JP2024081497A - 流体抵抗低減構造、流体抵抗低減フィルム、および、移動体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 物体の表面に適用されて、効果的に流体抵抗を低減することが可能な流体抵抗低減構造、流体抵抗低減フィルム、および、移動体を提供する。【解決手段】本開示の流体抵抗低減構造は、平面視において、凸部と凹部から構成される凹凸構造を有する第1領域と、前記第1領域に隣接する第2領域と、を有し、第1方向において、前記第1領域と前記第2領域とが交互に配置されており、前記第1領域および前記第2領域は、前記第1方向に交差する方向に帯状に延びており、前記第1領域が帯状に延びる方向に向かって、前記第1領域の幅が大きくなる形態を、少なくとも部分的に有している。【選択図】 図11

Description

本開示は、流体抵抗低減構造、流体抵抗低減フィルム、および、移動体に関する。
近年、流体中を移動する移動体や流体移送等の分野において、省エネルギーおよび二酸化炭素排出量削減の実現のために、流体抵抗低減技術に関する研究が盛んに行われている。
従来、流体抵抗低減技術としては、例えば物体の表面に凹凸を設けることが知られている。例えば、特許文献1には、微小な凹凸が一様に分布するように形成された粗面と平滑な壁面との境界において縦渦を生成して壁面からの流れの剥離を抑制する技術思想が開示されている。
特開2013-57390号公報
しかしながら、特許文献1には、粗面および滑面の具体的な形状や構成については詳しく言及されていない。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、物体の表面に適用されて、効果的に流体抵抗を低減することが可能な流体抵抗低減構造、流体抵抗低減フィルム、および、移動体を提供することを主たる目的とする。
本開示の流体抵抗低減構造は、流体抵抗を低減することが可能な流体抵抗低減構造であって、平面視において、凸部と凹部から構成される凹凸構造を有する第1領域と、前記第1領域に隣接する第2領域と、を有し、第1方向において、前記第1領域と前記第2領域とが交互に配置されており、前記第1領域および前記第2領域は、前記第1方向に交差する方向に帯状に延びており、前記凸部の高さが10μm以上1000μm以下であり、前記第1方向に交差する方向に帯状に延びる前記第1領域の長さが25mm以上であり、前記第1方向における前記第1領域の幅および前記第2領域の幅が0.2mm以上50mm以下であり、前記第1領域が帯状に延びる方向に向かって、前記第1領域の幅が大きくなる形態を、少なくとも部分的に有している。
本開示の流体抵抗低減構造は、流体抵抗を低減することが可能な流体抵抗低減構造であって、平面視において、凸部と凹部から構成される凹凸構造を有する第1領域と、前記第1領域に隣接する第2領域と、を有し、第1方向において、前記第1領域と前記第2領域とが交互に配置されており、前記第1領域および前記第2領域は、前記第1方向に交差する方向に帯状に延びており、前記凸部の高さが10μm以上1000μm以下であり、前記第1方向に交差する方向に帯状に延びる前記第1領域の長さが25mm以上であり、前記第1方向における前記第1領域の幅および前記第2領域の幅が0.2mm以上50mm以下であり、前記第1領域が帯状に延びる方向に向かって、前記第1領域の幅が小さくなる形態を、少なくとも部分的に有している。
本開示の流体抵抗低減構造は、流体抵抗を低減することが可能な流体抵抗低減構造であって、平面視において、凸部と凹部から構成される凹凸構造を有する第1領域と、前記第1領域に隣接する第2領域と、を有し、第1方向において、前記第1領域と前記第2領域とが交互に配置されており、前記第1領域および前記第2領域は、前記第1方向に交差する方向に帯状に延びており、前記凸部の高さが10μm以上1000μm以下であり、前記第1方向に交差する方向に帯状に延びる前記第1領域の長さが25mm以上であり、前記第1方向における前記第1領域の幅および前記第2領域の幅が0.2mm以上50mm以下であり、一の前記第1領域において、前記第1領域が帯状に延びる方向に向かって、前記第1領域の幅が大きくなる形態を部分的に有し、かつ、前記第1領域が帯状に延びる方向に向かって、前記第1領域の幅が小さくなる形態を、部分的に有している。
本開示の流体抵抗低減構造において、前記凸部が、前記第1領域が延びる方向に複数配列されており、前記第1領域が延びる方向において隣り合う前記凸部の間隔が、前記凸部の高さの1倍以上12倍以下であってもよい。
本開示の流体抵抗低減構造において、前記凸部が、前記第1方向に沿って直線状に延びる形態を有していてもよい。
本開示の流体抵抗低減構造において、前記第1方向に沿って直線状に延びる形態を有する前記凸部の前記第1方向に直交する方向の幅が、該凸部の高さの1倍以上2倍以下であってもよい。
本開示の流体抵抗低減フィルムは、前記流体抵抗低減構造を、樹脂基材の第1面に有している。
本開示の流体抵抗低減フィルムにおいて、前記第1面における前記第1方向の伸びの大きさが、前記第1領域および前記第2領域が帯状に延びる方向の伸びの大きさよりも小さくてもよい。
本開示の移動体は、前記流体抵抗低減構造を有している。
本開示によれば、物体の表面に適用されて効果的に流体抵抗を低減することが可能な流体抵抗低減構造、流体抵抗低減フィルム、および、移動体を提供することができる。
本開示の流体抵抗低減フィルムの一例を示す概略平面図および概略断面図 本開示の流体抵抗低減フィルムの一例を示す概略斜視図 本開示の流体抵抗低減フィルムにおける気体の流れを説明する模式図 流体抵抗低減フィルムにおける気体の流れを説明する模式図 本開示の流体抵抗低減フィルムを例示する概略断面図 本開示の流体抵抗低減フィルムの他の例を示す概略斜視図 本開示の流体抵抗低減フィルムの他の例を示す概略平面図および概略断面図 本開示の流体抵抗低減フィルムの他の例を示す概略平面図および概略断面図 本開示の流体抵抗低減フィルムの積層構成を例示する概略断面図 本開示の移動体の一例を示す概略側面図 変形例1の流体抵抗低減構造の一部を例示する概略平面図 変形例2の流体抵抗低減構造の一部を例示する概略平面図 変形例3の流体抵抗低減構造の一部を例示する概略平面図 変形例4の流体抵抗低減構造の一部を例示する概略平面図 変形例5の流体抵抗低減構造の一部を例示する概略平面図 変形例6の流体抵抗低減構造の一部を例示する概略平面図 変形例7の流体抵抗低減構造の一部を例示する概略平面図 トラック形状の模型を示す上面図、側面図および背面図
下記に、図面等を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」、あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。また、本明細書において、ある部材の面に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
また、本明細書において、「フィルム」の形態には、「シート状」および「ウェブ状」の形態や、「ロール体」の形態が含まれる。
以下、本開示の流体抵抗低減構造、流体抵抗低減フィルム、および、移動体について詳細に説明する。
[流体抵抗低減フィルム]
まず、本開示の流体抵抗低減フィルムについて説明する。本開示の流体抵抗低減フィルムは、流体抵抗低減構造を、樹脂基材の第1面に有する。より詳しくは、本開示の流体抵抗低減フィルムは、表面である第1面に、凹凸構造を有する第1領域と、第1領域に隣接する第2領域と、を有している。そして、第1面における第1方向において、第1領域と第2領域とが交互に配置されている。また、第1領域および第2領域は、第1方向に交差する方向に帯状に延びている。
本開示の流体抵抗低減フィルムは、第1面における第1方向の伸びの大きさが、前記第1領域および前記第2領域が帯状に延びる方向の伸びの大きさよりも小さくてもよい。
本開示の流体抵抗低減構造および流体抵抗低減フィルムは、物体の表面に適用することにより、流体抵抗を低減することができ、その結果、省エネルギーおよび二酸化炭素排出量削減を実現することができる。
また、本開示の流体抵抗低減フィルムは、例えば貼付等により物体の表面に適用することができ、物体の表面に流体抵抗低減構造を容易に付与することができる。また、本開示の流体抵抗低減フィルムは、曲面や立体形状にも適用可能である。また、本開示の流体抵抗低減フィルムは、貼り直しや貼り替えも可能である。
さらに、本開示の流体抵抗低減フィルムは、特定方向の伸びの大きさがこの特定方向に交差する方向の伸びの大きさよりも小さくすることで、物体の表面に追従してこの特定方向に交差する方向に引き伸ばされても、流体抵抗低減構造を構成する凹凸構造が損傷を受けることを抑制可能であり、物体の表面、特に曲面を有する物体の表面に適用されて、効果的に流体抵抗を低減することができる。
本開示の流体抵抗低減構造および流体抵抗低減フィルムは、流体の中でも、気体、特に空気の流れに対して、好ましく適用され得る。
以下、本開示の流体抵抗低減構造および流体抵抗低減フィルムの各構成について、図面を用いて説明する。
1.流体抵抗低減構造
図1は、本開示の流体抵抗低減フィルムの一例を示す概略平面図および概略断面図であり、図1(a)は、本開示の流体抵抗低減フィルムの一例を示す概略平面図、図1(b)は図1(a)のA-A線断面図、図1(c)は図1(a)のB-B線断面図である。また、図2は本開示の流体抵抗低減フィルムを例示する概略斜視図である。
なお、図(a)1においては、平面形態が略矩形のシート状の流体抵抗低減フィルムを例示している。
図1(a)~(c)および図2に示すように、流体抵抗低減フィルム1は、第1面10に第1領域2と第1領域2に隣接する第2領域3とを有しており、第1領域2と第2領域3とが、第1方向d1に交互に配置されている。また、第1領域2および第2領域3は、第1方向に交差する方向(図1における方向d2)に帯状に延びている。
第1領域2には、凸部11と凹部12を有する凹凸構造4が設けられており、凸部11と凹部12は、第1領域2が延びる方向(図1における方向d2)に複数配列されている。
図1(a)~(c)および図2において、H1は凸部11の高さを示し、L1は第1領域2が延びる方向(方向d2)における第1領域2の長さを示し、W1は第1方向d1における第1領域2の幅を示し、W2は第1方向d1における第2領域3の幅を示す。
ここで、「凸部11の高さ」とは、凸部11の底部から頂部までの距離であり、図1に示す流体抵抗低減フィルム1においては、図1(c)に示すように、凸部11と凹部12との段差と規定することができる。
また、「第1領域2の長さ」とは、第1領域2が延びる方向(方向d2)における第1領域2の一方の端に位置する凸部11の端部から、第1領域2が延びる方向(方向d2)における第1領域2の他方の端に位置する凸部11の端部までの距離である。
例えば、図1に示す流体抵抗低減フィルム1において第1領域2の長さL1は、図1(a)に示す第1領域2の方向d2の左端に位置する凸部11の左端から、図1(a)に示す第1領域2の方向d2の右端に位置する凸部11の右端までの距離、と規定することができる。
また、「第1領域2の幅」とは、第1領域2に配列された凸部11の第1方向d1における一方の端から他方の端までの距離であり、例えば、図1に示す流体抵抗低減フィルム1において第1領域2の幅W1は、図1(a)に示す第1領域2に配列された凸部11の第1方向d1における一方の端から他方の端までの距離、と規定することができる。
また、「第2領域3の幅」とは、第1方向d1において、第2領域3に隣接する一方の第1領域2に配列された凸部11の該第2領域3の側の端から、該第2領域3に隣接する他方の第1領域2に配列された凸部11の該第2領域3の側の端までの距離である。
例えば、図1に示す流体抵抗低減フィルム1において第2領域3の幅W2は、図1(a)に示す第1方向d1において、第2領域3に隣接する図中上方の第1領域2に配列された凸部11の該第2領域3の側の端から、該第2領域3に隣接する図中下方の第1領域2に配列された凸部11の該第2領域3の側の端までの距離、と規定することができる。
なお上記の凸部11の各寸法や間隔は、レーザー顕微鏡により測定することができる。
図3(a)、(b)は、本開示の流体抵抗低減フィルムにおける気体の流れを説明する模式図であり、図3(b)は図3(a)のA-A線断面図である。図3(a)に示すように、流体抵抗低減フィルム1の表面(第1面10)を方向d2に沿って気体Fが流れると、図3(b)に示すように、第1領域2と第1領域2に隣接する第2領域3との境界近辺において渦が生じる。この渦には流体抵抗低減フィルム1の表面(第1面10)に垂直な方向の成分の縦渦LVも含まれる。そして、この縦渦LVが生じることにより、気体Fの流れが流体抵抗低減フィルム1の表面から剥離していくことを抑制することができる。
すなわち、流体抵抗低減フィルム1を貼付等により物体の表面に適用することで、物体にかかる流体抵抗(特に、圧力抵抗)を低減することができる。
流体抵抗低減フィルム1においては、第1領域2が延びる方向(方向d2)における第1領域2の長さL1が所定の値以上であることにより、縦渦LVを効果的に発生させることができる。
ここで、気体の流れの中に物体を置いた場合、物体に作用する抗力には、例えば圧力抵抗や摩擦抵抗があり、圧力抵抗は一般的に気体の流れの剥離によって発生する。圧力抵抗が問題となるのは、例えば、自動車、電車、航空機等の移動体や、ダクト、ガス管等の管内や、風車や、空調設備等の物体においてであり、これらの物体に流れる気体の流速は、例えば、3m/s以上250m/s以下程度(10km/h以上900km/h以下程度)である。
上記凹凸構造においては、例えば物体に流れる気体の流速が上記範囲内である場合に、凸部11の高さH1を所定の範囲内で適宜調整することにより、縦渦LVを発生しやすくすることができる。
ここで、物体まわりの流れにおいて、物体表面のごく薄い層では粘性の影響を強く受ける。この粘性による影響を強く受ける層を境界層と呼ぶ。
図4(a)~(c)は、流体抵抗低減フィルムにおける気体の流れを説明する模式図である。より詳しくは、図1(b)に示す流体抵抗低減フィルム1の第1領域2の幅W1および第2領域3の幅W2と、図3(a)に示す気体Fの流れの中において第1領域2と第2領域の境界付近で発生する縦渦LVとの関係を示す模式図である。なお、図4(a)~(c)中、δは、上記の境界層の厚さを示す。
例えば図4(a)に示すように、第1領域2の幅W1および第2領域3の幅W2が大きい場合には、第1領域2と第2領域との境界付近では大きな縦渦LVが発生するものの、第1領域2の中央部分および第2領域の中央部分までは縦渦LVが回り込みにくい。
また、例えば図4(c)に示すように、第1領域2の幅W1および第2領域3の幅W2が小さい場合には、第1領域2と第2領域との境界付近で発生する縦渦LVが小さく、境界層(厚みδ)の外縁まで縦渦LVが到達しにくい。
すなわち、第1領域2の幅W1および第2領域3の幅W2が、気体の流れの速度に対して不適切な場合は、気体の流れの剥離を抑制することはできるものの、その効果は小さい。
これに対し、第1領域2の幅W1および第2領域3の幅W2を、適切な所定の範囲内とすることにより、例えば図4(b)に示すように、第1領域2と第2領域との境界付近に大きな縦渦LVを発生させることができ、境界層(厚みδ)の全体で縦渦LVの効果(すなわち、気体Fの流れが流体抵抗低減フィルム1の表面から剥離していくことを抑制する効果)を生じさせることができる。
次に、本開示の流体抵抗低減構造の第1領域および第2領域について説明する。
本開示の流体抵抗低減構造において、第1領域2が延びる方向(図1に示す流体抵抗低減フィルム1における方向d2)における第1領域2の長さ(図1に示す流体抵抗低減フィルムにおける長さL1)は、例えば、25mm以上であることが好ましく、30mm以上であることがより好ましい。第1領域2が延びる方向における第1領域2の長さが短すぎると、第1領域2と第1領域2に隣接する第2領域3との境界近辺において縦渦が発生しにくくなり、流体の流れの剥離を抑制する効果が小さくなる可能性がある。
一方、第1領域2が延びる方向における第1領域2の長さが25mm以上であることにより、第1領域2と第1領域2に隣接する第2領域3との境界近辺において縦渦LVを効率的に確実に発生させることができる。
第1領域2が延びる方向における第1領域2の長さの上限については、特に制限は無いが、物体の表面への貼付け等における取り扱いの容易性からは、例えば、1000mm以下であることが好ましい。
ここで、第1領域2が延びる方向における第1領域2の長さは、例えば図5(a)に示すように、流体抵抗低減フィルム1の表面が曲面である場合には、曲面上の第1領域2が延びる方向における第1領域2の長さ(図5(a)に示すL1)をいう。
また、本開示の流体抵抗低減フィルムにおいて、凸部の高さ(図1(a)に示す流体抵抗低減フィルム1における凸部11の高さH1)は、図4に示す境界層の厚みδの1/100以上1/10以下程度であることが好ましい。なお、流体の流速が速いほど、境界層の厚みδは薄くなる。
例えば、凸部の高さは、10μm以上1000μm以下であることが好ましく、50μm以上200μm以下であることがより好ましい。上述したように、例えば、自動車、電車、航空機等の移動体や、ダクト、ガス管等の管内や、風車、空調設備等の物体において、物体に流れる気体の流速は3m/s以上250m/s以下程度(10km/h以上900km/h以下程度)である。本開示の流体抵抗低減フィルムをこれらの物体の表面に適用する場合、凸部の高さを上記範囲内で適宜調整することにより、第1領域2と第1領域2に隣接する第2領域3との境界近辺において縦渦LVを発生しやすくすることができる。
また、本開示の流体抵抗低減構造において、第1方向d1における第1領域2の幅(図1(a)に示す流体抵抗低減フィルム1における幅W1)は、境界層の厚みδと同じ大きさであることが好ましい。例えば、第1方向d1における第1領域2の幅は、0.2mm以上50mm以下であることが好ましく、1mm以上25mm以下であることがより好ましい。第1方向d1における第1領域2の幅が上記範囲内であることにより、第1領域2と第1領域2に隣接する第2領域3の境界付近にて大きな縦渦LVが発生し、境界層の全体で縦渦LVを生成させることができる。
また、本開示の流体抵抗低減構造において、第1方向d1における第2領域3の幅(図1(a)に示す流体抵抗低減フィルム1における幅W2)は、第1方向d1における第1領域2の幅と同じ大きさであってもよく異なる大きさであってもよいが、第1方向d1における第1領域2の幅と同じ大きさであることが好ましい。第1方向d1における第2領域3の幅の大きさが、第1方向d1における第1領域2の幅の大きさと同じ程度であれば、第1領域2と第1領域2に隣接する第2領域3の境界付近において、より大きな縦渦LVが発生し、効果的に境界層の全体で縦渦LVを生成させることができる。
ここで、第1方向d1における第1領域2の幅は、例えば図5(b)に示すように、流体抵抗低減フィルム1の表面が曲面である場合には、曲面上の第1方向d1における第1領域2の幅(図5(a)に示すW1)をいう。第1方向d1における第2領域3の幅についても、同様である。
図1、図2に示す流体抵抗低減フィルム1においては、第1領域2に配列される凸部11の形態として、第1方向に沿って直線状に延びる形態を例示しているが、これに限定されず、本開示の流体抵抗低減構造において凸部11の形態は、流体抵抗を低減することが可能な各種の形態とすることができる。例えば、凸部の平面視のパターン形状としては、ライン状、ドット状等の各種パターンが挙げられる。
ライン状のパターンとしては、例えば、直線状、折れ線状、曲線状等のパターンが挙げられる。
なお、上記の「直線状のパターン」とは、平面視において、特定の方向に沿った長手の直線部分を有するパターンのことである。また、「第1方向に沿って直線状に延びる形態」とは、平面視において、第1方向に沿った長手の直線状部分を有する形態のことである。
例えば、図2に示す凸部11のように、第1方向d1に沿って延びる直方体の形態等が当てはまる。ただし、厳密に直方体の形態である必要はなく、例えば、平面視において、第1方向に沿った長手の直線状部分以外の部分は、曲線で形成されていてもよい。断面形状も矩形以外に台形等であってよい。また、第1方向に沿った長手の直線状部分も、厳密に直線である必要はなく、材料や製造過程に応じた凹凸や歪みを有していてもよい。
また、図1、図2に示す流体抵抗低減フィルム1においては、凸部11の平面視のパターン形状として直線状のパターンを例示し、直線状のパターンの長手方向が、第1方向d1に沿って延びる形態を例示しているが、これに限定されず、本開示の流体抵抗低減構造において凸部11の直線状のパターンの長手方向は、流体抵抗低減構造が流体抵抗を低減することが可能な方向とすることができる。
例えば、凸部11の直線状のパターンの長手方向は、流体抵抗を低減することが可能な範囲において、第1方向d1に対して、0°±30°の角度範囲内とすることができる。
また、図1、図2に示す流体抵抗低減フィルム1においては、第1領域2に配列される凸部11の方向d2の断面形態として、矩形状の形態を例示しているが、これに限定されず、本開示の流体抵抗低減構造において凸部11の方向d2の断面形態は、流体抵抗を低減することが可能な各種の形態とすることができる。例えば、矩形状の他に、台形状、三角形状、半円形状、半楕円形状等、及びこれらが組み合わされた形状等が挙げられる。
凸部11が第1方向d1に沿って直線状に延びる形態を有する場合、凸部11の第1方向d1に直交する方向の幅は、凸部11の高さH1の1倍以上2倍以下であることが好ましい。この幅が小さすぎると、凸部11の形成が困難になるおそれがある。また、この幅が大きすぎると、流体抵抗を低減する効果が十分に生じないおそれがある。一方、この幅が凸部11の高さH1の1倍以上2倍以下であれば、凸部11の形成はより容易となり、流体抵抗を低減する効果も十分に生じ得る。
ここで、上記の凸部11の幅は、平面視において、凸部11の第1方向d1に直交する方向の幅のうち最も大きい幅をいう。例えば、凸部11の第1方向d1に直交する方向の断面形態が、台形状、三角形状、半円形状、半楕円形状等の場合、通常、最も大きい幅は凸部11の底部の幅になる。
第1領域2が延びる方向において隣り合う凸部11の間隔は、凸部11の高さH1の1倍以上12倍以下であることが好ましく、5倍以上12倍以下であることがより好ましい。
第1領域2と第2領域3との境界付近に縦渦LVを生じさせて流体抵抗を効果的に低減するには、凸部11への衝突により一旦第1面から剥離した流体が、再び第1面に近づいて次の凸部11に衝突するという現象が、流体の流れ方向において連続的に生じることが望ましい。すなわち、隣り合う凸部11の間隔が、この一旦第1面から剥離した流体が、再び第1面に近づくまでの距離に相当することが望ましい。
ここで、隣り合う凸部11の間隔が凸部11の高さH1の1倍未満では、上記の距離として短すぎる。また、隣り合う凸部11の間隔が凸部11の高さH1の12倍より大きい場合は、上記の距離として長すぎる。この距離は概ね、凸部11の高さH1の8倍程度と考えられている。
なお、第1領域2が延びる方向において隣り合う凸部11の間隔は、第1領域2が延びる方向における凹部12の幅に相当する。
また、本開示の流体抵抗低減構造においては、第1領域に複数配列されている凸部の少なくとも1つが、他の凸部と異なる形状を有していてもよい。例えば、第1領域に複数配列されている凸部の少なくとも1つが、他の凸部と異なる高さ、幅を有していてもよい。
このような、他の凸部と異なる形状を有している凸部は、位置決めや製品識別のためのマークとして使用できる。また、別途マークを設ける場合に比べて容易に製造できる。このようなマークとして使用する凸部は、サイズが小さくても、例えば、特定方向に周期的に形成することで検出可能である。また、他の凸部に比べて数が少なければ、流体抵抗低減構造としての流体制御の効果も低下させずに済む。
一方、別途マークを設ける場合は、例えば、流体抵抗低減フィルムの第1面に、このマークを設けるための領域が必要になる。
また、本開示の流体抵抗低減構造においては、第1領域2が有する凹凸構造の凹部12が第1面10に対して凹んでいてもよい。例えば、図6に示す流体抵抗低減フィルム1Aは、凹凸構造4の凹部12が第1面10に対して凹んでいる例である。
また、本開示の流体抵抗低減構造においては、第1領域2が有する凸部11の平面視のパターン形状がドット状であってもよい。
例えば、図7に示す流体抵抗低減フィルム1Bにおいては、第1領域2が有する凸部11の平面視のパターン形状がドット状であり、このドット状の凸部11が、第1領域2の幅方向(図7(a)に示す第1方向d1)および第1領域2が延びる方向(図7(a)に示す方向d2)に複数配列されている。
なお、図7(b)、(c)はそれぞれ図7(a)のA-A線断面図である。
流体抵抗低減フィルム1Bにおいては、ドット状の凸部11の接地面積が小さいため、第1領域2が延びる方向(図7(a)に示す方向d2)のみならず、第1領域2の幅方向(図7(a)に示す第1方向d1)を含む流体抵抗低減フィルム1Bの全ての面方向に対して、流体抵抗低減フィルム1Bを伸ばすことができる。
また、ドット状の凸部11の接地面積が小さいため、隣り合う凸部11の間に異物が溜まりにくい。それゆえ、異物が溜まることによって流体抵抗低減の効果が低下してしまうことを抑制する効果も奏する。
なお、図7(a)に示す流体抵抗低減フィルム1Bにおいては、複数のドット状の凸部11が、第1領域2の幅方向(図7(a)に示す第1方向d1)および第1領域2が延びる方向(図7(a)に示す方向d2)に、それぞれ一定の間隔で規則的に配列されているが、本開示の流体抵抗低減構造はこれに限定されない。
例えば、複数のドット状の凸部11は、第1領域2の幅方向(図7(a)に示す第1方向d1)および第1領域2が延びる方向(図7(a)に示す方向d2)に、ランダムに配列されていてもよい。
また、複数のドット状の凸部11のそれぞれの形態は同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、複数のドット状の凸部11のそれぞれの高さ、接地面積等は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、本開示の流体抵抗低減構造においては、第1領域2が有する凹部12の平面視のパターン形状がドット状であってもよい。
例えば、図8に示す流体抵抗低減フィルム1Cにおいては、第1領域2が有する凹部12の平面視のパターン形状がドット状である。
なお、図8(b)は図8(a)のA-A線断面図である。
流体抵抗低減フィルム1Cにおいては、ドット状の凹部12の開口面積が小さいため、第1領域2が延びる方向(図8(a)に示す方向d2)のみならず、第1領域2の幅方向(図8(a)に示す第1方向d1)を含む流体抵抗低減フィルム1Cの全ての面方向に対して、流体抵抗低減フィルム1Cを伸ばすことができる。
また、ドット状の凹部12は流体抵抗低減フィルム1Cの第1面から突出していないため、耐傷性の向上が期待できる。特に、ドット状の凹部12の開口面積が小さいため、この効果が期待できる。
なお、図8(a)に示す流体抵抗低減フィルム1Cにおいては、複数のドット状の凹部12が、第1領域2の幅方向(図8(a)に示す第1方向d1)および第1領域2が延びる方向(図8(a)に示す方向d2)に、それぞれ一定の間隔で規則的に配列されているが、本開示の流体抵抗低減フィルムはこれに限定されない。
例えば、複数のドット状の凹部12は、第1領域2の幅方向(図8(a)に示す第1方向d1)および第1領域2が延びる方向(図8(a)に示す方向d2)に、ランダムに配列されていてもよい。
また、複数のドット状の凹部12のそれぞれの形態は同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、複数のドット状の凹部12のそれぞれの深さ、開口面積等は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、本開示の流体抵抗低減構造においては、第2領域3に、流体抵抗低減の効果を奏する構造を設けてもよい。例えば、図1(a)に示す流体抵抗低減フィルム1において、第2領域3は、第2領域3が延びる方向(図1(a)に示す方向d2)に沿って延びる溝構造を有していてもよい。この溝構造は、第2領域3の幅方向(図1(a)に示す第1方向d1)に対して、複数並列されていてもよい。例えば、この並列間隔は数十ミクロンの大きさとすることができる。
このような溝構造を第2領域3に設けることにより、流体の摩擦抵抗を小さくすることができる。特に数十ミクロンの間隔の周期的な溝(リブレット構造)は、流体の摩擦抵抗を小さくする効果が大きい。
2.フィルムの構成
本開示における流体抵抗低減フィルムは、少なくとも樹脂基材を有することができる。本開示における流体抵抗低減フィルムは、樹脂基材の第1面に流体抵抗低減構造を有していればよく、例えば、流体抵抗低減構造は、樹脂基材と別体で構成されていてもよく、あるいは、樹脂基材と一体に構成されていてもよい。
流体抵抗低減構造が樹脂基材と別体で構成されている場合、流体抵抗低減構造の材料としては、例えば、硬化性樹脂組成物や熱可塑性樹脂等が挙げられる。硬化性樹脂組成物としては、紫外線硬化性樹脂組成物や電子線硬化性樹脂組成物等の電離放射線硬化性樹脂組成物や熱硬化性樹脂組成物等が挙げられる。
流体抵抗低減構造が樹脂基材と一体で構成されている場合、流体抵抗低減構造の材料としては、樹脂基材の材料と同様とすることができる。
樹脂基材の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂を用いることができ、汎用プラスチックやエンジニアリングプラスチックの中から適宜選択して用いることができる。中でも、耐候性および耐擦り性の観点から、塩化ビニル樹脂が好ましい。
樹脂基材は、必要に応じて、可塑剤、安定剤、滑剤、充填剤、着色剤、加工助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難撚剤等の添加剤を含有してもよい。
樹脂基材の厚さとしては、特に限定されるものではなく、流体抵抗低減フィルムの用途等に応じて適宜選択される。例えば、本開示の流体抵抗低減フィルムを、自動車、電車、航空機等の移動体のラッピングフィルムやマーキングフィルムに用いる場合には、樹脂基材の厚さは、80μm以上350μm以下程度とすることができる。
なお、本開示の流体抵抗低減フィルムの平面視の形状としては、特に限定されるものではなく、用途等に応じて適宜選択される。本開示の流体抵抗低減フィルムの平面視の形状は、例えば、矩形状、円形状、楕円形状、多角形状等のような単純な幾何学形状であってもよく、複雑な形状であってもよい。
ここで、本開示における流体抵抗低減フィルムにおいては、第1面における第1方向の伸びの大きさが、第1領域および第2領域が帯状に延びる方向の伸びの大きさよりも小さいことが好ましい。また、本開示における流体抵抗低減フィルムは、第1面における第1方向の伸びの大きさが、第1面において第1方向に交差する方向の伸びの大きさよりも小さいことが、より好ましい。言い換えれば、本開示における流体抵抗低減フィルムは、第1面における第1方向の伸びの大きさが、第1面における他のいずれの方向の伸びの大きさよりも小さいことが、より好ましい。
このような特徴を有することで、本開示における流体抵抗低減フィルムは、表面に曲面を有する物体であっても、物体の表面に適用されて効果的に流体圧力抵抗を低減することができる。
ここで、上記の「伸び」とは、材料に引張力を加えたときの変形量のことを言う。より具体的には、元の長さをLとし、伸びた変形量をΔLとするとき、このΔLを「伸び」と言う。
例えば、本開示における流体抵抗低減フィルムの各方向の「伸び」の大小の比較は、引張試験機等を用いて、それぞれの方向に対して同じ引張力および同じ速度で引張試験を行い、伸びた変形量の大小を比較することで得ることができる。この「伸び」の大小の比較においては、試料(流体抵抗低減フィルム)を破断させる必要はなく、破断する前の伸びによる変形量の大小比較で十分である。弾性領域で少なくともこの効果が確認されればよい。
また、本開示における流体抵抗低減フィルムの各方向の「伸び」の大小は、引張弾性率により評価してもよい。引張弾性率は、JIS K7161-1:2014(プラスチック-引張特性の求め方-第1部:通則)に準拠して測定される。この場合、例えば、引張試験機を用いて、試料(フィルム状の流体抵抗低減構造体)の各方向に対して引張試験を行うことにより、各方向の引張弾性率を測定する。引張試験の条件および引張試験の詳細については、後述の実施例の項に記載する。
例えば、図1、図2に示す流体抵抗低減フィルム1のように、凸部11が第1方向に沿って直線状に延びる形態を有する場合、流体抵抗低減フィルム1は第1方向d1の伸びの大きさが小さいことが好ましい。凸部11が伸びに対して柔軟性を有さない材料から構成されている場合、流体抵抗低減フィルム1が第1方向d1に引き伸ばされると、凸部11が引き伸ばしに耐えきれず、倒壊や剥離が生じてしまうおそれがあるからである。
ここで、第1領域2が延びる方向d2においては、流体抵抗低減フィルム1が引き伸ばされても、複数配列されている凸部11の間の凹部が伸びるため、第1方向d1に引き伸ばされる場合に比べて、凸部11の倒壊や剥離が生じてしまうおそれは小さい。
それゆえ、本開示における流体抵抗低減フィルムは、第1面における第1方向の伸びの大きさが、第1面において第1領域2が延びる方向d2の伸びの大きさよりも小さいことが好ましい。
また、例えば、多くのトラックやバス、電車等では、地面に対して略垂直な平面状の前面部分から、同様に地面に対して略垂直な平面状の側面部分につながる角部を有しており、この角部は通常小さい曲率半径を有している。
このような角部を含む部分では、前面部分から側面部分に向かって、流体である空気が流れるため、図1に示す流体抵抗低減フィルム1を適用する場合、第1領域2および第2領域3が延びる方向d2が、この空気の流れ方向と一致するように貼付け等を行うことが好ましい。例えば、流体抵抗低減フィルム1は、第1領域2および第2領域3が延びる方向d2が、角部の小さい曲率半径の曲面に沿って前面部分から側面部分に向かう方向となるように貼付けられる。例えば、図10に、トラックにおける上記の該当箇所に流体抵抗低減フィルム1を適用する例を示す。
この際、流体抵抗低減フィルム1は、角部の小さい曲率半径の曲面に沿って、第1領域2および第2領域3が延びる方向d2に引き伸ばされることがある。それゆえ、流体抵抗低減フィルム1は、第1領域2および第2領域3が延びる方向d2にある程度の伸びを有していることが、貼り付けを容易とする点から好ましい。
一方、第1方向d1については、特に引き伸ばされることはないため、特に伸びが大きいことは要求されない。
このような流体抵抗低減フィルムとするために、流体抵抗低減フィルムを構成する樹脂基材においても、特定の方向の伸びの大きさが、その特定方向に交差する方向の伸びの大きさよりも小さいことが好ましい。このような樹脂基材としては、例えば、一軸延伸された樹脂基材を挙げることができる。例えば、一軸延伸された樹脂基材においては、延伸された方向の伸びの大きさが、延伸された方向に交差する方向の伸びの大きさよりも小さい。
また、樹脂基材の材料にもよるが、一軸延伸に限らず二軸延伸であっても、通常、製造工程においてMD(Machine Dirrection)方向の伸びの大きさは、TD(Transverse Dirrection)方向の伸びの大きさに比べて小さくなる。例えば、このような樹脂基材として、二軸延伸されたPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂基材がある。それゆえ、二軸延伸された樹脂基材も、例えば、MD方向の伸びの大きさがTD方向の伸びの大きさに比べて小さい等、一方の方向の伸びの大きさが、該一方の方向に交差する他方の伸びの大きさに比べて小さい樹脂基材であれば、本開示の流体抵抗低減フィルムを構成する樹脂基材に用いることができる。
なお、本開示においては、製造された流体抵抗低減フィルムにおいて、その第1方向d1の伸びの大きさが、第1方向に交差する方向d2の伸びの大きさよりも小さくなっていればよい。それゆえ、用いられる樹脂基材は、必ずしも、第1方向d1の伸びの大きさが、第1方向に交差する方向d2の伸びの大きさよりも小さい樹脂基材に限定される必要は無い。例えば、第1方向d1の伸びの大きさが、第1方向に交差する方向d2の伸びの大きさと同じである樹脂基材であってもよく、さらには、第1方向d1の伸びの大きさが、第1方向に交差する方向d2の伸びの大きさよりも大きい樹脂基材であってもよい。
3.積層構成
本開示における流体抵抗低減フィルムは、他の層が積層された積層構成を有していてもよい。例えば、第1面とは反対側の面の側に、他の層を有していてもよい。他の層としては、例えば、粘着層、印刷層等を挙げることができる。
(粘着層)
本開示における流体抵抗低減フィルムは、例えば図9(a)に示すように第1面とは反対側の面の側に、粘着層21を有していてもよい。粘着層は、流体抵抗低減フィルムを物体の表面に貼付するための層である。粘着層を有することにより、物体の表面に流体抵抗低減フィルム容易に貼付することができる。
粘着層に用いられる粘着剤としては、用途等に応じて適宜選択され、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。
粘着層は、再剥離性を有していてもよく、有していなくてもよいが、中でも、再剥離性を有することが好ましい。粘着層が再剥離性を有する場合には、物体の表面に流体抵抗低減フィルムを貼付する際に貼り直しが可能であり、また流体抵抗低減フィルムを貼り替えたり除去したり場合には糊残りを生じることなく物体から流体抵抗低減フィルムを剥離することが可能である。
なお、「再剥離性」とは、物体の表面に流体抵抗低減フィルムを貼付した後で、物体を破壊せず、かつ物体表面に粘着剤を残さずに容易に剥離できる性質をいう。
粘着層の厚さとしては、特に限定されるものではなく、流体抵抗低減フィルムの用途等に応じて適宜選択される。例えば、粘着層の厚さは、5μm以上50μm以下程度とすることができる。
粘着層の形成方法としては、例えば、粘着剤組成物を塗布する方法や、粘着フィルムを貼合する方法等が挙げられる。
(印刷層)
本開示における流体抵抗低減フィルムは、第1面とは反対側の面の側に、印刷層を有していてもよい。流体抵抗低減フィルムが印刷層を有することにより、意匠性を付与することができる。印刷層は、例えば、文字、数字、記号、絵柄、模様、マーク等の情報を表示することができる。
印刷層の形成方法としては、例えば、流体抵抗低減フィルムの樹脂基材に直に印刷を施すことにより印刷層を形成してもよく、あるいは、例えば図9(b)に示すように、支持層22上に印刷を施すことにより印刷層23を形成してもよい。印刷層は、樹脂基材または支持層上にパターン状に配置されていてもよく、樹脂基材または支持層の全面に配置されていてもよい。また、印刷方法としては、特に限定されない。
支持層としては、印刷を施すことが可能であれば特に限定されるものではなく、例えば樹脂基材を用いることができる。
支持層は着色剤を含有していてもよい。支持層が着色剤を含有することにより、遮蔽性を付与することができる。例えば、物品の表面に意匠が施されている場合において、流体抵抗低減フィルムが印刷層を有し、支持層が着色剤を含有する場合には、物品の表面に流体抵抗低減フィルムを貼付することで、その意匠を隠し、新たな意匠を施すことができる。
支持層の厚さとしては、特に限定されるものではなく、流体抵抗低減フィルムの用途等に応じて適宜選択される。
また、支持層上に印刷を施すことにより印刷層を形成する場合、例えば図9(b)に示すように、支持層22と、支持層22の一方の面に配置された印刷層23とを有する印刷シートを別途作製し、この印刷シートを第2の粘着層24を介して流体抵抗低減フィルムの樹脂基材に貼合してもよい。
4.用途
本開示の流体抵抗低減構造および流体抵抗低減フィルムは、物体の表面に適用することができる。物体の表面は、平面であってもよく、曲面であってもよい。
具体的には、本開示の流体抵抗低減構造および流体抵抗低減フィルムは、乗用車、トラック、バス等の自動車や、電車、新幹線、機関車等の鉄道車両や、飛行機、ヘリコプター、ドローン等の航空機や、自転車等の気体中を移動する移動体の筐体や部品の表面に適用することができる。
また、本開示の流体抵抗低減構造および流体抵抗低減フィルムは、例えば、ダクト、ガス管等の管の内面や、風車の羽根の表面や、エアコン等の空調設備の吹き出し口やルーバー等の表面等に適用することもできる。
中でも、本開示の流体抵抗低減構造および流体抵抗低減フィルムは、移動体の筐体や部品の表面に適用することが好ましく、非流線形物体、具体的には鈍頭物体(bluff body)である移動体の表面に適用することが好ましい。鈍頭物体(bluff body)では、流体抵抗のうち、圧力抵抗の寄与が大きく、本開示の効果が顕著に発揮されるからである。鈍頭物体(bluff body)である移動体としては、例えば、トラック、バス、電車等が挙げられる。
本開示の流体抵抗低減構造および流体抵抗低減フィルムを物体の表面に適用する場合、流体抵抗低減構造の第2領域3が延びる方向と流体の流れ方向とのなす角度が、例えば0°±15°になるように配置することが好ましい。中でも、流体抵抗低減構造の第2領域3が延びる方向が流体の流れ方向に対して平行になるように配置することが好ましい。これにより、第1領域2と第1領域2に隣接する第2領域3と境界近辺において縦渦LVが生成しやすくなり、流体の流れが物体の表面から剥離してしまうことを効果的に抑制することができる。
[移動体]
次に本開示の移動体について説明する。本開示の移動体は、本開示の流体抵抗低減構造を有するものである。また、本開示の移動体は、本開示のフィルムを有するものであってもよい。
本開示の移動体においては、本開示の流体抵抗低減構造が、移動体の表面の全体に配置されていてもよく、移動体の表面の一部に配置されていてもよい。
中でも、本開示の流体抵抗低減構造は、移動体の表面において流体の剥離が生じやすい位置に配置されていることが好ましい。流体の剥離が生じやすい位置は、移動体の種類や形状等に応じて異なる。
本開示の移動体としては、例えば、乗用車、トラック、バス等の自動車や電車、新幹線、機関車等の鉄道車両や飛行機、ヘリコプター、ドローン等の航空機や自転車等の流体中を移動する移動体を挙げることができる。
図10はそれぞれ本開示の移動体の一例を示す概略側面図であり、移動体15がトラックの例である。図10に示すように、移動体15であるトラックは、表面に本開示の流体抵抗低減構造を有しており、
例えば、曲率半径が小さい角部の表面に、流体抵抗低減フィルム1が貼り付けされている。
このような角部を含む部分では、前面部分から側面部分に向かって、流体である空気が流れるため、図1に示す流体抵抗低減フィルム1を適用する場合、第1領域2および第2領域3が延びる方向d2が、この空気の流れ方向と一致するように貼付け等を行うことが好ましい。例えば、流体抵抗低減フィルム1は、第1領域2および第2領域3が延びる方向d2が、角部の小さい曲率半径の曲面に沿って前面部分から側面部分に向かう方向となるように貼付けられることが好ましい。
この際、流体抵抗低減フィルム1は、角部の小さい曲率半径の曲面に沿って、第1領域2および第2領域3が延びる方向d2に引き伸ばされることがある。それゆえ、流体抵抗低減フィルム1は、第1領域2および第2領域3が延びる方向d2にある程度の伸びを有していることが、貼り付けを容易とする点から好ましい。
一方、第1方向d1については、特に引き伸ばされることはないため、特に伸びが大きいことは要求されない。
[流体抵抗低減フィルムの製造方法]
次に、本開示の流体抵抗低減フィルムの製造方法について説明する。
本開示において、流体抵抗低減フィルムの第1領域に形成される凹凸構造の形成方法としては、例えば、樹脂基材の上に凹凸構造を形成する方法であってもよく、樹脂基材の一方の面に凹凸形状を賦形する方法であってもよい。
樹脂基材上に凹凸構造を形成する方法としては、例えば、硬化性樹脂組成物を用い、樹脂基材の上に硬化性樹脂組成物を所定のパターン状に塗布し、硬化させる方法や、紫外線硬化性樹脂組成物を用い、樹脂基材の上に紫外線硬化性樹脂組成物を塗布し、塗膜に金型を押し当て、紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させた後、金型から剥離する、いわゆるフォトポリマー法(2P法)や、電離放射線硬化性樹脂組成物を用い、樹脂基材の上に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線や電子線等の電離放射線をパターン状に照射し、現像する、いわゆるリソグラフィ法や、樹脂基材の上に樹脂層を形成し、樹脂層の表面をエンボス加工する方法等が挙げられる。
また、表面がエンボス加工された樹脂層を別途作製し、その樹脂層を樹脂基材の上にラミネートしてもよい。
樹脂基材の上に硬化性樹脂組成物を所定のパターン状に塗布し、硬化させる方法の場合、硬化性樹脂組成物の塗布方法としては、所望のパターン状に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、インクジェット法、スクリーン印刷法等が挙げられる。また、フォトポリマー法やリソグラフィ法の場合、硬化性樹脂組成物の塗布方法としては、一様に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、公知の塗布方法を適用することができる。
また、エンボス加工の方法の場合、樹脂層の材料としては、エンボス加工が可能なものであれば特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂を用いることができる。この場合、樹脂層の厚さとしては、凹凸構造の高さよりも大きければ特に限定されるものではなく、流体抵抗低減フィルムの用途等に応じて適宜選択される。例えば、本開示の流体抵抗低減フィルムを、自動車、電車、航空機等の移動体のラッピングフィルムやマーキングフィルムに用いる場合には、樹脂層の厚さは、30μm以上300μm以下程度とすることができる。
また、樹脂基材の一方の面に凹凸形状を賦形する方法としては、例えば、樹脂基材の片面または両面をエンボス加工する方法等が挙げられる。
本開示の流体抵抗低減フィルムの製造方法においては、円筒版を用いて、第1領域に上記の特定の凹凸構造を形成してもよい。例えば、上記のフォトポリマー法やエンボス加工の方法に円筒版を用いることができる。円筒版を用いることは、大量生産に好ましい。
特に、本開示の流体抵抗低減フィルムが、図1、図2に示す流体抵抗低減フィルム1のように、凸部11が第1方向d1に沿って直線状に延びる形態を有する場合、上記の流体抵抗低減構造形成工程が、第1方向d1に沿って回転する円筒版を用いて、第1領域2に、第1方向d1に沿って直線状に延びる形態を有する凸部11を形成する工程を含むことが好ましい。
円筒版の回転方向を、凸部11の長手方向と同じ方向(第1方向)にすることで、形成された凸部11が円筒版から離型する際に、凸部11が破壊されてしまうことを、抑制することができる。すなわち、不良の凸部11が形成されてしまうことを低減できる。
<変形例>
(変形例1)
本開示において、流体抵抗低減構造および流体抵抗低減フィルムは上記の形態に限定されず、任意に変更可能である。図11は、変形例1の流体抵抗低減構造の一部を例示する概略平面図である。
図11に示す流体抵抗低減構造201Aは、図1(a)~(c)および図2に示す流体抵抗低減フィルム1が有する流体抵抗低減構造と同様に、平面視において、凸部11と凹部12から構成される凹凸構造4を有する第1領域2Aと第1領域2Aに隣接する第2領域3Aと、を有し、第1面における第1方向d1において、第1領域2Aと第2領域3Aとが交互に配置されており、第1領域2Aおよび第2領域3Aは、第1方向d1に交差する方向(方向d2)に帯状に延びている。
そして、図11に示す流体抵抗低減構造201Aにおいては、第1領域2Aが帯状に延びる方向(方向d2)に向かって、第1領域2Aの幅が大きくなる形態を有している。
より具体的に述べると、図11に示される流体抵抗低減構造201Aにおいて、方向d2に帯状に延びる第1領域2Aは、図中左端の第1領域2Aの幅(W1L)が最も小さい幅であり、図中右側に向かって幅が大きくなっていき、図中右端の第1領域2Aの幅(W1R)が最も大きい幅になっている。
このような形態を有することで、流体抵抗低減構造201Aにおいては、流体抵抗をより低減することが可能となる。
例えば、図11において、流体が図中左側から右側に流れる場合、第1領域2Aの図中左端に位置する凸部11より左側に凸部11が存在しないため、第1領域2Aの図中左端に位置する凸部11の左端側は陽圧になり、流体の流れが乱れることになる。すなわち、第1領域2Aの図中左端に位置する凸部11は、他の凸部11に比べて大きな流体抵抗を受けることになる。そして、その流体抵抗の大きさは、図中左端に位置する凸部11の第1方向d1に沿った長さが大きくなるにつれて、大きくなる。
それゆえ、仮に、第1領域2Aの幅が図中左端から図中右端まで同じ大きさであった場合には、図中左端の凸部11のみが大きな流体抵抗を受け、その後の凸部11(すなわち、図中左端の凸部11に対し、より右側に位置する凸部11)は、あまり抵抗を受けないことになる。
一方、図11に示す流体抵抗低減構造201Aのように、第1領域2Aの図中左端に位置する凸部11の第1方向d1に沿った長さ(図中左端の第1領域2Aの幅(W1L)に相当)が最も小さく、図中右側に向かうにつれて、凸部11の長さが大きくなっていく形態を有していれば、図中左端の凸部11のみが大きな流体抵抗を受けることを回避でき、その後の凸部11(すなわち、図中左端の凸部11に対し、より右側に位置する凸部11)に、流体から受ける抵抗を分散させることができる。これにより、流体の流れは、より滑らかになり、流体の流れが第1面から剥離してしまうことを、より抑制できる。
それゆえ、図11に示す流体抵抗低減構造201Aは、流体抵抗をより低減することが可能となる。より詳しく述べると、図11に示す流体抵抗低減構造201Aにおいては、第1領域2Aの幅が最も小さい幅の側を、流体の流れの上流側に配置することで、第1領域2Aの幅が最も小さい幅の側の流体抵抗を、より低減することが可能となる。
(変形例2)
図12は、変形例2の流体抵抗低減構造の一部を例示する概略平面図である。この変形例2の第1領域2Bの平面形態は、上記の変形例1の第1領域2Aの右端側に、幅が左端側から右端側まで同じ大きさの平面形態を有する第1領域2を連結したような形態になっている。すなわち、この変形例2の第1領域2Bの平面形態は、第1領域2Bが帯状に延びる方向(方向d2)に向かって、第1領域2Bの幅が大きくなる形態を、部分的に有している。
より具体的に述べると、図12に示す流体抵抗低減構造201Bは、平面視において、凸部11と凹部12から構成される凹凸構造4を有する第1領域2Bと第1領域2Bに隣接する第2領域3Bと、を有し、第1面における第1方向d1において、第1領域2Bと第2領域3Bとが交互に配置されており、第1領域2Bおよび第2領域3Bは、第1方向d1に交差する方向(方向d2)に帯状に延びている。
そして、図12に示す流体抵抗低減構造201Bにおいて、方向d2に帯状に延びる第1領域2Bは、図中左端の第1領域2Bの幅(W1L)が最も小さい幅であり、図中左端から第1領域2Bの長さがPL1となる位置までは、図中右側に向かって幅が大きくなっていき、幅がW1Rに達した後は、図中右端までその幅の大きさ(W1R)を保ったまま延びる形態になっている。
このような形態を有することで、流体抵抗低減構造201Bにおいては、上記の変形例1と同様に、第1領域2Bの図中左端近傍における流体抵抗を、より低減することが可能となる。
それゆえ、第1領域2の幅が、第1領域2が帯状に延びる方向(方向d2)に向かって、一方の端から他方の端まで同じ大きさである形態に比べて、流体抵抗をより低減することが可能となる。
そして、図12に示す流体抵抗低減構造201Bにおいて、PL2の長さが、PL1の長さに比べて十分に長い場合(例えば、PL2の長さがPL1の長さの10倍以上ある場合)は、設計や使用において、図12に示す流体抵抗低減構造201Bは、第1領域2の幅が、第1領域2が帯状に延びる方向(方向d2)に向かって、一方の端から他方の端まで同じ大きさである形態と、実質的に同じ形態として扱うことができる。それゆえ、設計や使用において、特段の不都合も生じないことになる。
(変形例3)
図13は、変形例3の流体抵抗低減構造の一部を例示する概略平面図である。この変形例3の第1領域2Cの平面形態は、上記の変形例1の平面形態が左右反転した形態になっている。
すなわち、図13に示す流体抵抗低減構造201Cは、平面視において、凸部11と凹部12から構成される凹凸構造4を有する第1領域2Cと第1領域2Cに隣接する第2領域3Cと、を有し、第1面における第1方向d1において、第1領域2Cと第2領域3Cとが交互に配置されており、第1領域2Cおよび第2領域3Cは、第1方向d1に交差する方向(方向d2)に帯状に延びている。
そして、図13に示す流体抵抗低減構造201Cにおいては、第1領域2Cが帯状に延びる方向(方向d2)に向かって、第1領域2Cの幅が小さくなる形態を有している。より具体的に述べると、図13に示される流体抵抗低減構造201Cにおいて、方向d2に帯状に延びる第1領域2Cは、図中左端の第1領域2Cの幅(W1L)が最も大きい幅であり、図中右側に向かって幅が小さくなっていき、図中右端の第1領域2Cの幅(W1R)が最も小さい幅になっている。
このような形態を有することで、流体抵抗低減構造201Cにおいても、流体抵抗をより低減することが可能となる。
例えば、図13において、流体が図中左側から右側に流れる場合、第1領域2Cの図中右端に位置する凸部11より右側には凸部11が存在しないため、第1領域2Cの図中右端に位置する凸部11の右端側は陰圧になり、流体の流れが乱れることになる。すなわち、第1領域2Cの図中右端に位置する凸部11は、他の凸部11に比べて大きな流体抵抗を受けることになる。そして、その流体抵抗の大きさは、図中右端に位置する凸部11の第1方向d1に沿った長さが大きくなるにつれて、大きくなる。
それゆえ、仮に、第1領域2Cの幅が図中左端から図中右端まで同じ大きさであった場合には、図中右端の凸部11のみが大きな流体抵抗を受け、その前の凸部11(すなわち、図中右端の凸部11に対し、より左側に位置する凸部11)は、あまり抵抗を受けないことになる。
一方、図13に示す流体抵抗低減構造201Cのように、第1領域2Cの図中右端に位置する凸部11の第1方向d1に沿った長さ(図中右端の第1領域2Cの幅(W1R)に相当)が最も小さく、図中左側に向かうにつれて、凸部11の長さが大きくなっていく形態を有していれば、図中右端の凸部11のみが大きな流体抵抗を受けることを回避でき、その前の凸部11(すなわち、図中右端の凸部11に対し、より左側に位置する凸部11)と共に、流体から受ける抵抗を分散させることができる。これにより、流体の流れは、より滑らかになり、流体の流れが第1面から剥離してしまうことを、より抑制できる。
それゆえ、図13に示す流体抵抗低減構造201Cには、流体抵抗をより低減することが可能となる。より詳しく述べると、図13に示す流体抵抗低減構造201Cにおいては、第1領域2Cの幅が最も小さい幅の側を、流体の流れの下流側に配置することで、第1領域2Cの幅が最も小さい幅の側の流体抵抗を、より低減することが可能となる。
(変形例4)
図14は、変形例4の流体抵抗低減構造の一部を例示する概略平面図である。この変形例4の第1領域2Dの平面形態は、上記の変形例3の第1領域2Cの左端側に、幅が左端側から右端側まで同じ大きさの平面形態を有する第1領域2を連結したような形態になっている。すなわち、この変形例4の第1領域2Dの平面形態は、第1領域2Dが帯状に延びる方向(方向d2)に向かって、第1領域2Dの幅が小さくなる形態を、部分的に有している。
より具体的に述べると、図14に示す流体抵抗低減構造201Dは、平面視において、凸部11と凹部12から構成される凹凸構造4を有する第1領域2Dと第1領域2Dに隣接する第2領域3Dと、を有し、第1面における第1方向d1において、第1領域2Dと第2領域3Dとが交互に配置されており、第1領域2Dおよび第2領域3Dは、第1方向d1に交差する方向(方向d2)に帯状に延びている。
そして、図14に示す流体抵抗低減構造201Dにおいて、方向d2に帯状に延びる第1領域2Dは、図中左端から第1領域2Dの長さがPL2となる位置までは、第1領域2Dの幅が同じ大きさ(W1L)であり、図中左端から第1領域2Dの長さがPL2の位置を超えた後は、図中右側に向かって幅が小さくなっていき、図中右端の第1領域2Dの幅(W1R)が最も小さい幅になっている。
このような形態を有することで、流体抵抗低減構造201Dにおいては、上記の変形例3と同様に、第1領域2Dの図中右端近傍における流体抵抗を、より低減することが可能となる。
それゆえ、第1領域2の幅が、第1領域2が帯状に延びる方向(方向d2)に向かって、一方の端から他方の端まで同じ大きさである形態に比べて、流体抵抗をより低減することが可能となる。
そして、図14に示す流体抵抗低減構造201Dにおいて、PL2の長さが、PL3の長さに比べて十分に長い場合(例えば、PL2の長さがPL3の長さの10倍以上ある場合)は、設計や使用において、図14に示す流体抵抗低減構造201Dは、第1領域2の幅が、第1領域2が帯状に延びる方向(方向d2)に向かって、一方の端から他方の端まで同じ大きさである形態と、実質的に同じ形態として扱うことができる。それゆえ、設計や使用において、特段の不都合も生じないことになる。
(変形例5)
図15は、変形例5の流体抵抗低減構造の一部を例示する概略平面図である。この変形例5の第1領域2Eの平面形態は、上記の変形例2の第1領域2Bの右端側に、上記の変形例3の第1領域2Cを連結したような形態になっている。すなわち、この変形例5の第1領域2Eの平面形態は、一の第1領域2Eにおいて、第1領域2Eが帯状に延びる方向(方向d2)に向かって、第1領域2Eの幅が大きくなる形態を部分的に有し、かつ、第1領域2Eが帯状に延びる方向(方向d2)に向かって、第1領域2Eの幅が小さくなる形態を、部分的に有している。
より具体的に述べると、図15に示す流体抵抗低減構造201Eは、平面視において、凸部11と凹部12から構成される凹凸構造4を有する第1領域2Eと第1領域2Eに隣接する第2領域3Eと、を有し、第1面における第1方向d1において、第1領域2Eと第2領域3Eとが交互に配置されており、第1領域2Eおよび第2領域3Eは、第1方向d1に交差する方向(方向d2)に帯状に延びている。
そして、図15に示す流体抵抗低減構造201Eにおいて、方向d2に帯状に延びる第1領域2Eは、図中左端の第1領域2Eの幅がW1Lであり、図中左端から第1領域2Eの長さがPL1となる位置までは、図中左端から図中右側に向かって、第1領域2Eの幅が大きくなっていき、幅がW1Mに達した後は、その位置から第1領域2Eの長さがPL2となる位置までは、その幅の大きさ(W1M)を保ったまま延びており、図中左端から第1領域2Eの長さがPL1+PL2となる位置を超えた後は、図中右側に向かって幅が小さくなっていき、図中右端の第1領域2Eの幅はW1Rになっている。
ここで、第1領域2Eの幅の大きさの関係は、
0<W1L<W1M
であり、
0<W1R<W1M
であるが、W1LとW1Rとは同じ大きさであってもよいし、異なる大きさであってもよい。
このような形態を有することで、流体抵抗低減構造201Eにおいては、上記の変形例2と同様に、第1領域2Eの図中左端近傍における流体抵抗を、より低減することが可能となる。さらに、流体抵抗低減構造201Eにおいては、上記の変形例4と同様に、第1領域2Eの図中右端近傍における流体抵抗を、より低減することが可能となる。
そして、図14に示す流体抵抗低減構造201Eにおいて、PL2の長さが、PL1およびPL3の長さに比べて十分に長い場合(例えば、PL2の長さが、PL1の長さの10倍以上であり、かつ、PL3の長さの10倍以上である場合)は、設計や使用において、図15に示す流体抵抗低減構造201Eは、第1領域2の幅が、第1領域2が帯状に延びる方向(方向d2)に向かって、一方の端から他方の端まで同じ大きさである形態と、実質的に同じ形態として扱うことができる。それゆえ、設計や使用において、特段の不都合も生じないことになる。
(変形例6)
図16は、変形例6の流体抵抗低減構造の一部を例示する概略平面図である。
本開示の流体抵抗低減構造においては、上記の変形例1~5の各第1領域2A~2Eの形態が、流体抵抗低減構造の一部に用いられていてもよい。例えば、図16に示す流体抵抗低減構造201Fのように、上記の変形例1の第1領域2Aと、幅が左側から右側まで同じ大きさの平面形態を有する第1領域2と、を有する形態であってもよい。
同様に、上記の変形例2~5の第1領域2B~2Eのいずれかと、幅が左側から右側まで同じ大きさの平面形態を有する第1領域2と、を有する形態であってもよい。
また、上記の第1領域2A~2Eの形態うち、複数種の形態を有する形態であってもよい。
(変形例7)
図17は、変形例7の流体抵抗低減構造の一部を例示する概略平面図である。
本開示の流体抵抗低減構造において、上記の変形例1~5の各第1領域2A~2Eの平面形態は、領域の外形が線対称な図形となる形態のみならず、非対称な図形となる形態であってもよい。
例えば、図17に示す流体抵抗低減構造201Gの第1領域2GUのように、第1領域2GUの図中下側の外形線が方向d2に平行であり、第1領域2GUの図中上側の外形線が方向d2に対して非平行となる、略台形の外形を有する形態であってもよい。
また、図17に示す流体抵抗低減構造201Gの第1領域2GDのように、第1領域2GDの図中上側の外形線が方向d2に平行であり、第1領域2GUの図中下側の外形線が方向d2に対して非平行となる、略台形の外形を有する形態であってもよい。
ここで、この変形例7は、流体抵抗低減構造を有する流体抵抗低減フィルムにおいて、その外縁に、第1領域の平面形態が非対称な図形となる形態を部分的に有するものも含む。
例えば、図1に示す流体抵抗低減フィルム1のように、図中、幅が左側から右側まで同じ大きさの平面形態の第1領域2を有する流体抵抗低減フィルムが、第1方向d1に対して斜め方向に切断されることによって、流体抵抗低減フィルムの平面外形が略三角形や略台形等になる場合、その流体抵抗低減フィルムの外縁には、図17に示す第1領域2GUや第1領域2GDのように非対称な図形となる形態が部分的に存在することになる。このような外形加工を施された流体抵抗低減フィルムが有する流体抵抗低減構造も、本開示の流体抵抗低減構造に含まれる。
なお、外形加工を施された流体抵抗低減フィルムの外縁は、直線状のものに限定されず、曲線状のものであってもよい。
(その他の変形例)
図11~図17に示した例においては、各第1領域に配列される凸部11の形態として、第1方向d1に沿って直線状に延びる形態を例示したが、これに限定されず、本開示の流体抵抗低減構造において凸部11の形態は、流体抵抗を低減することが可能な各種の形態とすることができる。例えば、凸部11の平面視のパターン形状としては、ライン状、ドット状等の各種パターンが挙げられる。ライン状のパターンとしては、例えば、直線状、折れ線状、曲線状等のパターンが挙げられる。
また、図11~図17に示した例においては、凸部11の平面視のパターン形状として直線状のパターンを例示し、直線状のパターンの長手方向が、第1方向d1に沿って延びる形態を例示しているが、これに限定されず、本開示の流体抵抗低減構造において凸部11の直線状のパターンの長手方向は、流体抵抗を低減することが可能な各方向とすることができる。
例えば、凸部11の直線状のパターンの長手方向は、流体抵抗を低減することが可能な範囲において、第1方向d1に対して、0°±30°の角度範囲内とすることができる。
また、図11~図17に示した例においては、第1領域が有する凹凸構造の凸部11が第1面10に対して突出する形態を例示したが、これに限定されず、本開示における流体抵抗低減構造においては、例えば、図6に示した例のように、第1領域が有する凹凸構造の凹部12が第1面10に対して凹んでいてもよい。
また、本開示における流体抵抗低減構造においては、第1領域2が有する凸部11の平面視のパターン形状がドット状であってもよいし、第1領域2が有する凹部12の平面視のパターン形状がドット状であってもよい。
以下、実施例および比較例を示し、本開示をさらに説明する。
[実施例1-1~1-6および比較例1-2~1-4]
Avery Dennison社製の印刷原反(MPI1105)に絵柄を印刷し、その上にAvery Dennison社製のラミネートフィルム(DOL1460)をラミネートした。(具体的には、まず、塩化ビニル樹脂フィルムと粘着層と剥離紙とをこの順に有する印刷原反(Avery Dennison社製「MPI1105」)を用い、印刷原反の塩化ビニル樹脂フィルム上に、絵柄を印刷して印刷層を形成した。次いで、塩化ビニル樹脂フィルムと粘着層と剥離紙とをこの順に有するラミネートフィルム(Avery Dennison社製「DOL1460」)を用い、ラミネートフィルムから剥離紙を剥がした後、上記印刷層上にラミネートフィルムをラミネートした。)
次に、ラミネートフィルム上に、つまり上記ラミネートフィルムの塩化ビニル樹脂フィルム上に、UVインクジェット装置を用いて、UV硬化型インク(大日精化社製「セイカビームHT509」)を吐出および硬化させ、直線状の複数の凸部および凹部を有する凹凸構造を形成した。また、凹凸構造は、図1(a)に示すように、第1領域および第2領域が交互に配置されるように形成した。第1領域および第2領域の寸法は、表1に示す通りとした。これにより、ラッピングフィルムを作製した。ラッピングフィルムは、A4サイズ(210mm×297mm)であった。
[評価1]
実施例1-1~1-6および比較例1-2~1-4のラッピングフィルムを、トラック形状の模型(長さ1250mm、幅260mm、高さ387mm)に貼付け、風洞実験を行い、風速25m/sの条件で空気抵抗係数(Cd値)を計測した。図18に、トラック形状の模型を示す。図18(a)は模型の上面図であり、図18(b)は模型の側面図であり、図18(c)は模型の背面図である。このトラック形状の模型は、10トントラックの1/10の大きさの簡易模型である。また、ラッピングフィルムは、トラック形状の模型の前方サイドおよび前方上部に貼り付けた。また、風洞実験は下記条件にて行った。
(風洞実験条件)
・吹出し口寸法:幅1.0m、高さ0.7mの長方形
・測定部長さ:1.45m
・風速:25m/s
・フィルムサイズ:210mm×297mm
・貼り付け箇所:トラック形状の模型の前方サイドおよび前方上部
・貼り付け方法:トラック形状の模型の前方のR開始部を先端として、後方に向けて、フィルムを貼り付けた。
なお、Cd値は、下記式により求めた。
Cd=D/(ρUS×1/2)
(上記式において、D:抗力(N)、ρ:密度(kg/m)、U:代表速度(m/s)、S:代表面積(m)である。)
本実験では、抗力Dは、トラック形状の模型に取り付けたワイヤ付属のロードセルから計測した。密度ρは1.124kg/m、代表速度Uは風速と同じ、代表面積Sは0.101mとした。
また、ラッピングフィルムを貼り付けない場合を比較例1-1とした。
実施例1-1~1-6では、凸部の高さ、第1領域の長さ、第1領域の幅および第2領域の幅がいずれも所定の範囲内であるため、比較例1-1に対して、Cd値が小さくなり、流体抵抗が低減されたことが確認された。一方、比較例1-2では、第1領域の幅および第2領域の幅が小さいため、流体抵抗低減効果が小さかった。また、比較例1-3では、第1領域の幅および第2領域の幅が大きいため、流体抵抗低減効果が小さかった。また、比較例1-4では、第1領域の長さが短いため、流体抵抗低減効果が小さかった。
[実施例2-1~2-6および比較例2-2]
透明基材を有する印刷原反(3M社製「IJ180 mc-114」)を用いた。また、塩化ビニル樹脂フィルムと粘着層と剥離紙とをこの順に有するラミネートフィルム(Avery Dennison社製「DOL1460Z」)を用いた。ラミネートフィルムから剥離紙を剥がした後、印刷原反上にラミネートフィルムをラミネートした。次に、上記ラミネートフィルムの塩化ビニル樹脂フィルム上に、UVインクジェット装置を用いて、UV硬化型インク(大日精化社製「セイカビームHT509」)を吐出および硬化させ、直線状の複数の凸部および凹部を有する凹凸構造を形成した。また、凹凸構造は、図1(a)に示すように、第1領域および第2領域が交互に配置されるように形成した。第1領域および第2領域の寸法は、下記表2に示す通りとした。これにより、A4サイズのラッピングフィルムを作製した。
[評価2]
実施例2-1~2-6および比較例2-2のラッピングフィルムを、評価1で用いたトラック形状の模型の前方サイドおよび前方上部に貼り付けた。そして、下記の条件で風洞実験を行い、空気抵抗係数(Cd値)を計測した。Cd値の求め方は、評価1と同様とした。
(風洞実験条件)
・吹出し口寸法:幅1.0m、高さ0.7mの長方形
・測定部長さ:1.45m
・風速:10m/s、15m/s、20m/s、25m/s、30m/sの5水準
・フィルムサイズ:210mm×297mm
・貼り付け箇所:トラック形状の模型の前方サイドおよび前方上部
・貼り付け方法:トラック形状の模型の前方のR開始部を先端として、後方に向けて、フィルムを貼り付けた。
また、ラッピングフィルムを貼り付けない場合を比較例2-1とした。
実施例2-1~2-6では、凸部の高さ、第1領域の長さ、第1領域の幅および第2領域の幅がいずれも所定の範囲内であるため、比較例2-1に対して、Cd値が小さくなり、流体抵抗が低減されたことが確認された。一方、比較例2-2では、凸部の高さが高いため、比較例2-1よりもCd値が大きくなり、流体抵抗低減効果が得られなかった。
また、実施例2-1~2-6より、凸部の高さが低い場合、風速が大きくなるにつれて、Cd値が小さくなった。このことから、凸部の高さが低い場合は、風速が大きいときに有効であることが示された。
[実施例3-1~3-3]
透明基材を有する印刷原反(3M社製「IJ180 mc-114」)を用いた。また、塩化ビニル樹脂フィルムと粘着層と剥離紙とをこの順に有するラミネートフィルム(Avery Dennison社製「DOL1460Z」)を用いた。ラミネートフィルムから剥離紙を剥がした後、印刷原反上にラミネートフィルムをラミネートした。次に、上記ラミネートフィルムの塩化ビニル樹脂フィルム上に、UVインクジェット装置を用いて、UV硬化型インク(大日精化社製「セイカビームHT509」)を吐出および硬化させ、直線状の複数の凸部および凹部を有する凹凸構造を形成した。また、凹凸構造は、図1(a)に示すように、第1領域および第2領域が交互に配置されるように形成した。第1領域および第2領域の寸法は、下記表3に示す通りとした。これにより、A4サイズのラッピングフィルムを作製した。
[評価3]
実施例3-1~3-3のラッピングフィルムを、評価1で用いたトラック形状の模型の前方サイドおよび前方上部に貼り付けた。そして、下記の条件で風洞実験を行い、空気抵抗係数(Cd値)を計測した。Cd値の求め方は、評価1と同様とした。
(風洞実験条件)
・吹出し口寸法:幅1.0m、高さ0.7mの長方形
・測定部長さ:1.45m
・風速:10m/s、15m/s、20m/s、25m/s、30m/sの5水準
・フィルムサイズ:210mm×297mm
・貼り付け箇所:トラック形状の模型の前方サイドおよび前方上部
・貼り付け方法:トラック形状の模型の前方のR開始部を先端として、後方に向けて、フィルムを貼り付けた。
また、ラッピングフィルムを貼り付けない場合を比較例3-1とした。
実施例3-1~3-3では、凸部の高さ、第1領域の長さ、第1領域の幅および第2領域の幅がいずれも所定の範囲内であるため、比較例3-1に対して、Cd値が小さくなり、流体抵抗が低減されたことが確認された。
また、実施例3-1~3-3より、第1領域の長さL1が26mmあれば、流体抵抗低減効果が得られることが確認された。
[実施例4-1]
樹脂基材として、透明基材を有する印刷原反(3M社製「IJ180 mc-114」)上にラミネートフィルムが積層された積層体を準備した。ラミネートフィルムには、塩化ビニル樹脂フィルムと粘着層と剥離紙とをこの順に有するラミネートフィルム(Avery Dennison社製「DOL1460Z」)を用い、ラミネートフィルムから剥離紙を剥がした後、印刷原反上にラミネートフィルムをラミネートした。
次に、上記ラミネートフィルムの塩化ビニル樹脂フィルム上に、UVインクジェット装置を用いて、UV硬化型インク(大日精化社製「セイカビームHT509」)を吐出および硬化させ、直線状の複数の凸部および凹部を有する凹凸構造を形成して、図1に示す構成を有する流体抵抗低減フィルムを作製した。
流体抵抗低減フィルムの凸部の高さは140μm、第1領域の幅および第2領域の幅はそれぞれ7mm、凹凸構造の凸部の間隔は1120μmとした。
[実施例4-2]
実施例4-1と同様に、樹脂基材として、透明基材を有する印刷原反(3M社製「IJ180 mc-114」)上にラミネートフィルムが積層された積層体を準備した。ラミネートフィルムには、塩化ビニル樹脂フィルムと粘着層と剥離紙とをこの順に有するラミネートフィルム(Avery Dennison社製「DOL1460Z」)を用い、ラミネートフィルムから剥離紙を剥がした後、印刷原反上にラミネートフィルムをラミネートした。
次に、上記ラミネートフィルムの塩化ビニル樹脂フィルム上に、UV硬化性樹脂組成物(大日精化社製「セイカビームHT509」)を塗布した。続いて、UV硬化性樹脂組成物の膜に、所望の凹凸構造の形状を反転させた金型を押し当て、UV照射によってUV硬化性樹脂組成物の膜を硬化させた。これにより、直線状の複数の凸部および凹部を有する凹凸構造を形成して、図1に示す構成を有する流体抵抗低減フィルムを作製した。
流体抵抗低減フィルムの凸部の高さは140μm、第1領域の幅および第2領域の幅はそれぞれ7mm、凹凸構造の凸部の間隔は1120μmとした。
[比較例4-1]
実施例4-1および実施例4-2で用いた樹脂基材を、比較例4-1のフィルムとした。すなわち、比較例4-1のフィルムは、透明基材を有する印刷原反(3M社製「IJ180 mc-114」)上にラミネートフィルムが積層された積層体であり、ラミネートフィルムには、塩化ビニル樹脂フィルムと粘着層と剥離紙とをこの順に有するラミネートフィルム(Avery Dennison社製「DOL1460Z」)を用い、ラミネートフィルムから剥離紙を剥がした後、印刷原反上にラミネートフィルムをラミネートした。なお、比較例4-1のフィルムには、直線状の複数の凸部および凹部を有する凹凸構造は形成されていない。
[評価4]
実施例4-1~4-2および比較例4-1のフィルムについて、引張試験機としてインストロンジャパン社製「インストロン5565」を用いて、JIS K7161-1:2014に準拠し、下記条件にて各方向の引張弾性率を測定した。
(測定条件)
・試験片:長さ150mm、幅25mm
・標線間距離:75mm
・引張速度:50mm/min
・ロードセル:1kN
・測定数:5
実施例4-1~4-2と比較例4-1との比較から、本開示の流体抵抗低減構造を備える場合、TD方向の引張弾性率に比べてMD方向の引張弾性率が高くなり、MD方向に伸びにくい傾向にあることが示された。
以上、本開示に係る流体抵抗低減構造、流体抵抗低減フィルム、および、移動体について、それぞれの実施形態を説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本開示の技術的思想と実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本開示の技術的範囲に包含される。
1、1A、1B、1C 流体抵抗低減フィルム
2、2A、2B、2C、2D、2E、2F、2GU、2GD 第1領域
3、3A、3B、3C、3D、3E 第2領域
4 凹凸構造
10 第1面
11 凸部
12 凹部
15 移動体
21 粘着層
22 支持層
23 印刷層
24 第2の粘着層
201A 流体抵抗低減構造
201B 流体抵抗低減構造
201C 流体抵抗低減構造
201D 流体抵抗低減構造
201E 流体抵抗低減構造
201F 流体抵抗低減構造
201G 流体抵抗低減構造

Claims (9)

  1. 流体抵抗を低減することが可能な流体抵抗低減構造であって、
    平面視において、凸部と凹部から構成される凹凸構造を有する第1領域と、前記第1領域に隣接する第2領域と、を有し、
    第1方向において、前記第1領域と前記第2領域とが交互に配置されており、
    前記第1領域および前記第2領域は、前記第1方向に交差する方向に帯状に延びており、
    前記凸部の高さが10μm以上1000μm以下であり、
    前記第1方向に交差する方向に帯状に延びる前記第1領域の長さが25mm以上であり、
    前記第1方向における前記第1領域の幅および前記第2領域の幅が0.2mm以上50mm以下であり、
    前記第1領域が帯状に延びる方向に向かって、前記第1領域の幅が大きくなる形態を、少なくとも部分的に有する、流体抵抗低減構造。
  2. 流体抵抗を低減することが可能な流体抵抗低減構造であって、
    平面視において、凸部と凹部から構成される凹凸構造を有する第1領域と、前記第1領域に隣接する第2領域と、を有し、
    第1方向において、前記第1領域と前記第2領域とが交互に配置されており、
    前記第1領域および前記第2領域は、前記第1方向に交差する方向に帯状に延びており、
    前記凸部の高さが10μm以上1000μm以下であり、
    前記第1方向に交差する方向に帯状に延びる前記第1領域の長さが25mm以上であり、
    前記第1方向における前記第1領域の幅および前記第2領域の幅が0.2mm以上50mm以下であり、
    前記第1領域が帯状に延びる方向に向かって、前記第1領域の幅が小さくなる形態を、少なくとも部分的に有する、流体抵抗低減構造。
  3. 流体抵抗を低減することが可能な流体抵抗低減構造であって、
    平面視において、凸部と凹部から構成される凹凸構造を有する第1領域と、前記第1領域に隣接する第2領域と、を有し、
    第1方向において、前記第1領域と前記第2領域とが交互に配置されており、
    前記第1領域および前記第2領域は、前記第1方向に交差する方向に帯状に延びており、
    前記凸部の高さが10μm以上1000μm以下であり、
    前記第1方向に交差する方向に帯状に延びる前記第1領域の長さが25mm以上であり、
    前記第1方向における前記第1領域の幅および前記第2領域の幅が0.2mm以上50mm以下であり、
    一の前記第1領域において、前記第1領域が帯状に延びる方向に向かって、前記第1領域の幅が大きくなる形態を部分的に有し、かつ、前記第1領域が帯状に延びる方向に向かって、前記第1領域の幅が小さくなる形態を、部分的に有する、流体抵抗低減構造。
  4. 前記凸部が、前記第1領域が延びる方向に複数配列されており、
    前記第1領域が延びる方向において隣り合う前記凸部の間隔が、前記凸部の高さの1倍以上12倍以下である、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の流体抵抗低減構造。
  5. 前記凸部が、前記第1方向に沿って直線状に延びる形態を有する、請求項4に記載の流体抵抗低減構造。
  6. 前記第1方向に沿って直線状に延びる形態を有する前記凸部の前記第1方向に直交する方向の幅が、該凸部の高さの1倍以上2倍以下である、請求項5に記載の流体抵抗低減構造。
  7. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の流体抵抗低減構造を、樹脂基材の第1面に有する、流体抵抗低減フィルム。
  8. 前記第1面における前記第1方向の伸びの大きさが、前記第1領域および前記第2領域が帯状に延びる方向の伸びの大きさよりも小さい、請求項7に記載の流体抵抗低減フィルム。
  9. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の流体抵抗低減構造を有する、移動体。
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