JP2024080490A - チタン酸リチウム粉末、それを用いた電極、及び蓄電デバイス - Google Patents

チタン酸リチウム粉末、それを用いた電極、及び蓄電デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】蓄電デバイスの電極材料として用いられ、レート特性や低温入力特性を高めることができるチタン酸リチウム粉末、それを用いた電極、及び蓄電デバイスを提供する。【解決手段】Li4Ti5O12を主成分とするチタン酸リチウム粉末であって、電気泳動法により測定される、前記チタン酸リチウム粉末の25℃におけるゼータ電位の絶対値が45mV以上で、かつ、次式(I)を満たすことを特徴とするチタン酸リチウム粉末。0.5μm < D50 < 1.7μm (I)(なお上記式中、D50とは粒度分布において一次粒子の粒径の累積体積分布が50%となる点の粒径を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は、蓄電デバイスの電極材料等として好適なチタン酸リチウム粉末、それを用いた電極、及び蓄電デバイスに関する。
近年、蓄電デバイスの電極材料として種々の材料が研究されている。非水電解質二次電池に代表される蓄電デバイス向け電極材料の社会への提供により、国際連合が制定する持続可能な開発目標(SDGs)の17の目標のうち、目標12(持続可能な生産消費形態を確保する)、目標3(あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する)、目標7(すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する)、および目標11(包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市および人間居住を実現する)の達成に貢献することができる。その中でもチタン酸リチウムは、活物質材料として用いた場合に充放電時の体積膨張や収縮がほとんどなくかつ入出力特性に優れる点から、HEV、PHEV、BEVといった電気自動車用の蓄電デバイスの活物質材料として注目されている。
特に、電気自動車用の蓄電デバイスでは、更なる普及に向けて、急速充放電性能の向上や寒冷地向けに-30℃といった極低温での性能改善が求められている。一般的にチタン酸リチウムを用いた蓄電デバイスは高いレートでの充放電が可能と知られているが、10分以内での充放電可能な急速充放電や-30℃といった極低温での動作性能など更なる改善が求められている。
特許文献1には、特定の一次粒子径とルチル化率を有する二酸化チタン粉とリチウム化合物との混合物を焼成して得られ、その一次粒子径が1.0μm以下であることを特徴とするチタン酸リチウムが開示されている。特許文献1によれば、充放電容量が一層高く、クーロン効率も高く、サイクル寿命に優れたチタン酸リチウムイオン二次電池用活物質が得られるとされている。
特許文献2には、負極活物質の表面に、アモルファスカーボンを含む被覆層を有し、ゼータ電位が0~-60mVであることを特徴するリチウムイオン電池用負極活物質が開示されている。特許文献2によれば、負極活物質の表面に所定の樹脂由来のカーボンからなり、所定の物性を有する被覆層を形成することで、充放電時の体積膨張や収縮に対する負極活物質への密着性及び追随性が高く、導電助剤、バインダー及び集電体との接触性及び密着性に優れ、更に、電解液の分解抑制効果が高いことから、優れたサイクル特性及びレート特性に加えて高いクーロン効率を実現することが可能なリチウムイオン電池用負極活物質が得られるとされている。
特開2002-289194号公報 国際公開2018/199265号
しかしながら、一次粒子径のみを規定した特許文献1のチタン酸リチウム粉末を蓄電デバイスの負極材料として適用した場合、昨今求められている急速充放電性能を満足せず、また、低温入力特性は改善できない。
アモルファスカーボンを含む被覆層を有し、ゼータ電位が規定された特許文献2においては、急速充放電や低温特性に関する記載は見られず、さらに、活物質として充放電時の体積変化が大きいシリコン材料を中心とした検討であり、チタン酸リチウムに関する知見も全く示されていない。
以上の点から、特許文献1及び特許文献2の負極活物質を使用した蓄電デバイスでは、チタン酸リチウムを活物質材料として用いた場合の急速充放電性能や低温入力特性を改善することはできない。
そこで本発明では、蓄電デバイスの電極材料として用いられ、レート特性や低温入力特性を高めることができるチタン酸リチウム(以降、LTOあるいはLiTi12と表記することがある)粉末、それを用いた電極、及び蓄電デバイスを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の目的を達成すべく製造条件などを詳細に種々検討した結果、チタン酸リチウム粉末のD50が特定範囲を有し、かつ、特定範囲のゼータ電位を示すチタン酸リチウム粉末を見出した。そのチタン酸リチウム粉末を電極材料として適用された蓄電デバイスが、レート特性や低温入力特性を改善できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下の事項に関する。
(1)LiTi12を主成分とするチタン酸リチウム粉末であって、電気泳動法により測定される、前記チタン酸リチウム粉末の25℃におけるゼータ電位の絶対値が45mV以上で、かつ、次式(I)を満たすことを特徴とするチタン酸リチウム粉末。
0.5μm < D50 < 1.7μm (I)
(なお上記式中、D50とは粒度分布において一次粒子の粒径の累積体積分布が50%となる点の粒径を示す。)
(2)前記チタン酸リチウム粉末において、粒子表面に、元素M1(M1はAl、Moから選ばれるいずれか一つ以上)が局在化して存在し、かつ、元素M1の含有量が0.1質量%以上であることを特徴とする(1)に記載のチタン酸リチウム粉末。
(3)前記チタン酸リチウム粉末において、CuKα線を用いたX線回折測定により得られるピーク面積から換算されるLiTi12の定量値(%)とLiTiOの定量値(%)が、次式(II)の関係を満たすことを特徴とする(1)または(2)に記載のチタン酸リチウム粉末。
0.6≦ (LiTiOの定量値/LiTi12の定量値) × 100 ≦ 3.4 (II)
(4)(1)~(3)のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粉末を含むことを特徴とする電極。
(5)(4)に記載の電極を含むことを特徴とする蓄電デバイス。
本発明によると、レート特性や低温入力特性に優れた蓄電デバイスの電極材料として好適なチタン酸リチウム粉末、それを用いた電極、及び蓄電デバイスを提供することができる。
[本発明のチタン酸リチウム粉末]
本発明のチタン酸リチウム粉末は、LiTi12を主成分とするチタン酸リチウム粉末であって、電気泳動法により測定される、前記チタン酸リチウム粉末の25℃におけるゼータ電位の絶対値が45mV以上で、かつ、次式(I)を満たすことを特徴とするチタン酸リチウム粉末であるものをいう。
0.5μm < D50 < 1.7μm (I)
(なお上記式中、D50とは粒度分布において一次粒子の粒径の累積体積分布が50%となる点の粒径を示す。)
<LiTi12を主成分とするチタン酸リチウム粉末>
本発明のチタン酸リチウム粉末はLiTi12を主成分とし、本発明の効果が得られる範囲で、LiTi12以外の結晶質成分及び/または非晶質成分を含むことができる。主成分とするとは、線源としてCuKα線を用いたX線回折法によって測定される回折ピークのうち、ピーク面積から換算されるLiTi12の定量値の割合が90%以上であることを言う。本発明のチタン酸リチウム粉末は、X線回折法によって測定される回折ピークのうち、ピーク面積から換算されるLiTi12の定量値の割合は92%以上であることが好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。LiTi12以外の成分としては、結晶質成分に起因するメインピークの強度と、非晶質成分に起因するハローパターンの最高強度との総和である。本発明のチタン酸リチウム粉末は、その合成時の原料に起因して、アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、及び化学式が異なるチタン酸リチウムであるLiTiOを前記結晶質成分として含むことがある。本発明のチタン酸リチウム粉末は、これらのLiTi12以外の結晶質成分の割合が少ないほど、蓄電デバイスの充電レート特性及び充放電容量を向上させることができる。X線回折法によって測定される回折ピークのうち、ピーク面積から換算されるLiTi12の定量値(%)とLiTiOの定量値(%)が、レート特性、低温入力特性を向上させる点から次式(II)の関係を満たしていればよい。
0.6≦ (LiTiOの定量値/LiTi12の定量値) × 100 ≦ 3.4 (II)
下限値は0.7以上が好ましく、1以上がより好ましく、1.1以上がさらに好ましい。上限値は3以下が好ましく、2.9以下がより好ましく、2.8以下がさらに好ましく、2.6以下がよりさらに好ましく、2以下が特に好ましい。ここで、LiTi12の回折ピークとは、ICDD(PDF2010)のPDFカード00-049-0207におけるLiTi12に帰属する回折ピークに相当するピークである。LiTiOに相当する回折ピークとは、PDFカード00-033-0831におけるLiTiOに帰属する回折ピークに相当するピークである。なお、「ICDD」は、International Centre for Diffraction Data(国際回折データセンター)の略であり、「PDF」は、Powder Diffraction File(粉末回折ファイル)の略である。
<水分量>
本発明のチタン酸リチウム粉末のカールフィッシャー法により測定される水分量(25℃~350℃)(以下、25℃~350℃の水分量と記すことがある)は、5000ppm以下であることが好ましい。ここで、本発明の、チタン酸リチウム粉末のカールフィッシャー法により測定される水分量(25℃~350℃)とは、本発明のチタン酸リチウム粉末を、窒素流通下、25℃から200℃まで加熱し200℃で1時間保持完了までの間に得られる水分量と、続けて、窒素流通下、200℃から350℃まで加熱し350℃で1時間保持完了までの間に得られる水分量と、を合計して得られる水分量のことである。5000ppm以下であれば、蓄電デバイスの電極材料として適用した場合に、電極塗工時のハンドリング性が良好であるため好ましい。水分量の測定方法としてカールフィッシャー法により測定される水分量(25℃~350℃)が挙げられ、本発明のチタン酸リチウム粉末に物理的に吸着している水分、及び化学的に吸着している水分の両方を含むものである。通常、チタン酸リチウム粉末においては、350℃を越える領域ではカールフィッシャー法では測定が困難で、他の方法(例えば、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析)では水分はほとんど検出されない。蓄電デバイスの高温動作時のガス発生量をさらに抑制する観点から、カールフィッシャー法により測定される水分量(25℃~350℃)は、1000ppm以下がさらに好ましく、600ppm以下が特に好ましい。
<比表面積>
本発明のチタン酸リチウム粉末の比表面積とは、窒素を吸着ガスとして用いて、単位質量あたりの表面積のことである。測定方法については、後述する実施例にて説明する。
本発明のチタン酸リチウム粉末を構成するチタン酸リチウムにおいては、比表面積は2.0m/g~7.5m/gであれば、レート特性と低温入力特性を両立させることができる。下限値は3m/g以上がより好ましく、3.5m/g以上がさらに好ましい。また、上限値は7.2m/g以下がより好ましく、7.0m/g以下がさらに好ましく、6.8m/g以下が特に好ましい。
<D50>
本発明のチタン酸リチウム粉末のD50とは体積中位粒径の指標である。レーザー回折・散乱型粒度分布測定によって求めた体積分率で計算した累積体積頻度が、粒径の小さい方から積算して50%になる粒径を意味する。測定方法については、後述する実施例にて説明する。
本発明のチタン酸リチウム粉末の一次粒子のD50は、レート特性と低温入力特性を両立させる観点から、D50の下限値は、0.5μmより大きく、0.6μm以上が好ましく、0.7μm以上がより好ましい。また、D50の上限値は、1.7μm未満であり、好ましくは1.6μm以下であり、1.2μm以下であることがより好ましい。なお、一次粒子のD50は、解砕処理(超音波器で超音波をかけた)後のD50を表す。一次粒子のD50が、小さすぎると、低温入力特性が低下してしまい、一方、一次粒子のD50が、大きすぎると、レート特性、および低温入力特性が低下してしまう。また、該チタン酸リチウム粉末の0.5μm以下の一次粒子のD50を15%~30%の範囲で含んでいてもよく、0.6μm未満の一次粒子のD50を15%~35%の範囲で含んでいてもよく、0.7μm未満の一次粒子のD50を15%~40%の範囲で含んでいてもよい。1.7μm以上の一次粒子のD50は30%~55%の範囲で含んでいてもよく、1.6μmを超える一次粒子のD50を45%~75%の範囲で含んでいてもよく、1.2μmを超える一次粒子のD50を45%~80%の範囲で含んでいてもよい。
<一次粒子が凝集した二次粒子>
本発明のチタン酸リチウム粉末は、チタン酸リチウムからなる一次粒子が凝集した二次粒子を含むものであってもよく、またその一部としては二次粒子を形成しておらず、一次粒子そのものの形態となっていてもよい。さらに、合成直後のチタン酸リチウム粉末の一次粒子が凝集した二次粒子を、一次粒子へ再粉砕した後に再び二次粒子へ再凝集させたものであってもよい。
本発明のチタン酸リチウム粉末の二次粒子のD50は、一般的に電極密度向上の観点から、D50の下限値は、11μm以上であることが好ましく、12μm以上がより好ましく、13μm以上がさらに好ましい。さらに、D50の上限値は、20μm以下であることが好ましく、18μm以下がより好ましく、14μm以下がさらに好ましく、13.6μm以下であることが特に好ましい。なお、二次粒子のD50は、解砕処理(超音波器で超音波をかける)前のD50を表す。
本発明のチタン酸リチウム粉末においては、一般的に電極スラリーの化学的安定性の観点からpHの下限値が10.0以上であることが好ましく、10.5以上がより好ましい。また、pHの上限値は11.2以下であることが好ましく、11.1以下がより好ましく、10.9以下がさらに好ましい。
<電気泳動法によるゼータ電位の絶対値>
本発明のチタン酸リチウム粉末の始点におけるゼータ電位の絶対値が45mV以上であり、50mV以上であることが好ましく、52mV以上であることがより好ましい。ゼータ電位の絶対値の上限値は特に限定されないが、好ましくは70mV以下であり、より好ましくは60mV以下であり、さらに好ましくは57mV以下である。ゼータ電位は、電気二重層中の滑り面と、界面から充分に離れた部分との間の電位差を表すが、この電位差がチタン酸リチウム粉末表面でのLi透過性に影響するものと推測される。測定方法については、後述する実施例にて説明する。
<元素M1>
本発明のチタン酸リチウム粉末は一次粒子の表面に元素M1(M1は、Al、Moから選ばれるいずれか一つ以上)が局在化して存在してもよい。元素M1が存在するとは、本発明のチタン酸リチウム粉末の誘導結合プラズマ発光分析(ICP-AES)または蛍光X線分析(XRF)において、元素M1が検出されることをいう。なお、誘導結合プラズマ発光分析による検出量の下限は、通常、0.001質量%である。
前記のチタン酸リチウム粉末の一次粒子表面の元素M1としては、少なくともAlが局在化して存在するのが好ましい。
<元素M1の含有率>
蛍光X線分析(XRF)から求めた本発明のチタン酸リチウム粉末の元素M1の含有率(質量%)は、0.1以上0.8以下であることが好ましい。なお、元素M1の含有率とは、チタン酸リチウム粉末全体の含有率を示している。元素M1の含有率がこの範囲であれば、電池内部のガス発生量を抑えながらレート特性、低温入力特性に優れた蓄電デバイスが得られる。下限値としては、より好ましくは0.15以上であり、さらに好ましくは0.23以上である。上限値としては、より好ましくは0.5以下であり、さらに好ましくは0.45以下である。なお、AlとMoがチタン酸リチウム粉末の一次粒子表面に局在化して存在する場合は、両金属元素の合計を元素M1の含有率として示す。
また、本発明のチタン酸リチウム粉末では、粉末を構成するチタン酸リチウム粒子の内部領域よりも、表面領域の方に元素M1が局在化して多く存在してもよい。すなわち、元素M1は、チタン酸リチウム粒子の表面に存在し、より具体的には、チタン酸リチウム粒子の内部領域よりも、表面領域の方に元素M1が局在化して多く存在し含有されてもよい。一例として、走査透過型電子顕微鏡を用いた、前記チタン酸リチウム粒子の断面分析において、エネルギー分散型X線分光法により測定される、前記チタン酸リチウム粒子の表面から20nm程度の深さまでのいわゆる表面近傍の領域において元素M1が多く含有されればよく、表面から100nmの深さ位置において、元素M1が検出されないことが好ましい。すなわち、エネルギー分散型X線分光法により測定した場合に、該測定による検出量以下であるとの意味であり、エネルギー分散型X線分光法による測定における検出量の下限は、測定する元素や状態によって値が前後するが、通常、0.5atm%である。この他にも、X線光電子分光法(XPS)やオージェ電子分光法(AES)による表面分析の手法が挙げられる。例えば、X線光電子分光法を用いた表面分析の場合、本発明のチタン酸リチウム粉末粒子表面に存在する元素M1の濃度とO(酸素)原子の濃度との比(M1原子濃度/O原子濃度の比(%))が、25%より小さいことが好ましく、より好ましくは15%より小さいことが好ましい。
<元素M1/D50>
本発明のチタン酸リチウム粉末では、一次粒子の表面に元素M1が粒子表面に局在化して存在し、前記M1(含有率;質量%)を前記チタン酸リチウム粉末のD50(μm)で除した数値を元素M1/D50とする。レート特性と低温入力特性を両立させる観点からは、下限値は0.15以上であることが好ましく、より好ましくは0.2以上であればよい。上限値は0.7以下であり、好ましくは0.6以下であればよく、より好ましくは0.55以下であればよい。単位は質量%/μmで示す。
[本発明のチタン酸リチウム粉末の製造方法]
以下に、本発明のチタン酸リチウム粉末の製造方法の一例を、原料の調製工程、焼成工程、及び表面処理工程に分けて説明するが、本発明のチタン酸リチウム粉末の製造方法はこれに限定されない。
<原料の調製工程>
本発明のチタン酸リチウム粉末の原料は、チタン原料及びリチウム原料からなる。チタン原料としては、アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン等のチタン化合物が用いられる。短時間でリチウム原料と反応し易いことが好ましく、その観点で、アナターゼ型二酸化チタンが好ましい。また、所定の粒径のチタン酸リチウム粉末を得るために、粒径の異なる原料へ適宜変更したり混ぜて使用してもよいが、短時間の焼成で原料を十分に反応させるためには、チタン原料のD50は2μm以下が好ましく、好ましくは0.9μm以下であり、より好ましくは0.7μm以下であり、さらに好ましくは0.6μm以下である。チタン原料のD50の下限は、特に限定されないが、好ましくは0.3μm以上である。
リチウム原料としては、水酸化リチウム一水和物、酸化リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸リチウム等のリチウム化合物が用いられる。
本発明においては、以上の原料からなる混合物を短時間で焼成する場合は、焼成前に混合物を構成する混合粉末を、レーザー回折・散乱型粒度分布測定機にて測定される粒度分布曲線におけるD95が5μm以下になるように調製することが好ましい。ここで、D95とは、体積分率で計算した累積体積頻度が、粒径の小さい方から積算して95%になる粒径のことである。
混合物の調製方法としては、次に挙げる方法を採用することができる。第一の方法は、原料を調合後、混合と同時に粉砕を行う方法である。第二の方法は、各原料を混合後のD95が5μm以下になるまで粉砕した後、これらを混合、あるいは軽く粉砕しながら混合する方法である。第三の方法は、各原料を晶析などの方法によって微粒子からなる粉末を製造し、必要に応じて分級して、これらを混合、あるいは軽く粉砕しながら混合する方法である。なかでも、第一の方法において、原料の混合と同時に粉砕を行う方法は、工程が少ない方法なので工業的に有利な方法である。また、同時に導電剤を添加しても良い。
第一から第三のいずれの方法においても、原料の混合方法に特に制限はなく、湿式混合または乾式混合のいずれの方法でも良い。例えば、ヘンシェルミキサー、超音波分散装置、ホモミキサー、乳鉢、ボールミル、遠心式ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、アトライター式の高速ボールミル、ビーズミル、ロールミル等を用いることができる。
得られた混合物が混合粉末である場合は、そのまま次の焼成工程に供することができる。混合粉末からなる混合スラリーである場合は、混合スラリーをロータリーエバポレーターなどによって乾燥した後に次の焼成工程に供することができる。焼成がロータリーキルン炉を用いて行われる場合は、混合スラリーのまま炉内に供することができる。
<焼成工程>
次いで、得られた混合物を焼成する。焼成により得られる粉末の比表面積を大きく、かつ結晶子径を大きくする観点からは、高温かつ短時間で焼成することが好ましい。このような観点から、焼成時の最高温度は、好ましくは1100℃以下であり、より好ましくは1000℃以下であり、更に好ましくは900℃以下である。特定の不純物相の割合を少なく、かつチタン酸リチウムの結晶性を高くする観点から、焼成時の最高温度は、好ましくは800℃以上であり、より好ましくは810℃以上である。同様に前記観点から、焼成時の最高温度での保持時間は、好ましくは2分~60分であり、より好ましくは5分~45分であり、更に好ましくは5分~30分である。焼成時の最高温度が高い時には、より短い保持時間を選択することが好ましい。同様に、焼成により得られる結晶子径を大きくする観点から、焼成時の昇温過程においては、700℃~800℃の滞留時間を特に短くすることが好ましく、例えば15分以内が好ましい。
このような条件で焼成できる方法であれば、焼成方法は特に限定されるものではない。利用できる焼成方法としては、固定床式焼成炉、ローラーハース式焼成炉、メッシュベルト式焼成炉、流動床式焼成炉、ロータリーキルン式焼成炉が挙げられる。ただし、短時間で効率的な焼成をする場合は、ローラーハース式焼成炉、メッシュベルト式焼成炉、ロータリーキルン式焼成炉が好ましい。匣鉢に混合物を収容して焼成するローラーハース式焼成炉、またはメッシュベルト式焼成炉を用いる場合は、焼成時の混合物の温度分布の均一性を確保して得られるチタン酸リチウムの品質を一定にするためには、匣鉢への混合物の収容量を少量にすることが好ましい。
ロータリーキルン式焼成炉は、混合物を収容する容器が不要で、連続的に混合物を投入しながら焼成ができる点、被焼成物への熱履歴が均一で、均質なチタン酸リチウムを得ることができる点から、本発明のチタン酸リチウム粉末を製造するには特に好ましい焼成炉である。
焼成時の雰囲気は、脱離した水分や炭酸ガスが排除できる雰囲気であれば、焼成炉に関わらず特に限定されるものではない。通常は、圧縮空気を用いた空気雰囲気とするが、酸素、窒素、または水素雰囲気などでも良い。
焼成後のチタン酸リチウム粉末は、軽度の凝集はあるものの、粒子を破壊するような粉砕を行わなくても良く、そのため、焼成後には、必要に応じて凝集を解す程度の解砕や分級を行えば良い。粉砕を行わず、凝集を解す程度の解砕を行うだけであれば、その後でも、焼成後のチタン酸リチウム粉末の高い結晶性が維持される。また、焼成後のチタン酸リチウム粉末の一次粒子が凝集して二次粒子を形成していた場合は、一次粒子へ再粉砕してもよい。焼成後のチタン酸リチウム粉末を解砕する方法としては、ハンマーミル、ボールミル、ジェットミル、振動ミル、ビーズミルなどがあり、特にビーズミルが好ましい。ビーズミルを使用した場合の解砕方法としては、湿式解砕の循環式処理、湿式解砕のバッチ式処理または乾式解砕の循環処理、乾式解砕のバッチ式処理のいずれの方法も採用することができるが、解砕を均一に行うことが好ましく、その点においては湿式解砕の循環式処理が好ましい。循環条件は、焼成工程における焼成温度等と考慮して決定すればよいが、たとえば、循環条件を調整することで、チタン酸リチウム粉末の一次粒子のlog10(D90)-log10(D10)< 0.7となるように制御することが好ましい。なお、D90とは粒度分布において一次粒子の累積体積分布が90%となる点の粒径を示し、D10とは粒度分布において一次粒子の累積体積分布が10%となる点の粒径を示す。
<熱処理工程>
本発明のチタン酸リチウム粉末では、粒子表面状態を変化させるために熱処理工程を追加しても良い。熱処理条件としては、温度と保持時間が特定の範囲にあることで二次粒子形態や表面処理工程に大きく影響する。熱処理温度としては、200℃以上が好ましく、550℃以下が好ましい。熱処理温度が550℃を超えると比表面積が大きく低下し、電池性能、特にレート特性が大幅に低下する恐れがあるためである。また熱処理の保持時間は0.5時間以上であればよく、1時間以上が好ましい。他方、10時間以下であればよく、5時間以下が好ましい。保持時間が短い場合、粉末に含まれる水分量がかえって増加してしまい、粒子表面状態にも影響を与えると推測されるためである。保持時間が長い場合、粉末の粒径や比表面積などの物性値が変化してしまう恐れがある。熱処理後の粉末は、そのまま大気に晒すと粉末に含まれる水分量が増加するため、熱処理炉内での冷却時と熱処理後は、露点管理された環境下で粉末を扱うことが好ましい。熱処理後の粉末は、粒子を所望の最大粒径の範囲にするために必要に応じて分級を行っても良い。
本発明のチタン酸リチウム粉末では、さらに異種元素を含有することができる。異種元素を含有する場合には、基材のチタン酸リチウム粉末に、異種元素を含有する化合物を混合して表面処理する。異種元素としては、元素M1(M1は、Al、Moから選ばれるいずれか一つ以上)が挙げられる。
元素M1を含有する化合物(処理剤1)としては、熱処理によって拡散する化合物なら、どのような化合物でも良く、たとえば、元素M1の酸化物、水酸化物、硫酸化合物、硝酸化合物、フッ化物、有機化合物、及び元素M1を含有する金属塩化合物が挙げられる。元素M1をチタン酸リチウム粉末の粒子表面に均一に拡散させるためには、後述の湿式法を用いるのが適しており、その場合は、溶媒に可溶な元素M1を含有する化合物を、その溶媒に溶解させて、基材のチタン酸リチウム粉末と混合することが好ましい。
元素M1がアルミニウム(Al)の場合は、Alを含有する化合物として、例えば、酢酸アルミニウム、フッ化アルミニウムあるいは硫酸アルミニウムなどが挙げられる。なかでも、硫酸アルミニウム、その水和物、及びフッ化アルミニウムが好ましい。
元素M1がモリブデン(Mo)の場合は、モリブデンを含有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、モリブデンの酸化物、水酸化物、硫酸化合物、硝酸化合物、フッ化物、有機化合物、及び、モリブデンを含有する金属塩化合物が挙げられる。具体的には、酸化モリブデン、三酸化モリブデン、三酸化モリブデン水和物、ほう化モリブデン、りんモリブデン酸、二けい化モリブデン、塩化モリブデン、硫化モリブデン、けいモリブデン酸水和物、酸化ナトリウムモリブデン、炭化モリブデン、酢酸モリブデン二量体、モリブデン酸リチウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸マグネシウム、モリブデン酸マンガン、モリブデン酸アンモニウム、などが挙げられる。なかでも、ガス発生量を高度に抑制する点で、モリブデンを含有するモリブデン酸リチウムが好ましい。
元素M1を含有する化合物(処理剤1)の添加量としては、チタン酸リチウム粉末中の元素M1の量が好ましい範囲内に収まれば、どのような量でも良いが、例えば、硫酸アルミニウム・14~18水和物(Al(SO・14~18HO)を用いた場合は、基材のチタン酸リチウム粉末に対して1.0質量%以上の割合で添加(LTO100gに対して、処理剤1の添加量1g(2.5mmol%以上に相当))することが好ましい。また、基材のチタン酸リチウム粉末に対して8.0質量%以下の割合で添加(LTO100gに対して、処理剤1の添加量8g(20.0mmol%以下に相当))することが好ましく、さらに好ましくは5質量%以下の割合であり、特に好ましくは4質量%以下の割合である。
基材のチタン酸リチウム粉末と元素M1を含有する化合物(処理剤1)との混合方法に特に制限はなく、湿式混合または乾式混合のいずれの方法も採用することができるが、元素M1を含有する化合物(処理剤1)を均一に分散させることが好ましく、その点においては湿式混合が好ましい。
乾式混合としては、例えば、ペイントミキサー、ヘンシェルミキサー、超音波分散装置、ホモミキサー、乳鉢、ボールミル、遠心式ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、アトライター式の高速ボールミル、ビーズミル、ロールミル等を用いることができる。
湿式混合としては、水またはアルコール溶媒中に処理剤1と、あるいはさらに必要に応じて別の処理剤とともに、基材のチタン酸リチウム粉末を投入し、スラリー状態で混合させる。アルコール溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなど沸点が100℃以下のものが溶媒除去しやすい点で好ましい。また、回収、廃棄のしやすさから、工業的には水溶媒が好ましい。
溶媒量としては、処理剤1と基材のチタン酸リチウム粒子が十分に濡れた状態になる量ならば問題はないが、処理剤1と基材のチタン酸リチウム粒子は、溶媒中で均一に分散していることが好ましく、そのためには、溶媒中に溶解する処理剤1の溶解量が溶媒への全投入量の50%以上になる溶媒量が好ましい。処理剤1の、溶媒への溶解量は温度が高いほど多くなることから、基材のチタン酸リチウム粉末と処理剤1の混合は、加温しながら行うことが好ましく、また加温することで溶媒量も減量できるので、加温しながら混合する方法は、工業的に適した方法である。混合時の温度としては、40℃~100℃が好ましく、60℃~100℃がより好ましい。
湿式混合の場合は、熱処理方法にもよるが、混合工程の後に行う熱処理の前に溶媒を除去することが好ましい。溶媒の除去は、単純に溶媒を蒸発乾固させるだけでは特定の比表面積と一次粒子、二次粒子のD50を制御することは困難である。溶媒を蒸発乾固させる方法としては、スラリーを撹拌羽で撹拌しながら加熱し蒸発させる方法、コニカルドライヤーなど撹拌させながら乾燥が可能な乾燥装置を用いる方法及びスプレードライヤーを用いる方法が挙げられるが、スプレードライヤーを用いる方法が好ましい。理由として、従来の蒸発乾固とは異なり、スプレードライヤーの条件が二次粒子形態や表面処理工程に大きく影響するためである。スプレードライヤーの乾燥温度は180℃~300℃が好ましく、より好ましくは200℃~270℃、さらに好ましくは235℃~270℃である。乾燥温度という特定条件により、二次粒子の粉体物性範囲が異なるため、結果、電極密度の向上と電池性能、特に初期効率とレート特性との両立が可能となる。
基材のチタン酸リチウム粉末と処理剤1との混合後には表面処理を行うことが好ましい。表面処理温度としては、元素M1が、基材のチタン酸リチウム粒子の少なくとも表面領域に拡散する温度であって、基材のチタン酸リチウムが焼結することによる、比表面積の大幅な減少が発生しない温度が良い。表面処理温度の上限値としては700℃以下が好ましく、より好ましくは600℃以下である。表面処理温度の下限値としては、300℃以上が好ましく、より好ましくは400℃以上である。表面処理時間としては、好ましくは0.1時間~8時間であり、より好ましくは1時間~5時間である。元素M1が、基材のチタン酸リチウム粒子の、少なくとも表面領域に拡散する温度及び時間は、元素M1を含有する化合物によって反応性が異なるため、適宜設定するのが良い。
表面処理における表面処理方法は特に限定されるものではない。利用できる表面処理炉としては、固定床式焼成炉、ローラーハース式焼成炉、メッシュベルト式焼成炉、流動床式焼成炉、ロータリーキルン式焼成炉などが挙げられる。表面処理時の雰囲気としては、大気雰囲気でも、窒素雰囲気などの不活性雰囲気のどちらでも良い。元素M1を含有する化合物(処理剤1)として元素M1を含有する金属塩化合物を用いた場合は、粒子表面からアニオン種が除去されやすい大気雰囲気が好ましい。
以上のようにして得られた表面処理後のチタン酸リチウム粉末は、軽度の凝集はあるものの、粒子を破壊するような粉砕を行わなくても良く、そのため、表面処理後には、必要に応じて凝集を解す程度の解砕や分級を行えば良い。また、表面処理後のチタン酸リチウム粉末の一次粒子が凝集した二次粒子を、一次粒子へ再粉砕した後に再び二次粒子へ再凝集させてもよい。
本発明のチタン酸リチウム粉末は、表面処理工程で処理剤と混合した後に造粒して表面処理を行い、一次粒子が凝集した二次粒子を含む粉末にしても良い。造粒は二次粒子ができるのであれば、どのような方法でも良いが、スプレードライヤーが大量に処理できるため好ましい。
[活物質材料]
本発明の活物質材料は、本発明のチタン酸リチウム粉末を含むものである。本発明のチタン酸リチウム粉末以外の物質を1種又は2種以上含んでいてもよい。他の物質としては、例えば、炭素材料〔熱分解炭素類、コークス類、グラファイト類(人造黒鉛、天然黒鉛等)、有機高分子化合物燃焼体、炭素繊維〕、スズやスズ化合物、ケイ素やケイ素化合物、チタン酸ニオブTiNbОなどの金属酸化物が使用される。
[蓄電デバイス]
本発明の蓄電デバイスは、本発明の活物質材料を含む電極を備え、このような電極へのリチウムイオンのインターカレーション、脱インターカレーションを利用してエネルギーを貯蔵、放出するデバイスであって、例えば、ハイブリッドキャパシタやリチウム電池、などが挙げられる。
[リチウム電池]
本発明のリチウム電池は、リチウム一次電池及びリチウム二次電池を総称する。また、本明細書において、リチウム二次電池という用語は、いわゆるリチウムイオン二次電池や全固体リチウム電池も含む概念として用いる。
前記リチウム電池は、正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液やイオン伝導性を示す固体電解質等により構成されているが、本発明の活物質材料は電極材料として用いることができる。本発明の活物質材料は、通常、前記リチウム電池の電極として用いられる。この活物質材料は、正極活物質及び負極活物質のいずれとして用いてもよいが、以下には負極活物質として用いた場合を説明する。
<負極>
負極は、負極集電体の片面または両面に、負極活物質(本発明の活物質材料)、導電剤及び結着剤を含む合剤層を有する。この合剤層は、通常、電極として扱われる。多孔質体などで空孔を有する負極集電体の場合は、空孔中に負極活物質(本発明の活物質材料)、導電剤、結着剤を含む合剤層を有する。
前記負極用の導電剤としては、化学変化を起こさない電子伝導材料であれば特に制限はない。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等のグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チェンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、単相カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ(グラファイト層が多層同心円筒状)(非魚骨状)、カップ積層型カーボンナノチューブ(魚骨状(フィッシュボーン))、節型カーボンナノファイバー(非魚骨構造)、プレートレット型カーボンナノファイバー(トランプ状)等のカーボンナノチューブ類等が挙げられる。また、グラファイト類とカーボンブラック類とカーボンナノチューブ類を適宜混合して用いてもよい。
導電剤の添加量は、活物質の比表面積や導電剤の種類や組合せにより異なるため、最適化を行うべきであるが、合剤層中に、好ましくは0.1質量%~10質量%であり、さらに好ましくは0.5質量%~5質量%である。0.1質量%未満では、合剤層の導電性が確保できなくなり、10質量%超では、活物質比率が減少し、合剤層の単位質量及び単位体積あたりの蓄電デバイスの放電容量が不十分になるため高容量化に適さない。
前記負極用の結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルピロリドン(PVP)、スチレンとブタジエンの共重合体(SBR)、アクリロニトリルとブタジエンの共重合体(NBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。特に限定されることはないが、ポリフッ化ビニリデンの分子量は、好ましくは2万~100万である。合剤層の結着性を確保する観点から、2.5万以上であることが好ましく、3万以上であることがより好ましく、5万以上であることがさらに好ましい。活物質と導電剤との接触を妨げずに導電性が確保する観点から、50万以下であることが好ましい。特に活物質の比表面積が10m/g以上の場合には、分子量は10万以上であることが好ましい。
前記結着剤の添加量は、活物質の比表面積や導電剤の種類や組合せにより異なるため、最適化を行うべきであるが、合剤層中に、好ましくは0.2質量%~15質量%である。結着性を高め合剤層の強度を確保する観点から、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、2質量%以上であることがさらに好ましい。活物質比率が減少し、合剤層の単位質量及び単位体積あたりの蓄電デバイスの放電容量を低減させない観点から、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
前記負極集電体としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、銅、チタン、焼成炭素、あるいはそれらの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀を被覆させたもの等が挙げられる。また、これらの材料の表面を酸化してもよく、表面処理により負極集電体表面に凹凸を付けてもよい。また、前記負極集電体の形態としては、例えば、シート、ネット、フォイル、フィルム、パンチングされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群、不織布の成形体などが挙げられる。前記負極集電体の形態として、多孔質アルミニウムが好ましい。前記多孔質アルミニウムの空孔率は80%以上、95%以下であり、好ましくは85%以上である。
前記負極の作製方法としては、負極活物質(本発明の活物質材料を含む)、導電剤及び結着剤、または固体電解質を溶剤中に均一に混合し塗料化した後、前記負極集電体上に塗布し、乾燥、圧縮することによって得ることができる。
<正極>
正極は、正極集電体の片面または両面に、正極活物質、導電剤及び結着剤を含む合剤層を有する。
前記正極活物質としては、リチウムを吸蔵及び放出可能な材料が使用され、例えば、活物質としては、コバルト、マンガン、ニッケルを含有するリチウムとの複合金属酸化物やリチウム含有オリビン型リン酸塩などが挙げられ、これらの正極活物質は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。このような複合金属酸化物としては、例えば、LiCoO、LiMn、LiNiO、LiCo1-xNi(0.01<x<1)、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiNi1/2Mn3/2等が挙げられ、これらのリチウム複合酸化物の一部は他元素で置換してもよく、コバルト、マンガン、ニッケルの一部をB、Nb、Sn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、Cu、Bi、Mo、La等の少なくとも1種以上の元素で置換したり、Oの一部をSやFで置換したり、あるいは、これらの他元素を含有する化合物を被覆することができる。リチウム含有オリビン型リン酸塩としては、例えば、LiFePO、LiCoPO、LiNiPO、LiMnPO、LiFe1-xMxPO(MはCo、Ni、Mn、Cu、Zn、及びCdから選ばれる少なくとも1種であり、xは、0≦x≦0.5である。)等が挙げられる。
前記正極用の導電剤及び結着剤としては、負極と同様のものが挙げられる。前記正極集電体としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、焼成炭素、アルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀を表面処理させたもの等が挙げられる。これらの材料の表面を酸化してもよく、表面処理により正極集電体表面に凹凸を付けてもよい。また、集電体の形態としては、例えば、シート、ネット、フォイル、フィルム、パンチングされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群、不織布の成形体などが挙げられる。
<非水電解液>
非水電解液は、非水溶媒中に電解質塩を溶解させたものである。この非水電解液には特に制限は無く、種々のものを用いることができる。
前記電解質塩としては、非水電解質に溶解するものが用いられ、例えば、LiPF、LiBF、LiPO、LiN(SOF)、LiClO等の無機リチウム塩、LiN(SOCF、LiN(SO、LiCFSO、LiC(SOCF、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(CF、LiPF(iso-C、LiPF(iso-C)等の鎖状のフッ化アルキル基を含有するリチウム塩や、(CF(SONLi、(CF(SONLi等の環状のフッ化アルキレン鎖を含有するリチウム塩、ビス[オキサレート-O,O’]ホウ酸リチウムやジフルオロ[オキサレート-O,O’]ホウ酸リチウム等のオキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩が挙げられる。これらの中でも、特に好ましい電解質塩は、LiPF、LiBF、LiPO、及びLiN(SOF)であり、最も好ましい電解質塩はLiPFである。これらの電解質塩は、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの電解質塩の好適な組み合わせとしては、LiPFを含み、更にLiBF、LiPO、及びLiN(SOF)から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が非水電解液中に含まれている場合が好ましい。
一方、前記非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状エステル、エーテル、アミド、リン酸エステル、スルホン、ラクトン、ニトリル、S=O結合含有化合物等が挙げられ、環状カーボネートを含むことが好ましい。なお、「鎖状エステル」なる用語は、鎖状カーボネート及び鎖状カルボン酸エステルを含む概念として用いる。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1,2-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン(FEC)、トランスもしくはシス-4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン(以下、両者を総称して「DFEC」という)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、及び4-エチニル-1,3-ジオキソラン-2-オン(EEC)から選ばれる一種又は二種以上が挙げられ、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン及び4-エチニル-1,3-ジオキソラン-2-オン(EEC)から選ばれる一種以上が好適である。
鎖状エステルとしては、メチルエチルカーボネート(MEC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、メチルイソプロピルカーボネート(MIPC)、メチルブチルカーボネート、及びエチルプロピルカーボネートから選ばれる1種又は2種以上の非対称鎖状カーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート、及びジブチルカーボネートから選ばれる1種又は2種以上の対称鎖状カーボネート、ピバリン酸メチル、ピバリン酸エチル、ピバリン酸プロピル等のピバリン酸エステル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酢酸メチル、及び酢酸エチル(EA)から選ばれる1種又は2種以上の鎖状カルボン酸エステルが好適に挙げられる。
前記鎖状エステルの中でも、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、プロピオン酸メチル、酢酸メチル及び酢酸エチル(EA)から選ばれるメチル基を有する鎖状エステルが好ましく、特にメチル基を有する鎖状カーボネートが好ましい。
<固体電解質>
固体電解質とは、その内部においてイオンを移動させることができる固体状の電解質のことである。特に、無機固体電解質は定常状態では固体であるため、通常カチオンおよびアニオンに解離または遊離していない。無機固体電解質は周期律表第1族に属する金属イオンの伝導性を有するものであれば特に限定されず電子伝導性をほとんど有さないものが一般的である。無機固体電解質は(A)硫化物無機固体電解質と(B)酸化物無機固体電解質が代表例として挙げられる。特に、高いイオン伝導性を有し、室温での加圧のみで、粒界の少ない緻密な成形体が形成できるため、硫化物固体電解質が好ましく用いられる。なお、本発明の周期律表とは、IUPAC(国際純正応用化学連合)の規定に基づく長周期型の元素の周期律表をいう。
硫化物無機固体電解質は非結晶ガラスであっても良く、結晶化ガラスであっても良く、結晶性材料であっても良い。硫化物無機固体電解質として、具体的に以下の組み合わせが好適に挙げられるが特に限定されない。
LiS-P、LiS-P-Al、LiS-GeS、LiS-Ga、LiS-GeS-Ga、LiS-GeS-P、LiS-GeS-Sb、LiS-GeS-Al、LiS-SiS、LiS-Al、LiS-SiS-Al、LiS-SiS-P、Li10GeP12
前記組み合わせのなかでも、LiS-Pを組み合わせて製造されるLPSガラスおよびLPSガラスセラミックスが好ましい。また上記以外の硫化物無機固体電解質として、LiPSClやLiPSBrなどのアルジェロダイト型固体電解質も好適に挙げられる。
酸化物無機固体電解質は、酸素原子を含有し、かつ、周期律表第1族に属する金属イ
オン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。
酸化物無機固体電解質としては、例えば、LISICON(Lithium super ionic conductor)型結晶構造を有するLi3.5Zn0.25GeO、ペロブスカイト型結晶構造を有するLa0.55Li0.35TiO、NASICON(Natrium super ionic conductor)型結晶構造を有するLiTi12、ガーネット型結晶構造を有するLiLaZr12(LLZ)、リン酸リチウム(LiPO)、リン酸リチウムの酸素の一部を窒素で置換したLiPON、LiBO-LiSO、LiO-B-P、LiO-SiO、およびLiBaLaTa12等が好適に挙げられる。
無機固体電解質の体積平均粒径は特に限定されないが、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。上限としては、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。これらが正極または負極の電極層に含まれても良く、さらに、負極を構成するために用いられる導電剤及び結着剤として例示した、導電剤及び結着剤が電極層に適宜含まれていても良い。
<リチウム電池の構造>
本発明のリチウム電池の構造は特に限定されるものではなく、正極、負極及び単層又は複層のセパレータと非水電解液または固体電解質を有するコイン電池やラミネート型電池、さらに、正極、負極及びロール状のセパレータを有する円筒型電池や角型電池等が一例として挙げられる。
前記セパレータとしては、大きなイオン透過度を持ち、所定の機械的強度を持った絶縁性の薄膜が用いられる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース紙、ガラス繊維紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド微多孔膜などが挙げられ、2種以上を組み合わせて構成された多層膜としたものも用いることができる。またこれらのセパレータ表面にPVDF、シリコン樹脂、ゴム系樹脂などの樹脂や、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化マグネシウムなどの金属酸化物の粒子などをコーティングすることもできる。前記セパレータの孔径としては、一般的に電池用として有用な範囲であればよく、例えば、0.01μm~10μmである。前記セパレータの厚みとしては、一般的な電池用の範囲であればよく、例えば5μm~300μmである。
次に、実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から容易に類推可能な様々な組み合わせを包含する。
[実施例1-1]
<原料調製工程>
Tiに対するLiの原子比Li/Tiが0.83になるように、LiCO(平均粒径 4.6μm)とアナターゼ型TiO(平均粒径0.5μm)を秤量して得た原料粉末に、スラリーの固形分濃度が41質量%となるようにイオン交換水を加えて撹拌し原料混合スラリーを作製した。この原料混合スラリーを、ビーズミル(ウィリー・エ・バッコーフェン社製、形式:ダイノーミル KD-20BC型、アジテーター材質:ポリウレタン、ベッセル内面材質:ジルコニア)を使用して、ジルコニア製のビーズ(外径:0.65mm)をベッセルに80体積%充填し、アジテーター周速13m/s、スラリーフィード速度55kg/hrで、ベッセル内圧が0.02~0.03MPaになるように制御しながら処理して、原料粉末を湿式混合・粉砕した。
<焼成工程>
得られた混合スラリーを、付着防止機構を備えたロータリーキルン式焼成炉(炉芯管長さ:4m、炉芯管直径:30cm、外部加熱式)を用い、焼成炉の原料供給側から炉心管内に導入し、窒素雰囲気中で乾燥し、焼成した。このときの、炉心管の水平方向からの傾斜角度を2.5度、炉心管の回転速度を20rpm、焼成物回収側から炉心管内に導入する窒素の流速を20L/分として、炉心管の加熱温度を、原料供給側:600℃、中央部:840℃、焼成物回収側:840℃とし、焼成物の840℃での保持時間を30分とした。
<後処理工程>
炉心管の焼成物回収側から回収した焼成物を、ハンマーミル(ダルトン製、AIIW-5型)を使用して、スクリーン目開き:0.5mm、回転数:8,000rpm、粉体フィード速度:25kg/hrの条件で解砕した。
<造粒工程>
解砕した焼成粉末に、スラリーの固形分濃度が30質量%となるようにイオン交換水と解砕した焼成粉末(LTO粉末)を加え撹拌し、混合スラリーを作製した。この混合スラリーを、スプレードライヤー(大河原化工機株式会社製L-8i)を使用して、アトマイザ回転数25000rpm、乾燥温度200℃で、噴霧・乾燥し、造粒し、篩を通過した粉末を回収することで、実施例1-1に係るチタン酸リチウム粉末を製造した。アルミナ製の匣鉢に入れ、温度25℃で露点が-20℃以下に管理された回収ボックスを出口側に備えたメッシュベルト搬送式連続炉で、500℃で1時間熱処理した。回収ボックス内で熱処理後の粉末を冷却して、篩で分級(スクリーン目開き:53μm)し、篩を通過した粉末をアルミラミネート袋に収集して密閉した後、回収ボックスから取り出し、実施例1-1に係るチタン酸リチウム粉末を製造した。
[実施例1-2]
<熱処理工程>
上記実施例1-1に、熱処理工程を追加した。具体的には、上記実施例1-1のチタン酸リチウム粉末をアルミナ製の匣鉢に入れ、温度25℃で露点が-20℃以下に管理された回収ボックスを出口側に備えたメッシュベルト搬送式連続炉で、350℃で1時間熱処理した後、回収ボックス内で熱処理後の粉末を冷却して、篩で分級(スクリーン目開き:53μm)し、篩を通過した粉末をアルミラミネート袋に収集して密閉した後、回収ボックスから取り出し回収したこと以外は実施例1-1と同様に実施例1-2に係るチタン酸リチウム粉末を製造した。
[実施例1-3]
上記実施例1-2において、熱処理工程の熱処理温度を250℃に変更した以外は、実施例1-2と同様に実施例1-3に係るチタン酸リチウム粉末を製造した。
[実施例1-4]
上記実施例1-2において、原料調製工程のアナターゼ型TiOを平均粒径0.5μmから平均粒径0.9μmに変更した以外は、実施例1-2と同様に実施例1-4に係るチタン酸リチウム粉末を製造した。
[比較例1-1]
上記実施例1-1において、焼成工程の加熱温度を、原料供給側:600℃、中央部:960℃、焼成物回収側:960℃としたこと以外は、実施例1-1と同様に比較例1-1に係るチタン酸リチウム粉末を製造した。
[比較例1-2]
上記比較例1-1において、焼成工程の加熱温度を、原料供給側:600℃、中央部:800℃、焼成物回収側:800℃としたこと以外は、実施例1-1と同様に比較例1-2に係るチタン酸リチウム粉末を製造した。
[比較例1-3]
上記実施例1-1において、原料調整工程のアナターゼ型TiOを平均粒径0.5μmから平均粒径1.0μmに変更した以外は、実施例1-1と同様に比較例1-3に係るチタン酸リチウム粉末を製造した。
[粉末物性の測定]
各実施例、比較例のチタン酸リチウム粉末の各種物性を以下のようにして測定した。
<比表面積の測定>
各実施例、各比較例のチタン酸リチウム粉末の比表面積(m/g)は、全自動BET比表面積測定装置(株式会社マウンテック製、商品名「Macsorb HM model-1208」)を使用して、吸着ガスは窒素ガスを使用した。測定サンプル粉末を0.5g秤量し、φ12標準セル(HM1201-031)に入れ、100℃真空下で0.5時間脱気した後、BET一点法で測定した。
<一次粒子のD50の算出:乾式レーザー回折散乱法>
各実施例、各比較例のチタン酸リチウム粉末のD50は、レーザー回折・散乱型粒度分布測定機(日機装株式会社製、マイクロトラックMT3300EXII)を使用して測定した粒度分布曲線より算出した。50mlのイオン交換水を測定溶媒として収容した容器に50mgの試料を投入し、目視で粉が測定溶媒中に均一に分散したと分かるくらいまで容器を手で振り、容器を測定セルに収容して測定した。解砕処理として、装置内の超音波器で超音波(30W、3s)をかけた。さらに測定溶媒をスラリーの透過率が適正範囲(装置の緑のバーで表示される範囲)になるまで加えて粒度分布測定を行った。得られた粒度分布曲線から、一次粒子のD50(累積体積分布が50%となる点の粒径)を算出した。
<電気泳動法によるゼータ電位の測定>
各実施例、各比較例のチタン酸リチウム粉末に関して、ゼータ電位測定装置(Malvern社製、装置名「Zetasizer Nano ZS」)を用いて、電気泳動法によるゼータ電位の絶対値(mV)を測定した。チタン酸リチウム粉末を0.02g秤量し、200mLのイオン交換水に入れ、25℃の環境下にて測定した。
<XRDの測定>
測定装置として、CuKα線を用いたX線回折装置(株式会社リガク製、RINT-TTR-III型)を用いた。X線回折測定の測定条件は、測定角度範囲(2θ):10°~90°、ステップ間隔:0.02°、測定時間:0.25秒/ステップ、線源:CuKα線、管球の電圧:50kV、電流:300mAとした。測定の結果、LiTi12(ICDD(PDF2010)のPDFカード00-049-0207)を主成分とするチタン酸リチウムであることが確認された。LiTi12のメインピーク面積(回折角2θ=18.1~18.5°の範囲内のピーク)、及び、LiTiO(ICDD(PDF2010)のPDFカード00-033-0831)のメインピーク面積(回折角2θ=18.2~18.7°の範囲内のピーク)を測定した。
そして、LiTi12のメインピーク面積から換算される定量値を100としたときの、前記のLiTiOのメインピーク面積から換算される定量値の相対値((LiTiOの定量値/LiTi12の定量値) × 100)を算出した。結果を表1に示す。
[電池特性の評価]
各実施例、比較例のチタン酸リチウム粉末を用いてコイン型電池またはラミネート型電池を作製し、それらの電池特性を評価した。評価結果を表1に示す。
<負極シートの作製>
負極シートは、室温25℃、露点-20℃以下に管理された部屋で次のようにして作製した。各実施例、各比較例のチタン酸リチウム粉末を、温度25℃、露点-20℃以下に管理された部屋でアルミラミネート袋から取り出した。取り出した各実施例、各比較例のチタン酸リチウム粉末を活物質として90質量%、アセチレンブラックを導電剤として5質量%、ポリフッ化ビニリデンを結着剤として5質量%の割合で、次のように混合して塗料を作製した。あらかじめ1-メチル-2-ピロリドンに溶解させたポリフッ化ビニリデンとアセチレンブラックと1-メチル-2-ピロリドンを遊星式撹拌脱泡装置にて混合した後、チタン酸リチウム粉末を加え、全固形分濃度が64質量%となるように調製して、遊星式撹拌脱泡装置にて混合した。その後、1-メチル-2-ピロリドンを加え全固形分濃度が50質量%となるように調製し遊星式撹拌脱泡装置にて混合して塗料を調製した。得られた塗料をアルミニウム箔上に塗布し乾燥させて、後述のコイン電池に用いる負極片面シート、及び後述のラミネート電池に用いる負極両面シートを作製した。なお、塗工時の目標目付けは7.5mg/cmとした。
<正極シートの作製>
活物質としてニッケルコバルトマンガン酸リチウム粉末を用いたこと以外は、活物質、導電剤及び結着剤の比率を含めて、前述の<負極シートの作製>にて説明した方法と同じ方法で、正極片面シートを作製した。
<電解液の調製>
特性評価用の電池に用いる電解液は、次のように調製した。温度25℃で露点-70℃以下に管理されたアルゴングローブボックス内で、エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC)=1:2(体積比)の非水溶媒を調製し、これに電解質塩としてLiPFを1Mの濃度になるように溶解して後述のコイン電池用電解液を調製した。同様にプロピレンカーボネート(PC):ジエチルカーボネート(DEC)=1:2(体積比)の非水溶媒を調製し、これに電解質塩としてLiPFを1.3M、の濃度になるように溶解して後述のラミネート電池用電解液を調製した。
<コイン電池の作製>
前述の方法で作製した負極片面シートを直径14mmの円形に打ち抜き、2t/cmの圧力でプレス加工した後、120℃で5時間真空乾燥することによって評価電極を作製した。作製した評価電極と金属リチウム(厚み0.5mm、直径16mmの円形に成形したもの)をグラスフィルター(ADVANTEC製GA-100とワットマン製GF/Cを各1枚ずつ)を介して対向させ、前述の<電解液の調製>にて説明した方法で調製した非水電解液を加えて封止することによって、2032型コイン型電池を作製した。
<ラミネート電池の作製>
ラミネート電池は、室温25℃、露点-40℃以下に管理された部屋で次のようにして作製した。前記負極両面シートを2t/cmの圧力でプレス加工した後、リード線接続部分を有する負極を作製した。前記正極両面シートを2t/cmの圧力でプレス加工した後、リード線接続部分を有する正極を作製した。作製した負極と正極は、150℃で12時間真空乾燥した。真空乾燥後の正極と負極を、セパレータ(宇部マクセル株式会社製、UPZ210)を介して対向させ、積層し、アルミ箔のリード線を正極、負極それぞれに接続し、前述の<電解液の調製>にて説明した方法で調製した、ラミネート電池用電解液を加えてアルミラミネートで真空封止することで、評価用のラミネート電池を作製した。このとき電池の容量は40mAhで負極と正極の容量の比(負極容量/正極容量)は1.2であった。
<初期放電容量、10C放電容量、50C充電率の測定>
25℃の恒温槽内にて、上述の<コイン電池の作製>で説明した方法で作製したコイン型電池に、評価電極にLiが吸蔵される方向を充電として、0.2mA/cmの電流密度で1Vまで充電を行い、さらに1Vで充電電流が0.05mA/cmの電流密度になるまで充電させる定電流定電圧充電を行った後、0.2mA/cmの電流密度で2Vまで放電させる定電流放電を1サイクル行った。この1サイクル目の放電容量を初期放電容量(mAh/g)として求めた。次に、初期放電容量の0.2Cに相当する電流で1Vまで充電した後、初期放電容量の10Cに相当する電流で2Vまで放電させて、10C充電容量を(mAh/g)として求めた。チタン酸リチウム粉末の10C放電容量が高いと、蓄電デバイスの電極材料として適用した場合に、蓄電デバイスの急速放電特性の向上が期待できる。さらに、初期放電容量(mAh/g)の50Cに相当する電流で1Vまで充電した際の充電容量(mAh/g)を、初期充電容量(mAh/g)で除することで50C充電率(%)を算出した。チタン酸リチウム粉末の50C充電率が高いと、蓄電デバイスの電極材料として適用した場合に、蓄電デバイスの急速充電特性の向上が期待できる。評価結果を表1に示す。なお、50CのCとは充放電するときの電流値を表す。例えば、1Cは理論容量を1/1時間で完全放電(もしくは完全充電)できる電流値を指し、50Cなら理論容量を1/50時間で完全放電(もしくは完全充電)できる電流値を指し、0.2Cなら理論容量を1/0.2時間で完全放電(もしくは完全充電)できる電流値を指す。
<-30℃での低温入力特性の測定>
25℃の恒温槽内にて、前述の<ラミネート電池の作製>で説明した方法で作製したラミネート電池を用いて、25℃ならびに-30℃において、CC(定電流)かつ1C相当の電流値で2.75Vまで充電させた際の充電容量を測定した。この値を、下記の式に導入することで、-30℃での低温入力特性を計算した。
Figure 2024080490000001
<電池内部のガス発生量>
前述の<ラミネート電池の作製>で説明した方法で作製したラミネート電池を用いて、アルキメデス法によって電池の体積を測定した。具体的には、-30℃での電池特性試験後の電池体積から試験前の電池体積を差し引いて、電池内部のガス発生量(ml)を求めた。比較例1-1でのガス発生量を100%とした際の相対値を表1に示す。
Figure 2024080490000002
<評価結果>
実施例1-1~1-4のチタン酸リチウム粉末を用いた場合、電池内部のガス発生量が急激に増えることなく、優れたレート特性や低温入力特性を示す結果となった。一方で、比較例1-1~1-3のチタン酸リチウム粉末を用いた場合、レート特性または低温入力特性が劣る結果となった。このことから、焼成工程での加熱温度条件や熱処理工程での温度条件などを最適化することで、D50ならびにゼータ電位値の絶対値が一定の範囲を示すチタン酸リチウム粉末が得られ、この粉末を電極に用いた場合に優れた電池性能が得られることが分かった。推測の域を出ないが、製造条件の違いがチタン酸リチウム粉末の表面電子状態の違いを生み出し、粒子表面のイオン拡散層を反映するゼータ電位が変位した結果、急速充放電時におけるLTO粒子表面でのLi透過性に影響を与えたものと推測される。また、実施例と比較例を比べると、チタン酸リチウム粉末の0.6 ≦ (LiTiOの定量値/LiTi12の定量値) × 100 ≦ 3.4であることが電池特性からみて好ましいが、実施例1-1と実施例1-2、1-3とを比べると、チタン酸リチウム粉末の比表面積が7m/gより小さいと低温入力特性がより改善し、特にチタン酸リチウム粉末の(LiTiOの定量値/LiTi12の定量値)× 100 ≦ 2の場合、さらに改善することが分かった。
[チタン酸リチウム粉末への表面処理工程の追加]
[実施例2-1]
<表面処理工程>
実施例1-1で得られたチタン酸リチウム粉末(造粒工程を経る前の粉末)に、スラリーの固形分濃度が40質量%となるようにイオン交換水を加え撹拌し、解砕した焼成粉末100gに対して、処理剤1として硫酸アルミニウム16水和物(Al(SO・16HO)を3.2質量%(チタン酸リチウム粉末のAl含有量換算=0.32質量%相当)加え、混合スラリーを作製した。この混合スラリーを、スプレードライヤー(大河原化工機株式会社製L-8i)を使用して、アトマイザ回転数25000rpm、乾燥温度235℃で、噴霧・乾燥し、造粒した。次に篩を通過した粉末をアルミナ製の匣鉢に入れ、温度25℃で露点が-20℃以下に管理された回収ボックスを出口側に備えたメッシュベルト搬送式連続炉で、500℃で1時間熱処理した。回収ボックス内で熱処理後の粉末を冷却して、篩で分級(スクリーン目開き:53μm)し、篩を通過した粉末をアルミラミネート袋に収集して密閉した後、回収ボックスから取り出し、実施例2-1に係るチタン酸リチウム粉末を製造した。なお、実施例2-1においては、表面処理工程により、元素M1としてのAlを導入したものであることから、チタン酸リチウムの一次粒子表面近傍に、元素M1としてのAlが局在化して存在するものである(後述する実施例2-3、2-4、2-5、比較例2-1、2-3も同様。)。
[実施例2-2]
実施例1-1で得られたチタン酸リチウム粉末(造粒工程を経る前の粉末)に、処理剤1として硫酸アルミニウム16水和物(Al(SO・16HO)を3.2質量%(チタン酸リチウム粉末のAl含有量換算=0.32質量%相当)とモリブデン酸リチウム(LiMО4)を0.48質量%(チタン酸リチウム粉末のMо含有量換算=0.05質量%相当)加え、混合スラリーを作製した以外は、実施例2-1同様に実施例2-2に係るチタン酸リチウム粉末を製造した。なお、実施例2-2においては、表面処理工程により、元素M1としてのAlおよびMoを導入したものであることから、チタン酸リチウムの一次粒子表面近傍に、元素M1としてのAlおよびMoが局在化して存在するものである(後述する比較例2-2も同様。)。
[実施例2-3]
上記実施例1-1において、原料調整工程のアナターゼ型TiOを平均粒径0.5μmから平均粒径0.7μmに変更した以外は、実施例1-1と同様に製造したチタン酸リチウム粉末(造粒工程を経る前の粉末)に、スラリーの固形分濃度が40質量%となるようにイオン交換水を加え撹拌し、解砕した焼成粉末100gに対して、処理剤1として硫酸アルミニウム16水和物(Al(SO・16HO)を1.6質量%(チタン酸リチウム粉末のAl含有量換算=0.16質量%相当)加え、混合スラリーを作製した以外は、実施例2-1同様に実施例2-3に係るチタン酸リチウム粉末を製造した。
[実施例2-4]
上記実施例1-1において、原料調整工程のアナターゼ型TiOを平均粒径0.5μmから平均粒径0.8μmに変更した以外は、実施例1-1と同様に製造したチタン酸リチウム粉末(造粒工程を経る前の粉末)に、スラリーの固形分濃度が40質量%となるようにイオン交換水を加え撹拌し、解砕した焼成粉末100gに対して、処理剤1として硫酸アルミニウム16水和物(Al(SO・16HO)を1.6質量%(チタン酸リチウム粉末のAl含有量換算=0.16質量%相当)加え、混合スラリーを作製した以外は、実施例2-1同様に実施例2-4に係るチタン酸リチウム粉末を製造した。
[実施例2-5]
上記実施例1-1において、原料調整工程のアナターゼ型TiOを平均粒径0.5μmから平均粒径0.9μmに変更した以外は、実施例1-1と同様に製造したチタン酸リチウム粉末(造粒工程を経る前の粉末)に、スラリーの固形分濃度が40質量%となるようにイオン交換水を加え撹拌し、解砕した焼成粉末100gに対して、処理剤1として硫酸アルミニウム16水和物(Al(SO・16HO)を3.2質量%(チタン酸リチウム粉末のAl含有量換算=0.32質量%相当)加え、混合スラリーを作製した以外は、実施例2-1同様に実施例2-5に係るチタン酸リチウム粉末を製造した。
[比較例2-1]
実施例1-1で得られたチタン酸リチウム粉末(造粒工程を経る前の粉末)に、処理剤1として硫酸アルミニウム16水和物(Al(SO・16HO)を0.8質量%(チタン酸リチウム粉末のAl含有量換算=0.08質量%相当)加え、混合スラリーを作製した以外は、実施例2-1同様に比較例2-1に係るチタン酸リチウム粉末を製造した。
[比較例2-2]
実施例1-1で得られたチタン酸リチウム粉末(造粒工程を経る前の粉末)に、処理剤1として硫酸アルミニウム16水和物(Al(SO・16HO)を0.8質量%(チタン酸リチウム粉末のAl含有量換算=0.08質量%相当)とモリブデン酸リチウム(LiMО4)を0.48質量%(チタン酸リチウム粉末のMо含有量換算=0.05質量%相当)加え、混合スラリーを作製した以外は、実施例2-1同様に比較例2-2に係るチタン酸リチウム粉末を製造した。
[比較例2-3]
上記実施例1-1において、原料調整工程のアナターゼ型TiOを平均粒径0.5μmから平均粒径1.0μmに変更した以外は、実施例1-1と同様に製造したチタン酸リチウム粉末(造粒工程を経る前の粉末)に、スラリーの固形分濃度が40質量%となるようにイオン交換水を加え撹拌し、解砕した焼成粉末100gに対して、処理剤1として硫酸アルミニウム16水和物(Al(SO・16HO)を1.6質量%(チタン酸リチウム粉末のAl含有量換算=0.16質量%相当)加え、混合スラリーを作製した以外は、実施例2-1同様に比較例2-3に係るチタン酸リチウム粉末を製造した。
[電池特性の評価]
各実施例、比較例のチタン酸リチウム粉末を用いてコイン型電池またはラミネート型電池を作製し、それらの電池特性を評価した。評価結果を表2に示す。なお、表2においても、ガス発生量は、比較例1-1でのガス発生量を100%とした際の相対値似て示した。
Figure 2024080490000003
<評価結果>
実施例2-1~2-5のチタン酸リチウム粉末を用いた場合、電池内部のガス発生量を抑えつつ、優れたレート特性や低温入力特性を示す結果となった。一方で、比較例2-1~2-3のチタン酸リチウム粉末を用いた場合、電池内部のガス発生量を抑えながらレート特性または低温入力性能の改善を両立できない結果となった。このことから、表面処理工程において、チタン酸リチウム粉末のD50に適した処理剤添加量を最適化することで、D50ならびにゼータ電位値が一定の範囲を示すチタン酸リチウム粉末が得られ、この粉末を電極に用いた場合に優れた電池性能が得られることが分かった。また、実施例と比較例を比べると、チタン酸リチウム粉末の0.6≦ (LiTiOの定量値/LiTi12の定量値) × 100 ≦ 3.4であることが電池特性からみて好ましいが、実施例2-2と実施例2-1、2-3、2-4、2-5とを比べると、チタン酸リチウム粉末の(LiTiOの定量値/LiTi12の定量値)× 100 ≦ 2の場合、低温入力特性がさらに改善することが分かった。
本発明で得られるチタン酸リチウム粉末は、レート特性や低温入力特性を高めることができるので、リチウムイオン二次電池の電極活物質として有用であり、また、このチタン酸リチウムを電極活物質として用いる蓄電デバイスは、安定した高速充放電ができるため、自動車や電子機器等、各種機器の駆動用またはバックアップ用、家庭や事務所等での夜間電力貯蔵用の二次電池として有用である。

Claims (5)

  1. LiTi12を主成分とするチタン酸リチウム粉末であって、電気泳動法により測定される、前記チタン酸リチウム粉末の25℃におけるゼータ電位の絶対値が45mV以上で、かつ、次式(I)を満たすことを特徴とするチタン酸リチウム粉末。
    0.5μm < D50 < 1.7μm (I)
    (なお上記式中、D50とは粒度分布において一次粒子の粒径の累積体積分布が50%となる点の粒径を示す。)
  2. 前記チタン酸リチウム粉末において、粒子表面に、元素M1(M1はAl、Moから選ばれるいずれか一つ以上)が局在化して存在し、かつ、元素M1の含有量が0.1質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のチタン酸リチウム粉末。
  3. 前記チタン酸リチウム粉末において、CuKα線を用いたX線回折測定により得られるピーク面積から換算されるLiTi12の定量値(%)とLiTiOの定量値(%)が、次式(II)の関係を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のチタン酸リチウム粉末。
    0.6≦ (LiTiOの定量値/LiTi12の定量値) × 100 ≦ 3.4 (II)
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のチタン酸リチウム粉末を含むことを特徴とする電極。
  5. 請求項4に記載の電極を含むことを特徴とする蓄電デバイス。
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