JP2024510004A - 新規チエノピリミジノン誘導体 - Google Patents

新規チエノピリミジノン誘導体 Download PDF

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    • A61P25/28Drugs for disorders of the nervous system for treating neurodegenerative disorders of the central nervous system, e.g. nootropic agents, cognition enhancers, drugs for treating Alzheimer's disease or other forms of dementia

Abstract

本発明は、式(I)TIFF2024510004000063.tif41165(式中、X、R1~R4は、明細書及び特許請求の範囲で定義されるとおりである)の化合物に関する。式(I)の化合物は、医薬として使用することができる。

Description

本発明は、哺乳動物における治療及び/又は予防に有用な新規有機化合物、特にハンチンチン(huntingtin、HTT)のタンパク質レベルを低下させ、ハンチントン病の処置に有用な化合物に関する。
特に、本発明は、式(I)
Figure 2024510004000002

(式中、
Xは、結合又は-O-であり、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルであり、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキルの各例は、Rから独立して選択される1、2、3又は4つの置換基で任意に置換され、
は、水素、シクロアルキル、アルケニル、シアノ、アミノ、ヒドロキシ、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ又はアルコキシであり、
は、水素、アルキル、ハロゲン又はハロアルキルであり、
は、ハロゲン、アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ハロヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルシクロアルキル、ハロシクロアルキル、シクロアルキルアミノ、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ハロアリール、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、ハロアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アミノアルキルアミノ、アルコキシアルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシアルキル又はヒドロキシアルキルアミノである)
の化合物又はその薬学的に許容され得る塩に関する。
ハンチントン病(HD)は、ハンチンチン(HTT)遺伝子におけるCAG塩基反復伸長に起因する遺伝性の常染色体優性神経変性疾患である。いくつかの証拠が、変異HTT遺伝子がその遺伝子産物mHTTタンパク質と共に、毒性の機能獲得機構を介してHD病理発生に寄与することを示している。
HTT遺伝子のエクソン1におけるトリプレット反復伸長は、細胞においてミスフォールディング及び凝集を起こしやすいHTTタンパク質におけるポリグルタミン反復に翻訳される。どのように変異HTTが細胞機能を破壊するかについての正確な機構は不明であるが、RNA翻訳の中断、毒性RNA種、タンパク質凝集物、RNA翻訳及びストレス顆粒に及ぶいくつかのプロセスが関係づけられている。
神経回路レベルでは、HDは、線条体のような脳深部構造並びに皮質領域に様々な程度で影響を及ぼすことが示されている。ヒト画像化実験と組み合わせた精漿マウス遺伝子実験は、HDの病原性における皮質-線条体のつながりの重要な役割を指摘している(Wang他、「Neuronal targets of mutant huntingtin genetic reduction to ameliorate Huntington’s disease pathogenesis in mice」、Nature medicine、20.5(2014):536;Tabriziら;「Potential endpoints for clinical trials in premanifest and early Huntington’s disease in the TRACK-HD study:analysis of 24 month observational data」。The Lancet Neurology 11.1(2012):42-53)。
HDは、典型的には、約30~50歳で発症して運動症状の発症後10~20年で最終的に死に至る運動、認知及び情動ドメインにわたる多数の症状を特徴とする。CAG反復長は、運動症状の発症年齢と負に相関するが、これは発症年齢の変動の50~70%を占めるにすぎない。HDにおける発症年齢の遺伝的修飾因子を同定するために、Leeら(2019、ハンチントン病の発症は、コードされたポリグルタミンではない中断されていないCAGの長さによって決定され、DNA維持機構によって修飾される。Bioarxiv doi:https://doi.org/10.1101/529768)は、発症年齢の更なる遺伝的修飾因子を明らかにした大規模GWAS(ゲノムワイド関連研究)を行った。
様々なマウスモデルが、HDの態様をモデル化するために特徴づけられている。128回のCAG反復を有する全長変異HTT導入遺伝子を発現するYAC128マウス、97回のCAG/CAA反復を有する全長変異HTTゲノム配列を発現するBACHDマウス、110回~135回のCAG反復を有する変異ヒトHTT遺伝子のエクソン1を発現するR6/2マウス)。ヒト導入遺伝子を発現するこれらのマウスに加えて、頻繁に使用されるQ111、Q175ノックインマウスなどの一連のマウスモデルも存在し、マウスHTT遺伝子座に関連して、伸長反復がノックインされる。
ハンチントン病に対する疾患修飾療法は、現在のところ存在せず、いくつかが開発中である。運動症状、認知症状及び行動症状を特徴とする症候学の背後にある中心的な疾患プロセスは、現在承認されている様々な対症処置によって満たされていないままである。テトラベナジン及びチアプリドは、運動症状、すなわちHD関連舞踏病の処置に現在承認されている。加えて、抗痙攣薬、ベンゾジアゼピン、抗うつ薬及び抗精神病薬もまた、HDに伴う運動症状、認知症状及び精神症状を処置するためにオフラベルで使用される。
DNA及びRNAを標的とするいくつかの治療戦略がHTT低下について研究されている(E.J.Wild,S.Tabrizi,Lancet Neurol.2017 16(10):837-847)。HTT低下は、ハンチントン病の根本原因に到達することによって疾患進行を遅らせることを目的とする有望な治療アプローチである。HTT低下は、疾患発症の発症前段階又は発症段階で処置された場合には変化し、したがって、脳における主要な神経変性過程を防止すると考えられている。しかしながら、発症年齢は集団全体でかなり変動するので(S.J.Tabrizi,R.Ghosh,B.R.Leavitt,Neuron,2019,102(4),899)、課題は正しい疾患段階の患者を同定することにある。
現在の臨床アプローチは、主にアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)に基づいている。更に、SNP(single-nucleotide polymorphism、一塩基多型)ベースのASO及びジンクフィンガーベースの遺伝子編集アプローチなどの少数の対立遺伝子特異的低下戦略が調査される。HTT発現を低下させるための小分子の使用が仮定されているが、この戦略はまだ検証されておらず、これまで成功したことが証明されていない。
小分子は、脳及び末梢におけるHTT低下を可能にする機会を提供する。更に、小分子モダリティは、そうでなければASO又は遺伝子治療のようなモダリティで対処することが困難な患者集団へのアクセスを可能にする。
したがって、mHTTを低下させることができる新しい化合物が必要とされている。
本出願人は、驚くべきことに、本発明の化合物がmHTTを低下させることにおいて活性であり、したがって、HDの処置において有用であることを見出した。
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によりその全体が援用される。
発明の詳細な説明
本明細書において、「アルキル」という用語は、単独で又は組み合わせて、1~8つの炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、特に1~6つの炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、より具体的には1~4つの炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を意味する。直鎖及び分岐鎖C1-C8アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、異性体ペンチル、異性体ヘキシル、異性体ヘプチル、及び異性体オクチルである。「アルキル」の特定の例は、メチル、エチル及びイソプロピルである。メチルは、式(I)の化合物における「アルキル」の更なる特定の例である。
本明細書において、「アルケニル」という用語は、単独で又は組み合わせて、2~8個の炭素原子を有し、更に少なくとも1つの二重結合を含む直鎖又は分岐鎖アルケニル基、特に2~4個の炭素原子を有し、更に少なくとも1つの二重結合を含む直鎖又は分岐鎖アルケニル基を意味する。「アルケニル」の特定の例は、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル及びtertブテニルである。
「シクロアルキル」という用語は、単独で又は組み合わせて、3~8個の炭素原子を有するシクロアルキル環、特に3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル環を意味する。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルである。
「アリール」という用語は、単独で又は組み合わせて、6~10個の炭素環原子を含む芳香族単環式又は二環式環系を意味する。「アリール」の例には、フェニル及びナフチルが含まれるが、これらに限定されない。
「ヘテロアリール」という用語は、単独で又は組み合わせて、N、O及びSからそれぞれ独立して選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、5~12個の環原子を有する芳香族単環式又は二環式環系を意味する。ヘテロアリールの例としては、フラニル、チオフェニル、1H-ピラゾリル、1H-イミダゾリル、1H-1,2,3-トリアゾリル、4H-1,2,4-トリアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1H-インドリル、2H-インドリル、1H-インダゾリル、2H-インダゾリル、インドリジニル、ベンゾフラニル、1H-ベンズイミダゾリル、1,3-ベンゾオキサゾリル、フロ[2,3-b]ピリジニル、フロ[2,3-c]ピリジニル、フロ[3,2-b]ピリジニル、フロ[3,2-c]ピリジニル、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジニル、1H-ピロロ[2,3-c]ピリジニル、ピロロ[1,2-a]ピリミジニル、ピロロ[1,2-a]ピラジニル、ピロロ[1,2-b]ピリダジニル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル、1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジニル、2H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジニル、2H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジニル、ピラゾロ[1,5-a]ピラジニル、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリミジニル、イミダゾ[1,2-a]ピラジニル、イミダゾ[1,2-b]ピリダジニル、イミダゾ[1,2-c]ピリミジニル、イミダゾ[1,5-a]ピリジニル、イミダゾ[2,1-b][1,3]チアゾリル、イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾリル、[1,3]オキサゾロ[4,5-b]ピリジニル、[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジニル、[1,2,4]トリアゾロ[1,5-b]ピリダジニル、ベンゾ[d]オキサゾリル及びキノリニルが挙げられるが、これらに限定されない。
「アルコキシ」又は「アルキルオキシ」という用語は、単独で又は組み合わせて、「アルキル」という用語が以前に与えられた意味を有する式アルキル-O-の基を意味する。「アルコキシ」の特定の例は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ及びtert.-ブトキシである。
「オキシ」という用語は、単独で又は組み合わせて、-O-基を意味する。
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、単独で又は組み合わせて、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素、特にフッ素、塩素又は臭素を意味する。ハロゲンの好ましい一例は、フッ素である。「ハロ」という用語は、別の基と組み合わせて、別段特定されない限り、少なくとも1つのハロゲン、特に、1~5個のハロゲン、特に、1~4個のハロゲン、すなわち、1個、2個、3個又は4個のハロゲンで置換された、前記基の置換を示す。
「ハロアルキル」という用語は、単独で又は組み合わせて、少なくとも1個のハロゲンで置換された、特に1~5個のハロゲンで置換された、特に1~3個のハロゲンで置換されたアルキル基を表す。「ハロアルキル」の特定の例は、フルオロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロエチル、フルオロプロピル及びフルオロブチルである。特定の「ハロアルキル」は、トリフルオロメチルである。
「ヒドロキシル」及び「ヒドロキシ」という用語は、単独で又は組み合わせて、-OH基を意味する。
「シアノ」という用語は、単独で又は組み合わせて、-CN基を意味する。
「カルボニル」という用語は、単独で又は組み合わせて、-C(O)-基を意味する。
「オキソ」という用語は、単独で又は組み合わせて、=O基を意味する。
「アミノ」という用語は、単独で又は組み合わせて、第一級アミノ基(-NH)、第二級アミノ基(-NH-)、又は第三級アミノ基(-N-)を意味する。
「アルキルアミノ」という用語は、単独で又は組み合わせて、-NH-基に結合したアルキル基を意味する。「ジアルキルアミノ」という用語は、単独で又は組み合わせて、-N-原子に結合した2つのアルキル基を意味する。
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、単独で又は組み合わせて、N、O及びSからそれぞれ独立して選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、3~12個の環原子を有する単環式若しくは二環式の飽和又は一価不飽和環系を意味する。いくつかの特定の実施形態では、「ヘテロシクロアルキル」という用語は、単独で又は組み合わせて、1個又は2個の窒素原子を含み、残りの環原子が炭素である、5~10個の環原子を有する単環式若しくは二環式の飽和又はモノ不飽和環系を意味することができる。特定の「ヘテロシクロアルキル」は、ピペラジニル、アゼチジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル、4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン-7-イル、(8aS)-3,4,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ピラジン-2-イル、(8aR)-3,4,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ピラジン-2-イル、3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル、(1S,4S)-2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル、2,3,3a,4,6,6a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピロール-5-イル、ピロリジニル、2,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-2-イル、4-ピペリジル及び4-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イルである。「ヘテロシクロアルキル」の特定の例は、アゼチジン-3-イル、4-ピペリジル及び4-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イルである。
「薬学的に許容され得る塩」という用語は、生物学的に又は別様に望ましくないものではない、遊離塩基又は遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持する塩を指す。塩は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、特に塩酸、及び、有機酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステインを用いて形成される。加えて、これらの塩は、無機塩基又は有機塩基を遊離酸に添加することによって調製することができる。無機塩基から誘導される塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウムの塩が含まれるがこれらに限定されない。有機塩基から誘導される塩には、第一級、第二級、及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂の塩が含まれるが、これらに限定されない。式(I)の化合物は、双性イオンの形態で存在することもできる。式(I)の化合物の特に好ましい薬学的に許容され得る塩は、トリフルオロ酢酸又は塩酸で形成される塩である。
本発明の出発物質又は式(I)の化合物のうちの1つが、1つ以上の反応工程の反応条件下で安定でないか、又は反応性である1つ以上の官能基を含む場合、適切な保護基(例えば、T.W.Greene and P.G.M.Wutsによる‘‘Protective Groups in Organic Chemistry’’、3rd Ed.,1999,Wiley,New Yorkに記載されているもの)を、当該技術分野でよく知られている方法を適用する重要な工程の前に導入し得る。このような保護基は、文献に記載されている標準的な方法を用いて、合成の後の段階において除去することができる。保護基の例は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)、トリチル(Trt)、2,4-ジメトキシベンジル(Dmb)、9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、2-トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、カルボベンジルオキシ(Cbz)、及びp-メトキシベンジルオキシカルボニル(Moz)である。保護基の特定の例は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)である。
式(I)の化合物は、いくつかの不斉中心を含むことができ、光学的に純粋なエナンチオマー、例えばラセミ体等のエナンチオマーの混合物、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体ラセミ体又はジアステレオ異性体ラセミ体の混合物の形態で存在することができる。
用語「不斉炭素原子」は、4つの異なる置換基を有する炭素原子を意味する。カーン・インゴルド・プレローグ順位則によれば、不斉炭素原子は、「R」又は「S」立体配置のものであり得る。
したがって、本発明は、特に以下にも関する。
Xが結合である本発明による化合物、
Xが-O-である本発明による化合物、
が、Rから独立して選択される1、2、3又は4つの置換基で、任意に置換されているヘテロシクロアルキルである、本発明による記載の化合物、
が、Rから独立して選択される1つ又は2つの置換基で、任意に置換されているヘテロシクロアルキルである、本発明による化合物、
が、アゼチジン-3-イル、4-ピペリジル又は4-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イルであり、Rが、Rから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意に置換されている、本発明による化合物、
が、4-ピペリジル又は4-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イルであり、Rが、Rから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意に置換されている、本発明による化合物、
が、アルキル又はハロアルキルである本発明による化合物、
が、メチル又はトリフルオロメチルである本発明による化合物、
が、アルキルである本発明による化合物、
が、メチルである本発明による化合物、
が、ハロゲン、アルキル又はヘテロシクロアルキルである本発明による化合物、
が、フルオロ、メチル又はピロリジニルである本発明による化合物、
が、ハロゲンである本発明による化合物、及び
が、フルオロである本発明による化合物。
本発明は更に、
2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-6-(4-ピペリジル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、
2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-6-[(3SR,4SR)-3-フルオロ-4-ピペリジル]-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、
6-(3,3-ジフルオロ-4-ピペリジル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、
6-(アゼチジン-3-イルオキシ)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、
2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-6-(4-ピペリジルオキシ)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、
6-(4-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、及び
2-[2-メチル-8-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル]-6-(4-ピペリジル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン
から選択される化合物、又はその薬学的に許容され得る塩に関する。
本発明は更に、
2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-6-(4-ピペリジル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、
2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-6-[(3SR,4SR)-3-フルオロ-4-ピペリジル]-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、
2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-6-(4-ピペリジルオキシ)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、
6-(4-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、及び
2-[2-メチル-8-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル]-6-(4-ピペリジル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン
から選択される化合物、又はその薬学的に許容され得る塩に関する。
式(I)の化合物の合成は、例えば、以下のスキームに従って達成することができる。X及びR~Rは、特に明記しない限り、上で定義したとおりである。
スキーム1
式(I)の化合物は、当技術分野で公知の方法、例えばトリフルオロ酢酸などの酸及びジクロロメタンなどの溶媒を使用することによる、保護基(protecting group、PG)による式(II)の中間体の脱保護によって調製することができる。式(II)の化合物の合成をスキーム2に概説する。一般的スキーム1は、一般手順Cによって以下に更に示される。
スキーム2
式(II)の化合物は、当技術分野で公知の方法、例えば式(III)のカルボキサミド中間体と式(IV)の酸中間体とのアミドカップリング、及びその後の式(V)の中間体と水酸化カリウムなどの無機塩基水溶液及びn-ブタノールなどの溶媒との熱環化によって、段階的に調製することができる。式(IV)の酸中間体は、市販されているか、又は当技術分野で公知の方法若しくは以下に記載される方法によって調製することができる。式(III)の化合物の合成をスキーム3に概説する。一般的スキーム2は、一般手順Bによって以下に更に示される。
スキーム3
式(III)のカルボキサミド中間体は、当技術分野で知られている方法、例えばトリエチルアミン又はモルホリンなどの塩基及びN,N-ジメチルホルムアミド又はエタノールなどの溶媒を使用した、80℃までの室温でのシアノアセトアミド及び硫黄による式(VI)のアルデヒドのGewald型環化によって調製することができる。一般的スキーム3は、一般手順Aによって以下に更に示される。
スキーム4
Figure 2024510004000006
式(IV)の酸中間体は、市販されているか、又は当技術分野で知られている方法、例えば水性アセトニトリルなどの溶媒中、塩基、例えばトリエチルアミン及び触媒、例えばPdCl(dppp)の一酸化炭素による式(VII)の中間体のPd触媒カルボニル化によって調製することができる。
したがって、本発明はまた、本発明による化合物の調製のための方法であって、以下の工程:
(a)式(B1)
Figure 2024510004000007

(式中、nは0又は1である)
の化合物を、適切な溶媒の存在下、適切な塩基と反応させて、式(B2)
Figure 2024510004000008

の化合物を得る工程、
(b)式(B2)の化合物(式中、nは1である)を、適切な溶媒中、酸の存在下で反応させて、式(I)
Figure 2024510004000009

(式中、本方法において、X、R、R、R及びRは、上に定義されるとおりであり、PGは保護基である)
の化合物を得る工程
の少なくとも1つを含む、方法にも関する。
n-ブタノール又はTHFなどの溶媒中の式(V)の粗中間体と50%水酸化カリウム水溶液(2当量)などの塩基との混合物を、16~48時間還流する。反応混合物を、酢酸エチルなどの溶媒と重炭酸ナトリウム水溶液との間で分配する。各層を分離する。水層を、1回又は2回の有機溶媒で抽出する。合わせた有機層を食塩水の1回で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮して乾燥させる。フラッシュクロマトグラフィーによる精製によって、式(II)のチエノピリミジノン中間体が得られる。
工程(a)の反応は、溶媒中で好都合に行うことができる。溶媒は、例えば、THF、n-ブタノール又はそれらの混合物であり得る。
工程(a)の反応において、塩基は、例えばNaOH又はKOH、特にKOHであり得る。
工程(a)の反応のための好都合な条件は、約40℃~140℃、特に約50℃~130℃、より具体的には約60℃~120℃である。
工程(a)の反応のための特定の条件は、THF中のKOH、n-ブタノール又はそれらの混合物の約16時間~48時間の還流での使用である。
工程(b)の反応は、溶媒中で好都合に行うことができる。溶媒は、例えばCHCl又は1,4-ジオキサンであり得る。
工程(b)の反応において、酸は、例えば2,2,2-トリフルオロ酢酸又はHCl、特に2,2,2-トリフルオロ酢酸であり得る。
工程(b)の反応において、保護基は、例えばBoc、Trt又はDmb、特にBocであり得る。
工程(b)の反応のための好都合な条件は、約0℃~100℃、特に約5℃~70℃、より具体的には約10℃~40℃である。
工程(b)の反応のための特定の条件は、約1時間~72時間、特に1時間~24時間、室温でジクロロメタン中の2,2,2-トリフルオロ酢酸の使用である。
本発明はまた、本発明の方法に従って製造される場合の本発明による化合物に関する。
したがって、本発明は、特に以下にも関する。
治療的活性物質としての使用のための、本発明による化合物;
本発明による化合物と、治療的不活性担体とを含む、医薬組成物;
神経変性疾患の処置又は予防における使用のための本発明による化合物;
ハンチントン病の処置又は予防における使用のための本発明による化合物;
神経変性疾患、特にハンチントン病の処置又は予防のための本発明による化合物の使用;
神経変性疾患、特にハンチントン病の処置又は予防のための医薬の調製のための本発明による化合物の使用;及び
神経変性疾患、特にハンチントン病の処置又は予防のための方法であって、本方法が、有効量の本発明による化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
本発明の特定の実施態様は、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩、及び薬学的に許容され得る補助物質を含む医薬組成物に関する。
本発明の特定の実施形態は、少なくとも1つの置換基が少なくとも1つの放射性同位体を含む、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩に関する。放射性同位体の具体的な例は、H、H、13C、14C及び18Fである。
更に、本発明は、適用可能な場合、式(I)の化合物の全ての光学異性体、すなわち、ジアステレオ異性体、ジアステレオ異性混合物、ラセミ混合物、それらの全ての対応するエナンチオマー、及び/又は互変異性体、並びにそれらの溶媒和化合物を含む。
式(I)の化合物は、1つ又は複数の不斉中心を含むことができ、したがって、ラセミ体、ラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物、及び個々のジアステレオマーとして生じ得る。分子上の種々の置換基の性質に応じて、付加的な不斉中心が存在してもよい。このような不斉中心の各々は独立して2つの光学異性体を生成し、混合物及び純粋又は部分的に精製された化合物として可能性のある光学異性体及びジアステレオマーの全てが、本発明に含まれることが意図される。本発明は、これらの化合物の全てのそのような異性体形態を包含することを意味する。これらのジアステレオマーの独立した合成又はそれらのクロマトグラフィー分離は、本明細書に開示される方法の適切な改変により、当該技術分野で知られるように達成され得る。それらの絶対立体化学は、必要に応じて、既知の絶対配置の不斉中心を含む試薬で誘導体化される結晶性生成物又は結晶性中間体のX線結晶学によって決定することができる。必要に応じて、化合物のラセミ混合物を分離して、個々のエナンチオマーを単離することができる。分離は、化合物のラセミ混合物を鏡像異性的に純粋な化合物にカップリングさせてジアステレオ異性混合物を形成し、続いて、分別再結晶化又はクロマトグラフィーのような標準的方法によって個々のジアステレオマーを分離するなど、当技術分野で公知の方法で行うことができる。
光学的に純粋なエナンチオマーが提供される実施態様では、光学的に純粋なエナンチオマーとは、化合物が所望の異性体を90重量%超、具体的には所望の異性体を95重量%超、又はより具体的には所望の異性体を99重量%超含有することを意味し、前記重量パーセントは、化合物の異性体の全重量を基準とする。キラル的に純粋な又はキラル的に濃縮された化合物は、キラル選択的合成によって、又はエナンチオマーの分離によって調製され得る。エナンチオマーの分離は、最終生成物上で、あるいは適切な中間体上で行われ得る。
また、本発明の一実施形態は、記載された工程のいずれか1つにより製造された場合の、本明細書に記載された式(I)の化合物である。
式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩は、医薬として(例えば、医薬製剤の形態で)使用することができる。本発明の医薬製剤は、経口投与(例えば、錠剤、コーティング錠剤、糖衣錠、硬質及び軟質ゼラチンカプセル、溶液、乳剤又は懸濁液の形態)等の内服投与、経鼻投与(例えば、鼻スプレーの形態)、直腸投与(例えば、坐剤の形態)、又は眼局所投与(例えば、溶液、軟膏、ゲル又は水溶性高分子挿入剤の形態)が可能である。しかしながら、投与は、筋肉内、静脈内、眼内等の非経口的に(例えば、滅菌注射液の形態で)行うこともできる。
式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬質ゼラチンカプセル、注射液又は外用剤の製造のための薬学的に不活性な、無機又は有機アジュバントを用いて加工することができる。ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等を、例えば、錠剤、ドラゼ及び硬質ゼラチンカプセル用のそのようなアジュバントとして、使用することができる。
軟質ゼラチンカプセル剤に適したアジュバントは、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体物質、及び液状ポリオールなどである。
溶液及びシロップの製造に適したアジュバントは、例えば、水、ポリオール、サッカロース、逆糖、グルコースなどである。
注射液に適したアジュバントは、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などである。
坐剤に適したアジュバントは、例えば、天然又は硬化油、ワックス、脂肪、半固体又は液体ポリオールなどである。
局所眼用製剤に適したアジュバントは、例えば、シクロデキストリン、マンニトール又は当技術分野で公知の多くの他の担体及び賦形剤である。
更に、薬学的調製物は、防腐剤、可溶化剤、粘度増加物質、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤、又は酸化防止剤を含むことができる。薬学的調製物は更に、他の治療上価値のある物質を含むことができる。
投与量は広範に変化させることができ各特定の症例における個々の要件に適合させる。一般に、経口投与の場合、体重1kgあたり約0.1mg~20mg、好ましくは体重1kgあたり約0.5mg~4mg(例えば、1人あたり約300mg)の1日投与量は、好ましくは1~3回の個別投与に分けられ、これは、適切であれば、例えば、同量からなり得る。局所投与の場合、製剤は、0.001重量%~15重量%の医薬を含み得、0.1及び25mgの間であり得る必要な投与は、1日あたり又は1週間あたりの単回投与によって、1日あたりの複数回投与(2~4回)によって、又は1週間あたりの複数回投与によってのいずれかで投与され得る。しかしながら、これが示されていると示されている場合には、本明細書に与えられている上限又は下限を超え得ることは明らかであろう。
医薬組成物
式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩を、例えば薬学的調製物の形態で、治療的活性物質として使用することができる。医薬製剤は、経口、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬質ゼラチンカプセル及び軟質ゼラチンカプセル、溶液、エマルジョン、又は懸濁液の形態で投与することができる。しかしながら、投与は、例えば坐剤の形態で直腸でも、又は例えば注射液の形態で非経口的にも行われ得る。
式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩は、医薬製剤の製造のために、薬学的に不活性な無機又は有機担体と共に加工することができる。ラクトース、コーンスターチ若しくはその誘導体、タルク、及びステアリン酸又はその塩等は、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、及び硬質ゼラチンカプセルの担体として使用し得る。軟質ゼラチンカプセルに好適な担体は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体及び液体ポリオール等である。しかしながら、活性物質の性質にもよるが、軟質ゼラチンカプセルの場合には通常、担体は必要とされない。溶液及びシロップ剤の製造に適した担体材料は例えば、水、ポリオール、グリセロール、植物油等である。坐剤に適した担体は、例えば、天然油又は硬化した油、ワックス、油脂、半液体又は液体ポリオール等である。
さらに、医薬製剤は、防腐剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝液、マスキング剤、又は酸化防止剤等の、薬学的に許容され得る補助物質を含むことができる。それらはまた、更に他の治療上価値のある物質を含有し得る。
式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩と治療的不活性担体とを含有する医薬もまた、本発明により提供され、その製造のための方法は、式(I)の化合物及び/又はその薬学的に許容され得る塩、並びに所望により、1つ以上の他の治療上有用な物質を、1つ以上の治療的不活性担体と共に生薬投与形態とすることを含む。
投与量は、広範囲内で変化させ得、それぞれの具体的な症例において個々の要件に対して調整されなければならない。経口投与の場合、成人の投与量は、一般式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の対応する量で1日あたり約0.01mg~約1000mgまで変化させることができる。1日投与量は、単回投与又は分割投与で投与されてもよく、更に、示されていることが判明した場合、上限を超えることもできる。
以下の実施例は、本発明を限定することなく説明するが、本発明の代表例にすぎない。簡便には、薬学的調製物が、約1~500mg、特に1~100mgの式(I)の化合物を含有する。本発明による組成物の例は、以下のとおりである。
実施例A
以下の組成の錠剤が、通常の方法で製造される:
Figure 2024510004000010
製造手順
1.成分1、2、3及び4を混合し、精製水で造粒する。
2.顆粒を50℃で乾燥させる。
3.顆粒を適切な粉砕装置に通す。
4.成分5を添加し、3分間混合し、適切なプレス機で圧縮する。
実施例B-1
以下の組成のカプセルを製造する:
Figure 2024510004000011
製造手順
1.材料1、2、3を適当なミキサーで30分間混合する。
2.材料4及び5を加えて3分間混合する。
3.適切なカプセルに充填する。
式(I)の化合物、ラクトース及びコーンスターチを、初めにミキサー中、次いで粉砕機中で混合する。混合物をミキサーに戻す;タルクを添加し、完全に混合する。混合物は、機械によって適切なカプセル、例えば硬質ゼラチンカプセルに充填される。
実施例B-2
以下の組成の軟質ゼラチンカプセルを製造する:
Figure 2024510004000012

Figure 2024510004000013
製造手順
式(I)の化合物を他の成分の温かい融解物に溶解し、混合物を適切なサイズの軟質ゼラチンカプセルに充填する。充填した軟質ゼラチンカプセルを通常の手順に従って処理する。
実施例C
次の組成の坐剤を製造する:
Figure 2024510004000014
製造手順
坐剤練剤をガラス又はスチール容器中で溶融し、充分に混合し、45℃に冷却する。次いで、これに微粉末化した式(I)の化合物を添加し、完全に分散するまで撹拌する。混合物を好適なサイズの坐剤型に注ぎ、冷えるまで放置し、その後、坐剤を型から取り出し、ろう紙又は金属箔で個々に包装する。
実施例D
以下の組成の注射液を製造する:
Figure 2024510004000015
製造手順
式(I)の化合物を、ポリエチレングリコール400と注射用の水(一部)との混合物に溶解する。pHを酢酸により5.0に調整する。残量の水を加えて、体積を1.0mlに調整する。溶液をフィルタにかけ、適切な過量を用いてバイアルに充填し、滅菌する。
実施例E
次の組成のサシェ剤(sachet)を製造する:
Figure 2024510004000016
製造手順
式(I)の化合物を、ラクトース、微結晶セルロース及びカルボキシルメチルセルロースナトリウムと混合し、水中のポリビニルピロリドンの混合物で顆粒化する。顆粒をステアリン酸マグネシウム及び香味添加剤と混合し、サシェ剤に充填する。
略語:
Boc:tert-ブチルオキシカルボニル;BuOH:ブタノール;DCM:ジクロロメタン;DIBAL-H:水素化ジイソブチルアルミニウム;DMF:ジメチルホルムアミド;DMSO:ジメチルスルホキシド;dppp:1,3-ビス-(ジフェニルホスフィノ)-プロパン;EC50:最大半量有効濃度;EtOAc:酢酸エチル;EtOH:エタノール;HTRF:均一時間分解蛍光;LAH:水素化アルミニウムリチウム;LCMS:液体クロマトグラフィー質量分析;MeOH:メタノール;MS:質量分析;RP-HPLC:逆相高速液体クロマトグラフィー;RT:室温;SFC:超臨界流体クロマトグラフィー;TBME:tert-ブチルメチルエーテル;TFA:トリフルオロ酢酸;THF:テトラヒドロフラン;T3P:プロパンホスホン酸無水物。
以下の実施例を、本発明の例証に提供する。実施例は、本発明の範囲を制限すると解釈されるものではなく、単に代表的であるにすぎないと解釈される。
式VIのアルデヒド
アルデヒド1
rac-(3S,4R)-3-フルオロ-4-(2-ケトエチル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
a)(4E)-4-(2-エトキシ-2-ケト-エチリデン)-3-フルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
Figure 2024510004000017
マグネチックスターラーバー、滴下漏斗及び温度計を備えた火炎乾燥した500mLの4つ口フラスコ中で、鉱油中の水素化ナトリウム60%分散物(2.0g、46.0mmol、1当量)を、0~5℃で25分間にわたって余分に乾燥させた(200mL)テトラヒドロフラン(9.8g、8.8mL、43.7mmol、0.950当量)中のトリエチルホスホノアセテートの溶液に少しずつ添加した。氷浴を除去し、混合物を60分間撹拌した。テトラヒドロフランに溶解した3-フルオロ-4-ケト-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(10g、46.0mmol、1当量)を、余分な乾燥状態(100mL)で30分間にわたって滴下した。反応物を飽和NHCl溶液(160mL)でクエンチし、次いで、水(250mL)と酢酸エチル(200mL)に分配した。有機層を分離した。水層を、100ml部分の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を食塩水200ml部分で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。溶離液としてヘプタン/酢酸エチルを用いたフラッシュクロマトグラフィーによる精製によって、表題化合物(8.51g、64%)を、無色油として得られた。MS m/e:188.0([M+H-C).
b)(3S,4R)-4-(2-エトキシ-2-ケト-エチル)-3-フルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル及び(3S,4S)-4-(2-エトキシ-2-ケト-エチル)-3-フルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
Figure 2024510004000018
2L丸底フラスコ中で、(4E)-4-(2-エトキシ-2-ケト-エチリデン)-3-フルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(8.51g、29.6mmol、1当量)の酢酸エチル(567mL)中溶液を3回の真空/アルゴンサイクルによって脱気した。木炭へのパラジウムの添加 10%(3.15g、2.96mmol、0.100当量)反応混合物を水素で再充填し、水素雰囲気下(1バール、室温)で1時間撹拌した。触媒をデカライトのパッド上で濾過することによって除去した。濾液を真空中で蒸発させた。メチルtert-ブチルエーテル/ヘプタンを用いたフラッシュクロマトグラフィーによる精製により、(3S,4S)-4-(2-エトキシ-2-ケト-エチル)-3-フルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(2.18g、25%)を無色粘性油として、(3S,4R)-4-(2-エトキシ-2-ケト-エチル)-3-フルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(5.87g、69%)を無色粘性油として得た。
c)(3S,4R)-3-フルオロ-4-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
Figure 2024510004000019
温度計及び滴下漏斗を備えた火炎乾燥した500mL四つ口フラスコ中で、(3S,4R)-4-(2-エトキシ-2-ケト-エチル)-3-フルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(5.87g、20.3mmol、1当量)をテトラヒドロフランに溶解し、余分に乾燥させた(298mL)。THF中1M水素化リチウムアルミニウム(20.3mL、20.3mmol、1当量)を、0~5℃で30分間にわたって添加した。撹拌を2時間続けた。その後、水(0.770mL)、2M NaOH水溶液(0.770mL)及び水(2.31mL)を加えることによって、反応混合物をクエンチした。氷浴を除去し、得られたスラリーを一晩撹拌した。白色沈殿が形成され、これを濾過によって除去した。濾過ケークをTHFで洗浄した。濾液を蒸発させると、粗表題化合物(4.72g、94%)を無色油として得た。
d)(3S,4R)-3-フルオロ-4-(2-ケトエチル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
Figure 2024510004000020
(3S,4R)-3-フルオロ-4-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(1.83g、7.4mmol、1当量)のジクロロメタン(140mL)中溶液に、1,1,1-トリス(アセチルオキシ)-1,1-ジヒドロ-1,2-ベンゾジオキソール-3-(1H)-オン(3.14g、7.4mmol、1当量)を、添加した。反応混合物を室温で5時間撹拌した。TBMEを添加した。固体を濾過して収集した。濾液を真空中で濃縮した。残渣を酢酸エチルと水との間で分配した。層を分離した。水層を、酢酸エチル2回で抽出した。合わせた有機層を食塩水の1回で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、粗傾斜化合物(2g)を白色半固体として得、これを更に精製することなく次の工程で使用した。
アルデヒド2
(3R,4R)-3-フルオロ-4-(2-ケトエチル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
a)(3R,4R)-3-フルオロ-4-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
Figure 2024510004000021
(3S,4R)-3-フルオロ-4-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルの合成に使用した手順に従って、(3R,4R)-4-(2-エトキシ-2-ケト-エチル)-3-フルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルから表題化合物を調製した。MS m/e:192.0([M+H-C).
b)(3R,4R)-3-フルオロ-4-(2-ケトエチル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
Figure 2024510004000022
(3R,4R)-3-フルオロ-4-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(771mg、3.12mmol、1当量)のジクロロメタン(31mL)中溶液に、1,1,1-トリス(アセチルオキシ)-1,1-ジヒドロ-1,2-ベンゾジオキソール-3-(1H)-オン(1.32g、3.12mmol、1当量)を、室温で添加した。撹拌を2時間続けた。混合物をDCM(30ml)と1M NaCO水溶液(30ml)との間で分配した。層を分離した。水層を、50mLのDCMで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残留物をジエチルエーテル中(30ml)でトリチュレーションした。固体を濾過して収集した。濾液を真空中で濃縮して、粗表題化合物(890mg)を白色固体として得、これを更に精製することなく次の工程に使用した。MS m/e:190.1([M+H-C).
アルデヒド3
3,3-ジフルオロ-4-(2-ケトエチル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
Figure 2024510004000023
a)3,3-ジフルオロ-4-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
4-(2-エトキシ-2-ケト-エチル)-3,3-ジフルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(260mg、0.846mmol、1当量)のトルエン(2mL)中溶液に、-78℃で、DCM中1M DIBAL-H(930uL、0.931mmol、1.1当量)を、10~15分間にわたって添加した。反応混合物を1.5時間撹拌した。133ulの水を-78℃で添加した。その後、水(0.133mL)、1M NaOH水溶液(0.133mL)及び水(0.399mL)を加えることによって、反応混合物をクエンチした。氷浴を除去し、得られたスラリーを一晩撹拌した。白色沈殿が形成され、これを濾過によって除去した。濾過ケークをTHFで洗浄した。濾液を真空中で濃縮して、アルデヒドと出発物質との混合物を得た。混合物をトルエン(2mL)に溶解し、-78℃に冷却した。DCM中1M DIBAL-H(1.70mL、1.69mmol、2当量)を10~15分の時間にわたってゆっくり添加した。反応混合物を-30℃で5時間撹拌した。その後、水(0.240mL)、1M NaOH水溶液(0.240mL)及び水(0.720mL)を加えることによって、反応混合物をクエンチした。氷浴を除去し、得られたスラリーを一晩撹拌した。白色沈殿が形成され、これを濾過によって除去した。濾過ケークをTHFで洗浄した。溶離液としてn-ヘプタン/酢酸エチルを用いたフラッシュクロマトグラフィーによる精製によって、表題化合物(127mg、56.58%)を、無色油として得た。MS m/e:210.1([M+H]).
b)3,3-ジフルオロ-4-(2-ケトエチル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
Figure 2024510004000024
DMSO(90mg、82uL、1.15mmol、2.4当量)のジクロロメタン(1.5mL)中溶液に、塩化オキサリル(73mg、50uL、0.574mmol、1.2当量)を-78℃で添加した。混合物を-50℃で30分間撹拌した。反応混合物を-78℃に冷却した。3,3-ジフルオロ-4-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(127mg、0.479mmol、1当量)のジクロロメタン(1mL)中溶液をゆっくり添加した。撹拌を1時間続けた。トリエチルアミン(242mg、334uL、2.39mmol、5当量)を添加した。15分後に氷浴を除去し、反応混合物を室温まで温めた。2時間後、反応混合物を酢酸エチルと水との間で分配した。層を分離し、水層を、酢酸エチル2回で抽出した。合わせた有機層を水/塩化アンモニウムの1回及び食塩水の1回で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、粗表題化合物(132mg)を無色油状物として得、これを更に精製することなく次の工程で使用した。MS m/e:164.0([M+H-C).
アルデヒド4
7-(2-ケトエチル)-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル
a)tert-ブチル(7E)-7-(2-エトキシ-2-オキソ-エチリデン)-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボキシレート
Figure 2024510004000025
NaH分散液(194mg、4.44mmol、1当量)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液に、トリエチルホスホノアセテート(896mg、800uL、4.0mmol、0.900当量)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液を、0℃で滴下した。反応混合物を室温まで温め、15分間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、7-ケト-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル(1g、4.44mmol、1当量)のテトラヒドロフラン(2mL)中溶液を、添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を、酢酸エチルと1M NaOH水溶液との間で分配した。層を分離し、水層を、酢酸エチル2回で抽出した。合わせた有機層を食塩水の1回で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。溶離液としてヘプタン/酢酸エチルを用いたフラッシュクロマトグラフィーによる精製によって、表題化合物(883mg、66%)を、純度98%の無色油として得た。MS m/e:196.1([M+H-C).
b)7-(2-エトキシ-2-ケト-エチル)-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル
Figure 2024510004000026
(7E)-7-(2-エトキシ-2-ケト-エチリデン)-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル(883mg、2.93mmol、1当量)を、酢酸エチル(10mL)に溶解した。雰囲気をアルゴン(3×真空/アルゴン)で交換した。活性炭担持パラジウム(17mg、0.164mmol、0.056当量)を添加した。雰囲気を水素(3×真空/水素)と交換した。反応混合物を一晩室温で撹拌した。触媒をザルトリウス(satorious)フィルタで濾過することによって除去し、真空中で濃縮した。溶離液としてヘプタン(hepante)/酢酸エチルを用いたフラッシュクロマトグラフィーによる精製によって、表題化合物(846mg、97.1%)を、無色油として得た。MS m/e:198.2([M+H-C).
c)7-(2-ヒドロキシエチル)-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル
Figure 2024510004000027

7-(2-エトキシ-2-ケト-エチル)-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル(846mg、2.85mmol、1当量)のテトラヒドロフラン(20mL)中溶液に、THF中1M LAH(2.9mL、2.9mmol、1.01当量)を、0℃で滴下した。反応混合物を0℃で2時間撹拌した。その後、水(0.15ml)、4N NaOH(0.15ml)及び水(0.45ml)を加えることによって、反応混合物をクエンチした。固体を濾過して収集した。濾液を真空中で濃縮した。反応混合物を、酢酸エチルと水との間で分配し、層を分離した。水層を、酢酸エチル2回で抽出した。合わせた有機層を食塩水の1回で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮すると、粗表題化合物(730mg、100%)が淡黄色油として得られ、これを更に精製することなく次の工程に使用した。MS m/e:156.1([M+H-C).
d)7-(2-ケトエチル)-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル
Figure 2024510004000028
7-(2-ヒドロキシエチル)-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル(730mg、2.86mmol、1当量)のジクロロメタン(55mL)中溶液に、1,1,1-トリス(アセチルオキシ)-1,1-ジヒドロ-1,2-ベンゾジオキソール-3-(1H)-オン(1.21g、2.86mmol、1当量)を、添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。TBMEを添加した。固体を濾過して収集した。濾液を真空中で濃縮した。残渣を、酢酸エチルと水との間で分配した。層を分離した。水層を、酢酸エチル2回で抽出した。合わせた有機層を食塩水の1回で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物を酢酸エチル中でトリチュレーションした。固体を濾過して収集した。濾液を真空中で濃縮して、粗表題化合物を白色半固体として得た。MS m/e:154.1([M+H-C).
式IIIのカルボキサミド
一般手順A:
N,N-ジメチルホルムアミド中の式(VI)のアルデヒド(1当量)、シアノアセトアミド(1当量)、トリエチルアミン(1当量)及び硫黄(1当量)の混合物を、室温で16~48時間撹拌する。反応混合物を、酢酸エチルなどの溶媒と水との間で分配する。各層を、分離する。水層を、1回又は2回の有機溶媒で抽出する。合わせた有機層を食塩水の1回で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮して乾燥させる。フラッシュクロマトグラフィーによる精製により、式(III)のカルボキサミドが得られる。
カルボキサミド1
4-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
一般手順Aに従って、4-(2-ケトエチル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルから、LCMSによって98%収率で純度93%の褐色油として、表題化合物を得た。MS m/e:270.1([M+H]
カルボキサミド2
(3S,4S)-4-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)-3-フルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
一般手順Aに従って、(3S,4R)-3-フルオロ-4-(2-ケトエチル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルから、LCMSによって純度97%のオフホワイト色固体として、表題化合物を収率17%で得た。MS m/e:342.3([M+H]
カルボキサミド3
4-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)-3,3-ジフルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
一般手順Aに従って、3,3-ジフルオロ-4-(2-ケトエチル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルから、LCMSによって純度99%の橙色固体として表題化合物を収率63%で得た。MS m/e:360.3([M-H]
カルボキサミド4
7-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル
7-(2-ケトエチル)-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルエステルから、一般手順Aに従って、LCMSによって37%収率で純度98%の橙色固体として表題化合物を得た。MS m/e:350.2([M-H]
カルボキサミド5
3-[(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)オキシ]アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
一般手順Aに従って、3-(2-ケトエトキシ)アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルから、LCMSによって16%収率で純度95%の褐色油として、表題化合物を得た。MS m/e:312.2([M-H]
カルボキサミド6
4-[(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)オキシ]ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
一般手順Aに従って、4-(2-ケトエトキシ)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルから、LCMSによって23%収率で純度95%の褐色油として、表題化合物を得た。MS m/e:340.3([M-H]
カルボキサミド7
7-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル
Figure 2024510004000035
7-(2-ケトエチル)-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルエステルから、一般手順Aに従って、LCMSによって37%収率で純度98%の橙色固体として、表題化合物を得た。MS m/e:350.2([M-H]
カルボキサミド8
(3R,4S)-4-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)-3-フルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
Figure 2024510004000036
一般手順Aに従って、(3R,4R)-3-フルオロ-4-(2-ケトエチル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルから、LCMSによって純度94%の淡褐色固体として、表題化合物を収率39%で得た。MS m/e:342([M-H]
カルボキサミド9
(+)-(3S,4S)-4-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)-3-フルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(エナンチオマーa)


及び
カルボキサミド10
(-)-(3R,4R)-4-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)-3-フルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(エナンチオマーb)
推定的に帰属される2つのエナンチオマーを、ラセミ(3S,4S)-4-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)-3-フルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルから、キラルなDaicel IGカラム、5μm、250×30mmで、共溶媒として35% MeOHを用いたキラルSFC分離によって得た。
(+)-(3S,4S)-4-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)-3-フルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルエナンチオマーaを、褐色固体として収率35%で得た。MS m/e:342.3([M-H]),[α]D=+72.542(c=0.182g/100ml,MeOH,20℃).
(-)-(3R,4R)-4-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)-3-フルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルエナンチオマーbを、褐色固体として収率39%で得た。MS m/e:342.2([M-H]),[α]D=-86.017(c=0.182g/100ml,MeOH,20℃).
カルボキサミド11
(+)-(7S)-7-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル(エナンチオマーa)

及び
カルボキサミド12
(-)-(7R)-7-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル(エナンチオマーb)
推定的に帰属される2つのエナンチオマーを、ラセミ7-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルエステルから、共溶媒として15% MeOHを用い、キラルCHIRALCEL OJ-Hカラム、5μm、250×20mmでのキラルSFC分離によって得た。
(+)-(7S)-7-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルエステルエナンチオマーaを、褐色油として収率48%で得た。MS m/e:350.2([M-H]),[α]D=+27.439(c=0.252g/100ml,MeOH,20℃).
(-)-(7R)-7-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルエステルエナンチオマーaを、褐色固体として収率49%で得た。MS m/e:350.2([M-H]),[α]D=-21.999(c=0.280g/100ml,MeOH,20℃).
式IVの酸中間体
酸1
2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-カルボン酸
アセトニトリル(80ml)及び水(20ml)中の6-クロロ-2,8-ジメチル-イミダゾ[1,2-b]ピリダジン(10.0g、56.06mmol)の混合物を、アルゴンでパージした。PdCl(dppp)(0.325g、0.551mmol、0.01当量)及びトリエチルアミン(15.4ml、110.12mmol、2.0当量)の添加。混合物を60barの一酸化炭素雰囲気下、90℃で72時間カルボニル化した。固体を濾過によって除去し、アセトニトリル20ml部分を2回洗浄した。濾液を蒸発させた。粗生成物を、ジクロロメタン(100ml)に溶解した。1,4-ジオキサン中4M塩化水素(13.8ml、55.08mmol)を添加した後、混合物を3時間撹拌した。沈殿を濾過によって回収し、2回のEtOH 20ml部分で洗浄し、真空中で乾燥させると、表題化合物を、オフホワイト色固体(9.46g、75%)として得た。MS m/e:192.1([M+H]
酸2
2-メチル-8-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-カルボン酸
a)6-クロロ-2-メチル-8-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン
マグネチックスターラーバー、還流冷却器及びN入口バブラーを備えた10mL丸底フラスコ中で、[6-クロロ-4-(トリフルオロメチル)ピリダジン-3-イル]アミン(94mg、0.476mmol)及びピリジニウムp-トルエンスルホネート(11.9mg、0.048mmol)を、イソプロパノール(2mL)と合わせた。1-ブロモ-2,2-ジメトキシ-プロパン(105mg、77uL、0.571mmol、1.2当量)を添加し、無色溶液を75℃で24時間撹拌した。得られた暗褐色反応混合物を室温に冷却し、EtOAc(10mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(10mL)で洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。カラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(46mg、34%)を淡黄色固体として得た。MS m/e:236.1([M+H]
b)2-メチル-8-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-カルボン酸
2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-カルボン酸の調製と同様に、6-クロロ-2-メチル-8-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジンから表題化合物を淡褐色固体として収率56%で得た。MS m/e:246.1([M+H]
式IIのチエノピリミジノン中間体
一般手順B:
ピリジン(0.3M)中の式(III)のカルボキサミド中間体(1当量)及び式(IV)の酸中間体(1.05~1.2当量)の混合物に、アミドカップリング試薬、例えばn-プロピルホスホン酸無水物(T3P)(1.2当量)を添加し、撹拌を室温で2~16時間継続する。反応混合物を、酢酸エチルなどの溶媒と重炭酸ナトリウム水溶液との間で分配する。各層を、分離する。水層を、1回又は2回の有機溶媒で抽出する。合わせた有機層を食塩水の1回で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮して乾燥させる。n-ブタノール又はTHFなどの溶媒中の式(V)の粗中間体と50%水酸化カリウム水溶液(2当量)などの塩基との混合物を、16~48時間還流する。反応混合物を、酢酸エチルなどの溶媒と重炭酸ナトリウム水溶液との間で分配する。各層を、分離する。水層を、1回又は2回の有機溶媒で抽出する。合わせた有機層を食塩水の1回で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮して乾燥させる。フラッシュクロマトグラフィーによる精製によって、式(II)のチエノピリミジノン中間体が得られる。
チエノピリミジノン1
4-[2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-4-ケト-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
一般手順Bに従って、4-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル及び2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-カルボン酸から、LCMSによって純度97%のオフホワイト色固体として、表題化合物を得た。MS m/e:481.3([M+H]
チエノピリミジノン2
(3SR,4SR)-4-[2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-4-ケト-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]-3-フルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
一般手順Bに従って、(3SR,4SR)-4-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)-3-フルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル及び2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-カルボン酸から、LCMSによって純度94%の淡黄色固体として、表題化合物を得た。MS m/e:499.3([M+H]
チエノピリミジノン3
4-[2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-4-ケト-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]-3,3-ジフルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
4-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)-3,3-ジフルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル及び2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-カルボン酸から、一般手順Bに従ってLCMSによって純度94%の淡黄色固体として、表題化合物を得た。MS m/e:535.2([M+H]
チエノピリミジノン4
3-[[2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-4-ケト-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]オキシ]アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
3-[(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)オキシ]アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル及び2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-カルボン酸から、一般手順Bに従ってLCMSによって純度99%のオフホワイト色固体として、表題化合物を得た。MS m/e:469.2([M+H]
チエノピリミジノン5
4-[[2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-4-ケト-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]オキシ]ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
一般手順Bに従って、4-[(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)オキシ]ピペリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル及び2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-カルボン酸から、LCMSによって純度94%の黄色固体として、表題化合物を得た。MS m/e:497.2([M+H]
チエノピリミジノン6
7-[2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-4-ケト-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル
7-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルエステル及び2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-カルボン酸から、一般手順Bに従ってLCMSによって純度83%の淡黄色固体として、表題化合物を得た。MS m/e:507.3([M+H]
チエノピリミジノン7
4-[4-ケト-2-[2-メチル-8-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル]-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
一般手順Bに従って、4-(5-アミノ-4-カルバモイル-2-チエニル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル及び2-メチル-8-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-カルボン酸から、LCMSによって純度98%の黄色固体として、表題化合物を得た。MS m/e:553.2([M+H]
式(I)の例示化合物
一般手順C:
一般式(II)のN-BOCチエノピリミジノン誘導体(1当量)及び2,2,2-トリフルオロ酢酸(10~100当量)のジクロロメタン中溶液を室温で1~24時間撹拌する。脱保護が完了すると、反応混合物を真空中で濃縮する。遊離塩基は、1M重炭酸ナトリウム水溶液又は1M炭酸ナトリウム水溶液などの塩基と有機溶媒、例えば酢酸エチル又はジクロロメタンとの間でTFA塩を、分配することによって得ることができる。層を分離し、水層を、2回の有機溶媒で抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮する。RP-HPLC、フラッシュクロマトグラフィーによる精製、又は酢酸エチル、エタノール若しくはメタノールなどの適切な溶媒からのトリチュレーションにより、式(I)の化合物が得られる。
実施例1
2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-6-(4-ピペリジル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン塩化水素
Figure 2024510004000051
メタノール(1mL)中の4-[2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-4-ケト-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(50mg、0.105mmol、1当量)の懸濁液に4M HCl水溶液(324mg、270uL、1.08mmol、10.24当量)を加えた。反応混合物を室温で3日間撹拌した。固体を濾過によって回収し、酢酸エチルで洗浄し、真空中で乾燥させ、表題化合物(28.9mg、65%)を、淡黄色固体として得た。MS m/e:381.3([M+H]
実施例2
2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-6-[(3SR,4SR)-3-フルオロ-4-ピペリジル]-3H-チエノ[2,3-d] ピリミジン-4-オン
Figure 2024510004000052
一般手順Cに従って、(3SR,4SR)-4-[2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-4-ケト-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]-3-フルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルから、LCMSによって純度97%の淡黄色固体として、表題化合物を得た。MS m/e:397.3([M+H]
実施例3
6-(3,3-ジフルオロ-4-ピペリジル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン
Figure 2024510004000053
4-[2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-4-ケト-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]-3,3-ジフルオロ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルから、一般手順Cに従ってLCMSによって純度99%の白色固体として、表題化合物を得た。MS m/e:417.2([M+H]
実施例4
6-(アゼチジン-3-イルオキシ)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン
Figure 2024510004000054
一般手順Cに従って、3-[[2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-4-ケト-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]オキシ]アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルから、LCMSによって純度98%の淡黄色固体として、表題化合物を得た。MS m/e:369.1([M+H]
実施例5
2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-6-(4-ピペリジルオキシ)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン
Figure 2024510004000055
一般手順Cに従って、4-[[2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-4-ケト-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]オキシ]ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルから、LCMSによって純度96%の黄色固体として、表題化合物を得た。MS m/e:397.2([M+H]
実施例6
6-(4-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン
Figure 2024510004000056
7-[2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-4-ケト-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]-4-アザスピロ[2.5]オクタン-4-カルボン酸tert-ブチルエステルから、一般手順Cに従ってLCMSによって純度96%のオフホワイト色固体として、表題化合物を得た。MS m/e:407.2([M+H]
実施例7
2-[2-メチル-8-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル]-6-(4-ピペリジル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン
Figure 2024510004000057
一般手順Cに従って、4-[4-ケト-2-[2-メチル-8-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル]-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルから、LCMSによって純度98%の黄色固体として表題化合物を得た。MS m/e:435.2([M+H]
実施例8
HTT低下のための均一時間分解蛍光
HTRFアッセイを、Weissら(Analytical Biochemistry Volume 395、Issue 1、1 December 2009、Pages 8-15及びAnalytical Biochemistry Volume 410、2011、Pages 304-306)から、GENEAe1020-A細胞株(https://hpscreg.eu/cell-line/GENEAe020-A)由来の細胞に適合させた。
変異HTTタンパク質(mHTT)に対する均一時間分解蛍光(HTRF)を使用して、ハンチントン患者のヒト細胞(GENEAe020-A細胞株)における変異HTTレベルの影響について化合物を試験した。GENEAe020-A細胞株は、HDドナーのヒト胚盤胞からGenea Biocellsによって誘導された。生存率を評価した後、細胞を増殖培地中の384ウェルコラーゲンコーティングプレートに播種した。細胞が接着したら、培地を除去し、DMSOに溶解した試験化合物を緩衝液で希釈し、接着細胞に添加した。対照には、細胞を用いない実験、化合物を用いないDMSO、及びHsp90阻害剤対照を含めた。細胞を、化合物及び対照と48時間インキュベートした。その後、細胞を溶解し、HTTタンパク質の特定の領域を認識するPaul Pattersonによって開発されたHTRF標識モノクローナル抗体(Koら、Brain Research Bulletin、Volume 56、Numbers 3 and 4、2001、Pages 319-329)を含有するアッセイプレートに移した。テルビウム標識「ドナー」抗体(2B7)は、HTTタンパク質のN末端に結合し、Alexa488標識「アクセプター」抗体(MW1)は、タンパク質のポリグルタミン領域に特異的である。アクセプター標識抗体の結合は、変異HTTタンパク質レベルの特異的な測定を可能にするシグナルブーストに翻訳される変異HTTタンパク質の伸長されたポリグルタミン反復にとってより効率的である。HTRFドナー検出試薬及びHTRFアクセプター検出試薬を細胞溶解物とインキュベートし、2つのフルオロフォアのシグナル間の比が、mHTTの相対量を示す。
このアッセイの結果を表1に示す。表1は、HTRFアッセイによって測定される本発明の特定の実施例について得られたmHTTの低下についてのEC50値を提供する(以下に示されるデータは、3回の反復からの平均である)。
Figure 2024510004000058

Claims (22)

  1. 式(I)
    Figure 2024510004000059

    (式中、
    Xは、結合又は-O-であり、
    は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルであり、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキルの各例は、Rから独立して選択される1、2、3又は4つの置換基で任意に置換され、
    は、水素、シクロアルキル、アルケニル、シアノ、アミノ、ヒドロキシ、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ又はアルコキシであり、
    は、水素、アルキル、ハロゲン又はハロアルキルであり、
    は、ハロゲン、アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ハロヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルシクロアルキル、ハロシクロアルキル、シクロアルキルアミノ、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ハロアリール、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、ハロアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アミノアルキルアミノ、アルコキシアルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシアルキル又はヒドロキシアルキルアミノである)
    の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
  2. が、Rから独立して選択される1つ又は2つの置換基で、任意に置換されているヘテロシクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
  3. が、アゼチジン-3-イル、4-ピペリジル又は4-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イルであり、Rが、Rから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意に置換されている、請求項1又は2に記載の化合物。
  4. が、4-ピペリジル又は4-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イルであり、Rが、Rから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意に置換されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
  5. が、アルキル又はハロアルキルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
  6. が、メチル又はトリフルオロメチルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
  7. が、アルキルである、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
  8. が、メチルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
  9. が、ハロゲンである、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
  10. が、フルオロである、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
  11. Xが、結合である、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
  12. 2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-6-(4-ピペリジル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、
    2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-6-[(3SR,4SR)-3-フルオロ-4-ピペリジル]-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、
    6-(3,3-ジフルオロ-4-ピペリジル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、
    6-(アゼチジン-3-イルオキシ)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、
    2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-6-(4-ピペリジルオキシ)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、
    6-(4-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、及び
    2-[2-メチル-8-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル]-6-(4-ピペリジル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン
    から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
  13. 2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-6-(4-ピペリジル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、
    2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-6-[(3SR,4SR)-3-フルオロ-4-ピペリジル]-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、
    2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-6-(4-ピペリジルオキシ)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、
    6-(4-アザスピロ[2.5]オクタン-7-イル)-2-(2,8-ジメチルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン、及び
    2-[2-メチル-8-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル]-6-(4-ピペリジル)-3H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン
    から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
  14. 請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物を調製するための方法であって、以下の工程:
    (a)式(B1)
    Figure 2024510004000060

    (式中、nは0又は1である)
    の化合物を、適切な溶媒の存在下、適切な塩基と反応させて、式(B2)
    Figure 2024510004000061

    の化合物を得る工程、
    (b)式(B2)(式中、nは1である)の化合物を、適切な溶媒中、酸の存在下で反応させて、式(I)
    Figure 2024510004000062

    (式中、前記方法において、X、R、R、R及びRは、請求項1~13のいずれか一項に定義されるとおりであり、PGは保護基である)
    の化合物を得る工程
    の少なくとも1つを含む、方法。
  15. 請求項14に記載の方法に従って製造された場合の、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
  16. 治療的活性物質としての使用のための、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
  17. 請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物と、治療的不活性担体と、を含む、医薬組成物。
  18. 神経変性疾患、特にハンチントン病の処置又は予防における使用のための、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
  19. 神経変性疾患、特にハンチントン病の処置又は予防のための、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物の使用。
  20. 神経変性疾患、特にハンチントン病の処置又は予防のための医薬の調製のための請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物の使用。
  21. 神経変性疾患、特にハンチントン病の処置のための方法であって、前記方法が、有効量の請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
  22. 上で前述されているとおりの発明。
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