JP2024506486A - 食品の保存可能期間を改善するための表面反応炭酸カルシウムと酸素捕捉剤とを含むコーティング - Google Patents

食品の保存可能期間を改善するための表面反応炭酸カルシウムと酸素捕捉剤とを含むコーティング Download PDF

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Abstract

本発明は、シート状エレメント構成要素とアルカリ構成要素とを含む食品の保存可能期間を改善するためのキットに関する。シート状エレメント構成要素は、表面反応炭酸カルシウムを含む粒状充填剤、バインダー及び酸素捕捉剤を含む。酸素捕捉剤は、アルカリ構成要素によって脱プロトン化されて酸素捕捉剤を活性化させることができる少なくとも2つのフェノール性水酸基を含む化合物である。本発明のさらなる態様は、本発明のキットから形成された活性化されたシート状エレメント、保存可能期間を改善するためのキットの製造方法、シート状エレメント構成要素の製造方法、シート状エレメント構成要素を活性化するための方法、活性化されたシート状エレメントを含む供給装置、活性化されたシート状エレメントを含む食品パッケージ、並びに食品パッケージ内での及び食品の保存可能期間を延長させるためのキット又は活性化されたシート状エレメントの使用に関する。

Description

本発明は、シート状エレメント構成要素及びアルカリ構成要素を含む食品の保存可能期間を改善するためのキット、それから形成された活性化されたシート状エレメント、これらの使用、保存可能期間を改善するためのキットの製造方法、及びシート状エレメント構成要素の製造方法に関する。
食品パッケージ中の酸素の存在は、様々な酸素感受性食料品の品質に悪影響を及ぼし得る。例えば、食品パッケージ中の酸素の存在は、典型的には、コーヒー及びナッツなどの煎りたての製品並びにスパイス及び味付き食品における風味の喪失と結びつけられる。さらに、酸素は、例えばビタミンA、C及びEなどのビタミンの、及びベリー類、ソース及び肉製品中の赤色顔料の分解を引き起こす。それは同様に、潜在的に有害な好気性細菌の成長を促進し、チーズ、他の乳製品及びベーカリー製品中のかびの成長を促進し、果物及び野菜の褐変を加速させ、油脂の酸敗化の原因となる。オレンジジュースなどのジュースにおいては、酸素はビタミンCの分解に寄与する。したがって、食品パッケージ中の酸素の存在は、食料品の可食性、栄養価、食感、香り、及び色にとって有害であり、これが消費者の支持及び食品の保存可能期間を低減させる。食品産業はさらに、添加剤又は防腐剤をほとんど又は全く含有しない、加工が最小限である食料品に対する消費者の需要に適応しなければならないが、それと同時に許容可能であるか又はさらに長い保存可能期間を維持する必要がある。このことは、任意に提供される保存可能期間を延長するためのいずれの技術的解決法も、複雑な包装システムを必要とせず、すなわち、保存可能期間を延長する手段が、パッケージシステムに組み入れるのが簡単でなければならない、という追加の要件があることを示している。
食品パッケージ中に存在する酸素量を低減するために、技術的に様々な取り組みが知られており、例えば、真空包装、改質雰囲気包装(MAP;ガス置換包装ともいう)、酸素不透過性食品パッケージの使用、又は酸素捕捉エレメントの使用が知られている。MAPの場合、二酸化炭素及び窒素の混合物(典型的には30~50体積%のCOを含む)を食品パッケージ内に導入する。しかしながら、パッケージ雰囲気中の残留酸素濃度は、食品マトリックスに含まれている酸素、パッケージ材料を通した酸素の透過又は食品パッケージの封止不足に起因して、5体積%に達したままである可能性がある。酸素捕捉剤とMAPとを組み合わせた使用は、食品パッケージ内の望ましい程度に低い残留酸素レベル(好ましくは0.5体積%未満又はさらには0.1体積%未満)を提供することができる。
酸素捕捉エレメントは、先行技術においては、サッシェ、担体、プラスチックフィルム、ラベル又はプラスチックトレイの形態で知られている。しかしながら、サッシェは、偶発的に破裂して、格納した酸素捕捉剤で食料品を腐敗させる可能性があり、又は「異物」としてみなされて、食品パッケージが受け入れられない原因となる可能性がある。したがって、サッシェは、例えば欧州諸国では一般的ではない。代替的には、酸素捕捉剤をパッケージ材料に一体化することができる。しかしながら、キャスティング、押出加圧又はプレス加工などの通常のフィルム加工技術は、典型的には例えば約200℃の高温で行なわれる。これらの温度では、酸素捕捉剤の安定性が悪影響を受ける可能性がある。さらに、フィルム中に一体化されている酸素捕捉剤は、含まれる酸素に到達しにくい可能性があり、その酸素捕捉活性が損なわれるおそれがある。
酸素捕捉剤用の担体が技術的に知られている。例えば、欧州特許出願公開第1 550 506 A1号公報は、活性炭及びケイ酸カルシウムに基づく酸素捕捉剤のための担体を開示している。欧州特許出願公開第3 192 850 A1号公報及び国際公開第2017/121675 A1号は、酸素捕捉化合物用の炭酸カルシウムをベースとする担体に関するものである。
最も一般的には、酸素捕捉剤は、サッシェ中に格納された鉄粉をベースとする。しかしながら、それには数多くの問題が付随している。鉄を含んでいるサッシェは、誤飲に起因する健康上のリスクを消費者に与え、液体製品には使用できず、電子レンジで加熱した時に発火の可能性があり、かつ包装ライン内で金属検出器により検出される。さらに、鉄を活性化するためには水分の存在が必要である。したがって、鉄を含有する酸素捕捉剤の使用は、典型的には、その雰囲気が少なくとも65%の相対湿度(rH)を含有する食品パッケージに限定されている。より低い湿度での利用のためには、吸湿性の塩化ナトリウムを添加しなければならず、しかしながら、これは最終的に食品製品を乾燥させ、ひいては食品の品質劣化を促すことになる。
代替として、パラジウム系酸素捕捉剤が提案されてきたが、これらは高価であり、かつ特に肉製品中に見られる硫黄成分によって不活性化される。さらに、パッケージ中におけるHの最大許容量は、このようなタイプの捕捉剤の標識能力を制限する。亜硫酸塩をベースとする酸素捕捉剤は、食料品の臭気及び香りの劣化に寄与する可能性があり、一方でアルミニウム系酸素捕捉剤は、不活性化し易い。加えて、酸化可能なポリマーが、酸素捕捉剤として提案されてきた。
さらに、天然化合物、例えばポリフェノール、植物エキス、トコフェロール及びアスコルビン酸が、食品パッケージに適用するための酸素捕捉剤として提案されてきた。例えば、Ahnら(Journal of Applied Polymer Science,2016,44138 doi:10.1002/app.44138)は、没食子酸(2,3,4-トリヒドロキシ安息香酸)及び炭酸カリウムからなる酸素捕捉システムと共押出したLDPEフィルムが、95%rHで周囲空気から酸素を吸着したことを記述している。同様に、Pantら(Materials,2017,10,489,doi:10.3390/ma10050489)は、没食子酸と炭酸ナトリウムを含むバイオポリエチレン層を有する熱成形トレイが、75%rH又はそれを超える相対湿度で酸素/窒素混合物(20/80体積%)から酸素を吸着したことを開示している。同様に、欧州特許出願公開第2 305 375 A1号公報は、熱可塑性ポリマー、没食子酸、遷移金属化合物及び任意にアルカリ炭酸塩を含む酸素吸収性フィルムに関する。韓国特許第101935245 B1号明細書は、ポリエチレン、フェノール化合物及びナトリウム塩を含む酸素捕捉フィルムに関する。特開平10-15385号公報は、ポリマー、没食子酸及び炭酸ナトリウムを含む酸素吸収性樹脂に関する。
しかしながら、先行技術のポリフェノール系酸素捕捉剤エレメントは、高湿度での適用に限定されている。さらに、本発明者らは、意外にも、先行技術のポリフェノール系酸素捕捉剤が、二酸化炭素の存在によって不活性化され、これらがMAPの適用に好適でないものとなることを見出した。しかしながら、MAPは、例えば、食肉包装の適用において至極一般的な技術であり、ここでは、低い残留酸素量が特に望ましく、それによって、食料品の変色及び微生物汚染を低減させるようにしている。
以上のことを考慮して、上述した欠点を克服し、かつ特に、低湿度の食品パッケージ及びMAPと両立できる食品に安全な酸素捕捉剤に対する必要性が存在する。
したがって、本発明の目的は、食品パッケージ中の酸素量を、好ましくは、低い相対湿度において及び/又は二酸化炭素の存在下においても、効果的に低減する食品に安全な酸素捕捉剤を提供することである。酸素捕捉剤は、取り扱いが容易であり、かつ食品パッケージに組み込むことが容易でなければならない。
これらの及び他の目的は、本発明のキット、本発明の活性化されたシート状エレメント、本発明の方法、本発明の供給装置、本発明の食品パッケージ及び本発明の使用によって解決することができる。
本発明の第1の態様によれば、食品の保存可能期間を改善するためのキットが提供される。このキットは、
(a)以下を有するシート状エレメント構成要素:
(a1)以下を含むコーティング層:
(i)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の粒状充填剤、ここで、
上記粒状充填剤が、上記粒状充填剤の総量に基づいて、少なくとも50重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含み、
上記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、上記二酸化炭素が上記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
上記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/gの範囲内の比表面積を有している;
(ii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、5~25重量%の量のポリマーバインダー;及び
(iii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の少なくとも1つの酸素捕捉剤、ここで、
上記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも1つのR基を有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物であり、
上記少なくとも2つのフェノール性水酸基のうちの2つが、互いに対してオルト又はパラ位で、前記少なくとも1つのフェニル環上に配置されており、かつ
Rが、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキル基、アリール基及び-Y-R基からなる群から選択され、好ましくは、Rは-Y-R基であり、ここで
- Yは、直接結合、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基及び-CH=CH-基からなる群から選択され、好ましくは、Yは直接結合であり、かつ
- Rは、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボキシル基又は本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基である;及び
(a2)基材層、並びに
(b)6又はこれより低いpK値を有する塩基を含むアルカリ構成要素。
発明者らは、意外にも、本発明のキットのシート状エレメントのコーティング層が、含有する化合物の相互作用に起因して、特定の多孔質構造を提供することを見出した。表面反応炭酸カルシウムは、高いBET表面積と高い多孔性を有し、とりわけ、酸素捕捉剤を受け入れることができる。酸素捕捉剤は、ひとたび活性化されると酸素と反応する能力を有するポリフェノール化合物である。バインダーの量は、基材層上でのコーティング層の十分な接着及び均等な分布を可能にするように選択され、ここで、表面反応炭酸カルシウムの細孔は到達可能な状態のままになっている。粒状充填剤、バインダー及び酸素捕捉剤の相対量は、コーティング層が多孔質構造を維持するように選択される。したがって、水と混合されて水性アルカリ構成要素を形成することが意図されているアルカリ構成要素を、シート状エレメントに添加することができ、アルカリ構成要素がコーティング層の細孔内部に付着し、これにより、シート状エレメントの酸素捕捉剤は、フェノール性水酸基の少なくとも部分的な脱プロトン化によって活性化される。その後、この活性化されたシート状エレメントを食品パッケージに設置して酸素を捕捉することができる。したがって、シート状エレメントは、湿気及び/又は酸素から密閉遮蔽する必要が無く、その活性化の前に保管可能であり、その使用をさらに簡素化することができる。
加えて、コーティング層は食料品から物理的に離れており、酸素捕捉剤を担持した多孔性担体材料の粉末とは異なり、食料品を汚染しない。このような担持粉末は、食品パッケージ全体にわたってばらまかれる傾向を有する。酸素捕捉剤をパッケージに組み込むために、押出工程において酸素捕捉剤をポリマー混合物と一緒に処理する必要がないので、酸素捕捉剤を高温下で処理すること、及び酸素捕捉剤の一部に酸素が到達できない状態のままになることも回避される。
さらに、本発明者らは、コーティング層が、水性アルカリ構成要素から多量の水を受け入れる能力を有することで、低い湿度レベルにおいてさえも、改善された酸素捕捉活性が可能になることを見出した。その上、意外なことに、活性化されたシート状エレメントが、二酸化炭素の存在下でその酸素捕捉活性を本質的に保持し、かつMAPと組み合わせて使用することができることを見出した。
本発明の第2の態様は、シート状エレメント構成要素のコーティング層に対してアルカリ構成要素を添加することによって、本発明のキットから形成された活性化されたシート状エレメントであって、
上記活性化されたシート状エレメントが、上記少なくとも1つの酸素捕捉剤と上記塩基との反応生成物を含み、
好ましくは、
- 上記酸素捕捉剤のモル量に基づいて、少なくとも0.01モル当量、好ましくは少なくとも0.02モル当量、より好ましくは少なくとも0.05モル当量、さらに一層好ましくは少なくとも0.1モル当量の量で上記塩基を添加する量で、上記アルカリ構成要素を添加し、かつ/又は
- 上記コーティング層の総重量に基づいて、10~70重量%、好ましくは20~65重量%、より好ましくは35~60重量%の量で、上記アルカリ構成要素を添加する、
活性化されたシート状エレメントに関する。
以上で概説したように、活性化されたシート状エレメントは、低い相対湿度でも、及び/又は二酸化炭素の存在下でも、酸素を効果的に捕捉することができる。さらに、本発明者らは、酸素捕捉剤に対して比較的少量の準化学量論量(すなわち触媒量)の塩基を添加するだけで十分であることを見出した。
本発明の第3の態様は、食品の保存可能期間を改善するためのキットの製造方法に関する。この方法は以下の工程を含む:
(a)粒状充填剤の総量に基づいて少なくとも50重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含む粒状充填剤を提供すること、ここで、
上記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、上記二酸化炭素が上記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
上記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/g、好ましくは50~120m/gの範囲内の比表面積を有する;
(b)少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも1つのR基を有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物である少なくとも1つの酸素捕捉剤を提供すること、ここで、
上記少なくとも2つのフェノール性水酸基のうちの2つが、互いに対してオルト又はパラ位で、上記少なくとも1つのフェニル環上に位置しており、かつ
Rは、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキル基、アリール基及び-Y-R基からなる群から選択され、好ましくは、Rは-Y-R基であり、ここで、
- Yは、直接結合、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基及び-CH=CH-基からなる群から選択され、好ましくは、Yは直接結合であり、かつ
- Rは、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボキシル基又は本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基である;
(c)ポリマーバインダーを提供すること;
(d)1つ又は複数の個別の基材層を含む基材層、又は上記基材層を含む食品パッケージを提供すること;
(e)工程(b)の上記酸素捕捉剤、工程(a)の上記粒状充填剤及び工程(c)の上記ポリマーバインダーを、ここに記載の順序で混合してコーティング組成物を得ること;
(f)工程(e)の上記コーティング組成物を工程(d)の上記基材層上に適用して、シート状エレメント前駆体を得ること;
(g)工程(f)で得た上記シート状エレメント前駆体を乾燥させて、シート状エレメント構成要素を得ること;
(h)6又はこれより低いpK値を有する塩基を含むアルカリ構成要素を提供すること;及び任意に、
(i)工程(h)の上記アルカリ構成要素を水と混合して、上記塩基と水とを含む水性アルカリ構成要素を得ること、ここで、好ましくは、
- 上記水性アルカリ構成要素のpHが、少なくとも8、より好ましくは少なくとも10、さらに一層好ましくは少なくとも11、最も好ましくは少なくとも12であり、かつ/又は
- 上記水性アルカリ構成要素が、上記水性アルカリ構成要素の総重量に基づいて、1重量%~75重量%、より好ましくは5重量%~60重量%、最も好ましくは10~35重量%の量で前記塩基を含む。
本発明の第4の態様では、シート状エレメント構成要素の製造方法が提供される。この方法は、以下の工程を含む:
(a)粒状充填剤の総量に基づいて少なくとも50重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含む粒状充填剤を提供すること、ここで、
上記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、上記二酸化炭素が上記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
上記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/g、好ましくは50~120m/gの範囲内の比表面積を有する;
(b)少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも1つのR基を有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物である少なくとも1つの酸素捕捉剤を提供すること、ここで、
上記少なくとも2つのフェノール性水酸基のうちの2つが、互いに対してオルト又はパラ位で、前記少なくとも1つのフェニル環上に位置しており、かつ
Rは-Y-R基であり、ここで
- Yは、直接結合、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基及び-CH=CH-基からなる群から選択され、好ましくは、Yは直接結合であり、かつ
- Rは、本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基である;
(c)ポリマーバインダーを提供すること;
(d)1つ又は複数の個別の基材層を含む基材層、又は上記基材層を含む食品パッケージを提供すること;
(e)工程(b)の上記酸素捕捉剤、工程(a)の上記粒状充填剤及び工程(c)の上記ポリマーバインダーを、ここに記載の順序で混合してコーティング組成物を得ること;
(f)工程(e)の上記コーティング組成物を工程(d)の上記基材層上に適用して、シート状エレメント前駆体を得ること;及び
(g)工程(f)で得た上記シート状エレメント前駆体を乾燥させて、シート状エレメント構成要素を得ること;
ここで、上記少なくとも1つの酸素捕捉剤を提供する工程(b)が、以下のサブステップを含む:
(b1)少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも1つのR基を有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物である少なくとも1つの酸素捕捉剤前駆体を提供すること、ここで、上記少なくとも2つのフェノール性水酸基のうちの2つが、互いに対してオルト又はパラ位で、前記少なくとも1つのフェニル環上に位置しており、かつRが、-Y-R基であり、ここで
- Yは、直接結合、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基及び-CH=CH-基からなる群から選択され、好ましくは、Yは直接結合であり、かつ
- Rは、カルボキシル基である、
(b2)塩基性化合物を提供すること、及び
(b3)工程(b1)の上記酸素捕捉剤前駆体の前記カルボキシル基と、工程(b2)の上記塩基性化合物とを反応させて、上記酸素捕捉剤を得ること。
本発明者らは、少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも1つのR基を有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物を、本発明の酸素捕捉剤として使用することができるということを見出した。しかしながら、意外にも、天然に存在するポリフェノールについてしばしばそうであるように、このような化合物がカルボキシル基(-COOH)を含む場合、このカルボキシル基が粒状充填剤の表面反応炭酸カルシウムと反応して、その細孔を破壊し、かつこのようにして得た活性化されたシート状エレメントの酸素捕捉活性を低下させるということが見出された。発明者らは、意外にも、本発明のシート状エレメント構成要素に組み込まれる前に、このようなカルボキシル基を塩基性化合物との反応によって本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基に変換させた場合には、これを回避できるということを見出した。
本発明の第5の態様は、本発明によるキットの本発明のシート状エレメント構成要素を活性化させる方法に関する。この方法は、以下の工程を含む:
(j)上記アルカリ構成要素を水と混合して、上記塩基と水とを含む水性アルカリ構成要素を得ること;及び
(k)上記コーティング層の表面の少なくとも一部に上記水性アルカリ構成要素を適用すること、ここで、好ましくは、
- 上記酸素捕捉剤のモル量に基づいて、少なくとも0.01モル当量、好ましくは少なくとも0.02モル当量、より好ましくは少なくとも0.05モル当量、さらに一層好ましくは少なくとも0.1モル当量の量で上記塩基を添加する量で、上記アルカリ構成要素を添加し、かつ/又は
- 上記コーティング層の総重量に基づいて、10~70重量%、好ましくは20~65重量%、より好ましくは35~60重量%の量で、上記アルカリ構成要素を添加し、かつ/又は
- 適用工程(k)を、インクジェット印刷、噴霧、コーティング及び/又は浸漬によって実施する。
本発明の第6の態様においては、活性化されたシート状エレメントを含む供給装置が提供され、ここで、この供給装置は、上記活性化されたシート状エレメントを酸素から保護し、かつ好ましくは、ロール、スタック、マガジン、又はパッケージ、例えばボックスなどを含んでいる。
本発明のシート状エレメントは、予め活性化された形で提供することができ、ここで、それは本発明の供給装置によって酸素から保護されている。
本発明の第7の態様は、コーティング層が食品パッケージ内に存在している、本発明の活性化されたシート状エレメントを含む食品パッケージに関する。
本発明の第8の態様は、本発明のキット及び/又は本発明の活性化されたシート状エレメントの、食品パッケージにおける使用に関する。
本発明の第9の態様は、本発明のキット及び/又は本発明の活性化されたシート状エレメントの、食品の保存可能期間を延長するための使用に関する。
本発明の有利な実施形態は、対応する従属請求項で定義される。
図1は、22g/mのコーティング重量の本発明の没食子酸ベースのコーティング層を含む活性化されたシート状エレメントの酸素捕捉速度(OSR)を示す。シートは、様々な濃度でKCO、NaCO又はNaOHから作られた様々なアルカリ水溶液で活性化されている。OSRは、測定時間(日単位)の間に捕捉された没食子酸カルシウム(CGA)1グラムあたりの酸素の総量(mL単位)を意味する。 図2は、シート状エレメントをコーティングするための例示的な連続実験室塗工機を示す(1=巻戻し、2=高温空気乾燥器、3=IR-乾燥器、4=ロッド/ブレード、5=巻出し(ロッド/ブレード用)、6=計量サイズプレス、7=巻出し(計量サイズプレス用)。
本発明のために、以下の用語は以下の意味を有することを理解されたい。
「食品の保存可能期間を改善するために好適である」キットとは、食品パッケージ中に設置したとき、食品パッケージ内に含まれる食料品の可食性に悪影響を及ぼさないキット及びその構成要素を意味する。したがって、本発明のシート状エレメントで使用される化合物はいずれも、食品に使用しても安全な化合物であり、すなわち、任意の量又は任意の有意な量の毒性の若しくは有害な物質又は病原性微生物を食料品中に放出しない化合物である。
「食品の保存可能期間の改善」とは、本発明の活性化されたシート状エレメントを含まない同一の食品パッケージ内の同一の食料品と比べて、食品パッケージ内の食料品の特性のうちの少なくとも1つ、好ましくは、食感、色、味、栄養価、及び/又は可食性をさらに長期間保持することであると広義に理解されるべきである。食品の保存可能期間を「改善する」、「延長する」又は「増大させる」なる用語は、本明細書中では同義的に使用される。
「病原性微生物」は、摂取されたときに食物に起因する病気を引き起こす可能性がある、食料品中に存在し得る少なくとも1つの細菌菌株、及び/又は少なくとも1つの酵母菌株、及び/又は少なくとも1つのかび菌株であるものとして理解される。
本発明に係る「表面反応炭酸カルシウム」とは、天然粉砕炭酸カルシウム(GNCC)又は沈降炭酸カルシウム(PCC)を、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体で処理した反応生成物であり、ここで、この二酸化炭素はHイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給される。本発明に関連したHイオン供与体は、ブレンステッド酸及び/又は酸性塩である。
本明細書中の表面反応炭酸カルシウムの「粒径」は、別段の明示的記載の無い場合、体積基準の粒径分布d(vol)又はdとして記載される。ここで、d(vol)値は、粒子のx体積%がd(vol)未満の直径を有することに関する直径を表す。このことは、例えばd20(vol)値が、すべての粒子の20体積%がその粒径よりも小さい粒径であることを意味している。したがって、d50(vol)値は、平均粒径とも呼ばれる体積メジアン粒径であり、すなわち、すべての粒子の50体積%がその粒径よりも小さく、かつd98(vol)値は、体積基準のトップカット粒径と呼ばれ、すべての粒子の98体積%がその粒径よりも小さい粒径である。
体積メジアン粒径d50は、本明細書において、Malvern Mastersizer 3000レーザー回折システムを用いて評価する。Malvern Mastersizer 3000レーザー回折システムを用いて測定されたd50又はd98値は、それぞれ、粒子の50体積%又は98体積%が、この値よりも小さい直径を有するような直径の値を示す。測定によって得られる生データを、1.57の粒子屈折率及び0.005の吸収係数で、Mie理論を用いて解析する。
粒径が重量基準の粒径として本明細書に与えられている場合、例えば、d20(wt)値は、すべての粒子の20重量%がその粒径よりも小さい粒径である。したがって、d50(wt)値は、重量メジアン粒径であり、すなわち、すべての粒子の50重量%がその粒径よりも小さく、d98(wt)値は、重量基準のトップカット粒径と呼ばれ、すべての粒子の98重量%がその粒径よりも小さい粒径である。
重量基準のメジアン粒径d50(wt)及びトップカットd98(wt)は、重量測定の分野における沈降挙動の分析である沈降法によって測定される。測定は、米国、Micromeritics Instrument CorporationのSedigraph(登録商標)5120を用いて行う。この方法及び器具は、当業者に知られており、粒径分布を決定するために一般に使用されている。0.1重量%のNaの水溶液中で測定を行う。高速撹拌機及び超音波処理を用いて試料を分散させる。
「多孔性」又は「細孔容積」は、粒状充填剤及び表面反応炭酸カルシウムに関連して使用する場合、粒子内圧入比細孔容積を意味する。「多孔性」又は「細孔容積」なる用語は、コーティング層に関連して使用される場合、総粒子内圧入比細孔容積、総粒子間圧入比細孔容積及び総吸蔵圧入比細孔容積の総和である総圧入比細孔容積を意味する。本発明に関して、「細孔」なる用語は、粒子間及び/又は粒子内に見出される空間であり、すなわち、粉末、成形体、又は又はコーティング層のように、粒子が最近接接触下に一緒に詰め込まれる際にこれらの粒子によって形成される空間(粒子間細孔)及び/又は多孔質粒子内の空隙(粒子内細孔)であって、液体によって飽和した場合に圧力下で液体の通過を可能にし、かつ/又は表面湿潤液体の吸収を支持する空間を記載するものとして理解されるべきである。
本書全体を通して、表面反応炭酸カルシウム又は他の材料を定義するために使用される「比表面積」(m/g単位)なる用語は、ISO 9277:2010に準拠して、BET法(吸着ガスとして窒素を使用)を用いて測定される比表面積を意味する。
本発明の意味合いにおける「酸素捕捉剤」は、酸素と反応する能力を有し、したがって、周囲の雰囲気中の酸素含有量を低減する化学的又は生物学的化合物であるとみなされる。「酸素捕捉エレメント」は、非活性化形態及び活性化形態のいずれか又は両方で酸素捕捉剤を含む、例えばサッシェ、担体、プラスチックフィルム、ラベル又はプラスチックトレイなどの構成要素とみなされる。例えば、本発明のシート状エレメント構成要素及び活性化されたシート状エレメントは、酸素捕捉エレメントに相当する。「酸素捕捉活性」は広義に、酸素と反応して、周囲の雰囲気中の酸素の量を低減する酸素捕捉剤又は酸素捕捉エレメントの能力を意味する。
以下で「シート状エレメント」に言及するとき、この用語は、キットのシート状エレメント構成要素と、活性化されたシート状エレメントとの両方を包含するものと理解されるべきである。
「相対湿度」とは、食料品及び/又は食品パッケージの貯蔵温度、例えば、およそ室温又は5±1℃の貯蔵温度における平衡蒸気圧に対する水蒸気分圧の比率を意味する。
本明細書及び特許請求の範囲において「~を含む(comprising)」なる用語が使用される場合、それは、機能的重要性の大きい又は小さい他の特定されていない要素を排除しない。本発明に関して、「~からなる(consisting of)」なる用語は、「~を含む(comprising of)」なる用語の1つの好ましい実施形態であるものとみなされる。以下で、少なくとも一定数の実施形態を含むものとして一つの群が定義されている場合には、これはまた、好ましくはこれらの実施形態のみからなる群も開示しているということが理解されるべきである。「including(含む)」又は「having(有する)」なる用語が使用される場合はいつでも、これらの用語が、以上で定義したような「comprising(含む)」と等価であることが意図されている。
単数名詞に言及するときに不定冠詞又は定冠詞、例えば、「a」、「an」又は「the」が使用される場合、これには、他の何かが具体的に記載されているのでない限り、その名詞の複数が含まれる。
「得られる、得ることのできる(obtainable)」又は「定義される、定義可能な(definable)」及び「得られた(obtained)」又は「定義された(defined)」などの用語は、互換的に使用される。これは例えば、文脈から他のことが明らかに指示されているのでないかぎり、「得られた」なる用語は、例えば、ある実施形態が「得られた」なる用語に後続する工程の順番により得られなければならないということを示すことを意味するものではないが、このような限定された理解は、好ましい実施形態として、「得られた」又は「定義された」なる用語に常に含まれていることを意味する。
以上で又は以下で、本発明のキットの好ましい実施形態又は技術的詳細に言及するとき、適用可能な限りにおいて、これらの好ましい実施形態又は技術的詳細が、同様に、本発明の活性化されたシート状エレメント、本発明の方法、本発明の供給装置、本発明の食品パッケージ及び本発明の使用にも言及するものであることを理解されたい。
表面反応炭酸カルシウム
本発明のキット、本発明の活性化されたシート状エレメント、本発明の方法、本発明の供給装置、本発明の食品パッケージ及び本発明の使用には、表面反応炭酸カルシウム(SRCC)の使用が関与する。
表面反応炭酸カルシウムは、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、ここで、この二酸化炭素は、Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給される。
本発明に関連してHイオン供与体は、ブレンステッド酸及び/又は酸性塩である。
本発明の好ましい実施形態では、表面反応炭酸カルシウムは、以下の工程を含む方法によって得られる:
(a)天然又は沈降炭酸カルシウムの懸濁液を提供すること、
(b)20℃において0又はこれ未満のpK値を有するか、又は20℃において0~2.5のpK値を有する少なくとも1つの酸を工程(a)の懸濁液に添加すること、及び
(c)工程(b)の前、間、又は後に、工程(a)の懸濁液を二酸化炭素で処理すること。
別の実施形態によれば、表面反応炭酸カルシウムは、以下の工程を含む方法によって得られる:
(A)天然又は沈降炭酸カルシウムを提供すること、
(B)少なくとも1つの水溶性酸を提供すること、
(C)COガスを提供すること、
(D)工程(A)の上記天然又は沈降炭酸カルシウムを、工程(B)の少なくとも1つの酸及び工程(C)のCOと接触させること、
ここで、この方法は以下を特徴とする:
(i)工程(B)の少なくとも1つの酸が、その第一の利用可能な水素のイオン化と関連して、20℃において2.5を超え、かつ7又はこれ未満のpKを有し、かつ対応するアニオンが、水溶性カルシウム塩を生成することができるこの第一の利用可能な水素の損失時に形成されること、及び
(ii)少なくとも1つの酸と天然又は沈降炭酸カルシウムとの接触後に、その第一の利用可能な水素のイオン化と関連して、水素含有塩が20℃において7を超えるpKを有し、かつその塩アニオンが水不溶性のカルシウム塩を形成することができる場合には、少なくとも1つの水溶性塩を付加的に提供すること。
「天然粉砕炭酸カルシウム」(GCC)は、好ましくは、大理石、白亜、石灰石及びそれらの混合物を含む群から選択される、炭酸カルシウムを含有する鉱物から選択される。天然炭酸カルシウムは、アルミノケイ酸塩などの天然に存在するさらなる成分を含んでいてもよい。
一般に、天然粉砕炭酸カルシウムの粉砕は、乾式又は湿式粉砕工程であってよく、例えば、粉砕が主に二次体との衝撃の結果としてもたらされるような条件下で、任意の従来の粉砕装置を用いて、すなわち、ボールミル、ロッドミル、振動ミル、ロールクラッシャー、遠心衝撃式ミル、垂直ビーズミル、アトリションミル、ピンミル、ハンマーミル、粉砕機、シュレッダー、デクランパー、ナイフカッター、又は当業者にとって公知の他のこのような設備のうちの1つ又は複数において行うことができる。炭酸カルシウムを含有する鉱物材料が、湿式粉砕炭酸カルシウムを含有する鉱物材料である場合、自生粉砕が起こるような条件下で、及び/又は水平ボールミル粉砕によって、及び/又は当業者にとって公知の他のこのような方法によって、粉砕工程を行うことができる。このようにして得られた湿式加工した粉砕炭酸カルシウムを含有する鉱物材料は、乾燥に先立って周知の方法によって、例えば、凝集、ろ過、又は強制蒸発によって、洗浄しかつ脱水することができる。後続する乾燥工程(必要な場合)は、噴霧乾燥などの一段階工程で、又は少なくとも二段階工程で実施することができる。このような鉱物材料は、選鉱工程(例えば、浮遊選鉱、漂白又は磁気選鉱工程)を経て不純物を除去することも一般的である。
本発明の意味合いにおける「沈降炭酸カルシウム」(PCC)は、一般に水性環境中での二酸化炭素と水酸化カルシウムとの反応に続く沈殿によって得られるか、又は溶液からのカルシウムイオンと炭酸イオンとの、例えばCaClとNaCOとの沈殿によって得られる合成材料である。さらに考えられるPCCの製造方法は、石灰ソーダ法、又はPCCがアンモニア生産の副生成物となるソルベー法である。沈降炭酸カルシウムは3つの一次結晶形態、すなわち、カルサイト、アラゴナイト及びバテライトの結晶形で存在し、これらの結晶形の各々について、多くの異なる多形体(晶癖)が存在する。カルサイトは、偏三角面体(S-PCC)、菱面体(R-PCC)、六方晶系角柱、卓面体、コロイド(C-PCC)、立方晶及び角柱体(P-PCC)などの典型的な晶癖を伴う三方晶系構造を有する。アラゴナイトは、双晶の六方晶系角柱状結晶の典型的な晶癖を伴う斜方晶系構造だけでなく、薄く細長い角柱、曲線の刃状、急傾斜ピラミッド状、チゼル形状結晶、樹枝状、及びサンゴ状又は蠕虫状形態の様々な取り合わせを伴う構造を有する。バテライトは、六方晶系に属する。得られたPCCスラリーは、機械的に脱水しかつ乾燥させることができる。
本発明の一実施形態によると、沈降炭酸カルシウムは、好ましくは、アラゴナイト、バテライト若しくはカルサイトの鉱物学的結晶形態、又はそれらの混合物を含む沈降炭酸カルシウムである。
沈降炭酸カルシウムは、二酸化炭素及び少なくとも1つのHイオン供与体での処理の前に、上述した天然炭酸カルシウムを粉砕するために使用するものと同じ手段によって粉砕することができる。
本発明の一実施形態によれば、天然又は沈降炭酸カルシウムは、0.05~10.0μm、好ましくは0.2~5.0μm、より好ましくは0.4~3.0μm、最も好ましくは0.6~1.2μm、特に0.7μmの重量メジアン粒径d50を有する粒子の形態である。本発明のさらなる実施形態によると、天然又は沈降炭酸カルシウムは、0.15~55μm、好ましくは1~40μm、より好ましくは2~25μm、最も好ましくは3~15μm、特に4μmのトップカット粒径d98を有する粒子の形態である。
天然及び/又は沈降炭酸カルシウムは、乾燥状態で又は水中に懸濁した状態で使用することができる。好ましくは、対応するスラリーは、スラリーの重量に基づいて、1重量%~90重量%、より好ましくは3重量%~60重量%、さらに一層好ましくは5重量%~40重量%、最も好ましくは10重量%~25重量%の範囲内の天然又は沈降炭酸カルシウムの含有量を有する。
表面反応炭酸カルシウムの製造のために使用される1つ又は複数のHイオン供与体は、製造条件下でHイオンを生成する任意の強酸、中強酸若しくは弱酸、又はそれらの混合物であってよい。本発明によれば、少なくとも1つのHイオン供与体は、製造条件下でHイオンを生成する酸性塩であってもよい。
一実施形態によれば、少なくとも1つのHイオン供与体は、20℃で0又はこれ未満のpKを有する強酸である。
別の実施形態によれば、少なくとも1つのHイオン供与体は、20℃で0~2.5のpK値を有する中強酸である。20℃でのpKが0又はこれ未満である場合、この酸は、好ましくは、硫酸、塩酸又はそれらの混合物から選択される。20℃でのpKが0~2.5である場合、Hイオン供与体は、好ましくは、HSO、HPO、シュウ酸又はそれらの混合物から選択される。また、少なくとも1つのHイオン供与体は、酸性塩、例えば、Li、Na若しくはKなどの対応するカチオンによって少なくとも部分的に中和されているHSO 又はHPO 、あるいはLi、Na、K、Mg2+若しくはCa2+などの対応するカチオンによって少なくとも部分的に中和されているHPO 2-であってもよい。少なくとも1つのHイオン供与体はまた、1つ又は複数の酸、及び1つ又は複数の酸性塩の混合物であってもよい。
さらに別の実施形態によれば、少なくとも1つのHイオン供与体は、20℃で測定したときに、その第一の利用可能な水素のイオン化と関連して、2.5を超えかつ7又はこれ未満のpK値を有し、かつ水溶性のカルシウム塩を生成することができる対応するアニオンを有する弱酸である。続いて、20℃で測定したときに、その第一の利用可能な水素のイオン化と関連して、水素含有塩が7を超えるpKを有し、かつその塩アニオンが水不溶性のカルシウム塩を生成することができる場合に、少なくとも1つの水溶性塩を追加的に提供する。好ましい実施形態によれば、弱酸は、20℃において2.5超~5のpK値を有し、より好ましくは、この弱酸は、酢酸、ギ酸、プロパン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される。上記水溶性塩の例示的なカチオンは、カリウム、ナトリウム、リチウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましい実施形態では、上記のカチオンは、ナトリウム又はカリウムである。上記の水溶性塩の例示的なアニオンは、リン酸アニオン、リン酸二水素アニオン、リン酸一水素アニオン、シュウ酸アニオン、ケイ酸アニオン、これらの混合物、及びこれらの水和物からなる群から選択される。より好ましい実施形態では、上記のアニオンは、リン酸アニオン、リン酸二水素アニオン、リン酸一水素アニオン、これらの混合物、及びこれらの水和物からなる群から選択される。最も好ましい実施形態では、上記のアニオンは、リン酸二水素アニオン、リン酸一水素アニオン、これらの混合物、及びこれらの水和物からなる群から選択される。水溶性塩の添加を滴下又は一段階で行うことができる。滴下添加の場合、この添加を好ましくは10分の時間内に行う。上記の塩を一段階で添加することがより好ましい。
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つのHイオン供与体は、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、クエン酸、シュウ酸、酢酸、ギ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、少なくとも1つのHイオン供与体は、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、シュウ酸;Li、Na又はKなどの対応するカチオンによって少なくとも部分的に中和されているHPO ;Li、Na、K、Mg2+又はCa2+などの対応するカチオンによって少なくとも部分的に中和されているHPO 2-;及びこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは少なくとも1つの酸は、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、シュウ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは少なくとも1つのHイオン供与体は、リン酸である。
1つ又は複数のHイオン供与体は、濃縮溶液として又はより希釈した溶液として懸濁液に添加することができる。好ましくは、天然又は沈降炭酸カルシウムに対するHイオン供与体のモル比は、0.01~4、より好ましくは0.02~2、さらにより好ましくは0.05~1、最も好ましくは0.1~0.58である。
代替として、天然又は沈降炭酸カルシウムを懸濁させる前に、Hイオン供与体を水に添加することも可能である。
次の工程では、天然又は沈降炭酸カルシウムを二酸化炭素で処理する。天然又は沈降炭酸カルシウムのHイオン供与体での処理のために、硫酸又は塩酸などの強酸を使用する場合、二酸化炭素が自動的に形成される。代替的に又は付加的に、二酸化炭素を外部供給源から供給することができる。
イオン供与体での処理及び二酸化炭素による処理は、同時に実施可能であり、これは強酸又は中強酸が使用される場合である。例えば20℃で0~2.5の範囲内のpKを有する中強酸を用いて、最初にHイオン供与体での処理を実施することも可能であり、ここで、二酸化炭素がその場で形成され、したがって、二酸化炭素での処理がHイオン供与体での処理と同時に自動的に実施され、その後、外部供給源から供給された二酸化炭素での追加の処理が行われる。
好ましい実施形態において、Hイオン供与体処理工程及び/又は二酸化炭素処理工程を、少なくとも1回、より好ましくは複数回反復する。一実施形態によれば、少なくとも1つのHイオン供与体を、少なくとも約5分、好ましくは少なくとも約10分、典型的には約10~約20分、より好ましくは約30分、さらに一層好ましくは約45分、時には約1時間又はそれを超える時間にわたって添加する。
イオン供与体での処理及び二酸化炭素による処理の後、20℃で測定した場合の水性懸濁液のpHは、自然に6.0を超え、好ましくは6.5を超え、より好ましくは7.0を超え、より一層好ましくは7.5を超える値に達し、これによって、6.0を超え、好ましくは6.5を超え、より好ましくは7.0を超え、さらに一層好ましくは7.5を超えるpHを有する水性懸濁液として表面反応天然又は沈降炭酸カルシウムが調製される。
特に好ましい実施形態において、表面反応炭酸カルシウムは、天然粉砕炭酸カルシウム(GNCC)と二酸化炭素及びリン酸の反応生成物であり、ここで、この二酸化炭素は、リン酸での処理によってその場で形成される。
表面反応天然炭酸カルシウムの製造についてのさらなる詳細は、国際公開第00/39222 A1号、国際公開第2004/083316 A1号、国際公開第2005/121257 A2号、国際公開第2009/074492 A1号、欧州特許出願公開第2 264 108 A1号公報、欧州特許出願公開第2 264 109 A1号公報及び米国特許出願公開第2004/0020410 A1号に開示されており、これらの参考文献の内容は本願に援用される。
同様にして、表面反応沈降炭酸カルシウムが得られる。国際公開第2009/074492 A1号から詳細に理解することができるように、表面反応沈降炭酸カルシウムは、沈降炭酸カルシウムを、Hイオンと、及び水性媒体中で可溶化されかつ水不溶性カルシウム塩を形成することができるアニオンと、水性媒質中で接触させて、表面反応沈降炭酸カルシウムのスラリーを形成することによって得られ、ここで、この表面反応沈降炭酸カルシウムは、沈降炭酸カルシウムの少なくとも一部の表面に形成された、不溶性であり少なくとも部分的に結晶質の上記アニオンのカルシウム塩を含んでいる。
上記の可溶化されたカルシウムイオンは、Hイオンによる沈降炭酸カルシウムの溶解によって自然に生成する可溶化されたカルシウムイオンと比較して、過剰な可溶化されたカルシウムイオンに相当し、ここで、このHイオンは、アニオンに対する対イオンの形態でもっぱら提供され、すなわち、酸又は非カルシウム酸性塩の形態のアニオンの添加を介して、及び任意のさらなるカルシウムイオン又はカルシウムイオン生成源の不在下で、もっぱら提供される。
上記の過剰な可溶化されたカルシウムイオンは、好ましくは、可溶性の中性又は酸性カルシウム塩の添加によって、あるいは可溶性の中性又は酸性カルシウム塩をその場で生成する酸又は中性若しくは酸性の非カルシウム塩を添加することによって提供される。
上記Hイオンは、酸又は上記アニオンの酸性塩の添加、又は上記の過剰な可溶化されたカルシウムイオンのすべて又は一部を提供するように同時に働く酸又は酸性塩の添加によって提供してもよい。
表面反応天然又は沈降炭酸カルシウムの調製のさらなる好ましい実施形態においては、ケイ酸塩、シリカ、水酸化アルミニウム、アルカリ土類アルミン酸塩、例えばアルミン酸ナトリウム又はカリウム、酸化マグネシウム又はそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物の存在下で、天然又は沈降炭酸カルシウムを、1つ又は複数のHイオン供与体及び/又は二酸化炭素と反応させる。好ましくは、少なくとも1つのケイ酸塩は、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム又はアルカリ土類金属のケイ酸塩から選択される。これらの成分は、1つ又は複数のHイオン供与体及び/又は二酸化炭素を添加する前に、天然又は沈降炭酸カルシウムを含む水性懸濁液に添加することができる。
あるいは、天然又は沈降炭酸カルシウムと1つ又は複数のHイオン供与体及び二酸化炭素との反応を既に開始させながら、ケイ酸塩及び/又はシリカ及び/又は水酸化アルミニウム及び/又はアルカリ土類アルミン酸塩及び/又は酸化マグネシウムの1つ又は複数の成分を、天然又は沈降炭酸カルシウムの水性懸濁液に対して添加することができる。ケイ酸塩及び/又はシリカ及び/又は水酸化アルミニウム及び/又はアルカリ土類金属のアルミン酸塩の1つ又は複数の成分のうちの少なくとも1つの存在下での表面反応天然又は沈降炭酸カルシウムの調製についてのさらなる詳細は、国際公開第2004/083316 A1号に開示されており、この参考文献の内容は本願に援用される。
表面反応炭酸カルシウムを懸濁液の状態で保持することができ、任意には分散剤によってさらに安定化することができる。当業者にとって公知の通常の分散剤を使用することができる。好ましい分散剤は、ポリアクリル酸及び/又はカルボキシメチルセルロースから構成されている。
代替的には、上述の水性懸濁液を乾燥させることができ、これによって、顆粒又は粉末の形態で、固体の(すなわち、流体の形態ではなく、乾燥しているか又は水をほとんど含まない)表面反応天然又は沈降炭酸カルシウムが得られる。
表面反応炭酸カルシウムは、窒素及びBET法を用いて測定して、20~200m/g、好ましくは50~120m/g、より好ましくは50~100m/gのBET比表面積を有する。本発明の意味合いでのBET比表面積は、粒子の表面積を粒子の質量で除したものとして定義される。本明細書中で使用されているように、比表面積は、窒素ガスを使用するBET等温線(ISO 9277:2010)を使用する吸着によって測定され、m/g単位で規定される。
表面反応炭酸カルシウムが、0.1~75μm、好ましくは0.5~50μm、より好ましくは1~40μm、さらに一層好ましくは1.2~30μm、最も好ましくは1.5~15μmの体積メジアン粒径d50(vol)を有することがさらに好ましい。
さらに、表面反応炭酸カルシウムが、0.2~150μm、好ましくは1~100μm、より好ましくは2~80μm、さらに一層好ましくは2.4~60μm、最も好ましくは3~30μmの体積トップカット粒径d98(vol)を有することが好ましい場合がある。
値は、粒子のx%がd未満の直径を有することに関する直径を表す。このことは、d98値がすべての粒子の98%が、これより小さい粒径であることを意味する。d98値は、「トップカット」とも呼ばれる。dは、体積又は重量パーセントで与えることができる。したがって、d50(wt)値は重量メジアン粒径であり、すなわち、すべての粒子の50重量%が、この粒径よりも小さく、かつd50(vol)値は体積メジアン粒径であり、すなわち、すべての粒子の50体積%が、この粒径よりも小さい。
体積メジアン粒径d50は、Malvern Mastersizer 3000レーザー回折システムを用いて評価された。Malvern Mastersizer 3000レーザー回折システムを用いて測定されたd50又はd98値は、それぞれ、粒子の50体積%又は98体積%がこの値よりも小さい直径を有するような直径値を示す。測定によって得られた生データは、1.57の粒子屈折率と0.005の吸収係数で、Mie理論を用いて解析される。
重量基準のメジアン粒径は、重量測定の分野における沈降挙動の分析である沈降法によって決定される。測定は、米国、Micromeritics Instrument CorporationのSedigraph(登録商標)5120を用いて行う。この方法及び器具は、当業者に知られており、粒径分布を決定するために一般に使用されている。0.1重量%のNaの水溶液中で測定を行う。高速撹拌機及び超音波処理を用いて試料を分散させる。
この方法及び器具は、当業者に既知であり、充填剤及び顔料の粒径を決定するために一般的に使用されている。
好ましくは、表面反応炭酸カルシウムは、水銀ポロシメトリー測定により決定して、0.1~2.5cm/g、より好ましくは0.2~2.2cm/g、さらに一層好ましくは0.4~2.0cm/g、最も好ましくは0.6~1.8cm/gの範囲内の粒子内圧入比細孔容積を有する。
比細孔容積は、0.004μm(約4nm)のラプラス喉部直径と等価である、水銀の最大印加圧力414MPa(60,000psi)を有するMicromeritics Autopore V9620水銀ポロシメーターを使用し、水銀圧入ポロシメトリー測定法を用いて測定する。各加圧工程において使用される平衡化時間は、20秒である。試料材料は、分析のために、5cmチャンバの粉末針入度計内に密封する。データは、ソフトウェアPore-Compを用いて、水銀の圧縮、針入度計の膨張及び試料材料の圧縮について補正する(Gane,P.A.C.,Kettle,J.P.,Matthews,G.P.及びRidgway,C.J.,「Void Space Structure of Compressible Polymer Spheres and Consolidated Calcium Carbonate Paper-Coating Formulations」,Industrial and Engineering Chemistry Research,35(5),1996,pp.1753-1764)。
積算圧入データ内に見られる総細孔容積は、214μmから約1~4μmに至るまでの圧入データを有する2つの領域に分離することができ、任意の凝集体構造間の試料の粗い充填が強く寄与していることを示している。これらの直径未満では、粒子自体の微細な粒子間充填が存在する。粒子が粒子内細孔をも有している場合には、この領域は二峰性であり、モードの転換地点よりも細い、すなわち二峰性の変曲点よりも細い細孔内に水銀が圧入した比細孔容積をもってして、粒子内比細孔容積が定義される。これら3つの領域の総和は、粉末の合計の総細孔容積を与えるが、もともとの試料の圧縮/分布の粗い細孔末端における粉末の沈殿によって大きく左右される。
積算圧入曲線の一次導関数を取り上げることにより、必然的に細孔遮蔽を含めた等価ラプラス直径に基づく細孔径分布が明らかになる。その微分曲線は、粗い凝集体の細孔構造領域、粒子間細孔領域、及び存在する場合には粒子内細孔領域を明らかに示す。粒子内細孔径範囲がわかれば、合計の細孔容積から残りの粒子間細孔容積及び凝集体間細孔容積を差し引いて、単位質量当たりの細孔容積として(比細孔容積として)、内部細孔の所望の細孔容積だけを得ることが可能である。当然のことながら同じ差し引きの原理は、興味ある任意のその他の細孔径領域を分離する場合にも当てはまる。
表面反応炭酸カルシウムの粒子内細孔径は、水銀ポロシメトリー測定により決定して、好ましくは0.004~1.6μm、より好ましくは0.005~1.3μm、特に好ましくは0.006~1.15μm、最も好ましくは0.007~1.0μmの範囲である。
例示的実施形態において、表面反応炭酸カルシウムは、20~200m/g、好ましくは50~120m/g、より好ましくは50~100m/gのBET比表面積、及び0.1~75μm、好ましくは0.5~50μm、より好ましくは1~40μm、さらに一層好ましくは1.2~30μm、最も好ましくは1.5~15μmの体積メジアン粒径d50(vol)を有する。
本発明の特に好ましい実施形態において、表面反応炭酸カルシウムは、天然粉砕炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、ここで、この二酸化炭素は、Hイオン供与体での処理によりその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ1つ又は複数のHイオン供与体はリン酸である。
したがって、本発明の例示的実施形態において、表面反応炭酸カルシウムは、天然粉砕炭酸カルシウムと二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、ここで、この二酸化炭素は、Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ1つ又は複数のHイオン供与体はリン酸であり、かつこの表面反応炭酸カルシウムは、20~200m/g、好ましくは50~120m/g、より好ましくは50~100m/gのBET比表面積、及び0.1~75μm、好ましくは0.5~50μm、より好ましくは1~40μm、さらに一層好ましくは1.2~30μm、最も好ましくは1.5~15μmの体積メジアン粒径d50(vol)を有する。
表面反応炭酸カルシウムは、1つ又は複数の異なる種類の表面反応炭酸カルシウムのうちの1つ又は混合物であってよい。本発明の一実施形態において、表面反応炭酸カルシウムは、1種類の表面反応炭酸カルシウムを含み、好ましくは、1種類の表面反応炭酸カルシウムからなる。あるいは、表面反応炭酸カルシウムは、2種類又はそれを超える種類の表面反応炭酸カルシウムを含み、好ましくは、2種類又はそれを超える種類の表面反応炭酸カルシウムからなる。例えば、表面反応炭酸カルシウムは、2種類又は3種類の表面反応炭酸カルシウムを含み、好ましくは、2種類又は3種類の表面反応炭酸カルシウムからなる。好ましくは、表面反応炭酸カルシウムは、1種類の表面反応炭酸カルシウムを含み、より好ましくは、1種類の表面反応炭酸カルシウムからなる。
本明細書中に記載の表面反応炭酸カルシウムは、本発明のいずれかの態様の本発明のコーティング層に存在するとき、好適な大量の酸素捕捉剤を受け入れることができる細孔を有するということが理解されるべきである。さらに、表面反応炭酸カルシウムの粒子内細孔、粒子間細孔及び粗凝集体細孔の一部は、水性アルカリ組成物が到達できる状態になっており、それによって、この水性アルカリ組成物を十分な量で適用することによってシート状エレメントを容易に活性化することができるようになっている。
粒状充填剤
本発明のキット、本発明の活性化されたシート状エレメント、本発明の方法、本発明の供給装置、本発明の食品パッケージ及び本発明の使用は、粒状充填剤を用いる。粒状充填剤は、粒状充填剤の総量に基づいて、少なくとも50重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含む。表面反応炭酸カルシウムは、以上で定義したとおりである。
本発明の好ましい実施形態においては、粒状充填剤は、少なくとも1つの粒状充填剤の総重量に基づいて、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも90重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含み、最も好ましくは、粒状充填剤は、表面反応炭酸カルシウムからなる。
したがって、粒状充填剤は、最大50重量%、好ましくは最大30重量%、より好ましくは最大10重量%の少なくとも1つのさらなる粒状充填剤材料を含むことができる。少なくとも1つのさらなる粒状充填剤材料が、0.1~75μm、好ましくは0.5~50μm、より好ましくは1~40μm、さらに一層好ましくは1.2~30μm、最も好ましくは1.5~15μmの範囲内の重量メジアン粒径d50を有することが好ましい。
本発明の別の実施形態においては、粒状充填剤は、粒状充填剤の総量に基づいて少なくとも50重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含み、かつドロマイト、粉砕炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、タルク、石膏、二酸化チタン、カオリン、ケイ酸塩、雲母、硫酸バリウム、焼成粘土、非焼成(含水)粘土、ベントナイト及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる粒状充填剤材料を含む。好ましくは、少なくとも1つのさらなる粒状充填剤は、粉砕炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム及びそれらの混合物から選択される。この実施形態においては、粒状充填剤が、少なくとも1つのさらなる粒状充填剤材料と表面反応炭酸カルシウムとからなることが特に好ましい。したがって、粒状充填剤は、好ましくは、粒状充填剤の総量に基づいて少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも90重量%の量の表面反応炭酸カルシウムと、粉砕炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つのさらなる粒状充填剤材料とからなる。
本発明の一実施形態によると、粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムは、0.05~10.0μm、好ましくは0.2~5.0μm、より好ましくは0.4~3.0μm、最も好ましくは0.6~1.2μm、特に0.7μmの重量メジアン粒径d50を有する粒子の形態である。本発明のさらなる実施形態によると、天然又は沈降炭酸カルシウムは、0.15~55μm、好ましくは1~40μm、より好ましくは2~25μm、最も好ましくは3~15μm、特に4μmの重量基準のトップカット粒径d98を有する粒子の形態である。
ポリマーバインダー
本発明のキット、本発明の活性化されたシート状エレメント、本発明の方法、本発明の供給装置、本発明の食品パッケージ及び本発明の使用は、ポリマーバインダーを用いる。
本発明のコーティング層に任意の好適なポリマーバインダーを使用することができ、ここで、本発明に係るバインダーは、好ましくは膨潤性を有するべきである。当業者であれば、好適な膨潤性バインダー、例えば膨潤性ラテックスを提供する方法を知っている。バインダーは、表面反応炭酸カルシウムの細孔を塞がず、かつ酸素捕捉剤及び水性アルカリ構成要素が、表面反応炭酸カルシウムの細孔に到達可能な状態のままであるように選択されるべきである。
例えば、ポリマーバインダーは、親水性ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロースエーテル、ポリオキサゾリン、ポリビニルアセトアミド、部分加水分解ポリ酢酸ビニル/ビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアルキレンオキシド、スルホン酸化又はリン酸化ポリエステル及びポリスチレン、カゼイン、ゼイン、アルブミン、キチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、コラーゲン誘導体、コロジオン、寒天、クズウコン、グアー、カラギーナン、デンプン、トラガカント、キサンタン、アルギン酸塩又はラムザン、及びそれらの混合物などであってよい。疎水性材料などの他のバインダー、例えば、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリウレタンラテックス、ポリエステルラテックス、ポリ(n-ブチルアクリレート)、ポリ(n-ブチルメタクリレート)、ポリ(2-エチルヘキシルアクリレート)、n-ブチルアクリレートとエチルアクリレートのコポリマー、酢酸ビニルとn-ブチルアクリレートのコポリマーなど、及びそれらの混合物などを使用することも可能である。好適なバインダーのさらなる例は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のホモポリマー又はコポリマー、イタコン酸及び酸エステル、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、スチレン、非置換又は置換塩化ビニル、酢酸ビニル、エチレン、ブタジエン、アクリルアミド及びアクリロニトリル、シリコーン樹脂、水希釈性アルキド樹脂、アクリル/アルキド樹脂の組み合わせ、亜麻仁油などの天然油、及びそれらの混合物である。
本発明の好ましい実施形態においては、ポリマーバインダーは、アルカリ膨潤性バインダーである。本発明に関しては、アルカリ膨潤性バインダーは、pH値が増大すると、そのブルックフィールド粘度の有意な増加を示すポリマーバインダーであるものとして理解される。好ましくは、水溶液の総重量に基づいて50重量%のアルカリ膨潤性バインダーを含み、かつpH4を有する水溶液の粘度は、水溶液のpH値が4から10まで増加すると、ブルックフィールドRV-スピンドルセットの適切なスピンドルを用いて、100rpm、24℃±3℃で、ブルックフィールドDV III Ultra粘度計で測定したとき、少なくとも100%、好ましくは少なくとも250%、より好ましくは少なくとも500%、最も好ましくは少なくとも750%増大する。好ましいアルカリ膨潤性バインダーは、ポリアクリル酸又はその塩若しくは誘導体である。
好ましい実施形態によれば、ポリマーバインダーは、ポリアクリル酸、それらの塩、それらの誘導体、デンプン、タンパク質、ポリビニルアルコール、スチレンブタジエンラテックス、スチレンアクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリオレフィン、エチレンアクリレート、ミクロフィブリル化セルロース、微結晶セルロース、ナノセルロース、セルロース、カルボキシメチルセルロース、バイオラテックス又はそれらの混合物から選択され、より好ましくは、ポリマーバインダーは、ポリアクリル酸、それらの塩、それらの誘導体、デンプン、タンパク質、スチレンブタジエンラテックス、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びそれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは、ポリマーバインダーは、ポリアクリル酸又はその塩若しくは誘導体である。
ポリマーバインダーは、コーティング層の総乾燥重量に基づいて、5~25重量%、好ましくは10~20重量%、より好ましくは12~18重量%の量で、本発明の態様のうちのいずれか1つの態様のコーティング層に含有される。
基材層上に均等に広がり、かつ基材層に付着することができるコーティング層を得るために、ポリマーバインダーを添加する。添加するポリマーバインダーの量は、層の十分な結合及び接着を可能にするために十分に高いものの、表面反応炭酸カルシウムの細孔を塞いだり詰まらせたりしないように十分に低い量が選択される。さらに接着力を改善するためには、以下で説明するように、基材層とコーティング層との間にプライマー層を設けることができる。
さらに、バインダーは、例えばコーティングプロセスによって、本発明の態様のうちのいずれか1つの態様のコーティング層を基材層上に固定することを可能にする。したがって、例えば、貯蔵中、水性アルカリ構成要素の担持中及び/又はシート状エレメント又は食品パッケージの使用中に、コーティング層が剥離しないようにするために、バインダーを選択する。
特に好ましい実施形態によると、ポリマーバインダーは、ポリアクリル酸、それらの塩、それらの誘導体、デンプン、タンパク質、ポリビニルアルコール、スチレンブタジエンラテックス、スチレンアクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリオレフィン、エチレンアクリレート、ミクロフィブリル化セルロース、微結晶セルロース、ナノセルロース、セルロース、カルボキシメチルセルロース、バイオラテックス又はそれらの混合物から選択され、より好ましくは、ポリマーバインダーは、ポリアクリル酸、それらの塩、それらの誘導体、デンプン、タンパク質、スチレンブタジエンラテックス、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びそれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは、ポリマーバインダーは、ポリアクリル酸又はその塩若しくは誘導体であり;かつポリマーバインダーは、コーティング層の総乾燥重量に基づいて、5~25重量%、好ましくは10~20重量%、より好ましくは12~18重量%の量で、本発明の態様のいずれか1つのコーティング層に含有される。
酸素捕捉剤
本発明のキット、本発明の活性化されたシート状エレメント、本発明の方法、本発明の供給装置、本発明の食品パッケージ及び本発明の使用は、酸素捕捉剤を用いる。酸素捕捉剤は、少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも1つのR基を有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物であり、ここで、
少なくとも2つのフェノール性水酸基のうちの2つが、互いに対してオルト又はパラ位で、少なくとも1つのフェニル環上に配置されており、かつ
Rは、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキル基、アリール基及び-Y-R基からなる群から選択される。
ここで、
- Yは、直接結合、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基及び-CH=CH-基からなる群から選択され、好ましくは、Yは直接結合であり、
- Rは、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボキシル基又は本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基である。特に好ましくは、Rは本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基である。
好ましい実施形態において、Rは、以上で定義されているとおりの-Y-R基である。
「フェノール性水酸基」は、アリール環に直接結合している水酸基(-OH)を意味する。
本発明に関しては、「オルト位」でフェニル環上に配置されている2つの置換基とは、この2つの置換基が互いに対して1,2-位でフェニル環に結合していることを意味する。同様に、「パラ位」でフェニル環上に配置されている2つの置換基とは、この2つの置換基が互いに対して1,4-位でフェニル環に結合していることを意味する。フェノール性水酸基のこの相対的位置は、キノイド系を形成することができることから、酸素捕捉剤が容易に酸化可能であることを保証する。
-CH=CH-基は、シス又はトランス配置又はそれらの混合にあってよく、好ましくはトランス配置である。
本発明の意味合いにおけるアミノ基は、官能基-NHであり、ここで、任意に水素原子の一方又は両方が、互いに独立して選択される1つ又は2つのオルガニル基によって置換されている。
本発明の意味合いにおけるアルキル基は、1~28個、好ましくは8~26個、より好ましくは14~22個、最も好ましくは16~20個の炭素原子を有する、炭素と水素で構成された直鎖又は分岐の飽和有機化合物を意味する。
本発明の意味合いにおけるアリール基は、1つ又は複数のオルガニル基及び/又は1つ又は複数の官能基で任意にさらに置換されたフェニル基である。
本発明の意味合いにおける「オルガニル基」は、官能性タイプに関わらず炭素原子において1つの自由原子価を有する任意の有機置換基であり、例えば、CHCH-、ClCH-、CHC(=O)-、4-ピリジルメチル-である(IUPAC Gold Book,https://doi.org/10.1351/goldbook.O04329を参照されたい)。
「官能基」とは、水素、ハライド、又はオルガニル基以外の任意の置換基、とりわけ、水酸基、アミノ基、チオール基、オルガニルオキシ基、オルガニルチオ基、ホスホン酸基、ホスフィン基及びスルホン酸基を意味する。
「アルコキシカルボニル基」は、-C(=O)-O-R基を意味し、Rはアルキル基、より好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2-エチルヘキシル、オクチル又はドデシル基を表わす。
「アリールオキシカルボニル基」は、-C(=O)-O-R基を意味し、Rはアリール基、好ましくはフェニル基を表わす。
「本質的に完全に脱プロトン化された」カルボキシル基とは、遊離カルボン酸(-C(=O)-OH)から誘導された基を意味し、ここで、水素原子が、例えば塩基との反応によって、対イオンで本質的に完全に置換されている基を意味する。「本質的に完全に置換された」又は「本質的に完全に脱プロトン化された」なる用語は、カルボキシル基の水素原子の少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも80モル%、より好ましくは少なくとも90モル%、さらに一層好ましくは少なくとも95モル%、最も好ましくは少なくとも98モル%が、この対イオンによって置換されていることを意味する。本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基は、-C(=O)-O(H/M)と記すことができ、ここでMは対イオンを表す。
対イオンは、アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、リチウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、及びそれらの混合物からなる群から好ましくは選択され、より好ましくは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、及びそれらの混合物からなる群から好ましくは選択されるカチオンであり、最も好ましくはカルシウムカチオンである。
本発明の目的のために、アンモニウムイオンは、NH 、第1級アンモニウムイオン、第2級アンモニウムイオン、第3級アンモニウムイオン、及び第4級アンモニウムイオンからなる群から選択されたイオンを意味し、好ましくはNH である。
言い換えれば、本発明の少なくとも1つの酸素捕捉剤は、以下の2つの式(1)及び(2)のうちの一方にしたがう化合物である:
Figure 2024506486000002
式中、A、A、A及びAは、互いに独立して、水素、ハライド基、オルガニル基及び官能基からなる群から選択され、かつ/又はA~Aのうち2つの隣り合う基は、結合して縮環を形成し、ここで、A~Aのうちの少なくとも1つが以上で定義したRであることを条件とする。
本発明の意味合いにおけるハライド基は、フッ素基、塩素基、臭素基及びヨウ素基である。
縮環は、2つの隣り合う基から形成された新たな環であって、式(1)又は(2)に示したフェニル環と2個の炭素原子及び1つの結合を共有する環を意味するものと理解される。好ましくは、この2つの隣り合う基は、-CH=CH-CH=CH-、-C(=O)-O-CH-CH-、-C(=O)-O-CH=CH-、-C(=O)-CH-CH(C)-O-及び-C(=O)-CH=C(C)-O-からなる群から選択から選択される。
好ましくは、本発明の少なくとも1つの酸素捕捉剤は、式(1)又は(2)にしたがう化合物であり、ここでA、A、A及びAは、A~Aのうちの少なくとも1つが以上で定義されているRであることを条件として、互いに独立して、水素、水酸基、アルコキシ基、及びアルキル基からなる群から選択される。アルキル基は好ましくは、メチル基であり、アルコキシ基は、好ましくはメトキシ基である。
好ましい実施形態において、少なくとも1つの酸素捕捉剤は、互いに対してオルト又はパラ位に配置された少なくとも2つのフェノール性水酸基を有するフェノール酸誘導体、互いに対してオルト又はパラ位に配置された少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する桂皮酸誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
本発明の意味合いにおける「フェノール酸」は、アリール環に結合したカルボン酸基と少なくとも1つのフェノール性水酸基とを含む芳香族化合物である。本発明の意味合いにおける「桂皮酸」は、3-フェニルプロパ-2-エン酸骨格を含む。
したがって、「互いに対してオルト又はパラ位に配置された少なくとも2つのフェノール性水酸基を有するフェノール酸誘導体」は、少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも1つの基Rを有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物であり、この少なくとも2つのフェノール性水酸基の2つは、互いに対してオルト又はパラ位でこの少なくとも1つのフェニル環上に配置されており、かつRは-Y-R基であって、Yは直接結合であり、かつRは、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、又は本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基である。
同様に、「互いに対してオルト又はパラ位に配置された少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する桂皮酸誘導体」は、少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも1つの基Rを有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物であり、この少なくとも2つのフェノール性水酸基の2つは、互いに対してオルト又はパラ位でこの少なくとも1つのフェニル環上に配置されており、かつRは-Y-R基であって、Yは-CH=CH-基であり、かつRは、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、又は本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基である。
したがって、特に好ましい実施形態では、少なくとも1つの酸素捕捉剤は、没食子酸(3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸)誘導体、二没食子酸(3,4-ジヒドロキシ-5-[(3,4,5-トリヒドロキシベンゾイル)オキシ]安息香酸)誘導体、プロトカテク酸(3,4-ジヒドロキシ安息香酸)誘導体、カフェ酸(3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-プロペン酸)誘導体、5-ヒドロキシフェルラ酸(3-(3,4-ジヒドロキシ-5-メトキシフェニル)プロパ-2-エン酸)誘導体、ゲンチジン酸(2,5-ジヒドロキシ安息香酸)誘導体、オルセリン酸(2,4-ジヒドロキシ-6-メチル安息香酸)誘導体、ケブリン酸((2R)-2-[(3S)-3-カルボキシ-5,6,7-トリヒドロキシ-1-オキソ-3,4-ジヒドロイソクロメン-4-イル]ブタン二酸)誘導体、フロログルシノールカルボン酸(2,4,6-トリヒドロキシ安息香酸)誘導体、チコリ酸((2R,3R)-2,3-ビス{[(E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパ-2-エノイル]オキシ}ブタン二酸)誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
この文脈における「酸誘導体」という用語は、少なくとも1つの酸素捕捉剤が、上述した酸のアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、又は本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基を含むこと、すなわち、酸誘導体が、それぞれの酸のアルキルエステル、アリールエステル、及び本質的に完全に脱プロトン化された酸からなる群から選択されることを意味する。
より好ましくは、少なくとも1つの酸素捕捉剤は、没食子酸誘導体であり、好ましくは、本質的に完全に脱プロトン化された没食子酸、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、及び没食子酸ドデシルからなる群から選択され、最も好ましくは、本質的に完全に脱プロトン化された没食子酸である。没食子酸誘導体は、食品に使用しても安全であり、かつ欧州連合でE番号E310~E313の下に承認されている。
したがって、本発明の例示的な実施形態では、少なくとも1つの酸素捕捉剤は、カチオンを含む本質的に完全に脱プロトン化された没食子酸であり、ここで、このカチオンは、アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、リチウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、及びそれらの混合物からなる群から好ましくは選択され、好ましくは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、及びそれらの混合物からなる群から好ましくは選択されるカチオンであり、最も好ましくはカルシウムカチオンである。
基材層
本発明のキット、本発明の活性化されたシート状エレメント、本発明の方法、本発明の供給装置、本発明の食品パッケージ及び本発明の使用は、基材層を用いる。
本発明のコーティング層は、例えば以下で説明するような適用工程によって、基材層上に固定される。本発明に係るコーティング層は、例えば、貯蔵、水性アルカリ構成要素の担持及び/又はシート状エレメントの使用中に層剥離しないように固定される。当業者であれば、以上で説明した適切なポリマーバインダーを選択すること及び/又は以下で説明するようなプライマー層を提供することによって、所与の基材層と本発明のコーティング層とを適合させる方法を知っている。したがって本発明は、任意の特定の基材層に限定されない。
基材層は、1つ又は複数の個別の基材層を含み、すなわち、基材層は単層又は多層構造を有していてよい。基材層が2つ又はそれを超える個別の基材層を含む場合、個別の基材層は、同じか又は異なる材料でできていてよい。1つの基材層及び/又は複数の個別の基材層の厚みには制限は全く無い。例えば、1つの基材層は、1μm~10mm、好ましくは10μm~1mm、より好ましくは20μm~0.5mm、例えば50~150μmの範囲内の厚みを有することができる。例えば、複数の個別の基材層は、1μm~10mm、好ましくは10μm~1mm、より好ましくは20μm~0.5mm、例えば50~150μmの範囲内の厚みを有することができる。
本発明の好ましい実施形態において、選択される1つ又は複数の個別の基材層は、ポリマー材料層からなる群から選択される。好適なポリマー材料は、連邦規則(CFR)第21条、第177章に列挙されている材料である。
好ましくは、ポリマー材料層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリエチレン-2,5-フランジカルボキシレート又はポリスチレン、繊維材料層、より好ましくは、ビスコース、酢酸セルロース、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートでできた繊維材料層、紙層、ボール紙層、テキスタイル層、不織布層、バイオ材料でできた層、木質層、竹層、金属箔層、アルミニウム層、印刷受容コーティング層、及び以上のものの混合物でできている。1つ又は複数の個別の基材層は、任意にコロナ処理を受けている。
本発明の特に好ましい実施形態において、1つ又は複数の個別の基材層は、ポリマー材料層である。ポリマー材料層はシート又はフィルムの形態で提供することができる。ポリマー材料層は、天然又は合成由来の任意のポリマー材料で作られていてよく、好ましくはポリエチレン(例えば直鎖低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン又は高密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニリデンジクロライド、ポリメチルメタクリレート、二軸延伸ポリプロピレン、エチレン及びプロピレンのコポリマー、ポリスチレン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートのコポリマー、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリエチレン-2,5-フランジカルボキシレート)、二軸延伸ポリエステル(例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート)、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、セロファン又はそれらの混合物で作られていてよく、より好ましくは、ポリマー材料層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリエチレン-2,5-フランジカルボキシレート、ポリスチレン又はそれらの混合物で作られている。
ポリマー材料層は、当業者にとって公知のあらゆる方法によって、例えば押出成形プロセス、共押出成形プロセス、キャスティングプロセス、カレンダ加工プロセス、溶液堆積プロセス、又はスカイビングプロセスによって製造することができる。2つ又はそれを超える個別のポリマー材料層を含む基材層を、積層プロセス又は押出コーティングプロセスによって製造することができる。少なくとも1つの個別のポリマー材料層及び少なくとも1つの異なる個別の基材層を含む基材層を、コーティングプロセス又は積層プロセスによって製造することができ、少なくとも1つの異なる個別の基材層が金属で作られている場合には、蒸着プロセスによって製造することができる。
本発明の別の実施形態においては、1つ又は複数の個別の基材層は繊維材料層である。繊維材料層は、例えば、ウィービング、ニット編み、ブレイディング、クローシェ編み、結び紐加工、又はフェルト加工によって、フィラメント、ヤーン、撚糸、又はステープル繊維から形成される織物層、テキスタイル層又は生地層であってよい。例えば、個別の基材層は不織布層であってよい。不織繊維層の製造には、ドライレイ、エアレイ、ウェットレイ、スパンレイ、メルトブローン、及びサブミクロンスピニングのようなウェブ形成工程、及びカレンダリング、エアスルーボンディング、ニードルパンチ、水流絡合、スティッチボンディング、及び化学結合のようなウェブ結合工程を含み、かつ任意に、エンボス加工、ストレッチング、パーフォレーティング、クリンピング、又はコーティングなどの仕上げ処理を含む。
繊維材料層は、天然又は合成由来の任意のポリマー材料、例えばウール、亜麻、綿、麻、サイザル、鉱物繊維、ビスコース、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸又はそれらの混合物で作られていてよく、好ましくは、繊維材料層は、ビスコース、酢酸セルロース、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸又はこれらの混合物で作られていてよい。
本発明のさらに別の実施形態において、1つ又は複数の個別の基材層は、紙層又はボール紙層である。紙層又はボール紙層は、例えば木材パルプから形成されたセルロース繊維を含み、かつ例えば、連邦規則(CFR)第21条、第176章に列挙されている添加剤をさらに含むことができる。
さらに別の実施形態において、1つ又は複数の個別の基材層は、バイオ材料でできた層である。本発明に関しては、「バイオ(バイオベース)」材料なる用語は、欧州規格EN 16575:2014に準じてて定義され、バイオマス由来の材料、すなわち、地質学的形成物及び/又は化石化した物質に包埋された材料を除く生体起源の材料に関する。バイオ材料の製造においては、バイオマスは、物理的、化学的又は生物学的処理を経ていてもよい。したがって、好適な層には、木材層、竹層、紙層、ボール紙層並びにバイオポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート又はポリヒドロキシ酪酸などで作られた層が含まれる。
本発明のさらに別の実施形態においては、1つ又は複数の個別の基材層は、金属箔層、例えば、錫層又はアルミニウム層である。金属箔層は、鍛造又は圧延よって形成することができ、又は金属蒸着によって異なる個別の基材層上に堆積することもできる。
本発明の一実施形態において、1つ又は複数の個別の基材層は、印刷受容性コーティング層である。印刷受容性コーティングは、無機顔料、例えば炭酸カルシウム又はカオリンを含むことができ、かつバインダー、例えば上述のポリマーバインダーを含む。任意には、印刷受容性コーティング層は、カチオン染料固定剤、例えば水溶性金属塩、好ましくは塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、塩化カルシウム若しくは塩化マグネシウム、又はポリ塩化ジメチルジアリルアンモニウムを含むことができる。したがって、シート状エレメントには、例えばオフセット印刷又はインクジェット印刷により、パターン、ロゴ、テキスト又は他の情報を印刷することができる。好ましくは、インク受容性コーティング層は、コーティング層の反対側のシート状エレメント上に位置している。
基材層は、本発明のコーティング層で均等に被覆することができる。したがって、食品パッケージの材料に関わらず、基材層に対するコーティング層の最適な付着を達成することができる。このようにして得られたシート状エレメント構成要素は、水性アルカリ構成要素を担持することができ、かつ例えば、食品パッケージに大まかに設置することができる。さらに、基材層は、例えば、追加の印刷情報を受入れること、食品パッケージ内でのシート状エレメントの可逆的又は不可逆的固定のための接着剤層を受け入れること、又は腐敗表示ラベルを受け入れることなどの、シート状エレメントの「追加の機能性」を可能にする。
コーティング層
本発明のキット、本発明の活性化されたシート状エレメント、本発明の方法、本発明の供給装置、本発明の食品パッケージ及び本発明の使用は、コーティング層を用いる。
コーティング層は、コーティング層の総乾燥重量に基づいて25~70重量%の量の粒状充填剤、コーティング層の総乾燥重量に基づいて5~25重量%の量のポリマーバインダー、及びコーティング層の総乾燥重量に基づいて25~70重量%の量の少なくとも1つの酸素捕捉剤を含む。粒状充填剤は、粒状充填剤の総量に基づいて少なくとも50重量%の量の表面反応炭酸カルシウムを含み、ここで、表面反応炭酸カルシウムは、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、この二酸化炭素は、Hイオン供与体での処理によりその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ表面反応炭酸カルシウムは、BET法によって測定して、20~200m/gの範囲内の比表面積を有する。
粒状充填剤、表面反応炭酸カルシウム、少なくとも1つの酸素捕捉剤及びポリマーバインダーは、以上で説明したことが認識される。
好ましい実施形態において、コーティング層は、コーティング層の総乾燥重量に基づいて10~20重量%の量のポリマーバインダー、及び/又はコーティング層の総乾燥重量に基づいて30~60重量%の量の粒状充填剤、及び/又はコーティング層の総乾燥重量に基づいて30~60重量%の量の酸素捕捉剤、を含む。
さらに、コーティング層は、さらなる添加剤、例えば、レオロジー調整剤、粘度増強剤、湿潤剤、ワックス、帯電防止剤、及び/又は消泡剤を含有することができる。好適な粘度調整剤には、増粘剤が含まれる。
本発明の一実施形態において、粘度調整剤は、デンプン、加工デンプン、マルトデキストリン、デキストラン、植物性ガム、ペクチン、タンパク質(例えば、コラーゲン、卵白、ゼラチン、カゼイン、アルブミン)、クズウコン、コーンスターチ、クズスターチ、カタクリスターチ、ポテトスターチ、サゴ、小麦粉、アーモンド粉、タピオカ、コンニャク、アイユゼリー、アルギニン(例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム及びアルギン酸プロピレングリコール)、グアーガム、ローカストビーンガム、オートガム、キサンタンガム、アカシアガム、カラヤガム、タラガム、ジェランガム、ガッティガム、寒天、アラビアガム、パン酵母グリカン、アラビノガラクタン、トラガカント、セルロース、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルメチルセルロース、微結晶セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、クロスカルメロース)、ペクチン、カラギーナン、加工キリンサイ、カードラン、コンニャクガム、カシアガム、ヒュームドシリカ、ポリアクリル酸、糖化ゼラチンゲル、及び/又はそれらの塩、及びそれらの混合物を含む群から選択される。好ましくは、粘度調整剤は、食品科学委員会及び/又は欧州食品安全機関により食料品中での使用を承認されている化合物である。
本発明の好ましい実施形態において、粘度調整剤は、グアーガム、デンプン、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ペクチン、カラギーナン、寒天、それらの塩、それらの誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択される。
コーティング層は、コーティング層の総乾燥重量に基づいて、0.05~5.0重量%、好ましくは0.1~2.0重量%、より好ましくは0.2~1.0重量%の量のさらなる添加剤を含むことができる。
本発明の好ましい実施形態において、コーティング層は分散剤を含有する。
本発明の一実施形態において、分散剤は、ポリカルボン酸及び/又はその塩及び/又は誘導体のホモポリマー又はコポリマーを含む群から選択され、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸又はイタコン酸、及びアクリルアミド、又はそれらの混合物をベースとする。アクリル酸及び/又はその塩及び/又は誘導体のホモポリマー又はコポリマーが特に好ましい。このような生成物の分子量Mは、好ましくは1000~15000g/molの範囲内にあり、1500~6000g/molの分子量Mが特に好ましい。分散剤の分子量は、分散剤がバインダーとして作用するのではなく分離剤として作用するように選択される。ポリマー及び/又はコポリマーは、一価及び/又は多価のカチオンで中和されてよく、あるいは遊離酸基を有していてもよい。好適な一価カチオンには、例えばナトリウムイオン、リチウムイオン、カリウムイオン又はアンモニウムイオンが含まれる。好適な多価カチオンには、例えばカルシウムイオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオン又はアルミニウムイオンが含まれる。ナトリウムイオンとマグネシウムイオンの組み合わせが特に好ましい。
本発明の別の実施形態において、分散剤は、デンプン、カルボキシメチルセルロース、グリコール、ポリグリコール、例えばポリエチレングリコール、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシドブロックコポリマー、ポリリン酸ナトリウム及び/又はポリアスパラギン酸並びにそれらのアルカリ及び/又はアルカリ土類金属塩、クエン酸ナトリウム及びアミン、アルカノールアミン、例えばトリエタノールアミン及びトリイソプロパノールアミン、並びにこれらの混合物を含む群から選択される。また、他のモノマー又はポリマー添加剤、例えばエチレンアクリル酸コポリマーを単独で又は組み合わせて使用することも可能である。コポリマー中のアクリル酸モノマーとエチレンモノマーとの比率は、好ましくは1:4~1:50、特に好ましくは1:4~1:10、特に1:5である。有機金属化合物に基づく分散剤も使用することができる。しかしながら、他の任意の分散剤を使用することも可能である。
本発明の好ましい実施形態において、分散剤は、1000~15000g/molの範囲内の分子量を有するポリアクリル酸、それらの塩、それらの誘導体、デンプン、カルボキシメチルセルロース又はそれらの混合物から選択される。より好ましくは、分散剤は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム及びそれらの混合物、好ましくはナトリウムなどのアルカリ金属イオンによって部分的又は完全に中和され、かつ1500~6000g/molの範囲内の分子量を有するポリアクリル酸である。
本発明のために、「部分的に中和された」なる用語は、ポリアクリル酸のカルボキシル基の水素原子の少なくとも10モル%、好ましくは少なくとも25モル%、より好ましくは少なくとも50モル%がアルカリ金属イオンで置換されていることを意味する。本発明のために、「完全に中和された」なる用語は、ポリアクリル酸のカルボキシル基の水素原子の少なくとも90モル%、好ましくは少なくとも95モル%、より好ましくは少なくとも98モル%、最も好ましくは99モル%がアルカリ金属イオンによって置換されていることを意味する。
より好ましくは、分散剤は、ナトリウムイオンによって部分的に又は完全に中和されており、かつ1500~6000g/molの範囲内の分子量を有するポリアクリル酸である。
コーティング層は、コーティング層の総乾燥重量に基づいて、0.1~10重量%、好ましくは0.5~7重量%、より好ましくは1.0~4重量%の量で分散剤を含むことができる。
表面反応炭酸カルシウムを含む粒状充填剤のコーティング層全体を通じて均一な分散を改善する目的で、かつ表面反応炭酸カルシウムを含む粒状充填剤の凝集体の量を低減する目的で、分散剤をコーティング層に含有させることができる。同時に、その規定量は、酸素捕捉剤及び水性アルカリ構成要素の大部分が表面反応炭酸カルシウムの細孔に到達する可能性を保持するために役立つことができる。本発明の好ましい実施形態において、分散剤は、1000~15000g/molの範囲内の分子量を有するポリアクリル酸、それらの塩、それらの誘導体、デンプン、カルボキシメチルセルロース又はそれらの混合物から選択され、より好ましくは、分散剤は、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム及びそれらの混合物から選択されるアルカリ金属イオンによって部分的又は完全に中和され、かつ1500~6000g/molの範囲内の分子量を有するポリアクリル酸であり、最も好ましくは、分散剤は、ナトリウムイオンによって部分的に又は完全に中和され、かつ1500~6000g/molの範囲内の分子量を有するポリアクリル酸であり、かつ分散剤は、コーティング層の総乾燥重量に基づいて、0.1~10重量%、好ましくは0.5~7重量%、より好ましくは1.0~4重量%の量で、本発明のいずれか1つの態様のコーティング層に含まれる。
粒状充填剤、バインダー、少なくとも1つの酸素捕捉剤、任意のさらなる添加剤及び任意の分散剤の量は、コーティング層の総乾燥重量に基づいて合計100%になることが認識される。したがって、一実施形態において、コーティング層は、さらなる添加剤を含まず、かつ粒状充填剤、バインダー、少なくとも1つの酸素捕捉剤及び任意の分散剤の量は、コーティング層の総乾燥重量に基づいて合計100重量%となる。
コーティング層は、酸素の取り込み及びアルカリ構成要素の取り込みに適応している。したがって、コーティング層は、高い多孔性を有することが好ましく、それによって、十分に多い量のアルカリ構成要素を受け入れるようになっている。本発明のために、コーティング層の多孔性は、水銀圧入ポロシメトリーによって測定した、コーティング層の総圧入比細孔容積によって表される。
したがって、本発明のコーティング層は、水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.1~2cm/gの範囲内の総圧入比細孔容積を有する。好ましい実施形態において、総圧入比細孔容積は、水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.1~1.0cm/g、より好ましくは0.15~0.5cm/gの範囲内にある。
好ましい実施形態において、コーティング層は、以下を有する:
- 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.05~1.0cm/g、好ましくは0.08~0.5cm/gそしてより好ましくは0.1~0.4cm/gの範囲内の総粒子内圧入比細孔容積、
- 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.05~0.5cm/g、好ましくは0.08~0.4cm/gそしてより好ましくは0.1~0.3cm/gの範囲内の総粒子間圧入比細孔容積、及び/又は
- 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.05~0.4cm/g、好ましくは0.08~0.3cm/gそしてより好ましくは0.1~0.2cm/gの範囲内の総吸蔵圧入比細孔容積。
総圧入比細孔容積、総粒子間圧入比細孔容積及び総吸蔵圧入比細孔容積は、C.J.Ridgway,P.A.C.Gane,「On bulk density measurement and coating porosity calculation for coated paper samples」,Nordic Pulp and Paper Research Journal,2003,18,24-31に記載のとおりに決定される。要するに、試料を、アルミニウム箔又はPETフィルムなどの不透過性基板上にコーティングし、Micromeritics Autopore V 水銀ポロシメーターを用いて、208μm~0.004μmの等価ラプラス直径範囲内で特徴付けする。比細孔容積は、不透過性基板を除外したコーティング層の重量との関係において与えられる。
積算圧入データ内に見られる総細孔容積は、スクロール法を示す214μmから約10μmに至るまでの圧入データを有する2つの領域に分離することができ、コーティングと箔の間の界面が、大きな細孔直径範囲にわたって幾分かの初期細孔容積への寄与をもたらす。これらの直径未満では、コーティングの微細な粒子間細孔容積が存在する。これらの粒子が粒子内細孔をも有している場合には、この領域は、二峰性であり、モード転換点よりも細い、すなわち二峰性の変曲点よりも細い細孔内へ水銀が圧入した比細孔容積をもってして、粒子内比細孔容積が定義される。これら3つの領域の総和から、コーティングされた試料の全体の総細孔容積の合計が得られる。
積算圧入曲線の一次導関数を取り上げることにより、必然的に細孔遮蔽を含めた等価ラプラス直径に基づく細孔径分布が明らかになる。その微分曲線は、明確に、吸蔵細孔構造領域、粒子間細孔領域、及び存在する場合には粒子内細孔領域を示している。粒子内細孔直径範囲が分かれば、合計の細孔容積から残りの粒子間細孔容積及び吸蔵細孔容積を差し引いて、単位質量あたりの細孔容積として(比細孔容積として)、内部細孔の所望の細孔容積だけを得ることが可能である。当然のことながら、同じ差し引きの原理は、興味ある任意の他の細孔径領域を分離する場合にも当てはまる。
本発明のコーティング層は、高い流体受容力を有する。好ましい実施形態において、コーティング層は、1~50重量%、より好ましくは10~45重量%、最も好ましくは15~35重量%の範囲内の流体受容力を有する。したがって、コーティング層は、コーティング層が剥離すること無く、かつ水性アルカリ構成要素が漏出すること無く、大量の水性アルカリ構成要素を担持することができる。
コーティング層の「流体受容力」とは、室温での流体の漏出又はコーティング層の剥離無しでコーティング層が吸収することができる、例えば水などの流体の量として理解されるべきである。流体受容力は、視覚的に決定される。流体受容力は、重量%単位で与えられ、コーティング層の重量あたりの流体の重量を意味する。好ましくは、流体は水又は1MのKCO水溶液である。
表面反応炭酸カルシウムを含む粒状充填剤がコーティング層に存在し、それによって、コーティング層の高い多孔性を提供するようになっている。粒状充填剤の、特に表面反応炭酸カルシウムの、粒子内細孔、粒子間細孔及び粗い凝集体細孔には、酸素捕捉剤が部分的に充填されかつコーティング層に部分的に保持され、したがって、水性アルカリ構成要素の高い取り込みを可能にすると考えられる。
ポリマーバインダーが添加され、それによって、基材層上に均等に分布しかつ基材層に接着することができるコーティング層が得られるようになっている。添加されるポリマーバインダーの量は、層の十分な凝集及び接着を可能にするのに十分高いものの、表面反応炭酸カルシウムの細孔を塞いだり詰まらせたりしないように十分に低い量として選択される。好ましい実施形態において、コーティング層は、コーティング層の総乾燥重量に基づいて、10重量%~20重量%、より好ましくは12~18重量%の量で、ポリマーバインダーを含む。
食品の保存可能期間を改善するためのキット
本発明の第1の態様によれば、シート状エレメント構成要素及びアルカリ構成要素を含む食品の保存可能期間を改善するためのキットが提供される。
シート状エレメント構成要素
シート状エレメントは、コーティング層と基材層とを含む。基材層とコーティング層については、以上で説明されている。
コーティング層は、基材層上に被着され、ここで基材層は、以上で説明したとおりである。本発明は、いずれかの特定の基材層に限定されない。当業者であれば、選択された基材層に対するコーティング層の効果的な接着を可能にするように、コーティング層の組成を調整する。使用される基材層に応じて、シート状エレメントは可撓性であってよく、すなわち、コーティング層の剥離無く曲げることができるか、あるいは剛性である。基材層は、均一に分布したコーティング層を得ることを可能にする。したがって、基材層に対するコーティング層の最適な接着を、食品パッケージの材料に関わらず達成することができる。さらに、基材層は、シート状エレメントの「追加の機能性」を可能にする。好ましくは、コーティング層は、1~200g/m、好ましくは2~150g/m、より好ましくは10~120g/m、最も好ましくは25~100g/mの量で基材層上に存在する。コーティング層は、以下で説明するプロセスによって、好ましくはローラーコーティングステップによって、基材層に対して適用することができる。
本発明の別の実施形態において、シート状エレメントは、コーティング層の反対側の基材層上かつ/又は個別の基材層の間に位置している1つ又は複数の接着剤層をさらに含み、ここで、接着剤層は、好ましくは、接着剤、封止剤、ゴムコーティング、感圧層及び以上のものの混合物からなる群から選択される。接着剤層が存在する場合、接着剤層は、食品パッケージの内側表面にシート状エレメントを一時的又は恒久的に固定するために、又は以下で説明するとおりのシート状エレメント供給装置にシート状エレメントを一時的に固定するために使用される。しかしながら、接着剤層が存在しなくても、シート状エレメントを、食品パッケージ内に単に大まかに設置することができる。接着剤層が個別の基材層間に存在する場合、接着剤層は、個別の基材層の改善された接着を可能にし、ひいてはシート状エレメントの寿命及び耐久性を改善する。
接着剤層のための好適な材料は、当業者には公知であり、連邦規則(CFR)第21条、第175.105項に列挙されているものを含む。具体例としてはポリエチレンイミン、ポリウレタン、ポリアクリレート及びデンプンが含まれる。感圧層用の好適な材料としては、CFR第21条、第175.125項で列挙されたものが含まれる。
本発明の別の実施形態においては、シート状エレメントは、基材層とコーティング層の間に位置している1つ又は複数のプライマー層をさらに含む。プライマー層は、当業者にとって公知の任意の好適な材料から選択することができ、好ましくは、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ニトロセルロース、アクリレート、エチレンアクリレート、ポリアクリロニトリル(アクリル)及びそれらの混合物を含む群から選択される。より好ましくは、プライマー層は、アクリレート、エチレンアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン及び/又はニトロセルロースを含む水性分散剤から形成される。任意には、プライマー層はさらにポリケイ酸を含む。プライマー層が基材層とコーティング層の間に存在する場合、プライマー層は、個別の基材層の及び/又は基材層とコーティング層の間の接着の改善を可能にし、ひいてはシート状エレメントの寿命及び耐久性を改善する。
本発明の好ましい実施形態において、シート状エレメントは、コーティング層を恒久的に被覆するための1つ又は複数の酸素透過性被覆層をさらに含む。本発明の意味合いにおける「酸素透過性」被覆層なる用語は、例えば微小孔の存在に起因して酸素の通過を可能にする被覆層を意味する。
酸素透過性被覆層は、食料品のための雰囲気からコーティング層内への酸素の本質的に妨げのない透過を可能にするが、コーティング層及び食料品が互いに直接接触することを妨げる。したがって、通気性フィルム層、繊維材料層及び不織布層からなる群から通気性被覆層を選択することが好ましい。通気性フィルム層は、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートなどの材料からできていてよい。好適な通気性フィルム層としては、国際公開第2016/023937 A1号に開示されているものが含まれる。通気性被覆層として使用するための好適な繊維材料層及び不織布層には、基材層に関連して以上で説明したとおりのものが含まれる。
好ましい実施形態において、酸素透過性被覆層は、水分又は水蒸気の通過を防止すると同時に、それによって、水性アルカリ構成要素の形で添加された水がコーティング層から蒸発しないようになっている。これにより、活性化されたシート状エレメントの酸素捕捉活性を、低湿度環境(例えば50%rH未満)でさらに改善することができる。酸素透過性であるが水分不透過性の例示的なコーティング層は、LDPEフィルムである。このような層は、典型的には水性アルカリ構成要素の適用のためにシート状エレメント構成要素から除かれるか、又は活性化されたシート状エレメントに、すなわち、水性アルカリ構成要素の適用後に追加される。
本発明の別の実施形態において、シート状エレメントは、コーティング層及び/又は接着剤層を一時的に封止するための1つ又は複数の保護層をさらに含み、ここで、保護層は好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン及び/又はコート紙から選択される。保護層は、シート状エレメント構成要素を使用するまで、すなわち、アルカリ構成要素によって活性化されかつ食品パッケージ中に設置されるまで、ほこり又はグリースによる汚染などの環境的影響からコーティング層を遮蔽する。シート状エレメント構成要素に既にアルカリ構成要素が担持されている場合、保護層は、意図された使用に先立つ酸素との時期尚早な反応を防止する酸素不透過性層である。したがって、このコーティング層を損傷すること無く、保護層をコーティング層から除去できることが必要である。好ましくは、保護層は、任意のポリマー材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン又はポリスチレン、あるいはコート紙などで作られている。通気性被覆層がシート状エレメント内に存在する場合、保護層は、通気性被覆層上に設置される。
シート状エレメントは、利用分野の具体的ニーズに応じて、例えば食品パッケージのサイズ及び/又はパッケージ内の食料品のタイプ及び量に応じて調整される大きさを有することができる。シート状エレメントは、例えば、角のある又は丸いパッチ又はピースの形をしていてよい。シート状エレメントのコーティングされた面積又はサイズは、3~200cm、好ましくは4~150cm、より好ましくは5~100cmの範囲内にあってよい。一実施形態に係るシート状エレメントは、3~8又は5~10cmのコーティングされた面積又はサイズを有することができる。
本発明の一実施形態においては、上述のシート状エレメントの2つ又はそれを超えるものが組み合わされて、積層シート状エレメントを形成する。2つ又はそれを超えるシート状エレメントは、同じシート状エレメントであっても異なるシート状エレメントであってもよいということが認識される。2つ又はそれを超えるシート状エレメントが組み合わされて、各々の個別のシート状エレメントのコーティング層が閉塞されないか又はわずかにしか閉塞されないようになっている。「わずかにしか閉塞されない」なる用語は、シート状エレメントのコーティングされた面積の最大で25%、好ましくは最大で15%、より好ましくは最大で10%が閉塞又は封止されることを意味する。したがって、2つ又はそれを超えるシート状エレメントは、断続的な接着剤層を用いて組み合わされ、例えば、2つ又はそれを超えるシート状エレメントの間に好ましくは設置される点状接着剤を使用することによって組み合わされ、それによって、シート状エレメントのコーティング層の面積の最大で25%、好ましくは最大で15%、より好ましくは最大で10%が閉塞又は封止されるようになっていることが好ましい。したがって、積層シート状エレメントの大きさは、活性酸素捕捉面積の全体よりも小さくてよい。
本発明の別の実施形態において、上述のようなシート状エレメントの1つ又は複数は、別の機能性コーティング層と組み合わされる。シート状エレメントの1つ又は複数が機能性コーティング層と組み合わされ、それによって、各々の個別のシート状エレメント及び各々の機能性コーティング層のコーティング層は、例えば、上記で定義した断続的な接着剤層の使用によって閉塞されないか又はわずかしか閉塞されないようになっている。機能性コーティング層は、水分制御層、腐食抑制層、金属キレート化層、抗菌活性層、温度監視層、無線周波数識別(RFID)層、偽造防止印刷層、及び例えば電子レンジで使えるパッケージ用の金属化フィルム層を含む群から選択され得る。
シート状エレメント構成要素は、以下で説明する方法を用いて製造することができる。
アルカリ構成要素
本発明のキットはアルカリ構成要素をさらに含む。アルカリ構成要素は、6又はこれより低いpK値を有する塩基を含む。
pKは、塩基強度の指標を示し、かつ塩基のアニオンへのプロトンの付加に、したがって、塩基の対応する酸の生成に対応している。pK値は、以下のように計算することができる:pK=14-pK。これらの値は両方とも、標準的な教科書及び/又は表から収集可能である。
キットのアルカリ構成要素を塩基からなるものとすることができ、又はキットのアルカリ構成要素を、例えば、溶媒、好ましくは水のようなさらなる構成要素を含むものとすることができることを理解すべきである。本明細書中、塩基と水とを含むアルカリ構成要素を「水性アルカリ構成要素」と呼ぶ。本発明の好ましい実施形態において、アルカリ構成要素は、塩基と水とを含む水性アルカリ構成要素である。
塩基は、少なくとも2つのフェノール性水酸基を少なくとも部分的に脱プロトン化することによって、少なくとも1つの酸素捕捉剤を活性化する。したがって、塩基は、このようなフェノール性水酸基を少なくとも部分的に脱プロトン化するのに十分強いものでなければならない。理論により束縛されることを望まないものの、結果として生じる強力な電子供与性を有するフェノレート基は、少なくとも1つの酸素捕捉剤のアリール環における電子密度を増大させ、したがって、酸素との反応を可能にする。少なくとも1つの活性化された酸素捕捉剤は、酸素との様々な反応を経て、ダイマー、開環化合物及びキノン並びに過酸化水素などの複数の副生成物の形成をもたらすことができる。これらの反応は、水の存在によって媒介されるか又は可能になる。したがって、活性化前に塩基を水に溶解又は懸濁させることが必要である。
したがって、本発明のキットのアルカリ構成要素が水を含まない場合、まさに使用するところでアルカリ構成要素を水に溶解又は懸濁させて水性アルカリ構成要素を形成する。保管及び発送コストを最小限に抑えることができ、かつ使用前のアルカリ構成要素の取扱いが容易になることから、まさに使用するところでのみアルカリ構成要素を水に溶解又は懸濁させることが有利である。
好ましい実施形態において、塩基は、5又はこれより低いpK値、より好ましくは4又はこれより低いpK値を有する。最も好ましくは、塩基は4~0の範囲内のpKを有する。
塩基は、水酸化物塩基、炭酸塩塩基、アンモニア塩基及びそれらの混合物からなる群から選択することができ、好ましくは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム及びそれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、及び炭酸ナトリウムからなる群から選択される。
本発明に関しては、水酸化物塩基(pK=0)は、塩基性金属水酸化物、特に、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物であると考えられる。炭酸塩塩基(pK=3.6)は、金属炭酸塩、特に、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩であると考えられる。アンモニア塩基は、窒素原子を含む塩基であり、好ましくは、水酸化アンモニウム(又はアンモニア、pK=4.75)、第1級アミン、第2級アミン、又は第3級アミンであると理解される。
本発明の一実施形態においては、アルカリ構成要素は、水性アルカリ構成要素である。本発明の別の実施形態において、アルカリ構成要素を使用に先立って水に溶解又は懸濁させて水性アルカリ構成要素を形成する。
好ましくは、水性アルカリ構成要素のpHは、少なくとも8、より好ましくは少なくとも10、さらに一層好ましくは少なくとも11、最も好ましくは少なくとも12である。
別の好ましい実施形態において、水性アルカリ構成要素は、水性アルカリ構成要素の総重量に基づいて、1重量%~75重量%、より好ましくは5重量%~60重量%、最も好ましくは10~35重量%の量で塩基を含む。
本発明の好ましい実施形態において、食品の保存可能期間を改善するためのキットは、以下を含む:
(a)以下を有するシート状エレメント構成要素:
(a1)以下を含むコーティング層:
(i)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の粒状充填剤、ここで、
上記粒状充填剤が、前記粒状充填剤の総量に基づいて、少なくとも50重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含み、
上記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、上記二酸化炭素が前記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
上記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/gの範囲内の比表面積を有している;
(ii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、5~25重量%の量のポリマーバインダー;及び
(iii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の少なくとも1つの酸素捕捉剤、ここで、
上記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、互いに対してオルト又はパラ位に配置された少なくとも2つのフェノール性水酸基を有するフェノール酸誘導体、互いに対してオルト又はパラ位に配置された少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する桂皮酸誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択され、
上記酸誘導体が、それぞれの酸のアルキルエステル、アリールエステル及び本質的に完全に脱プロトン化された酸からなる群から選択される;及び
(a2)基材層、並びに
(b)6又はこれより低いpK値を有する塩基を含み、かつ水酸化物塩基、炭酸塩塩基、アンモニア塩基及びそれらの混合物からなる群から選択されるアルカリ構成要素、好ましくは水性アルカリ構成要素。
本発明の別の好ましい実施形態において、食品の保存可能期間を改善するためのキットは以下を含む:
(a)以下を有するシート状エレメント構成要素:
(a1)以下を含むコーティング層:
(i)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の粒状充填剤、ここで、
上記粒状充填剤が、前記粒状充填剤の総量に基づいて、少なくとも70重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含み、
上記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、上記二酸化炭素が前記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
上記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/gの範囲内の比表面積を有している;
(ii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、5~25重量%の量のポリマーバインダー、ここで、このポリマーバインダーは、ポリアクリル酸、それらの塩、それらの誘導体、デンプン、タンパク質、スチレンブタジエンラテックス、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びそれらの混合物からなる群から選択される;及び
(iii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の少なくとも1つの酸素捕捉剤、ここで、
上記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、没食子酸誘導体、二没食子酸誘導体、プロトカテク酸誘導体、カフェ酸誘導体、5-ヒドロキシフェルラ酸誘導体、ゲンチジン酸誘導体、オルセリン酸誘導体、ケブリン酸誘導体、フロログルシノールカルボン酸誘導体、チコリ酸誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択され、さらに一層好ましくは、少なくとも1つの酸素捕捉剤が没食子酸誘導体であり、
上記酸誘導体は、それぞれの酸のアルキルエステル、アリールエステル及び本質的に完全に脱プロトン化された酸からなる群から選択される;及び
(a2)基材層、並びに
(b)水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム及びそれらの混合物からなる群から選択される塩基を含むアルカリ構成要素、好ましくは水性アルカリ構成要素。
本発明のさらに別の好ましい実施形態において、食品の保存可能期間を改善するためのキットは以下を含む:
(a)以下を有するシート状エレメント構成要素:
(a1)以下を含むコーティング層:
(i)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の粒状充填剤、ここで、
上記粒状充填剤が、前記粒状充填剤の総量に基づいて、少なくとも90重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含み、
上記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、上記二酸化炭素が前記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
上記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/gの範囲内の比表面積を有している;
(ii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、5~25重量%の量のポリマーバインダー、ここで、このポリマーバインダーは、ポリアクリル酸、それらの塩、それらの誘導体、デンプン、タンパク質、スチレンブタジエンラテックス、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びそれらの混合物からなる群から選択される;及び
(iii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の少なくとも1つの酸素捕捉剤、ここで、
上記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、没食子酸誘導体、二没食子酸誘導体、プロトカテク酸誘導体、カフェ酸誘導体、5-ヒドロキシフェルラ酸誘導体、ゲンチジン酸誘導体、オルセリン酸誘導体、ケブリン酸誘導体、フロログルシノールカルボン酸誘導体、チコリ酸誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択され、さらに一層好ましくは、少なくとも1つの酸素捕捉剤が没食子酸誘導体であり、
上記酸誘導体は、それぞれの酸の本質的に完全に脱プロトン化された酸であり、かつナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びそれらの混合物からなる群から選択されたカチオン、最も好ましくはカルシウムカチオンを含む;及び
(a2)基材層、並びに
(b)水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム及びそれらの混合物からなる群から選択される塩基を含むアルカリ構成要素、好ましくは水性アルカリ構成要素。
活性化されたシート状エレメント
本発明の第2の態様は、シート状エレメント構成要素のコーティング層にアルカリ構成要素を添加することによって本発明のキットから形成された活性化されたシート状エレメンであって、少なくとも1つの酸素捕捉剤と塩基の反応生成物を含む活性化されたシート状エレメントに関する。
キット、シート状エレメント構成要素、アルカリ構成要素、塩基及び少なくとも1つの酸素捕捉剤は以上に詳述されている、ということを理解すべきである。
活性化されたシート状エレメントは、少なくとも1つの酸素捕捉剤と塩基との反応生成物を含む。少なくとも1つの酸素捕捉剤のフェノール性水酸基は、少なくとも部分的に脱プロトン化され、それによって、フェノール性水素原子は、塩基のカチオンによって置換される。「少なくとも部分的に脱プロトン化された」なる用語は、すべてのフェノール性水素原子の少なくとも2モル%、好ましくは少なくとも5モル%、より好ましくは少なくとも10モル%、さらに一層好ましくは25モル%、最も好ましくは少なくとも50モル%が、塩基のカチオンによって置換されていることを意味している。一例として、少なくとも1つの酸素捕捉剤が3つのフェノール性水酸基を含む場合、3つのフェノール性水素原子が存在する。カチオンは、塩基のカチオンに対応し、したがって、好ましくは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン及びアンモニウムイオン(すなわち、NH 、第1級アンモニウムイオン、第2級アンモニウムイオン又は第3級アンモニウムイオン)から選択され、より好ましくは、リチウム、ナトリウム、カリウム及びセシウムの中から選択され、最も好ましくは、カリウム及びナトリウムから選択される。
好ましい実施形態において、アルカリ構成要素は、酸素捕捉剤のモル量に基づいて、少なくとも0.01モル当量、好ましくは少なくとも0.02モル当量、より好ましくは少なくとも0.05モル当量、さらに一層好ましくは少なくとも0.1モル当量の量で塩基が添加されるような量で添加される。
本発明者らは、少なくとも1つの酸素捕捉剤を活性化するためには、比較的少量の、すなわち準化学量論量又は触媒量の塩基で十分であることを認識した。しかしながら、より多量の塩基を使用することも可能である。
別の好ましい実施形態において、アルカリ構成要素は、コーティング層の総重量に基づいて、10~70重量%、好ましくは20~65重量%、より好ましくは35~60重量%の量で添加される。「コーティング層の総重量」なる用語は、アルカリ構成要素を含むコーティング層を意味する。
付加的に、又は代替的に、アルカリ構成要素は、乾燥コーティング層の総重量に基づいて、25~200重量%、好ましくは50~150重量%の量で添加される。
アルカリ構成要素は、好ましくは以上で定義されたとおりの水性アルカリ構成要素である。したがって、活性化されたシート状エレメントの形成のために使用されるアルカリ構成要素は、大量の水を含み、この水が保管期中に活性化されたシート状エレメントの活性を保持する一助となる。アルカリ構成要素の量は、酸素捕捉剤が活性化されるように十分に多いものであるが、コーティング層の層剥離が発生しないように選択される。
本発明者らは、本発明のコーティング層が、大量の液体、例えば水又は水性アルカリ構成要素を保持できるということを認識した。したがって、酸素捕捉活性を、長い期間、しかも低い相対湿度であっても保持することができる。
言い換えれば、本発明の活性化されたシート状エレメントは、好ましくは以下を含む:
(a1)以下を含むコーティング層:
(i)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の粒状充填剤、ここで、
上記粒状充填剤が、上記粒状充填剤の総量に基づいて、少なくとも50重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含み、
上記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、上記二酸化炭素が上記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
上記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/gの範囲内の比表面積を有している;
(ii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、5~25重量%の量のポリマーバインダー;及び
(iii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の少なくとも1つの活性化された酸素捕捉剤、ここで、
上記少なくとも1つの活性化された酸素捕捉剤が、少なくとも2つの少なくとも部分的に脱プロトン化されたフェノール性水酸基及び少なくとも1つのR基を有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物であり、
上記少なくとも2つのフェノール性水酸基のうちの2つが、互いに対してオルト又はパラ位で、前記少なくとも1つのフェニル環上に配置されており、かつ
Rが、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキル基、アリール基及び-Y-R基からなる群から選択され、好ましくは、Rは-Y-R基であり、ここで
- Yは、直接結合、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基及び-CH=CH-基からなる群から選択され、好ましくは、Yは直接結合であり、かつ
- Rは、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボキシル基又は本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基である;及び
(a2)基材層。
ここで、コーティング層、粒状充填剤、表面反応炭酸カルシウム、ポリマーバインダー及び基材層は、以上で説明されたとおりである。少なくとも1つの活性化された酸素捕捉剤は、上述のとおり少なくとも1つの酸素捕捉剤と塩基とを反応させることによって上述のとおり少なくとも1つの酸素捕捉剤から誘導された化合物である。活性化されたシート状エレメントは、シート状エレメント構成要素の文脈内で上述したさらなる層を含むことができる。
好ましい実施形態においては、活性化されたシート状エレメントは、5~200mL O/(d gos)、好ましくは10~150mL O/(d gos)、より好ましくは20~100mL O/(d gos)の範囲内の酸素捕捉速度(OSR)を有する。OSRは、酸素捕捉剤1gあたりの一日あたりに吸着される酸素のmLで示される。OSRは、NとOの混合物(98:2の体積比)250cmを含む上部にできた空間を有する密封したトレイ内に、活性化されたシート状エレメントを設置し、かつ酸素含有量が0.4体積%未満となるまでトレイの上部空間の酸素含有量を測定することによって決定される。捕捉された酸素の量は、酸素含有量を0.4体積%未満に低減するための所要時間及び活性化されたシート状エレメント内の酸素捕捉剤の量で除される。
別の好ましい実施形態において、活性化されたシート状エレメントは、75~400mL O/gosの範囲内の酸素捕捉能力(OSC)を有する。OSCは、酸素捕捉剤1グラムあたりに吸着された酸素のmLで示される。OSCは、N及びOの混合物(約80:20の体積比)250cmを含む上部にできた空間を有する密封したトレイ内に、活性化されたシート状エレメントを設置し、かつ酸素含有量が一定となるまで、例えば、酸素含有量が6時間にわたり0.1体積%を超えて変化しなくなるまで、トレイの上部空間の酸素含有量を測定することによって決定される。捕捉された酸素の量は、活性化されたシート状エレメント内の酸素捕捉剤の量によって除される。
本発明の好ましい実施形態において、活性化されたシート状エレメントは以下を含む:
(a)以下を有するシート状エレメント構成要素:
(a1)以下を含むコーティング層:
(i)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の粒状充填剤、ここで、
上記粒状充填剤が、上記粒状充填剤の総量に基づいて、少なくとも50重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含み、
上記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、上記二酸化炭素が上記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
上記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/gの範囲内の比表面積を有している;
(ii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、5~25重量%の量のポリマーバインダー;及び
(iii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の少なくとも1つの活性化された酸素捕捉剤、ここで、
上記少なくとも1つの活性化された酸素捕捉剤が、互いに対してオルト又はパラ位に配置された少なくとも2つの少なくとも部分的に脱プロトン化されたフェノール性水酸基を有するフェノール酸誘導体、互いに対してオルト又はパラ位に配置された少なくとも2つの少なくとも部分的に脱プロトン化されたフェノール性水酸基を有する桂皮酸誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択され、
上記酸誘導体が、それぞれの酸のアルキルエステル、アリールエステル及び本質的に完全に脱プロトン化された酸からなる群から選択される;及び
(a2)基材層、並びに
(b)6又はこれより低いpK値を有する塩基を含み、かつ水酸化物塩基、炭酸塩塩基、アンモニア塩基及びそれらの混合物からなる群から選択されるアルカリ構成要素、好ましくは水性アルカリ構成要素。
本発明の別の好ましい実施形態において、活性化されたシート状エレメントは以下を含む:
(a)以下を有するシート状エレメント構成要素:
(a1)以下を含むコーティング層:
(i)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の粒状充填剤、ここで、
上記粒状充填剤が、前記粒状充填剤の総量に基づいて、少なくとも70重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含み、
上記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、上記二酸化炭素が前記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
上記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/gの範囲内の比表面積を有している;
(ii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、5~25重量%の量のポリマーバインダー、ここで、このポリマーバインダーは、ポリアクリル酸、それらの塩、それらの誘導体、デンプン、タンパク質、スチレンブタジエンラテックス、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びそれらの混合物からなる群から選択される;及び
(iii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の少なくとも1つの活性化された酸素捕捉剤、ここで、
上記少なくとも1つの活性化された酸素捕捉剤が、没食子酸誘導体、二没食子酸誘導体、プロトカテク酸誘導体、カフェ酸誘導体、5-ヒドロキシフェルラ酸誘導体、ゲンチジン酸誘導体、オルセリン酸誘導体、ケブリン酸誘導体、フロログルシノールカルボン酸誘導体、チコリ酸誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択され、さらに一層好ましくは、少なくとも1つの酸素捕捉剤が没食子酸誘導体であり、
上記酸誘導体は、それぞれの酸のアルキルエステル、アリールエステル及び本質的に完全に脱プロトン化された酸からなる群から選択され、
上記酸誘導体のフェノール性水酸基は、少なくとも部分的に脱プロトン化されている;及び
(a2)基材層、並びに
(b)水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム及びそれらの混合物からなる群から選択される塩基を含むアルカリ構成要素。
本発明のさらに別の好ましい実施形態において、活性化されたシート状エレメントは以下を含む:
(a)以下を有するシート状エレメント構成要素:
(a1)以下を含むコーティング層:
(i)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の粒状充填剤、ここで、
上記粒状充填剤が、前記粒状充填剤の総量に基づいて、少なくとも90重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含み、
上記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、上記二酸化炭素が前記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
上記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/gの範囲内の比表面積を有している;
(ii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、5~25重量%の量のポリマーバインダー、ここで、このポリマーバインダーは、ポリアクリル酸、それらの塩、それらの誘導体、デンプン、タンパク質、スチレンブタジエンラテックス、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びそれらの混合物からなる群から選択される;及び
(iii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の少なくとも1つの活性化された酸素捕捉剤、ここで、
上記少なくとも1つの活性化された酸素捕捉剤が、没食子酸誘導体、二没食子酸誘導体、プロトカテク酸誘導体、カフェ酸誘導体、5-ヒドロキシフェルラ酸誘導体、ゲンチジン酸誘導体、オルセリン酸誘導体、ケブリン酸誘導体、フロログルシノールカルボン酸誘導体、チコリ酸誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択され、さらに一層好ましくは、少なくとも1つの酸素捕捉剤が没食子酸誘導体であり、
上記酸誘導体は、それぞれの酸の本質的に完全に脱プロトン化された酸であり、かつナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びそれらの混合物からなる群から選択されたカチオン、最も好ましくはカルシウムカチオンを含み、
上記酸誘導体のフェノール性水酸基は、少なくとも部分的に脱プロトン化されている;及び
(a2)基材層、並びに
(b)水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム及びそれらの混合物からなる群から選択される塩基を含むアルカリ構成要素。
活性化されたシート状エレメントは、以下で説明する方法で製造することができる。
本発明の方法
本発明の第3の態様は、食品の保存可能期間を改善するためのキットの製造方法に関する。この方法は以下の工程を含む:
(a)粒状充填剤の総量に基づいて少なくとも50重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含む粒状充填剤を提供すること、ここで、
上記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、上記二酸化炭素が上記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
上記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/g、好ましくは50~120m/gの範囲内の比表面積を有する;
(b)少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも1つのR基を有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物である少なくとも1つの酸素捕捉剤を提供すること、ここで、
上記少なくとも2つのフェノール性水酸基のうちの2つが、互いに対してオルト又はパラ位で、上記少なくとも1つのフェニル環上に位置しており、かつ
Rは、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキル基、アリール基及び-Y-R基からなる群から選択され、好ましくは、Rは-Y-R基であり、ここで、
- Yは、直接結合、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基及び-CH=CH-基からなる群から選択され、好ましくは、Yは直接結合であり、かつ
- Rは、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボキシル基又は本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基である;
(c)ポリマーバインダーを提供すること;
(d)1つ又は複数の個別の基材層を含む基材層、又は上記基材層を含む食品パッケージを提供すること;
(e)工程(b)の上記酸素捕捉剤、工程(a)の上記粒状充填剤及び工程(c)の上記ポリマーバインダーを、ここに記載の順序で混合してコーティング組成物を得ること;
(f)工程(e)の上記コーティング組成物を工程(d)の上記基材層上に適用して、シート状エレメント前駆体を得ること;
(g)工程(f)で得た上記シート状エレメント前駆体を乾燥させて、シート状エレメント構成要素を得ること;
(h)6又はこれより低いpK値を有する塩基を含むアルカリ構成要素を提供すること;及び任意に、
(i)工程(h)の上記アルカリ構成要素を水と混合して、上記塩基と水とを含む水性アルカリ構成要素を得ること、ここで、好ましくは、
- 上記水性アルカリ構成要素のpHが、少なくとも8、より好ましくは少なくとも10、さらに一層好ましくは少なくとも11、最も好ましくは少なくとも12であり、かつ/又は
- 上記水性アルカリ構成要素が、上記水性アルカリ構成要素の総重量に基づいて、1重量%~75重量%、より好ましくは5重量%~60重量%、最も好ましくは10~35重量%の量で前記塩基を含む。
本発明の第4の態様では、シート状エレメント構成要素の製造方法が提供される。この方法は、以下の工程を含む:
(a)粒状充填剤の総量に基づいて少なくとも50重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含む粒状充填剤を提供すること、ここで、
上記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、上記二酸化炭素が上記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
上記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/g、好ましくは50~120m/gの範囲内の比表面積を有する;
(b)少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも1つのR基を有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物である少なくとも1つの酸素捕捉剤を提供すること、ここで、
上記少なくとも2つのフェノール性水酸基のうちの2つが、互いに対してオルト又はパラ位で、前記少なくとも1つのフェニル環上に位置しており、かつ
Rは-Y-R基であり、ここで
- Yは、直接結合、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基及び-CH=CH-基からなる群から選択され、好ましくは、Yは直接結合であり、かつ
- Rは、本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基である;
(c)ポリマーバインダーを提供すること;
(d)1つ又は複数の個別の基材層を含む基材層、又は上記基材層を含む食品パッケージを提供すること;
(e)工程(b)の上記酸素捕捉剤、工程(a)の上記粒状充填剤及び工程(c)の上記ポリマーバインダーを、ここに記載の順序で混合してコーティング組成物を得ること;
(f)工程(e)の上記コーティング組成物を工程(d)の上記基材層上に適用して、シート状エレメント前駆体を得ること;及び
(g)工程(f)で得た上記シート状エレメント前駆体を乾燥させて、シート状エレメント構成要素を得ること;
ここで、上記少なくとも1つの酸素捕捉剤を提供する工程(b)が、以下のサブステップを含む:
(b1)少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも1つのR基を有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物である少なくとも1つの酸素捕捉剤前駆体を提供すること、ここで、上記少なくとも2つのフェノール性水酸基のうちの2つが、互いに対してオルト又はパラ位で、前記少なくとも1つのフェニル環上に位置しており、かつRが、-Y-R基であり、ここで
- Yは、直接結合、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基及び-CH=CH-基からなる群から選択され、好ましくは、Yは直接結合であり、かつ
- Rは、カルボキシル基である、
(b2)塩基性化合物を提供すること、及び
(b3)工程(b1)の上記酸素捕捉剤前駆体の前記カルボキシル基と、工程(b2)の上記塩基性化合物とを反応させて、上記酸素捕捉剤を得ること。
本発明の両方の方法における工程(a)~(g)について以下で説明する。
本発明の方法の工程(a)において、上述の粒状充填剤が提供されることが認識される。さらに、本発明の方法の工程(b)で提供される少なくとも1つの酸素捕捉剤、本発明の方法の工程(c)で提供されるポリマーバインダー及び本発明の方法の工程(d)で提供される基材層は、以上で説明したとおりである。工程(a)の粒状充填剤、工程(b)の少なくとも1つの酸素捕捉剤及び/又は工程(c)のポリマーバインダーは、互いに独立して純粋な形態で、又は代替的には溶液又は懸濁液の形態で提供することができ、ここで、工程(a)の粒状充填剤、工程(b)の少なくとも1つの酸素捕捉剤、及び/又は工程(c)のポリマーバインダーのうちの少なくとも1つを溶液又は懸濁液の形態で提供し、又は混合工程(e)に先立ち溶媒中に溶解又は懸濁させる。
本発明の好ましい実施形態において、工程(c)のポリマーバインダーは、溶液、より好ましくは水溶液の形態で提供される。本発明の特に好ましい実施形態において、工程(c)のポリマーバインダーは、少なくとも7、好ましくは少なくとも8、例えば8~12、例えば8~10のpH値を有する水溶液の形態で提供される。pH値は、当業者にとって公知のあらゆる酸又は塩基を用いて調整可能である。溶液のpH値が当初7未満である場合には、水酸化ナトリウム溶液などの塩基の水溶液を用いてpH値を調整することが好ましい。pH値を規定された範囲に調整することで、ポリマーバインダーの膨潤特性を改善することができる。
混合工程(e)においては、工程(b)の少なくとも1つの酸素捕捉剤、工程(a)の粒状充填剤及び工程(c)のポリマーバインダーを、この順序で混合して、コーティング組成物を得る。
好ましくは、このようにして得られたコーティング組成物は、コーティング組成物の総乾燥重量に基づいて25~70重量%、好ましくは30~60重量%、より好ましくは40~60重量%の量の粒状充填剤、コーティング組成物の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%、好ましくは30~60重量%、より好ましくは40~60重量%の量の少なくとも1つの酸素捕捉剤、及びコーティング組成物の総乾燥重量に基づいて5~25重量%、好ましくは10~20重量%、より好ましくは重量12~18重量%の量のバインダーを含む。
工程(e)で得られたコーティング組成物を、そのさらなる加工又は使用まで一時的に保管する場合、不活性ガス雰囲気下、例えば窒素下で保管可能である。
粒状充填剤、バインダー、少なくとも1つの酸素捕捉剤、任意のさらなる添加剤及び任意の分散剤の量は、コーティング層の総乾燥重量に基づいて、合計100重量%となる。したがって、一実施形態において、コーティング層は、さらなる添加剤を含まず、粒状充填剤、バインダー、少なくとも1つの酸素捕捉剤及び任意の分散剤の量は、コーティング層の総乾燥重量に基づいて合計100重量%となる。
好ましくは、混合工程(e)は、溶媒の存在下で行なわれる。したがって、コーティング組成物は、スラリーの形態で得られる。溶媒は、コーティング組成物内で、表面反応炭酸カルシウムを含む粒状充填剤、少なくとも1つの酸素捕捉剤及びポリマーバインダーの分散を可能にする任意の溶媒、例えば水、アセトン、エタノール、メタノール又はブタノンなどであってよい。特に好ましい実施形態において、溶媒は水である。
コーティング組成物の固体含有量は、好ましくは、コーティング組成物の総重量に基づいて、10~80重量%、より好ましくは20~70重量%、さらに一層好ましくは30~60重量%、最も好ましくは40~55重量%範囲内である。
混合工程(e)の間に、任意に、レオロジー調整剤、粘度増強剤、湿潤剤、ワックス、帯電防止剤、分散剤及び/又は消泡剤などのさらなる添加剤を添加することができる。好適な粘度調整剤には、以上で説明された増粘剤などの増粘剤が含まれる。一実施形態によると、さらなる添加剤は、コーティング組成物の総乾燥重量に基づいて、0.05~5.0重量%、好ましくは0.1~2.0重量%、より好ましくは0.2~1.0重量%の量で添加することができる。
本発明の好ましい実施形態において、上述のとおりの分散剤は、混合工程(e)中に、コーティング組成物の総乾燥重量に基づいて0.1~10重量%、好ましくは0.5~7重量%、より好ましくは1~4重量%の量で添加される。この実施形態においては、工程(a)の粒状充填剤を添加する前に、工程(b)の少なくとも1つの酸素捕捉剤に分散剤を添加することが必要である。
概して、ポリマーバインダー、粒状充填剤及び少なくとも1つの酸素捕捉剤を、当業者にとって公知の任意の通常の手段によって接触させることができる。例えば、溶媒の不在下又は存在下で化合物を混合することができる。好適な混合装置は、当業者にとっては公知であり、ミキサー又はブレンダー、例えばタンブルミキサー、垂直又は水平型プラウシェアミキサー、例えば、Gebrueder Loedige Maschinenbau GmbH社から入手可能なPloughshare(登録商標)ミキサー又はラボラトリミキサー、例えばSomakon Verfahrenstechnik UG社から入手可能なMPミキサーを含むことができる。当業者であれば、自らのニーズ及び利用可能な設備にしたがって、混合条件(例えば混合速度の構成)を適合させる。
本発明者らは、この混合順序が、最終的に得られるコーティング層が高い多孔性を有することを保証することを見出した。規定した順序はまた、高固体スラリーとしての処理又は混合を可能にし、これは、水又は溶媒を大量に使用する低固体の処理に比べて有利である。
適用工程(f)では、工程(e)のコーティング組成物が工程(d)の基材層上に適用(塗布)されてシート状エレメント前駆体を形成する。適用工程(f)は、当業者にとって既知の任意の手段によって、例えば、噴霧又はコーティングによって行うことができる。好ましくは、適用工程(f)は、コーティングステップによって、より好ましくは、ローラーコーティング、浸漬コーティング、ロッドコーティング、溝付きロッドコーティング、カーテンコーティング、剛性ブレードコーティング、アプリケータロールコーティング、ファウンテンコーティング、ジェットコーティング、ショートドエルコーティング、スロット入りダイコーティング、湾曲ブレードコーティング、傾斜ブレードコーティング、エアナイフコーティング、バーコーティング、グラビアコーティング、従来型又は計量サイズプレスコーティング、スプレー塗布技術、スクリーン印刷及び/又は湿式スタックコーティングを用いて、最も好ましくはローラーコーティングを用いて行われる。
好ましくは、コーティング組成物は、基材層に対して、1~200g/m、好ましくは2~150g/m、より好ましくは10~120g/m、最も好ましくは25~100g/mという、最終コーティング層のコーティング重量を生成するのに十分な量で適用される。
シート状エレメントがさらにプライマー層を含む場合、プライマー層は、プライミング工程(f1)において適用工程(f)に先立ち工程(d)の基材層に適用される。プライマー層は、当業者にとって既知の任意の好適な適用プロセスを使用して適用することができ、インラインプロセスで、すなわち適用工程(f)におけるコーティング組成物の適用の場合と同じ製造方法で又は同じ装置を用いて、あるいはオフラインプロセスで、すなわちプライミング工程(f1)と適用工程(f)のために別個の設備を使用して、のいずれかで適用することができる。
乾燥工程(g)は、当業者にとって既知の任意の方法によって行うことができる。好ましくは、乾燥工程(g)は、好ましくは、高温空気乾燥、IR放射乾燥又はUV放射乾燥によって、周囲圧力又は減圧下で50~150℃範囲内の温度で実施される。このようにして得られたシート状エレメントは、好ましくは、水銀圧入ポロシメトリーにより測定して、0.25~2cm/g範囲内の総圧入比細孔容積を有するコーティング層を含む。好ましい実施形態において、総圧入比細孔容積は、水銀圧入ポロシメトリーにより測定して、0.1~1.5cm/g、より好ましくは0.1~1.0cm/g範囲内にある。
好ましい実施形態において、コーティング層は、以下を有する:
- 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.05~1.0cm/g、好ましくは0.08~0.5cm/gそしてより好ましくは0.1~0.4cm/gの範囲内の総粒子内圧入比細孔容積、
- 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.05~0.5cm/g、好ましくは0.08~0.4cm/gそしてより好ましくは0.1~0.3cm/gの範囲内の総粒子間圧入比細孔容積、及び/又は
- 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.05~0.4cm/g、好ましくは0.08~0.3cm/gそしてより好ましくは0.1~0.2cm/gの範囲内の総吸蔵圧入比細孔容積。
食品の保存可能期間を改善するためのキットの本発明の製造方法は、さらに、6又はこれより低いpK値を有する塩基を含むアルカリ構成要素を提供する工程(h)を含む。この工程において、上述したとおりのアルカリ構成要素が提供される。
好ましくは、食品の保存可能期間を改善するためのキットの本発明の製造方法はさらに、工程(h)のアルカリ構成要素を水と混合して、塩基と水とを含む水性アルカリ構成要素を得る工程(i)を含み、ここで、好ましくは
- 水性アルカリ構成要素のpHは、少なくとも8、より好ましくは少なくとも10、さらに一層好ましくは少なくとも11、最も好ましくは少なくとも12であり、かつ/又は
- 水性アルカリ構成要素は、水性アルカリ構成要素の総重量に基づいて、1重量%~75重量%、より好ましくは5重量%~60重量%、最も好ましくは10~35重量%の量で塩基を含む。
このようにして得た水性アルカリ構成要素は、以上で説明されていることが認識される。工程(i)は、当業者にとって既知の任意の混合手段、例えば、方法工程(e)について以上で説明した手段によって行うことができる。
本発明の方法の方法工程(b)は、以下のサブステップを含むことができる:
(b1)少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも1つのR基を有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物である少なくとも1つの酸素捕捉剤前駆体を提供すること、ここで、上記少なくとも2つのフェノール性水酸基のうちの2つが、互いに対してオルト又はパラ位で、上記少なくとも1つのフェニル環上に位置しており、かつRが、-Y-R基であり、ここで
- Yは、直接結合、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基及び-CH=CH-基からなる群から選択され、好ましくは、Yは直接結合であり、かつ
- Rは、カルボキシル基である、
(b2)塩基性化合物を提供すること、及び
(b3)工程(b1)の上記酸素捕捉剤前駆体の上記カルボキシル基と、工程(b2)の上記塩基性化合物とを反応させて、上記酸素捕捉剤を得ること。
このサブステップ(b1)~(b3)は、本発明の第4の態様に係るシート状エレメント構成要素の製造方法にとって不可欠であり、かつ本発明の第3の態様に係る保存可能期間を改善するためのキットの製造方法の工程(b)の酸素捕捉剤の提供のために使用することができる。
本発明者らは、意外にも、遊離カルボン酸を含む酸素捕捉剤が、表面反応炭酸カルシウムと反応する能力を有し、このことがその構造を損い、かつ最終的に多孔性の低いコーティング層をもたらす可能性があることを見出した。このようなコーティング層は、大量の水性アルカリ構成要素を適切に受け入れることができず、したがって、酸素捕捉エレメントとして使用することができない。したがって、遊離カルボン酸を含む酸素捕捉剤の前駆体は、本発明のシート状エレメント構成要素のコーティング層へのその取り込みの前に、塩基性化合物との反応により本質的に完全に脱プロトン化されなければならない。
塩基性化合物は、酸素捕捉剤前駆体のカルボキシル基を本質的に完全に脱プロトン化するのに十分に塩基性である任意の化合物であってよい。好ましくは、塩基性化合物は、反応副生成物が水、そして任意には気体となるように選択される。したがって、好ましい塩基性化合物には、炭酸塩塩基、水酸化物塩基、炭酸水素塩塩基(重炭酸塩塩基)、アミン塩基及びそれらの混合物が含まれる。より好ましくは、塩基性化合物は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、水酸化マグネシウム、アンモニア及びそれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは炭酸カルシウムである。
炭酸カルシウムは、好ましくは表面反応炭酸カルシウムではなく、すなわち、その表面上に疎水化処理層を含まず、かつ/又は有意な量の摩砕助剤が接着していないことが理解される。
工程(b3)中に、塩基性化合物は、好ましくは、酸素捕捉剤前駆体に対して、50%~110%、好ましくは80%~100%、より好ましくは90%~100%、さらにより好ましくは95%~100%、さらに一層好ましくは98%~100%、最も好ましくは98%~100%のモル量で、酸素捕捉剤前駆体に添加される。工程(b3)は、好ましくは、溶媒中で、より好ましくは水中で行われる。工程(b3)は、工程(e)で上述したように、混合下で行うことができる。
本発明の好ましい実施形態において、シート状エレメント構成要素の製造方法は、以下の工程を含む:
(a)粒状充填剤の総量に基づいて少なくとも50重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含む粒状充填剤を提供すること、ここで、
上記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、上記二酸化炭素が上記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
上記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/g、好ましくは50~120m/gの範囲内の比表面積を有する;
(b)互いに対してオルト又はパラ位に配置された少なくとも2つのフェノール性水酸基を有するフェノール酸誘導体、互いに対してオルト又はパラ位に配置された少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する桂皮酸誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの酸素捕捉剤を提供すること、ここで、前記酸誘導体が、それぞれの酸の本質的に完全に脱プロトン化された酸である;
(c)ポリマーバインダーを提供すること;
(d)1つ又は複数の個別の基材層を含む基材層、又は上記基材層を含む食品パッケージを提供すること;
(e)工程(b)の上記酸素捕捉剤、工程(a)の上記粒状充填剤及び工程(c)の上記ポリマーバインダーを、ここに記載の順序で混合してコーティング組成物を得ること;
(f)工程(e)の上記コーティング組成物を工程(d)の上記基材層上に適用して、シート状エレメント前駆体を得ること;及び
(g)工程(f)で得た上記シート状エレメント前駆体を乾燥させて、シート状エレメント構成要素を得ること;
ここで、上記少なくとも1つの酸素捕捉剤を提供する工程(b)が、以下のサブステップを含む:
(b1)互いに対してオルト又はパラ位に配置された少なくとも2つのフェノール性水酸基を有するフェノール酸誘導体、互いに対してオルト又はパラ位に配置された少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する桂皮酸誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの酸素捕捉剤前駆体を提供すること、
(b2)塩基性化合物を提供すること、及び
(b3)工程(b1)の上記酸素捕捉剤前駆体の前記カルボキシル基と、工程(b2)の上記塩基性化合物とを反応させて、上記酸素捕捉剤を得ること。
本発明の別の好ましい実施形態において、シート状エレメント構成要素の製造方法は、以下の工程を含む:
(a)粒状充填剤の総量に基づいて少なくとも70重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含む粒状充填剤を提供すること、ここで、
上記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、上記二酸化炭素が上記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
上記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/g、好ましくは50~120m/gの範囲内の比表面積を有する;
(b)没食子酸誘導体、二没食子酸誘導体、プロトカテク酸誘導体、カフェ酸誘導体、5-ヒドロキシフェルラ酸誘導体、ゲンチジン酸誘導体、オルセリン酸誘導体、ケブリン酸誘導体、フロログルシノールカルボン酸誘導体、チコリ酸誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの酸素捕捉剤を提供すること、さらに一層好ましくは、上記少なくとも1つの酸素捕捉剤が没食子酸誘導体であり、ここで、
上記酸誘導体は、それぞれの酸の本質的に完全に脱プロトン化された酸である;
(c)ポリマーバインダーを提供すること;
(d)1つ又は複数の個別の基材層を含む基材層、又は上記基材層を含む食品パッケージを提供すること;
(e)工程(b)の上記酸素捕捉剤、工程(a)の上記粒状充填剤及び工程(c)の上記ポリマーバインダーを、ここに記載の順序で混合してコーティング組成物を得ること;
(f)工程(e)の上記コーティング組成物を工程(d)の上記基材層上に適用して、シート状エレメント前駆体を得ること;及び
(g)工程(f)で得た上記シート状エレメント前駆体を乾燥させて、シート状エレメント構成要素を得ること;
ここで、上記少なくとも1つの酸素捕捉剤を提供する工程(b)が、以下のサブステップを含む:
(b1)没食子酸誘導体、二没食子酸誘導体、プロトカテク酸誘導体、カフェ酸誘導体、5-ヒドロキシフェルラ酸誘導体、ゲンチジン酸誘導体、オルセリン酸誘導体、ケブリン酸誘導体、フロログルシノールカルボン酸誘導体、チコリ酸誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの酸素捕捉剤の前駆体を提供すること、さらに一層好ましくは、上記少なくとも1つの酸素捕捉剤が没食子酸誘導体である、
(b2)炭酸塩塩基、水酸化物塩基、炭酸水素塩塩基、アミン塩基及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、水酸化マグネシウム、アンモニア及びそれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは炭酸カルシウムである塩基性化合物を提供すること、及び
(b3)工程(b1)の上記酸素捕捉剤前駆体の前記カルボキシル基と、工程(b2)の上記塩基性化合物とを反応させて、上記酸素捕捉剤を得ること。
本発明の第5の態様は、本発明のキットにおける本発明のシート状エレメント構成要素を活性化する方法に関する。この方法は以下の工程を含む:
(j)アルカリ構成要素と水とを混合して、塩基と水とを含む水性アルカリ構成要素を得ること、及び
(k)コーティング層の表面の少なくとも一部に上記水性アルカリ構成要素を適用すること。
本発明のシート状エレメント構成要素は、上述のとおりであり、本明細書中で説明されている方法のうちのいずれか1つにより得ることができる、ということを理解すべきである。さらに、キット、アルカリ構成要素、水性アルカリ構成要素、塩基及びコーティング層は、以上で説明したとおりである。この方法は、好ましくは以上で説明したとおりの活性化されたシート状エレメントを得ることを導くものである。
好ましくは、酸素捕捉剤のモル量に基づいて、少なくとも0.01モル当量、好ましくは少なくとも0.02モル当量、より好ましくは少なくとも0.05モル当量、さらに一層好ましくは少なくとも0.1モル当量の量で塩基を添加するような量で、アルカリ構成要素を添加又は適用し、かつ/又はコーティング層の総重量に基づいて、10~70重量%、好ましくは20~65重量%、より好ましくは35~60重量%の量で、アルカリ構成要素を添加する。
適用工程(k)は、コーティング層の表面の少なくとも一部に、当業者に既知のあらゆる手段によって、好ましくは、インクジェット印刷、噴霧、コーティング、蒸着及び/又は浸漬によって行うことができる。一実施形態においては、適用工程(k)は、コーティングにより行われる。水性アルカリ構成要素は、当業者にとって既知の任意のコーティング手段によって適用することができるということを理解すべきであり、このコーティング手段には、非限定的に、ローラーコーティング、浸漬コーティング、ロッドコーティング、溝付きロッドコーティング、カーテンコーティング、剛性ブレードコーティング、アプリケータロールコーティング、ファウンテンコーティング、ジェットコーティング、ショートドエルコーティング、スロット入りダイコーティング、湾曲ブレードコーティング、傾斜ブレードコーティング、エアナイフコーティング、バーコーティング、グラビアコーティング、従来型又は計量サイズプレスコーティング、スプレー塗布技術、スピンコーティング、スクリーン印刷及び/又は湿式スタックコーティングが含まれ、好ましくは、浸漬コーティング、スロット入りダイコーティング及び/又はスピンコーティングが含まれる。
好ましい実施形態において、適用工程(k)は、インクジェット印刷、噴霧、コーティング、及び/又は浸漬によって行われる。特に好ましい実施形態において、適用工程(k)は、噴霧によって行われる。
適用工程(k)は、シート状エレメントの製造直後に、すなわち、既に製造現場で行うことができる。この場合、以上で説明した酸素透過性保護層を、活性化されたシート状エレメントに適用するか、又は活性化されたシート状エレメントを以下で説明するとおりに供給装置内に保管して、食品パッケージ内へ組み込む前の活性化されたシート状エレメントの酸素の捕捉を防止することが好ましい。
しかしながら、適用工程(k)を、食品パッケージ内部に活性化されたシート状エレメントを設置する直前又は少し前に行うことが、特に好ましい。こうして、時期早尚な酸素捕捉を効果的に回避する。換言すると、シート状エレメント及びキットを、非活性化状態で輸送しかつ保管することが好ましい。
任意に、本発明の方法はさらに、印刷工程(l)を含む。シート状エレメントには、パターン、ロゴ、テキスト又は他の情報を印刷することができる。印刷用インキを、本発明のコーティング層に対して、及び/又は基材層上の本発明のコーティング層の反対側に適用することができる。後者の選択肢では、最外側の個別の基材層が、以上で説明したとおりの印刷受容性コーティング層であることが好ましい。本発明において使用するのに好適である印刷方法としては、インクジェット、オフセット、フレキソ印刷及びグラビア印刷が含まれる。
任意に、本発明の方法は切断工程(m)をさらに含む。シート状エレメントは、予め決定されたサイズを有する複数の部片に切断することができる。部片のサイズは、利用分野の具体的ニーズ、例えば食品パッケージのサイズ又は食料品のタイプに応じて調整される。部片のコーティングされた面積又はサイズは、3~200cm、好ましくは4~150cm、より好ましくは5~100cmであってよい。一実施形態にしたがったシート状エレメントは、3~8又は5~10cmのコーティングされた面積又はサイズを有することができる。
本発明の供給装置
本発明のキットは、本発明のシート状エレメント構成要素を含む供給装置をさらに含むことができ、ここで、供給装置は好ましくはロール又はマガジンを含む。さらに、本発明の第6の態様は、本発明の活性化されたシート状エレメントを含む供給装置に関し、ここで、この供給装置は、活性化されたシート状エレメントを酸素から保護し、好ましくは、ロール、スタック、マガジン又はパッケージ、例えばボックスを含む。
供給装置は、本発明の上述したいずれかの態様のシート状エレメント構成要素又は活性化されたシート状エレメントを含む。好ましくは、供給装置は、シート状エレメントを含むロール又はマガジンを含む。供給装置は、このロール及び/又はマガジンを含むラベルディスペンサ又はラベルアプリケーターであってよい。しかしながら、供給装置は、少なくとも2つの本発明のシート状エレメントを含むシートを含んでいてもよい。したがって、シート状エレメントは供給装置から可逆的にかつ非破壊的に除去可能であることが好ましい。
したがって、シート状エレメントは、まさに使用するところで容易に送出することができ、かつ提供することができる。
本発明の食品パッケージ
本発明のキットはさらに、シート状エレメント構成要素を含む食品パッケージを含むことができ、ここで、コーティング層は、この食品パッケージ内に存在する。さらに、本発明の第7の態様は、本発明の活性化されたシート状エレメントを含む食品パッケージに関し、ここで、コーティング層は、食品パッケージ内に存在する。シート状エレメント及びコーティング層は以上で定義したとおりであることが認識される。
本発明の食品パッケージ内のシート状エレメント又はコーティング層に対して、食料品を本発明の食品パッケージ内に詰める前、詰めている間又は詰めた後に、水性アルカリ組成物を適用する。活性化されたシート状エレメントは、食料品を食品パッケージ内に詰める前、詰めている間又は詰めた後に、食品パッケージ内に設置される。
好ましい実施形態において、本発明の活性化されたシート状エレメントを含む食品パッケージはさらに、改質雰囲気を含む。食料品の改質雰囲気包装(MAP;ガス置換包装ともいう)は、当業者にとって周知のものである。食品パッケージ内の雰囲気は、初期には低レベルの酸素、すなわち、パッケージ雰囲気の総体積に基づいて20体積%未満、より好ましくは5体積%未満、最も好ましくは2体積%未満の酸素を含み、これは、本発明の活性化されたシート状エレメントの酸素捕捉活性によってさらに低減される。改質雰囲気は、好ましくは、本質的に窒素と二酸化炭素とからなり、好ましくは、10:90~90:10、より好ましくは20:80~80:20、最も好ましくは30:70~70:30、例えば約70:30又は約60:40又は約50:50の体積比の窒素と二酸化炭素で構成されている。食品パッケージを、活性化されたシート状エレメント、食料品、及び任意に改質雰囲気で満たした後に、本発明の食品パッケージを閉鎖又は密封するということが認識される。食品パッケージは、当業者にとって既知の任意の手段によって閉鎖又は密閉することができる。
代替的に又は付加的には、食品パッケージの雰囲気は、0を超えて100%までの範囲内の相対湿度を含む。本発明の活性化されたシート状エレメントは、30~100%rH、好ましくは50~100%rHの範囲内の相対湿度で効果的に酸素を捕捉する。
本発明の好ましい実施形態において、食品パッケージは、ヒートシール、圧力封止及び/又は超音波溶接によって、より好ましくは封止剤と組み合わせて、封止される。本発明において使用するための好ましい封止剤には、永久感圧接着剤、除去可能な感圧接着剤、及び再封止可能な感圧接着剤、好ましくは再封止可能な感圧接着剤からなる群から選択される感圧接着剤が含まれる。
本発明の食品パッケージの内部で、活性化されたシート状エレメントが酸素を捕捉し、したがって、食品の腐敗を防止又は遅延させ、かつ/又は食料品の保存可能期間を増大させる。
本発明は、いずれかの特定の種類の食料品に限定されない。本発明の一実施形態において、食料品は、生肉及び加工肉、家禽肉、牛肉、豚肉、ハム、ソーセージ、乾燥肉;生魚及び加工魚;チーズのような、例えば、スライスチーズ又は粉チーズのような乳製品;パン、トーストパン、ケーキ、クッキーのようなベーカリー製品;スナック;ナッツ及び油糧種子;野菜;菓子;インスタント食品;ジュースのような、特にオレンジジュースなどの飲料を含めた液体及び固体食料品を含む群から選択される。
本発明者らは、本発明の活性化されたシート状エレメントとMAPとを組み合わせた使用が、食料品の保存可能期間の延長に対して相乗効果を有するということを見出した。最も重要なことは、酸素捕捉剤が本発明のシート状エレメントの形態ではないと、COが本発明において使用される酸素捕捉剤を不活性化する傾向を有するという事実にもかかわらず、意外にも、本発明の活性化されたシート状エレメントが、COの存在下でその酸素捕捉活性を保持することを見出した。
本発明の好ましい実施形態において、本発明の食品パッケージは、以下を含むキットである:
(a)以下を有するシート状エレメント構成要素:
(a1)以下を含むコーティング層:
(i)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の粒状充填剤、ここで、
上記粒状充填剤が、前記粒状充填剤の総量に基づいて、少なくとも50重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含み、
上記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、上記二酸化炭素が前記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
上記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/gの範囲内の比表面積を有している;
(ii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、5~25重量%の量のポリマーバインダー;及び
(iii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の少なくとも1つの酸素捕捉剤、ここで、
上記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、互いに対してオルト又はパラ位に配置された少なくとも2つのフェノール性水酸基を有するフェノール酸誘導体、互いに対してオルト又はパラ位に配置された少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する桂皮酸誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択され、
上記酸誘導体が、それぞれの酸のアルキルエステル、アリールエステル及び本質的に完全に脱プロトン化された酸からなる群から選択される;及び
(a2)基材層、並びに
(b)6又はこれより低いpK値を有する塩基を含み、かつ水酸化物塩基、炭酸塩塩基、アンモニア塩基及びそれらの混合物からなる群から選択されるアルカリ構成要素、好ましくは水性アルカリ構成要素。
本発明の別の好ましい実施形態において、本発明の食品パッケージは、以下を含むキットである:
(a)以下を有するシート状エレメント構成要素:
(a1)以下を含むコーティング層:
(i)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の粒状充填剤、ここで、
上記粒状充填剤が、前記粒状充填剤の総量に基づいて、少なくとも70重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含み、
上記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、上記二酸化炭素が前記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
上記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/gの範囲内の比表面積を有している;
(ii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、5~25重量%の量のポリマーバインダー、ここで、このポリマーバインダーは、ポリアクリル酸、それらの塩、それらの誘導体、デンプン、タンパク質、スチレンブタジエンラテックス、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びそれらの混合物からなる群から選択される;及び
(iii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の少なくとも1つの酸素捕捉剤、ここで、
上記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、没食子酸誘導体、二没食子酸誘導体、プロトカテク酸誘導体、カフェ酸誘導体、5-ヒドロキシフェルラ酸誘導体、ゲンチジン酸誘導体、オルセリン酸誘導体、ケブリン酸誘導体、フロログルシノールカルボン酸誘導体、チコリ酸誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択され、さらに一層好ましくは、少なくとも1つの酸素捕捉剤が没食子酸誘導体であり、
上記酸誘導体は、それぞれの酸のアルキルエステル、アリールエステル及び本質的に完全に脱プロトン化された酸からなる群から選択される;及び
(a2)基材層、並びに
(b)水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム及びそれらの混合物からなる群から選択される塩基を含むアルカリ構成要素、好ましくは水性アルカリ構成要素。
本発明のさらに別の好ましい実施形態において、本発明の食品パッケージは、以下を含むキットである:
(a)以下を有するシート状エレメント構成要素:
(a1)以下を含むコーティング層:
(i)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の粒状充填剤、ここで、
上記粒状充填剤が、前記粒状充填剤の総量に基づいて、少なくとも90重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含み、
上記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、上記二酸化炭素が前記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
上記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/gの範囲内の比表面積を有している;
(ii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、5~25重量%の量のポリマーバインダー、ここで、このポリマーバインダーは、ポリアクリル酸、それらの塩、それらの誘導体、デンプン、タンパク質、スチレンブタジエンラテックス、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びそれらの混合物からなる群から選択される;及び
(iii)上記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の少なくとも1つの酸素捕捉剤、ここで、
上記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、没食子酸誘導体、二没食子酸誘導体、プロトカテク酸誘導体、カフェ酸誘導体、5-ヒドロキシフェルラ酸誘導体、ゲンチジン酸誘導体、オルセリン酸誘導体、ケブリン酸誘導体、フロログルシノールカルボン酸誘導体、チコリ酸誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択され、さらに一層好ましくは、少なくとも1つの酸素捕捉剤が没食子酸誘導体であり、
上記酸誘導体は、それぞれの酸の本質的に完全に脱プロトン化された酸であり、かつナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びそれらの混合物からなる群から選択されたカチオン、最も好ましくはカルシウムカチオンを含む;及び
(a2)基材層、並びに
(b)水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム及びそれらの混合物からなる群から選択される塩基を含むアルカリ構成要素、好ましくは水性アルカリ構成要素。
本発明の使用
本発明の第8の態様は、本発明のキット及び/又は本発明の活性化されたシート状エレメントの、食品パッケージにおける使用に関する。本発明の第9の態様は、本発明のキット又は本発明の活性化されたシート状エレメントの、食品の保存可能期間を延長するための使用に関する。
キット、活性化されたシート状エレメント及び食品パッケージは、以上で説明したとおりであることが認識される。
以上で詳述したとおり、本発明の、アルカリ構成要素を担持した本発明の活性化されたシート状エレメントは、食品パッケージの上部空間の雰囲気から効果的にかつ迅速に酸素を捕捉する。酸素の存在は、病原性微生物、特に、バクテリア、菌類、及びかび、例えば、カンピロバクター・ジェジュニ(Camphylobacter jejuni)、大腸菌(エシェリヒア・コリ;Escherichia coli)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、サルモネラ属菌(Salmonella spp.)、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)、リステリア・イノキュア(Listeria innocua)、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)、食肉腐敗菌(ブロコトリックス・サーモスファクタ;Bronchothrix thermosphacta)、ウェルシュ菌(クロストリジウム・パーフリンジェンス;Clostridium perfringens)、ボツリヌス菌(クロストリジウム・ボツリナム;Clostridium botulinum)、カンピロバクター属菌(Campylobacter spp.)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、ノロウィルス(Norovirus)、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、サイクロスポラ属菌(Cyclospora spp.)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、クロノバクター・サカザキ(Cronobacter sakazakii)、赤痢菌(シゲラ属菌;Shigella spp.)、ビブリオ属菌(Vibrio spp.)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)、ビブリオ・バルフィニカス(Vibrio vulnificus)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)、ブルセラ属菌(Brucella spp.)、コリネバクテリウム・ウルセランス(Corynebacterium ulcerans)、コクシエラ・バーネッティ(Coxiella burnetii)、プレジオモナス・シゲロイデス(Plesiomonas shigelloides)、エロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、エロモナス・キャビエ(Aeromonas caviae)、エロモナス・ソブリア(Aeromonas sobria)、リゾプス・ストロニファー(Rhizopus stolonifer)、ペニシリウム・コミューン(Penicillium commune)、アスペルギルス・パラジチカス(Aspergillus parasiticus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アルタナリア属菌(Alternaria spp.)、フザリウム・モニリフォルメ(Fusarium moniliforme)、セファロスポリウム(Cephalosporium)、フザリウム(Fusarium)、ミロテシウム(Myrothecium)、スタキボトリス(Stachybotrys)、及びトリコデルマ(Trichoderma)、A型肝炎ウィルス(Hepatitis A)、サイクロスポーラ・カイエタネンシス(Cyclospora cayetanensis)、及び旋毛虫属(Trichinella spiralis)の増殖と関連している。酸素の存在はまた、酸化による風味の分解又は酸敗化及び食品の変色、例えば肉製品の赤みの減少を引き起こす。食料品が照明の下で保管されるとき、変色は特に関連する。酸素の存在によるこの悪影響は、可食性を危うくするだけでなく、外観、食感、及び味を損うことになり、したがって、消費者の支持を損い、ひいては食品の保存可能期間を制限するか又は低減させる。酸素捕捉活性はまた、例えば、オレンジジュースのようなジュース中のビタミンCの劣化を防止し又は低減する。
本発明の活性化されたシート状エレメントは、食品パッケージ中の酸素の所望される低減を得るために十分な量で酸素捕捉剤を含む。当業者であれば、本明細書中で教示されているように、例えば、シート状エレメントのサイズ、基材層上に存在するコーティング層の組成及び量、並びに本発明のシート状エレメントに担持される塩基の量を調整し、それによって、食品パッケージ内で所望の効果を得ることができる。
例えば、それぞれの量は、少なくとも1つの酸素捕捉剤が、上部空間1cmあたり0.0005~10mg、好ましくは0.001~5mg/cm、より好ましくは0.005~2mg/cm又は0.01~1mg/cmの量で食品パッケージ内に存在するように調整することができる。付加的に又は代替的に、それぞれの量は、コーティング層が、上部空間1cmあたり0.05~10cm、好ましくは0.1~5cm/cm、より好ましくは0.2~2cm/cm、例えば約0.25cm/cmで存在するように調整することができる。本発明に関しては、食品パッケージの「上部空間」とは、食品パッケージ内に存在する気体(例えば、空気又は改質雰囲気)の量であるとみなされる。
好ましくは、食料品は、冷却された又は冷凍された食料品の保管のための一般的温度、すなわち、0℃~14℃、好ましくは3~10℃、より好ましくは4~7℃、例えば7±1℃で保管される。しかしながら、食料品はまた、室温、すなわち15℃~30℃、好ましくは18℃~25℃、例えば18℃~22℃でも保管することができる。したがって、食品パッケージ内の食料品の保存可能期間を延長させることができる。
本発明の好ましい実施形態において、本発明の活性化されたシート状エレメントは、20±2℃で12時間以内に、食品パッケージの上部空間から少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の酸素を捕捉する。
本発明の別の好ましい実施形態において、本発明の活性化されたシート状エレメントは、4±2℃で48時間以内に、好ましくは24時間以内に、より好ましくは12時間以内に、最も好ましくは6時間以内に、食品パッケージの上部空間から少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の酸素を捕捉する。
別の好ましい実施形態において、本発明の活性化されたシート状エレメントは、少なくとも21日間の保管中、食品パッケージの上部空間内の酸素含有量を0.5体積%未満、好ましくは0.2体積%未満、より好ましくは0.1体積%未満に保つために使用される。
本発明のさらに別の実施形態において、本発明の活性化されたシート状エレメントは、上述したとおりの改質雰囲気包装(MAP)と組み合わせて使用され、それによって、相乗的な酸素捕捉効果と、保存可能期間延長に対する相乗的な効果とを達成するようになっている。したがって、本発明の特に好ましい実施形態において、本発明の活性化されたシート状エレメントは、20±2℃で12時間以内に、食品パッケージの上部空間の改質雰囲気から少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の残留酸素を捕捉する。
別の好ましい実施形態において、本発明の活性化されたシート状エレメントは、少なくとも21日間の保管中に、食品パッケージの上部空間の改質雰囲気内の酸素含有量を、0.5体積%未満、好ましくは0.2体積%未満、より好ましくは0.1体積%未満に保つために使用される。
本発明の範囲及び利点は、本発明のいくつかの実施形態を例示することが意図されておりかつ非限定的である以下の実施例に基づいてより良く理解される。
材料及び方法
没食子酸は、一水和物としてAcros Organicsから購入した。Acronal 500Dは、BASFから購入した。
SRCC: SRCCを得るために、沈降により測定した1.3μmの質量基準のメジアン粒径を有するOmya SAS、Orgonからの粉砕石灰石炭酸カルシウムの固体含有量を、水性懸濁液の総重量に対して10重量%の固体含有量が得られるように調整することによって、混合容器において粉砕炭酸カルシウムの水性懸濁液350リットルを調製した。
スラリーを6.2m/sの速度で混合しながら、11.2kgのリン酸を、30重量%のリン酸を含有する水溶液の形態で、70℃の温度で20分間にわたって上記懸濁液に添加した。酸を添加した後、スラリーをさらに5分間撹拌し、その後容器から取り出し、かつジェット乾燥機を使用して乾燥させた。
SRCCは、6.6μmの体積メジアン粒径、14.5μmの体積基準のトップカット(d98)、60m/gのBET比表面積、及び0.939cm/gの粒子内圧入比細孔容積(0.004~0.51μmの細孔径範囲)を有していた。このSRCCを粒状充填剤として使用した。
未処理の炭酸カルシウム1: イタリア産大理石;d50(vol)=1.83μm、d98(vol)=7μm(Malvern 3000;乾燥)
分散剤: 約4500g/モルの分子量M及び1.6の多分散指数IPを有する、ナトリウムで100%中和されたポリアクリレート分散剤(2g、固体含有量42重量%)
バインダー:Acronal 500D:ポリアクリレートバインダー(15g、固体含有量46重量%)。
コーティング調合物の調製
没食子酸(50g、0.26モル)を水(978mL)に懸濁させ、未処理の炭酸カルシウム1(13g、0.13モル)をゆっくりと添加した。混合物を15分間撹拌した。分散剤(2g)を添加し、SRCC(50g)をこの調合物に少しずつ分散させた。バインダー(15g)のpHをpH8.5に調整し、上記調合物に添加した。使用するまで、コーティング調合物をさらに15分間撹拌した。典型的には、このコーティング調合物は、40%の固体含有量、pH6.2、170mPa・sの粘度(100RPM)によって特徴付けられる。
シート状エレメント前駆体の調製
ハンドメイド
PETフォリオ(Hostaphan RN100、100μm、PuetzFolien)を、エリクセン社製のK303 Multicoaterで、速度を5に設定し、Rodタイプ9を用いてコーティングした。試料をIR及び空気乾燥器(110℃に設定)で乾燥して、55g/mのコーティングを得た。
コーティング層の総圧入比細孔容積は、0.232cm/gと測定された。
機械
PETフォリオ(Hostaphan RN100、100μm、PuetzFolien)を、Durrerコーティング機でコーティングした(図2参照)。コーティング調合物を適用するために、以下のパラメータを使用した:Rod C50、ロッド圧力(1バール)、IR及び空気乾燥器(150℃に設定)、及び速度5m/分。30g/mでコーティングを塗布した。
実施例1-様々な水性アルカリ構成要素で活性化されたシート状エレメントの酸素捕捉活性(OSA)
上述の機械コーティング方法にしたがって、22g/mのコーティング重量で没食子酸ベースのコーティング層を含むシート状エレメントを作製し、6×11cmの複数の矩形部片に切断した。98体積%のNと2体積%のOを含有する雰囲気下で、酸素センサースポット(タイプPSt 6、PreSens Precision Sensing GmbH、レーゲンスブルク、ドイツ)と一緒に、空のハイバリアトレイ(0.5mm剥離付き、204×147mm、高さ14mmのPS-EVOH-PE、Staeger&Co AG、ムリー、スイス:容積350cm)の中に、トレイ密封機T200(MULTIVAC(ヒューネンベルグ、スイス))を用いて、複数のシート状エレメントを別々に包装した。水が入ったガラス製ペトリ皿もトレイに追加して、およそ100%の相対湿度を提供するようにした。ガラスビーズを追加して、上部にできた空間の容積を250cmに設定した。湿度計(testo 174H、Testo SE&Co.KGaA、レンツキルヒ、ドイツ)により、相対湿度を観察した。
密封前に、各々のシート状エレメントに対し、E2 EURスプレーテーブルシステム(Nortson EFD)を介して様々な水性アルカリ溶液(それぞれ130μL±10μL)を添加した。包装しかつ密封したトレイを21℃で保管し、光ファイバーFibox 4 トレース(PreSens Precision Sensing GmbH、レーゲンスブルク、ドイツ)を用いて非破壊的に酸素濃度を測定した。各々の測定は、4回反復して行なった。結果を平均し、表1及び図1にまとめる。酸素捕捉速度OSRは、没食子酸カルシウム(CGA)1グラム当たりの測定時間(日数)中に捕捉された酸素の総量(mL単位)を意味する。
Figure 2024506486000003
シート状エレメントは、ひとたび十分多い量の塩基で活性化されると(実施例1では酸素捕捉剤に対して4モル%を超える量)、周囲の上部空間から効果的に酸素を捕捉することができた。最良の結果は炭酸カリウムで達成され、6時間未満でトレイ内に存在する本質的にすべての酸素を捕捉した。
実施例2-OSAに対するアルカリ水溶液の量の影響
シート状エレメントに対して異なる量の水性アルカリ構成要素を塗布したことを除いて、1MのKCOを用いて実施例1の試験を反復した。結果を表2にまとめる。
Figure 2024506486000004
結果は、水性アルカリ構成要素の量が、酸素捕捉速度に対しわずかな影響しか及ぼさないということを示している。
実施例3-異なる環境条件下における活性化されたシート状エレメントのOSA
トレイの内部に塩化マグネシウムの飽和溶液の入ったペトリ皿を設置し、およそ37%の相対湿度を提供するようにした点を除いて、1MのKCOを用いて実施例1の試験を反復した。トレイをそれぞれ21℃及び5℃で保管した。結果を表3にまとめる。
Figure 2024506486000005
理解することができるように、活性化されたシート状エレメントは、食料品の保管のために一般的に用いられる低い湿度で、さらにはより低い温度でさえも、トレイ内部に存在する酸素の量を0.5体積%未満のレベルまで低減することができた。
実施例4-MAP下での活性化されたシート状エレメントのOSA
様々な量のCO及びN並びに2体積%のOを含有する改質雰囲気下でトレイを包装したという点を除いて、1MのKCOを用いて実施例1の試験を反復した。結果を表4にまとめる。
Figure 2024506486000006
活性化されたシート状エレメントは、MAP(改質雰囲気包装又はガス置換包装)で一般的に利用される量である30体積%の二酸化炭素の存在下で、さらには40体積%の二酸化炭素の存在下でさえも、その酸素捕捉活性を維持するということを理解することができる。
実施例5-加工肉製品に対する活性化されたシート状エレメントの適用
23g/mのコーティング重量でコーティング層を含むシート状エレメントを上述の機械コーティング方法にしたがって作製し、75cmの部片に切断した。このシート状エレメントを、様々な肉製品(6枚の調理済みターキースライスハム、4.5枚のスライスハム、又は5.5枚のスライスミートローフ(各々100±2.8g))の入った、150mLの残余上部空間容積を有するトレイに詰めた。150μLの5MのKCOを適用することによってシート状エレメントを活性化し、かつ1体積%のO並びに30体積%のCO及びNを含む雰囲気下でトレイを密封した。包装後に、試料を4℃及び78%の相対湿度で暗所に保管した。24時間後に、試料を連続照明下で保管した。すべての測定を3回反復して行なった。パッケージ及び酸素含有量の測定は、実施例1で記載したとおりに行なった。
肉製品の色を、三刺激比色計(Chroma Meter CR-410)を用いて決定した。使用に先立ち、計器を白色タイル(Y=85.4、x=0.3176、y=0.3341)に対して較正した。測定には、CIE L色空間を用いた。試料毎に、少なくとも3つの異なるパッケージを用いて、各々1つの場所で3回ずつ、明度、赤み及び青み(CIE L、a及びb値のそれぞれ)を測定した。レンズ(φ=8mm)により包装フィルムを通して試料を測定し、このフィルム上に正確な測定場所の印を付けた。パッケージ中の目に見える肉の最高の均質性を考慮して、測定場所を選択した。肉製品がパッケージの頂部箔と接触している場所での測定は、肉製品の変色挙動の歪みがあるので回避した。CIE a値(赤み)が、肉製品の色の視覚的評価との最良の相関関係を与えるので、本明細書においては、赤み変化(Δa値)によって変色を記述している。色測定の結果に基づいて、赤み変化(Δa)を、以下の式を用いて計算する:
Figure 2024506486000007
結果を表5にまとめる。
Figure 2024506486000008
理解することができるように、肉試料中に存在する酸素に起因して、上部空間における酸素含有量は、初期には増加した。暗所条件下での保管の間に、活性化されたシート状エレメントは上部空間から効果的に酸素を捕捉したのに対して、同じ保管期間中、シート状エレメントの不在下では、酸素含有量は変化しないままであった。したがって、活性化されたシート状エレメントは、21日間の保管期間中の赤みの減少に示されているように、肉製品の変色を効果的に防止した。シート状エレメントは、少なくとも21日間にわたりパッケージ内の酸素レベルを低く維持することができた。肉試料にひとたび光を当てると、シート状エレメントを含まないトレイの酸素含有量も減少したことに留意されたい。しかしながら、この酸素含有量の減少は、微生物の活動によるものであると考えられ、この場合は肉試料の腐敗を意味している。したがって、活性化したシート状エレメントは、肉製品の変色を効果的に防止し、かつ産業関連の条件下で、その保存可能期間を延長した。
本発明のさらなる態様及び実施形態を以下に記載する:
態様又は実施形態[1]:
以下を含む、食品の保存可能期間を改善するためのキット:
(a)以下を有するシート状エレメント構成要素:
(a1)以下を含むコーティング層:
(i)前記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の粒状充填剤、ここで、
前記粒状充填剤が、前記粒状充填剤の総量に基づいて、少なくとも50重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含み、
前記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、前記二酸化炭素が前記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
前記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/gの範囲内の比表面積を有している;
(ii)前記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、5~25重量%の量のポリマーバインダー;及び
(iii)前記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の少なくとも1つの酸素捕捉剤、ここで、
前記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも1つのR基を有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物であり、
前記少なくとも2つのフェノール性水酸基のうちの2つが、互いに対してオルト又はパラ位で、前記少なくとも1つのフェニル環上に配置されており、かつ
Rが、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキル基、アリール基及び-Y-R基からなる群から選択され、好ましくは、Rは-Y-R基であり、ここで
- Yは、直接結合、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基及び-CH=CH-基からなる群から選択され、好ましくは、Yは直接結合であり、かつ
- Rは、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボキシル基又は本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基である;及び
(a2)基材層、並びに
(b)6又はこれより低いpK値を有する塩基を含むアルカリ構成要素。
[2]前記シート状エレメント構成要素が、以下のコーティング層を含む、実施形態[1]に記載のキット:
- 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.1~1.5cm/g、好ましくは0.1~1.0cm/gの範囲内の総圧入比細孔容積を有し、かつ/又は
- 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.05~1.0cm/g、好ましくは0.08~0.5cm/g、より好ましくは0.1~0.4cm/gの範囲内の総粒子内圧入比細孔容積を有し、かつ/又は
- 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.05~0.5cm/g、好ましくは0.08~0.4cm/g、より好ましくは0.1~0.3cm/gの範囲内の総粒子間圧入比細孔容積を有し、かつ/又は
- 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.05~0.4cm/g、好ましくは0.08~0.3cm/g、より好ましくは0.1~0.2cm/gの範囲内の総吸蔵圧入比細孔容積を有し、かつ/又は
- 前記基材層上に、1~200g/m、好ましくは2~150g/m、より好ましくは10~120g/mの量で存在している、
コーティング層。
[3]前記コーティング層が以下を含む、実施形態[1]又は[2]に記載のキット:
- 前記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、10~20重量%の量の前記ポリマーバインダー、及び/又は
- 前記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、30~60重量%の量の前記粒状充填剤、及び/又は
- 前記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、30~60重量%の量の前記酸素捕捉剤。
[4]前記粒状充填剤が、少なくとも1つの前記粒状充填剤の総重量に基づいて、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも90重量%の量の前記表面反応炭酸カルシウムを含み、最も好ましくは、前記粒状充填剤が、前記表面反応炭酸カルシウムからなり、かつ
任意に存在するさらなる粒状充填剤材料が、ドロマイト、粉砕炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、タルク、石膏、二酸化チタン、カオリン、ケイ酸塩、雲母、硫酸バリウム、焼成粘土、非焼成(含水)粘土、ベントナイト及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、粉砕炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム及びそれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは、前記粒状充填剤が、前記任意に存在するさらなる粒状充填剤材料及び前記表面反応炭酸カルシウムからなる、
実施形態[1]~[3]のいずれか一つに記載のキット。
[5]前記表面反応炭酸カルシウムが、
- BET法によって測定して、50~120m/gの範囲内の比表面積を有し、かつ/又は
- 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.1~2.5cm/g、好ましくは0.2~2.2cm/g、より好ましくは0.4~2.0cm/g、最も好ましくは、0.6~1.8cm/gの範囲内の総粒子内圧入比細孔容積を有する、
実施形態[1]~[4]のいずれか一つに記載のキット。
[6]
- 前記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、互いに対してオルト又はパラ位に配置された少なくとも2つのフェノール性水酸基を有するフェノール酸誘導体、互いに対してオルト又はパラ位に配置された少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する桂皮酸誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択され、
好ましくは、前記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、没食子酸誘導体、二没食子酸誘導体、プロトカテク酸誘導体、カフェ酸誘導体、5-ヒドロキシフェルラ酸誘導体、ゲンチジン酸誘導体、オルセリン酸誘導体、ケブリン酸誘導体、フロログルシノールカルボン酸誘導体、チコリ酸誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択され、
さらに一層好ましくは、前記少なくとも1つの酸素捕捉剤が没食子酸誘導体であり、
ここで、前記酸誘導体が、それぞれの酸のアルキルエステル、アリールエステル及び本質的に完全に脱プロトン化された酸からなる群から選択され、
最も好ましくは、前記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、本質的に完全に脱プロトン化された没食子酸であり、かつ/又は
- 本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基を含む前記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、アンモニウム、ナトリウム、リチウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム及びそれらの混合物からなる群から選択されるカチオンを含み、
好ましくは、前記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びそれらの混合物からなる群から選択されるカチオンを含み、
最も好ましくは、前記少なくとも1つの酸素捕捉剤がカルシウムカチオンを含む、
実施形態[1]~[5]のいずれか1つに記載のキット。
[7]前記ポリマーバインダーが、ポリアクリル酸、それらの塩、それらの誘導体、デンプン、タンパク質、スチレンブタジエンラテックス、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びそれらの混合物からなる群から選択され、
好ましくは、前記ポリマーバインダーが、ポリアクリル酸、それらの塩、それらの誘導体及びそれらの混合物から選択される、
実施形態[1]~[6]のいずれか一つに記載のキット。
[8]前記基材層が、ポリマー材料層、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリエチレン-2,5-フランジカルボキシレート、ポリスチレン又はそれらの混合物でできたポリマー材料層、繊維材料層、好ましくは、酢酸セルロース、ビスコース、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸又はそれらの混合物でできた繊維材料層、紙層、ボール紙層、テキスタイル層、不織布層、バイオ材料でできた層、木材層、竹層、金属箔層、アルミニウム層、印刷受容性コーティング層及び以上のものの混合物からなる群から選択される1つ又は複数の個別の基材層を含み、
前記1つ又は複数の個別の基材層が、任意にコロナ処理を受けており、かつ
好ましくは、前記1つ又は複数の個別の基材層がポリマー材料層から選択される、
実施形態[1]~[7]のいずれか一つに記載のキット。
[9]前記シート状エレメント構成要素が以下をさらに含む、実施形態[1]~[8]のいずれか一つに記載のキット:
- 前記コーティング層の反対側で前記基材層上に及び/又は前記個別の基材層の間に位置している1つ又は複数の接着剤層であって、好ましくは、接着剤、封止剤、ゴムコーティング、感圧層及び以上のものの混合物からなる群から選択される1つ又は複数の接着剤層、及び/又は
- 前記基材層と前記コーティング層との間に位置している1つ又は複数のプライマー層、及び/又は
- 前記コーティング層を被覆するための1つ又は複数の酸素透過性被覆層であって、好ましくは、酸素透過性フィルム層、繊維材料層及び不織繊維層からなる群から選択される1つ又は複数の酸素透過性被覆層、及び/又は
- 前記コーティング層及び/又は前記接着剤層を一時的に封止するための1つ又は複数の保護層であって、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン及び/又はコート紙から選択される1つ又は複数の保護層。
[10]前記アルカリ構成要素が、水酸化物塩基、炭酸塩塩基、アンモニア塩基及びそれらの混合物からなる群から選択される塩基を含み、
好ましくは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム及びそれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムからなる群から選択される塩基を含む、
実施形態[1]~[9]のいずれか一つに記載のキット。
[11]前記アルカリ構成要素が、前記塩基と水とを含む水性アルカリ構成要素であり、
好ましくは、
- 前記水性アルカリ構成要素のpHが、少なくとも8、より好ましくは少なくとも10、さらに一層好ましくは少なくとも11、最も好ましくは少なくとも12であり、かつ/又は
- 前記水性アルカリ構成要素が、前記水性アルカリ構成要素の総重量に基づいて、1重量%~75重量%、より好ましくは5重量%~60重量%、最も好ましくは10~35重量%の量で前記塩基を含む、
実施形態[1]~[10]のいずれか一つに記載のキット。
態様又は実施形態[12]:
前記シート状エレメント構成要素の前記コーティング層に対して前記アルカリ構成要素を添加することによって、実施形態[1]~[11]のいずれか一つに記載のキットから形成された活性化されたシート状エレメントであって、
前記活性化されたシート状エレメントが、前記少なくとも1つの酸素捕捉剤と前記塩基との反応生成物を含み、
好ましくは、
- 前記酸素捕捉剤のモル量に基づいて、少なくとも0.01モル当量、好ましくは少なくとも0.02モル当量、より好ましくは少なくとも0.05モル当量、さらに一層好ましくは少なくとも0.1モル当量の量で前記塩基を添加する量で、前記アルカリ構成要素を添加し、かつ/又は
- 前記コーティング層の総重量に基づいて、10~70重量%、好ましくは20~65重量%、より好ましくは35~60重量%の量で、前記アルカリ構成要素を添加する、
活性化されたシート状エレメント。
態様又は実施形態[13]:
以下の工程を含む、食品の保存可能期間を改善するためのキットの製造方法:
(a)粒状充填剤の総量に基づいて少なくとも50重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含む粒状充填剤を提供すること、ここで、
前記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、前記二酸化炭素が前記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
前記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/g、好ましくは50~120m/gの範囲内の比表面積を有する;
(b)少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも1つのR基を有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物である少なくとも1つの酸素捕捉剤を提供すること、ここで、
前記少なくとも2つのフェノール性水酸基のうちの2つが、互いに対してオルト又はパラ位で、前記少なくとも1つのフェニル環上に位置しており、かつ
Rは、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキル基、アリール基及び-Y-R基からなる群から選択され、好ましくは、Rは-Y-R基であり、ここで、
- Yは、直接結合、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基及び-CH=CH-基からなる群から選択され、好ましくは、Yは直接結合であり、かつ
- Rは、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボキシル基又は本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基である;
(c)ポリマーバインダーを提供すること;
(d)1つ又は複数の個別の基材層を含む基材層、又は前記基材層を含む食品パッケージを提供すること;
(e)工程(b)の前記酸素捕捉剤、工程(a)の前記粒状充填剤及び工程(c)の前記ポリマーバインダーを、ここに記載の順序で混合してコーティング組成物を得ること;
(f)工程(e)の前記コーティング組成物を工程(d)の前記基材層上に適用して、シート状エレメント前駆体を得ること;
(g)工程(f)で得た前記シート状エレメント前駆体を乾燥させて、シート状エレメント構成要素を得ること;
(h)6又はこれより低いpK値を有する塩基を含むアルカリ構成要素を提供すること;及び任意に、
(i)工程(h)の前記アルカリ構成要素を水と混合して、前記塩基と水とを含む水性アルカリ構成要素を得ること、ここで、好ましくは、
- 前記水性アルカリ構成要素のpHが、少なくとも8、より好ましくは少なくとも10、さらに一層好ましくは少なくとも11、最も好ましくは少なくとも12であり、かつ/又は
- 前記水性アルカリ構成要素が、前記水性アルカリ構成要素の総重量に基づいて、1重量%~75重量%、より好ましくは5重量%~60重量%、最も好ましくは10~35重量%の量で前記塩基を含む。
態様又は実施形態[14]:
以下の工程を含む、シート状エレメント構成要素の製造方法:
(a)粒状充填剤の総量に基づいて少なくとも50重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含む粒状充填剤を提供すること、ここで、
前記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、前記二酸化炭素が前記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
前記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/g、好ましくは50~120m/gの範囲内の比表面積を有する;
(b)少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも1つのR基を有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物である少なくとも1つの酸素捕捉剤を提供すること、ここで、
前記少なくとも2つのフェノール性水酸基のうちの2つが、互いに対してオルト又はパラ位で、前記少なくとも1つのフェニル環上に位置しており、かつ
Rは-Y-R基であり、ここで
- Yは、直接結合、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基及び-CH=CH-基からなる群から選択され、好ましくは、Yは直接結合であり、かつ
- Rは、本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基である;
(c)ポリマーバインダーを提供すること;
(d)1つ又は複数の個別の基材層を含む基材層、又は前記基材層を含む食品パッケージを提供すること;
(e)工程(b)の前記酸素捕捉剤、工程(a)の前記粒状充填剤及び工程(c)の前記ポリマーバインダーを、ここに記載の順序で混合してコーティング組成物を得ること;
(f)工程(e)の前記コーティング組成物を工程(d)の前記基材層上に適用して、シート状エレメント前駆体を得ること;及び
(g)工程(f)で得た前記シート状エレメント前駆体を乾燥させて、シート状エレメント構成要素を得ること;
ここで、前記少なくとも1つの酸素捕捉剤を提供する工程(b)が、以下のサブステップを含む:
(b1)少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも1つのR基を有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物である少なくとも1つの酸素捕捉剤前駆体を提供すること、ここで、前記少なくとも2つのフェノール性水酸基のうちの2つが、互いに対してオルト又はパラ位で、前記少なくとも1つのフェニル環上に位置しており、かつRが、-Y-R基であり、ここで
- Yは、直接結合、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基及び-CH=CH-基からなる群から選択され、好ましくは、Yは直接結合であり、かつ
- Rは、カルボキシル基である、
(b2)塩基性化合物を提供すること、及び
(b3)工程(b1)の前記酸素捕捉剤前駆体の前記カルボキシル基と、工程(b2)の前記塩基性化合物とを反応させて、前記酸素捕捉剤を得ること。
[15]工程(b2)の前記塩基性化合物が、炭酸塩塩基、水酸化物塩基、炭酸水素塩塩基、アミン塩基及びそれらの混合物からなる群から選択され、
より好ましくは、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、水酸化マグネシウム、アンモニア及びそれらの混合物からなる群から選択され、
最も好ましくは、炭酸カルシウムである、
実施形態[14]に記載の方法。
[16]
- 混合工程(e)を、溶媒、好ましくは水の存在下で実施し、かつ/又は
- 適用工程(f)を、ローラーコーティング、浸漬コーティング、溝付きロッドコーティング、カーテンコーティング、剛性ブレードコーティング、アプリケータロールコーティング、ファウンテンコーティング、ジェットコーティング、ショートドエルコーティング、スロット入りダイコーティング、湾曲ブレードコーティング、傾斜ブレードコーティング、エアナイフコーティング、バーコーティング、グラビアコーティング、従来型又は計量サイズプレスコーティング、スプレー塗布技術、スクリーン印刷及び/又は湿式スタックコーティング、好ましくはローラーコーティングを用いて実施し、かつ/又は
- 乾燥工程(g)を、周囲圧力又は減圧下で、好ましくは、高温空気乾燥、IR放射乾燥又はUV放射乾燥によって、50~150℃の範囲の温度で実施する、
実施形態[13]~[15]のいずれか一つに記載の方法。
[17]前記シート状エレメント構成要素が、以下のコーティング層を含む、実施形態[13]~[16]のいずれか一つに記載の方法:
- 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.1~1.5cm/g、好ましくは0.1~1.0cm/gの範囲内の総圧入比細孔容積を有し、かつ/又は
- 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.05~1.0cm/g、好ましくは0.08~0.5cm/g、より好ましくは0.1~0.4cm/gの範囲内の総粒子内圧入比細孔容積を有し、かつ/又は
- 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.05~0.5cm/g、好ましくは0.08~0.4cm/g、より好ましくは0.1~0.3cm/gの範囲内の総粒子間圧入比細孔容積を有し、かつ/又は
- 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.05~0.4cm/g、好ましくは0.08~0.3cm/g、より好ましくは0.1~0.2cm/gの範囲内の総吸蔵圧入比細孔容積を有し、かつ/又は
- 前記基材層上に、1~200g/m、好ましくは2~150g/m、より好ましくは10~120g/mの量で存在している、
コーティング層。
[18]前記コーティング層が以下を含む、実施形態[13]~[17]のいずれか一つに記載の方法:
- 前記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、10~20重量%の量の前記ポリマーバインダー、及び/又は
- 前記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、30~60重量%の量の前記粒状充填剤、及び/又は
- 前記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、30~60重量%の量の前記酸素捕捉剤。
[19]前記粒状充填剤が、少なくとも1つの前記粒状充填剤の総重量に基づいて、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも90重量%の量の前記表面反応炭酸カルシウムを含み、最も好ましくは、前記粒状充填剤が、前記表面反応炭酸カルシウムからなり、かつ
任意に存在するさらなる粒状充填剤材料が、ドロマイト、粉砕炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、タルク、石膏、二酸化チタン、カオリン、ケイ酸塩、雲母、硫酸バリウム、焼成粘土、非焼成(含水)粘土、ベントナイト及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、粉砕炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム及びそれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは、前記粒状充填剤が、前記任意に存在するさらなる粒状充填剤材料及び前記表面反応炭酸カルシウムからなる、
実施形態[13]~[18]のいずれか一つに記載の方法。
[20]前記表面反応炭酸カルシウムが、
- BET法によって測定して、50~120m/gの範囲内の比表面積を有し、かつ/又は
- 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.1~2.5cm/g、好ましくは0.2~2.2cm/g、より好ましくは0.4~2.0cm/g、最も好ましくは、0.6~1.8cm/gの範囲内の総粒子内圧入比細孔容積を有する、
実施形態[13]~[19]のいずれか一つに記載の方法。
[21]
- 前記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、互いに対してオルト又はパラ位に配置された少なくとも2つのフェノール性水酸基を有するフェノール酸誘導体、互いに対してオルト又はパラ位に配置された少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する桂皮酸誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択され、
好ましくは、前記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、没食子酸誘導体、二没食子酸誘導体、プロトカテク酸誘導体、カフェ酸誘導体、5-ヒドロキシフェルラ酸誘導体、ゲンチジン酸誘導体、オルセリン酸誘導体、ケブリン酸誘導体、フロログルシノールカルボン酸誘導体、チコリ酸誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択され、
さらに一層好ましくは、前記少なくとも1つの酸素捕捉剤が没食子酸誘導体であり、
ここで、前記酸誘導体が、それぞれの酸のアルキルエステル、アリールエステル及び本質的に完全に脱プロトン化された酸からなる群から選択され、
最も好ましくは、前記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、本質的に完全に脱プロトン化された没食子酸であり、かつ/又は
- 本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基を含む前記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、アンモニウム、ナトリウム、リチウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム及びそれらの混合物からなる群から選択されるカチオンを含み、
好ましくは、前記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びそれらの混合物からなる群から選択されるカチオンを含み、
最も好ましくは、前記少なくとも1つの酸素捕捉剤がカルシウムカチオンを含む、
実施形態[13]~[20]のいずれか一つに記載の方法。
[22]前記ポリマーバインダーが、ポリアクリル酸、それらの塩、それらの誘導体、デンプン、タンパク質、スチレンブタジエンラテックス、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びそれらの混合物からなる群から選択され、
好ましくは、前記ポリマーバインダーが、ポリアクリル酸、それらの塩、それらの誘導体及びそれらの混合物から選択される、
実施形態[13]~[21]のいずれか一つに記載の方法。
[23]前記基材層が、ポリマー材料層、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリエチレン-2,5-フランジカルボキシレート、ポリスチレン又はそれらの混合物でできたポリマー材料層、繊維材料層、好ましくは、酢酸セルロース、ビスコース、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸又はそれらの混合物でできた繊維材料層、紙層、ボール紙層、テキスタイル層、不織布層、バイオ材料でできた層、木材層、竹層、金属箔層、アルミニウム層、印刷受容性コーティング層及び以上のものの混合物からなる群から選択される1つ又は複数の個別の基材層を含み、
前記1つ又は複数の個別の基材層が、任意にコロナ処理を受けており、かつ
好ましくは、前記1つ又は複数の個別の基材層がポリマー材料層から選択される、
実施形態[13]~[22]のいずれか一つに記載の方法。
[24]前記シート状エレメント構成要素が以下をさらに含む、実施形態[13]~[23]のいずれか一つに記載の方法:
- 前記コーティング層の反対側で前記基材層上に及び/又は前記個別の基材層の間に位置している1つ又は複数の接着剤層であって、好ましくは、接着剤、封止剤、ゴムコーティング、感圧層及び以上のものの混合物からなる群から選択される1つ又は複数の接着剤層、及び/又は
- 前記基材層と前記コーティング層との間に位置している1つ又は複数のプライマー層、及び/又は
- 前記コーティング層を被覆するための1つ又は複数の酸素透過性被覆層であって、好ましくは、酸素透過性フィルム層、繊維材料層及び不織繊維層からなる群から選択される1つ又は複数の酸素透過性被覆層、及び/又は
- 前記コーティング層及び/又は前記接着剤層を一時的に封止するための1つ又は複数の保護層であって、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン及び/又はコート紙から選択される1つ又は複数の保護層。
[25]前記アルカリ構成要素が、水酸化物塩基、炭酸塩塩基、アンモニア塩基及びそれらの混合物からなる群から選択される塩基を含み、
好ましくは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム及びそれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムからなる群から選択される塩基を含む、
実施形態[13]~[24]のいずれか一つに記載の方法。
[26]前記アルカリ構成要素が、前記塩基と水とを含む水性アルカリ構成要素であり、
好ましくは、
- 前記水性アルカリ構成要素のpHが、少なくとも8、より好ましくは少なくとも10、さらに一層好ましくは少なくとも11、最も好ましくは少なくとも12であり、かつ/又は
- 前記水性アルカリ構成要素が、前記水性アルカリ構成要素の総重量に基づいて、1重量%~75重量%、より好ましくは5重量%~60重量%、最も好ましくは10~35重量%の量で前記塩基を含む、
実施形態[13]~[25]のいずれか一つに記載の方法。
態様又は実施形態[27]:
前記シート状エレメント構成要素の前記コーティング層に対して前記アルカリ構成要素を添加することによって、実施形態[13]~[26]のいずれか一つに記載のキットから形成された活性化されたシート状エレメントであって、
前記活性化されたシート状エレメントが、前記少なくとも1つの酸素捕捉剤と前記塩基との反応生成物を含み、
好ましくは、
- 前記酸素捕捉剤のモル量に基づいて、少なくとも0.01モル当量、好ましくは少なくとも0.02モル当量、より好ましくは少なくとも0.05モル当量、さらに一層好ましくは少なくとも0.1モル当量の量で前記塩基を添加する量で、前記アルカリ構成要素を添加し、かつ/又は
- 前記コーティング層の総重量に基づいて、10~70重量%、好ましくは20~65重量%、より好ましくは35~60重量%の量で、前記アルカリ構成要素を添加する、
活性化されたシート状エレメント。
[28]前記アルカリ構成要素が、水酸化物塩基、炭酸塩塩基、アンモニア塩基及びそれらの混合物からなる群から選択される塩基を含み、
好ましくは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム及びそれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムからなる群から選択される塩基を含む、実施形態[27]に記載の活性化されたシート状エレメント。
態様又は実施形態[29]:
以下の工程を含む、実施形態[1]~[11]のいずれか一つに記載のキットのシート状エレメントを活性化する方法:
(j)前記アルカリ構成要素を水と混合して、前記塩基と水とを含む水性アルカリ構成要素を得ること;及び
(k)前記コーティング層の表面の少なくとも一部に前記水性アルカリ構成要素を適用すること、ここで、好ましくは、
- 前記酸素捕捉剤のモル量に基づいて、少なくとも0.01モル当量、好ましくは少なくとも0.02モル当量、より好ましくは少なくとも0.05モル当量、さらに一層好ましくは少なくとも0.1モル当量の量で前記塩基を添加する量で、前記アルカリ構成要素を添加し、かつ/又は
- 前記コーティング層の総重量に基づいて、10~70重量%、好ましくは20~65重量%、より好ましくは35~60重量%の量で、前記アルカリ構成要素を添加し、かつ/又は
- 適用工程(k)を、インクジェット印刷、噴霧、コーティング及び/又は浸漬によって実施する。
[30]前記アルカリ構成要素が、水酸化物塩基、炭酸塩塩基、アンモニア塩基及びそれらの混合物からなる群から選択される塩基を含み、
好ましくは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム及びそれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムからなる群から選択される塩基を含む、実施形態[29]に記載の方法。
[31]以下をさらに含む、実施形態[1]~[11]のいずれか一つに記載のキット:
- 前記シート状エレメント構成要素を含む供給装置であって、好ましくは、ロール又はマガジンを含む供給装置、又は、
- 前記シート状エレメント構成要素を含む食品パッケージであって、前記コーティング層が前記食品パッケージ内に存在している、食品パッケージ。
[32]実施形態[27]又は[28]に記載の活性化されたシート状エレメントを含む供給装置であって、前記供給装置が、前記活性化されたシート状エレメントを酸素から保護し、かつ好ましくは、ロール、スタック、マガジン、又はパッケージ、例えばボックスなどを含む、供給装置。
態様又は実施形態[33]:
実施形態[27]又は[28]に記載の活性化されたシート状エレメントを含む食品パッケージであって、前記コーティング層が、前記食品パッケージ内に存在している、食品パッケージ。
態様又は実施形態[34]:
実施形態[1]~[11]のいずれか一つに記載のキット又は実施形態[27]又は[28]に記載の活性化されたシート状エレメントの、食品パッケージにおける使用。
態様又は実施形態[35]:
実施形態[1]~[11]のいずれか一つに記載のキット又は実施形態[27]又は[28]に記載の活性化されたシート状エレメントの、食品の保存可能期間を延長するための使用。

Claims (25)

  1. 以下を含む、食品の保存可能期間を改善するためのキット:
    (a)以下を有するシート状エレメント構成要素:
    (a1)以下を含むコーティング層:
    (i)前記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の粒状充填剤、ここで、
    前記粒状充填剤が、前記粒状充填剤の総量に基づいて、少なくとも50重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含み、
    前記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、前記二酸化炭素が前記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
    前記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/gの範囲内の比表面積を有している;
    (ii)前記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、5~25重量%の量のポリマーバインダー;及び
    (iii)前記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、25~70重量%の量の少なくとも1つの酸素捕捉剤、ここで、
    前記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも1つのR基を有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物であり、
    前記少なくとも2つのフェノール性水酸基のうちの2つが、互いに対してオルト又はパラ位で、前記少なくとも1つのフェニル環上に配置されており、かつ
    Rが、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキル基、アリール基及び-Y-R基からなる群から選択され、好ましくは、Rは-Y-R基であり、ここで
    - Yは、直接結合、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基及び-CH=CH-基からなる群から選択され、好ましくは、Yは直接結合であり、かつ
    - Rは、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボキシル基又は本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基である;及び
    (a2)基材層、並びに
    (b)6又はこれより低いpK値を有する塩基を含むアルカリ構成要素。
  2. 前記シート状エレメント構成要素が、以下のコーティング層を含む、請求項1に記載のキット:
    - 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.1~1.5cm/g、好ましくは0.1~1.0cm/gの範囲内の総圧入比細孔容積を有し、かつ/又は
    - 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.05~1.0cm/g、好ましくは0.08~0.5cm/g、より好ましくは0.1~0.4cm/gの範囲内の総粒子内圧入比細孔容積を有し、かつ/又は
    - 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.05~0.5cm/g、好ましくは0.08~0.4cm/g、より好ましくは0.1~0.3cm/gの範囲内の総粒子間圧入比細孔容積を有し、かつ/又は
    - 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.05~0.4cm/g、好ましくは0.08~0.3cm/g、より好ましくは0.1~0.2cm/gの範囲内の総吸蔵圧入比細孔容積を有し、かつ/又は
    - 前記基材層上に、1~200g/m、好ましくは2~150g/m、より好ましくは10~120g/mの量で存在している、
    コーティング層。
  3. 前記コーティング層が以下を含む、請求項1又は2に記載のキット:
    - 前記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、10~20重量%の量の前記ポリマーバインダー、及び/又は
    - 前記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、30~60重量%の量の前記粒状充填剤、及び/又は
    - 前記コーティング層の総乾燥重量に基づいて、30~60重量%の量の前記酸素捕捉剤。
  4. 前記粒状充填剤が、少なくとも1つの前記粒状充填剤の総重量に基づいて、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも90重量%の量の前記表面反応炭酸カルシウムを含み、最も好ましくは、前記粒状充填剤が、前記表面反応炭酸カルシウムからなり、かつ
    任意に存在するさらなる粒状充填剤材料が、ドロマイト、粉砕炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、タルク、石膏、二酸化チタン、カオリン、ケイ酸塩、雲母、硫酸バリウム、焼成粘土、非焼成(含水)粘土、ベントナイト及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、粉砕炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム及びそれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは、前記粒状充填剤が、前記任意に存在するさらなる粒状充填剤材料及び前記表面反応炭酸カルシウムからなる、
    請求項1~3のいずれか一項に記載のキット。
  5. 前記表面反応炭酸カルシウムが、
    - BET法によって測定して、50~120m/gの範囲内の比表面積を有し、かつ/又は
    - 水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、0.1~2.5cm/g、好ましくは0.2~2.2cm/g、より好ましくは0.4~2.0cm/g、最も好ましくは、0.6~1.8cm/gの範囲内の総粒子内圧入比細孔容積を有する、
    請求項1~4のいずれか一項に記載のキット。
  6. - 前記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、互いに対してオルト又はパラ位に配置された少なくとも2つのフェノール性水酸基を有するフェノール酸誘導体、互いに対してオルト又はパラ位に配置された少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する桂皮酸誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択され、
    好ましくは、前記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、没食子酸誘導体、二没食子酸誘導体、プロトカテク酸誘導体、カフェ酸誘導体、5-ヒドロキシフェルラ酸誘導体、ゲンチジン酸誘導体、オルセリン酸誘導体、ケブリン酸誘導体、フロログルシノールカルボン酸誘導体、チコリ酸誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択され、
    さらに一層好ましくは、前記少なくとも1つの酸素捕捉剤が没食子酸誘導体であり、
    ここで、前記酸誘導体が、それぞれの酸のアルキルエステル、アリールエステル及び本質的に完全に脱プロトン化された酸からなる群から選択され、
    最も好ましくは、前記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、本質的に完全に脱プロトン化された没食子酸であり、かつ/又は
    - 本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基を含む前記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、アンモニウム、ナトリウム、リチウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム及びそれらの混合物からなる群から選択されるカチオンを含み、
    好ましくは、前記少なくとも1つの酸素捕捉剤が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びそれらの混合物からなる群から選択されるカチオンを含み、
    最も好ましくは、前記少なくとも1つの酸素捕捉剤がカルシウムカチオンを含む、
    請求項1~5のいずれか一項に記載のキット。
  7. 前記ポリマーバインダーが、ポリアクリル酸、それらの塩、それらの誘導体、デンプン、タンパク質、スチレンブタジエンラテックス、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル及びそれらの混合物からなる群から選択され、
    好ましくは、前記ポリマーバインダーが、ポリアクリル酸、それらの塩、それらの誘導体及びそれらの混合物から選択される、
    請求項1~6のいずれか一項に記載のキット。
  8. 前記基材層が、ポリマー材料層、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリエチレン-2,5-フランジカルボキシレート、ポリスチレン又はそれらの混合物でできたポリマー材料層、繊維材料層、好ましくは、酢酸セルロース、ビスコース、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸又はそれらの混合物でできた繊維材料層、紙層、ボール紙層、テキスタイル層、不織布層、バイオ材料でできた層、木材層、竹層、金属箔層、アルミニウム層、印刷受容性コーティング層及び以上のものの混合物からなる群から選択される1つ又は複数の個別の基材層を含み、
    前記1つ又は複数の個別の基材層が、任意にコロナ処理を受けており、かつ
    好ましくは、前記1つ又は複数の個別の基材層がポリマー材料層から選択される、
    請求項1~7のいずれか一項に記載のキット。
  9. 前記シート状エレメント構成要素が以下をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のキット:
    - 前記コーティング層の反対側で前記基材層上に及び/又は前記個別の基材層の間に位置している1つ又は複数の接着剤層であって、好ましくは、接着剤、封止剤、ゴムコーティング、感圧層及び以上のものの混合物からなる群から選択される1つ又は複数の接着剤層、及び/又は
    - 前記基材層と前記コーティング層との間に位置している1つ又は複数のプライマー層、及び/又は
    - 前記コーティング層を被覆するための1つ又は複数の酸素透過性被覆層であって、好ましくは、酸素透過性フィルム層、繊維材料層及び不織繊維層からなる群から選択される1つ又は複数の酸素透過性被覆層、及び/又は
    - 前記コーティング層及び/又は前記接着剤層を一時的に封止するための1つ又は複数の保護層であって、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン及び/又はコート紙から選択される1つ又は複数の保護層。
  10. 前記アルカリ構成要素が、水酸化物塩基、炭酸塩塩基、アンモニア塩基及びそれらの混合物からなる群から選択される塩基を含み、
    好ましくは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム及びそれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムからなる群から選択される塩基を含む、
    請求項1~9のいずれか一項に記載のキット。
  11. 前記アルカリ構成要素が、前記塩基と水とを含む水性アルカリ構成要素であり、
    好ましくは、
    - 前記水性アルカリ構成要素のpHが、少なくとも8、より好ましくは少なくとも10、さらに一層好ましくは少なくとも11、最も好ましくは少なくとも12であり、かつ/又は
    - 前記水性アルカリ構成要素が、前記水性アルカリ構成要素の総重量に基づいて、1重量%~75重量%、より好ましくは5重量%~60重量%、最も好ましくは10~35重量%の量で前記塩基を含む、
    請求項1~10のいずれか一項に記載のキット。
  12. 前記シート状エレメント構成要素の前記コーティング層に対して前記アルカリ構成要素を添加することによって、請求項1~11のいずれか一項に記載のキットから形成された活性化されたシート状エレメントであって、
    前記活性化されたシート状エレメントが、前記少なくとも1つの酸素捕捉剤と前記塩基との反応生成物を含み、
    好ましくは、
    - 前記酸素捕捉剤のモル量に基づいて、少なくとも0.01モル当量、好ましくは少なくとも0.02モル当量、より好ましくは少なくとも0.05モル当量、さらに一層好ましくは少なくとも0.1モル当量の量で前記塩基を添加する量で、前記アルカリ構成要素を添加し、かつ/又は
    - 前記コーティング層の総重量に基づいて、10~70重量%、好ましくは20~65重量%、より好ましくは35~60重量%の量で、前記アルカリ構成要素を添加する、
    活性化されたシート状エレメント。
  13. 以下の工程を含む、食品の保存可能期間を改善するためのキットの製造方法:
    (a)粒状充填剤の総量に基づいて少なくとも50重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含む粒状充填剤を提供すること、ここで、
    前記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、前記二酸化炭素が前記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
    前記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/g、好ましくは50~120m/gの範囲内の比表面積を有する;
    (b)少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも1つのR基を有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物である少なくとも1つの酸素捕捉剤を提供すること、ここで、
    前記少なくとも2つのフェノール性水酸基のうちの2つが、互いに対してオルト又はパラ位で、前記少なくとも1つのフェニル環上に位置しており、かつ
    Rは、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキル基、アリール基及び-Y-R基からなる群から選択され、好ましくは、Rは-Y-R基であり、ここで、
    - Yは、直接結合、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基及び-CH=CH-基からなる群から選択され、好ましくは、Yは直接結合であり、かつ
    - Rは、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボキシル基又は本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基である;
    (c)ポリマーバインダーを提供すること;
    (d)1つ又は複数の個別の基材層を含む基材層、又は前記基材層を含む食品パッケージを提供すること;
    (e)工程(b)の前記酸素捕捉剤、工程(a)の前記粒状充填剤及び工程(c)の前記ポリマーバインダーを、ここに記載の順序で混合してコーティング組成物を得ること;
    (f)工程(e)の前記コーティング組成物を工程(d)の前記基材層上に適用して、シート状エレメント前駆体を得ること;
    (g)工程(f)で得た前記シート状エレメント前駆体を乾燥させて、シート状エレメント構成要素を得ること;
    (h)6又はこれより低いpK値を有する塩基を含むアルカリ構成要素を提供すること;及び任意に、
    (i)工程(h)の前記アルカリ構成要素を水と混合して、前記塩基と水とを含む水性アルカリ構成要素を得ること、ここで、好ましくは、
    - 前記水性アルカリ構成要素のpHが、少なくとも8、より好ましくは少なくとも10、さらに一層好ましくは少なくとも11、最も好ましくは少なくとも12であり、かつ/又は
    - 前記水性アルカリ構成要素が、前記水性アルカリ構成要素の総重量に基づいて、1重量%~75重量%、より好ましくは5重量%~60重量%、最も好ましくは10~35重量%の量で前記塩基を含む。
  14. 以下の工程を含む、シート状エレメント構成要素の製造方法:
    (a)粒状充填剤の総量に基づいて少なくとも50重量%の量で表面反応炭酸カルシウムを含む粒状充填剤を提供すること、ここで、
    前記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、前記二酸化炭素が前記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
    前記表面反応炭酸カルシウムが、BET法によって測定して、20~200m/g、好ましくは50~120m/gの範囲内の比表面積を有する;
    (b)少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも1つのR基を有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物である少なくとも1つの酸素捕捉剤を提供すること、ここで、
    前記少なくとも2つのフェノール性水酸基のうちの2つが、互いに対してオルト又はパラ位で、前記少なくとも1つのフェニル環上に位置しており、かつ
    Rは-Y-R基であり、ここで
    - Yは、直接結合、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基及び-CH=CH-基からなる群から選択され、好ましくは、Yは直接結合であり、かつ
    - Rは、本質的に完全に脱プロトン化されたカルボキシル基である;
    (c)ポリマーバインダーを提供すること;
    (d)1つ又は複数の個別の基材層を含む基材層、又は前記基材層を含む食品パッケージを提供すること;
    (e)工程(b)の前記酸素捕捉剤、工程(a)の前記粒状充填剤及び工程(c)の前記ポリマーバインダーを、ここに記載の順序で混合してコーティング組成物を得ること;
    (f)工程(e)の前記コーティング組成物を工程(d)の前記基材層上に適用して、シート状エレメント前駆体を得ること;及び
    (g)工程(f)で得た前記シート状エレメント前駆体を乾燥させて、シート状エレメント構成要素を得ること;
    ここで、前記少なくとも1つの酸素捕捉剤を提供する工程(b)が、以下のサブステップを含む:
    (b1)少なくとも2つのフェノール性水酸基及び少なくとも1つのR基を有する少なくとも1つのフェニル環を有する化合物である少なくとも1つの酸素捕捉剤前駆体を提供すること、ここで、前記少なくとも2つのフェノール性水酸基のうちの2つが、互いに対してオルト又はパラ位で、前記少なくとも1つのフェニル環上に位置しており、かつRが、-Y-R基であり、ここで
    - Yは、直接結合、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキレン基及び-CH=CH-基からなる群から選択され、好ましくは、Yは直接結合であり、かつ
    - Rは、カルボキシル基である、
    (b2)塩基性化合物を提供すること、及び
    (b3)工程(b1)の前記酸素捕捉剤前駆体の前記カルボキシル基と、工程(b2)の前記塩基性化合物とを反応させて、前記酸素捕捉剤を得ること。
  15. 工程(b2)の前記塩基性化合物が、炭酸塩塩基、水酸化物塩基、炭酸水素塩塩基、アミン塩基及びそれらの混合物からなる群から選択され、
    より好ましくは、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、水酸化マグネシウム、アンモニア及びそれらの混合物からなる群から選択され、
    最も好ましくは、炭酸カルシウムである、
    請求項14に記載の方法。
  16. - 混合工程(e)を、溶媒、好ましくは水の存在下で実施し、かつ/又は
    - 適用工程(f)を、ローラーコーティング、浸漬コーティング、溝付きロッドコーティング、カーテンコーティング、剛性ブレードコーティング、アプリケータロールコーティング、ファウンテンコーティング、ジェットコーティング、ショートドエルコーティング、スロット入りダイコーティング、湾曲ブレードコーティング、傾斜ブレードコーティング、エアナイフコーティング、バーコーティング、グラビアコーティング、従来型又は計量サイズプレスコーティング、スプレー塗布技術、スクリーン印刷及び/又は湿式スタックコーティング、好ましくはローラーコーティングを用いて実施し、かつ/又は
    - 乾燥工程(g)を、周囲圧力又は減圧下で、好ましくは、高温空気乾燥、IR放射乾燥又はUV放射乾燥によって、50~150℃の範囲の温度で実施する、
    請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 以下の工程を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のキットのシート状エレメントを活性化する方法:
    (j)前記アルカリ構成要素を水と混合して、前記塩基と水とを含む水性アルカリ構成要素を得ること;及び
    (k)前記コーティング層の表面の少なくとも一部に前記水性アルカリ構成要素を適用すること、ここで、好ましくは、
    - 前記酸素捕捉剤のモル量に基づいて、少なくとも0.01モル当量、好ましくは少なくとも0.02モル当量、より好ましくは少なくとも0.05モル当量、さらに一層好ましくは少なくとも0.1モル当量の量で前記塩基を添加する量で、前記アルカリ構成要素を添加し、かつ/又は
    - 前記コーティング層の総重量に基づいて、10~70重量%、好ましくは20~65重量%、より好ましくは35~60重量%の量で、前記アルカリ構成要素を添加し、かつ/又は
    - 適用工程(k)を、インクジェット印刷、噴霧、コーティング及び/又は浸漬によって実施する。
  18. 以下をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のキット:
    - 前記シート状エレメント構成要素を含む供給装置であって、好ましくは、ロール又はマガジンを含む供給装置、又は
    - 前記シート状エレメント構成要素を含む食品パッケージであって、前記コーティング層が前記食品パッケージ内に存在している、食品パッケージ。
  19. 請求項12に記載の活性化されたシート状エレメントを含む供給装置であって、
    前記供給装置が、前記活性化されたシート状エレメントを酸素から保護し、かつ好ましくは、ロール、スタック、マガジン、又はパッケージ、例えばボックスなどを含む、
    供給装置。
  20. 請求項12に記載の活性化されたシート状エレメントを含む食品パッケージであって、前記コーティング層が前記食品パッケージ内に存在している、食品パッケージ。
  21. 前記食品パッケージが、食品又は食料品を含み、前記食品が、液体及び固体食品からなる群から選択され、好ましくは、生肉及び加工肉、家禽肉、牛肉、豚肉、ハム、ソーセージ、乾燥肉、生魚及び加工魚、乳製品、ベーカリー製品、スナック、ナッツ及び油糧種子、野菜、菓子、インスタント食品及び飲料、特にオレンジジュースを含む酸素感受性食品である、請求項20に記載の食品パッケージ。
  22. 請求項1~11のいずれか一項に記載のキット又は請求項12に記載の活性化されたシート状エレメントの、食品パッケージにおける使用。
  23. 請求項1~11のいずれか一項に記載のキット又は請求項12に記載の活性化されたシート状エレメントの、食品の保存可能期間を延長するための使用。
  24. 食品及び請求項12に記載の活性化されたシート状エレメントを有する食品パッケージを含む包装された食品であって、前記活性化されたシート状エレメントの前記コーティング層が、前記食品パッケージ内に存在している、包装された食品。
  25. 前記食品が、液体及び固体食品からなる群から選択され、好ましくは、生肉及び加工肉、家禽肉、牛肉、豚肉、ハム、ソーセージ、乾燥肉、生魚及び加工魚、乳製品、ベーカリー製品、スナック、ナッツ及び油糧種子、野菜、菓子、インスタント食品及び飲料、特にオレンジジュースを含む酸素感受性食品である、請求項24に記載の包装された食品。
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