JP2023147813A - 流体抵抗低減構造、フィルム、樹脂成型品、および、移動体 - Google Patents

流体抵抗低減構造、フィルム、樹脂成型品、および、移動体 Download PDF

Info

Publication number
JP2023147813A
JP2023147813A JP2022055532A JP2022055532A JP2023147813A JP 2023147813 A JP2023147813 A JP 2023147813A JP 2022055532 A JP2022055532 A JP 2022055532A JP 2022055532 A JP2022055532 A JP 2022055532A JP 2023147813 A JP2023147813 A JP 2023147813A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
region
fluid resistance
resistance reduction
reduction structure
extends
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022055532A
Other languages
English (en)
Inventor
豪 千葉
Takeshi Chiba
和哉 橋本
Kazuya Hashimoto
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2022055532A priority Critical patent/JP2023147813A/ja
Publication of JP2023147813A publication Critical patent/JP2023147813A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】 物体の表面に適用されて効果的に流体抵抗を低減することが可能な流体抵抗低減構造、フィルム、樹脂成型品、および、移動体を提供する。【解決手段】 本開示の流体抵抗低減構造は、流体抵抗を低減することが可能な流体抵抗低減構造であって、第1面に、凸部と凹部から構成される凹凸構造を有する第1領域と、2つの前記第1領域に隣接して挟まれる第2領域と、を有し、前記第1領域および前記第2領域は、第1方向に交差する方向に帯状に延びており、前記第2領域を隣接して挟む2つの前記第1領域の一方の第1領域が帯状に延びる方向に沿って該第1領域の前記第1方向における中点を結ぶ線と、前記第2領域を挟む2つの前記第1領域の他方の第1領域が帯状に延びる方向に沿って該第1領域の前記第1方向における中点を結ぶ線とが、互いに離れていく形態を有している。【選択図】 図1

Description

本開示は、流体抵抗低減構造、フィルム、樹脂成型品、および、移動体に関する。
近年、流体中を移動する移動体や流体移送等の分野において、省エネルギーおよび二酸化炭素排出量削減の実現のために、流体抵抗低減技術に関する研究が盛んに行われている。
従来、流体抵抗低減技術としては、例えば物体の表面に凹凸を設けることが知られている。例えば、流体抵抗のうち、摩擦抵抗を低減させる手法としてリブレットが知られており、圧力抵抗を低減させる手法としてディンプルが知られている(例えば特許文献1)。また、特許文献2には、粗面および滑面を交互配置して、粗面と滑面の境界において縦渦を生成して流れの剥離を抑制する技術思想が開示されている。
国際公開第2010/29844号 特開2013-57390号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2には、物体の表面に流体抵抗低減構造を適用する手段についての具体的な開示はない。また、特許文献2には、粗面および滑面の具体的な形状や構成については詳しく言及されていない。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、物体の表面に適用されて効果的に流体抵抗を低減することが可能な流体抵抗低減構造、フィルム、樹脂成型品、および、移動体を提供することを主たる目的とする。
本開示の流体抵抗低減構造は、流体抵抗を低減することが可能な流体抵抗低減構造であって、第1面に、凸部と凹部から構成される凹凸構造を有する第1領域と、2つの前記第1領域に隣接して挟まれる第2領域と、を有し、前記第1領域および前記第2領域は、第1方向に交差する方向に帯状に延びており、前記第2領域を隣接して挟む2つの前記第1領域の一方の第1領域が帯状に延びる方向に沿って該第1領域の前記第1方向における中点を結ぶ線と、前記第2領域を挟む2つの前記第1領域の他方の第1領域が帯状に延びる方向に沿って該第1領域の前記第1方向における中点を結ぶ線とが、互いに離れていく形態を有している。
本開示の流体抵抗低減構造において、前記第1面における第1方向において、前記第1領域と前記第2領域とが交互に配置されていてもよい。
本開示の流体抵抗低減構造において、前記第1領域が帯状に延びる方向に沿って、該第1領域の幅が大きくなっていてもよい。
本開示の流体抵抗低減構造において、前記第2領域が帯状に延びる方向に沿って、該第2領域の幅が大きくなっていてもよい。
本開示の流体抵抗低減構造において、前記第1領域が帯状に延びる方向に沿って、該第1領域の幅が大きくなり、前記第2領域が帯状に延びる方向に沿って、該第2領域の幅が大きくなっていてもよい。
本開示の流体抵抗低減構造において、前記第2領域を隣接して挟む2つの前記第1領域の一方の第1領域が帯状に延びる方向に沿って該第1領域の前記第1方向における中点を結ぶ線と、前記第2領域を挟む2つの前記第1領域の他方の第1領域が帯状に延びる方向に沿って該第1領域の前記第1方向における中点を結ぶ線とのなす角度が、一定の大きさであってもよい。
本開示の流体抵抗低減構造において、前記第2領域を隣接して挟む2つの前記第1領域の一方の第1領域が帯状に延びる方向に沿って該第1領域の前記第1方向における中点を結ぶ線と、前記第2領域を挟む2つの前記第1領域の他方の第1領域が帯状に延びる方向に沿って該第1領域の前記第1方向における中点を結ぶ線とのなす角度が、該第2領域が帯状に延びる方向に従って変化してもよい。
本開示の流体抵抗低減構造において、前記第2領域を隣接して挟む2つの前記第1領域のうち、一方の第1領域が帯状に延びる方向が、前記第2領域が帯状に延びる方向に対して、前記第1方向の一の側に延び、他方の第1領域が帯状に延びる方向が、前記第2領域が帯状に延びる方向に対して、前記第1方向の一の側と反対側に延びていてもよい。
本開示の流体抵抗低減構造において、前記凸部が、前記第1領域が帯状に延びる方向に複数配列されていてもよい。
本開示の流体抵抗低減構造において、前記第1領域が帯状に延びる方向において隣り合う前記凸部の間隔が、前記凸部の高さの1倍以上12倍以下であってもよい。
本開示の流体抵抗低減構造において、前記凸部が、前記第1方向に沿って直線状に延びる形態を有していてもよい。
本開示の流体抵抗低減構造において、前記第1方向に沿って直線状に延びる形態を有する前記凸部の前記第1方向に直交する方向の幅が、該凸部の高さの1倍以上2倍以下であってもよい。
本開示のフィルムは、上記の流体抵抗低減構造を有している。
本開示の樹脂成型品は、上記の流体抵抗低減構造を有している。
本開示の樹脂成型品において、前記第1面が前記第1方向に沿って湾曲しており、前記第1面において、前記第1方向に沿った曲率半径がより大きい位置の前記第1領域の幅が、前記第1方向に沿った曲率半径がより小さい位置の前記第1領域の幅よりも大きくてもよい。
本開示の樹脂成型品において、前記第1面が前記第1方向に沿って湾曲しており、前記第1面において、前記第1方向に沿った曲率半径がより大きい位置の前記第2領域の幅が、前記第1方向に沿った曲率半径がより小さい位置の前記第2領域の幅よりも大きくてもよい。
本開示の移動体は、上記の流体抵抗低減構造を有している。
本開示の移動体は、上記のフィルムを有している。
本開示の移動体は、上記の樹脂成型品を有している。
本開示によれば、物体の表面に適用されて効果的に流体抵抗を低減することが可能な流体抵抗低減構造、フィルム、樹脂成型品、および、移動体を提供することができる。
本開示の流体抵抗低減構造の一例について示す模式図 図1に示す流体抵抗低減構造の適用例を示す図 図1に示す流体抵抗低減構造の第1領域および第2領域について示す図 図1に示す流体抵抗低減構造の第1領域の幅について示す図 図1に示す流体抵抗低減構造の第2領域の幅について示す図 本開示の流体抵抗低減構造の他の例を示す模式図 本開示の流体抵抗低減構造の他の適用例を示す図 本開示の流体抵抗低減構造の他の適用例を示す図 本開示の流体抵抗低減構造の凹凸構造の一例について示す模式図 図9に示す流体抵抗低減構造の凹凸構造を例示する概略断面図 流体抵抗低減構造における流体の流れを説明する模式図 本開示の流体抵抗低減構造の他の例を示す概略斜視図 本開示の流体抵抗低減構造の他の例について示す模式図 図13に示す流体抵抗低減構造の凹凸構造を例示する概略断面図 本開示の流体抵抗低減構造の他の例について示す模式図 図15に示す流体抵抗低減構造の凹凸構造を例示する概略断面図 本開示のフィルムを例示する概略断面図 本開示のフィルムの積層構成を例示する概略断面図 本開示の樹脂成型品の一例について示す模式図 本開示の移動体の一例を示す図 本開示の移動体の他の例を示す図 本開示の移動体の他の例を示す図
下記に、図面等を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」、あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。また、本明細書において、ある部材の面に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
また、本明細書において、「フィルム」、「シート」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「フィルム」には、シートも含まれる。
以下、本開示の流体抵抗低減構造、フィルム、樹脂成型品、および、移動体について詳細に説明する。
[流体抵抗低減構造]
本開示の流体抵抗低減構造は、物体の表面に適用することにより、流体抵抗を低減することができ、その結果、省エネルギーおよび二酸化炭素排出量削減を実現することができる。本開示の流体抵抗低減構造は、特に曲面を有する物体の表面に適用されて、効果的に流体抵抗を低減することができる。また、本開示の流体抵抗低減フィルムは、流体の中でも、気体、特に空気の流れに対して、好ましく適用され得る。
本開示の流体抵抗低減構造は、第1面に交互配置された粗面と滑面とを基本構成としており、流体の流れに応じて粗面と滑面との境界において縦渦を生成して、流体が第1面から剥離してしまうことを抑制し、これにより流体抵抗を低減する効果を奏するものである。ただし、上記の縦渦や流体の剥離を直接計測することは困難であり、他の流体理論と同様に、上記の理論も実験等から得られた知見から導き出されている。
ここで、本開示の流体抵抗低減構造において、「粗面」とは、「滑面」に比べて、流体の流れが乱れると推認可能な構造を有する面領域をいう。また、「滑面」とは、「粗面」に比べて、流体の流れに対する抵抗物が少なく、流体が滑らかに流れると推認可能な面領域のことをいう。したがって、「滑面」は、必ずしも表面粗さが無い面という意味ではなく、例えば、「粗面」に比べて流体が滑らかに流れる範囲において、「滑面」に凹凸があってもよい。また、「粗面」も、必ずしも表面粗さが大きい面という意味ではない。例えば、この「粗面」に、流体の流れを乱す特定の凸部が特定の間隔で配置されている場合に、その凸部が配置されていない部位は、表面粗さが無い平滑面(若しくは、表面粗さが無いとして扱える面)であってもよい。
本開示の流体抵抗低減構造において、効果的に流体圧力抵抗を低減するためには、交互配置された粗面および滑面が延びる方向と、流体の流れの方向とが、一致していることが重要である。
以下、本開示の流体抵抗低減構造について、図面を用いて説明する。
図1は、本開示の流体抵抗低減構造の一例について示す模式図である。
図1に示すように、流体抵抗低減構造1は、K1、K2、K3、K4の4点を結ぶ線で囲まれた領域の第1面10に、上記の粗面に相当する第1領域2を有している。図1に示す例においては、4つの第1領域2(第1領域2a~2d)を有している。ここで、図1に示すように、流体抵抗低減構造1において、第1面10は第1方向d1に沿って、第1面10が凸型になるように湾曲している。なお、図1においては図示を省略しているが、第1領域2a~2dには、凸部と凹部から構成される凹凸構造4が設けられている。
また、流体抵抗低減構造1は、第1面10に、2つの第1領域2に隣接して挟まれる第2領域3を有している。第2領域3は、上記の滑面に相当する。図1に示す例においては、3つの第1領域2(第2領域3a~3c)を有している。
より詳しくは、図1に示す流体抵抗低減構造1は、第1面10において、第1領域2aと第1領域2bとに挟まれ、第1領域2aと第1領域2bとに隣接する第2領域3aを有している。同様に、流体抵抗低減構造1は、第1面10において、第1領域2bと第1領域2cとに挟まれ、第1領域2bと第1領域2cとに隣接する第2領域3bを有している。同様に、流体抵抗低減構造1は、第1面10において、第1領域2cと第1領域2dとに挟まれ、第1領域2cと第1領域2dとに隣接する第2領域3cを有している。
そして、第1面10における第1方向d1において、第1領域2a~2dと第2領域3a~3cとが交互に配置されており、第1領域2a~2dおよび第2領域3a~3cは、第1方向d1に交差する方向に帯状に延びている。
より詳しくは、図1に示す流体抵抗低減構造1において、第1面10における第1方向d1に対して、第1領域2a、第2領域3a、第1領域2b、第2領域3b、第1領域2c、第2領域3cが、この順で交互に配置されている。そして、第1領域2aは方向d2aに、第1領域2bは方向d2bに、第1領域2cは方向d2cに、第1領域2dは方向d2dに、それぞれ帯状に延びている。
そして、方向d2a、方向d2b、方向d2c、方向d2dは、それぞれ異なる方向になっている。言い換えれば、一の第2領域3を挟む2つの第1領域2の一方の第1領域2が帯状に延びる方向に沿って該第1領域2の第1方向d1における中点を結ぶ線と、一の第2領域3を挟む2つの第1領域2の他方の第1領域2が帯状に延びる方向に沿って該第1領域2の第1方向d1における中点を結ぶ線とが、互いに離れていく形態になっている。
このような構成を有するため、流体抵抗低減構造1は、物体の表面に適用されて効果的に流体抵抗を低減することができる。特に、流体の流れが平行な関係にならないような曲面を有する物体の表面に適用されて、効果的に流体抵抗を低減することができる。
上記の流体抵抗低減構造1の効果について、図2を用いて詳しく説明する。
図2は、図1に示す流体抵抗低減構造1の適用例を示す図である。図2において、流体抵抗低減構造1は、図2に示す円錐Cの円錐面(側面)の一部に適用されている。図2において、図1に示す第1方向d1は、円錐Cの回転軸に垂直な円の円周に沿った方向になっている。そして、図1に示す流体抵抗低減構造1のK1、K2、K3、K4の4点を結ぶ線で囲まれた領域のうち、K1とK2の2点を結ぶ線分が円錐Cの頂点Pの側になっており、K3とK4の2点を結ぶ線分が円錐Cの底面の側になっている。
ここで、円錐Cの円錐面を頂点Pから底面に向かって流れる流体Fの流れは、図2に示すように、円錐Cの母線に沿って、頂点Pから底面に向かって発散するように流れる。
それゆえ、図1に示す流体抵抗低減構造1の方向d2a、d2b、d2c、d2dが、図2に示す円錐Cの母線の方向に略一致するように設計および配置することで、円錐Cの円錐面を流れる流体Fの剥離を抑制し、円錐Cが受ける流体抵抗を低減することができる。
<第1領域および第2領域の形態>
次に、本開示の流体抵抗低減構造の第1領域および第2領域の形態について、図3~図6を用いて説明する。
ここで、図3は、図1に示す流体抵抗低減構造の第1領域および第2領域について示す図である。また、図4は、図1に示す流体抵抗低減構造1の第1領域の延びる方向と第1領域の幅との関係を説明する図であり、図5は、図1に示す流体抵抗低減構造1の第2領域の延びる方向と第2領域の幅との関係を説明する図である。また、図6は、本開示の流体抵抗低減構造の他の例を示す模式図である。
なお、第1領域の延びる方向とは、第1領域2が帯状に延びる方向に沿って該第1領域2の第1方向d1における中点を結ぶ線が進む方向と規定することができる。また、第2領域の延びる方向とは、第2領域3が帯状に延びる方向に沿って該第2領域3の第1方向d1における中点を結ぶ線が進む方向と規定することができる。
まず、図3を用いて、流体抵抗低減構造1の第1領域2の長さと幅、および第2領域3の幅について説明する。
本開示において、「第1領域2の長さ」とは、第1領域2が帯状に延びる方向における第1領域2の一方の端部から他方の端部までの距離である。例えば、図3において、L1は、第1領域2aの長さを示している。
ここで、図3においても図示を省略しているが、第1領域2には、凹凸構造4が設けられている。そして凹凸構造4は、凸部11を有している(図9、図10参照)。それゆえ、「第1領域2の長さ」は、第1領域2の一方の端に位置する凸部11の一方の側の端から第1領域2の他方の端に位置する凸部11の他方の側の端までの距離、と規定することができる。
例えば、図3に示す流体抵抗低減構造1において、第1領域2aの長さL1は、方向d2aに沿って、第1領域2aの左端に位置する凸部11の左端から、第1領域2aの右端に位置する凸部11の右端までの距離、と規定することができる。
流体抵抗低減構造1において、第1領域2の長さは、例えば、30mm以上であることが好ましく、50mm以上であることがより好ましい。第1領域2の長さが短すぎると、第1領域2と第1領域2に隣接する第2領域3との境界近辺において縦渦が発生しにくくなり、流体の流れの剥離を抑制する効果が小さくなる可能性がある。
一方、第1領域2が延びる方向における第1領域2の長さが50mm以上であることにより、第1領域2と第1領域2に隣接する第2領域3との境界近辺において縦渦LVを確実に発生させることができる。
第1領域2の長さの上限については、特に制限は無いが、物体の表面への貼付け等における取り扱いの容易性からは、例えば、1000mm以下であることが好ましい。
なお、第1領域2の長さは、流体抵抗低減構造1の第1面が曲面である場合には、曲面に沿って第1領域2が延びる方向における第1領域2の長さをいう。
また、「第1領域2の幅」とは、第1領域2の第1方向d1における一方の端から他方の端までの距離である。例えば、図3において、W1は、第1領域2aの幅を示している。
ここで、上述のように、第1領域2には、凹凸構造4が設けられている。そして凹凸構造4は、凸部11を有している。それゆえ、「第1領域2の幅」は、例えば、図9、図10に例示する形態のように、凸部11の幅が第1領域の幅となる形態の場合は、第1領域2に設けられた凸部11の第1方向d1における一方の端から他方の端までの距離、と規定することができる。
例えば、図3に示す流体抵抗低減構造1において、第1領域2aの幅W1は、第1領域2aに配列された凸部11の第1方向d1における一方の端から他方の端までの距離、と規定することができる。
なお、後述するように、本開示の流体抵抗低減構造は、第1領域2が延びる方向に沿って第1領域2の幅が変化する形態を含む。
また、「第2領域3の幅」とは、第2領域3の第1方向d1における一方の端から他方の端までの距離である。言い換えれば、「第2領域3の幅」とは、第1方向d1において、第2領域3に隣接する一方の第1領域2の該第2領域3の側の端から、該第2領域3に隣接する他方の第1領域2の該第2領域3の側の端までの距離である。例えば、図3において、W2は、第2領域3aの幅を示している。
ここで、上述のように、第1領域2には、凹凸構造4が設けられている。そして凹凸構造4は、凸部11を有している。それゆえ、「第2領域3の幅」は、例えば、図9、図10に例示する形態のように、凸部11の幅が第1領域の幅となる形態の場合は、第1方向d1において、第2領域3に隣接する一方の第1領域2に配列された凸部11の該第2領域3の側の端から、該第2領域3に隣接する他方の第1領域2に配列された凸部11の該第2領域3の側の端までの距離、と規定することができる。
例えば、図3に示す流体抵抗低減構造1において、第2領域3aの幅W2は、第1方向d1において、第2領域3aに隣接する図中上方の第1領域2bに配列された凸部11の第2領域3aの側の端から、第2領域3aに隣接する図中下方の第1領域2aに配列された凸部11の第2領域3aの側の端までの距離、と規定することができる。
なお、後述するように、本開示の流体抵抗低減構造は、第2領域3が帯状に延びる方向に沿って第2領域3の幅が変化する形態を含む。
上記の構成要素の位置、形状、距離などは、レーザー変位センサを用いて測定されてよい。測定結果に基づいて、構成要素の位置、形状、距離などが算出されてよい。
次に、図4を用いて、流体抵抗低減構造1における第1領域2の延びる方向と第1領域2の幅との関係を説明する。
上述したように流体抵抗低減構造1においては、第1領域2a、第2領域3a、第1領域2b、第2領域3b、第1領域2c、第2領域3cが、この順で、第1方向d1に交互に配置されている。さらに、第1領域2aは方向d2aに、第1領域2bは方向d2bに、第1領域2cは方向d2cに、第1領域2dは方向d2dに、それぞれ帯状に延びている。
そして、方向d2a、方向d2b、方向d2c、方向d2dは、それぞれ互いに離れていく形態になっている。言い換えれば、一の第2領域3を挟む2つの第1領域2の一方の第1領域2が帯状に延びる方向に沿って該第1領域2の第1方向d1における中点を結ぶ線と、一の第2領域3を挟む2つの第1領域2の他方の第1領域2が帯状に延びる方向に沿って該第1領域2の第1方向d1における中点を結ぶ線とが、互いに離れていく形態になっている。
ここで、一の第2領域3を挟む2つの第1領域2の一方の第1領域2が帯状に延びる方向に沿って該第1領域2の第1方向d1における中点を結ぶ線と、一の第2領域3を挟む2つの第1領域2の他方の第1領域2が帯状に延びる方向に沿って該第1領域2の第1方向d1における中点を結ぶ線とが、互いに離れていく形態とするには、例えば、第1領域2が帯状に延びる方向に沿って第1領域2の幅が大きくなる形態とすればよい。
例えば、図4に例示する流体抵抗低減構造1において、第1領域2aが帯状に延びる方向d2aに沿って、第1領域2aの幅が大きくなる形態とすればよい。この場合、第1領域2aの図中左端の幅W1Lが最も小さく、図中右端の幅W1Rが最も大きくなる。
次に、図5を用いて、流体抵抗低減構造1における第2領域3の延びる方向と第2領域3の幅との関係を説明する。
上記においては、流体抵抗低減構造1において、一の第2領域3を挟む2つの第1領域2の一方の第1領域2が帯状に延びる方向に沿って該第1領域2の第1方向d1における中点を結ぶ線と、一の第2領域3を挟む2つの第1領域2の他方の第1領域2が帯状に延びる方向に沿って該第1領域2の第1方向d1における中点を結ぶ線とが、互いに離れていく形態とするには、例えば、第1領域2が帯状に延びる方向に沿って第1領域2の幅が大きくなる形態とすればよいことを述べたが、この他に、第2領域3が帯状に延びる方向に沿って第2領域3の幅が大きくなる形態としてもよい。
例えば、図5に例示する流体抵抗低減構造1において、第2領域3aが帯状に延びる方向に沿って、第2領域3aの幅が大きくなる形態とすればよい。この場合、第2領域3aの図中左端の幅W2Lが最も小さく、図中右端の幅W2Rが最も大きくなる。
また、流体抵抗低減構造1において、一の第2領域3を挟む2つの第1領域2の一方の第1領域2が帯状に延びる方向に沿って該第1領域2の第1方向d1における中点を結ぶ線と、一の第2領域3を挟む2つの第1領域2の他方の第1領域2が帯状に延びる方向に沿って該第1領域2の第1方向d1における中点を結ぶ線とが、互いに離れていく形態とするには、第1領域2が延びる方向に沿って第1領域2の幅が大きくなり、かつ、第2領域3が延びる方向に沿って第2領域3の幅が大きくなる形態としてもよい。
次に、本開示の流体抵抗低減構造の他の例を説明する。
図1に示す流体抵抗低減構造1においては、4つの各第1領域2が帯状に延びる方向、すなわち図1に示す方向d2a、方向d2b、方向d2c、方向d2dは、いずれも直線状の方向である。言い換えれば、一の第2領域3を挟む2つの第1領域2の一方の第1領域2が帯状に延びる方向に沿って該第1領域2の第1方向d1における中点を結ぶ線と、一の第2領域3を挟む2つの第1領域2の他方の第1領域2が帯状に延びる方向に沿って該第1領域2の第1方向d1における中点を結ぶ線とのなす角度が、一定の大きさである。
このような形態を有するため、図2を用いて説明したように、流体抵抗低減構造1においては、円錐の円錐面のような曲面を有する物体の表面に適用されて、効果的に流体抵抗を低減することができる。
ただし、本開示の流体抵抗低減構造は、これに限定されず、図6に示す流体抵抗低減構造1Aのように、4つの各第1領域2が帯状に延びる方向、すなわち図6に示す方向d2a、方向d2b、方向d2c、方向d2dは、それぞれ曲線状の方向であってもよい。言い換えれば、本開示の流体抵抗低減構造は、一の第2領域3を挟む2つの第1領域2の一方の第1領域2が帯状に延びる方向に沿って該第1領域2の第1方向d1における中点を結ぶ線と、一の第2領域3を挟む2つの第1領域2の他方の第1領域2が帯状に延びる方向に沿って該第1領域2の第1方向d1における中点を結ぶ線とのなす角度が、該第2領域3が帯状に延びる方向に従って変化する形態であってもよい。
例えば、流体抵抗低減構造1Aにおいては、楽器のラッパのように外縁が曲線状に広がっていく曲面を有する物体の表面に適用されて、効果的に流体抵抗を低減することができる。
なお、図6に示す流体抵抗低減構造1Aにおいては、一の第2領域3を挟む2つの第1領域2のうち、一方の第1領域2が帯状に延びる方向が、一の第2領域3が帯状に延びる方向に対して、第1方向d1の一の側に延び、他方の第1領域2が帯状に延びる方向が、一の第2領域3が帯状に延びる方向に対して、第1方向d1の一の側と反対側に延びている形態も有している。
上記について、より詳しく述べると、図6に示す流体抵抗低減構造1Aにおいては、第2領域3bを挟む2つの第1領域(第1領域2bと第1領域2c)のうち、一方の第1領域(第1領域2b)が帯状に延びる方向d2bが、第2領域3bが帯状に延びる方向に対して、第1方向d1の一の側(図中下方向)に延び、他方の第1領域(第1領域2c)が帯状に延びる方向d2cが、第2領域3aが帯状に延びる方向に対して、第1方向d1の一の側と反対側(図中上方向)に延びている。
このように、一の第2領域3を挟む2つの第1領域2のうち、一方の第1領域2が帯状に延びる方向が、一の第2領域3が帯状に延びる方向に対して、第1方向d1の一の側に延び、他方の第1領域2が帯状に延びる方向が、一の第2領域3が帯状に延びる方向に対して、第1方向d1の一の側と反対側に延びている形態は、図6に示す流体抵抗低減構造1Aのように、4つの各第1領域2が帯状に延びる方向が、それぞれ曲線状の方向である形態のみならず、図1に示す流体抵抗低減構造1のように、4つの各第1領域2が帯状に延びる方向が、それぞれ直線状の方向である形態においても、有していてよい。
また、図2においては、図1に示す流体抵抗低減構造1の適用例として、円錐Cの円錐面(側面)のような形態を有する物体の表面の一部に適用されて、流体Fが円錐Cの母線に沿って、頂点Pから底面に向かって発散するように流れる例を示したが、本開示における流体抵抗低減構造の適用例はこの限りではない。
例えば、本開示の流体抵抗低減構造においては、図7に示すように、流体Fが円錐Cの母線に沿って、底面から頂点Pに向かって収束するように流れる形態を有する物体の表面の一部に適用されてもよい。
ここで、図7に示す形態は、流体Fの向きは図2と同様に図中左から右へ向かい、円錐Cの向きが図2に示す円錐Cとは左右反対になっている形態に相当する。それゆえ、図7に示す形態においては、例えば、図1に示す流体抵抗低減構造1を左右反対に適用すればよい。すなわち、図1に示す流体抵抗低減構造1のK1、K2、K3、K4の4点を結ぶ線で囲まれた領域のうち、K3とK4の2点を結ぶ線分の側が流体Fに対して上流側となり、K1とK2の2点を結ぶ線分の側が流体Fに対して下流側となるように配置すればよい。
なお、図6に例示した流体抵抗低減構造1Aのように、楽器のラッパのように外縁が曲線状に広がっていく曲面を有する物体の表面に適用される場合も、上記と同様にすることができる。
また、図2においては、図1に示す流体抵抗低減構造1の適用例として、円錐Cの円錐面(側面)のような形態を有する物体の表面(外面)の一部に適用される例を示したが、本開示における流体抵抗低減構造の適用例はこの限りではない。
例えば、本開示の流体抵抗低減構造においては、図2に示す円錐Cの円錐面(側面)の内面(内側の面)の一部のような湾曲面を有する物体の表面に適用されてもよい。
本開示の流体抵抗低減構造を、このような物体の表面に適用する場合は、例えば、図8に示す流体抵抗低減構造1Bのように、第1面10が凹型に湾曲する形態となる。すなわち、図1に示す流体抵抗低減構造1は、第1面10が凸型に湾曲する形態であったが、この図8に示す流体抵抗低減構造1Bは、第1面10が凹型に湾曲する形態である。例えば、図8に示す流体抵抗低減構造1Bにおいて、湾曲の向きが凹型であること以外の構成は、図1に示す流体抵抗低減構造1と同様とすることができる。
なお、図6に例示した流体抵抗低減構造1Aのように、楽器のラッパのように外縁が曲線状に広がっていく曲面を有する物体の内面に適用される場合も、上記と同様にすることができる。
<凹凸構造>
次に、本開示の流体抵抗低減構造の凹凸構造について説明する。
図9は、本開示の流体抵抗低減構造の凹凸構造の一例について示す模式図である。また、図10は、図9に示す流体抵抗低減構造の凹凸構造の一例の概略断面図であり、図10(a)は、図9のA-A線断面図、図10(b)は図9のB-B線断面図である。
図9、図10に示すように、流体抵抗低減構造1の第1領域2には、凸部11と凹部12から構成される凹凸構造4が設けられており、凸部11と凹部12は、第1領域2が延びる方向に複数配列されている。
図10(a)、図10(b)において、H1は凸部11の高さを示す。ここで、「凸部11の高さ」とは、凸部11の底部から頂部までの距離であり、図9に示す流体抵抗低減構造1においては、図10(b)に示すように、凸部11と凹部12との段差と規定することもできる。
また、図10(a)に示すように、図9に示す流体抵抗低減構造1において第1領域2の幅W1は、第1方向d1における凸部11の一方の端から他方の端までの距離(凸部11の第1方向d1に沿った長さ)、と規定することができる。
同様に、図9に示す流体抵抗低減構造1において第2領域3の幅W2は、第2領域3に隣接する一方の第1領域2に配列された凸部11の該第2領域3の側の端から、該第2領域3に隣接する他方の第1領域2に配列された凸部11の該第2領域3の側の端までの距離、と規定することができる。例えば、図10(a)に示すように、第2領域3aの幅W2は、第2領域3aに隣接する第1領域2aに配列された凸部11の第2領域3aの側の端から、第2領域3に隣接する第1領域2bに配列された凸部11の第2領域3aの側の端までの距離、と規定することができる。
図11(a)~(c)は、流体抵抗低減構造1における流体の流れを説明する模式図である。より詳しくは、流体抵抗低減構造1の第1領域2の幅W1および第2領域3の幅W2と、図2に示す流体Fの流れの中において第1領域2と第2領域3の境界付近で発生する縦渦LVとの関係を示す模式図である。
なお、図11(a)~(c)中、δは、境界層の厚さを示す。物体まわりの流れにおいて、物体表面のごく薄い層では粘性の影響を強く受ける。この粘性による影響を強く受ける層を境界層と呼ぶ。
ここで、流体の流れの中に物体を置いた場合、物体に作用する抗力には、例えば圧力抵抗や摩擦抵抗があり、圧力抵抗は気体の流れの剥離によって発生する。圧力抵抗が問題となるのは、例えば、自動車、電車、航空機等の移動体や、ダクト、ガス管等の管内や、風車や、空調設備等の物体においてであり、これらの物体に流れる流体の流速は、例えば、3m/s以上250m/s以下程度(10km/h以上900km/h以下程度)である。
流体抵抗低減構造1においては、例えば物体に流れる流体の流速が上記範囲内である場合に、凸部11の高さH1を所定の範囲内で適宜調整することにより、縦渦LVを発生しやすくすることができる。
例えば図11(a)に示すように、第1領域2の幅W1および第2領域3の幅W2が大きい場合には、第1領域2と第2領域3との境界付近では大きな縦渦LVが発生するものの、第1領域2の中央部分および第2領域3の中央部分までは縦渦LVが回り込みにくい。
また、例えば図11(c)に示すように、第1領域2の幅W1および第2領域3の幅W2が小さい場合には、第1領域2と第2領域3との境界付近で発生する縦渦LVが小さく、境界層(厚みδ)の外縁まで縦渦LVが到達しにくい。
すなわち、第1領域2の幅W1および第2領域3の幅W2が、流体の速度に対して不適切な場合は、流体の流れの剥離を抑制することはできるものの、その効果は小さい。
これに対し、第1領域2の幅W1および第2領域3の幅W2を、適切な所定の範囲内とすることにより、例えば図11(b)に示すように、第1領域2と第2領域3との境界付近に大きな縦渦LVを発生させることができ、境界層(厚みδ)の全体で縦渦LVの効果(すなわち、気体Fの流れが流体抵抗低減構造1の表面から剥離していくことを抑制する効果)を生じさせることができる。
流体抵抗低減構造1において、凸部11の高さH1は、図11に示す境界層の厚みδの1/100以上1/10以下程度であることが好ましい。なお、流体の流速が速いほど、境界層の厚みδは薄くなる。
例えば、凸部11の高さは、20μm以上400μm以下であることが好ましく、50μm以上200μm以下であることがより好ましい。上述したように、例えば、自動車、電車、航空機等の移動体や、ダクト、ガス管等の管内や、風車、空調設備等の物体において、物体に流れる流体の流速は3m/s以上250m/s以下程度(10km/h以上900km/h以下程度)である。流体抵抗低減構造1をこれらの物体の表面に適用する場合、凸部11の高さを上記範囲内で適宜調整することにより、第1領域2と第1領域2に隣接する第2領域3との境界近辺において縦渦LVを発生しやすくすることができる。
また、流体抵抗低減構造1において、第1領域2の幅W1は、境界層の厚みδと同じ大きさであることが好ましい。例えば、第1領域2の幅は、0.2mm以上50mm以下であることが好ましく、1mm以上25mm以下であることがより好ましい。第1方向d1における第1領域2の幅が上記範囲内であることにより、第1領域2と第1領域2に隣接する第2領域3の境界付近にて大きな縦渦LVが発生し、境界層の全体で縦渦LVを生成させることができる。
また、流体抵抗低減構造1において、第2領域3の幅W2は、第1領域2の幅W1と同じ大きさであってもよく異なる大きさであってもよいが、第1領域2の幅W1と同じ大きさであることが好ましい。例えば、第2領域3の幅は、0.2mm以上50mm以下であることが好ましく、1mm以上25mm以下であることがより好ましい。第2領域3の幅の大きさが、第1領域2の幅の大きさと同じ程度であれば、第1領域2と第1領域2に隣接する第2領域3の境界付近において、より大きな縦渦LVが発生し、効果的に境界層の全体で縦渦LVを生成させることができる。
なお、第1領域2の幅は、流体抵抗低減構造1の表面が曲面である場合には、曲面に沿った第1領域2の幅をいう。第2領域3の幅についても、同様である。
図9、図10に示す流体抵抗低減構造1においては、第1領域2に配列される凸部11の形態として、第1方向d1に沿って直線状に延びる形態を例示しているが、これに限定されず、本開示の流体抵抗低減構造において凸部11の形態は、流体抵抗を低減することが可能な各種の形態とすることができる。例えば、凸部11の平面視のパターン形状としては、ライン状、ドット状等の各種パターンが挙げられる。ライン状のパターンとしては、例えば、直線状、折れ線状、曲線状等のパターンが挙げられる。
なお、「凸部11の平面視のパターン形状」とは、該凸部11が設けられている位置における第1面10の法線方向から見た該凸部11の平面形態の形状をいう。
また、上記の「直線状のパターン」とは、平面視において、特定の方向に沿った長手の直線部分を有するパターンのことである。また、「第1方向に沿って直線状に延びる形態」とは、平面視において、第1方向に沿った長手の直線状部分を有する形態のことである。
例えば、図9、図10に示す凸部11のように、第1方向d1に沿って延びる直方体の形態等が当てはまる。ただし、厳密に直方体の形態である必要はなく、例えば、平面視において、第1方向に沿った長手の直線状部分以外の部分は、曲線で形成されていてもよい。断面形状も矩形以外に台形等であってよい。また、第1方向に沿った長手の直線状部分も、厳密に直線である必要はなく、材料や製造過程に応じた凹凸や歪みを有していてもよい。
また、図9、図10に示す流体抵抗低減構造1においては、凸部11の平面視のパターン形状として直線状のパターンを例示し、直線状のパターンの長手方向が、第1方向d1に沿って延びる形態を例示しているが、これに限定されず、本開示の流体抵抗低減フィルムにおいて凸部11の直線状のパターンの長手方向は、流体抵抗を低減することが可能な各方向とすることができる。
例えば、凸部11の直線状のパターンの長手方向は、流体抵抗を低減することが可能な範囲において、第1方向d1に対して、0°±85°の角度範囲内とすることができる。
また、図9、図10に示す流体抵抗低減構造1においては、第1領域2に配列される凸部11の第1領域2の延びる方向の断面形態として、矩形状の形態を例示しているが、これに限定されず、本開示の流体抵抗低減構造において凸部11の第1領域2が帯状に延びる方向の断面形態は、流体抵抗を低減することが可能な各種の形態とすることができる。例えば、矩形状の他に、台形状、三角形状、半円形状、半楕円形状等、及びこれらが組み合わされた形状等が挙げられる。
凸部11が第1方向d1に沿って直線状に延びる形態を有する場合、凸部11の第1方向d1に直交する方向の幅は、凸部11の高さH1の1倍以上2倍以下であることが好ましい。この幅が小さすぎると、凸部11の形成が困難になるおそれがある。また、この幅が大きすぎると、流体抵抗を低減する効果が十分に生じないおそれがある。一方、この幅が凸部11の高さH1の1倍以上2倍以下であれば、凸部11の形成はより容易となり、流体抵抗を低減する効果も十分に生じ得る。
ここで、上記の凸部11の幅は、平面視において、凸部11の第1方向d1に直交する方向の幅のうち最も大きい幅をいう。例えば、凸部11の第1方向d1に直交する方向の断面形態が、台形状、三角形状、半円形状、半楕円形状等の場合、通常、最も大きい幅は
凸部11の底部の幅になる。
第1領域2が帯状に延びる方向において隣り合う凸部11の間隔は、凸部11の高さH1の1倍以上12倍以下であることが好ましく、5倍以上12倍以下であることがより好ましい。
第1領域2と第2領域3との境界付近に縦渦LVを生じさせて流体抵抗を効果的に低減するには、凸部11への衝突により一旦第1面から剥離した流体が、再び第1面に近づいて次の凸部11に衝突するという現象が、流体の流れ方向において連続的に生じることが望ましい。すなわち、第1領域2が帯状に延びる方向において隣り合う凸部11の間隔が、この一旦第1面から剥離した流体が、再び第1面に近づくまでの距離に相当することが望ましい。
ここで第1領域2が帯状に延びる方向において隣り合う凸部11の間隔が凸部11の高さH1の1倍未満では、上記の距離として短すぎる。また、隣り合う凸部11の間隔が凸部11の高さH1の12倍より大きい場合は、上記の距離として長すぎる。この距離は概ね、凸部11の高さH1の8倍程度と考えられている。
なお、第1領域2が帯状に延びる方向において隣り合う凸部11の間隔は、第1領域2が延びる方向における凹部12の幅に相当する。
また、本開示における流体抵抗低減構造においては、第1領域に複数配列されている凸部の少なくとも1つが、他の凸部と異なる形状を有していてもよい。例えば、第1領域に複数配列されている凸部の少なくとも1つが、他の凸部と異なる高さ、幅を有していてもよい。
このような、他の凸部と異なる形状を有している凸部は、位置決めや製品識別のためのマークとして使用できる。また、別途マークを設ける場合に比べて容易に製造できる。このようなマークとして使用する凸部は、サイズが小さくても、例えば、特定方向に周期的に形成することで検出可能である。また、他の凸部に比べて数が少なければ、流体抵抗低減構造としての流体制御の効果も低下させずに済む。
一方、別途マークを設ける場合は、例えば、流体抵抗低減構造の第1面に、このマークを設けるための領域が必要になる。
<流体抵抗低減構造の他の形態例>
また、本開示における流体抵抗低減構造においては、第1領域2が有する凹凸構造の凹部12が第1面10に対して凹んでいてもよい。例えば、図12に示す流体抵抗低減構造1Cは、凹凸構造4の凹部12が第1面10に対して凹んでいる例である。
また、本開示における流体抵抗低減構造においては、第1領域2が有する凸部11の平面視のパターン形状がドット状であってもよい。
例えば、図13、図14に示す流体抵抗低減構造1Dにおいては、第1領域2が有する凸部11の平面視のパターン形状がドット状であり、このドット状の凸部11が、第1領域2の幅方向および第1領域2が帯状に延びる方向に複数配列されている。
なお、図14(a)、(b)はそれぞれ図13のA-A線断面図である。
流体抵抗低減構造1Dにおいては、ドット状の凸部11の接地面積が小さいため、隣り合う凸部11の間に異物が溜まりにくい。それゆえ、異物が溜まることによって流体抵抗低減の効果が低下してしまうことを抑制する効果も奏する。
なお、図13に示す流体抵抗低減構造1Dにおいては、複数のドット状の凸部11が、第1領域2の幅方向および第1領域2が帯状に延びる方向に、それぞれ一定の間隔で規則的に配列されているが、本開示の流体抵抗低減構造はこれに限定されない。
例えば、複数のドット状の凸部11は、第1領域2の幅方向および第1領域2が帯状に延びる方向に、ランダムに配列されていてもよい。
また、複数のドット状の凸部11のそれぞれの形態は同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、複数のドット状の凸部11のそれぞれの高さ、接地面積等は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、本開示における流体抵抗低減構造においては、第1領域2が有する凹部12の平面視のパターン形状がドット状であってもよい。
例えば、図15、図16に示す流体抵抗低減構造1Eにおいては、第1領域2が有する凹部12の平面視のパターン形状がドット状である。
なお、図16は図15のA-A線断面図である。
流体抵抗低減構造1Eにおいては、ドット状の凹部12は流体抵抗低減構造1Eの第1面から突出していないため、耐傷性の向上が期待できる。特に、ドット状の凹部12の開口面積が小さいため、この効果が期待できる。
なお、図15に示す流体抵抗低減構造1Eにおいては、複数のドット状の凹部12が、第1領域2の幅方向および第1領域2が帯状に延びる方向に、それぞれ一定の間隔で規則的に配列されているが、本開示の流体抵抗低減構造はこれに限定されない。
例えば、複数のドット状の凹部12は、第1領域2の幅方向および第1領域2が帯状に延びる方向に、ランダムに配列されていてもよい。
また、複数のドット状の凹部12のそれぞれの形態は同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、複数のドット状の凹部12のそれぞれの深さ、開口面積等は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、本開示における流体抵抗低減構造においては、第2領域3に、流体抵抗低減の効果を奏する構造を設けてもよい。例えば、流体抵抗低減構造1において、第2領域3は、第2領域3が帯状に延びる方向に沿って延びる溝構造を有していてもよい。この溝構造は、第2領域3の幅方向に対して、複数並列されていてもよい。例えば、この並列間隔は数十ミクロンの大きさとすることができる。
このような溝構造を第2領域3に設けることにより、流体の摩擦抵抗を小さくすることができる。特に数十ミクロンの間隔の周期的な溝(リブレット構造)は、流体の摩擦抵抗を小さくする効果が大きい。
[フィルム]
次に本開示のフィルムについて説明する。本開示のフィルムは、本開示の流体抵抗低減構造を有するものである。
本開示のフィルムは樹脂基材を有することができる。本開示のフィルムは、本開示の流体抵抗低減構造を有していればよく、例えば、流体抵抗低減構造は、樹脂基材と一体に構成されていてもよく、あるいは、樹脂基材と別体で構成されていてもよい。また、本開示のフィルムは、樹脂基材と、この樹脂基材の一方の面に配置された樹脂層とを有し、この樹脂層の上に本開示の流体抵抗低減構造を有していてもよい。
図17(a)~(c)は、本開示のフィルムを例示する概略断面図である。
例えば、図17(a)に示すフィルム15Aのように、本開示の流体抵抗低減構造の第1領域2および第2領域3は樹脂基材16と一体に構成されていてもよい。また、図17(b)に示すフィルム15Bのように、本開示の流体抵抗低減構造の凸部11は樹脂基材16と別体で構成されていてもよい。この場合、本開示の流体抵抗低減構造の凹部12の底部および第2領域3は、樹脂基材16の面であってもよい。
また、図17(c)に示すフィルム15Cのように、樹脂基材16の一方の面に樹脂層17が配置されており、樹脂層17が本開示の流体抵抗低減構造の第1領域2および第2領域3を有していてもよい。
本開示の流体抵抗低減構造が樹脂基材と別体で構成されている場合、流体抵抗低減構造の材料としては、例えば、硬化性樹脂組成物や熱可塑性樹脂等が挙げられる。硬化性樹脂組成物としては、紫外線硬化性樹脂組成物や電子線硬化性樹脂組成物等の電離放射線硬化性樹脂組成物や熱硬化性樹脂組成物等が挙げられる。
流体抵抗低減構造が樹脂基材と一体で構成されている場合、流体抵抗低減構造の材料としては、樹脂基材の材料と同様とすることができる。
樹脂基材の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂を用いることができ、汎用プラスチックやエンジニアリングプラスチックの中から適宜選択して用いることができる。中でも、耐候性および耐擦り性の観点から、塩化ビニル樹脂が好ましい。
樹脂基材は、必要に応じて、可塑剤、安定剤、滑剤、充填剤、着色剤、加工助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難撚剤等の添加剤を含有してもよい。
樹脂基材の厚さとしては、特に限定されるものではなく、流体抵抗低減フィルムの用途等に応じて適宜選択される。例えば、本開示の流体抵抗低減フィルムを、自動車、電車、航空機等の移動体のラッピングフィルムやマーキングフィルムに用いる場合には、樹脂基材の厚さは、25μm以上350μm以下程度とすることができる。
樹脂基材上に本開示の流体抵抗低減構造を形成する方法としては、例えば、硬化性樹脂組成物を用い、樹脂基材上に硬化性樹脂組成物を所定のパターン状に塗布し、硬化させる方法が挙げられる。また、紫外線硬化性樹脂組成物を用い、樹脂基材上に紫外線硬化性樹脂組成物を塗布し、塗膜に金型を押し当て、紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させた後、金型から剥離する、いわゆるフォトポリマー法(2P法)が挙げられる。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物を用い、樹脂基材上に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線や電子線等の電離放射線をパターン状に照射し、現像する、いわゆるリソグラフィ法が挙げられる。
また、樹脂基材上に樹脂層を形成し、樹脂層の表面をエンボス加工する方法等が挙げられる。また、表面がエンボス加工された樹脂層を別途作製し、その樹脂層を樹脂基材上にラミネートしてもよい。
樹脂基材上に硬化性樹脂組成物を所定のパターン状に塗布し、硬化させる方法の場合、硬化性樹脂組成物の塗布方法としては、所望のパターン状に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、インクジェット法、スクリーン印刷法等が挙げられる。また、フォトポリマー法やリソグラフィ法の場合、硬化性樹脂組成物の塗布方法としては、一様に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、公知の塗布方法を適用することができる。
また、エンボス加工の方法の場合、樹脂層の材料としては、エンボス加工が可能なものであれば特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂を用いることができる。この場合、樹脂層の厚さとしては、凸部11の高さよりも大きければ特に限定されるものではなく、フィルムの用途等に応じて適宜選択される。例えば、本開示のフィルムを、自動車、電車、航空機等の移動体のラッピングフィルムやマーキングフィルムに用いる場合には、樹脂層の厚さは、30μm以上300μm以下程度とすることができる。
また、樹脂基材の一方の面に本開示の流体抵抗低減構造を形成する方法としては、例えば、樹脂基材の片面または両面をエンボス加工する方法等が挙げられる。
<フィルムの他の形態例>
本開示におけるフィルムは、他の層が積層された積層構成を有していてもよい。図18(a)、(b)は本開示のフィルムの積層構成を例示する概略断面図である。例えば、本開示におけるフィルムは、本開示の流体抵抗低減構造を有する面とは反対側の面の側に、他の層を有していてもよい。他の層としては、例えば、粘着層、印刷層等を挙げることができる。
(粘着層)
本開示におけるフィルムは、例えば図18(a)に示すように、本開示の流体抵抗低減構造を有する面とは反対側の面の側に、粘着層21を有していてもよい。粘着層21は、流体抵抗低減フィルムを物体の表面に貼付するための層である。粘着層21を有することにより、物体の表面にフィルムを容易に貼付することができる。
粘着層21に用いられる粘着剤としては、用途等に応じて適宜選択され、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。
粘着層21は、再剥離性を有していてもよく、有していなくてもよいが、中でも、再剥離性を有することが好ましい。粘着層21が再剥離性を有する場合には、物体の表面にフィルムを貼付する際に貼り直しが可能であり、またフィルムを貼り替えたり除去したり場合には糊残りを生じることなく物体からフィルムを剥離することが可能である。
なお、「再剥離性」とは、物体の表面にフィルムを貼付した後で、物体を破壊せず、かつ物体表面に粘着剤を残さずに容易に剥離できる性質をいう。
粘着層21の厚さとしては、特に限定されるものではなく、フィルムの用途等に応じて適宜選択される。例えば、粘着層の厚さは、5μm以上50μm以下程度とすることができる。
粘着層21の形成方法としては、例えば、粘着剤組成物を塗布する方法や、粘着フィルムを貼合する方法等が挙げられる。
(印刷層)
本開示のフィルムは、例えば図18(b)に示すように、本開示の流体抵抗低減構造を有する面とは反対側の面の側に、印刷層23を有していてもよい。本開示のフィルムが印刷層23を有することにより、意匠性を付与することができる。印刷層23は、例えば、文字、数字、記号、絵柄、模様、マーク等の情報を表示することができる。
印刷層23の形成方法としては、例えば、流体抵抗低減フィルムの樹脂基材に直に印刷を施すことにより印刷層23を形成してもよく、あるいは、例えば図18(b)に示すように、支持層22上に印刷を施すことにより印刷層23を形成してもよい。印刷層23は、樹脂基材または支持層上にパターン状に配置されていてもよく、樹脂基材または支持層の全面に配置されていてもよい。また、印刷方法としては、特に限定されない。
支持層22としては、印刷を施すことが可能であれば特に限定されるものではなく、例えば樹脂基材を用いることができる。
支持層22は着色剤を含有していてもよい。支持層22が着色剤を含有することにより、遮蔽性を付与することができる。例えば、物品の表面に意匠が施されている場合において、本開示のフィルムが印刷層23を有し、支持層22が着色剤を含有する場合には、物品の表面に本開示のフィルムを貼付することで、その意匠を隠し、新たな意匠を施すことができる。
支持層22の厚さとしては、特に限定されるものではなく、フィルムの用途等に応じて適宜選択される。
また、支持層22上に印刷を施すことにより印刷層23を形成する場合、例えば図18(b)に示すように、支持層22と、支持層22の一方の面に配置された印刷層23とを有する印刷シートを別途作製し、この印刷シートを第2の粘着層24を介してフィルム15Aの樹脂基材に貼合してもよい。
<用途>
本開示のフィルムは、物体の表面に適用することができる。具体的には、本開示のフィルムは、乗用車、トラック、バス等の自動車や、電車、新幹線、機関車等の鉄道車両や、飛行機、ヘリコプター、ドローン等の航空機や、自転車等の気体中を移動する移動体の筐体や部品の表面に適用することができる。
また、本開示のフィルムは、例えば、ダクト、ガス管等の管の内面や、風車の羽根の表面や、エアコン等の空調設備の吹き出し口やルーバー等の表面等に適用することもできる。
中でも、本開示のフィルムは、移動体の筐体や部品の表面に適用することが好ましく、特に、流体の流れが平行な関係にならないような曲面を有する物体の表面に適用されて、効果的に流体抵抗を低減することができる。
[樹脂成型品]
次に本開示の樹脂成型品について説明する。本開示の樹脂成型品は、本開示の流体抵抗低減構造を有するものである。図19は、本開示の樹脂成型品の一例について示す模式図である。なお、図19に示す例は、本開示の樹脂成型品の一部の例であってもよい。例えば、自動車のバンパーの一部であってもよい。
ここで、図19に示す樹脂成型品30は、表面に図1に示す流体抵抗低減構造1を有するものに相当する。そして、樹脂成型品30の表面は、図1に示す流体抵抗低減構造1の第1面10に相当する。また、樹脂成型品30は、可撓性を有するフィルムとは異なり、通常変形の程度は小さく、表面の曲率も固定されているといえる。
それゆえ、図19に示す樹脂成型品30においては、第1面10が第1方向d1に沿って湾曲しており、第1面10において、第1方向d1に沿った曲率半径がより大きい位置の第1領域2の幅が、第1方向に沿った曲率半径がより小さい位置の第1領域2の幅よりも大きいものとすることができる。
より具体的には、図2に示すように、流体抵抗低減構造1におけるK3とK4の2点を結ぶ線分を円周に含む円の曲率半径は、K1とK2の2点を結ぶ線分を円周に含む円の曲率半径よりも小さい。そして、図4を用いて説明したように、流体抵抗低減構造1におけるK3とK4の2点を結ぶ線分に近い側の第1領域2の幅(例えば、図4に示すW1R)は、K1とK2の2点を結ぶ線分に近い側の第1領域2の幅(例えば、図4に示すW1L)よりも大きいものになる。
それゆえ、図19に示す樹脂成型品30においても、第1面10において、第1方向d1に沿った曲率半径がより大きい位置の第1領域2の幅(すなわち、K3とK4の2点を結ぶ線分に近い側の第1領域2の幅)が、第1方向に沿った曲率半径がより小さい位置の第1領域2の幅(すなわち、K1とK2の2点を結ぶ線分に近い側の第1領域2の幅)よりも大きいものとすることができる。
そして、このような構成を有することで、樹脂成型品30は、物体に適用されて効果的に流体抵抗を低減することができる。特に、流体の流れが平行な関係にならないような曲面を要する物体に適用されて、効果的に流体抵抗を低減することができる。
同様に、図19に示す樹脂成型品30においては、第1面10が第1方向d1に沿って湾曲しており、第1面10において、第1方向d1に沿った曲率半径がより大きい位置の第2領域3の幅が、第1方向に沿った曲率半径がより小さい位置の第2領域3の幅よりも大きいものとすることができる。
より具体的には、図2に示すように、流体抵抗低減構造1におけるK3とK4の2点を結ぶ線分を円周に含む円の曲率半径は、K1とK2の2点を結ぶ線分を円周に含む円の曲率半径よりも小さい。そして、図5を用いて説明したように、流体抵抗低減構造1におけるK3とK4の2点を結ぶ線分に近い側の第2領域3の幅(例えば、図5に示すW2R)は、K1とK2の2点を結ぶ線分に近い側の第2領域3の幅(例えば、図5に示すW2L)よりも大きいものになる。
それゆえ、図19に示す樹脂成型品30においても、第1面10において、第1方向d1に沿った曲率半径がより大きい位置の第2領域3の幅(すなわち、K3とK4の2点を結ぶ線分に近い側の第2領域3の幅)が、第1方向に沿った曲率半径がより小さい位置の第2領域3の幅(すなわち、K1とK2の2点を結ぶ線分に近い側の第2領域3の幅)よりも大きいものとすることができる。
そして、このような構成を有することで、樹脂成型品30は、物体に適用されて効果的に流体抵抗を低減することができる。特に、流体の流れが平行な関係にならないような曲面を要する物体に適用されて、効果的に流体抵抗を低減することができる。
本開示の樹脂成型品の材料としては、熱可塑性樹脂を用いることができ、例えば、汎用プラスチックやエンジニアリングプラスチックの中から適宜選択して用いることができる。中でも、耐候性および耐擦り性の観点から、アクリル樹脂、ポリカーボネートが好ましい。
また、本開示の樹脂成型品は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、安定剤、滑剤、充填剤、着色剤、加工助剤、帯電防止剤、難撚剤等の添加剤を含有してもよい。本開示の樹脂成型品が紫外線吸収剤を含有する場合には、耐候性を高めることができる。
本開示の樹脂成型品の形状としては、成形可能な形状であればよく、単純な形状から複雑な形状まで多様な形状とすることができる。
本開示の樹脂成型品の厚さは、成形可能な厚さであればよく、例えば、0.35mm以上100mm以下であることが好ましく、0.40mm以上75mm以下であることがより好ましく、0.50mm以上50mm以下であることがさらに好ましい
<樹脂成型品の製造方法>
本開示の樹脂成型品の製造方法としては、表面に本開示の流体抵抗低減構造を有する樹脂成型品を製造することが可能な成形方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、射出成形法、押出成形法等が挙げられる。
<用途>
本開示の樹脂成型品は、物体の表面に適用する、あるいは、それ自体を部品として用いることができる。具体的には、本開示の樹脂成型品は、乗用車、トラック、バス等の自動車や、電車、新幹線、機関車等の鉄道車両や、飛行機、ヘリコプター、ドローン等の航空機や自転車等の流体中を移動する移動体の筐体や部品の表面に適用したり、移動体の部品として用いたりすることができる。
また、本開示の樹脂成型品は、例えば、ダクト、ガス管等の管の内面や、風車の羽根の表面や、エアコン等の空調設備の吹き出し口やルーバー等の表面等に適用したり、ダクト、ガス管等の管や、エアコン等の空調設備の吹き出し口やルーバー等として用いたりすることもできる。
中でも、本開示の樹脂成型品は、移動体の筐体や部品の表面に適用することが好ましく、特に、流体の流れが平行な関係にならないような曲面を要する物体に適用されて、効果的に流体抵抗を低減することができる。
本開示の樹脂成型品を物体の表面に配置する方法としては、例えば、粘着剤や接着剤を用いて接着する方法、かしめ加工、ねじ止め等が挙げられる。
[移動体]
次に本開示の移動体について説明する。本開示の移動体は、本開示の流体抵抗低減構造を有するものである。また、本開示の移動体は、本開示のフィルムを有するものであってもよい。また、本開示の移動体は、本開示の樹脂成型品を有するものであってもよい。
本開示の移動体においては、本開示の流体抵抗低減構造が、移動体の表面の全体に配置されていてもよく、移動体の表面の一部に配置されていてもよい。
中でも、本開示の流体抵抗低減構造は、移動体の表面において流体の剥離が生じやすい位置に配置されていることが好ましい。流体の剥離が生じやすい位置は、移動体の種類や形状等に応じて異なる。
本開示の移動体としては、例えば、乗用車、トラック、バス等の自動車や電車、新幹線、機関車等の鉄道車両や飛行機、ヘリコプター、ドローン等の航空機や自転車等の流体中を移動する移動体を挙げることができる。
中でも、本開示の移動体においては、流体の流れが平行な関係にならないような曲面を有する箇所の表面に本開示の流体抵抗低減構造が適用されて、効果的に流体抵抗が低減される。
図20(a)、(b)はそれぞれ本開示の移動体の一例を示す概略側面図および正面図であり、移動体40がトラックの例である。図20(a)、(b)に示すように、移動体40であるトラックは、表面に本開示の流体抵抗低減構造を有しており、例えば、エアデフレクター41の表面に、流体抵抗低減構造1が配置されている。
エアデフレクター41の表面において、流体抵抗低減構造1の配置は、例えば、図1に示すK1とK2の2点を結ぶ線分の側がエアデフレクター41の下側(地面側)になり、図1に示すK3とK4の2点を結ぶ線分の側がエアデフレクター41の上側(天側)になるように配置される。
なお、移動体における本開示の流体抵抗低減構造の配置については、この限りではない。本開示の移動体の他の例を図21、図22に例示する。
例えば、図21は移動体50が乗用車の例である。図21に示すように、移動体50が乗用車の場合、フロントウィング51、フロント部52、フロントバンパー53、サイドバイザー54、ミラー部55、前方サイド部56、サイドスカート57、リアウィング58、リアバンパー59等に、本開示の流体抵抗低減構造を適用できる。
また、図22は移動体60が高速鉄道車両(新幹線)の例である。図21に示すように、移動体50が高速鉄道車両(新幹線)の場合、前方上部61、フロント部62、フロント下部63、前方サイド部64等に、本開示の流体抵抗低減構造を適用できる。なお、移動体60が高速鉄道車両(新幹線)の場合、先頭車両のみならず、後尾車両にも本開示の流体抵抗低減構造を適用できる。
以上、本開示に係る流体抵抗低減構造、フィルム、樹脂成型品、および、移動体について、それぞれの実施形態を説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本開示の技術的思想と実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本開示の技術的範囲に包含される。
1、1A、1B、1C、1D、1E 流体抵抗低減構造
2、2a、2b、2c、2d 第1領域
3、3a、3b、3c 第2領域
4 凹凸構造
10 第1面
11 凸部
12 凹部
15A、15B、15C フィルム
16 樹脂基材
17 樹脂層
21 粘着層
22 支持層
23 印刷層
24 第2の粘着層
30 樹脂成型品
40 移動体
41 エアデフレクター
50 移動体
51 フロントウィング
52 フロント部
53 フロントバンパー
54 サイドバイザー
55 ミラー部
56 前方サイド部
57 サイドスカート
58 リアウィング
59 リアバンパー
60 移動体
61 前方上部
62 フロント部
63 フロント下部
64 前方サイド部

Claims (19)

  1. 流体抵抗を低減することが可能な流体抵抗低減構造であって、
    第1面に、凸部と凹部から構成される凹凸構造を有する第1領域と、2つの前記第1領域に隣接して挟まれる第2領域と、を有し、
    前記第1領域および前記第2領域は、第1方向に交差する方向に帯状に延びており、
    前記第2領域を隣接して挟む2つの前記第1領域の一方の第1領域が帯状に延びる方向に沿って該第1領域の前記第1方向における中点を結ぶ線と、前記第2領域を挟む2つの前記第1領域の他方の第1領域が帯状に延びる方向に沿って該第1領域の前記第1方向における中点を結ぶ線とが、互いに離れていく形態を有する、流体抵抗低減構造。
  2. 前記第1面における前記第1方向において、前記第1領域と前記第2領域とが交互に配置されている、請求項1に記載の流体抵抗低減構造。
  3. 前記第1領域が帯状に延びる方向に沿って、該第1領域の幅が大きくなる、請求項1または請求項2に記載の流体抵抗低減構造。
  4. 前記第2領域が帯状に延びる方向に沿って、該第2領域の幅が大きくなる、請求項1または請求項2に記載の流体抵抗低減構造。
  5. 前記第1領域が帯状に延びる方向に沿って、該第1領域の幅が大きくなり、前記第2領域が帯状に延びる方向に沿って、該第2領域の幅が大きくなる、請求項1または請求項2に記載の流体抵抗低減構造。
  6. 前記第2領域を隣接して挟む2つの前記第1領域の一方の第1領域が帯状に延びる方向に沿って該第1領域の前記第1方向における中点を結ぶ線と、前記第2領域を挟む2つの前記第1領域の他方の第1領域が帯状に延びる方向に沿って該第1領域の前記第1方向における中点を結ぶ線とのなす角度が、一定の大きさである、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の流体抵抗低減構造。
  7. 前記第2領域を隣接して挟む2つの前記第1領域の一方の第1領域が帯状に延びる方向に沿って該第1領域の前記第1方向における中点を結ぶ線と、前記第2領域を挟む2つの前記第1領域の他方の第1領域が帯状に延びる方向に沿って該第1領域の前記第1方向における中点を結ぶ線とのなす角度が、該第2領域が帯状に延びる方向に従って変化する、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の流体抵抗低減構造。
  8. 前記第2領域を隣接して挟む2つの前記第1領域のうち、
    一方の第1領域が帯状に延びる方向が、前記第2領域が帯状に延びる方向に対して、前記第1方向の一の側に延び、
    他方の第1領域が帯状に延びる方向が、前記第2領域が帯状に延びる方向に対して、前記第1方向の一の側と反対側に延びている、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の流体抵抗低減構造。
  9. 前記凸部が、前記第1領域が帯状に延びる方向に複数配列されている、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の流体抵抗低減構造。
  10. 前記第1領域が帯状に延びる方向において隣り合う前記凸部の間隔が、前記凸部の高さの1倍以上12倍以下である、請求項9に記載の流体抵抗低減構造。
  11. 前記凸部が、前記第1方向に沿って直線状に延びる形態を有する、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の流体抵抗低減構造。
  12. 前記第1方向に沿って直線状に延びる形態を有する前記凸部の前記第1方向に直交する方向の幅が、該凸部の高さの1倍以上2倍以下である、請求項11に記載の流体抵抗低減構造。
  13. 請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の流体抵抗低減構造を有する、フィルム。
  14. 請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の流体抵抗低減構造を有する、樹脂成型品。
  15. 前記第1面が前記第1方向に沿って湾曲しており、前記第1面において、前記第1方向に沿った曲率半径がより大きい位置の前記第1領域の幅が、前記第1方向に沿った曲率半径がより小さい位置の前記第1領域の幅よりも大きい、請求項14に記載の樹脂成型品。
  16. 前記第1面が前記第1方向に沿って湾曲しており、前記第1面において、前記第1方向に沿った曲率半径がより大きい位置の前記第2領域の幅が、前記第1方向に沿った曲率半径がより小さい位置の前記第2領域の幅よりも大きい、請求項14または請求項15に記載の樹脂成型品。
  17. 請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の流体抵抗低減構造を有する、移動体。
  18. 請求項13に記載のフィルムを有する、移動体。
  19. 請求項14乃至請求項16のいずれか一項に記載の樹脂成型品を有する、移動体。
JP2022055532A 2022-03-30 2022-03-30 流体抵抗低減構造、フィルム、樹脂成型品、および、移動体 Pending JP2023147813A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022055532A JP2023147813A (ja) 2022-03-30 2022-03-30 流体抵抗低減構造、フィルム、樹脂成型品、および、移動体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022055532A JP2023147813A (ja) 2022-03-30 2022-03-30 流体抵抗低減構造、フィルム、樹脂成型品、および、移動体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023147813A true JP2023147813A (ja) 2023-10-13

Family

ID=88288197

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022055532A Pending JP2023147813A (ja) 2022-03-30 2022-03-30 流体抵抗低減構造、フィルム、樹脂成型品、および、移動体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023147813A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8876052B2 (en) Structurally designed aerodynamic riblets
US8141936B2 (en) Method of reducing drag on the outer surface of a vehicle
EP2464512B1 (en) Elastomeric riblets
EP1837685A1 (en) Anti-reflection microstructure, anti-reflection mold body, and method of manufacturing the same
WO2019117051A1 (ja) 空気流用の貼付シート状部材及びそれを用いた走行車両
US9714576B2 (en) Riblet structure on a flow surface and method
US8284491B2 (en) Lenticular product
WO2012082668A2 (en) Patterned film and articles made therefrom
JP2023147813A (ja) 流体抵抗低減構造、フィルム、樹脂成型品、および、移動体
AU2013352267B2 (en) Transparent note sheet and method for manufacturing the same
CN112955311A (zh) 具有空气动力学性能的自粘膜
JP7465483B2 (ja) 隆起構造および物体
JP2022188898A (ja) 凹凸樹脂フィルムおよび積層フィルム
JP7351424B2 (ja) 気体抵抗低減構造体、樹脂成形品、賦形型、および移動体
JP2023145307A (ja) 流体抵抗低減フィルム、ロール体、および、流体抵抗低減フィルムの製造方法
JP2023156903A (ja) 気体抵抗低減構造、フィルム、および、移動体
JP2024081497A (ja) 流体抵抗低減構造、流体抵抗低減フィルム、および、移動体
US10612514B2 (en) Rigid polymeric blade for a wind turbine and method and apparatus to manufacture same
JP2023147656A (ja) 流体抵抗低減構造およびフィルム
US8310761B1 (en) Lenticular product
WO2023191004A1 (ja) 構造体及び構造体を備える物体
US10093156B1 (en) Protective film for vehicle window
KR20120086128A (ko) 이동체의 성능향상을 위한 접착성 플라스틱 필름
US20210078696A1 (en) Irregular surface texture for reducing flow drag
CN115725246A (zh) 多层肋饰物