JP2024081838A - ラッシュアジャスタ - Google Patents

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勇二 加藤
拓朗 古居
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Abstract

Figure 2024081838000001
【課題】エア噛みの発生を抑制できるラッシャジャスタを提供する。
【解決手段】ラッシュアジャスタ10は、筒状のボディと、底部と周壁部とを有して前記ボディ内に摺動可能に配置され、前記ボディとの間に高圧室を形成するとともに内部に低圧室を形成し、前記底部に前記高圧室と前記低圧室とを連通する弁孔を形成したプランジャと、前記高圧室内に配置され、弁体28がプランジャ12の底部18の下面における弁座26Aに対して接離することによって弁孔26を開閉する。底部18を弁孔26の中心軸C2を通る位置で上下方向に沿って切断した断面視において、底部18における弁孔26の両側に位置する部分のうち、一方の部分の弁座26ARの高さは、他方の部分の弁座26ALの高さよりも上側に位置している。
【選択図】図4

Description

本開示はラッシュアジャスタに関する。
内燃機関の動弁装置に用いられる油圧式のラッシュアジャスタとして、特許文献1に記載のものが知られている。このものは、筒状のボディと、ボディ内に摺動可能に配置されるプランジャとを備え、プランジャの上端部においてロッカアームを支持している。プランジャの内部は低圧室とされ、ボディの下部はプランジャの底壁によって区画された高圧室とされ、プランジャの底壁には弁孔が開口されている。低圧室内にはボディの周壁の連通孔とプランジャの周壁の連通孔とを介してシリンダヘッドの給油路から供給された作動油が貯留され、弁孔を通して高圧室内にも作動油が満たされている。また、高圧室内には、弁孔を閉塞可能な球形の弁体が収容されている。
ラッシュアジャスタは、ロッカアーム側から付与される押圧力が高圧室内のばねの付勢力よりも弱まると、ばねの作用によってプランジャが押し上げられて伸長し、バルブクリアランスを調整する。この時、ラッシュアジャスタの内部では、低圧室内の作動油が、高圧室内の弁体を押し下げつつ、弁孔を通じて高圧室に流入する。これにより、高圧室は内部に作動油が満たされた状態を維持する。一方、ラッシュアジャスタは、プランジャに対して付与される押圧力が強くなった場合、弁体が弁孔を閉じていることによって高圧室が密閉状態となってプランジャの下降が規制される。このように、高圧室の圧力上昇によりボディとプランジャとが剛体化されることによって、ラッシュアジャスタは、ロッカアームを安定的に支持することができる。
シリンダヘッドの給油路から供給される作動油には、気泡が混入している場合がある。作動油内の気泡は、ラッシュアジャスタの伸長時に作動油とともに高圧室内に流入し得る。ラッシュアジャスタは、流入した空気が高圧室内に溜まるいわゆるエア噛みが生じると、ロッカアーム側からの押圧力を受けた際、高圧室内の空気が圧縮されて収縮してしまう。この場合、ラッシュアジャスタは、十分に剛体化できず、ロッカアームを安定的に支持するという機能が損なわれてしまう。このため、特許文献1では、弁孔に向かうにつれて高くなるテーパ面をプランジャの底の下面に形成することで高圧室内の空気を弁座の周辺に集め、高圧室内に溜まった空気を抜け易くしている。
特開2013-189926号公報
このように、ラッシュアジャスタでは、高圧室内の空気を好適に排出してエア噛みの発生を抑制できる技術が求められている。
本開示は、エア噛みの発生を抑制できるラッシャジャスタを提供することを目的とする。
本開示に係るラッシュアジャスタは、筒状のボディと、底部と周壁部とを有して前記ボディ内に軸方向に摺動可能に配置され、前記ボディとの間に高圧室を形成するとともに内部に低圧室を形成し、前記底部に前記高圧室と前記低圧室とを連通する弁孔を形成したプランジャと、前記高圧室内に配置され、前記底部の下面における前記弁孔の開口縁部に形成された弁座に対して接離することによって前記弁孔を開閉する弁体と、を備えたラッシュアジャスタであって、前記底部を前記弁孔の中心軸を通る位置で上下方向に沿って切断した断面視において、前記底部における前記弁孔の両側に位置する部分のうち、一方の部分の前記弁座の高さは、他方の部分の前記弁座の高さよりも上側に位置しているところに特徴を有する。
本開示のラッシュアジャスタは、弁座に高低差を設けたことによって、弁座周辺に集まる空気を更に高所に集めることができ、弁孔からの排出を促進できる。このため、本開示のラッシュアジャスタは、エア噛みの発生を抑制できる。
実施例1に係るラッシュアジャスタを含む動弁装置全体を示す断面図である。 実施例1に係るラッシュアジャスタの断面図であって、閉弁状態を示す。 実施例1に係るラッシュアジャスタの要部拡大断面図であって、開弁状態を示す。 実施例1に係るラッシュアジャスタの要部拡大断面図であって、弁体が弁座に片当たりした状態の半開弁状態を示す。
[本開示の実施形態の説明]
本開示の好ましい形態を以下に示す。
前記弁孔の前記開口縁部は、前記一方の部分の前記弁座の一方端から前記他方の部分の前記弁座の他方端にかけて水平方向に対して傾斜する傾斜縁を有し、前記弁孔は、前記底部において、前記傾斜縁と直交する方向に貫通しているとよい。この場合、球状の弁体を好適に接触させ得る弁座を、容易に形成することができる。
前記底部の下面は、外周側から前記弁孔に向けて上方に傾斜するテーパ面を有しているとよい。この場合、底部下面の空気を弁座の周辺に集めやすくできる。
前記弁体が前記弁座に最初に接触する状態から閉弁状態に至るまでのタイムラグを発生させる遅延部を備えるとよい。この場合、タイムラグの間に空気の排出を一層促進できる。
前記高圧室内に配置され、前記弁孔の開閉に伴う前記弁体の移動をガイドするガイドを備え、前記遅延部は、前記弁体が前記弁座に最初に接触する状態に至るまでの前記ガイドによる前記弁体のガイド中心軸に対して、閉弁状態における前記弁体の中心点を位置ずれさせて構成されているとよい。この場合、遅延部としてタイムラグを好適に生じさせ得る構成を簡易に実現できる。
本開示の実施形態を、図面を参照しつつ以下に説明する。なお、以下の説明では、便宜上、ラッシュアジャスタの伸縮する方向を上下方向と定義する。すなわち、上下の方向については、各図に表れる向きをそのまま上方、下方と定義する。本開示に係るラッシュアジャスタは、基本的には、伸縮方向を上下方向として設置されることを想定している。但し、ここで定義した方向は、本開示に係るラッシュアジャスタの設置方向を限定するものではない。
<実施例1>
本実施形態に係る実施例1を図1から図4に基づいて説明する。実施例1のラッシュアジャスタ10は、自動車の内燃機関(エンジン)の動弁装置に設けられる。
図1に示すように、動弁装置は、シリンダヘッド90の吸気又は排気ポート91を開閉するバルブ80と、エンジンと同期して回転するカムシャフト70に設けられ、バルブ80を動作させるカム71と、カム71の動きをバルブ80に伝達するロッカアーム60とを備えている。ラッシュアジャスタ10は、シリンダヘッド90の取付孔93に内嵌され、バルブクリアランス(カム71とロッカアーム60との間のクリアランス)を油圧で自動調整する機能を有する。
バルブ80は、バルブステム81を有し、バルブステム81は、シリンダヘッド90のバルブガイド92に摺動可能に挿通される。バルブ80の下端部は、吸気又は排気ポート91に臨む円板状のバルブ本体82とされている。バルブステム81の周囲にはバルブスプリング85が設けられている。バルブ80は、バルブスプリング85によってバルブ本体82が吸気又は排気ポート91を閉じる方向に付勢されている。
ロッカアーム60は、一端部がラッシュアジャスタ10の後述する支承部20に支持され、他端部がバルブステム81の上端部に当接して配置され、一端部と他端部との間に、上方に設置されたカム71と接触するローラ61が回転可能に設けられている。
図1に示すように、ラッシュアジャスタ10は、シリンダヘッド90の上面に開設された取付孔93に軸線を上下方向に向けて挿入される。取付孔93の内面には、ラッシュアジャスタ10に供給する作動油の流路であるシリンダヘッド90の給油路94が連通している。
図2に示すように、ラッシュアジャスタ10は、全体として、中心軸Cに沿って延びる円筒形状をなしている。ラッシュアジャスタ10は、有底円筒状のボディ11と、ラッシュアジャスタ10の中心軸Cの方向に往復移動可能(往復摺動可能)にボディ11内に収容される有底円筒状のプランジャ12とを備えている。ラッシュアジャスタ10は、ボディ11に対して突出する方向にプランジャ12が移動することによって伸長し、その反対方向にプランジャ12が移動することによって収縮する。ボディ11は、円板状の底壁13と、底壁13の外周から立ち上がる周壁14とからなる。ボディ11の周壁14の外周面には外面周回溝15が全周に亘って設けられている。また、ボディ11の周壁14には、外面周回溝15の溝奥面から内周面にかけて径方向(ボディ11の周壁14の壁厚方向)に貫通するボディ油孔16が設けられている。ボディ11の周壁14の内周面には、ボディ油孔16の内周面側の開口の高さ位置に対応して、内面周回溝17が全周に亘って設けられている。そして、周壁14の上端には、プランジャ12の上方への抜け出しを規制するリテーナ50が取り付けられている。
プランジャ12は、その上端部をボディ11の上端から突出させてボディ11に収容されている。プランジャ12は、ボディ11の底壁13よりも一回り小さい円板状の底部18と、底部18の外周から立ち上がって上端部が略半球状に絞られた周壁部19とからなる。底部18の径方向の中心は、ラッシュアジャスタ10の中心軸C上に配置されている。プランジャ12の周壁部19の上端部は支承部20とされ、支承部20の半球面状の外周面に、ロッカアーム60の一端部が摺動可能に支持されている(図1参照)。支承部20の上端には、頂孔21が上下方向に貫通して設けられている。プランジャ12内は、底部18と周壁部19とで区画された低圧室22として構成されている。底部18の下面には、凹状に窪んだ凹部18Aが形成されている。凹部18Aには後述するリテーナ29が圧入されている。
プランジャ12の周壁部19の上端部には、全周に亘って外側に厚肉に突出する環状帯部23が設けられている。環状帯部23の外周面は、ボディ11の周壁14の上端部内周面に対して上下方向に沿って略液密に当接可能(摺接可能)とされている。プランジャ12の周壁部19の外周面には、環状帯部23の下端面を区画するプランジャ周回溝24が全周に亘って設けられている。
また、プランジャ12の周壁部19には、プランジャ周回溝24の溝奥面から内周面にかけて径方向(プランジャ12の周壁部19の壁厚方向)に貫通するプランジャ油孔25が設けられている。プランジャ油孔25は、ボディ油孔16よりも上方に配置される。プランジャ油孔25の孔径(直径)は、ボディ油孔16の孔径よりも大きくされている。
シリンダヘッド90の給油路94から供給される作動油は、外面周回溝15、ボディ油孔16、プランジャ周回溝24及びプランジャ油孔25を経て低圧室22に貯留されるようになっている。この場合に、シリンダヘッド90の取付孔93内でボディ11が回転しても外面周回溝15を経ることでボディ油孔16に作動油が流れ、ボディ11内でプランジャ12が回転してもプランジャ油孔25を経ることでプランジャ油孔25に作動油が流れるようになっている。
プランジャ12の底部18には弁孔26が形成されている。弁孔26は、断面円形状をなしている。弁孔26は、底部18を上下に貫通し、上側の低圧室22と下側の後述する高圧室27とを連通する。図2に示すように、本実施例の場合、弁孔26の中心軸C1は、ラッシュアジャスタ10の中心軸Cに対して傾斜している。弁孔26の中心軸C1の傾斜角度は、ラッシュアジャスタ10の中心軸C(上下方向)に対して、例えば8°である。
弁孔26の高圧室27側の開口縁部には弁座26Aが形成されている。弁座26Aは、下方に向かうにつれて断面円弧状に反り返って拡開している。本実施例において、弁座26Aには高低差が設けられている。具体的には、図3に示すように、弁座26Aは、底部18を弁孔26の中心軸C1を通る位置で上下方向に沿って切断した断面視において、底部18における弁孔26の両側に位置する部分のうち、一方の部分である右側の弁座26ARの高さが、他方の部分である左側の弁座26ALの高さよりも上側に位置している形態である。
図3に示すように、弁孔26の開口縁部である弁座26Aの下端縁26Bは、水平方向に対して傾斜して形成されている。これにより、本実施例のラッシュアジャスタ10は、弁座26Aに高低差を設けた構成である。図3の断面視に示すように、弁座26Aの下端縁26Bは、右側の弁座26ARの右端から左側の弁座26ALの左端にかけて、水平方向に対して傾斜する直線状をなしている。弁座26Aの下端縁26Bは、本開示に係る傾斜縁の例示である。弁孔26は、この下端縁26Bに対して直交する方向に底部18を貫通している。本実施例の場合、弁座26Aの下端縁26Bの水平方向に対する傾斜角度は、例えば8°である。
底部18の下面にはテーパ面Tが形成されている。テーパ面Tは、弁座26Aを中心にすり鉢状に凹んでいる。テーパ面Tは、底部18の外周縁から弁座26Aに向けて上向きに傾斜している。テーパ面Tは、弁孔26の中心軸C1に対して、周方向の全周に亘って、例えば60°の均等な角度をなしている。テーパ面Tは、弁孔26が傾斜して形成されていることにより、周方向において高低差が生じている。図3の場合、テーパ面Tの最も上側に位置する部分は、弁座26ARの下端縁26Bとの接続部Hである。ラッシュアジャスタ10は、テーパ面Tにおけるこの最も上側に位置する部分である接続部Hにおいて、高圧室27内の空気が溜まりやすい構成である。
ボディ11内の下部には、プランジャ12の底部18との間に、高圧室27が形成されている。高圧室27には、弁孔26を高圧室27側から閉塞可能な弁体28と、弁体28を保持するリテーナ29と、リテーナ29内に収容されて弁体28を弁孔26に向けて付勢する圧縮コイルばねからなる第1スプリング31と、リテーナ29の外周縁部とボディ11の底壁13との間に介設されてプランジャ12を上方に付勢する圧縮コイルばねからなる第2スプリング32とが設けられている。弁体28は、第1スプリング31によって常時上方に付勢されている。弁体28は、高圧室27内の油圧変動と第1スプリング31の付勢力とのバランスに応じて上下に移動し、弁孔26を開閉する。ラッシュアジャスタ10は、弁孔26が開放された状態において、低圧室22の作動油が弁孔26を通じて高圧室27に流れる。
リテーナ29は、上方に開口したいわゆるハット形(鍔付き帽子形)の外形形状をなしている。リテーナ29は、内部の空間に弁体28を収容している。リテーナ29は、弁孔26の開閉に伴う弁体28の移動を許容しつつ、弁体28を収容する。リテーナ29は、リテーナ29には、内外の空間を連通して作動油の流出入を許容する複数の切欠きが周方向に等配形成されている。リテーナ29は、有底筒状をなして弁体28を収容する筒部29Aと、筒部29Aの上端部から外側に広がるフランジ状部29Bと、を有している。筒部29A及びフランジ状部29Bは、リテーナ29における中心軸C2上に同軸状に配置されている。リテーナ29は、フランジ状部29Bの外周縁において凹部18Aに圧入されている。リテーナ29の中心軸C2は、ラッシュアジャスタ10の中心軸Cと同軸上に配置されている。
リテーナ29の下端部にはばね座29Cが形成されている。ばね座29Cには第1スプリング31の下端部が接触する。リテーナ29及び第1スプリング31は、本開示に係るガイドの例示である。リテーナ29の中心軸C2は、本開示に係るガイド中心軸に相当する。ガイド中心軸は、弁体28が移動する際の中心軸である。弁体28は、開弁状態から弁座26Aに最初に接触する状態に至るまでの間、第1スプリング31の付勢力を受けつつ、ガイド中心軸としてのリテーナ29の中心軸C2に沿って直線的に移動する。
第1スプリング31は、下端においてリテーナ29のばね座29Cに接触している。第1スプリング31の下端部は、リテーナ29の中心軸C2に同心状に配置されている。第1スプリング31は、上端において弁体28に接触している。第1スプリング31は、弁体28を上方に付勢する付勢力を弁体28に付与する。第2スプリング32は、リテーナ29のフランジ状部29Bとボディ11の底壁13との間に介設されている。第2スプリング32は、プランジャ12を上方に付勢する付勢力を付与する。
本実施例のラッシュアジャスタ10は遅延部を備える。遅延部は、弁体28が弁座26Aに最初に接触する状態から閉弁状態に至るまでのタイムラグを発生させる。図4に示すように、ラッシュアジャスタ10において、遅延部は、閉弁状態における弁体28の中心点C3をガイド中心軸としてのリテーナ29の中心軸C2に対して位置ずれさせた構成である。上述のように、弁孔26は、中心軸C1をラッシュアジャスタ10の中心軸Cに対して傾斜させて形成されている。ラッシュアジャスタ10では、閉弁状態の弁体28の中心点C3(図4において二点鎖線で示す弁体28の中心点C3)がリテーナ29の中心軸C2に対して位置ずれを生じるように、弁孔26の中心軸C1の傾きを設定している。これにより、弁体28は、弁座26Aに最初に接触した状態では、弁座26Aに対して部分的にのみ接触して弁孔26を完全には閉鎖していない状態、すなわち片当たりした状態になることができる。ラッシュアジャスタ10において、遅延部は、弁体28が弁座26Aに片当たりする状態を生じさせることによって閉弁状態に至るまでにタイムラグを生じさせる構成である。
次に、ラッシュアジャスタ10の基本動作について説明する。
内燃機関の通常の駆動時、カムシャフト70及びカム71が回転し、カム71によってロッカアーム60が下方に押圧されると、バルブ80が押し下げられてバルブ80が開弁する。この時、支承部20はロッカアーム60の一端部に押圧される。これにより、プランジャ12にはボディ11に沈み込む方向の力が作用する。このとき、弁孔26が弁体28で閉塞されていることから、プランジャ12の沈み込みは規制されるものの、高圧室27が圧縮方向の力を受けて圧力上昇する。すると、高圧室27内の作動油は、プランジャ12の周壁部19とボディ11の周壁14との間を流通してプランジャ周回溝24側に徐々に流出する。これにより、高圧室27の容積が徐々に減少し、ボディ11に対してプランジャ12が沈み込んで(リークダウン)、ラッシュアジャスタ10の全長が短縮させられる。また、高圧室27の圧力上昇によってボディ11とプランジャ12とが剛体化し、ロッカアーム60がラッシュアジャスタ10に安定して支持される。
更にカムシャフト70及びカム71が回転すると、カム71がロッカアーム60を下方に押圧している状態からカム71によるリフト量が減少し、ロッカアーム60に対する下向きの押圧力が緩和される。すると、バルブスプリング85の反発力によってバルブ80が閉弁する。この時、ロッカアーム60には、バルブスプリング85による上方に押し上げられる方向の力が作用する。このため、支承部20に作用していた押し下げ方向の力が緩和される。すると、プランジャ12には第2スプリング32からロッカアーム60側に進出する方向の力が作用していることから、プランジャ12は押し上げられて支承部20がロッカアーム60の一端部と当接した状態を維持する。これにより、ロッカアーム60はカム71に押し付けられる。また、プランジャ12がロッカアーム60側に進出すると、高圧室27の容積が拡大されて高圧室27の圧力が低下する。これにより、高圧室27と低圧室22との間に圧力差が生じ、弁体28が弁座26Aから離れて弁孔26を開放し、低圧室22から高圧室27に作動油が流れる。これにより、ラッシュアジャスタ10の全長が伸長する。
こうしてカム71の回転に応じてラッシュアジャスタ10がロッカアーム60を適正位置で支持することにより、カム71とロッカアーム60との間のクリアランスが実質的にゼロとなるように調整される。
次に、ラッシュアジャスタ10の作用及び効果について説明する。
高圧室27に作動油とともに気泡が流入すると、高圧室27内で空気溜まりとなるいわゆるエア噛みを生じてしまうおそれがある。ラッシュアジャスタ10は、弁座26Aに高低差を設けた構成である。具体的には、弁座26Aは、プランジャ12における底部18を弁孔26の中心軸C1を通る位置で上下方向に沿って切断した断面視において、底部18における弁孔26の両側に位置する部分のうち、一方の部分に位置する弁座26ARの高さが、他方の部分に位置する弁座26ALの高さよりも上方に位置している。このように弁座26Aに高低差を設けたことによって、ラッシュアジャスタ10は、高圧室27内の弁座26Aの周辺に集まる空気を、より高所となる弁座26ARの近傍に集めることができる。弁座26ARの周辺に集められた空気は、開弁時において、弁孔26を介して低圧室22側に好適に排出される。したがって、ラッシュアジャスタ10は、エア噛みの発生を好適に抑制できる。
また、弁座26Aは、弁孔26の開口縁部としての弁座26Aの下端縁26Bが水平方向に対して傾斜している。そして、弁孔26は、この下端縁26Bに対して直交する方向に底部18を貫通している。これにより、高低差のある弁座26Aであっても、従来のような高低差のない弁座と同様の円形状の接触面を容易に形成することができる。例えば、上下方向に沿って貫通する弁孔において、弁座が水平方向に対して傾いて形成されている場合、弁座が形成される弁孔の開口縁部の形状は楕円状をなしてしまう。この場合、球状をなす弁体が隙間なく接触可能な弁座を形成することは困難である。これに対し、傾斜する弁座26Aの下端縁26Bに対して直交する方向に貫通する弁孔26であれば、開口縁部の形状を従来と同様に円形状に形成できるため、球状をなす弁体28を弁座26Aの全体に好適に接触させることができる。
また、ラッシュアジャスタ10は、底部18の下面にテーパ面Tを形成している。テーパ面Tは、底部18の外周縁から弁座26Aに向けて上向きに傾斜して形成されている。このため、ラッシュアジャスタ10では、高圧室27における底部18の下面の空気を弁孔26側に集めることができる。また、ラッシュアジャスタ10では、弁孔26が中心軸C1を傾斜させて形成されており、この中心軸C1に対して周方向の全周に亘って均等な角度をなすテーパ面Tを形成している。このため、ラッシュアジャスタ10では、テーパ面Tのうちで最も上側に位置する部分として、弁座26Aの下端縁26Bとの接続部Hが形成される。このような構成により、ラッシュアジャスタ10は、高圧室27内に進入した空気が最も上側に位置する部分である接続部Hに集まりやすくなる。その結果、弁孔26を介しての低圧室22側への空気の排出が促進される。
また、本実施例のラッシュアジャスタ10は遅延部を備えている。遅延部は、弁体28が弁座26Aに最初に接触する状態から閉弁状態に至るまでのタイムラグを発生させる。ラッシュアジャスタ10における遅延部は、閉弁状態の弁体28の中心点C3がガイド中心軸としてのリテーナ29の中心軸C2に対して位置ずれを生じるように、弁孔26の中心軸C1をリテーナ29の中心軸C2に対して傾斜させた構成である。このため、ラッシュアジャスタ10は、弁体28に弁座26Aに対して片当たりを生じさせ、従来と比較して、開弁状態から閉弁状態に至るまでの間に好適なタイムラグを生じさせることができる。
伸長状態にあるラッシュアジャスタ10が再び収縮する際、高圧室27の容積の縮小に伴って、高圧室27内の作動油が開放中の弁孔26から低圧室22に流出する。ラッシュアジャスタ10は、この弁孔26が開放された状態にある間、高圧室27内に溜まった空気を作動油とともに低圧室22に流出させることができる。弁孔26からの作動油の流出は、弁体28によって弁孔26が閉鎖されるまで続く。したがって、高圧室27から空気を排出する、という観点では、弁孔26は、長い間開放されていることが好ましい。
本実施例の場合、閉弁状態の弁体28の中心点C3は、弁座26Aから離れた状態の弁体28のガイド中心軸であるリテーナ29の中心軸C2に対して位置ずれした位置に配置される。このため、弁座26Aから離れた状態の弁体28は、図3及び図4に示すように、その中心点C3がガイド中心軸としてのリテーナ29の中心軸C2上に位置し、このリテーナ29の中心軸C2に沿って直線的に移動する。その後、弁体28は、図4に示すように、弁座26Aにおいて相対的に低い位置にある弁座26ALにのみ部分的に接触し、相対的に高い位置にある弁座26ARには接触していない状態、すなわち片当たりした状態となる。このように、片当たり状態に至るまでの間、弁体28の中心点C3は、ガイド中心軸としてのリテーナ29の中心軸C2上を上方に移動する。
一方、弁体28が片当たり状態から閉弁状態に至るまでの間では、弁体28の中心点C3は、リテーナ29の中心軸C2に沿った移動方向から異なる方向に向かって移動する。具体的には、弁体28の中心点C3は、リテーナ29の中心軸C2から離れつつ移動し、弁孔26の中心軸C1上に至る(図4の二点鎖線で示す弁体28の中心点C3を参照)。このように、ラッシュアジャスタ10は、片当たり状態となる前後において弁体28の移動方向が変化する。その結果、ラッシュアジャスタ10は、片当たり状態から閉弁状態に至るまでに好適なタイムラグを生じさせることができる。
例えば、従来のラッシュアジャスタの場合、弁孔とリテーナの各中心軸は、通常、いずれもラッシュアジャスタの中心軸上に配置される。すなわち、従来のラッシュアジャスタにおいて、弁孔とリテーナの各中心軸は同軸上に配置される。このため、従来のラッシュアジャスタの場合、弁体の中心点は、弁座から離れた状態であっても、弁孔の中心軸上に配置される。したがって、従来の弁孔とリテーナの各中心軸が同軸上に配置されたラッシュアジャスタの場合、弁体は、開弁状態から閉弁状態に至るまで、弁孔の中心軸に沿って直線的に移動する。
これに対し、本実施例のラッシュアジャスタ10は、本開示に係る遅延部として、閉弁状態の弁体28の中心点C3がガイド中心軸としてのリテーナ29の中心軸C2に対して位置ずれを生じるように、弁孔26の中心軸C1をリテーナ29の中心軸C2に対して傾斜させた構成を備えている。これにより、弁体28は、開弁状態から弁座26Aに最初に接触した片当たり状態に至るまでの間は、第1スプリング31に付勢されつつ、従来と同様に、リテーナ29の中心軸C2上を移動する。弁座26Aに対して片当たり状態の弁体28は、相対的に低い位置にある弁座26ALに接触し、相対的に高い位置にある弁座26ARからは離れている。その後、第1スプリング31の付勢力によって更に付勢されることにより、弁体28は、弁座26Aに対して全体的に接触し、閉弁状態に至る。
このように、開弁状態から閉弁状態に至る弁体28は、従来と同様ガイド中心軸としてのリテーナ29の中心軸C2に沿って直線的に移動する。その後、弁体28は、弁座26Aに片当たりすることで移動方向を変化させる。このため、ラッシュアジャスタ10は、従来のように弁体が直線的な移動のみで閉弁状態に至る場合と比較して開弁状態から閉弁状態に至るまでの時間を相対的に長くでき、より多くの空気を高圧室27から排出することができる。
また、本実施例のラッシュアジャスタ10において、接続部Hは、弁座26Aにおいて、片当たり状態から閉弁状態に至るまでの間で最も遅く閉じられる部分に接続する部分である。このため、ラッシュアジャスタ10は、接続部Hの周辺に溜まった空気を好適に排出することができる。
<他の実施例>
以下、他の実施例を簡単に説明する。
(1)上記実施例1では、弁座に高低差を設ける構成として、弁孔の開口縁部が傾斜縁を有する形態を例示したが、これは必須ではない。上記実施例では、弁孔が傾斜縁に対して直交する形態を例示したが、弁孔は、傾斜縁に対して傾斜していてもよい。傾斜縁の傾斜角度としては、例えば水平方向に対し、5°以上10°以下の範囲であることができる。この範囲であれば、弁座周辺の空気の集め易さと、製造の容易さとを両立できる。
(2)上記実施例1では、弁孔をリテーナの中心軸に対して傾斜させる形態を例示したが、これは必須ではない。本開示に係るラッシュアジャスタにおいて、弁孔は、その中心軸がラッシュアジャスタの中心軸に沿って上下方向に延びていてもよい。弁孔を傾斜させる場合、その傾斜角度は、上記実施例1に限定されない。弁孔の傾斜角度としては、例えばラッシュアジャスタの中心軸に対し、5°以上10°以下の範囲であることができる。この範囲であれば、容易に製造できる。
(3)上記実施例1では、プランジャの底部の下面にテーパ面を形成する形態を例示したが、これは必須ではない。底部の下面にテーパ面を形成する場合、テーパ面の形態は、上記実施例に限定されない。テーパ面は、例えば、弁孔の中心軸に対して、周方向において不均等な角度をなしていてもよい。テーパ面は、例えば、弁孔の中心軸以外の軸、例えばラッシュアジャスタの中心軸等に対して、周方向の全周に亘って均等な角度をなしていてもよい。
(4)上記実施例1では、ラッシュアジャスタが遅延部を備える構成を例示したが、これは必須ではない。遅延部を備える場合、その構成は、弁体が弁座に最初に接触する状態から閉弁状態に至るまでのタイムラグを発生させることができればよく、上記実施例の構成に限定されるものではない。遅延部は、例えば、ラッシュアジャスタの中心軸と同軸上に配置されたリテーナの中心軸及び弁孔の中心軸の一方を他方に対してオフセットさせた構成としてもよい。
10…ラッシュアジャスタ
11…ボディ
12…プランジャ
14…周壁
18…底部
19…周壁部
22…低圧室
26…弁孔
26A…弁座
26AL…弁座(他方の部分の弁座)
26AR…弁座(一方の部分の弁座)
26B…下端縁(傾斜縁)
27…高圧室
28…弁体
29…リテーナ(ガイド)
31…第1スプリング(ガイド)
C1…中心軸(弁孔の中心軸)
C2…リテーナの中心軸(ガイド中心軸)
C3…中心点
T…テーパ面

Claims (5)

  1. 筒状のボディと、
    底部と周壁部とを有して前記ボディ内に軸方向に摺動可能に配置され、前記ボディとの間に高圧室を形成するとともに内部に低圧室を形成し、前記底部に前記高圧室と前記低圧室とを連通する弁孔を形成したプランジャと、
    前記高圧室内に配置され、前記底部の下面における前記弁孔の開口縁部に形成された弁座に対して接離することによって前記弁孔を開閉する弁体と、
    を備えたラッシュアジャスタであって、
    前記底部を前記弁孔の中心軸を通る位置で上下方向に沿って切断した断面視において、前記底部における前記弁孔の両側に位置する部分のうち、一方の部分の前記弁座の高さは、他方の部分の前記弁座の高さよりも上側に位置している、ラッシュアジャスタ。
  2. 前記弁孔の前記開口縁部は、前記一方の部分の前記弁座の一方端から前記他方の部分の前記弁座の他方端にかけて水平方向に対して傾斜する傾斜縁を有し、
    前記弁孔は、前記底部において、前記傾斜縁と直交する方向に貫通している請求項1に記載のラッシュアジャスタ。
  3. 前記底部の下面は、外周側から前記弁孔に向けて上方に傾斜するテーパ面を有している、請求項1に記載のラッシュアジャスタ。
  4. 前記弁体が前記弁座に最初に接触する状態から閉弁状態に至るまでのタイムラグを発生させる遅延部を備える、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のラッシュアジャスタ。
  5. 前記高圧室内に配置され、前記弁孔の開閉に伴う前記弁体の移動をガイドするガイドを備え、
    前記遅延部は、前記弁体が前記弁座に最初に接触する状態に至るまでの前記ガイドによる前記弁体のガイド中心軸に対して、閉弁状態における前記弁体の中心点を位置ずれさせて構成されている、請求項4に記載のラッシュアジャスタ。
JP2022195302A 2022-12-07 ラッシュアジャスタ Pending JP2024081838A (ja)

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