JP2024509592A - 生物学的物質を分析するシステム及び方法 - Google Patents

生物学的物質を分析するシステム及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 生物学的物質の試料等の試料中の蛍光体を測定するシステム及びプロセスが開示されている。本プロセス及びシステムは、多くの異なる生物学的パラメータの蛍光寿命を測定するのに特に適している。【解決手段】 本システムは、数ナノ秒しか継続しないもの等の、極めて短い蛍光寿命を測定することが可能な変調速度で動作することができる、飛行時間型センサを有する。本システム及びプロセスは、幅広い用途を有するが、本システム及びプロセスは、pH、酸素、及び温度等の細胞の代謝特性を測定するのに特に適している。【選択図】図1

Description

[関連出願]
本出願は、2021年3月14日に出願された米国特許出願第63/160,841号に対する優先権を主張するものであり、その全内容が引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
生物医学的分析及び撮像は、外部及び内部の解剖学的及び生理学的構造、特徴及びシステムを視覚化すること、並びに臓器、組織、細胞、及び分子レベルで体内の複雑な生物学的事象を評価することを含む、多数の診断及び治療処置において役割を果たすものである。生物学的及び細胞学的分析は、医師及びその他の医療専門家が、疾病、負傷、及びその他の障害の発症を早期に発見及び診断し、病状の進行又は寛解を正確にモニタリングすることを可能にする。生物学的及び細胞学的分析はまた、様々な病状の処置及び管理のための標的療法及び低侵襲療法の提供を容易化することができる。生物学的分析の多くの応用は、強固で幅広く使用されている臨床技術へと成熟している。
いくつかの用途においては、細胞及び組織等の生物学的物質(biological material)の分析は、物質によって伝達、放出及び/又は散乱された(つまり、伝達された、放出された、又は散乱された、あるいはそれらの全てによる)電磁放射、核放射、音響波、電場、及び/又は磁場(つまり、電磁放射、核放射、音響波、電場、又は磁場、あるいはそれらの全て)を検出することによって、画像又は信号を生じることを含む。生物学的分子及び組織構造等の物質との相互作用を介して試料に供給されるエネルギー(例えば放射、音響等)及び/又は粒子(つまり、エネルギー又は粒子あるいはそれらの両方)の変調は、有用な解剖学的、生理学的、及び/又は生化学的情報(つまり、解剖学的情報、生理学的情報、又は生化学的情報、あるいはそれらの全て)を内包する、透過、散乱又は放出された放射音響波、電場又は磁場のパターンをもたらす。変調は、試料中の内因性物質の相互作用を伴う機構、及び/又は、造影剤、色素、光学的又は放射線標識物質、バイオマーカ、及びその他の薬剤等の、取得された画像又は信号の有用性を高めるために試料に導入される外因性撮像剤の相互作用を伴う機構を介して、生じることができる。組織試料の表面及び表面下の構成要素の画像を提供し、またin vivo及びin vitroの生物学的試料の構成要素のリアルタイムのモニタリングの手段を提供するのに概して有用なものとして、様々な異なる生物医学的機器が実証されている。
生物医学的撮像及び分析技術は、アッセイ装置(assey device:分析装置)に特に適している。アッセイとは、未知の被検体の定性的及び/又は定量的な分析(つまり、定性的な分析又は定量的な分析あるいはそれらの両方)である。1つの態様においては、例えば、アッセイ装置は、生検等の細胞試料に含まれる被検体のタイプ及び濃度の分析を実施するために使用することができる。これらのタイプの装置は、生体細胞を分析し、細胞内で起こっている代謝プロセスに関する有用な情報を提供するのに適している。例えば、これらの装置は、細胞信号伝達、増殖、活性化、毒性、及び生合成を駆動する重要な機能を知るための明確な手段を提供する、リアルタイムの細胞被検体測定を提供することができる。より詳細には、これらの装置は、比較的短時間で代謝表現型を生じることができる。
飛行時間型センサ(time-of-flight sensor)を使用する光検出及びレンジング(ranging:測距)(LiDAR:Light Detection And Ranging)は、非常に短い光パルスを放出し、光がセンサからオブジェクトまでを往復する時間を測定することによって、周囲のオブジェクトを検出し、センサまでの距離を捕捉する。LiDARは、自律車両、インテリジェント輸送システム、ドローン、掃除ロボット及びその他を含む、いくつかの用途に重要な技術である。自動車製造業者は、LiDARセンサを用いて、自動運転車のための先進技術を開発した。LiDAR技術は、あらゆる種類の天候条件下で車両の周囲の3次元点群をリアルタイムで生じることができる。
本開示は、概して、例えば生物医薬品産業及び生物医薬品用途における使用のために、ユニークかつ新規な方法で、蛍光寿命の調査にLiDAR技術の一部を組み込むことに関する。本開示は、pHの変化に対してナノ秒スケールで応答する蛍光体等の応答剤の測定を行うための、又は同じナノ秒スケールで応答することができる任意の生物学的物質の変化を測定するための、生物学的システム及び装置における飛行時間型センサの使用を説明し実証する。出願人は、これらの測定がナノ秒の時間スケールで行うことができ、これまでは測定できなかった蛍光体又は任意の生物学的物質等の1つ以上の応答剤の信頼性の高い正確な測定を可能にすることを実証した。
これに加えて、LiDARセンサのコストが低下するにつれて、生物学的装置及びシステムにおいてLiDARを使用することは、生物学的試料のナノ秒の寿命測定を行うための費用対効果の良い解決策を提供する。
したがって、1つの実施の形態においては、本開示は、生物学的物質を分析するシステムに関する。本システムは、任意選択的に、生物学的物質のための試料ステージングサイト(sample staging site)を含む。生物学的物質は、例えば、試験、モニタリング又はマッピングされるべき成分を含む任意の物質であってもよい。生物学的物質は、細胞物質であってもよい。生物学的物質は、例えば、生体細胞であってもよい。本開示によれば、本システムは、試料ステージングサイト上に収容される生物学的物質へと励起光を放出するように構成された光源を更に含む。励起光は、生物学的物質に関する成分に、蛍光放出又は燐光放出等のルミネセンス放出を起こさせる波長を有する。本明細書において使用される場合、成分とは、生物学的試料に含まれる、又は生物学的試料に関する、任意の構成要素である。成分が単独でルミネセンス放出を生じることもできるし、又は、成分によって影響を受ける蛍光体によってルミネセンス放出を生じることもできる。光伝達経路が、試料ステージングサイト上に設けられた生物学的物質の成分に関して、蛍光放出又は燐光放出等のルミネセンス放出を示す光信号を得るために設けられる。複数の画素を備える飛行時間型センサは、光伝達経路からの発光、蛍光、又は燐光放出を示す信号を受信するように構成される。複数の画素の各画素又は画素の群は、光信号に少なくとも部分的に基づいて、該画素又は画素の群の光応答に関する信号を提供するように構成される。本システムは、飛行時間型センサと通信する1つ以上のプロセッサを更に含む。1つ以上のプロセッサは、ルミネセンス放出から生物学的物質の特性を決定又はマッピングするように構成される。例えば、成分の蛍光寿命又は蛍光強度は、各画素又は画素の群の光応答に少なくとも部分的に基づいて求めることができる。1つ以上のプロセッサは、蛍光寿命又は蛍光強度から、成分の存在を求めるように、及び/又は成分に関連するパラメータの大きさ特性を求めるように、(つまり、成分の存在を求めるように、又は成分に関連するパラメータの大きさ特性を求めるように、あるいはそれらの両方を満足するように)構成されてもよい。
本開示のシステムは、生細胞を検査するシステムを含む、生物学的物質を検査するように設計された任意の適切なシステムに組み込むことができる。例えば、飛行時間型センサを使用する本開示のシステムは、あらゆるタイプの細胞代謝分析システム、マイクロ流体システム、マイクロプレートリーダ、マルチモードリーダ及び吸光度リーダ、並びに蛍光寿命撮像顕微鏡法(FLIM:fluorescence lifetime imaging microscopy)システム等の撮像システムに組み込むことができる。
1つの態様においては、光伝達経路及び飛行時間型センサの少なくとも一部は、光検出及びレンジング(LiDAR)サブシステムの一部としての実施のために設計された、CMOS飛行時間型センサであってもよい。光伝達経路は、少なくとも1本の光パイプ又は少なくとも1本の光ファイバを含んでもよい。光源は、コヒーレントな光のビームを放出するように構成されてもよい。例えば、光源は、レーザ、レーザダイオード、又は発光ダイオードであってもよい。光源は、蛍光寿命を測定するために、パルスで又は正弦波として或る変調速度で励起光を放出するように構成されてもよい。変調速度は、生物学的試料の成分に関する蛍光放出又は燐光放出の減衰時間に少なくとも部分的に基づいて決定されてもよい。例えば、変調速度は、約0.01MHz~約1000MHz、例えば約25MHz~約200MHzであってもよい。試験される成分の減衰時間又は蛍光寿命は、概して、1秒未満、例えば約1000マイクロ秒未満であってもよい。本開示のシステムは、極めて短い蛍光寿命を非常に効率の良い事項で検出するのに特に適している。例えば、1つの実施の形態においては、本システムは、約20ナノ秒未満、例えば約10ナノ秒未満、例えば約5ナノ秒未満、例えば約3ナノ秒未満、例えば約2ナノ秒未満の、概して約0.001ナノ秒よりは長い蛍光寿命を、検出及び測定することができる。変調速度は、蛍光体に応じて最適化されてもよい。変調速度が最適化されると、測定の精度が向上する。蛍光体若しくはセンサの特性、又は用途の要件に合致するよう変調速度を調整することによって、測定性能を更に向上させることができる。
光応答(photo-response)を示す信号は、画素についての応答位相(response phase)を示す信号を含んでもよい。画素についての応答位相は、例えば、第1のアナログ積分器から画素についての第1の応答を求めることと、第2のアナログ積分器を使用して画素についての第2の応答を求めることと、第1の応答及び第2の応答に少なくとも部分的に基づいて、応答位相を求めることとを含む動作を実行することに少なくとも部分的に基づいて、決定されてもよい。
1つの実施の形態においては、飛行時間型センサにおける各画素は、生物学的物質が光のパルスに曝露された後、かつ後続の光のパルスに曝露される前にのみ、画素が蛍光放出又は燐光放出を受けるように、光源と同位相で光伝達経路から蛍光放出又は燐光放出を受けるように構成されてもよい。
1つの実施の形態においては、本システムは、複数の試料ステージングサイトを含み、各試料ステージングサイトは、光伝達経路に関する。飛行時間型センサの画素は、複数のゾーンに分割される。各試料ステージングサイトの各光伝達経路は、複数のゾーンのうちの少なくとも1つと通じていてもよい。飛行時間型センサ及び1つ以上のプロセッサは、各試料ステージングサイトから蛍光放出又は燐光放出を受信し、各試料ステージングサイトからの成分の蛍光寿命又は蛍光強度を求めるように構成される。本システムは、例えば、少なくとも5個の試料ステージングサイト、例えば、少なくとも10個の試料ステージングサイト、例えば少なくとも50個の試料ステージングサイト、例えば少なくとも75個の試料ステージングサイト、例えば少なくとも100個の試料ステージングサイト、及び最大で約5000個の試料ステージングサイトを含んでもよい。例えば、複数の試料ステージングサイトは、マイクロプレート又はセルプレート中に含まれてもよい。いくつかの実施の形態においては、試料ステージングサイトは、スライドガラス、センサアレイ、シリコンチップ、マイクロアレイ、又はマイクロ流体装置上に含まれることができる。特定の実施の形態においては、マイクロ流体装置は、一連の平行な又は相互接続されたチャネルを含むことができ、このとき各チャネルは、1つ以上のステージングサイトを備える。いくつかの実施の形態においては、試料ステーティングサイトは、6個のウェルプレート、24個のウェルプレート、96個のウェルプレート、384個のウェルプレート、及び1536個のウェルプレート等のウェルプレートに含めることができる。
本システムは、マイクロプレートに対して移動するプランジャ又はプローブのアレイを更に含んでもよい。プランジャは、マイクロプレート上の試料ステージングサイトと整列するように離隔される。プランジャは静的であるか、又は試料ステージングサイト上に位置する生物学的試料に近接して配置されるために、試料ステージングサイトに向かって移動するように構成される。プランジャは、励起光を生物学的物質に送るために、及び生物学的物質によって生じたsを飛行時間型センサに送るために、光伝達経路と通じていてもよい。
1つの実施の形態においては、本システムはまた、少なくとも1つの蛍光体を生物学的物質に供給するための蛍光剤又は蛍光体源(fluorophore source:蛍光色素源)を含んでもよい。蛍光体は、1つの実施の形態においては、消光剤と通じていてもよい。蛍光体源は、例えば、生物学的物質と連通するように配置されたプランジャ又はプローブ上に位置していてもよい。代替的には、蛍光体源は、生物学的物質試料中に位置していてもよい。生物学的物質は、細胞を含むことができ、蛍光体は、細胞内に位置することができ、又は、細胞を囲む流体中に位置することができる。1つの実施の形態においては、蛍光体は、プランジャ又はプローブに結合され、細胞を囲む懸濁液中にあるか、又は細胞を囲む溶液中にある、ナノ粒子又はマイクロ粒子を含むことができる。
1つの態様においては、異なる成分を同時に測定するために、生物学的物質は、異なる蛍光体と通じて配置されてもよい。実際、本システムは、複数の生物学的試料の測定を同時に行うことが可能であるのみならず、更に各生物学的試料中の1つよりも多い成分を同時に測定することも可能である。いくつかの実施の形態においては、蛍光体は細胞物質自体から供給され、すなわち、細胞物質は自家蛍光性のものとすることができる。いくつかの実施の形態においては、蛍光体は、細胞物質に、又は細胞物質と接触する溶液若しくは物質に、添加される。いくつかの実施の形態においては、蛍光体は、細胞内で発現する蛍光タンパク質等のタンパク質とすることができる。いくつかの実施の形態においては、蛍光体は、タンパク質に結合することができ、又は、細胞内でタンパク質と結合している状態及び結合していない状態で存在することができる。いくつかの実施の形態においては、蛍光体は、抗体又はその他の親和性試薬に付着することができ、これらの抗体又は他の親和性試薬は、細胞の内部又は細胞表面上のタンパク質又はその他の成分に結合する。
本開示の例示の態様はまた、生物学的物質を分析する方法に関する。本方法は、少なくとも1つの蛍光体を含む生物学的物質を、蛍光体に蛍光放出又は燐光放出を起こさせる態様で、励起光に曝露することを含む。蛍光放出又は燐光放出は、飛行時間型センサに伝達され、飛行時間型センサによって感知される。被検体の蛍光寿命又は蛍光強度が決定される。1つの態様においては、本方法は、被検体の存在を確認することのみならず、蛍光寿命又は蛍光強度から被検体の大きさ特性を求めることも含んでもよい。1つの態様においては、本方法は、蛍光寿命又は蛍光強度から蛍光体の環境の特性(例えば消光剤に対する結合状態若しくは非結合状態又は近接性)を推測することを含んでもよい。
試験される生物学的物質は、細胞物質を含んでもよい。生物学的物質は、細菌細胞、真菌細胞、酵母細胞、原核細胞、真核細胞、又は酵素等を含む生体細胞を含んでもよい。細胞は、動物細胞、ヒト細胞、免疫細胞、又は不死細胞であってもよい。いくつかの態様においては、細胞物質は、細胞溶解物等の細胞由来の物質を含むことができる。いくつかの態様においては、細胞物質は、タンパク質、酵素、ミトコンドリア又は葉緑体等の細胞小器官等の、細胞の構成要素を含むことができる。いくつかの態様においては、細胞物質は、ウイルス、真菌、又は細菌等の病原体に感染した細胞に由来する物質を含むことができる。測定される成分又はパラメータは、溶存気体、イオン、タンパク質又はポリペプチド、代謝産物、核酸、脂質、基質、酸化状態、粘度、塩、ミネラル、又はそれらの組み合わせであってもよい。測定することができる溶存気体は、酸素、二酸化炭素、一酸化窒素、又はアンモニアを含む。成分は細胞内に含まれていてもよいし、又は細胞によって周囲の培地へと分泌される物質を含んでいてもよい。
測定することができる特定の成分又は成分に関連するパラメータは、酸素、pH、又は温度を含む。成分は、対象のパラメータに直接関連するもの(例えば同じもの)であってもよいし、又はパラメータの決定を可能にするパラメータに関連する特性であってもよい。1つの実施の形態においては、pH特性の蛍光寿命が測定される。蛍光寿命は、例えば約20ナノ秒未満、例えば約15ナノ秒未満、例えば約10ナノ秒未満、例えば約5ナノ秒未満、例えば更には約2ナノ秒未満等、極めて短くてもよい。他の実施の形態においては、蛍光寿命は、例えば20ナノ秒よりも長い、100ナノ秒よりも長い、500ナノ秒よりも長い、1マイクロ秒よりも長い、又は25マイクロ秒よりも長い等、より長いものとすることができる。当業者は、蛍光寿命の範囲は特定の蛍光体に依存することとなることを、理解するであろう。
検査される成分は、自家蛍光性のものであってもよいし、又は蛍光放出若しくは燐光放出を生じるための1つ以上の蛍光体と関連付けて配置されてもよい。例えば、測定される被検体は、本質的に蛍光性の代謝補因子であるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD/NADH)、NAD(P)H、及びフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD/FADH)を含むことができる。いくつかの態様においては、測定される成分又はパラメータは、タンパク質、脂質、ヌクレオチド、又は代謝産物等の、細胞内の別の本質的に蛍光性の分子を含むことができる。例えば、FLIMシステムを、脂質二重層中の蛍光体の寿命を調べるために使用することができ、膜流動性又は脂質ラフト等の脂質ミクロドメインについての情報を与える。
本方法は、生物学的物質の同じ試料から複数の成分の蛍光寿命を同時に又はほぼ同時に求めるステップを更に含んでもよい。生物学的物質の複数の試料が、同時に又はほぼ同時に測定されてもよい。
本開示の他の特徴及び態様が、以下により詳細に議論される。
本開示の完全かつ有効な開示は、添付の図への参照を含む本明細書の残りの部分において、より具体的に記載される。
単に例示的な目的のためのものであり、本開示の例示の実施形態による生物学的物質を分析するシステムの1つの実施形態を示す図である。 図1に示されるシステムの断面図である。 本開示の例示的な実施形態による蛍光強度測定と蛍光寿命測定との差異を示すブロック図である。 本開示の例示的な実施形態によって作られたシステムの1つの実施形態の概略図である。 本開示の例示的な実施形態によって作られたシステムの1つの実施形態の別の概略図である。 本開示の例示的な実施形態によって作られたシステムの1つの実施形態の更に別の概略図である。 本開示の例示の実施形態によるセンサの位相変調と組み合わせた照明制御信号を示す概略図である。 生物学的試料を試験するために本開示によって使用することができるマイクロプレートの例示の実施形態の分解斜視図である。 図6に示されるマイクロプレートの裏返しにした分解斜視図である。 本開示の例示の態様によって測定を行うためのプローブ又はプランジャ及び1つ以上のコンポーネントポートに関連する試料ステージングサイト中に収容された生物学的試料の1つの実施形態の断面図である。 本開示の例示の実施形態によるプロセスの例のフロー図である。 生物学的試料を試験するために本開示によって使用することができるマイクロプレートの別の実施形態の斜視図である。 本開示の例示の態様によって測定を行うためのプローブ又はプランジャの1つの実施形態の断面図である。 本開示の例示の態様によって測定を行うためのプローブ又はプランジャの別の実施形態の断面図である。 本開示の例示的な実施形態によるマイクロ流体システムの1つの実施形態の断面図である。 本開示の例示的な実施形態によるマイクロ流体システムの1つの実施形態の平面図である。 本開示によって実施することができる3次元分析の斜視図である。 以下の例において得られる結果のグラフ表現である。
本明細書及び図面における参照文字の繰返しの使用は、本発明の同一の又は類似する特徴又は要素を表すことを意図されたものである。なお、ここで、「及び/又は」は、その句によってつながれる二以上の要素の一要素、それらの任意の組み合わせ、あるいはそれらの総体をカバーする意味で使われる。
本議論は、単に例示的な実施形態の説明であり、本開示のより広範な態様を限定するものとして意図されたものではないことは、当業者によって理解されるべきである。
本開示の例示の態様は、細胞培養物等の生物学的物質試料に含まれるか又はそれに関連する、細胞パラメータを含む1つ以上の生物学的成分を分析するプロセス及びシステムに関する。本プロセス及びシステムは、効率良く読み取りを行うのみならず、多くの従来のシステムよりも高速な測定を行うこともできる態様で、光検出及びレンジングコンポーネントを利用する。
本開示のシステムは、生細胞を検査するシステムを含む、生物学的物質を検査するように設計された任意の適切なシステムに組み込むことができる。例えば、飛行時間型センサを使用する本開示のシステムは、あらゆるタイプの細胞代謝分析システム、マイクロ流体システム、マイクロプレートリーダ、マルチモードリーダ及び吸光度リーダ、並びに蛍光寿命撮像顕微鏡法(FLIM)システム等の撮像システムに組み込むことができる。
大きな進歩を遂げた特定の装置の1つは、Agilent Technologies社によって製造及び販売されているSEAHORSE分析プラットフォームである。SEAHORSE分析プラットフォームは、例えば、ミトコンドリア機能及び細胞生体エネルギーの定量的測定を行うことができる。例えば、この機器は、細胞ベースのアッセイの細胞外培地中の酸素濃度及びpHを測定することができる。SEAHORSE分析プラットフォームの様々な態様は、米国特許第7,276,351号、米国特許第7,638,321号、米国特許第8,697,431号、米国特許第9,170,253号、米国特許出願公開第2014/0170671号、米国特許出願公開第2015/0343439号、米国特許出願公開第2016/0077083号、及び米国特許出願公開第2016/0096173号に記載されており、これらは全て引用することにより本明細書の一部をなすものとする。本開示のプロセス及びシステムは、様々な利点及び利益を提供するために、以上に説明された装置に組み込むことができる。例えば、上述した機器は光強度に基づいて測定を行うものであり、このことは光源が一定の間隔で較正されることを必要とする。しかしながら、本開示のシステム及びプロセスは、光強度に基づく測定を行うことができるのみならず、発光寿命に基づく測定も行うことができ、繰り返される較正の必要を取り除く。本開示のシステム及びプロセスはまた、著しい追加のコストなく、速度を向上させ、より迅速な測定を行うことができる。
本開示のシステム及びプロセスはまた、マルチモードリーダ及び吸光度リーダを含むマイクロプレートリーダに組み込むことができる。例えば、本開示の検出システムは、いずれもAgilent Technologies社から入手可能な、SYNERGYハイブリッドマルチモードリーダ、CYTATIONハイブリッドマルチモードリーダ、LOGPHASE微生物学リーダ、EPOCHマイクロプレート分光光度計、ELx808吸光度リーダ、及び800TS吸光度リーダを含む、様々な例示的な装置に組み込むことができる。
本開示はまた、蛍光寿命撮像顕微鏡法(FLIM)システムに関する。FLIMシステムは、試料からの蛍光体発光の指数関数的減衰速度の差を求めることができる、画像ベースのシステムである。分子酸素マッピングを求めること、異なる場所における異なる脱酸素動態を求めること、及び/又はL-アミノ酸オキシダーゼの活性を含む酵素活性を決定及び撮像すること(つまり、分子酸素マッピングを求めること、異なる場所における異なる脱酸素動態を求めること、又はL-アミノ酸オキシダーゼの活性を含む酵素活性を決定及び撮像すること、あるいはそれらの全てのこと)に使用できる画像を、本開示によって生成することができる。いくつかの態様においては、FLIMシステムは、ドナー蛍光体とアクセプタ蛍光体との間、又は蛍光体と消光剤との間のフェルスター/蛍光共鳴エネルギー移動(FRET:Foerster/Fluorescence Resonant Energy Transfer)を測定するために使用することができる。FRETは蛍光寿命の変化を引き起こすことができるので、寿命測定はFRETドナー-アクセプタ対の近接性又は配向性を測定するために使用できる。FLIM-FRETシステムは、タンパク質-タンパク質相互作用、受容体二量体化、受容体-配位子相互作用、又は膜、核酸、脂質、糖鎖、若しくは細胞骨格要素等の細胞構造との蛍光体の相互作用等の、生物学的プロセスを測定するために使用することができる。
本開示はまた、ラボオンチップ又はラブオンチップ(lab-on-a-chip)及び臓器オンチップ(organ-on-a-chip)システムを含んでもよいマイクロ流体システムに関する。マイクロ流体システムにおいては、マイクロ流体装置は、一連の平行な又は相互接続されたチャネルを含むことができ、このとき各チャネルは、生物学的試験のための1つ以上のステージングサイトを含む。試験は、マイクロ流体システムが灌流モードにあり、そのため生体細胞試料が細胞培地に連続的に供給されている間に、行うことができる。一例示的なシステムは、米国特許第8,858,886号に開示されており、この文献は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。マイクロ流体システムにおいて実行される分析のタイプの1つは、DNA配列決定(DNA sequencing)、DNAクローニング、遺伝子マッピング、及びその他の形態の核酸配列分析において使用することができる、ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR:polymerase chain reaction)である。一般的に、qPCRは、高温で安定なままとなるDNAコピー酵素の能力に依存している。DNA分子を含む検体は、DNA結合蛍光色素を含む様々な試薬と一緒にマイクロプレートの1つ以上のウェルに配置される。ウェルプレートが加熱されて、検体中のDNA分子を構成する2本の鎖の間の結合を切断する。次にウェルプレートが冷却されて、それによりプライマが鎖の末端に結合することができる。最後にウェルプレートが加熱され、ヌクレオチドがプライマに添加され、最終的にDNA鋳型の相補コピーが形成される。DNA分子への結合は、蛍光色素を活性化する。その結果、活性化された蛍光色素によって出力される発光の強度が、活性化された蛍光色素の量の尺度、それゆえ生じたDNA分子の数の尺度を提供する。
本開示はまた、サイトメータ(cytometer)システムに関する。フローサイトメトリ(flow cytometry)は、細胞に結合した蛍光分子がフローセルを通過させられ、一組のレーザ等の光源によって励起される、レーザベースの生物物理学的技術である。蛍光が集められ、特定の検出波長を有する異なるチャネルへと分離され、電気信号に変換され、プロセッサを使用して分析される。3色フローサイトメトリ等のマルチカラーフローサイトメトリは、生物学的試料の異なる染色の識別のために、異なる励起波長及び発光波長を有する蛍光体を使用する。より具体的には、励起光は、ビーム成形、ステアリング、及びガイド光学コンポーネントによってフローセルに送ることができる。時間分解フローサイトメトリにおいては、蛍光体の蛍光寿命を測定することができる。フローサイトメトリ用の異なる蛍光体は、量子収率又はその他の化学的特性の相違に対して選択されることが多いが、時間分解フローサイトメトリを可能にする蛍光寿命に対してフローサイトメトリ蛍光体を選択することもできる。サイトメータシステムは、米国特許第9,575,063号に開示されており、この文献は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。フローサイトメトリ機器において蛍光寿命を測定する目的のために、露光時間は必然的に非常に短くなるが、LIDAR測定は1ミリ秒未満の積分間隔で日常的に行われている。単一の露光において両相を捕捉するために、(1つの実施形態においては)光ファイバを利用する光遅延ラインを使用して、遅延された光信号を撮像アレイの一部に供給しつつ、アレイの残りの部分が信号のうちの遅延されていない部分を捕捉するようにしてもよい。これに加えて、1つの実施形態においては、試料の同時分析のために、試料が複数の色素を用いて標識されてもよい。
本開示は、試料の蛍光強度及び/又は蛍光寿命(つまり、蛍光強度又は蛍光寿命あるいはそれらの両方)を測定するために、キュベット等の容器内に保持された生物学的試料を光が通過する際に、十分な信号を生ずることができる、任意の分光機器に追加することができる、飛行時間型センサモジュールに関する。LiDARモジュールはまた、吸光度、透過率、及び蛍光偏光を測定するために使用することもできる。分光機器の例は、限定するものではないが、分光計、分光光度計、及び蛍光光度計を含む。飛行時間モジュールはまた同様に、走査型顕微鏡システムに組み込むことができる。本開示の例示の態様は、極めて正確な方法で測定速度を向上させることが見出されているCMOS飛行時間型センサ等の飛行時間型センサを組み込んだ、検出システム及びプロセスに関する。いくつかの実施形態においては、飛行時間型センサは、例えば光検出及びレンジング(LiDAR)システムにおける使用のために設計された、CMOS飛行時間型センサであってもよい。
飛行時間型センサは、例えば、変調された光信号に対する蛍光放出又は燐光放出の応答位相(例えば同相応答及び/又は直交応答(つまり、同相応答又は直交応答あるいはそれらの両方))を正確に測定することができる。応答位相は、蛍光強度及び/又は20ナノ秒を十分に下回る蛍光寿命等の、蛍光放出の特性を求めるために使用することができる。その結果、本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、多くの従来技術の機器によっては検出が困難であった、極めて短い蛍光事象を測定することが可能である。
本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、生物学的試料等のあらゆる異なるタイプの試料中の成分を測定するのに適したものとなりうる。1つの態様においては、例えば、本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、細胞物質中の1つ以上の成分又は成分に関連するパラメータを測定するために使用されてもよい。1つ以上の成分は、細胞を囲む培地中に含まれることができ、又は、細胞自体の中に含まれていてもよい。いくつかの実施形態においては、試験される生物学的試料は、細胞小器官、ミトコンドリア、又は細胞抽出物等の、細胞由来の細胞物質を含むことができる。特に有利なことは、測定が標識のない態様で完了できることである。
向上した測定の速度により、本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、特に汎用性が高い。例えば、本システム及びプロセスは、数ナノ秒しか継続しない時限事象の測定を行うことが可能な周波数で動作することができる飛行時間型センサを組み込んでいる。例えば、1つの態様においては、飛行時間型センサは正弦波変調を使用し、20MHzよりかなり高い周波数、例えば約50MHzより高い周波数、例えば約70MHzより高い周波数、例えば約100MHzより高い周波数で、応答の位相を測定することができる。例えば、100MHzで動作する場合、飛行時間型センサは、2ナノ秒未満だけ継続する応答を測定することができる。
本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、生物学的パラメータに対するアッセイを実施するための蛍光応答を測定することができる。本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、蛍光放出又は燐光放出の強度を測定することによって動作することができるのみならず、蛍光寿命の測定にも適したものでありうる。或る特定の状況においては強度測定が好ましいものとなることができるが、蛍光寿命を測定する能力は、様々な利点及び利益を提供しうる。本開示のシステム及びプロセスはまた、画像の生成及び画像分析の実施にも適している。これに加えて、本開示のプロセス及びシステムは、生物学的試料中に含まれる成分の、又は成分に関連する生物学的パラメータの、3次元分析も実施することができる。
例えば、図3を参照すると、強度測定と蛍光寿命測定との比較が示されている。ダイアグラム2に従って強度測定を行う場合、例えば、光スループットを定量化するために、測定に先立って機器の較正が行われる。較正は典型的に、生物学的活性がない状態で既知の被検体濃度を使用して実施される。較正ステップは、測定装置についてのみならず、存在する蛍光体についても光スループットを定量化するために実施される。較正が完了すると、生物学的検体等の検体が、1つ以上の成分を測定するために、試料ステージングサイト中に導入されてもよい。
他方、図3に示されるように、蛍光寿命を測定する場合(ダイアグラム4)、較正ステップが省略されるのみならず、均一な光スループットを有することなく測定を実施することができる。かくして、機器を使用して、較正に関連する遅延なく、生物学的検体を1つ以上の成分について測定することができるのみならず、代替アッセイを実施することもできる。本開示のプロセス及びシステムはまた、光結合をあまり必要とせずに、信号から測定へのより強固な変換を提供する。これらの利点は、低コストで、著しい複雑さを加えることなく、実現される。
これまでは、多くの同様の機器は、スループット及び測定速度に対する制限のために、強度測定を行うことのみに制限されていた。しかしながら、以上に説明されたように、本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスに飛行時間型センサを組み込むことは、蛍光寿命が数ナノ秒未満である場合であっても、蛍光寿命測定を可能にする。例えば、多くのpHセンサ又は蛍光体の蛍光寿命は、数ナノ秒の領域である。時間経過に伴う正確なpH変化を含む正確なpH測定値は、多くの生物学的アッセイにおいて特に重要である。本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、pHに関連する蛍光寿命を正確にかつ直接的に測定する機会を提供することができる。これに加えて、本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスはまた、pH測定等の測定をかなりの数の試料に対して同時に実行するために、蛍光寿命測定を多重化することが可能となりうる。別の実施形態においては、本システム及びプロセスは、直接寿命測定、又は直接及び多重化蛍光寿命を使用するハイブリッド型寿命測定に、使用することができる。
いくつかの実施形態においては、細胞物質等の生物学的試料は、自家蛍光性のもの(例えば蛍光体それ自体)であってもよいし、又は任意選択的に、生物学的試料は、蛍光体と関連付けて配置されてもよい。蛍光体は、元は基底状態にある。蛍光体及び試料は次いで、任意の適切な光源から放出された励起光(例えば変調された励起光)にさらされる。蛍光体は光を吸収して、蛍光体が高エネルギー励起状態に達するまで、そのエネルギー準位を上昇させる。蛍光体は、高エネルギーの励起状態においては不安定であるため、励起寿命プロセスの間は、蛍光体は、そのエネルギーの一部を失い、より低いエネルギーの励起状態をとって半安定状態になる。発光プロセスの間は、蛍光体は、その基底状態に戻るまで、光を放出することによってその過剰なエネルギーを解放する。解放されるエネルギーの量は、生物学的試料に関連して存在する成分の存在及び/又は量(つまり、存在又は量あるいはそれらの両方)に依存しうる。
蛍光放出又は燐光放出の強度は、基底状態に達するまで実質的に指数関数的な速度で減衰する。蛍光体の寿命τは、分子が光子を放出する前に励起状態で「生きている」時間とみなされる。蛍光は、1次の速度論的機構に従い、その強度は、
に従って指数関数的に減衰する。寿命は、蛍光強度が元の強度の1/eすなわち36.7%にまで減衰するのにかかる時間に関係する。多くの蛍光体についてのこの寿命の値は、サブナノ秒~数十ナノ秒からマイクロ秒の範囲であり、その化学構造の関数であり、消光試薬又は蛍光増強試薬の近接性を含む蛍光体の環境によって影響を及ぼされうる。
蛍光体分子の蛍光寿命は、基底状態に戻るまでに分子が励起状態にとどまっている平均時間を示す。寿命データは、励起状態から基底状態への減衰速度に関連するため、消光剤との衝突の頻度、エネルギー移動の速度、及び光誘起電子移動等の励起状態反応の速度等の、多くの異なるタイプの情報を明らかにすることができる。生物学的センサシステムにおけるこれらの蛍光減衰の正確な性質は、蛍光体分子のその環境との相互作用についての詳細を更に明らかにすることができる。例えば、複数の減衰定数は、蛍光体分子が、分子が遊離している状態に束縛されている状態等の複数の異なる環境にあることの結果、及び/又は、光誘起電子移動等の励起状態プロセスの結果(つまり、分子が遊離している状態に束縛されている状態等の複数の異なる環境にあることの結果、又は、光誘起電子移動等の励起状態プロセスの結果、あるいはそれらの両方)でありうる。
蛍光寿命の測定のための例示の方法は、パルス法(時間分解蛍光測定法としても知られている)及びハーモニック法又は位相変調法である。パルス法においては、試料は短い光のパルスで励起され、蛍光強度の時間依存性減衰が測定される。ハーモニック法においては、試料は正弦波状に変調された光で励起される。この方法においては、寿命を算出するために、入射光に対する発光の位相シフト及び復調が使用される。
以上に説明されたように、本開示の例によるシステム及びプロセスは、強度測定を行うことができるが、蛍光寿命測定も行う選択肢は、様々な利点を提供しうる。例えば、蛍光寿命測定は、試料濃度及び体積、励起強度並びに実験形状等の、多くの実験パラメータに依存しない。LiDARコンポーネントを組み込んだ本開示のシステムは、光結合効率を向上させることができる。これに加えて、本システムは、システムコンポーネントの透過性の効率を向上させ、試料の濁度を減少させ、固有の内側フィルタ特性を持つ。
本開示によれば、生物学的測定システムを著しく改善するために、飛行時間型センサ(例えばCMOS飛行時間型センサ)が使用されてもよい。より詳細には、本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、蛍光放出又は燐光放出信号を受信し、これらの信号を迅速かつ効率良く処理するために、飛行時間型センサを組み込む。さらに、単一の飛行時間型センサが、広範囲の変調周波数にわたって変調光信号の位相を測定する能力を有する、数千の画素を含む画素アレイを含んでもよい。このようにして、飛行時間型センサは、非常に短い蛍光放出又は燐光放出を迅速に測定することが可能であるのみならず、単一の蛍光体若しくは成分又は複数の蛍光体若しくは成分のかなりの数の測定を同時に又はほぼ同時に行うようにも構成される。飛行時間型センサはまた、著しく低い追加ノイズで位相を測定することも可能である。本質的に、本開示のシステム及びプロセスは、反射光信号の遅延した到来を測定するように設計された飛行時間型センサを組み込み、それを蛍光信号の迅速な減衰の測定に適用する。より詳細には、1つの態様においては、飛行時間型センサは、比較的大きな蛍光放出又は燐光放出を受信し、次いで信号が減衰するのにかかる時間を測定するように設計される。代替としては、飛行時間型センサは、望ましい場合には、光強度も測定することができる。
図4Aを参照すると、例示の目的のために、本開示によって作られたシステムの1つの実施形態の簡略図が示されている。図4Aに示されるように、本システムは、光源12から励起光を受けるように設けられた試料ステージングサイト10を含む。光源12は、試料ステージングサイト10上の試料に関する蛍光体に蛍光放出又は燐光放出を起こさせる励起光(例えば正弦波又は一連のパルス等の変調された励起光)を放出する。蛍光放出又は燐光放出は次いで、CMOS飛行時間型センサ等の飛行時間型センサ14によって感知される。蛍光体は、生物学的試料に自然に含まれる成分であってもよいし、又は生物学的試料に添加され、生物学的試料中に存在する成分によって影響を受けるものであってもよい。
本システムは、光伝達経路16を更に含む。光伝達経路は、光源12によって放出される励起光を試料ステージングサイト10へと向けるため、及び対応する蛍光放出又は燐光放出を飛行時間型センサ14に向けるためのものである。光伝達経路16は、光ファイバを含んでもよい。しかしながら、以下に議論されるように、光伝達経路16は、光信号を伝達するための任意の適切な光路及び/又は光学素子(つまり、光路又は光学素子あるいはそれらの両方)を含んでもよい。
飛行時間型センサ14は、1つの態様においては、光伝達経路16から信号を受信するように構成された複数の画素を備えた画素アレイを含んでもよい。例えば、光伝達経路16から受信される信号は、試料ステージングサイト10中に収容される蛍光体によって生じた蛍光放出又は燐光放出を示す光信号であってもよい。画素アレイ中の各画素又は画素の群は、例えば、受信された光信号に少なくとも部分的に基づいて、該画素又は画素の群の光応答に関する信号を提供するように構成されてもよい。いくつかの実施形態においては、飛行時間型センサ14は、例えば、Sony社によって製造されているIMX556飛行時間型センサであってもよい。
本システムは、飛行時間型センサ14及び光源12と通信するよう配置されてもよい、1つ以上のプロセッサ18を更に含んでもよい。1つ以上のプロセッサ18は、例えば、動作を実行する1つ以上のマイクロプロセッサ、集積回路(例えば特定用途向け集積回路)、CPU、GPU、フィールドプログラマブルゲートアレイ等の、任意の適切な処理装置を含んでもよい。いくつかの実施形態においては、1つ以上のプロセッサ18は、応答位相、蛍光強度及び/又は蛍光寿命、及び/又は本明細書に記載される特性の大きさを求めるための動作のいずれか等の動作を実行するために、1つ以上のメモリ装置に保存されたコンピュータ可読命令を実行するように構成されてもよい。1つ以上のメモリ装置は、コンピュータ可読命令及びデータを保存するための任意の適切な媒体であってもよい。例えば、1つ以上のメモリ装置は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックメモリ(SRAM)、又はその他の揮発性メモリ等の、ランダムアクセスメモリを含んでもよい。これに加えて及び/又は代替として(つまり、加えて、又は代替として、あるいはそれらの両方として)、1つ以上のメモリ装置は、ROM、PROM、EEPROM、フラッシュメモリ、光記憶装置、磁気記憶装置等の、不揮発性メモリを含んでもよい。
1つ以上のメモリ装置は、1つ以上のプロセッサ18によって実行されるときに、1つ以上のプロセッサに、本明細書に記載される1つ以上のプロセッサによって実装される動作のいずれか等の動作を実行させる、コンピュータ可読命令を保存してもよい。これらの命令は、任意の適切なプログラミング言語で記述されたソフトウェアであってもよいし、又はハードウェアで実装されてもよい。
1つ以上のプロセッサ18は、飛行時間型センサ14に含まれる1つ以上の画素から信号を受信するように構成されてもよい。飛行時間型センサ14から受信された情報に基づいて、1つ以上のプロセッサ18は、試料ステージングサイト10に存在する蛍光体の蛍光寿命又は蛍光強度を求めるように構成されてもよい。本開示の例示の態様によれば、1つ以上のプロセッサは、生物学的成分の存在を求めるために使用することができるのみならず、蛍光放出又は燐光放出から成分の又は成分に関連するパラメータの大きさ特性を求めるように構成することもできる。大きさ特性は、例えば、量、濃度、又は変化率等であってもよい。大きさ特性は、2次元又は3次元でマッピングされてもよい。
図4Aに示されるように、1つ以上のプロセッサ18は、光源12とも通信していてもよい。このようにして、1つ以上のプロセッサ18は、飛行時間型センサ14を使用して蛍光放出又は燐光放出を感知することと連動して、光源12からの発光を制御及び調整することができる。
図4Aに示されるように、本開示の例示の態様によるシステムは、光を試料へと向けるため、及び/又は蛍光放出又は燐光放出を飛行時間型センサ14の方へ向けるため(つまり、光を試料へと向けるため、又は蛍光放出又は燐光放出を飛行時間型センサ14の方へ向けるため、あるいはそれらの両方のため)の、様々な異なる光学素子を任意選択的に含んでもよい。例えば、本システムは、電気光学変調器、ビーム成形レンズ、走査装置、多素子レンズ、干渉フィルタ等の光フィルタ、ビームスプリッタ、及び開口素子等を含んでもよい。例えば、図4Aに示されるように、本システムは、レンズ24、26及び28と組み合わせた光フィルタ20及び22を含んでもよい。本システムはまた、光源12からの光を、試験される試料上へと向けるための、反射素子25を含んでもよい。しかしながら、これらの光学素子は全て任意であり、使用される異なる装備に基づいて省略されてもよい。しかしながら、光学素子は、光を特定の領域に集束させるのに有用となりうる。例えば、光伝達経路16が飛行時間型センサの感知領域又は撮像領域よりも大きい場合には、光を変化させる又は方向付けるために1つ以上のレンズが使用されてもよい。いくつかの実施形態においては、光路は1つ以上の光ファイバ又は光パイプを含んでもよい。
光源12は、概して、任意の適切な光源を含んでもよい。例えば、光源12は、コヒーレント光(例えばコヒーレント光ビーム)又はインコヒーレント光(incoherent light)を放出するように構成されてもよい。インコヒーレント光を放出する場合、望ましい場合には、不要な波長をフィルタリングして除外するために、1つ以上のフィルタが使用されてもよい。1つ以上のフィルタは、光源12によって放出される光をフィルタリングするために、光が生物学的物質に接触するよりも前方に設けらることができ、及び/又は、蛍光体から生じた蛍光放出又は燐光放出をフィルタリングするために、生物学的物質と飛行時間型センサとの間に設けてもよい。本開示のシステムにおいて使用することができる適切な光源12は、例えば、発光ダイオード、レーザダイオード、及びレーザ等を含む。光源12はまた、上述した照明装置のうちの1つ以上を備えてもよい。例えば、光源12は、所望の領域にわたって十分な強度を提供するための複数のレーザ、光ダイオード、又は発光ダイオードを備えてもよい。
光源12が動作する波長は、存在する蛍光体及び/又は検査される生物学的成分(つまり、存在する蛍光体、又は検査される生物学的成分、あるいはそれらの両方)に依存して様々となりうる。波長は、例えば、約250nm~約10000nm、例えば約300nm~約2000nmの様々となりうる。本明細書において使用される場合、数値に伴う用語「約」の使用は、記載される数値の前後10%を含むことを指す。光源12は、例えば、紫外光、可視光、近赤外光、又はそれらの混合物を放出することができる。
光源12の照明強度は、動作波長、飛行時間型センサ14の感度、及び本システムの信号対ノイズ比を含む、様々な因子及びパラメータに依存しうる。1つの態様においては、光源12は、毎秒少なくとも約10の光子、例えば毎秒約10よりも多い光子、例えば毎秒約10よりも多い光子、例えば毎秒約10よりも多い光子、例えば毎秒約1010よりも多い光子、例えば毎秒約1011よりも多い光子、例えば毎秒約1012よりも多い光子を、送ってもよい。光強度は、概して約1030未満、例えば約1020未満である。
光伝達経路16は、1つの実施形態においては、1つ以上の光パイプ又は光ファイバを含んでもよい。例えば、1つの実施形態においては、光伝達経路16は、光ファイバの束状アレイを含んでもよい。光源12からの光を試料ステージングサイト10上に収容された試料へと送るためと、蛍光放出又は燐光放出を飛行時間型センサ14に伝達するためとで、同じ光ファイバが使用されてもよい。代替的には、異なる機能を実行するために異なる光ファイバが使用されてもよい。
1つの態様においては、飛行時間型センサ上に位置するセンサ素子又は画素の異なるゾーンへと光を向けるために、異なる光ファイバ又は光ファイバの異なる束ねられたアレイが使用されてもよい。このようにして、複数の測定を、試料ステージングサイト10上に収容される同じ試料又は異なる試料から同時に又はほぼ同時に行うことができる。
例えば、本システムは、同じ試料又は異なる試料に含まれる異なる蛍光体からの複数の蛍光放出又は燐光放出を、同時に又はほぼ同時に検出及び測定することが可能である。
また、複数の試料中の同じ蛍光体を同時又はほぼ同時に測定するために、多重化が使用されてもよい。例えば、1つの態様においては、本システムは複数の試料ステージングサイトを含んでもよい。単一の光源又は複数の光源が、試料ステージングサイトのそれぞれへと同時に又はほぼ同時に光を放出してもよい。光伝達経路16は、複数の測定を同時に行うために、各試料ステージングサイトからの蛍光放出又は燐光放出を、飛行時間型センサ14上のセンサ素子又は画素の異なるゾーンに伝送するために使用されてもよい。実際、本システムは、各試料中の複数の蛍光体からの蛍光放出又は燐光放出を、複数の試料にわたって同時に又はほぼ同時に測定することが可能である。例えば、本システムは、10個よりも多い試料ステージングサイト、例えば25個よりも多い試料ステージングサイト、例えば50個よりも多い試料ステージングサイト、例えば75個よりも多い試料ステージングサイト、例えば100個よりも多い試料ステージングサイト、例えば125個よりも多い試料ステージングサイト、例えば150個よりも多い試料ステージングサイト、例えば175個よりも多い試料ステージングサイト、例えば200個よりも多い試料ステージングサイト、例えば225個よりも多い試料ステージングサイト、例えば250個よりも多い試料ステージングサイト、例えば300個よりも多い試料ステージングサイト、例えば400個よりも多い試料ステージングサイト、例えば500個よりも多い試料ステージングサイト、概して約10000個未満の試料ステージングサイトを含んでもよい。1つの態様においては、本システムは、システム内に含まれる試料ステージングサイトの数を更に増加させるために、1つ以上の光源と組み合わせて複数の飛行時間型センサを含んでもよい。
1つの実施形態においては、本開示のシステムは、光走査能力を含んでもよい。例えば、米国特許第8,858,886号に記載されているように、本システムは、生物学的試料を収容するマイクロプレートを受容するためのマイクロプレート受容部と、光学カートリッジ受容部を含むステージとを含んでもよい。光学カートリッジ受容部は、光源及び任意選択的に飛行時間型センサを含んでもよい。ステージ又はマイクロプレート受容部のうちの少なくとも一方は、直交する方向等の複数の方向に、他方に対して移動可能であってもよい。1つの実施形態においては、本開示のシステムは、走査の実施をもたらすために、単一の励起光源に接続された光結合用の複数の窓と、飛行時間型センサ上の単一の画素アレイに戻るように延びる対応する数の光ファイバとを含んでもよい。窓及び光ファイバの数は、約4~約12、例えば約6~約10であってもよい。
1つの態様においては、飛行時間型センサ14は、距離撮像システム又はLiDARシステムの一部であってもよい。飛行時間型センサ14は、光信号の往復時間を測定することによって、画像の各点についてセンサとオブジェクトとの間の距離を解明するように構成することができるが、飛行時間型センサ14は、信号の往復時間を測定する代わりに、蛍光放出又は燐光放出の強度又は即座の減衰を測定する。例えば、蛍光寿命を測定する場合、飛行時間型センサ14は、蛍光放出ピークにおいて測定を開始し、次いで信号がどの程度急速に減衰するかを測定する。
飛行時間型センサ14は、1つの実施形態においては、1つ以上の位相検出器を有する変調光源であってもよい。例えば、飛行時間型センサ14は、キャリアを用いて光ビームを変調し、次いでキャリアの位相シフトを測定することによって、動作してもよい。代替としては、飛行時間型センサは、光源12によって光パルスが放出されるように開閉する内蔵シャッタを有する、レンジゲート撮像器(range-gated imager)であってもよい。
図4Aに示されるシステムにおいては、光源12と、飛行時間型センサ14と、1つ以上のプロセッサ18とは、別個の要素として示されている。しかしながら、これらの要素のそれぞれは、単一の装置に組み込まれてもよいことは、理解されるべきである。
本開示によって測定を行う又は蛍光放出若しくは燐光放出を測定するために、本システムは、図3に示されるように、蛍光強度又は蛍光寿命のいずれかを測定するように動作してもよい。蛍光強度を測定する場合、既知の光スループットがあることを確実にするために、初期較正ステップを実行することができる。
蛍光寿命を測定する場合、生物学的試料は最初に、感知、マッピング、又は測定されるべき少なくとも1つの成分を収容する試料ステージングサイト10上に配置される。成分は、自家蛍光性のものであってもよい。代替的に、所望の波長の光と接触したときに蛍光放出又は燐光放出を生ずるために、1つ以上の蛍光体が試料と関連付けて配置されてもよい。光ビームが標的蛍光体(複数の場合もある)に接触すると、標的蛍光体(複数の場合もある)は蛍光放出又は燐光放出を起こす。蛍光放出又は燐光放出は次いで、光伝達経路16を介して飛行時間型センサ14に伝達される。飛行時間型センサ14は次いで、1つ以上のプロセッサ18と協働して、蛍光減衰又は蛍光寿命を測定してもよい。飛行時間型センサ14によって受信された信号は、成分の存在を求めるためのみならず、望ましい場合には成分の大きさ特性を求めるためにも使用することができる。
光源12と飛行時間型センサ14とは、異なる方法及び技術を使用して動作してもよいが、1つの実施形態においては、光源12は、或る変調速度でパルス状に励起光を放出するように構成される。例えば、光源12は、正弦波の底部がゼロ発光又はほぼゼロ発光となるような、持ち上げられた正弦波として励起光を放出するように(例えば1つ以上のプロセッサによって)制御されてもよい。変調速度は、試験の間に存在する蛍光体の蛍光放出又は燐光放出の減衰時間に少なくとも部分的に基づいて選択されてもよい。例えば、変調速度は、間の0.01MHzの全ての増分を含む、約0.01MHz~約1000MHzのいずれであってもよい。例えば、1つの態様においては、変調速度は、約1MHzよりも大きくてもよく、例えば約10MHzよりも大きく、例えば約20MHzよりも大きく、例えば約30MHzよりも大きく、例えば約40MHzよりも大きく、例えば約50MHzよりも大きく、例えば約60MHzよりも大きく、例えば約70MHzよりも大きく、例えば約80MHzよりも大きく、例えば約90MHzよりも大きく、例えば約100MHzよりも大きく、例えば約120MHzよりも大きく、例えば約140MHzよりも大きく、例えば約160MHzよりも大きく、例えば約180MHzよりも大きく、例えば約200MHzよりも大きくてもよい。変調周波数は、1つの態様においては、約500MHz未満、例えば約400MHz未満、例えば約300MHz未満、例えば約200MHz未満、例えば約150MHz未満であってもよい。
1つの実施形態においては、本システムは正弦波変調を使用し、蛍光応答の位相を測定してもよい。最適な感度は、例えば、以下の関係に従って得られる:
ここで、fmodは変調であり、τdecayは蛍光寿命である。このようにして、光源によって放出される励起光の変調速度は、蛍光放出又は燐光放出の蛍光寿命に少なくとも部分的に基づいて、決定又は選択することができる。
飛行時間型センサ中の各画素の光応答が、蛍光放出又は燐光放出の蛍光寿命を求めるために使用されてもよい。例えば、変調された励起光に対する蛍光放出又は燐光放出の応答位相は、各画素の光応答に基づいて求めることができる。いくつかの実施形態においては、応答位相は、各画素において同相応答(I)及び直交応答(Q)の両方を含みうる。いくつかの実施形態においては、蛍光寿命は、少なくとも部分的に以下に基づいて(例えば1つ以上のプロセッサによって)決定されうる:
より詳細には、規定の減衰時間を有する蛍光体の集合からの信号は、それらが同じ減衰時間を有する単純なRCネットワークから来るものであるかのように分析されうる。時間ドメインの応答は、
となる。
ここで大きさは、単位DC応答を提供するように設定されている。ラプラス変換表現は、-1/τに位置する実軸上の単極となる。このネットワークが、fmodの周波数を有する正弦波信号で刺激されると、応答は、
となる。
応答の同相成分及び直交成分(I及びQとして)が測定される場合、以下のように決定できる:
I及びQにおける誤差がそれぞれの成分に比べて小さい場合、以下のように決定できる:
光子の総バジェットが限られており、ショットノイズも限られている場合、I≒Qとなる動作点を選択することが有益である。光子数を変換し、ポアソン統計を課すと、以下のように決定できる:
同相信号は、例えば、2つの光子計数プロセスの差である。これらの差が形成される場合、その結果の分散は2つの分散の和であるが、使用可能な信号はその差である。したがって、I=I-I(ここでA及びBは完全な総和に寄与する2つの半区間を示す)であると決定された場合、
となる。
励磁信号が、最小値でちょうどゼロに接する持ち上げられた正弦波である場合、AC成分の大きさに等しい大きさを有するDC成分の和を含むこととなる。AC成分が周波数(変調速度)を変化させると、出力のDC成分は同じ単位値を有し続けることとなるが、AC周波数が高くなると、AC応答は減少することとなる。この点について、高すぎる変調速度は、ほぼ一定の光子のストリームとなる出力信号に導きうるものであり、大きな一定成分のショットノイズは、評価されるべき小さな変調を識別する能力がないと邪魔なものとなりうる。駆動信号が完全に変調されている場合であっても、応答信号は弱い変調しか含まないこととなる。
実際の光子計数を評価するために、DC応答に対するI及びQについてのアナログ表現があると仮定することから始めることができる。Nを求めるために使用されることとなる、2つの別個の光子計数を求めることができる。これらは、正弦波を半周期にわたって積分することによって得られる:
したがって、
であり、τ2πfmod=1で演算すると、I = Q = 1/√2であり、
となる。
図5は、例えば、本開示の例示の実施形態による、励起光、及び飛行時間型センサの画素における光応答の測定を提供するために使用される、光源制御信号のタイミングの1つの実施形態を示す。
曲線110は、照明制御信号のタイミングを表す。図示されるように、照明制御信号は、複数のサイクル112を有し、光源は、サイクル112の前半の間は励起光を放出し、サイクル112の後半の間は励起光を放出しないか、又は低減された励起光を放出するように制御される。このようにして、光源は、或る変調速度に従って励起光を変調するように制御することができる。
いくつかの実施形態においては、各画素についての信号は、各サイクルの間に2つのアナログ積分器間で切り換えられてもよい。この積分方式は、グローバルシャッタが閉じられ、アナログ-デジタル変換器を介してフレームが読み出されるまで進行してもよい。このプロセスは、同相応答を求めるために、励起光源の変調と同位相で実行されてもよい。本プロセスは、直交応答を得るために繰り返されて(ただし位相が90度シフトさせられて)もよい。
曲線120は、本開示の例示の態様による蛍光放出又は燐光放出の応答位相の同相成分の画素による測定を表す。図示されるように、第1の応答122は、サイクルの前半の間、第1の積分器に供給される。第2の応答124は、サイクルの後半の間、第2の積分器に供給される。このプロセスは、1つのフレームに対して複数のサイクル(例えば、数百サイクル、千サイクル、数千サイクル、数百万サイクル)の間繰り返される。応答位相の同相成分は、第1の応答122及び第2の応答124から求めることができる。例えば、応答位相の同相成分は、第1の応答122から第2の応答124をデジタル的に減算することによって求めることができる。
曲線130は、本開示の例示の態様による蛍光放出又は燐光放出の応答位相の直交成分の画素による測定を表す。図示されるように、第1の積分器と第2の積分器との間の切換えのタイミングは、曲線120に対して90度だけシフトされている。第1の応答132は、サイクルの前半の間、第1の積分器に供給される。第2の応答134は、サイクルの後半の間、第2の積分器に供給される。このプロセスは、1つのフレームに対して複数のサイクル(例えば、数百サイクル、数千サイクル)の間繰り返される。応答位相の直交成分は、第1の応答132及び第2の応答134から求めることができる。例えば、応答位相の直交成分は、第1の応答122から第2の応答124をデジタル的に減算することによって求めることができる。
以上に議論されたように、1つ以上のプロセッサは、応答位相に少なくとも部分的に基づいて、蛍光寿命を求めるように構成されてもよい。より詳細には、1つ以上のプロセッサは、応答位相の同相成分及び直交成分に少なくとも部分的に基づいて、蛍光寿命を求めるように構成されてもよい。いくつかの実施形態においては、蛍光寿命は、以下に少なくとも部分的に基づいて(例えば1つ以上のプロセッサによって)決定されてもよい:
図4Aに示されるシステムにおいては、光源12及び飛行時間型センサ14は共に、試験される生物学的試料の同じ側に設けられれる。図4Aの構成は、図4Bに示されるシステムの構成と同様である。図4Bに示されるように、光源12及び飛行時間型センサ14は共に、複数の試料ステージングサイト10を画定するマイクロプレート11の同じ側に設けられる。図4Bにおいては、光源12と飛行時間型センサ14とは、単一のコンポーネントに一体化されている。
図4Cを参照すると、本開示によるシステムの代替の構成が示されている。図4Cにおいては、光源12と飛行時間型センサ14とは、試験される生物学的試料の反対側に設けられる。図4Cに示されるように、光源12は、マイクロプレート11及び試料ステージングサイト10の上方に設けられ、飛行時間型センサ14は、マイクロプレート11及び複数の試料ステージングサイト10の下方に設けられる。
本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、蛍光放出若しくは燐光放出を単独で又は蛍光体と組み合わせて生成することができる、任意の生物学的成分の測定に適している。1つの態様においては、例えば、成分は、細胞物質等の生物学的試料中に含まれるものであってもよい。試験される成分は、気体、固体、ゲル、又は液体であってもよい。測定される1つ以上の成分は、生きている若しくは生存能力のある試料から測定されてもよいし、又は生存能力のない試料から測定されてもよい。
生物学的試料から測定できる成分は、あらゆるタイプの代謝産物を含む。本方法は、成分の存在を確認することのみならず、蛍光寿命又は蛍光強度から、成分の大きさ特性又は成分に関連するパラメータを求めることも含んでもよい。成分は、脂質、イオン、溶存気体、塩、ミネラル、核酸、タンパク質、ポリペプチド、又は酵素であってもよい。成分に関連するパラメータは、温度、pH、酸化状態、又は粘度、及び細胞代謝の結果として成分がこれらのパラメータに引き起こす変化であってもよい。測定することができる溶存気体は、酸素、二酸化炭素、一酸化窒素、又はアンモニアを含む。本発明は、成分及び/又は成分に関連するパラメータ(つまり、成分又は成分に関連するパラメータあるいはそれらの両方)を測定することを企図している。1つの実施形態においては、測定される成分は、細胞のミトコンドリアによる酸素消費であり、測定されるパラメータは、二酸化炭素及び乳酸等の酸素消費の副産物である。別の実施形態においては、測定される成分又はパラメータは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD/NADH)、NAD(P)H、又はフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD/FADH)等の、本質的に蛍光性の代謝補因子を含むことができる。1つの実施形態においては、亜硝酸還元酵素(NAD(P)H)がモニタリング及び分析されてもよい。亜硝酸還元酵素は、窒素代謝に関連する反応に触媒作用を及ぼす酵素である。
成分は、細胞内に含まれるものであってもよいし、又は細胞によって周囲の培地に分泌される物質を含んでいてもよい。例えば、以上に説明された特定の成分又はパラメータのいずれかが、細胞の微小環境中で及びその周りでモニタリング、分析、マッピングされてもよい。1つの実施形態においては、本システムは、成分又はパラメータの変化を測定し、特定のパラメータ又は成分の変化率を提供するために使用されてもよい。1つの実施形態においては、低酸素状態用途、TMEモデリング、及び虚血再灌流等のin vivo状態をモデル化する手段として、外部操作を介して単数又は複数の細胞の微小環境がモニタリング及び変調されてもよい。
本開示のシステムは、パラメータ又は成分に関する情報を2次元又は3次元で提供することができる。例えば、図15は、3次元測定の説明図である。3次元ダイアグラム80は、例えば、酸素等の気体濃度又は分圧を表しうる。他方、3次元ダイアグラム82は、pH又は温度を表しうる。図示されるように、ダイアグラム80及び82は、特定の位置における及び/又は特定の時点における(つまり、特定の位置における、又は特定の時点における、あるいはそれらの両方における)パラメータに関する情報を含む、対象のパラメータに関する強固な情報を提供することができる。
1つの態様においては、本開示の例示の実施形態によるシステム及びプロセスは、生細胞の生体エネルギーを、リアルタイムでモニタリングするために使用することができる。例えば、本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、生体細胞のミトコンドリア呼吸及び/又は解糖(つまり、ミトコンドリア呼吸又は解糖あるいはそれらの両方)をモニタリングするために使用することができる。いくつかの実施形態においては、本システム及びプロセスは、細胞内又は微小環境のpH、酸素濃度、又は酸化還元電位等をモニタリングするために使用することができる。これらの細胞機能は典型的には、酸素の消費及びプロトンの流出を中心に展開する。いくつかの実施形態においては、本発明のシステム及びプロセスは、酸化還元電位、又は代謝産物若しくはNAD(P)H若しくはFAD/FADH等の補因子の相対濃度等の、代謝又は生体エネルギーの他の実施形態をモニタリングするために使用することができる。本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、細胞呼吸、解糖、及びATP産生の速度を測定するために、これらのパラメータの細胞外変化を検出するために使用することができる。
試験される細胞は、限定するものではないが、培養細胞、初代細胞、ヒト細胞、ニューロン、T細胞、B細胞、上皮細胞、筋肉細胞、幹細胞、人工多能性幹細胞、不死化細胞、病原体感染細胞、細菌細胞、真菌細胞、植物細胞、古細菌細胞、哺乳類細胞、鳥類細胞、昆虫細胞、爬虫類細胞、及び両生類細胞等を含んでもよい。試験される細胞はまた、組織試料、細胞スフェロイド、生検試料、細胞足場、及び臓器オンチップ等の、3次元細胞試料を含むことができる。測定することができる、上述の細胞機能に関連するパラメータの例は、二酸化炭素濃度、酸素濃度又は酸素分圧、カルシウムイオン、及び水素イオン等を含む。これらの試験を通して、何が細胞の表現型及び機能を駆動しているのか、及び/又は細胞環境又は微小環境の正確な実態(つまり、何が細胞の表現型及び機能を駆動しているのか、あるいは細胞環境又は微小環境の正確な実態、あるいはそれらの両方)の、理解を得ることができる。1つの実施形態においては、本開示による組織試料からのバックグラウンド蛍光は、組織切片のマップを生じうる。このとき、各構造の異なる蛍光特性により、細胞の異なる構造を識別することができる。このようにして、種々のタンパク質、細胞器官、及び分子が、組織切片からマッピングされうる。人工染色剤も生じうる。
本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、時間経過に伴うpH速度変化を含むpHを示す蛍光体を含む、非常に短い蛍光寿命を有する蛍光体のモニタリングに特に適している。例えば、pHに関連する蛍光体は、極めて短い蛍光寿命を有することが知られている。しかしながら、本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、約500ナノ秒、100ナノ秒未満、例えば約75ナノ秒未満、例えば約50ナノ秒未満、例えば約40ナノ秒未満、例えば約30ナノ秒未満、例えば約20ナノ秒未満、例えば約15ナノ秒未満、例えば約10ナノ秒未満、例えば約8ナノ秒未満、例えば約6ナノ秒未満、例えば約4ナノ秒未満、例えば約3ナノ秒未満、例えば約2ナノ秒未満、例えば更には約1ナノ秒未満の蛍光寿命を測定することができる変調速度で、動作してもよい。実際、本開示の本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、0.1ナノ秒又はそれよりも短い蛍光寿命を検出することができると考えられる。
本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、生細胞の代謝データ、又は任意の生存能力のある細胞の(微小)環境状態を測定するために使用することができる。試験される細胞物質は、例えば、細菌細胞、真菌細胞、酵母細胞、原核細胞、及び真核細胞等を含んでもよい。試験することができる細胞は、動物細胞及びヒト細胞を含む哺乳類細胞を含みうる。試験することができる特定の細胞は、がん細胞、免疫細胞、不死細胞、初代細胞、人工多能性幹細胞、及びウイルス又は細菌病原体に感染した細胞等を含む。
例えば、1つの態様においては、本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、免疫療法を支援するために使用することができる。免疫療法は、がん、感染症、及びその他の疾患に抗するために患者の免疫系を強化する一種の処置である。例えば、免疫療法プロセスは、T細胞及び/又は天然のナチュラルキラー(NK:Natural Killer)細胞(つまり、T細胞又は天然のナチュラルキラー細胞あるいはそれらの両方)の産生を含みうる。例えば、T細胞療法の間、患者の血液からT細胞が除去される。T細胞は次いで、生物反応器に送られ、増殖又は培養される。これに加えて、T細胞は、受容体と呼ばれる特定のタンパク質を有するように変化させられうる。T細胞上の受容体は、がん細胞等の体内の不要な細胞を認識し標的とするように設計される。改変されたT細胞は、或る特定の細胞密度に達するように生物反応器中で培養され、がん又はその他の疾患に抗するために患者の体内に供給される。T細胞療法は典型的には、キメラ抗原受容体(CAR:chimeric antigen receptor)T細胞療法と呼ばれる。CAR療法のためのT細胞の使用は、血液疾患への対抗における大きな成功によって、近年急増している。いくつかの実施形態においては、本発明の態様は、(CAR)T細胞療法において使用されるT細胞の健全性をモニタリングするために使用することができる。いくつかの実施形態においては、本発明の態様は、T細胞の活性化、T細胞の消耗、及びT細胞の代謝等をモニタリングするために使用することができる。
NK細胞は、体内の感染細胞を探し出して破壊することができる、一種の細胞傷害性リンパ球である。NK細胞は、非常に高速な免疫反応応答を示すことができる。したがって、抗がん治療におけるNK細胞の使用は、非常に大きな関心及び人気を集めてきた。しかしながら、哺乳動物の血液中には限られた数のNK細胞しかないため、生物反応器内で比較的高い細胞密度にまでNK細胞を増殖させる必要がある。
T細胞、NK細胞、又はその他の哺乳類細胞等の細胞の培養は典型的に、植菌から患者における使用までに幾分複雑なプロセスを必要とする。本開示のシステム及びプロセスは、細胞が健全であること、及び/又は所望の代謝表現型を有すること(つまり、細胞が健全であること、又は所望の代謝表現型を有すること、あるいはそれらの両方)、及び細胞が増殖している培地が最適化されたレベルの栄養素を含むことを確実にするために、培養プロセス中の任意の時点の間に、細胞代謝をモニタリングするために使用することができる。例えば、本システム及びプロセスは、細胞が増殖する際に、細胞の代謝適性を保証するための調節を行うために使用することができる。
免疫細胞に加えて、がん細胞の代謝も、どの栄養素ががん細胞に栄養を供給するかの理解を提供するためにモニタリングされてもよい。例えば、本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスは、増殖を阻害するためにがん細胞の代謝に影響を及ぼす機構又は構成要素を明らかにすることができる。本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスはまた、がん細胞が増殖することができる速度を求めるために使用することができる。本開示のシステム及びプロセスはまた、毒物学における使用にも適している。例えば、本開示のプロセス及びシステムは、潜在的な治療薬のうちのミトコンドリア障害を検出するために使用することができる。例えば、ミトコンドリア毒性のリスクが、高い特異性及び感度で評価されうる。このようにして、いくつかのミトコンドリア毒性物質の作用機序(mechanism of action)を求めることができる。
本開示の例示の態様によるシステム及びプロセスはまた、肥満、糖尿病、及び代謝障害の処置を支援するために使用することができる。例えば、本プロセス及びシステムは、代謝経路の構成要素に対する遺伝子変化の機能的効果を測定するために使用することができる。健常細胞モデル及び疾患細胞モデルにおいて使用される栄養素が、検査されてもよい。さらに、脂肪酸の酸化及び解糖が、異なる細胞型で評価されてもよい。
細胞物質に関連する細胞パラメータを測定する場合、対象の成分は、細胞内に含まれるものであってもよいし、又は細胞を囲む培地から測定されてもよい。例えば、細胞パラメータ又は成分は、細胞によって周囲の培地へと分泌され、測定されうる。試料ステージングサイトは、接着細胞及び懸濁細胞の両方、更には単離されたミトコンドリアとの適合性を有するように構成されてもよい。
本開示の例示の態様によって蛍光体を試験し測定する場合、いくつかの状況下では、単一の測定が行われてもよい。しかしながら、本開示のシステム及びプロセスは、生物学的パラメータに関連する蛍光体の蛍光寿命又は蛍光強度の複数の決定を可能とするために、非常に迅速に複数の測定を行うのに適している。例えば、著しい多重化能力と組み合わせた高速のサイクル時間が、蛍光体の複数の測定を非常に迅速に実施することを可能にする。例えば、細胞パラメータに関連する蛍光体の蛍光寿命又は蛍光強度は、約60秒未満、例えば約30秒未満、例えば約10秒未満、例えば約5秒未満、例えば約1秒未満、例えば更には約0.5秒未満で、複数回求めることができる。上述した期間内に、蛍光体は10回よりも多く、例えば100回よりも多く、例えば200回よりも多く、測定することができる。複数の測定は、変化率を求めるために使用されてもよく、及び/又は精度を改善するために平均化されてもよい(つまり、変化率を求めるために使用されてもよく、又は精度を改善するために平均化されてもよく、あるいはそれらの両方であってもよい)。
図4A、図4B又は図4Cに示されるようなシステムは、成分の存在、及び/又は成分若しくはパラメータ濃度の存在(つまり、成分の存在、又は成分若しくはパラメータ濃度の存在、あるいはそれらの両方)を測定するための、多数の多様な機器に組み込むことができる。図1及び図2並びに図6~図8を参照すると、図4Aに示されるコンポーネントを組み込んだシステムの1つの実施形態が示されている。図1及び図2並びに図6~図8に示されるシステムは、細胞物質等の生物学的試料の複数のアッセイを同時に実施するのに特に適している。例えば、図1及び図2に示されるシステムは、複数の生物学的試料を同時に試験し、各試料中の1つ以上の成分又は細胞パラメータを同時に試験するために使用することができる。
単に例示の目的のために、図1及び図2における本発明は、生細胞の代謝プロセスのモニタリングに適した機器構成で実証されている。図1及び図2の実施形態は、決して本開示の範囲を限定することを意図されたものではない。本開示の光学的検出システムは、任意の適切な生物学的センサ又は撮像システムに組み込むことができる。図1及び図2に示されるように、本システムは、生物学的試料を受容するための複数の試料ステージングサイトを画定するマイクロプレート30を含む。マイクロプレート30は、器具に装填されたマイクロプレート30に向かって及びマイクロプレート30から離れるように移動するように構成された、複数のプランジャ又はプローブ32と関連付けて配置されるように設計されている。各プランジャ32は、光パイプ34と通じている。光パイプ34は、単一の光ファイバであってもよいし、又は図示されるように光ファイバの束であってもよい。光パイプ34は、マイクロプレート30中に収容された生物学的試料に光を送り、蛍光放出又は燐光放出を飛行時間型センサに伝達するためのものである。
図1及び図2に示されるように、本システムは、プランジャ32を保持することができる装着ブロック(mounting block)36を含んでもよい。装着ブロックは、装着ブロック36を前後に往復運動させるためのモータと動作可能に関連していてもよい。代替的に、マイクロプレート30は、マイクロプレートをプランジャ32に接触させるように持ち上げるプラットフォーム上に配置されてもよい。
光パイプ34は、光源及び飛行時間型センサと連通するように配置されてもよい。飛行時間型センサ及び/又は光源(つまり、飛行時間型センサ又は光源あるいはそれらの両方)はまた、1つ以上のプロセッサ92(図2)と連通するように配置されてもよい。1つ以上のプロセッサ92は、本明細書に記載されるシステム及びプロセスのいずれかに従って、飛行時間型センサから測定値を取得し処理することができる。1つ以上のプロセッサ92は、ディスプレイ装置94又はその他の適切なユーザインタフェース(複数の場合もある)(例えば音声、視覚、及び/又は対話型(つまり、音声、視覚、又は対話型、あるいはそれらの全ての)インタフェース)を介して、ユーザに情報を提供することができる。
図6及び図7を参照すると、生物学的試料を保持し、試料に1つ以上の流体を送り、試料をプランジャ32と連通するように配置するのを支援するために使用されうる、マイクロプレート30の1つの実施形態が示されている。マイクロプレート30は、複数の試料ステージングサイト42を画定するウェルプレート40を含んでもよい。ウェルプレート40は、取外し可能なカバー44と組み合わせられてもよい。図6に示されたウェルプレート40は、24個の試料ステージングサイト42を含むように示されているが、以上に説明されたように、ウェルプレート40は、より多くの又はより少ない試料ステージングサイト42を含んでもよいことは、理解されるべきである。実際、試料ステージングサイト42の数は、1個から数千個以上まで変更されうる。いくつかの実施形態においては、ほぼ任意のサイズの単一の試料ステージングサイトが作製されてもよいし、又は複数の試料ステージングサイトを1次元又は2次元の配置で作製することもできる。
例えば、マイクロプレート30の代替の実施形態が、図10に示されている。図10に示されるマイクロプレート30は、96個の別個の試料ステージングサイト42を含む。図10に示されるマイクロプレート30は、図1及び図2に示される本開示のシステムに容易に組み込むことができる。
再び図6及び図7を参照すると、マイクロプレート30は、概して、フレーム46を含む平面的な要素である。マイクロプレート30の種々の要素は、成形プラスチック等の任意の適切な材料又はモジュール式ガラス固定具から作られてもよい。フレーム46は、複数の領域50を画定する表面48を含んでもよい。複数の領域50は、図1及び図2に示されたプランジャの数及び位置に対応しうる。同様に、複数の領域50の数及び位置はまた、試料ステージングサイト42の数及び位置に対応する。図6に示された実施形態においては、各領域50は、第1のポート52、第2のポート52、第3のポート52、及び第4のポート52を含む。ポート52は、以下により詳細に説明されるように、試料ステージングサイト42への気体及び/又は試薬(つまり、気体又は試薬あるいはそれらの両方)の送達を容易化する。各領域50はまた、対応するプランジャ32を受容するための中央開口54を含む。ポート52は、4つのポートの群を単一の試料ステージングサイト42上に設けることができるようなサイズとされ、設けられる。4つのポートからの気体又は液体は、それぞれの試料ステージングサイト42に送ることができる。他の実施形態においては、各領域中のポートの数は、4よりも少なくてもよいし、又は4よりも多くてもよい。中央開口54及び各対応するプランジャ32は、横方向の移動に対応することによってウェルプレート内でネストすることを可能とするように、ウェルプレート40に対して適合的に装着することができる。
ポート52のそれぞれは、フレーム46の表面48を貫通する開口部を画定する円筒形、円錐形又は立方体の形状を有することができる。各ポート52はまた、毛細管開口等の小さな穴を除いて、試料ステージングサイト42に面する底部で閉鎖されうる。開口又は穴は、底面に沿ってセンタリングされてもよい。毛細管開口は、正圧差力、負圧差力、又はことによると遠心力等の外力がない場合に、例えば表面張力によって、ポート52中に試験流体を保持するようになっている。各ポート52は、気体、試験流体に対して不浸透性であるポリマー材料から、又はその他の任意の固体材料から、作製することができる。各ポート52の液体体積は様々でありうる。1つの態様においては、例えば、各ポート52の液体体積は、200マイクロリットル~約500マイクロリットルの範囲とすることができるが、この範囲外の体積も想到される。
図7を参照すると、マイクロプレート30が反転させられた構成で示されている。これに加えて、プランジャ32がフレーム46の中央開口を通って延在して示されている。プランジャ32は、試験される生物学的試料と近接させられるために、試料ステージングサイト42のそれぞれに挿入されるようになっている。
取外し可能なカバー44も、図7に示されている。カバー44は、試料の又はマイクロプレート内に配置された培地の蒸発又は汚染を防止することを助けるために使用することができる。
図8を参照すると、単一の試料ステージングサイト42の断面図が示されている。試料ステージングサイト42は、培地60に含まれる生物学的試料58を収容する。生物学的試料58は、試験されるべき1つ以上の成分又は細胞パラメータを含む。図8においては、プランジャ32が生物学的試料58に接触するか又は近接するように、プローブ又はプランジャ32が試料ステージングサイト42に関連して示されている。以上に説明されたように、プランジャ32は、図8に示されるような試験位置と、プランジャが試料ステージングサイト42から引き抜かれる非係合位置との間で往復運動するように設計されている。
液体及び気体等の流体を試料ステージングサイト42に送るように設計された、2つのポート52も示されている。例えば、1つの実施形態においては、ポート52は、外部気体供給部62及び内部空気制御部64と通じていてもよい。外部気体供給部62及び内部空気制御部64は、培地60の上方のヘッドスペースに供給される又はヘッドスペースから除去される気体を制御することができる。内部空気制御部64は、薬物化合物等の流体を送るためにポート52を加圧する小型の内部コンプレッサを介して圧縮された、機器の内部からの周囲空気とすることができる。ヘッドスペースへの気体の送達は、低酸素症、無酸素症、又は酸素正常状態及び/又は低pHを模倣する状態を作り出すための、試験試料の周りの環境の操作を可能にすることができる。いくつかの実施形態においては、ヘッドスペース中の又は培地中の気体の組成を制御するために、培地60の表面上の試料ステージングサイト42において、窒素等の生物学的に不活性な気体を培地60に注入することができる。この気体は、望ましい場合には、ヘッドスペースをフラッシュするために使用されてもよい。
以上に説明されたように、例えば、各試料ステージングサイト42は、4つのポート52と組み合わせることができる。ポート52は、試料ステージングサイト42内の生物学的試料58に様々な化合物を送るために使用することができる。例えば、本機器上で実行される一般的な試験は、ミトコンドリアストレス試験である。このアッセイにおいては、様々な化合物(オリゴマイシン、FCCP、ロテノン及びアンチマイシン)に対する生物学的試料の応答を測定するために、マイクロプレートの薬剤ポートを通して一連の注入が行われる。これらの化合物は、アッセイの実行に先立ってマイクロプレート上の薬剤リザーバ(ポート)にあらかじめ装填(preloaded)されている。マイクロプレートは、本機器に挿入されると、マニホールドに結合され、該マニホールドは、ソレノイド弁によって作動させられると、リザーバのヘッドスペースに空気圧を提供し、小さなオリフィスを通して生物学的試料を収容する試料ステージングサイト42へと化合物を移動させる。空気圧マニホールド及び弁システムは、これらのポートのうちの1つを外部の気体供給源(ガスボンベ又はボトル)に向け直すように変更することができる。気体供給部は、後部コネクタパネル上のポートを通して、本機器に接続することができる。ボトルは、本機器の近くに位置させることができ、流入気体を加湿するためのレギュレータ及びバブラ(bubbler)を含むことができる。ソレノイド弁は、作動させられると開き、気体がマニホールド/マイクロプレートの界面(interface:インターフェース)を通り、薬剤ポートオリフィスを通って、生物学的試料の上方のヘッドスペースへと流れることを可能にすることができる。プランジャ(プローブ)を鉛直に振動させることによって、気体が培地と混合されることとなり、試料に利用可能な酸素の制御を可能にする。例えば、窒素をヘッドスペース内へと灌流することによって、培地中の利用可能なOが置換され、より低酸素の状態が試料の周りに作り出される。気体を止めて混合することによって、Oの周囲レベルを再確立することができる。
いくつかの実施形態においては、生物学的に活性である物質の溶液の供給源は、試料を該物質に曝露するために試料ステージングサイト42中の培地と流体連通することができる。
各試料ステージングサイト42に関するポート52の数は、試験の間に試料ステージングサイト42に加えることができる構成要素の数を求める。いくつかの実施形態においては、試験を行うために流体は必要とされない。以上に説明されたようなミトコンドリアストレス試験を実施する場合等の他の実施形態においては、生物学的試料58を囲む状態に影響を及ぼすために、複数の異なる構成要素を試料ステージングサイトに供給することができる。複数のポート52を有することによって、本システム及びプロセスはまた、各単一のステージングサイト42ごとに複数の状態の試験を可能としうる。ミトコンドリアストレス試験に加えて、図1及び図2並びに図6~図8に示されるシステムを使用して操作することができる他の試験は、解糖及びミトコンドリア呼吸からのATP産生の速度を同時に測定するATP速度アッセイ試験、生細胞における解糖を測定し、他のアッセイにおいては識別できない一過性の応答及び急速な代謝スイッチを明らかにする解糖アッセイ試験、生細胞における酸素消費量の変化を評価することによって細胞基質酸化を測定する基質酸化試験、並びにミトコンドリア呼吸及び解糖を測定する細胞エネルギー表現型試験である。
図8に示されるように、プランジャ又はプローブ32は、蛍光寿命及び/又は蛍光強度(つまり、蛍光寿命又は蛍光強度あるいはそれらの両方)を測定するために、励起光を生物学的試料58に送り、飛行時間型センサに蛍光放出又は燐光放出を伝送する、複数の光ファイバ34を含む。或る特定の用途においては、生物学的試料58中の試験される成分は、自家蛍光性のものであってもよいし、又は、蛍光体は、励起光と接触したときに該成分に蛍光放出又は燐光放出を起こさせるために生物学的試料58に対して内因性のものである。本開示のシステムは、FLIMを使用した画像の生成にも適している。この画像は、NAD(P)Hを含む様々なパラメータの測定を行うために使用することができる。
代替的に、本システムは、蛍光放出又は燐光放出を受ける際に生物学的成分の存在によって影響を受ける、蛍光体等の1つ以上の蛍光放出剤又は燐光放出剤を、生物学的試料58に送ってもよい。例えば、図8に示されるように、プランジャ32は、一対の蛍光体センサ66及び68を含んでもよい。蛍光体センサ66と蛍光体センサ68とは、異なる成分又は同じ成分を異なる条件下で測定するために、同じものであってもよいし、又は異なるものであってもよい。
蛍光体センサ66及び68は、蛍光放出又は燐光放出を促進する任意の適切な蛍光体又は蛍光剤を含んでもよい。一般的に、蛍光体は、特定の波長の光エネルギーを吸収し、より長い波長等の異なる波長で光を再放出する。吸収される波長、エネルギー伝達効率、及び発光までの時間は、蛍光体の構造及びその化学的環境の両方に依存する。
測定される成分が酸素濃度又は酸素分圧である場合には、シリコーンゴム又はポリウレタンヒドロゲル等の酸素透過性ポリマー中に、粒子として固定化された又は均一に分散させられた、ポルフィリン、ルテニウム、又はローダミン化合物等の蛍光体が、酸素濃度に反比例する信号を用いて使用されてもよい。pHを測定する場合には、蛍光指示色素が蛍光体センサに組み込まれてもよい。かかる色素の1つはフルオレセイン(fluorescein)であり、その信号は色素のプロトン化(protonation)に伴って減少し、キャリアのポリマー中に懸濁した又は親水性ポリマーに共有結合した粒子の中にあるか、該粒子上にあるか、又は該粒子に閉じ込められている。
pHを示す、とりうる蛍光体のリストは、限定するものではないが、以下の表1におけるものを含む。
以上は、リン酸緩衝溶液中の5.2~7.9のpHにおける色素の蛍光寿命を提供するものである。データは、酸素化溶液及び脱酸素化溶液についてのものである。
二酸化炭素を測定する場合、pHに敏感なトランスデューサに基づくセンサが使用されてもよい。水との二酸化炭素の反応による炭酸の生成によって、蛍光が間接的に変調させられてもよい。
グルコースを検出する蛍光体が使用されてもよく、例えば、グルコースと複合体化し、プローブの蛍光を変調させる電荷移動をもたらす、ボロンプローブを使用する、非酵素的な変換に基づくもの、又は、グルコースオキシダーゼを蛍光酸素センサに結合させ、グルコースの結合及び酸化が酸素センサの定量的変調をもたらす、酵素的なグルコーストランスデューサが使用されてもよい。また、例えば乳酸、アンモニア、又は尿素等の生物学的分子に対して感度の高い蛍光体又はその他のタイプのセンサを採用することも、本開示の実施形態の範囲内である。乳酸センサは、酵素センサ構成に基づくものであってもよく、乳酸オキシダーゼが蛍光酸素センサに結合し、乳酸の結合及び酸化が酸素センサの定量的変調をもたらす。アンモニア又はアンモニウムイオンセンサは、疎水性の気体透過性ポリマー中にプロトン化pH指示薬を固定化し、過渡的なアンモニアとの反応によって蛍光出力を定量的に変調するように構成されてもよい。尿素センサは、ウレアーゼを蛍光性アンモニアトランスデューサに結合させた、酵素センサ構成に基づくものであってもよく、アンモニアへの尿素の結合及び還元が、アンモニアセンサの蛍光の変調をもたらす。センサの性質は、概して、この発明の実施形態の態様を形成するものではない。
図8に示されるように、蛍光体源は、生物学的物質と連通するように配置されたプランジャ又はプローブ上に位置していてもよい。代替的に、蛍光体源は、生物学的物質試料中に位置していてもよい。生物学的試料は細胞を含むことができ、蛍光体は細胞内、細胞上に位置することができ、又は細胞を囲む微小環境中に位置することができる。1つの実施形態においては、蛍光体は、プランジャ若しくはプローブに結合されたナノ粒子若しくはマイクロ粒子中に封入されることができるか、細胞を囲む懸濁液中にあるか、又は細胞を囲む溶液中にある。
1つの態様においては、蛍光体センサはまた、消光剤を含んでもよい。消光剤は、蛍光信号に影響を与えることによって、測定を容易化することができる。1つの態様においては、例えば、酸素消光蛍光体センサが使用される。
図8に示されるように、プランジャ32は、生物学的試料58と関連付けて配置されるために、試料ステージングサイト42へと降下するように設計されている。1つの態様においては、プランジャ32は、マイクロチャンバ70を形成するように降下させられてもよい。マイクロチャンバの作成は、変化する成分又はパラメータの迅速なリアルタイム測定を可能にする。マイクロチャンバの形成は、例えば、細胞外培地中の変化する酸素濃度及びプロトン濃度の測定を可能にする。より詳細には、マイクロチャンバ70は、高濃度の体積の生物学的試料58又はより大容量の細胞培地内の細胞の、一時的な作成を可能にする。このことは、細胞の生物学的活性に起因する培地の成分の変化の、高感度な測定を可能とする。
1つの実施形態においては、望ましい場合には、プランジャ32は、生物学的試料58の上方の培地のカラム中に静水圧(hydrostatic pressure)を作り出すことによって、灌流を提供してもよい。例えば、プランジャ32は、試料ステージングサイト42を貫通して鉛直に往復し、培地が、生物学的試料58を横切って、時には貫通して流れるようにしてもよい。プランジャ32を上下に動かすことによって、培地が生物学的試料58を横切って動かされ、栄養分を補給し、酸素を供給し、老廃物を一掃する。したがって、生物学的試料58の周りの微小環境を、測定の間に連続的に灌流することができる。プランジャ32が試料ステージングサイト42の底部へと移動すると、動きが停止され、小さな過渡的な体積が作り出され、測定が行われる。試料ステージングサイト42を通る灌流の効率は、ストロークの高さ、速度、及びプランジャ32と試料ステージングサイト42の底部との間の間隔を変更することによって、向上させることができる。
図11及び図12を参照すると、本開示によって使用することができるプローブ32の更なる実施形態が示されている。同一の又は類似する要素を表すために、同様の参照数字が使用されている。図11に示されるように、プローブ32は、プローブ32を通って延在する光ファイバ74の束を含む。プローブ32は、試験される生物学的物質に関して配置されるための蛍光体センサ66を含む。図11に示される実施形態においては、プローブ30は、測定の実施を容易化するために、試料ステージングサイト中にマイクロチャンバを形成するように設計された、バリア部分72を更に含む。
図11に示されるように、光源及び飛行時間型センサを含む光学的照明及び測定システムはいずれも、図4Bに示される実施形態と同様に、プローブ32の下方に配置される試料ステージングサイトの同じ側に位置する。
図12に示されたプローブ32は、図11に示されたプローブと類似している。図12に示されるように、プローブ32は、光ファイバ74、バリア部分72、及び蛍光体センサ66を含む。しかしながら、図12に示される実施形態においては、光源78がプローブ32の下方に配置されている。このようにして、光源78は試験される試料の下方に設けられる一方、プローブ32は試料の上方に設けられる。このことは図4Cに示された実施形態と類似しており、光源の位置とプローブの位置とが逆になっているだけである。
以上に説明されたように、本開示の光学的システムは、あらゆる異なるタイプの生物学的測定及び撮像システムに組み込むことができる。例えば、図13及び図14を参照すると、本開示による光源及び飛行時間型センサを備えることができるマイクロ流体システム100が示されている。マイクロ流体システム100は、生物学的物質158上に及びその周りに培地を循環させるように設計された、培地チャネル106を含む。培地チャネル106は、特に図14に示されるように、培地を循環させるための培地入口102及び培地出口104と通じている。例えば、細胞培地は、生体細胞を含んでもよい生物学的試料158を飽和させるために、チャネル106を通って流れてもよい。流速は比較的低くてもよく、例えば毎分1マイクロリットル~毎分100マイクロリットル、例えば毎分2マイクロリットル~毎分20マイクロリットル、例えば毎分5マイクロリットル~毎分15マイクロリットルであってもよい。流れる培地は、生物学的物質158が酸素及び栄養素等の十分な供給を受けることを確実にすることができる。このようにして、マイクロ流体システム100は、灌流モードで作動する。図13及び図14に示されるシステムは、呼吸及び酸性化速度のモニタリングに特に適している。
図示されるように、マイクロ流体システム100は、生物学的物質158に関する生物学的成分又はパラメータをモニタリングするように設計された、本開示によるプローブ132を更に含む。プローブ132は、図8、図11、又は図12に示されるようなプローブ32と同様に作ることができる。プローブ132は、本開示による光源及び/又は飛行時間型センサ(つまり、光源又は飛行時間型センサあるいはそれらの両方)にプローブ130を接続するために、光パイプ又は光ファイバ134と通じている。
1つの実施形態においては、プローブ132のうちの一方は、pHをモニタリング及び測定するためのものであり、他方のプローブ132は、酸素濃度をモニタリング及び測定するためのものである。これに関して、生物学的物質158は、蛍光強度又は蛍光寿命を測定するために、適切な蛍光体と連通するように配置されてもよい。
図14を参照すると、複数のマイクロ流体システム100が、共にグループ化され、フレーム(チップ等)110上に装着されて示されている。示されているように、各マイクロ流体システム100は、培地又は流体を循環させるための入口102及び出口104を含む。本開示によれば、複数のマイクロ流体システム100は、本開示による細胞パラメータをモニタリングするための単一又は複数の光源及び/又は飛行時間型センサと通じていてもよい。
図9は、本開示の例示の実施形態によるプロセス200の例のフロー図を示す。プロセス200は、少なくとも部分的に、本明細書に記載されるシステムのいずれかを使用して実施されてもよい。図9は、説明及び議論の目的のために、特定の順序で実行されるプロセス200のステップを描いている。本明細書において提供される開示を使用する当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書において提供されるプロセスのいずれかの様々なステップが、様々な方法で適合、再構成、省略、図示されていないステップを含むこと、拡張、及び/又は変更(つまり、適合、再構成、省略、図示されていないステップを含むこと、拡張、又は変更、あるいはそれらの全て)をすることができることを、理解するであろう。
202において、本プロセスは、単独で又は蛍光体と組み合わせて成分に蛍光放出又は燐光放出を起こさせる態様で、生物学的物質を励起光に曝露することを含む。例えば、本プロセスは、或る変調速度に従って変調される励起光に、生物学的物質を曝露することを含んでもよい。変調速度は、約0.5MHz~約1000MHz、例えば約25MHz~約200MHz等であってもよい。
204において、本プロセスは、蛍光放出又は燐光放出の蛍光寿命又は蛍光強度を求めることを含む。例えば、いくつかの実施形態においては、各画素についての信号は、各サイクルの間に、2つのアナログ積分器間で切り換えられてもよい。この積分方式は、グローバルシャッタが閉じられ、アナログ-デジタル変換器を介してフレームが読み出されるまで進行してもよい。このプロセスは、同相応答を求めるために、励起光源の変調と同位相で実行されてもよい。本プロセスは、直交応答を得るために繰り返され(ただし位相が90度シフトさせられて)てもよい。
蛍光寿命は、応答位相の同相成分及び直交成分に少なくとも部分的に基づいて、決定されてもよい。いくつかの実施形態においては、蛍光寿命は、以下に少なくとも部分的に基づいて(例えば1つ以上のプロセッサによって)決定されてもよい:
206において、本プロセスは、蛍光寿命又は蛍光強度から構成要素の大きさの特性を求めることを含む。例えば、1つ以上のプロセッサは、蛍光寿命又は蛍光強度を構成要素の大きさの特性に相関させるモデル(例えば機械学習モデル)、ルックアップテーブル、アルゴリズム、相関等にアクセスしてもよい。
本開示は、以下の例に関して、よりよく理解することができる。
[例]
数ナノ秒の大きさを有する蛍光寿命を定量化するために、飛行時間型センサモジュールを使用して測定が実行された。光検出及びレンジングシステムは、Melexis社のEVK75027評価モジュールに搭載されたSony社のIMX556飛行時間型撮像チップを利用した。この撮像センサは、10ミクロンのピッチで300000画素を有する。高いレベルの多重化を実現するという目標に即して、測定は250個の利用可能な画素から得られた信号を用いて実行された。したがって、その結果の測定性能は、蛍光放出又は燐光放出信号を単一の撮像チップに同時に送る100本よりも多い光ファイバを用いて得られる性能の投影と考えることができる。
使用された蛍光体は、マイラー(mylar)フィルム上でスポット状にされたPVCマトリックス中のオクタエチルポルフィリンケトン(OEPK:octaethylporphyrinketone)の調製物であった。4~8.5までのpH値を有する緩衝液に曝露されると、このシステムは、およそ3ナノ秒~ほぼ6ナノ秒までとなる寿命応答を提供する。励起は、Thorlabs社のL405P150レーザダイオード(405nmで発光)によって提供された。レーザは、その設計限界よりも十分に低いバイアス電流で動作させられ、その結果、放出された光パワーがおよそ50ミリワットとなった。センサスポットに到達する前に、ビームがニュートラルデンシティフィルタ(neutral density filter:減光フィルタ)を使用して50分の1に減衰され、その結果、送られる光パワーが1ミリワットより小さいものとなった。発光は647nmを中心としたバンドパスフィルタを用いてフィルタリングされ、その半値全幅は10nmであった。照明光路は、490nmのカットオン波長を有する45度ダイクロイックロングパスミラーを含んだ。
図16は、10回より多く繰り返された測定について得られた、標準偏差の10倍であるエラーバーを伴う、測定結果を表示している。いずれの場合においも、標準偏差の値は0.01ナノ秒以下であった。中央の領域においては、応答曲線の傾きは、単位pHあたり1.7ナノ秒であり、そのためその領域中のpHに対して示唆される感度は、6ミリpHである。個々の測定についての積分時間の合計は、20ミリ秒以下であった。
図16に示されるプロットは、従来の光電子増倍管(PMT:photomultiplier tube)を使用することによって得られた2つのデータ点と、時間ドメインの減衰曲線に対する最小二乗フィットとを含む。PMTは、100回の同時測定の代わりに、個々の測定のみが可能である。
いくつかの用途については、この見かけの寿命の変化に注目することが、変化するpHについての情報をもたらし、蛍光寿命測定におけるLiDARの有用性を実証する。光検出及びレンジング信号を、光信号の正弦波復調によって得られたものであるかのように扱うことによって、更なる精度が得られる。この場合、位相は、三角関数を使用することによって推定できる。典型的には、復調プロセスは、矩形波をよく近似するものであり、そのため、三角関数の分析は、本システム内の(任意の)総位相遅延に依存する不安定な値をもたらしうる。正弦波復調は、変調自体の高調波成分を免れることをもたらすが、矩形波復調を用いると、本システムは、変調の非理想性の影響を受けやすいものとなりうる。
以上に対する改善策として、一方の測定について、他方に対して例えば45度だけシフトされた励起の位相を用いた、2つの別個の測定が行われた。このとき、最終的な位相シフトが2つの測定の平均として評価されれば、非正弦波復調による最も深刻な劣化を除去することができる。これは2段階のプロセスであり、より高い精度をもたらすものであり、図16に示されるプロットにおけるデータを得るために使用された。3段階の手順は、望ましい正弦波復調システムに対するよりよい近似をもたらすことができる。組み合わせられた信号対雑音比が個々の寄与に対する改善となるため、いずれのバージョンも積分時間要件に大きな影響を与えることにはならない。
本開示に対するこれらの及びその他の変更及び変形は、添付される特許請求の範囲においてより詳細に規定される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実施することができる。これに加えて、様々な実施形態の態様は、全体として又は部分的に交換することができることは、理解されるべきである。さらに、当業者は、前述の説明は単に例であり、添付される特許請求の範囲に更に記載される本発明を限定することを意図されたものではないことを理解するであろう。

Claims (67)

  1. 励起光を生物学的物質の試料へと放出する光源であって、前記励起光は、前記生物学的物質に近接した又は前記生物学的物質内の蛍光体に蛍光放出又は燐光放出を起こさせる波長を有する、光源と、
    前記蛍光体に関する前記蛍光放出又は燐光放出を示す光信号を得るように設けられた光伝達経路と、
    前記光伝達経路から前記蛍光放出又は燐光放出を示す前記信号を受信する複数の画素を備える飛行時間型センサであって、前記複数の画素の各画素は、前記光信号に少なくとも部分的に基づいて、前記画素の光応答に関する信号を提供する、飛行時間型センサと、
    前記飛行時間型センサと通信する1つ以上のプロセッサであって、各画素の前記光応答に少なくとも部分的に基づいて、前記蛍光体の蛍光寿命又は蛍光強度を求める1つ以上のプロセッサと
    を備える、生物学的物質を分析するシステム。
  2. 生物学的物質の試料を保持するための試料ステージングサイトを更に備える請求項1に記載のシステム。
  3. 前記光源及び前記飛行時間型センサは、光検出及びレンジング(LiDAR)サブシステムの一部である、請求項1に記載のシステム。
  4. 前記システムは、複数の試料を有し、各試料は、光伝達経路に関し、前記飛行時間型センサの前記画素は、複数のゾーンに分割され、各試料に関する各光伝達経路は、前記複数のゾーンのうちの少なくとも1つと通信し、前記飛行時間型センサ及び前記1つ以上のプロセッサは、各試料からの蛍光放出又は燐光放出を受信し、各試料からの蛍光体の前記蛍光寿命又は前記蛍光強度を求める、請求項1又は2に記載のシステム。
  5. 前記複数の試料を保持するための複数のステージングサイトを更に備える請求項4に記載のシステム。
  6. 前記システムは、少なくとも25個の試料ステージングサイト、例えば少なくとも50個の試料ステージングサイト、例えば少なくとも75個の試料ステージングサイト、例えば少なくとも96個のステージングサイト、例えば少なくとも384個のステージングサイト、例えば少なくとも1536個のステージングサイトを有する、請求項5に記載のシステム。
  7. 前記システムは、25個未満の試料ステージングサイトを有する、請求項5に記載のシステム。
  8. 少なくとも1つの蛍光体を前記生物学的物質と関連付けて配置するための蛍光体源を更に備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
  9. 前記光源は、レーザ、レーザダイオード又は発光ダイオード(LED)を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
  10. 前記光源は、或る変調速度で前記励起光を放出する、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
  11. 前記変調速度は、前記蛍光体に関する前記蛍光放出又は燐光放出の前記蛍光寿命に少なくとも部分的に基づいて選択される、請求項10に記載のシステム。
  12. 前記変調速度は、約0.01MHz~約1000MHzの範囲である、請求項11に記載のシステム。
  13. 減衰時間が、約0.1ナノ秒~約20ナノ秒の範囲内である、請求項12に記載のシステム。
  14. 前記光応答を示す前記信号は、前記画素についての応答位相を示す信号を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
  15. 画素についての前記応答位相は、動作を実行することに少なくとも部分的に基づいて求められ、前記動作は、
    第1のアナログ積分器から前記画素についての第1の応答を求めることと、
    第2のアナログ積分器を使用して前記画素についての第2の応答を求めることと、
    前記第1の応答及び前記第2の応答に少なくとも部分的に基づいて、前記応答位相を求めることと
    を有する、請求項14に記載のシステム。
  16. 1つ以上のプロセッサが、前記応答位相に少なくとも部分的に基づいて、前記蛍光寿命を求める、請求項15に記載のシステム。
  17. 前記光源は、インコヒーレント光ビームを放出する、請求項1~16のいずれか一項に記載のシステム。
  18. 前記システムは、複数の試料ステージングサイトを定めるトレイを更に有し、前記システムは、前記トレイに対して移動するプランジャのアレイを更に備え、前記プランジャは、前記トレイ上の前記試料ステージングサイトと整列するように離隔され、前記プランジャは、前記試料ステージングサイトに位置する前記生物学的物質に接触するために、前記試料ステージングサイトに向かって移動し、前記プランジャは、前記生物学的物質に前記励起光を送るために、及び前記蛍光体から生じた前記蛍光放出又は燐光放出を前記飛行時間型センサに送るために、前記光伝達経路と通じている、請求項1~17のいずれか一項に記載のシステム。
  19. 前記光源及び前記飛行時間型センサは、約1秒未満、例えば約0.5秒未満で、前記蛍光体の前記蛍光寿命又は前記蛍光強度の複数回の決定を可能とする周波数で動作する、請求項1~18のいずれか一項に記載のシステム。
  20. 前記蛍光体源は、複数の蛍光体を前記生物学的物質に関して配置され、前記飛行時間型センサ及び前記1つ以上のプロセッサは、前記複数の蛍光体の前記蛍光寿命又は前記蛍光強度を求める、請求項8に記載のシステム。
  21. 前記光伝達経路は、光ファイバを有しない、請求項1に記載のシステム。
  22. 前記光伝達経路は、撮像光学系を含む、請求項1に記載のシステム。
  23. 前記光伝達経路は、集光光学系を含む、請求項1に記載のシステム。
  24. 前記飛行時間型センサ及び前記1つ以上のプロセッサは、前記生物学的物質の連続的な試料の試験の間に前記光源を較正することなく、前記蛍光寿命を求める、請求項1~23のいずれか一項に記載のシステム。
  25. 前記蛍光体の前記蛍光放出又は燐光放出は、溶存気体、イオン、タンパク質、代謝産物、核酸、酵素、pH、酸化状態、粘度、温度、NAD(P)H、塩、又はミネラル等の細胞代謝に関連するパラメータを示す、請求項1~24のいずれか一項に記載のシステム。
  26. 前記パラメータはpHを有し、前記蛍光体は5ナノ秒未満の蛍光寿命を呈する、請求項25に記載のシステム。
  27. 前記システムは、前記パラメータの濃度又は前記パラメータの変化率を更に求める、請求項25に記載のシステム。
  28. 前記試料ステージングサイトは、マイクロ流体装置の一部である、請求項2に記載のシステム。
  29. (a)励起光を生物学的物質へと放出する光源であって、前記励起光は、前記生物学的物質に関する蛍光体に蛍光放出又は燐光放出を起こさせる波長を有する、光源と、
    (b)前記蛍光体から生じた前記蛍光放出又は燐光放出を感知するように設けられた光伝達経路と、
    (c)前記光伝達経路から前記蛍光放出又は燐光放出を受ける複数の画素を備える飛行時間型センサと
    を備える光検出及びレンジング(LiDAR)サブシステムと、
    前記飛行時間型センサと通信し、前記蛍光体の前記蛍光放出又は燐光放出に基づいて、前記蛍光体の蛍光寿命又は蛍光強度を求める、1つ以上のプロセッサと
    を備える生物学的物質を分析するシステム。
  30. 前記1つ以上のプロセッサは、前記蛍光寿命又は前記蛍光強度に基づいて、生物学的パラメータの大きさの特性を更に求める、請求項29に記載のシステム。
  31. 前記システムは、複数の試料ステージングサイトを有し、各試料ステージングサイトは、光伝達経路に関連付けられ、前記飛行時間型センサの前記画素は、ゾーンに分割され、各試料ステージングサイトに関する各光伝達経路は、対応するゾーンと通じており、前記飛行時間型センサ及び前記1つ以上のプロセッサは、各試料ステージングサイトから蛍光放出又は燐光放出を同時に受信し、各試料ステージングサイトからの前記蛍光体の前記蛍光寿命又は前記蛍光強度を求める、請求項29又は30に記載のシステム。
  32. 前記システムは、少なくとも25個の試料ステージングサイト、例えば少なくとも50個の試料ステージングサイト、例えば少なくとも75個の試料ステージングサイト、例えば少なくとも96個のステージングサイト、例えば少なくとも384個のステージングサイト、例えば少なくとも1536個のステージングサイトを有する、請求項31に記載のシステム。
  33. 前記1つ以上のプロセッサは、前記蛍光体の前記蛍光寿命を求め、前記飛行時間型センサ及び前記1つ以上のプロセッサは、前記生物学的物質の連続的な試料の試験の間に前記光源を較正することなく、蛍光体の前記蛍光寿命を求める、請求項29~32のいずれか一項に記載のシステム。
  34. 少なくとも1つの蛍光体を前記生物学的物質と関連付けて配置するための蛍光体源を更に備える、請求項29~33のいずれか一項に記載のシステム。
  35. 前記光源は、或る変調速度で前記励起光を放出する、請求項34に記載のシステム。
  36. 前記変調速度は、前記蛍光体に関する前記蛍光放出又は燐光放出の減衰時間に少なくとも部分的に基づいて決定される、請求項35に記載のシステム。
  37. 前記変調速度は、約0.01MHz~約1000MHzの範囲である、請求項36に記載のシステム。
  38. 減衰時間が、約0.1ナノ秒~約20ナノ秒の範囲内である、請求項37に記載のシステム。
  39. 前記光応答を示す前記信号が、前記画素についての応答位相を示す信号を有する、請求項29~38のいずれか一項に記載のシステム。
  40. 画素についての前記応答位相は、動作を実行することに少なくとも部分的に基づいて決定され、前記動作は、
    第1のアナログ積分器から前記画素についての第1の応答を求めることと、
    第2のアナログ積分器を使用して前記画素についての第2の応答を求めることと、
    前記第1の応答及び前記第2の応答に少なくとも部分的に基づいて、前記応答位相を求めることと
    を有する、請求項39に記載のシステム。
  41. 1つ以上のプロセッサが、前記応答位相に少なくとも部分的に基づいて、前記蛍光寿命を求める、請求項40に記載のシステム。
  42. 前記飛行時間型センサにおける各画素が、前記光源と同位相の前記光伝達経路からの蛍光放出又は燐光放出を受ける、請求項29又は30に記載のシステム。
  43. 前記システムは、複数の試料ステージングサイトを画定するトレイを更に有し、前記システムは、前記トレイに対して移動するプランジャのアレイを更に備え、前記プランジャは、前記トレイ上の前記試料ステージングサイトと整列するように離隔され、前記プランジャは、前記試料ステージングサイトに位置する前記生物学的物質に接触するために、前記試料ステージングサイトに向かって移動し、前記プランジャは、前記生物学的物質に前記励起光を送るために、及び前記生物学的物質に関する蛍光体から生じた前記蛍光放出又は燐光放出を前記飛行時間型センサに送るために、前記光伝達経路と通じている、請求項29~42のいずれか一項に記載のシステム。
  44. 前記光源及び前記飛行時間型センサは、約1秒未満、例えば約0.5秒未満、例えば約10ミリ秒未満で、前記生物学的物質の試料からの前記蛍光体の前記蛍光寿命又は前記蛍光強度の複数回の決定を可能とする周波数で動作する、請求項29~43のいずれか一項に記載のシステム。
  45. 前記蛍光体源は、複数の蛍光体を前記生物学的物質に関して配置され、前記飛行時間型センサ及び前記1つ以上のプロセッサは、前記複数の蛍光体の前記蛍光寿命又は前記蛍光強度を求める、前記システムは、前記複数の蛍光体の前記蛍光寿命又は前記蛍光強度を同時に又は同位相で求める、請求項34に記載のシステム。
  46. 前記蛍光体の前記蛍光放出又は燐光放出は、溶存気体、イオン、タンパク質、代謝産物、核酸、酵素、pH、酸化状態、粘度、温度、NAD(P)H、塩、又はミネラル等の細胞代謝に関連するパラメータを示す、請求項29~45のいずれか一項に記載のシステム。
  47. 前記パラメータは、酸素分圧、pH、酸化状態、粘度、又は温度を有する、請求項46に記載のシステム。
  48. 生物学的物質に関する蛍光体に蛍光放出又は燐光放出を起こさせる態様で、前記生物学的物質を励起光に曝露することと、
    前記蛍光放出又は燐光放出を飛行時間型センサに伝達することと、
    前記蛍光体の蛍光寿命又は蛍光強度を求めることと、
    前記決定された蛍光寿命又は蛍光強度に関連する生物学的パラメータの大きさの特性を求めることと
    を有する生物学的物質を分析する方法。
  49. 前記生物学的物質は、細菌細胞、真菌細胞、酵母細胞、原核細胞、真核細胞、動物細胞、ヒト細胞、免疫細胞、又は不死細胞を含む生体細胞を有する、請求項48に記載の方法。
  50. 前記パラメータは、溶存気体、イオン、タンパク質、代謝産物、核酸、脂質、基質、塩、又はミネラルを有する、請求項48又は49に記載の方法。
  51. 前記溶存気体は、酸素、二酸化炭素、一酸化窒素、又はアンモニアから選択される、請求項50に記載の方法。
  52. 前記生物学的物質は、細胞を有し、前記パラメータは、前記細胞によって周囲培地に分泌される物質の濃度を有する、請求項48又は49に記載の方法。
  53. 前記蛍光体の前記蛍光寿命又は前記蛍光強度は、約1秒未満、例えば約0.5秒未満、例えば約10マイクロ秒未満で複数回決定される、請求項48~52のいずれか一項に記載の方法。
  54. 前記パラメータの前記大きさ特性は、濃度又は前記濃度の変化率を有する、請求項48~53のいずれか一項に記載の方法。
  55. 前記生物学的物質に関する複数の蛍光体の蛍光寿命又は蛍光強度を同時に求めるステップを更に有する、請求項48~54のいずれか一項に記載の方法。
  56. 前記蛍光体の前記蛍光寿命が決定される、請求項48~55のいずれか一項に記載の方法。
  57. 前記蛍光体の前記蛍光寿命は、約20ナノ秒未満、例えば約15ナノ秒未満、例えば約10ナノ秒未満、例えば約5ナノ秒未満である、請求項56に記載の方法。
  58. 複数の蛍光体が、前記生物学的物質の対応する複数の試料と動作可能に関連付けられて配置され、前記生物学的物質の各試料は、生物学的物質の各試料中の蛍光体に前記蛍光放出又は燐光放出を起こさせる態様で励起光に個々に曝露され、各試料からの前記蛍光体の前記蛍光寿命又は前記蛍光強度を同時に求めるために、前記複数の前記蛍光放出又は燐光放出が感知され、前記飛行時間型センサに伝達される、請求項48~57のいずれか一項に記載の方法。
  59. 蛍光体に蛍光放出又は燐光放出を生じる態様で、生物学的物質を励起光に曝露することと、
    前記蛍光放出又は燐光放出を感知し、前記蛍光体の蛍光寿命を求めることであって、前記蛍光体は、細胞代謝パラメータ又は細胞環境パラメータに関連し、約20ナノ秒未満の蛍光寿命を有することと
    を有する、生物学的物質を分析する方法。
  60. 前記生物学的物質は、細菌細胞、真菌細胞、酵母細胞、原核細胞、真核細胞、動物細胞、ヒト細胞、免疫細胞、又は不死細胞を含む生体細胞を有する、請求項59に記載の方法。
  61. 前記パラメータは、溶存気体、イオン、タンパク質、代謝産物、核酸、脂質、温度、酸化状態、基質、塩、又はミネラルを有する、請求項59又は60に記載の方法。
  62. 前記溶存気体は、酸素、二酸化炭素、一酸化窒素、又はアンモニアから選択される、請求項61に記載の方法。
  63. 前記生物学的物質は細胞を有し、前記パラメータは前記細胞によって周囲培地に分泌される物質を有する、請求項59~62のいずれか一項に記載の方法。
  64. 前記蛍光体の前記蛍光寿命は、約1秒未満、例えば約0.5秒未満、例えば約10マイクロ秒未満で複数回決定される、請求項59~63のいずれか一項に記載の方法。
  65. 前記生物学的物質と関する複数の蛍光体の前記蛍光寿命を同時に求めるステップを更に有する、請求項59~64のいずれか一項に記載の方法。
  66. 複数の蛍光体が、生物学的物質の対応する複数の試料と動作可能に関連付けられて配置され、前記生物学的物質の各試料は、生物学的物質の各試料中の蛍光体に蛍光放出又は燐光放出を起こさせる態様で励起光に個々に曝露され、各試料からの前記蛍光体の蛍光寿命を同時に求めるために、前記複数の蛍光放出又は燐光放出が感知される、請求項59~65のいずれか一項に記載の方法。
  67. 前記生物学的物質は、前記励起光への曝露の間にマイクロ流体装置に収容され、灌流にさらされる、請求項59に記載の方法。
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