JP2024077344A - 吸水成分が分散された油脂の層を備える米粒状食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、任意の量を喫食することが可能であり、かつ食味食感が良好な味付即食米飯を提供することを目的とする。
【解決手段】乾燥させた米粒状食品の表面に、吸水成分が分散された油脂の層を備える、米粒状食品及びその製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、乾燥させた米粒状食品の表面に、吸水成分が分散された油脂の層を備える、米粒状食品、ならびにその製造方法に関する。
今日、α化米やフリーズドライ米等を利用した味付即食米飯が開発・販売されており、水や湯を注入するだけで手軽に喫食できることから、普段の食事や非常食等として人気を博している。
一方、これらの多くは一食分を想定した設計を有するものであり、例えば、一食分が容器詰めされたものや、さらに別個に包装された一食分に対応した調味料等が付属されるもの等があり、その設計により任意の量を取り出して喫食するには不便であったり、困難である場合があった。また、フリーズドライ米が利用される場合には、歯ごたえや粒立ちが悪い場合があり、食味食感が乏しく感じられる場合があった。
そのため、当該分野においては、任意の量を取り出して喫食することが可能であり、かつ食味食感が良好な味付即食米飯が切望されている。
本発明者らは、乾燥させたα化米に、調味料等を個々に(すなわち、「一粒一粒に」)コーティングすることによって味付けを行うことにより、任意の量を取り出して喫食することが容易にでき、別個に一食分に対応した調味料等を付属させる必要性もなくなり、また、フリーズドライ米と比べて食味食感が良好な味付即食米飯を得ることができると考えた。
しかしながら、その製造過程において、特に、乾燥させたα化米に調味料等をコーティングするに際して、α化米がコーティング液等の水分と反応することによってべたつきを生じ、それによって、米粒の結着、ダマ、破砕、破損等が発生し、製品として見栄えが悪いだけでなく、製造過程における取り扱いが困難となる場合や、米粒間でコーティングされる調味料等の量にばらつきを生じる原因となり得ることを見出した。
本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意検討した結果、乾燥させたα化米に、個々に、油脂をコーティングして油脂層を形成した上に、調味料等をコーティングすることによって、製造過程においてα化米が水分と反応してべたつきを生じることを防止、又は抑制できることを見出した。
一方で、本発明者らは、このようにして得られた米粒状食品に水や湯を注入した場合に、復元(水戻し、湯戻し等とも称される)が十分でなく、良好な食味食感が得られない場合があることを見出した。
そこで本発明は、乾燥させた米粒状食品の表面に油脂層を備えるとともに、水戻し、湯戻し等により食味食感が良好な米粒状食品を提供することを目的とするものであり、上記のいずれの課題も解決することが可能な新規米粒状食品を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、乾燥させたα化米等の米粒状食品に、吸水成分が分散された油脂を個々にコーティングすることによって、当該乾燥させた米粒状食品が、製造過程において水分と反応してべたつきを生じることを防止、又は抑制することができ、また、係る吸水成分が分散された油脂の層を備えることによって、水戻し、湯戻し等により良好な食味食感が得られることを見出した。
本発明は、これらの新規知見に基づくものであり、以下の発明を包含する。
[1] 乾燥させた米粒状食品の表面に、吸水成分が分散された油脂の層を備える、米粒状食品。
[2] 前記油脂の含量が2~20重量%である、[1]の食品。
[3] 前記油脂と前記吸水成分の含量比(油脂:吸水成分)が100:10~500である、[1]又は[2]の食品。
[4] 前記乾燥させた米粒状食品が、α化米であるか、α化デンプン、α化米の粉砕物又はコンニャクを含む人造米である、[1]~[3]のいずれかの食品。
[5] 前記油脂が、植物性油脂又は動物性油脂の硬化油脂、ワックス類、及び高融点脂肪酸からなる群から選択される一又は複数の油脂を含む、[1]~[4]のいずれかの食品。
[6] 前記吸水成分が、調味料類、香辛料類、澱粉類、デキストリン、ガム類、ビタミン類、アミノ酸類、ミネラル類、食物繊維、レシチン、コエンザイムQ10、植物抽出物、乳酸菌、タンパク質類、酵素類からなる群から選択される一又は複数の成分を含む、[1]~[5]のいずれかの食品。
[7] [1]~[6]のいずれかの食品を含む、容器入り食品。
[8] 乾燥させた米粒状食品に対し、吸水成分が分散された油脂を含む混合液をコーティングする工程を含む、乾燥させた米粒状食品の表面に、吸水成分が分散された油脂の層を備える、米粒状食品の製造方法。
[9] 前記混合液における前記油脂と前記吸水成分の含量比(油脂:吸水成分)が100:10~500である、[8]の方法。
[10] 前記混合液がさらに、乳化剤を含む、[8]又は[9]の方法。
[11] 前記乾燥させた米粒状食品が、α化米であるか、α化デンプン、α化米の粉砕物又はコンニャクを含む人造米である、[8]~[10]のいずれかの方法。
[12] 前記油脂が、植物性油脂又は動物性油脂の硬化油脂、ワックス類、及び高融点脂肪酸からなる群から選択される一又は複数の油脂を含む、[8]~[11]のいずれかの方法。
[13] 前記吸水成分が、調味料類、香辛料類、澱粉類、デキストリン、ガム類、ビタミン類、アミノ酸類、ミネラル類、食物繊維、レシチン、コエンザイムQ10、植物抽出物、乳酸菌、タンパク質類、酵素類からなる群から選択される一又は複数の成分を含む、[8]~[12]のいずれかの方法。
本発明によれば、製造過程における水分との反応により生じるべたつきを防止、又は抑制することができ、また、水戻し、湯戻し等により良好な食味食感を復元できる、米粒状食品を提供することができる。
また、本発明によれば、任意の量を取り出して喫食することが可能であり、かつ食味食感が良好な味付即食米粒状食品を提供することができる。
本発明において「米粒状食品」とは、α化米、あるいは、α化デンプン、α化米の粉砕物、コンニャク(粉)、大豆(粉)等を含み米粒状に成型されてなる人造米等が挙げられるが、好ましくはα化米である。
本発明において「α化米」とは、穀類を炊飯、蒸煮等の加水加熱によって、その澱粉(β-澱粉)をα-澱粉に変えた後(「糊化」、又は「α化」とも称される)、乾燥処理によりその糊化/α化を固定させたものを意味する。ここで「穀類」とは、米に限定されず、イネ科植物の種子を意味し、麦、アワ、ソバ、ヒエ、キビ、トウモロコシ、豆類等も挙げられ、本発明において「α化米」とは米に限定されるものではないが、好ましくは米である。米の種類や品種は特に限定されず、うるち米(低アミロース米を含む)、もち米、香り米、赤米、黒米、緑米、インディカ米(タイ米)、酒米等を利用することができ、その形態は精白米、玄米、胚芽精米、胚芽玄米のいずれであってもよい。
穀類を糊化/α化した後の乾燥処理は、従来公知の一般的な乾燥手段を用いて行うことができ、例えば、熱風乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、ドラム乾燥、ローラー乾燥、天日乾燥等が挙げられ、60~160℃、例えば120~160℃の温度にて、1~2時間程度乾燥させることにより行うことができる。処理後のα化米の水分含量が、1~15重量%程度、好ましくは1~10重量%程度、より好ましくは1~5重量%程度となるまで乾燥させるのが好ましい。
本発明において、核となる「米粒状食品」は乾燥処理に付されたもの、すなわち「乾燥させた米粒状食品」である。「乾燥させた米粒状食品」とは、水分含量が、1~15重量%程度、好ましくは1~10重量%程度、より好ましくは1~5重量%程度であればよい。乾燥させた米粒状食品を核として利用することによって、最終生成物における粒(以下、「米粒」と記載する場合があるが、上述のとおりの「米」のみを意味するものではない)の破砕、破損、結着、ダマ、吸水成分が分散された油脂層のコーティングのばらつきや剥がれ等を防止、又は抑制することができる。
本発明において、「乾燥させた米粒状食品」は、従来公知の手法に準じて製造されたものであってもよいし、あるいは市販のものを用いてもよい。
本発明において、「油脂」とは、常温で熔融せず加熱時に熔融する(例えば、融点が約35℃以上(例えば40℃~80℃)である)ものを好適に利用することができる。このような油脂としては、植物性油脂(例えば、キャノーラ油、菜種油、大豆油、コーン油、綿実油、落花生油、ゴマ油、米油、米糠油、ツバキ油、ベニバナ油、オリーブ油、アマニ油、シソ油、エゴマ油、ヒマワリ油、パーム油、茶油、ヤシ油、アボガド油、ククイナッツ油、グレープシード油、ココアバター、ココナッツ油、小麦胚芽油、アーモンド油、月見草油、ひまし油、ヘーゼルナッツ油、マカダミアナッツ油、ローズヒップ油、ブドウ油、カカオ油、ホホバ油、パーム核油、モクロウ等)や動物性油脂(例えば、牛脂、豚脂、ラード、鯨油)、及びそれらの水素添加油脂、分別油脂、エステル交換油脂等の硬化油脂;ワックス類(例えば、キャンデリラワックス、ライスワックス、カルナバワックス、ミツロウ、サトウキビロウ、パラフィンワックス、ラノリン、スクワレン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、オゾケナイト等);パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ミリスチン酸等の炭素数14~28程度の高融点脂肪酸等が挙げられるが、これらに限定はされない。好ましくは、油脂は前記植物性油脂や動物油脂の硬化油脂である。油脂はいずれか単独で用いてもよいし、異なる油脂を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、「吸水成分」とは、当該成分の一部またはその全体が吸水性及び/又は親水性を有する成分、ならびに/あるいは水溶性の成分を意味する。吸水成分の形態は、油脂中に分散させることができればよく、特に限定されるものではないが、例えば、粉末や顆粒等の形態とすることができる。吸水成分としては、例えば、調味料類(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、糖類、糖アルコール類、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム等)、香辛料類、澱粉類(例えば、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、馬鈴薯デンプン、サツマイモデンプン、小麦デンプン、ワキシースターチ、タピオカ(キャッサバ)デンプン、葛粉及び片栗粉等のデンプン、小麦澱粉、米澱粉、ならびにそれらのα化澱粉、加工デンプン、誘導体等)、デキストリン、ガム類(例えば、アラビアガム、キサンタンガム、ローカストビンガム等)、ビタミン類(例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンB6、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸等の水溶性ビタミン類)、アミノ酸類(アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、リジン、セリン、スレオニン、システイン、ヒスチジン、メチオニン、γ-アミノ酪酸(GABA)等)ミネラル類(例えば、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン、銅、セレン、クロム、モリブデン等の塩(例えば、グルコン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、L-グルタミン酸カルシウム、酸化カルシウム、酸性ピロリン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化カルシウム、ステアリル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸二水素カルシウム等))、食物繊維(例えば、難消化デキストリン、ポリデキストロース、ペクチン、マンナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、イヌリン、セルロース、ヘニセルロース、リグニン、グルカン、キチン、ガラクタン、アラビナン、寒天、ゼラチン等)、レシチン、補酵素(例えば、コエンザイムQ10等)、植物抽出物、乳酸菌、タンパク質類、酵素類等が挙げられるが、これらに限定はされない。吸水成分はいずれか単独で用いてもよいし、異なる吸水成分を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、乾燥させた米粒状食品の表面が、個々に、吸水成分が分散された油脂の層でコーティングされることによって、油脂が有する疎水性の性質により、製造過程において乾燥させた米粒状食品が水分と接触して糊化することを防止、又は抑制することができ、糊化によって米粒状食品の米粒同士が互いに結着することやダマの形成を防止、又は抑制することができる。また、本発明において、吸水成分は油脂中に分散して存在し、当該吸水成分のうちの少なくともいくらかは、油脂層の内表面及び/又は外表面に存在して油脂層の外側及び/又は油脂層の内側の「米粒状食品」と接しており、これによって一又は複数の吸水成分を介して油脂層の外側と、油脂層の内側の「米粒状食品」とを結びつけることを可能としている。これにより、「米粒状食品」が油脂層で個々にコーティングされていても、水戻し、湯戻し等を行う際に、水分は油脂層の外側より一又は複数の吸水成分の表面及び/又は内部を伝って油脂層の内側の「米粒状食品」まで到達することができ、乾燥させた米粒状食品の水戻し、湯戻しを達成し、良好な食味食感を復元することを可能とする。また、本発明において、調味料類等の吸水成分は油脂中に分散させて用いることにより、調味料類等の吸水成分を粉末や顆粒等の形態のまま噴霧した場合と比べて、調味料類等の吸水成分を当該食品全体に効率的に満遍なく広げることができる。これによって、最終生成物において、米粒間におけるコーティングされた成分量のばらつき等を効率的に防止、又は抑制することができ、任意の量を取り出しても、均一な食味食感を有する米粒状食品を得ることができる。
油脂には吸水成分を、油脂:吸水成分の含量比(重量比)にして、100:10~500、好ましくは100:50~400、より好ましくは100:100~300、さらに好ましくは100:100~200(例えば、100:100~150)となる量にて含めることができる。油脂中に分散して存在する吸水成分が、上記範囲より少ない場合には、水戻し、湯戻し等を行う際に、核となる乾燥させた米粒状食品が油脂層の外側より十分な水分を吸収できない場合があり、水戻し/湯戻しを十分に達成することができず、乾燥した部分が残り(所謂、芯が残り)、不均一な食感を生じる場合がある。一方、油脂中に分散して存在する吸水成分が、上記範囲より多い場合には、製造工程において乾燥させた米粒状食品が水分と接触して糊化することを防止、又は抑制することができない場合があり、それによって、米粒状食品の米粒同士が互いに結着することやダマの形成、破砕、破損等を生じ得、最終生成物における品質や外観を低下させる場合や、製造過程における取り扱いが困難となる場合、米粒間でコーティングされる調味料等の量にばらつきを生じる場合がある。
本発明の吸水成分が分散された油脂の層を備える米粒状食品において、当該層中に含まれる油脂は、当該層を備える米粒状食品(100重量%)において、2~20重量%、好ましくは5~20重量%(例えば、6~20重量%、7~20重量%、8~20重量%、又は9~20重量%)より好ましくは10~20重量%(例えば、10~19重量%、10~18重量%、10~17重量%、10~16重量%又は10~15重量%)の量で含まれる。油脂の量が上記範囲よりも少ない場合には、米粒状食品に対する油脂の層のコーティングが十分ではない場合があり、製造工程において乾燥させた米粒状食品が水分と接触して糊化することを防止、又は抑制することができない場合があり、それによって、米粒状食品の米粒同士が互いに結着することやダマの形成、破砕、破損等を生じ得、最終的に得られる米粒状食品における品質や外観を低下させる場合や、製造過程における取り扱いが困難となる場合、米粒間でコーティングされる調味料等の量にばらつきを生じる場合がある。一方、油脂の量が上記範囲よりも多い場合には、最終的に得られる米粒状食品の風味を損う場合がある。なお、米粒状食品における油脂の含量は、通常用いられる方法(例えばソックスレー抽出法など)で測定することができる。
乾燥させた米粒状食品への、吸水成分が分散された油脂のコーティングは、通常用いられるコーティング装置を用いて行うことができる。すなわち、油脂と吸水成分を、それぞれ上記の配合量にて、水と合わせてよく混合し、吸水成分が分散された油脂を含む混合液を調製する。当該混合液において、油脂は、2~30重量%、好ましくは5~20重量%(例えば、6~20重量%、7~20重量%、8~20重量%、又は9~20重量%)より好ましくは10~20重量%(例えば、10~19重量%、10~18重量%、10~17重量%、10~16重量%又は10~15重量%)の量で含めることができる。
本発明において、前記混合液には必要に応じてさらに、乳化剤を含めてもよい。乳化剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等を用いることができる。乳化剤は、前記混合液に対して0~10重量%、例えば、1~8重量%、又は1~6重量%の量で含めることができる。乳化剤を含めることによって、油脂と吸水成分との混合を容易にし、効率的に、吸水成分を油脂中に均一に分散させることができ、ならびに/あるいは、乾燥させた米粒状食品への油脂と吸水成分との混合液の均一なコーティングを容易にし、効率的に行うことができる。
次いで、調製した混合液を加熱熔融して熔融状態とした後、これを乾燥させた米粒状食品に噴霧・攪拌し、その後乾燥させることにより、乾燥させた米粒状食品の表面に、個々に、吸水成分が分散された油脂の層をコーティングすることができる。コーティングに用いる前記混合液の量は、特に限定されるものではないが、最終的に得られる、吸水成分が分散された油脂の層を備える米粒状食品において、当該層中に含まれる油脂の量が前述の量を達成できる量であればよい。
前記コーティングの工程においては、必要に応じて、乳化剤や結合剤(例えば、アラビアガム、キサンタンガム、ゼラチン、ローカストビンガム、アルギン酸ナトリウム、寒天、α-スターチ、デキストリン等)を合わせてコーティングしても良い。ここで「合わせてコーティング」とは、乳化剤や結合剤を前記混合液と混合し一緒にコーティングを行う場合だけでなく、乳化剤や結合剤と前記混合液とをそれぞれ別々に同時又は逐次噴霧してコーティングを行う場合も意味する。乳化剤や結合剤は、前記混合液に対して0~10重量%、例えば、1~8重量%、又は1~6重量%の量で用いることができる。
本発明においては、必要に応じてさらに、上記吸水成分が分散された油脂の層の外側に、さらに剥離成分の層が積層されていても良い。本発明において「剥離成分」は、上記吸水成分が分散された油脂がコーティングされた米粒状食品の表面を覆う粉末又は顆粒状の成分であり、当該食品の製造、運搬等において米粒同士がこすれて、コーティングされた吸水成分、油脂、及びその他の成分(存在する場合)が当該食品より剥離するのを防止、又は抑制するために用いることができる。
剥離成分としては、例えば、多糖類又はその含有物、単糖類又はその糖アルコール、二糖類又はその糖アルコール、ガム類等が挙げられる。剥離成分はいずれか単独で用いてもよいし、異なる剥離成分を組み合わせて用いてもよい。
上記吸水成分が分散された油脂がコーティングされた米粒状食品への剥離成分のコーティングは、通常用いられるコーティング装置を用いて行うことができ、水等の液体に剥離成分を溶解又は懸濁して調製された剥離成分を含む調製液を、上記吸水成分が分散された油脂がコーティングされた米粒状食品に噴霧・攪拌し、その後乾燥させることにより行うことができる。剥離成分は必要に応じて、結合剤と合わせてコーティングされても良い。結合剤は、上述のものを用いることができる。ここで「合わせてコーティング」とは、結合剤を前記剥離成分を含む調製液と混合し一緒にコーティングを行う場合だけでなく、結合剤と前記調製液とをそれぞれ別々に同時又は逐次噴霧してコーティングを行う場合も意味する。
また、本発明においては、必要に応じてさらに、飲食品の製造において通常用いられている着色剤、賦形剤、調味料類、香辛料類、ビタミン類、アミノ酸類、栄養成分、栄養成分吸収促進剤(例えば、カルシウム吸収促進剤等)、香料、矯味矯臭剤、pH調整剤、香料、無機塩類、糖類・甘味料、風味・呈味成分、酸味料、保存剤、防腐剤、酸化防止剤等のその他の成分(これらに限定はされない)がコーティングされていてもよい。これらその他の成分は、吸水性及び/又は親水性、ならびに/あるいは水溶性の性質を有するものであってもよいし、それらの性質を有さないものであってもよい。これらその他の成分は、上記吸水成分が分散された油脂、及び剥離成分(存在する場合)をコーティングする一又は複数の工程において、各工程の成分と合わせてコーティングすることができる。ここで「合わせてコーティング」とは、その他の成分を前記吸水成分が分散された油脂を含む混合液、及び/又は前記剥離成分を含む調製液と混合し一緒にコーティングを行う場合だけでなく、その他の成分と前記混合液、及び/又は前記調製液とをそれぞれ別々に同時又は逐次噴霧してコーティングを行う場合も意味する。
本発明の吸水成分が分散された油脂の層を備える米粒状食品は、例えば、パウチ、缶、トレー、カップ等の容器に充填し、1食分(例えば、50g、100g、150g、180g、200g等)をスプーン等で計量するもの、1食分を収容したカップタイプ、1食分毎に小分け包装したもの(例えば、パウチ包装、パック包装、ピロー包装、スティック包装)等の形態を有する容器入り食品として提供することができる。
本発明の吸水成分が分散された油脂の層を備える米粒状食品は、所定の量の湯、又は水を加えて湯戻し、又は水戻し等を行い、米飯状、味付米飯状、粥状又は味付粥状等にして喫食することができる。
以下、本発明を実施例により、更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)吸水成分が分散された油脂層を備える米粒状食品の製造及び評価
・製造方法
(1)洗浄した精白米を、従来公知の一般的な手法にしたがって加水加熱して米飯を得、水で洗浄後、乾燥させてα化米を得た。
(2)下記表1に記載の成分のうち、コーンスターチとαスターチ以外の成分を80℃にて加熱混合した後、コーンスターチとαスターチを加えて、さらに混合して溶融状態の乳化溶液を得た。なお、ラード極度硬化油は、融点が58.8℃のものを使用した。
(3)上記(1)で得られた乾燥させたα化米(2900g)をコーティング機(パウレック社製(DRC-500))に入れ、上記(2)で得られた溶融状態の乳化溶液(2560g)を全量スプレーした。スプレーしながら温風を吹きかけ、乾燥させてコーティングを行ない、その表面に個々に、吸水成分が分散された油脂の層が形成されている、α化米を調製した。なお、このように調製したα化米における油脂の含量は10重量%であった。
・評価
得られた米粒状食品は、米粒同士が結着せず、任意の量を取り分け、取り出すことが可能であった。また、米粒の破砕、破損、結着、ダマ等は少なく、各米粒が良好な外観・形状を有することが確認された。
また、得られた米粒状食品50gを取り分け、これに湯80gを注いでかき混ぜて10分静置し、カレーライスを得た。得られたカレーライスは、米粒がしっかりと湯戻りして良好な食感を有するものであった。また、味付けカレーパウダーが個々に均一にコーティングされていることにより、カレーの食味が均一に付与されていた。そして、コーンスターチやαスターチにより、カレーライス(カレーソース)特有のとろみ(粘度)もついており、良好な風味・食感を有するものであった。
(比較例1)内側から外側に向かって、油脂層及び吸水成分の層がこの順で積層されてなる米粒状食品の製造及び評価
・製造方法
[1]下記表2に記載の成分を80℃にて加熱混合して溶融状態の乳化溶液を得た。なお、ラード極度硬化油は、融点が58.8℃のものを使用した。
[2]下記表3に記載の成分を混合して吸水成分溶液を得た。
[3]上記実施例1の(1)にて得られた乾燥させたα化米(2900g)をコーティング機(パウレック社製(DRC-500))に入れ、上記[1]で得られた溶融状態の乳化溶液(960g)を全量スプレーした。スプレーしながら温風を吹きかけ乾燥させてコーティングを行ない、α化米の表面に油脂の層を形成した。次いで、上記[2]で得られた吸水成分溶液(1600g)を全量スプレーした。スプレーしながら温風を吹きかけ乾燥させてコーティングを行ない、前記油脂の層の表面に、吸水成分の層を形成することによって、その表面に個々に、油脂の層、さらにその外側に吸水成分の層が積層されてなる、α化米を調製した。
・評価
得られた米粒状食品は、実施例1の米粒状食品と同様に、米粒同士が結着せず、任意の量を取り分け、取り出すことが可能であった。また、米粒の破砕、破損、結着、ダマ等は少なく、各米粒が良好な外観・形状を有することが確認された。
一方、得られた米粒状食品50gを取り分け、これに湯80gを注いでかき混ぜて10分静置し、カレーライスを得たところ、実施例1の米粒状食品とは異なり、米粒の湯戻りが十分ではなく、不均一な食感を有するものであった。
以上のとおり、乾燥させたα化米に、吸水成分が分散された油脂を個々にコーティングして製造された本発明の米粒状食品は、任意の量を取り出しても、均一な食味食感を得ることを可能とするものであり、また、米粒の破砕、破損、結着、ダマ等の少ない良好な外観・形状を有し、水戻し、湯戻し等により良好な食味食感を復元できるものであることが確認された。

Claims (13)

  1. 乾燥させた米粒状食品の表面に、吸水成分が分散された油脂の層を備える、米粒状食品。
  2. 前記油脂の含量が2~20重量%である、請求項1に記載の食品。
  3. 前記油脂と前記吸水成分の含量比(油脂:吸水成分)が100:10~500である、請求項1に記載の食品。
  4. 前記乾燥させた米粒状食品が、α化米であるか、α化デンプン、α化米の粉砕物又はコンニャクを含む人造米である、請求項1に記載の食品。
  5. 前記油脂が、植物性油脂又は動物性油脂の硬化油脂、ワックス類、及び高融点脂肪酸からなる群から選択される一又は複数の油脂を含む、請求項1に記載の食品。
  6. 前記吸水成分が、調味料類、香辛料類、澱粉類、デキストリン、ガム類、ビタミン類、アミノ酸類、ミネラル類、食物繊維、レシチン、コエンザイムQ10、植物抽出物、乳酸菌、タンパク質類、酵素類からなる群から選択される一又は複数の成分を含む、請求項1に記載の食品。
  7. 請求項1に記載の食品を含む、容器入り食品。
  8. 乾燥させた米粒状食品に対し、吸水成分が分散された油脂を含む混合液をコーティングする工程を含む、乾燥させた米粒状食品の表面に、吸水成分が分散された油脂の層を備える、米粒状食品の製造方法。
  9. 前記混合液における前記油脂と前記吸水成分の含量比(油脂:吸水成分)が100:10~500である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記混合液がさらに、乳化剤を含む、請求項8に記載の方法。
  11. 前記乾燥させた米粒状食品が、α化米であるか、α化デンプン、α化米の粉砕物又はコンニャクを含む人造米である、請求項8に記載の方法。
  12. 前記油脂が、植物性油脂又は動物性油脂の硬化油脂、ワックス類、及び高融点脂肪酸からなる群から選択される一又は複数の油脂を含む、請求項8に記載の方法。
  13. 前記吸水成分が、調味料類、香辛料類、澱粉類、デキストリン、ガム類、ビタミン類、アミノ酸類、ミネラル類、食物繊維、レシチン、コエンザイムQ10、植物抽出物、乳酸菌、タンパク質類、酵素類からなる群から選択される一又は複数の成分を含む、請求項8に記載の方法。
JP2022189391A 2022-11-28 吸水成分が分散された油脂の層を備える米粒状食品 Pending JP2024077344A (ja)

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