JP2024108630A - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】成品歩留の向上を可能とする焼結鉱の製造方法を提供する。【解決手段】造粒された配合原料を偏析装入装置によりパレット上に装入して原料充填層を形成し、原料充填層の上方から点火するとともに下方から酸素含有ガスを吸引することにより、原料充填層を焼結するドワイトロイド式焼結機を用いた焼結鉱の製造方法であって、ドワイトロイド式焼結機は、パレット進行方向において、上流側に配置され、原料充填層の上層に点火する点火炉と、点火炉の下流側に離間して設けられ、原料充填層の上面を加熱する再点火炉とを有し、点火炉と再点火炉との間は加熱が行われない区間である大気吸引領域であり、配合原料はマグネタイト鉱石を含み、マグネタイト鉱石は、全原料に対して2質量%以上である。【選択図】図3
Description
本発明は、焼結鉱の製造方法に関する。
現在、高炉製銑法の主原料は、焼結鉱である。焼結鉱は、通常、次のように製造される。まず、原料となる鉄鉱石(粉)、製鋼ダスト等の含鉄雑原料、橄欖岩等のMgO含有副原料、石灰石等のCaO含有副原料、返鉱、燃焼熱によって焼結鉱を焼結(凝結)させる燃料となる炭材(凝結材とも言う)を、所定の割合で配合する。配合した原料(配合原料)を、ドラムミキサなどにより混合し、造粒処理する。造粒処理した配合原料(以下、造粒処理後の配合原料を配合原料造粒物ともいう)を、ホッパより、下方吸引式のドワイトロイド(DL)式焼結機のパレット上に搭載して、原料充填層を形成する。形成した原料充填層の上部(表面層)から、点火炉(点火器)により原料充填層中の炭材に点火する。そして、パレットを連続的に移動させながらパレットの下方から空気(酸素含有ガス)を吸引する。吸引により酸素を供給し、原料充填層中の炭材の燃焼を上部から下部に向けて進行させて、炭材の燃焼熱により原料充填層を順次焼結させる。焼結により得られた焼結部(焼結ケーキ)は、所定の粒度に粉砕、篩分け等により整粒され、高炉の原料である焼結鉱となる。
DL式焼結機では、上述のように点火された上層から下層に向けて、下方吸引により順次焼結させて焼結鉱を製造する。そのため、一般的に、焼結過程において、原料充填層の高さ方向の熱的分布は異なり、下層部では上層部から伝わる熱により熱量が十分であっても、上層部では点火後(微粒コークス燃焼後)に表層から吸引される低温の空気によって急冷されるため熱量不足となる。そのため、熱量不足となる上層部では焼結が十分に進行せず焼結鉱の強度不足を引き起こし、中層部および下層部と比べ上層部の歩留は低位となり、その結果、全体の歩留も悪化する。
このような上層部の焼結不良の改善する技術として、以下の技術が開示されている。
特許文献1には、鉄含有原料、副原料、固体燃料、及び、焼結粉(又は返鉱)を配合して焼結原料とし、これら焼結原料を原料充填層の上層部と下層部に分けて別々に混合、造粒し焼結パレット上に装入して焼成する二段装入焼結法による焼結鉱の製造方法であって、上層部の原料がマグネタイト系ペレットフィードと焼結粉(又は返鉱)を主体とする造粒物を含むことを特徴とする焼結鉱の製造方法が開示されている。上層用配合原料に含まれるマグネタイト系ペレットフィード(マグネタイト系微粉鉱石)が、焼成時の酸化により発熱するので、この酸化熱を享受することにより上層部の焼結不良の解消が可能となり上層部の歩留が向上し、その結果、成品歩留を向上させるものである。
特許文献1には、鉄含有原料、副原料、固体燃料、及び、焼結粉(又は返鉱)を配合して焼結原料とし、これら焼結原料を原料充填層の上層部と下層部に分けて別々に混合、造粒し焼結パレット上に装入して焼成する二段装入焼結法による焼結鉱の製造方法であって、上層部の原料がマグネタイト系ペレットフィードと焼結粉(又は返鉱)を主体とする造粒物を含むことを特徴とする焼結鉱の製造方法が開示されている。上層用配合原料に含まれるマグネタイト系ペレットフィード(マグネタイト系微粉鉱石)が、焼成時の酸化により発熱するので、この酸化熱を享受することにより上層部の焼結不良の解消が可能となり上層部の歩留が向上し、その結果、成品歩留を向上させるものである。
特許文献2には、一段装入焼結法において、原料充填層を二度点火する再点火技術(再点火法)が開示されている。再点火技術を実施する焼結機は、機長方向に所定距離(以下、離間距離という)を離して直列に配置された2基の点火炉(上流側の点火炉と下流側の再点火炉)を備える。上流側の点火炉(点火器)による点火(以下、初点火ともいう)完了後に、上面からの点火(加熱)を行わない区間(以下、大気吸引領域という)を設け、その後、下流側の再点火炉(フレーム加熱装置)の点火(以下、再点火ともいう)による加熱を行うことにより、原料充填層の表層に未着火で残留するコークスの量を減らすことで、上層部の歩留を改善する効果を有する。
発明者らは、特許文献1に記載の技術について、熱量不足により上層用配合原料に含まれるマグネタイト微粉鉱石が未酸化の状態で残存してしまうと酸化熱を享受できないため、上層部の歩留の改善効果が十分に得られないという問題があることに着目した。その一方で、特許文献2に記載の技術(再点火法)について、焼成時におけるマグネタイト微粉鉱石の酸化熱の利用に言及したものはなかった。
本発明の目的は、成品歩留の向上を可能とする焼結鉱の製造方法を提供することである。
本発明の要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)配合原料を装入して原料充填層を形成し、前記原料充填層の上方から点火するとともに下方から酸素含有ガスを吸引することにより、前記原料充填層を焼結するドワイトロイド式焼結機を用いた焼結鉱の製造方法であって、
前記ドワイトロイド式焼結機は、
パレット進行方向において、上流側に配置され、前記原料充填層の上層に点火する点火炉と、前記点火炉の下流側に離間して設けられ、前記原料充填層の上面を加熱する再点火炉とを有し、
前記点火炉と前記再点火炉との間は加熱が行われない区間である大気吸引領域であり、
前記配合原料はマグネタイト鉱石を含み、
前記マグネタイト鉱石は、全原料に対して2質量%以上である焼結鉱の製造方法。
(2)前記マグネタイト鉱石は、粒径が5mm未満のマグネタイト鉱石の割合が、全マグネタイト鉱石の90質量%以上である(1)に記載の焼結鉱の製造方法。
(1)配合原料を装入して原料充填層を形成し、前記原料充填層の上方から点火するとともに下方から酸素含有ガスを吸引することにより、前記原料充填層を焼結するドワイトロイド式焼結機を用いた焼結鉱の製造方法であって、
前記ドワイトロイド式焼結機は、
パレット進行方向において、上流側に配置され、前記原料充填層の上層に点火する点火炉と、前記点火炉の下流側に離間して設けられ、前記原料充填層の上面を加熱する再点火炉とを有し、
前記点火炉と前記再点火炉との間は加熱が行われない区間である大気吸引領域であり、
前記配合原料はマグネタイト鉱石を含み、
前記マグネタイト鉱石は、全原料に対して2質量%以上である焼結鉱の製造方法。
(2)前記マグネタイト鉱石は、粒径が5mm未満のマグネタイト鉱石の割合が、全マグネタイト鉱石の90質量%以上である(1)に記載の焼結鉱の製造方法。
本発明によれば、マグネタイト鉱石を含む配合原料を使用し、再点火によりマグネタイト鉱石の酸化反応を促進させて酸化熱を発生させることにより、上層部の焼結反応を進行させて、上層部の成品歩留を向上させることができる。
本発明者らは、未酸化の状態で残存してしまう上層部のマグネタイト鉱石について、特許文献2に記載の技術(再点火技術)を用いることにより、その酸化反応(マグネタイトFe3O4からヘマタイトFe2O3に変化)を進行させることができるのではないかと考えた。特許文献2に記載の技術(再点火技術)では、再点火による加熱により、原料充填層の表層に未着火で残留するコークス(以下、残留コークスともいう)を燃焼させる。再点火による加熱および残留コークスの燃焼により、上層部において一部または全部が未酸化で残存するマグネタイト鉱石(以下、未酸化残存マグネタイト鉱石ともいう)の酸化反応が進行する。その結果、原料充填層の上層部は、再点火の加熱および残留コークスの燃焼だけでなく、未酸化残存マグネタイト鉱石の酸化反応による酸化熱も享受することができるので、焼結反応が促進され、上層部の成品歩留がより改善し、全体の成品歩留も向上するのではないかと考えた。そこで、上記観点から焼結実験を重ね、その結果から配合原料にマグネタイト鉱石を使用した再点火法による上層部の歩留向上効果を検討し、本発明の焼結鉱の製造方法を創案した。本発明によれば、両技術による相乗効果が得ることができる。
以下に、図面を参照して再点火法の概要を説明し、その後、本発明の実施形態について説明する。図1は、再点火法を実施可能な焼結機の一例(パレットの図示は省略)を説明する概要図である。なお、この技術については、例えば上述した特許文献1(特開2020-2457号公報)などの文献を参照することによって実施可能であるため、ここでは基本構成に関する詳細な説明は省略する。なお、本発明の再点火炉は、特開2020-2457号公報で称したフレーム加熱装置と同一(同義)である。
再点火法では、図1に示すように、機長方向(焼結ストランド方向)に所定距離を離して直列に配置された2つの点火炉(上流側の点火炉1と下流側の再点火炉2)を備える焼結機10を用いて、点火炉1(第1の点火炉)で点火(初点火)し、大気吸引領域3を挟んで、再び、再点火炉2(第2の点火炉)で点火(再点火)する方法である。ここで、大気吸引領域3とは、パレット進行方向7において、点火炉1と再点火炉2との間に設けられる区間であり、下方吸引により大気が吸引され、上面からの直接加熱(点火)が行われない領域をいう。
図1に示すように、点火炉1のフードおよび再点火炉2のフードはそれぞれ独立しており、点火炉1の下流側および再点火炉2の上流側に、それぞれのフードの隔壁1aおよび隔壁2aがある場合は、隔壁1aと隔壁2aの間の区間が大気吸引領域3である。このとき、隔壁1aと隔壁2aの間の距離を大気吸引領域3の距離(離間距離)、離間距離を焼結機10のパレットが通過するのに要する時間を大気吸引領域通過時間(離間時間)という。
再点火法では、大気吸引領域3を設けて原料充填層4の表層に形成された燃焼帯5に十分な酸素(大気)を供給して、その後フレーム加熱(再点火)を実施することにより、表層に未着火で残留しているコークス(残留コークス)の燃焼が生じる。残留コークスの燃焼により、上方から吸引されてこのコークス燃焼場所(以下、コークス燃焼場という)を通過する流通ガスが高温化し、さらに前記コークス燃焼場直下のコークス燃焼を促進するため、燃焼帯幅が拡大する。また、再点火を、大気吸引領域3における大気の供給により焼結ケーキ6が冷えてしまう前に実施することで、上層の高温保持時間(例えば、1200℃以上に保持される時間)が増加する。適正なタイミングで再点火して熱量を供給することにより高温保持時間を増加させることができ、成品歩留および焼結鉱冷間強度向上が期待される。
本発明では、この再点火法において、配合原料に、鉱石中の酸化鉄成分の主体がマグネタイト(Fe3O4)で構成されるマグネタイト鉱石を使用する。未着火コークスの燃焼による上層の高温保持時間延長に伴い、不十分であったマグネタイト鉱石の酸化を進行させることができる。ここで、マグネタイト鉱石について現状では明確な定義はないが、一例としては、マグネタイト鉱石の成分は、T.Feが68.0質量%、FeOが28.1質量%のものがあり、一般にヘマタイト鉱石と比べて、T.FeおよびFeOの含有量が高いことが特徴である。また、純粋鉱物のマグネタイト(Fe3O4)のFeO含有量は約31質量%であるが、鉄鉱石はSiO2、Al2O3等の脈石成分を含有する場合があるため、マグネタイト鉱石のFeO含有量は、15質量%以上30質量%以下である。
マグネタイト鉱石の、全原料(新原料と返鉱と凝結材との合計)に対する割合(以下、原料配合割合ともいう)は、2.0質量%以上であることが好ましい。2.0質量%未満であると、配合割合が少なく効果が現れにくいためである。マグネタイト鉱石の全原料に対する割合の上限は14質量%以下であれば効果が得られると考えられる。
配合原料に使用するマグネタイト鉱石は、その粒径が-5mm(5mm未満)のもの(5mmの篩目の篩下のもの)が、マグネタイト鉱石の全質量に対して90質量%以上となるように調整して使用する。粒径の小さい(粒度の細かい)マグネタイト鉱石を原料として使用することにより、一部または全部が未酸化の状態で残存するマグネタイト鉱石粒子の量を低減させることができ、その酸化熱を効果的に享受することができる。ここで、マグネタイト鉱石の粒径が5mm以上のものが90質量%未満となると、粒度が粗く、未酸化残存マグネタイト鉱石の量が増え、酸化熱を効果的に享受することができない。また、マグネタイト鉱石は、その粒径が0.02mm以上5mm未満のものが、マグネタイト鉱石の全質量に対して90質量%以上となるように調整して使用することがより望ましい。0.02mm未満の粒径のものを使用すると、原料充填層の通気性悪化に伴い、焼結生産性の悪化を招く。さらに、配合原料に使用するマグネタイト鉱石として、粒径が0.02mm以上5mm未満のもののみを使用することがより好ましい。
本発明によれば、後述する実施例に示すように、再点火法とマグネタイト鉱石を含む配合原料の使用の両技術の実施により、上層部における歩留向上の相乗効果を得ることができる。具体的には、再点火法による未着火コークスの燃焼に伴う発熱により、マグネタイト鉱石の酸化が促進される。マグネタイト鉱石の酸化発熱により上層部の高温保持時間が延伸し、上層部の歩留が改善される。なお、本発明において、離間時間は0.5分以上3.0分未満であることが好ましい。マグネタイト鉱石の酸化は再点火法による上層部の顕熱増加を享受する事で促進するため、再点火法における最適な離間時間と同じ離間時間となる。
実施例に示すように、マグネタイト鉱石は原料充填層の上層部に含まれるように装入されれば、配合原料を一度に装入する一段装入焼結法でも、二段に分けて装入する二段装入焼結法でも歩留まり向上効果が得られる。しかしながら、二段装入焼結法を採用するには、再点火炉の設置だけでなく二段装入のための設備も必要となり、設備設置スペースや設備投資の制約などがある。そこで、一段装入焼結法である再点火法を実施する焼結機において一般的に採用されている偏析装入装置により、マグネタイト鉱石を上層部に偏析装入させることが好ましい。具体的には、粒度の細かい(粒径の小さい)マグネタイト鉱石を配合原料に使用し、後述する偏析装入装置を用いてパレット上への配合原料(配合原料造粒物)の装入を行うことで、層高方向の粒度偏析によりマグネタイト鉱石を上層に偏析装入することができる。なお、後述する実施例では配合原料の偏析装入は行っていないが、偏析装入を実施することにより本実施例の結果以上に上層部の成品歩留が改善すると考えられる。
ここで、DL式焼結機において一般的に採用されている偏析装入装置とは、例えば、原料充填層の高さ方向において、熱不足となる上層ほどコークス配合率は高く、原料粒度は細かく装入されるよう意図された偏析機構(傾斜平板シュート式、ドラム式、ベルト式など)を備える偏析装入装置(鉄鋼便覧第5版第1巻 製銑・製鋼P47)などである。なお、層高方向のコークス・粒度偏析を強化する目的で実用化されている風力分級式、スリット式、整流分散式、湾曲スリットワイヤー式や、磁場を利用する磁気ブレーキ式(鉄鋼便覧第5版第1巻 製銑・製鋼P47)などの偏析機構を有する偏析装入装置を利用することも好ましい。
マグネタイト鉱石を配合原料に用いた際の再点火法による焼結鉱の製造方法に関する焼結試験(鍋試験)の結果を実施例として示す。鍋試験は、DL焼結機を模擬した条件で焼結を行うもので、DL焼結機のようにコンベアによるパレットの移動こそないが、下方吸引できる所定の大きさの容器に燃料を含む焼結原料を装入し、上面から着火し、下方吸引させて焼結を進行させる試験である。
(実験条件)
表1は、使用した焼結用の原料と、各試験ケース(比較例1~3、発明例1,2)での配合割合を示す。表1の鉄鉱石A~Eはそれぞれ異なる産地のものを使用した。鉄鉱石Cがマグネタイト鉱石であり、それ以外(鉄鉱石A,B,D,E)はヘマタイト鉱石である。
表1に示すように、鉄鉱石C(マグネタイト鉱石)の配合割合が異なる4種類の配合原料(鉄鉱石Cの配合割合:0.0質量%、4.0質量%、12.0質量%)を用意した。鉄鉱石C(マグネタイト鉱石)の配合割合の増減に伴い、鉄鉱石D(ヘマタイト鉱石)の配合割合を減増させ、他の原料の配合割合は一定とした。
表1は、使用した焼結用の原料と、各試験ケース(比較例1~3、発明例1,2)での配合割合を示す。表1の鉄鉱石A~Eはそれぞれ異なる産地のものを使用した。鉄鉱石Cがマグネタイト鉱石であり、それ以外(鉄鉱石A,B,D,E)はヘマタイト鉱石である。
表1に示すように、鉄鉱石C(マグネタイト鉱石)の配合割合が異なる4種類の配合原料(鉄鉱石Cの配合割合:0.0質量%、4.0質量%、12.0質量%)を用意した。鉄鉱石C(マグネタイト鉱石)の配合割合の増減に伴い、鉄鉱石D(ヘマタイト鉱石)の配合割合を減増させ、他の原料の配合割合は一定とした。
マグネタイト鉱石(鉄鉱石C)は、粒径が-5mm(5mm未満)のもの(5mmの篩目の篩下のもの)が、マグネタイト鉱石(鉄鉱石C)の全質量に対して100質量%(90質量%以上)となるように準備した。表2は、使用したマグネタイト鉱石の粒度分布を示し、粒度の境界値の大きさの篩目の篩を分級に用いて測定した。また、粉コークスについても、粒径が-5mm(5mm未満)のもの(5mmの篩目の篩下のもの)のみを使用した。
各試験例において、配合原料は、それぞれ表1に示す割合で配合して造粒した。全配合原料をドラムミキサ(直径1000mm、長さ800mm、回転数30rpm)に投入し、これらを4分間混合後、配合原料を100質量%として外数で7.0質量%の量の水分を添加し、さらに4分間混合して、配合原料造粒物を得た。
鍋試験装置は、直径300mm、高さ500mmの寸法のものを使用し、床敷層の層高が20mm、原料層の層高が480mmとなるように、配合原料造粒物を装入した。また、原料層の上面から垂直方向150mm、300mm、420mmの鍋中央の位置に熱電対を装入して、温度計測を行った。
全試験ケースで、点火時間(点火炉1による点火(初点火)時間に相当)は、1分間(熱量25MJ/原料t)とした。また、再点火を行った試験ケース(比較例3、発明例1,2)では、再点火時間(再点火炉2による再点火時間に相当)を1分間(熱量25MJ/原料t)とし、再点火開始時刻と点火完了時刻の間の時間(大気吸引領域3の移動時間(離間時間)に相当)を0.5分とした。
焼成時の吸引負圧は、鍋下における計測値で1000mmAq(9.8kPa)一定となるように、送風機吸引側のバルブ開度で調整した。
焼結では、燃焼帯が原料層の最下部に到達すると、鍋下温度が上昇を開始し、やがてピークを迎え、コークスの燃焼完了により低下する。鍋下のウインドボックス内の排ガス温度が室温まで低下後、送風機の吸引を停止した。
(試験結果)
表3に、各試験ケースの試験結果(上層部の高温保持時間、歩留算出、平均酸化層厚さ)を示す。
表3に、各試験ケースの試験結果(上層部の高温保持時間、歩留算出、平均酸化層厚さ)を示す。
上層部の高温保持時間は、150mmの位置の熱電対による温度測定値が1200℃以上に保たれた時間を示す。
成品歩留は、上層部の成品歩留を示し、以下の式から求めた。ここで、成品質量は、焼結後得られた焼結ケーキの上層部(焼結ケーキ上面から160mmまでの範囲)のみを取り出し、それを2mの高さから4回落下処理して、粒径+5mm(5mm超)を焼結成品とした際の、焼結成品の質量である。
成品歩留(上層部)=成品質量/焼結ケーキの上層部の質量
成品歩留(上層部)=成品質量/焼結ケーキの上層部の質量
平均酸化層厚さは、光学顕微鏡による組織観察により確認した。具体的には、焼結ケーキ上面から160mmの範囲を上層部として、上層部の焼結鉱をサンプリングして研磨し、研磨断面の酸化途中のマグネタイト鉱石粒子を観察した。観察されたマグネタイト鉱石粒子について、その中心(目視による)から水平および垂直方向に十字に線を引き、その線に沿って酸化層(酸化膜)の厚さを計測して、平均酸化層厚さを算出した。
表3の平均酸化層厚さの欄に示すように、マグネタイト鉱石を同割合(12.0質量%)含有させた配合原料を使用した、再点火無しの比較例2と再点火有りの発明例2の結果から、再点火によりマグネタイト鉱石粒子の酸化層厚さが増加、すなわちヘマタイトへの酸化反応が促進されることが確認できた。
図2は、表3のマグネタイト鉱石の配合割合と上層部高温保持時間との関係を示す。図2に示すように、マグネタイト鉱石の原料使用のみの比較例2、および再点火のみの比較例3に比べて、マグネタイト鉱石の原料使用と再点火の両方を実施した発明例1では、再点火および酸化発熱による熱享受で焼結反応が進行する温度である1200℃以上の高温保持時間が2分以上、また、発明例2では3分以上伸延した。
図3は、表3のマグネタイト鉱石の配合割合と上層部成品歩留との関係を示す。再点火を実施しなかった比較例1および比較例2の試験結果(直線A)に示されるように、マグネタイト鉱石の原料に配合することにより、成品歩留は向上する。また、マグネタイト鉱石を原料に配合しなかった比較例1および比較例3の試験結果に示されるように、再点火を実施した場合には、成品歩留が約20%上昇する。図3の破線Bは、マグネタイト鉱石の原料配合および再点火の実施による相加効果を示す直線である。比較例3および発明例1,2の試験結果から導かれた回帰直線Cはこの破線よりも傾きが大きくなっており、発明例1,2において相乗効果が発現していることがわかる。これは、再点火により、未着火コークスの燃焼だけでなく、未酸化残存マグネタイト鉱石の酸化反応も促進されるために、高温保持時間が延伸し、焼結反応が促進されたためであると考えられる。
1…点火炉、1a…点火炉の下流側隔壁、2…再点火炉、2a…再点火炉の上流側隔壁、3…大気吸引領域、4…原料充填層、5…燃焼帯、6…焼結ケーキ、7…パレット進行方向、10…焼結機
Claims (2)
- 配合原料を装入して原料充填層を形成し、前記原料充填層の上方から点火するとともに下方から酸素含有ガスを吸引することにより、前記原料充填層を焼結するドワイトロイド式焼結機を用いた焼結鉱の製造方法であって、
前記ドワイトロイド式焼結機は、
パレット進行方向において、上流側に配置され、前記原料充填層の上層に点火する点火炉と、前記点火炉の下流側に離間して設けられ、前記原料充填層の上面を加熱する再点火炉とを有し、
前記点火炉と前記再点火炉との間は加熱が行われない区間である大気吸引領域であり、
前記配合原料はマグネタイト鉱石を含み、
前記マグネタイト鉱石は、全原料に対して2質量%以上である焼結鉱の製造方法。 - 前記マグネタイト鉱石は、粒径が5mm未満のマグネタイト鉱石の割合が、全マグネタイト鉱石の90質量%以上である請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
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