JP2024088742A - 超音波流量計 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンパクトな外形形状を有しつつ、高精度な計測を実現できる超音波流量計を提供する。【解決手段】超音波流量計1は、被計測流体が流れる流体流路2と、超音波信号の送受信が可能な一対の超音波送受波器6,7と、超音波信号の伝搬時間に基づいて、被計測流体の流量を演算する流量演算部21と、流体流路2が構成された流路ボディ19と、を備える。また、流体流路2は、矩形断面の流路を同一の幅で分割した複数の分割流路で構成された主流路4と、幅が分割流路と同じで、高さが分割流路より低い四角形断面を有する付加流路で構成された副流路22a,22bと、から成る。超音波信号は、主流路2内を流れる被計測流体を伝搬する。副流路22a,22bは、主流路4に対して、対称となるように配置されている。副流路22a,22bは、主流路4の流路断面を含む最小円内に配置され、最小円は、流路ボディ19の内部に位置する。【選択図】図2
Description
本開示は、計測流路を仕切板で多層状流路に分割して、被計測流体の流量を計測する超音波流量計に関するものである。
従来のこの種の超音波流量計として、たとえば特許文献1の超音波流量計が知られている。図13A~図13Eは特許文献1に開示する従来の超音波流量計を示す図である。図13Aは、従来の超音波流量計の斜視図である。図13Bは図13AのS矢視図である。図13Cは図13AのT矢視図である。図13Dは図13Aの13D-13D断面図である。図13Eは図13Aの13E-13E断面図である。
図13A~図13E、特に図13Eに示すように、超音波流量計は、第1の超音波送受波器6および第2の超音波送受波器7からなる一対の超音波送受波器が矩形断面を有する計測流路4に配置されている。第1の超音波送受波器6および第2の超音波送受波器7の超音波送信面から計測流路4に至る経路には、窪み部11、12の開口より小さな開口部9、10を有する巻込み流れ抑制シート8を配置している。この抑制シート8は、超音波の減衰を抑制すると共に、計測誤差の要因となる、窪み部11、12における渦流p、qの発生を抑制し、計測精度の確保を図ることができる。
昨今、一般家庭用から、大小規模の商店やその他施設などの業務用にわたるガスメータに対し、ガス流量を計測するために超音波流量計が搭載される需要が高まっている。この需要の高まりを受け、計測すべきガス流量に応じた大きさの流路を有する超音波流量計が必要になっている。
たとえば、特許文献1に記載された従来の超音波流量計において、被計測流体が流れる流路は、各々の断面形状が矩形の略同一形状である。すなわち、計測流路4を含む総流路数が3であった場合、各流路断面形状の幅と高さは3つとも同一である。しかしながら、このような構成において、より大きなガス流量を計測するために、たとえば流路を2つ追加して総流路数を5とする場合、既存流路と同一の幅と同一の高さを有する流路を2つ追加させるため、超音波流量計の外形サイズの増加が顕著となり、超音波流量計を収めるガスメータボックスに組付けしづらくなるという課題があった。なお、図13B~図13Dに示す計測流路4の総流路数は4である。
本開示に係る超音波流量計は、被計測流体が流れる流体流路と、前記流体流路の上部の上流および下流に配置され、超音波信号の送受信が可能な一対の超音波送受波器と、一対の前記超音波送受波器の一方から送信された超音波信号が、前記被計測流体を伝搬して、一対の前記超音波送受波器の他方が受信するまでの伝搬時間に基づいて、前記被計測流体の流速または流量を演算する流量演算部と、前記流体流路が構成された流路ボディと、を備える。前記流体流路は、矩形断面の流路を同一の幅で分割した複数の分割流路で構成された主流路と、幅が前記分割流路と同じで、高さが前記分割流路より低い四角形断面を有する付加流路で構成された副流路と、から成る。前記超音波送受波器から送信される超音波信号は、前記主流路内を流れる前記被計測流体を伝搬する。前記副流路は、前記主流路に対して、対称となるように配置されている。前記副流路は、前記主流路の流路断面を含む最小円内に配置され、前記最小円は、前記流路ボディの内部に位置する。さらに、前記流量演算部は、前記伝搬時間に基づいて求めた前記被計測流体の流速又は流量から、前記流体流路を流れる前記被計測流体の流量を演算する構成としている。
この構成によれば、副流路の各矩形形状の付加流路は計測流路の各流路の矩形形状と幅が同一で高さが低いため、超音波流量計の外形サイズは比較的コンパクトとすることが可能となり、大流量の被計測流体の計測に対しても、高精度な計測を実現できる。
本開示によると、より大流量の被計測流体を計測する場合に、コンパクトな外形形状を有しつつ、高精度な計測を実現できる超音波流量計を提供することができるという効果を奏する。
以下、本開示の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。
(第1の実施の形態)
(超音波流量計の構成)
図1Aは、本開示の第1の実施の形態に係る超音波流量計の斜視図である。図1Bは、図1AのA矢視図である。図1Cは、図1AのB矢視図である。図1Dは、図1Aの1D-1D断面図である。図1Eは、図1Aの1E-1E断面図である。図2は、図1Cの拡大図である。
(超音波流量計の構成)
図1Aは、本開示の第1の実施の形態に係る超音波流量計の斜視図である。図1Bは、図1AのA矢視図である。図1Cは、図1AのB矢視図である。図1Dは、図1Aの1D-1D断面図である。図1Eは、図1Aの1E-1E断面図である。図2は、図1Cの拡大図である。
図1A~図1E、図2に示すように、超音波流量計1は、内部に被計測流体が流れる流体流路2が構成された流路ボディ19を有する。流体流路2の上部の上流および下流には、超音波信号の送受信が可能な第1の超音波送受波器6および第2の超音波送受波器7からなる一対の超音波送受波器が配置してある。また、第1の超音波送受波器6および第2の超音波送受波器7からなる一対の超音波送受波器の一方から送信された超音波信号が、被計測流体を伝搬して、他方の超音波送受波器が受信するまでの伝搬時間に基づいて、被接触流体の流速または流量を計測する流量演算部21を備える。
流体流路2において、流矩形断面の主流路である計測流路4は、仕切板20a、20b、20cにより分割され、同一の幅wで同一の高さhの、複数の分割流路5a、5b、5c、5dを構成している。また、流体流路2には、計測流路4を構成する分割流路5a、5b、5c、5dと同一の幅wであって、分割流路5a、5b、5c、5dの高さhより低い矩形断面を有する付加流路24a、24b、24c、24dで構成された副流路22a、22bが設けられている。主流路である計測流路4と副流路22aは副仕切板23aで分割され、主流路である計測流路4と副流路22bは副仕切板23bで分割されている。さらに、副流路22aは副仕切板23cで分割され、分割流路5a、5b、5c、5dと同一の幅wであって、分割流路5a、5b、5c、5dの高さhより低い矩形断面の付加流路24a、24bが設けられ、副流路22bは副仕切板23dで分割され、分割流路5a、5b、5c、5dと同一の幅wであって、分割流路5a、5b、5c、5dの高さhより低い矩形断面の付加流路24c、24dが設けられている。
流路ボディ19は、被計測流体が流入するためのラッパ状の入口部19aと被計測流体が流出する出口部19bを備えており、たとえば樹脂の射出成型による構造が考えられる。また、仕切板20a、20b、20cおよび副仕切板23a、23b、23c、23dは、たとえばステンレス製の金属板で構成され、図1Dに示すように、これらは同一の板厚tとしており、t=0.3mm程度である。仕切板20a、20b、20cおよび副仕切板23a、23b、23c、23dは流路ボディ19に取り付けられる。
図3Aは本開示の第1の実施の形態に係る流路ボディと各仕切板の分解斜視図である。図3Bは、図3Aの3B-3B断面図である。図3Cは、図3AのC矢視図である。
図3Bに示すように、被計測流体が流れる空間の反射面25側には、流入側固定溝29a、29b、29c、29d、29e、29f、29g、および流出側固定溝30a、30b、30c、30d、30e、30f、30gが設けられている。反射面25は、第1の超音波送受波器6および第2の超音波送受波器7からなる一対の超音波送受波器の一方から送信された超音波信号が、被計測流体を伝搬して他方の超音波送受波器へと到達するまでに反射する平面である。
さらに、図3Cに示すように、流路ボディ19の巻込み流れ抑制シート設置面26側には、流入側スリット27a、27b、27c、27d、27e、27f、27g、および流出側スリット28a、28b、28c、28d、28e、28f、28gが設けられている。
ここで、流入側固定溝29a~29g、流出側固定溝30a~30g、流入側スリット27a~27g、および流出側スリット28a~28gは全て同一の幅としており、仕切板20a~20c、および副仕切板23a~23dの板厚tよりもわずかに大きく、たとえば0.32mm程度である。また、仕切板20a~20c、および副仕切板23a~23dの形状は、図3Aにおける副仕切板23dの形状に示すように、突起部23eが2か所設けられている。
以上のような構造において、仕切板20a~20cおよび副仕切板23a~23dを、流路ボディ19に取り付ける場合、図3Aに示すように、巻込み流れ抑制シート設置面26側から挿入する。仕切板20a~20cおよび副仕切板23a~23dの突起部23eが各流入側固定溝29a~29g、および各流出側固定溝30a~30gにはめ込まれ、突起部23eと逆側は流入側スリット27a~27g、および流出側スリット28a~28gに挟まり、隙間ばめによって固定される。
なお、ここでは流路ボディ19と、仕切板20a~20cおよび副仕切板23a~23dとを別部品で構成し、隙間ばめで固定して一体とする構造としたが、仕切板20a~20cおよび副仕切板23a~23dと、流路ボディ19をたとえば樹脂一体成型とする構成としても良い。
図4は、本開示の第1の実施の形態に係る超音波流量計1の組み立て構造図である。図4に示すように、第1の超音波送受波器6および第2の超音波送受波器7は、樹脂製の超音波送受波器固定ボディ31の所定位置にセットし、樹脂製の超音波送受波器固定具33で固定される。超音波送受波器固定ボディ31側には突起31aが設けられており、超音波送受波器固定具33側に設けられた嵌合穴33aがはめ合わされることで、第1の超音波送受波器6および第2の超音波送受波器7は、超音波送受波器固定ボディ31と超音波送受波器固定具33に挟まれて固定される。また、第1の超音波送受波器6および第2の超音波送受波器7の信号線6a,7aは、流量演算部21に接続される。
このように組み立てられた超音波送受波器ユニット32は、流路ボディ19の上部に、間に巻込み流れ抑制シート8を介して取り付けられる。超音波送受波器固定ボディ31の流路ボディ19への取り付けは、材質が共に樹脂ならば、たとえば熱溶着によって行うことができる。
計測流路4の分割流路5a、5b、5c、5dは、図2に示すように、それぞれ幅wで高さhの矩形断面形状であり、同一の板厚tの仕切板20a、20b、20cを間に介している。また、副流路22aの付加流路24aは、幅wで高さh2の矩形断面形状であり、付加流路24bは、幅wで高さh1の矩形断面形状である。付加流路24aと付加流路24bは板厚tの副仕切板23cを間に介している。また、副流路22bの付加流路24dは、幅wで高さh2の矩形断面形状であり、付加流路24cは、幅wで高さh1の矩形断面形状である。
ここで高さについては、h2<h1<h、とすることで流体流路2の流路断面が点線で示す円F内に入るようにしている。付加流路24dと付加流路24cは板厚tの副仕切板23dを間に介している。計測流路4と副流路22aは板厚tの副仕切板23aを間に介しており、計測流路4と副流路22bは板厚tの副仕切板23bを間に介している。副流路22aおよび副流路22bは、計測流路4の幅方向中心線Xおよび高さ方向中心線Yに対して、対称となるように配置している。
(超音波流量計の作用、効果)
まず、本開示の第1の実施の形態に係る超音波流量計の第1の作用、効果について述べる。
まず、本開示の第1の実施の形態に係る超音波流量計の第1の作用、効果について述べる。
図5Aは、特許文献1に係る従来の超音波流量計において、より大きなガス流量を計測するために流路を追加した流路ボディ35を用いた超音波流量計100の流路構成図を示している。流路数が4である計測流路40に対して、流路数が2である副流路52aと流路数が2である副流路52bとを追加し、合計の流路数を8とした流体流路の例を示している。ここで、追加した副流路52aの流路54a、54b、副流路52bの流路54c、54dの矩形断面形状は、計測流路4の流路45a、45b、45c、45dと同一の幅wおよび同一の高さhで構成されている。即ち、第1の実施の形態において、h=h1=h2とした場合に相当する。
図5Bは、図5Aに示す、出口部35bの外径をΦD2とした超音波流量計100のE矢視図である出口部35bと、図1Aに示す第1の実施の形態に係る、出口部19bの外径をΦD1とした超音波流量計1のB矢視図である図1Cおよび図2に示す出口部19bの比較図である。第1の実施の形態に係る超音波流量計1では、流体流路2が点線で示す円F内に収まるのに対し、超音波流量計100では円Fよりも大きな円G内に収まっている。なお、この円F,円Gは、流体流路を内部に形成するために必要な流路ボディ35の最小径に相当する。即ち、図5Bから分かる様に、ΦD1<ΦD2であって、本開示の第1の実施の形態に係る超音波流量計1によると、計測流路4を内包する最小の円F内に、副流路22aと副流路22bを配置することで、コンパクトな構成を実現できることが分かる。
次に、本実施の形態に係る超音波流量計1の第2の作用、効果について述べる。
図1AのB矢視図である図2に示すように、本実施の形態に係る超音波流量計1では、追加された副流路22aおよび副流路22bは、仕切板20a、20b、20cおよび副仕切板23a、23b、23c、23dの同一の板厚tも含めて、計測流路4の幅方向中心線Xおよび高さ方向中心線Yに対して上下左右対称となるように配置されている。
また、超音波流量計1は、流体流路2の上部の上流および下流には第1の超音波送受波器6および第2の超音波送受波器7からなる一対の超音波送受波器が配置されている。一対の超音波送受波器の一方から送信された超音波信号が、被計測流体を伝搬して、他方の超音波送受波器が受信するまでの伝搬時間に基づいて、被計測流体の流速または流量を演算する構成である。そのため、超音波信号は計測流路のみに伝搬する構成であるため、追加された副流路22aおよび副流路22bにおいては、これらを通過する被計測流体の流速または流量は、直接計測されていない。
そのため、計測流路4、副流路22a、および副流路22bを通過する被計測流体の流量は、通過する被計測流体を直接計測する計測流路4における計測結果から、副流路22aおよび副流路22bを含めた全体の被計測流体の流量を算出している。
例えば、流体流路2の流路断面積(計測流路4、副流路22aおよび副流路22bの流路断面積の合計)に計測流路4で求めた被計測流体の流速を乗算することで算出することができる。また、計測流路4の流量と副流路22aおよび副流路22bの流量の比率を予め求めておいて、計測流路4の流量から副流路22aおよび副流路22bの流量を算出して合計して求めても良い。但し、何れの場合も、流量が変わっても計測流路4、副流路22aおよび副流路22bの流速が同じであることが好ましい。
したがって、計測流路4、副流路22aおよび副流路22bを通過する被計測流体の流速分布は、可能な限り均一とすることが必要であり、本実施の形態では計測流路4に対して副流路22aおよび副流路22bを上下左右対称としていることで、通過する被計測流体はより均一な流れを実現することができ、高精度な計測を実現できる。
なお、追加された副流路22aおよび副流路22bが、計測流路4に対して上下左右対称に配置され、しかも、図5Bの下方に「FIG.2の場合」と記載している第1の実施の形態の出口部19bの円F内に収まるようにしても、計測結果が好ましくない場合がある。
図6A~図6Cは、その一例である超音波流量計200を示す。図6Aは、従来の超音波流量計において、大流量を計測できるようにする場合の他の流路構成図である。図6Bは、図6Aの6B-6B断面図である。図6Cは、図6AのJ矢視図である。
図6Aに示す様に超音波流量計200は、計測流路60の左右に副流路37aおよび副流路37bが、幅方向中心線Xおよび高さ方向中心線Yに対して上下左右対称に配置されている。しかし、副流路37aおよび副流路37bの流路断面形状は、計測流路60の分割流路65a、65b、65c、65dの矩形とは異なり、略半円であり、副流路37a及び副流路37bの流路断面積は、計測流路60の分割流路65a~65dそれぞれの2.6倍程度大きい。
図7は、図6A~図6Cに示す超音波流量計200における流量計測結果を、実流量と流量係数により示すグラフである。ここで、流量係数(kとする)は、計測流量から実流量を演算するための係数で、実流量をQt、計測流量をQmとする場合、k=Qt/Qmとして定義されるものである。なお、計測流量Qmは、計測流路60、副流路37aおよび副流路37bのそれぞれの流路断面積の合計に計測流路60で求めた流速を掛けて全体の流量として算出している。
この流量係数kは、横軸の実流量Qtに対して、1となるのが理想的であり、この時、通過する被計測流体の実流量Qtと、計測流路60で計測された流量から副流路37aおよび副流路37bを含めた全体の被計測流体の流量算出値が一致していることを示す。したがって、横軸の実流量Qtに対し、縦軸の流量係数kは値1の近傍で推移する形が理想的であって、計測精度が高いことを示す。
一方、図7に示す結果は、少流量時には流量係数kが1よりも大きな値を示し、大流量時には徐々に流量係数kが1に近づく推移を示している。これは、少流量時には、計測流路60で実際に計測された流量から副流路37aおよび副流路37bを含めた全体の被計測流体の流量算出値が、実流量Qtよりも小さいため、流量係数kが1より大きく乗じないと実流量Qtと一致しないことを示しており、計測精度が低いことを示している。
理由としては、副流路37aまたは副流路37bの流路断面積が、計測流路60の分割流路65a~65dよりも大きいため、少流量時には流路抵抗の大きな計測流路60側には流れず、流路抵抗の小さな副流路37aまたは副流路37bの側に流れやすくなり、均一な流れとならず被計測流体の流速分布が大きくなっているためである。また、大流量時には、副流路37aまたは副流路37bの流路断面積だけでは被計測流体が十分流れないため、計測流路60側にも流れ込み、徐々に均一な流れに変化している。
このように追加された副流路37aおよび副流路37bが、計測流路60に対して上下左右対称に配置されても、計測精度が好ましくない場合があり、少流量域から大流量域に対して、被計測流体の流速分布を可能な限り均一とすることが重要である。
これに対して、図1A~図1Eおよび図2に示す本開示の第1の実施の形態に係る超音波流量計1における流量計測結果は、図8に示す通りである。図8によると、少流量域から大流量域に至る流量域で流量係数kが1.10の近傍で推移しており、図7のように流量係数の変化がほとんどなく、流量係数の特性がフラットであって計測精度が高いことを示す。これは、副流路22aの付加流路24a、24bおよび副流路22bの付加流路24c、24dの流路幅を、主流路である計測流路4の分割流路5a、5b、5c、5dの流路幅と同一の幅wとしたことで、流路抵抗の差を小さくできたためである。
以上の様に、本実施の形態によると、大流量の被計測流体を計測する場合に、コンパクトな外形形状を有しつつ、高精度な計測を実現できる超音波流量計を提供することができる。
(第1の変形例)
図1A~図1Eおよび図2に示す本開示の第1の実施の形態に係る超音波流量計1においては、図5Bの下方に示す図1AのB矢視図のように、円F内に収まるように、副流路22aの付加流路24bおよび副流路22bの付加流路24cの流路高さをh1と選定し、副流路22aの付加流路24aおよび副流路22bの付加流路24dの流路高さをh2に選定したが、流路幅を幅wとしておけば、流路高さを変更しても高精度な計測が可能である。
図1A~図1Eおよび図2に示す本開示の第1の実施の形態に係る超音波流量計1においては、図5Bの下方に示す図1AのB矢視図のように、円F内に収まるように、副流路22aの付加流路24bおよび副流路22bの付加流路24cの流路高さをh1と選定し、副流路22aの付加流路24aおよび副流路22bの付加流路24dの流路高さをh2に選定したが、流路幅を幅wとしておけば、流路高さを変更しても高精度な計測が可能である。
図9A~図9Cは、第1の変形例に係る超音波流量計300の構成図である。図9Bは、図9Aの9B-9B断面図である。図9Cは、図9AのN矢視図である。
計測流路80は、仕切板90aおよび仕切板90bを介して、幅wで高さhの矩形断面形状を有する分割流路85a、85b、85cで構成されている。また、副流路92aおよび副流路92bは、副仕切板93aおよび副仕切板93bをそれぞれ介して、計測流路80に追加されており、幅wで高さh1の矩形断面形状に構成されている。
ここで、副流路92aおよび副流路92bの流路高さh1を変化させた場合の流量計測結果を図10に示す。図10は、流路高さh1を、0.68h、0.66h、0.58h、0.50hとした場合の、実流量に対する流量係数を示すグラフである。このグラフから分かるように、計測流路80の分割流路85a、85b、85c、と副流路92aと副流路92bの流路幅を幅wとしておけば、流路高さを変更した4種類であっても、その結果に大きな差はなく、安定して高精度な計測が可能である。したがって、超音波流量計の外形サイズに制約がある場合は、流路幅を幅wに揃えたうえで、流路高さを任意に変更することができるので、柔軟な設計が可能となる。
(第2の変形例)
図10に示すグラフでは、第1の変形例に係る超音波流量計300において、実流量Qtの範囲が360L/h~25,000L/hである場合の流量係数kを示している。実流量Qtの範囲がより少流量側の50L/h~25,000L/hであって、流路高さh1が0.68hの場合の流量係数kは図11に示すグラフの実線となる。
図10に示すグラフでは、第1の変形例に係る超音波流量計300において、実流量Qtの範囲が360L/h~25,000L/hである場合の流量係数kを示している。実流量Qtの範囲がより少流量側の50L/h~25,000L/hであって、流路高さh1が0.68hの場合の流量係数kは図11に示すグラフの実線となる。
図11から分かる様に、流路高さh1が0.68hの場合、実流量Qtは2,500L/h付近をピークとして少流量域側でも大流量域側でも流量係数kは低下する特性となっている。特に少流量域側で顕著に低下する傾向を示しているため、少流量時には計測流路80と副流路92a、92bにおける流れが不均一で、より計測流路80側に多く被計測流体が流れていることを示している。そこで、流量係数kの変動幅をさらに抑制して計測精度を向上させることを考えた場合、少流量時により均一な流れとさせるべく、副流路92a、92bの流路断面積を増加させることを検討した。
図12A~図12Cは、第2の変形例に係る超音波流量計400の構成を示している。
図12A~図12Cにおいて、図9A~図9Cに示した超音波流量計300の形状と異なるところは、超音波流量計400の副流路94a、94bの形状は矩形ではなく、台形とした点である。即ち、副流路94a、94bの流路幅(台形の平行な辺の間隔)は、計測流路81の分割流路86a、86b、86cの流路幅と同一の幅wとし、流路高さは、長い辺を分割流路86a、86b、86cの流路高さと同一の高さhとし、短い辺を高さhよりも短い高さh1として、台形の脚に当たる辺が、分割流路86a、86b、86cを含む円に沿って斜めに構成されている。従って、本変形例における副流路94a、94bの流路断面積は、図9A~図9Cに示した矩形の副流路に比べ大きくすることができる。そして、図9A~図9Cに示した超音波流量計300における総流路断面積と比較して、超音波流量計400は副流路94a、94bの上下端部1か所あたり図12Cの拡大図の斜線で示す略三角形状の面積が合計4か所分だけ増加している。
また、図3A~図3Cに示した構造と異なるところは、図3A~図3Cに示す流路ボディ19と仕切板20a、20bと副仕切板23a、23bとを、図12A~図12Cに示す超音波流量計400では同材質(たとえば樹脂)にて一体成型した点である。また、超音波流量計400において、図4に示した超音波送受波器固定ボディ31をも含めて同材質で一体成型する構成としても良い。
図12AのQ矢視図である図12Cに示した拡大図において、斜線で示す追加した略三角形状のコーナー部は適度な略R形状としており、たとえば樹脂で流路ボディ19と仕切板91a、91bと副仕切板95a、95bとを一体型成型する場合、金型の離型抵抗を低減できるという効果が期待できる。
以上のように構成された超音波流量計400において、特にh1=0.68とした場合の流量計測結果を、図11の破線で示す。図11のグラフから分かるように、図9A~図9Cに示した超音波流量計300の結果である実線よりも、特に実流量Qtが50L/h~1,000L/hの少流量側において流量係数kの変動幅が抑制(略4%から略1%)され、計測精度が向上している。これは副流路94a、94bの流路断面積が増加したことによって、少流量時に計測流路81と副流路94a、94bにおいて、より均一な流れが実現できたためと考えられる。
また、図12A~図12Cに示した超音波流量計400において、超音波送受波器固定ボディ31aをも含めて同材質の樹脂成形で一体化する構成とすることを考えた場合、図12A~図12Cのような構成であれば、流路ボディ19aと超音波送受波器固定ボディ31aとの合せ部分は樹脂が肉厚となるが、副流路94a、94bの上部側に略三角形状の流路断面増加部が設けられることで、樹脂肉厚はより均一となるため、より寸法精度の高い樹脂成形の実現が期待できる。
したがって、超音波流量計の外形サイズに制約がある場合は、副流路の断面形状として、流路幅を幅wに揃えたうえで、流路高さを任意に変更した矩形断面とすることを基本に考える。ただし、さらに均一な流れを実現して精度の高い計測を実現させるためには、副流路94a、94bの断面形状として、流路幅を計測流路81の分割流路86a~86cの幅wに揃え、流路高さ方向は計測流路81の分割流路86a~86cの高さの所定値の範囲で平行とした台形断面として、主流路である計測流路81に対して、対称となるように配置すれば、均一な流れを実現させるための柔軟な設計が可能となる。
(その他の実施の形態)
上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造、機能の詳細を実質的に変更できる。
上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造、機能の詳細を実質的に変更できる。
以上説明したように、第1の開示は、被計測流体が流れる流体流路と、流体流路の上部の上流および下流に配置され、超音波信号の送受信が可能な一対の超音波送受波器と、を備える。また、一対の超音波送受波器の一方から送信された超音波信号が、被計測流体を伝搬して、一対の超音波送受波器の他方の超音波送受波器が受信するまでの伝搬時間に基づいて、被計測流体の流速または流量を演算する流量演算部を備える。また、流体流路は、矩形断面の流路を同一の幅で分割した複数の分割流路で構成された主流路と、幅が分割流路と同一で、高さが分割流路より低い四角形断面を有する付加流路で構成された副流路を備える。さらに、流量演算部は、伝搬時間に基づいて求めた被計測流体の流速又は流量から、流体流路を流れる被計測流体の流量を演算する超音波流量計である。
この構成により、超音波流量計の外形サイズは比較的コンパクトであって、大流量の被計測流体の計測に対しても、高精度な計測を実現できる。
第2の開示は、特に第1の開示において、超音波送受波器から送信される超音波信号が、主流路内を流れる被計測流体を伝搬することを特徴とする。
この構成により、副流路で計測するよりも超音波信号の伝搬距離を長くすることができ計測精度が向上する。
第3の開示は、特に第1の開示において、副流路は、主流路に対して、対称となるように配置されている。
この構成により、被計測流体の流れ方向に対して、副流路および計測流路は対称形状であるため、より均一な流れを実現することができ、高精度な計測を実現できる。
第4の開示は、特に第2の開示において、副流路は、主流路に対して、対称となるように配置されている。
この構成により、被計測流体の流れ方向に対して、副流路および計測流路は対称形状であるため、より均一な流れを実現することができ、高精度な計測を実現できる。
第5の開示は、特に第1~4の開示のいずれかの1つにおいて、副流路が、主流路の流路断面を含む最小円内に配置されている。
第6の開示は、特に第1~4の開示のいずれかの1つにおいて、付加流路が、台形断面である。
第7の開示は、特に第5の開示において、付加流路が、台形断面である。
本開示は、超音波信号の送受信が可能な一対の超音波送受波器を備えた計測流路に対して、より大流量の被計測流体を計測する場合に追加する副流路の各流路の流路幅を、計測流路の各流路の流路幅と同一とする。この構成を有することにより、比較的コンパクトな外形形状を有しつつ、高精度な計測を実現できる超音波流量計を提供できる。
1、100、200、300、400 超音波流量計
4、80、81 計測流路(主流路)
5a、5b、5c、5d、85a、85b、85c、86a、86b、86c 分割流路
6 第1の超音波送受波器(超音波送受波器)
7 第2の超音波送受波器(超音波送受波器)
21 流量演算部
22a、22b、92a、92b、94a、94b 副流路
24a、24b、24c、24d 付加流路
4、80、81 計測流路(主流路)
5a、5b、5c、5d、85a、85b、85c、86a、86b、86c 分割流路
6 第1の超音波送受波器(超音波送受波器)
7 第2の超音波送受波器(超音波送受波器)
21 流量演算部
22a、22b、92a、92b、94a、94b 副流路
24a、24b、24c、24d 付加流路
Claims (3)
- 被計測流体が流れる流体流路と、
前記流体流路の上部の上流および下流に配置され、超音波信号の送受信が可能な一対の超音波送受波器と、
一対の前記超音波送受波器の一方から送信された超音波信号が、前記被計測流体を伝搬して、一対の前記超音波送受波器の他方が受信するまでの伝搬時間に基づいて、前記被計測流体の流速または流量を演算する流量演算部と、
前記流体流路が構成された流路ボディと、を備え、
前記流体流路は、矩形断面の流路を同一の幅で分割した複数の分割流路で構成された主流路と、幅が前記分割流路と同じで、高さが前記分割流路より低い四角形断面を有する付加流路で構成された副流路と、から成り、
前記超音波送受波器から送信される超音波信号は、前記主流路内を流れる前記被計測流体を伝搬し、
前記副流路は、前記主流路に対して、対称となるように配置され、
前記副流路は、前記主流路の流路断面を含む最小円内に配置され、前記最小円は、前記流路ボディの内部に位置し、
前記流量演算部は、前記伝搬時間に基づいて求めた前記被計測流体の流速又は流量から、前記流体流路を流れる前記被計測流体の流量を演算する超音波流量計。 - 前記付加流路は、台形断面であることを特徴とする請求項1に記載の超音波流量計。
- 前記主流路に対して対称となるように配置された前記副流路は、前記主流路を挟み込むように配置されている請求項1又は2に記載の超音波流量計。
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