JP2024510533A - 患者血清からの神経膠腫脳腫瘍の検出のための抗slc3a2自己抗体及びslc3a2を使用する方法 - Google Patents

患者血清からの神経膠腫脳腫瘍の検出のための抗slc3a2自己抗体及びslc3a2を使用する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、患者血清を使用することによって神経膠芽腫脳腫瘍(GB)及び/又は進行期神経膠腫脳腫瘍を有する患者の早期診断及び治療を可能にする診断/検出方法に関する。本発明は、GB患者の血清に見られる抗SLC(とくに抗SLC3a2)自己抗体、及びこの抗体が相互作用する変異体、異性体又は修飾SLC自己抗原の相互作用による高感度及び特異性のGB診断を提供する。

Description

本発明に関連する技術分野

本発明は、神経膠芽腫(GB)及び/又は進行性神経膠腫脳腫瘍を有する患者の早期診断及び治療を可能にする自己抗体を使用する方法であって、これらの自己抗体によって認識される患者血清及び抗原を使用する、方法に関する。
本発明に関連する標準的な技術(従来技術)

現在の方法では、進行した神経膠腫の1つである神経膠芽腫(GB)を診断するために、腫瘍組織を患者から外科的に採取し、GBの病理学的マーカーを分析する。したがって、疾患の診断は、外科的治療後、すなわち腫瘍が急速に進行し、悪性腫瘍が増加した後期にのみ行うことができるにすぎず、かかる状況は患者の寿命を有意に縮めているといわざるをえない。
当該疾患の前記診断は、最初にMR所見の検査及び外科手術、放射線療法及び補助化学療法(患者はテモゾロミドで治療される)の後に続けて行われる。頭蓋磁気共鳴画像法(MRI)による腫瘍の検出後に外科手術が計画される。しかしながら、腫瘍画像は、放射線壊死又は他の脳病変によっても引き起こされることがあり、MRIのみではグリア腫瘍診断の方法は不十分であるという憂慮すべき状況である。
したがって、腫瘍がグリア腫瘍であるか及び/又はMRIの前後のその病期に関する情報を得ることは、(針生検又は安全な最大切除術の必要性を決定することによって)外科的治療を導き、患者の寿命及び質を高めることができる。さらに、腫瘍の位置に起因して、腫瘍は、この情報なしで外科的治療が行われた後に運動技能の喪失及び発話障害などの損傷を引き起こす可能性がある。
神経膠腫特異的及び/又は神経膠腫段階決定診断システムは、この悪性(致死的)疾患の治療を管理し、患者の生存期間及び生活の質を高めるという点で非常に重要であると結論される。
一方、現在の治療法である放射線療法や化学療法では、正常な組織や臓器に害を及ぼさずに当該疾患を治療することはできない。治療法が腫瘍特異的ではないからである。正常な条件下では、患者はGBの診断がなされた後平均15ヶ月間統計的に生存することができる。現在の診断及び治療方法は、この期間を延長するには不十分である。したがって、外科手術前の進行した神経膠腫脳腫瘍の診断は、疾患の治療プロセスを有意に改善することができるし、このシステムの構成要素が神経膠腫特異的バイオマーカーを提供する場合、腫瘍特異的標的化治療アプローチを開発することによって疾患との対処における2つ目の改善がなされる可能性があるのである。
特許文献国際公開第2015200823号は、神経膠芽腫(GB)組織で同定された33個の細胞表面タンパク質について言及しており、これはGB患者を健康な対照と98%を超える精度で識別した。しかし、これらのタンパク質については、いずれも自己抗原であることや血流中を循環していることについての報告は記載されていない。これらのタンパク質は、GB患者の診断に使用することができるが、抗体ではないため、患者の血清中で長時間循環することは期待されない。
自己抗体は、それ自体の抗原に対する生物の反応を示す。これらの抗原は、身体の器官のすべての細胞型又は特定の細胞に対しても発生し得る。これらの抗体は、自己免疫疾患を有する患者における炎症及び寛容の喪失の基本的な機構に関する情報を提供する。多くの自己免疫疾患において、自己抗体の存在は、何ヶ月又は何年も前に臨床所見の発現なしに観察されている。自己抗体は、特異的な臨床所見、疾患重症度、及び進行の程度も示すマーカーである。
自己抗体は、多くの疾患の診断に使用されているが、とくにGB疾患に特異的な自己抗体を使用する診断方法及びシステムはない。中国特許第102590511号と番号付けされた特許文献では、種々の癌とともに神経膠腫の診断に使用することができるIGFBP-2自己抗体を検出し、診断キットとして使用することができると述べられている。
SLC(solute carriers 溶質担体)担体タンパク質は、65メンバーを有するスーパーファミリーを形成する遺伝子からなる。それらは主に分子/薬物送達に関与し、薬物耐性研究において頻繁に参照される研究資源である。サブ分類は、それらがどのタイプの分子送達に関与しているかに従ってSLCファミリーに行われ、これらのファミリーには以下が含まれる:
SLC1ファミリー、SLC2ファミリー....SLC65ファミリー。
また、各ファミリーにサブメンバーが存在する。例えば、SLC3ファミリーは、SLC3a1及びSLC3a2などの2つのメンバーを有する。一般に、作動機構において、それらはSLC7ファミリーのメンバーと一緒に作用するので、ほとんどの研究は通常、両方を一緒に分析する。一方、SLC3a2(他の名称はCD98である;4F2)は、SLC7a5と二量体を形成して機能し、ともにアミノ酸の送達に関与する。CD98は、膜貫通タンパク質であり、細胞表面に見出される。したがって、CD98の薬物による標的化は容易に行うことができる。
GB疾患のための新しい治療方法が必要とされている。GB疾患は非常に悪性であり、予後不良であるからである。しかしながら、処置における優先度が高いのは、疾患の早期診断である。そのため、疾患の早期診断を可能にし、患者の生存時間を延長する方法が希求されている。
本発明の概要及び目的

本発明により、患者の血液試料のみを使用することにより、早期に外科手術を必要とせずに、進行期神経膠腫を迅速に検出することができる。従来技術には、GB及び/又は進行期神経膠腫患者の診断及び処置を可能にする自己抗体ベースの診断方法及び予後診断方法又はキットは、存在しない。
本発明においては、GB特異的抗SLC(とくに本発明の一例では抗SLC3A2(solute carrier 3a2))自己抗体の存在が、免疫沈降後のウエスタンブロット分析によって示され、自己抗体レベルの増加のGB疾患との関連付けが、GB患者及び他の神経膠腫患者と健康な個体との比較により、当該自己抗体のレベルを決定することにより、なされる。高悪性度の疾患を検出することにより提供される利点に加えて、低悪性度神経膠腫における、当該自己抗体とSLC3a2との相互作用がない腫瘍の鑑別診断による、神経膠腫のステージの進行を追跡する手法(opportunity)も、本発明は提供する。このことは、グレードIIからGBへの進行の診断にとくに有用である可能性がある。したがって、本発明は、患者の血液中のSLC3a2特異的自己抗体の存在、並びにSLC3a2発現レベル及び修飾の決定によってGB腫瘍の診断及び疾患の追跡を提供することを可能にする方法をカバーしているのである。
本発明では、イムノアッセイ(抗体ベース)法によって患者血清中に見られる抗SLC3a2自己抗体のレベルを決定し、神経膠芽腫脳腫瘍及び高悪性度神経膠腫への進行についての診断を行うことを目的としている。
本発明の一例では、対照及び非GB神経膠腫現象と比較したGB中のSLC3a2の発現の増加、及びこのタンパク質についてヒトの体内で産生される自己抗体の存在が、本発明の過程において見出され、本発明による神経膠腫予後と関連するこの自己抗体の増加が、神経膠芽腫の早期診断においてとくに利点を提供することが示されている。
しかしながら、SLC3a2が自己抗原であると決定することにより、血清中の自己抗体の増加を通じて、原発性GB及び続発性GBを有する患者の早期治療選択肢を提供し得る。この目的のために、本発明の方法によって、GB及び/又は高悪性度神経膠腫の診断、さらに早期の治療が、GB患者に外科手術を行うことなく、患者の血液のみを使用することによって簡単かつ迅速に提供される。このこととは別に、本発明で使用される自己抗体による特異性の高いターゲティングは、GBの治療における種々のステージにおける機会を与える道を切り開き可能性がある。
先行技術で利用可能な国際公開第2015200823号と番号付けされた特許文献では、神経膠芽腫(GB)組織で同定された33個の細胞表面タンパク質が言及されているが、本発明のSLC3a2タンパク質及び自己抗原-自己抗体相互作用は言及されていない。このため、本発明で初めて、SLC3a2タンパク質がGB特異的自己抗原相互作用を有し、抗SLC(とくに抗SLC3a2)自己抗体がGB及び/又は進行期神経膠腫の患者の診断及び治療方法に使用できることが言及される。
中国特許第102590511号と番号付けされた特許文献では、様々な癌とともに神経膠芽腫の診断に使用することができるIGFBP-2自己抗体を検出し、診断キットとして使用することができることが言及されているが、SLC3a2自己抗原及び神経膠腫とのその関係は言及されていない。本発明では、抗SLC3a2自己抗体レベル及び神経膠腫における自己抗原SLC3a2の異なるタイプ又は修飾形態の検出は、低悪性度神経膠腫と高悪性度神経膠腫とを識別し、高悪性度神経膠腫の中でも神経膠芽腫(GB)特異的プロファイルを有するGBの診断における特有の特徴も提供する。一方、神経膠芽腫は最も悪性の癌であり、その患者は治療にもかかわらず、通常平均して15ヶ月という短時間で死亡することが知られているため、GBの特徴的な特徴は、抗SLC3a2自己抗体を診断及び治療に有意に有効にする。これに関連して、GB治療の道を開き、患者の寿命を延ばすという観点から、GB疾患の治療及び早期診断の機会を開発するための革新的なアプローチを開発することが非常に重要である。
本発明では、脳腫瘍におけるSLC3a2タンパク質のレベルの上昇が疾患の悪化を引き起こし、また神経膠芽腫脳腫瘍において特別な修飾を受け得ることが示されている。これにより、SLC3a2及び/又はそのアイソタイプ、又はその特定の修飾形態が、脳腫瘍の潜在的なバイオマーカーとなる。一方、自己抗体は、このSLC3a2に結合し、本発明者らが患者血清中でのその存在を示した診断マーカーである。したがって、SLC3a2は、診断及び治療の両方に使用することができる別個のバイオマーカー候補である。
これらの態様では、本発明は、患者血清中の自己抗体、及びこれらの自己抗体によって認識される自己抗原を含む方法を使用することによって、高悪性度神経膠腫脳腫瘍を有する患者の早期診断及び治療を提供する。
患者及び対照組織/血清を使用することによって実施したウエスタンブロットの結果を示す図である。 患者組織切片におけるSLC3a2染色を示す図である。 IP(免疫沈降)法によるGB血清中の抗SLC3a2自己抗体の神経膠腫グレード特異性の調査 GB中のSLC3a2の発現レベルn=9(GB)、n=6(非GB)、n=3(対照); p<0.05、p****<0.001)を示す図である。
本発明は、神経膠芽腫(GB)疾患及び/又は進行期神経膠腫脳腫瘍疾患を有する可能性(probability)を評価するための方法であって、以下のプロセスステップを包含する方法である:
a)組織及び/又は血清試料中のSLC3a2の野生型/アイソフォームの発現レベル又は存在を決定すること、
b)レベルがステップaで決定されたタンパク質に対して、ヒト血清試料で発生した(developed)自己抗体の血中レベルを、正常症例と神経膠腫症例との差を比較すること、
c)SLC3a2タンパク質の発現レベルにおける増加があるかを決定すること。
野生型及び異なる型のSLC3a2タンパク質は、solute carrier 3a2(SLC3a2)タンパク質、変異体SLC3a2タンパク質、SLC3a2タンパク質異性体、修飾SLC3a2、又は他の1つ又は2つ以上のタンパク質と複合体を形成するSLC3a2タンパク質であり得る。
最初に、神経膠芽腫(GB)及び非GB神経膠腫の患者、並びに腫瘍組織を有しない対照対象(てんかん患者)から組織及び血清試料を収集した。患者及び対照組織を均質化することによってタンパク質単離を行った。得られたホモジネート及びヒト血清を一次抗体として使用し、市販のHRPコンジュゲート抗ヒトIgGを二次抗体として使用して、ウエスタンブロット(WB)分析を行った。WB分析の結果、血清抗体及び組織ホモジネートは、30~70kDaの範囲で有意に相互作用することが観察された。したがって、5つの対照、5つの非GB神経膠腫及び5つのGB組織ホモジネートを質量分析によって分析して、候補抗原を検出した。非GBと称する試料は、GB病理を伴わないグレードI-II-III及びIV神経膠腫を指す。
分析の結果、SLC3a2タンパク質は、主にGBで過剰発現していることが観察された。さらに、WB分析で有意であった自己抗体との相互作用のバンドサイズが、その分子量と適合することが観察されている。図1は、患者及び対照組織/血清を使用して行われたWBについての検討の結果を示す図である。この検討では、グレードが検出された神経膠腫組織からタンパク質単離を行った。健康な対照脳組織を検討するために得ることができなかったので、腫瘍診断のないてんかん患者から得られた組織及び血清試料を対照群として使用した。

WB法を使用して行われた分析では、一次抗体の代わりに患者/対照血清を使用し、実験設計の要件としてWB前の試料調製にβ-メルカプトエタノールを使用しなかった。β-メルカプトエタノールを使用しなかった意図は、血清中に存在する自己抗体が複合体構造に特異的である場合にβ-メルカプトエタノールによる分解を防ぐことによって、これらの自己抗体を検出することである。
分析の結果、GB組織及びGB血清は、特徴的な相互作用パターンを示すことが観察された。GB組織との明確な相互作用を有するバンドを、図中の黒い矢印で示す。分析の結果、GB特異的/GBにおいて高い発現レベルを有するタンパク質バンドが25~150kdaの範囲で検出されている。
プロテオミクスデータ及び質量分析の結果、合計3014個のタンパク質が同定され、GBにおけるそれらの10個の発現の増加は、統計学的有意性を示した。特異的相互作用が検出されたkDa範囲のタンパク質からのSLC3a2(solute carrier 3a2)は、GB患者では対照における現象として得られた結果より11倍多く発現されることが明らかになった(p<0.001)。
質量分析の結果、対照組織と比較して、SLC3a2発現に39倍の増加が観察された。そのため、かかる増加が、患者血清を用いて行われたWB分析におけるバンド強度に関連するものであるかを調べた。
WB及びIHCについての検討を、SLC3a2発現が、他の方法による質量分析結果と適合するか否かを試験するために、対照群、非GB群及びGB実験群を用いて行った。
WB分析の結果、SLC3a2の発現は、対照との比較で、GB組織で18.6倍の増加を示すことが見出された。図4に見られるように、SLC3a2は、GBにおいて高い発現を示す。質量分析の結果は、WB;n=9(GB)、n=6(非GB)、n=3(対照);p<0.05、p****<0.001)で評価することによって分析した。
SLC3a2タンパク質を、市販のSLC3a2抗体を用いて、3つの対照、3つの非GB神経膠腫及び3つのGB組織ホモジネートにおいて、免疫沈降(IP)法によって沈殿させ、一次抗体として対照現象、非GB神経膠腫及びGB患者血清を使用するWB法によって分析した。
分析の結果、GB組織ホモジネート中で発現したSLC3a2タンパク質を認識する自己抗体の存在をGB患者血清中で決定した。したがって、疾患の予後に関連し、疾患の診断と治療の両方を導く可能性がある抗SLC3a2自己抗体の存在が、本発明のプロセス中にGB患者の血清で検出され、これらの自己抗体をGBの検出に使用できることが示された。したがって、本発明は、GBの検出のためのSLC3a2タンパク質を認識する自己抗体の使用、及びこれらの自己抗体によって認識される抗原(SLCタンパク質)を標的とする診断方法を包含する。
SLC3a2自己抗体は、2本の重鎖と2本の軽鎖からなり、重さは約150KDaである。当該自己抗体は、抗体タイプの免疫グロブリンGファミリー(IgG)に属する。この自己抗体は、GB組織血清中に存在し、GB患者の組織ホモジネート中に見出されるSLC3a2タンパク質を、非GB神経膠腫組織及び対照組織ホモジネートと比較して、非常に強く、特異的に認識する。
図2に見られるように、免疫組織化学(IHC)染色により、プロテオミクスデータが確認されている。SLC3a2は、GBでより発現されると考えられる。患者組織切片のSLC3a2染色では、対照現象として使用した非GB神経膠腫(B)及びてんかん(C)組織切片と比較して、細胞内及び細胞膜GB患者組織切片(A)において、強いSLC3a2発現が観察されている。
SLC3a2の発現量が、3つの異なる手法(WB、発現分析及びIHC)において、対照組織より統計的に有意に高かったという事実により、SLC3a2に対して患者で発生した自己抗体の存在が裏付けられた。
図3は、SLC3a2自己抗体がGB血清に特異的であることを示す。
IP法によるGB血清中の抗SLC3a2自己抗体の特異性の調査の結果として、市販のSLC3a2を用いた患者並びに患者及び対照群からSLC3a2を沈殿させた後の患者及び対照血清を用いて、WBで分析した。免疫沈降による検討を行って、GB組織で過剰発現するSLC3a2に対するGB血清中の自己抗体の存在を検出した。この目的のために、40μgの対照、非GB及びGB組織溶解物を市販のSLC3a2抗体で沈殿させ、WB分析において一次抗体としてGB血清を使用して分析した。
種々のGB血清を用いて行った分析の結果として、GB血清は、GB組織溶解物と強く相互作用したが、非GB組織溶解物及び対照組織溶解物との相互作用は弱く、バンドは観察されなかった。市販の抗SLC3a2をローディング対照として使用した。GB血清IgGのみが、GBに特異的なSLC3a2に非常に強く結合することが見出された。非GB及びGBタンパク質は同じ膜上に共存するが、GB血清中のSLC3a2自己抗体はGB組織とのみ相互作用した。これらのデータは、GB患者血清中のSLC3a2自己抗体が、GB組織のみに見られるSLC3a2を、より強く認識することを示している。したがって、当該データにより、SLC3a2の別のアイソフォームがGB組織中に存在し得ること、又はSLC3a2がGB中で修飾又は変異され得ることが、示唆される。

Claims (5)

  1. 神経膠芽腫(GB)疾患及び/又は高悪性度神経膠腫脳腫瘍疾患を有する可能性を評価するための、以下のプロセスステップを包含することを特徴とする、方法:
    a)組織及び/又は血清試料中の野生型及び異なる型におけるSLC3a2タンパク質の発現レベル又は存在を決定すること、
    b)ステップaでレベルが決定されたタンパク質に対して発生した自己抗体の血中レベルと、正常現象と神経膠腫現象との差とを比較すること
    c)SLC3a2タンパク質の発現レベルにおける増加があるかを決定すること。
  2. 野生型及び異なる型のSLC3a2タンパク質が、solute carrier 3a2(SLC3a2)タンパク質、変異体SLC3a2タンパク質、SLC3a2タンパク質異性体、修飾SLC3a2、又は他の1つ又は2つ以上のタンパク質と複合体を形成するSLC3a2タンパク質、であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 野生型及び異なる型のsolute carrier 3a2(SLC3a2)タンパク質が、抗SLC3a2自己抗体が相互作用するSLC3a2自己抗原であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 野生型及び異なる型のsolute carrier 3a2(SLC3a2)タンパク質が、solute carrier 3a2(SLC3a2)タンパク質、変異体SLC3a2タンパク質、SLC3a2タンパク質異性体、修飾SLC3a2、又は他の1つ又は2つ以上のタンパク質と複合体を形成するSLC3a2タンパク質、であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. 抗体が、solute carrier 3a2(SLC3a2)タンパク質に結合していることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
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