JP2024514364A - 緩衝物質を含むrna組成物ならびにその製造、保存および使用のための方法 - Google Patents

緩衝物質を含むrna組成物ならびにその製造、保存および使用のための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、一般に緩衝物質を含むRNA組成物、そのような組成物の製造および保存のための方法ならびに治療におけるそのような組成物の使用の分野に関する。

Description

技術分野
本発明は、一般に緩衝物質を含むRNA組成物、そのような組成物の製造および保存のための方法ならびに治療におけるそのような組成物の使用の分野に関する。
背景
外来遺伝情報を標的細胞に送達するための組み換え核酸(例えばDNAまたはRNA)の使用は周知である。RNA使用の利点は、一過性発現および非形質転換特徴を含む。RNAは発現されるために核に入る必要はなく、さらに宿主ゲノムに統合され得ず、それにより発癌などの多様なリスクを排除する。
組み換え核酸は、それを必要とする対象に裸の形態で投与し得る;しかしながら、通常組み換え核酸は組成物を使用して投与される。例えば、RNAは、RNAと一体となってナノ粒子を形成するカチオン性ポリマーまたは脂質に大部分基づく、種々の送達媒体を使用して対象に送達され得る。ナノ粒子は、RNAを分解から保護し、RNAの標的部位への送達を可能とし、標的細胞による細胞取り込みおよびプロセシングを促進することが意図される。RNA送達の効率は、一部、ナノ粒子の分子組成に依存し、粒子径、製剤および電荷またはポリエチレングリコール(PEG)もしくは他のリガンドなどの分子部分とのグラフティングを含む、多数のパラメータにより影響を受け得る。このようなナノ粒子製剤の運命は、多様な鍵となる因子(例えば、ナノ粒子のサイズおよびサイズ分布など)により制御される。これらの因子は、例えば、FDAの"Liposome Drug Products Guidance"において、2018年から分析および特定すべき特異的属性として言及されている。現在のナノ粒子製剤の臨床適用の制限は、均質、純粋かつ特徴がはっきりしたナノ粒子製剤がないことに関係し得る。
イオン化可能脂質を含むナノ粒子は、他のRNAナノ粒子生成物と比較してターゲティングおよび有効性の点で利点を示し得る。しかしながら、通常の医薬用途で必要な十分な保存可能期間を得ることは困難である。安定化のために、イオン化可能脂質を含むナノ粒子は、コールドチェーンに相当な負荷を課す-80℃などのはるかに低温で凍結する必要があるかまたは限られた安定性しか得ることができない凍結温度より高い温度、例えば5℃でしか保存できないと言われる。
溶液またはナノ粒子のRNAは、断片化が遅いことは知られる。さらに、リン酸緩衝化食塩水(PBS)存在下、RNAは、翻訳のためのアクセスがほとんどできない極めて安定な折り畳まれた形態を採用する傾向にある。両方の機構、すなわち、断片化およびこの安定なRNA折り畳みの形成(「光移動性種(LMS)」とも称される)は温度依存的であり、インタクトおよびアクセス可能なRNAの結果であり、それにより液体生成物の安定性を制限する;しかしながら、本質的に凍結状態では存在しない。
発明は解決しようとする課題
故に、(i)イオン化可能脂質およびRNAを含み、薬務における通常の技術に適合した温度範囲、特に約-25℃の温度または+2~+20℃の温度で液体形態で安定かつ保存できる組成物;(ii)使用準備済である組成物;(iii)好ましくは、繰り返し凍結および解凍できる組成物;および(iv)そのような組成物の製造および保存のための方法に対する要求が本分野で存在する。本発明はこれらおよび他の要求に対処する。
本発明者らは、驚くべきことにここに記載する組成物および方法は上記要求を満たすことを発見した。特異的緩衝物質、特にトリエタノールアミン(TEA)およびそのプロトン化形態の使用により、安定かつ液体形態で保存できる組成物を製造することが可能である。
概要
第一の態様において、本発明は、(i)RNA;(ii)カチオン的にイオン化可能な脂質;および(iii)式N(R)(R)(R)(式中、R、RおよびRの各々は独立してH、C1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個はH、CH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)であるか;またはR、RおよびRの2個は、窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成し;各Rは独立して-OH、-O-(C1-6アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-6アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zは独立して0および1から選択され;そして各Rは独立してHおよびC1-3アルキルから選択され;そして各Rは独立してC1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から選択される。)を有する緩衝物質、そのN-オキシドまたはそのプロトン化形態を含む緩衝系を含む水相を含む、組成物を提供する。
本出願において示されるとおり、RNA組成物におけるPBSの代わりに上に特定した特定の緩衝物質、特にTEAおよびそのプロトン化形態に基づく緩衝系の使用は、RNAの極めて安定な折り畳まれた形態(ここでは「光移動性種(LMS)」とも称する)の形成を阻止する。さらに、本出願は、驚くべきことに、この緩衝系の使用により、液体形態で約3カ月保存後RNA完全性が改善したRNA組成物を得ることができることを示す。故に、請求する組成物は改善された安定性を提供し、薬務における通常の技術に適合した温度範囲で保存でき、使用準備済組成物を提供する。
第二の態様において、本発明は、(i)RNA;および(ii)式N(R)(R)(R)(式中、R、RおよびRの各々は独立してH、C1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個はH、CH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)であるか;またはR、RおよびRの2個は、窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成し;各Rは独立して-OH、-O-(C1-6アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-6アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zは独立して0および1から選択され;そして各Rは独立してHおよびC1-3アルキルから選択され;そして各Rは独立してC1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から選択される。)を有する緩衝物質、そのN-オキシドまたはそのプロトン化形態を含む緩衝系を含む水相を含む、組成物を提供する。
第一および第二の態様のある実施態様において、R、RおよびRの各々はC1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から独立して選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個はCH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)であり、好ましくはR、RおよびRの各々は独立してC1-4アルキル、C1-4アルキレン-R、CH(C1-3アルキレン-R)およびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個はCH(C1-3アルキレン-R)またはC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはR、RおよびRの各々は独立してC1-3アルキル、C1-3アルキレン-R、CH(C1-3アルキレン-R)およびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個はCH(C1-3アルキレン-R)またはC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはR、RおよびRの各々は独立してC1-2アルキル、C1-2アルキレン-R、CH(C1-2アルキレン-R)およびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個はCH(C1-2アルキレン-R)またはC(C1-2アルキレン-R)である。例えば、R、RおよびRの各々は独立してC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択されてよく、ここで、R、RおよびRの最大1個はC(C1-5アルキレン-R)であり、好ましくはR、RおよびRの各々は独立してC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個はC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはR、RおよびRの各々は独立してC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個はC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはR、RおよびRの各々は独立してC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個はC(C1-2アルキレン-R)である。ある実施態様において、R、RおよびRの各々は独立してC1-6アルキルおよびC1-6アルキレン-Rから選択され、好ましくはR、RおよびRの各々は独立してC1-4アルキルおよびC1-4アルキレン-Rから選択され、より好ましくはR、RおよびRの各々は独立してC1-3アルキルおよびC1-3アルキレン-Rから選択され、より好ましくはR、RおよびRの各々は独立してC1-2アルキルおよびC1-2アルキレン-Rから選択される。
第一および第二の態様のある実施態様において、各Rは独立して-OH、-O-(C1-4アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-4アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zは独立して0および1から選択され;そして各Rは独立してHおよびC1-3アルキルから選択され、好ましくは各Rは独立して-OH、-O-(C1-3アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-3アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zは独立して0および1から選択され;そして各Rは独立してHおよびC1-3アルキルから選択され、より好ましくは各Rは独立して-OH、-O-(C1-2アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-2アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zは独立して0および1から選択され;そして各Rは独立してHおよびC1-2アルキルから選択される。例えば、各Rは独立して-OH、-O-(C1-4アルキレン-OH)および-N(C1-4アルキレン-OH)から選択され得て、好ましくは各Rは独立して-OH、-O-(C1-3アルキレン-OH)および-N(C1-3アルキレン-OH)から選択され、より好ましくは各Rは独立して-OH、-O-(C1-2アルキレン-OH)および-N(C1-2アルキレン-OH)から選択される。ある実施態様において、各Rは独立して-OH、2-ヒドロキシエトキシおよびビス(2-ヒドロキシエチル)アミノから選択される。
、RおよびRの何れか(または各々)はC1-6アルキレン-Rであり、RはOHである第一および第二の態様のある実施態様において、アルキレン基は2~4個などの2~6個の炭素原子、例えば、2個、3個または4個の炭素原子を有するのが好ましい。故に、これらの実施態様において、R、RおよびRの何れか(または各々)は好ましくはC2-6アルキレン-OH、より好ましくはC2-4アルキレン-OH、より好ましくはC2-3アルキレン-OH、例えばCアルキレン-OHである。
第一および第二の態様のある実施態様において、R、RおよびRの各々は独立してメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル、2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルおよび1,5-ジヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシエチル)ペンタン-3-イルから選択される。
第一および第二の態様のある実施態様において、R、RおよびRの全て同じである。例えば、R、RおよびRの全てメチル、エチルまたは2-ヒドロキシエチルであり得る。
第一および第二の態様のある実施態様において、RおよびRは同一であり、RはRおよびRと異なる。例えば、RおよびRの各々は2-ヒドロキシエチルまたはメチルであり得る;および/またはRはメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル、2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルおよび1,5-ジヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシエチル)ペンタン-3-イルから選択される。
第一および第二の態様のある実施態様において、RおよびRは、窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成する。ある実施態様において、RはC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、好ましくはRはC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRはC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRはC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRはメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルおよび2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルから選択される。ある実施態様において、N-ヘテロ環式環は少なくとも1個の窒素環原子および所望によりOおよびSから選択される1個のさらなる環ヘテロ原子を含む単環式環である。例えば、N-ヘテロ環式環は、(i)1個の窒素環原子;(ii)2個の窒素環原子;(iii)1個の窒素環原子および1個の酸素環原子;(iv)1個の窒素環原子および1個の硫黄環原子;または(v)3個の窒素環原子を含む単環式環であり得る。ある実施態様において、N-ヘテロ環式環は単環式6員N-ヘテロ環式環などの単環式5員または6員N-ヘテロ環式環である。N-ヘテロ環式環の好ましい例は、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、1,2-ジアジナニル、1,3-ジアジナニル、1,3,5-、モルホリニルおよびチオモルホリニルを含む。好ましくは、N-ヘテロ環式環はピペリジニル、ピペラジニル、1,2-ジアジナニル、1,3-ジアジナニル、モルホリニルおよびチオモルホリニルから選択される。ある実施態様において、N-ヘテロ環式環1個の窒素環原子のみ含む;これらの実施態様において、この窒素環原子はRで置換されており、RはH以外であるのが好ましい。ある実施態様において、N-ヘテロ環式環は1個を超える窒素環原子を含む;これらの実施態様において、1個の窒素環原子はRで置換されており、RはH以外であり、他の窒素環原子の少なくとも1個、好ましくは他の窒素環原子の各々はRで置換されているのが好ましい。ある実施態様において、各Rは独立してC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、好ましくはRはC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRはC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRはC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRはメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルおよび2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルから選択される。ある実施態様において、N-ヘテロ環式環はピペリジニルであり、環N原子はRで置換されており、RはH以外である。ある実施態様において、N-ヘテロ環式環はピペラジニルであり、2個の環N原子の1個はRで置換されており、RはH以外であり、他の環N原子は所望によりRで置換されており、好ましくは他の環N原子はRで置換されている。ある実施態様において、N-ヘテロ環式環はピペラジニルであり、両環N原子は置換されており、ここで、個の環N原子の1個はRで置換されており、RはH以外であり、他の環N原子はRで置換されており、ここで、好ましくはRはC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRはC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRはC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRはC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRはメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルおよび2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルから選択される。上記実施態様の一部において、RおよびRは窒素原子と一体となって5員または6員N-ヘテロ環式環を形成するとき、各Rは独立して-OH、-O-(C1-4アルキレン-OH)および-N(C1-4アルキレン-OH)から選択され、好ましくは各Rは独立して-OH、-O-(C1-3アルキレン-OH)および-N(C1-3アルキレン-OH)から選択され、より好ましくは各Rは独立して-OH、-O-(C1-2アルキレン-OH)および-N(C1-2アルキレン-OH)から選択される。上記実施態様の一部において、RおよびRは窒素原子と一体となって5員または6員N-ヘテロ環式環を形成するとき、各Rは独立して-OH、2-ヒドロキシエトキシおよびビス(2-ヒドロキシエチル)アミノから選択される。上記実施態様の一部において、RおよびRは窒素原子と一体となって5員または6員N-ヘテロ環式環を形成し、RおよびRの何れか(または各々)はC1-6アルキレン-Rであり、RはOHであるとき、アルキレン基は2~4個などの2~6個の炭素原子、例えば、2個、3個または4個の炭素原子を有するのが好ましい。故に、これらの実施態様において、RおよびRの何れか(または各々)は好ましくはC2-6アルキレン-OH、より好ましくはC2-4アルキレン-OH、より好ましくはC2-3アルキレン-OH、例えばCアルキレン-OHである。上記実施態様の一部において、RおよびRは窒素原子と一体となって5員または6員N-ヘテロ環式環を形成するとき、RおよびRは同じである。上記実施態様の一部において、RおよびRは窒素原子と一体となって5員または6員N-ヘテロ環式環を形成するとき、RおよびRの両方はメチル、エチル、2-ヒドロキシエチルまたは2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルであり、好ましくは、RおよびRの両方は2-ヒドロキシエチルである。上記実施態様の一部において、RおよびRは窒素原子と一体となって5員または6員N-ヘテロ環式環を形成するとき、RおよびRは互いに異なる。
第一および第二の態様のある実施態様において、RはHである。ある実施態様において、RおよびRの各々はC1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から独立して選択され、ここで、最大でRおよびRの一方はCH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)であり、好ましくはRおよびRの各々は独立してC1-4アルキル、C1-4アルキレン-R、CH(C1-3アルキレン-R)およびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方はCH(C1-3アルキレン-R)またはC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはRおよびRの各々は独立してC1-3アルキル、C1-3アルキレン-R、CH(C1-3アルキレン-R)およびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方はCH(C1-3アルキレン-R)またはC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはRおよびRの各々は独立してC1-2アルキル、C1-2アルキレン-R、CH(C1-2アルキレン-R)およびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方はCH(C1-2アルキレン-R)またはC(C1-2アルキレン-R)である。例えば、RおよびRの各々は独立してC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択されてよく、ここで、最大でRおよびRの一方はC(C1-5アルキレン-R)であり、好ましくはRおよびRの各々は独立してC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方はC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはRおよびRの各々は独立してC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方はC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはRおよびRの各々は独立してC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方はC(C1-2アルキレン-R)である。ある実施態様において、RおよびRの各々は独立してC1-6アルキルおよびC1-6アルキレン-Rから選択され、好ましくはRおよびRの各々は独立してC1-4アルキルおよびC1-4アルキレン-Rから選択され、より好ましくはRおよびRの各々は独立してC1-3アルキルおよびC1-3アルキレン-Rから選択され、より好ましくはRおよびRの各々は独立してC1-2アルキルおよびC1-2アルキレン-Rから選択される。
ある実施態様において、RはHであるとき、各Rは独立して-OH、-O-(C1-4アルキレン-OH)および-N(C1-4アルキレン-OH)から選択され、好ましくは各Rは独立して-OH、-O-(C1-3アルキレン-OH)および-N(C1-3アルキレン-OH)から選択され、より好ましくは各Rは独立して-OH、-O-(C1-2アルキレン-OH)および-N(C1-2アルキレン-OH)から選択される。例えば、各Rは独立して(?{1,})から選択され得る。
第一および第二の態様のある実施態様において、RはHであるとき、RおよびRの何れか(または各々)はC1-6アルキレン-Rであり、RはOHであり、アルキレン基は2~4個などの2~6個の炭素原子、例えば、2個、3個または4個の炭素原子を有するのが好ましい。故に、これらの実施態様において、RおよびRの何れか(または各々)は好ましくはC2-6アルキレン-OH、より好ましくはC2-4アルキレン-OH、より好ましくはC2-3アルキレン-OH、例えばCアルキレン-OHである。
ある実施態様において、RはHであるとき、RおよびRの各々は独立して2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルおよび2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルから選択され、好ましくは、RおよびRの両方は2-ヒドロキシエチルまたは2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルである。
第一および第二の態様のある実施態様において、緩衝物質はここに定義する3級アミン(すなわち、R、RおよびRの何れもHではないN(R)(R)(R))またはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。故に、ある実施態様において、上にと規定したとおり、R、RおよびRの各々はC1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から独立して選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個はCH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)である。ある実施態様において、3級アミンはモノアミンである。ある実施態様において、3級アミンはビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ-トリス(ヒドロキシメチル)メタン(ビス-トリス-メタンまたはBTM)、トリエタノールアミン(TEA)、エチルジエタノールアミン、2-(ジエチルアミノ)エタン-1-オール、トリエチルアミンおよび2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタン-1-オールからなる群から選択される。ある実施態様において、3級アミンはトリエタノールアミン(TEA)を含むかまたはそれである。
第一および第二の態様のある実施態様において、緩衝物質はここに定義する環状アミン(すなわち、R、RおよびRの2個は窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成するN(R)(R)(R))またはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。故に、ある実施態様において、上に特定したとおり、RおよびRは、窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成する。ある実施態様において、環状アミンは1以上のC1-6アルキレン-R(例えば2-ヒドロキシエチル)部分で置換されているN,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびモルホリンからなる群から選択される。
第一および第二の態様のある実施態様において、緩衝物質はここに定義する2級アミン(すなわち、R、RおよびRの1個はHであるN(R)(R)(R))またはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。故に、ある実施態様において、上に特定したとおり、RはHであり、RおよびRの各々はC1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から独立して選択され、ここで、最大でRおよびRの一方はCH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)である。
第一および第二の態様のある実施態様において、緩衝物質はN-オキシドを含むかまたはそれである。ある実施態様において、N-オキシドはトリメチルアミンN-オキシドである。
第一および第二の態様のある実施態様において、緩衝物質は少なくとも1個のC1-6アルキレン-R部分を含む。これらの実施態様のこのような場合において、RはOHであるとき、アルキレン基は2~4個などの2~6個の炭素原子、例えば、2個、3個または4個の炭素原子を有するのが好ましい。故に、緩衝物質は少なくとも1個のC1-6アルキレン-R部分を含み、RはOHであるこれらの実施態様において、少なくとも1個のC1-6アルキレン-R部分は好ましくはC2-6アルキレン-OH、より好ましくはC2-4アルキレン-OH、より好ましくはC2-3アルキレン-OH、例えばCアルキレン-OHまたは2-ヒドロキシエチルである。
第一および第二の態様のある実施態様において、緩衝物質はビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ-トリス(ヒドロキシメチル)メタン(ビス-トリス-メタンまたはBTM)およびそのプロトン化形態、トリエタノールアミン(TEA)およびそのプロトン化形態、エチルジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、2-(ジエチルアミノ)エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、トリエチルアミンおよびそのプロトン化形態、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、ジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびそのプロトン化形態、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよびそのプロトン化形態およびトリメチルアミンN-オキシドおよびそのプロトン化形態から選択される。ある実施態様において、緩衝物質はビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ-トリス(ヒドロキシメチル)メタン(ビス-トリス-メタンまたはBTM)およびそのプロトン化形態、トリエタノールアミン(TEA)およびそのプロトン化形態、エチルジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、2-(ジエチルアミノ)エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、トリエチルアミンおよびそのプロトン化形態、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態およびN,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびそのプロトン化形態から選択される。ある実施態様において、緩衝物質はトリエタノールアミン(TEA)またはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。
第一および第二の態様のある実施態様において、組成物中の緩衝物質の濃度は約10mM~約200mM、例えば約20mM~約180mM、約30mM~約170mM、約40mM~約160mM、約50mM~約50mM、約60mM~約140mM、約70mM~約130mM、約80mM~約120mM、約90mM~約110mMである。ある実施態様において、組成物中の緩衝物質の濃度は約15mM~約100mM、好ましくは約20mM~約80mM、より好ましくは約40mM~約60mM、例えば約50mMである。
第一および第二の態様のある実施態様において、緩衝系はさらにアニオンを含む。ある実施態様において、このアニオンはさらなる緩衝物質として作用できる。ある実施態様において、アニオンは無機および/または有機酸のアニオンから選択される(特に、組成物の所望のpHが緩衝物質式N(R)(R)(R)、そのN-オキシドまたはそのプロトン化形態のpKaより少なくとも2.5pH単位低いとき)。ある実施態様において、アニオンはクロライド、酢酸、グリコール酸、乳酸およびクエン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸またはアジピン酸のアニオンなどのジまたはトリカルボン酸のアニオンからなる群から選択される。ある実施態様において、緩衝系がアニオンを含むとき、組成物中のアニオンの濃度は組成物中の緩衝物質の濃度と少なくとも等しい。例えば、組成物中のアニオンの濃度は組成物中の緩衝物質の濃度より高くて良い。故に、第一および第二の態様のこれらの実施態様において、組成物中の緩衝物質の濃度は約10mM~約200mMの範囲内であるxであるとき、組成物中のアニオンの濃度は少なくともxに等しい、例えばxより高い。
第一および第二の態様のある実施態様において、組成物のpHは約4.0~約8.0である。例えば、組成物のpHは約4.5~約8.0、例えば約5.0~約8.0、約5.5~約8.0、約6.0~約8.0、約6.5~約8.0、約6.8~約7.9、約7.0~約7.8または約7.5であり得る。
第一および第二の態様のある実施態様において、水は組成物の主成分であるおよび/または組成物に含まれる水以外の溶媒の総量は約1.0%(v/v)未満、例えば約0.5%(v/v)未満である。例えば、組成物に含まれる水の量は少なくとも50%(w/w)、例えば少なくとも55%(w/w)、少なくとも60%(w/w)、少なくとも65%(w/w)、少なくとも70%(w/w)、少なくとも75%(w/w)、少なくとも80%(w/w)、少なくとも85%(w/w)、少なくとも90%(w/w)または少なくとも95%(w/w)であり得る。特に、組成物が抗凍結剤を含むならば、組成物に含まれる水の量は少なくとも50%(w/w)、例えば少なくとも55%(w/w)、少なくとも60%(w/w)、少なくとも65%(w/w)、少なくとも70%(w/w)、少なくとも75%(w/w)、少なくとも80%(w/w)、少なくとも85%(w/w)または少なくとも90%(w/w)であり得る。組成物が抗凍結剤を実質的に含まないならば、組成物に含まれる水の量は少なくとも95%(w/w)であり得る。これに加えてまたはこれとは別に、組成物に含まれる水以外の溶媒の総量は約1.0%(v/v)未満、例えば約0.9%(v/v)未満、約0.8%(v/v)未満、約0.7%(v/v)未満、約0.6%(v/v)未満、約0.5%(v/v)未満、約0.4%(v/v)未満、約0.3%(v/v)未満、約0.2%(v/v)未満、約0.1%(v/v)未満、約0.05%(v/v)未満または約0.01%(v/v)未満であり得る。これに関して、標準条件下で液体である抗凍結剤は、水以外の溶媒ではなく、抗凍結剤とみなすべきである。換言すると、組成物に含まれる水以外の溶媒の総量は約1.0%(v/v)未満、例えば約0.5%(v/v)未満であり得る上記最適限界は標準条件下で液体である抗凍結剤には適用されない。
第一および第二の態様のある実施態様において、組成物の浸透圧は最大約1000×10-3osmol/kg、例えば約100×10-3osmol/kg~約750×10-3osmol/kgである。ある実施態様において、組成物の浸透圧は最大約500×10-3osmol/kg、例えば最大約490×10-3osmol/kg、最大約480×10-3osmol/kg、最大約470×10-3osmol/kg、最大約460×10-3osmol/kg、最大約450×10-3osmol/kg、最大約440×10-3osmol/kg、最大約430×10-3osmol/kg、最大約420×10-3osmol/kg、最大約410×10-3osmol/kg、最大約400×10-3osmol/kg、最大約390×10-3osmol/kg、最大約380×10-3osmol/kg、最大約370×10-3osmol/kg、最大約360×10-3osmol/kg、最大約350×10-3osmol/kg、最大約340×10-3osmol/kg、最大約330×10-3osmol/kg、最大約320×10-3osmol/kg、最大約310×10-3osmol/kgまたは最大約300×10-3osmol/kgである。組成物が抗凍結剤を含まないならば、組成物の浸透圧は300×10-3osmol/kg未満、例えば最大約250×10-3osmol/kg、最大約200×10-3osmol/kg、最大約150×10-3osmol/kg、最大約100×10-3osmol/kg、最大約50×10-3osmol/kg、最大約40×10-3osmol/kgまたは最大約30×10-3osmol/kgであり得る。組成物が抗凍結剤を含むならば、組成物の浸透圧の大部分は抗凍結剤によりもたらされるのが好ましい。例えば、抗凍結剤は組成物の浸透圧の少なくとも50%、例えば少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%または少なくとも90%をもたらし得る。
第一および第二の態様のある実施態様において、組成物中のRNA濃度は約5mg/l~約500mg/l、例えば約10mg/l~約400mg/l、約10mg/l~約300mg/l、約10mg/l~約200mg/l、約10mg/l~約150mg/lまたは約10mg/l~約100mg/l、好ましくは約10mg/l~約140mg/l、より好ましくは約20mg/l~約130mg/l、より好ましくは約30mg/l~約120mg/lである。ある実施態様において、組成物中のRNA濃度は約5mg/l~約150mg/l、例えば約10mg/l~約140mg/l、約20mg/l~約130mg/l、約25mg/l~約125mg/l、約30mg/l~約120mg/l、約35mg/l~約115mg/l、約40mg/l~約110mg/l、約45mg/l~約105mg/lまたは約50mg/l~約100mg/lである。
第一および第二の態様のある実施態様において、組成物は、好ましくは少なくとも約1%w/vの濃度で抗凍結剤を含み、ここで、抗凍結剤は好ましくは炭水化物およびアルコール(例えば糖アルコールまたは低級アルコール)からなる群から選択され、より好ましくは抗凍結剤はスクロース、グルコース、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ソルビトールおよびそれらの組み合わせからなる群から(例えばスクロース、グルコース、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールおよびそれらの組み合わせからなる群からまたはスクロース、グルコース、グリセロール、ソルビトールおよびそれらの組み合わせからなる群から)選択され、より好ましくは抗凍結剤はスクロースおよび/またはグリセロールを含む。ある実施態様において、組成物中の抗凍結剤の濃度は少なくとも1%w/v、例えば少なくとも2%w/v、少なくとも3%w/v、少なくとも4%w/v、少なくとも5%w/v、少なくとも6%w/v、少なくとも7%w/v、少なくとも8%w/vまたは少なくとも9%w/vである。ある実施態様において、組成物中の抗凍結剤の濃度は最大25%w/v、例えば最大20%w/v、最大19%w/v、最大18%w/v、最大17%w/v、最大16%w/v、最大15%w/v、最大14%w/v、最大13%w/v、最大12%w/vまたは最大11%w/vである。ある実施態様において、組成物中の抗凍結剤の濃度は1%w/v~20%w/v、例えば2%w/v~19%w/v、3%w/v~18%w/v、4%w/v~17%w/v、5%w/v~16%w/v、5%w/v~15%w/v、6%w/v~14%w/v、7%w/v~13%w/v、8%w/v~12%w/v、9%w/v~11%w/vまたは約10%w/vである。ある実施態様において、組成物は、5%w/v~15%w/v、例えば6%w/v~14%w/v、7%w/v~13%w/v、8%w/v~12%w/vまたは9%w/v~11%w/vの濃度または約10%w/vの濃度で抗凍結剤(例えばスクロース、グルコース、グリセロール、1,2-プロパンジオールまたは1,3-プロパンジオール、特に、スクロースおよび/またはグリセロール)を含む。
組成物は抗凍結剤を含む第一および第二の態様のある実施態様において、抗凍結剤は、組成物の総重量に基づき、約50×10-3osmol/kg~約1000×10-3osmol/kg(例えば約50×10-3osmol/kg~約500×10-3osmol/kg、約50×10-3osmol/kg~約480×10-3osmol/kg、約60×10-3osmol/kg~約460×10-3osmol/kg、約70×10-3osmol/kg~約440×10-3osmol/kg、約80×10-3osmol/kg~約420×10-3osmol/kg、約90×10-3osmol/kg~約400×10-3osmol/kg、約100×10-3osmol/kg~約380×10-3osmol/kg、約120×10-3osmol/kg~約360×10-3osmol/kg、約140×10-3osmol/kg~約340×10-3osmol/kg、約160×10-3osmol/kg~約310×10-3osmol/kg、約180×10-3osmol/kg~約300×10-3osmol/kgまたは約200×10-3osmol/kg~約300×10-3osmol/kg)の範囲の組成物の浸透圧をもたらす濃度で存在する。
第一および第二の態様のある実施態様において、組成物は抗凍結剤を実質的に含まない。
第一および第二の態様のある実施態様において、緩衝物質はここに定義する3級アミン(すなわち、R、RおよびRの何れもHではないN(R)(R)(R))またはそのプロトン化形態を含み、組成物のpHは約4.0~約8.0であり、組成物中のRNA濃度は約5mg/l~約500mg/lである。この実施態様において、組成物のpHは約4.5~約8.0であり、組成物中のRNA濃度は約20mg/l~約130mg/l、例えば約30mg/l~約120mg/lであるのが好ましい。特に好ましい実施態様において、緩衝物質はここに定義する3級アミンまたはそのプロトン化形態を含み;組成物のpHは約5.0~約8.0であり;組成物中のRNA濃度は約30mg/l~約120mg/lであり;そして組成物は抗凍結剤を含む。別の特に好ましい実施態様において、緩衝物質はここに定義する3級アミンまたはそのプロトン化形態を含み;組成物のpHは約5.0~約8.0であり;組成物中のRNA濃度は約30mg/l~約120mg/lであり;そして組成物は抗凍結剤を実質的に含まない。ある実施態様において、3級アミンはモノアミンである。ある実施態様において、3級アミンはビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ-トリス(ヒドロキシメチル)メタン(ビス-トリス-メタンまたはBTM)、トリエタノールアミン(TEA)、エチルジエタノールアミン、2-(ジエチルアミノ)エタン-1-オール、トリエチルアミンおよび2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタン-1-オールからなる群から選択される。ある実施態様において、3級アミンはトリエタノールアミン(TEA)を含むかまたはそれである。
第一および第二の態様のある実施態様において、緩衝物質はここに定義する環状アミン(すなわち、R、RおよびRの2個は窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成するN(R)(R)(R))またはそのプロトン化形態を含み、組成物のpHは約4.0~約8.0であり、組成物中のRNA濃度は約5mg/l~約500mg/lである。この実施態様において、組成物のpHは約4.5~約8.0であり、組成物中のRNA濃度は約20mg/l~約130mg/l、例えば約30mg/l~約120mg/lであるのが好ましい。特に好ましい実施態様において、緩衝物質はここに定義する環状アミンまたはそのプロトン化形態を含み;組成物のpHは約5.0~約8.0であり;組成物中のRNA濃度は約30mg/l~約120mg/lであり;そして組成物は抗凍結剤を含む。別の特に好ましい実施態様において、緩衝物質はここに定義する環状アミンまたはそのプロトン化形態を含み;組成物のpHは約5.0~約8.0であり;組成物中のRNA濃度は約30mg/l~約120mg/lであり;そして組成物は抗凍結剤を実質的に含まない。ある実施態様において、環状アミンは1以上のC1-6アルキレン-R(例えば2-ヒドロキシエチル)部分で置換されているN,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびモルホリンからなる群から選択される。
第一の態様のある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は、生理学的条件下でプロトン化され得る少なくとも1個の窒素原子を含む頭基を含む。
第一の態様のある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は、式(X)
の構造を有するかまたはその薬学的に許容される塩、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体であり、ここで、L10、L20、G、G、G、R35、R36およびR37はここに定義するとおりである。ある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は次のものから選択される:構造X-1~X-36(ここに示す);構造A~G(ここに示す);またはN,N-ジメチル-2,3-ジオレイルオキシプロピルアミン(DODMA)、1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DODAP)、ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル-4-(ジメチルアミノ)ブタノアート(DLin-MC3-DMA)および4-((ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)アミノ)オキシ)-N,N-ジメチル-4-オキソブタン-1-アミン(DPL-14)。ある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は、構造X-3を有する脂質である。
第一の態様のある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は式(XI):
の構造を有し、ここで、R、R、R、R、R、R、G、Gおよびmはここに定義するとおりである。ある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は構造(XIV-1)、(XIV-2)および(XIV-3)(ここに示す)から選択される。
第一の態様のある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は、組成物に存在する総脂質の約20mol%~約80mol%、好ましくは約25mol%~約65mol%、より好ましくは約30mol%~約50mol%、例えば約40mol%~約50mol%を構成する。
第一の態様のある実施態様において、組成物は1以上の付加的脂質をさらに含む。ある実施態様において、1以上の付加的脂質はポリマーコンジュゲート脂質、中性脂質、ステロイドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。ある実施態様において、組成物は、カチオン的にイオン化可能な脂質、ポリマーコンジュゲート脂質(例えば、ペグ化脂質;またはポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲート)、中性脂質(例えば、DSPCなどのリン脂質)およびステロイド(例えば、コレステロール)を含む。
組成物は1以上の付加的脂質の一つとしてポリマーコンジュゲート脂質をさらに含む第一の態様のある実施態様において、ポリマーコンジュゲート脂質はペグ化脂質を含む。ある実施態様において、ペグ化脂質はDSPE-PEG、DOPE-PEG、DPPE-PEGおよびDMPE-PEGからなる群から選択される。ある実施態様において、ペグ化脂質は次の構造:
を有するかまたはその薬学的に許容される塩、互変異性体もしくは立体異性体であり、ここで、R12、R13およびwはここに定義するとおりである。
組成物は1以上の付加的脂質の一つとしてポリマーコンジュゲート脂質をさらに含む第一の態様のある実施態様において、ポリマーコンジュゲート脂質はポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲートを含む。ある実施態様において、ポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲートはポリサルコシン-ジアシルグリセロールコンジュゲート、ポリサルコシン-ジアルキルオキシプロピルコンジュゲート、ポリサルコシン-リン脂質コンジュゲート、ポリサルコシン-セラミドコンジュゲートおよびそれらの混合物からなる群から選択されるメンバーである。
組成物は1以上の付加的脂質の一つとしてポリマーコンジュゲート脂質をさらに含む第一の態様のある実施態様において、ポリマーコンジュゲート脂質は、組成物に存在する総脂質の約0.5mol%~約5mol%、好ましくは約1mol%~約5mol%、より好ましくは約1mol%~約4.5mol%を構成する。
組成物は1以上の付加的脂質の一つとして中性脂質を含む第一の態様のある実施態様において、中性脂質はリン脂質である。ある実施態様において、リン脂質はホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリンおよびスフィンゴミエリンからなる群から選択される。ある実施態様において、リン脂質はジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジペンタデカノイルホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジアラキドイルホスファチジルコリン(DAPC)、ジベヘノイルホスファチジルコリン(DBPC)、ジトリコサノイルホスファチジルコリン(DTPC)、ジリグノセロイルフタチジルコリン(DLPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルコリン(POPC)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0 Diether PC)、1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(C16 Lyso PC)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジパルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジラウロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DLPE)およびジフィタノイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPyPE)からなる群から選択される。ある実施態様において、中性脂質はDSPCである。
組成物が1以上の付加的脂質の一つとして中性脂質を含む第一の態様のある実施態様において、中性脂質は組成物に存在する総脂質の約5mol%~約40mol%、好ましくは約5mol%~約20mol%、より好ましくは約5mol%~約15mol%を構成する。
組成物が1以上の付加的脂質としてステロイドをさらに含む第一の態様のある実施態様において、ステロイドはコレステロールなどのステロールである。
組成物が1以上の付加的脂質としてステロイドをさらに含む第一の態様のある実施態様において、ステロイドは組成物に存在する総脂質の約10mol%~約65mol%、好ましくは約20mol%~約60mol%、より好ましくは約30mol%~約50mol%を構成する。
第一の態様のある実施態様において、組成物はカチオン的にイオン化可能な脂質、ポリマーコンジュゲート脂質、中性脂質(例えば、リン脂質)およびステロイドを含み、ここで、カチオン的にイオン化可能な脂質は組成物に存在する総脂質の約30mol%~約50mol%、例えば約40mol%~約50mol%を構成し;ポリマーコンジュゲート脂質は組成物に存在する総脂質の約1mol%~約4.5mol%を構成し;中性脂質(例えば、リン脂質)は組成物に存在する総脂質の約5mol%~約15mol%を構成し;そしてステロイドは組成物に存在する総脂質の約30mol%~約50mol%を構成する。
第一および第二の態様のある実施態様において、RNAの少なくとも一部、および、存在するならば、1以上の脂質は、脂質ナノ粒子(LNP)、リポソームおよび/またはリポフレックス(LPX)などの粒子中に存在する。第一および第二の態様のある実施態様において、RNAは粒子内に封入されるかまたは粒子と結合している。ある実施態様において、粒子は組成物に含まれるRNAの少なくとも約75%を構成する。ある実施態様において、粒子は組成物に含まれるRNAの少なくとも約76%、例えば少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%または少なくとも約95%を構成する。ある実施態様において、粒子は約30nm~約500nmのサイズを有する。
第一および第二の態様のある実施態様において、RNAはmRNAまたは阻害性RNAである。
第一および第二の態様のある実施態様において、RNA(例えばmRNA)は(i)ウリジンの代わりに修飾ヌクレオシドを含む;(ii)コドン最適化されているコード配列を有する;および/または(iii)野生型コード配列と比較してG/C含量は増加しているコード配列を有する。ある実施態様において、修飾ヌクレオシドはシュードウリジン(ψ)、N1-メチル-シュードウリジン(m1ψ)および5-メチル-ウリジン(m5U)から選択される。
第一および第二の態様のある実施態様において、RNA(例えばmRNA)は次の少なくとも1以上を含む:5’キャップ;5’ UTR;3’ UTR;およびポリA配列。ある実施態様において、RNA(例えばmRNA)は次の全てを含む:5’キャップ;5’ UTR;3’ UTR;およびポリA配列。ある実施態様において、ポリA配列は少なくとも100個のAヌクレオチドを含み、ここで、ポリA配列は好ましくはAヌクレオチドの中断配列である。ある実施態様において、5’キャップはキャップ1またはキャップ2構造である。
第一および第二の態様のある実施態様において、RNA(例えばmRNA)は1以上のポリペプチドをコードする。ある実施態様において、1以上のポリペプチドは対象における抗原に対する免疫応答を誘導するための薬学的活性ポリペプチドであるおよび/またはエピトープを含む。
第一および第二の態様のある実施態様において、薬学的活性ポリペプチドおよび/または抗原またはエピトープは病原体のタンパク質、タンパク質の免疫原性バリアントまたはタンパク質の免疫原性フラグメントもしくはその免疫原性バリアントに由来するかまたはそれである。ある実施態様において、病原体は感染性疾患を引き起こす病原体である。
第一および第二の態様のある実施態様において、薬学的活性ポリペプチドおよび/または抗原またはエピトープはSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントに由来するかまたはそれである。ある実施態様において、RNA(例えばmRNA)は、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントを含むアミノ酸配列をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む。ある実施態様において、SARS-CoV2 Sタンパク質バリアントは、配列番号1の986位および987位に置換されたプロリン残基を有する。ある実施態様において、SARS-CoV2 Sタンパク質バリアントは、配列番号7のアミノ酸17~1273のアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸17~1273のアミノ酸配列に少なくとも80%同一性を有する。ある実施態様において、フラグメントはSARS-CoV-2 Sタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)を含む。ある実施態様において、(i)SARS-CoV-2 Sタンパク質または(ii)SARS-CoV-2 Sタンパク質の免疫原性バリアントのフラグメントは配列番号1のアミノ酸327~528のアミノ酸配列に少なくとも80%同一性を有する。
第一の態様のある実施態様において、RNAは阻害性RNA(例えばsiRNA)であり、標的mRNAに選択的にハイブリダイズするおよび/または特異的である。ある実施態様において、標的mRNAは、発現(特に、例えば、健常対象における発現と比較して増加した発現)が疾患と関連する薬学的活性ペプチドまたはポリペプチドをコードするORFを含む。ある実施態様において、標的mRNAは、発現(特に、例えば、健常対象における発現と比較して増加した発現)が癌と関連する薬学的活性ペプチドまたはポリペプチドをコードするORFを含む。
第一および第二の態様のある実施態様において、組成物は、好ましくは約2℃~約10℃の温度で液体である。
第一および第二の態様のある実施態様において、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で、少なくとも1週間(例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月または少なくとも6カ月)保存後の組成物のRNA完全性は、所望の効果をもたらす、例えば、免疫応答を誘導するのに十分である。ある実施態様において、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で、少なくとも1週間(例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月または少なくとも6カ月)保存後の組成物のRNA完全性は、保存前のRNA完全性と比較して、少なくとも50%、例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または少なくとも98%である。ある実施態様において、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で、少なくとも1週間(例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月または少なくとも6カ月)保存後の組成物のRNA完全性は、保存前のRNA完全性と比較して、少なくとも90%である。ある実施態様において、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で、少なくとも4週間(例えば、少なくとも3カ月)保存後の組成物のRNA完全性は、保存前のRNA完全性と比較して、少なくとも50%、例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または少なくとも98%である。ある実施態様において、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で、少なくとも4週間(例えば、少なくとも3カ月)保存後の組成物のRNA完全性は、保存前のRNA完全性と比較して、少なくとも90%である。
第一および第二の態様のある実施態様において、組成物の最初のRNA完全性(すなわち、製造後であるが、保存前)は少なくとも50%であり、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で、少なくとも1週間(例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月または少なくとも3カ月)保存後の組成物のRNA完全性は、最初のRNA完全性の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%である。第一および第二の態様のある実施態様において、組成物の最初のRNA完全性(すなわち、製造後であるが、保存前)は少なくとも50%であり、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で、少なくとも1週間(例えば少なくとも4週間または少なくとも3カ月)保存後の組成物のRNA完全性は、最初のRNA完全性の少なくとも90%である。
これに加えてまたはこれとは別に、第一および第二の態様のある実施態様において、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で、少なくとも1週間(例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月または少なくとも6カ月)後の液体組成物のRNA粒子のサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/または多分散性指数(PDI))は、所望の効果をもたらす、例えば、免疫応答を誘導するのに十分である。ある実施態様において、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で、少なくとも1週間(例えば少なくとも4週間または少なくとも3カ月)保存後の液体組成物のRNA粒子のサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/または多分散性指数(PDI))は、最初の組成物、すなわち保存前のRNA粒子のサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/またはPDI)と本質的に等しい。ある実施態様において、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で、少なくとも1週間(例えば少なくとも4週間または少なくとも3カ月保存後のRNA粒子のサイズ(Z平均)は、約50nm~約500nm、好ましくは約40nm~約200nm、より好ましくは約40nm~約120nmである。ある実施態様において、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で、少なくとも1週間(例えば少なくとも4週間または少なくとも3カ月)保存後のRNA粒子のPDIは0.3未満、好ましくは0.2未満、より好ましくは0.1未満である。ある実施態様において、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で、少なくとも1週間(例えば少なくとも4週間または少なくとも3カ月保存後のRNA粒子のサイズ(Z平均)は約50nm~約500nm、好ましくは約40nm~約200nm、より好ましくは約40nm~約120nmであり、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で少なくとも1週間(例えば少なくとも4週間または少なくとも3カ月)の液体組成物の保存後のRNA粒子のサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/またはPDI)は、保存前のRNA粒子のサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/またはPDI)と本質的に等しい。ある実施態様において、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で、少なくとも1週間(例えば少なくとも4週間または少なくとも3カ月)の液体組成物の保存後のRNA粒子のサイズ(Z平均)は約50nm~約500nm、好ましくは約40nm~約200nm、より好ましくは約40nm~約120nmであり、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で、例えば、0℃以上で、少なくとも1週間(例えば少なくとも4週間または少なくとも3カ月)の液体組成物の保存後のRNA粒子のPDIは0.3未満(好ましくは0.2未満、より好ましくは0.1未満)である。
第一および第二の態様のある実施態様において、組成物は凍結形態(例えば、-20℃で)である。
第一および第二の態様のある実施態様において、組成物が凍結形態であるとき、組成物は(a)抗凍結剤を含む;(b)pH4.0~8.0、好ましくは5.0~7.0、より好ましくは5.5~6.5、最も好ましくは約5.5を有する;または(c)抗凍結剤を含みかつpH4.0~8.0、好ましくは5.0~7.0、より好ましくは5.5~6.5、最も好ましくは約5.5を有するのが好ましい。ある実施態様において、抗凍結剤は、(i)ここに開示する抗凍結剤から選択される;および/または(ii)ここに開示する濃度で存在する。例えば、抗凍結剤はスクロース、グリセロールおよびグルコースからなる群など、スクロース、グルコース、グリセロール、1,2-プロパンジオールおよび1,3-プロパンジオールからなる群から選択され得る;および/または約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で存在し得る。ある実施態様において、抗凍結剤は、所望により約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で存在するグリセロールである。
ある実施態様において、凍結組成物解凍後のRNA完全性は、組成物凍結前のRNA完全性と比較して、少なくとも50%、例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または実質的に100%である。ある実施態様において、凍結組成物解凍後のRNA完全性は、組成物凍結前のRNA完全性と比較して、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または実質的に100%である。ある実施態様において、凍結組成物解凍後のRNA粒子(特にLNP)のサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/または多分散性指数(PDI)は、組成物凍結前のRNA粒子のサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/またはPDIと本質的に等しい。
第一および第二の態様のある実施態様において、組成物の最初のRNA完全性(すなわち、製造後であるが、凍結前)は少なくとも50%であり、凍結組成物解凍後の組成物のRNA完全性は、最初のRNA完全性の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは実質的に100%である。
これに加えてまたはこれとは別に、第一および第二の態様のある実施態様において、凍結組成物解凍後のRNA粒子のサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/または多分散性指数(PDI))は、組成物凍結前のRNA粒子のサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/またはPDI)と本質的に等しい。ある実施態様において、凍結組成物解凍後のRNA粒子のサイズ(Z平均)は約50nm~約500nm、好ましくは約40nm~約200nm、より好ましくは約40nm~約120nmである。ある実施態様において、凍結組成物解凍後のRNA粒子のPDIは0.3未満、好ましくは0.2未満、より好ましくは0.1未満である。ある実施態様において、凍結組成物解凍後のRNA粒子のサイズ(Z平均)は約50nm~約500nm、好ましくは約40nm~約200nm、より好ましくは約40nm~約120nmであり、凍結組成物解凍後のRNA粒子のサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/またはPDI)は凍結前のRNA粒子のサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/またはPDI)と本質的に等しい。ある実施態様において、凍結組成物解凍後のRNA粒子のサイズ(Z平均)は約50nm~約500nm、好ましくは約40nm~約200nm、より好ましくは約40nm~約120nmであり、凍結組成物解凍後のRNA粒子のPDIは0.3未満(好ましくは0.2未満、より好ましくは0.1未満)である。
第一および第二の態様のある実施態様において、1凍結/解凍サイクル後、好ましくは2凍結/解凍サイクル後、より好ましくは3凍結/解凍サイクル後、より好ましくは4凍結/解凍サイクル後、より好ましくは5以上の凍結/解凍サイクル後のRNA粒子のサイズおよび組成物のRNA完全性は、最初の組成物のRNA粒子のサイズおよびRNA完全性(すなわち、組成物は最初に凍結される前)と実質的に同じである(すなわち、本質的に等しい)。
第三の態様において、本発明は、最終水相に分散したLNPを含む組成物を製造する方法である方法を提供し、ここで、LNPはカチオン的にイオン化可能な脂質およびRNAを含み;最終水相は、式N(R)(R)(R)を有する最終緩衝物質、そのN-オキシドまたはそのプロトン化形態を含み、ここで、R、RおよびRは第一の態様において定義したとおりであり;ここで、方法は:
(I)最終水相に分散した、カチオン的にイオン化可能な脂質およびRNAを含むLNPを含む製剤を製造し;そして
(II)所望により製剤を約-10℃以下まで凍結し、
それにより組成物を得ることを含み、
ここで、工程(I)は:
(a)水および第一緩衝系を含むRNA溶液を製造し;
(b)カチオン的にイオン化可能な脂質および、存在するならば、1以上の付加的脂質を含むエタノール性溶液を製造し;
(c)(a)の下に製造したRNA溶液と(b)の下に製造したエタノール性溶液を混合し、それにより第一緩衝系を含む(第一)中間水相に分散したLNPを含む(第一)中間製剤を製造し;そして
(d)最終緩衝系を含む最終水性緩衝液を使用して(c)の下に製造した第一中間製剤を濾過し、
それにより最終水相に分散したLNPを含む製剤を製造することを含む。
本出願において示されるとおり、LNPを含む組成物においてPBSの代わりに上に特定した緩衝物質、特にTEAおよびそのプロトン化形態に基づく特定の緩衝系の使用は、RNAの極めて安定な折り畳まれた形態(ここでは「光移動性種(LMS)」とも称する)の形成を阻止する。さらに、本出願は、驚くべきことに、この緩衝系の使用により、液体形態で約3カ月保存後でRNA完全性は改善されたLNP RNA組成物を得ることは可能であることを示す。故に、請求する方法で製造された組成物は安定性は改善され、薬務における通常の技術に適合した温度範囲で保存でき、使用準備済製剤を提供する。
第三の態様のある実施態様において、最終緩衝物質は3級アミン(すなわち、R、RおよびRの何れもHではない)またはそのプロトン化形態である。故に、ある実施態様において、上にと規定したとおり、R、RおよびRの各々はC1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から独立して選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個はCH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)である。ある実施態様において、3級アミンはモノアミンである。ある実施態様において、3級アミンはビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ-トリス(ヒドロキシメチル)メタン(ビス-トリス-メタンまたはBTM)、トリエタノールアミン(TEA)、エチルジエタノールアミン、2-(ジエチルアミノ)エタン-1-オール、トリエチルアミンおよび2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタン-1-オールからなる群から選択される。ある実施態様において、3級アミンはトリエタノールアミン(TEA)を含むかまたはそれである。
第三の態様のある実施態様において、最終緩衝物質は環状アミン(すなわち、R、RおよびRの2個は窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成するN(R)(R)(R))またはそのプロトン化形態である。故に、ある実施態様において、上に特定したとおり、RおよびRは、窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成する。ある実施態様において、環状アミンは1以上のC1-6アルキレン-R(例えば2-ヒドロキシエチル)部分で置換されているN,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびモルホリンからなる群から選択される。
第三の態様のある実施態様において、最終緩衝物質は2級アミン(すなわち、R、RおよびRの1個はHである)またはそのプロトン化形態である。故に、ある実施態様において、上に特定したとおり、RはHであり、RおよびRの各々はC1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から独立して選択され、ここで、最大でRおよびRの一方はCH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)である。
第三の態様のある実施態様において、最終緩衝物質は少なくとも1個のC1-6アルキレン-R部分を含む。これらの実施態様のこのような場合において、RはOHであるとき、アルキレン基は2~4個などの2~6個の炭素原子、例えば、2個、3個または4個の炭素原子を有するのが好ましい。故に、最終緩衝物質は少なくとも1個のC1-6アルキレン-R部分を含み、RはOHであるこれらの実施態様において、少なくとも1個のC1-6アルキレン-R部分は好ましくはC2-6アルキレン-OH、より好ましくはC2-4アルキレン-OH、より好ましくはC2-3アルキレン-OH、例えばCアルキレン-OHまたは2-ヒドロキシエチルである。
第三の態様のある実施態様において、最終緩衝物質はビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ-トリス(ヒドロキシメチル)メタン(ビス-トリス-メタンまたはBTM)およびそのプロトン化形態、トリエタノールアミン(TEA)およびそのプロトン化形態、エチルジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、2-(ジエチルアミノ)エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、トリエチルアミンおよびそのプロトン化形態、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、ジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびそのプロトン化形態、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよびそのプロトン化形態およびトリメチルアミンN-オキシドおよびそのプロトン化形態から選択される。ある実施態様において、最終緩衝物質はビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ-トリス(ヒドロキシメチル)メタン(ビス-トリス-メタンまたはBTM)およびそのプロトン化形態、トリエタノールアミン(TEA)およびそのプロトン化形態、エチルジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、2-(ジエチルアミノ)エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、トリエチルアミンおよびそのプロトン化形態、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態およびN,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびそのプロトン化形態から選択される。ある実施態様において、最終緩衝物質はトリエタノールアミン(TEA)またはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。
第三の態様のある実施態様において、特に凍結形態の組成物を製造することが望まれるならば、第三の態様の方法は、(II)製剤の約-10℃以下までの凍結を含む。故に、これらの実施態様において、第三の態様の方法の実施は、凍結形態の組成物をもたらす。
第三の態様のある実施態様において、特に組成物が凍結形態であるとき、組成物は、(a)抗凍結剤を含む;(b)pH4.0~8.0、好ましくは5.0~7.0、より好ましくは5.5~6.5、最も好ましくは約5.5を有する;または(c)抗凍結剤を含みかつpH4.0~8.0、好ましくは5.0~7.0、より好ましくは5.5~6.5、最も好ましくは約5.5を有するのが好ましい。ある実施態様において、抗凍結剤は、(i)ここに開示する抗凍結剤から選択される;および/または(ii)ここに開示する濃度で存在する。例えば、抗凍結剤はスクロース、グリセロールおよびグルコースからなる群など、スクロース、グルコース、グリセロール、1,2-プロパンジオールおよび1,3-プロパンジオールからなる群から選択され得る;および/または約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で存在し得る。ある実施態様において、抗凍結剤は、所望により約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で存在するグリセロールである。
ある別の実施態様において、特に液体形態の組成物の製造が望まれるとき、第三の態様の方法は工程(II)を含まない。故に、これらの実施態様において、第三の態様の方法の実施は液体形態の組成物をもたらす。
第三の態様のある実施態様において、工程(I)は、工程(c)後に、タンジェンシャルフロー濾過および透析濾過などの希釈および濾過から選択される1以上の工程をさらに含む。例えば、希釈工程は中間製剤への希釈溶液の添加を含み得る。このような希釈溶液は1以上の付加的化合物および所望により最終緩衝系を含み得て、ここで、1以上の付加的化合物は抗凍結剤を含み得る。1以上の濾過工程(工程(d)、(f’)、(g’)および(h’)を含む)を使用して、中間製剤から望まない化合物(例えば、エタノールおよび/または1以上の二および/または多塩基有機酸)を除去するおよび/または中間製剤のRNA濃度を増加するおよび/または中間製剤のpHおよび/または緩衝系を変えることができる。この目的で、望まない化合物を含まない(望まない化合物は中間製剤から水性緩衝液に洗い流されるように)および/または水性緩衝液と比較して高張である(水は中間製剤から水性緩衝液に流れるように)および/または中間製剤のpHおよび/または緩衝系と異なるpHおよび/または緩衝系である水性緩衝液を使用できる。
第三の態様のある実施態様において、工程(I)は:
(a’)水性RNA溶液を準備し;
(b’)第一緩衝系を含む第一水性緩衝液を準備し;
(c’)(a’)の下に準備した水性RNA溶液と(b’)の下に準備した第一水性緩衝液を混合し、それにより水および第一緩衝系を含むRNA溶液を製造し;
(d’)カチオン的にイオン化可能な脂質および、存在するならば、1以上の付加的脂質を含むエタノール性溶液を製造し;
(e’)(c’)の下に製造したRNA溶液と(d’)の下に製造したエタノール性溶液を混合し、それにより第一緩衝系を含む第一水相に分散されたLNPを含む第一中間製剤を製造し;
(f’)所望によりさらなる緩衝系を含むさらなる水性緩衝液を使用して、(e’)の下に製造した第一中間製剤を濾過し、それによりさらなる緩衝系を含むさらなる水相に分散したLNPを含むさらなる中間製剤を製造し、ここで、さらなる水性緩衝液は第一水性緩衝液と同一でも異なってもよく;
(g’)所望により工程(f’)を1回、2回またはそれ以上繰り返し、ここで、1サイクルの工程(f’)の後に得たさらなる緩衝系を含むさらなる水相に分散したLNPを含むさらなる中間製剤を次サイクルの第一中間製剤として使用し、ここで、各サイクルにおいて、さらなる水性緩衝液は第一水性緩衝液と同一でも異なってもよく;
(h’)工程(f’)がないならば工程(e’)で得た第一中間製剤または工程(f’)は存在し、工程(g’)が存在しないならば工程(f’)で得たさらなる中間製剤または工程(f’)および(g’)が存在するならば工程(g’)後に得たさらなる中間製剤を、最終緩衝系を含む最終水性緩衝液を使用して濾過し;そして
(i’)所望により工程(h’)で得た製剤を希釈溶液で希釈し;
それにより最終水相に分散したLNPを含む製剤を製造することを含む。
第三の態様のある実施態様において、組成物における最終緩衝物質の濃度、特に最終緩衝物質およびそのプロトン化形態の総濃度は約10mM~約200mM、例えば約20mM~約180mM、約30mM~約170mM、約40mM~約160mM、約50mM~約50mM、約60mM~約140mM、約70mM~約130mM、約80mM~約120mM、約90mM~約110mMである。ある実施態様において、組成物における最終緩衝物質の濃度、特に最終緩衝物質およびそのプロトン化形態の総濃度は約15mM~約100mM、好ましくは約20mM~約80mM、より好ましくは約40mM~約60mM、例えば約50mMである。
第三の態様のある実施態様において、最終緩衝系はさらに好ましくはクロライド、酢酸、グリコール酸、乳酸およびクエン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸またはアジピン酸のアニオンなどのジまたはトリカルボン酸のアニオンからなる群から選択されるアニオンを含む。ある実施態様において、最終緩衝系はアニオンを含むとき、組成物中のアニオンの濃度は少なくとも組成物における最終緩衝物質の濃度と等しい。例えば、組成物中のアニオンの濃度は組成物における最終緩衝物質の濃度より高くてよい。故に、第三の態様におけるこのような実施態様において、組成物における最終緩衝物質の濃度が約10mM~約200mMの範囲内であるxであるとき、組成物中のアニオンの濃度は少なくともxに等しい、例えばxより高い。
工程(I)で得た製剤および/または組成物は抗凍結剤を含む第三の態様のある実施態様において、該抗凍結剤は、炭水化物およびアルコール(例えば糖アルコールまたは低級アルコール)からなる群から選択される1以上の化合物を含む。例えば、抗凍結剤はスクロース、グルコース、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ソルビトールおよびそれらの組み合わせからなる群から(例えばスクロース、グルコース、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールおよびそれらの組み合わせからなる群からまたはスクロース、グルコース、グリセロール、ソルビトールおよびそれらの組み合わせからなる群から)選択され得る。ある実施態様において、工程(I)で得た製剤および/または組成物は抗凍結剤としてスクロースおよび/またはグリセロールを含む。
工程(I)で得た製剤および/または組成物が抗凍結剤を含む第三の態様のある実施態様において、製剤および/または組成物中の抗凍結剤の濃度は少なくとも1%w/v、例えば少なくとも2%w/v、少なくとも3%w/v、少なくとも4%w/v、少なくとも5%w/v、少なくとも6%w/v、少なくとも7%w/v、少なくとも8%w/vまたは少なくとも9%w/vである。ある実施態様において、製剤および/または組成物中の抗凍結剤の濃度は最大25%w/v、例えば最大20%w/v、最大19%w/v、最大18%w/v、最大17%w/v、最大16%w/v、最大15%w/v、最大14%w/v、最大13%w/v、最大12%w/vまたは最大11%w/vである。ある実施態様において、製剤および/または組成物中の抗凍結剤の濃度は1%w/v~20%w/v、例えば2%w/v~19%w/v、3%w/v~18%w/v、4%w/v~17%w/v、5%w/v~16%w/v、5%w/v~15%w/v、6%w/v~14%w/v、7%w/v~13%w/v、8%w/v~12%w/v、9%w/v~11%w/vまたは約10%w/vである。ある実施態様において、製剤および/または組成物は、5%w/v~15%w/v、例えば6%w/v~14%w/v、7%w/v~13%w/v、8%w/v~12%w/vまたは9%w/v~11%w/vまたはの濃度または約10%w/vの濃度で、抗凍結剤(例えばスクロース、グルコース、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールまたはそれらの組み合わせ、特に、スクロースおよび/またはグリセロール)を含む。例えば、第三の態様の方法は希釈溶液を使用する希釈工程を含み得て、ここで、希釈溶液は、工程(I)で得た製剤および/または組成物における抗凍結剤の上記濃度を達成するために十分量の抗凍結剤を含む。
工程(I)で得た製剤および/または組成物が抗凍結剤を含む第三の態様のある実施態様において、抗凍結剤は、製剤/組成物の総重量に基づき、約50×10-3osmol/kg~約1000×10-3osmol/kg(例えば約50×10-3osmol/kg~約500×10-3osmol/kg、約50×10-3osmol/kg~約480×10-3osmol/kg、約60×10-3osmol/kg~約460×10-3osmol/kg、約70×10-3osmol/kg~約440×10-3osmol/kg、約80×10-3osmol/kg~約420×10-3osmol/kg、約90×10-3osmol/kg~約400×10-3osmol/kg、約100×10-3osmol/kg~約380×10-3osmol/kg、約120×10-3osmol/kg~約360×10-3osmol/kg、約140×10-3osmol/kg~約340×10-3osmol/kg、約160×10-3osmol/kg~約310×10-3osmol/kg、約180×10-3osmol/kg~約300×10-3osmol/kgまたは約200×10-3osmol/kg~約300×10-3osmol/kg)の範囲の組成物の浸透圧をもたらす濃度で存在する。例えば、第三の態様の方法は希釈溶液を使用する希釈工程を含み得て、ここで、希釈溶液は、工程(I)で得た製剤および/または組成物における上記浸透圧値を達成するために十分量の抗凍結剤を含む。
第三の態様のある実施態様において、工程(I)で得た製剤および/または組成物は抗凍結剤を実質的に含まない。
第三の態様のある実施態様において、最終緩衝系のpH(および組成物のpH)は約4.0~約8.0である。例えば、最終緩衝系のpH(および組成物のpH)は約4.5~約8.0、例えば約5.0~約8.0、約5.5~約8.0、約6.0~約8.0、約6.5~約8.0、約6.8~約7.9、約7.0~約7.8または約7.5であり得る。
第三の態様のある実施態様において、第一緩衝系(および工程(a)で得たRNA溶液のpH)は、6.0未満、好ましくは最大約5.5、例えば最大約5.0、最大約4.9、最大約4.8、最大約4.7、最大約4.6または最大約4.5のpHを有する。例えば、第一緩衝系のpH(および工程(a)で得たRNA溶液のpH)は約3.5~約5.9、例えば約4.0~約5.5または約4.5~約5.0であり得る。この目的で、工程(a)で得たRNA溶液はさらに1以上の二および/または多塩基有機酸(例えば、クエン酸アニオンおよび/またはEDTAのアニオン)を含み得る。ある実施態様において、工程(d)を、1以上の望まない物質(例えば、エタノールおよび/または1以上の二および/または多塩基有機酸)を除去する条件下に実施し、そのような1以上の望まない物質を実質的に含まない最終水相に分散されたLNPを含む製剤をもたらすのが好ましい。例えば、このような条件工程(c)で得た中間水相に分散されたLNPを含む中間製剤を、最終緩衝系(すなわち、最終緩衝物質)を含む最終緩衝液を使用する、少なくとも1工程の濾過、例えばタンジェンシャルフロー濾過または透析濾に付すことはでき、ここで、最終緩衝液は1以上の望まない物質を含まない。あるいは、このような条件は、(i)工程(c)で得た中間水相に分散されたLNPを含む中間製剤(すなわち、第一中間製剤)を、さらなる緩衝系を含むさらなる水性緩衝液を使用する、少なくとも1工程の濾過、例えばタンジェンシャルフロー濾過または透析濾過に付し、それによりさらなる緩衝系を含むさらなる水相に分散したLNPを含むさらなる中間製剤を製造し(ここで、さらなる水性緩衝液のさらなる緩衝系は工程(a)で使用した緩衝系と同一でも異なってもよい);(ii)所望により工程(i)を1回または2回以上繰り返し(ここで、1サイクルの工程(i)で得たさらなる水相に分散されたLNPを含むさらなる中間製剤を次サイクルの第一中間製剤として使用し、ここで、各サイクルにおいて、さらなる水性緩衝液のさらなる緩衝系は工程(a)で使用した第一緩衝系と同一でも異なってもよい);そして(iii)中間工程(i)で得た製剤(工程(ii)が存在しないならば)または工程(ii)(工程(ii)が存在するならば)で得た中間製剤を、最終水性緩衝液を使用する少なくとも1工程の濾過、例えばタンジェンシャルフロー濾過または透析濾過に付す(ここで、中間および最終水性緩衝液の少なくとも1個(好ましくは全中間および最終水性緩衝液)は1以上の望まない物質を含まない)ことを含み得る。
同様に、第三の態様のある実施態様において、工程(I)が工程(a’)~(e’)および(h’)(および所望により工程(f’)、(g’)および(i’)の1以上)を含むとき、第一水性緩衝液(および工程(c’)の下に得たRNA溶液のpH)は、6.0未満、好ましくは最大約5.5、例えば最大約5.0、最大約4.9、最大約4.8、最大約4.7、最大約4.6または最大約4.5のpHを有する。例えば、第一水性緩衝液のpH(および工程(c’)の下に得たRNA溶液のpH)は約3.5~約5.9、例えば約4.0~約5.5または約4.5~約5.0であり得る。この目的で、(b’)の下に提供された第一水性緩衝液(および第一水相)はさらに1以上の二および/または多塩基有機酸(例えば、クエン酸アニオンおよび/またはEDTAのアニオン)を含み得る。これらの実施態様において、工程(f’)~(h’)の少なくとも1個を、1以上の望まない物質(例えば、エタノールおよび/または1以上の二および/または多塩基有機酸)を第一中間製剤および/またはさらなる中間製剤から除去する条件下に実施し、さらなる水相または最終水相に分散されたLNPを含むさらなる中間製剤をもたらすのが好ましく、さらなるおよび/または最終水相は1以上の望まない物質を実質的に含まない。例えば、このような条件はさらなる水性緩衝液および/または最終緩衝液の使用を含み得て、ここで、さらなる水性緩衝液および最終緩衝液の少なくとも1個(好ましくはさらなる水性緩衝液および最終緩衝液の全て)は1以上の望まない物質を含まない。ある実施態様において、濾過工程はタンジェンシャルフロー濾過または透析濾過、好ましくはタンジェンシャルフロー濾過であり得る。
第三の態様のある実施態様において、工程(a)で使用する第一緩衝系は工程(d)で使用する最終緩衝物質を含み、好ましくは工程(a)で使用する第一緩衝系の緩衝系およびpHは工程(d)で使用する最終水性緩衝液の緩衝系およびpHと同一である。例えば、第三の態様のこの実施態様において1個のみの水性緩衝液を使用する。
同様に、第三のある実施態様において、工程(I)は工程(a’)~(e’)および(h’)(および所望により工程(f’)、(g’)および(i’)の1以上)を含むとき、第一緩衝系および工程(b’)、(f’)および(g’)で使用する全てのさらなる緩衝系の各々は工程(h’)で使用する最終緩衝物質を含み、好ましくは第一水性緩衝液および工程(b’)、(f’)および(g’)で使用する全てのさらなる水性緩衝液の緩衝系およびpHは、最終水性緩衝液の緩衝系およびpHと同一である。例えば、第三の態様のこの実施態様の工程(b’)、存在するならば(f’)、存在するならば(g’)および(h’)で使用する水性緩衝液は同一である。
第三の態様のある実施態様において、製剤および/または組成物は主成分として水を含むおよび/または組成物に含まれる水以外の溶媒の総量は約1.0%(v/v)未満、例えば約0.5%(v/v)未満である。例えば、製剤および/または組成物に含まれる水の量は少なくとも50%(w/w)、例えば少なくとも55%(w/w)、少なくとも60%(w/w)、少なくとも65%(w/w)、少なくとも70%(w/w)、少なくとも75%(w/w)、少なくとも80%(w/w)、少なくとも85%(w/w)、少なくとも90%(w/w)または少なくとも95%(w/w)であり得る。特に、製剤および/または組成物は抗凍結剤を含むとき、製剤および/または組成物に含まれる水の量は少なくとも50%(w/w)、例えば少なくとも55%(w/w)、少なくとも60%(w/w)、少なくとも65%(w/w)、少なくとも70%(w/w)、少なくとも75%(w/w)、少なくとも80%(w/w)、少なくとも85%(w/w)または少なくとも90%(w/w)であり得る。製剤および/または組成物は抗凍結剤を実質的に含まないとき、製剤および/または組成物に含まれる水の量は少なくとも95%(w/w)であり得る。これに加えてまたはこれとは別に、組成物に含まれる水以外の溶媒の総量は約1.0%(v/v)未満、例えば約0.9%(v/v)未満、約0.8%(v/v)未満、約0.7%(v/v)未満、約0.6%(v/v)未満、約0.5%(v/v)未満、約0.4%(v/v)未満、約0.3%(v/v)未満、約0.2%(v/v)未満、約0.1%(v/v)未満、約0.05%(v/v)未満または約0.01%(v/v)未満であり得る。これに関して、標準条件下で液体である抗凍結剤は、水以外の溶媒ではなく、抗凍結剤とみなすべきである。換言すると、組成物に含まれる水以外の溶媒の総量は約1.0%(v/v)未満、例えば約0.5%(v/v)未満であり得る上記最適限界は標準条件下で液体である抗凍結剤には適用されない。
第三の態様のある実施態様において、組成物の浸透圧は最大約1000×10-3osmol/kg、例えば約100×10-3osmol/kg~約750×10-3osmol/kgである。ある実施態様において、組成物の浸透圧は最大約500×10-3osmol/kg、例えば最大約490×10-3osmol/kg、最大約480×10-3osmol/kg、最大約470×10-3osmol/kg、最大約460×10-3osmol/kg、最大約450×10-3osmol/kg、最大約440×10-3osmol/kg、最大約430×10-3osmol/kg、最大約420×10-3osmol/kg、最大約410×10-3osmol/kg、最大約400×10-3osmol/kg、最大約390×10-3osmol/kg、最大約380×10-3osmol/kg、最大約370×10-3osmol/kg、最大約360×10-3osmol/kg、最大約350×10-3osmol/kg、最大約340×10-3osmol/kg、最大約330×10-3osmol/kg、最大約320×10-3osmol/kg、最大約310×10-3osmol/kgまたは最大約300×10-3osmol/kgである。組成物が抗凍結剤を含まないならば、組成物の浸透圧は300×10-3osmol/kg未満、例えば最大約250×10-3osmol/kg、最大約200×10-3osmol/kg、最大約150×10-3osmol/kg、最大約100×10-3osmol/kg、最大約50×10-3osmol/kg、最大約40×10-3osmol/kgまたは最大約30×10-3osmol/kgであり得る。組成物が抗凍結剤を含むならば、組成物の浸透圧の大部分は抗凍結剤によりもたらされるのが好ましい。例えば、抗凍結剤は組成物の浸透圧の少なくとも50%、例えば少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%または少なくとも90%をもたらし得る。
第三の態様のある実施態様において、組成物中のRNA濃度は約5mg/l~約500mg/l、例えば約10mg/l~約400mg/l、約10mg/l~約300mg/l、約10mg/l~約200mg/l、約10mg/l~約150mg/lまたは約10mg/l~約100mg/l、好ましくは約10mg/l~約140mg/l、より好ましくは約20mg/l~約130mg/l、より好ましくは約30mg/l~約120mg/lである。ある実施態様において、組成物中のRNA濃度は約5mg/l~約150mg/lである。例えば、組成物中のRNA濃度は約10mg/l~約140mg/l、例えば約20mg/l~約130mg/l、約25mg/l~約125mg/l、約30mg/l~約120mg/l、約35mg/l~約115mg/l、約40mg/l~約110mg/l、約45mg/l~約105mg/lまたは約50mg/l~約100mg/lであり得る。
第三の態様のある実施態様において、最終緩衝物質はここに定義する3級アミン(すなわち、R、RおよびRの何れもHではない)またはそのプロトン化形態を含み、組成物のpHは約4.0~約8.0であり、組成物中のRNA濃度は約5mg/l~約500mg/lである。この実施態様において、組成物のpHは約4.5~約8.0であり、組成物中のRNA濃度は約20mg/l~約130mg/l、例えば約30mg/l~約120mg/lであるのが好ましい。特に好ましい実施態様において、最終緩衝物質はここに定義する3級アミンまたはそのプロトン化形態を含み;組成物のpHは約5.0~約8.0であり;組成物中のRNA濃度は約30mg/l~約120mg/lであり;そして組成物は抗凍結剤を含む。別の特に好ましい実施態様において、最終緩衝物質はここに定義する3級アミンまたはそのプロトン化形態を含み;組成物のpHは約5.0~約8.0であり;組成物中のRNA濃度は約30mg/l~約120mg/lであり;そして組成物は抗凍結剤を実質的に含まない。ある実施態様において、3級アミンはモノアミンである。ある実施態様において、3級アミンはビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ-トリス(ヒドロキシメチル)メタン(ビス-トリス-メタンまたはBTM)、トリエタノールアミン(TEA)、エチルジエタノールアミン、2-(ジエチルアミノ)エタン-1-オール、トリエチルアミンおよび2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタン-1-オールからなる群から選択される。ある実施態様において、3級アミンはトリエタノールアミン(TEA)を含むかまたはそれである。
第三の態様のある実施態様において、最終緩衝物質はここに定義する環状アミン(すなわち、R、RおよびRの2個は窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成するN(R)(R)(R))またはそのプロトン化形態を含み、組成物のpHは約4.0~約8.0であり、組成物中のRNA濃度は約5mg/l~約500mg/lである。この実施態様において、組成物のpHは約4.5~約8.0であり、組成物中のRNA濃度は約20mg/l~約130mg/l、例えば約30mg/l~約120mg/lであるのが好ましい。特に好ましい実施態様において、最終緩衝物質はここに定義する環状アミンまたはそのプロトン化形態を含み;組成物のpHは約5.0~約8.0であり;組成物中のRNA濃度は約30mg/l~約120mg/lであり;そして組成物は抗凍結剤を含む。別の特に好ましい実施態様において、最終緩衝物質はここに定義する環状アミンまたはそのプロトン化形態を含み;組成物のpHは約5.0~約8.0であり;組成物中のRNA濃度は約30mg/l~約120mg/lであり;そして組成物は抗凍結剤を実質的に含まない。ある実施態様において、環状アミンは1以上のC1-6アルキレン-R(例えば2-ヒドロキシエチル)部分で置換されているN,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびモルホリンからなる群から選択される。
第三の態様のある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は、生理学的条件下でプロトン化され得る少なくとも1個の窒素原子を含む頭基を含む。
第三の態様のある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は、式(X):
の構造を有するかまたはその薬学的に許容される塩、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体であり、ここで、L10、L20、G、G、G、R35、R36およびR37はここに定義するとおりである。ある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は次のものから選択される:構造X-1~X-36(ここに示す);および/または構造A~F(ここに示す);および/またはN,N-ジメチル-2,3-ジオレイルオキシプロピルアミン(DODMA)、1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DODAP)、ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル-4-(ジメチルアミノ)ブタノアート(DLin-MC3-DMA)および4-((ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)アミノ)オキシ)-N,N-ジメチル-4-オキソブタン-1-アミン(DPL-14)。ある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は、構造X-3を有する脂質である。
第三の態様のある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は式(XI):
の構造を有し、ここで、R、R、R、R、R、R、G、Gおよびmはここに定義するとおりである。ある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は構造(XIV-1)、(XIV-2)および(XIV-3)(ここに示す)から選択される。
第三の態様のある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は、組成物に存在する総脂質の約20mol%~約80mol%、好ましくは約25mol%~約65mol%、より好ましくは約30mol%~約50mol%、例えば約40mol%~約50mol%を構成する。
第三の態様のある実施態様において、工程(b)または(d’)で製造したエタノール性溶液はさらに1以上の付加的脂質を含み、LNPはさらに1以上の付加的脂質を含む。好ましくは、1以上の付加的脂質はポリマーコンジュゲート脂質、中性脂質、ステロイドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。第三の態様のある実施態様において、1以上の付加的脂質は、ポリマーコンジュゲート脂質(例えば、ペグ化脂質;またはポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲート)、中性脂質(例えば、DSPCなどのリン脂質)およびステロイド(例えば、コレステロール)を含み、その結果、LNPはここに記載するカチオン的にイオン化可能な脂質、ポリマーコンジュゲート脂質(例えば、ペグ化脂質;またはポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲート)、中性脂質(例えば、DSPCなどのリン脂質)およびステロイド(例えば、コレステロール)を含む。
1以上の付加的脂質がポリマーコンジュゲート脂質を含む第三の態様のある実施態様において、ポリマーコンジュゲート脂質はペグ化脂質である。例えば、ペグ化脂質はDSPE-PEG、DOPE-PEG、DPPE-PEGおよびDMPE-PEGからなる群から選択される。ある実施態様において、ペグ化脂質は次の構造:
を有するかまたはその薬学的に許容される塩、互変異性体もしくは立体異性体であってよく、ここで、R12、R13およびwはここに定義するとおりである。
1以上の付加的脂質がポリマーコンジュゲート脂質を含む第三の態様のある実施態様において、ポリマーコンジュゲート脂質はポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲートである。例えば、ポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲートはポリサルコシン-ジアシルグリセロールコンジュゲート、ポリサルコシン-ジアルキルオキシプロピルコンジュゲート、ポリサルコシン-リン脂質コンジュゲート、ポリサルコシン-セラミドコンジュゲートおよびそれらの混合物からなる群から選択されるメンバーであり得る。
1以上の付加的脂質がポリマーコンジュゲート脂質を含む第三の態様のある実施態様において、ポリマーコンジュゲート脂質は、組成物に存在する総脂質の約0.5mol%~約5mol%、好ましくは約1mol%~約5mol%、より好ましくは約1mol%~約4.5mol%を構成する。
1以上の付加的脂質が中性脂質を含む第三の態様のある実施態様において、中性脂質はリン脂質である。このようなリン脂質は好ましくはホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリンおよびスフィンゴミエリンからなる群から選択される。リン脂質の具体例はジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジペンタデカノイルホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジアラキドイルホスファチジルコリン(DAPC)、ジベヘノイルホスファチジルコリン(DBPC)、ジトリコサノイルホスファチジルコリン(DTPC)、ジリグノセロイルフタチジルコリン(DLPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルコリン(POPC)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0 Diether PC)、1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(C16 Lyso PC)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジパルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジラウロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DLPE)およびジフィタノイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPyPE)を含む。ある実施態様において、中性脂質はDSPCである。
1以上の付加的脂質が中性脂質を含む第三の態様のある実施態様において(例えばリン脂質)、中性脂質は組成物に存在する総脂質の約5mol%~約40mol%、好ましくは約5mol%~約20mol%、より好ましくは約5mol%~約15mol%を構成する。
1以上の付加的脂質がステロイドを含む第三の態様のある実施態様において、ステロイドはコレステロールなどのステロールである。
1以上の付加的脂質がステロイドを含む第三の態様のある実施態様において、ステロイドは組成物に存在する総脂質の約10mol%~約65mol%、好ましくは約20mol%~約60mol%、より好ましくは約30mol%~約50mol%を構成する。
第三の態様のある実施態様において、エタノール性溶液は、エタノール性溶液中の脂質の総モル量に基づき、20%~60%のカチオン的にイオン化可能な脂質、0.5%~15%のポリマーコンジュゲート脂質、5%~25%の中性脂質および25%~55%のステロイドのモル比でカチオン的にイオン化可能な脂質、ポリマーコンジュゲート脂質、中性脂質(例えば、リン脂質)およびステロイドを含む。例えば、モル比は、エタノール性溶液中の脂質の総モル量に基づき、40%~55%のカチオン的にイオン化可能な脂質、1.0%~10%のポリマーコンジュゲート脂質、5%~15%の中性脂質および30%~50%のステロイド、例えば45%~55%のカチオン的にイオン化可能な脂質、1.0%~5%のポリマーコンジュゲート脂質、8%~12%の中性脂質および35%~45%のステロイドであり得る。
第三の態様のある実施態様において、LNPは組成物に含まれるRNAの少なくとも約75%を構成する。例えば、LNPは組成物に含まれるRNAの少なくとも約76%、例えば少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%または少なくとも約95%を構成し得る。
第三の態様のある実施態様において、RNAはmRNAである。
第三の態様のある実施態様において、RNA(例えばmRNA)はLNP内に封入されるかまたはLNPと結合している。
第三の態様のある実施態様において、RNA(例えばmRNA)(i)ウリジンの代わりに修飾ヌクレオシドを含む;(ii)コドン最適化されているコード配列を有する;および/または(iii)野生型コード配列と比較してG/C含量は増加しているコード配列を有する。ある実施態様において、修飾ヌクレオシドはシュードウリジン(ψ)、N1-メチル-シュードウリジン(m1ψ)および5-メチル-ウリジン(m5U)から選択される。
第三の態様のある実施態様において、RNA(例えばmRNA)は、次の(a)キャップ1またはキャップ2構造などの5’キャップ;(b)5’ UTR;(c)3’ UTR;および(d)ポリA配列の1以上を含む。ある実施態様において、ポリA配列は少なくとも100個のAヌクレオチドを含み、ここで、ポリA配列は好ましくはAヌクレオチドの中断配列である。
第三の態様のある実施態様において、RNA(例えばmRNA)は1以上のポリペプチドをコードする。ある実施態様において、1以上のポリペプチドは対象における抗原に対する免疫応答を誘導するための薬学的活性ポリペプチドであるおよび/またはエピトープを含む。
第三の態様のある実施態様において、薬学的活性ポリペプチドおよび/または抗原またはエピトープは病原体のタンパク質、タンパク質の免疫原性バリアントまたはタンパク質の免疫原性フラグメントもしくはその免疫原性バリアントに由来するかまたはそれである。ある実施態様において、病原体は感染性疾患を引き起こす病原体である。
第三の態様のある実施態様において、薬学的活性ポリペプチドおよび/または抗原またはエピトープはSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントに由来するかまたはそれである。ある実施態様において、RNA(例えばmRNA)は、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントを含むアミノ酸配列をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む。第三の態様のある実施態様において、SARS-CoV2 Sタンパク質バリアントは、配列番号1の986位および987位に置換されたプロリン残基を有する。ある実施態様において、SARS-CoV2 Sタンパク質バリアントは、配列番号7のアミノ酸17~1273のアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸17~1273のアミノ酸配列に少なくとも80%同一性を有する。ある実施態様において、フラグメントはSARS-CoV-2 Sタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)を含む。ある実施態様において、(i)SARS-CoV-2 Sタンパク質または(ii)SARS-CoV-2 Sタンパク質の免疫原性バリアントのフラグメントは配列番号1のアミノ酸327~528のアミノ酸配列に少なくとも80%同一性を有する。
第四の態様において、本発明は、水性RNA組成物を製造する方法を提供し、ここで、方法は、(I)RNAおよび水相を含む製剤を製造し、ここで、水相は緩衝物質、式N(R)(R)(R)を有する緩衝物質、そのN-オキシドまたはそのプロトン化形態を含み、ここで、R、RおよびRは第一の態様において定義したとおりであり;そして(II)所望により製剤を約-10℃以下まで凍結し、それにより組成物を得ることを含む。
第四の態様のある実施態様において、方法は工程(II)(すなわち、製剤の約-10℃以下への凍結)を含む。
第四の態様のある実施態様において、特に方法が工程(II)を含むとき、組成物は、(a)抗凍結剤を含む;(b)pH4.0~8.0、好ましくは5.0~7.0、より好ましくは5.5~6.5、最も好ましくは約5.5を有する;または(c)抗凍結剤を含みかつpH4.0~8.0、好ましくは5.0~7.0、より好ましくは5.5~6.5、最も好ましくは約5.5を有するのが好ましい。ある実施態様において、抗凍結剤は、(i)ここに開示する抗凍結剤から選択される;および/または(ii)ここに開示する濃度で存在する。例えば、抗凍結剤は、スクロース、グリセロールおよびグルコースからなる群などのスクロース、グルコース、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され得て;および/または約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で存在し得る。ある実施態様において、抗凍結剤は、所望により約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で存在するグリセロールである。
第四の態様のある実施態様において、緩衝物質はBTMおよびそのプロトン化形態、TEAおよびそのプロトン化形態、エチルジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、2-(ジエチルアミノ)エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、トリエチルアミンおよびそのプロトン化形態、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、ジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびそのプロトン化形態、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよびそのプロトン化形態およびトリメチルアミンN-オキシドおよびそのプロトン化形態から選択される。ある実施態様において、緩衝物質はトリエタノールアミン(TEA)またはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。
第一、第二または第三の態様においてここに記載する何れの実施態様も、第四の態様のあらゆる実施態様に適用され得ることは理解される。
第五の態様において、本発明は、第三の態様の方法に従い組成物を製造し、組成物を約-90℃~約-10℃、例えば約-90℃~約-40℃または約-40℃~約-25℃または約-25℃~約-10℃の範囲の温度または約-20℃の温度で保存することを含む、組成物を保存する方法を提供する。第五の態様のある実施態様において、凍結組成物の保存は少なくとも1週間、例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも12カ月、少なくとも24カ月または少なくとも36カ月、好ましくは少なくとも4週間である。第五の態様のある実施態様において、凍結組成物の保存は、-20℃で少なくとも4週間、好ましくは少なくとも1カ月、より好ましくは少なくとも2カ月、より好ましくは少なくとも3カ月、より好ましくは少なくとも6カ月である。第五の態様のある実施態様において、組成物は-70℃で保存できる。
第五の態様のある実施態様において、組成物は、(a)抗凍結剤を含む;(b)pH4.0~8.0、好ましくは5.0~7.0、より好ましくは5.5~6.5、最も好ましくは約5.5を有する;または(c)抗凍結剤を含みかつpH4.0~8.0、好ましくは5.0~7.0、より好ましくは5.5~6.5、最も好ましくは約5.5を有するのが好ましい。ある実施態様において、抗凍結剤は(i)ここに開示する抗凍結剤から選択される;および/または(ii)ここに開示する濃度で存在する。例えば、抗凍結剤は、スクロース、グリセロールおよびグルコースからなる群などのスクロース、グルコース、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され得て;および/または約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で存在し得る。ある実施態様において、抗凍結剤は、所望により約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で存在するグリセロールである。
第五の態様のある実施態様において、緩衝物質はBTMおよびそのプロトン化形態、TEAおよびそのプロトン化形態、エチルジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、2-(ジエチルアミノ)エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、トリエチルアミンおよびそのプロトン化形態、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、ジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびそのプロトン化形態、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよびそのプロトン化形態およびトリメチルアミンN-オキシドおよびそのプロトン化形態から選択される。ある実施態様において、緩衝物質はトリエタノールアミン(TEA)またはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。
第五の態様のある実施態様において、組成物を保存する方法は、工程(II)(すなわち、製剤を約-10℃以下まで凍結)を含む第三の態様の方法に従い組成物を製造し;凍結組成物を約-90℃~約-10℃の範囲の温度で一定期間(例えば、少なくとも1週間、例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも6カ月、少なくとも12カ月、少なくとも24カ月または少なくとも36カ月)保存し;そして凍結組成物を約0℃~約20℃の範囲の温度で一定期間(例えば、少なくとも4週間、例えば少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月または少なくとも6カ月)保存することを含む。
第一、第二または第三の態様においてここに記載する何れの実施態様も、第五の態様のあらゆる実施態様に適用され得ることは理解される。
第六の態様において、本発明は、液体組成物を第三の態様の方法に従い製造し、液体組成物を約0℃~約20℃、例えば約1℃~約15℃、約2℃~約10℃または約2℃~約8℃の範囲の温度または約5℃の温度で保存することを含む、組成物を保存する方法を提供する。第六の態様のある実施態様において、液体組成物の保存は、少なくとも1週間、例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも12カ月または少なくとも24カ月、好ましくは少なくとも4週間である。第六の態様のある実施態様において、液体組成物の保存は、5℃で少なくとも4週間、好ましくは少なくとも1カ月、より好ましくは少なくとも2カ月、より好ましくは少なくとも3カ月、より好ましくは少なくとも6カ月である。
第六の態様のある実施態様において、組成物を保存する方法は、工程(II)(すなわち、製剤を約-10℃以下まで凍結)を含む第三の態様の方法に従い組成物を製造し;そして凍結組成物を約0℃~約20℃の範囲の温度で一定期間(例えば、少なくとも4週間)保存することを含む。
第六の態様のある実施態様において、緩衝物質はBTMおよびそのプロトン化形態、TEAおよびそのプロトン化形態、エチルジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、2-(ジエチルアミノ)エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、トリエチルアミンおよびそのプロトン化形態、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、ジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびそのプロトン化形態、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよびそのプロトン化形態およびトリメチルアミンN-オキシドおよびそのプロトン化形態から選択される。ある実施態様において、緩衝物質はトリエタノールアミン(TEA)またはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。
第一、第二または第三の態様においてここに記載する何れの実施態様も、第六の態様のあらゆる実施態様に適用され得ることは理解される。
第七の態様において、本発明は、第三、第四、第五または第六の態様の方法により製造可能な組成物を提供する。第七の態様のある実施態様において、組成物は凍結形態であってよく、これは、好ましくは、約-90℃以上、例えば約-90℃~約-10℃の温度で保存され得る。例えば、第七の態様の凍結組成物は、約-90℃~約-40℃または約-40℃~約-25℃または約-25℃~約-10℃の範囲の温度または約-20°の温度で保存さrふぇ売る。第七の態様のある実施態様において、組成物は、少なくとも1週間、例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも12カ月、少なくとも24カ月または少なくとも36カ月、好ましくは少なくとも4週間保存され得る。例えば、凍結組成物は、-20℃で少なくとも4週間、好ましくは少なくとも1カ月、より好ましくは少なくとも2カ月、より好ましくは少なくとも3カ月、より好ましくは少なくとも6カ月保存され得る。
第七の態様のある実施態様において、組成物が凍結形態であるとき、組成物は、(a)抗凍結剤を含む;(b)pH4.0~8.0、好ましくは5.0~7.0、より好ましくは5.5~6.5、最も好ましくは約5.5を有する;または(c)抗凍結剤を含みかつpH4.0~8.0、好ましくは5.0~7.0、より好ましくは5.5~6.5、最も好ましくは約5.5を有するのが好ましい。ある実施態様において、抗凍結剤は(i)ここに開示する抗凍結剤から選択される;および/または(ii)ここに開示する濃度で存在する。例えば、抗凍結剤は、スクロース、グリセロールおよびグルコースからなる群などのスクロース、グルコース、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され得て;および/または約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で存在し得る。ある実施態様において、抗凍結剤は、所望により約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で存在するグリセロールである。
第七の態様のある実施態様において、緩衝物質はBTMおよびそのプロトン化形態、TEAおよびそのプロトン化形態、エチルジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、2-(ジエチルアミノ)エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、トリエチルアミンおよびそのプロトン化形態、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、ジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびそのプロトン化形態、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよびそのプロトン化形態およびトリメチルアミンN-オキシドおよびそのプロトン化形態から選択される。ある実施態様において、緩衝物質はトリエタノールアミン(TEA)またはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。
第七の態様のある実施態様において、組成物が凍結形態であるとき、凍結組成物解凍後のRNA完全性は、組成物は凍結される前の組成物のRNA完全性と比較して、例えば、-20℃で保存された凍結組成物の解凍後、少なくとも50%、例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または実質的に100%である。
ある実施態様において、組成物の最初のRNA完全性(すなわち、製造後であるが、凍結前)は少なくとも50%であり、凍結組成物解凍後の組成物のRNA完全性は、最初のRNA完全性の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは実質的に100%である。
これに加えてまたはこれとは別に、第七の態様のある実施態様において、組成物が凍結形態であるとき、凍結組成物解凍後のRNA粒子のサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/または多分散性指数(PDI))は、組成物凍結前のRNA粒子のサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/またはPDI)と本質的に等しい。ある実施態様において、凍結組成物解凍後のRNA粒子のサイズ(Z平均)は約50nm~約500nm、好ましくは約40nm~約200nm、より好ましくは約40nm~約120nmである。ある実施態様において、凍結組成物解凍後のRNA粒子のPDIは0.3未満、好ましくは0.2未満、より好ましくは0.1未満である。ある実施態様において、凍結組成物解凍後のRNA粒子のサイズ(Z平均)は約50nm~約500nm、好ましくは約40nm~約200nm、より好ましくは約40nm~約120nmであり、凍結組成物解凍後のRNA粒子のサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/またはPDI)は凍結前のRNA粒子のサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/またはPDI)と本質的に等しい。ある実施態様において、凍結組成物解凍後のRNA粒子のサイズ(Z平均)は約50nm~約500nm、好ましくは約40nm~約200nm、より好ましくは約40nm~約120nmであり、凍結組成物解凍後のRNA粒子のPDIは0.3未満(好ましくは0.2未満、より好ましくは0.1未満)である。
ある実施態様において、1凍結/解凍サイクル後、好ましくは2凍結/解凍サイクル後、より好ましくは3凍結/解凍サイクル後、より好ましくは4凍結/解凍サイクル後、より好ましくは5以上の凍結/解凍サイクル後のRNA粒子のサイズおよび組成物のRNA完全性は、最初の組成物のRNA粒子のサイズおよびRNA完全性(すなわち、組成物は最初に凍結される前)と実質的に同じである(すなわち、本質的に等しい)。
第七の態様の別の実施態様において、組成物は液体形態である。
第七の態様のある実施態様において、組成物が液体形態であるとき、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月または少なくとも6カ月)保存したときの、液体組成物のRNA完全性は、所望の効果をもたらす、例えば、免疫応答を誘導するのに十分である。例えば、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月または少なくとも6カ月)保存したときの、液体組成物のRNA完全性は、保存前のRNA完全性と比較して、少なくとも50%、例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または少なくとも98%であり得る。ある実施態様において、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月または少なくとも6カ月)保存したときの、液体組成物のRNA完全性は、保存前のRNA完全性と比較して、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または少なくとも98%であり得る。ある実施態様において、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で、少なくとも4週間保存後の組成物のRNA完全性は、保存前のRNA完全性と比較して、少なくとも50%、例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または少なくとも98%である。ある実施態様において、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で、少なくとも4週間保存後の組成物のRNA完全性は、保存前のRNA完全性と比較して、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または少なくとも98%である。
ある実施態様において、液体組成物の最初のRNA完全性(すなわち、製造後であるが、保存前)は少なくとも50%であり、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で、少なくとも1週間(例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月または少なくとも3カ月)保存後の液体組成物のRNA完全性は、最初のRNA完全性の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%である。ある実施態様において、液体組成物の最初のRNA完全性(すなわち、製造後であるが、保存前)は少なくとも50%であり、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で、少なくとも1週間(例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月または少なくとも3カ月)保存後の液体組成物のRNA完全性は、最初のRNA完全性の少なくとも90%である。
これに加えてまたはこれとは別に、第七の態様のある実施態様において、組成物が液体形態であるとき、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月または少なくとも6カ月)保存下ときの液体組成物のRNA粒子のサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/または多分散性指数(PDI))は、所望の効果をもたらす、例えば、免疫応答を誘導するのに十分である。例えば、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月または少なくとも6カ月)保存下ときの液体組成物のRNA粒子のサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/または多分散性指数(PDI))は、最初の組成物、すなわち保存前のRNA粒子のサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/またはPDI)と本質的に等しい。ある実施態様において、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも4週間または少なくとも3カ月)、液体組成物の保存後のRNA粒子のサイズ(Z平均)は約50nm~約500nm、好ましくは約40nm~約200nm、より好ましくは約40nm~約120nmである。ある実施態様において、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも4週間または少なくとも3カ月)、液体組成物の保存後のRNA粒子のPDIは0.3未満、好ましくは0.2未満、より好ましくは0.1未満である。ある実施態様において、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも4週間または少なくとも3カ月)、液体組成物の保存後のRNA粒子のサイズ(Z平均)は約50nm~約500nm、好ましくは約40nm~約200nm、より好ましくは約40nm~約120nmであり、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも4週間または少なくとも3カ月)、液体組成物の保存後のRNA粒子のサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/またはPDI)は、保存前のRNA粒子のサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/またはPDI)と本質的に等しい。ある実施態様において、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも4週間または少なくとも3カ月)、液体組成物の保存後のRNA粒子のサイズ(Z平均)は約50nm~約500nm、好ましくは約40nm~約200nm、より好ましくは約40nm~約120nmであり、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも4週間または少なくとも3カ月)、液体組成物の保存後のRNA粒子のPDIは0.3未満(好ましくは0.2未満、より好ましくは0.1未満)である。
第一、第二、第三、第四、第五または第六の態様においてここに記載する何れの実施態様も、第七の態様のあらゆる実施態様に適用され得ることは理解される。
第八の態様において、本発明は、第三、第四または第五の態様の方法により製造した凍結組成物を準備し、凍結組成物を解凍して、それにより使用準備済医薬組成物を得る工程を含む、使用準備済医薬組成物を製造する方法、方法を提供する。
第一、第二、第三、第四、第五、第六または第七の態様においてここに記載する何れの実施態様も、第八の態様のあらゆる実施態様に適用され得ることは理解される。
第九の態様において、本発明は、第三、第四または第六の態様の方法により製造した液体組成物を準備し、それにより使用準備済医薬組成物を得る工程を含む、使用準備済医薬組成物を製造する方法を提供する。
第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七または第八の態様においてここに記載する何れの実施態様も、第九の態様のあらゆる実施態様に適用され得ることは理解される。
第十の態様において、本発明は、第八または第九の態様の方法により製造され得る使用準備済医薬組成物を提供する。
第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八または第九の態様においてここに記載する何れの実施態様も、第十の態様のあらゆる実施態様に適用され得ることは理解される。
第十一の態様において、本発明は、治療に使用するための、第一、第七および第十の態様の何れかの組成物を提供する。
第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九または第十の態様においてここに記載する何れの実施態様も、第十一の態様のあらゆる実施態様に適用され得ることは理解される。
第十二の態様において、本発明は、免疫応答の誘導に使用するための第一、第七および第十の態様の何れかの組成物を提供する。
第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十または第十一の態様においてここに記載する何れの実施態様も、第十二の態様のあらゆる実施態様に適用され得ることは理解される。
第十三の態様において、本発明は、第一、第二、第七または第十の態様の何れかの組成物を細胞に添加し;そして組成物と細胞の混合物を十分な時間インキュベートすることを含む、細胞をトランスフェクトする方法を提供する。ある実施態様において、特にRNA(例えばmRNA)が薬学的活性タンパク質をコードするとき、組成物と細胞の混合物を、薬学的活性タンパク質の発現を可能にするのに十分な時間インキュベートする。ある実施態様において、特にRNAが標的mRNAに対する阻害性RNA(例えばsiRNA)であるとき、組成物と細胞の混合物を、標的mRNAの転写および/または翻訳の阻害を可能にするのに十分な時間インキュベートする。ある実施態様において、十分な時間は少なくとも1時間(例えば少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約9時間、少なくとも約12時間)および/または最大約48時間(例えば最大約36時間または最大約24時間)である。第十三の態様のある実施態様において、方法をインビボで実施する(すなわち、細胞は対象の臓器、組織および/または生物の一部を形成する)。第十三の態様のある実施態様において、方法をインビトロで実施する(すなわち、細胞は対象の臓器、組織および/または生物の一部を形成しない、例えば、細胞はエクスビボ細胞培養である)。
第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一または第十二の態様においてここに記載する何れの実施態様も、第十三の態様のあらゆる実施態様に適用され得ることは理解される。
第十四の態様において、本発明は、細胞をトランスフェクトするための、第一、第二、第七または第十の態様の何れかの組成物の使用を提供する。第十四の態様のある実施態様において、使用はインビボ使用である(すなわち、細胞は対象の臓器、組織および/または生物の一部を形成する)。第十四の態様のある実施態様において、使用はインビトロ使用である(すなわち、細胞は対象の臓器、組織および/または生物の一部を形成しない、例えば、細胞はエクスビボ細胞培養である)。
第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二または第十三の態様においてここに記載する何れの実施態様も、第十四の態様のあらゆる実施態様に適用され得ることは理解される。
さらなる態様において、本発明は、第一、第二、第七、第十、第十一または第十二の態様の何れかの組成物またはここに記載する医薬組成物を含む、キットを提供する。ある実施態様において、キットは、免疫応答の誘導のためなどの治療に使用するためである。ある実施態様において、キットは、感染性疾患の処置または予防のためなどの、病原体に対する免疫応答の誘導に使用するためである。
さらなる項目別実施態様は次のとおりである:
1. (i)RNA;(ii)カチオン的にイオン化可能な脂質;および(iii)式N(R)(R)(R)を有する緩衝物質、そのN-オキシドまたはそのプロトン化形態を含む緩衝系を含む水相を含む組成物であって、ここで:
、RおよびRの各々は独立してH、C1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個はH、CH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)であるか;またはR、RおよびRの2個は、窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成し;
各Rは独立して-OH、-O-(C1-6アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-6アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zは独立して0および1から選択され;そして各Rは独立してHおよびC1-3アルキルから選択され;そして
各Rは独立してC1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から選択されるものである、組成物。
2. R、RおよびRの各々がC1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から独立して選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がCH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)であり、好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-4アルキル、C1-4アルキレン-R、CH(C1-3アルキレン-R)およびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がCH(C1-3アルキレン-R)またはC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-3アルキル、C1-3アルキレン-R、CH(C1-3アルキレン-R)およびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がCH(C1-3アルキレン-R)またはC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-2アルキル、C1-2アルキレン-R、CH(C1-2アルキレン-R)およびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がCH(C1-2アルキレン-R)またはC(C1-2アルキレン-R)である、項1の組成物。
3. R、RおよびRの各々が独立してC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がC(C1-5アルキレン-R)であり、好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がC(C1-2アルキレン-R)である、項1または2の組成物。
4. R、RおよびRの各々が独立してC1-6アルキルおよびC1-6アルキレン-Rから選択され、好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-4アルキルおよびC1-4アルキレン-Rから選択され、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-3アルキルおよびC1-3アルキレン-Rから選択され、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-2アルキルおよびC1-2アルキレン-Rから選択される、項1~3の何れかの組成物。
5. 各Rが独立して-OH、-O-(C1-4アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-4アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zが独立して0および1から選択され;そして各Rが独立してHおよびC1-3アルキルから選択され、好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-3アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-3アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zが独立して0および1から選択され;そして各Rが独立してHおよびC1-3アルキルから選択され、より好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-2アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-2アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zが独立して0および1から選択され;そして各Rが独立してHおよびC1-2アルキルから選択される、項1~4の何れかの組成物。
6. 各Rが独立して-OH、-O-(C1-4アルキレン-OH)および-N(C1-4アルキレン-OH)から選択され、好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-3アルキレン-OH)および-N(C1-3アルキレン-OH)から選択され、より好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-2アルキレン-OH)および-N(C1-2アルキレン-OH)から選択される、項1~5の何れかの組成物。
7. 各Rが独立して-OH、2-ヒドロキシエトキシおよびビス(2-ヒドロキシエチル)アミノから選択される、項1~6の何れかの組成物。
8. R、RおよびRの各々が独立してメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル、2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルおよび1,5-ジヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシエチル)ペンタン-3-イルから選択される、項1~7の何れかの組成物。
9. R、RおよびRの全て同じである、項1~8の何れかの組成物。
10. R、RおよびRの全てがメチル、エチルまたは2-ヒドロキシエチルである、項9の組成物。
11. RおよびRが同一であり、RがRおよびRと異なる、項1~8の何れかの組成物。
12. RおよびRの各々が2-ヒドロキシエチル、エチルまたはメチルである、項11の組成物。
13. Rがメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル、2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルおよび1,5-ジヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシエチル)ペンタン-3-イルから選択される、項11または12の組成物。
14. RおよびRが、窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成する、項1の組成物。
15. RがC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、好ましくはRがC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルおよび2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルから選択される、項14の組成物。
16. N-ヘテロ環式環が少なくとも1個の窒素環原子および所望によりOおよびSから選択される1個のさらなる環ヘテロ原子を含む単環式環である、項14または15の組成物。
17. N-ヘテロ環式環が(i)1個の窒素環原子;(ii)2個の窒素環原子;(iii)1個の窒素環原子および1個の酸素環原子;(iv)1個の窒素環原子および1個の硫黄環原子;または(v)3個の窒素環原子を含む単環式環である、項14~16の何れかの組成物。
18. N-ヘテロ環式環が単環式6員N-ヘテロ環式環などの単環式5員または6員N-ヘテロ環式環である、項14~17の何れかの組成物。
19. N-ヘテロ環式環がピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、1,2-ジアジナニル、1,3-ジアジナニル、1,3,5-トリアジナニル、モルホリニルおよびチオモルホリニルから選択され、好ましくはピペリジニル、ピペラジニル、1,2-ジアジナニル、1,3-ジアジナニル、モルホリニルおよびチオモルホリニルから選択される、項14~18の何れかの組成物。
20. N-ヘテロ環式環が1個の窒素環原子のみ含むならば、この窒素環原子がRで置換されており、RがH以外である、またはN-ヘテロ環式環が1個を超える窒素環原子を含むならば、1個の窒素環原子がRで置換されており、RがH以外であり、他の窒素環原子の少なくとも1個、好ましくは他の窒素環原子の各々、がRで置換されている、項14~19の何れかの組成物。
21. 各Rが独立してC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、好ましくはRがC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルおよび2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルから選択される、項14~20の何れかの組成物。
22. N-ヘテロ環式環がピペリジニルであり、環N原子がRで置換されており、RがH以外である、項14~21の何れかの組成物。
23. N-ヘテロ環式環がピペラジニルであり、2個の環N原子の1個がRで置換されており、RがH以外であり、他の環N原子が所望によりRで置換されており、好ましくは他の環N原子がRで置換されている、項14~21の何れかの組成物。
24. 両環N原子が置換されており、RがC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、好ましくはRがC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルおよび2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルから選択される、項23の組成物。
25. 各Rが独立して-OH、-O-(C1-4アルキレン-OH)および-N(C1-4アルキレン-OH)から選択され、好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-3アルキレン-OH)および-N(C1-3アルキレン-OH)から選択され、より好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-2アルキレン-OH)および-N(C1-2アルキレン-OH)から選択される、項14~24の何れかの組成物。
26. 各Rが独立して-OH、2-ヒドロキシエトキシおよびビス(2-ヒドロキシエチル)アミノから選択される、項14~25の何れかの組成物。
27. RおよびRが同じである、項14~26の何れかの組成物。
28. RおよびRの両方がメチル、エチル、2-ヒドロキシエチルまたは2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルであり、好ましくは、RおよびRの両方が2-ヒドロキシエチルである、項27の組成物。
29. RおよびRが互いに異なる、項14~26の何れかの組成物。
30. RがHである、項1の組成物。
31. RおよびRの各々がC1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から独立して選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がCH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)であり、好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-4アルキル、C1-4アルキレン-R、CH(C1-3アルキレン-R)およびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がCH(C1-3アルキレン-R)またはC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-3アルキル、C1-3アルキレン-R、CH(C1-3アルキレン-R)およびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がCH(C1-3アルキレン-R)またはC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-2アルキル、C1-2アルキレン-R、CH(C1-2アルキレン-R)およびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がCH(C1-2アルキレン-R)またはC(C1-2アルキレン-R)である、項30の組成物。
32. RおよびRの各々が独立してC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がC(C1-5アルキレン-R)であり、好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がC(C1-2アルキレン-R)である、項30または31の組成物。
33. RおよびRの各々が独立してC1-6アルキルおよびC1-6アルキレン-Rから選択され、好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-4アルキルおよびC1-4アルキレン-Rから選択され、より好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-3アルキルおよびC1-3アルキレン-Rから選択され、より好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-2アルキルおよびC1-2アルキレン-Rから選択される、項30~32の何れかの組成物。
34. 各Rが独立して-OH、-O-(C1-4アルキレン-OH)および-N(C1-4アルキレン-OH)から選択され、好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-3アルキレン-OH)および-N(C1-3アルキレン-OH)から選択され、より好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-2アルキレン-OH)および-N(C1-2アルキレン-OH)から選択される、項30~33の何れかの組成物。
35. 各Rが独立して-OH、2-ヒドロキシエトキシおよびビス(2-ヒドロキシエチル)アミノから選択される、項30~34の何れかの組成物。
36. RおよびRの各々が独立してメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル、2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルおよび1,5-ジヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシエチル)ペンタン-3-イルから選択され、好ましくは、RおよびRの両方が2-ヒドロキシエチルまたは2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルである、項30~35の何れかの組成物。
36a. 緩衝物質がN-オキシドである、項1~36の何れかの組成物。
37. 緩衝物質がビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ-トリス(ヒドロキシメチル)メタン(ビス-トリス-メタンまたはBTM)およびそのプロトン化形態、トリエタノールアミン(TEA)およびそのプロトン化形態、エチルジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、2-(ジエチルアミノ)エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、トリエチルアミンおよびそのプロトン化形態、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、ジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびそのプロトン化形態、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよびそのプロトン化形態およびトリメチルアミンN-オキシドおよびそのプロトン化形態から選択される、項1~36aの何れかの組成物。
38. 緩衝物質が少なくとも1個のC1-6アルキレン-R(例えば2-ヒドロキシエチル)部分を含む、項1~37の何れかの組成物。
39. (i)RNA;および(ii)式N(R)(R)(R)を有する緩衝物質、そのN-オキシドまたはそのプロトン化形態を含む緩衝系を含む水相を含む組成物であって、ここで:
、RおよびRの各々が独立してH、C1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がH、CH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)であるか;またはR、RおよびRの2個が、窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成し;
各Rが独立して-OH、-O-(C1-6アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-6アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zが独立して0および1から選択され;そして各Rが独立してHおよびC1-3アルキルから選択され;そして
各Rが独立してC1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から選択されるものである、組成物。
40. R、RおよびRの各々がC1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から独立して選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がCH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)であり、好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-4アルキル、C1-4アルキレン-R、CH(C1-3アルキレン-R)およびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がCH(C1-3アルキレン-R)またはC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-3アルキル、C1-3アルキレン-R、CH(C1-3アルキレン-R)およびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がCH(C1-3アルキレン-R)またはC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-2アルキル、C1-2アルキレン-R、CH(C1-2アルキレン-R)およびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がCH(C1-2アルキレン-R)またはC(C1-2アルキレン-R)である、項39の組成物。
41. R、RおよびRの各々が独立してC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がC(C1-5アルキレン-R)であり、好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がC(C1-2アルキレン-R)である、項39または40の組成物。
42. R、RおよびRの各々が独立してC1-6アルキルおよびC1-6アルキレン-Rから選択され、好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-4アルキルおよびC1-4アルキレン-Rから選択され、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-3アルキルおよびC1-3アルキレン-Rから選択され、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-2アルキルおよびC1-2アルキレン-Rから選択される、項39~41の何れかの組成物。
43. 各Rが独立して-OH、-O-(C1-4アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-4アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zが独立して0および1から選択され;そして各Rが独立してHおよびC1-3アルキルから選択され、好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-3アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-3アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zが独立して0および1から選択され;そして各Rが独立してHおよびC1-3アルキルから選択され、より好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-2アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-2アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zが独立して0および1から選択され;そして各Rが独立してHおよびC1-2アルキルから選択される、項39~42の何れかの組成物。
44. 各Rが独立して-OH、-O-(C1-4アルキレン-OH)および-N(C1-4アルキレン-OH)から選択され、好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-3アルキレン-OH)および-N(C1-3アルキレン-OH)から選択され、より好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-2アルキレン-OH)および-N(C1-2アルキレン-OH)から選択される、項39~43の何れかの組成物。
45. 各Rが独立して-OH、2-ヒドロキシエトキシおよびビス(2-ヒドロキシエチル)アミノから選択される、項39~44の何れかの組成物。
46. R、RおよびRの各々が独立してメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル、2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルおよび1,5-ジヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシエチル)ペンタン-3-イルから選択される、項39~45の何れかの組成物。
47. R、RおよびRの全て同じである、項39~46の何れかの組成物。
48. R、RおよびRの全てがメチル、エチルまたは2-ヒドロキシエチルである、項47の組成物。
49. RおよびRが同一であり、RがRおよびRと異なる、項39~46の何れかの組成物。
50. RおよびRの各々が2-ヒドロキシエチル、エチルまたはメチルである、項49の組成物。
51. Rがメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル、2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルおよび1,5-ジヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシエチル)ペンタン-3-イルから選択される、項49または50の組成物。
52. RおよびRが、窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成する、項39の組成物。
53. RがC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、好ましくはRがC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルおよび2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルから選択される、項52の組成物。
53a. N-ヘテロ環式環が少なくとも1個の窒素環原子および所望によりOおよびSから選択される1個のさらなる環ヘテロ原子を含む単環式環である、項52または53の組成物。
53b. N-ヘテロ環式環が(i)1個の窒素環原子;(ii)2個の窒素環原子;(iii)1個の窒素環原子および1個の酸素環原子;(iv)1個の窒素環原子および1個の硫黄環原子;または(v)3個の窒素環原子を含む単環式環である、項52~53aの何れかの組成物。
53c. N-ヘテロ環式環が単環式6員N-ヘテロ環式環などの単環式5員または6員N-ヘテロ環式環である、項52~53bの何れかの組成物。
53d. N-ヘテロ環式環がピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、1,2-ジアジナニル、1,3-ジアジナニル、1,3,5-トリアジナニル、モルホリニルおよびチオモルホリニルから選択され、好ましくはピペリジニル、ピペラジニル、1,2-ジアジナニル、1,3-ジアジナニル、モルホリニルおよびチオモルホリニルから選択される、項52~53cの何れかの組成物。
54. N-ヘテロ環式環が1個の窒素環原子のみ含むならば、この窒素環原子がRで置換されており、RがH以外である、またはN-ヘテロ環式環が1個を超える窒素環原子を含むならば、1個の窒素環原子がRで置換されており、RがH以外であり、他の窒素環原子の少なくとも1個、好ましくは他の窒素環原子の各々、がRで置換されている、項52~53dの何れかの組成物。
55. 各Rが独立してC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、好ましくはRがC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルおよび2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルから選択される、項52~54の何れかの組成物。
56. N-ヘテロ環式環がピペリジニルであり、環N原子がRで置換されており、ここで、RがH以外である、項52~55の何れかの組成物。
57. N-ヘテロ環式環がピペラジニルであり、2個の環N原子の1個がRで置換されており、RがH以外であり、他の環N原子が所望によりRで置換されており、好ましくは他の環N原子がRで置換されている、項52~55の何れかの組成物。
58. 両環N原子が置換されており、RがC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、好ましくはRがC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルおよび2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルから選択される、項57の組成物。
59. 各Rが独立して-OH、-O-(C1-4アルキレン-OH)および-N(C1-4アルキレン-OH)から選択され、好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-3アルキレン-OH)および-N(C1-3アルキレン-OH)から選択され、より好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-2アルキレン-OH)および-N(C1-2アルキレン-OH)から選択される、項52~58の何れかの組成物。
60. 各Rが独立して-OH、2-ヒドロキシエトキシおよびビス(2-ヒドロキシエチル)アミノから選択される、項52~59の何れかの組成物。
61. RおよびRが同じである、項52~60の何れかの組成物。
62. RおよびRの両方がメチル、エチル、2-ヒドロキシエチルまたは2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルであり、好ましくは、RおよびRの両方が2-ヒドロキシエチルである、項61の組成物。
63. RおよびRが互いに異なる、項52~60の何れかの組成物。
63a. RがHである、項39の組成物。
63b. RおよびRの各々がC1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から独立して選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がCH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)であり、好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-4アルキル、C1-4アルキレン-R、CH(C1-3アルキレン-R)およびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がCH(C1-3アルキレン-R)またはC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-3アルキル、C1-3アルキレン-R、CH(C1-3アルキレン-R)およびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がCH(C1-3アルキレン-R)またはC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-2アルキル、C1-2アルキレン-R、CH(C1-2アルキレン-R)およびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がCH(C1-2アルキレン-R)またはC(C1-2アルキレン-R)である、項63aの組成物。
63c. RおよびRの各々が独立してC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がC(C1-5アルキレン-R)であり、好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がC(C1-2アルキレン-R)である、項63aまたは63bの組成物。
63d. RおよびRの各々が独立してC1-6アルキルおよびC1-6アルキレン-Rから選択され、好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-4アルキルおよびC1-4アルキレン-Rから選択され、より好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-3アルキルおよびC1-3アルキレン-Rから選択され、より好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-2アルキルおよびC1-2アルキレン-Rから選択される、項63a~63cの何れかの組成物。
63e. 各Rが独立して-OH、-O-(C1-4アルキレン-OH)および-N(C1-4アルキレン-OH)から選択され、好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-3アルキレン-OH)および-N(C1-3アルキレン-OH)から選択され、より好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-2アルキレン-OH)および-N(C1-2アルキレン-OH)から選択される、項63a~63dの何れかの組成物。
63f. 各Rが独立して-OH、2-ヒドロキシエトキシおよびビス(2-ヒドロキシエチル)アミノから選択される、項63a~63eの何れかの組成物。
63g. RおよびRの各々が独立して2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルおよび2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルから選択され、好ましくは、RおよびRの両方が2-ヒドロキシエチルまたは2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルである、項63a~63fの何れかの組成物。
63h. 緩衝物質がN-オキシドである、項39~63gの何れかの組成物。
64. 緩衝物質がビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ-トリス(ヒドロキシメチル)メタン(ビス-トリス-メタンまたはBTM)およびそのプロトン化形態、トリエタノールアミン(TEA)およびそのプロトン化形態、エチルジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、2-(ジエチルアミノ)エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、トリエチルアミンおよびそのプロトン化形態、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、ジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびそのプロトン化形態、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよびそのプロトン化形態およびトリメチルアミンN-オキシドおよびそのプロトン化形態から選択される、項39~63hの何れかの組成物。
65. 緩衝物質が少なくとも1個のC1-6アルキレン-R(例えば2-ヒドロキシエチル)部分を含む、項39~64の何れかの組成物。
66. 緩衝系がさらにクロライド、酢酸、グリコール酸、乳酸およびクエン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸またはアジピン酸のアニオンなどのジまたはトリカルボン酸のアニオンからなる群から選択されるアニオンを含む、項1~65の何れかの組成物。
67. 組成物中の緩衝物質の濃度が約10mM~約200mM、好ましくは約15mM~約100mM、より好ましくは約20mM~約80mM、より好ましくは約40mM~約60mM、例えば約50mMである、項1~66の何れかの組成物。
68. 組成物のpHが約4.0~約8.0、好ましくは約4.5~約8.0、例えば約5.0~約8.0、約5.5~約8.0、約6.0~約8.0、約6.5~約8.0、約6.8~約7.9または約7.0~約7.8である、項1~67の何れかの組成物。
69. 水が組成物の主成分であるおよび/または組成物に含まれる水以外の溶媒の総量が約0.5%(v/v)未満である、項1~68の何れかの組成物。
70. 組成物の浸透圧が最大約1000×10-3osmol/kg、好ましくは約100×10-3osmol/kg~約750×10-3osmol/kg、例えば約100×10-3osmol/kg~約500×10-3osmol/kg、より好ましくは約300×10-3osmol/kgである、項1~69の何れかの組成物。
71. 組成物中のRNA濃度が約5mg/l~約500mg/l、例えば約10mg/l~約400mg/l、約10mg/l~約300mg/l、約10mg/l~約200mg/l、約10mg/l~約150mg/lまたは約10mg/l~約100mg/l、好ましくは約10mg/l~約140mg/l、より好ましくは約20mg/l~約130mg/l、より好ましくは約30mg/l~約120mg/lである、項1~70の何れかの組成物。
72. 組成物が、好ましくは少なくとも約1%w/vの濃度で抗凍結剤を含み、ここで、抗凍結剤が好ましくは炭水化物およびアルコール(例えば糖アルコールまたは低級アルコール)からなる群から選択され、より好ましくは抗凍結剤がスクロース、グルコース、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ソルビトールおよびそれらの組み合わせからなる群から(例えばスクロース、グルコース、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールおよびそれらの組み合わせからなる群からまたはスクロース、グルコース、グリセロール、ソルビトールおよびそれらの組み合わせからなる群から)選択される、より好ましくは抗凍結剤がスクロースおよび/またはグリセロールを含む、項1~71の何れかの組成物。
72a. 組成物が抗凍結剤を実質的に含まない、項1~71の何れかの組成物。
73. カチオン的にイオン化可能な脂質が、生理学的条件下でプロトン化され得る少なくとも1個の窒素原子を含む頭基を含む、項1~38および66~72の何れかの組成物。
74. カチオン的にイオン化可能な脂質が式(X)
の構造を有するかまたはその薬学的に許容される塩、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体であり、ここで:
10およびL20の一方が-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-または-NRC(=O)O-であり、L10およびL20の他方が-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-または-NRC(=O)O-または直接結合であり;
およびGが各々独立して非置換C-C12アルキレンまたはC2-12アルケニレンであり;
がC1-24アルキレン、C2-24アルケニレン、C3-8シクロアルキレンまたはC3-8シクロアルケニレンであり;
がHまたはC1-12アルキルであり;
35およびR36が各々独立してC6-24アルキルまたはC6-24アルケニルであり;
37がH、OR50、CN、-C(=O)OR40、-OC(=O)R40または-NR50C(=O)R40であり;
40がC1-12アルキルであり;
50がHまたはC1-6アルキルであり;そして
xが0、1または2である、
項1~38および66~73の何れかの組成物。
74a.
(α)カチオン的にイオン化可能な脂質が次の構造X-1~X-36から選択される:
(β)カチオン的にイオン化可能な脂質が次の構造A~Gから選択される:
または
(γ)カチオン的にイオン化可能な脂質が、構造X-3を有する脂質である、
項1~38および66~74の何れかの組成物。
75. カチオン性またはカチオン的にイオン化可能な脂質が式(XI):
の構造を有し、ここで、
およびRの各々が独立してRまたは-G-L-Rであり、ここで、RおよびRの少なくとも1個が-G-L-Rであり;
およびRの各々が独立してC1-6アルキル、C2-6アルケニル、アリールおよびC3-10シクロアルキルからなる群から選択され;
およびRの各々が独立して少なくとも10個の炭素原子を有する非環状ヒドロカルビル基であり;
およびGの各々が独立して非置換C1-12アルキレンまたはC2-12アルケニレンであり;
およびLの各々が独立して-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NRaC(=O)-、-C(=O)NRa-、-NRaC(=O)NRa-、-OC(=O)NRa-および-NRaC(=O)O-からなる群から選択され;
RaがHまたはC1-12アルキルであり;
mが0、1、2、3または4であり;そして
xが0、1または2である、
項1~38および66~73の何れかの組成物。
75a. カチオン的にイオン化可能な脂質が構造(XIV-1)、(XIV-2)および(XIV-3)
から選択される、項1~38、66~73および75の何れかの組成物。
76. カチオン的にイオン化可能な脂質が、組成物に存在する総脂質の約20mol%~約80mol%、好ましくは約25mol%~約65mol%、より好ましくは約30mol%~約50mol%、例えば約40mol%~約50mol%を構成する、項1~38および66~75aの何れかの組成物。
77. さらに、好ましくはポリマーコンジュゲート脂質、中性脂質、ステロイドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上の付加的脂質を含み、より好ましくは組成物がカチオン的にイオン化可能な脂質、ポリマーコンジュゲート脂質、中性脂質(例えば、リン脂質)およびステロイドを含む、項1~76の何れかの組成物。
78. ポリマーコンジュゲート脂質がペグ化脂質を含み、ここで、ペグ化脂質が好ましくは(i)DSPE-PEG、DOPE-PEG、DPPE-PEGおよびDMPE-PEGからなる群から選択される;または(ii)次の構造:
を有するかまたはその薬学的に許容される塩、互変異性体もしくは立体異性体であり、ここで:
12およびR13が各々独立して、10~30個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和アルキル鎖であり、ここで、アルキル鎖が所望により1以上のエステル結合により中断されており;そしてwが30~60の範囲の平均値を有する、項77の組成物。
79. ポリマーコンジュゲート脂質がポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲートを含み、ここで、ポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲートが好ましくはポリサルコシン-ジアシルグリセロールコンジュゲート、ポリサルコシン-ジアルキルオキシプロピルコンジュゲート、ポリサルコシン-リン脂質コンジュゲート、ポリサルコシン-セラミドコンジュゲートおよびそれらの混合物からなる群から選択されるメンバーである、項77の組成物。
80. ポリマーコンジュゲート脂質が、組成物に存在する総脂質の約0.5mol%~約5mol%、好ましくは約1mol%~約5mol%、より好ましくは約1mol%~約4.5mol%を構成する、項77~79の何れかの組成物。
81. 中性脂質が、好ましくはホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリンおよびスフィンゴミエリンからなる群から選択される、より好ましくはジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジペンタデカノイルホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジアラキドイルホスファチジルコリン(DAPC)、ジベヘノイルホスファチジルコリン(DBPC)、ジトリコサノイルホスファチジルコリン(DTPC)、ジリグノセロイルフタチジルコリン(DLPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルコリン(POPC)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0 Diether PC)、1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(C16 Lyso PC)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジパルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジラウロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DLPE)およびジフィタノイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPyPE)からなる群から選択されるリン脂質である、項77~80の何れかの組成物。
82. 中性脂質が組成物に存在する総脂質の約5mol%~約40mol%、好ましくは約5mol%~約20mol%、より好ましくは約5mol%~約15mol%を構成する、項77~81の何れかの組成物。
83. ステロイドがコレステロールなどのステロールを含む、項77~82の何れかの組成物。
84. ステロイドが組成物に存在する総脂質の約10mol%~約65mol%、好ましくは約20mol%~約60mol%、より好ましくは約30mol%~約50mol%を構成する、項77~83の何れかの組成物。
85. カチオン的にイオン化可能な脂質、ポリマーコンジュゲート脂質、中性脂質(例えば、リン脂質)およびステロイドを含み、ここで、カチオン的にイオン化可能な脂質が組成物に存在する総脂質の約30mol%~約50mol%、例えば約40mol%~約50mol%を構成し;ポリマーコンジュゲート脂質が組成物に存在する総脂質の約1mol%~約4.5mol%を構成し;中性脂質(例えば、リン脂質)が組成物に存在する総脂質の約5mol%~約15mol%を構成し;そしてステロイドが組成物に存在する総脂質の約30mol%~約50mol%を構成する、項77~84の何れかの組成物。
86. RNAの少なくとも一部、および、存在するならば、1以上の脂質が、脂質ナノ粒子(LNP)、リポソームおよび/またはリポフレックス(LPX)などの粒子中に存在する、項1~85の何れかの組成物。
86a. 粒子が組成物に含まれるRNAの少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約80%を構成する、項86の組成物。
86b. RNAが粒子内に封入されるかまたは粒子と結合している、項86または86aの組成物。
87. 粒子が約30nm~約500nmのサイズを有する、項86~86bの何れかの組成物。
88. RNAがmRNAまたは阻害性RNAである、項1~87の何れかの組成物。
89. RNAが(i)ウリジンの代わりに修飾ヌクレオシドを含み、ここで修飾ヌクレオシドが好ましくはシュードウリジン(ψ)、N1-メチル-シュードウリジン(m1ψ)および5-メチル-ウリジン(m5U)から選択される;(ii)コドン最適化されているコード配列を有する;および/または(iii)野生型コード配列と比較してG/C含量が増加しているコード配列を有する、項1~88の何れかの組成物。
90. RNAが次の5’キャップ;5’ UTR;3’ UTR;およびポリA配列の少なくとも1個、好ましくは全てを含む、項1~89の何れかの組成物。
91. ポリA配列が少なくとも100個のAヌクレオチドを含み、ここで、ポリA配列が好ましくはAヌクレオチドの中断配列である、項90の組成物。
92. 5’キャップがキャップ1またはキャップ2構造である、項90または91の組成物。
93. RNAが1以上のポリペプチドをコードし、ここで、好ましくは1以上のポリペプチドが対象における抗原に対する免疫応答を誘導するための薬学的活性ポリペプチドであるおよび/またはエピトープを含む、項1~92の何れかの組成物。
94. 薬学的活性ポリペプチドおよび/または抗原またはエピトープが病原体のタンパク質、タンパク質の免疫原性バリアントまたはタンパク質の免疫原性フラグメントもしくはその免疫原性バリアントに由来するかまたはそれである、項93の組成物。
95. 薬学的活性ポリペプチドおよび/または抗原またはエピトープがSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントに由来するかまたはそれである、項93または94の組成物。
95a. RNAがSARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントを含むアミノ酸配列をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む、項94または95の組成物。
95b. SARS-CoV2 Sタンパク質バリアントが、配列番号1の986位および987位に置換されたプロリン残基を有する、項95または95aの組成物。
95c. SARS-CoV2 Sタンパク質バリアントが、配列番号7のアミノ酸17~1273のアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸17~1273のアミノ酸配列に少なくとも80%同一性を有する、項95~95bの何れかの組成物。
95d. フラグメントがSARS-CoV-2 Sタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)を含む、項95~95cの何れかの組成物。
95e. (i)SARS-CoV-2 Sタンパク質または(ii)SARS-CoV-2 Sタンパク質の免疫原性バリアントのフラグメントが配列番号1のアミノ酸327~528のアミノ酸配列に少なくとも80%同一性を有する、項95dの組成物。
96. 組成物が、好ましくは約2℃~約10℃の温度で液体である、項1~95eの何れかの組成物。
97. 組成物の少なくとも1週間、好ましくは約2℃~約8℃の温度で保存後のRNA完全性が、保存前のRNA完全性と比較して少なくとも50%である、項1~96の何れかの組成物。
98. 組成物の保存後のRNA粒子(特にLNP)のサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/または多分散性指数(PDI)が保存前のRNA粒子のサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/またはPDIと本質的に等しい、項87~97の何れかの組成物。
99. 組成物が凍結形態である、項1~95eの何れかの組成物。
99a. 組成物のpHが4.0~8.0、好ましくは5.0~7.0、より好ましくは5.5~6.5、最も好ましくは約5.5である、項99の組成物。
99b. 抗凍結剤をさらに含む、項99または99aの組成物。
99c. 抗凍結剤がスクロース、グリセロールおよびグルコースからなる群などスクロース、グルコース、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、例えば抗凍結剤がグリセロールである、項99bの組成物。
99d. 抗凍結剤が約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で存在する、項99bまたは99cの組成物。
100. 凍結組成物解凍後のRNA完全性が組成物凍結前のRNA完全性と比較して少なくとも50%である、項99~99dの何れかの組成物。
101. 凍結組成物解凍後のRNA粒子(特にLNP)のサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/または多分散性指数(PDI)が、組成物凍結前のRNA粒子のサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/またはPDIと本質的に等しい、項99または100の組成物。
102. 最終水相に分散したLNPを含む組成物を製造する方法であって、ここで、LNPがカチオン的にイオン化可能な脂質およびRNAを含み;最終水相が最終緩衝物質、最終式N(R)(R)(R)を有する緩衝物質、そのN-オキシドまたはそのプロトン化形態を含み、ここで、R、RおよびRが項1~38の何れかに定義するとおりであり;
(I)最終水相に分散した、カチオン的にイオン化可能な脂質およびRNAを含むLNPを含む製剤を製造し;そして
(II)所望により製剤を約-10℃以下まで凍結し、
それにより組成物を得ることを含み、
ここで、工程(I)が:
(a)水および第一緩衝系を含むRNA溶液を製造し;
(b)カチオン的にイオン化可能な脂質および、存在するならば、1以上の付加的脂質を含むエタノール性溶液を製造し;
(c)(a)の下に製造したRNA溶液と(b)の下に製造したエタノール性溶液を混合し、それにより第一緩衝系を含む第一水相に分散したLNPを含む第一中間製剤を製造し;そして
(d)最終緩衝系を含む最終水性緩衝液を使用して(c)の下に製造した第一中間製剤を濾過し、
それにより最終水相に分散したLNPを含む製剤を製造する
ことを含む、方法。
103. 工程(I)が希釈および濾過から選択される1以上の工程をさらに含む、項102の方法。
104. 工程(I)が:
(a’)水性RNA溶液を準備し;
(b’)第一緩衝系を含む第一水性緩衝液を準備し;
(c’)(a’)の下に準備した水性RNA溶液と(b’)の下に準備した第一水性緩衝液を混合し、それにより水および第一緩衝系を含むRNA溶液を製造し;
(d’)カチオン的にイオン化可能な脂質および、存在するならば、1以上の付加的脂質を含むエタノール性溶液を製造し;
(e’)(c’)の下に製造したRNA溶液と(d’)の下に製造したエタノール性溶液を混合し、それにより第一緩衝系を含む第一水相に分散されたLNPを含む第一中間製剤を製造し;
(f’)所望によりさらなる緩衝系を含むさらなる水性緩衝液を使用して、(e’)の下に製造した第一中間製剤を濾過し、それによりさらなる緩衝系を含むさらなる水相に分散したLNPを含むさらなる中間製剤を製造し、ここで、さらなる水性緩衝液が第一水性緩衝液と同一でも異なってもよく;
(g’)所望により工程(f’)を1回、2回またはそれ以上繰り返し、ここで、1サイクルの工程(f’)の後に得たさらなる緩衝系を含むさらなる水相に分散したLNPを含むさらなる中間製剤を次サイクルの第一中間製剤として使用し、ここで、各サイクルにおいて、さらなる水性緩衝液が第一水性緩衝液と同一でも異なってもよく;
(h’)工程(f’)がないならば工程(e’)で得た第一中間製剤または工程(f’)が存在し、工程(g’)が存在しないならば工程(f’)で得たさらなる中間製剤または工程(f’)および(g’)が存在するならば工程(g’)後に得たさらなる中間製剤を、最終緩衝系を含む最終水性緩衝液を使用して濾過し;そして
(i’)所望により工程(h’)で得た製剤を希釈溶液で希釈し;
それにより最終水相に分散したLNPを含む製剤を製造する
ことを含む、項102または103の方法。
105. 濾過がタンジェンシャルフロー濾過または透析濾過、好ましくはタンジェンシャルフロー濾過である、項102~104の何れかの方法。
106. (II)製剤の約-10℃以下までの凍結を含む、項102~105の何れかの方法。
106a. 組成物のpHが4.0~8.0、好ましくは5.0~7.0、より好ましくは5.5~6.5、最も好ましくは約5.5である、項106の方法。
107. 抗凍結剤(好ましくは工程(I)で得た製剤および/または組成物が抗凍結剤を含む)をさらに含む、項106または106aの方法。
107a. 抗凍結剤がスクロース、グリセロールおよびグルコースからなる群などスクロース、グルコース、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、例えば抗凍結剤がグリセロールである、項107の方法。
107b. 抗凍結剤が約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で存在する、項107または107aの方法。
108. 最終緩衝物質がBTMおよびそのプロトン化形態、TEAおよびそのプロトン化形態、エチルジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、2-(ジエチルアミノ)エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、トリエチルアミンおよびそのプロトン化形態、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、ジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびそのプロトン化形態、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよびそのプロトン化形態およびトリメチルアミンN-オキシドおよびそのプロトン化形態から選択される、項102~107bの何れかの方法。
108a. 最終緩衝系がさらに好ましくはクロライド、酢酸、グリコール酸、乳酸、モルホリノエタンスルホン酸(MES)のアニオン、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、2-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]エタンスルホン酸(HEPES)のアニオンおよびクエン酸のアニオン、コハク酸、マロン酸、グルタル酸またはアジピン酸のアニオンなどのジまたはトリカルボン酸のアニオンから選択されるアニオンを含む、項102~108の何れかの方法。
109. 組成物における最終緩衝物質の濃度が約10mM~約200mM、好ましくは約15mM~約100mM、より好ましくは約20mM~約80mM、より好ましくは約40mM~約60mM、例えば約50mMである、項102~108aの何れかの方法。
110. (i)工程(a)で得たRNA溶液が6.0未満、好ましくは最大約5.0、より好ましくは最大約4.5のpHを有する;または(ii)第一水性緩衝液が6.0未満、好ましくは最大約5.0、より好ましくは最大約4.5のpHを有する、項102~109の何れかの方法。
111. (i)工程(a)で使用する第一緩衝系が工程(d)で使用する最終緩衝物質を含み、好ましくは工程(a)で使用する第一緩衝系の緩衝系およびpHが工程(d)で使用する最終水性緩衝液の緩衝系およびpHと同一である;または(ii)第一緩衝系および工程(b’)、(f’)および(g’)で使用する全てのさらなる緩衝系の各々が工程(h’)で使用する最終緩衝物質を含み、好ましくは第一水性緩衝液および工程(b’)、(f’)および(g’)で使用する全てのさらなる水性緩衝液の緩衝系およびpHが、最終水性緩衝液の緩衝系およびpHと同一である、項102~110の何れかの方法。
112. 組成物のpHが約4.0~約8.0、好ましくは約4.5~約8.0、例えば約5.0~約8.0、約5.5~約8.0、約6.0~約8.0、約6.5~約8.0、約6.8~約7.9または約7.0~約7である、項102~111の何れかの方法。
113. 水が製剤の主成分であるおよび/または組成物および/または組成物に含まれる水以外の溶媒の総量が約0.5%(v/v)未満である、項102~112の何れかの方法。
114. 組成物の浸透圧が最大約1000×10-3osmol/kg、好ましくは約100×10-3osmol/kg~約750×10-3osmol/kg、例えば約100×10-3osmol/kg~約500×10-3osmol/kg、より好ましくは約300×10-3osmol/kgである、項102~113の何れかの方法。
115. 組成物中のRNA濃度が約5mg/l~約500mg/l、例えば約10mg/l~約400mg/l、約10mg/l~約300mg/l、約10mg/l~約200mg/l、約10mg/l~約150mg/lまたは約10mg/l~約100mg/l、好ましくは約10mg/l~約140mg/l、より好ましくは約20mg/l~約130mg/l、より好ましくは約30mg/l~約120mg/lである、項102~114の何れかの方法。
115a. (i)工程(I)が(d)の下に製造した製剤の希釈溶液での希釈をさらに含むまたは工程(i’)が存在し、ここで、希釈溶液が抗凍結剤を含む;および/または(ii)工程(I)で得た製剤および組成物が少なくとも約1%w/vの濃度で抗凍結剤を含み、ここで、抗凍結剤が好ましくは炭水化物およびアルコール(例えば糖アルコールまたは低級アルコール)からなる群から選択される1以上を含む、より好ましくは抗凍結剤がスクロース、グルコース、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ソルビトールおよびそれらの組み合わせからなる群から(例えばスクロース、グルコース、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールおよびそれらの組み合わせからなる群からまたはスクロース、グルコース、グリセロール、ソルビトールおよびそれらの組み合わせからなる群から)選択される、より好ましくは抗凍結剤がスクロースおよび/またはグリセロールを含む、項102~115の何れかの方法。
115b. 工程(I)で得た製剤および組成物が抗凍結剤を実質的に含まない、項102~106aおよび108~115の何れかの方法。
116. カチオン的にイオン化可能な脂質が、生理学的条件下でプロトン化され得る少なくとも1個の窒素原子を含む頭基を含む、項102~115bの何れかの方法。
116a. カチオン的にイオン化可能な脂質が項73~75aの何れかで定義したとおりである、項102~116の何れかの方法。
117. 工程(b)または(d’)で製造したエタノール性溶液がさらに1以上の付加的脂質を含み、LNPが1以上の付加的脂質をさらに含み、ここで、1以上の付加的脂質が好ましくはポリマーコンジュゲート脂質、中性脂質、ステロイドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは1以上の付加的脂質がポリマーコンジュゲート脂質、中性脂質(例えば、リン脂質)およびステロイドを含む、項102~116aの何れかの方法。
117a. ポリマーコンジュゲート脂質が項78~80の何れかで定義したとおりである、項117の方法。
117b. 中性脂質が、好ましくはホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリンおよびスフィンゴミエリンからなる群から選択される、より好ましくはジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジペンタデカノイルホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジアラキドイルホスファチジルコリン(DAPC)、ジベヘノイルホスファチジルコリン(DBPC)、ジトリコサノイルホスファチジルコリン(DTPC)、ジリグノセロイルフタチジルコリン(DLPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルコリン(POPC)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0 Diether PC)、1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(C16 Lyso PC)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジパルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジラウロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DLPE)およびジフィタノイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPyPE)からなる群から選択されるリン脂質である、117または117aの方法。
117c. ステロイドがコレステロールなどのステロールを含む、項117~117bの何れかの方法。
118. カチオン的にイオン化可能な脂質、ポリマーコンジュゲート脂質、中性脂質およびステロイドがエタノール性溶液に20%~60%のカチオン的にイオン化可能な脂質、0.5%~15%のポリマーコンジュゲート脂質、5%~25%の中性脂質(例えば、リン脂質)および25%~55%のステロイドのモル比、好ましくは45%~55%のカチオン的にイオン化可能な脂質、1.0%~5%のポリマーコンジュゲート脂質、8%~12%の中性脂質および35%~45%のステロイドのモル比で存在する、項102~117cの何れかの方法。
118a. LNPが組成物に含まれるRNAの少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約80%を構成する、項102~118の何れかの方法。
119. RNAが項88および89~95eの何れかで定義したとおりである、項102~118aの何れかの方法。
120. 工程(II)を含まない、項102~105および107~119の何れかの方法。
121. 水性RNA組成物を製造する方法であって:
(I)RNAおよび水相を含む製剤を製造し、ここで、水相が緩衝物質、式N(R)(R)(R)を有する緩衝物質、そのN-オキシドまたはそのプロトン化形態を含み、ここで、R、RおよびRが項1~38の何れかに定義するとおりであり;そして
(II)所望により製剤を約-10℃以下まで凍結し、
それにより組成物を得る
ことを含む、方法。
122. (II)製剤の約-10℃以下までの凍結を含む、項121の方法。
122a. 組成物のpHが4.0~8.0、好ましくは5.0~7.0、より好ましくは5.5~6.5、最も好ましくは約5.5である、項122の方法。
123. 組成物が抗凍結剤を含む、項122または122aの方法。
123a. 抗凍結剤がスクロース、グリセロールおよびグルコースからなる群などスクロース、グリセロール、グルコース、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールおよびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、例えば抗凍結剤がグリセロールである、項123の方法。
123b. 抗凍結剤が約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で存在する、項123または123aの方法。
124. 工程(II)を含まない、項121の方法。
125. 緩衝物質がBTMおよびそのプロトン化形態、TEAおよびそのプロトン化形態、エチルジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、2-(ジエチルアミノ)エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、トリエチルアミンおよびそのプロトン化形態、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、ジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびそのプロトン化形態、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよびそのプロトン化形態およびトリメチルアミンN-オキシドおよびそのプロトン化形態から選択される、項121~124の何れかの方法。
126. 項102~119、121、122および125の何れかの方法に従い組成物を製造し、組成物を約-90℃~約-10℃の範囲の温度で、例えば約-90℃~約-40℃または約-25℃~約-10℃で保存することを含む、成物を保存する方法。
126a. 組成物のpHが4.0~8.0、好ましくは5.0~7.0、より好ましくは5.5~6.5、最も好ましくは約5.5である、項126の方法。
127. 組成物が抗凍結剤を含む、項126または126aの方法。
127a. 抗凍結剤がスクロース、グリセロールおよびグルコースからなる群などスクロース、グルコース、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、例えば抗凍結剤がグリセロールである、項127の方法。
127b. 抗凍結剤が約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で存在する、項127または127aの方法。
128. 組成物の保存が少なくとも1カ月、例えば少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも12カ月、少なくとも24カ月または少なくとも36カ月である、項126~127bの何れかの方法。
129. 項102~128の何れかの方法に従い組成物を製造し、組成物を約0℃~約20℃、例えば約1℃~約15℃、約2℃~約10℃または約2℃~約8℃の範囲の温度または約5℃の温度で保存することを含む、成物を保存する方法。
130. 組成物の保存が少なくとも1週間、例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも12カ月または少なくとも24カ月である、項129の方法。
131. 項102~130の何れかの方法により製造可能な組成物。
132. 凍結形態である、項131の組成物。
132a. 組成物のpHが4.0~8.0、好ましくは5.0~7.0、より好ましくは5.5~6.5、最も好ましくは約5.5である、項132の組成物。
133. 抗凍結剤をさらに含む、項132または132aの組成物。
133a. 抗凍結剤がスクロース、グリセロールおよびグルコースからなる群などスクロース、グルコース、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、例えば抗凍結剤がグリセロールである、項133の組成物。
133b. 抗凍結剤が約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で存在する、項133または133aの組成物。
134. 凍結組成物解凍後のRNA完全性が組成物を凍結する前の組成物のRNA完全性と比較して少なくとも50%である、項132~133bの何れかの組成物。
135. 凍結組成物解凍後のRNA粒子のサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/または多分散性指数(PDI)が、組成物凍結前のRNA粒子のサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/またはPDIと本質的に等しい、項132~134の何れかの組成物。
136. 液体形態である、項131の組成物。
137. 少なくとも1週間組成物保存後のRNA完全性が保存前のRNA完全性と比較して少なくとも50%である、項136の組成物。
138. 組成物を少なくとも1週間保存後のRNA粒子のサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/または多分散性指数(PDI)が保存前のRNA粒子のサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/またはPDIと本質的に等しい、項136または137の組成物。
139. 項102~119、121~123bおよび125~128の何れかに従い凍結組成物を準備し、凍結組成物を解凍して、それにより使用準備済医薬組成物を得る工程を含む、使用準備済医薬組成物を製造する方法。
140. 項102~105、107~121、124、125、129および130の何れかに従い液体組成物を製造し、それにより使用準備済医薬組成物を得る工程を含む、使用準備済医薬組成物を製造する方法。
141. 項139または140の方法により製造可能な、使用準備済医薬組成物。
142. 治療に使用するための、項1~101、131~138および141の何れかの組成物。
143. 対象における免疫応答の誘導に使用するための、項1~101、131~138および141の何れかの組成物。
143a. 項1~101、131~138および141の何れかの組成物を細胞に添加し;そして組成物と細胞の混合物を十分な時間インキュベートすることを含む、細胞をトランスフェクトする方法。
143b. 細胞をトランスフェクトするための、項1~101、131~138および141の何れかの組成物の使用。
143c. 項1~101、131~138および141~143の何れかの組成物またはここに記載する医薬組成物を含む、キット。
143d. 免疫応答の誘導のためなどの治療に使用するためである、項143cのキット。
143e. 感染性疾患の処置または予防のためなどの、病原体に対する免疫応答の誘導に使用するためである、項143cまたは143dのキット。
本発明のさらなる態様をここに開示する。
緩衝物質のタイプと相関させたRNAの分解。RNA LNPを12週間、室温で種々の緩衝系(100mM、pH7.4)でインキュベートした。
アニオン性部分の存在と相関させたLMSの産生。RNA LNPを、12週間、室温で種々の緩衝系(100mM、pH7.4)でインキュベートした。
RNA完全性対緩衝液化学。
少なくとも1サイクルの凍結/解凍に付したLNP RNA組成物における種々の抗凍結剤のLNPのサイズに対する影響。
配列の記載
次の表は、ここで参照するある配列の一覧を提供する。
発明の詳細な記載
本発明を以下にさらに詳細に記載するが、本発明は方法、プロトコールおよび試薬は変わり得るために、ここに記載する特定のものに限定されないことは理解される。またここで使用する用語は、特定の実施態様の記載のみを目的とし、添付する特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定する意図はないことも理解される。他に定義しない限り、ここで使用する全ての技術的および科学的用語は、当業者に共通して理解されるのと同じ意味を有する。
以下で、本発明の要素をより詳細に記載する。これらの要素は具体的実施態様と共に挙げられているが、しかしながら、それらは任意の方法かつ任意の数で組み合わせて、さらなる実施態様を作ることはできることは理解されるべきである。多種多様に記載される例および好ましい実施態様は、明示的に記載された実施態様にのみ本発明を限定すると解釈されてはならない。この記載は、明示的に記載された実施態様と任意の数の開示されたおよび/または好ましい要素を組み合わせる、実施態様を支持しかつ包含すると理解されるできである。さらに、本明細書における全ての記載された要素のあらゆる置換および組み合わせは、文脈から反することは示されない限り、本出願の記載により開示されるとみなされるべきである。
好ましくは、ここで使用される用語は、"A multilingual glossary of biotechnological terms: (IUPAC Recommendations)", H.G.W. Leuenberger, B. Nagel, and H. Koelbl, Eds., Helvetica Chimica Acta, CH-4010 Basel, Switzerland, (1995)に記載のとおり定義する。
本発明の実施は、特に断らない限り、本分野の文献で説明されている慣用の化学、生化学、細胞生物学、免疫学および組み換えDNA技術を用いる(例えば、Organikum, Deutscher Verlag der Wissenschaften, Berlin 1990; Streitwieser/Heathcook, "Organische Chemie", VCH, 1990; Beyer/Walter, "Lehrbuch der Organischen Chemie", S. Hirzel Verlag Stuttgart, 1988; Carey/Sundberg, "Organische Chemie", VCH, 1995; March, "Advanced Organic Chemistry", John Wiley & Sons, 1985; Roempp Chemie Lexikon, Falbe/Regitz (Hrsg.), Georg Thieme Verlag Stuttgart, New York, 1989; Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, J. Sambrook et al. eds., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor 1989参照)。
本明細書および以下の特許請求の範囲をとおして、文脈から反する解釈が必要ではない限り、用語「含む」および「含み」および「含んで」などのその変形は、記載するメンバー、整数または工程またはメンバー、整数または工程の群の包含を含意するが、あらゆる他のメンバー、整数または工程またはメンバー、整数または工程の群の除外は含意しないと理解されるべきである。用語「から本質的になる」は、何らかの本質的な意義の他のメンバー、整数または工程の除外を意味する。用語「含む」は用語「から本質的になる」を含み、これは、次に用語「からなる」を含む。故に、本明細書における各場合、用語「含む」は、用語「から本質的になる」または「からなる」に置き換えられ得る。同様に、本明細書における各場合、用語「から本質的になる」は用語「からなる」に置き換えられ得る。
本発明を説明する文脈(特に特許請求の範囲における文脈)で使用される単数ここで使用する表現および類似表現は、ここで特に断らない限りまたは文脈に明らかに反しない限り、単数および複数両方を包含すると解釈すべきである。
ここに記載する全ての方法は、ここで特に断らない限りまたは文脈に明らかに反しない限り、任意の適当な順番で実施できる。
ここに提供する任意かつ全ての例または例示的用語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明を説明する意図であり、その他請求される本発明の範囲に限定を課さない。本明細書にいおいて、本発明の実施に必須の何らかの請求されていない要素を示すと解釈すべき用語はない。
ここで使用するとき、「および/または」は、他方を伴うまたは伴わない2個の特定した特性または成分の各々の具体的開示として解釈される。例えば、「Xおよび/またはY」は、各々は個々にここで示されるかのように、(i)X、(ii)Yおよび(iii)XおよびYの各々の具体的開示として解釈される。
本発明の状況において、用語「約」は、当業者は問題の特性の技術的効果をなお確信すると理解される、精度の間隔を意味する。本用語は、典型的に示す数値からの±10%、例えば±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、±0.9%、±0.8%、±0.7%、±0.6%、±0.5%、±0.4%、±0.3%、±0.2%、±0.1%、±0.05%および例えば±0.01%の逸脱を示す。ある実施態様において、「約」は示す数値からの±10%の逸脱を示す。ある実施態様において、「約」は示す数値からの±5%の逸脱を示す。ある実施態様において、「約」は示す数値からの±4%の逸脱を示す。ある実施態様において、「約」は示す数値からの±3%の逸脱を示す。ある実施態様において、「約」は示す数値からの±2%の逸脱を示す。ある実施態様において、「約」は示す数値からの±1%の逸脱を示す。ある実施態様において、「約」は示す数値からの±0.9%の逸脱を示す。ある実施態様において、「約」は示す数値からの±0.8%の逸脱を示す。ある実施態様において、「約」は示す数値からの±0.7%の逸脱を示す。ある実施態様において、「約」は示す数値からの±0.6%の逸脱を示す。ある実施態様において、「約」は示す数値からの±0.5%の逸脱を示す。ある実施態様において、「約」は示す数値からの±0.4%の逸脱を示す。ある実施態様において、「約」は示す数値からの±0.3%の逸脱を示す。ある実施態様において、「約」は示す数値からの±0.2%の逸脱を示す。ある実施態様において、「約」は示す数値からの±0.1%の逸脱を示す。ある実施態様において、「約」は示す数値からの±0.05%の逸脱を示す。ある実施態様において、「約」は示す数値からの±0.01%の逸脱を示す。当業者には認識されるとおり、ある技術的効果についての数値からの具体的なこのような逸脱は、技術的効果の性質による。例えば、天然または生物学的技術的効果は、一般に人為的または工学的技術的効果よりこのような逸脱は大きい。
ここでの値の範囲の参照は、単に範囲内に入る各別個の数値を個々に参照する省略的方法として提供することが意図される。ここで特に断らない限り、各個々の値を、個々にここに言及されているかのように本明細書に包含させる。
本明細書をとおしていくつかの文献は引用されている。ここで引用する文献の各々(全特許、特許出願、科学的刊行物、製造業者の明細、指示などを含む)は、上記であろうが、下記であろうが、全体として引用により本明細書に包含させる。ここでの全ては、先行発明によって本発明はかかる開示に先行する権利はないことを認めるものとして解釈されるものではない。
定義
下に、本発明の全態様に適用される定義を提供する。次の用語は、特に断らない限り、次の意味を有する。あらゆる定義されていない用語は、当分野で認識されている意味を有する。
ここで使用する「減少」または「阻害」などの用語は、例えば、レベルの約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上または約75%以上の全体的減少を引き起こす能力を意味する。用語「阻害」または類似の用語は、完全なまたは本質的に完全な阻害、すなわち0または本質的に0への減少を含む。
ここで使用する「増強」および「増加」などの用語は、例えば、レベルの少なくとも約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約75%以上または約100%以上の全体的増加または増強を引き起こす能力を意味する。ある実施態様において、これらの用語は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約80%または少なくとも約100%の増加または増強に関連する。
ここで使用する「生理学的pH」は、約7.5または約7.4のpHをいう。ある実施態様において、生理学的pHは7.3~7.5である。ある実施態様において、生理学的pHは7.35~7.45である。ある実施態様において、生理学的pHは7.3、7.35、7.4、7.45または7.5である。
ここで使用する「生理学的条件」は、生存対象、特にヒトにおける条件(特にpHおよび温度)をいう。好ましくは、生理学的条件は、生理学的pHおよび/または約37℃の温度をいう。
本明細書で使用する「%(w/v)」(または「%w/v」)は、ミリリットル(ml)での溶液総体積のパーセントとして表す、グラム(g)で溶質の量を測定する濃度単位である重量/体積パーセントをいう。
本明細書で使用する「重量%」または「%(w/w)」(または「%w/w」)は、グラム(g)での総組成物の総重量のパーセントとして表す、グラム(g)で物質の量を測定する濃度の単位である、重量パーセントをいう。
本明細書で使用する「mol%」は、100倍したある成分のモル数対全成分の総モル数の比として定義される。
本明細書で使用する「総脂質のmol%」は、100倍したあるある脂質成分のモル数対全脂質の総モル数の比として定義される。この状況で、ある実施態様において、用語「総脂質」は脂質および脂質様物質を含む。
用語「イオン強度」は、特定の溶液中の種々のイオン種の数とその各電荷の数学的関係をいう。故に、イオン強度Iは式
〔式中、cは特定のイオン種のモル濃度であり、zはその電荷の絶対値である。〕
により数学的に表される。総和Σは、溶液の全種類のイオン(i)に及ぶ。
本開示によると、ある実施態様において、用語「イオン強度」は単価イオンの存在に関する。
二価無機イオン、特に二価無機カチオンの存在に関して、キレート剤の存在によるその濃度または有効濃度(遊離イオンの存在)は、ある実施態様において、RNAの分解を防止するために十分に低い。ある実施態様において、二価無機イオンの濃度または有効濃度は、RNAヌクレオチド間のホスホジエステル結合の加水分解の触媒レベル以下である。ある実施態様において、遊離二価無機イオンの濃度は20μM以下である。ある実施態様において、遊離二価無機イオンは存在しないかまたは本質的に存在しない。
「浸透圧」は、溶媒のキログラムあたりの溶質のモル数として表される、特定の溶質の濃度をいう。
用語「凍結乾燥する」または「凍結乾燥」は、物質を、凍結し、次いで周りの圧を低下させ(例えば、15Pa未満、例えば10Pa未満、5Pa未満または1Pa未満またhそれ以下)、物質中の凍結媒体を直接固体相からガス相に昇華させることによる、物質のフリーズドライをいう。故に、用語「凍結乾燥」および「フリーズドライ」はここでは相互交換可能に使用する。
用語「噴霧乾燥」は、容器(噴霧乾燥器)内で(加熱)ガスと霧状(噴霧)である流体の混合により物質を噴霧乾燥させ、該容器で、形成された液滴からの溶媒は蒸発し、乾燥粉末となることをいう。
用語「再構成」は、水などの溶媒を乾燥生成物に添加し、元の液体状態などの液体状態に戻すことをいう。
用語「凍結」は、通常、熱の除去を伴う、液体の固化に関する。
粒子、特にLNP、リポソームおよび/またはリポフレックスを含む組成物/製剤に関連してここで使用する用語「水相」は、移動または液体相、すなわち、(形式上)粒子以外の溶解された全成分を含む、連続的水相を意味する。故に、LNPなどの粒子は水相に分散し、水相が化合物Xを実質的に含まないとき、水相は、実質的におよび現実的に実行可能であるような方法でXを含まず、例えば、水性組成物における化合物Xの濃度は1重量%未満である。しかしながら、同時に、水相に分散する粒子は化合物Xを1重量%を超える量で含み得ることも可能である。
塩基(例えば、式N(R)(R)(R)を有する緩衝物質またはそのN-オキシド)と関連してここで使用する表現「プロトン化形態」は、塩基の共役酸を意味し、ここで、共役酸はプロトンを含み、それは脱プロトン化により除去可能であり、塩基となる。例えば、プロトン化形態のTEAは式[HN(CHCHOH)]を有する。ここで使用する「緩衝物質」は、塩基とそのプロトン化形態の混合物(例えば、TEAと[HN(CHCHOH)]の混合物)をいう。結果として、組成物に含まれる緩衝物質の量は、組成物における塩基および共役酸両方の量の総和である。
本発明の状況における用語「組み換え」は、「遺伝子操作を介して製造すること」を意味する。ある実施態様において、本発明の状況における「組み換え物体」は、天然に存在しない。
ここで使用する用語「天然に存在する」は、物体が自然に見られ得るとの事実をいう。例えば、生物(ウイルスを含む)に存在し、天然源から単離でき、実験室で人により意図的に修飾されていないペプチドまたは核酸は、天然に存在する。用語「天然に見られる」は「天然に存在する」ことを意味し、既知物体ならびにまだ天然から発見されていないおよび/または単離されていないが、将来的に天然源から発見されるおよび/または単離される可能性のある物体を含む。
ここで使用する用語「室温」および「環境温度」は、ここでは相互交換可能に使用され、少なくとも約15℃、好ましくは約15℃~約35℃、約15℃~約30℃、約15℃~約25℃または約17℃~約22℃の温度をいう。このような温度は、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃および22℃を含む。
用語「アルキル」は、飽和直鎖または分岐鎖炭化水素のモノラジカルをいう。好ましくは、アルキル基は、1~12(例えば1~10)個の炭素原子、すなわち、C1-12アルキルと略す1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個または12個の炭素原子、(例えばC1-10アルキルと略す1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の炭素原子)、より好ましくは1~8個の炭素原子、例えば1~6個または1~4個の炭素原子を含む。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル(別名2-プロピルまたは1-メチルエチル)、ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチル-プロピル、イソ-アミル、n-ヘキシル、イソ-ヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、イソ-ヘプチル、n-オクチル、2-エチル-ヘキシル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシルなどを含む。「置換アルキル」は、アルキレン基の水素原子の1以上(例えば1からアルキル基に結合した水素原子の最大数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または最大10、例えば1~5、1~4または1~3または1または2)が、水素以外の置換基に置き換えられていることを意味する(1を超える水素原子が置き換えられるとき、置換基は同一でも異なってもよい)。好ましくは、水素以外の置換基は、ここに特定する第一レベル置換基である。置換アルキルの例は、クロロメチル、ジクロロメチル、フルオロメチルおよびジフルオロメチルを含む。
用語「アルキレン」は、飽和直鎖または分岐鎖炭化水素のジラジカルをいう。好ましくは、アルキレンは、1~12(例えば1~10)個の炭素原子、すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個または12個の炭素原子(例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の炭素原子)、より好ましくは1~8個の炭素原子、例えば1~6個または1~4個の炭素原子を含む。アルキレン基の例は、メチレン、エチレン(すなわち、1,1-エチレン、1,2-エチレン)、プロピレン(すなわち、1,1-プロピレン、1,2-プロピレン(-CH(CH)CH-)、2,2-プロピレン(-C(CH)-)および1,3-プロピレン)、ブチレン異性体(例えば、1,1-ブチレン、1,2-ブチレン、2,2-ブチレン、1,3-ブチレン、2,3-ブチレン(cisまたはtransまたはそれらの混合物)、1,4-ブチレン、1,1-イソ-ブチレン、1,2-イソ-ブチレンおよび1,3-イソ-ブチレン)、ペンチレン異性体(例えば、1,1-ペンチレン、1,2-ペンチレン、1,3-ペンチレン、1,4-ペンチレン、1,5-ペンチレン、1,1-イソ-ペンチレン、1,1-sec-ペンチル、1,1-ネオペンチル)、ヘキシレン異性体(例えば、1,1-ヘキシレン、1,2-ヘキシレン、1,3-ヘキシレン、1,4-ヘキシレン、1,5-ヘキシレン、1,6-ヘキシレンおよび1,1-イソヘキシレン)、ヘプチレン異性体(例えば、1,1-ヘプチレン、1,2-ヘプチレン、1,3-ヘプチレン、1,4-ヘプチレン、1,5-ヘプチレン、1,6-ヘプチレン、1,7-ヘプチレンおよび1,1-イソヘプチレン)、オクチレン異性体(例えば、1,1-オクチレン、1,2-オクチレン、1,3-オクチレン、1,4-オクチレン、1,5-オクチレン、1,6-オクチレン、1,7-オクチレン、1,8-オクチレンおよび1,1-イソオクチレン)などを含む。少なくとも3個の炭素原子および各末端に遊離原子価を有する直鎖アルキレン部分はまた複数のメチレンとしても称され得る(例えば、1,4-ブチレンはテトラメチレンとも称され得る)。一般に、アルキレン部分について上記のように末尾「イレン」を使用する代わりに、末尾「ジイル」も使用してよい(例えば、1,2-ブチレンはブタン-1,2-ジイルとも称され得る)。「置換アルキレン」は、アルキレン基の水素原子の1以上(例えば1からアルキレン基に結合した水素原子の最大数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または最大10、例えば1~5、1~4または1~3または1または2)が、水素以外の置換基に置き換えられていることを意味する(1を超える水素原子が置き換えられるとき、置換基は同一でも異なってもよい)。好ましくは、水素以外の置換基は、ここに特定する第一レベル置換基である。
用語「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する不飽和直鎖または分岐鎖炭化水素のモノラジカルをいう。一般に、アルケニル基における炭素-炭素二重結合の最大数は2における炭素原子数を2で割ることにより計算された整数に等しく、アルケニル基の炭素原子数が奇数であるならば、分数の結果を、次の整数に切り捨てる。例えば、9個の炭素原子を有するアルケニル基について、炭素-炭素二重結合の最大数は4である。好ましくは、アルケニル基は1~6(例えば1~4)個、すなわち、1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素-炭素二重結合を有する。好ましくは、アルケニル基は、2~12(例えば2~10)個の炭素原子、すなわち、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個または12個の炭素原子(例えば2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の炭素原子)、より好ましくは2~8個の炭素原子、例えば2~6個の炭素原子または2~4個の炭素原子を含む。故に、好ましい実施態様において、アルケニル基はC2-12アルケニルと略す2~12個、(例えば、2~10)個の炭素原子および1、2、3、4、5または6(例えば、1、2、3、4または5)個の炭素-炭素二重結合を含み、より好ましくは2~8個の炭素原子および1個、2個、3個または4個の炭素-炭素二重結合、例えば2~6個の炭素原子および1個、2個または3個の炭素-炭素二重結合または2~4個の炭素原子および1個または2個の炭素-炭素二重結合を含む。炭素-炭素二重結合はcis(Z)またはtrans(E)配置であり得る。アルケニル基の例は、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル(すなわち、アリル)、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、1-ヘプテニル、2-ヘプテニル、3-ヘプテニル、4-ヘプテニル、5-ヘプテニル、6-ヘプテニル、1-オクテニル、2-オクテニル、3-オクテニル、4-オクテニル、5-オクテニル、6-オクテニル、7-オクテニル、1-ノネニル、2-ノネニル、3-ノネニル、4-ノネニル、5-ノネニル、6-ノネニル、7-ノネニル、8-ノネニル、1-デセニル、2-デセニル、3-デセニル、4-デセニル、5-デセニル、6-デセニル、7-デセニル、8-デセニル、9-デセニル、1-ウンデセニル、2-ウンデセニル、3-ウンデセニル、4-ウンデセニル、5-ウンデセニル、6-ウンデセニル、7-ウンデセニル、8-ウンデセニル、9-ウンデセニル、10-ウンデセニル、1-ドデセニル、2-ドデセニル、3-ドデセニル、4-ドデセニル、5-ドデセニル、6-ドデセニル、7-ドデセニル、8-ドデセニル、9-ドデセニル、10-ドデセニル、11-ドデセニルなどを含む。アルケニル基が窒素原子に結合しているならば、二重結合は窒素原子に対してアルファではあり得ない。「置換アルケニル」は、アルケニル基の水素原子の1以上(例えば1からアルケニル基に結合した水素原子の最大数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または最大10、例えば1~5、1~4または1~3または1または2)が、水素以外の置換基に置き換えられていることを意味する(1を超える水素原子が置き換えられるとき、置換基は同一でも異なってもよい)。好ましくは、水素以外の置換基はここに特定する第一レベル置換基である。
用語「アルキニル」は、総炭素原子は6~30、典型的に6~20、しばしば6~18であり得る、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有する直鎖または分枝鎖単価炭化水素部分をいう。アルキニル基は、所望により1以上の炭素炭素二重結合を有し得る。一般に、アルキニル基における炭素-炭素三重結合の最大数は2における炭素原子数を2で割ることにより計算された整数に等しく、アルキニル基の炭素原子数が奇数であるならば、分数の結果を、次の整数に切り捨てる。例えば、9個の炭素原子を有するアルキニル基について、炭素-炭素三重結合の最大数は4である。好ましくは、アルキニル基は、1~6(例えば1~4)、すなわち、1個、2個、3個、4個、5個または6個、より好ましくは1個または2個の炭素-炭素三重結合を有する。
用語「アルケニレン」は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する、不飽和直鎖または分岐鎖炭化水素のジラジカルをいう。一般に、アルケニレン基における炭素-炭素二重結合の最大数は2における炭素原子数を2で割ることにより計算された整数に等しく、アルケニレン基の炭素原子数が奇数であるならば、分数の結果を、次の整数に切り捨てる。例えば、9個の炭素原子を有するアルケニレン基について、炭素-炭素二重結合の最大数は4である。好ましくは、アルケニレン基は、1~6(例えば1~4)個、すなわち、1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素-炭素二重結合を有する。好ましくは、アルケニレン基は、2~12(例えば2~10)個の炭素原子、すなわち、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個または12個の炭素原子(例えば2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の炭素原子)、より好ましくは2~8個の炭素原子、例えば2~6個の炭素原子または2~4個の炭素原子を含む。故に、好ましい実施態様において、アルケニレン基は2~12(例えば2~10個の炭素)原子および1、2、3、4、5または6(例えば1、2、3、4または5)個の炭素-炭素二重結合を含み、より好ましくは2~8個の炭素原子および1個、2個、3個または4個の炭素-炭素二重結合、例えば2~6個の炭素原子および1個、2個または3個の炭素-炭素二重結合または2~4個の炭素原子および1個または2個の炭素-炭素二重結合を含む。炭素-炭素二重結合はcis(Z)またはtrans(E)配置であり得る。アルケニレン基の例は、エテン-1,2-ジイル、ビニリデン(別名エテニリデン)、1-プロペン-1,2-ジイル、1-プロペン-1,3-ジイル、1-プロペン-2,3-ジイル、アリリデン、1-ブテン-1,2-ジイル、1-ブテン-1,3-ジイル、1-ブテン-1,4-ジイル、1-ブテン-2,3-ジイル、1-ブテン-2,4-ジイル、1-ブテン-3,4-ジイル、2-ブテン-1,2-ジイル、2-ブテン-1,3-ジイル、2-ブテン-1,4-ジイル、2-ブテン-2,3-ジイル、2-ブテン-2,4-ジイル、2-ブテン-3,4-ジイルなどを含む。アルケニレン基が窒素原子に結合しているならば、二重結合は窒素原子に対してアルファではあり得ない。「置換アルケニレン」アルケニレン基の水素原子の1以上(例えば1からアルケニレン基に結合した水素原子の最大数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または最大10、例えば1~5、1~4または1~3または1または2)が、水素以外の置換基に置き換えられていることを意味する(1を超える水素原子が置き換えられるとき、置換基は同一でも異なってもよい)。好ましくは、水素以外の置換基はここに特定する第一レベル置換基である。
用語「シクロアルキル」は、「アルキル」および「アルケニル」の環状非芳香族バージョンをいい、好ましくは3~14個の炭素原子、例えば3~12個または3~10個の炭素原子、すなわち、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個または14個の炭素原子(例えば3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の炭素原子)、より好ましくは3~7個の炭素原子。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロプロペニル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、シクロノニル、シクロノネニル、シクロデシル、シクロデセニルおよびアダマンチルを含む。シクロアルキル基は、一環(単環式)、二環(二環式)または二を超える環(多環式)からなり得る。
用語「シクロアルキレン」は「アルキレン」の環状非芳香族バージョンをいい、ジェミナル、ビシナルまたは孤立ジラジカルである。ある実施態様において、シクロアルキレンは(i)単環式または多環式(例えば二または三環式)および/または(ii)3~14員(すなわち、3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員、10員、11員、12員、13員または14員、例えば3~12員または3~10員)である。ある実施態様において、シクロアルキレンは単環、二環または三環式3~14員(すなわち、3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員、10員、11員、12員、13員または14員、例えば3~12員または3~10員)シクロアルキレンである。一般に、シクロアルキレン部分について、上記のように末尾「イレン」を使用する代わりに、末尾「ジイル」も使用してよい(例えば、1,2-シクロプロピレンはシクロプロパン-1,2-ジイルとも称し得る)。シクロアルキレン基の例は、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロオクチレン、ビシクロ[3.2.1]オクチレン、ビシクロ[3.2.2]ノニレンおよびアダマンタニレン(例えば、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン-2,2-ジイル)を含む。「置換シクロアルキレン」は、アルキレン基の水素原子の1以上(例えば1からシクロアルキレン基に結合した水素原子の最大数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または最大10、例えば1~5、1~4または1~3または1または2)が、水素以外の置換基に置き換えられていることを意味する(1を超える水素原子が置き換えられるとき、置換基は同一でも異なってもよい)。好ましくは、水素以外の置換基はここに特定する第一レベル置換基である。
用語「シクロアルケニレン」は「アルケニレン」の環状非芳香族バージョンをいい、ジェミナル、ビシナルまたは孤立ジラジカルである。一般に、シクロアルケニレン基における炭素-炭素二重結合の最大数は2における炭素原子数を2で割ることにより計算された整数に等しく、シクロアルケニレン基の炭素原子数が奇数であるならば、分数の結果を、次の整数に切り捨てる。例えば、9個の炭素原子を有するシクロアルケニレン基について、炭素-炭素二重結合の最大数は4である。好ましくは、シクロアルケニレン基は1~6(例えば1~4)個、すなわち、1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素-炭素二重結合を有する。ある実施態様において、シクロアルケニレンは(i)単環式または多環式(例えば二または三環式)および/または(ii)3~14員(すなわち、3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員、10員、11員、12員、13員または14員、例えば3~12員または3~10員)である。ある実施態様において、シクロアルケニレンは単環、二環または三環式3~14員(すなわち、3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員、10員、11員、12員、13員または14員、例えば3~12員または3~10員)シクロアルケニレンである。シクロアルケニレン基の例は、シクロヘキセニレン、シクロヘプテニレン、シクロプロペニレン、シクロブテニレン、シクロペンテニレンおよびシクロオクテニレンを含む。「置換シクロアルケニレン」は、シクロアルケニレン基の水素原子の1以上(例えば1からシクロアルケニレン基に結合した水素原子の最大数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または最大10、例えば1~5、1~4または1~3または1または2)が、水素以外の置換基に置き換えられていることを意味する(1を超える水素原子が置き換えられるとき、置換基は同一でも異なってもよい)。好ましくは、水素以外の置換基はここに特定する第一レベル置換基である。
用語「アリール」は、芳香族環状炭化水素のモノラジカルをいう。好ましくは、アリール基は、一環(例えば、フェニル)または2以上の縮合環(例えば、ナフチル)で配置され得る3~14(例えば、5、6、7、8、9または10、例えば5、6または10)個の炭素原子を含む。アリール基の例は、シクロプロペニリウム、シクロペンタジエニル、フェニル、インデニル、ナフチル、アズレニル、フルオレニル、アントリルおよびフェナントリルを含む。好ましくは、「アリール」は、6個の炭素原子を含む単環式環または10個の炭素原子を含む芳香族二環式環系をいう。好ましい例はフェニルおよびナフチルである。アリールはフラーレンを含まない。
用語「ヘテロシクリル」または「ヘテロ環式環」は、シクロアルキル基における1、2、3または4環炭素原子は好ましくは酸素、窒素、ケイ素、セレン、リンおよび硫黄からなる群から、より好ましくはO、SおよびNからなる群から選択されるヘテロ原子で置き換えられている、上に定義した非芳香族シクロアルキル基をいう。ヘテロシクリル基は、
好ましくは1または2環は、3~10個、例えば3個、4個、5個、6または7個の環原子を含む。好ましくは、ヘテロシクリル基の各環において、O原子の最大数は1であり、S原子の最大数は1であり、OおよびS原子の最大総数は2である。ヘテロシクリル基の例は、モルホリニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル(別名ピペリジル)、ピペラジニル、1,2-ジアジナニル、1,3-ジアジナニル、1,3,5-トリアジナニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジ-およびテトラヒドロフラニル、ジ-およびテトラヒドロチエニル、ジ-およびテトラヒドロピラニル、ウロトロピニル、ラクトン、ラクタム、環状イミドおよび環状無水物を含む。「置換ヘテロシクリル」は、ヘテロシクリル基の水素原子の1以上(例えば1からヘテロシクリル基に結合した水素原子の最大数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または最大10、例えば1~5、1~4または1~3または1または2)が、水素以外の置換基に置き換えられていることを意味する(1を超える水素原子が置き換えられるとき、置換基は同一でも異なってもよい)。好ましくは、水素以外の置換基はここに特定する第一レベル置換基である。
用語「N-ヘテロ環式環」は、ヘテロ環式環は少なくとも1個のN環原子を含み、1以上のさらなる環ヘテロ原子(好ましくは酸素、窒素、ケイ素、セレン、リンおよび硫黄からなる群から、より好ましくはO、SおよびNからなる群から選択される)を含んでよい、上に定義したヘテロ環式環をいう。N-ヘテロ環式環の例は、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、1,2-ジアジナニル、1,3-ジアジナニル、1,3,5-トリアジナニル、モルホリニルおよびチオモルホリニル、好ましくはピペリジニル、ピペラジニル、1,2-ジアジナニル、1,3-ジアジナニル、モルホリニルおよびチオモルホリニルを含む。「置換N-ヘテロ環式環」は、N-ヘテロ環式環の水素原子の1以上(例えば1からN-ヘテロ環式環に結合した水素原子の最大数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または最大10、例えば1~5、1~4または1~3または1または2)が、水素以外の置換基に置き換えられていることを意味する(1を超える水素原子が置き換えられるとき、置換基は同一でも異なってもよい)。好ましくは、水素以外の置換基はここに特定する第一レベル置換基である。
炭化水素に関連してする用語「芳香族」は、分子全体が芳香族でなければならないことを意味する。例えば、単環式アリールが水素化されているならば(部分的にまたは完全に)、得られた水素化環状構造は、本発明の目的で、シクロアルキルとして分類される。同様に、二または多環式アリール(例えばナフチル)が水素化されているならば、得られた水素化二または多環式構造(例えば1,2-ジヒドロナフチル)は、本発明の目的でシクロアルキルとして分類される(1,2-ジヒドロナフチルにおけるように、一環はなお芳香族であっても)。本出願の範囲内で、ヘテロアリール(すなわち、アリール基における1以上の炭素原子はヘテロ原子に置き換えられているアリール基)とヘテロシクリルは区別される。例えば、インドリニル、すなわち、インドリルのジヒドロバリアントは、二環式構造の1環のみが芳香族であり、環原子の1個がヘテロ原子であるため、本発明の目的でヘテロシクリルとして分類される。
典型的第一レベル置換基は、好ましくはC1-3アルキル、フェニル、ハロゲン、-CF、-OH、-OCH、-SCH、-NH2-z(CH)、-C(=O)OHおよび-C(=O)OCHからなる群から選択され、ここで、zは0、1または2であり、C1-3アルキルはメチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである。特に好ましい第一レベル置換基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ハロゲン(例えばF、ClまたはBr)および-CF、例えばハロゲン(例えば、F、ClまたはBr)および-CFからなる群から選択される。
式N(R)(R)(R)に関して、表現「R、RおよびRの最大1個はH、CH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)である」は、H、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)の各々は同時に1個のみN(R)(R)(R)のN原子に結合できることを意味する。例えば、R、RおよびRの1個がHであるならば、他の2個はHであってはならない(すなわち、他の2個はH以外でなければならない)。同様に、R、RおよびRの1個がCH(C1-5アルキレン-R)であるならば、他の2個はCH(C1-5アルキレン-R)であってはならない(すなわち、他の2個はCH(C1-5アルキレン-R)以外でなければならない)。また、R、RおよびRの1個がC(C1-5アルキレン-R)であるならば、他の2個はC(C1-5アルキレン-R)であってはならない(すなわち、他の2個はC(C1-5アルキレン-R)以外でなければならない)。好ましくは、この表現は、R、RおよびRの1個のみがH、CH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)であってよく、他の2個はH、CH(C1-5アルキレン-R)、C(C1-5アルキレン-R)であってはならないことを意味する(例えば、他の2個は独立してC1-6アルキルであるかまたは窒素原子と一体となって、所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成する)。
凍結組成物に関連してここで使用する表現「凍結組成物解凍後」は、凍結組成物が、特徴(例えば組成物に含まれる粒子(例えばLNP)のRNA完全性および/またはサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/またはPDI)が測定され得る前に解凍されなければならないことを意味する。
「単価」化合物は、目的の官能基1個のみを有する化合物に関する。例えば、単価アニオンは、好ましくは生理学的条件下、負荷電基1個のみを有する化合物に関する。
「二価」または「二塩基性」化合物は、2個の目的の官能基を有する化合物に関する。例えば、二塩基性有機酸は、2個の酸基を有する。
「多価」または「多塩基性」化合物は、3個以上の目的の官能基を有する化合物に関する。例えば、多塩基性有機酸は、3個以上の酸基を有する。
ここで使用する表現「Xを実質的に含まない」は、混合物(例えばここに記載する組成物または製剤の水相)は、実質的におよび現実的に実行可能である方法で、Xを含まないことを意味する。例えば、混合物がXを実質的に含まないならば、混合物中のXの量は、混合物の総重量に基づき、1重量%未満(例えば、0.5未満重量%、0.4未満重量%、0.3未満重量%、0.2未満重量%、0.1未満重量%、0.09未満重量%、0.08未満重量%、0.07未満重量%、0.06未満重量%、0.05未満重量%、0.04未満重量%、0.03未満重量%、0.02未満重量%、0.01未満重量%、0.005未満重量%、0.001未満重量%)であり得る。
表現「クエン酸アニオン」は、クエン酸アニオンを含み、水性媒体に溶解したとき、クエン酸アニオンを遊離するあらゆる化合物を意味する。クエン酸アニオンを含み、水性媒体に溶解したときクエン酸アニオンを遊離する化合物の例は、クエン酸およびクエン酸の塩を含む。
ここで使用する表現「EDTAのアニオン」は、EDTAのアニオンを含み、水性媒体に溶解したとき、EDTAのアニオンを遊離するあらゆる化合物を意味する。EDTAのアニオンを含み、水性媒体に溶解したときアニオンを遊離する化合物の例は、、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびEDTAの塩を含む。
ここで使用する表現「二塩基性有機酸アニオン」は、遊離形態(すなわち、プロトン化)、無水物形態または塩形態である、2個の酸基を含むあらゆる有機化合物を意味する。これに関して、用語「酸基」は、カルボン酸または硫酸基をいう。好ましくは、表現「二塩基性有機酸」は、カルボン酸または硫酸基と1以上の有機アルコールのエステルをh鵜熊内。二塩基性有機酸の例は、シュウ酸、リンゴ酸および酒石酸を含む。
ここで使用する表現「多塩基性有機酸アニオン」は、遊離形態(すなわち、プロトン化)、無水物形態または塩形態である、3個以上の基を含むあらゆる有機化合物を意味する。これに関して、用語「酸基」は、カルボン酸または硫酸基をいう。好ましくは、表現「多塩基性有機酸」は、カルボン酸または硫酸基と1以上の有機アルコールのエステルを含まない。多塩基性有機酸の一例は、クエン酸を含む。
表現「RNA完全性」は、サンプルに含まれるRNAの総量(すなわち、非断片化+断片化RNA)に対する完全長(すなわち、非断片化)RNAのパーセンテージを意味する。RNA完全性は、RNAをクロマトグラフィーにより分離し(例えば、使用キャピラリー電気泳動)、主RNAピークのピーク面積(すなわち、完全長(すなわち、非断片化)RNAのピーク面積)を決定し、総RNAのピーク面積を決定し、主RNAピークのピーク面積を総RNAのピーク面積で除すことにより決定され得る。
用語「抗凍結剤」は、凍結段階中の調製物の活性成分を保護するために、調製物(例えば、製剤または組成物)に添加する物質に関する。
用語「凍結乾燥保護剤」は、乾燥段階中の活性成分を保護するために、製剤に添加する物質に関する。
本発明によると、用語「ペプチド」はオリゴおよびポリペプチドを含み、互いにペプチド結合により連結した約2以上、約3以上、約4以上、約6以上、約8以上、約10以上、約13以上、約16以上、約20以上および最大約50、約100または約150の連続アミノ酸を含む物質をいう。用語「ポリペプチド」は、大型ペプチド、特に少なくとも約151アミノ酸を有するペプチドをいう。「ペプチド」および「ポリペプチド」はいずれもタンパク質分子であるが、用語「タンパク質」および「ポリペプチド」はここでは通常同義語として使用する。
「治療タンパク質」は、治療有効量で対象に提供したとき、対象の状態または疾患状態に良いまたは有利な効果をもたらす。ある実施態様において、治療タンパク質は、治癒的または緩和的性質を有し、疾患または障害の1以上の症状の改善、緩和、軽減、逆転、発症遅延または重症度低減のために投与し得る。治療タンパク質は予防的性質を有し得て、疾患発症遅延またはそのような疾患または病態の重症度低減のために使用され得る。用語「治療タンパク質」はタンパク質またはペプチド全体を含み、その治療活性フラグメントをいい得る。タンパク質の治療活性バリアントも含み得る。治療活性タンパク質の例は、ワクチン接種用抗原およびサイトカインなどの免疫刺激剤を含むが、これらに限定されない。
本発明の種々の実施態様によると、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードするRNA(例えば、mRNA)などの核酸は細胞に取り込まれまたは導入され、すなわちトランスフェクトまたは形質導入され、その細胞はインビトロまたは対象中に存在し得て、該ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の発現をもたらす。細胞は、コード化ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を細胞内に(例えば細胞質および/または核に)発現でき、コード化ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を分泌できおよび/または表面に発現できる。
本発明によると、「発現する核酸」および「コードする核酸」などの用語または類似の用語はここでは相互交換可能に使用され、特定のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質に関して、核酸は、好ましくは細胞内の、適切な環境に存在するならば、該ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を産生するよう発現され得ることを意味する。
用語「部分」はフラグメントをいう。アミノ酸配列またはタンパク質などの特定の構造に関して、その「部分」なる用語は、該構造の連続的または不連続的フラグメントをいい得る。
用語「一部」および「フラグメント」は、ここでは相互交換可能に使用され、連続的要素をいう。例えば、アミノ酸配列またはタンパク質などの構造の一部は、該構造の連続的要素をいう。組成物の状況で使用するとき、用語「一部」は、組成物の部分を意味する。例えば、組成物の一部は、該組成物の0.1%~99.9%(例えば0.1%、0.5%、1%、5%、10%、50%、90%または99%)のあらゆる部分であり得る。
アミノ酸配列(ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質)に関する「フラグメント」は、アミノ酸配列の一部に関し、すなわちN末端および/またはC末端で短縮されたアミノ酸配列を表す配列に関する。C末端で短縮されたフラグメント(N末端フラグメント)は、例えば、オープンリーディングフレームの3’末端を欠く短縮オープンリーディングフレームの翻訳により得られ得る。N末端で短縮されたフラグメント(C末端フラグメント)は、例えば、短縮オープンリーディングフレームは翻訳開始を司る開始コドンを含む限り、オープンリーディングフレームの5’末端を欠く短縮オープンリーディングフレームの翻訳により得られ得る。アミノ酸配列のフラグメントは、例えば、アミノ酸配列からのアミノ酸残基の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%を含む。アミノ酸配列のフラグメントは、好ましくはアミノ酸配列からの少なくとも6、特に少なくとも8、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも50または少なくとも100連続アミノ酸を含む。アミノ酸配列のフラグメントは、例えば、アミノ酸配列の最大8、特に最大10、最大12、最大15、最大20、最大30または最大55連続アミノ酸の配列を含む。
本発明によると、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の一部またはフラグメントは、好ましくはそれが由来するペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の少なくとも1個の機能的性質を有する。このような機能的性質は、薬理学的活性、他のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質との相互作用、酵素活性、抗体との相互作用および核酸の選択的結合を含む。例えば、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の薬理学的活性フラグメントは、フラグメントは由来するペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の薬理学的活性の少なくとも1個を有する。ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の一部またはフラグメントは、好ましくはペプチドまたはタンパク質の少なくとも6、特に少なくとも8、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30または少なくとも50連続アミノ酸の配列を含む。ペプチドまたはタンパク質の一部またはフラグメントは、好ましくはペプチドまたはタンパク質の最大8、特に最大10、最大12、最大15、最大20、最大30または最大55連続アミノ酸の配列を含む。
ここで使用し、アミノ酸配列(ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質)に関する「バリアント」は、少なくとも1個のアミノ酸により親アミノ酸配列と異なる(例えば、異なるアミノ酸または同じアミノ酸の修飾)アミノ酸配列を意味する。親アミノ酸配列は天然に存在するかまたは野生型(WT)アミノ酸配列であってよく、または野生型アミノ酸配列の修飾バージョンであってよい。ある実施態様において、バリアントアミノ酸配列は、親アミノ酸配列と比較して少なくとも1個のアミノ酸差異、例えば、1~約20アミノ酸差異および好ましくは親と比較して1~約10または1~約5アミノ酸差異を有する。
ここでの「野生型」または「WT」または「天然」は、アレル変異を含み、天然に見られるアミノ酸配列を意味する。野生型アミノ酸配列、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、意図的に修飾されていないアミノ酸配列を有する。
本発明の目的で、アミノ酸配列(ペプチド、タンパク質またはポリペプチド)の「バリアント」は、アミノ酸挿入バリアント、アミノ酸付加バリアント、アミノ酸欠失バリアントおよび/またはアミノ酸置換バリアントを含む。用語「バリアント」は、全変異体、スプライス変異体、翻訳後修飾変異体、立体構造、アイソフォーム、アレル変異体、種変異体および種ホモログ、特に天然に存在するものを含む。用語「バリアント」は、特に、アミノ酸配列のフラグメントを含む。
アミノ酸挿入バリアントは、特定のアミノ酸配列への1または2以上のアミノ酸の挿入を含む。挿入を有するアミノ酸配列バリアントの場合、1以上のアミノ酸残基はアミノ酸配列における特定の部位に挿入されるが、ランダム挿入と得られた生成物の適切なスクリーニングも可能である。アミノ酸付加バリアントは、1以上のアミノ酸、例えば1、2、3、5、10、20、30、50以上アミノ酸のアミノおよび/またはカルボキシ末端融合を含む。アミノ酸欠失バリアントは、1、2、3、5、10、20、30、50以上アミノ酸の除去などの、配列からの1以上のアミノ酸の除去により特徴づけられる。欠失は、タンパク質のどの位置でもよい。タンパク質のN末端および/またはC末端に欠失を含むアミノ酸欠失バリアントは、N末端および/またはC末端短縮化バリアントとも称される。アミノ酸置換バリアントは、配列における少なくとも1個の残基は除去され、その場所に他の残基は挿入されることにより特徴づけられる。相同タンパク質またはペプチドで保存されていないアミノ酸配列の位置の修飾および/またはアミノ酸の類似の性質を有する他の者への置換が好ましい。ある実施態様において、ペプチドおよびタンパク質バリアントにおけるアミノ酸変化は、保存的アミノ酸変化、すなわち、同様に荷電または非荷電のアミノ酸の置換である。保存的アミノ酸変化は、側鎖は関連するアミノ酸のファミリーの一つの置換である。天然に存在するアミノ酸は、一般に4ファミリーに分けられる:酸性(アスパラギン酸、グルタミン酸)、塩基性(リシン、アルギニン、ヒスチジン)、非極性(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)および非荷電極性(グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン)アミノ酸。フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは、まとめて芳香族アミノ酸に分類されることもある。ある実施態様において、保存的アミノ酸置換は、次の群内の置換を含む:
- グリシン、アラニン;
- バリン、イソロイシン、ロイシン;
- アスパラギン酸、グルタミン酸;
- アスパラギン、グルタミン;
- セリン、スレオニン;
- リシン、アルギニン;および
- フェニルアラニン、チロシン。
ある実施態様において、あるアミノ酸配列と該あるアミノ酸配列のバリアントであるアミノ酸配列の間の類似性、好ましくは同一性の程度は、少なくとも約60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%である。類似性または同一性の程度は、好ましくは参照アミノ酸配列の全長の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または約100%であるアミノ酸領域に対して示される。例えば、参照アミノ酸配列が200アミノ酸からなるならば、類似性または同一性の程度は、好ましくは、ある実施態様において、少なくとも約20、少なくとも約40、少なくとも約60、少なくとも約80、少なくとも約100、少なくとも約120、少なくとも約140、少なくとも約160、少なくとも約180または約200アミノ酸連続的アミノ酸に対して示される。ある実施態様において、類似性または同一性の程度は参照アミノ酸配列の全長に対して示される。配列類似性、好ましくは配列同一性を決定するためのアラインメントは、当分野で知られるツールを使用し、好ましくは最良配列アラインメントを使用し、例えば、Alignを使用し、標準設定、好ましくはEMBOSS::needle, Matrix: Blosum62, Gap Open 10.0, Gap Extend 0.5を使用して実施できる。
「配列類似性」は、同一または保存的アミノ酸置換を表すアミノ酸のパーセンテージを示す。2アミノ酸配列間の「配列同一性」は、配列間で同一であるアミノ酸のパーセンテージを示す。2核酸配列間の「配列同一性」は、配列間で同一であるヌクレオチドのパーセンテージを示す。
用語「%同一」および「%同一性」または類似の用語は、特に、比較する配列間で最適アラインメントで同一であるヌクレオチドまたはアミノ酸のパーセンテージをいう。該パーセンテージは純粋に統計であり、2配列間の差異は、必ずしもではないが、比較する配列の全長にわたり無作為に分布していてよい。2配列の比較は、通常対応する配列の局所領域を同定するために、最適アラインメント後、セグメントまたは「比較の窓」に関して配列を比較することにより、実施する。比較のための最適アラインメントは手動でまたはSmith and Waterman, 1981, Ads App. Math. 2, 482による局所相同性アルゴリズムの助けを借りて、Neddleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48, 443による局所相同性アルゴリズムの助けを借りて、Pearson and Lipman, 1988, Proc. Natl Acad. Sci. USA 88, 2444による類似性検索アルゴリズムの助けをかりてまたは該アルゴリズムを使用するコンピュータプログラム(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Drive, Madison, Wis.のGAP、BESTFIT、FASTA、BLAST P、BLAST NおよびTFASTA)の助けを借りて、実施し得る。ある実施態様において、2配列のパーセント同一性は、United States National Center for Biotechnology Information (NCBI)ウェブサイト(例えば、blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi?PAGE_TYPE=BlastSearch&BLAST_SPEC=blast2seq&LINK_LOC=align2seqで利用可能なBLASTNまたはBLASTPアルゴリズムを使用して、実施できる。ある実施態様において、NCBIウェブサイトのBLASTNアルゴリズムで使用するアルゴリズムパラメータは、(i)期待閾値設定10;(ii)文字サイズ設定28;(iii)クエリー範囲の最大マッチ設定0;(iv)マッチ/ミスマッチスコア設定1、-2;(v)ギャップコスト設定直線;および(vi)低複雑度領域のフィルター使用を含む。ある実施態様において、NCBIウェブサイトでBLASTPアルゴリズムで使用するアルゴリズムパラメータは、(i)期待閾値設定10;(ii)文字サイズ設定3;(iii)クエリー範囲の最大マッチ設定0;(iv)マトリックス設定BLOSUM62;(v)ギャップコスト設定存在:11拡張:1;および(vi)条件的組成スコアマトリクス調整を使用する。
パーセンテージ同一性は、比較配列は対応する同一位置の数を決定し、該数値を比較する位置の数(例えば、参照配列における位置の数)で除し、この結果を100倍することにより得る。
ある実施態様において、類似性または同一性の程度は、参照配列の全長の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または約100%である領域に対して示す。例えば、参照核酸配列は200ヌクレオチドからなるとき、同一性の程度は、ある実施態様において、少なくとも約100、少なくとも約120、少なくとも約140、少なくとも約160、少なくとも約180または約200ヌクレオチド連続的ヌクレオチドに対して示される。ある実施態様において、類似性または同一性の程度は参照配列の全長に対して示される。
相同アミノ酸配列は、本開示によると、アミノ酸残基の少なくとも40%、特に少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%および好ましくは少なくとも95%、少なくとも98または少なくとも99%同一性を示す。
ここに記載するアミノ酸配列バリアントは、当業者により、例えば、組み換えDNA操作により容易に製造され得る。置換、付加、挿入または欠失を有するペプチドまたはタンパク質を製造するためのDNA配列の操作は、例えば、Sambrook et al. (1989)に詳述される。さらに、ここに記載するペプチドおよびアミノ酸バリアントは、例えば、固相合成および類似の方法によるなどの、既知ペプチド合成技術の助けを借りて、容易に製造できる。
ある実施態様において、アミノ酸配列(ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質)のフラグメントまたはバリアントは、好ましくは「機能的フラグメント」または「機能的バリアント」である。アミノ酸配列の「機能的フラグメント」または「機能的バリアント」なる用語は、由来するアミノ酸配列と同一または類似の1以上の機能的性質を示すあらゆるフラグメントまたはバリアントをいい、すなわち、機能的に等価である。抗原または抗原性配列について、ある特定の機能は、フラグメントまたはバリアントは由来するアミノ酸配列により示される1以上の免疫原性活性である。ここで使用する用語「機能的フラグメント」または「機能的バリアント」は、特に親分子または配列のアミノ酸配列と比較して、1以上のアミノ酸は改変されたアミノ酸配列を含みかつ親分子または配列の機能の1以上、例えば、免疫応答の誘導を果たすことができる、バリアント分子または配列をいう。ある実施態様において、親分子または配列のアミノ酸配列における修飾は、分子または配列の特徴に顕著に影響しないまたは改変しない。異なる実施態様において、機能的フラグメントまたは機能的バリアントの機能は減少されていてよいが、なお顕著に存在し、例えば、機能的バリアントの免疫原性は、親分子または配列の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%であり得る。しかしながら、他の実施態様において、機能的フラグメントまたは機能的バリアントの免疫原性は、親分子または配列と比較して増強され得る。
指定アミノ酸配列(ペプチド、タンパク質またはポリペプチド)に「由来する」アミノ酸配列(ペプチド、タンパク質またはポリペプチド)は、第一アミノ酸配列の起源をいう。ある実施態様において、特定のアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列は、特定の配列またはそのフラグメントと同一、本質的に同一または相同であるアミノ酸配列を有する。特定のアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列は、その特定の配列またはそのフラグメントのバリアントであり得る。例えば、ここでの使用に適する抗原は、由来する天然に存在するまたは天然配列から配列は異なるように改変されていてよいが、なお天然配列の望ましい活性を保持することは当業者には理解される。
ある実施態様において、「単離」は、天然状態または製造工程からの組成物などの人工組成物から改変または除去(例えば、精製)されていることを意味する。例えば、生存動物に天然に存在する核酸またはペプチドは「単離」されていないが、その天然状態の共存物質から部分的にまたは完全に分離されている同じ核酸またはペプチドは「単離」されている。単離核酸またはタンパク質は、実質的に精製された形態で存在できまたは例えば、宿主細胞など非天然環境で存在できる。ある実施態様において、本発明で使用するRNA(例えばmRNA)は実質的に精製された形態である。ある実施態様において、実質的に精製された形態のRNA(例えばmRNA)の溶液(好ましくは水溶液)は第一緩衝系を含む。
用語「遺伝子修飾」または単に「修飾」は、核酸での細胞のトランスフェクションを含む。用語「トランスフェクション」は、細胞への核酸、特にRNAの導入に関する。本発明の目的で、用語「トランスフェクション」はまた細胞への核酸の導入またはそのような細胞による核酸の取り込みも含み、ここで、細胞は対象、例えば、患者内に存在し得る。故に、本発明によると、ここに記載する核酸のトランスフェクションのための細胞はインビトロまたはインビボで存在し得て、例えば細胞は患者の臓器、組織および/または生物の一部を形成し得る。本開示によると、トランスフェクションは一過性または安定であり得る。トランスフェクションのある適用について、トランスフェクトされた遺伝物質が一過性にのみ発現されるならば、十分である。RNAはそのコード化タンパク質を一過性に発現するために、細胞にトランスフェクトされ得る。トランスフェクション過程で導入された核酸は通常核ゲノムに統合されないため、外来核酸は有糸分裂を通して希釈されるかまたは分解する。核酸のエピソーム増幅は可能な細胞の希釈率は大きく減少する。トランスフェクトされた核酸は実際に細胞およびその娘細胞のゲノムに残ることが望まれるならば、安定なトランスフェクションは起こらなければならない。このような安定なトランスフェクションは、トランスフェクションのためのウイルスベースの系またはトランスポゾンベースの系の使用により達成できる。一般に、抗原をコードする核酸は、細胞に一過性にトランスフェクトされる。RNAを、そのコード化タンパク質を一過性に発現するために細胞にトランスフェクトし得る。
本発明は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質のアナログを含む。本発明によると、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質のアナログは、それは由来している該ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の修飾携帯であり、該ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の機能的性質の少なくとも1個を有する。例えば、薬理学的活性ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質のアナログは、アナログは由来しているペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の薬理学的活性の少なくとも1個を有する。このような修飾はあらゆる化学修飾を含み、炭水化物、脂質および/またはタンパク質またはペプチドなどのタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドと関連するあらゆる分子の単一または複数置換、欠失および/または付加を含む。ある実施態様において、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの「アナログ」は、グルコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、パルミトイル化、ミリストイル化、イソプレニル化、脂質化、アルキル化、誘導体化、保護/遮断基の導入、タンパク分解的切断または抗体もしくは他の細胞リガンドへの結合に起因する修飾形態を含む。用語「アナログ」はまた該タンパク質、ポリペプチドおよびペプチドの全機能的化学等価物まで拡大される。
ここで使用する「活性化」または「刺激」は、検出可能な細胞増殖の誘導のために十分に刺激されている、細胞(例えば、T細胞などの免疫エフェクター細胞)の状態をいう。活性化はまたシグナル伝達経路開始、サイトカイン産生誘導および検出可能なエフェクター機能とも関連し得る。用語「活性化免疫エフェクター細胞」は、とりわけ、細胞分裂を受けている免疫エフェクター細胞をいう。
用語「プライミング」は、T細胞などの免疫エフェクター細胞はその特異的抗原と初めて接触し、エフェクターT細胞などのエフェクター細胞エフェクターT細胞などのエフェクター細胞への分化を引き起こす過程をいう。
用語「クローン拡大」または「拡大」は、特異的エンティティは増加する過程をいう。ある実施態様において、本用語は、好ましくは免疫エフェクター細胞が抗原により刺激され、増殖し、該抗原を認識する特異的免疫エフェクター細胞が増幅する免疫学的応答の状況において使用される。ある実施態様において、拡大は免疫エフェクター細胞の分化に至る。
本発明による「抗原」は、免疫応答を誘導するあらゆる物質および/または細胞応答などの免疫応答または免疫機構は標的とするあらゆる物質を包含する。これはまた、抗原は抗原ペプチドにプロセシングされ、免疫応答または免疫機構は、特にMHC分子により提示されているならば、1以上の抗原ペプチドを標的とする状況も含む。特に、「抗原」は抗体またはTリンパ球(T細胞)と特異的に反応するあらゆる物質、好ましくはペプチドまたはタンパク質に関する。本発明によると、用語「抗原」は、T細胞エピトープなどの少なくとも1個のエピトープを含むあらゆる分子を含む。好ましくは、本発明の状況における抗原は、所望によりプロセシング後、好ましくは抗原(抗原を発現する細胞を含む)特異的である、免疫反応を誘導する分子である。ある実施態様において、抗原は、腫瘍抗原、ウイルス抗原または細菌抗原などの疾患関連抗原またはそのような抗原由来のエピトープである。
本発明によると、免疫応答のための候補であるあらゆる適当な抗原が使用され得て、ここで、免疫応答は液性または細胞免疫応答または両方であり得る。本発明のある実施態様の状況において、抗原は、MHC分子の状況で細胞、好ましくは抗原提示細胞により提示され、これは抗原に対する免疫応答をもたらす。抗原は、天然に存在する抗原に対応するまたはそれ由来の生成物であり得る。このような天然に存在する抗原は、アレルゲン、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫および他の感染因子および病原体を含み得るかまたはそれに由来し得るかまたは抗原はまた腫瘍抗原であり得る。本発明によると、抗原は、天然に存在する生成物、例えば、ウイルスタンパク質またはその一部に対応し得る。
用語「疾患関連抗原」は、その最も広い意味で使用し、疾患と関連するあらゆる抗原をいう。疾患関連抗原は、宿主の免疫系を刺激して、該疾患に対する細胞抗原特異的免疫応答および/または液性抗体応答を行うエピトープを含む分子である。疾患関連抗原は病原体関連抗原、すなわち、微生物による感染に関連する抗原、典型的に微生物抗原(例えば細菌またはウイルス抗原)または腫瘍抗原などの癌、典型的に腫瘍に関連する抗原を含む。
ある実施態様において、抗原は腫瘍抗原、すなわち、腫瘍細胞の一部、特に主に細胞内にまたは腫瘍細胞の表面抗原として生ずるものである。他の実施態様において、抗原は病原体関連抗原、すなわち、病原体、例えば、ウイルス、細菌、単細胞生物または寄生虫由来の抗原、例えばウイルスリボ核タンパク質またはコートタンパク質などのウイルス抗原である。特に、抗原はMHC分子により提示されるべきであり、これは、特に、T細胞受容体の活性の調節を介して、免疫系の細胞、好ましくはCD4+およびCD8+リンパ球の調節、特に活性化をもたらす。
用語「腫瘍抗原」または「腫瘍関連抗原」は、細胞質、細胞表面または細胞核に由来し得る癌細胞の構成要素をいう。特に、細胞内でまたは腫瘍細胞の表面抗原として産生される抗原をいう。例えば、腫瘍抗原は、癌胎児性抗原、α1-フェトプロテイン、イソフェリチンおよび胎児スルホ糖タンパク質、α2-H-鉄蛋白およびγ-フェトプロテインならびに種々のウイルス腫瘍抗原を含む。本発明のある実施態様によると、腫瘍抗原はタイプおよび/または発現レベルに関して腫瘍または癌ならびに腫瘍または癌細胞に特徴的であるあらゆる抗原を含む
用語「ウイルス抗原」は、抗原性性質を有する、すなわち、個体において免疫応答を誘発できるあらゆるウイルス成分をいう。ウイルス抗原はウイルスリボ核タンパク質またはエンベロープタンパク質であり得る。
用語「細菌抗原」は、抗原性性質を有する、すなわち、個体において免疫応答を誘発できるあらゆる細菌成分をいう。細菌抗原は細菌の細胞壁または細胞質膜に由来し得る。
用語「エピトープ」は、抗原などの分子の抗原性決定基、すなわち、特に、MHC分子により提示されたとき、免疫系により認識される、例えば、抗体T細胞またはB細胞により認識される分子の一部またはフラグメントをいう。タンパク質のエピトープは、該タンパク質の連続的または不連続的部分を含み得て、例えば、約5~約100、約5~約50、約8~約0、約10~約25アミノ酸長であってよく、例えば、エピトープは好ましくは9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25アミノ酸長であり得る。ある実施態様において、本発明の状況におけるエピトープはT細胞エピトープである。
「エピトープ」、「抗原のフラグメント」、「免疫原性ペプチド」および「抗原ペプチド」などの用語は、ここでは相互交換可能に使用され、例えば、抗原または抗原を発現するかまたは含みかつ提示する細胞に対する、例えば、免疫応答を誘発できる、抗原の不完全な表現に関連し得る。ある実施態様において、本用語は、抗原の免疫原性部分に関する。好ましくは、特にMHC分子により提示されるとき、T細胞受容体により認識(すなわち、特異的に結合)される抗原の部分である。ある好ましい免疫原性部分はMHCクラスIまたはクラスII分子に結合する。用語「エピトープ」は、免疫系により認識される、抗原などの分子の一部またはのフラグメントをいう。例えば、エピトープはT細胞、B細胞または抗体により認識され得る。抗原のエピトープは抗原の連続的または不連続的部分を含み得て、約5~約100、例えば約5~約50、より好ましくは約8~約30、最も好ましくは約8~約25アミノ酸長であってよく、例えば、エピトープは好ましくは9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25アミノ酸長であってよい。ある実施態様において、エピトープは約10~約25アミノ酸長である。用語「エピトープ」はT細胞エピトープを含む。
用語「T細胞エピトープ」は、MHC分子により提示されたとき、T細胞により認識されるタンパク質の一部またはフラグメントをいう。用語「主要組織適合性複合体」および略称「MHC」はMHCクラスIおよびMHCクラスII分子を含み、全脊椎動物に存在する遺伝子の複合体に関する。MHCタンパク質または分子は、免疫反応におけるリンパ球と抗原提示細胞または罹患細胞の間のシグナル伝達に重要であり、ここで、MHCタンパク質または分子はペプチドエピトープと結合し、T細胞上のT細胞受容体による認識のためにそれを提示する。MHCによりコードされるタンパク質は細胞表面に発現され、自己抗原(細胞自体からのペプチドフラグメント)および非自己抗原(例えば、侵襲微生物のフラグメント)の両方をT細胞に示す。クラスI MHC/ペプチド複合体の場合、結合ペプチドは典型的に約8~約10アミノ酸長であるが、より長いまたは短いペプチドは有効であり得る。クラスII MHC/ペプチド複合体の場合、結合ペプチドは典型的に約10~約25アミノ酸長、特に約13~約18アミノ酸長であり、一方より長いおよび短いペプチドは有効であり得る。
ペプチドおよびタンパク質抗原は、例えば、5アミノ酸、10アミノ酸、15アミノ酸、20アミノ酸、25アミノ酸、30アミノ酸、35アミノ酸、40アミノ酸、45アミノ酸または50アミノ酸長を含み、2~100アミノ酸であり得る。ある実施態様において、ペプチドは50アミノ酸より大きくてよい。ある実施態様において、ペプチドは100アミノ酸より大きくてよい。
ペプチドまたはタンパク質抗原は、免疫系は該ペプチドまたはタンパク質に対する抗体およびT細胞応答を進展する能力を誘導または増加できる、あらゆるペプチドまたはタンパク質をいう。
ある実施態様において、ワクチン抗原、すなわち、対象への接種は免疫応答を誘導する抗原は、免疫エフェクター細胞により認識される。ある実施態様において、ワクチン抗原は、免疫エフェクター細胞により認識されるならば、ワクチン抗原を認識する抗原受容体を担持する免疫エフェクター細胞の適切な共刺激シグナル、刺激、プライミングおよび/または拡大存在下に誘導されることができる。本発明の実施態様の状況において、ワクチン抗原は好ましくは細胞、好ましくは抗原提示細胞表面に提示されるかまたは存在する。ある実施態様において、抗原は罹患細胞(例えば腫瘍細胞または感染細胞)により提示される。ある実施態様において、抗原受容体は、MHCにより提示される抗原のエピトープに結合するTCRである。ある実施態様において、TCRの結合は、抗原提示細胞などの細胞により提示される抗原に対してT細胞により発現されおよび/またはT細胞に存在するとき、該T細胞の刺激、プライミングおよび/または拡大をもたらす。ある実施態様において、TCRの結合は、罹患細胞に提示される抗原に対してT細胞により発現されおよび/またはT細胞に存在するとき、罹患細胞の細胞溶解および/またはアポトーシスをもたらし、ここで、該T細胞は、好ましくは細胞毒性因子、例えば、パーフォリンおよびグランザイムを遊離する。
ある実施態様において、抗原受容体は、抗原のエピトープに結合する抗体またはB細胞受容体である。ある実施態様において、抗体またはB細胞受容体は、抗原の天然エピトープに結合する。
用語「細胞表面に発現」または「細胞表面と結合」は、抗原などの分子は細胞の原形質膜と結合し、そこに位置することを意味し、ここで、分子の少なくとも一部は、該細胞の細胞外空間に面し、例えば、細胞の外に位置する抗体により、該細胞の外側からアクセス可能である。この状況で、一部は、例えば、少なくとも4、少なくとも8、少なくとも12または少なくとも20アミノ酸であり得る。結合は直接でも間接でもよい。例えば、結合は1以上の膜貫通ドメイン、1以上の脂質アンカーによるものであるかまたは任意の他のタンパク質、脂質、糖または細胞の原形質膜の外葉に見られ得る他の構造との相互作用によるものであり得る。例えば、細胞の表面と結合する分子は、細胞外部分を有する膜貫通タンパク質であってよくまたは膜貫通タンパク質である他のタンパク質との相互作用により細胞の表面と結合するタンパク質であってよい。
「細胞表面」または「細胞の表面」は、当分野におけるその通常の意味に従い使用し、故に、タンパク質および他の分子による結合に対してアクセス可能である細胞の外側を含む。抗原は、該細胞の表面に位置するならば、細胞の表面に発現され、例えば、細胞に添加された抗原特異的抗体による結合に対してアクセス可能である。ある実施態様において、細胞の表面に発現される抗原は、CARにより認識され得る細胞外部分を有する必須膜タンパク質である。
本発明の状況における用語「細胞外部分」または「エキソドメイン」は、細胞の細胞外空間に面し、好ましくは、例えば、細胞の外側に位置する抗体などの分子の結合により、該細胞の外側からアクセス可能であるタンパク質などの分子の一部である。ある実施態様において、本用語は、1以上の細胞外ループまたはドメインまたはそのフラグメントをいう。
用語「T細胞」および「Tリンパ球」は、ここでは相互交換可能に使用され、Tヘルパー細胞(CD4+ T細胞)および細胞溶解T細胞を含む細胞毒性T細胞(CTL、CD8+ T細胞)を含む。用語「抗原特異的T細胞」または類似の用語は、特に、MHC分子により、抗原提示細胞または癌細胞などの罹患細胞の表面に提示されたとき、T細胞は標的とし、好ましくはT細胞のエフェクター機能を発揮する、抗原を認識するT細胞に関する。T細胞は、該細胞が抗原を発現する標的細胞を殺すならば、抗原に特異的と考えられる。T細胞特異性は、多様な標準技術の何れか、例えば、クロム放出アッセイまたは増殖アッセイを使用して評価し得る。あるいは、リンホカイン(例えばインターフェロン-γ)の合成を測定できる。本発明のある実施態様において、RNA(特にmRNA)は少なくとも1個のエピトープをコードする。
用語「標的」は、細胞免疫応答などの免疫応答の標的である、細胞または組織などの因子を意味する。標的は、抗原または抗原エピトープ、すなわち、抗原に由来するペプチドフラグメントを提示する細胞である。ある実施態様において、標的細胞は、抗原を発現し、好ましくは該抗原をクラスI MHCと提示する細胞である。
「抗原プロセシング」は、抗原を、該抗原のフラグメントであるプロセシング生成物に分解し(例えば、タンパク質をペプチドに分解)、これらフラグメントの1以上とMHC分子を関連させて(例えば、結合による)、特異的T細胞に対して細胞、好ましくは抗原提示細胞により提示させることをいう。抗原提示細胞は、プロフェッショナル抗原提示細胞と非プロフェッショナル抗原提示細胞に区別できる。
「抗原応答性CTL」は、抗原提示細胞の表面にクラスI MHCと提示される抗原または該抗原に由来するペプチドに応答性であるCD8 T細胞を意味する。
本開示によると、CTL応答性は、持続的カルシウム流動、細胞分裂、IFN-γおよびTNF-αなどのサイトカインの産生、CD44およびCD69などの活性化マーカーの上方制御ならびに腫瘍抗原発現標的細胞の特異的細胞溶解による死滅を含む。CTL応答性はまたCTL応答性を正確に示す人工レポーターの使用によっても決定できる。
用語「免疫応答」および「免疫反応」は、その慣用の意味でここでは相互交換可能に使用し、抗原に対する統合された身体応答をいい、細胞免疫応答、液性免疫応答または両方をいい得る。本開示によると、抗原、細胞または組織などの因子に関する「への免疫応答」または「に対する免疫応答」なる用語は、該因子に向かう細胞応答などの免疫応答に関する。免疫応答は、1以上の抗原に対する抗体の進展およびCD4およびCD8 Tリンパ球、例えば、CD8 Tリンパ球などの抗原特異的Tリンパ球の拡大からなる群から選択される1以上の反応を含み得て、インビトロで種々の増殖またはサイトカイン産生試験で検出され得る。
本発明の状況における用語「免疫応答の誘導」および「免疫応答の誘発」および類似の用語は、細胞免疫応答、液性免疫応答または両方の誘導などの免疫応答の誘導をいう。免疫応答は保護/予防/防止的および/または治療的であり得る。免疫応答はあらゆる免疫原または抗原または抗原ペプチド、好ましくは腫瘍関連抗原または病原体関連抗原(例えば、ウイルス(例えばインフルエンザウイルス(A、BまたはC)、CMVまたはRSV)の抗原)に対するものであり得る。この状況で「誘導」は、誘導前特定の抗原または病原体に対する免疫応答はなかったことを意味し得るだけでなく、誘導前に特定の抗原または病原体に対する一定レベルの免疫応答はあり、該免疫応答は増強されることも意味し得る。故に、この状況で「免疫応答の誘導」は「免疫応答の増強」も含む。ある実施態様において、個体における免疫応答の誘導後、該個体は感染性疾患または癌性疾患などの疾患の発症から保護されるかまたは疾患状態は免疫応答の誘導により軽減される。
用語「細胞免疫応答」、「細胞応答」、「細胞介在免疫」または類似の用語は、クラスIまたはクラスII MHCとの抗原発現および/または抗原により特徴づけられる細胞に対する細胞応答を含むことを意味する。細胞応答は、「ヘルパー」または「キラー」として働き得るT細胞またはTリンパ球と称される細胞に関する。ヘルパーT細胞(CD4 T細胞とも称される)は、免疫応答の制御により中心的役割を有し、キラー細胞(細胞毒性T細胞、細胞溶解T細胞、CD8 T細胞またはCTLとも称される)は、罹患細胞などの細胞を殺す。
用語「液性免疫応答」は、抗体が、最終的に中和および/または排除される、因子および生物に応答して産生される生存生物における過程をいう。抗体応答の特異性は、単一特異性の抗原に結合する膜関連受容体を介してTおよび/またはB細胞により介在される。適切な抗原の結合および種々の他の活性化シグナルの受信後、Bリンパ球が分裂し、記憶B細胞ならびに各々抗原受容体により認識されたとおり同一抗原性エピトープを認識する抗体を産生する抗体分泌形質細胞クローンを産生する。記憶Bリンパ球は、特異的抗原によりその後活性化されるまで休止状態のままである。これらのリンパ球は、記憶の細胞基盤および特異的抗原に再暴露されたとき抗体応答の結果的な漸増を提供する。
ここで使用する用語「抗体」は、抗原のエピトープに特異的に結合できる免疫グロブリン分子をいう。特に、用語「抗体」は、ジスルフィド結合により相互結合された少なくとも2個の重(H)鎖および2個の軽(L)鎖を含む糖タンパク質をいう。用語「抗体」は、モノクローナル抗体、組み換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体および前記の何れかの組み合わせをいう。各重鎖は重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)からなる。各軽鎖は軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域(CL)からなる。可変領域および定常領域はここではそれぞれ可変ドメインおよび定常ドメインとも称する。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存された領域は散在する、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分化し得る。各VHおよびVLは3個のCDRおよび4個のFRからなり、アミノ末端からカルボキシ末端方向で次の順番で配置される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。VHのCDRはHCDR1、HCDR2およびHCDR3と称され、VLのCDRはLCDR1、LCDR2およびLCDR3と称される。重鎖および軽鎖可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は重鎖定常領域(CH)および軽鎖定常領域(CL)を含み、ここで、CHは定常ドメインCH1、ヒンジ領域および定常ドメインCH2およびCH3にさらに細分化され得る(アミノ末端からカルボキシ末端方向で次の順番で配置される:CH1、CH2、CH3)。抗体の定常領域は、免疫グロブリンと、種々の免疫系の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第一成分(C1q)を含む宿主組織または因子の結合を介在し得る。抗体は、天然源または組み換え源由来のインタクト免疫グロブリンであってよく、インタクト免疫グロブリンの免疫活性部分であってよい。抗体は、典型的に免疫グロブリン分子の四量体である。抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、FabおよびF(ab)ならびに一本鎖抗体およびヒト化抗体を含む、多様な形態で存在し得る。
用語「免疫グロブリン」は、抗体またはB細胞受容体(BCR)などの抗原受容体などの、免疫グロブリンスーパーファミリーのタンパク質に関する。免疫グロブリンは、特徴的免疫グロブリン(Ig)折り畳みを有する構造ドメイン、すなわち、免疫グロブリンドメインにより特徴づけられる。本用語は、膜結合免疫グロブリンならびに可溶性免疫グロブリンを含む。膜結合免疫グロブリンは表面免疫グロブリンまたは膜免疫グロブリンとも称され、一般にBCRの一部である。可溶性免疫グロブリンは、一般に抗体と称される。免疫グロブリンは、一般に数鎖、典型的にジスルフィド結合により連結された2個の同一重鎖および2個の同一軽鎖からなる。これらの鎖は、主にV(可変軽鎖)ドメイン、C(定常軽鎖)ドメイン、V(可変重鎖)ドメインおよびC(定常重鎖)ドメインC1、C2、C3およびC4などの免疫グロブリンドメインからなる。5タイプの哺乳動物免疫グロブリン重鎖、すなわち、α、δ、ε、γおよびμからなり、抗体の異なるクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMを担う。可溶性免疫グロブリンの重鎖とは逆に、膜または表面免疫グロブリンの重鎖は、カルボキシ末端に膜貫通ドメインおよび短細胞質ドメインを含む。哺乳動物において、2タイプの軽鎖、すなわち、ラムダおよびカッパはある。免疫グロブリン鎖は可変領域および定常領域を含む。定常領域は本質的に免疫グロブリンの種々のアイソタイプ内で保存されており、ここで、可変部分は高度に多様性であり、抗原認識を担う。
用語「ワクチン接種」および「免疫化」は、治療または予防理由のために個体を処置する過程をいい、ここに記載するとおり、1以上の免疫原または抗原またはその誘導体を、特にそれをコードするRNA(特にmRNA)の形態で個体に投与し、該1以上の免疫原または抗原または該1以上の免疫原または抗原の提示により特徴づけられる細胞に対する免疫応答を刺激することに関する。
「抗原の提示により特徴づけられる細胞」または「抗原を提示する細胞」または「抗原提示細胞表面上に抗原を提示するMHC分子」または類似の表現は、罹患細胞、特に腫瘍細胞または感染細胞または抗原提示細胞などの細胞は、抗原または抗原ペプチドを、直接またはプロセシング後、MHC分子、好ましくはMHCクラスIおよび/またはMHCクラスII分子、最も好ましくはMHCクラスI分子により提示することを意味する。
本発明の状況において、用語「転写」は、DNA配列の遺伝子コードはRNA(特にmRNA)に転写される過程に関する。その後、RNA(特にmRNA)はペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質に翻訳され得る。
RNAに関して、用語「発現」または「翻訳」は、mRNAの鎖はアミノ酸の配列の集合を指示し、ペプチドまたはタンパク質を製造する、細胞のリボソームにおける過程に関する。
ここに記載する医薬製剤、特にキットは、指示材または指示を含み得る。ここで使用する「指示材」または「指示」は、本発明の組成物および方法の有用性の伝達に使用できる、刊行物、レコーディング、図表または表現のための何らかの他の媒体を含む。本発明のキットの指示材は、例えば、本発明の組成物を含むコンテナに添付されまたは組成物を含むコンテナと共に輸送されることができる。あるいは、指示材は、指示材および組成物はレシピエントにより協調的に使用されることを意図して、コンテナと別に輸送され得る。
ここで使用する用語「任意的」または「所望により」は、その後に記載されている事象、状況または状態が起きても起きなくてもよいことを意味し、この記載は、該事象、状況または状態が起こる場合および起こらない場合を含む。
ここに記載する特定の化合物のプロドラッグは、個体への投与により、生理学的条件下化学変換を受けて、特定の化合物をもたらす化合物をいう。さらに、プロドラッグは、エクスビボ環境で化学的または生化学的方法で特定の化合物に変換され得る。例えば、プロドラッグは、例えば、適当な酵素または化学試薬と共に経皮パッチリザーバーに入れたとき、特定の化合物にゆっくり変換され得る。プロドラッグの例は、インビボで加水分解可能なエステル(特定の化合物に含まれるアルコールまたはカルボキシ基使用)またはアミド(特定の化合物に含まれるアミノまたはカルボキシ基使用)である。具体的に、特定の化合物に含まれ、少なくとも1個の水素原子を有するあらゆるアミノ基は、プロドラッグ形態に変換され得る。典型的N-プロドラッグ形態は、カルバメート、マンニッヒ塩基、エナミンおよびエナミノンを含む。
本明細書において、化合物の構造式は、該化合物のある異性体を表し得る。しかしながら、本発明は、構造的に生ずる幾何異性体、不斉炭素光に基づく学異性体、立体異性体、互変異性体などの全異性体および異性体混合物を含み、式の記載に限定されないことは理解される。さらに、本明細書において、化合物の構造式は、該化合物の特定の塩および/または溶媒和物を示し得る。しかしながら、本発明は全ての塩(例えば、薬学的に許容される塩)および溶媒和物(例えば、水和物)を含み、特定の塩および/または溶媒和物の記載に限定されないことは理解される。
「異性体」は、同じ分子式を有するが、構造(「構造異性体」)または官能基および/または原子の幾何(空間)位置(「立体異性体」)は異なる化合物である。「エナンチオマー」は、互いに重なり合わない鏡像である立体異性体の対である。「ラセミ混合物」または「ラセミ体」は、等量でエナンチオマーの対を含み、接頭辞(±)により示される。「ジアステレオマー」は、重なり合わず、互いに鏡像ではない立体異性体である。「互変異性体」は、自発的にかつ、純粋であっても、個々の原子または原子の基の移動により互いに可逆性に相互変換される、同じ化学物質の構造異性である;すなわち、互変異性体は、互いに動的化学平衡にある。互変異性体の例は、ケト-エノール-互変異性の異性体である。「立体構造異性体」は、形式上単結合に対する単なる回転により相互変換され得る立体異性体であり - 特に - シクロヘキサンのいす形、半いす形、舟形およびねじれ舟形などの異なる3次元形態の(ヘテロ)環状環に至るものである。
ここで使用する用語「溶媒和物」は、溶媒(例えば有機溶媒(例えば、脂肪族アルコール(例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール)、アセトン、アセトニトリル、エーテルなど)、水またはこれら液体の2以上の混合物)における溶解物質の付加複合体をいい、ここで、付加複合体は結晶または混合結晶の形態で存在する。付加複合体に含まれる溶媒の量は、化学量論的または非化学量論的であり得る。「水和物」は、溶媒は水である溶媒和物である。
同位体標識された化合物において、1以上の原子は同じプロトン数を有するが、中性子数は異なる対応する原子に置き換えられる。例えば、水素原子は、重水素またはトリチウム原子に置き換えられ得る。本発明で使用できる同位体の例は、重水素、トリチウム、11C、13C、14C、15N、18F、32P、32S、35S、36Clおよび125Iを含む。
用語「平均直径」は、動的光散乱法(DLS)により測定した粒子の平均流体力学直径をいい、いわゆるキュムラントアルゴリズムを使用してデータ解析し、結果として、いわゆるZ平均と長さの寸法および大きさのない多分散性指数(PDI)を提供する(Koppel, D., J. Chem. Phys. 57, 1972, pp 4814-4820, ISO 13321)。ここで、粒子の「平均直径」、「直径」または「サイズ」は、このZ平均値と同義的に使用する。
ある実施態様において、「多分散性指数」は、「平均直径」の定義に記載したとおり、いわゆるキュムラント解析による動的光散乱法測定値に基づき、計算される。ある必要条件下、ナノ粒子のアンサンブルのサイズ分布の測定値として解釈され得る。
回転軸に対する粒子の「回転半径」(ここではRと略す)は、粒子の全質量は濃縮されていると仮定して、ある軸に対するその慣性モーメントは、その実際の質量分布と同じである、回転軸からの点の半径方向距離である。数学上、Rは重心またはある軸からの粒子の成分の二乗平均平方根距離である。例えば、重心から固定距離sに位置する、質量m(i=1、2、3、・・・、n)のn質量要素からなる巨大分子について、Rは、全質量要素にわたるs の質量平均の平方根であり、次のとおり、計算できる。
回転半径は、例えば、光散乱法の使用により実験的に決定またはケイ酸できる。特に、小散乱ベクター
について、構造関数Sは次のとおり定義される:
〔式中、Nは成分数である(ギニエ則)。〕。
粒子の定量的サイズ分布に関連して、「D10値」は、粒子の10%はこの値未満の直径を有する、直径である。D10値は、粒子集団内(例えばフィールド・フロー・フラクショネーションにより得た粒子ピーク内)の最小粒子径の割合をいう手段である。
粒子の定量的サイズ分布に関連して、「D50値」は、粒子の50%はこの値未満の直径を有する、直径である。D50値は、粒子集団内(例えばフィールド・フロー・フラクショネーションにより得た粒子ピーク内)の平均粒子径の集団をいう手段である。
粒子の定量的サイズ分布に関連して、「D90値」は、粒子の90%はこの値未満の直径を有する、直径である。「D95」、「D99」および「D100」値は対応する意味を有する。D90、D95、D99およびD100値は、粒子集団内(例えばフィールド・フロー・フラクショネーションにより得た粒子ピーク内)の大型粒子の割合をいう手段である。
粒子の「流体力学半径」(「ストークス半径」または「ストークス・アインシュタイン半径」と称することもある)は、該粒子と同じ速度で拡散する仮定上の剛球の半径である。流体力学半径は、サイズだけでなく、溶媒効果も考慮に入れた、粒子の移動性に関する。例えば、水和は強い小さな荷電粒子は、水和は弱い大型荷電粒子より大きな流体力学半径を有し得る。これは、小さな粒子は溶液を移動する際引きずる水分子の数は多いためである。溶媒中の粒子の実際の寸法は直接測定不可能であるため、流体力学半径は、ストークス・アインシュタイン式により定義され得る:
〔式中、kはボルツマン定数であり;Tは温度であり;ηは溶媒の粘性であり;そしてDは拡散係数である。〕。拡散係数は、例えば、動的光散乱法(DLS)の使用により実験的に決定され得る。故に、粒子または粒子の集団(例えばここに開示する製剤または組成物に含まれるLNPなどの粒子の流体力学半径またはそのような製剤または組成物をフィールド・フロー・フラクショネーションに付して得られる粒子ピークの流体力学半径)の流体力学半径を決定するある法オフは、該粒子または粒子の集団のDLSシグナル(例えばここに開示する製剤または組成物に含まれるLNPなどの粒子のDLSシグナルまたはそのような製剤または組成物をフィールド・フロー・フラクショネーションに付して得られる粒子ピークのDLSシグナル)の測定である。
ここで使用する用語「凝集体」は粒子の集団に関し、ここで、粒子は同一であるかまたは極めて類似し、互いに非共有結合(例えば、イオン相互作用、H架橋相互作用、双極子相互作用および/またはファン・デル・ワールス相互作用)で接着する。
ここで使用する表現「光散乱法」は、光は通過する媒体における局在化非均一性のために、光を、1以上の通路で直線軌道から逸脱させる物理的過程をいう。
用語「UV」は紫外線を意味し、10nm~400nmの波長、すなわち、可視光より短いは、X線より長い電磁スペクトルのバンドをいう。
ここで使用する表現「多角度光散乱法」または「MALS」は、サンプルにより複数の角度に散乱された光の測定の技術に関する。「多角度」は、これに関して、散乱光は、例えば、選択した特定の角度を含む範囲にわたり移動する1個の検出器または特定の角度位置に固定された一連の検出器により、測定される異なる別々の角度で検出され得ることを意味する。ある好ましい実施態様において、MALSで使用する光源はレーザー源である(MALLS:多角度レーザー光散乱法)。粒子を含む組成物のMALSシグナルに基づき、適切な定式化(例えば、Zimmプロット、BerryプロットまたはDebyeプロット)の使用により、該粒子の回転半径(R)、故に、サイズを決定することが可能である。好ましくは、Zimmプロットは、次の式を使用する図示である:
〔式中、cは溶媒中の粒子の質量濃度(g/mL)であり;Aは第二ビリアル係数(mol・mL/g)であり;P(θ)は散乱光強度の角度への依存に関連する形状因子であり;Rθは過剰レイリー比(cm-1)であり;そしてK*は、4πη(dn/dc)λ -4 -1に等しい光学定数であり、ここで、ηは入射放射(真空)波長での溶媒の屈折率であり、λは入射放射(真空)波長(nm)であり、NAはアボガドロ数(mol-1)であり、そしてdn/dcは示差的屈折率増分(mL/g)である。〕(例えば、Buchholz et al. (Electrophoresis 22 (2001), 4118-4128); B.H. Zimm (J. Chem. Phys. 13 (1945), 141; P. Debye (J. Appl. Phys. 15 (1944): 338;およびW. Burchard (Anal. Chem. 75 (2003), 4279-4291参照)。好ましくは、Berryプロットは次の項またはその逆数で計算される:
〔式中、c、RθおよびKは上に定義したとおりである。〕。好ましくは、Debyeプロットは次の項またはその逆数で計算される:
〔式中、c、RθおよびKは上に定義したとおりである。〕。
ここで使用する表現「動的光散乱法」または「DLS」は、特に粒子の流体力学半径に関連して、粒子のサイズおよびサイズ分布プロファイルを決定するための技術をいう。単色光源、通常レーザーを、偏光子をとおし、サンプルに照射する。その後、散乱光は第二偏光子をとおり、そこで、検出され、得られた像はスクリーンに投影される。溶液中の粒子は光で照射され、全方向に光を回折させる。粒子から回折された光は、建設的に(明領域)または破壊的に(暗領域)干渉され得る。この過程を短時間間隔で繰り返し、得られた斑点パターンのセットを、経時的に各スポットの光強度を比較するオートコリレータにより分析する。
ここで使用する表現「静的光散乱法」または「SLS」は、特に、粒子の回転半径および/または粒子のモル質量に関する、粒子のサイズおよびサイズ分布プロファイルを決定する技術をいう。高強度単色光、通常レーザーを、粒子を含む溶液に発射する。1個または多数の検出器を使用して、1個または多数の角度での散乱強度を測定する。角度依存性は、全巨大分子のモル質量および半径のサイズ両方の正確な測定値を得るために必要である。故に、多角度光散乱法(MALS)または多角度レーザー光散乱法(MALLS)として知られる、入射光の方向に対して数角度での同時測定は、一般に静的光散乱法の標準的実施としてみなされる。
核酸
用語「核酸」は、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、それらの組み合わせおよびそれらの修飾形態を含む。本用語は、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、組み換えにより産生したおよび化学合成した分子を含む。核酸は、一本鎖または二本鎖および線形または共有結合で閉環した分子として存在し得る。核酸は単離され得る。用語「単離核酸」は、本発明によると、核酸は(i)例えばDNAについてはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)でインビトロで増幅されたまたはRNAについてはインビトロ転写された(例えば、RNAポリメラーゼを使用)、(ii)クローニングにより組み換え産生された、(iii)例えば、ゲル電気泳動による切断および分離により精製されたまたは(iv)例えば、化学合成により合成されたものであることを意味する。
用語「ヌクレオシド」(ここでは「N」と略す)は、リン酸基を伴わないヌクレオチドと考えられ得る化合物に関する。ヌクレオシドは、糖(例えば、リボースまたはデオキシリボース)に連結した核酸塩基であるが、ヌクレオチドはヌクレオシドおよび1以上のリン酸基からなる。ヌクレオシドの例は、シチジン、ウリジン、シュードウリジン、アデノシンおよびグアノシンを含む。
通常天然に存在する核酸を構成する5種の標準ヌクレオシドは、ウリジン、アデノシン、チミジン、シチジンおよびグアノシンである。5種のヌクレオシドは、通常それぞれ1文字コードU、A、T、CおよびGと略される。しかしながら、チミジンは、ウリジンに見られるリボフラノース環ではなく、2’-デオキシリボフラノース部分を含むため、「dT」(「d」は「デオキシ」を表す)と表記されるのはより一般的である。これは、チミジンがデオキシリボ核酸(DNA)に見られ、リボ核酸(RNA)に見られないためである。逆に、ウリジンはRNAに見られ、DNAに見られない。残りの3種のヌクレオシドはRNAおよびDNA両方に見られ得る。RNAにおいて、それらはA、CおよびGと表され、一方DNAにおいては、dA、dCおよびdGと表される。
修飾プリン(AまたはG)またはピリミジン(C、TまたはU)塩基部分は、好ましくは1以上のアルキル基、より好ましくは1以上のC1-4アルキル基、さらにより好ましくは1以上のメチル基により修飾される。修飾プリンまたはピリミジン塩基部分の具体例はN-アルキル-グアニン、N-アルキル-アデニン、5-アルキル-シトシン、5-アルキル-ウラシルおよびN(1)-アルキル-ウラシル、例えばN-C1-4アルキル-グアニン、N-C1-4アルキル-アデニン、5-C1-4アルキル-シトシン、5-C1-4アルキル-ウラシルおよびN(1)-C1-4アルキル-ウラシル、好ましくはN-メチル-グアニン、N-メチル-アデニン、5-メチル-シトシン、5-メチル-ウラシルおよびN(1)-メチル-ウラシルを含む。
ここで、用語「DNA」は、デオキシリボヌクレオチド残基を含む核酸分子に関する。好ましい実施態様において、DNAは全てまたは大多数のデオキシリボヌクレオチド残基を含む。ここで使用する「デオキシリボヌクレオチド」は、β-D-リボフラノシル基の2’位にヒドロキシル基を欠くヌクレオチドをいう。DNAは、二本鎖DNA、一本鎖DNA、単離DNA例えば、部分的に精製されたDNA、本質的に純粋なDNA、合成DNA、組み換えにより産生したDNAならびに天然に存在するDNAと1以上のヌクレオチドの付加、欠失、置換および/または改変により異なる修飾DNAを含むが、これらに限定されない。このような改変は、内部DNAヌクレオチドまたはDNAの末端への非ヌクレオチド物質の付加をいい得る。DNAにおけるヌクレオチドは、化学合成したヌクレオチドまたはリボヌクレオチドなどの非標準ヌクレオチドであり得ることもここで意図される。本発明に関して、これらの改変DNAは、天然に存在するDNAのアナログと考えられる。分子は、分子におけるデオキシリボヌクレオチド残基の含量が、分子における総ヌクレオチド残基数に基づき50%を超える(例えば少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%)ならば、「大多数のデオキシリボヌクレオチド残基」を含む。分子におけるヌクレオチド残基の総数は、全ヌクレオチド残基の総和である(ヌクレオチド残基は標準(すなわち、天然に存在する)ヌクレオチド残基であるかまたはそのアナログであるかは無関係)。
DNAは組み換えDNAであってよく、核酸、特にcDNAのクローニングにより得ることができる。cDNAは、RNAの逆転写により得ることができる。
RNA
本発明によると、用語「RNA」は、リボヌクレオチド残基を含む核酸分子を意味する。好ましい実施態様において、RNAは全てまたは大多数のリボヌクレオチド残基を含む。ここで使用する「リボヌクレオチド」は、β-D-リボフラノシル基の2’位にヒドロキシル基を有するヌクレオチドをいう。RNAは、二本鎖RNA、一本鎖RNA、単離RNA例えば、部分的に精製されたRNA、本質的に純粋なRNA、合成RNA、組み換えにより産生したRNAならびに天然に存在するRNAと1以上のヌクレオチドの付加、欠失、置換および/または改変により異なる修飾RNAを含むが、これらに限定されない。このような改変は、内部RNAヌクレオチドまたはRNAの末端への非ヌクレオチド物質の付加を言い得る。RNAにおけるヌクレオチドは、化学合成したヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドなどの非標準ヌクレオチドであり得ることもここで意図される。本発明に関して、これらの改変/修飾ヌクレオチドは天然に存在するヌクレオチドのアナログと称することはでき、このような改変/修飾ヌクレオチドを含む対応するRNA(すなわち、改変/修飾RNA)は天然に存在するRNAのアナログと称することができる。分子は、分子におけるリボヌクレオチド残基の含量が、分子における総ヌクレオチド残基数に基づき、50%を超える(例えば少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%)ならば、「大多数のリボヌクレオチド残基」を含む。分子におけるヌクレオチド残基の総数は、全ヌクレオチド残基の総和である(ヌクレオチド残基は標準(すなわち、天然に存在する)ヌクレオチド残基であるかまたはそのアナログあるかは無関係)。
「RNA」は、mRNA、tRNA、リボソームRNA(rRNA)、小核RNA(snRNA)、自己増幅RNA(saRNA)、一本鎖RNA(ssRNA)、dsRNA、阻害性RNA(例えばアンチセンスssRNA、小干渉RNA(siRNA)またはマイクロRNA(miRNA))、活性化RNA(例えば小活性化RNA)および免疫刺激性RNA(isRNA)を含む。ある実施態様において、「RNA」はmRNAをいう。
好ましい実施態様において、RNAは、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む。
ここで使用する用語「インビトロ転写」または「IVT」は、転写(すなわち、RNAの産生)が無細胞様式で実施されることを意味する。すなわち、IVTは生存/培養細胞ではなく、細胞から抽出した転写機構(例えば、RNAポリメラーゼ(好ましくはT7、T3またはSP6ポリメラーゼ)を含む細胞ライセートまたはその単離成分)を使用する。
mRNA
本発明の全態様のある実施態様において、RNAはmRNAである。
本発明によると、用語「mRNA」は「メッセンジャーRNA」を意味し、DNA鋳型を使用して産生され得る「複写物」を含む。一般に、mRNAは、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする。典型的に、mRNAは、5’-UTR、ペプチド/タンパク質コード領域および3’-UTRを含む。本発明の状況において、mRNAは、好ましくはDNA鋳型からのインビトロ転写(IVT)により産生される。上記のとおり、インビトロ転写方法は当業者に知られ、多様なインビトロ転写キットが市販されている。
mRNAは一本鎖であるが、自己相補的配列を含み得て、mRNAの一部は折り畳まれ、それ自体と対合して、二重螺旋を形成することができる。
本発明によると、「dsRNA」は二本鎖RNAを意味し、2個の部分的にまたは完全に相補的な鎖を有するRNAである。
本発明の好ましい実施態様において、mRNAは、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードするRNA複写物に関する。
ある実施態様において、好ましくはペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードするRNAは、少なくとも45ヌクレオチド(例えば少なくとも60、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも700、少なくとも800、少なくとも900、少なくとも1,000、少なくとも1,500、少なくとも2,000、少なくとも2,500、少なくとも3,000、少なくとも3,500、少なくとも4,000、少なくとも4,500、少なくとも5,000、少なくとも6,000、少なくとも7,000、少なくとも8,000、少なくとも9,000ヌクレオチド)、好ましくは最大15,000、例えば最大14,000、最大13,000、最大12,000ヌクレオチド、最大11,000ヌクレオチドまたは最大10,000ヌクレオチドの長さを有する。
当分野で確立されているとおり、RNA(例えばmRNA)は、一般に5’非翻訳領域(5’-UTR)、ペプチド/ポリペプチド/タンパク質コード領域および3’非翻訳領域(3’-UTR)を含む。ある実施態様において、RNA(例えばmRNA)はインビトロ転写または化学合成により産生される。ある実施態様において、RNA(例えばmRNA)は、DNA鋳型を使用するインビトロ転写により産生される。インビトロ転写方法は当業者に知られる;例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, J. Sambrook et al. eds., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor 1989参照。さらに、多様なインビトロ転写キット、例えば、Thermo Fisher Scientific(例えばTranscriptAidTM T7キット、MEGAscript(登録商標)T7キット、MAXIscript(登録商標))、New England BioLabs Inc. (例えばHiScribeTM T7キット、HiScribeTM T7 ARCA mRNAキット)、Promega(例えばRiboMAXTM、HeLaScribe(登録商標)、Riboprobe(登録商標)系)、Jena Bioscience(例えばSP6またはT7転写キット)およびEpicentre(例えばAmpliScribeTM)からは市販されている。修飾RNA(例えばmRNA)を提供するために、修飾されている天然に存在するヌクレオチド、天然に存在しないヌクレオチドおよび/または修飾されている天然に存在しないヌクレオチドなどの、対応して修飾されているヌクレオチドを、合成(好ましくはインビトロ転写)中に組み込むことができまたは修飾を転写後mRNAに実施および/または付加し得る。
ある実施態様において、RNA(例えばmRNA)はインビトロ転写RNA(IVT-RNA)であり、適切なDNA鋳型のインビトロ転写により得ることができる。転写制御のためのプロモーターは、任意のRNAポリメラーゼのための任意のプロモーターであり得る。RNAポリメラーゼの具体例は、T7、T3およびSP6 RNAポリメラーゼである。好ましくは、インビトロ転写はT7またはSP6プロモーターにより制御される。インビトロ転写のためのDNA鋳型は、核酸、特にcDNAをクローニングし、それをインビトロ転写のための適切なベクターに導入することにより、得ることができる。cDNAは、RNAの逆転写により得ることができる。
本発明のある実施態様において、RNA(例えばmRNA)は、「レプリコンRNA」(例えば「レプリコンmRNA」)または単に「レプリコン」、特に「自己複製RNA」(例えば「自己複製mRNA」)または「自己増幅RNA」(または「自己増幅mRNA」)である。ある特に好ましい実施態様において、レプリコンまたは自己複製RNA(例えば自己複製mRNA)は、ssRNAウイルス、特にプラス鎖ssRNAウイルス、例えばアルファウイルスに由来するかまたはそれに由来する要素を含む。アルファウイルスは、プラス鎖RNAウイルスの典型的代表例である。アルファウイルスは、感染細胞の細胞質で複製する(アルファウイルス生活環のレビューは、Jose et al., Future Microbiol., 2009, vol. 4, pp. 837-856参照)。多くのアルファウイルスの総ゲノム長は、典型的に11,000~12,000ヌクレオチドの範囲であり、ゲノムRNAは典型的に5’キャップおよび3’ポリ(A)テイルを含む。アルファウイルスのゲノムは、非構造タンパク質(ウイルスRNAの転写、修飾および複製ならびにタンパク質修飾に関与)および構造タンパク質(ウイルス粒子を形成)をコードする。ゲノムに典型的に2個のオープンリーディングフレーム(ORF)はある。4個の非構造タンパク質(nsP1-nsP4)は、典型的にゲノムの5’末端近辺から開始される第一ORFにより一緒にコードされ、一方アルファウイルス構造タンパク質は、第一ORFの下流に見られ、ゲノムの3’末端近辺まで伸びる第二ORFにより一緒にコードされる。典型的に、第一ORFは第二ORFより大きく、おおよそ2:1の比である。アルファウイルスにより感染された細胞において、非構造タンパク質をコードする核酸配列のみはゲノムRNAから翻訳され、構造タンパク質をコードする遺伝情報は、真核生物メッセンジャーRNAを模倣するRNA分子であるサブゲノム複写物から翻訳可能である(mRNA; Gould et al., 2010, Antiviral Res., vol. 87 pp. 111-124)。感染後、すなわちウイルス生活環の早期段階で、(+)鎖ゲノムRNAは、直接非構造ポリタンパク質(nsP1234)をコードするオープンリーディングフレームの翻訳のためのメッセンジャーRNAのように作用する。アルファウイルス由来ベクターは、標的細胞または標的生物への外来遺伝情報の送達のために提案されている。単純なアプローチにおいて、アルファウイルス構造タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを、目的のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームに置き換える。アルファウイルスベースのトランス複製系は、一方の核酸分子はウイルスレプリカーゼをコードし、他方の核酸分子は該レプリカーゼによりトランスで複製され得る2個の別の核酸分子におけるアルファウイルスヌクレオチド配列要素に依存する(故に命名トランス複製系)。トランス複製は、ある宿主細胞におけるこれら核酸分子両方の存在を必要とする。レプリカーゼによりトランスで複製され得る核酸分子は、アルファウイルスレプリカーゼにより認識され、RNA合成させるために、あるアルファウイルス配列要素を含まなければならない。
本発明のある実施態様において、ここに記載する(例えば、本発明の組成物に含まれるおよび/または本発明の方法で使用される)RNA(例えばmRNA)は、例えば、安定性増加および/または翻訳効率増加および/または免疫原性減少および/または細胞毒性減少のために、1以上の修飾を含む。例えば、RNA(例えばmRNA)の発現を増加させるために、コード領域、すなわち、発現ペプチドまたはタンパク質をコードする配列内を、好ましくは発現ペプチドまたはタンパク質の配列を変えることなく、修飾し得る。このような修飾は、例えば、WO2007/036366およびPCT/EP2019/056502に記載され、次のものを含む:5’キャップ構造;天然に存在するポリ(A)テイルの伸長または短縮化;5’-および/または3’非翻訳領域(UTR)の改変、例えば該RNAのコード領域と無関係のUTRの導入;1以上の天然に存在するヌクレオチドの合成ヌクレオチドでの置き換え;およびコドン最適化(例えば、RNAのGC含量を変える、好ましくは増加するため)。本発明の修飾mRNAの状況における用語「修飾」は、好ましくは該RNA(例えばmRNA)に天然に存在しない、mRNAのあらゆる修飾に関する。
ある実施態様において、ここに記載するRNA(例えばmRNA)は5’キャップ構造を含む。ある実施態様において、mRNAは、キャップのない5’-三リン酸を含まない。ある実施態様において、ここに記載するRNA(例えばmRNA)は、慣用の5’キャップおよび/または5’キャップアナログを含み得る。用語「慣用の5’キャップ」は、mRNA分子の5’末端に見られるキャップ構造をいい、一般に三リン酸部分を介してmRNAの隣接ヌクレオチドの5’末端に結合するグアノシン5’-三リン酸(Gppp)からなる(すなわち、グアノシンは、mRNAの残りに5’→5’三リン酸結合を介して結合する)。グアノシンは、位置Nでメチル化されていてよい(キャップ構造mGpppとなる)。用語「5’キャップアナログ」は、慣用の5’キャップに基づくが、逆配向での5’キャップアナログの組込みを回避するために、mグアノシン構造の2’位または3’位は修飾されている、5’キャップをいう(このような5’キャップアナログはアンチリバースキャップアナログ(ARCA)とも称する)。特に好ましい5’キャップアナログは、PCT/EP2019/056502に記載のβ-リン酸におけるホスホロチオエート修飾5’キャップアナログ(例えばm 7,2’OG(5’)ppSp(5’)G(ベータ-S-ARCAまたはβ-S-ARCAと称する))などの、リン酸架橋における架橋および非架橋酸素に1以上の置換を有するものである。ここに記載するとおり、RNA(例えばmRNA)に5’キャップ構造を施すことは、5’キャップ構造は産生されたRNA(例えばmRNA)鎖に共転写的に組み込まれる対応する5’キャップ化合物の存在下のDNA鋳型のインビトロ転写により達成され得るかまたはRNA(例えばmRNA)を、例えば、インビトロ転写により産生してよく、5’キャップ構造を、キャッピング酵素、例えば、ワクシニアウイルスのキャッピング酵素を使用して転写後mRNAに負荷し得る。
ある実施態様において、RNA(例えばmRNA)は、m 7,2’OG(5’)ppSp(5’)G(特にそのD1ジアステレオマー)、m 7,3’OG(5’)ppp(5’)Gおよびm 7,3’-OGppp(m 2’-O)ApGからなる群から選択される5’キャップ構造を含む。ある実施態様において、抗原またはエピトープを含むペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードするRNAは、5’キャップ構造としてm 7,2’OG(5’)ppSp(5’)G(特にそのD1ジアステレオマー)を含む。
ある実施態様において、RNA(例えばmRNA)は、キャップ0、キャップ1またはキャップ2、好ましくはキャップ1またはキャップ2を含む。本発明によると、用語「キャップ0」は構造「mGpppN」を意味し、ここで、Nは2’位にOH部分を担持するあらゆるヌクレオシドである。本発明によると、用語「キャップ1」は構造「mGpppNm」を意味し、ここで、Nmは2’位にOCH部分を担持するあらゆるヌクレオシドである。本発明によると、用語「キャップ2」は構造「mGpppNmNm」を意味し、ここで、各Nmは独立して2’位にOCH部分を担持するあらゆるヌクレオシドである。
5’キャップアナログベータ-S-ARCA(β-S-ARCA)は次の構造を有する:
「ベータ-S-ARCAのD1ジアステレオマー」または「ベータ-S-ARCA(D1)」は、HPLCカラムでベータ-S-ARCAのD2ジアステレオマー(ベータ-S-ARCA(D2))と比較して速く溶出し、故に保持時間は短い、ベータ-S-ARCAのジアステレオマーである。HPLCは好ましくは分析的HPLCである。ある実施態様において、好ましくは5μm、4.6×250mm形式の、Supelcosil LC-18-T RPカラムは分離に使用され、それによって流速1.3ml/分は適用され得る。ある実施態様において、酢酸アンモニウム中メタノールの勾配、例えば、15分以内の0.05M 酢酸アンモニウム、pH=5.9中メタノールの0~25%線形勾配が使用される。UV検出(VWD)を260nmで実施でき、蛍光検出(FLD)を280nmでの励起および337nmでの検出で実施できる。
キャップ1の構成要素である5’キャップアナログm 7,3’-OGppp(m 2’-O)ApG(別名m 7,3’OG(5’)ppp(5’)m2’-OApG)は次の構造を有する:
β-S-ARCAおよびmRNAを含むキャップ0 mRNAの例は、次の構造を有する:
7,3’OG(5’)ppp(5’)GおよびmRNAを含むキャップ0 mRNAの例は、次の構造を有する:
7,3’-OGppp(m 2’-O)ApGおよびmRNAを含むキャップ1 mRNAの例は、次の構造を有する:
ここで使用する用語「ポリAテイル」または「ポリA配列」は、典型的にRNA(例えばmRNA)分子の3’末端に位置するアデニル酸残基の中断されていないまたは中断配列をいう。ポリAテイルまたはポリA配列は当業者に知られ、ここに記載するRNA(例えばmRNA)における3’-UTRに続き得る。中断されていないポリAテイルは、連続アデニル酸残基により特徴づけられる。本来、中断されていないポリAテイルは典型的だえる。ここに開示するRNA(例えばmRNA)は、転写後鋳型非依存的RNAポリメラーゼによりRNAの遊離3’末端に結合されたポリAテイルまたはDNAによりコードされ、鋳型依存性RNAポリメラーゼにより転写されたポリAテイルを有し得る。
約120個のAヌクレオチドのポリAテイルが、トランスフェクト真核生物細胞におけるmRNAレベルおよびポリAテイルの上流(5’)に存在するタンパク質レベルに有益な影響を有することが示されている(Holtkamp et al., 2006, Blood, vol. 108, pp. 4009-4017)。
ポリAテイルはどんな長さでもよい。ある実施態様において、ポリAテイルは、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも80または少なくとも100および最大500個、最大400個、最大300個、最大200または最大150個のAヌクレオチド、特に、約120個のAヌクレオチドを含む、それから本質的になるまたはそれからなる。この状況で、「本質的にからなる」は、ポリAテイルにおけるヌクレオチドの大部分、典型的にポリAテイルにおけるヌクレオチド数で少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%はAヌクレオチドであるが、残りのヌクレオチドはAヌクレオチド以外のヌクレオチド、例えばUヌクレオチド(ウリジル酸)、Gヌクレオチド(グアニル酸)またはCヌクレオチド(シチジル酸)であってよいことを意味する。この状況で、「からなる」は、ポリAテイルにおける全ヌクレオチド、すなわち、ポリAテイルにおけるヌクレオチド数で100%はAヌクレオチドであることを意味する。用語「Aヌクレオチド」または「A」はアデニル酸を意味する。
ある実施態様において、ポリAテイルはRNA転写中、例えば、インビトロ転写RNAの製造中、コード鎖に相補的な鎖に反復dTヌクレオチド(デオキシチミジル酸)を含むDNA鋳型に基づき、結合される。ポリAテイルをコードするDNA配列(コード鎖)はポリ(A)カセットと称される。
ある実施態様において、DNAのコード鎖に存在するポリ(A)カセットは、本質的にdAヌクレオチドからなるが、4ヌクレオチド(dA、dC、dGおよびdT)のランダム配列により中断されているこのようなランダム配列は5~50、10~30または10~20ヌクレオチド長であり得る。このようなカセットは、引用により本明細書に包含させるWO2016/005324A1に開示される。WO2016/005324A1に開示されるあらゆるポリ(A)カセットは本発明で使用され得る。本質的にdAヌクレオチドからなるが、4ヌクレオチド(dA、dC、dG、dT)は均等に分布したランダム配列により中断され、例えば、5~50ヌクレオチド長を有し、DNAレベルで、大腸菌におけるプラスミドDNAの一定増殖を示し、RNAレベルで、なおRNA安定性および翻訳効率の支持に関する有益な性質となお関連するポリ(A)カセットは包含される。結果として、ある実施態様において、ここに記載するRNA(特に、mRNA)分子に含まれるポリAテイルは、本質的にAヌクレオチドからなるが、4ヌクレオチド(A、C、G、U)のランダム配列により中断される。このようなランダム配列は5~50、10~30または10~20ヌクレオチド長であり得る。
ある実施態様において、Aヌクレオチド以外のヌクレオチドは3’末端でポリAテイルに隣接しておらず、すなわち、ポリAテイルはマスクされていないまたはその3’末端でA以外のヌクレオチドは続いていない。
ある実施態様において、ポリAテイルは少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも80または少なくとも100および最大500、最大400、最大300、最大200または最大150ヌクレオチドを含み得る。ある実施態様において、ポリAテイルは本質的に少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも80または少なくとも100および最大500、最大400、最大300、最大200または最大150ヌクレオチドからなり得る。ある実施態様において、ポリAテイルは少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも80または少なくとも100および最大500、最大400、最大300、最大200または最大150ヌクレオチドからなり得る。ある実施態様において、ポリAテイルは少なくとも100ヌクレオチドを含む。ある実施態様において、ポリAテイルは約150ヌクレオチドを含む。ある実施態様において、ポリAテイルは約120ヌクレオチドを含むM。ある実施態様において、ポリAテイルは配列番号14のヌクレオチド配列を含むまたはそれからなる。ある実施態様において、ポリA配列は、配列番号14のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列。を有する
ある実施態様において、本発明で使用するRNA(例えばmRNA)は5’-UTRおよび/または3’-UTRを含む。用語「非翻訳領域」または「UTR」は、転写されるが、アミノ酸配列に翻訳されないDNA分子における領域またはmRNA分子などのRNA分子における対応する領域に関する。非翻訳領域(UTR)は、オープンリーディングフレームの5’(上流)(5’-UTR)および/またはオープンリーディングフレームの3’(下流)(3’-UTR)に存在し得る。5’-UTRは、存在するならば、5’末端、タンパク質コード化領域の開始コドンの上流に位置する。5’-UTRは、5’キャップ(存在するならば)の下流である、例えば、5’キャップに直接隣接する。3’-UTRは、存在するならば、3’末端、タンパク質コード化領域の停止コドンの下流に位置するが、用語「3’-UTR」は好ましくはポリA配列を含まない。故に、3’-UTRは、ポリA配列(存在するならば)の上流、例えば、ポリA配列に直接隣接する。RNA(好ましくはmRNA)分子の3’非翻訳領域への3’-UTRの組み込みは、翻訳効率の増強をもたらし得る。2以上のこのような3’-UTRの組み込みにより、相乗的効果は達成され得る(好ましくは頭-尾配向;例えば、Holtkamp et al., Blood 108, 4009-4017 (2006)参照)。3’-UTRは、導入されるRNA(好ましくはmRNA)に対して自己でも異種でもよい。ある特定の実施態様において、3’-UTRはグロビン遺伝子またはmRNA、例えばアルファ2-グロビン、アルファ1-グロビンまたはベータ-グロビン、好ましくはベータ-グロビン、より好ましくはヒトベータ-グロビンの遺伝子またはmRNA由来である。例えば、RNA(好ましくはmRNA)は、既存の3’-UTRの、アルファ2-グロビン、アルファ1-グロビン、ベータ-グロビン、好ましくはベータ-グロビン、より好ましくはヒトベータ-グロビンなどのグロビン遺伝子由来の3’-UTRの1以上、好ましくは2コピーでの置き換えまたは挿入により修飾され得る。
ある実施態様において、本発明で使用するRNA(例えばmRNA)は、配列番号12のヌクレオチド配列または配列番号12のヌクレオチド配列に対して少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列を含む5’-UTRを含む。
ある実施態様において、本発明で使用するRNA(例えばmRNA)は、配列番号13のヌクレオチド配列または配列番号13のヌクレオチド配列に対して少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列を含む3’-UTRを含む。
ここに記載するRNA(例えばmRNA)安定性増加および/または免疫原性減少および/または細胞毒性減少のために、修飾リボヌクレオチドを有し得る。例えば、ある実施態様において、ここに記載するRNA(例えばmRNA)におけるウリジンは、修飾ヌクレオシドにより(部分的にまたは完全に、好ましくは完全に)置き換えられているある実施態様において、修飾ヌクレオシドは修飾ウリジンである。
ある実施態様において、ウリジンを置き換える修飾ウリジンは、シュードウリジン(ψ)、N1-メチル-シュードウリジン(m1ψ)、5-メチル-ウリジン(m5U)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
ある実施態様において、RNA(例えばmRNA)いおけるウリジンを(部分的にまたは完全に、好ましくは完全に)置き換える修飾ヌクレオシドは、3-メチル-ウリジン(m3U)、5-メトキシ-ウリジン(mo5U)、5-アザ-ウリジン、6-アザ-ウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ウリジン(s2U)、4-チオ-ウリジン(s4U)、4-チオ-シュードウリジン、2-チオ-シュードウリジン、5-ヒドロキシ-ウリジン(ho5U)、5-アミノアリル-ウリジン、5-ハロ-ウリジン(例えば、5-ヨード-ウリジノル5-ブロモ-ウリジン)、ウリジン5-オキシ酢酸(cmo5U)、ウリジン5-オキシ酢酸メチルエステル(mcmo5U)、5-カルボキシメチル-ウリジン(cm5U)、1-カルボキシメチル-シュードウリジン、5-カルボキシヒドロキシメチル-ウリジン(chm5U)、5-カルボキシヒドロキシメチル-ウリジンメチルエステル(mchm5U)、5-メトキシカルボニルメチル-ウリジン(mcm5U)、5-メトキシカルボニルメチル-2-チオ-ウリジン(mcm5s2U)、5-アミノメチル-2-チオ-ウリジン(nm5s2U)、5-メチルアミノメチル-ウリジン(mnm5U)、1-エチル-シュードウリジン、5-メチルアミノメチル-2-チオ-ウリジン(mnm5s2U)、5-メチルアミノメチル-2-セレノ-ウリジン(mnm5se2U)、5-カルバモイルメチル-ウリジン(ncm5U)、5-カルボキシメチルアミノメチル-ウリジン(cmnm5U)、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオ-ウリジン(cmnm5s2U)、5-プロピニル-ウリジン、1-プロピニル-シュードウリジン、5-タウリノメチル-ウリジン(τm5U)、1-タウリノメチル-シュードウリジン、5-タウリノメチル-2-チオ-ウリジン(τm5s2U)、1-タウリノメチル-4-チオ-シュードウリジン)、5-メチル-2-チオ-ウリジン(m5s2U)、1-メチル-4-チオ-シュードウリジン(m1s4ψ)、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン、3-メチル-シュードウリジン(m3ψ)、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン、1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、ジヒドロウリジン(D)、ジヒドロシュードウリジン、5,6-ジヒドロウリジン、5-メチル-ジヒドロウリジン(m5D)、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-ジヒドロシュードウリジン、2-メトキシ-ウリジン、2-メトキシ-4-チオ-ウリジン、4-メトキシ-シュードウリジン、4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジン、N1-メチル-シュードウリジン、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン(acp3U)、1-メチル-3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)シュードウリジン(acp3ψ)、5-(イソペンテニルアミノメチル)ウリジン(inm5U)、5-(イソペンテニルアミノメチル)-2-チオ-ウリジン(inm5s2U)、α-チオ-ウリジン、2’-O-メチル-ウリジン(Um)、5,2’-O-ジメチル-ウリジン(m5Um)、2’-O-メチル-シュードウリジン(ψm)、2-チオ-2’-O-メチル-ウリジン(s2Um)、5-メトキシカルボニルメチル-2’-O-メチル-ウリジン(mcm5Um)、5-カルバモイルメチル-2’-O-メチル-ウリジン(ncm5Um)、5-カルボキシメチルアミノメチル-2’-O-メチル-ウリジン(cmnm5Um)、3,2’-O-ジメチル-ウリジン(m3Um)、5-(イソペンテニルアミノメチル)-2’-O-メチル-ウリジン(inm5Um)、1-チオ-ウリジン、デオキシチミジン、2’-F-ara-ウリジン、2’-F-ウリジン、2’-OH-ara-ウリジン、5-(2-カルボメトキシビニル)ウリジン、5-[3-(1-E-プロペニルアミノ)ウリジンまたは当分野で知られる任意の他の修飾ウリジンの何れか1以上であり得る。
(ウリジンを部分的にまたは完全に、好ましくは完全に置き換える)シュードウリジンにより修飾されているRNA(好ましくはmRNA)はここでは「Ψ修飾」と称し、一方用語「m1Ψ修飾」は、RNA(好ましくはmRNA)はN(1)-メチルシュードウリジン(ウリジンを部分的にまたは完全に、好ましくは完全に置き換える)を含むことを意味する。さらに、用語「m5U修飾」は、RNA(好ましくはmRNA)は5-メチルウリジン(ウリジンを部分的にまたは完全に、好ましくは完全に置き換える)を含むことを意味する。このようなΨまたはm1Ψまたはm5U修飾RNAは、通常非修飾形態と比較して免疫原性の減少を示し、故に、免疫応答の誘導は回避または最小化されるべき適用において好ましい。ある実施態様において、RNA(好ましくはmRNA)は、ウリジンを完全に置き換えるN(1)-メチルシュードウリジンを含む。
本明細書に記載するRNA(好ましくはmRNA)のコドンは、例えば、RNAのGC含量を増加するためおよび/または目的のペプチドまたはタンパク質を発現する細胞(または対象)において稀なコドンを、該細胞(または対象)において同義高頻度コドンであるコドンに置き換えるためにさらに最適化してよい。ある実施態様において、本明細書に記載するRNAによりコードされるアミノ酸配列は、コドン最適化されたおよび/または野生型コード配列と比較してG/C含量は増加したコード配列によりコードされる。これはまた、コード配列の1以上の配列領域はコドン最適化および/または野生型コード配列の対応する配列領域と比較してG/C含量は増加した実施態様も含む。ある実施態様において、コドン最適化および/またはG/C含量増加は、好ましくはコードするアミノ酸配列の配列を変化させない。
用語「コドン最適化」は、核酸分子のコード領域におけるコドンを、好ましくは核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を改変することなく、宿主生物の典型的コドン利用を反映するよう改変することをいう。本発明の状況内において、コード領域は、好ましくはここに記載するRNA(好ましくはmRNA)を使用して処置する対象における最適発現のためにコドン最適化される。コドン最適化は、細胞におけるtRNAの出現における異なる頻度によっても翻訳効率が決定されるとの知見に基づく。故に、RNA(好ましくはmRNA)の配列は、tRNAで高頻度に出現するコドンが「稀なコドン」の代わりに挿入され、利用可能であるように修飾され得る。
ある実施態様において、ここに記載するRNA(好ましくはmRNA)のコード領域のグアノシン/シトシン(G/C)含量は、野生型RNAの対応するコード配列のG/C含量と比較して増加し、ここで、RNA(好ましくはmRNA)によりコードされるアミノ酸配列は、好ましくは野生型RNAによりコードされるアミノ酸配列と比較して修飾されていない。このRNA配列の修飾は、翻訳されるあらゆるRNA領域の配列は、そのRNA(好ましくはmRNA)の効率的翻訳に重要であるとの事実に基づく。G(グアノシン)/C(シトシン)含量は増加した配列は、A(アデノシン)/U(ウラシル)含量は増加した配列より安定である。数個のコドンは全く同一のアミノ酸をコードする(いわゆる遺伝子コードの縮重)事実に関し、安定性のための最も好ましいコドンは決定され得る(いわゆる代替コドン利用)。RNA(好ましくはmRNA)によりコードされるアミノ酸により、野生型配列と比較して、RNA配列のする種々の可能性はある。特に、Aおよび/またはUヌクレオチドを含むコドンを、これらのコドンを、同じアミノ酸をコードするが、Aおよび/またはUを含まないまたはAおよび/またはUヌクレオチド含量は低い他のコドンに置換することにより、修飾し得る。
種々の実施態様において、ここに記載するRNA(特に、mRNA)のコード領域のG/C含量は、野生型RNAのード領域のG/C含量と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%またはそれ以上増加される。
上記修飾の組み合わせ、すなわち、5’キャップ構造の組み込み、ポリA配列の組み込み、ポリA配列のアンマスキング、5’-および/または3’-UTRの改変(例えば1以上の3’-UTRの組み込み)、1以上の天然に存在するヌクレオチドの合成ヌクレオチドでの置き換え(例えば、シチジンについて5-メチルシチジンおよび/またはウリジンについてシュードウリジン(Ψ)またはN(1)-メチルシュードウリジン(m1Ψ)または5-メチルウリジン(m5U))およびコドン最適化は、RNA(好ましくはmRNA)の安定性に相乗効果を有し、翻訳効率を増加する。故に、ある実施態様において、本明細書に記載するRNA(好ましくはmRNA)、特にここに開示する免疫応答の誘導のための抗原またはエピトープをコードするRNA(好ましくはmRNA)は、は、上記修飾、すなわち、(i)5’キャップ構造の組み込み;(ii)ポリA配列の組み込み、ポリA配列のアンマスキング;(iii)5’-および/または3’-UTRの改変(例えば1以上の3’-UTRの組み込み);(iv)1以上の天然に存在するヌクレオチドの合成ヌクレオチドでの置き換え(例えば、シチジンについて5-メチルシチジンおよび/またはウリジンについてシュードウリジン(Ψ)またはN(1)-メチルシュードウリジン(m1Ψ)または5-メチルウリジン(m5U));および(v)コドン最適化の少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個または全個々の組み合わせを含む。ある実施態様において、本明細書に記載するRNA(好ましくはmRNA)はキャップ1またはキャップ2、好ましくはキャップ1構造を含む。ある実施態様において、ポリA配列は、少なくとも100ヌクレオチドを含む。ある実施態様において、ポリA配列は配列番号14のヌクレオチド配列を含むまたはそれからなる。ある実施態様において、5’-UTRは配列番号12のヌクレオチド配列または配列番号12のヌクレオチド配列に対して少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、3’-UTRは配列番号13のヌクレオチド配列または配列番号13のヌクレオチド配列に対して少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
本発明の一部態様は、ここに開示するRNA(好ましくはmRNA)のある細胞または組織への標的化送達に関する。ある実施態様において、本発明は、リンパ系、特に二次性リンパ系臓器、より具体的に脾臓のターゲティングに関する。リンパ系、特に二次性リンパ系臓器、より具体的に脾臓のターゲティングは、投与されるRNA(好ましくはmRNA)が免疫応答の誘導のための抗原またはエピトープをコードするRNA(好ましくはmRNA)であるならば、特に好ましい。ある実施態様において、標的細胞は脾臓細胞である。ある実施態様において、標的細胞は脾臓におけるプロフェッショナル抗原提示細胞などの抗原提示細胞である。ある実施態様において、標的細胞は脾臓における樹状細胞である。「リンパ系」は、リンパ液を運ぶリンパ管のネットワークを含む、循環系の一部であり、免疫系の重要な一部である。リンパ系はリンパ性臓器、リンパ管の伝導ネットワークおよび循環リンパ液からなる。一次または中枢リンパ系臓器は、未成熟前駆細胞からリンパ球を産生する。胸腺および骨髄は一次リンパ系臓器を構成する。リンパ節および脾臓を含む二次性または末梢リンパ系臓器は、成熟ナイーブリンパ球を維持し、適応免疫応答を開始する。
脂質ベースのRNA(例えばmRNA)送達系は、肝臓に生来の優先性を有する。肝臓蓄積は、肝臓脈管構造の不連続性または脂質代謝(リポソームと脂質またはコレステロールコンジュゲート)により引き起こされる。ある実施態様において、標的臓器は肝臓であり、標的組織は肝臓組織である。このような標的組織への送達は、特に、この臓器または組織へのコード化ペプチドまたはタンパク質の存在が望ましいならばおよび/または大量のコード化ペプチドまたはタンパク質の発現が望まれるならばおよび/または特に相当量のコード化ペプチドまたはタンパク質が全身に存在することが望まれるかまたは必要であるならば、好ましい。
ある実施態様において、ここに記載するRNA(特に、mRNA)組成物の投与後、RNAの少なくとも一部は標的細胞または標的臓器に送達される。ある実施態様において、RNAの少なくとも一部は標的細胞のサイトゾルに送達される。ある実施態様において、RNAは、ペプチドまたはタンパク質をコードするRNA(好ましくはmRNA)であり、RNAは標的細胞により翻訳されて、該ペプチドまたはタンパク質を産生する。ある実施態様において、標的細胞は肝臓における細胞である。ある実施態様において、標的細胞は筋肉細胞である。ある実施態様において、標的細胞は内皮細胞である。ある実施態様において、標的細胞は腫瘍細胞または腫瘍微小環境の細胞である。ある実施態様において、標的細胞は血液細胞である。ある実施態様において、標的細胞はリンパ節の細胞である。ある実施態様において、標的細胞は肺の細胞である。ある実施態様において、標的細胞は皮膚の細胞である。ある実施態様において、標的細胞は脾臓細胞である。ある実施態様において、標的細胞は脾臓におけるプロフェッショナル抗原提示細胞などの抗原提示細胞である。ある実施態様において、標的細胞は脾臓における樹状細胞である。ある実施態様において、標的細胞はT細胞である。ある実施態様において、標的細胞はB細胞である。ある実施態様において、標的細胞はNK細胞である。ある実施態様において、標的細胞は単球である。故に、ここに記載するRNA LNP組成物を、このような標的細胞にRNA(好ましくはmRNA)を送達するために使用し得る。従って、本発明はまたここに記載するRNA組成物を対象に投与することを含む、対象における標的細胞にRNA(好ましくはmRNA)を送達する方法に関する。ある実施態様において、RNAは標的細胞のサイトゾルに送達される。ある実施態様において、RNAはペプチドまたはタンパク質をコードするRNA(好ましくはmRNA)であり、RNAは標的細胞により翻訳されて、該ペプチドまたはタンパク質を産生する。
阻害性RNA
本発明の全態様のある実施態様において、RNAは阻害性RNAである。
ここで使用する用語「阻害性RNA」は、標的mRNAに選択的にハイブリダイズするおよび/または特異的であり、それによりその転写および/または翻訳を阻害(例えば、減少)する、RNAを意味する。阻害性RNAは、標的mRNAに対してアンチセンス配向で配列を有するRNA分子を含む。適当な阻害性オリゴヌクレオチドは、典型的に5~数百ヌクレオチド、より典型的に約20~70ヌクレオチド長またはそれより短い、さらにより典型的に約10~30ヌクレオチド長まで種々の長さである。阻害性RNAの例は、アンチセンスRNA、リボザイム、iRNA、siRNAおよびmiRNAを含む。本発明の全態様のある実施態様において、阻害性RNAはsiRNAである。
ここで使用する用語「アンチセンスRNA」は、生理学的条件下、特定の遺伝子を含むDNAまたは該遺伝子のmRNAとハイブリダイズし、それにより、該遺伝子の転写および/または該mRNAの翻訳を阻害するRNAをいう。アンチセンスRNAまたはその一部は、天然に存在するmRNAと二重鎖を形成し、故にmRNAの蓄積または翻訳を阻止する。他の可能性は、核酸不活性化のためのリボザイムの使用である。アンチセンスRNAは、N末端または5’上流部位、例えば翻訳開始部位、転写開始部位またはプロモーター部位とハイブリダイズし得る。ある実施態様において、アンチセンスRNAは、3’非翻訳領域またはmRNAスプライシング部位とハイブリダイズし得る。
アンチセンスRNAのサイズは、15ヌクレオチド~15,000、好ましくは20~12,000、特に100~10,000、150~8,000、200~7,000、250~6,000、300~5,000ヌクレオチド、例えば15~2,000、20~1,000、25~800、30~600、35~500、40~400、45~300、50~250、55~200、60~150または65~100ヌクレオチドまで変わり得る。ある実施態様において、アンチセンスRNAは、少なくとも2,700ヌクレオチド(例えば少なくとも2,800、少なくとも2,900、少なくとも3,000、少なくとも3,100、少なくとも3,200、少なくとも3,300、少なくとも3,400、少なくとも3,500、少なくとも3,600、少なくとも3,700、少なくとも3,800、少なくとも3,900、少なくとも4,000、少なくとも4,100、少なくとも4,200、少なくとも4,300、少なくとも4,400、少なくとも4,500、少なくとも4,600、少なくとも4,700、少なくとも4,800、少なくとも4,900、少なくとも5,000ヌクレオチド)の長さを有する。
アンチセンスRNAの安定性は必要に応じて修飾され得る。例えば、アンチセンスRNAは、安定化効果を有する1以上の修飾により安定化され得る。このような修飾は、修飾ホスホジエステル結合(例えば天然に存在するホスホジエステル結合の代わりにメチルホスホネート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートまたはホスホロアミデート結合)および2’-置換(例えば、2’-フルオロ、2’-O-アルキル(例えば2’-O-メチル、2’-O-プロピルまたは2’-O-ペンチル)および2’-O-アリル)を含む。例えば、アンチセンスRNAのある実施態様において、ホスホロチオエート結合は部分的にホスホジエステル結合に置換されている。あるいはまたはさらに、アンチセンスRNAのある実施態様において、リボース部分は部分的に2’位をO-アルキル(例えば2’-O-メチル)で置換されている。
アンチセンスRNAは、標的mRNA配列(「標的配列」)の何れかにおける約19~25連続ヌクレオチドのあらゆるストレッチに対して標的化され得る。一般に、標的mRNAの標的配列は、開始コドンから好ましくは50~100nt下流(すなわち、3’方向)から開始する、標的mRNAに対応するあるcDNA配列から選択され得る。しかしながら、標的配列は、5’または3’非翻訳領域または開始コドンに近接する領域に位置し得る。
アンチセンスRNAは、当分野で知られるいくつかの技術を使用して、得ることができる。例えば、アンチセンスRNAは、当分野で知られる方法を使用して、化学合成または組み換えにより産生し得る。好ましくは、アンチセンスRNAは、任意の適当なプロモーターを使用して、組み換え環状または線形DNAプラスミドから転写される。
アンチセンスRNAの発現に適するプラスミドの選択、アンチセンスRNAを発現するための核酸配列をプラスミドに挿入する方法および該アンチセンスRNAのインビトロ転写のためのIVT方法は当分野における技術の範囲内である。
ここで使用する「小干渉RNA」または「siRNA」は、標的mRNAの一部に特異的に結合できる、好ましくは10を超えるヌクレオチド長、より好ましくは15を超えるヌクレオチド長、最も好ましくは18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30ヌクレオチド長の、RNA分子を意味する。この結合hは、標的mRNAの該部分は切断または分解され、それにより該標的mRNAの遺伝子発現は阻害される過程を含む。19~25ヌクレオチドの範囲は、siRNAの最も好ましいサイズである。しかし、原則として、siRNAのセンスおよびアンチセンス鎖は、2個の相補的、一本鎖RNA分子、siRNAを含み得て、本発明によると、2個の相補的部分は塩基対合し、一本鎖「ヘアピン」領域により共有結合で結合している単一分子を含む。すなわち、センス領域およびアンチセンス領域は、リンカー分子を介して共有結合で結合され得る。リンカー分子はポリヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカーであり得るが、好ましくはポリヌクレオチドリンカーである。何らかの理論に拘束されることを願わないが、siRNA分子のヘアピン領域は細胞内で「ダイサー」タンパク質(またはその等価物)により開裂され、2個の個々の塩基対合したRNA分子のsiRNAを形成すると考えられる。
siRNAはまた3’オーバーハングを含んでよい。ここで使用する「3’オーバーハング」は、RNA鎖の3’末端から伸びる少なくとも1個の不対ヌクレオチドをいう。故に、ある実施態様において、siRNAは、1~約6ヌクレオチド(リボヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドを含む)長、好ましくは1~約5ヌクレオチド長、より好ましくは1~約4ヌクレオチド長および特に好ましくは約2~約4ヌクレオチド長の少なくとも1個の3’オーバーハングを含む。siRNA分子の両鎖(すなわち、siRNA分子は細胞内で「ダイサー」タンパク質により開裂された後)は3’オーバーハングを含む実施態様において、オーバーハングの長さは各鎖で同一でも異なってもよい。ある好ましい実施態様において、3’オーバーハングはsiRNAの両鎖に存在し、2ヌクレオチド長である。例えば、siRNAの各鎖はジデオキシチミジル酸(「TT」)またはジウリジル酸(「uu」)の3’オーバーハングを含み得る。
siRNAの安定性を増強するために、3’オーバーハングを分解に対して安定化もし得る。ある実施態様において、オーバーハングは、アデノシンまたはグアノシンヌクレオチドなどのプリンヌクレオチドの包含により安定化される。あるいは、ピリミジンヌクレオチドの修飾アナログによる置換、例えば、3’オーバーハングのウリジンヌクレオチドの2’-デオキシチミジンでの置換は許容され、RNAi分解効率に影響しない。特に、2’-デオキシチミジンに2’-ヒドロキシルが存在しないことは、組織培養培地における3’オーバーハングのヌクレアーゼ抵抗性を顕著に増強する。
ここで使用する「標的mRNA」は、下方制御の標的であるRNA分子をいう。ある実施態様において、標的mRNAは、ここに特定する薬学的活性ペプチドまたはポリペプチドをコードするORFを含む。ある実施態様において、薬学的活性ペプチドまたはポリペプチドは、発現(特に、例えば、健常対象における発現と比較して増加した発現)は疾患と関連するものである。ある実施態様において、標的mRNAは、発現(特に、例えば、健常対象における発現と比較して増加した発現)は癌と関連する薬学的活性ペプチドまたはポリペプチドをコードするORFを含む。
本発明によると、siRNAは、標的mRNA配列(「標的配列」)の何れかにおける約19~25連続ヌクレオチドのあらゆるストレッチに対して標的化され得る。siRNAの標的配列を選択する技術は、例えば、引用により本明細書に包含させる2002年10月11日改定のTuschl T. et al., "The siRNA User Guide"に示される。「The siRNA User Guide」は、Dr. Thomas Tuschl, Laboratory of RNA Molecular Biology, Rockefeller University, New York, USAにより維持されるウェブサイトでワールドワイドウェブ上で利用可能であり、Rockefeller Universityのウェブサイトにアクセスし、キーワード「siRNA」で検索することにより、アクセスすることにより見ることができる。標的配列の選択および/またはsiRNAの設計に関するさらなるガイダンスは、キーワード「siRNA」を使用して、Protocol Online(www.protocol-online.com)のウェブページに見ることができる。故に、ある実施態様において、本発明で使用するsiRNAのセンス鎖は、標的mRNAにおける約19~約25ヌクレオチドの任意の連続ストレッチと実質的に同一のヌクレオチド配列を含む。
一般に、標的mRNAの標的配列は、好ましくは、開始コドンから50~100nt下流(すなわち、3’方向)から開始する、標的mRNAに対応するあるcDNA配列から選択される。しかしながら、標的配列は5’または3’非翻訳領域または開始コドンに近接する領域に位置し得る。
siRNAは、当分野で知られるいくつかの技術を使用して、得ることができる。例えば、siRNAは、開示全体を引用により本明細書に包含させるTuschl et al.の米国出願2002/0086356に記載のショウジョウバエインビトロ系などの、当分野で知られる方法を使用して、化学合成または組み換えにより産生し得る。siRNAは、pol IIIプロモーターからのRNA発現は最初に転写されたヌクレオチドはプリンであるときのみ効率的であると考えられるため、ターゲティング部位を変化させることなくpol III発現ベクターから発現できる。
好ましくは、siRNAは、任意の適当なプロモーターを使用して、組み換え環状または線形DNAプラスミドから転写される。プラスミドから本発明で使用するsiRNAを転写するための適当なプロモーターは、例えば、U6またはH1 RNApol IIIプロモーター配列およびサイトメガロウイルスプロモーターを含む。他の適当なプロモーターの選択は当分野の技術の範囲内である。
siRNAを転写するための適当なプラスミドの選択、siRNAを発現するための核酸配列をプラスミドに挿入する方法および該siRNAのインビトロ転写のIVT方法は当分野における技術の範囲内である。
ここで使用する用語「miRNA」(マイクロRNA)は、21~25(例えば21~23、好ましくは22)ヌクレオチドの長さを有し、標的mRNAの分解および/または翻訳阻止を誘導する、非コードRNAに関する。miRNAは、典型的に植物、動物および一部ウイルスで見られ、それぞれ植物および動物では真核生物核DNAおよびウイルスDNA(ゲノムはDNAに基づくウイルスにおいて)によりコードされる。miRNAは、標的メッセンジャーRNA複写物(mRNA)の相補的配列に結合し、通常翻訳抑制または標的分解および遺伝子サイレンシングをもたらす転写後制御因子である。
miRNAは、当分野で知られるいくつかの技術を使用して、得ることができる。例えば、miRNAは、当分野で知られる方法を使用して、化学合成または組み換えにより産生し得る(例えば、Applied Biological Materials Inc.販売のmiRNA cDNA合成キットなどの市販キットの使用により)。好ましくは、miRNAは、任意の適当なプロモーターを使用して、組み換え環状または線形DNAプラスミドから転写される。
薬学的活性ペプチドまたはポリペプチド
「コード」は、遺伝子、cDNAまたはRNA(好ましくはmRNA)などのポリヌクレオチドにおけるヌクレオチドの特異的配列は、生物学的過程におけるヌクレオチドの規定配列(すなわち、rRNA、tRNAおよびmRNA)またはアミノ酸の規定配列およびそれに起因する生物学的性質を有する他のポリマーおよび巨大分子の合成の鋳型として役立つ固有の性質をいう。故に、遺伝子は、その遺伝子に対応するRNA(好ましくはmRNA)の転写および翻訳が細胞または他の生物学的系においてタンパク質を産生するならば、タンパク質をコードする。遺伝子またはcDNAの転写のための鋳型として使用される、ヌクレオチド配列はRNA配列と同一であり、通常配列表に提供される両コード鎖および非コード鎖は、タンパク質またはその遺伝子またはcDNAの他の産物をコードすると称され得る。
ある実施態様において、本明細書に記載するRNA(好ましくはmRNA)は、1以上のポリペプチド、例えば、ペプチドまたはタンパク質、好ましくは薬学的活性ペプチドまたはタンパク質をコードする核酸配列(例えば、ORF)を含む。
ある実施態様において、本明細書に記載するRNA(好ましくはmRNA)は、ペプチドまたはタンパク質、好ましくは薬学的活性ペプチドまたはタンパク質をコードする核酸配列(例えば、ORF)を含み、特に細胞または対象に導入されたならば、該ペプチドまたはタンパク質の発現ができる。故に、ある実施態様において、本明細書に記載するRNA(好ましくはmRNA)は、ペプチドまたはタンパク質をコードする、好ましくは薬学的活性ペプチドまたはタンパク質をコードするコード領域(ORF)を含む。これに関して、「オープンリーディングフレーム」または「ORF」は、開始コドンから始まり、停止コドンで終わるコドンの連続的ストレッチである。このような薬学的活性ペプチドまたはタンパク質をコードするRNA(好ましくはmRNA)は、ここでは「薬学的活性RNA」(または「薬学的活性mRNA」)とも称する。ある実施態様において、本明細書に記載するRNA(好ましくはmRNA)は、1を超えるペプチドまたはポリペプチド、例えば、2個、3個、4個またはそれ以上のペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸配列を含む。
本発明によると、用語「薬学的活性ペプチドまたはタンパク質」は、ペプチドまたはタンパク質の発現が、例えば、疾患または障害の症状の軽減に利益がある、個体の処置に使用できるペプチドまたはタンパク質を意味する。好ましくは、薬学的活性ペプチドまたはタンパク質は、治癒的または緩和的性質を有し、疾患または障害の1以上の症状の改善、緩和、軽減、逆転、発症遅延または重症度低減のために投与し得る。ある実施態様において、薬学的活性ペプチドまたはタンパク質は、治療有効量で個体に投与したとき、個体の状態または疾患状態に良いまたは有利な効果を有する。薬学的活性ペプチドまたはタンパク質は予防的性質を有し得て、疾患または障害の発症遅延またはそのような疾患または障害の重症度低減に使用し得る。用語「薬学的活性ペプチドまたはタンパク質」はタンパク質またはポリペプチド全体を含み、その薬学的活性フラグメントもいい得る。またペプチドまたはタンパク質の薬学的活性アナログも含み得る。
薬学的活性ペプチドおよびタンパク質の具体例は、免疫刺激剤、例えば、サイトカイン、ホルモン、接着分子、免疫グロブリン、免疫学活性化合物、増殖因子、プロテアーゼ阻害剤、酵素、受容体、アポトーシス制御因子、転写因子、腫瘍サプレッサータンパク質、構造タンパク質、再プログラム化因子、ゲノム工学タンパク質および血液タンパク質を含むが、これらに限定されない。ある実施態様において、薬学的活性ペプチドおよびポリペプチドは補充タンパク質を含む。
「免疫刺激剤」は、免疫系の成分の何れか、特に免疫エフェクター細胞の活性化誘導または活性増加により、免疫系を刺激する、あらゆる物質である。免疫刺激剤は、炎症促進性(例えば、感染または癌を処置するとき)または抗炎症性(例えば、自己免疫性疾患を処置するとき)であり得る。
ある実施態様において、免疫刺激剤はサイトカインまたはそのバリアントである。サイトカインの例は、インターフェロン、例えばインターフェロン-アルファ(IFN-α)またはインターフェロン-ガンマ(IFN-γ)、インターロイキン、例えばIL2、IL7、IL12、IL15およびIL23、コロニー刺激因子、例えばM-CSFおよびGM-CSFおよび腫瘍壊死因子を含む。他の態様によると、免疫刺激剤は、APCトール様受容体アゴニストまたは共刺激/細胞接着膜タンパク質などのアジュバント型免疫刺激剤を含む。トール様受容体アゴニストの例は、CD80、CD86およびICAM-1などの共刺激/接着タンパク質を含む。
用語「サイトカイン」は、約5~60kDa(例えば約5~20kDa)の分子量を有し、細胞シグナル伝達(例えば、傍分泌、内分泌および/または自己分泌シグナル伝達)に参加するタンパク質に関する。特に、放出されたとき、サイトカインは、放出部位周囲の細胞の行動に効果を発揮する。サイトカインの例は、リンホカイン、インターロイキン、ケモカイン、インターフェロンおよび腫瘍壊死因子(TNFs)を含む。本発明によると、サイトカインはホルモンまたは増殖因子を含まない。サイトカインは、ホルモンと、(i)通常ホルモンよりはるかに可変性の濃度で活性であり、(ii)一般に広範囲の細胞により産生される(ほぼ全ての有核細胞はサイトカインを産生できる)点で、異なる。インターフェロンは、通常抗ウイルス、抗増殖性および免疫調節活性により特徴づけられる。インターフェロンは、制御細胞表面のインターフェロン受容体への結合により、細胞内の遺伝子の転写を改変および制御し、それにより細胞内のウイルス複製を阻止するタンパク質である。インターフェロンは2タイプに分類され得る。IFN-ガンマは唯一II型インターフェロンである;残りのその他はI型インターフェロンである。サイトカインの具体例はエリスロポエチン(EPO)、コロニー刺激因子(CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)、骨形成タンパク質(BMP)、インターフェロンアルファ(IFNα)、インターフェロンベータ(IFNβ)、インターフェロンガンマ(INFγ)、インターロイキン2(IL-2)、インターロイキン4(IL-4)、インターロイキン10(IL-10)、インターロイキン11(IL-11)、インターロイキン12(IL-12)およびインターロイキン21(IL-21)を含む。
本開示によると、サイトカインは天然に存在するサイトカインまたはその機能的フラグメントもしくはバリアントであり得る。サイトカインはヒトサイトカインであってよく、あらゆる脊椎動物、特にあらゆる哺乳動物に由来し得る。ある特に好ましいサイトカインはインターフェロン-αである。
免疫刺激剤は、肝臓または肝臓組織へのRNAの優先的送達のための製剤の免疫刺激剤をコードするRNAを対象に投与することにより、対象に提供され得る。そのような標的臓器または組織へのRNAの送達は、特に、大量の免疫刺激剤の発現が望ましいならばおよび/または特に相当量での免疫刺激剤は全身に存在することが望ましいかまたは必要であるならば、好ましい。RNA送達系は、肝臓に生来の優先性を有する。これは脂質ベースの粒子、カチオン性および中性ナノ粒子、特に脂質ナノ粒子に関する。
肝臓をターゲティングするための適当な免疫刺激剤の例は、T細胞増殖および/または維持に関与するサイトカインである。適当なサイトカインの例は、IL2またはIL7、そのフラグメントおよびバリアントおよびこれらサイトカイン、フラグメントおよびバリアントの融合タンパク質、例えば拡張PKサイトカインを含む。
他の実施態様において、免疫刺激剤をコードするRNAを、リンパ系、特に二次性リンパ系臓器、より具体的に脾臓へのRNAの優先的送達のための製剤で投与し得る。そのような標的組織への免疫刺激剤の送達は、特に、免疫刺激剤のこの臓器または組織における存在が望ましいならば、好ましいは(例えば、免疫応答の誘導のために、特にサイトカインなどの免疫刺激剤はT細胞プライミング中または常在免疫細胞の活性化に必要であるとき)、免疫刺激剤は、特に、相当量で全身に存在することは望まれない(例えば、免疫刺激剤は全身毒性を有するため)。
適当な免疫刺激剤の例は、T細胞プライミングに関与するサイトカインである。適当なサイトカインの例は、IL12、IL15、IFN-αまたはIFN-β、そのフラグメントおよびバリアントおよびこれらサイトカイン、フラグメントおよびバリアントの融合タンパク質、例えば拡張PKサイトカインを含む。
インターフェロン(IFN)は、ウイルス、細菌、寄生虫などのいくつかの病原体およびまた腫瘍細胞の存在に応答して、宿主細胞により産生および放出される一群のシグナル伝達タンパク質である。典型的シナリオにおいて、ウイルス感染細胞は、近隣細胞の抗ウイルス防御増大を引き起こすインターフェロンを放出する。
シグナル伝達する受容体のタイプに基づき、インターフェロンは典型的にI型インターフェロン、II型インターフェロンおよびIII型インターフェロンの3群に分けられる。
I型インターフェロンは全てIFNAR1およびIFNAR2鎖からなるIFN-α/β受容体(IFNAR)として知られる特異的細胞表面受容体複合体に結合する。
ヒトに存在するI型インターフェロンは、IFNα、IFNβ、IFNε、IFNκおよびIFNωである。一般に、I型インターフェロンは、体は侵入してきたウイルスを認識したとき産生される。それらは線維芽細胞および単球により産生される。放出されたら、I型インターフェロンは標的細胞の特異的受容体に結合し、ウイルスはRNAおよびDNAを産生し、複製することを阻止するタンパク質の発現に至る。
IFNαタンパク質は、主に形質細胞様樹状細胞(pDC)により産生される。主に、ウイルス感染に対する自然免疫に関与する。合成を担う遺伝子は、IFNA1、IFNA2、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFNA8、IFNA10、IFNA13、IFNA14、IFNA16、IFNA17、IFNA21と称される13サブタイプある。これらの遺伝子は、染色体9に一体となってクラスターで見られる。
IFNβタンパク質は、線維芽細胞により大量に賛成される。主に自然免疫応答に関与する抗ウイルス活性を有する。IFNβ1およびIFNβ3の2タイプのIFNβは記載されている。IFNβ1の天然および組み換え形態は、抗ウイルス、抗細菌および抗癌性質を有する。
II型インターフェロン(ヒトにおけるIFNγ)は免疫インターフェロンとしても知られ、IL12により活性化される。さらに、II型インターフェロンは細胞毒性T細胞およびTヘルパー細胞により放出される。
III型インターフェロンは、IL10R2(別名CRF2-4)およびIFNLR1(別名CRF2-12)からなる受容体複合体を介してシグナル伝達する。I型およびII型IFNより発見は新しいは、最近の情報は、III型IFNのあるタイプのウイルスまたは真菌感染における重要性を示す。
一般に、I型およびII型インターフェロンは免疫応答の制御および活性化を担う。
本開示によると、I型インターフェロンは好ましくはIFNαまたはIFNβ、より好ましくはIFNαである。
本開示によると、インターフェロンは天然に存在するインターフェロンまたはその機能的フラグメントもしくはバリアントであり得る。インターフェロンはヒトインターフェロンであってよく、あらゆる脊椎動物、特にあらゆる哺乳動物に由来し得る。
インターロイキン(IL)は、特徴的構造特性に基づき4個の主要な群に分割され得る一群のサイトカイン(分泌型タンパク質およびシグナル分子)である。しかしながら、アミノ酸配列類似性はむしろ弱い(典型的に15~25%同一性)。ヒトゲノムは、50を超えるインターロイキンおよび関連タンパク質をコードする。
本開示によると、インターロイキンは天然に存在するインターロイキンまたはその機能的フラグメントもしくはバリアントであり得る。インターロイキンはヒトインターロイキンであってよく、あらゆる脊椎動物、特にあらゆる哺乳動物に由来し得る。
ここに記載する免疫刺激剤ポリペプチドは、免疫刺激剤部分および異種ポリペプチド(すなわち、免疫刺激剤ではないポリペプチド)を含む融合またはキメラポリペプチドとして製造できる。免疫刺激剤は、循環半減期を延長する拡張PK基に融合し得る。拡張PK基の非限定的例は下に記載する。サイトカインなどの免疫刺激剤またはそのバリアントの循環半減期を延長する他のPK基も本発明において適用可能であることは理解されるべきである。ある実施態様において、拡張PK基は血清アルブミンドメイン(例えば、マウス血清アルブミン、ヒト血清アルブミン)である。
ここで使用する用語「PK」は「薬物動態(pharmacokinetic)」の頭字語であり、例として、対象による吸収、分布、代謝および排除を含む、化合物の性質を包含する。ここで使用する「拡張PK基」は、生物学的活性分子に融合したときまたは一緒に投与されたとき、生物学的活性分子の循環半減期を延長するタンパク質、ペプチドまたは部分をいう。拡張PK基の例は、血清アルブミン(例えば、HSA)、免疫グロブリンFcまたはそのFcフラグメントおよびバリアント、トランスフェリンおよびそのバリアントおよびヒト血清アルブミン(HSA)結合剤(米国公開2005/0287153および2007/0003549に開示)を含む。拡張PK基の他の例は、引用により全体として本明細書に包含させるKontermann, Expert Opin Biol Ther, 2016 Jul;16(7):903-15に開示される。ここで使用する「拡張PK」免疫刺激剤は、拡張PK基と組み合わせた免疫刺激剤部分をいう。ある実施態様において、拡張PK免疫刺激剤は、免疫刺激剤部分は拡張PK基に結合または融合した融合タンパク質である。
ある実施態様において、拡張PK免疫刺激剤の血清半減期は、免疫刺激剤単独(すなわち、拡張PK基に融合していない免疫刺激剤)と比較して延長する。ある実施態様において、拡張PK免疫刺激剤の血清半減期は、免疫刺激剤単独の血清半減期に対して少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも60%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも120%、少なくとも150%、少なくとも180%、少なくとも200%、少なくとも400%、少なくとも600%、少なくとも800%または少なくとも1000%長い。ある実施態様において、拡張PK免疫刺激剤の血清半減期は、免疫刺激剤単独の血清半減期より少なくとも1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、10倍、12倍、13倍、15倍、17倍、20倍、22倍、25倍、27倍、30倍、35倍、40倍または50倍長い。ある実施態様において、拡張PK免疫刺激剤の血清半減期は少なくとも10時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間、50時間、60時間、70時間、80時間、90時間、100時間、110時間、120時間、130時間、135時間、140時間、150時間、160時間または200時間である。
ここで使用する「半減期」は、ペプチドまたはポリペプチドなどの化合物の血清または血漿濃度が、例えば、天然機構による分解および/またはクリアランスまたは隔離により、インビボで50%減少する時間である。ここで使用するのに適する拡張PK免疫刺激剤は、例えば、分解および/またはクリアランスまたは隔離に耐える血清アルブミン(例えば、HSAまたはMSA)への融合により、インビボで安定化され、半減期は延長する。半減期は、薬物動態分析などのそれ自体既知の任意の方法で決定され得る。適当な技術は当業者には明らかであり、例えば一般に適当な用量のアミノ酸配列または化合物を対象に適切に投与し;一定間隔で該対象から血液サンプルまたは他のサンプルを採取し;該血液サンプル中のアミノ酸配列または化合物のレベルまたは濃度を決定し;そして、そうして得たデータ(のプロット)から、アミノ酸配列または化合物のレベルまたは濃度は投与時の初期レベルと比較して50%減少するまでの時間を計算する工程を含む。さらなる詳細は、例えば、Kenneth, A. et al., Chemical Stability of Pharmaceuticals: A Handbook for Pharmacists and in Peters et al., Pharmacokinetic Analysis: A Practical Approach (1996)などの標準ハンドブックに提供される。Gibaldi, M. et al., Pharmacokinetics, 2nd Rev. Edition, Marcel Dekker (1982)もまた参照のこと。
ある実施態様において、拡張PK基は、血清アルブミンまたはそのフラグメントまたは血清アルブミンもしくはそのフラグメントのバリアントを含む(その全て、本発明の目的で用語「アルブミン」に含まれる)。ここに記載するポリペプチドをアルブミン(またはそのフラグメントもしくはバリアント)に融合して、アルブミン融合タンパク質を形成し得る。そのようなアルブミン融合タンパク質は米国公開20070048282に記載されている。
ここで使用する「アルブミン融合タンパク質」は、少なくとも1分子のアルブミン(またはそのフラグメントもしくはバリアント)と少なくとも1分子の治療タンパク質、特に免疫刺激剤などのタンパク質の融合により形成されたタンパク質をいう。アルブミン融合タンパク質は、治療タンパク質をコードするポリヌクレオチドがインフレームでアルブミンをコードするポリヌクレオチドと結合する核酸の翻訳により産生され得る。治療タンパク質およびアルブミンは、アルブミン融合タンパク質の一部となったら、各々アルブミン融合タンパク質の「部」、「領域」または「部分」(例えば、「治療タンパク質部分」または「アルブミンタンパク質部分」)と称され得る。高度に好ましい実施態様において、アルブミン融合タンパク質は、少なくとも1分子の治療タンパク質(治療タンパク質の成熟形態を含むが、これに限定されない)および少なくとも1分子のアルブミン(アルブミンの成熟形態を含むが、これに限定されない)を含む。ある実施態様において、アルブミン融合タンパク質は、投与RNAの標的臓器の細胞、例えば肝臓細胞などの宿主細胞によりプロセシングされ、循環に分泌される。RNA発現に使用する宿主細胞の分泌経路で起こる発生期アルブミン融合タンパク質のプロセシングは、シグナルペプチド切断;ジスルフィド結合形成;適切な折り畳み;炭水化物(例えば、N-およびO結合グルコシル化など)付加およびプロセシング;特異的タンパク分解的切断;および/または多量体タンパク質への集合を含み得るが、これらに限定されない。アルブミン融合タンパク質は、好ましくは特にN末端にシグナルペプチドを有するプロセシングされていない形態のRNAによりコードされ、細胞による分泌後、好ましくは特にシグナルペプチドは開裂されたプロセシングされた形態で存在する。最も好ましい実施態様において、「プロセシングされた形態のアルブミン融合タンパク質」は、N末端シグナルペプチド切断を受けているアルブミン融合タンパク質生成物をいい、ここでは「成熟アルブミン融合タンパク質」とも称する。
好ましい実施態様において、治療タンパク質を含むアルブミン融合タンパク質は、アルブミンに融合していないときの同じ治療タンパク質の血漿安定性と比較して、血漿安定性が高い。血漿安定性は、典型的に治療タンパク質はインビボで投与され、血流に運搬されるときと、治療タンパク質は分解され、血流から最終的に治療タンパク質を体から除去する腎臓または肝臓などの臓器に入るときの間の時間をいう。血漿安定性は、血流中の治療タンパク質の半減期の点で計算される。血流中の治療タンパク質の半減期は、当分野で知られる一般的アッセイにより容易に決定され得る。
ここで使用する「アルブミン」は、まとめて、アルブミンの1以上の機能的活性(例えば、生物学的活性)を有するアルブミンタンパク質またはアミノ酸配列またはアルブミンフラグメントまたはバリアントをいう。特に、「アルブミン」は、ヒトアルブミンまたはそのフラグメントもしくはバリアント、特にヒトアルブミンまたは他の脊椎動物からのアルブミンの成熟形態またはそのフラグメントまたはこれらの分子のバリアントをいう。アルブミンは、あらゆる脊椎動物、特にあらゆる哺乳動物、例えばヒト、ウシ、ヒツジまたはブタに由来し得る。非哺乳動物アルブミンは、雌鶏およびサケを含むが、これらに限定されない。アルブミン融合タンパク質のアルブミン部分は、治療タンパク質部分と異なる動物からであってよい。
ある実施態様において、アルブミンはヒト血清アルブミン(HSA)またはそのフラグメントもしくはバリアント、例えばUS5,876,969、WO2011/124718、WO2013/075066およびWO2011/0514789に開示のものである。
用語ヒト血清アルブミン(HSA)およびヒトアルブミン(HA)はここでは相互交換可能に使用する。用語「アルブミン」および「血清アルブミン」はより広く、ヒト血清アルブミン(およびそのフラグメントおよびバリアント)ならびに他の種からのアルブミン(およびそのフラグメントおよびバリアント)を包含する。
ここで使用する治療タンパク質の治療活性または血漿安定性の延長に十分なアルブミンのフラグメントは、アルブミン融合タンパク質の治療タンパク質部分の血漿安定性は、非融合状態の血漿安定性と比較して、延長または拡大するようにタンパク質の治療活性または血漿安定性を安定化または延長するのに十分な長さまたは構造のアルブミンのフラグメントをいう。
アルブミン融合タンパク質のアルブミン部分は完全長のアルブミン配列を含んでよくまたは治療活性または血漿安定性を安定化または延長できる1以上のそのフラグメントを含んでよい。このようなフラグメントは10以上のアミノ酸長であってよくまたはアルブミン配列からの約15、20、25、30、50以上連続アミノ酸を含んでよくまたはアルブミンの特異的ドメインの一部または全てを含んでよい。例えば、最初の2個の免疫グロブリン様ドメインにわたるHSAの1以上のフラグメントを使用し得る。好ましい実施態様において、HSAフラグメントはHSAの成熟形態である。
一般的に言って、アルブミンフラグメントまたはバリアントは少なくとも100アミノ酸長、好ましくは少なくとも150アミノ酸長である。
本開示によると、アルブミンは天然に存在するアルブミンまたはそのフラグメントもしくはバリアントであってよい。アルブミンはヒトアルブミンであってよく、あらゆる脊椎動物、特にあらゆる哺乳動物に由来し得る。
ある実施態様において、アルブミン融合タンパク質はN末端部分としてアルブミンおよびC末端部分として治療タンパク質を含む。あるいは、C末端部分としてアルブミンおよびN末端部分として治療タンパク質を含むアルブミン融合タンパク質も使用し得る。他の実施態様において、アルブミン融合タンパク質は、アルブミンのN末端およびC末端両方に融合した治療タンパク質を有する。好ましい実施態様において、N末端およびC末端に融合した治療タンパク質は同じ治療タンパク質である。他の好ましい実施態様において、N末端およびC末端に融合した治療タンパク質は異なる治療タンパク質である。ある実施態様において、異なる治療タンパク質は両方サイトカインである。
ある実施態様において、治療タンパク質は、ペプチドリンカーを介してアルブミンに結合する。融合部分の間のペプチドリンカーは部分間の物理的分離を大きくし、故に、例えば、その同族受容体への結合について治療タンパク質部分の接近可能性を最大化し得る。ペプチドリンカーは、柔軟またはより剛性であるようなアミノ酸からなり得る。リンカー配列はプロテアーゼまたは化学的に開裂し得る。
ここで使用する用語「Fc領域」は、天然免疫グロブリンの、その2個の重鎖の各Fcドメイン(またはFc部分)から形成される部分をいう。ここで使用する用語「Fcドメイン」は、単一免疫グロブリン(Ig)重鎖の部分またはフラグメントであり、ここで、FcドメインはFvドメインを含まない。ある実施態様において、Fcドメインはパパイン切断部位の直ぐ上流のヒンジ領域から始まり、抗体のC末端で終わる。従って、完全なFcドメインは、少なくともヒンジドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含む。ある実施態様において、Fcドメインは、ヒンジ(例えば、上部、中央および/または下部ヒンジ領域)ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、CH4ドメインまたはそのバリアント、部分もしくはフラグメントの少なくとも1個を含む。ある実施態様において、Fcドメインは、完全なFcドメイン(すなわち、ヒンジドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメイン)を含む。ある実施態様において、Fcドメインは、CH3ドメイン(またはその一部)に融合したヒンジドメイン(またはその一部)を含む。ある実施態様において、Fcドメインは、CH3ドメイン(またはその一部)に融合したCH2ドメイン(またはその一部)を含む。ある実施態様において、Fcドメインは、CH3ドメインまたはその一部からなる。ある実施態様において、Fcドメインは、ヒンジドメイン(またはその一部)およびCH3ドメイン(またはその一部)からなる。ある実施態様において、Fcドメインは、CH2ドメイン(またはその一部)およびCH3ドメインからなる。ある実施態様において、Fcドメインは、ヒンジドメイン(またはその一部)およびCH2ドメイン(またはその一部)からなる。ある実施態様において、Fcドメインは、少なくともCH2ドメインの一部(例えば、CH2ドメインの全てまたは一部)を欠く。ここでのFcドメインは、一般に免疫グロブリン重鎖鎖のFcドメインの全てまたは一部を含むポリペプチドをいう。これは、CH1、ヒンジ、CH2および/またはCH3ドメイン全体を含むポリペプチドならびに、例えば、ヒンジ、CH2およびCH3ドメインのみを含むそのようなペプチドのフラグメントを含むが、これらに限定されない。Fcドメインは、どんな種の免疫グロブリンおよび/または、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA、IgEまたはIgM抗体を含むが、これらに限定されないどんなサブタイプに由来してもよい。Fcドメインは天然FcおよびFcバリアント分子を含む。ここに示すとおり、あらゆるFcドメインを、天然に存在する免疫グロブリン分子の天然Fcドメインとアミノ酸配列は変わるように修飾し得ることは当業者により認識される。ある実施態様において、Fcドメインのエフェクター機能(例えば、FcγR結合)は低減している。
ここに記載するポリペプチドのFcドメインは、異なる免疫グロブリン分子に由来し得る。例えば、ポリペプチドのFcドメインは、IgG1分子由来のCH2および/またはCH3ドメインおよびIgG3分子由来のヒンジ領域を含み得る。他の例で、Fcドメインは、一部IgG1分子および一部IgG3分子由来のキメラヒンジ領域を含み得る。他の例で、Fcドメインは一部IgG1分子および一部IgG4分子由来のキメラヒンジ領域を含み得る。
ある実施態様において、拡張PK基は、FcドメインまたはそのフラグメントまたはFcドメインもしくはそのフラグメントのバリアント(その全て、本発明の目的で用語「Fcドメイン」に含まれる)を含む。Fcドメインは抗原に結合する可変領域を含まない。本発明での使用に適するFcドメインは、いくつかの異なる源から得ることができる。ある実施態様において、Fcドメインはヒト免疫グロブリン由来である。ある実施態様において、FcドメインはヒトIgG1定常領域からである。しかしながら、Fcドメインは、例えば、齧歯類(例えばマウス、ラット、ウサギ、モルモット)または非ヒト霊長類(例えばチンパンジー、マカク)種を含む他の哺乳動物種の免疫グロブリンに由来し得ることは理解される。
さらに、Fcドメイン(またはそのフラグメントもしくはバリアント)は、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEを含むあらゆる免疫グロブリンクラスならびにIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含むあらゆる免疫グロブリンアイソタイプに由来し得る。
多様なFcドメイン遺伝子配列(例えば、マウスおよびヒト定常領域遺伝子配列)は、公的にアクセス可能なデポジットの形で利用可能である。特定のエフェクター機能を欠くおよび/または免疫原性を低減するために特定の修飾をされた、Fcドメイン配列を含む定常領域ドメインは選択できる。抗体および抗体コード化遺伝子の多くの配列は公開されており、適当なFcドメイン配列(例えばヒンジ、CH2および/またはCH3配列またはそのフラグメントもしくはバリアント)を、当分野で認識される技術を使用して、これら配列から導き得る。
ある実施態様において、拡張PK基は、引用により全体として本明細書に包含させるUS2005/0287153、US2007/0003549、US2007/0178082、US2007/0269422、US2010/0113339、WO2009/083804およびWO2009/133208に記載されるものなどの血清アルブミン結合タンパク質である。ある実施態様において、拡張PK基は、引用により全体として本明細書に包含させるUS7,176,278およびUS8,158,579に開示のトランスフェリンである。ある実施態様において、拡張PK基は、引用により全体として本明細書に包含させるUS2007/0178082、US2014/0220017およびUS2017/0145062のものなどの血清免疫グロブリン結合タンパク質である。ある実施態様において、拡張PK基は、引用により全体として本明細書に包含させるUS2012/0094909に開示のものなどの、血清アルブミンに結合するフィブロネクチン(Fn)ベースの足場ドメインタンパク質である。フィブロネクチンベースの足場ドメインタンパク質を製造する方法も、US2012/0094909に開示される。Fn3ベースの拡張PK基の非限定的例はFn3(HSA)、すなわち、ヒト血清アルブミンに結合するFn3タンパク質である。
ある実施態様において、本発明での使用に適する拡張PK免疫刺激剤は、1以上のペプチドリンカーを用い得る。ここで使用する用語「ペプチドリンカー」は、線形アミノ酸配列のポリペプチド鎖における2以上のドメイン(例えば、拡張PK部分および免疫刺激剤部分)を結合するペプチドまたはポリペプチド配列をいう。例えば、ペプチドリンカーを使用して、免疫刺激剤部分をHSAドメインに結合し得る。
拡張PK基を、例えば、免疫刺激剤に融合するのに適するリンカーは当分野で周知である。リンカーの例は、グリシン-セリン-ポリペプチドリンカー、グリシン-プロリン-ポリペプチドリンカーおよびプロリン-アラニンポリペプチドリンカーを含む。ある実施態様において、リンカーはグリシン-セリン-ポリペプチドリンカー、すなわち、グリシンおよびセリン残基からなるペプチドである。
ある実施態様において、薬学的活性ペプチドまたはタンパク質は補充タンパク質を含む。これらの実施態様において、本発明は、対象に補充タンパク質をコードするここに記載するRNAを投与することを含む、タンパク質補充を必要とする障害(例えば、タンパク質欠損障害)を有する対象を処置する方法である。用語「タンパク質補充」は、タンパク質(その機能的バリアントを含む)の、そのようなタンパク質は欠損する対象への導入をいう。本用語はまた他の点でタンパク質の提供は必要なまたは利益はある、例えば、タンパク質不足を有する対象へのタンパク質の導入をいう。用語「タンパク質欠乏により特徴づけられる障害」は、タンパク質はないまたは量は不十分であることにより引き起こされる病理を呈する、あらゆる障害をいう。この用語は、生物学的に不活性なタンパク質生成物をもたらすタンパク質折り畳み障害、すなわち、立体配座障害を含む。タンパク質不足は感染症、免疫抑制、臓器不全、腺問題、放射線障害、栄養欠乏、中毒または他の環境的または外的損傷に関与し得る。
用語「ホルモン」は、腺により産生されるシグナル伝達分子のクラスに関し、ここで、シグナル伝達は、通常次の工程を含む:(i)特定の組織におけるホルモンの合成;(ii)保存および分泌;(iii)標的へのホルモンの輸送;(iv)受容体によるホルモンの結合;(v)シグナルの中継および増幅;および(vi)ホルモンの分解。ホルモンは、サイトカインと、(1)ホルモンは通常活性濃度の変動は少ないおよび(2)一般に特定の種の細胞により産生される点で異なる。ある実施態様において、「ホルモン」は、インスリン、バソプレッシン、プロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、甲状腺ホルモン、成長ホルモン(例えばヒト成長ホルモンまたはウシソマトトロピン)、オキシトシン、心房ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、グルカゴン、ソマトスタチン、コレシストキニン、ガストリンおよびレプチンなどのペプチドまたはタンパク質ホルモンである。
用語「接着分子」は、細胞の表面に位置し、該細胞と他の細胞または細胞外マトリクス(ECM)の結合に関与するタンパク質に関する。接着分子は典型的に膜貫通受容体であり、カルシウム非依存性(例えば、インテグリン、免疫グロブリンスーパーファミリー、リンパ球ホーミング受容体)およびカルシウム依存性(カドヘリンおよびセレクチン)に分類できる。接着分子の具体例は、インテグリン、リンパ球ホーミング受容体、セレクチン(例えば、P-セレクチン)およびアドレッシンである。
インテグリンはまたシグナル伝達に関与する。特に、リガンド結合により、インテグリンは細胞シグナル伝達経路、例えば、受容体チロシンキナーゼ(RTK)などの膜貫通タンパク質キナーゼの経路を調節する。このような制御は細胞増殖、分裂、生存もしくは分化またはアポトーシスに至る。fインテグリンの具体例は、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αIIbβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβおよびαβを含む。
用語「免疫グロブリン」または「免疫グロブリンスーパーファミリー」は、細胞の認識、結合および/または接着過程に関与する分子をいう。このスーパーファミリーに属する分子は、免疫グロブリンドメインまたは折り畳みとして領域との特性を共有する。免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーは、抗体(例えば、IgG)、T細胞受容体(TCR)、主要組織適合性複合体(MHC)分子、共受容体(例えば、CD4、CD8、CD19)、抗原受容体アクセサリー分子(例えば、CD-3γ、CD3-δ、CD-3ε、CD79a、CD79b)、共刺激または阻害性分子(例えば、CD28、CD80、CD86)およびその他を含む。
用語「免疫学活性化合物」は、好ましくは免疫細胞の成熟誘導および/または抑制、サイトカイン生合成誘導および/または抑制により免疫応答を変えるおよび/またはB細胞による抗体産生刺激により液性免疫を改変する、あらゆる化合物に関する。免疫学活性化合物は、抗ウイルスおよび抗腫瘍活性を含むが、これらに限定されない強力な免疫刺激活性を有し、また免疫応答の他の態様を下方制御する、例えば免疫応答をTH2免疫応答から離すことはでき、広範なTH2介在疾患に有用である。免疫学活性化合物はワクチンアジュバントとして有用であり得る。免疫学活性化合物の具体例は、インターロイキン、コロニー刺激因子(CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、エリスロポエチン、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロン、インテグリン、アドレッシン、セレクチン、ホーミング受容体および抗原、特に腫瘍関連抗原、病原体関連抗原(例えば細菌、寄生虫またはウイルス抗原)、アレルゲンおよび自己抗原を含む。好ましい免疫学活性化合物はワクチン抗原、すなわち、対象への接種は免疫応答を誘導する抗原である。
ある実施態様において、本明細書に記載するRNA(特に、mRNA)は、対象における抗原に対する免疫応答を誘導するためのエピトープを含むペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸配列を含む。「対象における抗原に対する免疫応答を誘導するためのエピトープを含むペプチドまたはポリペプチド」はまたここでは「ワクチン抗原」、「ペプチドおよびタンパク質抗原」または単に「抗原」とも称する。
ある実施態様において、ワクチン抗原をコードするRNA(特に、mRNA)は、RNAを投与された対象の細胞、例えば、抗原提示細胞(APC)への侵入により、各タンパク質に翻訳される一本鎖、5’キャップ化mRNAである。好ましくは、RNAは、(i)安定性および翻訳効率に関してRNAの最大有効性のために最適化された構造要素を含む(5’キャップ、5’ UTR、3’ UTR、ポリ(A)配列);(ii)RNAの有効性の最適化のために修飾されている(例えば、翻訳有効性増加、免疫原性減少および/または細胞毒性減少)(例えば、天然に存在するヌクレオシド(特にシチジン)を、合成ヌクレオシド(例えば、シュードウリジン(ψ)、N1-メチル-シュードウリジン(m1ψ)および5-メチル-ウリジンからなる群から選択される修飾ヌクレオシド)で(部分的にまたは完全に、好ましくは完全に)置き換えることにより)または(iii)(i)および(ii)両方である。
ある実施態様において、ベータ-S-ARCA(D1)は、RNAの5’末端の特異的キャッピング構造として利用される。ある実施態様において、5’-UTRは配列番号12のヌクレオチド配列または配列番号12のヌクレオチド配列に対して少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、3’-UTRは、配列番号13のヌクレオチド配列または配列番号13のヌクレオチド配列に対して少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、ポリ(A)配列は110ヌクレオチド長であり、30アデノシン残基のストレッチ、続いて10ヌクレオチドリンカー配列および他の70アデノシン残基からなる。このポリ(A)配列は、樹状細胞におけるRNA安定性および翻訳効率の増強のために設計された。ある実施態様において、ポリ(A)配列は、配列番号14のヌクレオチド配列または配列番号14のヌクレオチド配列に対して少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、RNAは、ウリジンの代わりに修飾ヌクレオシドを含む。ある実施態様において、ウリジンを(部分的にまたは完全に、好ましくは完全に)置き換える修飾ヌクレオシドは、シュードウリジン(ψ)、N1-メチル-シュードウリジン(m1ψ)および5-メチル-ウリジンからなる群から選択される。ある実施態様において、ワクチン抗原をコードするRNAは、(a)コドン最適化されている、(b)野生型コード配列と比較してG/C含量は増加しているまたは(c)(a)および(b)両方であるコード配列を有する。
ある実施態様において、ワクチン抗原をコードするRNAは、ワクチン抗原を提供するために対象の細胞で発現される。ある実施態様において、ワクチン抗原の発現は細胞表面である。ある実施態様において、ワクチン抗原は、MHCにより提示される。ある実施態様において、ワクチン抗原をコードするRNAは、対象の細胞で一過性に発現される。ある実施態様において、ワクチン抗原をコードするRNAは全身投与される。ある実施態様において、ワクチン抗原をコードするRNAの全身投与後、脾臓でワクチン抗原をコードするRNAは発現される。ある実施態様において、ワクチン抗原をコードするRNAの全身投与後、抗原提示細胞、好ましくはプロフェッショナル抗原提示細胞でワクチン抗原をコードするRNAは発現される。ある実施態様において、抗原提示細胞は、樹状細胞、マクロファージおよびB細胞からなる群から選択される。ある実施態様において、ワクチン抗原をコードするRNAの全身投与後、肺および/または肝臓でワクチン抗原をコードするRNAの発現はされないまたは本質的にされない。ある実施態様において、ワクチン抗原をコードするRNAの全身投与後、脾臓におけるワクチン抗原をコードするRNAの発現は、肺における発現量の少なくとも5倍である。
ワクチン抗原は、対象における抗原に対する免疫応答を誘導するためのエピトープを含む。従って、ワクチン抗原は、対象における抗原に対する免疫応答を誘導するための抗原性配列を含む。このような抗原性配列は、標的抗原または疾患関連抗原、例えば、感染因子のタンパク質(例えば、ウイルスまたは細菌抗原)または腫瘍抗原に対応し得るかまたはその免疫原性バリアントまたは標的抗原または疾患関連抗原またはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントに対応し得る。故に、抗原性配列は、標的抗原または疾患関連抗原またはその免疫原性バリアントの少なくとも1エピトープを含み得る。
本発明での使用に適する抗原性配列、例えば、エピトープは、典型的に標的抗原、すなわち免疫応答の誘発対象となる抗原に由来し得る。例えば、ワクチン抗原内に含まれる抗原性配列は、標的抗原または標的抗原のフラグメントもしくはバリアントであり得る。
抗原性配列またはその処理産物、例えば、そのフラグメントは、免疫エフェクター細胞により担持されるTCRまたはCARなどの抗原受容体に結合し得る。ある実施態様において、抗原性配列は、免疫エフェクター細胞は向かう標的細胞により発現される抗原またはそのフラグメントまたは抗原性配列もしくはフラグメントのバリアントからなる群から選択される。
ワクチン抗原をコードするRNAの投与により、本発明により対象に提供され得るワクチン抗原は、ワクチン抗原は提供される対象において、好ましくは免疫応答の誘導、例えば、免疫エフェクター細胞の刺激、プライミングおよび/または拡大をもたらす。該免疫応答、例えば、刺激された、プライミングされたおよび/または拡大された免疫エフェクター細胞は、好ましくは標的抗原、特に罹患細胞、組織および/または臓器により発現される標的抗原、すなわち、疾患関連抗原に向かう。故に、ワクチン抗原は、疾患関連抗原またはそのフラグメントもしくはバリアントを含み得る。ある実施態様において、そのようなフラグメントまたはバリアントは、疾患関連抗原と免疫学的に等価である。
本発明の状況において、用語「抗原のフラグメント」または「抗原のバリアント」は、免疫応答の誘導、例えば、免疫エフェクター細胞の刺激、プライミングおよび/または拡大をもたらし、その免疫応答、例えば、刺激された、プライミングされたおよび/または拡大された免疫エフェクター細胞は、特に、罹患細胞、組織および/または臓器により提示されたとき、抗原、すなわち疾患関連抗原を標的とする、薬剤を意味する。故に、ワクチン抗原は疾患関連抗原に対応し得るまたは含み得る、疾患関連抗原のフラグメントに対応し得るまたは含み得るまたは疾患関連抗原またはそのフラグメントと相同である抗原に対応し得るまたは含み得る。ワクチン抗原が疾患関連抗原のフラグメントと相同である疾患関連抗原のフラグメントまたはアミノ酸配列を含むならば、該フラグメントまたはアミノ酸配列は、免疫エフェクター細胞の抗原受容体は標的とする疾患関連抗原のエピトープまたは疾患関連抗原のエピトープと相同である配列を含み得る。故に、本開示によると、ワクチン抗原は、疾患関連抗原の免疫原性フラグメントまたは疾患関連抗原の免疫原性フラグメントと相同であるアミノ酸配列を含み得る。「免疫原性抗原のフラグメント」は、本開示によると、好ましくは、抗原または抗原を発現する細胞に対する免疫応答の誘導、例えば、それに結合する抗原受容体を担持する免疫エフェクター細胞の、刺激、プライミングおよび/または拡大はできる抗原のフラグメントに関する。ワクチン抗原(疾患関連抗原に類似)は、免疫エフェクター細胞に提示される抗原受容体により結合される関連するエピトープを提供するのが好ましい。ある実施態様において、ワクチン抗原またはそのフラグメント(疾患関連抗原に類似)は、免疫エフェクター細胞は結合する関連するエピトープを提供するために、抗原提示細胞などの細胞の表面に発現される(所望によりMHCにより)。ワクチン抗原は組み換え抗原であり得る。
本発明の全態様のある実施態様において、ワクチン抗原をコードするRNAは対象の細胞で発現され、免疫エフェクター細胞により発現される抗原受容体は結合するための抗原またはその処理産物を提供し、該結合は免疫エフェクター細胞の刺激、プライミングおよび/または拡大をもたらす。本発明による「抗原」は、免疫応答を誘導するあらゆる物質および/または細胞応答および/または液性応答などの免疫応答または免疫機構は向かうあらゆる物質を含む。これはまた、抗原は抗原ペプチドにプロセシングされ、免疫応答または免疫機構は、特に存在するならばMHC分子との関連で、1以上の抗原ペプチドに向かう状況も含む。特に、「抗原」は、抗体またはTリンパ球(T細胞)と特異的に反応するペプチドまたはポリペプチドなどのあらゆる物質に関する。用語「抗原」は、T細胞エピトープなどの少なくとも1個のエピトープを含む分子を含み得る。ある実施態様において、抗原は、所望によりプロセシング後、抗原(抗原を発現する細胞を含む)特異的であり得る免疫反応を誘導する分子である。ある実施態様において、抗原は、腫瘍抗原、ウイルス抗原または細菌抗原などの疾患関連抗原またはそのような抗原由来のエピトープであり得る。
ある実施態様において、抗原は、樹状細胞またはマクロファージなどの抗原提示細胞などの免疫系の細胞の表面に提示されるかまたは存在する。抗原またはT細胞エピトープなどのその処理産物は、ある実施態様において、抗原受容体により結合される。従って、抗原またはその処理産物は、Tリンパ球(T細胞)などの免疫エフェクター細胞と特異的に反応し得る。
用語「オート抗原」または「自己抗原」は、対象体内に端を発し(すなわち、自己抗原は「自己由来抗原」とも称され得る)、この正常な体の一部に対し異常に活発な免疫応答を生ずる抗原をいう。自己抗原に対するこのような活発な免疫反応は「自己免疫性疾患」の原因であり得る。
ある実施態様において、抗原は罹患細胞(例えば腫瘍細胞または感染細胞)表面に発現される。ある実施態様において、抗原受容体は、抗原の細胞外ドメインまたは細胞外ドメインのエピトープに結合するCARである。ある実施態様において、CARは、生存細胞表面に提示される抗原の天然エピトープに結合する。ある実施態様において、抗原提示細胞などの細胞に存在する抗原に対してT細胞により発現されたときおよび/またはT細胞に存在するとき、CARの結合は、該T細胞の刺激、プライミングおよび/または拡大をもたらす。ある実施態様において、罹患細胞に存在する抗原に対してT細胞により発現されたときおよび/またはT細胞に存在するとき、CARの結合は、罹患細胞の細胞溶解および/またはアポトーシスをもたらし、ここで、該T細胞は、好ましくは細胞毒性因子、例えば、パーフォリンおよびグランザイムを放出する。
ある実施態様によると、抗原プロセシングおよび/または提示を増強するアミノ酸配列は、抗原性ペプチドまたはポリペプチド(抗原性配列)に直接またはリンカーを介して融合される。従って、ある実施態様において、ここに記載するRNAは、抗原性ペプチドまたはポリペプチドおよび抗原プロセシングおよび/または提示を増強するアミノ酸配列をコードする少なくとも1個のコード領域を含む。
ある実施態様において、抗原をそれをコードするRNAの形態で投与し得るワクチン接種は、天然に存在する抗原またはそのエピトープなどのフラグメントを含む。
そのような抗原プロセシングおよび/または提示を増強するアミノ酸配列は、好ましくは抗原性ペプチドまたはポリペプチドのC末端(および所望により免疫寛容を解除するアミノ酸配列のC末端)に位置するが、これに限定されない。ここに定義する抗原プロセシングおよび/または提示を増強するアミノ酸配列は、好ましくは抗原プロセシングおよび提示を改善する。ある実施態様において、ここに定義する抗原プロセシングおよび/または提示を増強するアミノ酸配列は、ヒトMHCクラスI複合体(HLA-B51、ハプロタイプA2、B27/B51、Cw2/Cw3)由来の配列、特に配列番号36のアミノ酸配列を含む配列またはその機能的バリアントを含むが、これらに限定されない。
ある実施態様において、分泌配列、例えば、配列番号35のアミノ酸配列を含む配列は、抗原性ペプチドまたはポリペプチドのN末端に融合し得る。
ある実施態様において、抗原プロセシングおよび/または提示を増強するアミノ酸配列は、配列番号36のアミノ酸配列、配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号36のアミノ酸配列または配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の機能的フラグメントを含む。ある実施態様において、抗原プロセシングおよび/または提示を増強するアミノ酸配列は、配列番号36のアミノ酸配列を含む。
従って、ある実施態様において、ここに記載するRNAは抗原性ペプチドまたはポリペプチドおよび抗原プロセシングおよび/または提示を増強するアミノ酸配列をコードする少なくとも1個のコード領域を含み、ここに記載するとおり該抗原プロセシングおよび/または提示を増強するアミノ酸配列は、好ましくは抗原性ペプチドまたはポリペプチドに、より好ましくは抗原性ペプチドまたはポリペプチドのC末端に融合されている。
さらに、分泌配列、例えば、配列番号35のアミノ酸配列を含む配列は、抗原性ペプチドまたはポリペプチドのN末端に融合し得る。
クロストリジウム・テタニの破傷風トキソイド由来のアミノ酸配列を、プライミング中、T細胞の助けにより、自己抗原に対する免疫応答を効率的に搭載するために、自己耐容性機構に打ち勝つために用い得る。
破傷風トキソイド重鎖は、破傷風ワクチン接種個体ほぼ全てで乱雑にMHCクラスIIアレルに結合し、CD4記憶T細胞を誘導できるエピトープを含むことは知られる。さらに、破傷風トキソイド(TT)ヘルパーエピトープと腫瘍関連抗原の組み合わせは、プライミング中のCD4介在T細胞の助けにより、腫瘍関連抗原単独の適用と比較して免疫刺激を改善することが知られる。意図する腫瘍抗原特異的T細胞応答を打ち負かし得る破傷風配列でのCD8 T細胞刺激のリスクを低減するために、CD8 T細胞エピトープを含むことは知られている破傷風トキソイドのフラグメントC全体を使用しない。あるいはできるだけ多くのMHCクラスIIアレルとの結合を確実にするために、乱雑に結合するヘルパーエピトープを含む2個のペプチド配列を選択する。エクスビボ試験のデータに基づき、周知エピトープp2(QYIKANSKFIGITEL; TT830-844;配列番号40)およびp16(MTNSVDDALINSTKIYSYFPSVISKVNQGAQG; TT578-609;配列番号41)を選択した。p2エピトープは、抗黒色腫活性のブーストのために臨床治験におけるペプチドワクチン接種で既に使用された。
非臨床データは、腫瘍抗原+乱雑に結合破傷風トキソイド配列の両方をコードするRNAワクチンが、腫瘍抗原に対するCD8 T細胞応答の増強および寛容の解除の改善をもたらすことを示した。腫瘍抗原特異的配列と共にインフレームで融合したこれら配列を含むワクチンをワクチン接種した患者からの免疫モニタリングデータは、選択した破傷風配列はほぼ全患者で破傷風特異的T細胞応答を誘導できることを確認した。
ある実施態様によると、免疫寛容を解除するアミノ酸配列は、抗原性ペプチドまたはポリペプチドに、直接またはリンカー、例えば、配列番号38のアミノ酸配列を有するリンカーを介して融合する。
このような免疫寛容を解除するアミノ酸配列は、好ましくは抗原性ペプチドまたはポリペプチドのC末端(および所望により抗原プロセシングおよび/または提示を増強するアミノ酸配列のN末端、ここで、免疫寛容を解除するアミノ酸配列および抗原プロセシングおよび/または提示を増強するアミノ酸配列は、直接またはリンカー、例えば、配列番号39のアミノ酸配列を有するリンカーを介して結合し得る)に位置するが、これに限定されない。ここで定義する免疫寛容を解除するアミノ酸配列は、好ましくはT細胞応答を改善する。ある実施態様において、ここで定義する免疫寛容を解除するアミノ酸配列は、破傷風トキソイド由来ヘルパー配列p2およびp16(P2P16)由来配列、特に配列番号37のアミノ酸配列を含む配列またはその機能的バリアントを含むが、これらに限定されない。
ある実施態様において、免疫寛容を解除するアミノ酸配列は、配列番号37のアミノ酸配列、配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号37のアミノ酸配列または配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の機能的フラグメントを含む。ある実施態様において、免疫寛容を解除するアミノ酸配列は、配列番号37のアミノ酸配列を含む。
次に、ワクチンRNAの実施態様を記載し、ここで、その要素を記載するときに使用するある用語は、次の意味を有する:
キャップ:m 7,2’OG(5’)ppSp(5’)G(特にそのD1ジアステレオマー)、m 7,3’OG(5’)ppp(5’)Gおよびm 7,3’-OGppp(m 2’-O)ApGからなる群から選択される5’キャップ構造。
hAg-コザック:翻訳効率を上げるための最適化‘コザック配列’を伴うヒトアルファ-グロビンmRNAの5’-UTR配列。
sec/MITD:抗原プロセシングおよび提示を改善することは示されている、ヒトMHCクラスI複合体(HLA-B51、ハプロタイプA2、B27/B51、Cw2/Cw3)をコードする配列由来の融合タンパク質タグ。Secは、発生期ポリペプチド鎖の小胞体への転座をガイドする、分泌シグナルペプチドをコードする78bpフラグメントに対応する。MITDはMHCクラスI分子の膜貫通および細胞質ドメイン、別名MHCクラスI輸送ドメインに対応する。
抗原:各ワクチン抗原/エピトープをコードする配列。
グリシン-セリンリンカー(GS):融合タンパク質で一般に使用されている、主にアミノ酸グリシン(G)およびセリン(S)からなる短ペプチドリンカーをコードする配列。
P2P16:免疫寛容を解除するための破傷風トキソイド由来ヘルパーエピトープをコードする配列。
FI要素:3’-UTRは、「スプリットのアミノ末端エンハンサー」(AES)mRNA(Fと称される)およびミトコンドリアにコードされた12SリボソームRNA(Iと称される)由来の2個の配列要素の組み合わせである。これらは、RNA安定性に寄与し、総タンパク質発現を増強する配列のエクスビボ選択過程により同定された。
A30L70:樹状細胞におけるRNA安定性および翻訳効率の増強のために設定された、30アデノシン残基、続いて10ヌクレオチドリンカー配列および他の70アデノシン残基のストレッチからなる110ヌクレオチド長あるポリ(A)テイル。
ある実施態様において、ワクチンここに記載するRNAは、次の構造の一つを有する。
cap-hAg-コザック-sec-GS(1)-抗原-GS(2)-P2P16-GS(3)-MITD-FI-A30L70
ベータ-S-ARCA(D1)-hAg-コザック-sec-GS(1)-抗原-GS(2)-P2P16-GS(3)-MITD-FI-A30L70
ある実施態様において、ワクチン抗原は、構造:
sec-GS(1)-抗原-GS(2)-P2P16-GS(3)-MITD
を有する。
ある実施態様において、hAg-コザックは、配列番号12のヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、secは、配列番号35のアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、P2P16は、配列番号37のアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、MITDは、配列番号36のアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、GS(1)は、配列番号38のアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、GS(2)は、配列番号39のアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、GS(3)は、配列番号39のアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、FIは、配列番号13のヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、A30L70は、配列番号14のヌクレオチド配列を含む。
ある実施態様において、ワクチン抗原/エピトープをコードする配列はウリジンを(部分的にまたは完全に、好ましくは完全に)置き換える修飾ヌクレオシドを含み、ここで、修飾ヌクレオシドはシュードウリジン(ψ)、N1-メチル-シュードウリジン(m1ψ)および5-メチル-ウリジンからなる群から選択される。
ある実施態様において、ワクチン抗原/エピトープをコードする配列はコドン最適化されている。
ある実施態様において、ワクチン抗原/エピトープをコードする配列のG/C含量は、野生型コード配列と比較して増加している。
用語「プロフェッショナル抗原提示細胞」は、ナイーブT細胞との相互作用に必要な主要組織適合性複合体クラスII(MHCクラスII)分子を構成的に発現する抗原提示細胞に関する。T細胞が抗原提示細胞の膜上のMHCクラスII分子複合体と相互作用するならば、抗原提示細胞は、T細胞の活性化を誘導する共刺激分子を産生する。プロフェッショナル抗原提示細胞は樹状細胞およびマクロファージを含む。
用語「非プロフェッショナル抗原提示細胞」は、MHCクラスII分子を構成的にではないが、インターフェロン-ガンマなどのあるサイトカインによる刺激により発現する、抗原提示細胞に関する。例として、非プロフェッショナル抗原提示細胞は、線維芽細胞、胸腺上皮性細胞、甲状腺上皮性細胞、グリア細胞、膵臓ベータ細胞または血管内皮細胞を含む。
用語「樹状細胞」(DC)は、抗原提示細胞のクラスに属する食細胞のサブタイプをいう。ある実施態様において、樹状細胞は造血骨髄前駆細胞由来である。これらの前駆細胞は、最初に未成熟樹状細胞に形質転換する。これらの未成熟細胞は、高食作用活性および低T細胞活性化能により特徴づけられる。未成熟樹状細胞は、常にウイルスおよび細菌などの病原体について周辺環境をサンプリングする。提示可能抗原と接触したら、成熟樹状細胞へと活性化され、脾臓またはリンパ節に遊走する。未成熟樹状細胞は、病原体を貪食し、タンパク質を小片に分解し、成熟によりこれらフラグメントをMHC分子を使用して細胞表面に提示する。同時に、T細胞を活性化する能力を大きく増強するCD80、CD86およびCD40などのT細胞活性化における共受容体として作用する細胞表面受容体を上方制御する。また、樹状細胞の血流を通って脾臓までまたはリンパ系を通ってリンパ節までの移動を誘導する走化性受容体であるCCR7も上方制御する。ここで、抗原提示細胞として働き、非抗原特異的共刺激シグナルと並行して、抗原を提示することにより、ヘルパーT細胞およびキラーT細胞ならびにB細胞を活性化する。故に、樹状細胞はT細胞またはB細胞関連免疫応答を能動的に誘導できる。ある実施態様において、樹状細胞は脾臓樹状細胞である。
用語「マクロファージ」は、単球の分化により産生される食細胞のサブグループをいう。炎症、免疫サイトカインまたは微生物生成物により活性化されるマクロファージは、病原体の分解をもたらす加水分解的および酸化的攻撃によりマクロファージ内の外来病原体を非特異的に貪食し、殺す。分解タンパク質からのペプチドはマクロファージ細胞表面に提示され、そこで、T細胞により認識され得て、B細胞表面の抗体と直接相互作用でき、TおよびB細胞活性化および免疫応答のさらなる刺激をもたらす。マクロファージは、抗原提示細胞のクラスに属する。ある実施態様において、マクロファージは脾臓マクロファージである。
用語「アレルゲン」は、対象の体外に端を発し(すなわち、アレルゲンは「異種抗原」とも称することはできる)、対象の免疫系は、そうしなければ対象に有害である認知された脅威と戦う異常に活発な免疫応答を生ずる一種の抗原をいう。「アレルギー」は、アレルゲンに対するそのような活発な免疫反応により引き起こされる疾患である。アレルゲンは、通常免疫グロブリン(IgE)応答を介してアトピー個体のI型過敏症反応を刺激することはできる抗原である。アレルゲンの具体例は、ピーナツタンパク質(例えば、Ara h 2.02)、オブアルブミン、牧草花粉タンパク質(例えば、Phl p 5)およびイエダニタンパク質(例えば、Der p 2)由来のアレルゲンである。
用語「増殖因子」は、細胞増殖、増殖、治癒および/または細胞分化を刺激できる分子をいう。典型的に、増殖因子は、細胞間のシグナル伝達分子として作用する。用語「増殖因子」は、標的細胞の表面の特異的受容体に結合する特定のサイトカインおよびホルモンを含む。増殖因子の例は、骨形成タンパク質(BMP)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、例えばVEGFA、上皮細胞増殖因子(EGF)、インシュリン様増殖因子、エフリン、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ニューレグリン、神経栄養因子(例えば、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経増殖因子(NGF))、胎盤増殖因子(PGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、レナラーゼ(RNLS)(抗アポトーシス生存因子)、T細胞増殖因子(TCGF)、トロンボポエチン(TPO)、トランスフォーミング増殖因子(トランスフォーミング増殖因子アルファ(TGF-α)、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β))および腫瘍壊死因子-アルファ(TNF-α)を含む。ある実施態様において、「増殖因子」はペプチドまたはタンパク質増殖因子である。
用語「プロテアーゼ阻害剤」は、プロテアーゼの機能を阻害する分子、特にペプチドまたはタンパク質をいう。プロテアーゼ阻害剤は、それは阻害するプロテアーゼにより(例えば、アスパラギンプロテアーゼ阻害剤)または作用機序により(例えば、セルピンなどの自殺阻害剤)分類され得る。プロテアーゼ阻害剤の具体例はセルピン、例えばアルファ1-アンチトリプシン、アプロチニンおよびベスタチンを含む。
用語「酵素」は、化学反応を加速する巨大分子生物学的触媒をいう。あらゆる触媒と同様、酵素は、触媒する反応により消費されず、該反応の平衡を変えない。多くの他の触媒とは異なり、酵素ははるかに特異的である。ある実施態様において、酵素は、対象の恒常性に必須であり、例えば、酵素の何らかの機能不全(特に、変異、欠失または産生減少の何れかにより引き起こされ得る活性減少)は、疾患をもたらす。酵素の例は、単純ヘルペスウイルスタイプ1チミジンキナーゼ(HSV1-TK)、ヘキソサミニダーゼ、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、シュードコリンエステラーゼおよびラクターゼを含む。
用語「受容体」は、細胞の外からシグナル(特にリガンドと称される化学シグナル)を受信するタンパク質分子をいう。シグナル(例えば、リガンド)の受容体への結合は、細胞にある種の応答、例えば、キナーゼの細胞内活性化を引き起こす。受容体は、膜貫通受容体(例えばイオンチャネル結合(イオンチャネル型)受容体、Gタンパク質結合(代謝型)受容体および酵素結合受容体)および細胞内受容体(例えば細胞質受容体および核受容体)。受容体の具体例はステロイドホルモン受容体、増殖因子受容体およびペプチド受容体(すなわち、リガンドはペプチドである受容体)、例えばP-セレクチン糖タンパク質リガンド-1(PSGL-1)を含む。用語「増殖因子受容体」は、増殖因子に結合する受容体をいう。
用語「アポトーシス制御因子」は、アポトーシスを調節する、すなわち、アポトーシスを活性化または阻害する分子、特にペプチドまたはタンパク質をいう。アポトーシス制御因子は、ミトコンドリア機能を制御するものおよびカスパーゼを制御するもの2つの広いクラスに分類され得る。第一クラスは、ミトコンドリア膜電位の喪失および/またはサイトゾルへのシトクロムCなどのアポトーシス促進性タンパク質の放出の防止により、ミトコンドリア完全性を保持するよう作用するタンパク質(例えば、BCL-2、BCL-xL)を含む。またこの第一クラスに属するのは、シトクロムCの放出を促進するアポトーシス促進性タンパク質(例えば、BAX、BAK、BIM)である。第二クラスは、アポトーシスタンパク質阻害剤(例えば、XIAP)またはカスパーゼの活性化を遮断するFLIPなどのタンパク質を含む。
用語「転写因子」は、特に、特異的DNA配列への結合により、DNAからメッセンジャーRNAへの遺伝情報の転写の速度を制御するタンパク質に関する。転写因子は、一生を通じて細胞分裂、細胞増殖および細胞死;胚発生中の細胞遊走および組織化;および/またはホルモンなどの細胞外からのシグナルに対する応答を制御し得る。転写因子は、通常、該転写因子により制御される遺伝子に隣接して、特異的DNA配列に結合する少なくとも1個のDNA結合ドメインを含む。転写因子の具体例はMECP2、FOXP2、FOXP3、STATタンパク質ファミリーおよびHOXタンパク質ファミリーを含む。
用語「腫瘍サプレッサータンパク質」は、細胞を癌化する過程から保護する分子、特にペプチドまたはタンパク質に関する。腫瘍サプレッサータンパク質(通常対応する腫瘍サプレッサー遺伝子によりコードされる)は、細胞周期の制御に弱化または抑制効果を発揮するおよび/またはアポトーシスを促進する。それらの機能は、次の1以上であり得る:細胞周期の継続に必須の遺伝子の抑制;細胞周期とDNA損傷のカップリング(細胞に損傷DNAは存在する限り、細胞分裂は起こらないはずである);損傷DNAが修復され得ないならばアポトーシス開始;転移抑制(例えば、腫瘍細胞の分散阻止、接触阻害の喪失遮断および転移阻害);およびDNA修復。腫瘍サプレッサータンパク質の具体例はp53、ホスファターゼおよびテンシンホモログ(PTEN)、SWI/SNF(SWItch/スクロース非発酵性)、フォンヒッペルリンドウ腫瘍サプレッサー(pVHL)、大腸腺腫症(APC)、CD95、腫瘍形成能の抑制5(ST5)、腫瘍形成能の抑制5(ST5)、腫瘍形成能の抑制14(ST14)およびYippee様3(YPEL3)を含む。
用語「構造タンパク質」は、そうでなければ流体である生物学的成分に堅さおよび硬性を与えるタンパク質をいう。構造タンパク質は、大部分線維性(例えばコラーゲンおよびエラスチン)であるが、球状(例えばアクチンおよびチューブリン)でもあり得る。通常、球状タンパク質は、モノマーとして可溶性であるが、重合して、長い、繊維を形成し、例えば、細胞骨格を形成し得る。他の構造タンパク質は、機械力を産生できるモータータンパク質(例えばミオシン、キネシンおよびダイニン)およびサーファクタントプロテインである。構造タンパク質の具体例はコラーゲン、サーファクタントプロテインA、サーファクタントプロテインB、サーファクタントプロテインC、サーファクタントプロテインD、エラスチン、チューブリン、アクチンおよびミオシンを含む。
用語「再プログラム化因子」または「再プログラム化転写因子」は、体細胞に、所望により再プログラム化因子などのさらなる因子と共に発現されたとき、該体細胞の幹細胞特徴、特に多能性を有する細胞への再プログラム化または脱分化に至る分子、特にペプチドまたはタンパク質に関する。再プログラム化因子の具体例はOCT4、SOX2、c-MYC、KLF4、LIN28およびNANOGを含む。
用語「ゲノム工学タンパク質」は、対象のゲノムにおけるDNAの挿入、欠失または置換は可能なタンパク質に関する。ゲノム工学タンパク質の具体例はメガヌクレアーゼ、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)および規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文配列-CRISPR関連タンパク質9(CRISPR-Cas9)を含む。
用語「血液タンパク質」は、対象の血漿、特に健常対象の血漿に存在するペプチドまたはタンパク質に関する。血液タンパク質は、輸送(例えば、アルブミン、トランスフェリン)、酵素活性(例えば、トロンビンまたはセルロプラスミン)、凝血(例えば、フィブリノゲン)、病原体に対する防御(例えば、補体成分および免疫グロブリン)、プロテアーゼ阻害剤(例えば、アルファ1-アンチトリプシン)などの多様な機能を有する。血液タンパク質の具体例はトロンビン、血清アルブミン、第VII因子、第VIII因子、インスリン、第IX因子、第X因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、タンパク質C、フォン・ヴィレブランド因子、アンチトロンビンIII、グルコセレブロシダーゼ、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、修飾第VIII因子および抗凝血因子を含む。
故に、ある実施態様において、薬学的活性ペプチドまたはタンパク質は、(i)好ましくはエリスロポエチン(EPO)、インターロイキン4(IL-2)およびインターロイキン10(IL-11)からなる群から選択される、より好ましくはEPOであるサイトカイン;(ii)接着分子、特にインテグリン;(iii)免疫グロブリン、特に抗体;(iv)免疫学活性化合物、特に抗原、例えばウイルスまたは細菌抗原、例えば、SARS-CoV-2の抗原;(v)ホルモン、特にバソプレッシン、インスリンまたは成長ホルモン;(vi)増殖因子、特にVEGFA;(vii)プロテアーゼ阻害剤、特にアルファ1-アンチトリプシン;(viii)好ましくは単純ヘルペスウイルスタイプ1チミジンキナーゼ(HSV1-TK)、ヘキソサミニダーゼ、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、シュードコリンエステラーゼ、膵臓酵素およびラクターゼからなる群から選択される酵素;(ix)受容体、特に増殖因子受容体;(x)アポトーシス制御因子、特にBAX;(xi)転写因子、特にFOXP3;(xii)腫瘍サプレッサータンパク質、特にp53;(xiii)構造タンパク質、特にサーファクタントプロテインB;(xiv)例えば、OCT4、SOX2、c-MYC、KLF4、LIN28およびNANOGかrなある群から選択される再プログラム化因子;(xv)ゲノム工学タンパク質、特に規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文配列-CRISPR関連タンパク質9(CRISPR-Cas9);および(xvi)血液タンパク質、特にフィブリノゲンである。
ある実施態様において、薬学的活性ペプチドまたはタンパク質は1以上の抗原または1以上のエピトープを含み、すなわち、対象へのペプチドまたはタンパク質の投与は、対象における1以上の抗原または1以上のエピトープに対する免疫応答を誘導し、治療または部分的にまたは完全に保護的であり得る。
ある実施態様において、RNA(好ましくはmRNA)は、少なくとも1個のエピトープ、例えば、少なくとも2個のエピトープ、少なくとも3個のエピトープ、少なくとも4個のエピトープ、少なくとも5個のエピトープ、少なくとも6個のエピトープ、少なくとも7個のエピトープ、少なくとも8個のエピトープ、少なくとも9個のエピトープまたは少なくとも10個のエピトープをコードする。
ある実施態様において、標的抗原は腫瘍抗原であり、抗原性配列(例えば、エピトープ)は腫瘍抗原由来である。腫瘍抗原は、種々の癌で発現されることは一般に知られる「標準」抗原である。腫瘍抗原はまた、個体の腫瘍に特異的であり、以前は免疫系により認識されていなかった「ネオ抗原」でもよい。ネオ抗原またはネオエピトープは、アミノ酸変化をもたらす癌細胞のゲノムの1以上の癌特異的変異に起因し得る。腫瘍抗原がネオ抗原であるならば、ワクチン抗原は、好ましくは1以上のアミノ酸変化を含む該ネオ抗原のエピトープまたはフラグメントを含む。
腫瘍抗原の例は、p53、ART-4、BAGE、ベータ-カテニン/m、Bcr-abL CAMEL、CAP-1、CASP-8、CDC27/m、CDK4/m、CEA、クローディンファミリーの細胞表面タンパク質、例えばクローディン-6、クローディン-18.2およびクローディン-12、c-MYC、CT、Cyp-B、DAM、ELF2M、ETV6-AML1、G250、GAGE、GnT-V、Gap 100、HAGE、HER-2/neu、HPV-E7、HPV-E6、HAST-2、hTERT(またはhTRT)、LAGE、LDLR/FUT、MAGE-A、好ましくはMAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A7、MAGE-A8、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A11またはMAGE-A12、MAGE-B、MAGE-C、MART-1/Melan-A、MC1R、ミオシン/m、MUC1、MUM-1、MUM-2、MUM-3、NA88-A、NF1、NY-ESO-1、NY-BR-1、pl90マイナーBCR-abL、Pml/RARa、PRAME、プロテイナーゼ3、PSA、PSM、RAGE、RU1またはRU2、SAGE、SART-1またはSART-3、SCGB3A2、SCP1、SCP2、SCP3、SSX、サバイビン、TEL/AML1、TPI/m、TRP-1、TRP-2、TRP-2/INT2、TPTE、WTおよびWT-1を含むが、これらに限定されない。
癌変異は各個体で異なる。故に、新規エピトープ(ネオエピトープ)をコードする癌変異は、ワクチン組成物および免疫療法の開発における魅力的標的を代表する。腫瘍免疫療法の有効性は、宿主内で強力な免疫応答を誘導できる、癌特異的抗原およびエピトープの選択に依存する。RNAを、患者への患者特異的腫瘍エピトープの送達に使用できる。脾臓に常在する樹状細胞(DC)は、腫瘍エピトープなどの免疫原性エピトープまたは抗原のRNA発現のために特に興味深い抗原提示細胞を表す。複数エピトープの使用は、腫瘍ワクチン組成物の治療有効性を促進することが示されている。腫瘍ミュータノームの迅速なシークエンシングは、例えば、エピトープは所望によりリンカーにより離されている、単一ポリペプチドとして、ここに記載されるRNA(特にmRNA)によりコードされ得る個別化ワクチンのための複数エピトープを提供し得る。本発明のある実施態様において、RNA(特にmRNA)は、少なくとも1個のエピトープ、少なくとも2個のエピトープ、少なくとも3個のエピトープ、少なくとも4個のエピトープ、少なくとも5個のエピトープ、少なくとも6個のエピトープ、少なくとも7個のエピトープ、少なくとも8個のエピトープ、少なくとも9個のエピトープまたは少なくとも10個のエピトープをコードする。例示的実施態様は、少なくとも5個のエピトープ(「ペンタトープ」と称する)をコードするRNA(特に、mRNA)および少なくとも10個のエピトープ(「デカトープ」と称する)をコードするRNA(特に、mRNA)を含む。
ある実施態様において、エピトープは病原体関連抗原由来である。ある実施態様において、薬学的活性ポリペプチドおよび/または抗原またはエピトープは病原体のタンパク質、タンパク質の免疫原性バリアントまたはタンパク質の免疫原性フラグメントもしくはその免疫原性バリアントに由来するかまたはそれである。
ある実施態様において、病原体はウイルス、細菌、真菌、寄生虫および他の微生物から選択される。
ウイルスの例は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、例えばSARS-CoV2、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、エプスタイン・バールウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)(例えば、CMV5)、ヒトヘルペスウイルス(HHV)(例えば、HHV6、7または8)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ウシヘルペスウイルス(BHV)(例えば、BHV4)、ウマヘルペスウイルス(EHV)(例えば、EHV2)、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)5、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、麻疹ウイルス、パポーバウイルス(JCおよびBK)、肝炎ウイルス(例えば、HBVまたはHCV)、粘液腫ウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、エンテロウイルス、パルボウイルス、ポリオーマウイルス、インフルエンザウイルス、パピローマウイルス(例えばヒトパピローマウイルス(HPV))、ポックスウイルス、例えばワクシニアウイルスおよび伝染性軟属腫ウイルス(MCV)、リッサウイルス、ロタウイルス、ノロウイルス、風疹ウイルスおよびムンプスウイルスを含むが、これらに限定されない。ウイルス感染が原因の疾患の例は、SARS、後天性免疫不全症候群(AIDS)、麻疹、水痘、サイトメガロウイルス感染、性器ヘルペス、肝炎(例えばB型またはC型肝炎)、インフルエンザ(インフル、例えばヒトインフルエンザ、ブタインフルエンザ、イヌインフルエンザ、ウマインフルエンザおよびトリインフルエンザ)、HPV感染、帯状疱疹、狂犬病、一般的な風邪、胃腸炎、風疹およびムンプスを含むが、これらに限定されない。
細菌の例は、カンピロバクター(例えばカンピロバクター・ジェジュニ)、エンテロバクター種、エンテロコッカス・フェシウム、エンテロコッカス・ファエカリス、大腸菌(例えば、F. coli O157:H7)、A群レンサ球菌、ヘモフィルス・インフルエンザエ、ヘリコバクター・ピロリ、リステリア、マイコバクテリウム・ツベルクローシス、シュードモナス・エルギノーザ、肺炎球菌、サルモネラ、シゲラ、スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピデルミデス、ボレリアおよびリケッチア、クラミジア科、Nナイセリア・ゴノレー、ボルデテラ・パータシス、クロストリジウム・テタニ、ナイセリア・メニンギティディス、ストレプトコッカス(例えばストレプトコッカス・ニューモニエまたはストレプトコッカス・ピオゲネス)および梅毒トレポネーマを含むが、これらに限定されない。細菌感染が原因の疾患の例は、炭疽、コレラ、ジフテリア、食中毒、ハンセン病、髄膜炎、消化性潰瘍疾患、肺炎、敗血症、敗血症性ショック、破傷風、結核、腸チフス、尿路感染、ライム病、ロッキー山紅斑熱、クラミジア、淋菌、百日咳、破傷風、髄膜炎、猩紅熱および梅毒を含むが、これらに限定されない。
寄生虫の例は、プラスモジウム、トリパノソーマ、リーシュマニア、トリコモナス、ディエンタメーバ、ジアルジア、赤痢アメーバ、ネグレリア、イソスポラ、トキソプラズマ、サルコシスティス、リノスポリジウム・セーベリおよびバランチジウムを含むが、これらに限定されない。寄生虫感染が原因の疾患の例は、マラリア、トリパノソーマ症、シャーガス病、リーシュマニア症、トリコモナス症、二核アメーバ症、ジアルジア症、アメーバ赤痢、コクシジウム症、トキソプラズマ症、肉胞子虫症、リノスポリジウム症およびバランチジウム症を含むが、これらに限定されない。
ある実施態様において、病原体は、感染性病原体、特にウイルス疾患、細菌疾患または寄生虫疾患などの感染性疾患を引き起こす病原体である。ある実施態様において、病原体は、ウイルス、細菌または寄生虫である。故に、これらの実施態様において、ここに記載するRNA(特にmRNA)および/または組成物を該病原体により引き起こされる感染性疾患の予防および/または処置に使用できる。
ある実施態様において、エピトープはウイルス抗原に由来する。
ある実施態様において、抗原またはエピトープは、コロナウイルスSタンパク質、その免疫原性バリアントまたはコロナウイルスタンパク質またはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントに由来する。故に、ある実施態様において、本発明で使用するmRNAは、コロナウイルスタンパク質、その免疫原性バリアントまたはコロナウイルスタンパク質またはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントを含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、抗原またはエピトープは、コロナウイルスSタンパク質、その免疫原性バリアントまたはコロナウイルスSタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントに由来する。故に、ある実施態様において、本明細書に記載するRNA(特に、mRNA)は、コロナウイルスSタンパク質、その免疫原性バリアントまたはコロナウイルスSタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントを含むアミノ酸配列をコードする。ある実施態様において、コロナウイルスはMERS-CoVである。ある実施態様において、コロナウイルスはSARS-CoVである。ある実施態様において、コロナウイルスはSARS-CoV-2である。
コロナウイルスは、エンベロープのある、陽方向鎖、一本鎖RNA((+)ssRNA)ウイルスである。既知RNAウイルスの中で最大のゲノム(26~32kb)を有し、系統的に4属(α、β、γおよびδ)に分けられ、ベータコロナウイルスはさらに4分化系列(A、B、CおよびD)に細分される。コロナウイルスは、広範なトリおよびヒトを含む哺乳動物種に感染する。一部ヒトコロナウイルスは、一般に軽度呼吸器疾患を引き起こすが、幼児、高齢者および免疫不全者では重症度は大きくなり得る。それぞれベータコロナウイルス分化系列CおよびBに属する中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)および重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)は高度に病原性である。両ウイルスとも、最近15年以内に動物リザーバーからヒト集団に発生し、大流行を引き起こし、高症例死亡率であった。非定型肺炎(コロナウイルス感染症2019;COVID-19)を引き起こす重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2)の大流行は、2019年12月半ばから中国で猛威を振るい、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態にまで進展している。SARS-CoV-2(MN908947.3)は、ベータコロナウイルス系統Bに属する。SARS-CoVと少なくとも70%配列類似性を有する。
一般に、コロナウイルスは4個の構造タンパク質、すなわち、エンベロープ(E)、膜(M)、ヌクレオカプシド(N)およびスパイク(S)を有する。EおよびMタンパク質はウイルス集合に重要な機能を有し、Nタンパク質はウイルスRNA合成に必要である。重大な糖タンパク質はウイルス結合および標的細胞への侵入を担う。Sタンパク質は、一本鎖不活性前駆体として合成され、産生細胞でフーリン様宿主プロテアーゼにより2個の非共有結合で結合したサブユニット、S1およびS2に開裂される。S1サブユニットは、宿主細胞受容体を認識する受容体結合ドメイン(RBD)を含む。S2サブユニットは、融合ペプチド、2個の7反復および膜貫通ドメインを含み、その全て、大立体配座再配列に付されることにより、ウイルスと宿主細胞膜の融合の介在に必要である。S1およびS2サブユニットは三量体形成して、大きな融合前スパイクを形成する。
SARS-CoV-2のS前駆体タンパク質はタンパク質分解によりS1(685aa)およびS2(588aa)サブユニットに開裂される。S1サブユニットは、ウイルスの宿主アンギオテンシン-変換酵素2(ACE2)受容体を介する感受性細胞の侵入を介在する受容体結合ドメイン(RBD)を含む。
ある実施態様において、抗原またはエピトープは、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントに由来する。故に、ある実施態様において、本明細書に記載するRNA(好ましくはmRNA)は、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントを含むアミノ酸配列をコードする。故に、ある実施態様において、コード化アミノ酸配列は、対象におけるコロナウイルスSタンパク質、特にSARS-CoV-2 Sタンパク質に対する免疫応答の誘導のためのSARS-CoV-2 Sタンパク質またはその免疫原性バリアントのエピトープを含む。ある実施態様において、RNA(好ましくはmRNA)は、配列番号1の986位および987位のプロリン残基は置換された完全長SARS-CoV2 Sタンパク質バリアントをコードする、ORFを含む。ある実施態様において、SARS-CoV2 Sタンパク質バリアントは、配列番号7と少なくとも80%同一性(例えば少なくとも85%同一性、少なくとも90%同一性、少なくとも91%同一性、少なくとも92%同一性、少なくとも93%同一性、少なくとも94%同一性、少なくとも95%同一性、少なくとも96%同一性、少なくとも97%同一性、少なくとも98%同一性または少なくとも99%同一性)を有する。。
ある実施態様において、RNA(特に、mRNA)を投与して、(適切な標的細胞による発現後)標的抗原(コロナウイルスSタンパク質、特にSARS-CoV-2 Sタンパク質)またはその処理産物に向けた、免疫応答、例えば、抗体および/または免疫エフェクター細胞の誘導のための抗原を提供する。ある実施態様において、本発明により誘導される免疫応答はB細胞介在免疫応答、すなわち、抗体介在免疫応答である。これに加えてまたはこれとは別に、ある実施態様において、本発明により誘導される免疫応答はT細胞介在免疫応答である。ある実施態様において、免疫応答は抗コロナウイルス、特に抗SARS-CoV-2免疫応答である。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質の免疫原性フラグメントは、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS1サブユニットまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質のS1サブユニットの受容体結合ドメイン(RBD)を含む。ある実施態様において、本明細書に記載するRNA(例えば、mRNA)は、RNAはポリペプチドの細胞内発現に適するSARS-CoV-2 Sタンパク質の受容体結合部分を含むポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む。ある実施態様において、このようなコード化ポリペプチドは完全なSタンパク質を含まない。ある実施態様において、コード化ポリペプチドは、例えば、配列番号5に示す、受容体結合ドメイン(RBD)を含む。ある実施態様において、コード化ポリペプチドは、配列番号29または31のペプチドを含む。
SARS-CoV-2コロナウイルス完全長スパイク(S)タンパク質は1273アミノ酸からなり、配列番号1に示す次のアミノ酸配列を有する。本発明の目的で、配列番号1に示すアミノ酸配列は、野生型SARS-CoV-2 Sタンパク質アミノ酸配列と考えられる。ここで示すSARS-CoV-2 Sタンパク質の位置番号付けは、配列番号1のアミノ酸配列およびSARS-CoV-2 Sタンパク質バリアントの対応する位置に対する。
具体的実施態様において、配列番号1の完全長スパイク(S)タンパク質は、プロトタイプ融合前立体構造が安定化されるような方法で修飾される。融合前立体構造の安定化は、完全長スパイクタンパク質のアミノ酸残基986および987の2連続プロリン置換の導入により得られ得る。具体的に、スパイク(S)タンパク質安定化タンパク質バリアントは、986位のアミノ酸残基はプロリンに交換され、987位のアミノ酸残基もプロリンに交換される方法で得られる。ある実施態様において、プロトタイプ融合前立体構造が安定化しているSARS-CoV-2 Sタンパク質バリアントは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含む。
当業者は、種々のスパイクバリアントおよび/またはそれを記載するリソースを知っている。
ある実施態様において、ここに記載する(例えば、本発明の組成物に含まれるおよび/または本発明の方法で使用される)RNA(特に、mRNA)は、SARS-CoV-2のスパイク(S)タンパク質、そのバリアントまたはそのフラグメントを含む、本質的にそれからなるまたはそれからなるアミノ酸配列をコードする。
配列番号1のアミノ酸327~528のアミノ酸配列、そのバリアントまたはそのフラグメントはここでは「RBD」または「RBDドメイン」とも称する。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントを含むアミノ酸配列は、多量体複合体、特に三量体複合体を形成できる。この目的で、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントを含むアミノ酸配列は、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントを含むアミノ酸配列の多量体複合体、特に三量体複合体形成を可能とするドメインを含み得る。ある実施態様において、多量体複合体の形成を可能とするドメインは、三量体化ドメイン、例えば、ここに記載する三量体化ドメインを含む。
ある実施態様において、三量体化ドメインは、SARS-CoV-2 Sタンパク質、そのバリアントまたはそのフラグメント、すなわち、抗原性ペプチドまたはタンパク質に、直接またはリンカー、例えば、グリシン/セリンリンカーを介して融合する。従って、ある実施態様において、三量体化ドメインは、上記コード化アミノ酸配列(これは所望により上記シグナルペプチドに融合していてよい)に含まれるSARS-CoV-2 Sタンパク質または免疫原性そのフラグメント(抗原性ペプチドまたはタンパク質)由来の上記アミノ酸配列に融合する。
このような三量体化ドメインは好ましくは抗原性ペプチドまたはタンパク質のC末端に位置するが、これに限定されない。ここに定義する三量体化ドメインは、好ましくはRNAによりコードされる抗原性ペプチドまたはタンパク質の三量体化を可能とする。ここに定義する三量体化ドメインの例は、T4フィブリチンの天然三量体化ドメインであるフォルドンを含むが、これらに限定されない。T4フィブリチン(フォルドン)のC末端ドメインはフィブリチン三量体構造の形成に必須であり、人工三量体化ドメインとして使用できる。ある実施態様において、ここに定義する三量体化ドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含む配列またはその機能的バリアントを含むが、これらに限定されない。
ある実施態様において、ここに定義する三量体化ドメインは、配列番号10のアミノ酸3~29のアミノ酸配列を含む配列またはその機能的バリアントを含むが、これらに限定されない。ある実施態様において、ここに定義する三量体化ドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含む配列またはその機能的バリアントを含むが、これらに限定されない。
ある実施態様において、三量体化ドメインは、配列番号10のアミノ酸3~29のアミノ酸配列、配列番号10のアミノ酸3~29のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号10のアミノ酸3~29のアミノ酸配列または配列番号10のアミノ酸3~29のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の機能的フラグメントを含む。ある実施態様において、三量体化ドメインは、配列番号10のアミノ酸3~29のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、三量体化ドメインをコードするRNAは、(i)配列番号11のヌクレオチド7~87のヌクレオチド配列、配列番号11のヌクレオチド7~87のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号11のヌクレオチド7~87のヌクレオチド配列または配列番号11のヌクレオチド7~87のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または(ii)配列番号10のアミノ酸3~29のアミノ酸配列、配列番号10のアミノ酸3~29のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号10のアミノ酸3~29のアミノ酸配列または配列番号10のアミノ酸3~29のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の機能的フラグメントを含むアミノ酸配列をコードする。ある実施態様において、三量体化ドメインをコードするRNAは、(i)配列番号11のヌクレオチド7~87のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号10のアミノ酸3~29のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメント(例えば、ここに記載されるとおり)をコードするRNAにより発現されるRBD抗原は、例えば、免疫原性を増加するため、T4-フィブリチン由来「フォルドン」三量体化ドメインの付加により修飾され得る。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントを含むアミノ酸配列は、コドン最適化されたおよび/または野生型コード配列と比較してG/C含量は増加したコード配列によりコードされ、ここで、コドン最適化および/またはG/C含量増加は、好ましくはコードするアミノ酸配列の配列を変化させない。
ある実施態様において、
(i)SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは配列番号2、8または9のヌクレオチド979~1584のヌクレオチド配列、配列番号2、8または9のヌクレオチド979~1584のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号2、8または9のヌクレオチド979~1584のヌクレオチド配列または配列番号2、8または9のヌクレオチド979~1584のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは配列番号1のアミノ酸327~528のアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸327~528のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸327~528のアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸327~528のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。
ある実施態様において、
(i)SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは配列番号2、8または9のヌクレオチド49~2055のヌクレオチド配列、配列番号2、8または9のヌクレオチド49~2055のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号2、8または9のヌクレオチド49~2055のヌクレオチド配列または配列番号2、8または9のヌクレオチド49~2055のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは配列番号1のアミノ酸17~685のアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸17~685のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸17~685のアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸17~685のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。
ある実施態様において、
(i)SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは配列番号2、8または9のヌクレオチド49~3819のヌクレオチド配列、配列番号2、8または9のヌクレオチド49~3819のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号2、8または9のヌクレオチド49~3819のヌクレオチド配列または配列番号2、8または9のヌクレオチド49~3819のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは配列番号1または7のアミノ酸17~1273のアミノ酸配列、配列番号1または7のアミノ酸17~1273のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号1または7のアミノ酸17~1273のアミノ酸配列または配列番号1または7のアミノ酸17~1273のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。
ある実施態様において、
(i)SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは配列番号2、8または9のヌクレオチド49~2049のヌクレオチド配列、配列番号2、8または9のヌクレオチド49~2049のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号2、8または9のヌクレオチド49~2049のヌクレオチド配列または配列番号2、8または9のヌクレオチド49~2049のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは配列番号1のアミノ酸17~683のアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸17~683のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸17~683のアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸17~683のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。ある実施態様において、ワクチン抗原をコードするRNAは、(i)配列番号2、8または9のヌクレオチド49~2049のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号1のアミノ酸17~683のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、コード化アミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸17~683のアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸17~683のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸17~683のアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸17~683のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。ある実施態様において、コード化アミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸17~683のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、コード化アミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸1~683のアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸1~683のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸1~683のアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸1~683のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。ある実施態様において、コード化アミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸1~683のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、コード化アミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸1~685のアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸1~685のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸1~685のアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸1~685のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。ある実施態様において、コード化アミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸1~685のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントを含むアミノ酸配列は分泌シグナルペプチドを含む。
ある実施態様において、分泌シグナルペプチドは、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントに、好ましくはN末端で融合される。
ある実施態様において、
(i)分泌シグナルペプチドをコードするRNAは配列番号2、8または9のヌクレオチド1~48のヌクレオチド配列、配列番号2、8または9のヌクレオチド1~48のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号2、8または9のヌクレオチド1~48のヌクレオチド配列または配列番号2、8または9のヌクレオチド1~48のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)分泌シグナルペプチドは配列番号1のアミノ酸1~16のアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸1~16のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸1~16のアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸1~16のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の機能的フラグメントを含む。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは
(i)配列番号6のヌクレオチド配列、配列番号6のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号6のヌクレオチド配列または配列番号6のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)配列番号5のアミノ酸配列、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号5のアミノ酸配列もしくは配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含むアミノ酸をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは
(i)配列番号4のヌクレオチド配列、配列番号4のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号4のヌクレオチド配列または配列番号4のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)配列番号3のアミノ酸配列、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号3のアミノ酸配列もしくは配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含むアミノ酸をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは(i)配列番号4のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号3のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは
(i)配列番号30のヌクレオチド54~716、配列番号30のヌクレオチド54~716のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号30のヌクレオチド54~716のヌクレオチド配列または配列番号30のヌクレオチド54~716のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)配列番号29のアミノ酸1~221のアミノ酸配列、配列番号29のアミノ酸1~221のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号29のアミノ酸1~221のアミノ酸配列または配列番号29のアミノ酸1~221のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含むアミノ酸をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは(i)配列番号30のヌクレオチド54~716のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号29のアミノ酸1~221のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは
(i)配列番号32のヌクレオチド54~725のヌクレオチド配列、配列番号32のヌクレオチド54~725のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号32のヌクレオチド54~725のヌクレオチド配列または配列番号32のヌクレオチド54~725のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)配列番号31のアミノ酸1~224のアミノ酸配列、配列番号31のアミノ酸1~224のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸1~224のアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸1~224のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含むアミノ酸をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは
(i)配列番号17、21または26のヌクレオチド配列、配列番号17、21または26のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号17、21または26のヌクレオチド配列または配列番号17、21または26のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)配列番号5のアミノ酸配列、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号5のアミノ酸配列もしくは配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含むアミノ酸をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは(i)配列番号17、21または26のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号5のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号18のアミノ酸配列、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号18のアミノ酸配列もしくは配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号18のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号29のアミノ酸1~257のアミノ酸配列、配列番号29のアミノ酸1~257のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号29のアミノ酸1~257のアミノ酸配列または配列番号29のアミノ酸1~257のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号29のアミノ酸1~257のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは
(i)配列番号30のヌクレオチド54~824のヌクレオチド配列、配列番号30のヌクレオチド54~824のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号30のヌクレオチド54~824のヌクレオチド配列または配列番号30のヌクレオチド54~824のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)配列番号29のアミノ酸1~257のアミノ酸配列、配列番号29のアミノ酸1~257のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号29のアミノ酸1~257のアミノ酸配列または配列番号29のアミノ酸1~257のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含むアミノ酸をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは(i)配列番号30のヌクレオチド54~824のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号29のアミノ酸1~257のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号31のアミノ酸1~260のアミノ酸配列、配列番号31のアミノ酸1~260のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸1~260のアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸1~260のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号31のアミノ酸1~260のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは
(i)配列番号32のヌクレオチド54~833のヌクレオチド配列、配列番号32のヌクレオチド54~833のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号32のヌクレオチド54~833のヌクレオチド配列または配列番号32のヌクレオチド54~833のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)配列番号31のアミノ酸1~260のアミノ酸配列、配列番号31のアミノ酸1~260のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸1~260のアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸1~260のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含むアミノ酸をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは(i)配列番号32のヌクレオチド54~833のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号31のアミノ酸1~260のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号29のアミノ酸20~257のアミノ酸配列、配列番号29のアミノ酸20~257のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号29のアミノ酸20~257のアミノ酸配列または配列番号29のアミノ酸20~257のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号29のアミノ酸20~257のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは
(i)配列番号30のヌクレオチド111~824のヌクレオチド配列、配列番号30のヌクレオチド111~824のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号30のヌクレオチド111~824のヌクレオチド配列または配列番号30のヌクレオチド111~824のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)配列番号29のアミノ酸20~257のアミノ酸配列、配列番号29のアミノ酸20~257のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号29のアミノ酸20~257のアミノ酸配列または配列番号29のアミノ酸20~257のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含むアミノ酸をコードする。ある実施態様において、ワクチン抗原をコードするRNAは(i)配列番号30のヌクレオチド111~824のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号29のアミノ酸20~257のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号31のアミノ酸23~260のアミノ酸配列、配列番号31のアミノ酸23~260のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸23~260のアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸23~260のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号31のアミノ酸23~260のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは
(i)配列番号32のヌクレオチド120~833のヌクレオチド配列、配列番号32のヌクレオチド120~833のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号32のヌクレオチド120~833のヌクレオチド配列または配列番号32のヌクレオチド120~833のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)配列番号31のアミノ酸23~260のアミノ酸配列、配列番号31のアミノ酸23~260のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸23~260のアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸23~260のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含むアミノ酸をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは(i)配列番号32のヌクレオチド120~833のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号31のアミノ酸23~260のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様によると、膜貫通ドメインは、SARS-CoV-2 Sタンパク質、そのバリアントまたはそのフラグメント、すなわち、抗原性ペプチドまたはタンパク質に、直接またはリンカー、例えば、グリシン/セリンリンカーを介して融合する。従って、ある実施態様において、膜貫通ドメインは、上記ワクチン抗原(これは所望により上記のとおりシグナルペプチドおよび/または三量体化ドメインに融合していてよい)に含まれるSARS-CoV-2 Sタンパク質または免疫原性そのフラグメント(抗原性ペプチドまたはタンパク質)由来の上記アミノ酸配列に融合する。このような膜貫通ドメインは好ましくは抗原性ペプチドまたはタンパク質のC末端に位置するが、これに限定されない。好ましくは、このましくは、膜貫通ドメインは、存在するならば、三量体化ドメインのC末端に位置するが、これに限定されない。ある実施態様において、三量体化ドメインは、SARS-CoV-2 Sタンパク質、そのバリアントまたはそのフラグメント、すなわち、抗原性ペプチドまたはタンパク質と膜貫通ドメインの間に存在する。ここに定義する膜貫通ドメインは、好ましくはRNAによりコードされる抗原性ペプチドまたはタンパク質の細胞膜への固定を可能とする。
ある実施態様において、ここに定義する膜貫通ドメイン配列は、SARS-CoV-2 Sタンパク質の膜貫通ドメイン配列、特に配列番号1のアミノ酸1207~1254のアミノ酸配列を含む配列またはその機能的バリアントを含むが、これらに限定されない。
ある実施態様において、膜貫通ドメイン配列は、配列番号1のアミノ酸1207~1254のアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸1207~1254のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸1207~1254のアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸1207~1254のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の機能的フラグメントを含む。ある実施態様において、膜貫通ドメイン配列は、配列番号1のアミノ酸1207~1254のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、膜貫通ドメイン配列をコードするRNAは、(i)配列番号2、8または9のヌクレオチド3619~3762のヌクレオチド配列、配列番号2、8または9のヌクレオチド3619~3762のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号2、8または9のヌクレオチド3619~3762のヌクレオチド配列または配列番号2、8または9のヌクレオチド3619~3762のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または(ii)配列番号1のアミノ酸1207~1254のアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸1207~1254のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸1207~1254のアミノ酸配列または配列番号1のアミノ酸1207~1254のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の機能的フラグメントを含むアミノ酸配列をコードする。ある実施態様において、膜貫通ドメイン配列をコードするRNAは(i)配列番号2、8または9のヌクレオチド3619~3762のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号1のアミノ酸1207~1254のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号29のアミノ酸1~311のアミノ酸配列、配列番号29のアミノ酸1~311のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号29のアミノ酸1~311のアミノ酸配列または配列番号29のアミノ酸1~311のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号29のアミノ酸1~311のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは
(i)配列番号30のヌクレオチド54~986のヌクレオチド配列、配列番号30のヌクレオチド54~986のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号30のヌクレオチド54~986のヌクレオチド配列または配列番号30のヌクレオチド54~986のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)配列番号29のアミノ酸1~311のアミノ酸配列、配列番号29のアミノ酸1~311のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号29のアミノ酸1~311のアミノ酸配列または配列番号29のアミノ酸1~311のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含むアミノ酸をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは(i)配列番号30のヌクレオチド54~986のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号29のアミノ酸1~311のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号31のアミノ酸1~314のアミノ酸配列、配列番号31のアミノ酸1~314のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸1~314のアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸1~314のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号31のアミノ酸1~314のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは
(i)配列番号32のヌクレオチド54~995のヌクレオチド配列、配列番号32のヌクレオチド54~995のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号32のヌクレオチド54~995のヌクレオチド配列または配列番号32のヌクレオチド54~995のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)配列番号31のアミノ酸1~314のアミノ酸配列、配列番号31のアミノ酸1~314のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸1~314のアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸1~314のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含むアミノ酸をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは(i)配列番号32のヌクレオチド54~995のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号31のアミノ酸1~314のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号29のアミノ酸20~311のアミノ酸配列、配列番号29のアミノ酸20~311のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号29のアミノ酸20~311のアミノ酸配列または配列番号29のアミノ酸20~311のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号29のアミノ酸20~311のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは
(i)配列番号30のヌクレオチド111~986のヌクレオチド配列、配列番号30のヌクレオチド111~986のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号30のヌクレオチド111~986のヌクレオチド配列または配列番号30のヌクレオチド111~986のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)配列番号29のアミノ酸20~311のアミノ酸配列、配列番号29のアミノ酸20~311のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号29のアミノ酸20~311のアミノ酸配列または配列番号29のアミノ酸20~311のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含むアミノ酸をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは(i)配列番号30のヌクレオチド111~986のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号29のアミノ酸20~311のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号31のアミノ酸23~314のアミノ酸配列、配列番号31のアミノ酸23~314のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸23~314のアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸23~314のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号31のアミノ酸23~314のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは
(i)配列番号32のヌクレオチド120~995のヌクレオチド配列、配列番号32のヌクレオチド120~995のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号32のヌクレオチド120~995のヌクレオチド配列または配列番号32のヌクレオチド120~995のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)配列番号31のアミノ酸23~314のアミノ酸配列、配列番号31のアミノ酸23~314のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸23~314のアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸23~314のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含むアミノ酸をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは(i)配列番号32のヌクレオチド120~995のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号31のアミノ酸23~314のアミノ酸配列を含むアミノ酸をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは
(i)配列番号30のヌクレオチド配列、配列番号30のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号30のヌクレオチド配列または配列番号30のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)配列番号29のアミノ酸配列、配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号29のアミノ酸配列もしくは配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含むアミノ酸をコードする。
ある実施態様において、ワクチン抗原をコードするRNAは(i)配列番号30のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号29のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは
(i)配列番号32のヌクレオチド配列、配列番号32のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号32のヌクレオチド配列または配列番号32のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)配列番号31のアミノ酸配列、配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸配列もしくは配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含むアミノ酸をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは(i)配列番号32のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号31のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号28のアミノ酸配列、配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号28のアミノ酸配列もしくは配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号28のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは
(i)配列番号27のヌクレオチド配列、配列番号27のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または配列番号27のヌクレオチド配列または配列番号27のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列のフラグメントを含む;および/または
(ii)配列番号28のアミノ酸配列、配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号28のアミノ酸配列もしくは配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含むアミノ酸をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは(i)配列番号27のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号28のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、上記ワクチン抗原は、上記ワクチン抗原に含まれるSARS-CoV-2 Sタンパク質または免疫原性そのフラグメント(抗原性ペプチドまたはタンパク質)由来の上記アミノ酸配列からなるまたは本質的にそれからなるSARS-CoV-2コロナウイルススパイク(S)タンパク質の連続配列を含む。ある実施態様において、上記ワクチン抗原は、220アミノ酸、215アミノ酸、210アミノ酸または205アミノ酸を超えないSARS-CoV-2コロナウイルススパイク(S)タンパク質の連続配列を含む。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは、ここにBNT162b1(RBP020.3)、BNT162b2(RBP020.1またはRBP020.2)として記載されるヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)である。ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは、ここにRBP020.2として記載するヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)である。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは、ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)であり、(i)配列番号21のヌクレオチド配列、配列番号21のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列を含むおよび/または(ii)配列番号5のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列または配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列をコードする。ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは、ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)であり、(i)配列番号21のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号5のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは、ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)であり、(i)配列番号19のヌクレオチド配列または20、配列番号19のヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列または20を含むおよび/または(ii)配列番号7のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列または配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列をコードする。ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは、ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)であり、(i)配列番号19または20のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号7のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは、ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)であり、(i)配列番号20のヌクレオチド配列、配列番号20のヌクレオチド配列に対して少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列および/または(ii)配列番号7のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列または配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列をコードする。ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは、ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)であり、(i)配列番号20のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号7のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは(i)配列番号32のヌクレオチド54~725のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号31のアミノ酸1~224のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号42のアミノ酸配列、配列番号42のアミノ酸配列と少なくとも99.5%、99%、98.5%、98%、98.5%または97%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号42のアミノ酸配列もしくは配列番号42のアミノ酸配列と少なくとも99.5%、99%、98.5%、98%、98.5%または97%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号42のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは、ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)であり、
(i)配列番号43のヌクレオチド配列、配列番号43のヌクレオチド配列に対して少なくとも99.5%、99%、98.5%、98%、98.5%または97%同一性を有するヌクレオチド配列を含むおよび/または
(ii)配列番号42のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列または配列番号42のアミノ酸配列と少なくとも99.5%、99%、98.5%、98%、98.5%または97%同一性を有するアミノ酸配列をコードする。ある実施態様において、ワクチン抗原をコードするRNAは、ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)および(i)配列番号43のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号42のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは、ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)であり、
(i)配列番号44のヌクレオチド配列、配列番号44のヌクレオチド配列に対して少なくとも99.5%、99%、98.5%、98%、98.5%または97%同一性を有するヌクレオチド配列を含むおよび/または
(ii)配列番号42のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列または配列番号42のアミノ酸配列と少なくとも99.5%、99%、98.5%、98%、98.5%または97%同一性を有するアミノ酸配列をコードする。ある実施態様において、ワクチン抗原をコードするRNAは、ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)および(i)配列番号44のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号42のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号45のアミノ酸配列、配列番号45のアミノ酸配列と少なくとも99.5%、99%、98.5%、98%、98.5%または97%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号45のアミノ酸配列もしくは配列番号45のアミノ酸配列と少なくとも99.5%、99%、98.5%、98%、98.5%または97%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。ある実施態様において、ワクチン抗原は、配列番号45のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは、ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)であり、
(i)配列番号46のヌクレオチド配列、配列番号46のヌクレオチド配列に対して少なくとも99.5%、99%、98.5%、98%、98.5%または97%同一性を有するヌクレオチド配列を含むおよび/または
(ii)配列番号45のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列または配列番号45のアミノ酸配列と少なくとも99.5%、99%、98.5%、98%、98.5%または97%同一性を有するアミノ酸配列をコードする。ある実施態様において、ワクチン抗原をコードするRNAは、ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)および(i)配列番号46のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号45のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAは、ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)であり、
(i)配列番号47のヌクレオチド配列、配列番号47のヌクレオチド配列に対して少なくとも99.5%、99%、98.5%、98%、98.5%または97%同一性を有するヌクレオチド配列を含むおよび/または
(ii)配列番号45のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列または配列番号45のアミノ酸配列と少なくとも99.5%、99%、98.5%、98%、98.5%または97%同一性を有するアミノ酸配列をコードする。ある実施態様において、ワクチン抗原をコードするRNAは、ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)および(i)配列番号47のヌクレオチド配列を含む;および/または(ii)配列番号45のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該RNAは、上記RNA修飾の1以上、すなわち、5’キャップ構造の組み込み、ポリA配列の組み込み、ポリA配列のアンマスキング、5’-および/または3’-UTRの改変(例えば1以上の3’-UTRの組み込み)、1以上の天然に存在するヌクレオチドの合成ヌクレオチドでの置き換え(例えば、シチジンについて5-メチルシチジンおよび/またはウリジンについてシュードウリジン(Ψ)またはN(1)-メチルシュードウリジン(m1Ψ)または5-メチルウリジン(m5U))およびコドン最適化を含む。ある実施態様において、該RNAは、上記修飾の組み合わせ、好ましくは上記修飾の少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個のまたは全5個の組み合わせ、すなわち、(i)5’キャップ構造の組み込み、(ii)ポリA配列の組み込み、ポリA配列のアンマスキング;(iii)5’-および/または3’-UTRの改変(例えば1以上の3’-UTRの組み込み);(iv)1以上の天然に存在するヌクレオチドの合成ヌクレオチドでの置き換え(例えば、シチジンについて5-メチルシチジンおよび/またはウリジンについてシュードウリジン(Ψ)またはN(1)-メチルシュードウリジン(m1Ψ)または5-メチルウリジン(m5U))および(v)コドン最適化を含む。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該RNAは、修飾RNA、特に安定化mRNAである。ある実施態様において、該RNAは、少なくとも1個のウリジンの代わりに修飾ヌクレオシドを含む。ある実施態様において、該RNAは、は、各ウリジンの代わりになど少なくとも1個のウリジンの代わりに修飾ヌクレオシドを含む。ある実施態様において、修飾ヌクレオシドは独立してシュードウリジン(ψ)、N1-メチル-シュードウリジン(m1ψ)および5-メチル-ウリジン(m5U)から選択される。ある実施態様において、該RNAは、5’キャップ、好ましくはキャップ1またはキャップ2構造、より好ましくはキャップ1構造を含む。ある実施態様において、該RNAは、配列番号12のヌクレオチド配列または配列番号12のヌクレオチド配列に対して少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列を含む5’-UTRを含む。ある実施態様において、該RNAは、配列番号13のヌクレオチド配列または配列番号13のヌクレオチド配列に対して少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するヌクレオチド配列を含む3’-UTRを含む。ある実施態様において、該RNAはポリA配列を含む。ある実施態様において、ポリA配列は、少なくとも100ヌクレオチドを含む。ある実施態様において、ポリA配列は配列番号14のヌクレオチド配列を含むまたはそれからなる。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、RBDに変異を含み(例えば、配列番号1と比較してQ321L、V341I、A348T、N354D、S359N、V367F、K378R、R408I、Q409E、A435S、N439K、K458R、I472V、G476S、S477N、V483A、Y508H、H519Pなどであるが、これらに限定されない)および/またはスパイクタンパク質に変異を含む(例えば、配列番号1と比較してD614Gなどであるが、これらに限定されない)。当業者は、種々のスパイクバリアントおよび/またはそれを記載するリソースを知っており(例えば、COVID-19 Viral Genome Analysis Pipelineにより維持され、https://cov.lanl.gov/components/sequence/COV/int_sites_tbls.comp(最終アクセス2020年8月24日)に見られるスパイク変異部位の表)、本明細書を読むことにより、ここに記載するRNA組成および/または方法は、このようなバリアントの何れかまたは全ておよび/またはそれらの組み合わせに対して中和活性を示す、ワクチン接種対象に血清を誘導能力により特徴づけられることを知る。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、配列番号1と比較してスパイクタンパク質の501位に変異を含み、所望により配列番号1と比較してさらに1以上の変異を含んでよい(例えば、配列番号1としてH69/V70欠失、Y144欠失、A570D、D614G、P681H、T716I、S982A、D1118H、D80A、D215G、E484K、A701V、L18F、R246I、K417N、L242/A243/L244欠失などであるが、これらに限定されない)。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、「懸念される変異株202012/01」(VOC-202012/01;系統B.1.1.7としても知られる)を含む。バリアントは、以前は英国公衆衛生庁により2020年12月に調査中の第一変異株(VUI-202012/01)と名付けられたが、懸念される変異株(VOC-202012/01)に再分類された。VOC-202012/01は、英国でCOVID-19パンデミック中の2020年10月に、前の月に採取したサンプルから初めて検出され、12月半ばまでに急速に拡散し始めたSARS-CoV-2のバリアントである。英国でのCOVID-19感染率の顕著な増加と相関する;この増加は、少なくとも一部、ヒト細胞におけるACE2への結合に必要なスパイク糖タンパク質受容体結合ドメイン内の変化N501Yによる。VOC-202012/01バリアントは13非同義変異、4欠失および6同義変異(すなわち、タンパク質を変換させる17変異および変化させない6変異)の23変異により定義される。VOC 202012/01におけるスパイクタンパク質変化は、欠失69~70、欠失144、N501Y、A570D、D614G、P681H、T716I、S982AおよびD1118Hを含む。VOC-202012/01における最も重要な変化の一つは、N501Y、アミノ酸501位のアスパラギン(N)からチロシン(Y)への変化と考えられる。この変異は単独でまたはN末端ドメイン(NTD)の69/70位の欠失と組み合わせて、ウイルスの伝達性を増強させ得る。
故に、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAの具体的実施態様において、該バリアントは、次の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む:配列番号1と比較して欠失69~70、欠失144、N501Y、A570D、D614G、P681H、T716I、S982AおよびD1118H。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、バリアント「501.V2」を含む。このバリアントは、2020年10月のサンプルで最初に観察され、それ以来、南アフリカで全ゲノムシークエンシング(WGS)により501.V2バリアントの300を超える症例が確認されており、2020年12月には、その地域ではウイルスの優勢形態となった。予備的結果は、このバリアントの伝達性は増加している可能性が示されている。501.V2バリアントは、D80A、D215G、E484K、N501YおよびA701Vを含む複数スパイクタンパク質変化により定義されており、さらに最近集められたウイルスは、さらなる変化:L18F、R246I、K417Nおよび欠失242~244を有する。
故に、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAの具体的実施態様において、該バリアントは、次の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む:配列番号1と比較してD80A、D215G、E484K、N501YおよびA701Vおよび所望により:配列番号1と比較してL18F、R246I、K417Nおよび欠失242~244。該SAR-CoV-2スパイクバリアントはまた配列番号1と比較してD614G変異も含み得る。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、配列番号1と比較してスパイクタンパク質にH69/V70欠失を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む。該SAR-CoV-2スパイクバリアントは、配列番号1と比較してさらに1以上の変異も含み得る(例えば、配列番号1と比較してY144欠失、N501Y、A570D、D614G、P681H、T716I、S982A、D1118H、D80A、D215G、E484K、A701V、L18F、R246I、K417N、L242/A243/L244欠失、Y453F、I692V、S1147L、M1229Iなどであるが、これらに限定されない)。具体的実施態様において、該SAR-CoV-2スパイクバリアントは次の変異を含む:配列番号1と比較して欠失69~70、欠失144、N501Y、A570D、D614G、P681H、T716I、S982AおよびD1118H。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、デンマーク国立血清研究所(SSI)によりΔFVI-スパイクとも称されるバリアント「クラスター5」を含む。デンマークの北ユラン地域で発見され、ミンク農家を介してミンクからヒトに広がっていると考えられる。クラスター5において、ウイルスのスパイクタンパク質における数個の異なる変異は確認されている。特異的変異は、69~70デルタHV(タンパク質の69位および70位のヒスチジンおよびバリン残基の欠失)、Y453F(453位のチロシンからフェニルアラニンへの変化)、I692V(692位のイソロイシンからバリン)、M1229I(1229位のメチオニンからイソロイシン)および所望によりS1147L(1147位のセリンからロイシン)を含む。
故に、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAの具体的実施態様において、該バリアントは、次の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む:配列番号1と比較して欠失69~70、Y453F、I692V、M1229Iおよび所望によりS1147L。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、配列番号1と比較してスパイクタンパク質におけるD614G変異などの、配列番号1と比較してスパイクタンパク質の614位に変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む。配列番号1と比較してスパイクタンパク質の614位に変異を含む該SAR-CoV-2スパイクバリアントは、配列番号1と比較してさらに1以上の変異も含み得る(例えば、配列番号1と比較してH69/V70欠失、Y144欠失、N501Y、A570D、P681H、T716I、S982A、D1118H、D80A、D215G、E484K、A701V、L18F、R246I、K417N、L242/A243/L244欠失、Y453F、I692V、S1147L、M1229Iなどであるが、これらに限定されない)。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、次の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む:配列番号1と比較して欠失69~70、欠失144、N501Y、A570D、D614G、P681H、T716I、S982AおよびD1118H。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、次の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む:配列番号1と比較してD80A、D215G、E484K、N501Y、A701VおよびD614Gおよび所望により:配列番号1と比較してL18F、R246I、K417Nおよび欠失242~244。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、配列番号1と比較してスパイクタンパク質の501位および614位に変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む。ある実施態様において、該SAR-CoV-2スパイクバリアントは配列番号1と比較してスパイクタンパク質にN501Y変異およびD614G変異を含む。ある実施態様において、該SAR-CoV-2スパイクバリアントは配列番号1と比較してさらに1以上の変異を含む(例えば、配列番号1と比較してH69/V70欠失、Y144欠失、A570D、P681H、T716I、S982A、D1118H、D80A、D215G、E484K、A701V、L18F、R246I、K417N、L242/A243/L244欠失、Y453F、I692V、S1147L、M1229Iなどであるが、これらに限定されない)。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、次の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む:配列番号1と比較して欠失69~70、欠失144、N501Y、A570D、D614G、P681H、T716I、S982AおよびD1118H。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、次の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む:配列番号1と比較してD80A、D215G、E484K、N501Y、A701VおよびD614Gおよび所望により:配列番号1と比較してL18F、R246I、K417Nおよび欠失242~244。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、配列番号1と比較してスパイクタンパク質におけるE484K変異などの、配列番号1と比較してスパイクタンパク質の484位に変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む。ある実施態様において、該SAR-CoV-2スパイクバリアントは配列番号1と比較してさらに1以上の変異を含み得る(例えば、配列番号1と比較してH69/V70欠失、Y144欠失、N501Y、A570D、D614G、P681H、T716I、S982A、D1118H、D80A、D215G、A701V、L18F、R246I、K417N、L242/A243/L244欠失、Y453F、I692V、S1147L、M1229I、T20N、P26S、D138Y、R190S、K417T、H655Y、T1027I、V1176Fなどであるが、これらに限定されない)。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、次の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む:配列番号1と比較してD80A、D215G、E484K、N501YおよびA701Vおよび所望により:配列番号1と比較してL18F、R246I、K417Nおよび欠失242~244。該SAR-CoV-2スパイクバリアントはまた配列番号1と比較してD614G変異も含み得る。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、ブラジル変異株として知られるバリアント系統B.1.1.248を含む。SARS-CoV-2のこのバリアントは、P.1系統と名付けられ、17の特有のアミノ酸変化を有し、その10個は、N501YおよびE484Kを含むスパイクタンパク質である。B.1.1.248はB.1.1.28に始まる。E484KはB.1.1.28およびB.1.1.248両方に存在する。B.1.1.248は、いくつかのSタンパク質多形性[L18F、T20N、P26S、D138Y、R190S、K417T、E484K、N501Y、H655Y、T1027I、V1176F]を有し、南アフリカからの記載したバリアントとある重要なRBD位置(K417、E484、N501)が類似する。
故に、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAの具体的実施態様において、該バリアントは、次の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む:配列番号1と比較してL18F、T20N、P26S、D138Y、R190S、K417T、E484K、N501Y、H655Y、T1027IおよびV1176F。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、配列番号1と比較してスパイクタンパク質におけるN501Y変異およびE484K変異などの、配列番号1と比較してスパイクタンパク質の501位および484位の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む。ある実施態様において、該SAR-CoV-2スパイクバリアントは配列番号1と比較してさらに1以上の変異を含み得る(例えば、配列番号1と比較してH69/V70欠失、Y144欠失、A570D、D614G、P681H、T716I、S982A、D1118H、D80A、D215G、A701V、L18F、R246I、K417N、L242/A243/L244欠失、Y453F、I692V、S1147L、M1229I、T20N、P26S、D138Y、R190S、K417T、H655Y、T1027I、V1176Fなどであるが、これらに限定されない)。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、次の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む:配列番号1と比較してD80A、D215G、E484K、N501YおよびA701Vおよび所望により:配列番号1と比較してL18F、R246I、K417Nおよび欠失242~244。該SAR-CoV-2スパイクバリアントはまた配列番号1と比較してD614G変異も含み得る。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、次の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む:配列番号1と比較してL18F、T20N、P26S、D138Y、R190S、K417T、E484K、N501Y、H655Y、T1027IおよびV1176F。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、配列番号1と比較してスパイクタンパク質におけるN501Y変異、E484K変異およびD614G変異などの、配列番号1と比較してスパイクタンパク質の501位、484位および614位の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む。ある実施態様において、該SAR-CoV-2スパイクバリアントは配列番号1と比較してさらに1以上の変異を含み得る(例えば、配列番号1と比較してH69/V70欠失、Y144欠失、A570D、P681H、T716I、S982A、D1118H、D80A、D215G、A701V、L18F、R246I、K417N、L242/A243/L244欠失、Y453F、I692V、S1147L、M1229I、T20N、P26S、D138Y、R190S、K417T、H655Y、T1027I、V1176Fなどであるが、これらに限定されない)。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、次の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む:配列番号1と比較してD80A、D215G、E484K、N501Y、A701VおよびD614Gおよび所望により:配列番号1と比較してL18F、R246I、K417Nおよび欠失242~244。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、配列番号1と比較してスパイクタンパク質にL242/A243/L244欠失を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む。ある実施態様において、該SAR-CoV-2スパイクバリアントは配列番号1と比較してさらに1以上の変異を含み得る(例えば、配列番号1と比較してH69/V70欠失、Y144欠失、N501Y、A570D、D614G、P681H、T716I、S982A、D1118H、D80A、D215G、E484K、A701V、L18F、R246I、K417N、Y453F、I692V、S1147L、M1229I、T20N、P26S、D138Y、R190S、K417T、H655Y、T1027I、V1176Fなどであるが、これらに限定されない)。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、次の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む:配列番号1と比較してD80A、D215G、E484K、N501Y、A701Vおよび欠失242~244および所望により:配列番号1と比較してL18F、R246IおよびK417N。該SAR-CoV-2スパイクバリアントはまた配列番号1と比較してD614G変異も含み得る。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、配列番号1と比較してスパイクタンパク質におけるK417NまたはK417T変異などの、配列番号1と比較してスパイクタンパク質の417位に変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む。ある実施態様において、該SAR-CoV-2スパイクバリアントは配列番号1と比較してさらに1以上の変異を含み得る(例えば、配列番号1と比較してH69/V70欠失、Y144欠失、N501Y、A570D、D614G、P681H、T716I、S982A、D1118H、D80A、D215G、E484K、A701V、L18F、R246I、L242/A243/L244欠失、Y453F、I692V、S1147L、M1229I、T20N、P26S、D138Y、R190S、H655Y、T1027I、V1176Fなどであるが、これらに限定されない)。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、次の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む:配列番号1と比較してD80A、D215G、E484K、N501Y、A701VおよびK417Nおよび所望により:配列番号1と比較してL18F、R246Iおよび欠失242~244。該SAR-CoV-2スパイクバリアントはまた配列番号1と比較してD614G変異も含み得る。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、次の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む:配列番号1と比較してL18F、T20N、P26S、D138Y、R190S、K417T、E484K、N501Y、H655Y、T1027IおよびV1176F。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、配列番号1と比較してスパイクタンパク質におけるK417NまたはK417T変異およびE484Kおよび/またはN501Y変異などの、配列番号1と比較してスパイクタンパク質の417位および484位および/または501位の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む。ある実施態様において、該SAR-CoV-2スパイクバリアントは配列番号1と比較してさらに1以上の変異を含み得る(例えば、配列番号1と比較してH69/V70欠失、Y144欠失、A570D、D614G、P681H、T716I、S982A、D1118H、D80A、D215G、A701V、L18F、R246I、L242/A243/L244欠失、Y453F、I692V、S1147L、M1229I、T20N、P26S、D138Y、R190S、H655Y、T1027I、V1176Fなどであるが、これらに限定されない)。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、次の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む:配列番号1と比較してD80A、D215G、E484K、N501Y、A701VおよびK417Nおよび所望により:配列番号1と比較してL18F、R246Iおよび欠失242~244。該SAR-CoV-2スパイクバリアントはまた配列番号1と比較してD614G変異も含み得る。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、次の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む:配列番号1と比較してL18F、T20N、P26S、D138Y、R190S、K417T、E484K、N501Y、H655Y、T1027IおよびV1176F。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、オミクロン変異株として知られるバリアント系統B.1.1.529を含む。このバリアントは、A67V、Δ69~70、T95I、G142D、Δ143~145、Δ211、L212I、ins214EPE(アミノ酸214後のEPEの挿入)、G339D、S371L、S373P、S375F、K417N、N440K、G446S、S477N、T478K、E484A、Q493R、G496S、Q498R、N501Y、Y505H、T547K、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、N856K、Q954H、N969KおよびL981Fを含む多数の変異を含む。
故に、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、次の変異を含むSAR-CoV-2スパイクバリアントを含む:配列番号1と比較してA67V、Δ69~70、T95I、G142D、Δ143~145、Δ211、L212I、ins214EPE(アミノ酸214後のEPEの挿入)、G339D、S371L、S373P、S375F、S477N、T478K、E484A、Q493R、G496S、Q498R、N501Y、Y505H、T547K、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、N856K、Q954H、N969KおよびL981F。ある実施態様において、該変異を含む、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、配列番号1と比較してK986PおよびV987Pを含む。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、次の変異の少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも30個、少なくとも31個、少なくとも32個、少なくとも33個、少なくとも34個、少なくとも35個、少なくとも36個または少なくとも37個を含む:配列番号1と比較してT547K、H655Y、D614G、N679K、P681H、N969K、S373P、S371L、N440K、G339D、G446S、N856K、N764K、K417N、D796Y、Q954H、T95I、A67V、L981F、S477N、G496S、T478K、Q498R、Q493R、E484A、N501Y、S375F、Y505H、V143del、H69del、V70del、N211del、L212I、ins214EPE、G142D、Y144del、Y145del、L141del、Y144F、Y145D、G142del。ある実施態様において、該変異を含む、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、配列番号1と比較してK986PおよびV987Pを含む。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、次の変異の少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個または全てを含む:配列番号1と比較してT547K、H655Y、D614G、N679K、P681H、N969K、S373P、S371L、N440K、G339D、G446S、N856K、N764K、K417N、D796Y、Q954H、T95I、A67V、L981F、S477N、G496S、T478K、Q498R、Q493R、E484A。該SAR-CoV-2スパイクバリアントは、次の変異の少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個または全てを含み得る:配列番号1と比較してN501Y、S375F、Y505H、V143del、H69del、V70delおよび/またはは、次の変異の少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個または全てを含み得る:配列番号1と比較してN211del、L212I、ins214EPE、G142D、Y144del、Y145del。ある実施態様において、該SAR-CoV-2スパイクバリアントは、次の変異の少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個または全てを含み得る:配列番号1と比較してL141del、Y144F、Y145D、G142del。ある実施態様において、該変異を含む、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、配列番号1と比較してK986PおよびV987Pを含む。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは、次の変異の少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも30個、少なくとも31個、少なくとも32個、少なくとも33を含む:配列番号1と比較してA67V、Δ69~70、T95I、G142D、Δ143~145、Δ211、L212I、ins214EPE、G339D、S371L、S373P、S375F、K417N、N440K、G446S、S477N、T478K、E484A、Q493R、G496S、Q498R、N501Y、Y505H、T547K、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、N856K、Q954H、N969KおよびL981F。ある実施態様において、該変異を含む、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、配列番号1と比較してK986PおよびV987Pを含む。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは次の変異を含む:配列番号1と比較してA67V、Δ69~70、T95I、G142D、Δ143~145、Δ211、L212I、ins214EPE、G339D、S371L、S373P、S375F、K417N、N440K、G446S、S477N、T478K、E484A、Q493R、G496S、Q498R、N501Y、Y505H、T547K、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、N856K、Q954H、N969KおよびL981F。ある実施態様において、該変異を含む、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、配列番号1と比較してK986PおよびV987Pを含む。
SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAのある実施態様において、該バリアントは次の変異を含む:配列番号1と比較してA67V、Δ69~70、T95I、G142D、Δ143~145、Δ211、L212I、ins214EPE、G339D、S371L、S373P、S375F、S477N、T478K、E484A、Q493R、G496S、Q498R、N501Y、Y505H、T547K、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、N856K、Q954H、N969KおよびL981F。ある実施態様において、該変異を含む、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、配列番号1と比較してK986PおよびV987Pを含む。
ここに記載するSAR-CoV-2スパイクバリアントは、配列番号1と比較してD614G変異を含んでも、含まなくてもよい。
SAR-CoV-2スパイクバリアントは、セクション「医薬組成物の使用」の下に開示する変異の1以上を有し得る。
本発明のある実施態様において、抗原(例えば腫瘍抗原またはワクチン抗原)は、好ましくはRNAを投与された対象の細胞への挿入により、各タンパク質に翻訳される一本鎖、5’キャップ化RNA(好ましくはmRNA)として投与される。好ましくは、RNAは、安定性および翻訳効率に関してRNAの最大有効性のために最適化された構造要素(5’キャップ、5’ UTR、3’ UTR、ポリ(A)配列)を含む。
ある実施態様において、ベータ-S-ARCA(D1)は、RNAの5’末端の特異的キャッピング構造として利用される。ある実施態様において、m 7,3’-OGppp(m 2’-O)ApGは、RNAの5’末端の特異的キャッピング構造として利用される。ある実施態様において、5’-UTR配列はヒトアルファ-グロビンmRNA由来であり、所望により翻訳効率を増加するための最適化‘コザック配列’を有する。ある実施態様において、「スプリットのアミノ末端エンハンサー」(AES)mRNA(Fと称される)およびミトコンドリアにコードされた12SリボソームRNA(Iと称される)由来の2個の配列要素の組み合わせがコード配列とポリ(A)配列の間に配置され、高い最高タンパク質レベルおよびmRNA持続の延長を確実にする。ある実施態様において、ヒトベータ-グロビンmRNA由来の2個の反復3’-UTRがコード配列とポリ(A)配列の間に配置され、高い最高タンパク質レベルおよびmRNA持続の延長を確実にする。ある実施態様において、30アデノシン残基、続いて10ヌクレオチドリンカー配列および他の70アデノシン残基のストレッチからなる110ヌクレオチド長であるポリ(A)配列が使用される。このポリ(A)配列は、RNA安定性および翻訳効率の増強のために設計された。
次に、3個の異なるRNAプラットフォームの実施態様を記載し、その各々、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードする。
一般に、ワクチンここに記載するRNAは、5’→3’で、次の構造を含み得る:
キャップ-5’-UTR-ワクチン抗原コード化配列-3’-UTR-ポリ(A)
または
ベータ-S-ARCA(D1)-hAg-コザック-ワクチン抗原コード化配列-FI-A30L70。
一般に、ここに記載するワクチン抗原は、N末端からC末端で、次の構造の一つを含み得る:
シグナル配列-RBD-三量体化ドメイン
または
シグナル配列-RBD-三量体化ドメイン-膜貫通ドメイン。
RBDおよび三量体化ドメインは、リンカー、特にアミノ酸配列GSPGSGSGS(配列番号33)を有するリンカーなどのGSリンカーにより離され得る。三量体化ドメインおよび膜貫通ドメインは、リンカー、特にアミノ酸配列GSGSGS(配列番号34)を有するリンカーなどのGSリンカーにより離され得る。
シグナル配列はここに記載するシグナル配列であり得る。RBDはここに記載するRBDドメインであり得る。三量体化ドメインはここに記載する三量体化ドメインであり得る。膜貫通ドメインはここに記載する膜貫通ドメインであり得る。
ある実施態様において、
シグナル配列は配列番号1のアミノ酸1~16または1~19のアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸1~22のアミノ酸配列またはこのアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、
RBDは配列番号1のアミノ酸327~528のアミノ酸配列またはこのアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、
三量体化ドメインは、配列番号10のアミノ酸3~29のアミノ酸配列または配列番号10のアミノ酸配列またはこのアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列を含み;そして
膜貫通ドメインは、配列番号1のアミノ酸1207~1254のアミノ酸配列またはこのアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、
シグナル配列は配列番号1のアミノ酸1~16または1~19のアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸1~22のアミノ酸配列を含み、
RBDは配列番号1のアミノ酸327~528のアミノ酸配列を含み、
三量体化ドメインは、配列番号10のアミノ酸3~29のアミノ酸配列または配列番号10のアミノ酸配列を含み;そして
膜貫通ドメインは、配列番号1のアミノ酸1207~1254のアミノ酸配列を含む。
上記RNAまたは上記ワクチン抗原をコードするRNAは、非修飾ウリジン含有mRNA(uRNA)、ヌクレオシド修飾mRNA(modRNA)または自己増幅RNA(saRNA)であり得る。ある実施態様において、上記RNAまたは上記ワクチン抗原をコードするRNAはヌクレオシド修飾mRNA(modRNA)である。
非修飾ウリジンメッセンジャーRNA(uRNA)
非修飾メッセンジャーRNA(uRNA)の活性本体は、細胞に入ると翻訳される一本鎖mRNAである。コロナウイルスワクチン抗原をコードする配列に加えて、各uRNAは、好ましくは安定性および翻訳効率に関して最適化された共通構造要(5’キャップ、5’-UTR、3’-UTR、ポリ(A)テイル)を含む。好ましい5’キャップ構造はベータ-S-ARCA(D1)(m 7,2’-OGppSpG)である。好ましい5’-UTRおよび3’-UTRは、それぞれ配列番号12のヌクレオチド配列および配列番号13のヌクレオチド配列を含む。好ましいポリ(A)テイルは配列番号14の配列を含む。
このプラットフォームの異なる実施態様は次のとおりである:
RBL063.1(配列番号15;配列番号7)
構造 ベータ-S-ARCA(D1)-hAg-コザック-S1S2-PP-FI-A30L70
コード化抗原 SARS-CoV-2のウイルススパイクタンパク質(S1S2タンパク質)(S1S2完全長タンパク質、配列バリアント)
RBL063.2(配列番号16;配列番号7)
構造 ベータ-S-ARCA(D1)-hAg-コザック-S1S2-PP-FI-A30L70
コード化抗原 SARS-CoV-2のウイルススパイクタンパク質(S1S2タンパク質)(S1S2完全長タンパク質、配列バリアント)
BNT162a1;RBL063.3(配列番号17;配列番号5)
構造 ベータ-S-ARCA(D1)-hAg-コザック-RBD-GS-フィブリチン-FI-A30L70
コード化抗原 SARS-CoV-2のウイルススパイクタンパク質(Sタンパク質)(S1S2タンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)である部分配列)
これに関して、「hAg-コザック」は、翻訳効率を上げるための最適化‘コザック配列’を伴うヒトアルファ-グロビンmRNAの5’-UTR配列を意味する;「S1S2タンパク質」/「S1S2 RBD」は、各SARS-CoV-2の抗原をコードする配列を意味する;「FI要素」は、3’-UTRは「スプリットのアミノ末端エンハンサー」(AES)mRNA(Fと称される)およびミトコンドリアにコードされた12SリボソームRNA(Iと称される)由来の2個の配列要素の組み合わせであることを意味する。これらは、RNA安定性に寄与し、総タンパク質発現を増強する配列のエクスビボ選択過程により同定された;「A30L70」は、樹状細胞におけるRNA安定性および翻訳効率を増強するため設計された、30アデノシン残基、続いて10ヌクレオチドリンカー配列および他の70アデノシン残基のストレッチからなる、110ヌクレオチド長あるポリ(A)テイルを意味する;「GS」は、グリシン-セリンリンカー、すなわち、融合タンパク質で一般に使用されている、主にアミノ酸グリシン(G)およびセリン(S)からなる 短リンカーペプチドをコードする配列を意味する。
ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)
ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)薬物物質の活性本体は、同様に細胞に入ると翻訳される一本鎖mRNAである。コロナウイルスワクチン抗原をコードする配列(すなわち、オープンリーディングフレーム)に加えて、各modRNAは、uRNAと同様RNAの最大有効性について最適化された共通構造要素(5’キャップ、5’-UTR、3’-UTR、ポリ(A)テイル)を含む。uRNAと比較して、modRNAは、ウリジンの代わりに1-メチル-シュードウリジンを含む。好ましい5’キャップ構造はm 7,3’-OGppp(m 2’-O)ApGである。好ましい5’-UTRおよび3’-UTRは、それぞれ配列番号12のヌクレオチド配列および配列番号13のヌクレオチド配列を含む。好ましいポリ(A)テイルは配列番号14の配列を含む。さらなる精製工程は、インビトロ転写反応中に酸性されるdsRNA汚染物を減少するためにmodRNAに適用される。
このプラットフォームの異なる実施態様は次のとおりである:
BNT162b2;RBP020.1(配列番号19;配列番号7)
構造 m 7,3’-OGppp(m 2’-O)ApG)-hAg-コザック-S1S2-PP-FI-A30L70
コード化抗原 SARS-CoV-2のウイルススパイクタンパク質(S1S2タンパク質)(S1S2完全長タンパク質、配列バリアント)
BNT162b2;RBP020.2(配列番号20;配列番号7)
構造 m 7,3’-OGppp(m 2’-O)ApG)-hAg-コザック-S1S2-PP-FI-A30L70
コード化抗原 SARS-CoV-2のウイルススパイクタンパク質(S1S2タンパク質)(S1S2完全長タンパク質、配列バリアント)
BNT162b1;RBP020.3(配列番号21;配列番号5)
構造 m 7,3’-OGppp(m 2’-O)ApG)-hAg-コザック-RBD-GS-フィブリチン-FI-A30L70
コード化抗原 SARS-CoV-2のウイルススパイクタンパク質(S1S2タンパク質)(フィブリチンに融合したS1S2タンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)である部分配列)
BNT162b3c(配列番号29;配列番号30)
構造 m 7,3’-OGppp(m 2’-O)ApG-hAg-コザック-RBD-GS-フィブリチン-GS-TM-FI-A30L70
コード化抗原 SARS-CoV-2のウイルススパイクタンパク質(S1S2タンパク質)(S1S2タンパク質の膜貫通ドメイン(TM)に融合したフィブリチンに融合したS1S2タンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)である部分配列);抗原配列のN末端に内因性S1S2タンパク質分泌シグナルペプチド(aa1-19)
BNT162b3d(配列番号31;配列番号32)
構造 m 7,3’-OGppp(m 2’-O)ApG-hAg-コザック-RBD-GS-フィブリチン-GS-TM-FI-A30L70
コード化抗原 SARS-CoV-2のウイルススパイクタンパク質(S1S2タンパク質)(S1S2タンパク質の膜貫通ドメイン(TM)に融合したフィブリチンに融合したS1S2タンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)である部分配列);抗原配列のN末端に免疫グロブリン分泌シグナルペプチド(aa1-22)
自己増幅RNA(saRNA)
自己増幅mRNA(saRNA)薬物物質の活性本体は、細胞に入ると自己増幅し、その後コロナウイルスワクチン抗原は翻訳される一本鎖RNAである。好ましくは単一タンパク質をコードするuRNAおよびmodRNAとは対照的に、saRNAのコード領域は2個のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む。5’-ORFは、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)RNA依存性RNAポリメラーゼ(レプリカーゼ)などのRNA依存性RNAポリメラーゼをコードする。レプリカーゼORFの後ろに、3’にサブゲノムプロモーターおよび抗原をコードする第二ORFは続く。さらに、saRNA UTRは、自己増幅に必要な5’および3’保存配列要素(CSE)を含む。saRNAは、uRNAと同様RNAの最大有効性について最適化された共通構造要素(5’キャップ、5’-UTR、3’-UTR、ポリ(A)テイル)を含む。saRNAは、好ましくはウリジンを含む。好ましい5’キャップ構造はベータ-S-ARCA(D1)(m 7,2’-OGppSpG)である。
saRNAの細胞質送達は、アルファウイルス様生活環を開始させる。しかしながら、saRNAは、ゲノムパッケージングまたは細胞侵入に必要なアルファウイルス構造タンパク質をコードせず、それ故複製コンピテントウイルス粒子の産生は可能である可能性は極めて低い。複製は、DNAを産生する中間工程を何ら含まない。よって、saRNAの使用/取り込みは、標的細胞内のゲノム組込みまたは他の永久遺伝子修飾のリスクはない。さらに、saRNA自体、dsRNA中間体の認識を介して自然免疫応答を効率的に活性化することにより、永続性複製を防止する。
このプラットフォームの異なる実施態様は次のとおりである:
RBS004.1(配列番号24;配列番号7)
構造 ベータ-S-ARCA(D1)-レプリカーゼ-S1S2-PP-FI-A30L70
コード化抗原 SARS-CoV-2のウイルススパイクタンパク質(Sタンパク質)(S1S2完全長タンパク質、配列バリアント)
RBS004.2(配列番号25;配列番号7)
構造 ベータ-S-ARCA(D1)-レプリカーゼ-S1S2-PP-FI-A30L70
コード化抗原 SARS-CoV-2のウイルススパイクタンパク質(Sタンパク質)(S1S2完全長タンパク質、配列バリアント)
BNT162c1; RBS004.3(配列番号26;配列番号5)
構造 ベータ-S-ARCA(D1)-レプリカーゼ-RBD-GS-フィブリチン-FI-A30L70
コード化抗原 SARS-CoV-2のウイルススパイクタンパク質(Sタンパク質)(S1S2タンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)である部分配列)
RBS004.4(配列番号27;配列番号28)
構造 ベータ-S-ARCA(D1)-レプリカーゼ-RBD-GS-フィブリチン-TM-FI-A30L70
コード化抗原 SARS-CoV-2のウイルススパイクタンパク質(Sタンパク質)(S1S2タンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)である部分配列)
さらに、分泌シグナルペプチド(sec)は、好ましくはsecはN末端タグとして翻訳されるような方法で、抗原コード化領域に融合し得る。ある実施態様において、secは、Sタンパク質の分泌シグナルペプチドに対応する。融合タンパク質で一般的に使用される主にアミノ酸グリシン(G)およびセリン(S)からなる短リンカーペプチドをコードする配列をGS/リンカーとして使用し得る。
ある実施態様において、抗原(例えば腫瘍抗原またはワクチン抗原)をコードするRNA(好ましくはmRNA)は、抗原を提供するよう処置された対象の細胞で発現される。ある実施態様において、RNAは、対象の細胞で一過性に発現される。ある実施態様において、RNAは、インビトロで転写される。ある実施態様において、抗原の発現は細胞表面である。ある実施態様において、抗原は発現され、MHCにより提示される。ある実施態様において、抗原の発現は細胞外空間である、すなわち、抗原は分泌型である。
抗原分子またはその処理産物、例えば、そのフラグメントは、免疫エフェクター細胞により担持されるBCRまたはTCRなどの抗原受容体または抗体に結合し得る。
ペプチドおよびタンパク質抗原をコードするRNA(例えばmRNA)の投与により本発明により対象に提供されるペプチドおよびタンパク質抗原(ここで、抗原はワクチン抗原である)は、好ましくはペプチドまたはタンパク質抗原を提供した対象で免疫応答、例えば、液性および/または細胞免疫応答の誘導をもたらす。該免疫応答は、好ましくは標的抗原に対する。故に、ワクチン抗原は、標的抗原、そのバリアントまたはそのフラグメントを含み得る。ある実施態様において、このようなフラグメントまたはバリアントは、標的抗原と免疫学的に等価である。本発明の状況において、用語「抗原のフラグメント」または「抗原のバリアント」は、免疫応答の誘導をもたらす薬剤を意味し、その免疫応答は抗原、すなわち標的抗原を標的とする。故に、ワクチン抗原は標的抗原に対応し得るかまたは含み得る、標的抗原のフラグメントに対応し得るかまたは含み得るまたは標的抗原またはそのフラグメントと相同の抗原に対応し得るかまたは含み得る。故に、本発明によると、ワクチン抗原は、標的抗原の免疫原性フラグメントまたは標的抗原の免疫原性フラグメントと相同であるアミノ酸配列を含み得る。本発明による「免疫原性抗原のフラグメント」は、好ましくは標的抗原に対する免疫応答の誘導はできる抗原のフラグメントに関する。ワクチン抗原は組み換え抗原であり得る。
用語「免疫学的に等価」は、免疫学的に等価なアミノ酸配列などの免疫学的に等価な分子は、同じまたは本質的に同じ免疫学的性質を有するおよび/または、例えば、免疫学的効果のタイプに関して、同じまたは本質的に同じ免疫学的効果を発揮することを意味する。本発明の状況において、用語「免疫学的に等価」は、好ましくは、免疫化に使用する抗原または抗原バリアントの免疫学的効果または性質に関して使用する。例えば、アミノ酸配列は、該アミノ酸配列を、対象の免疫系に暴露したとき、参照アミノ酸配列と反応する特異性を有する免疫反応を誘導するならば、参照アミノ酸配列と免疫学的に等価である。故に、ある実施態様において、抗原と免疫学的に等価である分子は、同じまたは本質的に同じ性質を示すおよび/またはT細胞は標的とする抗原に関してT細胞の刺激、プライミングおよび/または拡大に関して同じまたは本質的に同じ効果を示す。
ある実施態様において、本発明で使用するRNA(好ましくはmRNA)は非免疫原性である。免疫刺激剤をコードするRNAを、本発明により投与して、アジュバント効果を提供し得る。免疫刺激剤をコードするRNAは標準RNAまたは非免疫原性RNAであり得る。
ここで使用する用語「非免疫原性RNA」(例えば「非免疫原性mRNA」)は、例えば、哺乳動物に投与したとき、免疫系による応答を誘導しないまたは非免疫原性RNAを非免疫原性にする修飾およびに付されていない点でのみ異なる同じRNAにより誘導されるより、すなわち標準RNA(stdRNA)により誘導されるより弱い応答を誘導するRNAをいう。ある実施態様において、ここでは修飾RNA(modRNA)とも称される非免疫原性RNAは、自然免疫受容体のRNA介在活性化を抑制する修飾ヌクレオシドのRNAへの組み込みおよび/または例えば、インビトロ転写中の、例えば、二本鎖RNA(dsRNA)の形成の制限および/または例えば、インビトロ転写後の二本鎖RNA(dsRNA)の除去による二本鎖RNA(dsRNA)の量の制限により、非免疫原性とされる。ある実施態様において、非免疫原性RNAは、自然免疫受容体のRNA介在活性化を抑制する修飾ヌクレオシドのRNAへの組み込みおよび/または例えば、インビトロ転写後の二本鎖RNA(dsRNA)の除去により、非免疫原性とされる。
非免疫原性RNA(特にmRNA)を、修飾ヌクレオシドの組み込みにより非免疫原性とするために、RNAの免疫原性を低減または抑制する限り、あらゆる修飾ヌクレオシドは使用され得る。特に好ましいのは、自然免疫受容体のRNA介在活性化を抑制する修飾ヌクレオシドである。ある実施態様において、修飾ヌクレオシドは、1以上のウリジンの修飾核酸塩基を含むヌクレオシドでの置換を含む。ある実施態様において、修飾核酸塩基は修飾ウラシルである。ある実施態様において、修飾核酸塩基を含むヌクレオシドは3-メチル-ウリジン(mU)、5-メトキシ-ウリジン(moU)、5-アザ-ウリジン、6-アザ-ウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ウリジン(sU)、4-チオ-ウリジン(sU)、4-チオ-シュードウリジン、2-チオ-シュードウリジン、5-ヒドロキシ-ウリジン(hoU)、5-アミノアリル-ウリジン、5-ハロ-ウリジン(例えば、5-ヨード-ウリジンまたは5-ブロモ-ウリジン)、ウリジン5-オキシ酢酸(cmo5U)、ウリジン5-オキシ酢酸メチルエステル(mcmo5U)、5-カルボキシメチル-ウリジン(cm5U)、1-カルボキシメチル-シュードウリジン、5-カルボキシヒドロキシメチル-ウリジン(chmU)、5-カルボキシヒドロキシメチル-ウリジンメチルエステル(mchmU)、5-メトキシカルボニルメチル-ウリジン(mcm5U)、5-メトキシカルボニルメチル-2-チオ-ウリジン(mcm5sU)、5-アミノメチル-2-チオ-ウリジン(nm5sU)、5-メチルアミノメチル-ウリジン(mnm5U)、1-エチル-シュードウリジン、5-メチルアミノメチル-2-チオ-ウリジン(mnm5sU)、5-メチルアミノメチル-2-セレノ-ウリジン(mnm5seU)、5-カルバモイルメチル-ウリジン(ncm5U)、5-カルボキシメチルアミノメチル-ウリジン(cmnm5U)、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオ-ウリジン(cmnm5sU)、5-プロピニル-ウリジン、1-プロピニル-シュードウリジン、5-タウリノメチル-ウリジン(τmU)、1-タウリノメチル-シュードウリジン、5-タウリノメチル-2-チオ-ウリジン(τm5s2U)、1-タウリノメチル-4-チオ-シュードウリジン)、5-メチル-2-チオ-ウリジン(mU)、1-メチル-4-チオ-シュードウリジン(mψ)、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン、3-メチル-シュードウリジン(mψ)、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン、1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、ジヒドロウリジン(D)、ジヒドロシュードウリジン、5,6-ジヒドロウリジン、5-メチル-ジヒドロウリジン(mD)、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-ジヒドロシュードウリジン、2-メトキシ-ウリジン、2-メトキシ-4-チオ-ウリジン、4-メトキシ-シュードウリジン、4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジン、N1-メチル-シュードウリジン、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン(acpU)、1-メチル-3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)シュードウリジン(acp ψ)、5-(イソペンテニルアミノメチル)ウリジン(inm5U)、5-(イソペンテニルアミノメチル)-2-チオ-ウリジン(inm5sU)、α-チオ-ウリジン、2’-O-メチル-ウリジン(Um)、5,2’-O-ジメチル-ウリジン(mUm)、2’-O-メチル-シュードウリジン(ψm)、2-チオ-2’-O-メチル-ウリジン(sUm)、5-メトキシカルボニルメチル-2’-O-メチル-ウリジン(mcm5Um)、5-カルバモイルメチル-2’-O-メチル-ウリジン(ncm5Um)、5-カルボキシメチルアミノメチル-2’-O-メチル-ウリジン(cmnm5Um)、3,2’-O-ジメチル-ウリジン(mUm)、5-(イソペンテニルアミノメチル)-2’-O-メチル-ウリジン(inm5Um)、1-チオ-ウリジン、デオキシチミジン、2’-F-ara-ウリジン、2’-F-ウリジン、2’-OH-ara-ウリジン、5-(2-カルボメトキシビニル)ウリジンおよび5-[3-(1-E-プロペニルアミノ)ウリジンからなる群から選択される。ある特に好ましい実施態様において、修飾核酸塩基を含むヌクレオシドはシュードウリジン(ψ)、N1-メチル-シュードウリジン(m1ψ)または5-メチル-ウリジン(m5U)、特にN1-メチル-シュードウリジンである。
ある実施態様において、1以上のウリジンの修飾核酸塩基を含むヌクレオシドでの置換は、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%のウリジンの置換を含む。
T7 RNAポリメラーゼを使用するインビトロ転写(IVT)によるRNA(好ましくはmRNA)の合成中、酵素の非慣習的活性により、二本鎖RNA(dsRNA)を含む相当量の異常生成物は産生される。dsRNAは炎症性サイトカインを誘導し、エフェクター酵素を活性化し、タンパク質合成阻害に至る。DsRNAの形成は、例えば、合成中のウリジン三リン酸(UTP)の量を制限することにより、インビトロ転写(IVT)によるmRNAの合成中、制限され得る。所望により、mRNAの合成中、UTPを1回または数回添加し得る。また、dsRNAは、例えば、非多孔性または多孔性C-18ポリスチレン-ジビニルベンゼン(PS-DVB)マトリクスを使用するイオン対逆相HPLCにより、IVT RNAなどのRNAから除去し得る。あるいは、dsRNAを特異的に加水分解するが、ssRNAはせず、それによりIVT RNA調製物からdsRNA汚染物を除去する大腸菌RNaseIIIを使用する酵素ベースの方法を使用できる。さらに、dsRNAは、セルロース物質を使用してssRNAから分離できる。ある実施態様において、RNA調製物をセルロース物質と接触させ、ssRNAを、dsRNAはセルロース物質と結合し、ssRNAはセルロース物質に結合しない条件下で、セルロース物質から分離する。ssRNAを提供するための適当な方法は、例えば、WO2017/182524に開示される。
ここで使用する用語「除去する」または「除去」は、非免疫原性RNAなどの第一物質の集団は、dsRNAなどの第二物質の集団の近位から分離される特徴をいい、ここで、第一物質の集団は必ずしも第二物質はないものではなく、第二物質の集団は必ずしも第一物質はないものではない。しかしながら、第二物質の集団の除去により特徴づけられる第一物質の集団は、第一および第二物質の分離されていない混合物と比較して、第二物質の含量は測定可能に低い。
ある実施態様において、非免疫原性RNAからのdsRNA(特にdsmRNA)の除去は、非免疫原性RNA組成物の10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5未満%、0.3未満%または0.1未満%のRNAはdsRNAなdsRNAの除去を含む。ある実施態様において、非免疫原性RNA(特にmRNA)はdsRNAを含まないかまたは本質的に含まない。ある実施態様において、非免疫原性RNA(特にmRNA)組成物は、一本鎖ヌクレオシド修飾RNAの精製調製物を含む。例えば、ある実施態様において、一本鎖ヌクレオシド修飾RNA(特にmRNA)の精製調製物は二本鎖RNA(dsRNA)を実質的に含まない。ある実施態様において、精製調製物は、全ての他の核酸分子(DNA、dsRNAなど)に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%または少なくとも99.9%一本鎖ヌクレオシド修飾RNAである。
種々の方法を使用して、dsRNAの量を決定できる。例えば、サンプルをdsRNA特異的抗体と接触させてよく、RNAに結合した抗体の量を、サンプル中のdsRNAの量の指標としてとり得る。既知量のdsRNAを含むサンプルを参照として使用し得る。
例えば、RNAを膜、例えば、ナイロンブロッティング膜にスポットし得る。膜を、例えば、5%(w/v)脱脂粉乳含有TBS-T緩衝液(20mMトリスpH7.4、137mM NaCl、0.1%(v/v)TWEEN-20)でブロックする。dsRNA検出のために、膜を、sRNA特異的抗体、例えば、dsRNA特異的マウスmAb(English & Scientific Consulting, Szirak, Hungary)とインキュベートし得る。例えば、TBS-Tでの洗浄後、膜を二次抗体、例えば、HRP-コンジュゲートロバ抗マウスIgG(Jackson ImmunoResearch, Cat #715-035-150)とインキュベートしてよく、二次抗体により産生されるシグナルを検出し得る。
ある実施態様において、非免疫原性RNA(特にmRNA)は、同じ配列の標準RNAより効率的に細胞で翻訳される。ある実施態様において、翻訳は、その非修飾カウンターパートと比較して、2倍増強される。ある実施態様において、翻訳は、3倍増強される。ある実施態様において、翻訳は、4倍増強される。ある実施態様において、翻訳は、5倍増強される。ある実施態様において、翻訳は、6倍増強される。ある実施態様において、翻訳は、7倍増強される。ある実施態様において、翻訳は8倍増強される。ある実施態様において、翻訳は、9倍増強される。ある実施態様において、翻訳は、10倍増強される。ある実施態様において、翻訳は、15倍増強される。ある実施態様において、翻訳は、20倍増強される。ある実施態様において、翻訳は、50倍増強される。ある実施態様において、翻訳は、100倍増強される。ある実施態様において、翻訳は、200倍増強される。ある実施態様において、翻訳は、500倍増強される。ある実施態様において、翻訳は、1000倍増強される。ある実施態様において、翻訳は、2000倍増強される。ある実施態様において、倍数は10~1000倍である。ある実施態様において、倍数は10~100倍である。ある実施態様において、倍数は10~200倍である。ある実施態様において、倍数は10~300倍である。ある実施態様において、倍数は10~500倍である。ある実施態様において、倍数は20~1000倍である。ある実施態様において、倍数は30~1000倍である。ある実施態様において、倍数は50~1000倍である。ある実施態様において、倍数は100~1000倍である。ある実施態様において、倍数は200~1000倍である。ある実施態様において、翻訳は、任意の他の相当量または量の範囲増強される。
ある実施態様において、非免疫原性RNA(特にmRNA)は、同じ配列の標準RNAより顕著に低い自然免疫原性を示す。ある実施態様において、非免疫原性RNA(特にmRNA)は、その非修飾カウンターパートより2倍低い自然免疫応答を示す。ある実施態様において、自然免疫原性は3倍減少される。ある実施態様において、自然免疫原性は4倍減少される。ある実施態様において、自然免疫原性は5倍減少される。ある実施態様において、自然免疫原性は6倍減少される。ある実施態様において、自然免疫原性は7倍減少される。ある実施態様において、自然免疫原性は8倍減少される。ある実施態様において、自然免疫原性は9倍減少される。ある実施態様において、自然免疫原性は10倍減少される。ある実施態様において、自然免疫原性は15倍減少される。ある実施態様において、自然免疫原性は20倍減少される。ある実施態様において、自然免疫原性は50倍減少される。ある実施態様において、自然免疫原性は100倍減少される。ある実施態様において、自然免疫原性は200倍減少される。ある実施態様において、自然免疫原性は500倍減少される。ある実施態様において、自然免疫原性は1000倍減少される。ある実施態様において、自然免疫原性は2000倍減少される。
用語「顕著に低い自然免疫原性を示す」は、自然免疫原性の検出可能な減少をいう。ある実施態様において、本用語は、検出可能な自然免疫応答の誘導なく、有効量の非免疫原性RNA(特にmRNA)を投与できるような現象をいう。ある実施態様において、本用語は、非免疫原性RNA(特にmRNA)は、非免疫原性RNAによりコードされたタンパク質の産生の検出可能な減少に十分な自然免疫応答を誘発することなく、繰り返し投与できるような減少をいう。ある実施態様において、減少は、非免疫原性RNA(特にmRNA)は、非免疫原性RNAによりコードされたタンパク質の検出可能な産生の排除に十分な自然免疫応答を誘発することなく、繰り返し投与できるようなものである。
「免疫原性」は、ヒトまたは他の動物の体で免疫応答を誘発する、RNAなどの外来物質の能力である。自然免疫系は、比較的非特異的および即時である、免疫系の成分である。適応免疫系と共に、脊椎動物免疫系の2つの主成分の一つである。
ここで使用する「内因性」は、生物、細胞、組織または系内からのまたはそこで産生されたあらゆる物質をいう。
ここで使用する用語「外因性」は、生物、細胞、組織または系外からのまたはそこで産生されたあらゆる物質をいう。
ここで使用する用語「発現」は、特定のヌクレオチド配列の転写および/または翻訳として定義される。
ここで使用する用語「結合」、「融合」または「融合体」は、相互交換可能に使用される。これらの用語は、2以上の要素または成分またはドメインの一体となった結合をいう。
粒子
ここに記載するRNA、特にmRNAなどの粒子は、(i)核酸および(ii)核酸を複合体化できるポリマーまたは脂質などの少なくとも1個のカチオン性またはカチオン的にイオン化可能な化合物を含む、粒子で提供され得る。
種々のタイプのRNA含有粒子は、粒子形態のRNAの送達に適するとして以前に記載されている(例えば、Kaczmarek, J. C. et al., 2017, Genome Medicine 9, 60参照)。非ウイルスRNA送達媒体に関して、RNAのナノ粒子封入は、RNAを物理的に分解から保護し、特定の化学に依存して、細胞取り込みおよびエンドソーム脱出を助け得る。
ポリマーおよび脂質などの正荷電分子と負荷電核酸の間の静電気的相互作用は、粒子形成に関与する。これにより、複合体化および核酸粒子の自発的形成がもたらされる。
製造過程中、例えば、pH5の、RNAの水溶液のカチオン的にイオン化可能な脂質を含むエタノール性脂質混合物への導入により、負荷電RNA薬物物質と正荷電カチオン的にイオン化可能な脂質の間の静電気的相互作用はもたらされる。この静電気的相互作用は、RNA薬物物質の効率的封入と同時の粒子形成をもたらす。RNA封入後、得られたRNA-LNP周囲の媒体の、例えば、pH8への調節により、LNPの表面電荷は中和される。全ての他の変数を一定に維持したとき、電荷-中性粒子は、荷電粒子と比較して、長いインビボ循環寿命および良好な肝細胞への送達を示し、細網内皮系により迅速に浄化される。エンドソーム取り込みにより、エンドソームの低pHはLNPを融合性とし、標的細胞のサイトゾルへのRNAの放出を可能とする。
本発明の状況において、用語「粒子」は、分子または分子複合体、特に粒子形成化合物により形成される、構造体に関する。ある実施態様において、粒子は、1タイプ以上の両親媒性物質(例えば、両親媒性脂質、両親媒性ポリマーおよび/または両親媒性タンパク質/ポリペプチド)から製造されるエンベロープ(例えば、1以上の層または薄膜)を含む。この状況で、表現「両親媒性物質」は、親水性および親油性両方の性質を有する物質を意味する。エンベロープは、両親媒性である必要はない付加的物質(例えば、付加的脂質および/または付加的ポリマー)を含み得る。故に、粒子は、単層膜または多重膜構造であってよく、ここで、1以上の層または薄膜を構成する物質は、所望により両親媒性である必要はない付加的物質(例えば、付加的脂質および/または付加的ポリマー)と組み合わせた1タイプ以上の両親媒性物質(特に両親媒性脂質、両親媒性ポリマーおよび/または両親媒性タンパク質/ポリペプチドからなる群から選択される)を含む。ある実施態様において、用語「粒子」は、マイクロまたはナノサイズ小型構造など、マイクロまたはナノサイズ構造に関する。これに関して、用語「マイクロサイズ」は、粒子の全3つの外部寸法はマイクロスケール、すなわち、1~5μmであることを意味する。本発明によると、用語「粒子」は、リポフレックス粒子(LPX)、脂質ナノ粒子(LNP)、ポリプレックス粒子、リポポリプレックス粒子、ウイルス様粒子(VLP)およびそれらの混合物(例えば、LPXとVLPの混合物またはLNPとVLPの混合物などの2タイプ以上の粒子の混合物)を含む。
「核酸粒子」を使用して、核酸(例えばRNA、特にmRNA)を目的の標的部位(例えば、細胞、組織、臓器など)に送達できる。核酸粒子は、少なくとも1個のカチオン性またはカチオン的にイオン化可能な脂質または脂質様物質、プロタミンなどの少なくとも1個のカチオン性ポリマーまたはそれらの混合物および核酸から形成され得る。核酸粒子は、脂質ナノ粒子(LNP)ベースおよびリポフレックス(LPX)ベースの製剤を含む。
何らかの理論に拘束されることを意図しないが、カチオン性またはカチオン的にイオン化可能な脂質または脂質様物質および/またはカチオン性ポリマーは核酸と一体となって凝集体を形成し、この凝集はコロイド状に安定な粒子をもたらすと考えられる。ある実施態様において、粒子は、ここに記載する両親媒性脂質、特にカチオン性またはカチオン的にイオン化可能な両親媒性脂質およびRNA(特にmRNA)を含む。ある実施態様において、粒子は、カチオン性/カチオン的にイオン化可能な脂質(特に、ここに開示する式(X)のカチオン的にイオン化可能な脂質;ここに開示する構造A~Gの1個を有するカチオン的にイオン化可能な脂質;またはここに開示する式(XI)のカチオン的にイオン化可能な脂質)およびポリマーコンジュゲート脂質(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)脂質などのヘルパー脂質;またはポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲート);中性脂質(例えばリン脂質);ステロイド(例えばコレステロール);およびそれらの組み合わせを含むかまたはこれからなる。ある実施態様において、ここに記載するRNA粒子において、RNA(特に、mRNA)は、LNPの場合、LNPの中心コアを占拠する、カチオン的にイオン化可能な脂質(特にここに開示する式(X)のカチオン的にイオン化可能な脂質;ここに開示する構造A~Gの1個を有するカチオン的にイオン化可能な脂質;またはここに開示する式(XI)のカチオン的にイオン化可能な脂質)により結合される。ある実施態様において、ポリマーコンジュゲート脂質(例えば、PEG脂質;またはポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲート)は、リン脂質と共に粒子(例えばLNP)の表面を形成する。ある実施態様において、表面は二層を含む。ある実施態様において、荷電および非荷電形態のコレステロールおよびカチオン的にイオン化可能な脂質(特にここに開示する式(X)のカチオン的にイオン化可能な脂質;ここに開示する構造A~Gの1個を有するカチオン的にイオン化可能な脂質;またはここに開示する式(XI)のカチオン的にイオン化可能な脂質)はLNPなどの粒子全体に分布できる。
一般に、リポフレックス(LPX)は、2個の水相、すなわちRNAを含む相および脂質の分散系を含む相の混合により得られる。ある実施態様において、脂質相はリポソームを含む。
ある実施態様において、リポソームは、薄膜は脂質二重層を含み、封入された内腔は水相を含む、自己封鎖単層膜または多重膜小胞粒子である。ナノ粒子形成のためにリポソームを使用する必須要件は、必要である混合物中の脂質は、適用された水性環境で薄膜(二層)相を形成できることである。
ある実施態様において、リポソームは、水性コアを封入する単層膜または多重膜リン脂質二重層(ここでは水性内腔とも称する)を含む。極性頭(親水性)基および非極性テイル(疎水性)基を有する物質から製造し得る。ある実施態様において、核酸の送達のために設計されるリポソームの製剤に用いられるカチオン性脂質は、本来両親媒性であり、グリセロールを介して炭化水素鎖またはコレステロール誘導体に結合した正荷電(カチオン性)アミン頭基からなる。
ある実施態様において、リポフレックスは、カチオン性リポソームとRNAの静電気的相互作用により形成される多重膜リポソームベースの製剤である。ある実施態様において、形成されたリポフレックスは、リポソーム構造の小型RNA-リポフレックスへの変換に起因する分子と異なる内部配置を有する。ある実施態様において、これらの製剤は、RNAの封入の悪さおよびRNAの不完全な捕捉により特徴づけられる。
ある実施態様において、LPX粒子は、ここに記載する両親媒性脂質、特にカチオン性またはカチオン的にイオン化可能な両親媒性脂質およびRNA(特にmRNA)を含む。ある実施態様において、正荷電リポソーム(1以上の両親媒性脂質、特にカチオン性またはカチオン的にイオン化可能な両親媒性脂質により製造)と負荷電RNA(特にmRNA)の間の静電気的相互作用は、複合体化およびRNAリポフレックス粒子の自発的形成をもたらす。正荷電リポソームは、一般に式(I)のカチオン的にイオン化可能な脂質などのカチオン性またはカチオン的にイオン化可能な両親媒性脂質、DOTMAおよび/またはDODMAおよびDOPEまたはDSPCなどの付加的脂質を使用して合成され得る。ある実施態様において、RNA(特にmRNA)リポフレックス粒子はナノ粒子である。
一般に、脂質ナノ粒子(LNP)は、水相中のRNAとエタノールなどの有機溶媒を含む相中の脂質の直接混合により得られる。この場合、脂質または脂質混合物は、水で薄膜(二層)相を形成しない、粒子形成のために使用され得る。
ある実施態様において、ここに記載する粒子は、さらにカチオン的にイオン化可能な脂質以外の少なくとも1個の脂質または脂質様物質を含む。
ある実施態様において、核酸粒子(特にRNA LNP(例えば、mRNA LNPなどのmRNA粒子)などのRNA粒子)は1を超えるタイプの核酸分子を含み、ここで、モル質量または基本的構造要素、例えば、分子構造、キャッピング、コード領域または他の特性に関するなど、核酸分子の分子パラメータは、互いに類似しても異なってもよい。
ある実施態様において、ここに記載するRNA(例えば、mRNA)は、ここに記載する粒子と非共有結合で結合し得る。ある実施態様において、RNA(特にmRNA)は粒子の外表面に付着してよい(表面RNA(特に表面mRNA))および/または粒子に含まれていてよい(封入RNA(特に封入mRNA))。
本明細書で使用する「ナノ粒子」は、ここに記載する核酸(特にmRNAなどのRNA)および少なくとも1個のカチオン性脂質を含む粒子をいい、ここで、粒子の全3つの外部寸法はナノスケールである、すなわち、少なくとも約1nmかつ約1000nm未満(好ましくは、10~990nm、例えば15~900nm、20~800nm、30~700nm、40~600nmまたは50~500nm)である。好ましくは、最長および最短軸の差は有意ではない。好ましくは、粒子のサイズはその直径である。
ここに記載する核酸粒子(特にmRNA粒子などのRNA粒子)は、約0.5未満、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満、約0.1未満または約0.05未満の多分散性指数(PDI)を示し得る。例として、核酸粒子は、約0.01~約0.4または約0.1~約0.3の範囲の多分散性指数を示し得る。
本発明の状況において、用語「リポフレックス粒子」は、両親媒性脂質、特にカチオン性両親媒性脂質およびここに記載する核酸(特にmRNAなどのRNA)を含む粒子に関する。正荷電リポソーム(1以上の両親媒性脂質、特にカチオン性両親媒性脂質から製造)と負荷電核酸(特にmRNAなどのRNA)の間の静電気的相互作用は、複合体化および核酸リポフレックス粒子の自発的形成をもたらす。正荷電リポソームは、一般にDOTMAなどのカチオン性両親媒性脂質およびDOPEなどの付加的脂質を使用して合成され得る。ある実施態様において、核酸(特にmRNAなどのRNA)リポフレックス粒子はナノ粒子である。
用語「脂質ナノ粒子」は、ナノサイズ脂質含有粒子に関する。
本発明の状況において、用語「ポリプレックス粒子」は、両親媒性ポリマー、特にカチオン性両親媒性ポリマーおよびここに記載する核酸(特にmRNAなどのRNA)を含む粒子に関する。正荷電カチオン性両親媒性ポリマーと負荷電核酸(特にmRNAなどのRNA)の間の静電気的相互作用は、複合体化および核酸ポリプレックス粒子の自発的形成をもたらす。ポリプレックス粒子の製造に適する正荷電両親媒性ポリマーは、プロタミン、ポリエチレンイミン、ポリL-リシン、ポリL-アルギニンおよびヒストンを含む。ある実施態様において、核酸(特にmRNAなどのRNA)ポリプレックス粒子はナノ粒子である。
用語「リポポリプレックス粒子」は、ここに記載する両親媒性脂質(特にカチオン性両親媒性脂質)、ここに記載する両親媒性ポリマー(特にカチオン性両親媒性ポリマー)およびここに記載する核酸(特にmRNAなどのRNA)を含む粒子に関する。ある実施態様において、核酸(特にmRNAなどのRNA)リポポリプレックス粒子はナノ粒子である。
用語「ウイルス様粒子」(ここではVLPと略す)は、ウイルスを緊密に模倣するが、該ウイルスの遺伝物質を何ら含まず、故に、非感染性である分子をいう。好ましくは、VLPはここに記載する核酸(好ましくはRNA)を含み、該核酸(好ましくはRNA)は、VLPは由来するウイルスと異種である。VLPは、ウイルス構造タンパク質の個々の発現により合成でき、その後、それらはウイルス様構造に自己集合し得る。ある実施態様において、異なるウイルスからの構造カプシドタンパク質の組み合わせを使用して、組み換えVLPを作り得る。VLPは、B型肝炎ウイルス(HBV)(小HBV由来表面抗原(HBsAg))、パルボウイルス科(例えば、アデノ随伴ウイルス)、パピローマウイルス科(例えば、HPV)、レトロウイルス科(例えば、HIV)、フラビウイルス科(例えば、C型肝炎ウイルス)およびバクテリオファージ(例えばQβ、AP205)を含む広範な科のウイルスの成分から産生され得る。
用語「核酸含有粒子」は、核酸(特にmRNAなどのRNA)は結合しているここに記載する粒子をいう。これに関して、核酸(特にmRNAなどのRNA)を粒子の外表面に付着させてよい(表面核酸(特に表面mRNAなどの表面RNA))および/または粒子に封入してよい(封入核酸(特に封入mRNAなどの封入RNA))。
ある実施態様において、本発明の方法および使用で利用する粒子は、約10~約2000nm、例えば少なくとも約15nm(好ましくは少なくとも約20nm、少なくとも約25nm、少なくとも約30nm、少なくとも約35nm、少なくとも約40nm、少なくとも約45nm、少なくとも約50nm、少なくとも約55nm、少なくとも約60nm、少なくとも約65nm、少なくとも約70nm、少なくとも約75nm、少なくとも約80nm、少なくとも約85nm、少なくとも約90nm、少なくとも約95nmまたは少なくとも約100nm)および/または最大1900nm(好ましくは最大約1900nm、最大約1800nm、最大約1700nm、最大約1600nm、最大約1500nm、最大約1400nm、最大約1300nm、最大約1200nm、最大約1100nm、最大約1000nm、最大約950nm、最大約900nm、最大約850nm、最大約800nm、最大約750nm、最大約700nm、最大約650nm、最大約600nm、最大約550nmまたは最大約500nm)の範囲、好ましくは約20~約1500nm、例えば約30~約1200nm、約40~約1100nm、約50~約1000nm、約60~約900nm、約70~800nm、約80~700nm、約90~600nmまたは約50~500nmまたは約100~500nmの範囲、例えば10~1000nm、15~500nm、20~450nm、25~400nm、30~350nm、40~300nm、50~250nm、60~200nmまたは70~150nmの範囲のサイズ(好ましくは直径、すなわち、回転半径(R)値の2倍または流体力学半径の2倍などの半径の2倍)を有する。
ある実施態様において、ここに記載する粒子(例えば、LNPおよびLPX)は、ある実施態様において、約50nm~約1000nm、約50nm~約800nm、約50nm~約700nm、約50nm~約600nm、約50nm~約500nm、約50nm~約450nm、約50nm~約400nm、約50nm~約350nm、約50nm~約300nm、約50nm~約250nm、約50nm~約200nm、約100nm~約1000nm、約100nm~約800nm、約100nm~約700nm、約100nm~約600nm、約100nm~約500nm、約100nm~約450nm、約100nm~約400nm、約100nm~約350nm、約100nm~約300nm、約100nm~約250nm、約100nm~約200nm、約150nm~約1000nm、約150nm~約800nm、約150nm~約700nm、約150nm~約600nm、約150nm~約500nm、約150nm~約450nm、約150nm~約400nm、約150nm~約350nm、約150nm~約300nm、約150nm~約250nm、約150nm~約200nm、約200nm~約1000nm、約200nm~約800nm、約200nm~約700nm、約200nm~約600nm、約200nm~約500nm、約200nm~約450nm、約200nm~約400nm、約200nm~約350nm、約200nm~約300nmまたは約200nm~約250nmの範囲である、平均直径を有する。
RNA脂質粒子(特にmRNA LNPなどのRNA LNP)に関して、N/P比は、脂質の窒素基対RNAのリン酸基数の比をもたらす。窒素原子(pHに依存)は通常正荷電であり、リン酸基は負荷電であるため、電荷比と相関する。電荷平衡は存在するとき、N/P比はpHに依存する。脂質製剤は、正荷電ナノ粒子はトランスフェクションに好都合であると考えられるため、しばしば4より大きく12までのN/P比で形成される。この場合、RNAは、ナノ粒子に完全に結合されていると考えられる。
ここに記載する核酸粒子(特にmRNA粒子などのRNA粒子)は、少なくとも1個のカチオン性またはカチオン的にイオン化可能な脂質および/または少なくとも1個のカチオン性ポリマーからのコロイドを得て、コロイドと核酸を混合して核酸粒子を得ることを含み得る、広範な方法を使用して製造できる。
ここで使用する用語「コロイド」は、分散粒子は沈降しない均質混合物のタイプに関する。混合物中の不溶性粒子は顕微鏡的であり、粒子径1~1000ナノメートルである。混合物はコロイドまたはコロイド状懸濁液と称し得る。用語「コロイド」は、懸濁液全体ではなく、混合物の粒子のみをいうことはある。
少なくとも1個のカチオン性またはカチオン的にイオン化可能な脂質および/または少なくとも1個のカチオン性ポリマーを含むコロイドの製造について、リポソーム小胞の製造に慣用的に使用される方法はここで適用可能であり、適切に適合される。リポソーム小胞の製造で最も一般に使用される方法は、次の基本的段階が共通する:(i)有機溶媒への脂質溶解、(ii)得られた溶液の乾燥および(iii)乾燥脂質の水和(種々の水性媒体を使用)。
フィルム水和方法において、脂質をまず適当な有機溶媒に溶解し、フラスコの底に薄フィルムを生ずるよう乾燥させる。得られた脂質フィルムを適切な水性媒体を使用して水和して、リポソーム分散系を得る。さらに、付加的小型化工程が含まれ得る。
水相と脂質を含む有機相の間の油中水型エマルジョン形成を含む逆相蒸発は、リポソーム小胞の製造のためのフィルム水和に代わる方法である。この混合物の短い音波処理は、系均質化のために必要である。有機相の減圧下の除去により乳状ゲルを得て、これはその後リポソーム懸濁液に変わる。
用語「エタノール注入技術」は、脂質を含むエタノール溶液を、針を通して水溶液に急速に注入する過程をいう。この行為により溶液全体に脂質が分散し、脂質構造形成、例えばリポソーム形成などの脂質小胞形成が促進される。一般に、ここに記載する核酸(特にmRNAなどのRNA)リポフレックス粒子は、核酸(特にmRNAなどのRNA)をコロイド状リポソーム分散系に添加することにより得られる。エタノール注入技術を使用して、このようなコロイド状リポソーム分散系は、ある実施態様において、次のとおり形成される:カチオン的にイオン化可能な脂質(例えばここに開示する式(X)のカチオン的にイオン化可能な脂質;ここに開示する構造A~Gの1個を有するカチオン的にイオン化可能な脂質;ここに開示する式(XI)のカチオン的にイオン化可能な脂質;DOTMAおよび/またはDODMA)および付加的脂質(例えばポリマーコンジュゲート脂質(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)脂質;またはポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲート);中性脂質(例えばリン脂質);ステロイド(例えばコレステロール);および組み合わせ)などの脂質を含むエタノール溶液を、撹拌下に水溶液に注入する。ある実施態様において、ここに記載する核酸(特にmRNAなどのRNA)リポフレックス粒子を、押し出しの工程を用いることなく得ることができる。
用語「押し出す」または「押し出し」は、固定、断面プロファイルを有する粒子を作ることをいう。特に、粒子を規定細孔のフィルターを篩過させる粒子の小型化をいう。
無有機溶媒特徴を有する他の方法も、コロイドの製造のために本発明により使用され得る。
LNPは、典型的にイオン化可能カチオン性脂質、リン脂質などの中性脂質、コレステロールなどのステロイドおよびポリマーコンジュゲート脂質の4成分含む。各成分は、ペイロード保護を担い、有効な細胞内送達を可能とする。LNPは、エタノールに溶解した脂質と水性緩衝液中の核酸の迅速な混合により製造され得る。ここに記載するRNA粒子は、PEG脂質またはサルコシン化脂質などのポリマーコンジュゲート脂質を含み得るが、(i)PEG脂質を含まないまたは(ii)サルコシン化脂質を含まないまたは(i)および(ii)のいかなる組み合わせも含まないRNA粒子もここで提供される。ある実施態様において、RNA粒子はポリマーコンジュゲート脂質を何ら含まない(換言すると、これらのRNA粒子はポリマーコンジュゲート脂質を実質的に含まない)。
種々のタイプの核酸含有粒子は、粒子形態の核酸の送達に適するとして以前に記載されている(例えば、Kaczmarek, J. C. et al., 2017, Genome Medicine 9, 60参照)。非ウイルス核酸送達媒体について、核酸のナノ粒子封入は、核酸を物理的に分解から保護し、特異的化学に依存して、細胞取り込みおよびエンドソーム脱出を助け得る。
ある好ましい実施態様において、ここに記載するRNAおよび少なくとも1個のカチオン的にイオン化可能な脂質を含むLNPは1以上の付加的脂質をさらに含む。
ある実施態様において、ここに記載するRNAおよび少なくとも1個のカチオン的にイオン化可能な脂質を含むLNPは、(a)水および第一緩衝系を含むRNA溶液を製造し;(b)カチオン的にイオン化可能な脂質および、存在するならば、1以上の付加的脂質を含むエタノール性溶液を製造し;(c)(a)の下に製造したRNA溶液と(b)の下に製造したエタノール性溶液を混合し、それにより第一緩衝系を含む第一水相に分散したLNPを含む第一中間製剤を製造し;そして(d)最終緩衝系を含む最終水性緩衝液を使用して(c)の下に製造した第一中間製剤を濾過し、それにより最終緩衝系を含む最終水相にLNP分散系を含む製剤を製造することにより製造する。工程(c)後、タンジェンシャルフロー濾過または透析濾過などの希釈および濾過から選択される1以上の工程が続き得る。ある実施態様において、第一緩衝系は最終緩衝系と異なる。別の実施態様において、第一緩衝系および最終緩衝系は同じである。
ある実施態様において、ここに記載するRNAおよび少なくとも1個のカチオン的にイオン化可能な脂質を含むLNPは、(a’)水相に、カチオン的にイオン化可能な脂質および、存在するならば、1以上の付加的脂質のリポソームまたはコロイド状調製物を製造し;(b’)水および緩衝系を含むRNA溶液を製造し;そして(c’)(a’)の下に製造したリポソームまたはコロイド状調製物と(b’)の下に製造したmRNA溶液を混合することにより製造する。工程(c’)後、タンジェンシャルフロー濾過などの希釈および濾過から選択される1以上の工程が続き得る。
本明細書は、RNA(特にmRNA)およびRNAと結合して核酸粒子を形成する少なくとも1個のカチオン的にイオン化可能な脂質を含む組成物を記載する。RNA粒子は、粒子と非共有結合相互作用により種々の形態で複合体化するRNAを含み得る。ここに記載する粒子はウイルス粒子、特に感染性ウイルス粒子ではない、すなわち、細胞にウイルス性に感染できない。
適当なカチオン的にイオン化可能な脂質は、核酸粒子を含むものであり、用語「粒子形成成分」または「粒子形成剤」に含まれる。用語「粒子形成成分」または「粒子形成剤」は、核酸粒子を形成するよう核酸と結合するあらゆる成分に関する。このような成分は、核酸粒子の一部であり得るあらゆる成分を含む。
ある実施態様において、RNA粒子(特にmRNA粒子)は1を超えるタイプのRNA分子を含み、ここで、モル質量または基本的構造要素、例えば、分子構造、キャッピング、コード領域または他の特性に関するなど、RNA分子の分子パラメータは、互いに類似しても異なってもよい。
粒子製剤において、各RNA種を個別粒子製剤として別々に製剤化することが可能である。この場合、各個々の粒子製剤は1個のRNA種を含む。個々の粒子製剤は、例えば別々のコンテナに、別々の物として存在し得る。このような製剤は、各RNA種を別々に粒子形成剤と共に準備し(典型的に各々RNA含有溶液の形態)、それにより粒子を形成させることにより得ることができる。各粒子は、排他的に粒子形成時に提供された特異的RNA種(個々の粒子製剤)を含む。ある実施態様において、医薬組成物などの組成物は、1を超える個々の粒子製剤を含む。各医薬組成物は、混合粒子製剤と称される。本発明による混合粒子製剤は、個々の粒子製剤を、別々に形成し、続いて個々の粒子製剤を混合する工程により得られる。混合する工程により、RNA含有粒子の混合集団を含む製剤は得られる。個々の粒子集団は、一緒に、個々の粒子製剤の混合集団を含む1コンテナにあり得る。あるいは、医薬組成物の全RNA種を、一緒に、組み合わせ粒子製剤として製剤することが可能である。このような製剤は、全RNA種の組み合わせ製剤(典型的に組み合わせ溶液)を粒子形成剤と共に準備し、それにより粒子を形成させることにより得ることができる。混合粒子製剤とは逆に、組み合わせ粒子製剤は、典型的に1を超えるRNA種を含む粒子を含む。組み合わせ粒子組成物において、種々のRNA種は典型的に単一粒子に一緒に存在する。
脂質
用語「脂質」および「脂質様物質」は、1以上の疎水性部分または基を含み、所望によりまた1以上の親水性部分または基を含む分子として広く定義される。疎水性部分および親水性部分を含む分子は、しばしば両親媒性物質とも称される。脂質は、通常水に不溶性であるかまたはほとんど溶けないが、多くの有機溶媒に可溶性である。水性環境では、両親媒性性質により、分子は組織的構造および種々の相に自己集合できる。これらの相の一つは、水性環境における小胞、多重膜/単層膜リポソームまたは膜に存在するため、脂質二重層からなる。疎水性は、長鎖飽和および不飽和脂肪族炭化水素基であるが、これに限定されない非極性基の包含により付与でき、このような基は、1以上の芳香族、シクロ脂肪族またはヘテロ環式基で置換され得る。親水性基は極性および/または荷電基を含み得て、炭水化物、リン酸、カルボン酸、硫酸、アミノ、スルフヒドリル、ニトロ、ヒドロキシルおよびその他の基を含む。
ここで使用する用語「疎水性」は、水溶液に実質的に混和しないまたは不溶性であるあらゆる分子、部分または基をいう。用語疎水性基は、少なくとも6個の炭素原子を有する炭化水素を含む。炭化水素の単価ラジカルは、ここではヒドロカルビルと称する。疎水性基は、基は水溶液に実質的に混和しないまたは不溶性である条件を満たす限り、官能基(例えば、エーテル、エステル、ハライドなど)ならびに炭素および水素以外の原子を有し得る。
用語「炭化水素」は、ここで定義するアルキル、アルケニルまたはアルキニルなどの、非環状、例えば、線形(直鎖)または分岐、ヒドロカルビル基を含む。アルキル、アルケニルまたはアルキニルの水素原子の1以上は他の原子、例えば、ハロゲン、酸素または硫黄で置換され得ることは認識される。他に断らない限り、炭化水素基はまた、炭化水素の全体的極性は比較的非極性である限り、環状(アルキル、アルケニルまたはアルキニル)基またはアリール基を含む。
ここで使用する用語「両親媒性」は、極性部分および非極性部分両方を有する分子をいう。しばしば、両親媒性化合物は、長疎水性テイルに結合した極性頭を有する。ある実施態様において、極性部分は水に可溶性であり、一方非極性部分は水に不溶性である。さらに、極性部分は形式正電荷または形式負電荷を有し得る。あるいは、極性部分は形式正および負電荷両方であり、双性イオンまたは分子内塩であり得る。本発明の目的で、両親媒性化合物は、天然または非天然脂質および脂質様化合物の1個または複数であってよいは、これらに限定されない。
用語「脂質様物質」、「脂質様化合物」または「脂質様分子」は、脂質と構造的および/または機能的に関連するが、厳密な意味では脂質とみなされ得ない物質に関する。例えば、本用語は、水性環境で小胞、多重膜/単層膜リポソームまたは膜で存在するため両親媒性層を形成できる化合物を含み、親水性および疎水性両方の部分を有する界面活性剤または合成化合物を含む。一般的に言って、本用語は、脂質と類似していても類似していなくてもよい、異なる構造組織化を有する親水性および疎水性部分を含む分子をいう。細胞膜に自発的に組み込まれ得る脂質様化合物の例は、合成機能-スペーサー脂質構築物(FSL)、合成機能-スペーサー-ステロール構築物(FSS)ならびに人工両親媒性分子などの機能的脂質構築物を含む。2個の長アルキル鎖および極性頭基を含む脂質は、一般に円柱状である。2個のアルキル鎖により占拠される領域は、極性頭基により占拠される領域と類似する。このような脂質は、モノマーとして低溶解度であり、水不溶性である平面的二層に凝集する傾向にある。1個の線形アルキル鎖および親水性頭基のみを含む古典的界面活性剤モノマーは、一般に円錐形である。親水性頭基は線形アルキル鎖より多くの分子空間を占拠する傾向にある。ある実施態様において、界面活性剤は、水可溶性である球形または楕円形ミセルに凝集する傾向はある。脂質は、界面活性剤と同じ一般的構造 - 極性親水性頭基および非極性疎水性テイル - を有してよく、脂質は、界面活性剤とモノマーの形、溶液中形成された凝集体のタイプおよび凝集に必要な濃度範囲は異なる。ここで使用する用語「脂質」は、ここで特に断らない限りまたは文脈から明らかに反しない限り、脂質および脂質様物質両方を含むと解釈される。
両親媒性層に含まれ得る両親媒性化合物の具体例は、リン脂質、アミノ脂質およびスフィンゴ脂質を含むが、これらに限定されない。
ある実施態様において、両親媒性化合物は脂質である。用語「脂質」は、水に不溶性であるが、多くの有機溶媒に可溶性であることにより特徴づけられる、有機化合物の一群である。一般に、脂質は、脂肪酸、グリセロ脂質、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、糖脂質、ポリケチド(ケトアシルサブユニットの縮合由来)、ステロール脂質およびプレノール脂質(イソプレンサブユニットの縮合由来)の8カテゴリーに分け得る。用語「脂質」は脂肪と同義語として使用されることはあるが、脂肪はトリグリセライドと称される脂質のサブグループである。脂質はまた脂肪酸およびそれらの誘導体(トリ-、ジ-、モノグリセライドおよびリン脂質を含む)ならびにステロイド、すなわち、コレステロールまたはその誘導体などのステロール含有代謝物などの分子を含む。コレステロール誘導体の例は、コレスタノール、コレスタノン、コレステノン、コプロスタノール、コレステリル-2’-ヒドロキシエチルエーテル、コレステリル-4’-ヒドロキシブチルエーテル、トコフェロールおよびその誘導体およびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
脂肪酸または脂肪酸残基は、カルボン酸基で終わる炭化水素鎖から製造される分子の多様な群である;この配置により、分子は極性、親水性末端および水に不溶性である非極性、疎水性末端を有する。典型的に4~24個の炭素長の炭素鎖は、飽和でも不飽和でもよく、酸素、ハロゲン、窒素および硫黄を含む官能基に結合してよい。脂肪酸が二重結合を含むならば、分子の配置に顕著に影響する、cisまたはtrans幾何異性の可能性はある。Cis-二重結合により、脂肪酸鎖は、鎖中のさらなる二重結合と結合する効果である屈曲となる。脂肪酸カテゴリーにおける他の主要脂質クラスは、脂肪エステルおよび脂肪アミドである。
グリセロ脂質は、モノ-、ジ-およびトリ-置換グリセロールからなり、トリグリセライドと称されるグリセロールの脂肪酸トリエステルは最も知られる。用語「トリアシルグリセロール」は、「トリグリセライド」と同義的に使用されることはある。これらの化合物において、グリセロールの3個のヒドロキシル基は各々、典型的に異なる脂肪酸により、エステル化されている。グリセロ脂質の付加的サブクラスは、グリコシド結合によりグリセロールに結合した1以上の糖残基の存在により特徴づけられる、グリコシルグリセロールにより表される。
グリセロリン脂質は、エステル結合により2個の脂肪酸由来「テイル」におよびリン酸エステル結合により1個の「頭」基に結合しているグリセロールコアを含む両親媒性分子(疎水性および親水性両方の領域を含む)である。通常リン脂質(スフィンゴミエリンもリン脂質と分類されるが)と称される、グリセロリン脂質の例は、ホスファチジルコリン(別名PC、GPChoまたはレシチン)、ホスファチジルエタノールアミン(PEまたはGPEtn)およびホスファチジルセリン(PSまたはGPSer)を含む。
スフィンゴ脂質は、共通構造特性、スフィンゴイド塩基主鎖を共有する化合物の複雑なファミリーである。哺乳動物における主要スフィンゴイド塩基は、一般にスフィンゴシンと称される。セラミド(N-アシル-スフィンゴイド塩基)は、アミド結合脂肪酸を有するスフィンゴイド塩基誘導体の主要サブクラスである。脂肪酸は、典型的に16~26個の炭素原子鎖長の飽和または一不飽和である。哺乳動物の主要ホスホスフィンゴ脂質はスフィンゴミエリン(セラミドホスホコリン)であり、一方昆虫は主にセラミドホスホエタノールアミンを含み、真菌はフィトセラミドホスホイノシトールおよびマンノース含有頭基を有する。スフィンゴ糖脂質は、スフィンゴイド塩基へのグリコシド結合を介して結合した1以上の糖残基からなる多様な分子のファミリーである。これらの例は、セレブロシドおよびガングリオシドなどの単純および複雑スフィンゴ糖脂質である。
コレステロールおよびその誘導体またはトコフェロールおよびその誘導体などのステロール脂質は、グリセロリン脂質およびスフィンゴミエリンと共に、膜脂質の重要な成分である。
糖脂質は、脂肪酸は糖主鎖に直接結合し、膜二層と互換性の構造を形成する化合物をいう。糖脂質において、単糖は、グリセロ脂質およびグリセロリン脂質に存在するグリセロール主鎖を置換する。最もなじみ深い糖脂質は、グラム陰性細菌のリポ多糖のリピドA成分のアシル化グルコサミン前駆体である。典型的脂質分子は、7個もの脂肪-アシル鎖で誘導体化されたグルコサミンの二糖である。大腸菌増殖に必要な最小リポ多糖は、2個の3-デオキシ-D-マンノ-オクツロソン酸(Kdo)残基でグリコシル化されているグルコサミンのヘキサ-アシル化二糖であるKdo2-リピドAである。
ポリケチドは、古典的酵素ならびに脂肪酸シンターゼと機構的特性を共有する反復的およびマルチモジュール酵素によるアセチルおよびプロピオニルサブユニットの重合により合成される。動物、植物、細菌、真菌および海生源からの多数の二次性代謝物および天然生成物を含み、構造多様性は大きい。多くのポリケチドは、主鎖はしばしばグルコシル化、メチル化、ヒドロキシル化、酸化または他の過程によりさらに修飾されている環状分子である。
カチオン的にイオン化可能な脂質
ここに記載するRNA組成物およびここに記載する核酸粒子(特にRNA LNP)は、粒子形成剤として少なくとも1個のカチオン的にイオン化可能な脂質を含む。ここでのし応は意図されるカチオン的にイオン化可能な脂質は、核酸と静電気的に結合できるあらゆるカチオン的にイオン化可能な脂質または脂質様物質を含む。ある実施態様において、っこでの使用は意図されるカチオン的にイオン化可能な脂質は、核酸と、例えば核酸と複合体を形成することによりまたは核酸は封入または被覆されている小胞を形成することにより結合できる。
ここで使用する「カチオン性脂質」または「カチオン性脂質様物質」は、正味の正荷電を有する脂質または脂質様物質をいう。カチオン性脂質または脂質様物質は、負荷電核酸と静電気的相互作用により結合する。一般に、カチオン性脂質は、ステロール、アシル鎖、ジアシルまたはそれ以上のアシル鎖などの親油性部分を含み、脂質の頭基は典型的に正荷電を有する。
ある実施態様において、カチオン性脂質または脂質様物質は、あるpH、特に酸性pHでのみ正味の正荷電を有し、異なる、好ましくは生理学的pHなどの高いpHで好ましくは正味の正荷電を有さず、好ましくは電荷を有しない、すなわち、中性である。このイオン化可能行動は、生理学的pHでカチオン性のままである粒子と比較して、エンドソーム脱出を助け、毒性を低減することにより有効性を増強すると考えられる。
ここで使用する「カチオン的にイオン化可能な脂質」は、正味の正荷電を有するまたは中性である脂質または脂質様物質をいい、すなわち、脂質は永久にカチオン性ではない。故に、カチオン的にイオン化可能な脂質は溶解される組成物のpHに依存して、カチオン的にイオン化可能な脂質は正荷電または中性である。本発明の目的で、このような「カチオン的にイオン化可能な」脂質は、状況に反しない限り、用語「カチオン性脂質」に含まれる。
ある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は、好ましくは生理学的条件下、正荷電またはプロトン化される、少なくとも1個の窒素原子(N)を含む頭基を含む。
カチオン性脂質の例は、N,N-ジメチル-2,3-ジオレイルオキシプロピルアミン(DODMA)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTMA)、3-(N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル)コレステロール(DC-Chol)、ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDAB);1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP);1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DODAP);1,2-ジアシルオキシ-3-ジメチルアンモニウムプロパン;1,2-ジアルキルオキシ-3-ジメチルアンモニウムプロパン;ジオクタデシルジメチル塩化アンモニウム(DODAC)、1,2-ジステアリルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(DSDMA)、2,3-ジ(テトラデオキシ)プロピル-(2-ヒドロキシエチル)-ジメチルアザニウム(DMRIE)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(DMEPC)、l,2-ジミリストイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DMTAP)、1,2-ジオレイルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロマイド(DORIE)および2,3-ジオレオイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-l-プロパナミウムトリフルオロ酢酸(DOSPA)、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DL末端MA)、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(イヌ)、3-ジメチルアミノ-2-(コレスト-5-エン-3-ベータ-オキシブタン-4-オキシ)-1-(cis,cis-9,12-オクタデカジエンオキシ)プロパン(CLinDMA)、2-[5’-(コレスト-5-エン-3-ベータ-オキシ)-3’-オキサペントキシ)-3-ジメチル-1-(cis,cis-9’,12’-オクタデカdienオキシ)プロパン(CpLinDMA)、N,N-ジメチル-3,4-ジオレイルオキシベンジルアミン(DMOBA)、1,2-N,N’-ジオレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(DOcarbDAP)、2,3-ジリノレオイルオキシ-N,N-ジメチルプロピルアミン(DLinDAP)、1,2-N,N’-ジリノレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(DLincarbDAP)、1,2-ジリノレオイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(DLinCDAP)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-XTC2-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル-4-(ジメチルアミノ)ブタノアート(DLin-MC3-DMA)、N-(2-ヒドロキシエチル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(テトラデシルオキシ)-1-プロパンアミニウムブロマイド(DMRIE)、(±)-N-(3-アミノプロピル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(cis-9-テトラデセニルオキシ)-1-プロパンアミニウムブロマイド(GAP-DMORIE)、(±)-N-(3-アミノプロピル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(ドデシルオキシ)-1-プロパンアミニウムブロマイド(GAP-DLRIE)、(±)-N-(3-アミノプロピル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(テトラデシルオキシ)-1-プロパンアミニウムブロマイド(GAP-DMRIE)、N-(2-アミノエチル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(テトラデシルオキシ)-1-プロパンアミニウムブロマイド(βAE-DMRIE)、N-(4-カルボキシベンジル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(オレオイルオキシ)プロパン-1-アミニウム(DOBAQ)、2-({8-[(3β)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA)、1,2-ジミリストイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DMDAP)、1,2-ジパルミトイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DPDAP)、N1-[2-((1S)-1-[(3-アミノプロピル)アミノ]-4-[ジ(3-アミノ-プロピル)アミノ]ブチルカルボキサミド)エチル]-3,4-ジ[オレイルオキシ]-ベンズアミド(MVL5)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(DOEPC)、2,3-ビス(ドデシルオキシ)-N-(2-ヒドロキシエチル)-N,N-ジメチルプロパン-1-アモニウムブロマイド(DLRIE)、N-(2-アミノエチル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(テトラデシルオキシ)プロパン-1-アミニウムブロマイド(DMORIE)、ジ((Z)-ノン-2-エン-1-イル)8,8’-((((2(ジメチルアミノ)エチル)チオ)カルボニル)アザンジイル)-ジオクタノエート(ATX)、N,N-ジメチル-2,3-ビス(ドデシルオキシ)プロパン-1-アミン(DLDMA)、N,N-ジメチル-2,3-ビス(テトラデシルオキシ)プロパン-1-アミン(DMDMA)、ジ((Z)-ノン-2-エン-1-イル)-9-((4-(ジメチルアミノブタノイル)-オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)、N-ドデシル-3-((2-ドデシルカルバモイル-エチル)-{2-[(2-ドデシルカルバモイル-エチル)-2-{(2-ドデシルカルバモイル-エチル)-[2-(2-ドデシルカルバモイル-エチルアミノ)-エチル]-アミノ}-エチル-アミノ)プロピオンアミド(リピドイド98N12-5)、1-[2-[ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ]エチル-[2-[4-[2-[ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ]エチル]ピペラジン-1-イル]エチル]アミノ]ドデカン-2-オール(リピドイドC12-200)を含むが、これらに限定されない。好ましいのは、DODMA、DOTMA、DOTAP、DODACおよびDOSPAである。具体的実施態様において、カチオン性またはカチオン的にイオン化可能な脂質はDODMAである。
DOTMAは、4級アミン頭基を有するカチオン性脂質である。DOTMAの構造は、次のとおり表され得る:
DODMAは、3級アミン頭基を有するイオン化可能カチオン性脂質である。DODMAの構造は、次のとおり表され得る:
ある実施態様において、組成物はカチオン的にイオン化可能な脂質を含む。
ある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は、好ましくは生理学的条件下、正荷電またはプロトン化され得る少なくとも1個の窒素原子(N)を含む頭基を含むM。
カチオン的にイオン化可能な脂質の例は、例えば、WO2016/176330およびWO2018/078053に開示される。ある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は式(X):
の構造を有するかまたはその薬学的に許容される塩、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体であり、ここで:
10およびL20の一方は-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-または-NRC(=O)O-であり、L10およびL20の他方は-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-または-NRC(=O)O-または直接結合であり;
およびGは各々独立して非置換C-C12アルキレンまたはC2-12アルケニレンであり;
はC1-24アルキレン、C2-24アルケニレン、C3-8シクロアルキレンまたはC3-8シクロアルケニレンであり;
はHまたはC1-12アルキルであり;
35およびR36は各々独立してC6-24アルキルまたはC6-24アルケニルであり;
37はH、OR50、CN、-C(=O)OR40、-OC(=O)R40または-NR50C(=O)R40であり;
40はC1-12アルキルであり;
50はHまたはC1-6アルキルであり;そして
xは0、1または2である。
式(X)の前記実施態様のいくつかにおいて、脂質は次の構造(XA)または(XB)の一つを有する:
〔式中、
Aは3~8員シクロアルキルまたはシクロアルキレン基であり;
60は、各場合独立して、H、OHまたはC-C24アルキルであり;
n1は1~15の範囲の整数である。〕。
式(X)の前記実施態様のいくつかにおいて、脂質は構造(XA)を有し、他の実施態様において、S脂質は構造(XB)を有する。
式(X)の他の実施態様において、脂質は次の構造(XC)または(XD)の一つを有する:
〔式中、yおよびzは各々独立して1~12の範囲の整数である。〕。
式(X)の前記実施態様の何れにおいても、L10およびL20の一方は-O(C=O)-である。例えば、ある実施態様において、L10およびL20の各々は-O(C=O)-である。前記の何れかのいくつかの異なる実施態様において、L10およびL20は各々独立して-(C=O)O-または-O(C=O)-である。例えば、ある実施態様において、L10およびL20の各々は-(C=O)O-である。
式(X)のいくつかの異なる実施態様において、脂質は次の構造(XE)または(XF)の一つを有する。
式(X)の前記実施態様のいくつかにおいて、脂質は次の構造(XG)、(XH)、(XJ)または(XK)の一つを有する。
式(X)の前記実施態様のいくつかにおいて、n1は2~12、例えば2~8または2~4の範囲の整数である。例えば、ある実施態様において、n1は3、4、5または6である。ある実施態様において、n1は3である。ある実施態様において、n1は4である。ある実施態様において、n1は5である。ある実施態様において、n1は6である。
式(X)の前記実施態様の他のいくつかにおいて、yおよびzは各々独立して2~10の範囲の整数である。例えば、ある実施態様において、yおよびzは各々独立して4~9または4~6の範囲の整数である。
式(X)の前記実施態様のいくつかにおいて、R60はHである。前記の他の実施態様において、R60はC-C24アルキルである。他の実施態様において、R60はOHである。
式(X)のある実施態様において、Gは非置換である。他の実施態様において、Gは置換されている。種々の異なる実施態様において、Gは線形C-C24アルキレンまたは線形C-C24アルケニレンである。
式(X)の前記実施態様の他のいくつかにおいて、R35またはR36または両方はC-C24アルケニルである。例えば、ある実施態様において、R35およびR36は、各々独立して、次の構造を有する:
〔式中、
7aおよびR7bは、各場合、独立してHまたはC-C12アルキルであり;そして
aは2~12の整数であり、
ここで、R7a、R7bおよびaは、R35およびR36は各々独立して6~20個の炭素原子を含むよう選択される。〕。例えば、ある実施態様において、aは5~9または8~12の範囲の整数である。
式(X)の前記実施態様のいくつかにおいて、R7aの少なくとも1個はHである。例えば、ある実施態様において、R7aは各場合Hである。前記の他の異なる実施態様において、R7bの少なくとも1個はC-Cアルキルである。例えば、ある実施態様において、C-Cアルキルはメチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシルまたはn-オクチルである。
式(X)の異なる実施態様において、R35またはR36または両方は次の構造の一つを有する。
式(X)の前記実施態様のいくつかにおいて、R37はOH、CN、-C(=O)OR40、-OC(=O)R40または-NHC(=O)R40である。ある実施態様において、R40はメチルまたはエチルである。
種々の異なる実施態様において、式(X)のカチオン性脂質は次に示す構造の一つを有する。
種々の異なる実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は、下表に示す構造の一つを有する。
ある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は式(XI):
の構造を有し、ここで、
およびRの各々は独立してRまたは-G-L-Rであり、ここで、RおよびRの少なくとも1個は-G-L-Rであり;
およびRの各々は独立してC1-6アルキル、C2-6アルケニル、アリールおよびC3-10シクロアルキルからなる群から選択され;
およびRの各々は独立して少なくとも10個の炭素原子を有する非環状ヒドロカルビル基であり;
およびGの各々は独立して非置換C1-12アルキレンまたはC2-12アルケニレンであり;
およびLの各々は独立して-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NRaC(=O)-、-C(=O)NRa-、-NRaC(=O)NRa-、-OC(=O)NRa-および-NRaC(=O)O-からなる群から選択され;
RaはHまたはC1-12アルキルであり;
mは0、1、2、3または4であり;そして
xは0、1または2である。
式(XI)の前記実施態様のいくつかにおいて、Gは独立して非置換C-C12アルキレンまたは非置換C2-12アルケニレン、例えば、非置換、直鎖C1-12アルキレンまたは非置換、直鎖C2-12アルケニレンである。ある実施態様において、各Gは独立して非置換C6-12アルキレンまたは非置換C6-12アルケニレン、例えば、非置換、直鎖C6-12アルキレンまたは非置換、直鎖C6-12アルケニレンである。ある実施態様において、各Gは独立して非置換C8-12アルキレンまたは非置換C8-12アルケニレン、例えば、非置換、直鎖C8-12アルキレンまたは非置換、直鎖C8-12アルケニレンである。ある実施態様において、各Gは独立して非置換C6-10アルキレンまたは非置換C6-10アルケニレン、例えば、非置換、直鎖C6-10アルキレンまたは非置換、直鎖C6-10アルケニレンである。ある実施態様において、各Gは独立して8個、9個または10個の炭素原子を有する非置換アルキレン、例えば、8個、9個または10個の炭素原子を有する非置換、直鎖アルキレンである。ある実施態様において、RおよびRは両方独立して-G-L-Rであるとき、RのGはRのGと異なってよい。これらの実施態様の何れかにおいて、例えば、RのGは非置換、直鎖C1-12アルキレンであり、RのGは非置換、直鎖C2-12アルケニレンである;またはRのGは非置換、直鎖C1-12アルキレン基であり、RのGは異なる非置換、直鎖C1-12アルキレン基である。ある実施態様において、RおよびRは両方独立して-G-L-Rであるとき、RのGはRのGと同一であってよい。これらの実施態様の何れかにおいて、例えば、各Gは同じ非置換、直鎖C8-12アルキレン、例えば非置換、直鎖C8-10アルキレンであるかまたは各Gは同じ非置換、直鎖C6-12アルケニレンである。
式(XI)の前記実施態様のいくつかにおいて、各Lは独立して-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NRaC(=O)-および-C(=O)NRa-からなる群から選択される。ある実施態様において、LのRaはHまたはC1-12アルキルである。ある実施態様において、LのRaはHまたはC1-6アルキル、例えば、HまたはC1-3アルキルである。ある実施態様において、LのRaはH、メチルまたはエチルである。ある実施態様において、各Lは独立して-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)S-および-SC(=O)-からなる群から選択される。ある実施態様において、各Lは独立して-O(C=O)-または-(C=O)O-である。ある実施態様において、RおよびRは両方独立して-G-L-Rであるとき、RのLはRのLと異なってよい。これらの実施態様の何れかにおいて、例えば、RのLは-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NRaC(=O)-および-C(=O)NRa-からなる群から選択されるある部分であり(例えば、RのLは-O(C=O)-である)、RのLは-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NRaC(=O)-および-C(=O)NRa-から選択される異なる部分である(例えば、RのLは-(C=O)O-である)。ある実施態様において、RおよびRは両方独立して-G-L-Rであるとき、RのLはRのLと同一であってよい。これらの実施態様の何れかにおいて、例えば、各Lは-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NRaC(=O)-および-C(=O)NRa-からなる群から選択される同じ部分である、例えば、各Lは-O(C=O)-であるかまたは各Lは-(C=O)O-である。
式(XI)の前記実施態様のいくつかにおいて、各Rは独立して少なくとも10個の炭素原子を有する非環状ヒドロカルビル基、例えば、少なくとも10個の炭素原子を有する直鎖ヒドロカルビル基である。ある実施態様において、各Rは、独立して最大30個の炭素原子、例えば最大28個、最大26個、最大24個、最大22個または最大20個の炭素原子を有する。ある実施態様において、各Rは独立して10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子)を有する非環状ヒドロカルビル基、例えば、10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子)を有する直鎖ヒドロカルビル基である。ある実施態様において、各RはRの内部炭素原子を介してLに結合する。ある実施態様において、各Rは独立して最大30個の炭素原子(例えば最大28個、最大26個、最大24個、最大22個または最大20個の炭素原子)を有し、各RはRの内部炭素原子を介してLに結合する。ある実施態様において、各Rは独立して少なくとも10個の炭素原子を有する非環状ヒドロカルビル基であり、例えば、少なくとも10個の炭素原子を有する直鎖ヒドロカルビル基であり、各RはRの内部炭素原子を介してLに結合する。ある実施態様において、各Rは独立して10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子)を有する非環状ヒドロカルビル基、例えば、10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子)を有する直鎖ヒドロカルビル基であり、各RはRの内部炭素原子を介してLに結合する。ある実施態様において、Rのヒドロカルビル基はアルキルまたはアルケニル基、例えば、C10-30アルキルまたはアルケニル基である。故に、ある実施態様において、各Rは独立して少なくとも10個の炭素原子を有する非環状アルキル基または少なくとも10個の炭素原子を有する非環状アルケニル基、例えば、少なくとも10個の炭素原子を有する直鎖アルキル基または少なくとも10個の炭素原子を有する直鎖アルケニル基である。ある実施態様において、各Rは独立して10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子原子を有する非環状アルキル基)または10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子)を有する非環状アルケニル基、例えば、10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子)を有する直鎖アルキル基または10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子)を有する直鎖アルケニル基である。ある実施態様において、各Rは独立して11~19個の炭素原子(例えば11個、13個、15個、17個または17個の炭素原子)を有する非環状アルキル基、例えば、11~19個の炭素原子(例えば11個、13個、15個、17個または17個の炭素原子)を有する直鎖アルキル基である。ある実施態様において、各Rは独立して10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子原子を有する非環状アルキル基)または10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子)を有する非環状アルケニル基、例えば、10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子)を有する直鎖アルキル基または10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子)を有する直鎖アルケニル基であり、各RはRの内部炭素原子を介してLに結合する。ある実施態様において、各Rは独立して11~19個の炭素原子(例えば11個、13個、15個、17個または17個の炭素原子)を有する非環状アルキル基、例えば、11~19個の炭素原子(例えば11個、13個、15個、17個または17個の炭素原子)を有する直鎖アルキル基であり、各RはRの内部炭素原子を介してLに結合する。表現「内部炭素原子」は、RはLに結合するRの炭素原子は、Rの少なくとも2個の他の炭素原子に直接結合することを意味する。例えば、次のC11アルキル基について、2位、3位、4位、5位および7位の何れかの各炭素原子は、本発明により「内部炭素原子」としてみなされ、一方1位、6位、8位、9位、10位および11位の炭素原子は違う。
結果として、Rの内部炭素を介してLに結合するC11アルキル基であるRは、次の基:
を含み、ここで、
はRはLに結合する結合を表す。さらに、直鎖アルキル基、例えば、直鎖C11アルキル基について、直鎖アルキル基の最初と最後の炭素原子以外(すなわち、直鎖C11アルキル基の1位および11位の素原子以外)の各炭素原子は「内部炭素原子」としてみなさる。故に、ある実施態様において、p炭素原子を有する直鎖アルキル基であり、Rの内部炭素原子を介してLに結合するRは、Rは2位~(p-1)位(それにより1位およびp位の末端C原子は除外される)の何れかのRの炭素原子を介してLに結合することを意味する。ある実施態様において、Rはp’炭素原子(ここで、p’は偶数である)を有する直鎖アルキル基であり、Rの内部炭素原子を介してLに結合するとき、Rは、Rの位置(p’/2-1)、(p’/2)および(p’/2+1)の何れかの炭素を介してLに結合する(例えば、p’が10であるならば、RはRの4位、5位および6位の何れかの炭素原子を介してLに結合する)。ある実施態様において、Rはp”炭素原子(ここで、p”は奇数である)を有する直鎖アルキル基であり、Rの内部炭素原子を介してLに結合するとき、Rは、Rの位置(p”-1)/2および(p”+1)/2の何れかの炭素を介してLに結合する(例えば、p”が11であるとき、RはRの5位および6位の何れかの炭素原子を介してLに結合する)。一般に、RおよびR両方は-G-L-Rであり、各RはRの内部炭素原子を介してLに結合するとき、RのRはRのRの内部炭素原子を介してRのLに結合し(そしてRのLには結合しない)、RのRはRのRの内部炭素原子を介してRのLに結合する(そしてRのLには結合しない)。ある実施態様において、各Rは独立して
からなる群から選択され、ここで、
は、RはLに結合する結合を表す。ある実施態様において、RおよびRは両方独立して-G-L-Rであるとき、RのRはRのRと異なる。これらの実施態様の何れかにおいて、例えば、RのRは少なくとも10個の炭素原子を有する非環状、好ましくは直鎖、ヒドロカルビル基であってよく(例えば、RのR
である)、そしてRのRは異なる少なくとも10個の炭素原子を有する非環状、好ましくは直鎖、ヒドロカルビル基であってよい(例えば、RのR
である)。ある実施態様において、RおよびRは両方独立して-G-L-Rであるとき、RのRはRのRと同一である。これらの実施態様の何れかにおいて、例えば、各Rは同じ少なくとも10個の炭素原子を有する非環状、好ましくは直鎖、ヒドロカルビル基である(例えば、各R
である)。
式(XI)の前記実施態様のいくつかにおいて、Rは少なくとも10個の炭素原子を有する非環状ヒドロカルビル基、例えば、少なくとも10個の炭素原子を有する直鎖ヒドロカルビル基である。ある実施態様において、Rは少なくとも12個の炭素原子を有する非環状ヒドロカルビル基、例えば少なくとも14個、少なくとも16個または少なくとも18個の炭素原子、例えば、少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも16個または少なくとも18個の炭素原子を有する直鎖ヒドロカルビル基である。ある実施態様において、Rは最大30個の炭素原子、例えば最大28個、最大26個、最大24個、最大22個または最大20個の炭素原子を有する。ある実施態様において、Rは非環状ヒドロカルビル基、例えば、直鎖ヒドロカルビル基であり、ここで、各ヒドロカルビル基は10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個、10~20個の炭素原子または12~30個、12~28個、12~26個、12~24個、12~22個、12~20個の炭素原子または14~30個、14~28個、14~26個、14~24個、14~22個、14~20個の炭素原子または16~30個、16~28個、16~26個、16~24個、16~22個、16~20個の炭素原子または18~30個、18~28個、18~26個、18~24個、18~22個または18~20個の炭素原子)を有する。ある実施態様において、Rのヒドロカルビル基はアルキルまたはアルケニル基、例えば、C10-30アルキルまたはアルケニル基である。故に、ある実施態様において、Rは少なくとも10個の炭素原子(例えば少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも16個または少なくとも18個の炭素原子原子を有する非環状アルキル基)または少なくとも10個の炭素原子(例えば少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも16個または少なくとも18個の炭素原子)を有する非環状アルケニル基、例えば、少なくとも10個の炭素原子(例えば少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも16個または少なくとも18個の炭素原子)を有する直鎖アルキル基または少なくとも10個の炭素原子(例えば少なくとも12個、少なくとも14個、少なくとも16個または少なくとも18個の炭素原子)を有する直鎖アルケニル基である。ある実施態様において、Rは非環状アルキル基または非環状アルケニル基、例えば、直鎖アルキル基または直鎖アルケニル基であり、ここで、アルキルおよびアルケニル基の各々は独立して10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個、10~20個の炭素原子または12~30個、12~28個、12~26個、12~24個、12~22個、12~20個の炭素原子または14~30個、14~28個、14~26個、14~24個、14~22個、14~20個の炭素原子または16~30個、16~28個、16~26個、16~24個、16~22個、16~20個の炭素原子または18~30個、18~28個、18~26個、18~24個、18~22個または18~20個の炭素原子)を有する。ある実施態様において、アルケニル基は少なくとも2個の炭素-炭素二重結合、例えば、2個または3個の炭素-炭素二重結合、例えば2個の炭素-炭素二重結合を有する。ある実施態様において、アルケニル基は少なくとも1個のcis配置の炭素-炭素二重結合、例えば、1個、2個または3個、例えば2個の、cis配置の炭素-炭素二重結合を有する。故に、ある実施態様において、Rは非環状アルキル基または非環状アルケニル基、例えば、直鎖アルキル基または直鎖アルケニル基であり、ここで、アルキルおよびアルケニル基の各々は独立して10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個、10~20個の炭素原子または12~30個、12~28個、12~26個、12~24個、12~22個、12~20個の炭素原子または14~30個、14~28個、14~26個、14~24個、14~22個、14~20個の炭素原子または16~30個、16~28個、16~26個、16~24個、16~22個、16~20個の炭素原子または18~30個、18~28個、18~26個、18~24個、18~22個または18~20個の炭素原子)を有し、アルケニル基は少なくとも2個の炭素-炭素二重結合、例えば、2個または3個の炭素-炭素二重結合を有する。ある実施態様において、Rは非環状アルキル基または非環状アルケニル基、例えば、直鎖アルキル基または直鎖アルケニル基であり、ここで、アルキルおよびアルケニル基の各々は独立して10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個、10~20個の炭素原子または12~30個、12~28個、12~26個、12~24個、12~22個、12~20個の炭素原子または14~30個、14~28個、14~26個、14~24個、14~22個、14~20個の炭素原子または16~30個、16~28個、16~26個、16~24個、16~22個、16~20個の炭素原子または18~30個、18~28個、18~26個、18~24個、18~22個または18~20個の炭素原子)を有し、アルケニル基は少なくとも1個の炭素-炭素二重結合、例えば1個、2個または3個のcis配置の炭素-炭素二重結合を有する。ある実施態様において、Rは次の構造
を有し、ここで、
は、Rは化合物の残りに結合する結合を表す。
式(XI)の前記実施態様のいくつかにおいて、Lは-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NRaC(=O)-、-C(=O)NRa-、-NRaC(=O)NRa-、-OC(=O)NRa-および-NRaC(=O)O-からなる群から選択される。ある実施態様において、Lは-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NRaC(=O)-および-C(=O)NRa-からなる群から選択される。ある実施態様において、LのRaはHまたはC1-12アルキルである。ある実施態様において、LのRaはHまたはC1-6アルキル、例えば、HまたはC1-3アルキルである。ある実施態様において、LのRaはH、メチルまたはエチルである。ある実施態様において、Lは-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)S-および-SC(=O)-からなる群から選択される。ある実施態様において、Lは-O(C=O)-または-(C=O)O-である。
式(XI)の前記実施態様のいくつかにおいて、Gは非置換C1-12アルキレンまたは非置換C2-12アルケニレン、例えば、非置換、直鎖C1-12アルキレンまたは非置換、直鎖C2-12アルケニレンである。ある実施態様において、Gは非置換C2-10アルキレンまたは非置換C2-10アルケニレン、例えば、非置換、直鎖C2-10アルキレンまたは非置換、直鎖C2-10アルケニレンである。ある実施態様において、Gは非置換C2-6アルキレンまたは非置換C2-6アルケニレン、例えば、非置換、直鎖C2-6アルキレンまたは非置換、直鎖C2-6アルケニレンである。ある実施態様において、Gは非置換C2-4アルキレンまたは非置換C2-4アルケニレン、例えば、非置換、直鎖C2-4アルキレンまたは非置換、直鎖C2-4アルケニレンである。ある実施態様において、Gはエチレンまたはトリメチレンである。
式(XI)の前記実施態様のいくつかにおいて、RおよびRの各々は独立してC1-6アルキルまたはC2-6アルケニルである。ある実施態様において、RおよびRの各々は独立してC1-4アルキルまたはC2-4アルケニルである。ある実施態様において、RおよびRの各々は独立してC1-3アルキルである。ある実施態様において、RおよびRの各々は独立してメチルまたはエチルである。ある実施態様において、RおよびRの各々はメチルである。
式(XI)の前記実施態様のいくつかにおいて、mは0、1、2または3である。ある実施態様において、mは0または2である。ある実施態様において、mは0である。ある実施態様において、mは2である。
式(XI)の前記実施態様のいくつかにおいて、カチオン的にイオン化可能な脂質は式(XIIa)または(XIIb):
の構造を有し、ここで、
およびRの各々は独立してC-CアルキルまたはC2-6アルケニルであり;
は少なくとも14個の炭素原子(例えば少なくとも16個の炭素原子)を有する直鎖ヒドロカルビル基であり、ここで、ヒドロカルビル基は好ましくは少なくとも2個の炭素-炭素二重結合を有し;
各Rは独立して少なくとも10個の炭素原子を有する直鎖ヒドロカルビル基(例えば、直鎖アルキル基)であるおよび/または各RはRの内部炭素原子を介してLに結合し、好ましくは各Rは独立して少なくとも10個の炭素原子を有する直鎖ヒドロカルビル基(例えば、直鎖アルキル基)であり、各RはRの内部炭素原子を介してLに結合し;
各Gは独立して非置換、直鎖C4-12アルキレンまたはC4-12アルケニレン、例えば、非置換、直鎖C6-12アルキレンまたはC6-12アルケニレン、例えば非置換、直鎖C8-12アルキレンまたは非置換、直鎖C8-12アルケニレンであり;
は非置換C-C10アルキレンまたはC2-10アルケニレン、好ましくは非置換C-CアルキレンまたはC2-6アルケニレンであり;
およびLの各々は独立して-O(C=O)-または-(C=O)O-であり;そして
mは0、1、2または3、好ましくは0または2である。
式(XIIa)の前記実施態様のいくつかにおいて、Rは最大30個の炭素原子、例えば最大28個、最大26個、最大24個、最大22個または最大20個の炭素原子を有する。式(XIIa)のある実施態様において、Rは14~30個の炭素原子(例えば14~28個、14~26個、14~24個、14~22個、14~20個の炭素原子または16~30個、16~28個、16~26個、16~24個、16~22個、16~20個の炭素原子または18~30個、18~28個、18~26個、18~24個、18~22個または18~20個の炭素原子)を有する直鎖ヒドロカルビル基である。式(XIIa)のある実施態様において、Rは14~30個の炭素原子(例えば14~28個、14~26個、14~24個、14~22個、14~20個の炭素原子または16~30個、16~28個、16~26個、16~24個、16~22個、16~20個の炭素原子または18~30個、18~28個、18~26個、18~24個、18~22個または18~20個の炭素原子)を有する直鎖アルキルまたはアルケニル基である。式(XIIa)のある実施態様において、アルケニル基は少なくとも2個の炭素-炭素二重結合、例えば、2個または3個の炭素-炭素二重結合、例えば2個の炭素-炭素二重結合を有する。ある実施態様において、アルケニル基は少なくとも1個のcis配置の炭素-炭素二重結合、例えば、1個、2個または3個、例えば2個の、cis配置の炭素-炭素二重結合を有する。故に、式(XIIa)のある実施態様において、Rは直鎖アルキル基または直鎖アルケニル基であり、ここで、アルキルおよびアルケニル基の各々は独立して14~30個の炭素原子(例えば14~28個、14~26個、14~24個、14~22個、14~20個の炭素原子または16~30個、16~28個、16~26個、16~24個、16~22個、16~20個の炭素原子または18~30個、18~28個、18~26個、18~24個、18~22個または18~20個の炭素原子)を有し、アルケニル基は少なくとも2個の炭素-炭素二重結合、例えば、2個または3個の炭素-炭素二重結合を有する。式(XIIa)のある実施態様において、Rは直鎖アルキル基または直鎖アルケニル基であり、ここで、アルキルおよびアルケニル基の各々は独立して14~30個の炭素原子(例えば14~28個、14~26個、14~24個、14~22個、14~20個の炭素原子または16~30個、16~28個、16~26個、16~24個、16~22個、16~20個の炭素原子または18~30個、18~28個、18~26個、18~24個、18~22個または18~20個の炭素原子)を有し、アルケニル基は少なくとも1個の炭素-炭素二重結合、例えば1個、2個または3個のcis配置の炭素-炭素二重結合を有する。式(XIIa)のある実施態様において、Rは直鎖アルキル基または直鎖アルケニル基であり、ここで、アルキルおよびアルケニル基の各々は独立して14~30個の炭素原子(例えば14~28個、14~26個、14~24個、14~22個、14~20個の炭素原子または16~30個、16~28個、16~26個、16~24個、16~22個、16~20個の炭素原子または18~30個、18~28個、18~26個、18~24個、18~22個または18~20個の炭素原子)を有し、アルケニル基は2個または3個の炭素-炭素二重結合を有し、ここで、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合、例えば1個、2個または3個の炭素-炭素二重結合はcis配置である。式(XIIa)のある実施態様において、Rは次の構造
を有し、ここで、
は、Rは化合物の残りに結合する結合を表す。式(XIIa)のある実施態様において、Rは最大30個の炭素原子、例えば最大28個、最大26個、最大24個、最大22個または最大20個の炭素原子を有する。式(XIIa)のある実施態様において、Rは10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子)を有する非環状ヒドロカルビル基(例えば、非環状アルキル基)、例えば、10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子)を有する直鎖ヒドロカルビル基(例えば、直鎖アルキル基)である。式(XIIa)のある実施態様において、Rは少なくとも10個の炭素原子を有する直鎖ヒドロカルビル基(例えば、直鎖アルキル基)であり、RはRの内部炭素原子を介してLに結合する。式(XIIa)のある実施態様において、Rは10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子)を有する非環状ヒドロカルビル基(例えば、非環状アルキル基)、例えば、10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子)を有する直鎖ヒドロカルビル基(例えば、直鎖アルキル基)であり、RはRの内部炭素原子を介してLに結合する。式(XIIa)のある実施態様において、Gは独立して非置換、直鎖C4-12アルキレンまたはC4-12アルケニレン、例えば、非置換、直鎖C6-12アルキレンまたはC6-12アルケニレンである。式(XIIa)のある実施態様において、Rは少なくとも14個の炭素原子(例えば14~30個の炭素原子)および2個または3個の炭素-炭素二重結合を有する直鎖ヒドロカルビル基、例えば、直鎖アルケニル基であり;Rは少なくとも10個の炭素原子(例えば、10~30個の炭素原子を有する)を有する直鎖ヒドロカルビル基(例えば、直鎖アルキル基)であり、RはRの内部炭素原子を介してLに結合し;そしてGは独立して非置換、直鎖C4-12アルキレンまたはC4-12アルケニレン、例えば、非置換、直鎖C6-12アルキレンまたはC6-12アルケニレンである。
式(XIIb)の前記実施態様のいくつかにおいて、各Rは、独立して最大30個の炭素原子、例えば最大28個、最大26個、最大24個、最大22個または最大20個の炭素原子を有する。式(XIIb)のある実施態様において、各Rは独立して10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子または11~19個の炭素原子、例えば11個、13個、15個、17個または17個の炭素原子)を有する直鎖ヒドロカルビル基(例えば、直鎖アルキル基)である。式(XIIb)のある実施態様において、各Rは独立して10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子または11~19個の炭素原子、例えば11個、13個、15個、17個または17個の炭素原子)を有する直鎖ヒドロカルビル基(例えば、直鎖アルキル基)であり、各RはRの内部炭素原子を介してLに結合する。式(XIIb)のある実施態様において、各Rは独立して
からなる群から選択され、ここで、
は、RはLに結合する結合を表す。式(XIIb)のある実施態様において、各Gは独立して非置換、直鎖C6-12アルキレンまたはC6-12アルケニレンである。式(XIIb)のある実施態様において、各Gは独立して非置換、直鎖C8-12アルキレンまたはC8-12アルケニレンである。式(XIIb)のある実施態様において、各Rは独立して少なくとも10個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子または11~19個の炭素原子、例えば11個、13個、15個、17個または17個の炭素原子)を有する直鎖ヒドロカルビル基(例えば、直鎖アルキル基)であり、Rの内部炭素原子を介してLに結合し;そして各Gは独立して非置換、直鎖C8-12アルキレンまたはC8-12アルケニレンである。
式(XI)の前記実施態様のいくつかにおいて、カチオン的にイオン化可能な脂質は式(XIIIa)または(XIIIb):
の構造を有し、ここで、
およびRの各々は独立してC1-4アルキルまたはC2-4アルケニル、より好ましくはC1-3アルキル、例えばメチルまたはエチルであり;
は少なくとも16個の炭素原子を有する直鎖アルキルまたはアルケニル基であり、ここで、アルケニル基は好ましくは少なくとも2個の炭素-炭素二重結合を有し;
各Rは独立して少なくとも10個の炭素原子を有する直鎖ヒドロカルビル基であり、ここで、RはRの内部炭素原子を介してLに結合し;
各Gは独立して非置換、直鎖C6-12アルキレンまたは非置換、直鎖C6-12アルケニレン、例えば、非置換、直鎖C8-12アルキレンまたは非置換、直鎖C8-12アルケニレン、例えば非置換、直鎖C8-10アルキレンまたは非置換、直鎖C8-10アルケニレン、例えば非置換、直鎖Cアルキレンであり;
は非置換C2-6アルキレンまたはC2-6アルケニレン、好ましくは非置換C2-4アルキレンまたはC2-4アルケニレン、例えばエチレンまたはトリメチレンであり;
およびLの各々は独立して-O(C=O)-または-(C=O)O-であり;そして
mは0、1、2または3、好ましくは0または2である。
式(XIIIa)の前記実施態様のいくつかにおいて、Rは最大30個の炭素原子、例えば最大28個、最大26個、最大24個、最大22個または最大20個の炭素原子を有する。式(XIIIa)のある実施態様において、Rは16~30個の炭素原子(例えば16~28個、16~26個、16~24個、16~22個、16~20個の炭素原子または18~30個、18~28個、18~26個、18~24個、18~22個または18~20個の炭素原子)を有する直鎖アルキルまたはアルケニル基である。式(XIIIa)のある実施態様において、アルケニル基は少なくとも2個の炭素-炭素二重結合、例えば、2個または3個の炭素-炭素二重結合、例えば2個の炭素-炭素二重結合を有する。ある実施態様において、アルケニル基は少なくとも1個のcis配置の炭素-炭素二重結合、例えば、1個、2個または3個、例えば2個の、cis配置の炭素-炭素二重結合を有する。故に、式(XIIIa)のある実施態様において、Rは直鎖アルキル基または直鎖アルケニル基であり、ここで、アルキルおよびアルケニル基の各々は独立して16~30個の炭素原子(例えば16~28個、16~26個、16~24個、16~22個、16~20個の炭素原子または18~30個、18~28個、18~26個、18~24個、18~22個または18~20個の炭素原子)を有し、アルケニル基は少なくとも2個の炭素-炭素二重結合、例えば、2個または3個の炭素-炭素二重結合を有する。式(XIIIa)のある実施態様において、Rは直鎖アルキル基または直鎖アルケニル基であり、ここで、アルキルおよびアルケニル基の各々は独立して16~30個の炭素原子(例えば16~28個、16~26個、16~24個、16~22個、16~20個の炭素原子または18~30個、18~28個、18~26個、18~24個、18~22個または18~20個の炭素原子)を有し、アルケニル基は少なくとも1個の炭素-炭素二重結合、例えば1個、2個または3個のcis配置の炭素-炭素二重結合を有する。式(XIIIa)のある実施態様において、Rは直鎖アルキル基または直鎖アルケニル基であり、ここで、アルキルおよびアルケニル基の各々は独立して16~30個の炭素原子(例えば16~28個、16~26個、16~24個、16~22個、16~20個の炭素原子または18~30個、18~28個、18~26個、18~24個、18~22個または18~20個の炭素原子)を有し、アルケニル基は2個または3個の炭素-炭素二重結合を有し、ここで、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合、例えば1個、2個または3個の炭素-炭素二重結合はcis配置である。式(XIIIa)のある実施態様において、Rは次の構造
を有し、ここで、
は、Rは化合物の残りに結合する結合を表す。式(XIIIa)のある実施態様において、Rは最大30個の炭素原子、例えば最大28個、最大26個、最大24個、最大22個または最大20個の炭素原子を有する。式(XIIIa)のある実施態様において、Rは10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子)を有する直鎖ヒドロカルビル基(例えば、直鎖アルキル基)であり、RはRの内部炭素原子を介してLに結合する。式(XIIIa)のある実施態様において、Rは10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子)を有する直鎖アルキル基であり、RはRの内部炭素原子を介してLに結合する。式(XIIIa)のある実施態様において、Gは独立して非置換、直鎖C4-12アルキレンまたはC4-12アルケニレン、例えば、非置換、直鎖C6-12アルキレンまたはC6-12アルケニレンである。式(XIIIa)のある実施態様において、Rは少なくとも16個の炭素原子(例えば16~30個の炭素原子)および2個または3個の炭素-炭素二重結合を有する直鎖ヒドロカルビル基、例えば、直鎖アルケニル基であり;Rは少なくとも10個の炭素原子(例えば、10~30個の炭素原子を有する)を有する直鎖ヒドロカルビル基(例えば、直鎖アルキル基)であり、RはRの内部炭素原子を介してLに結合し;そしてGは独立して非置換、直鎖C4-12アルキレンまたはC4-12アルケニレン、例えば、非置換、直鎖C6-12アルキレンまたはC6-12アルケニレンである。
式(XIIIb)の前記実施態様のいくつかにおいて、各Rは、独立して最大30個の炭素原子、例えば最大28個、最大26個、最大24個、最大22個または最大20個の炭素原子を有する。式(XIIIb)のある実施態様において、各Rは独立して10~30個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子または11~19個の炭素原子、例えば11個、13個、15個、17個または17個の炭素原子)を有する直鎖ヒドロカルビル基(例えば、直鎖アルキル基)であり、各RはRの内部炭素原子を介してLに結合する。式(XIIIb)のある実施態様において、各RはRの内部炭素原子を介してLに結合し、
からなる群から独立して選択され、ここで、
は、RはLに結合する結合を表す。式(XIIIb)のある実施態様において、各Gは独立して非置換、直鎖C8-12アルキレンまたはC8-12アルケニレン、例えば、非置換、直鎖C8-10アルキレンまたはC8-10アルケニレンである。式(XIIIb)のある実施態様において、各Rは独立して少なくとも10個の炭素原子(例えば10~28個、10~26個、10~24個、10~22個または10~20個の炭素原子または11~19個の炭素原子、例えば11個、13個、15個、17個または17個の炭素原子)を有する直鎖ヒドロカルビル基(例えば、直鎖アルキル基)であり、Rの内部炭素原子を介してLに結合し;そして各Gは独立して非置換、直鎖C8-12アルキレンまたはC8-12アルケニレン、例えば、非置換、直鎖C8-10アルキレンまたはC8-10アルケニレンである。
式(XI)の前記実施態様のいくつかにおいて、カチオン的にイオン化可能な脂質は次の式(XIV-1)、(XIV-2)および(XIV-3)
の一つを有する。
ある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は(6Z,16Z)-12-((Z)-デク-4-エン-1-イル)ドコサ-6,16-ジエン-11-イル5-(ジメチルアミノ)ペンタノエート(3D-P-DMA)である。3D-P-DMAの構造は、次のとおり表され得る。
種々の異なる実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質はN,N-ジメチル-2,3-ジオレイルオキシプロピルアミン(DODMA)、1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DODAP)、ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル-4-(ジメチルアミノ)ブタノアート(DLin-MC3-DMA)および4-((ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)アミノ)オキシ)-N,N-ジメチル-4-オキソブタン-1-アミン(DPL-14)からなる群から選択される。
カチオン的にイオン化可能な脂質のさらなる例は、3-(N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル)コレステロール(DC-Chol)、1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DODAP);1,2-ジアシルオキシ-3-ジメチルアンモニウムプロパン;1,2-ジアルキルオキシ-3-ジメチルアンモニウムプロパン、1,2-ジステアリルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(DSDMA)、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DL末端MA)、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(イヌ)、3-ジメチルアミノ-2-(コレスト-5-エン-3-ベータ-オキシブタン-4-オキシ)-1-(cis,cis-9,12-オクタデカジエンオキシ)プロパン(CLinDMA)、2-[5’-(コレスト-5-エン-3-ベータ-オキシ)-3’-オキサペントキシ)-3-ジメチル-1-(cis,cis-9’,12’-オクタデカdienオキシ)プロパン(CpLinDMA)、N,N-ジメチル-3,4-ジオレイルオキシベンジルアミン(DMOBA)、1,2-N,N’-ジオレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(DOcarbDAP)、2,3-ジリノレオイルオキシ-N,N-ジメチルプロピルアミン(DLinDAP)、1,2-N,N’-ジリノレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(DLincarbDAP)、1,2-ジリノレオイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(DLinCDAP)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-XTC2-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル-4-(ジメチルアミノ)ブタノアート(DLin-MC3-DMA)、2-({8-[(3β)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA)、1,2-ジミリストイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DMDAP)、1,2-ジパルミトイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DPDAP)、N1-[2-((1S)-1-[(3-アミノプロピル)アミノ]-4-[ジ(3-アミノ-プロピル)アミノ]ブチルカルボキサミド)エチル]-3,4-ジ[オレイルオキシ]-ベンズアミド(MVL5)、ジ((Z)-ノン-2-エン-1-イル)8,8’-((((2(ジメチルアミノ)エチル)チオ)カルボニル)アザンジイル)ジオクタノエート(ATX)、N,N-ジメチル-2,3-ビス(ドデシルオキシ)プロパン-1-アミン(DLDMA)、N,N-ジメチル-2,3-ビス(テトラデシルオキシ)プロパン-1-アミン(DMDMA)、ジ((Z)-ノン-2-エン-1-イル)-9-((4-(ジメチルアミノブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)、N-ドデシル-3-((2-ドデシルカルバモイル-エチル)-{2-[(2-ドデシルカルバモイル-エチル)-2-{(2-ドデシルカルバモイル-エチル)-[2-(2-ドデシルカルバモイル-エチルアミノ)-エチル]-アミノ}-エチルアミノ)プロピオンアミド(リピドイド98N12-5)、1-[2-[ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ]エチル-[2-[4-[2-[ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ]エチル]ピペラジン-1-イル]エチル]アミノ]ドデカン-2-オール(リピドイドC12-200)を含むが、これらに限定されない。
ある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は構造X-3を有する。
ある実施態様において、ここで使用するカチオン性脂質はDPL14であるまたはそれを含む。ここで使用する「DPL14」は次の一般式を含む脂質である。
ここに開示するカチオン的にイオン化可能な脂質についての記載はまたその塩(特に薬学的に許容される塩)、互変異性体、立体異性体、溶媒和物(例えば、水和物)および同位体標識された形態も含むことは理解される。
ある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は、組成物/粒子に存在する総脂質の約10mol%~約100mol%、約20mol%~約100mol%、約30mol%~約100mol%、約40mol%~約100mol%または約50mol%~約100mol%を構成し得る。
ここに記載する組成物/粒子(特にRNA組成物/粒子)ここに記載する組成物/粒子(特にRNA組成物/粒子)がカチオン的にイオン化可能な脂質および1以上の付加的脂質を含むある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は、組成物/粒子に存在する総脂質の約10mol%~約80mol%、約20mol%~約60mol%、約25mol%~約55mol%、約30mol%~約50mol%、約35mol%~約45mol%または約40mol%を構成する。ある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は、組成物/粒子に存在する総脂質の約10mol%~約80mol%、約20mol%~約80mol%、約25mol%~約65mol%または約30mol%~約50mol%、例えば約40mol%~約50mol%を構成する。
ある実施態様において、ここに記載する粒子(特にRNA LNP)はカチオン的にイオン化可能な脂質の40~55molパーセント、40~50molパーセント、41~49molパーセント、41~48molパーセント、42~48molパーセント、43~48molパーセント、44~48molパーセント、45~48molパーセント、46~48molパーセント、47~48molパーセントまたは47.2~47.8molパーセントを構成する。ある実施態様において、粒子(特にRNA LNP)はカチオン的にイオン化可能な脂質の約47.0、47.1、47.2、47.3、47.4、47.5、47.6、47.7、47.8、47.9または48.0molパーセントを構成する。
ある実施態様において、ここに記載するカチオン的にイオン化可能な脂質の少なくとも一部がRNAの少なくとも一部と結合して粒子(例えば、LNP)を形成するとき、カチオン的にイオン化可能な脂質は組成物に存在する総脂質の約10mol%~約95mol%、約20mol%~約95mol%、約20mol%~約90mol%、約30mol%~約90mol%、約40mol%~約90mol%または約40mol%~約80mol%、例えば粒子に存在する総脂質の約20mol%~約80mol%、約25mol%~約70mol%、約30mol%~約60mol%または約30mol%~約50mol%、例えば約40mol%~約60mol%を構成し得る。
ある実施態様において、N/P値は少なくとも約4である。ある実施態様において、N/P値は4~20、4~12、4~10、4~8または5~7の範囲である。ある実施態様において、N/P値は約6である。
付加的脂質
ここに記載するRNA組成物はカチオン的にイオン化可能な脂質以外の脂質または脂質様物質、すなわち、非カチオン性脂質または脂質様物質(非カチオン的にイオン化可能な脂質または脂質様物質を含む)も含み得る。まとめて、アニオン性および中性脂質または脂質様物質はここでは非カチオン性脂質または脂質様物質と称する。カチオン的にイオン化可能な脂質に加えて、コレステロールおよび脂質などの他の疎水性部分の付加による核酸粒子の製剤の最適化は、組成物および/または粒子安定性および核酸(例えばRNA)送達の有効性を増大し得る。
核酸粒子の全体的電荷に影響してもしなくてもよい1以上の付加的脂質を取り込み得る。ある実施態様において、1以上の付加的脂質は非カチオン性脂質または脂質様物質である。非カチオン性脂質は、例えば、1以上のアニオン性脂質および/または中性脂質を含み得る。ここで使用する「アニオン性脂質」は、選択したpHで負荷電であるあらゆる脂質をいう。ここで使用する「中性脂質」は、選択したpHで非荷電または中性双性イオン形態で存在する、あらゆるいくつかの脂質種の何れかをいう。
ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物(特にmRNA組成物)はカチオン的にイオン化可能な脂質および1以上の付加的脂質を含む。
理論に拘束されることを願わないが、1以上の付加的脂質の量と比較したカチオン的にイオン化可能な脂質の量は、核酸の電荷、粒子径、安定性、組織選択性および生理活性などの重要な核酸粒子特徴に影響し得る。従って、ある実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質対1以上の付加的脂質のモル比は約10:0~約1:9、約4:1~約1:2または約3:1~約1:1である。
ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物(特にmRNA組成物)に含まれる1以上の付加的脂質は、次の中性脂質、ステロイド、ポリマーコンジュゲート脂質およびそれらの組み合わせの1以上を含む。
中性脂質
ある実施態様において、1以上の付加的脂質は、好ましくはリン脂質である中性脂質を含む。ある実施態様において、リン脂質はホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリンおよびスフィンゴミエリンからなる群から選択される。使用できる具体的リン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリンまたはスフィンゴミエリンを含むが、これらに限定されない。このようなリン脂質は、特にジアシルホスファチジルコリン、例えばジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジペンタデカノイルホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジアラキドイルホスファチジルコリン(DAPC)、ジベヘノイルホスファチジルコリン(DBPC)、ジトリコサノイルホスファチジルコリン(DTPC)、ジリグノセロイルフタチジルコリン(DLPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルコリン(POPC)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0 Diether PC)、1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(C16 Lyso PC)およびホスファチジルエタノールアミン、特にジアシルホスファチジルエタノールアミン、例えばジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジパルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジラウロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DLPE)、ジフィタノイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPyPE)、1,2-ジ-(9Z-オクタデセノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPG)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール)(DPPG)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(POPE)、N-パルミトイル-D-エリトロ-スフィンゴシルホスホリルコリン(SM)および種々の疎水性鎖を有するさらなるホスファチジルエタノールアミン脂質を含む。ある実施態様において、中性脂質はDSPC、DOPC、DMPC、DPPC、POPC、DOPE、DOPG、DPPG、POPE、DPPE、DMPE、DSPEおよびSMからなる群から選択される。ある実施態様において、中性脂質はDSPC、DPPC、DMPC、DOPC、POPC、DOPEおよびSMからなる群から選択される。ある実施態様において、中性脂質はDSPCである。
故に、ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物(特にmRNA組成物)はカチオン的にイオン化可能な脂質およびDSPCを含む。
ある実施態様において、中性脂質は、5~15molパーセント、7~13molパーセントまたは9~11molパーセントの範囲の濃度でここに記載するRNA組成物(特にmRNA組成物)に存在する。ある実施態様において、中性脂質は、ここに記載するRNA組成物(特にmRNA組成物)に存在する総脂質の約9.5、10または10.5molパーセントの濃度で存在する。
ステロイド
ある実施態様において、ステロイドはコレステロールである。故に、ある実施態様において、RNA組成物(特にmRNA組成物)はカチオン的にイオン化可能な脂質およびコレステロールを含む。
ある実施態様において、ステロイドはRNA組成物(特にmRNA組成物)に30~50molパーセント、35~45molパーセントまたは38~43molパーセントの範囲の濃度で存在する。ある実施態様において、ステロイドはここに記載する組成物(特にmRNA組成物)に存在する総脂質の約40、41、42、43、44、45または46molパーセントの濃度で存在する。
ある好ましい実施態様において、ここに記載するRNA組成物(特にmRNA組成物)は、好ましくは上に示す濃度で、DSPCおよびコレステロールを含む。
ある実施態様において、中性脂質(特に、1以上のリン脂質)とステロイド(特に、コレステロール)の組み合わせ濃度は、ここに記載するRNA組成物(特にmRNA組成物)の総脂質の約0mol%~約90mol%、約0mol%~約80mol%、約0mol%~約70mol%、約0mol%~約60mol%または約0mol%~約50mol%、例えば約20mol%~約80mol%、約25mol%~約75mol%、約30mol%~約70mol%、約35mol%~約65mol%または約40mol%~約60mol%を構成し得る。
(i)RNA、(ii)式(I)のカチオン的にイオン化可能な脂質および(iii)付加的脂質の少なくとも一部が粒子(例えば、LNP)を形成するある実施態様において、付加的脂質(例えば、1以上のリン脂質および/またはコレステロール)は、粒子に存在する総脂質の約0mol%~約60mol%、約2mol%~約55mol%、約5mol%~約50mol%、約5mol%~約45mol%、約10mol%~約45mol%、約15mol%~約40mol%または約20mol%~約40mol%を構成し得る。
ある実施態様において、リン脂質は、粒子に存在する総脂質の約5mol%~約40mol%、好ましくは約5mol%~約20mol%、より好ましくは約5mol%~約15mol%を構成し得る。
ある実施態様において、ステロイド(特に、コレステロール)は、粒子に存在する総脂質の約10mol%~約65mol%、好ましくは約20mol%~約60mol%、より好ましくは約30mol%~約50mol%を構成する。
ポリマーコンジュゲート脂質
ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物は少なくとも1個のポリマーコンジュゲート脂質を含み得る。ポリマーコンジュゲート脂質は典型的に脂質部分およびそれにコンジュゲートしたポリマー部分を含む分子である。
ある実施態様において、ポリマーコンジュゲート脂質は、ここではペグ化脂質またはPEG脂質とも称するPEGコンジュゲート脂質である。用語「ペグ化脂質」は、脂質部分およびポリエチレングリコール部分両方を含む分子をいう。ペグ化脂質は当分野で知られる。
ある実施態様において、ポリマーコンジュゲート脂質は、ここではサルコシン化脂質またはpSar脂質とも称するポリサルコシンコンジュゲート脂質である。用語「サルコシン化脂質」は、脂質部分およびポリサルコシン部分両方を含む分子をいう。
ここで使用する「ポリマー」は、その通常の意味であり、すなわち、共有結合により結合した1以上の反復単位(モノマー)を含む分子構造をいう。反復単位は全て同一でよくまたはある場合、ポリマー内に1を超えるタイプの反復単位が存在し得る。ある場合、ポリマーは生物学的に由来し、すなわち、タンパク質などのバイオポリマーである。ある場合、付加的部分、例えばターゲティング部分もポリマーに存在し得る。1を超えるタイプの反復単位がポリマー内に存在するならば、ポリマーは「コポリマー」と称される。コポリマーを形成する反復単位は、どのような形式で配置されていてもよい。例えば、反復単位は無作為の順番、交互の順番または「ブロック」コポリマー、すなわち、各々第一反復単位(例えば、第一ブロック)を含む1以上の領域および各々第二反復単位(例えば、第二ブロック)を含む1以上の領域を含むポリマーとしてなどのように配置され得る。ブロックコポリマーは、2個(ジブロックコポリマー)、3個(トリブロックコポリマー)またはそれ以上の数の異なるブロックを有し得る。
ある実施態様において、ポリマーコンジュゲート脂質は、疎水性脂質層を遮蔽する保護的親水性層の形成により、脂質粒子を立体的に安定化するよう設計される。ある実施態様において、ポリマーコンジュゲート脂質は、そのような脂質粒子がインビボに投与されたとき血清タンパク質との結合および/または結果的な細網内皮系による取り込みを減少できる。
ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物はペグ化脂質を含まない。ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物はサルコシン化脂質を含まない。ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物はペグ化脂質またはサルコシン化脂質を含まない。ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物はあらゆるポリマーコンジュゲート脂質を含まない。
ポリエチレングリコール(PEG)コンジュゲート脂質
ある実施態様において、ポリマーコンジュゲート脂質はペグ化脂質である。用語「ペグ化脂質」は、脂質部分およびポリエチレングリコール部分両方を含む分子をいう。ペグ化脂質は当分野で知られる。ある実施態様において、ペグ化脂質は次の構造(XV):
を有するかまたはその薬学的に許容される塩、互変異性体もしくは立体異性体であり、ここで、R12およびR13は独立して10~30個の炭素原子を含む直鎖または分岐、アルキルまたはアルケニル鎖であり、ここで、アルキルまたはアルケニル鎖は所望により1以上のエステル結合により中断されており;そしてwは30~60の範囲の平均値を有する。
式(XV)のある実施態様において、R12およびR13の各々は独立して10~18個の炭素原子、好ましくは12~16個の炭素原子を含む直鎖アルキル鎖である。
式(XV)のある実施態様において、R12およびR13は同一である。ある実施態様において、R12およびR13の各々は12個の炭素原子を含む直鎖アルキル鎖である。ある実施態様において、R12およびR13の各々は14個の炭素原子を含む直鎖アルキル鎖である。ある実施態様において、R12およびR13の各々は16個の炭素原子を含む直鎖アルキル鎖である。
式(XV)のある実施態様において、R12およびR13は異なる。ある実施態様において、R12およびR13の一方は12個の炭素原子を含む直鎖アルキル鎖であり、R12およびR13の他方は14個の炭素原子を含む直鎖アルキル鎖である。
式(XV)のある実施態様において、zは40~50の範囲の平均値、例えば平均値45を有する。
式(XV)のある実施態様において、zは、式(XV)のペグ化脂質のPEG部分が、約400~約6000g/mol、例えば約1000~約5000g/mol、約1500~約4000g/molまたは約2000~約3000g/molの平均分子量を有するような範囲内である。
種々のPEGコンジュゲート脂質は当分野で知られ、ペグ化ジアシルグリセロール(PEG-DAG)例えば1-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)、ペグ化ホスファチジルエタエタノロアミン(PEG-PE)、PEGスクシネートジアシルグリセロール(PEG-S-DAG)例えば4-O-(2’,3’-ジ(テトラデカノイルオキシ)プロピル-1-O-(ω-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)ブタンジオエート(PEG-S-DMG)、ペグ化セラミド(PEG-cer)またはPEGジアルコキシプロピルカルバメート、例えばω-メトキシ(ポリエトキシ)エチル-N-(2,3-ジ(テトラデカンオキシ)プロピル)カルバメートまたは2,3-ジ(テトラデカンオキシ)プロピル-N-(ωメトキシ(ポリエトキシ)エチル)カルバメートなどを含むが、これらに限定されない。
PEGコンジュゲート脂質のさらなる例は、DSPE-PEG(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)メトキシ])、例えばDSPE-PEG(2000)ナトリウム塩、DOPE-PEG(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)メトキシ])、例えばDOPE-PEG(2000)アンモニウム塩、DPPE-PEG(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)メトキシ)、例えばDPPE-PEG(2000)アンモニウム塩およびDMPE-PEG(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)メトキシ])、例えばDMPE-PEG(2000)ナトリウム塩を含む。
ある実施態様において、ペグ化脂質は、例えば、次の構造を有する2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド/2-[2-(ω-メトキシ(ポリエチレングリコール2000)エトキシ]-N,N-ジテトラデシルアセトアミドである。
ある実施態様において、ペグ化脂質は、例えば、次の構造を有するDMG-PEG 2000である。
ある実施態様において、ペグ化脂質は、次の構造
を有し、ここで、nは30~60の範囲、例えば約50の平均値を有する。
ある実施態様において、ペグ化脂質は、好ましくは3-N-[(ω-メトキシポリ(エチレングリコール)2000)カルバモイル]-1,2-ジミリスチルオキシ-プロピルアミン(MPEG-(2kDa)-C-DMA)またはメトキシ-ポリエチレングリコール-2,3-ビス(テトラデシルオキシ)プロピルカルバメート(2000)と称するPEG2000-C-DMAである。PEG2000-C-DMAは、肝臓へのRNAの送達を最適化するために選択され得る。PEG脂質アンカーのアルキル鎖長の調節により、封入核酸の薬理学が予測可能な方法で制御できることが判明している。バイアルで、すなわち、投与前、粒子は、PEG2000-C-DMAとの完全相補性を維持する。血液区画で、すなわち、投与後、PEG2000-C-DMAは経時的にRNA粒子から解離し、より容易に細胞により取り込まれる融合性粒子が増えることを明らかにし、最終的にRNAペイロードの放出に至る。
ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物は、ここに記載する目的で、各々引用により全体として本明細書に包含させるWO2017/075531およびWO2018/081480に記載の1以上のPEGコンジュゲート脂質またはペグ化脂質を含み得る。
ある実施態様において、ペグ化脂質は、ここに記載するRNA組成物に存在する総脂質の約1mol%~約10mol%、好ましくは約1mol%~約5mol%、より好ましくは約1mol%~約2.5mol%を構成する。
(i)RNA、(ii)、式(I)のカチオン的にイオン化可能な脂質および(iii)ペグ化脂質の少なくとも一部が粒子(例えば、LNP)を形成するある実施態様において、ペグ化脂質は、粒子に存在する総脂質の約1mol%~約10mol%、好ましくは約1mol%~約5mol%、より好ましくは約1mol%~約2.5mol%を構成し得る。
ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物はここに開示するカチオン的にイオン化可能な脂質、ペグ化脂質、リン脂質およびコレステロールを含み、ここで、カチオン的にイオン化可能な脂質は組成物に存在する総脂質の40~50molパーセントを構成し、ペグ化脂質は組成物に存在する総脂質の1~5molパーセントを構成し、リン脂質は組成物に存在する総脂質の5~15molパーセントを構成し、コレステロールは組成物に存在する総脂質の30~50molパーセントを構成する。ある実施態様において、リン脂質はDOPEである。ある実施態様において、リン脂質はDSPCである。ある実施態様において、ペグ化脂質はDMG-PEG 2000である。ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物に含まれる緩衝物質はここに定義する3級アミン(すなわち、R、RおよびRの何れもHではないN(R)(R)(R))またはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物に含まれる緩衝物質はここに定義する環状アミン(すなわち、R、RおよびRの2個は窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成するN(R)(R)(R))またはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。ある実施態様において、緩衝物質はTEAまたはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。
ポリサルコシン(pSar)コンジュゲート脂質
ある実施態様において、ポリマーコンジュゲート脂質はポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲート、すなわち、ポリサルコシン(ポリ(N-メチルグリシン))を含む脂質または脂質様物質である。故に、ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物は、ここに開示するカチオン的にイオン化可能な脂質およびpSarコンジュゲート脂質を含む。ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物はさらに中性脂質、例えば、リン脂質、コレステロールまたはその誘導体または中性脂質、例えば、リン脂質とコレステロールまたはその誘導体の組み合わせを含み得る。ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物は、ここに記載するカチオン的にイオン化可能な脂質、pSarコンジュゲート脂質、中性脂質、例えば、リン脂質およびコレステロールまたはその誘導体を含む。ある実施態様において、リン脂質はDSPCである。ある実施態様において、リン脂質はDOPEである。ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物は、ここに記載するカチオン的にイオン化可能な脂質、pSarコンジュゲート脂質、DSPCおよびコレステロールまたはその誘導体を含む。
ポリサルコシンは、アセチル化(中性末端基)または他の官能化末端基を含み得る。RNA脂質粒子の場合、ポリサルコシンは、ある実施態様において、粒子に含まれる非カチオン性脂質または脂質様物質にコンジュゲート、好ましくは共有結合で結合している。
ある実施態様において、ポリサルコシンの末端基を、正または負電荷などのある性質を付与する1以上の分子部分または粒子を特定の細胞型、細胞のコレクションまたは組織に向けるターゲティング剤で官能化し得る。
多様な適当なターゲティング剤が当分野で知られる。ターゲティング剤の非限定的例は、ペプチド、タンパク質、酵素、核酸、脂肪酸、ホルモン、抗体、炭水化物、単糖、オリゴ糖または多糖、ペプチドグリカン、グリコペプチドなどを含む。例えば、標的細胞の表面の抗原の結合するいくつかの種々の物質の何れかを使用し得る。標的細胞表面抗原に対する抗体は、一般に標的に対する必要な特異性を示す。抗体に加えて、Fab、Fab’、F(ab’)2またはscFvフラグメントまたは単一ドメイン抗体(例えばラクダ類VHHフラグメント)などの適当な免疫反応性フラグメントも用い得る。ターゲティング機構形成における使用に適する多くの抗体フラグメントが当分野で既に利用可能である。同様に、標的細胞の表面の何れかの受容体に対するリガンドを、ターゲティング剤として適切に用い得る。所望の標的細胞表面に見られる細胞表面受容体、タンパク質または糖タンパク質に特異的に結合する天然または合成のあらゆる小分子または生体分子を含む。
ある実施態様において、ポリサルコシンは、2~200、2~190、2~180、2~170、2~160、2~150、2~140、2~130、2~120、2~110、2~100、2~90、2~80、2~70、5~200、5~190、5~180、5~170、5~160、5~150、5~140、5~130、5~120、5~110、5~100、5~90、5~80、5~70、10~200、10~190、10~180、10~170、10~160、10~150、10~140、10~130、10~120、10~110、10~100、10~90、10~80または10~70サルコシン単位を含む。
ある実施態様において、ポリサルコシンは次の一般式(XVI):
を含み、ここで、xはサルコシン単位数をいう。ポリサルコシンは、結合の1個を介して、粒子形成成分または疎水性成分と結合し得る。ポリサルコシンは、他の結合を介して、H、親水性基、イオン化可能基またはターゲティング部分などの機能的部分へのリンカーに結合し得る。
ポリサルコシンは、脂質または脂質様物質などの任意の粒子形成成分に、コンジュゲート、特に共有結合で結合または連結され得る。ポリサルコシン脂質コンジュゲートは、ポリサルコシンがカチオン性脂質またはカチオン的にイオン化可能な脂質または付加的脂質などのここに記載する脂質とコンジュゲートしている分子である。あるいは、ポリサルコシンは、カチオン的にイオン化可能な脂質または1以上の付加的脂質と異なる脂質または脂質様物質にコンジュゲートする。
ある実施態様において、ポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲートは次の一般式(XVIa):
を含み、ここで、R11およびR12の一方は疎水性基を含み、他方はH、親水性基、イオン化可能基または所望によりターゲティング部分を含む官能基である。ある実施態様において、疎水性基は、好ましくは、10~50個、10~40個または12~20個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖アルキル基またはアリール基を含む。ある実施態様において、疎水性基を含むR11またはR12は、1以上の直鎖または分枝鎖アルキル基に結合したヘテロ原子、特にNなどの部分を含む。
ある実施態様において、ポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲートは次の一般式(XVIb):
を含み、ここで、RはH、親水性基、イオン化可能基または所望によりターゲティング部分を含む官能基である。
一般式(XVIa)および(XVIb)の記号「x」はサルコシン単位数をいい、ここに定義する数であり得る。
ある実施態様において、ポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲートはポリサルコシン-ジアシルグリセロールコンジュゲート、ポリサルコシン-ジアルキルオキシプロピルコンジュゲート、ポリサルコシン-リン脂質コンジュゲート、ポリサルコシン-セラミドコンジュゲートおよびそれらの混合物からなる群から選択されるメンバーである。
典型的に、ポリサルコシン部分は、2~200、5~200、5~190、5~180、5~170、5~160、5~150、5~140、5~130、5~120、5~110、5~100、5~90、5~80、10~200、10~190、10~180、10~170、10~160、10~150、10~140、10~130、10~120、10~110、10~100、10~90または10~80サルコシン単位を有する。
ある実施態様において、pSarコンジュゲート脂質は次の式(VII-1):
の構造を有し、ここで、nは23である。式(VII-1)のpSarコンジュゲート脂質はまたここでは「C14pSar23」とも称する。
故に、ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物(特にmRNA組成物)は、カチオン的にイオン化可能な脂質およびポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲート、例えば、上に定義するポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲートを含む。
ある場合、ポリサルコシン脂質コンジュゲートは、ここに記載するRNA組成物(特にmRNA組成物)に存在する総脂質の約0.2mol%~約50mol%、約0.25mol%~約30mol%、約0.5mol%~約25mol%、約0.75mol%~約25mol%、約1mol%~約25mol%、約1mol%~約20mol%、約1mol%~約15mol%、約1mol%~約10mol%、約1mol%~約5mol%、約1.5mol%~約25mol%、約1.5mol%~約20mol%、約1.5mol%~約15mol%、約1.5mol%~約10mol%、約1.5mol%~約5mol%、約2mol%~約25mol%、約2mol%~約20mol%、約2mol%~約15mol%、約2mol%~約10mol%または約2mol%~約5mol%を構成し得る。
(i)RNA、(ii)、式(I)のカチオン的にイオン化可能な脂質および(iii)pSarコンジュゲート脂質の少なくとも一部が粒子(例えば、LNP)を形成するある実施態様において、pSarコンジュゲート脂質は、粒子に存在する総脂質の約0.5mol%~約5mol%、好ましくは約1mol%~約5mol%、より好ましくは約1mol%~約4.5mol%を構成し得る。
ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物は、ここに記載するカチオン的にイオン化可能な脂質、pSarコンジュゲート脂質、リン脂質およびコレステロールを含み、ここで、カチオン的にイオン化可能な脂質は組成物に存在する総脂質の40~50molパーセントを構成し、pSarコンジュゲート脂質は組成物に存在する総脂質の1~4.5molパーセントを構成し、リン脂質は組成物に存在する総脂質の5~15molパーセントを構成し、コレステロールは組成物に存在する総脂質の30~50molパーセントを構成する。ある実施態様において、リン脂質はDOPEである。ある実施態様において、リン脂質はDSPCである。ある実施態様において、pSarコンジュゲート脂質はC14pSar23である。ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物に含まれる緩衝物質はここに定義する3級アミン(すなわち、R、RおよびRの何れもHではないN(R)(R)(R))またはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物に含まれる緩衝物質はここに定義する環状アミン(すなわち、R、RおよびRの2個は窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成するN(R)(R)(R))またはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。ある実施態様において、緩衝物質はTEAまたはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。
RNA組成物の実施態様
ある実施態様において、1以上の付加的脂質は、好ましくは各々上に示す濃度で次の成分の1個を含む:(1)中性脂質;(2)ステロイド;(3)ポリマーコンジュゲート脂質;(4)中性脂質とステロイドの混合物;(5)中性脂質とポリマーコンジュゲート脂質の混合物;(6)ステロイドとポリマーコンジュゲート脂質の混合物;または(7)中性脂質、ステロイドおよびポリマーコンジュゲート脂質の混合物。ある実施態様において、1以上の付加的脂質は、好ましくは各々上に示す濃度で次の成分の1個を含む:(1)リン脂質;(2)コレステロール;(3)ペグ化脂質;(4)リン脂質とコレステロールの混合物;(5)リン脂質とペグ化脂質の混合物;(6)コレステロールとペグ化脂質の混合物;または(7)リン脂質、コレステロールおよびペグ化脂質の混合物。
故に、好ましい実施態様において、ここに記載するRNA組成物(特にmRNA組成物)は、好ましくは各々上に示す濃度で、カチオン的にイオン化可能な脂質および次の脂質または脂質混合物を含む:(1)中性脂質;(2)ステロイド;(3)ポリマーコンジュゲート脂質;(4)中性脂質とステロイドの混合物;(5)中性脂質とポリマーコンジュゲート脂質の混合物;(6)ステロイドとポリマーコンジュゲート脂質の混合物;または(7)中性脂質、ステロイドおよびポリマーコンジュゲート脂質の混合物。具体的実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は40~50molパーセントの濃度の濃度で存在し;中性脂質は5~15molパーセントの濃度で存在し;ステロイドは35~45molの濃度で存在し;そしてポリマーコンジュゲート脂質は1~10molパーセントの濃度で存在し、ここで、RNAは、LNP内に封入されているかまたはそれと結合している。ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物(特にmRNA組成物)に含まれる緩衝物質はここに定義する3級アミン(すなわち、R、RおよびRの何れもHではないN(R)(R)(R))またはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物(特にmRNA組成物)に含まれる緩衝物質はここに定義する環状アミン(すなわち、R、RおよびRの2個は窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成するN(R)(R)(R))またはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。ある実施態様において、緩衝物質はTEAまたはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。
ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物(特にmRNA組成物)は、好ましくは各々上に示す濃度で、カチオン的にイオン化可能な脂質および次の脂質または脂質混合物を含む:(1)リン脂質;(2)コレステロール;(3)ペグ化脂質;(4)リン脂質とコレステロールの混合物;(5)リン脂質とペグ化脂質の混合物;(6)コレステロールとペグ化脂質の混合物;または(7)リン脂質、コレステロールおよびペグ化脂質の混合物。ある具体的実施態様において、カチオン的にイオン化可能な脂質は0~50molパーセントの濃度で存在し;リン脂質は5~15molパーセントの濃度で存在し;コレステロールは35~45molの濃度で存在し;そしてペグ化脂質は1~10molパーセントの濃度で存在し、ここで、RNAはLNP内に封入されているかまたはそれと結合していてよい。ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物(特にmRNA組成物)に含まれる緩衝物質はここに定義する3級アミン(すなわち、R、RおよびRの何れもHではないN(R)(R)(R))またはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物(特にmRNA組成物)に含まれる緩衝物質はここに定義する環状アミン(すなわち、R、RおよびRの2個は窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成するN(R)(R)(R))またはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。ある実施態様において、緩衝物質はTEAまたはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。
N/P値は好ましくは少なくとも約4である。ある実施態様において、N/P値は4~20、4~12、4~10、4~8または5~7の範囲である。ある実施態様において、N/P値は約6である。
ここに記載するLNPは、ある実施態様において、約30nm~約200nmまたは約60nm~約120nmの範囲である平均直径を有し得る。
一般に、ここに記載するRNAを含むLNP(または「RNA LNP」)は、RNAの目的の標的部位(例えば、細胞、組織、臓器など)への送達に使用できる「RNA脂質粒子」である。RNA脂質粒子は、典型的にカチオン的にイオン化可能な脂質(例えば構造I-3を有する脂質)および1以上の付加的脂質、例えばリン脂質(例えば、DSPC)、ステロイド(例えば、コレステロールまたはそのアナログ)およびポリマーコンジュゲート脂質(例えば、ペグ化脂質またはポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲート)から形成される。
何らかの理論に拘束されることを意図しないが、カチオン的にイオン化可能な脂質および1以上の付加的脂質は、一体となってRNAと組み合わさり、コロイド状に安定な粒子を形成し、ここで、核酸は脂質マトリクスに結合すると考えられる。
ある実施態様において、RNA脂質粒子は1を超えるタイプのRNA分子を含み、ここで、RNA分子のモル質量または分子構造、キャッピング、コード領域または他の特性などの基本的構造要素に関するなどのような、分子パラメータは、互いに類似しても異なってもよい。
ある実施態様において、RNA脂質LNP(例えばmRNA脂質LNP)は、RNAに加えて、(i)粒子に存在する総脂質の約10mol%~約80mol%、約20mol%~約60mol%、約25mol%~約55mol%、約30mol%~約50mol%、約35mol%~約45mol%または約40mol%を構成し得るカチオン的にイオン化可能な脂質、(ii)粒子に存在する総脂質の約0mol%~約90mol%、約20mol%~約80mol%、約25mol%~約75mol%、約30mol%~約70mol%、約35mol%~約65mol%または約40mol%~約60mol%を構成し得る中性脂質および/またはステロイド(例えば、1以上のリン脂質および/またはコレステロール)および(iii)ポリマーコンジュゲート脂質(例えば、粒子に存在する総脂質の1mol%~10mol%、1mol%~5mol%または1mol%~2.5mol%を構成し得るペグ化脂質;または粒子に存在する総脂質の約0.2mol%~約50mol%、約0.25mol%~約30mol%、約0.5mol%~約25mol%、約0.75mol%~約25mol%、約1mol%~約25mol%、約1mol%~約20mol%、約1mol%~約15mol%、約1mol%~約10mol%、約1mol%~約5mol%、約1.5mol%~約25mol%、約1.5mol%~約20mol%、約1.5mol%~約15mol%、約1.5mol%~約10mol%、約1.5mol%~約5mol%、約2mol%~約25mol%、約2mol%~約20mol%、約2mol%~約15mol%、約2mol%~約10mol%または約2mol%~約5mol%を構成し得るポリサルコシン脂質コンジュゲート)を含む。
ある好ましい実施態様において、中性脂質は、粒子に存在する総脂質の約5mol%~約50mol%、約5mol%~約45mol%、約5mol%~約40mol%、約5mol%~約35mol%、約5mol%~約30mol%、約5mol%~約25mol%または約5mol%~約20mol%のリン脂質を含む。
ある好ましい実施態様において、ステロイドは、粒子に存在する総脂質の約10mol%~約80mol%、約10mol%~約70mol%、約15mol%~約65mol%、約20mol%~約60mol%、約25mol%~約55mol%または約30mol%~約50mol%のコレステロールまたはその誘導体を含む。
ある好ましい実施態様において、中性脂質およびステロイドは、(i)粒子に存在する総脂質の約5mol%~約50mol%、約5mol%~約45mol%、約5mol%~約40mol%、約5mol%~約35mol%、約5mol%~約30mol%、約5mol%~約25mol%または約5mol%~約20mol%のDSPCなどのリン脂質;および(ii)粒子に存在する総脂質の約10mol%~約80mol%、約10mol%~約70mol%、約15mol%~約65mol%、約20mol%~約60mol%、約25mol%~約55mol%または約30mol%~約50mol%のコレステロールなどのコレステロールまたはその誘導体の混合物を含む。非限定的例として、リン脂質とコレステロールの混合物を含むmRNA LNPは、粒子に存在する総脂質の約5mol%~約50mol%、約5mol%~約45mol%、約5mol%~約40mol%、約5mol%~約35mol%、約5mol%~約30mol%、約5mol%~約25mol%または約5mol%~約20mol%のDSPCおよび粒子に存在する総脂質の約10mol%~約80mol%、約10mol%~約70mol%、約15mol%~約65mol%、約20mol%~約60mol%、約25mol%~約55mol%または約30mol%~約50mol%のコレステロールを含み得る。
ある実施態様において、RNA脂質粒子は、RNAに加えて、(i)粒子に存在する総脂質の約10mol%~約80mol%、約20mol%~約60mol%、約25mol%~約55mol%、約30mol%~約50mol%、約35mol%~約45mol%または約40mol%を構成し得るカチオン的にイオン化可能な脂質(例えば構造I-3を有する脂質)、(ii)粒子に存在する総脂質の約5mol%~約50mol%、約5mol%~約45mol%、約5mol%~約40mol%、約5mol%~約35mol%、約5mol%~約30mol%、約5mol%~約25mol%または約5mol%~約20mol%を構成し得るDSPC、(iii)粒子に存在する総脂質の約10mol%~約80mol%、約10mol%~約70mol%、約15mol%~約65mol%、約20mol%~約60mol%、約25mol%~約55mol%または約30mol%~約50mol%を構成し得るコレステロールおよび(iv)粒子に存在する総脂質の1mol%~10mol%、1mol%~5mol%または1mol%~2.5mol%を構成し得るペグ化脂質;または(iv’)粒子に存在する総脂質の約0.2mol%~約50mol%、約0.25mol%~約30mol%、約0.5mol%~約25mol%、約0.75mol%~約25mol%、約1mol%~約25mol%、約1mol%~約20mol%、約1mol%~約15mol%、約1mol%~約10mol%、約1mol%~約5mol%、約1.5mol%~約25mol%、約1.5mol%~約20mol%、約1.5mol%~約15mol%、約1.5mol%~約10mol%、約1.5mol%~約5mol%、約2mol%~約25mol%、約2mol%~約20mol%、約2mol%~約15mol%、約2mol%~約10mol%または約2mol%~約5mol%を構成し得るポリサルコシン脂質コンジュゲートを含む。
ここに記載するRNA LNPは、ある実施態様において、約30nm~約1000nm、約30nm~約800nm、約30nm~約700nm、約30nm~約600nm、約30nm~約500nm、約30nm~約450nm、約30nm~約400nm、約30nm~約350nm、約30nm~約300nm、約30nm~約250nm、約30nm~約200nm、約30nm~約190nm、約30nm~約180nm、約30nm~約170nm、約30nm~約160nm、約30nm~約150nm、約50nm~約500nm、約50nm~約450nm、約50nm~約400nm、約50nm~約350nm、約50nm~約300nm、約50nm~約250nm、約50nm~約200nm、約50nm~約190nm、約50nm~約180nm、約50nm~約170nm、約50nm~約160nmまたは約50nm~約150nmの範囲の平均直径を有する。
ある実施態様において、ここに記載するRNA LNPは、約40nm~約800nm、約50nm~約700nm、約60nm~約600nm、約70nm~約500nm、約80nm~約400nm、約150nm~約800nm、約150nm~約700nm、約150nm~約600nm、約200nm~約600nm、約200nm~約500nmまたは約200nm~約400nmの範囲の平均直径を有する。
例えば、ここに記載する方法により製造した、ここに記載するRNA LNPは、約0.5未満、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満、約0.1未満または約0.05以下の多分散性指数を示す。例として、RNA LNPは、約0.05~約0.2、例えば約0.05~約0.1の範囲の多分散性指数を示し得る。
本発明のある実施態様において、ここに記載するRNA LNPにおけるRNAは、濃度約2mg/l~約5g/l、約2mg/l~約2g/l、約5mg/l~約2g/l、約10mg/l~約1g/l、約50mg/l~約0.5g/lまたは約100mg/l~約0.5g/lである。具体的実施態様において、RNAは、濃度約5mg/l~約150mg/l、約0.005mg/mL~約0.09mg/mL、約0.005mg/mL~約0.08mg/mL、約0.005mg/mL~約0.07mg/mL、約0.005mg/mL~約0.06mg/mLまたは約0.005mg/mL~約0.05mg/mLである。
RNA粒子を含む組成物
ここに記載する組成物は、RNA LNP、好ましくは複数のRNA LNPを含み得る。用語「複数のRNA LNP」または「複数のRNA脂質粒子」は、ある数の粒子の集団をいう。ある実施態様において、本用語は、10、10、10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1016、1017、1018、1019、1020、1021、1022または1023またはそれ以上の粒子の集団をいう。
ある実施態様において、ここに記載する組成物は、4000/ml未満、好ましくは最大3500/ml、例えば最大3400/ml、最大3300/ml、最大3200/ml、最大3100/mlまたは最大3000/mlの量で少なくとも10μmサイズの粒子を含む。
複数の粒子は、前記範囲の任意のフラクションまたはその中の任意の範囲で含まれ得ることは、当業者には明らかである。
ある実施態様において、ここに記載する組成物は液体または固体であり、固体は凍結形態をいう。
本発明者らは、LNPを含む組成物においてPBSの代わりに上に特定した緩衝物質、特にTEAおよびそのプロトン化形態に基づく特定の緩衝系の使用が、RNAの極めて安定な折り畳まれた形態(ここでは「光移動性種(LMS)」と称する)の形成を阻止することを驚くべきことに発見した。
さらに、本出願は、驚くべきことに、この緩衝系の使用により、液体形態で約3カ月保存後RNA完全性は改善したRNA組成物を得ることができることを示す。故に、請求する方法で製造された組成物は安定性が改善され、薬務における通常の技術に適合した温度範囲で保存でき、使用準備済製剤を提供する。
粒子(例えばLNP)サイズ(Z平均)に関してここで使用する表現「等しい」または「本質的に等しい」は、プロセシング工程後(例えば、凍結/解凍サイクル後)の組成物に含まれる粒子のZ平均値が、プロセシング工程前(例えば、凍結/解凍サイクル前)の粒子のZ平均値±30%(好ましくは、±25%、より好ましくは±24%、例えば±20%、±15%、±10%、±5%または±1%)に対応することを意味する。例えば、凍結/解凍サイクルにまだ付されていない組成物に含まれる粒子(例えばLNP)のサイズ(Z平均)値が90nmであり、凍結/解凍サイクルに付された組成物に含まれる粒子(例えばLNP)のサイズ(Z平均)値が115nmであるならば、凍結/解凍サイクル後、すなわち、凍結組成物解凍後の粒子のサイズ(Z平均)は、凍結/解凍サイクル前、すなわち、組成物の凍結前の粒子のサイズ(Z平均)に(本質的に)等しいと考えられる。粒子(例えばLNP)のサイズ分布またはPDIに関してここで使用する表現「等しい」または「本質的に等しい」は、これに応じて解釈される。例えば、凍結/解凍サイクルにまだ付されていない組成物に含まれる粒子(例えばLNP)のPDI値が0.30であり、凍結/解凍サイクルに付された組成物に含まれる粒子(例えばLNP)のPDI値が0.38であるならば、凍結/解凍サイクル後、すなわち、凍結組成物解凍後の粒子のPDIは、凍結/解凍サイクル前、すなわち、組成物の凍結前の粒子のPDIに(本質的に)等しいと考えられる。
ここに記載する組成物はまた生成物品質の実質的な低下および、特に、保存および/または凍結中のRNA活性の実質的な低下を回避するため、例えば凝集、粒子崩壊、RNA分解および/または他のタイプの損傷を減少または阻止するために、抗凍結剤(特に、組成物が凍結形態であるまたは少なくとも1個の凍結工程または少なくとも1サイクルの凍結/解凍に付されるならば)および/または界面活性剤を安定化剤として含み得る。
ある実施態様において、抗凍結剤は炭水化物である。ここで使用する用語「炭水化物」は、単糖、二糖、三糖、オリゴ糖および多糖をいい、これらを含む。
ある実施態様において、抗凍結剤は単糖である。ここで使用する用語「単糖」は、より単純な炭水化物単位に加水分解され得ない、単一炭水化物単位(例えば、単純糖)をいう。単糖抗凍結剤の例は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、キシロース、リボースなどを含む。
ある実施態様において、抗凍結剤は二糖である。ここで使用する用語「二糖」は、グリコシド結合で、例えば1-4結合または1-6結合で結合される2個の単糖単位により形成された化合物または化学部分をいう。二糖は、2個の単糖に加水分解され得る。二糖抗凍結剤の例は、スクロース、トレハロース、ラクトース、マルトースなどを含む。
用語「三糖」は、一体となって結合されて1分子を形成する3個の糖をいう。三糖の例は、ラフィノースおよびメレジトースを含む。
ある実施態様において、抗凍結剤はオリゴ糖である。ここで使用する用語「オリゴ糖」は、線形、分岐または環状構造を形成するよう、グリコシド結合で、例えば1-4結合または1-6結合で、結合された3~約15、好ましくは3~約10単糖単位により形成される化合物または化学部分をいう。オリゴ糖抗凍結剤の例は、シクロデキストリン、ラフィノース、メレジトース、マルトトリオース、スタキオース、アカルボースなどを含む。オリゴ糖は酸化または還元され得る。
ある実施態様において、抗凍結剤は環状オリゴ糖である。ここで使用する用語「環状オリゴ糖」は、環状構造を形成するようグリコシド結合で、例えば1-4結合または1-6結合で結合された3~約15、好ましくは6、7、8、9または10単糖単位により形成される化合物または化学部分をいう。環状オリゴ糖抗凍結剤の例は、αシクロデキストリン、βシクロデキストリンまたはγシクロデキストリンなどの個別の化合物である環状オリゴ糖を含む。
環状オリゴ糖抗凍結剤の他の例は、環状オリゴ糖部分を含むポリマーなどの大型分子構造にシクロデキストリン部分を含む化合物を含む。環状オリゴ糖は酸化または還元され得る、例えば、ジカルボニル形態に酸化される。ここで使用する用語「シクロデキストリン部分」は、ポリマーなどの大型分子構造に組み込まれたまたはその一部であるシクロデキストリン(例えば、α、βまたはγシクロデキストリン)ラジカルをいう。シクロデキストリン部分は、直接または任意的リンカーを介して1以上の他の部分に結合され得る。シクロデキストリン部分は酸化または還元され得る、例えば、ジカルボニル形態に酸化される。
炭水化物抗凍結剤、例えば、環状オリゴ糖抗凍結剤は誘導体化炭水化物であり得る。例えば、ある実施態様において、抗凍結剤は、誘導体化環状オリゴ糖、例えば、誘導体化シクロデキストリン、例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、例えば、部分的にエーテル化されたシクロデキストリン(例えば、部分的にエーテル化されたβシクロデキストリン)である。
抗凍結剤の例は、多糖である。ここで使用する用語「多糖」は、線形、分岐または環状構造を形成するようグリコシド結合で、例えば1-4結合または1-6結合で結合された少なくとも16単糖単位により形成される化合物または化学部分をいい、主鎖構造の一部として多糖を含むポリマーを含む。主鎖において、多糖は線形でも環状でもよい。多糖抗凍結剤の例は、グリコーゲン、アミラーゼ、セルロース、デキストラン、マルトデキストリンなどを含む。
ある実施態様において、抗凍結剤は糖アルコールである。ここで使用する用語「糖アルコール」は、少なくとも2個の炭素原子および各炭素原子に結合した1個のヒドロキシル基を含む有機化合物をいう。典型的に、糖アルコールは、糖由来であり(例えば、糖の水素化)、水可溶性固体である。ここで使用する用語「糖」は、甘味のある、可溶性炭水化物をいう。糖アルコールの例は、エチレングリコール、グリセロール、エリトリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、イノシトール、ボレミトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、マルトテトライトールおよびポリグリシトールを含む。ある実施態様において、糖アルコールは式HOCH(CHOH)CHOH(ここで、nは0~22(例えば、0、1、2、3または4)を有する)を有するかまたは環状そのバリアント(形式上環状エーテルをもたらす糖アルコールの脱水に由来する;例えばイソソルビドは、ソルビトールの環状脱水バリアントである)である。
ある実施態様において、抗凍結剤は、最大6個の炭素原子(好ましくは少なくとも2および最大5個、4個または3個の炭素原子)を有するアルコール(特に脂肪族アルコール)などの低級アルコールである。好ましい実施態様において、低級アルコールは水と完全に混和性である。ある実施態様において、抗凍結剤はエタノール、プロパノール、1,2-プロパンジオールおよび1,3-プロパンジオールからなる群から選択される。
ある実施態様において、抗凍結剤はグリセロールおよび/またはソルビトールである。
ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物(例えばRNA LNP組成物)は、抗凍結剤としてスクロースを含み得る。理論に拘束されることを願わないが、スクロースは、組成物の凍結保護の促進に機能し、それにより核酸(特にRNA)粒子の凝集を阻止し、組成物の化学および物理的安定性を維持する。ある実施態様は、本発明におけるスクロースの代替抗凍結剤を意図する。代替安定化剤は、グルコース、グリセロールおよびソルビトール、好ましくはグルコースおよびグリセロールを含むが、これらに限定されない。
好ましい抗凍結剤はスクロース、グルコース、グリセロール、ソルビトールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。ある実施態様において、抗凍結剤はスクロース、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールおよびグルコースからなる群、例えばスクロース、グリセロールおよびグルコースからなる群から選択される。好ましい実施態様において、抗凍結剤はスクロースおよび/またはグリセロールを含む。より好ましい実施態様において、抗凍結剤はスクロースである。ある他の好ましい実施態様において、抗凍結剤はグリセロールである。
ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物(例えばRNA LNP組成物)は、抗凍結剤を少なくとも1%w/v、例えば少なくとも2%w/v、少なくとも3%w/v、少なくとも4%w/v、少なくとも5%w/v、少なくとも6%w/v、少なくとも7%w/v、少なくとも8%w/vまたは少なくとも9%w/vの濃度で含む。ある実施態様において、組成物中の抗凍結剤の濃度は最大25%w/v、例えば最大20%w/v、最大19%w/v、最大18%w/v、最大17%w/v、最大16%w/v、最大15%w/v、最大14%w/v、最大13%w/v、最大12%w/vまたは最大11%w/vである。ある実施態様において、組成物中の抗凍結剤の濃度は1%w/v~20%w/v、例えば2%w/v~19%w/v、3%w/v~18%w/v、4%w/v~17%w/v、5%w/v~16%w/v、5%w/v~15%w/v、6%w/v~14%w/v、7%w/v~13%w/v、8%w/v~12%w/v、9%w/v~11%w/vまたは約10%w/vである。ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物(例えばRNA LNP組成物)は、抗凍結剤(例えばスクロース、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、グルコースまたはそれらの組み合わせ、特に、スクロースおよび/またはグリセロール)を5%w/v~15%w/v、例えば6%w/v~14%w/v、7%w/v~13%w/v、8%w/v~12%w/vまたは9%w/v~11%w/vの(総)濃度または約10%w/vの濃度で含む。
ある実施態様において、特に組成物が凍結形態であるとき、抗凍結剤が約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で存在するのが好ましい。
好ましくは、ここに記載するRNA組成物(例えばRNA LNP組成物)は、抗凍結剤を、組成物の総重量に基づき、約50×10-3osmol/kg~約1osmol/kg(例えば約100×10-3osmol/kg~約900×10-3osmol/kg、約120×10-3osmol/kg~約800×10-3osmol/kg、約140×10-3osmol/kg~約700×10-3osmol/kg、約160×10-3osmol/kg~約600×10-3osmol/kg、約180×10-3osmol/kg~約500×10-3osmol/kgまたは約200×10-3osmol/kg~約400×10-3osmol/kg)、例えば、約50×10-3osmol/kg~約400×10-3osmol/kg(例えば約50×10-3osmol/kg~約390×10-3osmol/kg、約60×10-3osmol/kg~約380×10-3osmol/kg、約70×10-3osmol/kg~約370×10-3osmol/kg、約80×10-3osmol/kg~約360×10-3osmol/kg、約90×10-3osmol/kg~約350×10-3osmol/kg、約100×10-3osmol/kg~約340×10-3osmol/kg、約120×10-3osmol/kg~約330×10-3osmol/kg、約140×10-3osmol/kg~約320×10-3osmol/kg、約160×10-3osmol/kg~約310×10-3osmol/kg、約180×10-3osmol/kg~約300×10-3osmol/kgまたは約200×10-3osmol/kg~約300×10-3osmol/kg)の範囲の組成物の浸透圧をもたらす濃度で含む。
ある実施態様において、特に組成物が凍結形態であるとき、組成物がpH4.0~8.0、好ましくは5.0~7.0、より好ましくは5.5~6.5、最も好ましくは約5.5を有するのが好ましい。
ある実施態様において、特に組成物が凍結形態であるとき、組成物が(a)抗凍結剤を含む;(b)pH4.0~8.0、好ましくは5.0~7.0、より好ましくは5.5~6.5、最も好ましくは約5.5を有する;または(c)抗凍結剤を含みかつpH4.0~8.0、好ましくは5.0~7.0、より好ましくは5.5~6.5、最も好ましくは約5.5を有するのが好ましい。ある実施態様において、抗凍結剤は(i)ここに開示する抗凍結剤から選択される;および/または(ii)ここに開示する濃度で存在する。例えば、抗凍結剤は、スクロース、グリセロールおよびグルコースからなる群など、スクロース、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、グルコースおよびそれらの組み合わせ、からなる群から選択され得るおよび/または約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で存在し得る。ある実施態様において、抗凍結剤は、所望により約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で存在するグリセロールである。
ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物(例えばRNA LNP組成物)はスクロースを抗凍結剤として(例えば、約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で)および3級または環状アミン(ここに定義するの)を緩衝物質として、好ましくはここに定義する量/濃度で含む。ある実施態様において、3級アミンはTEAまたはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。
ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物(例えばRNA LNP組成物)は、グリセロールを抗凍結剤として(例えば、約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で)および3級または環状アミン(ここに定義するの)を緩衝物質として、好ましくはここに定義する量/濃度で含む。ある実施態様において、3級アミンはTEAまたはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。
ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物(例えばRNA LNP組成物)は、1,2-プロパンジオールを抗凍結剤として(例えば、約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で)および3級または環状アミン(ここに定義するの)を緩衝物質として、好ましくはここに定義する量/濃度で含む。ある実施態様において、3級アミンはTEAまたはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。
ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物(例えばRNA LNP組成物)は、1,3-プロパンジオールを抗凍結剤として(例えば、約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で)および3級または環状アミン(ここに定義するの)を緩衝物質として、好ましくはここに定義する量/濃度で含む。ある実施態様において、3級アミンはTEAまたはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。
ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物(例えばRNA LNP組成物)は、グルコースを抗凍結剤として(例えば、約100mM~約600mM、好ましくは約200mM~約600mMおよびより好ましくは約300mM~約500mMの濃度で)および3級または環状アミン(ここに定義するの)を緩衝物質として、好ましくはここに定義する量/濃度で含む。ある実施態様において、3級アミンはTEAまたはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。
ある別の実施態様において、ここに記載するRNA組成物(例えばRNA LNP組成物)は抗凍結剤を実質的に含まず、例えば何ら抗凍結剤を含まず、3級または環状アミン(ここに定義するの)を緩衝物質として、好ましくはここに定義する量/濃度で含む。ある実施態様において、3級アミンはTEAまたはそのプロトン化形態を含むかまたはそれである。
本発明のある実施態様は、ここに記載するRNA組成物(例えばRNA LNP組成物)におけるキレート剤の使用を意図する。キレート剤は、金属イオンと少なくとも2個の配位共有結合を形成でき、それにより安定な、水可溶性複合体を形成する化学化合物をいう。理論に拘束されることを願わないが、キレート剤は、遊離二価イオン濃度を低下させ、遊離二価イオンは、そうしなければ、本発明のRNA分解を加速し得る。適当なキレート剤の例は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTAの塩、デフェロキサミンB、デフェロキサミン、ジチオカルブナトリウム、ペニシラミン、ペンテト酸カルシウム、ペンテト酸ナトリウム塩、サクシマー、トリエンチン、ニトリロ三酢酸、trans-ジアミノシクロヘキサン四酢酸(DCTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)およびビス(アミノエチル)グリコールエーテル-N,N,N’,N’-四酢酸を含むが、これらに限定されない。ある実施態様において、キレート剤はEDTAまたはEDTAの塩である。例示的実施態様において、キレート剤はEDTA二ナトリウム二水和物である。ある実施態様において、EDTAは、濃度約0.05mM~約5mM、約0.1mM~約2.5mMまたは約0.25mM~約1mMである。
ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物(例えばRNA LNP組成物)の水相は、キレート剤を含まない。例えば、ここに記載するRNA組成物(例えばRNA LNP組成物)がキレート剤を含むならば、該キレート剤が、存在するならば、LNPにのみ存在するのが好ましい。
医薬組成物
ここに記載するRNA組成物は、治療または予防処置のための医薬組成物または医薬としてまたはその製造のために有用である。
ここに記載するRNA組成物は、任意の適当な医薬組成物の形態で投与され得る。
用語「医薬組成物」は、好ましくは、薬学的に許容される担体、希釈剤および/または添加物と共に治療的有効剤を含む、組成物をいう。該医薬組成物は、対象への該医薬組成物の投与により、疾患または障害の処置、予防または重症度低減に有用である。本発明の状況において、医薬組成物は、ここに記載するRNAを含む。
本発明の医薬組成物は1以上のアジュバントを含んでよくまたは1以上のアジュバントと共に投与してよい。用語「アジュバント」は、免疫応答を延長、増強または加速する化合物に関する。アジュバントは、油エマルジョン(例えば、フロイントアジュバント)、無機化合物(例えばミョウバン)、細菌生成物(例えばボルデテラ・パータシス毒素)または免疫刺激複合体など、雑多な化合物群に関する。アジュバントの例は、LPS、GP96、CpGオリゴデオキシヌクレオチド、増殖因子およびサイトカイン、例えばモノカイン、リンホカイン、インターロイキン、ケモカインを含むが、これらに限定されない。ケモカインはIL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、INFa、INF-γ、GM-CSF、LT-aであり得る。さらに知られるアジュバントは、水酸化アルミニウム、フロイントアジュバントまたは油、例えばMontanide(登録商標)ISA51であり得る。本発明で使用するための他の適当なアジュバントは、リポペプチド、例えばPam3Cysならびに親油性成分、例えばサポニン、トレハロース-6,6-ジベヘナート(TDB)、モノホスホリル脂質-A(MPL)、モノミコロイルグリセロール(MMG)またはグルコピラノシル脂質アジュバント(GLA)を含む。
本発明の医薬組成物は凍結形態または「使用準備済形態」(すなわち、例えば、解凍、再構成または希釈などの処理を何ら行わず、対象にすぐに投与できる形態、特に液体形態)であり得る。故に、保存可能形態の医薬組成物の投与前、この保存可能形態は、使用準備済または投与可能形態へ処理または移行しなければならない。例えば、凍結医薬組成物は解凍しなければならない。使用準備済注射剤は、バイアル、アンプルまたはシリンジなどのコンテナで提供でき、ここで、コンテナは1以上の用量を含み得る。
ある実施態様において、医薬組成物は凍結形態であり、約-90℃以上、例えば約-90℃~約-10℃の温度で保存され得る。例えば、ここに記載する凍結医薬組成物(例えば第三、第四、第五または第八の態様の方法により製造した凍結組成物または第一、第二、第七、第七、第十、第十一または第十二の態様の凍結組成物)は、約-90℃~約-10℃の範囲の温度で、例えば約-905℃~約-40℃または約-40℃~約-25℃または約-25℃~約-10℃または約-20℃の温度で保存できる。
凍結形態の医薬組成物のある実施態様において、医薬組成物は、少なくとも1週間、例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも12カ月、少なくとも24カ月または少なくとも36カ月、好ましくは少なくとも4週間保存され得る。例えば、凍結医薬組成物は、-20℃で少なくとも4週間、好ましくは少なくとも1カ月、より好ましくは少なくとも2カ月、より好ましくは少なくとも3カ月、より好ましくは少なくとも6カ月保存され得る。
凍結形態の医薬組成物のある実施態様において、凍結医薬組成物解凍後のRNA完全性は、例えば、凍結組成物解凍後、少なくとも50%、例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または実質的に100%であり、それは、-20℃で保存されている(例えば、少なくとも1週間、例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも12カ月、少なくとも24カ月または少なくとも36カ月、好ましくは少なくとも4週間)。凍結形態の医薬組成物のある実施態様において、凍結医薬組成物解凍後のRNA完全性は、例えば、凍結組成物解凍後、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または実質的に100%であり、それは、-20℃で保存されている(例えば、少なくとも1週間、例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも12カ月、少なくとも24カ月または少なくとも36カ月、好ましくは少なくとも4週間)。
ある実施態様において、医薬組成物の最初のRNA完全性(すなわち、製造後であるが、凍結前)は少なくとも50%であり、凍結組成物解凍後の組成物のRNA完全性は、最初のRNA完全性の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは実質的に100%である。
凍結形態の医薬組成物のある実施態様において、凍結医薬組成物解凍後のLNPのサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/またはPDIは、凍結前のLNPのサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/またはPDIと本質的に等しい。例えば、使用準備済医薬組成物がここに記載する凍結医薬組成物から製造されるとき、使用準備済医薬組成物に含まれるLNPのサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/またはPDIは、凍結前の凍結医薬組成物に含まれる(例えば第二態様の方法の工程(I)で製造される製剤に含まれる)LNPのサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/またはPDIと本質的に等しいのが好ましい。
ある実施態様において、1凍結/解凍サイクル後、好ましくは2凍結/解凍サイクル後、より好ましくは3凍結/解凍サイクル後、より好ましくは4凍結/解凍サイクル後、より好ましくは5以上の凍結/解凍サイクル後の医薬組成物のRNA粒子のサイズおよびRNA完全性は、最初の医薬組成物(すなわち、医薬組成物が最初に凍結される前)のRNA粒子のサイズおよびRNA完全性と実質的に同じである(すなわち、本質的に等しい)。
ある実施態様において、医薬組成物は液体形態であり、約0℃~約20℃の範囲の温度で保存できる。例えば、ここに記載する液体医薬組成物(例えば第二、第四または第七の態様の方法により製造した液体組成物または第五、第八、第九または第十の態様の液体組成物)は、約1℃~約15℃、例えば約2℃~約10℃または約2℃~約8℃または約5℃の温度の範囲の温度で保存できる。
液体形態の医薬組成物のある実施態様において、医薬組成物は、少なくとも1週間、例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも12カ月または少なくとも24カ月、好ましくは少なくとも4週間保存できる。例えば、液体医薬組成物は、5℃で少なくとも4週間、好ましくは少なくとも1カ月、より好ましくは少なくとも2カ月、より好ましくは少なくとも3カ月、より好ましくは少なくとも6カ月保存できる。
液体形態の医薬組成物のある実施態様において、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月または少なくとも6カ月)保存したときの、液体組成物のRNA完全性は、所望の効果をもたらす、例えば、免疫応答を誘導するのに十分である。例えば、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月または少なくとも6カ月)保存したときの、液体組成物のRNA完全性は、最初の組成物のRNA完全性、すなわち、組成物が保存される前のRNA完全性と比較して、少なくとも50%、例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または少なくとも98%であり得る。ある実施態様において、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月または少なくとも6カ月)保存したときの、液体組成物のRNA完全性は、最初の組成物のRNA完全性、すなわち、組成物が保存される前のRNA完全性と比較して、少なくとも90%である。ある実施態様において、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で、少なくとも4週間(例えば、少なくとも3カ月)保存後の組成物のRNA完全性は、保存前のRNA完全性と比較して、少なくとも50%、例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%または少なくとも98%である。ある実施態様において、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で、少なくとも4週間(例えば、少なくとも3カ月)保存後の組成物のRNA完全性は、保存前のRNA完全性と比較して、少なくとも90%である。
ある実施態様において、医薬組成物の最初のRNA完全性(すなわち、製造後であるが、保存前)は少なくとも50%であり、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で少なくとも1週間(例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月または少なくとも3カ月)保存後の医薬組成物のRNA完全性は、最初のRNA完全性の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%である。ある実施態様において、医薬組成物の最初のRNA完全性(すなわち、製造後であるが、保存前)は少なくとも50%であり、好ましくは0℃以上、例えば約2℃~約8℃の温度で少なくとも1週間(例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月または少なくとも3カ月)保存後の医薬組成物のRNA完全性は、最初のRNA完全性の少なくとも90%である。
液体形態の医薬組成物のある実施態様において、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月または少なくとも6カ月)保存したとき、医薬組成物のLNPのサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/または多分散性指数(PDI))は、所望の効果をもたらす、例えば、免疫応答を誘導するのに十分である。例えば、医薬組成物のLNPのサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/または多分散性指数(PDI))は、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月または少なくとも6カ月)保存したとき、は、最初の医薬組成物、すなわち、保存前のLNPのサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/またはPDI)と本質的に等しい。ある実施態様において、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも4週間または少なくとも3カ月)保存後の医薬組成物のLNPのサイズ(Z平均)は約50nm~約500nm、好ましくは約40nm~約200nm、より好ましくは約40nm~約120nmである。ある実施態様において、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも4週間または少なくとも3カ月)保存後の医薬組成物のLNPのPDIは0.3未満、好ましくは0.2未満、より好ましくは0.1未満である。ある実施態様において、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも4週間または少なくとも3カ月)保存後の医薬組成物のLNPのサイズ(Z平均)は約50nm~約500nm、好ましくは約40nm~約200nm、より好ましくは約40nm~約120nmであり、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも4週間または少なくとも3カ月)保存後の医薬組成物のLNPのサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/またはPDI)は、保存前のLNPのサイズ(Z平均)(および/またはサイズ分布および/またはPDI)と本質的に等しい。ある実施態様において、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも4週間または少なくとも3カ月)保存後の医薬組成物のLNPのサイズ(Z平均)は約50nm~約500nm、好ましくは約40nm~約200nm、より好ましくは約40nm~約120nmであり、例えば、0℃以上で少なくとも1週間(例えば少なくとも4週間または少なくとも3カ月)保存後の医薬組成物のLNPのPDIは0.3未満(好ましくは0.2未満、より好ましくは0.1未満)である。
本発明の医薬組成物は、一般に「薬学的に有効量」でおよび「薬学的に許容される製剤」で適用される。
用語「薬学的に許容される」は、医薬組成物の活性成分の作用と相互作用しない物質の非毒性性をいう。
用語「薬学的に有効量」は、単独でまたはさらなる用量で所望の反応または所望の効果を達成する量をいう。特定の疾患の処置の場合、所望の反応は、好ましくは疾患の経過の阻止をいう。これは、疾患進行の減速および、特に、疾患進行の中断または逆転を含む。疾患の処置における所望の反応は、該疾患もしくは該状態の発症の遅延または発症の予防でもあり得る。ここに記載する粒子または医薬組成物の有効量は、処置する状態、疾患重症度、年齢、生理学的状態、体格および体重を含む患者の個々のパラメータ、付随する治療(存在するならば)のタイプ、具体的投与経路および類似の因子に依存する。従って、ここに記載する粒子または医薬組成物を投与する用量は、種々のこのようなパラメータに依存し得る。患者における反応が、最初の用量で不十分であるならば、高用量(または異なる、より局在的な投与経路により達成される効率的に高用量)が使用され得る。
具体的実施態様において、本発明の医薬組成物(例えば、免疫原性組成物、すなわち、免疫応答の誘導に使用できる医薬組成物)は、コンテナ、例えば、バイアルに1回用量として製剤化できる。ある実施態様において、免疫原性組成物は、バイアルに多回用量製剤として製剤化できる。ある実施態様において、多回用量製剤は、バイアルあたり少なくとも2用量含む。ある実施態様において、多回用量製剤は、バイアルあたり計2~20用量、例えば、バイアルあたり2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12用量含む。ある実施態様において、バイアルにおける各用量は体積が等しい。ある実施態様において、第一用量は、その後の用量と異なる体積である。
「安定な」多回用量製剤は、好ましくは許容されないレベルの微生物増殖を示さず、活性生物学的分子成分の破壊または分解が実質的にないまたはない。ここで使用する「安定な」免疫原性組成物は、対象に投与したとき所望の免疫学的応答を誘導できるままである製剤を含む。
本発明の医薬組成物は、緩衝液(特に、医薬組成物製造に用いたRNA組成物由来)、防腐剤および所望により他の治療剤を含む。ある実施態様において、本発明の医薬組成物、特に使用準備済医薬組成物は、1以上の薬学的に許容される担体、希釈剤および/または添加物を含む。
本発明の医薬組成物における使用に適当な防腐剤は、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、パラベンおよびチメロサールを含むが、これらに限定されない。
ここで使用する用語「添加物」は、本発明の医薬組成物に存在し得るが、活性成分ではない物質をいう。添加物の例は、担体、結合剤、希釈剤、滑沢剤、増粘剤、表面活性剤、防腐剤、安定化剤、乳化剤、緩衝液、風味剤または着色剤を含むが、これらに限定されない。
「薬学的に許容される塩」は、例えば、塩酸、酢酸、乳酸、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、2-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]エタンスルホン酸(HEPES)または安息香酸などの薬学的に許容される酸を使用して形成され得る、例えば、酸付加塩を含む。さらに、適当な薬学的に許容される塩は、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムまたはカリウム塩);アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムまたはマグネシウム塩);アンモニウム(NH );および適当な有機リガンド(例えば、4級アンモニウムおよびアミンカチオン)と形成される塩を含み得る。薬学的に許容される塩の説明的例は、先行文献に見ることができる;例えば、S. M. Berge et al., "Pharmaceutical Salts", J. Pharm. Sci., 66, pp. 1-19 (1977)参照。薬学的に許容されない塩を、薬学的に許容される塩の製造に使用する可能性があり、本発明に含まれる。
用語「希釈剤」は、希釈および/または薄化剤に関する。さらに、用語「希釈剤」は、任意の1以上の流体、液体または固体懸濁液および/または混合媒体を含む。適当な希釈剤の例は、エタノールおよび水を含む。
用語「担体」は、活性成分が医薬組成物の投与を容易にする、増強するまたは可能にするために組み合わせされている、天然、合成、有機、無機であり得る成分をいう。ここで使用する担体は、対象への投与に適する、1以上の適合性固体または液体充填剤、希釈剤または封入物質であり得る。適当な担体は、無菌水、リンゲル、乳酸リンゲル、無菌塩化ナトリウム溶液、等張食塩水、ポリアルキレングリコール、水素化ナフタレンおよび、特に、生体適合性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマーまたはポリオキシエチレン/ポリオキシ-プロピレンコポリマーを含むが、これらに限定されない。
治療用途のための薬学的に許容される担体、添加物または希釈剤は医薬分野で周知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A. R Gennaro edit. 1985)に記載される。
医薬担体、添加物または希釈剤は、意図する投与経路および標準薬務に関連して選択され得る。
医薬組成物の投与経路
ある実施態様において、ここに記載する医薬組成物または使用準備済医薬組成物などのここに記載する組成物は、静脈内、動脈内、皮下、皮内、経皮、リンパ節内、筋肉内または腫瘍内投与され得る。ある実施態様において、(医薬)組成物は、局所投与または全身投与のために製剤化される。全身投与は、消化管を介する吸収を含む経腸投与または非経腸投与を含み得る。ここで使用する「非経腸投与」は、静脈内注射によるなど、消化管を介する以外の何らかの方法での投与をいう。好ましい実施態様において、(医薬)組成物、特に使用準備済医薬組成物は、全身投与のために製剤化される。他の好ましい実施態様において、全身投与は静脈内投与による。他の好ましい実施態様において、(医薬)組成物、特に使用準備済医薬組成物は、筋肉内投与用に製剤化される。
医薬組成物の使用
ここに記載するRNA組成物は、種々の疾患、特に対象へのペプチドまたはタンパク質の提供が治療または予防効果をもたらす疾患の治療または予防処置に使用され得る。例えば、ウイルス由来の抗原またはエピトープの提供は、該ウイルスにより引き起こされるウイルス疾患の処置または予防に有用であり得る。腫瘍抗原またはエピトープの提供は、癌細胞が該腫瘍抗原を発現する癌疾患の処置に有用であり得る。機能的タンパク質または酵素の提供は、例えば、リソソーム蓄積症(例えばムコ多糖症)または因子欠乏症における、タンパク質機能不全により特徴づけられる遺伝子障害の処置に有用であり得る。サイトカインまたはサイトカイン-融合体の提供は、腫瘍微小環境の調節に有用であり得る。
用語「疾患」(ここでは「障害」とも称する)は、個体の体に影響する異常状態をいう。疾患は、しばしば特異的症状および徴候を伴う医学的状態として解釈される。疾患は、感染性疾患などの外的源に端を発する因子により引き起こされ得るかまたは自己免疫性疾患など内部機能不全により引き起こされ得る。ヒトにおいて、「疾患」は、しばしばより広義に使用され、罹患個体の疼痛、機能不全、窮迫、社会問題または死亡を引き起こすまたは該個体と接触した者に類似の問題を引き起こすあらゆる状態をいう。広い意味で、傷害、能力障害、障害、症候群、感染、単離症状、逸脱行動および構造および機能の非定型バリエーションを含むことがあり、一方他の文脈および他の目的で、区別可能なカテゴリーと考えられ得る。疾患は、通常、多くの疾患への罹患およびそれを抱えて生きることは、人生の見方および人格を変え得るため、身体的だけでなく、感情的にも個体に影響する。
用語「感染性疾患」は、個体から個体または生物から生物に伝播され得て、微生物因子により引き起こされるあらゆる疾患をいう。感染症は当分野で知られ、例えば、それぞれウイルス、細菌および寄生虫により引き起こされる疾患であるウイルス疾患、細菌疾患または寄生虫疾患を含む。これに関して、感染性疾患は、例えば、性感染疾患(例えば、クラミジア、淋菌または梅毒)、SARS、後天性免疫不全症候群(AIDS)、麻疹、水痘、サイトメガロウイルス感染、性器ヘルペス、肝炎(例えばB型肝炎またはC型肝炎)、インフルエンザ(ヒトインフルエンザ、ブタインフルエンザ、イヌインフルエンザ、ウマインフルエンザおよびトリインフルエンザなどのインフルエンザ)、HPV感染、帯状疱疹、狂犬病、一般的な風邪、胃腸炎、風疹、ムンプス、炭疽、コレラ、ジフテリア、食中毒、ハンセン病、髄膜炎、消化性潰瘍疾患、肺炎、敗血症、敗血症性ショック、破傷風、結核、腸チフス、尿路感染、ライム病、ロッキー山紅斑熱、クラミジア、百日咳、破傷風、髄膜炎、猩紅熱、マラリア、トリパノソーマ症、シャーガス病、リーシュマニア症、トリコモナス症、二核アメーバ症、ジアルジア症、アメーバ赤痢、コクシジウム症、トキソプラズマ症、肉胞子虫症、リノスポリジウム症およびバランチジウム症を含む。
ある実施態様において、ここに記載するRNA組成物は、感染性疾患の治療または予防処置に使用され得る。
本文脈において、用語「処置」、「処置する」または「治療介入」は、疾患または障害などの状態と戦う目的での、対象の管理および介護に関する。本用語は、対象が罹患しているある状態の処置、例えば、症状または合併症軽減のための治療的有効化合物の投与、疾患、障害または状態の進行遅延、症状および合併症の軽減または緩和および/または疾患、障害または状態の治癒または排除ならびに状態の予防までの処置の全範囲を含み、ここで、予防は、疾患、状態または障害と戦う目的での個体の管理および介護であり、症状または合併症の発症を予防するための活性化合物の投与を含むと理解される。
用語「治療処置」は、個体の健康状態を改善するおよび/または余命を延長(増加)するあらゆる処置に関する。該処置は、個体における疾患の排除、個体における疾患進展の停止または減速、個体における疾患進展の阻止または減速、個体における症状の頻度または重症度の低減および/または現在または過去に疾患を有した個体における再発減少であり得る。
用語「予防処置」または「予防的処置」は、個体で疾患が発症するのを予防することを意図したあらゆる処置に関する。用語「予防処置」または「予防的処置」はここでは相互交換可能に使用する。
用語「個体」および「対象」はここでは相互交換可能に使用する。ヒトまたは他の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマまたは霊長類)または鳥類(ニワトリ)、魚または疾患または障害(例えば、癌、感染症)に罹患し得るまたは疑われるが、疾患または障害を有するか有しない可能性があるまたはワクチン接種などの予防介入の必要があり得るまたはタンパク質補充によるなどの介入が必要であり得るあらゆる他の動物種を含む、あらゆる他の非哺乳動物をいう。多くの実施態様において、個体はヒトである。特に断らない限り、用語「個体」および「対象」は特定の年齢を意味せず、故に成人、高齢者、小児および新生児を含む。本発明の実施態様において、「個体」または「対象」は「患者」である。
用語「患者」は、処置のための個体または対象、特に罹患個体または対象を意味する。
本発明のある実施態様において、目的はワクチン接種による感染性疾患に対する保護の提供である。
本発明のある実施態様において、目的は対象、特にそれを必要とする対象への分泌型治療タンパク質、例えば抗体、二特異的抗体、サイトカイン、サイトカイン融合タンパク質、酵素の提供である。
本発明のある実施態様において、目的は対象、特にそれを必要とする対象へのタンパク質補充治療、例えば、エリスロポエチン、第VII因子、フォン・ヴィレブランド因子、β-ガラクトシダーゼ、アルファ-N-アセチルグルコサミニダーゼの産生の提供である。
本発明のある実施態様において、目的は血液における免疫細胞の調節/再プログラムである。
本発明(特に阻害性RNAに関するもの)のある実施態様において、目的はペプチドまたはポリペプチドの発現(例えば標的mRNAの転写および/または翻訳)の減少または阻害である。ある実施態様において、標的mRNAは、発現(特に、例えば、健常対象における発現と比較して増加した発現)は疾患と関連する薬学的活性ペプチドまたはポリペプチドをコードするORFを含む。ある実施態様において、標的mRNAは、発現(特に、例えば、健常対象における発現と比較して増加した発現)は癌と関連する薬学的活性ペプチドまたはポリペプチドをコードするORFを含む。
ある実施態様において、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントをコードするRNAを含むここに記載するRNA組成物(以下単に「SARS-CoV-2 S RNA組成物」とする)は、対象への投与後、SARS-CoV-2 Sタンパク質バリアント、特に天然に存在するSタンパク質バリアントなどの種々のSタンパク質バリアントの一団を標的とする抗体応答、特に中和抗体応答を対象で誘導する。ある実施態様において、種々のSタンパク質バリアントの一団は、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個またはそれ以上のSタンパク質バリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、RBDドメイン内にアミノ酸修飾を有するバリアントおよび/またはRBDドメイン外にアミノ酸修飾を有するバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における321位(Q)に対応するアミノ酸がSである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における321位(Q)に対応するアミノ酸がLである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における341位(V)に対応するアミノ酸がIである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における348位(A)に対応するアミノ酸がTである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における354位(N)に対応するアミノ酸がDである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における359位(S)に対応するアミノ酸がNである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における367位(V)に対応するアミノ酸がFである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における378位(K)に対応するアミノ酸がSである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における378位(K)に対応するアミノ酸がRである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における408位(R)に対応するアミノ酸がIである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における409位(Q)に対応するアミノ酸がEである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における435位(A)に対応するアミノ酸がSである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における439位(N)に対応するアミノ酸がKである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における458位(K)に対応するアミノ酸がRである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における472位(I)に対応するアミノ酸がVである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における476位(G)に対応するアミノ酸がSである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における477位(S)に対応するアミノ酸がNである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における483位(V)に対応するアミノ酸がAである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における508位(Y)に対応するアミノ酸がHである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における519位(H)に対応するアミノ酸がPである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。ある実施態様において、このようなSタンパク質バリアントは、配列番号1における614位(D)に対応するアミノ酸がGである、SARS-CoV-2 Sタンパク質または天然に存在するそのバリアントを含む。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、Sタンパク質バリアント、例えばSARS-CoV-2 Sタンパク質バリアント、特に配列番号1における501位(N)に対応する位置に変異を含む天然に存在するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象で引き起こす。ある実施態様において、配列番号1における501位(N)に対応するアミノ酸はYである。
配列番号1における、501位(N)に対応する位置に変異を含む該Sタンパク質バリアントは、さらに1以上の変異を含み得る。このような1以上のさらなる変異は、配列番号1における次の位置に対応する変異から選択され得る:69(H)、70(V)、144(Y)、570(A)、614(D)、681(P)、716(T)、982(S)、1118(D)、80(D)、215(D)、484(E)、701(A)、18(L)、246(R)、417(K)、242(L)、243(A)および244(L)。ある実施態様において、配列番号1における69位(H)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における70位(V)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における144位(Y)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における570位(A)に対応するアミノ酸はDである。ある実施態様において、配列番号1における614位(D)に対応するアミノ酸はGである。ある実施態様において、配列番号1における681位(P)に対応するアミノ酸はHである。ある実施態様において、配列番号1における716位(T)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における982位(S)に対応するアミノ酸はAである。ある実施態様において、配列番号1における1118位(D)に対応するアミノ酸はHである。ある実施態様において、配列番号1における80位(D)に対応するアミノ酸はAである。ある実施態様において、配列番号1における215位(D)に対応するアミノ酸はGである。ある実施態様において、配列番号1における484位(E)に対応するアミノ酸はKである。ある実施態様において、配列番号1における701位(A)に対応するアミノ酸はVである。ある実施態様において、配列番号1における18位(L)に対応するアミノ酸はFである。ある実施態様において、配列番号1における246位(R)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における417位(K)に対応するアミノ酸はNである。ある実施態様において、配列番号1における242位(L)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における243位(A)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における244位(L)に対応するアミノ酸は欠失している。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、VOC-202012/01を標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における次の位置に対応する位置に次の変異を有するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:欠失69~70、欠失144、N501Y、A570D、D614G、P681H、T716I、S982AおよびD1118H。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、501.V2を標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における次の位置に対応する位置に次の変異を有するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:D80A、D215G、E484K、N501YおよびA701Vおよび所望により:L18F、R246I、K417Nおよび欠失242~244。該Sタンパク質バリアントは、配列番号1の614位に対応する位置にD→G変異も含み得る。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1の位置69(H)および70(V)に対応する位置に欠失を含むSタンパク質バリアント、例えばSARS-CoV-2 Sタンパク質バリアント、特に天然に存在するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。
ある実施態様において、配列番号1の位置69(H)および70(V)に対応する位置に欠失を含むSタンパク質バリアントは、さらに1以上の変異を含み得る。このような1以上のさらなる変異は、配列番号1における次の位置に対応する変異から選択され得る:144(Y)、501(N)、570(A)、614(D)、681(P)、716(T)、982(S)、1118(D)、80(D)、215(D)、484(E)、701(A)、18(L)、246(R)、417(K)、242(L)、243(A)、244(L)、453(Y)、692(I)、1147(S)および1229(M)。ある実施態様において、配列番号1における144位(Y)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における501位(N)に対応するアミノ酸はYである。ある実施態様において、配列番号1における570位(A)に対応するアミノ酸はDである。ある実施態様において、配列番号1における614位(D)に対応するアミノ酸はGである。ある実施態様において、配列番号1における681位(P)に対応するアミノ酸はHである。ある実施態様において、配列番号1における716位(T)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における982位(S)に対応するアミノ酸はAである。ある実施態様において、配列番号1における1118位(D)に対応するアミノ酸はHである。ある実施態様において、配列番号1における80位(D)に対応するアミノ酸はAである。ある実施態様において、配列番号1における215位(D)に対応するアミノ酸はGである。ある実施態様において、配列番号1における484位(E)に対応するアミノ酸はKである。ある実施態様において、配列番号1における701位(A)に対応するアミノ酸はVである。ある実施態様において、配列番号1における18位(L)に対応するアミノ酸はFである。ある実施態様において、配列番号1における246位(R)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における417位(K)に対応するアミノ酸はNである。ある実施態様において、配列番号1における242位(L)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における243位(A)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における244位(L)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における453位(Y)に対応するアミノ酸はFである。ある実施態様において、配列番号1における692位(I)に対応するアミノ酸はVである。ある実施態様において、配列番号1における1147位(S)に対応するアミノ酸はLである。ある実施態様において、配列番号1における1229位(M)に対応するアミノ酸はIである。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、VOC-202012/01を標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における次の位置に対応する位置に次の変異を有するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:欠失69~70、欠失144、N501Y、A570D、D614G、P681H、T716I、S982AおよびD1118H。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、「クラスター5」を標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における次の位置に対応する位置に次の変異を有するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:欠失69~70、Y453F、I692V、M1229Iおよび所望によりS1147L。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における614位(D)に対応する位置に変異を含むSタンパク質バリアント、例えばSARS-CoV-2 Sタンパク質バリアント、特に天然に存在するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。ある実施態様において、配列番号1における614位(D)に対応するアミノ酸はGである。
ある実施態様において、配列番号1における614位(D)に対応する位置に変異を含むSタンパク質バリアントは、さらに1以上の変異を含み得る。このような1以上のさらなる変異は、配列番号1における次の位置に対応する変異から選択され得る:69(H)、70(V)、144(Y)、501(N)、570(A)、681(P)、716(T)、982(S)、1118(D)、80(D)、215(D)、484(E)、701(A)、18(L)、246(R)、417(K)、242(L)、243(A)、244(L)、453(Y)、692(I)、1147(S)および1229(M)。ある実施態様において、配列番号1における69位(H)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における70位(V)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における144位(Y)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における501位(N)に対応するアミノ酸はYである。ある実施態様において、配列番号1における570位(A)に対応するアミノ酸はDである。ある実施態様において、配列番号1における681位(P)に対応するアミノ酸はHである。ある実施態様において、配列番号1における716位(T)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における982位(S)に対応するアミノ酸はAである。ある実施態様において、配列番号1における1118位(D)に対応するアミノ酸はHである。ある実施態様において、配列番号1における80位(D)に対応するアミノ酸はAである。ある実施態様において、配列番号1における215位(D)に対応するアミノ酸はGである。ある実施態様において、配列番号1における484位(E)に対応するアミノ酸はKである。ある実施態様において、配列番号1における701位(A)に対応するアミノ酸はVである。ある実施態様において、配列番号1における18位(L)に対応するアミノ酸はFである。ある実施態様において、配列番号1における246位(R)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における417位(K)に対応するアミノ酸はNである。ある実施態様において、配列番号1における242位(L)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における243位(A)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における244位(L)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における453位(Y)に対応するアミノ酸はFである。ある実施態様において、配列番号1における692位(I)に対応するアミノ酸はVである。ある実施態様において、配列番号1における1147位(S)に対応するアミノ酸はLである。ある実施態様において、配列番号1における1229位(M)に対応するアミノ酸はIである。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、VOC-202012/01を標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における次の位置に対応する位置に次の変異を有するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:欠失69~70、欠失144、N501Y、A570D、D614G、P681H、T716I、S982AおよびD1118H。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における次の位置に対応する位置に次の変異を有するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:D80A、D215G、E484K、N501Y、D614GおよびA701Vおよび所望により:L18F、R246I、K417Nおよび欠失242~244。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における位置501(N)および614(D)に対応する位置に変異を含むSタンパク質バリアント、例えばSARS-CoV-2 Sタンパク質バリアント、特に天然に存在するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。ある実施態様において、配列番号1における501位(N)に対応するアミノ酸は501位(N)であり、配列番号1における614位(D)に対応するアミノ酸はGである。
ある実施態様において、配列番号1における位置501(N)および614(D)に対応する位置に変異を含むSタンパク質バリアントは、さらに1以上の変異を含み得る。このような1以上のさらなる変異は、配列番号1における次の位置に対応する変異から選択され得る:69(H)、70(V)、144(Y)、570(A)、681(P)、716(T)、982(S)、1118(D)、80(D)、215(D)、484(E)、701(A)、18(L)、246(R)、417(K)、242(L)、243(A)、244(L)、453(Y)、692(I)、1147(S)および1229(M)。ある実施態様において、配列番号1における69位(H)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における70位(V)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における144位(Y)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における570位(A)に対応するアミノ酸はDである。ある実施態様において、配列番号1における681位(P)に対応するアミノ酸はHである。ある実施態様において、配列番号1における716位(T)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における982位(S)に対応するアミノ酸はAである。ある実施態様において、配列番号1における1118位(D)に対応するアミノ酸はHである。ある実施態様において、配列番号1における80位(D)に対応するアミノ酸はAである。ある実施態様において、配列番号1における215位(D)に対応するアミノ酸はGである。ある実施態様において、配列番号1における484位(E)に対応するアミノ酸はKである。ある実施態様において、配列番号1における701位(A)に対応するアミノ酸はVである。ある実施態様において、配列番号1における18位(L)に対応するアミノ酸はFである。ある実施態様において、配列番号1における246位(R)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における417位(K)に対応するアミノ酸はNである。ある実施態様において、配列番号1における242位(L)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における243位(A)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における244位(L)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における453位(Y)に対応するアミノ酸はFである。ある実施態様において、配列番号1における692位(I)に対応するアミノ酸はVである。ある実施態様において、配列番号1における1147位(S)に対応するアミノ酸はLである。ある実施態様において、配列番号1における1229位(M)に対応するアミノ酸はIである。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、VOC-202012/01を標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における次の位置に対応する位置に次の変異を有するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:欠失69~70、欠失144、N501Y、A570D、D614G、P681H、T716I、S982AおよびD1118H。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における次の位置に対応する位置に次の変異を有するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:D80A、D215G、E484K、N501Y、D614GおよびA701Vおよび所望により:L18F、R246I、K417Nおよび欠失242~244。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における484位(E)に対応する位置に変異を含むSタンパク質バリアント、例えばSARS-CoV-2 Sタンパク質バリアント、特に天然に存在するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。ある実施態様において、配列番号1における484位(E)に対応するアミノ酸はKである。
ある実施態様において、配列番号1における484位(E)に対応する位置に変異を含むSタンパク質バリアントは、さらに1以上の変異を含み得る。このような1以上のさらなる変異は、配列番号1における次の位置に対応する変異から選択され得る:69(H)、70(V)、144(Y)、501(N)、570(A)、614(D)、681(P)、716(T)、982(S)、1118(D)、80(D)、215(D)、701(A)、18(L)、246(R)、417(K)、242(L)、243(A)、244(L)、453(Y)、692(I)、1147(S)、1229(M)、20(T)、26(P)、138(D)、190(R)、417(K)、655(H)、1027(T)および1176(V)。ある実施態様において、配列番号1における69位(H)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における70位(V)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における144位(Y)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における501位(N)に対応するアミノ酸はYである。ある実施態様において、配列番号1における570位(A)に対応するアミノ酸はDである。ある実施態様において、配列番号1における614位(D)に対応するアミノ酸はGである。ある実施態様において、配列番号1における681位(P)に対応するアミノ酸はHである。ある実施態様において、配列番号1における716位(T)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における982位(S)に対応するアミノ酸はAである。ある実施態様において、配列番号1における1118位(D)に対応するアミノ酸はHである。ある実施態様において、配列番号1における80位(D)に対応するアミノ酸はAである。ある実施態様において、配列番号1における215位(D)に対応するアミノ酸はGである。ある実施態様において、配列番号1における701位(A)に対応するアミノ酸はVである。ある実施態様において、配列番号1における18位(L)に対応するアミノ酸はFである。ある実施態様において、配列番号1における246位(R)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における417位(K)に対応するアミノ酸はNである。ある実施態様において、配列番号1における242位(L)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における243位(A)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における244位(L)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における453位(Y)に対応するアミノ酸はFである。ある実施態様において、配列番号1における692位(I)に対応するアミノ酸はVである。ある実施態様において、配列番号1における1147位(S)に対応するアミノ酸はLである。ある実施態様において、配列番号1における1229位(M)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における20位(T)に対応するアミノ酸はNである。ある実施態様において、配列番号1における26位(P)に対応するアミノ酸はSである。ある実施態様において、配列番号1における138位(D)に対応するアミノ酸はYである。ある実施態様において、配列番号1における190位(R)に対応するアミノ酸はSである。ある実施態様において、配列番号1における417位(K)に対応するアミノ酸はTである。ある実施態様において、配列番号1における655位(H)に対応するアミノ酸はYである。ある実施態様において、配列番号1における1027位(T)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における1176位(V)に対応するアミノ酸はFである。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、501.V2を標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における次の位置に対応する位置に次の変異を有するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:D80A、D215G、E484K、N501YおよびA701Vおよび所望により:L18F、R246I、K417Nおよび欠失242~244。該Sタンパク質バリアントは、配列番号1の614位に対応する位置にD→G変異も含み得る。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、「B.1.1.28」を標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、「B.1.1.248」を標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における次の位置に対応する位置に次の変異を有するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:L18F、T20N、P26S、D138Y、R190S、K417T、E484K、N501Y、H655Y、T1027IおよびV1176F。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における位置501(N)および484(E)に対応する位置に変異を含むSタンパク質バリアント、例えばSARS-CoV-2 Sタンパク質バリアント、特に天然に存在するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。ある実施態様において、配列番号1における501位(N)に対応するアミノ酸は501位(N)であり、配列番号1における484位(E)に対応するアミノ酸はKである。
ある実施態様において、配列番号1における位置501(N)および484(E)に対応する位置に変異を含むSタンパク質バリアントは、さらに1以上の変異を含み得る。このような1以上のさらなる変異は、配列番号1における次の位置に対応する変異から選択され得る:69(H)、70(V)、144(Y)、570(A)、614(D)、681(P)、716(T)、982(S)、1118(D)、80(D)、215(D)、701(A)、18(L)、246(R)、417(K)、242(L)、243(A)、244(L)、453(Y)、692(I)、1147(S)、1229(M)、20(T)、26(P)、138(D)、190(R)、417(K)、655(H)、1027(T)および1176(V)。ある実施態様において、配列番号1における69位(H)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における70位(V)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における144位(Y)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における570位(A)に対応するアミノ酸はDである。ある実施態様において、配列番号1における614位(D)に対応するアミノ酸はGである。ある実施態様において、配列番号1における681位(P)に対応するアミノ酸はHである。ある実施態様において、配列番号1における716位(T)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における982位(S)に対応するアミノ酸はAである。ある実施態様において、配列番号1における1118位(D)に対応するアミノ酸はHである。ある実施態様において、配列番号1における80位(D)に対応するアミノ酸はAである。ある実施態様において、配列番号1における215位(D)に対応するアミノ酸はGである。ある実施態様において、配列番号1における701位(A)に対応するアミノ酸はVである。ある実施態様において、配列番号1における18位(L)に対応するアミノ酸はFである。ある実施態様において、配列番号1における246位(R)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における417位(K)に対応するアミノ酸はNである。ある実施態様において、配列番号1における242位(L)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における243位(A)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における244位(L)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における453位(Y)に対応するアミノ酸はFである。ある実施態様において、配列番号1における692位(I)に対応するアミノ酸はVである。ある実施態様において、配列番号1における1147位(S)に対応するアミノ酸はLである。ある実施態様において、配列番号1における1229位(M)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における20位(T)に対応するアミノ酸はNである。ある実施態様において、配列番号1における26位(P)に対応するアミノ酸はSである。ある実施態様において、配列番号1における138位(D)に対応するアミノ酸はYである。ある実施態様において、配列番号1における190位(R)に対応するアミノ酸はSである。ある実施態様において、配列番号1における417位(K)に対応するアミノ酸はTである。ある実施態様において、配列番号1における655位(H)に対応するアミノ酸はYである。ある実施態様において、配列番号1における1027位(T)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における1176位(V)に対応するアミノ酸はFである。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、501.V2を標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における次の位置に対応する位置に次の変異を有するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:D80A、D215G、E484K、N501YおよびA701Vおよび所望により:L18F、R246I、K417Nおよび欠失242~244。該Sタンパク質バリアントは、配列番号1の614位に対応する位置にD→G変異も含み得る。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、「B.1.1.248」を標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における次の位置に対応する位置に次の変異を有するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:L18F、T20N、P26S、D138Y、R190S、K417T、E484K、N501Y、H655Y、T1027IおよびV1176F。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における位置501(N)、484(E)および614(D)に対応する位置に変異を含むSタンパク質バリアント、例えばSARS-CoV-2 Sタンパク質バリアント、特に天然に存在するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。ある実施態様において、配列番号1における501位(N)に対応するアミノ酸は501位(N)であり、配列番号1における484位(E)に対応するアミノ酸は484位(E)であり、配列番号1における614位(D)に対応するアミノ酸はGである。
ある実施態様において、配列番号1における位置501(N)、484(E)および614(D)に対応する位置に変異を含むSタンパク質バリアントは、さらに1以上の変異を含み得る。このような1以上のさらなる変異は、配列番号1における次の位置に対応する変異から選択され得る:69(H)、70(V)、144(Y)、570(A)、681(P)、716(T)、982(S)、1118(D)、80(D)、215(D)、701(A)、18(L)、246(R)、417(K)、242(L)、243(A)、244(L)、453(Y)、692(I)、1147(S)、1229(M)、20(T)、26(P)、138(D)、190(R)、417(K)、655(H)、1027(T)および1176(V)。ある実施態様において、配列番号1における69位(H)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における70位(V)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における144位(Y)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における570位(A)に対応するアミノ酸はDである。ある実施態様において、配列番号1における681位(P)に対応するアミノ酸はHである。ある実施態様において、配列番号1における716位(T)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における982位(S)に対応するアミノ酸はAである。ある実施態様において、配列番号1における1118位(D)に対応するアミノ酸はHである。ある実施態様において、配列番号1における80位(D)に対応するアミノ酸はAである。ある実施態様において、配列番号1における215位(D)に対応するアミノ酸はGである。ある実施態様において、配列番号1における701位(A)に対応するアミノ酸はVである。ある実施態様において、配列番号1における18位(L)に対応するアミノ酸はFである。ある実施態様において、配列番号1における246位(R)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における417位(K)に対応するアミノ酸はNである。ある実施態様において、配列番号1における242位(L)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における243位(A)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における244位(L)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における453位(Y)に対応するアミノ酸はFである。ある実施態様において、配列番号1における692位(I)に対応するアミノ酸はVである。ある実施態様において、配列番号1における1147位(S)に対応するアミノ酸はLである。ある実施態様において、配列番号1における1229位(M)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における20位(T)に対応するアミノ酸はNである。ある実施態様において、配列番号1における26位(P)に対応するアミノ酸はSである。ある実施態様において、配列番号1における138位(D)に対応するアミノ酸はYである。ある実施態様において、配列番号1における190位(R)に対応するアミノ酸はSである。ある実施態様において、配列番号1における417位(K)に対応するアミノ酸はTである。ある実施態様において、配列番号1における655位(H)に対応するアミノ酸はYである。ある実施態様において、配列番号1における1027位(T)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における1176位(V)に対応するアミノ酸はFである。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における次の位置に対応する位置に次の変異を有するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:D80A、D215G、E484K、N501Y、A701VおよびD614Gおよび所望により:L18F、R246I、K417Nおよび欠失242~244。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1の位置242(L)、243(A)および244(L)inに対応する位置に欠失を含むSタンパク質バリアント、例えばSARS-CoV-2 Sタンパク質バリアント、特に天然に存在するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。
ある実施態様において、配列番号1の位置242(L)、243(A)および244(L)に対応する位置に欠失を含むSタンパク質バリアントは、さらに1以上の変異を含み得る。このような1以上のさらなる変異は、配列番号1における次の位置に対応する変異から選択され得る:69(H)、70(V)、144(Y)、501(N)、570(A)、614(D)、681(P)、716(T)、982(S)、1118(D)、80(D)、215(D)、484(E)、701(A)、18(L)、246(R)、417(K)、453(Y)、692(I)、1147(S)、1229(M)、20(T)、26(P)、138(D)、190(R)、417(K)、655(H)、1027(T)および1176(V)。ある実施態様において、配列番号1における69位(H)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における70位(V)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における144位(Y)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における501位(N)に対応するアミノ酸はYである。ある実施態様において、配列番号1における570位(A)に対応するアミノ酸はDである。ある実施態様において、配列番号1における614位(D)に対応するアミノ酸はGである。ある実施態様において、配列番号1における681位(P)に対応するアミノ酸はHである。ある実施態様において、配列番号1における716位(T)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における982位(S)に対応するアミノ酸はAである。ある実施態様において、配列番号1における1118位(D)に対応するアミノ酸はHである。ある実施態様において、配列番号1における80位(D)に対応するアミノ酸はAである。ある実施態様において、配列番号1における215位(D)に対応するアミノ酸はGである。ある実施態様において、配列番号1における484位(E)に対応するアミノ酸はKである。ある実施態様において、配列番号1における701位(A)に対応するアミノ酸はVである。ある実施態様において、配列番号1における18位(L)に対応するアミノ酸はFである。ある実施態様において、配列番号1における246位(R)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における417位(K)に対応するアミノ酸はNである。ある実施態様において、配列番号1における453位(Y)に対応するアミノ酸はFである。ある実施態様において、配列番号1における692位(I)に対応するアミノ酸はVである。ある実施態様において、配列番号1における1147位(S)に対応するアミノ酸はLである。ある実施態様において、配列番号1における1229位(M)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における20位(T)に対応するアミノ酸はNである。ある実施態様において、配列番号1における26位(P)に対応するアミノ酸はSである。ある実施態様において、配列番号1における138位(D)に対応するアミノ酸はYである。ある実施態様において、配列番号1における190位(R)に対応するアミノ酸はSである。ある実施態様において、配列番号1における417位(K)に対応するアミノ酸はTである。ある実施態様において、配列番号1における655位(H)に対応するアミノ酸はYである。ある実施態様において、配列番号1における1027位(T)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における1176位(V)に対応するアミノ酸はFである。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、501.V2を標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における次の位置に対応する位置に次の変異を有するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:D80A、D215G、E484K、N501Y、A701Vおよび欠失242~244および所望により:L18F、R246IおよびK417N。該Sタンパク質バリアントは、配列番号1の614位に対応する位置にD→G変異も含み得る。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における417位(K)に対応する位置に変異を含むSタンパク質バリアント、例えばSARS-CoV-2 Sタンパク質バリアント、特に天然に存在するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。ある実施態様において、配列番号1における417位(K)に対応するアミノ酸はNである。ある実施態様において、配列番号1における417位(K)に対応するアミノ酸はTである。
ある実施態様において、配列番号1における417位(K)に対応する位置に変異を含むSタンパク質バリアントは、さらに1以上の変異を含み得る。このような1以上のさらなる変異は、配列番号1における次の位置に対応する変異から選択され得る:69(H)、70(V)、144(Y)、501(N)、570(A)、614(D)、681(P)、716(T)、982(S)、1118(D)、80(D)、215(D)、484(E)、701(A)、18(L)、246(R)、242(L)、243(A)、244(L)、453(Y)、692(I)、1147(S)、1229(M)、20(T)、26(P)、138(D)、190(R)、655(H)、1027(T)および1176(V)。ある実施態様において、配列番号1における69位(H)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における70位(V)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における144位(Y)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における501位(N)に対応するアミノ酸はYである。ある実施態様において、配列番号1における570位(A)に対応するアミノ酸はDである。ある実施態様において、配列番号1における614位(D)に対応するアミノ酸はGである。ある実施態様において、配列番号1における681位(P)に対応するアミノ酸はHである。ある実施態様において、配列番号1における716位(T)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における982位(S)に対応するアミノ酸はAである。ある実施態様において、配列番号1における1118位(D)に対応するアミノ酸はHである。ある実施態様において、配列番号1における80位(D)に対応するアミノ酸はAである。ある実施態様において、配列番号1における215位(D)に対応するアミノ酸はGである。ある実施態様において、配列番号1における484位(E)に対応するアミノ酸はKである。ある実施態様において、配列番号1における701位(A)に対応するアミノ酸はVである。ある実施態様において、配列番号1における18位(L)に対応するアミノ酸はFである。ある実施態様において、配列番号1における246位(R)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における242位(L)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における243位(A)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における244位(L)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における453位(Y)に対応するアミノ酸はFである。ある実施態様において、配列番号1における692位(I)に対応するアミノ酸はVである。ある実施態様において、配列番号1における1147位(S)に対応するアミノ酸はLである。ある実施態様において、配列番号1における1229位(M)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における20位(T)に対応するアミノ酸はNである。ある実施態様において、配列番号1における26位(P)に対応するアミノ酸はSである。ある実施態様において、配列番号1における138位(D)に対応するアミノ酸はYである。ある実施態様において、配列番号1における190位(R)に対応するアミノ酸はSである。ある実施態様において、配列番号1における655位(H)に対応するアミノ酸はYである。ある実施態様において、配列番号1における1027位(T)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における1176位(V)に対応するアミノ酸はFである。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、501.V2を標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における次の位置に対応する位置に次の変異を有するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:D80A、D215G、E484K、N501Y、A701VおよびK417Nおよび所望により:L18F、R246Iおよび欠失242~244。該Sタンパク質バリアントは、配列番号1の614位に対応する位置にD→G変異も含み得る。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、「B.1.1.248」を標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における次の位置に対応する位置に次の変異を有するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:L18F、T20N、P26S、D138Y、R190S、K417T、E484K、N501Y、H655Y、T1027IおよびV1176F。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における位置417(K)および484(E)および/または501(N)に対応する位置に変異を含むSタンパク質バリアント、例えばSARS-CoV-2 Sタンパク質バリアント、特に天然に存在するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。ある実施態様において、配列番号1における417位(K)に対応するアミノ酸は417位(K)であり、配列番号1における484位(E)に対応するアミノ酸は484位(E)であるおよび/または配列番号1における501位(N)に対応するアミノ酸はYである。ある実施態様において、配列番号1における417位(K)に対応するアミノ酸は417位(K)であり、配列番号1における484位(E)に対応するアミノ酸は484位(E)であるおよび/または配列番号1における501位(N)に対応するアミノ酸はYである。
ある実施態様において、配列番号1における位置417(K)および484(E)および/または501(N)に対応する位置に変異を含むSタンパク質バリアントは、さらに1以上の変異を含み得る。このような1以上のさらなる変異は、配列番号1における次の位置に対応する変異から選択され得る:69(H)、70(V)、144(Y)、570(A)、614(D)、681(P)、716(T)、982(S)、1118(D)、80(D)、215(D)、701(A)、18(L)、246(R)、242(L)、243(A)、244(L)、453(Y)、692(I)、1147(S)、1229(M)、20(T)、26(P)、138(D)、190(R)、655(H)、1027(T)および1176(V)。ある実施態様において、配列番号1における69位(H)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における70位(V)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における144位(Y)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における570位(A)に対応するアミノ酸はDである。ある実施態様において、配列番号1における614位(D)に対応するアミノ酸はGである。ある実施態様において、配列番号1における681位(P)に対応するアミノ酸はHである。ある実施態様において、配列番号1における716位(T)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における982位(S)に対応するアミノ酸はAである。ある実施態様において、配列番号1における1118位(D)に対応するアミノ酸はHである。ある実施態様において、配列番号1における80位(D)に対応するアミノ酸はAである。ある実施態様において、配列番号1における215位(D)に対応するアミノ酸はGである。ある実施態様において、配列番号1における701位(A)に対応するアミノ酸はVである。ある実施態様において、配列番号1における18位(L)に対応するアミノ酸はFである。ある実施態様において、配列番号1における246位(R)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における242位(L)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における243位(A)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における244位(L)に対応するアミノ酸は欠失している。ある実施態様において、配列番号1における453位(Y)に対応するアミノ酸はFである。ある実施態様において、配列番号1における692位(I)に対応するアミノ酸はVである。ある実施態様において、配列番号1における1147位(S)に対応するアミノ酸はLである。ある実施態様において、配列番号1における1229位(M)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における20位(T)に対応するアミノ酸はNである。ある実施態様において、配列番号1における26位(P)に対応するアミノ酸はSである。ある実施態様において、配列番号1における138位(D)に対応するアミノ酸はYである。ある実施態様において、配列番号1における190位(R)に対応するアミノ酸はSである。ある実施態様において、配列番号1における655位(H)に対応するアミノ酸はYである。ある実施態様において、配列番号1における1027位(T)に対応するアミノ酸はIである。ある実施態様において、配列番号1における1176位(V)に対応するアミノ酸はFである。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、501.V2を標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における次の位置に対応する位置に次の変異を有するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:D80A、D215G、E484K、N501Y、A701VおよびK417Nおよび所望により:L18F、R246Iおよび欠失242~244。該Sタンパク質バリアントは、配列番号1の614位に対応する位置にD→G変異も含み得る。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、「B.1.1.248」を標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、配列番号1における次の位置に対応する位置に次の変異を有するSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:L18F、T20N、P26S、D138Y、R190S、K417T、E484K、N501Y、H655Y、T1027IおよびV1176F。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、オミクロン(B.1.1.529)バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、次の変異の少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも30個、少なくとも31個、少なくとも32個、少なくとも33個、少なくとも34個、少なくとも35個、少なくとも36個または少なくとも37個を含むSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:配列番号1と比較してT547K、H655Y、D614G、N679K、P681H、N969K、S373P、S371L、N440K、G339D、G446S、N856K、N764K、K417N、D796Y、Q954H、T95I、A67V、L981F、S477N、G496S、T478K、Q498R、Q493R、E484A、N501Y、S375F、Y505H、V143del、H69del、V70del、N211del、L212I、ins214EPE、G142D、Y144del、Y145del、L141del、Y144F、Y145D、G142del。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、次の変異の少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個または全てを含むSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:配列番号1と比較してT547K、H655Y、D614G、N679K、P681H、N969K、S373P、S371L、N440K、G339D、G446S、N856K、N764K、K417N、D796Y、Q954H、T95I、A67V、L981F、S477N、G496S、T478K、Q498R、Q493R、E484A。該Sタンパク質バリアントは、次の変異の少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個または全てを含み得る:配列番号1と比較してN501Y、S375F、Y505H、V143del、H69del、V70delおよび/または次の変異の少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個または全てを含み得る:配列番号1と比較してN211del、L212I、ins214EPE、G142D、Y144del、Y145del。ある実施態様において、該Sタンパク質バリアントは、次の変異の少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個または全てを含み得る:配列番号1と比較してL141del、Y144F、Y145D、G142del。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、次の変異の少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも30個、少なくとも31個、少なくとも32個または少なくとも33個を含むSタンパク質バリアントを標的とする、抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:配列番号1と比較して
A67V、Δ69~70、T95I、G142D、Δ143~145、Δ211、L212I、ins214EPE、G339D、S371L、S373P、S375F、K417N、N440K、G446S、S477N、T478K、E484A、Q493R、G496S、Q498R、N501Y、Y505H、T547K、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、N856K、Q954H、N969KおよびL981F。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対照への投与後、次の変異を含むSタンパク質バリアントを標的とする抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:配列番号1と比較してA67V、Δ69~70、T95I、G142D、Δ143~145、Δ211、L212I、ins214EPE、G339D、S371L、S373P、S375F、K417N、N440K、G446S、S477N、T478K、E484A、Q493R、G496S、Q498R、N501Y、Y505H、T547K、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、N856K、Q954H、N969KおよびL981F。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対照への投与後、次の変異を含むSタンパク質バリアントを標的とする抗体応答、特に中和抗体応答を対象において誘導する:配列番号1と比較してA67V、Δ69~70、T95I、G142D、Δ143~145、Δ211、L212I、ins214EPE、G339D、S371L、S373P、S375F、S477N、T478K、E484A、Q493R、G496S、Q498R、N501Y、Y505H、T547K、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、N856K、Q954H、N969KおよびL981F。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、オミクロン(B.1.1.529)バリアントを標的とする免疫応答(細胞および/または抗体応答、特に中和抗体応答)を対象において誘導する。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、次の変異の少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも30個、少なくとも31個、少なくとも32個、少なくとも33個、少なくとも34個、少なくとも35個、少なくとも36個または少なくとも37個を含むSタンパク質バリアントを標的とする免疫応答(細胞および/または抗体応答、特に中和抗体応答)を対象において誘導する:配列番号1と比較してT547K、H655Y、D614G、N679K、P681H、N969K、S373P、S371L、N440K、G339D、G446S、N856K、N764K、K417N、D796Y、Q954H、T95I、A67V、L981F、S477N、G496S、T478K、Q498R、Q493R、E484A、N501Y、S375F、Y505H、V143del、H69del、V70del、N211del、L212I、ins214EPE、G142D、Y144del、Y145del、L141del、Y144F、Y145D、G142del。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、次の変異の少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個または全てを含むSタンパク質バリアントを標的とする免疫応答(細胞および/または抗体応答、特に中和抗体応答)を対象において誘導する:配列番号1と比較してT547K、H655Y、D614G、N679K、P681H、N969K、S373P、S371L、N440K、G339D、G446S、N856K、N764K、K417N、D796Y、Q954H、T95I、A67V、L981F、S477N、G496S、T478K、Q498R、Q493R、E484A。該Sタンパク質バリアントは、次の変異の少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個または全てを含み得る:配列番号1と比較してN501Y、S375F、Y505H、V143del、H69del、V70delおよび/または次の変異の少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個または全てを含み得る:配列番号1と比較してN211del、L212I、ins214EPE、G142D、Y144del、Y145del。ある実施態様において、該Sタンパク質バリアントは、次の変異の少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個または全てを含み得る:配列番号1と比較してL141del、Y144F、Y145D、G142del。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対象への投与後、次の変異の少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも30個、少なくとも31個、少なくとも32個または少なくとも33個を含むSタンパク質バリアントを標的とする免疫応答(細胞および/または抗体応答、特に中和抗体応答)を対象において誘導する:配列番号1と比較してA67V、Δ69~70、T95I、G142D、Δ143~145、Δ211、L212I、ins214EPE、G339D、S371L、S373P、S375F、K417N、N440K、G446S、S477N、T478K、E484A、Q493R、G496S、Q498R、N501Y、Y505H、T547K、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、N856K、Q954H、N969KおよびL981F。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対照への投与後、次の変異を含むSタンパク質バリアントを標的とする免疫応答(細胞および/または抗体応答、特に中和抗体応答)を対象において誘導する:配列番号1と比較してA67V、Δ69~70、T95I、G142D、Δ143~145、Δ211、L212I、ins214EPE、G339D、S371L、S373P、S375F、K417N、N440K、G446S、S477N、T478K、E484A、Q493R、G496S、Q498R、N501Y、Y505H、T547K、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、N856K、Q954H、N969KおよびL981F。
ある実施態様において、ここに記載するSARS-CoV-2 S RNA組成物は、対照への投与後、次の変異を含むSタンパク質バリアントを標的とする免疫応答(細胞および/または抗体応答、特に中和抗体応答)を対象において誘導する:配列番号1と比較してA67V、Δ69~70、T95I、G142D、Δ143~145、Δ211、L212I、ins214EPE、G339D、S371L、S373P、S375F、S477N、T478K、E484A、Q493R、G496S、Q498R、N501Y、Y505H、T547K、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、N856K、Q954H、N969KおよびL981F。
ここで使用する用語「位置・・・に対応するアミノ酸」は、SARS-CoV-2 Sタンパク質、特に配列番号1に示すアミノ酸配列のアミノ酸位置番号に対応するアミノ酸位置番号をいう。用語「配列番号1と比較して」は、「配列番号1における次の位置に対応する位置」と等しい。SARS-CoV-2 Sタンパク質バリアントなどの他のコロナウイルスSタンパク質バリアントにおける対応するアミノ酸位置は、SARS-CoV-2 Sタンパク質、特に配列番号1に示すアミノ酸配列とのアラインメントにより見つけ得る。配列または配列のセグメントをどのようにアラインし、それにより配列における本発明のアミノ酸位置と対応する位置を決定するかは、当分野で周知であると考える。典型的にデフォルト設定での、ALIGN、ClustalWなどの標準配列アラインメントプログラムが使用され得る。
ある実施態様において、抗体応答が標的とする種々のSタンパク質バリアントの一団は、上記Q321S、V341I、A348T、N354D、S359N、V367F、K378S、R408I、Q409E、A435S、K458R、I472V、G476S、V483A、Y508H、H519PおよびD614Gバリアントからなる群から選択される、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個またはそれ以上のSタンパク質バリアントを含む。ある実施態様において、抗体応答が標的とする種々のSタンパク質バリアントの一団は、上記Q321S、V341I、A348T、N354D、S359N、V367F、K378S、R408I、Q409E、A435S、K458R、I472V、G476S、V483A、Y508H、H519PおよびD614Gバリアントからなる群からの全Sタンパク質バリアントを含む。
ある実施態様において、抗体応答が標的とする種々のSタンパク質バリアントの一団は、上記Q321L、V341I、A348T、N354D、S359N、V367F、K378R、R408I、Q409E、A435S、N439K、K458R、I472V、G476S、S477N、V483A、Y508H、H519PおよびD614Gバリアントからなる群から選択される、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個またはそれ以上のSタンパク質バリアントを含む。ある実施態様において、抗体応答が標的とする種々のSタンパク質バリアントの一団は、上記Q321L、V341I、A348T、N354D、S359N、V367F、K378R、R408I、Q409E、A435S、N439K、K458R、I472V、G476S、S477N、V483A、Y508H、H519PおよびD614Gバリアントからなる群からの全Sタンパク質バリアントを含む。
ある実施態様において、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、SARS-CoV-2 Sタンパク質バリアント、特に天然に存在するSタンパク質バリアントなどのSタンパク質バリアントについてここに記載した変異の1以上を含む。ある実施態様において、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、配列番号1における501位(N)に対応する位置に変異を含む。ある実施態様において、配列番号1における501位(N)に対応するアミノ酸はYである。ある実施態様において、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、VOC-202012/01、501.V2、クラスター5およびB.1.1.248からなる群から選択されるSARS-CoV-2バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質の全変異などの、1以上の変異を含むある実施態様において、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、配列番号1の80位のアラニン置換、215位のグリシン置換、484位のリシン置換、501位のチロシン置換、701位のバリン置換、18位のフェニルアラニン置換、246位のイソロイシン置換、417位のアスパラギン置換、614位のグリシン置換、242~244位の欠失および986位および987位のプロリン置換を有するアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、次の変異の少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも30個、少なくとも31個、少なくとも32個、少なくとも33個、少なくとも34個、少なくとも35個、少なくとも36個または少なくとも37個を含む:配列番号1と比較してT547K、H655Y、D614G、N679K、P681H、N969K、S373P、S371L、N440K、G339D、G446S、N856K、N764K、K417N、D796Y、Q954H、T95I、A67V、L981F、S477N、G496S、T478K、Q498R、Q493R、E484A、N501Y、S375F、Y505H、V143del、H69del、V70del、N211del、L212I、ins214EPE、G142D、Y144del、Y145del、L141del、Y144F、Y145D、G142del。ある実施態様において、該変異を含む、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、配列番号1と比較してK986PおよびV987Pを含む。
ある実施態様において、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、次の変異の少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個または全てを含む:配列番号1と比較してT547K、H655Y、D614G、N679K、P681H、N969K、S373P、S371L、N440K、G339D、G446S、N856K、N764K、K417N、D796Y、Q954H、T95I、A67V、L981F、S477N、G496S、T478K、Q498R、Q493R、E484A。該SAR-CoV-2 Sタンパク質、バリアントまたはフラグメントは、次の変異の少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個または全てを含み得る:配列番号1と比較してN501Y、S375F、Y505H、V143del、H69del、V70delおよび/または次の変異の少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個または全てを含み得る:配列番号1と比較してN211del、L212I、ins214EPE、G142D、Y144del、Y145del。ある実施態様において、該SAR-CoV-2 Sタンパク質、バリアントまたはフラグメントは、次の変異の少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個または全てを含み得る:配列番号1と比較してL141del、Y144F、Y145D、G142del。ある実施態様において、該変異を含む、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、配列番号1と比較してK986PおよびV987Pを含む。
ある実施態様において、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、次の変異の少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも30個、少なくとも31個、少なくとも32個または少なくとも33個を含む:配列番号1と比較してA67V、Δ69~70、T95I、G142D、Δ143~145、Δ211、L212I、ins214EPE、G339D、S371L、S373P、S375F、K417N、N440K、G446S、S477N、T478K、E484A、Q493R、G496S、Q498R、N501Y、Y505H、T547K、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、N856K、Q954H、N969KおよびL981F。ある実施態様において、該変異を含む、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、配列番号1と比較してK986PおよびV987Pを含む。
ある実施態様において、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、次の変異を含む:配列番号1と比較してA67V、Δ69~70、T95I、G142D、Δ143~145、Δ211、L212I、ins214EPE、G339D、S371L、S373P、S375F、K417N、N440K、G446S、S477N、T478K、E484A、Q493R、G496S、Q498R、N501Y、Y505H、T547K、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、N856K、Q954H、N969KおよびL981F。
ある実施態様において、該変異を含む、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、配列番号1と比較してK986PおよびV987Pを含む。
ある実施態様において、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、次の変異を含む:配列番号1と比較してA67V、Δ69~70、T95I、G142D、Δ143~145、Δ211、L212I、ins214EPE、G339D、S371L、S373P、S375F、S477N、T478K、E484A、Q493R、G496S、Q498R、N501Y、Y505H、T547K、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、N856K、Q954H、N969KおよびL981F。
ある実施態様において、該変異を含む、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、配列番号1と比較してK986PおよびV987Pを含む。
ある実施態様において、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、次の変異を含む:配列番号1と比較してA67V、Δ69~70、T95I、G142D、Δ143~145、Δ211、L212I、ins214EPE、G339D、S371L、S373P、S375F、K417N、N440K、G446S、S477N、T478K、E484A、Q493R、G496S、Q498R、N501Y、Y505H、T547K、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、N856K、Q954H、N969K、L981F、K986PおよびV987P。
ある実施態様において、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、次の変異を含む:配列番号1と比較してA67V、Δ69~70、T95I、G142D、Δ143~145、Δ211、L212I、ins214EPE、G339D、S371L、S373P、S375F、S477N、T478K、E484A、Q493R、G496S、Q498R、N501Y、Y505H、T547K、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、N856K、Q954H、N969K、L981F、K986PおよびV987P。
ある実施態様において、該変異を含む、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、配列番号42のアミノ酸配列、配列番号42のアミノ酸配列と少なくとも99.5%、99%、98.5%、98%、98.5%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号42のアミノ酸配列もしくは配列番号42のアミノ酸配列と少なくとも99.5%、99%、98.5%、98%、98.5%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。ある実施態様において、該変異を含む、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、配列番号42のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、該変異を含む、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、配列番号45のアミノ酸配列、配列番号45のアミノ酸配列と少なくとも99.5%、99%、98.5%、98%、98.5%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列または配列番号45のアミノ酸配列もしくは配列番号45のアミノ酸配列と少なくとも99.5%、99%、98.5%、98%、98.5%、97%、96%、95%、90%、85%または80%同一性を有するアミノ酸配列の免疫原性フラグメントを含む。ある実施態様において、該変異を含む、例えば、ここに記載するRNAによりコードされる、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントは、配列番号45のアミノ酸配列を含む。
免疫療法およびワクチン接種の原理は、疾患に対する免疫保護的反応が、処置する疾患と免疫学的に関連する抗原またはエピトープで免疫化した対象により産生されるとの事実に基づくことを当業者は知っている。従って、ここに記載する医薬組成物は、免疫応答の誘導または増強に適用可能である。故に、ここに記載する医薬組成物は、抗原またはエピトープが関与する疾患の予防および/または治療処置に有用である。
用語「免疫化」または「ワクチン接種」は、例えば、治療または予防上の理由のため、免疫応答の誘導の目的で個体に抗原を投与する過程をいう。
ここでの文献および研究論文の引用は、これらの何れかが適切な先行文献であることを認めることを意図しない。これらの文献の内容についての記載は、出願人が入手可能な情報に基づき、これらの文献の内容の正確性について何ら承認するものではない。
記載(次の実施例を含む)は、当業者が種々の実施態様を製造および使用することを可能とするものである。具体的デバイス、技術および適用の記載は、単なる例として提供する。ここに記載する実施例への種々の修飾が当業者には容易に明らかであり、ここに定義する一般的原理を、種々の実施態様の精神および範囲から逸脱することなく他の例および適用に適用し得る。故に、種々の実施態様は、ここに記載し、示す例に限定する意図はなく、特許請求の範囲に一致すべきである。
方法
RNA LNPの製造
製造プロトコールを、脂質X-3をカチオン的にイオン化可能な脂質の例として採用して、ここに記載する。同じプロトコールが、他のカチオン的にイオン化可能な脂質にも同様に適用される。従って、またカチオン的にイオン化可能な脂質とRNAの比(N/P比)が、負電荷過剰のものを含み、例えば、高いまたは低いN/P比を有する他の製剤を、記載のとおり、製造し、安定化できる。さらに、他の脂質比(リン脂質、コレステロール、ポリマーコンジュゲート脂質)ならびに他のタイプのポリマーコンジュゲート脂質(例えば、ポリサルコシン脂質)を使用できる。プロトコールは、何らポリマーコンジュゲート脂質を有しない生成物にも適用される。
RNA LNPを水性-エタノール混合プロトコールにより製造した。簡潔に、RNA(例えばSARS-CoV-2 Sタンパク質を含むアミノ酸配列をコードするBNT162b2)を、水性緩衝液条件(例えば、50mMクエン酸、pH4.0)で、それぞれ47.5:10:40.7:1.8モル比で脂質X-3、DSPC、コレステロールおよび2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミドを含むエタノール性脂質混合物と、3部のRNAおよび1部の脂質混合物の体積比で混合する。T混合要素を使用する標準ポンプベースの設定を使用して、混合を達成する。脂質ナノ粒子生コロイドを、2部の緩衝液(例えば、クエン酸緩衝液50mM、pH4.0)でさらに希釈する。総流量は400~2000mL/分、例えば720ml/分である。クエン酸緩衝液(50mM pH4.0)に対するTFF(タンジェンシャルフロー濾過)を使用してエタノール含量を減らし、LNP生成物を濃縮した。緩衝液交換を、透析カセットを使用して実施した。20mM 標的緩衝液pH7.4に対し4時間透析した。透析後、LNP懸濁液のRNA濃度を決定した。10mM 標的緩衝液pH7.4添加により、保存懸濁液を等濃度に調節した。次いで、各個々の懸濁液の4アリコートを、適切な体積の1M緩衝液pH7.4および40%スクロースの添加により、10mM、20mM、50mMまたは100mMのその緩衝液および10%スクロースに各個々に製剤化した。各1mLのサンプルを密封し、20~25℃で保存した。
LNPサイズおよび多分散性
RNA LNP製剤/組成物(またはそのサンプル)のLNPの平均粒子径およびサイズ分布を動的光散乱法(DLS)により評価する。本方法は、粒子径決定に173°での後方散乱を使用する粒径測定器を使用する。結果を、粒子のZ平均サイズまたは流体力学直径および多分散性指数として報告する。多分散性値を使用して、測定されたZ平均サイズ周囲の適合対数正規分布の幅をいい、粒度測定ソフトウェア内の私有の数学的計算を使用して、作成する。サイズおよび多分散性の結果を、それぞれnmおよび多分散性指数値として報告する。サンプルを緩衝液または水で適切な濃度に希釈する。ここに記載する実験について、Wyatt DynaProプレートリーダーを、100μLの水に希釈した20μLのサンプルを含む透明平底96ウェルプレートと共に使用した。流体力学直径(nm)および多分散性指数をDYNAMICS 7を使用して計算した。
RNA完全性
RNA完全性をキャピラリー電気泳動により決定する。TritonTM X-100/エタノールで処理したRNA-LNPを、キャピラリーに含まれるゲルマトリクスに適用する。RNAおよびその誘導体、分解物および不純物は、サイズにより分離される。ゲルマトリクスは、RNA成分に特異的に結合する蛍光色素を含み、CCD検出器により検出される、青色LED誘導蛍光による検出が可能となる。励起波長は470nmである。RNAの完全性は、主RNAピークのピーク面積と検出された総ピーク面積の比較により決定し、パーセンテージとして報告する。遅く移動する種(LMS)は、主ピークより後で検出された全シグナルにより表し、また総ピーク面積のパーセンテージとして表す。
実施例1
RNA LNPを上記のとおり製造し、表2に挙げる緩衝液の一つに対して透析した。

緩衝液は、表2に記載する濃度を有し、全サンプルはさらに300mMスクロースを含んだ。RNA完全性を経時的に測定し、%インタクトRNA、遅く移動する種(LMS)として現れる%RNAおよび断片化RNAの%(左から右方向)として報告する。全サンプルのRNAの開始時完全性は75%であった。
表3および4に示すデータは、表1に示す緩衝液イオンの構造要素に照らしてみたとき、次の結論を可能とする:
RNAの断片化はアミンのタイプと相関し、分解は3級または4級アミン<2級アミン<1級アミンンの順で減少する。
RNAの断片化は、ジアミンに比してモノアミンで低い。
遅く移動する種の産生は、緩衝液化合物中のアニオン性部分の存在に比例する。
3級モノアミンは、RNAを断片化およびLMS形成両方から保護する。
結論は図1~3によりさらに支持される。
アミンのタイプとRNA分解の相関は図1により明確に示され、RNAの分解が少ない緩衝液では3級モノアミンが明らかに多いことを示す。1級および一部2級アミンは、他方で、有意なまたは完全なRNAの分解をもたらす(相関0.86)。
同様に、LMSの形成は、図2に示すとおり、緩衝物質中のアニオン性部位の数と明らかな相関を示す。リン酸、スルホン酸またはカルボキシルなどのアニオン性部分はLMSの形成を促進する(相関0.78)。
図3は、最適濃度での各緩衝液のRNAの分解を示す。性能が最良の緩衝液は、常に濃度20~100mMの3級モノアミンである。
実施例2
脂質ナノ粒子を、水性mRNA溶液とエタノール性脂質溶液の混合により製造した。その後、精製工程(0.2μmフィルター使用)および配合工程が続いた。詳細には、mRNAを、40mMクエン酸緩衝液pH4.0に最終濃度0.4mg/mLで準備した。脂質を無水EtOHに、35℃で最終濃度30.1mg/mLで溶解し、0.2μm PESフィルターを通した。脂質ナノ粒子を形成するために、ミキサーを使用して、RTで、1体積の脂質溶液を3体積のmRNA溶液と組み合わせた。この混合工程直後、2体積のクエン酸緩衝液pH4.0でのオンライン希釈工程を実施し、EtOH濃度を減らした。次いで、中間生成物をクエン酸緩衝液pH4.0(2体積交換)に対するタンジェンシャルフロー濾過を使用して透析濾過し、さらにEtOH濃度を減らした。ダイアフィルトレーション後、生成物を6等分し、各アリコートを、表5に挙げる異なる緩衝液に対して透析した。

透析後、各アリコートを集め、シリンジフィルターを使用して0.2μm濾過し、mRNA含量を分析した。mRNA定量後、各サンプルを32等分し、その各々を表6に挙げる試験する8種の異なる抗凍結剤の一つで、種々の濃度で覆った。

標的mRNA濃度は0.1mg/mLであった。次いで、全アリコートを深96ウェルプレートに入れ、凍結解凍実験の出発物質として使用した。
これら実験の結果を図4A~Dに示す。
図4A~Dに見られるとおり、抗凍結剤としてスクロースまたはグリセロールを含む組成物の性能は最良であり、すなわち、5凍結/解凍サイクル後でさえ、良好なコロイド安定性を示す。

Claims (143)

  1. (i)RNA;(ii)カチオン的にイオン化可能な脂質;および(iii)式N(R)(R)(R)を有する緩衝物質、そのN-オキシドまたはそのプロトン化形態を含む緩衝系を含む水相を含む組成物であって、ここで:
    、RおよびRの各々は独立してH、C1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個はH、CH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)であるか;またはR、RおよびRの2個は、窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成し;
    各Rは独立して-OH、-O-(C1-6アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-6アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zは独立して0および1から選択され;そして各Rは独立してHおよびC1-3アルキルから選択され;そして
    各Rは独立してC1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から選択されるものである、組成物。
  2. 、RおよびRの各々がC1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から独立して選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がCH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)であり、好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-4アルキル、C1-4アルキレン-R、CH(C1-3アルキレン-R)およびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がCH(C1-3アルキレン-R)またはC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-3アルキル、C1-3アルキレン-R、CH(C1-3アルキレン-R)およびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がCH(C1-3アルキレン-R)またはC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-2アルキル、C1-2アルキレン-R、CH(C1-2アルキレン-R)およびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がCH(C1-2アルキレン-R)またはC(C1-2アルキレン-R)である、請求項1の組成物。
  3. 、RおよびRの各々が独立してC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)、ここで、R、RおよびRの最大1個がC(C1-5アルキレン-R)でありから選択され、好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がC(C1-2アルキレン-R)である、請求項1または2の組成物。
  4. 、RおよびRの各々が独立してC1-6アルキルおよびC1-6アルキレン-Rから選択され、好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-4アルキルおよびC1-4アルキレン-Rから選択され、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-3アルキルおよびC1-3アルキレン-Rから選択され、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-2アルキルおよびC1-2アルキレン-Rから選択される、請求項1~3の何れかの組成物。
  5. 各Rが独立して-OH、-O-(C1-4アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-4アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zが独立して0および1から選択され;そして各Rが独立してHおよびC1-3アルキルから選択され、好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-3アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-3アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zが独立して0および1から選択され;そして各Rが独立してHおよびC1-3アルキルから選択され、より好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-2アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-2アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zが独立して0および1から選択され;そして各Rが独立してHおよびC1-2アルキルから選択される、請求項1~4の何れかの組成物。
  6. 各Rが独立して-OH、-O-(C1-4アルキレン-OH)および-N(C1-4アルキレン-OH)から選択され、好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-3アルキレン-OH)および-N(C1-3アルキレン-OH)から選択され、より好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-2アルキレン-OH)および-N(C1-2アルキレン-OH)から選択される、請求項1~5の何れかの組成物。
  7. 各Rが独立して-OH、2-ヒドロキシエトキシおよびビス(2-ヒドロキシエチル)アミノから選択される、請求項1~6の何れかの組成物。
  8. 、RおよびRの各々が独立してメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル、2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルおよび1,5-ジヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシエチル)ペンタン-3-イルから選択される、請求項1~7の何れかの組成物。
  9. 、RおよびRの全て同じである、請求項1~8の何れかの組成物。
  10. 、RおよびRの全てがメチル、エチルまたは2-ヒドロキシエチルである、請求項9の組成物。
  11. およびRが同一であり、RがRおよびRと異なる、請求項1~8の何れかの組成物。
  12. およびRの各々が2-ヒドロキシエチル、エチルまたはメチルである、請求項11の組成物。
  13. がメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル、2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルおよび1,5-ジヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシエチル)ペンタン-3-イルから選択される、請求項11または12の組成物。
  14. およびRが窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成する、請求項1の組成物。
  15. がC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、好ましくはRがC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルおよび2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルから選択される、請求項14の組成物。
  16. N-ヘテロ環式環が少なくとも1個の窒素環原子および所望によりOおよびSから選択される1個のさらなる環ヘテロ原子を含む単環式環である、請求項14または15の組成物。
  17. N-ヘテロ環式環が(i)1個の窒素環原子;(ii)2個の窒素環原子;(iii)1個の窒素環原子および1個の酸素環原子;(iv)1個の窒素環原子および1個の硫黄環原子;または(v)3個の窒素環原子を含む単環式環である、請求項14~16の何れかの組成物。
  18. N-ヘテロ環式環が単環式6員N-ヘテロ環式環などの単環式5員または6員N-ヘテロ環式環である、請求項14~17の何れかの組成物。
  19. N-ヘテロ環式環がピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、1,2-ジアジナニル、1,3-ジアジナニル、1,3,5-トリアジナニル、モルホリニルおよびチオモルホリニルから選択され、好ましくはピペリジニル、ピペラジニル、1,2-ジアジナニル、1,3-ジアジナニル、モルホリニルおよびチオモルホリニルから選択される、請求項14~18の何れかの組成物。
  20. N-ヘテロ環式環が1個の窒素環原子のみ含むならば、この窒素環原子がRで置換されており、RがH以外である、またはN-ヘテロ環式環が1個を超える窒素環原子を含むならば、1個の窒素環原子がRで置換されており、RがH以外であり、他の窒素環原子の少なくとも1個、好ましくは他の窒素環原子の各々、がRで置換されている、請求項14~19の何れかの組成物。
  21. 各Rが独立してC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、好ましくはRがC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルおよび2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルから選択される、請求項14~20の何れかの組成物。
  22. N-ヘテロ環式環がピペリジニルであり、環N原子がRで置換されており、RがH以外である、請求項14~21の何れかの組成物。
  23. N-ヘテロ環式環がピペラジニルであり、2個の環N原子の1個がRで置換されており、RがH以外であり、他の環N原子が所望によりRで置換されており、好ましくは他の環N原子がRで置換されている、請求項14~21の何れかの組成物。
  24. 両環N原子が置換されており、RがC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、好ましくはRがC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルおよび2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルから選択される、請求項23の組成物。
  25. 各Rが独立して-OH、-O-(C1-4アルキレン-OH)および-N(C1-4アルキレン-OH)から選択され、好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-3アルキレン-OH)および-N(C1-3アルキレン-OH)から選択され、より好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-2アルキレン-OH)および-N(C1-2アルキレン-OH)から選択される、請求項14~24の何れかの組成物。
  26. 各Rが独立して-OH、2-ヒドロキシエトキシおよびビス(2-ヒドロキシエチル)アミノから選択される、請求項14~25の何れかの組成物。
  27. およびRが同じである、請求項14~26の何れかの組成物。
  28. およびRの両方がメチル、エチル、2-ヒドロキシエチルまたは2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルであり、好ましくはRおよびRの両方が2-ヒドロキシエチルである、請求項27の組成物。
  29. およびRが互いに異なる、請求項14~26の何れかの組成物。
  30. がHである、請求項1の組成物。
  31. およびRの各々がC1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から独立して選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がCH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)であり、好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-4アルキル、C1-4アルキレン-R、CH(C1-3アルキレン-R)およびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がCH(C1-3アルキレン-R)またはC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-3アルキル、C1-3アルキレン-R、CH(C1-3アルキレン-R)およびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がCH(C1-3アルキレン-R)またはC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-2アルキル、C1-2アルキレン-R、CH(C1-2アルキレン-R)およびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がCH(C1-2アルキレン-R)またはC(C1-2アルキレン-R)である、請求項30の組成物。
  32. およびRの各々が独立してC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がC(C1-5アルキレン-R)であり、好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、ここで、最大でRおよびRの一方がC(C1-2アルキレン-R)である、請求項30または31の組成物。
  33. およびRの各々が独立してC1-6アルキルおよびC1-6アルキレン-Rから選択され、好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-4アルキルおよびC1-4アルキレン-Rから選択され、より好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-3アルキルおよびC1-3アルキレン-Rから選択され、より好ましくはRおよびRの各々が独立してC1-2アルキルおよびC1-2アルキレン-Rから選択される、請求項30~32の何れかの組成物。
  34. 各Rが独立して-OH、-O-(C1-4アルキレン-OH)および-N(C1-4アルキレン-OH)から選択され、好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-3アルキレン-OH)および-N(C1-3アルキレン-OH)から選択され、より好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-2アルキレン-OH)および-N(C1-2アルキレン-OH)から選択される、請求項30~33の何れかの組成物。
  35. 各Rが独立して-OH、2-ヒドロキシエトキシおよびビス(2-ヒドロキシエチル)アミノから選択される、請求項30~34の何れかの組成物。
  36. およびRの各々が独立してメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル、2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルおよび1,5-ジヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシエチル)ペンタン-3-イルから選択され、好ましくはRおよびRの両方が2-ヒドロキシエチルまたは2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルである、請求項30~35の何れかの組成物。
  37. 緩衝物質がビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ-トリス(ヒドロキシメチル)メタン(ビス-トリス-メタンまたはBTM)およびそのプロトン化形態、トリエタノールアミン(TEA)およびそのプロトン化形態、エチルジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、2-(ジエチルアミノ)エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、トリエチルアミンおよびそのプロトン化形態、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、ジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびそのプロトン化形態、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよびそのプロトン化形態およびトリメチルアミンN-オキシドおよびそのプロトン化形態から選択される、請求項1~36の何れかの組成物。
  38. 緩衝物質が少なくとも1個のC1-6アルキレン-R(例えば2-ヒドロキシエチル)部分を含む、請求項1~37の何れかの組成物。
  39. (i)RNA;および(ii)式N(R)(R)(R)を有する緩衝物質、そのN-オキシドまたはそのプロトン化形態を含む緩衝系を含む水相を含む組成物であって、ここで:
    、RおよびRの各々は独立してH、C1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個はH、CH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)であるか;またはR、RおよびRの2個は窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成し;
    各Rは独立して-OH、-O-(C1-6アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-6アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zは独立して0および1から選択され;そして各Rは独立してHおよびC1-3アルキルから選択され;そして
    各Rは独立してC1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から選択されるものである、組成物。
  40. 、RおよびRの各々がC1-6アルキル、C1-6アルキレン-R、CH(C1-5アルキレン-R)およびC(C1-5アルキレン-R)から独立して選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がCH(C1-5アルキレン-R)またはC(C1-5アルキレン-R)であり、好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-4アルキル、C1-4アルキレン-R、CH(C1-3アルキレン-R)およびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がCH(C1-3アルキレン-R)またはC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-3アルキル、C1-3アルキレン-R、CH(C1-3アルキレン-R)およびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がCH(C1-3アルキレン-R)またはC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-2アルキル、C1-2アルキレン-R、CH(C1-2アルキレン-R)およびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がCH(C1-2アルキレン-R)またはC(C1-2アルキレン-R)である、請求項39の組成物。
  41. 、RおよびRの各々が独立してC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がC(C1-5アルキレン-R)であり、好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がC(C1-3アルキレン-R)であり、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、ここで、R、RおよびRの最大1個がC(C1-2アルキレン-R)である、請求項39または40の組成物。
  42. 、RおよびRの各々が独立してC1-6アルキルおよびC1-6アルキレン-Rから選択され、好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-4アルキルおよびC1-4アルキレン-Rから選択され、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-3アルキルおよびC1-3アルキレン-Rから選択され、より好ましくはR、RおよびRの各々が独立してC1-2アルキルおよびC1-2アルキレン-Rから選択される、請求項39~41の何れかの組成物。
  43. 各Rが独立して-OH、-O-(C1-4アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-4アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zが独立して0および1から選択され;そして各Rが独立してHおよびC1-3アルキルから選択され、好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-3アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-3アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zが独立して0および1から選択され;そして各Rが独立してHおよびC1-3アルキルから選択され、より好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-2アルキレン-OH)および-N(R)-(C1-2アルキレン-OH)2-zから選択され、ここで、各zが独立して0および1から選択され;そして各Rが独立してHおよびC1-2アルキルから選択される、請求項39~42の何れかの組成物。
  44. 各Rが独立して-OH、-O-(C1-4アルキレン-OH)および-N(C1-4アルキレン-OH)から選択され、好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-3アルキレン-OH)および-N(C1-3アルキレン-OH)から選択され、より好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-2アルキレン-OH)および-N(C1-2アルキレン-OH)から選択される、請求項39~43の何れかの組成物。
  45. 各Rが独立して-OH、2-ヒドロキシエトキシおよびビス(2-ヒドロキシエチル)アミノから選択される、請求項39~44の何れかの組成物。
  46. 、RおよびRの各々が独立してメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル、2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルおよび1,5-ジヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシエチル)ペンタン-3-イルから選択される、請求項39~45の何れかの組成物。
  47. 、RおよびRの全て同じである、請求項39~46の何れかの組成物。
  48. 、RおよびRの全てがメチル、エチルまたは2-ヒドロキシエチルである、請求項47の組成物。
  49. およびRが同一であり、RがRおよびRと異なる、請求項39~46の何れかの組成物。
  50. およびRの各々が2-ヒドロキシエチル、エチルまたはメチルである、請求項49の組成物。
  51. がメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル、2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルおよび1,5-ジヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシエチル)ペンタン-3-イルから選択される、請求項49または50の組成物。
  52. およびRが窒素原子と一体となって所望により1個または2個のRで置換されている5員または6員N-ヘテロ環式環を形成する、請求項39の組成物。
  53. がC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、好ましくはRがC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルおよび2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルから選択される、請求項52の組成物。
  54. N-ヘテロ環式環が1個の窒素環原子のみ含むならば、この窒素環原子がRで置換されており、RがH以外である、またはN-ヘテロ環式環が1個を超える窒素環原子を含むならば、1個の窒素環原子がRで置換されており、RがH以外であり、他の窒素環原子の少なくとも1個、好ましくは他の窒素環原子の各々、がRで置換されている、請求項52~53の何れかの組成物。
  55. 各Rが独立してC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、好ましくはRがC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルおよび2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルから選択される、請求項52~54の何れかの組成物。
  56. N-ヘテロ環式環がピペリジニルであり、環N原子がRで置換されており、ここで、RがH以外である、請求項52~55の何れかの組成物。
  57. N-ヘテロ環式環がピペラジニルであり、2個の環N原子の1個がRで置換されており、RがH以外であり、他の環N原子が所望によりRで置換されており、好ましくは他の環N原子がRで置換されている、請求項52~55の何れかの組成物。
  58. 両環N原子が置換されており、RがC1-6アルキル、C1-6アルキレン-RおよびC(C1-5アルキレン-R)から選択され、好ましくはRがC1-4アルキル、C1-4アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-3アルキル、C1-3アルキレン-RおよびC(C1-3アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがC1-2アルキル、C1-2アルキレン-RおよびC(C1-2アルキレン-R)から選択され、より好ましくはRがメチル、エチル、2-ヒドロキシエチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルおよび2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エチルから選択される、請求項57の組成物。
  59. 各Rが独立して-OH、-O-(C1-4アルキレン-OH)および-N(C1-4アルキレン-OH)から選択され、好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-3アルキレン-OH)および-N(C1-3アルキレン-OH)から選択され、より好ましくは各Rが独立して-OH、-O-(C1-2アルキレン-OH)および-N(C1-2アルキレン-OH)から選択される、請求項52~58の何れかの組成物。
  60. 各Rが独立して-OH、2-ヒドロキシエトキシおよびビス(2-ヒドロキシエチル)アミノから選択される、請求項52~59の何れかの組成物。
  61. およびRが同じである、請求項52~60の何れかの組成物。
  62. およびRの両方がメチル、エチル、2-ヒドロキシエチルまたは2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルであり、好ましくはRおよびRの両方が2-ヒドロキシエチルである、請求項61の組成物。
  63. およびRが互いに異なる、請求項52~60の何れかの組成物。
  64. 緩衝物質がビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ-トリス(ヒドロキシメチル)メタン(ビス-トリス-メタンまたはBTM)およびそのプロトン化形態、トリエタノールアミン(TEA)およびそのプロトン化形態、エチルジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、2-(ジエチルアミノ)エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、トリエチルアミンおよびそのプロトン化形態、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、ジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびそのプロトン化形態、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよびそのプロトン化形態およびトリメチルアミンN-オキシドおよびそのプロトン化形態から選択される、請求項39~63の何れかの組成物。
  65. 緩衝物質が少なくとも1個のC1-6アルキレン-R(例えば2-ヒドロキシエチル)部分を含む、請求項39~64の何れかの組成物。
  66. 緩衝系がさらにクロライド、酢酸、グリコール酸、乳酸およびクエン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸またはアジピン酸のアニオンなどのジまたはトリカルボン酸のアニオンからなる群から選択されるアニオンを含む、請求項1~65の何れかの組成物。
  67. 組成物中の緩衝物質の濃度が約10mM~約200mM、好ましくは約15mM~約100mM、より好ましくは約20mM~約80mM、より好ましくは約40mM~約60mM、例えば約50mMである、請求項1~66の何れかの組成物。
  68. 組成物のpHが約4.0~約8.0、好ましくは約4.5~約8.0、例えば約5.0~約8.0、約5.5~約8.0、約6.0~約8.0、約6.5~約8.0、約6.8~約7.9または約7.0~約7である.8、請求項1~67の何れかの組成物。
  69. 水が組成物の主成分であるおよび/または組成物に含まれる水以外の溶媒の総量が約0.5%(v/v)未満である、請求項1~68の何れかの組成物。
  70. 組成物の浸透圧が最大約1000×10-3osmol/kg、好ましくは約100×10-3osmol/kg~約750×10-3osmol/kg、例えば約100×10-3osmol/kg~約500×10-3osmol/kg、より好ましくは約300×10-3osmol/kgである、請求項1~69の何れかの組成物。
  71. 組成物中のRNA濃度が約5mg/l~約500mg/l、例えば約10mg/l~約400mg/l、約10mg/l~約300mg/l、約10mg/l~約200mg/l、約10mg/l~約150mg/lまたは約10mg/l~約100mg/l、好ましくは約10mg/l~約140mg/l、より好ましくは約20mg/l~約130mg/l、より好ましくは約30mg/l~約120mg/lである、請求項1~70の何れかの組成物。
  72. 組成物が抗凍結剤を含む、請求項1~71の何れかの組成物。
  73. カチオン的にイオン化可能な脂質が生理学的条件下でプロトン化され得る少なくとも1個の窒素原子を含む頭基を含む、請求項1~38および66~72の何れかの組成物。
  74. カチオン的にイオン化可能な脂質が式(X)
    の構造を有するかまたはその薬学的に許容される塩、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体であり、ここで:
    10およびL20の一方が-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-または-NRC(=O)O-であり、L10およびL20の他方が-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-または-NRC(=O)O-または直接結合であり;
    およびGが各々独立して非置換C-C12アルキレンまたはC2-12アルケニレンであり;
    がC1-24アルキレン、C2-24アルケニレン、C3-8シクロアルキレンまたはC3-8シクロアルケニレンであり;
    がHまたはC1-12アルキルであり;
    35およびR36が各々独立してC6-24アルキルまたはC6-24アルケニルであり;
    37がH、OR50、CN、-C(=O)OR40、-OC(=O)R40または-NR50C(=O)R40であり;
    40がC1-12アルキルであり;
    50がHまたはC1-6アルキルであり;そして
    xが0、1または2である、
    請求項1~38および66~73の何れかの組成物。
  75. カチオン性またはカチオン的にイオン化可能な脂質が式(XI):
    の構造を有し、ここで、
    およびRの各々が独立してRまたは-G-L-Rであり、ここで、RおよびRの少なくとも1個が-G-L-Rであり;
    およびRの各々が独立してC1-6アルキル、C2-6アルケニル、アリールおよびC3-10シクロアルキルからなる群から選択され;
    およびRの各々が独立して少なくとも10個の炭素原子を有する非環状ヒドロカルビル基であり;
    およびGの各々が独立して非置換C1-12アルキレンまたはC2-12アルケニレンであり;
    およびLの各々が独立して-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NRaC(=O)-、-C(=O)NRa-、-NRaC(=O)NRa-、-OC(=O)NRa-および-NRaC(=O)O-からなる群から選択され;
    RaがHまたはC1-12アルキルであり;
    mが0、1、2、3または4であり;そして
    xが0、1または2である、
    請求項1~38および66~73の何れかの組成物。
  76. カチオン的にイオン化可能な脂質が組成物に存在する総脂質の約20mol%~約80mol%、好ましくは約25mol%~約65mol%、より好ましくは約30mol%~約50mol%、例えば約40mol%~約50mol%を構成する、請求項1~38および66~75の何れかの組成物。
  77. さらに、好ましくはポリマーコンジュゲート脂質、中性脂質、ステロイドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上の付加的脂質を含み、より好ましくは組成物がカチオン的にイオン化可能な脂質、ポリマーコンジュゲート脂質、中性脂質(例えば、リン脂質)およびステロイドを含む、請求項1~76の何れかの組成物。
  78. ポリマーコンジュゲート脂質がペグ化脂質を含み、ここで、ペグ化脂質が好ましくは(i)DSPE-PEG、DOPE-PEG、DPPE-PEGおよびDMPE-PEGからなる群から選択される;または(ii)次の構造:
    を有するかまたはその薬学的に許容される塩、互変異性体もしくは立体異性体であり、ここで:
    12およびR13が各々独立して、10~30個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和アルキル鎖であり、ここで、アルキル鎖が所望により1以上のエステル結合により中断されており;そしてwが30~60の範囲の平均値を有する、請求項77の組成物。
  79. ポリマーコンジュゲート脂質がポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲートを含み、ここで、ポリサルコシン脂質コンジュゲートまたはポリサルコシンと脂質様物質のコンジュゲートが好ましくはポリサルコシン-ジアシルグリセロールコンジュゲート、ポリサルコシン-ジアルキルオキシプロピルコンジュゲート、ポリサルコシン-リン脂質コンジュゲート、ポリサルコシン-セラミドコンジュゲートおよびそれらの混合物からなる群から選択されるメンバーである、請求項77の組成物。
  80. ポリマーコンジュゲート脂質が組成物に存在する総脂質の約0.5mol%~約5mol%、好ましくは約1mol%~約5mol%、より好ましくは約1mol%~約4.5mol%を構成する、請求項77~79の何れかの組成物。
  81. 中性脂質が好ましくはホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリンおよびスフィンゴミエリンからなる群から選択される、より好ましくはジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジペンタデカノイルホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジアラキドイルホスファチジルコリン(DAPC)、ジベヘノイルホスファチジルコリン(DBPC)、ジトリコサノイルホスファチジルコリン(DTPC)、ジリグノセロイルフタチジルコリン(DLPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルコリン(POPC)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0 Diether PC)、1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(C16 Lyso PC)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジパルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジラウロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DLPE)およびジフィタノイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPyPE)からなる群から選択されるリン脂質である、請求項77~80の何れかの組成物。
  82. 中性脂質が組成物に存在する総脂質の約5mol%~約40mol%、好ましくは約5mol%~約20mol%、より好ましくは約5mol%~約15mol%を構成する、請求項77~81の何れかの組成物。
  83. ステロイドがコレステロールなどのステロールを含む、請求項77~82の何れかの組成物。
  84. ステロイドが組成物に存在する総脂質の約10mol%~約65mol%、好ましくは約20mol%~約60mol%、より好ましくは約30mol%~約50mol%を構成する、請求項77~83の何れかの組成物。
  85. カチオン的にイオン化可能な脂質、ポリマーコンジュゲート脂質、中性脂質(例えば、リン脂質)およびステロイドを含み、ここで、カチオン的にイオン化可能な脂質が組成物に存在する総脂質の約30mol%~約50mol%、例えば約40mol%~約50mol%を構成し;ポリマーコンジュゲート脂質が組成物に存在する総脂質の約1mol%~約4.5mol%を構成し;中性脂質(例えば、リン脂質)が組成物に存在する総脂質の約5mol%~約15mol%を構成し;そしてステロイドが組成物に存在する総脂質の約30mol%~約50mol%を構成する、請求項77~84の何れかの組成物。
  86. RNAの少なくとも一部、および、存在するならば、1以上の脂質が脂質ナノ粒子(LNP)、リポソームおよび/またはリポフレックス(LPX)などの粒子中に存在する、請求項1~85の何れかの組成物。
  87. 粒子が約30nm~約500nmのサイズを有する、請求項86の組成物。
  88. RNAがmRNAまたは阻害性RNAである、請求項1~87の何れかの組成物。
  89. RNAが(i)ウリジンの代わりに修飾ヌクレオシドを含み、ここで修飾ヌクレオシドが好ましくはシュードウリジン(ψ)、N1-メチル-シュードウリジン(m1ψ)および5-メチル-ウリジン(m5U)から選択される;(ii)コドン最適化されているコード配列を有する;および/または(iii)野生型コード配列と比較してG/C含量が増加しているコード配列を有する、請求項1~88の何れかの組成物。
  90. RNAが次の5’キャップ;5’ UTR;3’ UTR;およびポリA配列の少なくとも1個、好ましくは全てを含む、請求項1~89の何れかの組成物。
  91. ポリA配列が少なくとも100個のAヌクレオチドを含み、ここで、ポリA配列が好ましくはAヌクレオチドの中断配列である、請求項90の組成物。
  92. 5’キャップがキャップ1またはキャップ2構造である、請求項90または91の組成物。
  93. RNAが1以上のポリペプチドをコードし、ここで、好ましくは1以上のポリペプチドが対象における抗原に対する免疫応答を誘導するための薬学的活性ポリペプチドであるおよび/またはエピトープを含む、請求項1~92の何れかの組成物。
  94. 薬学的活性ポリペプチドおよび/または抗原またはエピトープが病原体のタンパク質、タンパク質の免疫原性バリアントまたはタンパク質の免疫原性フラグメントもしくはその免疫原性バリアントに由来するかまたはそれである、請求項93の組成物。
  95. 薬学的活性ポリペプチドおよび/または抗原またはエピトープがSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質、その免疫原性バリアントまたはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性フラグメントに由来するかまたはそれである、請求項93または94の組成物。
  96. 組成物が好ましくは約2℃~約10℃の温度で液体である、請求項1~95の何れかの組成物。
  97. 組成物の少なくとも1週間、好ましくは約2℃~約8℃の温度で保存後のRNA完全性が保存前のRNA完全性と比較して少なくとも50%である、請求項1~96の何れかの組成物。
  98. 組成物の保存後のRNA粒子(特にLNP)のサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/または多分散性指数(PDI)が保存前のRNA粒子のサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/またはPDIと本質的に等しい、請求項87~97の何れかの組成物。
  99. 組成物が凍結形態である、請求項1~95の何れかの組成物。
  100. 凍結組成物解凍後のRNA完全性が組成物凍結前のRNA完全性と比較して少なくとも50%である、請求項99の組成物。
  101. 凍結組成物解凍後のRNA粒子(特にLNP)のサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/または多分散性指数(PDI)が組成物凍結前のRNA粒子のサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/またはPDIと本質的に等しい、請求項99または100の組成物。
  102. 最終水相に分散したLNPを含む組成物を製造する方法であって、ここで、LNPはカチオン的にイオン化可能な脂質およびRNAを含み;最終水相は最終緩衝物質、最終式N(R)(R)(R)を有する緩衝物質、そのN-オキシドまたはそのプロトン化形態を含み、ここで、R、RおよびRは請求項1~38の何れかに定義するとおりであり;
    (I)最終水相に分散した、カチオン的にイオン化可能な脂質およびRNAを含むLNPを含む製剤を製造し;そして
    (II)所望により製剤を約-10℃以下まで凍結し、
    それにより組成物を得ることを含み、
    ここで、工程(I)は:
    (a)水および第一緩衝系を含むRNA溶液を製造し;
    (b)カチオン的にイオン化可能な脂質および、存在するならば、1以上の付加的脂質を含むエタノール性溶液を製造し;
    (c)(a)の下に製造したRNA溶液と(b)の下に製造したエタノール性溶液を混合し、それにより第一緩衝系を含む第一水相に分散したLNPを含む第一中間製剤を製造し;そして
    (d)最終緩衝系を含む最終水性緩衝液を使用して(c)の下に製造した第一中間製剤を濾過し、
    それにより最終水相に分散したLNPを含む製剤を製造する
    ことを含む、方法。
  103. 工程(I)が希釈および濾過から選択される1以上の工程をさらに含む、請求項102の方法。
  104. 工程(I)が:
    (a’)水性RNA溶液を準備し;
    (b’)第一緩衝系を含む第一水性緩衝液を準備し;
    (c’)(a’)の下に準備した水性RNA溶液と(b’)の下に準備した第一水性緩衝液を混合し、それにより水および第一緩衝系を含むRNA溶液を製造し;
    (d’)カチオン的にイオン化可能な脂質および、存在するならば、1以上の付加的脂質を含むエタノール性溶液を製造し;
    (e’)(c’)の下に製造したRNA溶液と(d’)の下に製造したエタノール性溶液を混合し、それにより第一緩衝系を含む第一水相に分散されたLNPを含む第一中間製剤を製造し;
    (f’)所望によりさらなる緩衝系を含むさらなる水性緩衝液を使用して、(e’)の下に製造した第一中間製剤を濾過し、それによりさらなる緩衝系を含むさらなる水相に分散したLNPを含むさらなる中間製剤を製造し、ここで、さらなる水性緩衝液が第一水性緩衝液と同一でも異なってもよく;
    (g’)所望により工程(f’)を1回、2回またはそれ以上繰り返し、ここで、1サイクルの工程(f’)の後に得たさらなる緩衝系を含むさらなる水相に分散したLNPを含むさらなる中間製剤を次サイクルの第一中間製剤として使用し、ここで、各サイクルにおいて、さらなる水性緩衝液が第一水性緩衝液と同一でも異なってもよく;
    (h’)工程(f’)がないならば工程(e’)で得た第一中間製剤または工程(f’)が存在し、工程(g’)が存在しないならば工程(f’)で得たさらなる中間製剤または工程(f’)および(g’)が存在するならば工程(g’)後に得たさらなる中間製剤を、最終緩衝系を含む最終水性緩衝液を使用して濾過し;そして
    (i’)所望により工程(h’)で得た製剤を希釈溶液で希釈し;
    それにより最終水相に分散したLNPを含む製剤を製造する
    ことを含む、請求項102または103の方法。
  105. 濾過がタンジェンシャルフロー濾過または透析濾過、好ましくはタンジェンシャルフロー濾過である、請求項102~104の何れかの方法。
  106. (II)製剤の約-10℃以下までの凍結を含む、請求項102~105の何れかの方法。
  107. 工程(I)で得た製剤および組成物が抗凍結剤を含む、請求項106の方法。
  108. 最終緩衝物質がBTMおよびそのプロトン化形態、TEAおよびそのプロトン化形態、エチルジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、2-(ジエチルアミノ)エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、トリエチルアミンおよびそのプロトン化形態、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、ジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびそのプロトン化形態、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよびそのプロトン化形態およびトリメチルアミンN-オキシドおよびそのプロトン化形態から選択される、請求項102~107の何れかの方法。
  109. 組成物における最終緩衝物質の濃度が約10mM~約200mM、好ましくは約15mM~約100mM、より好ましくは約20mM~約80mM、より好ましくは約40mM~約60mM、例えば約50mMである、請求項102~108の何れかの方法。
  110. (i)工程(a)で得たRNA溶液が6.0未満、好ましくは最大約5.0、より好ましくは最大約4.5のpHを有する;または(ii)第一水性緩衝液が6.0未満、好ましくは最大約5.0、より好ましくは最大約4.5のpHを有する、請求項102~109の何れかの方法。
  111. (i)工程(a)で使用する第一緩衝系が工程(d)で使用する最終緩衝物質を含み、好ましくは工程(a)で使用する第一緩衝系の緩衝系およびpHが工程(d)で使用する最終水性緩衝液の緩衝系およびpHと同一である;または(ii)第一緩衝系および工程(b’)、(f’)および(g’)で使用する全てのさらなる緩衝系の各々が工程(h’)で使用する最終緩衝物質を含み、好ましくは第一水性緩衝液および工程(b’)、(f’)および(g’)で使用する全てのさらなる水性緩衝液の緩衝系およびpHが最終水性緩衝液の緩衝系およびpHと同一である、請求項102~110の何れかの方法。
  112. 組成物のpHが約4.0~約8.0、好ましくは約4.5~約8.0、例えば約5.0~約8.0、約5.5~約8.0、約6.0~約8.0、約6.5~約8.0、約6.8~約7.9または約7.0~約7である.8、請求項102~111の何れかの方法。
  113. 水が製剤の主成分であるおよび/または組成物および/または組成物に含まれる水以外の溶媒の総量が約0.5%(v/v)未満である、請求項102~112の何れかの方法。
  114. 組成物の浸透圧が最大約1000×10-3osmol/kg、好ましくは約100×10-3osmol/kg~約750×10-3osmol/kg、例えば約100×10-3osmol/kg~約500×10-3osmol/kg、より好ましくは約300×10-3osmol/kgである、請求項102~113の何れかの方法。
  115. 組成物中のRNA濃度が約5mg/l~約500mg/l、例えば約10mg/l~約400mg/l、約10mg/l~約300mg/l、約10mg/l~約200mg/l、約10mg/l~約150mg/lまたは約10mg/l~約100mg/l、好ましくは約10mg/l~約140mg/l、より好ましくは約20mg/l~約130mg/l、より好ましくは約30mg/l~約120mg/lである、請求項102~114の何れかの方法。
  116. カチオン的にイオン化可能な脂質が生理学的条件下でプロトン化され得る少なくとも1個の窒素原子を含む頭基を含む、請求項102~115の何れかの方法。
  117. 工程(b)または(d’)で製造したエタノール性溶液がさらに1以上の付加的脂質を含み、LNPが1以上の付加的脂質をさらに含み、ここで、1以上の付加的脂質が好ましくはポリマーコンジュゲート脂質、中性脂質、ステロイドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは1以上の付加的脂質がポリマーコンジュゲート脂質、中性脂質(例えば、リン脂質)およびステロイドを含む、請求項102~116の何れかの方法。
  118. カチオン的にイオン化可能な脂質、ポリマーコンジュゲート脂質、中性脂質およびステロイドがエタノール性溶液に20%~60%のカチオン的にイオン化可能な脂質、0.5%~15%のポリマーコンジュゲート脂質、5%~25%の中性脂質(例えば、リン脂質)および25%~55%のステロイドのモル比、好ましくは45%~55%のカチオン的にイオン化可能な脂質、1.0%~5%のポリマーコンジュゲート脂質、8%~12%の中性脂質および35%~45%のステロイドのモル比で存在する、請求項102~117の何れかの方法。
  119. RNAが請求項88および89~95の何れかで定義したとおりである、請求項102~118の何れかの方法。
  120. 工程(II)を含まない、請求項102~105および107~119の何れかの方法。
  121. 水性RNA組成物を製造する方法であって、
    (I)RNAおよび水相を含む製剤を製造し、ここで、水相は緩衝物質、式N(R)(R)(R)を有する緩衝物質、そのN-オキシドまたはそのプロトン化形態を含み、ここで、R、RおよびRは請求項1~38の何れかに定義するとおりであり;そして
    (II)所望により製剤を約-10℃以下まで凍結し、
    それにより組成物を得る
    ことを含む、方法。
  122. (II)製剤の約-10℃以下までの凍結を含む、請求項121の方法。
  123. 組成物が抗凍結剤を含む、請求項122の方法。
  124. 工程(II)を含まない、請求項121の方法。
  125. 緩衝物質がBTMおよびそのプロトン化形態、TEAおよびそのプロトン化形態、エチルジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、2-(ジエチルアミノ)エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、トリエチルアミンおよびそのプロトン化形態、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタン-1-オールおよびそのプロトン化形態、ジエタノールアミンおよびそのプロトン化形態、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンおよびそのプロトン化形態、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよびそのプロトン化形態およびトリメチルアミンN-オキシドおよびそのプロトン化形態から選択される、請求項121~124の何れかの方法。
  126. 請求項102~119、121、122および125の何れかの方法に従い組成物を製造し、組成物を約-90℃~約-10℃の範囲の温度で、例えば約-90℃~約-40℃または約-25℃~約-10℃で保存することを含む、成物を保存する方法。
  127. 組成物が抗凍結剤を含む、126の方法。
  128. 組成物の保存が少なくとも1カ月、例えば少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも12カ月、少なくとも24カ月または少なくとも36カ月である、請求項127の方法。
  129. 請求項102~128の何れかの方法に従い組成物を製造し、組成物を約0℃~約20℃、例えば約1℃~約15℃、約2℃~約10℃または約2℃~約8℃の範囲の温度または約5℃の温度で保存することを含む、成物を保存する方法。
  130. 組成物の保存が少なくとも1週間、例えば少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも12カ月または少なくとも24カ月である、請求項129の方法。
  131. 請求項102~130の何れかの方法により製造可能な組成物。
  132. 凍結形態である、請求項131の組成物。
  133. 抗凍結剤をさらに含む、請求項132の組成物。
  134. 凍結組成物解凍後のRNA完全性が組成物を凍結する前の組成物のRNA完全性と比較して少なくとも50%である、請求項132または133の組成物。
  135. 凍結組成物解凍後のRNA粒子のサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/または多分散性指数(PDI)が組成物凍結前のRNA粒子のサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/またはPDIと本質的に等しい、請求項132~134の何れかの組成物。
  136. 液体形態である、請求項131の組成物。
  137. 少なくとも1週間組成物保存後のRNA完全性が保存前のRNA完全性と比較して少なくとも50%である、請求項136の組成物。
  138. 組成物を少なくとも1週間保存後のRNA粒子のサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/または多分散性指数(PDI)が保存前のRNA粒子のサイズ(Z平均)および/またはサイズ分布および/またはPDIと本質的に等しい、請求項136または137の組成物。
  139. 請求項102~119、121、122、123および125~128の何れかに従い凍結組成物を準備し、凍結組成物を解凍して、それにより使用準備済医薬組成物を得る工程を含む、使用準備済医薬組成物を製造する方法。
  140. 請求項102~105、107~121、124、125、129および130の何れかに従い液体組成物を製造し、それにより使用準備済医薬組成物を得る工程を含む、使用準備済医薬組成物を製造する方法。
  141. 請求項139または140の方法により製造可能な、使用準備済医薬組成物。
  142. 治療に使用するための、請求項1~101、131~138および141の何れかの組成物。
  143. 対象における免疫応答の誘導に使用するための、請求項1~101、131~138および141の何れかの組成物。
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