JP2024142355A - 輻射空調システム - Google Patents

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【課題】空間の温熱快適性を向上させることが可能な輻射空調システムを提供する。【解決手段】輻射空調システム100は、スリット状の吹出口(吹出スリット22)を有する複数の吹出ノズル13と、吹出ノズル13に空気を送風する送風機15と、内部に冷媒を通すことにより被空調空間1に熱輻射を発生させる複数のパイプ(冷温水輻射パイプ32)を有する輻射熱発生装置31とを備える。輻射熱発生装置31は、吹出ノズル13の吹出方向に対して側面となる位置にそれぞれ設けられる。複数のパイプは、吹出ノズル13の側面において、吹出スリット22に垂直な方向に並設され、吹出ノズル13の両端部のうち片側から内部に冷媒が流入して、反対側の端部で折り返して、片側から流出するように構成されており、吹出ノズル13の片側において冷媒が流入する流入パイプの数が、片側において冷媒が流出する流出パイプの数よりも多くなっている。【選択図】図1

Description

本発明は、水による輻射伝熱を活用して室内を空調する輻射空調システムに関するものである。
従来技術として、冷温水などの熱媒が流れる多数のパイプをパネルに埋め込み、熱放射により室内などを空調する輻射パネルを利用した輻射空調システムが知られている(例えば、特許文献1)。
特開平7-19533号公報
従来の輻射空調システムでは、空間内を循環する空気による対流熱伝達がほとんど発生しないため、冷却熱を生じる物体を活用して空間を冷却することができず、快適性を向上させることができなかった。
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、空間の温熱快適性を向上させることが可能な輻射空調システムを提供することを目的としている。
本発明に係る輻射空調システムは、スリット状の吹出口を有する複数の吹出ノズルと、吹出ノズルの内部に空気を送風する送風機と、内部に冷媒を通すことにより被空調空間に熱輻射を発生させる複数のパイプを有する輻射熱発生部と、を備える。複数の吹出ノズルは、それぞれの吹出口が同一面上に位置するように間隙を有して並設されて送風面を構成する。間隙には、吹出ノズルから送風される吹出空気によって誘引される誘引空気が通過する。輻射熱発生部は、吹出ノズルの吹出方向に対して両側の側面となる位置にそれぞれ設けられる。複数のパイプは、吹出ノズルの側面において送風面に垂直な方向に並設され、吹出ノズルの両端部のうちの片側から内部に冷媒が流入して、吹出ノズルの反対側の端部で折り返して吹出ノズルの片側から流出するように構成され、吹出ノズルの片側において冷媒が流入する流入パイプの数が、吹出ノズルの片側において冷媒が流出する流出パイプの数よりも多くなっている。これにより所期の目的を達成するものである。
本発明によれば、空間の温熱快適性を向上させることが可能な輻射空調システムを提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る輻射空調システムの基本構成を示す斜視図である。 図2は、輻射空調システムの全体配置を示す側面図である。 図3は、輻射空調システムにおける送風装置の設置イメージを示す配置図である。 図4(a)は、輻射空調システムを構成する吹出ノズルと冷温水輻射パイプの配置関係を示す斜視図であり、図4(b)は、輻射空調システムを構成する吹出ノズルと冷温水輻射パイプの配置関係を示す断面図である。 図5は、輻射空調システムにおける輻射熱発生装置の冷温水輻射パイプ及び冷温水生成装置との接続関係を示す接続概略図である。 図6は、送風装置内の空気の流れ方向を示す上面図である。 図7は、送風装置の吹出ノズルからの吹出空気及び冷温水輻射パイプ近傍に発生する誘引空気の流れ方向を示す断面図である。 図8(a)~図8(g)は、吹出ノズル内における冷温水輻射パイプの配置状態の変形例を示す断面図である。
本発明に係る輻射空調システムは、スリット状の吹出口を有する複数の吹出ノズルと、吹出ノズルの内部に空気を送風する送風機と、内部に冷媒を通すことにより被空調空間に熱輻射を発生させる複数のパイプを有する輻射熱発生部と、を備える。複数の吹出ノズルは、それぞれの吹出口が同一面上に位置するように間隙を有して並設されて送風面を構成する。間隙には、吹出ノズルから送風される吹出空気によって誘引される誘引空気が通過する。輻射熱発生部は、吹出ノズルの吹出方向に対して両側の側面となる位置にそれぞれ設けられる。複数のパイプは、吹出ノズルの側面において送風面に垂直な方向に並設され、吹出ノズルの両端部のうちの片側から内部に冷媒が流入して、吹出ノズルの反対側の端部で折り返して吹出ノズルの片側から流出するように構成されており、吹出ノズルの片側において冷媒が流入する流入パイプの数が、吹出ノズルの片側において冷媒が流出する流出パイプの数よりも多くなっている。
こうした構成によれば、吹出ノズルの側面の内側に設置された輻射熱発生部は、吹出ノズルの内部を流れる空気と対流伝熱によって熱交換し、且つ、接している吹出ノズルの側面と伝熱によって熱交換する。加えて、輻射熱発生部は、複数のパイプによって分割されるため、表面積を増やすことができ、吹出ノズルの内部を流れる空気あるいは吹出ノズルへの熱交換が促進される。また、輻射熱発生部を構成する複数のパイプでは、流通する冷媒と、吹出ノズルの内部を流れる空気あるいは吹出ノズルとの温度差は、吹出ノズルの片側において冷媒が流入する流入パイプの方が、冷媒が流出する流出パイプと比べて大きい。そのため、輻射熱発生部を構成する複数のパイプについて、冷媒が流入する流入パイプの数が、冷媒が流出する流出パイプの数以下となる場合と比べて、冷媒が流入する流入パイプの数が、冷媒が流出する流出パイプの数よりも多くなることで、熱交換が促進される。一方、吹出ノズルの間隙に誘引された空気(誘引空気)が、吹出ノズルとの間で熱交換し、吹出ノズルからの吹出空気と一体となることにより、微風速な面状の均一流として被空調空間へ送風される。
このため、被空調空間の全体において温度の偏りあるいはドラフト感を抑制した空調を実現し、体感温度ムラのない空間を実現することができる。つまり、空間の温熱快適性を向上させることが可能な輻射空調システムとすることができる。
また、本発明に係る輻射空調システムは、吹出ノズルの両端部のうちの片側から、吹出ノズルの内部に空気を送風する構成としてもよい。こうした構成にすると、吹出ノズルの内部を流れる空気は、両端部のうちの片側となる一端側から流入した空気が他端側に向かって流れながら、その一部がスリット状の吹出口から被空調空間に吹き出される。つまり、吹出ノズルの内部を流れる空気の風量は、一端側から他端側に向かうにつれて徐々に小さくなる。また、吹出ノズルの一端側から流入した冷媒は、吹出ノズルの内部を流れる空気あるいは吹出ノズルと熱交換しながら他端側へと流れるため、流出パイプと、吹出ノズルの内部を流れる空気あるいは吹出ノズルとの温度差は、一端側近傍の方が他端側近傍よりも大きくなる。よって、吹出ノズルの内部を流れる空気との温度差が大きい流入パイプのまわりを、より大きい風量が流れることで、輻射熱発生部と吹出空気との熱交換が促進
され、温熱快適性を向上することができる。
また、本発明に係る輻射空調システムでは、流入パイプは、送風面に垂直な方向において、流出パイプの位置よりも吹出口側に配置されることが好ましい。居住者との位置関係によっては、吹出ノズルの吹出口と反対側の一部は、居住者との間に他の吹出ノズルが存在し、輻射による熱交換が行われない可能性があるが、こうした構成にすると、内部を流通する冷媒と、吹出ノズルの内部を流れる空気あるいは吹出ノズルとの温度差が流出パイプよりも大きい流入パイプが居住者に近い側に位置するので、吹出ノズルの、居住者に近い側の一部でより熱交換が促進される。よって、並設された吹出ノズルと被空調空間に滞在する居住者との輻射による熱交換が促進され、温熱快適性を向上することができる。
また、本発明に係る輻射空調システムでは、複数のパイプは、送風面に垂直な平面であって、吹出口の中心を通る平面を基準として、対称となるように配置される構成としてもよい。こうした構成にすると、吹出ノズルの表面の温度分布、及び、吹出ノズル内部を流れる空気の温度分布の偏りが抑制され、熱交換効率が向上する。なお、温度分布の偏りが小さい程、平均的に冷媒との温度差が大きくなるため、熱交換量が増加する。よって、被空調空間の温熱快適性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
(実施の形態1)
まず、図1及び図2を参照して、本実施の形態1に係る輻射空調システム100について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る輻射空調システム100の基本構成を示す斜視図である。図2は、輻射空調システム100の全体配置を示す側面図である。なお、図1及び図2では、システムを構成する主要な装置及び代表的な構成のみを示しており、各装置の詳細な構成については、図3以降を参照して後述する。
輻射空調システム100は、気流、熱交換、及び熱輻射の組み合わせによって居住空間(被空調空間1)の温熱環境を高める役割、つまり居住空間の温熱快適性を向上させる役割を担うシステムである。
具体的には、図1に示すように、輻射空調システム100は、送風装置11と、輻射熱発生装置31とを有して構成される。送風装置11は、送風ユニット12と総称される送風ユニット12a、12bと、吹出ノズル13と総称される吹出ノズル13a、13b、13c、13dと、送風機ボックス14と総称される送風機ボックス14a、14bと、送風機15と総称される送風機15a、15bと、吹出スリット22と総称される吹出スリット22a、22b、22c、22d(図3参照)と、を備えて構成される。輻射熱発生装置31は、冷温水輻射パイプ32と総称される冷温水輻射パイプ32a、32b、32c、32dと、給水管33と、排水管34と、冷温水生成チラー35と、送水ポンプ36と、室外機42と、冷媒回路43と、を備えて構成される。
輻射空調システム100は、住宅の一部である被空調空間1内に設置される。ここで、被空調空間1とは、居住者がその内部で生活を営む場として利用する空間を指し、リビング、ダイニング、寝室、個室、又は子供部屋等が含まれる。なお、押入、クローゼット、又は機械室等の居住者が内部で活動しない空間は含まない。また、被空調空間1は、天井面、床面、及び側壁面を含む壁面による閉空間を構成するが、図1では、被空調空間1の内部に設置された輻射空調システム100の配置を見やすくするため、図面手前側の側壁
面及び天井面を透過して表示させている。
輻射熱発生装置31は、冷温水輻射パイプ32と、給水管33と、排水管34と、冷温水生成チラー35と、送水ポンプ36と、室外機42と、冷媒回路43と、を備える。なお、輻射熱発生装置31は、請求項の「輻射熱発生部」に相当する。
冷温水生成チラー35は、被空調空間1の空調及び熱輻射を発生させるための水を生成するための装置であり、内部に水を加熱冷却させる機構である冷媒コイル35aと、加熱冷却用の水を貯水するためのタンクと、水の温度制御を行う機構とを備えている。
さらに、冷媒コイル35aは、冷媒が流れる冷媒回路43を介して室外機42と接続されている。冷温水生成チラー35は、給水管33、及び排水管34と接続されており、内部を通過する水が冷媒コイル35aと接触するような構成となっている。つまり、冷媒コイル35aの温度を変化させることで、水の温度を調節することができる。
給水管33は、冷温水生成チラー35で温度調節を行った水を冷温水輻射パイプ32に送るための配管である。給水管33は、上流側から冷温水生成チラー35、送水ポンプ36、及び冷温水輻射パイプ32の順に接続されている。
排水管34は、冷温水輻射パイプ32を循環して戻ってきた水を冷温水生成チラー35に返すための配管である。排水管34は、上流側から冷温水輻射パイプ32及び冷温水生成チラー35の順に接続されている。
送水ポンプ36は、冷温水輻射パイプ32に送る加熱冷却用の水の流れを生じさせるポンプである。なお、本実施の形態では、給水管33、排水管34、冷温水生成チラー35、及び送水ポンプ36は、被空調空間1外に配置されているが、構成する天井面、床面、及び側壁面を超えて被空調空間1の内部に配置してもよく、居住空間の妨げにならない任意の位置に配置しても本発明の作用及び効果に影響するものではない。
室外機42は、屋外空間に設置される室外ユニットであり、圧縮機42a、膨張器42b、屋外熱交換器42c、送風ファン42d、及び四方弁42eからなるヒートポンプ44を有している。室外機42には、一般的な構成のものを用いるので、各機器(圧縮機42a、膨張器42b、屋外熱交換器42c、送風ファン42d、四方弁42e)の詳細な説明は省略する。
ヒートポンプ44は、冷媒回路43を介して、冷媒コイル35aと接続されており、室外機42は、ヒートポンプ44を制御することで冷媒コイル35aを流れる冷媒の温度を調整している。
冷媒コイル35aは、圧縮機と放熱器と膨張器と吸熱器とを含んで構成される冷凍サイクルにおいて、吸熱器または放熱器として機能し、室外機42から導入される冷媒が内部を流通する際に吸熱(冷却)または放熱(加熱)するように構成されている。冷媒コイル35aを含む冷凍サイクルには、四方弁42eが接続されているので、冷温水生成チラー35では、四方弁42eによって第一方向に冷媒が流通して水を冷却する冷却モードの状態と、四方弁42eによって第二方向に冷媒が流通して水に対して加熱を行う加熱モードの状態とを切り替え可能である。
ここで、第一方向は、圧縮機42aと屋外熱交換器42cと膨張器42bと冷媒コイル35aとをこの順序で冷媒が流通する方向である。また、第二方向は、圧縮機42aと冷媒コイル35aと膨張器42bと屋外熱交換器42cとをこの順序で冷媒が流通する方向
である。冷媒コイル35aでは、導入される水に対して冷却または加熱することが可能である。
冷温水輻射パイプ32は、被空調空間1の内部を占める空気の温度を変化させる、あるいは、被空調空間1を構成する壁面及び内部に存在する物体(家具または人体など)との間で熱輻射を発生させるための中空部材であり、その内部を水が通過可能に構成されている。冷温水輻射パイプ32は、給水管33及び排水管34とそれぞれ接続されており、給水管33から温調された水が導入され、冷温水輻射パイプ32を流通した水が排水管34に排出される構成となっている。
冷温水輻射パイプ32は、複数に分岐したパイプによって構成され、複数の送風ユニット12a、12bのそれぞれの内部に設けられる。複数の冷温水輻射パイプ32a、32b、32c、32dは、それぞれ同じ材質で構成されており、特にその表面は、樹脂などの輻射率が高い素材を用いるのが好ましいが、他の素材で代用することも可能である。
その他の冷温水輻射パイプ32、給水管33、及び排水管34との接続関係の詳細など、輻射熱発生装置31の詳細については、図5を参照して後述する。
次に、図3及び図4を参照して、送風装置11の詳細な構成について説明する。図3は、輻射空調システム100における送風装置11の設置イメージを示す配置図である。図4(a)は、輻射空調システム100を構成する吹出ノズル13と冷温水輻射パイプ32の配置関係を示す斜視図であり、図4(b)は、輻射空調システム100を構成する吹出ノズル13と冷温水輻射パイプ32の配置関係を示す断面図である。
送風装置11は、送風面24(図7参照)から微風速な面状の均一流を被空調空間1に送風する装置である。本実施の形態では、送風装置11は、図1に示すように、被空調空間1の天井面付近に配置され、微風速な面状の均一流を被空調空間1の天井面から床面に向けて送風する。
具体的には、図3に示すように、送風装置11は、複数の送風ユニット12a、12bを有する。このように、送風装置11を複数の送風ユニット12に分けることにより、任意の被空調空間1における送風機構を送風ユニット12の組み合わせで表すことが可能になり、システムの汎用化を図ることができる。なお、送風ユニット12aと送風ユニット12bとは、同等の構成要素を有しているため、以下では送風ユニット12aを例にして説明する。
送風ユニット12aは、吹出ノズル13a、13bと、送風機ボックス14aと、送風機15aと、を備える。なお、送風ユニット12aを構成する構成部材は、必ずしも上述のような構成である必要はなく、少なくとも1つの送風機と、吹出ノズルと、送風機と吹出ノズルを連通する風路を備えていればよい。
送風機ボックス14aは、送風用チャンバ18aと、分割壁19aと、吸込口21aと、を備える。
送風機ボックス14aは、被空調空間1の循環空気を給気して吹出ノズル13(吹出ノズル13a、13b)に送風するために必要な機器類及び風路を集約して内蔵するための枠体である。また、送風機ボックス14aは、被空調空間1において、室内の下がり天井部に内蔵するように配置される。なお、送風機ボックス14aは、必ずしも被空調空間1の下がり天井部に内蔵する必要はなく、例えば天井面に吊り下げる、あるいは側壁面に固定して被空調空間1内に露出するように配置してもよい。
分割壁19aは、送風機ボックス14aの内部を、吸込口21aと送風機15aを含む空間と、吹出ノズル13(吹出ノズル13a、13b)に接続される空間である送風用チャンバ18aの2つに分割するように設けられる。また、分割壁19aは、送風機15aの送風機吹出口23aと連通する開口を有する。
送風用チャンバ18aは、送風機15aから送風された循環空気を一時的に蓄積する空間であり、送風機15aから供給された空気の分布を均一化して吹出ノズル13a及び吹出ノズル13bへの送風量を等しくする役割を担っている。また、送風機ボックス14a内において、送風機15aと送風用チャンバ18aとは、分割壁19aによって隔てられており、互いに送風機吹出口23aを介して連通している。送風用チャンバ18aは、送風機15aと接続している面と反対側の面で吹出ノズル13a及び吹出ノズル13bとそれぞれ連通しており、送風機15aから吹出ノズル13a及び吹出ノズル13bまでの連続した風路をそれぞれ形成する。
吸込口21aは、被空調空間1と送風機ボックス14aを連通するように、送風機ボックス14aの下面に設けられた長方形の開口である。
送風機15aは、被空調空間1と送風機ボックス14aとの間に圧力差を発生させ、被空調空間1から循環空気を吸込口21aから取り込み送風用チャンバ18aに送風する。送風機15aは、羽根車16aとモータ17aとを備えており、モータ17aによって羽根車16aを駆動させることで送風する。
吹出ノズル13(吹出ノズル13a、13b)は、送風機15aから送風された空気を被空調空間1に送風する役割を担い、吹出スリット22(吹出スリット22a、22b)を有する略直方体型の部材である。本実施の形態では、吹出ノズル13aと、吹出ノズル13bと、は同等の構成要素を有しているため、ここでは吹出ノズル13aを例にして説明する。吹出ノズル13(吹出ノズル13a、13b)は、それぞれ、図1に示すように、6つの面のうち最も断面積の小さい2つの面のうちの一方の面が送風機ボックス14aと接触しており、吹出ノズル13(吹出ノズル13a、13b)と送風機ボックス14aとは、空気が通過するための穴を介して互いに連通している。また、図2に示すように、6つの面のうち最も断面積の小さい2つの面のうちの他方の面は、被空調空間1の側壁面(送風機ボックス14aと接触する側壁面と対向する側壁面)を貫通した下がり天井部の内部に配置される。また、その他の最も断面積の小さい2つの面を除く4つの面は、送風機ボックス14a、被空調空間1の天井面、及び、隣り合う吹出ノズル13(吹出ノズル13aと吹出ノズル13b)とは互いに接触しておらず、被空調空間1を占める空気が吹出ノズル13の周囲を通過可能な状態に設置されている。本実施の形態では、被空調空間1と連通した吹出ノズル13周囲の空気が通過する空間を、誘引空間2と定めることとする。
より詳細には、図4に示すように、吹出ノズル13aが有している6つの面のうち、床面方向に向いている面に吹出スリット22aを有している。吹出スリット22aは、送風用チャンバ18a及び吹出ノズル13aを通過して供給された空気を被空調空間1に送風するための吹出口であり、送風機ボックス14aから吹出ノズルが伸びる方向に沿ってスリット状に形成されている(図3中の左右方向に相当)。また、吹出スリット22aは、図4(b)に示すように、吹出スリット22aが存在する面に対して幅が小さくなっており、吹出ノズル13a内部の空洞部分は、吹出スリット22aの幅に合うように、徐々に狭まるような構造となっている。図3中の左右方向の吹出ノズル13aの長さを吹出ノズル長さとすると、この長さは、送風機ボックス14aとの接触面の1辺の長さに対して十分に長いものとし、送風機ボックス14aとの接触面は、吹出スリット22aの法線方向
の長さを同接線方向に対して長くとるのが好ましい。このとき、吹出ノズル13aは、例えば接触面の辺の長さが縦17cm、横4cmであるとき、吹出ノズル長さは2m程度に設定される。
また、吹出ノズル13aと吹出ノズル13bとの位置関係は、図2に示すように、吹出スリット22a、22bが天井面と略平行な同一面上に位置するように、互いに略平行に並設され、吹出ノズル13aと吹出ノズル13bとの間には所定の間隔(例えば16cm)が設けられている。このようにすることで、吹出ノズル13aと吹出ノズル13bとの間の誘引空間2を十分に確保しつつ、広範囲にわたる吹出方向の気流を生成することを可能にする。なお、吹出ノズル13bと、送風ユニット12bの吹出ノズル13cとの間も同じ所定の間隔(例えば16cm)となるように、送風ユニット12aと送風ユニット12bとが並設される。また、吹出ノズル13aは、アルミニウムなどの熱伝送しやすい材質で構成されており、中空内部を流通する空気(後述する吹出空気Q0)並びに間隙を通過する空気(後述する誘引空気Q1)が側面部材を介して冷温水輻射パイプ32aと熱交換しやすくなっている。
なお、送風ユニット12bは、送風ユニット12aと同等の構成要素を有し、吹出ノズル13c、13d(吹出スリット22c、22d)のそれぞれは、送風ユニット12aにおける吹出ノズル13a、13b(吹出スリット22a、22b)のそれぞれと対応する。
図3に示すように、吹出スリット22a、22b、22c、22dは、それらの全てが天井面と略平行な同一面上に位置している。つまり、吹出ノズル13a、13b、13c、13dの吹出スリット22(吹出スリット22a、22b、22c、22d)側は、同一面上に位置するように間隙を有して並設されて送風面24(図7も参照)を形成していると言える。
次に、図5を参照して、輻射熱発生装置31の詳細構成について説明する。図5は、輻射熱発生装置31における冷温水輻射パイプ32及びその他関連構成の接続関係を示す接続概略図である。なお、送風ユニット12a、12bと、吹出ノズル13a、13b、13c、13dのそれぞれの内部における冷温水輻射パイプ32の配置は同等であるため、ここでは吹出ノズル13aのみを例として図示する。また、冷媒回路43及び室外機42は図示せず省略している。
輻射熱発生装置31は、冷温水などの冷媒が流れる多数のパイプの輻射熱によって被空調空間1の空調を行う装置である。本実施の形態では、輻射熱発生装置31は、送風装置11から吹き出される吹出空気Q0の温調、及び、吹出ノズル13を介して被空調空間1に存在する人及び物体へ輻射熱を与える役割を担っている。
具体的には、図5に示すように、輻射熱発生装置31は、冷温水輻射パイプ32(ここでは冷温水輻射パイプ32aのみを図示)と、給水管33と、排水管34と、冷温水生成チラー35と、送水ポンプ36と、を備えて構成される。
冷温水輻射パイプ32aは、吹出ノズル13aの吹出方向に対して両側の側面に複数本、且つ、同一本数のパイプを有する。また、吹出ノズル13aの一方の側面において、送風面24に垂直な方向に並設され、冷温水輻射パイプ32のそれぞれは、すべての隣接パイプ間の距離が同一間隔となるように配置されている。例えば、図5のパイプ32a1~パイプ32a4は、同一面上(吹出ノズル13aの一方の側面)に存在し、送風面24に垂直な方向に一定の距離を有して位置している。これらの距離は、例えば隣接パイプ間の距離が10mmとなるように設けられる。
また、図5のパイプ32a5~パイプ32a8も同様に、同一面上(吹出ノズル13の他方の側面)に存在し、送風面24に垂直な方向に一定の距離を有して位置している。
本実施の形態では、冷温水輻射パイプ32aは、一つの吹出ノズル13aの対向する側面に計8本の直線形状のパイプ(パイプ32a1、32a2、32a3、32a4、32a5、32a6、32a7、32a8)を有するパイプ群を構成している。前述のとおり、吹出ノズル13b、13c、13dに設けられる冷温水輻射パイプ32b、32c、32d(図示なし)も冷温水輻射パイプ32aと同様の構成である。
ここで、これらのパイプ群の構成を冷媒の流れの上流側から説明する。
まず、給水管33にはパイプ32a2の一方の端部が接続される。給水管33と接続されたパイプ32a2は、送風機ボックス14aを貫通し、吹出ノズル13aの両端部のうち、送風機ボックス14aと連通する片側から、吹出ノズル13aの内部に接続される。吹出ノズル13aの片側から接続されるパイプ32a2は、吹出ノズル13aの吹出方向に対して両側の側面のうち、一方の側面に配置される。そして、送風機ボックス14aと連通する片側近傍において、パイプ32a3、32a4と並列に分岐し、パイプ32a2、32a3、32a4は、一方の側面において送風面24に垂直な方向に一定の間隔で設けられる。並列に接続されたパイプ32a2、32a3、32a4は片側端部近傍から他方の端部近傍まで延設される。他方の端部近傍で、パイプ32a2、32a3、32a4は連結し、パイプ32a1の一方の端部と接続される。パイプ32a1は、他方の端部近傍から片側の端部近傍まで延設され、一方の側面においてパイプ32a2、32a3、32a4よりも吹出スリット22aから遠くなる位置、且つ、パイプ32a2、32a3、32a4と送風面24に垂直な方向に一定の間隔を設けるように配置される。つまり、冷媒となる水は、吹出ノズル13aの両端部のうち、吹出ノズル13a内部に空気を送風する片側からパイプ32a2を通って流入し、吹出ノズル13a内部でパイプ32a3、32a4に並列に分岐して流れ、吹出ノズル13aの反対側の端部でパイプ32a1に連結しながら折り返して、吹出ノズル13aの片側から流出するように流れる。このとき、パイプ32a2、32a3、32a4を「流入パイプ」とし、パイプ32a1を「流出パイプ」として区分する。
パイプ32a1の他方の端部は、吹出ノズル13aの他方の側面に設けられるパイプ32a6の一方の端部と接続される。そして、吹出ノズル13aの他方の側面には、パイプ32a5、32a6、32a7、32a8が、一方の側面に設けられるパイプ32a1、32a2、32a3、32a4に対応するように、送風面24に垂直な平面であって、吹出スリット22aの中心を通る基準面Fを基準として、対称となるように配置される。パイプ32a5は、吹出ノズル13aから送風機ボックス14aを貫通し、排水管34に接続される。
このようにすることで、冷温水輻射パイプ32aは、同一の給水管33、及び、排水管34と接続した単一の閉じた回路を形成することになる。これにより、熱源となる冷温水の供給経路を1つにまとめることができるため、設備の簡素化を図ることができる。
なお、これらの冷温水輻射パイプ32の接続関係については、必ずしもこの順序で接続する必要はなく、(a)少なくとも1本のパイプが給水管33と接続し、また給水管33と接続しているパイプと同数のパイプが排水管34と接続していること、(b)パイプ同士が直接接続する場合、それらの一方は給水管33と、もう一方は排水管34と接続していること、のすべての条件を満足していれば問題ない。例えば、パイプ32a2とパイプ32a6が給水管33に接続され、パイプ32a1とパイプ32a5が排水管34に接続
されるような構成にしてもよい。
給水管33及び排水管34は、全ての冷温水輻射パイプ32a、32b、32c、32dと給水及び排水を確実に行うため、冷温水輻射パイプ32a、32b、32c、32dよりも径の太いパイプを用い、大流量に対応した構成にするのが好ましい。例えば冷温水輻射パイプ32に含まれる全てのパイプの径が4mmの場合、給水管33及び排水管34は、それぞれ20mm程度の径のものを用いる。なお、給水管33及び排水管34の太さを「径」と表記したが、必ずしも断面は円形である必要はなく、例えば直方体形状の断面形状を有した配管を用いてもよい。
以上が、輻射空調システム100の構成である。
次に、図6及び図7を参照して、輻射空調システム100における空気の流れについて説明する。図6は送風装置11内の空気の流れを示す上面図である。図7は送風装置11の吹出ノズル13からの吹出空気Q0、及び、吹出ノズル13近傍に発生する誘引空気Q2の流れ方向を示す断面図である。
前述のとおり、送風装置11を構成する送風ユニット12aと送風ユニット12bとは、同等の構成要素を有しているため、ここでは送風ユニット12aを例にして説明する。
図6に示すように、送風機15aが稼働することによって、被空調空間1内の空気が吸込空気A0aとして、吸込口21aから送風機ボックス14aの内部へ流入される。吸込空気A0aは、送風機15aに吸い込まれ、送風機吹出口23aから空気A1aとして吹き出され、送風用チャンバ18aに一時的に蓄積され、送風機15aからの押し込みによって吹出ノズル13a及び吹出ノズル13bへと順次送風される。
吹出ノズル13a、13bには、それぞれ空気A2a、A2bが送風される。なお、それぞれの風量の関係は、厳密に規定されるものではないが、吹出ノズル13aと吹出ノズル13bをそれぞれ送風用チャンバ18aの中心線に関して対称となるように配置することにより、空気A2aの風量=空気A2bの風量となることが望ましい。
同様に、送風ユニット12bにおいては、吹出ノズル13c、13dに、それぞれ空気A2c、A2dが送風される。
そして、空気A2a、A2b、A2c、A2dは、それぞれノズル長さ方向に向かって流れつつ、その一部が吹出空気Q0(図7参照)として吹出スリット22a、22b、22c、22dから図面奥向きに流出する。なお、図6では記載を省略したが、吹出スリット22から流出する風量をノズル長さ方向に依らず一定にするため、吹出ノズル13内部に整流用のフィンなどを設けてもよい。
図7に示すように、吹出ノズル13a、13b、13c、13dに送風された空気は、吹出スリット22a、22b、22c、22dから吹出空気Q0として被空調空間1に放出される。ここで、吹出ノズル13a、13b、13c、13dは、上述したように同程度の風量を吹出スリット22a、22b、22c、22dからそれぞれ放出するため、吹出空気Q0は、吹出ノズル13の並列方向に分布の偏りなく、吹出スリット22の間隔ごとにピークを持つような風速分布となる。この吹出空気Q0は、スリット状の吹出口を活用することにより風量に対して比較的風速の大きい性質を有しているため、吹出方向に直進性の高い気流を生成する。また、この吹出空気Q0に起因して、吹出ノズル13周辺と誘引空間2との間で圧力差が発生し、吹出ノズル13と天井面との間の誘引空間2に流入する誘引空気Q1が発生する。ここで、誘引空気Q1は、吹出スリット22の断面積に対
して非常に広大な断面積を有する誘引空間2に導入される空気であるため、風量に対して風速が非常に小さい性質を有しており、一般に風量の関係は、吹出空気Q0の風量<誘引空気Q1の風量の関係が成り立つ。
次に、図1及び図5を参照して、輻射熱発生装置31の内部を周回する水の流れについて説明する。
まず、図1、図2、及び図5に示すように、冷温水生成チラー35に導入された水は、冷温水生成チラー35内にて加熱あるいは冷却される。ここで加熱あるいは冷却には、例えば冷媒を使用したヒートポンプ方式などが用いられる。そして、加熱あるいは冷却された冷温水は、冷温水生成チラー35に内蔵されるタンクなどに一時的に貯水され、送水ポンプ36が駆動されることで、任意の流量で給水管33へと送水される。その後、給水管33に供給された冷温水は、冷温水輻射パイプ32a、32b、32c、32dに、それぞれ分配されて送水され、送風装置11の吹出ノズル13の側面付近を周回して排水管34へと回収される。
送風装置11内での水の流れを詳細に説明する。送風ユニット12aと送風ユニット12bとは、同等の構成要素を有しているため、ここでは送風ユニット12aを例にして説明する。
図2及び図5に示すように、給水管33からパイプ32a2に送水された後、送風機ボックス14aを貫通するパイプ32a2を流れて、送風機ボックス14aと吹出ノズル13aが連通する片側の面から、吹出ノズル13aへ流入する。吹出ノズル13aに流入した後、吹出ノズル13aの片側近傍で1本のパイプ32a2から、3本のパイプ32a2、32a3、32a4へと並列に分岐し、吹出ノズル13aの吹出方向に対して両側の側面のうち一方の側面を、吹出ノズル13aの片側から反対側の端部近傍へ向かって流れる。そして、反対側の端部近傍で3本のパイプ32a2、32a3、32a4から、1本のパイプ32a1へ連結しつつ、流れの向きが反対となるように折り返して流れる。吹出ノズル13aへ流入する流れと反対の向きとなって、パイプ32a1を通り反対側の端部近傍から、送風機ボックス14aと吹出ノズル13aの連通する片側近傍まで流れる。
そして、片側近傍でパイプ32a6へ連結しつつ、流れの向きが反対となり、吹出ノズル13aの一方の側面から他方の側面を流れるように折り返す。吹出ノズル13aの他方の側面における水の流れは、送風面24に垂直、且つ、吹出スリット22aの中央を通る平面(基準面F:図4(b)参照)を基準に、一方の側面における水の流れと対称となる。つまり、他方の側面において、パイプ32a6を通って流入し、パイプ32a5を通って吹出ノズル13aから流出する。パイプ32a5を通って吹出ノズル13aから流出した後、送風機ボックス14aを貫通して流れ、排水管34へ流れる。なお、吹出ノズル13b内での水の流れは、吹出ノズル13aと同等であり、冷温水輻射パイプ32bを流れる水の流れは、冷温水輻射パイプ32aを流れる水の流れと同様であるので、ここでは説明を省略する。
排水管34へ回収された水は、冷温水生成チラー35に順次送られ、再度熱源として利用される。このように、輻射熱発生装置31内の水は、熱源として繰り返し利用され、少量の水利用でシステムを完結させることが可能である。ただし、配管部へのスケール付着などにより、内部を流れる水の水質悪化などが懸念される場合には、浄化用フィルタまたは水道などと接続した別経路を設定して冗長性を確保し、水の浄化または交換を行うようにすることが好ましい。
なお、送風ユニット12bにおける吹出ノズル13c、13d内での水の流れもそれぞ
れ同様であるので、ここでは説明を省略する。
次に、輻射空調システム100による被空調空間1の空調作用について、冷房期の使用を例にして説明する。
輻射熱発生装置31では、冷温水生成チラー35に25℃で流入した水は、18℃に冷却されて給水管33に送られる。その後、冷温水輻射パイプ32に分配された冷水は、送風装置11の内部を通過中に、送風装置11内部の吸込空気A0a~A2aとの熱交換、および、吹出ノズル13aとの熱交換によって次第に温められる。冷温水輻射パイプ32から排水管34に回収される時点で25℃になった水は、冷温水生成チラー35に再度送られて18℃に冷却される、というサイクルを繰り返す。
一方で、被空調空間1の空気の一部は、送風機ボックス14aに27℃で流入し、送風装置11内部を通過中に冷温水輻射パイプ32を流れる冷水と熱交換し、24℃に冷却されて吹出スリット22から被空調空間1に吹き出される。誘引空間2の空気は、誘引空気Q2として複数の吹出ノズル13の間を流れる際に19℃に冷却された吹出ノズル13と熱交換し、26℃に冷却された後、吹出空気Q0と混ざりながら略均一な温度分布の気流となって被空調空間1を流れる。冷却された空気は、被空調空間1における熱負荷(外気との換気、日射、壁の蓄熱など)によって温められ、再び送風機ボックス14aに27℃の空気が流入する。以上のサイクルを繰り返すことで、輻射空調システム100は被空調空間1を空調する。
送風装置11での熱移動をより詳細に説明する。
送風ユニット12a、12bでの熱移動は同等のため、送風ユニット12aを例に説明する。また、吹出ノズル13a、13bでの熱移動も同等のため、吹出ノズル13aを例に説明する。
まず、送風機ボックス14aの内部では、給水管33と接続されたパイプ32a2を流れる冷却された水、及び、排水管34に接続されたパイプ32a5を流れる水と、被空調空間1から流入する空気とが、パイプ32a2及びパイプ32a5を介して、対流伝熱によって熱交換する。以降、輻射熱発生装置31を流れる水と冷温水輻射パイプ32との間の熱移動は同義であるので省略する。
次に、吹出ノズル13aの内部では、冷温水輻射パイプ32aと、吹出ノズル13a内部を流れる空気A2aとが対流伝熱によって熱交換する。この時、パイプ32a2とパイプ32a6は、それぞれパイプ32a3、32a4とパイプ32a7、32a8とに並列に分岐するため、吹出ノズル13aの内部を送風機ボックス14aと連通する片側の面から、反対側の面へ向かって流れる流入パイプの表面積が、吹出ノズル13aの反対側の面から、片側の面へ向かって流れる流出パイプの表面積より大きくなる。よって、流入パイプの本数が、流出パイプの本数以下となる場合(例えば、冷温水輻射パイプが吹出ノズル13a内部で分岐せず、流入パイプと流出パイプの本数が同じとなる場合)と比べて、空気A2aとの温度差が大きい流入パイプと空気A2aが接する表面積がより増加するため、より多くの熱を交換することになる。そして、パイプ32a2、32a3、32a4、32a6、32a7、32a8の温度は、送風機ボックス14aから離れるにつれて徐々に高くなる。
また、吹出ノズル13a内部を流れる空気A2aは、吹出スリット22aを通過して被空調空間1へ流れるため、吹出ノズル13aの内部において、吹出ノズル13aの最も小さい面に平行な断面を通過する風量は、送風機ボックス14aから離れるにつれて徐々に
小さくなる。
よって、吹出ノズル13aの内部において、送風機ボックス14a側では、より温度の低い冷温水輻射パイプ32aと、より風量の大きい空気A2aとが熱交換をすることで、より多くの熱が移動することになる。
また、吹出ノズル13aの内部では、冷温水輻射パイプ32aと、冷温水輻射パイプ32aと接する吹出ノズル13aの側面とが、伝熱によって熱交換するので、吹出ノズル13a自体が冷却される。そして、吹出ノズル13aの外部では、冷却された吹出ノズル13aと、まわりを流れる誘引空気Q2とが対流伝熱によって熱交換し、被空調空間1の空気を冷却する。
また、冷却された吹出ノズル13aは、被空調空間1の壁面、居住者など温度差のある物体との間で輻射によって熱を交換する。そして、壁面、居住者などによる冷房への熱負荷を低減することで、より被空調空間1の空気を冷却しやすくする。
以上が、輻射空調システム100による被空調空間1の空調作用の説明である。
なお、ここで示した温度推移は、あくまでも一例であり、例えば暖房期の利用時においてはこの限りではない。また、給水管33を通過中の冷温水が外部環境によって容易に変化しうる場合、熱源としての能力不足または冷温水輻射パイプ32a、32b、32c、32dの間での冷温水温度の不均一化が懸念されるが、このような場合には、給水管33に断熱性の高い材質を利用するなどの対策を施すのが好ましい。
以上、本実施の形態1に係る輻射空調システム100によれば、以下の効果を享受することができる。
(1)輻射空調システム100は、スリット状の吹出口(吹出スリット22)を有する複数の吹出ノズル13と、吹出ノズル13の内部に空気を送風する送風機15と、内部に冷媒を通すことにより被空調空間1に熱輻射を発生させる複数のパイプ(冷温水輻射パイプ32)を有する輻射熱発生装置31と、を備える。複数の吹出ノズル13は、それぞれの吹出口(吹出スリット22)が同一面上に位置するように間隙を有して並設されて送風面24を構成する。間隙には、吹出ノズル13から送風される吹出空気Q0によって誘引される誘引空気Q2が通過する。輻射熱発生装置31は、吹出ノズル13の吹出方向に対して両側の側面となる位置にそれぞれ設けられる。複数のパイプは、吹出ノズル13の側面において送風面24に垂直な方向に並設され、吹出ノズル13の両端部のうちの片側から内部に冷媒が流入して、吹出ノズル13の反対側の端部で折り返して吹出ノズル13の片側から流出するように構成されており、吹出ノズル13の片側において冷媒が流入する流入パイプの数が、吹出ノズルの片側において冷媒が流出する流出パイプの数よりも多くした。吹出ノズル13aを例にすると、片側の側面に配置されるパイプ32a1、32a2,32a3,32a4について、流入パイプとなるパイプ32a2、32a3、32a4の数が、流出パイプとなるパイプ32a1よりも多くなるように設ける。反対側の側面に配置されるパイプ32a5、32a6、32a7、32a8についても同様である。
こうした構成によれば、例えば吹出ノズル13aについて、吹出ノズル13aの側面の内側に設置された輻射熱発生装置31(冷温水輻射パイプ32aを構成するパイプ32a1~32a8)は、吹出ノズル13aの内部を流れる空気A2aと対流伝熱によって熱交換し、且つ、接している吹出ノズル13aの側面と伝熱によって熱交換する。加えて、輻射熱発生装置31は、複数のパイプ(冷温水輻射パイプ32a)によって分割されるため、表面積を増やすことができ、吹出ノズル13aの内部を流れる空気A2a、あるいは吹
出ノズル13aへの熱交換が促進される。
また、輻射熱発生装置31を構成する複数の冷温水輻射パイプ32aは、流通する冷媒と、吹出ノズル13aの内部を流れる空気A2aあるいは吹出ノズル13aとの温度差は、吹出ノズル13aの片側において冷媒が流入するパイプ32a2、32a3、32a4の方が、冷媒が流出するパイプ32a1と比べて大きい。同様に、パイプ32a6、32a7、32a8の方が、冷媒が流出するパイプ32a5と比べて大きい。そのため、輻射熱発生装置31を構成する複数の冷温水輻射パイプ32aについて、冷媒が流入する流入パイプの数が、冷媒が流出する流出パイプの数以下となる場合と比べて、冷媒が流入するパイプの数が、冷媒が流出する流出パイプの数よりも多くなることで、吹出ノズル13aの内部を流れる空気A2aあるいは吹出ノズル13aとの温度差の大きい流入パイプ(パイプ32a2、32a3、32a4、32a6、32a7、32a8)の表面積が大きくなり、より熱交換が促進される。一方、吹出ノズル13aの間隙に誘引された空気(誘引空気Q2)が、吹出ノズル13aとの間で熱交換し、吹出ノズル13aからの吹出空気Q0と一体となることにより、微風速な面状の均一流として被空調空間1へ送風される。吹出ノズル13b、13c、13dについても同様である。
このため、被空調空間1の全体において温度の偏りあるいはドラフト感を抑制した空調を実現し、体感温度ムラのない被空調空間1を実現することができる。つまり、空間の温熱快適性を向上させることが可能な輻射空調システム100とすることができる。
(2)輻射空調システム100では、送風機15aは、吹出ノズル13aの両端部のうちの片側から、吹出ノズル13aの内部に空気を送風する構成とした。こうした構成にすると、吹出ノズル13aの内部を流れる空気A2aは、両端部のうち片側となる一端側から流入した空気が他端側に向かって流れながら、その一部がスリット状の吹出口(吹出スリット22)から被空調空間1に吹き出される。つまり、吹出ノズル13aの内部を流れる空気A2aの風量は、一端側から他端側に向かうにつれて徐々に小さくなる。また、吹出ノズル13aの一端側から流入してパイプ32a2、32a3、32a4、32a6、32a7、32a8を通って他端側に流れる冷媒は、吹出ノズル13aの内部を流れる空気A2aあるいは吹出ノズル13aと熱交換しながら他端側へと流れるため、流入パイプ(パイプ32a2、32a3、32a4、32a6、32a7、32a8)と、吹出ノズル13aの内部を流れる空気A2aあるいは吹出ノズル13aとの温度差は、一端側近傍の方が、他端側近傍よりも大きくなる。よって、吹出ノズル13aの内部を流れる空気A2aとの温度差が大きい流入パイプ(パイプ32a2、32a3、32a4、32a6、32a7、32a8)のまわりを、より大きい風量が流れることで、輻射熱発生装置31と吹出空気Q0との熱交換が促進され、温熱快適性を向上することができる。なお、他の吹出ノズル13b、13c、13dについても同様である。
(3)輻射空調システム100では、流入パイプ(パイプ32a2、32a3、32a4、32a6、32a7、32a8)は、送風面24に垂直な方向において、流出パイプ(パイプ32a1、32a5)の位置よりも吹出口(吹出スリット22)側に配置される構成とした。被空調空間1内に滞在する居住者との位置関係によっては、吹出ノズル13aの吹出口(吹出スリット22a)とは反対側の一部は、居住者との間に他の吹出ノズル13bが存在し、輻射による熱交換が行われない可能性があるが、こうした構成にすると、内部を流通する冷媒と、吹出ノズル13aの内部を流れる空気あるいは吹出ノズル13aとの温度差が流出パイプよりも大きい流入パイプが居住者に近い側に位置するので、吹出ノズル13aの、居住者に近い側の一部でより熱交換が促進される。他の吹出ノズル13b、13c、13dについても同様である。よって、並設された吹出ノズル13と被空調空間1に滞在する居住者との輻射による熱交換が促進され、温熱快適性を向上することができる。
(4)輻射空調システム100では、吹出ノズル13aについて、パイプ32a1~32a8は、送風面24に垂直な平面であって、吹出口(吹出スリット22)の中心を通る平面(基準面F)を基準として、対称となるように配置される構成とした。こうした構成にすると、吹出ノズル13aの表面の温度分布、及び、吹出ノズル13a内部を流れる空気A2aの温度分布の偏りが抑制され、熱交換効率が向上する。なお、温度分布の偏りが小さい程、平均的に冷媒との温度差が大きくなるため、熱交換量が増加する。他の吹出ノズル13b、13c、13dについても同様である。よって、被空調空間1の温熱快適性を向上させることができる。
(変形例)
次に、図8(a)~図8(g)を参照して、吹出ノズル13内における冷温水輻射パイプ32の配置状態の変形例について説明する。図8(a)~図8(g)は、吹出ノズル13内における冷温水輻射パイプ32の配置状態の変形例を示す断面図である。吹出ノズル13内部を流れる空気と同じ方向に水が流れる冷温水輻射パイプ32を「流入パイプ」とし、流入パイプと逆の方向に水が流れる冷温水輻射パイプ32を「流出パイプ」として呼称する。
複数の冷温水輻射パイプ32は、吹出ノズル13の吹出方向に対して両側の側面にとなる位置に設けられ、送風面24(図7参照)に垂直な方向に並設され、流入パイプの数が流出パイプの数よりも多くなっていればよい。なお、図中では、冷温水輻射パイプ32は、片側8本の計16本で構成され、冷温水輻射パイプ32における流入パイプ32xと流出パイプ32yの配置関係をそれぞれ異ならせている。
図8(a)は、変形例1の配置状態を示す。変形例1では、冷温水輻射パイプ32は、吹出スリット22のスリット幅の中央を通り、且つ、複数の吹出スリット22により構成される送風面24に垂直な平面(基準面F)を基準として、左右で対称となるように配置されている。具体的には、冷温水輻射パイプ32は、吹出スリット22側に位置する計10本の流入パイプ32xと、吹出スリット22とは反対側に位置する計6本の流出パイプ32yと、に区分されて配置される。つまり、流入パイプ32xは、送風面24に垂直な方向において、流出パイプ32yの位置よりも吹出スリット22側に配置されていると言える。なお、この変形例1での配置状態は、図4(b)での配置状態と同じ類型である。
図8(b)は、変形例2の配置状態を示す。変形例2では、冷温水輻射パイプ32は、吹出スリット22のスリット幅の中央を通り、且つ、複数の吹出スリット22により構成される送風面24に垂直な平面(基準面F)を基準として、左右で対称となるように配置されている。具体的には、冷温水輻射パイプ32は、吹出スリット22側に位置する計6本の流入パイプ32x1と、吹出スリット22とは反対側に位置する計4本の流入パイプ32x2と、流入パイプ32x1と流入パイプ32x2との間に位置する計6本の流出パイプ32yと、に区分されて配置される。つまり、変形例2では、送風面24に垂直な方向において、流出パイプ32yは、流入パイプ32x1と流出パイプ32x2の間に配置されていると言える。
図8(c)は、変形例3の配置状態を示す。変形例3では、冷温水輻射パイプ32は、吹出スリット22のスリット幅の中央を通り、且つ、複数の吹出スリット22により構成される送風面24に垂直な平面(基準面F)を基準として、左右で対称となるように配置されている。そして、冷温水輻射パイプ32は、吹出スリット22側とは反対側に位置する計10本の流入パイプ32xと、吹出スリット22側に位置する計6本の流出パイプ32yと、に区分されて配置される。つまり、流入パイプ32xは、送風面24に垂直な方向において、流出パイプ32yの位置よりも吹出スリット22とは反対側に配置されてい
ると言える。
図8(d)は、変形例4の配置状態を示す。変形例4では、冷温水輻射パイプ32は、吹出スリット22のスリット幅の中央を通り、且つ、複数の吹出スリット22により構成される送風面24に垂直な平面(基準面F)を基準として、流入パイプ及び流出パイプの位置が左右で非対称に配置されている。具体的には、冷温水輻射パイプ32のうち、吹出ノズル13の吹出方向に対して片側(図面の左側)に配置される8本の冷温水輻射パイプ32は、吹出スリット22側に位置する計5本の流入パイプ32x1と、吹出スリット22とは反対側に位置する計3本の流出パイプ32y1と、に区分されて配置される。また、吹出ノズル13の吹出方向に対してもう一方の片側(図面の右側)に配置される8本の冷温水輻射パイプ32は、吹出スリット22側に位置する計2本の流入パイプ32x2と、吹出スリット22とは反対側に位置する計2本の流入パイプ32x3と、流入パイプ32x2と流入パイプ32x3との間に位置する計3本の流出パイプ32y2と、に区分されて配置される。つまり、変形例4では、冷温水輻射パイプ32の流入パイプ及び流出パイプの位置は、基準面Fを基準として左右で非対称に配置される。冷温水輻射パイプ32における流入パイプ32x1と、流入パイプ32x2、32x3の配置関係は、基準面Fを基準として非対称となるように配置されるとも言える。
図8(e)は、変形例5の配置状態を示す。変形例5では、冷温水輻射パイプ32は、吹出スリット22のスリット幅の中央を通り、且つ、複数の吹出スリット22により構成される送風面24に垂直な平面(基準面F)を基準として、流入パイプ及び流出パイプの数が左右で非対称に配置されている。具体的には、冷温水輻射パイプ32のうち、吹出ノズル13の吹出方向に対して片側(図面の左側)に配置される8本の冷温水輻射パイプ32は、吹出スリット22側に位置する計6本の流入パイプ32x1と、吹出スリット22とは反対側に位置する計2本の流出パイプ32y1と、に区分されて配置される。また、吹出ノズル13の吹出方向に対してもう一方の片側(図面の右側)に配置される8本の冷温水輻射パイプ32は、吹出スリット22側に位置する計5本の流入パイプ32x2と、吹出スリット22とは反対側に位置する計3本の流出パイプ32y2と、に区分されて配置される。つまり、変形例5では、冷温水輻射パイプ32の流入パイプ及び流出パイプの数は、基準面Fを基準として左右で非対称となるように配置される。吹出ノズル13の吹出方向に対して片側(図面の左側)に配置される流入パイプ32x1の本数と、吹出ノズル13の吹出方向に対してもう一方の片側(図面の右側)に配置される流入パイプ32x2の本数が異なるように配置されるとも言える。
図8(f)は、変形例6の配置状態を示す。変形例6では、冷温水輻射パイプ32は、図8(a)における流入パイプ32xと流出パイプ32yの配置状態(流入パイプ及び流出パイプの上下方向における位置関係が左右で対称)において、吹出ノズル13の吹出方向に対して片側(図面の左側)に配置される8本の冷温水輻射パイプ32の全体の位置と、吹出ノズル13の吹出方向に対してもう一方の片側(図面の右側)に配置される8本の冷温水輻射パイプ32の全体の位置が左右で非対称に配置されている。具体的には、冷温水輻射パイプ32のうち、左側に配置される8本の冷温水輻射パイプ32は、吹出スリット22側に位置する計5本の流入パイプ32x1と、吹出スリット22とは反対側に位置する計3本の流出パイプ32y1と、に区分されて配置される。また、右側に配置される8本の冷温水輻射パイプ32は、吹出スリット22側に位置する計5本の流入パイプ32x2と、吹出スリット22とは反対側に位置する計3本の流出パイプ32y2と、に区分されて配置される。そして、左側に位置する冷温水輻射パイプ32のうち、最も吹出スリット22側に位置する流入パイプ32x1aは、右側に位置する冷温水輻射パイプ32のうち、最も吹出スリット22側に位置する流入パイプ32x2aよりも、吹出スリット22から遠くなるように配置される。つまり、変形例6では、冷温水輻射パイプ32は、基準面Fを基準として、流入パイプ及び流出パイプの上下方向における位置関係が左右で対
称に配置されるとともに、左側に位置する冷温水輻射パイプ32の全体と右側に位置する冷温水輻射パイプ32の全体とが左右で非対称に配置される。
図8(g)は、変形例7の配置状態を示す。変形例7では、冷温水輻射パイプ32は、吹出スリット22のスリット幅の中央を通り、且つ、複数の吹出スリット22により構成される送風面24に垂直な平面(基準面F)を基準として、左右で対称となるように配置されている。具体的には、冷温水輻射パイプ32は、吹出スリット22側に位置する計6本の流入パイプ32x1と、吹出スリット22とは反対側に位置する計2本の流出パイプ32y2と、流入パイプ32x1と流出パイプ32y2との間に位置する計6本の流入パイプ32x2と、流入パイプ32x1と流入パイプ32x2との間に位置する計2本の流出パイプ32y1と、に区分されて配置される。つまり、冷温水輻射パイプ32は、吹出スリット22側から流入パイプ32x1、流出パイプ32y1、流入パイプ32x2、流出パイプ32y2の順に配置される。つまり、変形例7では、冷温水輻射パイプ32は、流入パイプ32x1と流入パイプ32x2、および、流出パイプ32y1と流出パイプ32y2は、それぞれ送風面に垂直な方向に隣接しないように配置される。
以上のような変形例1~7の配置状態としても、少なくとも効果(1)と同様の効果を享受することができる。
以上、本開示を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本実施の形態1に係る輻射空調システム100では、送風装置11を、被空調空間1を構成する天井面に対してオフセットして設け、吹出ノズル13からの吹出空気Q0が、天井面から床面の方向に向かって送風されるようにしたが、これに限られない。例えば、送風装置11を、被空調空間1の側壁面に対してオフセットして設け、吹出ノズル13からの吹出空気Q0が反対側の側壁面に向かって送風するようにしてもよい。このようにしても、側壁面と吹出ノズル13との間の誘引空間2から広範囲に誘引空気Q1を取り込み、反対側の側壁面に向かって安定した送風を実現することができる。
また、本実施の形態1に係る輻射空調システム100では、吹出ノズル13内部に配置されるパイプ群を8本のパイプで構成したが、これに限られない。少なくとも1本のパイプが給水管33及び排水管34に接続され、且つ、ルーバ内部で分岐したパイプ本数が6本以上であればよいため、例えば、パイプ群を構成するパイプは、6本、12本などの本数であってもよいし、変形例1~7のように16本であってもよい。
本発明に係る輻射空調システムは、被空調空間内の温熱快適性を高めることができるものとして有用である。
100 輻射空調システム
1 被空調空間
2 誘引空間
11 送風装置
12、12a、12b 送風ユニット
13、13a、13b、13c、13d 吹出ノズル
14、14a、14b 送風機ボックス
15、15a、15b 送風機
16a、16b 羽根車
17a、17b モータ
18、18a、18b 送風用チャンバ
19、19a、19b 分割壁
21、21a、21b 吸込口
22、22a、22b、22c、22d 吹出スリット
23、23a、23b 送風機吹出口
24 送風面
31 輻射熱発生装置
32、32a、32b、32c、32d 冷温水輻射パイプ
32a1、32a2、32a3、32a4、32a5、32a6、32a7、32a8 パイプ
33 給水管
34 排水管
35 冷温水生成チラー
35a 冷媒コイル
36 送水ポンプ
42 室外機
42a 圧縮機
42b 膨張器
42c 屋外熱交換器
42d 送風ファン
42e 四方弁
43 冷媒回路
44 ヒートポンプ
A0、A0a、A0b 吸込空気
A1a、A1b 空気
A2a、A2b、A2c、A2d 空気
Q0 吹出空気
Q1 誘引空気
Q2 誘引空気
F 基準面

Claims (4)

  1. スリット状の吹出口を有する複数の吹出ノズルと、
    前記吹出ノズルの内部に空気を送風する送風機と、
    内部に冷媒を通すことにより被空調空間に熱輻射を発生させる複数のパイプを有する輻射熱発生部と、
    を備え、
    前記複数の吹出ノズルは、それぞれの前記吹出口が同一面上に位置するように間隙を有して並設されて送風面を構成し、
    前記間隙には、前記吹出ノズルから送風される吹出空気によって誘引される誘引空気が通過し、
    前記輻射熱発生部は、前記吹出ノズルの吹出方向に対して両側の側面となる位置にそれぞれ設けられ、
    前記複数のパイプは、前記吹出ノズルの前記側面において前記送風面に垂直な方向に並設され、前記吹出ノズルの両端部のうちの片側から内部に冷媒が流入して、前記吹出ノズルの反対側の端部で折り返して前記吹出ノズルの前記片側から流出するように構成されており、前記吹出ノズルの前記片側において前記冷媒が流入する流入パイプの数が、前記吹出ノズルの前記片側において前記冷媒が流出する流出パイプの数よりも多くなっている、輻射空調システム。
  2. 前記送風機は、前記吹出ノズルの両端部のうちの前記片側から、前記吹出ノズルの内部に空気を送風する、請求項1に記載の輻射空調システム。
  3. 前記流入パイプは、前記送風面に垂直な方向において、前記流出パイプの位置よりも前記吹出口側に配置されている、請求項1または2に記載の輻射空調システム。
  4. 前記複数のパイプは、前記送風面に垂直な平面であって、前記吹出口の中心を通る前記平面を基準として、対称となるように配置されている、請求項3に記載の輻射空調システム。
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