JP2024077210A - トナー - Google Patents

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Toru Hiramatsu
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Tomohisa Sano
浩輝 香川
Hiroki Kagawa
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Kosuke Fukutome
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Abstract

【課題】優れた転写安定特性を有するとともに帯電量を向上でき、長寿命化された場合であっても、高品位の電子写真画像を安定的に形成することができるトナーの提供。【解決手段】結着樹脂を含有するトナー粒子および無機微粒子を含有するトナーであって、ATR結晶にゲルマニウムを用いた該トナー粒子に対するATR-IR分析において、ホウ酸に対応するピークが検出され、該無機微粒子として周期表第13族元素の窒化物である無機微粒子Aを含有し、該無機微粒子AはX線回折分析より得られる結晶構造が六方晶系であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、トナージェット方式記録法に用いられるトナー(以下、単に「トナー」と称する場合がある)に関する。
フルカラー複写機またはフルカラープリンタなどのフルカラー画像形成装置では、従来以上に多くの枚数を印刷できるようにするため、トナーのさらなる高耐久性が求められている。
近年、優れた耐久性を達成するために、例えば、窒化ホウ素粒子のような高体積抵抗率、低誘電率、かつ潤滑性に優れた平板状粒子を外添することによりトナーの転写性を維持向上させる提案がなされている。(特許文献1参照)
しかし、窒化ホウ素粒子はその高い潤滑性のために、トナー粒子表面への固着状態を維持することが困難であり、トナー粒子表面から窒化ホウ素粒子が脱離してしまうことにより、長期に亘ってトナーの転写性が維持されない課題があった。
この窒化ホウ素粒子のトナー粒子への固着性を改善するため、熱風を当てながら外添することにより、窒化ホウ素粒子中に含まれるCa等の金属イオンと、トナー粒子の結着樹脂に含まれるエステルとの間で熱架橋反応させ、窒化ホウ素粒子のトナー粒子への埋没およびトナー粒子からの脱離を抑制する提案がなされている(特許文献2参照)。
特開2011-128406号公報 特開2015-125413号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載の窒化ホウ素粒子に含有される金属イオンは窒化ホウ素粒子の端部にあるOH基等の官能基とイオン結合したものであり、トナーの結着樹脂との反応は、平板状の窒化ホウ素粒子の端部で起こるため、現像工程、転写工程といった電子写真プロセスの中で、窒化ホウ素粒子のトナー粒子からの脱離は改善が十分ではない。
窒化ホウ素粒子がトナー粒子から脱離した場合、トナーは窒化ホウ素粒子の平滑性、化学的安定性により発揮される潤滑性に劣るため、静電潜像担持体からのトナーの転写性が低下する。また、金属イオンとの結合により、体積抵抗率が低下するため帯電性も低くなる。その結果、より多くの枚数を印刷できる長寿命機においては画像濃度の低下やカブリが依然悪化することがあった。
このため、転写性を長期において維持し、かつ高い帯電量を維持するトナーは具現化できていない。
本開示は、優れた転写安定特性を有するとともに帯電量を向上でき、長寿命化された場合であっても、高品位の電子写真画像を安定的に形成することができるトナーを提供する。
本発明は、
結着樹脂を含有するトナー粒子および無機微粒子を含有するトナーであって、
ATR結晶にゲルマニウムを用いた該トナー粒子に対するATR-IR分析において、ホウ酸に対応するピークが検出され、
該無機微粒子として周期表第13族元素の窒化物である無機微粒子Aを有し、該無機微粒子AはX線回折分析より得られる結晶構造が六方晶系であることを特徴とするトナーに関する。
本開示によれば、優れた転写安定特性を有するとともに帯電量を向上でき、長寿命化された場合であっても、高品位の電子写真画像を安定的に形成することができるトナーを提供できる。
本発明を実施するための形態について説明する。
〔本発明の特徴〕
窒化ホウ素粒子は、ホウ素原子と窒素原子のB-N結合から成る六角網目構造が積層した六方晶構造を有している。このとき、窒化ホウ素粒子の六角網目構造面である(0001)面は化学的に非常に安定であるため、他物質に対し優れた潤滑性を示すことが知られている。
この窒化ホウ素粒子の(0001)面はトナー粒子表面に対しても潤滑性が高い、すなわち固着性が低いため、電子写真印字プロセス中において、窒化ホウ素粒子がトナー表面から脱離してしまい、特に長寿命機においては良好な転写性が維持されず、画像濃度低下や、脱離した窒化ホウ素粒子による画像弊害を引き起こす課題がある。
本発明者らは、トナー粒子表面近傍にホウ酸成分を含有するトナー粒子に対し、周期表第13族元素の窒化物であり六方晶系である無機微粒子Aを外添することにより、無機微粒子Aのトナー粒子への固着性が向上し、転写性および帯電性が飛躍的に向上することを見出した。
前記転写性および帯電性の向上効果について、本発明者らは以下のように考えている。
トナー粒子中のホウ酸は、トナー粒子製造工程においてトナー粒子に含有される樹脂成分のOH基と結合することで開裂し、BO4 -のホウ酸イオンとしてトナー粒子表面近傍に存在していると考えられる。ホウ酸イオンが適度に存在する場合、ホウ酸イオン成分は部分的にメタホウ酸塩状態となり疑似的な六角網目構造に近づいていると考えられる。このトナー粒子表面近傍のホウ酸イオンに対し、無機微粒子Aの一つである窒化ホウ素粒子の(0001)面が接触した場合、窒化ホウ素粒子に含まれるB-N結合から成る六角網目構造とトナー粒子表面近傍のホウ酸イオンとの間で強い相互作用が働くため、化学的に安定な窒化ホウ素粒子(0001)面とトナー表面が強い付着性を示すと考えられる。
このトナー表面近傍に存在するホウ酸成分と窒化ホウ素粒子間に働く相互作用効果により、窒化ホウ素粒子がトナー表面に強固に固着維持され、トナー粒子表面からの窒化ホウ素粒子の脱離が抑制され、転写性が維持されることにより、長寿命化されたと考えている。
トナー粒子表面近傍にホウ酸成分が存在する場合、窒化ホウ素粒子は、トナー粒子表面のホウ酸成分との相互作用により固定化されるため、脱離しにくくなる。さらに、ホウ酸成分がトナー粒子の結着樹脂を架橋していることにより、トナー粒子表面の粘弾性が高いため、窒化ホウ素粒子は長期耐久後においてもトナー粒子に埋没しにくくなる。つまり、過酷プリント条件下において長期使用した場合においてもトナーの高い転写性、帯電性が維持される(具体的には後述の実施例中の(試験)を参照)。
また、無機微粒子Aとしては、窒化アルミ粒子(ウルツ鉱型)、窒化ガリウム粒子(ウルツ鉱型)も挙げられる。これらのような、周期表第13族元素の窒化物であれば、窒化ホウ素粒子のような六方晶構造をもつことにより、トナー粒子表面近傍のホウ酸成分と相互作用が発生し、トナー表面への固着性向上効果が発現する。
この無機微粒子Aの高いトナー固着性により、トナーの潤滑性が維持され、静電潜像担持体等からメディア等へのトナーの転写性およびトナーの帯電性を向上できる。
これは、本発明のトナー粒子表面近傍に存在するホウ酸成分と、無機微粒子Aの併用により、トナー粒子表面への無機微粒子Aの固着を維持向上させ、安定した転写性を得ることができ、長期使用後も高い帯電量を維持できるためである。
その結果、プロセススピードが一層高速化されかつ、長寿命化された場合であっても、トナー表面からの無機微粒子Aの脱離が抑制されることにより、静電潜像担持体等からの転写および高い帯電性の維持が両立され、高品位の電子写真画像を安定的に形成することができるものと考えられる。これは、無機微粒子Aと、トナー粒子表面近傍のホウ酸とを共存させることで、初めて得られる効果である。
次に、本発明についてさらに詳細に説明する。
<無機微粒子A>
まず、本発明のトナーに用いられる無機微粒子Aについて説明する。
本発明で用いられる六方晶系の無機微粒子Aは、一次粒子の個数平均粒径が300nm以上2000nm以下であり、該無機微粒子Aの長径D(nm)と厚さT(nm)の比D/Tが3.0以上55.0以下であることが好ましい。
この範囲の無機微粒子Aは板状の大径扁平粒子であり、トナー粒子表面と無機微粒子Aの板状平面が広い範囲で密着する。トナー粒子表面にホウ酸成分が存在することにより、無機微粒子Aとの相互作用効果が働き、大径外添剤であってもトナー粒子との密着性がより強固となる。窒化ホウ素粒子の粒径が上記範囲であることにより、トナーへの埋没も抑制されるため、潤滑性の高いスペーサー粒子として持続的に働き、長期に亘り転写性を維持することができる。
無機微粒子Aの一次粒子の個数平均粒径は、500nm以上1000nm以下であることがより好ましい。500nm以上であれば、無機微粒子Aがスペーサーとして効果的に働き、所望の転写性が得られる。また、1000nm以下であれば、トナー粒子との密着面積が十分存在し、ホウ酸成分との相互作用効果が強固となるため、無機微粒子Aの脱離が抑制され長期に亘り転写性が安定化する。
また、無機微粒子Aの長径D(nm)と厚さT(nm)の比D/Tは6.0以上20.0以下であることがより好ましい。D/Tが上記範囲であることにより、無機微粒子Aの板状平面がトナー粒子表面に密着するため、トナー粒子表面近傍のホウ酸成分との相互作用効果が発現しやすく、無機微粒子Aの脱離が抑制され長期に亘り転写性が安定化する。
なお、上記個数平均粒径、長径D、および厚さTの測定方法については後述する。
また、本発明で用いられる無機微粒子Aが六方晶系の窒化ホウ素粒子である場合、窒化ホウ素粒子は、粉末X線回折法による結晶化度GI(Graphitization Index)値が、1.60以上35.0以下であることが好ましい。この値は、J.ThomasらがJ.Am.Chem.Soc.,24,4619(1962)で報告した値で、X線回折図の(100)、(101)および(102)線の積分強度比、すなわち面積比を次式によって算出することによって求めることができる。この値が小さいほど結晶性が高い。
GI値=〔面積{(100)+(101)}〕/〔面積(102)〕
面積{(100)+(101)}は(100)面に関するピークの面積と(101)面に関するピークの面積との和であり、面積(102)は(102)面に関するピークの面積である。
上記のように、GI値は六方晶系の窒化ホウ素の結晶性の指標であり、結晶性が高いほどこの値が小さくなり、完全に結晶化(黒鉛化)したものではGI値=1.60になるとされている。
このGI値が、1.60以上35.0以下であることで、トナー粒子表面近傍のホウ酸成分と窒化ホウ素粒子の相互作用効果を促進することができ、窒化ホウ素粒子の固着性を維持させ、転写性を効果的に維持させることができる。
35.0を超える場合は、窒化ホウ素自体の結晶化度が低くなってしまい、潤滑性が失われるため、所望の転写性維持効果が得られにくくなる。1.60未満の場合は、窒化ホウ素自体の結晶化度が高く、トナー粒子表面近傍に存在するホウ酸成分との相互作用が生じにくくなるために、窒化ホウ素粒子のトナー粒子への固着が十分に得られにくくなる。
また、本発明で用いられる無機微粒子Aの添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.01質量部以上5.00質量部以下であることが好ましい。さらには、0.10質量部以上2.50質量部以下で添加されていることがより好ましい。
0.01質量部以上であると、上記効果が得やすくなり、5.00質量部以下であると、脱離した無機微粒子Aが現像部材などに付着して画像不良を発生してしまう場合が少ない。
無機微粒子Aとしては、窒化ホウ素粒子(六方晶)、窒化アルミ粒子(ウルツ鉱型)、窒化ガリウム粒子(ウルツ鉱型)が挙げられる。特に窒化ホウ素粒子が好ましい。
窒化ホウ素粒子を製造する方法として、例えば、融解無水ホウ酸をアンモニアによって還元窒化させる方法がある。基本的にはB23+2NH3→2BN+3H2Oの反応式に従って、ホウ酸、ホウ酸塩、融解無水ホウ酸などを原料とし、合成炉でアンモニアと反応させて窒化還元させ、その後高純度化、結晶化処理を経て窒化ホウ素粒子を得る。
酸化ホウ素は温度450℃前後から軟化しガラス状になり、窒化が進行しなくなるため、尿素、ジシアンジアミド、塩化アンモニウムなどをホウ酸に添加し、加熱して窒化還元させる。
上記の方法で製造した窒化ホウ素粒子は、微量の不純物としてO原子を含む。O原子量は、原料、反応を進行させるための触媒種、触媒量、反応条件により調整が可能である。また、窒化ホウ素粒子の一次粒子の個数平均径は、反応を進行させるための触媒種、反応条件により調整したり、製造した窒化ホウ素粒子を公知の湿式粉砕機を用いて粉砕したりすることで調整が可能である。
無機微粒子A中には酸素原子が不純物として含有されていてもよい。無機微粒子A中の酸素含有量が0.05質量%以上3.00質量%以下であるとき、トナー粒子表面のホウ酸成分と無機微粒子Aの相互作用がより強固となり、長期にわたり無機微粒子Aがトナー粒子に固着した状態を維持できる。結果として、トナーの潤滑性が維持されるため、転写性、帯電性を高いレベルで長期に亘り保持したトナーが得られる。
無機微粒子A中の酸素含有量は0.10質量%以上2.30質量%以下であることがより好ましい。
本発明のトナーは、ポリカーボネート薄膜による付着力測定法でトナーを測定した際の、ポリカーボネート薄膜全面を100面積%としたときの前記無機微粒子Aの付着量が、0.50面積%以下であることが好ましい。
ポリカーボネート薄膜による付着力測定法とは、従来より静電潜像担持体表層材料として代表的に用いられているポリカーボネートを薄膜とし、その薄膜の上にトナーを均一に載せ、所定の振動を加えトナーを転がし落とし、ポリカーボネート薄膜上に残った無機微粒子などの外添剤を観察し、その外添剤の移行量を定量化する分析手法である。ポリカーボネート薄膜による付着力測定法についての詳細は後述する。
このポリカーボネート薄膜による付着力測定では、トナー粒子の表面に存在する無機微粒子をトナーから強制的に移行させたときの移行性を定量化することができる。トナー粒子から移行した無機微粒子をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察するため、トナー粒子から静電潜像担持体への無機微粒子の移行量を把握することができる。
また、一般にトナー粒子からの無機微粒子の移行量を測定する手法として、界面活性剤の水溶液などにトナーを入れて、撹拌や振とうを経て、遠心分離法などによりトナーから無機微粒子を分離する手法(以下、湿式法と呼ぶ)がある。
ポリカーボネート薄膜による付着力測定法は、湿式法のように強いシェアをトナーに与えることなく、無機微粒子をトナー粒子から移行させることで、無機微粒子のポリカーボネート薄膜への移行のし易さを示している。この移行のし易さは、無機微粒子のトナー粒子への固着強度を示している。つまり本発明においては、ポリカーボネート薄膜に付着する無機微粒子Aの量は、無機微粒子Aのトナー粒子への固着の強度及び、その固着の強度から得られるトナーに接触する部材(特に静電潜像担持体)への移行のしやすさを示している。
ポリカーボネート薄膜に付着する無機微粒子Aの付着量が0.50面積%以下のとき、無機微粒子Aがトナー粒子に強固に付着していることを示している。
<ホウ酸>
次に本発明のトナー粒子に使用されるホウ酸について説明する。
ホウ酸を、トナー粒子に含有させる手段は特に制限されない。例えば、ホウ酸を、トナー粒子に内添する、又は凝集法における凝集剤として使用することによって、トナー粒子中に含有させることができる。凝集剤としてホウ酸を添加することによりトナー粒子表面近傍にホウ酸を導入させやすくなる。原材料として使用する段階では、有機ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸エステル等の状態で用いても良い。トナー粒子を水系媒体中で製造する場合は、反応性や製造安定性の観点からホウ酸塩として添加することが好ましく、具体的には、例えば、四ホウ酸ナトリウム、ホウ酸アンモニウム等が挙げられ、特にホウ砂が好ましく用いられる。
ホウ砂は、四ホウ酸ナトリウムNa247の十水和物で表され、酸性水溶液中でホウ酸へと変化する為、水系媒体中において、酸性環境下で使用する場合はホウ砂が好ましく用いられる。
また、トナー粒子の蛍光X線測定において、ホウ酸に由来するホウ素の強度が、0.10kcps以上0.60kcps以下であることが好ましく、0.10kcps以上0.30kcps以下であることがより好ましい。この範囲に制御することによって、トナー粒子表面近傍のホウ酸量が適量であり、無機微粒子Aのトナー粒子への固着を強固にできる。
ホウ素の強度を上記範囲に制御する手段としては、例えば、トナー粒子製造時のホウ酸源の添加量調整であり、トナー粒子中のホウ酸の含有割合を、0.1質量%以上10.0質量%以下に制御することが好ましい。トナー粒子中のホウ酸の含有割合は、より好ましくは0.4質量%以上5.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.8質量%以上2.0質量%以下である。
また、トナー粒子表面近傍のホウ酸比率は、赤外吸収スペクトルにおけるホウ酸由来の1380cm-1のピーク強度IBと、結着樹脂に含有されるカルボニル基由来の1700~1750cm-1のピーク強度ICの比率IB/ICによって見積もることができる。IB/ICが0.02以上0.30以下であるとき、トナー粒子表面近傍のホウ酸量が適量であり、無機微粒子Aの固着効果が発現しやすい。
トナーを構成する各成分及びトナーの製造方法についてさらに詳しく説明する。
<結着樹脂>
トナー粒子は、結着樹脂を含有する。結着樹脂の含有量は、トナー粒子中の樹脂成分全量のうち、50質量%以上であることが好ましい。
結着樹脂としては、特に制限はないが、例えば、スチレンアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、これらの混合樹脂や複合化樹脂などが挙げられる。安価、容易に入手可能で低温定着性に優れる点でスチレンアクリル樹脂やポリエステル樹脂が好ましい。より好ましくはポリエステル樹脂である。
ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸、ポリオール、ヒドロキシカルボン酸などの中から好適なものを選択して組み合わせ、例えば、エステル交換法又は重縮合法など、公知の方法を用いて合成することで得られる。好ましくは、ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸及びジオールの縮重合体を含む。
多価カルボン酸は、1分子中にカルボキシ基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジカルボン酸は1分子中にカルボキシ基を2個含有する化合物であって、好ましく使用される。
例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、アジピン酸、β-メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン-3,5-ジエン-1,2-カルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マロン酸、ピメリン酸、スペリン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p-カルボキシフェニル酢酸、p-フェニレン二酢酸、m-フェニレン二酢酸、o-フェニレン二酢酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル-p,p’-ジカルボン酸、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などを挙げることができる。
また、上記ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸、イタコン酸、グルタコン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n-オクチルコハク酸、n-オクテニルコハク酸などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリオールは、1分子中に水酸基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジオールは1分子中に水酸基を2個含有する化合物であり、好ましく使用される。
具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,14-エイコサンデカンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2以上12以下のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及び、これと炭素数2以上12以下のアルキレングリコールとの併用である。ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては下記式(A)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2024077210000001
(式(A)中、Rは、それぞれ独立してエチレン又はプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0以上10以下である。)
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物はビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物及び/又はエチレンオキサイド付加物であることが好ましい。より好ましくはプロピレンオキサイド付加物である。また、x+yの平均値は1以上5以下であることが好ましい。
三価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン、ソルビトール、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、上記三価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
スチレンアクリル樹脂としては、下記重合性単量体からなる単独重合体、又はこれらを2種以上組み合わせて得られる共重合体、さらにはそれらの混合物が挙げられる。
スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキシスチレン及びp-フェニルスチレンのようなスチレン系モノマー;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、iso-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-アミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルフォスフェートエチル(メタ)アクリレート、ジエチルフォスフェートエチル(メタ)アクリレート、ジブチルフォスフェートエチル(メタ)アクリレート及び2-ベンゾイルオキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、マレイン酸のような(メタ)アクリル系モノマー;
ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン系モノマー;
エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類。
スチレンアクリル樹脂は、必要に応じて多官能性の重合性単量体を用いることができる。多官能性の重合性単量体としては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’-ビス(4-((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン及びジビニルエーテルなどが挙げられる。
また、重合度を制御するため、公知の連鎖移動剤及び重合禁止剤をさらに添加することも可能である。
スチレンアクリル樹脂を得るための重合開始剤としては、有機過酸化物系開始剤やアゾ系重合開始剤が挙げられる。
有機過酸化物系開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ-α-クミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t-ブチルパーオキシマレイン酸、ビス(t-ブチルパーオキシ)イソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド及びtert-ブチル-パーオキシピバレートなどが挙げられる。
アゾ系重合開始剤としては、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル及びアゾビスメチルブチロニトリル、2,2’-アゾビス-(イソ酪酸メチル)などが挙げられる。
また、重合開始剤として、酸化性物質と還元性物質とを組み合わせたレドックス系開始剤を用いることもできる。
酸化性物質としては、過酸化水素、過硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩)の無機過酸化物並びに4価のセリウム塩の酸化性金属塩が挙げられる。
還元性物質としては還元性金属塩(2価の鉄塩、1価の銅塩及び3価のクロム塩)、アンモニア、低級アミン(メチルアミン及びエチルアミンのような炭素数1以上6以下程度のアミン)、ヒドロキシルアミンのようなアミノ化合物、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム及びナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどの還元性硫黄化合物、低級アルコール(炭素数1以上6以下)、アスコルビン酸又はその塩並びに低級アルデヒド(炭素数1以上6以下)が挙げられる。
重合開始剤は、10時間半減期温度を参考に選択され、単独又は混合して利用される。重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には重合性単量体100.0質量部に対し0.5質量部以上20.0質量部以下が添加される。
<離型剤>
トナーには、離型剤として、公知のワックスを用いることができる。
具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムに代表される石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスに代表される天然ワックス及びそれらの誘導体が挙げられ、誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含まれる。
また、高級脂肪族アルコールなどのアルコール;ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸又はその酸アミド、エステル、ケトン;硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物ワックス、動物ワックスが挙げられる。これらは単独又は併用して用いることができる。
これらの中でも、ポリオレフィン、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス、又は石油系ワックスを使用した場合に、現像性や転写性が向上する傾向があり好ましい。なお、これらのワックスには、トナーの効果に影響を与えない範囲で酸化防止剤が添加されていてもよい。また、結着樹脂に対する相分離性、又は、結晶化温度の観点からは、ベヘン酸ベヘニル、セバシン酸ジベヘニルなどの高級脂肪酸エステルなどが好適に例示できる。
また、離型剤の含有量は、結着樹脂100.0質量部に対して、1.0質量部以上30.0質量部以下であることが好ましい。
離型剤の融点は、30℃以上120℃以下であることが好ましく、より好ましくは60℃以上100℃以下である。上記のような熱特性を呈する離型剤を用いることにより、離型効果が効率良く発現され、より広い定着領域が確保される。
<可塑剤>
トナー粒子は、シャープメルト性を向上させるために結晶性の可塑剤を含有してもよい。可塑剤としては、特に限定されることなく、下記のようなトナーに用いられる公知のものを用いることができる。
具体的には、ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチルのような1価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、1価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;エチレングリコールジステアレート、セバシン酸ジベヘニル、ヘキサンジオールジベヘネートのような2価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、2価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;グリセリントリベヘネートのような3価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、3価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテートのような4価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、4価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテートのような6価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、6価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;ポリグリセリンベヘネートのような多価アルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、多価カルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;カルナバワックス、ライスワックスのような天然エステルワックス。これらは単独又は併用して用いることができる。
<着色剤>
トナー粒子は着色剤を含有してもよい。着色剤として、公知の顔料、染料を用いることができる。耐候性に優れる点から着色剤としては、顔料が好ましい。シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物及び塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62及び66。
マゼンタ系着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物及びペリレン化合物などが挙げられる。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221及び254、及びC.I.ピグメントバイオレット19。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物及びアリルアミド化合物などが挙げられる。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185、191及び194。
黒色着色剤としては、上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤及びシアン系着色剤を用いて黒色に調色されたもの並びにカーボンブラックが挙げられる。これらの着色剤は、単独で、又は混合物で、さらにはこれらを固溶体の状態で用いることができる。
着色剤は、結着樹脂100.0質量部に対して1.0質量部以上20.0質量部以下用いることが好ましい。
<荷電制御剤、及び荷電制御樹脂>
トナー粒子は、荷電制御剤又は荷電制御樹脂を含有してもよい。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に摩擦帯電スピードが速く、かつ、一定の摩擦帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を懸濁重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
トナーを負荷電性に制御するものとしては、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、オキシカルボン酸及びジカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン及び荷電制御樹脂などが挙げられる。
荷電制御樹脂としては、スルホン酸基、スルホン酸塩基若しくはスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を挙げることができる。スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体としては、特にスルホン酸基含有アクリルアミド系モノマー又はスルホン酸基含有メタクリルアミド系モノマーを共重合比で2質量%以上含有する重合体が好ましく、より好ましくは5質量%以上含有する重合体である。
荷電制御樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が35℃以上90℃以下であり、ピーク分子量(Mp)が10000以上30000以下であり、重量平均分子量(Mw)が25000以上50000以下であることが好ましい。これを用いた場合、トナー粒子に求められる熱特性に影響を及ぼすことなく、好ましい摩擦帯電特性を付与することができる。さらに、荷電制御樹脂がスルホン酸基を含有していると、例えば重合性単量体組成物中における荷電制御樹脂自身の分散性や、着色剤などの分散性が向上し、着色力、透明性及び摩擦帯電特性をより向上させることができる。
これら荷電制御剤又は荷電制御樹脂は、単独であるいは2種類以上組み合わせて添加してもよい。荷電制御剤又は荷電制御樹脂の添加量は、結着樹脂100.0質量部に対して、0.01質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。
<外添剤>
トナーは、無機微粒子Aに加え、その他の外添剤を含有してもよい。トナーは、トナー粒子に無機微粒子A、並びに必要に応じて無機微粒子A以外の無機微粒子を外添剤として外添して得ることができる。無機微粒子はシリカ、チタン酸ストロンチウム微粒子、ハイドロタルサイト化合物、脂肪酸金属塩、アルミナ、及び酸化チタン、酸化亜鉛微粒子、酸化セリウム微粒子及び炭酸カルシウム微粒子の金属酸化物微粒子(無機微粒子)を挙げることができる。
また、その他の外添剤としては、2種類以上の金属を用いた複合酸化物微粒子を用いることもできるし、これらの微粒子群の中から任意の組み合わせで選択される2種以上を用いることもできる。
また、樹脂微粒子や、樹脂微粒子と無機微粒子の有機無機複合微粒子を用いることもできる。好ましくは、トナーは、外添剤としてシリカ微粒子に加え、酸化チタン粒子を含有する。
酸化チタン粒子は、下記(i)~(ii)を満たす形状であることが好ましい。
(i)長径が300nm以上3000nm以下、
(ii)アスペクト比が5.0以上
上記(i)~(ii)を満たす酸化チタン粒子は、外添剤としては大粒径かつ低抵抗に分類されるものであり、形状は針状であることを示している。上記酸化チタン粒子を使用すると、過帯電が抑制されると共に、長期使用時の帯電量変化が小さくなるため、好ましい。
その他の外添剤は、疎水化処理剤により疎水化処理がされていてもよい。
疎水化処理剤としては、例えば、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、t-ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシランなどのクロロシラン類;
テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、o-メチルフェニルトリメトキシシラン、p-メチルフェニルトリメトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、i-ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、i-ブチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアルコキシシラン類;
ヘキサエチルジシラザン、へキサプロピルジシラザン、ヘキサブチルジシラザン、ヘキサペンチルジシラザン、ヘキサヘキシルジシラザン、ヘキサシクロヘキシルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジメチルテトラビニルジシラザンなどのシラザン類;
ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、クロロアルキル変性シリコーンオイル、クロロフェニル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、及び、末端反応性シリコーンオイルなどのシリコーンオイル;
ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサンなどのシロキサン類;
脂肪酸及びその金属塩として、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの長鎖脂肪酸、前記脂肪酸と亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムなどの金属との塩が挙げられる。
これらの中でも、アルコキシシラン類、シラザン類、シリコーンオイルは、疎水化処理を実施しやすいため、好ましく用いられる。これらの疎水化処理剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.05質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。無機微粒子A以外の外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下が好ましく、0.5質量部以上7.0質量部以下がより好ましい。
<トナーの製造方法>
トナーの製造方法は特に制限されず、粉砕法、懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化凝集法、分散重合法などの公知の方法を用いることができる。このような任意のトナー粒子の製造方法において、原材料を混合する際にホウ酸源を添加することでトナー粒子を得ることが好ましい。ここで、トナーは、乳化凝集法により製造されることが好ましく、乳化凝集法によるトナーの製造方法は、下記(1)~(3)の工程
(1)結着樹脂を含有する結着樹脂微粒子の分散液を調製する分散工程、
(2)該結着樹脂微粒子の分散液に含まれる結着樹脂微粒子を凝集して凝集体を形成する凝集工程、及び
(3)該凝集体を加熱して融合させる融合工程
を有し、上記(2)又は(3)の工程において、分散液にホウ酸源を添加する。
トナーが乳化凝集法で製造される場合、トナーの形状制御が容易である点、ホウ酸がトナー粒子の表面近傍に均一に分散されやすい点で好ましい。以下に乳化凝集法の詳細について説明する。
<乳化凝集法>
乳化凝集法とは、目的の粒子径に対して、十分に小さい、トナー粒子の構成材料から成る微粒子の水系分散液を前もって準備し、その微粒子を水系媒体中でトナー粒子の粒子径になるまで凝集し、加熱などにより樹脂を融合させてトナー粒子を製造する方法である。
すなわち、乳化凝集法では、トナー粒子の構成材料から成る微粒子分散液を作製する分散工程、トナー粒子の構成材料から成る微粒子を凝集させて、トナー粒子の粒子径になるまで粒子径を制御する凝集工程、得られた凝集粒子に含まれる樹脂を融着させる融合工程、さらに加熱などにより溶融させトナー表面形状を制御する球形化工程、その後の冷却工程、得られたトナーをろ別し、過剰な多価金属イオンを除去する金属除去工程、イオン交換水などで洗浄するろ過・洗浄工程、及び洗浄したトナー粒子の水分を除去し乾燥する工程を経てトナー粒子が製造される。
・樹脂微粒子分散液を調製する工程(分散工程):
樹脂微粒子分散液は、公知の方法により調製できるが、これらの手法に限定されるものではない。公知の方法としては、例えば、乳化重合法、自己乳化法、有機溶剤に溶解させた樹脂溶液に水系媒体を添加していくことで樹脂を乳化する転相乳化法、又は、有機溶剤を用いず、水系媒体中で高温処理することで強制的に樹脂を乳化する強制乳化法が挙げられる。
具体的には、結着樹脂を、これらを溶解できる有機溶媒に溶解して、界面活性剤や塩基性化合物を加える。その際、結着樹脂が融点を有する結晶性樹脂であれば、融点以上に加熱して溶解させればよい。続いて、ホモジナイザーなどにより撹拌を行いながら、水系媒体をゆっくり添加し樹脂微粒子を析出させる。その後、加熱又は減圧して溶剤を除去することにより、樹脂微粒子の水系分散液を作製する。該樹脂を溶解するために使用する有機溶媒としては、該樹脂を溶解できるものであればどのようなものでも使用可能であるが、トルエンなどの水と均一相を形成する有機溶媒を用いることが、粗粉の発生を抑える観点から好ましい。
上記乳化時に使用する界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、カルボン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系などのアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型などのカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系などの非イオン系界面活性剤などが挙げられる。該界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
分散工程時に使用する塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどの無機塩基;アンモニア、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミノエタノール、及びジエチルアミノエタノールなどの有機塩基が挙げられる。該塩基性化合物は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、樹脂微粒子の水系分散液中における結着樹脂の微粒子の体積分布基準の50%粒径(D50)は、0.05μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.05μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。体積分布基準の50%粒径(D50)を上記範囲に調整することで、トナー粒子として適切な体積平均粒径である3.0μm以上10.0μm以下のトナー粒子を得ることが容易になる。
なお、体積分布基準の50%粒径(D50)の測定には、動的光散乱式粒度分布計ナノトラックUPA-EX150(日機装製)を使用する。
(着色剤微粒子分散液)
必要に応じて用いられる着色剤微粒子分散液は、以下に挙げる公知の方法により調製できるが、これらの手法に限定されるものではない。
着色剤、水系媒体及び分散剤を公知の撹拌機、乳化機、及び分散機のような混合機により混合することで調製できる。ここで用いる分散剤は、界面活性剤及び高分子分散剤といった公知のものを使用できる。
界面活性剤及び高分子分散剤のいずれの分散剤も後述する洗浄工程において除去できるが、洗浄効率の観点から、界面活性剤が好ましい。
界面活性剤としては、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、及びせっけん系などのアニオン界面活性剤;アミン塩型、及び4級アンモニウム塩型のようなカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、及び多価アルコール系のようなノニオン界面活性剤が挙げられる。
これらの中でもノニオン界面活性剤又はアニオン界面活性剤が好ましい。また、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤とを併用してもよい。該界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。該界面活性剤の水系媒体中における濃度は、0.5質量%以上5.0質量%以下が好ましい。
着色剤微粒子分散液における着色剤微粒子の含有量は特に制限はないが、着色剤微粒子分散液の全質量に対して1.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましい。
また、着色剤の水系分散液中における着色剤微粒子の分散粒径は、最終的に得られるトナー中での着色剤の分散性の観点から、体積分布基準の50%粒径(D50)が0.5μm以下であることが好ましい。また、同様の理由で、体積分布基準の90%粒径(D90)が2.0μm以下であることが好ましい。なお、水系媒体中に分散した着色剤微粒子の分散粒径は、動的光散乱式粒度分布計(ナノトラックUPA-EX150:日機装製)で測定する。
着色剤を水系媒体中に分散させる際に用いる公知の撹拌機、乳化機、及び分散機のような混合機としては、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、圧力式ホモジナイザー、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、及びペイントシェーカーが挙げられる。これらを単独又は組み合わせて用いてもよい。
(離型剤(脂肪族炭化水素化合物)微粒子分散液)
必要に応じて離型剤微粒子分散液を用いてもよい。離型剤微粒子分散液は、以下に挙げる公知の方法により調製できるが、これらの手法に限定されるものではない。
離型剤微粒子分散液は、界面活性剤を含有した水系媒体に離型剤を加え、離型剤の融点以上に加熱するとともに、強い剪断付与能力を有するホモジナイザー(例えば、エム・テクニック社製の「クレアミックスWモーション」)や圧力吐出型分散機(例えば、ゴーリン社製の「ゴーリンホモジナイザー」)で粒子状に分散させた後、融点未満まで冷却することで作製することができる。
離型剤の水系分散液中における離型剤微粒子分散液の分散粒径は、体積分布基準の50%粒径(D50)が0.03μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。また、1.0μm以上の粗大粒子が存在しないことが好ましい。
離型剤微粒子分散液の分散粒径が上記範囲内であることで、トナー中に離型剤を微分散して存在させることが可能となり、定着時の染み出し効果を最大限発現させ、良好な分離性を得ることが可能となる。なお、水系媒体中に分散した離型剤微粒子分散液の分散粒径は、動的光散乱式粒度分布計(ナノトラックUPA-EX150:日機装製)で測定できる。
・混合工程:
混合工程では、樹脂微粒子分散液、並びに、必要に応じて離型剤微粒子分散液及び着色剤微粒子分散液の少なくとも一方を混合した混合液を調製する。ホモジナイザー、及びミキサーのような公知の混合装置を用いて行うことができる。
・凝集体粒子を形成する工程(凝集工程):
凝集工程では、混合工程で調製された混合液中に含まれる微粒子を凝集し、目的とする粒径の凝集体を形成させる。このとき、凝集剤を添加混合し、必要に応じて加熱及び機械的動力の少なくとも一方を適宜加えることにより、樹脂微粒子と、必要に応じて離型剤微粒子及び着色剤微粒子の少なくとも一方と、が凝集した凝集体を形成させる。
凝集剤としては、例えば、第四級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等の有機系凝集剤;硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム等の無機金属塩;硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩;2価以上の金属錯体等の無機系凝集剤が挙げられる。また、pHを下げて軟凝集させるよう酸を添加することも可能であり、例えば硫酸や硝酸等を用いることができる。
該凝集剤は、乾燥粉末及び水系媒体に溶解させた水溶液のいずれの形態で添加してもよいが、均一な凝集を起こさせるためには、水溶液の形態で添加するのが好ましい。また、該凝集剤の添加及び混合は、混合液中に含まれる樹脂のガラス転移温度又は融点以下の温度で行うことが好ましい。この温度条件下で混合を行うことで、比較的均一に凝集が進行する。混合液への凝集剤の混合は、ホモジナイザー、及びミキサーのような公知の混合装置を用いて行うことができる。凝集工程は、水系媒体中でトナー粒子サイズの凝集体を形成する工程である。該凝集工程において製造される凝集体の体積平均粒径は、3.0μm以上10.0μm以下であることが好ましい。体積平均粒径は、コールター法による粒度分布解析装置(コールターマルチサイザーIII:コールター製)にて測定できる。
・トナー粒子を含む分散液を得る工程(融合工程):
融合工程においては、凝集工程で得られた凝集体を含む分散液に、凝集工程と同様の撹拌下で、まず凝集の停止が行われる。凝集の停止は、pH調整することができる塩基やキレート化合物、塩化ナトリウム等の無機塩化合物等の凝集停止剤を添加することにより行われる。
凝集停止剤の作用により、分散液中での凝集粒子の分散状態が安定となった後、結着樹脂のガラス転移温度又は融点以上に加熱し、凝集粒子を融合し、所望の粒径に調整する。なお、トナー粒子の体積基準の50%粒径(D50)は、3.0μm以上10.0μm以下であることが好ましい。
・冷却工程:
必要に応じて、冷却工程において、融合工程で得られたトナー粒子を含む分散液の温度を、結着樹脂の結晶化温度及びガラス転移温度の少なくとも一方より低い温度まで冷却することもできる。
・後処理工程:
トナーの製造方法においては、冷却工程の後に、洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程等の後処理工程を行ってもよく、後処理工程を行うことで乾燥した状態のトナー粒子が得られる。
・外添工程:
外添工程においては、乾燥工程で得られたトナー粒子に無機微粒子Aが外添処理される。無機微粒子Aに加え、必要に応じて上記その他の外添剤を添加してもよい。また、これらの外添剤を、例えば、乾燥状態で剪断力を印加して添加することが好ましい。
<シェル形成工程を有する乳化凝集法>
トナー粒子の製造方法において、上述した任意の製造方法により、トナー粒子(コア粒子)を得たのちに、コア粒子を分散させた水系媒体にシェル用の樹脂を含む樹脂微粒子をさらに添加してコア粒子に付着させてシェルを形成させるシェル形成工程を有することが好ましい。乳化凝集法によるトナーの製造方法においては、凝集工程により凝集粒子(コア粒子)を形成させたのち、シェル用の樹脂を含む樹脂微粒子をさらに添加してコア粒子に付着させてシェルを形成させるシェル形成工程を有することが好ましい。すなわち、トナー粒子は結着樹脂を含有するコア粒子及びコア粒子表面のシェルを有することが好ましい。シェル用の樹脂は結着樹脂と同じ樹脂を使用してもよいし、他の樹脂を使用してもよい。シェル用の樹脂の添加量は、コア粒子に含まれる結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上10.0質量部以下であり、より好ましくは2.0質量部以上7.0質量部以下である。
この場合、トナーの製造方法は下記工程を有することが好ましい。
(1)結着樹脂を含有する結着樹脂微粒子の分散液を調製する分散工程、
(2-1)該結着樹脂微粒子の分散液に含まれる結着樹脂微粒子を凝集して凝集体を形成する凝集工程、
(2-2)該凝集体を含む分散液にシェル用の樹脂を含む樹脂微粒子をさらに添加し該凝集体に付着させてシェルを有する凝集体を形成するシェル形成工程、及び
(3)該シェルが形成された該凝集体を加熱して融合させる融合工程
そして、トナー粒子表面近傍にホウ酸を含有させやすくするため、上記(2-2)の工程においてシェル用の樹脂を含む樹脂微粒子と共にホウ酸源を、凝集体を含む分散液に添加することが好ましい。
ホウ酸源は、ホウ酸であるか、あるいはトナー製造中にpH制御などによりホウ酸に変化しうる化合物であればよい。例えば、ホウ酸、ホウ砂、有機ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸エステル等からなる群から選択される少なくとも一が挙げられる。例えば、ホウ酸源を添加し、凝集体中にホウ酸が含まれるように制御すればよい。好ましくは上記(2-1)の凝集工程においてpHを酸性条件に制御しておき、シェル形成工程を実施する。
ホウ酸は、無置換の状態で凝集体中に存在していればよい。ホウ酸源は、好ましくはホウ酸、ホウ砂からなる群から選択される少なくとも一である。トナーを水系媒体中で製造する場合は、反応性や製造安定性の観点からホウ酸塩として添加することが好ましい。具体的には、ホウ酸源は、四ホウ酸ナトリウム、ホウ砂、ホウ酸アンモニウム等からなる群から選択される少なくとも一を含むことがより好ましく、ホウ砂であることがさらに好ましい。
ホウ砂は、四ホウ酸ナトリウムNa247の十水和物で表され、酸性水溶液中でホウ酸へと変化する為、水系媒体において酸性環境下で使用する場合はホウ砂が好ましく用いられる。添加方法としては、乾燥粉末及び水系媒体に溶解させた水溶液のいずれの形態で添加してもよいが、均一な凝集を起こさせるためには、水溶液の形態で添加するのが好ましい。水溶液の濃度はトナーに含有させる濃度に応じて適宜変更すればよく、例えば1.0質量%以上20.0質量%である。ホウ酸へと変化させるため、添加の前、添加の際又は添加した後にpHを、酸性条件にすることが好ましい。例えば1.5以上5.0以下、好ましくは2.0以上4.0以下に制御すればよい。好ましくは、凝集体を形成する凝集工程の前にpHを制御する。
すなわち、凝集工程の前の、結着樹脂微粒子の分散液及び必要に応じて離型剤微粒子分散液など他の分散液を混合する混合工程において、pHを酸性条件に制御することが好ましい。
〔各物性の測定方法〕
次に、各物性の測定方法に関して記載する。
<トナー粒子中に含まれるホウ酸の同定及び定量>
トナー粒子中に含まれるホウ酸の同定及び含有量の測定は以下の方法による。
<ATR結晶にゲルマニウム(Ge)を用いたATR-IR分析>
トナー粒子がホウ酸を含有しているかどうかは、赤外線吸収スペクトルを用いて確認することができる。具体的には、トナーから下記方法で外添剤を除いたトナー粒子を用いて、ATR結晶にゲルマニウム(Ge)を用いたATR法により測定する。
IR分析は、ユニバーサルATR測定アクセサリー(Universal ATR Sampling Accessory)を装着したフーリエ変換赤外分光分析装置(Spectrum One:PerkinElmer社製)を用い、ATR法で測定する。具体的な測定手順は以下の通りである。
赤外光(λ=5μm)の入射角は45°に設定する。ATR結晶としては、GeのATR結晶(屈折率=4.0)を用いる。その他の条件は以下の通りである。
・Range
Start:4000cm-1
End :650cm-1(GeのATR結晶)
・Duration
Scan number :16
Resolution :4.00cm-1
Advanced :CO2/H2O補正あり
(1)GeのATR結晶(屈折率=4.0)を装置に装着する。
(2)Scan typeをBackground、UnitsをEGYに設定し、バックグラウンドを測定する。
(3)Scan typeをSample、UnitsをAに設定する。
(4)トナー粒子をATR結晶の上に、0.01g精秤する。
(5)圧力アームでサンプルを加圧する。(Force Gaugeは90)
(6)サンプルを測定する。
吸収スペクトルのB-O単結合に対応する1380cm-1ピークを確認する。1380cm-1に吸収ピークが検出された場合ホウ酸が検出されたと判断する。
(ホウ酸由来のピークIBとカルボニル基由来のピークIC比、IB/ICの算出方法)
上記トナー粒子のATR-IR分析において、ホウ酸に由来する1380cm-1の吸収ピークのピーク強度をIB、トナー粒子に含まれる結着樹脂成分に含有されるカルボニル基に由来する1750~1700cm-1のピーク強度をICとし、IBおよびICの強度比IB/ICを算出する。
<トナー粒子の蛍光X線測定>
トナー粒子中に含まれるホウ酸の含有量の測定に関しては、蛍光X線で測定し、検量線法で求める。ホウ素の蛍光X線の測定は、JIS K 0119-1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。また、軽元素であるホウ素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中にトナー粒子4gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE-32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ約2mm、直径約39mmに成型したペレットを用い、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=41.75°に観測されるB-Kα線の計数率(単位:cps)を測定する。
この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、32kV、125mAとする。
また、別途作成したホウ酸の検量線より、トナー粒子中のホウ酸量(質量%)を求める。トナーから下記方法で外添剤を除いたトナー粒子を用いて測定することもできる。
(トナーからのトナー粒子および無機微粒子Aの分離回収方法)
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブ(容量50ml)に、上記ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れる。ここにトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。遠心分離用チューブをシェイカー(AS-1N アズワン株式会社より販売)にて300spm(strokes per min)、20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R 株式会社コクサン製)にて3500rpm、30分間の条件で分離する。
この操作により、トナー粒子と外添剤とが分離される。トナー粒子と水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、分離したトナー粒子および外添剤をスパチュラ等で採取する。外添剤として、無機微粒子Aとその他の外添剤が混在している場合には、粒径、及び比重の差を利用してさらに遠心分離により、単離させて目的物を得る。この操作を複数回実施して、必要量を確保する。採取したトナー粒子や無機微粒子Aを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥し、測定用試料を得る。この操作を複数回実施して、必要量を確保する。
<無機微粒子Aの構成元素および結晶系の同定方法>
無機微粒子Aの構成元素および結晶系は、上記方法により単離した無機微粒子AのSEM-EDS分析およびX線回折分析により同定する。
(無機微粒子AのSEM-EDS分析)
無機微粒子Aの構成元素の同定は、走査型電子顕微鏡(SEM)による形状観察、及びエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素分析を組み合わせることで行うことができる。
走査型電子顕微鏡「Ultra Plus」(商品名;カールツァイス社製)を用いて、単離した無機微粒子Aを観察する。無機微粒子AのEDS分析を行い、元素ピークの有無から無機微粒子Aの同定を行うことができる。
元素ピークとして、無機微粒子Aを構成しうる13族元素であるB、Al、Gaからなる群より選ばれる少なくとも一の元素ピーク、およびN元素ピークが観察された場合に無機微粒子Aが、周期表第13族元素の窒化物であることを類推することができる。
(無機微粒子AのX線回折分析)
無機微粒子Aの結晶系の同定は、トナーより採取した無機微粒子AのX線回折分析で同定することができる。
X線回折測定は、測定装置「RINT-TTRII」(株式会社リガク社製)と、装置付属の制御ソフト及び解析ソフトを用いる。測定条件は以下の通りである。
X線:Cu/50kV/300mA
ゴニオメータ:ロータ水平ゴニオメータ(TTR-2)
アタッチメント:標準試料ホルダー
発散スリット:解放
発散縦制限スリット:10.00mm
散乱スリット:開放
受光スリット:開放
カウンタ:シンチレーションカウンタ
走査モード:連続
スキャンスピード:4.0000°/min
サンプリング幅:0.0200°
走査軸:2θ/deg
走査範囲:3.0000°~60.0000°
装置付属のソフトウェアにより、得られたスペクトルを解析し、結晶構造が六方晶系である周期表第13族元素の窒化物で検出されるピークと一致する場合に結晶構造が六方晶系であると判断する。
<窒化ホウ素粒子の結晶化度Graphitization Index(GI)値測定>
無機微粒子Aが窒化ホウ素粒子の場合、窒化ホウ素粒子の結晶化度GI値は、上記X線回折スペクトルから得られる窒化ホウ素粒子の(100)面、(101)面、(102)面のピーク面積強度比で示され、下記式から求めた。
GI値=〔面積{(100)+(101)}〕/〔面積(102)〕
<トナー中の無機微粒子Aの含有量の測定方法>
トナー中の無機微粒子Aの含有量は、蛍光X線分析(XRF)によってトナーおよび上記方法で外添剤を除去したトナー粒子を測定することで算出できる。
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。また、軽元素であるホウ素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中にトナー4gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE-32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ約2mm、直径約39mmに成型したペレットを用い、13族元素の計数率強度(単位:cps)を測定する。
この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、32kV、125mAとする。
(トナーに含まれる無機微粒子Aに対応する13族元素強度比率の算出)
分析対象トナーの13族元素強度のうち、無機微粒子Aに含まれる13族元素強度の割合を算出するため、前述の方法でトナーの表面の無機微粒子Aを分離したトナー粒子について、同様の測定を行う。測定によって得られた無機微粒子A分離前の13族元素強度と、無機微粒子A分離後の13族元素強度から、以下の式に基づいて無機微粒子Aに含まれる13族元素強度を算出することができる。
(無機微粒子Aに含まれる13族元素強度比率)=(無機微粒子A分離前の13族元素強度-無機微粒子A分離後の13族元素強度)/(無機微粒子A分離前の13族元素強度)
算出した無機微粒子Aに含まれる13族元素強度比率から、別途作成した無機微粒子Aの検量線より、トナーに含有される無機微粒子A量(質量%)を求める。
<無機微粒子Aの個数平均粒径、D/Tの測定方法>
無機微粒子Aの個数平均粒径の測定は、走査型電子顕微鏡「Ultra Plus」(商品名;Zeiss社製)を用いて行う。無機微粒子Aの特定は、上記SEM-EDS分析により行う。
トナーを下記条件で観察し、無機微粒子Aの100粒子について一次粒子の長径D(nm)および厚さT(nm)を測定する。得られた長径Dの平均値を個数平均粒径とし、個別の粒子で測定された長径と厚さの比の平均値をD/Tとする。観察倍率は、無機微粒子の大きさによって適宜調整する。
(SEM観察条件)
試料前処理;円錐状試料台の先端にカーボンテープでトナーを固定しPtコート
SEM加速電圧;2.0kV
WD;2.8mm
検出器;SE2
試料傾斜角度;-45度~45度の範囲(無機微粒子Aの最薄部を観察する。)
観察倍率;5,000~50,000倍
<トナー又はトナー粒子の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)の測定>
トナー又はトナー粒子の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー又はトナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー又はトナー粒子を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径である。
<無機微粒子A中の酸素原子量測定方法>
無機微粒子A中の酸素原子量測定は、酸素窒素水素分析装置ONH836(LECO社製)を用いて下記条件で測定した。
・試料量;0.50g、自動試料投下
・アナリシスディレイ;50秒
(炉パラメータ)
・アウトガスサイクル;2
・アウトガス時間;15秒
・電力;5500W
(元素パラメータ)
・インテグレーションディレイ;4秒
・積分時間;40秒
<ポリカーボネート薄膜による付着力測定法>
本発明におけるポリカーボネート薄膜による付着力測定法における無機微粒子Aの付着量の測定は、走査型電子顕微鏡 Ultra Plus(カールツァイス社製)にて撮影されたポリカーボネート薄膜のSEM画像を、画像解析ソフトImage-Pro Plus ver.5.0((株)日本ローパー)により解析して算出する。試料作製方法およびUltra Plusの画像撮影条件は以下の通りである。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性カーボンテープ5mm×5mmの正方形状に貼り、その上に被せるようにポリカーボネート薄膜(ビスフェノールZ型、商品名:ユーピロンZ200、三菱ガス化学製、正方形状5.0mm×5.0mmの薄膜)を接着させた。
このポリカーボネート薄膜の上にトナー0.4mgを載せて、試料台を5mmの高さを持ちあげて、加速をつけずに自重で落とすことを30回繰り返し、ポリカーボネート薄膜全体にトナーを均一に被覆させる。次にポリカーボネート薄膜の面方向に対して角度45°かつポリカーボネート薄膜の正方形の重心から1.0cmを離した距離を保ちながら、エアーダスターガン(K-601-0、近畿製作所)を用いてエアー圧0.2Mpaの窒素ガスのエアーを3秒間吹き付ける。
(2)SEM観察条件
試料前処理;上記処理後、試料にPtコート
SEM加速電圧;2.0kV
検出器;SE2
WD;2.8mm
試料傾斜角度;0度
観察倍率;5,000倍(1280×960pixel)
無作為に選んだ場所で300視野の観察を行い、300枚の画像を取得する。
(3)画像解析
本発明では下記解析ソフトを用いて、上述した手法で得た画像を2値化処理することで無機微粒子Aの付着量を算出する。画像解析ソフトImage-Pro Plus ver.5.0の解析条件は以下の通りである。
ツールバーの「測定」から「較正」、「空間較正」の順に選択し実際にSEM観察した観察条件のスケールを設定する。次にツールバーの「矩形AOI」を選択し、画像に表示されている文字情報以外の部分を選択して、矩形の面積が28.2μm2になるように設定する。次に「測定」、「カウント/サイズ」を選択し、「手動抽出」を選択することで、画像上の無機微粒子Aに色がつくように閾値を設定する。また「カウント/サイズ」の「測定」、「測定項目」で「面積」を選択し、面積測定ができるように設定を行う。次に「カウント/サイズ」の「カウント」を実行し、「カウント/サイズ」、「編集」で「穴を埋める」を実行し、測定する無機微粒子Aが正しく選択されていることを確認する。また無機微粒子A以外の異物が存在する場合は、「カウント/サイズ」の「編集」、「オブジェクトの除外」で選択し、対象となる異物を除く。これらが終了した後に「カウント/サイズ」の「カウント」を実行し、測定された各無機微粒子Aの面積を手得する。これらの測定を観察した画像300枚について行った。
(4)無機微粒子Aの付着量の求め方
ポリカーボネート薄膜による付着力測定法における無機微粒子Aの付着量を下記式のように定義する。
[ポリカーボネート薄膜付着測定法における無機微粒子Aの付着量」=[無機微粒子Aの面積の合計/(ポリカーボネート薄膜全体の面積28.2μm2×画像枚数)]
〔本発明の実施形態に含まれる構成〕
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)結着樹脂を含有するトナー粒子および無機微粒子を含有するトナーであって、
ATR結晶にゲルマニウムを用いた該トナー粒子に対するATR-IR分析において、ホウ酸に対応するピークが検出され、
該無機微粒子として周期表第13族元素の窒化物である無機微粒子Aを有し、該無機微粒子AはX線回折分析より得られる結晶構造が六方晶系であることを特徴とするトナー。
(構成2)前記無機微粒子Aの個数平均一次粒径が300nm以上2000nm以下であり、前記無機微粒子Aの長径D(nm)と厚さT(nm)の比D/Tが3以上55以下である構成1に記載のトナー。
(構成3)前記トナー粒子中のホウ酸の含有割合が、0.1質量%以上10.0質量%以下である構成1または2に記載のトナー。
(構成4)前記無機微粒子Aが、前記トナー粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.00質量部以下の量で含有されている構成1~3のいずれかに記載のトナー。
(構成5)前記無機微粒子Aが、窒化ホウ素粒子、または窒化アルミ粒子である構成1~4のいずれかに記載のトナー。
(構成6)前記窒化ホウ素粒子が、粉末X線回折法による結晶化度GI値が1.60以上35.0以下である構成5に記載のトナー。
(構成7)前記無機微粒子Aに含まれる酸素量が、0.05質量%以上3.00質量%以下である構成1~6のいずれかに記載のトナー。
(構成8)ポリカーボネート薄膜による付着力測定法で前記トナーを測定した際の、ポリカーボネート薄膜全面を100面積%としたときの前記無機微粒子Aの付着量が0.50面積%以下である構成1~7のいずれかに記載のトナー。
(構成9)前記トナー粒子はATR-IR分析において、ホウ酸由来のピーク強度IBおよびカルボニル基由来のピーク強度ICが検出され、それらの比IB/ICが0.02以上0.30以下である構成1~8のいずれかに記載のトナー。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は何らこれに制約されるものではない。実施例の処方において使用する部は、特に断りのない限り質量基準である。
<トナー粒子1の製造例>
「ポリエステル樹脂1の合成」
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 9mol部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 95mol部
・テレフタル酸 50mol部
・フマル酸 30mol部
・ドデセニルコハク酸 25mol部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えたフラスコに上記のモノマーを仕込み、1時間で195℃まで上げて、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した。これらモノマー100部に対してジステアリン酸スズを1.0部投入した。さらに生成する水を留去しながら195℃から5時間かけて250℃まで温度を上げ、250℃でさらに2時間脱水縮合反応を行った。
その結果、ガラス転移温度が60.2℃、酸価が16.8mgKOH/g、水酸基価が28.2mgKOH/g、重量平均分子量が11200、数平均分子量が4100のポリエステル樹脂1を得た。
「ポリエステル樹脂2の合成」
・ビスフェノールA-エチレンオキサイド2モル付加物 48mol部
・ビスフェノールA-プロピレンオキサイド2モル付加物 48mol部
・テレフタル酸 65mol部
・ドデセニルコハク酸 30mol部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えたフラスコに上記のモノマーを投入し、1時間で195℃まで上げて、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した。これらモノマー100部に対してジステアリン酸スズを0.7部投入した。さらに生成する水を留去しながら195℃から5時間かけて240℃まで温度を上げ、240℃でさらに2時間脱水縮合反応を行った。次いで、温度を190℃まで下げ、無水トリメリット酸の5mol部を徐々に投入し、190℃で1時間反応を継続した。
その結果、ガラス転移温度が55.2℃、酸価が14.3mgKOH/g、水酸基価が24.1mgKOH/g、重量平均分子量が43600、数平均分子量が6200のポリエステル樹脂2を得た。
「樹脂粒子分散液1の調製」
・ポリエステル樹脂1 100部
・メチルエチルケトン 50部
・イソプロピルアルコール 20部
容器にメチルエチルケトン、イソプロピルアルコールを投入した。その後、上記樹脂を徐々に投入して、撹拌を行い、完全に溶解させてポリエステル樹脂1溶解液を得た。このポリエステル樹脂1溶解液の入った容器を65℃に設定し、撹拌しながら10%アンモニア水溶液を合計で5部となるように徐々に滴下し、さらにイオン交換水230部を10ml/minの速度で徐々に滴下して転相乳化させた。さらにエバポレータで減圧して脱溶剤を行い、ポリエステル樹脂1の樹脂粒子分散液1を得た。この樹脂粒子の体積平均粒径は、135nmであった。また、樹脂粒子固形分量はイオン交換水で調整して20%とした。
「樹脂粒子分散液2の調製」
・ポリエステル樹脂2 100部
・メチルエチルケトン 50部
・イソプロピルアルコール 20部
容器にメチルエチルケトン、イソプロピルアルコールを投入した。その後、上記材料を徐々に投入して、撹拌を行い、完全に溶解させてポリエステル樹脂2溶解液を得た。このポリエステル樹脂2溶解液の入った容器を40℃に設定し、撹拌しながら10%アンモニア水溶液を合計で3.5部となるように徐々に滴下し、さらにイオン交換水230部を10ml/minの速度で徐々に滴下して転相乳化させた。さらに減圧して脱溶剤を行い、ポリエステル樹脂2の樹脂粒子分散液2を得た。この樹脂粒子の体積平均粒径は、155nmであった。また、樹脂粒子固形分量はイオン交換水で調整して20%とした。
「着色剤粒子分散液の調製」
・銅フタロシアニン(ピグメントブルー15:3(大日精化社製)) 45部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製) 5部
・イオン交換水 190部
上記成分を混合し、ホモジナイザー(IKA製ウルトラタラックス)により10分間分散した後に、アルティマイザー(対抗衝突型湿式粉砕機:(株)スギノマシン製)を用い圧力250MPaで20分間分散処理を行い、着色剤粒子の体積平均粒径が120nmで、固形分量が20%の着色剤粒子分散液を得た。
「離型剤粒子分散液の調製」
・離型剤(炭化水素ワックス、融点:79℃) 15部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製) 2部
・イオン交換水 240部
以上を100℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで115℃に加温して分散処理を1時間行い、体積平均粒径160nm、固形分量20%の離型剤粒子分散液を得た。
「トナー粒子1の製造」
・樹脂粒子分散液1 500部
・樹脂粒子分散液2 400部
・着色剤粒子分散液 50部
・離型剤粒子分散液 80部
まず、コア形成工程として、前記の各材料を丸型ステンレス製フラスコに投入、混合した。続いてホモジナイザー ウルトラタラックスT50(IKA社製)を用いて5000r/minで10分間分散した。1.0%硝酸水溶液を添加し、pHを3.0に調整した後、加熱用ウォーターバス中で撹拌翼を用いて、混合液が撹拌されるような回転数を適宜調節しながらで58℃まで加熱した。形成された凝集粒子の体積平均粒径を、コールターマルチサイザーIIIを用い、適宜確認し、5.0μmである凝集粒子(コア)が形成されたところで、シェル形成工程として、下記各材料を投入してさらに1時間撹拌しシェルを形成した。
・樹脂粒子分散液1 40部
・イオン交換水 300部
・10.0質量%ホウ砂水溶液 19部
(ホウ砂;富士フイルム和光純薬(株)製 四ほう酸ナトリウム十水和物)
その後、5%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にし、攪拌を継続しながら、89℃まで加熱した。所望の表面形状が得られたところで加熱をやめ、25℃まで冷却し、ろ過・固液分離した後、イオン交換水で洗浄を行った。洗浄終了後に真空乾燥機を用いて乾燥することで、重量平均粒径(D4)が6.8μmのトナー粒子1を得た。得られたトナー粒子1の物性を表1に示す。
<トナー粒子2~5、8の製造例>
表1に示した処方、条件に変更する以外はトナー1と同様の方法でトナー粒子2~5、8を得た。得られたトナー粒子2~5、8の物性を表1に示す。
<トナー粒子6の製造例>
四つ口容器中にイオン交換水710部と0.1モル/リットルのNa3PO4水溶液850部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて12,000rpmで撹拌しながら、60℃に保持する。ここに1.0モル/リットル-CaCl2水溶液68部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca3(PO42を含む水系分散媒体を調製した。
・スチレン 76部
・n-ブチルアクリレート 24部
・銅フタロシアニン(ピグメントブルー15:3(大日精化社製)) 6.5部
・ポリエステル樹脂3 5部
(テレフタル酸-プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)(モル比=51:50)、酸価=10mgKOH/g、ガラス転移点=70℃、Mw=10500、Mw/Mn=3.20)
・負荷電性制御剤(3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物) 0.4部
・フィシャートロプシュワックス(最大吸熱ピーク温度=75℃) 7.5部
・10.0質量%ホウ砂水溶液 19.0部
上記の材料を、アトライターを用いて3時間撹拌し、各成分を重合性単量体中に分散させ、単量体混合物を調製した。単量体混合物に重合開始剤である1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート10.0部(トルエン溶液50%)を添加し、重合性単量体組成物を調製した。この重合性単量体組成物を上記水系分散媒体中に投入し、撹拌機の回転数を10,000rpmに維持しつつ5分間造粒した。その後、高速撹拌装置をプロペラ式撹拌器に変えて、内部温度を70℃に昇温させ、ゆっくり撹拌しながら6時間反応させた。
次いで、容器内を温度80℃に昇温して4時間維持し、その後毎分1℃の冷却速度で徐々に30℃まで冷却し、スラリーを得た。スラリーを含む容器内に希塩酸を添加して分散安定剤を除去した。さらに、ろ別、洗浄、乾燥してトナー粒子6を得た。トナー粒子6の物性は、表1に示す通りである。
<トナー粒子7の製造例>
・ポリエステル樹脂1 60.0部
・ポリエステル樹脂2 40.0部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3(大日精化社製)) 6.5部
・離型剤(炭化水素ワックス、融点:79℃) 5.0部
・可塑剤(エチレングリコールジステアレート) 15.0部
・ホウ酸粉末(富士フイルム和光純薬(株)製) 1.5部
上記材料をFMミキサー(日本コークス工業(株)製)で前混合した後、二軸混練押し出し機(池貝鉄工(株)製PCM-30型))によって、溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、酢酸エチル130部を加えて、80℃に加熱して、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社)で、回転数5000rpmで1時間撹拌した後、30℃に冷却して溶解液を得た。
別の容器に、水400部、エレミノールMON-7(三洋化成工業社製)5部を投入し、30℃とした後、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社)で、回転数13000rpmで撹拌しながら上記溶解液100部を投入し、その後さらに20分間撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーは緩やかに撹拌しながら、30℃で減圧下8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、その後、洗浄、濾過、乾燥工程を経て、トナー粒子7を得た。
得られたトナー粒子7の物性を表1に示す。
Figure 2024077210000002
<窒化ホウ素粒子の製造例>
窒化ホウ素粒子はホウ酸、ホウ酸塩、あるいは融解無水ホウ酸を原料とし、合成炉でアンモニアと反応させて窒化還元させ、その後高純度化、結晶化処理を経て窒化ホウ素粒子を得る。このときホウ酸とアンモニアの混合比、触媒種、反応温度、反応時間を調整して種々の窒化ホウ素粒子(A1~A12)を調製した。
表2中には、窒化ホウ素粒子をはじめとする無機微粒子Aの結晶系、GI値、一次粒子の個数平均粒径、各粒子の長径D(nm)と厚さT(nm)の比D/Tおよび酸素原子の含有量を記載する。
Figure 2024077210000003
<トナー1の製造例>
上記トナー粒子1に、外添を行った。100.0部のトナー粒子1、0.50部の無機微粒子A1、0.80部のシリカ微粒子(ヘキサメチルジシラザン20質量%で表面処理、一次粒径16nm)および、2.00部の酸化チタン粒子(石原産業社;FTL-100、長径1.7μm、アスペクト比10)を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて周速38m/secで5分間乾式混合して、トナー1を得た。得られたトナー1の物性を表3に示す。
<トナー2~26の製造例>
トナー粒子、無機微粒子Aの種類と添加量および酸化チタン粒子の添加量を表3のようにした以外は、トナー1の製造例と同じようにしてトナー2~26を得た。得られたトナー2~26の物性を表3に示す。
Figure 2024077210000004
〔実施例1〕
得られたトナー1を用いて、以下の評価を行った。
(試験)
市販のキヤノン製レーザービームプリンタ「LBP9900Ci」の改造機を用いた。 改造点は、評価機本体のギア及びソフトウェアを変更することにより、現像ローラーの回転数をドラムに対して2倍の周速で回転するように設定した。また、当該レーザービームプリンタ内の前露光装置を撤去した。以上のような改造を施すことで、トナーからの外添剤の移行が促進され、画像濃度変化、長期通紙後の静電潜像担持体からのトナー転写性およびトナー帯電レベルを評価する上では、より厳しいモードとなる。
次に、電子写真装置、プロセスカートリッジを、測定環境にならす目的で、23℃50%RHの環境に48時間放置した。放置後、同じく常温常湿環境下(23℃/50%RH)にて、LETTERサイズのBusiness4200用紙(XEROX社製、75g/m2)に左右に余白を50mmずつとり中央部に、4.0%の印字率の画像を横方向で40,000枚までプリントアウトして、初期と40,000枚出力後に評価を行った。
評価を行った結果を、表4に示す。
<評価1>画像濃度維持率の評価
画像濃度の評価に関しては、上記通紙試験後の紙全面に、ベタ画像を3枚出力し、3枚目の画像を評価に用いた。X-Rite社製の分光濃度計(商品名:500シリーズ)を用いて出力画像の濃度を5点測定し、5点の平均値をとって画像濃度とし、以下の指標で判断した。
画像濃度維持率=|初期の画像濃度-通紙耐久試験後の画像濃度|/初期の画像濃度
(評価基準)
A:初期の画像濃度に対して、通紙耐久試験後の画像濃度維持率が90%以上
B:初期の画像濃度に対して、通紙耐久試験後の画像濃度維持率が80%以上90%未満
C:初期の画像濃度に対して、通紙耐久試験後の画像濃度維持率が70%以上80%未満
D:初期の画像濃度に対して、通紙耐久試験後の画像濃度維持率が70%未満
<評価2>転写安定性の評価
転写安定性の評価を行った。ベタ画像を出力し、ベタ画像形成時の静電潜像担持体上の転写残トナーを、透明なポリエステル製の粘着テープを用いてテーピングして剥ぎ取った。剥ぎ取った粘着テープを紙上に貼ったものの濃度から、粘着テープのみを紙上に貼ったものの濃度を差し引いた濃度差を算出した。
40,000枚通紙後に上記操作を行い、その濃度差の値から、以下のようにして判定した。なお、濃度はX-Riteカラー反射濃度計(X-Rite社製、X-Rite500シリーズ)で測定した。
(評価基準)
A:40,000枚通紙後の濃度差が0.05未満
B:40,000枚通紙後の濃度差が0.05以上0.11未満
C:40,000枚通紙後の濃度差が0.11以上0.40未満
D:40,000枚通紙後の濃度差が0.40以上
<評価3>帯電量及び帯電安定性評価
上記試験の初期(10枚通紙後)及び4万枚通紙後に、トナーカートリッジ内の現像担持体上のトナーの帯電量(μC/g)を、ブローオフ粉体帯電量測定装置TB-200(東芝ケミカル社製)を用いて測定し、帯電性及び帯電安定性の評価を行った。
帯電量の数値が大きいほど、帯電性が高く、かつ初期と4万枚通紙後の帯電量の差が小さいほど、帯電安定性が良いトナーである。帯電量、帯電安定性の評価ランクを下記のように決め評価した。
[評価基準]
(初期帯電量)
A:帯電量が-30.0μC/g未満
B:帯電量が-30.0μC/g以上-27.5μC/g未満
C:帯電量が-27.5μC/g以上-22.5μC/g未満
D:帯電量が-22.5μC/g以上
(帯電安定性)
初期と4万枚通紙後の帯電量の差が、
A:-2.0μC/g未満
B:-2.0μC/g以上-4.0μC/g未満
C:-4.0μC/g以上-6.0μC/g未満
D:-6.0μC/g以上
〔実施例2~22〕
トナー2~22を用いる以外は実施例1と同様にして評価を行った。評価を行った結果を、表4に示す。
〔比較例1~4〕
トナー23~26を用いる以外は実施例1と同様にして評価を行った。評価を行った結果を、表4に示す。
Figure 2024077210000005

Claims (9)

  1. 結着樹脂を含有するトナー粒子および無機微粒子を含有するトナーであって、
    ATR結晶にゲルマニウムを用いた該トナー粒子に対するATR-IR分析において、ホウ酸に対応するピークが検出され、
    該無機微粒子として周期表第13族元素の窒化物である無機微粒子Aを有し、該無機微粒子AはX線回折分析より得られる結晶構造が六方晶系であることを特徴とするトナー。
  2. 前記無機微粒子Aの個数平均一次粒径が300nm以上2000nm以下であり、前記無機微粒子Aの長径D(nm)と厚さT(nm)の比D/Tが3以上55以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記トナー粒子中のホウ酸の含有割合が、0.1質量%以上10.0質量%以下である請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記無機微粒子Aが、前記トナー粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.00質量部以下の量で含有されている請求項1または2に記載のトナー。
  5. 前記無機微粒子Aが、窒化ホウ素粒子、または窒化アルミ粒子である請求項1または2に記載のトナー。
  6. 前記窒化ホウ素粒子が、粉末X線回折法による結晶化度GI値が1.60以上35.0以下である請求項5に記載のトナー。
  7. 前記無機微粒子Aに含まれる酸素量が、0.05質量%以上3.00質量%以下である請求項1または2に記載のトナー。
  8. ポリカーボネート薄膜による付着力測定法で前記トナーを測定した際の、ポリカーボネート薄膜全面を100面積%としたときの前記無機微粒子Aの付着量が0.50面積%以下である請求項1または2に記載のトナー。
  9. 前記トナー粒子はATR-IR分析において、ホウ酸由来のピーク強度IBおよびカルボニル基由来のピーク強度ICが検出され、それらの比IB/ICが0.02以上0.30以下である請求項1または2に記載のトナー。
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