JP2024095449A - ポリアミド成形体 - Google Patents

ポリアミド成形体

Info

Publication number
JP2024095449A
JP2024095449A JP2022212747A JP2022212747A JP2024095449A JP 2024095449 A JP2024095449 A JP 2024095449A JP 2022212747 A JP2022212747 A JP 2022212747A JP 2022212747 A JP2022212747 A JP 2022212747A JP 2024095449 A JP2024095449 A JP 2024095449A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyamide
glass fiber
parts
acid
mass
Prior art date
Application number
JP2022212747A
Other languages
English (en)
Inventor
直人 菅井
裕幸 大道
悠規 伊藤
Original Assignee
株式会社クラレ
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社クラレ filed Critical 株式会社クラレ
Publication of JP2024095449A publication Critical patent/JP2024095449A/ja

Links

Abstract

【課題】リフロー工程中に高温に曝されてもブリスター耐性に優れる難燃性のポリアミド成形体を提供する。
【解決手段】 0.5mm超の厚みを有するポリアミド成形体であって、前記ポリアミド成形体が、融点280℃以上のポリアミド(A)と、ガラス繊維(B1)と、ハロゲン系難燃剤(C)とを含有し、前記ガラス繊維(B1)の含有量が、前記ポリアミド(A)100質量部に対して45~120質量部であり、前記ハロゲン系難燃剤(C)の含有量が、前記ポリアミド(A)100質量部に対して25~60質量部であり、前記ガラス繊維(B1)は、平均繊維径が12μm以下であり、かつ、長手方向に垂直な断面における平均異形比が1.5未満である、ポリアミド成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド成形体に関する。
耐熱性などの観点で性能に優れた材料として、ポリアミド樹脂組成物が知られている。ポリアミド樹脂組成物に難燃剤として、ハロゲン系難燃剤、例えば臭素系難燃剤が配合される場合がある(特許文献1~3参照)。このように難燃性が高められたポリアミド樹脂組成物は、難燃性ポリアミド樹脂組成物とも称される。
特開2003-082228号公報 国際公開第2020/040191号 特開2013-056969号公報
ところで、難燃性ポリアミド樹脂組成物からなるポリアミド成形体をリフロー工程中に高温に曝すと、ポリアミド成形体にブリスターが生じることが知られている(特許文献1,3参照)。斯かるブリスターの原因は、成形体中に含まれる水分や気体が高温に晒され、気化・膨張することにより生じた内圧であると考えられている。本発明者らの検討の結果、ブリスターは、ハロゲン系難燃剤を難燃性の観点から必要量で含むポリアミド成形体で発生しやすいことが判明した。また、ブリスターは、ポリアミド成形体の厚みが大きいほど発生しやすくなることが知られている。
したがって、難燃性ポリアミド樹脂組成物を用いても、すなわち、難燃性のポリアミド成形体において、ブリスター耐性に優れるポリアミド成形体が求められている。ブリスター耐性は、例えば、難燃性ポリアミド樹脂組成物を所定形状に成形した複数の試験片を用意し、それら試験片をリフロー試験に供し、ブリスターが発生した試験片の数の割合(ブリスター発生率)によって評価することができる。
そこで、本発明は、リフロー工程中に高温に曝されてもブリスター耐性に優れる難燃性のポリアミド成形体を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者らは下記本発明を想到し、当該課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1] 0.5mm超の厚みを有するポリアミド成形体であって、前記ポリアミド成形体が、融点280℃以上のポリアミド(A)と、ガラス繊維(B1)と、ハロゲン系難燃剤(C)とを含有し、前記ガラス繊維(B1)の含有量が、前記ポリアミド(A)100質量部に対して45~120質量部であり、前記ハロゲン系難燃剤(C)の含有量が、前記ポリアミド(A)100質量部に対して25~60質量部であり、前記ガラス繊維(B1)は、平均繊維径が12μm以下であり、かつ、長手方向に垂直な断面における平均異形比が1.5未満である、ポリアミド成形体。
[2] 前記ポリアミド(A)が半芳香族ポリアミドである、[1]に記載のポリアミド成形体。
[3] 前記半芳香族ポリアミドにおいて、該半芳香族ポリアミドを構成するジカルボン酸に由来する構成単位のうちの50モル%超が芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位であり、かつ、該半芳香族ポリアミドを構成するジアミンに由来する構成単位のうちの50モル%超が炭素数4~18の脂肪族ジアミンに由来する構成単位である、[2]に記載のポリアミド成形体。
[4] 前記脂肪族ジアミンが、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、及び1,10-デカンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、[3]に記載のポリアミド成形体。
[5] 前記ポリアミド成形体が、さらに難燃助剤(D)を含有し、前記難燃助剤(D)の含有量が、前記ポリアミド(A)100質量部に対して、0.1~50質量部である、[1]~[4]のいずれかに記載のポリアミド成形体。
[6] 前記ハロゲン系難燃剤(C)が、臭素化ポリスチレン及びポリ臭素化スチレンの少なくとも1種である、[1]~[5]のいずれかに記載のポリアミド成形体。
[7] 前記ガラス繊維(B1)が、カップリング剤及び集束剤からなる群から選択される少なくとも1種の表面処理剤を含む、[1]~[6]のいずれかに記載のポリアミド成形体。
[8] 前記集束剤が、ウレタン樹脂系集束剤、アクリル樹脂系集束剤、エポキシ樹脂系集束剤及び酸無水物基含有樹脂系集束剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む、[7]に記載のポリアミド成形体。
[9] 射出成形体である、[1]~[8]のいずれかに記載のポリアミド成形体。
[10] SMT対応車載用コネクタの一部である、[1]~[9]のいずれかに記載のポリアミド成形体。
本発明によれば、リフロー工程中に高温に曝されてもブリスター耐性に優れる難燃性のポリアミド成形体を提供することができる。
図1は、一般的なガラス繊維の横断面の例を模式的に示す図であり、図1(a)は、横断面の外形がまゆ形である例を、図1(b)は、横断面の外形が楕円形である例を、図1(c)は、横断面の外形が長方形である例を示す。
以下、本発明の実施態様(以下、「本実施態様」と称すことがある。)の一例に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施態様は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下の記載に限定されない。
また本明細書において、実施態様の好ましい形態を示すが、個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、好ましい形態である。数値範囲で示した事項について、いくつかの数値範囲がある場合、それらの下限値と上限値とを選択的に組み合わせて好ましい形態とすることができる。
本明細書において、「XX~YY」との数値範囲の記載がある場合、「XX以上YY以下」を意味する。
また、本明細書において、「~単位」(ここで「~」は単量体を示す)とは「~に由来する構成単位」を意味し、例えば「ジカルボン酸単位」とは「ジカルボン酸に由来する構成単位」を意味し、「ジアミン単位」とは「ジアミンに由来する構成単位」を意味する。
<ポリアミド成形体>
まず、本実施態様に係るポリアミド成形体について説明する。ポリアミド成形体は、ポリアミド樹脂組成物からなる。
本実施態様に係るポリアミド成形体は、0.5mm超の厚みを有するポリアミド成形体である。
本実施態様に係るポリアミド成形体は、融点280℃以上のポリアミド(A)と、ガラス繊維(B1)と、ハロゲン系難燃剤(C)とを含有し、前記ガラス繊維(B1)の含有量が、前記ポリアミド(A)100質量部に対して45~120質量部であり、前記ハロゲン系難燃剤(C)の含有量が、前記ポリアミド(A)100質量部に対して25~60質量部であり、前記ガラス繊維(B1)は、平均繊維径が12μm以下であり、かつ、長手方向に垂直な断面における平均異形比が1.5未満である。
本実施形態に係るポリアミド成形体は、リフロー工程中に高温に曝されてもブリスター耐性に優れる。ブリスター耐性は、例えば、後述する実施例の欄に記載の方法により評価することが可能である。
本実施態様に係るポリアミド成形体は、0.5mm超の厚みを少なくとも1つ有していれば、任意の外形をなしていてもよい。なお、ポリアミド成形体が0.5mm超の厚みを有するとは、ポリアミド成形体が有する複数の厚みのうち少なくとも1つ以上の厚みが0.5mm超であることを意味する。ポリアミド成形体が有する複数の厚みは、外形の厚みを含むだけでなく、内壁の厚みを含む。ポリアミド成形体が複数の面を有する場合、ポリアミド成形体が有する厚みのうちの1つの厚みは、互いに向かい合う一方の面から他方の面までの距離をさす。
通常、ポリアミド成形体の厚みが大きいほど、ポリアミド成形体の中心部まで熱が伝わりにくく、また、ポリアミド成形体に含まれる水分が水蒸気となりポリアミド成形体の内部から外に放出されるまでの経路が長くなる。そのため、リフロー工程におけるプリヒート(予熱)時にポリアミド成形体に含まれる水分が蒸発しにくく、かつ、リフロー工程におけるピーク温度時にポリアミド成形体の内部に残存する水分が多くなる。したがって、ポリアミド成形体の厚みが大きいほど、ブリスターが生じやすい傾向にある。しかし、本実施態様に係るポリアミド成形体はその厚みが大きくても、ブリスターを生じにくくすることが可能である。
本実施態様に係るポリアミド成形体は、好ましくは0.75mm以上、より好ましくは1.0mm超、更に好ましくは1.5mm以上、より更に好ましくは4.0mm以上又は7.0mm以上の厚みを有する。したがって、本実施態様に係るポリアミド成形体は、大型の部品等に好適である。また、本実施態様に係るポリアミド成形体は、耐熱性に優れるポリアミド樹脂を含んでおり、また、難燃性に優れるハロゲン系難燃剤を含んでいることから、高温に曝される用途、例えば車載用途においても好適である。
本実施形態に係るポリアミド成形体の厚みが外形の厚みを指す場合、好ましくは0.75mm以上、より好ましくは1.0mm超、更に好ましくは1.5mm以上、より更に好ましくは4.0mm以上、より更に好ましくは7.0mm以上の厚みを有する。
本実施形態に係るポリアミド成形体の厚みが内壁の厚みを指す場合、好ましくは0.75mm以上、より好ましくは1.0mm超、更に好ましくは1.5mm以上、より更に好ましくは2.0mm以上の厚みを有する。厚みの範囲は、0.5mm超、3.0mm以下であることが好ましく、0.75mm以上2.0mm以下であることが更に好ましい。
先述のとおり、本実施態様に係るポリアミド成形体は、大型の部品等に好適であることから、外形の厚みが例えば5mm以上であってもよいし、7mm以上であってもよい。
また、本実施態様に係るポリアミド成形体は、ブリスターが生じにくいことから部分的な素材の劣化が起きにくい。それゆえ、機械特性、特には引張破断強度、曲げ強度、引張破断ひずみといった特性に優れる傾向にある。本実施態様に係るポリアミド成形体は、引張破断強度、曲げ強度、引張破断ひずみといった特性に優れているので、異部材(例えば配線、基板)との接合にも好適である。そのため、コネクタ用途に有用である。
<ポリアミド成形体の製造方法>
本実施態様に係るポリアミド成形体の製造方法としては、特に制限はなく、ポリアミド樹脂組成物を公知の方法を用いて成形することによりポリアミド成形体を製造できる。また、成形時には、ポリアミド樹脂組成物に鎖延長剤などの添加剤を加えてもよい。さらには、成形後に加熱処理や電子線架橋などの処理を施してもよい。ポリアミド成形体の製造方法としては、押出成形法や射出成形法等が挙げられる。さまざまな形状の成形体を製造可能である観点からは、射出成形法が好ましい。よって、本実施態様に係るポリアミド成形体は、好ましくは、後で詳述するポリアミド樹脂組成物を射出成形することにより得られる射出成形体である。
<ポリアミド成形体の用途>
本実施態様に係るポリアミド成形体は、電気部品、電子部品、自動車部品、産業部品、水栓部品、繊維、フィルム、シート、家庭用品、レジャー用品、その他の任意の形状及び用途の各種成形品として使用することができる。
電気部品及び電子部品としては、例えばFPCコネクタ、BtoBコネクタ、カードコネクタ、SMTコネクタ(同軸コネクタ等)、メモリーカードコネクタ等のコネクタ;SMTリレー;SMTボビン;メモリーソケット、CPUソケット等のソケット;コマンドスイッチ、SMTスイッチ等のスイッチ;光ファイバー部品、光センサー等の光学部品;LEDリフレクタ等のLED用途部品;太陽電池基板、LED実装基板、フレキシブルプリント配線板、樹脂成形回路基板等の電子基板などが挙げられる。
自動車部品としては、例えばサーモスタットハウジング、クーラントコントロールバルブのハウジング、サーマルマネジメントモジュールのハウジング、ラジエータータンク、ラジエーターホース、ウォーターアウトレット、ウォーターインレット、ウォーターポンプハウジング、リアジョイント等の冷却部品;インタークーラータンク、インタークーラーケース、ターボダクトパイプ、EGRクーラーケース、レゾネーター、スロットルボディ、インテークマニホールド、テールパイプ等の吸排気系部品;燃料デリバリーパイプ、ガソリンタンク、クイックコネクタ、キャニスター、ポンプモジュール、燃料配管、オイルストレーナー、ロックナット、シール材等の燃料系部品;マウントブラケット、トルクロッド、シリンダヘッドカバー等の構造部品;ベアリングリテイナー、ギアテンショナー、ヘッドランプアクチュエータギア、スロットルバルブギア、スライドドアローラー、クラッチ周辺部品等の駆動系部品;エアブレーキチューブなどのブレーキ系統部品;エンジンルーム内のワイヤーハーネスコネクタ、モーター部品、センサー、ABSボビン、コンビネーションスイッチ、車載スイッチ等の車載電装部品;スライドドアダンパー、ドラミラーステイ、ドアミラーブラケット、インナーミラーステイ、ルーフレール、エンジンマウントブラケット、エアクリーナーのインレートパイプ、ドアチェッカー、プラチェーン、エンブレム、クリップ、ブレーカーカバー、カップホルダー、エアバック、フェンダー、スポイラー、ラジエーターサポート、ラジエーターグリル、ルーバー、エアスクープ、フードバルジ、バックドア、フューエルセンダーモジュール等の内外装部品などが挙げられる。
産業部品としては、例えばガスパイプ、油田採掘用パイプ、ホース、防蟻ケーブル(通信ケーブル、パスケーブルなど)、粉体塗装品の塗料部(水道管の内側コーティングなど)、海底油田パイプ、耐圧ホース、油圧チューブ、ペイント用チューブ、燃料ポンプのハウジングやインペラ、セパレーター、スーパーチャージ用ダクト、バタフライバルブ、搬送機ローラー軸受、鉄道の枕木バネ受け、船外機エンジンカバー、発電機用エンジンカバー、風力発電機のブレード、灌漑用バルブ、大型開閉器(スイッチ)、漁網などのモノフィラメント(押出糸)などが挙げられる。
水栓部品としては、例えば水道水の運搬用部品のハウジング、水道水の貯蔵用部品のハウジング、フィルターケーシングのハウジング、蛇口のハウジング、パイプのハウジング、浴室水栓(湯水の切換え弁、水量切り替えバルブ等)のハウジング、衛生部品のハウジング、キッチン水栓のハウジング、温水器のハウジング、弁部品(シャットオフボール、スライド、シリンダー)及び弁部品ハウジング、トイレ止水栓のハウジング、シャワーヘッド内のハウジング、給湯器のバルブハウジング、住設配管(床下配管等)の継手、浴室水栓の継手、水道配管の継手、パイプジョイント、水道メーターのハウジング、水道メーター部品(軸受、プロペラ、ピン)及び水道メーター、ガスメーターのハウジング、分配器のハウジング、家庭用装置のバルブ/ポンプハウジング、スチームアイロンの耐スチーム部品、電気ケトルの内部容器、食器洗い器の部品(洗浄槽、洗浄ノズル、カゴ)、ポンプのハウジング、ポンプ部品(例えばタービン・ホイール、インペラ)、水供給システム(温水タンク等)のハウジング、加熱システムのハウジング、冷却システムのハウジング、水量調節弁、減圧弁、逃がし弁、電磁弁、三方弁、サーモバルブ、湯温センサー、水量センサー、浴槽用アダプタなどが挙げられる。
家庭用品としては、例えば紅茶及びコーヒーメーカーのバルブ/ポンプハウジング;炊飯器、蒸し器等の調理家電のバルブ/ポンプハウジング;炊飯器、蒸し器等の調理家電の耐スチーム部品(炊飯器の上蓋等);炊飯器、蒸し器等の調理家電の摺動部品(ギア等);業務用調理器具の摺動部品(ギアポンプ用ギア等);業務用調理器具の耐スチーム部品(業務用炊飯器のパイプ等)などが挙げられる。
レジャー用品としては、例えばスポーツシューズのインナーソール、ラケットのフレームやグロメット、ゴルフクラブのヘッドやスリーブ、釣り具のリールやロッド、ボートのスクリュー、自転車のサスペンション、ギア、サドル、ボトルケージなどが挙げられる。
本実施態様に係るポリアミド成形体は、射出成形によって製造可能であるので、短時間に多数の部品を製造することが求められる電気部品及び電子部品に好適に用いることができる。具体的には、SMT工程を含む電気部品及び電子部品、より具体的にはSMT対応のコネクタ、SMTリレー、SMTボビン、ソケット、コマンドスイッチ、SMTスイッチ、カメラモジュール、電源部品、センサー、コンデンサー座板、ハードディスク部品、抵抗器、ヒューズホルダー、コイルボビン、ICハウジングなどの表面実装部品に好適に用いることができる。
本実施態様に係るポリアミド成形体の特に好適な一例は、SMT対応車載用コネクタの一部である。SMT対応車載用コネクタは、一般的に、融点260℃以上の樹脂を用いた樹脂組成物製のハウジングと端子とを備える。SMT対応車載用コネクタは、シールリング、ガスケット、シェルなどを具備していてもよい。車載用コネクタは、民生電子機器用コネクタと比べて、通常、外形寸法が大きい。さらに、SMT工程時に、厚みが大きいため、より高温の環境に曝されやすい。さらにSMT工程のプリヒート(予熱)工程で成形体内部の水分が放出されにくいためブリスターが発生しやすい。そのうえ、高い難燃性が要求される。さらに、車載用途は品質要求が厳しいためにブリスターの発生は許容されない。それゆえ、ポリアミド成形体にはSMT工程中に高温に曝されてもブリスター耐性に優れることが求められる。本実施態様に係るポリアミド成形体は、これらの要求を満たすことが可能であるので、車載用コネクタの一部に適している。
<ポリアミド成形体の成分>
続いて、本実施態様に係るポリアミド成形体が含有する成分について説明する。
本実施態様に係るポリアミド成形体は、先述のとおり、融点280℃以上のポリアミド(A)と、ガラス繊維(B1)と、ハロゲン系難燃剤(C)とを含有し、前記ガラス繊維(B1)の含有量が、前記ポリアミド(A)100質量部に対して45~120質量部であり、前記ハロゲン系難燃剤(C)の含有量が、前記ポリアミド(A)100質量部に対して25~60質量部であり、前記ガラス繊維(B1)は、平均繊維径が12μm以下であり、かつ、長手方向に垂直な断面における平均異形比が1.5未満である。
[ポリアミド(A)]
本実施態様に係るポリアミド成形体は、融点が280℃以上であるポリアミド(A)を含有する。
ポリアミド(A)としては、ジカルボン酸とジアミンとの縮重合物、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の縮重合物などが挙げられる。
前記ジカルボン酸としては、例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ジメチルマロン酸、2,2-ジエチルコハク酸、2,2-ジメチルグルタル酸、2-メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘプタンジカルボン酸、シクロオクタンジカルボン酸、シクロデカンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,4-フェニレンジオキシジ酢酸、1,3-フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。これらのジカルボン酸は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
ポリアミド(A)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、さらにトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸由来の構成単位を溶融成形が可能な範囲で含んでもよい。
前記ジアミンとしては、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミンなどが挙げられる。脂肪族ジアミンとしては、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン等の直鎖状脂肪族ジアミン;1-ブチル-1,2-エタンジアミン、1,1-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、1-エチル-1,4-ブタンジアミン、1,2-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、1,3-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、1,4-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、2,3-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、3,3-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2-プロピル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4-ジエチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、2,3-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、2,4-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、2,5-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、2-エチル-1,7-へプタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、3-メチル-1,8-オクタンジアミン、4-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,3-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、1,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、2,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、3,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4,5-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、2,2-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、3,3-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン等の分岐鎖状脂肪族ジアミンなどが挙げられる。前記ジアミンとしては、脂肪族ジアミンであることが好ましい。
脂環式ジアミンとしては、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミンなどが挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテルなどが挙げられる。
これらのジアミンは、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
ポリアミド(A)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、さらにビス(ヘキサメチレン)トリアミンなどの3価以上の多価アミン由来の構成単位を溶融成形が可能な範囲で含んでもよい。
前記環状ラクタムとしては、アセトラクタム、プロピオラクタム、ブチロラクタム、バレロラクタム、カプロラクタム、エナントラクタム、カプリロラクタム、ペラルゴラクタム、カプリノラクタム、ラウロラクタムなどが挙げられる。
前記アミノカルボン酸としては、アミノプロピオン酸、アミノ酪酸、アミノバレリアン酸、アミノカプロン酸、アミノエナント酸、アミノカプリル酸、アミノペラルゴン酸、アミノカプリン酸、アミノラウリン酸などが挙げられる。
ポリアミド(A)は、前記のジカルボン酸、ジアミン、環状ラクタム、アミノカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸、3価以上の多価アミンなどの単量体を、融点が280℃以上となるように適宜組み合わせて、脂肪族ポリアミド、全芳香族ポリアミド又は半芳香族ポリアミドとして用いることが好ましい。
なお、本発明において「全芳香族ポリアミド」とは、該ポリアミドを構成するジカルボン酸単位のうちの50モル%超が芳香族ジカルボン酸単位であり、かつ該ポリアミドを構成するジアミン単位のうちの50モル%超が芳香族ジアミン単位であるポリアミドをいう。
また、本発明において「半芳香族ポリアミド」とは、該ポリアミドを構成するジカルボン酸単位のうちの50モル%超が芳香族ジカルボン酸単位であり、かつ該ポリアミドを構成するジアミン単位のうちの50モル%超が脂肪族ジアミン単位であるポリアミド、又は該ポリアミドを構成するジカルボン酸単位のうちの50モル%超が脂肪族ジカルボン酸単位であり、かつ該ポリアミドを構成するジアミン単位のうちの50モル%超が芳香族ジアミン単位であるポリアミドをいう。
これらの中でも、リフロー工程中に高温に曝されてもブリスター耐性に優れるポリアミド成形体を得る観点から、脂肪族ポリアミド及び半芳香族ポリアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、半芳香族ポリアミドがより好ましい。より好適な例は、前記半芳香族ポリアミドにおいて、該半芳香族ポリアミドを構成するジカルボン酸に由来する構成単位のうちの50モル%超が芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位であり、かつ、該半芳香族ポリアミドを構成するジアミンに由来する構成単位のうちの50モル%超が炭素数4~18の脂肪族ジアミンに由来する構成単位である。
前記脂肪族ポリアミドとしては、前記環状ラクタムの開環重合物、前記アミノカルボン酸の縮重合物、又は前記脂肪族ジカルボン酸と前記脂肪族ジアミンとの縮重合物などが挙げられ、中でも、リフロー工程中に高温に曝されてもブリスター耐性に優れるポリアミド成形体を得る観点から、前記脂肪族ジカルボン酸と前記脂肪族ジアミンとの縮重合物が好ましく、製造容易性の観点から、ポリアミド46がより好ましい。
前記半芳香族ポリアミドとしては、リフロー工程中に高温に曝されてもブリスター耐性に優れるポリアミド成形体を得る観点から、該半芳香族ポリアミドを構成するジカルボン酸単位のうちの50モル%超が芳香族ジカルボン酸単位であり、かつ該半芳香族ポリアミドを構成するジアミン単位のうちの50モル%超が脂肪族ジアミン単位であるものが好ましい。
前記半芳香族ポリアミドを構成する芳香族ジカルボン酸としては、前述の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。斯かる芳香族ジカルボン酸の好適な例は、芳香族が炭素数6~10のジカルボン酸である。中でもフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、イソフタル酸、テレフタル酸がより好ましく、テレフタル酸がさらに好ましい。よって、斯かる芳香族ジカルボン酸は、芳香族が炭素数6(すなわちフェニレン基)のジカルボン酸である。前記半芳香族ポリアミドを構成する全ジカルボン酸単位中の芳香族ジカルボン酸単位の含有量は、耐熱性の観点から、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、よりさらに好ましくは90モル%以上であり、そして、100モル%以下である。
前記半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸単位以外の他のジカルボン酸単位を含んでもよい。かかる他のジカルボン酸としては、前述の脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸が挙げられる。前記半芳香族ポリアミドを構成する全ジカルボン酸単位中の他のジカルボン酸単位の含有量は、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは20モル%以下、よりさらに好ましくは10モル%以下である。
前記半芳香族ポリアミドを構成する脂肪族ジアミンとしては、前述の脂肪族ジアミンが挙げられる。該脂肪族ジアミンの炭素数は、耐熱性、低吸水性などの諸物性に優れる観点から、好ましくは4以上、より好ましくは6以上、さらに好ましくは8以上であり、また、好ましくは18以下、より好ましくは12以下である。よって、斯かる脂肪族ジアミンは、好ましくは炭素数4~18の脂肪族ジアミンである。
前記脂肪族ジアミンとしては、耐熱性、低吸水性などの諸物性に優れる観点から、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、及び1,10-デカンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、1,9-ノナンジアミン及び2-メチル-1,8-オクタンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましく、1,9-ノナンジアミンと2-メチル-1,8-オクタンジアミンとの併用がさらに好ましい。
前記半芳香族ポリアミドを構成する全ジアミン単位中の脂肪族ジアミン単位の含有量は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、よりさらに好ましくは90モル%以上であり、そして、100モル%以下である。
前記半芳香族ポリアミドは、脂肪族ジアミン単位以外の他のジアミン単位を含んでもよい。かかる他のジアミンとしては、前述の芳香族ジアミン、脂環式ジアミンが挙げられる。前記半芳香族ポリアミドを構成する全ジアミン単位中の他のジアミン単位の含有量は、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは20モル%以下、よりさらに好ましくは10モル%以下である。
前記脂肪族ジアミンとして、1,9-ノナンジアミンと2-メチル-1,8-オクタンジアミンとを併用する場合には、耐熱性の観点から、1,9-ノナンジアミンと2-メチル-1,8-オクタンジアミンとのモル比(1,9-ノナンジアミン/2-メチル-1,8-オクタンジアミン)は、95/5~40/60の範囲が好ましく、90/10~50/50の範囲がより好ましく、90/10~60/40の範囲がさらに好ましい。
また、前記半芳香族ポリアミドは環状ラクタム及び/又はアミノカルボン酸に由来する構成単位を含んでもよい。これらの構成単位としては、例えば、カプロラクタム、ラウロラクタム等の環状ラクタム;11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸などに由来する構成単位を挙げることができる。前記半芳香族ポリアミド中の環状ラクタム単位及びアミノカルボン酸単位の合計の含有量は、該半芳香族ポリアミドを構成するジカルボン酸単位とジアミン単位の合計100モル%に対して、40モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましい。
前記半芳香族ポリアミドとしては、具体的には、ポリテトラメチレンテレフタルアミド(ポリアミド4T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド10T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリアミド6Iとポリアミド6Tとの共重合体(ポリアミド6I/6T)、及びポリアミド6Tとポリウンデカンアミド(ポリアミド11)との共重合体(ポリアミド6T/11)などが挙げられる。中でも、ポリアミド4T、ポリアミド6T、ポリアミド9T及びポリアミド10Tからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、ポリアミド9T及びポリアミド10Tからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましく、ポリアミド9Tがさらに好ましい。
ポリアミド(A)は、その分子鎖の末端基の10%以上が末端封止剤により封止されていることが好ましい。分子鎖の末端基が末端封止剤により封止されている割合(末端封止率)は、20%以上であることがより好ましい。
末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基又はカルボキシ基との反応性を有する単官能性の化合物を用いることができ、反応性及び封止末端の安定性などの観点から、モノカルボン酸又はモノアミンが好ましく、取扱いの容易さなどの点から、モノカルボン酸がより好ましい。その他、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類などを末端封止剤として使用することもできる。
末端封止剤として使用されるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものを用いることができ、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α-ナフタレンカルボン酸、β-ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;これらの任意の混合物などを挙げることができる。中でも、反応性、封止末端の安定性、価格などの観点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が好ましい。
末端封止剤として使用されるモノアミンとしては、カルボキシ基との反応性を有するものを用いることができ、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン;これらの任意の混合物などを挙げることができる。中でも、反応性、沸点、封止末端の安定性、価格などの観点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが好ましい。
ポリアミド(A)の末端封止率は、ポリアミド(A)に存在しているカルボキシ基末端、アミノ基末端及び末端封止剤によって封止された末端基の数をそれぞれ測定し、下記の式(1)に従って求められる。各末端基の数は、精度、簡便さの観点から、H-NMRにより各末端基に対応する特性シグナルの積分値より求めることが好ましい。
末端封止率(%)=〔(T-S)/T〕×100 (1)
[式中、Tはポリアミド(A)の分子鎖の末端基の総数(これは通常、ポリアミド分子の数の2倍に等しい)を表し、Sは封止されずに残ったカルボキシ基末端及びアミノ基末端の合計数を表す。]
ポリアミド(A)は、結晶性ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができる。例えば、酸クロライドの形としたジカルボン酸とジアミンとを原料とする溶液重合法又は界面重合法、ジカルボン酸とジアミンを原料とする溶融重合法、固相重合法、溶融押出重合法などの方法により製造することができる。
ポリアミド(A)は、例えば、最初にジアミン、ジカルボン酸、及び必要に応じて触媒や末端封止剤を一括して添加してナイロン塩を製造した後、200~250℃の温度において加熱重合してプレポリマーとし、さらに固相重合するか、あるいは溶融押出機を用いて重合することにより製造することができる。重合の最終段階を固相重合により行う場合、減圧下又は不活性ガス流動下に行うのが好ましく、重合温度が200~280℃の範囲内であれば、重合速度が大きく、生産性に優れ、着色やゲル化を有効に抑制することができる。重合の最終段階を溶融押出機により行う場合の重合温度としては、370℃以下であるのが好ましく、かかる条件で重合すると、分解がほとんどなく、劣化の少ないポリアミド(A)が得られる。
ポリアミド(A)を製造するに際して使用することができる触媒としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、それらの塩又はエステルが挙げられる。上記の塩又はエステルとしては、リン酸、亜リン酸又は次亜リン酸と、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモン等の金属との塩;リン酸、亜リン酸又は次亜リン酸のアンモニウム塩;リン酸、亜リン酸又は次亜リン酸のエチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステルなどが挙げられる。中でも、次亜リン酸ナトリウム一水和物又は亜リン酸が好ましい。
ポリアミド(A)は、濃硫酸を溶媒として用いて30℃の条件下で測定した極限粘度[η]が、好ましくは0.60~1.2dl/g、より好ましくは0.65~1.1dl/gである。極限粘度[η]が0.60dl/g以上のポリアミド(A)を使用すれば、得られる成形体の機械的特性が良好になる。また極限粘度[η]が1.2dl/g以下のポリアミド(A)を使用すれば、成形性がより向上する。
ポリアミド(A)の極限粘度[η]は、実施例に記載の方法により測定される。
ポリアミド(A)の融点は、耐熱性の観点の他、本発明の効果がより顕著に奏されることなどから、280℃以上であり、好ましくは290℃以上、より好ましくは300℃以上である。そして、溶融成形する際のポリアミドの熱分解等を抑制する観点から、好ましくは350℃以下、より好ましくは340℃以下、さらに好ましくは330℃以下である。ポリアミド(A)の融点は、後述する実施例の欄に記載の方法によって測定することができる。
[ガラス繊維(B1)]
本実施態様に係るポリアミド成形体は、ガラス繊維(B1)を含有する。このガラス繊維(B1)は、平均繊維径が12μm以下であり、かつ、長手方向に垂直な断面における平均異形比が1.5未満である。ガラス繊維(B1)は、1種を単独で用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。ポリアミド成形体は、ガラス繊維(B1)を含有することにより、その機械的強度を優れたものとすることができる。
ガラス繊維(B1)は、ポリアミド成形体の機械的強度を高めるだけでなく、リフロー工程中に高温に曝されてもブリスター耐性に優れるポリアミド成形体を提供することに寄与する。そのメカニズムは明らかではないが、ガラス繊維(B1)は、リフロー工程におけるプリヒート(予熱)時にポリアミド成形体から水蒸気の蒸散を阻害しにくくすると考えられる。
ガラス繊維(B1)の平均繊維径は、ブリスター耐性により優れるポリアミド成形体を得る観点及び機械的強度により優れるポリアミド成形体を得る観点の少なくとも1つの観点から、好ましくは11μm以下、より好ましくは10.5μm以下、更に好ましくは10μm以下である。ガラス繊維(B1)の平均繊維径は、ブリスター耐性にさらに優れるポリアミド成形体を得る観点から小さいほどよく、例えば9μm以下、8μm以下又は7.5μm以下であってもよい。ガラス繊維(B1)の平均繊維径の下限は、入手可能である限りにおいて限定されないが、例えば0.5μm以上、1μm以上又は2μm以上としてもよい。
ガラス繊維(B1)の平均繊維径の測定
ガラス繊維(B1)の平均繊維径は、ガラス繊維(B1)を電子顕微鏡により観察し、断面画像を得、この画像を解析することにより求める。得られた画像において、400本のガラス繊維(B1)の各長径を測定し、この長径を各繊維径とみなす。なお、ここにいう長径とは、後述する異形比の算出に用いる長径と同じである。400本分の繊維径の平均値をガラス繊維(B1)の平均繊維径とする。ポリアミド成形体中におけるガラス繊維(B1)の平均繊維径は、例えば有機溶媒中でポリアミド成形体を溶解させ、ガラス繊維(B1)を抽出し、上記と同様の方法により求めることができる。ガラス繊維(B1)以外のガラス繊維(B2)についても同様の方法により平均繊維径を求めることができる。
図1は、一般的なガラス繊維の横断面の例を模式的に示す図であり、図1(a)は、横断面の外形がまゆ形である例を、図1(b)は、横断面の外形が楕円形である例を、図1(c)は、横断面の外形が長方形である例を示す。ガラス繊維(B1)の横断面における異形比は、横断面における長径をD1とし、横断面における短径をD2とした場合において、長径の短径に対する比の値(すなわち、D1/D2)で表される。ただし、長径と短径とは互いに直交するものとする。なお、ガラス繊維(B1)の横断面の外形が異形である場合、例えば、まゆ形(図1(a)参照)、楕円形(図1(b)参照)、半円形、長方形(図1(c)参照)、多角形、星形等の非円形断面である場合には、図1に示したように短径D2と長径D1とを特定することが可能である。なお、異形比の下限値は、1.0である(長径D1=短径D2)。通常、異形比は、多数個のガラス繊維(B1)の異形比の平均値として表される。ガラス繊維(B1)以外のガラス繊維(B2)についても同様の方法により横断面の異形比を求めることができる。
ガラス繊維(B1)の横断面における平均異形比は、ブリスター耐性により優れるポリアミド成形体を得る観点から、好ましくは1.4以下、より好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.2以下又は1.2未満、より更に好ましくは1.1以下又は1.05以下である。
ガラス繊維(B1)の平均異形比の測定
ガラス繊維(B1)の異形比は、ガラス繊維(B1)を電子顕微鏡により観察し、断面画像を得、この画像を解析することにより求める。得られた画像において、400本のガラス繊維(B1)において、図1のように長径と短径を特定する。特定した長径と短径から、比(長径/短径)を計算することにより異形比を求める。400本分の異形比の平均値をガラス繊維(B1)の平均異形比とする。ポリアミド成形体にあっては、有機溶媒中にポリアミド成形体を溶解させてガラス繊維(B1)を抽出することで、上記の方法と同様の方法にてガラス繊維(B1)の平均異形比を測定することができる。ガラス繊維(B1)以外のガラス繊維(B2)についても同様の方法により平均異形比を求めることができる。
ガラス繊維(B1)の平均繊維長は限定されない。例えば、ガラス繊維(B1)の平均繊維長は、1~10mmの範囲内、1~7mmの範囲内又は2~4mmの範囲内にある。
(表面処理剤)
ガラス繊維(B1)は、カップリング剤及び集束剤からなる群から選択される少なくとも1種の表面処理剤を含んでいてもよい。例えば、ガラス繊維(B1)は、集束剤を含んでいてもよい。また、ガラス繊維(B1)は、カップリング剤および集束剤を含んでいてもよい。ガラス繊維(B1)は、その表面に表面処理剤を含むことが好ましい。表面処理剤の付着量は、ガラス繊維(B1)の全質量(すなわちガラス繊維(B1)と表面処理剤との合計量)に対し、通常0.01質量%以上である。
カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
集束剤としては、ウレタン樹脂系集束剤、アクリル樹脂系集束剤、エポキシ樹脂系集束剤、酸無水物基含有樹脂系集束剤が挙げられる。ただし、ウレタン樹脂系集束剤、アクリル樹脂系集束剤及びエポキシ樹脂系集束剤が、酸無水物基を含む場合には、酸無水物基含有樹脂系集束剤に属するものとする。酸無水物基含有樹脂系集束剤は、少なくとも酸無水物基を含有する樹脂で構成され、好ましくは、酸無水物基を含有する共重合体で構成される。ブリスター耐性により優れるポリアミド成形体を得る観点及び機械的強度により優れるポリアミド成形体を得る観点からは、集束剤が、エポキシ樹脂系集束剤及び酸無水物基含有樹脂系集束剤からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。ブリスター耐性にさらに優れるポリアミド成形体を得る観点からは、集束剤が、エポキシ樹脂系集束剤を含むことが好ましい。機械的強度にさらに優れるポリアミド成形体を得る観点からは、集束剤がウレタン樹脂系集束剤を含むことが好ましい。ガラス繊維(B1)に関し適切な表面処理剤を選定することは、リフロー工程のピーク温度条件下であっても水蒸気の内圧に耐えることのできる強度をポリアミド成形体に付与することに寄与すると考えられる。
ガラス繊維(B1)の含有量は、先述のとおり、ポリアミド(A)100質量部に対して45~120質量部である。ガラス繊維(B1)の含有量がポリアミド(A)100質量部に対して45質量部以上であることにより、得られる成形体の機械的強度を高めることができる。斯かる観点から、ガラス繊維(B1)の含有量の下限について、50質量部以上、55質量部以上、60質量部以上又は65質量部以上としてもよい。また、ガラス繊維(B1)の含有量がポリアミド(A)100質量部に対して120質量部以下であることにより、得られる成形体の性能(例えば優れたブリスター耐性)を維持することができる。斯かる観点から、ガラス繊維(B1)の含有量の上限について、110質量部以下、100質量部以下、95質量部以下又は90質量部以下としてもよい。
ガラス繊維(B1)の作製方法は限定されない。ガラス繊維(B1)は、市販品であってもよいし、特注品であってもよい。例えば、ガラス繊維(B1)は、平均異形比が1.5未満を満たすガラス繊維を入手して、平均繊維径が12μm以下となるように作製してもよい。
本実施態様において用いられるポリアミド成形体において、上記ガラス繊維(B1)以外のガラス繊維(B2)を含んでいてもよい。ガラス繊維(B1)とガラス繊維(B2)を総称してガラス繊維(B)と称してもよい。ポリアミド成形体がガラス繊維(B1)とガラス繊維(B2)を含む場合、ポリアミド成形体中、ガラス繊維(B1)の含有量(質量部)は、ガラス繊維(B2)の含有量(質量部)よりも多いことが好ましく、ガラス繊維(B1)の含有量がガラス繊維(B2)の含有量の2倍以上であることがより好ましく、5倍以上であることが更に好ましく、10倍以上であることがより更に好ましい。
[ハロゲン系難燃剤(C)]
本実施態様に係るポリアミド成形体はハロゲン系難燃剤(C)を含有する。ハロゲン系難燃剤(C)を含有することにより、難燃性が向上する。
ハロゲン系難燃剤(C)に特に制限はなく、ハロゲン元素を含む難燃剤として公知の化合物を使用することができ、例えば、臭素系難燃剤(C1)、塩素系難燃剤(C2)などが挙げられ、臭素系難燃剤(C1)が好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(臭素系難燃剤(C1))
臭素系難燃剤(C1)としては、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン、デカブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモビスフェノールAエポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAカーボネート、エチレン(ビステトラブロモフタル)イミド、エチレンビスペンタブロモジフェニル、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジン、ビス(ジブロモプロピル)テトラブロモビスフェノールA、ビス(ジブロモプロピル)テトラブロモビスフェノールS、臭素化ポリフェニレンエーテル(ポリ(ジ)ブロモフェニレンエーテルなどを含む)、臭素化ポリスチレン(ポリジブロモスチレン、ポリトリブロモスチレン、架橋臭素化ポリスチレン等を含む。エポキシアクリレート等を付加した変性臭素化ポリスチレンであってもよい)、臭素化架橋芳香族重合体、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化スチレン-無水マレイン酸重合体、テトラブロモビスフェノールS、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、ポリブロモトリメチルフェニルインダン、トリス(ジブロモプロピル)-イソシアヌレートなどが挙げられる。
臭素系難燃剤(C1)としては、押出や成形などの溶融加工時の腐食性ガスの発生量を低下させ、電気部品又は電子部品の難燃性や機械的物性に優れる成形体を得る観点で、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリスチレンが好ましく、臭素化ポリスチレンがより好ましい。
臭素化ポリスチレンは、例えばスチレン単量体を重合してポリスチレンを製造した後、ポリスチレンのベンゼン環を臭素化する方法や、臭素化スチレン単量体(ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレンなど)を重合する方法により製造することができる。
臭素化ポリスチレン中の臭素含有量は、55~75質量%が好ましく、55~70質量%がより好ましい。臭素含有量を55質量%以上とすることにより、少ない臭素化ポリスチレンの含有量で難燃化に必要な臭素量を満足させることができ、また、機械的物性の低下も抑制され、かつ機械的物性及び耐熱性に優れたポリアミド成形体を得ることができる。また、臭素含有量を75質量%以下とすることにより、押出や成形などの溶融加工時において熱分解を起こし難く、ガス発生などを抑制することができ、また、耐熱変色性に優れるポリアミド成形体を得ることができる。
(塩素系難燃剤(C2))
塩素系難燃剤(C2)としては、例えば塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、ドデカクロロペンタシクロオクタデカ-7,15-ジエン(オキシデンタルケミカル社製「デクロランプラス25」)、無水ヘット酸などが挙げられる。
ハロゲン系難燃剤(C)の含有量は、ポリアミド(A)100質量部に対して25質量部以上60質量部以下である。斯かる含有量は、目的とする難燃性を満足する限りにおいて変更可能であり、好ましくは30質量部以上60質量部以下、より好ましくは35質量部以上60質量部以下である。ハロゲン系難燃剤(C)の含有量を30質量部以上とすることにより、難燃性に優れるポリアミド成形体を得ることができる。また、ハロゲン系難燃剤(C)の含有量を60質量部以下とすることにより、流動性に優れる樹脂組成物を得ることができ、また、機械的特性に優れるポリアミド成形体を得ることができる。複数種のハロゲン系難燃剤(C)を用いる場合には、それらの合計量が上記範囲に入ればよい。
[難燃助剤(D)]
本実施態様に係るポリアミド成形体は難燃助剤(D)をさらに含有してもよい。難燃助剤(D)をハロゲン系難燃剤(C)と併用することで、ポリアミド成形体が一層優れた難燃性を発揮することができる。
難燃助剤(D)としては、例えば三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン等の酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム等のアンチモン酸塩などのアンチモン系化合物;オルソリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ホウ酸メラミン、ポリリン酸メラミン等のメラミン系化合物;一酸化スズ、二酸化スズ等の酸化スズ;酸化第二鉄、γ酸化鉄等の酸化鉄;酸化アルミニウム、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化スズ、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム等の金属水酸化物;アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、スズ、アンチモン、ニッケル、銅、タングステン等の金属粉末;炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;ホウ酸亜鉛、ホウ酸カルシウム等の金属ホウ酸塩、;三酸化スズ亜鉛等のスズ酸亜鉛;シリコーンなどが挙げられる。但し、ガラス繊維(B1)及びガラス繊維(B2)に該当するものは除く。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記の中でも、アンチモン系化合物、メラミン系化合物、金属酸化物、金属水酸化物、金属ホウ酸塩、及びスズ酸亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、オルソリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ホウ酸メラミン、ポリリン酸メラミン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛、及び三酸化スズ亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
難燃助剤(D)は、粉体状で本実施態様に係るポリアミド成形体に含有しているのが好ましい。その平均粒径の上限は、30μmが好ましく、15μmがより好ましく、10μmがさらに好ましく、7μmが特に好ましい。一方、難燃助剤(D)の平均粒径の下限は、0.01μmが好ましい。平均粒径が0.01~30μmの場合、得られるポリアミド成形体の難燃性が向上する。
なお、本明細書において、「平均粒径」とは、体積平均粒径のことであり、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した粒度分布において積算体積が50%となる粒径(50%粒径D50)から求めることができる。
本実施態様に係るポリアミド成形体が難燃助剤(D)を含有する場合、難燃助剤(D)の含有量は、ポリアミド(A)100質量部に対して、0.1~50質量部であることが好ましく、1~25質量部がより好ましく、2~20質量部がさらに好ましく、3~15質量部がよりさらに好ましい。これにより、上述した効果を顕著に奏することができる。
[その他の成分(E)]
本実施態様に係るポリアミド成形体は、上述したポリアミド(A)、ガラス繊維(B1)及びハロゲン系難燃剤(C)、並びに必要に応じて用いられる難燃助剤(D)以外にその他の成分(E)を必要に応じて含んでもよい。
その他の成分(E)としては、例えば、銅化合物等の安定剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオ系酸化防止剤等の酸化防止剤(実施例で用いた(E1)成分);着色剤(実施例で用いた(E4)成分);紫外線吸収剤;光安定化剤;帯電防止剤;熱安定剤;結晶核剤;可塑剤;潤滑剤;離型剤(実施例で用いた(E3)成分);滑剤;分散剤;酸素吸収剤;硫化水素吸着剤;結晶化遅延剤;α-オレフィン系共重合体、ゴム等の衝撃改質剤;フッ素樹脂等のドリップ防止剤(実施例で用いた(E2)成分)などが挙げられる。
上記その他の成分(E)の含有量は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されないが、ポリアミド(A)100質量部に対して、0.02質量部以上200質量部以下が好ましく、0.03質量部以上100質量部以下がより好ましく、0.05~50質量部がさらに好ましく、0.1~20質量部がよりさらに好ましい。
本実施態様に係るポリアミド成形体全量中、ポリアミド(A)、ガラス繊維(B1)及びハロゲン系難燃剤(C)の合計含有量は、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、更に好ましくは60質量%以上であり、より更に好ましくは70質量%以上である。
本実施態様に係るポリアミド成形体は、上記ポリアミド(A)、ガラス繊維(B1)及びハロゲン系難燃剤(C)を所定量で含むことにより、上記ポリアミド(A)の優れた物性を維持しつつ、優れた難燃性を有し、かつ、リフロー工程中に高温に曝されてもブリスター耐性に優れるという効果を奏する。
(ポリアミド樹脂組成物)
本実施態様に係るポリアミド成形体は、ポリアミド樹脂組成物を成形したものである。すなわち、ポリアミド成形体に含まれる成分及び含有量と、ポリアミド樹脂組成物に含まれる成分及び含有量(仕込み量)は同一である。したがって、本発明において、上述のポリアミド成形体の材料は、本発明のポリアミド成形体を製造される際に用いるポリアミド樹脂組成物の材料として説明される。
(ポリアミド樹脂組成物の製造方法)
ポリアミド樹脂組成物の製造方法に特に制限はなく、ポリアミド(A)、ガラス繊維(B1)及びハロゲン系難燃剤(C)、並びに必要に応じて用いられる難燃助剤(D)及び上記その他の添加剤を均一に混合することのできる方法を好ましく採用することができる。混合は、通常、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどを使用して溶融混練する方法が好ましく採用される。溶融混練条件は特に限定されないが、例えば、ポリアミドの融点よりも10~50℃程度高い温度範囲で、約1~30分間溶融混練する方法が挙げられる。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例及び比較例における各評価は、以下に示す方法に従って行った。
<1.ブリスター耐性の評価>
住友重機械工業株式会社製の射出成形機(型締力:18トン、スクリュー径:φ18mm)を使用し、実施例及び比較例で調製したポリアミド樹脂組成物を用いて、(A)成分であるポリアミドの融点よりも14℃高いシリンダー温度とし、金型温度140℃の条件下で、ポリアミド樹脂組成物を射出成形し、ポリアミド成形体として、長さ30mm、幅10mm、厚み1mmのシート状の成形体Aを複数作製した。
得られた複数の試験片を温度85℃、相対湿度85%の条件で168時間静置した。その後、リフロー装置((株)タムラ製作所製、TNP25-538EM)を用いて、それら試験片に対してリフロー試験を行った。リフロー試験では25℃から60秒をかけて150℃まで昇温し、その後90秒をかけて180℃まで昇温し、さらに60秒をかけてピーク温度まで昇温してピーク温度で20秒間保持した。ピーク温度は260℃とした。
リフロー試験終了後、各試験片の外観を目視にて観察した。試験片の表面にわずかでも突起(膨れ)が1か所でも発生した場合、当該試験片にはブリスターが発生したと判断した。
100個の試験片の観察結果から、ブリスター発生率を算出した。具体的には、ブリスター発生率を、100個の試験片のうち、1か所でもブリスターが発生した試験片の数の割合(百分率)として算出した。
ブリスター耐性は、以下の5段階の指標で評価した。評価結果が「A」、「B」であれば実用上差し支えないレベルである。
A:ブリスター発生率が0%以上10%未満
B:ブリスター発生率が10%以上25%未満
C:ブリスター発生率が25%以上50%未満
D:ブリスター発生率が50%以上75%未満
E:ブリスター発生率が75%以上100%以下
<2.機械的特性の評価1>
まず、以下に示すように厚みが4mmの試験片を作製した。続いて、この試験片を用いて、引張特性、曲げ特性といった機械的特性を評価した。
[2-1.成形体B,Cの作製]
住友重機械工業株式会社製の射出成形機(型締力:100トン、スクリュー径:φ32mm)を使用し、実施例及び比較例で調製したポリアミド樹脂組成物を用いて、(A)成分のポリアミドの融点よりも14℃高いシリンダー温度とし、金型温度140℃の条件下で、Tランナー金型を用いてポリアミド樹脂組成物を成形し、多目的試験片タイプA1(JIS K7139:2009に記載されたダンベル型の試験片:厚み4mm、全長170mm、平行部長さ80mm、中央の平行部幅10mm)(以下、「成形体B」ともいう)を作製した。
また、成形体Bと同形状で、かつその平行部中心に平行部の長手方向に対して垂直方向にウェルドが入った成形体(以下、「成形体C」ともいう)を成形した。
[2-2.引張特性:引張破断強度及び引張破断ひずみ]
上記2-1で作製した成形体Bを用い、ISO527-1(2012年第2版)に準拠して試験速度1mm/分、つかみ具間距離115mmの条件で、万能材料試験機(インストロン製)を使用して、引張破断強度(MPa)、引張破断ひずみ(%)を測定した。
[2-3.引張特性:ウェルド引張破断強度]
上記2-1で作製した成形体Cを用い、ISO527-1(2012年第2版)に準拠して試験速度1mm/分、つかみ具間距離115mmの条件で、万能材料試験機(インストロン製)を使用して、ウェルド引張破断強度(MPa)を測定した。
[2-4.曲げ特性:曲げ強度及び曲げ弾性率]
上記2-1で作製した成形体Bを用い、ISO178(2012年第2版)に準拠して、試験速度2mm/分、支点間距離64mmの条件で、万能材料試験機(インストロン製)を使用して、曲げ強度(MPa)及び曲げ弾性率(GPa)を測定した。
<3.機械的特性の評価2>
厚みが1mmの試験片を作製した。続いて、この試験片を用いて、曲げ特性の観点から機械的特性を評価した。
[3-1.曲げ特性:曲げ強度及び曲げ弾性率並びにウェルド曲げ強度]
住友重機械工業株式会社製の射出成形機(型締力:18トン、スクリュー径:φ18mm)を使用し、実施例及び比較例で調製したポリアミド樹脂組成物を用いて、(A)成分のポリアミドの融点よりも14℃高いシリンダー温度とし、金型温度140℃の条件下で、ポリアミド樹脂組成物を射出成形し、長さ30mm、幅10mm、厚み1mmのシート状の成形体Dと、成形体Dと同形状で、かつその平行部の長手方向に対して垂直方向にウェルドが入った成形体Eを作製した。
得られた成形体Dを用い、試験速度1mm/分、支点間距離16mmの条件で、精密万能材料試験機AG-2000B(島津製作所製)を使用して、曲げ強度(MPa)及び曲げ弾性率(GPa)を測定した。
また、得られた成形体Eを用い、試験速度1mm/分、支点間距離16mmの条件で、精密万能材料試験機AG-2000B(島津製作所製)を使用して、ウェルド曲げ強度(MPa)を測定した。
<4.難燃性の評価>
UL-94規格の規定に準じて難燃性の評価を行った。
日精樹脂工業株式会社製の射出成形機(型締力:80トン、スクリュー径:φ26mm)を使用し、実施例及び比較例で調製したポリアミド樹脂組成物を用いて、(A)成分のポリアミドの融点よりも14℃高いシリンダー温度とし、金型温度140℃の条件下でポリアミド樹脂組成物を成形し、厚み0.75mm、幅13mm、長さ125mmの成形体Fを得た。
次いで、得られた成形体Fの上端をクランプで止めて成形体Eを垂直に固定し、下端に高さ20±1mmの青い所定の炎を10秒間当てて離し、成形体Fの燃焼時間(1回目)を測定した。消火したら直ちに再び下端に炎を当てて離し、成形体Fの燃焼時間(2回目)を測定した。5片について同じ測定を繰り返し、1回目の燃焼時間のデータ5個と、2回目の燃焼時間のデータ5個の、計10個のデータを得た。10個のデータの合計をT、10個のデータのうち最大値をMとし、下記評価基準に従って評価した。
また、接炎中のドリップの有無を目視にて確認した。
〔評価基準〕
V-0:Tが50秒以下かつMが10秒以下で、クランプまで燃え上がらず、炎のついた溶融物が落ちても12インチ下の綿に着火しなかった。
V-1:Tが250秒以下かつMが30秒以下で、クランプまで燃え上がらず、炎のついた溶融物が落ちても12インチ下の綿に着火しなかった。
V-2:Tが250秒以下かつMが30秒以下で、クランプまで燃え上がらず、炎のついた溶融物が落ちて12インチ下の綿に着火した。
X:前記UL94のいずれの評価基準も満たさない場合。
<実施例1~4及び比較例1,2>
ポリアミド(A)と、ガラス繊維(B1)又はガラス繊維(B2)と、ハロゲン系難燃剤(C)とを少なくとも含有するポリアミド樹脂組成物を調製した。
具体的には、表1に示した配合でポリアミド樹脂組成物を調製した。このために、ガラス繊維(B1)又はガラス繊維(B2)以外の成分を、二軸押出機(STEER Engineering社製の「MEGA 32L」:スクリューφ31.6mm、L/D=52、回転数150rpm、吐出量10kg/h)の最上流部のホッパーより供給し、また、ガラス繊維(B1)又はガラス繊維(B2)を、サイドフィーダーより供給して320℃にて溶融混練した。溶融混練されたポリアミド樹脂組成物をストランド状に押出し、冷却後、切断して、ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを使用し、前記した方法に従って所定形状の各成形体を作製し、各種物性を評価した。結果を表1に示す。
なお、表1中に示す各成分は以下の通りである。
〔ポリアミド(A)〕
・製造例1で得られたポリアミド1
<製造例1:ポリアミド(A-1)の製造>
テレフタル酸7882.0g、1,9-ノナンジアミン:2-メチル-1,8-オクタンジアミン=85:15(モル比)のジアミン混合物7742.9g、末端封止剤として安息香酸280.8g、次亜リン酸ナトリウム一水和物16.0g、及び蒸留水4Lを、内容積40Lのオートクレーブに入れた。続いて、窒素置換した。2時間かけて内部温度を200℃に昇温した。この時、オートクレーブは2MPaまで昇圧した。その後、内部温度215℃に保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2MPaに保ちながら2時間反応させた。次いで、30分かけて圧力を1.2MPaまで下げ、プレポリマーを得た。このプレポリマーを6mm以下の大きさまで粉砕し、120℃、減圧下で12時間乾燥した。これを温度230℃、圧力13.3Paの条件で10時間固相重合し、ポリアミド(A-1)を得た。
ポリアミド(A-1)の融点は、306℃であり、極限粘度[η]は、0.93dl/gであった。融点及び極限粘度は、以下のように測定した。
・融点
(A)成分のポリアミドの融点は、(株)日立ハイテクサイエンス製の示差走査熱量分析装置「DSC7020」を使用して、窒素雰囲気下で、30℃から340℃へ10℃/分の速度で昇温した時に現れる融解ピークのピーク温度を融点(℃)とした。なお、融解ピークが複数ある場合は最も高温側の融解ピークのピーク温度を融点とした。
・極限粘度[η]
濃硫酸(濃度:98質量%)を溶媒として、溶液濃度cがそれぞれ0.05、0.1、0.2、及び0.4g/dlとなるように、(A)成分のポリアミドの濃硫酸溶液を試料溶液として調製した。続いて、30℃の恒温槽中で、Ubellohde型粘度計を用いて、溶媒の流下時間t0(秒)と、各濃度の試料溶液の流下時間t1(秒)とを測定した。下記式によりインヘレント粘度(ηinh)を算出し、インヘレント粘度(ηinh)を濃度0に外挿した値を(A)成分のポリアミドの極限粘度[η]とした。
ηinh(dl/g)=[ln(t1/t0)]/c
[式中、t0は溶媒の流下時間(秒)を表し、t1は試料溶液の流下時間(秒)を表し、cは溶液濃度(g/dl)を表す。]
〔ガラス繊維(B1)〕
・ガラス繊維(B1-1):その表面にウレタン系集束剤を含むガラス繊維チョップドストランド(長さ:3mm、平均繊維径:10μm、平均異形比:1.0(断面形状:丸型))
・ガラス繊維(B1-2):その表面にウレタン系集束剤を含むガラス繊維チョップドストランド(長さ:3mm、平均繊維径:7μm、平均異形比:1.0(断面形状:丸型))
・ガラス繊維(B1-3):酸無水物基含有樹脂系集束剤を含むガラス繊維チョップドストランド(長さ:3mm、平均繊維径:10μm、平均異形比:1.0(断面形状:丸型)、直径:10μm)
・ガラス繊維(B1-4):その表面にエポキシ樹脂系集束剤を含むガラス繊維チョップドストランド(長さ:3mm、平均繊維径:10μm、平均異形比:1.0(断面形状:丸型))
〔ガラス繊維(B2)〕
・ガラス繊維(B2-1):その表面にウレタン系集束剤を含むガラス繊維チョップドストランド(長さ:3mm、平均繊維径:13μm、平均異形比:1.0(断面形状:丸型))
・ガラス繊維(B2-2):その表面にウレタン系集束剤を含むガラス繊維チョップドストランド(長さ:3mm、短径:7μm、長径:28μm、異形比:4.0(断面形状:扁平))
・ガラス繊維(B1)の平均繊維径の測定
ガラス繊維(B1)の平均繊維径は、ガラス繊維(B1)を電子顕微鏡により観察し、断面画像を得、この画像を解析することにより求めた。得られた画像において、400本のガラス繊維(B1)の各長径を測定し、この長径を各繊維径とみなした。400本分の繊維径の平均値をガラス繊維(B1)の平均繊維径とした。ガラス繊維(B2)についても同様の方法により平均繊維径を求めた。
・ガラス繊維(B1)の平均異形比の測定
ガラス繊維(B1)の異形比は、ガラス繊維(B1)を電子顕微鏡により観察し、断面画像を得、この画像を解析することにより求めた。得られた画像において、400本のガラス繊維(B1)において、図1のように長径と短径を特定した。特定した長径と短径から、比(長径/短径)を計算することにより異形比を求めた。400本分の異形比の平均値をガラス繊維(B1)の平均異形比とした。ガラス繊維(B2)についても同様の方法により平均異形比を求めた。
〔ハロゲン系難燃剤(C)〕
・臭素系難燃剤:LANXESS Solutions Japan Ltd.製、商品名「Firemaster CP-44HF」(グリシジルメタクリレート変性ポリ臭素化スチレン)
〔難燃助剤(D)〕
・難燃助剤:日本軽金属(株)製、商品名「Flamtard S」(錫酸亜鉛)
〔その他の成分(E)〕
・(E1)成分(酸化防止剤):住友化学(株)製、商品名「Sumilizer GA-80」(3,9-ビス{1,1-ジメチル-2-〔β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)
・(E2)成分(ドリップ防止剤):三井・デュポンフロロケミカル(株)製、商品名「640-J」(ポリテトラフルオロエチレン粉末)
・(E3)成分(離型剤):三井化学(株)製、商品名「ハイワックス 200P」(ポリオレフィン系ワックス)
・(E4)成分(着色剤):カーボンブラック:三菱ケミカル(株)製、商品名「#980B」
表1から、実施例1~4と比較例1,2とを比べると、実施例で調製したポリアミド樹脂組成物からなる1mmの厚みを有するポリアミド成形体は、優れた難燃性を有しており、かつ、リフロー工程中に高温に曝されてもブリスター耐性に優れることが分かった。
また、表1から、実施例1~4と比較例1,2とを比べると、実施例で調製したポリアミド樹脂組成物からなる4mmの厚みを有するポリアミド成形体の機械的特性、特に引張破断強度、曲げ強度及び引張破断ひずみに優れることが分かった。さらに、表1から、実施例1~4と比較例1,2とを比べると、実施例で調製したポリアミド樹脂組成物からなる1mmの厚みを有するポリアミド成形体は、そのほかの特性、例えば、難燃性、機械的特性等において遜色がないことが分かった。
上記のように、本発明のポリアミド成形体は、優れた難燃性を有しており、かつ、リフロー工程中に高温に曝されてもブリスター耐性に優れる。特に、本発明のポリアミド成形体は、電気的な接続の高い信頼性が求められることが必要とされる各種成形品に有用である。

Claims (10)

  1. 0.5mm超の厚みを有するポリアミド成形体であって、
    前記ポリアミド成形体が、
    融点280℃以上のポリアミド(A)と、ガラス繊維(B1)と、ハロゲン系難燃剤(C)とを含有し、
    前記ガラス繊維(B1)の含有量が、前記ポリアミド(A)100質量部に対して45~120質量部であり、
    前記ハロゲン系難燃剤(C)の含有量が、前記ポリアミド(A)100質量部に対して25~60質量部であり、
    前記ガラス繊維(B1)は、
    平均繊維径が12μm以下であり、かつ、
    長手方向に垂直な断面における平均異形比が1.5未満である、
    ポリアミド成形体。
  2. 前記ポリアミド(A)が半芳香族ポリアミドである、請求項1に記載のポリアミド成形体。
  3. 前記半芳香族ポリアミドにおいて、該半芳香族ポリアミドを構成するジカルボン酸に由来する構成単位のうちの50モル%超が芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位であり、かつ、該半芳香族ポリアミドを構成するジアミンに由来する構成単位のうちの50モル%超が炭素数4~18の脂肪族ジアミンに由来する構成単位である、請求項2に記載のポリアミド成形体。
  4. 前記脂肪族ジアミンが、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、及び1,10-デカンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項3に記載のポリアミド成形体。
  5. 前記ポリアミド成形体が、さらに難燃助剤(D)を含有し、
    前記難燃助剤(D)の含有量が、前記ポリアミド(A)100質量部に対して、0.1~50質量部である、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリアミド成形体。
  6. 前記ハロゲン系難燃剤(C)が、臭素化ポリスチレン及びポリ臭素化スチレンの少なくとも1種である、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリアミド成形体。
  7. 前記ガラス繊維(B1)が、カップリング剤及び集束剤からなる群から選択される少なくとも1種の表面処理剤を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のポリアミド成形体。
  8. 前記集束剤が、ウレタン樹脂系集束剤、アクリル樹脂系集束剤、エポキシ樹脂系集束剤及び酸無水物基含有樹脂系集束剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項7に記載のポリアミド成形体。
  9. 射出成形体である、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリアミド成形体。
  10. SMT対応車載用コネクタの一部である、請求項1~9のいずれか1項に記載のポリアミド成形体。
JP2022212747A 2022-12-28 ポリアミド成形体 JP2024095449A (ja)

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024095449A true JP2024095449A (ja) 2024-07-10

Family

ID=

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TW593542B (en) Polyamide composition
WO2017131018A1 (ja) 成形品及びその製造方法
JP6226704B2 (ja) ポリアミド樹脂組成物
JP2003041117A (ja) ポリアミド組成物
JP6377135B2 (ja) ポリアミド
JP7141016B2 (ja) ポリアミド組成物
TW202020018A (zh) 聚醯胺組成物
JP2017014388A (ja) ポリアミド樹脂組成物及び成形体
JP2000204239A (ja) ポリアミド組成物
JP2024095449A (ja) ポリアミド成形体
JP2020029538A (ja) ポリアミド組成物
JP7364571B2 (ja) ポリアミド組成物、該ポリアミド組成物の製造方法、及び該ポリアミド組成物からなる成形品
US11970612B2 (en) Polyamide composition and molded product composed of said polyamide composition
WO2023120459A1 (ja) ポリアミド組成物
WO2023120458A1 (ja) ポリアミド組成物
WO2023120460A1 (ja) ポリアミド組成物
WO2023120456A1 (ja) ポリアミド組成物
WO2023120461A1 (ja) ポリアミド組成物
TW202334279A (zh) 聚醯胺組成物
JP2004002811A (ja) ポリアミド樹脂組成物
WO2024029470A1 (ja) ポリアミド樹脂組成物、押出成形体、及び押出成形体の製造方法
CN114555712A (zh) 半芳香族聚酰胺的混合物和具有改进的熔接线强度的成型品