JP2024515829A - 大うつ病性障害および産後うつ病の処置における使用のための19-ノルc3,3-二置換c21-n-ピラゾリルステロイド - Google Patents

大うつ病性障害および産後うつ病の処置における使用のための19-ノルc3,3-二置換c21-n-ピラゾリルステロイド Download PDF

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ジェイムズ ドハーティ,
ジェフリー マーティン ジョナス,
スティーブン ジェイ ケインズ,
ハンダン グンドゥーズ-ブルース,
ヘレン アン コルクホーン,
ライアン アーノルド,
ビジャイベール ボンサパリー,
ジョイ リサ ダンバー,
バンバン セノアジ アディウィジャヤ,
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Abstract

本開示は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法における使用のための、治療有効量の化合物(1)またはその薬学的に許容される塩に関する。本開示はまた、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法における使用のための、治療有効量の化合物(1)またはその薬学的に許容される塩に関する。TIFF2024515829000106.tif3249

Description

関連出願への相互参照
本出願は、2021年4月29日出願の米国仮出願第63/181,743号;2021年6月4日出願の米国仮出願第63/197,025号;2021年6月15日出願の米国仮出願第63/210,810号;2021年8月31日出願の米国仮出願第63/239,096号;2021年12月3日出願の米国仮出願第63/285,812号;2021年12月14日出願の米国仮出願第63/289,506号;2021年12月14日出願の米国仮出願第63/289,520号;および2022年1月11日出願の米国仮出願第63/298,601号の利益を主張する。上述の出願の全内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
発明の分野
本開示は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、治療有効量の化合物(1)またはその薬学的に許容される塩を投与するステップによる、方法を対象とする。本開示はまた、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、治療有効量の化合物(1)またはその薬学的に許容される塩を投与するステップによる、方法を対象とする。
背景
γ-アミノ酪酸であるGABAは、脳内のニューロンの最大で40%が、GABAを神経伝達物質として利用しているので、脳全体の興奮性に深く影響を及ぼす。GABAは、GRC(GABA受容体複合体)におけるその認識部位と相互作用して、GRCの電気化学的勾配の下側に向かう塩化物イオンの細胞内への流入を促進する。この陰イオンのレベルの細胞内での上昇により、膜電位の過分極が引き起こされ、ニューロンは興奮性入力に対する感受性が低下する(すなわち、ニューロン興奮性の低下)。言い換えると、ニューロン内の塩化物イオンの濃度が高いほど、脳の興奮性(覚醒のレベル)が低い。GRCは、不安、発作作用および鎮静の媒介を担っていることが十分に立証されている。したがって、GABA、およびGABAの様に作用する薬物(例えば、Valium(登録商標)などの治療的に有用なバルビツレートおよびベンゾジアゼピン(BZ))は、GRCにおける特異的調節部位と相互作用することによって、治療的に有用な効果を生じる。
GRCは、神経活性ステロイドに対する区別される部位を含有するという蓄積された証拠が示されている(Lan, N. C. et al., Neuwchem. Res. 16:347-356 (1991))。神経活性ステロイドは、内因的に生じ得る。最も効果が高い内因性神経活性ステロイドは、それぞれ、ステロイドホルモンであるプロゲステロンおよびデオキシコルチコステロンの代謝産物である、3α-ヒドロキシ-5-還元型プレグナン-20-オンおよび3α-21-ジヒドロキシ-5-還元型プレグナン-20-オンである。これらのステロイド代謝産物が脳の興奮性を改変させる能力は、1986年に認識された(Majewska, M. D. et al., Science 232: 1004-1007 (1986); Harrison, N. L. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 241:346-353 (1987))。
Lan, N. C. et al., Neuwchem. Res. 16:347-356 (1991) Majewska, M. D. et al., Science 232: 1004-1007 (1986) Harrison, N. L. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 241:346-353 (1987)
発明の概要
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、治療有効量の化合物(1):
Figure 2024515829000002
を投与するステップを含む方法を提供する。
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、治療有効量の化合物(1):
Figure 2024515829000003
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約14日間すなわち約2週間、1日1回、投与される一部の実施形態では、化合物(1)が、約20mg~約55mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)が、約50mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)が、約30mgまたは約40mgの用量で投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約20mg~約55mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約30mgまたは約40mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口、非経口、皮内、鞘内、筋肉内、皮下、膣内、バッカル錠として、舌下、直腸内、局所的、吸入剤として、鼻腔内または経皮に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、食物と共に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、夜に、1日1回、投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.7~10.1度の間(端点を含む)、2θが11.6~12.0度の間(端点を含む)、2θが13.2~13.6度の間(端点を含む)、2θが14.2~14.6度の間(端点を含む)、2θが14.6~15.0度の間(端点を含む)、2θが16.8~17.2度の間(端点を含む)、2θが20.5~20.9度の間(端点を含む)、2θが21.3~21.7度の間(端点を含む)、2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)、および2θが22.4~22.8度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間(端点を含む)、2θが10.6~11.0度の間(端点を含む)、2θが13.0~13.4度の間(端点を含む)、2θが14.7~15.1度の間(端点を含む)、2θが15.8~16.2度の間(端点を含む)、2θが18.1~18.5度の間(端点を含む)、2θが18.7~19.1度の間(端点を含む)、2θが20.9~21.3度の間(端点を含む)、2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)、および2θが23.3~23.7度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.7~10.1度の間(端点を含む)、2θが14.6~15.0度の間(端点を含む)、2θが16.8~17.2度の間(端点を含む)、2θが20.5~20.9度の間(端点を含む)、および2θが21.3~21.7度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間(端点を含む)、2θが10.6~11.0度の間(端点を含む)、2θが13.0~13.4度の間(端点を含む)、2θが18.7~19.1度の間(端点を含む)、および2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、初期処置の完了後に、うつ症状の再発に応じて、前記対象に再投与される。一部の実施形態では、前記初期処置の最後の投薬と前記再投与の最初の投薬との間に、少なくとも6週間の間隔を空ける。一部の実施形態では、前記初期処置および再投与の各々が、約14日間すなわち約2週間、行われる。
一部の実施形態では、方法は、第2の治療剤の投与をさらに含む。
一部の実施形態では、前記対象が処置を受けたことがない。
一部の実施形態では、前記対象が、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも30日間または少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDが、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前に、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが17もしくはそれより高いことによって、またはうつ病に関するハミルトン評価尺度(HAM-D)不安症/身体化下位尺度スコアが7もしくはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDが、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが17またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDが、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、前記対象が、HAM-D総スコア、HAM-A総スコア、HAM-D不安症/身体化下位尺度スコアまたはそれらの組合せの、ベースラインからの低下を示す。一部の実施形態では、前記対象が、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与後15日目に、HAM-D総スコアの少なくとも14ポイントの低下を示す。一部の実施形態では、前記対象が、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与後15日目に、HAM-A総スコアの少なくとも12ポイントの低下を示す。
別の態様では、本開示は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、治療有効量の化合物(1):
Figure 2024515829000004
を投与するステップを含む方法を提供する。
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、治療有効量の化合物(1):
Figure 2024515829000005
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約14日間すなわち約2週間、1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)が、約20mg~約55mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)が、約50mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)が、約30mgまたは約40mgの用量で投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約20mg~約55mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約30mgまたは約40mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口、非経口、皮内、鞘内、筋肉内、皮下、膣内、バッカル錠として、舌下、直腸内、局所的、吸入剤として、鼻腔内または経皮に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、食物と共に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、夜に、1日1回、投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.7~10.1度の間(端点を含む)、2θが11.6~12.0度の間(端点を含む)、2θが13.2~13.6度の間(端点を含む)、2θが14.2~14.6度の間(端点を含む)、2θが14.6~15.0度の間(端点を含む)、2θが16.8~17.2度の間(端点を含む)、2θが20.5~20.9度の間(端点を含む)、2θが21.3~21.7度の間(端点を含む)、2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)、および2θが22.4~22.8度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間(端点を含む)、2θが10.6~11.0度の間(端点を含む)、2θが13.0~13.4度の間(端点を含む)、2θが14.7~15.1度の間(端点を含む)、2θが15.8~16.2度の間(端点を含む)、2θが18.1~18.5度の間(端点を含む)、2θが18.7~19.1度の間(端点を含む)、2θが20.9~21.3度の間(端点を含む)、2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)、および2θが23.3~23.7度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.7~10.1度の間(端点を含む)、2θが14.6~15.0度の間(端点を含む)、2θが16.8~17.2度の間(端点を含む)、2θが20.5~20.9度の間(端点を含む)、および2θが21.3~21.7度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間(端点を含む)、2θが10.6~11.0度の間(端点を含む)、2θが13.0~13.4度の間(端点を含む)、2θが18.7~19.1度の間(端点を含む)、および2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、初期処置の完了後に、うつ症状の再発に応じて、前記対象に再投与される。一部の実施形態では、前記初期処置の最後の投薬と前記再投与の最初の投薬との間に、少なくとも6週間の間隔を空ける。一部の実施形態では、前記初期処置および再投与の各々が、約14日間すなわち約2週間、行われる。
一部の実施形態では、方法は、第2の治療剤の投与をさらに含む。
一部の実施形態では、前記対象が処置を受けたことがない。
一部の実施形態では、前記対象が、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも30日間または少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDが、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前に、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが17もしくはそれより高いことによって、またはうつ病に関するハミルトン評価尺度(HAM-D)不安症/身体化下位尺度スコアが7もしくはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDが、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが26またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが17またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDが、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが26またはそれより高いこと、およびHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、前記対象が、HAM-D総スコア、HAM-A総スコア、HAM-D不安症/身体化下位尺度スコアまたはそれらの組合せの、ベースラインからの低下を示す。
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約30mg~約50mgの化合物(1):
Figure 2024515829000006
を投与するステップを含む方法を提供する。
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
Figure 2024515829000007
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法を提供する。
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約30mg~約50mgの化合物(1):
Figure 2024515829000008
を投与するステップを含む方法を提供する。
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
Figure 2024515829000009
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法を提供する。
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
Figure 2024515829000010
を投与するステップを含む方法を提供する。
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
Figure 2024515829000011
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法を提供する。
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
Figure 2024515829000012
を投与するステップを含む方法を提供する。
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
Figure 2024515829000013
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法を提供する。
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
Figure 2024515829000014
を投与するステップを含み、
前記対象が処置を受けたことがない、方法を提供する。
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
Figure 2024515829000015
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、
前記対象が処置を受けたことがない、方法を提供する。
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
Figure 2024515829000016
を投与するステップを含み、
前記対象が処置を受けたことがない、方法を提供する。
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
Figure 2024515829000017
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、
前記対象が処置を受けたことがない、方法を提供する。
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
Figure 2024515829000018
を投与するステップを含み、
前記対象が、化合物(1)の投与前の少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、方法を提供する。
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
Figure 2024515829000019
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、
前記対象が、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、方法を提供する。
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
Figure 2024515829000020
を投与するステップを含み、
前記対象が、化合物(1)の投与前の少なくとも30日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、方法を提供する。
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
Figure 2024515829000021
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、
前記対象が、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも30日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、方法を提供する。
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
Figure 2024515829000022
を投与するステップを含み、
前記対象が、化合物(1)の投与前の少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、方法を提供する。
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
Figure 2024515829000023
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、
前記対象が、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、方法を提供する。
一部の実施形態では、化合物(1)が、約50mgの用量で投与されるか、または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)が、約40mgの用量で投与されるか、または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約40mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)が、約30mgの用量で投与されるか、または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約30mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口、非経口、皮内、鞘内、筋肉内、皮下、膣内、バッカル錠として、舌下、直腸内、局所的、吸入剤として、鼻腔内または経皮に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、食物と共に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、夜に、1日1回、投与される。
一部の実施形態では、前記対象が処置を受けたことがない。
一部の実施形態では、前記対象が、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも30日間または少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。
一部の実施形態では、方法は、第2の治療剤の投与をさらに含む。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、初期処置期間の完了後に、うつ症状の再発に応じて、前記対象に再投与される。一部の実施形態では、前記初期処置期間の最後の投薬と前記再投与の最初の投薬との間に、少なくとも6週間の間隔を空ける。一部の実施形態では、前記再投与が、約14日間すなわち約2週間、行われる。
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDが、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前に、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが17もしくはそれより高いことによって、またはうつ病に関するハミルトン評価尺度(HAM-D)不安症/身体化下位尺度スコアが7もしくはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDが、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが17またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDが、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、前記対象が、HAM-D総スコア、HAM-A総スコア、HAM-D不安症/身体化下位尺度スコアまたはそれらの組合せの、ベースラインからの低下を示す。一部の実施形態では、前記対象が、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与後15日目に、HAM-D総スコアの少なくとも14ポイントの低下を示す。一部の実施形態では、前記対象が、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与後15日目に、HAM-A総スコアの少なくとも12ポイントの低下を示す。
図1は、化合物(1)によりMDDを処置するための例示的な研究設計を図示する。
図2は、15日目、および他の時間点における、ベースラインからのHAMD-17総スコアの最小二乗(LS)平均変化を示す。
図3は、後の訪問時において保持された15日目のCFBのパーセントの平均値を示す。ベースラインからの15日目のHAMD-17総スコアの低下の保持率とは、15日目における、ベースラインからの変化のパーセンテージとしての、15日後の訪問における、HAMD-17総スコアのベースラインからの変化のことであり、化合物(1)の処置群中の15日目のHAMD-17奏効者においてのみ評価した(ベースラインに対する、15日目におけるHAMD-17総スコアの≧50%変化)。
図4は、15日目における、HAMD-17部分群のLS平均の差異を示す。
図5は、15日目、および他の時間点における、ベースラインからのCGI-SのLS平均変化を示す。
図6は、15日目および他の時間点における、CGI-改善奏効を示す。
図7は、実施例1の臨床試験研究、および本出願人により行われた3つの他の臨床試験に関する、15日目のCGI-改善スコアを示す。第3相研究は、本出願人により行われた第3相臨床試験研究(ClinicalTrials.gov識別番号/NCT番号:NCT03864614)である。第3相研究**は、本出願人により行われた第3相臨床試験研究(ClinicalTrials.gov識別番号/NCT番号:NCT0672175)である。第2相研究***は、本出願人により行われた第2相臨床試験研究(ClinicalTrials.gov識別番号/NCT番号:NCT03000530)である。
図8は、15日目、および他の時間点における、ベースラインからのMADRS総スコアの変化を示す。
図9は、15日目におけるHAMD-17およびMADRS総スコアの処置の差異は、化合物(1)が有意に有利であったことを示す。
図10Aは、15日目および他の時間点における、HAMD-17奏効を示す。
図10Bは、15日目および他の時間点における、HAMD-17寛解を示す。
図11は、8日目および15日目における、MADRS奏効率および寛解率を示す。
図12は、15日目、および他の時間点における、ベースラインからのHAM-A総スコア変化を示す。
図13は、15日目、および他の時間点における、ベースラインからのHAMD-17不安/身体化スコア変化を示す。
図14Aは、不安およびうつ症状の両方の改善は、8日目に、プラセボと比較すると化合物(1)が有利であることを示す。
図14Bは、不安およびうつ症状の両方の改善は、15日目に、プラセボと比較すると化合物(1)が有利であることを示す。
図15Aは、不安の上昇を伴うMDDを有する化合物(1)処置患者、および不安の上昇のないMDDを有する化合物(1)処置患者の、ベースラインからのHAMD-17のLS平均変化を示す。
図15Bは、不安の上昇を伴うMDDを有する化合物(1)処置患者、および不安の上昇のないMDDを有する化合物(1)処置患者の、ベースラインからのHAM-AのLS平均変化を示す。
図16は、不安の上昇のないMDDを有する化合物(1)処置患者、および不安の上昇を伴うMDDを有する化合物(1)処置患者の、ベースラインからのプールしたHAMD-17のLS平均変化を示す。
図17は、不安の上昇のないMDDを有する化合物(1)処置患者、および不安の上昇を伴うMDDを有する化合物(1)処置患者の、プールした平均HAMD-17総スコアを示す。
図18Aは、不安の上昇のないMDDを有する化合物(1)処置患者のプールした平均SF-36v2スコアを示す。
図18Bは、不安の上昇を伴うMDDを有する化合物(1)処置患者のプールした平均SF-36v2スコアを示す。
図19は、HAMD-17スコアのベースラインからの変化に基づいた、プラセボに比べた、化合物(1)により達成されたうつ症状の改善を示す線グラフである。
図20Aは、HAMD-17およびHAM-Aスコアに基づいた、プラセボに比べた、化合物(1)によるうつ症状および不安症状の同時改善を示す棒グラフである。
図20Bは、MADRSおよびHAM-Aスコアに基づいた、プラセボに比べた、化合物(1)によるうつ症状および不安症状の同時改善を示す棒グラフである。
図21は、うつ病および不安症の持続的な同時改善を有する患者の割合を示す棒グラフである。
図22Aは、奏効および寛解に関する、NNT対プラセボを比較する棒グラフである。
図22Bは、持続的寛解に関する、NNT対プラセボを比較する棒グラフである。
図23Aは、HAMD-17A/Sのベースラインからの変化を示す線グラフである。
図23Bは、EPDS-3Aのベースラインからの変化を示す線グラフである。
図24Aは、HAM-A奏効率を示す棒グラフである。
図24Bは、HAM-A寛解率を示す棒グラフである。
図24Cは、HAMD-17A/S奏効率を示す棒グラフである。
図25Aは、HAMD-17-Insスコアのベースラインからの変化に基づいた、不眠症の症状の改善を示す線グラフである。
図25Bは、MADRS-Insスコアのベースラインからの変化に基づいた、不眠症の症状の改善を示す線グラフである。
図26Aは、ベースラインからのPHQ-9変化を示す線グラフである。
図26Bは、プールした集団における、HAM-Dとの相関関係を示す。
図27は、EPDS寛解パーセンテージを示す棒グラフである。
図28は、訪問によるHAMD-17とEPDSスコアとの間の相関関係を示す。
図29Aは、SF-36領域および要約スコアの改善を比較する棒グラフである。
図29Bは、ベースライン、15日目および45日目における、SF-36集団基準値を満たす割合を比較する棒グラフである。
図30Aは、実施例7の研究の用量選択期に関する研究設計を示す。用量選択期に関すると、化合物(1)の用量は90mgを超えなかった。センチネル投薬を各コホートに対して用い、1日目に、1名の参加者は無作為化して化合物(1)の投与を受け、1名の参加者は、プラセボの投与を受けた。残りの6名の参加者は、耐容性の確認後、ほぼ24時間後に投薬された。
図30Bは、実施例7の研究の主要研究期に関する研究設計を示す。†無作為化の比は、1:1:1:1:1:1とした。‡用量は、用量選択期の結果に基づいて決定した。R=無作為化。
図31Aは、実施例7の研究の用量選択期に関する患者処遇を示す。
図31Bは、実施例7の研究の処置期に関する患者処遇を示す。
図32は、経時的な平均薬物嗜好性VAS Emax(修正完了者集団、n=60)を示す。薬物嗜好性VASは、「現時点における、この薬物に対する私の嗜好は」という質問を使用して評価し、この場合、回答は、0(とても嫌い)から100(とても好き)までの範囲であり、スコア50が中立である。Emax=最大効果;VAS=視覚的アナログスケール。
図33は、薬物嗜好性VAS Emaxの対応のある差異(修正完了者集団、n=60)を示す。薬物嗜好性(現時点)は、「現時点における、この薬物に対する私の嗜好は」によって評価し、この場合、回答は、0(とても嫌い)から100(とても好き)までの範囲であり、50が中立ポイントである。CI=信頼区間;Emax=最大効果;VAS=視覚的アナログスケール。
図34Aは、全薬物嗜好性VAS Emaxの対応のある差異(修正完了者集団、n=60)を示す。全薬物嗜好性は、「総合的に、この薬物に対する私の嗜好は」によって評価し、この場合、回答は、0(とても嫌い)から100(とても好き)までの範囲であり、50が中立ポイントである。CI=信頼区間;Emax=最大効果;VAS=視覚的アナログスケール。
図34Bは、薬物の再度服用VAS Emaxの対応のある差異(修正完了者集団、n=60)を示す。薬物の再度服用は、「私は、この薬物を再度、服用する」によって評価し、この場合、回答は、0(全く当てはまらない)から100(とても当てはまる)までの範囲であり、50が中立ポイントである。CI=信頼区間;Emax=最大効果;VAS=視覚的アナログスケール。
図35は、経時的な平均覚醒/眠気VAS(修正完了者集団、n=60)を示す。覚醒/眠気VASは、「現時点における、私の心の状態は」という質問を使用して評価し、この場合、回答は、0(とても眠い)から100(とても覚醒している)までの範囲であり、スコア50が中立である。VAS=視覚的アナログスケール。
図36は、経時的な任意の平均薬物効果VAS Emax(修正完了者集団、n=60)を示す。なんらかの薬物効果VASは、「現時点における、この薬物に対する私の嗜好は」という質問を使用して評価し、この場合、回答は、0(とても嫌い)から100(とても好き)までの範囲であり、スコア50が中立である。Emax=最大効果;VAS=視覚的アナログスケール。
図37は、単回用量投与後の処置による時間プロファイルに対する化合物(1)の平均血漿中濃度を示す(PK集団、n=71)。
詳細な説明
I.定義
本明細書において使用する場合、「化合物(1)」とは、式(または構造):
Figure 2024515829000024
を有する化合物を指す。
化合物(1)はまた、ズラノロン(zuranolone)、すなわち3α-ヒドロキシ-3β-メチル-21-(4-シアノピラゾール-1-イル)-5β-19-ノルプレグナン-20-オンとして、およびそのIUPAC名:1-(2-((3R,5R,8R,9R,10S,13S,14S,17S)-3-ヒドロキシ-3,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)-2-オキソエチル)-1H-ピラゾール-4-カルボニトリル(CAS登録番号1632051-40-1)で公知である。化合物(1)を化学的に合成する方法は、米国特許第9,512,165号およびPCT出願公開第WO2014/169833号に記載されており、上述の出願の全内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれている。化合物(1)のいくつかの結晶性形態、および前記形態を調製する方法は、米国特許第11,236,121号;米国特許出願公開第US2019/0177359号;およびPCT出願公開第WO2018/039378号に記載されており、上述の出願の全内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれている。化合物(1)の医薬組成物、および前記組成物を調製する方法は、PCT出願公開第WO2022/020363A9号および米国出願第17/579,541号に記載されており、上述の出願の全内容の全体が、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている。
化合物(1)は、シナプスおよびシナプス外GABA受容体を標的とするGABA受容体のポジティブアロステリックモジュレータであることが示されている神経活性ステロイドである。化合物(1)は、GABA受容体のポジティブアロステリックモジュレータとして、CNS関連障害、例えば、うつ病、産後うつ病および大うつ病性障害を処置する、ならびに神経学的状態、例えば、本態性振戦、てんかんおよびパーキンソン病を処置する治療剤として働く。
本明細書において使用する場合、「結晶性」とは、十分に明確な3次元構造秩序を有する、所与の化学実体の固相を指す。原子、イオンおよび/または分子は、反復3次元格子内で、規則的で、周期的に配列されている。様々な実施形態では、結晶性材料は、1種または複数種の慎重な結晶性形態を含んでもよい。
本明細書において使用する場合、用語「結晶性形態」、「結晶性固体形態」、「結晶形態」、「固体形態」および関連用語とは、所与の物質(例えば、化合物(1))を含む結晶性改変物を指し、単一構成成分の結晶形態および複数構成成分の結晶形態を含み、以下に限定されないが、多形、溶媒和物、水和物および塩を含む。
用語「実質的に結晶性の」とは、少なくとも特定の重量パーセントの結晶性であり得る形態を指す。特定の重量パーセンテージは、70%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または70%~100%の間の任意のパーセンテージを含み得る。一部の実施形態では、結晶化度の特定の重量パーセントは、少なくとも90%である。一部の実施形態では、結晶化度の特定の重量パーセントは、少なくとも95%である。一部の実施形態では、化合物(1)は、本明細書に記載されている結晶性形態(例えば、結晶性形態AおよびC)および/またはPCT出願公開第WO2018/039378号のうちのいずれかの実質的に結晶性の試料とすることができ、上述の出願の全内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
用語「実質的に純粋な」とは、不純物および/または他の固体形態を少なくとも特定の重量パーセントを含み得ない、特定の結晶性形態(例えば、化合物(1)の結晶性形態)の組成に関する。特定の重量パーセンテージは、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、または70%~100%の間の任意のパーセンテージを含み得る。一部の実施形態では、化合物(1)は、本明細書に記載されている結晶性形態(例えば、結晶性形態AおよびC)のいずれかの実質的に純粋な試料とすることができる。一部の実施形態では、化合物(1)は、実質的に純粋な形態Aとすることができる。一部の実施形態では、化合物(1)は、実質的に純粋な形態Cとすることができる。
本明細書において使用する場合、「XRPD」とは、X線粉末回折を指す。XRPDパターンとは、x軸上にプロットした2Q(回折角度)およびy軸上にプロットした強度によるx-yグラフである。結晶性材料を特徴付けるために使用することができる回折ピークが存在する。回折ピークは、通常、y軸上の回折ピークの強度ではなく、x軸上のその位置によって表され、参照され、なぜなら、回折ピーク強度は、試料の配向性に特に敏感であり得るからである(Pharmaceutical Analysis, Lee & Web, pp. 255- 257 (2003)を参照されたい)。したがって、結晶性材料を特徴付けるために、強度は、通常、当業者によって使用されることはない。どのデータ測定とも同様に、XRPDデータにはばらつきがあることがある。回折ピーク強度のばらつきに加え、x軸上の回折ピークの位置にもばらつきがあることがある。しかし、このばらつきは、通常、特徴付けを目的とする回折ピークの位置を報告する際に考慮され得る。x軸に沿った回折ピークの位置のこのようなばらつきは、いくつかの原因から導くことができる。このような原因の1つは、試料調製であり得る。異なる条件下で調製した同じ結晶性材料の試料は、わずかに異なるディフラクトグラムを生じることがある。粒子サイズ、水分含有量、溶媒含有量、温度および配向性などの因子のすべてが、試料がどのようにX線を回折するかに影響を及ぼし得る。ばらつきの別の原因は、機器パラメータに起因する。異なるX線粉末回折計は、異なるパラメータを使用して動作し、同じ結晶性材料からわずかに異なる回折パターンをもたらすことがある。同様に、異なるソフトウェアパッケージは、XRPDデータを異なって処理し、これもまた、ばらつきをもたらすことがある。ばらつきのこれらおよび他の原因は、当業者に公知である。ばらつきのこのような原因により、各X線回折ピークの値は、その前に用語「約」が付けられるか、または実験のばらつきを規定する適切な範囲(例えば、±0.1°、±0.2°、±0.3°、±0.4°、±0.5°など)が続くことがある。
用語「特性ピーク」は、所与の化学実体(例えば、化合物(1)の結晶性形態)の結晶性形態のXRPDパターンにおけるピークを述べる場合、特定の回折ピークの集合体を指し、その値は、全体として、その特定の結晶性形態に特有の2θ値(例えば、0°~40°)の範囲に及ぶ。
「薬学的に許容される」とは、動物における、より詳細にはヒトにおける使用について、連邦政府もしくは州政府の規制機関、または米国以外の国では対応する機関により承認されたまたは承認可能であること、あるいは米国薬局方または他の一般的に認識されている薬局方に列挙されているものを意味する。
「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容される本発明の化合物の塩であって、親化合物の所望の薬理学的活性を有する、塩を指す。特に、このような塩は、非毒性であり、無機酸付加塩または有機酸付加塩および無機塩基付加塩または有機塩基付加塩であってよい。具体的には、このような塩には、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸と形成される酸付加塩;または酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-二スルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などの有機酸と形成される酸付加塩;あるいは(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンもしくはアルミニウムイオンにより置き換えられているか、またはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミンなどの有機塩基に配位するかのどちらかの場合に形成される塩が含まれる。塩は、単なる例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなど、および化合物が塩基性官能基を含有する場合、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの非毒性の有機酸または無機酸の塩をさらに含む。用語「薬学的に許容される陽イオン」とは、酸性官能基の許容される陽イオン性対イオンを指す。このような陽イオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム陽イオンなどによって例示される。例えば、Berge, et al., J. Pharm. Sci. (1977) 66(1): 1-79を参照されたい。
化学元素は、Handbook of Chemistry and Physics, 75th Ed.の表紙の内側の元素周期表(CAS版)に従って特定され、具体的な官能基は、そこで記載されている通り定義されている。さらに、有機化学の一般原理、ならびに具体的な官能性部分および反応性は、Thomas Sorrell, Organic Chemistry, University Science Books, Sausalito, 1999; Smith and March, March’s Advanced Organic Chemistry, 5th Edition, John Wiley & Sons, Inc., New York, 2001; Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers, Inc., New York, 1989;およびCarruthers, Some Modern Methods of Organic Synthesis, 3rd Edition, Cambridge University Press, Cambridge, 1987に記載されている。
用語「約」の使用が、定量的な値の前に存在する場合、本教示はまた、具体的に特に明記しない限り、特定の定量的な値それ自体を含む。本明細書において使用する場合、用語「約」とは、特に示さない限りまたは暗示されない限り、名目値から±10%の変動を指す。
用語「疾患」、「障害」および「状態」は、本明細書において互換的に使用される。
本明細書において使用する場合、用語「用量当量」とは、生物学的等価用量を意味する。例えば、50mgの用量の化合物(1)の場合の化合物(1)の薬学的に許容される塩の用量当量とは、化合物(1)の遊離塩基の50mg用量に対する生物学的等価用量をもたらすために必要な薬学的に許容される塩(重量基準)の量である。
本明細書において使用する場合、化合物(またはその薬学的に許容される塩)の「有効量」とは、所望の生物学的応答を引き出すため、例えば、CNS関連障害、例えば、うつ病、例えば、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)または不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置するための十分な量を指す。当業者によって認識されている通り、本発明の化合物(またはその薬学的に許容される塩)の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、化合物の薬物動態、処置される疾患、投与様式、ならびに対象の年齢、体重、健康および状態などの因子に応じて様々であり得る。有効量は、治療的および予防的処置を包含する。
本明細書において使用する場合、「一過的投薬レジメン」は、化合物または化合物を含む組成物が、障害またはその症状の診断、例えば、うつ病の診断もしくは症状または大うつ病性障害のエピソードに応じて、限定的な期間、対象に投与される、投薬レジメンである。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、中等度大うつ病性障害である。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、重度大うつ病性障害である。一部の実施形態では、化合物は、個々の投薬量単位として製剤化され、各単位は、化合物(1)、および1種または複数種の好適な医薬品用賦形剤を含む。一部の実施形態では、一過的投薬レジメンは、複数の週の期間、例えば、約8週間を有する。本明細書において定義されている長期投与とは対照的に、化合物の一過的投薬は、障害、例えば、うつ病またはその症状の診断または再発に応じて、限定的な期間にわたり、例えば、約2週間~約8週間行われる。一部の実施形態では、一過的投薬は、複数の週にわたり、例えば、約2週間~約6週間、1日1回、行われる。一実施形態では、一過的投薬は、2週間の期間を有する。一部の実施形態では、1つより多くの一過的投薬レジメンであるが、3つ以下の一過的投薬レジメンが、例えば、2つまたはそれより多い一過的レジメンが、12か月の期間にわたり対象に施される。
本明細書において使用する場合、用語「モジュレーション」とは、GABAA受容体機能の阻害または賦活化を指す。「モジュレータ」(例えば、GABAA受容体機能をモジュレートする化合物またはその薬学的に許容される塩)は、例えば、GABAA受容体のアゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニストまたは部分アンタゴニストであってもよい。
「不安の上昇を伴うMDD」または「不安症の苦痛を伴うMDD」は、互換的に使用され、そのうつ病の症状として、不安の上昇を呈するMDDを有する対象を指す。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、ベースライン(すなわち、化合物(1)またはその薬学的に許容される塩の投与前)時において、HAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが少なくとも7であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、ベースライン(すなわち、化合物(1)またはその薬学的に許容される塩の投与前)時において、HAM-A総スコアが少なくとも17であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、ベースライン時において、HAM-A総スコアが少なくとも18であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、ベースライン時において、HAM-A総スコアが少なくとも20であることによって特徴付けられる。「不安の上昇を伴うPPD」または「不安症の苦痛を伴うPPD」は、互換的に使用され、そのうつ病の症状として、不安の上昇を呈するPPDを有する対象を指す。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、ベースライン(すなわち、化合物(1)またはその薬学的に許容される塩の投与前)時において、HAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが少なくとも7であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、ベースライン(すなわち、化合物(1)またはその薬学的に許容される塩の投与前)時において、HAM-A総スコアが少なくとも17であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、ベースライン時において、HAM-A総スコアが少なくとも18であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、ベースライン時において、HAM-A総スコアが少なくとも20であることによって特徴付けられる。
他の実施形態では、「不安の上昇」は、HAM-A不安症項目および身体的項目に基づいたHAM-Aスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、HAM-A不安症項目に基づいたHAM-Aスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、以下のHAM-D項目:精神的不安、身体的不安、GI身体症状および/または全般身体症状に基づいた、HAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、以下のHAM-D項目:精神的不安に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたMADRSスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたMADRSスコアによって特徴付けられる。
本明細書において使用する場合、および別段の指定がない限り、化合物(またはその薬学的に許容される塩)の「治療有効量」とは、疾患、障害もしくは状態の処置において治療的利益を実現するため、または疾患、障害もしくは状態に関連する1つもしくは複数の症状を遅延もしくは最小限にするための十分な量である。化合物(またはその薬学的に許容される塩)の治療有効量とは、単独でまたは他の治療法と組み合わせた治療剤の量であって、疾患、障害または状態の処置において治療利益を実現する治療剤の量を意味する。用語「治療有効量」は、総合的な治療法を改善する、疾患もしくは状態の症状もしくは原因を軽減もしくは回避する、または別の治療剤の治療効力を増強する量を包含することができる。
代替的な実施形態では、本開示は、対象が、特定の疾患、障害または状態に罹患し始める前の予防として、化合物(1)、またはその薬学的に許容される塩もしくは薬学的に許容される組成物の投与を企図する。本明細書において使用する場合、および別段の指定がない限り、化合物の「予防有効量」とは、疾患、障害もしくは状態、または疾患、障害もしくは状態に関連する1つもしくは複数の症状を予防する、あるいはその再発を予防するのに十分な量である。化合物の予防有効量とは、単独のまたは他の薬剤と組み合わせた治療剤の量であって、疾患、障害または状態の予防における予防的利益を実現する治療剤の量を意味する。用語「予防有効量」は、総合的な予防を改善する、または別の予防剤の予防的効力を増強する量を包含することができる。
本明細書において使用する場合、「固形剤形」とは、固体形態、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、サシェ剤、再構成可能な散剤、乾燥粉末吸入製剤およびチュアブル剤の医薬品用量(複数可)を意味する。
「対象」または「患者」とは、ヒト(例えば、任意の年齢群の男性または女性、例えば、小児対象(例えば、乳児、子供、青年)、または成人対象(例えば、若年成人、中年成人または老年成人))である。
本明細書において使用する場合、および別段の指定がない限り、用語「処置する」、「処置すること」および「処置」は、特定の疾患、障害または状態に対象が罹患している間に行われる行為を企図しており、この行為は、疾患、障害もしくは状態(または任意のそれらの症状)の重篤度を軽減する、または疾患、障害もしくは状態の進行を遅延もしくは減速させ(「治療的処置」)、特定の疾患、障害または状態に対象が罹患し始める前に行われる予防的行為も企図する。
本明細書において使用する場合、「処置を受けたことがない」とは、現在のうつ病エピソードの範囲内の追加の抗うつ剤により以前に処置されたことがない対象を指す。「処置を受けたことがない」とはまた、処置の開始(例えば、1日目)前の少なくとも30日以内、または処置の開始前の少なくとも60日以内に、いずれの抗うつ剤も服用したことがない対象を指す。一部の実施形態では、処置を受けたことがない対象は、処置の開始前の少なくとも30日以内に、いずれの抗うつ剤も服用したことがない。一部の実施形態では、処置を受けたことがない対象は、処置の開始前の少なくとも60日以内に、いずれの抗うつ剤も服用したことがない。
本明細書において使用する場合、用語「単位剤形」とは、化合物(1)が対象に投与される形態を指すよう定義される。一部の実施形態では、単位剤形は、例えば、丸剤、カプセル剤または錠剤とすることができる。一部の実施形態では、単位剤形は、カプセル剤である。一部の実施形態では、本開示に有用な単位剤形中の化合物(1)の典型的な量は、約10mg~約100mg、約20mg~約55mgまたは約30mg~約50mg(例えば、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mgまたは約55mg)である。
一部の実施形態では、単位剤形は、約40mgの化合物(1)を含み、カプセル剤の形態にある。他の実施形態では、単位剤形は、約50mgの化合物(1)を含み、カプセル剤の形態にある。別の実施形態では、単位剤形は、約45mgの化合物(1)を含み、カプセル剤の形態にある。一部の実施形態では、約40mg、約45mgまたは約50mgの化合物(1)を含むカプセル剤は、1日1回、対象に投与される。一部の実施形態では、2個またはそれより多くのカプセル剤が一緒になって、40mgの化合物(1)を含む。一部の実施形態では、2個またはそれより多くのカプセル剤が一緒になって、45mgの化合物(1)を含む。一部の実施形態では、2個またはそれより多くのカプセル剤が一緒になって、50mgの化合物(1)を含む。
他の実施形態では、単位剤形は、約20mgの化合物(1)を含み、カプセル剤の形態にある。他の実施形態では、単位剤形は、約10mgの化合物(1)を含み、カプセル剤の形態にある。他の実施形態では、単位剤形は、約15mgの化合物(1)を含み、カプセル剤の形態にある。他の実施形態では、単位剤形は、約25mgの化合物(1)を含み、カプセル剤の形態にある。一部の実施形態では、約30mgまたは45mgの化合物(1)を含む1個または複数のカプセル剤が、1日1回、対象に投与される。一部の実施形態では、3個のカプセル剤が一緒になって、30mgの化合物(1)を含む。一部の実施形態では、3個のカプセル剤が一緒になって、45mgの化合物(1)を含む。
一部の実施形態では、化合物(1)を投与すると、認知機能が改善される。一部の実施形態では、認知機能は、以下に限定されないが、記憶(例えば、意味的、一時的、手続き的、プライミングまたは作業);オリエンテーション;言語;問題解決;視覚的認識、構築および統合;計画;組織化力;選択的注意;抑制制御、ならびに情報を精神的に操作する能力を含めた、精神的作業および機能をまとめたものを指す。一実施形態では、認知機能は、記憶(例えば、意味的、一時的、手続き的、プライミングまたは作業);オリエンテーション;言語;問題解決;視覚的認識、構築、および統合;計画;組織化力;選択的注意;抑制制御、ならびに情報を精神的に操作する能力からなる群から選択される、1つまたは複数である。認知機能の尺度は、例えば、(a)一般知能、(b)非言語知能、(c)達成、(d)注意/実行機能、(e)記憶および学習、(f)視覚運動および運動機能、ならびに(g)言語を測定するよう設計されている評価用手段を含む。
例えば、経時的な、または処置による、認知機能の何らかの変化は、2つまたはそれより多い時間点における、これらの十分に確立された検査の1つまたは複数を使用し、結果を比較することによってモニタリングすることができる。言い回し「認知機能を改善する」とは、本明細書において言及する場合、記号操作を行う、例えば、知覚する、思い出す、精神画像を作製する、思考の明瞭性を有する、自覚がある、理由付けする、思考するまたは判断する対象の能力の正の変化を意味する。正の変化は、2つまたはそれより多い機会、例えば、ベースライン認知機能を測定するための第1の機会、および一定期間後(処置が施されていてもよい)の認知機能を測定する第2の機会に対する、上述の検査のいずれかを使用して測定され得る。
II.処置の方法
不安の上昇を伴うMDD
一態様では、本開示は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法を対象とする。一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法によって処置される大うつ病性障害の診断および重篤度は、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th Edition(DSM-5)によって定義されているように特徴付けることができる。
うつ障害
うつ障害には、重篤気分調節症、大うつ病性障害(大うつ病エピソードを含む)、持続性うつ障害(気分変調)、月経前不快気分障害、物質/薬品誘発性うつ障害、別の医療状態によるうつ障害、他に特定されたうつ障害および未特定うつ障害が挙げられる。これらの障害のすべての共通した特色は、機能する個々の能力に著しく影響を及ぼす、身体変化および認知変化を伴う、悲しみ、虚空または過敏性気分があることである。それらの間で違うことは、期間、時機または推定される病因という事柄である。
大うつ病性障害は、この群の障害における古典的な状態を呈する。感情、認知および自律神経系機能の明確な変化ならびにエピソード間の寛解を伴う、少なくとも2週間の期間の個別のエピソード(しかし、大部分のエピソードは、かなり長く続く)により特徴付けられる。大うつ病性障害の個別のエピソードは、「大うつ病エピソード」または「うつ病エピソード」と呼ばれることがある。
大うつ病性障害(MDD)
大うつ病性障害は、一般に、当分野で公知である。
一部の実施形態では、MDDは、うつ病または臨床的うつ病としても知られており、悲しみおよび興味の喪失という持続的な感情を引き起こす気分障害である。
一部の実施形態では、MDDは、DSM-5に従って定義および診断され、例えば、MDDは、下記の通り、診断基準Aに従って診断される。
診断基準A. 以下の症状のうちの5つ(またはそれより多く)が、同じ2週間の期間の間に現れ、以前の機能からの変化を呈する;症状のうちの少なくとも1つは、(1)抑うつ気分または(2)興味もしくは喜びの喪失のいずれかである。
1. 主観的な報告(例えば、悲しい、虚しい、絶望的な気分)または他人により行われる観察(例えば、涙ぐんでいるように見える)のいずれかによって示される、1日の大部分の間、ほとんど毎日、抑うつ気分である(注:小児および青年では、過敏性気分があり得る)。
2. 1日の大部分、ほとんど毎日、すべてまたはほとんどすべての活動に、興味または喜びが著しく低下している(主観的な説明または観察のいずれかによって示される)。
3. 食事療法時ではない場合の大幅な体重減少または体重増加(例えば、1か月で体重の5%を超える変化)、またはほとんど毎日、食欲の減退もしくは増進がある(注:小児の場合、予想される体重増加にならないことを考慮する)。
4. ほとんど毎日、不眠症または睡眠過剰である。
5. ほとんど毎日、精神運動性激越または遅滞がある(落ち着きのないこと、または動作が遅いという単なる主観的な感覚ではなく、他者により観察可能なもの)。
6. ほとんど毎日、倦怠感または行動力の喪失がある。
7. ほとんど毎日、無価値感または過剰のもしくは不適切な罪悪感(妄想の可能性もある)を感じる(病気であることに関する単なる自責でも罪悪感でもない)。
8. ほとんど毎日、思考力もしくは集中力が低下している、または優柔不断である(主観的説明によるものまたは他人による観察のどちらか)。
9. 死を繰り返し考えること(単に死の恐怖だけではない)、具体的な計画のない再発性自殺念慮、または自殺の試みもしくは自殺を行う具体的計画がある。
以下に記載されている診断基準B~Eは、MDDの追加説明であり、MDDの説明または診断と考えられることがあるが、必要なものではない。
診断基準B. 症状が、社会的エリア、職業的エリアまたは他の重要な機能エリアにおいて、臨床的に重要な苦痛または機能障害を引き起こす。
診断基準C. エピソードが、物質の生理的効果にも別の医療状態にも起因し得ない。
診断基準A~Cは、大うつ病エピソードを表し得る。
診断基準D. 大うつ病エピソードの発生が、統合失調感情障害、統合失調症、統合失調症様障害、妄想性障害または他の特定されたおよび未特定の統合失調症スペクトル、ならびに他の精神性障害によってよりよく説明されない。
診断基準E. 躁エピソードも軽躁エピソードも決してなかった。
一部の実施形態では、大うつ病エピソード(MDE)は、上記のとおり、MDDの症状により特徴付けられる期間である。
一部の実施形態では、MDDは、対象における、1つまたは複数の大うつ病エピソード(MDE)により特徴付けられる臨床的な経路である。
一部の実施形態では、MDDは、上記の通り、診断基準A~Cに従い診断される。一部の実施形態では、MDDは、上記の通り、診断基準A~Eに従い診断される。
診断特色
体重変化および自殺念慮を除く大うつ病性障害の診断基準症状が存在するとみなされるためには、ほとんど毎日、それらの症状が存在していなければならない。抑うつ気分は、ほとんど毎日存在していることに加え、1日の大部分の間に存在しなければならない。多くの場合、不眠症または倦怠感が、主訴であり、付随するうつ症状を調査し損ねた場合、過少診断になる。悲しみは、最初に否定されることがあるが、面接により導き出される、または顔の表情および態度から推論されることがある。身体の訴えに焦点をあてている個体の場合、臨床医はその訴えに起因する苦痛が特定のうつ症状と関連しているかどうかを判定すべきである。倦怠感および睡眠妨害が高い割合の症例で存在する。精神運動障害は、それほど一般的ではないが、妄想的または妄想に近い罪悪感があるのと同様に、全体的な重篤度がより高いことの指標である。
大うつ病エピソードの必須の特色は、ほとんどすべての活動において、抑うつ気分または興味もしくは喜びの喪失のどちらかがある(上の診断基準A)、少なくとも2週間の期間である。小児および青年では、気分は、悲しみではなく過敏性のことがある。個体はまた、食欲もしくは体重、睡眠および精神運動活動の変化;行動力の低下;無価値感もしくは罪悪感;思考、集中もしくは意思決定の困難;または死を繰り返し考えることもしくは自殺念慮もしくは自殺計画もしくは自殺の試みを含むリストから抽出される少なくとも4つの追加の症状を経験しなければならない。大うつ病エピソードとして数に入れるためには、症状が、新たに現れなければならないか、またはその人のエピソード前の状態と比較して明らかに悪化していなければならない。症状は、少なくとも2週間連続して、1日の大部分の間、ほとんど毎日、持続していなければならない。エピソードは、社会的エリア、職業的エリアまたは他の重要な機能エリアにおける臨床的に重要な苦痛または機能障害を伴わなければならない。軽症エピソードを有する一部の個体の場合、機能は正常に見えることがあるが、著しく努力を高めることを必要とする。
睡眠妨害は、睡眠困難または過度の睡眠のいずれかの形態をとることがある(診断基準A4)。不眠症が存在する場合、不眠症は、通常、中期不眠症(すなわち、夜中に目が覚めてから眠りに戻ることが困難である)または末期不眠症(すなわち、あまりにも早く目が覚め、眠りに戻ることができない)の形態をとる。初期不眠症(すなわち、入眠困難)が起こることもある。過眠症(過剰睡眠)を呈する個体は、夜間における睡眠エピソードが長いこと、または日中の睡眠が増えることを経験することがある。時には、個体が処置を求める理由が、睡眠障害のためである。
不安の上昇/不安症の苦痛を伴う大うつ病性障害
DSM-5によって規定される、MDDに関する「不安症の苦痛」という識別子は、大うつ病エピソードまたは持続性うつ障害(気分変調)の大部分の日の間、以下の症状のうちの少なくとも2つが存在することを示す:
1.興奮または緊張を感じる。
2.異常に落ち着かなく感じる。
3.心配があるために集中できない。
4.何か恐ろしいことが起こるかもしれないと恐れる。
5.自分自身が自制心を失っているように感じる。
「不安症の苦痛」および「不安の上昇」は、本明細書において互換的に使用される。
重篤度は、以下の通り規定される:
軽症:2つの症状。
中等度:3つの症状。
中等度から重度:4つまたは5つの症状。
重度:4つまたは5つの症状であり、運動性激越を伴う。
不安症の苦痛は、一次医療およびメンタルヘルス専門環境の両方における、双極性障害と大うつ病性障害の両方の顕著な特色として記されてきた。高レベルの不安症は、より高い自殺リスク、疾病期間がより長いこと、および処置に応答しない可能性がより高いことに関係付けられている。
したがって、本開示の一態様は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、治療有効量の化合物(1):
Figure 2024515829000025
を投与するステップを含む方法を対象とする。
本開示の別の態様は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、治療有効量の化合物(1):
Figure 2024515829000026
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約14日間すなわち約2週間、1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約14日間、1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間、1日1回、投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)は、約10mg~約100mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約15mg~約75mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg~約60mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg~約55mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約30mg~約50mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約45mg~約55mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mgまたは約60mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約50mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約40mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約30mgの用量で投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)は、約10mg~約100mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約15mg~約75mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg~約60mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg~約55mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約30mg~約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約45mg~約55mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mgまたは約60mgの用量で、1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約40mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約30mgの用量で1日1回、投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間すなわち約14日間、約20mg~約55mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間すなわち約14日間、約30mg~約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間すなわち約14日間、約45mg~約55mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、2週間未満の間に、約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間、約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約14日間、約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、2週間未満の間に、約40mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間、約40mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約14日間、約40mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、2週間未満の間に、約30mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間、約30mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約14日間、約30mgの用量で1日1回、投与される。
他の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約10mg~約100mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約15mg~約75mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg~約60mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約45mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mgまたは約60mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約40mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約30mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約10mg~約100mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約15mg~約75mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg~約60mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約45mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mgまたは約60mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約40mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約30mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間すなわち約14日間、約20mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間すなわち約14日間、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間すなわち約14日間、約45mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、2週間未満の間に、約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間、約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約14日間、約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、2週間未満の間に、約40mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間、約40mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約14日間、約40mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、2週間未満の間に、約30mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間、約30mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約14日間、約30mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、経口、非経口、皮内、鞘内、筋肉内、皮下、膣内、バッカル錠として、舌下、直腸内、局所的、吸入剤として、鼻腔内または経皮に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、経口投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、長期投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、1個または複数のカプセル剤で投与される。一部の実施形態では、治療有効量は、2個のカプセル剤にわたり投与される。一部の実施形態では、治療有効量は、3個のカプセル剤にわたり投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、食物と共に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、脂肪含有食と共に投与される。脂肪含有食の例は、ナッツ、ピーナッツバター、アボカド、卵およびチーズを含む。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、脂肪含有食と共に、夜に(例えば、脂肪を含有する夕食の1時間以内に、または脂肪含有スナックと共に)投与される。
一部の実施形態では、対象には、夜に化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の1時間以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の15分以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が投与される。一部の実施形態では、対象には、夜に化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が1日1回、投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の1時間以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が1日1回、投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の15分以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が1日1回、投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)は、結晶性形態にある。一部の実施形態では、化合物(1)の結晶性形態は、PCT出願公開第WO2018/039378号に開示されているいずれかの結晶性形態であり、前述の出願の全内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.7~10.1度の間(端点を含む)、2θが11.6~12.0度の間(端点を含む)、2θが13.2~13.6度の間(端点を含む)、2θが14.2~14.6度の間(端点を含む)、2θが14.6~15.0度の間(端点を含む)、2θが16.8~17.2度の間(端点を含む)、2θが20.5~20.9度の間(端点を含む)、2θが21.3~21.7度の間(端点を含む)、2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)、および2θが22.4~22.8度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。一部の実施形態では、化合物(1)は、2θが9.7~10.1度の間(端点を含む)、2θが14.6~15.0度の間(端点を含む)、2θが16.8~17.2度の間(端点を含む)、2θが20.5~20.9度の間(端点を含む)、および2θが21.3~21.7度の間(端点を含む)のピークを含む、XRPDパターンを有する結晶性形態にある。
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間(端点を含む)、2θが10.6~11.0度の間(端点を含む)、2θが13.0~13.4度の間(端点を含む)、2θが14.7~15.1度の間(端点を含む)、2θが15.8~16.2度の間(端点を含む)、2θが18.1~18.5度の間(端点を含む)、2θが18.7~19.1度の間(端点を含む)、2θが20.9~21.3度の間(端点を含む)、2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)、および2θが23.3~23.7度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間(端点を含む)、2θが10.6~11.0度の間(端点を含む)、2θが13.0~13.4度の間(端点を含む)、2θが18.7~19.1度の間(端点を含む)、および2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。
一部の実施形態では、化合物(1)の結晶性形態は、2種またはそれより多い結晶性形態の混合物を含む。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、初期処置の完了後に、うつ症状の再発に応じて、前記対象に再投与される。一部の実施形態では、前記初期処置の最後の投薬と前記再投与の最初の投薬との間に、少なくとも6週間の間隔を空ける。一部の実施形態では、前記初期処置および再投与の各々が、約14日間すなわち約2週間、行われる。
一部の実施形態では、方法は、第2の治療剤を投与する。
一部の実施形態では、対象は、処置を受けたことがない。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも30日以内に、いずれの抗うつ剤処置も受けていない。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも60日以内に、いずれの抗うつ剤処置も受けていない。
一部の実施形態では、前記対象が、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも30日間または少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも30日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが17もしくはそれより高いこと、18もしくはそれより高いこと、19もしくはそれより高いこと、または20もしくはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが17もしくはそれより高いことによって、またはうつ病に関するハミルトン評価尺度(HAM-D)不安症/身体化下位尺度スコアが7もしくはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが17またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが18またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが19またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが20またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、うつ病に関するハミルトン評価尺度(HAM-D)不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが17またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが18またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが19またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが20またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが20またはそれより高い、MADRS総スコアが28またはそれより高い、およびHAM-A総スコアが17またはそれより高い(例えば、18もしくはそれより高い、19もしくはそれより高い、または20もしくはそれより高い)ことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが20またはそれより高い、MADRS総スコアが28またはそれより高いこと、およびHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
他の実施形態では、「不安の上昇」は、HAM-A不安症項目および身体的項目に基づいたHAM-Aスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、HAM-A不安症項目に基づいたHAM-Aスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、以下のHAM-D項目:精神的不安、身体的不安、GI身体症状および/または全般身体症状に基づいた、HAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、以下のHAM-D項目:精神的不安に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたMADRSスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたMADRSスコアによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、前記対象が、HAM-D総スコア、HAM-A総スコア、HAM-D不安症/身体化下位尺度スコアまたはそれらの組合せの、ベースラインからの低下を示す。一部の実施形態では、前記対象が、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与後15日目に、HAM-D総スコアの少なくとも14ポイントの低下を示す。一部の実施形態では、前記対象が、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与後15日目に、HAM-A総スコアの少なくとも12ポイントの低下を示す。
一部の実施形態では、方法は、約45、約21、約15、約8または約3日以内に、治療効果(例えば、ハミルトンうつ病総スコア(HAM-D)の低下によって測定される)をもたらす。一部の実施形態では、治療効果は、処置期間の終了時(例えば、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与を開始した後の約45、約21、約15、約8または約3日間)における、HAM-D総スコアのベースラインからの低下である。一部の実施形態では、HAM-D総スコアのベースラインからの低下は、重度(例えば、HAM-D総スコアが24もしくはそれより高い、またはスコアが26もしくはそれより高い)から無症状、すなわちうつ病の寛解(例えば、HAM-D総スコアが7またはそれ未満である)までである。一部の実施形態では、HAM-D総スコアのベースラインからの低下は、重度(例えば、HAM-D総スコアが24もしくはそれより高い、または総スコアが26もしくはそれより高い)から正常または軽症のうつ病(例えば、HAM-D総スコアが7もしくはそれ未満、またはHAM-D総スコアが18~13である)までである。
一部の実施形態では、方法は、約45、約21、約15、約8または約3日以内に、治療効果(例えば、ハミルトンうつ病下位尺度スコア(HAM-D下位尺度)の低下によって測定される)をもたらす。一部の実施形態では、HAM-D下位尺度スコアは、中核的うつ病、Bech-6、マイヤースコアおよび/または不安スコアである。一部の実施形態では、HAM-D中核的うつ病下位尺度スコアLS平均の15日目におけるベースラインからの低下は、少なくとも約1~3である。一部の実施形態では、HAM-D Bech-6下位尺度スコアLS平均の15日目におけるベースラインからの低下は、少なくとも約3である。一部の実施形態では、HAM-Dマイヤー下位尺度スコアLS平均の15日目におけるベースラインからの低下は、少なくとも約2.5である。一部の実施形態では、HAM-D不安下位尺度スコアLS平均の15日目におけるベースラインからの低下は、少なくとも約0.5である。
一部の実施形態では、方法は、約45、約21、約15、約8もしくは約3日またはそれより短い日数以内に、治療効果(例えば、モンゴメリー-アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)の低下によって測定される)をもたらす。モンゴメリー-アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)は、10項目診断質問票(外見に表出される悲しみ、言語で表現された悲しみ、内的緊張、睡眠減少、食欲減退、集中困難、無気力、感情をもてないこと、悲観的思考および自殺思考に関する)であり、精神科医が、気分障害を有する患者において、うつ病エピソードの重篤度を測定するために上記を使用する。0~6は、正常/症状が存在しないことを示し、7~19は、軽症うつ病を示し、20~34は、中等度うつ病を示し、>34は、重度うつ病を示す。一部の実施形態では、治療効果は、処置期間の終了時(例えば、約45、約21、約15、約8もしくは約3日、またはそれより短い日数)における、MADRSスコアのベースラインからの低下である。一部の実施形態では、MADRSスコアのベースラインからの低下は、重度(例えば、MADRSスコアが30またはそれより高い)から無症状(例えば、MADRSスコアが20またはそれ未満)までである。例えば、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩による処置に起因するMADRS総スコアのベースラインからの平均変化は、約-15、-20、-25、-30である一方、プラセボによる処置に起因するMADRS総スコアのベースラインからの平均変化は、約-15、-10、-5である。
一部の実施形態では、方法は、約45、約21、約15、約8もしくは約3日、またはそれより短い日数以内に、治療効果(例えば、臨床全般印象度-改善尺度(CGI)の低下によって測定される)をもたらす。一部の実施形態では、治療効果は、CGIスコアが2またはそれ未満である。
一部の実施形態では、方法は、約45、約21、約15、約8または約3日以内に、治療効果(例えば、ハミルトン不安スコア(HAM-A)の低下によって測定される)をもたらす。HAM-Aはスコア付けされ、この場合、<17が軽症の重篤度を、18~24が軽症から中等度の重篤度を、および25~30が中等度から重度を示す。一部の実施形態では、治療効果は、処置期間の終了時(例えば、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与の開始後、約45、約21、約15、約8または約3日間)における、HAM-Aスコアのベースラインからの低下である。一部の実施形態では、HAM-Aスコアのベースラインからの低下は、重度(例えば、HAM-Aスコアが25またはそれより高い)から無症状(例えば、HAM-Aスコアが17またはそれ未満)までである。一部の実施形態では、HAM-Aスコアのベースラインからの低下は、重度(例えば、HAM-Aスコアが25またはそれより高い)から軽症(例えば、HAM-Aスコアが24またはそれ未満)までである。
一部の実施形態では、方法は、約45、約21、約15、約8または約3日以内に、治療効果(例えば、SF-36スコアの改善によって測定される)をもたらす。SF-36身体機能スコア。SF-36とは、健康関連の生活の質を評価するために使用される、36の質問を含む、簡易形式健康調査のことである(Ware、1996)。一部の実施形態では、簡易形式-36(SF-36v2)は、8つの領域(身体機能[PF];日常役割機能(身体)[RP];体の痛み[BP];全般的健康感[GH];活力[V];社会生活機能[SF];日常生活機能(精神)[RE];心の健康[MH])に関する健康関連の生活の質(HRQoL)を評価する。一部の実施形態では、治療効果は、処置期間の終了時における、SG-36v2の各領域のベースラインからの低下である。一部の実施形態では、(例えば、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与の開始後、約45、約21、約15、約8または約3日間)。
不安の上昇を伴うPPD
別の態様では、本開示は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)の方法を対象とする。
出産後のうつ病とも呼ばれる産後うつ病(PPD)は、出産に伴う気分障害のタイプである。産後うつ病(PPD)は、一般に、当分野で公知である。
PPDは、産褥期中に起こる最も一般的な精神病理学的疾病として特定され(O’Hara MW, Wisner KL. Best Pract Res Clin Obstet Gynaecol. 2014;28(1):3-12);PPDは、妊娠第3期中または出産後に起こり得る。PPDは、未処置の場合、女性および女性の家族にとって壊滅的な結果を有する恐れがある。一部の実施形態では、PPDは、悲しみおよび抑うつ気分、毎日の活動における興味の喪失、食事習慣および睡眠習慣の変化、倦怠感、ならびに行動力の低下、集中不能、ならびに無価値感、恥または罪悪感という感情に起因する、母体の著しい機能的障害により特徴付けられる。産後うつ病はまた、自殺に対するリスク増大を有しており、これは、先進国において、出産後の母の死亡の主要原因となっている。
専門健康組織は、PPD発生のその定義が異なる。例えば、米国精神医学会は、PPDを妊娠中または出産して4週間以内の発生を有すると特徴付けている(DSM-5)。米国産科婦人科学会は、PPDを妊娠中または産後12か月以内の発生を有すると特徴付けている(ACOG、2021年12月に更新)。世界保健機関は、PPDを産後12か月以内の発生を有すると特徴付けている(International Classification of Diseases 10th edition(ICD-10))。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法によって処置されるPPDの診断は、DSM-5によって定義される通りに特徴付けることができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法によって処置されるPPDの診断は、ACOGによって定義される通りに特徴付けることができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法によって処置されるPPDの診断は、ICD-10によって定義される通りに特徴付けることができる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法によって処置される不安の上昇を伴うPPDの診断は、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th Edition(DSM-5)によって定義されるように、つまり、以下に記載されているように、周産期の発生および不安症の苦痛の指示子を伴うMDDとして特徴付けることができる。
うつ障害
うつ障害には、重篤気分調節症、大うつ病性障害(大うつ病エピソードを含む)、持続性うつ障害(気分変調)、月経前不快気分障害、物質/薬品誘発性うつ障害、別の医療状態によるうつ障害、他に特定されたうつ障害および未特定うつ障害が挙げられる。これらの障害のすべての共通した特徴は、機能する個々の能力に著しく影響を及ぼす、身体変化および認知変化を伴う、悲しみ、虚空または過敏性気分があることである。それらの間で違うことは、期間、時機または推定される病因という事柄である。
大うつ病性障害は、この群の障害における古典的な状態を呈する。感情、認知および自律神経系機能の明確な変化ならびにエピソード間の寛解を伴う、少なくとも2週間の期間の個別のエピソード(しかし、大部分のエピソードは、かなり長く続く)により特徴付けられる。大うつ病性障害の個別のエピソードは、「大うつ病エピソード」または「うつ病エピソード」と呼ばれることがある。
大うつ病性障害(MDD)
一部の実施形態では、MDDは、うつ病または臨床的うつ病としても知られており、悲しみおよび興味の喪失という持続的な感情を引き起こす気分障害である。
一部の実施形態では、MDDは、DSM-5に従って定義および診断され、例えば、MDDは、下記の通り、診断基準Aに従って診断される。
診断基準A. 以下の症状のうちの5つ(またはそれより多く)が、同じ2週間の期間の間に現れ、以前の機能からの変化を呈する;症状のうちの少なくとも1つは、(1)抑うつ気分または(2)興味もしくは喜びの喪失のいずれかである。
1. 主観的な報告(例えば、悲しい、虚しい、絶望的な気分)または他人により行われる観察(例えば、涙ぐんでいるように見える)のいずれかによって示される、1日の大部分の間、ほとんど毎日、抑うつ気分である(注:小児および青年では、過敏性気分があり得る)。
2. 1日の大部分、ほとんど毎日、すべてまたはほとんどすべての活動に、興味または喜びが著しく低下している(主観的な説明または観察のいずれかによって示される)。
3. 食事療法時ではない場合の大幅な体重減少または体重増加(例えば、1か月で体重の5%を超える変化)、またはほとんど毎日、食欲の減退もしくは増進がある(注:小児の場合、予想される体重増加にならないことを考慮する)。
4. ほとんど毎日、不眠症または睡眠過剰である。
5. ほとんど毎日、精神運動性激越または遅滞がある(落ち着きのないこと、または動作が遅いという単なる主観的な感覚ではなく、他者により観察可能なもの)。
6. ほとんど毎日、倦怠感または行動力の喪失がある。
7. ほとんど毎日、無価値感または過剰のもしくは不適切な罪悪感(妄想の可能性もある)を感じる(病気であることに関する単なる自責でも罪悪感でもない)。
8. ほとんど毎日、思考力もしくは集中力が低下している、または優柔不断である(主観的説明によるものまたは他人による観察のどちらか)。
9.死を繰り返し考えること(単に死の恐怖だけではない)、具体的な計画のない再発性自殺念慮、または自殺の試みもしくは自殺を行う具体的計画がある。
以下に記載されている診断基準B~Eは、MDDの追加説明であり、MDDの説明または診断と考えられることがあるが、必要なものではない。
診断基準B. 症状が、社会的エリア、職業的エリアまたは他の重要な機能エリアにおいて、臨床的に重要な苦痛または機能障害を引き起こす。
診断基準C. エピソードが、物質の生理的効果にも別の医療状態にも起因し得ない。
診断基準A~Cは、大うつ病エピソードを表し得る。
診断基準D. 大うつ病エピソードの発生が、統合失調感情障害、統合失調症、統合失調症様障害、妄想性障害または他の特定されたおよび未特定の統合失調症スペクトル、ならびに他の精神性障害によってよりよく説明されない。
診断基準E. 躁エピソードも軽躁エピソードも決してなかった。
一部の実施形態では、大うつ病エピソード(MDE)は、上記の症状により特徴付けられる期間である。
一部の実施形態では、MDDは、対象における、1つまたは複数の大うつ病エピソード(MDE)により特徴付けられる臨床的な経路である。
一部の実施形態では、MDDは、上記の通り、診断基準A~Cに従い診断される。一部の実施形態では、MDDは、上記の通り、診断基準A~Eに従い診断される。
診断特色
体重変化および自殺念慮を除く大うつ病性障害の診断基準症状が存在するとみなされるためには、ほとんど毎日、それらの症状が存在していなければならない。抑うつ気分は、ほとんど毎日存在していることに加え、1日の大部分の間に存在しなければならない。多くの場合、不眠症または倦怠感が、主訴であり、付随するうつ症状を調査し損ねた場合、過少診断になる。悲しみは、最初に否定されることがあるが、面接により導き出される、または顔の表情および態度から推論されることがある。身体の訴えに焦点をあてている個体の場合、臨床医はその訴えに起因する苦痛が特定のうつ症状と関連しているかどうかを判定すべきである。倦怠感および睡眠妨害が高い割合の症例で存在する。精神運動障害は、それほど一般的ではないが、妄想的または妄想に近い罪悪感があるのと同様に、全体的な重篤度がより高いことの指標である。
大うつ病エピソードの必須の特色は、ほとんどすべての活動において、抑うつ気分または興味もしくは喜びの喪失のどちらかがある(上の診断基準A)、少なくとも2週間の期間である。小児および青年では、気分は、悲しみではなく過敏性のことがある。個体はまた、食欲もしくは体重、睡眠および精神運動活動の変化;行動力の低下;無価値感もしくは罪悪感;思考、集中もしくは意思決定の困難;または死を繰り返し考えることもしくは自殺念慮もしくは自殺計画もしくは自殺の試みを含むリストから抽出される少なくとも4つの追加の症状を経験しなければならない。大うつ病エピソードとして数に入れるためには、症状が、新たに現れなければならないか、またはその人のエピソード前の状態と比較して明らかに悪化していなければならない。症状は、少なくとも2週間連続して、1日の大部分の間、ほとんど毎日、持続していなければならない。エピソードは、社会的エリア、職業的エリアまたは他の重要な機能エリアにおける臨床的に重要な苦痛または機能障害を伴わなければならない。軽症エピソードを有する一部の個体の場合、機能は正常に見えることがあるが、著しく努力を高めることを必要とする。
睡眠妨害は、睡眠困難または過度の睡眠のいずれかの形態をとることがある(診断基準A4)。不眠症が存在する場合、不眠症は、通常、中期不眠症(すなわち、夜中に目が覚めてから眠りに戻ることが困難である)または末期不眠症(すなわち、あまりにも早く目が覚め、眠りに戻ることができない)の形態をとる。初期不眠症(すなわち、入眠困難)が起こることもある。過眠症(過剰睡眠)を呈する個体は、夜間における睡眠エピソードが長いこと、または日中の睡眠が増えることを経験することがある。時には、個体が処置を求める理由が、睡眠障害のためである。
周産期の発生(DSM-5によるうつ障害の指示子)の場合
この指示子は、完全な診断基準が、現行のものに適用することができるか、または現状、大うつ病エピソードに関して満たさない場合、妊娠中もしくは出産後4週間で、気分症状の発生が起こった場合、最近の大うつ病のエピソードに適用することができる。
気分エピソードは、妊娠中または産後のどちらか一方での発生を有する恐れがある。出産後の経過観察の期間に応じて、推定値は異なるが、3%~6%の女性が、妊娠中、または出産後の数週間後もしくは数か月後に大うつ病エピソードの発生を経験する。「出産後」大うつ病エピソードの50パーセントが、出産前に実際に始まる。したがって、これらのエピソードは、周産期エピソードとまとめて称される。周産期大うつ病エピソードを有する女性は、多くの場合、重度の不安症およびパニック発作さえ有する。前向き研究により、妊娠中の気分および不安症状、ならびに「ベビーブルー」は、産後大うつ病エピソードのリスクを増大させることが実証された。周産期に発生する気分エピソードは、精神的特色を伴うか、または伴わないで現れ得る。乳児殺害は、幼児を殺すという命令幻覚または乳児が憑依されているという妄想により特徴付けられる産後精神的エピソードと関連していることが最も多いが、精神症状は、このような特定の妄想または幻覚を伴わない重度の産後気分エピソードでも起こり得る。
不安の上昇/不安症の苦痛(DSM-5によるうつ障害の指示子)の場合
DSM-5は、大うつ病エピソード(MDD)または持続性うつ障害(気分変調)の大部分の日の間、以下の症状のうちの少なくとも2つが存在することとして、「不安症の苦痛」指示子を規定する:
1.興奮または緊張を感じる。
2.異常に落ち着かなく感じる。
3.心配があるために集中できない。
4.何か恐ろしいことが起こるかもしれないと恐れる。
5.自分自身が自制心を失っているように感じる。
重篤度は、以下の通り規定される:
軽症:2つの症状。
中等度:3つの症状。
中等度から重度:4つまたは5つの症状。
重度:4つまたは5つの症状であり、運動性激越を伴う。
不安症の苦痛は、一次医療およびメンタルヘルス専門環境の両方における、双極性障害と大うつ病性障害の両方の顕著な特色として記されてきた。高レベルの不安症は、より高い自殺リスク、疾病期間がより長いこと、および処置に応答しない可能性がより高いことに関係付けられている。
したがって、本開示の一態様は、 不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、治療有効量の化合物(1):
Figure 2024515829000027
を投与するステップを含む方法を対象とする。
本開示の別の態様は、 不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)の方法であって、治療有効量の化合物(1):
Figure 2024515829000028
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約14日間すなわち約2週間、1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約14日間、1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間、1日1回、投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)は、約10mg~約100mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約15mg~約75mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg~約60mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg~約55mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約30mg~約50mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約45mg~約55mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mgまたは約60mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約50mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約40mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約30mgの用量で投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)は、約10mg~約100mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約15mg~約75mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg~約60mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg~約55mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約30mg~約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約45mg~約55mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mgまたは約60mgの用量で、1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約40mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約30mgの用量で1日1回、投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間すなわち約14日間、約20mg~約55mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間すなわち約14日間、約30mg~約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間すなわち約14日間、約45mg~約55mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、2週間未満の間に、約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間、約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約14日間、約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、2週間未満の間に、約40mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間、約40mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約14日間、約40mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、2週間未満の間に、約30mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間、約30mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約14日間、約30mgの用量で1日1回、投与される。
他の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約10mg~約100mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約15mg~約75mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg~約60mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約45mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mgまたは約60mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約40mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約30mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約10mg~約100mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約15mg~約75mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg~約60mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約45mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mgまたは約60mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約40mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約30mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間すなわち約14日間、約20mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間すなわち約14日間、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間すなわち約14日間、約45mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、2週間未満の間に、約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間、約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約14日間、約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、2週間未満の間に、約40mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間、約40mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約14日間、約40mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、2週間未満の間に、約30mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間、約30mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約14日間、約30mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、経口、非経口、皮内、鞘内、筋肉内、皮下、膣内、バッカル錠として、舌下、直腸内、局所的、吸入剤として、鼻腔内または経皮に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、経口投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、長期投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、1個または複数のカプセル剤で投与される。一部の実施形態では、治療有効量は、2個のカプセル剤にわたり投与される。一部の実施形態では、治療有効量は、3個のカプセル剤にわたり投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、食物と共に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、脂肪含有食と共に投与される。脂肪含有食の例は、ナッツ、ピーナッツバター、アボカド、卵およびチーズを含む。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、脂肪含有食と共に、夜に(例えば、脂肪を含有する夕食の1時間以内に、または脂肪含有スナックと共に)投与される。
一部の実施形態では、対象には、夜に化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の1時間以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の15分以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が投与される。一部の実施形態では、対象には、夜に化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が1日1回、投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の1時間以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が1日1回、投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の15分以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が1日1回、投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)は、結晶性形態にある。一部の実施形態では、化合物(1)の結晶性形態は、PCT出願公開第WO2018/039378号に開示されているいずれかの結晶性形態であり、前述の出願の全内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.7~10.1度の間(端点を含む)、2θが11.6~12.0度の間(端点を含む)、2θが13.2~13.6度の間(端点を含む)、2θが14.2~14.6度の間(端点を含む)、2θが14.6~15.0度の間(端点を含む)、2θが16.8~17.2度の間(端点を含む)、2θが20.5~20.9度の間(端点を含む)、2θが21.3~21.7度の間(端点を含む)、2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)、および2θが22.4~22.8度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。一部の実施形態では、化合物(1)は、2θが9.7~10.1度の間(端点を含む)、2θが14.6~15.0度の間(端点を含む)、2θが16.8~17.2度の間(端点を含む)、2θが20.5~20.9度の間(端点を含む)、および2θが21.3~21.7度の間(端点を含む)のピークを含む、XRPDパターンを有する結晶性形態にある。
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間(端点を含む)、2θが10.6~11.0度の間(端点を含む)、2θが13.0~13.4度の間(端点を含む)、2θが14.7~15.1度の間(端点を含む)、2θが15.8~16.2度の間(端点を含む)、2θが18.1~18.5度の間(端点を含む)、2θが18.7~19.1度の間(端点を含む)、2θが20.9~21.3度の間(端点を含む)、2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)、および2θが23.3~23.7度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間(端点を含む)、2θが10.6~11.0度の間(端点を含む)、2θが13.0~13.4度の間(端点を含む)、2θが18.7~19.1度の間(端点を含む)、および2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。
一部の実施形態では、化合物(1)の結晶性形態は、2種またはそれより多い結晶性形態の混合物を含む。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、初期処置の完了後に、うつ症状の再発に応じて、対象に再投与される。一部の実施形態では、初期処置の最後の投薬と再投与の最初の投薬との間に、少なくとも6週間の間隔を空ける。一部の実施形態では、初期処置および再投与の各々は、約14日間すなわち約2週間、行われる。
一部の実施形態では、方法は、第2の治療剤を投与する。
一部の実施形態では、対象は、処置を受けたことがない。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも30日以内に、いずれの抗うつ剤処置も受けていない。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも60日以内に、いずれの抗うつ剤処置も受けていない。
一部の実施形態では、対象は、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも30日間または少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも30日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが17もしくはそれより高い、18もしくはそれより高い、19もしくはそれより高い、または20もしくはそれより高い、またはうつ病に関するハミルトン評価尺度(HAM-D)不安症/身体化下位尺度スコアが7もしくはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが17またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが18またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが19またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが20またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、うつ病に関するハミルトン評価尺度(HAM-D)不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが17またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが18またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが19またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが20またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが26またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが17またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが26またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが18またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが26またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが19またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが26またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが20またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが26またはそれより高いこと、およびHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
他の実施形態では、「不安の上昇」は、HAM-A不安症項目および身体的項目に基づいたHAM-Aスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、HAM-A不安症項目に基づいたHAM-Aスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、以下のHAM-D項目:精神的不安、身体的不安、GI身体症状および/または全般身体症状に基づいた、HAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、以下のHAM-D項目:精神的不安に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたMADRSスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたMADRSスコアによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、対象は、HAM-D総スコア、HAM-A総スコア、HAM-D不安症/身体化下位尺度スコアまたはそれらの組合せの、ベースラインからの低下を示す。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与後15日目に、HAM-D総スコアの少なくとも14ポイントの低下を示す。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与後15日目に、HAM-A総スコアの少なくとも12ポイントの低下を示す。
一部の実施形態では、方法は、約45、約21、約15、約8または約3日以内に、治療効果(例えば、ハミルトンうつ病スコア(HAMD-17)の低下によって測定される)をもたらす。一部の実施形態では、治療効果は、処置期間の終了時(例えば、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与の開始後、約45、約21、約15、約8または約3日間)における、HAMD-17スコアのベースラインからの低下である。一部の実施形態では、HAMD-17スコアのベースラインからの低下は、重度(例えば、HAMD-17スコアが24もしくはそれより高い、またはスコアが26もしくはそれより高い)から無症状、すなわちうつ病の寛解(例えば、HAMD-17スコアが7またはそれ未満)までである。一部の実施形態では、HAMD-17スコアのベースラインからの低下は、重度(例えば、HAMD-17スコアが24もしくはそれより高い、またはスコアが26もしくはそれより高い)から正常または軽症のうつ病(例えば、HAMD-17スコアが7もしくはそれ未満、またはHAMD-17スコアが18~13である)までである。
一部の実施形態では、方法は、約45、約21、約15、約8または約3日以内に、治療効果(例えば、ハミルトン不安評価尺度スコア(HAM-A)の低下によって測定される)をもたらす。一部の実施形態では、治療効果は、処置期間の終了時(例えば、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与の開始後、約45、約21、約15、約8または約3日間)における、HAM-Aスコアのベースラインからの低下である。一部の実施形態では、HAM-Aスコアのベースラインからの低下は、重度(例えば、HAM-Aスコアが25またはそれより高い)から無症状、すなわち不安症の寛解(例えば、HAM-Aスコアが7またはそれ未満である)までである。一部の実施形態では、HAM-Aスコアのベースラインからの低下は、重度(例えば、HAM-Aスコアが25またはそれより高い)から正常または軽度の不安症(例えば、HAM-Aスコアが18~24である)までである。
一部の実施形態では、方法は、約45、約21、約15、約8もしくは約3日、またはそれより短い日数以内に、治療効果(例えば、モンゴメリー-アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)の低下によって測定される)をもたらす。モンゴメリー-アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)は、10項目診断質問票(外見に表出される悲しみ、言語で表現された悲しみ、内的緊張、睡眠減少、食欲減退、集中困難、無気力、感情をもてないこと、悲観的思考および自殺思考に関する)であり、精神科医が、気分障害を有する患者において、うつ病エピソードの重篤度を測定するために上記を使用する。0~6は、正常/症状が存在しないことを示し、7~19は、軽症うつ病を示し、20~34は、中等度うつ病を示し、>34は、重度うつ病を示す。一部の実施形態では、治療効果は、処置期間の終了時(例えば、約45、約21、約15、約8もしくは約3日、またはそれより短い日数)における、MADRSスコアのベースラインからの低下である。一部の実施形態では、MADRSスコアのベースラインからの低下は、重度(例えば、MADRSスコアが30またはそれより高い)から無症状(例えば、MADRSスコアが20またはそれ未満である)までである。例えば、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩による処置に起因するMADRS総スコアのベースラインからの平均変化は、約-15、-20、-25、-30である一方、プラセボによる処置に起因するMADRS総スコアのベースラインからの平均変化は、約-15、-10、-5である。
一部の実施形態では、方法は、約45、約21、約15、約8もしくは約3日、またはそれより短い日数以内に、治療効果(例えば、臨床全般印象度-改善尺度(CGI)の低下によって測定される)をもたらす。一部の実施形態では、治療効果は、CGIスコアが2またはそれ未満である。
一部の実施形態では、方法は、約45、約21、約15、約8または約3日以内に、治療効果(例えば、ハミルトン不安症/身体化スコア(HAMD-17A)/Sの低下によって測定される)をもたらす。
一部の実施形態では、方法は、約45、約21、約15または約8日以内に、治療効果(例えば、エジンバラ産後うつ病尺度(EPDS)の低下によって測定される)をもたらす。一部の実施形態では、治療効果は、EPDSによって測定される改善である。
一部の実施形態では、方法は、約45、約21、約15または約3日以内に、対象の全身健康状態(例えば、医療的アウトカム研究36項目簡易形式質問票表(Medical Outcomes Study 36-Item Short Form Survey Instrument)バージョン2(SF-36v2)を高めることによって測定される)を向上させる。一部の実施形態では、方法は、SF-36v2検査の少なくとも5つの領域によって測定される対象の全身健康状態を高める。一部の実施形態では、5つの領域は、社会生活機能、心の健康、身体機能、日常役割機能(身体)および体の痛みである。一部の実施形態では、方法は、SF-36v2によって測定される、心の健康コンポーネント要約スコアを向上させる。
一部の実施形態では、方法は、約45、約21、約15、約8または約3日以内に、治療効果(例えば、不眠症の質問限定ハルミトンのうつ病スコア(HAMD-17-Ins)の低下によって測定される)をもたらす。一部の実施形態では、治療効果は、処置期間の終了時(例えば、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与の開始後、約45、約21、約15、約8または約3日間)における、HAMD-17-Insスコアのベースラインからの低下である。一部の実施形態では、HAMD-17-Insスコアのベースラインからの低下は、1~4ポイント、例えば、ベースラインからの約1ポイントの低下、ベースラインからの約2ポイントの低下、ベースラインからの約3ポイントの低下、またはベースラインからの約4ポイントの低下である。
本開示の別の態様は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約30mg~約50mgの化合物(1):
Figure 2024515829000029
を投与するステップを含む方法を含む。
本開示の別の態様は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
Figure 2024515829000030
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法を含む。
本開示の別の態様は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約30mg~約50mgの化合物(1):
Figure 2024515829000031
を投与するステップを含む方法を含む。
本開示の別の態様は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
Figure 2024515829000032
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法を含む。
本開示の別の態様は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
Figure 2024515829000033
を投与するステップを含む方法を含む。
本開示の別の態様は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
Figure 2024515829000034
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法を含む。
本開示の別の態様は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
Figure 2024515829000035
を投与するステップを含む方法を含む。
本開示の別の態様は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
Figure 2024515829000036
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法を含む。
本開示の別の態様は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
Figure 2024515829000037
を投与するステップを含み、
前記対象が処置を受けたことがない、方法を含む。
本開示の別の態様は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
Figure 2024515829000038
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、
前記対象が処置を受けたことがない、方法を含む。
本開示の別の態様は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
Figure 2024515829000039
を投与するステップを含み、
前記対象が処置を受けたことがない、方法を含む。
本開示の別の態様は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
Figure 2024515829000040
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、
前記対象が処置を受けたことがない、方法を含む。
本開示の別の態様は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
Figure 2024515829000041
を投与するステップを含み、
前記対象が、化合物(1)の投与前の少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、方法を含む。
本開示の別の態様は、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
Figure 2024515829000042
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、
前記対象が、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、方法を含む。
本開示の別の態様は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
Figure 2024515829000043
を投与するステップを含み、
対象が、化合物(1)の投与前の少なくとも30日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、
方法を含む。
本開示の別の態様は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
Figure 2024515829000044
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、
対象が、化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも30日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、
方法を含む。
本開示の別の態様は、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
Figure 2024515829000045
を投与するステップを含み、
前記対象が、化合物(1)の投与前の少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、方法を含む。
本開示の別の態様は、 不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
Figure 2024515829000046
の薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、
前記対象が、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、方法を含む。
一部の実施形態では、化合物(1)が、約50mgの用量で投与されるか、または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)が、約40mgの用量で投与されるか、または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約40mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)が、約30mgの用量で投与されるか、または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約30mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口、非経口、皮内、鞘内、筋肉内、皮下、膣内、バッカル錠として、舌下、直腸内、局所的、吸入剤として、鼻腔内または経皮に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口投与される。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、食物と共に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、脂肪含有食と共に投与される。脂肪含有食の例は、ナッツ、ピーナッツバター、アボカド、卵およびチーズを含む。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、脂肪含有食と共に、夜に(例えば、脂肪を含有する夕食の1時間以内に、または脂肪含有スナックと共に)投与される。
一部の実施形態では、対象には、夜に化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の1時間以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の15分以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が投与される。
一部の実施形態では、対象は、処置を受けたことがない。一部の実施形態では、対象は、初期処置のコースの開始前の少なくとも30日以内に、いずれの抗うつ剤処置も受けていない。一部の実施形態では、対象は、初期処置のコースの開始前の少なくとも60日以内に、いずれの抗うつ剤処置も受けていない。
一部の実施形態では、前記対象が、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも30日間または少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも30日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。
一部の実施形態では、方法は、第2の治療剤の投与をさらに含む。
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、初期処置期間の完了後に、うつ症状の再発に応じて、前記対象に再投与される。一部の実施形態では、前記初期処置期間の最後の投薬と前記再投与の最初の投薬との間に、少なくとも6週間の間隔を空ける。一部の実施形態では、前記再投与が、約14日間すなわち約2週間、行われる。
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが17もしくはそれより高いこと、18もしくはそれより高いこと、19もしくはそれより高いこと、または20もしくはそれより高いことによって、またはうつ病に関するハミルトン評価尺度(HAM-D)不安症/身体化下位尺度スコアが7もしくはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが17またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが18またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが19またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが20またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、うつ病に関するハミルトン評価尺度(HAM-D)不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDが、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが17またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが18またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが19またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが20またはそれより高いことによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが26またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが17またはそれより高い(例えば、18もしくはそれより高い、19もしくはそれより高い、または20もしくはそれより高い)ことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが26またはそれより高いこと、およびHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが20またはそれより高いこと、MADRS総スコアが28またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが17またはそれより高い(例えば、18もしくはそれより高い、19もしくはそれより高い、または20もしくはそれより高い)ことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが20またはそれより高いこと、MADRS総スコアが28またはそれより高いこと、およびHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
他の実施形態では、「不安の上昇」は、HAM-A不安症項目および身体的項目に基づいたHAM-Aスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、HAM-A不安症項目に基づいたHAM-Aスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、以下のHAM-D項目:精神的不安、身体的不安、GI身体症状および全般身体症状に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、以下のHAM-D項目:精神的不安に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいた、HAM-D不安症/身体化下位尺度スコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたMADRSスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたMADRSスコアによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、前記対象が、HAM-D総スコア、HAM-A総スコア、HAM-D不安症/身体化下位尺度スコアまたはそれらの組合せの、ベースラインからの低下を示す。
一部の実施形態では、前記対象が、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与後15日目に、HAM-D総スコアの少なくとも14ポイントの低下を示す。一部の実施形態では、前記対象が、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与後15日目に、HAM-A総スコアの少なくとも12ポイントの低下を示す。
III.医薬組成物
本開示の別の態様は、本明細書に記載されている方法における使用のための、化合物(1)(「活性成分」とも称される)および薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。別の態様では、本開示は、本明細書に記載されている方法における使用のための、活性成分の薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、有効量の活性成分、または活性成分の薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、治療有効量の活性成分、または活性成分の薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、化合物(1)の医薬組成物は、PCT出願公開第WO2022/020363A9号に開示されているいずれかの医薬組成物であり、上述の出願の全内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
本明細書において提供される医薬組成物は、以下に限定されないが、経口(経腸)投与、非経口(注射による)投与、直腸投与、経皮投与、皮内投与、鞘内投与、皮下(SC)投与、静脈内(IV)投与、筋肉内(IM)投与および鼻内投与を含めた、様々な経路によって投与され得る。一部の実施形態では、医薬組成物は、経口投与される。
本開示の医薬組成物は、様々な投薬方法を使用してさらに送達されてもよい。例えば、ある特定の実施形態では、医薬組成物は、例えば、血液中の化合物の濃度を有効レベルにまで上昇させるため、ボーラスとして与えられてもよい。ボーラス用量の配置は、全身にわたり望まれる活性成分の全身レベルに依存し、例えば、筋肉内または皮下ボーラス用量により、活性成分の緩徐放出が可能になる一方、静脈(例えば、IV点滴による)に直接、送達されるボーラス剤により、血液中の活性成分の濃度を有効レベルに急速に上昇させる、はるかに速い送達が可能になる。他の実施形態では、医薬組成物は、例えば、IV点滴による連続注入として投与されて、対象の身体における活性成分の定常状態濃度の維持を実現することができる。さらに、さらに他の実施形態では、医薬組成物は、ボーラス用量として最初に、次いで、連続注入として投与されてもよい。
経口投与向けの組成物は、バルク液状溶液もしくは懸濁液、またはバルク粉末の形態をとることができる。しかし、より一般的には、組成物は、正確な投薬を容易にするため、単位剤形で供給される。用語「単位剤形」とは、ヒト対象および他の哺乳動物に対する単位投薬量として好適な、物理的に個別の単位を指し、各単位は、好適な医薬品用賦形剤と合わせて、所望の治療効果を生じるよう計算された所定量の活性物質を含有する。典型的な単位剤形は、予め充填されて事前測定された、液体組成物のアンプルもしくはシリンジ、または固体組成物の場合、丸剤、錠剤、カプセル剤などを含む。このような組成物では、化合物は、通常、少量の構成成分(約0.1~約50重量%または好ましくは、約1~約40重量%)であり、残りは、所望の投薬形態を形成する一助となる、様々なビヒクルまたは賦形剤および加工助剤である。
経口投与可能な、注射可能なまたは局所投与可能な組成物の上記の構成成分は、単なる、代表例に過ぎない。他の材料、および加工技法などは、参照により本明細書に組み込まれている、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 17th edition, 1985, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaのパート8に説明されている。
本開示の組成物はまた、持続放出形態で、または持続放出薬物送達系から投与され得る。代表的な持続放出材料の説明は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに見出すことができる。
本明細書において提供される医薬組成物の説明は、ヒトへの投与に好適な医薬組成物を主に対象としているが、このような組成物は、一般に、すべての種類の動物への投与に好適であることが当業者によって理解されよう。組成物を様々な動物への投与に好適にするために、医薬ヒトへの投与に好適な組成物を改変することは十分に理解されており、熟練した獣医学薬理学者は、通常の実験を用いて、このような改変を設計および/または実施することができる。医薬組成物の製剤化および/または製造において一般的考察は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 21st ed., Lippincott Williams & Wilkins, 2005に見出すことができる。
本開示の別の態様は、大うつ病性障害を処置することを必要とする対象における、大うつ病性障害を処置する方法であって、対象に、1日1回、14日間、約40mgの化合物(1)を投与するステップを含む方法を含む。一態様では、本開示は、大うつ病性障害を処置することを必要とする対象における、大うつ病性障害を処置する方法であって、対象に、1日1回、14日間、約50mgの化合物(1)を投与するステップを含む方法を含む。
これらの態様の実施形態では、大うつ病性障害は、重度大うつ病性障害である。一部の実施形態では、対象は、うつ病関連症状の軽減を示す。一部の実施形態では、うつ病関連症状の軽減は、ベースラインからのHAM-Dスコアの低下によって特徴付けられる。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、処置前に、HAM-D総スコアが少なくとも22であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、処置前に、HAM-D総スコアが少なくとも24であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、処置前に、HAM-D総スコアが少なくとも25であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、処置前に、HAM-D総スコアが少なくとも26であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、処置前に、MADRSスコアが少なくとも28であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、処置前に、MADRSスコアが少なくとも32であることによって特徴付けられる。
本開示の別の態様は、うつ病を処置することを必要とする対象における、うつ病を処置する方法であって、(i)対象に、1日1回、14日間、約40mgの化合物(1)を1日1回投与するステップ、および(ii)うつ症状の再発に応じて、対象に、1日1回、15日間、約30mgの化合物(1)を再投与するステップを含み、但し、対象への化合物(1)の投与と対象への化合物(1)の再投与との間に、少なくとも6週間の間隔を空けることを条件とする、方法を含む。一態様では、本開示は、うつ病を処置することを必要とする対象における、うつ病を処置する方法であって、(i)対象に、1日1回、14日間、約50mgの化合物(1)を1日1回投与するステップ、および(ii)うつ症状の再発に応じて、対象に、1日1回、15日間、約50mgの化合物(1)を再投与するステップを含み、但し、対象への化合物(1)の投与と対象への化合物(1)の再投与との間に、少なくとも6週間の間隔を空けることを条件とする、方法を含む。
これらの態様の実施形態では、うつ病は、大うつ病性障害または重度大うつ病性障害である。一部の実施形態では、対象は、うつ病関連症状の軽減を示す。一部の実施形態では、うつ病関連症状の軽減は、ベースラインからのHAM-Dスコアの低下によって特徴付けられる。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、処置前に、HAM-D総スコアが少なくとも20であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、処置前に、HAM-D総スコアが少なくとも22であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、処置前に、HAM-D総スコアが少なくとも24であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、処置前に、HAM-D総スコアが少なくとも25であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、処置前に、HAM-D総スコアが少なくとも26であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、処置前に、MADRSスコアが少なくとも28であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、処置前に、MADRSスコアが少なくとも29であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、処置前に、MADRSスコアが少なくとも30であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、処置前に、MADRSスコアが少なくとも31であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、処置前に、MADRSスコアが少なくとも32であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、処置前に、HAM-D総スコアが少なくとも20であること、およびMADRSスコアが少なくとも28であることによって特徴付けられる。
一部の実施形態では、HAM-Dスコアは、HAM-D総スコアである。一部の実施形態では、HAM-Dスコアは、中核的うつ病、Bech-6およびマイヤーHAM-D下位尺度スコアからなる群から選択される、HAM-D下位尺度スコアである。
一部の実施形態では、方法は、対象における全般的健康感の状態を改善する。一部の実施形態では、全般的健康感の状態の改善は、ベースラインからのSF-36v2スコアの少なくとも1つの領域の低下によって特徴付けられる。一部の実施形態では、少なくとも1つの領域は、身体機能(PF)、日常役割機能(身体)(RP)、体の痛み(BP)、全般的健康感(GH)、活力(V)、社会生活機能(SF)、日常生活機能(精神)(RE)または心の健康(MH)である。
本開示の別の態様は、うつ病および不安症を同時に処置することを必要とする対象における、うつ病および不安症を同時に処置する方法であって、対象に、1日1回、14日間、約40mgの化合物(1)を投与するステップを含む方法を含む。一態様では、本開示は、うつ病および不安症を同時に処置することを必要とする対象における、うつ病および不安症を同時に処置する方法であって、対象に、1日1回、14日間、約50mgの化合物(1)を投与するステップを含む、方法を含む。
これらの態様の実施形態では、うつ病は、大うつ病性障害である。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、重度大うつ病性障害である。一部の実施形態では、対象は、不安症関連およびうつ病関連症状の軽減を示す。一部の実施形態では、うつ病関連症状の軽減は、ベースラインからのHAM-Dスコアの低下によって特徴付けられる。一部の実施形態では、HAM-Dスコアは、HAM-D総スコアである。一部の実施形態では、HAM-Dスコアは、HAM-D下位尺度スコアである。一部の実施形態では、HAM-D下位尺度スコアは、中核的うつ病、Bech-6またはマイヤースコアである。一部の実施形態では、不安症関連症状は、ベースラインからのHAM-Aスコアの低下によって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安症関連症状は、ベースラインからのHAM-D不安症下位尺度スコアの低下によって特徴付けられる。一部の実施形態では、対象は、処置前に、HAM-D総スコアが少なくとも20のスコアである。一部の実施形態では、対象は、処置前に、HAM-D総スコアが少なくとも21のスコアである。一部の実施形態では、対象は、処置前に、HAM-D総スコアが少なくとも22のスコアである。一部の実施形態では、対象は、処置前に、HAM-D総スコアが少なくとも24のスコアである。一部の実施形態では、対象は、処置前に、HAM-D総スコアが少なくとも25のスコアである。一部の実施形態では、対象は、処置前に、HAM-D総スコアが少なくとも26のスコアである。一部の実施形態では、対象は、処置前に、MADRS総スコアが少なくとも28のスコアである。一部の実施形態では、対象は、処置前に、MADRS総スコアが少なくとも32のスコアである。一部の実施形態では、対象は、処置前に、HAM-D総スコアが少なくとも20、およびMADRS総スコアが少なくとも28のスコアである。
一部の実施形態では、対象は、処置の開始後の15日目に、HAM-Dスコアの少なくとも13ポイントのベースラインからの低下、およびHAM-Aスコアの少なくとも10ポイントの低下を有する。一部の実施形態では、対象は、処置の開始後の15日目に、HAM-Dスコアの少なくとも14ポイントのベースラインからの低下、およびHAM-Aスコアの少なくとも10ポイントの低下を有する。一部の実施形態では、対象は、処置の開始後の15日目に、MADRSスコアの少なくとも16ポイントのベースラインからの低下、およびHAM-Aスコアの少なくとも10ポイントの低下を有する。
本開示の別の態様は、大うつ病性障害および不安症を同時に処置することを必要とする対象における、大うつ病性障害および不安症を同時に処置する方法であって、(i)対象に、1日1回、14日間、約40mgの化合物(1)を投与するステップ、および(ii)うつ症状の再発に応じて、対象に、1日1回、15日間、約30mgの化合物(1)を再投与するステップを含み、但し、対象への化合物(1)の投与と対象への化合物(1)の再投与との間に、少なくとも6週間の間隔を空けることを条件とする、方法を含む。一態様では、本開示は、大うつ病性障害および不安症を同時に処置することを必要とする対象における、大うつ病性障害および不安症を同時に処置する方法であって、(i)対象に、1日1回、14日間、約50mgの化合物(1)を投与するステップ、および(ii)うつ症状の再発に応じて、対象に、1日1回、15日間、約50mgの化合物(1)を再投与するステップを含み、但し、対象への化合物(1)の投与と対象への化合物(1)の再投与との間に、少なくとも6週間の間隔を空けることを条件とする、方法を含む。
これらの態様の実施形態では、大うつ病性障害は、重度大うつ病性障害である。一部の実施形態では、対象は、不安症関連およびうつ病関連症状の軽減を示す。一部の実施形態では、うつ病関連症状の軽減は、ベースラインからのHAM-Dスコアの低下によって特徴付けられる。一部の実施形態では、HAM-Dスコアは、HAM-D総スコアである。一部の実施形態では、HAM-Dスコアは、HAM-D下位尺度スコアである。一部の実施形態では、HAM-D下位尺度スコアは、中核的うつ病、Bech-6またはマイヤースコアである。
一部の実施形態では、不安症関連症状は、ベースラインからのHAM-Aスコアの低下によって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安症関連症状は、ベースラインからのHAM-D不安症下位尺度スコアの低下によって特徴付けられる。
一部の実施形態では、対象は、処置前に、HAM-Dスコアが少なくとも20のスコアである。一部の実施形態では、対象は、処置前に、HAM-Dスコアが少なくとも21のスコアである。一部の実施形態では、対象は、処置前に、HAM-Dスコアが少なくとも22のスコアである。一部の実施形態では、対象は、処置前に、HAM-Dスコアが少なくとも24のスコアである。一部の実施形態では、対象は、処置前に、HAM-Dスコアが少なくとも25のスコアである。一部の実施形態では、対象は、処置前に、HAM-Dスコアが少なくとも26のスコアである。一部の実施形態では、対象は、処置前に、MADRSスコアが少なくとも28のスコアである。一部の実施形態では、対象は、処置前に、MADRSスコアが少なくとも32のスコアである。一部の実施形態では、対象は、処置前に、HAM-Dスコアが少なくとも20、およびMADRSスコアが少なくとも28のスコアである。
一部の実施形態では、対象は、処置の開始後の15日目に、HAM-Dスコアの少なくとも13ポイントのベースラインからの低下、およびHAM-Aスコアの少なくとも10ポイントの低下を有する。一部の実施形態では、対象は、処置の開始後の15日目に、HAM-Dスコアの少なくとも14ポイントのベースラインからの低下、およびHAM-Aスコアの少なくとも10ポイントの低下を有する。一部の実施形態では、対象は、処置の開始後の15日目に、MADRSスコアの少なくとも16ポイントのベースラインからの低下、およびHAM-Aスコアの少なくとも10ポイントの低下を有する。
本開示の別の態様は、うつ病および不安症を同時に処置することを必要とする対象における、うつ病および不安症を同時に処置する方法であって、対象におけるうつ病および不安症を同時に処置するための一過的投薬レジメンを使用して、対象に、治療有効量の化合物(1)またはその薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法を含む。
この態様の実施形態では、一過的投薬レジメンは、約2~約8週間の期間を有する。一部の実施形態では、一過的投薬レジメンは、約2~約6週間の期間を有する。一部の実施形態では、一過的投薬レジメンは、約2~約4週間の期間を有する。一部の実施形態では、一過的投薬レジメンは、約2週間すなわち14日間の期間を有する。一部の実施形態では、一過的投薬レジメンは、14日間の期間を有する。
一部の実施形態では、対象は、一過的投薬レジメンへの奏効を示し、奏効は、対象のHAMD-17総スコアおよびHAM-A総スコアのベースラインからの約50%を超えるまたはこれに等しい低下によって示される。一部の実施形態では、対象は、うつ症状の再発または再出現に関して評価される。一部の実施形態では、方法は、複数の一過的投薬レジメンを含む。一部の実施形態では、一過的投薬レジメンは、少なくとも6週間の間隔が設けられている。
本開示の別の態様は、うつ病および不安症を同時に処置することを必要とする対象における、うつ病および不安症を同時に処置する方法であって、(i)対象に、1日1回、約2週間、治療有効量の化合物(1)を投与するステップ、および(ii)うつ症状の再発に応じて、対象に、1日1回、約2週間、治療有効量の化合物(1)を再投与するステップを含み、但し、対象への化合物(1)の投与と対象への化合物(1)の再投与との間に、少なくとも6週間の間隔が空けられることを条件とする、方法を含む。
この態様の実施形態では、化合物(1)は、約4週間、対象に再投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間、対象に再投与される。一部の実施形態では、対象への化合物(1)の投与と対象への化合物(1)の再投与との間の間隔は、約45日間である。一部の実施形態では、対象への化合物(1)の投与と対象への化合物(1)の再投与との間の間隔は、約8週間である。
一部の実施形態では、対象は、女性であり、うつ病は、産後うつ病(PPD)である。一部の実施形態では、対象は、女性であり、産後、約6か月またはそれ未満である。一部の実施形態では、PPDは、対象の妊娠第3期から産後4週間までの時間点に発生した大うつ病エピソードとして定義される。
一部の実施形態では、対象は、化合物(1)の投与前に、HAMD-17検査が24またはそれより高いスコアとなった。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)の投与前に、HAMD-17検査が26またはそれより高いスコアとなった。一部の実施形態では、対象は、一過的投薬レジメンの開始後の15日目に、HAMD-17検査が10またはそれ未満、およびHAM-A検査が10またはそれ未満のスコアとなる。一部の実施形態では、対象は、一過的投薬レジメンの開始後の15日目に、HAMD-17検査が7またはそれ未満、およびHAM-A検査が7またはそれ未満のスコアとなる。一部の実施形態では、対象は、一過的投薬レジメンの開始後の15日目に、MADRS検査が13またはそれ未満、およびHAM-A検査が10またはそれ未満のスコアとなる。一部の実施形態では、対象は、一過的投薬レジメンの開始後の15日目に、MADRS検査が10またはそれ未満、およびHAM-A検査が7またはそれ未満のスコアとなる。一部の実施形態では、対象は、一過的投薬レジメンの開始後の45日目に、HAMD-17検査が10またはそれ未満、およびHAM-A検査が10またはそれ未満のスコアとなる。一部の実施形態では、対象は、一過的投薬レジメンの開始後の45日目に、HAMD-17検査が7またはそれ未満、およびHAM-A検査が7またはそれ未満のスコアとなる。一部の実施形態では、対象は、一過的投薬レジメンの開始後の45日目に、MADRS検査が13またはそれ未満、およびHAM-A検査が10またはそれ未満のスコアとなる。一部の実施形態では、対象は、一過的投薬レジメンの開始後の45日目に、MADRS検査が10またはそれ未満、およびHAM-A検査が7またはそれ未満のスコアとなる。一部の実施形態では、対象は、約18~約65歳の間の年齢である。一部の実施形態では、対象は、約18~約45歳の間の年齢である。
一部の実施形態では、治療有効量は、約25mg~約35mgの化合物(1)である。一部の実施形態では、治療有効量は、約30mgの化合物(1)である。一部の実施形態では、対象は、治療有効量の化合物(1)を1日1回、投与される。一部の実施形態では、対象に投与される化合物(1)の量は、重度の有害効果が発生すると、低減される。一部の実施形態では、化合物(1)は、夕方に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、食物と一緒に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、カプセル剤中に存在する。一部の実施形態では、第2の治療剤の投与をさらに含む方法。
本開示の別の態様は、化合物(1)を含む複数の個々の投薬量単位および使用説明書のセットを含むキットを使用して、うつ病および不安症を同時に処置することを必要とする対象における、うつ病および不安症を同時に処置する方法であって、使用説明書のセットが、一過的投薬レジメンを使用して、投薬量単位を対象に投与するための方法を説明する、方法を含む。
この態様の実施形態では、一過的投薬レジメンは、約2~約8週間の期間を有する。一部の実施形態では、一過的投薬レジメンは、約2~約6週間の期間を有する。一部の実施形態では、一過的投薬レジメンは、約2~約4週間の期間を有する。一部の実施形態では、一過的投薬レジメンは、約2週間の期間を有する。一部の実施形態では、一過的投薬レジメンは、2週間の期間を有する。一部の実施形態では、対象は、女性であり、産後うつ病と診断されている。
本開示の別の態様は、複数の治療的に有効な投薬量の化合物(1)、ならびにうつ病および不安症を同時に処置するための一過的投薬レジメンを使用して投薬量を投与する方法を説明する使用説明書のセットを含むキットを含む。
この態様の実施形態では、投薬量は、化合物(1)の個々の投薬量単位である。一部の実施形態では、個々の投薬量単位は、約25mg~約35mgの化合物(1)を含む。一部の実施形態では、個々の投薬量単位は、約30mgの化合物(1)を含む。一部の実施形態では、一過的投薬レジメンは、約2~約8週間の期間を有する。一部の実施形態では、一過的投薬レジメンは、約2~約6週間の期間を有する。一部の実施形態では、一過的投薬レジメンは、約2~約4週間の期間を有する。一部の実施形態では、一過的投薬レジメンは、約2週間すなわち14日間の期間を有する。一部の実施形態では、一過的投薬レジメンは、2週間の期間を有する。一部の実施形態では、うつ病は、産後うつ病(PPD)である。
一部の実施形態では、使用説明書のセットは、好適な材料に印刷されている。一部の実施形態では、個々の投薬量単位は、カプセル剤または錠剤である。一部の実施形態では、個々の投薬量単位は、カプセル剤である、一部の実施形態では、個々の投薬量単位は、サイズ1、2、3または4のカプセル剤である。一部の実施形態では、カプセル剤はサイズ1である。
一部の実施形態では、方法は、対象における認知機能を改善する。一部の実施形態では、方法は、対象における認知障害をもたらさない。
一部の実施形態では、対象はまた、化合物(1)の投与前に、不眠症を経験する。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)の投与前の対象のHAMD-17-Ins検査スコアと比べ、一過的投薬レジメンの開始後3日目に、HAMD-17-Ins検査に関して、少なくとも3ポイント低いスコアとなる。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)の投与前の対象のMADRS-Ins検査スコアと比べ、一過的投薬レジメンの開始後3日目に、MADRS-Ins検査に関して、少なくとも2ポイント低いスコアとなる。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)の投与前の対象のHAMD-17-Ins検査スコアと比べ、一過的投薬レジメンの開始後15日目に、HAMD-17-Ins検査に関して、少なくとも3ポイント低いスコアとなる。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)の投与前の対象のMADRS-Ins検査スコアと比べ、一過的投薬レジメンの開始後15日目に、MADRS-Ins検査に関して、少なくとも2ポイント低いスコアとなる。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)の投与前の対象のHAMD-17-Ins検査スコアと比べ、一過的投薬レジメンの開始後45日目に、HAMD-17-Ins検査に関して、少なくとも3ポイント低いスコアとなる。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)の投与前の対象のMADRS-Ins検査スコアと比べ、一過的投薬レジメンの開始後45日目に、MADRS-Ins検査に関して、少なくとも2ポイント低いスコアとなる。
一部の実施形態では、対象は、化合物(1)の投与前の対象のHAMD-17-A/S検査スコアと比べ、一過的投薬レジメンの開始後15日目に、HAMD-17-A/S検査に関して、少なくとも5ポイント低いスコアとなる。
一部の実施形態では、対象は、化合物(1)の投与前の対象のEPDS-3A検査スコアと比べ、一過的投薬レジメンの開始後15日目に、EPDS-3A検査に関して、少なくとも2ポイント低いスコアとなる。
一部の実施形態では、対象は、化合物(1)の投与前の対象のHAMD-17-A/S検査スコアと比べ、一過的投薬レジメンの開始後45日目に、HAMD-17-A/S検査に関して、少なくとも5ポイント低いスコアとなる。
一部の実施形態では、対象は、化合物(1)の投与前の対象のEPDS-3A検査スコアと比べ、一過的投薬レジメンの開始後45日目に、EPDS-3A検査に関して、少なくとも3ポイント低いスコアとなる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法は、対象における全般的健康感の状態を改善する。
一部の実施形態では、対象は、化合物(1)の投与前の対象のSF-36v2検査スコアと比べ、一過的投薬レジメンの開始後15日目に、SF-36v2検査の5つの領域において、少なくとも10ポイントより高いスコアとなる。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)の投与前の対象のSF-36v2検査スコアと比べ、一過的投薬レジメンの開始後45日目に、SF-36v2検査の5つの領域において、少なくとも10ポイントより高いスコアとなる。一部の実施形態では、SF-36v2検査の5つの領域は、社会生活機能、心の健康、身体機能、日常役割機能(身体)、体の痛みおよび心の健康度(mental health component summary)である。
(実施例1)
大うつ病性障害を有する成人対象の処置における、化合物(1)の効力を評価する、複数の機関での第3相二重盲検無作為化プラセボ対照研究。
Figure 2024515829000047
Figure 2024515829000048
研究の表題:大うつ病性障害を有する成人対象の処置における、化合物(1)の効力を評価する、複数の機関での第3相二重盲検無作為化プラセボ対照研究
ClinicalTrials.gov識別番号:NCT04442490
対象参加の計画期間:最大で70日間(最大で28日間のスクリーニング期間、14日間の二重盲検処置期間、および28日間の二重盲検経過観察期間)。
緒言
大うつ病性障害(MDD)は、複雑な異質性障害であり、米国および世界中において、能力障害の主要原因の1つである。2019年に、米国における1,940万人の成人が、この過去1年以内に大うつ病エピソードを経験し、ほぼ1,280万人が処置を受けた。MDDを有する患者は、深刻な機能的障害に関連するうつ病エピソードを経験する。米国では、過去1年に大うつ病エピソードを経験した成人のほぼ60%が、シーハン障害尺度によって測定される場合に、少なくとも1つの機能領域(社会、職業、教育または家族)において、重度または非常に重度の障害も経験した。MDDの処置の目的は、機能的障害を軽減することによる、症状の寛解、再燃および再発の予防、ならびに生活の質の改善である。
選択的セロトニン再取り込み阻害剤などのMDDに対する標準治療法は、多くの場合、うつ症状を改善するためには、数週間または数か月間を要する。(Rush AJ, et al. Acute and longer-term outcomes in depressed outpatients requiring one or several treatment steps: a STAR*D report. Am J Psychiatry 2006; 163: 1905-1917. 2006)。これらの治療法はまた、自殺念慮、体重増加、性機能不全、認知障害、不眠症、不安症および鎮静などのいくつかの有害な副作用を伴い、これらは、治療の中止をもたらすことがある(Gelenberg AJ FM, Markowitz JC. APA Practice Guideline for the Treatment of Patients With Major Depressive Disorder. Am J Psychiatry 2010: 1-152)。様々な処置奏効および有害な副作用がMDDを有する患者にもたらされ、多くの場合、症状の寛解を実現するためには、抗うつ剤治療法(ADT)の複数の変更を必要とする。うつ病軽減のための代替連続治療法(Sequenced Treatment Alternatives to Relieve Depression)研究(STAR*D、NCT00021528)では、ADTの複数のレジメンが必要とされる場合、MDDを有する患者における寛解率が低下した(第1の処置では36.8%の寛解であるのに対し、第4の処置の場合、13.0%の寛解)。標準治療法の場合、処置奏効が遅れることおよび治療変更を頻繁に必要とすることが処置に対する障壁となり、能力障害の長期化および機能回復の遅れを引き起こす。作用の発生が速やかで、奏効率および寛解率が高く、標準治療のADTの場合に一般に見られる有害な副作用を最小限にする処置選択肢に対する必要性が満たされていない。
この満たされていない必要性に対処するため、新規作用機序を有する新たな治療法が開発中である。例えば、SUSTAIN-1試験(NCT02493868)における、興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸の活性をモジュレートする薬物である、エスケタミンは、処置抵抗性うつ病に対して効力があることを実証した。γ-アミノ酪酸(GABA)は、脳における一次抑制性神経伝達物質であり、適応シグナル伝達において、興奮性グルタミン酸神経伝達のバランスをとることによって、重要な役割を果たしている。GABAのレベルは、うつ病を有する患者の血漿および脳脊髄液中で低下する。しかし、MDDの処置のためにGABAシグナル伝達をモジュレートする治療可能性は、探索不足である。
GABAによる阻害性シグナル伝達は、プロゲステロン代謝産物であるアロプレグナノロンなどの神経活性ステロイドによって内因的に影響を受ける。アロプレグナノロンは、それぞれ、シナプスおよびシナプス外GABAタイプA受容体(GABAAR)のモジュレーションにより、相動性および持続性阻害性神経伝達の両方を賦活する。これは、相動性阻害およびシナプスGABAARだけを標的とする、ベンゾジアゼピンの機構とは区別される。持続性および相動性阻害は、一過的および長期のGABA作動性シグナル伝達を媒介し、両方を治療的に標的することにより、処置の速やかな開始と持続的作用の両方を実現し、うつ病の処置の可能性を有することができる。
目的
一次:プラセボと比較した、大うつ病性障害(MDD)の処置における化合物(1)の効力を評価した。
二次:患者報告アウトカム(PRO)の尺度は、健康関連の生活の質およびうつ症状に関係するので、それを評価した。
安全性目的:化合物(1)の安全性および耐容性を評価した。
他の目的:集団PK手法を使用して、化合物(1)のPKを評価した。
エンドポイント
一次エンドポイント:
- この研究の一次エンドポイントは、15日目における、17項目HAM-D総スコアのベースラインからの変化とした
重要な二次エンドポイント:
- 15日目におけるCGI-Sのベースラインからの変化
- 8日目、3日目および42日目における、HAM-D総スコアのベースラインからの変化
重要な二次エンドポイントは、各ステップにおいて、0.05の有意レベルで逐次、研究した(いずれかのステップでp値が>0.05であった場合、正式な研究を停止した)
他の二次エンドポイント:
- 15日目および42日目におけるHAM-D奏効(ベースラインからのHAM-D総スコアの≧50%低下)
- 15日目および42日目における、HAM-D寛解(HAM-D≦7)
- 15日目における、「中等度改善」または「著明改善」と定義されるCGI-I奏効
- 15日目におけるMADRS総スコアのベースラインからの変化
- 15日目におけるHAM-A総スコアのベースラインからの変化
- 最初のHAM-D奏効までの時間
- SF-36v2への回答によって評価される健康関連の生活の質のRPO尺度、およびPHQ-9によって評価されるうつ症状のPRO尺度のベースラインからの変化
安全性エンドポイント:
- 有害事象/深刻な有害事象の出現率および重篤度
- 臨床検査尺度のベースラインからの変化、バイタルサインおよび心電図(ECG)
- コロンビア自殺重篤度評価尺度(C-SSRS)を使用する、自殺念慮および行為
- 20項目医師用離脱症状チェックリスト(PWC-20)を使用する、潜在的離脱症状
他のエンドポイント:
- 集団PK法により評価される、PKパラメータ(例えば、クリアランス)および曝露推定値(例えば、投薬間隔にわたる曲線下面積、最大血漿中濃度)
研究の説明
これは、MDDを有する対象における、無作為化した、二重盲検の並行群プラセボ対照研究とした。MDDの診断は、有資格ヘルスケア専門家によって行われた、診断的およびDSM-5に関する構造化臨床面接、臨床試験バージョン(SCID-5-CT)に従って行った。
この研究は、最大で28日間のスクリーニング期間、14日間の処置期間、および28日間の二重盲検経過観察期間を有した。
スクリーニング期間は、スクリーニング訪問時のICFの署名から開始した。ICFは、いずれかのスクリーニング活動を開始する前に、署名がされていなければならない。研究のためのインフォームドコンセントを提示する際、対象はまた、別の臨床研究への参加により除外基準を満たす可能性のある対象を特定する目的で、対象の独自の対象識別子がレジストリ(www.subjectregistry.com)に入力されることを許可するよう求められた。
対象は、HAM-DおよびCGI-Sの完了を含む適格性を判定するため、スクリーニング訪問時に、予備スクリーニング手順を受けた。
抗うつ剤は許可され、提供を受けた対象は、1日目より前の少なくとも60日間、安定用量を服用し、経過観察期間(42日目)まで、安定用量を服用し続けることに同意した。スクリーニングと42日目の評価の完了との間に、新たな抗うつ剤も、効力または安全性エンドポイントに影響を及ぼす可能性を有し得る他のいずれの薬品も開始は許可されなかった。
適格対象を抗うつ剤処置の使用(使用中/安定している、または未処置/≧60日間に離脱)に基づいて階層化し、各階層内で無作為化して、1:1の比の2つの処置群の1つとした(化合物(1)-50mgまたはマッチングプラセボ)。対象は、14日間、外来基準に基づいて、脂肪含有食と共に(例えば、脂肪を含有する夕食の1時間以内、または脂肪含有スナックと一緒に)ほぼ8PMに1日1回、治験薬を自己投与した。対象は、表1に概説されている通り、処置および経過観察期間の間に研究施設に戻った。
処置期間の間、対象は、用量を制限する安全性/耐容性懸念がない限り、治験薬を服用することが可能であった。50mgを耐容することができなかった対象は、処置期間の残りの間、40mgを服用した。治験責任医師の自由裁量で、40mgの用量を耐容することができなかった対象は、治験薬を中断することができた。
対象数
最大で575名の対象を無作為化し、投薬して、すべての解析のための十分な評価可能な対象を得た。
処置割り当て
1日目に、対象を処置群に無作為に割り当て、ベースラインにおける抗うつ剤処置の使用(使用中/安定している、または未処置/≧60日間に離脱)に基づいて階層化した。1:1の比で各階層内で無作為化を行って、化合物(1)50mgまたはマッチングプラセボを服用した。
用量調節基準
対象は、用量を制限する安全性/耐容性懸念がない限り、治験薬を服用することが可能であった。50mgを耐容することができなかった対象は、処置期間の残りの間、40mgを服用した。治験責任医師の自由裁量で、40mgの用量を耐容することができなかった対象は、治験薬を中断することができた。
対象の選択基準
適格対象は、以下の基準のすべてを満たさなければならなかった:
1. 対象は、いずれかの研究指定手順が行われる前に、ICFに署名している。
2. 対象は、18~64歳の間(これらを含む)の男性または女性であった。
3. 対象は、良好な身体的健康状態にあり、身体検査、12誘導ECGまたは臨床検査に関して、治験責任医師によって判定される、臨床的に重要な所見を有さなかった。
4. 対象は、夜間シフトの仕事をしないことを含め、研究要件を順守することに同意した。
5. 対象は、少なくとも4週間の期間、存在する症状を含む、SCID-5-CTによって診断されるMDDの診断を有した。
6. 対象は、スクリーニング時および1日目(投薬前)に、HAM-D総スコア≧24を有した。
7. 抗うつ剤を服用する対象は、これらの薬品を1日目より前の少なくとも60日間、同じ用量で服用しなければならない。60日以内に抗うつ剤の服用を停止した対象は、1日目より前に、抗うつ剤の5半減期分より長い間、停止しなければならない。心理療法を受けている対象は、1日目より前の少なくとも60日間、定期的なスケジュールで治療を受けなければならない。
8. 対象は、42日目の訪問の完了後まで、必要に応じたベンゾジアゼピン抗不安薬および睡眠補助剤を含めた、他の抗うつ剤または抗不安剤および任意の新たな薬物療法レジメンの開始を遅らせることに前向きであった。
9. 女性対象は、閉経(別の医学的原因なく12か月間、月経がないと定義され、かつ卵胞刺激ホルモン[FSH]>40mIU/mLによって確認された)している、外科的に不妊(子宮摘出術または両側卵巣摘出術)である、または妊娠のリスクを有する性的関係に関わっていない場合を除き、処置期間中および治験薬の最後の投薬の後の30日間、以下の避妊方法の1つの使用に同意した:
- 排卵抑制を伴う、(エストロゲンおよびプロゲストーゲン含有)経口、膣内または経皮ホルモン避妊の併用。
- 排卵抑制を伴う、経口、注射可能な、または埋め込み可能なプロゲストーゲン単独ホルモン避妊。
- 子宮内デバイス
- 子宮内ホルモン放出系
- 両側卵管結紮術/閉塞
- 精管切除済みパートナー
10. 男性対象は、対象が妊娠のリスクを有する性的関係に関わっていない場合を除き、処置期間の間、および治験薬の最後の用量を服用した後の5日間、有効な避妊の許容される方法の使用に同意した。男性の場合の有効な避妊の許容される方法は、精管切除、または女性パートナーが出産可能な場合、高度に有効な女性の避妊方法(許容される避妊方法に関しては、選択基準9番を参照されたい)と共に使用される、殺精子剤を含むまたは含まないコンドームを含んだ。
11. 男性対象は、処置期間、および治験薬の最後の用量を服用した後の5日間に、精子提供を慎むことに前向きであった。
12. 対象は、研究期間の間、乱用薬物およびアルコールを控えることに同意した。
対象の除外基準
以下の基準のいずれかを満たした対象は、研究の参加から不適格とした:
1. 対象は、治験責任医師によって判断すると、自殺の大幅なリスクにあったか、またはMDDの現在起きているエピソードに関連する自殺を試みた。
2. 対象は、妊娠中もしくは産後4週間、現行のうつ病エピソードの発生を有したか、または対象は、産後6か月の期間の間に、スクリーニングに訪れていた。
3. 対象は、治験責任医師の見解で、対象がこの臨床研究を完了または参加する能力を制限すると思われる、代謝、肝臓、腎臓、血液学、肺、心血管、胃腸管、筋骨格、皮膚、泌尿生殖、神経、もしくは眼、耳、鼻および咽頭の障害、または他の任意の急性もしくは慢性状態の最近の病歴あるいは活動中の臨床的に重要な兆候を有した。BMI≦18または≧45kg/m2は除外した。スクリーニング時のBMIが40~44.9kg/m2(これらを含む)である場合、上記の医療合併症のより幅広い評価の対象となった。
4. 対象は、少なくとも4週間の処置の間、2種の異なるクラスからの現行の大うつ病エピソードの範囲内の適正用量の抗うつ剤による処置(抗精神病薬を除く)にもかかわらず、永続性うつ症状として定義される、処置抵抗性うつ病を有した。Massachusetts General Hospital抗うつ剤治療奏効質問票(MGH ATRQ)をこの目的に使用する。
5. 対象は、迷走神経刺激、電気ショック療法を有したか、または現行の大うつ病エピソード内でケタミンを服用している。
6. 対象は、化合物(1)、アロプレグナノロンまたは関連化合物に対して既知のアレルギーを有した。
7. 対象は、スクリーニング時もしくは治験薬投与の開始前の1日目に、妊娠検査に陽性であったか、または対象が、スクリーニング時もしくは1日目(治験薬の投与前)に授乳している場合に、1日目の治験薬の服用直前から治験薬の最後の投薬後の7日目まで、該対象の子供への授乳を一時的に中止することに同意しなかった。
8. 対象は、スクリーニング時に、検出可能なB型肝炎表面抗原(HBsAg)、抗C型肝炎ウイルス(HCV)および陽性のHCVウイルス負荷またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体を有した。
9. 対象は、スクリーニング時またはベースライン訪問時に、臨床的に重要な12誘導ECGの異常を有した。注:男性では、>450msec、または女性では、>470msecの、Fridericia法(QTcF)を使用して計算した平均QT間隔は、研究からの除外基準になろう。
10. 対象は、治験責任医師の評価により、活動中の精神疾患を有した。
11. 対象は、発作の病歴を有した。
12. 対象は、双極性障害、統合失調症および/または統合失調感情障害の病歴を有した。
13. 対象は、スクリーニング前の12か月間に、DSM-5基準を使用して診断された軽度、中程度または重度の物質使用障害(ベンゾジアゼピンを含む)歴を有した。
14. 対象は、スクリーニング前の30日以内に、別の被験薬品またはデバイスに曝露した。
15. 対象は、化合物(1)またはSAGE-547(ブレキサノロン)臨床試験に以前に参加したことがあった。
16. 治験薬の最初の投薬前の28日または5半減期分以内(どちらか長い方)にシトクロムP450(CYP)3A4の任意の公知の強力な阻害剤を使用したか、あるいは14日以内に、グレープフルーツジュース、グレープフルーツもしくはセビルオレンジ、またはこれらを含有する製品を摂取した。
17. 治験薬の最初の投薬前の28日以内に、リファンピン、カルバムアゼピン、エンザルタミド、ミトタン、フェニトインまたはセントジョンズワートなどの任意の強力なCYP3A誘導剤を使用した。
18. 対象は、スクリーニング時、または投薬前の1日目に、薬物および/またはアルコールのスクリーニングに陽性を有した。
19. 対象は、42日目の訪問の完了前に、待機的手術を受ける計画があった。
20. 対象は、-28日目に、ベンゾジアゼピン、バルビツレートもしくはGABAAモジュレータ(例えば、エスゾピクロン、ゾピクロン、ザレプロンおよびゾルピデム)を服用していたか、または1年間を超える間、これらの薬剤を毎日もしくはほぼ毎日(1週間あたり≧4回)使用してきた。対象は、1日目の60日前から、≧48時間の半減期を有するベンゾジアゼピン、またはGABAモジュレータ(例えば、ジアゼパム)のいずれかを服用していた。
21. 対象は、-14日目に、非GABA抗不眠症薬(例えば、メラトニン、ベナドリル[抗ヒスタミン薬]、トラゾドン)または第一世代もしくは第二世代(定型/非定型)抗精神病薬を服用していた。
22. 対象は、スクリーニング前の過去1年以内に任意のタイプのがん(基底細胞癌および表皮内黒色腫を除く)と診断されていた、および/またはそれに対して処置されていた。
23. 対象は、睡眠時無呼吸歴を有した。
24. 対象は、胃バイパス手術、胃スリーブもしくはラップバンドを有したか、または胃腸管通過を妨げる任意の関連手順を受けた。
25. 対象は、-28日目に、定期的にまたは必要に応じて、神経刺激薬(例えば、メチルフェニデート、アンフェタミン)またはオピオイドを服用していた。
治験薬
対象は、14日間、食物と共にほぼ8PMに、化合物(1)(50mgまたは40mg[許可された場合のみ用量調節のため])、またはマッチングプラセボを1日1回、経口により自己投与した。50mgおよび40mg用量を、用量あたり2個のカプセル剤として投与した(50mgの場合、30mgのカプセル剤1個および20mgのカプセル剤1個として投与し、40mgの場合、20mgのカプセル剤2個として投与した)。プラセボもまた、2個のカプセル剤として投与して、盲検を維持した。
以前の薬、併用薬および制限
以前のおよび併用の薬および/または補給物
スクリーニング前の30日以内および研究期間全体を通して服用されたすべての薬品および/または補給物の、開始日および終了日、経路、用量/単位、頻度、および適応症を記録した。さらに、スクリーニング前の6か月間に服用した向精神薬を記録した。
対象の福祉に必要な、決定される任意の薬品および/または補給物は、研究中の任意の時間において、治験責任医師の自由裁量で与えることができた。
1日目より前の少なくとも60日間、同じ用量で服用された抗うつ剤は、対象が、42日目まで安定用量を継続するつもりであった場合に許可された。
避妊を意図した以下の薬品が、女性対象の場合、許可された:
- 排卵抑制を伴う、(エストロゲンおよびプロゲストーゲン含有)経口、膣内または経皮ホルモン避妊の併用
- 排卵抑制を伴う、経口、注射可能な、または埋め込み可能なプロゲストーゲン単独ホルモン避妊
- 子宮内デバイス
- 子宮内ホルモン放出系
禁止薬品
以下の具体的なクラスの薬品が禁止された:
・ 42日目の訪問まで、新たな向精神薬の開始
・ 1日目の60日前から42日目の訪問まで、新たな抗うつ剤治療法の開始
・ -28日目から42日目の訪問まで、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、GABAAモジュレータ、GABA含有薬剤のいずれか(≧48時間の半減期を有するベンゾジアゼピン、またはGABAモジュレータの場合、-60日目から)の使用
・ -28日目から42日目の訪問まで、長期間または必要に応じた、神経刺激薬(例えば、メチルフェニデート、アンフェタミン)またはオピオイド
・ -14日目から42日目の訪問まで、第一世代(定型)抗精神病薬(例えば、ハロペリドール、ペルフェナジン)および第二世代(非定型)抗精神病薬(例えば、アリピプラゾール、クエチアピン)
・ -14日目から42日目の訪問まで、非GABA抗不眠症薬(例えば、メラトニン、ベナドリル[抗ヒスタミン薬]、トラゾドン、低用量クエチアピン、ミルタザピンなど)のいずれかの使用
・ スクリーニングの30日前から42日目の訪問まで、別の被験薬品またはデバイスへの曝露。
・ -28日目または1日目の5半減期分前から処置期間(どちらか長い方)までの、任意の公知の強力な阻害剤CYP3A4。
・ -28日目から処置期間まで、リファンピン、カルバムアゼピン、エンザルタミド、ミトタン、フェニトインまたはセントジョンズワートなどの任意の強力なCYP3A誘導剤の使用。
他の制限
グレープフルーツジュース、グレープフルーツもしくはセビルオレンジ、またはこれらを含有する製品の摂取は、処置期間全体を通して禁止された。
アルコールの消費、または乱用薬物の使用は、研究期間全体を通して止めさせた。
母乳を出しているか、または積極的に授乳している女性対象は、治験薬の1日目から始めて最後の投薬後の7日目まで、赤ん坊への授乳を中止しなければならない。
42日目の訪問まで、待機的手術も手順も禁止された。
対象は、夜間シフトの仕事をしてはならない。
鎮静状態、傾眠および/または目まいを感じている対象は、運転、または覚醒を必要とするいずれの活動への関与も差し控えられた。
1日目の前の少なくとも60日間、定期的なスケジュールで心理療法を受けている対象は、対象が、経過観察期間(42日目)まで安定用量を継続するつもりであった場合に許可された。
治験薬の説明
化合物(1)は、白色からオフホワイト色の粉末を含有する硬質ゼラチンカプセル剤として利用可能であった。活性化合物(1)カプセル剤は、指定量の化合物(1)の原薬に加え、賦形剤として、クロスカルメロースナトリウム、マンニトール、ケイ化マイクロクリスタリンセルロース(SMCC)、コロイド状二酸化ケイ素およびフマル酸ステアリルナトリウムを含有した。カプセル剤は、20mgおよび30mgの用量強度で利用可能であった。
マッチングプラセボカプセル剤は、活性カプセル剤に関して一覧表示されている賦形剤だけを含有する硬質ゼラチンカプセル剤とした。
治験薬のパッケージングおよびラベル付け
化合物(1)のカプセル剤およびマッチしたプラセボカプセル剤は、適切にラベルが付けられた、密封単位用量を含有する、対象に固有のキットで、治験薬の調剤の責任を負う診療所の薬剤師および/または設計施設の職員に提供された。各単位用量は、2個のカプセル剤からなった。
パッケージングおよびラベル付けに関する追加情報は、薬局のマニュアルに提示された。
統計学的方法:
研究において行われる統計解析の詳細な説明は、統計解析計画(SAP)に提示した。個々のSAPは、研究のパートごとに作成した。各研究パートのSAPは、処置の各個々のパートの盲検化を解除する前に、最終決定および承認された。
一般的考察
必要に応じて、すべての安全性および効力解析の目的のため、ベースラインは、治験薬投与の開始前の最後の測定値として定義した。
連続エンドポイントは、n、平均、標準偏差、メジアン、最小値および最大値を用いて、記述的に要約した。さらに、ベースライン値からの変化は、各時間点において計算し、記述的に要約した。カテゴリーエンドポイントに関しては、記述要約は、計数およびパーセンテージを含んだ。
解析対象集団
- 無作為化集団は、無作為化された全対象として定義した。
- 安全性集団は、治験薬を投与された全対象として定義した。
- 最大解析対象集団は、有効なベースラインHAM-D総スコアが少なくとも1のベースライン後HAM-D総スコアを有する安全性集団における全無作為化対象として定義した。
- 修正最大解析対象集団(mFAS)は、FAS中のベースラインにおける総HAM-Dスコア≧26を有する全参加者として定義した。
- PK集団は、少なくとも1の血漿中濃度を有する安全性集団における全対象として定義した。
試料サイズの決定
両側アルファレベルを0.05と仮定すると、216名の評価可能な対象の試料サイズは、15日目における、一次エンドポイントでのほぼ4ポイントのプラセボ調節した処置の差異、すなわち、HAM-D総スコアのベースラインからの変化を検出する90%の検出力をもたらし、標準偏差(SD)を9ポイントと仮定する。脱落率を10%、各階層内の無作為化比を1:1(ベースラインにおける抗うつ剤の使用、ありまたはなし)と仮定すると、216名の評価可能な対象を得るには合計でほぼ240名の無作為化対象が必要であった。評価可能な対象は、治験薬の投与を受け、有効ベースラインおよび少なくとも1のベースライン後HAM-D評価を有する無作為化対象として定義した。重要な二次エンドポイントのより高い解析力を得るため、最大で575名の対象を無作為化した。
一次エンドポイントの解析
一次効力解析に関する推定値は、15日目における、HAM-D総スコアのベースラインからの平均変化とした。これは、反復測定の混合効果モデル(MMRM)を使用して解析した。モデルは、説明変数として、処置、ベースラインHAM-D総スコア、層別因子、評価時間点および処置ごとの時間点を含んだ。説明変数はすべて、固定効果として取り扱った。ベースライン後時間点のすべてをモデルに含ませた。主な比較は、15日の時間点における化合物(1)とプラセボとの間とした。モデルベースのポイント推定値(例えば、最小二乗[LS]平均、95%信頼区間およびp値)を必要に応じて報告した。非構造化共分散構造を使用して、対象内エラーをモデル化した。非構造化共分散モデルの場合に収束問題がある場合は、テプリッツまたは自己回帰(1)[AR(1)]共分散構造を使用し、収束が達成されるまでこの順序に従った。モデルが依然として、AR(1)構造に収束しない場合、結果を報告しなかった。共分散構造がUNではない場合、分散共分散行列のサンドイッチ推定量は、SASにおけるPROC MIXEDステートメントにおけるEMPIRICALオプションを使用して誘導した。
二次エンドポイントの解析
一次エンドポイントに関する上記の方法と同様に、ベースラインからの変化に関しては、他の時間点における、HAM-D総スコア、MADRS総スコア、HAM-A総スコア、SF-36v2スコア、PHQ-9スコア、ならびにHAM-Dにおける選択された個々の項目および/または下位尺度スコアのベースラインからの変化の解析にMMRMを使用した。
一般化推定方程式(GEE)法を、HAM-D奏効(HAM-D総スコアのベースラインからの≧50%低下と定義)およびHAM-D寛解(HAM-D総スコアが≦7.0と定義)の解析に使用した。GEEモデルは、説明変数として、処置の期間、ベースラインスコア、層別因子、評価時間点および処置ごとの時間点を含んだ。目的の比較は、15日の時間点における化合物(1)とマッチングプラセボとの間の差異とした。モデルベースのポイント推定値(例えば、オッズ比)、95%信頼区間およびp値を報告した。
GEE法はまた、説明変数として、処置の期間、ベースラインCGI-Sスコア、層別因子、評価時間点および処置ごとの時間点を含めた、CGI-I奏効の解析にも使用した。
安全性解析
治験薬の安全性および耐容性は、有害事象/深刻な有害事象の出現率、バイタルサイン、臨床検査評価および12誘導ECGによって評価した。
自殺傾向は、C-SSRSによってモニタリングした。化合物(1)の中止後の潜在的離脱症状は、PWC-20を使用して評価した。
薬物動態解析
化合物(1)の濃度-時間データを、非線形混合効果モデルを使用して評価した。モデルを使用して、集団PKパラメータを推定し、観察されるばらつきの一因となり得るいずれの共変量も特定した。この研究からのデータを他の研究からのデータと一緒にして、解析を裏付けることができ、個別に報告することができた。
Figure 2024515829000049
Figure 2024515829000050
Figure 2024515829000051
CGI-I=臨床全般印象度-改善;CGI-S-臨床全般印象度-重篤度;C-SSRS=コロンビア自殺重篤度評価尺度;D=日目;EOT=処置の終了;ET=早期中止;ECG=心電図;FSH=卵胞刺激ホルモン;HAM-A=ハミルトン不安評価尺度;HAM-D=うつ病に関するハミルトン評価尺度、17項目;HIV=ヒト免疫不全ウイルス;MADRS=モンゴメリー-アスベルグうつ病評価尺度;MGH ATRQ=Massachusetts General Hospital抗うつ剤治療奏効質問票;PHQ-9=9項目の患者健康質問票;PWC-20=20項目医師用離脱症状チェックリスト;O=必要に応じた;PK=薬物動態;SCID-5-CT=精神障害の診断および統計マニュアルの構造化臨床面接、第5版臨床研究バージョン;SF-36v2=36項目簡易形式質問票バージョン2;V=訪問。
早期に処置を中止した対象は、できる限り、好ましくは、処置を中止した翌日に、処置の終了(EOT)の訪問のために施設に戻るべきである。必要に応じて、対象が治験薬を中止し、診療所訪問中の同日にこの研究を終了した場合、EOTおよびETの訪問を同日にすることができる。この場合、すべてのEOT訪問評価は、簡易の身体検査に加えて実施されるべきである。
対象には、別の臨床研究への参加が理由で除外基準を満たす可能性のある対象を特定する目的で、独自の対象識別子がレジストリ(www.subjectregistry.com)に入力されることを許可するよう求められる。
血清卵胞刺激ホルモン検査は、≧12か月間の自然無月経の女性対象がプロトコールで定められた閉経後基準を満たしているかどうかを確認するために、外科的に不妊でない女性参加者のスクリーニングにおいて実施する。
COVID-19による診断、隔離および/または入院に関する情報は、スクリーニング時および研究全体を通じた、病歴、AEの収集、ならびに以前の/併用の薬/手順の収集の一部として文書化する。
対象は、施設職員によって研究の実施に必要なソフトウェアアプリケーションおよびデバイスの使用に関する訓練を受ける。
スクリーニング時に完全な身体検査を実施し、その後、簡易身体検査が行われる。完全な身体検査には、身体系(例えば、頭部、眼、耳、鼻および咽頭、心臓、肺、腹部ならびに四肢)の評価が含まれる。簡易身体検査には、簡単な病歴とその後の標的を絞った身体検査が含まれる。
安全性臨床検査は、血液学、血清化学、凝固および尿検査を含む。
選択した乱用薬物に関する尿毒物学(検査マニュアルに従う)およびアルコールの呼気検査。
外科的に不妊ではなく、かつプロトコールで定められた閉経後であることの基準を満たさない女性対象の場合の、スクリーニング時の血清妊娠検査およびその後の尿妊娠検査。
ホルモンの必要に応じた血液試料および生化学検査研究(同意が得られている場合)。
バイオマーカー研究のための必要に応じた遺伝子試料(同意が得られている場合)。
バイタルサインは、口内温度(℃)、呼吸速度、心拍数および血圧(仰臥位および起立時)を含む。参加者が、5分間、休憩した後、次に、起立状態でほぼ3分間後のすべての予定時間点において、仰臥位で心拍数および血圧を収集する。バイタルサインは、臨床的に指示される場合に、治験責任医師の自由裁量で繰り返されてもよい。
ECGを3連で収集する。ECGおよびPK用の試料収集を同日に行う場合、12誘導ECGは、PK試料収集前に行う。
「ベースライン/スクリーニング」C-SSRSフォームをスクリーニング時に完了する。「最後の訪問以降」のC-SSRSフォームは、その後のすべての時間点で一日中いつでも完了する。
HAM-Dは、訪問中にできる限り早く完了すべきである。
HAM-D尺度の評価時間枠は、スクリーニング時では、過去7日間(1週間)、およびすべての他の訪問の場合、「最後の訪問以降」を指す。HAM-尺度の評価時間枠は、すべての訪問時で過去7日間(1週間)を指す。
PK解析用の血漿試料は、診療所訪問の間のいつでも収集する。用量調節の事象では、予定外のPK試料は、可能な場合、用量調節直前に収集されるべきである。試料収集の日時および最後の用量投与の日時は、記録されなければならない。ECGおよびPK用の試料収集を同日に行う場合、12誘導ECGは、PK試料収集前に行う。PK試料が表3に従い予定される訪問の間に用量調節が、行われる場合、予定外のPK試料は必要ではない。
ET訪問の時だけ行われるべきである。
有害事象は、インフォームドコンセント時から始め、研究における対象の参加の期間全体を通じて、収集する。
以前の薬品はスクリーニング時に収集し、併用薬および/または手順は、その後の各訪問時に収集する。
(実施例2)
実施例1の大うつ病性障害(MDD)における化合物(1)の第3相研究の効力結果。
化合物(1)は、一般的だが深刻な心の健康障害を管理するための潜在的な新たなクラスの薬物となる、MDDに対する2週間の、1日1回の経口被験薬である。化合物(1)は、実施例1に記載されている通り、大うつ病性障害(MDD)における二重盲検の無作為化プラセボ対照第3相研究(NCT04442490)において評価した。研究は、MDDと診断された成人患者(HAM-D総スコア≧24)における、化合物(1)の効力、安全性、耐容性および薬物動態を評価した。図1は、研究設計を例示する。
投薬量
化合物(1)は、14日間、脂肪含有食と一緒に、夕方に50mgの1日用量を1日1回、自己投与された。患者は、必要に応じて、40mgまで用量を低下させることができた。
2.1 処遇および人口統計
研究への登録時における平均ベースラインHAMD-17スコアは、化合物(1)の50mg処置群(n=268)では、26.8(2.60)、プラセボ群(n=269)では、26.9(2.67)であった。表2は、処遇および対象の進捗を示す。表3は、研究の人口統計を示す。
Figure 2024515829000052
Figure 2024515829000053
BMI=肥満度指数;HAMD-17=17項目のうつ病に関するハミルトン評価尺度;MADRS=モンゴメリーアスベルグうつ病評価尺度;SD=標準偏差;少なくとも60日間は安定していると定義;世界保健機関の医薬品辞書である、解剖治療化学レベル3、N06Aによって提示される薬品のリストに基づく
人口統計学的特徴およびベースライン特徴は、化合物(1)-50mg群(化合物(1)-50mg)とプラセボ群との間で、概して十分にバランスがとれていた。平均(SD)年齢:39.4(12.3)対40.1(12.6);女性患者のパーセンテージ:69.4%対61.7%;白人:63.1%対76.6%;既存の抗うつ剤治療法:29.5%対30.1%;平均(SD)HAMD-17総スコア:26.8(2.6)対26.9(2.7)。患者は、ほぼ11年間、MDDの診断を有した(平均(SD)化合物(1)-50mg、10.6(10.1)、プラセボ11.2(10.8))。
表4は、様々な時間点における、一次、および選択二次統計学的アウトカムを要約する。
Figure 2024515829000054
LS=最小二乗;TRT差=処置の差;CGI-改善奏効は、「中等度」または「著明」改善に関するオッズ比である;灰色の長方形は、プロトコールに従って収集していない時間点を示す。プロトコールごとに測定されていない。
2.2 HAMD-17総スコア
研究は、15日目に17項目のハミルトンうつ病評価尺度(HAMD-17)の総スコアにおいて、統計学的に有意かつ臨床的に関連する低下を伴って、15日目にその一次エンドポイントを満たした(図2を参照されたい)。
15日目の一次エンドポイントにおいて、化合物(1)-50mgは、HAMD-17(p=0.0141)によって測定すると、プラセボに比べ、うつ症状の統計学的に有意な低下を示した。早くも3日目(8日目および12日目を含む)に、迅速かつ有意な効果が観察された。15日目における、HAMD-17総スコアのベースラインからのLS平均(SE)変化(CFB)は、-14.1(0.51)(化合物(1))対-12.3(0.50)(プラセボ)となった;Δ-1.7ポイント;95%CI(-3.1、-0.3)、p=0.0141。処置効果は、すべての測定時間点において明白であり、3日目(LS平均(SE)CFB -9.8(0.38)(化合物(1))対-6.8(0.38)(プラセボ));Δ-3.0ポイント、95%CI(-4.0~-2.0、p<0.0001、8日目(LS平均(SE)CFB -12.0(0.45)(化合物(1))対-9.5(0.45)(プラセボ))[Δ-2.6、p<0.0001]および12日目[Δ-2.5、p=0.0003]に名目上の有意性が認められた。LSM処置差異は、化合物(1)が有利であった。42日目は、LS平均(SE)CFB -13.5(0.55)(化合物(1))対-12.6(0.55)(プラセボ)Δ-0.9を有した。
図3に示されている通り、化合物(1)で処置されたHAMD-17の15日目の奏効者のうち、患者は、42日目に、平均して該患者の15日目の改善の86.1%を維持した。化合物(1)に対して15日目に奏効した患者は、42日目(投薬が終了した後の4週間)に該患者のHAMD-17の86.1%の改善を保持した。さらに、患者の75.4%が、該患者の15日目の改善の少なくとも65%という予め指定されたレベルを42日目に保持した。15日目における処置効果の数値による証拠は、すべての部分群、およびHAMD-17の下位尺度(図4を参照されたい)、例えば、ベースラインでの抗うつ剤の使用、年齢、性別、人種、ベースラインHAMD-17および肥満度指数にわたり、化合物(1)に有利に現れた。同様の奏効の維持が、MADRS尺度でも観察され、15日目に化合物(1)に奏効した人は、42日目にその奏効の87.6%を維持した。さらに、奏効率および寛解率は、MDDおよびPPDを含めた、プラセボ対照LANDSCAPEおよびNESTプログラム臨床試験にわたる、加重平均奏効率および寛解率と一致している。
2.3 臨床全般印象度(CGI)
一次エンドポイントの検査に続いて、統計解析計画を、疾病の臨床全般印象度-重篤度(CGI-S)およびCGI-改善(CGI-I)における、CFBの検査に進めた。CGI-Sの結果は、すべての測定時間点において、化合物(1)に数字上の利点があることを実証したが(図5を参照されたい)、予め指定された解析モデルでは15日目では統計学的に有意ではなかった。CGI-Sに関すると、化合物(1)50mgとプラセボとの間で結果は同様となり(LS平均[SE]-1.8[0.08]対-1.6[0.08];LS平均差-0.2、95%CI -0.4~0.0;P=.12)、したがって、重要な二次エンドポイントの正式な研究は検査した。
図6は、他の二次エンドポイントの1つであるCGI-I奏効(「中等度」または「著明」改善)を示しており、15日目のCGI-I奏効の比率がプラセボに対して化合物(1)の投与を受けた方が数字上、大きかったことを示している。
図7に示す通り、15日目において、臨床医が評価したCGI-Iスコアは、本実施例および本出願人によって行われた他の臨床研究において、化合物(1)による処置によって、患者の総合的な臨床状態が大幅に改善されたことを示した。は、本出願人により行われた第3相臨床試験研究(ClinicalTrials.gov識別番号/NCT番号:NCT03864614)である。**は、本出願人により行われた第3相臨床試験研究(ClinicalTrials.gov識別番号/NCT番号:NCT0672175)である。***は、本出願人により行われた第2相臨床試験研究(ClinicalTrials.gov識別番号/NCT番号:NCT03000530)である。NCT番号によって特定される臨床試験の研究設計および結果は、該当する場合、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
2.4 MADRS
実施例1の臨床試験は、化合物(1)-50mgの投与を受けた患者の場合に、その一次エンドポイントを満たし、HAMD-17総スコアのベースラインからの変化(CFB)によって評価すると、15日目にプラセボと比較してうつ症状が有意に改善したことを実証している。HAMD-17は、不安症を含むうつ病の身体症状に主に焦点を当てているが、モンゴメリー-アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)は、悲しみ、緊張、無気力、ならびに悲観的思考および自殺思考などの中核的な気分症状に対処する(表5)。HAMD-17とMADRSとの間には項目の内容および数の差異があるにもかかわらず、研究は、2つの尺度が相関していることを示している。
Figure 2024515829000055
MADRS総スコアにおけるCFBは、8日目、15日目(二次エンドポイント)、28日目および42日目に評価した。
一次エンドポイントに一致して、プラセボに比べて化合物(1)により処置された患者は、MADRS総スコアのCFBによって測定された15日目のうつ病評点が有意に改善したことを実証した(LS平均[SE]-17.5[0.77]対-15.1[0.76];LS平均差-2.4、95%CI -4.4~-0.3;P=.02。化合物(1)の投与を受けた患者は、MADRS総スコアのCFBによって評価すると、プラセボと比較して、うつ症状が改善したことを実証し(LSM[SE]化合物(1)-50mg対プラセボ;図8を参照されたい)、8日目および15日目に名目上、有意性があった。
- 8日目、-14.6(0.69)対-11.2(0.68);
- 15日目、-17.5(0.77)対-15.1(0.76);
- 28日目、-16.4(0.80)対-14.9(0.80);および
- 42日目、-17.5(0.83)対-16.2(0.82)。
MADRSにおいてプラセボにより調節したCFBは、すべての測定時間点(8、15、28、42日目)において、数字上の利点があることを実証した。
15日目に、化合物(1)-50mgの投与を受けた患者のMADRS総スコア(SE)のLSMのCFBは、プラセボの投与を受けた患者の場合の-15.1(0.76)と比較して、-17.5(0.77)となった(処置差異-2.4ポイント;p=0.0238)。MADRS総スコアのCFBのLSM処置差異(化合物(1)-50mg-プラセボ)は、8日目(-3.4、p=0.0003)、15日目(-2.4、p=0.0238)、28日目(-1.5、NS)および42日目(-1.3、NS)であった。HAMD-17およびMADRS総スコアにおけるCFBのLSM処置差異は、どちらも、化合物(1)の投与を受けた患者に有利であった(図9を参照されたい)。
要約すると、化合物(1)-50mgの投与を受けた患者は、MADRS総スコアによって評価すると、プラセボに比べて、うつ症状が改善したことを実証した。化合物(1)-50mgの投与を受けた患者は、早くも3日目(HAMD-17総スコア)および8日目(処置時の最初のMADRS総スコア評価)に、うつ病の重篤度および症状が迅速に改善されたことを示し、利点は、経過観察期間を通して持続された。両方の尺度によって評価された改善は、42日目まで続いた。
2.5 奏効および保持
臨床研究患者を、処置後、21、28、35および42日目における診療所訪問を含めて、28日間、追跡した。重要な二次エンドポイントは、測定したすべての時間点におけるLSM HAMD-17総スコアおよびMADRS総スコアのCFB、ならびに15日目および42日目のHAMD-17およびMADRS奏効(ベースラインスコアからの≧50%改善)を含んだ。
処置効果の持続期間を、15日目に観察された効力に基づいて、化合物(1)-50mgにより処置された患者において、処置後期間にわたり評価した。経時的な、15日目のHAMD-17総スコアおよびMADRS総スコア奏効の保持率は、15日目の奏効者だけで調査した。一次エンドポイントを除き、ここに報告したp値はすべて、名目であり、多重比較を行うために調節されていない。この解析は、有効ベースラインHAMD-17総スコアおよび少なくとも1の有効なベースライン後HAMD-17総スコアを有する患者を含んだ。
結果
全体として、化合物(1)の投与を受けた患者は、プラセボ処置患者に比べると、より速い処置奏効および症状の寛解を実現した。
図10Aに示されている通り、15日目に、139/248の化合物(1)-50mg処置患者(56.0%)が、HAMD-17総スコアによって評価すると、奏効(ベースラインからのHAMD-17総スコアの≧50%低下)を示した。これらのうち、患者は、平均して、28日目に該患者の15日目の改善の81.7%、および42日目に該患者の15日目の改善の86.1%を維持した。図10Bは、HAMD-17総スコアによって評価した、寛解(HAMD-17≦7)を示す。
図10Aに示されている通り、3日目までに、処置奏効は、プラセボ処置患者に対して化合物(1)処置患者のより高い割合が達成し(ベースラインからのHAMD-17総スコアの≧50%低下)(29.3%対16%、オッズ比2.14、95%CI1.4~3.3;P<.001)、処置差異は、処置期間全体を通して持続した。15日目の最初の処置後経過観察研究訪問時に、プラセボ処置患者に比べて、化合物(1)処置患者の数字上より高い割合が処置奏効を達成した(56.0%対47.0%、オッズ比1.40、95%CI1.0~2.0、P=0.06)。経過観察期間の終了時(42日目)に、HAMD-17奏効を有する患者の割合は、化合物(1)とプラセボ群との間で同様であった。
症状の寛解(HAMD-17≦7;図10B)が、プラセボ群に比べて、化合物(1)の群では、より多くの場合に、3日目までに観察され(7.6%対2%、オッズ比3.57、95%CI1.4~9.1、P=0.008)、処置期間全体を通して、化合物(1)が有利であった。15日目および42日目では、症状の寛解は、プラセボに対して、化合物(1)がわずかに有利であった。21日目までに、化合物(1)処置患者の83/226(81.0%)が、15日目におけるHAMD-17改善の≧65%を保持し、これは、42日目までに、173/231(74.9%)まで低下した。
これらの結果は、わずかな割合の患者が、処置の停止直後に、ロバストな処置奏効を失ったが、大まかには、処置奏効は、処置後期間において維持されたことを示唆する。
表6および表7に示されている通り、処置奏効および寛解の結果は、化合物(1)50mgの単剤療法に対して抗うつ剤(ADT)の併用と共に化合物(1)50mgの投与を受けた患者では、同様であるか、または数字上、改善されたかのどちらかとなった。
Figure 2024515829000056
Figure 2024515829000057
Nは、研究訪問日における患者の総数を指す。ADT=抗うつ剤治療法;CI=信頼区間。
Figure 2024515829000058
Figure 2024515829000059
Nは、研究訪問日における患者の総数を指す。ADT=抗うつ剤治療法;CI=信頼区間;NA=適用せず;NE=推定不可能。
処置期間の間のMADRS奏効(ベースラインからのMADRS総スコアの≧50%低下)率は、プラセボと比べ、化合物(1)が有意に有利であった。MADRS寛解(MADRS≦10)率は、この同じ期間の間に、化合物(1)が数字上、有利であった(図11)。
15日目に、化合物(1)-50mg処置患者の128/248(51.6%)は、MADRS総スコアによって評価すると、奏効(ベースラインからのMADRS総スコアの≧50%低下)を示した。奏効の類似の維持が、HAMD-17総スコアの場合と同様に、MADRS総スコアの場合にやはり観察された。128名の奏効者(すなわち、ベースラインからのMADRS総スコアの≧50%低下を有する)のうち、患者は、平均で、28日目に該患者の15日目の改善の85.2%、および42日目に、その改善の87.6%を維持した。
15日目における、HAMD-17総スコアおよびMADRS総スコアの奏効の両方の保持によって評価される、化合物(1)-50mgに対する奏効の維持が、42日目まで測定した時間点のすべてにおいて観察された。
2.6 不安症(HAM-AおよびHAMD-17不安症/身体化下位尺度)
MDDを有する患者のほぼ2/3が、不安症の症状も経験し、最大で20%が、併存不安障害を有する(Mittal D, et al. Psychiatr Serv. 2006;57(12):1731-1737; Clayton AH, et al. Am J Psychiatry. 1991;148(11):1512-1517.; Stein MB, et al. J Affect Disord. 1995;34(2):79-84)。
不安症関連症状に焦点を当てた二次エンドポイントは、HAM-A総スコアおよびHAMD-17不安症/身体化下位尺度のCFBを含んだ。
HAM-AおよびHAMD-17不安症/身体化下位尺度によって評価される、不安症の症状に及ぼす化合物(1)の影響をここで報告する。
方法
HAM-A総スコアは、8日目、15日目、28日目および42日目に評価した。HAMD-17総スコアおよびHAMD-17不安症/身体化下位尺度は、3、8、12、15、21、28、35および42日目に評価した。
統計は、混合効果モデルからのものである。15日目における、HAMD-17のCFB(一次エンドポイント)を除き、ここに報告したp値はすべて、名目であり、多重比較を行うために調節されていない。
結果
化合物(1)-50mgの群は、HAMD-17総スコアによって評価すると、42日目までのすべての測定時間点において、プラセボと比較して、うつ症状に数字上の改善があることを実証し、3日目(LS平均差-3.0、p<0.0001)、8日目(LS平均差-2.6、p<0.0001)および12日目(LS平均差-2.5、p=0.0003)に名目有意性があった。15日目における化合物(1)-50mg処置したHAMD-17の奏効者(ベースラインからのHAMD-17総スコアの≧50%改善)のうち、患者は、平均で、42日目(投薬が終了した後の4週間)に、該患者の15日目の改善の86.1%を維持した。
同様の傾向が、HAM-A総スコアに見られ、42日目までのすべての測定時間点(8、15、28、42日目)において、プラセボに比べて、不安症状の数字上の改善があり、8日目(LS平均差-1.7、p=0.0011)および15日目(LS平均差-1.4、p=0.0199)に名目有意性があった(図12を参照されたい)。
HAM-A総スコアのCFBは、すべての測定時間点において、プラセボの投与を受けた患者に比べて、化合物(1)により処置された患者では、不安症の症状の数字上の改善があることを示し、8日目に名目有意性があった(LS平均(SE)CFB -8.7(0.40)(化合物(1))対-7.0(0.39)(プラセボ))および15日目(LS平均(SE)CFB -10.4(0.43)(化合物(1))対プラセボ(-9.1(0.43)(プラセボ))(図12を参照されたい)。
HAMD-17不安症/身体化下位尺度スコアのCFBは、すべての測定時間点において、プラセボの投与を受けた患者に比べ、化合物(1)により処置された患者では、不安症の症状の数字上の改善があることを示し、3日目および8日目に名目有意性があった。(図13を参照されたい)。
経時的なHAM-A総スコアおよびHAMD-17不安症/身体化下位尺度スコアのCFBは、HAMD-17総スコアに関して観察されたものに類似した傾向を示した。8日目および15日目に、HAMD-17総スコア、HAMD-17不安症/身体化下位尺度スコアおよびHAM-A総スコアのLSM処置差異(化合物(1)からプラセボを差し引く)はすべて、化合物(1)に有利であった(図14Aおよび14B)。
結論
化合物(1)の投与を受けた患者は、早くも8日目に、不安症の症状の速やかな改善(HAM-Aによって評価)があることを実証し、数字上の改善が、研究の終了(42日目)まで維持された。HAMD-17不安症/身体化下位尺度は、3日目および8日目における目立つ有意な効果を伴う、同様の傾向を示した。
うつ病および不安症の症状における同様の結果が、LANDSCAPE臨床開発プログラム全体で観察されており(Gunduz-Bruce H, et al. N Engl J Med. 2019;381(10):903-911; Mittal A, et al. Poster presented at the American Academy of Neurology Annual Meeting. Toronto, Canada. April 25-May 1, 2020; Cutler AJ, et al. Poster presented at the American Society of Clinical Psychopharmacology Annual Meeting. Virtual Congress. June 1-4, 2021; Deligiannidis KM, et al. JAMA Psychiatry. 2021;78(9):951-959)、MDDを有する患者におけるうつ病の症状と同時に存在することがある不安症状に対する化合物(1)の影響が裏付けられた。
2.6.1 不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)
症状として不安の上昇を伴うMDDは、より重度の疾病、抗うつ剤への耐容性がより困難になる(潜在的に、アドヒアランスに影響する)、処置に対する非奏効率がより高くなる、ならびに追加の介入および資源のより大きな必要性を伴うことが十分に確立されている。
米国では、MDDを有する患者の最大で78%が、DSM-5指示子を使用して、「不安症の苦痛を伴うMDD」と分類され、最大で70%が、HAM-A総スコア≧20を使用して、「不安の上昇を伴うMDD」と分類される。これらの患者は、より重度のうつ病を有しており、一般的なADTにそれほど奏効せず、より不良な処置アウトカムを有する。
14項目ハミルトン不安評価尺度(HAM-A)は、不安障害を有する患者における、不安症状に対する処置の効果を評価する(Bourin M. Therapie. 2000;55(1):147-153; Maier W, et al. J Affect Disord. 1988;14(1):61-68)。精神的および身体的不安症の両方を測定するHAM-Aは、MDDを有する患者において、不安症の重篤度の信頼性が高く、かつ有効な尺度となり得る。HAM-A精神的不安症の項目を使用して、MDDを有する患者における不安の上昇を評価することができる。HAMD-17総スコアは、MDDに関する臨床研究における、うつ病の重篤度を評価するためのゴールドスタンダードである(Boessen R, et al. J Affect Disord. 2013;145(3):363-369; Bagby RM, et al. Am J Psychiatry. 2004;161(12):2163-2177; Bech P, et al. Acta Psychiatr Scand. 1981;63(3):290-299)。HAMD-17不安症/身体化下位尺度(6項目)は、MDDを有する患者において、不安症関連症状に対する処置の特異的効果を検討するために高い頻度で使用される(Huang CJ, et al. Int J Neuropsychopharmacol. 2019;22(10):609-615; McClintock SM, et al. Int J Methods Psychiatr Res. 2011;20:e69-e82)。HAMD-17不安症/身体化下位尺度不安症(例えば、不安症(精神的))項目を同様に使用して、MDDを有する患者における不安の上昇を評価することができる。
図15Aおよび15Bは、化合物(1)によって、不安の上昇を伴うMDDを有する、実施例1の研究の患者(ベースラインHAM-A≧20を有したMDDを有する患者)において、うつ病(HAMD-17のCFBによって立証される;図15A)および不安症(HAM-AのCFBによって立証される;図15B)の症状が有意に改善されたことを示す。
図16は、プラセボに対して、化合物(1)により処置した、不安の上昇のないMDD患者(ベースラインHAM-A<20を有したMDDを有する患者)、および不安の上昇を伴うMDD患者(ベースラインHAM-A≧20を有した、MDDを有する患者)における、プールしたHAMD-17CFBを示す。プールしたデータは、実施例1の臨床試験、本出願人により行われた第3相臨床試験研究(ClinicalTrials.gov識別番号/NCT番号:NCT0672175)、および本出願人により行われた第2相臨床試験研究(ClinicalTrials.gov識別番号/NCT番号:NCT03000530)からのデータを統合する。NCT番号によって特定される臨床試験の研究設計および結果は、該当する場合、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図17は、プラセボに対して、化合物(1)により処置した、不安の上昇のないMDD患者(ベースラインHAM-A<20を有したMDDを有する患者)、および不安の上昇を伴うMDD患者(ベースラインHAM-A≧20を有した、MDDを有する患者)における、プールした平均HAMD-17総スコアを示す。プールしたデータは、実施例1の臨床試験、本出願人により行われた第3相臨床試験研究(ClinicalTrials.gov識別番号/NCT番号:NCT0672175)、および本出願人により行われた第2相臨床試験研究(ClinicalTrials.gov識別番号/NCT番号:NCT03000530)からのデータを統合する。
図18A~18Bは、ベースライン時、15日目および42日目に、プラセボに対して化合物(1)により処置した、不安の上昇のないMDD患者(ベースラインHAM-A<20を有したMDDを有する患者;図18A)、および不安の上昇を伴うMDD患者(ベースラインHAM-A≧20を有したMDDを有する患者;図18B)における、プールした平均SF-36v2スコアを示す。プールしたデータは、実施例1の臨床試験、本出願人により行われた第3相臨床試験研究(ClinicalTrials.gov識別番号/NCT番号:NCT0672175)、および本出願人により行われた第2相臨床試験研究(ClinicalTrials.gov識別番号/NCT番号:NCT03000530)からのデータを統合する。
セクション2.6に関するさらなる参照文献として、Althaus AL, et al. Neuropharmacology. 2020;181:108333; Martinez Botella G, et al. J Med Chem. 2017;60(18):7810-7819; Hoffmann E, et al. Clin Pharmacokinet. 2020;59(1):111-120;およびClayton A, et al. New Medication Symposium. 34th European College of Neuropsychopharmacology Hybrid Congress. Lisbon, Portugal. October 2-5, 2021が挙げられる。
2.7 HAMD-17下位尺度スコア
上で示した通り、実施例1の研究は、その一次エンドポイントを満たし、化合物(1)は、HAMD-17総スコアにおける15日目のLSMのCFBにおいて、プラセボと比べ、うつ症状の有意な改善があることを実証した(処置差異は-1.7ポイント;p=0.0141)。このセクションは、うつ病および不安症の中核症状を捕捉するHAMD-17下位尺度アウトカムを詳述する。
15日目における、HAMD-17下位尺度(中核的うつ病、Bech-6、マイヤーおよび不安症)スコアの最小二乗平均CFBを計算したが、研究は、これらの下位尺度の統計学的比較を行うほどの力はなかった。
結果
15日目における一次エンドポイントと同様に、化合物(1)-50mgの投与を受けた患者は、HAMD-17下位尺度:中核的うつ病(LSM差異-2.0ポイント;p=0.1906)、Bech-6(LSM差異-3.2ポイント;p=0.0759)、マイヤー(LSM差異-3.0ポイント;p=0.0586)および不安症(LSM差異-0.9ポイント;p=0.4998)のすべてにわたり、プラセボに比べて、症状の数字上の改善があることを実証した。
化合物(1)-50mgの投与を受けた患者は、HAMD-17下位尺度スコアにわたり、中核的うつ症状および不安症状の数字上の改善があることを実証し、一次エンドポイントの結果を支持している。
2.8 SF-36スコア
実施例1の研究は、化合物(1)-50mg 化合物(1)-50mg対プラセボの健康関連の生活の質(HRQoL)を評価した。
簡易形式-36(SF-36v2)は、8つの領域(身体機能[PF];日常役割機能(身体)[RP];体の痛み[BP];全般的健康感[GH];活力[V];社会生活機能[SF];日常生活機能(精神)[RE];心の健康[MH])に関する、患者報告HRQoLを評価した。安全性および耐容性は、有害事象(AE)によって評価した。
結果
SF-36v2に関するベースラインコアは、プラセボ(PF:49.20;RP:46.60;BP:47.38;GH:47.04;V:33.33;SF:30.22;RE:26.06;MH:28.28)群の場合、および化合物(1)-50mg(PF:49.40;RP:47.42;BP:47.07;GH:46.97;V:32.93;SF:29.85;RE:25.15;MH:27.40)群の場合で、同様であった。15日目において、化合物(1)-50mg群のCFBにおいて、SF-26v2の改善が観察された:PF(3.41)、RP(3.45)、BP(5.26)、GH(4.51)、V(13.12)、SF(12.89)、RE(14.19)およびMH(14.45)。
15日目において、化合物(1)-50mgは、プラセボに対して、SF-36v2最小二乗平均の活力スコア(3.1)の統計学的に有意な(p=0.0029)および臨床的に意味のある向上を実証した。
化合物(1)-50mgの投与を受けた患者は、15日目において、複数のSF-36v2領域、特に、活力の改善を報告し、有意なHRQoL改善を示した。
2.9 単剤療法対SOC ADTの併用
実施例1の研究は、安定用量の既存の標準治療(SOC)である抗うつ剤治療法(ADT)の使用を許可した。このセクションは、化合物(1)-50mgの単剤療法としての処置対SOC ADTの併用の安全性および効力を報告する。
結果
ベースライン時の抗うつ剤を使用する患者の割合は、化合物(1)-50mgとプラセボとの間でバランスがとれていた(29.3%対30.2%)。処置に関係なく、ベースライン時のADT使用は、15日目では、HAMD-17総スコアに有意に影響を及ぼさなかった(LSM差異、単剤療法:-1.98;p=0.0165対組合せ:-1.21;p=0.3552)。
15日目において、化合物(1)対プラセボの場合のHAMD-17総スコアの奏効率は、全体(56.0%対47.0%)、単剤療法(55.5%対46.6%)およびSOC ADTの併用(57.3%対48.1%)であった。
TEAEは、化合物(1)-50mg対プラセボ単剤療法を受けた患者の111/189(58.7%)対87/188(46.3%)において、およびSOC ADTを受けた患者の50/79(63.3%)対33/81(40.7%)において報告された。
化合物(1)-50mgの投与を受けた患者は、同時SOC ADTの使用に関係なく、うつ症状が改善されたことを実証し、有害事象の増加の証拠はなかった。
2.10 部分群の解析
このセクションは、ベースライン人口統計学的効力解析および特徴的部分群効力解析を含有する。
患者(N=543)を無作為化して、化合物(1)-50mg(n=271)またはプラセボ(n=272)の投与を受けさせた。15日目に、すべての解析部分群におけるLSM処置差異は、プラセボに比べ、化合物(1)-50mgが有利であった。
- ADT使用(なし:-1.98;あり:-1.21)
- 年齢(18~24歳:-1.67;25~50歳:-1.96;51~64歳:-1.18)
- 性別(女性:-1.58;男性:-1.81)、人種(黒人:-2.20;白人:-1.47;その他:-4.22)
- ベースラインHAMD-17TS(<26:-1.25;≧26:-1.91)、および
- ベースラインBMI(kg/m)(18.5~24.9:-1.02;25~29.9:-3.94;≧30:-1.04)。
解析した部分群のすべての処置差異(ベースライン人口統計および特徴に基づく)は、プラセボに比べ、化合物(1)-50mgが有利であった。
(実施例3)
実施例1の第3相研究の詳細な安全性結果
安全性結果
TEAEは、公知化合物(1)のプロファイルと一致し、化合物(1)-50mgの投与を受けた約60%(例えば、約60.1%)の患者、およびプラセボの投与を受けた約45%(例えば、約44.6%)の患者は、≧1のTEAEを報告した。
化合物(1)-50mgの患者によって報告された大部分のTEAEは、重篤度が軽度または中程度であった。主任治験責任医師(PI)によって評価すると、化合物(1)-50mg処置群における、IPに関連する、鎮静、目まい(dizziness)、目まい(vertigo)、傾眠、精神性障害、不安症という重度のTEAE(5名の対象において6件);PIによって評価すると、プラセボ処置群における、IPに関連するトランスアミナーゼの上昇という重度の事象が1件。2名の化合物(1)-50mg患者および2名のプラセボ患者が、深刻な有害事象(SAE)を経験した。鎮静に関連するものはなかった。死亡も、意識喪失も、体重増加も、性機能不全も高揚も報告されなかった。治験薬(化合物(1))中止に至る最も一般的なTEAEは、目まいおよび鎮静であった。表8は、42日目までのTEAEの概略である。
Figure 2024515829000060
最も一般的(>5%)な事象は、化合物(1)-50mgの投与を受けた患者では、傾眠、目まい、頭痛および鎮静であり、プラセボの投与を受けた患者では、下痢および頭痛であった。化合物(1)-50mgに観察された最も一般的なTEAEは、これまでに確認されている化合物(1)の安全性プロファイルと一致する。表6は、42日目までの、TEAE出現率のすべてを示す。
追加の安全性所見。
自殺傾向:化合物(1)-50mgの投与を受けた患者にも、プラセボの投与を受けた患者にも、C-SSRSによって評価される自殺念慮/行為が増大する前兆は、研究の全体を通して観察されなかった。
離脱症状:18日目または21日目において、PWC-20によって評価される離脱症状の前兆はなかった。スコアは、化合物(1)-50mgまたはプラセボの中止後と同様であった。18日目における、最初のPWC-20評価(SD)からの変化;化合物(1)対プラセボ:-1.2(4.3)対-1.2(4.3);21日目;化合物(1)対プラセボ-0.3(4.6)対-0.5(4.4)。
抗うつ剤治療法(ADT)の併用:既存のADTと組み合わせて化合物(1)-50mgの投与を受けた場合と比べ、化合物(1)-50mg単剤療法の安全性プロファイルに臨床的に意味のある差異はなかった。
Figure 2024515829000061
安全性の除外事項
化合物(1)は、一般に、十分に耐容され、以前の臨床研究と一致した安全性プロファイルとなることを実証した。化合物(1)は、一般に、十分に耐容され、以前の臨床研究と一致した安全性プロファイルとなることを実証した。試験の完了率は、化合物(1)の群では、90.3%であった。
化合物(1)の群における、治療下で発現した有害事象(TEAE)の出現率は、60.1%であったのに対し、プラセボ(PBO)群では、44.6%であった。TEAEの大部分は、強度が軽度から中程度であった。化合物(1)処置患者の少なくとも5%に発生したTEAEには、傾眠15.3%(3.0%PBO)、目まい13.8%(2.2%PBO)、頭痛10.8%(7.8%PBO)および鎮静7.5%(0.4%PBO)が含まれた。意識喪失も、体重増加、性機能不全または高揚という有害効果も報告されなかった。
研究において死亡は発生しなかった。化合物(1)群およびプラセボ群における2名の患者(0.7%)がそれぞれ、深刻な有害事象を報告した。治験薬中止に至るTEAEの出現率は、化合物(1)群およびプラセボ群において、それぞれ、3.4%および1.5%であった。
20項目医師用離脱症状チェックリストおよびコロンビア自殺重篤度評価尺度によって、それぞれ評価したところ、離脱症状にも、自殺念慮または行為の増大にも関する前兆は特定されなかった。
3.1 詳細な安全性結果
実施例1の研究は、MDDを有する患者の、プラセボに比べた化合物(1)-50mg 化合物(1)-50mgの効力、安全性および耐容性を評価するように設計した。MDDの処置として使用される現行のモノアミン作動性ADT(例えば、SSRI、SNRI、TCA)に関連するAEは処置中止をもたらす恐れのあることを考慮すると、化合物(1)の固有の安全性プロファイルは、非常に興味深いものであるので、ここで報告する。
安全性および耐容性は、有害事象(AE)の出現率および重篤度、深刻な有害事象(SAE)、臨床検査評価のベースラインからの変化、バイタルサインならびに12誘導心電図検査によって評価した。自殺傾向は、コロンビア自殺重篤度評価尺度(C-SSRS)によってモニタリングした。医師用離脱症状チェックリスト-20総スコア(PWC-20TS)を使用して、化合物(1)-50mgの中止後の、潜在的離脱症状が存在するかをモニタリングした。
結果
患者(N=543)を1:1に無作為化して、化合物(1)-50mg(n=271)またはプラセボ(n=272)の投与を受けさせた。安全性集団は、化合物(1)-50mg(n=268)またはプラセボ(n=269)の少なくとも1用量の投与を受けた患者のすべてを含んだ。全体として、化合物(1)-50mg群中の242名(90.3%)の患者、およびプラセボ群中の235名(87.4%)の患者が、研究を完了した。人口統計学的特徴およびベースライン臨床特徴は、処置群間でバランスがとれていた。ベースライン時の抗うつ剤を使用している患者の割合は、化合物(1)およびプラセボ群では、それぞれ、29.5%対30.1%であった。
化合物(1)-50mgは、一般に、十分に耐容され、安全性プロファイルは、以前の臨床研究と一致した。
治療下で発現した有害事象(TEAE)を報告した患者の割合は、化合物(1)-50mg群では、60.1%(161/268)であり、プラセボ群では、44.6%(120/269)であった。TEAEの大部分は、軽度から中程度であり、8名(3.0%)および3名(1.1%)の患者が、それぞれ、化合物(1)-50mg群およびプラセボ群において重度の事象を有した。最も一般的なTEAE(いずれの処置群でも≧5%)には、化合物(1)-50mg群およびプラセボ群において、それぞれ、傾眠(15.3%対3.0%)、目まい(13.8%対2.2%)、頭痛(10.8%対7.8%)、鎮静(7.5%対0.4%)および下痢(3.0%対5.2%)が含まれた。
意識喪失、体重増加、性機能不全または高揚のAEは、報告されなかった。
処置を受けて、TEAE(複数可)に起因して治験薬を中止した患者のうち、3.4%(9/268)が、化合物(1)-50mg群に存在し、1.5%(4/269)が、プラセボ群に存在した。各処置群において2名の患者(0.7%)が、深刻な有害事象(SAE)を経験した。各群における患者の1名は、処置期間の間に起こった処置関連SAEを経験した。精神性障害および遅い発話というSAEを経験した化合物(1)-50mg群中の患者は、心的外傷後ストレス障害、不安、自殺傾向による複数回の精神科入院、幻聴および幻覚、薬物およびアルコールの乱用、ならびに服薬不履行で際立つ、複雑な病歴、ならびに基礎となる神経病理学的疾患および挙動の様々な側面を有した。プラセボ群における患者は、肝機能レベルの上昇(アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、血液アルカリホスファターゼ、ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ)を有した。化合物(1)-50mgの投与を受けた患者またはプラセボの投与を受けた患者において、研究全体を通じて観察されるC-SSRSによって評価したところ、自殺念慮/行為が増大する前兆はなかった(15日目において、化合物(1)-50mgまたはプラセボ群のいずれも自殺念慮または自殺行為の悪化は0%であった)。既存の抗うつ剤治療法の有無にかかわらず、化合物(1)の投与を受けた患者間で、有害事象の出現率および種類に意味のある差は観察されなかった(表10)。
Figure 2024515829000062
データは、n(%)として表す。
化合物(1)は、15日目における、HAMD-17不眠症の個々の項目スコアにおいて、プラセボに比べ、ベースラインからのより大きな低下によって反映される通り、不眠症の症状の数字上のより大きな改善をもたらした。
不眠症は、初期不眠症(入眠困難)、中期不眠症(夜中に目が覚めてすぐに眠りに戻ることができない)、および後期不眠症(睡眠サイクルが完了する前の早朝に目が覚める)について、HAMD-17の個別の項目に基づいて評価した。
ベースラインからの平均低下は、プラセボ(名目P<0.05)に比べ、数字上、より大きかった:初期不眠症:-1.0対-0.7;中期不眠症:-1.2対-0.8;および後期不眠症:-0.8対-0.5。
化合物(1)による自殺念慮または自殺行為の増大に関する前兆はなかった(表11)。
Figure 2024515829000063
N=ベースラインおよび指定訪問時の両方において、C-SSRS評価が欠落していない特定の処置群の患者数。
PWC-20によって評価したところ、離脱症状の前兆は観察されなかった(15日目におけるPWC-20総スコア[標準偏差]は、化合物(1)-50mgおよびプラセボに関して、それぞれ、7.3[6.57]および8.0[6.57]であった)。PWC-20総スコアにおける平均低下(改善を示す)は、処置群間で類似しており、処置の完了または化合物(1)の中止後に離脱効果はないことが示唆された(表12)。
Figure 2024515829000064
CFFA=最後の投薬時、または最後の投薬の1日以内における最後の投薬後の最初の評価からの変化。PCW-20総スコアの低下は改善を示す;n=その日の患者数。
結論
既存の抗うつ剤治療法と組み合わせて化合物(1)-50mgの投与を受けた場合と比べ、化合物(1)-50mg単剤療法の安全性プロファイルに臨床的に意味のある差異はなかった。研究の間に死亡は報告されなかった。
以前の臨床研究の結果と一致して、化合物(1)は、MDDを有する患者では、一般に、安全であり、十分に耐容された。化合物(1)により処置された患者のほぼ3%が、TEAEにより処置を中止した。体重増加、性機能不全または高揚というTEAEは、研究において報告されず、うつ症状の改善は、標準治療であるモノアミン作動性抗うつ剤で一般に報告されるこれらのAEなしに達成することができることを示唆する。離脱症状、または自殺念慮/行為の増大の証拠は、特定されなかった。
(実施例4)
重度の産後うつ病を有する成人女性対象の処置における、化合物(1)の効力、安全性および薬物動態を評価する、複数の機関での、無作為化、二重盲検、並行群、プラセボ対照研究
ClinicalTrials.gov識別番号:NCT02978326
一次効力の目的:重度の産後うつ病(PPD)を有する対象において、化合物(1)による処置が、15日目に、17項目のうつ病に関するハミルトン評価尺度(HAM-D)の総スコアのベースラインからの変化によって評価した場合の、プラセボと比べて、うつ症状を軽減するかどうかを判定すること。
二次効力の目的
- 重度のPPDを有する対象において、化合物(1)のカプセル剤30mg QDによる処置が、他の時間点のすべてにおいて、HAM-D総スコアのベースラインからの変化によって評価すると、プラセボと比べて、うつ症状を軽減するかどうかを判定すること。
- 化合物(1)のカプセル剤30mg QDによる処置が、15日目および他の時間点のすべてにおいて、HAM-D奏効、HAM-D寛解、モンゴメリー-アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)の総スコアのベースラインからの変化、臨床全般印象度-改善(CGI-I)奏効、ならびにHAM-D下位尺度および個々の項目スコアのベースラインからの変化によって評価すると、プラセボに比べて、うつ症状を軽減するかどうかを判定すること。
- 化合物(1)のカプセル剤30mg QDによる処置が、15日目および他の時間点のすべてにおいて、ハミルトン不安評価尺度(HAM-A)の総スコアのベースラインからの変化によって評価すると、プラセボと比べて、不安症状を軽減するかどうかを判定すること。
安全性目的:有害事象の出現率、バイタルサインの測定、臨床検査評価、心電図(ECG)パラメータおよびコロンビア自殺重篤度評価尺度(C-SSRS)によって評価される、プラセボと比較した、化合物(1)の安全性および耐容性を評価すること。
他の目的:
- ベースライン時および45日目において、医療資源利用(HCRU)を評価すること。
- 化合物(1)のカプセル剤30mg QDによる処置が、15日目および他の時間点において、エジンバラ産後うつ病尺度(EPDS)の総スコアおよび患者健康質問票(PHQ-9)の総スコアのベースラインからの変化によって評価すると、プラセボと比べて、対象報告うつ症状を軽減するかどうかを判定すること。
- 化合物(1)のカプセル剤30mg QDによる処置が、15日目および他の時間点において、母性機能のバーキン指数(BIMF)の総スコアおよび下位尺度スコアのベースラインからの変化によって評価すると、プラセボと比べて、母性行動を改善するかどうかを判定すること。
- 化合物(1)のカプセル剤30mg QDによる処置が、15日目および他の時間点において、簡易形式-36(SF-36)の総スコアのベースラインからの変化によって評価すると、プラセボと比べて、全般的健康感の状態を改善するかどうかを判定すること。
薬物動態の目的:化合物(1)の投与後の、血漿試料中の化合物(1)の薬物動態(PK)プロファイル、および可能な場合、母乳における化合物(1)の濃度を評価すること。
研究設計および方法論
これは、重度PPDと診断された成人対象における、化合物(1)の効力、安全性および薬物動態の、複数の機関での、無作為化、二重盲検、並行群、プラセボ対照研究とした。
研究は、2つのパートで行われた。1名の対象が登録され、パートAにおいて投薬された後に、登録を締め切った。現在の修正は、パートBだけ説明する。
スクリーニング期間:
スクリーニング期間は、インフォームドコンセントフォーム(ICF)の署名から開始した。うつ病の診断は、精神障害の診断および統計マニュアル-5(DSM-5)I軸障害の構造化臨床面接(SCID-I)を使用して決定した。適格性は、選択/除外基準を適用することによって判定した。近親女性家族のメンバーにおける、大うつ病エピソード、他のI軸およびII軸障害、ならびに産後うつ病エピソードのすべての記録を含む、全病歴および家族歴を手に入れた。
処置期間:
対象が、研究に適格性があると確認されると、対象を、1:1の基準で、活性治験薬またはプラセボに無作為化した。
無作為化対象は、治験薬(化合物(1)のカプセル剤またはプラセボ)の30mg QDの投与を受けた。30mg QDを耐容することができなかった対象は、処置期間の残りの間、20mg QDを服用する。20mg QDの用量レベルでの不耐容性有害事象(AE)を経験した対象は、治験責任医師の自由裁量で研究処置から中止をすることができた。対象は、食物と共に治験薬を服用するよう指示された。全14日間の処置期間の間、外来基準で、夜(8:00pm±30分間)に対象によって治験薬が自己投与された。治験薬投与は、1~14日目の毎晩、施設からの経過観察電話(予定した夜の投薬の後のほぼ1時間以内)によりモニタリングした。
対象は、15日目の評価の完了まで、インフォームドコンセント前の30日以内に、向精神薬、または効力もしくは安全性エンドポイントに影響を有する可能性があり得る他の薬品を開始することは許されなかった。インフォームドコンセントの少なくとも30日前に開始された向精神薬は、15日目の評価の完了まで、安定用量で維持しなければならなかった。
効力および安全性評価は、研究の間、定期的に行い、表13中の事象のスケジュールに概説されている通り、化合物(1)および化合物(1)の代謝産物の解析ために、血液試料を収集することができた。14日間の処置期間にわたり、予め指定した時間に、血液試料を収集し、アウトカム測定値を得る。さらに、化合物(1)の濃度の評価のための母乳は、対象から同意を得た場合、収集することができた。
経過観察期間:
経過観察期間評価は、治験薬投与の開始後、21±1日目および45±3日目に、外来基準で行った。
対象数:
ほぼ140名の対象を処置群あたりほぼ70名の対象とするため、1:1の比で無作為化した。130名の評価可能な対象を確保するよう、追加対象を登録することができた。評価可能な対象は、有効ベースラインおよび少なくとも1のベースライン後HAM-D評価を有する、治験薬の投与を受けた無作為化対象として定義した。
選択基準:
個体が研究に適格となるには、以下の選択基準が満たされなければならなかった。
1. 対象は、いずれかの研究指定手順が行われる前に、ICFに署名している。
2. 対象は、18~45歳の間(これらを含む)の歩行可能な女性である。
3. 対象は、良好な身体的健康状態にあり、身体検査、12誘導ECGまたは臨床検査に関して、治験責任医師によって判定される、臨床的に重要な所見を有さない。
4. 対象は、研究要件を順守することに同意する。
5. 対象は、スクリーニング時に母乳を出すことを中止していなければならないか、またはスクリーニング時にまだ母乳を出しているか、もしくは積極的に授乳しているかのどちらかの場合、治験薬服用の直前から21日目まで、該対象の乳児への授乳を一時的に中止し、治験薬の最後の投薬後に7日間のウォッシュアウトをさせることに同意しなければならない。
6. 対象は、スクリーニング時、および治験薬投与の開始の1日前に妊娠検査に陰性を有さなければならない。
7. 対象は、妊娠第3期以降、および出産後の最初の4週間以内に始まった大うつ病エピソードを有しており、(DSM-5)I軸障害の構造化臨床面接(SCID-I)によって診断されたDSM-5による大うつ病エピソードの基準を満たしている。
8. 対象は、スクリーニング時および1日目(無作為化前)に、HAM-D総スコア≧26を有する。
9. 対象は、産後≦6か月である。
10. 対象は、処置期間の終了後、および15日目の評価がすべて完了するまで、必要に応じたベンゾジアゼピン抗不安薬を含めた、他の抗うつ剤または抗不安剤および任意の新たな薬物療法レジメンの開始を遅らせることに前向きである。
11. 対象は、スクリーニング時に、検出可能なB型肝炎表面抗原(HBsAg)を有さず、検出可能な抗C型肝炎ウイルス(HCV)を有さず、検出可能な抗HCVを有するがウイルス負荷に陰性である、および検出可能なヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体を有さない。
12. 対象は、外科的に不妊ではない限り、研究参加中および治験薬の最後の投薬後の30日間、以下の避妊方法の1つを使用することに同意する:
- 排卵抑制を伴う、(エストロゲンおよびプロゲストーゲン含有)経口、膣内または経皮ホルモン避妊の併用。
- 排卵抑制を伴う、経口、注射可能な、または埋め込み可能なプロゲストーゲン単独ホルモン避妊。
- 子宮内デバイス。
- 子宮内ホルモン放出系。
- 両側卵管閉塞術。
- 精管切除済みパートナー。
除外基準
対象は、以下の除外基準のいずれかを満たす場合、除外された。
1. 対象は、治験責任医師の見解で、対象がこの臨床研究に参加または完了する能力を制限すると思われる、代謝、肝臓、腎臓、血液学、肺、心血管、胃腸管、筋骨格、皮膚、泌尿生殖、神経、もしくは眼、耳、鼻および咽頭の障害、または他の任意の急性もしくは慢性状態の、最近の病歴または活動中の臨床的に重要な兆候を有する。
2. 対象は、化合物(1)のカプセル剤またはその賦形剤に既知のアレルギーを有する。
3. 対象は、治験責任医師の評価により、活動中の精神疾患を有する。
4. 対象は、PPDの現在起きているエピソードに関連する自殺を試みた。
5. 対象は、発作の病歴を有する
6. 対象は、双極性障害、統合失調症および/または統合失調感情障害の病歴を有する。
7. 対象は、スクリーニング前の12か月間に、活動中のアルコール依存症または薬物依存症(ベンゾジアゼピンを含む)の病歴を有する。
8. 対象は、スクリーニング前の30日以内に、別の被験薬品またはデバイスに曝露したことがある。
9. 対象は、いずれかのブレキサノロンまたは化合物(1)の臨床研究に以前に参加している。
10. 抗うつ剤、非定型抗精神病薬などのうつ症状を処置することを目的で使用されている向精神薬であって、1日目より前の少なくとも30日間、同じ用量で服用されていない上記の向精神薬を現在、服用しながら、研究に参加する対象。(治験薬の開始日前の30日以内に、これらの薬品の服用を中止した、研究に参加する対象は、治験薬の開始日まで5半減期分より長い間、薬品を中止する場合、適格となる可能性がある)。
11. 14日間または5半減期分以内(どちらか長い方)に、シトクロムP450(CYP)3A4の任意の公知の強力な阻害剤の使用、または治験薬の最初の用量を服用する前の14日以内に、および研究の全体を通して、グレープフルーツジュース、グレープフルーツ、セビルオレンジもしくはこれらを含有する製品の摂取。
12. 治験薬の最初の投薬前の14日以内または5半減期分以内(どちらか長い方)、および研究の全体を通じて、リファンピン、カルバムアゼピン、リトナビル、エンザルタミド、エファビレンツ、ネビラピン、フェニトイン、フェノバルビタールまたはセントジョンズワートなどの任意のCYP誘導剤の使用。
13. 対象は、スクリーニング訪問時に、陽性の尿薬物検査を有する。
14. 対象は、研究に参加している間に待機的手術を受ける計画がある。
被験製品、投薬量および投与様式:
化合物(1)カプセル剤は、白色からオフホワイト色の粉末を含有する硬質ゼラチンカプセル剤として利用可能であった。活性化合物(1)のカプセル剤は、指定量の化合物(1)の原薬に加え、賦形剤として、クロスカルメロースナトリウム、マンニトール、ケイ化マイクロクリスタリンセルロースおよびフマル酸ステアリルナトリウムを含有した。カプセル剤は、20mgおよび30mgの処置用量をもたらすよう、10mg、20mgおよび30mg強度で利用可能であった。対象は、用量あたり2個のカプセル剤が投与された。
参照治療法、投薬量および投与様式:
上に一覧表示したカプセル剤の賦形剤のみを含有するマッチしたプラセボのカプセル剤を得た。対象に、盲検を維持するため、1日あたり2個のプラセボカプセル剤を投与した。
参加期間:
最大で76日間(14日間の処置)。
無作為化:
対象を無作為化して、1:1の比で化合物(1)またはマッチングプラセボの投与を受けさせた。対象、臨床医および研究のチームに処置割り当てを盲検にした。無作為化は、対話型応答技術(IRT)システムにより一元的に行った。
安全性/耐容性が理由の用量調節:
処置期間の間、対象は、用量を制限する安全性/耐容性の懸念がない限り、治験薬を服用することが可能であった。用量調節基準は上に記載している。
評価のための基準:
一次効力エンドポイント
一次効力エンドポイントは、処置期間の終了時(15日目)におけるHAM-D総スコアのベースラインからの変化とした。HAM-D総スコアは、17の個々の項目スコアの合計として計算した。
二次効力エンドポイント
二次エンドポイントは以下を含んだ:
・ 15日目以外の時間点のすべてにおける、HAM-D総スコアのベースラインからの変化;
・ HAM-D総スコアのベースラインからの50%またはそれより大きな低下として定義されるHAM-D奏効;
・ HAM-D総スコア≦7と定義されるHAM-D寛解;
・ 15日目および他の時間点における、MADRS総スコアのベースラインからの変化;
・ 「著明改善」または「中等度改善」と定義されるCGI-I奏効;
・ 15日目および他の時間点における、HAM-A総スコアのベースラインからの変化;
・ 15日目および他の時間点における、HAM-D下位尺度および個々の項目スコアのベースラインからの変化
安全性エンドポイント:治験薬の安全性および耐容性は、有害事象の頻度;有害事象の重篤度、関係性、および深刻度;臨床検査測定値、バイタルサイン、ECG;ならびに併用薬の使用によって評価した。自殺傾向は、C-SSRSを使用してモニタリングした。
併用薬:すべての向精神薬の用量を、研究全体を通して記録した。処置期間の間、抗うつ剤もしくは抗不安薬の変更および/または追加は、許可しなかった。
血漿中濃度の測定:血漿試料を収集して、化合物(1)の濃度をアッセイした。薬物動態濃度データは、化合物(1)への曝露の個々の測定値を推定するため、集団PKモデル化技法により特徴付けた。対象から同意を得た場合、母乳を収集し、必要に応じた評価として、試料を化合物(1)について解析することができた。
他のエンドポイント
EPDS、PHQ-9、BIMFおよびSF-36を含む、PPD重篤度の現在起きているエピソードに関連する感情的症状および機能の追加の尺度を、処置期間の前、その最中およびその後に収集した。ベースライン診断歴、ベースライン抗うつ剤処置歴、および医療訪問、入院訪問および薬品の使用を含めた医療資源利用データを、スクリーニング時および45日目に収集した。
ベースラインからの変化を含めた、総スコアおよび下位尺度スコアを必要に応じて計算した。処置期間の終了(15日目)および他の時間点までのベースラインからの変化を、他の効力エンドポイントとして評価した。上記のスコアに加え、総スコアのカテゴリーおよび個々の項目スコアを他のエンドポイントとして評価した。
統計学的方法:
一般:
安全性、効力、および適宜他の解析のすべての目的のため、ベースラインは、盲検化された治験薬投与の開始前の最後の測定値として定義した。
連続エンドポイントは、数(n)、平均値、標準偏差、メジアン、最小値および最大値を用いて要約した。さらに、ベースライン値からの変化は、各時間点において計算し、記述的に要約した。カテゴリーエンドポイントに関しては、記述要約は、計数およびパーセンテージを含んだ。
解析対象集団および方法:
無作為化された全対象として定義される全無作為化集団を、対象処遇、人口統計およびベースライン特徴付け要約に使用した。対象は、無作為化処置に従って分類した。
治験薬を投与された全対象と定義される安全性集団を使用して、安全性データの記述要約を得た。対象は、受けた処置に従って要約した。
治験薬を少なくとも1日間完了し、有効ベースラインおよび少なくとも1のベースライン後効力評価を有する、全無作為化集団における全対象として定義される効力集団を使用して、効力データを解析した。効力データは、適切な記述統計学および予め指定された統計学的方法、ならびに適宜、他のデータ提示方法を使用して解析した。対象の一覧表示を全効力データのために得た。対象を無作為化処置に従って解析した。
PK集団は、化合物(1)に関する血漿中濃度の決定による、安全性集団における全対象からなり、集団PKモデル化に使用した。
反復測定の混合効果モデル(MMRM)を使用して、HAM-D総スコアのベースラインからの変化を解析した。モデルは、説明変数として、施設、処置、ベースラインHAM-D総スコア、評価時間点および処置ごとの時間点を含んだ。すべてのベースライン後時間点をモデルに含ませた。一次比較は、15日の時間点における化合物(1)とプラセボとの間とした。モデルベースのポイント推定(例えば、最小二乗[LS]平均)、95%信頼区間およびp値を報告した。非構造化共分散構造を使用して、対象内エラーをモデル化した。連続二次変数および他の変数を類似の方法を使用して解析した。
奏効者および寛解エンドポイントを含めた、バイナリ効力エンドポイントを要約し、一般化推定方程式法を使用して解析した。
有害事象は、医薬規制用語集(MedDRATM)バージョン19.1またはそれ以降のものを使用してコード化した。有害事象の全出現率を器官別大分類、基本語および処置ごとに表示した。有害事象の出現率を、最大重篤度および治験薬への関係によってやはり提示した。バイタルサイン、臨床検査尺度、ECG、併用薬の使用およびC-SSRSデータを、適宜、処置によって要約した。範囲外の安全性エンドポイントは、適宜、低いまたは高いと分類することができた。安全性データを要約し、適切な場合、対象の特徴と血漿中化合物(1)の濃度との間の考えられる関係を調査した。ベースライン時、および積極的処置期間の間の各訪問時において、C-SSRSを使用して収集した自殺傾向データをすべての対象に対して一覧表示した。C-SSRSの一覧表示は、C-SSRSの自殺念慮および自殺行為に関する行動タイプおよび/または分類を含んだ。
試料サイズの計算:
アルファレベルが0.05での両側研究であると仮定すると、処置群あたりほぼ65名の対象の試料サイズは、15日目における、一次エンドポイントでのほぼ4ポイントのプラセボ調節した処置の差異、すなわち、HAM-D総スコアのベースラインからの変化を検出する90%の検出力を実現し、標準偏差(SD)は、7ポイントと仮定する。
10%の脱落および1:1の無作為化比であると仮定すると、130名の評価可能な対象を得るためには、処置群あたりのほぼ72名の無作為化対象が必要になる見込みであった。評価可能な対象は、治験薬の投与を受け、有効ベースラインおよび少なくとも1のベースライン後HAM-D評価を有する無作為化対象として定義する。脱落率が10%より高い場合、追加対象を無作為化することができた。
表13は、この臨床研究の事象のスケジュールを示す。
Figure 2024515829000065
Figure 2024515829000066
BIMF=母性機能のバーキン指数;CGI-I=改善度の臨床全般印象度;CGI-S=臨床全般印象度-重篤度;C-SSRS=コロンビア自殺重篤度評価尺度;ECG=心電図;EPDS=エジンバラ産後うつ病尺度;ET=早期中止;HAM-A=ハミルトン不安評価尺度;HAM-D=うつ病に関するハミルトン評価尺度、17項目;HCRU=医療資源利用;HIV=ヒト免疫不全ウイルス;
MADRS=モンゴメリー-アスベルグ-うつ病評価尺度、O=必要に応じた;PHQ-9=患者健康質問票;PK=薬物動態;QD=1日1回;SCID-I=精神障害の診断および統計マニュアルの構造化臨床面接 軸I障害;SF-36:簡易形式-36
DI手順のすべては、投薬前に完了するもとする。
現行の残りの用量を返却し、調節した用量を調剤するために、処置期間中のいずれの時でも、治験責任医師により用量調節が必要とみなされた場合、予定外の訪問が必要になることがある。
対象は、うつ病および不安症の診断に関して具体的に質問を受ける
診療所において、午前中に行われる/収集される。
体重のみ。
安全性臨床検査は、血液学、血清化学、凝固、選択したホルモンパラメータおよび尿検査を含む。
選択した乱用薬物および血清(スクリーニングのみ)に関する尿毒物学またはアルコールに関する呼気検査。
スクリーニング時の血清妊娠検査、ならびに1日目および45日目に尿妊娠検査。研究を早期に停止した対象に関する早期中止評価の一部として、尿妊娠検査も収集する。
同意が得られている場合、ストレスホルモンレベル、キヌレニン生化学、および炎症のマーカーに関する必要に応じた血液試料。
同意が得られている場合、バイオマーカー研究のための必要に応じた遺伝子試料。
バイタルサインは、呼吸速度、口内温度、ならびに仰臥位(測定前の少なくとも5分間)および起立時の収縮期および拡張期血圧および心拍数を含む。バイタルサインは、臨床的に指示される場合に、治験責任医師の自由裁量で繰り返されてもよい。
スクリーニング時、および予定された9:00AMの時間点の±60分以内に行う。
「ベースライン/スクリーニング」C-SSRSフォームをスクリーニング時に完了する。「最後の訪問以降」のC-SSRSフォームは、その後のすべての時点に完了する。
HAM-Dを、夕方の用量の12時間(±1時間)後の予定された診療所訪問時に完了する。
HCRUは、スクリーニング時に投与する(スクリーニングバーション)。HCRU(スクリーニング後対数)は、1日目~45日目に投与して、45日間にわたる、HCRUの累積評価を収集する。
PK解析用の血漿試料は、各診療所訪問時に、午前中に収集する。用量調節の事象では、予定外のPK試料は、可能な場合、用量変更直前に収集されるべきである。
母乳の収集およびSAGE-217の濃度の測定のために必要に応じた同意を提出した対象の場合、追加の試料を、適宜、用量調節の当日に収集する。すべての試料について、開始および終了の時間、搾乳日、および母乳の量を記録する。
治験責任医師の自由裁量により、治験薬を調剤するための追加の訪問が行われることがある。この訪問に関して計画された唯一の手順は、治験薬の調剤である。
投薬は、食物と共に、8:00PM±30分時に、毎日、行われる。用量が、予定用量後の<60分間以内に投与されない場合、対象は、その用量を省略し、翌日に次の予定用量を服用する(予定時間の前/後>30分間であるが<60分に行われる用量は、プロトコールの逸脱と考えられる)。
処置の順守の電話は、1~14日目の予定した夜の投薬後のほぼ1時間以内に行われる。
治験薬の最初の投薬前、および研究全体を通じて服用されたもの、ならびに抗うつ剤の投薬歴および処置歴を含ませるため
(実施例5)
産後うつ病(PPD)における、化合物(1)の処置の事後解析における、うつ病および不安症の同時症状の迅速かつ持続的な改善。
緒言
産後うつ病(PPD)は、妊娠中および妊娠後の最も一般的な医療的合併症の1つである。米国では、PPDの自己報告症状を有する女性の推定値は、州によって毎年異なり、9.7%~23.5%であり、全体の有病率は13.2%である。PPDの症状は、子供の健康および発達に影響を与える、授乳および子供の世話を含む母子の絆ならびに母性機能の重大な障害に関連し得る。複数の環境的および生物学的リスク因子が、PPDの発症において、ある役割を果たすと提唱されてきた。
化合物(1)は、大うつ病性障害およびPPDに対する1日1回、2週間の治療法として、検討下にある経口神経活性ステロイドである。化合物(1)は、GABAA受容体のポジティブアロステリックモジュレータであり、これらの受容体における活性は、脳内の適応シグナル伝達の回復においてある役割を果たし得る。ニューロンのネットワークにおける適応シグナル伝達の調節不全は、うつ病における重要な機構として関係があるとされている。
PPDを有する成人女性において、二重盲検の、無作為化したプラセボ対照の第3相試験(NCT02978326;実施例4の臨床試験)において、化合物(1)は、15日目に、17項目の臨床医が評価したうつ病に関するハミルトン評価尺度(HAMD-17)によって評価すると、プラセボに比べて、うつ病の症状の統計学的に有意な低下という一次エンドポイントを達成した。この実施例は、事後解析と共に、15日目および45日目(試験の経過観察)において、うつ症状および不安症状の同時改善を調査した。研究プロトコールが、実施例4に示されている。
方法
実施例4に示されている通り、年齢が18~45歳の、産後≦6か月のPPD(妊娠第3期または産後≦4週間での発生を伴う大うつ病エピソードとして定義)およびベースラインHAMD-17総スコアが≧26と診断された女性(N=151)を外来設定で、治験薬に無作為化した。
患者は、4週間の経過観察と共に、14日間、1日1回、化合物(1)30mgまたはプラセボを経口で服用するよう1:1に無作為化した。15日目における、HAMD-17のプラセボに対するベースラインからの変化(CFB)を、一次エンドポイントとした。治療下で発現した有害事象(TEAE)を研究全体を通して評価した。
二次エンドポイントは、15日目の一次エンドポイントとは別に、他のすべての測定時間点におけるHAMD-17のCFB、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)のCFB、およびモンゴメリー-アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)のCFBを含んだ。
事後解析により、15日目および45日目における、尺度の組合せを使用して、不安症およびうつ病の同時改善を探索した:(1)HAMD-17≦7+HAM-A≦7または(2)MADRS≦10+HAM-A≦7。うつ病改善は、HAMD-17総スコア≦7またはMADRS総スコア≦10のどちらか一方と定義した。不安症状の改善は、HAM-A総スコア≦7と定義した。
HAMD-17総スコアのCFBは、反復測定に関する混合効果モデルからの最小二乗平均を使用して評価した。同時改善率は、Fisherの正確確率検定を使用して評価した一方、オッズ比(OR)およびORに対する95%信頼区間(CI)に対する推定値を、反復測定に関する一般化推定方程式モデルを使用して導き、ベースライン共変量に関して調節した(表14)。
持続的な同時改善は、15日目と45日目の両方における、同時改善基準を満たすとして定義し、Fisherの正確確率検定を使用して評価した。二次エンドポイントおよび事後解析は、多重度に関して調節しなかった。
結果
化合物(1)およびプラセボ群は、それぞれ、76名および74名の患者を含み、これらを無作為化し、効力解析に含ませた。ベースライン人口統計および患者特徴は、2つの処置群間で十分にバランスがとられており、以前に詳細に記載した。
化合物(1)は、HAMD-17総スコアにおいて、プラセボに対して、統計学的に有意な15日目CFBを実証した(一次エンドポイント:-17.8対-13.6、p=0.0029)(図19)LS平均差-2.4、95%CI -4.4~-0.3;P=.02)。
化合物(1)は、以前に記載した通り、概して、十分に耐容された。化合物(1)の投与を受けた患者の≧5%に発生した最も一般的なTEAEは、傾眠、頭痛、目まい、上気道感染症、下痢および鎮静であった。1名の対象は、化合物(1)の群において、用量減量後に解決した深刻な有害事象(SAE)を経験し、1名の対象は、プラセボ群において、SAEを経験した。どちらの群でも、意識喪失も気絶も報告がなかった。
うつ症状および不安症状(15日目および45日目)の同時改善、ならびに持続的な同時改善を達成する可能性は、化合物(1)処置患者の場合、著しく高かった(表14)。
Figure 2024515829000067
オッズ比;**信頼区間
HAMD-17尺度とHAM-A尺度との組合せ(モデルによる調節後p値)を使用すると、著しく高い割合の化合物(1)処置患者が、3日目(p=0.003)、15日目(p=0.007)および45日目(p<0.001)において、うつ症状および不安症状の同時改善を達成した(図20A)。
同様に、MADRS尺度とHAM-A尺度との組合せ(モデルによる調節後p値)を使用すると、著しく高い割合の化合物(1)処置患者が、3日目(p=0.010)、15日目(p=0.014)および45日目(p=0.001)において、うつ症状および不安症状の同時改善を達成した(図20B)。
著しく高い割合の化合物(1)処置患者が、HAMD-17/HAM-A(p<0.001)を使用すると、15日目および45日目に、不安症およびうつ病の持続的な同時改善を達成した。同様に、著しく高い割合の化合物(1)処置患者が、MADRS/HAM-A(p=0.003)を使用すると、15日目~45日目に、不安症およびうつ病の持続的な同時改善を達成した(図21)。
結論
化合物(1)は、15日目において、HAMD-17総スコアの統計学的に有意な低下の一次エンドポイントを達成した。化合物(1)は、中核的うつ症状の迅速(3日目および15日目)な、および持続的(45日目)な改善を実証した。
事後解析において、うつ症状および不安症状の持続的な同時改善が、15日目~45日目に見られた。
まとめると、これらの知見により、PPDを有する患者において、中核的うつ症状および不安症の処置のための神経活性ステロイドの開発が支持される。
(実施例6)
産後うつ病における、うつ症状、残存症状および患者報告アウトカムに対する化合物(1)の迅速な改善および持続的効果
簡単な要約
この研究は、産後うつ病(PPD)を有する女性における、うつ症状、不安症および睡眠関連症状ならびに患者報告アウトカム(PRO)に対する化合物(1)の効果を評価した。これは、33の米国の施設において、2017年1月から2018年12月までに行われた、実施例4の研究(NCT02978326)の事後解析である、第3相二重盲検無作為化外来プラセボ対照試験であった。参加者は、PPD、およびベースライン17項目のうつ病に関するハミルトン評価尺度(HAMD-17)スコア≧26を有する、産後≦6か月の18~45歳の女性を含んだ。参加者を1:1に無作為化して、2週間、毎晩、投与される、プラセボ(n=76)または化合物(1)30mg(n=77)の投与を受けさせた。化合物(1)群において、著しく高い割合の患者が、プラセボに対して、15日目に、HAMD-17奏効(P=.0042)および寛解(P=.0088)を実現した。15日目から始まり45日目まで維持された、HAMD-17奏効および寛解に一桁の処置必要数(NNT)が見出された。化合物(1)は、3日目(P=.0073)に始まり45日目(P=.0033)まで、プラセボに比べて、最小二乗平均HAMD-17不安症/身体化のベースラインからの変化の統計学的に有意な低下を実証した。著しく高い割合の化合物(1)処置患者が、早くも3日目に不安症およびうつ病の同時改善を達成し(すべてP<.05)、それは15日目および45日目にも群レベルで持続された。化合物(1)はまた、プラセボと比較して、患者が報告したうつ症状の改善を実証した。したがって、化合物(1)は、うつ症状に対するある範囲の有益な効果、ならびに不安症、不眠症および他の重要なPROの改善をもたらす。
緒言
産後うつ病(PPD)は、妊娠中および妊娠後の最も一般的な医療的合併症の1つである(Bauman BL, et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2020;69(19):575-581; Hamilton BE, et al. National Center for Health Statistics. Births: Provisional data for 2018. Vital Statistics Rapid Release; Report No 7. Published May 2019; DeSisto CL, et al. Prev Chronic Dis. 2014;11:E104; Centers for Disease Control and Prevention. Diabetes During Pregnancy. Updated June 12, 2018; Centers for Disease Control and Prevention. Data on Selected Pregnancy Complications in the United States. Updated February 28, 2019; Executive summary: hypertension in pregnancy. American College of Obstetricians and Gynecology. Obstet Gynecol. 2013;122(5):1122-1131; Callaghan WM, et al. Am J Obstet Gynecol. 2010;202(4):353.e1-e6)。専門家の見解は、PPDの症状の時機および発生に関して様々である(ACOG Committee Opinion No. 757: Screening for perinatal depression. Obstet Gynecol. 2018;132(5):e208-e212; Stewart DE, et al. Postpartum depression: literature review of risk factors and interventions. University Health Network Women’s Health Program; 2003; American Psychiatric Association. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM-5). 5th ed. American Psychiatric Association; 2013; National Institutes of Mental Health. Perinatal depression)。PPDは、精神障害の診断および統計マニュアル、第5版(DSM-5)によって、妊娠中または産後最初の4週間以内に発生する、周産期に発症する大うつ病エピソードとして定義される。米国では、毎年PPDの症状を自己報告した新米母親の推定値は、州によって異なり、9.7%~23.5%であり、全体の有病率は13.2%である。PPDの症状は、授乳および子供の世話を含む母子の絆ならびに母性機能の重大な障害に関連し得、これらはすべて、子供の健康および発達に影響を与える(Kerstis B, et al. Arch Womens Ment Health. 2016;19(1):87-94; Posmontier B. J Midwifery Womens Health. 2008;53(4):310-318; Barkin JL, et al. J Womens Health (Larchmt). 2016;25(7):707-713; Gagliardi L, et al. Arch Dis Child. 2012;97(4):355-357)。うつ病の既往歴および最近ではCOVID-19のパンデミックを含めた、複数の環境的および生物学的リスク因子が、PPDの発症にある役割を果たすと提唱されている(McLearn KT, et al. Arch Pediatr Adolesc Med. 2006;160(3):279-284; Moore Simas TA, et al. J Med Econ. 2020;23(2):174-183)。
PPDの病態生理学は、多元的である可能性が高く(Robertson E, et al. Gen Hosp Psychiatry. 2004;26(4):289-295; Biaggi A, et al. J Affect Disord. 2016;191:62-77)、証拠は、中枢神経系の主要な阻害性シグナル伝達経路である、周産期のγ-アミノ酪酸(GABA)シグナル伝達の破壊に対する役割を支持する(Yim IS, et al. Annu Rev Clin Psychol. 2015;11:99-137)。大うつ病性障害およびPPDに対する1日1回、2週間の治療法として臨床研究下の被験経口神経活性ステロイドである化合物(1)は、GABA受容体のポジティブアロステリックモジュレータであり、これは、脳内において、適応シグナル伝達の回復に役割を果たし得る。興奮性および阻害性駆動ならびに調節性シグナル伝達の間の相互作用を通じたホメオスタシスの回復は、適応シグナル伝達と称することができる。ニューロンネットワークにおける適応シグナル伝達の調節不全は、うつ病の重要な機構として関係があるとされている。in vitroでは、化合物(1)は、シナプスおよびシナプス外GABA受容体の両方に結合し、それぞれ相動性電流とトニック電流の両方を増強することが示された。化合物(1)はまた、in vitroで相動性GABA受容体活性があることを実証し、これは、化合物(1)が、ベンゾジアゼピンとは異なる結合部位を有することを示す。
ROBIN研究(NCT02978326;実施例4の研究)は、PPDを有する成人女性における、化合物(1)の効力および安全性を評価するように設計された、無作為化二重盲検のプラセボ対照第3相試験とした。ROBIN研究からの一次エンドポイントおよび安全性の結果は、以前に公開されている。手短に述べると、研究は、化合物(1)は、15日目に、17項目のうつ病に関するハミルトン評価尺度総スコア(HAMD-17)の総スコアによって評価すると、プラセボに比べ、うつ病の症状のベースラインからの統計学的に有意な低下の一次エンドポイントを達成したことを報告した(それぞれ、-17.8対-13.6、P=.0029)。化合物(1)による処置は、概して、十分に耐容された。化合物(1)の投与を受けた患者の≧5%に発生した最も一般的な治療下で発現した有害事象(TEAE)は、傾眠、頭痛、目まい、上気道感染症、下痢および鎮静であった。
患者に対するPPDの実質的な負の影響を考慮して、ここで、本発明者らは、この事後解析において、患者の生活および幸福の様々な側面に対する処置の影響を評価した。したがって、本発明者らは、PPDを有する女性において、臨床医が報告するうつのアウトカム、不安症および睡眠関連症状、ならびにうつ病の患者報告アウトカム(PRO)、ならびに健康関連の生活の質(QoL)に対する化合物(1)の効果を評価した。
方法
試験設計
ROBIN試験設計および患者選択/除外基準は、実施例4において議論する。研究は、PPD(妊娠第3期または産後≦4週間における発生と定義される)およびベースライン時にHAMD-17総スコアが≧26と診断された、18~45歳の産後≦6か月の女性を登録した(n=151)。患者は、45日目までの経過観察と共に、外来として、14日間、1日1回、化合物(1)30mgまたはプラセボを経口で服用するよう1:1に無作為化した。一次エンドポイントは、15日目の、プラセボに対する、HAMD-17総スコアのベースラインからの変化(CFB)とした。研究全体を通して、TEAEを評価した。
事後アウトカム尺度
二次エンドポイントは、(15日目の一次エンドポイントとは別に)他のすべての測定時間点におけるHAMD-17、ならびに不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)、およびモンゴメリー-アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)のCFBを含んだ。安全性および耐容性は、有害事象(AE)、バイタルサイン、臨床検査評価、心電図パラメータおよびコロンビア自殺重篤度評価尺度(C-SSRS)によって評価した。探索的な患者報告エンドポイントは、全身健康状態に関する全体尺度として、9項目の患者健康質問票(PHQ-9、スコアが1~4=軽微なうつ病、5~9=軽症うつ病、10~14=中等度うつ病、15~19=やや重度のうつ病;および20~27=重度うつ病)、全エジンバラ産後うつ病スコア(EPDS;PPDの一般的に使用されるスクリーニング手段、カットオフスコア<7、<10、および<13を評価した)、および医療的アウトカム研究36項目簡易形式質問票表バージョン2(SF-36v2、身体的健康度[PCS]:>3.4;精神的健康度[MCS]:>4.6;身体機能:>4.3;日常役割機能(身体):>3.4;体の痛み:>6.2;全般的健康感:>7.2;活力:>6.2;社会生活機能:>6.9;日常生活機能(精神):>4.5;および心の健康:>6.2として定義される各領域の個々の意味のある変化)を含めた、現実世界設定における、2つの一般的に使用されるスクリーニング手段によって測定されるうつ病を含んだ。
奏効定義および解析アウトカム
HAMD-17奏効、寛解、持続的奏効または持続的寛解を実証する個々の患者の割合は、処置群間で調査して、処置必要数(NNT)を計算した。持続的な奏効または寛解は、15日目および45日目の両方において、奏効者/寛解者の継続的な分類として定義した。耐容性および安全性アウトカムは、AEによる中止の害必要数(NNH)、および目的の個別の安全性事象を含んだ。NNHは、(1)化合物(1)の場合に出現率が、≧2%であり、プラセボより比率が高いAE、および(2)AEのために治験薬を中止した各処置群の患者の割合に関して計算した。95%信頼区間(CI)は、ウィルソンスコア区間に基づいて計算した。
事後解析は、HAMD-17不安症/身体化(A/S)下位尺度およびEPDS不安症下位尺度(EPDS-3A)のCFB、HAMD-17A/SおよびHAM-Aの奏効率(スコアの≧50%低下)、ならびにHAM-A寛解率(スコア≦7)を使用して行った。事後解析により、15日目および45日目における、尺度の組合せを使用して、不安症およびうつ病の同時改善を探索した:(1)HAMD-17≦7+HAM-A≦7または(2)MADRS≦10+HAM-A≦7。うつ病改善は、HAMD-17総スコア≦7またはMADRS総スコア≦10のどちらか一方と定義した。不安症状の改善は、HAM-A総スコア≦7と定義した。持続的改善は、15日目と45日目の両方において、寛解基準を同時に満たすと定義した。調節後のオッズ比(OR)は、一般化推定方程式モデルを使用して計算した。HAM-D不眠症下位尺度(HAM-D-Ins、これは、夜間の3つの時間帯において、入眠障害および睡眠維持障害を評点する3つの質問からなる)のスコアおよびMADRS個別不眠症項目(MADRS-Ins、これは、通常と比較して睡眠時間または睡眠の深さの低下に関する単一質問からなる)を事後解析で評価した。
統計解析
HAMD-17総スコアのCFBは、反復測定に関する混合効果モデルからの最小二乗平均を使用して評価した。同時改善率は、反復測定に関する一般化推定方程式モデルを使用して導き、ベースライン共変量に関して調節した一方、ORに対する推定値および95%CIは、Fisherの正確確率検定を使用して評価した。最小二乗平均±標準誤差および調節後のORは、処置群によって報告された。二次エンドポイントおよび事後エンドポイントは、多重度に関して調節しなかった。
結果
登録した275名の女性のうち、150名を無作為化し(プラセボ、n=74;化合物(1)、n=76)、効力解析に含ませた。ベースライン人口統計および患者特徴は、2つの処置群間で十分にバランスがとれていた(表15)。プラセボ群に比べると、化合物(1)群において、著しく高い割合の患者が、15日目に、HAMD-17奏効(72%対48%;P=.0005)および寛解(45%対23%;P=.011)を達成した(図22A)。45日目において、化合物(1)の群では、プラセボ群に比べ、著しく高い、持続的なHAMD-17奏効率(59%対39%;P=.0200)および寛解率(37%対13%、P=.0006)となった(図22B)。持続的な奏効および寛解に関するNNTは、15日目において観察されたものと同様であった(図22B)。プラセボに対する化合物(1)の推定NNHは、P<.05の閾値では、有意性はなかった(表16)。
15日目に、MADRS総スコアによって評価したところ、奏効を、プラセボ群の47.9%に比べて、化合物(1)処置患者の73.0%が示した。同様に、15日目に、MADRS総スコアによって評価したところ、寛解を、プラセボ群の30.1%の患者に比べ、化合物(1)処置患者の54.1%が示した。
Figure 2024515829000068
Figure 2024515829000069
BMI=肥満度指数;SD=標準偏差
Figure 2024515829000070
AE=有害事象;CI=信頼区間;NNH=害必要数;ns=P<.05閾値では統計学的に有意ではない
HAMD-17A/SおよびEPDS-3Aスコアのベースラインからの変化を図23A~23Bに示す。化合物(1)は、プラセボと比べ、最小二乗平均HAMD-17A/SのCFBの統計学的に有意な低下を実証し、これは、3日目に始まり(-3.8対-2.7;P=.0073;図23A)、45日目まですべての測定時間点において持続された(-5.7対-4.3;P=.0033)。化合物(1)はまた、プラセボに比べて、8日目に始まるベースラインからの最小二乗平均EPDS-3A変化の統計学的に有意な低下を実証した(-2.2対-1.5;p=0.0315;図23B)。統計学的に有意な差異はまた、8日目から45日目まで、すべての測定時間点において持続された(-3.6対-2.1;P=.0001)。化合物(1)は、3日目において、プラセボに比べて、HAM-A寛解率(27.0%対12.2%)、8日目にプラセボに比べて、HAM-A奏効率(69.3%対43.2%)、および15日目において、プラセボに比べて、HAMD-17A/S奏効率(68.9%対46.6%;図24A~24C)が著しく高いことを実証した。
著しく高い割合の化合物(1)処置患者が、早くも3日目に不安症状およびうつ症状の寛解の同時改善を達成し(すべて、P<.05)、これは、HAMD-17尺度とHAM-A尺度との組合せを使用して、15日目および45日目に群レベルで持続された(モデルによる調節後p値;図20A~20B;図21)。同様に、MADRS尺度とHAM-A尺度との組合せを使用して、著しく高い割合の化合物(1)処置患者が、3日目(P=.010)、15日目(P=.014)および45日目(P=.001)において、うつ症状および不安症状の同時改善を達成した(モデルによる調節後p値;図20A~20B)。著しく高い割合の化合物(1)処置患者が、HAMD-17/HAM-Aを使用すると、15日目および45日目に不安症およびうつ病の持続的な同時改善を達成した(P<.001)。同様に、著しく高い割合の化合物(1)処置患者が、MADRS/HAM-Aを使用すると、15~45日目に、不安症およびうつ病の持続的な同時改善を達成した(P=.003;図21)。
化合物(1)により処置した患者は、プラセボに比べて、3日目に始まり、研究中に測定した他の時間点(45日目までを含む)(処置の停止後30日間:P=.0207;図25A)のすべてにおいて、著しく大きなHAMD-17-InsのCFBの低下を実現した(化合物(1)-プラセボ差=-0.841;P=.0142)。図25Bは、プラセボと比較したMADRS-InsスコアのCFBを示す。
不眠症は、初期不眠症(入眠困難)、中期不眠症(夜中に目が覚めてすぐに眠りに戻ることができない)、および後期不眠症(睡眠サイクルが完了する前の早朝に目が覚める)について、HAMD-17の個別の項目に基づいて評価した。
ベースラインからの平均低下は、プラセボ(名目P<0.05)に比べ、数字上、より大きかった:初期不眠症:-1.3対-0.9;中期不眠症:-1.3対-0.9;および後期不眠症:-1.3対-0.8。
化合物(1)は、45日目に、プラセボに比べて、最小二乗平均PHQ-9うつ病総スコアの統計学的に有意な低下(-11.8対-9.0、P=.009)、およびすべてのベースライン後時間点において、PHQ-9総スコアの数字上、より大きな低下を実証した(図26A)。HAM-DおよびPHQ-9総スコアは、45日目において、有意および中等度(0.5~0.7)に相関した(r=.70、R2=.49、P<.001;図26B)。
15日目において、EPDS<7および<10という寛解の定義に関して、プラセボに対する、化合物(1)により処置した患者間に有意な差異はなかったが、最も厳密性が低いEPDS寛解定義<13の場合、有意性が観察された(64%対45%、P=.0405、NNT=6;図27)。45日目において、すべてのEPDS寛解定義が一桁のNNTであることは、観察された化合物(1)の効果がロバストであることを支持する(図27)。HAMD-17およびEPDS総スコアの絶対値およびCFBは、研究期間全体を通じて、有意に相関した(すべての測定時間点についてP<.0001;図28)。
化合物(1)は、社会生活機能(SF;P=.008)、心の健康(MH;P=.008)、身体機能(PF;P=.038)、日常役割機能(身体)(RP;P=.0445)、体の痛み(BP;P=.007)および心の健康度(MCS;P=.030)スコアを含めた、SF-36v2の5つの領域において、45日目にプラセボと比べ、統計学的に有意な改善を実証した(図29A)。化合物(1)は、45日目に、SF、MH、RPおよびBPドメインならびにMCSスコアに関して、プラセボに対し、最小重要差(MID)を上回った。45日目において、化合物(1)の平均スコアは、3つの領域のスコア(PF、BP、全般的健康感)および1つの要約スコア(身体的健康度)に関して、米国人口基準レベルを超えた。RPおよび活力領域スコアは、集団基準レベルから1MID以内であった(図29B)。
この研究では、化合物(1)は、概して、十分に耐容された。意識喪失事象、または薬物中止/離脱の前兆となるAE、またはうつ病の悪化は、報告されなかった。化合物(1)処置患者の≧5%に発生したAEは、傾眠、頭痛、目まい、上気道感染症、下痢および鎮静であった。総合的に、臨床試験において観察された奏効のロバスト性および一貫性は、注目に値する。
実際に、本出願人によって行われた複数の臨床試験にわたり、化合物(1)は、概して、十分に耐容され、最も一般的な治療下で発現したAE(TEAE;いずれの化合物(1)の群においても>5%)は、頭痛、傾眠、目まい、吐き気、上気道感染症、鎮静、倦怠感および下痢であった(表17)。化合物(1)の投与を受け、TEAEを経験した患者の大部分は、重篤度が軽度および中程度のTEAEを報告した:実施例4の臨床試験では94%、本出願人によって行われた第2相臨床試験では100%、本出願人によって行われた以前の第3相臨床試験では98%、および実施例1の臨床試験では95.0%。
表17は、PPDまたはMDD処置に対する、化合物(1)を使用する、複数の臨床試験にわたる、最も一般的なTEAEを示す。
Figure 2024515829000071
考察
第3相ROBIN試験からのこれらの事後解析の結果は、化合物(1)がPPDを有する女性におけるうつ症状の迅速(3日目)かつ持続的(15~45日目)な軽減と関連していることを示した。化合物(1)のこれらの抗うつ剤の効果は、ブレキサノロン注射に関する臨床試験の知見と共に、PPD治療法としてのNAS GABAR PAMの開発およびうつ症状を軽減する潜在的に即効性のある治療法の開発を支持する。さらに、モノアミン作動性抗うつ剤(例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害剤または非定型抗うつ剤)のいずれも、現在、PPDに特異的な適応を有さない。迅速(15日目においてNNT=5)および持続的(45日目においてNNT=5)アウトカムの両方に対してNNTが一桁であることは、PPDの処置ための新規薬理学的治療法としての化合物(1)の可能性を支持する。この試験におけるうつ病の中核症状に対するその効果に加えて、さらなる解析により、化合物(1)処置がプラセボと比較して不安症状およびPROの著しく大きな低下をやはりもたらすことが示され、総合的な処置効果があることが示唆された。化合物(1)の投与を受けた患者はまた、プラセボと比較して、不眠症関連症状の迅速(3日目)かつ持続的(45日目)な改善があることを実証した。臨床医主導の測定によって測定された改善は、患者自身の報告によってある程度、反映されたが、時機は遅れた。SF-36v2によって評価したところ、化合物(1)群は、45日目にプラセボ群と比較して、健康関連QoLの改善を示した。総合すると、これらの結果は、化合物(1)処置により観察された迅速かつ持続的な奏効は、中核的うつ症状だけではなく、機能および全体的な幸福を含む患者に対する他の重要な尺度にも影響を及ぼすことを示唆している。
研究制限
二次アウトカムおよび探索的アウトカムの解析は、事後に行い、したがって、多重度を制御しなかった。この登録研究により要求される厳格な選択/除外基準に起因して、結果は、臨床試験の範囲外の患者に一般化可能ではないことがある。さらに、臨床試験中止の理由は複雑となり得、その結果、この研究におけるAEによる中止に関するNNHは、臨床実践における全体的な耐容性に必ずしも一般化できない。研究期間が短いため、遅発性AEに対するNNH計算の感度が制限され、試料サイズが比較的小さいため、一般的ではないAEおよび部分集団効果に対するNNH計算の感度が制限される。最後に、化合物(1)のNNH結果は、試料サイズが小さいので、P<.05の閾値では有意ではなかった。したがって、この集団に関して、援助または危害の可能性の推定値は、計算しなかった。
結論
ここで報告された事後解析の結果により、PPDを有する化合物(1)処置患者は、アウトカム全体にわたり、早くも3日目から始まり45日目まで持続するロバストで持続的かつ一貫した改善を経験したことが実証された。この研究では、化合物(1)処置は、中核的なうつ症状に対するある範囲の有益な効果、ならびに不安症、不眠症および他の重要なPROの改善をもたらす。15日目~45日目まで、うつ症状および不安症状の持続的な同時改善が見られた。ROBIN研究において以前に報告された一次効力および安全性所見とまとめると、これらの所見により、PPDを有する患者において、中核的うつ症状および不安症の処置のためのNASの開発が支持される。
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(実施例7)
中枢神経系抑制剤の非依存的、快楽使用者における経口化合物(1)の乱用可能性:無作為化、二重盲検、プラセボ対照、クロスオーバー研究
緒言
大うつ病性障害(MDD)は、社会的、職業的、または他の重要な機能エリアにおける臨床的に重要な苦痛または障害を引き起こす、抑うつ気分および/または楽しい活動への興味の喪失という症状により特徴付けられる(精神障害の診断および統計マニュアル、第5版、米国精神医学会編)。成人の処置の急性期について、米国精神医学会は、薬物療法および/またはうつ病に焦点を当てた心理療法、投薬と心理療法との組合せ、または他の身体的治療法を推奨している(Association AP、大うつ病性障害を有する患者の処置に関する実践ガイドライン(第3版))。どの薬物療法による処置を使用するかの決定は、通常、予想される一般的な有害効果、耐容性および薬理学的特性を含めた要因に基づく。
STAR*D研究では、MDDを有する成人は、第1選択の標準治療の抗うつ剤処置の場合、ほぼ37%の寛解率、および第2選択(31%)、第3選択(14%)および第4選択(13%)処置の場合、さらにより低い奏効率を有した(Rush AJ, et al. Am J Psych. 2006;163:1905-1917)。抗うつ剤治療法は、多くの場合、処置開始と臨床的に意味のある治療効果との間に遅れを伴う。これは、奏効率が低下したことの一部を説明するものである可能性がある(Carboni E, et al. Front Neurosci. 2021;15)。さらに、抗うつ剤は、乱用傾向が低いと一般に考えられているが、欧州監視機関の有害薬物反応データベースの研究では、ブプロピオンの投与を受けた患者の10.8%が、薬物を誤用もしくは乱用するか、または依存性を示したことが見出された(Schifano F, Chiappini S. Front Pharmacol. 2018;9)。全体として、現在標準治療として使用されている抗うつ剤は、不十分な奏効率、処置効果の遅れ、および特定の患者集団における誤用、乱用または依存のリスクがある可能性によって制限されている。
奏効率が改善し、乱用の可能性を懸念することなく作用がより速く発生する抗うつ剤の必要性に対処するため、新規な作用機序を有するより新しい化合物が開発されている(Singh JB, et al. Biol Psychiatry. 2016;80:424-431)。例えば、鼻腔内エスケタミンは、経口抗うつ剤と併せて服用する場合に、処置抵抗性うつ病を有する成人、または急性自殺念慮もしくは自殺行為を有するMDDを有する成人を処置するために、米国食品医薬品局(FDA)によって承認された即効性薬物である(Cristea IA, Naudet F. Lancet Psychiatry. 2019;6:975-977; Fu D-J, et al. J Clin Psychiatry. 2020;81(3):19m13191; Ionescu DF, et al. Int J Neuropsychopharmacol. 2020;24(1):22-31; SPRAVATO(登録商標)[処方情報]. Titusville, N.J., Janssen Pharmaceuticals, Inc. July 2020)。エスケタミンは、迅速な抗うつ効果を実証した。しかし、エスケタミンは、一過性の解離症状および精神的症状を伴う。したがって、エスケタミンは、MDDの即効性処置として有望性をもたらすが、一過性解離および精神的症状との関連性の可能性、ならびに経口抗うつ剤の併用治療法の必要性により、その広範な使用が制限される恐れがある。
γ-アミノ酪酸ゲート型塩化物チャネル受容体(GABAAR)のポジティブアロステリックモジュレータは、うつ病および産後うつ病(PPD)の新規処置となる可能性がある(Hoffmann E, et al. Clin Pharmacokinet. 2020;59:111-120; Meltzer-Brody S, et al. The Lancet. 2018;392(10152):1058-1070; Food and Drug Administration. FDA approves first treatment for post-partum depression. Mar 19, 2019)。化合物(1)は、MDDおよび産後うつ病(PPD)に対する1日1回、2週間の経口療法として、現在、検討下にある神経活性ステロイドGABAARポジティブアロステリックモジュレータ(PAM)(Althaus AL, et al. Neuropharmacology. 2020;181; Martinez Botella G, et al. J Med Chem. 2017;60:7810-7819)である。ベンゾジアゼピンとは異なり、化合物(1)はシナプスおよびシナプス外GABAARの両方を標的とし、それぞれトニック電流および相動性シナプス後電流の持続的な賦活化をもたらす(Hoffmann E, et al. Clin Pharmacokinet. 2020;59:111-120; Althaus AL, et al. Neuropharmacology. 2020;181; Martinez Botella G, et al. J Med Chem. 2017;60:7810-7819; Nicholson MW, et al. Mol Psychiatry. 2018;23:1851-1867; Deligiannidis KM, et al. JAMA Psychiatry. 2021;78:951-959)。これにより、迅速かつ持続的な奏効の両方が患者にもたらされる。GABAARモジュレータであるブレキサノロンは、PPDの処置に承認されている(Meltzer-Brody S, et al. The Lancet. 2018;392(10152):1058-1070; Food and Drug Administration. FDA approves first treatment for post-partum depression. Mar 19, 2019; Kanes S, et al. Lancet. Jul 29 2017;390(10093):480-489)。ブレキサノロンを服用している患者では、クラス効果である可能性がある、過度の鎮静または意識喪失がモニタリングされる(Food and Drug Administration. FDA approves first treatment for post-partum depression. Mar 19, 2019; Morrison KE, et al. Drugs of today (Barcelona, Spain: 1998). 2019;55(9):537)。
化合物(1)による処置は、複数の第2相および第3相臨床試験において、中等度から重度のMDDまたはPPDを有する患者におけるうつ症状の迅速(早くて3日目)かつ一貫した改善を実証した。完了した二重盲検プラセボ対照試験4件のうち3件が、15日目のハミルトンうつ病評価尺度(HAMD)-17総スコアのベースラインからの有意な変化というその一次エンドポイントを満たした(Deligiannidis KM, et al. JAMA Psychiatry. 2021;78:951-959; Gunduz-Bruce H, et al. N Engl J Med. 2019;381(10):903-911; Mittal A, et al. Poster presented at: American Academy of Neurology Annual Meeting; June 20, 2014; Toronto, Canada; Clayton A. Oral presentation presented at: ECNP Annual Meeting; October 2-5, 2021; Lisbon, Portugal)。化合物(1)は、一貫した安全性プロファイルを伴って、概して十分に耐容された。研究全体を通じて、化合物(1)の群における患者の≧5%に報告された有害事象は、頭痛、傾眠、目まい、吐き気、上気道感染症、鎮静、倦怠感および下痢であった(同書)。PPDにおける第3相研究では、化合物(1)は、効力があることを実証し、概して十分に耐容された(Deligiannidis KM, et al. JAMA Psychiatry. 2021;78:951-959)。健常な参加者における第1相用量決定研究では、化合物(1)は、概して、十分に耐容された(Hoffmann E, et al. Clin Pharmacokinet. 2020;59:111-120)。化合物(1)の投与を受けているMDDを有する成人における第2相研究により、プラセボを服用した患者と比べ、15日目において、うつ症状が有意に軽減することが実証された(P<0.001)(Gunduz-Bruce H, et al. N Engl J Med. 2019;381(10):903-911)。極めて重要な第3相WATERFALL(本出願の実施例1~3)研究は、うつ症状の改善の速やかな発生を含む、以前の化合物(1)の研究と一致する結果を実証し、概して、十分に耐容された。
GABAA PAMは乱用または誤用の可能性を示すこと、および中枢神経系(CNS)内で作用する大部分の薬物はヒト乱用可能性を評価する必要があることを考慮すると、化合物(1)の乱用および誤用の可能性を評価するには追加の研究が必要である(Arnaud A, et al. J Affect Disord. 2021;285:112-119; U.S. Department of Health and Human Services Food and Drug Administration, Center for Drug Evaluation and Research (CDER). Assessment of abuse potential of drugs: guidance for industry. January, 2017)。
臨床研究
研究集団
18~55歳、体重≧50.0kg、肥満度指数が18.0~34.0kg/m2の健常な成人が、研究に適格であった。参加者は、現在、CNS抑制剤の快楽使用者であることが必要とされた(スクリーニング前の12週間に少なくとも1回を含む、その生涯を通じて非治療的な理由でCNS抑制剤を≧10回使用すると定義される)。除外基準には、過去2年以内の物質もしくはアルコールの依存歴、および/または薬物もしくはアルコールのリハビリテーションプログラムへのなんらかの入院を含んだ。選択基準および除外基準の完全なリストを以下に示す。
選択基準
参加者は、有効な形式の写真付き身分証明書を提示し、いずれかのプロトコール固有の手順を開始する前に書面によるインフォームドコンセントも提出し、かつすべての研究評価を完了することが可能となるよう十分なコミュニケーションが可能でなければならなかった。女性参加者は、参加者が閉経後である、または妊娠するリスクがない限り、参加中および化合物(1)の最後の投薬後の30日間、非常に有効な避妊方法を使用することに同意しなければならなかった。男性参加者は、性的に活動的でない限り、研究期間中および化合物(1)の最後の用量を服用した後の5日間、許容される有効な避妊方法を使用することに同意した。さらに、男性参加者は、研究期間中および化合物(1)の最後の用量を服用した後の5日間は、精子提供を控えることに前向きでなければならなかった。
除外基準
ヘビースモーカー(1日あたりのタバコ本数>20)である参加者、および/または化合物(1)投与の≧1時間前および投与の6時間後、喫煙もしくは禁止ニコチン含有製品の使用を控えることができなかった参加者を除外した。さらに、参加者は、スクリーニング前の1か月以内にニコチン補充療法(あらゆる製剤)またはバレニクリン療法を使用することは許可されなかった。スクリーニング前の60日以内に献血した参加者、または急性失血(>500mL)を経験した参加者は適格ではなかった。スクリーニング前の30日間、または5半減期分(既知の場合)(いずれか長い方)以内の被験薬またはデバイスへの曝露も除外基準とした。化合物(1)への以前の曝露、あるいは化合物(1)もしくは鎮静薬/睡眠薬もしくは製剤用賦形剤に対するアレルギーまたは過敏症(発疹を含む)歴は、参加者として除外された。治験施設の職員またはその近親者は、適格ではなかった。参加者は、禁止されている薬品/補給物、または快楽的薬物を使用すること、またはアルコールもしくは禁止食品を摂取すること、または1日あたり6回分を超えると定義される過剰量のカフェインを定期的に摂取することは許可されなかった。
追加の除外基準には、肝臓、腎臓、心血管、肺、神経、精神、胃腸、血液学、免疫、眼、代謝または腫瘍の疾患などの特定の状態の重大な病歴および/または存在が含まれた。薬物の吸収または代謝に影響を及ぼし得る臨床的に重要な胃腸疾患および/または手術の病歴(例えば、胃切除術および/または胃バイパス術)も除外基準であった。さらに、任意の臨床的に重要な身体検査異常所見、または血液学、臨床化学、もしくは尿検査もしくは12誘導心電図(ECG)に関して臨床的に重要な異常値を有する参加者も除外された。男性参加者の補正QT間隔(QTcF)≧450msec、または女性参加者の≧470msecは除外された。さらに、B型肝炎表面抗原、C型肝炎抗体、またはHIV抗体1もしくは2について陽性の血清学的結果の病歴、存在および/または現在の証拠を有する参加者は除外された。参加者は、スクリーニングの2年以内に、自殺行為歴を有する、あるいはスクリーニング時もしくは入院時にコロンビア自殺重篤度評価尺度に関する質問3、4または5に「はい」と答えたか、あるいは現在、自殺のリスクがあることはできなかった。
研究設計
研究は、ヘルシンキ宣言および適正臨床実践のための調和に関する国際会議の原則に従って実施した。参加研究施設の施設内審査委員会は、研究を承認し、すべての参加者はスクリーニング評価の前に書面によるインフォームドコンセントを提出した。
用量選択
研究の最初のパートである用量選択は、主要研究に進むよう、化合物(1)の予想される治療用量(30mg)よりも多い2用量を特定する3コホート、無作為化、二重盲検、プラセボ対照の用量漸増設計とした(図30A~30B)(U.S. Department of Health and Human Services Food and Drug Administration, Center for Drug Evaluation and Research (CDER). Assessment of abuse potential of drugs: guidance for industry. January, 2017; Griffiths RR, et al. Durg Alcohol Depend. 2003;70(3):S41-54; Schoedel K, Sellers E. Clin Pharmacol Ther. 2008;83(4):622-626)。2用量は、安全性および耐容性エンドポイント(下記)によって、センチネル投薬(下記)中に評価される、用量選択期における安全性および耐容性に基づいて選択した。
最大で21日間のスクリーニング期間の後に、適格参加者は、3つの個別のコホートにおいて化合物(1)の単回漸増用量(60、80または90mg)またはマッチングプラセボの投与を受けるよう3:1で無作為化した。化合物(1)を4日間の入院投与の間に投与した(図30A)。センチネル投薬を各コホートに対して用い、1日目に、1名の参加者を無作為化して化合物(1)の投与を受けさせ、1名の参加者にプラセボの投与を受けさせた。残りの6名の参加者(化合物(1)、5名、プラセボ、1名)には、安全性エンドポイントおよび耐容性エンドポイントをモニタリングした後のほぼ24時間後に投薬した。用量漸増コホートは、少なくとも7日間、間隔を設けた。用量が、安全性データに基づいて十分に耐容されなかった場合、後続のコホートの用量は修正されるべきであり、化合物(1)の用量は、90mgを超えることは許されなかった。参加者は、処置の終了後7(±2)日目に、経過観察のための1日間の訪問を受け、主要研究への参加は許可されなかった。
主要研究
主要研究は、4つの期からなった(図30B)。スクリーニング期は、適格性認定期の開始から21日以内に行われる1日間の訪問とした。適格性認定期は、参加者がアルプラゾラム(活性比較物)とプラセボとを区別することができること、およびアルプラゾラム2mg用量に耐えることができることを確実にするための、4日間の入院期間とした。参加者は、単回経口用量のアルプラゾラム2mgおよびプラセボを24時間、間隔を空けてクロスオーバー方式で投与を受け、2種の薬品を区別することができた場合に、処置期に進めた。処置期は、二重盲検、活性剤およびプラセボ対照の6方向クロスオーバー設計とし、参加者は6つの処置:プラセボ、アルプラゾラム(1.5および3mg)および化合物(1)(30、60および90mg)のうち1つの単回経口用量に等しく無作為化した。化合物(1)の用量は、第1のパートである用量選択の結果に基づいており、処置は、7日間、空けた。経過観察期は、処置期の7(±2)日後に行われる1日間の訪問とした。
エンドポイント
最初のパートである用量選択に関すると、エンドポイントは、コロンビア自殺重篤度評価尺度(C-SSRS)、有害事象(AE)および深刻な有害事象(SAE)の頻度および重篤度、ならびに臨床検査評価のベースラインからの変化、バイタルサインおよび心電図(ECG)を含む安全性エンドポイントおよび耐容性エンドポイントと共に、観察者が評点した、覚醒/鎮静の観察者による修正アセスメント(MOAA/S)スコアを含んだ。
主要研究に関すると、一次薬力学(PD)エンドポイントは、双極視覚的アナログスケール(VAS)によって評価される、薬物嗜好性(現時点)の最大効果(Emax)とした。薬物嗜好性は、「現時点における、この薬物に対する私の嗜好は」という質問を使用して評価し、この場合、値は、0(とても嫌い)から100(とても好き)までの範囲とすることができ、スコア50が中立であった。
重要な二次PDエンドポイントは、全薬物嗜好性および薬物の再度服用VAS Emaxであり、どちらも0(それぞれ、とても嫌いまたは全く当てはまらない)から100(それぞれ、とても好きまたはとても当てはまる)の範囲の同様の双極性尺度を使用して評価され、スコア50が中立であった。
他の二次エンドポイントは、高揚効果、良い薬物効果、悪い薬物効果、覚醒/眠気、MOAA/S、任意の効果、薬物類似性および認知(反応時間および運動時間)のEmaxおよび最小効果(Emin)を含んだ。薬物類似性は、プラセボの類似性、ベンゾジアゼピンの類似性およびオピオイドの類似性のメジアン値として測定され、「最近、服用した薬剤は[薬剤名]とどの程度似ていますか?」という質問を使用して評価した。ベンゾジアゼピン(すなわち、アチバン、ハルシオン、クロノピン、リブリウム、バリウムおよびザナックス)およびオピオイド(すなわち、アヘン、モルフィン、ヒドロコドン、オキシコドン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、フェンタニル、ブプレノルフィン、メペリジンおよびトラマドール)との比較のために薬物の例を示した。値は、0(全く似ていない)から100(非常に似ている)の範囲とした。
薬物動態エンドポイントは、観察された薬物の最大血漿中濃度(Cmax)、Cmaxまでの時間(Tmax)、および用量投与後の0~24時間の血漿濃度対時間曲線下面積(AUC0-24)を含んだ。安全性エンドポイントおよび耐容性エンドポイントは、AEおよびSAEの頻度および重篤度、臨床検査評価、バイタルサイン、およびECGのベースラインからの変化、ならびにコロンビア自殺重篤度評価尺度(C-SSRS)によって評価される自殺傾向を含んだ。
評価
MOAA/Sスコアは、用量投与前、および投薬後の複数の時間点(1、2、3、4、5、6、7、8、10、12および24時間)において、0(痛みを伴う僧帽筋圧迫後に応答がない)から5(普通の口調で名前を呼ばれると容易に応答する;表18)までの範囲の6ポイントの尺度を使用して評価した。心電図測定値およびC-SSRSは、スクリーニング時、入院時、3日目、および/または早期中止時に評価し、AE/SAEは、研究への登録中に継続的に評価した。用量選択期の間、スクリーニング時、入院時、用量投与前、および投薬後の最大で24時間までの複数の時間点において、バイタルサインを評価した(表19)。
Figure 2024515829000072
MOAA/S、覚醒/鎮静の観察者による修正アセスメント;NA、適用せず;VAS、視覚的アナログスケール。
Figure 2024515829000073
AE、有害事象;C-SSRS、コロンビア自殺重篤度評価尺度;ECG、心電図;MOAA/S、覚醒/鎮静の観察者による修正アセスメント;PK、薬物動態;SAE、深刻な有害事象;VAS、視覚的アナログスケール。
主要研究の適格性認定および処置期の間、薬物嗜好性、良い薬物効果、悪い薬物効果およびなんらかの薬物効果は、投薬後、複数の時間(0.5、1、1.5、2、3、4、6、8および23時間)において評価した。高揚効果および覚醒/眠気は、これらの同じ複数の時間点および投薬前に評価した。MOAA/Sを、投薬前および投薬後の複数の時間(0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、10、12および24時間)において評価した。全薬物嗜好性および薬物の再度服用は、適格性認定期中には投薬の8時間後および23時間後に、そして処置期中には投薬の12時間後および24時間後に評価した。薬物類似性は、処置期の間に投薬して12時間後に評価した。適格性認定期および処置期の両方について、ECG測定、C-SSRSおよびAE/SAEは、用量選択期中と同じスケジュールで評価した。
処置期の間、PK測定は、投薬前、および投薬後の複数の時間点、すなわち0.5~24時間に評価した。血漿解析のために収集した血液試料は、解析まで凍結状態を維持した(約-70℃~-80℃)。化合物(1)の血漿濃度の定量は、タンデム質量分光法を用いる検証済み液体クロマトグラフィーを使用して、生物分析研究所(PRA Health Sciences、Lenexa、Kansas)によって行われた。アッセイの検証範囲は1.00~500ng/mlとした。
統計解析
用量選択の安全性集団は、1用量の化合物(1)の投与を受けたすべての参加者を含んだ。主要研究の適格性認定安全性集団は、≧1用量のアルプラゾラムの投与を受けたすべての参加者を含んだ。処置期の間、無作為化集団は、無作為化されたすべての参加者を含み、安全性集団は、≧1用量の化合物(1)またはアルプラゾラムの投与を受けたすべての参加者を含んだ。完了者集団は、すべての処置期間を完了し、一次エンドポイントの評価に十分なデータを有しており、かつ薬物嗜好性VASスコアについて、各処置のTmaxから2時間以内に≧1が観察された、無作為化集団におけるすべての参加者を含んだ。修正完了者集団は、完了者集団における参加者を含み、すべての処置に対して類似の奏効を示した参加者、および/または陽性者と比べプラセボに対して不適切な奏効を示した参加者を除外した。PK集団は、≧1用量の化合物(1)の投与を受け、かつ投薬後に≧1PK試料を有した、処置期におけるすべての参加者を含んだ。
無作為化した参加者はすべて、参加者処遇の概要に含まれた。処置期の場合、修正完了者集団を使用して、PDデータを要約した。
主要研究の一次エンドポイント(薬物嗜好性)に関しては、本発明者らが検討した3つの主な仮説は、研究妥当性の検討(アルプラゾラム対プラセボ)、相対的乱用可能性(化合物(1)対アルプラゾラム)および絶対的な乱用可能性(化合物(1)対プラセボ)であった。薬物嗜好性は、固定効果として、処置、期間、順序および一次キャリーオーバー効果、ならびに変量効果として参加者を含む、線形混合効果モデルを用いて評価した。線形混合モデルは、誤差項の正規性を仮定し、Shapiro Wilk W検定を使用し、モデルからの残差の正規性を検討した。Shapiro-Wilk W検定からの確率値が、≧0.05である場合、パラメータは正規分布しているとみなした。この基準を満たさないパラメータは、分布が非正規であるとみなされ、順序および期間ごとの要約統計量およびヒートマップを使用して、一次キャリーオーバー効果を視覚的に調査した。正規分布したパラメータに関すると、以下の通り、F検定を使用して、一次キャリーオーバー効果の有意性を調査した:p値が>0.25である場合、一次キャリーオーバーを線形混合効果モデルから除き、縮小モデル(すなわち、処置、期間および順序の固定効果)を解析に合てはめた。p値が、0.25~0.05の間(終点を含む)にある場合には、一次キャリーオーバーを含ませ、p値が、<0.05の場合には、第1の期間解析を行った。
PK解析はすべて、PK解析対象集団に基づいた。記述統計は、試料サイズ、算術平均、標準偏差、算術変動係数(CV)、第1四分位、メジアン、ならびに第3四分位の最小値および最大値を含んだ。要約統計に関すると、定量限界未満のPK濃度値をゼロとして処理した。PKパラメータを計算するため、最初の定量可能な濃度の前または後に発生したゼロのPK濃度値を、それぞれゼロまたは欠測として入力した。化合物(1)の血漿PKパラメータを、ノンコンパートメント解析(Phoenix(登録商標)WinNonlin(登録商標)バージョン8.0またはそれ以降)を使用して各参加者について推定した。終末失速衡速度定数(λz)およびλzから導いたPKパラメータの推定値は、PKデータの検査、およびR2≧0.8に調節した終末期の3つの時間点の最小値に依存した。
(実施例8)
中枢神経系抑制剤の非依存的、快楽使用者における経口化合物(1)の乱用可能性を評価する、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、クロスオーバー研究の結果:
この実施例は、実施例7に記載した研究結果を含む。
本研究は、主に、化合物(1)のヒト乱用可能性を評価するために実施した。研究は、用量選択および主要研究からなる、2つのパートの研究として実施した。研究は、CNS抑制剤の非依存性の健康な快楽使用者において、アルプラゾラムおよびプラセボと比べた、化合物(1)の単回経口用量の乱用可能性を比較した。二次目的は、化合物(1)の薬物動態(PK)特性、ならびに安全性および耐容性を評価することであった。
患者処遇およびベースライン人口統計
用量選択の間に、24名の参加者が治験薬の投与を受け、23名が、用量選択期を完了した。化合物(1)60mgの投与を受けた参加者の1名が、研究から離脱し、経過観察ができなかった(図31A~31B)。化合物(1)の投与を受けた18名の参加者は、平均年齢が30歳であり、ほとんどが男性(94%)、黒人(72%)、および非ヒスパニック系民族(89%)であり、全員が、鎮静薬およびカンナビノイドの以前の使用経験を有した(表20)。
主要研究では、162名の無作為化した参加者すべてが、適格性認定期を完了した。これらのうち、60名が処置期を完了し、71名が、PK集団を構成した。処置期では、参加者は、平均年齢が32歳であり、ほとんどが男性(84%)、黒人(76%)、非ヒスパニック系民族(95%)であり、全員が、鎮静薬の以前の使用経験を有した(表20)。
Figure 2024515829000074
Figure 2024515829000075
用量選択
研究の第1のパートである用量選択の間、参加者はすべて、投薬前のベースラインおよび投薬後1時間で、MOAA/Sスコアが5(普通の口調で呼ばれた名前に容易に応答する)を有した。投薬後2時間時に、MOAA/Sスコアは向上し、投薬後8時間まで5に戻ることはなかった。入手可能なデータを有するプラセボ群における参加者はすべて、すべての時間点において、スコア5を有した。鎮静は、化合物(1)の用量のすべての投与後に経時的に増加し、80mg用量および90mg用量の場合に、わずかにより大きな増加が観察された。投薬後、2~7時間時に、少なくとも1つの化合物(1)のコホートにおける1~4名の参加者が、軽度鎮静を報告した(最大鎮静スコア0のうちのMOAA/Sスコア2~4)。24時間のモニタリング中、<2のスコアとなった群はなく、これは、鎮静奏効が不十分であるかまたは奏効しなかったことを示すと思われる。すべてのスコアが、投薬後、8時間までにベースラインスコア5に戻り、3日目までそのままであった。これらの結果および他の安全性データ(以下に議論)に基づいて、主要研究の処置期のために選択した用量は、30、60および90mgとした。
一次エンドポイント、薬物嗜好性
主要な研究の処置期の間、薬物嗜好性の一次エンドポイントにおいて、プラセボよりもアルプラゾラムの方が有意に高い値を有したことによって、研究妥当性が検証された(表21)。化合物(1)は、化合物(1)30mg対両アルプラゾラム用量(どちらもP<0.001)の場合、化合物(1)60mg対アルプラゾラム(1.5mg、P=0.049;3mg、P=0.002;表21;図32;図33)と、アルプラゾラムよりも顕著に低い薬物嗜好性スコアを示した。化合物(1)90mgは、アルプラゾラムと有意差はなかった。同様に、絶対的な乱用可能性の評価により、すべての化合物(1)の用量が、プラセボよりも数字上、高い薬物嗜好性スコアを生じたことが実証された。
重要な二次エンドポイント
研究妥当性は、アルプラゾラムが全薬物嗜好性と薬物の再度服用の両方において、プラセボよりも有意に高い値を有したことによって実証された(表20)。全薬物嗜好性に関すると、化合物(1)30mg(P<0.001)および60mg(P≦0.005)は、両方のアルプラゾラム用量よりも有意に低いスコアを示したが、90mgでは示さなかった(表21;図34A)。薬物の再度服用に関すると、化合物(1)30mgは、両方のアルプラゾラム用量よりも有意に低い(P<0.001)スコアを示し、化合物(1)60mgは、アルプラゾラム3mg用量よりも有意に低かった(P=0.003)(表21;図34B)。
Figure 2024515829000076
フリードマン検定を使用して、P<0.001のアルファ値で総合的な処置効果を評価した。比較のため、処置間の対応のある差異が対称ではない場合;符号検定を使用して、2つの処置間の差異を評価した;位置シフトのメジアン、メジアンの片側95%または両側90%CI、およびp値を提示する。処置間の対応のある差異が対称である場合;対応のあるt-検定を使用して、2つの処置間の差異を評価した;平均値、平均値の片側95%または両側90%CI、およびp値を提示する。
P<0.001; †P<0.05; ‡P<0.01; §化合物(1)30および60mg(90mgは除外)は、アルプラゾラムとは有意に異なっていたので、絶対的な乱用可能性に関して、プラセボに対して化合物(1)を比較するためのp値は示されていない;CI=信頼区間;Emax=最大(ピーク)効果;SE=標準誤差;LS=最小二乗;VAS=視覚的アナログスケール。
二次エンドポイント
高揚効果および良い薬物効果に関すると、アルプラゾラムの両方の用量が、プラセボと比べて有意により高いスコアを示した(P<0.001;表21)。高揚効果に関すると、化合物(1)30および60は、両方のアルプラゾラム用量と比べ、有意により低いスコアを示したが、90mgでは示さなかった。良い薬物効果に関すると、化合物(1)30mgは、両方のアルプラゾラム用量よりも有意に低いスコアを示した(両方ともP<0.001)。さらに、化合物(1)60mg群は、アルプラゾラム3mg群よりも有意に低い良い薬物効果スコアを示し(P<0.05)、化合物(1)90mgは、アルプラゾラム用量のどちらとも有意差はなかった。
悪い薬物効果に関すると、アルプラゾラム3mgは、プラセボと比べ、有意により高いスコアを示した(P<0.001;表22)。化合物(1)30mgは、両方のアルプラゾラム用量よりも有意に低い悪い薬物効果スコアを示し(P<0.02)、60mgは、より高いアルプラゾラム用量である3mgよりも有意に低いに過ぎなかった(P<0.001)。
Figure 2024515829000077
Figure 2024515829000078
フリードマン検定を使用して、P<0.001のアルファ値で総合的な処置効果を評価した。
比較のため、処置間の対応のある差異が対称ではない場合;符号検定を使用して、2つの処置間の差異を評価した;位置シフトのメジアン、メジアンの片側95%または両側90%CI、およびp値を提示する。処置間の対応のある差異が対称である場合;対応のあるt-検定を使用して、2つの処置間の差異を評価した;平均値、平均値の片側95%または両側90%CI、およびp値を提示する。* P<0.001; †P<0.05; ‡ P<0.01; CI=信頼区間;Emax=最大(ピーク)効果;SE=標準誤差;LS=最小二乗;VAS=視覚的アナログスケール。
覚醒/眠気に関しては、プラセボの平均スコアは48~53の範囲であった(図35)。投薬後、化合物(1)のスコアは、30mgの場合、投薬後、ほぼ6~7時間、ならびに60mgおよび90mgの用量の場合、投薬後ほぼ8~10時間、中立値50(眠気も覚醒もない)未満のままであった。MOAA/Sに関すると、アルプラゾラムと化合物(1)のどちらも、経時的に増加するスコアを示し、最高のスコアは、投薬後の2~4時間の間に観察された(データは図示せず)。
なんらかの薬物効果に関しては、プラセボのスコアは、研究全体を通じて<10(0=薬物効果をなんら感じない)であった一方、アルプラゾラムおよび化合物(1)のスコアは、投薬後の4~5時間の間にピーク効果を伴った漸増を示した(図36)。両方のアルプラゾラム用量は、プラセボと比較して有意により高いVASスコアを示した(どちらも、P<0.001)。さらに、化合物(1)30mgの場合のスコアは、どちらのアルプラゾラム用量の場合よりも有意に低かった(どちらもP<0.001)。化合物(1)60mgのスコアは、アルプラゾラム3mgよりも有意に低く(P=0.002)、化合物(1)90mgのスコアは、アルプラゾラム用量のいずれとも有意差はなかった。
プラセボ類似性の薬物類似性測定値に関すると、プラセボは、最高のメジアンスコア86.0を有し、すべてのアルプラゾラムおよび化合物(1)の投薬量は、メジアンスコアゼロを有した。ベンゾジアゼピン類似性の薬物類似性測定値に関すると、プラセボは、メジアンスコア0を有し、化合物(1)90mg群およびアルプラゾラム1.5mg群は、それぞれの場合に、最高メジアンスコア92.5を有した。オピオイド類似性の薬物類似性測定値に関すると、プラセボは、メジアンスコア0を有し、最高スコアは、アルプラゾラム3mg(40.0)群および化合物(1)90mg(39.0)群の場合であった。
反応時間に関すると、すべてのアルプラゾラムおよび化合物(1)の用量は、プラセボと比べ、Emaxスコアが有意に増加し(すべての比較について、P≦0.003)、アルプラゾラム3mgが、最高の増加を有した(表23)。運動時間に関すると、アルプラゾラム1.5mgおよび3mg、ならびに化合物(1)60mgおよび90mgは、プラセボと比べ、Emaxスコアが有意に増加した(すべての比較について、P<0.001)。アルプラゾラム3mgは、すべての化合物(1)用量に対してスコアの有意な増加を示した(すべてについてP<0.001)が、アルプラゾラム1.5mgは、化合物(1)30mgに対してスコアの有意な増加を示したのみであった(P<0.001)。
Figure 2024515829000079
フリードマン検定を使用して、両方のエンドポイントに関して、<0.001のp値で総合的な処置効果を評価した。比較のため、処置間の対応のある差異が対称ではない場合;符号検定を使用して、2つの処置間の差異を評価した。特に示さない限り、位置シフトのメジアン、メジアンの片側95%または両側90%CI、およびp値を提示する。処置間の対応のある差異が対称である場合;対応のあるt-検定を使用して、2つの処置間の差異を評価した。平均値、片側95%または両側90%。CI=信頼区間;Emax=最大(ピーク)効果。
薬物動態エンドポイント
より多い化合物(1)用量は、より大きなCmax値と関係しており、幾何平均値は、55.5~123.1ng/mlの範囲であった(表24;図37)。さらに、より多い化合物(1)用量は、より大きなAUC0-24と関係しており、値は、519.9~1334h×ng/mlの範囲であった。CmaxおよびAUC0-24の両方について、すべてのCV値が、30%未満であり、処置全体で一貫した。化合物(1)の3つの用量すべてに関して、Tmax値のメジアンは、5.1時間であり、T1/2値は、3回の投薬量で、9.92~10.93時間の範囲であった。
Figure 2024515829000080
T1/2に関しては、90mg(n=62)、60mg(n=60)および30mg(n=66)の用量コホートの参加者の数は、全PK集団の参加者よりも少なかった。AUC0-24=用量投与後の時間0~24時間の血漿中濃度対時間曲線下面積;Cmax=薬物の観察された血漿中濃度の最大値;CV=パーセント変動係数;T1/2=薬物の終末消失半減期の推定値;Tmax=薬物の観察される最大血漿中濃度までの時間。
安全性
用量選択中に、21/24(87.5%)の参加者が、46件のTEAE事象を報告した。AEによる死亡、SAEまたは中止はなかった(表25)。TEAEの大多数は、重篤度は軽度であり、参加者の79.2%(19/24)が、合計で44件の軽度のTEAEを報告した。中程度のTEAEが、2件:化合物(1)90mgの投与後に傾眠が一例、およびプラセボの投与後に歯痛が一例あった。平均臨床化学、血液学または尿検査の臨床的に重要な変化はなかった。
処置期中、プラセボ群における参加者の36.2%(25/69)が、≧1のTEAEを有した。化合物(1)群では、≧1のTEAEを有する参加者の割合は、より高い用量の場合に向上した(表26)。TEAEを有する参加者の大多数(217/259)は、軽度であると報告した。重度のTEAEも死亡もなかった。4名の参加者が、TEAEのために中止した:化合物(1)30mg群における参加者の1名が、血圧上昇を有し、化合物(1)60mgの参加者の1名が、眼痛および眼の不快感(それぞれ、TEAE)を有し、化合物(1)90mg群における参加者の1名が、錯乱状態を有し、化合物(1)90mg群における参加者の1名が、歯科リテーナーに関係した顔面の腫れを有した。錯乱状態は、処置に関連している可能性があると判定された。他のすべては、処置に関連していないと判定された。平均臨床化学、血液学または尿検査の臨床的に重要な変化はなかった。
Figure 2024515829000081
Figure 2024515829000082
パーセンテージは処置群あたりの参加者数に基づいて計算する。
最も一般的(>1名の参加者で発生)な乱用の可能性に関連するTEAE。軽度および中程度のTEAEに関しては、参加者が、分類内の1件超のTEAEを有する場合、それらのTEAEは、最高重篤度に従い1回だけ計数する。HR=心拍数;TEAE=治療下で発現した有害事象。
Figure 2024515829000083
示されているデータは、群あたりのTEAEを有する参加者の数(%)であり、パーセンテージを、処置群あたりの参加者数に基づいて計算した。軽度および中程度のTEAEに関しては、参加者が、分類内の1件超のTEAEを有する場合、それらのTEAEは、最高重篤度に従い1回だけ計数する。TEAE=治療下で発現した有害事象。
考察
この研究では、計画IV化合物であるアルプラゾラムに対する化合物(1)のヒト乱用可能性を評価した(Wilbraham D, et al. J Clin Pharmacol. 2020;60:495-504)。全体として、化合物(1)の30mgおよび60mgの用量により、薬物嗜好性(一次エンドポイント)、全薬物嗜好性および薬物の再度服用(重要な二次エンドポイント)ならびに大部分の他の二次エンドポイントに関して、活性比較物であるアルプラゾラム1.5mgおよび3mgよりも乱用可能性が有意に低いことが主に実証された。この傾向の例外は、薬物の再度服用の場合、化合物(1)60mgが、より少ないアルプラゾラム用量である1.5mgよりも有意に低いスコアを示さなかったことである。化合物(1)90mgは、アルプラゾラムと同様であるが、著しく低い乱用可能性を示した。化合物(1)に関するこれらの知見の研究妥当性の裏付けとして、アルプラゾラムの用量のどちらも(活性比較物)、プラセボに比べ、有意に高い薬物嗜好性スコア、ならびに全薬物嗜好性および薬物の再度服用スコアの重要な二次エンドポイントに関して有意に高いスコアを示した。さらに、化合物(1)の絶対乱用可能性の研究(薬物嗜好性で評価)により、プラセボよりも有意に高いスコアとなることが実証された。これらの知見は、研究の妥当性、化合物(1)30および60mgはアルプラゾラムに対して相対的乱用可能性はより低いが、90mgではそうではないこと、ならびに化合物(1)では、プラセボと比べ絶対的な乱用可能性が低いことを実証した。
鎮静に関すると、PDエンドポイントの覚醒/眠気によって測定される通り、化合物(1)とアルプラゾラムの両方が、明らかな用量に関連する奏効があることを実証し、投薬量が多いほど鎮静の持続時間も長かった。24時間にわたる解析を通じて、化合物(1)とアルプラゾラムのどちらも、覚醒/眠気VASスコアの低下を示し、ピーク効果は用量投与後、ほぼ3~4時間に起こり、どちらの薬物も、中立の眠気のない状態に戻る傾向を示した。全体として、これらの結果は、化合物(1)とアルプラゾラムのどちらも、最小限の負の効果および鎮静効果を示し、これらの効果は、用量に比例するように思われ、用量投与後のほぼ3~4時間にピークに達したことを示している。
この研究では、反応時間および運動時間の客観的尺度ならびに観察者が評点するMOAA/Sにより、化合物(1)に関連する精神運動効果および奏効性を評価し、アルプラゾラムと比較した。反応時間および運動時間は、一般に、アルプラゾラムよりも化合物(1)の方が短く、化合物(1)の最低用量(30mg)は、運動時間の測定値に関して、プラセボと有意差はなかった。さらに、用量選択期に関すると、MOAA/Sスコアにより評価した奏効性は、化合物(1)80mgおよび90mgの用量の場合、わずかに低かったが、主要研究にとって、化合物(1)の90mgの用量の使用を妨げるほど低くはなかった。主要研究の処置期では、化合物(1)およびアルプラゾラムのどちらも、経時的な奏効性の低下を示し、最大の効果は、投薬後のほぼ2~4時間に観察された。化合物(1)の用量は、投薬後のほぼ8~12時間までに中立に戻り、アルプラゾラムの最高用量は、ほぼ24時間かかった。全体として、化合物(1)は、アルプラゾラムに比べ、同等または改善された精神運動効果および奏効性を示した。
主要研究中、TEAEの出現率は、概して、化合物(1)に比べ、アルプラゾラムの方が高かった。さらに、発生したTEAEは、概して軽度であり、中程度のTEAEは、2件のみ報告された。化合物(1)の場合、TEAEの出現率は、用量に関連しているように思われた。化合物(1)30mgおよび60mgに関連するTEAEのパターンは類似したが、化合物(1)60mgの後にTEAEを報告した参加者の割合はより高かった。化合物(1)30mgおよび60mgの場合、最も一般的に報告された2件のTEAEには、傾眠とそれに続く倦怠感が含まれた。化合物(1)90mgおよびアルプラゾラム3mgに関しては、中程度のTEAEを報告した参加者の割合が最も高く、これらに関して同等であった。化合物(1)90mgは、微細運動技能の機能不全および易怒性という乱用の可能性に関連するTEAEの発生が比較的低いことを実証した。全体として、化合物(1)は、用量比例し、アルプラゾラムと同等かまたはそれよりも有利となる、有利な安全性プロファイルを実証するように思われた。
以前の研究(Hoffmann E, et al. Clin Pharmacokinet. 2020;59:111-120)において認められた通り、化合物(1)の3つの用量はすべて、単回用量投与後に容易に吸収され、化合物(1)曝露の濃度(つまり、CmaxおよびAUC0-24)は、投薬量が増加するにつれて上昇した。ほぼ5時間というTmax(化合物(1)の3つの用量すべての場合)は、108名の健常な志願者の以前の研究によって報告された1時間という値よりも長かった(Hoffmann E, et al. Clin Pharmacokinet. 2020;59:111-120)。ほぼ5時間のこのTmax値は、投薬と最大薬物嗜好性VAS Emax値の間に5時間の遅延間隔があることと密接に対応しており、血漿中レベルの増加と報告された主観的効果との間で一致することを示唆する。さらに、T1/2値(すべての化合物(1)の用量の場合で、10~11時間)は互いに同等であったが、Hoffmanおよび共同研究者によって報告された T1/2値(14~19時間)よりも短かった(Hoffmann E, et al. Clin Pharmacokinet. 2020;59:111-120)。TmaxおよびT1/2におけるこれらの差異は、以前の研究は水溶液の化合物(1)製剤を使用したのに対し、本研究はカプセル剤ベースの製剤を使用したことが理由である可能性が高かった(Hoffmann E, et al. Clin Pharmacokinet. 2020;59:111-120)。本研究の場合、曝露パラメータにおける対象間ばらつきは低く(CV値<30%)、これは、曝露における用量比例関係と共に、化合物(1)の重要なPK/PD特色である。
本研究の強みは、用量選択パートおよび研究妥当性の評価を含む適格性認定期を含んでいることを含む。CNS抑制剤の快楽使用者は、化合物(1)などのCNS作用化合物に合理的に耐容可能であることが予想されたので、化合物(1)が十分に多くかつ耐容可能となる用量(すなわち、最大90mg)を確保した用量選択期を主要研究において評価した。さらに、参加者が活性比較物であるアルプラゾラムの主観的効果とプラセボとを区別することが可能となることを検証することによって、二重盲検適格性認定期が研究妥当性を確実にするので、この二重盲検適格性認定期は有益であった。
研究の限界には、単回用量設計および薬物効果の主観的測定値の使用が含まれる。実世界の状況では、CNS作用薬の乱用は、通常、複数回の反復用量を含み得、したがって、化合物(1)の乱用可能性および安全性は、これらの条件下では異なることがある。しかし、単回用量設計の強みは、安全性の向上、実験管理が可能であり、ヒト乱用研究(U.S. Department of Health and Human Services Food and Drug Administration, Center for Drug Evaluation and Research (CDER). Assessment of abuse potential of drugs: guidance for industry. January, 2017)に関する関連FDAガイドラインに一致することである。自己報告された測定値を使用すると、潜在的にエラーおよびバイアスが生じる恐れがある。これに対抗する試みは、二重盲検研究設計の使用、ならびにMOAA/Sおよび反応および運動時間などの観察者が評点した客観的な測定値を組み込むことであった。
健常な快楽的CNS抑制剤使用者のこの研究は、化合物(1)30mgおよび60mgの単回経口用量が、活性比較物であるアルプラゾラムの両方の用量(1.5mgおよび3mg)と比べて好ましいヒト乱用可能性があることを実証したことを実証した。同様に、化合物(1)90mgは、スケジュールIVのベンゾジアゼピンアルプラゾラムと同様の主観的効果を生じた。最後に、化合物(1)は、以前の研究(Hoffman)と一致する安全性プロファイルを示した。化合物(1)は、概して、十分に耐容され、化合物(1)の群によって報告されたTEAEの大部分は軽度であり、重度のTEAEも死亡も報告されなかったことによって有望な安全性および耐容性プロファイルが実証された。
均等物および範囲
特許請求の範囲において、「a」、「an」および「the」などの冠詞は、反対の記載がない限り、または特に文脈から明白ではない限り、1つまたは1つより多いことを意味することができる。ある群の1つまたは複数のメンバーの間の「または」を含む特許請求の範囲または記載は、反対の記載がない限り、または特に文脈から明白ではない限り、群のメンバーの1つ、1つより多くまたはすべてが、所与の生成物またはプロセスに存在する、これらに用いられる、またはその他の様式でこれらに関連する場合に満たされているとみなされる。本発明は、群の正確に1つのメンバーが、所与の生成物またはプロセスに存在する、それらに用いられる、またはその他の様式でそれらに関連している実施形態を含む。本発明は、群のメンバーの1つより多くまたはすべてが、所与の生成物またはプロセスに存在する、それらに用いられる、またはその他の様式でそれらに関連する実施形態を含む。
さらに、本発明は、すべての変形形態、組合せおよび並べ換え形態を包含し、この場合、列挙されている請求項のうちの1つまたは複数からの1つまたは複数の限定、要素、条項および記述用語が、別の請求項に導かれる。例えば、別の請求項に従属する任意の請求項は改変されて、同じ基本請求項に従属する、任意の他の請求項において見出される1つまたは複数の限定を含み得る。要素が一覧表示として、例えばマーカッシュ群の形式で提示されている場合、要素の各部分群も開示されており、任意の要素が群から除去され得る。一般に、本発明、または本発明の態様が、特定の要素および/または特色を含むと称される場合、本発明または本発明の態様のある特定の実施形態は、このような要素および/もしくは特色からなる、またはこれらから本質的になることを理解すべきである。簡単にする目的で、それらの実施形態は、本明細書において正確な言葉で具体的に説明されていない。用語「含むこと」および「含有すること」は、オープンであることを意図しており、さらなる要素またはステップを含むことを許容することにやはり留意されたい。範囲が示されている場合、端点が含まれる。さらに、特に示さない限り、または文脈および当業者の理解から明白ではない限り、範囲として表されている値は、その文脈が特に明確に指示しない限り、本発明の様々な実施形態において明記されている範囲内で、その範囲の下限値の単位の10分の1までの具体的な任意の値または部分範囲を前提とすることができる。
本出願は、様々な交付された特許、公開特許出願、学術論文、および他の刊行物を参照しており、これらのすべてが、参照により本明細書に組み込まれている。組み込まれている参照文献のいずれかと本明細書との間に矛盾がある場合、本明細書が優先するものとする。さらに、先行技術内に収まる本発明の任意の特定の実施形態は、特許請求の範囲のうちのいずれか1つまたは複数から明示的に除外されてもよい。このような実施形態は、当業者に公知であるとみなされているので、それらの実施形態は、除外が本明細書において明示的に説明されていない場合でさえも除外されてもよい。本発明の任意の特定の実施形態は、先行技術の存在に関連するか否かにかかわらず、何らか理由のために、いずれの請求項からも除外され得る。
他の実施形態
当業者であれば、慣用的な実験のみを使用して、本明細書に記載されている特定の実施形態に対する多くの均等物を理解するか、または解明することができる。本明細書に記載されている本実施形態の範囲は、上記の説明に限定されることを意図するものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲において説明されている通りである。当業者であれば、以下の特許請求の範囲において定義されている、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、この記載への様々な変更および改変を行うことができることを認識していよう。

Claims (93)

  1. 不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、治療有効量の化合物(1):
    Figure 2024515829000084
    を投与するステップを含む方法。
  2. 不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、治療有効量の化合物(1):
    Figure 2024515829000085
    の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法。
  3. 化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約14日間すなわち約2週間、1日1回、投与される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 化合物(1)が、約20mg~約55mgの用量で投与される、請求項1に記載の方法。
  5. 化合物(1)が、約50mgの用量で投与される、請求項1に記載の方法。
  6. 化合物(1)が、約30mgまたは約40mgの用量で投与される、請求項1に記載の方法。
  7. 化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約20mg~約55mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される、請求項2に記載の方法。
  8. 化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される、請求項2に記載の方法。
  9. 化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約30mgまたは約40mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される、請求項2に記載の方法。
  10. 化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口、非経口、皮内、鞘内、筋肉内、皮下、膣内、バッカル錠として、舌下、直腸内、局所的、吸入剤として、鼻腔内または経皮に投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口投与される、請求項10に記載の方法。
  12. 化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、食物と共に投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、夜に、1日1回、投与される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 化合物(1)が、2θが9.7~10.1度の間[端点を含む]、2θが11.6~12.0度の間[端点を含む]、2θが13.2~13.6度の間[端点を含む]、2θが14.2~14.6度の間[端点を含む]、2θが14.6~15.0度の間[端点を含む]、2θが16.8~17.2度の間[端点を含む]、2θが20.5~20.9度の間[端点を含む]、2θが21.3~21.7度の間[端点を含む]、2θが21.4~21.8度の間[端点を含む]、および2θが22.4~22.8度の間[端点を含む]のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある、請求項1に記載の方法。
  15. 化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間[端点を含む]、2θが10.6~11.0度の間[端点を含む]、2θが13.0~13.4度の間[端点を含む]、2θが14.7~15.1度の間[端点を含む]、2θが15.8~16.2度の間[端点を含む]、2θが18.1~18.5度の間[端点を含む]、2θが18.7~19.1度の間[端点を含む]、2θが20.9~21.3度の間[端点を含む]、2θが21.4~21.8度の間[端点を含む]、および2θが23.3~23.7度の間[端点を含む]のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある、請求項1に記載の方法。
  16. 化合物(1)が、2θが9.7~10.1度の間[端点を含む]、2θが14.6~15.0度の間[端点を含む]、2θが16.8~17.2度の間[端点を含む]、2θが20.5~20.9度の間[端点を含む]、および2θが21.3~21.7度の間[端点を含む]のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある、請求項1に記載の方法。
  17. 化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間[端点を含む]、2θが10.6~11.0度の間[端点を含む]、2θが13.0~13.4度の間[端点を含む]、2θが18.7~19.1度の間[端点を含む]、および2θが21.4~21.8度の間[端点を含む]のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある、請求項1に記載の方法。
  18. 化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、初期処置の完了後に、うつ症状の再発に応じて、前記対象に再投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記初期処置の最後の投薬と前記再投与の最初の投薬との間に、少なくとも6週間の間隔を空ける、請求項18に記載の方法。
  20. 前記初期処置および再投与の各々が、約14日間すなわち約2週間、行われる、請求項18または19に記載の方法。
  21. 第2の治療剤の投与をさらに含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記対象が処置を受けたことがない、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記対象が、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも30日間または少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
  24. 不安の上昇を伴うMDDが、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前に、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが17もしくはそれより高いことによって、またはうつ病に関するハミルトン評価尺度(HAM-D)不安症/身体化下位尺度スコアが7もしくはそれより高いことによって特徴付けられる、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 不安の上昇を伴うMDDが、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが17またはそれより高いことによって特徴付けられる、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
  26. 不安の上昇を伴うMDDが、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記対象が、HAM-D総スコア、HAM-A総スコア、HAM-D不安症/身体化下位尺度スコアまたはそれらの組合せの、ベースラインからの低下を示す、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記対象が、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与後15日目に、HAM-D総スコアの少なくとも14ポイントの低下を示す、請求項27に記載の方法。
  29. 前記対象が、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与後15日目に、HAM-A総スコアの少なくとも12ポイントの低下を示す、請求項27に記載の方法。
  30. 不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、治療有効量の化合物(1):
    Figure 2024515829000086
    を投与するステップを含む方法。
  31. 不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、治療有効量の化合物(1):
    Figure 2024515829000087
    の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法。
  32. 化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約14日間すなわち約2週間、1日1回、投与される、請求項30または31に記載の方法。
  33. 化合物(1)が、約20mg~約55mgの用量で投与される、請求項30に記載の方法。
  34. 化合物(1)が、約50mgの用量で投与される、請求項30に記載の方法。
  35. 化合物(1)が、約30mgまたは約40mgの用量で投与される、請求項30に記載の方法。
  36. 化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約20mg~約55mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される、請求項31に記載の方法。
  37. 化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される、請求項31に記載の方法。
  38. 化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約30mgまたは約40mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される、請求項31に記載の方法。
  39. 化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口、非経口、皮内、鞘内、筋肉内、皮下、膣内、バッカル錠として、舌下、直腸内、局所的、吸入剤として、鼻腔内または経皮に投与される、請求項30~38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口投与される、請求項39に記載の方法。
  41. 化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、食物と共に投与される、請求項30~40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、夜に、1日1回、投与される、請求項30~41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 化合物(1)が、2θが9.7~10.1度の間[端点を含む]、2θが11.6~12.0度の間[端点を含む]、2θが13.2~13.6度の間[端点を含む]、2θが14.2~14.6度の間[端点を含む]、2θが14.6~15.0度の間[端点を含む]、2θが16.8~17.2度の間[端点を含む]、2θが20.5~20.9度の間[端点を含む]、2θが21.3~21.7度の間[端点を含む]、2θが21.4~21.8度の間[端点を含む]、および2θが22.4~22.8度の間[端点を含む]のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある、請求項30に記載の方法。
  44. 化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間[端点を含む]、2θが10.6~11.0度の間[端点を含む]、2θが13.0~13.4度の間[端点を含む]、2θが14.7~15.1度の間[端点を含む]、2θが15.8~16.2度の間[端点を含む]、2θが18.1~18.5度の間[端点を含む]、2θが18.7~19.1度の間[端点を含む]、2θが20.9~21.3度の間[端点を含む]、2θが21.4~21.8度の間[端点を含む]、および2θが23.3~23.7度の間[端点を含む]のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある、請求項30に記載の方法。
  45. 化合物(1)が、2θが9.7~10.1度の間[端点を含む]、2θが14.6~15.0度の間[端点を含む]、2θが16.8~17.2度の間[端点を含む]、2θが20.5~20.9度の間[端点を含む]、および2θが21.3~21.7度の間[端点を含む]のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある、請求項30に記載の方法。
  46. 化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間[端点を含む]、2θが10.6~11.0度の間[端点を含む]、2θが13.0~13.4度の間[端点を含む]、2θが18.7~19.1度の間[端点を含む]、および2θが21.4~21.8度の間[端点を含む]のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある、請求項30に記載の方法。
  47. 化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、初期処置の完了後に、うつ症状の再発に応じて、前記対象に再投与される、請求項30~46のいずれか一項に記載の方法。
  48. 前記初期処置の最後の投薬と前記再投与の最初の投薬との間に、少なくとも6週間の間隔を空ける、請求項47に記載の方法。
  49. 前記初期処置および再投与の各々が、約14日間すなわち約2週間、行われる、請求項47または48に記載の方法。
  50. 第2の治療剤の投与をさらに含む、請求項30~49のいずれか一項に記載の方法。
  51. 前記対象が処置を受けたことがない、請求項30~50のいずれか一項に記載の方法。
  52. 前記対象が、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも30日間または少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、請求項30~50のいずれか一項に記載の方法。
  53. 不安の上昇を伴うPPDが、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前に、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが17もしくはそれより高いことによって、またはうつ病に関するハミルトン評価尺度(HAM-D)不安症/身体化下位尺度スコアが7もしくはそれより高いことによって特徴付けられる、請求項30~52のいずれか一項に記載の方法。
  54. 不安の上昇を伴うPPDが、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが26またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが17またはそれより高いことによって特徴付けられる、請求項30~52のいずれか一項に記載の方法。
  55. 不安の上昇を伴うPPDが、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが26またはそれより高いこと、およびHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる、請求項30~52のいずれか一項に記載の方法。
  56. 前記対象が、HAM-D総スコア、HAM-A総スコア、HAM-D不安症/身体化下位尺度スコアまたはそれらの組合せの、ベースラインからの低下を示す、請求項30~55のいずれか一項に記載の方法。
  57. 不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約30mg~約50mgの化合物(1):
    Figure 2024515829000088
    を投与するステップを含む方法。
  58. 不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
    Figure 2024515829000089
    の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法。
  59. 不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約30mg~約50mgの化合物(1):
    Figure 2024515829000090
    を投与するステップを含む方法。
  60. 不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
    Figure 2024515829000091
    の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法。
  61. 不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
    Figure 2024515829000092
    を投与するステップを含む方法。
  62. 不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
    Figure 2024515829000093
    の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法。
  63. 不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
    Figure 2024515829000094
    を投与するステップを含む方法。
  64. 不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
    Figure 2024515829000095
    の薬学的に許容される塩を投与するステップを含む方法。
  65. 不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
    Figure 2024515829000096
    を投与するステップを含み、
    前記対象が処置を受けたことがない、方法。
  66. 不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
    Figure 2024515829000097
    の薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、
    前記対象が処置を受けたことがない、方法。
  67. 不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
    Figure 2024515829000098
    を投与するステップを含み、
    前記対象が処置を受けたことがない、方法。
  68. 不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
    Figure 2024515829000099
    の薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、
    前記対象が処置を受けたことがない、方法。
  69. 不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
    Figure 2024515829000100
    を投与するステップを含み、
    前記対象が、化合物(1)の投与前の少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、方法。
  70. 不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
    Figure 2024515829000101
    の薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、
    前記対象が、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、方法。
  71. 不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
    Figure 2024515829000102
    を投与するステップを含み、
    前記対象が、化合物(1)の投与前の少なくとも30日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、方法。
  72. 不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
    Figure 2024515829000103
    の薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、
    前記対象が、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも30日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、方法。
  73. 不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの化合物(1):
    Figure 2024515829000104
    を投与するステップを含み、
    前記対象が、化合物(1)の投与前の少なくとも30日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、方法。
  74. 不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置することを必要とする対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、約14日間すなわち約2週間、1日1回、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1):
    Figure 2024515829000105
    の薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、
    前記対象が、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、方法。
  75. 化合物(1)が、約50mgの用量で投与されるか、または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される、請求項57~74のいずれか一項に記載の方法。
  76. 化合物(1)が、約40mgの用量で投与されるか、または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約40mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される、請求項57~74のいずれか一項に記載の方法。
  77. 化合物(1)が、約30mgの用量で投与されるか、または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約30mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される、請求項57~74のいずれか一項に記載の方法。
  78. 化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口、非経口、皮内、鞘内、筋肉内、皮下、膣内、バッカル錠として、舌下、直腸内、局所的、吸入剤として、鼻腔内または経皮に投与される、請求項57~77のいずれか一項に記載の方法。
  79. 化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口投与される、請求項77に記載の方法。
  80. 化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、食物と共に投与される、請求項57~79のいずれか一項に記載の方法。
  81. 化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、夜に、1日1回、投与される、請求項57~80のいずれか一項に記載の方法。
  82. 前記対象が処置を受けたことがない、請求項57~64のいずれか一項に記載の方法。
  83. 前記対象が、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも30日間または少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、請求項57~64のいずれか一項に記載の方法。
  84. 第2の治療剤の投与をさらに含む、請求項57~83のいずれか一項に記載の方法。
  85. 化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、初期処置期間の完了後に、うつ症状の再発に応じて、前記対象に再投与される、請求項57~84のいずれか一項に記載の方法。
  86. 前記初期処置期間の最後の投薬と前記再投与の最初の投薬との間に、少なくとも6週間の間隔を空ける、請求項85に記載の方法。
  87. 前記再投与が、約14日間すなわち約2週間、行われる、請求項85に記載の方法。
  88. 不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDが、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前に、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが17もしくはそれより高いことによって、またはうつ病に関するハミルトン評価尺度(HAM-D)不安症/身体化下位尺度スコアが7もしくはそれより高いことによって特徴付けられる、請求項57~87のいずれか一項に記載の方法。
  89. 不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDが、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが17またはそれより高いことによって特徴付けられる、請求項57~87のいずれか一項に記載の方法。
  90. 不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDが、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与前に、HAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる、請求項57~87のいずれか一項に記載の方法。
  91. 前記対象が、HAM-D総スコア、HAM-A総スコア、HAM-D不安症/身体化下位尺度スコアまたはそれらの組合せの、ベースラインからの低下を示す、請求項57~90のいずれか一項に記載の方法。
  92. 前記対象が、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与後15日目に、HAM-D総スコアの少なくとも14ポイントの低下を示す、請求項91に記載の方法。
  93. 前記対象が、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の投与後15日目に、HAM-A総スコアの少なくとも12ポイントの低下を示す、請求項91に記載の方法。
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