JP2024142984A - 絶縁性シート、積層体、及び半導体装置 - Google Patents

絶縁性シート、積層体、及び半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】窒化ホウ素凝集粒子を含む無機充填材を高充填した絶縁性シートであって、柔軟性に優れ、熱負荷による絶縁性低下を抑制することが可能な絶縁性シートを提供すること。【解決手段】熱硬化性樹脂と、熱硬化剤と、無機充填材とを含む絶縁性シートであって、前記無機充填材は、窒化ホウ素凝集粒子を含み、前記無機充填材の含有量が、絶縁性シート100体積%中、65体積%以上であり、特定条件下で加熱加圧処理された絶縁性シートを、無負荷U字伸縮試験機を用いて屈曲処理した後の絶縁破壊電圧が4kV以上である、絶縁性シート。【選択図】なし

Description

本発明は絶縁性シート、該絶縁性シートの硬化物を備える積層体、及び該積層体を備える半導体装置に関する。
従来、産業用機器、家庭用電気機器、情報端末などの幅広い分野において、パワーモジュールが用いられている。パワーモジュールでは、基板として樹脂シートを使用する試みがなされており、樹脂シートを用いたパワーモジュールは、例えば高電圧用途への展開が期待されている。樹脂シートは、絶縁性を有する絶縁性シートとする必要があり、また、熱伝導性を高くして優れた放熱性を持たせることも求められている。樹脂シートを高放熱化する観点から、窒化ホウ素凝集粒子を高充填する技術が知られている。
特許文献1では、エポキシ樹脂と、特定のフェノール化合物と、無機窒化物とを含有する熱伝導材料形成用組成物に関する発明が記載されており、その実施例では、無機窒化物として窒化ホウ素凝集粒子を77~87質量%含む組成物の例が記載されている。
特許文献2では、エポキシ樹脂と、シアネート樹脂と、熱伝導性フィラーと、柔軟性付与剤とを含む熱伝導性組成物に関する発明が記載されており、その実施例では、熱伝導性フィラーとして、平均粒径80μmの窒化ホウ素凝集粒子を製造し、該窒化ホウ素凝集粒子を74.8質量%含み、厚さ400μmの熱伝導性シートが記載されている。
特許第7136906号公報 特許第7073716号公報
上記の通り、窒化ホウ素凝集粒子を樹脂に高充填した絶縁性シートは、熱伝導率をある程度高めることが可能となる。
しかしながら、窒化ホウ素凝集粒子は内部に空隙を有しているため絶縁性シートが脆くなる傾向にあり、柔軟性において改善の余地がある。また、一般に、窒化ホウ素凝集粒子と樹脂とは馴染みが悪いことが知られている。そのため、窒化ホウ素凝集粒子を含有した絶縁性シートは、半導体装置を製造する際のリフロー工程や、半導体装置製造後のチップからの発熱のON・OFFなどによる熱負荷により、絶縁性などの物性が低下する傾向がある。
上記した特許文献1及び特許文献2の窒化ホウ素凝集粒子を含む組成物(又はシート)は、高熱伝導率、良好な柔軟性、熱負荷による絶縁性低下の抑制の全てを満足する観点からは、改善の余地があった。
そこで本発明は、窒化ホウ素凝集粒子を含む無機充填材を高充填した絶縁性シートであって、柔軟性に優れ、熱負荷による絶縁性低下を抑制することが可能な絶縁性シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した。その結果、窒化ホウ素凝集粒子を含む無機充填材を一定量以上含有する絶縁性シートであって、特定の条件で加熱加圧処理及び屈曲処理を行った後の絶縁破壊電圧が一定以上である絶縁性シートにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記[1]~[14]に関する。
[1]熱硬化性樹脂と、熱硬化剤と、無機充填材とを含む絶縁性シートであって、前記無機充填材は、窒化ホウ素凝集粒子を含み、前記無機充填材の含有量が、絶縁性シート100体積%中、65体積%以上であり、下記条件で加熱加圧処理された絶縁性シートを、無負荷U字伸縮試験機を用いて屈曲処理した後の絶縁破壊電圧が4kV以上である、絶縁性シート。
(加熱加圧処理及び屈曲処理の条件)
絶縁性シートを2枚積層し、熱プレス機で、温度90℃、圧力20MPa、時間45分の条件で加熱加圧処理をする。加熱加圧処理後の絶縁性シートを50mm×50mm角にカットして、無負荷U字伸縮試験機により、絶縁性シートの端部間の距離が15mmとなるようにU字に折り曲げて、もとに戻す操作を1サイクルとして、合計5サイクル屈曲処理をする。
[2]前記窒化ホウ素凝集粒子の含有量が、絶縁性シート100体積%中、50体積%以上である、上記[1]に記載の絶縁性シート。
[3]一次粒子の平均アスペクト比が7未満である窒化ホウ素凝集粒子の含有量が、絶縁性シート100体積%中、50体積%以上である、上記[1]又は[2]に記載の絶縁性シート。
[4]前記無機充填材が、窒化ホウ素凝集粒子以外の無機粒子を含む、上記[1]~[3]のいずれかに記載の絶縁性シート。
[5]前記熱硬化性樹脂が、25℃における粘度が50000mPa・s以下の液状エポキシ樹脂を含み、前記液状エポキシ樹脂の含有量が、前記熱硬化性樹脂100体積%中、40体積%以上である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の絶縁性シート。
[6]前記熱硬化剤が、イミドオリゴマーを含む、上記[1]~[5]のいずれかに記載の絶縁性シート。
[7]前記加熱加圧処理後の厚みが150μm以下である、上記[1]~[6]のいずれかに記載の絶縁性シート。
[8]熱伝導率が10W/m・K以上である、上記[1]~[7]のいずれかに記載の絶縁性シート。
[9]195℃、20MPa、80分の条件で真空プレス後の絶縁性シートを、示差熱熱重量同時測定装置を用いて、乾燥窒素気流下、昇温速度10℃/分の条件により、50℃から300℃まで昇温させたときの重量減少率が4%以下である、上記[1]~[8]のいずれかに記載の絶縁性シート。
[10]上記[1]~[9]のいずれかに記載の絶縁性シートの硬化物。
[11]上記[10]に記載の絶縁性シートの硬化物と、金属ベース板と、金属板とを備え、前記金属ベース板上に、前記絶縁性シートの硬化物と前記金属板をこの順に備える積層体。
[12]前記積層体が、回路基板である上記[11]に記載の積層体。
[13]前記金属板が、回路パターンを有する上記[11]又は[12]に記載の積層体。
[14]上記[11]~[13]のいずれかに記載の積層体と、前記金属板の上に設けられる半導体素子とを備える半導体装置。
本発明によれば、窒化ホウ素凝集粒子を含む無機充填材を高充填した絶縁性シートであって、柔軟性に優れ、熱負荷による絶縁性低下を抑制することが可能な絶縁性シートを提供することができる。
屈曲処理を説明するための模式的な断面図である。 本発明の一実施形態に係る積層体を示す模式的な断面図である。 本発明の一実施形態に係る半導体装置を示す模式的な断面図である。
[絶縁性シート]
本発明の絶縁性シートは、熱硬化性樹脂と、熱硬化剤と、無機充填材とを含み、前記無機充填材は、窒化ホウ素凝集粒子を含み、前記無機充填材の含有量が、絶縁性シート100体積%中、65体積%以上であり、下記条件で加熱加圧処理された絶縁性シートを、無負荷U字伸縮試験機を用いて屈曲処理した後の絶縁破壊電圧が4kV以上である。
(加熱加圧処理及び屈曲処理の条件)
絶縁性シートを2枚積層し、熱プレス機で、温度90℃、圧力20MPa、時間45分の条件で加熱加圧処理をする。加熱加圧処理後の絶縁性シートを50mm×50mm角にカットして、無負荷U字伸縮試験機により、絶縁性シートの端部間の距離が15mmとなるようにU字に折り曲げて、もとに戻す操作を1サイクルとして、合計5サイクル屈曲処理をする。
<絶縁破壊電圧>
本発明の絶縁性シートは、加熱加圧処理及び屈曲処理後の絶縁破壊電圧が4kV以上である。加熱加圧処理及び屈曲処理後の絶縁破壊電圧が4kV未満である場合、絶縁性シートの柔軟性が悪く、またリフローなどの熱負荷に対して、絶縁性が低下しやすい。これは、絶縁性シートの柔軟性が悪い場合は、屈曲処理時に絶縁性シートにクラックが入るなどして、絶縁破壊電圧が低下するためと考えられる。
絶縁性シートの柔軟性を良好にする観点、熱負荷に対する絶縁性低下を抑制する観点などから、加熱加圧処理及び屈曲処理後の絶縁破壊電圧は、好ましくは5kV以上であり、より好ましくは6kV以上であり、さらに好ましくは7kV以上である。
加熱加圧処理及び屈曲処理後の絶縁破壊電圧は、高ければ高いほどよいが、実用上は、20kV以下である。
絶縁破壊電圧を測定するための試料は、以下のとおり準備する。
まず、絶縁性シートを2枚積層し、熱プレス機で、温度90℃、圧力20MPa、時間45分の条件で加熱加圧処理をする。この際、離型処理されたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に絶縁性シートを成膜した積層シートを2組準備し、該2組の積層シートを絶縁性シート同士が接触するように積層して、熱プレス機で、温度90℃、圧力20MPa、時間45分の条件で加熱加圧処理をするとよい。
次いで、上記のとおり加熱加圧処理した絶縁性シートを、50mm×50mm角の面積サイズにカットする。そして、上記離型処理されたPETフィルムを剥離する。
上記のとおりカットした絶縁性シートについて、無負荷U字伸縮試験機により屈曲処理を行う。具体的には、絶縁性シートの両端部を無負荷U字伸縮試験機の治具に固定する。固定した際は、図1の左図に示す通り、平面状の絶縁性シートである。そして、一方の治具(図示せず)を他方に近づけるように移動させることで、図1の右図に示すように絶縁性シートをU字形状に折り曲げる。U字形状に折り曲げる際は、絶縁性シートの端部間の距離が15mmとなるまで折り曲げる。折り曲げた後は、一方の治具を他方の治具から離れるように移動させ、図1の左図の状態に戻す。これを1サイクルとし、合計5サイクル実施する。なお、無負荷U字伸縮試験機において、絶縁性シートの伸縮速度は11rpmとする。すなわち、60秒間で11サイクル行う伸縮速度とする。
上記のとおり、加熱加圧処理及び屈曲処理を行った絶縁性シートについて、絶縁破壊電圧を測定する。絶縁破壊電圧の測定方法は、実施例に記載のとおりである。
該絶縁破壊電圧は、使用する窒化ホウ素凝集粒子の種類(粒子径、アスペクト比)、使用する熱硬化性樹脂及び硬化剤の種類、及びこれらの配合量を調整することによって、調節することができる。
<重量減少率>
本発明の絶縁性シートは、耐熱性を高くする観点から、50℃から300℃まで昇温させたときの重量減少率が4%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましい。重量減少率は、使用する熱硬化性樹脂及び熱硬化剤の種類や配合量によって、調節することができる。
重量減少率は、195℃、20MPa、80分の条件で真空プレス後の絶縁性シートをサンプルとして以下のように測定する。
重量減少率は、示差熱熱重量同時測定装置を用いて、乾燥窒素気流下、昇温速度10℃/分の条件により、上記真空プレス後の絶縁性シートを、50℃から300℃まで昇温させた際の、測定前のサンプル重量と、300℃まで昇温させた際のサンプル重量から算出される。
重量減少率(%)=100×[(測定前のサンプル重量-300℃まで昇温させた際のサンプル重量)/(測定前のサンプル重量)]
<熱伝導率>
本発明の絶縁性シートの熱伝導率は、放熱性を良好にする観点から、好ましくは10W/(m・K)以上であり、より好ましくは12W/(m・K)以上であり、さらに好ましくは15W/(m・K)以上であり、そして好ましくは50W/(m・K)以下である。
絶縁性シートの熱伝導率は、主として、配合する無機充填材の種類及び量により調整することができる。
<無機充填材>
本発明の絶縁性シートは、窒化ホウ素凝集粒子を含む無機充填材を含有する。窒化ホウ素凝集粒子を含有することにより、絶縁性シートの熱伝導率が高まり、放熱性が向上する。
絶縁性シートの熱伝導率を高める観点から、窒化ホウ素凝集粒子の含有量は、絶縁性シート100体積%中、好ましくは50体積%以上であり、より好ましくは60体積%以上であり、さらに好ましくは70体積%以上である。そして、シートの柔軟性や機械強度を良好に維持する観点などから、窒化ホウ素凝集粒子の含有量は、絶縁性シート100体積%中、好ましくは90体積%以下であり、より好ましくは80体積%以下である。
窒化ホウ素凝集粒子の一次粒子の平均アスペクト比は、7未満であることが好ましい。平均アスペクト比が7未満の窒化ホウ素凝集粒子を用いることで、絶縁性シートの柔軟性が良好となり、また熱負荷による絶縁性の低下を抑制することができる。窒化ホウ素凝集粒子の平均アスペクト比は、好ましくは6.0以下であり、より好ましくは5.5以下である。窒化ホウ素凝集粒子の一次粒子の平均アスペクト比の下限値は特に限定されないが、平均アスペクト比は、例えば1以上であり、好ましくは2以上であり、より好ましくは4以上である。
一次粒子の平均アスペクト比が7未満の窒化ホウ素凝集粒子の含有量は、絶縁性シート100体積%中、好ましくは50体積%以上であり、より好ましくは60体積%以上であり、さらに好ましくは70体積%以上であり、そして好ましくは90体積%以下であり、より好ましくは80体積%以下である。
本発明において使用する窒化ホウ素凝集粒子は、一次粒子の平均アスペクト比が7未満の窒化ホウ素凝集粒子と一次粒子の平均アスペクト比が7以上の窒化ホウ素凝集粒子を混合したものであってもよいが、一次粒子の平均アスペクト比が7未満の窒化ホウ素凝集粒子の方を多く用いることが好ましい。この場合、両者を混合する際の、一次粒子の平均アスペクト比が7未満の窒化ホウ素凝集粒子の割合(一次粒子の平均アスペクト比が7未満の窒化ホウ素凝集粒子の配合量/全窒化ホウ素凝集粒子の配合量)は、好ましくは70体積%以上であり、より好ましくは80体積%以上であり、さらに好ましくは100体積%である。
窒化ホウ素凝集粒子の平均アスペクト比は、走査電子顕微鏡により測定される。例えば、窒化ホウ素凝集粒子と熱硬化性樹脂等とを混合して作製したシート断面をクロスセクションポリッシャー(例えば、日本電子社製「IB-19500CP」)にて平滑に加工し、加工後のシート断面を電界放出形走査電子顕微鏡(例えば、日立ハイテクノロジーズ社製「S-4800」)で観察する。そして、得られた電子顕微鏡画像から、任意に選択された50個の窒化ホウ素の一次粒子の長径/短径の平均値を算出することにより求めることができる。
窒化ホウ素凝集粒子の平均粒子径は、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、さらに好ましくは30μm以上であり、そして好ましくは150μm以下であり、より好ましくは80μm以下であり、さらに好ましくは70μm以下である。
窒化ホウ素凝集粒子の平均粒子径が上記下限値以上であると、絶縁性シートの熱伝導率が高まりやすくなる。窒化ホウ素凝集粒子の平均粒子径が上記上限値以下であると、絶縁性シートの柔軟性が高まり、屈曲処理後の絶縁破壊電圧を高めやすくなる。
窒化ホウ素凝集粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定される累積体積が50%であるときの窒化ホウ素凝集粒子の粒子径(d50)を意味することとする。
窒化ホウ素凝集粒子は、一般的に、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察により、凝集粒子か否かを判別できる。なお、窒化ホウ素凝集粒子は、プレス成形などの種々の工程を経ることで、凝集粒子の形態を維持することもあるし、変形、崩壊、解砕などすることがある。ただし、窒化ホウ素凝集粒子は、熱硬化性樹脂などと混合後に、プレス成形などの工程を経ることで、仮に変形、崩壊、解砕などしても概ね配向せず、また、ある程度の纏まりとなって存在するため、例えば上記した断面を観察することにより、窒化ホウ素凝集粒子であることが示唆され、それにより凝集粒子か否かを判別できる。
窒化ホウ素凝集粒子の製造方法は、特に限定されず、公知の方法で製造できる。例えば、予め用意した一次粒子を凝集(造粒)させて得ることができ、具体的には、噴霧乾燥方法及び流動層造粒方法等が挙げられる。噴霧乾燥方法(スプレードライとも呼ばれる)は、スプレー方式によって、二流体ノズル方式、ディスク方式(ロータリ方式とも呼ばれる)、及び超音波ノズル方式等に分類でき、これらのどの方式でも適用できる。
また、窒化ホウ素凝集粒子の製造方法としては、必ずしも造粒工程は必要ではない。例えば、公知の方法で結晶化させた窒化ホウ素の結晶の成長に伴い、窒化ホウ素の一次粒子が自然に集結することで凝集粒子を形成させてもよい。
また、窒化ホウ素凝集粒子としては、例えば、JFEミネラル株式会社製の「HP-40」、レゾナック社製の「UHP-G1H」などが挙げられる。
無機充填材は、窒化ホウ素凝集粒子以外の無機粒子を含んでいてもよい。窒化ホウ素凝集粒子以外の無機粒子としては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、ダイヤモンド、炭化ケイ素、窒化ホウ素凝集粒子以外の窒化ホウ素、などが挙げられる。これらの中でも窒化ホウ素凝集粒子以外の無機粒子としては、アルミナ又は窒化アルミニウムが好ましい。
窒化ホウ素凝集粒子以外の無機粒子の平均粒径は、例えば、0.1μm以上200μm以下であり、好ましくは5μm以下50μm以下である。該平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定される累積体積が50%であるときの無機粒子の粒子径(d50)を意味することとする。
本発明の絶縁性シートにおいて、無機充填材の含有量は、絶縁性シート100体積%中、65体積%以上である。ここで、無機充填材の含有量は、窒化ホウ素凝集粒子と、窒化ホウ素凝集粒子以外の無機粒子との合計量である。なお、無機充填材は、窒化ホウ素凝集粒子以外の無機粒子を含まなくてもよい。
無機充填材の含有量が65体積%未満であると、絶縁性シートの熱伝導率が低くなり、良好な放熱性を得られない。無機充填材の含有量は、熱伝導率向上の観点から、好ましくは70体積%以上であり、そして、シートの柔軟性や機械強度を良好に維持する観点などから、好ましくは90体積%以下であり、より好ましくは80体積%以下である。
<熱硬化性樹脂>
本発明の絶縁性シートは、熱硬化性樹脂を含有する。熱硬化性樹脂は、特に限定されないが、尿素樹脂及びメラミン樹脂等のアミノ樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、アミノアルキド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂等が挙げられる。絶縁性シートに使用する熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。熱硬化性樹脂としては、上記した中でも、エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、分子中にエポキシ基を2つ以上含有する化合物が挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、スチレン骨格含有エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ樹脂、トリアジン核を骨格に有するエポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ樹脂としては、フェノキシ樹脂であってもよい。フェノキシ樹脂は、例えばエピハロヒドリンと2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂、又は2価のエポキシ化合物と2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂である。上記フェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、ビスフェノールTMC骨格、アダマンタン骨格又はジシクロペンタジエン骨格を有するものが挙げられる。
エポキシ樹脂の中でも、絶縁性シートの柔軟性向上の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
絶縁性シートの柔軟性及び絶縁性向上の観点から、エポキシ樹脂は、液状エポキシ樹脂であることが好ましい。ここで液状エポキシ樹脂とは、25℃において液状のエポキシ樹脂を意味する。
絶縁性シートの柔軟性及び絶縁性向上の観点から、熱硬化性樹脂は、25℃における粘度が50000m・Pa以下の液状エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
液状エポキシ樹脂の粘度は、好ましくは1000mPa・s以上50000mPa・s以下であり、より好ましくは1500mPa・s以上20000mPa・s以下であり、さらに好ましくは2000mPa・s以上10000mPa・s以下である。
なお、上記粘度は、ブルックフィールド粘度計を用いて、25℃、10rpmの条件で測定した粘度である。
絶縁性シートの柔軟性及び絶縁性向上の観点から、25℃における粘度が50000mPa・s以下の液状エポキシ樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂100体積%中、40体積%以上であることが好ましく、60体積%以上であることがより好ましく、80体積%以上であることがさらに好ましく、100体積%であることがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂の含有量は、絶縁性シート100体積%中、好ましくは5体積%以上であり、より好ましくは10体積%以上であり、そして好ましくは30体積%以下であり、より好ましくは20体積%以下である。
熱硬化性樹脂の含有量がこれら下限値以上であると、絶縁性シートの柔軟性を良好にしやすくなり、熱硬化性樹脂の含有量がこれら上限値以下であると、一定量以上の無機充填材を配合できることから、熱伝導率を高めやすくなる。
<熱硬化剤>
本発明の絶縁性シートは、熱硬化剤を含有する。熱硬化剤は、熱硬化性樹脂を硬化させることができる硬化剤であれば特に制限されない。上記した熱硬化性樹脂は熱硬化剤により硬化し、無機充填材を結着させることが好ましい。
熱硬化剤としては、例えば、フェノール化合物(フェノール熱硬化剤)、アミン化合物(アミン熱硬化剤)、イミダゾール化合物、酸無水物、シアネートエステル化合物、カルボジイミド化合物、イミドオリゴマーなどが挙げられる。熱硬化剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記した中でも、熱硬化剤としては、絶縁性シートの耐熱性向上の観点から、イミドオリゴマーを含むことが好ましい。
フェノール化合物としては、ノボラック型フェノール、ビフェノール型フェノール、ナフタレン型フェノール、ジシクロペンタジエン型フェノール、アラルキル型フェノール及びジシクロペンタジエン型フェノール等が挙げられる。
アミン化合物としては、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン及びジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。
イミダゾール化合物としては、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2-フェニル-4-メチル-5-ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
酸無水物としては、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、フェニルエチニルフタル酸無水物、グリセロールビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、及びトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
シアネートエステル化合物としては、ノボラック型シアネート樹脂及びビスフェノール型シアネート樹脂等が挙げられる。上記ビスフェノール型シアネート樹脂としては、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂及びテトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等が挙げられる。
カルボジイミド化合物としては、分子中に1個以上のカルボジイミド基(-N=C=N-)を有する樹脂が挙げられる。
上記イミドオリゴマーは、主鎖にイミド骨格を有する化合物であり、好ましくは骨格に芳香族環を有する化合物である。骨格に芳香族環を有することにより、絶縁性シートの熱分解が生じ難くなり、耐熱性が向上しやすくなる。また、耐熱性向上の観点から、イミドオリゴマーは、骨格に炭素数16以上の直鎖飽和炭化水素鎖を有しないことが好ましい。
上記イミドオリゴマーは、分子の両末端又は片末端に前記熱硬化性樹脂と反応しうる反応性官能基を有し、該反応性官能基が酸無水物基、アミノ基、又は水酸基であることが好ましい。上記アミノ基は、特に限定されず、第1級アミノ基、第2級アミノ基、及び第3級アミノ基のいずれであってもよい。上記水酸基は、フェノール性水酸基であってもよいし、フェノール性水酸基以外の水酸基であってもよい。このような反応性官能基を有するイミドオリゴマーを使用することにより、絶縁性シートの耐熱性が向上しやすくなる。イミドオリゴマーが有する反応性官能基としては、耐熱性の観点から酸無水物基またはフェノール性水酸基であることがより好ましい。
イミドオリゴマーの分子量は、好ましくは500~10000である。分子量がこのような範囲であると、絶縁性シートの耐熱性が向上しやすくなる。イミドオリゴマーの分子量は、より好ましくは700~7000であり、さらに好ましくは900~5000である。上記イミドオリゴマーの分子量は、好ましくは500以上であり、より好ましくは700以上であり、さらに好ましくは900以上であり、好ましくは10000以下であり、より好ましくは7000以下であり、さらに好ましくは5000以下である。
なお分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、ポリスチレン換算により求められる数平均分子量である。GPCによってポリスチレン換算による数平均分子量を測定する際に用いるカラムとしては、例えば、JAIGEL-2H-A(日本分析工業社製)等が挙げられる。
具体的には、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、室温にて、流速1mL/minの条件で測定することができる。なお、溶媒は測定するサンプルが溶解するものであれば特に限定されず、流速はカラムや装置にあわせて選択することができる。
上記イミドオリゴマーは、例えば、下記式(1)で表される酸二無水物に由来するセグメントと、ポリアミン化合物に由来するセグメントとを有するイミドオリゴマー等が挙げられる。この場合、式(1)で表される酸二無水物に由来するセグメントを主鎖の末端に有することが好ましく、主鎖の両末端に有することがより好ましい。また、上記ポリアミン化合物としては、芳香族ジアミン化合物、脂肪族ジアミン化合物、脂肪族トリアミン化合物などが挙げられる。
式(1)中、Aは、酸二無水物残基であり、下記式(3-1)又は下記式(3-2)で表される4価の基である。
式(3-1)及び式(3-2)中、*は、結合位置であり、式(3-1)中、Zは、結合手、酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、スルホニル基、結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基である。式(3-1)及び式(3-2)中における芳香環の水素原子は置換されていてもよい。
上記ポリアミン化合物としては、芳香族ポリアミン化合物、脂肪族ポリアミン化合物が挙げられ、中でも芳香族ポリアミン化合物が好ましい。芳香族ポリアミン化合物に由来するセグメントを有するイミドオリゴマーを用いることにより、耐熱性に優れる絶縁性シートを得やすくなる。
芳香族ポリアミン化合物としては、芳香族ジアミン化合物、芳香族トリアミン化合物などが挙げられるが、下記式(2)で示す芳香族ジアミン化合物が好ましい。
式(2)中、Bは、芳香族ジアミン残基であり、下記式(4-1)又は下記式(4-2)で表される2価の基である。R~Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基である。
式(4-1)及び式(4-2)中、*は、結合位置であり、式(4-1)中、Yは、結合手、酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、スルホニル基、結合位置に酸素原子を有していてもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有していてもよい芳香環を有する2価の基である。式(4-1)及び式(4-2)中のフェニレン基は、一部又は全部の水素原子が水酸基又は1価の炭化水素基で置換されていてもよい。
脂肪族ポリアミン化合物としては、脂肪族ジアミン化合物、脂肪族トリアミン化合物などが挙げられる。脂肪族ジアミン化合物及び脂肪族トリアミン化合物の市販品としては、例えば、BASF社製のバーサミン551、バーサミン552等、クローダ社製のプリアミン1071、プリアミン1073、プリアミン1074、プリアミン1075等を挙げることができる。
イミドオリゴマーは、具体的には、下記式(5-1)、下記式(5-2)、下記式(5-3)、下記式(5-4)、若しくは、下記式(5-5)で表されるイミドオリゴマーであることが好ましい。
式(5-1)~(5-5)中、Aは、酸二無水物残基であり、上記式(1)と同様のものであってよい。式(5-1)~(5-5)中、Aは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(5-1)~(5-5)中、Bは、脂肪族ジアミン残基若しくは芳香族ジアミン残基、又は、脂肪族トリアミン残基若しくは芳香族トリアミン残基であり、式(5-3)及び式(5-4)中、Bは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。Bが脂肪族ジアミン残基又は脂肪族トリアミン残基の場合、炭素数は例えば4~60であり、Bが芳香族ジアミン残基又は芳香族トリアミン残基の場合、炭素数は例えば6~60である。Bが芳香族ジアミン残基の場合、式(2)で説明したものであってもよい。
式(5-2)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基であり、式(5-4)中、Wは、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基である。式(5-3)及び式(5-4)中、nは、繰り返し数である。
反応性官能基として酸無水物基を有するイミドオリゴマーを製造する方法としては、例えば、上記式(1)で表される酸二無水物と、上記した芳香族ジアミン化合物、脂肪族ジアミン化合物、脂肪族トリアミン化合物などのポリアミン化合物とを反応させる方法が挙げられる。
上記式(1)で表される酸二無水物とポリアミン化合物とを反応させる方法の具体例を以下に示す。
まず、予めポリアミン化合物を、反応により得られるアミック酸オリゴマーが可溶な溶媒(例えば、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)に溶解させ、得られた溶液に上記式(1)で表される酸二無水物を添加して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得る。次いで、得られたアミック酸オリゴマー溶液から加熱や減圧等により溶媒を除去、又は、水、メタノール、ヘキサン等の貧溶媒中に投入して再沈殿させることによりアミック酸オリゴマーを回収し、更に、約200℃以上で1時間以上加熱してイミド化反応を進行させる。上記式(1)で表される酸二無水物とポリアミンとのモル比、及び、イミド化条件を調整することにより、所望の数平均分子量を有し、両末端に反応性官能基として酸無水物基を有するイミドオリゴマーを得ることができる。
上記イミドオリゴマーは、上記式(1)で表される酸二無水物に由来するセグメントと、下記式(5)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンに由来するセグメントを有するイミドオリゴマーであってもよい。
さらに、上記イミドオリゴマーは、上記式(1)で表される酸二無水物に由来するセグメントと、上記したポリアミン化合物に由来するセグメントと、下記式(5)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンに由来するセグメントを有するイミドオリゴマーであってもよい。
この場合、下記式(5)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンに由来するセグメントを主鎖の末端に有することが好ましく、主鎖の両末端に有することがより好ましい。

式(5)中、Arは、置換されていてもよい2価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基である。
反応性官能基として水酸基を有するイミドオリゴマーを製造する方法としては、例えば、以下の方法等が挙げられる。
即ち、上記式(1)で表される酸二無水物と上記式(5)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとを反応させる方法や、上記式(1)で表される酸二無水物と上記したポリアミン化合物とを反応させた後、更に上記式(5)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンを反応させる方法等が挙げられる。
上記式(1)で表される酸二無水物と上記式(5)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとを反応させる方法の具体例を以下に示す。
まず、予め上記式(5)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンを、反応により得られるアミック酸オリゴマーが可溶な溶媒(例えば、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)に溶解させ、得られた溶液に上記式(1)で表される酸二無水物を添加して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得る。次いで、得られたアミック酸オリゴマー溶液から加熱や減圧等により溶媒を除去、又は、水、メタノール、ヘキサン等の貧溶媒中に投入して再沈殿させることによりアミック酸オリゴマーを回収し、更に、約200℃以上で1時間以上加熱してイミド化反応を進行させる。上記式(1)で表される酸二無水物と上記式(5)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとのモル比、及び、イミド化条件を調整することにより、所望の数平均分子量を有し、両末端に反応性官能基としてフェノール性水酸基を有するイミドオリゴマーを得ることができる。
上記式(1)で表される酸二無水物とポリアミン化合物とを反応させた後、更に上記式(5)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンを反応させる方法の具体例を以下に示す。
まず、予めポリアミン化合物を、反応により得られるアミック酸オリゴマーが可溶な溶媒(例えば、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)に溶解させ、得られた溶液に上記式(1)で表される酸二無水物を添加して反応させて、両末端に酸無水物基を有するアミック酸オリゴマー(A)の溶液を得る。次いで、得られたアミック酸オリゴマー(A)の溶液から加熱や減圧等により溶媒を除去、又は、水、メタノール、ヘキサン等の貧溶媒中に投入して再沈殿させることによりアミック酸オリゴマー(A)を回収し、更に、約200℃以上で1時間以上加熱してイミド化反応を進行させる。
このようにして得られた、両末端に反応性官能基として酸無水物基を有するイミドオリゴマーを、再度溶媒(例えば、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)に溶解させ、上記式(5)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンを添加して反応させてアミック酸オリゴマー(B)の溶液を得る。得られたアミック酸オリゴマー(B)の溶液から加熱や減圧等により溶媒を除去、又は、水、メタノール、ヘキサン等の貧溶媒中に投入して再沈殿させることによりアミック酸オリゴマー(B)を回収し、更に、約200℃以上で1時間以上加熱してイミド化反応を進行させる。上記式(1)で表される酸二無水物とポリアミン化合物と上記式(5)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとのモル比、及び、イミド化条件を調整することにより、所望の数平均分子量を有し、両末端に反応性官能基として水酸基を有するイミドオリゴマーを得ることができる。
なお、反応性官能基としてアミン基を有するイミドオリゴマーを製造する方法としては、特に制限されないが、例えば、末端に酸無水物基を有するイミドオリゴマーを上記した方法により得て、該イミドオリゴマーと、ポリアミン化合物(例えば、芳香族ジアミン化合物など)とを反応させる方法が挙げられる。また、別の方法としては、上記による方法にてイミドオリゴマーを製造する際、酸無水物とポリアミン化合物を適切なモル比に調整する方法などが挙げられる。
絶縁性シートにおける硬化剤の含有量は、特に限定されないが、絶縁性シート100体積%中、好ましくは1体積%以上であり、より好ましくは5体積%以上であり、さらに好ましくは10体積%以上であり、さらに好ましくは15体積%以上であり、そして好ましくは30体積%以下であり、より好ましくは25体積%以下である。
<硬化促進剤>
絶縁性シートは、硬化促進剤をさらに使用してもよい。硬化促進剤の使用により、硬化速度がより速くなり、熱硬化性樹脂を速やかに硬化させることができ、絶縁性シートにおける架橋構造を均一にできる。また、未反応の官能基数が減り、結果的に架橋密度が高くなる。
硬化促進剤は特に限定されず、従来公知の硬化促進剤を使用可能である。具体的には、イミダゾール化合物等のアニオン性硬化促進剤、アミン化合物等のカチオン性硬化促進剤、リン化合物及び有機金属化合物等のアニオン性及びカチオン性硬化促進剤以外の硬化促進剤、並びに過酸化物等のラジカル性硬化促進剤等が挙げられる。
硬化促進剤は、1種単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
<その他>
本発明に係る絶縁性シートは、上記成分以外にも、シランカップリング剤などのカップリング剤、分散剤、難燃剤、酸化防止剤、粘着性付与剤、可塑剤、チキソ性付与剤、及び着色剤などのその他の添加剤を含んでいてもよい。
<厚み>
本発明の絶縁性シートの厚みは、特に限定されないが、好ましくは150μm以下であることが好ましい。厚みが150μm以下であると、絶縁性シートの熱抵抗値を低くすることができ、放熱性が向上する。絶縁性シートの厚みは、好ましくは150μm以下であり、より好ましくは130μm以下であり、そして好ましくは80μm以上であり、より好ましくは100μm以上である。
また、上記のとおり加熱加圧処理した後の絶縁性シートの厚みについても、同様に、好ましくは150μm以下であり、より好ましくは130μm以下であり、そして好ましくは80μm以上であり、より好ましくは100μm以上である。
[絶縁性シートの製造方法]
本発明の絶縁性シートの製造方法は、特に限定されないが、上記した熱硬化性樹脂、熱硬化剤、及び窒化ホウ素凝集粒子を含む無機充填材を含有する絶縁性シート用組成物を、離型PETフィルムなどの基材上に塗布して、乾燥する方法が挙げられる。
上記絶縁性シート用組成物には、必要に応じて、窒化ホウ素凝集粒子以外の無機充填材、硬化促進剤、その他の添加剤を含んでもよい。
絶縁性シート用組成物を塗布した後の乾燥条件としては、例えば乾燥温度が60~100℃であり、好ましくは70~90℃である。
[絶縁性シートの硬化物]
本発明における絶縁性シートは、熱硬化性樹脂の硬化温度以上の温度で加熱することにより硬化させ、絶縁性シートの硬化物とすることができる。硬化は、加圧下で加熱して行うことが好ましい。絶縁性シートの硬化物は、以下で示す積層体の一部を構成することができる。
[積層体]
本発明の積層体は、図2に示すように、本発明の絶縁性シートの硬化物10に加えて、金属ベース板11及び金属板12を備え、金属ベース板11上に、絶縁性シートの硬化物10及び金属板12をこの順に備える積層体13である。
本発明の積層体は、プレス成形により製造するとよい。具体的には、金属ベース板、絶縁性シート、及び金属板をこの順に重ね合わせてプレス成形することで行うとよい。プレス成形により、絶縁性シートが全硬化されて、絶縁性シートの硬化物が、金属ベース板及び金属板の一定以上の接着力で接着することができる。
プレス成形は、例えば、150℃以上250℃以下、好ましくは180℃以上210℃以下において、例えば8MPa以上25MPa以下の圧力において行うとよい。
また、プレス時間は、特に限定されないが、例えば、10分間以上240分間以下、好ましくは30分間以上200分間以下程度である。
プレス処理は、常圧下で行われてもよいが、真空プレスで行われてもよい。金属ベース板、絶縁性シート、及び金属板の積層体は、減圧環境下でプレス処理されるとよく、具体的には、例えば、10kPa以下、好ましくは3kPa以下、より好ましくは1.5kPa以下の環境下でプレス処理される。
金属ベース板11及び金属板12は、それぞれ熱伝導体としての機能を発揮するため、その熱伝導率は、10W/m・K以上であることが好ましい。これらに用いる材料としては、アルミニウム、銅、金、銀などの金属、及びグラファイトシート等が挙げられる。熱伝導性をより一層効果的に高める観点からは、アルミニウム、銅、又は金であることが好ましく、アルミニウム又は銅であることがより好ましい。
金属ベース板11の厚みは、0.1~5mmであることが好ましく、金属板12の厚みは、10~2000μmであることが好ましく、10~900μmであることがより好ましい。なお、金属板としては、銅板のような板や銅箔のような箔の場合も含む。
積層体13は、回路基板として使用されることが好ましい。回路基板として使用される場合、積層体13における金属板12は、回路パターンを有するよい。回路パターンは、回路基板上に実装される素子などに応じて、適宜パターニングすればよい。回路パターンは、特に限定されないが、エッチングなどにより形成されるとよい。また、回路基板において、金属ベース板11は、放熱板などとして使用される。
[半導体装置]
本発明は、上記積層体を有する半導体装置も提供する。具体的には、図3に示すように、半導体装置15は、絶縁性シートの硬化物10、金属ベース板11及び金属板12を有する積層体13と、積層体13の金属板12の上に設けられる半導体素子14とを備える。金属板12は、エッチングなどによりパターニングされ、回路パターンを有するとよい。
なお、半導体素子14は、図3では2つ示されるが、半導体素子14の数は限定されず、1つ以上であればいくつであってもよい。また、金属板12の上には、半導体素子14以外にも、トランジスタ等の他の電子部品(図示しない)が搭載されていてもよい。各半導体素子14は、金属板12の上に形成された接続導電部16を介して金属板12に接続される。接続導電部16は、はんだにより形成されるとよい。また、積層体13の金属板12側の表面には封止樹脂19が設けられる。そして、少なくとも半導体素子14が封止樹脂19により封止され、必要に応じて、金属板12も半導体素子14と共に封止樹脂19により封止されるとよい。
半導体素子14は、特に限定されないが、少なくとも1つがパワー素子(すなわち、電力用半導体素子)であることが好ましく、それにより、半導体装置15がパワーモジュールであることが好ましい。パワーモジュールは、例えば、インバータなどに使用される。
また、パワーモジュールは、例えば、エレベータ、無停電電源装置(UPS)等の産業用機器において使用されるが、その用途は特に限定されない。
金属板12には、リード20が接続されている。リード20は、例えば封止樹脂19より外部に延出し、金属板12を外部機器などに接続する。また、半導体素子14にはワイヤ17が接続されてもよい。ワイヤ17は、図3に示すように半導体素子14を別の半導体素子14、金属板12、リード20などに接続するとよい。
半導体素子14は、リード20などを介して電力が供給されて駆動すると発熱するが、半導体素子14で発生した熱は、絶縁性シートの硬化物10を介して金属ベース板11に伝播され、金属ベース板11から放熱される。金属ベース板11は、必要に応じて放熱フィンなどからなるヒートシンクに接続されるとよい。
半導体装置15は、その製造工程において、リフロー工程を経て製造されるとよい。具体的には、半導体装置15の製造方法においては、まず、積層体13を用意して、積層体13の金属板12上にはんだ印刷などにより接続導電部16を形成し、その接続導電部16の上に半導体素子14を搭載する。その後、半導体素子14を搭載した積層体13をリフロー炉の内部を通過させて、リフロー炉の内部で加熱し、接続導電部16により半導体素子14を金属板12の上に接続させる。なお、リフロー炉内の温度は、特に限定されないが、例えば200~300℃程度である。半導体装置15の製造方法においては、リフロー工程後に封止樹脂19を積層体13上に積層して半導体素子14は封止すればよい。また、封止樹脂19で封止する前に、適宜、ワイヤ17、リード20などを取り付けるとよい。
なお、以上では、リフロー工程により半導体素子14を金属板12に接続させる態様を示したが、このような態様に限定されず、例えば、リフロー工程により、積層体13(すなわち、回路基板)を別の基板(図示しない)に接続してもよい。
また、絶縁性シートの硬化物、金属ベース板、及び金属板を備える積層体を製造する場合には、絶縁性シートを、金属ベース板と金属板の間に配置して、プレス成形により加熱及び加圧して、金属ベース板と金属板を、絶縁性シートの硬化物を介して接着させることで積層体を製造するとよい。絶縁性シートは、プレス成形時の加熱により硬化させることが好ましいが、プレス成形前に部分的又は完全に硬化させておいてもよい。
以下、実施例及び比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用した各成分は以下の通りである。
<熱硬化性樹脂>
・エポキシ樹脂1 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 日鉄ケミカル&マテリアル社製「YD-127」、液状、粘度(25℃) 10000mPa・s
・エポキシ樹脂2 ビスフェノールF型エポキシ樹脂 DIC社製「EPICLON-830」、液状(25℃) 4000mPa・s
・エポキシ樹脂3 フェノールノボラック型エポキシ樹脂 DIC社製「EPICLON-N-730A」、粘性液状(25℃) 42000mPa・s
・エポキシ樹脂4 ビフェニル型エポキシ樹脂 三菱ケミカル社製「YH4000H」、固体(25℃)
<熱硬化剤、硬化促進剤>
・硬化剤1・・イミドオリゴマー(IMO-1)、後述するとおり合成した。
・硬化促進剤-1・・イミダゾール化合物 四国化成社製「2P4MHZ-PW」
・硬化剤2・・シアネートエステル化合物 三菱ガス化学社製「NCN」
<硬化剤1(IMO-1)の合成>
4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(東京化成工業社製)104重量部をN-メチルピロリドン(富士フイルム和光純薬社製、「NMP」)300重量部に溶解させた。得られた溶液にダイマージアミンであるプリアミン1074(クローダ社製)28重量部をN-メチルピロリドン100重量部で希釈した溶液を添加し、25℃で2時間撹拌して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得た。得られたアミック酸オリゴマー溶液からN-メチルピロリドンを減圧除去した後、300℃で2時間加熱することにより、イミドオリゴマー組成物B(イミド化率93%)を得た。
得られたイミドオリゴマー組成物Bについて、1H-NMR、GPC、及び、FT-IR分析を行った。その結果、イミドオリゴマー組成物Bは、上記式(5-1)又は(5-3)で表される構造を有するイミドオリゴマー(Aは4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物残基、Bはダイマージアミン残基)を含むことを確認した。また、該イミドオリゴマー組成物Bの数平均分子量は2200であった。
<分散剤>
・分散剤1・・ビックケミー社製「BYK-9076」
<無機充填材>
・窒化ホウ素 充填材1・・窒化ホウ素凝集粒子、JFEミネラル株式会社「HP-40 MF100」、平均粒子径40μm、一次粒子の平均アスペクト比5.7
・窒化ホウ素 充填材2・・窒化ホウ素凝集粒子、レゾナック社製「UHP-G1H」、平均粒子径40μm、一次粒子の平均アスペクト比5.1
・窒化ホウ素 充填材3・・窒化ホウ素凝集粒子、モメンティブ社製「PTX-60」、平均粒子径60μm、一次粒子の平均アスペクト比12.9
・アルミナ 充填材4・・住友化学社製「AA-18」、平均粒子径18μm
・窒化アルミニウム 充填材5・・トクヤマ社製「HF-20a」、平均粒子径20μm
[実施例1~13、比較例1~2]
表1に記載の配合の絶縁性シートを以下の通り作製した。表1に記載の無機充填材と分散剤を配合カップ内で混合し、シクロヘキサノンを適量配合し、遊星撹拌機で2000rpmで、3分攪拌した。その後、表1の内容に従って各成分を配合カップに順次追加混合し、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで3分間攪拌することにより、塗液(絶縁性シート用組成物)を調製した。
得られた絶縁性シート用組成物を離型PETシート(厚み50μm)上に、350mm幅のドクターブレードを用いて任意の厚みになるように塗工した。塗工して得られたシートを300mm×500mmのサイズにカットし、金属製のラックに置いて、オーブン内において80℃で20分間乾燥処理を行い、離型PETシート上に形成された絶縁性シートAを得た。オーブンはヤマト科学社製の「DKM600」を使用した。
(加熱加圧処理)
乾燥工程で得た絶縁性シートAを塗工時の離型PETシートがついたまま絶縁層が重なりあうように2枚積層し、熱プレス機で加熱加圧処理(90℃,45min,20MPa)し、半硬化状態の絶縁性シートBを得た。熱プレス機は、北川精機社製の「PCB成形用ホットコールドプレス」を用いた。
(無負荷U字伸縮試験機による屈曲処理)
加熱加圧処理後の絶縁性シートBを50×50mm角にカットし、両面についたPETフィルムを剥離した。その後、シートの端部を面状体無負荷U字伸縮試験機にセットし、以下の条件で屈曲処理を行った。屈曲処理では、初期状態として、絶縁性シートが平面状態になるようにセットし、平面の状態から絶縁性シートの端部間の距離が15mmになるまでU字に折り曲げ、もとの平面状態に戻す操作を1サイクルとした。合計5サイクル実施し、伸縮速度は11rpmとした。
なお、無負荷U字伸縮試験機としては、ユアサシステム機器社製「DLDM111LHA」を用いた。
(屈曲処理後の絶縁破壊電圧)
屈曲処理後の絶縁性シートをサンプルとして、耐電圧試験機(ETECH Electronics社製「MODEL7473」)を用いて、フロリナート中でサンプル間に200Vを印加し、5秒保持したのち、200Vずつ昇圧し同様に5秒保持するステップ昇圧法を用いて電圧が上昇するように、交流電圧を印加した。サンプルに10mAの電流が流れた電圧を絶縁破壊電圧とした。
(屈曲処理後のクラック有無の確認:柔軟性評価)
屈曲処理後の絶縁性シートを光学顕微鏡で観察し、割れや欠けが無かった場合を「A」、割れや欠けが一部に発生した場合を「B」、割れや欠けがフィルム全面に発生した場合を「C」として屈曲処理後のクラック有無を評価した。
[基板物性の評価]
(各種物性評価用の基板(積層体)の作製)
上記乾燥処理後の絶縁性シートAを、離型PETシートがついたまま絶縁性シートAが重なりあうように2枚積層した後、両面の離型PETシートを剥がして絶縁性シートCを得た。次いで、絶縁性シートCの第1面に0.5mm厚の銅板、第2面に2.0mm厚の銅板をそれぞれ積層して、温度195℃、圧力20MPa、80分の条件で真空プレスすることにより積層体を作製した。該積層体は、銅板、絶縁性シートCの硬化物、銅板がこの順に積層された積層体である。
(熱伝導率)
離型PETシートを剥がした絶縁性シートAの両面にテフロン(登録商標)シートを積層し、温度195℃、圧力20MPaの条件で真空プレスすることにより測定用シート1を作製した。また、3枚の絶縁性シートAを重ねあせたもの、及び5枚の絶縁性シートAを重ね合わせたものを、上記と同様の条件で真空プレスすることにより測定用シート2、3を作製した。
測定用シート1~3の熱抵抗値を測定し、シート厚みに対する熱抵抗値で表される傾きから、以下の式により定常法での熱伝導率を測定した(ASTMD5470に準拠して測定した)。測定装置としては、Mentor Graphics社製の「T3Ster-DynTIM」を使用した。
式:熱伝導率=[1/(傾き×測定面積)]×10-2
上記熱伝導率の単位は(W/m・K)、傾き(熱抵抗値/シート厚み)の単位は(K/(W・μm))であり、測定面積の単位は(cm)である。
なお、傾きを求める際のシート厚みは、3400kPaでプレスした際の厚み(μm)であり、熱抵抗値は3400kPaでプレスした際に求めた熱抵抗値(K/W)であり、傾きは、最小二乗法により求めた1次関数の傾きである。測定面積は、熱を伝達する部分の面積(cm)である。
熱伝導率について、以下のとおり評価した。
A:15W/(m・K)以上
B:12W/(m・K)以上15W/(m・K)未満
C:10W/(m・K)以上12W/(m・K)未満
D:8W/(m・K)以上10W/(m・K)未満
E:8W/(m・K)未満
(絶縁破壊電圧、初期及び300℃熱処理後)
得られた積層体において、0.5mm厚みの銅板をエッチングすることにより、直径2cmの円形にパターニングして、パターニングされた銅箔を中心に4cm角に切り出して積層体サンプルを得た。
耐電圧試験機(ETECH Electronics社製「MODEL7473」)を用いて、フロリナート中で積層体サンプル間に200Vを印加し、5秒保持したのち、200Vずつ昇圧し同様に5秒保持するステップ昇圧法を用いて電圧が上昇するように、交流電圧を印加した。積層体サンプルに10mAの電流が流れた電圧を初期の絶縁破壊電圧A1(リフロー前の絶縁破壊電圧)とした。
測定された初期の絶縁破壊電圧A1により、以下の評価基準で評価した。なお、絶縁性は、アルファベット順で若いほうが優れていることを意味する。
A:60kV/mm以上
B:50kV/mm以上60kV/mm未満
C:40kV/mm以上50kV/mm未満
D:30kV/mm以上40kV/mm未満
E:30kV/mm未満
初期絶縁性評価と同様にして、4cm角の積層体サンプルを得た。得られた積層体サンプルを、厚み2mmの銅板側をホットプレート面に設置し、積層体サンプルの絶縁性シートの硬化物の表面温度が300℃になるようにホットプレートの設定温度を調整し、その状態で積層体サンプルを5分間加熱処理した。加熱処理後の積層体サンプルに対して、初期絶縁破壊電圧の評価と同様に、絶縁破壊電圧を測定した。測定された300℃熱処理後の絶縁破壊電圧A2(リフロー後 絶縁破壊電圧)の値により、上記評価基準に基づき300℃処理後の絶縁性を評価した。
初期の絶縁破壊電圧(A1)と、300℃処理後の絶縁破壊電圧(A2)より絶縁破壊電圧の低下率を求め、以下の評価基準により評価した。なお、絶縁破壊電圧の低下率は、アルファベット順で若いほうが優れていることを意味する。
絶縁破壊電圧の低下率(%)=[(A1-A2)/A1]×100
A:15%以下
B:15%超20%以下
C:20%超25%以下
D:25%超30%以下
E:30%超
(耐熱性)
上記のとおり作製した積層体から、絶縁性シートCの硬化物を取り出し、これをサンプルとして、示差熱熱重量同時測定装置(装置名「TG/DTA7300」、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、乾燥窒素気流下、昇温速度10℃/分の条件により、50℃から300℃まで昇温させたときの重量減少率を求め、以下の評価基準により評価した。なお、サンプルとして用いた絶縁性シートCの硬化物は、絶縁性シートを温度195℃、圧力20MPa、80分の条件で真空プレスした絶縁性シートに相当する。
重量減少率(%)=100×[(測定前のサンプル重量-300℃まで昇温させた際のサンプル重量)/(測定前のサンプル重量)]
A: 2.0%以下
B: 2.0%超 4.0%以下
C: 4.0%超
各実施例の結果より、窒化ホウ素凝集粒子を含む無機充填材を65体積%以上含み、特定の加熱加圧処理及び屈曲処理を行った後の絶縁破壊電圧が4kV以上の絶縁性シートは、熱伝導率が10W/m・K以上と高く、また屈曲試験後のクラックがないことより柔軟性が良好であった。また、各実施例の絶縁性シートは、リフロー前後の絶縁破壊電圧の低下率が低く、熱負荷による絶縁性低下が抑制されていた。
これに対して、各比較例の絶縁性シートは、窒化ホウ素凝集粒子を含む無機充填材を65体積%以上含み、熱伝導率は10W/m・K以上であったが、特定の加熱加圧処理及び屈曲処理後の絶縁破壊電圧が4kV未満であり、柔軟性が悪いか、またはリフロー前後の絶縁破壊電圧の低下率が高く、熱負荷により絶縁性が低下しやすいものであった。
10 絶縁性シートの硬化物
11 金属ベース板
12 金属板
13 積層体
14 半導体素子
15 半導体装置
16 接続導電部
17 ワイヤ
19 封止樹脂
20 リード

Claims (14)

  1. 熱硬化性樹脂と、熱硬化剤と、無機充填材とを含む絶縁性シートであって、
    前記無機充填材は、窒化ホウ素凝集粒子を含み、
    前記無機充填材の含有量が、絶縁性シート100体積%中、65体積%以上であり、
    下記条件で加熱加圧処理された絶縁性シートを、無負荷U字伸縮試験機を用いて屈曲処理した後の絶縁破壊電圧が4kV以上である、絶縁性シート。
    (加熱加圧処理及び屈曲処理の条件)
    絶縁性シートを2枚積層し、熱プレス機で、温度90℃、圧力20MPa、時間45分の条件で加熱加圧処理をする。加熱加圧処理後の絶縁性シートを50mm×50mm角にカットして、無負荷U字伸縮試験機により、絶縁性シートの端部間の距離が15mmとなるようにU字に折り曲げて、もとに戻す操作を1サイクルとして、合計5サイクル屈曲処理をする。
  2. 前記窒化ホウ素凝集粒子の含有量が、絶縁性シート100体積%中、50体積%以上である、請求項1に記載の絶縁性シート。
  3. 一次粒子の平均アスペクト比が7未満である窒化ホウ素凝集粒子の含有量が、絶縁性シート100体積%中、50体積%以上である、請求項1又は2に記載の絶縁性シート。
  4. 前記無機充填材が、窒化ホウ素凝集粒子以外の無機粒子を含む、請求項1又は2に記載の絶縁性シート。
  5. 前記熱硬化性樹脂が、25℃における粘度が50000mPa・s以下の液状エポキシ樹脂を含み、
    前記液状エポキシ樹脂の含有量が、前記熱硬化性樹脂100体積%中、40体積%以上である、請求項1又は2に記載の絶縁性シート。
  6. 前記熱硬化剤が、イミドオリゴマーを含む、請求項1又は2に記載の絶縁性シート。
  7. 前記加熱加圧処理後の厚みが150μm以下である、請求項1又は2に記載の絶縁性シート。
  8. 熱伝導率が10W/m・K以上である、請求項1又は2に記載の絶縁性シート。
  9. 195℃、20MPa、80分の条件で真空プレス後の絶縁性シートを、示差熱熱重量同時測定装置を用いて、乾燥窒素気流下、昇温速度10℃/分の条件により、50℃から300℃まで昇温させたときの重量減少率が4%以下である、請求項1又は2に記載の絶縁性シート。
  10. 請求項1又は2に記載の絶縁性シートの硬化物。
  11. 請求項10に記載の絶縁性シートの硬化物と、金属ベース板と、金属板とを備え、前記金属ベース板上に、前記絶縁性シートの硬化物と前記金属板をこの順に備える積層体。
  12. 前記積層体が、回路基板である請求項11に記載の積層体。
  13. 前記金属板が、回路パターンを有する請求項11に記載の積層体。
  14. 請求項11に記載の積層体と、前記金属板の上に設けられる半導体素子とを備える半導体装置。

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