JP2024094879A - 容器詰め飲料の製造方法 - Google Patents

容器詰め飲料の製造方法

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アサヒビール株式会社
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Abstract

【課題】乾燥果実入り飲料を製造する際に、乾燥果実の破砕やそれに伴う製造上の不都合の発生を抑制すること。
【解決手段】乾燥果実を含む容器詰め飲料の製造方法であって、空容器に乾燥果実を充填する乾燥果実充填工程と、乾燥果実充填工程の後、ノンシールガッシングを実施せずに、飲料を充填する飲料充填工程と、飲料充填工程の後、容器に蓋を取り付ける蓋取付工程と、を含む容器詰め飲料の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、乾燥果実を含む容器詰め飲料の製造方法に関する。
近年、飲料分野においても味などの物理的価値だけでなく、併せて新たな体験価値を提供することが求められている。
本発明者らは、新規の果実入り容器詰め飲料を開発するなかで、一定の条件のもとでは、容器が密閉状態のときには飲料中に当該果実が浸漬しているにもかかわらず、容器が開封されたときに、当該果実が飲料液面に向かってゆっくり浮き上がる現象を予想外に発見した。このような、容器詰め飲料を、工業的に製造しようとすると、例えば、空容器に乾燥果実を充填した後、飲料を充填して容器に蓋を取り付ける方法や、空容器に飲料を充填した後、乾燥果実を充填して容器に蓋を取り付ける方法などが考えられる。
前者の方法を採用して製造する場合、以下のような問題がある。
容器詰め飲料を製造する場合、通常、容器に飲料を充填する前にガッシング(容器内の空気(酸素)を除去する目的で、二酸化炭素等のガスを吹き付ける工程)を行うが、その際に、容器内に乾燥果実が入っていると、乾燥果実が容器内壁面に衝突して乾燥果実が破砕し、その破片が充填バルブに付着し、飲料充填が継続困難になるなどの不都合が生じる。
本発明により、乾燥果実入り飲料を製造する際に、乾燥果実の破砕やそれに伴う製造上の不都合の発生を抑制することができることを見出した。具体的には、本発明者らは、特にノンシールガッシングによって乾燥果実が破砕する可能性が高いことを見出した。したがって、ノンシールガッシングを実施しないことによって乾燥果実の破砕発生を抑制することが可能となる。したがって、本発明は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕乾燥果実を含む容器詰め飲料の製造方法であって、
空容器に乾燥果実を充填する乾燥果実充填工程と、
乾燥果実充填工程の後、ノンシールガッシングを実施せずに、飲料を充填する飲料充填工程と、
飲料充填工程の後、容器に蓋を取り付ける蓋取付工程と、
を含む容器詰め飲料の製造方法。
〔2〕シールガッシングを実施しない、〔1〕に記載の容器詰め飲料の製造方法。
〔3〕飲料充填工程において充填する飲料を供給するための飲料タンク内の酸素を抜く工程をさらに含む、〔1〕又は〔2〕に記載の容器詰め飲料の製造方法。
〔4〕前記飲料が炭酸飲料であり、
飲料充填工程において、充填する飲料の温度が8℃以下である、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の容器詰め飲料の製造方法。
〔5〕飲料充填工程の後、蓋取付工程の前に、置換ガスを流して容器内のガスを置換するガス置換工程をさらに含み、
ガス置換工程において、置換ガスの流量が200NL/min以下である、〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の容器詰め飲料の製造方法。
本発明により、乾燥果実入り飲料を製造する際に、乾燥果実の破砕やそれに伴う製造上の不都合の発生を抑制することができる。
本発明の乾燥果実を含む容器詰め飲料の製造方法は、空容器に乾燥果実を充填する乾燥果実充填工程と、乾燥果実充填工程の後に、ノンシールガッシングを実施せずに、飲料を充填する飲料充填工程と、飲料充填工程の後に、容器に蓋を取り付ける蓋取付工程と、を含む。
<乾燥果実>
本発明において、乾燥果実の原料となる果実の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、飲料に一般的に使用される果実等、例えば、レモン、ライム、及びオレンジ等の柑橘類や、リンゴ、ブルーベリー、ウメ(梅干しを含む)、モモ、イチゴ、パイナップル、ブドウ、マンゴー、イチジク、アプリコット、ナシ、バナナ、キウイ等を適宜選択して使用することができる。乾燥果実は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
また、乾燥果実が柑橘類の場合、アルベド及び外果皮を含んでいてもよいし、アルベド及び外果皮を除去していてもよい。また、柑橘類以外の果実の場合であっても、外果皮は、含んでいてもよいし、除去してもよい。
乾燥果実の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、そのままの形状であってもよく、スライスされていてもよいし、くし切りにされていてもよい。
また、本発明における「乾燥果実」は、乾燥処理を受けた果実材料全般を指し、当該乾燥果実が、例えば本発明における飲料を含侵した状態にあっても、便宜上「乾燥果実」と呼ぶ。
乾燥果実をスライスする場合において、乾燥前の厚さは1.0~8.0mmであってもよく、2.0~6.0mmであってもよい。ここで、本発明においては「乾燥果実の厚さ」は、便宜上、飲料を充填した時点での厚さとし、当該乾燥果実の厚さは0.5~5.0mmであってもよく、1.0~3.0mmであってもよい。また、本発明の容器詰め飲料中の乾燥果実は、飲料が含侵されることによってその厚さが1.0~8.0mmであってもよく、2.0~6.0mmであってもよい。
本発明における乾燥果実の厚さを上記の数値範囲に調製することで破損しにくく、後述の乾燥果実が飲料液面に向かって浮き上がる動作の制御がしやすくなる。
また、本発明における「乾燥果実」は、糖コーティングされていてもよい。乾燥果実の種類によっては、糖コーティングされることで、飲料中に長期間浸漬された状態で保管した後であっても、飲料を充填した時点の形状や硬度、またはそれに近い形状や硬度をより保持できることから、後述の容器の開封時の視覚的な楽しみを補うことができる。特に、スライス形状の乾燥果実は、飲料中に浸漬した状態で長期間保管すると麩のような状態になる場合があるので、乾燥果実の美観を保つ観点から糖コーティングされてもよい。また、糖コーティングによって、乾燥果実の強度を増してもよい。乾燥果実の強度を向上させることで、例えば容器詰め飲料の製造において、容器に乾燥果実を投入してからガッシング(酸化抑制目的で容器内の空気を窒素に置換する工程)を行い、その後、飲料を添加するという工程を経る場合に、ガッシングで乾燥果実が吹き付けられた窒素ガスによって跳ね上がり、容器内壁にぶつかり破損することを防止してもよい。糖コーティングに用いる糖は、本分野で一般に使用されるものであれば、特に限定されないが、例えば砂糖(ショ糖、スクロース)、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、麦芽糖(マルトース)、トレハロース、及び乳糖などであってもよい。
乾燥果実を製造する方法は、特に限定されるものではなく、本発明の乾燥果実は、例えば、熱風乾燥法(エアドライ)、真空凍結乾燥法(フリーズドライ)、真空乾燥法(バキュームドライ)等の一般的な乾燥手法を用いて製造することができる。また、真空凍結乾燥法や、真空乾燥法により製造された乾燥果実は、熱風乾燥法により製造された乾燥果実に比べて、多孔質となり、炭酸飲料中に浸漬させにくくなる傾向にあるため、熱風乾燥法により製造された乾燥果実を使用してもよい。本発明の乾燥果実は、乾燥処理直後における水分含有量が、例えば20質量%以下であってもよく、10質量%以下であってもよい。
糖コーティングされた乾燥果実を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、上記糖を含む水溶液などの糖液に浸漬した果実(生果実を含む)を、上記のような乾燥法で乾燥させる工程を含んでいてもよい。
<容器>
容器詰め飲料において使用される容器に特に制限はなく、ツーピース飲料缶、スリーピース飲料缶、ボトル缶、可撓性容器、ガラス瓶などを用いることができる。可撓性容器としては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の可撓性樹脂をボトル形状等に成形してなる容器が挙げられる。可撓性容器は、単層樹脂からなるものであってもよく、多層樹脂からなるものであってもよい。
乾燥果実が炭酸飲料中、例えば後述の底部から浮き上がってくる様子を視覚的に楽しむため、容器はフルオープンエンド缶又は透明な容器であってもよい。また、乾燥果実を容器に入れる際の開口部によって、入れられる乾燥果実の大きさに制限されないために、フルオープンエンド缶であってもよい。
<飲料>
本発明に係る柑橘系飲料は、炭酸ガスを含有していない非発泡性飲料であってもよく、炭酸ガスを含有する発泡性飲料(炭酸飲料)であってもよい。
本発明における炭酸飲料は、炭酸を含有する飲料であれば、特に限定されない。炭酸飲料の炭酸含有量は、炭酸飲料と乾燥果実とを含有する容器が密閉状態のときには炭酸飲料中に乾燥果実が浸漬しており、かつ、容器が開封されたときには浸漬している乾燥果実が炭酸飲料液面に向かって浮き上がるようなガスボリュームであれば特に限定されない。当該炭酸含有量は、例えば乾燥果実の種類や厚さや大きさや質量などに応じて調整されてもよい。また、本発明における炭酸飲料は、ベースとなる炭酸非含有飲料に、必要に応じて炭酸ガスを一般的な方法で圧入することにより製造してもよい。当該炭酸含有量は、20℃において0.5GV以上であってもよいし、1.0GV以上であってもよいし、1.5GV以上であってもよいし、2.0GV以上であってもよい。また、当該炭酸含有量は、5.0GV以下であってもよいし、4.0GV以下であってもよい。本発明における炭酸飲料中の炭酸含有量は、本分野で一般に使用されるGVテスター、例えば、GVA-500B(京都電子株式会社製)で測定した値としてもよい。
なお、炭酸飲料のガスボリュームは容器の耐圧や製造条件によっても制限され、例えば、製造工程において加熱殺菌を行う場合は、加熱中の容器内の圧力を、容器の耐圧以下にする必要があるため、加熱殺菌を行わない場合に比べて、ガスボリュームは制限される。また、炭酸ガスが静菌作用を有することから、容器内の炭酸ガス圧力が20℃で98kPa以上であり、飲料に果汁や果実、乳等の植物又は動物の組織成分を含まない場合、加熱殺菌が不要であり、ガスボリュームを高くすることができる。
炭酸飲料は、ノンアルコール飲料であってもよく、アルコール飲料であってもよい。また、発酵工程を経て製造される飲料であってもよく、発酵工程を経ずに製造される飲料であってもよい。本発明における炭酸飲料がアルコール飲料である場合、アルコール度数(エタノールの体積濃度)は特に制限されず、目的とする製品品質に応じて適宜決定される。例えば、アルコール度数を、0.7容量%以上、または、1容量%以上、または、2容量%以上、または、3容量%以上になるように、炭酸飲料の酒類含有量を調整してもよい。また、本発明における炭酸飲料がアルコール飲料である場合、エキス分は0~15度であってもよく、1~10度であってもよく、3~7度でもよい。
また、本発明における炭酸飲料は、容器詰め飲料に含まれる乾燥果実と同種又は異種の果実等の香料や、果実系フレーバー以外の香料を含有していてもよい。
本発明における炭酸飲料のpHは、微生物制御や香気成分の劣化抑制などの目的に応じて調整されてもよい。一般に、飲料のpHが低いほど微生物が発育し難くなるが、pHが低すぎると、酸味が強くなりすぎる。また、香気成分の中には、pHが低くなると劣化しやすいものもある。飲料として適した酸味の強さや香気成分の劣化抑制の点から、炭酸飲料のpHは、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3.0以上である。また、微生物の生育抑制や殺菌条件の強度等を考慮し、本発明における炭酸飲料のpHは、アルコールを含有していない場合は、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、さらに好ましくは4.0未満である。当該炭酸飲料がアルコールを含有している場合は、そのpHは、好ましくは6.5以下、より好ましくは5.0以下である。
例えば、飲料にpHが低いほど劣化しやすくなる香気成分が多く含有されている場合は、当該炭酸飲料のpHを比較的高くすることが好ましい。例えば、シトラールはpHが低いほど劣化しやすくなるため、本発明に係る容器詰め飲料が、シトラールを含むレモン風味の飲料の場合、当該炭酸飲料のpHを3.0以上にすることが好ましく、3.5以上にすることがより好ましく、微生物の発育を充分に抑制でき、かつレモン風味として好ましい酸味を達成しやすいため、pHを3.0~4.0にすることが好ましく、3.5~3.7にすることが特に好ましい。
本発明における炭酸飲料は、例えば、酒類、炭酸水、果実、野菜類、ハーブ、糖類、香味料、その他の食品素材、食品添加物などの任意成分を含んでいてもよい。以下に当該任意成分について説示する。
<乾燥果実を含む容器詰め飲料>
本発明において、乾燥果実を含む容器詰め飲料は、炭酸飲料と乾燥果実とを含み、当該容器が密閉状態のときには炭酸飲料中に乾燥果実が浸漬しており、容器が開封されたときには浸漬している乾燥果実が炭酸飲料液面に向かって浮き上がることを特徴とするものであってもよい。
乾燥果実が炭酸飲料中に浸漬している状態とは、乾燥果実が炭酸飲料の液面に浮かずに炭酸飲料中に浸っている状態であればよく、乾燥果実が容器の底部に沈んでいる状態でもよく、乾燥果実が炭酸飲料中を漂っている状態でもよい。容器が開封された時点から、乾燥果実が炭酸飲料液面に浮き上がった時点までの所要時間は特に限定されないが、例えば0(直後)~120秒間であってもよいし、0.1~60秒間であってもよいし、0.5~30秒間であってもよいし、1~10秒間であってもよい。容器が開封されてから、ふわふわと浮き上がってくる乾燥果実の動作を視覚的に楽しむことができる。
浮き上がった後の乾燥果実は、炭酸飲料液面に浮いたままであってもよいし、再び炭酸飲料中に浸漬されてもよい。また、本発明の容器詰め飲料に含まれる乾燥果実には、その組織中に炭酸飲料が含侵されているために、当該乾燥果実の食感は水分含有量が低い乾燥状態の場合とは異なる嗜好性を有していてもよい。
≪乾燥果実充填工程≫
乾燥果実充填工程において、空容器に乾燥果実を充填する。空容器に乾燥果実を充填する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば手作業で行う、ロボットを使用して行うなどの方法が挙げられる。
≪飲料充填工程≫
本発明においては、乾燥果実充填工程の後、ノンシールガッシングを実施せずに、飲料を充填する。容器詰め飲料の製造方法において、飲料を充填する前に、通常容器内の空気を炭酸ガスで置換するガッシング処理を行う。ガッシング処理には、ノンシールガッシング処理と、シールガッシング処理とがある。本発明においては、特にノンシールガッシングによって乾燥果実が破砕する可能性が高いことから、ノンシールガッシングを実施しないことによって乾燥果実の破砕発生を抑制している。
本発明においては、好ましくはシールガッシングを実施しない。
シールガッシングを実施することもできるが、シールガッシングはノンシールガッシングに比べて、乾燥果実の破損の程度は低いものの、やはり破損は発生し得る。ノンシールガッシングとあわせてシールガッシングも実施しないことで、乾燥果実の破砕発生をさらに抑制することができる。
飲料を充填する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば市販の飲料充填装置(フィラー)を使用することができる。
本発明においては、飲料が炭酸飲料である場合、飲料充填工程において充填する飲料の温度は、好ましくは8℃以下であり、より好ましくは6℃以下である。
飲料が炭酸飲料の場合、飲料を充填する際に、容器内に乾燥果実が存在することで、飲料が泡立ちやすくなる。飲料が泡立つと、乾燥果実が容器からあふれ出てしまう場合もある。充填する飲料の温度を特定の温度以下とすることで、泡立ち(フォーミング)を抑制することができる。
≪飲料タンク内の酸素を抜く工程≫
本発明において、好ましくは充填する飲料を供給するための飲料タンク内の酸素を抜く工程をさらに含む。
飲料の充填は、通常、容器の開口部を閉鎖して行われる。容器の開口部を閉鎖して飲料を充填する場合、容器内のガスを吸い出すとともに飲料が容器に充填される。ガッシングを十分に行わない場合、飲料充填時に、容器内の酸素は、吸い出されて、飲料を供給するための飲料タンク内に移動する。このとき、飲料タンクに酸素が溜まることによって、飲料の品質に影響を与えることが懸念される。飲料タンクから酸素を抜く工程を加えることにより、飲料タンクにおける品質劣化を抑えられることができる。
飲料タンク内の酸素を抜く方法としては、特に限定されるものではないが、飲料タンク内の空気を炭酸ガスで置換する方法が挙げられる。
≪蓋取付工程≫
本発明において、飲料充填工程の後、容器に蓋を取り付ける。
容器に蓋を取り付ける方法としては、特に限定されるものではないが、例えば市販の蓋巻締装置(シーマ)を使用することができる。飲料が充填された容器は、シーマに搬送され、蓋をかぶせて巻締、密封される。
本発明においては、飲料充填工程の後、蓋取付工程の前に、置換ガスを流して容器内のガスを置換するガス置換工程をさらに含むことが好ましい。この場合、置換ガスの流量は、好ましくは200NL/min以下であり、より好ましくは150NL/min以下である。
通常、容器に飲料を充填した後、容器に蓋を取り付ける前に、容器内の酸素濃度を下げる目的で二酸化炭素等ガスを流し、ガス置換を行うが、このときも乾燥果実が容器から出てしまったり、その後の蓋取付工程で乾燥果実が巻き込まれたりする恐れがある。ガス流量を特定の流量以下とすることにより、これを抑制できることができる。
<飲料における任意成分>
任意成分の前記酒類としては、原料用アルコール;ウォッカ、ウイスキー、ブランデー、焼酎、ラム酒、スピリッツ、及びジン等の蒸留酒;ワイン、シードル、ビール、日本酒等の醸造酒;リキュール、ベルモットなどの混成酒等が挙げられる。炭酸飲料に含有させる酒類は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。なお、本発明に係る容器詰め飲料が酒類と食品素材を混合した液体の炭酸飲料である場合には、当該飲料は、日本国の酒税法(平成三十年四月一日施行)上、リキュール(エキス分が二度以上)又はスピリッツ(エキス分が二度未満)に分類される。
任意成分の前記果実、野菜類、及びハーブは、特に限定されるものではなく、飲料に一般的に使用される果実等を適宜選択して使用することができる。炭酸飲料に含有させる果実、野菜類、ハーブは、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
また、当該炭酸飲料は、果実等の細断物をそのまま含有してもよいし、果汁や野菜汁のような搾汁を原料として添加してもよい。なお、果汁は、日本国においては果実飲料の日本農林規格、国際的には果汁及びネクターに関するコーデックス規格(CODEX STAN 247-2005)に定義されている。前記果実としては、濃縮果汁や還元果汁等を使用してもよく、不溶性固形分の一部が除去されて清澄化された果汁を用いてもよい。また、前記果実や野菜類として、果実エキス、野菜エキスを原料として添加してもよい。特に、容器詰め飲料に含まれる乾燥果実と同種の果実等の果汁やエキスを含有することが好ましい。果実エキス、野菜エキスは、果実や野菜の細断物から水やアルコールを用いて果実や野菜に含まれる成分を抽出したものである。これらのエキスは、例えば、熱水抽出による方法や、液化ガスを用いて果実成分を溶出させた後、液化ガスを気化させ、果実成分を分離、回収する方法などによって製造される。
任意成分の糖類(単糖類・二糖類の総称)としては、砂糖(ショ糖、スクロース)、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、異性化糖などを含んでもよい。これらの糖類を炭酸飲料に含有させることで、甘味やボディ感等を付与することができる。含有させる糖類は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
任意成分の香味料やその他の食品素材としては、例えば、食物繊維、酵母エキス、タンパク質若しくはその分解物等が挙げられる。中でも、水溶性食物繊維は、飲料にボディ感やその他の機能性を付与するために広く使用されている。水溶性食物繊維とは、水に溶解し、かつヒトの消化酵素により消化されない又は消化され難い炭水化物を意味する。水溶性食物繊維としては、例えば、大豆食物繊維、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、ガラクトマンナン、イヌリン、グアーガム分解物、ペクチン、アラビアゴム等が挙げられる。これらの水溶性食物繊維は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
任意成分の食品添加物は、国の法令に基づいて使用可能な物品を用いることができ、その範囲において特に制限されない。例えば、食品の品質を保つための保存料や酸化防止剤等、食品の嗜好性の向上を目的とした着色料、香料、甘味料、酸味料、乳化剤等、食品の製造または加工のために必要なpH調整剤、消泡剤、起泡剤等や、栄養成分の補充、強化に使われる栄養強化剤を、必要に応じて含有させることができる。
一部の食品添加物について簡単に説明する。
着色料は、食品の色調を改善する食品添加物であり、化学合成系着色料と天然系着色料に大別され、日本国の食品衛生法では、指定添加物、既存添加物、一般飲食物添加物に分類される。着色料としては、食品を褐色に着色するカラメル色素が多く使用されている。なお、カラメル色素の副次効果として、飲料にロースト感やコク等を付与することができる。
香料は、食品に香気を与える、又は増強するために用いられる。食品用香料には、天然物から抽出した天然香料と化学的に合成された合成香料がある。天然香料は、日本国の食品衛生法では、「動植物より得られる物又はその混合物で、食品の着香の目的で使用される添加物」と定義され、使用できる動植物名が例示として「天然香料基原物質リスト」に記載されている。また、合成香料のほとんどは食品に存在するものと同一成分を化学合成した化合物であり、「食品衛生法施行規則別表第1」のなかで指定されている。
食品用香料は、単品で使用されることは少なく、通常、多数の香料化合物を組み合わせた調合製品が用いられる。香料製品の形態としては、水溶性香料、油溶性香料、乳化香料、粉末香料などがある。水溶性香料は、香料ベースを水溶性溶剤である含水アルコール、プロピレングリコールなどで抽出・溶解したものである。油溶性香料は、香料ベースを植物油などで溶解したものである。乳化香料は、乳化剤や安定剤を使用し、香料ベースを水に乳化させ微粒子状態にしたものである。飲料ににごりを与えることもありクラウディーとも呼ばれる。粉末香料は、香料ベースをデキストリンや天然ガム質、糖、でんぷんなどの賦形剤とともに乳化させた後、噴霧乾燥させて粉末化したり乳糖などに香料ベースを付着させたりしたものである。飲料には、通常、水溶性香料と乳化香料が用いられる。
甘味料は、食品に甘味をつける目的で使用されるものであるが、前述した糖類や一部の低甘味度物質(水あめ、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールなど)は、食品に区分され、食品添加物には区分されない。食品添加物に区分される低甘味度物質としては、L-アラビノース、D-キシロース、トレハロース、D-ソルビトール、キシリトール、マンニトールなどがあり、高甘味度物質としてはアスパルテーム、ネオテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン類、スクラロース、グリチルリチン酸二ナトリウム、ステビア抽出物、カンゾウ抽出物、タウマチンなどがある。なお、日本国の食品衛生法では、甘味料は、指定添加物、既存添加物、一般飲食物添加物に分類される。飲料には、従来から飲料に用いられる糖類である砂糖、ブドウ糖、及び果糖などと甘味特性の近いアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースなどがよく用いられる。本発明における炭酸飲料においても、これらの飲料に汎用されている甘味料の1種以上を使用することが好ましい。
酸味料は、食品に酸味を与えたり、酸味を増強したりするために用いられる。酸味料には、クエン酸や乳酸のような有機酸及びそれらの塩類と、リン酸、二酸化炭素のような無機酸がある。有機酸とその塩を併用すると、緩衝作用によって特定のpHを保持しやすくすることができる。
なお、日本国において酸味料として一括名表示ができる物質は、指定添加物では、アジピン酸、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-酒石酸、L-酒石酸、DL-酒石酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウム、リン酸、既存添加物では、イタコン酸、フィチン酸、α-ケトグルタル酸が挙げられる。
飲料に用いる酸味料は、飲料の風味(フレーバー)に応じて選択される。例えば、柑橘類風味の飲料では柑橘類に多く含まれるクエン酸及びクエン酸塩、ブドウ風味の飲料ではブドウに多く含まれる酒石酸及び酒石酸塩、リンゴ風味の飲料ではリンゴに多く含まれるリンゴ酸及びリンゴ酸塩が選択される場合が多い。
乳化剤は、食品に乳化、分散、浸透、洗浄、起泡、消泡、離型などの目的で使用されるが、飲料では液中に油を分散(乳化)させる目的で使用される場合が多い。例えば、疎水性成分を水中に均一に分散させたり、原材料由来の油脂成分の分離を抑制したりするために用いられる。
上述した食品素材や食品添加物は一例であり、本発明に係る容器詰め飲料に含有させるものはこれらに限定されるものではない。使用する食品素材や食品添加物の種類や含有量は、目的に応じて適宜選択、調整すればよい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.ベース液の調製
表1に示すように原料を配合して、アルコール度数6%、エキス分3.5度、pH3.5であるベース液を調整した。
2.実験(1)
本実験では、厚さ3mmの生レモンスライスを熱風乾燥して得た乾燥レモン(厚さ1mm)を用いた。
次に、ベース液に炭酸を添加して、炭酸含有量(GV(20℃))が2.3の飲料を調製し、飲料缶(204径缶)に乾燥レモン1枚を入れてから当該飲料を充填して、フルオープンエンドの缶蓋を巻締して、容器詰め飲料サンプルを製造した。
詳細には、比較例1においては、飲料缶に乾燥レモン1枚を入れた後、ノンシールガッシングを実施し、実施例1~6においては、このノンシールガッシングを実施しなかった。
また、比較例1においては、ノンシールガッシングを実施した後に、シールガッシングを実施した。実施例1においては、飲料缶に乾燥レモン1枚を入れた後、シールガッシングを実施し、実施例2~6においては、このシールガッシングを実施しなかった。
また、実施例2、5及び6においては、飲料を充填する際の温度を6℃に調整し、実施例3においては、前記温度を8℃に調整し、実施例4においては、前記温度を10℃に調整した。
また、実施例2、5及び6においては、飲料を充填した後、缶蓋を巻締する前に、二酸化炭素ガスを流して容器内の空気を置換した。二酸化炭素ガスの流量を、実施例2では、150NL/minとし、実施例5では、200NL/minとし、実施例6では、300とした。比較例1及び実施例1~6を、それぞれ100回繰り返し、下記の基準で評価した。結果を表2に示す。
破砕:目視により、もとのレモンスライスの形状を損なう程度の欠損が確認できる場合、破砕有りと判断した。
フォーミング:充填時の起泡により、飲料缶から飲料が溢れた場合、フォーミング有りと判断した。
巻締不良:レモンスライスを巻き込むことによって、正常な巻締ができていない場合、巻締不良と判断した。
表2の結果から、ノンシールガッシングを実施しないことで、乾燥果実の破砕発生が著しく抑えられ、さらにシールガッシングを実施しないことで、破砕の発生を十分に抑制できることがわかる。
また、飲料温度を8℃以下にすることで、飲料充填時のフォーミング発生を抑制することができ、ガス置換時のガス流量を200NL/min以下にすることで、乾燥果実の巻き込みによる巻締不良も抑制できることがわかる。
3.実験(2)
サンプルAでは、充填する飲料を供給するための飲料タンク内の酸素を抜く工程を実施したこと以外は、実施例2と同様にして容器詰め飲料サンプルを製造した。サンプルBでは、実施例2と同様にして容器詰め飲料サンプルを製造した(すなわち、充填する飲料を供給するための飲料タンク内の酸素を抜く工程を実施していない)。それぞれ1000本目に製造した容器詰め飲料サンプルの官能評価を、以下通りに行った。
結果を表3に示す。
官能評価:専門パネリスト10名に、劣化臭(p-メチルアセトフェノン及びp-クレゾール)を強く感じる方に「×」を表示する。
飲料タンク内の酸素を抜く工程を実施して製造したサンプルに比べ、実施せずに製造したサンプルの方が明らかに劣化臭を感じることがわかった。

Claims (5)

  1. 乾燥果実を含む容器詰め飲料の製造方法であって、
    空容器に乾燥果実を充填する乾燥果実充填工程と、
    乾燥果実充填工程の後、ノンシールガッシングを実施せずに、飲料を充填する飲料充填工程と、
    飲料充填工程の後、容器に蓋を取り付ける蓋取付工程と、
    を含む容器詰め飲料の製造方法。
  2. シールガッシングを実施しない、請求項1に記載の容器詰め飲料の製造方法。
  3. 飲料充填工程において充填する飲料を供給するための飲料タンク内の酸素を抜く工程をさらに含む、請求項1に記載の容器詰め飲料の製造方法。
  4. 前記飲料が炭酸飲料であり、
    飲料充填工程において、充填する飲料の温度が8℃以下である、請求項1に記載の容器詰め飲料の製造方法。
  5. 飲料充填工程の後、蓋取付工程の前に、置換ガスを流して容器内のガスを置換するガス置換工程をさらに含み、
    ガス置換工程において、置換ガスの流量が200NL/min以下である、請求項1に記載の容器詰め飲料の製造方法。
JP2022211764A 2022-12-28 容器詰め飲料の製造方法 JP2024094879A (ja)

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