JP2024516393A - ハンチンチンタンパク質をイメージングするための重水素化化合物及びイメージング剤 - Google Patents

ハンチンチンタンパク質をイメージングするための重水素化化合物及びイメージング剤 Download PDF

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Abstract

タンパク質凝集に関連する疾患又は状態を検出するために有用な特定の化合物及びイメージング剤、それらの組成物、並びにそれらの使用の方法が、本明細書で提供される。【選択図】なし

Description

関連特許出願の相互参照
本出願は、2021年4月27日出願の米国特許仮出願第63/180,608号の優先権を主張し、これをすべての目的のため参照により本明細書に組み込む。
タンパク質凝集に関連する疾患又は状態を検出、治療、又は予防するために有用な重水素化化合物及びイメージング剤、それらの組成物、並びにそれらの使用の方法が、本明細書で提供される。
ポジトロン断層法(positron emission tomography)(PET)及び単一光子放射断層撮影法(single photon emission computed tomography)(SPECT)などの分子イメージング手法の登場は、症状発現前及び臨床環境における身体全体にわたる分子及び細胞機構の非侵襲的測定を可能にした。このような測定は、広範にわたる診断上の有用性を有し、治療応答の評価のため、及び薬物開発を支援するためのその使用が、急速に広がっている。
ポジトロン放出放射性核種で標識された分子プローブ及び関連するPETイメージングアッセイは、種々の疾患、特にその病理が脳にある神経変性障害に関連した種々の細胞外及び細胞内の分子及び過程の標的化、検出、可視化、及び定量化を行うために開発中である。1つのこのような疾患はハンチントン病(HD)である。HDは、遺伝性の進行性神経変性障害であり、運動、認知、及び精神障害並びに神経変性を特徴とし、脳萎縮が線条体及び皮質内で始まり他の皮質下脳領域に拡大する。HDは、ハンチンチン遺伝子(HTT)のエクソン-1領域における伸長したCAGトリヌクレオチド繰り返しによって引き起こされる。結果として生じたポリグルタミン酸ドメイン伸長は、変異体ハンチンチン(mHTT)タンパク質においてミスフォールディング及びコンフォメーション変化を誘発し、タンパク質凝集体の形成を引き起こし得る。HDは、世界全体で100,000人あたり5~10件の罹患率を有し、最も一般的な遺伝性及び単一遺伝子性神経変性障害となっている。
他の医学的状態と同じく、HDの治療は、理想的には、疾患の初期の徴候があった時点又はそれより前に開始される。よって、疾患発症の早期指標及び疾患進行の信頼できる薬力学バイオマーカーが極めて望ましい。PETなどのイメージング法はそのような指標を提供し得る。
PETは、ポジトロン放出放射性核種トレーサーの対象への投与、その後の、体内でのポジトロン放出(対消滅)事象の検出を伴う。放射性核種トレーサーは、典型的に、1つ以上のタイプのポジトロン放出放射性核種が内部に組み込まれた標的分子で構成される。
PETトレーサーに組み込むのに有用な放射性核種は、長い半減期(109.8分)、放射性標識試薬の入手可能性、及びフッ素原子の導入の容易さのため、フッ素18である。しかし、一部のフッ化物は生体系で代謝的切断を受けやすく、これは脳におけるフッ素18の骨蓄積を引き起こし、周囲組織のPETイメージングを妨げる。したがって、イメージングプロセス中にin vivoで十分に安定である、フッ素18を組み込んだ化合物及びイメージング剤が必要とされている。
本開示は、ハンチンチンタンパク質をイメージングするために有用な化合物に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載されている化合物、例えば、式I、式Ia、式Ib、式X、又は本明細書に記載されている任意の他の式の化合物であって、場合によって1つ以上のポジトロン放出同位体で標識された化合物を提供する。本開示は、一部の場合に、18Fなどのフッ素原子がin vivoで環境的及び/又は代謝的切断を受けやすい可能性があることを明らかにする。よって、本明細書に記載されている化合物は、18Fの近傍に安定化官能基を組み込んでおり、これにより、そのような切断が減少又は防止される。特定の実施形態では、化合物は、重水素化フルオロアルキル基又は重水素化フルオロアルコキシ基を含む。
一部の実施形態では、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物を含む、イメージング剤が提供される。一部の実施形態では、化合物は、11C、13N、15O、及び18Fから選択される1つ以上のポジトロン放出同位体を含有する。特定の実施形態では、ポジトロン放出同位体は18Fである。一部の実施形態では、化合物は、フッ素原子がin vivoでの環境的又は代謝的切断から保護されるような位置に重水素を含む。
本明細書に記載されている化合物を含むイメージング剤であって、化合物が1つ以上のポジトロン放出放射性核種で標識された、イメージング剤もまた提供される。一部の実施形態では、化合物は11C、13N、15O、及び18Fから選択される1つ以上のポジトロン放出放射性核種を含有する。そのような組成物は、PETイメージングにおいてトレーサーとして有用である。
個体における凝集を生じやすいタンパク質の存在又は非存在を検出する方法であって、有効量の本明細書に記載されている化合物又は本明細書に記載されている化合物を含むイメージング剤を投与すること、及び個体の身体部分又は身体領域の画像を生成することを含む、方法もまた提供される。この方法は、例えば個々の対象において経時的に、該タンパク質の分布又は量の変化を検出することをさらに含み得る。
一部の実施形態では、個体において凝集を生じやすいタンパク質の存在又は非存在の検出に使用するための化合物又はイメージング剤であって、使用が、有効量の本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を個体に投与すること、及び個体の身体部分又は身体領域の画像を生成することを含む、化合物又はイメージング剤が提供される。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、個体の身体部分又は身体領域の画像を生成することが、画像中で凝集を生じやすいタンパク質の存在又は非存在を検出することを含む、化合物又はイメージング剤が提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、凝集を生じやすいタンパク質がハンチンチンタンパク質(HTTタンパク質)である、化合物又はイメージング剤が提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、HTTタンパク質が大脳基底核に見出される、化合物又はイメージング剤が提供される。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、タンパク質凝集体の存在又は非存在が神経変性疾患の存在又は非存在に対応する、化合物又はイメージング剤が提供される。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、神経変性疾患が、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、プリオン病、及び脊髄小脳失調症から選択される、化合物又はイメージング剤が提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、神経変性疾患がハンチントン病(HD)である、化合物又はイメージング剤が提供される。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、イメージング剤の有効量が約0.1~約20mCiを含む、化合物又はイメージング剤が提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、イメージング剤の有効量が約10mCiを含む、化合物又はイメージング剤が提供される。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、画像を生成することが、ポジトロン断層法(PET)イメージング、同時コンピューター断層撮影法イメージングとのPET(PET/CT)、同時磁気共鳴イメージングとのPET(PET/MRI)、単一光子放射断層撮影法(SPECT)イメージング、又はこれらの組合せを含む、化合物又はイメージング剤が提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、画像を生成することがPETイメージングを含む、化合物又はイメージング剤が提供される。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、HTTタンパク質がオリゴマー若しくは凝集体、又はこれらの組合せとして存在する、化合物又はイメージング剤が提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、HTTタンパク質が変異体である、化合物又はイメージング剤が提供される。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、身体部分又は身体領域が頭部、脊髄、肢、胸部、又は腹部である、化合物又はイメージング剤が提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている使用のための化合物又はイメージング剤であって、身体部分又は身体領域が脳である、化合物又はイメージング剤が提供される。
図1は、投与後のフッ素18の化合物1-1及び化合物5-1骨取り込みの比較を図示する。 図2は、マウスにおける投与後の3つの異なる期間の化合物1-1及び化合物5-1についてのPET画像を図示する。
次の記載は、本技術の例示的実施形態を記載している。しかし、そのような記載が、本開示の範囲の限定として意図されておらず、むしろ例示的実施形態の記載として提供されていることは認識されるべきである。
定義
本明細書で使用される場合、以下の語、句及び記号は、一般に、ここでそれらが使用される文脈が別のことを示す程度までを除き、以下に述べる意味を有することが意図される。
本明細書に記載されている化合物とは、式I、Ia、Ib、II、III、IV、V、VI、VII、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、又はXIXのものを含む本明細書に記載されている任意の式の化合物、又はその同位体標識された類似体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体若しくは立体異性体の混合物、又は実施例を含む本明細書のどこかに記載されている化合物、又は表1の化合物、又は本明細書で定義されたようなそのような化合物の標識された異性体、又はそのような化合物又は標識化合物を含むイメージング剤若しくは医薬組成物を指す。
2つの文字間又は2つの記号間のものではないダッシュ記号(「-」)は、置換基について親構造への結合点を示すために使用される。例えば、-C(O)NH2は、炭素原子を通じて親構造に結合される。化学基の前又は末端のダッシュ記号は利便性のためである;化学基は、1つ以上のダッシュ記号と共に又は1つ以上のダッシュ記号無しで、これらの通常の意味を失うことなく図示することができる。構造において結合を介して描かれている波線は特定された結合点を示す。化学的又は構造的に必要とされない限り、いかなる方向性又は立体化学も、化学基が書かれた又は命名された順序によって示されない、又は暗示されない。
接頭辞「Cu~v」は、さらなる置換を除いて、以下の基がu~v個の炭素原子を有することを示している。例えば、「C1~6アルキル」は1~6個の炭素原子を有するアルキル基を示す。
本明細書の「約」値又はパラメーターという言及は、その値又はパラメーターそれ自体を対象とする実施形態を含む(及びそれについて記載している)。ある特定の実施形態では、用語「約」は示された量の±10%を含む。他の実施形態では、用語「約」は示された量の±5%を含む。ある特定の他の実施形態では、用語「約」は示された量の±1%を含む。また、用語「約X」は「X」の記載を含む。また、単数形「a」及び「the」は、文脈が別のことを明確に指示しない限り、それらの複数形を含む。よって、例えば、「the compound」についての言及は複数のこのような化合物を含み、「the assay」についての言及は、1つ以上のアッセイ及び当業者に公知のその同等物についての言及を含む。
「アルキル」とは、非分枝又は分枝の飽和した炭化水素鎖を指す。本明細書で使用される場合、アルキルは、1~20個の炭素原子(すなわち、C1~20アルキル)、1~12個の炭素原子(すなわち、C1~12アルキル)、1~9個の炭素原子(すなわち、C1~9アルキル)、1~8個の炭素原子(すなわち、C1~8アルキル)、1~6個の炭素原子(すなわち、C1~6アルキル)、又は1~4個の炭素原子(すなわち、C1~4アルキル)を有する。アルキル基の例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、2-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル及び3-メチルペンチルが挙げられる。特定の数の炭素を有するアルキル残基が化学名により名付けられるか、又は分子式で特定されるとき、その数の炭素を有するすべての位置異性体が包含され得る;よって、例えば、「ブチル」はn-ブチル(すなわち、-(CH2)3CH3)、sec-ブチル(すなわち、-CH(CH3)CH2CH3)、イソブチル(すなわち、-CH2CH(CH3)2)及びtert-ブチル(すなわち、-C(CH3)3)を含み、「プロピル」はn-プロピル(すなわち、-(CH2)2CH3)及びイソプロピル(すなわち、-CH(CH3)2)を含む。
本明細書で提供される用語の代わりに、当業者に公知の代替の化学名を使用することができる。例えば、二価の基、例えば、二価「アルキル」基、二価「アリール」基などはまた、「アルキレン」又は「アリーレン」基とそれぞれ呼ぶこともできる。また、(例えば、ダッシュ記号によって)別のことが明示的に示されない限り、基の組合せが本明細書で1つの部分として、例えば、アリールアルキル又はアラルキルとして参照されている場合、最後に記述された基が、その部分を分子の残りに結合している原子を含有する。
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、2~20個の炭素原子(すなわち、C2~20アルケニル)、2~8個の炭素原子(すなわち、C2~8アルケニル)、2~6個の炭素原子(すなわち、C2~6アルケニル)、又は2~4個の炭素原子(すなわち、C2~4アルケニル)を有する炭化水素基を指す。アルケニル基の例としては、例えば、エテニル、プロペニル、ブタジエニル(1,2-ブタジエニル及び1,3-ブタジエニルを含む)、及びイソプレニルが挙げられる。アルケニル基はまた、少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素原子を含むアルケニル基を指す「フルオロアルケニル」を含む。「第一級フルオロアルケニル」は、フッ素原子で置換されている飽和第一級炭素原子を含むフルオロアルケニルである。
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有し、2~20個の炭素原子(すなわち、C2~20アルキニル)、2~8個の炭素原子(すなわち、C2~8アルキニル)、2~6個の炭素原子(すなわち、C2~6アルキニル)、又は2~4個の炭素原子(すなわち、C2~4アルキニル)を有する炭化水素基を指す。用語「アルキニル」はまた、三重結合及び二重結合を有するような基も含む。アルキニル基はまた、少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素原子を含むアルキニル基を指す「フルオロアルキニル」を含む。「第一級フルオロアルキニル」は、フッ素原子で置換されている飽和第一級炭素原子を含むフルオロアルキニルである。
「アルコキシ」は「アルキル-O-」基を指す。アルコキシ基の例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシ、及び1,2-ジメチルブトキシが挙げられる。
「アルキルアミノ」は、「アルキル-NH-」基を指す。アルキルアミノ基の例としては、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、イソ-プロピルアミノ、tert-ブチルアミノ、及びn-ヘキシルアミノが挙げられる。「ジアルキルアミノ」は「(アルキル)2N-」基を指す。ジアルキルアミノ基の例としては、例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、(イソ-プロピル)(メチル)アミノ、(n-ペンチル)(tert-ブチル)アミノ、及びジ-n-ヘキシルアミノが挙げられる。
「アルキルチオ」は「アルキル-S-」基を指す。「アルキルスルフィニル」は「アルキル-S(O)-」基を指す。「アルキルスルホニル」は「アルキル-S(O)2-」基を指す。「アルキルスルホニルアルキル」は-アルキル-S(O)2-アルキルを指す。
「アシル」は、-C(O)Ry基(式中、Ryは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)を指す。アシルの例としては、例えば、ホルミル、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチル-カルボニル及びベンゾイルが挙げられる。
「アミド」は、-C(O)NRyRz基を指す「C-アミド」基と、-NRyC(O)Rz基を指す「N-アミド」基(式中、Ry及びRzは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、若しくはヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよく、又はRy及びRzは一緒になって、シクロアルキル若しくはヘテロシクリルを形成し、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)の両方を指す。
「アミノ」は、-NRyRz基(式中、Ry及びRzは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)を指す。一部の実施形態では、「アミノ」はNH2基を指す。
「アミジノ」は、-C(=NRy)NRz 2基(式中、Ry及びRzは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)を指す。
「アリール」は、単環(例えば、単環式)又は縮合系を含む多環(例えば、二環式又は三環式)を有する芳香族炭素環式基を指す。本明細書で使用される場合、アリールは6~20個の環炭素原子(すなわち、C6~20アリール)又は6~10個の炭素環原子(すなわち、C6~10アリール)を有する。アリール基の例としては、例えば、フェニル、ナフチル、フルオレニル、及びアントリルが挙げられる。しかし、アリールは、以下に定義されるヘテロアリールを決して包含しておらず、又はこれと重なってもいない。1つ以上のアリール基がヘテロアリールに縮合されている場合、生成した環系はヘテロアリールである。1つ以上のアリール基がヘテロシクリルに縮合されている場合、生成した環系はヘテロシクリルである。
「アリールアルキル」又は「アラルキル」は、「アリール-アルキル-」基を指す。
「カルバモイル」は、-O-C(O)NRyRz基を指す「O-カルバモイル」基と-NRyC(O)ORz基を指す「N-カルバモイル」基(式中、Ry及びRzは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)の両方を指す。
「カルボキシルエステル」又は「エステル」は、-OC(O)Rxと-C(O)ORx(式中、Rxはアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)の両方を指す。
「シクロアルキル」は、単環、又は縮合、架橋及びスピロ環系を含む多環を有する飽和した又は一部不飽和の環式アルキル基を指す。用語「シクロアルキル」は、シクロアルケニル基(すなわち、少なくとも1つの二重結合を有する環式基)及び少なくとも1つのsp3環炭素原子を有する炭素環式縮合環系(すなわち、少なくとも1つの非芳香族環)を含む。本明細書で使用される場合、シクロアルキルは、3~20個の環炭素原子(すなわち、C3~20シクロアルキル)、3~12個の環炭素原子(すなわち、C3~12シクロアルキル)、3~10個の環炭素原子(すなわち、C3~10シクロアルキル)、3~8個の環炭素原子(すなわち、C3~8シクロアルキル)、又は3~6個の環炭素原子(すなわち、C3~6シクロアルキル)を有する。単環式基は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル及びシクロオクチルを含む。多環式基は、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、アダマンチル、ノルボルニル、ノルボルネニル、デカリニル、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどを含む。さらに、用語シクロアルキルは、分子の残りの部分への結合に関わらず、縮合アリール環を含み得る任意の非芳香族環系を包含することを意図する。またさらに、シクロアルキルはまた、「スピロシクロアルキル」、例えばスピロ[2.5]オクタニル、スピロ[4.5]デカニル、又はスピロ[5.5]ウンデカニルを含む。親構造において、置換に対して炭素原子上に2つの位置が存在する場合、置換基としてのシクロアルキルはスピロシクロアルキルを含んでもよい。シクロアルキルは、親構造への結合のその炭素原子において置換されていてもよい。
「シクロアルコキシ」は「-O-シクロアルキル」基を指す。
「シクロアルキルアルキル」は「シクロアルキル-アルキル-」基を指す。
「グアニジノ」は、-NRyC(=NRz)NRyRz(式中、各Ry及びRzは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)を指す。
「イミノ」は、-C(=NRy)Rz基(式中、Ry及びRzは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)を指す。
「イミド」は、-C(O)NRyC(O)Rz基(式中、Ry及びRzは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)を指す。
「ハロゲン」又は「ハロ」は、周期表のVIIA族の置換原子、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを指す。
「ハロアルキル」は、すべての水素原子まで及びすべての水素原子を含む、1個以上の(例えば、1~6又は1~3個の)水素原子がハロゲンで置き換えられている、上で定義されたような非分枝又は分枝のアルキル基を指す。例えば、残基が2個以上のハロゲンで置換されている場合、結合しているハロゲン部分の数に対応する接頭辞を使用してこれを参照することもできる。ジハロアルキル及びトリハロアルキルは、2つ(「ジ」)又は3つ(「トリ」)のハロ基で置換されているアルキルを指し、これらは同じハロゲンであってもよいが、必ずしも同じハロゲンである必要はない。ペルハロアルキル基はすべての水素置換基がハロで置き換えられているハロアルキル基である。ハロアルキルの例としては、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,2-ジフルオロエチル、3-ブロモ-2-フルオロプロピル、1,2-ジブロモエチルなどが挙げられる。ハロアルキル基はまた、少なくとも1つのフッ素原子で置換されているアルキル基を指す「フルオロアルキル」を含む。「第一級フルオロアルキル」は、フッ素原子で置換されている第一級炭素原子を含むフルオロアルキルである。「重水素化ハロアルキル」は、少なくとも1つの重水素原子で置換されているハロアルキル基を指す。
「ハロアルコキシ」は、すべての水素原子まで及びすべての水素原子を含む1個以上の(例えば、1~6又は1~3個の)水素原子がハロゲンで置き換えられている、上で定義されたようなアルコキシ基を指す。ハロアルコキシ基はまた、少なくとも1つのフッ素原子で置換されているアルコキシ基を指す「フルオロアルコキシ」を含む。「第一級フルオロアルコキシ」は、フッ素原子で置換されている第一級炭素原子を含むフルオロアルコキシである。「重水素化ハロアルコキシ」は、少なくとも1つの重水素原子で置換されているハロアルコキシ基を指す。
「ヒドロキシアルキル」は、1個以上の(例えば、1~6又は1~3個の)水素原子がヒドロキシ基で置き換えられている、上で定義されたようなアルキル基を指す。
「ヘテロアルキル」は、アルキル鎖の1個以上の炭素原子(及び付随するあらゆる水素原子)がそれぞれ独立して、同一又は異なるヘテロ原子の基で置き換えられており、ただし、分子の残りへの結合点が炭素原子を介するものとする、アルキル基を指す。用語「ヘテロアルキル」は炭素及びヘテロ原子を有する非分枝又は分枝の飽和した鎖を含む。例として、1、2、又は3個の炭素原子が、独立して、同一又は異なるヘテロ原子の基で置き換えられていてもよい。ヘテロ原子の基として、これらに限定されないが、-NRy-、-C(O)NRy-、-NRyC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、及び-S(O)2-(式中、Ryは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)が挙げられる。ヘテロアルキル基の例としては、例えば、エーテル(例えば、-CH2OCH3、-CH(CH3)OCH3、-CH2CH2OCH3、-CH2CH2OCH2CH2OCH3など)、チオエーテル(例えば、-CH2SCH3、-CH(CH3)SCH3、-CH2CH2SCH3、-CH2CH2SCH2CH2SCH3など)、スルホン(例えば、-CH2S(O)2CH3、-CH(CH3)S(O)2CH3、-CH2CH2S(O)2CH3、-CH2CH2S(O)2CH2CH2OCH3など)、及びアミノアルキル(例えば、-CH2NRyCH3、-CH(CH3)NRyCH3、-CH2CH2NRyCH3、-CH2CH2NRyCH2CH2NRyCH3など、ここで、Ryは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)が挙げられる。本明細書で使用される場合、ヘテロアルキルは、1~10個の炭素原子、1~8個の炭素原子、又は1~4個の炭素原子、及び1~3個のヘテロ原子、1~2個のヘテロ原子、又は1個のヘテロ原子を含む。
「ヘテロアリール」は、1個以上の環ヘテロ原子が、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択され、1個以上の(例えば、1~3個の)N-オキシド(-O-)部分を含み得る、単環又は多環式縮合環を有する芳香族基を指す。本明細書で使用される場合、ヘテロアリールは、1~20個の環炭素原子(すなわち、C1~20ヘテロアリール)、3~12個の環炭素原子(すなわち、C3~12ヘテロアリール)、又は3~8個の炭素環原子(すなわち、C3~8ヘテロアリール)、及び窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される、1~5個の環ヘテロ原子、1~4個の環ヘテロ原子、1~3個の環ヘテロ原子、1~2個の環ヘテロ原子、又は1個の環ヘテロ原子を含む。ある特定の事例では、ヘテロアリールは、それぞれ独立して、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される、1~4個の環ヘテロ原子、1~3個の環ヘテロ原子、1~2個の環ヘテロ原子、又は1個の環ヘテロ原子を有する5~10員環系、5~7員環系、又は5~6員環系を含む。ヘテロアリール基の例としては、例えば、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリジル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、イソキノリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、1-オキシドピリジニル、1-オキシドピリミジニル、1-オキシドピラジニル、1-オキシドピリダジニル、フェナジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル及びトリアジニルが挙げられる。縮合ヘテロアリール環の例としては、これらに限定されないが、ベンゾ[d]チアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾ[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンゾ[d]イミダゾリル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル及びイミダゾ[1,5-a]ピリジニルが挙げられ、ヘテロアリールは縮合系のいずれかの環を介して結合していることができる。分子の残りへの結合に関わらず(すなわち、縮合環のいずれか1つを介した)、少なくとも1つの環ヘテロ原子を含有する単一又は多重縮合環を有する任意の芳香族環系はヘテロアリールと考えられる。ヘテロアリールは、上で定義されたようなアリールを包含することも、又はこれと重複することもない。
「ヘテロアリールアルキル」は、「ヘテロアリール-アルキル-」基を指す。
「ヘテロシクリル」は、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1個以上の環ヘテロ原子を有する飽和した又は一部不飽和の環式アルキル基を指し、窒素又は硫黄原子は、場合によって酸化されて、N-オキシド、スルフィニル(-S(O)-)、又はスルホキシド(-S(O)2-)を形成する。用語「ヘテロシクリル」は、ヘテロシクロアルケニル基(すなわち、少なくとも1つの二重結合を有するヘテロシクリル基)、架橋ヘテロシクリル基、縮合ヘテロシクリル基、スピロ-ヘテロシクリル基、及びオキソ-ヘテロシクリル基を含む。ヘテロシクリルは、単環又は多環であってよく、多環は、縮合、架橋、又はスピロであってもよい。列挙された置換基に関わらず、ヘテロシクリルは、特に明示しない限り、1個以上の(例えば、1~3個の)オキソ(=O)又はN-オキシド(-O-)部分を含み得る。ヘテロシクリルは、原子価が許す限り、炭素原子又はヘテロ原子を介して結合していることができる。さらに、用語ヘテロシクリルは、少なくとも1個のヘテロ原子を含有する非芳香族環又は環系を含む任意の環系を包含し、この環は分子の残りへの結合に関わらずアリール又はヘテロアリール環に縮合していてもよい。ヘテロシクリルは、芳香族(例えば、ピリジン-2(1H)-オン-1-イル)である帯電した共鳴構造を有してもよい。本明細書で使用される場合、ヘテロシクリルは、3~14個の環原子、3~10個の環原子、3~6個の環原子、又は5~6個の環原子、及び/又は2~12個の環炭素原子(すなわち、C2~12ヘテロシクリル)、2~10個の環炭素原子(すなわち、C2~10ヘテロシクリル)、2~8個の環炭素原子(すなわち、C2~8ヘテロシクリル)、3~12個の環炭素原子(すなわち、C3~12ヘテロシクリル)、3~8個の環炭素原子(すなわち、C3~8ヘテロシクリル)、又は3~6個の環炭素原子(すなわち、C3~6ヘテロシクリル)を含んでもよく、1~5個の環ヘテロ原子、1~4個の環ヘテロ原子、1~3個の環ヘテロ原子、1~2個の環ヘテロ原子、又は1個の環ヘテロ原子を有してもよい。ヘテロシクリル基の例としては、例えば、アゼチジニル、アゼピニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾピラニル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラノニル、ジオキソラニル、ジヒドロピラニル、ヒドロピラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、フラノニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、インドリニル、インドリジニル、イソインドリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、オキシラニル、オキセタニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、トリチアニル、テトラヒドロキノリニル、チオフェニル(すなわち、チエニル)、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが挙げられる。用語「ヘテロシクリル」はまた「スピロ-ヘテロシクリル」を含む。スピロ-ヘテロシクリル環の例としては、例えば、二環式及び三環式環系、例えば、2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナニル、2-オキサ-6-アザスピロ[3.4]オクタニル及び6-オキサ-1-アザスピロ[3.3]ヘプタニルが挙げられる。親構造において、置換に対して炭素原子上に2つの位置が存在する場合、置換基としてのヘテロシクリルはスピロ-ヘテロシクリルを含んでもよい。架橋ヘテロシクリル環の例としては、これらに限定されないが、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニルが挙げられる。縮合ヘテロシクリル環の例としては、これらに限定されないが、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル、4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジニル、インドリニル及びイソインドリニルが挙げられ、ヘテロシクリルは、縮合系のいずれかの環を介して結合していることができる。「オキソ-ヘテロシクリル」基は、追加の置換基が許されるかどうかに関わらず、少なくとも1つのオキソ置換基(例えば、1、又は1~2個のオキソ置換基)を含むヘテロシクリルである(すなわち、非置換のオキソ-ヘテロシクリルはオキソを含み、他の置換は含まない)。一部の実施形態では、オキソ-ヘテロシクリルは環式アミド部分を含む。
「ヘテロシクリルアルキル」は、「ヘテロシクリル-アルキル-」基を指す。
「オキシム」は、-CRy(=NOH)基(式中、Ryは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)を指す。
「スルホニル」は、-S(O)2Ry基(式中、Ryは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)を指す。スルホニルの例は、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、及びトルエンスルホニルである。
「スルフィニル」は、-S(O)Ry基(式中、Ryは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)を指す。スルフィニルの例は、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、及びトルエンスルフィニルである。
「スルホンアミド」は、-SO2NRyRz及び-NRySO2Rz基(式中、Ry及びRzは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアルキル、又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは本明細書で定義されているように場合によって置換されていてもよい)を指す。
用語「場合による」又は「場合によって」は、続いて記載されている事象又は状況が、生じてもよいし、生じなくてもよく、記載が、前記事象又は状況が生じる事例及び生じない事例を含むことを意味する。また、用語「場合によって置換されている」は非置換又は置換の基を指す。
本明細書で使用されている用語「置換されている」は、いずれか1個以上の(例えば、1~5又は1~3個の)水素原子が、非水素基、例えば、これらに限定されないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、アミド、アミノ、アミジノ、アリール、アリールアルキル、アジド、カルバモイル、カルボキシル、カルボキシルエステル、シアノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、グアニジノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、-NHNH2、=NNH2、イミノ、イミド、ヒドロキシ、オキソ、オキシム、ニトロ、スルホニル、スルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、チオシアネート、-S(O)OH、-S(O)2OH、スルホンアミド、チオール、チオキソ、N-オキシド又は-Si(Ry)3(式中、各Ryは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルである)により置き換えられている基を指す。
ある特定の実施形態では、「置換されている」は、1個以上の(例えば、1~5又は1~3個の)水素原子が、独立して、重水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、アジド、オキソ、チオキソ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシ、チオアルキル、ハロアルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、N-ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、-NRgRh、-NRgC(=O)Rh、-NRgC(=O)NRgRh、-NRgC(=O)ORh、-NRgS(=O)1~2Rh、-C(=O)Rg、-C(=O)ORg、-OC(=O)ORg、-OC(=O)Rg、-C(=O)NRgRh、-OC(=O)NRgRh、-ORg、-SRg、-S(=O)Rg、-S(=O)2Rg、-OS(=O)1~2Rg、-S(=O)1~2ORg、-NRgS(=O)1~2NRgRh、=NSO2Rg、=NORg、-S(=O)1~2NRgRh、-SF5、又は-SCF3で置き換えられている基を指す。ある特定の実施形態では、「置換されている」はまた、1個以上の(例えば、1~5又は1~3個の)水素原子が-C(=O)Rg、-C(=O)ORg、-C(=O)NRgRh、-CH2SO2Rg、又は-CH2SO2NRgRhで置き換えられている基を意味する。前述において、Rg及びRhは同一若しくは異なり、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、チオアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、及び/若しくはヘテロアリールアルキルであり、又はRg及びRhは、これらが結合している原子と一緒になって、オキソ、ハロ、又はオキソ、ハロ、アミノ、ヒドロキシル、若しくはアルコキシで場合によって置換されているアルキルで場合によって置換されているヘテロシクリル環を形成する。
無限に付加されるさらなる置換基を有する置換基を定義することにより到達するポリマー又は類似の不定の構造(例えば、それ自体置換アリール基(置換ヘテロアルキル基などでさらに置換されている)で置換されている置換アルキルを有する置換アリール)は上記定義から生じることを意図していない。別途明示されていない限り、本明細書に記載されている化合物における連続的な置換の最大数は3である。例えば、2つの他の置換アリール基を有する置換アリール基の連続的な置換は((置換アリール)置換アリール)置換アリールに限定される。同様に、上記定義は化学的に実現不可能又は分離不可能な置換パターンを有する化合物(例えば、5個のフッ素で置換されているメチル又は3個の連続した酸素環原子を有するヘテロアリール基)を包含することを意図していない。このような容認できない置換パターンは当業者には周知である。化学基を修飾するために使用される場合、用語「置換されている」は本明細書で定義された他の化学基を記載し得る。
ある特定の実施形態では、本明細書で使用される場合、句「1つ以上」は1~5つを指す。ある特定の実施形態では、本明細書で使用される場合、句「1つ以上」は1~3つを指す。
本明細書で付与されている任意の化合物又は構造は、化合物の非標識の形態並びに「同位体富化された類似体」を表すことを意図している。化合物の同位体富化された形態はまた「標識された」と呼ぶこともできる。同位体富化された類似体は、1個以上の原子が、選択された原子質量又は質量数を有する同位体が富化されていることを除いて、本明細書で示されている構造を有する。本明細書に記載されている化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位体、例えば、それぞれ2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、及び125Iが挙げられる。同位体富化された類似体は、一般に、同位体の天然存在度(例えば、地球の表面における)より上の任意の同位体富化を有する化合物を含む。様々な同位体標識された化合物、例えば、放射性同位体、例えば、3H、18F、11C、及び14Cが組み込まれたものなどが本開示に含まれる。18F、3H、又は11Cで標識された化合物は、代謝性研究、反応速度論的研究、検出又はイメージング技術、例えば、薬物又は基質組織分布アッセイを含むポジトロン断層法(PET)又は単一光子放射断層撮影法(SPECT)、又は患者の放射線治療において有用であり得る。
1個以上の水素、例えば、炭素原子上の水素が重水素により置き換えられた、本明細書に記載されている化合物の「重水素化類似体」もまた提供される。このような化合物は、例えば、本明細書で提供されている又は当技術分野で公知の反応などの反応を実行すること、及び1個以上の水素原子が重水素原子で置き換えられた出発物質又は反応物を利用することにより合成される。
本開示の同位体標識された化合物及びそのプロドラッグは、非同位体標識試薬を入手可能な同位体標識試薬で置換することにより、以下に記載されているスキームにおいて又は実施例及び調製において開示された手順を実行することにより一般的に調製することができる。化合物が重水素化類似体と記載されている場合、化合物は重水素を置換基として描くことができる。
このようなより重い同位体の濃度は、同位体の富化係数により定義することができる。本開示の化合物において、特定の同位体として特に示されていない任意の原子はその原子の任意の安定した同位体を表すことが意味される。他に述べられていない限り、ある位置が特に「H」又は「水素」として指定されている場合、この位置は水素及びその同位体をこれらの天然存在度において有することが理解される。
多くの場合、本開示の化合物は、アミノ及び/又はカルボキシル基又はこれらに類似の基の存在によって酸及び/又は塩基塩を形成することが可能である。
本明細書に記載されている化合物の同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、及び立体異性体の混合物もまた提供される。「薬学的に許容される」又は「生理学的に許容される」とは、獣医学的又はヒトの薬学的使用に適した医薬組成物の調製に有用な化合物、塩、組成物、剤形及び他の材料を指す。
本明細書に記載されている化合物の用語「薬学的に許容される塩」とは、所与の化合物の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的に、又はその他の点で不適切ではない塩を指す。本明細書に記載されている化合物の「薬学的に許容される塩」又は「生理学的に許容される塩」は、例えば、塩基性官能基を有する化合物を、酸と相互作用させることにより得られる酸付加塩、及び酸性官能基を有する化合物を、塩基と相互作用させることにより得られる塩基付加塩を含む。化合物が酸付加塩として得られる場合、遊離塩基は、酸性塩の溶液を塩基性化することにより得ることができる。逆に、化合物が遊離塩基(例えば、アミンの化合物)である場合、付加塩は、適切な有機溶媒に遊離塩基を溶解し、この溶液を酸で処理することにより生成することができる。当業者であれば、非毒性の、薬学的に許容される付加塩を調製するのに使用されてもよい種々の合成方法を認識する。本明細書に記載されている化合物の薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸及び有機酸から調製することができる。適切な無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。適切な有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グルコン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイヒ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエン-スルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。同様に、薬学的に許容される塩基付加塩は、無機塩基及び有機塩基から調製することができる。無機塩基から誘導される塩としては、単なる例示により、ナトリウム、カリウム、リチウム、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウム塩が挙げられる。有機塩基から誘導される塩としては、これらに限定されないが、第一級、第二級及び第三級アミン、例えば、アルキルアミン(すなわち、NH2(アルキル))、ジアルキルアミン(すなわち、HN(アルキル)2)、トリアルキルアミン(すなわち、N(アルキル)3)、置換アルキルアミン(すなわち、NH2(置換アルキル))、ジ(置換アルキル)アミン(すなわち、HN(置換アルキル)2)、トリ(置換アルキル)アミン(すなわち、N(置換アルキル)3)、アルケニルアミン(すなわち、NH2(アルケニル))、ジアルケニルアミン(すなわち、HN(アルケニル)2)、トリアルケニルアミン(すなわち、N(アルケニル)3)、置換アルケニルアミン(すなわち、NH2(置換アルケニル))、ジ(置換アルケニル)アミン(すなわち、HN(置換アルケニル)2)、トリ(置換アルケニル)アミン(すなわち、N(置換アルケニル)3、モノシクロアルキルアミン、ジシクロアルキルアミン又はトリシクロアルキルアミン(すなわち、NH2(シクロアルキル)、HN(シクロアルキル)2、N(シクロアルキル)3)、モノアリールアミン、ジアリールアミン又はトリアリールアミン(すなわち、NH2(アリール)、HN(アリール)2、N(アリール)3)、環式アミン(例えば、ピペリジン、ピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、芳香族アミン(例えば、ピリジン、キノリン)、又は混合したアミンなどの塩が挙げられる。適切なアミンの具体例としては、単なる例示により、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(イソ-プロピル)アミン、トリ(n-プロピル)アミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N-エチルピペリジンなどが挙げられる。
本明細書に記載されている一部の化合物は互変異性体として存在してもよい。例えば、化合物がアミドを含むとして描かれている場合、化合物はイミド酸互変異性体として存在してもよく、化合物がケトンを含むとして描かれている場合、化合物はまたエノール互変異性体として存在してもよい。どちらの互変異性体が示されているかに関わらず、及び互変異性体の間で平衡の性質に関わらず、化合物は、当業者により両方の互変異性体を含むと理解されている。よって、例えば、アミドを含有する化合物は、これらのイミド酸互変異性体を含むと理解されており、イミド酸を含有する化合物はこれらのアミド互変異性体を含むと理解されている。
本明細書に記載されている化合物は不斉中心を含むことができ、よってエナンチオマー、ジアステレオマー、及び絶対立体化学の点から、アミノ酸に対して(R)-若しくは(S)-、又は(D)-若しくは(L)-と定義することができる他の立体異性形態を生じることができる。本明細書に記載されている化合物は、すべてのこのような可能な異性体、並びにこれらのラセミ及び光学的に純粋な形態を含むことが意味される。光学活性な(+)及び(-)、(R)-及び(S)-、又は(D)-及び(L)-異性体は、キラルシントン若しくはキラル試薬を使用して調製してもよいし、又は従来の技術、例えば、(キラル)クロマトグラフィー及び/又は分別結晶化を使用して分割してもよい。個々のエナンチオマーの調製/単離のための従来の技術は、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、又は例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用した、ラセミ体(又は塩若しくは誘導体のラセミ体)の分割を含む。本明細書に記載されている化合物が二重結合又は幾何学的非対称の他の中心を含有する場合、及び他に特定されていない限り、化合物はcis-及びtrans-又はE-及びZ-幾何異性体の両方を含むことが意図されている。
「立体異性体」は、同じ結合によって結合された同じ原子で構成されているが異なる三次元構造を有する一連の化合物の1つを指す。様々な立体異性体及びこれらの混合物は、互いに重ね合わせることができないミラーイメージである立体異性化合物を指す「エナンチオマー」を含むことが想定されている。
「ジアステレオマー」は互いにミラーイメージではない少なくとも2個の非対称的原子を有する一連の立体異性体の1つである。
「プロドラッグ」は、そのようなプロドラッグが哺乳動物対象に投与された場合にin vivoで本明細書に記載される化合物による活性があると推定される親薬物を放出する任意の分子である。プロドラッグは、in vivoで修飾が切断されて親化合物を放出し得るように修飾された本明細書に記載されている化合物のある形態であってもよい。プロドラッグは、通常の操作で又はin vivoのいずれかで親化合物へと修飾が切断されるように、本明細書に記載されている化合物に存在する官能基を修飾することによって調製され得る。プロドラッグは、本明細書に記載されている化合物中のヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、又はスルフヒドリル基が、in vivoで切断されてそれぞれ遊離ヒドロキシ、アミノ、又はスルフヒドリル基を再生成し得る任意の基に結合されている本明細書に記載されている化合物を含む。プロドラッグの例として、本明細書に記載されている化合物中のヒドロキシ官能基などのエステル(例えば、アセテート、ホルメート、及びベンゾエート誘導体)、アミド、グアニジン、カルバメート(例えば、N,N-ジメチルアミノカルボニル)が挙げられるがこれらに限定されない。プロドラッグの調製、選択、及び使用は、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、T. Higuchi及びV. Stella、「Pro-drugs as Novel Delivery Systems」、the A.C.S. Symposium Seriesの14巻;「Design of Prodrugs」、H. Bundgaard編、Elsevier、1985年;及びBioreversible Carriers in Drug Design、Edward B. Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987年において考察されている。
本明細書に記載されている方法は、in vivoで又はex vivoで細胞集団に適用することができる。「in vivo」とは、動物又はヒト内のような生きている個体内を意味する。この文脈において、本明細書に記載されている方法は個体において治療的に使用することができる。「ex vivo」は生きている個体外を意味する。ex vivo細胞集団の例としては、in vitroの細胞培養物及び個体から得た流体又は組織試料を含む生体試料が挙げられる。このような試料は当技術分野で周知の方法により得ることができる。例示的な生物学的流体試料としては、血液、脳脊髄液、尿、及び唾液が挙げられる。この文脈において、本明細書に記載されている化合物及び組成物は、治療的及び実験的目的を含む様々な目的に使用することができる。例えば、本明細書に記載されている化合物及び組成物は、ex vivoで使用して、所与の徴候、細胞型、個体、及び他のパラメーターに対する本開示の化合物の投与の最適なスケジュール及び/又は投薬を決定することができる。このような使用から収集した情報は、実験的目的のため、又はin vivo治療に対するプロトコルを設定するために臨床において使用することができる。本明細書に記載されている化合物及び組成物を適合することができる他のex vivo使用は以下に記載されている、又は当業者には明らかである。選択された化合物は、さらに特性決定することによって、ヒト又は非ヒト対象における安全性又は忍容性用量を調査することができる。このような特性は、当業者に一般的に公知の方法を使用して調査することができる。
上記列挙された用語はまたin vitro及びex vivoの方法を含む。
本明細書で使用される場合、用語「基」、「部分」、「ラジカル」、「置換基」、及び「断片」は、同義語であり、例えば示された結合点又は結合を介して、分子の他の一部へ結合可能である、分子の一部を示すことが意図される。
用語「活性薬剤」は、疾患又は状態の治療、寛解、又は予防において生物活性を有する化合物を示すために使用される。一部の実施形態では、「活性薬剤」は、医薬上の有用性を有する化合物又はその同位体標識された類似体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体若しくは立体異性体の混合物である。例えば活性薬剤は、抗神経変性の治療剤であってもよい。
用語「有効量」は、個体又は患者に所望の応答をもたらすのに十分な、例えば、本明細書に記載されている化合物の量を意味する。イメージング剤の使用との関係においては、有効量は、診断上又は治療上の有用性を有する画像を生成するために必要とされる量であってもよい。用語「治療有効量」は、ヒト又は非ヒトの患者に投与されるときに、症状の寛解、疾患の進行の遅延、又は疾患の予防などの治療上の有益性を付与するのに有効な量を意味し、例えば、治療有効量は、本明細書に記載されている疾患の症状を減少させるのに十分な量であってもよい。(治療的)有効量は、治療を受けている対象、及び疾患又は状態、対象の体重及び年齢、疾患又は状態の重症度、並びに投与方式に応じて変動してもよく、当業者により容易に決定することができる。
用語「ハンチンチンタンパク質」又は「HTTタンパク質」は、本明細書で使用される場合、16.3位にある染色体4の短(p)腕に位置しているヒトハンチンチン遺伝子(HTT遺伝子)によってコードされるタンパク質を指す。より正確には、HTTタンパク質をコードするIT15遺伝子は、染色体4上の塩基対3,076,407から塩基対3,245,686に位置している。
用語「タンパク質凝集体」は、本明細書で使用される場合、例えば、ミスフォールディングされたHTTタンパク質分子(「HTTタンパク質凝集体」)又はミスフォールディングされたβ-アミロイドタンパク質分子(「β-アミロイド凝集体」)を含む不溶性線維性アミロイドであり得る、タンパク質の凝集体を指す。「凝集を生じやすいタンパク質」とは、その野生型又は変異形態において、このような凝集体を形成することが可能なタンパク質である。
用語「イメージング剤」は、本明細書で使用される場合、1つ以上のポジトロン放出同位体又は放射性核種により標識されている、本明細書に記載されている化合物、又は標識された化合物を含む組成物を指す。ポジトロン放出体標識化合物は、特定の用途に適した技法を用いて検出を可能にする程度に、検出可能な同位体で富化されていることしか必要としない。
用語「PETイメージング」(ポジトロン断層法イメージングと呼ぶこともできる)は、本明細書で使用される場合、ポジトロン放出体標識化合物を使用してヒト又は動物の身体の内部構造の画像を生成することを指す。
用語「ポジトロン放出放射性核種」又は「ポジトロン放出同位体」は、本明細書で使用される場合、放射性核種の核内部のプロトンが、ポジトロン及び電子ニュートリノ(νe)を放出しながら、ニュートロンに変換される、β+減衰と称される、放射性減衰の特定のタイプを示す同位体を指す。ポジトロン放出同位体の一部の例には、15O、13N、11C、18F、76Br、及び124Iが含まれる。
用語「標識された」は、本明細書で使用される場合、天然の存在度より大きい1つ以上のポジトロン放出同位体と関連する化合物を指す。例えば、本明細書に記載されている標識された化合物は、(示された置換基内の原子を含む)分子内の原子がポジトロン放出同位体として存在する1つ以上のポジトロン放出放射性核種を含有していてよい。
用語「断層撮影法」は、本明細書で使用される場合、区分毎のイメージング法を指す。画像は、一連の二次元の切片として個別に、又はコンピューターにより生成された三次元表示として一緒に見ることができる。
一部の実施形態では、用語「神経変性疾患」は、対象の神経系の機能が損なわれる疾患又は状態を指す。神経変性疾患の例としては、本明細書に記載されているものが挙げられる。
「治療」又は「治療する」は、患者における疾患状態の任意の治療を意味し、
a)疾患を阻害すること(例えば、疾患又は状態からもたらされる1種以上の症状を低減させること、及び/又は疾患又は状態の程度を減退させること);
b)疾患若しくは状態に関連する臨床的症状の発症を遅らせる又は停止させること(例えば、疾患若しくは状態を安定化させること、疾患若しくは状態の悪化若しくは進行を予防若しくは遅延させること、及び/又は疾患若しくは状態の拡散(例えば、転移)を予防若しくは遅延させること);並びに/又は
c)疾患を緩和すること、つまり、臨床的症状の退行をもたらすこと(例えば、病態を寛解させること、疾患又は状態の部分的又は全部の緩解を提供すること、別の薬物の作用を促進すること、疾患の進行を遅延させること、生活の質を向上させること及び/又は生存を延長させること)
を含む。
「予防」又は「予防する」とは、疾患又は状態の臨床的症状を発症させないようにする疾患又は状態の任意の治療を意味する。化合物は、一部の実施形態では、リスクがあり(例えば、遺伝的若しくはエピジェネティックなマーカーを有している、疾患若しくは状態に関連する活動に従事していた、又は環境条件に曝露されてきた)又は疾患若しくは状態の家族歴を有する対象(ヒトを含む)に投与することができる。
「対象」又は「患者」は、治療、観察、又は実験の対象である又は対象であることになる、動物、例えば哺乳動物を指す。本明細書に記載の方法は、ヒトの療法及び獣医学の適用の双方において有用であり得る。一部の実施形態では、対象又は患者は哺乳動物である。一部の実施形態では、対象又は患者はヒトである。
用語「キュリー」(Ci)は、放射能の測定単位であり、当業者にとって慣用的な意味を有する。
用語「診断用イメージング」は、本明細書で使用される場合、診断目的のために、電磁線照射を使用してヒト又は動物の身体の内部構造の画像を生成することを指す。
用語「代謝的に保護されたフッ素原子」は、二フッ素化異性体を形成する切断を減少させる隣接官能基を有するフッ素原子を含有する化合物を意味する。代謝的に保護されたフッ素原子は、フッ素原子に隣接する(例えば、ジェミナル又はビシナル)1つ以上の重水素原子を含んでもよい。空間を介した(例えば、立体的)ブロッキングも考慮される。代謝的に保護されたフッ素原子を含む化合物は、第一級フルオリドに隣接する保護官能基を含む第一級フルオロアルキル基又は第一級フルオロアルコキシ基を含んでもよい。このような化合物は、本明細書に記載される方法、及び当技術分野で公知の方法によって調製することができる。
明確にするために、別々の実施形態に関連して記載される、本明細書に記載したいくつかの特徴は、単一の実施形態において組合せの形態で提供することもできるということを理解されたい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態に関連して記載される、本明細書に記載した種々の特徴は、別々に又は任意の適当なサブコンビネーションで提供することもできる。式I、式Ia、若しくは式Ib、又は任意の他の式中に含まれる可変物によって表される化学基に関する実施形態のすべての組合せは、そのような組合せが、安定した化合物(すなわち、単離し、特性決定し、生物活性について試験することができる化合物)をもたらす限り、それぞれの及びあらゆる組合せが個々に及び明示的に列挙されたかのように、特に本明細書に包含される。さらに、そのような可変物を記載している実施形態に列挙される化学基のすべてのサブコンビネーション、並びに本明細書に記載した使用及び医療適用のすべてのサブコンビネーションはまた、化学基のそれぞれの及びあらゆるサブコンビネーション並びに使用及び医療適用のサブコンビネーションが、個々に及び明示的に本明細書に列挙されたかのように、特に本明細書に包含される。さらに、いくつかの実施形態には、それぞれの及びあらゆる組合せが、個々に及び明示的に列挙されたかのように、本明細書に開示される1種以上の追加の薬剤のあらゆる組合せが含まれる。
Figure 2024516393000001
Figure 2024516393000002
Figure 2024516393000003
化合物
本開示は、凝集を生じやすいタンパク質、例えば、ハンチンチンタンパク質をイメージングするのに有用な化合物に関する。化合物は、代謝的に保護されたフッ素原子を含んでもよい。
一部の実施形態は、式Ia:
Figure 2024516393000004
[式中、
R1は、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C1~6ハロアルキル、重水素化C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、重水素化C1~6ハロアルコキシ、-O-アルキレン-O-SO2-R5、又は-O-重水素化アルキレン-O-SO2-R5であり;
R5は、アルキルで場合によって置換されているアリールであり;
R2は、存在しないか、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、重水素化C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、又は重水素化C1~6ハロアルコキシであり;
R3は、ハロ、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり;
nは、0、1、又は2である]
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物を提供する。
一部の実施形態は、式Ib:
Figure 2024516393000005
[式中、
R1は、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C1~6ハロアルキル、重水素化C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、重水素化C1~6ハロアルコキシ、-O-アルキレン-O-SO2-R5、又は-O-重水素化アルキレン-O-SO2-R5であり;
R5は、アルキルで場合によって置換されているアリールであり;
R2は、存在しないか、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、重水素化C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、又は重水素化C1~6ハロアルコキシであり;
R3は、ハロ、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり;
nは、0、1、又は2である]
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物を提供する。
一部の実施形態は、式I:
Figure 2024516393000006
[式中、
R1は、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C1~6ハロアルキル、重水素化C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、重水素化C1~6ハロアルコキシ、又は-O-アルキレン-O-SO2-R5であり;
R5は、アルキルで場合によって置換されているアリールであり;
R2は、存在しないか、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、重水素化C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、又は重水素化C1~6ハロアルコキシであり;
R3は、ハロ、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり;
nは、0、1、又は2である]
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物を提供する。
一部の実施形態では、式I、式Ia、又は式Ibの化合物は、式II:
Figure 2024516393000007
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
一部の実施形態では、式I、式Ia、又は式Ibの化合物は、式III:
Figure 2024516393000008
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
一部の実施形態では、式I、式Ia、又は式Ibの化合物は、式IV:
Figure 2024516393000009
[式中、mは、0、1、又は2であり、各R11及び各R12は、独立して、水素及び重水素から選択され、少なくとも1つのR11又はR12は、重水素である]
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
一部の実施形態では、式I、式Ia、又は式Ibの化合物は、式V:
Figure 2024516393000010
[式中、mは、0、1、又は2であり、各R11及び各R12は、独立して、水素及び重水素から選択され、少なくとも1つのR11又はR12は、重水素である]
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
一部の実施形態では、式I、式Ia、又は式Ibの化合物は、式VI:
Figure 2024516393000011
[式中、mは、0、1、又は2であり、各R11及び各R12は、独立して、水素及び重水素から選択され、少なくとも1つのR11又はR12は、重水素である]
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
一部の実施形態では、式I、式Ia、又は式Ibの化合物は、式VII:
Figure 2024516393000012
[式中、mは、0、1、又は2であり、各R11及び各R12は、独立して、水素及び重水素から選択され、少なくとも1つのR11又はR12は、重水素である]
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
一部の実施形態では、化合物は、代謝的に保護されたフッ素原子を含む。代謝的に保護されたフッ素原子を有する化合物は、1~4個のジェミナル及び/又はビシナル重水素原子を有する第一級フルオロを含んでもよい。代謝的に保護されたフッ素原子を含む化合物は、重水素化C1~6ハロアルキル又は重水素化C1~6ハロアルコキシを含んでもよい。代謝的に保護されたフッ素原子は、フルオロアルキル、フルオロアルケニル、及びフルオロアルキニル基から選択される重水素化フッ素含有基であってもよい。化合物は、構造
Figure 2024516393000013
[式中、mは、0、1、又は2であり、各R11及び各R12は、独立して、水素、重水素、及びC1~3アルキルから選択され、少なくとも1つのR11又はR12は、重水素であり、波線は、親構造への結合点を示す]、例えば、本明細書で提供される任意の式を有する構造を有する置換基を含んでもよい。一部の実施形態では、各R11及び各R12は、重水素である。
一部の実施形態では、代謝的に保護されたフッ素を有する化合物は、構造
Figure 2024516393000014
[式中、波線は、親構造への結合点を示す]
を有する置換基を含む。波線での結合は、連結官能基を介して、例えば、エーテルを形成するための酸素原子を介して付加されてもよい。
一部の実施形態では、化合物は、少なくとも1つのフルオロを含む。一部の実施形態では、化合物は、1つのフルオロを含む。一部の実施形態では、R1は、フッ素原子を含む。
一部の実施形態では、R1又はR2のうちの1つは、重水素化C1~6ハロアルキル、重水素化C1~6ハロアルコキシ、又は部分
Figure 2024516393000015
[式中、mは、0、1、又は2であり、各R11及び各R12は、独立して、水素、重水素、及びC1~3アルキルから選択され、少なくとも1つのR11又はR12は、重水素であり、波線は、親構造への結合点を示す]
を含む。
一部の実施形態では、R1又はR2のうちの1つは、
Figure 2024516393000016
[式中、mは、0、1、又は2であり、各R11及び各R12は、独立して、水素、重水素、及びC1~3アルキルから選択され、少なくとも1つのR11又はR12は、重水素である]
である。
一部の実施形態では、各R11及び各R12は、重水素である。
一部の実施形態では、R1は、重水素化C1~6ハロアルキル又は重水素化C1~6ハロアルコキシである。
一部の実施形態では、R1は、重水素化C1~6ハロアルコキシである。一部の実施形態では、R1は、C1~6フルオロアルコキシである。
一部の実施形態では、R1は、-O-CD2-CD2-Fである。
一部の実施形態では、各R11及び各R12は、独立して、ハロ、水素、及び重水素から選択され、少なくとも1つのR11又はR12は、重水素又はハロである。一部の実施形態では、少なくとも1つのR11及び少なくとも1つのR12は、ハロである。一部の実施形態では、各R11及び各R12は、フルオロである。
一部の実施形態では、R2はC1~6アルキル又はC1~6ハロアルコキシである。
一部の実施形態では、R2はC1~6アルキルである。
一部の実施形態では、nは0である。
一部の実施形態では、R3はフルオロである。
一部の実施形態では、式I、式Ia、又は式Ibの化合物は、1つ以上のポジトロン放出同位体で標識されている。
一部の実施形態では、化合物は、11C、13N、15O、及び18Fから選択される1つ以上のポジトロン放出同位体を含有する。
一部の実施形態では、式I、式Ia、若しくは式Ibの化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物を含むイメージング剤が提供される。
本明細書に記載されている追加の化合物もまた提供される。一部の実施形態では、表1から選択される化合物、又はその同位体標識された類似体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物が提供される。
一部の実施形態では、表1の化合物から選択される化合物であって、場合によって1つ以上のポジトロン放出同位体で標識された化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物が提供される。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物、及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
非金属ポジトロン放出同位体は、最新技術から周知の反応によって、本明細書に記載されている化合物に共有結合することができる。ポジトロン放出同位体が、金属のポジトロン放出体である場合、標識化はキレート剤の使用を必要とすることがあることが理解される。こうしたキレート剤は、最新技術から周知である。
一部の実施形態では、本明細書に提供される実施例セクションに記載された化合物から選択される化合物が提供される。
表1から選択される化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物もまた提供される:
Figure 2024516393000017
Figure 2024516393000018
一部の実施形態では、化合物は、式X:
Figure 2024516393000019
[式中、
環Aは、9員二環式ヘテロアリールであり;
環Bは、6員ヘテロシクリル、6員オキソ-ヘテロシクリル、又は6員ヘテロアリールであり;
環Cは、6員ヘテロアリールであり;
Zは、O、S、NH、又はN(C1~3アルキル)であり;
Lは、CH2、CH(C1~3アルキル)、C(C1~3アルキル)2、又はC(O)であり;
R1は、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、重水素化C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、重水素化C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルチオ、C3~8シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、又は-O-アルキレン-O-SO2-R5であり;
R5は、アルキルで場合によって置換されているアリールであり;
R2は、存在しないか、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、重水素化C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、重水素化C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルチオ、C3~8シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アミノ、アルキルアミノ、又はジアルキルアミノであり;
R3は、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、重水素化C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、重水素化C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルチオ、C3~8シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アミノ、アルキルアミノ、又はジアルキルアミノであり;
R4は、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、重水素化C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、重水素化C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルチオ、C3~8シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アミノ、アルキルアミノ、又はジアルキルアミノであり;
n1は、0、1、又は2であり;
n2は、0、1、又は2であり;
R1、R2、R3、又はR4のうちの1つは、重水素化C1~6ハロアルキル、重水素化C1~6ハロアルコキシ、又は部分
Figure 2024516393000020
(式中、mは、0、1、又は2であり、各R11及び各R12は、独立して、水素、重水素、及びC1~3アルキルから選択され、少なくとも1つのR11又はR12は、重水素であり、波線は、親構造への結合点を示す)
を含む]
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物である。
一部の実施形態では、化合物は、式XI:
Figure 2024516393000021
[式中、
Xは、NR4、O、及びSから選択され;
Yは、CR4及びNから選択され;
Z1、Z2、Z3、及びZ4は、独立して、CH及びNから選択され、ただし、Z1、Z2、Z3、及びZ4のうちの少なくとも2つは、CHであり;
R1は、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルケニル、及びヘテロシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれは、シアノ、ハロ、低級アルキルであって、アミノ、アルキルアミノ、又はジ(アルキル)アミノで場合によって置換されている低級アルキル、低級アルコキシで場合によって置換されている低級アルコキシ、場合によって置換されているアミノ、ハロアルキル、ジ(アルキル)アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、及びアミノカルボニルから独立して選択される1又は2個の基で場合によって置換されているか、又は
R1は、シアノ、ヘテロアリール、ハロ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリール、低級アルキルであって、アミノ、(アルキル)アミノ、又はジ(アルキル)アミノで場合によって置換されている低級アルキル、低級アルコキシ、場合によって置換されているアミノ、ジ(アルキル)アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、及びアミノカルボニルから独立して選択される1又は2個の基で場合によって置換されているフェニルであり;
L1は、-O-であり、L2は、-(CR7R8)m-又は-(CR7R8)m-O-であるか;又は
L1は、-NR3-であり、L2は、-C(O)-又は-(CR7R8)m-であるか;又は
L1は、-NR3-であり、L2は、-C(O)(O)(CR7R8)m-であるか;又は
L1は、-NR3-であり、L2は、-C(O)(CR7R8)m(O)-であるか;又は
L1は、-NR3-であり、L2は、-C(O)(CR7R8)m-であるか;又は
L1は、-NR3-であり、L2は、-C(O)CR7=CR8-であるか;又は
L1は、-C(O)-であり、L2は、-NR3-であるか;又は
L1は、-(CR7R8)m-であり、L2は、-NR3-、-C(O)-、又は-O-であるか;又は
L1は、存在せず、L2は、存在しないか;又は
L1は、L2と一緒になって、-CH=CH-、-C≡C-、又はヘテロシクリレンであり;
L3は、-CH=CH-であるか、又はL3は、存在せず;
R2は、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールから選択され、これらのそれぞれは、
-OC(O)-R6
-C(O)O-R6
アミノ、
ハロ、
ハロアルキル、
フェニル、
ヘテロアリール、
シアノ、
(低級アルキル)チオ、
フェノキシ、
フェノキシメチル、
ヘテロアリールオキシ、
低級アルキルで置換されているヘテロアリールオキシ、
ヒドロキシル、
低級アルケニルオキシ、
低級アルコキシ、
低級アルコキシ、アミノ、(アルキル)アミノ、(ジアルキル)アミノ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、又はハロで置換されている低級アルコキシ、
低級アルキル、及び
アミノ、(アルキル)アミノ、(ジアルキル)アミノ、ヒドロキシル又は低級アルコキシで置換されている低級アルキル
から選択される1又は2個の基で場合によって置換されており;
R3は、水素及び低級アルキルから選択され;
R4は、水素、ハロ、シアノ、及び低級アルキルから選択され;
R5は、低級アルキル、低級アルコキシ、及びハロから選択され;
R6は、低級アルキルであり;
R7は、水素、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、及び低級アルキルから選択され;
R8は、水素及び低級アルキルから選択され;
nは、0又は1であり;
mは、0、1、又は2である]
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物であり、
式XIの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1つ以上のポジトロン放出同位体で標識されており;
化合物は、代謝的に保護されたフッ素原子を含む。
一部の実施形態では、化合物は、式XII:
Figure 2024516393000022
[式中、
Xは、(CR3=CR3)、O、NH、及びSから選択され;
Yは、CR3及びNから選択され;
各出現について、R3は、独立して、水素、ハロ、シアノ、及び低級アルキルから選択され;
Z1、Z2、Z3、及びZ4は、独立して、CH及びNから選択され、ただし、Z1、Z2、Z3、及びZ4のうちの少なくとも2つは、CHであり;
R1は、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルから選択され、これらのそれぞれは、アルキニル、シアノ、場合によって置換されているアミノ、ハロ、及び場合によって置換されているアミノで場合によって置換されている低級アルキルから独立して選択される1又は2個の基で場合によって置換されており;
L1は、C(O)O、O、及びNR4から選択されるか、又はL1は、存在せず;
R4は、水素及び低級アルキルから選択され;
L2は、(CH2)mであり、mは、0、1、又は2であり;
R2は、水素、ヒドロキシル、低級アルキル、低級ハロアルキル、ハロ、及び低級アルコキシから選択され、
R5は、低級アルキル、低級アルコキシ、及びハロから選択され;
nは、0又は1であるか;又は
R2及びR5は、任意の介在原子と一緒になって、5~7員ヘテロシクロアルキル環を形成する]
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物であり、
式XIIの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1つ以上のポジトロン放出同位体で標識されており;
化合物は、代謝的に保護されたフッ素原子を含む。
一部の実施形態では、化合物は、式XIII:
Figure 2024516393000023
[式中、
Z1、Z2、Z3、及びZ4は、独立して、CH及びNから選択され、ただし、Z1、Z2、Z3、及びZ4のうちの少なくとも2つは、CHであり;
R1は、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルケニルから選択され、これらのそれぞれは、アルキニル、ヘテロアリール、シアノ、場合によって置換されているアミノ、ハロ、低級アルキル、及び場合によって置換されているアミノで置換されている低級アルキルから独立して選択される1又は2個の基で場合によって置換されており;
L1は、O及びNR4から選択され;
R4は、水素及び低級アルキルから選択され;
L2は、(CH2)mであり、mは、0、1、又は2であり;
R2は、水素、アリール、ヒドロキシル又は低級アルコキシで置換されているアリール、ヘテロアリール、及びヒドロキシル又は低級アルコキシで置換されているヘテロアリールから選択され、
R5は、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ、及びオキソ(ヘテロシクロアルキル環上の置換基として)から選択され;
nは、0又は1である]
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物であり、
式XIIIの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1つ以上のポジトロン放出同位体で標識されており;
化合物は、代謝的に保護されたフッ素原子を含む。
一部の実施形態では、化合物は、式XIV:
Figure 2024516393000024
[式中、
mは、0、1、又は2であり;
nは、1又は2であり;
Jは、C(=O)又は-CH2-であり;
Xは、S又はNであり;
Yは、CH又はNであり;
Zは、CH又はNであり;
Wは、N又はSであり;
各出現について、R1は、独立して、ハロ、低級アルコキシ、ヒドロキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、又は低級アルキルから選択され、低級アルコキシ、シクロアルコキシ、低級アルキル、アリール、又はヘテロアリールは、低級アルコキシ、アルケニル、-NR4R5、ハロ、又は1~3個の低級アルコキシで場合によって置換されているヘテロアリールから独立して選択される1、2、又は3個の基でそれぞれ場合によって置換されており;
R2は、水素又は低級アルキルであり;
R3は、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリール、又はヘテロアラルキルであり、これらのそれぞれは、ヒドロキシ、低級アルコキシ又はハロで場合によって置換されている低級アルコキシ、ハロで場合によって置換されている低級アルキル、ハロ、ヘテロアリール、-(CH2)tNR4R5、オキソ、シアノ、又は-C(O)-NR4R5から独立して選択される1、2、又は3個の基で場合によって置換されているか、又は
R2及びR3は、それらが結合している窒素と一緒になって、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキル、ハロ、又は-C(O)-NR4R5から独立して選択される1、2、又は3個の基で場合によって置換されている、ヘテロシクロアルキル環を形成し;
tは、0、1、又は2であり;
各R4は、独立して、水素又は低級アルキルから選択され;
各R5は、独立して、水素又は低級アルキルから選択され;又は
R4及びR5は、それらが結合している窒素と一緒になって、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキル、ハロ、又は-C(O)-NR6R7から独立して選択される1、2、又は3個の基で場合によって置換されている、ヘテロシクロアルキル環を形成し;
各R6は、独立して、水素又は低級アルキルから選択され;
各R7は、独立して、水素又は低級アルキルから選択される]
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物であり、
式XIVの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1つ以上のポジトロン放出同位体で標識されており;
化合物は、代謝的に保護されたフッ素原子を含む。
一部の実施形態では、化合物は、式XV:
Figure 2024516393000025
[式中、
Z1及びZ2は、それぞれ独立して、CHであるか、又はZ1及びZ2のうちの一方は、Nであり、もう一方は、CHであり;
Z3は、N又はCHであり;
L1は、-O-C1~4アルキレン、-O-C1~4アルキレン-O-、又は-N(R4)C(=O)-であり;
X1及びX2のうちの一方は、N-L2-R2であり、もう一方は、CH2であり;
X3は、CH2又は-O-CH2-であり;
L2は、-(CH2)n-、-C(=O)-、-C(=O)NH-、-C(=O)(O)-(CH2)n、又は-S(=O)2であり;
nは、0、1、又は2であり;
R1は、アリール又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、及び-N(R4)2から独立して選択される1又は2個の置換基で場合によって置換されており;
R2は、アリール、アルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロシクロアルケニルであり、これらのそれぞれは、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルケニル又はアルコキシで場合によって置換されているアルキル、アルケニル又はアルコキシで場合によって置換されているアルコキシ、ハロアルコキシ、ヘテロアリール、及び-N(R4)2から独立して選択される1又は2個の置換基で場合によって置換されており;
pは、0、1、又は2であり;
各R3は、独立して、C1~4アルキルであるか、又は同じ炭素上の2個のR3は、オキソを形成し、R3は、
Figure 2024516393000026
の1つ以上の環炭素原子を置換してもよく;
各R4は、独立して、H又はC1~4アルキルである]
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物であり、
式XVの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1つ以上のポジトロン放出同位体で標識されており;
化合物は、代謝的に保護されたフッ素原子を含む。
一部の実施形態では、化合物は、式XVI:
Figure 2024516393000027
[式中、
A1は、Cであり;
A2は、C又はNであり;
A3は、CR21、NR3、又はNであり;
A4は、CR22、NR3、又はNであり;
A5は、CR23、NR3、又はNであり;
-A1-A2-A3-A4-A5-によって形成される環Zは、最大3個の窒素原子を有する5員ヘテロアリールであり;
R21、R22、及びR23のそれぞれは、独立して、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルコキシ、又はC3~6シクロアルキルであり;
各R3は、独立して、水素、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、又はC3~6シクロアルキルであり;
A6は、CR11又はNであり、A7は、CR12又はNであり、A8は、CR13又はNであり、A9は、CR14又はNであり、A6、A7、A8、及びA9のうちの2個以下は、Nであり;
R11、R12、R13、及びR14のそれぞれは、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アルコキシ、又はC1~4ハロアルコキシであり;
X1は、C1~6アルキル、C3~10シクロアルキル、C6~10アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり、X1は、1~4個のR4で場合によって置換されており;
各R4は、独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アルコキシ、又はC1~4ハロアルコキシであり;
X2は、O、S、又はNR5であり;R5は、水素、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
Lは、-(C(R6)2)m-であり、mは、1、2、3、又は4であり;
各R6は、独立して、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アルコキシ、又はC1~4ハロアルコキシであるか;又は2個のR6は、任意の介在原子と一緒になって、3~6員環を形成し;
L1は、C(O)、C(O)NRa、NRaC(O)、又はOであるか、又はL1は、存在せず;
Raは、水素、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり;
L2は、1~4個のR7で場合によって置換されているC1~2アルキレンであるか、又はL2は、存在せず;
各R7は、独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アルコキシ、又はC1~4ハロアルコキシである]
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物であり、
化合物は、1つ以上のポジトロン放出同位体で標識されており;
化合物は、代謝的に保護されたフッ素原子を含む。
一部の実施形態では、化合物は、式XVII:
Figure 2024516393000028
[式中、
R1は、水素、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、又はフェニルであり;
R2は、水素、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、又はC1~6ハロアルコキシであり;
R3は、水素、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり;
X1は、C6~10アリール又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは、1~4個のR4で場合によって置換されており;
X2は、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、又はオキソ-ヘテロシクリルであり、これらのそれぞれは、1~4個のR6で場合によって置換されており;
各R4は、独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、R5で場合によって置換されているC1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、R5で場合によって置換されているC1~6アルコキシ、又はC1~6ハロアルコキシであり;
各R5は、独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、又はC1~6アルコキシであり;
各R6は、独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、R7で場合によって置換されているC1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、R7で場合によって置換されているC1~6アルコキシ、又はC1~6ハロアルコキシであり;
各R7は、独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、又はC1~6アルコキシであり;
Lは、(C(R8)2)nであり;
nは、0、1、又は2であり;
各R8は、独立して、水素、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル又はC1~6アルコキシであるか;
又はR3又はR8のうちの一方は、介在原子と一緒になって、R6を有する3~6員飽和又は一部不飽和の環を形成する]
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物であり、
化合物は、1つ以上のポジトロン放出同位体で標識されており;
化合物は、代謝的に保護されたフッ素原子を含む。
一部の実施形態では、化合物は、式XVIII:
Figure 2024516393000029
[式中、
Figure 2024516393000030
は、
Figure 2024516393000031
又は
Figure 2024516393000032
であり;
R1は、存在する場合、水素、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり;
R10は、存在する場合、水素、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり;
環Aは、5~6員ヘテロアリールであり;
Xは、CR11又はNであり;
R11は、水素、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
Y1は、CR12又はNであり;
Y2は、CR13又はNであり;
R12及びR13のそれぞれは、水素、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
R2は、水素、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
Lは、1~6個のフルオロで場合によって置換されているC1~C3アルキレンであり;
R3は、水素、フルオロ、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり;
各R4は、独立して、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
各R5は、独立して、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
R6は、水素、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、-SO2F、又はL1-R7であり;
L1は、-O-、-SO2-、又は-OSO2-であり;
R7は、水素、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり、R7のC1~6アルキル又はC1~6ハロアルキルは、-SO2-アリール、-OSO2-アリール、1~6個の重水素原子、又はこれらの組合せで場合によって置換されており、-SO2-アリール又は-OSO2-アリールは、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシでさらに場合によって置換されており;
mは、0、1、2、又は3であり;
nは、0、1、又は2である]
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物であり、
式XVIIIの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1つ以上のポジトロン放出同位体で標識されており;
化合物は、代謝的に保護されたフッ素原子を含む。
一部の実施形態では、化合物は、式XVIII:
Figure 2024516393000033
[式中、
Figure 2024516393000034
は、
Figure 2024516393000035
又は
Figure 2024516393000036
であり;
R1は、存在する場合、水素、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり;
R10は、存在する場合、水素、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり;
環Aは、5~6員ヘテロアリールであり;
Xは、CR11又はNであり;
R11は、水素、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
Y1は、CR12又はNであり;
Y2は、CR13又はNであり;
R12及びR13のそれぞれは、水素、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
R2は、水素、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
Lは、1~6個のフルオロで場合によって置換されているC1~C3アルキレンであり;
R3は、水素、フルオロ、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり;
各R4は、独立して、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
各R5は、独立して、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシであり;
R6は、水素、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、-SO2F、又はL1-R7であり;
L1は、-O-、-SO2-、又は-OSO2-であり;
R7は、水素、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり、R7のC1~6アルキル又はC1~6ハロアルキルは、-SO2-アリール、-OSO2-アリール、1~6個の重水素原子、又はこれらの組合せで場合によって置換されており、-SO2-アリール又は-OSO2-アリールは、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又はC1~6アルコキシでさらに場合によって置換されており;
mは、0、1、2、又は3であり;
nは、0、1、又は2である]
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物であり、
化合物は、代謝的に保護されたフッ素原子を含む。
一部の実施形態では、化合物は、式XIX:
Figure 2024516393000037
[式中、
L1は、-CH=CH-であるか、又はL1は、存在せず;
R1は、フェニル又はヘテロアリールから選択され、これらのそれぞれは、
シアノ、
ハロ、
ヘテロアリール、
低級アルキル、
ヘテロアリールで置換されている低級アルコキシから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている低級アルキル、
-C(O)O-低級アルキル、
ヒドロキシル、
低級アルキニルオキシ、
低級アルコキシ、及び
以下、
ハロ、
ヘテロシクロアルキル、
ヘテロアリール、
低級アルコキシで置換されているヘテロアリール、
場合によって置換されているアミノ、
ヘテロアリールで置換されているアルキル、及び
低級アルコキシで置換されているヘテロアリールで置換されているアルキル
から独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている低級アルコキシ
から独立して選択される1、2、又は3個の基で場合によって置換されているか;又は
R1は、結合している炭素原子と一緒になってヘテロシクロアルケニル環を形成する2個の基で置換されているフェニルであり、前記フェニルは、
ハロ、
ヘテロアリール、及び
場合によって置換されているアミノ
から選択される置換基でさらに場合によって置換されており;
L2は、-N(R4)-であるか、又はL2は、存在せず;
R2
水素、
低級アルキル、及び
低級アルコキシ、アミノ、(アルキル)アミノ、(ジアルキル)アミノ、又はヒドロキシで置換されている低級アルキル
から選択され;
各出現について、R3は、独立して、
ハロ、
シアノ、
低級アルコキシ、
アミノ、(アルキル)アミノ、又はジ(アルキル)アミノで場合によって置換されている低級アルキル、及び
トリ(アルキル)シリルで場合によって置換されているエチニル
から選択され;
R4は、水素及び低級アルキルから選択され;
mは、0、1、又は2である]
の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物であり、
式XIXの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1つ以上のポジトロン放出同位体で標識されており;
化合物は、代謝的に保護されたフッ素原子を含む。
診断方法及び使用
一部の実施形態では、個体において凝集を生じやすいタンパク質の存在又は非存在を検出する方法であって、有効量の本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を個体に投与すること、及び個体の身体部分又は身体領域の画像を生成することを含む、方法が提供される。個体の身体部分又は身体領域の画像を生成することは、画像を生成して画像中で凝集を生じやすいタンパク質の存在又は非存在を検出することを含み得る。よって、本明細書中に開示される化合物は、タンパク質凝集を生じやすいタンパク質によって少なくとも部分的に媒介される疾患又は状態を検出するのに有用である。一部の実施形態では、タンパク質凝集体の存在又は非存在は、神経変性疾患の存在又は非存在に対応している。一部の実施形態では、神経変性疾患は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、プリオン病、及び脊髄小脳失調症から選択される。
ポジトロン断層法(PET)を使用して診断画像を生成する方法、及び凝集を生じやすいタンパク質の存在又は非存在を検出する方法が提供される。PETイメージングは、当業者に知られている通り、又は以下の通り、実施されてよい。PETイメージングは、ポジトロン放出放射性核種トレーサー、例えば、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の個体への投与を含み得る。次いで、トレーサーは、十分な時間をかけて目的タンパク質と結合させ、この時点で個体を、シンチレーション検出器リングを備えたスキャン装置内に配置する。放出されたポジトロンは、電子と相互作用するまで、個体の組織内を短い(同位体に依存する)距離、移動する。この相互作用は電子とポジトロンの両方を消滅させ、一対の光子を生成する。光子は、スキャン装置内のシンチレーターによって検出される。対に至らない光子は、無視される。
同時コンピューター断層撮影法イメージングとのPET(PET/CT)、同時磁気共鳴イメージングとのPET(PET/MRI)、又は単一光子放射断層撮影法(SPECT)イメージングを含む、診断画像を生成する方法、及び凝集を生じやすいタンパク質の存在又は非存在を検出する方法もまた提供される。一般に、コンピューター断層撮影は、脳の構造を検出するためにX線又はガンマ線を使用するが、磁気共鳴イメージングは、磁場及び電波を使用する。
よって、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は本明細書に記載されているものを含む当技術分野で公知の方法により投与することができる。化合物又はイメージング剤は、循環に入り、凝集を生じやすいタンパク質、又はその凝集体と結合することができる。化合物又はイメージング剤がポジトロン放出同位体で標識されると、放出される粒子を検出することができる。
一部の実施形態では、化合物又はイメージング剤は、個体の血管系に投与される。化合物又はイメージング剤は、血液脳関門を通過することができる。したがって、画像を生成することは、個体の脳の少なくとも一部、例えば化合物が分配される部分の画像を生成することを含み得る。
生体試料を有効量の本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤と接触させること、及び生体試料に関連する画像を生成することを含む、生体試料における診断画像を生成する方法、及び凝集を生じやすいタンパク質の存在又は非存在を検出する方法もまた提供される。一部の実施形態では、接触させること及び生成することは、in vitroで実施されてよい。一部の実施形態では、接触させることはin vivoであり、生成することはin vitroである。
個体において、タンパク質凝集を生じやすいタンパク質、例えばハンチンチンタンパク質(HTTタンパク質)に関連する病理過程の存在又は非存在を検出する方法であって、有効量の本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を投与すること;画像を生成して画像中でハンチンチンタンパク質(HTTタンパク質)の存在又は非存在を検出すること;及び病理過程、例えば神経変性疾患の存在又は非存在を検出することを含む、方法もまた提供される。一部の実施形態では、HTTタンパク質は、モノマー、オリゴマー、若しくは凝集体、又はこれらの組合せとして存在する。一部の実施形態では、凝集を生じやすいタンパク質はハンチンチンタンパク質(HTTタンパク質)である。HTTタンパク質は変異体であってよい。一部の実施形態では、HTTタンパク質は脳、例えば、大脳基底核に見出される。
一部の実施形態では、身体部分又は身体領域は、頭部、脊髄、肢、胸部、及び/又は腹部から選択される。一部の実施形態では、身体部分又は身体領域は、脳である。一部の実施形態では、HTTタンパク質は、大脳基底核に見出される。一部の実施形態では、凝集を生じやすいタンパク質、例えば、HTTタンパク質は、個体の脳、肝臓、心臓、及び/又は筋肉に存在する。一部の実施形態では、画像を生成することは、ポジトロン断層法(PET)イメージング、同時コンピューター断層撮影法イメージングとのPET(PET/CT)、同時磁気共鳴イメージングとのPET(PET/MRI)、単一光子放射断層撮影法(SPECT)イメージング、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、画像を生成することは、PETイメージングを含む。一部の実施形態では、凝集を生じやすいタンパク質、例えば、HTTタンパク質は、個体の脳の大脳基底核、皮質、海馬、及び/又は脳幹に存在する。一部の実施形態では、凝集を生じやすいタンパク質、例えば、HTTタンパク質は、モノマー、オリゴマー、若しくは凝集体、又はこれらの組合せとして存在する。
一部の実施形態では、個体は、ハンチントン病を有する又は有することが発見される。
個体において、β-アミロイドタンパク質に関連する病理過程の存在又は非存在を検出する方法であって、有効量の本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を投与すること;個体の身体部分又は身体領域の画像を生成すること;及び病理過程の存在又は非存在を検出することを含む、方法もまた提供される。一部の実施形態では、個体は、アルツハイマー病(AD)を有する又は有することが発見される。
患者において凝集を生じやすいタンパク質のレベルの変化を定量することによって、患者における疾患進行を監視するために、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を使用する診断方法もまた提供される。
一部の実施形態では、イメージング剤として機能するために好適なタンパク質凝集体、例えばHTTタンパク質凝集体又はβ-アミロイドタンパク質凝集体の結合速度を有する化合物が提供される。したがって、本明細書に記載されている化合物は、1)そのようなタンパク質凝集体に対する高い親和性;2)隣接構造に対する低い親和性;及び/又は3)そのようなタンパク質凝集体からの低速な解離速度のうちの1つ以上によって特徴づけられ得る。解離速度は、以下の式(式中、A及びBはタンパク質凝集体及びイメージング剤を指し、kassnは会合速度定数である)に定義される通り解離速度定数kdissとして表され得る。
d[AB]/dt = kassn[A][B] - kdiss[AB]
一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の有効量は、約0.1~約20mCiを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の有効量は、約0.1、約0.3、約0.5、約0.7、約1、約3、約5、約7、約10、約15、又は約20mCi、又はこれらの間の範囲の値を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の有効量は、約10mCiを含む。
本明細書に記載されている化合物に組み込むことができる適切な放射性核種として、これらに限定されないが、3H(Tとも書かれる)、11C、18F、35S、123I、125I、75Br、76Br、77Br、82Br、131I、15O、13N、及び211Atが挙げられる。化合物に組み込まれる放射性核種は、特定のイメージング用途に依存する。PETイメージングを含む一部の実施形態では、11C、18F、123I、131I、75Br、76Br又は77Brから選択される放射性核種を組み込む化合物が使用されてよい。特定の用途において、99mTcなどのキレート化放射性核種の組み込みも有用であり得る。一部の実施形態では、18Fのより長い半減期により、より強い信号が発生するのに十分に長い時間にわたってイメージングが実行され得るため、18Fが11Cよりも好ましいことがある。一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、ポジトロン放出放射性核種又はガンマ放出放射性核種で標識され得る。ポジトロン放出放射性核種のいくつかの例には、15O、13N、11C、18F、76Br、及び124Iが含まれ、それぞれ約2、10、20、110分、16時間、及び4.2日の半減期を有する。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、11C及び18Fから選択されるポジトロン放出体で標識されてよい。11C導入のための方法は、[11C]ヨードメタン又は[11C]メチルトリフレートによるアルキル化を含み得るがこれに限定されない。炭素11はおよそ20分間の半減期を有し、よって11Cは一般的に現場のサイクロトロン内で作る必要があり、[11C]二酸化炭素として生成することができる。[11C]二酸化炭素は、直接標識法に適した化学種(一般に[11C]ヨードメタンなど)に変換され、放射性医薬品の合成は、適切な放射化学純度及び比放射能が決定された後に、PETイメージング研究において現場で完了し使用される。18Fを導入する典型的な方法として、これらに限定されないが求核的方法及び求電子的方法が挙げられる。求核的方法は、ハロゲン化物、トシレート、又は他の脱離基を、標識されたフッ化セシウム、フッ化カリウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、又はフッ化カリウムkryptofix-222で置換することを含む。[18F]同位体を導入するのに適切となり得る求電子剤として、標識された三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)、三フッ化ビス(2-メトキシエチル)アミノ硫黄(Deoxofluor)、N-フルオロベンゼンスルホンイミド(NFSI)、N-フルオロピリジニウム塩、1-クロロメチル-4-フルオロ-1,4-ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロボレート)(Selectfluor)、N-フルオロピリジニウムトリフレート、フッ化キセノン、2-ピリジンスルホニルフルオリド(PyFluor)、3-ピリジンスルホニルフルオリド、4-ピリジンスルホニルフルオリド、4-クロロ-2-ピリジンスルホニルフルオリド、エテンスルホニルフルオリド、フルオロ-ベンゾヨードキソール、p-フルオロフェニルアミノ硫黄トリフルオリド、p-ニトロフェニルアミノ硫黄トリフルオリド、又はペンタフルオロフェニルアミノ硫黄トリフルオリドが挙げられる。ポジトロン放出体の導入のための一般的方法は文献(例えば、Millerら、Angewandte Chemie International Edition, 47巻 (2008年)、8998~9033頁; Jacobson, O.ら、Bioconjugate Chem.、26巻 (2015年)、1~18頁; Deng, X.ら、Angewandte Chemie International Edition、58巻(9号)、(2019年)、2580~2605頁を参照されたい)に記載されている。
フッ素18は、およそ110分の半減期を有し、したがって[18F]放射性医薬品の合成は、必ずしもサイクロトロンのある場所で行われる必要はなく、PETイメージング研究センターの近位で行われる必要もない。フッ素18はまた、高いポジトロン減衰比(97%)、好ましい半減期(109.7分)、及び低いポジトロンエネルギー(0.635MeVまで)を含めて、好ましい核及び物理的特性を示すと考えられる。このポジトロンエネルギーは、PET画像の優れた解像限界を提供し得る、in vivoでの短い拡散範囲(<2.4mm)に対応することができる。
PETイメージングを実行する方法は、本明細書の実施例に記載される通りであり、及び文献に見出される通りである。研究の例としては、「Carbon 11-labeled Pittsburgh compound B and carbon 11-labeled (R)-PK1 1195 positron emission tomographic imaging in Alzheimer's disease」Arch. Neurol. 2009年; 66巻(1号): 60~67頁が挙げられる。
認識されるように、本明細書に記載されている方法のステップは、特定の回数又は特定の順序で実行される必要はない。本開示のさらなる目的、利点及び新規な特徴は、以下に示される実施例の説明の際に当業者にとって明らかになるが、これは例示を意図したものであり、限定するものではない。
適応症及び治療方法
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、凝集を生じやすいタンパク質によって少なくとも部分的に媒介される疾患又は状態を治療するのに有用であり得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、HTTタンパク質によって少なくとも部分的に媒介される疾患又は状態を治療するのに有用である。
一部の実施形態では、凝集を生じやすいタンパク質によって少なくとも部分的に媒介される疾患又は状態の治療は、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の投与を含んでもよい。治療は、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤と、1つ以上の他の活性薬剤及び/又は治療法の同時投与を含んでもよい。したがって、一部の実施形態では、それを必要とする患者において、凝集を生じやすいタンパク質によって少なくとも部分的に媒介される疾患又は状態を治療する又は予防する方法であって、前記患者に、治療有効量の本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を投与することを含む、方法が提供される。
例示的疾患及び状態を以下に示す。
ハンチントン病(HD)
ハンチントン病(HD)は、遺伝性の進行性神経変性障害であり、運動、認知、及び精神障害、並びに神経変性及び脳萎縮を特徴とする。萎縮は、線条体及び皮質内で始まり、他の皮質下脳領域に拡大し得る。HDは、伸長したCAG繰り返し配列が、コードされたタンパク質におけるポリグルタミン(polyQ)の長い伸長部(stretch)をもたらす、一群の神経変性疾患に属する。上記の群はまた、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)及び脊髄小脳失調症(SCAs)を含む。HDでは、線条体のγ-アミノ酪酸放出有棘投射ニューロン(spiny-projection neurons)の選択的神経変性が観察されたが、多くの他の脳領域におけるニューロン喪失も報告されている。HDの症状は、運動制御の喪失、精神医学的症状、記憶及び/又は認知機能障害を含む。
HDタンパク質ハンチンチン(HTTタンパク質)は、そのアミノ末端に多型のグルタミン/プロリン豊富なドメインを含有する348kDaのマルチドメインタンパク質である。HTTをコードするIT15遺伝子におけるCAG繰り返しの数は、健康な個体において6から35まで変化し、36回以上の繰り返しがHD対立遺伝子を規定する。CAG伸長の長さは疾患発症年齢と逆相関し、若年発症の症例は伸長の60超の繰り返しによって特徴づけられる。より長いpolyQドメインは、HTTタンパク質におけるコンフォメーション変化を引き起こし、これが、多くの場合に核封入体として現れる細胞内凝集を形成すると考えられている。ただし、凝集体は、核の外部に形成されることもある。HTTタンパク質は、ニューロンの核、細胞体、樹状突起及び神経終末に存在し、ゴルジ体、小胞体及びミトコンドリアを含む多くの細胞器官とも関連している。
HDによって最も影響を受ける脳の部分、したがってHTTタンパク質異常を含む可能性が最も高いと考えられる脳の部分は、大脳基底核と総称される脳の基底部にある一群の神経細胞である。この大脳基底核は、筋肉により推進される身体の運動、又は「運動活動」を組織化する。大脳基底核の主な構成成分は、尾状核及び被殻(線条体として一緒に公知である)及び淡蒼球(外部及び内部領域)である。黒質及び視床下核は、多くの場合、同様に、大脳基底核の一部として含まれる。
大脳基底核は、運動制御を主に担い、加えて、他の役割、例えば運動学習、実行機能及び行動並びに感情を担う一群の皮質下核である。大脳基底核網状組織の破壊は、いくつかの運動障害につながると考えられている。大脳基底核の正常な機能には、任意の所与の時点における運動促進又は抑制の程度を決定するために各核内でのニューロン興奮性の微調整が必要である。これは、線条体の複合組織によって媒介され、中型有棘ニューロンの興奮性は、いくつかのシナプス前及び後機構並びに介在ニューロン活性によって制御され、いくつかの回帰性又は内部大脳基底核回路によって確保される。大脳基底核の運動回路は、線条体及び視床下核という2つの入力点、並びに運動視床を介して皮質に接続する、淡蒼球内節という1つの出力点を有する。
例えば、治療は、本明細書に記載されている化合物を含むタンパク質分解標的化キメラ(PROTAC)又は二機能性キメラによる変異体ハンチンチン(mHTT)の分解によって進行してもよい。mHTTを標的とする化合物をコンジュゲートさせてヘテロ二機能性組成物を形成することは、このような治療に有用である。このようなコンジュゲートの例は、国際出願第WO 2020/176424号に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。このようなコンジュゲートは、式
W-L-ULM
[式中、
Wは、本明細書に記載されている化合物などの、変異体ハンチンチンタンパク質(mHTT)を標的とする化合物であり;
Lは、Bで場合によって置換されている結合又は連結部分であり;
Bは、血液脳関門を通過する及び/又は細胞透過性を増強する部分であり;
ULMは、E3ユビキチンリガーゼ標的化部分である]
を有してもよく、L、B、及びULMは、WO 2020/176424に記載される通りであってもよい。
一部の実施形態では、Wは、本明細書に記載されている式Xの部分である。
特定の実施形態では、Wは、式X:
Figure 2024516393000038
[式中、
環Aは、9員二環式ヘテロアリールであり;
環Bは、6員ヘテロシクリル、6員オキソ-ヘテロシクリル、又は6員ヘテロアリールであり;
環Cは、6員ヘテロアリールであり;
Zは、O、S、NH、又はN(C1~3アルキル)であり;
Lは、CH2、CH(C1~3アルキル)、C(C1~3アルキル)2、又はC(O)であり;
R1は、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、重水素化C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、重水素化C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルチオ、C3~8シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、又は-O-アルキレン-O-SO2-R5であり;
R5は、アルキルで場合によって置換されているアリールであり;
R2は、存在しないか、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、重水素化C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、重水素化C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルチオ、C3~8シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アミノ、アルキルアミノ、又はジアルキルアミノであり;
R3は、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、重水素化C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、重水素化C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルチオ、C3~8シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アミノ、アルキルアミノ、又はジアルキルアミノであり;
R4は、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、重水素化C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、重水素化C1~6ハロアルコキシ、C1~6アルキルチオ、C3~8シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アミノ、アルキルアミノ、又はジアルキルアミノであり;
n1は、0、1、又は2であり;
n2は、0、1、又は2であり;
R1、R2、R3、又はR4のうちの1つは、L又はULMによって置換可能な部分を含む]
の部分、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物であり、
ULMは、式:
Figure 2024516393000039
[式中、
WCは、CH2、CHRE、C=O、SO2、NH、又はN-アルキルであり;
各XDは、独立して、O、S、及びH2から選択され;
YAは、CH2、-C=CRF、NH、N-アルキル、N-アリール、N-ヘテロアリール、N-シクロアルキル、N-ヘテロシクリル、O、又はSであり;
ZAは、O、S、又はH2であり、ただし、XD及びZAの両方ともH2であることはできず;
GA及びGBは、それぞれ独立して、H、RFで場合によって置換されているアルキル、OH、RFOCOORE、RFOCONRERG、RFで場合によって置換されている-CH2-ヘテロシクリル、及びRFで場合によって置換されているベンジルから選択され;
QA、QB、QC、及びQDは、それぞれ独立して、CRF、N、又はN-オキシドであり;
Aは、H、アルキル、シクロアルキル、Cl、又はFであり;
REは、-CONRFRG、-ORF、-NRFRG、-SRF、-SO2RF、-SO2NRFRG、-CRFRG、-CRFNRFRG、アリール、ヘテロアリール、場合によって置換されているアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、-P(O)(ORF)(RG)、-P(O)RFRG、-OP(O)(ORF)(RG)、-OP(O)RFRG、ハロ、-CF3、-CN、-NRFSO2NRFRG、-NRFCONRFRG、-CONRFCORG、-NRFC(=N-CN)NRFRG、-C(=N-CN)NRFRG、-NRFC(=N-CN)RG、-NRFC(=C-NO2)NRFRG、-SO2NRFCORG、-NO2、-CO2RF、-C(C=N-ORF)RG、-CRF=CRFRG、-CCRF、-S(C=O)(C=N-RF)RG、-SF5、又は-OCF3であり;
RF及びRGは、それぞれ独立して、結合、H、N、N-オキシド、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、又は-C(O)RHから選択され、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルは、場合によって置換されており;
RHは、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルであり;
ZBは、官能基又は原子であり、場合によって、そのうちの1つは、式Xに共有結合するように改変されている]
の部分であり;
L-ULMへのWの結合点は、式Xの任意の置換可能な原子におけるものであり;
連結部分は、式:
-G1-((CH2)a-G2)c-(CH2)b-G3-
[式中、
G1、G2、及びG3のそれぞれは、独立して、結合、-NR28-、-O-、-S(O)0~2-、-NR28C(O)-、-C(O)NR28-、-NR28S(O)2-、-S(O)2NR28-、-CR29=N-NR28-、-NR28-N=CR29-、-C(O)-、アルキレン、ヘテロアルキレン、アルケニレン、ヘテロアルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、シクロアルキレン、又はヘテロシクロアルキレンであり;各アルキレン、ヘテロアルキレン、アルケニレン、ヘテロアルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、シクロアルキレン、又はヘテロシクロアルキレンは、独立して、オキソ、ハロ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、及びC1~4ハロアルキルから独立して選択される1~5個の置換基で場合によって置換されており;
各R28は、独立して、水素、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、又はヘテロシクリルであり;
R29は、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、又はヘテロシクリルであり;
a及びbは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8であり;
cは、0~20の間の整数である]
のものであり;
連結部分は、置換可能な原子上で、
(-G4-(CH2)d-G5-)e-B
で場合によって置換されており、
G4及びG5のそれぞれは、独立して、結合、-NR28-、-O-、-S(O)0~2-、-NR28C(O)-、-C(O)NR28-、-NR28S(O)2-、-S(O)2NR28-、-CR29=N-NR28-、-NR28-N=CR29-、-C(O)-、アルキレン、ヘテロアルキレン、アルケニレン、ヘテロアルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、シクロアルキレン、又はヘテロシクロアルキレンであり;各アルキレン、ヘテロアルキレン、アルケニレン、ヘテロアルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、シクロアルキレン、又はヘテロシクロアルキレンは、独立して、オキソ、ハロ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、及びC1~4ハロアルキルから独立して選択される1~5個の置換基で場合によって置換されており;
d及びeは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8であり;
Bは、担体ペプチド、コレステロール、又はコレステロールに(例えば、本明細書に記載されている連結部分又は共有結合を介して)コンジュゲートされた担体ペプチドであり、例えば、Bは、Angiopep2、ApoE-I、ApoE-II、ApoB、THR、ペプチド-22、L57、TGN、レプチン30、RVG29、コレステロールにコンジュゲートされたニパウイルスエンベロープ(env.)HR領域、コレステロールにコンジュゲートされたニューカッスル病ウイルス、又はコレステロールにコンジュゲートされた麻疹ウイルスペプチドであってもよく;B部分の具体例としては、以下の表中のものが挙げられる:
Figure 2024516393000040
一部の実施形態では、Wは、式I、式Ia、又は式Ibの部分であり、R1、R2、又はR3のうちの1つは、L又はULMによって置換可能な基を含む。
本明細書に記載されている化合物の投与は、本明細書に記載されている疾患又は状態の1種以上の症状において、減少、例えば、少なくとも10%の減少(例えば、少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は100%)をもたらし得る。疾患又は状態は、神経系以外への一次作用を有する疾患、状態、又は療法に続発する神経系の障害;物理的、機械的若しくは化学的外傷により引き起こされた神経系への損傷;自己免疫性神経変性;感染症に続発する神経変性;及び/又は眼の神経変性であってもよい。神経変性の症状として、例えば、振戦、動作緩慢、運動失調、平衡感覚障害、うつ病、認知機能低下、短期記憶喪失、長期記憶喪失、混乱、性格の変化、言語問題、知覚の喪失、触れられた時の感受性、四肢における無感覚、筋力低下、筋まひ、筋肉の痙攣、筋けいれん、食習慣の著しい変化、過剰な不安又は懸念、不眠症、妄想、幻覚、疲労、背痛、胸痛、消化不良、頭痛、速い心拍数、めまい、かすみ目、視力の影又は欠落領域、変視症、色覚における機能障害、明るい光への曝露後の目視機能回復の低下、及び目視による対比感度の喪失が挙げられる。
神経変性疾患は、対象の神経系の機能が損なわれる疾患又は状態である。神経変性疾患の例としては、例えば、アレキサンダー病、アルパース病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、運動失調末梢血管拡張症、バッテン病(シュピールマイアーフォークトシェーグレンバッテン病としても公知)、牛海綿状脳症(BSE)、カナバン病、コケイン症候群、皮質基底核変性症、クロイツフェルトヤコブ病、前頭側頭認知症、ゲルストマンストロイスラーシャインカー症候群、ハンチントン病、HIVに伴う認知症、ケネディ病、クラッベ病、クールー、レビー小体認知症、マシャドジョセフ病(脊髄小脳失調症3型)、多発性硬化症、多系統萎縮症、ナルコレプシー、神経ボレリア症、パーキンソン病、ペリツェウスメルツバッハー病、ピック病、原発性側索硬化症、プリオン病、レフサム病、サンドホフ病、シルダー病、悪性貧血に続発する亜急性脊髄連合変性症、統合失調症、脊髄小脳失調症、脊髄性筋萎縮症、スティールリチャードソンオルゼウスキー病、インスリン抵抗性、又は脊髄癆が挙げられる。
一部の実施形態では、疾患又は状態は、ハンチントン病(HD)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳失調症、脊髄及び/又は脳傷害、慢性肺高血圧症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、脳海綿状血管腫、心血管疾患、アルツハイマー病(AD)、緑内障、多発性硬化症(MS)、角膜病変、糖尿病、慢性及び/又は神経因性疼痛、脳卒中、虚血、網膜疾患、脊髄性筋萎縮症(SMA)、勃起不全、(非高血圧性)腎症、高血圧性腎症、高血圧(高血圧症)、視神経損傷、肝線維症、狼瘡、移植後の肝不全、脳脊髄炎、てんかん、並びに神経グリア芽細胞腫から選択される。
本明細書に記載されている化合物は、対象に投与された場合、ニューロン変性を阻害し得る。一部の実施形態では、ニューロン変性を阻害することはニューロンにおけるアクソン又はニューロンの変性を阻害することを含んでもよい。全ニューロン又はその一部分、例えば、ニューロン細胞体、アクソン及び樹状突起に関するこのような阻害。これは、例えば、当技術分野で公知の方法による神経系機能の分析により評価することができる。本明細書に記載されている化合物の投与は、1種以上の本明細書に記載されている化合物が投与されていないニューロン集団又は対象において変性するニューロンの数(又はそのニューロン体、アクソン、若しくは樹状突起)と比較して、ニューロン集団又は対象において変性するニューロンの数(又はそのニューロン体、アクソン、若しくは樹状突起)の少なくとも10%の減少(例えば、少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%)をもたらし得る。
ニューロンは、組織及び器官から中枢神経系(求心性神経又は感覚ニューロン)へと情報を伝え、中枢神経系からエフェクター細胞(遠心性神経又は運動ニューロン)へと信号を伝達することができる。他のニューロン、指定された介在ニューロンは、中枢神経系(脳及び脊柱)内のニューロンを接続する。本開示による治療の対象となり得るニューロン型のある特定の具体例としては、小脳顆粒ニューロン、後根神経節ニューロン、PNSニューロン(例えば感覚ニューロン)、及び皮質ニューロンが挙げられる。本開示による治療の対象となり得る細胞型の他の例としては、アストロサイト及びミクログリアが挙げられる。
さらに、本明細書に記載されている化合物は、記憶喪失の予防又は治療に使用することができる。喪失により影響を受け、よって本開示により治療することができる記憶の種類として、エピソード記憶、意味記憶、短期記憶、及び長期記憶が挙げられる。
一部の実施形態では、疾患又は状態は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、プリオン病、及び脊髄小脳失調症から選択される神経変性疾患である。一部の実施形態では、神経変性疾患は、トリプレットリピート病として分類される。一部の実施形態では、トリプレットリピート病は、カテゴリI、カテゴリII、又はカテゴリIIIに属するものとして分類される。
一部の実施形態では、病理過程は、ハンチントン病(HD)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳失調症、脊髄及び/又は脳傷害、慢性肺高血圧症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、脳海綿状血管腫、心血管疾患、アルツハイマー病(AD)、緑内障、多発性硬化症(MS)、角膜病変、糖尿病、慢性及び/又は神経因性疼痛、脳卒中、虚血、網膜疾患、脊髄性筋萎縮症(SMA)、勃起不全、(非高血圧性)腎症、高血圧性腎症、高血圧(高血圧症)、視神経損傷、肝線維症、狼瘡、移植後の肝不全、脳脊髄炎、てんかん、並びに神経グリア芽細胞腫から選択される疾患又は状態に伴う、又は引き起こされる。一部の実施形態では、病理過程は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、プリオン病、及び脊髄小脳失調症から選択される神経変性疾患である。一部の実施形態では、神経変性疾患は、トリプレットリピート病として分類される。一部の実施形態では、トリプレットリピート病は、カテゴリI、カテゴリII、又はカテゴリIIIに属するものとして分類される。
一部の実施形態では、神経変性疾患は、ハンチントン病である。
本明細書に記載されている疾患又は状態の診断、予防、又は治療における使用のための医薬の製造のための本明細書に記載されている化合物の使用もまた提供される。例えば、疾患又は状態はハンチントン病であってよい。
イメージング剤及び医薬組成物
イメージング剤は、一般に、ポジトロン放出放射性核種で標識された本明細書に記載されている化合物を含む。ポジトロン放出放射性核種で標識されたイメージング剤は、放射性核種の短い半減期により、直後(例えば、合成の1時間以内)に静脈内注射を介して一般的に投与される。必要とされるイメージング剤の量は、通常、処方医師により決定される。用量は、これらに限定されないが、化合物の会合速度、使用される放射性核種からの放出量、放射性核種の半減期、画像化すべき身体の部分、身体の領域、及び/又は組織、並びに個体の特徴を含む様々な要因により変動し得る。当業者は、有効量は、一般的に約0.1~約20mCi又は約l~約5mCiの範囲の放出を生じさせるのに十分な標識化合物の量となることを理解するであろう。イメージング剤の有効量における標識化合物の質量は、約0.1~約500mgであってよい。
一般に、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、任意の好適な経路を介して、それを必要とする患者に投与することができる。投与経路には、例えばドリップパッチによる、例えば皮下、筋肉内、静脈内などの非経口的投与が含まれ得る。さらなる好適な投与経路には、例えば噴霧器若しくは吸入器による、又はインプラントによる、経口、直腸、鼻腔内、局所(口腔内及び舌下を含む)、注入、膣、皮内、腹腔内、頭蓋内、髄腔内及び硬膜外投与又は経口若しくは鼻腔吸入を介した投与が含まれるがこれらに限定されない。
PETイメージングに関して、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の個体への投与は、静脈内によるものであってよい。医薬組成物は、滅菌注入可能水性又は油性懸濁液の形態をとっていてもよい。この懸濁液は、上に挙げられた、これらの好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用する公知の技術に従って製剤化されてもよい。無菌の注射可能な製品はまた、非毒性の、非経口的に許容されるビヒクル中の無菌の注射可能な溶液又は懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であってもよい。利用されてもよい、許容されるビヒクルの中では、水、リンガー溶液、及び等張性の塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の、不揮発性油が、溶媒又は懸濁性媒質として従来技術で利用されている。この目的では、合成のモノ又はジグリセリドを含む、任意の非刺激性の不揮発性油が利用されてもよい。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が、注射可能物の調製において有用であり得る。そのような溶液は、0.01%~10%の等張液、pH5~7として、適当な塩で製剤化されてもよい。
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、滅菌媒質中で非経口投与されてもよい。非経口的投与には、皮下注入、静脈内、筋肉内、髄腔内注入又は点滴技法が含まれる。本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、使用されるビヒクル及び濃度に応じて、ビヒクル中に懸濁又は溶解させてよい。有利には、局部麻酔薬、保存剤及び緩衝剤などのアジュバントが、ビヒクル中に溶解されることができる。非経口投与のための多くの医薬組成物では、担体は、組成物の総計の少なくとも90重量%を占める。一部の実施形態では、非経口投与のための担体は、プロピレングリコール、オレイン酸エチル、ピロリドン、エタノール、及びゴマ油から選択される。
医薬組成物、例えば、注射用の医薬組成物は、シクロデキストリンを含むことができる。シクロデキストリンは、例えば、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン又はスルホブチルエーテルシクロデキストリンであってもよい。シクロデキストリンは、例えば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、又はγ-シクロデキストリンであってもよい。
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、マイクロスフィア、リポソーム、他の微粒子送達系又は血液を含む特定の組織内に配置される徐放製剤を介して投与してもよい。徐放担体の好適な例には、共用商品、例えば座剤又はマイクロカプセルの形態の半透性ポリマーマトリックスが含まれる。上記の技法及びプロトコル並びに本発明に従って使用され得る他の技法及びプロトコルの例は、Remington's Pharmaceutical Sciences、18版、Gennaro, A. R.、Lippincott Williams & Wilkins; 20版 (2000年12月15日) ISBN 0-912734-04-3及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、Ansel, N. C.ら、7版、ISBN 0-683305-72-7に見出すことができ、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、医薬組成物として投与される。したがって、担体、アジュバント、及び賦形剤から選択される少なくとも1つの薬学的に許容されるビヒクルと一緒に、本明細書に記載されている少なくとも1つの化合物又はイメージング剤を含む医薬組成物が提供される。本開示の化合物又はイメージング剤は、当業者に公知の技法を使用して、医薬組成物へと製剤化され得る。
薬学的に許容されるビヒクルは、それらを、治療される動物への投与に好適なものとするために、純度が十分に高く、毒性が十分に低いものでなければならない。ビヒクルは、不活性とすることができ、又はそれは医薬上の有益性を有することができる。化合物又はイメージング剤と共に用いられるビヒクルの量は、化合物又はイメージング剤の用量ごとの投与のための材料の実際量を提供するのに十分なものであってよい。
例示できる薬学的に許容される担体又はその成分は、糖、例えばラクトース、グルコース及びスクロース;デンプン、例えばコーンスターチ及びジャガイモデンプン;セルロース及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及びメチルセルロース;粉末化トラガカント;モルト;ゼラチン;タルク;固体滑沢剤、例えばステアリン酸及びステアリン酸マグネシウム;硫酸カルシウム;合成油;植物油、例えばピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、及びトウモロコシ油;ポリオール、例えばプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール;アルギン酸;リン酸塩緩衝溶液;乳化剤、例えばTWEEN(登録商標);湿潤剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム;着色剤;芳香剤;錠剤化剤;安定剤;抗酸化剤;保存剤;ピロゲンを含まない水;等張性食塩水;並びにリン酸塩緩衝溶液である。
場合による活性薬剤が、医薬組成物に含まれてもよく、これは、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の活性を実質的に妨げない。
有効濃度の本明細書に記載されている少なくとも1つの化合物又はイメージング剤が、好適な薬学的に許容されるビヒクルと混合される。化合物又はイメージング剤が不十分な溶解度を示す場合、化合物を可溶化するための方法が使用されてよい。そのような方法は、当業者に公知であり、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの共溶媒を使用すること、TWEEN(登録商標)などの界面活性剤を使用すること、又は水性緩衝液、例えば重炭酸ナトリウム中への溶解を含むがこれらに限定されない。
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の混合又は添加時に、得られた混合物は、溶液、懸濁液、エマルションなどであり得る。得られた混合物の形態は、意図された投与方法及び選択したビヒクル中での化合物又はイメージング剤の溶解度を含む、多くの要素に依存する。イメージング又は治療に十分な有効濃度は、当技術分野において公知の方法により実験的に決定され得る。
医薬組成物は、経口使用、例えば錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性又は油性の懸濁液、分散可能な粉末又は顆粒、エマルション、硬カプセル若しくは軟カプセル、又はシロップ若しくはエリキシルのために製剤化されてもよい。経口使用が意図された医薬組成物は、医薬組成物の製造のための、当業者に公知の任意の方法に従って調製されてもよく、そのような組成物は、医薬として簡潔であり味のよい製品を提供するために、1種以上の薬剤、例えば甘味剤、芳香剤、着色剤及び保存剤を含有してもよい。一部の実施形態では、経口医薬組成物は、0.1~99%の本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を含有する。一部の実施形態では、経口医薬組成物は、少なくとも5%(重量%)の化合物又はイメージング剤を含有する。いくつかの実施形態は、25%~50%又は5%~75%の化合物又はイメージング剤を含有する。
経口で投与される医薬組成物としてはまた、液体溶液、エマルション、懸濁液、粉末、顆粒、エリキシル、チンキ、シロップなども挙げられる。そのような組成物の調製に好適な薬学的に許容される担体は、当技術分野で周知である。経口の医薬組成物は、保存剤、芳香剤、スクロース又はサッカリンなどの甘味剤、味覚マスキング剤、及び着色剤を含有してもよい。
シロップ、エリキシル、エマルション及び懸濁液のための担体の典型的な成分としては、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体スクロース、ソルビトール及び水が挙げられる。シロップ及びエリキシルは、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースで製剤化されてもよい。そのような医薬組成物はまた、緩和薬も含有してもよい。
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、水性又は油性の懸濁液、溶液、エマルション、シロップ、又はエリキシルなどの経口の液体製品中へ組み込まれ得る。さらに、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を含有する医薬組成物は、使用前に水又は他の好適なビヒクルを用いて構成するための乾燥製品として提示され得る。そのような液体製品は、従来技術の添加剤、例えば懸濁剤(例えばソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/糖、シロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムのゲル、及び水素化された食用の脂肪)、乳化剤(例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、又はアカシア)、非水性のビヒクルを含有することができ、これらは、食用油(例えばアーモンド油、分画されたココナツ油、シリルエステル、プロピレングリコール及びエチルアルコール)、並びに保存剤(例えばp-ヒドロキシ安息香酸メチル又はプロピル、及びソルビン酸)を含み得る。
懸濁液のために、典型的な懸濁剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、Avicel(登録商標)RC-591、トラガカント及びアルギン酸ナトリウムが挙げられ、典型的な湿潤剤としては、レシチン及びポリソルベート80が挙げられ、且つ典型的な保存剤としては、メチルパラベン及び安息香酸ナトリウムが挙げられる。
水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合において化合物又はイメージング剤を含有する水性懸濁液が提供される。そのような賦形剤は、懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアカシアゴムであり、分散剤又は湿潤剤は、天然に存在するホスファチド、例えばレシチンであってもよく、又はアルキレンオキシドの、脂肪酸との縮合製品、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、又はエチレンオキシドの、長鎖脂肪族アルコールとの縮合製品、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はエチレンオキシドの、脂肪酸及びヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合製品、例えばポリオキシエチレンソルビトール置換体、又はエチレンオキシドの、脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとの縮合製品、例えばポリエチレンソルビタン置換体であってもよい。水性懸濁液はまた、1種以上の保存剤、例えばp-ヒドロキシ安息香酸エチル又はn-プロピルも含有してもよい。
油性懸濁液は、植物油、例えばピーナッツ油、オリーブ油、ゴマ油又はココナツ油、又は鉱油、例えば流動パラフィン中に化合物又はイメージング剤を懸濁させることにより製剤化され得る。油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコールを含有してよい。上に明らかにしたものなどの甘味剤、及び芳香剤が、味の良い経口製品を提供するために加えられてもよい。これらの医薬組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を加えることによって保存されてもよい。
医薬組成物は、水中油型エマルションの形態をとっていてもよい。油相は、植物油(例えば、オリーブ油又はピーナッツ油)、又は鉱油(例えば、流動パラフィン)、又はこれらの混合物であってよい。好適な乳化剤は、天然に存在するゴム、例えばアカシアゴム又はトラガカントゴム、天然に存在するホスファチド、例えばダイズ、レシチン、及び脂肪酸及びヘキシトールから誘導されるエステル又は部分エステル、無水物、例えばモノオレイン酸ソルビタン、並びに前記部分エステルの、エチレンオキシドとの縮合製品、例えばモノオレイン酸ソルビタンポリオキシエチレンであってもよい。
水の添加による水性懸濁液の調製に好適な分散可能な粉末及び顆粒は、有効成分を、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤、及び1種以上の保存剤との混合において提供する。好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、上に既に挙げたものによって例証される。
錠剤は、不活性希釈剤として、従来技術の薬学的に許容されるアジュバント、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトース及びセルロース;結着剤、例えばデンプン、ゼラチン及びスクロース;崩壊剤、例えばデンプン、アルギン酸及びクロスカルメロース;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及びタルクを、典型的に含む。流動促進剤、例えば二酸化ケイ素が、粉末混合物の流れ特性を改善させるために使用され得る。着色剤、例えばFD&C染料が、外見のために添加され得る。甘味剤及び芳香剤、例えばアスパルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミント、及び果物の芳香が、咀嚼可能な錠剤のための有用なアジュバントであり得る。カプセル(時間放出性製剤及び徐放性製剤を含む)は、上で開示されている1種以上の固体希釈剤を典型的に含む。担体成分の選択は、味覚、コスト、及び貯蔵安定性のような二次的な検討事項によることが多い。
医薬組成物は、化合物又はイメージング剤が、所望の局所適用の付近で、又は所望の作用を延長するため種々の回数で、胃腸管内に放出されるように、従来の方法により、典型的にはpH又は時間依存性コーティングにより、コーティングされてもよい。そのような剤形は、1種以上の酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロース、Eudragit(登録商標)コーティング、ワックス及びシェラックを典型的に含むがこれらに限定されない。
経口使用のための医薬組成物はまた、硬質ゼラチンカプセルとして提供されてよく、ここで、有効成分は、不活性固形希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合され、又は軟質ゼラチンカプセルとして提供されてもよく、ここで、有効成分は、水又は油性媒質、例えばピーナッツ油、流動パラフィン若しくはオリーブ油と混合される。
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、薬物の直腸投与のために座剤の形態で投与されてもよい。これらの医薬組成物は、薬物を、常温では固体であるが直腸温では液体である好適な非刺激性の賦形剤と混合することによって調製されることが可能であり、したがって、直腸中で溶融して薬物を放出することになる。そのような材料としては、カカオバター及びポリエチレングリコールが挙げられる。
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、局部又は局所の適用のために、例えば皮膚、及び眼の中などの粘膜のための局所適用のために、ゲル、クリーム、及びローションの形態で、並びに眼への適用のために製剤化されてもよい。局所用の医薬組成物は、例えば溶液、クリーム、軟膏、ゲル、ローション、乳液、クレンザー、モイスチャライザー、スプレー、スキンパッチなどを含む任意の形態にあってもよい。
本明細書に記載されている少なくとも1つの化合物、又はその同位体標識された類似体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物を含む局所用の医薬組成物は、当技術分野で周知の種々の担体材料、例えば水、アルコール、アロエベラゲル、アラントイン、グリセリン、ビタミンA及びE油、鉱油、プロピレングリコール、PPG-2プロピオン酸ミリスチルなどと混合され得る。
局所用の担体中での使用に好適な他の材料としては、例えば軟化剤、溶媒、保湿剤、増粘剤及び粉末が挙げられる。単独で、又は1種以上の材料との混合物として使用され得るこれらのタイプの材料のそれぞれの例は、以下の通りである。
代表的な軟化剤としては、ステアリルアルコール、モノリシノール酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、プロパン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ミンク油、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オクタデカン-2-オール、イソセチルアルコール、パルミチン酸セチル、ジメチルポリシロキサン、セバシン酸ジ-n-ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ゴマ油、ココナツ油、ラッカセイ油、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール、石油、鉱油、ミリスチン酸ブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、及びミリスチン酸ミリスチルが挙げられ;噴霧剤としては、プロパン、ブタン、イソブタン、ジメチルエーテル、二酸化炭素、及び亜酸化窒素が挙げられ;溶媒としては、エチルアルコール、塩化メチレン、イソプロパノール、ヒマシ油、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランが挙げられ;保湿剤としては、グリセリン、ソルビトール、ナトリウム2-ピロリドン-5-カルボキシレート、可溶性コラーゲン、フタル酸ジブチル、及びゼラチンが挙げられ;並びに粉末としては、チョーク、タルク、フラー土、カオリン、デンプン、ゴム、コロイド状の二酸化ケイ素、ポリアクリル酸ナトリウム、テトラアルキルアンモニウムスメクタイト、トリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学修飾ケイ酸アルミニウムマグネシウム、有機修飾モンモリロナイトのクレイ、水和されたケイ酸アルミニウム、フュームドシリカ、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びモノステアリン酸エチレングリコールが挙げられる。
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤はまた、経皮パッチとして経皮投与のために製剤化されてもよい。
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤はまた、リポソーム送達系において投与されてもよい。リポソームは、小型単層ベシクル、大型単層ベシクル、及び多層ベシクルに分類され得る。リポソームは、種々の両親媒性分子、特にリン脂質から形成され得る。リポソームの構成物としては、コレステロール、ステアリルアミン及び/又はホスファチジルコリンが挙げられる。リポソームは、局所及び種々の組織への注射を含む種々の投与の経路のために好適である。そのため、リポソームの硝子体内(例えば、緑内障の治療において)、腹腔内、静脈内、血管内、関節内、及び筋肉内投与が考えられる。
化合物又はイメージング剤の全身系送達を達成するのに有用である他の医薬組成物は、舌下、口腔内及び鼻腔内投薬形態を含む。そのような医薬組成物は、可溶性フィラー物質、例えばスクロース、ソルビトール及びマンニトール、並びに結着剤、例えばアカシア、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのうちの1種以上を典型的に含む。上に開示された流動促進剤、滑沢剤、甘味剤、着色剤、抗酸化剤及び芳香剤がまた、含まれてもよい。
吸入のための医薬組成物は、溶液、懸濁液又はエマルションの形態において典型的に提供されることができ、それは、乾燥粉末として又は従来技術の噴霧剤(例えばジクロロジフルオロメタン若しくはトリクロロフルオロメタン)を使用するエアロゾルの形態において投与され得る。
医薬組成物は、活性増強剤を場合によって含んでもよい。活性増強剤は、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の治療効果を増強する又はそれに依存しない様々な態様で機能する多種多様な分子から選択され得る。特定の部類の活性増強剤は、皮膚浸透増強剤及び吸収増強剤を含む。
医薬組成物は、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の治療効果を増強する様々な態様で機能し得る多種多様な分子から選択され得る、追加の活性薬剤を含有してもよい。これらの任意の他の活性薬剤は、存在するとき、医薬組成物中に、0.01%~15%の範囲のレベルで典型的に利用される。一部の実施形態では、組成物の0.1重量%~10重量%を占める。他の実施形態では、組成物の0.5重量%~5重量%を占める。
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の用量は、他の考慮事項の中で、治療又は検出されるべき特定の病理過程、個体の生理学、症状の重症度、投与経路、投薬間隔の頻度、利用される特定の化合物、化合物の有効性、中毒学プロファイル、薬物動態プロファイル、及び有毒性副作用の存在を含む種々の要素に依存する。所定の状況下での用量は、一般に施術者によって、上記及び他の要素に基づいて適宜決定される。
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、典型的に、投薬レベルで、医師などの施術者によって決定された態様で投与される。例えば、化合物又はイメージング剤は、一般に0.001~100mg/kg、例えば0.01~100mg/kg、例えば0.1~70mg/kg、例えば0.5~10mg/kgの投薬レベルで、単回又は多回投薬により投与され得る。用量は、例えば、1日1回又は1日2回の投与に対するものであってよい。単位剤形は、一般に0.01~1000mg、例えば0.1~50mgの本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を含有してよい。静脈内投与については、化合物又はイメージング剤は、例えば、0.001~50mg/kg、例えば0.001~10mg/kg、例えば0.01~1mg/kgの投薬レベルで、単回又は多回投薬により投与されてよい。単位剤形は、例えば、0.1~10mgの化合物又はイメージング剤を含有してよい。
キット及びパッケージング
本明細書に記載されている化合物及び適切なパッケージングを含むキットもまた本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、キットはさらに使用のための指示書を含む。一部の実施形態では、キットは本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤並びに本明細書に記載されている疾患又は状態を含む適応症の治療における化合物の使用のためのラベル及び/又は指示書を含む。
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を適切な容器に含む製造物品もまた本明細書で提供される。容器はバイアル、瓶、アンプル、予め充填されたシリンジ及び静注用バッグであってもよい。
パッケージングされた医薬組成物もまた提供される。このようなパッケージングされた組成物は、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を含む医薬組成物、及び対象(典型的にはヒト患者)を治療するために組成物を使用するための指示書を含む。一部の実施形態では、指示書は、本明細書に記載されている疾患又は状態を検出するために医薬組成物を使用するためのものである。パッケージングされた医薬組成物は、例えば、患者又は保健医療提供者への、又はパッケージングされた医薬組成物のラベルとしての、処方情報を含み得る。処方情報は、例えば、医薬組成物に関する有効性、用量及び投与、禁忌及び有害反応情報を含み得る。
前述の全記載において、化合物又はイメージング剤は、単独で、混合物として、又は他の活性薬剤と組み合わせて投与され得る。
本明細書に記載されている疾患又は状態の診断、予防、又は治療における使用のための医薬の製造のための、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤の使用もまた提供される。例えば、疾患又は状態はハンチントン病であってもよい。
本明細書に記載されている疾患又は状態の診断、予防、又は治療における使用のためのイメージング剤の製造のための、本明細書に記載されている化合物の使用もまた提供される。例えば、疾患又は状態はハンチントン病であってもよい。
併用治療
本明細書に記載されている方法は、本明細書に記載されている疾患又は状態を検出、治療又は予防するための方法であって、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤及び1つ以上の追加の活性薬剤を同時に又は連続的に対象に投与することを含む、方法を含む。例えば、疾患又は状態はハンチントン病であってもよい。同時投与を使用する方法において、薬剤は、組み合わされた組成物中に存在し得る又は別々に投与され得る。1つ以上の追加の活性薬剤と組み合わせて使用される場合、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤は、追加の活性薬剤の投与の前に、それと同時に、又はその後に、投与されてよい。投与は同じ経路でも、異なる経路であってもよい。
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤及びハンチントン病の治療に使用される1つ以上の追加の活性薬剤、例えば、これらに限定されないがカルバマゼピン、クロナゼパム、ジアゼパム、フルオキセチン、エスシタロプラム、バルプロエート、ラモトリギン、アミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミン、ノルトリプチリン、パロキセチン、フルオキセチン、セルトラリン、テトラベナジン、ハロペリドール、クロルプロマジン、チオリダジン、スルピリド、クエチアピン、クロザピン、及びリスペリドンを含む医薬組成物もまた提供される。同様に、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤を含む医薬組成物、及びハンチントン病の治療に使用される1つ以上の追加の活性薬剤、例えば、これらに限定されないがカルバマゼピン、クロナゼパム、ジアゼパム、フルオキセチン、エスシタロプラム、バルプロエート、ラモトリギン、アミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミン、ノルトリプチリン、パロキセチン、フルオキセチン、セルトラリン、テトラベナジン、ハロペリドール、クロルプロマジン、チオリダジン、スルピリド、クエチアピン、クロザピン、及びリスペリドンを含む別の組成物を含むパッケージングされた医薬組成物もまた提供される。一部の実施形態では、活性薬剤は、カルバマゼピン、クロナゼパム、ジアゼパム、フルオキセチン、エスシタロプラム、バルプロエート、ラモトリギン、アミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミン、ノルトリプチリン、パロキセチン、フルオキセチン、セルトラリン、テトラベナジン、ハロペリドール、クロルプロマジン、チオリダジン、スルピリド、クエチアピン、クロザピン、又はリスペリドンである。
アルツハイマー病に関連した記憶及び/又は認知機能障害を治療することを含む、アルツハイマー病を治療又は予防するための方法であって、本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤及び1つ以上の追加の薬剤を同時に又は連続的に対象に投与することを含む、方法もまた提供される。一部の実施形態では、活性薬剤はReminyl(登録商標)、Cognex(登録商標)、Aricept(登録商標)、Exelon(登録商標)、Akatinol(登録商標)、Neotropin(商標)、Eldepryl(登録商標)、エストロゲン、又はクリオキノールである。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物は、パーキンソン病を治療するための活性薬剤と共に、例えば、L-ドパ、ドーパミンアゴニスト(例えば、ブロモクリプチン、ペルゴリド、プラミペキソール、ロピニロール、カベルゴリン、アポモルフィン、及びリスリド)、ドーパデカルボキシラーゼ阻害剤(例えば、レボドパ、ベンセラジド、及びカルビドパ)、及び/又はMAO-B阻害剤(例えば、セレギリン及びラサギリン)と共に投与することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物は、アルツハイマー病を治療するための活性薬剤と共に、例えば、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ドネペジル、ガランタミン、及びリバスチグミン)及び/又はNMDA受容体アンタゴニスト(例えば、メマンチン)と共に投与することができる。
化合物の合成
本明細書に記載されている化合物は、本明細書に開示されている方法、及び本明細書の開示及び当技術分野において周知の方法から明らかであるその通例の変法を使用して調製され得る。従来の及び周知の合成方法は、本明細書の教示に加えて使用され得る。本明細書に記載されている典型的な化合物の合成は、以下の実施例において記載される通り達成され得る。利用可能な場合、試薬は、市販で、例えばSigma Aldrich又は他の化学物質供給者から購入できる。
本明細書に記載されている化合物は、例えば、以下の一般的な方法及び手順を使用して、容易に入手できる出発物質から調製され得る。典型的又は好ましい工程条件(すなわち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられる場合、他に述べられていない限り他の工程条件も使用できることは理解される。最適な反応条件は、具体的な反応物又は使用される溶媒で変化する場合があるが、そのような条件は、通常の最適化手順によって当業者によって決定され得る。
加えて、当業者に明らかである通り、従来の保護基が、特定の官能基が望ましくない反応を受けることを防ぐために必要である場合がある。種々の官能基のための好適な保護基並びに特定の官能基を保護する及び脱保護するための好適な条件は、当技術分野において周知である。例えば多数の保護基が、Wuts, P. G. M.、Greene, T. W.、& Greene, T. W. (2006年)、Greene's protective groups in organic synthesis. Hoboken, N.J.、Wiley-Interscience及びこれに引用されている参考文献に記載されている。
さらに、本明細書に記載されている化合物は、1つ以上の不斉(「キラル」)中心を含有し得る。それにより所望により、そのような化合物は、純粋な立体異性体として、すなわち個別のエナンチオマー若しくはジアステレオマーとして、又は立体異性体富化混合物として調製又は単離され得る。すべてのそのような立体異性体(及び富化混合物)は、他に示されない限り、本開示の範囲内に含まれる。純粋な立体異性体(又は富化混合物)は、例えば、当技術分野において周知の光学的に活性な出発物質又は立体選択的な試薬を使用して調製され得る。代替的に、そのような化合物のラセミ混合物は、例えば、キラルカラムクロマトグラフィー、超臨界流体クロマトグラフィー、キラル分割剤などを使用して分離され得る。エナンチオマーとして純粋な又は富化された化合物が所望される場合、キラルクロマトグラフィー及び/又はエナンチオマーとして純粋な若しくは富化された出発物質を、当技術分野で慣例的に使用されているように又は実施例に記載されているように利用することができる。
以下の反応についての出発物質は、一般に公知の化合物である、又は公知の手順若しくはその明らかな変法によって調製され得る。例えば、多くの出発物質が業者、例えば、Sigma Aldrich、Alfa Aesarなどから利用可能である。他は、Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis、1~15巻(John Wiley, and Sons、1991年)、Rodd's Chemistry of Carbon Compounds、1~5巻及び補遺(Elsevier Science Publishers、1989年) organic Reactions、1~40巻(John Wiley, and Sons、1991年)、March's Advanced Organic Chemistry、(John Wiley, and Sons、第5版、2001年)並びにLarock's Comprehensive Organic Transformations (VCH Publishers Inc.、1989年)などの標準的な参考文献に記載されている手順又はその明らかな変法によって調製され得る。
用語「溶媒」、「不活性有機溶媒」及び「不活性溶媒」は、それと併せて記載されている反応の条件下で不活性な溶媒を指す(例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、クロロホルム、塩化メチレン(又はジクロロメタン)、ジエチルエーテル、メタノール、ピリジンなどが挙げられる)。一般的に、用語不活性は、溶媒に関して本明細書で使用される場合、炭素-炭素結合形成反応によって目的の標的化合物を形成する反応を起こさない材料を指す。そうでないと指定されない限り、本開示の反応で使用される溶媒は、不活性有機溶媒であり、反応は不活性ガス、好ましくは窒素又はアルゴン下で実行される。
用語「q.s.」は、述べられた機能を達成するため、例えば、溶液を所望の体積(すなわち、100%)にするために十分な量を加えることを意味する。
下記の各スキームにおいて任意の置換基の付加が、そのいずれか又はすべてが従来の技術を使用して単離及び精製され得る多数の異性体の生成物(それだけには限らないが、エナンチオマー又は1個以上のジアステレオマーを含む)の生成をもたらし得ることも理解される。
本明細書に記載されている化合物又はイメージング剤への標識の組み込みは、好適な出発物質を、ポジトロン放出同位体を含む試薬と反応させることによって行われてよい。方法は通常標準的な有機化学反応と同じ原理に従い、本開示に提供されるものを含めて当業者に公知の任意の方法で行うことができる。
スキーム1及び2は、本明細書で提供される化合物(例えば、式Iの化合物)の合成に対する例示的な合成経路を提供する。式Iの化合物、又は本明細書に開示されている他の式又は化合物は、典型的には、例えば化合物1及び化合物6から、及び好適な条件(例えば、求核付加又はクロスカップリング)を使用して所望の置換基を結合することによって調製される。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物の合成は、スキーム1に従って開始する。
Figure 2024516393000041
スキーム1では、R2は、本明細書で定義される通りであり、Xは、ハロゲン、例えばブロモ、クロロ、又はヨードである。スキーム1では、ピリミジン-4-カルボン酸1は、ペプチドカップリング試薬、例えばEDC.HCl、HOBt、HATUなど、及び好適な塩基、例えばピリジンなどの存在下で、ピリジンアミン化合物2とのアミド結合形成を受け、式3の化合物を生じる。代替的に、1を、ハロゲン化剤、例えばこれらに限定されないがオキシ塩化リン(V)、塩化オキサリルなどと接触させることにより、ピリミジン-4-カルボン酸1を、対応するピリミジンアシルハロゲン化物に変換させ、次いで、ピリジンアミン化合物2と直接反応させ、式3の化合物を生じることができる。次いで、マイクロ波照射下で、塩基、例えば炭酸ナトリウムなどで処理することにより、化合物3を環化させて、オキサゾロピリジン化合物4を生じる。オキサゾロピリジン化合物4上に残ったハライドは、宮浦ホウ素化(例えば、パラジウムに基づく試薬、例えばPdCl2(dppf)又は任意の他の好適な試薬、ビス(ピナコラト)ジボロン、及び好適な塩基、例えば酢酸カリウムなどの存在下で)によりヒドロキシル基に変換され、その後、過ホウ酸ナトリウム四水和物又は任意の他の好適な試薬を用いた中間体ボロン酸エステルの酸化が続き、式5の化合物を生じることができる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物の合成は、スキーム2に従って実行されてもよい。
Figure 2024516393000042
スキーム2では、R1、R2、R3、及びnは、本明細書で定義される通りであり、Xは、ハロゲン、例えばブロモ、クロロ、又はヨードである。スキーム2では、式6のピリジン化合物の第一級アルコールは、塩化チオニルなどによる処理によりハライドに変換され、式7の化合物を生じる。式I、Ia、又はIbの化合物は、好適な塩基、例えば炭酸カリウムなどの存在下での、オキサゾロピリジン化合物5とピリジン化合物7との間のSN2反応により到達できる。代替的に、ピリジン化合物6を、好適な光延反応条件下で(例えば、シアノメチルトリブチルホスホラン、トリフェニルホスフィン及びアゾジカルボキシレート、又は任意の他の好適な試薬の存在下で)、オキサゾロピリジン化合物5と直接反応させ、式I、Ia、又はIbの化合物を生じることができる。
本明細書に記載されている化合物の合成はまた、本明細書に記載されている方法又は当技術分野で公知の方法、例えば、国際公開第WO 2016/033445号に記載されている方法によって実行することができる。
化合物9を含むがこれに限定されない、18F-放射性核種を保有する本明細書に記載されている式I、Ia、又はIbの化合物の合成は、スキーム3に従って調製されてもよい。
Figure 2024516393000043
スキーム3では、R2、R3、及びnは、本明細書に定義される通りであり;RLは、1つの脱離基(例えば、メシレート、トシレート、又はトリフレート)で置換されているC1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、又は重水素化C1~6ハロアルキルであり;及び化合物9のR1aは、C1~6ハロアルキル又は重水素化C1~6ハロアルキルであり、R1aの少なくとも1つのハロは、18Fである。スキーム3では、サイクロトロンから生成された18Fアニオンを、塩基(例えば炭酸カリウム、2-(tert-ブチル)-1,1,3,3-テトラメチルグアニジンなど)の存在下で、相間移動条件(例えば、K2,2,2など)下で、化合物8と反応させ、標準条件下で化合物9を生じる。
当業者は、本明細書に記載されている化合物のいずれも、業者から得られた出発物質から調製できることを理解するであろう。代替的に、本明細書に記載されている化合物の合成は、本明細書に記載されている通り、又は当業者に公知の通りであり得る。
以下の実施例は、本開示の特定の実施形態を示すために含まれる。以下の実施例に開示されている技術は、本開示の実施において良好に機能する技術を代表しており、よって、その実施のための特定のモードを構成すると見なされ得ることが、当業者には理解されるべきである。しかし、当業者は、本開示に照らして、開示されている特定の実施形態に多くの変更を行い、依然として本開示の精神及び範囲から逸脱することなく同様又は類似の結果を得ることができることを理解すべきである。
1.一般的実験手順
市販の試薬及び溶媒(HPLCグレード)をさらに精製することなく使用した。重水素化溶媒中でBruker製DRX 500MHz分光計、又はBruker製DPX 250MHz分光計、又はBruker製AVANCE 300若しくはBruker製AVANCE 500分光計で、1H NMRスペクトルを記録した。化学シフト(δ)は、百万分率で表される。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、実験項で記録された、適切な大きさのSNAP又はKPNH予備パックシリカカラム及び溶媒を使用するBiotage Isoleraシステム、又は実験項で記録された、適切な大きさの予備パックシリカカラム及び溶媒を使用するIsco Combiflash Rfシステムでの自動化精製を指す。逆相MPLCクロマトグラフィーは、実験項で記録された、適切な大きさの予備パックC18カラム及び溶媒を使用するIsco Combiflash Rfシステムで実施した。Kieselgel 60 F254 (Merck)プレートにより薄層クロマトグラフィー(TLC)分析を実施し、UV光を使用して可視化した。メタノール中で試料をロードし、メタノール、次いでメタノール中5%アンモニアで溶出するBiotage製Isolute Flash SCX-2を用いて、SCXクロマトグラフィーを実施した。
2.分析法
酸性相HPLC法
別の方法として、島津製LCMS-2010EVシステムで、Kinetix製Core-Shell C18逆相カラム(5μm、2.1×50mm)を使用して、カラム温度40℃、勾配5~100%B(A=水/0.1%ギ酸、B=アセトニトリル/0.1%ギ酸)にて、1.2分間、次いで、100%B、0.1分間、注入容積3μL、流速=1.2mL/分にて、HPLC-MS(METCR1410)を実施した。該方法の他のすべての態様は変更しなかった。
別の方法として、Waters製PDA及びELS検出器を備えたWaters製Acquity UPLCシステムで、Phenomenex製Kinetex-XB C-18カラム(1.7μm、2.1mm×100mm)を使用して、カラム温度40℃、勾配5~100%B(A=水/0.1%ギ酸;B=アセトニトリル/0.1%ギ酸)にて、5.3分間、次いで、100%B、0.5分間、流速=0.6mL/分にて、(MET-uHPLC-AB-101)分析HPLC-MSを実施した。215nmにて、Waters製Acquity PDA検出器を使用して、UVスペクトルを記録した。Waters製ZQを使用して、毎秒スキャン2回のサンプリング速度にて、m/z150~850の範囲にわたり、質量スペクトルを得た。OpenLynxソフトウェアを使用して、データを統合しレポートを作成した。
別の方法として、Waters製Acquity H-Classシステムで、Acquity UPLC BEH C18カラム(1.7μm、2.1×75mm)を使用して、勾配5~100%B(A=水/0.1%トリフルオロ酢酸、B=アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸)、周囲カラム温度(およそ22℃)にて、6.0分間、次いで、100%B、2.0分間、流速=0.5mL/分にて、UHPLC(METAMRI001)を実施した。254及び215nmにてUVスペクトルを記録した。
別の方法として、Waters製Acquity H-Classシステムで、Acquity UPLC BEH C18カラム(1.7μm、2.1×75mm)を使用して、勾配5~100%B(A=水/0.1%トリフルオロ酢酸、B=アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸)、周囲カラム温度(およそ22℃)にて、6.0分間、次いで、100%B、2.0分間、流速=0.4mL/分にて、UHPLC(METAMRI002)を実施した。254及び215nmにてUVスペクトルを記録した。
別の方法として、Waters製Acquity SQD(ESI、UP-LCMS)システム又はAgilent G6100A SQ LCMSシステムを使用して、質量スペクトル及びLCMS分析を得た。すべての実施例化合物は、特に明示しない限り、>95%のLC純度を示す。
塩基性相HPLC法
Hewlett Packard製HPLCシステムで、Phenomenex製Gemini C18逆相カラム(3μm、2.0×100mm)を使用して、勾配5~100%B(A=pH10に緩衝化した水中2mM重炭酸アンモニウム、B=アセトニトリル)にて、5.5分間、次いで、100%B、0.4分間、注入容積3μL、流速=0.5mL/分にて、分析HPLC-MS(METCR1600)を実施した。215nmにて、Waters製PDA検出器を使用して、UVスペクトルを記録した。Waters製ZQを使用して、毎秒スキャン2回のサンプリング速度にて、m/z150~850の範囲にわたり、質量スペクトルを得た。OpenLynxソフトウェアを使用して、データを統合しレポートを作成した。
すべての実施例化合物は、特に明示しない限り、>95%のLC純度を示す。
分取HPLC法
Varian Prep HPLCシステムで、Varian SD-1分取LCポンプ及びProStar 325 UV/Vis検出器を使用して、分取HPLC分離を実施した。XBridge Prep C18 OBDカラム(5μm、19×250mm)を使用し、溶媒勾配法2に従って溶出した。
Figure 2024516393000044
中間体
中間体1:(5-(アリルオキシ)ピリジン-2-イル)メタノール
Figure 2024516393000045
ステップ1:(5-(アリルオキシ)ピリジン-2-イル)メタノール
アセトン(3.0mL)中の6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-オール(100mg、0.799mmol)及び臭化アリル(0.080mL、0.92mmol)の溶液を、水(3.0mL)中の炭酸カリウム(166mg、1.19mmol)の溶液で滴下処理し、次いで、溶液を60℃で2時間加熱した。この後、溶液を室温に冷却し、MTBE(3×40mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を真空で濃縮し、表題化合物を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 8.27 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.25 - 7.16 (m, 2H), 6.11 - 5.98 (m, 1H), 5.47 - 5.45 (m, 1H), 5.41 - 5.30 (m, 1H), 4.70 (s, 2H), 4.61 - 4.58 (m, 2H), 3.39 (br s, 1H).
中間体2:(5-(フルオロメトキシ)ピリジン-2-イル)メタノール
Figure 2024516393000046
ステップ1:メチレンビス(4-メチルベンゼンスルホネート)
p-トルエンスルホン酸銀(11.5g、41.1mmol)及びMeCN(43.4mL)の混合物をジヨードメタン(5.00g、18.7mmol)で処理し、混合物を還流で16時間撹拌した。この後、混合物を室温に冷却し、濾過し、濾過ケーキをMeCN(3×20mL)で洗浄した。濾液を真空で濃縮した。DCM(40mL)を残留物に加え、懸濁液を濾過し、濾過ケーキをDCM(3×20mL)で洗浄した。濾液を真空で濃縮し、得られた残留物をEtOH(30mL)から再結晶化した。単離された生成物を真空で乾燥させ、表題化合物を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 7.59 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 7.25 (d, J = 8.7 Hz, 4H), 5.81 (s, 2H), 2.45 (s, 6H).
ステップ2:フルオロメチル4-メチルベンゼンスルホネート
メチレンビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(4.09g、11.5mmol)及びMeCN(26.7mL)の混合物をTHF中の1M TBAF(12.6mL、12.6mmol)で処理し、混合物を還流で2時間撹拌した。この後、溶媒を真空で除去し、得られた残留物をEtOAc(40mL)に溶解した。溶液をブライン(40mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、ヘプタン中の0~50%EtOAc)により精製し、表題化合物を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 7.84 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.36 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 5.74 (d, J = 51.0 Hz, 2H), 2.64 (s, 3H).
ステップ3:(5-(フルオロメトキシ)ピリジン-2-イル)メタノール
6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-オール(300mg、2.40mmol)、フルオロメチル4-メチルベンゼンスルホネート(588mg、2.88mmol)、及びアセトン(9.0mL)の混合物を炭酸カリウム(994mg、7.19mmol)で処理し、混合物を70℃で16時間加熱した。この後、混合物を室温に冷却し、DCM(3×40mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を真空で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、DCM中の0~5%MeOH)により精製し、表題化合物を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 8.32 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.58 (dd, J = 8.7, 2.7 Hz, 1H), 7.46 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 5.90 (d, J = 54.0 Hz, 2H), 5.41 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 4.52 (d, J = 5.7 Hz, 2H).
中間体3:2-((6-(クロロメチル)ピリジン-3-イル)オキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート
Figure 2024516393000047
ステップ1:2-((6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-イル)オキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート
エチレンジ(p-トルエンスルホネート)(3.55g、9.59mmol)を、MeCN(40mL)中の6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-オール(400mg、3.20mmol)及び炭酸セシウム(3.12g、9.59mmol)の混合物に加え、混合物を80℃で2.5時間撹拌した。この後、反応混合物を冷却し、珪藻土を通して濾過し、濾過ケーキをEtOAc(2×50mL)で洗浄した。濾液を真空で濃縮し、得られた残留物をFCC(シリカ、DCM中の0~10%MeOH)により精製し、表題化合物を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 8.13 - 8.12 (m, 1H), 7.82 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.35 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.16 - 7.14 (m, 2H), 4.70 (s, 2H), 4.41 - 4.38 (m, 2H), 4.22 - 4.19 (m, 2H), 3.33 (br s, 1H), 2.46 (s, 3H).
ステップ2:2-((6-(クロロメチル)ピリジン-3-イル)オキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート
塩化チオニル(0.208mL、2.85mmol)を、0℃のDCM(9.9mL)中の2-((6-(ヒドロキシ-メチル)ピリジン-3-イル)オキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート(460mg、1.42mmol)の溶液に加え、溶液を0℃で1時間撹拌した。この後、反応混合物を水(25mL)に注ぎ、DCM(2×25mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、表題化合物を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 8.13 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.81 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.37 - 7.34 (m, 3H), 7.12 (dd, J = 8.7, 3.0 Hz, 1H), 4.63 (s, 2H), 4.41 - 4.38 (m, 2H), 4.22 - 4.19 (m, 2H), 2.46 (s, 3H).
中間体4:2-(クロロメチル)-3-フルオロ-5-メトキシピリジン
Figure 2024516393000048
ステップ1:2-(クロロメチル)-3-フルオロ-5-メトキシピリジン
塩化チオニル(0.065mL、0.89mmol)を、DCM(3.1mL)中の(3-フルオロ-5-メトキシ-ピリジン-2-イル)メタノール(70mg、0.45mmol)の混合物に加え、混合物を室温で20分間撹拌した。この後、混合物を水(25mL)に注ぎ、DCM(2×25mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、表題化合物を得て、これを精製することなく使用した。
方法1
方法1のスキーム
Figure 2024516393000049
ステップ1:エタン-1,2-ジイル-d4ビス(4-メチルベンゼンスルホネート)
p-トルエンスルホニルクロリド(5.77g、30.3mmol)を、DCM(80mL)中のエチレングリコール-d4(0.673mL、12.1mmol)及びトリエチルアミン(8.41mL、60.5mmol)の混合物に加え、混合物を室温で16時間撹拌した。この後、DCM(40mL)を加え、混合物を水(100mL)で洗浄した。水層をDCM(100mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、DCM中の0~5%EtOAc)により精製し、表題化合物を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 7.74 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 7.34 (d, J = 7.8 Hz, 4H), 2.46 (s, 6H). MS (ES+) (M+H)+ 375.
ステップ2:2-フルオロエチル-1,1,2,2-d44-メチルベンゼンスルホネート
THF中の1.0M TBAF(8.97mL、8.97mmol)を、MeCN(17.4mL)中のエタン-1,2-ジイル-d4ビス(4-メチル-ベンゼンスルホネート)(2.80g、7.48mmol)に加え、混合物を還流で2時間撹拌した。この後、混合物を冷却し、DCM(100mL)で希釈し、水(40mL)で洗浄した。水層をDCM(100mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を真空で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、ヘプタン中の0~100%DCM)により精製し、表題化合物を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 7.36 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.82 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 2.46 (s, 3H).
ステップ3:(5-(2-フルオロエトキシ-1,1,2,2-d4)ピリジン-2-イル)メタノール
MeCN(20.0mL)中の2-フルオロエチル-1,1,2,2-d44-メチルベンゼンスルホネート(363mg、1.60mmol)、6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-オール(200mg、1.60mmol)、及び炭酸セシウム(1.56g、4.80mmol)の混合物を80℃で2.5時間撹拌した。この後、反応混合物を冷却し、珪藻土を通して濾過した。濾過ケーキをEtOAc(2×50mL)ですすぎ、濾液を真空で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、DCM中の0~5%MeOH)により精製し、表題化合物を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 8.29 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.29 - 7.19 (m, 2H), 4.72 (s, 2H), 3.39 (br s, 1H).
ステップ4:2-(クロロメチル)-5-(2-フルオロエトキシ-1,1,2,2-d4)ピリジン
塩化チオニル(0.139mL、1.91mmol)を、DCM(6.7mL)中の(5-(2-フルオロエトキシ-1,1,2,2-d4)ピリジン-2-イル)メタノール(167mg、0.953mmol)の混合物に加え、混合物を0℃で1時間撹拌した。この後、混合物を水(25mL)に注ぎ、層を分離し、水層をDCM(2×25mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、表題化合物を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 8.30 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.48 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.36 (dd, J = 8.7, 3.0 Hz, 1H), 4.72 (s, 2H).
ステップ5:6-((5-(2-フルオロエトキシ-1,1,2,2-d4)ピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(6-メチル-ピリミジン-4-イル)オキサゾロ[5,4-b]ピリジン
炭酸カリウム(391mg、2.83mmol)を、DMF(5.5mL)中の2-(6-メチルピリミジン-4-イル)オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-6-オール(215mg、0.942mmol)及び2-(クロロメチル)-5-(2-フルオロエトキシ-1,1,2,2-d4)ピリジン(182mg、0.942mmol)の混合物に加え、混合物を室温で16時間撹拌し、40℃で5時間撹拌した。この後、混合物を冷却し、水(40mL)と混合し、EtOAc(3×20mL)及びDCM(20mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を真空で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、DCM中の0~5%MeOH)により精製し、表題化合物を得た。
実施例1-1:6-((5-(2-フルオロエトキシ-1,1,2,2-d4)ピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(6-メチル-ピリミジン-4-イル)オキサゾロ[5,4-b]ピリジン
1H NMR (300 MHz, CDCl3) 9.32 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 8.36 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.30 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.10 (d, J = 0.6 Hz, 1H), 7.76 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.48 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.31 - 7.26 (m, 1H), 5.27 (s, 2H), 2.70 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, CDCl3) -225.80. Tr(METAMRI001) = 3.38分, (ES+) (M+H)+ 386.2, 99%.
方法1によって以下の追加の化合物を調製した:
実施例1-2:2-((6-(((2-(6-メチルピリミジン-4-イル)オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-6-イル)オキシ)-メチル)ピリジン-3-イル)オキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート
Figure 2024516393000050
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 9.31 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 8.29 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.20 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.82 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.75 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.44 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.17 (dd, J = 8.7, 3.0 Hz, 1H), 5.25 (s, 2H), 4.42 - 4.39 (m, 2H), 4.24 - 4.21 (m, 2H), 2.70 (s, 3H), 2.46 (s, 3H). Tr(METAMRI001) = 4.05分, (ES+) (M+H)+ 534.3, 99%.
実施例1-3:6-((3-フルオロ-5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(6-メチルピリミジン-4-イル)オキサゾロ[5,4-b]ピリジン
Figure 2024516393000051
1H NMR (500 MHz, CDCl3) 9.31 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 8.29 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 8.20 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.88 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.01 (dd, J = 11.0, 2.5 Hz, 1H), 5.31 (d, J = 2.0 Hz, 2H), 3.89 (s, 3H), 2.70 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, CDCl3) -122.91. Tr(METAMRI001) = 3.72分, (ES+) (M+H)+ 368.1, 99%.
実施例1-4:2-((6-(((2-(6-メチルピリミジン-4-イル)オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)ピリジン-3-イル)オキシ)-エチル-1,1,2,2-d44-メチルベンゼンスルホネート
Figure 2024516393000052
1H NMR (500 MHz, CDCl3) 9.31 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 8.29 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 8.20 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 8.09 (d, J = 0.5 Hz, 1H), 7.82 (dd, J = 8.5, 2.0 Hz, 2H), 7.75 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.44 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.17 (dd, J = 8.5, 3.0 Hz, 1H), 5.25 (s, 2H), 2.70 (s, 3H), 2.45 (s, 3H). Tr(METAMRI001) = 4.37分, (ES+) (M+H)+ 538.3, 99%.
方法2
方法2のスキーム
Figure 2024516393000053
ステップ1:2-メチルピリミジン-4-カルボニルクロリド
無水ジクロロメタン(100mL)中の2-メチルピリミジン-4-カルボン酸(5.0g、36.2mmol)の溶液に、N,N-ジメチルホルムアミド(0.2mL)を加え、反応物を0℃に冷却した。塩化オキサリル(5.7mL、66.2mmol)を滴下添加し、反応物を窒素雰囲気中で2時間かけて室温に温めた。反応混合物を真空で濃縮し、ジクロロメタン(3×30mL)と共蒸留し、表題化合物を得た。Tr(METCR1410) (MeOH) = 0.64分, (ES+) (M+H)+ 158, 85%(メチルエステルとして)。
ステップ2:N-(5-ブロモ-2-クロロピリジン-3-イル)-2-メチルピリミジン-4-カルボキサミド
0℃のピリジン(40mL)中の2-メチルピリミジン-4-カルボニルクロリド(5.7g、36.2mmol)の撹拌溶液に、5-ブロモ-2-クロロピリジン-3-アミン(7.9g、38.0mmol)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。水を混合物に加えた。沈殿物を濾過し、水で洗浄し、表題化合物を得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 10.64 (s, 1H), 9.09 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 8.82 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.46 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.98 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 2.80 (s, 3H). Tr(METCR1410) = 1.23分, (ES+) (M+H)+ 327, 329, 96%,
ステップ3:4-{6-ブロモ-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イル}-2-メチルピリミジン
二重で:マイクロ波容器中の無水N,N-ジメチルホルムアミド(12mL)中のN-(5-ブロモ-2-クロロピリジン-3-イル)-2-メチルピリミジン-4-カルボキサミド(400mg、1.22mmol)の溶液に、炭酸ナトリウム(129mg、1.22mmol)を加えた。反応容器を密封し、160℃で2時間照射した。合わせた冷却した反応混合物を真空で濃縮し、残留物を水からトリチュレーションした。粗残留物をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の0~100%酢酸エチル、続いて、ジクロロメタン中の0~25%メタノール)により精製し、表題化合物を得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.04 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 8.79 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.67 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.17 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 2.79 (s, 3H). Tr(METCR1410) = 1.01分, (ES+) (M+H)+ 291, 293, 82%.
回収した出発物質を分け(200mg及び330mg)、反応をより大きい希釈で繰り返した(それぞれ10mL及び15mLのN,N-ジメチルホルムアミド)。反応物をそれぞれ7及び2時間加熱し、上記のように精製し、表題化合物を得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 9.13 - 8.95 (m, 1H), 8.78 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.66 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.16 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 2.78 (s, 3H). Tr(METCR1410) = 1.01分, (ES+) (M+H)+ 291, 293, 63%.
ステップ4:2-(2-メチルピリミジン-4-イル)-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-6-オール
4-{6-ブロモ-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イル}-2-メチルピリミジン(170mg、0.58mmol)をジオキサン(10mL)に溶解し、N2流で10分間脱気した。酢酸カリウム(143mg、1.46mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(163mg、0.64mmol)、及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、ジクロロメタンを有する錯体(PdCl2(dppf).DCM)(43mg、0.06mmol)を加え、反応物を100℃で窒素下で2.5時間加熱した。ボロン酸エステル/ボロン酸への完全な変換後、反応混合物を室温に冷却した。水(3mL)を加え、続いて、過ホウ酸ナトリウム四水和物(108mg、0.7mmol)を加え、反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を水(5mL)で希釈し、生じた沈殿物を濾過し、乾燥させ、表題化合物を得た。Tr(METCR1410) = 0.77分, (ES+) (M+H)+ 229, 59%.
ステップ5:{4-{6-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イル}-2-メチルピリミジン
圧力チューブに、トルエン中の2-(2-メチルピリミジン-4-イル)-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-6-オール(59%、74mg、0.19mmol)、(5-メトキシピリジン-2-イル)メタノール(26.62mg、0.19mmol)、及びCMBP(0.06mL、0.21mmol)を加えた。容器を密封し、100℃で2時間加熱した。追加の(シアノメチレン)トリブチルホスホラン(CMBP)(0.10mL、0.38mmol)を加え、反応混合物を110℃で7時間撹拌した。冷却した反応混合物を真空で濃縮し、1:1 酢酸エチル:ヘプタン、3:1 酢酸エチル:ヘプタン、及び最後に100%エタノールでトリチュレーションし、表題化合物を得た。
実施例2-1:{4-{6-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イル}-2-メチルピリミジン
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 9.01 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 8.33 (t, J = 3.2 Hz, 2H), 8.20 - 8.10 (m, 2H), 7.58 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.46 (dd, J = 8.6, 2.9 Hz, 1H), 5.29 (s, 2H), 3.85 (s, 3H), 2.78 (s, 3H). Tr(MET-uHPLC-AB-101) = 2.28分, (ES+) (M+H)+ 350.2, 96%
方法3
方法3のスキーム
Figure 2024516393000054
ステップ1:6-(2-フルオロエトキシ)ピリミジン-4-カルボン酸
0℃のDMF(20mL)中の2-フルオロエタノール(0.62mL、10.7mmol)の撹拌溶液に、水素化ナトリウム(60%、428mg、10.7mmol)を加えた。反応物を5分間撹拌し、エチル6-クロロピリミジン-4-カルボキシレート(1.0g、5.4mmol)を0℃で加えた。反応混合物を室温に温め、4時間撹拌した。反応混合物を水(15mL)でクエンチし、酢酸エチル(15mL)で希釈した。有機層を分離し、ブライン(10mL)で洗浄した。水相を、2M HClを使用して酸性化し、クロロホルム:イソプロパノール(3:1、5×10mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空で濃縮し、表題化合物を得た。1H NMR (250 MHz, DMSO-d6) 8.91 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 7.40 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 4.93 - 4.71 (m, 2H), 4.70 - 4.55 (m, 2H). Tr(METCR1410) = 0.37分, (ES+) (M+H)+ 187, 100%.
ステップ2:N-(5-ブロモ-2-ヒドロキシピリジン-3-イル)-6-(2-フルオロエトキシ)ピリミジン-4-カルボキサミド
EDC.HCl(745mg、3.9mmol)を、ピリジン(20mL)中の3-アミノ-5-ブロモピリジン-2-オール(490mg、2.6mmol)及び6-(2-フルオロエトキシ)ピリミジン-4-カルボン酸(482mg、2.6mmol)の溶液に加え、生じた混合物を室温で15時間撹拌した。次いで、反応混合物を水(10mL)で希釈し、生じた沈殿物を収集し、水及びヘプタンで洗浄し、真空下で乾燥させ、表題化合物を得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 12.52 (s, 1H), 10.58 (s, 1H), 9.01 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 8.46 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.51 (dd, J = 7.4, 1.8 Hz, 2H), 4.87 - 4.74 (m, 2H), 4.74 - 4.65 (m, 2H). Tr(METCR1410) = 1.05分, (ES+) (M+H)+ 357, 359, 76%.
ステップ3:4-{6-ブロモ-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イル}-6-(2-フルオロエトキシ)ピリミジン
DCM(25mL)中のトリフェニルホスフィン(725mg、2.76mmol)、ヘキサクロロエタン(818mg、3.45mmol)、及びトリエチルアミン(0.77mL、5.53mmol)の混合物を5分間撹拌し、その後、N-(5-ブロモ-2-ヒドロキシピリジン-3-イル)-6-(2-フルオロエトキシ)ピリミジン-4-カルボキサミド(94%、525mg、1.38mmol)を加えた。反応混合物を室温で20時間撹拌した。一晩静置した後、沈殿物が見られた。沈殿物を収集し、真空下で乾燥させ、表題化合物を得た。Tr(METCR1600) = 1.05分, (ES+) (M+H)+ 339, 341, 88%.
ステップ4:2-[6-(2-フルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル]-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-6-オール
二重で:4-{6-ブロモ-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イル}-6-(2-フルオロエトキシ)ピリミジン(195mg、0.58mmol)を、圧力チューブ中でTHF(10mL)に溶解し、N2流で10分間脱気した。酢酸カリウム(141mg、1.44mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(161mg、0.63mmol)、及びPdCl2(dppf)(42mg、0.06mmol)を加え、反応容器を密封し、80℃で窒素下で16時間加熱した。反応混合物を合わせ、室温に冷却した。水(5mL)を加え、生じた沈殿物を濾過により除去した。過ホウ酸ナトリウム四水和物(212mg、1.38mmol)を濾液に加え、反応混合物を室温で4.5時間撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、水(10mL)を加えた。沈殿物を真空濾過により収集し、真空下で40℃で2時間さらに乾燥させ、表題化合物を得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 10.29 (s, 1H), 9.02 (s, 1H), 8.06 (s, 1H), 7.69 (s, 2H), 4.86 (s, 1H), 4.75 (d, J = 11.8 Hz, 2H), 4.68 (s, 1H). Tr(METCR1410) = 0.89分, (ES+) (M+H)+ 277, 74%.
ステップ5:4-(2-フルオロエトキシ)-6-{6-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イル}ピリミジン
圧力チューブに、トルエン(5mL)中の2-[6-(2-フルオロエトキシ)ピリミジン-4-イル]-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-6-オール(74%、223mg、0.6mmol)、(5-メトキシピリジン-2-イル)メタノール(91mg、0.66mmol)、及びCMBP(0.19mL、0.72mmol)を加えた。容器を密封し、100℃で5時間加熱した。反応混合物を(5-メトキシピリジン-2-イル)メタノール(91mg、0.66mmol)及びCMBP(0.19mL、0.72mmol)で再処理し、100℃でさらに15時間撹拌した。冷却した反応混合物を真空で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(DCM中の0~20%メタノール)、次いで分取HPLCにより精製し、表題化合物を得た。
実施例3-1:4-(2-フルオロエトキシ)-6-{6-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イル}ピリミジン
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 9.04 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 8.33 - 8.31 (m, 2H), 8.16 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 7.57 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.45 (dd, J = 8.6, 2.9 Hz, 1H), 5.28 (s, 2H), 4.89 - 4.66 (m, 2H), 4.78 - 4.74 (m, 2H), 3.84 (s, 3H). Tr(MET-uHPLC-AB-101) = 2.67分, (ES+) (M+H)+ 398, 99%.
方法4
方法4のスキーム
Figure 2024516393000055
ステップ1及び2:N-(5-ブロモ-2-クロロピリジン-3-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド
ピリジン(25mL)中の5-ブロモ-2-クロロピリジン-3-アミン(1.61g、7.8mmol)の溶液に、室温の6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(1.07g、7.8mmol)を加えた。次いで、反応混合物を0℃に冷却し、オキシ塩化リン(V)(1.44ml、15.5mmol)を10分かけて滴下添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで0℃で水(10mL)でクエンチし、次いで真空で濃縮した。残留物を水でトリチュレーションし、表題化合物を得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.64 (s, 1H), 9.31 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 8.79 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.46 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 8.10 (s, 1H), 2.65 (s, 3H). Tr(METCR1410) = 1.24分, (ES+) (M+H)+ 327, 329, 100%.
ステップ3:4-{6-ブロモ-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イル}-6-メチルピリミジン
四重で:マイクロ波容器中の無水N,N-ジメチルホルムアミド(15mL)中のN-(5-ブロモ-2-クロロピリジン-3-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド(400mg、1.22mmol)の溶液に、炭酸ナトリウム(129mg、1.22mmol)を加えた。容器を密封し、160℃で4時間照射した。冷却した反応混合物を真空で濃縮し、残留物を水でトリチュレーションした。粗残留物をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の0~100%EtOAc、続いて、DCM中の0~20%メタノール)により精製し、表題化合物を得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.32 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 8.78 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.66 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.32 - 8.26 (m, 1H), 2.65 (s, 3H). Tr(METCR1410) = 1.01分, (ES+) (M+H)+ 291, 293, 66%.
ステップ4:2-(6-メチルピリミジン-4-イル)-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-6-オール
4-{6-ブロモ-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イル}-6-メチルピリミジン(66%、163mg、0.37mmol)を、圧力チューブ中でジオキサン(10mL)に溶解し、N2流で10分間脱気した。酢酸カリウム(91mg、0.92mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(103mg、0.41mmol)、及びPdCl2(dppf)(27mg、0.04mmol)を加え、反応容器を密封し、100℃で窒素下で4時間加熱した。ボロン酸エステル/ボロン酸への完全な変換後、反応混合物を室温に冷却し、水(3mL)を加え、生じた沈殿物を収集し、除去した。過ホウ酸ナトリウム四水和物(78mg、0.50mmol)を濾液に加え、反応混合物を室温で17時間撹拌した。反応混合物を水(5mL)でクエンチし、真空で濃縮した。残留物を水(3mL)で希釈し、生成物を収集し、真空濾過により乾燥させ、表題化合物を得た。Tr(METCR1410) = 0.81分, (ES+) (M+H)+ 229, 43%.
ステップ5:4-{6-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イル}-6-メチルピリミジン
圧力チューブに、トルエン(5mL)中の2-(6-メチルピリミジン-4-イル)-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-6-オール(47%、70mg、0.14mmol)、(5-メトキシピリジン-2-イル)メタノール(40mg、0.29mmol)、及びCMBP(0.08mL、0.29mmol)を加えた。容器を密封し、75℃で8時間加熱した。反応混合物を(5-メトキシピリジン-2-イル)メタノール(40mg、0.29mmol)及びCMBP(0.08mL、0.29mmol)で再処理し、75℃で10時間加熱した。反応混合物を(5-メトキシピリジン-2-イル)メタノール(40mg、0.29mmol)及びCMBP(0.08mL、0.29mmol)で再び再処理し、75℃で3時間加熱した。冷却した反応混合物を真空で濃縮し、3:1 EtOAc:ヘプタン、続いて3:1 エタノール:水でトリチュレーションした。材料をカラムクロマトグラフィー(DCM中の0~10%メタノール、次いで別にヘプタン中の0~10%EtOAc、続いてDCM中の0~10%メタノール)により2回精製した。エタノールによるトリチュレーション及び分取HPLC(高pH)により表題化合物を得た。
実施例4-1:4-{6-[(5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ]-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イル}-6-メチルピリミジン
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 9.29 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 8.35 - 8.30 (m, 2H), 8.26 (s, 1H), 8.16 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.57 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.46 (dd, J = 8.6, 3.0 Hz, 1H), 5.29 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 2.64 (s, 3H). Tr(MET-uHPLC-AB-101) = 2.31分, (ES+) (M+H)+ 350, 100%.
方法5
方法5のスキーム
Figure 2024516393000056
ステップ1:N-(5-ブロモ-2-ヒドロキシピリジン-3-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド
DCM(109mL)中の3-アミノ-5-ブロモピリジン-2-オール(1.37g、7.25mmol)の混合物を、6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(1.00g、7.25mmol)で処理し、混合物を0℃に冷却し、ピリジン(2.92mL、36.2mmol)及びEDC(2.08g、10.9mmol)で処理した。混合物を0℃で10分間撹拌し、室温で16時間撹拌した。この後、混合物を真空で濃縮した。得られた残留物をDCM(10mL)でトリチュレーションし、生成物を濾過により収集し、真空で乾燥させ、表題化合物を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 12.56 (br s, 1H), 10.63 (s, 1H), 9.27 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 8.45 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.06 (d, J = 0.6 Hz, 1H), 7.51 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 2.63 (s, 3H).
ステップ2:6-ブロモ-2-(6-メチルピリミジン-4-イル)オキサゾロ[5,4-b]ピリジン
DCM(79mL)中のトリフェニルホスフィン(3.56g、13.6mmol)及びヘキサクロロエタン(2.01g、8.49mmol)の混合物を、トリエチルアミン(3.78mL、27.2mmol)で15分かけて滴下処理した。混合物を室温で10分間撹拌した。次いで、N-(5-ブロモ-2-ヒドロキシピリジン-3-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド(1.05g、3.40mmol)を加え、混合物を室温で16時間撹拌した。この後、混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(100mL)及び水(100mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を真空で濃縮した。得られた残留物をFCC(シリカ、DCM中の0~5%MeOH)により精製し、表題化合物を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 9.34 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 8.56 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 8.33 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 8.13 (d, J = 0.6 Hz, 1H), 2.72 (s, 3H).
ステップ3:2-(6-メチルピリミジン-4-イル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)オキサゾロ[5,4-b]ピリジン
6-ブロモ-2-(6-メチルピリミジン-4-イル)オキサゾロ[5,4-b]ピリジン(350mg、1.20mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(458mg、1.80mmol)、酢酸カリウム(295mg、3.01mmol)、PdCl2(dppf)(88mg、0.12mmol)、及びTHF(8.8mL)の混合物を90℃で7時間加熱した。この後、混合物を冷却し、水(5mL)で処理した。生成物を濾過により収集し、水(3mL)で洗浄し、真空で乾燥させ、表題化合物を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 9.32 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 8.71 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 8.50 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 8.32 (d, J = 0.6 Hz, 1H), 2.65 (s, 3H), 1.36 (s, 12H).
ステップ4:2-(6-メチルピリミジン-4-イル)オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-6-オール
THF(22.0mL)中の2-(6-メチルピリミジン-4-イル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-オキサゾロ[5,4-b]ピリジン(435mg、1.29mmol)の混合物を、水(22.0mL)中の過ホウ酸ナトリウム四水和物(237mg、1.54mmol)の混合物で処理し、混合物を室温で1時間撹拌した。この後、混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)で処理した。揮発物を真空で除去し、生じた水性懸濁液を濾過した。収集した材料を水(15mL)で洗浄し、真空で乾燥させ、FCC(シリカ、DCM中の0~5%MeOH)により精製し、表題化合物を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 10.29 (s, 1H), 9.28 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 8.24 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 8.07 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.69 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 2.63 (s, 3H).
ステップ5:(5-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-2-イル)メタノール
無水MeCN(6mL)中の6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-オール(270mg、2.16mmol)及び炭酸カリウム(447mg、3.23mmol)の混合物を、1-ブロモ-2-フルオロエタン(0.32mL、4.3mmol)で処理し、生じた反応混合物を70℃で24時間、密封チューブ中で加熱した。この後、反応混合物を室温に冷却し、水(50mL)で希釈し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、表題化合物を得て、これを精製することなく次のステップに使用した。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) 8.22 (dd, J = 2.7, 0.6 Hz, 1H), 7.45 - 7.37 (m, 2H), 5.32 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 4.85 - 4.82 (m, 1H), 4.69 - 4.66 (m, 1H), 4.49 (d, J = 5.7 Hz, 2H), 4.37 - 4.34 (m, 1H), 4.27 - 4.24 (m, 1H). MS (ES+) (M+H)+ 172.
ステップ6:6-((5-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(6-メチルピリミジン-4-イル)オキサゾロ[5,4-b]ピリジン
CMBP(0.23mL、0.88mmol)を、無水トルエン(5mL)中の2-(6-メチルピリミジン-4-イル)オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-6-オール(100mg、0.438mmol)及び(5-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-2-イル)メタノール(113mg、0.657mmol)の混合物に加え、混合物を100℃で2時間加熱した。この後、混合物を室温に冷却し、1:1 MeOH/DCM(100mL)を用いてシリカゲルに吸着させ、FCC(シリカ、DCM中の0~10%MeOH)により精製した。生成物をアセトニトリルでトリチュレーションし、表題化合物を得た。
実施例5-1:6-((5-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(6-メチルピリミジン-4-イル)オキサゾロ[5,4-b]ピリジン
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 9.29 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 8.35 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 8.32 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.25 (s, 1H), 8.15 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.58 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.50 (dd, J = 8.5, 3.0 Hz, 1H), 5.30 (s, 2H), 4.82 - 4.81 (m, 1H), 4.73 - 4.71 (m, 1H), 4.39 - 4.37 (m, 1H), 4.33 - 4.31 (m, 1H), 2.64 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -222.33. Tr(METAMRI002) = 3.00分, (ES+) (M+H)+ 382.2, 98%.
方法1によって以下の追加の化合物を調製した:
実施例5-2:6-((5-(アリルオキシ)ピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(6-メチルピリミジン-4-イル)オキサゾロ[5,4-b]ピリジン
Figure 2024516393000057
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 9.29 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 8.33 - 8.32 (m, 2H), 8.25 (d, J = 0.3 Hz, 1H), 8.15 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 7.46 (dd, J = 5.4, 1.8 Hz, 1H), 6.09 - 6.01 (m, 1H), 5.44 - 5.40 (m, 1H), 5.31 - 5.28 (m, 3H), 4.68 - 4.67 (m, 2H), 2.64 (s, 3H). Tr(METAMRI002) = 13.03分, (ES+) (M+H)+ 376.1, 99%.
実施例5-3:6-((5-(フルオロメトキシ)ピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(6-メチルピリミジン-4-イル)オキサゾロ[5,4-b]ピリジン
Figure 2024516393000058
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) 9.29 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 8.45 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 8.34 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.25 (s, 1H), 8.16 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 1.5 Hz, 2H), 5.94 (d, J = 54.0 Hz, 2H), 5.34 (s, 2H), 2.64 (s, 3H). 19F NMR (282 MHz, DMSO-d6) -151.59. Tr(METAMRI002) = 12.49分, (ES+) (M+H)+ 368.1, 98%.
方法6
方法6のスキーム
Figure 2024516393000059
6-((5-(2-フルオロエトキシ-1,1,2,2-d4)ピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(6-メチルピリミジン-4-イル)オキサゾロ[5,4-b]ピリジン(実施例1-1) ジメチルスルホキシド(0.35mL)中のフッ化カリウム(0.00011g、0.0019mmol)、4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(K222、0.00418g、0.011mmol)、及び2-(tert-ブチル)-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(BTMG、0.0019g、0.011mmol)の撹拌混合物に、2-((6-(((2-(6-メチルピリミジン-4-イル)オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-6-イル)オキシ)メチル)ピリジン-3-イル)オキシ)エチル-1,1,2,2-d44-メチルベンゼンスルホネート(実施例1-4)(0.00199g、0.00370mmol)を加え、混合物を100℃で30分間撹拌した。この後、反応混合物を室温に冷却し、ギ酸(0.1mL)と混合し、シリンジフィルター(0.2μm)を通してXBridge C18カラム(5μm ODB、19×250mm)上に注入し、水(0.1%ギ酸v/v)中の22%CANで30分間(20mL/分)溶出した。19.87分から21.32分の間に収集した画分を濃縮し、6-((5-(2-フルオロエトキシ-1,1,2,2-d4)ピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(6-メチルピリミジン-4-イル)オキサゾロ[5,4-b]ピリジンを得た: 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.29 (s, 1H), 8.35 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 8.32 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.25 (s, 1H), 8.15 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.58 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.50 (dd, J = 8.6, 2.9 Hz, 1H), 5.29 (s, 2H), 2.63 (s, 3H); MS (ESI) m/z 386 [M + H]+; HPLC(Phenomenex Luna C18(2)、5μm、4.6×150mm)、水(0.1% TFA v/v)中の5~90%ACN、20分間(1.15mL/分)、tR=8.28分、254及び215nmで>99%(AUC).
生物学的アッセイ
エクソン1-Q46放射性リガンド結合アッセイ
放射性リガンド結合アッセイ(RBA)に関して、MBP-HTT(1-89)Q46-His(6×)(「エクソン1-Q46」)タンパク質を以前の出版物(Scherzingerら、Cell、90巻、549~558頁、1997年8月8日)に基づいて生成した。実験に関しては、30μMのMBP-エクソン1-Q46を、アッセイ用緩衝液(150mM NaCl、50mM Tris pH8.0)中の150μg/mLトロンビン及び2mM CaCl2と共に、37℃で16時間インキュベートした。卓上遠心分離器中13,000rmpで5分間、凝集したエクソン1-Q46を遠心分離することによってペレット化し、同体積のアッセイ用緩衝液中に再溶解した。試験化合物は、DMSO中で滴定することにより63μMから2nMまでの11種の濃度で調製した。RBAに関しては、エクソン1-Q46タンパク質凝集体及び試験化合物を、96ウェルプレート(pp、丸底)中100μL/ウェルで、アッセイ用緩衝液中、室温で20分間、予備インキュベートした。次いで、リガンドを50μL/ウェルで加え、37℃で60分間インキュベートした。最終アッセイ濃度は、1μMから30pMの試験化合物、1μMのエクソン1-Q46タンパク質(当量モノマー濃度)、及び0.3nMのリガンド[3H3-メチル]-5-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(ピラジン-2-イル)ベンゾ[d]オキサゾールであった。試料をGF/Bフィルタープレート上に移し、フィルターメイトハーベスターを使用して200μL PBSで2回洗浄した。フィルタープレートを55℃で1時間乾燥した後、このプレートの裏側を箔で密封し、30μL/ウェルのシンチレーション用流体(Packard MicroScint 40)を加え、暗所で15分間インキュベートし、MicroBetaリーダーで計数した。分析に関しては、独立したアッセイプレートからの反復データを、ビヒクルの対照ウェル(0%阻害)及び1μMの非標識化[3H3-メチル]-5-((5-メトキシピリジン-2-イル)メトキシ)-2-(ピラジン-2-イル)ベンゾ[d]オキサゾール(100%阻害)を使用して0%阻害及び100%阻害に正規化した。IC50値は、正規化した反復データを使用し、全体的適合において4つの変数(上部、下部、傾き、IC50)を用いるS次阻害モデルで決定した。
様々な実施例化合物に対する結果は以下の表に提供されている通りであった(+++<100nM;++100~500nM;+>500nM;ND:未確定):
Figure 2024516393000060
マウスモデルにおけるイメージング及び骨取り込みに対する重水素効果
3及び9ヶ月齢の合計61匹の野生型(WT)及び68匹のヘテロ接合体(HET)Q175DNマウスを、研究に含めた。ダイナミックμPET/CTイメージング(18F標識化合物1-1について90分)を、HET Q175DNマウス及びWT同腹子で実施した。
ダイナミックPETスキャン
マイクロPET/CTイメージングを、2台のSiemens製Inveon PET-CTスキャナー(Siemens Preclinical Solution、USA)で実施した。動物(野生型(WT)、及び伸長ヒトHTTエクソン-1遺伝子の1コピーを保有するHET Q175DNマウスの両方)を、動物の心臓がスキャナーの視野内に収まるようにスキャナーベッド上に並べて配置した。酸素を補充したイソフルラン(誘導用に5%、準備及びスキャン中の維持用に1.5~2%)の吸入によって、麻酔を誘導した。誘導後、トレーサーの静脈内(i.v.)ボーラス注射のために、すべてのマウスの尾静脈にカテーテルを挿入し、マウスをスキャナーベッド上に配置した。全スキャン期間中、Monitoring Acquisition Module(Minerve、France)を使用して、呼吸を常に監視した。動物の深部体温を、温かい空気流を使用して維持した。
120分(概念実証について)又は90分(断面研究について)のダイナミックマイクロPETスキャンの開始時に、自動ポンプ(Pump 11 Elite、Harvard Apparatus、USA)を使用して、マウスに放射性トレーサーのボーラスを12秒間隔(1mL/分)で注射した。良好な画質を得るために、トレーサーをできるだけ高い活性で注射し、一方、非放射性用量をできるだけ低く保った。全体として、HET Q175DN動物に6.8±2.9MBqのボーラスを注射し、一方、WT同腹子に7.0±1.9MBqのボーラスを注射した。PETデータをリストモードで取得した。マイクロPETスキャン後、減弱及び散乱補正のために、10分間の80kV/500μA CTスキャンを実施した。
PET画像処理
8回の反復及び16サブセットの3D順序付きサブセット期待値最大化(OSEM 3D)アルゴリズムを用いた専有の空間可変解像度モデリングを用いたリストモード反復再構成を使用して、増加する長さ(12×10秒、3×20秒、3×30秒、3×60秒、3×150秒、並びに21若しくは15×300秒)の45又は39フレーム(スキャン期間に応じて)に、取得したPETデータを再構成した。正規化、デッドタイム、ランダム、減衰、及びCTに基づく減弱補正を適用した。PET画像フレームを、0.776×0.776×0.796mm3ボクセルを有する128×128×159グリッド上に再構成した。任意の領域に基づく分析のために、画像分析をPMOD 3.6ソフトウェア(Pmod Technologies、Zurich、Switzerland)を用いて実施した。CT及びPETイメージングの、WaxholmテンプレートのCT画像への厳密なマッチングを通じて、PET/CT画像の空間正規化を行った。異なる領域(線条体、運動皮質、小脳、視床、及び海馬)の時間放射能曲線(SUV TAC)を画像から抽出した。動態データを、様々なモデル(1TCM、2TCM、3TCM、及びローガン線形モデル)について調査し、次いで、最終的に2組織区画モデル(2TCM)によって適合させ、90分のデータに基づく画像導出入力関数(IDIF)を使用して分布の総体積(VT)を計算した。左心室の内腔に関心体積(閾値に基づく最大値の50%)を置くことによりPET画像から導出された全血活性から、入力関数を得た。
分析
領域的定量化のために薬物動態モデリングを実施した。18F標識化合物1-1をトレーサーとして使用するPETイメージングに最適な方法を定義するために、様々な動態モデルの並行評価を実施した。18F標識化合物1-1の取り込み率(Ki(IDIF))(3sTCM)を、画像導出入力関数(IDIF)を使用して計算した(図示せず)。
in vivo放射性代謝物プロファイルを、9ヶ月齢のQ175DNマウス(遺伝子型及び時点あたりn=3~6)の血漿及び脳において、注射から5、15、30、45、60、及び90分後に決定した。脳浸透性放射性代謝物種は観察されなかった。比較化合物を用いた3ヶ月齢の時点での比較研究を実施した(遺伝子型あたりn=18~20)(図示せず)。
HET及びWTマウスの60~90分での平均18F標識化合物1-1 SUV画像を決定した。予想通り、注射から60~90分後のSUV画像は、WTと比較してHETにおいて、上昇した値を示した。
放射性代謝物分析により、明らかな脳浸透種のない、好ましい血漿プロファイルが明らかになった。9ヶ月齢の時点での遺伝子型間の顕著な差を、すべての関連領域で測定することができた。0.8μg/kg未満の注射質量用量が実行可能であることが見出された。試験-再試験の変動は中程度であり、動物内変動が認められた。
比較化合物と比較して、3ヶ月齢のマウスにおいて、18F標識化合物1-1はより高い識別力を示した。
同様の方法を使用して、マウスにおける投与後に、フッ素18の化合物18F標識化合物1-1及び化合物5-1骨取り込みのSUVを測定した。骨取り込みSUV結果のグラフを図1に示し、一方、40~60分、60~90分、及び90~120分についてのPET画像を図2に提供する。解剖学的位置確認のため、画像をMRIマウス脳テンプレート上に載せた。結果に基づき、18F標識化合物1-1は、対象動物におけるin vivoでの末端フルオリドの切断の減少のため、優れたPETイメージング解像度を提供したことが分かる。
PETイメージング例
以下の実施例は、臨床環境において個体に対するPETイメージング研究を実施する場合に利用され得る例示的で非限定的な手順を示す。個体は、非標識化合物を投薬されていない又は前もって投薬されている。個体は、PETイメージングの前に絶食してよく、自由に水を摂取することが許されている。イメージング剤の投与のために、20Gの2インチ静脈内カテーテルが対側尺骨静脈に挿入される。
ヒト対象をPETカメラ内に配置し、静脈内カテーテルを介してイメージング剤のトレーサー用量を投与する。血漿中の未代謝化合物の割合を分析し定量するために、PETスキャン中に適切な時間間隔で動脈又は静脈血試料を取得する。最大120分間にわたり画像が得られる。放射性トレーサーの注入から10分以内に、及びイメージングセッションの終わりに、PETトレーサーの前に投与されていた場合がある任意の未標識イメージング剤化合物(又はその他の介入の化合物)の血漿濃度を決定するために、1mLの血液試料を得る。
画像再構成により断層撮影画像を得る。例えば、イメージング剤の分布を決定するために、再構成画像上に関心領域(ROI)を設定する。脳画像における関心領域は、例えば、線条体、小脳、又は大脳基底核を含んでもよい。これらの領域における時間経過に伴うイメージング剤取り込みは、時間放射能曲線(TAC)を生成するために使用されてよい。データは、放射能毎単位時間毎単位容積(例えば、μCi/cc/mCi注入用量)又は放射能毎単位容積として表すことができる。TACデータは、定量的パラメーター、例えば結合能(BP)を得るために、当分野で公知の種々の方法により処理することができる。イメージング手順のさらなる記載については、例えば、Waxman A.D.ら、Society of Nuclear Medicine Procedure Guideline for FDG PET Brain Imaging、ver.1.0、(2009年2月8日)を参照されたい。
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
本明細書に例示的に記載された開示は、本明細書に具体的に開示されていない、何らかの1つ又は複数の要素、1つ又は複数の限定なしに、適切に実施することができる。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、開放的に、非限定的に解釈するべきである。さらに、本明細書で使用される用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用されており、そのような用語及び表現の使用において、図示及び説明される特徴又はその一部の同等物を排除する意図はないが、本開示の範囲内で種々の変更が可能であると認識される。
本明細書において述べられているすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、それぞれが個々に参照により組み込まれる場合と同様に、その全体が明確に参照により組み込まれる。矛盾する場合は、定義を含む本明細書が優先される。

Claims (34)

  1. 式I:
    Figure 2024516393000061
    [式中、
    R1は、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C1~6ハロアルキル、重水素化C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、重水素化C1~6ハロアルコキシ、又は-O-アルキレン-O-SO2-R5であり;
    R5は、アルキルで場合によって置換されているアリールであり;
    R2は、存在しないか、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、重水素化C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、又は重水素化C1~6ハロアルコキシであり;
    R3は、ハロ、C1~6アルキル、又はC1~6ハロアルキルであり;
    nは、0、1、又は2である]
    の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
  2. 式II:
    Figure 2024516393000062
    の、請求項1に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
  3. 式III:
    Figure 2024516393000063
    の、請求項1に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
  4. 式IV:
    Figure 2024516393000064
    [式中、mは、0、1、又は2であり、各R11及び各R12は、独立して、水素及び重水素から選択され、少なくとも1つのR11又はR12は、重水素である]
    の、請求項1に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
  5. 式V:
    Figure 2024516393000065
    [式中、mは、0、1、又は2であり、各R11及び各R12は、独立して、水素及び重水素から選択され、少なくとも1つのR11又はR12は、重水素である]
    の、請求項1に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
  6. 式VI:
    Figure 2024516393000066
    [式中、mは、0、1、又は2であり、各R11及び各R12は、独立して、水素及び重水素から選択され、少なくとも1つのR11又はR12は、重水素である]
    の、請求項1に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
  7. 式VII:
    Figure 2024516393000067
    [式中、mは、0、1、又は2であり、各R11及び各R12は、独立して、水素及び重水素から選択され、少なくとも1つのR11又はR12は、重水素である]
    の、請求項1に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
  8. R1が、重水素化C1~6ハロアルキル又は重水素化C1~6ハロアルコキシである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
  9. R1が、重水素化C1~6ハロアルコキシである、請求項1~3及び8のいずれか一項に記載の化合物。
  10. R1が-O-CD2-CD2-Fである、請求項1~3及び8~9のいずれか一項に記載の化合物。
  11. 各R11及び各R12が重水素である、請求項4~7のいずれか一項に記載の化合物。
  12. R2が、C1~6アルキル又はC1~6ハロアルコキシである、請求項1~3及び5のいずれか一項に記載の化合物。
  13. R2がC1~6アルキルである、請求項1~3、5、及び12のいずれか一項に記載の化合物。
  14. nが0である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
  15. R3がフルオロである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
  16. 表1の化合物から選択される化合物であって、場合によってポジトロン放出同位体で標識された化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物。
  17. 化合物が、ポジトロン放出同位体で標識されている、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物。
  18. 化合物が、11C、13N、15O、及び18Fから選択されるポジトロン放出同位体を含有する、請求項17に記載の化合物。
  19. 請求項17又は18に記載の化合物、又はその同位体富化された類似体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、立体異性体、若しくは立体異性体の混合物を含む、イメージング剤。
  20. 有効量の請求項17又は18に記載の化合物又は請求項19に記載のイメージング剤を個体に投与すること、及び個体の身体部分又は身体領域の画像を生成することを含む、個体における凝集を生じやすいタンパク質の存在又は非存在を検出する方法。
  21. 個体の身体部分又は身体領域の画像を生成することが、画像を生成して画像中で凝集を生じやすいタンパク質の存在又は非存在を検出することを含む、請求項20に記載の方法。
  22. 凝集を生じやすいタンパク質が、ハンチンチンタンパク質(HTTタンパク質)である、請求項21に記載の方法。
  23. HTTタンパク質が、大脳基底核に見出される、請求項22に記載の方法。
  24. タンパク質凝集体の存在又は非存在が、神経変性疾患の存在又は非存在に対応する、請求項20又は21に記載の方法。
  25. 神経変性疾患が、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、プリオン病、及び脊髄小脳失調症から選択される、請求項24に記載の方法。
  26. 神経変性疾患が、ハンチントン病(HD)である、請求項25に記載の方法。
  27. 化合物又はイメージング剤の有効量が、約0.1~約20mCiを含む、請求項20~26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 化合物又はイメージング剤の有効量が、約10mCiを含む、請求項27に記載の方法。
  29. 画像を生成することが、ポジトロン断層法(PET)イメージング、同時コンピューター断層撮影法イメージングとのPET(PET/CT)、同時磁気共鳴イメージングとのPET(PET/MRI)、単一光子放射断層撮影法(SPECT)イメージング、又はこれらの組合せを含む、請求項20~28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 画像を生成することが、PETイメージングを含む、請求項29に記載の方法。
  31. HTTタンパク質が、オリゴマー若しくは凝集体又はこれらの組合せとして存在する、請求項22又は23に記載の方法。
  32. HTTタンパク質が、変異体である、請求項22又は23に記載の方法。
  33. 身体部分又は身体領域が、頭部、脊髄、肢、胸部、又は腹部である、請求項20~28のいずれか一項に記載の方法。
  34. 身体部分又は身体領域が、脳である、請求項20~28のいずれか一項に記載の方法。
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