JP2024077305A - 脂肪細胞の炎症化抑制剤及び機能性組成物 - Google Patents

脂肪細胞の炎症化抑制剤及び機能性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】タキシフォリンに関し、脂肪細胞に対する機能性発現の直接的な根拠を提供してその利用を図る。【解決手段】タキシフォリンを有効成分とする脂肪細胞の炎症化抑制剤である。また、タキシフォリンを含有する機能性組成物であって、前記タキシフォリンは脂肪細胞の炎症化抑制のための機能性関与成分として含有する、該機能性組成物である。この脂肪細胞の炎症化抑制剤又は機能性組成物は、慢性炎症又は微小炎症の軽減のためのものであってよい。また、この脂肪細胞の炎症化抑制剤又は機能性組成物は、老化の防止のためのものであってもよい。【選択図】なし

Description

新規性喪失の例外適用申請有り
本発明は、タキシフォリンを有効成分とする脂肪細胞の炎症化抑制剤及びタキシフォリンを含有する機能性組成物に関する。
タキシフォリン(別名:ジヒドロケルセチン)は、葡萄、柑橘類、タマネギ、緑茶、オリーブオイル、カラマツ、オオアザミ、フランス海岸松樹皮、ダグラスモミ樹皮、スミラシスグラブレ根茎などの天然物に含まれているフラボノイド類化合物である。タキシフォリンは強力な抗酸化活性を有することが知られており、その生物活性により、各種の疾病の予防や症状の改善のための利用が期待されている。例えば、特許文献1には、肝繊維化抑制剤や褐色脂肪細胞活性化剤へのタキシフォリンの利用について開示されている。
一方、近年、加齢による老化の現象と慢性的な炎症との関係性が研究されている。例えば、加齢等にともなって脂肪組織では、マクロファージの浸潤や脂肪細胞の肥大化により炎症性サイトカインが分泌され、これによって周囲環境下にある脂肪組織細胞が更に刺激をうけて炎症性に向かう、といった悪循環に陥った環境が醸成される。そして、これにより生じた炎症性の因子が全身に循環して影響を及ぼして、加齢による老化が進行するものとされている。また、疾病や症状に至る前の段階では、微小環境における炎症があり、脂肪組織からの炎症化因子によってこれが回復されないまま維持されたとき疾患の発症や症状をきたすといった、加齢にともなう疾患発症モデルも提唱されている(非特許文献1,2参照)。
内藤篤彦、小室一成「慢性炎症から見た老化抑制」CLINICAL CALCIUM23巻1号(2012年12月):pp51-58. 真鍋一郎「慢性炎症と加齢関連疾患」日老医誌54巻(2017):pp105-113.
特許第7058031号公報
従来、タキシフォリンによって脂肪細胞がどのように影響を受けるか明らかではなかった。
そこで、本発明の目的は、タキシフォリンに関し、脂肪細胞に対する機能性発現の直接的な根拠を提供してその利用を図ることにある。
上記目的を達成するため、本発明者らは種々研究した結果、タキシフォリンには脂肪細胞の炎症化を抑制する作用効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の構成を備えるものである。
[1]タキシフォリンを有効成分とする脂肪細胞の炎症化抑制剤。
[2]脂肪細胞から分泌される炎症性サイトカインの該分泌の抑制のために用いられる、上記[1]記載の脂肪細胞の炎症化抑制剤。
[3]前記炎症性サイトカインとしてIL-6の分泌抑制のために用いられる、上記[2]記載の脂肪細胞の炎症化抑制剤。
[4]慢性炎症又は微小炎症の軽減のためのものである、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の脂肪細胞の炎症化抑制剤。
[5]老化の防止のためのものである、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の脂肪細胞の炎症化抑制剤。
[6]タキシフォリンを含有する機能性組成物であって、前記タキシフォリンは脂肪細胞の炎症化抑制のための機能性関与成分として含有する、該機能性組成物。
[7]前記タキシフォリンは脂肪細胞から分泌される炎症性サイトカインの該分泌の抑制のための機能性関与成分として含有する、上記[6]記載の機能性組成物。
[8]前記タキシフォリンは脂肪細胞から分泌されるIL-6の該分泌の抑制のための機能性関与成分として含有する、上記[7]記載の機能性組成物。
[9]慢性炎症又は微小炎症の軽減のためのものである、上記[6]~[8]のいずれか1項に記載の機能性組成物。
[10]老化の防止のためものである、上記[6]~[8]のいずれか1項に記載の機能性組成物。
[11]飲食品、医薬品、化粧品、サプリメント、又は動物飼料の形態である、上記[6]~[8]のいずれか1項に記載の機能性組成物。
本発明によれば、タキシフォリンを利用して、脂肪細胞の炎症化抑制などの優れた機能性を備えた素材を提供することができる。
試験例1において、前駆脂肪細胞から成熟した脂肪細胞への分化誘導を行う際、その分化誘導用培地にタキシフォリン添加したことによる影響について調べた結果を示す図表であり、図1Aは、培養16日目の細胞をオイルレッドOで染色したときの顕微像を示す図表であり、図1Bは、細胞から抽出した色素をマイクロプレートリーダーを使用して定量した結果を示す図表であり、図1Cは、細胞を培養した培地に対するELISAアッセイによりアディポネクチン量を測定した結果を示す図表である。 試験例2において、前駆脂肪細胞から成熟した脂肪細胞への分化誘導を行う際、その分化誘導用培地に添加したタキシフォリンが各種分化関連遺伝子のmRNA発現量に与える影響について調べた結果を示す図表であり、図1Aは、培養16日目の細胞のPPARγのmRNA発現量を調べた結果を示す図表であり、図1Bは、同細胞のアディポネクチンのmRNA発現量を調べた結果を示す図表であり、図1Cは、同細胞のGLUT4のmRNA発現量を調べた結果を示す図表であり、図1Dは、同細胞のC/EBPαのmRNA発現量を調べた結果を示す図表であり、図1Eは、同細胞のCD36のmRNA発現量を調べた結果を示す図表である。 試験例3において、前駆脂肪細胞から成熟した脂肪細胞への分化誘導を行い、その培養15日目にTNF-αを添加した新鮮培地に交換したときこれに更にタキシフォリンを添加したことによる影響について調べた結果を示す図表であり、細胞を培養した培地に対するELISAアッセイによりIL-6量を測定した結果を示す図表である。
本発明に用いるタキシフォリンとしては、その由来に特に制限はない。例えば、化学合成により得られた素材を用いてもよく、天然物から抽出して得られた素材を用いてもよい。タキシフォリン含む天然物としては、葡萄、柑橘類、タマネギ、緑茶、オリーブオイル、カラマツ、オオアザミ、フランス海岸松樹皮、ダグラスモミ樹皮、スミラシスグラブレ根茎などが知られている。なかでも、シベリアカラマツ、ダフリアカラマツ、北洋カラマツ、ラーチ等のカラマツ属に属する樹木には、タキシフォリンが豊富に含まれるので、これらから好適に調製され得る。例えば、特にはその木部や生長部に豊富に含まれるので、これを乾燥・粉砕後、水や含水有機溶媒により抽出して、得られた抽出物をHPLC分画することなどによってタキシフォリンを含む抽出物を得ることができる。基原植物からの抽出方法としては、国際公開第2010/095969号公報等にも公知であるので、そのように開示された調製方法に準じてタキシフォリンを得ることもできる。また、タキシフォリンを高純度に含有する素材として、「ラビトール」(株式会社DHQ)などが市販されていので、そのような市販品を用いてもよい。
本発明に用いるタキシフォリンは、適宜、所望される有効量が生体内に取り込まれてタキシフォリンが作用するようにすればよい。タキシフォリンは、例えば、そのフェノールOH基に糖が結合した配糖体の形態であってもよく、また、塩や溶媒和物の形態であってもよい。このような形態であっても、生体内に取り込まれた後、生体側のエステラーゼ等の酵素による加水分解や、生体液のイオン緩衝性などによりタキシフォリンが遊離するので、これが作用し得る。使用するタキシフォリンの純度としては、タキシフォリンを含有する素材の全体量中に、例えば、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上などであってよい。純度が低い場合であっても、その分投与量を多くすれば、所望される有効量が生体内に取り込まれ得る。
後述する試験例に示されるように、タキシフォリンによれば、脂肪細胞に対して炎症化を抑制する作用効果がある。
よって、ある態様において、本発明は、以下に示す構成を有する剤(a)を提供し得る。
(a)タキシフォリンを有効成分とする脂肪細胞の炎症化抑制剤。
限定されないが、上記剤(a)においては、以下に示す構成のうちの1種又は2種以上を更に備えていてもよい。
(a1)脂肪細胞から分泌される炎症性サイトカインの該分泌の抑制のために用いられる。
(a2)前記炎症性サイトカインとしてIL-6の分泌抑制のために用いられる。
(a3)慢性炎症又は微小炎症の軽減のためのものである。
(a4)老化の防止のためのものである。
また、他の態様において、本発明は、以下構成を備えた機能性組成物(b)を提供し得る。
(b)タキシフォリンを含有する機能性組成物であって、前記タキシフォリンは脂肪細胞の炎症化抑制のための機能性関与成分として含有する、該機能性組成物。
限定されないが、上記機能性組成物(b)においては、以下に示す構成のうちの1種又は2種以上を更に備えていてもよい。
(b1)前記タキシフォリンは脂肪細胞から分泌される炎症性サイトカインの該分泌の抑制のための機能性関与成分として含有する。
(b2)前記タキシフォリンは脂肪細胞から分泌されるIL-6の該分泌の抑制のための機能性関与成分として含有する。
(b3)慢性炎症又は微小炎症の軽減のためのものである。
(b4)老化の防止のためのものである。
なお、本明細書において、「老化の防止」とは、シミ、シワ、たるみなどの肌の老化、血管の老化、脳の老化、薄毛のような症状を含む。
本発明において、上記したような機能性を発揮させるためタキシフォリンを生体内に取り込ませるための形態としては、特に制限はないが、例えば、経口的に摂取するよう経口組成物の形態に調製してもよく、非経口的に摂取するよう非経口組成物の形態に調製してもよい。より具体的には、経口的に摂取される場合、その形態としては、例えば、錠剤状、液剤状、シロップ剤状、粉末剤状、顆粒剤状、カプセル剤状、ソフトカプセル剤状、固形状、半液体状、クリーム状、ペースト状などの形態となし得る。また、局所的に摂取される場合、その形態としては、例えば、クリーム、ローション、美容液、ファンデーション、化粧下地、フェイスパウダー、乳液、軟膏、貼付剤、パック、ゼリー剤、エアゾール剤、パウダー、リップクリーム、リップグロス、サンケア、浴用剤、シャンプー、リンス、トリートメント、アウトバストリートメント、ヘアトニック、石鹸、洗顔料、ボディーソープ、ハンドクリーム、オイルなどの形態であり得る。
上記した組成物の形態において、タキシフォリンの含有量は、その形態がヒト又は動物に適用されてとき、有効量が取り込まれるようにすればよく、限定されないが、典型的に例えば、タキシフォリンをその組成物100質量部当たり、0.01質量部以上、0.1質量部以上、1質量部以上、5質量部以上、10質量部以上、20質量部以上などであってよい。また、タキシフォリンをその組成物100質量部当たり、100質量部以下、90質量部以下、80質量部以下、70質量部以下、60質量部以下、50質量部以下などであってよい。
なお、タキシフォリンの定量は、例えば、HPLC分析法などに公知の手法を利用して行うことができる。
限定されない任意の態様において、本発明は、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、サプリメント、又は動物飼料の形態であり得る。すなわち、タキシフォリンは、これら通常の形態中に、その成分の一部として含有せしめて、ヒト又は動物に投与して、タキシフォリンを生体内に取り込ませることができる。
上記した形態において、タキシフォリンの含有量は、その形態がヒト又は動物に適用されたとき、有効量が取り込まれるようにすればよく、限定されないが、典型的に例えば1粒が150~300mgの錠剤の形態の場合、タキシフォリンをその1粒当たりに2質量%以上40質量%以下含有するなどであってよく、4質量%以上30質量%以下含有するなどであってよく、5質量%以上30質量%以下含有するなどであってよい。また、例えば1瓶の内容量が50~500mLのドリンク剤の形態の場合、タキシフォリンをその1瓶の内容量当たりに0.01w/v%以上1w/v%以下含有するなどであってよく、0.05w/v%以上1w/v%以下含有するなどであってよく、0.1w/v%以上1w/v%以下含有するなどであってよい。また、内容量が200~350mgのハードカプセルの形態の場合、タキシフォリンをその内容物当たりに5質量%以上70質量%以下含有するなどであってよく、10質量%以上60質量%以下含有するなどであってよく、30質量%以上50質量%以下含有するなどであってよい。
タキシフォリンは、食経験上、ヒトが摂取しても保健上の問題なく用いることができる素材である。その投与量は適宜設定すればよく、限定されないが、成人1日当たりの摂取量としては、10mg以上400mg以下であってよく、20mg以上300mg以下であってよく、30mg以上200mg以下であってよい。摂取期間としては、例えば、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間等であってよく、これらの期間にわたって摂取されるように用いられてもよい。
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
〔1.試験物質及び試薬〕
以下、試験に用いた試験物質及び試薬の主な入手元を示す。
タキシフォリン:ダフリアカラマツ抽出物由来、純度98.7%、株式会社DHQ
TNF-α:富士フイルム和光純薬株式会社
ジメチルスルホキシド(DMSO):シグマアルドリッチ社
オイルレッドO:富士フイルム和光純薬株式会社
2-プロパノール:シグマアルドリッチ社
他の試薬についても、それぞれ商業的供給源から入手した。
〔2.前駆脂肪細胞の増殖のための細胞培養〕
ヒト心臓周囲脂肪組織(Cell Applications, Inc., San Diego, CA, USA)に由来する初代ヒト前脂肪細胞(以下、単に「前駆脂肪細胞」ということがある。)を、増殖用培地(カタログ番号811K-500、Cell Applications, Inc.)を入れた75cm培養フラスコ(コーニング社)に播種した。その培地には10%FBS、10μg/mLインスリン、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、及び250ng/mLアンホテリシンBが含まれる。コンフルエントになるまで37℃で5%COのインキュベーター内で培養した。増殖培養中は増殖用培地を2日ごとに交換した。
〔3.前駆脂肪細胞の分化誘導のための細胞培養〕
コンフルエントになるまで増殖させた前駆脂肪細胞をコラーゲンコーティングした48ウェルマイクロプレート(AGCテクノグラス株式会社)に播種した(42,000細胞/ウェル)。細胞定着後、新鮮な増殖培地に替え(150μL/ウェル)、100%コンフルエンスになるまで37℃で5%COのインキュベーター内に培養した。コンフルエントに達した前脂肪細胞の培地を脂肪細胞分化誘導用培地(カタログ番号811D-250、Cell Applications, Inc.)と交換することにより、分化誘導を開始した(0日目)。分化誘導中は細胞を37℃で5%COのインキュベーター内に培養し、3日ごとに分化誘導用培地を交換し、16日間培養した。また、試験物質であるタキシフォリンを添加する場合、この分化誘導中の培地に0.5%DMSOに溶解したタキシフォリンを最終濃度が0.2、2、又は10μg/mLとなるように添加した。
〔4.オイルレッドO染色〕
16日間ウェルで培養後、培地を除去し、500μLのリン酸緩衝生理食塩水で2回洗浄して、次に60%の2-プロパノールで調製した200μLの0.36%オイルレッドO溶液を添加して、細胞内脂質を室温で15分間染色した。次に、オイルレッドO溶液を除去し、細胞を蒸留水で3回洗浄した後、250μLの2-プロパノールを添加して、30分間振とうすることにより色素を抽出した。抽出された色素は、マイクロプレートリーダー(「Thermo Scientific Multiskan FC」、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を使用して540nmの平均波長で測定した。
〔5.ELISAアッセイ〕
16日間ウェルで培養後、その培養上清中に含まれるアディポネクチンの濃度を測定した。アディポネクチン濃度は、ELISAキット(Chondrex, Inc., WA, USA)を使用して測定した。
〔6.リアルタイムPCR分析〕
16日間ウェルで培養後、細胞を回収し、常法に従い、トータルRNAからcDNAを調製したうえ、特異的プライマーによるリアルタイムPCR分析を行い、各種遺伝子のmRMA発現量を測定した。なお、遺伝子発現レベルは、GAPDHmRNA発現レベルを使用して正規化し、これをコントロール(=1.0)とした相対値として表した。
以下には、リアルタイムPCR分析に使用した各遺伝子のフォワード(F)及びリバース(R)プライマーの塩基配列を示す。
GAPDH:
(F)5'-CTTTGTCAAGCTCATTTCCTGGTAT-3'(配列番号1)
(R)5'-TGGTGGTCCAGGGGTCTTA-3'(配列番号2)
PPARγ:
(F)5'-GAGCCCAAGTTTGAGTTTGC-3'(配列番号3)
(R)5'-CAGGGCTTGTAGCAGGTTGT-3'(配列番号4)
C/EBPα:
(F)5'-GGACCCTCAGCCTTGTTTGT-3'(配列番号5)
(R)5'-TGGTGGTTTAGCAGAGACGC-3'(配列番号6)
アディポネクチン:
(F)5'-GGAGATCCAGGTCTTATTGG-3'(配列番号7)
(R)5'-ACCTTCAGCCCCGGGTAC-3'(配列番号8)
CD36:
(F)5'-TCTTTGGCTTAATGAGACTGGG-3'(配列番号9)
(R)5'-AAGCAACAAACATCACCACACC-3'(配列番号10)
GLUT4:
(F)5'-CGACCAGCATCTTCGAGACA-3'(配列番号11)
(R)5’-CACCAACAACACCGAGACCA-3’(配列番号12)
〔7.TNF-α誘発性炎症性サイトカインIL-6に対するタキシフォリンの効果〕
TNF-αによるIL-6の増加に対するタキシフォリンの効果を、分化15日目の成熟脂肪細胞で調べた。具体的には、分化の15日目に、分化誘導用培地を、TNF-α(最終濃度:5ng/mL)、又はTNF-α(最終濃度:5ng/mL)とさまざまなタキシフォリン濃度(最終濃度:0.2、2、及び20μg/mL)を添加した培地に替え、37℃で5%COのインキュベーター内に3時間培養した。対照としては、通常の分化誘導用培地で同様に培養した。培養後、その培養上清中に含まれるIL-6の濃度を測定した。IL-6濃度は、ELISAキット(Chondrex, Inc., WA, USA)を使用して測定した。
〔8.統計分析〕
値は平均±標準誤差(S.E.M)として表した。ダネット検定(Dunnett's test)では、一元配置分散分析(ANOVA)の後に統計的有意性を評価した。許容される有意水準をP<0.05とした。
<試験例1>
前駆脂肪細胞の分化誘導の際、その培地にタキシフォリンを添加することによる影響について調べた。具体的には、前駆脂肪細胞から成熟細胞への分化誘導用の培地にタキシフォリンを添加したうえ16日間培養後、脂肪細胞の分化誘導の指標とされる脂肪滴量とアディポネクチン量を測定した。
その結果、図1Aに示されるように、タキシフォリンの最終濃度0.2μg/mL又は2μg/mLの処置群では、主に観察されたのは対照群と同様に脂肪滴を蓄積した成熟脂肪細胞であった。これに対して、タキシフォリンの最終濃度10μg/mLの処置群では、成熟脂肪細胞よりも未成熟な細胞が主に観察された。なお、図1Bには、その脂肪滴量を、色素量のマイクロプレートリーダーを使用した測定により数値化した。また、図1Cに示されるように、タキシフォリンの最終濃度10μg/mLの処置群では、対照群と比較して培地中アディポネクチン濃度が大幅に(有意に)低下した。
以上から、タキシフォリンには、未熟な前駆脂肪細胞から成熟した脂肪細胞への分化誘導を抑制する作用効果があることが明らかとなった。
<試験例2>
前駆脂肪細胞の分化誘導の際、その培地にタキシフォリンを添加することによる影響について調べた。具体的には、前駆脂肪細胞から成熟細胞への分化誘導用の培地にタキシフォリンを添加したうえ16日間培養後、脂肪細胞の分化誘導の指標とされる関連遺伝子のmRNA発現量を測定した。
その結果、図2に示されるように、タキシフォリンの最終濃度10μg/mLの処置群では、C/EBPαのmRNA発現量が有意に抑制された。一方、PPARγのmRNA発現量はほとんど抑制されなかった。アディポネクチンやGLUT4のmRNA発現量も、タキシフォリン(2μg/mL又は10μg/mL)によって有意に抑制された。CD36のmRNAについては、タキシフォリンの最終濃度10μg/mLでの処置群で若干の減少傾向となった。
以上から、試験例1において示されたタキシフォリンによる分化誘導の抑制効果は、脂肪細胞における各種の分化誘導関連遺伝子の発現レベルを抑制することが一因であることが明らかとなった。
<試験例3>
炎症性サイトカインであるIL-6の誘導に対するタキシフォリンの効果について調べた。具体的には、前駆脂肪細胞から分化誘導した15日目に、炎症誘導因子としてTNF-αを添加した新鮮な培地に交換して、これに更にタキシフォリンを添加したうえ、3時間培養を行って、培地中に分泌したIL-6量をELISAにより測定した。
その結果、図3に示されるように、タキシフォリンを作用させない対照群では、TNF-α刺激によって培地中に分泌されるIL-6量が顕著に増加した。これに対して、タキシフォリンを作用させた処置群では、TNF-α刺激によるIL-6量の増加が抑制され、タキシフォリンの最終濃度20μg/mLの処置群で、特に有意に抑制された。
以上から、タキシフォリンには、脂肪細胞の炎症化を抑制する作用効果があることが明らかとなった。

Claims (11)

  1. タキシフォリンを有効成分とする脂肪細胞の炎症化抑制剤。
  2. 脂肪細胞から分泌される炎症性サイトカインの該分泌の抑制のために用いられる、請求項1記載の脂肪細胞の炎症化抑制剤。
  3. 前記炎症性サイトカインとしてIL-6の分泌抑制のために用いられる、請求項2記載の脂肪細胞の炎症化抑制剤。
  4. 慢性炎症又は微小炎症の軽減のためのものである、請求項1~3のいずれか1項に記載の脂肪細胞の炎症化抑制剤。
  5. 老化の防止のためのものである、請求項1~3のいずれか1項に記載の脂肪細胞の炎症化抑制剤。
  6. タキシフォリンを含有する機能性組成物であって、前記タキシフォリンは脂肪細胞の炎症化抑制のための機能性関与成分として含有する、該機能性組成物。
  7. 前記タキシフォリンは脂肪細胞から分泌される炎症性サイトカインの該分泌の抑制のための機能性関与成分として含有する、請求項6記載の機能性組成物。
  8. 前記タキシフォリンは脂肪細胞から分泌されるIL-6の該分泌の抑制のための機能性関与成分として含有する、請求項7記載の機能性組成物。
  9. 慢性炎症又は微小炎症の軽減のためのものである、請求項6~8のいずれか1項に記載の機能性組成物。
  10. 老化の防止のためのものである、請求項6~8のいずれか1項に記載の機能性組成物。
  11. 飲食品、医薬品、化粧品、サプリメント、又は動物飼料の形態である、請求項6~8のいずれか1項に記載の機能性組成物。
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