JP2024078084A - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2024078084A
JP2024078084A JP2022190424A JP2022190424A JP2024078084A JP 2024078084 A JP2024078084 A JP 2024078084A JP 2022190424 A JP2022190424 A JP 2022190424A JP 2022190424 A JP2022190424 A JP 2022190424A JP 2024078084 A JP2024078084 A JP 2024078084A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
resin
mass
resins
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022190424A
Other languages
English (en)
Inventor
洋介 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ajinomoto Co Inc filed Critical Ajinomoto Co Inc
Priority to JP2022190424A priority Critical patent/JP2024078084A/ja
Priority to KR1020230167519A priority patent/KR20240080150A/ko
Publication of JP2024078084A publication Critical patent/JP2024078084A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】有機充填材を含みながら、導体材料の潜り込みを抑制できる絶縁層を形成できる樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)下記式(a-1)で表される基を含有する有機充填材、及び、(B)硬化性樹脂を含む、樹脂組成物。[化1]TIFF2024078084000019.tif16170(式(a-1)において、Xは、-SO3Na、-SO3NH4又は水素原子を表し;Aは、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し;mは、Xが水素原子である場合は1を表し、Xが-SO3Na又は-SO3NH4である場合は0又は1を表し;nは、1以上の整数を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、並びに、当該樹脂組成物を用いた硬化物、シート状積層材料、樹脂シート、回路基板、半導体チップパッケージ及び半導体装置に関する。
回路基板及び半導体チップパッケージには、一般に、絶縁層が設けられる。例えば、回路基板の一種としてのプリント配線板には、絶縁層として層間絶縁層が設けられることがある。また、例えば、半導体チップパッケージには、絶縁層として再配線形成層が設けられることがある。これらの絶縁層は、樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物によって形成されることが通常である(特許文献1及び2)。
また、特許文献3及び4の技術は公知である。
特開2020-23714号公報 特開2020-136542号公報 国際公開第2021/039798号 特許第6522135号公報
絶縁層の物性改良のため、有機充填材を含む樹脂組成物を用いることがある。例えば、絶縁層中の応力を緩和するために有機充填材を含む樹脂組成物を用いて、応力による絶縁層の破壊を抑制することがある。しかし、有機充填材を含む樹脂組成物を用いて形成された絶縁層上にめっきによって導体層を形成した場合、絶縁層に導体材料の潜り込みが生じることがあった。
以下、潜り込みについて具体的に説明する。例えば、有機充填材及び硬化樹脂を含む絶縁層上に無電解めっきを含むめっき法によって導体層を形成する場合を想定する。ここで「硬化樹脂」とは、別に断らない限り、絶縁層に含まれる有機充填材等の粒子以外の成分を表す。この場合、無電解めっきを行うときに、絶縁層の表面近傍では、導体材料の一部が有機充填材の粒子と硬化樹脂との界面部分に浸入して、当該界面部分に局所的な導電部分が形成されることがある。絶縁層内に浸入した導体材料が有機充填材の粒子と硬化樹脂との界面部分に導電部分を形成する現象を「潜り込み」と呼ぶ。以下、このように潜り込みによって絶縁層内に形成される前記の導電部分を「潜り込み部」ということがある。
一般に、導体層にはパターン加工が施されて、所望のパターン形状を有する配線が形成される。ところが、前記のように絶縁層内に潜り込み部が形成されていると、配線同士の間に潜り込み部を介した意図しない導通が生じることがある。そこで、通常は、絶縁層内に形成された潜り込み部を除去するため、フラッシュエッチングが行われる。
しかし、近年、回路基板及び半導体チップパッケージの配線の高密度化が進行しており、それに伴って配線間のスペースを狭くすることが要求される。配線間のスペースが狭くなった場合、潜り込み部を介した導通が生じやすくなる。よって、フラッシュエッチングによって潜り込み部を除去した場合でも、一部の潜り込み部が残留することによって意図しない導通が形成される可能性が高くなる。
本発明は、前記の事情に鑑みて創案されたもので、有機充填材を含みながら、導体材料の潜り込みを抑制できる絶縁層を形成できる樹脂組成物;当該樹脂組成物の硬化物;当該樹脂組成物を含むシート状積層材料及び樹脂シート;並びに、当該樹脂組成物の硬化物を含む回路基板、半導体チップパッケージ及び半導体装置;を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、本発明者は、特定の基を含有する有機充填材と硬化性樹脂とを組み合わせて含む樹脂組成物が前記の課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
[1] (A)下記式(a-1)で表される基を含有する有機充填材、及び、(B)硬化性樹脂を含む、樹脂組成物。
Figure 2024078084000001
(式(a-1)において、
Xは、-SONa、-SONH又は水素原子を表し;
Aは、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し;
mは、Xが水素原子である場合は1を表し、Xが-SONa又は-SONHである場合は0又は1を表し;
nは、1以上の整数を表す。)
[2] (A)有機充填材が、式(a-1)で表される基を、当該(A)有機充填材の粒子の表面に含有する、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] (A)有機充填材の平均粒径が、5μm以下である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4] (C)無機充填材を含む、[1]~[3]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[5] (B)硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、活性エステル系樹脂、シアネートエステル系樹脂、カルボジイミド系樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂、アリル系樹脂、アクリル系樹脂、スチリル系樹脂及びマレイミド系樹脂からなる群より選ばれる1種類以上を含む、[1]~[4]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[6] (D)硬化促進剤を含む、[1]~[5]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[7] 絶縁層形成用である、[1]~[6]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[8] [1]~[7]のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物。
[9] [1]~[7]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む、シート状積層材料。
[10] 支持体と、当該支持体上に形成された樹脂組成物層と、を備え、
樹脂組成物層が、[1]~[7]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む、樹脂シート。
[11] [1]~[7]のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物を含む、回路基板。
[12] [1]~[7]のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物を含む、半導体チップパッケージ。
[13] [11]に記載の回路基板を備える、半導体装置。
[14] [12]に記載の半導体チップパッケージを備える、半導体装置。
本発明によれば、有機充填材を含みながら、導体材料の潜り込みを抑制できる絶縁層を形成できる樹脂組成物;当該樹脂組成物の硬化物;当該樹脂組成物を含むシート状積層材料及び樹脂シート;並びに、当該樹脂組成物の硬化物を含む回路基板、半導体チップパッケージ及び半導体装置;を提供できる。
図1は、有機充填材を含む従来の絶縁層の表面近傍を模式的に示す断面図である。 図2は、無電解めっき層上にレジスト層を形成された従来の絶縁層の表面近傍を模式的に示す断面図である。 図3は、無電解めっき層上に電解めっき層を形成された従来の絶縁層の表面近傍を模式的に示す断面図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して説明する。ただし、本発明は、下記に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施されうる。
以下の説明において、化合物又は基についていう「置換基を有していてもよい」という用語は、該化合物又は基の水素原子が置換基で置換されていない場合、及び、該化合物又は基の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されている場合の双方を意味する。
以下の説明において、用語「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸、メタクリル酸及びその組み合わせを包含する。また、用語「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、メタクリレート及びその組み合わせを包含する。
以下の説明において、用語「誘電率」は、別に断らない限り比誘電率を表す。
[樹脂組成物の概要]
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、(A)下記式(a-1)で表される基を含有する有機充填材、及び、(B)硬化性樹脂を含む。以下、(A)式(a-1)で表される基を含有する有機充填材を「(A)特定充填材」ということがある。本実施形態に係る樹脂組成物を硬化させることにより、有機充填材を含みながら、導体材料の潜り込みを抑制できる絶縁層を得ることができる。
Figure 2024078084000002
(式(a-1)において、Xは、-SONa、-SONH又は水素原子を表し;Aは、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し;mは、Xが水素原子である場合は1を表し、Xが-SONa又は-SONHである場合は0又は1を表し;nは、1以上の整数を表す。*は、結合手を表す。)
特定の理論に拘束されるものでは無いが、本発明者は、本実施形態に係る樹脂組成物によって前記の効果が得られる仕組みを、下記のように推察する。ただし、本発明の技術的範囲は、下記の推察によって制限されるものでは無い。
図1は、有機充填材を含む従来の絶縁層100の表面100U近傍を模式的に示す断面図である。図1においては、理解の円滑化のため、有機充填材の粒子110を相対的に大きく描画しているが、有機充填材の粒子110の大きさは図1に示すものに限定されない。図1に示すように、一般に、絶縁層100において有機充填材の粒子110は硬化樹脂120中に分散している。従来の有機充填材の粒子110は、硬化樹脂120との親和性に劣る傾向があったので、絶縁層100の表面100Uに無電解めっきによって無電解めっき層130が形成されるとき、導体材料の一部が有機充填材の粒子110と硬化樹脂120との界面部分に浸入することがありえた。導体材料の一部が前記の界面部分に浸入すると、当該界面部分に局所的な導電部分としての潜り込み部140が形成されることがあった。
図2は、無電解めっき層130上にレジスト層150を形成された従来の絶縁層100の表面100U近傍を模式的に示す断面図である。また、図3は、無電解めっき層130上に電解めっき層160を形成された従来の絶縁層100の表面100U近傍を模式的に示す断面図である。通常、無電解めっき層130上には、図2に示すように、感光性のドライフィルムを用いてレジスト層150が形成される。その後、電解めっきによって無電解めっき層130上に電解めっき層160が形成され、レジスト層150が除去されて、図3に示すように、無電解めっき層130及び電解めっき層160を含む配線としての導体層170が形成される。
通常、レジスト層150の除去後には、フラッシュエッチングによって不要な部分の無電解めっき層130の除去が行われる。このフラッシュエッチングにより、潜り込み部140の除去が行われうる。しかし、前記のフラッシュエッチングによっても、潜り込み部140の一部が絶縁層100内に残留することがありえた。残留した潜り込み部140が導体層170同士の間に導電パスを形成すると、導体層170同士の間で意図しない導通が生じることがありうる。
これに対し、本実施形態に係る樹脂組成物を用いて形成される絶縁層では、有機充填材として(A)特定充填材を用いる。式(a-1)で表される基を含有する(A)特定充填材は、当該(A)特定充填材の表面の性質が改善されて、硬化樹脂との親和性が向上する。さらに、式(a-1)で表される基は、硬化樹脂に含まれうる極性基と、反応又は相互作用して、緩やかな結合を形成しうる。さらに、絶縁層が無機充填材を含む場合、その無機充填材の粒子が表面に有する官能基と、式(a-1)で表される基とが反応又は相互作用し、これによっても緩やかな結合を形成しうる。よって、絶縁層内における架橋構造を密にすることができるので、無電解めっきの時に導体材料の浸入を抑制でき、よって潜り込みを抑制することができる。
また、前記のように(A)特定充填材と硬化樹脂との親和性が向上したり、架橋構造が密になったりすることにより、絶縁層の物性が改善する。よって、例えば、絶縁層の機械的強度を向上させて破断点伸度を大きくしたり導体層に対する密着性を高めたりすることができる。また、(A)特定充填材と硬化樹脂との親和性が向上したり、架橋構造が密になったりすることにより、粗化処理時の粗化液への耐性が向上するので、表面粗さの小さい絶縁層を得ることができる。
[(A)特定充填材(式(a-1)で表される基を含有する有機充填材)]
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、(A)成分としての(A)特定充填材(即ち、式(a-1)で表される基を含有する有機充填材)を含む。(A)特定充填材は、樹脂組成物中に粒子状の形態で存在し、通常は、その粒子状の形態を維持したまま硬化物に含まれる。
(A)特定充填材は、式(a-1)で表される基を含有する。通常、(A)特定充填材は重合体を含み、その重合体が分子中に式(a-1)で表される基を含有する。
Figure 2024078084000003
式(a-1)において、Xは、-SONa、-SONH又は水素原子を表す。
式(a-1)において、Aは、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。2価の炭化水素基の炭素原子数は、通常1以上、好ましくは2以上であり、好ましくは12以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下である。Aにおける2価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基でもよく、不飽和脂肪族炭化水素基でもよい。さらに、脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐状の鎖状炭化水素基であってもよく、環状の炭化水素基(即ち、脂環式炭化水素基)でもよく、鎖状炭化水素基と環状の炭化水素基との組み合わせであってもよい。中でも、Aにおける2価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基が好ましく、飽和脂肪族炭化水素基がより好ましく、アルキレン基が更に好ましい。
Aにおける2価の炭化水素基の例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基;シクロペプチレン基、シクロへキシレン基等のシクロアルキレン基;フェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基;が挙げられる。中でも、アルキレン基が好ましく、メチレン基及びエチレン基がより好ましく、エチレン基が更に好ましい。
Aにおいて2価の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルオキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アルキルアリールオキシ基、アリールアルキルオキシ基、アルキルアリールオキシアルキル基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルオキシカルボニルアルキル基、などが挙げられる。置換基を含めたAの炭素原子数は、通常1以上、好ましくは2以上であり、好ましくは18以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは6以下である。中でも、Aは、置換基を有さない2価の炭化水素基が好ましい。
式(a-1)において、mは、Xが水素原子である場合は1を表す。また、mは、Xが-SONa又は-SONHである場合は、0又は1を表す。中でも、mは、Xが水素原子、-SONa及び-SONHのいずれである場合も、1であることが好ましい。mが1である場合、式(a-1)で表される基はオキシアルキレン鎖を有し、本発明の所望の効果を顕著に得ることができる。
式(a-1)において、nは、1以上の整数を表す。より詳細には、nは、通常1以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下である。
式(a-1)で表される基の例を挙げると、下記の式(a-1-1)~式(a-1-5)の基が挙げられる。式(a-1-1)~式(a-1-5)において、Rはアルキル基を表し、nは1以上の整数を表し、*は結合手を表す。
Figure 2024078084000004
(A)特定充填材が含有する式(a-1)で表される基の種類は、1種類でもよく、2種類以上であってもよい。
より好ましくは、(A)特定充填材は、式(a-2)で表される基を含有する。
Figure 2024078084000005
(式(a-2)において、Rは、2価の基を表し;X、A、m及びnは式(a-1)と同じものを表す。*は、結合手を表す。)
式(a-2)において、X、A、m及びnは、式(a-1)と同じものを表す。
式(a-2)において、Rは、2価の基を表し、好ましくは2価の有機基を表す。2価の有機基は、骨格原子として少なくとも炭素原子を含む2価の基を表し、直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよい。2価の有機基の骨格原子数は、好ましくは1~3000、より好ましくは1~1000、さらに好ましくは1~100、さらにより好ましくは1~50、特に好ましくは1~30又は1~20である。有機基としては、例えば、炭素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選ばれる1個以上の骨格原子(但し炭素原子を少なくとも含む)からなる基が挙げられる。
中でも、Rが表す2価の基は、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、酸素原子、カルボニル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される2価の有機基が好ましい。この好ましい2価の有機基の炭素原子数は、好ましくは1~60、より好ましくは1~50、更に好ましくは1~40である。
Rにおける2価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基でもよく、不飽和脂肪族炭化水素基でもよい。さらに、脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐状の鎖状炭化水素基であってもよく、環状の炭化水素基(即ち、脂環式炭化水素基)でもよく、鎖状炭化水素基と環状の炭化水素基との組み合わせであってもよい。中でも、Rにおける2価の炭化水素基は、アルキレン基、アリーレン基、及び、アリーレン-アルキレン-アリーレン基が好ましい。好ましいアルキレン基としては、例えば、メチレン基及びエチレン基が挙げられる。好ましいアリーレン基としては、フェニレン基が挙げられる。好ましいアリーレン-アルキレン-アリーレン基としては、フェニレン-メチレン-フェニレン基が挙げられる。
Rの好ましい例としては、カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいアルキレンオキシ基、置換基を有していてもよいアリーレン-オキシ基、置換基を有していてもよいアルキレン-オキシ-カルボニル基、置換基を有していてもよいアルキレン-オキシ-アルキレン-オキシ基、置換基を有していてもよいカルボニル-ポリ(オキシアルキレン)-オキシ-アリーレン-アルキレン-アリーレン-オキシ基、が挙げられる。中でも、置換基を有していてもよいアルキレンオキシ基、置換基を有していてもよいアリーレン-オキシ基、及び、置換基を有していてもよいアルキレン-オキシ-アルキレン-オキシ基、が好ましい。
Rにおける2価の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、式(a-1)のAにおいて2価の炭化水素基が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。中でも、アルキル基、アリールアルキル基、アルキルオキシ基、アルキルオキシアルキル基、アルキルアリールオキシ基、及び、アルキルアリールオキシアルキル基が好ましい。
Rの特に好ましい具体例を挙げると、下記の式(a-2-i)~式(a-2-viii)の基が挙げられる。式(a-2-i)~式(a-2-viii)において、Rはそれぞれ独立にアルキル基を表し、nは1以上4以下の整数を表し、nは1以上の整数を表し、n及びnはそれぞれ独立に1又は2を表し、*は結合手を表す。
Figure 2024078084000006
式(a-2)で表される基の具体例を挙げると、下記の式(a-2-1)~式(a-2-17)の基が挙げられる。式(a-2-1)~式(a-2-17)において、Rはそれぞれ独立にアルキル基を表し、A及びAはそれぞれ独立にアルキレン基を表し、n及びnはそれぞれ独立に1以上の整数を表し、nは1以上4以下の整数を表し、n及びn10はそれぞれ独立に1又は2を表し、*は結合手を表す。
Figure 2024078084000007
Figure 2024078084000008
(A)特定充填材が含有する式(a-2)で表される基の種類は、1種類でもよく、2種類以上であってもよい。
(A)特定充填材は、一般に、重合体を含む粒子である。通常、(A)特定充填材は、粒子状の重合体を含み、その重合体が式(a-1)で表される基を含有し、好ましくは、前記の重合体が式(a-2)で表される基を含有する。式(a-1)又は式(a-2)で表される基は、通常、重合体の分子骨格に共有結合によって結合しているので、それらの基は重合体から容易には外れない。よって、その重合体を含む(A)特定充填材は、式(a-1)又は式(a-2)で表される基による優れた作用を安定して発揮できる。以下の説明では、式(a-1)で表される基を含有する重合体を「重合体(a1)」ということがある。
(A)特定充填材に含まれる重合体(a1)は、好ましくは、下記式(a-3)で表される繰り返し単位を含有する。
Figure 2024078084000009
(式(a-3)において、X、A、m及びnは式(a-1)と同じものを表し;Rは式(a-2)と同じものを表し;R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表す。)
式(a-3)において、X、A、m及びnは、式(a-1)と同じものを表す。また、式(a-3)において、Rは、式(a-2)と同じものを表す。
式(a-3)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。中でも、水素原子及びメチル基が好ましい。
重合体(a1)100質量%に対して、当該重合体(a1)に含有される式(a-3)で表される繰り返し単位の量の範囲は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。式(a-3)で表される繰り返し単位の量が前記範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
式(a-3)で表される繰り返し単位は、例えば、下記式(a-4)で表される単量体を重合することによって得ることができる。
Figure 2024078084000010
(式(a-4)において、X、A、m及びnは式(a-1)と同じものを表し;Rは式(a-2)と同じものを表し;R、R及びRは式(a-3)と同じものを表す。)
式(a-4)で表される単量体としては、例えば、下記の式(a-4-1)~(a-4-17)の化合物が挙げられる。式(a-4-1)~(a-4-17)において、Rはアルキル基を表し、A及びAはそれぞれ独立にアルキレン基を表し、n及びnはそれぞれ独立に1以上の整数を表し、nは1以上4以下の整数を表し、n及びn10はそれぞれ独立に1又は2を表す。
Figure 2024078084000011
Figure 2024078084000012
式(a-4)で表される単量体は、市販品を用いてもよい。市販品としては、花王社製の「ラテムルPD-104」、「ラテムルPD-105」(式(a-4-1)の化合物);花王社製の「ラテムルPD-420」、「ラテムルPD-430」、「ラテムルPD-430S」、「ラテムルPD-450」(式(a-4-2)の化合物);三洋化成社の「エレミノールJS-20」(式(a-4-3)の化合物);三洋化成社の「エレミノールRS-3000」(式(a-4-4)の化合物);第一工業製薬社製の「アクアロンKH-05」、「アクアロンKH-10」、「アクアロンKH-1025」(式(a-4-5)の化合物);第一工業製薬社製の「アクアロンAR-10」、「アクアロンAR-1025」、「アクアロンAR-20」、「アクアロンAR-2020」(式(a-4-6)の化合物);第一工業製薬社製の「アクアロンAN-10」、「アクアロンAN-30」、「アクアロンAN-5065」(式(a-4-7)の化合物);日本乳化剤社製の「アントックスMS・2N-D」(式(a-4-8)の化合物);日本乳化剤社製の「アントックスLMA-10」、「アントックスLMA-20」、「アントックスLMA-27」(式(a-4-9)~式(a-4-11)の化合物);日本乳化剤社製の「アントックスMS-60」(式(a-4-12)又は式(a-4-13)の化合物);ADEKA社製の「ER-10」、「ER-20」、「ER-30」、「ER-40」(式(a-4-14)の化合物);ADEKA社製の「SR-10」、「SR-20」、「SR-1025」、「SR-2025」、「SR-3025」(式(a-4-15)の化合物);ADEKA社製の「NE-10」、「NE-20」、「NE-30」(式(a-4-16)の化合物);ADEKA社製の「SE-10N」、「SE-1025A」(式(a-4-17)の化合物);が挙げられる。
式(a-4)で表される単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体(a1)は、更に任意の繰り返し単位を含んでいてもよい。好ましい任意の繰り返し単位としては、例えば、芳香族ビニル化合物単位が挙げられる。芳香族ビニル化合物単位とは、芳香族ビニル化合物を重合して形成される構造を有する繰り返し単位を表す。芳香族ビニル化合物は、芳香環と、当該芳香環に結合したビニル基とを含有する化合物を表し、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メトキシスチレン、p-t-ブチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブトキシスチレン、2-クロロスチレン、4-クロロスチレン、2,4-ジクロロスチレン、1-ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、2-アセトキシスチレン、3-アセトキシスチレン、4-アセトキシスチレン、4-ビニルフェニルベンゾエート、p-スチレンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)等が挙げられる。芳香族ビニル化合物単位を含有する重合体(a1)は、例えば、式(a-4)で表される単量体と芳香族ビニル化合物とを共重合することを含む方法によって製造できる。
芳香族ビニル化合物単位を用いる場合、絶縁層の比誘電率及び誘電正接を良好にできる。また、従来は、芳香族ビニル化合物単位を含有する重合体を有機充填材として用いた場合、導体材料の潜り込みが生じ易かったり、絶縁層の機械的強度が低くなり易かったりする傾向があった。これに対し、式(a-1)で表される基を含有する重合体(a1)が芳香族ビニル化合物単位を含有する場合には、比誘電率及び誘電正接を良好にしながら、潜り込みの抑制及び機械的強度の向上が可能である。
重合体(a1)100質量%に対して、芳香族ビニル化合物単位の量の範囲は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、特に好ましくは50質量%以上であり、好ましくは99.99質量%以下である。芳香族ビニル化合物単位の量が前記範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
更に別の任意の繰り返し単位としては、下記の任意の単量体化合物を重合して形成される構造を有する繰り返し単位が挙げられる。任意の単量体化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のN-置換マレイミド;マレイミド;などが挙げられる。
重合体(a1)に含有される任意の繰り返し単位の種類は、1種類でもよく、2種類以上でもよい。よって芳香族ビニル化合物等の任意の単量体化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)特定充填材は、上述した重合体(a1)を多く含むことが好ましく、重合体(a1)のみを含んでいてもよい。重合体(a1)の量は、(A)特定充填材100質量%に対して、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、通常100質量%以下である。
(A)特定充填材は、重合体(a1)に組み合わせて、任意の成分を含んでいてもよい。(A)特定充填材が含みうる重合体(a1)以外の任意の成分としては、例えば、任意の重合体が挙げられる。任意の重合体としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、ポリ(メタ)アクリル酸オクチル等のアクリル系ポリマー;ポリジメチルシロキサン等のシリコーン系ポリマー;が挙げられる。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)特定充填材における任意の成分の量は少ないことが好ましい。(A)特定充填材が含みうる任意の成分の量は、(A)特定充填材100質量%に対して、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、特に好ましくは10質量%以下であり、0質量%であってもよい。
(A)特定充填材は、当該(A)特定充填材の粒子の表面に、式(a-1)で表される基を含有することが好ましい。中でも、粒子状の重合体(a1)が(A)特定充填材の粒子を形成し、その粒子の表面に式(a-1)で表される基があることが更に好ましい。(A)特定充填材の粒子の表面に式(a-1)で表される基がある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
式(a-1)で表される基を粒子の表面に含有する(A)特定充填材は、例えば、乳化重合によって製造しうる。具体例を挙げると、水等の水系溶剤中に単量体を含む油滴を分散させた水中油型の懸濁液中で、式(a-4)で表される単量体及び必要に応じて芳香族ビニル化合物等の任意の単量体を重合させる。この重合では、式(a-1)で表される基が水系溶剤と油滴との界面に偏在する傾向があるので、式(a-1)で表される基を表面に含有する粒子状の重合体を含む(A)特定充填材を製造できる。よって、好ましい(A)特定充填材を容易に得る観点では、重合体(a1)としては、乳化重合体が好ましい。
(A)特定充填材の粒子の形状は、球形であることが好ましい。球形の粒子形状を有する(A)特定充填材を用いる場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。(A)特定充填材の粒子の長軸の長さを短軸の長さで除した値(アスペクト比)は、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.2以下である。球形の粒子形状を有する(A)特定充填材は、例えば、上述した乳化重合によって製造できる。
(A)特定充填材は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)特定充填材の平均粒径の範囲は、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、更に好ましくは1μm以下である。前記範囲の平均粒径を有する(A)特定充填材によれば、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。(A)特定充填材の平均粒径の下限は、特段の制限はなく、例えば、0.01μm以上、0.05μm以上、0.1μm以上などでありうる。このように小さい範囲の平均粒径を有する(A)特定充填材は、例えば、上述した乳化重合によって製造できる。
(A)特定充填材の平均粒径は、レーザー回折式粒径分布測定装置(例えば、島津製作所社製「SALD-2100」)を用いて測定できる。前記の測定装置によれば、(A)特定充填材の平均粒径として体積平均粒径を測定しうる。測定は、(A)特定充填材を溶解しない有機溶媒に(A)特定充填材を分散させて行いうる。有機溶媒としては、(A)特定充填材の凝集を抑制するため、通常は低極性溶剤又は中極性溶剤を用い、好ましくはトルエン又はテトラヒドロフラン(THF)を用いる。
(A)特定充填材の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。(A)特定充填材の量が前記の範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
[(B)硬化性樹脂]
本発明の第一実施形態に係る樹脂組成物は、(B)成分としての(B)硬化性樹脂を含む。(B)硬化性樹脂には、上述した(A)成分に該当するものは含めない。(B)硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂であってもよく、光硬化性樹脂であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。また、硬化性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化性樹脂の例としては、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、活性エステル系樹脂、シアネートエステル系樹脂、カルボジイミド系樹脂、酸無水物系樹脂、アミン系樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂、チオール系樹脂、及び、ラジカル重合性樹脂などが挙げられる。硬化性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の効果を顕著に得る観点からは、エポキシ樹脂と、そのエポキシ樹脂と反応し結合して樹脂組成物を硬化させうる樹脂とを組み合わせて用いることが好ましい。エポキシ樹脂と反応し結合して樹脂組成物を硬化させうる樹脂を、以下「硬化剤」と呼ぶことがある。硬化剤としては、例えば、活性エステル系樹脂、シアネートエステル系樹脂、フェノール系樹脂、カルボジイミド系樹脂、酸無水物系樹脂、アミン系樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂、チオール系樹脂などが挙げられる。硬化剤の中でも、活性エステル系樹脂、シアネートエステル系樹脂、フェノール系樹脂、カルボジイミド系樹脂、及びベンゾオキサジン系樹脂が好ましい。また、硬化剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する硬化性樹脂である。エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、イソシアヌラート型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は、耐熱性に優れる硬化物を得る観点から、芳香族構造を含有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。芳香族構造とは、一般に芳香族と定義される化学構造であり、多環芳香族及び芳香族複素環をも含む。芳香族構造を含有するエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビシキレノール型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルアミン型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、芳香族構造を有する線状脂肪族エポキシ樹脂、芳香族構造を有するブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、芳香族構造を有する脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、芳香族構造を有するスピロ環含有エポキシ樹脂、芳香族構造を有するシクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するトリメチロール型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するテトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
(B)硬化性樹脂は、エポキシ樹脂として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含んでいてもよい。
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP-4032」、「HP-4032-D」、「HP-4032-SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「828EL」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」、「604」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「ED-523T」(グリシロール型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-3950L」、「EP-3980S」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-4088S」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル化学社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」、日本曹達社製の「JP-100」、「JP-200」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂が好ましい。
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「HP-7200L」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3000FH」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」、「ESN4100V」(ナフタレン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN485」(ナフトール型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN375」(ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YX4000HK」、「YL7890」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX7700」(フェノールアラルキル型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」;三菱ケミカル社製の「YX7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「WHR991S」(フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの質量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、好ましくは20:1~1:20、より好ましくは10:1~1:10、特に好ましくは7:1~1:7である。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5,000g/eq.、より好ましくは60g/eq.~3,000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.~2,000g/eq.、特に好ましくは110g/eq.~1,000g/eq.である。エポキシ当量は、エポキシ基1当量あたりの樹脂の質量を表す。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100~5,000、より好ましくは250~3,000、さらに好ましくは400~1,500である。エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
エポキシ樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。エポキシ樹脂の量が前記範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
エポキシ樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。樹脂組成物中の樹脂成分とは、樹脂組成物中の不揮発成分のうち、(A)特定充填材及び後述する(C)無機充填材等の粒子を除いた成分を表す。エポキシ樹脂の量が前記範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
活性エステル系樹脂としては、1分子中に1個以上の活性エステル基を有する化合物を用いうる。中でも、活性エステル系樹脂としては、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましい。活性エステル系樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「活性エステル系硬化剤」ということがある。当該活性エステル系樹脂は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系樹脂が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系樹脂がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
具体的には、活性エステル系樹脂としては、ジシクロペンタジエン型活性エステル系樹脂、ナフタレン構造を含むナフタレン型活性エステル系樹脂、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系樹脂、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系樹脂が好ましく、中でもジシクロペンタジエン型活性エステル系樹脂、及びナフタレン型活性エステル系樹脂から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。ジシクロペンタジエン型活性エステル系樹脂としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系樹脂が好ましい。
活性エステル系樹脂の市販品としては、例えば、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系樹脂として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「EXB-8000L」、「EXB-8000L-65M」、「EXB-8000L-65TM」、「HPC-8000L-65TM」、「HPC-8000」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H」、「HPC-8000H-65TM」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル系樹脂として「HP-B-8151-62T」、「EXB-8100L-65T」、「EXB-8150-60T」、「EXB-8150-62T」、「EXB-9416-70BK」、「HPC-8150-60T」、「HPC-8150-62T」、「EXB-8」(DIC社製);りん含有活性エステル系樹脂として、「EXB9401」(DIC社製);フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系樹脂として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系樹脂として「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱ケミカル社製);スチリル基及びナフタレン構造を含む活性エステル系樹脂として「PC1300-02-65MA」(エア・ウォーター社製)等が挙げられる。
活性エステル系樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。活性エステル系樹脂の量が前記範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
活性エステル系樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。活性エステル系樹脂の量が前記範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
シアネートエステル系樹脂としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のシアネート基を有する化合物を用いうる。シアネートエステル系樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「シアネートエステル系硬化剤」ということがある。シアネートエステル系樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネートエステル系樹脂;フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネートエステル系樹脂;これらシアネートエステル系樹脂が一部トリアジン化したプレポリマー;などが挙げられる。シアネートエステル系樹脂の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(フェノールノボラック型多官能シアネートエステル系樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
シアネートエステル系樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。シアネートエステル系樹脂の量が前記範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
シアネートエステル系樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。シアネートエステル系樹脂の量が前記範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
フェノール系樹脂としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環に結合した水酸基(フェノール性水酸基)を1分子中に1個以上、好ましくは2個以上有する化合物を用いうる。フェノール系樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「フェノール系硬化剤」ということがある。耐熱性及び耐水性の観点からは、ノボラック構造を有するフェノール系樹脂が好ましい。また、密着性の観点からは、含窒素フェノール系樹脂が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系樹脂がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び密着性を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂が好ましい。
フェノール系樹脂の具体例としては、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、「MEH-8000H」;日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」;日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SN-170」、「SN-180」、「SN-190」、「SN-475」、「SN-485」、「SN-495」、「SN-495V」、「SN-375」、「SN-395」;DIC社製の「TD-2090」、「TD-2090-60M」、「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-1356」、「LA-3018」、「LA-3018-50P」、「LA-1356」、「TD2090」、「TD-2090-60M」;群栄化学社製の「GDP-6115L」、「GDP-6115H」、「ELPC75」等が挙げられる。
フェノール系樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。フェノール系樹脂の量が前記範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
フェノール系樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。フェノール系樹脂の量が前記範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
カルボジイミド系樹脂としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のカルボジイミド構造を有する化合物を用いうる。カルボジイミド系樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「カルボジイミド系硬化剤」ということがある。カルボジイミド系樹脂の具体例としては、テトラメチレン-ビス(t-ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサンビス(メチレン-t-ブチルカルボジイミド)等の脂肪族ビスカルボジイミド;フェニレン-ビス(キシリルカルボジイミド)等の芳香族ビスカルボジイミド等のビスカルボジイミド;ポリヘキサメチレンカルボジイミド、ポリトリメチルヘキサメチレンカルボジイミド、ポリシクロヘキシレンカルボジイミド、ポリ(メチレンビスシクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(イソホロンカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミド;ポリ(フェニレンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(トリレンカルボジイミド)、ポリ(メチルジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(キシリレンカルボジイミド)、ポリ(テトラメチルキシリレンカルボジイミド)、ポリ(メチレンジフェニレンカルボジイミド)、ポリ[メチレンビス(メチルフェニレン)カルボジイミド]等の芳香族ポリカルボジイミド等のポリカルボジイミドが挙げられる。カルボジイミド系樹脂の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル社製の「カルボジライトV-02B」、「カルボジライトV-03」、「カルボジライトV-04K」、「カルボジライトV-05」、「カルボジライトV-07」及び「カルボジライトV-09」;ラインケミー社製の「スタバクゾールP」、「スタバクゾールP400」、「ハイカジル510」等が挙げられる。
カルボジイミド系樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。カルボジイミド系樹脂の量が前記範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
カルボジイミド系樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。カルボジイミド系樹脂の量が前記範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
酸無水物系樹脂としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上の酸無水物基を有する化合物を用いうる。酸無水物系樹脂は、エポキシ基と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「酸無水物系硬化剤」ということがある。酸無水物系樹脂の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’-4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。酸無水物系樹脂の市販品としては、例えば、新日本理化社製の「HNA-100」、「MH-700」、「MTA-15」、「DDSA」、「OSA」;三菱ケミカル社製の「YH-306」、「YH-307」;日立化成社製の「HN-2200」、「HN-5500」;クレイバレイ社製「EF-30」、「EF-40」「EF-60」、「EF-80」等が挙げられる。
アミン系樹脂としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のアミノ基を有する化合物を用いうる。アミン系樹脂は、エポキシ基と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「アミン系硬化剤」ということがある。アミン系樹脂としては、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられ、中でも、芳香族アミン類が好ましい。アミン系樹脂は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。アミン系樹脂の具体例としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、等が挙げられる。アミン系樹脂の市販品としては、例えば、セイカ社製「SEIKACURE-S」;日本化薬社製の「KAYABOND C-200S」、「KAYABOND C-100」、「カヤハードA-A」、「カヤハードA-B」、「カヤハードA-S」;三菱ケミカル社製の「エピキュアW」;住友精化社製「DTDA」等が挙げられる。
ベンゾオキサジン系樹脂としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のベンゾオキサジン環を有する化合物を用いうる。ベンゾオキサジン系樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「ベンゾオキサジン系硬化剤」ということがある。ベンゾオキサジン系樹脂の具体例としては、JFEケミカル社製の「JBZ-OP100D」、「ODA-BOZ」;昭和高分子社製の「HFB2006M」;四国化成工業社製の「P-d」、「F-a」などが挙げられる。
ベンゾオキサジン系樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。ベンゾオキサジン系樹脂の量が前記範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
ベンゾオキサジン系樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。ベンゾオキサジン系樹脂の量が前記範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
チオール系樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「チオール系硬化剤」ということがある。チオール系樹脂としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、トリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
硬化剤の活性基当量は、好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、より好ましくは100g/eq.~1000g/eq.、さらに好ましくは100g/eq.~500g/eq.、特に好ましくは100g/eq.~300g/eq.である。活性基当量は、活性基1当量あたりの樹脂の質量を表す。
一例において、硬化剤の重量平均分子量(Mw)の範囲は、エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)の範囲と同じであってもよい。
エポキシ樹脂のエポキシ基数を1とした場合、硬化剤の活性基数は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.5以上であり、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、特に好ましくは3.0以下である。「エポキシ樹脂のエポキシ基数」とは、樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂の不揮発成分の質量をエポキシ当量で割り算した値を全て合計した値を表す。また、「硬化剤の活性基数」とは、樹脂組成物中に存在する硬化剤の不揮発成分の質量を活性基当量で割り算した値を全て合計した値を表す。
硬化剤の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。硬化剤の量が前記範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
硬化剤の量の範囲は、樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。硬化剤の量が前記範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
ラジカル重合性樹脂としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物を用いうる。よって、ラジカル重合性樹脂は、エチレン性不飽和結合を含むラジカル重合性基を有しうる。ラジカル重合性基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、3-シクロヘキセニル基、3-シクロペンテニル基、2-ビニルフェニル基、3-ビニルフェニル基、4-ビニルフェニル基等の不飽和炭化水素基;アクリロイル基、メタクリロイル基、マレイミド基(2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-1H-ピロール-1-イル基)等のα,β-不飽和カルボニル基等が挙げられる。ラジカル重合性樹脂が1分子内中に含むラジカル重合性基の数は、1個でもよいが、2個以上が好ましい。ラジカル重合性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。好ましいラジカル重合性樹脂としては、アクリル系樹脂、スチリル系樹脂、アリル系樹脂、及び、マレイミド系樹脂が挙げられる。
アクリル系樹脂としては、1分子中に1個以上、好ましくは2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いうる。アクリル系樹脂は、モノマーであってもよく、オリゴマーであってもよい。「(メタ)アクリロイル基」という用語は、アクリロイル基、メタクリロイル基及びそれらの組み合わせを包含しうる。アクリル系樹脂としては、例えば、シクロヘキサン-1,4-ジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン-1,3-ジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の低分子量(分子量1000未満)の脂肪族(メタ)アクリル酸エステル化合物;ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、3,6,9-トリオキサウンデカン-1,11-ジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等の低分子量(分子量1000未満)のエーテル含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;トリス(3-ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート等の低分子量(分子量1000未満)のイソシアヌレート含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリル変性ポリフェニレンエーテル樹脂等の高分子量(分子量1000以上)のアクリル酸エステル化合物等が挙げられる。また、市販のアクリル系樹脂としては、例えば、新中村化学工業社製の「A-DOG」;共栄社化学社製の「DCP」、「DCP-A」;日本化薬社製の「NPDGA」、「FM-400」、「R-604」、「R-684」、「R-687」、「THE-330」、「PET-30」、「DPHA」;SABICイノベーティブプラスチックス社製の「SA9000」、「SA9000-111」等が挙げられる。
スチリル系樹脂としては、1分子中に1個以上、好ましくは2個以上のスチリル基又はビニルフェニル基を有する化合物を用いうる。スチリル系樹脂は、モノマーであってもよく、オリゴマーであってもよい。スチリル系樹脂としては、例えば、ジビニルベンゼン、2,4-ジビニルトルエン、2,6-ジビニルナフタレン、1,4-ジビニルナフタレン、4,4’-ジビニルビフェニル、1,2-ビス(4-ビニルフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ビニルフェニル)プロパン、ビス(4-ビニルフェニル)エーテル等の低分子量(分子量1000未満)のスチレン系化合物;ビニルベンジル変性ポリフェニレンエーテル樹脂、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体等の高分子量(分子量1000以上)のスチレン系化合物等が挙げられる。また、市販のスチリル系樹脂としては、例えば、三菱ガス化学社製の「OPE-2St」、「OPE-2St 1200」、「OPE-2St 2200」等が挙げられる。
アリル系樹脂としては、1分子中に1個以上、好ましくは2個以上のアリル基を有する化合物を用いうる。アリル系樹脂としては、例えば、ジフェン酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジアリル、2,3-ナフタレンカルボン酸ジアリル等の芳香族カルボン酸アリルエステル化合物;1,3,5-トリアリルイソシアヌレート、1,3-ジアリル-5-グリシジルイソシアヌレート等のイソシアヌル酸アリルエステル化合物;2,2-ビス[3-アリル-4-(グリシジルオキシ)フェニル]プロパン等のエポキシ含有芳香族アリル化合物;ビス[3-アリル-4-(3,4-ジヒドロ-2H-1,3-ベンゾオキサジン-3-イル)フェニル]メタン等のベンゾオキサジン含有芳香族アリル化合物;1,3,5-トリアリルエーテルベンゼン等のエーテル含有芳香族アリル化合物;ジアリルジフェニルシラン等のアリルシラン化合物等が挙げられる。アリル系樹脂の市販品としては、例えば、日本化成社製の「TAIC」(1,3,5-トリアリルイソシアヌレート)、日触テクノファインケミカル社製の「DAD」(ジフェン酸ジアリル)、和光純薬工業社製の「TRIAM-705」(トリメリット酸トリアリル)、日本蒸留工業社製の商品名「DAND」(2,3-ナフタレンカルボン酸ジアリル)、四国化成工業社製「ALP-d」(ビス[3-アリル-4-(3,4-ジヒドロ-2H-1,3-ベンゾオキサジン-3-イル)フェニル]メタン)、日本化薬社製の「RE-810NM」(2,2-ビス[3-アリル-4-(グリシジルオキシ)フェニル]プロパン)、四国化成社製の「DA-MGIC」(1,3-ジアリル-5-グリシジルイソシアヌレート)等が挙げられる。
マレイミド系樹脂としては、1分子中に1個以上、好ましくは2個以上のマレイミド基(2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-1H-ピロール-1-イル基)を有する化合物を用いうる。マレイミド系樹脂は、モノマーであってもよく、オリゴマーであってもよい。市販のマレイミド系樹脂としては、例えば、「BMI-3000J」、「BMI-5000」、「BMI-1400」、「BMI-1500」、「BMI-1700」、「BMI-689」(いずれもデジクナーモレキュールズ社製)などの、ダイマージアミン由来の炭素原子数36の脂肪族骨格を含むマレイミド系樹脂;発明協会公開技報公技番号2020-500211号に記載される、インダン骨格を含むマレイミド系樹脂;「MIR-3000-70MT」(日本化薬社製)、「BMI-4000」(大和化成社製)、「BMI-80」(ケイアイ化成社製)などの、マレイミド基の窒素原子と直接結合している芳香環骨格を含むマレイミド系樹脂が挙げられる。
ラジカル重合性樹脂のエチレン性不飽和結合当量は、好ましくは20g/eq.~3000g/eq.、より好ましくは50g/eq.~2500g/eq.、さらに好ましくは70g/eq.~2000g/eq.、特に好ましくは90g/eq.~1500g/eq.である。エチレン性不飽和結合当量は、エチレン性不飽和結合1当量あたりのラジカル重合性樹脂の質量を表す。
ラジカル重合性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは40000以下、より好ましくは10000以下、さらに好ましくは5000以下、特に好ましくは3000以下である。下限は、特に限定されるものではないが、例えば、150以上でありうる。ラジカル重合性樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
ラジカル重合性樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。ラジカル重合性樹脂の量が前記範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
ラジカル重合性樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。ラジカル重合性樹脂の量が前記範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
上述したものの中でも、(B)硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、活性エステル系樹脂、シアネートエステル系樹脂、カルボジイミド系樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂、アリル系樹脂、アクリル系樹脂、スチリル系樹脂及びマレイミド系樹脂、からなる群より選ばれる1種類以上を含むことが好ましい。このとき、前記の群から選ばれる樹脂の合計量は、(B)硬化性樹脂100質量%に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上であり、通常100質量%以下である。このような好ましい樹脂を(B)硬化性樹脂が含む場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
(B)硬化性樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。(B)硬化性樹脂の量が前記範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
(B)硬化性樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、好ましくは99質量%以下であり、98質量%以下であってもよい。(B)硬化性樹脂の量が前記範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
[(C)無機充填材]
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、任意の成分として、(C)無機充填材を含んでいてもよい。(C)成分としての(C)無機充填材には、上述した(A)~(B)成分に該当するものは含めない。(C)無機充填材は、通常、粒子の状態で樹脂組成物に含まれる。
(C)無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。(C)無機充填材の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカ、アルミナが好適であり、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては球形シリカが好ましい。(C)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)無機充填材は、内部に空孔を有する中空無機充填材と、内部に空孔を有さない中実無機充填材とに分類できる。(C)無機充填材としては、中空無機充填材のみを用いてもよく、中実無機充填材のみを用いてもよく、中空無機充填材と中実無機充填材とを組み合わせて用いてもよい。中空無機充填材を用いる場合、通常は、樹脂組成物の硬化物の比誘電率を低くできる。
中空無機充填材は、空孔を有するので、通常、0体積%より大きい空孔率を有する。樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層の比誘電率を低くする観点から、中空無機充填材の空孔率は、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、特に好ましくは15体積%以上である。また、樹脂組成物の硬化物の機械的強度の観点から、中空無機充填材の空孔率は、好ましくは95体積%以下、より好ましくは90体積%以下、特に好ましくは85体積%以下である。
粒子の空孔率P(体積%)は、粒子の外面を基準とした粒子全体の体積に対する粒子内部に1個又は2個以上存在する空孔の合計体積の体積基準割合(空孔の合計体積/粒子の体積)として定義される。この空孔率Pは、粒子の実際の密度の測定値D(g/cm)、及び、粒子を形成する材料の物質密度の理論値D(g/cm)を用いて、下記式(X1)により算出できる。
Figure 2024078084000013
中空無機充填材及び中実無機充填材といった(C)無機充填材の市販品としては、例えば、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」、「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」;デンカ社製の「UFP-30」、「DAW-03」、「FB-105FD」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;太平洋セメント社製の「セルフィアーズ」「MGH-005」;日揮触媒化成社製の「エスフェリーク」、「BA-1」などが挙げられる。
(C)無機充填材の平均粒径は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下である。
(C)無機充填材の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出しうる。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
(C)無機充填材の比表面積は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.1m/g以上、より好ましくは0.5m/g以上、さらに好ましくは1m/g以上、特に好ましくは3m/g以上であり、好ましくは100m/g以下、より好ましくは70m/g以下、さらに好ましくは50m/g以下、特に好ましくは40m/g以下である。無機充填材の比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで測定できる。
(C)無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、特定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量%は、0.2質量%~5質量%の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量%~3質量%の表面処理剤で表面処理されていることがより好ましく、0.3質量%~2質量%の表面処理剤で表面処理されていることがさらに好ましい。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上がさらに好ましい。一方、樹脂組成物の溶融粘度の上昇を防止する観点から、1.0mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下がさらに好ましい。
(C)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
(C)無機充填材の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。(C)無機充填材の量が前記の範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
[(D)硬化促進剤]
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、任意の成分として、(D)硬化促進剤を含んでいてもよい。(D)成分としての(D)硬化促進剤には、上述した(A)~(C)成分に該当するものは含めない。(D)硬化促進剤は、(B)熱硬化性樹脂の反応に触媒として作用して樹脂組成物の硬化を促進させることができる。
(D)硬化促進剤としては、(B)硬化性樹脂の種類に応じて適切なものを用いうる。例えば、(B)硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む場合、そのエポキシ樹脂の硬化を促進させうる(D)硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、ウレア系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤等が挙げられる。(D)硬化促進剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムデカノエート、テトラブチルホスホニウムラウレート、ビス(テトラブチルホスホニウム)ピロメリテート、テトラブチルホスホニウムハイドロジェンヘキサヒドロフタレート、テトラブチルホスホニウム2,6-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノラート、ジ-tert-ブチルジメチルホスホニウムテトラフェニルボレート等の脂肪族ホスホニウム塩;メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、p-トリルトリフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラp-トリルボレート、トリフェニルエチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(3-メチルフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(2-メトキシフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等の芳香族ホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン等の芳香族ホスフィン・ボラン複合体;トリフェニルホスフィン・p-ベンゾキノン付加反応物等の芳香族ホスフィン・キノン付加反応物;トリブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(2-ブテニル)ホスフィン、ジ-tert-ブチル(3-メチル-2-ブテニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の脂肪族ホスフィン;ジブチルフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(4-エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチル-4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル-2-ピリジルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)アセチレン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテル等の芳香族ホスフィン等が挙げられる。
ウレア系硬化促進剤としては、例えば、1,1-ジメチル尿素;1,1,3-トリメチル尿素、3-エチル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロヘキシル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロオクチル-1,1-ジメチル尿素等の脂肪族ジメチルウレア;3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(4-クロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(2-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジメチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-イソプロピルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-ニトロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、N,N-(1,4-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)、N,N-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)〔トルエンビスジメチルウレア〕等の芳香族ジメチルウレア等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられる。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。イミダゾール系硬化促進剤の市販品としては、例えば、四国化成工業社製の「1B2PZ」、「2E4MZ」、「2MZA-PW」、「2MZ-OK」、「2MA-OK」、「2MA-OK-PW」、「2PHZ」、「2PHZ-PW」、「Cl1Z」、「Cl1Z-CN」、「Cl1Z-CNS」、「C11Z-A」;三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられる。アミン系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、味の素ファインテクノ社製の「MY-25」等が挙げられる。
(D)硬化促進剤の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。(D)硬化促進剤の量が前記の範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
(D)硬化促進剤の量の範囲は、樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.02質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。(D)硬化促進剤の量が前記の範囲にある場合、絶縁層への導体材料の潜り込みを効果的に抑制でき、更に通常は、絶縁層の比誘電率、誘電正接、機械的強度、表面粗さ、及び導体層への密着性を良好にできる。
[(E)ポリマー]
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、任意の成分として、(E)ポリマーを含んでいてもよい。(E)成分としての(E)ポリマーには、上述した上述した(A)~(D)成分に該当するものは含めない。また、(E)ポリマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。(E)ポリマーは、通常、当該(E)ポリマー以外の樹脂成分と相溶して樹脂組成物及びその硬化物に含まれる。
(E)ポリマーは、通常、大きい分子量を有する。具体的には、(E)ポリマーの重量平均分子量Mwの範囲は、好ましくは5000より大きく、より好ましくは8000以上、さらに好ましくは10000以上、特に好ましくは20000以上であり、好ましくは100000以下、より好ましくは70000以下、さらに好ましくは60000以下、特に好ましくは50000以下である。(E)ポリマーの重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(E)ポリマーとしては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。中でも、フェノキシ樹脂及びポリイミド樹脂が好ましい。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種類以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「FX280」及び「FX293」;三菱ケミカル社製の「YL7500BH30」、「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」、「YL7482」及び「YL7891BH30」;等が挙げられる。
ポリイミド樹脂は、イミド結合を含有する繰り返し単位を含む樹脂を表す。通常、ポリイミド樹脂は、ジアミン化合物と酸無水物とを反応(イミド化反応)させて得られる構造を有する繰り返し単位を含む。
ジアミン化合物としては、例えば、脂肪族ジアミン化合物、及び芳香族ジアミン化合物を挙げることができ、中でも、芳香族ジアミン化合物が好ましい。芳香族ジアミン化合物としては、例えば、フェニレンジアミン化合物、ナフタレンジアミン化合物、ジアニリン化合物等が挙げられ、中でも、ジアニリン化合物が好ましい。
ジアニリン化合物とは、分子内に2個のアニリン構造を含む化合物を表す。アニリン構造中のベンゼン環は、それぞれ、任意で1~3個の置換基を有していてもよい。ジアニリン化合物における2個のアニリン構造は、直接結合していてもよく、炭素原子、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる1~100個の骨格原子を有するリンカー構造を介して結合していてもよい。
ジアニリン化合物における「リンカー構造」の具体例としては、-NHCO-、-CONH-、-OCO-、-COO-、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCHCHCHCH-、-CH(CH)-、-C(CH-、-C(CF-、-CH=CH-、-O-、-S-、-CO-、-SO-、-NH-、-Ph-、-Ph-Ph-、-C(CH-Ph-C(CH-、-O-Ph-O-、-O-Ph-Ph-O-、-O-Ph-SO-Ph-O-、-O-Ph-C(CH-Ph-O-、-Ph-CO-O-Ph-、-C(CH-Ph-C(CH-、下記式(e-1)で表される基、(e-2)で表される基、及び、これらの組み合わせからなる基、が挙げられる。本明細書中、「Ph」は、別に断らない限り、1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基または1,2-フェニレン基を示す。式(e-1)及び(e-2)において、「*」は結合手を表す。
Figure 2024078084000014
ジアニリン化合物としては、例えば、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジトリフルオロメチル-1,1’-ビフェニル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4-アミノフェニル4-アミノベンゾエート、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジアニリン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、α,α-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,3-ジイソプロピルベンゼン、α,α-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,4-ジイソプロピルベンゼン、4,4’-(9-フルオレニリデン)ジアニリン、2,2-ビス(3-メチル-4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メチル-4-アミノフェニル)ベンゼン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチル-1,1’-ビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチル-1,1’-ビフェニル、9,9’-ビス(3-メチル-4-アミノフェニル)フルオレン、5-(4-アミノフェノキシ)-3-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,3-トリメチルインダン等が挙げられる。ジアミン化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
酸無水物としては、通常、酸二無水物を用いることができ、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましい。芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、アントラセンテトラカルボン酸二無水物、ジフタル酸二無水物等が挙げられ、ジフタル酸二無水物が好ましい。
ジフタル酸二無水物とは、分子内に2個の無水フタル酸構造を含む化合物を表す。無水フタル酸構造中のベンゼン環は、それぞれ、任意で1~3個の置換基を有していてもよい。ジフタル酸二無水物における2個の無水フタル酸構造は、直接結合していてもよく、炭素原子、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる1~100個の骨格原子を有するリンカー構造を介して結合していてもよい。
ジフタル酸二無水物における「リンカー構造」の例としては、-[R-Ph]me-R-[Ph-Rne-で表される2価の基が挙げられる。この式において、Rは、それぞれ独立して、単結合、-(置換又は無置換のアルキレン基)-、-O-、-S-、-CO-、-SO-、-CONH-、-NHCO-、-COO-、又は-OCO-を示し;me及びneは、それぞれ独立して、0~2の整数(好ましくは、0又は1)を示す。リンカー構造の具体例としては、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCHCHCHCH-、-CH(CH)-、-C(CH-、-O-、-CO-、-SO-、-Ph-、-O-Ph-O-、-O-Ph-SO-Ph-O-、-O-Ph-C(CH-Ph-O-等が挙げられる。
ジフタル酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物2,2’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシフェニル)スルホン二無水物、メチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,1-エチニリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、2,2-プロピリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,2-エチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-トリメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,4-テトラメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,5-ペンタメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物等が挙げられる。酸無水物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリイミド樹脂は、従来公知の方法により製造することができる。例えば、ジアミン化合物、酸無水物及び溶剤の混合物を加熱して反応させることを含む方法により、ポリイミド樹脂を製造してもよい。また、ポリイミド樹脂として市販品を用いてもよい。市販のポリイミド樹脂の具体例としては、信越化学工業社製「SLK-6100」、新日本理化社製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業社製の「電化ブチラール4000-2」、「電化ブチラール5000-A」、「電化ブチラール6000-C」、「電化ブチラール6000-EP」;積水化学工業社製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ(例えばBX-5Z)、KSシリーズ(例えばKS-1)、BLシリーズ、BMシリーズ;等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系共重合樹脂;ポリプロピレン、エチレン-プロピレンブロック共重合体等のポリオレフィン系重合体等が挙げられる。
ポリブタジエン樹脂としては、例えば、水素化ポリブタジエン骨格含有樹脂、ヒドロキシ基含有ポリブタジエン樹脂、フェノール性水酸基含有ポリブタジエン樹脂、カルボキシ基含有ポリブタジエン樹脂、酸無水物基含有ポリブタジエン樹脂、エポキシ基含有ポリブタジエン樹脂、イソシアネート基含有ポリブタジエン樹脂、ウレタン基含有ポリブタジエン樹脂、ポリフェニレンエーテル-ポリブタジエン樹脂等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ社製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル樹脂の具体例としては、SABIC製「NORYL SA90」等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、例えば、ヒドロキシ基含有カーボネート樹脂、フェノール性水酸基含有カーボネート樹脂、カルボキシ基含有カーボネート樹脂、酸無水物基含有カーボネート樹脂、イソシアネート基含有カーボネート樹脂、ウレタン基含有カーボネート樹脂等が挙げられる。ポリカーボネート樹脂の具体例としては、三菱瓦斯化学社製の「FPC0220」、旭化成ケミカルズ社製の「T6002」、「T6001」(ポリカーボネートジオール)、クラレ社製の「C-1090」、「C-2090」、「C-3090」(ポリカーボネートジオール)等が挙げられる。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「スミプロイK」等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート樹脂等が挙げられる。
樹脂組成物中の(E)ポリマーの量の範囲は、樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
樹脂組成物中の(E)ポリマーの量の範囲は、樹脂組成物の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
[(F)任意の添加剤]
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、任意の成分として、(F)任意の添加剤を含んでいてもよい。(F)成分としての(F)任意の添加剤には、上述した(A)~(E)成分に該当するものは含めない。(F)任意の添加剤としては、例えば、過酸化物系ラジカル重合開始剤、アゾ系ラジカル重合開始剤等のラジカル重合開始剤;有機銅化合物、有機亜鉛化合物、有機コバルト化合物等の有機金属化合物;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディングリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック等の着色剤;ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の重合禁止剤;シリコーン系レベリング剤、アクリルポリマー系レベリング剤等のレベリング剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系消泡剤、アクリル系消泡剤、フッ素系消泡剤、ビニル樹脂系消泡剤等の消泡剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;尿素シラン等の接着性向上剤;トリアゾール系密着性付与剤、テトラゾール系密着性付与剤、トリアジン系密着性付与剤等の密着性付与剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤;スチルベン誘導体等の蛍光増白剤;フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤;リン系難燃剤(例えばリン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスフィン酸化合物、赤リン)、窒素系難燃剤(例えば硫酸メラミン)、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤(例えば三酸化アンチモン)等の難燃剤;リン酸エステル系分散剤、ポリオキシアルキレン系分散剤、アセチレン系分散剤、シリコーン系分散剤、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤等の分散剤;ボレート系安定剤、チタネート系安定剤、アルミネート系安定剤、ジルコネート系安定剤、イソシアネート系安定剤、カルボン酸系安定剤、カルボン酸無水物系安定剤等の安定剤;が挙げられる。(F)任意の添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[(G)溶剤]
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、上述した(A)~(F)成分といった不揮発成分に組み合わせて、更に任意の揮発性成分として(G)溶剤を含んでいてもよい。(G)溶剤としては、通常、有機溶剤を用いる。有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶剤;テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、アニソール等のエーテル系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶剤;酢酸2-エトキシエチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルジグリコールアセテート、γ-ブチロラクトン、メトキシプロピオン酸メチル等のエーテルエステル系溶剤;乳酸メチル、乳酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステルアルコール系溶剤;2-メトキシプロパノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等のエーテルアルコール系溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶剤;ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤等を挙げることができる。(G)溶剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(G)溶剤の量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の全成分を100質量%とした場合、例えば、60質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下等でありえ、0質量%であってもよい。
[樹脂組成物の製造方法]
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、樹脂組成物に含まれうる成分を混合することによって、製造することができる。上述した成分は、一部又は全部を同時に混合してもよく、順に混合してもよい。各成分を混合する過程で、温度を適宜設定してもよく、よって、一時的に又は終始にわたって、加熱及び/又は冷却してもよい。また、各成分を混合する過程において、撹拌又は振盪を行ってもよい。
[樹脂組成物の特性]
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物を硬化することにより、硬化物が得られる。前記の硬化の際、通常は、樹脂組成物には熱が加えられる。よって、通常、樹脂組成物に含まれる成分のうち、(G)溶剤等の揮発性成分は硬化時の熱によって揮発しうるが、(A)~(F)成分といった不揮発成分は、硬化時の熱によっては揮発しない。よって、樹脂組成物の硬化物は、樹脂組成物の不揮発成分又はその反応生成物を含みうる。
本実施形態に係る樹脂組成物の硬化物によって硬化物層を形成し、その硬化物層上に無電解めっきによって導体層を形成した場合、その硬化物層への導体材料の潜り込みを抑制できる。よって、本実施形態に係る樹脂組成物によれば、導体材料の潜り込みを抑制できる硬化物層として絶縁層を形成できる。一例において、後述する実施例で説明する方法により、樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層上に、所定のライン/スペース比の櫛歯パターンを有するパターン導体層を備えた評価基板Bを製造する。「ライン」とは、導体層の配線幅を表し、「スペース」とは配線間の間隔を表す。この場合、櫛歯パターンのライン/スペース比が、好ましくは20μm/20μm以下、より好ましくは18μm以下/18μm以下、更に好ましくは15μm/15μm以下であっても、めっきの潜り込みによるパターン導体層(配線)間の導通の発生を抑制できる。前記の導通は、パターン導体層を形成された部分においてFIB(収束イオンビーム)を用いて評価基板Bを断面加工し、断面観察することによって確認できる。
本実施形態に係る樹脂組成物の硬化物は、通常、低い比誘電率Dkを有することができる。よって、本実施形態に係る樹脂組成物によれば、比誘電率Dkの低い絶縁層を形成できる。一例において、樹脂組成物の硬化物の比誘電率Dkは、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.8以下、特に好ましくは3.5以下である。下限は、特段の制限はなく、例えば、0.1以上でありうる。
本実施形態に係る樹脂組成物の硬化物は、通常、低い誘電正接Dfを有することができる。よって、本実施形態に係る樹脂組成物によれば、誘電正接Dfの低い絶縁層を形成できる。一例において、樹脂組成物の硬化物の誘電正接Dfは、好ましくは0.030以下、より好ましくは0.020以下、更に好ましくは0.010以下である。下限は、特段の制限はなく、例えば、0.0001以上でありうる。
硬化物の比誘電率Dk及び誘電正接Dfは、空洞共振摂動法により測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて測定できる。試料が硬化前の樹脂組成物である場合、その樹脂組成物を200℃、90分間の硬化条件で硬化して硬化物を得て、硬化物の比誘電率Dk及び誘電正接Dfを測定できる。具体的な測定方法は、実施例で説明する方法を採用しうる。
本実施形態に係る樹脂組成物の硬化物は、通常、高い機械的強度を有することができ、例えば、大きな破断点伸度を有することができる。よって、本実施形態に係る樹脂組成物によれば、破断点伸度が大きい絶縁層を形成できる。一例において、樹脂組成物の硬化物の破断点伸度は、好ましくは1.0%以上、より好ましくは1.1%以上、更に好ましくは1.2%以上である。上限は、特段の制限はなく、例えば、5.0%以下でありうる。硬化物の破断点伸度は、日本工業規格JIS K7127に準拠して23℃において測定できる。試料が硬化前の樹脂組成物である場合、その樹脂組成物を200℃、90分間の硬化条件で硬化して硬化物を得て、硬化物の破断点伸度を測定できる。具体的な測定方法は、実施例で説明する方法を採用しうる。
本実施形態に係る樹脂組成物の硬化物は、通常、粗化処理を施された場合に小さい表面粗さを有することができる。よって、本実施形態に係る樹脂組成物によれば、表面粗さが小さい絶縁層を形成できる。一例において、後述する実施例で説明する方法により、樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を形成し、その絶縁層に粗化処理を行って、評価基板Aを製造する。この場合、絶縁層の粗化処理を施された面(粗化面)の算術平均粗さRaを小さくできる。具体的な算術平均粗さRaの範囲は、好ましくは180nm以下、より好ましくは150nm以下、更に好ましくは130nm以下である。下限は、例えば、20nm以上、40nm以上などでありうる。絶縁層の粗化面の算術平均粗さRaは、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300)を用いて測定できる。具体的な測定方法は、実施例で説明する方法を採用しうる。
本実施形態に係る樹脂組成物の硬化物によって硬化物層を形成し、その硬化物層上にめっき法によって導体層を形成した場合、通常、硬化物層と導体層との間の高い密着性を得ることができる。よって、本実施形態に係る樹脂組成物によれば、導体層への密着性に優れる絶縁層を形成できる。前記の密着性は、絶縁層から導体層を引き剥がすために要する荷重としての引き剥がし強さ[kgf/cm]によって評価できる。具体的には、引き剥がし強さが大きいほど、密着性に優れる。
一例において、後述する実施例で説明する方法により、樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層上に導体層を備えた評価基板Bを製造する。この場合、導体層の引き剥がし強さの範囲は、好ましくは0.39kgf/cm以上、より好ましくは0.40kgf/cm以上、更に好ましくは0.41kgf/cm以上である。前記の引き剥がし強さは、導体層に幅10mm、長さ100mmの部分を囲む切込みを形成し、この部分の一端をつかみ具で掴み、25℃において50mm/分の速度で垂直方向に引っ張って剥がすときの荷重として測定できる。測定は、日本工業規格JIS C6481に準拠して行いうる。具体的な測定方法は、実施例で説明する方法を採用しうる。
本実施形態に係る樹脂組成物の硬化物は、(A)特定充填材が応力を緩和することができるので、通常、クラック耐性に優れる。よって、本実施形態に係る樹脂組成物によれば、クラック耐性に優れる絶縁層を形成できる。一例において、後述する実施例で説明する方法により、配線パターンを形成された導体層を表面に有する回路基板上に絶縁層を形成し、粗化処理を行って、歩留まりを求める。この場合、歩留まりを高くできる。具体的な歩留まりの範囲は、好ましくは40%以上、より好ましくは60%以上、更に好ましくは80%以上である。
[樹脂組成物の用途]
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、絶縁用途の樹脂組成物として使用でき、特に、絶縁層を形成するための樹脂組成物(絶縁層形成用の樹脂組成物)として好適に使用することができる。例えば、本実施形態に係る樹脂組成物は、半導体チップパッケージの絶縁層を形成するための樹脂組成物(半導体チップパッケージの絶縁層用の樹脂組成物)、及び、回路基板(プリント配線板を含む。)の絶縁層を形成するための樹脂組成物(回路基板の絶縁層用の樹脂組成物)として、好適に使用することができる。特に、樹脂組成物は、導体層と導体層との間に設けられる層間絶縁層を形成するために好適である。
半導体チップパッケージとしては、例えば、FC-CSP、MIS-BGAパッケージ、ETS-BGAパッケージ、Fan-out型WLP(Wafer Level Package)、Fan-in型WLP、Fan-out型PLP(Panel Level Package)、Fan-in型PLPが挙げられる。
また、前記の樹脂組成物は、アンダーフィル材として用いてもよく、例えば、半導体チップを基板に接続した後に用いるMUF(Molding Under Filling)の材料として用いてもよい。
さらに、前記の樹脂組成物は、樹脂シート、プリプレグ等のシート状積層材料、ソルダーレジスト、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等、樹脂組成物が用いられる広範な用途に使用できる。
[シート状積層材料]
本実施形態に係る樹脂組成物は、ワニス状態で塗布して使用してもよいが、工業的には、該樹脂組成物を含むシート状積層材料の形態で用いることが好適である。
シート状積層材料としては、以下に示す樹脂シート、プリプレグが好ましい。
一実施形態において、樹脂シートは、支持体と、該支持体上に形成された樹脂組成物層と、を備える。樹脂組成物層は樹脂組成物を含み、好ましくは樹脂組成物のみを含む。
樹脂組成物層の厚さは、薄型化の観点、及び、樹脂組成物によって薄くても絶縁性に優れた硬化物を提供できるという観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、5μm以上、10μm以上等でありうる。
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
支持体として、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
支持体の厚さは、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
一実施形態において、樹脂シートは、さらに必要に応じて、任意の層を含んでいてもよい。斯かる任意の層としては、例えば、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)に設けられた、支持体に準じた保護フィルム等が挙げられる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミの付着やキズを抑制することができる。
樹脂シートは、例えば、液状(ワニス状)の樹脂組成物をそのまま、或いは溶剤に樹脂組成物を溶解して液状(ワニス状)の樹脂組成物を調製し、これを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
溶剤としては、樹脂組成物の成分として説明した溶剤と同様のものが挙げられる。溶剤は1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の方法により実施してよい。乾燥条件は、特に限定されないが、樹脂組成物層中の溶剤の含有量が通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂組成物中の溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の溶剤を含む樹脂組成物を用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、通常は、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
一実施形態において、プリプレグは、シート状繊維基材に樹脂組成物を含浸させて形成される。
プリプレグに用いるシート状繊維基材は、例えば、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。薄型化の観点から、シート状繊維基材の厚さは、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下である。シート状繊維基材の厚さの下限は特に限定されず、通常10μm以上である。
プリプレグは、ホットメルト法、ソルベント法等の方法により製造することができる。
プリプレグの厚さは、上述した樹脂シートにおける樹脂組成物層と同様の範囲でありうる。
シート状積層材料は、例えば、半導体チップパッケージの製造において絶縁層を形成するため(半導体チップパッケージの絶縁用シート状積層材料)に好適に使用できる。適用可能な半導体チップパッケージとしては、例えば、Fan-out型WLP、Fan-in型WLP、Fan-out型PLP、Fan-in型PLP等が挙げられる。また、シート状積層材料は、例えば、回路基板の絶縁層を形成するため(回路基板の絶縁層用シート状積層材料)に使用できる。さらに、シート状積層材料は、半導体チップを基板に接続した後に用いるMUFの材料に用いてもよい。特に、シート状積層材料は、層間絶縁層を形成するために好適である。
[回路基板]
本発明の一実施形態に係る回路基板は、樹脂組成物の硬化物を含む。通常、回路基板は、樹脂組成物の硬化物で形成された絶縁層を含む。絶縁層は、上述した樹脂組成物の硬化物を含み、好ましくは上述した樹脂組成物の硬化物のみを含む。この回路基板は、例えば、下記の工程(I)及び工程(II)を含む製造方法によって、製造できる。
(I)内層基板上に、樹脂組成物層を形成する工程。
(II)樹脂組成物層を硬化して、絶縁層を形成する工程。
工程(I)で用いる「内層基板」とは、回路基板の基材となる部材であって、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。また、該基板は、その片面又は両面に導体層を有していてもよく、この導体層はパターン加工されていてもよい。基板の片面または両面に導体層(回路)が形成された内層基板は「内層回路基板」ということがある。また回路基板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も、前記の「内層基板」に含まれる。回路基板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用してもよい。
内層基板上への樹脂組成物層の形成は、例えば、内層基板と樹脂シートとを積層することによって行いうる。内層基板と樹脂シートの積層は、例えば、支持体側から樹脂シートを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
内層基板と樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施される。
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
支持体は、工程(I)と工程(II)の間に除去してもよく、工程(II)の後に除去してもよい。
工程(II)において、樹脂組成物層を硬化して、樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を形成する。樹脂組成物層の硬化は、熱硬化、光硬化等のように、樹脂組成物に適した方法で行いうる。樹脂組成物層の具体的な硬化条件は、回路基板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
熱硬化性の樹脂組成物を用いた場合、樹脂組成物の硬化は、熱硬化として進行しうる。よってこの場合、工程(II)は、樹脂組成物層を熱硬化させることを含みうる。樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類によっても異なりうる。例えば、硬化温度は、好ましくは120℃~240℃、より好ましくは150℃~220℃、さらに好ましくは170℃~210℃である。また、硬化時間は、好ましくは5分間~120分間、より好ましくは10分間~100分間、さらに好ましくは15分間~100分間でありうる。
また、樹脂組成物層を熱硬化させる場合には、回路基板の製造方法は、その熱硬化の前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱することを含むことが好ましい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、通常50℃~150℃、好ましくは60℃~140℃、より好ましくは70℃~130℃の温度にて、樹脂組成物層を通常5分間以上、好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間、さらに好ましくは15分間~100分間予備加熱してもよい。
他方、光硬化性の樹脂組成物を用いた場合、樹脂組成物の硬化は、光硬化として進行しうる。よってこの場合、工程(II)は、樹脂組成物層を光硬化させることを含みうる。樹脂組成物の光硬化条件は、樹脂組成物の種類によっても異なりうる。例えば、樹脂組成物層に活性光線を照射する露光処理によって、照射部の樹脂組成物層を光硬化させうる。活性光線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。紫外線の照射量は、例えば、10mJ/cm2~1000mJ/cm2である。支持体を備える樹脂シートを用いた場合、支持体を通して露光を行ってもよく、支持体を剥離した後に露光を行ってもよい。
露光処理では、パターンを形成されたマスクを通して樹脂組成物層に活性光線を照射してもよい。マスクを用いた露光方法には、マスクをワークに接触させて露光を行う接触露光法と、接触させずに平行光線を使用して露光を行う非接触露光法とがあり、どちらを用いてもよい。
工程(II)は、露光処理の後に、現像処理を行うことを含んでいてもよい。現像処理によれば、光硬化されていない部分(未露光部)を除去して、絶縁層にパターンを形成することができる。現像は、通常、ウェット現像により行う。ウェット現像において、現像液としては、例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の、安全かつ安定であり操作性が良好な現像液が用いられる。なかでも、アルカリ水溶液による現像工程が好ましい。現像方法としては、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の方法が採用されうる。
さらに、樹脂組成物層を光硬化させた場合には、光硬化及び現像の後で、必要に応じて、ポストベーク処理を行ってもよい。ポストベーク処理としては、例えば、高圧水銀ランプによる紫外線照射処理、クリーンオーブンを用いた加熱処理、などが挙げられる。紫外線照射処理は、例えば、0.05J/cm~10J/cm程度の照射量で行いうる。また、加熱処理は、例えば、好ましくは150℃~250℃で20分間~180分間の範囲、より好ましくは160℃~230℃で30分間~120分間の範囲で行いうる。
回路基板を製造するに際しては、(III)絶縁層に穴あけする工程、(IV)絶縁層を粗化処理する工程、(V)導体層を形成する工程をさらに実施してもよい。これらの工程(III)乃至工程(V)は、回路基板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。なお、支持体を工程(II)の後に除去する場合、該支持体の除去は、工程(II)と工程(III)との間、工程(III)と工程(IV)の間、又は工程(IV)と工程(V)との間に実施してよい。また、必要に応じて、工程(I)~工程(V)の絶縁層及び導体層の形成を繰り返して実施し、多層プリント配線板等の多層構造を有する回路基板を形成してもよい。
他の実施形態において、回路基板は、上述のプリプレグを用いて製造することができる。プリプレグを用いた製造方法は基本的に樹脂シートを用いる場合と同様でありうる。
工程(III)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(III)は、絶縁層の形成に使用した樹脂組成物の組成等に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ホールの寸法及び形状は、回路基板のデザインに応じて適宜決定してよい。
工程(IV)は、絶縁層を粗化処理する工程である。通常、この工程(IV)において、スミアの除去も行われる。よって、前記の粗化処理は「デスミア処理」と呼ばれることがある。粗化処理の手順、条件は特に限定されず、回路基板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。
粗化処理に用いる膨潤液としては、例えば、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液である。該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、例えば、30℃~90℃の膨潤液に絶縁層を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に絶縁層を5分間~15分間浸漬させることが好ましい。
粗化処理に用いる酸化剤としては、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~100℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は、5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
粗化処理に用いる中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に5分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
工程(V)は、導体層を形成する工程であり、絶縁層上に導体層を形成する。導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造であってもよく、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層にパターン加工する場合、導体材料の潜り込みを抑制できるという利点を活用する観点から、その導体層の最小ライン/スペース比は、小さいことが好ましい。最小ライン/スペース比の範囲は、好ましくは20μm/20μm以下(即ちピッチが40μm以下)、より好ましくは18μm/18μm以下、更に好ましくは15μm/15μm以下である。下限は、例えば、0.5μm/0.5μm以上でありうる。ピッチは、導体層の全体にわたって均一でもよく、不均一でもよい。導体層の最小ピッチは、例えば、40μm以下、36μm以下、又は30μm以下であってもよい。
導体層の厚さは、所望の回路基板のデザインによるが、一般に3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
一実施形態において、導体層は、めっきにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法が好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
まず、絶縁層の表面に、無電解めっきにより無電解めっき層(めっきシード層)を形成する。次いで、形成された無電解めっき層上に、所望の配線パターンに対応して無電解めっき層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出した無電解めっき層上に、電解めっきにより電解めっき層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要な無電解めっき層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
[半導体チップパッケージ]
本発明の一実施形態に係る半導体チップパッケージは、樹脂組成物の硬化物を含む。通常、半導体チップパッケージは、樹脂組成物の硬化物で形成された絶縁層を含む。絶縁層は、上述した樹脂組成物の硬化物を含み、好ましくは上述した樹脂組成物の硬化物のみを含む。この半導体チップパッケージとしては、例えば、下記のものが挙げられる。
第一の例に係る半導体チップパッケージは、上述した回路基板と、この回路基板に搭載された半導体チップとを含む。この半導体チップパッケージは、回路基板に半導体チップを接合することにより、製造することができる。
回路基板と半導体チップとの接合条件は、半導体チップの端子電極と回路基板の回路配線とが導体接続できる任意の条件を採用できる。例えば、半導体チップのフリップチップ実装において使用される条件を採用できる。また、例えば、半導体チップと回路基板との間に、絶縁性の接着剤を介して接合してもよい。
接合方法の例としては、半導体チップを回路基板に圧着する方法が挙げられる。圧着条件としては、圧着温度は通常120℃~240℃の範囲(好ましくは130℃~200℃の範囲、より好ましくは140℃~180℃の範囲)、圧着時間は通常1秒間~60秒間の範囲(好ましくは5秒間~30秒間の範囲)である。
また、接合方法の他の例としては、半導体チップを回路基板にリフローして接合する方法が挙げられる。リフロー条件は、120℃~300℃の範囲としてもよい。
半導体チップを回路基板に接合した後、半導体チップをモールドアンダーフィル材で充填してもよい。このモールドアンダーフィル材として、上述した樹脂組成物を用いてもよい。
第二の例に係る半導体チップパッケージは、半導体チップと、樹脂組成物の硬化物で形成された絶縁層とを含む。第二の例に係る半導体チップパッケージとしては、例えば、Fan-out型WLP、Fan-out型PLP等が挙げられる。具体例を挙げると、半導体チップパッケージは、半導体チップ;半導体チップの周囲を覆うように形成された封止層;半導体チップの封止層とは反対側の面に設けられた絶縁層としての再配線形成層;導体層としての再配線層;ソルダーレジスト層;及び、バンプを備えうる。
このような半導体チップパッケージの製造方法は、例えば、
(A)基材に仮固定フィルムを積層する工程、
(B)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(C)半導体チップ上に封止層を形成する工程、
(D)基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(E)半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に再配線形成層を形成する工程、
(F)再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程、並びに、
(G)再配線層上にソルダーレジスト層を形成する工程、
を含む。また、前記の半導体チップパッケージの製造方法は、
(H)複数の半導体チップパッケージを、個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程
を含んでいてもよい。
(工程(A))
工程(A)は、基材に仮固定フィルムを積層する工程である。基材と仮固定フィルムとの積層条件は、回路基板の製造方法における基材と樹脂シートとの積層条件と同様でありうる。
基材としては、例えば、シリコンウエハ;ガラスウエハ;ガラス基板;銅、チタン、ステンレス、冷間圧延鋼板(SPCC)等の金属基板;FR-4基板等の、ガラス繊維にエポキシ樹脂等をしみこませ熱硬化処理した基板;BT樹脂等のビスマレイミドトリアジン樹脂からなる基板;などが挙げられる。
仮固定フィルムは、半導体チップから剥離でき、且つ、半導体チップを仮固定することができる任意の材料を用いうる。市販品としては、日東電工社製「リヴァアルファ」等が挙げられる。
(工程(B))
工程(B)は、半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程である。半導体チップの仮固定は、例えば、フリップチップボンダー、ダイボンダー等の装置を用いて行うことができる。半導体チップの配置のレイアウト及び配置数は、仮固定フィルムの形状、大きさ、目的とする半導体チップパッケージの生産数等に応じて適切に設定できる。例えば、複数行で、かつ複数列のマトリックス状に半導体チップを整列させて、仮固定してもよい。
(工程(C))
工程(C)は、半導体チップ上に封止層を形成する工程である。封止層は、例えば、感光性樹脂組成物又は熱硬化性樹脂組成物によって形成しうる。この封止層を、上述した実施形態に係る樹脂組成物の硬化物によって形成してもよい。封止層は、通常、半導体チップ上に樹脂組成物層を形成する工程と、この樹脂組成物層を硬化させて封止層を形成する工程とを含む方法で形成できる。
(工程(D))
工程(D)は、基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程である。剥離方法は、仮固定フィルムの材質に応じた適切な方法を採用することが望ましい。剥離方法としては、例えば、仮固定フィルムを加熱、発泡又は膨張させて剥離する方法が挙げられる。また、剥離方法としては、例えば、基材を通して仮固定フィルムに紫外線を照射して、仮固定フィルムの粘着力を低下させて剥離する方法が挙げられる。
前記のように基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離すると、封止層の面が露出する。半導体チップパッケージの製造方法は、この露出した封止層の面を研磨することを含んでいてもよい。研磨により、封止層の表面の平滑性を向上させることができる。
(工程(E))
工程(E)は、半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程である。通常、この再配線形成層は、半導体チップ及び封止層上に形成される。再配線形成層は、上述した実施形態に係る樹脂組成物の硬化物によって形成しうる。再配線形成層は、通常、半導体チップ上に樹脂組成物層を形成する工程と、この樹脂組成物層を硬化させて再配線形成層を形成する工程とを含む方法で形成できる。半導体チップ上への樹脂組成物層の形成は、例えば、内層基板の代わりに半導体チップを用いること以外は、前記の回路基板の製造方法で説明した内層基板上への樹脂組成物層の形成方法と同じ方法で行いうる。
半導体チップ上に樹脂組成物層を形成した後で、この樹脂組成物層を硬化させて、樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層としての再配線形成層を得る。樹脂組成物層の硬化条件は、回路基板の製造方法における樹脂組成物層の硬化条件と同じ条件を採用してもよい。樹脂組成物層を熱硬化させる場合には、その熱硬化の前に、樹脂組成物層に対して、硬化温度よりも低い温度で加熱する予備加熱処理を施してもよい。この予備加熱処理の処理条件は、回路基板の製造方法における予備加熱処理と同じ条件を採用してもよい。通常、再配線形成層を形成した後、半導体チップと再配線層とを接続するために、再配線形成層にホールを形成する。
(工程(F))
工程(F)は、再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程である。再配線形成層上に再配線層を形成する方法は、回路基板の製造方法における絶縁層上への導体層の形成方法と同様でありうる。また、工程(E)及び工程(F)を繰り返し行い、再配線層及び再配線形成層を交互に積み上げて(ビルドアップ)もよい。
(工程(G))
工程(G)は、再配線層上にソルダーレジスト層を形成する工程である。ソルダーレジスト層の材料は、絶縁性を有する任意の材料を用いることができる。中でも、半導体チップパッケージの製造のしやすさの観点から、感光性樹脂組成物及び熱硬化性樹脂組成物が好ましい。ソルダーレジスト層は、上述した実施形態に係る樹脂組成物の硬化物によって形成してもよい。
また、工程(G)では、必要に応じて、バンプを形成するバンピング加工を行ってもよい。バンピング加工は、半田ボール、半田めっきなどの方法で行うことができる。また、バンピング加工におけるビアホールの形成は、工程(E)と同様に行ってもよい。
(工程(H))
半導体チップパッケージの製造方法は、工程(A)~(G)以外に、工程(H)を含んでいてもよい。工程(H)は、複数の半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程である。半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングする方法は特に限定されない。
[半導体装置]
半導体装置は、上述した回路基板又は半導体チップパッケージを備える。半導体装置としては、例えば、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット型デバイス、ウェラブルデバイス、デジタルカメラ、医療機器、及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。特に温度の指定が無い場合の温度条件及び圧力条件は、室温(25℃)及び大気圧(1atm)である。また、別途明治の無い限り、「MEK」はメチルエチルケトンを表す。
<製造例1:微粒子Aの製造>
スチレン97.0部、ジビニルベンゼン1.0部、アクリル酸2.0部、ポリオキシエチレンスチレン化プロピニルフェニルエーテル系の反応性界面活性剤(第一工業製薬製「アクアロンAN-5065」、式(a-4-7))1.0部、及び、イオン交換水39.7部を混合及び撹拌して、乳化液を得た。
攪拌器、温度計、滴下ロート及び還流器を備えた反応容器に、イオン交換水96.5部と、前記の乳化液のうちの3.0%と、を加えた。反応容器の内温を70℃に昇温して十分に窒素置換した後、開始剤として過硫酸カリウムの2.5%水溶液5.7部を添加して重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を維持しながら、乳化液の残りと過硫酸カリウムの2.5%水溶液4.0部を、2時間かけて滴下しながら反応させた。反応により得られた微粒子Aをろ取し、乾燥させて、微粒子A(平均粒径0.4μm)を得た。
<製造例2:微粒子Bの製造>
スチレン58.0部、メチルメタクリレート30.0部、ベンジルメタクリレート10.0部、アクリル酸2.0部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系の反応性界面活性剤(ADEKA製「アデカソープER-10」、式(a-4-14))0.7部、ポリオキシエチレンスチレン化プロピニルフェニルエーテル系の反応性界面活性剤(第一工業製薬製「アクアロンAN-5065」、式(a-4-7))0.3部、及び、イオン交換水39.7部を混合及び撹拌して、乳化液を得た。
攪拌器、温度計、滴下ロート及び還流器を備えた反応容器に、イオン交換水96.5部と、前記の乳化液のうちの3.0%とを加えた。反応容器の内温を70℃に昇温して十分に窒素置換した後、開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(ADVN)0.5部及び過酸化ベンゾイル(BPO)0.5部を添加して重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を維持しながら、乳化液の残りと、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(ADVN)0.5部と、過酸化ベンゾイル(BPO)0.5部とを2時間かけて滴下しながら反応させた。反応により得られた微粒子Bをろ取し、乾燥させて、微粒子B(平均粒径0.4μm)を得た。
<製造例3:微粒子Cの製造>
スチレン99.0部、ジビニルベンゼン1.0部、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル系の反応性界面活性剤(花王製「ラテムルPD-104」、式(a-4-1))1.0部、及び、イオン交換水39.7部を混合及び撹拌して、乳化液を得た。
攪拌器、温度計、滴下ロート及び還流器を備えた反応容器に、イオン交換水96.5部と、前記の乳化液のうちの3.0%とを加えた。反応容器の内温を70℃に昇温して十分に窒素置換した後、開始剤として過硫酸カリウムの2.5%水溶液5.7部を添加して重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を維持しながら、乳化液の残りと、過硫酸カリウムの2.5%水溶液4.0部とを2時間かけて滴下しながら反応させた。反応により得られた微粒子Cをろ取し、乾燥させて、微粒子C(平均粒径0.4μm)を得た。
<製造例4:微粒子Dの製造>
スチレン97.0部、ジビニルベンゼン1.0部、アクリル酸2.0部、非反応性界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)1.0部、及びイオン交換水39.7部を混合及び撹拌して、乳化液を得た。
攪拌器、温度計、滴下ロート及び還流器を備えた反応容器に、イオン交換水96.5部と、前記の乳化液のうちの3.0%とを加えた。反応容器の内温を70℃に昇温して十分に窒素置換した後、開始剤として過硫酸カリウムの2.5%水溶液5.7部を添加して重合を開始した。内温を80℃に上げて温度を維持しながら、乳化液の残りと過硫酸カリウムの2.5%水溶液4.0部とを2時間かけて滴下しながら反応させた。反応により得られた微粒子Dをろ取し、乾燥させて、微粒子D(平均粒径0.5μm)を得た。
<合成例1:マレイミド化合物Aの合成>
発明協会公開技報公技番号2020-500211号の合成例1に記載の方法でマレイミド化合物Aを合成して、当該マレイミド化合物AのMEK溶液(不揮発成分70質量%)を得た。
<合成例2:ポリイミド樹脂Bの合成>
環流冷却器を連結した水分定量受器、窒素導入管、及び攪拌器を備えた、500mLのセパラブルフラスコを用意した。このフラスコに、4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA)20.3g、γ-ブチロラクトン200g、トルエン20g、及び、5-(4-アミノフェノキシ)-3-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,3-トリメチルインダン29.6gを加えて反応溶液を用意し、窒素気流下で45℃にて2時間攪拌して、反応を行った。次いで、この反応溶液を昇温し、約160℃に保持しながら、窒素気流下で縮合水をトルエンとともに共沸除去した。水分定量受器に所定量の水がたまっていること、及び、水の流出が見られなくなっていることを確認した。確認後、反応溶液を更に昇温し、200℃で1時間攪拌した。その後、冷却して、ポリマーとしてのポリイミド樹脂B(1,1,3-トリメチルインダン骨格を有するポリイミド樹脂)を含むポリイミド溶液(不揮発分20質量%)を得た。得られたポリイミド樹脂Bは、下記式(X1)で表される繰り返し単位及び下記式(X2)で示す繰り返し単位を有していた。また、前記のポリイミド樹脂Bの重量平均分子量は、12,000であった。
Figure 2024078084000015
<実施例1>
ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000L」、エポキシ当量約269g/eq.)4部とナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP-4032-SS」、1,6-ビス(グリシジルオキシ)ナフタレン、エポキシ当量約145g/eq.)2部とを、メチルエチルケトン20部に撹拌しながら加熱溶解させた。これを室温にまで冷却し、エポキシ樹脂の溶解組成物を調製した。
このエポキシ樹脂の溶解組成物に、製造例1で得られた微粒子Aを1部、活性エステル化合物(DIC社製「HPC-8150-62T」、活性エステル基当量約220g/eq.、不揮発成分率62質量%のトルエン溶液)20部、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm、比表面積5.8m/g)60部、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、活性基当量約151g/eq.、不揮発成分率50%の2-メトキシプロパノール溶液)2部、カルボジイミド系硬化剤(日清紡ケミカル社製「V-03」、活性基当量約216g/eq.、不揮発成分率50%のトルエン溶液)3部、イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業社製「1B2PZ」、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール)0.01部、及び、フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX7553BH30」、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)2部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂組成物を調製した。
<実施例2>
ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP-4032-SS」、1,6-ビス(グリシジルオキシ)ナフタレン、エポキシ当量約145g/eq.)2部の代わりに、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX4000H」、エポキシ当量190g/eq.)2部を用いた。さらに、微粒子Aの量を1部から4部に変更した。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調製した。
<実施例3>
微粒子Aの1部の代わりに、製造例2で得られた微粒子Bを1部用いた。また、ビニルベンジル変性ポリフェニレンエーテル(三菱瓦斯化学社製「OPE-2St 2200」、不揮発成分率65%のトルエン溶液)5部を樹脂組成物に追加した。さらに、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm、比表面積5.8m/g)の量を60部から70部に変更した。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調製した。
<実施例4>
微粒子Aの1部の代わりに、製造例2で得られた微粒子Bを1部用いた。また、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP-4032-SS」、1,6-ビス(グリシジルオキシ)ナフタレン、エポキシ当量約145g/eq.)2部の代わりに、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX4000H」、エポキシ当量190g/eq.)2部を用いた。さらに、合成例1で得られたマレイミド化合物Aを5部、樹脂組成物に追加した。また、フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX7553BH30」、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)2部の代わりに、合成例2で得られたポリイミド樹脂B(不揮発成分20質量%)を10部用いた。さらに、表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm、比表面積5.8m/g)60部の代わりに、表面処理された球状シリカ(電気化学工業製「UFP-30」、平均粒径0.3μm、比表面積30.7m/g、単位表面積当たりのカーボン量0.22mg/m)35部を用いた。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調製した。
<実施例5>
微粒子Aの1部の代わりに、製造例3で得られた微粒子Cを1部用いた。また、表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm、比表面積5.8m/g)の量を60部から42部に変更した。さらに、中空シリカ粒子(日揮触媒化成社製「BA-S」、平均粒径2.6μm、空孔率25体積%)14部を樹脂組成物に追加した。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調製した。
<実施例6>
製造例3で得られた微粒子Cを1部、樹脂組成物に追加した。また、フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX7553BH30」、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)の量を2部から1部に変更した。さらに、合成例2で得られたポリイミド樹脂B(不揮発成分20質量%)を5部、樹脂組成物に追加した。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調製した。
<実施例7>
ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000L」、エポキシ当量約269g/eq.)8部とナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP-4032-SS」、1,6-ビス(グリシジルオキシ)ナフタレン、エポキシ当量約145g/eq.)4部とを、メチルエチルケトン20部に撹拌しながら加熱溶解させた。これを室温にまで冷却し、エポキシ樹脂の溶解組成物を調製した。
このエポキシ樹脂の溶解組成物に、製造例1で得られた微粒子Aを1部、活性エステル化合物(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性エステル基当量約223g/eq.、不揮発成分率65%のトルエン溶液)6部、ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン製「BA230S75」、シアネート当量約232g/eq.、不揮発分75質量%のMEK溶液)8部、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm、比表面積5.8m/g)60部、コバルト(III)アセチルアセトナート(東京化成社製)の1質量%MEK溶液1部、及び、フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX7553BH30」、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)2部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂組成物を調製した。
<実施例8>
樹脂組成物にベンゾオキサジン系硬化剤(JFEケミカル社製「ODA-BOZ」の固形分50質量%のMEK溶液;活性基当量約218g/eq.)2部加えたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調製した。
<比較例1>
微粒子Aを用いなかった。また、表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm、比表面積5.8m/g)の量を60部から50部に変更した。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調製した。
<比較例2>
ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP-4032-SS」、1,6-ビス(グリシジルオキシ)ナフタレン、エポキシ当量約145g/eq.)2部の代わりに、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX4000H」、エポキシ当量190g/eq.)2部を用いた。また、微粒子Aの1部の代わりに、ゴム粒子(アイカ工業社製「スタフィロイドAC3816N」、平均粒径0.3μm)を1部用いた。さらに、表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm、比表面積5.8m/g)の量を60部から55部に変更した。また、反応性界面活性剤(ADEKA製「アデカソープER-10」)0.5部を樹脂組成物に追加した。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調製した。
<比較例3>
ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP-4032-SS」、1,6-ビス(グリシジルオキシ)ナフタレン、エポキシ当量約145g/eq.)2部の代わりに、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX4000H」、エポキシ当量190g/eq.)2部を用いた。また、微粒子Aの1部の代わりに、製造例4で得られた微粒子Dを1部使用した。さらに、表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm、比表面積5.8m/g)の量を60部から65部に変更した。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調製した。
<比較例4>
微粒子Aを用いなかったこと以外は、実施例7と同様にして、樹脂組成物を調製した。
<樹脂シートの製造>
支持体として、離型層を備えたポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製「AL5」、厚さ38μm)を用意した。この支持体の離型層上に、実施例及び比較例で得られた樹脂組成物を、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが40μmとなるように均一に塗布した。その後、樹脂組成物を80℃~100℃(平均90℃)で4分間乾燥させて、支持体及び樹脂組成物層を含む樹脂シートを得た。
<比誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)の測定>
得られた樹脂シートを200℃にて90分間加熱して樹脂組成物層を熱硬化させた後、支持体を剥離することで、樹脂組成物の硬化物で形成された硬化物フィルムを得た。硬化物フィルムを、幅2mm、長さ80mmに切り出し、評価用硬化物Aを得た。
得られた評価用硬化物Aについて、アジレントテクノロジーズ社製「HP8362B」を用いて、空洞共振摂動法により測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて比誘電率(Dk値)と誘電正接(Df値)を測定した。3本の試験片について測定を行い、平均値を算出した。
<破断点伸度の測定>
上記と同様の方法で得た評価用硬化物Aについて、日本工業規格JIS K7127に準拠し、23℃において、テンシロン万能試験機(オリエンテック製「RTC-1250A」)により引っ張り試験を行い、破断点伸度(%)を測定した。
<算術平均粗さ(Ra)の測定>
(1)内層基板の下地処理:
内層基板として、表面に銅箔を有するガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.8mm、パナソニック社製「R1515A」)を用意した。この内層基板の表面の銅箔を、マイクロエッチング剤(メック社製「CZ8101」)を用いて、銅エッチング量1μmにてエッチングして、粗化処理を行った。その後、190℃にて30分乾燥を行った。
(2)樹脂シートの積層及び硬化:
樹脂シートを、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層が前記の内層基板と接合するように、内層基板の両面にラミネートした。このラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、温度100℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着することにより、実施した。
(3)樹脂組成物層の硬化:
次いで、ラミネートされた樹脂シートを、大気圧下、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間、熱プレスして平滑化した。さらにこれを、130℃のオーブンに投入して30分間加熱し、次いで170℃のオーブンに移し替えて30分間加熱して樹脂組成物層を熱硬化させて、絶縁層を形成した。
(4)ビアホールの形成:
COレーザー加工機(ビアメカニクス社製「LK-2K212/2C」)を使用し、周波数2000Hz、パルス幅3μ秒、出力0.95W、ショット数3の条件で、絶縁層にビアホールを形成した。形成されたビアホールは、絶縁層表面における開口径(直径)が50μm、絶縁層底面における直径が40μmであった。その後、支持体を剥離して、絶縁層/内層基板/絶縁層の層構成を有する積層基板を得た。
(5)粗化処理:
積層基板を、膨潤液であるアトテックジャパン社製のスエリングディップ・セキュリガントPに60℃で10分間浸漬した。次に、積層基板を、粗化液であるアトテックジャパン社製のコンセントレート・コンパクトP(KMnO:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で20分間浸漬した。その後、積層基板を、中和液であるアトテックジャパン社製のリダクションソリューション・セキュリガントPに40℃で5分間浸漬した。前記の膨潤液への浸漬、粗化液への浸漬及び中和液への浸漬により、積層基板の絶縁層の表面に粗化処理が施され、粗化面が形成された。この粗化処理後の積層基板を「評価基板A」とした。
(6)算術平均粗さ(Ra)の測定:
得られた評価基板Aの絶縁層の粗化面の算術平均粗さRaを、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300)を用いて、VSIモード、50倍レンズにより、測定範囲を121μm×92μmとして測定した。無作為に選んだ10点で測定を行い、平均値を求めた。
<潜り込みの評価>
(7)加熱処理:
前記の粗化処理後の評価基板Aを、130℃に加温されたバッチオーブン(ヤマト科学社製、精密恒温機、DF412、空気雰囲気)内で30分間加熱した。
(8)無電解銅めっき層の形成:
セミアディティブ法に従って、絶縁層の粗化面に無電解銅めっき層を形成した。具体的には、下記1~6の工程を含む無電解めっき工程(アトテックジャパン社製の薬液を使用した銅めっき工程)を行って、無電解銅めっき層を形成した。
1.アルカリクリーニング工程(ビアホールが設けられた絶縁層の表面の洗浄と電荷調整):
評価基板Aの表面を、Cleaning Cleaner Securiganth 902(商品名)を用いて60℃で5分間洗浄した。
2.ソフトエッチング工程(ビアホール内の洗浄):
評価基板Aの表面を、硫酸酸性ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液を用いて、30℃で1分間処理した。
3.プレディップ工程(Pd付与のための絶縁層の表面の電荷の調整):
評価基板Aの表面を、Pre. Dip Neoganth B(商品名)を用い、室温で1分間処理した。
4.アクティヴェーター付与工程(絶縁層の表面へのPdの付与):
評価基板Aの表面を、Activator Neoganth 834(商品名)を用い、35℃で5分間処理した。
5.還元工程(絶縁層に付与されたPdを還元):
評価基板Aの表面を、Reducer Neoganth WA(商品名)とギ酸カリウム(富士フイルム和光純薬社製)10%水溶液との混合液を用い、30℃で5分間処理した。
6.無電解銅めっき工程(Cuを絶縁層の表面(Pd表面)に析出)
評価基板Aの表面を、Basic Solution Printganth MSK-DK(商品名)と、PER-6-B-2X(上村工業社製)と、Reducer Cu(商品名)との混合液を用いて、35℃で30分間処理して、絶縁層の粗化面上に無電解銅めっき層を形成した。形成された無電解銅めっき層の厚さは、1μmであった。
(9)配線パターンの形成:
無電解めっきの後、無電解銅めっき層を備える評価基板Aの表面を5%硫酸水溶液で30秒間処理した。次いで、パターン形成用のドライフィルム(日立化成社製「フォテックRY-3600」、厚さ19μm)を、バッチ式真空加圧ラミネーター(名機製作所社製「MVLP-500」)を用いて、評価基板Aの両面に積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、70℃、圧力0.1MPaで20秒間加圧して行った。
その後、ガラスマスク(フォトマスク)を、ドライフィルム上に配置した。ガラスマスクには、潜り込み評価用の櫛歯状の配線パターン(ライン/スペース(L/S)=12μm/12μm、すなわち配線ピッチ24μmの櫛歯パターン;配線長15mm、20ライン、櫛歯パターンの数10個)と、引き剥がし強さ測定用の大面積パターン(150mm×30mmより広いパターン)が形成されていた。前記のガラスマスクを通して、投影露光機(ウシオ電機社製「UX-2240」)により、ドライフィルムに光照射した(露光処理)。次いで、ドライフィルムに、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液(現像液)を噴射圧0.15MPaにて30秒間スプレー処理した。その後、水洗して、現像(パターン形成)を行った。
現像後、電解銅めっきを行い、無電解めっき層上に、厚さ5μmの電解銅めっき層を形成した。よって、絶縁層の粗化面上に、無電解銅めっき層と電解銅めっき層とを含む導体層(無電解銅めっき層と電解銅めっき層との合計厚さは約6μm)が形成された。
次いで、50℃の3%水酸化ナトリウム溶液を噴射圧0.2MPaにてスプレー処理し、評価基板Aの両面のドライフィルムを剥離した。190℃にて60分間加熱してアニール処理を行った。その後、25℃のフラッシュエッチング用エッチャントに評価基板Aを4分間浸漬し、不要な銅層を除去することにより、めっき導体層を形成した。フラッシュエッチング用エッチャントとしては、濃硫酸溶液40g/L(富士フィルム和光純薬社製95%水溶液)を、過酸化水素水10g/L(東京化成工業社製35%水溶液)の濃度で溶解させ調整した水溶液を用いた。以上の操作により、めっき導体層/絶縁層/内層基板/絶縁層/めっき導体層の層構成を有する「評価基板B」を得た。めっき導体層には、潜り込み評価用の櫛歯パターンを有するパターン導体層(配線)と、引き剥がし強さ測定用の大面積の導体層と、が含まれていた。
(10)潜り込み(残渣除去性)の評価:
上記櫛歯パターンのパターン導体層を形成された部分において、評価基板Bを、FIB(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「SMI3050」)にて断面加工を行った。10か所の測定地点において、パターン導体層(配線)間にめっきの潜り込みによる導通があるか否かを観察した。観察の結果を、以下の基準で評価した。
〇:10か所すべての測定地点において、配線間の導通が確認されない。
×:10か所中、少なくとも1か所において、配線間の導通が確認された。
<導体層の引き剥がし強さ(ピール強度)の測定>
(11)導体層の引き剥がし強さ(ピール強度)の測定:
上記大面積の導体層を形成された部分において、評価基板Bを、150mm×30mmの小片に切断した。小片の導体層に、カッターを用いて幅10mm、長さ100mmの部分を囲む切込みをいれた。この部分の一端を剥がして、引っ張り試験機(ティー・エス・イー社製オートコム万能試験機「AC-50C-SL」)のつかみ具で掴んだ。室温(25℃)にて、50mm/分の速度で垂直方向に引っ張って、35mmを引き剥がした時の荷重[kgf/cm]を銅箔引き剥がし強さとして測定した。測定は、日本工業規格JIS C6481に準拠して行った。
<クラック耐性の評価>
(1)樹脂シートのラミネート:
ライン/スペース(L/S)=8μm/8μmの配線パターンにて形成された回路導体(銅)を両面に有する内層基板(日立化成社製「MCL-E700G」、導体層の厚さ35μm、計0.4mm厚、残銅率40%)を用意した。この内層基板の両面に、樹脂組成物層が内層基板と接するように、樹脂シートをラミネートした。かかるラミネートは、真空加圧式ラミネーター(名機製作所社製「MVLP-500」)を用い、温度120℃にて30秒間真空吸引後、温度120℃、圧力7.0kg/cmの条件で、支持体上から、耐熱ゴムを介して30秒間プレスすることにより行った。次に、大気圧下で、SUS鏡板を用いて、温度120℃、圧力5.5kg/cmの条件で60秒間プレスを行った。
(2)樹脂組成物層の熱硬化:
130℃で30分間加熱し、次いで170℃で30分間加熱して、樹脂組成物層を熱硬化させて、樹脂組成物の硬化物からなる硬化物層としての絶縁層を得た。その後、支持体を剥離して、絶縁層/内層基板/絶縁層の層構成を有する試料基板を得た。
(3)粗化処理:
試料基板の絶縁層に、粗化処理を施した。具体的には、試料基板を、膨潤液であるアトテックジャパン社製のスエリングディップ・セキュリガントPに60℃で10分間浸漬した。次に、粗化液であるアトテックジャパン社製のコンセントレート・コンパクトP(KMnO:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で20分間浸漬した。最後に、中和液であるアトテックジャパン社製のリダクションソリューション・セキュリガントPに40℃で5分間浸漬した。
(4)クラックの評価:
粗化処理後の絶縁層表面のうち、内層基板のL/Sパターン上の部分を観察した。100個の内層基板のパターン形状に沿って表面にクラック(割れ)が発生しているか確認し、クラックの発生していないパターン上の部分の数の割合を数えた。この割合を「歩留まり」として算出した。また、算出した歩留まりを以下の基準で点数をつけた。
1点:0%以上20%未満。
2点:20%以上40%未満。
3点:40%以上60%未満。
4点:60%以上80%未満。
5点:80%以上。
5点を「○」とし、3~4点を「△」、2点以下を「×」として評価した。
<結果>
上述した実施例及び比較例の結果を、下記の表に示す。下記の表において、略称の意味は下記の通りである。
Dk:比誘電率
Df:誘電正接
Elomgation:破断点伸度
Ra:算術平均粗さ
Peel Strength:導体層の引き剥がし強さ
Figure 2024078084000016
Figure 2024078084000017
100 絶縁層
100U 絶縁層の表面
110 有機充填材の粒子
120 硬化樹脂
130 無電解めっき層
140 潜り込み部
150 レジスト層
160 電解めっき層
170 導体層

Claims (14)

  1. (A)下記式(a-1)で表される基を含有する有機充填材、及び、(B)硬化性樹脂を含む、樹脂組成物。
    Figure 2024078084000018
    (式(a-1)において、
    Xは、-SONa、-SONH又は水素原子を表し;
    Aは、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し;
    mは、Xが水素原子である場合は1を表し、Xが-SONa又は-SONHである場合は0又は1を表し;
    nは、1以上の整数を表す。)
  2. (A)有機充填材が、式(a-1)で表される基を、当該(A)有機充填材の粒子の表面に含有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. (A)有機充填材の平均粒径が、5μm以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  4. (C)無機充填材を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  5. (B)硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、活性エステル系樹脂、シアネートエステル系樹脂、カルボジイミド系樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂、アリル系樹脂、アクリル系樹脂、スチリル系樹脂及びマレイミド系樹脂からなる群より選ばれる1種類以上を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  6. (D)硬化促進剤を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  7. 絶縁層形成用である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1~7の何れか1項に記載の樹脂組成物の硬化物。
  9. 請求項1~7の何れか1項に記載の樹脂組成物を含む、シート状積層材料。
  10. 支持体と、当該支持体上に形成された樹脂組成物層と、を備え、
    樹脂組成物層が、請求項1~7の何れか1項に記載の樹脂組成物を含む、樹脂シート。
  11. 請求項1~7の何れか1項に記載の樹脂組成物の硬化物を含む、回路基板。
  12. 請求項1~7の何れか1項に記載の樹脂組成物の硬化物を含む、半導体チップパッケージ。
  13. 請求項11に記載の回路基板を備える、半導体装置。
  14. 請求項12に記載の半導体チップパッケージを備える、半導体装置。
JP2022190424A 2022-11-29 2022-11-29 樹脂組成物 Pending JP2024078084A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022190424A JP2024078084A (ja) 2022-11-29 2022-11-29 樹脂組成物
KR1020230167519A KR20240080150A (ko) 2022-11-29 2023-11-28 수지 조성물

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022190424A JP2024078084A (ja) 2022-11-29 2022-11-29 樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024078084A true JP2024078084A (ja) 2024-06-10

Family

ID=91377443

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022190424A Pending JP2024078084A (ja) 2022-11-29 2022-11-29 樹脂組成物

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2024078084A (ja)
KR (1) KR20240080150A (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6522135B2 (ja) 2015-08-31 2019-05-29 積水化成品工業株式会社 複合粒子及びその製造方法、並びにその用途
KR20200136542A (ko) 2019-05-27 2020-12-08 서울대학교산학협력단 나노기포를 이용한 침전물 정화 및 캐핑 장치
KR102305257B1 (ko) 2019-10-02 2021-09-28 울산과학기술원 광수집 및 촉매 효율이 개선된 광전극, 이의 제조방법 및 광전지
JP2020023714A (ja) 2019-10-24 2020-02-13 積水化学工業株式会社 樹脂材料及び多層プリント配線板

Also Published As

Publication number Publication date
KR20240080150A (ko) 2024-06-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7501583B2 (ja) 樹脂組成物
JP7222414B2 (ja) 樹脂組成物
CN113637288A (zh) 树脂组合物
JP7287418B2 (ja) 樹脂組成物
JP7505526B2 (ja) 樹脂シート、及び樹脂組成物
KR20230063875A (ko) 수지 조성물
JP7367720B2 (ja) プリント配線板の製造方法
JP2019206622A (ja) 樹脂組成物
JP7298383B2 (ja) 樹脂組成物、樹脂組成物の硬化物、樹脂シート、プリント配線板及び半導体装置
CN114369401A (zh) 树脂组合物、固化物、片状叠层材料、树脂片材、印刷布线板及半导体装置
JP2022138683A (ja) 樹脂組成物、硬化物、樹脂シート、プリント配線板及び半導体装置
CN113402943A (zh) 树脂组合物
JP2024078084A (ja) 樹脂組成物
JP7501567B2 (ja) 樹脂組成物
WO2023203906A1 (ja) 樹脂組成物
JP7472839B2 (ja) 樹脂組成物
JP2019206654A (ja) 樹脂組成物
JP7456356B2 (ja) 支持体付き樹脂シート
JP2023165254A (ja) 樹脂組成物
JP2024030949A (ja) 樹脂組成物
JP2023159622A (ja) 樹脂組成物
JP2024047383A (ja) 樹脂組成物
JP2023069752A (ja) 樹脂組成物
CN115505313A (zh) 树脂组合物
TW202419503A (zh) 樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240216

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20240216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240528