JP2024094095A - ワーク加工用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】加工後のワークの分離を良好に行うことが可能なワーク加工用シートを提供する。【解決手段】基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備えるワーク加工用シートであって、前記基材が、塩化ビニル系樹脂を含有する樹脂組成物から形成されており、前記ワーク加工用シートの波長365nmの光線透過率が、4.5%以上であり、前記ワーク加工用シートの波長300nmの光線透過率が、2%以上であり、前記ワーク加工用シートの波長300~350nmの光線透過率が、それぞれの波長について80%以下であるワーク加工用シート。【選択図】なし

Description

本発明は、半導体ウエハ等のワークの加工に使用されるワーク加工用シートに関するものである。
シリコン、ガリウムヒ素などの半導体ウエハや各種パッケージ類は、大径の状態で製造され、チップに切断(ダイシング)され、剥離(ピックアップ)された後に、次の工程であるマウント工程に移される。この際、半導体ウエハ等のワークは、基材および粘着剤層を備える粘着シート(以下、「ワーク加工用シート」という場合がある。)上に積層された状態で、バックグラインド、ダイシング、洗浄、乾燥、エキスパンディング、ピックアップ、マウンティング等の加工が行われる。
上述したピックアップの工程では、通常、ダイシングにより得られたチップが、吸引コレット等によって、ワーク加工用シートから個々に分離される。また、ワーク加工用シート上にてダイシングすることで得られたチップの集合体を、他のワーク加工用シート(ピックアップシート)に転写した後、当該ピックアップシートにてピックアップ工程が行われることもある。
ワーク加工用シートを構成する基材として、ポリ塩化ビニルといった塩化ビニル系樹脂を主材とする基材が使用されることがある。例えば、特許文献1には、塩化ビニル系樹脂、安定剤および可塑剤を含有する樹脂組成物を用いて形成された基材を備えるワーク加工用シートが開示されている。
特開2001-207140号公報
ところで、ワーク加工用シートの粘着剤層として、活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成されたものを使用する場合がある。当該ワーク加工用シートでは、紫外線等の活性エネルギー線の照射によって粘着剤層を硬化させることができ、それにより加工後のワークに対する粘着力を低下させることができる。その結果、前述したピックアップや転写の際においては、ワーク加工用シートからの加工後のワークの分離が容易となる。
しかしながら、上記活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成された粘着剤層を採用する場合であっても、上述したような塩化ビニル系樹脂を主材とする基材を組み合わせて使用すると、活性エネルギー線照射後においても粘着力の低下が不十分となる傾向があることを本願発明者らは確認した。この場合、ワーク加工用シートからの加工後のワークの分離が困難となる。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、加工後のワークの分離を良好に行うことが可能なワーク加工用シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備えるワーク加工用シートであって、前記基材が、塩化ビニル系樹脂を含有する樹脂組成物から形成されており、前記ワーク加工用シートの波長365nmの光線透過率が、4.5%以上であり、前記ワーク加工用シートの波長300nmの光線透過率が、2%以上であり、前記ワーク加工用シートの波長300~350nmの光線透過率が、それぞれの波長について80%以下であることを特徴とするワーク加工用シートを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)に係るワーク加工用シートでは、上述した光線透過率の条件を満たすことにより、基材が塩化ビニル系樹脂を含有する樹脂組成物から形成されたものであるにもかかわらず、活性エネルギー線照射による粘着力の制御を良好に行うことができ、その結果、加工後のワークの分離を良好に行うことができる。
上記発明(発明1)において、前記樹脂組成物は、310nm以上、360nm以下の波長の光に対して吸収ピークを有する成分(A)を含有することが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1)において、前記樹脂組成物は、305nm以上、350nm以下の波長の光に対して吸収ピークを有する成分(B)を含有することが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1)において、前記樹脂組成物は、可塑剤を含有することが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1)において、前記基材の厚さが、25μm以上、200μm以下であることが好ましい(発明5)。
上記発明(発明1)において、前記粘着剤層は、活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成されることが好ましい(発明6)。
上記発明(発明1)においては、ダイシングシートであることが好ましい(発明7)。
本発明に係るワーク加工用シートは、加工後のワークの分離を良好に行うことができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係るワーク加工用シートは、基材と、当該基材における片面側に積層された粘着剤層とを備える。そして、当該基材は、塩化ビニル系樹脂を含有する樹脂組成物から形成されている。
さらに、本実施形態に係るワーク加工用シートでは、ワーク加工用シートの波長365nmの光線透過率が、4.5%以上であるとともに、ワーク加工用シートの波長300nmの光線透過率が、2%以上となっている。
波長365nmおよび300nmの光線透過率がそれぞれ上記範囲であることで、粘着剤層が活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成されている場合であっても、活性エネルギー線の照射によって当該粘着剤層を十分硬化させることが可能となる。それにより、被着体(特に加工後のワーク)に対する粘着力を十分に低下させることが可能となる。その結果、本実施形態に係るワーク加工用シートから加工後のワークを容易に分離することが可能となる。
上記の通り、活性エネルギー線照射によって粘着剤層を良好に硬化させることが可能となる理由としては以下のことが考えられる。但し、以下の理由のみに限定されるものではない。一般的に、粘着剤層を硬化させる際においては、水銀ランプを用いて活性エネルギー線の照射が行われる。当該水銀ランプから照射される光線のスペクトルでは、波長365nm付近に最も強度の高いピークが存在し、波長300nm付近にその次に強度の高いピークが存在する。
一般的に、塩化ビニル系樹脂を用いて基材を形成する場合、基材に所定の柔軟性を付与するために、可塑剤が添加される。本発明者らは、この可塑剤の一部が活性エネルギー線の透過性に影響を与え、その結果、粘着剤層の硬化が不十分となり得ることを発見した。
また、塩化ビニル系樹脂は、光(特に紫外線)を受けて分解し易い傾向にある。このような分解が生じると、黄変などの着色が生じることになる。そのため、塩化ビニル系樹脂を材料とする基材においては、通常、耐光性を付与する観点から、初着防止剤や紫外線吸収剤等と呼ばれる紫外線を吸収する成分(以下「紫外線吸収成分」という場合がある。)が添加される。しかしながら、本発明者らは、このような紫外線吸収成分が、粘着剤層の硬化の際に照射される活性エネルギー線の一部を吸収し、それによって粘着剤層の硬化が不十分となってしまうことを発見した。
そして、本発明者らは、これらの塩化ビニル系樹脂に係る発見に基づいて、上述した水銀ランプのスペクトルの知見を勘案して、波長365nmの光線透過率が4.5%以上となり、波長300nmの光線透過率が2%以上となるように調整することにより、粘着剤層を十分に硬化させることが可能となることを発見した。特に、これらの光線透過率の条件を満たしさえすれば、可塑剤や紫外線吸収成分を適宜使用することが可能であるため、基材に対して十分な柔軟性や耐光性を付与することも可能となる。
上述した、粘着剤層を十分に硬化させる効果をより得易くなる観点からは、波長365nmの光線透過率は、5.0%であることが好ましく、さらには10.0%であることが好ましい。なお、波長365nmの光線透過率の上限値としては、十分な耐光性を得易くなるという観点から、95%であることが好ましく、さらには90%であることが好ましく、特に85%であることが好ましい。
また、粘着剤層を十分に硬化させる効果をより得易くなる観点からは、波長300nmの光線透過率は、5%以上であることが好ましく、さらには10%以上であることが好ましい。なお、波長300nmの光線透過率の上限値としては、十分な耐光性を得易くなるという観点から、60%以下であることが好ましく、さらには40%以下であることが好ましく、特に30%以下であることが好ましい。
なお、本実施形態に係るワーク加工用シートでは、ワーク加工用シートの波長300~350nmの光線透過率が、それぞれの波長について80%以下である。このことは、上述した耐光性を付与する観点から、紫外領域の光線透過性が制御されていることを確認的に規定するものである。このような紫外領域の光線透過性の制御は、上述した紫外線吸収成分の添加によるものであってもよいが、その他の手段によるものであってもよい。波長300~350nmの光線透過率が80%以下であることにより、ワーク加工用シート(特に基材)が、より良好な耐光性を示すものとなり、着色を効果的に抑制し易くなる。この観点から、ワーク加工用シートの波長300~350nmの光線透過率は、それぞれの波長について、90%以下であることが好ましく、特に85%以下であることが好ましい。一方、ワーク加工用シートの波長300~350nmの光線透過率の下限値としては、それぞれの波長について、5%以上であることが好ましく、特に6%以上であることが好ましく、さらには11%以上であることが好ましい。
以上説明した光線透過率は、基材および粘着剤層のみを備えたワーク加工用シートにおいて測定したものとする。例えば、ワーク加工用シートが後述した剥離シートをさらに備える場合には、当該剥離シートを剥離し、残る基材および粘着剤層のみの積層体について上述した光線透過率が測定される。上述した光線透過率の測定方法の詳細は、後述する試験例の通りである。
1.ワーク加工用シートの構成
(1)基材
本実施形態における基材は、前述の通り、塩化ビニル系樹脂を含有する樹脂組成物から形成されている。また、当該樹脂組成物は、基材に良好な耐光性を付与する観点から、紫外線吸収成分を含有することも好ましい。さらに、当該樹脂組成物は、基材に良好な柔軟性を付与する観点から、可塑剤を含有することも好ましい。
(1-1)塩化ビニル系樹脂
本実施形態における塩化ビニル系樹脂とは、-CH-CHCl-で表される繰り返し単位を有するポリマー全てを意味し、塩化ビニルの単独重合体、エチレン-塩化ビニル共重合体等の塩化ビニルと重合性モノマーとの共重合体、塩素化塩化ビニル共重合体等の単独重合体または共重合体を改質したもの、さらには塩素化ポリエチレン等の構造上塩化ビニル樹脂と類似の塩素化ポリオレフィンを包含する。本実施形態における樹脂層を形成するための樹脂組成物中に含有される塩化ビニル系樹脂としては、特に限定されず、上述の樹脂のいずれを使用してもよい。上述した塩化ビニル系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。
上記塩化ビニル系樹脂は、平均重合度の下限値が300以上であることが好ましく、800以上であることがより好ましい。また、上記塩化ビニル系樹脂は、平均重合度の上限値が2500以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましい。平均重合度が上記範囲にあることで、成形性、加工性に優れ、均一な薄層フイルムに加工し易くなる。ここで、塩化ビニル系樹脂の平均重合度とは、JISK6720-2:1999に準拠して測定される値である。
(1-2)紫外線吸収成分
紫外線吸収成分としては、前述した光線透過率の条件を達成できる限り、特に限定されない。紫外線吸収成分の例としては、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾオキサジノン系、フェニルサリシレート系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系、ハイドロキノン系、サリチル酸系、マロン酸エステル系、シュウ酸系等の化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前述した光線透過率の条件を達成し易いという観点からは、紫外線吸収成分として、310nm以上、360nm以下の波長の光に対して吸収ピークを有する成分(以下、「成分(A)」という場合がある)を使用することが好ましい。上記波長は、特に315nm以上、350nm以下であることが好ましく、さらには320nm以上、340nm以下であることが好ましい。
上記成分(A)の例としては、前述したトリアジン系の紫外線吸収成分が挙げられ、より具体的には、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4,6-ジ(2,4-キシリル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-オクチルオキシフェノール等が好ましく挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前述した光線透過率の条件を達成し易いという観点からは、紫外線吸収成分として、305nm以上、350nm以下の波長の光に対して吸収ピークを有する成分(以下、「成分(B)」という場合がある)を使用することも好ましい。上記波長は、特に310nm以上、345nm以下であることが好ましく、さらには310nm以上、340nm以下であることが好ましい。
上記成分(B)の例としては、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン等が挙げられる。
樹脂組成物中における紫外線吸収成分の含有量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、特に0.03質量部以上であることが好ましく、さらには0.05質量部以上であることが好ましい。紫外線吸収成分の含有量が0.01質量部以上であることにより、基材の着色をより抑制し易くなる。また、樹脂組成物中における紫外線吸収成分の含有量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、1質量部以下であることが好ましく、特に0.5質量部以下であることが好ましく、さらには0.3質量部以下であることが好ましい。紫外線吸収成分の含有量が1質量部以下であることにより、前述した光線透過率の条件をより達成し易くなる。
(1-3)可塑剤
上記可塑剤としては、前述した光線透過率の条件を達成できる限り特に限定されない。当該可塑剤の例としては、塩化ビニル系樹脂を材料とする基材の作製に一般的に使用されるものが挙げられる。例えば、テレフタル酸系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、アジピン酸系可塑剤、安息香酸系可塑剤、リン酸系可塑剤、トリメット酸系可塑剤、エポキシ系可塑剤、フタル酸系可塑剤等を好適に使用することができる。
上記テレフタル酸系可塑剤の例としては、テレフタル酸ジオクチル、テレフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)等が挙げられる。上記ポリエステル系可塑剤の例としては、フタル酸系ポリエステル、アジピン酸系ポリエステル、アジピン酸/ブタンジオール縮合ポリエステル等が挙げられる。上記アジピン酸系可塑剤の例としては、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジブチル等が挙げられる。
なお、可塑剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
基材を形成するための樹脂組成物が可塑剤を含有する場合、当該樹脂組成物中における可塑剤の含有量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、18質量部以上であることが好ましく、特に25質量部以上であることが好ましい。また、樹脂組成物中における可塑剤の含有量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、60質量部以下であることが好ましく、特に55質量部以下であることが好ましい。可塑剤の含有量が上記範囲であることにより、基材が良好な柔軟性を有し易いものとなる。
(1-4)その他の成分
基材を形成するための樹脂組成物は、上述した塩化ビニル系樹脂、紫外線吸収成分および可塑剤以外のその他の成分を含有してもよい。特に、当該樹脂組成物には、一般的なワーク加工用シートの基材に用いられる成分を含有させてもよい。
そのような成分の例としては、安定剤、助剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、赤外線吸収剤等の各種添加剤が挙げられる。これらの添加剤の含有量としては、特に限定されないものの、基材が所望の機能を発揮する範囲とすることが好ましい。
中でも、樹脂層を形成するための樹脂組成物は、安定剤を含有することが好ましい。塩化ビニル系樹脂を主材として作製された基材では、その製膜時に必要となる加熱処理により、塩化ビニル系樹脂からの塩素の遊離が生じることがある。安定剤は、この遊離塩素を補足して、基材の劣化を効果的に抑制することができる。
上記安定剤としては、塩化ビニル系樹脂を材料として基材を作製する際に一般的に使用されるものであってよい。例えば、安定剤の例としては、炭素数が12以上且つ18未満の飽和脂肪酸金属塩、炭素数が12以上且つ20未満の不飽和脂肪酸金属塩等が挙げられる。
炭素数が12以上且つ18未満の飽和脂肪酸金属塩を構成する飽和脂肪酸の例としては、ラウリル酸(炭素数12)、ミリスチン酸(炭素数14)、パルミチン酸(炭素数16)等が挙げられる。
炭素数が12以上且つ20未満の不飽和脂肪酸金属塩を構成する不飽和脂肪酸の例としては、ミリストレイン酸(炭素数14)、パルミトレイン酸(炭素数16)、オレイン酸(炭素数18)、エライジン酸(炭素数18)等が挙げられる。
上記飽和脂肪酸金属塩および上記不飽和脂肪酸金属塩を構成する金属の例としては、亜鉛、バリウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉛、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト等が挙げられる。
特に、本実施形態における上記飽和脂肪酸金属塩の好ましい例としては、ラウリル酸亜鉛およびパルミチン酸亜鉛が挙げられる。また、本実施形態における上記不飽和脂肪酸金属塩の好ましい例としては、オレイン酸亜鉛が挙げられる。
なお、安定剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
基材を形成するための樹脂組成物が安定剤を含有する場合、当該樹脂組成物中における安定剤の含有量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、特に0.1質量部以上であることが好ましい。また、樹脂組成物中における安定剤の含有量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、特に3質量部以下であることが好ましい。安定剤の含有量が上記範囲であることにより、基材の劣化をより効果的に抑制することができる。
(1-5)基材の表面処理
基材における粘着剤層が積層される面には、当該粘着剤層との密着性を高めるために、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、粗面化処理(マット加工)等の表面処理が施されてもよい。粗面化処理としては、例えば、エンボス加工法、サンドブラスト加工法等が挙げられる。これらの中でも、エンボス加工を施すことが好ましい。
(1-6)基材の製法
本実施形態における基材の製造方法は、前述した樹脂組成物を用いる限り、特に限定されず、例えば、Tダイ法、丸ダイ法等の溶融押出法;カレンダー法;乾式法、湿式法等の溶液法などを使用することができる。これらの中でも、効率良く基材を製造する観点から、溶融押出法を採用することが好ましく、特にTダイ法を採用することが好ましい。
基材を溶融押出法により製造する場合、樹脂組成物を混練し、得られた混練物から直接、または一旦ペレットを製造したのち、公知の押出機を用いて製膜すればよい。
(1-7)基材の厚さ
本実施形態における基材の厚さは、25μm以上であることが好ましく、特に50μm以上であることが好ましい。また、基材の厚さは、200μm以下であることが好ましく、特に150μm以下であることが好ましい。基材の厚さが25μm以上であることで、ワーク加工用シートが適度な強度を有し易いものとなり、ワーク加工用シート上に固定されるワークを良好に支持し易いものとなる。また、基材の厚さが200μm以下であることで、光線透過率に係る前述した条件を満たし易くなるとともに、ワーク加工用シートの厚さが良好な柔軟性を有するものとなり、例えばエキスパンドを良好に行い易いものとなる。
(2)粘着剤層
本実施形態における粘着剤層を構成する粘着剤としては、被着体に対する十分な粘着力(特に、ワークの加工を行うために十分となるような対ワーク粘着力)を発揮することができる限り、特に限定されない。粘着剤層を構成する粘着剤の例としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、所望の粘着力を発揮し易いという観点から、アクリル系粘着剤を使用することが好ましい。
本実施形態における粘着剤層を構成する粘着剤は、活性エネルギー線硬化性を有しない粘着剤であってもよいものの、活性エネルギー線硬化性を有する粘着剤(以下、「活性エネルギー線硬化性粘着剤」という場合がある。)であることが好ましい。粘着剤層が活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成されていることで、活性エネルギー線の照射により粘着剤層を硬化させて、ワーク加工用シートの被着体に対する粘着力を容易に低下させることができる。特に、活性エネルギー線の照射によって、加工後のワークを当該ワーク加工用シートから容易に分離することが可能となる。
粘着剤層を構成する活性エネルギー線硬化性粘着剤としては、活性エネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とするものであってもよいし、活性エネルギー線非硬化性ポリマー(活性エネルギー線硬化性を有しないポリマー)と少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物を主成分とするものであってもよい。また、活性エネルギー線硬化性粘着剤は、活性エネルギー線硬化性を有するポリマーと、少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物であってもよい。
上記活性エネルギー線硬化性を有するポリマーは、側鎖に活性エネルギー線硬化性を有する官能基(活性エネルギー線硬化性基)が導入された(メタ)アクリル酸エステル重合体(以下「活性エネルギー線硬化性重合体」という場合がある。)であることが好ましい。この活性エネルギー線硬化性重合体は、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系重合体と、その官能基に結合する官能基を有する不飽和基含有化合物とを反応させて得られるものであることが好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語も同様である。さらに、「重合体」には「共重合体」の概念も含まれるものとする。
上述した官能基含有モノマー単位を有するアクリル系重合体は、官能基含有モノマーとともに、その他のモノマーを重合させてなるものであってよい。このような官能基含有モノマーおよびその他のモノマー、ならびに上述した不飽和基含有化合物としては、公知のものを使用することができ、例えば国際公開第2018/084021号に開示されるものを使用することができる。
上記活性エネルギー線硬化性重合体の重量平均分子量は、1万以上であることが好ましく、特に15万以上であることが好ましく、さらには20万以上であることが好ましい。また、当該重量平均分子量は、150万以下であることが好ましく、特に100万以下であることが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
上述した活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分としては、例えば、不飽和基含有化合物を反応させる前の上記アクリル系重合体を使用することができる。
上記活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分としてのアクリル系重合体の重量平均分子量は、1万以上であることが好ましく、特に15万以上であることが好ましく、さらには20万以上であることが好ましい。また、当該重量平均分子量は、150万以下であることが好ましく、特に100万以下であることが好ましい。
また、上述した少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル等を使用することができる。
なお、活性エネルギー線硬化性粘着剤を硬化させるための活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、当該粘着剤に対して、光重合開始剤を添加することが好ましい。また、当該粘着剤には、活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分またはオリゴマー成分や、架橋剤等を添加してもよい。
本実施形態における粘着剤層の厚さは、1μm以上であることが好ましく、特に3μm以上であることが好ましく、さらには5μm以上であることが好ましい。また、粘着剤層の厚さは、70μm以下であることが好ましく、特に30μm以下であることが好ましく、さらには10μm以下であることが好ましい。粘着剤層の厚さが上述した範囲であることで、本実施形態に係るワーク加工用シートが所望の粘着性を発揮し易いものとなる。
(3)剥離シート
本実施形態に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層における基材とは反対側の面(以下、「粘着面」という場合がある。)をワークに貼付するまでの間、当該面を保護する目的で、当該面に剥離シートが積層されていてもよい。
上記剥離シートの構成は任意であり、プラスチックフィルムを剥離剤等により剥離処理したものが例示される。当該プラスチックフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、およびポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。上記剥離剤としては、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系等を用いることができ、これらの中でも、安価で安定した性能が得られるシリコーン系が好ましい。
上記剥離シートの厚さについては特に制限はなく、例えば、20μm以上、250μm以下であってよい。
(4)その他
本実施形態に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層における基材とは反対側の面に接着剤層が積層されていてもよい。この場合、本実施形態に係るワーク加工用シートは、ダイシング・ダイボンディングシートとして使用することができる。当該シートでは、接着剤層における粘着剤層とは反対側の面にワークを貼付し、当該ワークとともに接着剤層をダイシングすることで、個片化された接着剤層が積層されたチップを得ることができる。当該チップは、この個片化された接着剤層によって、当該チップが搭載される対象に対して容易に固定することが可能となる。上述した接着剤層を構成する材料としては、熱可塑性樹脂と低分子量の熱硬化性接着成分とを含有するものや、Bステージ(半硬化状)の熱硬化型接着成分を含有するもの等を用いることが好ましい。
また、本実施形態に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層における粘着面に保護膜形成層が積層されていてもよい。この場合、本実施形態に係るワーク加工用シートは、保護膜形成兼ダイシング用シートとして使用することができる。このようなシートでは、保護膜形成層における粘着剤層とは反対側の面にワークを貼付し、当該ワークとともに保護膜形成層をダイシングすることで、個片化された保護膜形成層が積層されたチップを得ることができる。当該ワークとしては、片面に回路が形成されたものが使用されることが好ましく、この場合、通常、当該回路が形成された面とは反対側の面に保護膜形成層が積層される。個片化された保護膜形成層は、所定のタイミングで硬化させることで、十分な耐久性を有する保護膜をチップに形成することができる。保護膜形成層は、未硬化の硬化性接着剤からなることが好ましい。
2.ワーク加工用シートの製造方法
本実施形態に係るワーク加工用シートの製造方法は特に限定されない。例えば、剥離シート上に粘着剤層を形成した後、当該粘着剤層における剥離シートとは反対側の面に基材の片面を積層することで、ワーク加工用シートを得ることが好ましい。
上述した粘着剤層の形成は、公知の方法により行うことができる。例えば、粘着剤層を形成するための粘着性組成物、および所望によりさらに溶媒または分散媒を含有する塗布液を調製する。そして、剥離シートの剥離性を有する面(以下、「剥離面」という場合がある。)に上記塗布液を塗布する。続いて、得られた塗膜を乾燥させることで、粘着剤層を形成することができる。
上述した塗布液の塗布は公知の方法により行うことができ、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等により行うことができる。なお、塗布液は、塗布を行うことが可能であればその性状は特に限定されず、粘着剤層を形成するための成分を溶質として含有する場合もあれば、分散質として含有する場合もある。また、剥離シートは工程材料として剥離してもよいし、被着体に貼付するまでの間、粘着剤層を保護していてもよい。
粘着剤層を形成するための粘着性組成物が前述した架橋剤を含有する場合には、上記の乾燥の条件(温度、時間など)を変えることにより、または加熱処理を別途設けることにより、塗膜内のポリマー成分と架橋剤との架橋反応を進行させ、粘着剤層内に所望の存在密度で架橋構造を形成することが好ましい。さらに、上述した架橋反応を十分に進行させるために、粘着剤層と基材とを貼り合わせた後、例えば23℃、相対湿度50%の環境に数日間静置するといった養生を行ってもよい。
3.ワーク加工用シートの使用方法
本実施形態に係るワーク加工用シートは、半導体ウエハ等のワークの加工のために使用することができる。すなわち、本実施形態に係るワーク加工用シートの粘着面をワークに貼付した後、ワーク加工用シート上にてワークの加工を行うことができる。当該加工に応じて、本実施形態に係るワーク加工用シートは、バックグラインドシート、ダイシングシート、エキスパンドシート、ピックアップシート等として使用されることとなる。ここで、ワークの例としては、半導体ウエハ、半導体パッケージ等の半導体部材、ガラス板等のガラス部材が挙げられる。
本実施形態に係るワーク加工用シートは、前述した通り、ダイシングによって個片化したワーク(チップ等)をピックアップする際に、良好にワークを分離することができる。そのため、本実施形態に係るワーク加工用シートは、上述したワーク加工用シートの中でも、特にダイシングシート、エキスパンドシートおよびピックアップシートとして使用することが好適である。
なお、本実施形態に係るワーク加工用シートが前述した接着剤層を備える場合には、当該ワーク加工用シートは、ダイシング・ダイボンディングシートとして使用することができる。さらに、本実施形態に係るワーク加工用シートが前述した保護膜形成層を備える場合には、当該ワーク加工用シートは、保護膜形成兼ダイシング用シートとして使用することができる。
また、本実施形態に係るワーク加工用シートにおける粘着剤層が、前述した活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成される場合には、使用の際に、次のような活性エネルギー線の照射することも好ましい。すなわち、ワーク加工用シート上にてワークの加工が完了し、加工後のワークをワーク加工用シートから分離する場合に、当該分離の前に粘着剤層に対して活性エネルギー線を照射することが好ましい。これにより、粘着剤層が硬化して、加工後のワークに対する粘着シートの粘着力が良好に低下し、加工後のワークの分離が容易となる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、本実施形態に係るワーク加工用シートにおける基材と粘着剤層との間、または基材における粘着剤層とは反対側の面には、他の層が積層されていてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)基材の作製
塩化ビニル系樹脂(大洋塩ビ社製,製品名「TH-1000」,平均重合度:1000)100質量部(固形分換算値,以下同じ)と、可塑剤(詳細は後述)32質量部と、安定剤としてのオレイン酸亜鉛(炭素数18の不和脂肪酸金属塩,三津和化学薬品社製,製品名「オレイン酸亜鉛」)0.06質量部と、安定剤としてのマグネシウム系安定剤(ADEKA社製,製品名「アデカスタブ RUP-177」)0.6質量部と、紫外線吸収成分としての2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(BASF社製,製品名「チヌビン460」,トリアジン系化合物,波長350nm付近の光に対して最大の吸収ピークを有する)0.05質量部とを加え、バンバリーミキサーを用いて180℃にて混練した。得られた混錬物をカレンダーロールで圧延することにより、厚さ80μmのシート状の基材を得た。
上記可塑剤としては、ポリエステル系可塑剤(ジェイ・プラス社製,製品名「D620」,重量平均分子量:800)のみを使用した。すなわち、ポリエステル系可塑剤を100質量%の比率で使用した。
(2)粘着性組成物の調製
アクリル酸2-エチルヘキシル20質量部と、酢酸ビニル73質量部と、アクリル酸1質量部と、メタクリル酸メチル5質量部と、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル1質量部とを、溶液重合法により重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(活性エネルギー線硬化性を有しないポリマー)を得た。
得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部と、架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(TDI-TMP)を含む組成物(トーヨーケム社製,製品名「BHS-8515」)3.2質量部と、光重合開始剤としての2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(BASF社製,製品名「オムニラッド651」)2.4質量部と、紫外線吸収成分としての2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(BASF社製,製品名「チヌビン460」,トリアジン系化合物,波長350nm付近の光に対して最大の吸収ピークを有する)0.05質量部と、活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーとしての2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量:11000)および6官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量:1500)の混合物(混合質量比1:1)80.0質量部とを、溶媒としてのトルエン中で混合し、粘着性組成物の塗布液(固形分濃度:38質量%)を得た。
(3)粘着剤層の形成
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン系の剥離剤層が形成されてなる剥離シート(リンテック社製,製品名「SP-PET381031」)の剥離面に対して、上記工程(2)で得られた粘着性組成物の塗布液を塗布し、加熱により乾燥させることで、剥離シート上に、厚さ20μmの粘着剤層が形成されてなる積層体を得た。
(4)ワーク加工用シートの作製
上記工程(1)で得られた基材の片面に対して、コロナ処理(放電量280W・min/m)を1回行った。そして、そのコロナ処理面と、上記工程(3)で得られた積層体における粘着剤層側の面とを貼り合わせることで、ワーク加工用シートを得た。
〔実施例2~7および比較例1~3〕
基材作製時における可塑剤の比率、基材作製時における紫外線吸収成分の含有量、および、粘着性組成物の調製時における紫外線吸収成分の含有量を表1に記載の通り変更したこと以外、実施例1と同様にしてワーク加工用シートを得た。
なお、基材作製時における可塑剤については、ポリエステル系可塑剤、テレフタル酸系可塑剤およびアジピン酸系可塑剤の3種類の配合の比率を表1に記載の通り変更して、各例に係るワーク加工用シートを製造した。いずれの例でも、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、32質量部の含有量で使用したことは共通している。
なお、表1に記載の略号等の詳細は以下の通りである。
<可塑剤>
テレフタル酸系:テレフタル酸可塑剤(ジェイ・プラス社製,製品名「DOTP」,重量平均分子量:391)
ポリエステル系:ポリエステル系可塑剤(ジェイ・プラス社製,製品名「D620」,重量平均分子量:800)
アジピン酸系:アジピン酸系可塑剤(ジェイ・プラス社製,製品名「DINA」,重量平均分子量:399)
<紫外線吸収成分>
チヌビン460:2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(BASF社製,製品名「チヌビン460」,トリアジン系化合物,波長350nm付近の光に対して最大の吸収ピークを有する)
ユビナール3030FF:2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(IGMResins社製,製品名「ユビナール3030FF」,シアノアクリレート系化合物、波長310nm付近の光に対して最大の吸収ピークを有する)
〔試験例1〕(光線透過率の測定)
実施例および比較例で製造したワーク加工用シートから剥離シートを剥離し、それにより得られた基材と粘着剤層との積層体を測定用サンプルとした。上記測定用サンプルについて、分光度計(SHIMADZU社製,製品名「UV-VIS-NIR SPECTROPHOTOMETER UV-3600」)を用いて、基材側の面から積分球光ユニットにより200~1000nmの光線透過率を測定した。
そして、波長365nm、310nm、300nmおよび254nmの光線透過率(%)をそれぞれ抽出した。それらの結果を表1に示す。
また、波長300~350nmの全域について、光線透過率(%)が80%以下であるか否かを確認した。そして、80%以下である場合には、表1に「80%以下」と記載し、80%を超える場合には、表1に「80%超」と記載した。
〔試験例2〕(ピックアップ性の評価)
実施例および比較例で製造したワーク加工用シートから剥離シートを剥離した後、テープマウンター(リンテック社製,製品名「RAD2500m/12」)を用いて、露出した粘着剤層の露出面を、8インチのシリコンウエハの片面に貼付した。続いて、ワーク加工用シートにおける上記露出面の周縁部(シリコンウエハとは重ならない位置)に、ダイシング用リングフレームを付着させた。さらに、リングフレームの外径に合わせてワーク加工用シートを裁断した。
その後、ダイシング装置(ディスコ社製,製品名「DFD6362」)を用いて、以下のダイシング条件でダイシングを行うことで、シリコンウエハを、10mm×10mmのサイズを有するチップに個片化した。
<ダイシング条件>
ウエハの厚さ:350μm
ダイシング装置:ディスコ社製,製品名「DFD-6362」
ブレード:ディスコ社製,製品名「ZH05-SD2000-N1-90CC」
ブレード回転数:30000rpm
切削速度:100mm/sec
ブレードハイト:0.060mm
切削水量:1.0L/min
切削水温度:20℃
ダイシング後、ワーク加工用シートにおける基材側の面に対し、紫外線照射装置(リンテック社製,製品名「RAD-2010m/12」)を用いて、紫外線(UV)を照射(照度:230mW/cm,光量:190mJ/cm)し、粘着剤層を硬化させた。次いで、ピックアップ装置を用いて、常温下で、エキスパンド量3mmにてワーク加工用シートをエキスパンドさせながら、突き上げ高さ300μm、突き上げ速度20mm/秒にて、ニードルを用いてチップの突き上げを行った。
そして、当該突き上げと同時に、10mm×10mmのサイズのコレットでワーク加工用シートからチップを分離した。これらの操作を10回繰り返し、以下の基準について、ピックアップ性の評価を行った。
○:10個全てのチップでピックアップが可能であった。
×:少なくとも1個のチップについて、ピックアップが不可能であった。
Figure 2024094095000001
表1から分かるように、実施例で得られたワーク加工用シートは、良好にピックアップが可能であり、すなわち、加工後のワークの分離を良好に行うことが可能であった。
本発明のワーク加工用シートは、半導体ウエハ等のワークの加工に好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. 基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備えるワーク加工用シートであって、
    前記基材が、塩化ビニル系樹脂を含有する樹脂組成物から形成されており、
    前記ワーク加工用シートの波長365nmの光線透過率が、4.5%以上であり、
    前記ワーク加工用シートの波長300nmの光線透過率が、2%以上であり、
    前記ワーク加工用シートの波長300~350nmの光線透過率が、それぞれの波長について80%以下である
    ことを特徴とするワーク加工用シート。
  2. 前記樹脂組成物は、310nm以上、360nm以下の波長の光に対して吸収ピークを有する成分(A)を含有することを特徴とする請求項1に記載のワーク加工用シート。
  3. 前記樹脂組成物は、305nm以上、350nm以下の波長の光に対して吸収ピークを有する成分(B)を含有することを特徴とする請求項1に記載のワーク加工用シート。
  4. 前記樹脂組成物は、可塑剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のワーク加工用シート。
  5. 前記基材の厚さが、25μm以上、200μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のワーク加工用シート。
  6. 前記粘着剤層は、活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成されることを特徴とする請求項1に記載のワーク加工用シート。
  7. ダイシングシートであることを特徴とする請求項1に記載のワーク加工用シート。
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