JP3689975B2 - 超音波式流量計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波により流量の計測を行う流量計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の計測装置として、図18に示すように、断面が矩形の流体流路1の一部に超音波振動子2と3を対向するように配置し、超音波振動子2から発した超音波を超音波振動子3で検出するまでの時間を計測し、この時間から流体の速度を演算して流量を算出する流量計があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の流量計では、矩形の断面形状により流路の速度分布をできるだけ二次元的に形成して測定精度の向上を図っていたが、アスペクト比(長辺長さH0/短辺長さW0)を大きくして且つ流路長さを大きくするには加工上の制約があり、測定流路内の流れは必ずしも二次元的にならず、三次元的な流れを生じる可能性があり測定精度上の課題を有していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、矩形断面をした流量測定部を流体が流動する方向である長手方向に延びる流路凹部を持つ流量測定本体と長手方向に延びる流路凸部を持つ流量測定覆体を重ねて流路凹部と流路凸部の間に矩形断面の流量測定部を形成し、かつ流量測定本体の流路凹部あるいは流量測定覆体の流路凸部にスペーサを設けて矩形断面の断面積を可変としたものである。
【0005】
上記発明によれば、アスペクト比が大きく且つ流路長さの長い流量測定部を全域にわたって寸法精度が高くしかも安価に製造でき、さらに広範囲の流量レンジに対して流路凹部あるいは流路凸部の高さのみを変えることで対応でき、測定精度が高く汎用性の高い流量計が低コストで実現できるとともに、スペーサの着脱により流量測定レンジに応じた設定が利用者にでも簡単にでき、広い流量レンジに対して精度が高く使い勝手のよい流量計が提供できる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、矩形断面を有する流量測定部と、前記流量測定部の上流側に配置された上流室と、前記流量測定部の下流側に配置された下流室と、前記流量測定部を挟んで配置された第一の超音波振動子と第二の超音波振動子と、前記超音波振動子からの信号を基に流量を算出する流量演算部とを有し、前記流量測定部は長手方向に延びる流路凹部を持つ流量測定本体に長手方向に延びる流路凸部を持つ流量測定覆体を前記流路凹部を前記流路凸部にはめ合わせて形成したものである。
【0007】
そして、流量測定部の前後に設けた上流室および下流室により流れを安定化された流体は、流路凹部に流路凸部をはめ合わせることにより寸法精度が高くしかも安価にアスペクト比が大きく流路長さを長く構成した流量測定部で、その流れ状態の二次元性を高められて精度のよい計測ができる。また流量測定部の矩形断面が安価に製造できるとともに、広範囲の流量レンジに対して流路凹部あるいは流路凸部の少なくとも一方の高さを変えるのみで流量測定部の矩形断面積を設定でき生産性の高い構成が実現できる。
【0008】
さらに、流量測定本体の流路凹部あるいは流量測定覆体の流路凸部にスペーサを設けて矩形断面の断面積を可変としたものである。
【0009】
そして、スペーサの着脱により流量測定レンジに応じた設定が利用者にでもでき、使い勝手のよい流量計が提供できる。
【0010】
また、スペーサは流量測定部の矩形断面の長辺および短辺を縮小してアスペクト比が一定となるように設定したものである。
【0011】
そして、流量測定レンジに応じてスペーサを取り付けた場合でもアスペクト比が最適に設定でき、より精度の高い測定ができる。
【0012】
また、超音波振動子は流量測定本体の流路凹部の側壁に配置したものである。
【0013】
そして、流路凹部の高さは矩形断面の流量測定部の高さよりも大きく形成されるので、矩形断面の高さよりも大きな寸法を持つ超音波振動子であっても流量測定本体に取り付けることができ、超音波振動子の設定の自由度が高く測定レンジに関わらず共用化できるため生産性に優れ、さらに流量測定本体に超音波振動子を互いに対向して取り付けるため超音波振動子間の位置の微調節あるいは超音波の入出力レベルの調節が組み立て工程時に容易にでき生産性に優れる。
【0014】
また、超音波振動子は矩形断面とし流量測定本体の流路凹部の側壁に配置したものである。
【0015】
そして、矩形断面の流量測定部に対して矩形断面の超音波振動子としているので、流量測定部内に均等に効率よく超音波の発信および受信ができ、精度の高い計測を低入力で実現できる。
【0016】
また、流量測定本体の流路凹部の上流側には上流室の一部を形成する上流室凹部を一体に設け、流量測定本体の流路凹部の下流側には下流室の一部を形成する下流室凹部を一体に設けたものである。
【0017】
そして、上流室および下流室は流量測定部を構成する流量測定本体によって位置決めが確実になされ且つ流量測定部と上流室および下流室との接続部の形状を任意に構成でき流量測定部での流れ状態の二次元性を高めることで測定精度が向上し、さらに上流室および下流室の形状は片面底なし状とできるため加工しやすい形状が得られ生産性が向上できる。
【0018】
また、上流室凹部あるいは下流室凹部の流路凹部との接続部に設けた段差部には滑らかな曲率を施したものである。
【0019】
そして、流体の流路構成において上記接続部に段差ができる場合でも、段差部に任意の滑らかな曲率を設けることにより流量測定部での流れ状態の二次元性を確保して精度の高い計測ができ、さらに流体が流動する時の圧力損失を低減することができる。
【0020】
また、超音波振動子は上流室凹部および下流室凹部に設けたものである。
【0021】
そして、流量測定部にスペーサを設けて流量測定レンジに応じた矩形断面にした場合でもスペーサに遮蔽されることなく超音波振動子から流体中に超音波が有効に放出され精度の高い計測ができ、さらに流量測定本体に超音波振動子を互いに対向して取り付けるため振動子の位置微調整あるいは入出力レベルの調節が組み立て工程時に容易にでき生産性に優れる。
【0022】
また、超音波振動子の流量測定部側の開口端に収納凹部を設け、この収納凹部に超音波は透過する整流体を流量測定本体の流路凹部の側壁と面一に配置したものである。
【0023】
そして、流量測定部の超音波振動子取り付け部は整流体を側壁と面一に設けているので凹みによる流れの二次元性に対する乱れの発生を防止して精度の高い計測ができ、収納凹部の成形加工および整流体の組込加工が容易となり生産性が高められる。
【0024】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0025】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1の超音波式流量計の縦断面図、図2は同流量計の流量計測部のA−A断面図、図3は同流量計の流量計測部のB−B断面図、図4は同流量計の流量計測部の斜視図である。
【0026】
図1〜図4において、4は流量測定部であり、5は流量測定部4の上流側に設けた上流室、6は流量測定部4の下流側に設けた下流室、7は上流室5に接続された入口部、8は下流室6に接続された出口部である。9、10は流量測定部4を挟んで配置された超音波振動子であり、11は超音波振動子9、10に接続されこの超音波振動子9,10からの信号を基に流量を算出する流量演算部である。
【0027】
流量測定部4は図3、図4に示すように流体が流動する長手方向に延びる流路凹部12を持つ流量測定本体13と長手方向に延びる流路凸部14を持つ流量測定覆体15からなり、長手方向に延びる流路凹部12に長手方向に延びる流路凸部14をはめ合わせて矩形断面の流路16を形成したものである。
【0028】
流量演算部11は図5に示すように超音波振動子9、10に対する信号発生・処理部17、および演算部18より構成されている。
【0029】
次に動作を説明する。
【0030】
流体は入口部7より流入し上流室5に入り、流れを安定させる。そのあと流量測定部4の流路16に入り下流室6により流れが安定化されたまま流量測定部4を出て、下流室6を経て出口部8より流出する。
【0031】
今、流量測定部4内の流れを考える。図2において、流れは流路16を通過するが、このとき、通常知られている方法により、信号発生・処理部17の作用により超音波振動子9、10間で流路16をよぎるようにして超音波の送受が行われる。図5に示す流量演算部11において、このとき計測される信号を信号発生・処理部17により処理し、さらに演算部18にて超音波の伝搬時間より流速が計算され、この流速に基づいて流量が算出される。
【0032】
ところで、流路16は流路凹部12と流路凸部14で構成することによりアスペクト比が大きく、すなわち流路幅Wに対して流路高さHを十分小さく設定されているため、流路断面での流れ状態の二次元性をより確実にすることができ、しかも流体の流動する長手方向全域にわたって流路16の断面の寸法精度を高めて製造されるため流路16全域での流れ状態の二次元性が確保できる。
【0033】
このように、流量測定部4の前後に設けた上流室5および下流室6により流れを安定化された流体は、流路凹部12に流路凸部14をはめ合わせることにより寸法精度が高くしかも安価にアスペクト比が大きく流路長さを長く構成した流量測定部4で、その流れ状態の二次元性をより高めて精度のよい計測ができる。また流量測定部4の矩形断面が安価に製造でき、さらに広範囲の流量レンジに対して流路凹部12あるいは流路凸部14の少なくとも一方の高さを変えるのみで流量測定部4の矩形断面積を任意に設定でき生産性の高い流量計が実現できる。
【0034】
(実施例2)
図6は本発明の実施例2の超音波式流量計の流量測定部の横断面図である。
【0035】
図6において、流量測定本体13の流路凹部12に流路16の全域にわたりスペーサ19を取り付け、流路高さHの寸法を小さくしている。
【0036】
流量レンジに応じて厚さtの異なるスペーサ19を装着することにより、広範囲の流量レンジに高い精度で計測ができる。
【0037】
このようにスペーサ19の着脱により流量測定レンジに応じた流量測定部4の流路16の設定が利用者にでも簡単にでき、使い勝手のよい流量計が提供できる。
【0038】
なお、本実施例ではスペーサ19を流量測定本体13の流路凹部12に設置する場合を示したが、スペーサ19は流量測定覆体15の流路凸部14に設けてもよく、また流路凹部12と流路凸部14の両方に装着しても良いのは言うまでもない。
【0039】
(実施例3)
図7は本発明の実施例3の超音波式流量計の流量測定部の横断面図である。
【0040】
図7において、スペーサ20は、その断面を略U字状として流量測定部4の矩形断面の流路16の長辺である流路幅Wおよび短辺である流路高さHをアスペクト比が一定になるように共に縮小変化させるもので、流量測定本体13の流路凹部12に流路16の全域にわたり設けている。
【0041】
流量レンジに応じたスペーサ20を装着することにより、矩形の流路16の断面を最適なアスペクト比を保つことができ、広範囲の流量レンジに対してより高い精度で計測ができ、しかも極端な扁平断面を避けることにより流動する流体の圧力損失が増大することが防止できる。
【0042】
このように、流量測定レンジに応じてスペーサを取り付けた場合でも流路16の断面のアスペクト比が最適な形状に設定できるため、より精度の高い測定ができるとともに流体の圧力損失を低減できる。
【0043】
(実施例4)
図8は本発明の実施例4の超音波式流量計のA−A断面図、図9は図8の流量測定部4のC−C断面図、図10は図8の流量測定部4のD矢視図である。
【0044】
図8〜図10において、21は流量測定部4を構成する流路凹部12の側壁22に超音波振動子9、10を配置した流量測定本体である。
【0045】
流路凹部12の高さは流量測定部4の矩形断面の高さよりも大きく形成されているので、図9、図10に示すように矩形断面の流路16の高さHよりも大きな外形寸法D(D>H)を持つ超音波振動子9、10であっても流路16に対して最適な位置を保ったまま流量測定本体21に取り付けることができる。
【0046】
従って、超音波振動子の設定の自由度が高く、流量測定レンジに関わらず超音波振動子の共用化ができ生産性に優れ、片面が広く開放され且つ一体となった流量測定本体に超音波振動子を互いに対向して取り付けるため、超音波振動子間の位置の微調節あるいは超音波の入出力レベルの調節が組み立て工程時に容易にでき組立作業性が良く生産性に優れる。
【0047】
(実施例5)
図11は本発明の実施例5の超音波式流量計の流量測定部4のC−C断面図、図12は同流量計の流量測定部4のD矢視図である。
【0048】
図11、図12において、超音波振動子23、24はその断面形状を矩形とし、流量測定本体21の側壁22に配置している。
【0049】
このように、流路の横断面形状が矩形の流量測定部に対して矩形断面の超音波振動子としているので、流量測定部の流路内に均等に効率よく超音波の発振および受信ができ、超音波振動子を駆動するための入力を低減して精度の高い計測が実現できる。
【0050】
(実施例6)
図13は本発明の実施例6の超音波式流量計の流量測定本体の外観斜視図、図14は同流量計の上流室の断面図である。
【0051】
図13において、25は流量測定本体であり、流量測定本体25は長手方向に延びる流路凹部26の上流側に一体に設けた上流室5の一部を形成する上流室凹部27と流路凹部26の下流側に一体に設けた下流室6の一部を形成する下流室凹部28を有している。超音波振動子9、10は流路凹部26を形成する側壁29に配置されている。
【0052】
図14は上流室凹部27の上に取り付ける上流室5であり、入口部7に対して上流室凹部27との接続部30は仕切壁のない底なし状となっている。下流室6は上流室5と同様に出口部8に対して下流室凹部28との接続側は底なし状(図示せず)となっている。
【0053】
このように、上流室5および下流室6は流量測定部を構成する流量測定本体25によって位置決めが確実になされ、且つ流量測定部と上流室5および下流室6との接続部は平面上に一体に配置するため接続部の形状を流れ状態の二次元性を高める任意に構成でき、流量測定部での流れのに二次元性を高めることができ測定精度が向上する。さらに、上流室および下流室の形状は片面を底なし状とできるため成形加工しやすい形状が得られ生産性が向上できる。
【0054】
(実施例7)
図15は本発明の実施例7の超音波式流量計の流量測定本体の外観斜視図である。
【0055】
図15において、31は流量測定本体であり、流量測定本体31は長手方向に延びる流路凹部32の上流側に一体に設けた上流室5の一部を形成する上流室凹部33と流路凹部32の下流側に一体に設けた下流室6の一部を形成する下流室凹部34を有し、流路凹部32の幅および深さは上流室凹部33および下流室凹部34の幅および深さよりも小さいため各凹部との接続部には滑らかな曲率を施した段差部35、36を設けている。上流側の段差部35は側面側の段差部35aと底面側の段差部35bで構成され、下流側の段差部36は側面側の段差部36aと底面側の段差部36bで構成されると共に、各段差部35a、35b、36a、36bには滑らかな曲率が設けられている。37は流路凹部32を形成する側壁であり、この側壁37に超音波振動子9、10が配置されている。
【0056】
このように、流体の流路構成上において流量測定部と上流室あるいは下流室との接続部に段差ができる場合でも、段差部35、36に任意の滑らかな曲率を設けることにより流量測定部の入口、出口での流れ状態の乱れの発生を抑え、流量測定部での流れ状態の二次元性を確保して精度の高い計測ができる。さらに流量測定部の入口、出口での流れ状態の乱れの発生を抑えることにより、流体の流動時の圧力損失を低減できる。
【0057】
(実施例8)
図16は本発明の実施例8の超音波式流量計の流量測定本体の外観斜視図である。
【0058】
図16において、38は流量測定本体であり、流量測定本体38は長手方向に延びる流路凹部26の上流側に一体に設けた上流室5の一部を形成する上流室凹部27と流路凹部26の下流側に一体に設けた下流室6の一部を形成する下流室凹部28を有し、この上流室凹部27および下流室凹部28には超音波振動子39、40が流路凹部26を挟んで対向して設けられている。
【0059】
このように、超音波振動子39、40を上流室凹部27および下流室凹部28に設置しているので、流量測定部4にスペーサを設けて流路の矩形断面を変化させ流量レンジの拡大を図った場合でも、スペーサに超音波が通る切り欠き等の細工を施す必要がなく、超音波はスペーサに遮蔽されることなく超音波振動子から流体中に超音波が有効に放出でき、精度の高い計測ができる。
【0060】
さらに超音波振動子を流量測定本体に互いに対向してと取り付けるため、組立工程時において超音波振動子の位置の微調節あるいは入出力レベルの調節が容易にでき生産性に優れる。
【0061】
(実施例9)
図17は本発明の実施例9の超音波式流量計の流量測定本体の外観斜視図である。
【0062】
図17において、41は流量測定本体であり、42は流量測定本体41の長手方向に延びる流路凹部26を形成する側壁であり、43は側壁42に設けた超音波振動子9、10の流量測定部側の開口端側に設けた収納凹部であり、44は収納凹部43に側壁42と面一に取り付けられる整流体であり、この整流体44は超音波は通過する性質を持つメッシュの細かい網状のものなどで構成される。
【0063】
このように、流路凹部の側壁に設けた超音波振動子の取り付け部の流路側の開口端に生じる凹みを側壁と面一にした整流体で覆うことにより、測定流路内の流れに凹みによる影響の発生を防止して流れ状態の二次元性を確保し、流れの乱れの発生を防止した精度の高い計測ができる。さらに、流量測定部を流路凹部を持つ流量測定本体と流路凸部を持つ流量測定覆体とをはめ合わせる構成とし、片面が開放した流量測定本体に収納凹部を設けるため成形加工および整流体の組込加工が容易となり生産性を高めることができる。
【0064】
なお、本発明の実施例1から実施例9は流量計について説明したが、流速計についても同様であるのは言うまでもない。
【0065】
以上の説明から明らかなように本発明の各実施例における超音波式流量計によれば、次の効果が得られる。
【0066】
長手方向に延びる流路凹部を持つ流量測定本体と長手方向に延びる流路凸部を持つ流量測定覆体を重ねて流路凹部と流路凸部の間に矩形断面の流量測定部を形成することにより、アスペクト比が大きく且つ流路長さの長い流量測定部を全域にわたって寸法精度が高くしかも安価に製造でき、さらに広範囲の流量レンジに対して流路凹部あるいは流路凸部の少なくとも一方の高さのみを変えることで対応でき、測定精度が高く汎用性の高い流量計が低コストで実現できるという有利な効果がある。
【0067】
また、流量測定本体の流路凹部あるいは流量測定覆体の流路凸部にスペーサを設けて矩形断面の断面積を可変として、スペーサの着脱により流量測定レンジに応じた設定が利用者にでも簡単にでき、広い流量レンジに対して精度が高く使い勝手のよい流量計が提供できる。
【0068】
また、スペーサは流量測定部の矩形断面の長辺および短辺を縮小してアスペクト比が一定となるように設定して、流量測定レンジに応じてスペーサを取り付けた場合でもアスペクト比が最適に設定でき、より精度の高い測定を低圧力損失でできる。
【0069】
また、超音波振動子は流量測定本体の流路凹部の側壁に配置して、矩形断面の高さよりも大きな寸法を持つ超音波振動子であっても流量測定本体に取り付けることができ、超音波振動子の設定の自由度が高く測定レンジに関わらず共用化できるため生産性に優れ、さらに流量測定本体に超音波振動子を互いに対向して取り付けるため超音波振動子間の位置の微調節あるいは超音波の入出力レベルの調節が組み立て工程時に容易にでき組み立て作業性が良く生産性に優れる。
【0070】
また、超音波振動子は矩形断面として、矩形断面の流量測定部に対して矩形断面の超音波振動子としているので、流量測定部内に均等に効率よく超音波の発信および受信ができ、精度の高い計測を低入力で実現できる。
【0071】
また、流量測定本体の流路凹部の上流側および下流側には上流室および下流室の一部を形成する上流室凹部および下流室凹部を一体に設けているので、上流室および下流室は流量測定部を構成する流量測定本体によって位置決めが確実になされ且つ流量測定部と上流室および下流室との接続部の形状を任意に構成でき流量測定部での流れ状態の二次元性を高めることで測定精度が向上し、さらに上流室および下流室の形状は片面底なし状とできるため加工しやすい形状が得られ生産性が向上できる。
【0072】
また、上流室凹部あるいは下流室凹部の流路凹部との接続部に設けた段差部には滑らかな曲率を施しているので、流量測定部での流れ状態の二次元性を確保して精度の高い計測ができ、さらに流体が流動する時の圧力損失を低減することができる。
【0073】
また、超音波振動子は上流室凹部および下流室凹部に設けて、流量測定部にスペーサを設けて流量測定レンジに応じた矩形断面にした場合でもスペーサに遮蔽されることなく超音波振動子から流体中に超音波が有効に放出され精度の高い計測ができ、さらに流量測定本体に超音波振動子を互いに対向して取り付けるため振動子の位置微調整あるいは入出力レベルの調節が組み立て工程時に容易にでき生産性に優れる。
【0074】
また、超音波振動子の流量測定部側の開口端に設けた収納凹部に超音波は透過する整流体を流量測定本体の流路凹部の側壁と面一に配置して、凹みによる流れの二次元性に対する乱れの発生を防止して精度の高い計測ができ、さらに収納凹部の成形加工および整流体の組込加工が容易となり生産性が高められる。
【0075】
【発明の効果】
本発明の超音波式流量計は、アスペクト比が大きく且つ流路長さの長い流量測定部を全域にわたって寸法精度が高くしかも安価に製造でき、さらに広範囲の流量レンジに対して流路凹部あるいは流路凸部の少なくとも一方の高さのみを変えることで対応でき、測定精度が高く汎用性の高い流量計が低コストで実現できるという有利な効果があるとともに、流量測定本体の流路凹部あるいは流量測定覆体の流路凸部にスペーサを設けて矩形断面の断面積を可変として、スペーサの着脱により流量測定レンジに応じた設定が利用者にでも簡単にでき、広い流量レンジに対して精度が高く使い勝手のよい流量計が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1の超音波式流量計の縦断面図
【図2】 同流量計の流量計測部のA−A断面図
【図3】 同流量計の流量計測部のB−B断面図
【図4】 同流量計の流量計測部の斜視図
【図5】 同流量計の流量演算部のブロック図
【図6】 本発明の実施例2の超音波式流量計の流量測定部の横断面図
【図7】 本発明の実施例3の超音波式流量計の流量測定部の横断面図
【図8】 本発明の実施例4の超音波式流量計のA−A断面図
【図9】 同流量計の流量測定部のC−C断面図
【図10】 同流量計の流量測定部のD矢視図
【図11】 本発明の実施例5の超音波式流量計の流量測定部のC−C断面図
【図12】 同流量計の流量測定部のD矢視図
【図13】 本発明の実施例6の超音波式流量計の流量測定本体の外観斜視図
【図14】 同流量計の上流室の断面図
【図15】 本発明の実施例7の超音波式流量計の流量測定本体の外観斜視図
【図16】 本発明の実施例8の超音波式流量計の流量測定本体の外観斜視図
【図17】 本発明の実施例9の超音波式流量計の流量測定本体の外観斜視図
【図18】 従来の超音波式流量計の部分断面図
【符号の説明】
4 流量測定部
5 上流室
6 下流室
9、10 超音波振動子
11 流量演算部
12 流路凹部
13 流量測定本体
14 流路凸部
15 流量測定覆体
Claims (8)
- 矩形断面を有する流量測定部と、前記流量測定部の上流側に配置された上流室と、前記流量測定部の下流側に配置された下流室と、前記流量測定部を挟んで配置された第一の超音波振動子と第二の超音波振動子と、前記超音波振動子からの信号を基に流量を算出する流量演算部とを有し、前記流量測定部は長手方向に延びる流路凹部を持つ流量測定本体に長手方向に延びる流路凸部を持つ流量測定覆体を前記流路凹部を前記流路凸部にはめ合わせて形成し、かつ流量測定本体の流路凹部あるいは流量測定覆体の流路凸部にスペーサを設けて矩形断面の断面積を可変とした超音波式流量計。
- スペーサは流量測定部の矩形断面の長辺および短辺を縮小してアスペクト比が一定となるように設定した請求項1記載の超音波式流量計。
- 超音波振動子は流量測定本体の流路凹部の側壁に配置した請求項1記載の超音波式流量計。
- 超音波振動子は矩形断面とし流量測定本体の流路凹部の側壁に配置した請求項1記載の超音波式流量計。
- 矩形断面を有する流量測定部と、前記流量測定部の上流側に配置された上流室と、前記流量測定部の下流側に配置された下流室と、前記流量測定部を挟んで配置された第一の超音波振動子と第二の超音波振動子と、前記超音波振動子からの信号を基に流量を算出する流量演算部とを有し、前記流量測定部は長手方向に延びる流路凹部を持つ流量測定本体に長手方向に延びる流路凸部を持つ流量測定覆体を前記流路凹部を前記流路凸部にはめ合わせて形成するとともに、流量測定本体の流路凹部の上流側には上流室の一部を形成する上流室凹部を一体に設け、流量測定本体の流路凹部の下流側には下流室の一部を形成する下流室凹部を一体に設けた超音波式流量計。
- 上流室凹部あるいは下流室凹部の流路凹部との接続部に設けた段差部には滑らかな曲率を施した請求項1記載の超音波式流量計。
- 超音波振動子は上流室凹部および下流室凹部に設けた請求項5記載の超音波式流量計。
- 超音波振動子の流量測定部側の開口端に収納凹部を設け、この収納凹部に超音波は透過する整流体を流量測定本体の流路凹部の側壁と面一に配置した請求項3記載の超音波式流量計。
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