JP2024521001A - 高感度な分析物検出アッセイのための方法及びそのためのキット - Google Patents

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Abstract

【課題】温度循環又は37℃を超える温度を必要とせず、いくつかのステップ及び試薬並びに標準機器のみを必要とする、生物学的又は化学的分析物の検出のための単純で高感度な方法の提供。【解決手段】分析物に特異的に結合する能力があるリガンドの使用を含む、サンプル中の目的の分析物の検出のための方法であって、リガンドは、18~40ヌクレオチドの長さを有するオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマー、オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーより長く、及びオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーと少なくとも部分的に相補的である配列を有するポリリボヌクレオチド鋳型、複数の標識デオキシリボヌクレオチド三リン酸及び逆転写酵素活性を有する酵素を含み、分析物は、酵素によって合成された任意の標識DNA鎖を検出することによって検出される、方法に関する。本発明は、こうした方法を実施するための試薬を含むキットにも関する。【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、概して、生体分子の検出の分野に関する。より具体的には、本発明は、リガンド-分析物結合アッセイにおいて検出可能なシグナルを増幅するための核酸重合の使用に関する。
緒言
リガンド結合アッセイは、薬剤、抗原及び抗体などの広範囲な化合物を同定及び定量するための強力なツールを表す。リガンド結合アッセイのある1つのクラスでは、抗体がリガンド結合成分として使用される。酵素免疫測定法は、ELISA(酵素結合免疫吸着測定)及びCLIA(化学発光免疫測定法)などの種々のフォーマットで存在する。古典的な酵素免疫測定法では、最良の場合で1pg/mlの感度が達成される。およそ20キロダルトンに等しい分子量(Mw)を有する典型的なタンパク質の場合、1pg/mlは、およそ3×10分子/ml又は50アトモル/mlに等しい。この感度は、ほぼ全ての生物医学的課題に対して十分であると考えられている。
しかし、近年、生物医学的診断における多くの新たな課題として、低存在量バイオマーカーの最適な検出のために数百倍の感度増加が要求されることが示唆されている。感度増加の別の明らかな利点は、生物学的マトリックスの干渉効果がサンプルの単純希釈によって相殺可能であり、アッセイ性能の低下を伴わないことである。
古典的な酵素免疫測定法では、シグナル生成系における制限に起因して、また系のバックグラウンド、すなわちシグナル生成成分の系における材料との非特異的結合に起因して、特定の数を下回る分子を検出することができない。
感度が改善されたいくつかの技術、例えばDNA増強免疫測定法(イムノポリメラーゼ連鎖反応(iPCR))、(Cantor et al, Science, Vol. 258, 2 Oct. 1992、米国特許第5665539号)、電気化学発光(Wei and Wang 2011)及び単一分子計数(Todd et al 2007)が登場してこれらの要求を満たしている。以下の文章では、主にイムノPCR、すなわち本発明と最も関連性がある先行技術に焦点を当てる。
国際特許公開国際公開第91/17442号は、免疫測定法でシグナルを増強するために使用されるタンパク質/核酸ハイブリッドプローブを記載している。プローブは、タンパク質部分、DNA依存性RNAポリメラーゼにおけるプロモーターとして機能する二本鎖ポリヌクレオチド及びプロモーターにおける一本鎖又は二本鎖鋳型を含む。タンパク質部分は、既知の抗原に特異的に結合する抗体として機能する能力があるポリペプチドである。転写産物は、標識された相補的ポリヌクレオチドプローブの使用により、別々のステップで定量される。
上記で言及されたCantor et al、米国特許第5665539号、Science, Vol. 258, 2 Oct. 1992は、結合された抗原の検出を可能にするための、オリゴヌクレオチドの抗体への付着を報告している。ビオチン及び免疫グロブリンGの両方に対する厳密な特異的結合親和性を有するストレプトアビジン-タンパク質Aキメラを使用して、ビオチン化DNAを、マイクロタイタープレートウェル上に固定化された抗原-モノクローナル抗体複合体に特異的に付着させた。次に、付着されたDNAのセグメントは、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によって増幅された。PCR産物の分析により、従来のELISAと比較して有意な改善である、9.6×10-22モルまで低く検出することができた)。しかし、Cantor et al.では、ビオチン化試薬及び結合タンパク質の添加のために余分なステップが要求される。各アッセイは、余分な試薬を除去し、非特異的に結合された試薬のアッセイを排除するため、20もの数の洗浄ステップを含み得る。これらの試薬の添加及び洗浄ステップのため、イムノPCR法に複雑性及び時間が加わる。
Hendrickson et al., Nucleic Acids Research, 1995, Vol 23, No. 3は、複雑性を低減する、Cantor et al.のアッセイの改善を報告している。いくつかの反応及び洗浄ステップは、DNAの抗体への直接的共有結合による抗体のDNAによる標識によって排除された。これら早期の免疫PCRアッセイにおけるPCR産物は、アガロースゲル電気泳動で分離され、様々な方法によって検出された。核酸及びタンパク質の両方の検出/定量のためのアッセイは、それ以来、PCR産物の検出のためのより効率的な方法の使用によって改善されている。最新のリアルタイムPCRアッセイでは、要求される波長での励起後、各増幅サイクル後に連続的に測定可能であるフルオロフォア標識ヌクレオチドが利用されている(レビューとして、Kralik, & Ricchi 2017を参照されたい)。
理論上、イムノPCRは、リガンド結合アッセイの検出感度を数桁改善する能力を有する。しかし、改善は、実際には3~10倍に制限されることが多い(例えば、Simonova et al 2018)。決定的な制限因子は、系のバックグラウンドであることが多い。陽性シグナルを増加させる標識システムは、一般に、バックグラウンドコントロールからのシグナルも確かに増加させる。米国特許出願公開第2005/0233351A1号は、これらの問題に対処している。抗原の異なる決定基に特異的であり、架橋可能なオリゴヌクレオチドとコンジュゲートされた2つの異なる抗体が抗原に結合される。オリゴヌクレオチドが増幅され、それにより互いに架橋されているこうしたオリゴヌクレオチドのみが増幅されることになる。このようにして、非特異的なバックグラウンドシグナルは、回避されるか又は少なくとも低減される。
全てのPCR検査に影響する基本的な問題は、イムノPCRに対しても支障となる。そのシステムは、汚染に感受性があり、偽陽性を引き起こす。別の障壁は、定量検出を可能にするために関連する増幅コントロールを設計することである。さらに、抗体-抗原相互作用に悪影響を及ぼす反復される高温循環など、イムノPCRにより特異的な一連の問題が存在する。抗体及び抗原の両方の構造は、それがペプチド又はタンパク質である場合に影響を受け、抗体-抗原結合の低下をもたらし得る。したがって、シグナル増幅からの感度の利得は、抗体-抗原結合の強度低下によって相殺され得る。
国際公開第2006/053380号は、例えば、分析物に特異的であり、ポリヌクレオチドにコンジュゲートされた抗体の使用を含む、サンプル中の分析物の存在又は不在についてスクリーニングする方法であって、ポリヌクレオチドを伸長するか又は相補的ポリヌクレオチドを生成することと、そのように伸長又は生成されたポリヌクレオチドを検出することとを含む方法を開示している。この方法に従って有意なシグナル増幅を達成するために要求される長い一本鎖の伸長されたポリヌクレオチドは、脆弱なものになるであろう。洗浄手順中の機械的ブレーキ並びにサンプル及び/又は試薬に起因するヌクレアーゼの効果の両方は、干渉し、不規則性をもたらし、シグナル増幅を制限し、この方法の有用性を妨げることになる。国際公開第2006/053380号は、相補的ポリヌクレオチドの生成に関する実施形態について詳述しないか又はそれを可能にせず、この実施形態に基づく実施例を提供していない。したがって、このモデルが実際に有用であり、及び/又は標準的なELISA検査と比較して検出感度の増加をもたらすか否かは、定かではない。
疑義を回避するために、先行技術の大まかな欠点又は短所に関する上記のあらゆる考察は、本発明の観点における技術に関する本発明者らの理解に基づき、こうした欠点及び短所は、当技術分野で認識若しくは公知されるか、理解されるか又は他に当業者にとって明白であったことの承認として解釈されるべきではない。
発明の概要
本発明は、先行技術の短所の少なくとも一部を解決することを目的とする。したがって、温度循環又は37℃を超える温度を必要とせず、いくつかのステップ及び試薬並びに標準機器のみを必要とする、生物学的又は化学的分析物の検出のための単純で高感度な方法が提供される。
第1態様における本発明は、サンプル中の目的の分析物の検出のための方法であって、
- 分析物に特異的に結合する能力がある第1リガンドを、リガンドの分析物への特異的結合を促進する条件下でサンプルと接触させることであって、第1リガンドは、分析物に特異的に結合する能力がある結合部分と、結合部分に結合されたオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーとを含み、オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーは、18~40ヌクレオチドの長さを有する、接触させることと;
- サンプルから非結合の第1リガンドを除去することと;
- 結合された第1リガンドを、オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーより長く、及びオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーと少なくとも部分的に相補的である配列を有するポリリボヌクレオチド鋳型;複数の標識デオキシリボヌクレオチド三リン酸;及び逆転写酵素活性を有する酵素と接触させることと;
- 結合されたオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーを含む結合された第1リガンド、ポリリボヌクレオチド鋳型、標識デオキシリボヌクレオチド三リン酸及び酵素を、前記酵素による標識DNA鎖の合成に適した条件下でインキュベートすることと;
- 任意の合成された標識DNA鎖を検出することと
を含む方法に関する。
一実施形態では、オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーは、4つの塩基A、G、T及びCの全てを含有するオリゴデオキシリボヌクレオチド若しくはそのサブセット又は単一の塩基を含有するオリゴデオキシリボヌクレオチド、好ましくはオリゴデオキシチミジンから選択される。
一実施形態では、標識デオキシリボヌクレオチドは、標識デオキシウリジン三リン酸(dUTP)、例えばブロモ-dUTP又はヨード-dUTP、好ましくはブロモ-dUTPであり、及びポリリボヌクレオチド鋳型は、ポリリボアデニル酸である。
一実施形態では、オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーは、22~40ヌクレオチドの長さを有する。
一実施形態では、ポリリボヌクレオチド鋳型は、10~10ヌクレオチド、好ましくは2×10~5×10ヌクレオチドの長さを有する。
一実施形態では、逆転写酵素活性を有する酵素は、真核生物ポリメラーゼ、例えばDNAポリメラーゼガンマ;ウイルスポリメラーゼ、例えばレトロウイルス逆転写酵素、好ましくはHIV若しくはM-MuLV逆転写酵素又は細菌ポリメラーゼ、例えば中温性細菌由来の細菌ポリメラーゼ、好ましくは大腸菌(E. coli)DNAポリメラーゼIのクレノウ断片若しくは好熱性細菌由来の細菌ポリメラーゼ、好ましくはバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)由来のBst3.0である。
一実施形態では、逆転写酵素活性を有する酵素は、DNAポリメラーゼガンマ、HIV又はM-MuLV逆転写酵素、大腸菌(E. coli)DNAポリメラーゼIのクレノウ断片及びバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus Stearothermophilus)由来のBst3.0からなる群から選択される。
一実施形態では、インキュベーションステップは、一定の温度、好ましくは37℃で30分~4時間、好ましくは1時間にわたって実施される。
一実施形態では、検出は、
- 標識DNA鎖に特異的に結合する能力がある第2リガンドを、合成された標識DNA鎖と、第2リガンドのDNA鎖への特異的結合を促進する条件下で接触させるステップであって、第2リガンドは、合成された標識DNAに特異的に結合する能力がある結合部分と、共有結合された酵素とを含む、ステップと;
- サンプルから非結合の第2リガンドを除去するステップと;
- 結合された酵素による切断時に検出可能なシグナルを生成する、結合された酵素のための基質を添加するステップと;
- 前記シグナルを検出するステップと
を含む検出方法を通して実施される。
一実施形態では、第2リガンドは、合成された標識DNAに特異的に結合する抗体であって、それに共有結合された酵素、例えばアルカリホスファターゼ又はホースラディッシュペルオキシダーゼを有する抗体である。
一実施形態では、共有結合された酵素は、基質に対して作用して、比色分析、蛍光、化学発光又は電気化学シグナルを生成する。
一実施形態では、共有結合された酵素は、基質に対して作用して、検出可能なシグナルとして化学発光シグナルを生成するアルカリホスファターゼである。
一実施形態では、目的の分析物の検出は、定量検出である。
第2態様では、本発明は、目的の分析物に特異的に結合する能力がある結合部分と、結合部分に結合された18~40ヌクレオチドの長さのオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーとを含む第1リガンド;オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーより長く、及びオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーと少なくとも部分的に相補的である配列を有するポリリボヌクレオチド鋳型、複数の標識デオキシリボヌクレオチド三リン酸;及び逆転写酵素活性を有する酵素を含むパーツキットに関する。
一実施形態では、オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーは、4つの塩基A、G、T及びCの全てを含有するオリゴデオキシリボヌクレオチド若しくはそのサブセット又は単一の塩基を含有するオリゴデオキシリボヌクレオチド、好ましくはオリゴデオキシチミジンから選択される。
一実施形態では、標識デオキシリボヌクレオチド三リン酸は、標識デオキシウリジン三リン酸(dUTP)、例えばブロモ-dUTP又はヨード-dUTP、好ましくはブロモ-dUTPであり、及びポリリボヌクレオチド鋳型は、ポリリボアデニル酸である。
一実施形態では、オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーは、22~40ヌクレオチドの長さを有する。
一実施形態では、ポリリボヌクレオチド鋳型は、10~10ヌクレオチド、好ましくは2×10~5×10ヌクレオチドの長さを有する。
一実施形態では、逆転写酵素活性を有する酵素は、真核生物、ウイルス又は細菌ポリメラーゼ、例えばDNAポリメラーゼガンマ、HIV若しくはM-MuLV逆転写酵素、大腸菌(E. coli)DNAポリメラーゼIのクレノウ断片又はバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus Stearothermophilus)由来のBst3.0である。
一実施形態では、パーツキットは、標識デオキシリボヌクレオチドに特異的に結合する能力がある第2リガンドであって、共有結合された酵素も含む第2リガンドと、前記酵素のための基質とをさらに含む。
一実施形態では、前記第2リガンドは、モノクローナル抗体であって、それに共有結合された酵素、例えばアルカリホスファターゼ又はホースラディッシュペルオキシダーゼを有するモノクローナル抗体である。
一実施形態では、共有結合された酵素は、基質に対して作用して、検出可能なシグナルとして化学発光シグナルを生成するアルカリホスファターゼである。
図面の簡単な説明
本発明に従うポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅モデルの概略図を示す。 本発明の一実施形態における、生成されたシグナルとプライマー標識リガンドの量との間の関係を示し、分析物検出のための標識として使用されるプライマーを検出及び定量する系の能力を図示する。 異なる長さのオリゴデオキシチミジンプライマーを伴うリガンドとシグナルとの間の関係を図示する。 プライマー伸長ステップにおける真核生物、レトロウイルス及び細菌ポリメラーゼによる逆転写の使用を図示する。 標識リガンドの異なる量とシグナルとの間の関係を図示する。 使用される逆転写酵素活性の異なる量とシグナルとの間の関係を図示する。 2種のレトロウイルス逆転写酵素における逆転写反応時間とシグナルとの間の関係を図示する。 プライマー伸長ステップにおける異なる標識デオキシリボヌクレオチド三リン酸の使用を図示する。 抗原捕捉ELISAにおける本発明の実装を図示する。
定義及び略称
「odTX」は、長さXのデオキシチミジンヌクレオチド単位のオリゴデオキシチミジンの略称であり、すなわち、「odT22」は、22デオキシチミジンからなるオリゴヌクレオチドである。
「prA」は、一本鎖ポリリボアデニル酸の略称である。
ELISA=酵素結合免疫吸着測定
PCR=ポリメラーゼ連鎖反応
RT=逆転写酵素
SARS=重症急性呼吸器症候群
CoV=コロナウイルス
NIBSC=国立生物学的製剤研究所(UK)
M-MuLV=モロニーマウス白血病ウイルス(Moloney Murine leukemia virus)
HIV=ヒト免疫不全ウイルス
HRP=ホースラディッシュペルオキシダーゼ
AP=アルカリホスファターゼ
Bst=バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus Stearothermophilus)
Pol-G=ヒトガンマポリメラーゼ
詳細な説明
本発明は、分析物に特異的に結合する能力があるリガンドの使用を含む、サンプル中の目的の分析物の検出、特に定量検出のための方法に関し、リガンドは、18~40ヌクレオチドの長さを有するオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマー、オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーより長く、及びオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーと少なくとも部分的に相補的である配列を有するポリリボヌクレオチド鋳型、複数の標識デオキシリボヌクレオチド三リン酸及び逆転写酵素活性を有する酵素を含み、分析物は、酵素によって合成された任意の標識DNA鎖を検出することによって検出される。本発明は、こうした方法を実施するための試薬を含むキットにも関する。
本発明では、目的の分析物に特異的に結合することができる抗体などの親和性リガンドが使用される。親和性リガンドは、プライマー伸長ステップを構成する逆転写反応におけるプライマーとして役立つ短い一本鎖デオキシオリゴヌクレオチドで標識される。温度循環又は温度上昇は、必要ではなく、一定の生理学的温度での1回のインキュベーションのみが必要とされる。逆転写ステップでは、DNA-RNAヘリックスが形成され、DNA鎖に組み込まれるデオキシリボヌクレオチドは、その後の検出ステップで検出できるように標識される。
本発明では、分析物分子に結合されたこうした各親和性リガンドの場合、DNA-RNAハイブリッドにおける新規に作成されたDNA鎖内の標識デオキシリボヌクレオチドは、その後のシグナル生成ステップにおける標的分子となる。これは、結合された抗体がその後のシグナル生成ステップにおける唯一の標的分子である(例えば、二次抗体-酵素コンジュゲート)標準の免疫測定法と比較して、親和性リガンド/分析物複合体あたりにより多くのシグナルを生成するコンジュゲートが結合してシグナル増幅における基盤を提供することを意味する。
本発明は、プライマー伸長ステップのための1つのユニバーサルDNAプライマー配列及び1つのユニバーサルRNA鋳型を使用することにより、分析物検出方法で必要とされる核酸試薬の複雑性も先行技術のイムノPCRと比較して低減する。オリゴ/ポリヌクレオチドの両方は、それぞれ反復された単一ヌクレオチド、例えばデオキシチミジン及びアデノシンからなる。温度循環又は温度上昇は、必要ではなく、生理学的温度での1回のインキュベーションのみが必要とされる。
プライマー伸長のために使用される酵素重合プロセスは、逆転写反応であり、それにより、ポリメラーゼ酵素は、新たな相補的DNA鎖を構築する。これを行うため、それには、複製するためのRNA鎖(鋳型)、伸長を開始する起点の短い相補的DNA鎖(プライマー)及び成長鎖のための構成要素として使用可能である相補的デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)が必要である。本発明で使用されるdNTPを標識することで、新規に合成されたDNA鎖の検出が促進される。
イムノPCRの場合のように、DNA依存性DNAポリメラーゼ反応の代わりに逆転写反応を用いることの1つの利点は、逆転写酵素活性が、DNAポリメラーゼ活性と比較して、生体サンプル中で広範性がはるかに低いことである。内因性DNAポリメラーゼからの汚染は、バックグラウンドシグナルの増加及び陰性サンプル中での偽陽性結果を引き起こし得る。特定の逆転写酵素は、レトロウイルス又は合成起源であり、哺乳動物細胞内の逆転写酵素活性のベースラインレベルは、非常に低い。一部のDNAポリメラーゼは、インビトロ系で逆転写を実施するように促されるが、逆転写酵素活性は、DNAポリメラーゼ活性よりはるかに低い。
したがって、一態様では、本発明は、サンプル中の目的の分析物の検出のための方法であって、
- 分析物に特異的に結合する能力がある第1リガンドを、リガンドの分析物への特異的結合を促進する条件下でサンプルと接触させることであって、第1リガンドは、分析物に特異的に結合する能力がある結合部分と、結合部分に結合されたオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーとを含み、オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーは、18~40ヌクレオチドの長さを有する、接触させることと;
- サンプルから非結合の第1リガンドを除去することと;
- 結合された第1リガンドを、オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーより長く、及びオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーと少なくとも部分的に相補的である配列を有するポリリボヌクレオチド鋳型;複数の標識デオキシリボヌクレオチド三リン酸;及び逆転写酵素活性を有する酵素と接触させることと;
- 結合されたオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーを含む結合された第1リガンド、ポリリボヌクレオチド鋳型、標識デオキシリボヌクレオチド三リン酸及び酵素を、前記酵素による標識DNA鎖の合成に適した条件下でインキュベートすることと;
- 任意の合成された標識DNA鎖を検出することと
を含む方法に関する。
いくつかの実施形態では、オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーは、4つの塩基A、G、T及びCの全てを含有するオリゴデオキシリボヌクレオチド若しくはそのサブセット又は単一の塩基を含有するオリゴデオキシリボヌクレオチド、好ましくはオリゴデオキシチミジンから選択される。
いくつかの実施形態では、オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーは、少なくとも20ヌクレオチド、例えば少なくとも21又は22ヌクレオチドの長さを有する。いくつかの実施形態では、オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーは、40以下のヌクレオチド、例えば39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、23又は22以下のヌクレオチドの長さを有する。
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチド鋳型は、10~10ヌクレオチド、例えば約2×10~5×10ヌクレオチドの長さを有する。いくつかの実施形態では、本発明では、逆転写酵素又は逆転写酵素活性を有するDNAポリメラーゼ、オリゴデオキシチミジン(odT)標識抗体及びプライマー伸長のための、平均長さが約500のA塩基である可溶性ポリ(rA)鋳型が使用される。逆転写ステップ後、結合された各オリゴデオキシチミジン(odT)標識抗体は、新規に作成されたDNAが化学標識された塩基からなる場合、RNA-DNAハイブリッド分子を運ぶことになる。
いくつかの実施形態では、逆転写酵素活性を有する酵素は、真核生物、ウイルス又は細菌ポリメラーゼ、例えばDNAポリメラーゼガンマ、HIV若しくはM-MuLV逆転写酵素などのレトロウイルス逆転写酵素、大腸菌(E. coli)DNAポリメラーゼIのクレノウ断片又はバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus Stearothermophilus)由来のBst3.0である。インビトロでの異なるポリメラーゼの処理能力は、反応条件に依存して変動するが、典型的な値は、2~3分の酵素プライマー鋳型複合体の半減期である。
いくつかの実施形態では、インキュベーションステップは、一定の温度、好ましくは37℃で30分~4時間、好ましくは1時間にわたって実施される。レトロウイルス逆転写酵素(RT)によるprA鋳型上でのインビトロ合成は、37℃において10~15ヌクレオチド/秒の取り込み速度でおよそ進行する(例えば、Hubert et al 1989を参照されたい)。これらの仮定から、odTプライマーの酵素的伸長が30~50秒以内にprA500鋳型の末端に達することが算出され得る。1つの鋳型のみを使用する従来の反応モデルは、本発明における十分なシグナル増幅も、時間と線形な重合反応も提供しないことになる。しかし、特定のポリメラーゼは、単一プライマーから開始し、鋳型長さより長い産物をもたらす、複数の鋳型を使用する能力を有する。このタイプの反応は、レトロウイルス逆転写酵素及び特定の他のより乱雑なポリメラーゼによって実施することができ、酵素がインビボで触媒する反応のインビトロな影響である(例えば、Hubert et al 1989, Lennerstrand et al 1996)。
一実施形態では、検出は、
- 標識DNA鎖に特異的に結合する能力がある第2リガンドを、合成された標識DNA鎖と、第2リガンドのDNA鎖への特異的結合を促進する条件下で接触させるステップであって、第2リガンドは、合成された標識DNAに特異的に結合する能力がある結合部分と、共有結合された酵素とを含む、ステップと;
- サンプルから非結合の第2リガンドを除去するステップと;
- 結合された酵素による切断時に検出可能なシグナルを生成する、結合された酵素のための基質を添加するステップと;
- 前記シグナルを検出するステップと
を含む検出方法を通して実施される。
いくつかの実施形態では、前記第2リガンドは、合成された標識DNAに特異的に結合する抗体であって、それに共有結合された酵素、例えばアルカリホスファターゼ又はホースラディッシュペルオキシダーゼを有する抗体である。こうした共有結合された酵素は、基質に対して作用して、比色分析、蛍光、化学発光又は電気化学シグナルを生成し得る。いくつかの実施形態では、酵素は、アルカリホスファターゼである。いくつかの実施形態では、基質に対して作用する酵素は、検出可能なシグナルとして化学発光シグナルを生成する。いくつかの好適な基質は、市販されており、例えばAMPPD(CAS番号:122341-56-4)及びThermoFisher Scientific製のDynaLight(商標)などの様々な商品名での既製の基質溶液が挙げられる。
いくつかの実施形態では、目的の分析物の検出は、定量検出である。これらの実施形態では、サンプル中の目的の分析物の量又は濃度は、検出された合成された標識DNA鎖の量及び/又は検出されたシグナルの強度に基づいて定量される。例えば、実施例4及び図5に例示される通り、分析物の量と、生成されたシグナルとの間には、実質的に線形の関係が広い検出範囲にわたって認められる。シグナルレベルは、酵素活性の量及び重合反応時間などの他の要素によっても影響され得る。そのため、本発明に従うアッセイ方法は、実用上、既知の条件(分析物量の範囲、試薬濃度、反応体積、反応温度、反応時間など)下で較正アッセイを実行することによってセットアップし、一方での分析物の量/濃度と、他方での検出された合成された標識DNA鎖の量及び/又は検出されたシグナルの強度との間の相関を所望の分析物の量/濃度の範囲内で確立することができる。次に、サンプルに本発明に従う方法を施すとき、こうした相関を用いて、サンプル中の目的の分析物の量又は濃度が定量される。
本発明に従う方法の一実施形態のステップの概要が図1に提示される。A)分析物は、直接的又は間接的に固相に結合される。短いプライマーで標識された親和性リガンド、例えばodT22とコンジュゲートされた抗体は、固定化された分析物に結合される。インキュベーション後、非結合の親和性リガンドは、洗浄によって除去される。逆転写反応に必要とされる、プライマーと少なくとも部分的に相補的である鋳型、1つ又はいくつかの修飾ヌクレオチド三リン酸及びプライマーを除く他の緩衝液成分を含有する反応溶液が添加される。プライマーは、塩基対合によって鋳型と会合する。B)逆転写酵素活性を有する酵素は、プライマー鋳型複合体におけるプライマーの3’末端に付加され、結合する。C)酵素重合反応が開始される。プライマーが伸長されると、修飾塩基を含む新たなDNA鎖が形成される。新たなDNA鎖は、RNA鋳型鎖との塩基対合状態を維持する。D)新たなDNA鎖に組み込まれた修飾デオキシリボヌクレオチド塩基は、例えば、フルオロフォアなどの検出可能な標識で標識されたか、又は比色分析、蛍光、化学発光若しくは電気化学シグナルを生成するための、基質を切断する酵素とコンジュゲートされた、修飾デオキシヌクレオチドに特異的な抗体を用いるいくつかの任意選択的な方法によって検出することができる。逆転写酵素反応により、鋳型スイッチング機構による複数の鋳型長さに及ぶDNA産物が生成され得る。
一態様では、本発明は、目的の分析物に特異的に結合する能力がある結合部分と、結合部分に結合された18~40ヌクレオチドの長さのオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーとを含む第1リガンド;オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーより長く、及びオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーと少なくとも部分的に相補的である配列を有するポリリボヌクレオチド鋳型、複数の標識デオキシリボヌクレオチド三リン酸;及び逆転写酵素活性を有する酵素を含むパーツキットに関する。こうしたキットは、本発明に従う方法の実施で有用である。
実施例
材料
DynaLight(商標)化学発光AP基質、ThermoFisher
LuMate(登録商標)マイクロプレートルミノメーター、Awareness Technology, Inc
HydroFlex(商標)マイクロプレートウォッシャー、Tecan。
Nunc(商標)NucleoLink(商標)ストリップ、発光用に白色。ThermoFisher
高結合白色半面積マイクロプレートBio-One Greiner
1μmolスケールで合成されたNH2-C6スペーサーアームを有するodT18、odT22及びodT30(オリゴデオキシチミジン)、Eurofins。
Ab201796ビオチン(タイプB)高速コンジュゲーションキット、ロットGR3353844-1、Abcam。
SoluLink抗体-オリゴヌクレオチドのオールインワンコンジュゲーションキット、Abcam。
ストレプトアビジン-アルカリホスファターゼ(AP)コンジュゲート ThermoFisher
SuperSignal ELISA Picoルミノール/エンハンサー溶液及びSuperSignal ELISA Pico安定ペルオキシダーゼ溶液は、ThermoFisherから購入した
ストレプトアビジン-HRP N100 ThermoFisher。
SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、Rosendal et al 2020に従って調製した。2019-nCoVスパイクタンパク質をコードするプラスミドは、以前に記載がなされている、Wrapp,D. et al.2020)。組換えスパイクタンパク質は、293Fシステム、Thermo Fisher Scientificを用いて生成された
タンパク質は、His-純粋なNi-NTA樹脂、Thermo Fisher Scientificが充填されたカラムを用いて精製された。
ヒト血漿サンプル
血清学的アッセイのための抗SARS-CoV-2検証パネルは、国立生物学的製剤研究所(NIBSC)(Hertfordshire, UK)から得た。それは、抗SARS-CoV-2陽性であることが知られた23のサンプル及び抗SARS-CoV-2陰性であることが知られた14のサンプルからなる。
抗SARS-CoV-2免疫グロブリン(ヒト)のWHO国際標準品、NIBSCコード:20/136は、同じソースから得た。
ポリメラーゼ:
組換えモロニーマウス白血病ウイルス(M-MuLV)逆転写酵素(RT)、New England BioLabs。
Weber&Grosse (1989)に従って調製されたBH10配列に基づく組換えヒト免疫不全ウイルス(HIV)1 RT。
クレノウDNAポリメラーゼ、大断片、ThermoFisher
組換えヒトガンマポリメラーゼ(Pol-G)触媒サブユニット、BioSite。
BST3.0 DNAポリメラーゼ、New England BioLabs。
IsoPol SD+, ArticZymes, Tromsoe, Norway
抗体及び抗体製剤
アルカリホスファターゼ(AP)にコンジュゲートされたBu20マウスモノクローナルマウス抗BrdU抗体(コード09143)は、Aglient/dako ABから購入した
AP805-055-180,Jackson Immuno Researchとコンジュゲートされたウシ抗ヤギIgG
ウサギ抗ヒトIgG(H&L)A18905S, ThermoFisher
ウサギ抗ヒトIgG(H&L)AS10 1499,Agrisera
ヤギ抗ヒトIgG A18813, ThermoFisher。
ヤギ抗ヒトIgG Star125, BioRad
ヒト血清からのIgG、試薬グレードI-2511、Sigma-Aldrich
マウスIgG、プロテインA精製A66185M-LY, Meridian Life Science。
ヤギIgG、精製AS10 875, Agrisera
一致ペアマウス抗SARS-CoV-2スパイクタンパク質結合mabのDH6/Ad10は、Native Antigen Company,Oxford, UKから購入した
マウスBu20a-ビオチン(BioLegend 339810)
使用された緩衝液:
炭酸塩緩衝液 0.05M、pH9.6
PBS-Tween:PBS med 0.05%Tween20
HIV RT反応溶液:10mMヘペス pH7.6、32μM BrdUTP、prA 100μg/ml、4mM MgCl、2mMスペルミン、Synperonic A11、0.5%(v/v)、0.2mM EGTA及びBSA 0.5mg/ml。
IdUTPを有するHIV RT反応溶液:前記HIV RT反応溶液として、32μM BrdUTPの代わりに32μM BrdUTPを有する。
MMuLV RT反応溶液:10mMヘペス pH7.6、32μM BrdUTP、prA 100μg/ml、6mM MnCl、24mMスペルミジン、トリトンX100 0.5%(v/v)、0.2mM EDTA、4mMグルタチオン及びBSA 0.5mg/ml
Pol-G反応溶液:pH8.0の25mMヘペス、32μM BrdUTP、prA 100μg/ml、0.5mM MnCl、100mM NaCl、1mMジチオエリトリトールl及びBSA 0.66mg/ml。
BST3.0 DNAポリメラーゼ反応溶液:25mM トリスHCl pH8.8、32μM BrdUTP、prA 100μg/ml、8mM MgSO、150mM KCl、0.1%(v/v)Tween20。
プレート洗浄緩衝液:3mMホウ酸、0.75%トリトンX100、0.005%(W/V)デキストラン硫酸塩、0.2%ETOH及び0.025%NaN
ブロッキング緩衝液:0.05%Tweenを有するPBS中、1%脱脂粉乳
POLI反応溶液:pH8.0の25mMヘペス、0.67mg/ml BSA、0.5mM MnCl、50mM KCl、0.5mMスペルミジン、28μg/ml PrA及び50μM BrdUTP。
Blotto bulk:脱脂粉乳25mg/ml、pH7.0のビストリス25mM、KSO 10mM、スペルミジン1.0mM、デキストラン硫酸塩1.01mg/ml、Tween20 0.0.010%、ジチオエリトリトール2.0mM
方法
ウサギ抗ヒトIgG抗体からのマウスIgG交差反応物質の除去
マウスIgGをNHS-アガロース(GE Healthcare)と製造業者の説明書に従って結合させ、ゲルを2mlのカラムに充填し、PBSで洗浄した。PBS中のウサギ抗ヒトIgG(H&L)Agrisera AS10 1499(75μg/ml)をカラムに充填し、フロースルーを収集し、4℃で貯蔵した。
ヤギ及びウサギ抗ヒトIgGのビオチンによる標識
抗ヒトIgGを、Ab201796ビオチン(タイプB)高速コンジュゲーションキット、ロットGR3353844-1を製造業者の説明書に従って使用してビオチンで標識した。
ヤギ及びウサギ抗ヒトIgGのodT22又はodT30による標識。
odT22による標識を、SoluLink抗体-オリゴヌクレオチドのオールインワンコンジュゲーションキット、Cat.No.A-9202-001を製造業者の説明書に従って使用して実施した。0.5μモルのNH2-C6-odT22をホルミルベンズアミドによる標識のために使用した。100μl(約55μg)の親和性精製ウサギ抗ヒトIgGのAgrisera AS10 1499をヒドラジノニコチンアミドで標識した。次に、2種の修飾生体分子を、反応触媒(アニリン)の存在下で一緒に混合し、odT22-IgGコンジュゲートを形成し、最終的に磁気親和性固相を用いて精製した。odT22標識IgGの実際の収量は、14μg(67μg/mlで200μL)であった。
odT30による標識を、改良プロトコルを用いて行った。0.5μモルのNH2-C6-odT30を、100μgの親和性精製ウサギ抗ヒトIgGのAgrisera AS10 1499を標識するために使用した。収量は、odT30標識IgGの22μg(110μg/mlで200μL)であった。
Ad10マウス抗SARS-CoV-2スパイクタンパク質mabのodT30での標識。
Ad10のodT30による標識を、ウサギ抗ヒトIgGの場合と類似するプロトコルを用いて行った。0.125μモルのNH2-C6-odT30を、100μgの親和性精製Ad10マウス抗SARS-CoV-2スパイクタンパク質mabを標識するために使用した。収量は、odT30標識IgGの60μg(300μg/mlで200μL)であった。
odT18、odT22及びodT30のビオチンによる標識。
NH2-C6スペーサーアームを有するodT18、odT22及びodT30(オリゴデオキシチミジン)を、Ab201796ビオチン(タイプB)高速コンジュゲーションキット、ロットGR3353844-1を製造業者の説明書に従って使用してビオチンで標識した。
実施例1 基本的なポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅モデル。
本実施例は、本発明に従う方法の、分析物を検出及び定量する能力について例示する。抗体又は他のタイプの親和性リガンドに結合されたオリゴヌクレオチドプライマーは、以下の実施例において、分析物検出のための標識として使用する。それら標的への結合後、親和性リガンドに結合されたオリゴヌクレオチドは、可溶性の相補的鋳型を伴い、標識ヌクレオチドを用いる1ステップポリメラーゼ反応におけるプライマーとして役立ち得る。次に、そのように合成されたDNA鎖を、組み込まれた標識を用いて検出する。
本発明の概念を例示するため、ストレプトアビジンをモデル分析物として使用する。分析物に特異的に結合する能力がある第1リガンドは、分析物に特異的に結合する能力がある部分としてのビオチン及びオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーとしてのodT22からなる。ポリリボヌクレオチド鋳型は、prAである。標識デオキシリボヌクレオチドは、ブロモ-デオキシ-ウリジン-トリ-リン酸(BrdUTP)である。逆転写酵素活性を有する酵素は、モロニーマウス白血病ウイルス(MMuLV)逆転写酵素である。標識DNA鎖に特異的に結合する能力がある第2リガンドは、抗体部分(抗BrdU特異性を有するモノクローナルマウス抗体)及びアルカリホスファターゼ(AP)酵素からなるコンジュゲートである。
ビオチン化odT22の白色Nunc(商標)NucleoLink(商標)ストリッププレートへの固定化
96ウェルフレーム内に載せた白色NucleoLink(商標)ストリップをpH9.6の炭酸塩緩衝液中の120μl/ウェルの200ng/mlのストレプトアビジンでコーティングした。非結合のストレプトアビジンを、Hydroflexプレートウォッシャー及びプレート洗浄緩衝液を使用する入念な洗浄手順によって除去した。
次のステップでは、プレート上のウェルに120μlの5倍系列のビオチン-odT22希釈物を1.7×10-16~1.0×10-20モル/ウェルの範囲で添加し、結合させておき、その後、プレートを再び洗浄した。
結合されたodT22の検出。
結合されたodTは、ポリメラーゼ反応におけるプライマーとして作用し得る。プライマー検出のために用いられる酵素的重合プロセスは、逆転写酵素(RT)反応であり、それにより、酵素は、新たなDNA鎖を構築する。これを行うため、それには、複製するためのRNA鋳型、伸長を開始する起点の短い相補的DNA鎖(プライマー)及び成長鎖のための構成要素として使用可能である相補的デオキシヌクレオチド三リン酸が必要である。反応は、本実施例において、結合されたビオチン-odT22の段階希釈物を伴う96ウェルプレート(ウェル体積300μl)内で実施され、odT22は、重合プロセスにおけるプライマーとして役立つ。
odTプライマーに相補的な鋳型は、prA、すなわち約500ヌクレオチドの平均鎖長を有し、及びRT反応溶液中に含まれる、1つのヌクレオチド塩基アデニンのみからなる一本鎖ポリリボアデニル酸である。
RT反応に必要な他の成分は、BrdUTP(ブロモ-デオキシ-ウリジン-トリ-リン酸)を含有するMMulv RT反応混合物の一部でもある。BrdUTPは、重合を実行する酵素の組換えM-Mulv RTによってプライマーに付加されるヌクレオチド塩基を提供する。
ポリメラーゼ反応
ポリメラーゼ反応は、9.1U/ウェルのMMuLV RTのプレート上の各ウェルへの添加によって開始され、新規に生成されたBrdU鎖の相対量は、ウェル内に固定化されたodT22プライマーの量に比例することになる。
ポリメラーゼ反応は、温度依存性であり、反応速度は、酵素機能が変性によって損なわれるまで温度上昇とともに増加する。そのため、マイクロタイタープレートは、1時間のインキュベーション中に37℃の一定の温度を提供するための加熱ブロック上に置き、さらに蓋によってカバーし、蒸発を防止する。インキュベーション温度及び反応における時間(インキュベーション時間)の両方は、制御される要素である。この系における検出感度は、各ウェルに添加されるポリメラーゼの量及び反応時間の両方の関数である。
ポリメラーゼ反応は、1時間後、RT反応溶液を除去することによって停止する。これは、Hydroflexプレートウォッシャー、それに続く徹底洗浄手順を用いることによって実施する。使用する「プレート洗浄緩衝液」は、特定の成分、例えば洗浄の効率を高めるための洗剤(材料を参照されたい)を含有する。
コンジュゲート結合
反応溶液を洗い流した後、抗体-酵素コンジュゲート溶液を添加する。コンジュゲートの抗体部分は、抗BrdU特異性を有するモノクローナルマウス抗体であり、コンジュゲート酵素は、アルカリホスファターゼ(AP)である。コンジュゲート結合反応は、温度依存性でもあり、そのため、マイクロタイタープレートは、37℃で30分のインキュベーション中、加熱ブロック上に再び配置する。
コンジュゲート結合ステップを、Hydroflexプレートウォッシャーを使用して入念な洗浄手順によって終了させ、コンジュゲート溶液及び非特異的に結合されたコンジュゲートを除去することで、BrdUに結合されたコンジュゲートのみが残る。洗浄温度の増加(30~35℃)は、良好な洗浄結果にとって有利である。洗浄溶液は、以前の洗浄の場合と同じである。
基質反応
最終反応では、DynaLight(商標)化学発光アルカリホスファターゼ(AP)基質(ThermoFisher Scientific)を含有する溶液をウェルに添加する。この基質は、コンジュゲートのAP酵素部分が基質構造を修飾すると光を生成する。プロセスのこの段階では、化学反応は、APを含有し得る大気粉塵粒子によって影響され得る。したがって、基質の添加後、マイクロタイタープレートを粉塵からそれが保護されるLumateマイクロプレートルミノメーターの読み取りチャンバー内に直接的に移す。安定な光シグナルを得るための10分の短い「遅滞期」後、光強度をルミノメーターによって測定する。
AP酵素プロセスによって生成される光の強度は、抗BrdU抗体部分の合成されたBrdU鎖への結合を介してウェルに結合された複合酵素の量に比例する。次いで、組み込まれたBrdUの量は、ウェル内に存在したodTプライマーの量に比例する。
図2は、ポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅で生成されたシグナルと、1ウェルあたりのodT22プライマーの量との間の関係を示す。図から抽出できるように、1ウェルあたり1×10-20モルに減少したodT量を検出し、1ウェルあたりのodTの量と、1ウェルあたり1×10-20~2×10-16モルのodTの範囲で生成されたシグナルとの間に線形関係が認められた。すなわち、約20000倍の検出範囲である。
実施例2 プライマー長と、ポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅モデルで生成されたシグナルとの間の関係。
オリゴヌクレオチドプライマーがポリメラーゼにおけるプライマーとして機能する能力は、プライマー特性及び反応条件に依存して変動する。1つの決定的因子は、プライマー長である。短いプライマーは、初期にはそれらの鋳型と弱く会合され、初期ポリメラーゼ反応速度は、伸長されたプライマーが決定的長さに達するまで低い。プライマー長の増加は、初期反応速度の増加を引き起こすことになる。特定の長さを超えると、温度及び条件に応じて、プライマーは、鋳型と常に会合されることになる。鋳型長さのさらなる増加は、反応速度に影響することはない。
これは、ポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅におけるプライマーにおけるオリゴヌクレオチドプライマーの設計に対する影響を有する。本実施例は、プライマー長と、生成されたシグナルとの間の関係を例示する。
白色Nunc(商標)NucleoLink(商標)ストリッププレートでのビオチン化odT18、odT22及びodT30の固定化
96ウェルフレーム内に載せた白色NucleoLink(商標)ストリップをpH9.6の炭酸塩緩衝液中の120μl/ウェルの200ng/mlのストレプトアビジンでコーティングした。非結合のストレプトアビジンを、Hydroflexプレートウォッシャー及びプレート洗浄緩衝液を使用する入念な洗浄手順によって除去した。次のステップでは、ビオチン-odT18、-odT22及び-odT30の指定の段階希釈物120μlをプレート上のそれらの個別のウェルセットにそれぞれ添加し、結合させておき、その後、プレートを再び洗浄した。
ポリメラーゼ反応
結合されたodTポリマーは、ポリメラーゼ反応におけるプライマーとして作用する。使用したHIV反応溶液は、反応に必須であるプライマーを除く全てを含有し、上記の材料セクションに記載する。ポリメラーゼ反応は、80pgのHIV RTのプレート上の各ウェルへの添加によって開始され、37℃で30分間進行させておく。新規に生成されたBrdU鎖の相対量は、RT反応を開始及び支持するための実際のプライマータイプの効率及び濃度を反映することになる。
新規に生成されたBrdU鎖は、実施例1のコンジュゲート結合及び基質反応セクションで概説した通り、APコンジュゲートマウスBu20のMAbを用いて定量することができる。
図3は、生成されたシグナルと、1ウェルあたりの指定の各プライマーの量との間の関係を示す。3つ全てのプライマータイプがRT反応を開始することができた。生じた最高のシグナルは、odT30、その直後のodT22によって生成された一方、odT18は、有意により低いシグナルを生成した。odT22及びodT30プライマー間の小さい差異は、それらの長さが最適に近いことを示す。現在の反応条件下において、ほぼ8×10-19モルのodT30は、1000RLUのシグナルを生成するのに十分であった一方、odT18は、同一シグナルを生成するのに約100倍より多く必要であった。
実施例3.ポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅ステップにおける真核生物、ウイルス及び細菌ポリメラーゼの使用。
異なるポリメラーゼは、プライマー-鋳型組成物に対して異なる優先度を有する。逆転写酵素では、インビボでRNA及びDNA鋳型の両方が使用される。一部のDNAポリメラーゼは、DNA鋳型に厳密に依存する一方、それ以外は、RNA鋳型との重合活性を過剰に示し得るか又は換言すれば逆転写酵素として作用し得る。逆転写酵素活性がインビボでの役割を果たすか又はそれが単なるインビトロでの現象であるかは、明確ではない。本発明では、ポリメラーゼを使用して、分析物の検出から得ることができるシグナルを増強する。このため、例えば、サンプルからの汚染物質に対する抵抗性、処理能力、反応速度、いくつかの鋳型に及んで転写物を作成する能力(鋳型スイッチング)及び種々のインキュベーション時間にわたる安定性に関連した異なる特性を有するポリメラーゼの中で選択できることは、有利である。これは、特定の分析物に対する特定のアッセイの要件に対する、ポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅ステップについての条件を採用するためのより多くの自由度を提供することになる。
本発明では、ポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅ステップでは、小さいオリゴヌクレオチドプライマー標識抗体又は親和性リガンドを使用する。相補的鋳型は、反応溶液中に遊離する。いくつかの鋳型に及ぶ転写物を作成する能力は、有利である。得られるシグナルは、使用される酵素の量とともに変化する。類似の優先度を有するポリメラーゼは、互換可能である。より遅い反応速度は、より大量の酵素量の使用によって補償することができる。本実施例は、哺乳類ポリメラーゼガンマ(PolG)、HIV逆転写酵素、大腸菌(E. coli)pol I DNAポリメラーゼIのクレノウ断片又は別の細菌ポリメラーゼBst3.0のいずれかが、分析物としてヒトIgGを用いる免疫測定法におけるポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅ステップで使用できることを例示する。
ヒトIgGのための免疫測定法の設計
96ウェルフレーム内に載せた白色NucleoLink(商標)ストリップを、PBSで100ng/mlに希釈された120μl/ウェルのヒトIgGでコーティングした。非結合のIgGを、Hydroflexプレートウォッシャーを使用するプレート洗浄緩衝液による入念な洗浄によって除去した。次のステップでは、120μlのビオチン化ヤギ抗ヒトIgGを様々な希釈物で添加し、結合させておき、その後、プレートを再び洗浄した。
次に、10ng/mlのストレプトアビジンからなる混合物30μl及び対応するモル量の半分のビオチン-odT22を添加した。短期間のインキュベーション後、プレートを再び洗浄した。
ここで、プレートの各ウェルは、3つの層を含有する:最初に分析物であるヒトIgGの層、ビオチン化ヤギ抗ヒトIgGであるリガンドの段階希釈物を有する第2層及びodT22プライマーが結合されたストレプトアビジンの第3層。結合されたodT22プライマーの量は、分析物の量に依存する結合されたリガンドの量に比例する。ポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅ステップを適用することにより、ウェル内の分析物の量は、ここで、本発明に従って検出することができる。
ポリメラーゼ反応
HIV RT及びクレノウDNAポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅を意図したウェルのセットは、一定分量30μlのHIV RT反応溶液を受けた一方、pol G及びBst3.0ポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅を意図した対応するセットは、一定分量30μlのそれらの各反応溶液を受けた。各反応溶液は、ポリメラーゼ反応に必要とされる、odTプライマーを除く全ての成分を含有した。ポリメラーゼ反応は、各ウェルセットへの一定分量100μlの酵素の添加によって開始させた。HIV RT及びクレノウDNAポリメラーゼ酵素を希釈することでほぼ同じ酵素活性を得ていた。8U/mlのクレノウ断片は、800pg/mlの組換えHIV RTの場合に対応する活性を有した。pol G溶液は、1mlあたり2.4μgの酵素、0.16U/mlのBst3.0ポリメラーゼを含有した。ポリメラーゼ反応は、37℃で30分間進行させておいた。
ポリメラーゼ反応は、Hydroflexプレートウォッシャー、それに続く徹底洗浄手順を用いてRT反応溶液を除去することによって停止させた。コンジュゲート結合及び基質添加は、実施例1に記載のように実施した。
図4は、4種のポリメラーゼのそれぞれにより生成されたシグナルと、アッセイに添加されたビオチン化リガンドの量との間の関係を示す。
4種全ての酵素は、ポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅に有用であることが判明した。HIV及びクレノウポリメラーゼを希釈することで、使用された条件中に類似量の酵素活性を得ていた。図から推定できるように、2種の酵素は、実際上、同一の抗ヒトIgG滴定特性をもたらした。シグナルは、全てのIgG濃度において、より高い酵素入力の使用に起因して、pol G又はBst3.0ポリメラーゼでの対応するシグナルより高かった。最高IgG濃度でのHIV RT、クレノウ断片及びBstポリメラーゼによって生成されたシグナルは、プレートリーダーの読み取り範囲を上回り、したがって線形性から逸脱したことに注目されたい。実施例5も参照されたい。
使用したpol Gポリメラーゼ量では、より低いシグナルが得られ、全濃度範囲にわたって線形性が維持された。
実施例4 ポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅ステップによって生成されたシグナルと、アッセイにおける分析物及びプライマー標識リガンドの量との間の関係
多くの古典的な免疫測定法は、規定の抗原に結合された免疫グロブリンの量を定量するように設計される。本発明の検出感度は、プライマー標識抗体又は親和性リガンドの量、プライマー長、使用されるポリメラーゼの量及びタイプ、ポリメラーゼ反応条件及び反応時間などのいくつかの要素及び最後に反応中に生成された標識DNAの定量化のために使用されるシステムの関数である。
ヒトIgGについての免疫測定法の設計
96ウェルフレーム内に載せた白色NucleoLink(商標)ストリップを、PBSで希釈された120μl/ウェルのヒトIgGの指定の段階希釈物でコーティングした。非結合のIgGを、Hydroflexプレートウォッシャーを使用するプレート洗浄緩衝液による入念な洗浄によって除去した。次のステップでは、25、6.25又は1.56ngのいずれかのodT22コンジュゲートウサギ抗ヒトIgGを含有する120μlを添加し、30分間結合させておき、その後、プレートを再び洗浄した。
ここで、プレートの各ウェルは、2つの層を含有する:最初に分析物である段階希釈されたヒトIgGの層及びodT22コンジュゲートウサギ抗ヒトIgGであるリガンドの3つの希釈物を有する第2層。結合されたodT22プライマーの量は、分析物の量に依存する結合されたリガンドの量に比例する。ポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅ステップを適用することにより、ウェル内の分析物の量は、ここで、本発明に従って検出及び定量することができる。
ポリメラーゼ反応
ポリメラーゼ反応におけるodTプライマーを除く全ての成分を含有する30μlのHIV RT反応溶液をプレート上の各ウェルに添加した。次に、ポリメラーゼ反応を800pg/mlの120μlの組換えHIV 1 RTの添加によって開始させた。ポリメラーゼ反応は、37℃で45分間進行させておいた。
ポリメラーゼ反応は、Hydroflexプレートウォッシャー、それに続く徹底洗浄手順を用いてRT反応溶液を除去することによって停止させた。
コンジュゲート結合及び基質添加は、実施例1に記載のように実施した。
図5は、ポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅ステップによって生成されたシグナルと、アッセイ中に存在するヒトIgG抗原及びodT22コンジュゲート抗ヒトIgGの量との間の関係を例示する。
異なる濃度のodT22標識抗ヒトIgG抗体で生成された発光シグナルを、ウェル内に固定化されたヒトIgGの量に対してプロットした。odT22標識抗体の各濃度において、プレート上のヒトIgGの量と生成されたシグナルとの間に線形関係が認められた。系がodT22標識抗体に関して決して飽和状態ではないことに注目されたい。odT22標識抗体の量における各増加は、比例的に増加されるシグナルを生成し、最大検出感度に達しなかった。固定化されたヒトIgGは、本発明に従い、非常に低いレベルで検出される。例えば、この実験におけるodT22標識抗体の中央値濃度における検出範囲は、1ウェルあたり5.3×10-18~1.7×10-14モルのヒトIgG(約3200倍の範囲)に及んだ。
実施例5.ポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅ステップにおいて使用されたポリメラーゼの量と、抗SARS-CoV-2スパイクタンパク質抗体の免疫測定法におけるシグナルとの間の関係
実施例4で実証した通り、odT22標識リガンドの量と生成されたシグナルとの間に線形関係が認められる。シグナルレベルに影響する他の要素が多く存在する。最も明確で最も顕著であるのは、使用した酵素活性の量及び重合反応時間である。本実施例は、SARS-CoV-2ウイルスの感染後にSARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する抗体応答を測定する免疫測定法における本発明の使用について例示することを意図する。
抗SARS-CoV-2スパイクタンパク質抗体免疫測定法の設計
96ウェルフレーム内に載せた白色NucleoLink(商標)ストリップを、PBSで100ng/mlに希釈した100μl/ウェルのSARS-CoV-2スパイクタンパク質でコーティングした。非結合のスパイクタンパク質を、Hydroflexプレートウォッシャーを使用するPBS-Tweenによる入念な洗浄によって除去した。コーティングプレートを-80℃で貯蔵した。使用前に、ウェルをPBS-Tweenで1回洗浄し、ブロッキング緩衝液である0.05%Tweenを有するPBS中の1%脱脂粉乳とともに室温で1時間インキュベートした。
次のステップでは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する抗体について陽性である熱不活化(56℃で1時間)ヒト血清の段階希釈物の3つのセットからのサンプル100μlをブロッキング緩衝液で希釈し、ウェルに添加した。プレートを30分間インキュベートし、次にHydroflexプレートウォッシャーを使用してPBS-Tween緩衝液で洗浄した。
次に、PBS-Tweenで(50ng/ml)に希釈した30μlのodT30標識ウサギ抗ヒトIgGを添加した。短期間のインキュベーション後、プレートを再び洗浄した。
ここで、プレートの各ウェルは、3つの層を含有する:最初に分析物であるSARS-COV-2スパイクタンパク質の層、抗SARS-CoV-2スパイクタンパク質抗体を含有するヒト血漿の段階希釈物を有する第2層及びodT30コンジュゲートウサギ抗ヒトIgGを有する第3層。結合されたodT22プライマーの量は、結合されたヒト抗スパイク抗体の量に比例する。ポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅ステップを適用することにより、血漿サンプル中の抗スパイク抗体の存在は、ここで、本発明に従って検出及び定量することができる。
ポリメラーゼ反応
ポリメラーゼ反応におけるodTプライマーを除く全ての成分を含有する30μlのHIV RT反応溶液をプレート上の各ウェルに添加した。次に、ポリメラーゼ反応は、1ウェルあたり80、660又は3290pgのいずれかのHIV RTに対応する100μlのHIV 1 RTの添加によって開始させた。ポリメラーゼ反応は、37℃で45分間進行させておいた。
ポリメラーゼ反応は、Hydroflexプレートウォッシャー、それに続く徹底洗浄手順を用いてRT反応溶液を除去することによって停止させた。
コンジュゲート結合及び基質添加は、実施例1に記載のように実施した。
図6は、この免疫測定法における、SARS-Cov-2スパイクタンパク質に対するIgG抗体についての検出感度が、ポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅ステップにおいて使用されたポリメラーゼの量とともにどのように変化したかを例示する。ポリメラーゼ反応は、免疫測定法の第3層内のodT30プライマーから開始し、反応溶液に添加された可溶性鋳型上で進行する。この系において生成されたシグナルは、生成されたBrdU鎖の量に比例し、添加されたHIV RT量が1ウェルあたり80pgから660pgのRTに増加すると、約8倍増加することが見出された。RTが1ウェルあたり最大3290pgにさらに増加すると、シグナル増加が全く得られなかったか又は得られてもごくわずかであった。酵素量が増加すると、全てのodT30プライマー末端が全ての時点でポリメラーゼによって占有されるとき、系は、最終的に飽和段階に達する。図から抽出できるように、これは、全ての血清希釈物で有効であった。
実施例6.ポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅ステップにおけるポリメラーゼ反応時間とシグナルとの間の関係
正常な酵素反応は、全ての反応成分が過剰に存在する限り、酵素量及び反応時間とともに線形である。実際的理由から、数時間以内にリガンド結合アッセイから結果を得ることは、好ましいと考えられる。そのため、ポリメラーゼ反応時間は、実施例1~5において30~60分に制限している。しかし、本発明は、ポリメラーゼ反応時間を増加させることによって検出感度の増加を得る可能性を提供する。本発明におけるプライマー伸長ステップは、反応溶液中の固相及び遊離鋳型に結合されたプライマー標識リガンドの組み合わせに基づく。鋳型境界を通して重合を実行するため、いくつかの鋳型を連続的に利用する能力は、鋳型へのアクセスがシグナル増幅ステップにおけるポリメラーゼ反応において律速になることを回避するために有利である。
白色Nunc(商標)NucleoLink(商標)ストリッププレートへのodT22の固定化
96ウェルフレーム内に載せた白色NucleoLink(商標)ストリップをpH9.6の炭酸塩緩衝液中の120μl/ウェルの200ng/mlのストレプトアビジンでコーティングした。非結合のストレプトアビジンを、Hydroflexプレートウォッシャー及びプレート洗浄緩衝液を使用する入念な洗浄手順によって除去した。次のステップでは、120μlの3.125pgのビオチン-odT22/mlをプレート上のウェルに添加し、結合させておき、その後、プレートを再び洗浄した。
ポリメラーゼ反応
ストレプトアビジン-odT22コーティングストリップを6つの別々のフレーム(それぞれ2つのストリップ)に移した。各フレーム上の一方のストリップは、800pgのHIV 1 RT/mlを含有するHIV RT反応溶液130μlを、他方は、0.2UのMMuLV RT/mlを含有するMMuLV RT反応溶液を受けた。両方の反応溶液は、ポリメラーゼ反応に必須である、プライマーを除く全てを含有したが、それを材料において説明する。ストリップを有するフレームを37℃のインキュベーターに移した。30分後、1つのフレームをインキュベーターから取り出し、-20℃で凍結させた。60分後、別のフレームをインキュベーターから取り出し、1番目として処理した。このプロセスは、120分後、240分後、355分後及び1090分後に反復させた。最後のフレームを凍結させると、全てのストリップを1つのフレーム内に構築した。解凍後、ポリメラーゼ反応を、Hydroflexプレートウォッシャー、それに続く徹底洗浄手順を用いてRT反応溶液を除去することによって停止させた。
コンジュゲート結合及び基質添加は、実施例1に記載したように実施した。
図7は、HIV-1又はMMuLV RTのいずれかを使用するときの、ポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅ステップにおけるポリメラーゼ反応時間に関連するシグナル発生を示す。両方の酵素は、数時間にわたりシグナル増加をもたらしたが、長いインキュベーション時間中、著しく異なる挙動を示した。MMuLV酵素は、「スロースターター」であったが、最初の「遅滞期」後の長い時間にわたり時間と線形であるポリメラーゼ反応を持続させた。他方で、HIV-1 RTは、直ちに開始させ、標識DNAを生成したが、反応速度は、数時間後に減少し、反応は、約400分後に反転するようにさえ見えた。
数時間にわたる線形ポリメラーゼ反応は、新たなDNA鎖が約500塩基の鋳型よりはるかに長いことを必要とする。生成された長いRNA/DNA鎖は、特定の反応条件においてヌクレアーゼに対して明らかに高感度である。時間と生成されたシグナルとの間の関係は、酵素及び反応混合物の異なる組み合わせ間で変動する。規定された各適用において、本発明に従うポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅ステップを含む免疫測定法を設計する場合、これを考慮する必要がある。
実施例7.抗SARS-CoV-2スパイクタンパク質抗体免疫測定法におけるシグナル増幅ステップにおいて2つの異なるデオキシウリジン三リン酸類似体を用いるシグナルに対する効果
実施例1~6におけるポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅ステップは、新規に合成されたDNAを標識するための、1つのデオキシチミジン三リン酸塩類似体であるBrdUTPの使用に基づく。他のヌクレオチド類似体を使用して同様の方法によってそれらを検出することは、明らかに可能である。シグナルは、デオキシチミジン三リン酸塩類似体を組み込むための反応速度及び新規に合成されたDNAにおける類似体の検出の効率の両方に依存することになる。本実施例では、本発明者らは、抗SARS-CoV-2スパイクタンパク質抗体免疫測定法におけるポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅ステップにおいて使用される、2つの異なる修飾デオキシウリジン三リン酸類似体としてのIdUTP及びBrdUTPによって生成されたシグナルを比較する。
抗SARS-CoV-2スパイクタンパク質抗体免疫測定法の設計
Bio-One製の高結合性の白色半面積マイクロプレートを、実施例5に記載したようにSARS-CoV-2スパイクタンパク質でコーティングした。
次のステップでは、2つの熱不活化(56℃で1時間)ヒト血清の段階希釈物が生成されたが、1つは、抗SARS-CoV-2スパイクタンパク質抗体陽性(UK9)、1つは、抗体陰性(UK32)であり、いずれもブロッキング緩衝液で希釈した。それらを2つの別々のプレート上のウェルに添加した。プレートを30分間インキュベートし、次にHydroflexプレートウォッシャーを使用してPBS-Tween緩衝液で洗浄した。次に、PBS-Tweenで200ng/mlに希釈した30μlのodT30コンジュゲートウサギ抗ヒトIgGを添加した。短時間のインキュベーション後、プレートを再び洗浄した。
ポリメラーゼ反応
同一の血清滴定の場合の2つのプレートの一方は、BrdUTP及びポリメラーゼ反応におけるodTプライマーを除く他の全ての成分を含有する1ウェルあたり30μlのHIV RT反応溶液を受けた。残りのプレートは、同一であるが、BrdUTPの代わりにIdUTPを有するHIV RT反応溶液30μlを受けた。次に、ポリメラーゼ反応をHIV 1 RT(240pg)のプレート上の各ウェルへの添加によって開始させた。ポリメラーゼ反応は、37℃で30分間進行させておいた。反応は、Hydroflexプレートウォッシャー、それに続く徹底洗浄手順を用いて、RT反応溶液を除去することによって停止させた。
コンジュゲート結合及び基質添加は、実施例1に記載したように実施した。
図8は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質に対するヒトIgG抗体の検出のための免疫測定法におけるポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅ステップにおける2つの異なる修飾デオキシウリジン三リン酸類似体の使用について図示する。NIBSCからの抗SARS-CoV-2検証パネルからの陽性血清UK9を、抗SARS-CoV-2免疫グロブリンについてのWHO国際基準(NIBSCコード20/136)に較正し、図中のUK9の量をIgG抗体結合単位(BAU)として表す。同じパネルからの陰性血清UK26を、陽性UK9血清と同じ希釈物において比較のために図に含めた。
HIV RTに対する基質としてのBrdUTPは、IdUTPと比較してややより高いシグナルを生成した。線形検出のためのスパンは、両方の類似体と類似することが見出され、0.4~1300μBAUの範囲であった。ポリメラーゼでブーストされたシグナル増幅ステップを伴う免疫測定法では、0.4μBAUまで低下した希釈物でSARS-CoV-2陽性(UK9)血清と陰性血清(UK26)とを区別できることが判明した。
実施例8.SARS-CoV-2スパイクタンパク質に対するポリメラーゼでブーストされた抗原捕捉ELISA。
固定化抗原に結合する抗体を定量するブースターアッセイへの本発明の利用は、実施例5及び7において示している。本実施例は、抗原捕捉アッセイをブーストするための本発明の使用について例示することを意図する。ELISAにおける両方のシグナル及び検出範囲は、検出抗体上の標識の量及びタイプとともに変動する。実施例1~7では、本発明者らは、この目的のため、APコンジュゲートモノクローナル抗体(mab)を使用している。したがって、本実施例は、ポリメラーゼでブーストされたELISAにおけるホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)などの他の酵素標識の有用性について実証することも意図する。
SARS-CoV-2スパイクタンパク質ELISAにおける第1層の設計
白色Nunc NucleolinkストリップからなるマイクロタイタープレートをPBS中の1ウェルあたり100μlのDH6マウス抗SARS-CoV-2スパイクタンパク質mab(500ng/ml)でコーティングした。プレートをシーリングテープでカバーし、冷蔵庫内で一晩インキュベートした。非結合のmabを、Hydroflexプレートウォッシャー及びPBS Tweenを使用して除去した。コーティングプレートをブロッキング緩衝液(PBS中、1%脱脂粉乳)とともに37℃で1時間インキュベートした。次に、プレートを再び洗浄した。
第2層及び第3層の添加
次のステップでは、0.5%トリトンX100を有するブロッキング緩衝液中のodT30で標識した20μlのAd10マウス抗SARS-CoV-2スパイクタンパク質mab(1000ng/ml)をプレート上の各ウェルに添加した。次に、SARS-Cov-2スパイクタンパク質の段階希釈物のセットからの80μlのサンプル及びブランクを添加した(12.5ng/mlで開始し、0.5%トリトンX100を有するブロッキング緩衝液で6.1pg/mlに達するまで2ステップで段階希釈した)。60分のインキュベーション後、プレートを再び洗浄した。
ここで、プレートの各ウェルは、odT30標識マウス抗SARS-Cov-2スパイクタンパク質を有する第3層を含有する。結合されたodT30プライマーの量は、第2層内のSARS-Cov-2スパイクタンパク質の量に比例し、本発明に従って定量することができる。
ポリメラーゼ反応
ポリメラーゼ反応におけるodTプライマーを除く全ての成分を含有する30μlのPOLI反応溶液をプレート上の各ウェルに添加した。次に、ポリメラーゼ反応を、0.67mgのBSA/mlを有するpH8.0の25mMヘペス100μl中の12.5μUのIsoPol SD+の添加によって開始させた。ポリメラーゼ反応を室温で60分間進行させておいた。
ポリメラーゼ反応は、Hydroflexプレートウォッシャーを使用してRT反応溶液を除去することによって停止させた。
新規に生成されたBrdU鎖の定量
本実施例では、本発明者らは、2ステップのコンジュゲート結合手順を利用する。100μlのビオチンコンジュゲートマウスBu20のmab(blotto bulk中、0.6μg/ml)をまず各ウェルに添加した。短時間のインキュベーション後、プレートを洗浄し、100μlのHRP標識ストレプトアビジン(0.1%カゼインを有するPBS Tween中、0.42μg/ml)を添加した。プレート上の各ウェルは、ここで、新規に合成されたBrdU鎖に結合されたHRP標識ビオチン-ストレプトアビジン複合体を含有することになる。
基質反応
6.1mlのSuperSignal ELISA Picoルミノール/エンハンサー溶液を6.1mlのSuperSignal ELISA Pico安定ペルオキシダーゼ溶液と混合し、HRP基質の使用液を得た。最終反応では、この溶液120μlを各ウェルに添加する。この基質は、コンジュゲートのHRP酵素部分が基質構造を修飾するとき、光を生成する。RT反応プレートをLumateマイクロプレートルミノメーターの読み取りチャンバー内に移し、光強度を測定した。
HRP酵素プロセスによって生成された光の強度は、抗BrdU抗体の合成されたBrdU鎖への結合を介してウェルに結合された複合酵素の量に比例する。次いで、組み込まれたBrdUの量は、ウェル内に捕捉されたSARS-CoV-2スパイクタンパク質に結合されたAd10のmabに対するodTプライマーの量に比例する。
参照ELISA
ポリメラーゼでブーストされたアッセイなどの場合、同一成分を同一濃度で使用した。参照ELISAにおけるAD10検出抗体を、odTではなく、ビオチンで標識した。その後、この抗体のこれの存在について、シグナル増幅ステップを全く伴わずにHRP標識ストレプトアビジンで直接的に検出した。
図9は、ポリメラーゼでブーストされた抗原捕捉アッセイ又は参照ELISAのいずれかによって生成されたシグナルとSARS-CoV-2スパイクタンパク質の存在量との間の関係を図示する。
図から抽出できるように、ポリメラーゼでブーストされた捕捉アッセイでは、生成されたシグナルと約7×10-19~1×10-15モルの範囲で存在するスパイクタンパク質の量との間に線形関係がもたらされた。検出上限に近い線形性からの偏差は、ルミノメーターの検出範囲内の限界に起因した。
参照ELISAでは、5×10-17モル未満のスパイクタンパク質レベルを検出できなかった。
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Claims (22)

  1. サンプル中の目的の分析物の検出のための方法であって、
    - 前記分析物に特異的に結合する能力がある第1リガンドを、前記リガンドの前記分析物への特異的結合を促進する条件下で前記サンプルと接触させることであって、前記第1リガンドは、前記分析物に特異的に結合する能力がある結合部分と、前記結合部分に結合されたオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーとを含み、前記オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーは、18~40ヌクレオチドの長さを有する、接触させることと;
    - 前記サンプルから非結合の第1リガンドを除去することと;
    - 前記結合された第1リガンドを、前記オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーより長く、かつ前記オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーと少なくとも部分的に相補的である配列を有するポリリボヌクレオチド鋳型;複数の標識デオキシリボヌクレオチド三リン酸;及び逆転写酵素活性を有する酵素と接触させることと;
    - 前記結合されたオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーを含む前記結合された第1リガンド、前記ポリリボヌクレオチド鋳型、前記標識デオキシリボヌクレオチド三リン酸及び前記酵素を、前記酵素による標識DNA鎖の合成に適した条件下でインキュベートすることと;
    - 任意の合成された標識DNA鎖を検出することと
    を含む方法。
  2. 前記オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーは、4つの塩基A、G、T及びCの全てを含有するオリゴデオキシリボヌクレオチド若しくはそのサブセット又は単一の塩基を含有するオリゴデオキシリボヌクレオチド、好ましくはオリゴデオキシチミジンから選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記標識デオキシリボヌクレオチドは、標識デオキシウリジン三リン酸(dUTP)、例えばブロモ-dUTP又はヨード-dUTP、好ましくはブロモ-dUTPであり、及び前記ポリリボヌクレオチド鋳型は、ポリリボアデニル酸である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーは、22~40ヌクレオチドの長さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記ポリリボヌクレオチド鋳型は、10~10ヌクレオチド、好ましくは2×10~5×10ヌクレオチドの長さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 逆転写酵素活性を有する前記酵素は、真核生物ポリメラーゼ、例えばDNAポリメラーゼガンマ;ウイルスポリメラーゼ、例えばレトロウイルス逆転写酵素、好ましくはHIV若しくはM-MuLV逆転写酵素又は細菌ポリメラーゼ、例えば中温性細菌由来の細菌ポリメラーゼ、好ましくは大腸菌(E. coli)DNAポリメラーゼIのクレノウ断片若しくは好熱性細菌由来の細菌ポリメラーゼ、好ましくはバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus Stearothermophilus)由来のBst3.0である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 逆転写酵素活性を有する前記酵素は、DNAポリメラーゼガンマ、HIV又はM-MuLV逆転写酵素、大腸菌(E. coli)DNAポリメラーゼIのクレノウ断片及びバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus Stearothermophilus)由来のBst3.0からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
  8. 前記インキュベーションステップは、一定の温度、好ましくは37℃で30分~4時間、好ましくは1時間にわたって実施される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記検出は、
    - 前記標識DNA鎖に特異的に結合する能力がある第2リガンドを、前記合成された標識DNA鎖と、前記第2リガンドの前記DNA鎖への特異的結合を促進する条件下で接触させるステップであって、前記第2リガンドは、前記合成された標識DNAに特異的に結合する能力がある結合部分と、共有結合された酵素とを含む、ステップと;
    - 前記サンプルから前記非結合の第2リガンドを除去するステップと;
    - 前記結合された酵素による切断時に検出可能なシグナルを生成する、前記結合された酵素のための基質を添加するステップと;
    - 前記シグナルを検出するステップと
    を含む検出方法を通して実施される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記第2リガンドは、前記合成された標識DNAに特異的に結合する抗体であって、それに共有結合された酵素、例えばアルカリホスファターゼ又はホースラディッシュペルオキシダーゼを有する抗体である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記共有結合された酵素は、基質に対して作用して、比色分析、蛍光、化学発光又は電気化学シグナルを生成する、請求項10に記載の方法。
  12. 前記共有結合された酵素は、基質に対して作用して、前記検出可能なシグナルとして化学発光シグナルを生成するアルカリホスファターゼである、請求項10又は11に記載の方法。
  13. 前記目的の分析物の前記検出は、定量検出である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 目的の分析物に特異的に結合する能力がある結合部分と、前記結合部分に結合された18~40ヌクレオチドの長さのオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーとを含む第1リガンド;前記オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーより長く、かつ前記オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーと少なくとも部分的に相補的である配列を有するポリリボヌクレオチド鋳型;複数の標識デオキシリボヌクレオチド三リン酸;及び逆転写酵素活性を有する酵素を含むパーツキット。
  15. 前記オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーは、4つの塩基A、G、T及びCの全てを含有するオリゴデオキシリボヌクレオチド若しくはそのサブセット又は単一の塩基を含有するオリゴデオキシリボヌクレオチド、好ましくはオリゴデオキシチミジンから選択される、請求項14に記載のパーツキット。
  16. 前記標識デオキシリボヌクレオチド三リン酸は、標識デオキシウリジン三リン酸(dUTP)、例えばブロモ-dUTP又はヨード-dUTP、好ましくはブロモ-dUTPであり、及び前記ポリリボヌクレオチド鋳型は、ポリリボアデニル酸である、請求項14又は15に記載のパーツキット。
  17. 前記オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマーは、22~40ヌクレオチドの長さを有する、請求項14~16のいずれか一項に記載のパーツキット。
  18. 前記ポリリボヌクレオチド鋳型は、10~10ヌクレオチド、好ましくは2×10~5×10ヌクレオチドの長さを有する、請求項14~17のいずれか一項に記載のパーツキット。
  19. 逆転写酵素活性を有する前記酵素は、真核生物、ウイルス又は細菌ポリメラーゼ、例えばDNAポリメラーゼガンマ、HIV若しくはM-MuLV逆転写酵素、大腸菌(E. coli)DNAポリメラーゼIのクレノウ断片又はバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus Stearothermophilus)由来のBst3.0である、請求項14~18のいずれか一項に記載のパーツキット。
  20. 前記標識デオキシリボヌクレオチドに特異的に結合する能力がある第2リガンドであって、共有結合された酵素も含む第2リガンドと、前記酵素のための基質とをさらに含む、請求項14~19のいずれか一項に記載のパーツキット。
  21. 前記第2リガンドは、モノクローナル抗体であって、それに共有結合された酵素、例えばアルカリホスファターゼ又はホースラディッシュペルオキシダーゼを有するモノクローナル抗体である、請求項20に記載のパーツキット。
  22. 前記共有結合された酵素は、基質に対して作用して、検出可能なシグナルとして化学発光シグナルを生成するアルカリホスファターゼである、請求項20又は21に記載のパーツキット。
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