JP2024101867A - 建築物 - Google Patents

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愼一 西原
Shinichi Nishihara
靖彦 辻
Yasuhiko Tsuji
直人 藤生
Naoto Fujio
勇也 山木戸
Yuya Yamakido
俊輔 田中
Shunsuke Tanaka
靖宏 佐藤
Yasuhiro Sato
民幸 都築
Tamiyuki Tsuzuki
広大 奥野
Kodai Okuno
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Abstract

【課題】隣り合う分割壁部の接合部における遮音性及び防火性を高めた建築物を提供することである。【解決手段】一対の分割壁部11a、12a、13aと分割天井部11b、12b、13b又は分割床部11h、12h、13hとからなるU字形状部分を有する複数の分割ユニット11、12、13又は一対の分割壁部11a、12a、13aと分割天井部11b、12b、13bと分割床部11h、12h、13hとからなるロ字形状部分を有する複数の分割ユニット11、12、13を水平方向に連結して構成された居室20を有する建築物1であって、互いに接合された一対の分割壁部11a、12a、13aのそれぞれの小口11f、12fに設けられ、それぞれ上下方向に延びるとともに互いに対向する一対の溝11g、12gと、一対の溝11g、12gにより形成された空間60の内部に充填されたモルタル61と、を有する建築物1。【選択図】図9

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 1.株式会社大林組が2022年3月9日付でCLTを活用した建築物等実証事業(令和3年度林野庁補助事業)成果報告会において公開。 2.株式会社大林組が2022年9月27日付で建設中の建物の見学会を行うことにより公開。
本発明は、木質の積層板材で形成された分割ユニットを水平方向に連結して構成されたユニット工法の建築物に関する。
従来、例えば社員寮、戸建て住宅、病院、ホテル、宿泊施設、老人介護施設、共同住宅、仮設住宅、寄宿舎などの建築物として、それぞれCLT(Cross Laminated Timber)などの木質の積層板材で形成された分割ユニットを水平方向に連結するユニット工法により居室を構成するようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2022-44501号公報
しかし、上記従来の建築物では、居室を構成する壁は、隣り合う分割ユニットの分割壁部が互いに接合されることで構成されているので、隣り合う分割壁部の接合部において壁の遮音性及び防火性が低下してしまう、という問題点があった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、隣り合う分割壁部の接合部における遮音性及び防火性を高めた建築物を提供することである。
本発明の建築物は、それぞれ木質の積層板材で形成された一対の分割壁部と分割天井部又は分割床部とからなるU字形状部分を有する複数の分割ユニットを水平方向に連結して構成された居室、又は、それぞれ木質の積層板材で形成された一対の分割壁部と分割天井部と分割床部とからなるロ字形状部分を有する複数の分割ユニットを水平方向に連結して構成された居室を有する建築物であって、互いに接合された一対の前記分割壁部のそれぞれの小口に設けられ、それぞれ上下方向に延びるとともに互いに対向する一対の溝と、一対の前記溝により形成された空間の内部に充填されたモルタルと、を有することを特徴とする。
本発明の建築物は、上記構成において、前記居室の壁に貼り付けられ、互いに接合された一方の前記分割壁部と他方の前記分割壁部との接合部を覆う板材を有するのが好ましい。
本発明の建築物は、上記構成において、前記分割ユニットが、一対の前記分割壁部の間に前記分割壁部と平行な分割隔壁を備えることで、一対の前記分割壁部の間に前記分割隔壁により分割された2つの居室が設けられており、互いに接合された一対の前記分割隔壁のそれぞれの小口に設けられ、それぞれ上下方向に延びるとともに互いに対向する一対の溝と、一対の前記溝により形成された空間の内部に充填されたモルタルと、を有するのが好ましい。
本発明によれば、隣り合う分割壁部の接合部における遮音性及び防火性を高めた建築物を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る建築物の斜視図である。 図1に示す建築物の一部のユニット構造の軸線方向に垂直な断面図である。 図1に示す建築物を構成する1つのユニット構造の断面図である。 図1に示すユニット構造の分解斜視図である。 図4に示す分割ユニットの、分割壁部と分割天井部との組合わせ部分の構造を示す斜視図である。 図1に示す建築物の、3階部分と2階部分の一部における側面図である。 図6におけるA-A線に沿う断面図である。 互いに接合された一対の分割天井部の接合部の断面図である。 互いに接合された一対の分割壁部の接合部の断面図である。 図9におけるB-B線に沿う断面図である。 他の実施形態に係る建築物の一部のユニット構造の軸線方向に垂直な断面図である。 他の実施形態に係る建築物の一部のユニット構造の軸線方向に垂直な断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る建築物1について、図面を参照しつつ詳細に例示説明する。
図1に示す本発明の一実施形態に係る建築物1はユニット工法を用いて構成されたものであり、内部に居室(住戸)を備えた複数のユニット構造10を組み合わせて構成されている。
図1に示すように、本実施形態では、建築物1は、鉄筋コンクリート造の1階部分1Aの上に複数のユニット構造10により構成された2階部分1B及び3階部分1Cが設置された構成となっている。より具体的には、2階部分1B及び3階部分1Cは、互いに軸線方向を平行として水平方向に並べて配置された4つのユニット構造10で構成されている。図2に示すように、この建築物1は、それぞれのユニット構造10の内側に、互いに隔離された多数の居室20すなわち多数の住戸を備えており、例えば社員寮として用いることができる。
なお、建築物1を構成するユニット構造10の水平方向及び上下方向に並べる数は、建築物1の大きさ、用途等に応じて種々変更可能である。
1階部分1Aは、例えば、建築物1のエントランス2を有するとともに、その内部に食堂、ラウンジなどの共用スペースが設けられた構成とすることができる。
2階部分1B及び3階部分1Cを構成するユニット構造10は、図3、図4に示すように、それぞれU字形状(逆U字形状)となる3つの分割ユニット11、12、13と、1つの廊下用ユニット14とを水平方向(軸線方向)に連結して構成されている。すなわち、2階部分1B及び3階部分1Cは、3つの分割ユニット11、12、13と廊下用ユニット14とが水平方向に連結されるとともに上下に重ねられることで構成されている。
分割ユニット11は、それぞれ木質の積層板材で形成された一対の分割壁部11aと分割天井部11bとからなるU字形状部分を有している。本実施形態では、一対の分割壁部11aは、それぞれ平らで矩形の板状であり、互いに平行に配置されている。また、分割天井部11bは平らで矩形の板状であり、一対の分割壁部11aに対して垂直に配置されて一対の分割壁部11aの上端に架け渡されている。分割ユニット11は、その分割ユニット12とは反対側を向く一端に端壁11cを備えている。端壁11cは、平らで矩形の板状であり、例えば窓や引き戸などの開口部11dが設けられた構成とすることができる。開口部11dの個数、位置、大きさ等は種々変更可能である。
分割ユニット12も、それぞれ木質の積層板材で形成された一対の分割壁部12aと分割天井部12bとからなるU字形状部分を有している。本実施形態では、一対の分割壁部12aは、それぞれ平らで矩形の板状であり、互いに平行に配置されている。また、分割天井部12bは平らで矩形の板状であり、一対の分割壁部12aに対して垂直に配置されて一対の分割壁部12aの上端に架け渡されている。分割ユニット12は、分割ユニット13の側を向く一端に端壁12cを備えている。端壁12cは、例えば出入り口や扉などの開口部12dが設けられた構成とすることができる。開口部11dの個数、位置、大きさ等は種々変更可能である。
分割ユニット13も、それぞれ木質の積層板材で形成された一対の分割壁部13aと分割天井部13bとからなるU字形状部分を有している。本実施形態では、一対の分割壁部13aは、それぞれ平らで矩形の板状であり、互いに平行に配置されている。また、分割天井部13bは平らで矩形の板状であり、一対の分割壁部13aに対して垂直に配置されて一対の分割壁部13aの上端に架け渡されている。分割ユニット13は端壁を備えておらず、内部空間を区画する内壁13dを有している。内壁13dの内側には、例えばユニットバス15が配置される。
廊下用ユニット14は、分割ユニット13の側を向く隔壁14a、隔壁14aに間隔を空けて平行に配置された端壁14b及び分割天井部14cを有している。隔壁14aは、例えば玄関が設けられる開口部14dを有し、隔壁14aと端壁14bとの間は開口部14dに連なる廊下14eとなっている。
上記構成の3つの分割ユニット11、12、13と1つの廊下用ユニット14とが水平方向(分割壁部11a、12a、13a及び分割天井部11b、12b、13bの両方に平行な軸線方向)に連結されることで、ユニット構造10の内部には居室20が構成される。より具体的には、連結された分割壁部11a、12a、13aによって居室20の壁21が構成され、連結された分割天井部11b、12b、13bによって居室20の天井22が構成されている。また、3階部分1Cの居室20の床は2階部分1Bの居室20の天井22によって構成され、2階部分1Bの居室20の床は1階部分1Aの天井23によって構成されている。
なお、例えば1階部分1Aもユニット構造10で構成した場合などにおいては、最も下の階の居室20の床は、別途、板状部材等を用いて構成してもよい。
図2、図3に示すように、本実施形態では、建築物1は、それぞれの分割ユニット11、12、13は、一対の分割壁部11a、12a、13aの間に、それぞれ分割壁部11a、12a、13aと平行な板状の分割隔壁11e、12e、13eを備えることで、一対の壁21の間に分割壁部11a、12a、13aにより構成された隔壁24により分割された2つの居室20すなわち2つの住戸が設けられた構成となっている。
それぞれの居室20は、居間、廊下、浴室、玄関等を含む1つの住戸を構成する空間であってよい。また、分割ユニット11、12、13を連結して構成される居室20の間取りは、図3に示すものに限らず、種々変更可能である。
それぞれのユニット構造10は、廊下用ユニット14を備えない構成とすることもできる。この場合、居室20を構成するユニット構造10とは別に、他の工法により廊下を構成すればよい。
分割ユニット11、12、13を形成する木質の積層板材としては、例えば、複数枚の木質の板材を繊維方向が互いに直交するように積層して接着した構成のCLT(Cross Laminated Timber)を用いるのが好ましいが、他の構造の木質の積層板材を用いることもできる。
図5に示すように、それぞれの分割ユニット11、12、13において、分割壁部11a、12a、13aと分割天井部11b、12b、13bとは、あられ組を用いた組合わせによって互いに接合された構成とすることができる。
より具体的に分割ユニット11の場合を例として説明すると、分割壁部11aの上端には、それぞれ四角いブロック状となる複数の突起30が互いに間隔を空けて並べて設けられ、分割天井部11bの側端には、それぞれ四角いブロック状となる複数の突起31が互いに間隔を空けて並べて設けられている。複数の突起31は、それぞれ対応する2つの突起30の間の空間に対応して設けられており、隣り合う突起30の間にそれぞれ対応する突起31が嵌合することで、分割壁部11aと分割天井部11bとがあられ組によって接合されている。また、突起30の水平方向を向く側面と突起31の水平方向を向く側面との間には、それぞれ水平方向に向けて断面半円形の溝32が設けられ、これらの溝32が組み合わせて形成された円形の穴に円柱状の木栓33が挿入されている。
このような構成により、分割天井部11b、12b、13bに加わる鉛直方向荷重が突起31を介して分割壁部11a、12a、13aに支持されるとともに、地震等により分割天井部11b、12b、13bに加わる水平荷重が木栓33を介して分割壁部11a、12a、13aに隙間なく支持されるようにして、天井22ないし床25を壁21に確実に支持させた構成とすることができる。また、木栓33によりそれぞれの突起30、31の組合わせ部分の緩みを防止することができるので、天井22ないし床25を壁21により確実に支持させた構成とすることができる。さらに、金属製の部品を用いることなく接合を行うことができるので、金属製の部品が表面に現れないようにして、建築物1の外観上の美観を高めることができる。
なお、分割壁部11a、12a、13aと分割天井部11b、12b、13bとを接合する構成としては、上記したあられ組と木栓33とを用いた構成に限らず、例えば、プレート等の金物とねじ等の締結手段を用いた構成、太径の木ダボを用いた構成、木ダボと金物とを用いた構成など、種々の構成を採用することができる。
図6に示すように、建築物1は、上側の階の分割ユニット11、12、13が、下側の階の分割ユニット11、12、13ないし1階部分1Aの天井22に対し、GIR(Glued in Rod)接合によって接合された構成とすることができる。例えば、図7に示すように、3階部分1Cの分割ユニット11を2階部分1Bの分割ユニット11の上に接合する場合について具体的に説明すると、3階部分1Cの分割ユニット11の分割壁部11aには、その下端に開口する穴40が設けられ、2階部分1Bの分割ユニット11の分割壁部11aには、その上端に開口するとともに穴40に連なる穴41が設けられ、これらの穴40、41に、鉄筋などの棒状の接合具42が挿入されており、穴40、41の空隙に注入口43からグラウト材44を充填し、硬化させることで2階部分1Bの階の分割ユニット11に3階部分1Cの階の分割ユニット11が接合されている。なお、符号45は穴40、41の内部の空気ないしグラウト材44を排出するための排出口である。上記構成のGIR接合は、図6に接合具42のみを破線で示すように、分割ユニット11、12、13のそれぞれの分割壁部11a、12a、13の所望の位置に所望の個数設けることができる。
このように、上側の階の分割ユニット11、12、13を、下側の階の分割ユニット11、12、13ないし1階部分1Aの天井23に対してGIR接合によって接合された構成とすることで、分割ユニット11、12、13を容易且つ精度よく所定場所に設置することができる。また、本実施形態では、あられ組により分割壁部11a、12a、13aの上端が分割天井部11b、12b、13bの上面と同一面に構成されているので、上下の分割壁部11a、12a、13aを直接GIR接合により接合して、上下の分割壁部11a、12a、13aの間で応力伝達がスムースに行われるようにすることができる。さらに、穴40、41にクラウド材を充填する前の段階において分割ユニット11、12、13を所定位置に組み立てることができるので、建築物1の施工性を高めることができる。さらに、金属製の部品が表面に現れることがないので。建築物1の外観上の美観を高めることができる。
なお、上側の階の分割ユニット11、12、13の下側の階の分割ユニット11、12、13ないし1階部分1Aの天井22への接合構造は、上記したGIR接合に限らず、例えば、プレート等の金物とねじ等の締結手段を用いた構成、太径の木ダボを用いた構成、木ダボと金物とを用いた構成など、種々の構成を採用することができる。
建築物1は、隣り合う分割ユニット11、12、13の分割天井部11b、12b、13bが互いにスプライン接合によって接合された構成とすることができる。例えば、図8において分割ユニット11の分割天井部11bと分割ユニット12の分割天井部12bとの接合部を例として具体的に説明すると、分割天井部11bの分割天井部12bの側を向く端面が分割天井部12bの分割天井部11bの側を向く端面に当接されており、分割天井部11bの上面と分割天井部12bの上面とに亘って形成された溝50に、例えば構造用合板などの板材51が配置されている。板材51は、スプラインとも呼ばれるものであり、分割天井部11bの側から分割天井部12bの側に向けて斜めに打ち込まれたフィニッシュ留めや釘などの留め具52と、分割天井部12bの側から分割天井部11bの側に向けて斜めに打ち込まれたフィニッシュ留めや釘などの留め具53とによって分割天井部11b、12bの両方に固定されている。これにより、分割天井部11b、12bは、板材51を介して互いに接合ないし連結されている。
このように、隣り合う分割ユニット11、12、13の分割天井部11b、12b、13bを互いにスプライン接合によって接合された構成とすることで、分割ユニット11、12、13を容易且つ確実に互いに接合することができる。また、地震発生時に、天井22の面内のせん断力が板材51を介してそれぞれの分割天井部11b、12b、13bの間で伝達されるようにして、建築物1の耐震性を高めることができる。
ここで、上記のように、水平方向に連結された分割ユニット11、12、13により居室20が形成される構成では、居室20の壁21は隣り合う分割ユニット11、12、13の分割壁部11a、12a、13aが互いに接合されることで構成されることになるので、隣り合う分割壁部11a、12a、13aの接合部において壁21の遮音性及び防火性が低下する虞がある。
そこで、本実施形態の建築物1では、隣り合う分割壁部11a、12a、13aの接合部を、モルタル接合により接合された構成としている。すなわち、ユニット構造10の両側の壁21における分割ユニット11の分割壁部11aと分割ユニット12の分割壁部12aとの接合部及び分割ユニット12の分割壁部12aと分割ユニット13の分割壁部13aとの接合部がモルタル接合とされている。
図9、図10において分割ユニット11の分割壁部11aと分割ユニット12の分割壁部12aとの接合部を例としてモルタル接合をより具体的に説明すると、分割壁部11aの分割壁部12aに接合される小口11fには上下方向に延びる溝11gが設けられ、分割壁部12aの分割壁部11aに接合される小口12fには上下方向に延びる溝12gが設けられている。溝11gと溝12gは互いに対向しており、これら一対の溝11g、12gにより分割壁部11aと分割壁部12aとの間には上下方向に延びる空間60が形成されている。そして、空間60の内部にはモルタル61が充填されている。モルタル61は、空間60の内部の全体を満たすように充填されているのが好ましい。
本実施形態では、溝11g、12gないし空間60はそれぞれ水平断面が矩形形状であり、分割壁部11a、12aの下端よりも少し上側から上端にまで延びている。また、分割壁部11a、12aの上端には上記した板材51が取り付けられており、空間60の上端は板材51により閉塞されるようになっている。なお、溝11g、12gないし空間60は、分割壁部11a、12aの下端にまで延びた形状とし、分割壁部11a、12aの下端に取り付けた板材によって空間60の下端を閉塞する構成とすることもできる。
なお、溝11g、12gないし空間60は水平断面が矩形形状に限らず、例えば溝11g、12gの水平断面をそれぞれ半円形とし、空間60の水平断面を円形とするなど、その形状は種々変更可能である。また、溝11g、12gないし空間60は、分割壁部11a、12a、13aの下端から上端までの全範囲に延びているのが好ましいが、溝11g、12gないし空間60の上下方向長さないし溝11g、12gないし空間60が設けられる範囲は種々変更可能である。
このように、本実施形態の建築物1では、水平方向に連結された分割ユニット11、12、13により居室20が形成される構成において、隣り合う分割壁部11a、12a、13aの接合部を、上記構成を有するモルタル接合で接合するようにしたので、当該接合部を炎(熱)及び音が通過し難いものとして、隣り合う分割壁部11a、12a、13aの接合部における遮音性及び防火性を高めることができる。
また、空間60に充填する充填材として耐火性の高いモルタル61を用いるようにしたので、火災の際などに長時間に亘って炎が接合部を通過することを防止することができる。
ユニット構造10は、互いに接合された一対の分割壁部11a、12a、13aの接合部が、居室20の壁21の表面に当該接合部に沿って貼り付けられた板材63により覆われた構成とすることもできる。図9、図10において分割ユニット11の分割壁部11aと分割ユニット12の分割壁部12aとの接合部を例としてより具体的に説明すると、分割壁部11a、12aの表面には、隣り合う一対の分割壁部11a、12aに跨る溝62が分割壁部11a、12aの下端から上端にまで延びて設けられ、この溝62に板材63が貼り付けられている。板材63は、接着剤により分割壁部11a、12a、13aの溝62の内部表面に貼り付けられるとともに、留め具64により分割壁部11aに固定され、留め具65により分割壁部12aに固定されている。
このように、一方の分割壁部11a、12a、13aと他方の分割壁部11a、12a、13aとの接合部を上記したモルタル接合で構成するとともに、互いに接合された一方の分割壁部11a、12a、13aと他方の分割壁部11a、12a、13aとの接合部を板材63で覆った構成とすることで、壁21の遮音性及び防火性をさらに高めることができる。また、板材63の表面を化粧板で構成するようにすれば、壁21の外観の美観を高めることもできる。
本実施形態のように、分割ユニット11、12、13が、一対の分割壁部11a、12a、13aの間に分割壁部11a、12a、13aと平行な分割隔壁11e、12e、13eを備えることで、一対の分割壁部11a、12a、13aの間に分割隔壁11e、12e、13eからなる隔壁24により分割された2つの居室20が設けられる構成とした場合には、図9、図10に示すのと同様に、互いに接合された分割隔壁11e、12e、13eの小口にそれぞれ上下方向に延びるとともに互いに対向する一対の溝を設け、これら一対の溝により形成された空間の内部にモルタル61を充填して、当該接合部をモルタル接合で構成するようにしてもよい。
これにより、ユニット構造10を、隔壁24により分割された2つの居室20が設けられる構成とした場合においても、2つの居室20の間の分割隔壁11e、12e、13eの接合部を炎(熱)及び音が通過し難いものとして、隣り合う分割隔壁11e、12e、13eの接合部における遮音性及び防火性を高めることができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、前記実施の形態では、それぞれの分割ユニット11、12、13を、それぞれ木質の積層板材で形成された一対の分割壁部11a、12a、13aと分割天井部11b、12b、13bとからなるU字形状部分(逆U字形状部分)を有するものとしているが、これに限らず、例えば、図11に示すように、それぞれの分割ユニット11、12、13を、それぞれ木質の積層板材で形成された一対の分割壁部11a、12a、13aと分割床部11h、12h、13hとからなるU字形状部分を有するものとしてもよい。この場合、3階部分1Cの天井は、別部材70で形成すればよい。また、図12に示すように、それぞれの分割ユニット11、12、13を、それぞれ木質の積層板材で形成された一対の分割壁部11a、12a、13aと分割天井部11b、12b、13bと分割床部11h、12h、13hとからなるロ字形状部分を有するものとしてもよい。
1 建築物
1A 1階部分
1B 2階部分
1C 3階部分
2 エントランス
10 ユニット構造
11 分割ユニット
11a 分割壁部
11b 分割天井部
11c 端壁
11d 開口部
11e 分割隔壁
11f 小口
11g 溝
11h 分割床部
12 分割ユニット
12a 分割壁部
12b 分割天井部
12c 端壁
12d 開口部
12e 分割隔壁
12f 小口
12g 溝
12h 分割床部
13 分割ユニット
13a 分割壁部
13b 分割天井部
13d 内壁
13e 分割隔壁
13h 分割床部
14 廊下用ユニット
14a 隔壁
14b 端壁
14c 分割天井部
14d 開口部
14e 廊下
15 ユニットバス
20 居室
21 壁
22 天井
23 天井
24 隔壁
25 床
30 突起
31 突起
32 溝
33 木栓
40 穴
41 穴
42 接合具
43 注入口
44 グラウト材
45 排出口
50 溝
51 板材
52 留め具
53 留め具
60 空間
61 モルタル
62 溝
63 板材
64 留め具
65 留め具

Claims (3)

  1. それぞれ木質の積層板材で形成された一対の分割壁部と分割天井部又は分割床部とからなるU字形状部分を有する複数の分割ユニットを水平方向に連結して構成された居室、又は、それぞれ木質の積層板材で形成された一対の分割壁部と分割天井部と分割床部とからなるロ字形状部分を有する複数の分割ユニットを水平方向に連結して構成された居室を有する建築物であって、
    互いに接合された一対の前記分割壁部のそれぞれの小口に設けられ、それぞれ上下方向に延びるとともに互いに対向する一対の溝と、
    一対の前記溝により形成された空間の内部に充填されたモルタルと、を有することを特徴とする建築物。
  2. 前記居室の壁に貼り付けられ、互いに接合された一方の前記分割壁部と他方の前記分割壁部との接合部を覆う板材を有する、請求項1に記載の建築物。
  3. 前記分割ユニットが、一対の前記分割壁部の間に前記分割壁部と平行な分割隔壁を備えることで、一対の前記分割壁部の間に前記分割隔壁により分割された2つの居室が設けられており、
    互いに接合された一対の前記分割隔壁のそれぞれの小口に設けられ、それぞれ上下方向に延びるとともに互いに対向する一対の溝と、
    一対の前記溝により形成された空間の内部に充填されたモルタルと、を有する、請求項1または2に記載の建築物。
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