JP2024123211A - 有機化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】統合失調症の残遺症状も治療できる抗精神病薬を提供する。【解決手段】遊離、固体、医薬的に許容される塩および/または実質的に純粋な形態の特定の置換重水素化複素環縮合γ-カルボリン、そのプロドラッグ、その医薬組成物、ならびに5-HT2A受容体、セロトニントランスポーター(SERT)および/またはドーパミンD1/D2受容体シグナル伝達系に関連する経路に関連する疾患の処置、および/または残遺症状の処置における使用方法を提供する。【選択図】なし

Description

(関連出願の相互参照)
本願は、2018年3月23日出願の米国仮出願第62/647,482号に基づく優先権および利益を主張し、当該出願の内容は出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。
(発明の分野)
本発明は、本明細書に記載する遊離、医薬的に許容される塩および/または実質的に純粋な形態の特定の重水素化複素環縮合γ-カルボリン、ならびに5-HT2A受容体、セロトニントランスポーター(SERT)および/またはドーパミンD1/D2受容体シグナル伝達系に関連する経路に関連する疾患、例えば不安、精神病、統合失調症、睡眠障害、性障害、片頭痛、頭痛に関連する状態、社会恐怖症、消化管障害、例えば消化管運動の機能不全および肥満;精神病またはパーキンソン病に関連するうつ病および気分障害;うつ病に関連する精神病、例えば統合失調症;双極性障害;および他の精神および神経学状態などの疾患または障害の治療の使用におけるその医薬組成物および使用方法、ならびに他の薬物との組合せに関する。
精神病、特に統合失調症および統合失調症情動障害は、世界の人口の推定1~2%に影響を及ぼす。統合失調症は、前駆期、活動期および残遺期の3つの段階で構成される。前駆期は、亜臨床的な兆候および症状が観察される初期の段階である。これらの症状は、いつもの趣味への興味の喪失、友達および家族を避ける、混乱、集中力の問題、倦怠感および無関心を含み得る。活動期は、妄想、幻覚、疑心暗鬼などの陽性症状の増悪により特徴づけられる。残遺期は、感情的引きこもり、受動的な社会的離脱および固定観念的思考などの陰性症状;ならびに積極的な社会的回避、不安、緊張感および身体的懸念を含む一般的な精神病理学的症状により特徴づけられる。残遺症状はまた、しばしばうつ病、認知機能不全および不眠症を伴う。総合して、これらの残遺症状は、現在市場で入手可能な多くの精神病薬により十分に治療されていないため、通常の、治療後に活動期の症状が治まった後に観察される。病気のこの段階は、患者がより生産的で充実した生活に戻りたいときであるが、残遺陰性症状および認知障害が適切に治療されないため、そのような機能へ戻ることを妨げる。活動期または急性期の症状だけでなく、統合失調症などの精神病の残遺症状も治療できる抗精神病薬が至急必要とされたままである。また、ヒスタミンH1およびムスカリンアセチルコリン受容体系との標的外相互作用により引き起こされる望ましくない副作用がないこれらの症状を治療する薬物療法が必要とされている。
置換複素環縮合γ-カルボリンは、中枢神経系障害の処置において5-HT2受容体、特に5-HT2A受容体のアゴニストまたはアンタゴニストであることが知られている。これらの化合物は、米国特許第6,548,493号;第7,238,690号;第6,552,017号;第6,713,471号;第7,183,282号;米国再発行特許第39680号および米国再発行特許第39679号に、5-HT2A受容体調節に関連する障害、例えば肥満、不安、うつ病、精神病、統合失調症、睡眠障害、性障害、片頭痛、頭痛に関連する状態、社会恐怖症、消化管障害、例えば消化管運動の機能不全、および肥満の処置に有用な新規な化合物として記載されている。
米国特許出願公開第2010/113781号および第2004/209864号は、置換複素環縮合γ-カルボリンの製造方法、ならびに中枢神経系障害、例えば嗜癖行動および睡眠障害の制御および予防に有用なセロトニンのアゴニストおよびアンタゴニストとしてのこれらのγ-カルボリンの使用を開示している。
米国特許出願公開第2011/071080号は、精神病およびうつ病性障害ならびに精神病またはパーキンソン病の患者における睡眠、うつ病性および/または気分障害の組合せの治療のための特定の置換複素環縮合γ-カルボリンの使用を開示する。精神病および/またはうつ病に関連する障害に加えて、この特許出願は、ドーパミンD2受容体に影響を及ぼすことなくまたは影響を最小限とし、これによりドーパミンD2経路の副作用、または慣用の睡眠鎮静薬(例えばベンゾジアゼピン)に関連する他の経路(例えばGABAA受容体)の副作用(薬物依存、筋緊張低下、脱力、頭痛、かすみ目、回転性めまい、悪心、嘔吐、上腹部不快感、下痢、関節痛および胸部痛の発症を含むがこれらに限定されない)なしに睡眠障害の処置に有用な、5-HT2A受容体に選択的に拮抗する、低用量におけるこれら化合物の使用を開示し、クレームする。
さらに、これらの特定の置換複素環縮合γ-カルボリン化合物(以下の本明細書に記載の化合物)が、急性症状だけでなく、精神病の残遺症状も治療するのに有効であることを発見した。したがって、本発明は、精神病の残遺症状、特に統合失調症の治療のために特定の置換複素環縮合γ-カルボリン化合物(以下の本明細書に記載の化合物)を単独でまたは補助療法として用いる方法を提供する。
米国特許出願公開第2011/112105号は、特定の置換複素環縮合γ-カルボリンのトルエンスルホン酸付加塩結晶、例えば4-((6bR,10aS)-3-メチル-2,3,6b,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(7H)-イル)-1-(4-フルオロフェニル)-1-ブタノンのトルエンスルホン酸付加塩の製造方法を開示している。
米国特許出願公開第2013/0202692号は、改善された製剤、例えば持続/制御放出製剤のための置換複素環縮合γ-カルボリンのプロドラッグ/代謝物を開示している。本願は、4-フルオロフェニル(4-ヒドロキシ)ブチル部分でN-置換された複素環縮合γ-カルボリンが、4-フルオロフェニルブタノンを有する複素環縮合γ-カルボリンと比較して、セロトニントランスポーター(SERT)に対して高い選択性を有することを開示している。しかしながら、これらの化合物上のヒドロキシ基は、血漿および脳内でケトンと相互変換され、4-フルオロフェニルブタノン薬のリザーバーとして機能することを可能にする。置換複素環縮合γ-カルボリンおよびその使用は知られているが、本願発明者らは、驚くべきことに、特定の置換複素環縮合γ-カルボリンが、インビボ試験では低活性であるが、血漿および脳内でこれらの低活性化合物と高活性のケトン薬との間で相互変換されることを見出した。本願発明者らは、さらに薬物動態プロファイル、例えば吸収および分布のメカニズムおよび/または速度を変化させるため、製剤の改善および/または体内での薬物作用時間の制御(例えば持続または制御放出)に有用であり得る、特定の置換複素環縮合γ-カルボリンのプロドラッグを提供する。
米国特許出願公開第2015/0079172号は、ヒドロキシル基を有する炭素上にアルキル置換基を組み込むことにより、ヒドロキシとケトンの間のインビボ相互変換をブロックし、それ故に5-HT2A受容体に拮抗し、セロトニン再取り込みトランスポーターも阻害する化合物を生じる化合物を開示している。
以前に開示された化合物の主な代謝経路は、CYP3A4によって触媒されるN-脱メチル化、およびケトンレダクターゼによって触媒されるケトン還元である。シトクロムオキシダーゼ酵素によるN-脱アルキル化は、α炭素原子の1つ以上から窒素原子への初期酸化を介して生じることが知られている。ケトン還元を触媒する酵素のファミリーは、大きく、多様であり、メカニズムは完全には解明されていない。メカニズム的に、ケトン還元は、ケトンのエノール互変異性体またはケト互変異性体のいずれかを介して作用し得ることが興味深い。
米国特許出願公開第2017/0183350号は、ケトンおよび/またはN-メチル置換基の代謝を部分的に制限することにより代謝分解を減少させる目的で、一般的な重水素化複素環縮合γ-カルボリンを開示している。また、国際公開第2017/165843号は、重水素化縮合γ-カルボリンの代謝分解を減少させる目的で、特定の重水素化縮合γ-カルボリンを開示している。国際公開第2017/117514号(Tungら)はこのコアの重水素化化合物をさらに一般的に開示している。
本願出願人は、驚くべきことに、式Qで示される縮合複素環γ-カルボリンの主な代謝経路が、下記:
に示すように、ピペラジン環のN-脱アルキル化およびα酸化ならびにカルボニルの還元によるものであり、式Q-1、Q-2およびQ-3で示される化合物を得ることを発見した。
本願出願人は、さらに、式Q-2のアルコール代謝物が、顕著な薬理活性を維持することを見出した。
理論に拘束されるものではないが、本発明は、これら経路により生じる代謝を特に制限および/または防止する化合物を提供する。重水素(2H)原子の特性が通常の水素原子(1H)と比較して極めて類似しているため、重水素で水素を置換した薬物化合物は、一般的に、非重水素化類似体と同様の生物学的活性を有すると考えられるが、薬物動態特性が改善される可能性がある。このような置換が薬理活性を深刻に損失しすぎることなく薬物動態特性の改善をもたらす程度は可変的である。したがって、いくつかの状況においては、得られた重水素化化合物のみが、薬物動態学的安定性の適度な増加を示し、一方、他の状況においては、得られた重水素化化合物は、著しい安定性の改善を有し得る。さらに、同時重水素置換の影響を確実に予測することは困難であり得る。これらは、代謝安定性の相加的(相乗的)改善をもたらす場合もあれば、もたらさない場合もある。
本発明は、N-メチルに隣接する三重水素化N-メチルおよび/または二重水素化メチレンを、反対側のピペラジン窒素に隣接する一または二重水素化メチレンとともに含有する化合物を提供する。これらの新規な化合物は、天然の水素類似体と同様に、5-HT2A受容体に拮抗し、セロトニン再取り込みトランスポーターを阻害し、ドーパミン作動性タンパク質リン酸化を調節する。しかしながら、これらの化合物は、予想外にも、代謝安定性の改善を示す。
第1実施態様において、本発明は、式I:
で示され、式中、R1およびR2の少なくとも一方または両方がDである、遊離または塩形態、例えば医薬的に許容される塩形態(例えばトシル酸塩)である、化合物を提供する。
第2実施態様において、本発明は、式II:
で示され、式中、R1およびR2の少なくとも一方または両方がDである、遊離または塩形態、例えば医薬的に許容される塩形態(例えばトシル酸塩)である、化合物を提供する。
第3実施態様において、本発明は、式III:
で示され、式中、R1およびR2の少なくとも一方または両方がDである、遊離または塩形態、例えば医薬的に許容される塩形態(例えばトシル酸塩)である、化合物を提供する。
第4実施態様において、本発明は、式IV:
で示され、式中、R1およびR2の少なくとも一方または両方がDである、遊離または塩形態、例えば医薬的に許容される塩形態(例えばトシル酸塩)である、化合物を提供する。
更なる実施態様において、本発明は、下記化合物:
1.1 R1がHであり、R2がDである、式I~IVいずれかの化合物;
1.2 R1およびR2が両方Dである、式I~IVいずれかの化合物;
1.3 化合物が、遊離または医薬的に許容される塩形態である、式I~IVいずれかの化合物;
1.4 塩形態が、医薬的に許容される酸の酸付加塩である、式1.3の化合物;
1.5 酸がトルエンスルホン酸であり、例えば、化合物が、一トシル酸塩、二トシル酸塩もしくは三トシル酸塩、またはその混合物である、式1.4の化合物;
1.6 実質的に純粋なジアステレオマー形態である(すなわち、他のジアステレオマーを実質的に含まない)、式I~IVまたは1.1~1.5いずれかの化合物;
1.7 化合物が、70%超、好ましくは80%超、より好ましくは90%超、最も好ましくは95%超のジアステレオマー過剰率を有する、式I~IVまたは1.1~1.6いずれかの化合物;
1.8 構造の指定された重水素の位置に重水素が天然より多く(すなわち、0.0156%超)組み込まれている、式I~IVまたは1.1~1.7のいずれかの化合物;
1.9 構造の指定された重水素の位置に重水素が天然より実質的に多く(例えば、0.1%超、0.5%超、1%超または5%超)組み込まれている、式I~IVまたは1.1~1.8のいずれかの化合物;
1.10 構造の指定された重水素化の位置に重水素が50%超(すなわち、50原子%超のD)、例えば60%超、70%超、80%超、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超または99%超組み込まれている、式I~IVまたは1.1~1.9いずれかの化合物
を提供する。
第2態様において、本発明は、遊離または医薬的に許容される塩形態の式I~IVまたは1.1~1.10のいずれかの化合物(以下、本発明の化合物)を、医薬的に許容される希釈剤または担体と混合されて含み、例えば即時放出を提供するかまたは持続または遅延放出を提供する、医薬組成物(医薬組成物2)を提供する。本開示は、
2.1 式I以降の化合物が固体形態である、医薬組成物2;
2.2 式I以降の化合物が化合物1.1~1.10のいずれかに記載されるように医薬的に許容される塩形態である、医薬組成物2または2.1;
2.3 組成物が本明細書に記載のデポー製剤である(例えば、組成物が例えば筋肉内または皮下注射のための、長時間作用型注射用として製剤化されている)、医薬組成物2または2.1~2.2のいずれか;
2.4 式I以降の化合物がポリマーマトリックス中である、医薬組成物2または2.1~2.3のいずれか
を含む、医薬組成物2の更なる例示的実施態様を提供する。
第2態様の更なる実施態様において、本発明の医薬組成物(例えば医薬組成物2または2.1~2.4)は、持続または遅延放出のためのものであり、例えばデポー製剤である。一実施態様において、デポー製剤は、ポリマーマトリックス中に本発明の化合物を含む。一の実施態様において、本発明の化合物は、ポリマーマトリックス内に分散または溶解している。更なる実施態様において、ポリマーマトリックスは、デポー製剤において用いられる標準的ポリマー、例えばヒドロキシ脂肪酸のポリエステルおよびその誘導体より選択されるポリマー、またはアルキルα-シアノアクリレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリ(オルトエステル)、ポリカルボネート、ポリオルト-カルボネート、ポリアミノ酸、ヒアルロン酸エステルおよびその混合物のポリマーを含む。更なる実施態様において、ポリマーは、ポリ乳酸、ポリd,l-乳酸、ポリグリコール酸、PLGA50:50、PLGA75:25、PLGA85:15およびPLGA90:10のポリマーからなる群より選択される。別の一実施態様において、ポリマーは、ポリ(グリコール酸)、ポリ-D,L-乳酸、ポリ-L-乳酸、前記の共重合体、ポリ(脂肪族カルボン酸)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリ(オルトカルボネート)、ポリ(アセタール)、ポリ(乳酸-カプロラクトン)、ポリオルトエステル、ポリ(グリコール酸-カプロラクトン)、ポリ無水物、および天然ポリマー、例えばアルブミン、カゼイン、およびワックス、例えばグリセロールモノおよびジステアレートなどより選択される。特定の実施態様において、ポリマーマトリックスは、ポリ(d,l-乳酸-グリコール酸共重合体)を含む。前記組成物のいずれかは、医薬的に許容される釈剤または担体と混合されている医薬組成物であり得る。
前記の(医薬)デポー製剤は、持続または遅延放出に特に有用であり、ここで、本発明の化合物は、ポリマーマトリックスの分解時に放出される。これらの組成物は、最大180日間、例えば約14から約30から約180日間にわたる本発明の化合物の制御および/または持続放出のために(例えばデポー組成物として)製剤化され得る。例えば、ポリマーマトリックスは、約30、約60または約90日間にわたって本発明の化合物を分解および放出し得る。別の一例において、ポリマーマトリックスは、約120または約180日間にわたって本発明の化合物を分解および放出し得る。
さらに別の一実施態様において、本発明の医薬組成物(例えば医薬組成物2または2.1~2.4)、特に本発明のデポー組成物は、注射による投与のために製剤化される。
第3態様において、本発明は、経口持続または遅延放出製剤で前記の本発明の化合物(例えば、化合物I~IVおよび1.1~1.10)を提供する。例えば、本発明は、例えば国際公開第2000/35419号および欧州特許出願公開第1539115号(米国特許出願公開第2009/0202631号)に記載のシステムと類似する、本発明の化合物の送達のための浸透圧による制御放出経口送達システム(OROS)を提供し、これら各出願の内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。したがって、この一実施態様において、本発明は、(a)遊離または医薬的に許容される塩形態の本発明の化合物または前記の本発明の医薬組成物(例えば医薬組成物2または2.1~2.4)を含有するゼラチンカプセル;(b)カプセルから外側へ向かう順序で、(i)バリア層、(ii)膨張層および(iii)半透過層を含む、ゼラチンカプセル上に重ねられた多層壁;および(c)および壁を通って形成されているかまたは形成可能なオリフィスを含む、医薬組成物またはデバイス(医薬組成物P.1)を提供する。
この態様の別の一実施態様において、本発明は、液体、遊離または医薬的に許容される塩形態の本発明の化合物または前記の本発明の医薬組成物(例えば医薬組成物2または2.1~2.4)を含有するゼラチンカプセルを含む組成物であって、該ゼラチンカプセルが、ゼラチンカプセルの外表面に接触しているバリア層、バリア層に接触している膨張層、膨張層を包含する半透過層、および壁に形成されているかまたは形成可能な出口オリフィスを含む複合壁によって囲まれている、組成物(医薬組成物P.2)を提供する。
第3態様のさらに別の一実施態様において、本発明は液体、遊離または医薬的に許容される塩形態の本発明の化合物または前記の本発明の医薬組成物(例えば医薬組成物2または2.1~2.4)を含有するゼラチンカプセルを含む組成物であって、該ゼラチンカプセルが、ゼラチンカプセルの外表面に接触しているバリア層、バリア層に接触している膨張層、膨張層を包含する半透過層、および壁に形成されているかまたは形成可能な出口オリフィスを含む複合壁によって囲まれており、該バリア層が膨張層と出口オリフィスでの環境との間にシールを形成する、組成物(医薬組成物P.3)を提供する。
第3態様のさらに別の一実施態様において、本発明は、液体、遊離または医薬的に許容される塩形態の本発明の化合物または前記の本発明の医薬組成物(例えば医薬組成物2または2.1~2.4)を含有するゼラチンカプセルを含む組成物であって、該ゼラチンカプセルが、ゼラチンカプセルの外表面に接触しているバリア層、バリア層の一部に接触膨張層、少なくとも膨張層を包含する半透過層、およびゼラチンカプセル表面から使用環境まで延びている投与剤形に形成されているかまたは形成可能な出口オリフィスによって囲まれている、組成物(医薬組成物P.4)を提供する。膨張層は、1つ以上の個別のセクション、例えばゼラチンカプセルの対向する側部または端部に位置する2つのセクションに形成され得る。
第3態様の特定の態様において、浸透圧による制御放出経口送達システム(すなわち医薬組成物P.1~P.4)中の本発明の化合物は、液体製剤中であり、ここで、該製剤は、純粋な液体活性剤、溶液、懸濁液、エマルションもしくは自己乳化組成物中の液体活性剤、または同類のものであり得る。
ゼラチンカプセル、バリア層、膨張層、半透過層;およびオリフィスの特徴を含む浸透圧による制御放出経口送達システム組成物の更なる情報は、国際公開第2000/35419号に見ることができ、これら各出願の内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。本発明の化合物または医薬組成物のための他の浸透圧による制御放出経口送達システムは、欧州特許出願公開第1539115号(米国特許出願公開第2009/0202631号)に見ることができ、これら各出願の内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。
したがって、第3態様の別の一実施態様において、本発明は、(a)第1層および第2層を含む2つ以上の層であって、該第1層が遊離もしくは医薬的に許容される塩形態の本発明の化合物または前記医薬組成物(例えば医薬組成物2または2.1~2.4)を含み、該第2層がポリマーを含む、2つ以上の層;(b)2つ以上の層を囲む外壁;および(c)該外壁におけるオリフィスを含む、組成物またはデバイス(医薬組成物P.5)を提供する。
医薬組成物P.5は、好ましくは、3層コアを囲む半透膜を利用し;これらの実施態様において、第1層は、第1薬物層と称され、少量の薬物(例えば本発明の化合物)および塩などの浸透圧調整剤を含有し、中間層は、第2薬物層と称され、多量の薬物、添加剤を含有し、塩を含有せず:第3層は、プッシュ層と称され、浸透圧調整剤を含有し、薬物を含有しない。少なくとも1つのオリフィスは、カプセル型錠剤の第1薬物層端部の膜を通して穿孔される。(医薬組成物P.6)
医薬組成物P.5またはP.6は、区画を画定する膜であって、該膜が内部保護サブコート、そこに形成されているかまたは形成可能な少なくとも1つの出口オリフィスおよび半透過性の膜の少なくとも一部を囲む膜;出口オリフィス遠く離れて区画内に位置する膨張層であって、膜の半透過性部分と流体連結している膨張層;出口オリフィスと隣接して位置する第1薬物層;および第1薬物層と膨張層間の区画内に位置する第2薬物層であって、本発明の化合物を遊離またはその医薬的に許容される塩で含む薬物層を含み得る。第1薬物層および第2薬物層の相対粘度に応じて、異なる放出プロファイルが得られる。各層の最適な粘度を同定するのは必須である。本発明において、粘度は、塩、塩化ナトリウムの添加によって調節される。コアからの送達プロファイルは、各薬物層の重量、処方、厚さに依存する。
特定の実施態様において、本発明は、第1薬物層が塩を含み、第2薬物層が塩を含まない、医薬組成物P.7を提供する。医薬組成物P.5~P.7は、所望により、膜と薬物層との間に流動促進層を含み得る。医薬組成物P.1~P.7は、一般的に、浸透圧による制御放出経口送達システム組成物と称される。
第4態様において、本発明は、中枢神経系障害の治療または予防方法であって、該方法が、それを必要とする患者に遊離または医薬的に許容される塩形態の式I~IVまたは1.1~1.10の化合物または前記医薬組成物(例えば医薬組成物2または2.1~2.4またはP.1~P.7)を投与することを含み、所望により、式I~IVまたは1.1~1.10の化合物は、式Qの化合物を用いた同じ障害の処置に有効な用量より低い用量で投与される、方法(方法I)を提供する。
第4態様の更なる実施態様において、本発明は、方法が、さらに下記一覧:
7.1 中枢神経系障害が、認知症に関連する1つ以上の障害、例えば、老人性認知症、アルツハイマー病、ピック病、前頭側頭葉変性症、進行性核上性麻痺、レビー小体型認知症、血管性認知症、ハンチントン病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ダウン症候群、高齢者うつ病、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、大脳皮質基底核変性症およびプリオン病、自閉症および注意欠陥・多動性障害を含む、軽度の認知障害および認知症性疾患に関連する障害である、方法I;
7.2 認知症に関連する障害が、(1)行動または気分障害、例えば激越/焦燥、好戦的/攻撃的行動、怒り、身体的または感情的爆発;(2)精神病;(3)うつ病;および(4)睡眠障害からなる群より選択される、方法Iまたは7.1;
7.3 中枢神経系障害が、激越/焦燥、好戦的/攻撃的行動、怒り、身体的または感情的爆発である、方法Iまたは7.1;
7.4 中枢神経系障害が、肥満、不安、うつ病(例えば難治性うつ病および大うつ病性障害(MDD))、精神病、統合失調症、睡眠障害(特に統合失調症および他の精神および神経疾患に関連する睡眠障害)、性障害、片頭痛、頭痛に関連する状態、社会恐怖症、認知症における激越(例えば、アルツハイマー病における激越)、自閉症における激越および関連する自閉症障害、および消化管障害、例えば消化管運動の機能不全からなる群より選択される障害である、方法I;
7.5 中枢神経系障害が、国際公開第2009/145900号(この出願の内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に同様に記載される、セロトニン5-HT2A、ドーパミンD1/D2受容体系および/またはセロトニン再取り込みトランスポーター(SERT)経路に関連する障害である、方法Iまたは7.2~7.4のいずれか;
7.6 中枢神経系障害が、セロトニン再取り込みトランスポーター(SERT)経路に関連する障害である、方法Iまたは式7.2~7.5のいずれか;
7.7 中枢神経系障害が、(1)うつ病に罹患している患者における精神病、例えば統合失調症;(2)精神病、例えば統合失調症に罹患している患者におけるうつ病;(3)精神病、例えば統合失調症に関連する気分障害またはパーキンソン病;および(4)精神病、例えば統合失調症に関連する睡眠障害またはパーキンソン病;(5)うつ病;(6)不安;(7)外傷後ストレス障害;または(8)衝動制御障害、例えば間欠性爆発性障害より選択される障害である、方法Iまたは式7.2~7.6のいずれか;
7.8 中枢神経系障害が、精神病、例えば統合失調症であり、該患者が、うつ病に罹患している患者である、方法Iまたは式7.2~7.7のいずれか;
7.9 該患者が、抗精神病薬、例えばクロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、プロマジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、ブレクスピプラゾール、カリプラジン、アセナピン、ルラシドン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンおよびジプラシドンの副作用に耐えることができない、方法Iまたは式7.2~7.8のいずれか;
7.10 該患者が、抗精神病薬、例えばハロペリドール、アリピプラゾール、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、およびジプラシドンの副作用に耐えることができない、方法Iまたは式7.2~7.9のいずれか;
7.11 該障害が、うつ病であり、該患者が、精神病、例えば統合失調症、またはパーキンソン病に罹患している患者である、方法Iまたは式7.2~7.10のいずれか;
7.12 該障害が、睡眠障害であり、該患者が、うつ病に罹患している、方法Iまたは式7.2~7.6のいずれか;
7.13 該1つ以上の障害が、睡眠障害であり、該患者が、精神病、例えば統合失調症に罹患している、方法Iまたは7.2~7.6のいずれか;
7.14 該1つ以上の障害が、睡眠障害であり、該患者が、パーキンソン病に罹患している、方法Iまたは7.2~7.6のいずれか;
7.15 該1つ以上の障害が、睡眠障害であり、該患者が、うつ病および精神病、例えば統合失調症、またはパーキンソン病に罹患している、方法Iまたは7.2~7.6のいずれか;
7.16 中枢神経系障害が、精神病、例えば統合失調症(例えば残遺サブタイプ)、妄想性障害(例えば身体タイプ)、精神病を伴う大うつ病、精神病症状を伴う双極性障害、短期精神病性障害、統合失調症様障害、統合失調症情動障害または病状もしくは物質使用により引き起こされる精神病の残遺症状(residual symptom)であり、好ましくは、患者が、統合失調症の残遺症状に罹患している、方法Iまたは7.1~7.6のいずれか;
7.17 残遺症状(residual phase symptom)が、陰性症状、例えば情動鈍麻、感情的引きこもり、乏しい対人関係、受動的または無気力な社会的離脱、抽象的な思考の困難、自発性および会話の流れの欠如および固定観念的思考;一般的な精神病理学的症状、例えば身体的懸念、不安、罪悪感、緊張感、衒奇症な動作と姿勢、うつ病、運動遅滞、非協力性、異常な思考内容、見当識障害、注意力不足、判断力および洞察力の欠如、意志の乱れ、衝動制御不足、先入観および積極的な社会的回避;認知障害および睡眠障害(例えば不眠症)を含む、方法Iまたは7.1~7.6のいずれか;
7.18 有効量が、1~1000mg、好ましくは2.5~50mg、さらに好ましくは1~40mg、例えば1~10mg、例えば10mg、20mg、または20mg超、例えば30mg、40mgである、前記方法のいずれか;
7.19 有効量が、1~100mg/日、好ましくは2.5~50mg/日、さらに好ましくは1~40mg/日、例えば1~10mg/日、例えば10mg/日、20mg/日、または20mg/日超、例えば30mg/日、40mg/日である、前記方法のいずれか;
7.20 治療されるべき状態が、例えば、ドーパミン作動薬、例えばレボドパおよびレボドパアジュバント(カルビドパ、COMT阻害薬、MAO-B阻害薬)、ドーパミンアゴニスト、例えばレボドパ、および抗コリン作動薬より選択される医薬を投与されている患者における、ジスキネジアである、前記方法のいずれか;
7.21 患者が、パーキンソン病に罹患している、前記方法のいずれか;
7.22 患者が、例えばシタロプラム(Celexa、Cipramil、Cipram、Dalsan、Recital、Emocal、Sepram、Seropram、Citox、Cital);ダポキセチン(Priligy);エシタロプラム(Lexapro、Cipralex、Seroplex、Esertia);フルオキセチン(Depex、Prozac、Fontex、Seromex、Seronil、Sarafem、Ladose、Motivest、Flutop、Fluctin(EUR)、Fluox(NZ)、Depress(UZB)、Lovan(AUS)、Prodep(IND));フルボキサミン(Luvox、Fevarin、Faverin、Dumyrox、Favoxil、Movox);インダルピン(Upstene);パロキセチン(Paxil、Seroxat、Sereupin、Aropax、Deroxat、Divarius、Rexetin、Xetanor、Paroxat、Loxamine、Deparoc);セルトラリン(Zoloft、Lustral、Serlain、Asentra);ビラゾドン(Viibryd);またはジメリジン(Zelmid、Normud)の1つ以上より選択される選択的セロトニン再取り込み阻害薬に反応しない、前記方法のいずれか;
7.23 患者が、例えばシタロプラム(Celexa、Cipramil、Cipram、Dalsan、Recital、Emocal、Sepram、Seropram、Citox、Cital);ダポキセチン(Priligy);エシタロプラム(Lexapro、Cipralex、Seroplex、Esertia);フルオキセチン(Depex、Prozac、Fontex、Seromex、Seronil、Sarafem、Ladose、Motivest、Flutop、Fluctin(EUR)、Fluox(NZ)、Depress(UZB)、Lovan(AUS)、Prodep(IND));フルボキサミン(Luvox、Fevarin、Faverin、Dumyrox、Favoxil、Movox);インダルピン(Upstene);パロキセチン(Paxil、Seroxat、Sereupin、Aropax、Deroxat、Divarius、Rexetin、Xetanor、Paroxat、Loxamine、Deparoc);セルトラリン(Zoloft、Lustral、Serlain、Asentra);ビラゾドン(Viibryd);またはジメリジン(Zelmid、Normud)の1つ以上より選択される選択的セロトニン再取り込み阻害薬も投与されている、前記方法のいずれか;
7.24 患者が、自閉症スペクトラム障害、例えば自閉症またはアスペルガー症候群に罹患している、前記方法のいずれか;
7.25 患者が、認知症、例えば、老人性認知症、アルツハイマー病、ピック病、前頭側頭葉変性症、進行性核上性麻痺、レビー小体型認知症、血管性認知症、ハンチントン病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ダウン症候群、高齢者うつ病、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、大脳皮質基底核変性症およびプリオン病、自閉症および注意欠陥・多動性障害を含む、軽度の認知障害および認知症性疾患に関連する障害に罹患している、前記方法のいずれか;
7.26 患者が、遊離または医薬的に許容される塩形態の、コリンエステラーゼ阻害薬(例えばアセチルコリンエステラーゼ阻害薬)またはN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニストも投与されている、前記方法のいずれか;
7.27 コリンエステラーゼ阻害薬(例えばアセチルコリンエステラーゼ阻害薬)が、遊離または医薬的に許容される塩形態のタクリン、リバスチグミン(Exelon)、ドネペジル(Aricept)およびガランタミン(Razadyne、以前はReminylと呼ばれていた))からなる群より選択される、方法7.26;
7.28 コリンエステラーゼ阻害薬(例えばアセチルコリンエステラーゼ阻害薬)が、遊離または医薬的に許容される塩形態のドネペジルである、方法7.26;
7.29 NMDA受容体アンタゴニストが、遊離または医薬的に許容される塩形態のメマンチンである、方法7.26;
7.30 1つ以上の他の治療薬、例えば更なる抗精神病薬および/または抗うつ薬および/または睡眠薬を投与することをさらに含む、前記方法のいずれか;
7.31 1つ以上の他の治療薬が、遊離または医薬的に許容される塩形態の、抗うつ薬、例えばGABA活性を調節する(例えば、活性を増強し、GABA伝達の促進する)化合物、GABA-Bアゴニスト、5-HTモジュレーター(例えば、5-HT1Aアゴニスト、5-HT2Aアンタゴニスト、5-HT2Aインバースアゴニストなど)、メラトニンアゴニスト、イオンチャネルモジュレーター(例えばブロッカー)、セロトニン-2受容体アンタゴニスト/再取り込み阻害薬(SARI)、オレキシン受容体アンタゴニスト、H3アゴニスト、ノルアドレナリンアンタゴニスト、ガラニンアゴニスト、CRHアンタゴニスト、ヒト成長ホルモン、成長ホルモンアゴニスト、エストロゲン、エストロゲンアゴニスト、ニューロキニン-1薬;および抗精神病薬、例えば非定型抗精神病薬より選択される、方法7.30;
7.32 1つ以上の他の治療薬が、抗精神病薬、例えば、クロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、プロマジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、ブレクスピプラゾール、カリプラジン、アセナピン、ルラシドン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン、パリペリドン、アセナピン、ルラシドン、イロペリドン、カリプラジン、アミスルピリド、ゾテピン、セルチンドールであり、1つ以上の他の治療薬が、式I~IVまたは1.1~1.10の化合物の補助薬として投与されるか、あるいは式I~IVまたは1.1~1.10の化合物が、1つ以上の他の治療薬の補助薬である、方法7.30または7.31
に記載のとおりである、方法Iを提供する。
第4態様の特定の実施態様において、本発明は、前記中枢神経系障害の治療または予防のための方法であって、
7.4P 遊離または医薬的に許容される塩形態の式I~IVまたは1.1~1.10の化合物;
7.8P 前記医薬またはデポー組成物(例えば医薬組成物2または2.1~2.4またはP.1~P.7);または
7.11P 前記浸透圧による制御放出経口送達システム組成物
を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法(方法IP)を提供する。
第4態様の更なる実施態様において、本発明は、方法がさらに式7.1~7.32のいずれか1つに記載されたものである方法IPを提供する。
第4態様の特定の実施態様において、本発明は、障害が統合失調症または睡眠障害である方法I、IP、または7.1~7.32のいずれかを提供する。
第4態様の特定の実施態様において、本発明は、障害がうつ病または不安である方法I、IP、または7.1~7.32のいずれかを提供する。
第4態様の特定の実施態様において、本発明は、障害が外傷後ストレス障害または衝動制御障害、例えば間欠性爆発性障害である方法I、IP、または7.1~7.32のいずれかを提供する。
第4態様の特定の実施態様において、本発明は、障害が、認知症、例えば老人性認知症、アルツハイマー病、ピック病、前頭側頭葉変性症、進行性核上性麻痺、レビー小体型認知症、血管性認知症、ハンチントン病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ダウン症候群、高齢者うつ病、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、大脳皮質基底核変性症、プリオン病、自閉症および/または注意欠陥・多動性障害に罹患している患者における、外傷後ストレス障害または衝動制御障害、例えば間欠性爆発性障害である、方法I、IP、または7.1~7.32のいずれかを提供する。
第4態様のさらに別の一実施態様において、本発明は、本発明のデポー組成物が、約14日間、約30~約180日間にわたる、好ましくは約30、約60または約90日間にわたる本発明の化合物の制御および/または持続放出のために投与される、方法I、IP、または7.1~7.32のいずれかを提供する。制御および/または持続放出は、治療、特に投薬レジメンのノンコンプライアンスまたは不遵守が一般的に生じる抗精神病薬治療の早期中止を回避するために特に有用である。
第5態様において、本発明は、1つ以上の睡眠障害、激越、好戦的行動、外傷後ストレス障害および/または衝動制御障害、例えば間欠性爆発性障害の予防または治療のための方法であって、下記一覧:
8.1 遊離または医薬的に許容される塩形態の式I~IVまたは1.1~1.10の化合物;
8.2 前記医薬またはデポー組成物(例えば医薬組成物2または2.1~2.4またはP.1~P.7);
8.3 前記浸透圧による制御放出経口送達システム組成物
で記載される化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法(方法II)を提供する。
第5態様の一実施態様において、本発明は、障害が、睡眠障害である、方法IIまたは8.1~8.3のいずれかを提供する。第5態様の別の一実施態様において、本発明は、障害が、激越、好戦的行動、外傷後ストレス障害および/または衝動制御障害、例えば間欠性爆発性障害である、方法IIを提供する。
第5態様の更なる実施態様において、本発明は、睡眠障害が、睡眠維持障害、頻繁な覚醒、および休息できていないと感じる目覚めを含む方法II、8.1~8.3であって、
8.4 睡眠障害が、睡眠維持障害である、前記方法のいずれか;
8.5 有効量が、1日当たり1~10mg、例えば1~5mg、好ましくは2.5~5mg、さらに好ましくは10mgである、前記方法のいずれか;
8.6 有効量が、1日当たり2.5mg、5mgまたは10mgである、前記方法のいずれか;
8.7 睡眠障害が、ジスキネジアに罹患しているかまたはそのリスクがある患者、例えばレボドパおよびレボドパアジュバント(カルビドパ、COMT阻害薬、MAO-B阻害薬)より選択されるドーパミン作動薬、ドーパミンアゴニストおよび抗コリン作動薬、例えばレボドパおよび抗コリン薬を投与されている患者におけるものである、前記方法のいずれか;
8.8 患者がパーキンソン病に罹患している、前記方法のいずれか
を提供する。
本発明の化合物(例えば、式I~IVまたは1.1~1.10の化合物)は、国際公開第2009/145900号(この内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に同様に開示され、クレームされているとおり、錐体外路性副作用を伴わずまたは最小限にして、5-HT2A、SERTおよび/またはD2受容体に関連する障害の有効な治療を提供する。したがって、本発明の化合物、本発明の医薬組成物または本発明のデポー組成物は、慣用の単剤療法において通常生じる望ましくない副作用を引き起こすことなく組み合される薬物の治療活性を高めるように、特に個々の薬物が単剤療法として用いられる場合より低い投与量にて、第2治療薬と組み合され得る。したがって、本発明の化合物は、他の抗うつ薬、抗精神病薬、他の睡眠薬、および/またはパーキンソン病または気分障害または認知症を治療するのに用いられる薬物と同時に(simultaneously)、連続してまたは同期間に(contemporaneously)投与され得る。別の一例において、副作用は、本発明の化合物を1つ以上の第2治療薬と組み合わせて遊離または塩形態で投与することにより軽減または最小化し得て、ここで、(i)第2治療薬または(ii)本発明の化合物および第2治療薬両方の投与量は、薬物/化合物が単剤療法として投与される場合より低い。特定の実施態様において、本発明の化合物は、例えばパーキンソン病の治療において用いられる、例えばレボドパおよびレボドパアジュバント(カルビドパ、COMT阻害薬、MAO-B阻害薬)より選択されるドーパミン作動薬、ドーパミンアゴニスト、およびパーキンソン病薬の副作用の治療において用いられる抗コリン作動薬を投与されている患者においてジスキネジアを治療するのに有用である。
したがって、第6態様において、本発明は、GABA活性を調節する(例えば、活性を増強し、GABA伝達の促進する)化合物、GABA-Bアゴニスト、5-HTモジュレーター(例えば、5-HT1Aアゴニスト、5-HT2Aアンタゴニスト、5-HT2Aインバースアゴニストなど)、メラトニンアゴニスト、イオンチャネルモジュレーター(例えばブロッカー)、セロトニン-2受容体アンタゴニスト/再取り込み阻害薬(5-HT2拮抗作用およびセロトニン再取り込み阻害の両方を有する化合物、すなわちSARI)、オレキシン受容体アンタゴニスト、H3アゴニストまたはアンタゴニスト、ノルアドレナリンアゴニストまたはアンタゴニスト、ガラニンアゴニスト、CRHアンタゴニスト、ヒト成長ホルモン、成長ホルモンアゴニスト、エストロゲン、エストロゲンアゴニスト、ニューロキニン-1薬、抗うつ薬、および抗精神病薬、例えば非定型抗精神病薬より選択される1つ以上の治療薬を遊離または医薬的に許容される塩形態で患者に投与することをさらに含む、方法IまたはIP、または式7.1~7.32のいずれか、または方法IIまたは8.1~8.8のいずれか(それぞれ方法I-AおよびII-A)を提供する。
第6態様の別の一実施態様において、方法I-AおよびII-A、方法I、方法IP、または式7.1~7.32のいずれか、または方法IIまたは8.1~8.8のいずれかは、コリンエステラーゼ阻害薬(例えばアセチルコリンエステラーゼ阻害薬)またはN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニストより選択される1つ以上の治療薬を遊離または医薬的に許容される塩形態で患者に投与することをさらに含む。特定の実施態様において、コリンエステラーゼ阻害薬(例えばアセチルコリンエステラーゼ阻害薬)は、遊離または医薬的に許容される塩形態のタクリン、リバスチグミン(Exelon)、ドネペジル(Aricept)およびガランタミン(Razadyne、以前はReminylと呼ばれていた))からなる群より選択される。更なる実施態様において、コリンエステラーゼ阻害薬(例えばアセチルコリンエステラーゼ阻害薬)は、遊離または医薬的に許容される塩形態のドネペジルである。別の一実施態様において、NMDA受容体アンタゴニストは、遊離または医薬的に許容される塩形態のメマンチンである。
第6態様の更なる実施態様において、本発明は、患者に1つ以上の下記治療薬:
9.1 治療薬が、GABA活性を調節する(例えば、活性を増強し、GABA伝達の促進する)化合物である、方法I-AまたはII-A;
9.2 GABA化合物が、ドキセピン、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、インディプロン、ゾピクロン、エスゾピクロン、ゼレプロン、ゾルピデム、ガボキサドール、ビガバトリン、チアギャビン、EVT201(Evotec Pharmaceuticals)およびエスタゾラムの1つ以上からなる群より選択される、方法I-AまたはII-Aまたは9.1;
9.3 治療薬が更なる5HT2a受容体アンタゴニストである、方法I-AまたはII-A;
9.4 該更なる5HT2a受容体アンタゴニストが、ピマバンセリン、ケタンセリン、リスペリドン、エプリバンセリン、ボリナンセリン(Sanofi-Aventis、France)、プルバンセリン、MDL100907(Sanofi-Aventis、France)、HY10275(Eli Lilly)、APD125(Arena Pharmaceuticals、San Diego、CA)およびAVE8488(Sanofi-Aventis、France)の1つ以上より選択される、方法I-AまたはII-Aまたは9.3;さらにプルバンセリン(ACP-103)およびピゾチフェンより選択される方法I-AまたはII-A、9.3または9.4;
9.5 治療薬がメラトニン受容体アゴニストである、方法I-AまたはII-A;
9.6 メラトニンアゴニストが、メラトニン、ラメルテオン(ROZEREM(登録商標)、Takeda Pharmaceuticals、Japan)、VEC-162(Vanda Pharmaceuticals、Rockville、MD)、PD-6735(Phase II Discovery)およびアゴメラチンの1つ以上からなる群より選択される、方法I-AまたはII-Aまたは9.5;
9.7 治療薬がイオンチャネルブロッカーである、方法I-AまたはII-A;
9.8 該イオンチャネルブロッカーが、ラモトリジン、ギャバペンチンおよびプレガバリンの1つ以上である、方法I-AまたはII-Aまたは9.7;
9.9 治療薬がオレキシン受容体アンタゴニストである、方法I-AまたはII-A;
9.10 オレキシン受容体アンタゴニストが、オレキシン、1,3-ジアリールウレア、SB-334867-a(GlaxoSmithKline、UK)、GW649868(GlaxoSmithKline)およびベンズアミド誘導体からなる群より選択される、方法I-AまたはII-Aまたは9.9;
9.11 治療薬が、セロトニン-2アンタゴニスト/再取り込み阻害薬(SARI)である、方法I-AまたはII-A;
9.12 セロトニン-2受容体アンタゴニスト/再取り込み阻害薬(SARI)が、1つ以上のOrg50081(Organon-Netherlands)、リタンセリン、ネファゾドン、サーゾーンおよびトラゾドンからなる群より選択される、方法I-AまたはII-Aまたは9.11;
9.13 治療薬が5HT1Aアゴニストである、方法I-AまたはII-A;
9.14 5HT1Aアゴニストが、レピノタン、サリゾタン、エプタピロン、ブスピロンおよびMN-305(MediciNova、San Diego、CA)の1つ以上からなる群より選択される、方法I-AまたはII-Aまたは9.13;
9.15 治療薬がニューロキニン-1薬である、方法I-AまたはII-A;
9.16 ニューロキニン-1薬がカソピタント(GlaxoSmithKline)である、方法I-AまたはII-Aまたは9.15;
9.17 治療薬が抗精神病薬である、方法I-AまたはII-A;
9.18 抗精神病薬が、クロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジンプロマジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、ブレクスピプラゾール、カリプラジン、アセナピン、ルラシドン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドンおよびパリペリドンからなる群より選択される、方法I-AまたはII-Aまたは9.17;
9.19 治療薬が抗うつ薬である、方法I-AまたはII-A;
9.20 抗うつ薬が、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、エシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、マプロチリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、パロキセチン、硫酸フェネルジン、プロトリプチリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミンおよびベンラフェキシンより選択される、方法I-AまたはII-Aまたは9.19;
9.21 抗精神病薬が非定型抗精神病薬である、方法I-AまたはII-A、9.17または9.18;
9.22 非定型抗精神病薬が、ブレクスピプラゾール、カリプラジン、アセナピン、ルラシドン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドンおよびパリペリドンからなる群より選択される、方法I-AまたはII-A、または9.17~9.21のいずれか;
9.23 治療薬が、9.1~9.22のいずれかより選択され、例えば、モダフィニル、アルモダフィニル、ドキセピン、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、インディプロン、ゾピクロン、エスゾピクロン、ゼレプロン、ゾルピデム、ガボキサドール、ビガバトリン、チアギャビン、EVT201(Evotec Pharmaceuticals)、エスタゾラム、ピマバンセリン、ケタンセリン、リスペリドン、エプリバンセリン、ボリナンセリン(Sanofi-Aventis、France)、プルバンセリン、MDL100907(Sanofi-Aventis、France)、HY10275(Eli Lilly)、APD125(Arena Pharmaceuticals、San Diego、CA)、AVE8488(Sanofi-Aventis、France)、レピノタン、サリゾタン、エプタピロン、ブスピロン、MN-305(MediciNova、San Diego、CA)、メラトニン、ラメルテオン(ROZEREM(登録商標)、Takeda Pharmaceuticals、Japan)、VEC-162(Vanda Pharmaceuticals、Rockville、MD)、PD-6735(Phase II Discovery)、アゴメラチン、ラモトリジン、ギャバペンチン、プレガバリン、オレキシン、1,3-ジアリールウレア、SB-334867-a(GlaxoSmithKline、UK)、GW649868(GlaxoSmithKline)、ベンズアミド誘導体、Org50081(Organon-Netherlands)、リタンセリン、ネファゾドン、サーゾーン、トラゾドン、カソピタント(GlaxoSmithKline)、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、エシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、マプロチリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、パロキセチン、硫酸フェネルジン、プロトリプチリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミン、ベンラフェキシン、クロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジンプロマジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、ブレクスピプラゾール、カリプラジン、アセナピン、ルラシドン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドンおよびパリペリドンからなる群より選択される、方法I-AまたはII-A;ここに列記した治療薬に加えて、さらにプルバンセリン(ACP-103)およびピゾチフェンより選択される、方法I-AまたはII-A;
9.24 治療薬がH3アゴニストである、方法I-AまたはII-A;
9.25 治療薬がH3アンタゴニストである、方法I-AまたはII-A;
9.26 治療薬がノルアドレナリンアゴニストまたはアンタゴニストである、方法I-AまたはII-A;
9.27 治療薬がガラニンアゴニストである、方法I-AまたはII-A;
9.28 治療薬がCRHアンタゴニストである、方法I-AまたはII-A;
9.29 治療薬がヒト成長ホルモンである、方法I-AまたはII-A;
9.30 治療薬が成長ホルモンアゴニストである、方法I-AまたはII-A;
9.31 治療薬がエストロゲンまたはエストロゲンアゴニストである、方法I-AまたはII-A;
9.32 治療薬が5-HT6受容体アンタゴニストである、方法I-AまたはII-A;
9.33 治療薬がニューロキニン-1薬である、方法I-AまたはII-A;
9.34 治療薬が、式(I)の化合物と組み合され、治療薬が抗パーキンソン病薬、例えばL-ドーパ、コカレルドーパ、デュオドーパ、スタレボ、シンメトレル、ベンズトロピン、ビペリデン、ブロモクリプチン、エンタカポン、ペルゴリド、プラミペキソール、プロシクリジン、ロピニロール、セレギリンおよびトルカポンである、方法I-AまたはII-A;
9.35 列記した疾患および/またはパーキンソン病に罹患している患者において、式(I)の化合物を用いて、睡眠障害、うつ病、精神病、またはそれらの任意の組合せを治療し得る、方法I-AまたはII-A;
9.36 障害が、精神病、例えば統合失調症、うつ病、気分障害、睡眠障害(例えば睡眠維持および/または睡眠開始)またはそれらの障害の任意の組合せの少なくとも1つ以上より選択される、方法I-AまたはII-A;
9.37 障害が睡眠障害である、前記方法のいずれか;
9.38 障害が精神病、例えば統合失調症またはパーキンソン病に関連する睡眠障害である、前記方法のいずれか
を遊離または医薬的に許容される塩形態で投与することをさらに含む、方法I-AまたはII-Aを提供する。
第6態様の別の一実施態様において、本発明は、GABA活性を調節する(例えば、活性を増強し、GABA伝達の促進する)化合物、GABA-Bアゴニスト、5-HTモジュレーター(例えば、5-HT1Aアゴニスト、5-HT2Aアンタゴニスト、5-HT2Aインバースアゴニストなど)、メラトニンアゴニスト、イオンチャネルモジュレーター(例えばブロッカー)、セロトニン-2受容体アンタゴニスト/再取り込み阻害薬(5-HT2拮抗作用およびセロトニン再取り込み阻害の両方を有する化合物、すなわちSARI)、オレキシン受容体アンタゴニスト、H3アゴニストまたはアンタゴニスト、ノルアドレナリンアゴニストまたはアンタゴニスト、ガラニンアゴニスト、CRHアンタゴニスト、ヒト成長ホルモン、成長ホルモンアゴニスト、エストロゲン、エストロゲンアゴニスト、ニューロキニン-1薬、抗うつ薬、および抗精神病薬、例えば非定型抗精神病薬より選択される1つ以上の治療薬を遊離または医薬的に許容される塩形態で患者に投与することをさらに含む、前記の方法IPまたは方法II(それぞれ方法IP-AおよびII-A)を提供する。この態様の更なる実施態様において、本発明は、式9.1~9.38のいずれか1つに同様に記載されている方法IP-AまたはII-Aを提供する。
第6態様のさらに別の一実施態様において、前記の方法IPまたは方法IIは、遊離または医薬的に許容される塩形態のコリンエステラーゼ阻害薬(例えばアセチルコリンエステラーゼ阻害薬)またはN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニストより選択される1つ以上の治療薬を患者に投与することをさらに含む。特定の実施態様において、コリンエステラーゼ阻害薬(例えばアセチルコリンエステラーゼ阻害薬)は、遊離または医薬的に許容される塩形態のタクリン、リバスチグミン(Exelon)、ドネペジル(Aricept)およびガランタミン(Razadyne、以前はReminylと呼ばれていた))からなる群より選択される。更なる実施態様において、コリンエステラーゼ阻害薬(例えばアセチルコリンエステラーゼ阻害薬)は、遊離または医薬的に許容される塩形態のドネペジルである。別の一実施態様において、NMDA受容体アンタゴニストは、遊離または医薬的に許容される塩形態のメマンチンである。
本発明の第7態様において、本発明の化合物(例えば化合物I~IVおよび1.1~1.10のいずれか)と、方法I-A、II-Aまたは9.1~9.38のいずれかに記載の1つ以上の第2治療薬の組合せは、前記の医薬組成物またはデポー組成物(例えば医薬組成物2または2.1~2.4またはP.1~P.7)として投与され得る。同様に、本発明の化合物と、方法Ip-A、II-Aまたは9.1~9.38のいずれかに記載の1つ以上の第2治療薬の組合せは、前記の医薬組成物またはデポー組成物として投与され得る。組合せ組成物は、組み合わせた薬物の混合物、ならびに薬物の2つ以上の別個の組成物を含み得て、ここで個々の組成物が、患者に例えば一緒に共投与され得る。
特定の実施態様において、方法I-A、II-A、Ip-A、II-Aまたは9.1~9.38のいずれかは、それを必要とする患者に、本発明の化合物を、非定型抗精神病薬、例えばブレクスピプラゾール、カリプラジン、アセナピン、ルラシドン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドンまたはパリペリドンより選択される化合物と組み合わせて、遊離または医薬的に許容される塩形態で投与することを含み、ここで、例えば非定型抗精神病薬の投与量を減少させる、および/または副作用を減少させる。
別の一実施態様において、方法I-A、II-A、方法Ip-A、II-Aまたは9.1~9.38のいずれかは、それを必要とする患者に、本発明の化合物を、抗うつ薬、例えば、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、エシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、マプロチリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、パロキセチン、硫酸フェネルジン、プロトリプチリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミンまたはベンラフェキシンと組み合わせて、遊離または医薬的に許容される塩形態で投与することを含む。あるいは、抗うつ薬は、本発明の化合物に加えて補助薬として投与され得る。
さらに別の一実施態様において、方法I-A、II-A、Ip-A、II-Aまたは9.1~9.38のいずれかは、それを必要とする患者に、本発明の化合物を、GABA活性を調節する化合物、例えばドキセピン、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、インディプロン、ゾピクロン、エスゾピクロン、ゼレプロン、ゾルピデム、ガボキサドール、ビガバトリン、チアギャビン、EVT201(Evotec Pharmaceuticals)、エスタゾラムより選択される化合物またはそれらの任意の組合せと組み合わせて、遊離または医薬的に許容される塩形態で投与することを含む。
別の一の特定の実施態様において、方法I-A、II-A、Ip-A、II-Aまたは9.1~9.38のいずれかは、それを必要とする患者に、本発明の化合物を、ドキセピンと組み合わせて、遊離または医薬的に許容される塩形態で投与することを含む。ドキセピンの投与量は、当業者に公知の任意の範囲で変化し得る。一例において、10mg用量のドキセピンが、任意の投与量の本発明の化合物と組み合され得る。
別の一実施態様において、方法I-A、II-A、Ip-A、II-Aまたは9.1~9.38のいずれかは、それを必要とする患者に、本発明の化合物を(例えば1日の投与レジメンの一部として)非定型刺激薬、例えばモダフィニル、アドラフィニルまたはアルモダフィニルと組み合わせて投与することを含む。本発明の化合物をこのような薬物と共に組み込むレジメンは、例えば双極性うつ病、統合失調症に関連する認知、およびパーキンソン病および癌などの状態における過剰な眠気および疲労の治療において、より規則的な睡眠を促進し、このような薬物のより高いレベルと関連する精神病または躁病などの副作用を回避する。
第8態様において、本発明は、前記1つ以上の障害の治療または予防のための(医薬製造における)、例えば方法Iのいずれか、7.1~7.32のいずれか、方法II、8.1~8.8のいずれか、方法I-A、II-A、9.1~9.38のいずれか、方法IP、方法IP-A、または本発明の第6または第7態様に記載の任意の方法における、下記一覧:
11.1 遊離または医薬的に許容される塩形態の式I~IVまたは式1~1.10のいずれかの化合物;
11.2 前記医薬組成物(例えば医薬組成物2または2.1~2.4またはP.1~P.7);
11.3 前記デポー組成物;または
11.4 前記浸透圧による制御放出経口送達システム組成物
に記載の化合物の使用を提供する
第9態様において、本発明は、前記1つ以上の障害の治療または予防、例えば方法Iのいずれか、7.1~7.32のいずれか、方法II、8.1~8.8のいずれか、方法I-A、II-A、9.1~9.38のいずれか、方法IP、方法IP-A、または本発明の第6または第7態様に記載の任意の方法における使用のための前記医薬組成物、例えば下記一覧:
12.1 前記医薬組成物;
12.2 前記デポー組成物;または
12.3 前記浸透圧による制御放出経口送達システム組成物
を提供する。
第4態様(方法Iおよび方法7.1~7.32のいずれかを含む)、第5態様(方法IIおよび方法8.1~8.8のいずれかを含む)、方法IP、方法IP-A、第6態様(方法I-A、II-Aおよび方法9.1~9.38のいずれかを含む)および第7態様の任意の先行実施態様を含む、前記方法のいずれかの特定の実施態様において、言及されている障害および状態は、American Psychiatric Association's Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition (DSM-V) (2013)に定義される意味を有する。
第4態様(方法Iおよび方法7.1~7.32のいずれかを含む)、第5態様(方法IIおよび方法8.1~8.8のいずれかを含む)、方法IP、方法IP-A、第6態様(方法I-A、II-Aおよび方法9.1~9.38のいずれかを含む)および第7態様の任意の先行実施態様を含む、前記方法のいずれかの他の実施態様において、言及されている障害および状態は、World Health Organization's International Classification of Diseases, Tenth Revision (ICD-10), Chapter V (Mental and Behavioral Disorders) (1992)に定義される意味を有する。
他に明記されていないかまたは内容から明らかでない場合、本明細書で用いられる下記の用語は、下記意味を有する:
本明細書で用いる「残遺症状」は、KayらのSchizophr. Bull. (1987) 13(2):261-276(この内容は出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に記載の統合失調症についての陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)に記載される陰性症状および一般的な精神病理学的症状を含み得る。陰性症状は、情動鈍麻、感情的引きこもり、乏しい対人関係、受動的/無気力な社会的離脱、抽象的な思考の困難、自発性および会話の流れの欠如および固定観念的思考を含む。一般的な精神病理学的症状は、身体的懸念、不安、罪悪感、緊張感、衒奇症な動作と姿勢、うつ病、運動遅滞、非協力性、異常な思考内容、見当識障害、注意力不足、判断力および洞察力の欠如、意志の乱れ、衝動制御不足、先入観および積極的な社会的回避を含む。残遺症状はまた、うつ病、認知障害および睡眠障害(例えば不眠症)を含み得る。これらの残遺症状のうち、本発明の化合物は、受動的な社会的離脱、固定観念的思考、身体的懸念、不安、緊張感、積極的な社会的回避およびうつ病の治療に特に有用である。したがって、本発明の化合物は、統合失調症に罹患している患者における社会的統合および社会的機能を改善するのに特に有用である。これらの残遺症状の治療はまた、うつ病にも罹患している統合失調症患者において特に有効である。
他に断らない限り、本発明の化合物、例えば、式I~IVまたは1.1~1.10の化合物は、遊離または塩、例えば酸付加塩の形態で存在し得る。十分に塩基性である本発明の化合物の酸付加塩は、例えば無機または有機酸との酸付加塩である。特定の実施態様において、本発明の化合物の塩は、トルエンスルホン酸付加塩である。
本発明の化合物は、医薬品としての使用が意図され、それ故に医薬的に許容される塩が好ましい。医薬用途に適さない塩は、例えば本発明の遊離化合物の単離または精製に有用であり得て、それ故に含まれる。
理論に拘束されるものではないが、本発明は、化合物Q:
などの化合物で処置された動物で生じることが見出されている代謝を特に制限、遅延、変更および/または防止する化合物を提供する。
重水素(2H)原子の化学的および物理的特性、例えば電子電荷、電子体積、極性、電子価などが通常の水素原子(1H)と比較して極めて類似しているため、重水素で水素を置換した薬物化合物は、一般的に、非重水素化類似体と同様の生物学的活性を有すると考えられるが、薬物動態特性が改善される可能性がある。重水素原子がプロチウム原子のおよそ2倍の原子量を有するが、その空間体積および電荷分布は同様であることが特に重要であり、ここで、これらの後者の要因が生体分子と結合するに重要である。薬物動態特性の改善は、H-D結合と比較してC-D結合の結合強度が極めて強く、それ故に酵素(代謝)反応中におけるD/H引き抜きに対するエネルギー障壁がより高いこと(速度論的同位体効果)により生じる。このような置換が薬理活性を深刻に損失しすぎることなく薬物動態特性の改善をもたらす程度は可変的である。したがって、いくつかの状況においては、得られた重水素化化合物のみが、薬物動態学的安定性の適度な増加を示し、一方、他の状況においては、得られた重水素化化合物は、著しい安定性の改善を有し得る。さらに、同時重水素置換の影響を確実に予測することは困難であり得る。これらは、代謝安定性の相加的(相乗的)改善をもたらす場合もあれば、もたらさない場合もある。
これまでに多くの重水素化医薬化合物が提案および調査されているが、米国食品医薬品局によって承認されている重水素化医薬化合物は、重水素化されていない対応物より治療上有用な長い半減期を有する、ハンチントン病薬のテトラベナジン重水素型であるデューテトラベナジン(Teva Pharmaceuticals、2017年4月)の1つのみである。
本開示は、式Qの化合物の構造の特定の選択された位置に重水素原子を含有する化合物を提供する。これらの特定の重水素化は、これらの化合物に影響を及ぼす可能性が高いと本願発明者らにより決定された酵素経路との関係のため、該化合物の代謝分解およびクリアランスに影響を有すると予想される。したがって、これらの新規な化合物は、天然の水素類似体と同様の方法であるが、予想外にも代謝安定性および薬物動態特性を改善しながら、5-HT2A受容体に拮抗し、セロトニン再取り込みトランスポーターを阻害し、ドーパミン作動性タンパク質リン酸化を調節すると予想される。
式Qの化合物は、様々な有用な医薬特性を有することが示されており、これらの各々は、本開示の化合物により共有されることが期待される。例えば、式Qの化合物は、強力な5-HT2A、D1および/またはD2調節およびSERT拮抗作用を有する。
本発明の化合物は、1つ以上のキラル炭素原子を含み得る。したがって、化合物は、個々の異性体、例えばエナンチオマーまたはジアステレオマー形態で、または個々の形態の混合物、例えばラセミ/ジアステレオマー混合物として存在する。不斉中心が(R)-、(S)-、または(R,S)-配置にあるあらゆる異性体が存在し得る。本発明は、個々の光学活性異性体両方およびその混合物(例えばラセミ/ジアステレオマー混合物)を包含すると理解されるべきである。したがって、本発明の化合物は、ラセミ混合物であってもよく、または、例えば主に純粋、または実質的に純粋な異性体形態、例えば70%超のエナンチオマー/ジアステレオマー過剰率(「ee」)、好ましくは80%超のee、より好ましくは90%超のee、最も好ましくは%超のeeであってもよい。該異性体の精製および該異性体混合物の分離は、当該技術分野で公知の標準的な技術(例えば、カラムクロマトグラフィー、分取TLC、分取HPLC、擬似移動床など)により達成され得る。
二重結合または環についての置換基の性質による幾何異性体は、シス(Z)またはトランス(E)体であり得て、両方の異性体が本発明の範囲に包含される。
これとは別におよび/またはこれに加えて、本発明の化合物は、デポー製剤、例えば第2および第3態様に記載のポリマーマトリックス中に本発明の化合物を分散、溶解または被包させることにより、デポー製剤として含まれ得て、化合物は、ポリマーが時間とともに分解するにつれて持続的に放出される。ポリマーマトリックスからの本発明の化合物の放出は、化合物を例えば医薬デポー組成物から、その医薬デポーが投与される対象体、例えば温血動物、例えばヒトへ制御および/または遅延および/または持続放出することを提供する。したがって、医薬デポーは、本発明の化合物を対象体へ特定の疾患または病状の治療に有効な濃度にて長時間、例えば14~180日間、好ましくは約30、約60または約90日間にわたって送達する。
本発明の組成物(例えば本発明のデポー組成物)におけるポリマーマトリックスに有用なポリマーは、ヒドロキシ脂肪酸のポリエステルおよびその誘導体、または他の化学物質、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリクエン酸、ポリリンゴ酸、ポリ-β-ヒドロキシ酪酸、ε-カプロラクトン開環重合体、乳酸-グリコール酸共重合体、2-ヒドロキシ酪酸-グリコール酸共重合体、ポリ乳酸-ポリエチレングリコール共重合体またはポリグリコール酸-ポリエチレングリコー共重合体)、アルキルα-シアノアクリレート(例えばポリ(ブチル2-シアノアクリレート))、ポリアルキレンオキサレート(例えばポリトリメチレンオキサレートまたはポリテトラメチレンオキサレート)、ポリオルトエステル、ポリカルボネート(例えばポリエチレンカルボネートまたはポリエチレンプロピレンカルボネート)、ポリオルト-カルボネート、ポリアミノ酸(例えばポリ-γ-L-アラニン、ポリ-γ-ベンジル-L-グルタミン酸またはポリ-y-メチル-L-グルタミン酸)、ヒアルロン酸エステルなどのポリマーを含み得て、これらポリマーの1つ以上が用いられ得る。
ポリマーが共重合体である場合、それは、ランダム、ブロックおよび/またはグラフト共重合体のいずれかであり得る。上記α-ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸およびヒドロキシトリカルボン酸が、その分子中に光学活性を有する場合、D-異性体、L-異性体および/またはDL-異性体のいずれか1つが用いられ得る。とりわけ、α-ヒドロキシカルボン酸ポリマー(好ましくは、乳酸-グリコール酸重合体)、そのエステル、ポリ-α-シアノアクリル酸エステルなどが用いられ得て、乳酸-グリコール酸共重合体(ポリ(乳酸-α-グリコール酸)またはポリ(乳酸-グリコール酸共重合体)とも称され、以下PLGAを称する)が好ましい。したがって、一態様において、ポリマーマトリックスに有用なポリマーは、PLGAである。本明細書で用いられる、用語PLGAは、乳酸の重合体を含む(ポリ乳酸、ポリ(乳酸)またはPLAとも称される)。最も好ましくは、ポリマーは、生分解性ポリ(d,l-乳酸-グリコール酸共重合体)ポリマーである。
好ましい実施態様において、本発明のポリマーマトリックスは、生体適合性および生分解性である。用語「生体適合性」は、毒性がなく、発癌性がなく、そして体組織において著しく炎症を誘導しない高分子物質と定義される。マトリックス物質は、生分解性であるべきであり、ここで、高分子物質は、身体で容易に排泄可能な生成物に体内プロセスによって分解されるべきであり、体内に蓄積されるべきでない。生体分解の生成物はまた、ポリマーマトリックスが身体と生体適合性であるという点で身体と生体適合性であるべきである。ポリマーマトリックス物質の特定の有用な例としては、ポリ(グリコール酸)、ポリ-D,L-乳酸、ポリ-L-乳酸、前記の共重合体、ポリ(脂肪族カルボン酸)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリ(オルトカルボネート)、ポリ(アセタール)、ポリ(乳酸-カプロラクトン)、ポリオルトエステル、ポリ(グリコール酸-カプロラクトン)、ポリ無水物、および天然ポリマー、例えばアルブミン、カゼイン、およびワックス、例えばグリセロールモノおよびジステアレートなどが挙げられる。本発明の実施において用いるのに好ましいポリマーは、dl(ポリ乳酸-グリコール酸共重合体)である。このような共重合体におけるラクチド対グリコリドのモル比は、およそ75:25から50:50の範囲であることが好ましい。
有用なPLGAポリマーの重量平均分子量は、約5,000~500,000ダルトン、好ましくは約150,000ダルトンであり得る。達成すべき分解速度に依存して、種々の分子量のポリマーを用い得る。薬物放出の拡散メカニズムについて、ポリマーは、すべての薬物がポリマーマトリックスから放出されるまで無傷のままであるべきであり、その後分解するべきである。薬物はまた、高分子添加剤が生体浸食する(bioerode)場合、ポリマーマトリックスから放出され得る。
PLGAは、任意の慣用の方法により製造されてもよく、または商業的に入手してもよい。例えば、PLGAは、環状ラクチド、グリコリドなどから適切な触媒での開環重合により製造され得る(欧州特許第58481号;Effects of polymerization variables on PLGA properties: molecular weight, composition and chain structure参照)。
PLGAは、生理学的条件下で(例えば、ヒトなどの温血動物の組織に見ることができる水および生物学的酵素の存在下で)加水分解可能であって酵素的に切断可能であるエステル結合の分解により固形ポリマー組成物全体が分解して乳酸およびグリコール酸を形成することによって生分解性であると考えられる。乳酸およびグリコール酸のいずれも、水溶性で、通常の代謝の無毒性の生成物であり、これは、さらに分解されて、二酸化炭素と水を形成する。言い換えれば、PLGAは、水の存在下で、例えばヒトなどの温血動物の体内でそのエステル基の加水分解によって分解されて、乳酸およびグリコール酸を生じ、酸性微小環境を作ると考えられる。乳酸およびグリコール酸は、通常の生理学的条件下のヒトなどの温血動物の体内における様々な代謝経路の副産物であり、それ故に良好な忍容性を示し、最小の全身毒性をもたらす。
別の一実施態様において、本発明に有用なポリマーマトリックスは、ポリエステルの構造が星形である星形ポリマーを含み得る。これらのポリエステルは、酸性残基鎖により囲まれる中心部分として単一のポリオール残基を有する。ポリオール部分は、例えばグルコースまたはマンニトールであり得る。これらのエステルは、公知であって、英国特許出願公開第2,145,422号および米国特許第5,538,739号に記載されており、これら各出願の内容は、出典明示により本明細書の一部とする。
星形ポリマーは、ポリヒドロキシ化合物、例えばポリオール、例えばグルコースまたはマンニトールを開示剤として用いて製造され得る。ポリオールは、少なくとも3つのヒドロキシ基を含有し、最大約20,000ダルトンの分子量を有し、エステルの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、例えば平均3つのヒドロキシ基を有するポリオールはエステル基の形態であり、これらはポリラクチドまたはコ-ポリラクチド鎖を含有する。分岐ポリエステル、例えばポリ(d,l-乳酸-グリコール酸共重合体)は、複数のポリラクチド直鎖を有する中心グルコース部分を有する。
前記の本発明のデポー組成物は、本発明の化合物が分散または被包しているマイクロ粒子もしくはナノ粒子の形態または液体形態のポリマーを含み得る。「マイクロ粒子」は、粒子のマトリックスとして作用するポリマー内に本発明の化合物が分散または溶解している溶液または固体形態のいずれかで本発明の化合物を含有する固形粒子を意味する。ポリマーマトリックスの適切な選択により、得られたマイクロ粒子が拡散放出性および生分解放出性の両方を示すマイクロ粒子製剤が作られ得る。
特定の実施態様において、本発明の化合物は、筋肉注射後の放出動態をゆっくりにするのに適切なサイズのマイクロ粒子に製剤化される。
ポリマーがマイクロ粒子形態であるとき、マイクロ粒子は、任意の適切な方法を用いて、例えば溶媒蒸発法または溶媒抽出法により製造され得る。例えば、溶媒蒸発法において、本発明の化合物およびポリマーを、揮発性有機溶媒(例えば、アセトンなどのケトン、クロロホルムまたは塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素、ハロゲン化芳香族性炭化水素、ジオキサンなどの環状エーテル、酢酸エチルなどのエステル、アセトニトリルなどのニトリル、またはエタノールなどのアルコール)に溶解させて、適切なエマルション安定化剤(例えばポリビニルアルコール、PVA)を含有する水相に分散させ得る。その後、有機溶媒を蒸発させて、本発明の化合物が被包されたマイクロ粒子を提供する。溶媒抽出法において、本発明の化合物およびポリマーを、極性溶媒(例えばアセトニトリル、ジクロロメタン、メタノール、酢酸エチルまたはギ酸メチル)に溶解させて、その後、水相(例えば水/PVA溶液)に分散させ得る。エマルションを調製して、本発明の化合物が被包されたマイクロ粒子を提供する。スプレードライは、マイクロ粒子を製造するための別の製剤技術である。
本発明のマイクロ粒子を製造する別の方法はまた、米国特許第4,389,330号および米国特許第4,530,840号の両方に記載されており、これらの内容は出典明示により本明細書の一部とする。
本発明のマイクロ粒子は、注射可能な組成物における使用に許容されるサイズ範囲のマイクロ粒子を製造できる任意の方法によって製造され得る。一の好ましい製造方法は、米国特許第4,389,330号に記載されているものである。この方法において、活性剤を適切な溶媒に溶解または分散させる。活性剤含有溶媒に、所望の活性剤負荷を有する生成物を提供する活性成分と相対的な量のポリマーマトリックス物質を加える。所望により、マイクロ粒子生成物の成分すべてを溶媒媒体中で一緒に混合し得る。
本発明の化合物および本発明の実施において用いられ得るポリマーマトリックス物質の溶媒としては、有機溶媒、例えばアセトン;ハロゲン化炭化水素、例えばクロロホルム、塩化メチレンなど;芳香族炭化水素化合物;ハロゲン化芳香族炭化水素化合物;環状エーテル;アルコール、例えばベンジルアルコール;酢酸エチルなどが挙げられる。一の実施態様において、本発明の実施における使用のための溶媒は、ベンジルアルコールと酢酸エチルの混合物であり得る。本発明に有用なマイクロ粒子の製造に関する更なる情報は、米国特許出願公開第2008/0069885号に見ることができ、該出願の内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。
マイクロ粒子に組み込まれる本発明の化合物の量は、通常約1重量%~約90重量%、好ましくは30~50重量%、より好ましくは35~40重量%の範囲である。重量%は、マイクロ粒子の総重量当たりの本発明の化合物部分を意味する。
医薬デポーは、医薬的に許容される希釈剤または担体、例えば水混和性の希釈剤または担体を含み得る。
浸透圧による制御放出経口送達システム組成物の詳細は、欧州特許出願公開第1539115号(米国特許出願公開第2009/0202631号)および国際公開第2000/35419号に見ることができ、これら各出願の内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。
「治療有効量」は、疾患または障害に罹患している対象体に投与されるとき、治療に予定している時間にわたって疾患または障害の軽減、寛解または退行を生じるのに有効な(例えば医薬デポーにおいて含有されるような)本発明の化合物の量である。
本発明の実施に用いられる投与量は、例えば治療されるべき特定の疾患または状態、用いられる本発明の特定の化合物、投与様式および所望の療法に応じて当然変化する。
本発明の化合物は、経口、非経腸(静脈内、筋肉内または皮下)または経皮を含む任意の満足な経路によって投与され得るが、好ましくは経口投与される。特定の実施態様において、本発明の化合物は、例えばデポー製剤中であり、好ましくは非経腸、例えば注射により投与される。
一般に、方法Iまたは式7.1~7.32のいずれかまたは方法IPまたは前記の本発明の化合物の使用、例えば、少なくともうつ病、精神病の組合せ、例えば、上記の(1)うつ病に罹患している患者における精神病、例えば統合失調症;(2)精神病、例えば統合失調症に罹患している患者におけるうつ病;(3)精神病、例えば統合失調症またはパーキンソン病に関連する気分障害;および(4)精神病、例えば統合失調症またはパーキンソン病に関連する睡眠障害などの疾患の組合せの治療についての満足な結果は、好ましくは経口投与により、1日1回約1mg~100mg程度、好ましくは2.5mg~50mg、例えば1日1回2.5mg、5mg、l0mg、20mg、30mg、40mgまたは50mgの投与量にて経口投与することで得られることが示されている。
方法IIまたは8.1~8.8のいずれか、方法IIまたは前記の本発明の化合物の使用、例えば睡眠障害単独、または激越、好戦的行動、外傷後ストレス障害、または衝動制御障害単独、例えば間欠性爆発性障害単独の治療についての満足な結果は、好ましくは経口投与により、1日1回遊離または医薬的に許容される塩形態で本発明の化合物を約1mg~10mg程度、例えば約2.5mg~5mg、例えば2.5mg、3mg、4mg、5mgまたは10mgの投与量にて経口投与することで得られることが示されている。
方法I-Aまたは9.1~9.38のいずれかまたは方法IP-Aについての満足な結果は、1日1回、l00mg未満、好ましくは50mg未満、例えば40mg未満、30mg未満、20mg未満、l0mg未満、5mg未満、2.5mg未満にて得られることが示されている。方法II-Aまたは9.1~9.38のいずれかついての満足な結果は、10mg未満、例えば5mg未満、好ましくは2.5mg未満にて得られることが示されている。
デポー組成物がより長期間の作用を達成するために用いられる本明細書に記載の障害の治療のために、投与量は、短期作用組成物と比較して高く、例えば1~100mgより高く、例えば25mg、50mg、100mg、500mg、1,000mg、または1000mg超である。特定の実施態様において、デポー組成物についての投与レジメンは、薬物の定常状態血中レベルを提供するように、デポー放出とともに初期経口即時投与を含む。本発明の化合物の作用持続時間は、ポリマー組成、すなわちポリマー:薬物の比率およびマイクロ粒子サイズの操作により制御され得る。本発明の組成物がデポー組成物である場合、注射による投与が好ましい。
本発明の化合物の医薬的に許容される塩は、慣用の化学方法により塩基性または先生部分を含有する親化合物から合成され得る。一般に、このような塩は、これら化合物の遊離塩基形態を化学量論量の適切な酸と水もしくは有機溶媒またはその2つの混合物中で反応させることにより製造され得て;一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水性媒体が好ましい。これら塩、例えばアモルファスまたは結晶形態のトルエンスルホン酸塩の製造についての更なる詳細については、国際特許出願第PCT/US08/03340号および/または米国仮出願第61/036,069号)(米国特許出願公開第2011/112105号に対応する)に見ることができる。
本発明の化合物を含む医薬組成物は、従来の希釈剤または添加剤(例としてはゴマ油があげられるがこれに限定されない)およびガレヌス分野で公知の技術を用いて製造され得る。したがって、経口剤形は、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤などを含み得る。
本発明の化合物または組成物の投与量、投与速度または治療有効量へのすべての言及は、任意の塩を除いて、投与量中で同等の遊離塩基部分を指す。
本発明の化合物の製造方法:
本発明の化合物の中間体は、一般的に、国際出願第PCT/US08/03340号(国際公開第2008/112280号)または米国特許8,309,722;米国仮出願第10/786,935号および米国特許7,081,455;米国特許第6,548,493号;第7,238,690号;第6,552,017号;第6,713,471号;第7,183,282号;米国再発行特許第39680号および米国再発行特許第39679号および国際公開第2015/154025号に記載されているように製造し得て、これら各々の内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。本発明の化合物の塩はまた、米国特許第6,548,493号;第7,238,690号;第6,552,017号;第6,713,471号;第7,183,282号;米国再発行特許第39680号;米国再発行特許第39679号;および国際公開第2009/114181号に同様に記載されているように製造し得て、これら各々の内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。
本発明の化合物のジアステレオマーの単離または精製は、当該技術分野で知られている慣用方法、例えば、カラム精製法、分取薄層クロマトグラフィー、分取HPLC、結晶化、トリチュレーション、擬似移動床法などによって行うことができる。
実施例1:1-(4-フルオロフェニル)-4-((6bR,10aS)-1,1,2,2-テトラジュウテリオ-3-メチル-2,3,6b,7,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(9H)-イル)ブタン-1-オンp-トルエンスルホネート
工程1:(4aS,9bR)-エチル6-ブロモ-3,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-ピリド[4,3-b]インドール-2(9bH)-カルボキシレート(1.60g、8.0mmol)、2-クロロ-2,2-ジジュウテリオ-N-メチルアセトアミド(1.74g、16mmol)およびKI(2.68g、16mmol)のジオキサン(28mL)中の脱気混合物に、ジイソプロピルエチルアミン(2.8mL、16mmol)を、室温にて加える。その後、反応混合物を激しく撹拌下20時間104℃に加熱する。溶媒を真空下除去し、残渣をジクロロメタン(50mL)中に懸濁させ、水(20mL)で抽出する。有機相を分離し、K2CO3で乾燥し、残渣まで濃縮する。生成物を、酢酸エチル中で0~100%混合溶媒[酢酸エチル/メタノール(10:1 v/v)]のグラジェントを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(4aS,9bR)-エチル6-ブロモ-5-(1,1-ジジュウテリオ-2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル)-3,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-ピリド[4,3-b]インドール-2(9bH)-カルボキシレートを褐色の固体として得る(1.15g、収率36%)。MS (ESI) m/z 398.1 [M+1]+
工程2:(4aS,9bR)-エチル6-ブロモ-5-(1,1-ジジュウテリオ-2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル)-3,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-ピリド[4,3-b]インドール-2(9bH)-カルボキシレート(1.0g、2.5mmol)の脱気混合物に、K2CO3(760mg、5.5mmol)、ジオキサン(10mL)中のCuI(120mg、0.63mmol)、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(0.23mL、1.5mmol)を、室温にて加える。その後、反応混合物を激しく撹拌下4日間99℃に加熱する。室温に冷却後、混合物を直接シリカゲルカラムに載せる。生成物を、100%酢酸エチルを用いてカラムクロマトグラフィーにより精製して、(6bR,10aS)-エチル1,1-ジジュウテリオ-3-メチル-2-オキソ-2,3,6b,7,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(9H)-カルボキシレートを褐色の固体として得る(210mg、収率11%)。MS (ESI) m/z 318.2 [M+1]+
工程3:乾燥させたフラスコで、(6bR,10aS)-エチル1,1-ジジュウテリオ-3-メチル-2-オキソ-2,3,6b,7,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(9H)-カルボキシレート(210mg、0.66mmol)を、THF(2.0mL)に溶解させる。BD3(THF中1.0M、3.5mL)をゆっくり滴下し、温度を30℃未満に制御する。得られた混合物を一晩室温にて撹拌し、その後氷で冷却する。MeOH-d4(2.0mL)およびD2O(1.0mL)を連続して加えて、反応をクエンチする。溶媒を真空下除去し、残渣をジクロロメタン(20mL)中に懸濁させ、水(2.0mL)で抽出する。有機相を分離し、K2CO3で乾燥する。生成物を、ヘキサン混合溶媒中で0~40%酢酸エチルのグラジェントを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(6bR,10aS)-エチル1,1,2,2-テトラジュウテリオ-3-メチル-2,3,6b,7,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(9H)-カルボキシレートを無色の油状物として得る(81mg、収率40.5%)。MS (ESI) m/z 306.2 [M+1]+
工程4:脱気したフラスコで、(6bR,10aS)-エチル1,1,2,2-テトラジュウテリオ-3-メチル-2,3,6b,7,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(9H)-カルボキシレート(81mg、0.26mmol)を、HCl(37%、3mL)中に懸濁させる。混合物を99℃にて24時間加熱して、澄明な溶液を得る。冷却後、酸性溶液を濃縮して、青色の残渣を残し、これを次にジクロロメタン(30mL)および水(2mL)の混合物中に懸濁させる。混合物を氷で冷却し、NaOH(10N)を、pHが14を超えるまでゆっくり加える。有機相を分離し、K2CO3で乾燥する。濃縮後、粗生成物(約30mg)をさらに精製することなく次の工程で直接用いる。MS (ESI) m/z 234.2 [M+1]+
工程5:(6bR,10aS)-1,1,2,2-テトラジュウテリオ-3-メチル-2,3,6b,7,8,9,10,10a-オクタヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン(30mg、0.13mmol)、4-クロロ-4'-フルオロブチロフェノン(53μL、0.32mmol)およびKI(59mg、0.35mmol)のDMF(2mL)中の混合物を、アルゴンで3分間バブリングし、その後、ジイソプロピルエチルアミン(45μL、0.32mmol)を加える。得られた混合物を76℃に加熱し、この温度にて2時間撹拌する。溶媒を除去し、残渣を、酢酸エチル中で0~100%混合溶媒[酢酸エチル/メタノール/7N NH3(10:1:0.1 v/v)]のグラジェントを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、1-(4-フルオロフェニル)-4-((6bR,10aS)-1,1,2,2-テトラジュウテリオ-3-メチル-2,3,6b,7,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(9H)-イル)ブタン-1-オンを褐色の油状物として得る(20mg、収率39%)。MS (ESI) m/z 398.2 [M+1]+
工程6:1-(4-フルオロフェニル)-4-((6bR,10aS)-1,1,2,2-テトラジュウテリオ-3-メチル-2,3,6b,7,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(9H)-イル)ブタン-1-オン(18.63mg、0.047mmol)を、2-プロパノール(0.3ml)に溶解させる。p-トルエンスルホン酸水和物(12.07mg、0.063mmol)を、2-プロパノール(0.3ml)に溶解させる。0.2mLの酸溶液を、強く撹拌ながらd4-遊離塩基溶液にゆっくり滴下する。得られた澄明な溶液を室温にてさらに2時間撹拌し、この間に白色の固体が徐々に沈殿する。混合物を週末に-20℃にて保存し、その後、固体をろ過により回収する。固体を冷却2-プロパノール(0.5ml)ですすぎ、真空乾燥する。約20mgの生成物を、白色の固体として得る。収率75%。1HNMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.1 (s, 1H), 8.2 - 7.9 (m, 2H), 7.6 - 7.4 (m, 2H), 7.4 - 7.3 (m, 2H), 7.1 (dd, J = 2.11, 7.29 Hz, 2H), 6.6 (td, J = 1.86, 7.55, 8.02 Hz, 1H), 6.6 - 6.5 (m, 1H), 6.5 - 6.4 (m, 1H), 3.6 (dd, J = 6.36, 12.18 Hz, 1H), 3.5 (d, J = 13.09 Hz, 1H), 3.4 - 3.3 (m, 2H), 3.2 (d, J = 4.64 Hz, 1H), 3.2 - 2.9 (m, 5H), 2.8 (s, 3H), 2.6 (q, J = 11.67 Hz, 1H), 2.3 (s, 3H), 2.2 - 1.9 (m, 3H)。MS (ESI) m/z 398.2 [M+1]+(遊離塩基について)。
実施例2:マウスにおける親および代謝物レベルの測定
実施例1の化合物および式Qの化合物をマウスに同時投与し(n=3)、両方の化合物のレベルを試験する。式Qの化合物の合成の手順は、国際公開第2008/112280号で見つけることができる。試験化合物の単回用量の経口投与後、血漿および脳レベルを0.25、0.5、1、2および4時間にて測定する。両方の化合物についての最高濃度、最高濃度までの時間および曲線下面積の平均値を測定する。結果を下記表1に要約する。
Figure 2024123211000008
実施例1の化合物の血漿および血液両方の濃度が、式Qの化合物より高く、その結果、より高いCmax値およびより高いAUC値の両方が得られることが分かった。これは、非重水素化対応物の式Qの化合物と比較して実施例1の四重水素化化合物の代謝クリアランスが低下したことを示している。
受容体結合試験は、実施例1の化合物が、非重水素化式Qの化合物と実質的に同じ受容体結合プロファイルを示すことを示している(例えば、セロトニン受容体(例えば5-HT2A)、ドーパミン受容体(例えばD2)およびセロトニントランスポーター結合を含む)。
受容体結合試験は、実施例1の化合物が、非重水素化式Qの化合物と実質的に同じ受容体結合プロファイルを示すことを示している(例えば、セロトニン受容体(例えば5-HT2A)、ドーパミン受容体(例えばD2)およびセロトニントランスポーター結合を含む)。
本発明は、以下の態様および実施態様を含む。
[1] 式I:
で示され、式中、R 1 およびR 2 の少なくとも一方または両方がDである、遊離または塩形態の化合物。
[2] 式II:
で示され、式中、R 1 およびR 2 の少なくとも一方または両方がDである、遊離または塩形態の化合物。
[3] 式III:
で示され、式中、R 1 およびR 2 の少なくとも一方または両方がDである、遊離または塩形態の化合物。
[4] 式IV:
[式中、
R 1 は、CH 3 またはCD 3 であり;
R 2 およびR 3 は、両方Hまたは両方Dのいずれかであり;
ただし、R 1 がCH 3 であるとき、R 2 およびR 3 は、両方Dである]
で示される、遊離または塩形態の化合物。
[5] R 1 がHであり、R 2 がDである、[1]~[4]のいずれかに記載の化合物。
[6] R 1 およびR 2 が両方Dである、[1]~[4]のいずれかに記載の化合物。
[7] 化合物が塩形態である、[1]~[6]のいずれかに記載の化合物。
[8] 塩がトルエンスルホン酸付加塩である、[7]に記載の化合物。
[9] 構造の指定された重水素の位置に重水素が天然より実質的に多く組み込まれている、[1]~[8]のいずれかに記載の化合物。
[10] 遊離または医薬的に許容される塩形態の[1]~[9]のいずれかに記載の化合物を、医薬的に許容される希釈剤または担体と組み合わせて含む、医薬組成物。
[11] 治療有効量の、遊離または医薬的に許容される塩形態の[1]~[9]のいずれかに記載の化合物、または[10]に記載の医薬組成物を、治療または予防を必要とする患者に投与することを含む、中枢神経系障害の治療または予防方法。
[12] 障害が、肥満、不安、うつ病(例えば難治性うつ病およびMDD)、精神病、統合失調症、睡眠障害(特に統合失調症および他の精神および神経疾患に関連する睡眠障害)、性障害、片頭痛、頭痛に関連する状態、社会恐怖症、激越、認知症における激越(例えば、アルツハイマー病における激越)、自閉症における激越および関連する自閉症障害、消化管障害、例えば消化管運動の機能不全、外傷後ストレス障害、衝動制御障害、間欠性爆発性障害からなる群より選択される、[11]に記載の方法。
[13] 障害が、認知症に関連する1つ以上の障害、例えば老人性認知症、アルツハイマー病、ピック病、前頭側頭葉変性症、進行性核上性麻痺、レビー小体型認知症、血管性認知症、ハンチントン病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ダウン症候群、高齢者うつ病、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、大脳皮質基底核変性症およびプリオン病、自閉症および注意欠陥・多動性障害を含む、軽度の認知障害および認知症性疾患に関連する障害である、[11]に記載の方法。
[14] 障害が、セロトニン5-HT 2A 、ドーパミンD 2 および/またはセロトニン再取り込みトランスポーター(SERT)経路の1つに関連する障害である、[11]に記載の方法。
[15] 中枢神経系障害が、精神病、例えば統合失調症、妄想性障害、精神病を伴う大うつ病、精神病症状を伴う双極性障害、短期精神病性障害、統合失調症様障害、統合失調症情動障害または病状もしくは物質使用により引き起こされる精神病の残遺症状であり、好ましくは、患者が、統合失調症の残遺症状に罹患している、[11]~[14]のいずれかに記載の方法。
[16] 残遺症状が、陰性症状、例えば情動鈍麻、感情的引きこもり、乏しい対人関係、受動的または無気力な社会的離脱、抽象的な思考の困難、自発性および会話の流れの欠如および固定観念的思考;一般的な精神病理学的症状、例えば身体的懸念、不安、罪悪感、緊張感、衒奇症な動作と姿勢、うつ病、運動遅滞、非協力性、異常な思考内容、見当識障害、注意力不足、判断力および洞察力の欠如、意志の乱れ、衝動制御不足、先入観および積極的な社会的回避;認知障害および睡眠障害(例えば不眠症)より選択される、[15]に記載の方法。
[17] 1つ以上の他の治療薬、例えば更なる抗精神病薬および/または抗うつ薬および/または睡眠薬の投与をさらに含む、[11]~[16]のいずれかに記載の方法。
[18] 1つ以上の他の治療薬が、遊離または医薬的に許容される塩形態の、抗うつ薬、例えばGABA活性を調節する(例えば、活性を増強し、GABA伝達の促進する)化合物、GABA-Bアゴニスト、5-HTモジュレーター(例えば、5-HT 1A アゴニスト、5-HT 2A アンタゴニスト、5-HT 2A インバースアゴニストなど)、メラトニンアゴニスト、イオンチャネルモジュレーター(例えばブロッカー)、セロトニン-2受容体アンタゴニスト/再取り込み阻害薬(SARI)、5-HT 6 アンタゴニスト、オレキシン受容体アンタゴニスト、H3アゴニスト、ノルアドレナリンアンタゴニスト、ガラニンアゴニスト、CRHアンタゴニスト、ヒト成長ホルモン、成長ホルモンアゴニスト、エストロゲン、エストロゲンアゴニスト、ニューロキニン-1薬;および抗精神病薬、例えば非定型抗精神病薬より選択される、[17]に記載の方法。
[19] 1つ以上の他の治療薬が、遊離または医薬的に許容される塩形態の、クロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、プロマジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、ブレクスピプラゾール、カリプラジン、アセナピン、ルラシドン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン、パリペリドン、アセナピン、ルラシドン、イロペリドン、カリプラジン、アミスルピリド、ゾテピン、セルチンドールより選択される抗精神病薬である、[17]~[18]のいずれかに記載の方法。
[20] 1つ以上の他の治療薬が、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、エシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、マプロチリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、パロキセチン、硫酸フェネルジン、プロトリプチリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミンおよびベンラフェキシンの1つ以上より選択される抗うつ薬である、[17]~[19]のいずれかに記載の方法。
[21] 1つ以上の他の治療薬が、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)および三環系抗うつ薬より選択される抗うつ薬である、[17]~[20]のいずれかに記載の方法。
[22] 抗うつ薬が、SSRIである、[21]に記載の方法。

Claims (22)

  1. 式I:
    で示され、式中、R1およびR2の少なくとも一方または両方がDである、遊離または塩形態の化合物。
  2. 式II:
    で示され、式中、R1およびR2の少なくとも一方または両方がDである、遊離または塩形態の化合物。
  3. 式III:
    で示され、式中、R1およびR2の少なくとも一方または両方がDである、遊離または塩形態の化合物。
  4. 式IV:
    [式中、
    R1は、CH3またはCD3であり;
    R2およびR3は、両方Hまたは両方Dのいずれかであり;
    ただし、R1がCH3であるとき、R2およびR3は、両方Dである]
    で示される、遊離または塩形態の化合物。
  5. R1がHであり、R2がDである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
  6. R1およびR2が両方Dである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
  7. 化合物が塩形態である、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
  8. 塩がトルエンスルホン酸付加塩である、請求項7に記載の化合物。
  9. 構造の指定された重水素の位置に重水素が天然より実質的に多く組み込まれている、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
  10. 遊離または医薬的に許容される塩形態の請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物を、医薬的に許容される希釈剤または担体と組み合わせて含む、医薬組成物。
  11. 治療有効量の、遊離または医薬的に許容される塩形態の請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、または請求項10に記載の医薬組成物を、治療または予防を必要とする患者に投与することを含む、中枢神経系障害の治療または予防方法。
  12. 障害が、肥満、不安、うつ病(例えば難治性うつ病およびMDD)、精神病、統合失調症、睡眠障害(特に統合失調症および他の精神および神経疾患に関連する睡眠障害)、性障害、片頭痛、頭痛に関連する状態、社会恐怖症、激越、認知症における激越(例えば、アルツハイマー病における激越)、自閉症における激越および関連する自閉症障害、消化管障害、例えば消化管運動の機能不全、外傷後ストレス障害、衝動制御障害、間欠性爆発性障害からなる群より選択される、請求項11に記載の方法。
  13. 障害が、認知症に関連する1つ以上の障害、例えば老人性認知症、アルツハイマー病、ピック病、前頭側頭葉変性症、進行性核上性麻痺、レビー小体型認知症、血管性認知症、ハンチントン病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ダウン症候群、高齢者うつ病、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、大脳皮質基底核変性症およびプリオン病、自閉症および注意欠陥・多動性障害を含む、軽度の認知障害および認知症性疾患に関連する障害である、請求項11に記載の方法。
  14. 障害が、セロトニン5-HT2A、ドーパミンD2および/またはセロトニン再取り込みトランスポーター(SERT)経路の1つに関連する障害である、請求項11に記載の方法。
  15. 中枢神経系障害が、精神病、例えば統合失調症、妄想性障害、精神病を伴う大うつ病、精神病症状を伴う双極性障害、短期精神病性障害、統合失調症様障害、統合失調症情動障害または病状もしくは物質使用により引き起こされる精神病の残遺症状であり、好ましくは、患者が、統合失調症の残遺症状に罹患している、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 残遺症状が、陰性症状、例えば情動鈍麻、感情的引きこもり、乏しい対人関係、受動的または無気力な社会的離脱、抽象的な思考の困難、自発性および会話の流れの欠如および固定観念的思考;一般的な精神病理学的症状、例えば身体的懸念、不安、罪悪感、緊張感、衒奇症な動作と姿勢、うつ病、運動遅滞、非協力性、異常な思考内容、見当識障害、注意力不足、判断力および洞察力の欠如、意志の乱れ、衝動制御不足、先入観および積極的な社会的回避;認知障害および睡眠障害(例えば不眠症)より選択される、請求項15に記載の方法。
  17. 1つ以上の他の治療薬、例えば更なる抗精神病薬および/または抗うつ薬および/または睡眠薬の投与をさらに含む、請求項11~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 1つ以上の他の治療薬が、遊離または医薬的に許容される塩形態の、抗うつ薬、例えばGABA活性を調節する(例えば、活性を増強し、GABA伝達の促進する)化合物、GABA-Bアゴニスト、5-HTモジュレーター(例えば、5-HT1Aアゴニスト、5-HT2Aアンタゴニスト、5-HT2Aインバースアゴニストなど)、メラトニンアゴニスト、イオンチャネルモジュレーター(例えばブロッカー)、セロトニン-2受容体アンタゴニスト/再取り込み阻害薬(SARI)、5-HT6アンタゴニスト、オレキシン受容体アンタゴニスト、H3アゴニスト、ノルアドレナリンアンタゴニスト、ガラニンアゴニスト、CRHアンタゴニスト、ヒト成長ホルモン、成長ホルモンアゴニスト、エストロゲン、エストロゲンアゴニスト、ニューロキニン-1薬;および抗精神病薬、例えば非定型抗精神病薬より選択される、請求項17に記載の方法。
  19. 1つ以上の他の治療薬が、遊離または医薬的に許容される塩形態の、クロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、プロマジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、ブレクスピプラゾール、カリプラジン、アセナピン、ルラシドン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン、パリペリドン、アセナピン、ルラシドン、イロペリドン、カリプラジン、アミスルピリド、ゾテピン、セルチンドールより選択される抗精神病薬である、請求項17~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 1つ以上の他の治療薬が、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、エシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、マプロチリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、パロキセチン、硫酸フェネルジン、プロトリプチリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミンおよびベンラフェキシンの1つ以上より選択される抗うつ薬である、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 1つ以上の他の治療薬が、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)および三環系抗うつ薬より選択される抗うつ薬である、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 抗うつ薬が、SSRIである、請求項21に記載の方法。
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