JP2024090991A - 赤外線撮像レンズ - Google Patents

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基志 岩永
佳雅 松下
史雄 佐藤
信男 堀
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Abstract

Figure 2024090991000001
【課題】解像度に優れた、望遠レンズを実現する。
【解決手段】赤外線撮像レンズ(1)は、複数のレンズからなる第1群(G1)、複数のレンズからなる第2群(G2)が配置され、各レンズは波長10μmにおける屈折率が2.5~4.0のカルコゲナイドガラスからなり、第1群及び第2群のそれぞれは、アッベ数が互いに異なる前記カルコゲナイドガラスからなるレンズを含んでおり、全系焦点距離が、イメージサークルの径の5倍以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は赤外線撮像レンズに関する。
遠赤外領域、特に生体検知に適した10μm帯の波長領域の赤外線で被写体を撮影する赤外線カメラが、監視カメラや防犯カメラ、車載用ナイトビジョン等に応用されている。具体的には、これらの赤外線カメラは、施設等への侵入者監視、密漁者監視、交通網監視、進路上の障害物監視、森林火災火元検知、海上監視など様々な分野に適用可能であり、需要の拡大が期待されている。このような赤外線カメラに適用される赤外線撮像レンズが知られている。
特開2019-8271号公報
夜間の遠方監視に代表されるような用途には、焦点距離の比較的長い、いわゆる望遠レンズが要求される。例えば半画角が5度程度以下となるような焦点距離の非常に長い撮像レンズも設置箇所に応じて必要となる。このような望遠レンズとしての、特に、波長程度の画素ピッチを備えた小型のイメージセンサに対応できる優れた解像度を有し、かつ波長帯域が広く、民生品として利用可能な低コストの赤外線撮像レンズの実現が求められている。
本発明の一態様は、上記課題に着目したものであり、波長程度の画素ピッチを備えたイメージセンサに対応できる、優れた解像度を有する、民生用途に利用可能な望遠レンズである赤外線撮像レンズを実現することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本開示の一態様は、8~14μmの範囲内の少なくともいずれかの波長を含む赤外線領域で使用される赤外線撮像レンズであって、物体側から像面側に向かって順に、複数のレンズからなる第1群、複数のレンズからなる第2群が配置され、前記第1群及び前記第2群を構成するレンズのそれぞれは、波長10μmにおける屈折率が2.5~4.0のカルコゲナイドガラスからなり、前記第1群及び前記第2群のそれぞれは、8~14μmの範囲内の所定の波長域で定義されるアッベ数が互いに異なる前記カルコゲナイドガラスからなるレンズを含んでおり、全系焦点距離が、イメージサークルの径の5倍以上である。
また上記の課題を解決するために、本開示の別の一態様は、8~14μmの範囲内の少なくともいずれかの波長を含む赤外線領域で使用される赤外線撮像レンズであって、物体側から像面側に向かって順に、複数のレンズからなる第1群、複数のレンズからなる第2群が配置され、前記第1群及び前記第2群を構成するレンズのそれぞれは、波長10μmにおける屈折率が2.5~4.0のカルコゲナイドガラスからなり、前記第1群及び前記第2群のそれぞれは、8~14μmの範囲内の所定の波長域で定義されるアッベ数が互いに異なる前記カルコゲナイドガラスからなるレンズを含んでおり、半画角が5°以下である。
本発明の上記態様によれば、波長程度の画素ピッチを備えたイメージセンサに対応でき、優れた解像度を有する、民生用途に利用可能な望遠レンズである赤外線撮像レンズを実現することができる。
本発明の実施形態に係る赤外線撮像レンズの、主要部の構成を示す断面図である。 本発明の数値実施例1に係る赤外線撮像レンズの、球面収差、非点収差、ディストーションを示す収差図である。 本発明の数値実施例1に係る赤外線撮像レンズの、コマ収差を示す収差図である。 本発明の数値実施例1に係る赤外線撮像レンズの、相対照度の像高依存性を示すグラフである。 本発明の数値実施例1に係る赤外線撮像レンズの、波長範囲8~14μmのMTFの空間周波数依存性を示すグラフである。 本発明の数値実施例1に係る赤外線撮像レンズの、波長範囲8~14μmのMTFの空間周波数依存性を示すグラフである。 本発明の数値実施例1に係る赤外線撮像レンズの、MTFの焦点移動依存性を示すグラフである。 本発明の数値実施例1に係る赤外線撮像レンズの、MTFの焦点移動依存性への温度による影響を示すグラフである。
〔実施形態〕
<赤外線撮像レンズの概要>
実施形態に係る赤外線撮像レンズ1は、8~14μmの範囲内の少なくともいずれかの波長を含む赤外線領域に対応したイメージセンサ等の像面Sに被写体の像を結像するレンズ系である。このような波長領域は、遠赤外の波長領域とも称される波長領域でもある。
本実施形態に係る赤外線撮像レンズ1は、全系焦点距離fLが、イメージサークルの径φsの5倍以上であるような、望遠レンズを対象とする。つまり本実施形態に係る赤外線撮像レンズ1は、当該赤外線撮像レンズ1を備えることによって、遠距離の物体を拡大して観察することが可能な撮像装置を実現できるようにする、赤外線撮像レンズを対象とする。なお、イメージサークルの径は、使用するイメージセンサの対角長とほぼ同等か、やや大きめに設計する。具体的には、イメージサークルの径は、使用するイメージセンサの対角長の1~1.1倍と設計する。
図1は、赤外線撮像レンズ1の主要部の構成を示す、光軸に沿った断面図である。図1は無限遠距離の物体に合焦した状態の赤外線撮像レンズ1の構成及び光束を表す。赤外線撮像レンズ1は、物体側から像面S側に向かって順に、複数のレンズからなるレンズ群である第1群G1、複数のレンズからなるレンズ群である第2群G2が配置されて構成される。
第1群G1及び第2群G2を構成するレンズのそれぞれは、波長10μmにおける屈折率N10が2.5~4.0のカルコゲナイドガラスからなる。ここで符号N10は、特に波長10μmにおける屈折率であることを表す。また、第1群G1及び第2群G2のそれぞれは、8~14μmの範囲内の所定の波長域で定義されるアッベ数が互いに異なる上記カルコゲナイドガラスからなるレンズを含む。フォーカシングの際には、第1群G1及び第2群G2を構成するレンズが、一律に光軸方向に移動する。
第1群G1及び第2群G2のそれぞれは、正のパワー(屈折力)を持つレンズ(凸レンズ)と、負のパワー(屈折力)を持つレンズ(凹レンズ)を含み、正のパワーを持つように構成されている。より具体的には、第1群G1は、物体側から像面S側に向かって順に、正のパワーを持つ第1レンズL1と、負のパワーを持つ第2レンズL2とから構成される。第2群G2は、物体側から像面S側に向かって順に、正のパワーを持つ第3レンズL3と、負のパワーを持つ第4レンズL4とから構成される。
図1に示されるように、第4レンズL4と像面Sとの間には、平行平板Pが配置されている。平行平板Pはイメージセンサにハーメチックシーリングで装荷される光学ウィンドーであり、シリコン、低酸素シリコンまたはゲルマニウムが使用されている。
図1に記号APで示されているように、第1レンズL1の物体側の面(第1面)の有効径が、赤外線撮像レンズ1の開口絞りに相当する。第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、及び、平行平板Pの表面には、反射防止(AR:Anti-Reflection)コーティングが施される。このような遠赤外領域における反射防止コーティングには適宜の公知技術が適用され得る。
<各レンズの構成の詳細>
本実施形態の赤外線撮像レンズ1は、8~14μmの範囲内の少なくともいずれかの波長を含む赤外線領域で使用され得る赤外線撮像レンズである。各レンズの硝材として、波長10μmにおける屈折率N10が2.5~4.0のカルコゲナイドガラスを適用することで、8~14μmの広い波長範囲に亘って優れた特性を得ることが可能となる。赤外線撮像レンズ1に適用されるカルコゲナイドガラスの詳細については後述する。
遠距離の物体を拡大して観察することが可能な撮像装置を実現できるようにするために、本実施形態の赤外線撮像レンズ1は、全系焦点距離fLが、イメージサークルの径φsの5倍以上であるように構成される。このことは、半画角が5°以下であるとして定義されてもよい。特に本実施形態の赤外線撮像レンズ1では、全系焦点距離fLが、イメージサークルの径φsの5~10倍の範囲内であるように構成されることが好ましい。全系焦点距離fLの値としては、20~100mmであることが好ましい。
本実施形態によれば、このような望遠レンズにおいて、Fナンバーが0.9~1.1の範囲内であるような、明るい撮像レンズが実現可能となる。また、少なくとも8~14μmの広い波長範囲に亘って、レンズの硝材による光吸収が小さい撮像レンズを実現することができる。よって、Fナンバーが1程度と小さいことと相まって、明るい望遠レンズである撮像レンズが実現できる。
更に、本実施形態の赤外線撮像レンズ1は、各部の詳細を以下のように構成することが可能である。赤外線撮像レンズ1では、第1群の焦点距離f1よりも第2群の焦点距離f2を小さくすることが望ましい。赤外線撮像レンズ1がこのように構成されることで、収差特性を良好に保ちつつ、波長程度の画素ピッチを有するイメージセンサに対応可能な、高い解像度が得られるようになる。
特に、第1群の焦点距離fG1と、全系焦点距離fLとが、
2.0≦fG1/fL≦3.0
の関係式を満たし、第2群の焦点距離fG2と、全系焦点距離fLとが、
0<fG2/fL≦1.0
の関係式を満たすように構成されることが好ましい。
また、各レンズが次の構成を具備することが望ましい。第1レンズL1は正のパワーを有し、物体側に凸面を向けたメニスカス形状を備える。第2レンズL2は、負のパワーを有し、物体側に凸面を向けたメニスカス形状を備える。第3レンズL3は、正のパワーを有し、物体側に凸面を向けたメニスカス形状を備える。第4レンズL4は、負のパワーを有し、物体側に凸面を向けたメニスカス形状を備える。このように各レンズが構成、配置されることで、ペッツバール和の増大を抑制でき、像面湾曲が抑制され、結像面の平面性を保つようにできる。
第1レンズの焦点距離f1、前記第2レンズの焦点距離f2、前記第3レンズの焦点距離f3、前記第4レンズの焦点距離f4が、
1.1≦|f2/f1|≦2.0
1.1≦|f4/f3|≦2.0
の関係式を満たすように構成されることが好ましい。このように構成することで、良好な色消し特性を得ることができ、解像度の優れた望遠レンズが実現できる。
特に8~14μmの範囲内の所定の波長域で定義されるアッベ数について、第1群G1において、正のパワーを有する第1レンズL1よりも、負のパワーを有する第2レンズL2が小さいことが好ましい。より具体的には、負のパワーを有する第2レンズL2が、正のパワーを有する第1レンズL1に対して、5%以上小さいアッベ数を有していることが望ましい。また、波長10μmにおける屈折率N10について、正のパワーを有する第1レンズL1よりも、負のパワーを有する第2レンズL2が小さいことが好ましい。
同様に8~14μmの範囲内の所定の波長域で定義されるアッベ数について、第2群G2において、正のパワーを有する第3レンズL3よりも負のパワーを有する第4レンズL4が小さいことが好ましい。より具体的には、負のパワーを有する第4レンズL4が、正のパワーを有する第3レンズL3に対して5%以上小さいアッベ数を有していることが望ましい。また、波長10μmにおける屈折率N10について、正のパワーを有する第3レンズL3よりも、負のパワーを有する第4レンズL4が小さいことが好ましい。このように構成することで、特に良好な色消し特性を得ることができる。
ここで、8~14μmの範囲内の所定の波長域で定義されるアッベ数は、例えば、設計主要波長を10μmとした赤外線撮像レンズ1の場合には、波長10μm前後で定義されるアッベ数を用いることが適切である。このように、アッベ数を定義する所定の波長域は、赤外線撮像レンズ1が適用する設計主要波長に応じて選択されることが適切である。所定の波長域を8~12μmとして定義されるアッベ数ν10はその一例である。アッベ数ν10の定義の詳細は、後述の数値実施例1に示されている。
赤外線撮像レンズ1では、第1レンズL1の物体側の面(第1面)の有効径を開口絞りとすることが好ましい。このように構成されることで、イメージサークル内の全体において100%近い相対照度を確保することが可能となる。また、開口絞りをレンズ間に挿入するよりも赤外線撮像レンズ1の外径と体積を小さくすることが可能となる。
第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4のそれぞれは球面レンズであってもよい。このことにより、赤外線撮像レンズ1の球面収差及び非点収差は、各波長において像高による変動が小さいものとなる。そのため、MTF(Modulation Transfer Function:変調伝達関数)の像高依存性が小さい、実用的な解像特性の赤外線撮像レンズ1が実現できる。しかしながら、いずれかのレンズが非球面レンズであってもよく、また、回折面を備えた非球面レンズであってもよい。
遠赤外領域のイメージセンサの小型化が進展し、画素ピッチが波長程度の狭ピッチ限界に達するようになった。このように小型化されたイメージセンサは、大面積のものと比較してイメージセンサ自体が低コストで生産可能である。しかも、イメージセンサに適用される撮像レンズもイメージセンサの面積に合せて小口径化することができ、低コスト化できる。
よって、このようなイメージセンサ及び撮像レンズを赤外線カメラに適用することで、民生用途に適した低コスト化を実現することができ、赤外線カメラを様々な分野に展開することができるようになる。波長10μm帯の領域の狭ピッチのイメージセンサとしては、画素ピッチ12~17μmのものが市販されるようになっている。本実施形態の赤外線撮像レンズ1は、波長8~14μm程度の波長領域の、画素ピッチ12~17μm程度のイメージセンサが適用された赤外線カメラにも十分に対応できる解像度を備えた望遠レンズである。
<各レンズの硝材>
以下に、赤外線撮像レンズ1の各レンズを構成するカルコゲナイドガラスについて説明する。赤外線撮像レンズ1に適用されるカルコゲナイドガラスは、波長10μmにおける屈折率が2.5~4.0のカルコゲナイドガラスである。
このような遠赤外領域において屈折率の高いカルコゲナイドガラスは、本出願人によって開発された(国際公開公報WO2020/105719A1参照)。本硝材の波長10μmにおける屈折率N10としては、より具体的には2.74~3.92の範囲が実現されている。例えば、波長10μmにおける屈折率N10が、2.74~3.92、2.8~3.8、特に2.9~3.7であることが好ましい。屈折率N10が低すぎると、赤外線撮像レンズの焦点距離が長くなりすぎやすい。
本硝材は、少なくとも波長7~14μmといった、遠赤外領域の広い波長範囲に亘って光吸収が極めて小さい。特に本硝材は、波長10~26μmの遠赤外領域においても光吸収が小さいという特徴を持つ。カルコゲナイドガラスにおいて、遠赤外領域で光透過性が優れていることを示す指標として、「赤外吸収端波長」と「内部透過率」を用いることができる。
ここで赤外吸収端波長とは、波長8μm以上の領域における吸収端波長をいい、材料の厚み2mmにおける光透過率が20%となる波長で定義される。なお、内部透過率とは材料内部での透過率をいい、材料表面での反射損失は含まない。各レンズを構成する硝材としてのカルコゲナイドガラスは、赤外吸収端波長が18μm以上である。
従って、上記カルコゲナイドガラスは、波長10μmを超えるような赤外線をも透過し、少なくとも波長7~14μmの範囲に亘って透過率が良好である。また上記カルコゲナイドガラスの厚さ2mmでの内部透過率は、波長10μmにおいて90%以上である。こうして本実施形態の赤外線撮像レンズ1では、少なくとも7~14μmもの広い波長範囲に亘って、レンズの硝材による光吸収が小さい撮像レンズを実現することができる。
更に上記カルコゲナイドガラスを用いることで、プレス成型によるレンズの大量生産が容易である。またプレス成型により、非球面レンズの大量生産を行うことも可能となる。なお、本明細書において、非球面とは回折面を含む。好ましくは、硝材のガラス転移温度が200℃以下と低く、プレス成型がより容易であるとよい。遠赤外領域を透過する材料として用いられている、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)のような結晶系の材料では、プレス成型が不可能である。そのためレンズの生産効率には限界がある。
本実施形態の赤外線撮像レンズ1の各群において、屈折率N10及びアッベ数が大きい方のレンズ(以下、レンズA)を構成するのに適したカルコゲナイドガラスは、例えば、屈折率N10が3.45以上、かつアッベ数ν10が250以上のカルコゲナイドガラスであることが好ましい。具体的には、モル%で、テルル(Te)20~90%を含有するカルコゲナイドガラスであることが好ましい。より詳細には、モル%で、Te 20~90%、Ge+Ga 0~50%を含有するカルコゲナイドガラスであることが好ましい。
なお、本明細書において、特に断りのない限り、「%」は「モル%」を意味する。なお、本明細書において、「A1+A2+・・・」は該当する各成分の合量を意味する。ただし、当該記載は、該当する各成分からなる群から選択される少なくとも1種以上の成分を含む含有量を意味するものであり、上記群のうち、特定成分を含まない構成としてもよい。例えば、「A1+A2+A3+A4+A5 p~q%が好ましい」構成であるとき、「A1+A2+A3+A4 p~q%(ただしA5は含まない)」という構成にしてもよい。
以下、レンズAに好適なカルコゲナイドガラスの好ましい組成について説明する。
Teはガラス骨格を形成し、10μm以上の波長域における内部透過率を高めやすい成分である。また、Teは屈折率を高めやすい成分でもある。Teの含有量は、20~90%、30~88%、40~84%、50~82%、特に60~80%であることが好ましい。Teの含有量が少なすぎると、ガラス化しにくくなる。Teの含有量が多すぎると、Te系の結晶が析出しやすくなる。なお、他のカルコゲン元素Se、Sは、Teより10μm以上の波長域における内部透過率が低下しやすい。そのため、Se、Sの含有量は、それぞれ0~10%、0~5%、0~3%、特に0~1%であることが好ましい。
レンズAに好適なカルコゲナイドガラスは、Teに加えて、Ge及びGaの少なくともいずれかを含有することが好ましい。すなわち、Ge+Ga(Ge及びGaの合量)が、0~50%、1~40%、3~35%、5~30%、特に10~30%であることが好ましい。これらの成分を含有することにより、ガラス化範囲を広げ、ガラスの熱的安定性(ガラス化の安定性)を高めることができる。なお、Ge及びGaの各成分の好ましい範囲は以下の通りである。
Geはガラス化範囲を広げ、ガラスの熱的安定性を高める成分である。Geの含有量は、0~50%、1~40%、3~35%、5~30%、8~25%、特に10~20%であることが好ましい。Geの含有量が多すぎると、Ge系の結晶が析出しやすくなるとともに、原料コストが高くなる傾向がある。
Gaはガラス化範囲を広げ、ガラスの熱的安定性を高める成分である。Gaの含有量は、0~50%、1~30%、2~20%、3~15%、特に4~10%であることが好ましい。Gaの含有量が多すぎると、Ga系の結晶が析出しやすくなるとともに、原料コストが高くなる傾向がある。
なお、ガラス化の安定性を高める観点からは、Ge、Ga及びTeの含有量の合量が多いことが好ましい。具体的には、Ge+Ga+Teが50%以上、60%以上、70%以上、特に80%以上であることが好ましい。ただし、他成分を導入するために、Ge+Ga+Teの上限値については98%以下、96%以下、95%以下、特に90%以下としてもよい。
レンズAに好適なカルコゲナイドガラスは、上記成分以外にも、以下に示す種々の成分を含有させることができる。
Agは、ガラスの熱的安定性と屈折率を高める成分である。Agの含有量は0~50%、0超~50%、1~45%、2~40%、3~35%、4~30%、5~25%、特に5~20%であることが好ましい。Agの含有量が多すぎると、ガラス化しにくくなる。
Siは、ガラスの熱的安定性を高める成分である。Siの含有量は0~50%、0超~50%、1~45%、2~40%、3~35%、4~30%、5~25%、特に5~20%であることが好ましい。Siの含有量が多すぎると、Si起因の赤外吸収が発生しやすくなり、赤外線が透過しにくくなる。ただし、Siはアッベ数を小さくしやすい成分であるため、アッベ数を大きくする観点からは、Siの含有量は5%以下、1%以下、0.5%以下、特に0.1%未満であることが好ましい。
Al、Ti、Cu、In、Sn、Bi、Cr、Sb、Zn、Mnは赤外線透過特性を低下させることなく、ガラスの熱的安定性を高める成分である。Al+Ti+Cu+In+Sn+Bi+Cr+Sb+Zn+Mnの含有量(Al、Ti、Cu、In、Sn、Bi、Cr、Sb、Zn及びMnの合量)は0~40%、2~35%、4~30%、特に5~25%であることが好ましい。Al+Ti+Cu+In+Sn+Bi+Cr+Sb+Zn+Mnの含有量が多すぎると、ガラス化しにくくなる。
なお、Al、Ti、Cu、In、Sn、Bi、Cr、Sb、Zn、Mnの各成分の含有量は、各々0~40%、1~40%、1~30%、1~25%、特に1~20%であることが好ましい。なかでもガラスの熱的安定性を高める効果が特に大きいという点でAl、Cu、及び/又はSnを使用することが好ましい。ただし、Al及びSnはアッベ数を小さくしやすい成分であるため、アッベ数を大きくする観点からは、Al及びSnの含有量は、各々5%以下、1%以下、0.5%、特に0.1%未満であることが好ましい。
F、Cl、Br、Iもガラスの熱的安定性を高める成分である。F+Cl+Br+Iの含有量(F、Cl、Br及びIの合量)は0~40%、2~35%、4~30%、特に5~25%であることが好ましい。F+Cl+Br+Iの含有量が多すぎると、ガラス化しにくくなるとともに、耐候性が低下しやすくなる。なお、F、Cl、Br、Iの各成分の含有量は、各々0~40%、1~40%、1~30%、1~25%、特に1~20%であることが好ましい。なかでもIは、元素原料を使用可能であり、ガラスの熱的安定性を高める効果が特に大きいという点で好ましい。
なお、環境への負荷を特に低減するという観点からは、Se及びAsを実質的に含有しないことが特に好ましい。本発明において、「実質的に含有しない」とは、その含有量が0.1モル%未満であることを指す。Cd、Tl及びPbは実質的に含有しないことが好ましい。このようにすれば、環境面への影響を最小限に抑えることができる。
このように、レンズAに好適なカルコゲナイドガラスは、後述するレンズBに好適なカルコゲナイドガラスと比較して、屈折率N10が大きく、アッベ数が大きい。本発明では、上記カルコゲナイドガラスの具体例として、屈折率N10が3.465であり、アッベ数ν10が253である、カルコゲナイドガラスCG1を用いる。
更に、本実施形態の赤外線撮像レンズ1の各群において、屈折率N10及びアッベ数が小さい方のレンズ(以下、レンズB)を構成するのに適したカルコゲナイドガラスは、例えば、屈折率N10が3.45未満、かつアッベ数ν10が250未満のカルコゲナイドガラスであることが好ましい。具体的には、モル%で、S+Se+Te 25~90%、Sn 0.1~30%、Ag 0.1~15%、及びGe+Sn 1~30%を含有し、(Ge+Sn)/(S+Se+Te)が0.3以下であることが好ましい。なお、本発明において、「x/y」は成分xの含有量を成分yの含有量で除した値を指す。
以下、レンズBに好適なカルコゲナイドガラスの好ましい組成について説明する。
S、Se及びTeはガラス骨格を形成する成分である。S+Se+Teの含有量(S、Se及びTeの合量)は、25~90%、30~89%、40~89%、50~85%、50~82%、特に50~80%であることが好ましい。S+Se+Teの含有量が少なすぎると、ガラス化しにくくなる。S+Se+Teの含有量が多すぎると、S系、Se系またはTe系の結晶が析出して、内部透過率が低下しやすくなる。なお、各成分の含有量の好ましい範囲は以下の通りである。
Sの含有量は、0~90%、10~90%、20~89%、30~89%、40~88%、50~88%、50~80%、特に50~75%であることが好ましい。ただし、Sは波長10μm以上における内部透過率を低下させやすい成分である。そのため、赤外域における内部透過率を向上させるという観点からは、Sの含有量は30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、3%以下、特に1%以下であることが好ましい。
Seの含有量は、0~90%、10~90%、20~89%、30~89%、40~88%、50~88%、50~80%、特に50~75%であることが好ましい。ただし、Seは毒性成分である。そのため、環境への負荷を低減するという観点からは、Seの含有量は40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、3%以下、1%以下、特に実質的に含有しないことが好ましい。
Teの含有量は、0~90%、1~90%、10~90%、20~89%、30~89%、40~88%、50~88%、50~80%、特に50~75%であることが好ましい。また、Teは屈折率を高めやすい成分である。Teの含有量が多すぎると、ガラス化しにくくなる。また、Te系結晶が析出して内部透過率が低下しやすくなる。
なお、S、Se及びTeのうち、少なくとも一種の成分を含有していればよいが、10μm以上の波長域における内部透過率を高めるという点では、少なくともTeを含有していることが特に好ましい。Teを含有することにより、赤外吸収端波長を20μm以上にしやすくなる。
Snはガラス材のアッベ数を小さくしやすい成分である。また、屈折率を高めやすい効果もある。Snの含有量は、0.1~30%、0.1~28%、0.1~26%、0.3~26%、0.3~24%、特に0.5~22%であることが好ましい。Snの含有量が少なすぎると、アッベ数が大きくなりやすい。Snの含有量が多すぎると、ガラス化しにくくなる。なお、内部透過率を特に高めるという点では、Snの含有量は、20%以下、15%以下、12%以下、10%以下、8%以下、特に5%以下であることが好ましい。
Te+Snの含有量(Te及びSnの合量)は、0.1~99%、1~99%、10~99%、20~99%、30~99%、30~95%、特に30~90%であることが好ましい。Te+Snが少なすぎるとガラス化しづらくなる。Te+Snが多すぎると内部透過率が低下しやすくなる。
Agはガラス化範囲を広げ、ガラスの熱的安定性を高めやすい成分である。また、ガラスの内部透過率と屈折率を高めやすい成分でもある。Agの含有量は、0.1~15%、0.1~14%、0.3~14%、特に0.5~14%であることが好ましい。Agの含有量が少なすぎると、ガラスの内部透過率が低下しやすくなる。Agの含有量が多すぎると、ガラス化しにくくなる。
Sn+Agの含有量(Sn及びAgの合量)は、1~30%、1~28%、1~25%、3~25%、特に3~23%であることが好ましい。Sn+Agが上記値を満たすことにより、ガラス化しやすくなる。Sn+Agの含有量が少なすぎると、ガラス化範囲が狭くなりやすく、かつアッベ数が大きくなりやすくなる。Sn+Agの含有量が多すぎると、ガラス化しにくくなる。なお、内部透過率を特に高めるという点では、Sn+Agの含有量の上限は、20%以下、15%以下、12%以下、10%以下、8%以下、特に5%以下であることが好ましい。
特にアッベ数を小さくする観点からは、Sn/(Sn+Ag)が0.01以上、0.1以上、0.2以上、特に0.3以上であることが好ましい。一方、Sn/(Sn+Ag)が大きすぎるとガラス化しづらくなる。また、内部透過率が低下しやすい。そのため、その上限は0.99以下、特に0.98以下であることが好ましい。
ガラス材の内部透過率を高める観点からは、Ag/(Sn+Ag)が0.01以上、0.1以上、0.2以上、特に0.25以上であることが好ましい。一方、Ag/(Sn+Ag)が大きすぎるとアッベ数が大きくなりやすい。そのため、その上限は0.99以下、0.9以下、0.8以下、特に0.75以下であることが好ましい。
Geはガラス骨格を形成する成分である。また、ガラスの熱的安定性を高めやすい成分である。Geの含有量は、0~30%、0.1~30%、0.1~25%、0.3~25%、0.3~24%、特に0.5~22%であることが好ましい。Geの含有量が多すぎると、内部透過率が低下しやすくなる。また、原料コストが高くなりやすくなる。
Ge+Snの含有量(Ge及びSnの合量)は、1~30%、1~28%、1~26%、3~25%、3~24%、5~24%、特に8~23%であることが好ましい。Ge+Snが上記値を満たすことにより、ガラス化しやすくなる。なお、ガラス化を安定させる観点からは、GeとSnの両成分を0.1%以上、0.3%以上、特に0.5%以上含有することが好ましい。
(Ge+Sn)/(S+Se+Te)は、0.3以下、0.29以下、0.28以下、特に0.25以下であることが好ましい。(Ge+Sn)/(S+Se+Te)が上記値を満たすことにより、ガラス化しやすくなる。(Ge+Sn)/(S+Se+Te)の下限は、例えば0.04以上である。
なお、Teを必須成分として含有する場合、(Ge+Sn)/Teが、0.3以下、0.29以下、0.28以下、特に0.25以下であることが好ましい。(Ge+Sn)/Teが上記値を満たすことにより、ガラス化しやすくなる。(Ge+Sn)/Teの下限は、例えば0.04以上である。
レンズBに好適なカルコゲナイドガラスは、上記成分以外にも、以下に示す種々の成分を含有させることができる。
Ga、Sb及びBiはガラス化範囲を広げ、ガラスの熱的安定性を高めやすい成分である。Ga+Sb+Bi(Ga、Sb及びBiの合量)の含有量は、0~50%、0.1~50%、0.3~40%、0.5~30%、特に1~30%であることが好ましい。Ga+Sb+Biの含有量が多すぎると、ガラス化しにくくなる。なお、Ga、Sb、Biの各成分の含有量は、0~50%、0.1~50%、0.1~40%、0.1~30%、0.1~25%、0.3~25%、0.5~25%、特に1~25%であることが好ましい。また、ガラス化を容易にするという点では、Gaを含有していることが特に好ましい。
Ga/(S+Se+Te)は2以下、1.9以下、1.8以下、1.5以下、1以下、0.7以下、特に0.5以下であることが好ましい。また、0以上、0.04以上、0.05以上、特に0.1以上であることが好ましい。Ga/(S+Se+Te)が上記値を満たすことにより、ガラス化しやすくなる。
なお、Teを必須成分として含有する場合、Ga/Teは2以下、1.9以下、1.8以下、1.5以下、1以下、0.7以下、特に0.5以下であることが好ましい。また、0以上、0.04以上、0.05以上、特に0.1以上であることが好ましい。Ga/Teが上記値を満たすことにより、ガラス化しやすくなる。
Ge+Gaの含有量(Ge及びGaの合量)は、0~60%、0.1~60%、0.1~55%、特に0.5~55%であることが好ましい。Ge+Gaが上記値を満たすことにより、ガラス化しやすくなり、ガラスの熱的安定性を高めやすくなる。Ge+Gaの含有量が多すぎると、Ge系またはGa系の結晶が析出して、内部透過率が低下しやすくなる。なお、ガラス化を安定させる観点からは、GeとGaの両成分を0.1%以上含有することが好ましい。
(Ge+Ga)/(S+Se+Te)は2以下、1.9以下、1.8以下、1.5以下、1.2以下、特に1以下であることが好ましい。また、(Ge+Ga)/(S+Se+Te)は0.04以上、0.05以上、特に0.1以上であることが好ましい。(Ge+Ga)/(S+Se+Te)が上記値を満たすことにより、ガラス化しやすくなる。
なお、Teを必須成分として含有する場合、(Ge+Ga)/Teは2以下、1.9以下、1.8以下、1.5以下、1.2以下、特に1以下であることが好ましい。また、0.04以上、0.05以上、特に0.1以上であることが好ましい。(Ge+Ga)/Teが上記値を満たすことにより、ガラス化しやすくなる。
内部透過率を特に高めるという観点では、Bi/(Ga+Sb+Bi)が1未満、0.5以下、0.3以下、特に0.1以下であることが好ましい。
F、Cl、Br及びIはガラス化範囲を広げ、ガラスの熱的安定性を高めやすい成分である。また、内部透過率を高めやすい成分でもある。F+Cl+Br+Iの含有量(F、Cl、Br及びIの合量)は0~20%、0~15%、0~10%、0~5%、0~4%、0~3%、0~2%、0~1%、特に0.1~1%であることが好ましい。F+Cl+Br+Iの含有量が多すぎると、ガラス化しにくくなる。また、耐候性が低下しやすくなる。
また、Cl+Iの含有量(Cl及びIの合量)は0~20%、0~15%、0~10%、0~5%、0~4%、0~3%、0~2%、0~1%、特に0.1~1%であることが好ましい。なお、F、Cl、Br及びIの各成分の含有量は、0~20%、0~15%、0~10%、0~5%、0~4%、0~3%、0~2%、0~1%、特に0.1~1%であることが好ましい。
Al及びSiはガラス骨格を形成し、アッベ数を小さくしてガラスの分散を高めやすい成分である。Al+Siの含有量(Al及びSiの合量)は、0~50%、0~40%、0~30%、0~20%、0~15%、特に0~10%であることが好ましい。Al+Siの含有量が多すぎると、内部透過率が低下しやすくなる。なお、Al及びSiの各成分の含有量は、0~50%、0~40%、0~30%、0~20%、0~15%、特に0~10%であることが好ましい。
Zn、In及びCuはガラス化範囲を広げ、ガラスの熱的安定性を高めやすい成分である。Zn+In+Cuの含有量(Zn、In及びCuの合量)は、0~50%、0~40%、0~30%、0~25%、0~20%、0~15%、0~12%、0~10%、特に0~5%であることが好ましい。Zn+In+Cuの含有量が多すぎると、ガラス化しにくくなる。なお、Zn、In、Cuの各成分の含有量は、0~50%、0~40%、0~30%、0~25%、0~20%、0~15%、0~12%、0~10%、特に0~5%であることが好ましい。
B、C、Cr、Mn、Ti、Fe等を含有してもよい。B+C+Cr+Mn+Ti+Feの含有量(B、C、Cr、Mn、Ti及びFeの合量)は、0~40%、0~30%、0~20%、0~10%、0~5%、0~1%、特に0~1%未満であることが好ましい。これらの成分の含有量が多すぎると、所望の光学特性が得づらくなる恐れがある。なお、B、C、Cr、Mn、Ti、Feの各成分の含有量は、0~10%、0~5%、0~1%、特に0~1%未満であることが好ましい。
Asは、ガラスの熱的安定性を高める成分である。ただし、Asは毒性成分であるため、環境への負荷を低減するという観点からは、Asの含有量は30%以下、25%以下、20%以下、10%以下、5%以下、1%以下、特に実質的に含有しないことが好ましい。なお、環境への負荷を特に低減するという観点からは、Seを実質的に含有しないことが特に好ましい。Cd、Tl及びPbは実質的に含有しないことが好ましい。このようにすれば、環境面への影響を最小限に抑えることができる。
このように、レンズBに好適なカルコゲナイドガラスは、レンズAを構成するのに適したカルコゲナイドガラスと比較して、屈折率N10が小さく、アッベ数が小さい。本発明では、上記カルコゲナイドガラスの具体例として、屈折率N10が3.419であり、アッベ数ν10が226である、カルコゲナイドガラスCG2を用いる。カルコゲナイドガラスCG2は、上記特性を有することにより、赤外線撮像レンズ1の第1群G1及び第2群G2に適用することで、十分な色消し特性を得ることが可能である。
次に、屈折率N10の温度依存性について検討した。カルコゲナイドガラスCG1の屈折率N10の温度依存性dN10/dTは、294×10-6/Kであり、カルコゲナイドガラスCG2の屈折率N10の温度依存性dN10/dTは、244×10-6/Kであった。これらの値は似通っている。そのため、カルコゲナイドガラスCG1からなるレンズとカルコゲナイドガラスCG2からなるレンズとを組み合わせて赤外線撮像レンズ1を構成しても、焦点位置の像高によるばらつきが、温度によって大きくなることが無く、焦点特性の温度依存性が良好となる。
<数値実施例1>
赤外線撮像レンズ1の数値実施例を示す。数値実施例1に係る赤外線撮像レンズの断面図は、図1に示された通りである。数値実施例1において、rは曲率半径、dは光軸上のレンズ厚、または、面間の距離、EDは有効径(直径)を表す。長さの単位は(mm)である。以下に、基本レンズデータ、各種データを示す。
屈折率及びアッベ数ν10の定義は以下の通りである:
N8:波長8μmにおける屈折率
N10:波長10μmにおける屈折率
N12:波長12μmにおける屈折率
ν10=(N10-1)/(N8-N12)
第1レンズL1及び第3レンズL3には、屈折率N10が3.465であり、アッベ数ν10が253である、上述のカルコゲナイドガラスCG1を用いている。第2レンズL2及び第4レンズL4には、屈折率N10が3.419であり、アッベ数ν10が226である、上述のカルコゲナイドガラスCG2を用いている。赤外線撮像レンズ1は、4枚のレンズ構成であり軽量にできる。各レンズが球面レンズでシンプルであり、プレス成型で製造できることと相まって、赤外線撮像レンズ1は、民生用途に適用し得る低コストで製造できる。
平行平板Pには、シリコン(Si)を用いている。シリコンの屈折率の波長分散としては公知の文献値を用いて光学特性のシミュレーションを行った。平行平板Pはイメージセンサの保護用に設けられている。バックフォーカスBFL=12.5mmは、実距離であり、十分な距離を確保している。
像面Sでの最大像高は、4.1mmであり、よって、イメージサークルの径φsは8.2mmである。従って赤外線撮像レンズ1は、対角長が8.16mmとなる、画素ピッチ17μmの384×288画素といったQVGAクラスのイメージセンサに適用可能である。また赤外線撮像レンズ1は、画素ピッチ17μmのQVGA(320×240画素)、QVGA+(345×240画素)を含む、QVGAクラスのイメージセンサの画素領域をカバーできる。
赤外線撮像レンズ1が、320×256画素を含む、画素ピッチ12μmのQVGAクラスのイメージセンサの画素領域をカバーできることは言うまでもない。なお画素ピッチ12μmの、384×288画素、320×256画素等の構成は、レンズの光軸中心が、仮にイメージセンサの中心に完全一致しなくても、有効画素数がQVGA(320×240画素)を確保することができる。
赤外線撮像レンズ1の全系焦点距離fLとイメージサークルの径φsとの比は、
fL/φs=6.1
である。すなわち、赤外線撮像レンズ1は望遠レンズである。また、最大半画角は4.7°であり、長焦点の望遠レンズといえる5°以下の範囲内である。赤外線撮像レンズ1はこのような画角が狭い望遠レンズでありつつ、Fナンバー1.0と、極めて明るい撮像レンズである。
焦点距離は、第1レンズがf1=42.44(mm)、第2レンズがf2=-57.03(mm)、第3レンズがf3=22.73(mm)、第4レンズがf4=-44.47(mm)である。よって赤外線撮像レンズ1は、第1レンズL1のパワーよりも第3レンズL3のパワーが強いように構成されている。また、赤外線撮像レンズ1は、第2レンズL2のパワーよりも第4レンズL4のパワーが強いように構成されている。
第1群において第2レンズL2の第1レンズL1に対する焦点距離の比は、
|f2/f1|=1.34
であり、1.1以上2.0以下の範囲内である。第2群において第4レンズL4の第3レンズL3に対する焦点距離の比は、
|f4/f3|=1.96
であり、1.1以上2.0以下の範囲内である。これらの比率により、赤外線撮像レンズ1の色消しが良好になるように構成されている。
各群の焦点距離は、第1群がfG1=126.84(mm)、第2群がfG2=34.07(mm)である。各群の焦点距離の全系の焦点距離fLに対する比率は、
fG1/fL=2.54
fG2/fL=0.68
である。全系の焦点距離fLに対してこのように各群の焦点距離を割り当てることで、赤外線撮像レンズ1では、全体としてバランスの取れた良好な光学特性が得られている。このことは後述のMTF特性(図5及び図6)に表れている。
赤外線撮像レンズ1の数値実施例1の諸性能を図2から図7に示す。図2及び図3は、赤外線撮像レンズ1の収差図である。図2は、球面収差、非点収差、ディストーションを示す。それぞれにおいて、8~14μmの範囲の各波長に対するグラフが示されている。図3は、像高0mmから最大像高までの各像高Yにおけるコマ収差を、タンジェンシャル(メリジオナル)方向とサジタル(ラジカル)方向に分けて示す収差図である。図2及び図3に示されるように、数値実施例1に係る赤外線撮像レンズ1では、8~14μmの広い波長領域に亘って諸収差が良好に補正されている。
全系焦点距離fLが、イメージサークルの径φsの5倍以上である、あるいは、半画角が5度以下であるような長焦点の望遠レンズでは、解像度を高める上で、色収差が大きな問題となる。撮像レンズを構成する全てのレンズが同一の材料で構成されている場合、当該材料のアッベ数の逆数に全系焦点距離fLを乗じた距離が、残留近軸色収差量の限界値Δfに相当する。仮に、赤外線撮像レンズ1を構成する全てのレンズを波長8~12μmにおける屈折率差を用いて定義されているアッベ数ν10が253の、単一の材料で構成したとすると、残留近軸色収差量の限界値Δfが約0.2mmと見積もられる。
図2の球面収差図によれば、波長8μmと波長12μmの間での近軸色収差の差異は、光軸付近において0.1mmであり、これが近軸色収差量に相当する。このように、適切な設計に基づいて、各群においてアッベ数ν10の異なるカルコゲナイドガラスを組み合わせて構成される赤外線撮像レンズ1では、単一のカルコゲナイドガラスによる赤外線撮像レンズにおいて期待される値と比較すると残留近軸色収差量が大幅に改善され、色収差全体が改善されている。
図4は、赤外線撮像レンズ1の数値実施例1の、像高Yに対する相対照度を示したグラフである。ここで相対照度とは、像面Sにおける最大照度に対する、照度の比をいう。図4に示されるように、最大像高までの範囲において、波長10μmにおける相対照度は0.95以上であってほぼ1といえ、イメージサークル内において極めて均一な光量分布が得られている。
図5は、波長範囲8~14μmのMTFの空間周波数依存性を示したグラフである。画素ピッチ17μm、384×288画素のイメージセンサのナイキスト周波数fは29.4cycles/mmであり、最大像高は4.08mmである。図5は、空間周波数0から30cycles/mmの範囲と、像高0から4.08mmの範囲の結果を示す。
波長範囲8~14μmの広い波長範囲に亘るMTF特性において、ナイキスト周波数f=29.4(cycles/mm)での、像中央のMTFが0.28であり、当該イメージセンサの領域内においてMTF>0.25(タンジェンシャル方向、サジタル方向の単純平均)が確保されている。また赤外線撮像レンズ1は、このようなイメージセンサに適用したときの、MTF特性の像高依存性が極めて小さく、実用的な特性を備えている。
図6もまた、波長範囲8~14μmのMTFの空間周波数依存性を示したグラフである。画素ピッチ12μm、320×256画素のイメージセンサのナイキスト周波数fは41.7cycles/mmであり、最大像高は2.46mmである。図6は、空間周波数0から50cycles/mmの範囲と、像高0から2.46mmの範囲の結果を示す。
波長範囲8~14μmの広い波長範囲に亘るMTF特性において、ナイキスト周波数f=41.7(cycles/mm)での、像中央のMTFが0.19であり、当該イメージセンサの領域内においてMTF>0.177(タンジェンシャル方向、サジタル方向の単純平均)が確保されている。また赤外線撮像レンズ1は、このようなイメージセンサに適用したときのMTF特性の像高依存性が極めて小さく、実用的な特性を備えている。
このように赤外線撮像レンズ1は、画素ピッチ12~17μm程度のQVGAクラスのイメージセンサの領域内で良好な解像度が得ることができる。こうして赤外線撮像レンズ1は、波長範囲8~14μmの範囲内において良好な解像度を得ることができる。
赤外線撮像レンズ1においては、第1群、第2群を共に、正のパワーを持つレンズ(凸レンズ)と負のパワーを持つレンズ(凹レンズ)の組み合わせとし、更に比率fG1/fL、fG2/fLを上記の程度とするように設計している。これにより、ペッツバール和の増加が抑制されており、各像高でバランスの取れたMTF特性が実現されている。
図7は、焦点移動に対する、空間周波数15cycles/mmにおける波長範囲8~14μmのMTFの変化を示したグラフである。また、図8は、焦点移動に対する、空間周波数15cycles/mmにおける波長10μmのMTFの変化の温度依存性を示すためのグラフである。図8に示されるように、-40℃から80℃までの広い温度範囲に亘って、各像高の焦点位置がばらつかず、極めて良好な焦点特性の温度依存性を示している。具体的には、ベストフォーカス位置の温度依存性dp´/dTが-3.95μm/℃となった。加えて、ベストフォーカス位置が温度変化に対して非常によく線形性を保っているので、金属や樹脂の熱膨張などを利用して機械的にピント位置がズレないような機構を設けることが可能になる。
以上のように数値実施例1の赤外線撮像レンズ1は、波長範囲8~14μmにおいて、画素ピッチ12~17μm程度のQVGAクラスのイメージセンサに十分対応する良好な解像度を有する。また赤外線撮像レンズ1は、長焦点(fL/φs:5~10)の望遠レンズであるにも係らず、Fナンバーが1.0と極めて明るいため。このような画素ピッチの小さいイメージセンサに十分対応する性能を備えている。このように本実施形態によれば、従来に無い、優れた特性の望遠レンズである赤外線撮像レンズが実現できる。
〔まとめ〕
本開示の態様1は、8~14μmの範囲内の少なくともいずれかの波長を含む赤外線領域で使用される赤外線撮像レンズであって、物体側から像面側に向かって順に、複数のレンズからなる第1群、複数のレンズからなる第2群が配置され、前記第1群及び前記第2群を構成するレンズのそれぞれは、波長10μmにおける屈折率が2.5~4.0のカルコゲナイドガラスからなり、前記第1群及び前記第2群のそれぞれは、8~14μmの範囲内の所定の波長域で定義されるアッベ数が互いに異なる前記カルコゲナイドガラスからなるレンズを含んでおり、全系焦点距離が、イメージサークルの径の5倍以上である。
上記構成によれば、波長程度の画素ピッチを備えたイメージセンサに対応できる、優れた解像度を有する、望遠レンズである赤外線撮像レンズを実現することができる。
本開示の態様2に係る赤外線撮像レンズは、上記態様1において、前記第1群及び前記第2群のそれぞれは、正のパワーを持つレンズと、負のパワーを持つレンズを含み、正のパワーを持つように構成されていることを特徴とする。上記構成によれば、波長程度の画素ピッチを備えたイメージセンサに対応できる、特に優れた解像度を有する、望遠レンズである赤外線撮像レンズを実現することができる。
本開示の態様3に係る赤外線撮像レンズは、上記態様1において、前記第1群は正のパワーを持ち、物体側から像面側に向かって順に、正のパワーを持つ第1レンズと、負のパワーを持つ第2レンズとから構成され、前記第2群は正のパワーを持ち、物体側から像面側に向かって順に、正のパワーを持つ第3レンズと、負のパワーを持つ第4レンズとから構成されていることを特徴とする。上記構成によれば、温度変化に対しても優れた解像度を保てる、望遠レンズである赤外線撮像レンズを実現することができる。
本開示の態様4に係る赤外線撮像レンズは、上記態様3において、前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ及び前記第4レンズのいずれもが、物体側に凸のメニスカスレンズであることを特徴とする。上記構成によれば、ペッツバール和の増大を抑制でき、像面湾曲が抑制され、結像面の平面性を保つようにできる。
本開示の態様5に係る赤外線撮像レンズは、上記態様3または4において、前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ及び前記第4レンズのいずれもが、球面レンズであることを特徴とする。上記構成によれば、MTFの像高依存性が小さい、実用的な解像特性の赤外線撮像レンズ1が実現できる。
本開示の態様6に係る赤外線撮像レンズは、上記態様3から5において、前記第2レンズを構成する前記カルコゲナイドガラスは、前記第1レンズを構成する前記カルコゲナイドガラスよりも前記屈折率及び前記アッベ数が小さく、前記第4レンズを構成する前記カルコゲナイドガラスは、前記第3レンズを構成する前記カルコゲナイドガラスよりも前記屈折率及び前記アッベ数が小さいことを特徴とする。上記構成によれば、良好な色消し特性を得ることができ、解像度の優れた望遠レンズが実現できる。
本開示の態様7に係る赤外線撮像レンズは、上記態様3から6において、前記第2レンズを構成する前記カルコゲナイドガラスは、前記第1レンズを構成する前記カルコゲナイドガラスに対して、波長8~12μmの範囲内の波長域で定義される前記アッベ数が5%以上小さく、前記第4レンズを構成する前記カルコゲナイドガラスは、前記第3レンズを構成する前記カルコゲナイドガラスに対して、波長8~12μmの範囲内の波長域で定義される前記アッベ数が5%以上小さいことを特徴とする。上記構成によれば、特に良好な色消し特性を得ることができ、解像度の優れた望遠レンズが実現できる。
本開示の態様8に係る赤外線撮像レンズは、上記態様3から7において、前記第1レンズの焦点距離f1、前記第2レンズの焦点距離f2、前記第3レンズの焦点距離f3、前記第4レンズの焦点距離f4が、
1.1≦|f2/f1|≦2.0
1.1≦|f4/f3|≦2.0
の関係式を満たすことを特徴とする。上記構成によれば、特に良好な色消し特性を得ることができ、解像度の優れた望遠レンズが実現できる。
本開示の態様9に係る赤外線撮像レンズは、上記態様3から8において、前記第1レンズの像面側の面の有効径を開口絞りとすることを特徴とする。上記構成によれば、開口絞りをレンズ間に挿入するよりも赤外線撮像レンズの外径と体積を小さくすることが可能となる。
本開示の態様10は、8~14μmの範囲内の少なくともいずれかの波長を含む赤外線領域で使用される赤外線撮像レンズであって、物体側から像面側に向かって順に、複数のレンズからなる第1群、複数のレンズからなる第2群が配置され、前記第1群及び前記第2群を構成するレンズのそれぞれは、波長10μmにおける屈折率が2.5~4.0のカルコゲナイドガラスからなり、前記第1群及び前記第2群のそれぞれは、8~14μmの範囲内の所定の波長域で定義されるアッベ数が互いに異なる前記カルコゲナイドガラスからなるレンズを含んでおり、半画角が5°以下である。
上記構成によれば、波長程度の画素ピッチを備えたイメージセンサに対応できる、優れた解像度を有する、望遠レンズである赤外線撮像レンズを実現することができる。
本開示の態様11に係る赤外線撮像レンズは、上記態様1から10において、前記全系焦点距離fL、前記第1群の焦点距離fG1が、
2.0≦fG1/fL≦3.0
の関係式を満たすことを特徴とする。上記構成によれば、MTFの像高依存性が小さい、実用的に優れた解像特性の赤外線撮像レンズ1が実現できる。
本開示の態様12に係る赤外線撮像レンズは、上記態様1から11において、前記全系焦点距離fL、前記第2群の焦点距離fG2が、
0<fG2/fL≦1.0
の関係式を満たすことを特徴とする。上記構成によれば、MTFの像高依存性が小さい、実用的に優れた解像特性の赤外線撮像レンズ1が実現できる。
本開示の態様13に係る赤外線撮像レンズは、上記態様1から12において、前記全系焦点距離が、イメージサークルの径の5~10倍の範囲内であることを特徴とする。上記構成によれば、収差特性、解像度に優れた望遠レンズである赤外線撮像レンズを実現することができる。
本開示の態様14に係る赤外線撮像レンズは、上記態様1から13において、Fナンバーが、0.9~1.1の範囲内であることを特徴とする。上記構成によれば、収差特性、解像度に優れた望遠レンズである、Fナンバーが小さい明るい赤外線撮像レンズを実現することができる。
本開示の態様15に係る赤外線撮像レンズは、上記態様1から14において、前記カルコゲナイドガラスは、厚み2mmでの光透過率が20%となる赤外吸収端波長が18μm以上であることを特徴とする。上記構成によれば、少なくとも8~14μmの波長の範囲において、光吸収が非常に小さい赤外線撮像レンズを構成できるようになる。
本発明の態様16に係る赤外線撮像レンズは、上記態様1から15において、前記カルコゲナイドガラスは、波長10μmにおける屈性率の温度依存性が200×10-6~350×10-6/Kであることを特徴とする。上記構成によれば、温度変化に対しても特に優れた解像度を保てる、望遠レンズである赤外線撮像レンズを実現することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、明細書中にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、明細書中にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
1 赤外線撮像レンズ
G1 第1群
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
G2 第2群
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
P 平行平板
S 像面
AP 開口絞り

Claims (16)

  1. 8~14μmの範囲内の少なくともいずれかの波長を含む赤外線領域で使用される赤外線撮像レンズであって、
    物体側から像面側に向かって順に、複数のレンズからなる第1群、複数のレンズからなる第2群が配置され、
    前記第1群及び前記第2群を構成するレンズのそれぞれは、波長10μmにおける屈折率が2.5~4.0のカルコゲナイドガラスからなり、
    前記第1群及び前記第2群のそれぞれは、8~14μmの範囲内の所定の波長域で定義されるアッベ数が互いに異なる前記カルコゲナイドガラスからなるレンズを含んでおり、
    全系焦点距離が、イメージサークルの径の5倍以上である、赤外線撮像レンズ。
  2. 前記第1群及び前記第2群のそれぞれは、正のパワーを持つレンズと、負のパワーを持つレンズを含み、正のパワーを持つように構成されている、請求項1に記載の赤外線撮像レンズ。
  3. 前記第1群は正のパワーを持ち、
    物体側から像面側に向かって順に、正のパワーを持つ第1レンズと、負のパワーを持つ第2レンズとから構成され、
    前記第2群は正のパワーを持ち、
    物体側から像面側に向かって順に、正のパワーを持つ第3レンズと、負のパワーを持つ第4レンズとから構成されている、請求項1に記載の赤外線撮像レンズ。
  4. 前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ及び前記第4レンズのいずれもが、物体側に凸のメニスカスレンズである、請求項3に記載の赤外線撮像レンズ。
  5. 前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ及び前記第4レンズのいずれもが、球面レンズである、請求項3に記載の赤外線撮像レンズ。
  6. 前記第2レンズを構成する前記カルコゲナイドガラスは、前記第1レンズを構成する前記カルコゲナイドガラスよりも前記屈折率及び前記アッベ数が小さく、
    前記第4レンズを構成する前記カルコゲナイドガラスは、前記第3レンズを構成する前記カルコゲナイドガラスよりも前記屈折率及び前記アッベ数が小さい、請求項3に記載の赤外線撮像レンズ。
  7. 前記第2レンズを構成する前記カルコゲナイドガラスは、前記第1レンズを構成する前記カルコゲナイドガラスに対して、波長8~12μmの範囲内の波長域で定義される前記アッベ数が5%以上小さく、
    前記第4レンズを構成する前記カルコゲナイドガラスは、前記第3レンズを構成する前記カルコゲナイドガラスに対して、波長8~12μmの範囲内の波長域で定義される前記アッベ数が5%以上小さい、請求項6に記載の赤外線撮像レンズ。
  8. 前記第1レンズの焦点距離f1、前記第2レンズの焦点距離f2、前記第3レンズの焦点距離f3、前記第4レンズの焦点距離f4が、
    1.1≦|f2/f1|≦2.0
    1.1≦|f4/f3|≦2.0
    の関係式を満たす、請求項3に記載の赤外線撮像レンズ。
  9. 前記第1レンズの像面側の面の有効径を開口絞りとする、請求項3に記載の赤外線撮像レンズ。
  10. 8~14μmの範囲内の少なくともいずれかの波長を含む赤外線領域で使用される赤外線撮像レンズであって、
    物体側から像面側に向かって順に、複数のレンズからなる第1群、複数のレンズからなる第2群が配置され、
    前記第1群及び前記第2群を構成するレンズのそれぞれは、波長10μmにおける屈折率が2.5~4.0のカルコゲナイドガラスからなり、
    前記第1群及び前記第2群のそれぞれは、8~14μmの範囲内の所定の波長域で定義されるアッベ数が互いに異なる前記カルコゲナイドガラスからなるレンズを含んでおり、
    半画角が5°以下である、赤外線撮像レンズ。
  11. 前記全系焦点距離fL、前記第1群の焦点距離fG1が、
    2.0≦fG1/fL≦3.0
    の関係式を満たす、請求項1から10のいずれか1項に記載の赤外線撮像レンズ。
  12. 前記全系焦点距離fL、前記第2群の焦点距離fG2が、
    0<fG2/fL≦1.0
    の関係式を満たす、請求項11に記載の赤外線撮像レンズ。
  13. 前記全系焦点距離が、イメージサークルの径の5~10倍の範囲内である、請求項1から10のいずれか1項に記載の赤外線撮像レンズ。
  14. Fナンバーが、0.9~1.1の範囲内である、請求項1から10のいずれか1項に記載の赤外線撮像レンズ。
  15. 前記カルコゲナイドガラスは、厚み2mmでの光透過率が20%となる赤外吸収端波長が18μm以上である、請求項1から10のいずれか1項に記載の赤外線撮像レンズ。
  16. 前記カルコゲナイドガラスは、波長10μmにおける屈性率の温度依存性が200×10-6~350×10-6/Kである、請求項1から10のいずれか1項に記載の赤外線撮像レンズ。
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