JP2024074687A - ポリオール含有組成物、ポリウレタン組成物、及びポリウレタンフォーム - Google Patents

ポリオール含有組成物、ポリウレタン組成物、及びポリウレタンフォーム Download PDF

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康揮 田中
倫生 梶田
博樹 山下
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【課題】水を発泡剤として使用した場合でも、収縮が抑制されるポリウレタンフォームの形成が可能なポリオール含有組成物を提供すること。【解決手段】ポリイソシアネートと反応させてポリウレタンフォームを得るためのポリオール含有組成物であって、前記ポリオール含有組成物が、分子量400以上のポリオール、水、難燃剤、及び触媒を含有するポリオール含有組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオール含有組成物、該ポリオール含有組成物とポリイソシアネートとを備えるポリウレタン組成物、及び該ポリウレタン組成物から形成されたポリウレタンフォームに関する。
ポリウレタンフォームは、その優れた断熱性を利用して、マンション等の集合住宅、戸建住宅、商業ビル等の建築物の天井、屋根、壁面などの各構造物の断熱や結露防止に実用されている。ポリウレタンフォームは、例えば各構造物の表面に、ポリオール含有組成物及びポリイソシアネートを含むウレタン樹脂組成物を吹付け、発泡及び硬化させることにより形成される。
従来のポリオール組成物は、発泡剤としてハイドロフロオロカーボン類や、ハイドロフルオロオレフィン類が広く使用されているが、これら化合物は、地球温暖化係数が1より高く、より環境負荷の低い化合物の使用が望まれている。そこで、例えば特許文献1に開示されるように、水を発泡剤として使用することが提案されている。
特許第5866839号公報
しかしながら、発泡剤として水を使用するポリオール組成物からポリウレタンフォームを形成すると、発泡剤としてハイドロフロオロカーボン類やハイドロフルオロオレフィン類を使用するポリオール組成物からポリウレタンフォームを形成した場合と比較して、ポリウレタンフォーム内に形成された気泡から、発泡剤由来のガスが抜けやすい。このようにガスが抜けると、気泡の内圧が低下し、ポリウレタンフォームの収縮が発生する問題がある。
そこで、本発明は、水を発泡剤として使用した場合でも、収縮が抑制されたポリウレタンフォームの形成が可能なポリオール含有組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ポリウレタンフォームの原料として、高分子量のポリオールを使用することで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下の[1]~[10]を提供する。
[1]ポリイソシアネートと反応させてポリウレタンフォームを得るためのポリオール含有組成物であって、前記ポリオール含有組成物が、分子量400以上のポリオール、水、難燃剤、及び触媒を含有するポリオール含有組成物。
[2]前記触媒が、窒素原子または酸素原子によりジエチレン骨格を挟む構造を有し、かつ、分子量が100以上300以下である触媒(X)を含む、[1]に記載のポリオール含有組成物。
[3]前記触媒(X)を2種以上含む、[2]に記載のポリオール含有組成物。
[4]前記触媒(X)のうち、少なくとも1種が水酸基を有する、[2]又は[3]に記載のポリオール含有組成物。
[5]前記触媒が、カリウム塩を含む、[1]~[4]のいずれかに記載のポリオール含有組成物。
[6]前記難燃剤が、リン系難燃剤を含む、[1]~[5]のいずれかに記載のポリオール含有組成物。
[7]前記水の含有量が、前記ポリオール100質量部に対して2質量部以上である、[1]~[6]のいずれかに記載のポリオール含有組成物。
[8]吹き付け用途に使用される、[1]~[7]のいずれかに記載のポリオール含有組成物。
[9][1]~[8]のいずれかに記載のポリオール含有組成物と、ポリイソシアネートとを備える、ポリウレタン組成物。
[10][9]に記載のポリウレタン組成物から形成される、ポリウレタンフォーム。
本発明によれば、水を発泡剤として使用した場合でも、収縮が抑制されたポリウレタンフォームの形成が可能なポリオール含有組成物を提供することができる。
[ポリオール含有組成物]
本発明のポリオール含有組成物は、ポリイソシアネートと反応させてポリウレタンフォームを得るためのポリオール含有組成物であって、分子量400以上のポリオール、水、難燃剤、及び触媒を含有する。以下、各成分について、詳細に説明する。
<発泡剤>
本発明のポリオール含有組成物は、発泡剤として水を含有する。発泡剤として使用する水としては、特に限定されないが、例えば、イオン交換水、蒸留水などを適宜用いることができる。ポリオール100質量部に対する水の量は、2質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましい。水の含有量が上記下限値以上であることで、発泡性が良好となり、良質なポリウレタンフォームを形成しやすくなる。他方、ポリオール100質量部に対する水の含有量の上限は、発泡性を適切に制御し、過剰な発泡に起因するポリウレタンフォームの収縮を抑制したり、ポリウレタンフォームの断熱性を一定以上に維持したりする観点から、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
本発明のポリオール含有組成物は、水以外の発泡剤を含有してもよいが、水以外の発泡剤を実質的に含有しないことが好ましく、中でもハイドロフルオロオレフィン(HFO)やハイドロフロオロカーボンのフッ素系発泡剤を実質的に含有しないことがより好ましく、中でもハイドロフルオロオレフィン(HFO)を実質的に含有しないことがさらに好ましい。一般的に、水以外の発泡剤、特にHFOは、発泡過程の途中で触媒と反応して、触媒を失活させやすい。そこで、水以外の発泡剤を実質的に含有しないことで、ポリオール含有組成物中に様々な種類の触媒を含有させやすくなり、ポリオールとポリイソシアネートとの反応速度や発泡性などを一定以上とすることができるため、ポリウレタンフォームの収縮を抑制しやすくなる。また、フッ素系発泡剤を含有しないことで環境負荷がより低いポリウレタンフォームを提供できる。
ここで、実質的に含有しないとは、ポリオール含有組成物中の発泡剤全量基準において、0.5質量%以下程度の含有量であれば含有してもよいことを意味し、当該含有量は0.1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0質量%である。
なお、HFOとしては、炭素数が3~6個程度であるフルオロアルケン、クロロフルオロアルケン等が挙げられる。例えば、トリフルオロプロペン、HFO-1234等のテトラフルオロプロペン、HFO-1225等のペンタフルオロプロペン、クロロジフルオロプロペン、HFO-1233等のクロロトリフルオロプロペン、及びクロロテトラフルオロプロペン等が挙げられる。
より具体的には、3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(E))、シス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(Z))、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、1,1,3,3-テトラフルオロプロペン、シス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(Z))、トランス-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye(E))、シス-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye(Z)、)、1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225zc)、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225yc)、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(E))、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン(HFO-1336mzz)等が挙げられる。
<ポリオール>
本発明のポリオール含有組成物に含有されるポリオールは、その分子量が400以上である。ポリオールの分子量が400未満である場合、ポリウレタンフォームの収縮を抑制することが困難となる。本発明で使用するポリオールの分子量は、ポリウレタンフォームの収縮をより効果的に抑制しやすくする観点から、450以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましく、600以上であることがさらに好ましく、900以上であることがよりさらに好ましい。
ポリオールの分子量が高くなるとポリウレタンフォームの収縮を抑制しやすくする原理は定かではないが、分子量の高いポリオールをポリイソシアネートと反応させた場合には、発泡過程の初期においてポリウレタンフォーム中に連続気泡が発生することで、発泡後に、発泡剤起因のガスが気泡から抜けるのが防止され、気泡内の気圧が一定以上に維持されるためと推定される。
なお、ポリオールの分子量は、特に限定されないが、ポリイソシアネートとの反応性を担保する観点から、例えば7000以下、好ましくは6000以下、より好ましくは5500以下である。
本発明において、「ポリオールの分子量」は、ポリオール含有組成物に含まれる全てのポリオールの数平均分子量である。ポリオール含有組成物中にポリオールを1種のみ含有している場合はその1種の数平均分子量を、2種以上のポリオールを1種のみ含有している場合は、各ポリオールの数平均分子量×含有質量比の総和を、それぞれポリオールの分子量とすればよい。
なお、ポリオールの数平均分子量は、ポリオールの水酸基価から求めることができる。ここで、水酸基価は、JIS K1557-1:2007に準拠して測定される値である。
ポリオールとしては、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、及びポリエーテルポリオール等が挙げられる。ポリオールは、通常、常温(23℃)、常圧(1気圧)で液体となる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、及びノナンジオール等の水酸基含有化合物と、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等との脱アルコール反応により得られるポリオール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合して得られる重合体、ε-カプロラクトン、及びα-メチル-ε-カプロラクトン等のラクトンを開環重合して得られる重合体、及びヒドロキシカルボン酸と前記多価アルコール等との縮合物が挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸(m-フタル酸)、テレフタル酸(p-フタル酸)、及びコハク酸等が挙げられる。また、多価アルコールとしては、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、及びネオペンチルグリコール等が挙げられる。
また、ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、ひまし油、ひまし油とエチレングリコールの反応生成物等が挙げられる。
ポリマーポリオールとしては、例えば、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、及びポリエステルポリオール等に対し、アクリロニトリル、スチレン、メチルアクリレート、及びメタクリレート等のエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させた重合体、ポリブタジエンポリオール又はこれらの水素添加物等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物等の少なくとも1種の存在下に、アルキレンオキサイド(以下、「AO」ともいう)を開環重合させて得られる重合体が挙げられる。AOとしては、炭素数2~6のAO、例えば、エチレンオキサイド(以下、「EO」ともいう)、1,2-プロピレンオキサイド(以下、「PO」ともいう)、1,3-プロピレオキサイド、1,2-ブチレンオキサイド、及び1,4-ブチレンオキサイド等が挙げられる。
これらの中でも性状や反応性の観点から、PO、EO及び1,2-ブチレンオキサイドが好ましく、PO及びEOがより好ましい。AOを2種以上使用する場合(例えば、PO及びEO)の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物としては、例えば、多価アルコール、アミン類などが挙げられる。
多価アルコールとしては、ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール等のジオール類、例えば、グリセリン及びトリメチロールプロパン等の三価アルコール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール等、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクト-ス、メチルグルコシド及びその誘導体等の四~八価のアルコール、フロログルシノール、クレゾール、ピロガロール、カテコ-ル、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1,3,6,8-テトラヒドロキシナフタレン、及び1,4,5,8-テトラヒドロキシアントラセン等のポリオール、ひまし油ポリオール、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体及びポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2~100)ポリオール、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)が挙げられる。
アミン類としては、エチレンジアミン、及びブチレンジアミン等が挙げられる。
また、ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリアルキレングリコールも挙げられる。
本発明に使用するポリオールとしては、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールから選択される少なくとも1種が好ましく、ポリエーテルポリオールがより好ましい。
<触媒>
(触媒(X))
本発明のポリオール含有組成物は、触媒を含有する。触媒としては、窒素原子又は酸素原子によりジエチレン骨格を挟む構造を有しており、かつ、分子量が100以上300以下である触媒(以下、触媒(X)ということがある)を含有することが好ましい。本発明では、触媒(X)が上記構造を有していることで、イソシアネートに対する電子供与性を高め、触媒機能を発揮しやすくなる。また、触媒(X)の分子量が100以上であると、上記電子供与性を担保しやすくなる。さらに、触媒(X)の分子量が300以下であると、立体障害の発生を抑制しやすくなる。そのため、触媒(X)を含有することで、ポリオールとポリイソシアネートとの反応、水とポリイソシアネートの反応が促進され、特に初期反応速度を高めることができる。また、触媒(X)を含有することで、ポリオールとポリイソシアネートとの反応時の発泡性を良好にすることができ、ポリウレタンフォームに良質な気泡、具体的には内圧が一定以上に保たれる気泡が形成され、ポリウレタンフォームの収縮を抑制しやすくなる。
なお、窒素原子又は酸素原子によりジエチレン骨格を挟む構造とは、ジエチレン骨格の両端それぞれが、窒素原子又は酸素原子に結合している構造である。本発明で使用する触媒(X)としては、具体的には、下記一般式(1)で示される化合物が好ましい。
上記一般式(1)において、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~8のアルキル基を表し、Rは-NR-又は酸素原子を表し、Rは、-NR、水酸基、またはアルコキシ基を表す。nは、1~5の正の整数である。なお、R及びRにおけるRは、炭素数1~8のアルキル基である。また、一分子中に複数のRがある場合、Rは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。R、R、Rにおけるアルキル基は直鎖であってもよいし、分岐構造を有してもよい。
及びRは、好ましくはメチル基又はエチル基、より好ましくはメチル基である。R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
の-NR-においてRは好ましくはメチル基又はエチル基、より好ましくはメチル基である。
におけるアルコキシ基は、例えば炭素数1~4のアルコキシ基であり、好ましくはメトキシ基である。Rは、好ましくは-NR又は水酸基である。また、Rの-NRにおいて、Rは好ましくはメチル基又はエチル基、より好ましくはメチル基である。
また、nは好ましくは1~2である。
上記一般式(1)で表される触媒(X)としては、例えば下記一般式(A)~(G)に示す化合物が挙げられる。上記一般式(1)で表される触媒(X)は、下記一般式(A)~(G)に示す化合物に限定されず、他の化合物であってもよい。
触媒(X)の分子量は、120以上270以下であることが好ましく、125以上250以下であることがより好ましく、130以上240以下であることがさらに好ましい。触媒(X)の分子量が120以上であると、上記電子供与性を担保しやすくなる。また、触媒(X)の分子量が270以下であると、立体障害の発生が抑制されやすくなる。
本発明のポリオール含有組成物は、触媒(X)を1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよいが、2種以上を併用して使用することが好ましい。
また、本発明のポリオール含有組成物は、触媒(X)のうちの少なくとも1種が水酸基を有することが好ましい。水酸基を有する触媒(X)を含有する場合は、該触媒(X)は水酸基を有する触媒(X)のみからなってもよいし、他の触媒と併用してもよいが、水酸基を有しない触媒(X)と併用することがより好ましい。
水酸基を有する触媒(X)としては、下記一般式(3)に示す化合物が好ましい。また、水酸基を有しない触媒(X)は、下記一般式(2)に示す化合物が好ましい。したがって、水酸基を有する触媒(X)と、水酸基を有しない触媒(X)とを併用する場合には、下記一般式(3)に示す構造を有する触媒(X)と、下記一般式(2)に示す構造である触媒(X)とを含有することがさらに好ましい。このように、2種以上の触媒(X)を併用し、さらに、そのうちの少なくとも1種が水酸基を有すると、ポリオールとポリイソシアネート、水とポリイソシアネートとの反応が進行してポリウレタンフォームに気泡が形成される際に、発泡挙動や反応速度が制御され、ポリウレタンフォームの収縮を抑制しやすくなる。
上記一般式(2)において、R及びRは、上記一般式(1)で説明したRと同義である。また、上記一般式(2)及び(3)におけるR~R及びnは、上記一般式(1)におけるR~R及びnと同義であるため、それらの説明は省略する。
上記一般式(3)で示す触媒(X)と上記一般式(2)で示す触媒(X)とを併用する場合、一般式(3)で示す触媒(X)中のRと、一般式(2)で示す触媒(X)中のRの構造が互いに同じであることが好ましい。例えば、一般式(3)で示す触媒(X)中のRが-NCH-であれば、一般式(2)で示す触媒(X)中のRも-NCH-であることが好ましい。また、一般式(3)で示す触媒(X)中のRが酸素原子である場合には、一般式(2)で示す触媒(X)中のRも酸素原子であることが好ましい。
ポリオール含有組成物中の触媒(X)の含有量は、ポリオール100質量部に対して、2~20質量部が好ましく、3~17質量部がより好ましく、5~15質量部がさらに好ましい。触媒(X)の含有量が上記下限値以上であると、ポリオールとポリイソシアネートとの反応を促進すると共に、発泡性が良好となる。また、触媒(X)の含有量が上記上限値以下であると、ポリオールとポリイソシアネート、水とポリイソシアネートとの反応速度や発泡挙動が適切に制御され、過剰な発泡が抑制されやすくなる。
ポリオール含有組成物中の触媒(X)のうち、水酸基を有する触媒(X)の含有量は、ポリオール100質量部に対して、1~18質量部が好ましく、2~15質量部がより好ましく、3~12質量部がさらに好ましい。水酸基を有する触媒(X)の含有量が上記下限値以上であると、ポリオールとポリイソシアネートとの反応や発泡を促進すると共にポリウレタンフォームの収縮を抑制しやすくなる。また、水酸基を有する触媒(X)の含有量が上記上限値以下であると、ポリオールとポリイソシアネート、水とポリイソシアネートとの反応速度や発泡挙動が適切に制御され、過剰な発泡が抑制されやすくなる。
ポリオール含有組成物において、水酸基を有する触媒(X)の、水酸基を有さない触媒(X)に対する含有比率(以下、単に「含有比」ともいう)は、1~20が好ましく、1.5~18がより好ましく、2~15がさらに好ましい。含有比が上記下限値以上であると、ポリオールとポリイソシアネートとの反応を促進すると共にポリウレタンフォームの収縮を抑制しやすくなる。また、水酸基を有する触媒(X)の含有量が上記上限値以下であると、ポリオールとポリイソシアネート、水とポリイソシアネートとの反応速度や発泡挙動が適切に制御され、過剰な発泡が抑制されやすくなる。
(三量化触媒)
本発明のポリオール含有組成物は、三量化触媒を含有することも好ましい。三量化触媒は、イソシアヌレート結合を形成する三量化を促進する触媒であり、ポリオール含有組成物において、三量化が促進されることで、ポリウレタンフォームの難燃性や燃え拡がりにくさが向上する。三量化触媒は、上記した触媒(X)と併用することがより好ましい。
三量化触媒としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等の芳香族化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸ナトリウム、ギ酸カリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸ナトリウム等のアルカリ金属塩、2-エチルアジリジン等のアジリジン類、ナフテン酸鉛、オクチル酸鉛等の鉛化合物、ナトリウムメトキシド等のアルコラート化合物、カリウムフェノキシド等のフェノラート化合物、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の第三級アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等を使用することができる。これらの中では、アルカリ金属塩が好ましく、カリウム塩がより好ましい。三量化触媒としてカリウム塩を含有するポリオール含有組成物は、架橋反応を促進し、ポリウレタンフォームの難燃性を向上させることに加え、樹脂硬化を進めるため、吹き付け用途に好適に使用することができる。さらに、該組成物を吹き付けて、ポリイソシアネートと混合、反応させた際に、良質なポリウレタンフォームを形成しやすくなる。
三量化触媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。
三量化触媒の含有量は、特に限定されないが、ポリオール100質量部に対し、0.5~10質量部であることが好ましく、0.8~5質量部であることがより好ましく、1~3質量部であることがさらに好ましい。三量化触媒の含有量を上記範囲内とすることで、イソシアヌレート結合が適度に形成され、難燃性が向上する。
<難燃剤>
本発明のポリオール含有組成物は、難燃剤を含有する。難燃剤を含有することにより、ポリウレタンフォームに優れた難燃性を付与しやすくなる。難燃剤としては、難燃性を効果的に付与する観点から、リン系難燃剤を含有することが好ましい。
リン系難燃剤を含有する場合は、リン系液状難燃剤及びリン系固体難燃剤から選択される少なくとも1種を含有するとよいが、少なくともリン系液状難燃剤を含有することがより好ましい。
(リン系液状難燃剤)
リン系液状難燃剤としては、リン酸エステル系難燃剤が好ましい。リン酸エステル系難燃剤としては、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等が挙げられる。なお、液状難燃剤とは、常温(23℃)、常圧(1気圧)にて液体となる難燃剤である。
モノリン酸エステルとは、分子中にリン原子を1つ有するリン酸エステルである。モノリン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェートなどのトリアルキルホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートなどのハロゲン含有リン酸エステル、トリブトキシエチルホスフェートなどのトリアルコキシホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェートなどの芳香環含有リン酸エステル、モノイソデシルホスフェート、ジイソデシルホスフェートなどの酸性リン酸エステル等が挙げられる。
縮合リン酸エステルとしては、例えば、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ビスフェノールAポリフェニルホスフェートなどの芳香族縮合リン酸エステルが挙げられる。
縮合リン酸エステルの市販品としては、例えば、大八化学工業株式会社製の「CR-733S」、「CR-741」、「CR747」、ADEKA社製の「アデカスタブPFR」、「FP-600」等が挙げられる。
リン酸エステルは、上記したものの中から1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリオールの粘度を適切にしやすくする観点、及びポリウレタンフォームの不燃性を向上させる観点から、モノリン酸エステルが好ましく、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートなどのハロゲン含有リン酸エステルがより好ましい。
ポリオール含有組成物がリン酸エステルを含む場合、リン酸エステルの含有量は、ポリオール100質量部に対して、5~100質量部が好ましく、10~80質量部がより好ましく、20~70質量部がさらに好ましく、35~65質量部がよりさらに好ましい。リン酸エステルの含有量をこれら下限値以上とすることで、リン酸エステルを含有させる効果を発揮しやすくなる。また、上限値以下とすることで、リン酸エステルによって、ポリウレタンフォームの発泡が阻害されたりすることもない。
(リン系固体難燃剤)
リン系固体難燃剤としては、例えば、赤燐系難燃剤、リン酸塩などが挙げられる。なお、固体難燃剤とは、常温(23℃)、常圧(1気圧)において、固体となる難燃剤である。
赤燐系難燃剤は、赤燐単体からなるものでもよいが、赤燐に樹脂、金属水酸化物、金属酸化物などを被膜したものでもよいし、赤燐と樹脂、金属水酸化物、金属酸化物などとを混合したものでもよい。赤燐を被膜し、または赤燐と混合する樹脂は、特に限定されないがフェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、及びシリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。被膜ないし混合する化合物としては、難燃性の観点から、金属水酸化物が好ましい。金属水酸化物は、後述するものを適宜選択して使用するとよい。
リン酸塩の具体例としては、例えば、モノリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられる。なお、ここでいうリン酸塩は、正リン酸塩のみならず、亜リン酸塩、ホスフィン酸塩なども含む概念である。ポリリン酸塩も同様である。
モノリン酸塩としては、例えば、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素ニアンモニウム等のアンモニウム塩、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム等のナトリウム塩、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム等のカリウム塩、リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウム、亜リン酸二リチウム等のリチウム塩、リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム等のバリウム塩、リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム等のマグネシウム塩、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム等のカルシウム塩、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛等の亜鉛塩、第一リン酸アルミニウム、第二リン酸アルミニウム、第三リン酸アルミニウム、亜リン酸アルミニウム等のアルミニウム塩等が挙げられる。この中では、リン酸アンモニウム、亜リン酸アルミニウムが好ましく、リン酸アンモニウムがより好ましい。
ポリリン酸塩としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられ、これらの中でもポリリン酸アンモニウムが好ましい。
ホスフィン酸塩としては、ホスフィン酸金属塩が挙げられる。ホスフィン酸金属塩としては、例えば、ホスフィン酸ナトリウム、ホスフィン酸カルシウム、ホスフィン酸アルミニウム、ホスフィン酸亜鉛、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(メチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ジブチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ブチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ジフェニルホスフィン酸)アルミニウム、ビス(ジエチルホスフィン酸)亜鉛、ビス(メチルエチルホスフィン酸)亜鉛、ビス(ジフェニルホスフィン酸)亜鉛、ビス(ジエチルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(ジエチルホスフィン酸)チタニル、ビス(メチルエチルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(メチルエチルホスフィン酸)チタニル、ビス(ジフェニルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(ジフェニルホスフィン酸)チタニル等が挙げられる。
本発明で使用するホスフィン酸金属塩としては、上記した中では、ホスフィン酸ナトリウム及びホスフィン酸アルミニウムから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明のポリオール含有組成物がリン系固体難燃剤を含有する場合は、赤燐系難燃剤、ポリリン酸塩、及びホスフィン酸金属塩から選択されるいずれか1種を含むことが好ましく、赤燐系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム、ホスフィン酸ナトリウム、及びホスフィン酸アルミニウムから選択されるいずれか1種を含むことがさらに好ましい。これらのリン系固体難燃剤を含有すると、ポリウレタンフォームの収縮を抑制しつつ、ポリウレタンフォームに優れた難燃性を付与しやすくなる。
ポリオール含有組成物中のリン系固体難燃剤の含有量は、ポリオール100質量部に対して、10~50質量部が好ましく、15~45質量部がより好ましく、18~35質量部がさらに好ましい。これらリン系固体難燃剤の含有量が上記下限値以上であると、ポリウレタンフォームに良好な難燃性、良好な機械特性を付与することが可能になる。また、樹脂構造の強いポリウレタンフォームを形成しやすくなり、ポリウレタンフォームの収縮を抑制しやすくなる。他方、これらリン系固体難燃剤の含有量が上記上限値以下であると、該ポリオール含有組成物をポリイソシアネートと混合する際の取り扱い性や、発泡性が良好になる。
(その他の難燃剤)
本発明のポリオール含有組成物は、上記したリン系難燃剤以外の難燃剤(以下「その他の難燃剤」ともいう)を含有してもよい。その他の難燃剤としては、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、塩素含有難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。
臭素含有難燃剤としては、分子構造中に臭素を含有し、常温(23℃)、常圧(1気圧)で固体である化合物であれば特に限定されないが、例えば、臭素化芳香環含有芳香族化合物等が挙げられる。
臭素化芳香環含有芳香族化合物としては、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA等のモノマー系有機臭素化合物が挙げられる。
また、臭素化芳香環含有芳香族化合物は、臭素化合物ポリマーであってもよい。具体的には、臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、このポリカーボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート、臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物等が挙げられる。さらには、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物、臭素化ポリフェニレンエーテルと臭素化ビスフェノールAと塩化シアヌールとの臭素化フェノールの縮合物、未架橋又は架橋臭素化ポリスチレン等が挙げられる。
また、ヘキサブロモシクロドデカン等の臭素化芳香環含有芳香族化合物以外の化合物であってもよい。
これら臭素含有難燃剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ホウ素含有難燃剤としては、ホウ砂、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩等が挙げられる。酸化ホウ素としては、例えば、三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等が挙げられる。
ホウ酸塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族、第12族、第13族の元素およびアンモニウムのホウ酸塩等が挙げられる。具体的には、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。
ホウ素含有難燃剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に使用するホウ素含有難燃剤は、ホウ酸塩であることが好ましく、ホウ酸亜鉛がより好ましい。
アンチモン含有難燃剤としては、例えば、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアンチモン酸塩等が挙げられる。酸化アンチモンとしては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。アンチモン酸塩としては、例えば、アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等が挙げられる。ピロアンチモン酸塩としては、例えば、ピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等が挙げられる。
アンチモン含有難燃剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に使用するアンチモン含有難燃剤は、酸化アンチモンであることが好ましい。
塩素含有難燃剤は、ポリウレタンフォームに通常用いられるものが挙げられ、例えば、ポリ塩化ナフタレン、クロレンド酸、「デクロランプラス」の商品名で販売されるドデカクロロドデカヒドロジメタノジベンゾシクロオクテン等が挙げられる。
金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化バナジウム、水酸化スズ等が挙げられる。金属水酸化物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<整泡剤>
本発明のポリオール含有組成物は、整泡剤を含有してもよい。整泡剤を含有することでポリウレタンフォームの発泡性を良好にでき、例えば、スプレー噴霧においてポリイソシアネートと反応させる際、発泡を促進できる。
整泡剤としては、具体的には界面活性剤、より具体的には、非イオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等を例示することができる。非イオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等が挙げられる。本発明で使用する整泡剤は特に限定されないが、発泡性の観点からシリコーン整泡剤が好ましい。整泡剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。
本発明のポリオール含有組成物中の整泡剤の含有量は、ポリオール100質量部に対して、0.1~12質量部が好ましく、1~10質量部がより好ましく、2~8質量部が更に好ましい。整泡剤の含有量が前記下限値以上であるとポリオール含有組成物とポリイソシアネートとの混合物を発泡させやすくなるため均質なポリウレタンフォームを得ることが可能になる。また、整泡剤の含有量が前記上限値以下であると製造コストと得られる効果のバランスが最適になる。
<その他成分>
ポリオール含有組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤(金属不活性化剤)、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、可塑剤、粘着付与樹脂等の添加剤、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤等から選択される1種以上を含むことができる。
<製造方法>
本発明のポリオール含有組成物の製造方法に特に制限はなく、例えば、各成分を室温程度でホモディスパー等の混合機を用いて30秒~20分程度撹拌することにより製造することができる。
[ポリウレタン組成物]
本発明のポリウレタン組成物は、上記ポリオール含有組成物とポリイソシアネートとを含む。より具体的には、ポリウレタン樹脂組成物は、少なくとも、上記ポリオール含有組成物とポリイソシアネートを混合することにより得られる。
<ポリイソシアネート>
本発明のポリウレタン樹脂組成物に含まれるポリイソシアネートとしては、イソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系などの各種ポリイソシアネートを用いることができる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)などが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
これらの中では、取扱の容易さ、反応の速さ、得られるポリウレタンフォームの物理特性が優れていること、および低コストであることなどから、芳香族ポリイソシアネートを用いることが好ましく、液状ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いることが好ましい。液状MDIとしては、クルードMDI(ポリメリックMDIともいう)が挙げられる。液状MDIの具体的な市販品としては、「44V-10」,「44V-20」(住化コベストロウレタン株式会社製)、「ミリオネートMR-200」(日本ポリウレタン工業)などが挙げられる。また、ウレトンイミン含有MDI(例えば、市販品として「ミリオネートMTL」:日本ポリウレタン工業製)などでもよい。また、ポリイソシアネート内のイソシアネート活性基の一部を水酸基含有化合物と反応させ、予めポリオールとの親和性を高めた処置を施したものを使用してもよい。液状MDIに加えて、他のポリイソシアネートを併用してもよく、併用するポリイソシアネートとしては、ポリウレタンの技術分野において公知のポリイソシアネートなどが限定なく使用可能である。
本発明のポリウレタン樹脂組成物のイソシアネートインデックスは、好ましくは600以下であり、より好ましくは550以下であり、さらに好ましくは500以下である。イソシアネートインデックスがこれら上限値以下であると、ポリウレタンフォーム形成時の発泡性を良好にしやすくなる。
また、ポリウレタン樹脂組成物のイソシアネートインデックスは、ポリウレタンフォームを適切に形成させる観点から、90以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましく、また、三量化を促進する観点から、150以上であることがさらに好ましく、200以上がよりさらに好ましい。
イソシアネートインデックス(INDEX)は、以下の方法にて算出される。
INDEX=ポリイソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+水の当量数)×100
ここで、
ポリイソシアネートの当量数=ポリイソシアネートの使用部数×NCO含有率(%)×100/NCO分子量
ポリオールの当量数=OHV×ポリオールの使用部数÷KOHの分子量、OHVはポリオールの水酸基価(mgKOH/g)、
水の当量数=水の使用部数×水のOH基の数/水の分子量
である。なお上記式において、使用部数の単位は重量(g)であり、NCO基の分子量は42、NCO含有率はポリイソシアネート中のNCO基の割合を質量%で表したものであり、上記式の単位換算の都合上KOHの分子量は56100とし、水の分子量は18、水のOH基の数は2とする。
[ポリウレタンフォーム]
本発明のポリウレタン組成物から形成されるポリウレタンフォームは、上記したポリウレタン組成物から形成されてなるものであり、具体的には、ポリウレタン組成物を発泡及び硬化させて得られるものである。
<用途>
本発明のポリオール含有組成物、ポリウレタン組成物、及び該組成物から形成されるポリウレタンフォームの用途は、特に限定されないが、建築物、家具、自動車、電車、船等の構造物の空洞に充填する用途に用いたり、該構造物に対して吹き付ける用途に用いたりすることができる。中でも、構造物に対して吹き付ける用途、即ち、吹き付け用途に用いられることが好ましく、建築物の施工現場における吹き付け用途に用いられることがより好ましい。
吹き付けは、吹き付け装置(例えばGRACO社製:H-25)及びスプレーガン(例えばGRACO社製:P2ガン)を利用して実施することができる。吹き付けは、別容器に入ったポリオール含有組成物とポリイソシアネートを吹き付け装置内で温度調整し、スプレーガンの先端で両者を衝突混合させ、混合液をエア圧によりミスト化することで実施できる。吹き付け装置及びスプレーガンは公知であり、市販品を使用することができる。また原液温度設定・圧力等は一般的なポリウレタンフォームの吹き付け条件が適応できる。なお、容器内に入れられるポリイソシアネートには、添加剤などのポリイソシアネート以外の成分が適宜配合されてもよい。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[評価方法]
各実施例及び比較例においては、ポリウレタンフォームの収縮性を以下の手順により評価した。
1.15cm四方の手製の容器内で、各実施例及び比較例で作製したポリオール含有組成物と、ポリイソシアネートとを、質量比86:100の割合で反応させることで、フリー発泡させた。なお、発泡時のポリオール含有組成物及びポリイソシアネートの温度は、いずれも15℃であった。
2.フリー発泡させて得られたポリウレタンフォームの中心部分から、3cm四方のポリウレタンフォームを切り出し、収縮性評価用の試料とした。
3.上記2.の方法により得られた試料の寸法を一旦測定(以下、「1回目の測定」という)し、該測定後、試料を23±5℃環境下で24時間放置させた。該放置後、試料の寸法を再度測定(以下、「2回目の測定」という)した。
4.上記3.の方法で得られた寸法の測定値に基づき、1回目の測定時と2回目の測定時との寸法の差を、方向ごと(縦方向、横方向、及び高さ方向)に算出した。
5.上記4.の方法により算出した寸法の差から、下記式(α)に基づき、ポリウレタンフォームの体積の平均変化率を算出した。
平均変化率(%)=(縦方向の寸法の差+横方向の寸法の差+高さ方向の寸法の差)/3(α)
6.以下の評価基準に基づき、ポリウレタンフォームの収縮性を評価した。
(評価基準)
〇:平均変化率が5%以下
△:平均変化率が5%超10%以下
×:平均変化率が10%超
[使用材料]
各実施例及び比較例においては、以下の材料を使用した。
<ポリオール>
・ポリエーテルポリオール1(旭硝子ウレタン社製、製品名:EL-3020、分子量3200)
・ポリエーテルポリオール2(旭硝子ウレタン社製、製品名:EL-2020、分子量2000)
・ポリエーテルポリオール3(旭硝子ウレタン社製、製品名:EL-1020、分子量1000)
・ポリエーテルポリオール4(三洋化成工業社製、製品名:GP3050NS、分子量2800)
・ポリエーテルポリオール5(三井化学社製、製品名:T-5000、分子量5000)
・ポリエーテルポリオール6(旭硝子社製、製品名:EL823、分子量4980)
・ポリエーテルポリオール7(旭硝子社製、製品名:EL828、分子量4910)
・ポリエーテルポリオール8(AGC社製、製品名:EX3034B、分子量3650)
・ポリエーテルポリオール9(三洋化成社製、製品名:GP3700M、分子量3590)
・ポリエーテルポリオール10(三井化学社製、製品名:T-3000、分子量3000)
・ポリエーテルポリオール11(三洋化成社製、製品名:GP3030、分子量2840)
・ポリエーテルポリオール12(三洋化成社製、製品名:FA152、分子量2760)
・ポリエーテルポリオール13(三洋化成社製、製品名:EX3031K、分子量2780)
・ポリプロピレングリコール(旭硝子社製、製品名:EL-720、分子量700)
・フタル酸ポリエステルポリオール(川崎化成工業社製、製品名:マキシモールRLK-087、分子量561)
・ポリエステルポリオール(日立化成社製、製品名:SV-208、分子量477)
・ポリエーテルポリオール14(三洋化成社製、製品名:PP200、分子量200)
・ジプロピレングリコール(関東化学社製、製品名:DPG、分子量133)
・ジエチレングリコール(関東化学社製、製品名:DEG、分子量124)
・エチレングリコール(関東化学社製、製品名:EG、分子量62)
<触媒>
・触媒(X)1:ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル(有効成分量約70質量%、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、製品名:NIAX CATALYST A-1)、分子量160
・触媒(X)2:1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(有効成分量100質量%、東ソー株式会社製、製品名:TOYOCAT TT)、分子量230.39
・触媒(X)3:2-[[2-(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]エタノール(エボニック社製、製品名「DABCO T」)濃度100質量%、分子量146.23
・触媒(X)4:2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノール(花王社製、製品名「Nо.26」)濃度100質量%、分子量133.2
・三量化触媒:2-エチルヘキサン酸カリウム(エボニック社製、製品名「DABCO K-15」)濃度70~80質量%
<発泡剤>
・水
<難燃剤>
・液状難燃剤:トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート(大八化学工業社製、製品名:TMCPP)
・固体難燃剤1:赤燐(燐化学工業社製、製品名:ノーバエクセル140)
・固体難燃剤2:ポリリン酸アンモニウム(クラリアント社製、製品名:AP422)
・固体難燃剤3:ホスフィン酸ナトリウム(関東化学社製、製品名:ホスフィン酸ナトリウム一水和物)
・固体難燃剤4:ホスフィン酸アルミニウム(クラリアント社製、製品名:OP1230)
<ポリイソシアネート化合物>
・MDI(住化コベストロウレタン社製、製品名:44V-20)
[実施例1~32、比較例1~4]
表1~4に記載の配合にしたがって各成分を混合して、ポリオール含有組成物を作製した。該ポリオール含有組成物及びポリイソシアネートを用いてポリウレタンフォームを製造し、ポリウレタンフォーム収縮評価を行った。結果を表1に示す。ポリオール含有組成物とポリイソシアネートの混合比は体積比で1:1であった。
※表1~4中の各触媒の含有量は、製品としての質量部である。
以上の実施例から明らかな通り、本発明の要件を満たすポリオール含有組成物から形成されたポリウレタンフォームは、発泡剤として水を使用した場合でも、収縮が抑制されていた。
これに対し、比較例で作製したポリオール含有組成物から形成されたポリウレタンフォームは、発泡剤として水を使用した場合において、収縮が抑制されていなかった。

Claims (10)

  1. ポリイソシアネートと反応させてポリウレタンフォームを得るためのポリオール含有組成物であって、
    前記ポリオール含有組成物が、分子量400以上のポリオール、水、難燃剤、及び触媒を含有するポリオール含有組成物。
  2. 前記触媒が、窒素原子または酸素原子によりジエチレン骨格を挟む構造を有し、かつ、分子量が100以上300以下である触媒(X)を含む、請求項1に記載のポリオール含有組成物。
  3. 前記触媒(X)を2種以上含む、請求項2に記載のポリオール含有組成物。
  4. 前記触媒(X)のうち、少なくとも1種が水酸基を有する、請求項2又は3に記載のポリオール含有組成物。
  5. 前記触媒が、カリウム塩を含む、請求項1又は2に記載のポリオール含有組成物。
  6. 前記難燃剤が、リン系難燃剤を含む、請求項1又は2に記載のポリオール含有組成物。
  7. 前記水の含有量が、前記ポリオール100質量部に対して2質量部以上である、請求項1又は2に記載のポリオール含有組成物。
  8. 吹き付け用途に使用される、請求項1又は2に記載のポリオール含有組成物。
  9. 請求項1又は2に記載のポリオール含有組成物と、ポリイソシアネートとを備える、ポリウレタン組成物。
  10. 請求項9に記載のポリウレタン組成物から形成される、ポリウレタンフォーム。

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