JP2024101765A - 切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】小径の穴あけ加工を可能としながらも、ボディの剛性を十分に確保することのできる切削工具、を提供する。【解決手段】切削工具10は、切り屑を案内し排出するための排出溝120が形成されたボディ100と、ボディ100の先端側に締結固定された切削インサート200と、を備える。切削インサート200は、貫通穴230が開口している第1面210と、第1面210の端部において直線状に伸びるように形成された主切れ刃231と、を有する。ボディ100には、切削インサート200のうち第1面210の一部を外側から覆うように突出する突出部130が形成されており、ボディ100の中心軸AX1に沿って見た場合において、主切れ刃231は、ボディ100の外周側から、ボディ100の中心軸AX1を跨ぐ位置まで伸びている。【選択図】図2

Description

本発明は切削工具に関する。
例えば下記特許文献1に記載された切削工具のように、旋削加工と穴あけ加工の両方を行うことのできる切削工具が知られている。この切削工具は、切り屑を案内し排出するための排出溝が形成されたボディと、ボディの先端側に締結固定された切削インサートと、を備える。
特開2019-155559号公報
穴あけ加工を可能とするために、切削インサートに設けられる切れ刃は、穴あけ加工において形成される穴の半径程度の長さを有する必要がある。具体的には、ボディの中心軸に沿って見た場合において、切れ刃は、少なくとも上記中心軸から外側に向かって、穴の半径程度の長さとなる位置まで伸びている必要がある。
ところで、小径の穴あけ加工に用いられる切削工具では、切れ刃が短くなることに伴って、切削インサートのサイズも小さくなる。ただし、切削インサートのサイズが小さくなり過ぎると、ボディへの締結固定に耐え得る強度を確保することが難しくなる。そこで、穴の半径よりも長い切れ刃を有する切削インサートを、ボディに取り付けることが考えられる。この場合、ボディの中心軸に沿って見た場合において、切れ刃は、ボディの外周側から、ボディの中心軸を跨ぐ位置まで伸び、その一部のみが切削に供されることとなる。
しかしながら、そのような構成においては、ボディのうち切削インサートを保持する部分の一部が薄くなり過ぎて、ボディの剛性が低下してしまうという問題が生じ得る。
本発明は、小径の穴あけ加工を可能としながらも、ボディの剛性を十分に確保することのできる切削工具、を提供することを目的とする。
本発明に係る切削工具は、切り屑を案内し排出するための排出溝が先端側から基端側に向かって伸びるように形成されたボディと、ボディの先端側に締結固定された切削インサートと、を備える。切削インサートは、締結部材を挿通するための貫通穴が開口している第1面と、第1面とは反対側の面であって、ボディのインサート座に当接する第2面と、第1面の端部において直線状に伸びるように形成され、少なくとも一部が切削に供される主切れ刃と、を有し、第1面が排出溝の内側に臨み、且つ、主切れ刃がボディの先端よりも更に先端側に突出するよう、締結部材によってボディに締結固定されている。ボディには、切削インサートのうち第1面の一部を外側から覆うように突出する突出部が形成されている。ボディの中心軸に沿って見た場合において、主切れ刃は、ボディの外周側から、ボディの中心軸を跨ぐ位置まで伸びている。
上記構成の切削工具では、切削インサートに設けられた主切れ刃が、ボディの外周側からボディの中心軸を跨ぐ位置まで伸びている。つまり、主切れ刃の長さは穴の半径よりも長くなっている。このような構成においては、切削インサートの大型化に伴って、ボディのうち切削インサートが設けられた部分の近傍が薄くなり、ボディの剛性が低下してしまうことが懸念される。
そこで、上記構成の切削工具のボディでは、切削インサートのうち第1面の一部を外側から覆うように、排出溝の内面から突出する突出部を形成してある。突出部の存在によりボディが肉厚となるので、切削インサートの大型化に伴ってボディの剛性が低下し過ぎることがない。
更に好ましい態様として、貫通穴の中心軸に沿って見た場合において、突出部は、主切れ刃及び貫通穴のいずれにも重なっていなくてもよい。
更に好ましい態様として、切削インサートは、主切れ刃の外周側端部に繋がる第1コーナ切れ刃と、第1面の対角線に沿って第1コーナ切れ刃とは反対側の位置にある第2コーナ切れ刃と、を有し、第2コーナ切れ刃は突出部によって覆われていてもよい。
更に好ましい態様として、ボディには、第2コーナ切れ刃への当接を防止するためのヌスミ穴が形成されていてもよい。
更に好ましい態様として、ヌスミ穴は、ボディのうち突出部とは反対側の表面から、第2コーナ切れ刃に向かって伸びるよう形成されていてもよい。
更に好ましい態様として、ヌスミ穴は、突出部を貫通しない止まり穴として形成されていてもよい。
本発明によれば、小径の穴あけ加工を可能としながらも、ボディの剛性を十分に確保することのできる切削工具、が提供される。
図1は、本実施形態に係る切削工具の構成を示す斜視図である。 図2は、図1に示される切削工具の一部を拡大して示した図である。 図3は、図1に示される切削工具を、ボディの中心軸に沿った方向から見て描いた図である。 図4は、本実施形態に係る切削工具が有する切削インサートの構成を示す図である。 図5は、図2に示される切削工具のボディから切削インサートを取り外した状態を示す図である。 図6は、図2に示される切削工具を、切削インサートの貫通穴の中心軸に沿った方向から見て描いた図である。 図7は、比較例に係る切削工具の構成を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
本実施形態に係る切削工具10は、旋削加工及び穴あけ加工の両方を行うことのできる工具として構成されている。旋削加工は、被削材に形成された既存の穴の内径を広げるための加工や、当該穴の端面(底面)の加工等を含む。穴あけ加工は、被削材に円形の穴を一から形成するための加工である。穴あけ加工により形成される穴は、有底の穴であってもよく、貫通穴であってもよい。尚、このような切削工具10の構成はあくまで一例である。切削工具10は、旋削加工及び穴あけ加工のうち、いずれか一方のみを行うための工具として構成されていてもよい。切削工具10は、ボディ100と切削インサート200とを備えている。
ボディ100は、切削工具10の概ね全体を構成する部材であって、鋼により形成されている。ボディ100は、略円柱形状の棒状の部材であって、その一方の先端側には後述の切削インサート200が取り付けられている。説明の便宜上、以下では、ボディ100のうち切削インサート200が取り付けられている方の端部側のことを「先端側」とも称し、その反対側のことを「基端側」とも称する。
ボディ100には排出溝120が形成されている。排出溝120は、被削材を加工している際において生じる切り屑を、基端側に向けて案内し排出するための溝である。排出溝120は、ボディ100の側面において、切削インサート200の位置から基端側に向かって直線状に伸びるように形成されている。排出溝120は、一対の平坦面121、122と、これらの間を繋ぐ湾曲面によって区画されている。平坦面121と平坦面122との間の角度は、70度から120度までの範囲であることが好ましいが、当該範囲外の角度であってもよい。
図1において符号「AX1」が付されているのは、ボディ100の中心軸を表す直線である。以下では、この中心軸のことを「中心軸AX1」とも表記する。仮に、ボディ100に排出溝120が形成されていない場合においては、ボディ100をその長手方向に対し垂直に切断したときの断面は円形となる。中心軸AX1は、当該円の中心を通る軸である。尚、排出溝120が形成されていない場合におけるボディ100の断面形状は、円形以外の形状であってもよい。この場合の中心軸AX1は、例えば、当該形状の重心を通る軸として設定することができる。
ボディ100のうち基端側の部分における側面には、平坦面110が形成されている。平坦面110を含む基端側部分は、不図示の工作機械によって把持され固定される部分であって、所謂「シャンク」とも称される部分である。平坦面110は、ボディ100の基端側の端部から、排出溝120の近傍となる位置まで伸びている。
切削インサート200は、切削のための主切れ刃231やコーナ切れ刃241等が設けられた部材であって、例えば硬質材料により形成されている。切削インサート200は、ボディ100の先端側に設けられたインサート座(後述の底面140)に対して、締結部材20によって締結固定されている。尚、ボディ100のうち、インサート座やその近傍の具体的な構成については後に説明する。
図2、3、4に示されるように、切削インサート200は、第1面210と、第2面220と、主切れ刃231、232と、コーナ切れ刃241、242と、を有している。
第1面210は、切削インサート200がボディ100に取り付けられた状態において、排出溝120の内側に臨む面である。図1に示されるように、第1面210は、排出溝120の平坦面121と略平行であり、且つ平坦面121と略同一平面状に配置される。第1面210は、平坦面121と共に排出溝120の一部を区画している面、ということもできる。図4に示されるように、第1面210の形状は略平行四辺形である。
第1面210には、貫通穴230の一端が開口している。貫通穴230は、締結部材20を挿通するための円形の貫通穴である。貫通穴230は、第1面210から次に述べる第2面220に至るまで、切削インサート200を貫通するように設けられている。貫通穴230の中心軸AX2は、第1面210に対して垂直である。
第2面220は、第1面210とは反対側の面であって、ボディ100のインサート座(底面140、図2を参照)に当接する面である。第2面220は、第1面210に対し平行な平坦面である。第2面220の形状は、第1面210と同様の略平行四辺形である。ただし、後述のように逃げ面201等が傾斜した面となっているので、第2面220は第1面210よりも小さい面となっている。
主切れ刃231、232、及びコーナ切れ刃241、242は、被削材の切削に供される切れ刃である。図4に示されるように、これらはいずれも、第1面210のうち外周側の端部となる位置に設けられている。ただし、後述の凹部211、212が設けられた結果として、第1面210のうち主切れ刃231やコーナ切れ刃241等の高さ位置は、第1面210の頂面(図2において符号「210」が付されている部分)の高さ位置とは異なっている。
主切れ刃231、241は、主に穴あけ加工のために供される切れ刃である。主切れ刃231、241は、略平行四辺形である第1面210のうち互いに対向する一対の辺に沿って、それぞれ直線状に伸びるよう形成されている。尚、被削材の加工中において実際に「切れ刃」として機能するのは、主切れ刃231、241のうち一方のみである。主切れ刃231、241のうちどちらが「切れ刃」として機能するのかは、ボディ100に対する切削インサート200の取り付け状態によって変化する。例えば図2等の取り付け状態においては、先端側の位置に配置された方の主切れ刃231のみが「切れ刃」として機能する。
図6に示されるように、切削インサート200は、加工に供される方の主切れ刃(この例では主切れ刃231)が、ボディ100の先端面101よりも更に先端側へと突出した状態となるように、締結部材20によってボディ100に対し締結固定されている。
主切れ刃231、241を切り替えて用いることができるように、切削インサート200は回転対称な形状を有している。具体的には、切削インサート200を中心軸AX2の周りに180度回転させると、回転後における切削インサート200の形状の全体が、回転前における切削インサート200の形状の形状に重なる。
主切れ刃231が設けられている範囲は、図4に示される点Aの位置から、コーナ切れ刃241との境界である点Bの位置までの範囲である。主切れ刃232が設けられている範囲は、上記範囲を中心軸AX2の周りに180度回転させた範囲であるから、その図示等を省略する。尚、主切れ刃231が設けられている範囲は上記のとおりであるが、主切れ刃231のうち実際に切削に供されるのは、多くの場合その一部のみである。例えば、穴あけ加工において、穴の中心軸を中心軸AX1に一致させる場合には、主切れ刃231のうち実際に切削に供されるのは、図4において中心軸AX1よりも右側の範囲のみである。主切れ刃232についても同様である。
コーナ切れ刃241、242は、主に旋削加工のために供される切れ刃であって、いずれも第1面210のコーナ部分に配置されている。図2のように切削インサート200がボディ100に取り付けられている状態において、コーナ切れ刃241は、主切れ刃231の外周側端部に繋がっている。コーナ切れ刃242は、第1面210の対角線に沿ってコーナ切れ刃241とは反対側の位置にある。コーナ切れ刃241は、本実施形態の「第1コーナ切れ刃」に該当する。コーナ切れ刃242は、本実施形態の「第2コーナ切れ刃」に該当する。
コーナ切れ刃241、242は、略平行四辺形である第1面210のうち互いに対向する一対のコーナ部分に沿って、一部が曲線状に伸びるよう形成されている。上記の主切れ刃231、241と同様に、加工中において実際に「切れ刃」として機能するのは、コーナ切れ刃241、242のうち一方のみである。例えば図2等の取り付け状態においては、先端側且つ外周側となる位置に配置された方のコーナ切れ刃241のみが「切れ刃」として機能する。
コーナ切れ刃241が設けられている範囲は、図4に示される点Bの位置から点Cの位置までの円弧状の範囲である。コーナ切れ刃242が設けられている範囲は、上記範囲を中心軸AX2の周りに180度回転させた範囲であるから、その図示等を省略する。尚、本実施形態では、図4に示される点Cから点Dまでの部分も、直線状の切れ刃として形成されている。
切削インサート200が有するその他の構成について説明する。図4に示されるように、第1面210のうち主切れ刃231及びコーナ切れ刃241の近傍となる位置には、チップブレーカとして機能する凹部211が形成されている。同様に、第1面210のうち主切れ刃232及びコーナ切れ刃242の近傍となる位置には、チップブレーカとして機能する凹部212が形成されている。
主切れ刃231、232、及びコーナ切れ刃241、242のそれぞれから、第2面220へと伸びる面は、所謂「逃げ面」として設けられた面である。これらはいずれも、第2面220に対して垂直とはなっておらず、第2面220に対して傾斜した面となっている。例えば、図2において先端側に配置された逃げ面201は、第1面210から第2面220側に行くに従って基端側へと向かうよう、第2面220に対し傾斜している。つまり、逃げ面201と第1面210との間の交差角が内角において鋭角となり、逃げ面201と第2面220との間の交差角が内角において鈍角となるように、逃げ面201が傾斜している。主切れ刃232やコーナ切れ刃241、242に繋がるその他の逃げ面についても同様である。
旋削加工及び穴あけ加工のいずれが行われる場合であっても、被削材の方を回転させながら、切削工具10の切れ刃を当該被削材に当てることで加工が行われる。その際、被削材の回転中心軸は、ボディ100の中心軸AX1と一致した状態とされる。このような態様に換えて、切削工具10の方を中心軸AX1の周りに回転させながら加工が行われることとしてもよい。
図3のように、ボディ100の中心軸AX1に沿って切削工具10を見た場合には、主切れ刃231の端部を示す点Aが、図3において中心軸AX1よりも左側の位置にある。つまり、本実施形態の主切れ刃231は、ボディ100の外周側(図3の例では右側)から、中心軸AX1を跨ぐ位置まで伸びている。
上記のように、被削材もしくは切削工具10を中心軸AX1の周りに回転させながら穴あけ加工を行う場合には、主切れ刃231が少なくとも中心軸AX1の位置まで伸びていれば、穴あけ加工を行うことができる。
このため、主切れ刃231が必要最低限の長さ(つまり、穴の半径程度の長さ)となるように、切削インサート200を小型化することも考えられる。しかしながら、小径の穴を形成するための切削工具において、上記のように切削インサート200を小型化した場合には、第1面210のうち貫通穴230が占める割合が大きくなり過ぎてしまい、ボディ100への締結固定に耐え得るような切削インサート200の強度を確保することが難しくなってしまう。そこで、本実施形態に係る切削工具10では、穴の半径よりも主切れ刃231を長くすることで、小径の穴あけ加工に必要な最低限の大きさよりも切削インサート200を大型化している。これにより、切削インサート200の強度を十分に確保している。
切削インサート200の近傍部分におけるボディ100の具体的な構成について説明する。図5には、切削インサート200を取り外した状態のボディ100が斜視図として示されている。同図に示されるように、ボディ100の先端側部分には、切削インサート200を嵌め込むための凹部が形成されており、当該凹部の底面140
がインサート座の一部となっている。底面140は平坦面121に対し平行な面である。上記凹部は、底面140の他、面150、161、162等によって区画されている。底面140には、貫通穴141の一端が開口している。貫通穴141は、切削インサート200を固定するための締結部材20が挿通される穴である。貫通穴141の内面には、締結部材20と螺合するための不図示の雌螺子が形成されている。
面150は、底面140と共にインサート座を構成する面であって、平坦面122に対し平行な面である。図3等に示されるように、面150の高さ寸法(図3における上下方向の寸法)は、切削インサート200の高さ寸法よりも小さい。面150は、底面140とは反対側にある辺151のみにおいて切削インサート200の側面に当接しており、図3の左右方向における切削インサート200の位置を拘束している。
面161、162は、底面140のうち基端側の端部から、図3の上方側に向かって伸びるように形成された面である。図5に示されるように、これらは互いに鈍角をなして交差しており、これらの境界をなす直線が、切削インサート200に向けて僅かに突出している。面161と面162との境界は、底面140とは反対側の端部の点163のみにおいて切削インサート200の側面に当接しており、中心軸AX1の方向における切削インサート200の位置を拘束している。
図3及び図5等に示されるように、ボディ100の先端部分には突出部130が形成されている。突出部130は、排出溝120を区画する面のうち先端側の部分であって、面150や後述の凹部131よりも、図3における右側に向かって突出するように設けられている。図2等に示されるように、突出部130が突出する方向における先端の面122Aは、基端側の平坦面122に繋がっている。図3に示されるように、突出部130は、その先端の面122Aが、切削インサート200を拘束する面150よりも更に中心軸AX1側(図3では右側)となる位置まで突出している。図6に示されるように、面122Aは、基端側に行くに従って中心軸AX1に近づくよう、中心軸AX1に対して傾斜している。面122Aをこのように傾斜させることで、主切れ刃231等で生じた切りくずを、基端側の排出溝120へとスムーズに案内することが可能となっている。
尚、面150と突出部130との間には、凹部131が形成されている。凹部131は、中心軸AX1とは反対側(図3では左側)に向かって後退するように形成されている。凹部131には、切削インサート200の一部が収容されている。
ボディ100に突出部130を設けたことにより、切削インサート200は、第1面210の一部が突出部130によって外側から(図3における上方側から)覆われている。以上のように、本実施形態のボディ100には、切削インサート200のうち第1面210の一部を外側から覆うように突出する突出部130が形成されている。
ボディ100に突出部130を設けたことの効果について説明する。先に述べたように、本実施形態に係る切削工具10では、穴の半径よりも主切れ刃231を長くすることで、小径の穴あけ加工に必要な最低限の大きさよりも切削インサート200を大型化し、切削インサート200の強度を確保している。このような構成において、仮に、ボディ100に突出部130を設けていない場合には、図7に示される比較例のように、平坦面122のうち先端側の部分におけるボディ100の肉厚(図7における寸法L)が薄くなり過ぎるため、ボディ100の剛性を十分に確保することができなくなってしまう可能性がある。
そこで、本実施形態に係る切削工具10では、ボディ100に突出部130を設けることで、図7の寸法Lに相当する部分の肉厚を厚くしている。これにより、比較的大型の切削インサート200を保持する構成としながらも、ボディ100の剛性を十分に確保している。
突出部130の突出量は、ボディ100に許容される加工中の撓み等を考慮し、適宜設定することができる。ただし、図6のように貫通穴230の中心軸AX2に沿って切削工具10を見た場合において、突出部130が、主切れ刃231及び貫通穴230のいずれにも重ならないように、突出部130の突出量が設定されることが好ましい。突出部130が主切れ刃231と重ならない構成とすることで、加工に支障が生じることを防止することができる。また、突出部130が貫通穴230と重ならない構成とすることで、切削インサート200を締結固定する作業に支障が生じることを防止することができる。
先に述べたように、切削インサート200は一対のコーナ切れ刃241、242を有している。図6に示されるように、これらのうち加工には供されない方のコーナ切れ刃242は、突出部130によってその全体が外側から覆われている。つまり、貫通穴230の中心軸AX2に沿って切削工具10を見た場合において、コーナ切れ刃242は、その全体が突出部130と重なっている。貫通穴230によってコーナ切れ刃242が覆われているので、加工中の切り屑がコーナ切れ刃242に到達しにくくなっている。これにより、コーナ切れ刃242における傷や破損等が防止される。
図5に示されるように、ボディ100にはヌスミ穴170が形成されている。図6のように貫通穴230の中心軸AX2に沿って切削工具10を見た場合において、ヌスミ穴170は、コーナ切れ刃242の全体と重なる位置に形成されている。
図3に示されるように、ヌスミ穴170は、ボディ100のうち突出部130とは反対側の表面(図3では下方側の表面)から、コーナ切れ刃242や突出部130に向かって伸びるよう形成されている。ヌスミ穴170は、突出部130を貫通しない止まり穴として形成されており、その先端の位置は、切削インサート200のコーナ切れ刃242よりも高い位置となっている。その結果、切削インサート200のコーナ切れ刃242は、その全体がヌスミ穴170の空間内に配置されており、ボディ100には一切当接していない。
このような構成においては、コーナ切れ刃242の部分で切削インサート200は拘束されていない。このため、コーナ切れ刃242の形状にバリエーションを持たせた上で、様々な形状の切削インサート200を共通のボディ100に取り付けることが可能となる。
尚、ヌスミ穴170のうち、上記のような機能、すなわちコーナ切れ刃242との干渉防止という機能を発揮し得るのは、切削インサート200と重なっている部分のみである。ヌスミ穴170のうち切削インサート200と重なっていない部分は、本来の機能を発揮し得ないにもかかわらず、加工の都合上仕方なく形成された無駄な肉抜き部分ということができる。図3に示されるように、主切れ刃231の位置は中心軸AX1の位置とする必要があり、その結果として、切削インサート200は、ボディ100のうち中央よりも下方側寄りに偏った位置に配置されている。このため、仮に、ヌスミ穴170を突出部130側(図3の上方側)から形成した場合には、上記のような無駄な肉抜き部分が大きくなってしまう。そこで、本実施形態では、ヌスミ穴170を突出部130側(図3の上方側)から形成するのではなく、突出部130とは反対側の表面から形成することで、ヌスミ穴170のうち無駄な肉抜き部分を最低限に抑えている。これにより、ボディ100の剛性の低下を抑制している。
尚、切削インサート200として、主切れ刃231とコーナ切れ刃241を1つずつしか有さないものを用いてもよい。この場合、切削インサート200側の形状を工夫することによって干渉を防止できるので、ボディ100にはヌスミ穴170が形成されていなくてもよい。
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
10:切削工具、20:締結部材、100:ボディ、120:排出溝、130:突出部、140:底面(インサート座)、170:ヌスミ穴、200:切削インサート、210:第1面、220:第2面、230:貫通穴、231,232;主切れ刃、241,242:コーナ切れ刃、AX1,AX2:中心軸。

Claims (6)

  1. 切り屑を案内し排出するための排出溝が先端側から基端側に向かって伸びるように形成されたボディと、
    前記ボディの先端側に締結固定された切削インサートと、を備え、
    前記切削インサートは、
    締結部材を挿通するための貫通穴が開口している第1面と、
    前記第1面とは反対側の面であって、前記ボディのインサート座に当接する第2面と、
    前記第1面の端部において直線状に伸びるように形成され、少なくとも一部が切削に供される主切れ刃と、を有し、
    前記第1面が前記排出溝の内側に臨み、且つ、前記主切れ刃が前記ボディの先端よりも更に先端側に突出するよう、前記締結部材によって前記ボディに締結固定されており、
    前記ボディには、前記切削インサートのうち前記第1面の一部を外側から覆うように突出する突出部が形成されており、
    前記ボディの中心軸に沿って見た場合において、前記主切れ刃は、前記ボディの外周側から、前記ボディの中心軸を跨ぐ位置まで伸びている、切削工具。
  2. 前記貫通穴の中心軸に沿って見た場合において、前記突出部は、前記主切れ刃及び前記貫通穴のいずれにも重なっていない、請求項1に記載の切削工具。
  3. 前記切削インサートは、
    前記主切れ刃の外周側端部に繋がる第1コーナ切れ刃と、
    前記第1面の対角線に沿って第1コーナ切れ刃とは反対側の位置にある第2コーナ切れ刃と、を有し、
    前記第2コーナ切れ刃は前記突出部によって覆われている、請求項1に記載の切削工具。
  4. 前記ボディには、前記第2コーナ切れ刃への当接を防止するためのヌスミ穴が形成されている、請求項3に記載の切削工具。
  5. 前記ヌスミ穴は、前記ボディのうち前記突出部とは反対側の表面から、前記第2コーナ切れ刃に向かって伸びるよう形成されている、請求項4に記載の切削工具。
  6. 前記ヌスミ穴は、前記突出部を貫通しない止まり穴として形成されている、請求項5に記載の切削工具。
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