JP2024515885A - パーキンソン病を処置及びモニタリングするための方法 - Google Patents

パーキンソン病を処置及びモニタリングするための方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、本明細書において提供される化合物で、対象においてパーキンソン病を処置するための方法、前記化合物を含む医薬組成物、さらに、処置に対する対象の応答をモニタリングするための方法に関する。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本本出願は、米国特許法第119条(e)の下に、その全体が参照により援用される2021年4月30日出願の米国特許仮出願第63/182,207号の利益を請求する。
本開示は、パーキンソン病を処置及び/またはモニタリングするための方法に関する。
遺伝的及び生化学的証拠の組合せにより、ある特定のキナーゼ機能が神経変性障害の病因に関係していることが示されている(Christensen,K.V.(2017)Progress in Medicinal Chemistry 56:37-80;Fuji,R.N.et al(2015)Sci.Transl.Med.7(273):ra15;Taymans,J.M.et al(2016)Curr.Neuropharm.14(3):214-225)。パーキンソン病は、神経系に影響を及ぼし、運動及び非運動の両方の症状を示す神経変性疾患である。パーキンソン病の正確な原因は未知であるが、遺伝及び環境因子の組合せが疾患の病因に寄与すると考えらる。パーキンソン病に関係している遺伝子にはPark8があり、これは、パーキンソン病(PD)において鍵となる治療標的である複雑なシグナル伝達タンパク質のロイシンリッチリピートキナーゼ2(LRRK2)をコードする。Park8の変異がパーキンソン病の家族性及び非家族性(散発性)の両方の形態において見い出され、LRRK2のキナーゼ活性の上昇がパーキンソン病の病因に関係している。LRRK2遺伝子における変異は、家族性パーキンソン病の最も頻繁な遺伝的原因であり、パーキンソン病の病因及び神経変性の形成に寄与するリソソーム機能不全の主な駆動因子である(Chai C,et al.Curr Genomics.2013;14:464-471;Healy DG,et al.Lancet Neurol.2008;7:583-590;Henry AG,et al.Human Mol.Gen.2015;24:6013-6028;Cookson MR,et al.Nat.Rev.Neurosci.2016;11:791-797)。LRRK2はリソソームの発生及び機能を調節し、パーキンソン病で損なわれ、LRRK2阻害により復帰し得るので、遺伝的LRRK2変異を有する患者において、さらには、散発性パーキンソン病を有する患者においても疾患進行を潜在的にプラスに修飾する。
LRRK2キナーゼ機能がPDの散発性及び家族性形態の病因に原因として関係していて、したがって、LRRK2キナーゼ阻害薬が処置のために有用と考えられるというモデルを、遺伝的及び生化学的証拠の組合せが裏付けている(Christensen,K.V.(2017)Progress in Medicinal Chemistry 56:37-80)。LRRK2のキナーゼ活性の阻害は、パーキンソン病のための処置として調査中である(Fuji,et al.,2015;Taymans,J.M.et al(2016)Current Neuropharmacology 14(3):214-225)。
LRRK2キナーゼ阻害薬は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS及び他の神経変性疾患を処置するために研究されてきた(Estrada,A.A.et al(2015)Jour.Med.Chem.58(17):6733-6746;Estrada,A.A.et al(2013)Jour.Med.Chem.57:921-936;Chen,H.et al(2012)Jour.Med.Chem.55:5536-5545;Estrada,A.A.et al(2015)Jour.Med.Chem.58:6733-6746;Chan,B.K.et al(2013)ACS Med.Chem.Lett.4:85-90;US 8354420;US 8569281;US 8791130;US 8796296;US 8802674;US 8809331;US 8815882;US 9145402;US 9212173;US 9212186;US 9932325;WO 2011/151360;WO 2012/062783;WO 2013/079493)。
様々なLRRK2キナーゼ阻害薬の投与が、リソソームの形態及びリソソームと関連する脂質の組織レベルにおける変化を誘導することが公知である。それに応じて、サルにおけるLRRK2阻害薬GNE-7915及びGNE-0877の投与は、尿中ジ-22:6-BMPの減少をもたらした(Fuji RN,et al(2015)Sci.Transl.Med.7(273):273ra215;Baptista MA,et al Baptista et al.,(2020)Sci.Transl.Med.12(540)。
ジ-22:6-BMPは、リソソームの内膜及び後期エンドソームに通常は局在化しており、リソソーム分解を担っているリン脂質である。積み重なった輪生の膜と脂質を含むリソソームの拡大及び数の増加は、LRRK2ノックアウトマウスの腎臓の近位尿細管においても観察され(Herzig MC,et al.(2011)Hum.Mol.Genet.20(21):4209-4223)、リソソームに蓄積したリン脂質膜を示唆した。薬物誘導性リン脂質症(PLD)は、腎臓、心臓、及び肺などの種々の組織内のリソソームにおけるリン脂質及び薬物の過剰蓄積により特徴づけられる後天性リソソーム貯蔵障害である(Shayman JA,et al(2013)Biochim.Biophys.Acta.1831(3):602-611;Atashrazm,F.(2016)Clinical Pharmacology:Advances and Applications 8:177-189)。
パーキンソン病を処置する、及び/またはその処置の進行をモニタリングするための方法が必要とされている。
次の簡単な概要は、本発明のすべての特徴及び態様を含むことを意図したものではなく、本発明がこの概要において論述されているすべての特徴及び態様を含む必要があることを意味するものでもない。
本開示は、パーキンソン病を処置するための方法であって、それを必要とする対象に、約70~約800mg/日の化合物I、N2-(3-(2-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)プロパン-2-イル)-1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-5-イル)-N4-エチル-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2,4-ジアミン:
またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体を投与することを含む、前記方法に関する。
別の態様では、パーキンソン病を処置するための方法であって、それを必要とする対象に、約70~約800mg/日の化合物I:
またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法を提供する。
一態様では、本開示は、パーキンソン病を約70~約225mg/日の化合物Iまたはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体で処置するための方法を提供する。
別の態様では、本開示は、パーキンソン病を約70~約80mg/日の化合物Iまたはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体で処置する方法に関する。
他の態様では、約70mg、約75mg、約80mg、約105mg、約130mg、約150mg、約225mg、約250mg、約300mgまたは約400mgを対象に投与する。
一態様では、化合物Iまたはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体を経口投与する。
一態様では、化合物Iまたはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体を1日1回投与する。
別の態様では、化合物Iまたはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体を1日2回投与する。
他の態様では、本明細書において提供される方法は、ヒトを処置するための方法である。さらに他の態様では、前記方法は、家族性パーキンソン病を処置するための方法である。まだ他の態様では、前記方法は、散発性パーキンソン病を処置するための方法である。
まだ他の態様では、前記方法は、対象の全血中のリン酸化S935 LRRK2(pS935)の減少をもたらす。
さらに他の態様では、前記方法は、対象の末梢血単核細胞(PBMC)におけるリン酸化ras関連タンパク質Rab10(pRab10)の減少をもたらす。
まだ他の態様では、前記方法は、対象の尿中のリソソーム脂質22:6-ビス[モノアシルグリセロール]ホスフェート(BMP)の減少をもたらす。
別の態様では、パーキンソン病に罹患している対象の全血中のリン酸化S935 LRRK2(pS935)を減少させるための方法であって、それを必要とする対象に、約70~800mg/日の化合物Iまたはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体を投与することを含む、前記方法を提供する。
一態様では、pS935を少なくとも41~97%減少させる。
まだ他の態様では、パーキンソン病に罹患している対象の末梢血単核細胞(PBMC)中のリン酸化ras関連タンパク質Rab10(pRab10)を減少させるための方法であって、それを必要とする対象に、約70~800mg/日の化合物Iまたはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体を投与することを含む、前記方法を提供する。
一態様では、pRab10を少なくとも44~97%減少させる。
別の態様では、パーキンソン病に罹患している対象の尿中のリソソーム脂質22:6-ビス[モノアシルグリセロール]ホスフェート(BMP)を減少させるための方法であって、それを必要とする対象に、約70~800mg/日の化合物Iまたはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体を投与することを含む、前記方法を提供する。
一態様では、BMP(22:6/22:6)またはBMP(22:6/22:6)/クレアチニンを22~86%または少なくとも40%減少させる。
別の態様では、パーキンソン病を処置するためのLRRK2阻害薬の使用であって、前記阻害薬をそれを必要とする対象に、約70~800mg/日で投与し、それが、化合物Iまたはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体である、前記使用を提供する。
一態様では、パーキンソン病を処置するための医薬の製造におけるLRRK2阻害薬の使用であって、前記阻害薬をそれを必要とする対象に、約70~800mg/日で投与し、それが、化合物Iまたはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体である、前記使用を提供する。
別の態様では、患者試料におけるリン酸化S935 LRRK2(pS935)、リン酸化ras関連タンパク質Rab10(pRab10)またはリソソーム脂質2:6-ビス[モノアシルグリセロール]ホスフェート(BMP)の減少の検出において、減少を検出することにより処置を評価する方法を提供する。
一態様では、本明細書において提供される処置方法に対する対象の応答をモニタリングするための方法であって、(a)約70~800mg/日の化合物Iまたはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体で処置された対象からの試料中の1種または複数のpS935、pRab10及び/またはBMP種の量を測定すること;(b)(a)において測定された1種または複数のpS935、pRab10及び/またはBMP種と、1つまたは複数の参照値との間の量の差を比較すること;ならびに(c)前記比較から、前記化合物、医薬組成物、またはその投薬レジメンが、パーキンソン病を処置するために、1種または複数のpS935、pRab10及び/またはBMP種のレベルを改善したかどうかを決定することを含む、前記方法を提供する。
別の態様では、前記方法はさらに、化合物Iまたはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体の投薬量もしくは投薬頻度、または患者に投与される治療経過を変更することを含む。
まだ他の態様では、本発明は、70~800mgの化合物I、
またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物に関する。
別の態様では、本発明は、約70~225mgの化合物Iを含む医薬組成物に関する。
さらに他の態様では、本発明は、1日あたり約225mgまたは1日あたり最高800mgを投与するために好適な化合物Iの医薬組成物に関する。
さらに他の態様では、本発明は、約70mg、約75mg、約80mg、約105mg、約130mg、約150mg、約225mg、約250mg、約300mg、または約400mgの化合物Iを含む医薬組成物に関する。
別の態様では、本発明は、経口投与に好適な化合物Iの医薬組成物に関する。
他の態様では、本発明は、1日1回、2回または3回の投与に好適な化合物Iの医薬組成物に関する。
本発明の特徴及び利点は、添付の図面において図示されているとおり、本発明の好ましい実施形態の次のより特定の説明から明らかになるであろうし、その図面において、同様の参照文字は、異なる図面を通じて同じ部分を指す。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、むしろ、本発明の原理の説明が重視されている。
本特許または出願書類は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面(複数可)を含むこの特許または特許出願公開公報のコピーは、請求して必要な料金を支払うことで官庁により提供される。
LRRK2の提案される作用機序を示しており、パーキンソン病細胞とLRRK2阻害薬処置細胞とを比較している。aSyn=α-シヌクレイン;GBA=β-グルコセロブロシダーゼ;LRRK2=ロイシンリッチリピートキナーゼ2;Rabs=Rab GTPアーゼ。 第1相研究設計を示している。この二重盲検、プラセボ対照第1相研究は、健康なボランティアにおける単回投与漸増(SAD)ならびに10日間、14日間、及び28日間反復投与漸増(MAD)部分を含んだ。BID=1日2回;PBO=プラセボ;QD=1日1回。 第1b相研究設計を示している。この研究は、パーキンソン病患者において1日1回投与される28日間投与を伴う二重盲検、プラセボ対照、平行設計第1b相研究であった。 第1相研究における標的エンゲージメントを示している。BL=基線;IQR=四分位範囲;MAD=反復投与漸増。全血pS935の減少パーセントを示している(基線から10日目まで)。略語:IQR=四分位範囲;pS935 LRRK2=ロイシンリッチリピートキナーゼ2セリン935リン酸化;QD=1日1回;BID-1日2回。 第1相研究における標的エンゲージメントを示している。BL=基線;IQR=四分位範囲;MAD=反復投与漸増。全血pS935の減少パーセントを示している(基線から14日目まで)。略語:IQR=四分位範囲;pS935 LRRK2=ロイシンリッチリピートキナーゼ2セリン935リン酸化;QD=1日1回;BID-1日2回。 第1相研究における経路エンゲージメントを示している。PBMCからのpRab10の減少パーセントを示している(基線から10日目まで)。 第1相研究における経路エンゲージメントを示している。PBMCからのpRab10の減少パーセントを示している(基線から14日目まで)。 第1b相研究における標的及び経路エンゲージメントを示している。全血pS935の減少パーセントを示している(基線から28日目まで)。 第1b相研究における標的及び経路エンゲージメントを示している。PBMCからのpRab10の減少パーセントを示している(基線から28日目まで)。 化合物Iを用いる第1/1b相研究におけるリソソームエンゲージメントを示している。第I相の健康なボランティア(パートB、D、及びE MADコホート)におけるBMP(22:6/22:6)の減少パーセントを示している(基線から10日目まで[パートB]、28日目まで[パートD]、及び14日目まで[パートE])。BMP濃度は、クレアチニン濃度に対して正規化された(ng/mg)。 化合物Iを用いる第1/1b相研究におけるリソソームエンゲージメントを示している。パーキンソン病を有する第1b相患者における尿中BMP(22:6/22:6)/クレアチニンの減少パーセントを示している(基線から10日目まで[パートB]、28日目まで[[パートD]、及び14日目まで[パートE])。BMP濃度は、クレアチニン濃度に対して正規化された(ng/mg)。 第1b相研究におけるパーキンソン病を有する患者の人口統計及び臨床的特徴を示している。H&Y、Hoehn and Yahr;MDS-UDPRS III、国際運動障害学会-統一パーキンソン病評価尺度;MAO-B、モノアミンオキシダーゼ;PD、パーキンソン病;QD、1日1回。 健康なボランティアにおける第1相研究でのMADコホートで治療下で発現した有害事象を示している。処置関連には(頻度の順で):処置痛、処置頭痛、処置後合併症、穿刺部位疼痛、穿刺部位掻痒(puritis)、穿刺部位疼痛、カテーテル部位疼痛、処置後不快感、医療用具皮膚炎、カテーテル部位紅斑が含まれる。処置アームあたり2人以上の対象における1つ以上のTEAEの別の分析には、上に列挙されていない次の追加のTEAEが含まれる:耳痛(n=2;105mg QD 10日間コホート);鼻咽頭炎(n=2;225mg QD 28日間コホート);無症候性COVID-19(n=2;400mg BID 14日間コホート);傾眠(n=2;250mg BID 14日間コホート)。2人の対象が、腰椎穿刺と関連する失神性めまいも経験した(150及び225mg QD 28日間コホートでそれぞれ1人)。 パーキンソン病患者における第1b相研究で治療下で発現した有害事象を示している。GERD、食道胃食道逆流疾患;TEAE、治療下で発現した有害事象。処置関連には(頻度の順で):処置痛、処置後挫傷、処置後血腫、及び処置頭痛;同じ2人の患者において起こった低血圧及び起立性低血圧が含まれる。
定義
別段に定義されていない限り、本明細書において使用されるすべての技術及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者が共通して理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様か、または同等な任意の方法及び物質を本発明の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法及び物質を記載する。概して、細胞及び分子バイオロジーならびに化学作用と関連して、及びその技術において利用される命名法は、周知のものであり、当技術分野で共通して使用される。具体的に定義されていないある特定の実験技術は一般に、当技術分野で周知の慣用の方法に従って、かつ本明細書を通じて引用及び論述される様々な一般的で、より具体的な参照文献に記載されているとおりに行われる。明確であることを目的として、次の用語を下記で定義する。
「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」、「含む(include)」、「含むこと(including)」、及び「含む(includes)」という言葉は、本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、規定の特徴、整数、成分、またはステップの存在を明記することを意図したものであって、1種または複数の他の特徴、整数、成分、ステップ、またはその群の存在または追加を排除するものではない。
「処置する」及び「処置」という用語は、目的がリソソーム機能不全障害の増殖、発生または伝播などの不所望の生理学的変化または障害を予防する、または遅らせる(減らす)ことである、治療的処置及び予防的または防止的措置の両方を指す。本発明の目的では、有利な、または所望の臨床結果には、これに限定されないが、検出可能であるか検出不可能であるかに関わらず、症状の緩和、疾患の程度の低下、病状の安定化(すなわち、悪化しない)、疾患進行の遅延または減速、病状の寛解または緩和、及び寛解(部分的か、または全体的のいずれかに関わらない)が含まれる。「処置」は、処置を受けない場合に予測される生存と比較しての生存の延長も意味し得る。処置を必要とする者には、病態もしくは障害を既に有する者、さらには病態もしくは障害を有し易いもの、または病態または障害を予防すべき者が含まれる。
「約」という用語は、値が、値を決定するために使用される方法に固有の誤差変化、または実験に存在する変化を含むことを示している。「約」という用語は、+/-10%の変化を指し得る。
「量」という用語は、分子、化合物、または作用物質(例えば、pS935、pRab10またはBMP分子)のレベルまたは濃度を指す。この用語は、絶対量または濃度、さらには相対量または濃度を含む。一部の実施形態では、(例えば、試料中に)存在する分子、化合物、または作用物質の絶対量または濃度を決定するために、及び/または存在する分子、化合物、または作用物質の相対量または濃度を決定するために対照に対して正規化するために、参照標準(例えば、内部pS935、pRab10またはBMP標準)を校正のために使用する。
「治療有効量」という語句は、(i)特定の疾患、病態、もしくは障害を処置する、(ii)特定の疾患、病態、もしくは障害の1つまたは複数の症状を減弱する、寛解する、もしくは除去する、または(iii)本明細書に記載の特定の疾患、病態、もしくは障害の1つもしくは複数の症状の発生を予防する、もしくは遅延させる本発明の化合物の量を意味する。有効性は、例えば、疾患無増悪期間(TTP)を評価することにより、及び/または奏功率(RR)を決定することにより測定することができる。
「検出」という用語は、直接的及び間接的検出を含む検出の任意の手段を含む。
LRRK2変異またはBMPの量を含むバイオマーカーの状態の「変化」または「調節」は、in vitroまたはin vivoで生じる場合、(1)生体試料のゲノムDNAまたは逆転写PCR産物をシーケンシングして、それにより、1つまたは複数の変異を検出すること;(2)メッセージレベルの定量またはコピー数の評価により遺伝子発現レベルを評価すること;及び(3)免疫組織化学、免疫細胞化学、ELISA、または質量分析法によりタンパク質を分析し、それにより、リン酸化またはユビキチン化などのタンパク質の分解、安定化、または翻訳後修飾を検出することを含む、薬力学の立証において一般に用いられる1つまたは複数の方法を使用する生体試料の分析により検出される。
「対象」という用語には、これに限定されないが、ヒト、マウス、ラット、モルモット、サル、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ及びヒツジが含まれる。一部の実施形態では、対象はヒトである。
「任意選択の」または「任意選択で」という用語は、その後に記載される事象または状況が起こっても、または起こらなくてもよいこと、ならびにその記載が前記の事象または状況が起こる場合及び起こらない場合を含むことを意味する。
「添付文書」という用語は、治療用製品の市販パッケージに習慣的に含まれる、適応症、使用法、投薬量、投与、禁忌及び/またはそのような治療用製品の使用に関する警告についての情報を含む指示書を指すために使用される。
本明細書において示されるいずれの化合物または構造も、化合物の未標識の形態、さらには同位体標識された形態を表すことが意図されている。同位体標識化合物は、1個または複数の原子が、選択された原子原子質量または質量数を有する原子により置き換えられていることを除いて、本明細書に図示された構造を有する。開示されている化合物に組み込まれ得る同位体の例には、それぞれH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I及び125Iなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体が含まれる。本開示の様々な同位体標識化合物、例えば、H、13C及び14Cなどの放射性同位体が組み込まれているもの。そのような同位体標識化合物は、代謝研究、反応速度研究、薬物もしくは基質組織分布アッセイを含む陽電子放射型断層撮影法(PET)または単光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)などの検出またはイメージング技術において、または患者の放射線処置において有用であり得る。
本開示は、炭素原子に結合している1~n個の水素がジュウテリウムにより置き換えられていて、nが分子中の水素の数である、本明細書に記載の化合物の「重水素化類似体」も含む。そのような化合物は、代謝に対して増大した抵抗性を示し、したがって、哺乳類、特にヒトに投与される場合にいずれかの化合物の半減期を増大させるために有用である。例えば、Foster,“Deuterium Isotope Effects in Studies of Drug Metabolism,” Trends Pharmacol.Sci.5(12):524-527(1984)を参照されたい。そのような化合物は、当技術分野で周知の手段により、例えば、1個または複数の水素がジュウテリウムにより置き換えられている出発物質を用いることにより合成される。
本開示のジュウテリウム標識または置換された治療用化合物は、分布、代謝及び排出(ADME)に関連して、改善されたDMPK(薬物代謝及び薬物動態)特性を有し得る。ジュウテリウムなどの重い同位体での置換は、より大きな代謝安定性、例えば、増大したin vivo半減期、減少した投薬量要求及び/または治療指数の改善から生じる、ある特定の治療上の利点をもたらし得る。18F、H、11C標識化合物は、PETまたはSPECTまたは他のイメージング研究のために有用であり得る。本開示の同位体標識化合物は一般に、容易に利用可能な同位体標識試薬を非同位体標識試薬の代わりに用いることにより下記のスキームにおいて、または実施例及び調製例において開示される手順を実施することにより調製することができる。この文脈におけるジュウテリウムは、本明細書に記載の化合物中の置換基としてみなされると理解される。
そのような重い同位体、具体的にはジュウテリウムの濃度は、同位体濃縮係数により定義され得る。本開示の化合物において、特定の同位体として具体的に指定されていない任意の原子は、その原子の任意の安定同位体を表すことが意図されている。別段に述べられていない限り、ある位置が「H」または「水素」と具体的に指定されている場合、その位置は、その天然存在度の同位体組成で水素を有すると理解される。したがって、本開示の化合物では、ジュウテリウム(D)と具体的に指定された任意の原子は、ジュウテリウムを表すことが意図されている。
多くの場合に、本開示の化合物は、アミノ及び/またはカルボキシル基またはそれらと同様の基の存在により、酸及び/または塩基塩を形成し得る。
本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩も提供する。「薬学的に許容される」または「生理学的に許容される」は、獣医学的またはヒト薬学的使用のために好適である医薬組成物の調製において有用である化合物、塩、組成物、剤形及び他の物質を指す。
本明細書で使用される場合の「薬学的に許容される塩」という語句は、本発明の化合物の薬学的に許容される有機または無機塩を指す。例示的な塩には、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、過クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシル酸塩」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩)が含まれるが、これらに限定されない。他の塩には、上記のコフォーマーなどの酸塩が含まれる。薬学的に許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオンまたは他の対イオンなどの別の分子の包含を伴ってもよい。対イオンは、親化合物上の電荷を安定化させる任意の有機または無機部分であってよい。さらに、薬学的に許容される塩は、その構造内に1個よりも多い荷電原子を有してもよい。複数の荷電原子が薬学的に許容される塩の一部である事例は、複数の対イオンを有することができる。したがって、薬学的に許容される塩は、1個または複数の荷電原子及び/または1個または複数の対イオンを有することができる。
所望の薬学的に許容される塩は、当技術分野で利用可能な任意の好適な方法により調製することができる。例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、及び同様のものなどの無機酸での、または酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、グルクロン酸もしくはガラクツロン酸などのピラノシジル酸、クエン酸もしくは酒石酸などのアルファヒドロキシ酸、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸などのアミノ酸、安息香酸もしくはケイ皮酸などの芳香族酸、p-トルエンスルホン酸もしくはエタンスルホン酸などのスルホン酸、または同様のものなどの有機酸での遊離塩基の処理。塩基性医薬化合物からの薬学的に有用であるか、または許容される塩の形成に好適と一般に判断される酸は、例えば、Stahl PH,Wermuth CG,editors.Handbook of Pharmaceutical Salts;Properties,Selection and Use,2nd Revision(International Union of Pure and Applied Chemistry).2012,New York:Wiley-VCH;S.Berge et al,Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1 19;P.Gould,International J.of Pharmaceutics(1986)33 201 217;Anderson et al,The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York;Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.,(1995)Mack Publishing Co.,Easton PAにより;及びThe Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C.、そのウェブサイト)において論述されている。これらの開示は参照により本明細書に援用される。
「薬学的に許容される」という語句は、その物質または組成物が、製剤を構成する他の成分、及び/またはそれで処置される哺乳類と化学的及び/または毒物学的に適合性でなければならないことを示している。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される添加剤」または「添加剤」には、あらゆるすべての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤ならびに同様のものが含まれる。薬学的活性物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は当技術分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性成分と非適合性でない限り、治療用組成物におけるその使用が企図される。補足の活性成分を組成物に組み込むこともできる。
LRRK2活性の標的及び経路バイオマーカー
リソソーム機能不全は、PDの既知の遺伝的駆動因子を伴う、及び伴わない患者におけるパーキンソン病(PD)の中心的な病態生理である。LRRK2キナーゼ活性の上昇は、リソソーム機能を損ない、家族性PDを駆動する。LRRK2阻害は、正常なリソソーム機能を回復させ、(PD)モデルにおいて毒性を減少させ得る。LRRK2の阻害は、特発性PDを含むPDの多くの形態について治療上有利なアプローチであり得る。LRRK2疾患を引き起こす変異はキナーゼ活性を上昇させる。
LRRK2依存性リソソーム機能のレベルは、(例えば、試料、細胞、組織、及び/または対象における)リン酸化LRRK2(pS935)、リン酸化ras関連タンパク質Rab10(pRab10)、またはビス(モノアシルグリセロ)ホスフェート(BMP)の存在量を測定することにより決定することができる。
BMP
BMPは、下式:
を有する、(例えば、リソソーム内に通常存在するpHで)負の電荷をもつグリセロリン脂質である。
BMP分子は2本の脂肪酸側鎖を含む。上式中のR及びR’は、それぞれ14、16、18、20、または22個の炭素原子を典型的に含有する独立に選択される飽和または不飽和脂肪族鎖を表す。脂肪酸側鎖が不飽和である場合、それは1、2、3、4、5、6、またはそれ以上の炭素-炭素二重結合を含有し得る。さらに、BMP分子は1または2個のアルキルエーテル置換基を含有し得て、その際、一方または両方の脂肪酸側鎖のカルボニル酸素が2個の水素原子で置き換えられる。
特定のBMP種を記載するために本明細書において使用される命名法は、2本の脂肪酸側鎖を有する種を指し、その際、その脂肪酸側鎖の構造は、BMP形式でカッコ内に示される(例えば、BMP(18:1_18:1))。数詞は「脂肪酸炭素原子の数:二重結合の数」の標準的な脂肪酸表記形式に従う。「e-」という接頭辞は、脂肪酸側鎖のカルボニル酸素が2個の水素原子で置き換えられているアルキルエーテル置換基の存在を示すために使用される。例えば、「BMP(16:0e_18:0)」中の「e」は、16個の炭素原子を有する側鎖がアルキルエーテル置換基であるであることを示している。
BMPは、他のグリセロリン脂質においては観察されないsn-1;sn-1’構造配置(すなわち、リン酸結合グリセロール炭素に基づく)を有することにおいて希少である。BMPの合成は、いくつかのアシル化及びジアシル化ステップを伴い、かつグリセロール骨格を再配向して、珍しい構造配置をもたらすトランスアシラーゼ活性を伴う。sn-1;sn-1’配置が、多くのホスホリパーゼによる切断に対するBMPの抵抗性と、後期エンドソーム及びリソソームにおけるその安定性に寄与すると考えられる。BMPは、多くの種々の細胞型では少量で見い出されるが、マクロファージ、さらには肝臓及び他の組織種のリソソームでは、BMP含有量は有意に高い。
消化性オルガネラとしてのそれらの機能と一致して、リソソームは大量の加水分解酵素を酸性pH(すなわち、約4.6~約5のpH)で含有する。様々な細胞成分及び外来抗原が、取り込み及びリソソームへの送達のために細胞表面上の受容体により捕捉される。細胞内で、マンノース-6-リン酸受容体などの受容体が加水分解酵素に結合して、それを生合成経路からリソソームへと向ける。捕捉された分子は、エンドソームとして公知のオルガネラの中間異種セット(intermediate heterogeneous set)を通過し、それらは、ヒドロラーゼ及び他の物質がリソソームに向けられる前に受容体をリサイクルする選別ステーションとして機能する。そこで、ヒドロラーゼは活性化されて、望ましくない物質は消化される。特に、成熟または「後期」エンドソーム及びリソソームの内膜は大量のBMPを含有する。
リソソームpHで負の電荷をもっているので、BMPは、酸性pHで正の電荷をもち、活性化のために水-脂質界面を必要とする管腔酸性ヒドロラーゼとドッキングし得る。こうして結合することにより、BMPは、酸性スフィンゴミエリナーゼ、酸性セラミダーゼ、酸性ホスホリパーゼA2、ならびにトリアシルグリセロール及びコレステロールエステルを加水分解する能力を有する酸性リパーゼを含むいくつかのリソソーム脂質分解酵素を刺激し得る。
エンドソーム膜は、リソソーム膜の延長であり、これらは、物質を選別し、リサイクルして形質膜及び小胞体に戻すように機能する。したがって、肝臓に内在化されている低密度リポタンパク質(LDL)は後期エンドソームに達し、そこで、成分のコレステロールエステルは酸性コレステロールエステルヒドロラーゼにより加水分解される。後期エンドソーム内に含まれるBMPリッチな膜の特徴的なネットワークは、遊離コレステロールのための収集及び再分配ポイントとして作用することによりコレステロール輸送を調節するコレステロールホメオスターシスの重要な要素である。例えば、リソソーム膜を抗BMP抗体と共にインキュベートすると、かなりの量のコレステロールが蓄積する。
本開示の方法の一部の実施形態では、単一のBMP種の存在量を測定する。一部の実施形態では、2種またはそれ以上のBMP種の存在量を測定する。一部の実施形態では、少なくとも2、3、4、5、またはそれ以上のBMP種の存在量を測定する。2種またはそれ以上のBMP種の存在量を測定する場合、異なるBMP種のいずれの組合せも使用することができる。
場合によっては、相互に比較すると、例えば、細胞ベースの試料(例えば、培養細胞)対 組織ベースまたは血液試料などで、1種類の試料において、1種または複数のBMP種が示差的に(例えば、より多い、またはより少ない存在量で)発現されることがある。したがって、一部の実施形態では、1種または複数のBMP種の選択(すなわち、存在量の測定のために)は試料の種類に依存する。一部の実施形態では、例えば、試料(例えば、検査試料及び/または参照試料)が骨髄由来マクロファージ(BMDM)である場合には、1種または複数のBMP種は、BMP(18:1_18:1)を含む。他の実施形態では、例えば、試料が組織(例えば、脳組織、肝臓組織)もしくは血漿、尿、またはCSFを含む場合には、1種または複数のBMP種はBMP(22:6_22:6)を含む、
一部の実施形態では、内部BMP標準(例えば、BMP(14:0_14:0))を、試料中の1種または複数のBMP種の存在量を測定するために、及び/または参照値を決定するために(例えば、参照試料中の1種または複数のBMP種の存在量を測定するために)使用する。例えば、試料中に存在する1種または複数のBMP種の量を決定することができるように、内部BMP標準の既知の量を試料(例えば、検査試料及び/または参照試料)に添加して、校正点として役立てることができる。一部の実施形態では、試料からのBMPの抽出または単離において使用される試薬(例えば、メタノール)を内部BMP標準で「スパイク」する。典型的には、内部BMP標準は、対象において天然には生じないものとなる。
典型的には、検査試料中の1種または複数のBMP種のそれぞれの存在量を1種または複数の参照値(例えば、対応する参照値)と比較する。一部の実施形態では、処置の前に、及び処置後の1つまたは複数の時点で、BMP値を測定する。より遅い時点で取られた存在量の値を処置前の値と、さらには健康な、または罹患した対照のものなどの対照値と比較して、対象がどのように治療に応答しているかを決定することができる。1つまたは複数の参照値は、検査試料の細胞、組織、または液体に対応する異なる細胞、組織、または液体からのものであってもよい。
一部の実施形態では、参照値は、参照試料で測定された1つまたは複数のBMP種の存在量である。参照値は、測定された存在量の値(例えば、参照試料において測定された存在量の値)であり得るか、または測定された存在量の値に由来するか、そこから外挿され得る。一部の実施形態では、例えば、参照値が多数の試料または対象の集団から得られる場合、参照値は値の範囲である。さらに、参照値は、標準偏差または標準誤差を伴うか、もしくは伴わない単一の値(例えば、測定される存在量の値、平均値、または中央値)または値の範囲として表され得る。
一部の実施形態では、対象が処置された後に、第1の検査試料及び第2の検査試料の両方を対象(例えば、標的対象)から得る。すなわち、第1の検査試料を対象から、処置中に、第2の検査試料よりも早い時点で得る。一部の実施形態では、第1の検査試料を、対象がLRRK2阻害薬でパーキンソン病について処置される前に得て、第2の検査試料を、対象がLRRK2阻害薬でその障害について処置された後に得る(すなわち、処置後検査試料)。一部の実施形態では、1つよりも多い(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)処置前及び/または処置後検査試料を対象から得る。さらに、得られる処置前及び処置後検査試料の数は同じである必要はない。
ジ-ドコサヘキサエノイル(22:6)ビス(モノアシルグリセロール)ホスフェート(ジ-22:6-BMP)は、リソソーム機能及び機能不全のLRRK2依存性指標であり(Fuji et al.2015;Liu,N.et al,(2014)Toxicol.Appl.Pharmacol.279:467-476;US 8313949)、構造:
を有し、1-(((1-(((4E,7E,10E,13E,16E,19E)-ドコサ-4,7,10,13,16,19-ヘキサエノイル)オキシ)-2-ヒドロキシエトキシ)(l1-オキシダネイル)ホスホリル)オキシ)-3-ヒドロキシプロパン-2-イル(4E,7E,10E,13E,16E,19E)-ドコサ-4,7,10,13,16,19-ヘキサエノエートと名付けられている。グリセロリン酸脂質の一群は、急速なアシル遊走を受けやすく、リン酸エステル交換及び立体中心のラセミ化をもたらす。
pRab10
ロイシンリッチリピートキナーゼ2(LRRK2)をコードする遺伝子の変異は、パーキンソン病(PD)の家族性及び非家族性(散発性)形態の両方において見い出される。変異11122V、Nl437H、Rl441C/G/H、RI 728H、Rl628P、Yl699C、G2019S、12020T、T2031S、及びG2385Rを含むいくつかの異なる変異が、病原性変異として同定されており、LRRK2における他の変異は、PDへの罹患性と関連している。LRRK2における既知の病原性変異の少なくとも一部は、そのキナーゼ活性に影響を及ぼすことが見い出されており、したがって、LRRK2阻害薬がPDのための処置として提案されている。
Rab GTPアーゼファミリーのメンバーであるRab10を含む、いくつかのタンパク質が、LRRK2の考えられる生理学的基質として同定されている。LRRK2及びRab10を過剰発現するヒト細胞では、Rabタンパク質のリン酸化が検出される。さらに、野生型LRRK2と比べて、Rab10のリン酸化の増大が、種々のPD連鎖LRRK2変異体において検出される。LRRK2バリアントの存在下でのRab10のリン酸化の増強は、in vivoにおいて病原性バリアントのLRRK2キナーゼ活性の上昇が存在することを示唆している。したがって、一部の実施形態では、Rab10のリン酸化は、11122V、Nl437H、Rl441C/G/H、RI 728H、Rl628P、Yl699C、G2019S、I2020T、T2031SまたはG2385R変異、及び別の実施形態では、Rl441C、Rl441G、Yl699C、G2019S、またはI2020T変異などのLRRK2に病原性変異を有する患者を同定するための有用な臨床マーカーを表す。
ヒト末梢血単核細胞などのヒト生体試料において内因性発現するリン酸化Rab10タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体が生成されている。すべての目的のために全体が参照により本明細書に援用される2018年12月20日にWO 2018/232278として公開された2018年6月15日出願のPCT/US2018/037809を参照されたい。対照的に、リン酸化Rab10またはリン酸化Rab8aに対する既知のポリクローナル抗体は、LRRK2阻害薬での処置に応答して、検出可能なリン酸化Rab10の有意な減少を示さない。抗リン酸化Rab10モノクローナル抗体を使用して測定すると、リン酸化Rab10及びリン酸化Rab8aタンパク質のレベルがLRRK2阻害薬での処置に応じて用量依存的に低下することも見い出されている。
pS935
上記のG2019S変異は、LRRK2の活性化ループにあり、PDの最も共通する遺伝的原因である。G2019Sは、LRRK2キナーゼ活性の上昇の原因となり、毒性をもたらす。LRRK2活性のためのマーカーは、セリン935のリン酸化である(pS935)。pS935は、すべての公知のLRRK2キナーゼ阻害薬に応答して減少して、したがって、そのための有用なバイオマーカーである。
BMP検出技術:一部の実施形態では、質量分析法(MS)を使用して、本開示の方法により1種または複数のBMP種の存在量を検出及び/または測定する。質量分析法は、化合物がイオン化され、生じたイオンをそれらの質量電荷比(m/Q、m/q、m/Z、またはm/zと略される)により選別する確立された技術である。気体、液体、または固体で存在してよい試料(例えば、BMP分子を含む)をイオン化し、次いで、生じたイオンを電場及び/または磁場で加速して、それらが質量電荷比により分離されるようにする。イオンは最終的にイオン検出器に衝突して、質量スペクトログラムを生成する。ときには(例えば、分子全体またはインタクトな分子の)既知の質量を検出されたイオンの質量に相関させることにより、及び/または質量スペクトログラムにおいて検出されるパターンの認識により、検出されたイオンの質量電荷比をそれらの相対存在度と一緒に、親化合物を同定するために使用することができる。
一部の実施形態では、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を質量分析法と組み合わせて使用する。HPLCは、移動相中の分析物を圧力下で固定相、典型的には密に充填されたカラムに押し進めることにより高度な分離をもたらす。LC/MSの確立された技術において、HPLCは分離フロントエンドとして機能し、質量分析法は特性解析バックエンドとして機能する。
pRab10及びpS935検出
上でBMPについて論述したとおり、pRab10及びpS935を、MSを使用して検出することもできる。しかしながら、本発明の一実施形態では、下の実施例において記載されているとおり、pRab10及びpS935を、これらの分子について特異的な抗体を使用して検出する。これらの抗体は、イムノアッセイで検出するために使用することができる。そのような市販のアッセイの1つは、Meso Scale Diagnostics,LLC.(MSD)(Rockville、Maryland)により販売されている。
パーキンソン病を処置するための方法
少なくとも一部はLRRK2により媒介される疾患または病態を処置するための方法は、概して米国特許第10,590,114号に記載されており、そのような方法において使用するための化合物は、米国特許第9,932,325号に記載されており、それらは両方とも、すべての目的のためにそれらの全体で参照により本明細書に援用される。
パーキンソン病を処置するための方法であって、それを必要とする対象に、約70~800mg/日の、
またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体であるLRRK2阻害薬を投与することを含む、前記方法を提供する。
1日投薬量は、1用量または1日あたり投与される化合物Iまたはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体の全量として記載され得る。化合物Iまたはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体の1日投薬量は、約70~800mg、約70~225mg/日、または約70~80mg/日であり得る。
特定の実施形態では、用量は、70、75、80、105、130、150、225、250、300または400mgであり得る。一部の実施形態では、前記化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体を1日1回(QD)投与することができる。他の実施形態では、投与は1日2回(BID)である。
一部の実施形態では、錠剤形態の、約75mgの化合物Iを含む医薬組成物を提供する。
一部の実施形態では、約75mgの化合物Iをそれぞれ含む2個の錠剤を、それを必要とする対象に投与する。一部の実施形態では、約75mgの化合物Iをそれぞれ含む2個の錠剤を、それを必要とする対象に、約150mg/日の全用量で1日1回投与する。
一部の実施形態では、約75mgの化合物Iをそれぞれ含む3個の錠剤を、それを必要とする対象に投与する。一部の実施形態では、約75mgの化合物Iをそれぞれ含む3個の錠剤を、それを必要とする対象に、約225mg/日の全用量で1日1回投与する。
他の実施形態では、本開示の化合物を、パーキンソン病を処置するための活性を有する追加の薬剤と組み合わせて投与することができる。例えば、一部の実施形態では、化合物を、パーキンソン病を処置するために有用な1種または複数の追加の治療薬と組み合わせて投与する。一部の実施形態では、追加の治療薬は、L-ドーパ(例えば、Sinemet(登録商標))、ドーパミン作動性アゴニスト(例えば、ロピネロール(Ropinerol)またはプラミペキソール)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害薬(例えば、エンタカポン)、L-モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害薬(例えば、セレギリンまたはラサギリン)またはドーパミン放出を増加させる薬剤(例えば、ゾニサミド)である。
LRRK2阻害薬でパーキンソン病を処置するための方法
一実施形態では、パーキンソン病を処置するための方法であって、それを必要とする対象に、約75~225mgの化合物I:
を1日1回投与することを含む、前記方法を提供する。
別の実施形態では、パーキンソン病を処置するための方法であって、それを必要とする対象に、約75~225mgの化合物I:
またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法を提供する。
パーキンソン病に罹患している対象の全血中のリン酸化S935 LRRK2(PS935)を減少させるための方法
一実施形態では、パーキンソン病に罹患している対象の全血中のリン酸化S935 LRRK2(PS935)を減少させるための方法であって、それを必要とする対象に、約70~800mg/日の化合物I:
またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体を投与することを含む、前記方法を提供する。
別の実施形態では、パーキンソン病に罹患している対象の全血中のリン酸化S935 LRRK2(PS935)を減少させるための方法であって、それを必要とする対象に、約70~800mg/日の化合物I:
またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法を提供する。
パーキンソン病に罹患している対象の末梢血単核細胞(PBMC)中のリン酸化ras関連タンパク質RAB10(PRAB10)を減少させるための方法
一実施形態では、パーキンソン病に罹患している対象の末梢血単核細胞(PBMC)中のリン酸化ras関連タンパク質RAB10(PRAB10)を減少させるための方法であって、それを必要とする対象に、約70~800mg/日の化合物I:
またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体を投与することを含む、前記方法を提供する。
別の実施形態では、パーキンソン病に罹患している対象の末梢血単核細胞(PBMC)中のリン酸化ras関連タンパク質RAB10(PRAB10)を減少させるための方法であって、それを必要とする対象に、約70~800mg/日の化合物I:
またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法を提供する。
パーキンソン病に罹患している対象の尿中のリソソーム脂質22:6-ビス[モノアシルグリセロール]ホスフェート(BMP)を減少させるための方法
一実施形態では、パーキンソン病に罹患している対象の尿中のリソソーム脂質22:6-ビス[モノアシルグリセロール]ホスフェート(BMP)を減少させるための方法であって、それを必要とする対象に、約70~800mg/日の化合物I:
またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体を投与することを含む、前記方法を提供する。
別の実施形態では、パーキンソン病に罹患している対象の尿中のリソソーム脂質22:6-ビス[モノアシルグリセロール]ホスフェート(BMP)を減少させるための方法であって、それを必要とする対象に、約70~800mg/日の化合物I:
またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法を提供する。
パーキンソン病を処置するためのLRRK2阻害薬の使用
パーキンソン病を処置するためのLRRK2阻害薬の使用であって、阻害薬をそれを必要とする対象に、約70~800mg/日で投与し、それが、
またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体である、前記使用を提供する。
パーキンソン病を処置するための医薬の製造におけるLRRK2阻害薬の使用
パーキンソン病を処置するための医薬の製造におけるLRRK2阻害薬の使用であって、阻害薬を、それを必要とする対象に、約70~800mg/日で投与し、それが、
またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体である、前記使用を提供する。
LRRK2阻害薬化合物に対する応答をモニタリングするための方法
本明細書において提供される処置方法に対する対象の応答をモニタリングするための方法であって:
(a)検査試料または対象が約70~800mg/日の化合物Iまたはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体で処置されている、パーキンソン病を有する対象からの検査試料中の1種または複数のpS935、pRab10及び/またはBMP種の量を測定すること;
(b)(a)において測定された1種または複数のBMP種と、1種または複数の参照値との間の量の差を比較すること;及び
(c)前記比較から、前記LRRK2阻害薬化合物もしくはその医薬組成物、またはその投薬レジメンが、パーキンソン病を処置するために、1種または複数のBMP種のレベルを改善したかどうかを決定すること
を含む、前記方法を提供する。
一実施形態では、方法はさらに、
(d)化合物Iまたはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体を検査試料または対象に投与する量または頻度を維持することまたは調節すること;及び
(e)前記化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体を検査試料に、または対象に投与すること
を含む。
例示的な一実施形態では、1種または複数BMP種はBMP(22:6_22:6)を含む。
例示的な一実施形態では、LRRK2阻害薬は、化合物Iまたはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体である。
例示的な一実施形態では、1種または複数のBMP種はBMP(22:6_22:6)を含む。
上記の方法の例示的な実施形態では、参照値を、参照対象または参照対象の集団から得られた参照試料で測定する。
上記の方法の例示的な実施形態では、参照対象または参照対象の集団は健康な対照である。
上記の方法の例示的な実施形態では、参照対象または参照対象の集団は、リソソーム機能不全障害またはpS935、pRab10もしくはBMPのレベルの低下を有さない。
上記の方法の例示的な実施形態では、パーキンソン病を有するか、有するリスクがある対象は、健康な対照またはパーキンソン病に関連のない対照と比較して、骨髄由来マクロファージにおいてpS935、pRab10またはBMP種のレベルの上昇を有する。
上記の方法の例示的な実施形態では、パーキンソン病を有するか、有するリスクがある対象は、健康な対照またはパーキンソン病に関連のない対照と比較して、肝臓、脳、脳脊髄液、血漿、または尿においてpS935、pRab10またはBMP種のレベルの低下を有する。
上記の方法の例示的な実施形態では、パーキンソン病を有するか、有するリスクがある対象の検査試料におけるpS935、pRab10またはBMP種の量は、健康な対照またはパーキンソン病に関連のない対照などの対照の参照値と比較して、少なくとも約1.2倍、1.5倍、または2倍の差を有する。
上記の方法の例示的な実施形態では、パーキンソン病を有するか、有するリスクがある対象の検査試料におけるpS935、pRab10またはBMP種の量は、健康な対照またはリソソーム機能不全障害に関連のない対照などの対照の参照値と比較して、約1.2倍から約4倍の差である。
上記の方法の例示的な実施形態では、参照値は、処置前のpS935、pRab10またはBMP種の値である。
上記の方法の例示的な実施形態では、pS935、pRab10またはBMP種のレベルの低下は、健康な対照またはリソソーム機能不全障害と関連のない対照などの対照の参照値と比べて、処置前のpS935、pRab10またはBMP種のレベルを超える改善である。
上記の方法の例示的な実施形態では、pS935、pRab10またはBMP種のレベルの低下は、対照と比較して、5%~90%、好ましくは約50~70%、約50%超、または約70%超の差を有する。
上記の方法の例示的な実施形態では、検査もしくは参照試料または1種もしくは複数の参照値は、細胞、組織、全血、血漿、血清、脳脊髄液、間質液、痰、尿、リンパ、またはそれらの組合せを含むか、またはそれらに関する。
上記の方法の例示的な実施形態では、細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄由来マクロファージ(BMDM)、網膜色素上皮(RPE)細胞、血液細胞、赤血球、白血球、神経細胞、ミクログリア細胞、脳細胞、大脳皮質細胞、脊髄細胞、骨髄細胞、肝臓細胞、腎臓細胞、脾細胞、肺細胞、眼細胞、絨毛膜絨毛細胞、筋細胞、皮膚細胞、線維芽細胞、心臓細胞、リンパ節細胞、またはそれらの組合せである。
上記の方法の例示的な実施形態では、細胞は培養細胞である。
上記の方法の例示的な実施形態では、組織は、脳組織、大脳皮質組織、脊髄組織、肝臓組織、腎臓組織、筋肉組織、心臓組織、眼組織、網膜組織、リンパ節、骨髄、皮膚組織、血管組織、肺組織、脾臓組織、弁組織、またはそれらの組合せを含む。
上記の方法の例示的な実施形態では、検査試料は、エンドソーム、リソソーム、細胞外小胞、エキソソーム、マイクロベシクル、またはそれらの組合せを含む。
上記の方法の例示的な実施形態では、1種または複数のpS935、pRab10またはBMP種は、2種またはそれ以上のpS935、pRab10またはBMP種を含む。
上記の方法の例示的な実施形態では、検査試料は、血漿、尿、脳脊髄液(CSF)、及び/または脳または肝臓組織を含み、1種または複数のBMP種はBMP(22:6_22:6)を含む。
上記の方法の例示的な実施形態では、検査試料は、CSFまたは尿を含み、1種または複数のBMP種はBMP(22:6_22:6)を含む。
上記の方法の例示的な実施形態では、1種または複数のpS935、pRab10またはBMP種の存在量を、液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC-MS)、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法(LC-MS/MS)、ガスクロマトグラフィー-質量分析法(GC-MS)、ガスクロマトグラフィー-タンデム質量分析法(GC-MS/MS)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、またはそれらの組合せを使用して測定する。
上記の方法の例示的な実施形態では、1種または複数のpS935、pRab10またはBMP種の量を測定する場合に、内部pS935、pRab10またはBMP標準を使用する。
上記の方法の例示的な実施形態では、内部pS935、pRab10またはBMP標準は、対象及び/または参照対象または参照対象の集団に天然には存在しないpS935、pRab10またはBMP種を含む。
上記の方法の例示的な実施形態では、内部BMP標準はBMP(14:0_14:0)を含む。
上記の方法の例示的な実施形態では、リソソーム機能不全障害は、BMP発現、プロセシング、グリコシル化、細胞取り込み、輸送、及び/または機能に関連する障害である。
上記の方法の例示的な実施形態では、対象は、LRRK2発現遺伝子において1つまたは複数の変異を有する。
上記の方法の例示的な実施形態では、障害は、組織におけるBMPレベルの低下と関連する。
上記の方法の例示的な実施形態では、障害は、尿中のBMPレベルの上昇と関連する。
上記の方法の例示的な実施形態では、障害は、尿中のBMPレベルの上昇と関連する。
上記の方法の例示的な実施形態では、対象及び/または参照対象は、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類、イヌ、またはブタである。
医薬組成物及び投与様式
化合物Iまたはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体と、担体、補助剤、及び添加剤から選択される1種または複数の薬学的に許容されるビヒクルとを含有する医薬組成物を本明細書において提供する。好適な薬学的に許容されるビヒクルには、例えば、不活性な固体希釈剤及び増量剤、滅菌水溶液及び様々な有機溶媒を含む希釈剤、浸透促進剤、溶解補助剤、及び補助剤が含まれ得る。そのような組成物は、薬学分野で周知の手法で調製される。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mace Publishing Co.,Philadelphia,Pa.17th Ed.(1985);及びModern Pharmaceutics,Marcel Dekker,Inc.3rd Ed.(G.S.Banker & C.T.Rhodes,Eds.)を参照されたい。
経口投与は、例えば、カプセル剤または錠剤による投与であってよい。医薬組成物の作製において、活性成分は通常、添加剤により希釈される、及び/またはカプセル剤、サシェ、紙または他の容器の形態であってよいような担体内に封入される。添加剤が希釈剤として役立つ場合には、それは、活性成分のためのビヒクル、担体または媒体として作用する固体、半固体、または液体物質の形態であってよい。好適な添加剤のいくつかの例には、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップ、及びメチルセルロースが含まれる。製剤は加えて、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱油などの滑沢剤;湿潤剤;乳化剤及び懸濁化剤;メチル及びプロピルヒドロキシ-ベンゾエートなどの防腐剤;甘味剤;ならびに香味剤を含み得る。
本発明の組成物及びプロセスは、説明として意図されているにすぎず、本発明の範囲を限定しない次の実施例と関連して、さらに良好に理解されるであろう。開示の実施形態に対する様々な変化及び変更は、当業者には明らかであろうし、そのような変化及び変更を、限定ではないが、本発明のプロセス、製剤及び/または方法に関するものを含めて、本発明の意図及び添付の特許請求の範囲から逸脱することなく成すことができる。
疾患の概観
PDは、65歳以上の個体のおよそ1%~2%が罹患する、2番目に多い一般的な神経変性疾患であり(de Rijk MD,et al., J Neurol Neurosurg Psychiatry.1997;62(1):10-5;Blin P et al.,Eur J Neurol.2015;22(3):464-71)、有病率は、世界人口が加齢するにつれてかなり上昇すると予測されている(Dorsey ER et al,Neurology.2007;68(5):384-6)。欧州及び北米におけるPDの推定有病率はそれぞれ、100,000人あたり66~12,500人の範囲(von Campenhausen et al.,Eur Neuropsychopharmacol.2005;15(4):473-90)及び100,000人あたり572人である(Marras et al.,NPJ Parkinsons Dis.2018;4:21)。PDの発生率は加齢とともに上昇し、50歳前はまれである(de Lau and Breteler,Lancet Neurol.2006;5(6):525-35;Twelves et al.,Mov Disord.2003;18(1):19-31)。発症から5年以内に35%の患者、発症から10年以内に65%の患者、及び発症から15年以内に80%の患者において、重篤な身体障害または死亡が予測され得る(Poewe,J Neurol.2006;253 Suppl 7:VII2-6;Schrag and Bank,Mov Disord.2006;21(11):1839-43;Mov Disord.2010;25 Suppl 1:S131-5).
PDのために現在承認されている処置は、運動症状を改善するが、疾患の根本的な原因に対処するものではない。経時的に、これらの対症治療は有効性を失い、運動障害及び幻覚などの有害作用の頻度及び重症度の増加に関連する。加えて、うつ病、不安、睡眠障害、認知障害、及び認知症を含む非運動症状が、PDの無力化性の共通する特徴であるが、現行の治療によっては不十分に対処されている(Aarsland et al.,Arch Neurol.1996;53(6):538-42;Truong et al.,J Neurol Sci.2008;266(1-2):216-28;Lyons and Pahwa,Am J Manag Care.2011;17 Suppl 12:S308-14;Khoo et al.,Neurology.2013;80(3):276-81;Seppi et al.,Mov Disord.2019;34(2):180-98;FDA 2016)。したがって、PD患者は、その疾患と共に生活する数年から数十年にわたって、障害の増加を経験することが不可避である(Hely et al.,Mov Disord.2005;20(2):190-9)。したがって、現行の治療によっては対処されない進行性運動及び非運動障害を予防するための有効な疾患修飾治療がかなり必要とされている。
LRRK2変異は、PDの立証された原因であり、家族性PDのおよそ4%~5%の原因である(Healy et al.,Lancet Neurol.2008;7(7):583-90;Chai C,et al.,Curr Genomics 2013;14(8):486-501)。家族性LRRK2変異は、不完全な浸透率を伴う遺伝の常染色体優性パターンで伝達される(Marder et al.,Neurology 2015;85(1):89-95)。加えて、LRRK2遺伝子内のバリアントは、遺伝的危険因子であり、「散発性」PD症例の1%~2%の原因である(Healy ,2008;Chai et al,Curr Genomics 2013;14(8):486-501;Hernandez et al.,J Neurochem 2016;139(Suppl 1):50-74;Cookson,Biochem Soc Trans.2016;44(6):1603-10)。
疾患において治験薬で処置するための理論的根拠
化合物1は、PDを有する患者を処置するための、LRRK2の選択的な経口で生物学的に利用可能なCNS浸透性、可逆性阻害薬である。遺伝学的に検証された標的であるLRRK2キナーゼの阻害は、LRRK2-PDにおいて、さらには潜在的に、iPDにおいてリソソーム機能を改善する。化合物1は、PDにおける重要な疾患経路に介入して、PDの進行を規定する運動及び非運動障害の蓄積を予防または抑制し得る。
LRRK2は、グアノシントリホスファターゼ(GTPase)ドメイン、キナーゼドメイン、及びいくつかの潜在的なタンパク質間相互作用ドメインを含有するマルチドメインタンパク質をコードする。LRRK2における同定された病原性変異の大部分は、LRRK2-PD、G2019Sと関連する最も共通する変異を含めて、その触媒ドメイン内に位置する。これらの変異は、キナーゼドメイン内の直接的な機構を介するか、または間接的な機構を介してLRRK2キナーゼ活性を上昇させる(West et al.,Human Mol Gen.2007;16(2):223-32;Sheng et al.,Sci Transl Med.2012;4(164):164ra161)。G2019S点変異は、LRRK2活性をおよそ2倍上昇させ、保護的LRRK2バリアントは、LRRK2キナーゼ活性のわずかな低下と関連しており、LRRK2キナーゼ活性の中程度の変化がPDの生涯危険度に寄与していることを示唆している(Khan et al.,Brain.2005;128(Pt 12):2786-96;Jaleel et al.,Biochem J.2007;405(2):307-17;West et al.,Human Mol Gen.2007;16(2):223-32;Sheng et al.,Sci Transl Med.2012;4(164):164ra161;Steger et al.,eLife.2016;5:e12813;Ross et al.,Lancet Neurol.2011;10(10):898-908).
正確な発病機構は未知のままであるが、LRRK2が、エンド-リソソーム系内の細胞内輸送において役割を果たしていると考えられる(Henry et al.2015;Cookson et al.,2015)。LRRK2変異のキナーゼ-活性化の直接的な作用が、細胞内輸送の重要な調節因子であるRab GTPアーゼのリン酸化を増大させ得る(Steger et al.,2016;)。Rabリン酸化が、リソソーム膜内での不活性なRabの蓄積を促進して、その結果、ベシクル輸送を混乱させると考えられる。リソソーム機能及び細胞機能の両方の改変がLRRK2変異と関連する。細胞データは、細胞におけるG2019S変異LRRK2活性の阻害がリソソーム異常を逆転させることを示している(Khan et al.,2005;West et al.,2007;Sheng et al.,2012;Steger et al.,2016;Schapansky et al.,Neurobiol Dis.2018;111:26-35;Hockey et al.,J Cell Sci.2015;128(2):232-8;Henry et al.,2015;Wallings et al.,Hum Mol Genet.2019a;28(16):2696-710;Rivero-Rios et al.,J Biol Chem.2019;294(13):4738-58)。
現行の証拠により、LRRK2変異状態とは独立に、疾患関連リソソーム機能不全を修正するためのLRRK2阻害が支持される。LRRK2活性は、pS1292 LRRK2及びRab10トレオニン73リン酸化(pT73 Rab10)により測定されるとおり、iPDを有する患者から死後に収集された脳の黒質において上昇しており、LRRK2過活動が非LRRK2キャリア集団においてPDの病因を駆動し得ることを示唆している(Di Maio et al.,Sci Transl Med.2018;10(451):eaar5429)。リソソーム機能不全は、細胞内タンパク質の蓄積についての中心的な機構であり得、iPDの基本的な病理学的特徴であるα-シヌクレインの蓄積及びレビー小体の形成をもたらす(Dehay et al.,Mov Disord.2013;28(6):725-32;Tofaris,Mov Disord.2012;27(11):1364-9)。α-シヌクレイン蓄積及び結果として生じる病理におけるLRRK2の役割は、in vitro及びin vivo研究により示唆されている。G2019S-LRRK2を発現する一次ニューロン培養は、LRRK2阻害薬処置により減少させることができるα-シヌクレイン封入を発生させる。in vivoで、α-シヌクレインを過剰発現するウイルスでの、PDのトランスジェニックG2019S-LRRK2ラットモデルの感染はドーパミン作動性ニューロン神経変性を誘導し得て、この変性は、LRRK2阻害薬処置により減弱させることができる(Daher et al.,J Biol Chem.2015;290(32):19433-44;Volpicelli-Daley et al.J Neurosci.2016;36(28):7415-27)。これは、病原性α-シヌクレインが過剰発現しているPDのマウスモデルにおいて、LRRK2タンパク質レベルを50%低下させる場合の病態からの有意な保護を示すデータによりさらに裏付けられている(Zhao et al.Mol Ther Nucleic Acids.2017;8:508-19)。これらのデータは、LRRK2活性過剰がリソソーム機能に対して影響を有し、iPDにおける神経変性に寄与し得るというコンセプト、及びキナーゼ阻害薬がリソソーム機能を回復させて、iPDの状況における患者転帰を改善する可能性を有するというコンセプトを強く裏付けている。
加えて、LRRK2阻害は、PDにつながる他の遺伝的バリアントと関連する疾患関連リソソーム機能不全を修正し得る。LRRK2キナーゼ阻害は、リソソーム輸送分子VPS35及びRab29のPD連鎖変異と関連するリン酸化Rab10の増大を含むシグナル伝達欠損を修正し得る(Purlyte et al.,EMBO J.2018;37(1):1-18;Mir et al.,Biochem J.2018;475(11):1861-83)。さらに、グルコシルセラミダーゼβ(GBA)をコードする遺伝子に同型接合性機能喪失型変異を持つ患者は、リソソーム貯蔵障害ゴーシェ病を発生する一方で、GBAにヘテロ接合型変異を持つ対象はPDの高いリスクを有する。ゴーシェ病患者に由来する線維芽細胞には、リソソームタンパク質ターンオーバー活性のほぼ完全な消失が存在し、これがLRRK2阻害により部分的に修正され得る。したがって、LRRK2キナーゼ活性の増大を阻害することが、リソソーム機能不全を含むLRRK2媒介病因、さらにはLRRK2過活動とは独立したリソソーム機能不全を緩和し得て、PDを有する患者の幅広い集団における化合物Iの治療可能性を裏付けている(Di Maio et al.,2018,Ysselstein et al.,Nat Commun.2019;10(1):55702019,Sanyal et al.,Front Neurosci.2020;14:442)。
まとめると、LRRK2活性は、リソソーム機能におけるその役割を介してPD(iPD及びLRRK2-PD)病理の中心的な機構に連結しており、化合物IなどのLRRK2キナーゼ阻害薬は、LRRK2変異を有する、及び有さない患者におけるPDの根底にあるバイオロジーに対処する可能性を有する、新たなクラスの治療薬である。
実施例1:化合物I第1相研究におけるLRRK2キナーゼ阻害
健康なボランティアにおける第1相研究において、参加者の人口統計は次のとおりであった:
184人のHV(145人は活性、39人はプラセボ)を単回または反復1日1回(QD)または1日2回(BID)投与で最高28日間、次の研究パートにおいて処置した:
パートA(SAD;若年HV;n=48):男性100%及び年齢中央値25歳(18~50歳の範囲);
パートB(10日間MAD;若年HV;n=80):男性99%及び年齢中央値26.5歳(18~50歳の範囲);
パートC(SAD;高齢者HV;n=8):男性50%及び年齢中央値69歳(67~74歳の範囲);
パートD(28日間MAD;若年HV;n=17):男性100%及び年齢中央値29歳(18~39歳の範囲);及び
パートE(14日間MAD;若年HV;n=31):男性100%及び年齢中央値30歳(18~50歳)。
実施例2:パーキンソン病及びLRRK2リスクバリアントにおけるキナーゼ活性
現行の証拠は、家族性LRRK2病原性変異と関連するかしないかに関わらず、LRRK2キナーゼ活性の低下が、PDを有する患者を処置するための生存可能な治療戦略であることを示唆している。LRRK2における同定されている病原性変異の大部分は、キナーゼドメイン内の直接的な機構を介して、または間接的な機構を介してLRRK2キナーゼ活性を上昇させる(West et al.,2007;Sheng et al.,2012)。LRRK2キナーゼ活性は、pS1292 LRRK2及びpT73 Rab10により測定されるとおり、iPDを有する患者から死後に収集された脳の黒質において上昇しており、脳におけるLRRK2キナーゼ過活動が非LRRK2変異キャリア集団においてPDの病因を駆動し得ることを示唆している(Di Maio et al.,2018)。加えて、現行の証拠は、LRRK2阻害がLRRK2変異状態とは独立に、GBA活性の低下などの疾患関連リソソーム機能不全を修正し得ることを示唆している(Ysselstein et al.,2019)。したがって、化合物IなどのLRRK2キナーゼ阻害薬は、LRRK2変異を有する、及び有さない患者におけるPDの根底にあるバイオロジーに対処する可能性を有する、新たなクラスの治療薬である。
LRRK2の最も共通する疾患の原因となるバリアント(G2019S)はLRRK2キナーゼ活性をおよそ2倍上昇させ;したがって、50%のLRRK2キナーゼ活性低下で正規化が予測され得る。
pS935 LRRK2、LRRK2キナーゼ阻害の薬力学的マーカー
全血中のpS935 LRRK2は、化合物I臨床研究においてLRRK2阻害を定量化するために使用される主な薬力学的マーカーである。pS935 LRRK2は、LRRK2キナーゼの薬理学的阻害に対して感受性があることが実証されており(Fell et al.,J Pharmacol Exp Ther.2015;355(3):397-409;Fuji et al.,2015;Henderson et al.,J Med Chem.2015;58(1):419-32)、pS935 LRRK2の減少は、LRRK2阻害薬での処置後のヒト対象において全血中で測定可能である。さらに、動物研究では、pS935 LRRK2の曝露-応答は末梢で、CNSにおけるものと緊密に対応し(例えば、平均して末梢でpS935 LRRK2の50%減少は、中枢でのおよそ50%減少に対応する)、末梢LRRK2阻害がヒト対象における脳での阻害をおそらく反映することを実証している。
PDの主な病理学的所見は脳内にあるので、CNSにおけるLRRK2阻害の直接的な定量化が、薬力学的測定値として末梢でのLRRK2阻害を定量化するために好ましいであろう。したがってこの分野の研究者は、CSFにおけるLRRK2リン酸化を定量化するためのアッセイ、脳におけるLRRK2阻害を反映するであろうマトリックスを開発している。これらのアッセイは進歩するにつれて、CNSにおけるLRRK2阻害を定量化し、ヒト対象における末梢及び中枢LRRK2阻害の間の関係を測定するために臨床研究で実施されることになる。
LRRK2 G2019S点変異と関連するキナーゼ活性の2倍の上昇に基づき、研究対象の50%超においてトラフで50%以上の全血pS935 LRRK2の減少が最低限の薬力学的標的である。現在までの臨床研究では、85%~90%のpS935 LRRK2の平均的な減少をもたらす曝露は、健康な対象及びPDを有する対象において安全であり、概して忍容性が良好であることが実証されている。具体的には、最高28日間の曝露にわたって、潜在的なLRRK2オンターゲット腎臓または肺機能において明らかな変化はなかった。
BMP、LRRK2活性により調節されるリソソームバイオマーカー
尿において測定されるリソソーム脂質BMP 22:6/22:6(書類を通じて「BMP」と称される)は、LRRK2の下流でのリソソーム経路の修正の機械的マーカーである。BMPは、後期エンドソーム及びリソソームの腔内ベシクル上でもっぱら見い出されるリソソームリン脂質である(Bissig and Gruenberg,Cold Spring Harb Perspect Biol.2013;5(10):a016816)。G2019S LRRK2変異を有する者を含む、遺伝的または薬物誘導性リソソーム機能障害を有する個体は尿BMPのレベルの上昇を有する(Lecommandeur et al.,J Lipid Res.2017;58(7):1306-14;Alcalay et al.,Mov Disord.2013;28(14):1966-71)。LRRK2阻害は、動物モデル及びヒトの両方において尿BMPを減少させることが示されている(Fuji et al.2015;Alcalay et al.,2020;図4A、6A、7A、7B)。
リソソーム機能不全はPDの共通のホールマークであり、LRRK2阻害を含む、リソソームホメオスターシスにおけるPD連鎖欠陥を改善することを目的とする治療アプローチは、疾患進行に有意義な影響を及ぼし得ると仮定される(Wallings et al.,Trends Neurosci.2019b;42(12):899-912)。尿BMPの減少は、必ずしも必要とされないが、PDを有する患者において、欠陥があるリソソーム経路の調節を示し得る。PDにおける主な病理学的所見はCNSにある;したがって、治療薬の有効性はおそらく、CNSにおけるリソソーム経路の調節を必要とする。尿BMPはリソソーム機能の尺度であるという証拠がある一方で、これは末梢マーカーであり、したがって、CNSにおけるLRRK2経路活性及びリソソーム機能の追加のバイオマーカーが、尿BMPと中枢リソソーム機能との間の関係についてさらに調査されることとなる。
実施例3:臨床上の安全性
初めの健康な対象におけるヒト研究での第1相及びPDを有する対象における第1b相研究からの安全性データを下にまとめる。
健康な対象における第1相、安全性、耐容性、薬物動態、及び薬力学的研究
これは、健康な対象において化合物Iの安全性、耐容性、PK、及び薬力学を決定するために設計された第1相、無作為化、プラセボ対照、二重盲検FIH研究であった。反復投与コホート(パートB、D、及びE)からの非盲検安全性データを下にまとめる。
パートBにおける反復投与後の健康な対象における安全性及び耐容性
この研究のパートBは、連続する反復投与漸増(MAD)コホートからなった。健康な対象は8つのコホート(コホートB1~B8;n=10/コホート)に登録され、化合物I 15、30、45、70、105、150、225、または300mgまたはプラセボ(4:1比)をQDで10日間にわたって投与された。
パートBでは、化合物Iは、健康な対象において、最高300mg、QDで10日間にわたる反復投与で、概して忍容性が良好であった。試験薬の中止につながる死亡、他のSAE(重篤有害事象)、AESI(特に注目すべき有害事象)、または治療中に発生した有害事象(TEAE)は報告されなかった。合計56人(86.2%)の化合物I処置対象及び13人(86.7%)のプラセボ処置対象が1つ以上のTEAEを経験した(図9)。化合物I処置対象の中で最も共通するTEAEは頭痛(29人[45%]の対象);処置関連(32人[49%]の対象);倦怠(6人[9.2%]の対象);及び悪心(6人[9.2%]の対象)。化合物I処置対象のうち、55人(84.6%)が1つ以上の軽度のTEAEを経験し、9人(13.8%)の対象が1つ以上の中等度のTEAEを経験し、重度のTEAEを経験した対象はいなかった。
安全性ラボラトリー、生命徴候、ECG、神経学的検査、肺機能検査(PFT)、またはコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)結果に臨床的に有意な変化は観察されなかった。
pS935及びpRab10に対する処置の効果
全血中のpS935及びPBMC中のpRab10のための手順:
試料調製
pS935アッセイのための全血調製:
凍結させたヒト全血試料を解凍し、96ウェルプレート(溶解バッファー100μlを含む全血試料100μl)内で直接溶解した。MSDアッセイの前に、試料を回転させた(4℃で20分間にわたって2,500×g)。
pRab10アッセイのためのPBMC調製:
製造者プロトコルに従って、血液をCPT-ナトリウムヘパリン管(BD BDAM362780)に収集し、次いで、PBMCを単離した。PBMCを最大速度で遠心することによりペレット化し、次いで、PBMC溶解バッファー(PhosSTOPホスファターゼ阻害剤[Roche 04906837001]、完全プロテアーゼ阻害剤[Roche 04693159001]、及びベンゾナーゼ[Sigma E8263]を含む1×細胞溶解バッファー[CST カタログ#9803])に再懸濁した。溶解産物を20分間にわたって氷上に保持し、続いて、4℃で20分間にわたって最大速度で遠心した。上清をアリコットし、後のイムノアッセイ分析のために-80℃で貯蔵した。
MSDアッセイ
捕捉抗体を、EZ-Link(商標)NHS-LC-LC-ビオチン(Thermo Fisher、#21343)を使用してビオチン化し、検出抗体を、Sulfo-TAG NHS-エステル(MSD、R31AA-1)を使用してコンジュゲートした。96ウェル(または384ウェル)MSD GOLD Small Spot Streptavidinプレート(MSD L45SSA-1)を、Diluent100(MSD、R50AA-2)中で希釈された捕捉抗体25μl(または384ウェルプレートでは15μl)で1時間にわたって室温で、700rpm(384ウェルでは1000rpm)で振盪しながらコーティングした。TBST洗浄(3×)の後に、試料25μlを各ウェルに添加し(384ウェルでは10μl)、4℃で終夜、700rpmで撹拌しながらインキュベートした。TBST洗浄(3×)の後に、検出抗体25μl(384ウェルでは15μl)を、25%MSD blocker A(MSD R93AA-1)を含有するTBST中で希釈された各ウェルに、ウサギ(Rockland Antibodies D610-1000)及びマウスガンマグロビン画分(D609-0100)と一緒に添加した。室温で、700rpmでの1時間のインキュベーション、続いて、TBST洗浄(3×)の後に、MSD読み取りバッファー(MSD R92TC、水で1:1希釈)150μlを添加し(384ウェルでは35μl)、プレートをMSD Sector S 600で読み取る。
図4は、トラフ(投与前)で、定常状態(コホートBでは10日目、コホートDでは28日目、コホートEでは14日目)で、化合物I処置が基線と比較して、最大用量で80%以上のpS935の確かな減少及び最小臨床関連用量で50%以上の減少をもたらしたことを示している。
図5は、トラフ(投与前)で、化合物Iが、LRRK2キナーゼの直接的な基質である末梢単核細胞(PBMC)中のRab10(pRab10)のリン酸化を、HVでは定常状態の最大用量で70%以上減少させたことを示している(コホートBでは10日目、コホートDでは28日目、コホートEでは14日目)。
パートDにおける反復投与後の健康な対象における安全性及び耐容性
パートDは、化合物I 225mg(n=13)またはプラセボ(n=4)のいずれかをQDで28日間にわたって投与された健康な対象の反復投与コホート(コホートD1)からなった。
パートDでは、化合物Iは、健康な対象において225mgの用量、QDで28日間にわたって概して忍容性が良好であった。死亡、他のSAE、またはAESIは報告されなかった。プラセボ群の対象1人が、7回目の投与後にTEAEを経験し、試験薬の中止につながった(トランスアミナーゼが上昇した;治験責任医師により、重症度は中等度で、試験薬とは関連ないと判断された)。対象1人が8回目の投与後に個人的な理由で同意を撤回し、置き換えられた。化合物I 225mg QD群の合計10人(77%)の対象及びプラセボ群の2人(50%)の対象が1つ以上のTEAEを経験した(図9)。化合物I処置対象の中で最も共通するTEAEは頭痛(3人[23%]の対象)及び手順関連(3人[23%]対象)であった。化合物I処置対象のうち、10人(77%)が1つ以上の軽度のTEAEを経験し、中等度または重度のTEAEを経験した対象はいなかった。
安全性ラボラトリー、生命徴候、ECG、神経学的検査、PFT、またはC-SSRS結果に、他の臨床的に有意な変化は観察されなかった。
パートEにおける反復投与後の健康な対象における安全性
パートEは、連続MADコホートからなる。コホートE1の健康な対象は化合物I 150mgまたはプラセボ BID(4:1比)を14日間にわたって投与され(n=9)、コホートE2の対象は化合物I 250mgまたはプラセボ BID(4:1比)を14日間にわたって投与された(n=11)。継続中のコホートE3の対象は化合物I 400mgまたはプラセボ BID(4:1比)を14日間にわたって投与されている。コホートE1及びE2での非盲検安全性データを下にまとめる。
コホートE1及びE2からの非盲検安全性データに基づき、化合物Iは、健康な対象において150及び250mg、BIDで14日間にわたって概して忍容性が良好であった。SAEまたはAESIは報告されなかった。2件の研究-薬物関連中止がパートEで生じた:1人の対象が中等度の悪心、頭痛、集中力低下、及び下痢を有し(250mg BID);2人目の対象が重度の頭痛及び中等度の悪心を伴う倦怠感を有した(400mg)。1人の対象(250mg BID)が研究を早期に中止し;その対象は、悪心、頭痛、注意力障害、及び下痢の中等度のTEAEの結果として3日目に同意を撤回したが、これらはすべて、アセトアミノフェンでの処置後に発生当日に解消し、治験責任医師により試験薬に関連すると判断された。
25人(100.0%)の化合物I処置対象及び6人(100.0%)のプラセボ処置対象の全員が、研究において1つ以上のTEAEを経験した。化合物I処置対象の中で最も共通するTEAEは頭痛(21人[84%]の対象 対 プラセボでは4人[67%]の対象)。報告されたTEAEの大部分は重症度において軽度または中等度であった。1人の対象(250mg BID)が重度のTEAE(処置頭痛;治験責任医師により試験薬に関連しないと判断された)を経験した。化合物I 250mg BIDを投与された2人の対象で、中等度のTEAEが報告された:頭痛(n=1)ならびに頭痛、悪心、注意力散漫、及び下痢(n=1)。2人の対象において重度のTEAEが報告された:処置頭痛(n=1;250mg BID);頭痛及び倦怠感(n=1;40mg BID)。
生命徴候、ECG、遠隔測定、安全性ラボラトリー(肝臓及び腎臓機能検査を含む)、PFT、神経学的検査、またはC-SSRS結果に、臨床的に有意な変化は観察されなかった。
実施例4:パーキンソン病を有する対象における第1b相、安全性、耐容性、薬物動態、及び薬力学的研究
参加者の人口統計
合計36人のPDを有する患者(26人は活性、10人はプラセボ)を最高300mg QDで28日間にわたって処置した(図8)。
これは、PDを有する対象において化合物Iの安全性、耐容性、PK、及び薬力学を決定するために設計された第1b相、無作為化、プラセボ対照、二重盲検研究であった。この研究の実行は完了しており、臨床試験報告が進行中である。パート1において、対象は化合物I 80mgまたはプラセボ QD(1:1比)を28日間にわたって投与された(n=8)。パート2において、対象は化合物I 80または130mgまたはプラセボ QD(1:2:1比)を28日間にわたって投与された(n=17)。パート3において、対象は化合物I 300mgまたはプラセボ QD(4:1比)を28日間にわたって投与された(n=11)。
非盲検安全性データに基づき、化合物Iは、PDを有する対象において、80、130、または300mg QDで28日間にわたって、概して忍容性が良好であった(図10にまとめた)。SAEまたはAESIは報告されなかった。2人(5.6%)の対象が、第1回の投与後に低血圧のTEAEにより研究を中止した。これらの対象のうちの1人(130mg QD)では、事象は無症候性であり、治験責任医師により、重度であり、試験薬に関連しないと判断された。この対象は事象の1日前までタムスロシンを摂取しており、自律神経調節不全の履歴が記録されていた。2人目の対象(300mg QD)では、事象は起立時に軽度の症候性であり、治験責任医師により軽度で試験薬に関連すると判断された。2人のさらなる対象が軽度の起立性低血圧(80mg QD)ならびに軽度の低血圧及び起立性低血圧(300mg QD)のTEAEを経験し、それらは、試験薬中に解消した。
図6は、トラフ(投与前)で、定常状態(28日目)で、化合物I処置が研究されたすべての用量レベルにわたって全血中のpS935の確固たる減少をもたらしたことを示している。トラフ(投与前)で、化合物Iは、全ての用量にわたって定常状態で、PDを有する患者においてPBMC中のpRab10を減少させた。
合計23人(88.5%)の化合物I処置対象及び5人(50%)のプラセボ-処置対象が研究中に1つ以上のTEAEを経験した(図10)。化合物I処置対象の中で最も共通するTEAEは頭痛(11人[42%]の対象 対 プラセボでの2人[20%]の対象)であった。TEAEの大部分は重症度が軽度または中等度であった。2人の対象が重度のTEAEを経験した:1人の対象は低血圧を有し(130mg QD;試験薬には関連がなく、既存の起立効果によると判断された)、1人の対象は頭痛を有した(300mg QD;腰椎穿刺手順に関連し、試験薬には関連がないと判断された)。中等度のTEAEが5人(19%)の化合物I-処置対象及び1人(10.0%)のプラセボ-処置対象により経験された:パーキンソン症候群(パーキンソン症状の減退)(80mg QD;n=1)、真菌皮膚感染症(130mg QD;n=1)、項部硬直(130mg QD;n=1)、頭痛(130及び300mg QD;n=2)、筋肉痛(300mg QD;n=1)、及び便秘(プラセボ QD;n=1)。
安全性ラボラトリー(肝臓及び腎臓機能検査を含む)、ECG、神経評価、生命徴候、PFT、またはC-SSRS結果において、基線からの他の臨床的に有意な個体変化または顕著な傾向は観察されなかった。
さらなる研究のための用量選択は、安全で、忍容性が良好であると実証された曝露での化合物I血漿中濃度及び検証された標的エンゲージメントバイオマーカーの集団PK/薬力学的関係に基づく。
結論
安全性:化合物Iは、HV及びPDを有する患者において最高28日間にわたって、幅広い範囲の用量にわたって概して忍容性が良好であった。化合物I処置参加者において最も共通するTEAEは頭痛であった。肺または腎臓機能において、臨床的に有意義な変化は存在しなかった。
薬物動態:化合物Iは、CSF/非結合血漿比に基づき、高いCSF浸透を実証した。化合物Iでの処置は、HV及びPDを有する患者において概して忍容性が良好であった用量で、確固たる標的エンゲージメント及び経路エンゲージメントを達成した。
薬力学:確固たる標的及び経路エンゲージメントが、化合物I処置で、HV及びPDを有する患者の両方において達成された。加えて、化合物I処置はHV及びPDを有する患者の両方において、尿中の、リソソーム機能のマーカーであるリソソーム脂質BMP22:6の用量依存的減少をもたらした。
現在までに、用量依存的な重要な安全性の懸念は観察されておらず、化合物Iは、200人以上の対象において、健康なボランティアでは最高400mg、1日2回(BID)の投与で14日間にわたって、または225mgの用量で28日間にわたって安全で、概して忍容性が良好であることが見い出された。
実施例5:医薬組成物
下の表に示されている成分と混合された75mgの化合物Iを含有する即時放出錠剤形成を、無水造粒プロセスにおいて調製した。
本明細書において参照される特許及び科学文献は、当業者が利用可能な知識を確立するものである。本明細書において引用されるすべての米国特許ならびに公開されているか、非公開の米国特許出願が参照により援用される。本明細書において引用されるすべての公開されている外国特許及び特許出願が参照により本明細書に援用される。本明細書において引用されるすべての他の公開されている参照文献、文書、原稿及び科学文献は参照により本明細書に援用される。
上述の発明は、実例及び実施例により、理解を明確にする目的で多少詳細に記載されており、記載及び例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。したがって、すべての好適な変更及び均等物は、次の特許請求の範囲により定義されるとおりの本発明の範囲内に該当すると判断され得る。

Claims (52)

  1. パーキンソン病を処置するための方法であって、それを必要とする対象に、約70~800mg/日の化合物I:
    またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体を投与することを含む、前記方法。
  2. 約70~225mgの前記化合物を前記対象に投与する、請求項1に記載の方法。
  3. 約70~80mgの前記化合物を前記対象に投与する、請求項1に記載の方法。
  4. 約70mgの前記化合物を前記対象に投与する、請求項1に記載の方法。
  5. 約75mgの前記化合物を前記対象に投与する、請求項1に記載の方法。
  6. 約80mgの前記化合物を前記対象に投与する、請求項1に記載の方法。
  7. 約105mgの前記化合物を前記対象に投与する、請求項1に記載の方法。
  8. 約130mgの前記化合物を前記対象に投与する、請求項1に記載の方法。
  9. 約150mgの前記化合物を前記対象に投与する、請求項1に記載の方法。
  10. 約225mgの前記化合物を前記対象に投与する、請求項1に記載の方法。
  11. 約250mgの前記化合物を前記対象に投与する、請求項1に記載の方法。
  12. 約300mgの前記化合物を前記対象に投与する、請求項1に記載の方法。
  13. 約400mgの前記化合物を前記対象に投与する、請求項1に記載の方法。
  14. 前記化合物を経口投与する、いずれかの先行請求項に記載の方法。
  15. 前記化合物を1日1回投与する、いずれかの先行請求項に記載の方法。
  16. 前記化合物を1日2回投与する、いずれかの先行請求項に記載の方法。
  17. 前記対象の全血中のリン酸化S935 LRRK2(pS935)の減少をもたらす、いずれかの先行請求項に記載の方法。
  18. 前記対象の末梢血単核細胞(PBMC)中のリン酸化ras関連タンパク質Rab10(pRab10)の減少をもたらす、いずれかの先行請求項に記載の方法。
  19. 前記対象の尿中のリソソーム脂質22:6-ビス[モノアシルグリセロール]ホスフェート(BMP)の減少をもたらす、いずれかの先行請求項に記載の方法。
  20. パーキンソン病を処置するための方法であって、それを必要とする対象に、約75~225mgの化合物I:
    を1日1回投与することを含む、前記方法。
  21. 約75mgの前記化合物を前記対象に投与する、請求項20に記載の方法。
  22. 約150mgの前記化合物を前記対象に投与する、請求項20または21に記載の方法。
  23. 約225mgの前記化合物を前記対象に投与する、請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
  24. パーキンソン病に罹患している対象の全血中のリン酸化S935 LRRK2(pS935)を減少させるための方法であって、それを必要とする対象に、約70~800mg/日の化合物I:
    またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体を投与することを含む、前記方法。
  25. 前記pS935を41~97%減少させる、請求項24に記載の方法。
  26. パーキンソン病に罹患している対象の末梢血単核細胞(PBMC)中のリン酸化ras関連タンパク質Rab10(pRab10)を減少させるための方法であって、それを必要とする対象に、約70~800mg/日の化合物I:
    またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体を投与することを含む、前記方法。
  27. 前記pRab10を44~97%減少させる、請求項26に記載の方法。
  28. パーキンソン病に罹患している対象の尿中のリソソーム脂質22:6-ビス[モノアシルグリセロール]ホスフェート(BMP)を減少させるための方法であって、それを必要とする対象に、約70~800mg/日の化合物I:
    またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体を投与することを含む、前記方法。
  29. BMP(22:6/22:6)/またはBMP(22:6/22:6)//クレアチニンを22~86%減少させる、請求項28に記載の方法。
  30. 前記対象がヒトである、いずれかの先行請求項に記載の方法。
  31. 前記パーキンソン病が家族性である、いずれかの先行請求項に記載の方法。
  32. 前記パーキンソン病が散発性である、いずれかの先行請求項に記載の方法。
  33. パーキンソン病を処置するためのLRRK2阻害薬の使用であって、前記阻害薬をそれを必要とする対象に、約70~800mg/日で投与し、それが、
    またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体である、前記使用。
  34. パーキンソン病を処置するための医薬の製造におけるLRRK2阻害薬の使用であって、前記阻害薬をそれを必要とする対象に、約70~800mg/日で投与し、それが
    またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体である、前記使用。
  35. 70~800mgの化合物I、
    またはその薬学的に許容される塩もしくは重水素化類似体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
  36. 約70~225mgの化合物Iを含む、請求項35に記載の医薬組成物。
  37. 1日あたり約800mgの投与に好適な、請求項35に記載の医薬組成物。
  38. 1日あたり約225mgの投与に好適な、請求項35に記載の医薬組成物。
  39. 約70mgの化合物Iを含む、請求項35に記載の医薬組成物。
  40. 約75mgの化合物Iを含む、請求項35に記載の医薬組成物。
  41. 約80mgの化合物Iを含む、請求項35に記載の医薬組成物。
  42. 約105mgの化合物Iを含む、請求項35に記載の医薬組成物。
  43. 約130mgの化合物Iを含む、請求項35に記載の医薬組成物。
  44. 約150mgの化合物Iを含む、請求項35に記載の医薬組成物。
  45. 約225mgの化合物Iを含む、請求項35に記載の医薬組成物。
  46. 約250mgの化合物Iを含む、請求項35に記載の医薬組成物。
  47. 約300mgの化合物Iを含む、請求項35に記載の医薬組成物。
  48. 約400mgの化合物Iを含む、請求項35に記載の医薬組成物。
  49. 経口投与に好適な、請求項35に記載の医薬組成物。
  50. 1日1回の投与に好適な、請求項35に記載の医薬組成物。
  51. 1日2回の投与に好適な、請求項35に記載の医薬組成物。
  52. 1日3回の投与に好適な、請求項35に記載の医薬組成物。
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