JP2024076370A - 皮膚表上脂質検体内部標準遺伝子 - Google Patents

皮膚表上脂質検体内部標準遺伝子 Download PDF

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Abstract

【課題】乳幼児の皮膚表上脂質検体に含まれる目的遺伝子の発現量を測定する際に用いる内部標準遺伝子及び該内部標準遺伝子を用いる乳幼児の皮膚表上脂質検体に含まれる目的遺伝子の発現量の測定方法の提供。【解決手段】PCRにおいて特定の30遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子を内部標準遺伝子として用いることを含む、乳幼児の皮膚表上脂質検体に含まれる目的遺伝子の発現量を測定する方法。【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚表上脂質検体内部標準遺伝子及びこれを用いる遺伝子発現量測定方法に関する。
検体に含まれる目的遺伝子の発現解析には、以前にはノーザンブロット法が用いられていたが、近年では、簡便性に優れ、微量なDNA又はRNAからでも解析可能なリアルタイムPCR法に代表されるPCR法が汎用されている。リアルタイムPCR法による目的遺伝子の発現量の定量解析にあたっては、大きく分けて絶対定量法及び相対定量法が用いられる。絶対定量法は、コピー数等の絶対量が既知の標準サンプルから検量線を作成し、これを利用して検体中の目的遺伝子の発現量の絶対量を定量する手法である。これに対し、相対定量法は、検体中の目的遺伝子の発現量を内部標準遺伝子の発現量で補正し、目的遺伝子の相対的な発現量を定量する手法である。
内部標準遺伝子は、組織間や実験系により発現量が変動しない遺伝子であることが重要であり、一般的にはGAPDHやACTBといったハウスキーピング遺伝子が用いられる。しかしながら、ハウスキーピング遺伝子であっても、組織によって発現が変動し、内部標準遺伝子として機能し得ない場合があることが報告されている(非特許文献1及び2)。
表皮角化細胞を用いた研究においては、GAPDH、1B15、RPLP0、actin、tubulinをはじめとするハウスキーピング遺伝子が内部標準遺伝子として利用されてきたが、RPLP0は内部標準遺伝子として有用であるものの、全てのハウスキーピング遺伝子が内部標準遺伝子として適しているわけではないことが報告されている(非特許文献3)。
一方、特許文献1には、皮膚表上脂質(skin surface lipids;SSL)に被験体の皮膚細胞に由来するRNAが含まれていること、SSLに含まれるRNAが生体の遺伝子発現解析用の試料として有用であること、SSLから表皮、汗腺、毛包及び皮脂腺のマーカー遺伝子が検出できることが記載されている。しかし、SSLを用いた遺伝子発現解析における適切な内部標準遺伝子については明らかになっていない。
国際公開公報第2018/008319号公報
Journal of Investigative Dermatology, 2009, 129(3):535-537 Acta Biochem Biophys Sin, 2014, 46(4):330-337 Journal of Investigative Dermatology, 2009, 129(3):770-773
本発明は、乳幼児のSSLに含まれる目的遺伝子の発現量をより正確に測定するための内部標準遺伝子と、該内部標準遺伝子を用いる乳幼児のSSLに含まれる目的遺伝子の発現量の測定方法を提供することに関する。
本発明者らは、乳幼児のSSL検体の網羅的遺伝子発現データを分析することにより、検体間の発現変動が小さい30遺伝子を見出し、該遺伝子が定量的PCR(qPCR)における内部標準遺伝子として優れていることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の(1)~(3)に係るものである。
(1)PCRにおいて下記表1に示される遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子を内部標準遺伝子として用いることを含む、乳幼児のSSL検体に含まれる目的遺伝子の発現量を測定する方法。
(2)前記内部標準遺伝子と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する、(1)の方法に用いられる乳幼児のSSL検体に含まれる目的遺伝子の発現量の測定用キット。
(3)下記表1に示される遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子の、PCRを用いた乳幼児のSSL検体に含まれる目的遺伝子の発現量の測定における内部標準遺伝子としての使用。
本発明の内部標準遺伝子は、乳幼児のSSL検体間における発現変動が小さく、特に一般的に内部標準遺伝子として使用される公知のハウスキーピング遺伝子であるGAPDH及びACTBと比較して発現変動が小さい。qPCRにおける内部標準遺伝子として該内部標準遺伝子を用いることで、乳幼児のSSLに含まれる目的遺伝子の発現量をより正確に測定することが可能となる。
本明細書中で引用された全ての特許文献、非特許文献、及びその他の刊行物は、その全体が本明細書中において参考として援用される。
本明細書において、「核酸」、「ヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」又は「ポリヌクレオチド」と云う用語は、DNA又はRNAを意味する。DNAには、cDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAのいずれもが含まれ、RNAには、total RNA、mRNA、rRNA、tRNA、non-coding RNA及び合成のRNAのいずれもが含まれる。
本明細書において、「遺伝子」とは、ヒトゲノムDNAを含む2本鎖DNAの他、cDNAを含む1本鎖DNA(正鎖)、当該正鎖と相補的な配列を有する1本鎖DNA(相補鎖)、及びこれらの断片を包含するものであって、DNAを構成する塩基の配列情報の中に、何らかの生物学的情報が含まれているものを意味する。
また、当該「遺伝子」は特定の塩基配列で表される「遺伝子」だけではなく、これらの同族体(すなわち、ホモログもしくはオーソログ)、遺伝子多型等の変異体、及び誘導体をコードする核酸が包含される。
本明細書中に開示される遺伝子の名称(Gene Symbol)及びGene IDは、NCBI([www.ncbi.nlm.nih.gov/])に記載のあるOfficial Symbol及びGene IDに従う。
本明細書において、「内部標準遺伝子」とは、内在性コントロール遺伝子やリファレンス遺伝子ともいい、遺伝子発現解析において目的遺伝子の発現量の補正(標準化)の基準となる遺伝子のことを意味する。「補正」は、典型的には、目的遺伝子の発現量を内部標準遺伝子の発現量で割ることにより為される。「発現量」又は「量」は、発現の絶対量及び他の遺伝子の発現量等に対する相対発現量を包含する。
また、本明細書において、「ハウスキーピング遺伝子」とは、細胞の維持や増殖に不可欠な遺伝子であって、多くの組織や細胞に共通して一定量発現する遺伝子のことを意味する。一般的なハウスキーピング遺伝子としては、例えば、GAPDH、ACTB等が知られている(Genome Analysis, 2003, 19(7):362-365参照)。
本明細書において、「乳幼児」とは、広義には第2次性徴が開始する前の「小児」、具体的には15歳以下の小児を含めた概念であり、好ましくは小学校就学前の小児・乳幼児、具体的には0歳から6歳までの乳幼児を指し、より好ましくは0~69か月齢の乳幼児を指す。
本明細書において、「皮膚表上脂質(skin surface lipids;SSL)」とは、皮膚の表上に存在する脂溶性画分をいい、皮脂と呼ばれることもある。一般に、SSLは、皮膚にある皮脂腺等の外分泌腺から分泌された分泌物を主に含み、皮膚表面を覆う薄い層の形で皮膚表上に存在している。SSLは、皮膚細胞で発現したRNAを含む(前記特許文献1参照)。本明細書において、被験乳幼児から採取したSSLをSSL検体ともいう。
本明細書において、「皮膚」とは、特に限定しない限り、角層、表皮、真皮、毛包、ならびに汗腺、皮脂腺及びその他の腺などの組織を含む領域の総称である。
本発明の表1に示される30種の遺伝子は、後述する実施例に示すように、被験乳幼児間でSSL由来RNAの発現量の変動が小さいことが見出された遺伝子である。
Figure 2024076370000001
表1に示される30遺伝子は、乳幼児男女261名の被験者のSSLから抽出されたRNAの発現量のデータ(リードカウント値)を基に、正規化手法としてRLE法を用いて、遺伝子検出率が70%以上の遺伝子を解析対象として発現量のデータを正規化した結果、安定発現を認めた遺伝子である。発現安定性の評価には、CV Z-scoreを指標として使用した。「CV Z-score」とは、分布の平均値からの測定値のずれを示し、測定値と分布の平均値の差を分布の標準偏差で割ることで算出される変動係数(CV)を標準化して得られる値(Z-score)であり、CV Z-scoreの値が小さい程、遺伝子発現のバラつきが小さいことを示している(CV Z-score自体の平均値は0、標準偏差は1である)。本発明では、CV Z-scoreを発現安定性の評価指標とし、これが-1.874以下の遺伝子を安定発現している遺伝子と判定した。上記30遺伝子は、後記の実施例に示すように、一般的に内部標準遺伝子として好適とされる公知のハウスキーピング遺伝子であるGAPDH(CV Z-score:-1.813)及びACTB(CV Z-score:-1.874)、さらに表皮角化細胞の遺伝子発現解析における内部標準遺伝子として好適なRPLP0(CV Z-score:-1.859)と比較して、CV Z-scoreが同等かそれよりも小さく、SSLにおいて安定発現していることが確認された。
したがって、斯かる30遺伝子からなる群より選択される遺伝子は、乳幼児のSSLに含まれる目的遺伝子の発現量を測定する際の、qPCRにおける内部標準遺伝子(以下、本発明の内部標準遺伝子ともいう)として使用できる。内部標準遺伝子としては、いずれか1遺伝子を単独で用いてもよいし、2以上の遺伝子を組み合わせて用いてもよい。
本発明の内部標準遺伝子は、好ましくはPCBP2、RPL30、ARPC2、UBA52、RAB7A、RAC1、ARL8B、RPL32、PCBP1、BZW1、H3F3A、RPS8、FAU、RPL4、EEF1G、及びARF1の16遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子であり、より好ましくはARF1、RPL30及びFAUより選択される少なくとも1種の遺伝子であり、さらに好ましくはARF1又はRPL30であり、よりさらに好ましくはARF1である。
また、上記30遺伝子のうち、PCBP2、RPL30、UBA52、RAB7A、ARL8B、PCBP1、BZW1、RPS8、RPL4、EEF1G、FTL、RPL12、CLIC1、RAB11FIP1、PSAP、及びCD63の16遺伝子は、これまでにハウスキーピング遺伝子であるとの報告がない遺伝子であり、内部標準遺伝子として機能し得ることは全く意外であった。よって、一実施形態において、本発明の内部標準遺伝子は、好ましくは上記16遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子であり、より好ましくはPCBP2、RPL30、UBA52、RAB7A、ARL8B、PCBP1、BZW1、RPS8、RPL4、及びEEF1Gの10遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子であり、さらに好ましくはRPL30である。
なお、本発明の内部標準遺伝子には、遺伝子発現解析における内部標準となり得る限り、当該遺伝子を構成するDNAの塩基配列と実質的に同一の塩基配列を有する遺伝子も包含される。ここで、実質的に同一の塩基配列とは、例えば、相同性計算アルゴリズムNCBI BLASTを用い、期待値=10;ギャップを許す;フィルタリング=ON;マッチスコア=1;ミスマッチスコア=-3の条件にて検索をした場合、当該遺伝子を構成するDNAの塩基配列と90%以上、好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上の同一性があることを意味する。
本発明の内部標準遺伝子は、乳幼児のSSL検体に含まれる目的遺伝子の発現量の測定方法(以下、本発明の方法ともいう)に好適に用いられる。一実施形態において、本発明の方法は、乳幼児のSSL検体について、目的遺伝子の増幅産物の量を内部標準遺伝子の増幅産物の量で補正し、目的遺伝子の発現量を算出することを含む。好ましい一実施形態において、本発明の方法は、乳幼児のSSL検体について、目的遺伝子を増幅すること、内部標準遺伝子を増幅すること、及び目的遺伝子の増幅産物の量を内部標準遺伝子の増幅産物の量で補正し、目的遺伝子の発現量を算出することを含む。より好ましい一実施形態において、本発明の方法は、被験乳幼児から採取したSSL検体からRNAを抽出すること、抽出されたRNAを基にして目的遺伝子を増幅すること、抽出されたRNAを基にして内部標準遺伝子を増幅すること、及び目的遺伝子の増幅産物の量を内部標準遺伝子の増幅産物の量で補正し、目的遺伝子の発現量を算出することを含む。
本発明において、目的遺伝子は、特に限定されず、乳幼児のSSL検体に含まれ得る遺伝子であればよく、1種であっても2種以上であってもよい。
被験乳幼児の皮膚からのSSLの採取には、皮膚からのSSLの回収又は除去に用いられているあらゆる手段を採用することができる。好ましくは、後述するSSL吸収性素材、SSL接着性素材、又は皮膚からSSLをこすり落とす器具を使用することができる。SSL吸収性素材又はSSL接着性素材としては、SSLに親和性を有する素材であれば特に限定されず、例えばポリプロピレン、パルプ等が挙げられる。皮膚からのSSLの採取手順のより詳細な例としては、あぶら取り紙、あぶら取りフィルム等のシート状素材へSSLを吸収させる方法、ガラス板、テープ等へSSLを接着させる方法、スパーテル、スクレイパー等によりSSLをこすり落として回収する方法、等が挙げられる。SSLの吸着性を向上させるため、脂溶性の高い溶媒を予め含ませたSSL吸収性素材を用いてもよい。一方、SSL吸収性素材は、水溶性の高い溶媒や水分を含んでいるとSSLの吸着が阻害されるため、水溶性の高い溶媒や水分の含有量が少ないことが好ましい。SSL吸収性素材は、乾燥した状態で用いることが好ましい。SSLが採取される皮膚の部位としては、特に限定されず、頭、顔、首、体幹、手足等の身体の任意の部位の皮膚が挙げられ、皮脂の分泌が多い部位、例えば顔の皮膚が好ましい。
被験乳幼児から採取されたRNA含有SSL検体は、直ちに後述のRNA抽出工程に用いられてもよく、又は、一定期間保存されてもよい。採取されたSSL検体は、含有するRNAの分解を極力抑えるために、採取後できるだけ速やかに低温条件で保存することが好ましい。本発明における該RNA含有SSLの保存の温度条件は、0℃以下であればよく、好ましくは-20±20℃~-80±20℃、より好ましくは-20±10℃~-80±10℃、さらに好ましくは-20±20℃~-40±20℃、さらに好ましくは-20±10℃~-40±10℃、さらに好ましくは-20±10℃、さらに好ましくは-20±5℃である。該RNA含有SSL検体の該低温条件での保存の期間は、特に限定されないが、好ましくは12ヶ月以下、例えば6時間以上12ヶ月以下、より好ましくは6ヶ月以下、例えば1日間以上6ヶ月以下、さらに好ましくは3ヶ月以下、例えば3日間以上3ヶ月以下である。
本発明の方法においては、好ましい態様として、乳幼児のSSL検体に含まれるRNAを抽出し、逆転写によりcDNAに変換し、該cDNAを鋳型として目的遺伝子及び内部標準遺伝子をPCRで増幅した後、その増幅産物が測定される。
SSLからのRNAの抽出には、生体試料からのRNAの抽出又は精製に通常使用される方法、例えば、フェノール/クロロホルム法、AGPC(acid guanidinium thiocyanate-phenol-chloroform extraction)法、又はTRIzol(登録商標)、RNeasy(登録商標)、QIAzol(登録商標)等のカラムを用いた方法、シリカをコーティングした特殊な磁性体粒子を用いる方法、Solid Phase Reversible Immobilization磁性体粒子を用いる方法、ISOGEN等の市販のRNA抽出試薬による抽出等を用いることができる。
該逆転写には、解析したい特定のRNAを標的としたプライマーを用いてもよいが、より包括的な核酸の保存及び解析のためにはランダムプライマーを用いることが好ましい。該逆転写には、一般的な逆転写酵素又は逆転写試薬キットを使用することができる。好適には、正確性及び効率性の高い逆転写酵素又は逆転写試薬キットが用いられ、その例としては、M-MLV Reverse Transcriptase及びその改変体、あるいは市販の逆転写酵素又は逆転写試薬キット、例えばPrimeScript(登録商標)Reverse Transcriptaseシリーズ(タカラバイオ社)、SuperScript(登録商標)Reverse Transcriptaseシリーズ(Thermo Scientific社)等が挙げられる。SuperScript(登録商標)III Reverse Transcriptase、SuperScript(登録商標)VILO cDNA Synthesis kit(いずれもThermo Scientific社)等が好ましく用いられる。
該逆転写における伸長反応は、温度を好ましくは42℃±1℃、より好ましくは42℃±0.5℃、さらに好ましくは42℃±0.25℃に調整し、一方、反応時間を好ましくは60分間以上、より好ましくは80~120分間に調整するのが好ましい。
逆転写で得られたcDNAを鋳型とした目的遺伝子又は内部標準遺伝子の増幅は、当該分野で通常用いられるPCRの手順に従って実施することができる。PCRの手法としては、conventional PCR、マルチプレックスPCR、リアルタイムPCR(定量PCR(quantitative PCR;qPCR)ともいう)、マルチプレックスリアルタイムPCR、デジタルPCR等が挙げられる。
ここで、逆転写によるcDNA合成(RT)及びPCRは、1ステップで行ってもよく、2ステップで行ってもよく、目的に応じていずれかを適宜選択すればよい。1ステップRT-PCRは、単一チューブ内でRT及びPCRの一連の反応を連続的に行うもので、簡便性に優れ、RTとPCRの操作間のコンタミネーションを防止することができる。一方、2ステップRT-PCRでは、RTにランダムプライマーを使用することができるため、単一のRNA検体から複数の目的遺伝子の発現量を測定することができる。RT-PCRにおけるPCRとしては、上記のPCRと同様のものが挙げられる。
PCRでは、解析したい特定のDNAを標的としたプライマーペアを用いて該特定のDNAのみを増幅してもよいが、複数のプライマーペアを用いて複数のDNAを同時に増幅してもよい。複数のDNAを同時に増幅する手法としては、マルチプレックスPCR及びマルチプレックスリアルタイムPCRが挙げられる。鋳型DNA量の誤差を抑制してより正確に発現量を測定できる点で、目的遺伝子及び内部標準遺伝子を同時に増幅するマルチプレックス解析を行うことが好ましい。かかるマルチプレックス解析は、市販のキット(例えば、Ion AmpliSeqTranscriptome Human Gene Expression Kit;ライフテクノロジーズジャパン株式会社等)を用いて実施することができる。
増幅産物の検出には、増幅産物を特異的に認識することができる公知の手段を用いることができる。例えば、予めRI、蛍光物質等で標識しておいたプライマーを用いてPCRを行うことによって産生される標識二本鎖DNAを検出する方法等を用いることができる。
本発明においては、定量的PCR(qPCR)の手法として、PCRの増幅産物量をリアルタイムでモニターし解析するリアルタイムPCR又はマルチプレックスリアルタイムPCRを用いるのが、迅速性、簡便性及び定量性の点から好ましい。リアルタイムPCR又はマルチプレックスリアルタイムPCRにおける増幅産物の検出法としては、当該分野で通常用いられる方法、例えば、インターカレーター法、TaqMan(登録商標)プローブ法等が挙げられる。
インターカレーター法は、二本鎖DNAに入り込むことで蛍光を発する物質(インターカレーター、例えば、SYBR(登録商標) GreenI等)をPCR反応系に共存させ、増幅産物の生成に伴って増加する蛍光を検出することで増幅産物量をモニターする方法である。
TaqManプローブ法は、5’末端を蛍光物質(FAM等)で、3’末端をクエンチャー物質(TAMRA等)で修飾した標的配列特異的なオリゴヌクレオチド(TaqManプローブ)をPCR反応系に共存させる方法である。該方法では、TaqManプローブがPCR反応のアニーリングステップで鋳型DNAに特異的にハイブリダイズするが、この状態では、プローブ上にクエンチャー物質が存在するため、励起光を照射しても蛍光の発生は抑制される。次いで、伸長反応ステップのときに、Taq DNAポリメラーゼのもつ5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により、鋳型にハイブリダイズしたTaqManプローブが分解されると、蛍光物質がプローブから遊離し、クエンチャー物質による抑制が解除されて蛍光を発する。該蛍光を検出することで増幅産物量をモニターすることができる。
PCRの条件は、特に限定されず、PCR毎に最適条件を定めればよいが、例えば、以下の条件が挙げられる。
1)2本鎖DNAの1本鎖DNAへの熱変性:温度は好ましくは94~99℃で、時間は10~60秒間である。
2)アニーリング:温度は、通常50℃以上、好ましくは52℃以上、より好ましくは55℃以上であり、通常65℃以下、好ましくは63℃以下、より好ましくは60℃以下である。また、通常50~65℃、好ましくは52~63℃、より好ましくは55~60℃である。時間は、通常5秒以上、好ましくは10秒以上であり、通常2分以下、好ましくは1分以下である。また、通常5秒~2分、好ましくは10秒~1分である。
3)DNA伸長反応:温度は、通常65℃以上、好ましくは68℃以上であり、通常74℃以下、好ましくは72℃以下である。また、通常65~74℃程度、好ましくは68~72℃である。時間は、通常5秒以上、好ましくは10秒以上であり、通常2分以下、好ましくは1分以下である。また、通常5秒~2分、好ましくは10秒~1分である。
ここで、アニーリングとDNA伸長反応は分けずに同時に行うことも可能である。
上記1)~3)の反応を1サイクルとして、これを通常30サイクル以上、好ましくは35サイクル以上、また、通常50サイクル以下、好ましくは45サイクル以下で行えばよい。
上記のような温度及び時間での逆転写及びPCRは、一般的にPCRに使用されるサーマルサイクラー又はサーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化したリアルタイムPCR専用の装置を用いて行うことができる。
PCRの増幅産物の鎖長は、PCRの増幅時間の短縮等の要素を勘案して適宜選択することができる。例えば、PCR増幅産物の鎖長は、1000bp以下が好ましく、700bp以下がより好ましく、500bp以下がさらに好ましい。一方、PCR増幅産物の鎖長は、PCRにおける非特異的ハイブリダイズを避けられる15塩基付近のプライマーを使用する場合のPCR増幅産物の鎖長である30~40bpが下限となり、50bp以上が好ましく、100bp以上がより好ましい。また、PCR増幅産物の鎖長は、30~1000bpが好ましく、50~700bpがより好ましく、100~500bpがさらに好ましい。
上記の測定に用いられるプローブ又はプライマー、すなわち、目的遺伝子、内部標準遺伝子、又はそれらに由来する核酸を特異的に認識し増幅するためのプライマー、又は該目的遺伝子、内部標準遺伝子、又はそれらに由来する核酸を特異的に検出するためのプローブがこれに該当するが、これらは、該目的遺伝子又は内部標準遺伝子を構成する塩基配列に基づいて設計することができる。ここで「特異的に認識する」とは、例えばRT-PCR法において、実質的に目的遺伝子、内部標準遺伝子又はそれに由来する核酸のみが増幅される如く、該検出物又は生成物が該遺伝子又はそれに由来する核酸であると判断できることを意味する。
具体的には、本発明の目的遺伝子又は内部標準遺伝子を構成する塩基配列からなるDNA又はその相補鎖に相補的な一定数のヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを利用することができる。ここで「相補鎖」とは、A:T(RNAの場合はU)、G:Cの塩基対からなる2本鎖DNAの一方の鎖に対する他方の鎖を指す。また、「相補的」とは、当該一定数の連続したヌクレオチド領域で完全に相補配列である場合に限られず、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上の塩基配列上の同一性を有すればよい。塩基配列の同一性は、前記BLAST等のアルゴリズムにより決定することができる。
斯かるオリゴヌクレオチドは、プライマーとして用いる場合には、特異的なアニーリング及び鎖伸長ができればよく、通常、例えば10塩基以上、好ましくは15塩基以上、より好ましくは20塩基以上、かつ例えば100塩基以下、好ましくは50塩基以下、より好ましくは35塩基以下の鎖長を有するものが挙げられる。また、プローブとして用いる場合には、特異的なハイブリダイゼーションができればよく、本発明の目的遺伝子又は内部標準遺伝子を構成する塩基配列からなるDNA(又はその相補鎖)の少なくとも一部若しくは全部の配列を有し、例えば10塩基以上、好ましくは15塩基以上、かつ例えば100塩基以下、好ましくは50塩基以下、より好ましくは25塩基以下の鎖長のものが用いられる。
なお、ここで、「オリゴヌクレオチド」は、DNAあるいはRNAであることができ、合成されたものでも天然のものでもよい。また、ハイブリダイゼーションに用いるプローブは、通常標識したものが用いられる。
PCRの鋳型DNA量が微量である場合や標的配列に類似する配列が多い場合には、ネステッドPCRにより増幅産物の収率及び特異性を高めることができる。ネステッドPCRでは、第1のプライマーペアを用いて1ラウンド目のPCRを行い、標的配列を増幅し、次いで増幅産物を鋳型として第1のプライマーペアによる増幅領域の内側に設計された第2のプライマーペアを用いて2ラウンド目のPCRを行い、増幅産物を得ることができる。定量性の点から、2ラウンドのPCRのうち少なくとも2ラウンド目のPCRは、リアルタイムPCR又はマルチプレックスリアルタイムPCRとするのが好ましい。
斯くして、乳幼児のSSL検体から抽出されたRNAを基にして、目的遺伝子及び内部標準遺伝子が増幅され、該増幅産物に基づいて目的遺伝子の発現量が算出される。目的遺伝子の発現量は、当該分野で通常用いられる相対定量法に従って算出することができる。該相対定量法としては、例えば、目的遺伝子の増幅産物と内部標準遺伝子の増幅産物を電気泳動に供し、ゲル上のバンドの濃さを比較して、内部標準遺伝子に対する目的遺伝子の相対発現量を算出する手法、リアルタイムPCRの相対定量の手法として公知の検量線法、-ΔCt法、ΔΔCt法(比較Ct法)等が挙げられる。相対定量法のうち、検量線が不要である点で-ΔCt法又はΔΔCt法が好ましい。
相対定量の手法として検量線法を用いる場合は、例えば、下記のように相対定量を行えばよい。まず、標準サンプルの希釈系列を調製し、これを鋳型として目的遺伝子及び内部標準遺伝子のそれぞれをPCRで増幅し、Ct値を求める。ここで、Ct値とは、PCRの増幅産物量が一定量に達するときのサイクル数(threshold cycle)を意味する。PCRでは、理論的には1サイクルごとに増幅産物が2倍ずつ増えるため、標準サンプルの濃度と決定したCt値をプロットすると、両者は直線で表される関係となり、これを検量線として用いることができる。次いで、検体についても、同条件下でPCRを行い、Ct値を求め、この値と検量線から、検体中の目的遺伝子及び内部標準遺伝子の定量結果を得る。さらに、目的遺伝子の定量結果を内部標準遺伝子の定量結果で割ることで、目的遺伝子の発現量を内部標準遺伝子の発現量で補正し、目的遺伝子の発現量を算出する。目的遺伝子の発現量は、検体間の発現量の差を把握しやすいように、ある検体の結果を1とした場合の相対量として表してもよい。
相対定量の手法として-ΔCt法を用いる場合は、例えば、下記のように相対定量を行えばよい。まず、検体A中の目的遺伝子及び内部標準遺伝子のそれぞれをPCRで増幅し、Ct値を求め、目的遺伝子のCt値と内部標準遺伝子のCt値の差(ΔCt)を算出する。ここで、ΔCtは、目的遺伝子の定量結果を内部標準遺伝子の定量結果で補正した値である。比較対象の検体Bについても、同条件下でPCRを行い、Ct値及びΔCtを求める。次いで、得られたΔCtを、式(2-ΔCt)に代入し、算出された相対発現量に基づき、検体AとBの間の発現量の比較を行う。
相対定量の手法としてΔΔCt法を用いる場合は、例えば、下記のように相対定量を行えばよい。まず、検体A中の目的遺伝子及び内部標準遺伝子のそれぞれをPCRで増幅し、Ct値を求め、目的遺伝子のCt値と内部標準遺伝子のCt値の差(ΔCt)を算出する。ここで、ΔCtは、目的遺伝子の定量結果を内部標準遺伝子の定量結果で補正した値である。比較対象の検体Bについても、同条件下でPCRを行い、Ct値及びΔCtを求める。次いで、検体AのΔCtと検体BのΔCtの差(ΔΔCt)を求める。ここで、ΔΔCtは、検体間の目的遺伝子の発現量の差を反映する値である。さらに、得られたΔΔCtを、式(2-ΔΔCt)に代入する。ここで得られる値は、検体Aにおける目的遺伝子の発現量が検体Bにおける目的遺伝子の発現量より何倍発現が高いか又は低いかを示す。すなわち、検体Aの目的遺伝子の発現量は、検体Bにおける発現量を1とした場合の相対量として表される。
本発明の方法に用いられる乳幼児のSSL検体に含まれる目的遺伝子の発現量の測定用キットは、被験乳幼児から採取したSSLにおける本発明の内部標準遺伝子の発現量を測定するための検査試薬を含有するものである。具体的には、本発明の内部標準遺伝子又はそれに由来する核酸と特異的に結合(ハイブリダイズ)するオリゴヌクレオチド(例えば、PCR用のプライマー又はプローブ)を含む、核酸増幅、ハイブリダイゼーションのための試薬等が挙げられる。当該キットに包含されるオリゴヌクレオチドは、上述したとおり公知の方法により得ることができる。
また、当該キットには、上記核酸の他、検量線作成用標準サンプル、RT試薬、PCR試薬、標識試薬、緩衝液や、試験に必要な器具やコントロール、SSLを採取するための用具(例えば、SSLを採取するための脂取りフィルムなど)、採取したSSLを保存するための試薬、保存用の容器、採取したSSLからRNAを抽出・精製するための試薬等を含むことができる。
上述した実施形態に関し、本発明においてはさらに以下の態様が開示される。
<1>PCRにおいて下記表2に示される遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子を内部標準遺伝子として用いることを含む、乳幼児の皮膚表上脂質検体に含まれる目的遺伝子の発現量を測定する方法。
Figure 2024076370000002
<2>目的遺伝子の増幅産物の量を内部標準遺伝子の増幅産物の量で補正し、目的遺伝子の発現量を算出すること、をさらに含む、<1>の方法。
<3>目的遺伝子を増幅すること;
内部標準遺伝子を増幅すること;及び
目的遺伝子の増幅産物の量を内部標準遺伝子の増幅産物の量で補正し、目的遺伝子の発現量を算出すること、をさらに含む、<1>の方法。
<4>被験乳幼児から採取した皮膚表上脂質検体からRNAを抽出すること;
抽出されたRNAを基にして目的遺伝子を増幅すること;
抽出されたRNAを基にして内部標準遺伝子を増幅すること;及び
目的遺伝子の増幅産物の量を内部標準遺伝子の増幅産物の量で補正し、目的遺伝子の発現量を算出すること、をさらに含む、<1>の方法。
<5>被験乳幼児から採取した皮膚表上脂質検体からRNAを抽出すること;
抽出されたRNAを鋳型としてcDNAを合成すること;
得られたcDNAを鋳型として目的遺伝子を増幅すること;
得られたcDNAを鋳型として内部標準遺伝子を増幅すること;及び
目的遺伝子の増幅産物の量を内部標準遺伝子の増幅産物の量で補正し、目的遺伝子の発現量を算出すること、をさらに含む、<1>の方法。
<6>前記内部標準遺伝子が好ましくはPCBP2、RPL30、ARPC2、UBA52、RAB7A、RAC1、ARL8B、RPL32、PCBP1、BZW1、H3F3A、RPS8、FAU、RPL4、EEF1G、及びARF1からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子、より好ましくはARF1、RPL30及びFAUより選択される少なくとも1種の遺伝子であり、さらに好ましくはARF1又はRPL30であり、よりさらに好ましくはARF1である、<1>~<5>のいずれかの方法。
<7>前記内部標準遺伝子が好ましくはPCBP2、RPL30、UBA52、RAB7A、ARL8B、PCBP1、BZW1、RPS8、RPL4、EEF1G、FTL、RPL12、CLIC1、RAB11FIP1、PSAP、及びCD63からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子、より好ましくはPCBP2、RPL30、UBA52、RAB7A、ARL8B、PCBP1、BZW1、RPS8、RPL4、及びEEF1Gからなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子であり、さらに好ましくはRPL30である、<1>~<5>のいずれかの方法。
<8>前記目的遺伝子及び前記内部標準遺伝子をqPCRにより、好ましくはマルチプレックスqPCRにより増幅するものである、<1>~<7>のいずれかの方法。
<9>前記内部標準遺伝子と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する、<1>~<8>のいずれかの方法に用いられる乳幼児の皮膚表上脂質検体に含まれる目的遺伝子の発現量の測定用キット。
<10>前記表2に示される遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子の、PCRを用いた乳幼児の皮膚表上脂質検体に含まれる目的遺伝子の発現量の測定における内部標準遺伝子としての使用。
<11>前記目的遺伝子の発現量の測定が、目的遺伝子の増幅産物の量を内部標準遺伝子の増幅産物の量で補正し、目的遺伝子の発現量を算出すること、をさらに含む、<10>の使用。
<12>前記目的遺伝子の発現量の測定が、
目的遺伝子を増幅すること;
内部標準遺伝子を増幅すること;及び
目的遺伝子の増幅産物の量を内部標準遺伝子の増幅産物の量で補正し、目的遺伝子の発現量を算出すること、をさらに含む、<10>の使用。
<13>前記目的遺伝子の発現量の測定が、
被験乳幼児から採取した皮膚表上脂質検体からRNAを抽出すること;
抽出されたRNAを基にして目的遺伝子を増幅すること;
抽出されたRNAを基にして内部標準遺伝子を増幅すること;及び
目的遺伝子の増幅産物の量を内部標準遺伝子の増幅産物の量で補正し、目的遺伝子の発現量を算出すること、をさらに含む、<10>の使用。
<14>前記目的遺伝子の発現量の測定が、
被験乳幼児から採取した皮膚表上脂質検体からRNAを抽出すること;
抽出されたRNAを鋳型としてcDNAを合成すること;
得られたcDNAを鋳型として目的遺伝子を増幅すること;
得られたcDNAを鋳型として内部標準遺伝子を増幅すること;及び
目的遺伝子の増幅産物の量を内部標準遺伝子の増幅産物の量で補正し、目的遺伝子の発現量を算出すること、をさらに含む、<10>の使用。
<15>前記内部標準遺伝子が好ましくはPCBP2、RPL30、ARPC2、UBA52、RAB7A、RAC1、ARL8B、RPL32、PCBP1、BZW1、H3F3A、RPS8、FAU、RPL4、EEF1G、及びARF1からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子、より好ましくはARF1、RPL30及びFAUより選択される少なくとも1種の遺伝子であり、さらに好ましくはARF1又はRPL30であり、よりさらに好ましくはARF1である、<10>~<14>のいずれかの使用。
<16>前記内部標準遺伝子が好ましくはPCBP2、RPL30、UBA52、RAB7A、ARL8B、PCBP1、BZW1、RPS8、RPL4、EEF1G、FTL、RPL12、CLIC1、RAB11FIP1、PSAP、及びCD63からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子、より好ましくはPCBP2、RPL30、UBA52、RAB7A、ARL8B、PCBP1、BZW1、RPS8、RPL4、及びEEF1Gからなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子であり、さらに好ましくはRPL30である、<10>~<14>のいずれかの使用。
<17>前記目的遺伝子及び前記内部標準遺伝子をqPCRにより、好ましくはマルチプレックスqPCRにより増幅するものである、<10>~<16>のいずれかの使用。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1 SSLの採取、RNA抽出、及び網羅的遺伝子発現解析
1)被験者
乳幼児男女261名(0~69か月齢)を被験者とした。
2)SSLの採取
あぶらとりフィルム(5.0cm×8.0cm、3M社)を用いて、被験者の顔全体から皮膚表上脂質(SSL)を採取した。皮脂のクロスコンタミネーションを防ぐ為、被験者ごとに採取者のラボグローブは交換した。皮脂を採取したあぶらとりフィルムはただちに1gのモレキュラーシーブスを含むRNase-freeの遠沈管(AGCテクノグラス、遠沈管Mini 25mL)、或いは1gのモレキュラーシーブスを含む5mLチューブ(Eppendorf DNA LoBind 5mL,PCR clean)に入れ、ドライアイス上あるいは-20℃に静置し、その後-80℃にて保管した。
3)RNA抽出及びシーケンシング
上記2)の皮脂を採取したあぶらとりフィルムを適当な大きさに切断し、QIAzol Lysis Reagent(Qiagen)を用いて、付属のプロトコルに準じてRNAを抽出した。抽出されたRNAを元に、SuperScript VILO cDNA Synthesis kit(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)を用いて42℃、90分間逆転写を行いcDNAの合成を行った。逆転写反応のプライマーには、キットに付属しているランダムプライマーを使用した。
得られたcDNAから、マルチプレックスPCRにより20802遺伝子に由来するDNAを含むライブラリーを調製した。マルチプレックスPCRは、Ion AmpliSeqTranscriptome Human Gene Expression Kit(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)を用いて、[99℃、2分→(99℃、15秒→62℃、16分)×20サイクル→4℃、Hold]の条件で行った。得られたPCR産物は、Ampure XP(ベックマン・コールター株式会社)で精製した後に、バッファーの再構成、プライマー配列の消化、アダプターライゲーションと精製、増幅を行い、ライブラリーを調製した。
調製したライブラリーをIon 540 Chipにローディングし、Ion S5/XLシステム(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)を用いてシーケンシングした。シーケンシングで得られた各リード配列をヒトゲノムのリファレンス配列であるhg19 AmpliSeq Transcriptome ERCC v1に対して遺伝子マッピングすることで、各リード配列の由来する遺伝子を決定した。
実施例2 内部標準遺伝子の同定
実施例1で得られたデータを基に、以下の解析を行った。
検出率70%以上の遺伝子を解析対象とし(Gene Threshold)、RLE法にて正規化を行った。RLE法は、Size factorと呼ばれる係数を計算し、この係数を利用して各サンプルのリードカウントデータを正規化する手法である。正規化後の補正データにおいて一定割合の安定発現を認める遺伝子を選抜した。遺伝子の発現安定性は、CV Z-scoreを利用して評価した。補正データにおいて、CV Z-scoreが-1以下であるより発現安定性が高い遺伝子を抽出した結果、1636種の遺伝子が抽出された。これらCV Z-Score≦-1を認める遺伝子は、解析対象遺伝子のうち発現変動の小さい上位18.88%に該当していた。一般的に内部標準遺伝子として使用されるGAPDH及びACTBのCV Z-Scoreは、GAPDH=-1.813、ACTB=-1.874であった。また、表皮角化細胞の遺伝子発現解析における内部標準遺伝子として好適とされるRPLP0のCV Z-Scoreは、-1.859であった。
そこで発現安定性が高い前記のCV Z-Score≦-1の遺伝子のうち、ACTBと比較して、CV Z-Scoreが同等かそれよりも小さく、安定的に発現している遺伝子をさらに選抜し、計30種の遺伝子を同定した(表3)。表中、ハウスキーピング遺伝子として報告があるものに*印を付す(Genome Analysis, 2003, 19(7):362-365参照)。
該30種の遺伝子は、乳幼児のSSL由来のRNAにおいてより安定的に発現している遺伝子であり、乳幼児のSSLを解析対象試料としてその遺伝子発現を解析する場合において内部標準遺伝子として使用可能であることが示された。
Figure 2024076370000003
実施例3 リアルタイムPCRデータとNGSデータの相関性の確認1
15名の乳幼児(3~8か月齢)から皮脂を採取し、RNA抽出及び精製を行った。SSL-RNAとRT Mixとを混合し逆転写を行い、得られた逆転写反応物からマルチプレックスPCRにより20802遺伝子に由来するDNAを含むライブラリーを調製した(1st round PCR、Ion AmpliSeqTranscriptome Human Gene Expression Kit)。Ampure XPを利用し、得られた1st round PCR産物を精製した。得られた精製産物を次世代シーケンサー解析用とリアルタイムPCR測定用とに分割した。片方の精製産物は、バッファーの再構成、プライマー配列の消化、アダプターライゲーションと精製、増幅を行い、次世代シーケンサー解析により網羅的遺伝子発現情報を取得し、NGSデータとした。分割したもう一方の1st round PCR精製産物は、リアルタイムPCR測定のテンプレートとし、1st round PCR増幅領域の内側に設計したプライマー(nested primer)を用いて、Real-time PCRを行った。15サンプルそれぞれについて、目的遺伝子(target gene)として選定した14種の遺伝子及び内部標準遺伝子(control gene)としてARF1のCt値を取得した。Ct値の差分(ΔCt値;ΔCt=Ct_target gene-Ct_control gene)を算出し、qPCRデータとした。14種の目的遺伝子に関して、qPCRデータとNGSデータ(Log2(normalized count+1))間のデータ相関性を確認した結果、有意に正相関しており(Spearman’s rank correlation Coefficient=0.780、p-value<0.01)、ARF1補正で算出したqPCRデータがNGSデータと同等であることが確認された。
実施例4 リアルタイムPCRデータとNGSデータの相関性の確認2
16名の乳幼児(3~24か月齢)から皮脂を採取し、RNA抽出及び精製を行った。SSL-RNAとRT Mixとを混合し逆転写を行い、得られた逆転写反応物からマルチプレックスPCRにより20802遺伝子に由来するDNAを含むライブラリーを調製した(1st round PCR、Ion AmpliSeqTranscriptome Human Gene Expression Kit)。Ampure XPを利用し、得られた1st round PCR産物を精製した。得られた精製産物を次世代シーケンサー解析用とリアルタイムPCR測定用とに分割した。片方の精製産物は、バッファーの再構成、プライマー配列の消化、アダプターライゲーションと精製、増幅を行い、次世代シーケンサー解析により網羅的遺伝子発現情報を取得し、NGSデータとした。分割したもう一方の1st round PCR精製産物は、リアルタイムPCR測定のテンプレートとし、1st round PCR増幅領域の内側に設計したプライマー(nested primer)を用いて、Real-time PCRを行った。16サンプルそれぞれについて、目的遺伝子(target gene)として選定した14種の遺伝子及び内部標準遺伝子(control gene)として6種の遺伝子(ARF1、FAU、RPL30、GAPDH、ACTB、RPLP0)のCt値を取得した。6種の内部標準遺伝子それぞれについて、Ct値の差分(ΔCt値:Ct_target gene―Ct_control gene)を算出し、qPCRデータ(以下、ΔARF1、ΔFAU、ΔRPL30、ΔGAPDH、ΔACTB、ΔRPLP0と記す)とした。14種の目的遺伝子に関して、qPCRデータとNGSデータ(Log2(normalized count+1))間のデータ相関性を確認した。下記表4に示すように、本発明のSSL内部標準遺伝子として選抜されたARF1(CV Z-score=―1.900)、FAU(CV Z-score=―1.905)、RPL30(CV Z-score=―1.960)を内部標準として用いたqPCRデータ(ΔARF1、ΔFAU、ΔRPL30)は、一般的に内部標準遺伝子として利用されているGAPDH(CV Z-score=―1.813)やACTB(CV Z-score=―1.874)、表皮角化細胞の遺伝子発現解析における内部標準遺伝子として好適とされるPRLP0(CV Z-score=―1.859)を内部標準としたqPCRデータ(ΔGAPDH、ΔACTB、ΔRPLP0)と比較して、目的遺伝子のPCR定量データ全体の相関性が向上しており、乳幼児の皮膚表上脂質検体に含まれる目的遺伝子の発現量を測定する場合において、内部標準遺伝子としてより優れていることが確認された。
Figure 2024076370000004

Claims (7)

  1. PCRにおいて下記表1に示される遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子を内部標準遺伝子として用いることを含む、乳幼児の皮膚表上脂質検体に含まれる目的遺伝子の発現量を測定する方法。
  2. Figure 2024076370000005
    目的遺伝子の増幅産物の量を内部標準遺伝子の増幅産物の量で補正し、目的遺伝子の発現量を算出することを含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記内部標準遺伝子がARF1、RPL30及びFAUより選択される少なくとも1種の遺伝子である、請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記内部標準遺伝子と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有する、請求項1~3のいずれか1項記載の方法に用いられる乳幼児の皮膚表上脂質検体に含まれる目的遺伝子の発現量の測定用キット。
  5. 前記表1に示される遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子の、PCRを用いた乳幼児の皮膚表上脂質検体に含まれる目的遺伝子の発現量の測定における内部標準遺伝子としての使用。
  6. 前記目的遺伝子の発現量の測定が、目的遺伝子の増幅産物の量を内部標準遺伝子の増幅産物の量で補正し、目的遺伝子の発現量を算出することを含む、請求項5記載の使用。
  7. 前記内部標準遺伝子がARF1、RPL30及びFAUより選択される少なくとも1種の遺伝子である、請求項5又は6記載の使用。
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