
患者は、治療の最初の1か月間は週に1回、その後は4週間に1回、フェルザルタマブ16mg/kgを9回静脈内(IV)投与された(図6)。治療終了後、患者は最長28週間追跡調査を受け続けた。
主要評価項目は、治療中に発生した有害事象(TEAE)の発生率と重症度であった。TEAEは、National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events バージョン5.0に従って等級付けされた。
主要な副次評価項目は、最良の免疫応答、免疫学的完全奏効(ICR)率、及び血清抗PLA2R抗体力価の減少に基づく免疫学的部分奏効(IPR)であった。
-ICRは、抗PLA2R抗体力価が<14RU/mLまで減少したことと定義された。
-IPRは、ベースラインからの抗PLA2R抗体力価の>50%減少として定義された。
薬物動態(PK、フェルザルタマブ血清レベル)及び免疫原性(抗薬物抗体)は、研究期間中の全ての患者の選択された時点で評価された。最初のヒト研究(NCT01421186)からのPKデータとMN患者における予想される総CD38発現率に基づいて、研究開始前にPKのモデルベースの予測が実行された。
試験治療期間では、最初の3人の患者が治療を受け、サイクル2の1日目まで、または治療中止につながる毒性が示されるまで観察された。さらなる患者の治療開始は試験治療期間が終了するまで一時停止され、試験治療期間に参加した患者はプロトコルに従って試験を継続した。
予備段階の結果(M-PLACE):
31人の患者が登録された(コホート1A:15人の患者、コホート1B:3人の患者、コホート2:13人の患者)。
Figure 2024525870000003
Figure 2024525870000004
安全性
試験治療下で発生した有害事象(AE)は、ほとんどの場合重症度が軽度であり、研究はプロトコルに従って続行できた。安全性プロファイルはフェルザルタマブの作用機序と一致しており、AEは管理可能であった。31人の患者のうち、26人(84%)が164件のTEAEを経験した。患者31人のうちの5人(16%)が5件の治療中に発生した重篤なAE(SAE)を経験し、2件の事象はフェルザルタマブに関連すると考えられ(1件はI型過敏症、1件はIRR)、3件の事象はフェルザルタマブに関連しなかった。致命的な結果をもたらす出来事はなかった。患者31人のうちの7人(23%)が10件の治療中に発生した特別な有害事象(AESI)を経験し、その大多数はフェルザルタマブに対するアレルギー反応であった(患者4人のうちの7件)。その他のAESIは、グレード3の好中球減少症1件、グレード3のIRR 1件、及びグレード4のCOVID-19(フェルザルタマブとは関連しないと考えられる)1件であった。患者31人のうちの4人(13%)がAEによってフェルザルタマブ治療を中止し、グレード3の胸痛が1人、グレード3のI型過敏症が1人、グレード4の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が1人、グレード3のIRRが1人である。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を除き、全ての出来事はフェルザルタマブに関連するとみなされた。
薬物動態及び免疫原性
治療の最初の1か月間にわたるフェルザルタマブの血清レベルの評価後、全ての患者が予想される濃度範囲での薬物曝露を示した(図7)。患者31人のうちの21人で抗薬物抗体(ADA)が分析された。2人の患者は既存のADAを有したが、最初の投与後にフェルザルタマブのPKに対する影響は観察されなかった。治療によって増加したADAや治療によって新たに生じたADAは検出されなかった。
免疫応答
登録された患者31人のうち、25人は1週間の治療後に抗PLA2R抗体レベルの初期低下を示し、3人は増加し、3人は来院しなかったまたは早期中止によりサイクル1の8日目のデータが利用できなかった(図8)。ほぼ全ての患者が、サイクル1の8日目までに免疫応答を経験し、フェルザルタマブは、抗PLA2R陽性MN患者の抗PLA2R抗体力価を急速かつ実質的に減少させた。
長期(≧4週間)の抗PLA2R抗体動態に基づいて、両方のコホートにわたって3つのサブグループが特定された(図9)。
-抗PLA2R力価が継続的かつ大幅に減少している患者:ベースラインからの変化が>80%の減少、または最後の訪問時に絶対値が<20U/mL(n=6)
-抗PLA2R力価が中程度に減少した患者:最後の訪問時にベースラインからの変化が25~80%の減少(n=9)
-可変な抗PLA2R力価を有する患者:大幅減少または中間的な減少の基準を満たさない(n=14)。これらの患者の力価は、時間の経過と共に一定の範囲内にあるようであり、自己抗体レベルの継続的な増加は見られない。
データは予備的なものではあるが、最初のフェルザルタマブ投与から1週間後に、ほとんどの患者で抗PLA2R抗体力価の初期の急速な減少が観察され、MN患者で予想されたように、全体的な反応の程度は不均一であった(Gu Y,et al.Biomolecules 2021;11(4):513)。観察された抗PLA2R抗体力価の減少はコホートとは無関係であり、CD38+形質細胞の枯渇が成功したことを示唆する。
治療開始後6か月後の早期評価では、大多数の患者において抗PLA2R抗体力価の減少がUPCRの低下と関連しており、臨床反応に対する抗PLA2R抗体レベルの潜在的な役割を更に裏付けている。

Claims (70)

  1. 自己抗体媒介膜性腎症を有する対象の治療に使用するためのCD38に特異的な抗体であって、配列GFTFSSYYMN(配列番号12)またはSYYMN(配列番号1)のHCDR1領域と、配列GISGDPSNTYYADSVKG(配列番号2)のHCDR2領域と、配列DLPLVYTGFAY(配列番号3)のHCDR3と、配列SGDNLRHYYVY(配列番号4)のLCDR1領域と、配列GDSKRPS(配列番号5)のLCDR2領域と、配列QTYTGGASL(配列番号6)のLCDR3領域とを含み、前記抗体は、固定用量レベルで投与される、前記抗体。
  2. 前記自己抗体媒介膜性腎症は、抗PLA2R陽性膜性腎症である、請求項1に記載の使用するための抗体。
  3. 前記抗体は、前記対象の体重範囲に相当する固定用量で投与される、請求項1または2に記載の使用するための抗体。
  4. 前記抗体は、それぞれ<50kg、50.5~70kg、70.5~90kg、>90.5kgの体重範囲に相当する、650mg、975mg、1300mgまたは1625mgの固定用量で投与される、請求項3に記載の使用するための抗体。
  5. 前記抗体は、16mg/kgの固定用量で投与される、請求項1または2に記載の使用するための抗体。
  6. 前記抗体は、最初の3週間に週1回(QW)投与される、先行の請求項のいずれか一項に記載の使用するための抗体。
  7. 前記抗体は、2週間に1回(q2w)投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用するための抗体。
  8. 前記抗体は、i)3か月の治療期間を表す1日目、8日目、15日目、29日目、及び57日目、またはii)1か月の治療期間を表す1日目及び15日目の間隔で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用するための抗体。
  9. 前の治療期間の終了後3または5か月後に再治療することを更に含む、請求項8に記載の使用するための抗体。
  10. 前記抗体は、24週間の治療期間中、1日目、8日目、15日目、及び22日目の間隔で投与され、続いて29日目、57日目、85日目、113日目、及び141日目に投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用するための抗体。
  11. 前記抗体は、85日の治療間隔で2回投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用するための抗体。
  12. 前記抗体は、85日の治療間隔で5回投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用するための抗体。
  13. 前記抗体は、24週間の治療間隔で9回投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用するための抗体。
  14. 前記抗体は、141日の治療間隔で9回投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用するための抗体。
  15. 前記抗体は、治療の最初の1か月間は週に1回、前記最初の1か月間の後は4週間に1回投与される、請求項5に記載の使用するための抗体。
  16. 前記抗体は、静脈内投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用するための抗体。
  17. 前記抗体は、2時間かけて静脈内投与される、請求項16に記載の使用するための抗体。
  18. スクリーニング時の前記対象の抗PLA2R抗体の血清レベルが≧50RU/mL、≧100RU/mL、≧150RU/mL、≧200RU/mL、≧250RU/mL、≧300RU/mLである、先行請求項のいずれか一項に記載の使用するための抗体。
  19. 前記対象の抗PLA2R抗体の血清レベルが≧150RU/mLである、請求項18に記載の使用するための抗体。
  20. 前記対象の尿タンパク質対クレアチニン比(UCPR、g/g))が≧3.0g/g、≧4.0g/g、≧5.0g/g、≧6.0g/g、または≧7.0g/gである、先行請求項のいずれか一項に記載の使用するための抗体。
  21. 24時間尿スクリーニングで、前記対象は、タンパク尿が≧3.5g/24時間、≧4.0g/24時間、≧4.5g/24時間、または≧5.0g/24時間である、先行請求項のいずれか一項に記載の使用するための抗体。
  22. 前記抗体はベースラインの抗PLA2R力価から>10%、>15%、>20%、>25%、>30%、>35%、>40%、>45%、>50%、>55%、>60%、>65%、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%または100%の変化をもたらす、先行請求項のいずれか一項に記載の使用するための抗体。
  23. 前記対象の血清抗PLA2R抗体が≧50RU/mLであり、ベースラインと比較した抗PLA2R自己抗体力価の減少がサイクル1の8日目で>10%、>15%、>20%、>25%、>30%、>35%、>40%、>45%、>50%、>55%、>60%、>65%、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%または100%である、請求項22に記載の使用するための抗体。
  24. 前記抗体はサイクル1の8日目でベースラインの抗PLA2R力価から>10%、>15%、>20%、>25%、>30%、>35%、>40%、>45%、>50%、>55%、>60%、>65%、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%または100%の変化をもたらす、請求項5に記載の使用するための抗体。
  25. 前記抗体は、ベースラインの抗PLA2R力価から25%~80%の変化をもたらす、請求項5に記載の使用するための抗体。
  26. 前記抗体は、4週間の治療期間にわたってベースラインの抗PLA2R力価から25%~80%の変化をもたらす、請求項25に記載の使用するための抗体。
  27. 前記抗体は、ベースラインの抗PLA2R力価から>80%の変化をもたらす、請求項5に記載の使用するための抗体。
  28. 前記抗体は、4週間の治療期間にわたってベースラインの抗PLA2R力価から>80%の変化をもたらす、請求項27に記載の使用するための抗体。
  29. 前記抗体は、4週間の治療期間にわたって抗PLA2R力価を増加させない、請求項5に記載の使用するための抗体。
  30. 前記抗体は、配列
    QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYYMNWVRQAPGKGLEWVSGISGDPSNTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDLPLVYTGFAYWGQGTLVTVSS(配列番号7)
    の可変重鎖と、配列
    DIELTQPPSVSVAPGQTARISCSGDNLRHYYVYWYQQKPGQAPVLVIYGDSKRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAEDEADYYCQTYTGGASLVFGGGTKLTVLGQ(配列番号8)
    の可変軽鎖と、を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の使用するための抗体。
  31. 前記抗体は、IgG1 Fc領域を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の使用するための抗体。
  32. 前記抗体は、650mg~1,000mgの経口パラセタモールと組み合わせて投与するために配合される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用するための抗体。
  33. 前記抗体は、25mg~50mgの経口または静脈内ジフェンヒドラミンと組み合わせて投与するために配合される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用するための抗体。
  34. 前記抗体は、100mgの静脈内メチルプレドニゾロンまたはその同等品と組み合わせて投与するために配合される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用するための抗体。
  35. 抗PLA2R媒介性膜性腎症を有する対象の治療に使用するためのフェルザルタマブまたはフェルザルタマブのバイオシミラーであって、フェルザルタマブまたはフェルザルタマブのバイオシミラーは、それぞれ<50kg、50.5~70kg、70.5~90kg、>90.5kgの体重範囲に相当する、650mg、975mg、1300mg、または1625mgの固定用量で投与され、フェルザルタマブまたはフェルザルタマブのバイオシミラーは、i)3か月の治療期間を表す1日目、8日目、15日目、29日目、及び57日目、またはii)1か月の治療期間を表す1日目及び15日目の間隔で投与され、必要に応じて、前の治療期間の終了後3か月または5か月後に再治療を行い、ならびに、
    フェルザルタマブまたはフェルザルタマブのバイオシミラーは静脈内投与される、前記フェルザルタマブまたはフェルザルタマブのバイオシミラー。
  36. 自己抗体媒介膜性腎症の治療方法であって、配列GFTFSSYYMN(配列番号12)またはSYYMN(配列番号1)のHCDR1領域と、配列GISGDPSNTYYADSVKG(配列番号2)のHCDR2領域と、配列DLPLVYTGFAY(配列番号3)のHCDR3と、配列SGDNLRHYYVY(配列番号4)のLCDR1領域と、配列GDSKRPS(配列番号5)のLCDR2領域と、配列QTYTGGASL(配列番号6)のLCDR3領域とを含む、CD38に特異的な抗体の治療有効量を、治療を必要とする対象に投与することを含み、前記抗体は、固定用量レベルで投与される、前記方法。
  37. 前記自己抗体媒介膜性腎症は、抗PLA2R陽性膜性腎症である、請求項36に記載の方法。
  38. 前記抗体は、前記対象の体重範囲に相当する固定用量で投与される、請求項36または37に記載の方法。
  39. 前記抗体は、それぞれ<50kg、50.5~70kg、70.5~90kg、>90.5kgの体重範囲に相当する、650mg、975mg、1300mgまたは1625mgの固定用量で投与される、請求項38に記載の方法。
  40. 前記抗体は、16mg/kgの固定用量で投与される、請求項36~37に記載の方法。
  41. 前記抗体は、最初の3週間に週1回(QW)投与される、請求項36~40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 前記抗体は、2週間に1回(q2w)投与される、請求項36~41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記抗体は、i)3か月の治療期間を表す1日目、8日目、15日目、29日目、及び57日目、またはii)1か月の治療期間を表す1日目及び15日目の間隔で投与される、請求項36~42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前の治療期間の終了後3または5か月後に再治療することを更に含む、請求項43に記載の方法。
  45. 前記抗体は、24週間の治療期間中、1日目、8日目、15日目、及び22日目の間隔で投与され、続いて29日目、57日目、85日目、113日目、及び141日目に投与される、請求項36~40のいずれか一項に記載の方法。
  46. 前記抗体は、85日の治療間隔で2回投与される、請求項36~40のいずれか一項に記載の方法。
  47. 前記抗体は、85日の治療間隔で5回投与される、請求項36~40のいずれか一項に記載の方法。
  48. 前記抗体は、24週間の治療間隔で9回投与される、請求項36~40のいずれか一項に記載の方法。
  49. 前記抗体は、141日の治療間隔で9回投与される、請求項36~40のいずれか一項に記載の方法。
  50. 前記抗体は、治療の最初の1か月間は週に1回、前記最初の1か月間の後は4週間に1回投与される、請求項40に記載の方法。
  51. 前記抗体は、静脈内投与される、請求項36~50のいずれか一項に記載の方法。
  52. 前記抗体は、2時間かけて静脈内投与される、請求項51に記載の方法。
  53. スクリーニング時の前記対象の抗PLA2R抗体の血清レベルが≧50RU/mL、≧100RU/mL、≧150RU/mL、≧200RU/mL、≧250RU/mL、≧300RU/mLである、請求項36~52のいずれか一項に記載の方法。
  54. 前記対象の抗PLA2R抗体の血清レベルが≧150RU/mLである、請求項53に記載の方法。
  55. 前記対象の尿タンパク質対クレアチニン比(UCPR、g/g))が≧3.0g/g、≧4.0g/g、≧5.0g/g、≧6.0g/g、または≧7.0g/gである、請求項36~54のいずれか一項に記載の方法。
  56. 24時間尿スクリーニングで、前記対象は、タンパク尿が≧3.5g/24時間、≧4.0g/24時間、≧4.5g/24時間、または≧5.0g/24時間である、請求項36~55のいずれか一項に記載の方法。
  57. 前記抗体はベースラインの抗PLA2R力価から>10%、>15%、>20%、>25%、>30%、>35%、>40%、>45%、>50%、>55%、>60%、>65%、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%または100%の変化をもたらす、請求項36~56のいずれか一項に記載の方法。
  58. 前記対象の血清抗PLA2R抗体が≧50RU/mLであり、ベースラインと比較した抗PLA2R自己抗体力価の減少がサイクル1の8日目で>10%、>15%、>20%、>25%、>30%、>35%、>40%、>45%、>50%、>55%、>60%、>65%、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%または100%である、請求項57に記載の方法。
  59. 前記抗体はサイクル1の8日目でベースラインの抗PLA2R力価から>10%、>15%、>20%、>25%、>30%、>35%、>40%、>45%、>50%、>55%、>60%、>65%、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%または100%の変化をもたらす、請求項40に記載の方法。
  60. 前記抗体は、ベースラインの抗PLA2R力価から25%~80%の変化をもたらす、請求項40に記載の方法。
  61. 前記抗体は、4週間の治療期間にわたってベースラインの抗PLA2R力価から25%~80%の変化をもたらす、請求項60に記載の方法。
  62. 前記抗体は、ベースラインの抗PLA2R力価から>80%の変化をもたらす、請求項40に記載の方法。
  63. 前記抗体は、4週間の治療期間にわたってベースラインの抗PLA2R力価から>80%の変化をもたらす、請求項62に記載の方法。
  64. 前記抗体は、4週間の治療期間にわたって抗PLA2R力価を増加させない、請求項40に記載の方法。
  65. 前記抗体は、配列
    QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYYMNWVRQAPGKGLEWVSGISGDPSNTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDLPLVYTGFAYWGQGTLVTVSS(配列番号7)
    の可変重鎖と、配列
    DIELTQPPSVSVAPGQTARISCSGDNLRHYYVYWYQQKPGQAPVLVIYGDSKRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAEDEADYYCQTYTGGASLVFGGGTKLTVLGQ(配列番号8)
    の可変軽鎖と、を含む、請求項36~64のいずれか一項に記載の方法。
  66. 前記抗体は、IgG1 Fc領域を含む、請求項36~65のいずれか一項に記載の方法。
  67. 前記抗体は、650mg~1,000mgの経口パラセタモールと組み合わせて投与される、請求項36~66のいずれか一項に記載の方法。
  68. 前記抗体は、25mg~50mgの経口または静脈内ジフェンヒドラミンと組み合わせて投与される、請求項36~67のいずれか一項に記載の方法。
  69. 前記抗体は、100mgの静脈内メチルプレドニゾロンまたはその同等品と組み合わせて投与される、請求項36~68のいずれか一項に記載の方法。
  70. 抗PLA2R媒介膜性腎症を治療する方法であって、治療有効量のフェルザルタマブまたはフェルザルタマブのバイオシミラーを、治療を必要とする対象に投与することを含み、フェルザルタマブまたはフェルザルタマブのバイオシミラーは、それぞれ<50kg、50.5~70kg、70.5~90kg、>90.5kgの体重範囲に相当する、650mg、975mg、1300mg、または1625mgの固定用量で投与され、フェルザルタマブまたはフェルザルタマブのバイオシミラーは、i)3か月の治療期間を表す1日目、8日目、15日目、29日目、及び57日目、またはii)1か月の治療期間を表す1日目及び15日目の間隔で投与され、必要に応じて、前の治療期間の終了後3か月または5か月後に再治療を行い、ならびに、フェルザルタマブまたはフェルザルタマブのバイオシミラーは静脈内投与される、前記方法。
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