JP2024081758A - 複数の活性剤分子を含む生体適合コポリマー - Google Patents

複数の活性剤分子を含む生体適合コポリマー Download PDF

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Abstract

【課題】複数の活性剤分子を含む生体適合コポリマーを提供すること。
【解決手段】本開示は、活性剤がアルファ-アミノ基および/またはアルファ-カルボキシル基に直接的にまたはリンカー分子を介して結合している側鎖連結アミノ酸を含む生体適合コポリマーを送達の担体として使用する、活性剤、例えば原薬の送達に関する。活性剤含有コポリマーを機能化して、細胞型または組織型特異的標的化部分を含ませることができる。本開示は、上記に詳述された複数の活性剤分子を含む有効量のコポリマー、および担体を含む医薬組成物にも関する。活性剤の性質に応じて、これらの組成物を様々ながんまたは他の疾患/状態の処置に使用することができる。
【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2018年5月10日出願の米国特許仮出願第62/762,549号の利益を主張し、この出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
配列表の参照
本出願は、電子フォーマットの配列表と共に出願されている。配列表は、2019年5月6日に作製され、2KBのサイズであり、表題「CIS-010 PCT_ST25.txt」のファイル
として提出されている。電子フォーマットの配列表の情報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、活性剤がアルファ-アミノ基および/またはアルファ-カルボキシル基に直接的にまたはリンカー分子を介して結合している側鎖連結アミノ酸を含む生体適合コポリマーを送達の担体として使用する、活性剤、例えば原薬(drug substance)の送達に関
する。
がんは、ヒトの健康に対する大きな脅威の一つであり、その尤度が年齢の関数であるという事実を考慮すると、症例数は、人口の加齢と共に増加する。Berger, NA et al. (2006) Cancer in the Elderly, Transactions of the American Clinical and Climatological Association 117: 147-156; Yancik, R (2005) Cancer J. 11: 437-41。近年、腫瘍療法には、モノクローナル抗体などの腫瘍特異的薬剤の使用に
起因して、非常に大きな改善がなされてきた。これらの抗体は、上皮増殖因子経路(EGFR)などの増殖シグナルを遮断する(セツキシマブ、Erbitux(登録商標)、Merck KGaA/パニツムマブ、Vectibix(登録商標)、Amgen/トラスツズマブ、Herceptin(登録商標)、Roche)、または血管内皮増殖因子(VEGF)経路を標的にして新たな血管の形成を予防する(ベバシズマブ、Avastin(登録商標)、Roche)ことによって腫瘍増殖を遅くさせる。これらの標的抗原が通常は腫瘍組織に過剰発現するので、健康な細胞には障害が少なく、このため抗体療法は、従来の細胞傷害剤と比較して少ないオフターゲット(off-target)効果を有する。Zhou, Q. (2017) Biomedicines 5(4); Reichert, JM (2017) MAbs 9: 167-181。抗体の独自の特異性も、細胞傷害性薬物が腫瘍細胞を標的にすることを目的とした組み合わせ手法に使用された。これらの、いわゆる抗体薬物コンジュゲート(ADC)は、抗体または細胞傷害剤による単剤療法より優れていることが証明されている。1960年代から知られているが、ADCの概念は、最近の臨床展開によってようやく医薬品業界の関心に遭遇することになり、60個を超えるADCが臨床試験を受けている。Mullard, A (2013) Nat Rev Drug Discov 12: 329; Beck, A et al. (2017) Nat Rev Drug Discov 16: 315-337。
第一世代のADCは、抗体に遊離アミノ基を使用して、細胞傷害性薬物および薬物リンカー構築物を結合している。抗体1つあたり80個までの遊離アミノ基を用いることにより、これらの機能化は、薬物の抗体に対する比(DAR)が異なっていること、および抗体の結合界面への細胞傷害性薬物の意図されない結合に起因する親和性によって、高度に異種のADC種をもたらす。DARに関する異種性は、反応に使用される薬物および抗体の化学量を調整することによって、ある程度まで限定することができる。部位特異性に関して、異種性は、最初の臨床試験が実施された1980年代の化学の利用可能性によって制限された。FDAが最初のADCを承認するまでさらに20年かかった。ADCの開発
は、それ以来顕著に増えており、30個のADCが反応性群に入ってきた。これらの異種性は、最初のADCについての大きな問題および規制事項でもあった。Yao, H et al.
(2016) Int J Mol Sci 17(2): 194。加えて、最初のADCは、重要な免疫応答
を誘発することが知られているマウス免疫グロブリンに基づいていた。これらの欠点のため、初代ADCは、従来の療法より大きな改善を示すことがなく、そのため、最初のFDA承認ADCであるゲムツズマブオゾガマイシン(Mylotarg(登録商標))は、2010年にPfizerによって市場から自発的に撤退された。Beck, A et al. (2017) Nat Rev Drug Discov 16(5): 315-337; Beck, A et al. (2010) Discov Med 10(53): 329-39。
第二世代のADCは、ヒト化抗体の遊離チオール基を標的にすることによってこれらの困難を軽減する。これらの遊離チオール基は、抗体のヒンジ領域における4つの鎖間ジスルフィド架橋の軽度な還元による(例えば、1,4-ジチオトレイトール(DTT)を用いる)カップリング反応の前に生成した。この戦略によって、潜在的な結合部位を8個に低減して、ADCのより高い均質性をもたらすことができる。鎖間ジスルフィド結合が抗体の完全性に重要な役割を果たすという事実を考慮すると、高い均質性は、抗体の安定性に対する有害な影響によって多くの場合に補われていた。ジスルフィド架橋の完全性を保存するより特異的なリンカーが設計されたが(例えば、Shaunak, S et al. (2006) Nat Chem Biol 2(6): 312-3およびBalan, S et al. (2007) Bioconug Chem 18(1): 61-76において詳述されている)、生成されたADCは低いDARを被っており、典型的に約3~4であった。薬物負荷をさらに増加すると、抗体の安定性は有害な影響を受け、血流からの素早いクリアランスをもたらした。加えて、腫瘍細胞特異的標的への抗体の親和性が有害な影響を受けた。Beck et al. (2017) Nat Rev Drug Discov 16(5): 315-337; Yao et al. (2016) Int J Mol Sci 17(2): 194.; Beck et
al. (2010) Discov Med 10(53): 329-39。わずか数個の細胞傷害性実体がこれら
の抗体にカップリングしていたので、ドキソルビシンのような従来の細胞傷害剤は、腫瘍細胞を死滅させるのに十分に有効ではないことが実証された。Tolcher, AW (1999) J
Clin Oncol 17(2): 478-478。したがって、細胞傷害性が数桁高い新規クラスの細胞傷害剤を使用する必要があった。これらの物質の例は、メルタンシン(mertansine)(DM1)またはモノメチルアウリスタチン(monomethylauristatin)E(MMAE)のような微小管阻害剤である。Beck et al. (2017)。そのような強力な原薬を用いると、A
DCの毒性ペイロード(payload)がその標的部位のみに放出されることがきわめて重大
である。そうでなければ、重症の副作用がもたらされる可能性がある。薬物と抗体の間にあるリンカーは、そのため大きな役割を果たす。トラスツズマブエムタンシン(Kadcyla(登録商標)、Roche)およびブレンツキシマブベドチン(Adcetris(登録商標)、Tekada Pharmaceutical)、ならびにMersana concept(Mersana Therapeutics Inc.(Cambridge、MA))のような最近市販されているADCは、システイン担持タンパク質、特に血清アルブミンと反応することが知られているマレイミドベースリンカーを使用する。Alley, SC et al. (2008) Bioconjug Chem 19(3): 759-765。Shen, BQ et
al. (2012) Nat Biotechnol 30(2): 184-9。
いわゆる第三世代のADCは、抗体への薬物の部位特異的カップリングを使用している。顕著な例は、急性骨髄性白血病(AML)に対する、Seattle Geneticsのバダツキシマブタリリン(Vadatuximab tailirine)である。このADCは、両方の重鎖の239位に遺伝子操作されたシステインを含み、DNAを架橋することができるピロロベンゾジアゼピン(PBD)二量体のカップリングに使用され、それによって、細胞分裂を遮断し、細胞死を引き起こす。このADCは、第I相研究において成功裏に試験され、現在、第III相臨床試験の最中である。Beck et al. (2017); Kennedy, DA et al. (2015) Cancer Res 75(15 Supp.), Abstract DDT02-04。抗体への薬物の
部位特異的カップリングの他の例は、スマートタグ(smart tag)、例えば、「アルデヒドタグ」(Redwood Biosciences、Catalent)または「ソルターゼ(sortase)タグ」(SMAC-Technology(商標)、NBE The
rapeutics;Stefan, N et al. (2017) Mol Cancer Ther 16(5): 879-892)を使用する。後者の2つの手法は、遺伝子操作されたペプチドタグを抗体に導入し
て、酵素カップリング反応の特定モチーフとして機能させる。第三世代のADCは、増加した安定性を有し、より均質な生成物を表すが、抗体1個あたり依然としてわずか数個の毒性実体を送達する。
この制限を回避するため、ポリマー担体を使用する新規手法がMersana Therapeuticsによって最近開発された。このコンセプトは、いくつかの細胞傷害性薬物分子での分解性担体ポリマー(「Fleximer」と呼ばれる)の機能化に基づいている。次に薬物負荷ポリマーを従来のリンカー化学によってモノクローナル抗体にカップリングする。これにより、DARを抗体分子1個あたり12~15個の薬物分子に増加させることができ、薬物分子は、3~5個の結合ポリマー担体にわたって分布された。”Non-clinical pharmacokinetics of XMT-1522, a HER2 targeting auristatin-based antibody drug conjugate”; poster presentation at the American Association for Cancer Research (AACR) annual meeting in Washington D.C, 2017。この手法は多くの利点を有するが、得られたADCは、様々な鎖長および薬物負荷
のFleximerポリマーを含む。使用されたチオールマレインイミド(thiol-maleinimide)リンカー化学との組み合わせにより、ADCの分子量はある程度まで変動する。
さらに、Fleximerポリマーは、生物分解性エステル連結を含み、長期保存および/または血清安定性の問題を提起している。 Koitka, M et al. (2010) J Pharm
Biomed Anal 51(3): 664-78; Li, B et al. (2005) Biochem Pharmacol 70(11: 1673-84。
抗体に加えて、アプタマーを含む他の標的特異的薬剤が、異常な経路を遮断または活性化して代謝疾患およびがんを処置することについて詳述されている。アプタマーは、ワトソンクリック塩基対合により形成された確定三次元立体構造を有する小型一本鎖ポリヌクレオチドである。十分に確定された構造に起因して、これらは細胞上の細菌毒素または表面マーカーなどの単離小分子を含む特異的標的に、高い親和性で結合させられることができる。Mercier, MC et al. (2017) Cancers (Basel) 9(6): E69; Ruscito, A
et al. (2016) Front Chem 4 :14。アプタマーは、抗体よりはるかに小さく、産生するのが容易であり、免疫原性が欠如している。Ray, P et al. (2013) Archivum
Immunologiae et Therapiae Experimentalis 61(4): 255-271; Pei, X et al. (2014) Mol Clin Oncol 2(3): 341-348; Zhou, G et al. (2016) Oncotarget 7(12):13446-63。これらは、反復する結合、洗浄および増幅のステップを伴う豊富
化プロセスにおいて、1015個までのランダムポリヌクレオチドのプールから通常生成される。各サイクルの後、最高の標的親和性を有するアプタマーが次のサイクルのために選択される。このことは、10~12サイクル後に、ナノ-、さらにはサブ-ナノモル範囲で結合親和性を有する分子の選択をもたらす。このプロセスは、試験管内進化法(systematic evolution of ligands by exponential enrichment)(SELEX)とし
ても知られている。Zhou, G et al. (2016)。抗体と同様に、最初の治療アプタマー
の手法は、主要なタンパク質、受容体または代謝産物との相互作用を介して疾患関連経路を遮断することを目的とした。顕著な例は、Macugen(登録商標)(Pegaptanib;EyeTech Pharmaceuticals、Pfizer)であり、最初のFDA承認アプタマー治療薬であり、2004年に市場に投入された。Macugen(登録商標)は27ヌクレオチド長RNAアプタマーであり、失明を引き起こす重篤な眼の疾患である加齢黄斑変性(AMD)に使用される。AMDは、上昇したレベルの増殖因子に起因した血管の異常形成により特徴付けられる。Macugen(登録商標)の
標的は、血管新生に関与する増殖因子であるVEGF165(アイソフォーム)である。このアプタマーは素早い腎クリアランスおよび分解に起因してほんの短い半減期を有するので、40kDaのPEGポリマーに結合させて、全体のサイズを増加した。加えて、一部のヌクレオチドを2’-フルオロ-ピリミジン(2’-fluor-pyrimidine)および2’-O-メチル-プリンで置換して、ヌクレアーゼによる分解を回避した。Biagi, C et al. (2014) Eur J Clin Pharmacol 70(12): 1505-12; Pozarowska, D et al.
(2016) Cent Eur J Immunol 41(3) : 311-316。抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ、Avastin(登録商標)、Roche)と対照的に、Macugen(登録商標)は、おそらくバイパス経路(例えば、PDGF-B)の作用の代償が原因の全身適用における不十分な機能に起因して、がんの処置のために使用または認可されてこなかった。Alvarez, RH et al. (2006) Mayo Clin Proc 81(9) : 1241-57。さらに近年になされた改善の後には、アプタマーを標的化および遮断のみならず、細胞傷害剤の担体としても使用するいくつかの試みが行われた。Bagalkotおよび同僚らは、アプタマードキソルビシン複合体を、この薬剤がDNAに入り込む能力を活用することによって開発した。しかし、この複合体は、不十分な負荷効率および急速な全身クリアランスを被っている。Bagalkot, V et al. (2006) Angew Chem Int Ed 45(48): 8149-8152。2010年には、異なる手法が、ドセタキセル/シスプラチン負荷PLGA-P
EGナノ粒子に基づいて開発された。これらの粒子は、腫瘍細胞膜タンパク質を標的にするアプタマーであるA10による機能化によって、前立腺がん細胞に導かれた。このいくぶん複雑な薬物送達系は、少なくともin vitro実験において有望な結果を示した。Kolishetti, N et al. (2010) Proc Natl Acad Sci USA 107(42): 17939-17944。アプタマーは、siRNA(特異的遺伝子発現を抑制するように典型的に設計された短干渉RNA)などの、いくつかのヌクレオチドベース治療薬の送達のためにさらに試験された。Chu, TC et al. (2006) Nucleic Acids Res 34(10): e73。腫瘍処置のためにアプタマーの標的化能力を利用する多くの異なる手法の開発にもかかわらず、現在まで、アプタマーは、不十分な負荷容量、血清不安定性および素早い腎クリアランスを被っており、これらの特性はすべて臨床適用を制限している。これらのアプタマー薬物コンジュゲートまたは複合体のうちで、第III相臨床または市場に投入されたものはなかった。Zhou et al. (2016)。
上述の短所を克服し、薬物の抗体/アプタマーに対する比(DAR)を増加し、同時に、対応する標的への抗体/アプタマーの親和性を保存するため、本発明者らは、生体適合性、親水性、非分解性のポリマーを活性剤の担体として利用する新たな戦略を開発した。ポリマーには、複数の活性剤分子が初めから「負荷」されている。活性剤は、合成の最中に活性剤コンジュゲートモノマー(治療モノマー)を使用して、または合成後に機能化を介して、ポリマーに導入される。典型的には、活性剤含有ポリマーは、続いて腫瘍標的化部分、例えばモノクローナル抗体またはアプタマーにカップリングされる。高い親水性に起因して、ポリマーは高度の疎水性の細胞傷害性薬物さえも運ぶことができ、同時に対応する抗体/アプタマーの薬力学的特性を維持することができる。ポリマー分子に多数(限度内の任意の所望の数)の活性剤分子を担持させることができる。
本開示に表される手法は、1つのカップリング部位のみが、多数の活性剤分子を抗体またはアプタマー分子に結合するために必要であるという利点を有する。部位特異的カップリング方法、例えば、酵素カップリング反応を抗体の重鎖のC末端にあるペプチドタグに対して使用することによって、活性剤含有ポリマーは抗体結合界面からはるかに離れて配置される。この手法によって、標的組織の最大親和性が保存され、さらには相対的に均質な産物も得る。選択された連結戦略は、コポリマーと抗体/アプタマーとの間に安定したペプチド結合を形成し、このことは、血流中のADCの高い安定性を確実にする。さらに、最終ステップにおける抗体/アプタマーへの完全に機能化され特徴付けられた活性剤含有コポリマーのカップリングは、感受性の高い結合タンパク質への立体構造応力(conformational stress)を最小限にすることを目的としている。加えて、選択された設計のコ
ポリマーは、同じ分子への2個またはそれより多くの異なる活性剤のカップリングを促進し、併用療法を可能にする。活性剤(がんの文脈において細胞傷害性薬物または毒性ペイロードとも呼ばれる)が標的細胞、例えば腫瘍細胞内に放出され、標的化部分(例えば、抗体またはアプタマー)が分解されると、相対的に小さなコポリマーは腎クリアランスによって身体から除去されると考えられる。
Berger, NA et al. (2006) Cancer in the Elderly, Transactions of the American Clinical and Climatological Association 117: 147-156 Yancik, R (2005) Cancer J. 11: 437-41 Zhou, Q. (2017) Biomedicines 5(4); Reichert, JM (2017) MAbs 9: 167-181 Mullard, A (2013) Nat Rev Drug Discov 12: 329; Beck, A et al. (2017) Nat Rev Drug Discov 16: 315-337 Yao, H et al. (2016) Int J Mol Sci 17(2): 194 Beck, A et al. (2017) Nat Rev Drug Discov 16(5): 315-337 Beck, A et al. (2010) Discov Med 10(53): 329-39 Shaunak, S et al. (2006) Nat Chem Biol 2(6): 312-3 Balan, S et al. (2007) Bioconug Chem 18(1): 61-76 Tolcher, AW (1999) J Clin Oncol 17(2): 478-478 Alley, SC et al. (2008) Bioconjug Chem 19(3): 759-765 Shen, BQ et al. (2012) Nat Biotechnol 30(2): 184-9 Kennedy, DA et al. (2015) Cancer Res 75(15 Supp.), Abstract DDT02-04 "Non-clinical pharmacokinetics of XMT-1522, a HER2 targeting auristatin-based antibody drug conjugate"; poster presentation at the American Association for Cancer Research (AACR) annual meeting in Washington D.C, 2017 Koitka, M et al. (2010) J Pharm Biomed Anal 51(3): 664-78 Li, B et al. (2005) Biochem Pharmacol 70(11: 1673-84 Mercier, MC et al. (2017) Cancers (Basel) 9(6): E69 Ruscito, A et al. (2016) Front Chem 4 :14 Ray, P et al. (2013) Archivum Immunologiae et Therapiae Experimentalis 61(4): 255-271 Pei, X et al. (2014) Mol Clin Oncol 2(3): 341-348 Zhou, G et al. (2016) Oncotarget 7(12):13446-63 Biagi, C et al. (2014) Eur J Clin Pharmacol 70(12): 1505-12 Pozarowska, D et al. (2016) Cent Eur J Immunol 41(3) : 311-316 Alvarez, RH et al. (2006) Mayo Clin Proc 81(9) : 1241-57 Bagalkot, V et al. (2006) Angew Chem Int Ed 45(48): 8149-8152 Kolishetti, N et al. (2010) Proc Natl Acad Sci USA 107(42): 17939-17944 Chu, TC et al. (2006) Nucleic Acids Res 34(10): e73
本開示は、複数の活性剤分子を含むコポリマー分子、およびこのコポリマーを作製する方法に関する。コポリマーは、(1)少なくとも1個のビニル基を有し、アミノ酸残基を含まないことによって特徴付けられる、1つまたは複数の(種類の)重合性主要モノマー、(2)YおよびZのうちの少なくとも一方がHである、式Iおよび/またはIIの1つまたは複数の(種類の)共主要(co-principal)モノマー、(3)好ましくはRAFT剤である、ラジカル重合を制御するための薬剤、ならびに(4)フリーラジカル種を生成する開始剤系、を含む反応混合物の重合によって作製される。反応混合物は、式III~Xのいずれかの1つまたは複数の共主要モノマーを必要に応じてさらに含むことができる。後者の重合は、複数の活性剤分子により機能化されうるコポリマーを生じる。機能化は、共主要モノマー単位の遊離アルファ-アミノまたはアルファ-カルボキシ基において発生する。
式中、Rは、-H、-CH、-CH-CHまたは-(CH-CHであり、Xは、-NH(CH-、-NH(CH-、-O-C-CH-、-O-CH-、-O-CH(CH)-、-S-CH-または-NH-C-CH-であり、Yは、Hまたは-CO-C2n+1(ここで、n=1~8)であり、Zは、H(Aが-O-である場合)または-C2n+1(ここで、n=1~8)であり、Aは、-O-または-NH-である。
式中、Rは、-H、-CH、-CH-CHまたは-(CH-CHであり、Zは、H(AがOである場合)または-C2n+1(ここで、n=1~8)であり、Aは、-O-または-NH-である。
活性剤の構造に応じて、活性剤分子は、コポリマーの共主要モノマーのアルファ-アミノまたはアルファ-カルボキシル基に直接的またはリンカー構造を介して間接的に結合することができる。後者のリンカーは、細胞傷害性薬物の意図されない放出を回避するため、保管の間または血流中で安定しているべきである。リンカーは、特定の細胞内酵素により切断される可能性があってもよく、または「非分解」型であって、リソソームおよびペルオキシソームの厳しい環境においてのみ破壊されるものであってもよい。
複数の活性剤分子を含むコポリマー分子を、細胞型特異的または組織型特異的標的化部分によりさらに機能化することができる。潜在的な標的化部分は、モノクローナル抗体、抗体断片、ナノ抗体(nano-body)(単一ドメイン抗体)、DARPin(設計アンキリ
ン反復タンパク質)、ペプチドホルモン、腫瘍細胞表面に発現したタンパク質に結合するタンパク質、DNAもしくはRNAベースアプタマー、または腫瘍細胞に過剰発現することが知られている細胞表面受容体に結合することができる小分子、例えば、葉酸もしくはビオチンであるが、これらに限定されない。標的化部分の共有結合は、コポリマーのヘッド基(head group)(典型的にはRAFT剤により導入される)における反応基を典型
的に伴う、部位特異的な方法で実施される。適切なカップリング戦略には、ペプチドタグ(例えば、ソルターゼ媒介カップリング)、アルデヒドタグ、もしくはトランスグルタミナーゼタグによる酵素触媒反応、またはコポリマーと標的化部分とのいわゆる「クリック」反応が含まれる。後者のプロセスは、反応性非標準(非天然)アミノ酸を、合成の最中または合成の後に、標的化部分に組み込むことによって達成することができる。ソルターゼ媒介カップリングおよびトランスグルタミナーゼ媒介カップリングが好ましい方法である。前者の機構において、標的化部分は修飾されてソルターゼモチーフを含む。複数の活性剤分子を担持するコポリマー分子を、コポリマーのヘッド基にオリゴ-グリシン伸展を導入することにより、ソルターゼ媒介ペプチド転移の標的にすることができる。これは、従来のRAFT剤を、2~8個のグリシン残基を含む誘導体化RAFT剤に置き換える重合の際に、都合よく達成されうる。トランスグルタミナーゼ媒介反応の場合において、適切な連鎖移動剤により導入されるコポリマーのヘッド基は、反応性リジン(もしくは、グルタミン)残基を含むペプチドモチーフ、または非ペプチドモチーフ、例えば、末端アミノ基を含むリンカー構造を含むことができる。後者のヘッド基修飾は、とりわけ、高い代謝回転速度で非ペプチドモチーフを受容することが知られている微生物トランスグルタミナーゼと組み合わせて使用することができる。
異なる実施形態において、本明細書に提示される酵素反応を、反応性基、例えばいわゆる「クリック反応性」基([3+2]付加環化にはアジド、または[4+2]付加環化に
はテトラジンなど)を用いて、細胞型または組織型特異的標的化部分を部位特異的に修飾するために使用することもでき、その後、コポリマーのヘッド基にクリック反応の「対応物」(例えば、[3+2]付加環化の場合にはアルキン、または[4+2]付加環化の場合には歪み(strained)アルケン)を含む、本開示のコポリマーの結合に使用することもできる。クリック反応の上述の反応性部分は交換可能であることが意図される。
活性剤が、短寿命の放射性同位体を含む分子である場合のように不安定である別の実施形態において、上記のように作製されたコポリマーは、上記記載の方法、例えば、ソルターゼ媒介またはトランスグルタミナーゼ媒介カップリングのうちの1つを使用して、細胞型または組織型特異的標的化部分により最初に機能化される。続いて、治療に使用される前に、標的化部分コポリマーコンジュゲートには活性剤が負荷され、それによって、活性剤分子がコポリマーの遊離アルファ-アミノまたはカルボキシル基に直接的またはリンカー構造を介して間接的に結合される。
複数の活性剤分子を含むコポリマーは、2つの連続重合反応によって作製することもできる。例えば、第1の重合反応は、アミノ酸基を含まない1つまたは複数の(種類の)重合性主要モノマー、RAFT剤、およびフリーラジカル種を生成する開始剤系を含む第1の反応混合物において実施され、重合はRAFTプレポリマーを生じる。第2の重合反応は、第1の重合反応のRAFTプレポリマー、式Iおよび/またはIIの1つまたは複数の(種類の)共主要モノマー、ならびにフリーラジカル種を生成する開始剤系を含む第2の反応混合物において実施される。反応は、式III~Xのいずれかの1つもしくは複数の(種類の)共主要モノマー、および/またはアミノ酸基を含まない1つもしくは複数の重合性主要モノマーを必要に応じて含むことができる。
より特定の実施形態において、複数の活性剤分子を含むコポリマーは、(1)少なくとも1個のビニル基を有し、アミノ酸残基を含まないことによって特徴付けられる、1つまたは複数の(種類の)重合性主要モノマー、(2)YおよびZのうちの少なくとも一方がHである、式Iおよび/または式IIの1つまたは複数の(種類の)共主要モノマー、(3)必要に応じて、式III~Xの1つまたは複数の(種類の)共主要モノマー、(4)5~25単位の単分散スペーサー(すなわち、均一サイズのスペーサー)を含むRAFT剤、ならびに(5)フリーラジカル種を生成する開始剤系、を含む反応混合物の重合によって作製される。
異なる実施形態において、複数の活性剤分子を含むコポリマーは、(1)少なくとも1個のビニル基を有し、アミノ酸残基を含まないことによって特徴付けられる、1つまたは複数の(種類の)重合性主要モノマー、(2)式III~Xの1つまたは複数の(種類の)共主要モノマー、(3)必要に応じて、式Iおよび/またはIIの1つまたは複数の(種類の)共主要モノマー、(4)好ましくはRAFT剤である、制御されたラジカル重合を誘導するための薬剤、ならびに(5)フリーラジカル種を生成する開始剤系、を含む反応混合物の重合によって作製される。
式中、Rは、-H、-CH、-CH-CHまたは-(CH-CHであり、Xは、-NH(CH-、-NH(CH-、-O-C-CH-、-O-CH-、-O-CH(CH)-、-S-CH-または-NH-C-CH-であり、Zは、H(Aが-O-である場合)または-C2n+1(ここで、n=1~8)であり、ペイロードは、活性剤を指し、Lは、リンカーであり、Aは、-O-または-NH-である。
式中、Rは、-H、-CH、-CH-CHまたは-(CH-CHであり、Xは、-NH(CH-、-NH(CH-、-O-C-CH-、-O-CH-、-O-CH(CH)-、-S-CH-または-NH-C-CH-であり、Yは、Hまたは-CO-C2n+1(ここで、n=1~8)であり、ペイロードは、活性剤を指し、Lは、リンカーである。
式中、Rは、-H、-CH、-CH-CHまたは-(CH-CHであり、Xは、-NH(CH-、-NH(CH-、-O-C-CH-、-O-CH-、-O-CH(CH)-、-S-CH-または-NH-C-CH-であり、ペイロードは、活性剤を指し、Lは、リンカーであり、ここでアルファ-アミノおよびカルボキシ基の機能化に使用されるリンカーは、同一である必要はない。
式中、Rは、-H、-CH、-CH-CHまたは-(CH-CHであり、Xは、-NH(CH-、-NH(CH-、-O-C-CH-、-O-CH-、-O-CH(CH)-、-S-CH-または-NH-C-CH-であり、Zは、H(Aが-O-である場合)または-C2n+1(ここで、n=1~8)であり、ペイロードは、活性剤を指し、Lは、リンカーであり、Aは、-O-または-NH-である。
式中、Rは、-H、-CH、-CH-CHまたは-(CH-CHであり、Xは、-NH(CH-、-NH(CH-、-O-C-CH-、-O-CH-、-O-CH(CH)-、-S-CH-または-NH-C-CH-であり、ペイロードは、活性剤を指し、Lは、リンカーである。
式中、Rは、-H、-CH、-CH-CHまたは-(CH-CHであり、Xは、-NH(CH-、-NH(CH-、-O-C-CH-、-O-CH-、-O-CH(CH)-、-S-CH-または-NH-C-CH-であり、ペイロードは、活性剤を指し、Lは、リンカーであり、ここでアルファ-アミノおよびカルボキシ基の機能化に使用されるリンカーは、同一である必要はない。
式中、Rは、-H、-CH、-CH-CHまたは-(CH-CHであり、Xは、-NH(CH-、-NH(CH-、-O-C-CH-、-O-CH-、-O-CH(CH)-、-S-CH-または-NH-C-CH-であり、Zは、H(Aが-O-である場合)または-C2n+1(ここで、n=1~8)であり、Lは、リンカーであり、Jは、Hまたは放射性ヨウ素核であり、Aは、-O-または-NH-である。
式中、Rは、-H、-CH、-CH-CHまたは-(CH-CHであり、Xは、-NH(CH-、-NH(CH-、-O-C-CH-、-O-CH-、-O-CH(CH)-、-S-CH-または-NH-C-CH-であり、Jは、Hまたは放射性ヨウ素核である。ペイロードは、活性剤を指し、Lは、リンカーであり、ここでアルファ-アミノおよびカルボキシ基の機能化に使用されるリンカーは、同一である必要はない。
より特定の実施形態において、複数の活性剤分子を含むコポリマーは、(1)少なくとも1個のビニル基を有し、アミノ酸残基を含まないことによって特徴付けられる、1つま
たは複数の(種類の)重合性主要モノマー、(2)式III~Xの1つまたは複数の(種類の)共主要モノマー、(3)必要に応じて、YおよびZのうちの少なくとも一方がHである式Iおよび/または式IIの1つまたは複数の(種類の)共主要モノマー、(4)5~25単位の単分散スペーサーを含むRAFT剤、ならびに(5)フリーラジカル種を生成する開始剤系、を含む反応混合物の重合によって作製される。
複数の活性剤分子を含むコポリマーは、2つの連続重合反応によって作製することもできる。例えば、第1の重合反応は、アミノ酸基を含まない1つまたは複数の(種類の)重合性主要モノマー、RAFT剤、およびフリーラジカル種を生成する開始剤系を含む第1の反応混合物において実施され、重合はRAFTプレポリマーを生じる。第2の重合反応は、第1の重合反応のRAFTプレポリマー、式III~Xの1つまたは複数の(種類の)共主要モノマー、およびフリーラジカル種を生成する開始剤系を含む第2の反応混合物において実施される。反応は、式Iおよび/もしくは式IIの1つもしくは複数の(種類の)共主要モノマー、ならびに/またはアミノ酸基を含まない1つもしくは複数の重合性主要モノマーを必要に応じて含むことができる。
複数の活性剤分子を含む後者のコポリマー分子を、細胞型または組織型特異的標的化部分により、最初の実施形態に記載されたようにさらに機能化することができる。
括弧付きの用語「種類の」は、「1つまたは複数の重合性共主要モノマー」などの表現がモノマーの1つまたは複数の分子を指すのではなく、当該の式(複数可)の1つまたは複数の化学的に異なるモノマーの量を指すことを明らかにするために含まれている。
複数の活性剤分子を含む上記記載のコポリマーのいずれかにおいて、式I~式Xのいずれかのモノマーの総量は、コポリマーに含まれたすべてのモノマーの好ましくは1%(mol)~49.9%(mol)の範囲である。より詳細には、式I~式Xのモノマーの総量は、コポリマーに含まれたすべてのモノマーの1%(mol)~35%(mol)の範囲である。さらにより好ましくは、式I~式Xのモノマーの総量は、コポリマーに含まれたすべてのモノマーの1%(mol)~20%(mol)の範囲である。最も好ましくは、式I~式Xのモノマーの総量は、コポリマーに含まれたすべてのモノマーの5%(mol)~15%(mol)の範囲である。
複数の活性剤分子を含む上記記載のコポリマーのいずれかにおいて、コポリマーは、5,000ダルトン~100,000ダルトンの平均分子量を有する。より好ましくは、コポリマーは、6,000ダルトン~60,000ダルトンの平均分子量を有する。最も好ましくは、コポリマーは、6,000ダルトン~20,000ダルトンの平均分子量を有する。
複数の活性剤分子を含む上記記載のコポリマーのいずれかにおいて、コポリマー分子の少なくとも80%(w)は、5,000ダルトン~100,000ダルトンの平均分子量を有する。より好ましくは、コポリマー分子の少なくとも80%(w)は、6,000ダルトン~60,000ダルトンの平均分子量を有する。最も好ましくは、コポリマー分子の少なくとも80%(w)は、6,000ダルトン~20,000ダルトンの平均分子量を有する。
上記に考察されたように、複数の活性剤分子を含む上記記載のコポリマーのいずれかの調製のための重合混合物は、細胞型または組織型特異的標的化部分によるコポリマーの機能化に使用されうる反応性基を担持するRAFT剤を含むことができる。後者の反応性基は、チオール、アルデヒド、アルキン、アジド、アミン、カルボキシル、エステル、ジアジリン、アジ化フェニル、チオエステル、ジアゾ、シュタウディンガー反応性ホスフィノ
エステル(もしくは、ホスフィノチオエステル)、ヒドラジン、オキシム、アザマイケルライゲーション(aza-Micheal ligation)を実施するためのアクリレート、または酵素
カップリング反応に使用することができるモチーフでありうる。モチーフは、2~8個のアミノ酸を含むオリゴ-グリシン(このペプチドモチーフは、ソルターゼ媒介カップリング反応を可能にする)、トランスグルタミナーゼ反応性基質、アルデヒドタグ、または自己触媒性インテイン配列でありうる。
他の特定の実施形態において、RAFT剤は、重合および/または機能化が完了すると不活性化され、ここでRAFT基の脱離は、熱処理、適切なアミンとの反応(アミノ分解)、またはリンオキソ酸(phosphorus oxoacid)の存在下で開始剤分子による、もしく
はリンオキソ酸を用いることなく過剰量の開始剤による新たな反応によって実施される。
複数の活性剤分子を含む上記記載のコポリマーのいずれかにおいて、活性剤は、微小管阻害剤、挿入剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、ホルモンもしくはホルモン受容体調節剤、チロシンキナーゼ阻害剤、遺伝子もしくは対応するメッセンジャーRNAを干渉することができるポリヌクレオチドベース薬物、タンパク質ベース細菌毒素、プロドラッグ療法(ADEPTコンセプト)に適した酵素、または放射性同位体でありうる。活性剤は、小分子蛍光団、タンパク質/ペプチドベース蛍光団、近赤外線(NIR)蛍光プローブ、生物発光プローブ、造影剤、または放射性同位体を含むトレーサー分子でもありうる。
本開示は、上記に詳述された複数の活性剤分子を含む有効量のコポリマー、および担体を含む医薬組成物にも関する。活性剤の性質に応じて、これらの組成物を様々ながんまたは他の疾患/状態の処置に使用することができる。
本開示は、異なるタイプのがんまたは他の疾患および状態を処置する方法であって、本開示の複数の活性剤分子(本明細書において、「活性部分」とも呼ばれる)を含む有効量のコポリマーを含む医薬組成物を投与することを含む方法も包含する。複数の活性剤分子を含む有効量のコポリマーを対象に投与することを含む、対象のがんまたは別の疾患もしくは状態を処置するための、本開示の複数の活性剤分子を含む有効量のコポリマーを含む医薬組成物の使用も、本開示の範囲内である。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
(a)(1)モノマーが少なくとも1個のビニル基を有し、アミノ酸残基を含まないことを特徴とする、1つまたは複数の重合性主要モノマーと、
(2)YおよびZのうちの少なくとも一方がHである式IまたはIIの1つまたは複数の共主要モノマーと、
(3)必要に応じて、式III~Xのいずれかの1つまたは複数の共主要モノマーと、
(4)ラジカル重合を制御する薬剤と、
(5)フリーラジカル種を生成する開始剤系とを含む反応混合物を重合して、前記重合がコポリマーを生じること、
(b)必要に応じて、前記コポリマーを細胞型特異的または組織型特異的標的化部分で機能化すること、ならびに
(c)ステップ(a)または必要に応じたステップ(b)の後に、活性剤を前記コポリマーにカップリングすること
によって作製される複数の活性剤分子を含む、コポリマー。
(項目2)
前記コポリマーが、5,000ダルトン~100,000ダルトンの平均分子量を有する、項目1に記載の複数の活性剤分子を含むコポリマー。
(項目3)
コポリマー分子の少なくとも80%(w)が、5,000ダルトン~100,000ダ
ルトンの平均分子量を有する、項目1に記載の複数の活性剤分子を含むコポリマー。
(項目4)
前記ラジカル重合を制御する薬剤がRAFT剤である、項目1~3のいずれかに記載の複数の活性剤分子を含むコポリマー。
(項目5)
前記コポリマーが2つの連続重合反応によって作製され、
第1の重合反応が、アミノ酸基を含まない1つまたは複数の重合性主要モノマー、共重合を制御するRAFT剤、およびフリーラジカル種を生成する開始剤系を含む第1の反応混合物において実施され、前記重合がRAFTプレポリマーを生じ、
第2の重合反応が、前記第1の重合反応の前記RAFTプレポリマー、式Iおよび/またはIIの1つまたは複数の共主要モノマー、必要に応じて、式III~Xの1つまたは複数の共主要モノマー、必要に応じて、アミノ酸基を含まない1つまたは複数の重合性主要モノマー、ならびにフリーラジカル種を生成する開始剤系を含む第2の反応混合物において実施される、
項目4に記載の複数の活性剤分子を含むコポリマー。
(項目6)
前記RAFT剤が、5~25単位の単分散スペーサーを含む、項目4に記載の複数の活性剤分子を含むコポリマー。
(項目7)
前記RAFT剤が、細胞型特異的または組織型特異的標的化部分による前記コポリマーの機能化に使用される反応性基を含む、項目4に記載の複数の活性剤分子を含むコポリマー。
(項目8)
前記反応性基が、チオール、アルデヒド、アルキン、アジド、テトラジン、歪みアルケン、アミン、カルボキシル、エステル、ジアジリン、アジ化フェニル、チオエステル、ジアゾ、シュタウディンガー反応性ホスフィノエステル(もしくは、ホスフィノチオエステル)、ヒドラジン、オキシム、アザマイケルライゲーションを実施するためのアクリレート、または酵素カップリング反応に使用することができるモチーフである、項目7に記載の複数の活性剤分子を含むコポリマー。
(項目9)
前記モチーフが、2~8個のアミノ酸単位を含み、かつソルターゼ媒介カップリング反応を可能にするオリゴ-グリシン、トランスグルタミナーゼ反応性基質、アルデヒドタグ、または自己触媒性インテイン配列である、項目8に記載の複数の活性剤分子を含むコポリマー。
(項目10)
前記RAFT剤のRAFT基が、前記コポリマーの共重合または機能化の後に脱離される、項目4~9のいずれかに記載の複数の活性剤分子を含むコポリマー。
(項目11)
(a)モノマーが少なくとも1個のビニル基を有し、アミノ酸残基を含まないことを特徴とする、1つまたは複数の重合性主要モノマーと、
(b)式III~Xの1つまたは複数の共主要モノマーと、
(c)必要に応じて、式Iおよび/または式IIの1つまたは複数の共主要モノマーと、(d)ラジカル重合を制御する薬剤と、
(e)必要に応じて、コポリマーを細胞型特異的または組織型特異的標的化部分で機能化することと、
(f)フリーラジカル種を生成する開始剤系と、
を含む反応混合物の重合によって作製される、複数の活性剤分子を含むコポリマー。
(項目12)
前記コポリマーが、5,000ダルトン~100,000ダルトンの平均分子量を有する、項目11に記載の複数の活性剤分子を含むコポリマー。
(項目13)
前記ラジカル重合を制御する薬剤がRAFT剤である、項目11または12に記載の複数の活性剤分子を含むコポリマー。
(項目14)
前記RAFT剤が、細胞型特異的または組織型特異的標的化部分による前記コポリマーの機能化に使用される反応性基を含む、項目13に記載の複数の活性剤分子を含むコポリマー。
(項目15)
前記反応性基が、チオール、アルデヒド、アルキン、アジド、テトラジン、歪みアルケン、アミン、カルボキシル、エステル、ジアジリン、アジ化フェニル、チオエステル、ジアゾ、シュタウディンガー反応性ホスフィノエステル(もしくは、ホスフィノチオエステル)、ヒドラジン、オキシム、アザマイケルライゲーションを実施するためのアクリレート、または酵素カップリング反応に使用することができるモチーフである、項目14に記載の複数の活性剤分子を含むコポリマー。
(項目16)
前記モチーフが、2~8個のアミノ酸単位を含み、かつソルターゼ媒介カップリング反応を可能にするオリゴ-グリシン、トランスグルタミナーゼ反応性基質、アルデヒドタグ、または自己触媒性インテイン配列である、項目15に記載の複数の活性剤分子を含むコポリマー。
(項目17)
前記RAFT剤のRAFT基が、前記コポリマーの共重合または機能化の後に脱離される、項目13~16のいずれかに記載の複数の活性剤分子を含むコポリマー。
(項目18)
有効量の、項目1~17のいずれかに記載の複数の活性剤分子を含むコポリマー、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、医薬組成物。
(項目19)
対象に前記医薬組成物を投与することを含む、前記対象のがん、または別の疾患もしくは状態を処置するための、項目18に記載の医薬組成物の使用。
特に定義されない限り、すべての用語は、関連する技術における通常の意味を有する。以下の用語が定義され、以下の意味を有する。
本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される担体または賦形剤」は、医薬投与に適合性がある、あらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤など、例えば、滅菌発熱物質無含有水を含むことが意図される。適切な担体は、この分野の標準的な参照テキストであるRemington’s Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co., Easton, PA, 19th ed. 1995)に記載されており、参照に
より本明細書に組み込まれる。薬学的に許容される担体として機能を果たすことができる材料の非限定例は、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖;アルファ-、ベータ-およびガンマ-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;セルロース、ならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのその誘導体;トラガカント末;モルト;ゼラチン;タルク;カカオ脂および坐剤ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質無含有水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;およ
びリン酸緩衝溶液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の非毒性で適合性のある滑沢剤であり、同様に着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味、風味および芳香剤、防腐剤、ならびに酸化防止剤が調合者(formulator)の判断に従って組成物に存在することもできる。cremophor ELおよびsolutol
HS15などの乳化剤/界面活性剤、レシチン、ならびにホスファチジルコリン(phosphatylcholine)などのリン脂質も包含される。リポソームを使用することもできる。薬
学的に活性な物質におけるそのような媒体および薬剤の使用は、当該技術において周知である。任意の従来の媒体また薬剤が活性化合物と適合性がない場合を除いて、組成物におけるそれらの使用が考慮される。補足的な活性化合物を組成物に組み込むこともできる。
用語「対象」は、本明細書で使用されるとき、哺乳動物対象を指す。好ましくは、対象はヒト対象である。
用語「活性部分」は、本開示の複数の活性剤分子を含むコポリマーに関する(このコポリマーは、細胞型特異的または組織型特異的標的化部分によりさらに機能化されうる)。
本開示の文脈における「細胞型または組織型特異的標的化部分」という用語は、特定の型の細胞または結合活性を有する特定の組織の細胞の表面マーカーに結合し、そのことによってカーゴ(cargo)活性剤を細胞に送達することに有用になる分子を指す。これは、
モノクローナル抗体、単一ドメイン、抗体鎖の可変部断片、単鎖抗体、DARPin(設計アンキリン反復タンパク質)、DNAもしくはRNAベースアプタマー、ペプチドベースアプタマー、細胞表面マーカーを結合することができるペプチドもしくはタンパク質、ホルモン、または細胞表面マーカーを結合することができる小分子でありうる。
「トレーシング(tracing)分子」は、診断または科学用途のために読み取りシグナル
を生じることができる分子と定義される。これは、小分子蛍光団、タンパク質/ペプチドベース蛍光団、近赤外線(NIR)蛍光プローブ、生物発光プローブ、造影剤、または放射性同位体でありうる。
本開示の活性部分の「有効量」とは、処置の間に1回または数回投与されたときに、処置される対象に任意の医学的処置に適用可能な妥当な利益/危険比で治療効果を付与する活性部分の量を意味する。治療効果は、客観的(すなわち、何らかの試験もしくはマーカーにより測定可能)、または主観的(すなわち、対象が効果の徴候を伝えるもしくは効果を感じる)でありうる。本開示の活性部分の有効量は、好ましくは約0.01mg/対象の体重kg~約50mg/kg体重、より好ましくは約0.1~約30mg/kg体重の範囲の量で活性剤を含む活性部分の量である。有効用量は、また、投与経路に応じて、ならびに他の薬剤との同時使用(co-usage)の可能性に応じて変わる。しかし、本開示の活性部分および医薬組成物の1日に使用される総量は、担当医の合理的な医療判断の範囲内で決定されることが理解される。任意の特定の患者への具体的な有効用量レベルは、治療される障害および障害の重症度;用いられる特定の活性剤の活性;用いられる特定の組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康、性別および食事;用いられる特定の活性部分の投与の時点、投与経路および排出速度;処置の持続期間;用いられる特定の活性部分と組み合わせて、または同時に使用される薬物;ならびに医療技術に周知の同様の要因を含む様々な要因によって決まる。予防または防止の文脈で使用されるとき、本開示の活性部分の「有効量」は、処置の間に1回または数回投与されたときに、処置される対象に所望の予防効果を付与する活性部分の量であることが意図されることが留意される。
用語「活性剤」は、本開示のコポリマーに結合される治療活性物質を意味する。がん療法の文脈において、活性剤は、典型的には細胞傷害性物質/分子である。例示的な細胞傷害性物質/分子には、モノメチルオーリスタチンE(MMAE)またはエムタンシン(D
M1)などの微小管阻害剤、挿入薬物、例えばドキソルビシン、シクロホスファミド(CP)などのアルキル化剤、5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤、ホルモンまたはクエン酸タモキシフェンなどのホルモン受容体調節剤、アファチニブまたはボスチニブなどのチロシンキナーゼ阻害剤、ペプチドベース毒素、例えば、α-アマニチン、nivolumab(登録商標)またはpembrolizumab(登録商標)などの免疫チェックポイント阻害剤、抗体指向酵素プロドラッグ療法(ADEPT)に適した酵素、遺伝子(複数可)またはその対応するメッセンジャーRNA(siRNA、マイクロRNAまたはアンチセンスRNA)に干渉することができるポリヌクレオチドベース薬物、ならびにフルオロ-18、銅-64、ガリウム-68、ジルコニウム-89、インジウム-111、ヨウ素-123(診断用途)、またはストロンチウム-89、イットリウム-90、ヨウ素-131、サマリウム-153、ルテチウム-177、ラジウム-223およびアクチニウム-225(治療用途)などであるが、これらに限定されない放射性同位体が含まれる。
放射性同位体は、重合前の共主要モノマーまたは重合後のコポリマーのいずれかにカップリングされる。重合の前に共主要モノマーまたは重合の後にコポリマーに共有結合的にカップリングされるキレート剤を使用して、放射性同位体を固定化することができる。キレート剤には、(1,4,7,10)-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸[DOTA]、2,2’,2”-(10-(2,6-ジオキソテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸[DOTA-GA]、1,4,7-トリアザシクロノナン-N,N’,N”-三酢酸[NOTA]、1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸[TETA]およびジエチレン-トリアミン-五酢酸無水物[DTPA]が含まれるが、これらに限定されない。
本開示の文脈における「活性剤」という用語は、例えば、Bcl-2などの抗アポトーシス因子を阻害することによって、もしくは細胞排出ポンプ(cellular efflux pump)(MDR-1トランスポーターなど)を標的にすることによって腫瘍細胞の抵抗性を克服することができる物質、または炎症関連療法副作用の低減に有用なコルチコステロイド、グルココルチコイドおよび非ステロイド性抗炎症薬(例えば、プロスタグランジン)を含む抗炎症性物質をさらに包含する。
「モノマー」は、重合されうる低分子量化合物を意味する。式IもしくはIIの共主要モノマー、または主要モノマーでは、低分子量は、800ダルトン未満の分子量を典型的に意味する。式III~Xの共主要モノマーでは、低分子量は、1500ダルトン未満の分子量を典型的に意味する。コポリマーの文脈において参照されるとき、用語「モノマー」は、コポリマーの最小構成単位(building block)を指す。
用語「RAFT剤」および「RAFTプロセス」は、適切な連鎖移動剤(CTA)の存在下でのモノマーの従来のフリーラジカル重合を伴う。一般的に使用されるRAFT剤には、ジチオエステル、ジチオカルバメート、トリチオカーボネートおよびキサンタンなどのチオカルボニルチオ化合物が含まれ、これらの薬剤は可逆的連鎖移動プロセスを介して重合を媒介する。Chiefari, J. et al. (1998) Macromolecules 31(16): 5559-62。
用語「プレポリマー」は、RAFT剤がヘッド部にあり、10~25単位の親水性主要モノマー、例えばジメチルアクリルアミドを含む、短ポリマーに関する。そのようなプレポリマーは、主要および共主要モノマーのコポリマーを水性環境で合成する第2の重合反応に使用される、水溶性マクロRAFT剤を表す。
用語「基質、モチーフもしくはタグ」または「反応性基質、モチーフもしくはタグ」は、酵素触媒反応に参加することができる化学構造に関して交換可能に使用される。これらの化学構造は酵素の活性中心により認識され、酵素触媒反応が発生する前に、共有結合または静電酵素基質複合体を中間的に形成してもよい。本開示の文脈において、これらの反応は、腫瘍細胞または組織特異的標的化部分への本開示のコポリマーの共有結合を媒介するために、多くの場合に使用される。典型的な基質、モチーフおよびタグは、アミノ酸もしくはペプチドの確定配列、アミノ、チオールもしくはカルボキシル基のような反応性官能基、またはコポリマーヘッド基の可動性スペーサー領域における不飽和炭素結合である。
用語「抗体薬物コンジュゲート」、略して「ADC」は、細胞型または組織型特異的抗原(腫瘍抗原を含む)を標的にする抗体と薬物分子または複数の薬物分子との組み合わせを表し、ここで薬物分子は抗体に共有結合している。本開示の文脈において、ADCは、細胞型または組織型特異的抗原標的化抗体と、本開示の複数の活性剤分子を含むコポリマーのコンジュゲートを指す。考察されたように、本開示のコポリマーは、共主要モノマーのアルファ-アミノおよびアルファ-カルボキシ基にリンカーを介して、または直接的に結合している、複数の活性剤分子、または異なる活性剤分子の組み合わせを担持する。
用語「アプタマー」は以下のように定義される。アプタマーは、特定の標的分子に結合するオリゴヌクレオチドまたはペプチド分子である。アプタマーは、最高の標的親和性を有するアプタマー配列を確認するため、反復豊富化プロセスで大きなランダム配列プールから選択することによって、通常作り出される。このプロセスは、「試験管内進化法(SELEX)」としても知られている。より詳細には、アプタマーは、DNA、RNA、ゼノ核酸(xeno nucleic acid)(XNA)(糖主鎖が異なる、天然の核酸に対する合成
代替物)、またはペプチドアプタマーに分類することができる。アプタマーは、(通常は、短)鎖のオリゴヌクレオチドまたは配列のアミノ酸からなる。ここでオリゴヌクレオチド配列は、1種類のヌクレオチド、例えばDNAから、または異なるヌクレオチド型、例えば、DNA、RNAの組み合わせから、およびまたは2’酸素と4’炭素を接続する外部架橋で修飾されているリボース部分を有する特別に設計された、いわゆる「ロックドヌクレオチド(locked-nucleotide)」から形成されうる。本開示のアプタマーは、1つ(
または、複数の)短ペプチドドメインからなるペプチドアプタマーも意味する。
用語「アプタマー薬物コンジュゲート」は、アプタマーと活性剤分子または異なる活性剤分子の組み合わせを意味する。本開示の文脈において、活性剤分子は、コポリマーとアプタマーのカップリングの前または後のいずれかにおいて、コポリマーに結合される。
用語「増強された透過性および残存(EPR)効果」は、腫瘍組織における異常な分子および体液輸送力学を、とりわけ高分子薬物について記載するために使用される。特定のサイズの分子(典型的には、リポソーム、ナノ粒子、および高分子薬物)は、正常な組織より高いレベルで腫瘍組織に蓄積する傾向がある。この現象に与えられる一般的な説明は、腫瘍細胞が迅速に増殖するために、腫瘍細胞は血管の産生を刺激しなければならないというものである。新たに形成された腫瘍血管は、通常、形態および構造が異常であり、高分子量の分子が透過可能である。さらに、腫瘍組織は、通常、有効なリンパ排出が欠如しており、そのため、分子が腫瘍組織に侵入すると、分子はこの組織から有効に除去されない。
共主要モノマーの文脈における「側鎖連結アミノ酸」という用語は、アミノ酸が、その側鎖を介して(例えば、エステルまたはアミド連結を介して)、アクリロイル基を含む部分に共有結合的に連結されていることを意味する。式I~Xのモノマーは、側鎖連結アミノ酸を含む。
用語「主要モノマー」および「共主要モノマー」は、本発明の説明を容易にするために主に使用される。主要モノマーはアミノ酸を含まないモノマーを指し、共主要モノマーはアミノ酸を含むモノマーを指す。
後者の主要および共主要モノマーを含むコポリマーは、「Cellophilコポリマー」とも一般的に呼ばれ、用語「Cellophil」は、側鎖連結アミノ酸(例えば、式III~Xにおけるように、さらに機能化されていてもよい)を含むモノマーがコポリマーに存在することを示す役割を果たす。側鎖連結アミノ酸には、リジン(K)、チロシン(Y)、セリン(S)、トレオニン(T)、システイン(C)、4-ヒドロキシプロリン(HO-P)、オルニチン(ORN)、および4-アミノ-フェニルアラニン(HOX)が含まれる。アミノ酸は、LもしくはD型、またはラセミ混合物でありうる。コポリマーには、単一タイプの側鎖連結アミノ酸または複数タイプの側鎖連結アミノ酸が存在してもよい。例えば、コポリマーは、アクリロイル-L-リジン(AK)とアクリロイル-L-トレオニン(AT)の両方を含むことができる。明快さのために、式I~Xにより説明されたすべてのモノマーは、側鎖連結アミノ酸(機能化された、または機能化されていない)を含む。本開示のアミノ酸含有コポリマーは、少なくとも1個のビニル基を有するが、アミノ酸残基を含まない、1つまたは複数の重合性主要モノマー、式I~式Xのいずれかによる1つまたは複数の共主要モノマー(後者の式の2つまたはそれより多くにおいて示される共主要モノマーを含む)を含むことを特徴とする。
好ましくは、共主要モノマーは、コポリマーに含まれたすべてのモノマーの1%(mol)~49.9%(mol)の量で重合混合物に存在する。より好ましくは、共主要モノマーは、コポリマーに含まれたすべてのモノマーの1%(mol)~35%(mol)、さらにより好ましくは1%(mol)~20%(mol)、最も好ましくは5%(mol)~15%(mol)の量で重合混合物に存在する。
側鎖連結アミノ酸を含むモノマーの合成は、以前に記載されていた。Zbaida, D et al. (1987) Reactive Polymers, Ion Exchangers, Sorbents 6(2-3): 241-253。そのようなモノマーは、リジン、チロシン、セリン、トレオニン、システイン、オルニチン、4-アミノ-フェニルアラニンまたは4-ヒドロキシプロリンのアミノ酸銅複合体を、塩化アクリロイル、塩化メタクリロイル、塩化エチルアクリロイルまたは塩化プロピルアクリロイルのいずれかと反応させ、続いて硫化水素ガス流または硫化ナトリウムの酸性溶液により処理して非保護モノマーを生じることによって、調製することができる。プロトコールは、実施例において開示されている。
特定の実施形態において、主要モノマーは、アクリルアミドの誘導体であり、ジメチル-アクリルアミド、N-イソブチル-アクリルアミド、N-tert.ブチル-アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル-アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)-アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)-アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)-メタクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)-メタクリルアミド、N-(3-アミノプロピル)-アクリルアミド塩酸塩、またはN-(3-アミノプロピル)-メタクリルアミド塩酸塩が含まれる。
他の特定の実施形態において、主要モノマーは、アクリル酸の誘導体であり、メタ-アクリル酸2-ヒドロキシエチル-アクリレート、2-ヒドロキシプロピル-アクリレート、3-ヒドロキシプロピル-アクリレート、2-ヒドロキシ-1-メチルエチル-アクリレート、2-アミノエチルアクリレート塩酸塩、3-ヒドロキシプロピル-メタクリレート、2-ヒドロキシ-1-メチルエチル-メタクリレート、2-ヒドロキシエチル-メタクリレート、2-ヒドロキシプロピル-メタクリレートおよび2-アミノエチルメタクリ
レート塩酸塩が含まれる。
式I~Xの1つまたは複数の種類の共主要モノマーおよび1つまたは複数の種類の主要モノマーを含むコポリマーは、ラジカル重合反応によって典型的に調製される。本開示のコポリマーが狭いサイズ分布を有することが重要であり、それは、様々な療法において、特にがん療法において、薬物負荷が正確に制御される必要があるからである。注意深く制御されないと、過剰投与または不十分な投与効果に遭遇することがある。狭いサイズ分布のコポリマーを得るためには、重合プロセスにおけるフリーラジカルの数が制御される必要がある。これは、原子移動ラジカル重合(ATRP)、ニトロキシド媒介重合(NMP)または可逆的付加開裂連鎖移動重合(reversible addition-fragmentation-chain transfer polymerization)(RAFT重合)を含む重合技術の使用によって達成することができる。RAFTは、本明細書に記載されたコポリマーに最も好ましい技術であり、それは、広範囲のモノマー、とりわけアクリル酸と適合性があり、水性系において容易に実施できるからである。さらに、RAFT重合をブロックコポリマーの合成に使用することができる。加えて、RAFT基を使用して、ポリマーのヘッド基に反応性部分を付加することができる(例えば、抗体またはアプタマーとのコンジュゲーションのため)。RAFT技術は、Commonwealth Scientific and Industrial Research Organization(CSIRO)の研究者らによって発明された。Chiefari et al. (1998)。鎖のサイズ分布の制御は、成長ポリマー鎖
から連鎖移動剤への連鎖移動反応を介して達成される。いわゆる、RAFT剤は、中間体を形成し、伝播鎖のラジカル(R基と称される)および安定化部分(Z基と称される)に断片化されうる。その結果、ラジカルの数は制限され、すべての成長ポリマー鎖は類似した伝播可能性を有し、狭いサイズ分布のコポリマーをもたらす。RAFT重合により得た典型的な多分散指数(PDI)[Mw/Mnと定義され、ここで、Mwはポリマーの重量平均モル質量であり、Mnはポリマーの数平均モル質量である]は、1.05~1.4の範囲である。適切なRAFT剤は、チオカルボニルチオ化合物である。チオカルボニルチオ化合物は、4つの主なクラスにわけることができ、すなわち、ジチオベンゾエート、トリチオカーボネート、ジチオカルバメートおよびキサンテートである。
したがって本開示の典型的な重合混合物は、主要および共主要モノマー、RAFT剤、ならびにラジカル開始剤を含む。次いで混合物は適切な容器または成形型の中に注がれ、そこで重合が誘導される。開始剤は熱開始剤(例えば、高温で不安定化されて反応性ラジカルを生じるVA-044)、レドックス開始剤または光開始剤でありうる。水溶液中での重合に好ましいレドックス開始剤は、チオ硫酸ナトリウムと組み合わせた過酸化物、例えば過硫酸アンモニウムもしくは過硫酸カリウム、またはアゾ型化合物、例えば、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩もしくは4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)である。非水性溶媒中における重合反応では、アゾ型の開始剤/触媒、例えばアゾビス(イソブチロニトリル(AIBN)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)が好ましい。ポリマー修飾アゾ型開始剤、例えば、(ポリジメチルシロキサン、ポリエチレングリコール)を利用することもできる。上述の開始剤は、通常、高温で不安定化されて、反応性ラジカルの形成をもたらす。
あるいは、モノマーは、ビニルまたはアクリルモノマーの重合を開始することができる波長の放射線に対して透明である容器または成形型の中で、光重合されうる。適切な光開始剤化合物は、I型のもの、例えばα-アミノアルキルフェノンまたはII型のもの、例えばベンゾフェノンでありうる。より長い波長の使用を許容する光増感剤を利用することもできる。使用される開始剤化合物に応じて、重合は、熱、放射線または触媒の添加により開始される。
本開示の一部の実施形態において、コポリマー(主要および共主要モノマーの混合物を含む)の重合の前に、10~25モノマー単位の親水性主要モノマーから構成されるマクロRAFTまたはプレポリマーを合成することが有用である。これによって、多くの場合に疎水性であるRAFT剤の親水性が増強され得、水性環境における重合反応を容易にすることができる。
他の実施形態において、RAFT剤それ自体は、5~25単位の水溶性単分散ポリエチレングリコール(PEG)スペーサーの組み込みによって化学的に修飾される。修飾されたRAFT剤は、改善された水溶性を呈し、親水性アミノ酸含有コポリマーの1重合ステップでの合成を可能にする。
RAFT剤は、アミンの存在下で不安定であることが知られており、得られたコポリマーの強い臭気の原因であるので、重合および機能化プロセスが完了すると通常は不活性化されるべきである。本開示におけるRAFT基不活性化に好ましい方法は、求核剤との反応、熱による脱離、またはプロトン供与剤もしくは過剰量の機能化開始剤と組み合わせた開始剤との第2の反応である。
本開示のコポリマーは患者への薬物送達に使用されることが意図されるので、重合した後にコポリマーを精製することが一般に好ましい。このステップは、残留開始剤、モノマーまたは触媒を含む潜在的に有害な成分を除去する。本発明のコポリマーの好ましい精製方法は、透析、接線流ろ過および毛細管限外ろ過である。
有用なパラメーター値を確定することは過剰な努力を必要とせず、それは、パラメーターの数が制限されていること、および一部のパラメトリック値の好ましい範囲が知られていることの両方のおかげであることが留意される。アミノ酸含有コポリマーにおける共主要モノマーのレベルは、重合混合物に存在するすべてのモノマーの、好ましくは1%(mol)~49.9%(mol)、より好ましくは1%(mol)~35%(mol)、さらにより好ましくは1%(mol)~20%(mol)、最も好ましくは5%(mol)~15%(mol)である。アミノ酸含有コポリマー(治療薬ペイロード以外)の平均分子量は、一般に5,000~100,000ダルトン、好ましくは6,000~60,000Da、最も好ましくは6,000~20,000Daである。
共重合および精製が完了すると、式Iおよび/またはIIの共主要モノマーを含む本発明のコポリマーは、活性剤分子により、および/または細胞型特異的もしくは組織型特異的標的化部分(例えば、抗体)により機能化される準備が整っている。この機能化は、コポリマーと活性剤分子および/または標的化部分との間に共有結合の確立をもたらす。ある特定の活性剤、例えば、ある特定の放射性同位体の場合では、キレート剤がコポリマーに共有結合され、活性剤がキレート剤により保持される。
特定の実施形態において、活性剤(ここでは、がん療法に使用される細胞傷害性薬物または分子)は、モノメチルオーリスタチンE(MMAE)またはエムタンシン(DM1)などの微小管阻害剤;挿入薬物、例えばドキソルビシン;シクロホスファミド(CP)などのアルキル化剤;5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤;ホルモンまたはクエン酸タモキシフェンなどのホルモン受容体調節剤;アファチニブまたはボスチニブなどのチロシンキナーゼ阻害剤;ペプチドベース毒素、例えば、α-アマニチン;nivolumab(登録商標)またはpembrolizumab(登録商標)などの免疫チェックポイント阻害剤;抗体指向酵素プロドラッグ療法(ADEPT)に適した酵素;遺伝子(複数可)またはその対応するメッセンジャーRNA、siRNA、マイクロRNAまたはアンチセンスRNAに干渉することができるポリヌクレオチドベース薬物;あるいはフルオロ-18、銅-64、ガリウム-68、ジルコニウム-89、インジウム-11
1、ヨウ素-123(診断用途)、またはストロンチウム-89、イットリウム-90、ヨウ素-131、サマリウム-153、ルテチウム-177、ラジウム-223およびアクチニウム225(治療用途)などであるが、これらに限定されない放射性同位体でありうる。
なお他の特定の実施形態において、活性剤は、細胞傷害性薬物と、例えば、Bcl-2などの抗アポトーシス因子を阻害することによって、もしくは細胞排出ポンプ(MDR-1トランスポーターなど)を標的にすることによって腫瘍細胞の抵抗性を克服することができる薬物との組み合わせである。
前述の活性剤は、本開示のコポリマーに適合性のある薬剤および薬剤クラスの非限定例であり、当業者は、開示された薬剤および薬剤クラスの変種または誘導体を本開示の範囲を超えることなく使用することができる。
活性剤の構造に応じて、活性剤は、コポリマーの共主要モノマーのアルファ-アミノまたはアルファ-カルボキシル基に直接カップリングすることができるか、またはリンカー構造を介してコポリマーにカップリングすることができる。そのようなリンカーは、活性剤とコポリマーとの間の簡単なスペーサーとして機能すること、コポリマーの薬物動態の修飾因子として機能すること、または標的細胞における活性剤の放出を可能もしくは容易にする要素を含むことができる。リンカーは、活性剤の意図されない放出を回避するため、保管の間および後に血流中で安定しているべきである。コポリマーからの活性剤の放出は、標的細胞の中でのみ生じるべきである。したがって有用なリンカーは(がん療法に焦点を合わせると)、カスパーゼもしくはカテプシン、グルクロニダーゼ(GUSB)(βーグルクロニドベースリンカー)、酸性pH(腫瘍組織または細胞オルガネラ[リソソーム]に見出される)、または還元環境(細胞内グルタチオンの濃度を増加するように応答する)などの細胞内因子に感受性があるべきである。別の可能性は、ジアミン型またはチオエーテル型の非分解性リンカーの使用であり、これらは、特異的酵素の標的ではなく、リソソームまたはペルオキシソームの厳しい環境においてのみ分解される。後者のリンカー型が好ましく、それは、最大血清安定性および低減された非特異的毒素に関連しているからである。
他の実施形態において、コポリマーは合成の後に活性剤または活性剤リンカー複合体により機能化されず、式III~Xの共主要モノマーの組み込みによって、活性剤含有コポリマーとして直接合成される。活性剤負荷量は、重合の際に存在する、主要モノマー、式III~Xの共主要モノマー、ならびに式IおよびIIの共主要モノマーのモル量によって規定される。この手法は、異なる活性剤の組み合わせを含むコポリマーの設計にとってとりわけ有用であり、それは、活性剤を、合成の最中と合成の後の両方において、式IおよびIIの共主要モノマーの機能化によって取り込むことを可能にするからである。活性剤が短い半減期の放射性同位体、例えば、ヨウ素-123である場合、式IXおよびX(JがHである場合)の共主要モノマーへの結合は、重合した後に実施することができる。
これも上記に考察されたように、複数の活性剤を含むコポリマーを細胞型または組織型特異的標的化部分によりさらに機能化することができる。この機能化ステップは、活性剤がコポリマーにカップリングされた後に典型的に実施されるが、特別の状況下、例えば、ある特定の放射性同位体などの短い半減期を有する活性剤の場合では、コポリマー(式I、II、IXおよび/またはXの共主要モノマーを含む)と標的化部分とのコンジュゲートを最初に調製する必要がありうる。次いで、コポリマーへの活性剤の負荷は、対象への投与の少し前に行うことができる。潜在的な標的化部分は、免疫チェックポイント阻害剤を含むモノクローナル抗体、抗体断片、ナノ抗体(単一ドメイン抗体)、DARPin、ペプチドホルモン、細胞表面受容体に結合することができる非抗体タンパク質、DNA/
RNAベースアプタマー、ならびに細胞表面受容体に結合することができる小分子(例えば、腫瘍の文脈において葉酸またはビオチン)であるが、これらに限定されない。コポリマーへの標的化部分の共有結合は、均質産物を得るため、ならびに標的化部分の結合親和性を保つために、部位特異的な方法で実施されるべきである。本開示に提示される適切なカップリング戦略は、ペプチドタグ(例えば、ソルターゼ媒介カップリング)、アルデヒドタグ、もしくはトランスグルタミナーゼタグによる酵素触媒反応、またはコポリマーと標的化部分とのいわゆる「クリック」反応である。後者のプロセスは、合成の際に、反応性非標準(非天然)アミノ酸をタンパク質性標的化部分、例えば抗体に組み込むことによって(例えば、非天然アミノ酸のtRNAに認識される再プログラムされた停止コドンを使用するコドン伸張技術により)達成されうる。上述の方法のうち、ソルターゼ媒介カップリングが、標的化部分へのコポリマーの部位指向性カップリングに好ましい方法である。ソルターゼは、カルボキシル末端局在化シグナル(sorting signal)を認識および切
断することにより表面タンパク質を修飾する、原核生物酵素の一群を指す。Staphylococcus aureus由来酵素では、認識シグナルはモチーフLPXTG(Leu-Pro-任意のもの-Thr-Gly)からなり、Staphylococcus
pyogenes由来酵素では、モチーフはLPXTA(Leu-Pro-任意のもの-Thr-Ala)である。シグナル配列は、高度に疎水性の膜貫通配列およびアルギニンなどの塩基残基のクラスターに先導されている。切断は、シグナル配列のThrとGly/Ala残基の間に、ソルターゼの活性部位Cys残基へのThr残基の一過性の結合を伴って生じ、その後にペプチド転移が続いて、タンパク質を細胞壁構成成分(例えば、グラム陽性細菌のペプチド-グリカン層)に共有結合する。Cozzi, R. et al. (2011) FASEB J 25(6): 1874-86。この酵素機構を適合させて、ペプチドまたはタンパク質の融合を達成することができ、最近はADCの調製に使用されている。欧州特許出願第20130159484号(EP2777714);Beerli, RR et al. (2015) PloS
One 10(7): e0131177。開示されている手法では、モノクローナル抗体を遺伝子修飾
して、その重および軽鎖のC末端にソルターゼモチーフを含ませ、細胞傷害性薬物を修飾して、オリゴ-グリシン伸展を含ませた。ソルターゼ触媒反応は、抗体鎖のC末端に修飾された薬物分子を高い効率で付加し、均質なADCをもたらした。
本開示のコポリマーのヘッド基をオリゴ-グリシン伸展により修飾することによって、コポリマーそれ自体がソルターゼ触媒反応の標的になる。コポリマーに多数の活性剤を負荷することができるので、この手法は、多くの活性剤分子が抗体の少数の確定(非標準)部位(抗体分子1個あたり2~4個のC末端ソルターゼタグ)に連結しているADCをもたらす。その結果としてDARは上昇し、それによってADCの効力が上昇する。コポリマーのオリゴ-グリシン伸展は、2~8個のグリシン残基を含む新たに開発されたRAFT剤を使用して、重合の開始時に導入することができる。この機能化RAFT剤が使用される場合、1つのソルターゼモチーフのみが各コポリマー分子に存在する。
別の好ましい酵素カップリング方法は、トランスグルタミナーゼ触媒反応を利用する。トランスグルタミナーゼは、タンパク質グルタミンガンマグルタミルトランスフェラーゼとも呼ばれ、通常、1つのタンパク質のグルタミン残基のγ-カルボキシアミド基を、同じまたは別のタンパク質のリジン残基のε-アミノ基に移行させることによりタンパク質を架橋する。過去20年間にわたり、これらの酵素は、「肉のり(meat-glue)」として
食品工業(Martins IM et al. (2014), Appl. Microbiol. Biotechnol. 98: 6957-64?)、組織工学(Ehrbar M. et al. (2007) Bio-macromolecules, 8(10):3000-7)、治療用タンパク質の修飾(Mero A. et al. (2011) J Control Release, 154(1):27-34)または遺伝子送達(Trentin D. et al. (2005) J Control Release, 102(1):263-75)のような多様な分野に使用された。
この文脈において、微生物トランスグルタミナーゼ(MTg)が好ましいクラスの酵素
であり、それは、内因性ヒトトランスグルタミナーゼと対照的に、微生物トランスグルタミナーゼは、カルシウム-およびヌクレオチド非依存性酵素であるからである。ヒトトランスグルタミナーゼの4つのドメインと比較して、微生物トランスグルタミナーゼは単一ドメインからなり、ヒトトランスグルタミナーゼの分子量の約半分の分子量を有する。さらに、MTgは、大きな範囲のpH値、緩衝液および温度で作動し、かなり大きなリストの潜在的基質を有する。Kieliszek M et al. (2014) Rev Folia Microbiol. 59
: 241-50; Martins IM. et al. (2014)。
ソルターゼ媒介カップリング戦略と同様に、トランスグルタミナーゼモチーフは、RAFT剤の修飾によって本開示のコポリマーのヘッド基に導入され、ポリマー鎖1つあたり1つのトランスグルタミナーゼモチーフのみが導入されることを確実にする。適切なモチーフは、潜在的なリジン受容体配列としてFKGG(Ehrbar M. et al. (2007))、
およびグルタミン受容体配列としてLQSPもしくはTQGA(Caporale A. et al.
(2015) Biotechnol J. 10(1):154-61)[この場合、がん細胞特異的標的化部分の反応性リジン残基が使用される]、または潜在的なグルタミン受容体配列として、末端アミノ基を含む5~25単位長さの単分散PEGスペーサーなどであるがこれらに限定されない小ペプチドである。経済的な見通しから、アミノ-PEGスペーサーは、これらを固相合成および複雑な保護戦略を用いることなく導入することができるので、本開示のコポリマーに最も好ましいモチーフである。
この戦略の変種は、標的化部分、例えばモノクローナル抗体へのクリック反応性基(例えば、アジドまたはテトラジン)の部位指向性結合にトランスグルタミナーゼを利用し、この抗体連結反応性基はその後、本開示のコポリマーのポリマーヘッド基の「反対側」のクリック反応性基(アルキンまたは歪みアルケン)との反応に使用される。コポリマー/抗体の上述の反応性部分は交換可能であることが意図される。
標的化部分をコポリマーに連結するために他の方法を用いてもよい。抗体または他のポリペプチドを標的にすることは、例えば、アミノ酸側鎖のヒドロキシル官能基を反応性アルデヒドに変換することによって、翻訳後に変更してもよい。ポリヌクレオチドベース標的化部分、例えばアプタマーの場合において、本開示のコポリマーへのカップリングは、固相合成の際にアプタマーに組み込まれた反応性官能基(例えば、アミン、チオール、アルデヒド)との反応により達成してもよい。当該技術に周知の他の部位指向性カップリング技術を使用して、コポリマーを標的化部分にカップリングすることができる。
医薬組成物
本開示の医薬組成物は、有効量の本開示の活性部分を、1つまたは複数の薬学的に許容される担体または賦形剤と一緒に処方して含む。
本開示の医薬組成物は、吸入噴霧、局所、直腸内、経鼻、頬側、膣内、または埋め込みレザバーにより非経口投与されてもよく、好ましくは注射(または、注入)により投与されてもよい。本開示の医薬組成物は、任意の従来の非毒性で薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含有することができる。一部の場合では、製剤のpHを薬学的に許容される酸、塩基または緩衝液で調整して、処方された活性部分またはその送達形態の安定性を増強することができる。非経口という用語には、本明細書で使用されるとき、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、鞘内、病巣内および頭蓋内の注射または注入技術が含まれる。
注射用調合剤、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁剤は、適切な分散または湿潤剤および懸濁化剤を使用する既知の技能に従って処方することができる。滅菌注射用調合剤は、また、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用液剤、懸濁剤
または乳剤であってもよい。許容されるビヒクルおよび溶媒のうちで用いることができるものは、水、リンゲル液,U.S.P.、および塩化ナトリウム等張液である。可溶化賦形剤には、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミドおよびジメチルスルホキシドなどの水溶性有機溶媒;Cremophor EL、Cremophor RH40、Cremophor RH60、Solutol HS15、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ソルビタンモノオレエート、ポロキサマー407、Labrafil M-1944CS、Labrafil M-2125CS、Labrasol、Gellucire44/14、Softigen767、ならびにPEG300、400および1750のモノ-およびジ-脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤;ヒマシ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、ペパーミント油、ベニバナ油、ゴマ油、ダイズ油、水素化植物油、水素化ダイズ油、ヤシ油とパーム核油(palm seed oil)の中鎖トリグリセリド、α-シクロデキストリン、β-シクロデキスト
リン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(例えば、Kleptose)およびスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(例えば、Captisol)などの様々なシクロデキストリン、などの水不溶性脂質;ならびにレシチン、水素化ダイズホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、L-α-ジミリストイルホスファチジルコリンおよびL-α-ジミリストイル-ホスファチジルグリセロールなどのリン脂質が含まれる。Strickley (2004) Pharm. Res. 21: 201-30。
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターでろ過することによって、または後に使用する前に滅菌水または他の滅菌注射用媒体に溶解または分散されうる滅菌固体組成物に滅菌剤を組み込むこと(もしくは、固体組成物を照射によって滅菌すること)によって滅菌することができる。
活性剤の効果を延ばすため、皮下または筋肉内注射による活性剤の吸収を遅くすることが多くの場合に望ましい。非経口投与された活性部分の遅延吸収は、活性部分を油ビヒクルに溶解または懸濁することによって達成される。注射用デポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生物分解性ポリマーで活性部分をマイクロカプセル化することによって作製される。活性部分のポリマーに対する比、および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、活性剤放出の速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)が含まれる。デポー注射用製剤は、活性部分を、身体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルションに閉じ込めることによっても調製される。
直腸内または膣内投与用の組成物は、好ましくは坐剤であり、本開示の活性部分を、カカオ脂、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスなどの適切な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製することができ、賦形剤/担体は、周囲温度で固体であるが、体温で液体となり、したがって直腸内または膣腔内で融解して活性部分(その結果として活性剤)を放出する。
本開示の活性部分の局所または経皮投与用の剤形には、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、粉末剤、液剤、噴霧剤、吸入剤、またはパッチ剤が含まれる。活性部分は、薬学的に許容される担体および必要である場合には任意の防腐剤または緩衝剤と、滅菌条件下で混合される。眼科用製剤、点耳薬、眼軟膏剤、粉末剤、および液剤も、本開示の範囲内であることが考慮される。
軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤およびゲル剤は、本開示の活性部分に加えて、動物および植物脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体
、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはこれらの混合物などの賦形剤を含有することができる。
粉末剤および噴霧剤は、本開示の活性部分に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含有することができる。噴霧剤は、追加的に従来の噴射剤を含有することができる。
経皮パッチ剤は、活性部分を適切な媒体に溶解または分配することにより作製することができる。吸収増強剤を使用して、皮膚を横切る活性部分の流動を増加させることもできる。速度は、速度制御膜を提供することによって、または活性部分をポリマーマトリックスもしくはゲルに分散することによって制御することができる。
肺送達では、本開示の医薬組成物は処方されて、固体または液体粒子形態で直接投与することにより、例えば呼吸器系への吸入により、患者に投与される。本開示の実施のために調製された活性部分の固体または液体粒子形態は、呼吸可能なサイズの粒子、すなわち、吸入時に口腔および喉頭を通過して、肺の気管支および肺胞に達するのに十分に小さいサイズの粒子を含む。エアロゾル化治療薬、特にエアロゾル化抗生物質の送達は、当該技術において公知である(例えば、米国特許第5,767,068号、米国特許第5,508,269号およびWO98/43650を参照すること)。抗生物質の肺送達についての考察は、米国特許第6,014,969号においても見出される。
ヒト対象または患者に単回用量または分割用量で投与される本開示の活性部分の総1日用量には、好ましくは0.01~50mg/kg体重の活性剤、またはより好ましくは0.1~30mg/kg体重の活性剤が含まれる。単回用量の組成物は、そのような量、または1日用量を構成するその分量(submultiple)を含有してもよい。一般に、本開示に
よる処置レジメンは、1日あたり約1mg~5000mgの活性剤(本開示の活性成分に含まれている)を、そのような処置を必要とするヒト対象に単回用量または分割用量で投与することを含む。哺乳動物への用量は、後者のヒト用量に基づいて推定することができる。
本開示の活性部分は、例えば、静脈内、動脈内、真皮下(subdermally)、腹腔内、筋
肉内もしくは皮下注射により、または頬側、経鼻、経粘膜、局所、軟膏調合剤もしくは吸入により、約0.01~約50mg/kg体重の活性剤を含む1日用量で投与することができる。あるいは、投与量(約1mg~5000mgの活性剤の1日用量に基づく)を、4~120時間ごとに、または特定の活性部分の要件に従って投与することができる。本明細書の方法は、有効量の活性部分(医薬組成物中にある)を投与して、望ましい、または記述された効果を達成することを考慮する。典型的には、本開示の医薬組成物は、1日あたり約1~約6回投与されるか、または代替的に連続注入として投与される。そのような投与を慢性または急性治療に使用することができる。薬学的に許容される賦形剤または担体と組み合わせて単一剤形を生成することができる活性部分の量は、処置される宿主および特定の投与様式に応じて変わる。典型的な組成物は、約5%~約95%の活性部分(w/w)を含有する。あるいは、そのような調合剤は、約20%~約80%の活性部分を含有することができる。任意の特定の患者における具体的な投与量および処置レジメンは、用いられる特定の活性部分の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与時点、排出率、薬物の組み合わせ、疾患、状態または症状の重症度および経過、疾患、状態または症状に対する患者の気質、ならびに処置する医師の判断を含む様々な要因によって決まる。
出版物、特許および特許出願を含む、本出願に引用されたすべての参考文献は、それら
の全体が組み込まれていると考慮される。
本明細書における値の範囲の記載は、単に、本明細書において特に指示されない限り、その範囲内にあるそれぞれ別々の値を個別に参照する簡潔な方法としての機能を果たすことが意図され、それぞれ別々の値は、これが本明細書において個別に記載されるかのように明細書に組み込まれる。特に記述されない限り、本明細書に提供されたすべての正確な値は、対応する近似値の代表である(例えば、特定の要因または測定に関して提供されたすべての正確な例示的値は、適切な場合、「約」により修飾された対応する近似測定も提供することが考慮されうる)。
単一または複数の要素への参照などの用語を使用する本発明の任意の態様または実施形態の本明細書における記載は、特に記述されない限り、または文脈により明確に否定されない限り、その特定の単一または複数の要素「からなる」、「から実質的になる」または「を実質的に含む」本開示の同様の態様または実施形態への支持を提供することが意図される(例えば、特定の要素を含むと本明細書に記載されている組成物は、特に記述されない限り、または文脈により明確に否定されない限り、その要素からなる組成物をも記載することが理解されるべきである)。
本発明は、適用される法律が認める最大範囲において、本明細書に提示されている態様または特許請求の範囲に記載されている主題のすべての変更および等価物を含む。
したがって一般的に記載されている本開示は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解され、この実施例は例示として提供され、本発明を限定することを意図しない。
注:側鎖連結アミノ酸の合成に関連する実施例において、名称は、最初にIUPAC命名法で示されている。その後に略語名称が使用されている。表1はその対応を示す。
(実施例1)
銅複合体を介した(S)-6-アクリルアミド-2-アミノヘキサン酸モノマーの合成
L-リジン(14.62g、100mmol)を150mLの脱イオン水に溶解し、約80℃に加熱した。炭酸銅(16.6g、75mmol)を30分間かけて少量ずつ加えた。反応物をさらに30分間撹拌した。高温で深青色の懸濁液をシリカゲルでろ過した。フィルターを少量の水で洗浄した。翌日、リジン銅複合体を含有する合わせたろ液を氷浴で冷却し、100mLのテトラヒドロフラン(THF)を加えた。メチル-tert-ブチルエーテル(TBME)中の塩化アクリロイルの溶液(8.9mL、110mmol)を、1時間にわたって滴下により添加した。pHを10%水酸化ナトリウム溶液の並行滴下により添加により最初に8~10に維持した。塩化アクリロイル溶液の半分を加えると、生成物が沈殿し始めた。大部分の塩化アクリロイルが添加されたときに、水酸化ナトリウムの添加を遅くして、pHを約6に下げ、反応混合物の温度を室温にした。青色懸濁液をさらに2時間撹拌し、次いでろ過した。フィルターに保持された固体物質を水およびアセトンで洗浄し、次いで乾燥した。収量が6.5gのアクリロイル-L-リジン銅複合体を得た。
アクリロイル-L-リジン銅複合体(29.5g)を300mLの脱イオン水に懸濁し、氷浴で冷却した。HSガスを、硫化銅の沈殿が完了するまで懸濁液に吹き込んだ。3グラムの活性炭を懸濁液に加えた。懸濁液を100℃に短時間加熱した。室温に冷却した後、500mLのアセトンを懸濁液に加え、次いでシリカゲルでろ過した。透明なろ液をロータリーエバポレーターに入れた。溶媒を蒸発させた後、固体生成物を200mLの50%アセトン水溶液で再結晶させた。収量が17.76g(70%)の白色粉末を得た。この化合物の構造をNMRおよびLC-MS分光法により検証した。
(実施例2)
(2S)-3-(アクリロイルオキシ)-2-アミノプロパン酸の合成
水(50mL)中のL-セリン(5g、47.6mmol)の溶液を80℃に加熱し、固体炭酸銅(5.79g、26.2mmol)を加えた。溶液を10分間撹拌した。続いて不溶解残留物をろ過により収集し、水(30mL)で洗浄した。合わせたろ液を氷浴で冷却し、KOH(27.1mL、47.6mmol)をゆっくりと加えた。この溶液に、アセトン(30mL)中の塩化アクリロイル(4.52mL、59.5mmol)の混合物を滴下により添加した。次いで反応混合物を撹拌下、4℃で一晩インキュベートした。形成された固体を単離し、水(50mL)/メタノール(50mL)/エチル-tert-ブチルエーテル(50mL)(MTBE)で洗浄し、最後に減圧下で乾燥して、O-アクリロイル-L-セリン-Cu2+複合体(3.8g、10.01mmol、収率42.1%)を得た。続いて、複合体中の銅を実施例1に記載された手順と類似した手順により除去した。収量が1.43g(45%)のアクリロイル-L-セリンを白色の粉末として得た。この化合物の同一性をNMRおよびLC-MS分光法により検証した。
(実施例3)
(2S)-3-(アクリロイルオキシ)-2-アミノブタン酸の合成
6mLのトリフルオロ酢酸(TFA)を含む反応容器を、氷浴で冷却した。続いて、固体L-トレオニン(2.00g、16.79mmol)を加え、混合物を5分間撹拌した。トリフルオロメタンスルホン酸(0.18mL、2.0mmol)、続いて塩化アクリロイル(2.5mL、32.9mmol)を加え、反応混合物を室温で2時間インキュベートした。反応が完了した後、生成物をメチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)で沈殿させた。固体を単離した後、生成物をMTBEおよびアセトンで洗浄した。最後にO-アクリロイル-L-トレオニン塩酸塩を減圧下で乾燥して、白色の粉末(収率32%)を得た。この化合物の構造をNMRおよびLC-MS分光法により検証した。
(実施例4)
(S)-3-(4-(アクリロイルオキシ)フェニル)-2-アミノプロパン酸の合成
O-アクリロイル-L-チロシン-Cu2+複合体の合成は、実施例1に記載された手順に従って実施した。銅を以下の手順により複合体から除去した。73.15g(140mmol)のO-アクリロイル-L-チロシン-Cu2+複合体を破砕皿中の220mLの2N HClに溶解した。混合物を、Polytron(登録商標)PT3000機器を使用して均質化した。続いて混合物をろ過し、残留物を50mLの2N HClで2回洗浄した。次いで固体化合物をNaOHにより減圧下、40℃で乾燥して、O-アクリロイル-L-チロシン塩酸塩(46.96g、収率63%)を得た。
(実施例5)
(S)-2-(4-アクリルアミドフェニル)-2-アミノ酢酸の合成
Boc-4-アミノ-L-フェニルアラニン(2.50g、8.9mmol、Anaspec、Fremont、CA)を25mLのクロロホルムに溶解した。トリエチルアミン(2.47mL、17.8mmol)をこの溶液に加え、混合物を-15℃に冷却した。続いて、クロロホルム中の塩化アクリロイル(0.79mL、9.8mmol)を、撹拌しながら混合物に滴下により添加した。塩化アクリロイルの添加が完了した後、反応混合物をさらに3時間撹拌した。その後、反応混合物をガラスフィルターに通し、保護(S)-2-(4-アクリルアミドフェニル)-2-アミノ酢酸をカラムクロマトグラフィーにより精製し、残留溶媒を蒸発させた。得られた(S)-2-(4-アクリルアミドフェニル)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)酢酸(500mg、1.5mmol)を5mLのジクロロメタン(DCM)に溶解した。トリフルオロ酢酸(TFA)(800μL、10.38mmol)を加え、溶液を室温で1時間撹拌した。その後、溶媒を減圧下で除去し、5mLのDCMを加え、溶媒を再び減圧下で除去した。この手順を数回繰り返した。最後に生成物を3mLのDCMに溶解し、メチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)で沈殿させた。固体をガラスフィルターで収集し、真空下で乾燥して
、純粋なアクリロイル-4-アミノ-L-フェニルアラニンを15%の収率で得た。この化合物の構造をNMRにより検証した。
(実施例6)
(2S)-4-(アクリロイルオキシ)ピロリジン-2-カルボン酸および(R)-3-(アクリロイルチオ)-2-アミノプロパン酸の合成
これらの化合物の合成を実施例1に記載されたように実施した。(2S)-4-(アクリロイルオキシ)ピロリジン-2-カルボン酸および(R)-3-(アクリロイルチオ)-2-アミノプロパン酸では、出発材料は、それぞれ4-ヒドロキシ-L-プロリンおよびL-システインであった。
(実施例7)
(S)-6-アクリルアミド-2-(3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド)ヘキサン酸(AK-フェノール)の合成
DMF(9mL)中のAK(538mg、2.69mmol)およびTEA(443μL、3.18mmol)の溶液に、ボルトンハンター試薬(643mg、2.44mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。次いで反応混合物をろ過し、揮発物をNストリーム下で除去した。残留物をSiOカラムクロマトグラフィーにより精製した。構造をNMR分光法により検証した。
(実施例8)
アミノ酸のメタクリル/エチルアクリル/プロピルアクリル誘導体の合成
メタクリル/エチルアクリル/プロピルアクリル誘導体の合成を、対応する酸塩化物、例えば塩化メタクリロイルを実施例1~7に記載された条件下で使用して実施した。
(実施例9)
フルオレセイン修飾共主要モノマーAK-フルオレセイン-V1の合成
20mLの反応容器中で、アクリロイル-L-リジン[実施例1を参照すること](150mg、0.749mmol)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC、321mg、0.824mmol)およびトリエチルアミン(0.114mL、0.824mmol)の溶液をDMFで調製した。反応物を、一定撹拌下、暗所において室温で一晩インキュベートした。続いて、溶液を0.4μmのフィルターでろ過して、潜在的な粒子を除去した。その後、残留溶媒を、ロータリーエバポレーターにより真空を適用しながら30℃で除去した。構造を、NMRおよびLC-MSにより検証した(収率98%、純度>95%)。その後、合成されたモノマーを、溶媒としてDMFおよび開始剤としてAIBNを使用するジメチルアクリルアミド(DMA)[90/10mol/mol]との共重合で試験した。重合反応を65℃で6時間実施し、得られたコポリマーを、実施例13に提示されているプロトコールを使用してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により分析した。
(実施例10)
フルオレセイン修飾共主要モノマーAK-フルオレセイン-V2の合成
反応は、実施例9に提示された合成プロトコールに従って出発材料としてフルオレセイン-NHSを用いて実施したが、10mol%過剰のAKを用い、これを反応後に沈殿により除去した。
構造を、NMRおよびLC-MSにより検証した(収率85%、純度>93%)。その後、合成されたモノマーを、溶媒としてDMFおよび開始剤としてAIBNを使用するジメチルアクリルアミド(DMA)[90/10mol/mol]との共重合で試験した。重合反応を65℃で6時間実施し、得られたコポリマーを、実施例13に提示されている
プロトコールを使用してGPCにより分析した。
(実施例11)
非切断性リンカーを有するドキソルビシン(DOX)修飾共主要モノマー(AK-DOX-V1)の合成
DMF中のDOX・HCl(200mg、345μmol、1.00当量)およびEtN(50μL、348μmol、1.01当量)の溶液に、無水コハク酸(36.2mg、362μmol、1.05当量)を加えた。混合物を不活性雰囲気下、室温で30分間撹拌し、次いでNHS(43.7mg、379μmol、1.10当量)、続いてEDC・HCl(69.4mg、362μmol、1.05当量)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、次いでAK(69.0mg、345μmol、1.00当量)、続いてEtN(53μL、379μmol、1.10当量)を加えた。反応混合物を再び室温で一晩撹拌した。揮発物をNストリーム下で蒸発させ、残留物をSiOカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(228mg、276μmol、80%)を得た。
(実施例12)
カテプシンB感受性リンカーを有するドキソルビシン修飾共主要モノマー(AK-DOX-V2)の合成
N-メチル-2-ピロリドン(NMP)中のDOX・HCl(86mg、149μmol、1.10当量)、MC-Val-Cit-PABO-PNP(100mg、136μmol、1.00当量)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(26μL、149μmol、1.10当量)の溶液を室温で2時間撹拌する。得られた混合物に、AK(28.5mg、142μmol、1.05当量)、続いてDIPEA(26μL、149μmol、1.10当量)を加える。反応混合物を室温で一晩撹拌する。揮発物をNストリーム下で蒸発させ、残留物をSiOでのクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(109mg、81μmol、60%)を得る。
(実施例13)
BOC-G-Cellophilの合成の一般手順
ステップ1:RAFT-NHS中間体の合成:
CHCl中の、Tucker et al. (ACS Macro Letters (2017) 6(4): 452-457)に記載されたように合成された2-[[(エチルチオ)チオキソメチル]チオ]-2-メチル-プロパン酸(22.85g、102mmol、1.0当量)、および1-ヒドロキシピロリジニン-2,5-ジオン(1-hydroxypyrrolidinine-2,5-dione)(12.89g、112mmol、1.1当量)の溶液に、EDC・HCl(21.48g、112mmol、1.1当量)を0℃で加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した。次いで反応混合物をN流下で部分的に(総体積の約半分まで)蒸発させ、AcOEtおよび再蒸留水(ddHO)で希釈した。二相溶液を分液漏斗に移し、抽出した後、有機相をddHO、NaHCO飽和水溶液(3×)、ddHO(2×)およびブラインで連続的に洗浄した。有機相を乾燥し(NaSO)、すべての揮発物を減圧下で除去した。残留物をn-ヘキサンで摩砕し、得られた黄色懸濁液をろ過した。ケーキをn-ヘキサンで洗浄した。黄色の固体を減圧下で乾燥し、得られた中間体(RAFT-NHS)をさらに精製することなく使用した(31.8g、99.0mmol、97%)。すべての分析データは、文献の値と一致していた。Yang et al. (2012) Macromolecular rapid communications 33(22): 1921-6。
ステップ2:RAFT-EDA-BOC中間体の合成:
CHCl中のRAFT-NHS出発材料(1.22g、3.61mmol、1.0当量)の溶液に、CHCl中のt-ブチル-(2-アミノエチル)カルバメート(0
.81g、5.0mmol、1.4当量)およびEtN(1.0mL、7.2mmol、2.0当量)の溶液を、-10℃で滴下により添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。有機混合物を、NHClの飽和水溶液(2×)、NaHCOの飽和水溶液(2×)およびブラインで連続的に洗浄した。有機相を乾燥し(NaSO)、すべての揮発物を減圧下で除去した。残留物をn-ヘプタンおよびEtOの混合物で再結晶させた。黄色の結晶をろ過し、n-ヘプタンで洗浄し、減圧下で乾燥して、次の中間体(RAFT-EDA-BOC、1.26g、3.44mmol、95%)を得た。得られた化合物の構造をMSおよびNMR分光法により検証した。
ステップ3:RAFT-EDA-OTf中間体の合成:
TFA中のRAFT-EDA-BOC(1.25g、3.41mmol、1.0当量)の冷溶液を60分間撹拌した。次いで反応混合物をMeOHおよびCHl2(1/2)で希釈し、揮発物を部分的に(総体積の2/3を)N流下で除去した。得られたRAFT-EDA-OTfを黄色の油状物(2.00g、3.29mmol、96%)として単離し、さらに精製することなく次のステップで使用した。得られた化合物の構造をMSおよびNMR分光法により検証した。
ステップ4:BOC-G-RAFT中間体の合成:
CHCl中のBOC-G(697mg、2.41mmol、1.0当量)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt水和物)(92.0mg、600μmol、0.25当量)およびEDC・HCl(485mg、2.53mmol、1.05当量)の溶液を、不活性雰囲気(N)下、0℃で30分間撹拌した。この溶液に、CHCl中のRAFT-EDA-OTf(917mg、2.41mmol、1.0当量)の溶液およびDIPEA(2.13mL、12.5mmol、5.2当量)を連続的に滴下により添加した。反応混合物を0℃で1時間、次いで室温で一晩撹拌した。反応混合物をCHClで希釈し、有機混合物を、NHCl飽和溶液(3×)、NaHCO飽和溶液、ddHOおよびブラインで連続的に洗浄した。有機相を収集し、乾燥し(NaSO)、揮発物を減圧下で部分的に(総体積の2/3を)除去した。得られた溶液にEtOAcを加えた。次いで、得られた曇った溶液を冷蔵庫に一晩保管して、黄色の懸濁液を得て、それをろ過し、ケーキを冷EtOAcで洗浄した。黄色の固体を減圧下で乾燥して、BOC-G-RAFT剤(396mg、736μmol、31%)を得た。得られた化合物の構造をMSおよびNMR分光法により検証した。
ステップ5:BOC-G-DMA-RAFTプレポリマーの合成
ジオキサン中のDMA(192μL、1.86mmol、10当量)の溶液に、BOC-G-RAFT剤(100mg、186μmol、1.0当量)およびAIBN(6.1mg、37μmol、0.20当量)を連続的に加えた。反応混合物を60℃で6時間撹拌した。次いで反応生成物をn-ヘキサンに沈殿させた。薄黄色の懸濁液をろ過し、得られたケーキをn-ヘキサンで洗浄し、最後にアセトンに溶解した。次いで揮発物を減圧下で除去して、BOC-G-DMA-RAFTプレポリマーを黄色の油状物(280mg、186μmol、99%)として得た。得られた化合物の構造をMSおよびNMR分光法により検証した。
ステップ6(必要に応じて):G-DMA-RAFTプレポリマーの合成
ジオキサン中のBOC-G-DMA-RAFTプレポリマーの溶液を、ジオキサン中のHCl(4M)の溶液で2時間処理する。揮発物をN流下、室温で除去する。残留物を、さらに精製することなく使用する。得られた化合物の構造をMSおよびNMR分光法により検証する。
ステップ7:BOC-G-Cellophilの合成
ddHO中のDMA(1.23mL、11.9mmol、70当量)およびAK(272mg、1.36mmol、8当量)の溶液に、BOC-G-DMAプレポリマー(221mg、170μmol、1.0当量)およびVA044(27.5mg、85μmol、0.4当量)を連続的に加えた。反応混合物を55℃で4時間撹拌した。反応混合物をddHOおよびジオキサンで希釈した。この溶液に、ホスフィン酸(50w%、93μL、850μmol、5当量)、TEA(118μL、850μmol、5当量)およびVA044(27.5mg、85μmol、0.5当量)を連続的に加えた。反応混合物を100℃で4時間撹拌した。次いで、得られた混合物をddHOで透析し(MWCO 3.5kDa)、濃縮液をフリーズドライして(freeze-dried)、BOC-G-Cellophilを白色の粉末(1.20g、120μmol、2ステップで71%)として得た。得られた化合物の構造を、NMR分光法および以下のプロトコールを使用するGPCにより検証した。3.33mg/mLのコポリマーの貯蔵溶液を、溶出緩衝液(0.05%(w/v)NaNを含有する脱イオン水)で調製し、0.45μmシリンジフィルターでろ過した。続いて、0.4mLの貯蔵溶液をGPC装置(1260 Infinity LC-System、Agilent、Santa Clara、CA)のポートに注入した。クロマトグラフィーを、溶出緩衝剤により0.5mL/分の一定流速で実施した。コポリマーの試料を、55℃の外部カラムオーブンに設置されたSupurema3カラムシステム(プレカラム、1000Å、30Å;粒径5μm;PSS、Mainz、Germany)で分離した。コポリマーをRI(屈折率)およびUV検出器により分析した。較正曲線(10ポイント)を、プルラン標準を使用して確立した。特徴付けされたコポリマーの分子量を、この標準を参照することにより推定した。
ペンタグリシン誘導体(BOC-G-Cellophil)の合成は、出発材料としてBOC-G-Na塩を使用するというわずかな変更を伴い、上記のプロトコールに従って達成した。BOC-G-Na塩はペンタグリシンから得て、Wang, T.-P. et al
(2012) Bioconjugate Chemistry 23(12): 2417-2433に従って合成した。他のオリ
ゴグリシン機能化Cellophilコポリマーを、同様のプロトコールを使用して生成することができる。
(実施例14)
BOC-G-PEG-Cellophilの合成
BOC-G-PEG11-Cellophilの合成は、上記の一般手順(実施例13:ステップ1~4および7)に従って達成した。ステップ2は、出発材料としてBOC-PEG11-CHCH-NHを使用して実施して、RAFT-PEG11-BOCを生じ、ステップ3はEtOAc中のHClを使用して実施した。
PEG23誘導体(BOC-G-PEG23-Cellophil)の合成は、出発材料としてBOC-PEG23-CHCH-NHを使用するというわずかな変更を伴い、上記のプロトコールに従って達成した。他のオリゴグリシン機能化およびPEG機能化Cellophilコポリマーを、同様のプロトコールにより生成することができる。
(実施例15)
BOC-G-Cellophil-(フルオレセイン)またはBOC-G-PEG-Cellophil-(フルオレセイン)の合成
NaHCO(0.1N)の水溶液中のBOC-G-Cellophil(1.0当量)またはBOC-G-PEG11-Cellophil(1.0当量)(調製には、実施例13、ステップ7を参照すること)の溶液に、DMSO中のFITC(16当量)の溶液をゆっくりと加えた。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌し、NaHCOの水溶液(0.1N)、次いでddHOで透析した(MWCO 3.5kDa)。濃縮
液をフリーズドライして、暗橙色の粉末(収率:80~92%)を得た。この化合物の構造をNMRおよびGPCにより検証した。
トリグリシンおよびトリグリシン-(PEG)23誘導体の合成を、同じプロトコールを使用して達成した。
(実施例16)
N-G-Cellophil-(フルオレセイン)またはHN-G-PEG-Cellophil-(フルオレセイン)の合成
EtOH中のBOC-G-Cellophil-(フルオレセイン)(1.0当量)またはBOC-G-PEG11-Cellophil-(フルオレセイン)(1.0当量)の溶液に、EtOH中のHCl(約1.25N)の溶液を加えた。得られた反応混合物を室温で2時間撹拌し、水(2×)で透析した(MWCO 3.5kDa)。濃縮液をフリーズドライして、暗橙色の(静電)粉末(99%)を得た。この化合物の構造をNMRおよびGPCにより検証した。
(実施例17)
カテプシンB感受性ドキソルビシン含有Cellophilの合成
ステップ1 H-Lys(Alloc)-OHの調製
O(100mL)中のL-リジン塩酸塩(1.0当量)および塩基性炭酸銅(II)(1.1当量)の溶液を30分間還流させた。還流の際に形成された固体を熱時ろ過により除去した。ろ液を0℃に冷却し、固体重炭酸ナトリウム(3.1当量)の添加によりpH9に調整した。クロロギ酸アリル(1.5当量)を1時間かけて滴下により添加し、その間、溶液を0℃で撹拌した。この添加の際に、反応混合物を固体重炭酸ナトリウムの添加によりpH9に維持した。反応混合物を室温に温め、一晩撹拌した。反応の際に形成された青色の固体生成物を、ろ過により定量収率で収集した。
Lys(Alloc)の固体銅塩をHO(250mL)に懸濁し、2当量のチオアセトアミド(2.0当量)を加えた。アルカリ性懸濁液を50℃で3時間撹拌し、その間に固体がゆっくりと溶解した。続いて、溶液を2M HClでpH2に酸性化し、5分間沸騰させた。沈殿したCuSをろ過により除去した。ろ液を真空下で約60mLに濃縮し、その時点でLys(Alloc)の塩酸塩が白色の固体(79%)として沈殿し、それをろ過により回収した。
ステップ2 FMOC-Val-Lys(Alloc)-OHの調製
ジオキサン(30mL)中のFMOC-Val-OSu(1.0当量)の室温で激しく撹拌した溶液を、水(30mL)中のLys(Alloc)-OH(1.1当量)およびNaHCO(2.1当量)の溶液と合わせた。温度を、最初の30分間に冷水浴を使用して25℃未満に維持した。混合物を室温で14時間撹拌し続けた。混合物を水(50mL)で希釈し、次いで15%クエン酸でpH3に酸性化した。得られた懸濁液を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて、オフホワイトの固体を得た。固体をTHFに溶解し、次いでメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)を加え、ろ過した後に純白な固体(80%)を得た。
ステップ3 FMOC-Val-Lys(Alloc)-PABOHの調製
THF(15mL)中のFMOC-Val-Lys(Alloc)-OH(1.0当量)およびPABOH(1.1当量)の室温で撹拌した溶液を、EEDQ(1.1当量)で処理した。16時間後、混合物を30℃で蒸発乾固し、残留物をMTBEで再結晶させて、濃黄色(deep yellow)の生成物(84%)を得た。
ステップ4:H-Val-Lys(Alloc)-PABOHの調製
CHCl(35ml)中のFMOC-Val-Lys(Alloc)-PABOH
(1.0当量)を室温でジエチルアミン(50ml)により処理した。混合物を短時間超音波処理し、室温で4時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をCHClでフラッシュし、シリカのクロマトグラフィーにかけて、生成物を無色の泡状物(69%)として得た。
ステップ5:MC-Val-Lys(Alloc)-PABOHの調製
CHCl(5ml)中のH-Val-Lys(Alloc)-PABOH(1.1当量)およびDIEA(1.1当量)を室温でCHCl(2ml)中のMC-NHS(1.1当量)により処理した。混合物を室温で一晩撹拌した。酢酸エチル(60ml)を加え、混合物を水およびブラインで洗浄し、乾燥し、蒸発させて、所望の生成物(96%)を得た。
ステップ6:MC-Val-Lys(Alloc)-PABO-PNPの調製
THF(15mL)中のMC-Val-Lys(Alloc)-PABOH(1.0当量)の室温で撹拌した溶液を、PNPクロロホルメート(1.2当量)および乾燥ピリジン(1.5当量)で処理した。反応物を、HPLC分析が混合物に抽出物が存在しないことを示すまで、一晩撹拌した。混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、クエン酸(50mL、HO中10%)で酸性化した。有機相を水(50mL)およびブライン(25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を蒸発させて、薄黄色の固体を得た。固体をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(20:1のDCM/MeOH)により精製して、純粋な化合物を、黄色を帯びた固体(58%)として得た。
ステップ7:MC-Val-Lys(Alloc)-PABC-DOXの調製
NMP(8mL)中のMC-Val-Lys(Alloc)-PABO-PNP(1.0当量)およびDOX・HCl(1.1当量)を室温でEtN(1当量)により処理した。その後、混合物を暗所で3日間インキュベートした。次いで、混合物を10%の2-プロパノール/酢酸エチル(100mL)で希釈し、水(3×100mL)およびブライン(50mL)で洗浄し、乾燥し、蒸発させて、濃橙色(deep orange)の油状物を得た。これをシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、純粋な生成物を赤色固体(92%)として得た。
ステップ8:MC-Val-Lys-PABC-DOXの調製
THF(7mL)中のMC-Val-Lys(Alloc)-PABC-DOX(1.0当量)を、アルゴン下、室温で、Pd(PPh(0.03当量)、酢酸(2.5当量)および水素化トリブチルスズ(1.5当量)で処理した。混合物を暗所において室温で1時間撹拌し、その最中に橙色の固体が形成し始めた。混合物をエーテル(25mL)で希釈し、続いてエーテル中の1M HCl(2mL)を添加した。得られた懸濁液を短時間超音波処理し、次いでろ過した。橙色の固体をエーテルで繰り返し洗浄し、次いで5:1のDCM:MeOHに溶解した。これに、Celite(7g)を加え、次いで溶媒を蒸発させた。得られた固体をCelite(登録商標)に吸着させ、Celiteカラム(DCM:MeOHの100:1のスラリーから作製)にドライロードした(dry-loaded)。カラムを、DCM:MeOHの100:1の混合物、続いてDCM:MeOHの10:1の混合物で溶出した。所望の生成物を橙色の固体(30%)として得た。
異なるアミノ酸配列を有するリンカー誘導体MC-Ala-Lys-PABC-DOX、MC-Val-Cit-PABC-DOXを、シトルリンリンカーがAlloc保護基を必要としないこと以外は上記に記述された手順と同じ手順に従って合成した。
ステップ9:CellophilコポリマーへのカテプシンB感受性リンカーのカップリング
続いて、上記に記述されたリンカードキソルビシンコンジュゲートを、以下の一般手順
を使用してCellophilコポリマー(実施例13、ステップ7)にカップリングした。
DMF中のCellophilコポリマー(1.0当量)およびEtN(12当量)の溶液に、リンカードキソルビシンコンジュゲート(10当量)の溶液を不活性雰囲気下、室温で滴下により添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。最後に混合物をddHOで希釈し、得られた懸濁液をろ過した。次いで、ろ液をddHO(2×10L)で透析し(MWCO 3.5kDa)、濃縮液を凍結乾燥して、赤色の易流動性粉末(収率60~70%)を得た。得られた化合物の構造をNMR分光法により検証した。
(実施例18)
CellophilコポリマーからのドキソルビシンのカテプシンB媒介放出。
ヒト肝臓カテプシンB(Merck、MW約27500)(5単位)を400μLの酢酸塩緩衝液(50mMの酢酸塩+1mMのEDTA、pH5.0)に溶解した。10μLの酵素溶液を、390μLの活性化溶液(5mMのジチオトレイトール、100mMのリン酸ナトリウム緩衝剤、5mMのEDTA、100mMのNaCl、0.01%のBrij58、pH6.0)と共に37℃で約30分間インキュベートした。その間、20μLの実施例17のポリマーリンカーDOXコンジュゲート(1μmol)を、1473μLの活性化溶液に加え、37℃でインキュベートした。32μLの活性化酵素(0.01U)を基質溶液に加え、反応物を37℃でインキュベートした。遊離DOXの放出を、HPLCおよび光度計測定によりモニターした。MC-Val-Lys-PABC-PNP-DOXが最短の半減期を呈し、次にMC-Ala-Lys-PABC-DOXおよびMC-Val-Cit-PABC-DOXであった。
(実施例19)
ドキソルビシン含有共主要モノマー(AK-DOX-V1およびAK-DOX-V2)の共重合。
ドキソルビシンを含むCellophilコポリマーの合成は、RAFT剤としてBOC-G-RAFT中間体、BOC-G-DMA-RAFTプレポリマー、RAFT-PEG-BOC、または対応するBOC脱保護試薬(実施例13、ステップ6に記載されたプロトコールに従って得た)(1.0当量)およびドキソルビシン含有共主要モノマー(8.0当量)(AK-DOX-V1またはAK-DOX-V2)を使用して、共主要モノマーの共重合についての一般手順(実施例13、ステップ7)により達成される。
(実施例20)
AK-フェノールの共重合
ヨウ素反応性モノマーを含むCellophilコポリマーの合成は、RAFT試薬としてBOC-G-RAFT中間体、BOC-G-DMA-RAFTプレポリマー、RAFT-PEG11-BOC、または対応するBOC脱保護試薬(実施例13、ステップ6に記載されたプロトコールに従って得た)(1.0当量)および共主要モノマーとしてAK-フェノール(8.0当量)を使用して、共主要モノマーの共重合についての一般手順(実施例13、ステップ7)によって達成した。ddHOの代わりに、0.1MのNaHCOを溶媒として使用した。所望の生成物の構造をNMR分光法により検証した。
(実施例21)
ヨウ素反応性ポリマー担体のヨウ素化
PBS緩衝液(pH=7.4)中の実施例20のAK-フェノールコポリマー(70mg、7.0μmol)の溶液に、NaI(7.86mg、52μmol)およびクロラミンT(14.8mg、52μmol)を連続的に加えた。次いで反応混合物を室温で30分間撹拌し、その後、Na水溶液(0.3M)で希釈した。次いで、得られた溶液を10LのddH2Oで透析し、濃縮液をフリーズドライした。所望の生成物の構造
をNMR分光法により検証した。
(実施例22)
ソルターゼ媒介反応を使用するHer2+モデル抗体へのHN-G-Cellophil-(フルオレセイン)のカップリング
N-G-Cellophil-(フルオレセイン)(実施例16)を、以下の一般手順を使用して、Her2抗原に対する完全ヒトモノクローナル抗体にコンジュゲートすることができる。重鎖のC末端でソルターゼモチーフ(LPETG)およびヘキサヒスチジンタグ(His)により遺伝子修飾されたHer2モノクローナル抗体[10μM]を、HN-G-Cellophil-(フルオレセイン)[100μM]と共に、0.62μMのソルターゼAの存在下、50mMのHepes、150mMのNaCl、5mMのCaCl、pH7.5中において、25℃で3.5時間インキュベートする。反応は、25mMリン酸ナトリウム(pH7.5)で平衡にしたProtein A
HiTrapカラム(GE Healthcare)に通過させることによって停止させる。充填したカラムを5カラム体積(CV)の緩衝剤で洗浄する。結合したコンジュゲートを5CVの溶出緩衝液(0.1Mのクエン酸、pH2.8)で溶出し、1CVの画分を、25%(v/v)の1M Tris塩基を含む管に収集して、溶液を中和する。タンパク質含有画分をプールし、続いて製造会社の使用説明書に従ってNAP-25カラム(GE Healthcare)を使用して、緩衝剤交換により10mMのコハク酸ナトリウムpH5.0、100mg/mLのトレハロース、0.1%(w/v)のポリソルベート20に配合する。カップリング反応の成功は、4~20%勾配のトリスグリシンゲルでのSDS-PAGE、ならびに抗His一次抗体およびホースラディッシュペルオキシダーゼコンジュゲート二次抗体を使用するウエスタンブロット(WB)分析により定量的に検証する。WBシグナルの検出は、増強化学発光(ECL)キット(Pierce(商標)、ECL Western Blotting Substrate)を使用して実施する。非修飾抗Her2-LPETG-His抗体は対照としての機能を果たす。抗His抗体の消滅は、ソルターゼ反応が完了したことを示す。定量的分析では、サイズ排除クロマトグラフィーを実施する。薬物の抗体に対する比(DAR)は、残存非修飾抗体(UV検出波長280nm)のピーク強度の比較により計算する。
(実施例23)
N-G-Cellophilコポリマーの毒性探索
本開示のポリマー担体は生物分解性ではない。したがって、担体が健康な組織に対して無害であることを実証することが重要であった。本開示のポリマー担体(ペイロードなし)の毒性探索研究を実施した。簡潔には、HepG2細胞を、96ウェル黒色壁透明底ポリスチレンプレートに1ウェルあたり100μLで平板培養した。試験化合物は、DMAおよびAK(90/10mol%)を含むHN-G-Cellophilコポリマー(12kDa)であり、実施例13、ステップ7に記載された手順により調製した。HepG2細胞に、試験化合物を、0.04~100μMの濃度で投与した。37℃での72時間のインキュベーションの終了時に、適切な色素または抗体を培養物に加えた。次いでプレートを、自動蛍光細胞画像機(ArrayScan(登録商標)、Thermo Scientific Cellomics)を使用してスキャンした。
以下の8個の細胞健康パラメーター(CHP)を評価した。
細胞計数:1ウェルあたりの細胞の減少数は、壊死、アポトーシスまたは細胞増殖の低減によって、毒性を示している。核のサイズ:核野の増加は、壊死またはG2細胞周期の停止を示すことができ、減少はアポトーシスを示すことができる。DNA構造:DNA構造の増加は、染色体の不安定性およびDNA断片化を示すことができる。ミトコンドリア質量:ミトコンドリア質量の減少は、総ミトコンドリアの損失を示し、増加は、ミトコンドリアの膨張または細胞のエネルギー需要への適応応答を示唆する。ミトコンドリア膜電
位(Δψm):減少は、典型的にはアポトーシスシグナル伝達をもたらすミトコンドリアの完全性の損失を示し、ミトコンドリア膜電位の増加は、細胞のエネルギー需要への適応応答を示す。酸化ストレス:反応性酸素種(ROS)の増加は、早期の細胞傷害性応答である。グルタチオン含有量:グルタチオン(GSH)含有量の減少は、ROSの産生または試験化合物への直接結合の結果でありうる。GSH含有量の増加は、酸化ストレスへの細胞の適応応答を表す。細胞ATP:細胞が溶解すると、ATPは細胞から放出される。代謝的に活性ではない細胞は、ATPを放出しない。したがって、代謝活性細胞の減少は、検出されるATPレベルの減少をもたらす。
対照1:カルボニルシアニド3-クロロフェニルヒドラゾン;対照2:L-ブチオニン-スルホキシミン;MEC:最小有効用量、すなわち、効果が検出される最低用量:AC50:最大効果の50%が観察される濃度;MTD:最大耐容用量、すなわち、<20%の細胞損失が観察された濃度。NR:応答なし;NS:統計的に有意ではない。
この研究は、100μMまでの濃度のG-CellophilコポリマーへのHepG2細胞の曝露が、試験CHPに対して効果を有さなかったことを明らかにした。このことは、本開示のコポリマーの高い生体適合性を実証している。
(実施例24)
Cellophil-(フルオレセイン)-ADCのがん細胞特異性
実施例22のHER2抗体機能化G-Cellophil-(フルオレセイン)コポリマーの、その標的細胞への親和性を、SKBR3およびMDA-MB-468がん細胞系を使用した実験で検査する。SKBR3細胞は、ヒト上皮増殖因子受容体2を過剰発現し(HER2+)、一方、MDA-MB-468細胞は、その受容体を発現しない(HER2-)。結合は、以下の簡潔なプロトコールを使用してFACS(=蛍光活性化細胞選別)により評価する。
細胞を、160μLの培地/ウェル[4.5g/Lのグルコース、1.5mMのL-グルタミンおよび10%ウシ胎児血清(MG-30、CLS)を補充したDMEM]中に5,000~10,000個の細胞の密度で96ウェルプレートに平板培養する。5%CO
雰囲気で加湿インキュベーターにより37℃で1日インキュベートした後、細胞を採取し、洗浄し、細胞懸濁液を、10%ウシ胎児血清(FCS)、1%アジ化ナトリウムを補充した氷冷PBS(pH7.5)で1.25×10細胞/mLの濃度に調整する。細胞懸濁液を12×75mmのポリスチレン丸底に移し、次いで5μg/mLのCellophil-(フルオレセイン)16-ADCと共に暗所において4℃で45分間インキュベートする。その後、細胞を400×gで5分間遠心分離し、500μLの氷冷PBS(pH7.5、10%FCS、1%アジ化ナトリウムを補充)に再懸濁することにより3回洗浄し、その後、フローサイトメーターにより分析する。
Cellophil-(フルオレセイン)16-ADCに曝露された、またはフルオレセインタグ付けトラスツズマブに曝露されたSKBR3細胞のFACS染色を比較すると、Cellophil-フルオレセイン-ADCにおける抗体の標的親和性が保存されていることが実証される。MDA-MB-468細胞を使用して、Cellophil-ADCの非特異的結合を分析する。
(実施例25)
モデルタンパク質へのG-Cellophil-(フルオレセイン)の結合
モデルタンパク質(赤色蛍光mCherry)を、C末端でソルターゼ認識モチーフ(LPETG)により、およびN末端近くで追加のシステインより遺伝子修飾した。mCherryの修飾コード配列を含むDNA断片を、in vitroで合成した。
Cys-mCherry-LPETG-His6のコード配列(配列番号1):
5’-ATGTGTGGTGGTAGCGGTGGTTCAGGTGGTTCTGGCGGTAGTGGTGGCAGCATGGTTAGCAAAGGTGAAGAGGATAATATGGCCATCATCAAAGAATTCATGCGCTTCAAAGTTCACATGGAAGGTAGCGTTAATGGCCACGAATTTGAAATTGAAGGTGAAGGCGAAGGTCGTCCGTATGAAGGCACCCAGACCGCAAAACTGAAAGTTACCAAAGGTGGTCCGCTGCCGTTTGCATGGGATATTCTGAGTCCGCAGTTTATGTATGGTAGCAAAGCCTATGTTAAACATCCGGCAGATATTCCGGATTACCTGAAACTGAGCTTTCCGGAAGGTTTTAAATGGGAACGTGTGATGAATTTTGAAGATGGTGGTGTTGTTACCGTTACACAGGATAGCAGCCTGCAGGATGGTGAATTTATCTATAAAGTTAAACTGCGTGGCACGAATTTTCCGAGTGATGGTCCGGTTATGCAGAAAAAAACCATGGGTTGGGAAGCAAGCAGCGAACGTATGTATCCGGAAGATGGCGCACTGAAAGGTGAAATTAAACAGCGTCTGAAGCTGAAAGATGGCGGTCATTATGATGCAGAAGTTAAAACCACCTACAAAGCCAAAAAACCGGTTCAGCTGCCTGGTGCATATAACGTTAACATCAAACTGGATATTACCAGCCACAACGAGGATTATACCATTGTGGAACAGTATGAACGTGCAGAAGGTCGCCATAGTACCGGTGGTATGGATGAACTGTATAAAGGTGGCAGTGGTGGATCTGGTGGCTCAGGCGGAAGCGGTGGTAGCCTGCCGGAAACCGGTGGTCTGAATGATATTTTTGAAGCCCAGAAAATCGAATGGCATGAACATCATCAC CATCACCACTAA-3’
このDNA断片をクローニングベクターpMA-T(Invitrogen/Thermo Fisher Scientific、Germany)にサブクローニングした。後者の構築物をNdelおよびBamH1で消化した。この消化産物を1.5%アガロースゲルで電気泳動し、mCherryのDNAを含む断片を切り取り、Qiagenゲル抽出キット(Qiagen、Hilden、Germany)を使用して、DNAを抽出した。次いで、精製されたDNA断片を、T4 DNAリガーゼ(New England Biolabs、UK)を使用して発現ベクターpET28-cに連結した。続いて、挿入されたDNA配列の正確さを配列分析で検証した。タンパク質産生では、得られたプラスミド(pCIS-[C]-mcherry-[LPETG])をコンピテントなEscherichia coli BL21DE3細胞に形質転換した。細胞を増殖させて(LB培地+100μg/mlのアンピシリン、37℃、500mlの振とうフラスコ)、0.4のOD600にし、その後、タンパク質発現を1mMのイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)により誘導した。細胞を4時間後に遠心分離(6000×g、15分間、4℃)により採取し、溶解緩衝液(50mMのNaHPO、0.5MのNaCl、pH8.0)に懸濁し、超音波処理により溶解した。細胞細片を遠心分離(30,000×g、30分間、4℃)により除去した。Cys-mcherr
y-LPETG-Hisタンパク質の精製は、製造会社のプロトコールに従って、ニッケル-NTAアフィニティークロマトグラフィー(ニッケル-NTAアガロース、Thermo Fisher Scientific、Germany)により実施した。タンパク質の収量をBradfordアッセイ(Bio-Rad Laboratories
GmbH、Muenchen、Germany)により定量し、組み換えタンパク質のサイズおよび純度をSDS-PAGEにより検証した。
続いて精製されたLPETGタグ付けmCherry[10μM]を実施例16の異なる濃度のHN-G-Cellophil-(フルオレセイン)[20~100μM]と共に、増加濃度のソルターゼA[0.062~0.62μM]の存在下、50mMのHepes、150mMのNaCl、5mMのCaCl、pH7.5中において25℃で3.5時間インキュベートする。CellophilコポリマーまたはソルターゼAが欠如している対照反応を並行して実施する。反応(20μl)を、5μlの4×SDS-PAGE添加液(loading buffer)+10%w/vのβ-メルカプトエタノール(Bi
orad、Germany)の添加および熱処理(5分間、95℃、600rpmでの一定振とう)によって停止する。次いで試料を4~20%のSDS-PAGEゲル(Mini-PROTEAN(登録商標)TGX(商標)Precast Gels Biorad、Germany)により150Vで30分間電気泳動し、続いてゲルをクーマシーブルー染色に付した。カップリングの成功は、mCherryより大きなサイズの生成物の出現に基づいて推定する。
(実施例26)
腫瘍細胞特異的アプタマーDML-7によるCellophil-(フルオレセイン)の機能化
ステップ1:1-((3-アジドプロピル)アミノ)-2-メチル-1-オキソプロパン-2-イルエチルカルボノ-トリチオエートの合成:
CHCl(44mL)中の2,5-ジオキソピロリジン-1-イル2-(((エチルチオ)カルボノチオイル)チオ)-2-メチルプロパノエート(2.4g、7.47mmol、1.0当量)およびEtN(1.249mL、8.96mmol、1.2当量)の溶液に、CHCl(15mL)中の3-アジドプロパン-1-アミン(0.879mL、8.96mmol、1.2当量)の溶液を室温および不活性雰囲気下で60分間かけて滴下により添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。最後に、反応混合物を、HCl水溶液(1M、3×20mL)、ddHO(2×25mL)およびNaHCO飽和水溶液(20mL)で連続的に洗浄した。有機相を乾燥し(NaSO)、揮発物を減圧下で除去した。残留した橙色の油状物(2.25g、7.34mmol、98%)を、さらに精製することなく使用した。標記化合物の構造をNMR分光法により検証した。
ステップ2:RAFT-DMA-Nプレポリマーの合成
標記化合物の合成は、実施例13、ステップ5のプレポリマー合成の一般的プロトコールに従い、1-((3-アジドプロピル)アミノ)-2-メチル-1-オキソプロパン-2-イルエチルカルボノトリチオエートを出発材料として使用して達成した。標記化合物の構造をMSおよびNMR分光法により検証した。
ステップ3:Cellophil-Nの合成
標記化合物の合成は、RAFT-DMA-Nプレポリマーを出発材料として使用し、実施例13、ステップ7の一般的プロトコールに従って達成した。標記化合物の構造をNMR分光法により検証した。
ステップ4:Cellophil-(フルオレセイン)-Nの合成
標記化合物の合成は、Cellophil-Nおよびフルオレセイン-NHSを出発材料として使用し、実施例15のアミン反応性活性剤についての一般的プロトコールに従って達成した。標記化合物の構造をNMR分光法により検証した。
代替的合成:
フルオレセインを含むCellophilコポリマーの合成は、RAFT試薬としてRAFT-DMA-Nプレポリマーおよび共主要モノマーとしてAK-フルオレセイン-V2(8.0当量)を使用して、共主要モノマーの共重合についての一般手順(実施例13、ステップ7)を介して達成することができる。
ステップ5:アプタマーDML-7-[C6]-NHの合成
転移性前立腺がん細胞への特異性が知られているアプタマーDML-7の修飾形態(Duan et al. (2016) Oncotarget 7(24): 36436)を、固相(Sigma Aldrich、Gillingham、UK)に合成した。
5’-ACGCTCGGATGCCACTACAGGTTGGGG
TCGGGCATGCGTCCGGAGAAGGGCAAAC
GAGAGGTCACCAGCACGTCCATGAG-3’(配列番号2)-[C6]-NH2
6炭素原子スペーサーおよび反応性アミノ基を付加して、機能化を容易にした。その後、アプタマーの凍結乾燥粉末を(緩衝剤)により室温で2時間再水和した。続いて、溶液を95℃で10分間加熱し、次いで、一晩かけて室温に冷まして、正確な三次元立体構造を得た。
ステップ6:Cellophil-(フルオレセイン)-NへのDML-7-[C6]-NHアプタマーのカップリング
DNAアーゼ無含有PBS緩衝剤中のDML-7-[C6]-NH(1.0当量、ステップ5で調製)の溶液に、ジベンゾシクロオクチン-N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(1.5当量)を加える。反応混合物を、アプタマーアミンの完全な変換が観察(LC-MS)されるまで室温で混合する。続いて、Cellophil-(フルオレセイン)-N(2.0当量)を加え、アルキン-アプタマー中間体の完全な変換が観察されるまで反応させる。次いで混合物を、溶出剤として水(+0.01%のNaN)を用いるセミ分取(semi-preparative)GPCにより精製する。所望の生成物を含有する精製画分を、脱塩カラム(PD10、Thermo Fisher Scientific、German)で脱塩する。続いて、所望の生成物を凍結乾燥して、白色の粉末を得る。
得られたアプタマー含有Cellophil-(フルオレセイン)を電気移動度シフトアッセイ(electromobility shift assay)(EMSA)により分析する。この分析
では、18μLの後者コポリマーの貯蔵溶液[EMSA緩衝液(10mMのTris-HCl、75mMのKCl、0.25mMのEDTA、0.1%のTriton X100、5%のグリセロール(v/v)、0.2mMのDTT、pH8.0)中の0.3mg/mL]に、2μLの5×核酸試料緩衝液(Biorad、Germany)を加える。続いて、試料を1.5%のアガロースゲルにより電気泳動する(UV染色用に0.25μg/mlの臭化エチジウム、1×TAE緩衝剤を補充、135V、35分間)。DML-7アプタマーおよびCellophil-(フルオレセイン)-Nは対照としての機能を果たす。バンド移行におけるシフトにより、Cellophil-(フルオレセイン)部分への共有結合に起因したアプタマーの分子量の増加が明らかに確認される。
(実施例27)
オキシム機能化ポリマー担体の合成
ステップ1:tert-ブチル(6,6-ジメチル-7,12-ジオキソ-4-チオキソ
-3,5-ジチア-8,11-ジアザトリデカン-13-イル)オキシカルバメート(RAFT-EDA-オキシム-BOC)の合成
CHCl(40mL)中の2-(((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)オキシ)酢酸(486mg、2.54mmol、1.0当量)の溶液に、HOBt水和物(467mg、3.05mmol)およびN1-((エチルイミノ)メチレン)-N3,N3-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン塩酸塩(511mg、2.67mmol、1.05当量)をN下、0℃で加えた。得られた溶液を0℃で30分間撹拌した。最後に、2-(2-(((エチルチオ)カルボノチオイル)チオ)-2-メチルプロパンアミド)エタンアミニウム2,2,2-トリフルオロアセテート(966mg、2.54mmol、1.0当量)およびN-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(2,24mL、13.2mmol、5.2当量)を連続的に加え、反応混合物を0℃で1時間、次いで室温で一晩撹拌した。すべての揮発物を減圧下で除去し、残留物をEtOAc(100mL)に取った。有機混合物を、NHClの飽和水溶液(3×40mL)、NaHCOの飽和水溶液(3×40mL)、ddHO(3×40mL)およびブライン(40mL)で連続的に洗浄した。有機相を乾燥し(NaSO)、すべての揮発物を減圧下で除去した。得られた黄色の固体残留物をEtO(40mL)に懸濁した。懸濁液をろ過し、フィルターケーキをEtO(2×20mL)、ddHO(3×20mL)およびEtO(3×20mL)で洗浄し、真空下で乾燥した。生成物を黄色の粉末(900mg、2.00mmol、収率79%)として単離した。標記化合物の構造をNMR分光法により検証した。
ステップ2:RAFT-DMA-オキシム-BOCプレポリマーの合成
標記化合物の合成は、実施例13、ステップ5のプレポリマー合成についての一般的プロトコールに従い、RAFT-EDA-オキシム-BOCを出発材料として使用して達成した。所望の生成物の構造をMSおよびNMR分光法により検証した。
ステップ3:Cellophil-オキシム-BOCの合成
標記化合物の合成は、RAFT-DMA-オキシム-BOCプレポリマーを出発材料として使用し、実施例13、ステップ7の一般的プロトコールに従って達成した。標記化合物の構造をGPCおよびNMR分光法により検証した。
ステップ4:Cellophil-(フルオレセイン)-オキシム-BOCの合成
標記化合物の合成は、実施例15のアミン反応性活性剤についての一般的プロトコールに従い、Cellophil-オキシム-BOCおよびFITCを出発材料として使用して達成することができる。標記化合物の構造をNMR分光法により検証することができる。
ステップ5:Cellophil-(フルオレセイン)-オキシムの合成
Cellophil-(フルオレセイン)-オキシム-BOCを、BOC脱保護についての一般手順(実施例16)に従って脱保護する。
ステップ6:アルデヒド-IgGへのCellophil-(フルオレセイン)-オキシムのカップリング
Cellophil-(フルオレセイン)-オキシムを、文献(Dong et al. (2017) Angew Chem Int Ed 56: 1273)に記載されているように、酸化(NaIO)ポリクローナル抗体IgG(アルデヒドIgG)に共有結合的にカップリングさせることができる。所望の生成物の構造をMSにより検証することができる。
(実施例28)
モデルタンパク質へのCellophil-(フルオレセイン)-Nの結合
ステップ1:mCherryモデルタンパク質のアルキン機能化:
脱ガスPBS緩衝剤、pH7.5中の実施例25のシステイン担持mCherryモデルタンパク質(1.0当量)の溶液に、過剰量のトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)(100当量)を不活性雰囲気下で加える。得られた溶液を十分に混合し、DMSO中のジベンゾシクロオクチン-マレイミド(DBCO-マレイミド)の脱ガス溶液を不活性雰囲気下で加える前に、20分間放置する。得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。次いで混合物を、溶出剤として水(+0.01%のNaN)を用いるセミ分取GPCにより精製する。所望の生成物を含有する精製画分を、脱塩カラムを使用して脱塩して、mCherry-DBCOを得る。
ステップ2:クリック化学を介したmCherryモデルタンパク質のCellophil機能化:
PBS緩衝剤、pH7.5中のmCherry-DBCO(1.0当量)およびCellophil-(フルオレセイン)-N(2.0当量、実施例26、ステップ4で得た)の溶液を、室温で16時間撹拌する。次いで混合物を、製造会社のプロトコールに従ってNi2+NTAアフィニティークロマトグラフィー(ニッケル-NTAアガロース、Thermo Fisher Scientific、Germany)により精製する。(mCherryはヘキサ-ヒスチジンタグを含む。)所望の生成物を含有する精製画分を、脱塩カラムを使用して脱塩して、mCherry-Cellophil(フルオレセイン)を得る。得られたタンパク質ポリマーコンジュゲートは、実施例25に提示されたプロトコールおよび対照としてCys-mcherry-LPETG-His(実施例25を参照すること)を使用して、SDS-PAGEにより分析することができる。クーマシー染色ゲルにおいて観察された対照と比較した生成物のサイズの増加は、タンパク質へのポリマーのカップリングが成功したことを示している。
(実施例29)
アザマイケルライゲーション戦略を利用したアミン修飾NH-G-Cellophil-(DOX)によるHer2+抗体(トラスツズマブ)における未変性リジン残基の機能化
トラスツズマブ-Cellophil-(DOX)16の合成は、抗体の軽鎖にカップリングしているアミン求核剤としてNH-G-Cellophil-(DOX)を使用し、Bernades, G. J. L.(J Am Chem Soc (2018) 140: 4004-)により開発されたプロトコールに従って達成される。これは、抗体分子1個あたり平均して16個のドキソルビシン分子を含むADC複合体をもたらす。トラスツズマブ(PBS中20mg/ml)はCarbosynth、UKから得た。
(実施例30)
トラスツズマブ-Cellophil-(DOX)16の抗がん有効性
トラスツズマブ-Cellophil-(DOX)16(実施例29を参照すること)の抗がん有効性は、以下のように検証することができる。
実験は、SKBR3およびMDA-MB-468のがん細胞系を使用して96ウェルプレートで実施する。SKBR3細胞は、ヒト上皮増殖因子受容体2を過剰発現し(HER2+)、一方、MDA-MB-468細胞は、この受容体を発現しない(HER2-)。ウェルには、5,000~10,000個の細胞を、4.5g/Lのグルコース、1.5mMのL-グルタミンおよび10%ウシ胎児血清(MG-30、CLS)を補充した、75μLのダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)に接種する。加湿インキュベーターにより37℃および5%COで1日インキュベートした後、25μlの増殖培地中のADCトラスツズマブ-Cellophil-(DOX)16(実施例29で調製)の段階希釈物をウェルに加える。ウェルにおける最終ADC濃度は0.02ng/mL~20μg
/mLの範囲である(ADC未変性細胞が陰性対照としての機能を果たす)。各希釈物を3連で試験する。比較する目的で、並行培養物は増殖培地中のトラスツズマブの段階希釈物を受ける。72時間インキュベートした後、プレートをインキュベーターから取り出し、室温に平衡にする。およそ20分後、細胞生存率を、製造会社の使用説明書に従って実施されるaWST-1細胞増殖アッセイ(Sigma-Aldrich、Germany)によりアッセイする。アッセイの読み取り値は、420~480nmでの吸光度である。トラスツズマブ-Cellophil-(DOX)16の抗がん有効性は、ADC処理培養物、非処理培養物およびトラスツズマブ処理培養物においてそれぞれ測定された吸光度値を比較することによって推定される。SKBR3およびMDA-MB-468から得た結果の比較は、ADCの標的特異性につての情報を提供する。
(実施例31)
フルオレセイン修飾共主要モノマーを使用するクリック反応性アジドCellophil(フルオレセイン)の合成
AK-フルオレセイン(実施例10)を、以下のプロトコールを利用して、アジド修飾RAFT剤(1-((3-アジドプロピル)アミノ)-2-メチル-1-オキソプロパン-2-イルエチルカルボノトリチオエート)によるRAFT重合において共重合した。
DMA(0.97mmol、80当量)およびAK-フルオレセイン(0.097mmol、8当量)を2mlの乾燥ジオキサンに溶解し、N-RAFT[(1-((3-アジドプロピル)アミノ)-2-メチル-1-オキソプロパン-2-イルエチルカルボノトリチオエート](0.012mmol、1当量)およびAIBN(4.85μmol、0.4当量)を加えた。完全に溶解した後、重合を、65℃に加熱することによって誘導した。重合は、65℃での6時間のインキュベーションの後で完了した。続いて、反応混合物を室温に冷却し、コポリマーのRAFT基を、実施例13に提示されたプロトコールを使用して除去した。次いで、得られた混合物をddH2Oで透析し(MWCO 3.5kDa)、濃縮液を凍結乾燥して、N-Cellophil-(フルオレセイン)を橙色の粉末(85%)として得た。この化合物の構造をNMR分光法およびGPC分析により検証した(約13kDaのMW、1.08のPDI)。
-Cellophil-(フルオレセイン)を、アルキン(例えば、DBCO)修飾がん細胞特異的標的化部分との銅無含有クリック反応に使用することができる。
(実施例32)
発癌性タンパク質を標的にするヨウ素負荷Cellophil抗体コンジュゲートの合成
広範囲の癌遺伝子に対するモデル抗体ポリマーコンジュゲートを生成するために、タンパク質BMI-1を標的にする市販の抗体を選択した。BMI-1(ポリコームリングフィンガー(polycomb ring finger)癌遺伝子)は、成人造血幹細胞、ならびに成人末梢および中枢神経系神経幹細胞の効率的な自己再生細胞分化にとって必要である。BMI-1は、細胞周期阻害遺伝子であるp16およびp19を調節する癌遺伝子であると報告されている。BMI-1の過剰発現は、膀胱、皮膚、前立腺、乳房、卵巣、結腸直腸などのいくつかのタイプのがん、ならびに血液系悪性腫瘍において重要な役割を果たすと思われる(Lessard J et. al. (2003). Nature 423 (6937): 255-60. doi:10.1038;Molofsky AV et. al. (2005). Genes Dev. 19 (12): 1432-7. doi:10.1101/gad.1299505)。
放射性ヨウ素を負荷することができるNH-GGG-Cellophil[DMA41/AK-フェノール]の合成は、実施例20に提示されたプロトコールと同様であるが、AK-フェノール(3当量)と主要モノマーDMA(41当量)のモル比を調整して実施した。得られたコポリマーの平均分子量(5.6kDa)および分子量分布(PDI
1.18)が、LC-MSおよびゲル浸透クロマトグラフィーにより記録された。透析およびフリーズドライにより精製した後、Cellophilコポリマーを、ソルターゼ認識モチーフ(LPETG)を含む完全長ヒトポリコームリングフィンガー癌遺伝子に対するAbFlex(商標)BMI-1(モノクローナル)抗体に以下のプロトコールを使用してカップリングした。
BMI-1抗体[6μM]をNH-GGG-Cellophil[DMA41/AK-フェノール][120μM]と共に、[2μM]のソルターゼA(アミノ酸置換基P94R、D160N、D165A、K190EおよびK196Tを含み、C末端6xHisタグを含むソルターゼA5タンパク質[S.aureaus、Uniprot A0A077UNB8-1]、Active Motif Inc.、USA)の存在下、HEPESベース反応緩衝液(Active Motif Inc.、USA)中に30℃で1時間インキュベートした。米国特許第9,267,127号。CellophilコポリマーまたはソルターゼAが欠如している対照反応を並行して実施した。カルシウム依存性カップリング反応を、EDTA二ナトリウム塩(250mM)の添加により最終の濃度の5mMにして停止させ、試料を最終的に特徴付けするまで4℃で保管した。
分析のため、抗体ポリマーコンジュゲートをFabricator(登録商標)(Genovis Inc.、USA)で消化した。[FabRICATOR(IdeS)は、ヒンジの下にある特異的部位で抗体を消化し、F(ab’)2およびFc/2断片の均質プールを生成するシステインプロテアーゼである]。消化は製造会社のプロトコールに従って実施した。続いて、切断生成物を、実施例25のプロトコールを使用してSDS-PAGEにより分析した。抗体のFc/2バンドにおける高分子量へのシフトは、抗体へのCellophilコポリマーのカップリングが成功したことを示した。カップリング反応の効率を、陰性対照の残存(非修飾)Fc/2バンドと比較して半定量的に分析した。カップリング効率は約50%であることが見出された。
カップリング生成物の詳細な特徴付けでは、IdeS消化抗体CellophilコンジュゲートのLC-MS分析を、以下のプロトコールを使用して実施した。
IdeS消化抗体Cellophilコンジュゲートの反応混合物をddHOで10倍に希釈した。5μLの得られた溶液をLCMSシステム(G6230 LC-MS TOF System、Agilent、Santa Clara、CA)に注入し、水、イソプロパノール、ACNおよび0.1%FAからなる溶出剤を用いるC8-HPLCカラムを使用して分離した。続いて、クロマトグラムおよびスペクトルをAgilentのMasshunterソフトウエアソルーションを使用して解析した。クロマトグラムおよびスペクトルの分析は、コポリマーがmABの重鎖のみにカップリングすることを示した。
Cellophil抗BMI-1コンジュゲートに、実施例21に提示されたプロトコールを使用してヨウ素放射性同位体を負荷して、標的がん療法のための抗体ポリマーコンジュゲートを生成することができる。一部の実施形態において、例えば、長い半減期を有するヨウ素同位体の場合では、AK-フェノール含有コポリマーの負荷を標的化抗体にカップリングする前に実施してもよい。
(実施例33)
mTGタグ(=NH-PEG)-RAFT-BOCによるCellophil(DMA/AK)コポリマーの合成
以下の手順は、放射性同位体を結合するために共有結合キレート剤により機能化されうるCellophilコポリマーの合成を説明している。ここに提示されているコポリマー(mTGタグ)-DMA30/AKは、一般合成手順を例示する機能を果たす。コポ
リマーのサイズおよびコポリマーに含まれている機能化部位の数は、用いるモノマーのモル比を変えることで変更することができる。
ddHO中のDMA(116μL、1120μmol、30当量)およびAK(60mg、300μmol、8当量)の溶液に、tert-ブチル(6,6-ジメチル-7-オキソ-4-チオキソ-11,14,17,20,23-ペンタオキサ-3,5-ジチア-8-アザペンタコサン-25-イル)カルバメート(22mg、32.2μmol、1.0当量)およびVA044(3.6mg、11.2μmol、0.3当量)を連続的に加えた。反応混合物を60℃で4時間撹拌した。次いで反応混合物をddHOおよびジオキサンで希釈した。この溶液に、ホスフィン酸(50w%、27μL、158μmol、5当量)、TEA(22μL、158μmol、5当量)およびAIBN(1.6mg、9.5μmol、0.3当量)を連続的に加えた。反応混合物を75℃で8時間撹拌した。次いで、得られた混合物をddHOで透析し(MWCO 3.5kDa)、濃縮液をフリーズドライして、Cellophil BOC-NH-PEG-(DMA30/AK)を白色の粉末(140mg、120μmol、2ステップで78%)として得た。得られた化合物の構造を、NMR分光法および以下のプロトコールを使用するGPCにより検証した。3.33mg/mLのコポリマーの貯蔵溶液を、溶出緩衝液(0.05%(w/v)NaNを含有する脱イオン水)で調製し、0.45μmシリンジフィルターでろ過した。続いて、0.4mLの貯蔵溶液をGPC装置(1260 Infinity
LC-System、Agilent、Santa Clara、CA)のポートに注入した。クロマトグラフィーを、溶出緩衝剤により一定流速の0.5mL/分で実施した。コポリマーの試料を、55℃の外部カラムオーブンに設置されたSupurema3カラムシステム(プレカラム、1000Å、30Å;粒径5μm;PSS、Mainz、Germany)で分離した。コポリマーをRI(屈折率)およびUV検出器により分析した。較正曲線(10ポイント)を、プルラン標準を使用して確立した。特徴付けされたコポリマーの分子量を、この標準を参照することにより推定した。
(実施例34)
無水物DOTA/NHS-DOTAによるCellophil[BOC-NH-PEG-(DMA30/AK)]コポリマーの機能化
ddHO中のCellophil BOC-NH-PEG-(DMA30/AK)(20mg、3.45μmol)の溶液に、DMSO中の無水物DOTA(25mg、36μmol)またはNHS-DOTA(27mg、36μmol)の溶液を加え、35℃で24時間撹拌し、次いでこの溶液に3M HClを加え、0℃に1時間加熱した。次いで、得られた混合物をddHOで透析し(MWCO 3.5kDa)、濃縮液をフリーズドライして、NH-PEG-(DMA30/AK-DOTA)を得た。得られた化合物の構造をNMR分光法により検証した。
(実施例35)
Cellophil[DBCO-NH-PEG-(DMA30/AK-DOTA)]の合成。
乾燥DMSO(1.5mL)中のCellophil NH-PEG5-(DMA30/AK-DOTA)(3.6μmol)、DBCO-NHS(18μmol)およびトリエチルアミン(7.2μmol)の溶液を25℃で24時間撹拌した。次いで、得られた混合物を0.1Mの炭酸アンモニウムで透析し(MWCO 3.5kDa)、濃縮液をフリーズドライして、Cellophil DBCO-NH-PEG5-(DMA30/AK-DOTA)を得た。反応をGPCで追跡し、得られた化合物の構造をNMR分光法により検証した。
(実施例36)
Her2受容体過剰発現がん細胞を標的にする診断薬および治療薬のための放射標識トラスツズマブ-[Cellophil-(DOTAコンジュゲートの合成
腫瘍診断では、原発性腫瘍またはその転移の検出限界が患者の生存率にとって重要であり、それは後期腫瘍が多くの場合に不十分な予後に関連するからである。がん細胞の検出と同様に後の治療における放射標識腫瘍組織特異的抗体の使用は、放射線医学(radio medicine)にとって潜在的に有望な方法である。しかし、この種の手法は低い信号対雑音
比が妨げになっており、それは、わずかな放射性同位体のみが標的化部分/抗体に結合されうるという事実、および目的の放射性同位体が短い(通常、抗体の半減期より短い)半減期を有するという事実に起因している。したがって、放射性同位体のカーゴを増やすことがきわめて望ましい。この実施例には、改善された腫瘍細胞の検出および治療のために放射標識抗体Cellophilコンジュゲートが記載されている。
実施例33~35に提示された手順により合成されたDBCO機能化Cellophilポリマーを、Dennler et al. (Bioconjugate Chem. (2014) 25: 569 -578)
により記載された手順により295位のグルタミン(Q295)がアジド基で機能化されているIgGタイプのがん細胞特異的抗体(例えば、Her2+がん細胞を標的にするトラスツズマブ)にコンジュゲートする。
簡潔には、抗体をPNGアーゼF(Merck KGaA、Darmstadt、Germany)で脱グリコシル化する。PBS(pH7.4)中のトラスツズマブ(Carbosynth Ltd、Berkshir、UK)10μgあたり1単位の酵素を含有する反応混合物を、Q295を活性化するため、37℃で一晩インキュベートする。続いて、PBS(pH8)中の脱グリコシル化トラスツズマブ(6.6μm)をNH-PEG-アジド(80モル当量)および微生物トランスグルタミナーゼ(MTGアーゼ)(6U/mL、Zedira、Darmstadt、Germany)と共に37℃で16時間インキュベートする。インキュベートした後、MTGアーゼ活性を、MTGアーゼ反応停止剤(reactionstopper)(Zedira、Darmstadt、Germany)
の添加により遮断する。過剰NH-PEG-アジド、MTGアーゼおよび残存PNGアーゼFを除去するため、反応混合物を、Amicon(登録商標)Ultra 4mLカラム(100kDa MWCO、Merck KGaA、Darmstadt、Germany)を使用してNHOAc(0.5m、pH5.5)に緩衝剤交換する(3回)。
続いて実際のクリック反応は、トラスツズマブ-(NH-PEG-アジド)を3倍モル過剰のDBCO機能化Cellophilポリマーと共に37℃で3時間インキュベートすることによって実施して、トラスツズマブ-(Cellophil-DOTAを生じる。過剰ポリマーおよび非機能化トラスツズマブをサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により除去し、完全機能化抗体を含有する画分をプールすることができる。
111-InClによる抗体Cellophilコンジュゲート(トラスツズマブ-(Cellophil-DOTAの1μgあたり4MBq)の放射標識を37℃で1時間実施し、その後、インジウム-111標識抗体ポリマーコンジュゲートを、0.5mL/分の流速で実施するSuperdex75 10/300GLカラム(GE Healthcare、Chicago、USA)のSECにより精製する。大ピーク画分をプールする。得られたトラスツズマブ-[Cellophil-(DOTA-In-111)を使用して、陽電子放射断層撮影法(PET)により、例えば、乳がん、結腸がん、または肺がんの患者において、従来の抗体放射性同位体複合体によって得ることができる感受性より高い感受性でHer2+がん細胞を検出することができる。感受性の増加は、In-111カーゴが従来の放射標識抗体と比較して増加していることに起因する。
同じ手順を使用して、ルテチウム177などの適切な治療用放射性同位体が負荷された治療用抗体Cellophilコンジュゲートを調製することができる[上記に記載された手順に使用された111-InClを177-LuClに置換する]。
(実施例37)
シクロアルキンCellophil(DOTA)-COHの合成
本開示のコポリマーをクリック反応性シクロアルキン基、例えばDBCOにより機能化するため、クリック反応性部分を、RAFT基の除去の際に組み込むことができる。
ステップ1-シクロアルキン開始剤の合成
DBCO修飾開始剤を、Ulbrichおよび同僚のプロトコール(Polym. Chem., 2014 5, 1340)に従って合成する。
ステップ2-RAFT-Cellophil-COHコポリマーの合成:
RAFT-Cellophil-COHコポリマーの合成は、実施例13に記載された一般的プロトコール(ステップ6~7のエチルRAFT試薬から出発する)に従って達成される。
ステップ3-シクロアルキンCellophil(DOTA)-COHコポリマーの合成:
DMSO/ddHO(1/1)中のRAFT-Cellophil-COHの溶液に、シクロアルキン含有開始剤(20当量)を一度に加える。反応混合物を封止し、黄色が消滅するまで(4時間)70℃で加熱する。そのうえ、反応の進行をHPLCによって追跡する。得られた溶液を室温に冷却し、pHを、p-NCS-Bz-DOTA-GA(Chematech)またはDOTA-NHS(コポリマーにおける反応性アミノ基1つあたり2当量)を加える前に8に調整する。混合物をddHO(MWCO:5000Da)で透析し、濃縮液を凍結乾燥し、NMR分光法およびSECにより特徴付ける。
(実施例38)
Her2受容体過剰発現がん細胞を標的にする治療薬のための放射標識トラスツズマブ-[Cellophil-(DOTAコンジュゲートの合成
実施例33および35に提示された手順により合成されたDBCO機能化Cellophilポリマーを、製造会社のプロトコールに従って使用した市販の酵素ベース修飾キット(SiteClick(商標)Antibody Labeling System、Thermo-Fisher-Scientific、Waltham、USA)により、重鎖1つあたり2つのアジド基で機能化されている(抗体1つあたり最大4つのアジド基の付加をもたらす)IgGタイプのがん細胞特異的抗体(Her2+がん細胞を標的にするトラスツズマブ(登録商標))にコンジュゲートした。
トラスツズマブ-アジドにおけるアジド基へのカップリングは、抗体のアジド基に対して1.5倍モル過剰のDBCO-Cellophilコポリマーを使用し、実施例36に提示されたプロトコールに従って実現した。カップリングの成功は、SDS-PAGEにより検証した。
177-LuClによる放射標識[トラスツズマブ-(Cellophil-DOTAの1μgあたり8MBq]は、37℃で1時間インキュベートすることによって実施し、その後、ルテチウム-177標識抗体ポリマーコンジュゲートを、Superdex75 10/300GLカラム(GE Healthcare、Chicago、USA)のSECにより精製する。得られたトラスツズマブ-[Cellophil-(DOTA-Lu-177)を使用して、Her2過剰発現がん細胞を標的にし、破壊することができる。
同じ手順を使用して、放射性同位体Lu-177を適切な診断用放射性同位体、例えばガリウム68に置換して[上記に提示された手順において177-LuClを68-GaClに置換することにより]、診断用抗体Cellophilコンジュゲートを調製することができる。
(実施例39)
mTgタグCellophilからの、Her2受容体過剰発現がん細胞を標的にする診断薬および治療薬のための放射標識トラスツズマブ-[Cellophil-(DOTAコンジュゲートの合成
実施例34のCellophilコポリマーを、基質としてコポリマーのNH-PEG基を使用して、トランスグルタミナーゼ媒介反応により、トラスツズマブのようなモノクローナル抗体に直接カップリングすることができる。このため、実施例36のプロトコールを使用するが、NH2-PEG-アジドをNH-PEG-DMA30/AK-DOTAに置き換え、抗体の40倍のモル過剰量で使用して16個のキレート剤を有する抗体、すなわち、トラスツズマブ-[Cellophil-(DOTAを生成することが例外である。
(実施例40)
TCO-Tzクリック化学による標的化部分へのカップリングのための、テトラジン機能化Cellophilコポリマーの合成
ステップ1:テトラジン-Cellophilコポリマーの合成:
乾燥DMSO(1.5mL)中の実施例34のCellophilコポリマー(3.6μmol)、2,5-ジオキソピロリジン-1-イル2-(4-(6-メチル-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル)アセテート(18μmol)およびトリエチルアミン(7.2μmol)の溶液を、25℃で24時間撹拌した。次いで、得られた混合物を0.1Mの炭酸アンモニウムで透析し(MWCO 3.5kDa)、濃縮液をフリーズドライして、テトラジン-Cellophil[DMA30/AK-DOTA]を得た。反応をSECにより追跡し、得られた化合物の構造をNMR分光法により検証した。
(実施例41)
テトラジン-歪みアルキン[4+2]付加環化を利用する蛍光団修飾Cellophil-[DMA30/AK-DOTA)の合成
乾燥DMSO(0.5mL)中の実施例40のテトラジン修飾Cellophilコポリマー(1.3μmol)および(E)-6-アミノ-9-(2-カルボキシ-5-((5-(((シクロオクタ-4-エン-1-イルオキシ)カルボニル)アミノ)ペンチル)カルバモイル)フェニル)-4,5-ジスルホ-3H-キサンテン-3-イミニウム(1.3μmol)の溶液を、25℃で24時間撹拌した。次いで、得られた混合物を0.1Mの炭酸アンモニウムで透析し(MWCO 3.5kDa)、濃縮液をフリーズドライして、AF色素488クリックCellophilを得た。反応をGPCにより追跡し、得られた化合物の構造をNMR分光法により検証した。蛍光団標識Cellophil誘導体を使用して、例えば、強力な読み取りシグナルが有益である血流内のコポリマーの半減期または腎排出を決定するために、薬力学的研究を実施することができる。
(実施例42)
TCO修飾タンパク質へのCellophilテトラジン-[DMA30/AK-DOTA)のカップリング
実施例40のテトラジン機能化Cellophilコポリマーの溶液(3当量)をPBS(pH7.4)に溶解し、PBS(pH7.4)に溶解したトランスシクロオクテン(TCO)修飾タンパク質[NH-PEG-TCOをNH-PEG-アジドに置換
して実施例36に提示された方法と同様の方法によって調製することができる](2つのTCO基を含む1当量)を撹拌下、室温で3時間かけて滴下により添加する。続いて未反応ポリマーを、100kDaのMWCOを有する膜を使用する透析により除去する。反応の成功をSDS-PAGEおよびHPLCにより追跡する。
(実施例43)
AK-DOTAの合成
無水DMF(1mL)中のAK(50mg、250μmol)およびEtN(104μL、749μmol)の溶液に、DOTA-NHS(HPF/TFA塩)(200mg、262μmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、綿のパッドでろ過した。ろ液をMeCNに沈殿させ、次いでろ過した。ケーキをMeCNで洗浄し、減圧下で乾燥して、白色の粉末(95mg、65%)を得た。この化合物を、重合の際にコポリマーへのキレート剤の指向組み込みに使用することができる。

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  1. 本明細書に記載の発明。
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