JP2024504643A - 線維性疾患を治療するための環式オキサホスフィナン化合物及びそのアナログ - Google Patents

線維性疾患を治療するための環式オキサホスフィナン化合物及びそのアナログ Download PDF

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Abstract

本発明は、線維性疾患の治療のための、複素環式ホスホン化合物又は前述のものを含む組成物の使用に関する。より詳細には、本発明は、線維性疾患の治療における使用のための、本明細書で特許請求される一般式(1)の化合物又は前述のものを含む組成物に関する。

Description

本発明は、線維性疾患を治療するための、複素環式ホスホン化合物又は前述のものを含む組成物の使用に関する。
正常な状況下では、生物の臓器又は組織は、傷害を受けた組織の機能的統合性の回復を目的とする修復過程により、傷害に対し反応する。組織修復に関与する反応は自己限定的であり、創傷治癒が完了すると停止する。病的状況下では、組織修復に関与する反応が調節機構から逃れ、制御されない創傷治癒応答に発展し、線維化過程につながる。このことが、正常な臓器の構造及び機能を変質及び撹乱させる、過剰量の線維性物質の長引く進行性の蓄積をもたらす。
過剰量の、コラーゲン及びフィブロネクチン等の細胞外マトリックス(ECM)成分の堆積及び蓄積は、組織の硬化及び瘢痕化をもたらし、臓器の異常なリモデリングを引き起こし、最終的に線維性疾患における臓器不全につながるおそれがある。
実質臓器における創傷は通常、内皮損傷、血小板の凝集、並びに好中球、マクロファージ、好酸球及びリンパ球の創傷部位への浸潤を有する炎症応答を誘発する活性化を伴う。浸潤炎症細胞及び罹患した上皮細胞は、炎症応答を更に増幅させる働きをする、各種成長因子及びサイトカインを分泌する。TGF-β、PDGF及びIL-13等の分子はマクロファージを活性化させ、創傷部位での線維芽細胞の動員、増殖及び活性化につながる。活性化された線維芽細胞又は筋線維芽細胞は平滑筋アクチンを発現し、細胞基底層を安定化させるコラーゲン及び他のECM成分を分泌する。このことにより、損傷した組織を再生させるため、一時的マトリックスを越えて上皮及び内皮細胞の増殖及び遊走が可能となる。完了すると、線維芽細胞がアポトーシスを受ける間、炎症過程は終了し、創傷応答の消散につながる。
線維化リモデリングでは、持続的な組織損傷若しくは傷害、又は修復機構の調節不全が、不適切な創傷応答につながる。コラーゲン及びECMの過剰量の堆積及び架橋の増大が発生し、正常な必要条件を上回るECMの過剰な蓄積をもたらし、これが持続的な筋線維芽細胞活性化、上皮細胞への損傷並びに正常な組織構造及び機能の喪失に関連する。
異常な創傷治癒(線維症)は、各種線維性疾患を生み出す任意の臓器又は組織、例えば腎臓、肺、腸、皮膚、大動脈、又は肝臓と関係しうる。線維性疾患の原因は、関与する臓器又は組織によって変動することがあり、多くの場合で未知のままである。肝線維症及び最終的に硬変は、環境及び食事因子又は感染性病原体を含む各種因子への曝露による慢性肝損傷から生じる。アルコール又は高脂肪/糖食の持続的な過剰消費も、肝硬変につながるおそれがある。同様に、糖尿病、高血圧、毒物への曝露及び各種自己免疫疾患は腎臓を損傷させるおそれがあり、線維化リモデリング及び腎機能の喪失につながる。クローン病又はセリアック病等の多くの型の炎症性腸疾患は、狭窄及び/又は吸収不良を引き起こす線維化リモデリングにつながるおそれがある。
進行性の線維症の治療は、根底にある原因疾患を治療することを目的とすべきである。例えば、血圧のより良好な制御により高血圧を回避する、糖尿病におけるグルコース管理を改善する、又は損傷を与えるアレルゲン若しくは毒素への曝露を回避する。しかし、一部の線維性疾患は原因傷害の治療に対し十分に応答せず、創傷過程の開始を誘発する原因傷害の状態に関係なく臓器不全が進行するおそれがある。これは慢性腎疾患の場合であり、進行腎疾患又は末期腎不全への進行が、腎線維症の原因疾患の一部を挙げるための、免疫学的傷害の治療、高血圧の矯正又は糖尿病の改善後に観察されることがある。
様々な線維性疾患につながる機構の理解において、多くの進歩が達成されてきた。多くの様々な細胞型が、創傷治癒だけでなく線維症及び線維性疾患自己永続性とも関連付けられてきた。線維症に影響を及ぼす様々な細胞生成物により果たされる役割についての知識も増大してきており、多くが線維症促進効果を有し、その他は線維症に対する保護効果を有する。前者のCD4+Th2細胞では、IL-4、IL-5、IL-13及びIL-21生成による応答が線維化過程の増大をもたらし、一方でインターフェロンγ及びIL-12ケモカインを有するCD4+Th1細胞は、線維症に対し保護的である。トランスフォーミング成長因子ベータ(TGF-β)経路はほぼ全ての型の線維症に寄与することが実証されてきたが、IL-4は線維化応答を誘導することにおいてTGF-βよりもはるかに有力であることが実証されてきた。寄与することが報告されてきた他の分子又は遺伝子は、I、III及びVI型プロコラーゲン、アルギナーゼ-1、リジルオキシダーゼ、マトリックスメタロプロテイナーゼ-2(MMP-2)、MMP-9及び組織マトリックスメタロプロテイナーゼ-1阻害物質(TIMP-1)、更にヘムオキシゲナーゼ、III型プロコラーゲン、分泌型リン酸化タンパク質1、V型プロコラーゲン、レティキュロカルビン及びフィブリリン1を含む。アンジオテンシンIIの線維症促進効果は、特に心臓線維症で広く研究されてきた。
必要な創傷治癒過程から異常かつ有害な自続性の線維症への転換に関与する細胞、及びこれに寄与する分子機構の特定における圧倒的な進歩にもかかわらず、具体的な治療は、線維性疾患については今のところほとんど提案不可能である。
ピルフェニドンは、日本では2008年に、欧州では2011年に、特発性肺線維症(IPF)の治療における使用について承認された低分子薬物であり、TGF-βを下方調節することにより抗線維化活性を有する。ニンテダニブは、VEGF、FGF及びPDGFにより誘導されるチロシンキナーゼ活性を低減させるか又は遮断するトリアンジオキナーゼ阻害物質である。どちらの化合物もIPFにおける線維症を低減させるが、それらの実証された臨床的有用性は限定的であり(2年の生存期間延長)、それらの副作用が多数ある。
今日までに、線維症関連疾患について承認を受けた治療は他にない。それにも関わらず、先進国世界における死亡全てのうちの45%が、数種の慢性線維増殖性疾患に起因する。ゆえに、非常に大きい社会への衝撃を有する、線維性疾患の具体的な治療についての満たされない医療上の必要性が存在する。したがって、線維症疾患の治療についての新規の方法を提供することが本発明の目的である。
本発明において、本明細書で開示される結果は、特定のグリコミメティック化合物が、in vitro及びin vivoの両方で抗線維症効果を有し、ゆえに前記化合物が、線維性疾患の治療のための有効な新規の方法を設計するのに使用されうることを実証する。
WO2009/004096 WO2014/128429 WO2018/054925
「Essentials of Glycobiology」、Varkiら編、2章(Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1999) https://www.smccro-lab.com/ https://doi.org/10.1053/j.gastro.2019.11.311 https://doi.org/10.1038/s41551-018-0279-x
本発明は、線維性疾患の治療における使用のための、複素環式ホスホン化合物ファミリー、より詳細には化合物3-ヒドロキシ-4,5-ビス-ベンジルオキシ-6-ベンジルオキシメチル-2-フェニル-2-オキソ-2λ5-[1,2]オキサホスフィナンを提供する。
対照及び腎不全ラット群の腎臓切片の染色の図である。A)線維症マーカーとしてのシリウスレッド染色。B)Mgat5の免疫染色。倍率x200。(*p≦0.05;**p≦0.01) 腎臓切片のシリウスレッド染色の図である。C:対照+プラセボ。C+3.1:対照+化合物3.1。SNX:SNX+プラセボ。SNX+3.1:SNX+化合物3.1。倍率x200。(*p≦0.05) 1、3及び4型コラーゲンの腎臓切片免疫染色の図である。A)1型コラーゲン。B)4型コラーゲン。C)3型コラーゲン。C:対照+プラセボ。C+3.1:対照+化合物3.1。SNX:SNX+プラセボ。SNX+3.1:SNX+化合物3.1。倍率x200。(*p≦0.05;**p≦0.01;***p≦0.001及び****p≦0.0001) 腎臓切片に対するMGAT5活性のグリカンマーカーとしてのLPHA染色の図である。C:対照+プラセボ。C+3.1:対照+化合物3.1。SNX:SNX+プラセボ。SNX+3.1:SNX+化合物3.1。倍率x200。(*p≦0.05;**p≦0.01) 対照及び石灰化培地において培養された大動脈リング切片の染色の図である。A)石灰化マーカーとしてのVon Kossa染色。B)シリウスレッド染色C)GnT-Vの免疫染色。倍率x200。 組織学的分析のためのマウス肝臓の外側左葉の切断パターンの図である。a及びc切断片は-80℃で保存され、b切断片は免疫染色に使用される。 21日間のNASHモデルマウス体重追跡の図である。媒体群:プラセボ、10ml/kg、経口、1日2回。化合物3.1群:15mg/kg、経口、1日2回。テルミサルタン群:10mg/kg、経口、1日1回。(*p≦0.05;**p≦0.01;***p≦0.001及び****p≦0.0001) マウス肝臓組織学的切断片のシリウスレッド染色の図である。倍率x200。 マウス肝臓組織学的切断片のシリウスレッド染色を使用しての、線維化面積の定量化の図である。面積はパーセントで表され、比:シリウスレッド赤で染色された表面/切断片表面に対応する。倍率x200。(p<0.01)
本発明は、線維症疾患を治療するための、以下で詳述される式(1)の複素環式ホスホン化合物、より詳細には化合物3-ヒドロキシ-4,5-ビス-ベンジルオキシ-6-ベンジルオキシメチル-2-フェニル-2-オキソ-2λ5-[1,2]オキサホスフィナン(化合物3.1とも呼ばれる)の使用に関する。前記化合物は以前、PCT特許出願WO2009/004096及びWO2014/128429において開示されるように、より詳細には転移の出現を低減させるか又は予防するための、抗がん剤として記載されていた。
本発明に従って使用される化合物は、以下の式(1)を有する。
(式中、Yは、酸素、硫黄又はセレン原子、好ましくは酸素原子を表し、
Zは、O、S、Se、NH、又はR6がアリール又は任意で置換されたアルキル基であるNR6基、好ましくは酸素原子を表し、
R1は、水素原子、任意で置換されたアルキル基又はアリール基を表し、
R2aは、水素原子、ハロゲン、アジド(N3)、炭酸又はジチオ炭酸基、1H-[1,2,3]トリアゾリル基又は-X-R2基を表し、
Xは、酸素、硫黄、セレン原子、NH又はNR7基を表し、R7は任意で置換されたアリール又はアルキル基であり、Xは好ましくはO又はNHを表し、
R2は、アリール基、任意で置換されたアルキル基、水素原子、トリクロロアセトイミデート基(-C(=NH)CCl3)、アシル、ホルミル、スルホニル、スルフィニル、tert-ブチルジフェニルシリル、アリル基、サッカリル(saccharyl)、エステル、アミド、チオアミド、スルホンアミド基を表すか、又はX-R2は、P(O)R2R6基を表し、R2及びR6は互いに独立に、アリール基、任意で置換されたアルキル基、OH、アルコキシ又はアリールオキシ基を表し、
R3及びR4は互いに独立に、アリール、任意で置換されたアルキル基、水素原子、トリクロロアセトイミデート基、アシル、ホルミル、スルホニル、スルフィニル、tert-ブチルジフェニルシリル基、アリル、サッカリル、エステル、アミド、チオアミド、スルホンアミド基を表すか、又はR3及びR4は一緒に式-R3-R4-の二価の基を形成し、-R3-R4-は、好ましくはイソプロピリデン、ベンジリデン、ジフェニルメチリデン、シクロヘキシルメチリデン基、及びそれらの置換アナログ、例えば4-メトキシベンジリデン基、又はエチレン基等の直鎖状アルキレン基(プロパン-1,2-ジオール基を形成するように)を表し、
R5は、水素原子、又は好ましくは酸素、硫黄若しくは窒素、より好ましくは酸素から選択される、1つ若しくは複数のヘテロ原子を含む炭化水素基を表す)
化合物についての本明細書において、名称は通常、それらの通例の定義に従って利用される。
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、特に1~8個の炭素原子を有する非環式基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ヘキシル基、好ましくは3~7個の炭素原子を有するシクロアルキル基、好ましくは4~8個の炭素原子を有するシクロアルキルメチル基を含む、1~25個の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和炭化水素基を意味する。
本明細書で使用される場合、「置換アルキル」は、sp3炭素原子を介して結合し、1つ若しくは複数のアリール基で置換され、かつ/又はN、S若しくはO等の1つ若しくは複数のヘテロ原子を含む、先に定義されたもの等のアルキル基を意味する。好適な例は、アリールアルキル基、例えば(-CPh3)-トリチル基、ベンジル基(Bnと表記される)又は4-メトキシベンジル基、アルコキシアルキル基、特にジアルコキシメチル基、例えばジエトキシメチル又はジメトキシメチル基、CH2CO2R11基を含み、R11は任意で置換されたアルキル基又はアリール基を表す。
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」は、酸素原子を介して分子の残りに結合したアルキル基、例えばエトキシ、メトキシ、又はn-プロポキシ基を意味する。
本明細書で使用される場合、「アリールオキシ」は、酸素原子を介して分子の残りに結合したアリール基、例えばベンゾキシ基を意味する。
本明細書で使用される場合、「アシル」は、ヒドロキシル基を除去することによりカルボン酸から生じ、好ましくは式-C(O)R8を有し、R8はアリール又は任意で置換されたアルキル基を表す、基、例えばアセチル、トリフルオロアセチル、プロピオニル、オレオイル、ミリストイル又はベンゾイル基を意味する。
本明細書で使用される場合、「スルホニル」は、ヒドロキシル基を除去することによりスルホン酸から生じ、好ましくは式-SO2R9を有し、R9は任意で置換されたアルキル基又はアリール基を表す、基を意味する。
本明細書で使用される場合、「スルフィニル」は、ヒドロキシル基を除去することによりスルフィン酸から生じ、好ましくは式-SOR10を有し、R10は任意で置換されたアルキル基又はアリール基を表す、基を意味する。
本明細書で使用される場合、「ジチオ炭酸基」は式-OC(S)SR9cの基を意味し、R9cは任意で置換されたアルキル基又はアリール基を表す。
本明細書で使用される場合、「炭酸基」は式-OC(O)OR9dの基を意味し、R9dは任意で置換されたアルキル基又はアリール基を表す。
本明細書で使用される場合、「エステル基」は式-C(O)OR10'の基を意味し、R10'は任意で置換されたアルキル基又はアリール基を表す。
本明細書で使用される場合、「アミド基」は式-C(O)NR9'R9"の基を意味し、R9'は任意で置換されたアルキル基又はアリール基を表し、R9"は任意で置換されたアルキル基、アリール基又は水素原子を表す。
本明細書で使用される場合、「チオアミド基」は式-C(S)NR9aR9bの基を意味し、R9aは任意で置換されたアルキル基又はアリール基を表し、R9bは任意で置換されたアルキル基、アリール基又は水素原子を表す。
本明細書で使用される場合、「スルホンアミド基」は式-SO2NR11'R11"の基を意味し、R11'は任意で置換されたアルキル基又はアリール基を表し、R11"は任意で置換されたアルキル基、アリール基又は水素原子を表す。
本明細書で使用される場合、「アリール」は、1つのみの環(例えばフェニル基)又は複数の融合した環(例えばナフチル及びテルフェニル基)を含み、1つ又は複数の基、例えば、以下に限定されるわけではないが、アルキル(例えばメチル)、ヒドロキシアルキル、アミノ-アルキル、ヒドロキシル、チオール、アミノ、ハロゲノ(フルオロ、ブロモ、ヨード、クロロ)、ニトロ、アルキルチオ、アルコキシ(例えばメトキシ)、アリールオキシ、モノ-アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヒドロキシスルホニル、アルコキシスルホニル、アリールオキシスルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、シアノ、トリフルオロメチル、テトラゾリル、カルバモイル、アルキルカルバモイル及びジアルキルカルバモイル基で任意で置換されていてよい、芳香族一価炭素環式基を意味する。代わりに、芳香環の2つの隣接する位置が、メチレンジオキシ又はエチレンジオキシ基で置換されていてもよい。本明細書で使用される場合、「アリール」は、「ヘテロアリール」基、すなわち1つ又は複数の芳香環の1つ又は複数の炭素原子が、窒素、酸素、リン又は硫黄原子等の1つのヘテロ原子で置換された芳香環も含む。ヘテロアリール基は、1つ若しくはいくつかの芳香環を含有する構造、又は1つのみ若しくはいくつかの芳香環が1つ若しくは複数の非芳香環に結合した構造であってよい。多くの環を有する構造では、環が、融合しているか、共有結合しているか、又はメチレン、エチレン若しくはカルボニル基等の二価の一般的な基を介して互いに結合していてよい。ヘテロアリール基の好適な例は、チオフェン基(2-チエニル、3-チエニル)、ピリジン基(2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、イソキサゾール、フタルイミド、ピラゾール、インドール及びフラン基、更にそれらのベンゾ融合アナログ、フェニルピリジルケトン、キノリン、フェノチアジン、カルバゾール及びベンゾピラノンを含む。本明細書で使用される場合、「サッカリル基」は、天然又は合成、保護された又は保護されていない炭水化物又は糖から、ヒドロキシル基又は水素原子(好ましくはヒドロキシル基)を除去することにより生じる全ての基を含む。サッカリル基は、モノサッカリル又はオリゴサッカリル基、例えばジサッカリル基を含んでいてよい。サッカリル基、例えばグルコシル及びマンノシル基は、糖、例えば、以下に限定されるわけではないが、グルクロン酸、ラクトース、スクロース、マルトース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、イドース、ガラクトース、タロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、フルクトース、トレオース、エリトロース、[ベータ]-D-N-アセチルガラクトサミン、[ベータ]-D-N-アセチルグルコサミン、フコース、シアル酸、N-アセチルノイラミン酸、N-アセチルムラミン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、ラムノース並びにそれらの、例えばアシル、アルキル、アリール、ハロゲノ及びアミノ基で置換された保護又は置換アナログ、更にそれらのデソキシ型アナログから生じうる。
本明細書で使用される場合、オリゴサッカリル基は、好ましくは1~3個のサッカライド単位を含む、少なくとも2つの共有結合したモノサッカライドから生じるサッカリル基を意味する。サッカライド型構造についての記載に関しては、「Essentials of Glycobiology」、Varkiら編、2章(Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1999)を参照のこと。好ましいサッカリル基はモノサッカリル基である。式(1)の化合物において、R2aが-X-R2基を表し、R2がサッカリル基を表す場合、前記サッカリル基は、好ましくはO又はNH、好ましくはOを表すX基を介して結合している。
本明細書で使用される場合、「サッカライド」は、モノサッカライド又はオリゴサッカライドを意味する。
「Bn」はベンジル基を表し、「Ac」はアセチル基を表す。
本発明の一部の化合物は、溶媒和又は非溶媒和形態、例えば水和物として等しく存在していてよい。概して、溶媒和形態は非溶媒和形態と同等であり、本発明の枠内に含まれる。本発明の一部の化合物は、複数の各種結晶又は非晶質形態を有していてよい。概して、全ての物理形態は、本発明により意図される使用について同等であり、本発明の枠内に含まれる。
本発明の化合物は、いくつかの不斉(光学)中心を有し、ゆえに鏡像異性体又はジアステレオ異性体が存在しうる。本発明が、式(1)の化合物の全ての鏡像異性体及びジアステレオ異性体、更にそれらの混合物、特にラセミ体に基づく混合物を含むことが理解される。異なる異性体は、当業者に既知の方法、とりわけシリカゲルクロマトグラフィー又は分別結晶に基づく方法に従って分離されうる。
式(1)の好ましい化合物は、Y=Z=Oである化合物、すなわち1,2-オキサホスフィナン2-オキシド化合物である。
本発明の化合物において、R1置換基は、水素原子を表さない場合、常に、炭素原子を介して環内リン原子に結合している。
好ましいR1基は、H、アルキル基、例えば2-ベンジルオキシエチル、エチル、n-ブチル、3-フェニルプロピル、n-オクチル、ジアルコキシメチル基、例えばジエトキシメチル又はジメトキシメチル基、アリール基、例えばフェニル、4-メチルフェニル、4-ニトロフェニル、4-アミノフェニル、4-メトキシフェニル、3,4-ジフルオロフェニル、2-チエニル、4-フルオロフェニル、4-ビフェニル、3-メチルフェニル、3-メトキシフェニル及び3,5-ジフルオロフェニル基、更に以下の基を含む。
具体的な一実施形態において、R1はフェニル基である。
好ましいR2基は、H、アリールスルホニル、メチルスルホニル、トリクロロアセトイミデート、ベンジル、サッカリル及びアリール基、例えばフェニル、4-メチルフェニル、4-ニトロフェニル、4-アミノフェニル、3,4-ジフルオロフェニル、3,5-ジフルオロフェニル、及び3,4-ジニトロフェニル基を含む。
好ましいX-R2基は、O-アリール、OH、NH2、NH-アリール、S-アリール及びジチオ炭酸基、又はR11が先に定義されたもの等であるNHCH2CO2R11、R12がアリール基若しくは任意で置換されたアルキル基を表すNHC(O)R12、R9が先に定義されたもの等であるO-SO2R9、NH-Bn、O-サッカリル、OC(=NH)CCl3、ホスホン酸、ホスフィン酸又はホスフィンオキシド、尿素、チオ尿素、カルバミン酸及び炭酸基を含む。
具体的な一実施形態によれば、X-R2はOHであり、好ましくはR1はフェニル基である。
好ましくは、R3及びR4は互いに独立に、水素原子、ベンジル、ベンゾイル若しくはアセチル基を表すか、又はR3及びR4は一緒に、好ましくはイソプロピリデン基を表す、式-R3-R4-の二価の基を形成する。
具体的な一実施形態によれば、R3及びR4はベンジル基を表し、かつ/又はR1はフェニル基であり、かつ/又はX-R2はOHである。
別の具体的な実施形態によれば、R3及びR4はベンジル基を表し、好ましくはR1はフェニル基であり、かつ/又はX-R2はOHである。
本発明の好ましい一実施形態によれば、R5は、式(1)の化合物が以下の式(2)又は(3)を有するようなものである。
(式中、R1、R2a、R3、R4、Y及びZは先に定義されたものであり、R14、R15及びR16は互いに独立に、水素原子、アリール、任意で置換されたアルキル基、トリクロロアセトイミデート基、アシル、ホルミル、スルホニル、スルフィニル、tert-ブチルジフェニルシリル基、アリル、エステル、アミド、チオアミド、スルホンアミド基を表すか、又はR15及びR16は一緒に式-R15-R16-の二価の基を形成し、-R15-R16-は、好ましくはイソプロピリデン、ベンジリデン、ジフェニルメチリデン、シクロヘキシルメチリデン基、及びそれらの置換アナログ、例えば4-メトキシベンジリデン基、又はエチレン基等の直鎖状アルキレン基を表す)
具体的な一実施形態によれば、R14はベンジル基を表し、好ましくは、先に詳述された少なくとも1つ又は複数の具体的な実施形態とともに、R3及びR4がベンジル基を表し、かつ/又はR1がフェニル基であり、かつ/又はX-R2がOHである場合を含む。
R5は、水素原子を表さない場合、好ましくは1~25個の炭素原子、好ましくは1~20個の炭素原子、より好ましくは1~10個の炭素原子、更により好ましくは1~8個の炭素原子を有する。R5は、好ましくは酸素、硫黄又は窒素、より好ましくは酸素から選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含む、任意で置換されたアルキル基を表していてよい。好ましいR5基は、アルコキシアルキル基、例えばベンジルオキシメチル(-CH2OBn)、-CH2OH、2,2-ジメチル-[1,3]-ジオキソラン-4-イル及び1,2-ジヒドロキシ-エチルCH(OH)CH2OH基を含み、これは、式(2)及び(3)ではR14=H又はBnであり、R15=R16=Hであるか、又はR15及びR16は一緒にイソプロピリデン基を形成することを意味する。
具体的な一実施形態によれば、線維症の治療において有用な化合物は、
3-ヒドロキシ-4,5-ビス-ベンジルオキシ-6-ベンジルオキシメチル-2-フェニル-2-オキソ-2λ5-[1,2]オキサホスフィナン、
4-(2,2-ジメチル-[1,3]ジオキソラン-4-イル)-2,2-ジメチル-2-オキソ-2-フェニル-テトラヒドロ-6λ*5*-[1,3]ジオキソロ[4,5-d][1,2]オキサホスフィナン-3-アミノベンジル、より詳細には(3aR,6S,7S,7aS)-7-(ベンジルアミノ)-4-((R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)-2,2-ジメチル-6-フェニルテトラヒドロ-[1,3]ジオキソロ[4,5-d][1,2]オキサホスフィニン6-オキシド(本明細書では化合物3.3とも呼ばれる)、
N-((2S,3S,4S,5S,6R)-4,5-ビス(ベンジルオキシ)-6-((ベンジルオキシ)メチル)-2-オキシド-2-フェニル-1,2-オキサホスフィナン-3-イル)アセトアミド(本明細書では化合物2.2とも呼ばれる)、
4,5-ビス-ベンジルオキシ-6-ベンジルオキシメチル-フェニル-2-オキソ-2λ5-[1,2]オキサホスフィナン-3-アミノベンジル、より詳細には(2S,3S,4S,5S,6R)-3-(ベンジルアミノ)-4,5-ビス(ベンジルオキシ)-6-((ベンジルオキシ)メチル)-2-フェニル-1,2-オキサホスフィナン(本明細書では化合物4.6とも呼ばれる)、
(2S,3S,4S,5S,6R)-4,5-ビス(ベンジルオキシ)-6-((ベンジルオキシ)メチル)-3-ヒドロキシ-2-(4-フェノキシフェニル)-1,2-オキサホスフィナン2-オキシド(本明細書では化合物3.0とも呼ばれる)、及び
(3aR,6R,7R,7aS)-4-((R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)-2,2-ジメチル-6-オキシド-6-フェニルテトラヒドロ-[1,3]ジオキソロ[4,5-d][1,2]オキサホスフィニン-7-イルベンゾエート(本明細書では化合物4.2とも呼ばれる)からなる群において選択される。
より具体的な一実施形態において、線維症の治療において有用な化合物は、3-ヒドロキシ-4,5-ビス-ベンジルオキシ-6-ベンジルオキシメチル-2-フェニル-2-オキソ-2λ5-[1,2]オキサホスフィナンである。
化合物3-ヒドロキシ-4,5-ビス-ベンジルオキシ-6-ベンジルオキシメチル-2-フェニル-2-オキソ-2λ5-[1,2]オキサホスフィナンの調製は、例えばWO2009/004096、WO2014/128429、及びWO2018/054925に記載されるように実施されてよい。
本発明に従って使用される、化合物3-ヒドロキシ-4,5-ビス-ベンジルオキシ-6-ベンジルオキシメチル-2-フェニル-2-オキソ-2λ5-[1,2]オキサホスフィナンは、好ましくは以下の式(I)を有する。
したがって、本発明は、線維性疾患の治療のための方法における使用のための、式(1)の化合物、好ましくは3-ヒドロキシ-4,5-ビス-ベンジルオキシ-6-ベンジルオキシメチル-2-フェニル-2-オキソ-2λ5-[1,2]オキサホスフィナン、より好ましくはPST3.1とも呼ばれる式(I)の化合物に関する。
更なる一態様において、本発明は、GnT-V活性の阻害による線維症の治療における使用のための、先に詳述される式(1)の化合物に関する。
更なる一態様において、本発明は、コラーゲン線維、より詳細には1、3及び/若しくは4型コラーゲンの生成の阻害による、並びに/又は線維芽細胞遊走の阻害を含む、細胞マトリックス及び/若しくは細胞/細胞相互作用に関与する機構の阻害による線維症の治療における使用のための、式(1)の化合物に関する。
本発明は、線維性疾患の治療のための医薬又は医薬組成物の製造のための、本明細書で定義される式(1)の化合物、特に3-ヒドロキシ-4,5-ビス-ベンジルオキシ-6-ベンジルオキシメチル-2-フェニル-2-オキソ-2λ5-[1,2]オキサホスフィナン、好ましくはPST3.1とも呼ばれる式(I)の化合物の使用を更に提供する。具体的な一態様において、線維症の治療は、GnT-V活性の阻害による。更なる具体的な一態様において、線維症の治療は、コラーゲン線維、より詳細には1、3及び/若しくは4型コラーゲンの生成の阻害により、並びに/又は線維芽細胞遊走の阻害を含む、細胞マトリックス及び/若しくは細胞/細胞相互作用に関与する機構の阻害による。
本発明は、有効量の、本明細書で定義される式(1)の化合物、特に3-ヒドロキシ-4,5-ビス-ベンジルオキシ-6-ベンジルオキシメチル-2-フェニル-2-オキソ-2λ5-[1,2]オキサホスフィナン、好ましくはPST3.1とも呼ばれる式(I)の化合物を、そのような治療を必要とする患者において投与することにより、それを必要とする患者における線維性疾患を治療するための方法を更に提供する。具体的な一態様において、線維症の治療は、GnT-V活性の阻害による。更なる具体的な一態様において、線維症の治療は、コラーゲン線維、より詳細には1、3及び/若しくは4型コラーゲンの生成の阻害により、並びに/又は線維芽細胞遊走の阻害を含む、細胞マトリックス及び/若しくは細胞/細胞相互作用に関与する機構の阻害による。
本発明によれば、用語「線維症」は、具体的には肺、腎、肝、心、筋、皮膚、軟部組織(例えば縦隔又は後腹膜)、骨髄、腸、大動脈及び関節(例えば膝、肩又は他の関節)線維症を含む。具体的には、線維症から生じる用語「線維性疾患」は、肺線維症、特発性肺線維症、嚢胞性線維症、心内膜心筋線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、進行性塊状線維症(炭坑夫塵肺の合併症)、腎性全身性線維症、クローン病、ケロイド、陳旧性心筋梗塞、強皮症、全身性硬化症、関節線維症及び癒着性関節包炎の一部の形態を含む。
具体的な一実施形態によれば、式(1)の化合物は、肝、腎又は皮膚線維症の治療、より詳細にはケロイド又は強皮症を含む腎又は皮膚線維症の治療における使用のためのものである。
具体的な一実施形態によれば、本発明は、肝、腎又は皮膚線維症の治療、より詳細にはケロイド又は強皮症を含む腎又は皮膚線維症の治療のための医薬又は医薬組成物の製造のための、本明細書で定義される式(1)の化合物の使用に関する。
具体的な一実施形態によれば、本発明は、有効量の、本明細書で定義される式(1)の化合物を、そのような治療を必要とする患者において投与することにより、それを必要とする患者における肝、腎又は皮膚線維症を治療するための、より詳細にはケロイド又は強皮症を含む腎又は皮膚線維症を治療するための方法に更に関する。
別の具体的な実施形態によれば、式(1)の化合物は、大動脈線維症の治療における使用のためのものである。
具体的な一実施形態によれば、本発明は、大動脈線維症の治療のための医薬又は医薬組成物の製造のための、本明細書で定義される式(1)の化合物の使用に関する。
具体的な一実施形態によれば、本発明は、有効量の、本明細書で定義される式(1)の化合物を、そのような治療を必要とする患者において投与することにより、それを必要とする患者における大動脈線維症を治療するための方法に更に関する。
式(1)の化合物は、医薬組成物として提供されてよい。医薬組成物は、薬学的に許容されるアジュバント及び/又は担体を更に含んでいてよい。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、生理的に適合する、任意の及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤等を含む。担体は、例えば注射又は注入による、非経口、例えば静脈内、筋肉内、皮内、眼内、腹腔内、皮下、脊髄又は他の非経口投与経路に好適であってよい。代わりに担体は、非経口でない投与、例えば局所、上皮又は粘膜投与経路に好適であってもよい。担体は、経口投与に好適であってもよい。投与経路次第で、本発明の化合物は、化合物を不活性化させるおそれのある酸及び他の自然条件の作用から化合物を保護するための物質にコーティングされていてよい。本発明の医薬組成物は、1種又は複数の薬学的に許容される塩を含んでいてよい。「薬学的に許容される塩」は、親化合物の所望の生物活性を保持し、望ましくない毒性効果を何ら与えない塩を指す。そのような塩の例は、酸付加塩及び塩基付加塩を含む。
薬学的に許容される担体は、水性担体又は希釈剤を含む。本発明の医薬組成物に利用されうる好適な水性担体の例は、水、緩衝水及び生理食塩水を含む。他の担体の例は、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、及びそれらの好適な混合物、植物油、例えばオリーブ油、及び注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルを含む。多くの場合で、組成物中に、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、又は塩化ナトリウムを含むことが望ましい。治療用組成物は通常、製造及び保存条件下で無菌かつ安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルション、リポソーム、又は他の、高い薬物濃度に好適な指示される構造として製剤化されてよい。
本発明の医薬組成物は、更なる活性成分を含んでいてよい。特に線維症疾患の治療のための、本明細書で定義される式(1)の化合物及び使用説明書を含むキットも、本発明の範囲内である。キットは、1つ又は複数の更なる試薬、例えば先に論じられた更なる治療又は予防剤を更に含有していてよい。本発明の化合物又は前述のものを含む組成物は、線維性疾患の治療のため投与されてよい。
一実施形態において、線維性疾患の治療は治療処置である。治療上の適用において、化合物は、先に記載された障害又は状態に既に罹患している対象に、状態又はその症状のうちの1つ若しくは複数を治癒させるか、軽減させるか又は部分的に抑えるのに十分な量で投与される。そのような治療処置は、疾患症状の重症度の低下、又は無症状期間の頻度若しくは期間の増大をもたらしうる。これを実現するのに十分な量が、「治療有効量」と定義される。
一実施形態において、線維性疾患の治療は予防処置である。予防上の適用において、製剤は、先に記載された障害又は状態のリスクがある対象に、状態又はその症状のうちの1つ若しくは複数のその後の効果を予防するか又は低減させるのに十分な量で投与される。これを実現するのに十分な量が、「予防有効量」と定義される。
治療は、進行を治癒させるか、遅延させるか、若しくはゆっくりにさせ、ゆえに患者の状態を改善するための、宣告された障害を有する患者への、又は健康な対象、特に線維性疾患を発症するリスクがある対象への、化合物又は前述のものを含有する医薬組成物の投与を伴う。
本発明に従って治療される対象は、線維性疾患に関連するいくつかの基準、例えば以前の薬物治療、関連病理、遺伝子型、リスク因子への曝露、ウイルス感染、更に画像化方法及び免疫学的、生化学的、酵素的、化学的、又は核酸検出方法により評価可能な、任意の他の関連バイオマーカーに基づいて選択されてよい。
各目的についての有効量は、疾患又は傷害の重症度、更に対象の体重及び全身状態によって決まる。
投与のための対象はヒト又は非ヒト動物であってよい。用語「非ヒト動物」は、全ての脊椎動物、例えば、哺乳動物及び非哺乳動物、例えば非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類等を含む。ヒトへの投与が通常である。
式(1)の化合物は、先に定義された医薬組成物を使用することにより有効量で投与されてよい。本発明の文脈内で、用語「有効量」は、所望の治療結果を生み出すのに十分な化合物の量を指す。
投与に関する頻度及び/又は用量は、患者、患者の体重、病理、投与形態等に応じて、当業者により適合されてよい。投与は、必要に応じて毎日又は1日あたり数回実施されてよい。
更なる一実施形態において、本発明は、有効量の、式(1)の少なくとも1つの化合物又は前述のものを含有する医薬組成物の、そのような治療を必要とする対象への投与を含む、線維性疾患を治療する方法を提供する。
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照して更に記載される。
(実施例1)
材料及び方法
オスのSprague-Dawleyラットに5/6腎亜全摘術を施し(SNx)、SNxラットが尿細管間質線維症を発症したため、腎線維症モデルとして使用した。この手術の間、右腎が除去され、腎臓の2/3を壊死させるために、左腎動脈の分枝3本中2本が結紮される。対照腎臓は腎摘除術前の右腎である。尿細管間質腎線維症は、原発性腎疾患とは無関係に、必ず腎機能低下及び不全につながる。SNxラットでは、血漿クレアチニン濃度が25.7±1.3μMから120.0±33.0μMに増大するということに注目すべきである。シリウスレッド染色は、パラフィン包埋された腎臓組織切片において、コラーゲンを染色することにより線維症を強調する。5マイクロメートル厚さの切片を切断し、スライドガラスに載せた。スライドガラスを脱パラフィンし、コラーゲン局在性の評価のためにシリウスレッドで染色した。コラーゲンについての陽性シグナルは濃い赤色として見られた。切片をEntelan封入剤に封入し、顕微鏡下で検査した。各試料に関して、200倍の倍率で、腎臓切片の10の範囲から撮影された写真について、Image Jソフトウェアにより定量化を実施した。腎臓切片範囲について染色面積を測定した。パラフィン切片を使用して、腎臓切片の免疫組織化学的分析も実施した。一次抗体、抗Mgat5を4℃で一晩インキュベートした。Universal vectastain ABCキット及びImmPACT AEにより、供給業者、Vector Laboratories社の説明書に従って、顕色を実施した。次いで、切片を水性封入剤、VectaMount(商標)AQに封入し、顕微鏡(Nikon Eclipse TE300)下で検査した。組織学的染色に関して定量化を実施した。
結果
腎亜全摘術(SNx)モデルにおいて、腎不全の12週齢ラットにおける線維症の発症及びMgat5過剰発現が実証される(図1)。腎摘除術前はコラーゲン線維が均一に分布し、手術から12週後には線維症の多数の凝集物が観察される。結果は、線維症の15.4±1.4%という有意な増大を示す。Mgat5の発現も、手術後に14.5±2.6%有意に増大する。これらの結果は、腎線維症の増大がMgat5の発現の増大に関連することを示唆する。
(実施例2)
材料及び方法
化合物3.1を、28日につき1日、20mg/kgで対照ラット及びSNxラット(先に記載)に経口的に投与した。対照は、化合物3.1と同じ様式で投与される媒体(化合物3.1不含)により実施した。Sprague Dawleyラットが使用される。ラットは自由に摂食させ、12時間の明周期、12時間の暗周期に置かれる。ラットは1ケージあたり3匹に分けられる。一部のラットは、慢性腎不全を発症するように5/6腎亜全摘術を施され(SNx)、これが腎線維症の発症につながる。3.1a治療剤を腎摘除術の当日にラットに投与し、プロトコル全体の間継続した。治療剤は、飲用水で希釈されたナノ懸濁液として送達される。対照ラットには溶媒単独(プラセボ)を与える。組織学的及び免疫組織化学的方法を、実施例1に記載されるようにモニタリングした。
結果
4週目に、3.1及びプラセボを摂取する対照及びSNxラットにおいて、血漿クレアチニン濃度を測定した。クレアチニンは、腎摘除されたラットにおいて有意に増大し(p<0.0001)、これがモデルを検証した。SNx処理されたラットは、SNxラットよりも低い血清クレアチニンを有する。
線維症の発症は、組織学的切片に対するシリウスレッドでの染色により観察される(図2)。4週目に、対照ラット(7.7±1.3%)と比較して、SNxラットでは有意に増大した線維症が観察された(4.1±0.2%)。対照SNxと比較して、SNxラット(5.8±1.2%)では、処理による線維症の減少傾向が観察される。観察のこの時点では、健康な動物又はSNxにおける線維症に対する処理の有意な効果はない。コラーゲン等の他のマーカーは腎線維症の発症を測定することができる(図3)。結果は、対照ラットと比較して、SNxラットでは高濃度のI、III及びIV型コラーゲンを示す。I型コラーゲンに関して、効果がSNxに対して観察され、I型コラーゲンのパーセンテージが腎摘除術後に3倍となり、対照群の0.7±0.1%からSNx群の2.1±0.2%となる(p=0.0001)(図3A)。未処理のものと比較して、腎機能障害を有する処理されたラット(1.3±0.3%)では、I型コラーゲン発現の有意な減少(p=0.014)が観察された。3.1は、腎線維症におけるI型コラーゲンの発現を有意に減少させる。IV型コラーゲンの発現について得られた結果は、I型コラーゲンについて得られたものと同様である(図3B)。IV型コラーゲンの発現は、対照群の5.2±0.8%からSNx群の9.4±1.0%となった(p=0.0002)。3.1は、腎線維症におけるIV型コラーゲンを有意に減少させる(6.4±0.3%に対し9.4±1.0%;p=0.015)。III型コラーゲンについてもSNx効果があり、III型コラーゲンのパーセンテージは、対照ラットと比較して、腎摘除術を施されたラットでは3倍となった(5.5±1%対1.7±0.2%、それぞれp=0.0007)(図3C)。3.1による処理は、未処理のものと比較して、SNxラット(4.0±0.3%)においてIII型コラーゲンのレベルを低減させる傾向を示す(p=0.27)。対照では、III型コラーゲンに対する処理効果はなかった。
MGAT5活性から生じるグリコシル化は、L-PHAレクチン染色により具体的に測定される。これらの結果から、この経路に対する3.1処理の有効性を評価することが可能となる(図4)。PHA-L染色は、対照群の3.7±0.4%からSNx群の6.8±1.0%となる。未処理のものと比較して、腎機能障害を有する処理されたラットでは、PHA-L染色の有意な減少が観察された(5.1±0.5%に対し6.8±1.0%)。
(実施例3)
材料及び方法
血管線維症のモデルは、ex vivoでの大動脈リング石灰化である。大動脈石灰化は腎不全(慢性腎疾患)の古典的な合併症であり、心血管疾患に強く関与する血管線維症のモデルでもある。胸部大動脈を、横隔膜と交差する大動脈の下行部から採取した。隣接する結合組織を穏やかに除去し、大動脈を3回連続のPBS洗浄にかけた。大動脈をおよそ2mm厚さのリングとして切断し、15%FCS及び3.8mM NaH2PO4/Na2HPO4を添加した、4.5g.L-1グルコース、10mMピルビン酸ナトリウム及び50mg.mL-1アスコルビン酸を含有する基本培地ダルベッコ改変イーグル培地を有する24ウェルプレートにおいて、大動脈リングを14日間培養して、石灰化を誘導した。実施例1に記載されるように、組織学的及び免疫組織化学的方法をモニタリングした。
結果
石灰化培地において培養された大動脈リングは、線維症に関連する中膜石灰化(mediacalcosis)を示す、動脈外植片の中膜層に沿って分布する陽性von Kossa染色を呈した(図5A及び図5B)。対照培地では、大動脈リングにおいてカルシウム沈着は観察されなかった。線維症は、石灰化大動脈リングのex vivoモデルで5倍多く、GnT-Vの免疫染色は、非石灰化大動脈リングと比較して、対応するGnT-Vタンパク質の大きな増大を示す(3.5±0.7%に対し14.0±2.7%)。
(実施例4)
材料及び方法
NIH3T3線維芽細胞を、24ウェルプレート、DMEM+10%FBSに、1cm2あたり40000細胞で播種した。
創傷/処理前に、細胞を血清不含DMEM中で2回洗浄し、次いで適切な条件、DMEM+2.5%FBS、TGFβ+/-、PST3.1+/-においてインキュベートした。
TGFβ5ng/ml;PST3.1 1μM、1処理あたりn=6ウェル。
t0時点で、針を使用して細胞層が引っかかれ、imageJソフトウェアを使用して引っかき傷の幅を測定するためのスケール尺度基準を使用して1ウェルあたり写真3枚を撮影するため、顕微鏡下で観察される。
所望の条件におけるインキュベーションから24h後、同じ基準を使用して同じスケールで写真3枚を撮影することにより、顕微鏡下で引っかき傷が測定される。
データは終了時のパーセンテージを算出することにより処理される。
結果
結果が以下のTable 1(表1)に集約される。
化合物3.1は、この創傷治癒阻害試験における最も活性な化合物と思われる。
(実施例5)
STAMモデル(SMC Laboratories社、日本、https://www.smccro-lab.com/により開発及び規格化)は、ヒト非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)及び肝細胞癌(HCC)と同じ疾患進行を再現するモデルであり、罹患した患者の25%(すなわち成人人口の20%~25%)において、非アルコール性脂肪肝疾患がNASHに進行し、これが硬変、肝不全、及び肝細胞癌の発症リスクを増大させる。NASHの患者において、肝線維症は死亡率の主要な決定因子である(https://doi.org/10.1053/j.gastro.2019.11.311)。このモデルにおいて、インスリン分泌能を低減させるため、2日齢のオスのC57BL/6マウスに単回用量のストレプトゾトシンを与える。マウスが4週齢になると、高脂肪食摂食を開始する。このモデルは、脂肪肝、NASH、線維症及びその結果肝がん(HCC)に進行する後期2型糖尿病の背景を有する。他のNASH-HCCモデルマウスと比較して、疾患が比較的短期間で進行し、20週齢の動物の100%で肝がんが発症する。
モデルは、ヒトNASHの病理学的特性のうちの多くを再現することができる。
細胞の膨化変性、ヒトNASHの特徴的な病理学的特性;線維症が進行するにつれて脂肪滴が減少するバーンアウト(burned-out)NASH。
中心静脈周辺に発生する線維症の進行。
ALT(肝傷害マーカー)の緩やかな上昇。
CK-18等のNASHマーカーの増大。
ヒトHCCマーカーの増大、例えば:グルタミン合成酵素、グリピカン-3及びAFPが観察されている。
材料及び方法
C57BL/6JJmsSlcマウス(妊娠14日のメス)をJapan SLC、Inc.社(日本)から得た。誕生から2日後、ストレプトゾトシン200μg(STZ、Sigma-Aldrich社、USA)溶液の単回皮下注射により、オスのマウスにおいてNASHが誘導され、4週齢後は高脂肪食(HFD、57kcal%脂肪、Cat#HFD32、CLEA Japan、Inc.社、日本)を摂食させる。
滅菌された固形HFDが自由に供給され、製造業者の説明書に従って2日ごとに1回交換される。次いで、NASHモデルマウスが、処理開始の前日に、体重に基づいて、6週齢のマウス10匹の無作為化された群3つに分けられる。無作為化は、Excelソフトウェアを使用して体重階層化無作為抽出により実施した。NASHモデルマウスを体重により階層化して、群間の平均体重のSD及び差を可能な限り小さくした。
群1:媒体(6~9週齢の、プラセボナノ懸濁液を体積10mL/kgで1日2回経口的に投与されるNASHマウス10匹)。
群2:化合物3.1(PST3.1)(6~9週齢の、化合物3.1ナノ懸濁液を用量15mg/kg、体積10mL/kgで1日2回(2*15mg/kg/日)経口的に投与されるNASHマウス10匹)。
群3:テルミサルタン(NASHマウス10匹が、6~9週齢で、テルミサルタンを添加された媒体を用量10mg/kg、1日1回、体積10mL/kgで経口的に投与される)。媒体及び化合物3.1はPhost'in Therapeutics SAS社により供給された。テルミサルタン(Micardis(登録商標))はBoehringer Ingelheim GmbH社(ドイツ)から購入した。
テルミサルタン、低分子降圧薬はその抗線維化活性ゆえに使用されてきたが、全身性低血圧を引き起こすことから、その臨床使用は限定される(https://doi.org/10.1038/s41551-018-0279-x)。
処理から3週間後、マウスを屠殺し、全肝を採取し冷たい生理食塩水で洗浄した。個々の全肝(壁側及び臓側)を写真撮影した。肝臓質量を測定し、肝臓対体重比を算出した。肝臓の外側左葉が分離され、図6に記載されるように解剖され、以下に記載されるように保存される。
a:肝臓検体を、Optimal Cutting Temperature(O.C.T.、Sakura Finetek Japan社、日本)化合物に包埋して-80℃で保存した。
b:肝臓検体をブアン溶液(Sigma-Aldrich社、日本)で24時間固定した。固定後、これらの検体をシリウスレッド染色のためのパラフィン包埋に進めた。
c:肝臓検体を液体窒素中で瞬間凍結させ、-80℃で保存した。
回転式ミクロトーム(Leica Microsystems社)を使用して、肝臓組織のパラフィンブロックから切片を切断した。切片化後、各スライドガラスに盲検評価のため番号を振った。
コラーゲン堆積を可視化するため、ピクロシリウスレッド溶液(FUJIFILM Wako Pure Chemical Corporation社)を使用して、ブアン固定肝臓切片を染色した。簡潔に言えば、切片をキシレン、一連の100~70%アルコール及びRO水で脱パラフィン及び親水化し、次いで0.03%ピクロシリウスレッド溶液(Cat No.:194-16202)で60分間処理した。0.5%酢酸溶液及びRO水による洗浄後、染色された切片を一連の70~100%アルコール及びキシレンで脱水及び透徹し、次いでEntellan(登録商標)new(Merck社、ドイツ)で封入し、観察に使用した。
線維症面積の定量的分析のため、デジタルカメラ(DFC295;Leica社、ドイツ)を使用して、200倍の倍率で、中心静脈周辺でシリウスレッド染色切片の明視野画像を得、5範囲/切片における陽性面積をImageJを使用して測定した。Prismソフトウェア6(GraphPad Software社、USA)を使用して統計分析を実施した。統計分析はボンフェローニ多重比較検定を使用して実施した。結果を平均±SDとして表した。以下の群間で比較を行った;1)群1(媒体)対群2(PhOx430);2)群1(媒体)対群3(テルミサルタン)。
結果
処理から3週間後、化合物3.1により処理された群2の動物では、死亡、体重減少及び臨床徴候が観察されなかった(図7を参照のこと)。
シリウスレッド染色肝臓切片の定量化により、このマウスモデルにおける化合物3.1ナノ懸濁液の経口投与後の、線維症発症の明確かつ有意な減少が実証される(図8及び図9を参照のこと)。
群1、媒体:陽性面積0.84±0.31%
群2、化合物3.1:陽性面積0.47±0.12%、p値<0.01。
群3、テルミサルタン:陽性面積0.50±0.24%、p値<0.01。

Claims (14)

  1. 線維性疾患の治療における使用のための式(1)の化合物であって、以下の式(1)を有する、化合物。
    (式中、Yは、酸素、硫黄又はセレン原子、好ましくは酸素原子を表し、
    Zは、O、S、Se、NH、又はR6がアリール又は任意で置換されたアルキル基であるNR6基、好ましくは酸素原子を表し、
    R1は、水素原子、任意で置換されたアルキル基又はアリール基を表し、
    R2aは、水素原子、ハロゲン、アジド(N3)、炭酸又はジチオ炭酸基、1H-[1,2,3]トリアゾリル基又は-X-R2基を表し、
    Xは、酸素、硫黄、セレン原子、NH又はNR7基を表し、R7は任意で置換されたアリール又はアルキル基であり、Xは好ましくはO又はNHを表し、
    R2は、アリール基、任意で置換されたアルキル基、水素原子、トリクロロアセトイミデート基(-C(=NH)CCl3)、アシル、ホルミル、スルホニル、スルフィニル、tert-ブチルジフェニルシリル、アリル基、サッカリル、エステル、アミド、チオアミド、スルホンアミド基を表すか、又はX-R2は、P(O)R2R6基を表し、R2及びR6は互いに独立に、アリール基、任意で置換されたアルキル基、OH、アルコキシ又はアリールオキシ基を表し、
    R3及びR4は互いに独立に、アリール、任意で置換されたアルキル基、水素原子、トリクロロアセトイミデート基、アシル、ホルミル、スルホニル、スルフィニル、tert-ブチルジフェニルシリル基、アリル、エステル、アミド、チオアミド、スルホンアミド基を表すか、又はR3及びR4は一緒に式-R3-R4-の二価の基を形成し、-R3-R4-は、好ましくはイソプロピリデン、ベンジリデン、ジフェニルメチリデン、シクロヘキシルメチリデン基、及びそれらの置換アナログ、例えば4-メトキシベンジリデン基、又はエチレン基等の直鎖状アルキレン基を表し、
    R5は、水素原子、又は好ましくは酸素、硫黄若しくは窒素、より好ましくは酸素から選択される、1つ若しくは複数のヘテロ原子を含む炭化水素基を表す)
  2. 線維性疾患が、肺、心、肝、腎、筋、皮膚、軟部組織、骨髄、腸、大動脈又は関節線維症である、請求項1に記載の使用のための化合物。
  3. 線維性疾患が、皮膚疾患、腎疾患、肺線維症、特発性肺線維症、嚢胞性線維症、心内膜心筋線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、進行性塊状線維症、腎性全身性線維症、クローン病、ケロイド、陳旧性心筋梗塞、強皮症、全身性硬化症、関節線維症又は癒着性関節包炎である、請求項1に記載の使用のための化合物。
  4. 線維性疾患が肝又は腎線維症である、請求項1に記載の使用のための化合物。
  5. 線維性疾患が大動脈線維症である、請求項1に記載の使用のための化合物。
  6. 線維性疾患が、ケロイド又は強皮症を含む皮膚線維症である、請求項1に記載の使用のための化合物。
  7. Y=Z=Oを有する式(1)の化合物である、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
  8. R5が以下の基から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
    (式中、R14、R15及びR16は互いに独立に、水素原子、アリール基、任意で置換されたアルキル基、トリクロロアセトイミデート基、アシル、ホルミル、スルホニル、スルフィニル、tert-ブチルジフェニルシリル、アリル、エステル、アミド若しくはスルホンアミド基を表すか、又はR15及びR16は一緒に式-R15-R16-の二価の基を形成し、-R15-R16-は、好ましくはイソプロピリデン、ベンジリデン、ジフェニルメチリデン、又はシクロヘキシルメチリデン基、及びそれらの置換アナログ、例えば4-メトキシベンジリデン基、又はエチレン基等の直鎖状アルキレン基を表す)
  9. R1がフェニル基であり、かつ/又はX-R2がOHであり、かつ/又はR3及びR4がベンジル基を表す、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
  10. 以下の式(2)又は(3)を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
    (式中、R1、R2a、R3、R4、Y及びZは、請求項1、8、9及び10のいずれか一項において規定されたものであり、R14、R15及びR16は互いに独立に、水素原子、アリール、任意で置換されたアルキル基、トリクロロアセトイミデート基、アシル、ホルミル、スルホニル、スルフィニル、tert-ブチルジフェニルシリル基、アリル、エステル、アミド、チオアミド、スルホンアミド基を表すか、又はR15及びR16は一緒に式-R15-R16-の二価の基を形成し、-R15-R16-は、好ましくはイソプロピリデン、ベンジリデン、ジフェニルメチリデン、シクロヘキシルメチリデン基、及びそれらの置換アナログ、例えば4-メトキシベンジリデン基、又はエチレン基等の直鎖状アルキレン基を表し、好ましくはR14はベンジル基を表す)
  11. 式(1)の化合物が、3-ヒドロキシ-4,5-ビス-ベンジルオキシ-6-ベンジルオキシメチル-2-フェニル-2-オキソ-2λ5-[1,2]オキサホスフィナンである、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
  12. 以下の式(I)を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
  13. 線維症の治療が、コラーゲン線維、より詳細には1、3及び/若しくは4型コラーゲンの生成の阻害、並びに/又は線維芽細胞遊走の阻害を含む、細胞マトリックス及び/若しくは細胞/細胞相互作用に関与する機構の阻害によるものである、請求項1から12のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
  14. 線維症疾患の治療における使用のための、請求項1及び8から13のいずれか一項に規定される式(1)の化合物、並びに使用説明書を含むキット。
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