JP2024089804A - 慣性センサー、慣性計測装置、および慣性センサーの製造方法 - Google Patents

慣性センサー、慣性計測装置、および慣性センサーの製造方法 Download PDF

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JP2024089804A
JP2024089804A JP2022205233A JP2022205233A JP2024089804A JP 2024089804 A JP2024089804 A JP 2024089804A JP 2022205233 A JP2022205233 A JP 2022205233A JP 2022205233 A JP2022205233 A JP 2022205233A JP 2024089804 A JP2024089804 A JP 2024089804A
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照夫 瀧澤
和紀 上野
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Abstract

Figure 2024089804000001
【課題】信頼性が高い慣性センサーを提供すること。
【解決手段】加速度センサー1は、基板4と、配線29と、基板4と配線29との間に設けられた絶縁膜5と、絶縁膜5と配線29との間に設けられた外枠部9と、絶縁膜5と配線29との間に設けられ、外枠部9の第1側面W1との間にトレンチ部40を介して設けられた固定電極支持部15と、トレンチ部40において、外枠部9の側面に設けられた第1酸化膜21と、トレンチ部40において、第2半導体層の側面としての第2側面W2に設けられ、第1酸化膜21と接触する接触領域CAを有する第2酸化膜22と、外枠部9と配線29との間および固定電極支持部15と配線29との間に設けられた第3酸化膜23aと、第1酸化膜21、接触領域CA、第2酸化膜22及び第3酸化膜23aに囲まれたシリコンまたはシリコンゲルマニウムからなる半導体領域23bと、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、慣性センサー、当該慣性センサーを備えた慣性計測装置、および当該慣性センサーの製造方法に関する。
特許文献1には、半導体基板であるシリコン基板に絶縁体充填用トレンチ溝が形成され、絶縁体充填用トレンチ溝に充填された絶縁体によって、例えば、固定電極と、その根元部での外周部とが、電気的に分離されている角速度センサーが記載されている。また、特許文献2には、シリコン基板に絶縁分離トレンチが形成され、絶縁分離トレンチの側壁に側壁絶縁膜が形成され、側壁絶縁膜が形成された絶縁分離トレンチ内に導電性材料としての埋込ポリシリコンが充填された半導体装置が記載されている。
特開平11-248733号公報 特開2003-45988号公報
しかしながら、特許文献1に記載の角速度センサーに、特許文献2に記載の技術を適用した場合には、固定電極と、その根元部での外周部との間、つまり、トレンチで分離された半導体間に導電性材料が挿入されるので、トレンチで分離された半導体間の寄生容量が増大し、角速度センサーのバイアス特性などが劣化する懸念があった。
つまり、信頼性が高い慣性センサー、慣性センサーの製造方法、および慣性計測装置が求められていた。
本願の一態様に係る慣性センサーは、基板と、配線と、前記基板と前記配線との間にあり、前記基板に接して設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜と前記配線との間に設けられた第1半導体層と、前記絶縁膜と前記配線との間に設けられ、前記第1半導体層の側面との間に隙間を介して設けられた第2半導体層と、前記隙間において、前記第1半導体層の側面に設けられた第1酸化膜と、前記隙間において、前記第2半導体層の側面に設けられ、前記第1酸化膜と接触する接触領域を有する第2酸化膜と、前記第1半導体層と前記配線との間および前記第2半導体層と前記配線との間に設けられた第3酸化膜と、前記第1酸化膜、前記接触領域、前記第2酸化膜及び前記第3酸化膜に囲まれた多結晶半導体領域と、を備える。
本願の一態様に係る慣性計測装置は、上記に記載の慣性センサーと、前記慣性センサーを制御する制御部と、を備える。
本願の一態様に係る慣性センサーの製造方法は、基板と、前記基板に絶縁膜を介して設けられた半導体層とを有する基体を準備する工程と、前記半導体層を貫通する溝を形成して、前記溝を介して対向する第1半導体層と第2半導体層とを形成する工程と、前記溝を介して対向する前記第1半導体層の側面と前記第2半導体層の側面とをウェット酸化して、互いの一部が物理的に接触した接触領域を有する第1酸化膜と第2酸化膜とを形成する工程と、前記第1酸化膜、前記接触領域、および前記第2酸化膜に多結晶半導体層を形成する工程と、前記多結晶半導体層を酸化させ、前記多結晶半導体層が酸化した多結晶半導体酸化膜と、前記第1酸化膜、前記接触領域、前記第2酸化膜、および前記多結晶半導体酸化膜に囲まれた多結晶半導体領域とを形成する工程と、を有する。
本願の一態様に係る慣性センサーの製造方法は、基板と、前記基板に絶縁膜を介して設けられた半導体層とを有する基体を準備する工程と、前記半導体層を貫通する溝を形成して、前記溝を介して対向する第1半導体層と第2半導体層とを形成する工程と、前記溝を介して対向する前記第1半導体層の側面と前記第2半導体層の側面とをウェット酸化して、互いの一部が物理的に接触した接触領域を有する第1酸化膜と第2酸化膜とを形成する工程と、前記第1酸化膜、前記接触領域、および前記第2酸化膜に第1多結晶半導体層を形成する工程と、前記第1多結晶半導体層を酸化させ、前記第1多結晶半導体層が酸化した多結晶半導体酸化膜と、前記第1酸化膜、前記接触領域、前記第2酸化膜、および前記多結晶半導体酸化膜に囲まれた多結晶半導体領域と、を形成する工程と、前記多結晶半導体酸化膜に第2多結晶半導体層を形成する工程と、前記第2多結晶半導体層を全て酸化させる工程と、を有する。
実施形態1に係る加速度センサーの平面図。 図1のb-b断面における断面図。 図2におけるc部の拡大断面図。 加速度センサーの製造方法を示すフローチャート図。 製造過程における一態様の絶縁分離部の断面図。 製造過程における一態様の絶縁分離部の断面図。 製造過程における一態様の絶縁分離部の断面図。 製造過程における一態様の絶縁分離部の断面図。 製造過程における一態様の絶縁分離部の断面図。 変形例に係る絶縁分離部の拡大断面図。 変形例に係る加速度センサーの製造方法を示すフローチャート図。 半導体領域の拡大図。 変形例に係る半導体領域の拡大図。 実施形態2に係る加速度センサーの平面図。 図13におけるf部の拡大断面図。 図14のg-g断面における断面図。 加速度センサーの製造方法を示すフローチャート図。 実施形態3に係る慣性計測装置の分解斜視図。 基板の斜視図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
また、以下の各図には、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。X軸に沿った方向を「X方向」、Y軸に沿った方向を「Y方向」、Z軸に沿った方向を「Z方向」と言う。また、各軸方向の矢印先端側を「プラス側」、矢印基端側を「マイナス側」とも言う。つまり、例えば、Y方向とは、Y方向プラス側とY方向マイナス側との両方の方向を言う。また、Z方向プラス側を「上」、Z方向マイナス側を「下」とも言う。また、以下では、Z方向に見ることを「平面視」と言う。
さらに、以下の説明において、例えば基板に対して、「基板上に」との記載は、基板の上に接して配置される場合、基板の上に他の構造物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接して配置され、一部が他の構造物を介して配置される場合のいずれかを表すものとする。また、ある構成の上面との記載は、当該構成のZ方向プラス側の面を示すものとする。また、ある構成の下面との記載は、当該構成のZ方向マイナス側の面を示すものとする。
実施形態1
***加速度センサーの概要***
図1は、実施形態1に係る加速度センサーの平面図である。図2は、図1のb-b断面における断面図である。
加速度センサー1は、可動部2と、固定電極部3との間の距離に依存する静電容量の変動を用いて加速度を検出する静電容量型の加速度センサーである。
図1および図2に示すように、加速度センサー1は、基板4と、絶縁膜5と、半導体層6と、がZ方向に沿ってこの順で積層される基体7を用いて構成される。
基板4は、基板4の主面である第1面F1と、第1面F1とは表裏関係にある第2面F2と、を有する。本実施形態では、第1面F1は、基板4のZ方向プラス側の面であり、基板4の上面とも言う。第2面F2は、基板4のZ方向マイナス側の面であり、基板4の下面ともいう。平面視で、基板4の中央部には、有底の凹部8が形成される。凹部8は、基板4の第1面F1に開口を有し、第1面F1から第2面F2に向かって窪む形状である。凹部8をキャビティとも言う。本実施形態では、基板4は、半導体基板であり、具体的には、単結晶シリコン基板である。
基板4の上面である第1面F1には、絶縁膜5が形成される。本実施形態では、絶縁膜5は、酸化シリコンにより形成される。また、本実施形態では、凹部8の側面および底面にも絶縁膜5が形成される。なお、本実施形態では、絶縁膜5は、第1面F1に形成されていればよく、凹部8の側面および底面の絶縁膜5は除去されていても構わない。また、本実施形態では、基板4の下面である第2面F2には絶縁膜が形成されていないが、第2面F2に絶縁膜が形成されていても構わない。
絶縁膜5を挟んで基板4の反対側には、半導体層6が形成される。半導体層6は、凹部8の周辺部において、絶縁膜5における基板4とは反対側の面である第3面F3と接合している。絶縁膜5の第3面F3を、絶縁膜5の上面とも言う。
半導体層6は、絶縁膜5とは反対側の面である第4面F5を有する。半導体層6の第4面F5を、半導体層6の上面とも言う。半導体層6は、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウムなどの半導体により形成される。半導体層6は、ホウ素(B)やリン(P)などの不純物をドープした単結晶半導体により形成されることが好ましい。不純物をドープすることにより半導体層6にキャリアを発生させ、抵抗率を下げることができる。例えば、ホウ素原子1個をドープした単結晶シリコンでは、ホウ素はシリコンの格子間に配置され、キャリアとして正孔(ホール)1個が発生する。キャリアのタイプが正孔である半導体はP型半導体と呼ばれる。ドープされたホウ素濃度と発生キャリア濃度に応じて、単結晶P型シリコンの抵抗率は0.001~100Ωcmとダイナミックに変化する。室温に於けるP型半導体(シリコン)の抵抗率が0.001Ωcmの場合、正孔キャリア濃度1×1020cm-3程度、抵抗率が0.2Ωcmの場合、正孔キャリア濃度1×1017cm-3程度、抵抗率が100Ωcmの場合、正孔キャリア濃度1×1014cm-3程度となる。一般的に、固体物性に於いて、半導体のキャリア濃度が1×1020cm-3~1×1017cm-3の範囲は、半金属の領域である。別の呼び方では縮退半導体とも呼ばれる。後述するように、半導体層6は櫛歯状の電極指を形成し、その静電容量変化を利用するため、半金属の特性を有した方が好適である。本実施形態では、半導体層6は、ホウ素をドープすることにより抵抗率を0.001~0.2Ωcmとした単結晶シリコンを用いた。従って半導体層6のキャリア濃度は1×1020cm-3~1×1017cm-3である。また、本実施形態では、基体7は、キャビティである凹部8を有するSOI(Silicon On Insulator)基板である。
半導体層6を用いて、可動部2、固定電極部3、外枠部9および弾性部13が形成される。本実施形態では、平面視で、可動部2は、凹部8の内側に形成される。可動部2を挟んで、可動部2のX方向の両側には、複数の固定電極部3が形成される。
外枠部9は、可動部2および固定電極部3を囲む略矩形の枠体である。外枠部9は、凹部8の周辺部において、絶縁膜5の上面である第3面F3に形成される。可動部2と、外枠部9と、は弾性部13を介して連結している。
可動部2は、可動電極支持部10と、可動電極支持部10に支持される複数の可動電極指11とを有する。本実施形態では、可動部2は、Y方向に変位可能な振動子である。可動電極支持部10は、Y方向を長辺とする矩形状を有する。可動電極支持部10のY方向の両端には弾性部13が形成される。可動電極支持部10のX方向の両側面には、可動電極指11が形成される。可動電極指11は、可動電極支持部10から固定電極部3に向かって自由端が延出する片持ち梁形状である。
固定電極部3は、固定電極支持部15と、固定電極指16とを有する。
固定電極支持部15は、凹部8の周辺部において、絶縁膜5の上面である第3面F3に形成される。固定電極指16は、固定電極支持部15から可動部2に向かって自由端が延出する片持ち梁形状である。
X方向プラス側に延出する可動電極指11と、X方向マイナス側に延出する固定電極指16とは、間隔を隔てて対向して配置される。同様に、X方向マイナス側に延出する可動電極指11と、X方向プラス側に延出する固定電極指16とは、間隔を隔てて対向して配置される。可動部2が静止している状態において、可動電極指11の側面と、固定電極指16の側面とは、所定の間隔を有する。
外枠部9のYマイナス方向側の部分には、電極パッド27および電極パッド28が設けられている。
電極パッド27は、外枠部9の角部に設けられている。電極パッド27からは、Yプラス方向に配線29が延出している。延出した配線29は、固定電極支持部15の方向(Xプラス方向)に分岐しコンタクト部26に接続する。図2に示すように、コンタクト部26は、第2酸化膜22および第3酸化膜23aを貫通して固定電極支持部15に電気的に接続する。換言すれば、電極パッド27は、配線29およびコンタクト部26を介して固定電極支持部15に電気的に接続している。なお、2個の電極パッド27は、いずれも同様に、配線29およびコンタクト部26を介して固定電極支持部15に電気的に接続する。一方、電極パッド28はコンタクト部26を介して可動電極支持部10に電気的に接続する。可動電極支持部10は可動電極指11と同じ電位を保つので、可動電極指の電位は電極パッド28の電位と等しくなる。換言すれば、電極パッド28は、コンタクト部26を介して可動電極指11に電気的に接続している。
外枠部9は、図示しない配線により、例えば、電気的に接地されている。
外枠部9と固定電極支持部15とは、電気的に絶縁されており、外枠部9と固定電極支持部15との間には電位差が生じている。
図2に示すように、外枠部9と固定電極支持部15との間には、トレンチ部40が設けられ、トレンチ部40内に設けられた絶縁分離部20によって、外枠部9と固定電極支持部15とは、絶縁されている。
このような加速度センサー1は、次のようにして加速度を検出することができる。なお、本実施形態では、加速度センサー1は、Y方向の加速度を検出する。Y方向の加速度が印加されると、可動部2が基体7に対してY方向に変位する。そのため、可動部2が有する可動電極指11と、固定電極部3が有する固定電極指16と、の間の静電容量が変化する。この静電容量の変化に基づいて、Y方向の加速度を検出することができる。なお、Y方向の加速度検出に限定するものではなく、任意の方向の加速度を検出することが可能であり、例えば、加速度センサー1を平面的に90度回転させることにより、X方向の加速度を検出することができる。
***絶縁分離部の構成***
図3は、図2におけるc部の拡大断面図である。
図3に示すように、絶縁分離部20は、トレンチ部40内に設けられた第1酸化膜21、第2酸化膜22、第3酸化膜23aなどから構成される。
トレンチ部40は、半導体層6に設けられている。トレンチ部40は、半導体層6を貫通するとともに、絶縁膜5を底とする有底の溝である。
半導体層6は、トレンチ部40により、第1半導体層としての外枠部9と、第2半導体層としての固定電極支持部15とに分割される。換言すると、トレンチ部40は、外枠部9と固定電極支持部15との間に設けられた隙間であり、外枠部9と固定電極支持部15とは、トレンチ部40を介して、対向して設けられる。
第1酸化膜21は、第1半導体層としての外枠部9を熱酸化して設けられた熱酸化膜であり、トレンチ部40を埋め込むように設けられる。本実施形態において、第1酸化膜21は、熱酸化シリコンである。
第1酸化膜21は、絶縁膜5を底として、トレンチ部40における外枠部9側の第1側面W1に沿って設けられ、外枠部9の上面にも延在している。以下、第1酸化膜21において、外枠部9の上面に延在した部分を第1酸化膜21bと称する。
第2酸化膜22は、第2半導体層としての固定電極支持部15を熱酸化して設けられた熱酸化膜であり、トレンチ部40を埋め込むように設けられる。本実施形態において、第2酸化膜22は、熱酸化シリコンである。
第2酸化膜22は、絶縁膜5を底として、トレンチ部40における固定電極支持部15側の第2側面W2に沿って設けられ、固定電極支持部15の上面にも延在している。以下、第2酸化膜22において、固定電極支持部15の上面に延在した部分を第2酸化膜22bと称する。
トレンチ部40内において、第1酸化膜21と第2酸化膜22とは、物理的に接触している。以下、第1酸化膜21と第2酸化膜22とが、物理的に接触している領域を接触領域CAと称する。
接触領域CAの上方の第1酸化膜21と第2酸化膜22との間には、凹部41が形成されている。凹部41は、第1酸化膜21、第2酸化膜22の上面から接触領域CAに至るまで、間隔が段々と狭まっていく。凹部41は別の見方をすれば、V溝、シーム、ノッチ、などと表現することができる。
凹部41は、第3酸化膜23aと半導体領域23bとにより充填される。
第3酸化膜23aは、熱酸化膜であり、本実施形態において、第3酸化膜23aは、熱酸化シリコンである。
半導体領域23bは、シリコンからなる。半導体領域23bのシリコンは多結晶である。半導体領域23bの不純物濃度は半導体層6の不純物濃度と比して低い。例えば、シリコンの不純物濃度は1×1017cm-3以下である。
なお、半導体領域23bはシリコンゲルマニウムであってもよい。半導体領域23bがシリコンゲルマニウムの場合、第3酸化膜23aは熱酸化シリコンゲルマニウムである。
半導体領域23bは、凹部41の最深部、換言すると、第1酸化膜21、接触領域CA、第2酸化膜22、および第3酸化膜23aに囲まれた領域に設けられる。半導体領域23bは、第1酸化膜21、第2酸化膜22、および第3酸化膜23aのそれぞれと物理的に接触して、第1酸化膜21、第2酸化膜22、および第3酸化膜23aを強力に結びつける。
したがって、半導体領域23bを設けることで、第1酸化膜21と第2酸化膜22との境界、第1酸化膜21と第3酸化膜23aとの境界、および第2酸化膜22と第3酸化膜23aとの境界に、温度サイクルなどの熱ストレス等によるクラックが生じることを抑制することができる。これによって、前述したクラックを原因する配線29の断線や抵抗値の上昇を抑制することができ、加速度センサー1の信頼性を高めることができる。
また、半導体領域23bは、トレンチ部40の第4面F5側の入口付近に設けられる。すなわち、半導体領域23bは第3酸化膜23aと接触領域CAの間に位置する。そして、接触領域CAのZ方向に沿った長さは、半導体領域23bのZ方向に沿った長さより長い。入口付近とは、第4面F5から第3面F3までの距離を1とした時に、第4面から第3面F3に向かって1/3~1/2程度の距離を言う。半導体領域23bの形状は、閉曲面であり、丸く太い部分と、太い部分から細く伸びる細い部分を有する涙形である。そして、半導体領域23bは、トレンチ部40の第4面F5側が涙形の太い部分、接触領域CA側が涙形の細い部分になるように、設けられる。
ここで、半導体領域23bは、シリコンからなるため、熱酸化シリコンからなる第1酸化膜21、第2酸化膜22、および第3酸化膜23aよりも誘電率が高い。したがって、半導体領域23bによって、外枠部9と固定電極支持部15との間のフリンジ容量などの寄生容量が増えて、加速度センサー1の性能に悪影響を与えることが懸念される。
しかし、半導体領域23bの大きさは、第1酸化膜21および第2酸化膜22に比べて十分小さく、また、半導体領域23bは、トレンチ部40の第4面F5側の入口付近に設けられる。さらには、半導体領域23bは、涙形の細く伸びた部分が、接触領域CA側になるように、設けられる。したがって、半導体領域23bによる寄生容量の増加は、抑制され、加速度センサー1の性能への影響も抑制される。
接触領域CAの下方には、空隙部43が形成されている。
空隙部43は、絶縁膜5と第1酸化膜21と第2酸化膜22と接触領域CAに囲まれる部分に形成されている。空隙部43があると、この空隙部43における誘電率は真空の誘電率ε0となる。真空の誘電率ε0は8.85×10-12[F/m]である。一般に、真空の誘電率ε0に対する酸化膜の比誘電率は3.8~3.9であるから、比誘電率が1である空隙部43の存在によりフリンジ容量は低減する。即ち、第1半導体層としての外枠部9と第2半導体層としての固定電極支持部15との間における寄生容量を低減することができる。
また、空隙部43直下における絶縁膜5の膜厚は、周囲の膜厚よりも、厚くなっている。この部分の絶縁膜5が厚くなる理由は、熱酸化処理により酸化する際に、酸素原子が絶縁膜5内に侵入、且つ拡散し、基板4と反応して熱酸化膜となるからである。この部分の絶縁膜5が厚いことにより、第1半導体層としての外枠部9と第2半導体層としての固定電極支持部15との間における寄生容量を低減することができる。
また、外枠部9における上下の角部には角Rが形成されている。同様に、固定電極支持部15における上下の角部にも角Rが形成されている。換言すれば、トレンチ部40の上部の周縁部、および、下部の周縁部には角Rが形成されている。これらの角Rは、十分な時間の熱酸化処理を施すことにより形成され、これにより、フリンジ容量などの寄生容量の対称性が良好となる。また、これらの角Rは、固定電極支持部15から外枠部9や基板4へと向かう電気力線の集中を緩和する機能を持ち、電界集中を回避することが出来る。従って、酸化膜の耐圧性能を向上させ、信頼性の高い加速度センサー1を提供することができる。
第3酸化膜23aの上面には、配線29が形成される。
配線29は、好適例として金属多層膜により形成される。換言すれば、配線29は、第3酸化膜23a上に設けられ、固定電極支持部15と電気的に接続される。金属多層膜は、第3酸化膜23aとの密着性を確保できる材料により形成されることが好ましく、例えば、チタン、窒化チタン、アルミニウム、銅などを主成分とする金属多層膜を用いる。なお、電極パッド27および電極パッド28も、同様の材質で構成される。
配線29と固定電極支持部15との間には、両者間を電気的に接続するコンタクト部26が設けられている。コンタクト部26は、固定電極支持部15の上面において第2酸化膜22bと第3酸化膜23aとを貫通して、配線29と固定電極支持部15とを接続する。コンタクト部26は、ビアホールであり、例えば、アルミニウム、銅、タングステンなどの金属を含む導電性材料から構成される。
***加速度センサーの製造方法***
図4は、加速度センサーの製造方法を示すフローチャート図である。図5~図9は、製造過程における絶縁分離部の断面図であり、図3に対応している。ここでは、加速度センサー1の製造方法について、絶縁分離部20を主体に説明する。
ステップS10では、基体7(図1)を準備する。上述したように、基体7は、半導体層6、および、キャビティである凹部8を有するSOI基板である。換言すれば、この工程では、基板4と、基板4の主面である第1面F1に設けられた絶縁膜5と、絶縁膜5における基板4とは反対側の面に形成される半導体層6と、を有する基体7を準備する。
ステップS11では、半導体層6にトレンチ部40を形成する。詳しくは、図5に示すように、トレンチ部40となる部分が開口したハードマスク48を形成し、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)法を用いてトレンチ部40を形成する。これにより、図5に示すように、半導体層6を貫通し、絶縁膜5を底とした、半導体層6を2つに分割するトレンチ部40が形成される。
なお、好適例では、ハードマスク48は、半導体層6の表面に熱酸化膜を形成し、当該熱酸化膜をパターニングしたマスクを用いる。または、CVD(Chemical Vapor Deposition)膜を形成し、当該CVD膜をパターニングしたマスクを用いても良い。トレンチ部40のサイズは、例えば、幅2μm×深さ30μm程度である。換言すれば、この工程では、半導体層6の一部を除去することにより、トレンチ部40と、トレンチ部40を介して対向する第1半導体層としての外枠部9および第2半導体層としての固定電極支持部15とを形成する。尚、トレンチ部40は凹部8が存在しない部分に形成する。
トレンチ部40の第1側面W1および第2側面W2には、サイドエッチSEが形成される。
サイドエッチSEは、トレンチ部40の第4面F5側の入口付近に形成される。サイドエッチSEは、本来、形成されないことが好ましい。サイドエッチSEが形成されると、凹部41は、先端が鋭角なV溝になるからである。また、サイドエッチSEは、SOI基板における基体7の位置によっても、その大きさや深さにバラツキが生じることが分かっている。したがって、サイドエッチSEの形成によって、半導体層6には、深いV溝の凹部41や、異なる大きさや深さの凹部41が形成されることになる。
本実施形態では、凹部41が深いV溝になってしまった場合や、凹部41の深さや大きさにバラツキが生じてしまった場合であっても、凹部41を確実に埋めることができるように、工夫されている。詳しくは、後述するステップS14およびステップS15において説明する。
ステップS12では、トレンチ部40を酸化物で埋め込む。好適例では、ウェット酸化処理を施す。例えば、パイロジェニック酸化法を用いて、1100℃、10時間以上の熱酸化処理を行う。例えば、熱酸化処理により、幅2μmのトレンチ部40の第1側面W1および第2側面W2から、1μm以上の厚さの酸化膜が形成されると、両側から形成された酸化膜が物理的に接触し、トレンチ部40を埋め込むことができる。これにより、図6に示すように、トレンチ部40内が、第1酸化膜21、第2酸化膜22により充填される。この際、半導体層6の上面には、第1酸化膜21、第2酸化膜22が、第1側面W1および第2側面W2における厚さと略同じ厚さで形成される。
本実施形態において、第1酸化膜21及び第2酸化膜22は、熱酸化シリコンである。熱酸化シリコンは、例えば、CVD法による酸化シリコンと比べ、高品質であり、耐圧の高い絶縁体である。これにより、絶縁特性を向上できるため、絶縁分離部20の信頼性を高めることができる。
また、第1酸化膜21と第2酸化膜22とが物理的に接触した接触領域CAの上部には、凹部47が形成される。例えば、幅2μmのトレンチ部40について、1100℃、18.5時間のパイロジェニック酸化法にて酸化したところ、開口幅0.6μm、深さ1.29μmの凹部47が形成された。この時、熱酸化処理により、上述した空隙部43、絶縁膜5の膜厚が厚い部分や、角Rも形成された。なお、好適例では、トレンチ部40形成時に残ったハードマスク48を取り除かずに、そのまま熱酸化処理を施す。これにより、開口幅が拡がり埋め込み易い形状になることが判っている。例えば、0.88μm程度のハードマスク48を残したまま、幅2μmのトレンチ部40について同じ酸化条件にて熱酸化処理を行うと開口幅2.33μm、深さ2.23μmの凹部47が形成された。
ステップS13では、トレンチ部40および半導体層6の上面に形成された、第1酸化膜21および第2酸化膜22をエッチバックする。好適例では、第1酸化膜21および第2酸化膜22をドライエッチングする。この際、ウェットエッチングを用いると等方エッチングとなるため、凹部47(図6)が大きく開いてしまうが、ドライエッチングにすることで、開口幅を保ったままエッチバックすることができる。エッチバックにより、第1酸化膜21、第2酸化膜22が薄くなり、それに伴い凹部47(図6)の位置も下がり、凹部41(図7)となる。これにより、図7に示すように、半導体層6の上面に、薄膜化された第1酸化膜21b、第2酸化膜22bが形成される。
本実施形態では好適例として、第1酸化膜21及び第2酸化膜22の第1側面W1及び第2側面W2における厚さを熱酸化膜の側面厚さt2とし、エッチバック後の第1酸化膜21b及び第2酸化膜22bの厚さを熱酸化膜の上面厚さt1としたときに、下記の数式(1)を満たすように設定している。なお、熱酸化膜をエッチバックしないと、第1酸化膜21及び第2酸化膜22が厚すぎて、後述するコンタクト部26が接触不良を起こす虞があった。逆に、エッチバックし過ぎて、半導体層6が露出すると段差が形成されてしまい、後々まで凹凸が残ってしまう虞があった。
0 < 熱酸化膜の上面厚さt1 < 熱酸化膜の側面厚さt2 ……式(1)
ステップS14では、多結晶半導体層23を形成する。凹部41を含む第1酸化膜21、第2酸化膜22の上に、多結晶シリコンをLPCVD(Low-Pressure Chemical Vapor Deposition)法により堆積させる。この方法を採用することにより、図8に示すように、多結晶半導体層23を凹部41に確実に埋め込むことができる。例えば、凹部41が深いV溝になってしまった場合や、凹部41の深さや大きさにバラツキが生じてしまった場合であっても、多結晶半導体層23を凹部41に確実に埋めることができる。即ち、接触領域CAの上部には多結晶半導体層23が均一に存在しており、空隙が存在しない構成とすることができる。
ステップS15では、多結晶半導体層23に酸化処理を施す。多結晶半導体層23に、例えば、パイロジェニック酸化法を用いて、1100℃、8時間の熱酸化処理を行う。
図9に示すように、この熱酸化処理により、多結晶半導体層23は酸化され、多結晶半導体酸化膜としての第3酸化膜23aが形成される。本実施形態において、第3酸化膜23aは熱酸化シリコンである。なお、第3酸化膜23aは、熱酸化シリコンゲルマニウムであってもよい。この場合、多結晶半導体層23は、多結晶シリコンゲルマニウムで形成する。
また、凹部41の最深部、換言すると、第1酸化膜21、接触領域CA、第2酸化膜22、および第3酸化膜23aに囲まれた領域には、多結晶半導体領域としての半導体領域23bが設けられる。半導体領域23bは、多結晶半導体層23が、酸化されないで、残った部分である。本実施形態において、半導体領域23bは、シリコンからなる。なお、多結晶半導体層23が多結晶シリコンゲルマニウムの場合、半導体領域23bはシリコンゲルマニウムである。多結晶半導体層23をシリコンゲルマニウムにした場合、その成膜温度を低くすることができる。一般的なLPCVD法による多結晶シリコンの成膜温度が600℃以上であるのに対し、多結晶シリコンゲルマニウムは500℃前後で成膜することが可能である。これによりSOI基板4や凹部41の熱履歴を低減することができる。
このように、多結晶半導体層23に酸化処理を施すことで、凹部41は、第3酸化膜23aおよび半導体領域23bによって、埋められる。そして、凹部41上の第3酸化膜23aの上面を、略平坦にすることができる。
ステップS16では、第3酸化膜23aの上に配線29を形成する。まず、配線29の形成に先立ち、コンタクト部26(図3)が形成される。そして、第3酸化膜23aおよびコンタクト部26の上に、例えば、CVD法や、蒸着法を用いて配線層が形成され、当該配線層をパターニングすることにより、図3(図1)に示す、配線29が形成される。なお、配線29の形成時には、他の図示しない配線や、電極パッド27,28(図1)なども一緒に形成される。
ステップS17では、可動部2(図1)、固定電極部3および外枠部9などの外形が形成される。上述したように、可動部2、固定電極部3および外枠部9などは、半導体層6を用いて形成される。本実施形態では、可動部2、固定電極部3および外枠部9などの各部のそれぞれの外形に応じて、ドライエッチング法などを用いて半導体層6の不要部分を除去する。場合によっては不要となる絶縁膜5を除去しても良い。これにより、図1に示す加速度センサー1が形成される。
***変形例***
前述した実施形態は多様に変形され得る。以下に、具体的な変形の態様を例示する。
***変形例1***
***絶縁分離部の変形例***
図10は、変形例に係る絶縁分離部20の構成を示す拡大断面図であり、図3に対応している。図11は、変形例に係る加速度センサーの製造方法を示すフローチャート図である。
図10に示すように、変形例に係る絶縁分離部20は、第3酸化膜23aの上面に第2絶縁膜としての平坦化絶縁膜24が設けられ、配線29は、平坦化絶縁膜24の上面に設けられている点で、上述した実施形態と異なる。なお、上述した実施形態と同じ構成には、同じ符号を付して、説明を省略する。
平坦化絶縁膜24は、好適例では低誘電率層である。低誘電率層とは、熱酸化膜の比誘電率3.9以下の材料で形成された絶縁層であり、好ましくはスピン・オン・グラス(SOG)材料を用いる。SOG材料は、シロキサンを主成分とするSOG溶液をスピンコート法により塗布・成膜できる低誘電率材料であり、例えば、シリカガラス、アルキルシロキサンポリマー、アルキルシルセスキオキサンポリマー、水素化シルセスキオキサンポリマー、水素化アルキルシルセスキオキサンポリマーなどを用いることができる。平坦化絶縁膜24の上面は、平坦化されている。
平坦化絶縁膜24を設けることで、凹部41上の配線29が設けられる面の平坦性を向上させることができる。平坦化絶縁膜24の比誘電率は、好適例では、2.9~3.4であるが、3.9以下であれば良い。なお、誘電率が2.0以下のSOG材料を用いる場合は、平坦化絶縁膜24の機械的強度が低くなってしまう虞があるため注意を要する。また、メチル基を有する有機系SOG材料では、脱ガスがデバイス性能に影響を及ぼすことがあるので用途に応じて使い分ける必要がある。
***加速度センサーの製造方法***
図11に示すように、変形例に係る加速度センサー1の製造方法では、多結晶半導体層23を酸化する工程S15と、配線29を形成する工程S16との間に、平坦化絶縁膜24を形成する工程S155が追加されている点で、上述した実施形態と異なる。なお、上述した実施形態と同じ工程には、同じ符号を付して、説明を省略する。
ステップS155では、第3酸化膜23a上に、平坦化絶縁膜24を形成する。詳しくは、アルキルシルセスキオキサンポリマーを主成分とするSOG溶液をスピンコート法で塗布し、熱処理により硬化させる。加熱温度は、300℃以上500℃以下が好ましく、300℃以上450℃以下であることがより好ましい。好適例では、塗布およびベーク処理を複数回行う。
***変形例2***
***半導体領域の変形例***
図12Aは、半導体領域の拡大図であり、図12Bは、変形例に係る半導体領域の拡大図である。
図12Aに示すように、半導体領域23bは絶縁分離部20中に閉曲面として存在し、その断面形状は、涙形である。涙形は、水滴を表す形状であり、しずく形またはティアドロップと言い換えることができる。涙形は、円または楕円と三角形とを組み合わせたような形状を有する。本実施形態では、半導体領域23bは、三角形の部分が、細く伸びて、先端が鋭角に尖ったV字の形状を有する。
また、半導体領域23bの断面形状は、図12Bに示した形状であってもよい。図12Bに示した形状は、糸巻形と三角形とを組み合わせたような形状を有する。なお、半導体領域23bの断面形状は、四角形と三角形とを組み合わせたような形状、または、三角形のみからなる形状であってもよい。
以上、述べた通り、本実施形態の加速度センサー1、加速度センサー1の製造方法によれば、以下の効果を得ることができる。
慣性センサーとしての加速度センサー1は、基板4と、配線29と、基板4と配線29との間にあり、基板4に接して設けられた絶縁膜5と、絶縁膜5と配線29との間に設けられた第1半導体層としての外枠部9と、絶縁膜5と配線29との間に設けられ、外枠部9の側面としての第1側面W1との間に隙間としてのトレンチ部40を介して設けられた第2半導体層としての固定電極支持部15と、トレンチ部40において、外枠部9の側面に設けられた第1酸化膜21と、トレンチ部40において、第2半導体層の側面としての第2側面W2に設けられ、第1酸化膜21と接触する接触領域CAを有する第2酸化膜22と、外枠部9と配線29との間および固定電極支持部15と配線29との間に設けられた第3酸化膜23aと、第1酸化膜21、接触領域CA、第2酸化膜22及び第3酸化膜23aに囲まれた半導体領域23bと、を備える。
これによれば、第1半導体層としての外枠部9と第2半導体層としての固定電極支持部15との間は、熱酸化膜である第1酸化膜21、第2酸化膜22、および第3酸化膜23aにより埋め込まれる。したがって、外枠部9と固定電極支持部15との間におけるフリンジ容量などの寄生容量を低減することができ、バイアス特性が良好な加速度センサー1を提供することができる。
さらには、第1酸化膜21、接触領域CA、第2酸化膜22及び第3酸化膜23aに囲まれたシリコンまたはシリコンゲルマニウムからなる半導体領域23bを有するため、第1酸化膜21と第2酸化膜22との境界、第1酸化膜21と第3酸化膜23aとの境界、および第2酸化膜22と第3酸化膜23aとの境界に、クラックが発生することを抑制することができる。したがって、クラックの発生を原因とした配線29の断線や抵抗値の上昇を抑制することができ、加速度センサー1の信頼性を高めることができる。
また、半導体領域23bのシリコンは多結晶であり、不純物濃度は1×1017cm-3以下である。
このように、半導体領域23bに、不純物濃度が1×1017cm-3以下の多結晶のシリコン、所謂、純粋なシリコンを用いることで、上述した半導体領域23bのクラックの抑制効果を高めることができる。
また、第3酸化膜23aと配線29との間に設けられた第2絶縁膜としての平坦化絶縁膜24と、を備え、平坦化絶縁膜24の比誘電率は、3.9以下である。
平坦化絶縁膜24は、必要な強度と、平坦化性能とを備えているため、平坦化絶縁膜24を備えることで、特に、熱ストレスによる配線29の断線や抵抗値の上昇という不具合の抑制効果をさらに高めることができる。
また、第1半導体層としての外枠部9及び第2半導体層としての固定電極支持部15は、単結晶シリコンであり、第1酸化膜21及び第2酸化膜22は、熱酸化シリコンである。
熱酸化シリコンは、例えば、CVD法による酸化シリコンと比べ、高品質であり、耐圧の高い絶縁体である。これにより、絶縁特性を向上できるため、絶縁分離部20の信頼性を高めることができる。
また、半導体領域23bは、絶縁分離部20中に閉曲面として存在し、接触領域CA側が細い涙形の断面形状を有する。
このように、半導体領域23bが、接触領域CA側が細い涙形の断面形状を有するため、接触領域CA側が太い涙形の断面形状を有する場合に比べて、半導体領域23bによる外枠部9と固定電極支持部15との間のフリンジ容量などの寄生容量の増加を抑制することができる。
慣性センサーとしての加速度センサー1の製造方法は、基板4と、基板4に絶縁膜5を介して設けられた半導体層6とを有する基体7を準備する工程としてのステップS10と、半導体層6を貫通する溝としてのトレンチ部40を形成して、トレンチ部40を介して対向する第1半導体層としての外枠部9と第2半導体層としての固定電極支持部15とを形成する工程としてのステップS11と、トレンチ部40を介して対向する外枠部9の側面としての第1側面W1と固定電極支持部15の側面としての第2側面W2とをウェット酸化して、互いの一部が物理的に接触した接触領域CAを有する第1酸化膜21と第2酸化膜22と形成する工程としてのステップS12と、第1酸化膜21、接触領域CA、および第2酸化膜22に多結晶半導体層23を形成する工程としてのステップS14と、多結晶半導体層23を酸化させ、多結晶半導体層23が酸化した多結晶半導体酸化膜としての第3酸化膜23aと、第1酸化膜21、接触領域CA、第2酸化膜22、および第3酸化膜23aに囲まれた多結晶半導体領域としての半導体領域23bとを形成する工程としてのステップS15と、を有する。
この方法によれば、第1半導体層としての外枠部9と第2半導体層としての固定電極支持部15との間は、熱酸化膜である第1酸化膜21、第2酸化膜22、および第3酸化膜23aにより埋め込まれる。したがって、外枠部9と固定電極支持部15との間におけるフリンジ容量などの寄生容量を低減することができ、バイアス特性が良好な加速度センサー1を提供することができる。
さらには、第1酸化膜21、接触領域CA、第2酸化膜22及び第3酸化膜23aに囲まれた半導体領域23bを有するため、第1酸化膜21と第2酸化膜22との境界、第1酸化膜21と第3酸化膜23aとの境界、および第2酸化膜22と第3酸化膜23aとの境界に、クラックが発生することを抑制することができる。したがって、クラックの発生を原因とした配線29の断線や抵抗値の上昇を抑制することができ、加速度センサー1の信頼性を高めることができる。
また、加速度センサー1の製造方法において、多結晶半導体領域としての半導体領域23bは、シリコンまたはシリコンゲルマニウムからなる。
半導体領域23bを、シリコンまたはシリコンゲルマニウムとすることで、クラックの抑制効果の高い半導体領域23bとすることができる。
また、加速度センサー1の製造方法において、多結晶半導体領域としての半導体領域23bは、絶縁分離部20中に閉曲面として存在し、接触領域CA側が細い涙形の断面形状を有する。
このように、半導体領域23bが、接触領域CA側が細い涙形の断面形状を有するため、接触領域CA側が太い涙形の断面形状を有する場合に比べて、半導体領域23bによる外枠部9と固定電極支持部15との間のフリンジ容量などの寄生容量の増加を抑制することができる。
実施形態2
***絶縁分離部の応用***
図13は、実施形態2に係る加速度センサーの平面図である。
上記実施形態では、半導体層6の絶縁分離、および、配線29の信頼性確保などを意図して絶縁分離部20を用いる事例について説明したが、この用途に限定するものではなく、例えば、絶縁分離部を、配線の立体交差に用いても良い。
***加速度センサーの概要***
図13に示す、本実施形態の加速度センサー51は、Z軸方向の加速度を検出する加速度センサーであり、揺動軸61を軸として可動体55が揺動する、いわゆる片側シーソー構造を採用している。
加速度センサー51は、固定部80と、固定部80の中心を通りX軸に沿った揺動軸61まわりに揺動可能な可動体55と、固定部80と可動体55とを接続する第1回転バネ54a、第2回転バネ54bなどから構成される。固定部80は、不図示の基体から突出した台座部に固定されている。当該台座部の周囲はキャビティとなっており、可動体55が揺動可能な構成となっている。
可動体55は、第1回転バネ54aからYプラス方向に延在する第1バー52aと、第2回転バネ54bからYプラス方向に延在する第2バー52bと、第1バー52aと第2バー52bとを接続する第3バー53とを有する。
第3バー53には、櫛歯状の4つの可動電極群73a~73dが設けられている。可動電極群73aは、中心線60のXマイナス側において、第3バー53からYプラス方向に延在する7本の可動電極71cから構成される。可動電極群73bは、中心線60のXマイナス側において、第3バー53からYマイナス方向に延在する7本の可動電極71cから構成される。なお、7本に限定するものではなく、可動電極71cの本数は複数本であれば良い。
可動電極群73c,73dは、中心線60を対称軸として、Xプラス側において可動電極群73a,73bの左右対称となる位置に設けられている。
そして、不図示の基体には、可動電極群73a~73dと対向する固定電極群74a~74dが設けられている。
固定電極群74aは、基体に固定された支持部75aと、支持部75aからYマイナス方向に延在する6本の固定電極72とから構成される。固定電極群74bは、基体に固定された支持部75bと、支持部75bからYプラス方向に延在する6本の固定電極72とから構成される。なお、6本に限定するものではなく、固定電極72の本数は、可動電極71cの本数に対応した本数であれば良い。
固定電極群74c,74dは、中心線60を対称軸として、Xプラス側において固定電極群74a,74bの左右対称となる位置に設けられている。
固定電極群74aと可動電極群73aとによる検出部、および、固定電極群74bと可動電極群73bとによる検出部を合せて、N型検出部76nという。N型検出部76nでは、対向配置された固定電極72と可動電極71cとにより平行平板型の容量が形成される。当該容量は、加速度による可動電極71cの変位に伴い、固定電極72との間における重なり面積の変化に応じて変化する。
同様に、固定電極群74cと可動電極群73cとによる検出部、および、固定電極群74dと可動電極群73dとによる検出部を合せて、P型検出部76pという。P型検出部76pでは、対向配置された固定電極72cと可動電極71とにより平行平板型の容量が形成される。当該容量は、加速度による可動電極71の変位に伴い、固定電極72cとの間における重なり面積の変化に応じて変化する。
N型検出部76nの可動電極71cは、P型検出部76pの可動電極71よりも、Z方向の厚さが薄くなっている。詳しくは、可動電極71cは、根元の第3バー53と同じ厚さから延在方向の途中で階段状に切り欠かれて薄くなっている。これにより、7本の可動電極71c共に、固定電極72と対向する部分においては、Zプラス側における厚みが薄くなっている。
P型検出部76pの固定電極72cは、N型検出部76nの固定電極72よりも、Z方向の厚さが薄くなっている。詳しくは、固定電極72cは、支持部75c,75d側の根元における厚さから延在方向の途中で階段状に切り欠かれて薄くなっている。これにより、6本の固定電極72c共に、可動電極71と対向する部分においては、Zプラス側における厚みが薄くなっている。
このような構成により、Zプラス方向に加速度が生じた場合は、N型検出部76nでは重なり面積が減少し、P型検出部76pでは重なり面積が維持される。また、Zマイナス方向の加速度が生じた場合は、N型検出部76nでは重なり面積が維持され、P型検出部76pでは重なり面積が減少する。
このような相関関係に基づき、加速度センサー51では、N型検出部76nおよびP型検出部76pにおける重なり面積の変化を、静電容量の変化として検出することにより、Zプラス/マイナス方向における加速度を検出することができる。
***絶縁分離部の配線への適用***
ここでは、絶縁分離部20を適用した配線の立体交差事例について説明する。なお、実際には他にも多くの配線が設けられているが、絶縁分離部20の適用配線を抜粋して説明する。
前述したように、N型検出部76nにおける固定電極群74aと固定電極群74bとは対となるため、両者間は配線81で電気的に接続されている。配線81は、固定電極群74aの支持部75aから外枠65を大きくクランク状に通り、中心線60に沿ってYプラス方向に延在し、固定電極群74bの支持部75bに接続している。また、配線81は、途中で分岐して電極パッド92にも接続している。電極パッド92からは、N型検出部76nによる検出電圧が出力される。
ここで、支持部75aと外枠65との間には絶縁分離部20が設けられており、配線81は絶縁分離部20の上に形成されている。同様に、支持部75bと半導体部96との間には絶縁分離部20が設けられており、配線81は絶縁分離部20の上に形成されている。なお、半導体部96は、外枠65と中心線60に沿った部分で連結している。このように、絶縁分離部20は、加速度センサー51の各部で用いられている。
支持部75aのXマイナス方向には、半導体部90が設けられている。半導体部90は、例えば、ストッパー部であり、可動体55の面内変位を制限する部位である。半導体部90には、配線82aにより可動体55と同じ電位が印加される。
配線82aは、半導体部90から外枠65を通り、配線81を跨いで、配線82bに接続し、配線82bは電極パッド91に接続している。半導体部90と外枠65との間には絶縁分離部20が設けられており、配線82aは絶縁分離部20の上に形成されている。
図14は、図13のf部の拡大図である。図15は、図14のg-g断面における断面図である。
ここでは、上記の配線81と、配線82a,82bとの間における絶縁分離部20を用いた立体交差事例を説明する。
図14に示すように、本実施形態において、トレンチ部40は、長円のリング形状、尚且つ閉ループ状に形成される。また、トレンチ部40に形成される絶縁分離部20も、同様に、長円のリング形状、尚且つ閉ループ状に形成される。絶縁分離部20で囲われた長円の内側には、配線81と、配線82a,82bとの交差部分が設けられている。
これにより、図14および図15に示すように、絶縁分離部20により区画された半導体部68は、周囲の外枠65の半導体層とは分割され、電気的に独立した部位となる。
また、絶縁分離部20を閉ループ状とすることで、絶縁分離の端部を減らし、歩留まりを向上させることができる。また、第1酸化膜21と第2酸化膜22との接触領域CAが解放されることがないので、空隙部43や半導体領域23dの大きさを極小化することができる。
2つの配線を立体交差させる場合、この半導体部68を配線として利用する。詳しくは、図15に示すように、配線82a、コンタクト部26、半導体部68、コンタクト部26、配線82bの経路で、電気導通経路が構成される。このような立体交差構成を立体交差部20cという。立体交差部20cは、配線81、配線82a,82bに適用することに限定するものではなく、電位の異なる2本の配線が交差する部分に適用することができる。多結晶半導体領域としての半導体領域23dは、絶縁分離部20に沿って閉曲面として存在し、接触領域CA側が細い涙形の断面形状を有する。従って、図15中の2箇所に存在する半導体領域23dは閉曲面として繋がっており、断面形状は涙型である。これによって、図14に示すように、絶縁分離部20の上部に複数の配線が通っても、配線にクラックが生じることはなく、信頼性に優れている。なお、半導体部68には、コンタクト部26が2カ所形成されるため、この2つのコンタクト部から、それぞれ異なる電位を半導体部68に伝達する構成とすることもできる。
図13に戻る。
加速度センサー51は、中心線60を対称軸として略左右対称の構成を備えており、同一の部位には、同一の付番を付している。中心線60のXプラス側(右側)にも、半導体部90が設けられており、Xマイナス側(左側)の半導体部90と同じ電位が印加されている。半導体部90と電気的に繋がる右側の配線82bは、外枠65を通り、立体交差部20cを介して配線83cに接続する。配線83cは、立体交差部20cを介して配線83bと接続する。配線83bは、立体交差部20cを介して配線83aと接続し、配線83aは立体交差部20cを介して左側の配線82bと接続する。このように、立体交差部20cは複数ヶ所で用いられる。
また、配線83aは、途中で分岐し、絶縁分離部20の上を通って固定部80にも接続している。固定部80は、第1回転バネ54aを介して第1バー52aと接続している。換言すれば、電極パッド91は、配線83aを介して可動体55に電位を与えている。なお、図13では、配線83cも途中で分岐し、絶縁分離部20の上を通って固定部80に接続しているが、電気的には、配線83a,83cのいずれか一方が、固定部80に接続していれば良い。
***加速度センサーの製造方法***
図16は、実施形態2に係る加速度センサーの製造方法を示すフローチャート図である。ここでは、加速度センサー51の製造方法について、絶縁分離部20を主体に説明する。実施形態2に係る加速度センサー51の製造方法は、多結晶半導体層23を形成する工程と多結晶半導体層23を酸化する工程とをn回繰り返す工程を含む点で、実施形態1と異なる。本実施形態では、nが3の例を説明する。なお、実施形態1と同じ工程には、同じ符号を付して、説明を省略する。
ステップS141では、多結晶半導体層23を形成する。凹部41を含む第1酸化膜21、第2酸化膜22の上に、多結晶シリコンをLPCVD法により堆積させる。この方法を採用することにより、多結晶半導体層23を凹部41に確実に埋め込むことができる。形成する多結晶半導体層23の層厚は、実施形態1の約n分の一である。実施形態1において、堆積させる多結晶シリコンの層厚は、約0.6μmであるため、実施形態2において、1回の工程で堆積させる多結晶半導体層23の層厚は、約三分の一の約0.2μmである。
ステップS151では、多結晶半導体層23に酸化処理を施す。多結晶半導体層23に、例えば、パイロジェニック酸化法を用いて、1100℃、約3時間弱の熱酸化処理を行う。実施形態1では、熱酸化処理の処理時間が、約8時間であったため、実施形態2では、1回の工程の処理時間は、実施形態1の約三分の一である。
多結晶半導体層23を熱酸化処理することで、第3酸化膜23cが形成される。なお、1回の熱酸化処理で形成される第3酸化膜23cの膜厚は、図15に示した第3酸化膜23cの膜厚の約三分の一である。
また、凹部41の最深部、換言すると、第1酸化膜21、接触領域CA、第2酸化膜22、および第3酸化膜23cに囲まれた領域には、半導体領域23dが設けられる。
半導体領域23dの大きさは、実施形態1の半導体領域23bよりも小さい。形成する多結晶半導体層23の膜厚が、実施形態1の約n分の一であるため、酸化されないで、凹部41の最深部に設けられる半導体領域23dの大きさも、実施形態1のn分の一程度の大きさになる。
また、半導体領域23dは、絶縁分離部20に沿って形成されるため、絶縁分離部20と同様に、閉ループのリング形状に設けられる。絶縁分離部20が、閉ループのリング形状であるため第1酸化膜21と第2酸化膜22との接触領域CAが解放されることがないので、半導体領域23dの大きさを極小化することができる。
このように、本実施形態では、半導体領域23dの大きさを、実施形態1の半導体領域23bより小さくすることができるため、半導体領域23dによる寄生容量を、実施形態1よりも小さくすることができ、加速度センサー51の特性への影響をより抑制することができる。
ステップS152では、ステップS141とステップS151とをn回繰り返したか否かを判定する。本実施形態では、nは3であるため、繰り返し回数が、3回に達するまで、ステップS141とステップS151とを繰り返し、3回に達すると、ステップS16に移行する。
半導体領域23dの大きさは、ステップS141とステップS151とを3回繰り返した後でも、実施形態1の半導体領域23bよりも小さい。なぜならば、1回目の繰り返し工程によって、凹部41の最深部の先端が鋭角に尖ったV字形状の部分が埋められる。したがって、2回目および3回目の工程では、凹部41の底がなだらかになっているため、多結晶半導体層23の酸化が進み、半導体領域23dが形成されにくいからである。
ステップS141とステップS151とを3回繰り返すことで、凹部41上の第3酸化膜23cの上面を、略平坦にすることができる。
なお、ステップS141とステップS151とを繰り返す回数は、好適例では3回であるが、ステップS141とステップS151とを繰り返す回数nは、3に限定されない。例えば、2回、又は、4回、もしくは、それ以上としてもよい。
本実施形態において、1回目のステップS141において、形成される多結晶半導体層23が、第1多結晶半導体層に対応し、2回目のステップS141において、形成される多結晶半導体層23が、第2多結晶半導体層に対応する。
以上、述べた通り、本実施形態の加速度センサー51、加速度センサー51の製造方法によれば、上記実施形態での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
これによれば、Z軸方向の加速度を検出する加速度センサー51にも、絶縁分離部20を適用することができる。さらに、絶縁分離部20により、電位の異なる2本の配線が交差する部分で、立体交差を実現することができる。
従って、信頼性が高い加速度センサー51を提供することができる。また、信頼性が高い配線の立体交差構造を提供することができる。
慣性センサーとしての加速度センサー51の製造方法は、基板4と、基板4に絶縁膜5を介して設けられた半導体層6とを有する基体7を準備する工程としてのステップS10と、半導体層6を貫通する溝としてのトレンチ部40を形成して、トレンチ部40を介して対向する第1半導体層としての外枠65と第2半導体層としての半導体部68とを形成する工程としてのステップS11と、トレンチ部40を介して対向する外枠65の側面としての第1側面W1と半導体部68の側面としての第2側面W2とをウェット酸化して、互いの一部が物理的に接触した接触領域CAを有する第1酸化膜21と第2酸化膜22と形成する工程としてのステップS12と、第1酸化膜21、接触領域CA、および第2酸化膜22に第1多結晶半導体層としての多結晶半導体層23を形成する工程としてのステップS141と、第1多結晶半導体層としての多結晶半導体層23を酸化させ、第1多結晶半導体層としての多結晶半導体層23が酸化した多結晶半導体酸化膜としての第3酸化膜23cと、第1酸化膜21、接触領域CA、第2酸化膜22、および第3酸化膜23cに囲まれた多結晶半導体領域としての半導体領域23dとを形成する工程としてのステップS151と、第3酸化膜23cに第2多結晶半導体層としての多結晶半導体層23を形成する工程としての2回目のステップS141と、第2多結晶半導体層としての多結晶半導体層23を全て酸化させる工程としての2回目のステップS151と、を有する。
この方法によれば、第1半導体層としての外枠65と第2半導体層としての半導体部68との間は、熱酸化膜である第1酸化膜21、第2酸化膜22、および第3酸化膜23cにより埋め込まれる。よって、外枠65と半導体部68との間におけるフリンジ容量などの寄生容量を低減することができるので、バイアス特性が良好な加速度センサー51を提供することができる。
さらには、多結晶半導体層23を形成する工程と多結晶半導体層23を酸化させる工程とを複数に分けて行うので、半導体領域23dの大きさを極小化することができるので、外枠65と半導体部68との間におけるフリンジ容量などの寄生容量が増加することを抑制することができる。
さらには、第1酸化膜21、接触領域CA、第2酸化膜22及び第3酸化膜23cに囲まれた半導体領域23dを有するため、第1酸化膜21と第2酸化膜22との境界、第1酸化膜21と第3酸化膜23cとの境界、および第2酸化膜22と第3酸化膜23cとの境界に、クラックが発生することを抑制することができる。
したがって、クラックの発生を原因とした配線29の断線や抵抗値の上昇を抑制することができ、加速度センサー51の信頼性を高めることができる。
また、加速度センサー51の製造方法は、多結晶半導体領域としての半導体領域23dは、シリコンまたはシリコンゲルマニウムからなり、不純物濃度は1×1017cm―3以下である。
半導体領域23dを、シリコンまたはシリコンゲルマニウムとすることで、クラックの抑制効果の高い半導体領域23dとすることができる。
また、加速度センサー51の製造方法は、多結晶半導体領域としての半導体領域23dは、絶縁分離部20中に閉曲面として存在し、接触領域CA側が細い涙形の断面形状を有する。
このように、半導体領域23dが、接触領域CA側が細い涙形の形断面状を有するため、接触領域CA側が太い涙形の断面形状を有する場合に比べて、半導体領域23dによる外枠65と半導体部68との間のフリンジ容量などの寄生容量の増加を抑制することができる。
実施形態3
***慣性計測装置の概要***
図17は、慣性計測装置の分解斜視図である。図18は、基板の斜視図である。
本実施形態の慣性計測装置2000は、上記の加速度センサー1を搭載している。
慣性計測装置2000は、自動車や、ロボットなどの運動体の姿勢や、挙動などの慣性運動量を検出する装置である。慣性計測装置2000は、加速度センサーや角速度センサーなどの慣性センサーを備え、いわゆるモーションセンサーとして機能する。
図17に示すように、慣性計測装置2000は、平面形状が略正方形の直方体である。
慣性計測装置2000は、アウターケース301と、接合部材310と、慣性センサーが実装されたセンサーモジュール325と、を有する。
アウターケース301の外形は、慣性計測装置2000の全体形状と同様に、平面形状が略正方形の直方体であり、正方形の対角線方向に位置する2箇所の頂点近傍に、それぞれネジ穴302が形成されている。この2箇所のネジ穴302に2本のネジを通して、自動車などの被装着体の被装着面に慣性計測装置2000を固定することができる。
また、アウターケース301は、箱状であり、その内部にセンサーモジュール325が収納されている。具体的には、アウターケース301の内部に、接合部材310を介在させて、センサーモジュール325を挿入した構成となっている。
センサーモジュール325は、インナーケース320と、基板315と、を有する。インナーケース320は、基板315を支持する部材であり、インナーケース320の下面には接着剤を介して基板315が接合されている。
また、インナーケース320は、アウターケース301の内部に収まる形状となっている。インナーケース320には、基板315との接触を防止するための凹部331や後述するコネクター316を露出させるための開口321が形成されている。インナーケース320は、接合部材310を介してアウターケース301に接合されている。
次に、慣性センサーが実装された基板315について説明する。
図18に示すように、基板315の上面であるインナーケース320側の面には、加速度センサー1、コネクター316、Z軸まわりの角速度を検出する角速度センサー317zなどが実装されている。基板315の側面には、X軸まわりの角速度を検出する角速度センサー317xやY軸まわりの角速度を検出する角速度センサー317yが実装されている。
なお、加速度センサー1は、必要に応じて、例えば、X方向およびY方向の2方向の加速度を検出可能な加速度センサー、もしくはX方向、Y方向およびZ方向の3方向の加速度を検出可能な加速度センサーとしても構わない。
また、基板315の下面であるアウターケース301側の面には、制御部としての制御IC319が実装されている。制御IC319は、MCU(Micro Controller Unit)であり、不揮発性メモリーを含む記憶部や、A/Dコンバーターなどを内蔵しており、慣性計測装置2000の各部を制御する。記憶部には、加速度、および角速度を検出するための順序と内容を規定したプログラムや、検出データをデジタル化してパケットデータに組込むプログラム、付随するデータなどが記憶されている。なお、基板315には、その他にも複数の電子部品が実装されている。
このような慣性計測装置2000によれば、上述した慣性センサーの一例としての加速度センサー1を用いているため、加速度センサー1に係る効果を享受した慣性計測装置2000を提供することができる。
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。また、本発明の各部の構成は、上述の実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成に置換でき、また、任意の構成を付加できる。
1…加速度センサー、2…可動部、3…固定電極部、4…基板、5…絶縁膜、6…半導体層、7…基体、8…凹部、9…外枠部、10…可動電極支持部、11…可動電極指、13…弾性部、15…固定電極支持部、16…固定電極指、20…絶縁分離部、20c…立体交差部、21…第1酸化膜、21b…第1酸化膜、22…第2酸化膜、22b…第2酸化膜、23…多結晶半導体層、23a…第3酸化膜、23b…半導体領域、23c…第3酸化膜、23d…半導体領域、24…平坦化絶縁膜、26…コンタクト部、27,28…電極パッド、29…配線、40…トレンチ部、41…凹部、43…空隙部、47…凹部、48…ハードマスク、51…加速度センサー、52a…第1バー、52b…第2バー、53…第3バー、54a…第1回転バネ、54b…第2回転バネ、55…可動体、60…中心線、61…揺動軸、65…外枠、68…半導体部、71,71c…可動電極、72,72c…固定電極、73a,73b,73c,73d…可動電極群、74a,74b,74c,74d…固定電極群、75a,75b,75c…支持部、76n…N型検出部、76p…P型検出部、80…固定部、81,82,82a,82b,83a,83b,83c…配線、90…半導体部、91,92…電極パッド、96…半導体部、301…アウターケース、302…ネジ穴、310…接合部材、315…基板、316…コネクター、317x…角速度センサー、317y…角速度センサー、317z…角速度センサー、319…制御IC、320…インナーケース、321…開口、325…センサーモジュール、331…凹部、2000…慣性計測装置、F1…第1面、F2…第2面、F3…第3面、F5…第4面、W1…第1側面、W2…第2側面、CA…接触領域、SE…サイドエッチ。

Claims (10)

  1. 基板と、
    配線と、
    前記基板と前記配線との間にあり、前記基板に接して設けられた絶縁膜と、
    前記絶縁膜と前記配線との間に設けられた第1半導体層と、
    前記絶縁膜と前記配線との間に設けられ、前記第1半導体層の側面との間に隙間を介して設けられた第2半導体層と、
    前記隙間において、前記第1半導体層の側面に設けられた第1酸化膜と、
    前記隙間において、前記第2半導体層の側面に設けられ、前記第1酸化膜と接触する接触領域を有する第2酸化膜と、
    前記第1半導体層と前記配線との間および前記第2半導体層と前記配線との間に設けられた第3酸化膜と、
    前記第1酸化膜、前記接触領域、前記第2酸化膜及び前記第3酸化膜に囲まれた多結晶半導体領域と、を備える
    慣性センサー。
  2. 前記多結晶半導体領域はシリコンまたはシリコンゲルマニウムであり、キャリア濃度は1×1017cm-3以下である、
    請求項1に記載の慣性センサー。
  3. 前記第3酸化膜と前記配線との間に設けられた第2絶縁膜と、を備え、
    前記第2絶縁膜の比誘電率は3.9以下である、
    請求項1に記載の慣性センサー。
  4. 前記第1半導体層および前記第2半導体層は、単結晶シリコンであり、
    前記第1酸化膜および前記第2酸化膜は、熱酸化シリコンである、
    請求項1に記載の慣性センサー。
  5. 前記多結晶半導体領域は、閉曲面であり、前記接触領域側が細い涙形の断面形状を有する、
    請求項1に記載の慣性センサー。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の慣性センサーと、
    前記慣性センサーを制御する制御部と、を備える
    慣性計測装置。
  7. 基板と、前記基板に絶縁膜を介して設けられた半導体層とを有する基体を準備する工程と、
    前記半導体層を貫通する溝を形成して、前記溝を介して対向する第1半導体層と第2半導体層とを形成する工程と、
    前記溝を介して対向する前記第1半導体層の側面と前記第2半導体層の側面とをウェット酸化して、互いの一部が物理的に接触した接触領域を有する第1酸化膜と第2酸化膜とを形成する工程と、
    前記第1酸化膜、前記接触領域、および前記第2酸化膜に多結晶半導体層を形成する工程と、
    前記多結晶半導体層を酸化させ、前記多結晶半導体層が酸化した多結晶半導体酸化膜と、前記第1酸化膜、前記接触領域、前記第2酸化膜、および前記多結晶半導体酸化膜に囲まれた多結晶半導体領域とを形成する工程と、を有する、
    慣性センサーの製造方法。
  8. 基板と、前記基板に絶縁膜を介して設けられた半導体層とを有する基体を準備する工程と、
    前記半導体層を貫通する溝を形成して、前記溝を介して対向する第1半導体層と第2半導体層とを形成する工程と、
    前記溝を介して対向する前記第1半導体層の側面と前記第2半導体層の側面とをウェット酸化して、互いの一部が物理的に接触した接触領域を有する第1酸化膜と第2酸化膜とを形成する工程と、
    前記第1酸化膜、前記接触領域、および前記第2酸化膜に第1多結晶半導体層を形成する工程と、
    前記第1多結晶半導体層を酸化させ、前記第1多結晶半導体層が酸化した多結晶半導体酸化膜と、前記第1酸化膜、前記接触領域、前記第2酸化膜、および前記多結晶半導体酸化膜に囲まれた多結晶半導体領域と、を形成する工程と、
    前記多結晶半導体酸化膜に第2多結晶半導体層を形成する工程と、
    前記第2多結晶半導体層を全て酸化させる工程と、を有する、
    慣性センサーの製造方法。
  9. 前記多結晶半導体領域は、シリコンまたはシリコンゲルマニウムからなり、不純物濃度は1×1017cm-3以下である、
    請求項7または請求項8に記載の慣性センサーの製造方法。
  10. 前記多結晶半導体領域は、閉曲面であり、前記接触領域側が細い涙形の断面形状を有する、
    請求項7または請求項8に記載の慣性センサーの製造方法。
JP2022205233A 2022-12-22 慣性センサー、慣性計測装置、および慣性センサーの製造方法 Pending JP2024089804A (ja)

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