JP2024074494A - 鍵盤装置および駆動装置の冷却方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鍵の駆動装置を効率良く冷却できる鍵盤装置および駆動装置の冷却方法を提供すること。【解決手段】ソレノイド8を支持する棚板30には、収納空間S1を外部に繋ぐ(棚板30を上下に貫く)吸気口30cが形成されるので、ファン9による収納空間S1内の空気の排気に伴い、棚板30の下側の比較的冷たい空気が吸気口30cを通して収納空間S1内に吸気される。この比較的冷たい空気でソレノイド8を冷却することにより、ソレノイド8を効率良く冷却できる。また、ファン9が吸気口30cよりも上方側に配置されるので、ソレノイド8によって温められた収納空間S1内の空気は、ファン9の排気によって生じる気流に加え、自然対流による上昇気流によって効率良く排気される。これにより、収納空間S1内に熱気がこもることを抑制できるので、ソレノイド8を効率良く冷却できる。【選択図】図2
Description
本発明は、鍵盤装置および駆動装置の冷却方法に関し、特に、鍵の駆動装置を効率良く冷却できる鍵盤装置および駆動装置の冷却方法に関する。
駆動装置の駆動力によって鍵を揺動させる自動演奏の機能を備えた鍵盤装置において、ファンによって駆動装置を冷却させる技術が知られている。例えば特許文献1には、鍵駆動機構3(駆動装置)を支持する棚板5にファン4を取り付ける技術が記載されている。この技術によれば、ファン4によって鍵1,2の上方側から吸気された空気が棚板5の下方に排気されるので、この気流によって鍵駆動機構3を冷却しつつ、鍵駆動機構3の熱で温められた筐体内の空気を外部に排気できる。
しかしながら、鍵の上方側の空気は、照明や日光によって高温になることがある。よって、上述した従来技術のように鍵の上方側から空気を吸気する構成では、駆動装置を効率良く冷却できないという問題点があった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、鍵の駆動装置を効率良く冷却できる鍵盤装置および駆動装置の冷却方法を提供することを目的としている。
この目的を達成するために本発明の鍵盤装置は、スケール方向に並ぶ複数の鍵と、前記鍵を揺動させる駆動力を複数の前記鍵に付与する複数の駆動装置と、複数の前記駆動装置を支持する棚板を有した筐体と、前記筐体の前記棚板よりも上方側に取り付けられ、前記筐体内の空気を外部に排気するファンと、を備え、前記棚板は、前記ファンによって前記筐体外の空気を吸気するための吸気口を備える。
本発明の駆動装置の冷却方法は、スケール方向に並ぶ複数の鍵と、前記鍵を揺動させる駆動力を複数の前記鍵に付与する複数の駆動装置と、複数の前記駆動装置を支持する棚板を有した筐体と、前記筐体の前記棚板よりも上方側に取り付けられ、前記筐体内の空気を外部に排気するファンと、を備える鍵盤装置における前記駆動装置の冷却方法であって、前記筐体外の空気を吸気するための吸気口を前記棚板に形成し、前記ファンによって前記吸気口から吸気した空気で前記駆動装置を冷却する。
以下、好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、第1実施形態の鍵盤装置1の全体構成について説明する。図1は、第1実施形態の鍵盤装置1の背面斜視図であり、図2は、図1のII-II線における鍵盤装置1の部分拡大断面図である。なお、図1及び図2の矢印U-D方向、F-B方向、L-R方向は、それぞれ鍵盤装置1の上下方向、前後方向、スケール方向(複数の鍵5が並ぶ方向)を示しており、図3以降においても同様とする。
図1及び図2に示すように、鍵盤装置1は、アコースティックのグランドピアノを模した鍵盤楽器(電子ピアノ)である。鍵盤装置1は、上下に延びる複数(本実施形態では、3本)の脚2a,2bに支持された筐体3を備える。
脚2a,2bのうち、筐体3の前端側(矢印F側の端部)を支持するものが脚2aであり、後端側(矢印B側の端部)を支持するものが脚2bである。なお、図示は省略するが、一対の脚2aによって筐体3のスケール方向両端側が支持されている。
脚2aの上端には、筐体3の棚板30(図2参照)が固定され、棚板30は、スケール方向(矢印L-R方向)に延びる平板状に形成される。棚板30の上面には、樹脂製のシャーシ4を介して複数の鍵5が支持される。鍵5は、幹音を演奏するための複数(本実施形態では、52個)の白鍵5aと、派生音を演奏するための複数(本実施形態では、36個)の黒鍵5bと、から構成され、それら複数の白鍵5a及び黒鍵5bがスケール方向に並べられている。
シャーシ4の後端側(矢印B側)の上面には、鍵5の回転軸50が設けられ、この回転軸50により、各鍵5の後端部分がシャーシ4に回転(揺動)可能に支持される。鍵5の下方には、鍵5の回転に連動するハンマー6が設けられる。
以下に、白鍵5aの詳細構成について説明するが、かかる構成は黒鍵5bにおいても実質的に同一である。シャーシ4の前後方向略中央部分には、スケール方向に沿う回転軸60回りにハンマー6が回転可能に支持される。ハンマー6は、白鍵5aの押鍵時に押鍵感触を付与するための質量部61(質量体)を備え、質量部61は、回転軸60よりも後方側(矢印B側)に位置している。
ハンマー6のうち、回転軸60よりも前方側(矢印F側)の部位は、白鍵5aの押鍵時に基板7のスイッチ70を押し込むための押圧部62として構成される。押圧部62の上面には、下方に凹む受け部63が形成され、この受け部63に白鍵5aの突起部51が挿入される。
突起部51は、白鍵5aの前後方向における略中央部分から下方に突出しており、受け部63の底面は、突起部51の先端(下端)が前後にスライドするスライド面として構成される。演奏者が白鍵5aを押鍵した際には、白鍵5aの突起部51が受け部63の底面に沿ってスライドしつつ、突起部51によって押圧部62が下方に押し込まれることにより、ハンマー6が回転軸60回り(図1の反時計回り)に回転する。
押圧部62の下方にスイッチ70が設けられるため、白鍵5aが押鍵されることでスイッチ70が押圧部62によって押し込まれる。このスイッチ70のオン/オフによって白鍵5aの押鍵情報(ノート情報)が検出され、この検出結果に基づく楽音信号が外部に出力される。
一方、本実施形態では、演奏者の操作によって白鍵5aを回転させるのではなく、白鍵5aにソレノイド8からの駆動力を付与して自動演奏を行う機能も有している。なお、ソレノイド8の構成(プランジャ80を駆動させる構造や、演奏音に合わせた駆動の制御方法など)については公知の構成が採用可能であるので詳細な説明を省略するが、公知の構成としては、特開2001-184054号公報が例示される。
白鍵5aの後端側(矢印B側)の上面には棒状のアーム52が固定され、アーム52は、白鍵5aよりも後方側に延びている。アーム52の後端部分の下方にソレノイド8が配置されており、ソレノイド8のプランジャ80が伸長すると、アーム52が上方に押し上げられる。アーム52が押し上げられることにより、白鍵5aが回転軸50周りに回転する。これにより、白鍵5aの自動演奏を行うことができる。
このような自動演奏や演奏者による押鍵が繰り返されると、スイッチ70が消耗し易くなるため、本実施形態では、基板7の交換を容易にするための貫通孔30aが棚板30に形成される。貫通孔30aは、スケール方向に延びる長孔であり、貫通孔30aの下端は、蓋30bによって閉塞される。
貫通孔30aは、基板7と上下で対面する位置に形成され、蓋30bは、棚板30の下面に着脱可能に取り付けられる(例えば、ねじ止めされる)。よって、棚板30から蓋30bを取り外すことにより、貫通孔30aを通してシャーシ4に対する基板7の着脱作業を行うことができるので、基板7(スイッチ70)のメンテナンスや交換を容易にできる。
また、鍵5の自動演奏が行われる際には、ソレノイド8を収納する筐体3内の空間(以下「収納空間S1」という。)の空気がソレノイド8の発熱によって温められるため、本実施形態では、収納空間S1内の空気を排気するためのファン9が筐体3に取り付けられる。このファン9の取り付け構造を以下に説明するが、筐体3のうち、収納空間S1の側方を塞ぐ板を側板31、上方を塞ぐ板を天板32、前方を塞ぐ板を前板33、後方を塞ぐ板を後板34と記載して説明する。
スケール方向(矢印L-R方向)における棚板30の両端部からは、一対の側板31が上方に立ち上がっており、この一対の側板31の上端側に天板32が固定される。天板32は、譜面台(図1参照)が固定される部位であるが、図2では、図面を簡素化するために譜面台の図示を省略している。天板32の前端からは、前板33が下方に延びており、天板32よりも後方側に延びる棚板30の後端部からは、後板34が上方に立ち上がっている。
後板34の上端は天板32よりも下方に位置しており、天板32と後板34とによって形成される収納空間S1の開口部分が断面L字状の閉塞板35によって閉塞される。なお、この閉塞板35を含め、収納空間S1を囲む棚板30、天板32、前板33、及び後板34の各板は、スケール方向で対面する一対の側板31同士を接続している。
閉塞板35のうち、天板32と共に収納空間S1の上方を塞ぐ部位を天板部35a、後板34と共に収納空間S1の後方を塞ぐ部位を後板部35bと記載して説明する。
後板部35bにはファン9が固定され、ファン9は、収納空間S1内の空気を筐体3外に排気する気流(矢印A参照)を発生させる送風機である。棚板30には、収納空間S1を外部に繋ぐ(棚板30を上下に貫く)吸気口30cが形成されるため、ファン9による収納空間S1内の空気の排気に伴い、棚板30の下側の比較的冷たい空気が吸気口30cを通して収納空間S1内に吸気される(矢印B参照)。吸気口30cは、ソレノイド8の近傍に形成されるので、吸気口30cから吸気された比較的冷たい空気によってソレノイド8を効率良く冷却できる。
また、ファン9が吸気口30cよりも上方側に配置されるので、ソレノイド8によって温められた収納空間S1内の空気は、ファン9の排気によって生じる気流に加え、自然対流による上昇気流によって筐体3の外に効率良く排気される(矢印C参照)。よって、収納空間S1内に熱気がこもることを抑制できるので、ソレノイド8を効率良く冷却できる。
また、閉塞板35の後板部35bにファン9が取り付けられるので、ファン9の排気方向を筐体3の後方側に向けることができる。これにより、筐体3内の温かい空気が演奏者側に吹き付けられることを抑制できる。
なお、ソレノイド8を効率良く冷却するためには、上述した通りソレノイド8の近傍に吸気口30cを形成することが好ましいが、吸気口30cは、ソレノイド8の直下(吸気口30cとソレノイド8とが上下方向視で重なる位置)に形成されることがより好ましい。これにより、吸気口30cから吸気された空気がソレノイド8に当たり易くなるので、ソレノイド8を効率良く冷却できる。
また、ソレノイド8の直下ではない領域に吸気口30cを形成する場合には、ソレノイド8を挟んでファン9とは反対側となる領域に吸気口30cを形成することが好ましい。つまり、例えば本実施形態のように、ソレノイド8よりも後方側にファン9を形成する場合には、ソレノイド8よりも前方側に吸気口30cを形成することが好ましい。このような構成であれば、吸気口30cからファン9に向けた気流の経路上にソレノイド8を配置できるので、吸気口30cから吸気された空気がソレノイド8に当たり易くなる。よって、ソレノイド8を効率良く冷却できる。
スケール方向で対面する一対の側板31(図1参照)は、後板34(後板部35b)よりも後方側に突出する突出部31aを備えており、この一対の突出部31a同士が背面板36(図1参照)によって接続される。背面板36は、グランドピアノを模した後方側に凸の湾曲形状に形成される。
一対の突出部31aのうち、スケール方向における低音側(矢印L側)(以下、同方向における低音側および高音側を単に「低音側」及び「高音側」などという。)に位置する突出部31aには、蝶番によって大屋根37が軸支される。
大屋根37の下方には響板38が設けられ、響板38は、突出部31a及び背面板36の内周側に固定される。響板38は、突出部31a、後板部35b、及び背面板36の上端よりも低い位置に配置されており、ファン9が取り付けられる後板部35bは、響板38の前端から立ち上がる壁状に形成される。よって、ファン9からの排気は大屋根37と響板38との間の空間に向けて排出される。
このため、例えば、後板部35bの低音側にファン9を配置すると、ファン9から排気される温かい空気が大屋根37と響板38との間にこもり易くなってしまう。これは、大屋根37の基端側(大屋根37が軸支される位置の近傍)の領域は、響板38との上下の対向間隔が比較的狭く、換気され難いためである。
これに対して本実施形態のファン9は、後板部35bの高音側の端部、即ち、スケール方向における後板部35bの中央よりも高音側に配置されるので、大屋根37が大きく開放する領域に向けてファン9から空気を排気できる。これにより、ファン9から排気される温かい空気が大屋根37と響板38との間にこもることを抑制できる。
また、後板部35bの側方や後方側は、突出部31a及び背面板36によって取り囲まれるので、後板部35bに取り付けられたファン9は、外部から視認され難い。よって、鍵盤装置1の外観を向上できる。
響板38の下方には、下板39(図2参照)が配置される。下板39は、後板34、突出部31a、背面板36(図1参照)、及び響板38が取り囲む空間を下方から塞いでおり、かかる空間内には複数(本実施形態では、4個)のスピーカ10が取り付けられる。これらのスピーカ10の放音方向は、上方(響板38側)に向けられている。響板38には、スピーカ10と上下で対面する位置に放音孔(図示せず)が形成され、この放音孔がネット11(スピーカグリル)で覆われる。
つまり、後板34を含め、後板34よりも後方側に位置する各板(側板31の突出部31a、背面板36、及び響板38)の一部は、スピーカボックスとしての機能も有している。また、閉塞板35の天板部35aにもスケール方向に並ぶ複数のスピーカ12が取り付けられており、これらのスピーカ12の放音方向も上方に向けられている。
ここで、例えば響板38にファン9を取り付けると共に、そのファン9と収納空間S1とを繋ぐ通気口を後板34に形成する(又は後板34を省略する)構成であっても、収納空間S1内の空気を筐体3外に排気できる。また、天板部35aにファン9を取り付ける構成でも、収納空間S1内の空気を筐体3外に排気できる。しかしながら、これらの構成の場合、ファン9の振動や音がスピーカ10,12の振動や音に影響を与えてしまう可能性が有る。
これに対して本実施形態では、閉塞板35の後板部35bにファン9が取り付けられるので、例えば上記のように後板34よりも後方側に位置する各板(響板38など)や天板部35aにファン9を取り付ける場合に比べ、ファン9の振動がスピーカ10,12の振動に影響を与えることを抑制できる。
次いで、図2及び図3を参照して、鍵盤装置1の構成について更に説明する。図3(a)は、ソレノイド8及びソレノイドシャーシ13の正面斜視図であり、図3(b)は、図3(a)の矢印IIIb方向視におけるソレノイド8及びソレノイドシャーシ13の上面図である。なお、図3(b)では、理解を容易にするために、ソレノイド8の外形を2点鎖線で模式的に図示している。
図2及び図3に示すように、ソレノイド8は、スケール方向(矢印L-R方向)で千鳥状に並べられており、これら複数のソレノイド8がソレノイドシャーシ13を介して棚板30に固定される。
ソレノイドシャーシ13は、棚板30に固定される底面部130(図3参照)と、その底面部130の前後の両端から立ち上がる前面部131及び後面部132と、を備え、これらの各部130~132が金属板を曲げ加工することによって一体に形成されている。
底面部130からは、突出片130aが前後の両側に突出しており、この突出片130aが棚板30にねじ止めされる。千鳥状に並ぶソレノイド8のうち、前列の(矢印F側でスケール方向に並ぶ)各ソレノイド8が前面部131にねじ止めされ、後列の(矢印B側でスケール方向に並ぶ)各ソレノイド8が後面部132にねじ止めされる。
底面部130には、スケール方向で千鳥状に並ぶ複数の開口130b(図3(b)参照)が形成され、この開口130bは、棚板30の吸気口30c(図2参照)と繋がる位置に形成される。棚板30に形成される複数の吸気口30cも、スケール方向で千鳥状に並べられている(図3(b)参照)。
複数の開口130bのうち、一部の開口130bは、ソレノイド8と上下で重なる位置(ソレノイド8の直下)に形成されるので、吸気口30cから吸気された空気が開口130bを通してソレノイド8に当たり易くなる。よって、ソレノイド8を効率良く冷却できる。
ソレノイド8は、ソレノイドシャーシ13の前面部131及び後面部132に固定されるので、ソレノイド8の熱は、前面部131及び後面部132に伝達される。前面部131及び後面部132は、棚板30から立ち上がる金属板であるので、ソレノイド8から伝達された前面部131及び後面部132の熱を効率良く放熱できる。
前面部131には、スケール方向に並ぶ複数の開口131aが形成され、開口131aは、前後方向(矢印F-B方向)でソレノイド8と対面する位置に形成される。これにより、ソレノイド8の周囲の温められた空気を開口131aから逃がすことができると共に、空気が開口131aを通ることによって前面部131が冷却され易くなる。よって、ソレノイド8を効率良く冷却できる。なお、図示は省略するが、後面部132にも、開口131aと同様の開口が設けられている。
複数のソレノイド8は、スケール方向で間隔を置いて配置されているが、それらのソレノイド8同士の間の隙間(空間)に各開口131aが対面する。これにより、ソレノイド8同士の間の温められた空気が開口131aから逃げ易くなるので、これによっても、ソレノイド8を効率良く冷却できる。
前面部131の前面からは、放熱板131bが前方側に突出しており、放熱板131bは、スケール方向に複数並べられる。放熱板131bは、ヒートシンクとして機能するので、前面部131が冷却され易くなる。また、放熱板131bが開口131aの縁に形成されるので、開口131aを通る空気によって放熱板131bが冷却され易くなる。これにより、ソレノイド8を効率良く冷却できる。
また、放熱板131bは、上下方向に延びる板状に形成され(即ち、スケール方向で各放熱板131b同士が対面し)、それらの各放熱板131bの下方に棚板30の吸気口30cが形成される。これにより、吸気口30cから上昇する気流に放熱板131bが干渉することを抑制できると共に、各放熱板131bの間を通る空気によって放熱板131bが冷却され易くなる。よって、ソレノイド8を効率良く冷却できる。
なお、開口131a及び放熱板131bは、前面部131の材料となる金属板を切り曲げ(プレス加工)することによって形成される部位である。即ち、放熱板131bは、前面部131と一体に形成されているが、放熱板131bを前面部131と別体に形成しても良い。
後面部132の上端には、後面部132を後方に曲げ加工することで屈曲部132aが形成され、この屈曲部132aには、ホルダー14(図2参照)の後端部分がねじ止めされている。ホルダー14は、金属板を用いて形成されており、屈曲部132aの上面から前方側に延びている。ホルダー14の前後方向略中央部分には、下方に突出する突出片140が形成され、図示は省略するが、ホルダー14の突出片140はシャーシ4にねじ止めされている。
ホルダー14の前端には、固定金具15を介して基板16が固定される。基板16は、スケール方向に延びる板状に形成され、基板16には、LEDや液晶ディスプレイなどから形成された表示装置(図示せず)や、ボリューム調整やモード変更などを行うための操作子などの電子部品17が設けられる。これらの電子部品17や基板16は、スケール方向に延びる操作パネル18によって上方から覆われる。
言い換えると、操作パネル18は、固定金具15、基板16、及び電子部品17を介してホルダー14の前端部分に支持される。上述した通り、ホルダー14は、ソレノイドシャーシ13の屈曲部132aに固定されるので、ソレノイドシャーシ13に対し、ソレノイド8を支持するための機能に加え、ホルダー14を固定するための機能を持たせることができる。
ここで、ホルダー14は、ソレノイドシャーシ13ではなく、棚板30に固定することも可能である。このような構成としては、ホルダー14の後端部分をソレノイドシャーシ13よりも後方側に延長させと共に、その延長部分から下方に(棚板30まで)延びる脚部を棚板30に固定する構成が例示される。しかし、このような構成では、ホルダー14が大型化すると共に、ホルダー14(上記の脚部)を配置するためのスペースをソレノイドシャーシ13の後方側に確保する必要がある。
これに対して本実施形態では、ホルダー14をソレノイドシャーシ13(屈曲部132a)に固定する構成である。このような構成であれば、上記のようにソレノイドシャーシ13よりも後方側に延長したホルダー14を棚板30に固定する場合に比べ、ホルダー14を小型化できると共に、ソレノイドシャーシ13よりも後方側のスペースを効率良く利用できる。
ホルダー14は、ソレノイドシャーシ13から鍵5の上面側まで延びており、ホルダー14に支持される操作パネル18によって各鍵5の上面(演奏者によって押鍵される面よりも後方側の部位)が覆われる。筐体3には、これらの鍵5や操作パネル18を開閉するための鍵盤蓋19が設けられる。この鍵盤蓋19の開閉構成について、図4を参照して説明する。
図4は、鍵盤装置1の部分拡大断面図である。なお、図4では、鍵盤装置1の要部のみを図示すると共に、鍵5と開閉途中の鍵盤蓋19とを2点鎖線で図示している。
図4に示すように、操作パネル18は、白鍵5aの上面から略鉛直方向に立ち上がる垂直部180と、その垂直部180の上端から後方側に上昇傾斜する第1傾斜部181と、その第1傾斜部181の後端から後方側に下降傾斜する第2傾斜部182(図4の拡大部分参照)と、を備える板状に形成される。第1傾斜部181は、電子部品17(図2参照)が設けられる部位である。
スケール方向(矢印L-R方向)における鍵盤蓋19の端部にはブラケット20が固定される。ブラケット20は、筐体3に設けられた回転軸21周りに回転可能に支持され、鍵盤蓋19は、ブラケット20と共に回転軸21周りに回転する。この鍵盤蓋19の回転により、鍵盤蓋19が鍵5及び操作パネル18を覆う状態と、鍵盤蓋19が鍵5及び操作パネル18を開放する状態と、を形成可能に構成される。
開放状態の鍵盤蓋19は、回転軸21よりも後方上側に位置しており、かかる状態では、操作パネル18(第2傾斜部182)の上面から鍵盤蓋19が略鉛直方向に立ち上がる姿勢となる。
図4に2点鎖線で示すように、開放状態の鍵盤蓋19が回転軸21回りに前方側に回転すると、鍵盤蓋19の基端部分(図4に実線で示す開放状態における鍵盤蓋19の下端部分)が操作パネル18の第2傾斜部182から前方上側に離れるように変位する。
この鍵盤蓋19の回転には、ブラケット20に軸支された後部蓋22が追従する。後部蓋22のスライド構造は公知の構成が採用可能であるので詳細な説明を省略するが、公知の構成としては、実開平05-030892号公報のスライド構造が例示される。後部蓋22の後端からは閉鎖板23が上方に突出しており、図示は省略するが、鍵盤蓋19を閉じた状態では、筐体3の前板33に閉鎖板23が接触する。
鍵5の自動演奏は、主に鍵盤蓋19を開放させた状態で行われるが、鍵盤蓋19を開放させた状態でファン9(図2参照)を駆動させると、操作パネル18と鍵盤蓋19との間の隙間から空気が筐体3内に吸気されることがある。このような隙間から空気が吸気されると、その分、棚板30の吸気口30c(図2参照)を通した吸気が弱まってしまうため、ソレノイド8を効率良く冷却できなくなる。
これに対して本実施形態では、図4の拡大部分に示すように、操作パネル18の第2傾斜部182の後端部分からは、パネル側突起183が上方に立ち上がっている。パネル側突起183の前面には、ゴムやフェルトなどの弾性体184が取付けられており、これらのパネル側突起183及び弾性体184は、スケール方向における操作パネル18の両端にわたって連続して形成されている。
一方、鍵盤蓋19の基端部分(図4の拡大部分における下端)からは、操作パネル18側に向けて突出する蓋側突起190が形成され、この蓋側突起190もスケール方向における鍵盤蓋19の両端にわたって連続して形成されている。
鍵盤蓋19の開放状態では、蓋側突起190の後面にパネル側突起183が対面し、弾性体184が蓋側突起190の後面に密着する。これにより、操作パネル18と鍵盤蓋19との間の隙間を弾性体184で閉塞できるので、鍵盤蓋19の開放状態でファン9(図2参照)を駆動させた場合に、かかる隙間から空気が吸気されることを抑制できる。よって、棚板30の吸気口30c(図2参照)を通した吸気が弱まることを抑制できるので、ソレノイド8を効率良く冷却できる。
なお、本実施形態では、パネル側突起183に弾性体184が取り付けられるが、弾性体184を蓋側突起190に取り付けても良い。即ち、弾性体184は、操作パネル18又は鍵盤蓋19の少なくとも一方(又は両方)に取り付ければ良い。
また、弾性体184は、省略しても良い。弾性体184を省略した場合であっても、鍵盤蓋19の開放状態では、蓋側突起190の後面にパネル側突起183が対面するので、これらの突起183,190が存在しない場合に比べ、操作パネル18と鍵盤蓋19との間の隙間から空気が吸気されることを抑制できる。
また、パネル側突起183を省略し、第2傾斜部182の上面と蓋側突起190の下面との間を弾性体184で塞ぐ構成でも良いし、蓋側突起190を省略し、パネル側突起183の上面と鍵盤蓋19の基端面(図4の拡大部分における鍵盤蓋19の下面)とを弾性体184で塞ぐ構成でも良い。これらの構成においても、弾性体184は、操作パネル18又は鍵盤蓋19のいずれか一方(又は両方)に取り付ければ良い。
また、パネル側突起183及び弾性体184を省略し、蓋側突起190自体を弾性体で形成する構成や、蓋側突起190及び弾性体184を省略し、パネル側突起183自体を弾性体で形成する構成でも良い。これらの構成の場合には、操作パネル18と鍵盤蓋19との間の隙間を閉塞できる程度の長さでパネル側突起183又は蓋側突起190を形成すれば良い。
このように、操作パネル18と鍵盤蓋19との間の隙間を閉塞する閉塞部を、操作パネル18又は鍵盤蓋19の少なくとも一方に設けることにより、棚板30の吸気口30c(図2参照)を通した吸気が弱まることを抑制できる。よって、ソレノイド8を効率良く冷却できる。
なお、開放状態の鍵盤蓋19と前板33との間の隙間や、前板33と後部蓋22との間の隙間から空気が吸気される場合には、開放状態の鍵盤蓋19の後面に密着する弾性体を前板33の前面に取り付けても良い。このような構成であれば、鍵盤蓋19と前板33との間(前板33と後部蓋22との間)の隙間から空気が吸気されることを抑制できる。
次いで、図5及び図6を参照して、鍵盤装置1の構成について更に説明する。なお、以下の説明においては、図5に示す低音側シャーシ13a回りの各構成(低音側シャーシ13aに支持されるソレノイド8や、そのソレノイド8からの駆動力が付与される鍵5など)をあわせて低音ユニットと記載して説明し、図6に示す高音側シャーシ13b回りの各構成をあわせて高音ユニットと記載して説明する。
図5は、低音ユニットの上面図であり、図6は、高音ユニットの上面図である。なお、図5,6では、鍵5のアーム52の後端側の一部を省略して図示すると共に、前後方向(矢印F-B方向)で鍵5とソレノイド8とを分離(離隔)させた状態を図示している。
図5及び図6に示すように、ソレノイド8を支持するソレノイドシャーシ13は、低音側シャーシ13a(図5参照)と、高音側シャーシ13b(図6参照)とから構成される。なお、これらの各シャーシ13a,13bは、説明の便宜上、異なる名称を付しているが、各シャーシ13a,13bは同一の構成である。
低音側シャーシ13aに支持される複数のソレノイド8からは、音名がA0、A#0、B0、C1、C#1、D1・・・B3、C4、C#4、D4、D#4、E4の鍵5(低音側の44鍵)に駆動力が付与される。
高音側シャーシ13bに支持される複数のソレノイド8からは、音名がF4、F#4、G4、G#4、A4、A#4・・・G7、G#7、A7、A#7、B7、C8の鍵5(高音側の44鍵)に駆動力が付与される。
これらの鍵5のうち、スケール方向の中央付近に配置される鍵5(例えば、音名がB3~A#4のもの)は、スケール方向における低音側または高音側に配置される鍵5(例えば、音名がA0~D1やG7~C8のもの)に比べ、演奏時に使用される頻度が高い。よって、ソレノイド8を用いた自動演奏を行う際には、スケール方向の中央付近に配置されるソレノイド8(例えば、音名がB3~A#4の鍵5に駆動力を付与するもの)の駆動の頻度が高くなり易い。即ち、低音側シャーシ13aにおける高音側(図5の矢印R側)に配置されるソレノイド8や、高音側シャーシ13bにおける低音側(図6の矢印L側)に配置されるソレノイド8は、比較的劣化し易くなる。
これに対して本実施形態では、低音側シャーシ13aと高音側シャーシ13bとの配置を互いに入れ替えても、それらの各シャーシ13a,13を棚板30(図2参照)に固定可能に構成される。このような配置の入れ替えを行うことにより、各シャーシ13a,13bに支持される各ソレノイド8の劣化の度合いが均一になり易くなるので、一部のソレノイド8が早期に動作不良(故障)を起こすことを抑制できる。また、各シャーシ13a,13bが共通の(同一の構成を備える)部品であるため、鍵盤装置1の部品の種類を低減できる。
各シャーシ13a,13bの屈曲部132aには、スケール方向に並ぶ複数(本実施形態では、4本)のホルダー14が固定される。これらのホルダー14は共通の部品であるが、以下の説明においては、スケール方向において低音側に位置するものから順にホルダー14a~14dと符号を付して説明する。
各シャーシ13a,13bの屈曲部132aには、ホルダー14a~14dを固定するためのねじ孔132b~132hが形成される。ねじ孔132b~132hは、スケール方向に沿って(ねじ孔132b~132hの順に)並んでおり、屈曲部132aの最も低音側(矢印L側)に位置するものがねじ孔132bである。
ねじ孔132b,132c同士の間隔、ねじ孔132d,132e同士の間隔、及び、3つのねじ孔132f~132h同士の間隔は、それぞれ同一である。ねじ孔132b,132cは、ホルダー14c(図6参照)を固定するためのものであり、ねじ孔132d,132eは、ホルダー14a(図5参照)を固定するためのものである。
また、3つのねじ孔132f~132hのうち、ねじ孔132f,132gは、ホルダー14d(図6参照)を固定するためのものであり、ねじ孔132g,132hは、ホルダー14b(図5参照)を固定するためのものである。
よって、例えば図5に示す低音側シャーシ13aを、図6に示す高音ユニットの鍵5の配置領域に固定する場合には、ねじ孔132b,132cにホルダー14cをねじ止めすることや、ねじ孔132f,132gにホルダー14dをねじ止めすることができる。図6に示す高音側シャーシ13bを、図5に示す低音ユニットの鍵5の配置領域に固定する場合も同様に、ねじ孔132d,132e,132g,132hを利用してホルダー14a,14bを固定できる。
つまり、図5及び図6の状態から低音側シャーシ13aと高音側シャーシ13bとの配置を互いに入れ替えた場合であっても、スケール方向における各ホルダー14a~14dの配置(図2に示される基板16に対する固定位置)を変更することや、ホルダー14a~14dを異なる部品に変更することなく、各シャーシ13a,13bにホルダー14a~14dを固定できる。これにより、各シャーシ13a,13bの配置の入れ替えの前後において、各シャーシ13a,13b及びホルダー14a~14dの全てを共通の部品にできるので、鍵盤装置1の部品の種類を低減できる。
次いで、各鍵5及びソレノイド8のピッチについて説明する。まず、図5及び図6を参照して、鍵5及びソレノイド8のピッチの定義について説明する。
図5に示すように、白鍵5aは、アーム52が固定される幅狭部と、その幅狭部の前端に一体に接続され、幅狭部よりもスケール方向の寸法が大きい幅広部と、を備える。各白鍵5aのアーム52は、いずれも幅狭部のスケール方向における中央に固定される。また、各黒鍵5bのアーム52も同様に、いずれも黒鍵5b(押鍵される面よりも後方側の部位)のスケール方向における中央に固定される。
鍵5のピッチは、スケール方向におけるアーム52の中心(アーム52の位置)に基づいて計測される距離である。例えば、図5に示される低音ユニットの鍵5において、最も低音側に位置する音名がA0の白鍵5aを基準鍵A0とした場合に、基準鍵A0のアーム52の中心から、A#0の黒鍵5bのアーム52の中心までのスケール方向における距離がピッチLp1である。
以下、低音ユニットの基準鍵A0を基点にして(基準鍵A0を0番目の鍵5として)、低音側からx番目に並ぶ鍵5のピッチをLpxと記載して説明する。図5では、低音側から1~5番目に並ぶ鍵5のピッチLp1~Lp5を示している。
図6に示される高音ユニットも同様に、基準鍵F4を基点にして、低音側からX番目に並ぶ鍵5のピッチをHpxと記載して説明する。図6では、低音側から1~5番目に並ぶ鍵5のピッチHp1~Hp5を示している。
また、ソレノイド8のピッチは、プランジャ80の軸心(スケール方向におけるソレノイド8の中心)に基づいて計測される距離である。例えば、図5に示される最も低音側に位置するソレノイド8を基準ソレノイド8Aとした場合に、その基準ソレノイド8Aのプランジャ80の中心から、次に高音側に並ぶソレノイド8のプランジャ80の中心までのスケール方向における距離がピッチSp1である。
以下、基準ソレノイド8Aを基点にして(基準ソレノイド8Aを0番目のソレノイド8として)、低音側からx番目に並ぶソレノイド8のピッチをSpxとして説明する。図5では、低音側から1~5番目に並ぶソレノイド8のピッチSp1~Sp5を示している。
次いで、図5及び図7(a)を参照して、低音ユニットの各鍵5のピッチLpxについて説明する。図7(a)は、低音ユニットの鍵5のピッチLpxを示す表である。
図5及び図7(a)に示すように、基準鍵A0からA#0の黒鍵5bまでのピッチLp1は、13.4mmであり、基準鍵A0からB0の白鍵5aまでのピッチLp2は、26.9mmである。また、基準鍵A0からC1、C#1、D1の各鍵5までのピッチLp3~Lp5は、それぞれ41.1mm、55.1mm、69.2mmである。図7(a)の「低音ユニットの鍵のピッチ(mm)」の欄には、D1の白鍵5aよりも高音側に並ぶ鍵5についても、基準鍵A0からのピッチLp6~Lp10を示している。
次いで、図6及び図7(b)を参照して、高音ユニットの鍵5のピッチHp1~Hp10について説明する。図7(b)は、高音ユニットの鍵5のピッチHpxを示す表である。
図6及び図7(b)に示すように、基準鍵F4からF#4の黒鍵5bまでのピッチHp1は、13.5mmであり、基準鍵F4からG4の白鍵5aまでのピッチHp2は、26.9mmである。また、基準鍵F4からG#4、A4、A#4の各鍵5までのピッチHp3~Hp5は、それぞれ40.3mm、53.7mm、67.1mmである。図7(b)の「高音ユニットの鍵のピッチ(mm)」の欄には、A#4の黒鍵5bよりも高音側に並ぶ鍵5についても、基準鍵F4からのピッチHp5~Hp10を示している。
図7(a)及び図7(b)に示すように、低音ユニット及び高音ユニットの鍵5のピッチLp1~Lp10,Hp1~Hp10のうち、ピッチLp2,Hp2については26.9mmで一致しているが、それ以外の全てのピッチは低音ユニットと高音ユニットとで異なる値となる。これは、図5に示す低音ユニットでは、ピッチLpxの基点がA0の白鍵5aであるのに対し、図6に示す高音ユニットでは、ピッチHpxの基点がF4の白鍵5a(低音ユニットとは音名の異なる鍵5)になっているためである。
この場合、例えば、ソレノイド8のピッチSpxを、低音ユニットの鍵5のピッチLpxと同一の値にしてしまうと、高音ユニットの各鍵5に対するソレノイド8の配置に誤差(スケール方向におけるずれ)が生じてしまう。これは、上述した通り、各シャーシ13a,13bが共通の部品であり、ソレノイド8のピッチSpxも各シャーシ13a,13bにおいて同一となるためである。
ソレノイド8のピッチSpxと低音ユニットの鍵5のピッチLpxと同一の値にした場合、高音ユニットの鍵5に対するソレノイド8の配置の誤差は、「Lpx-Hpx」で求めることができるが、最大でLp6-Hp6(83.3-80.6)=2.7(mm)の誤差が生じる。これは、高音ユニットにおける基準鍵F4から6番目の鍵5に対し、ソレノイド8が2.7mm高音側にずれて配置されることを意味している。なお、基準鍵F4から11番目以降の鍵5についても、ソレノイド8の配置の誤差が最大で高音側に2.7mmとなる。このような鍵5に対するソレノイド8の配置の誤差が生じると、ソレノイド8(プランジャ80)からの駆動力がアーム52に適切に伝達され難くなる。
この問題点は、ソレノイド8のピッチSpxを高音ユニットの鍵5のピッチHpxと一致させた場合にも同様に生じるが、この場合の鍵5に対するソレノイド8の配置の誤差も「Hpx-Lpx」で求められるため、最大で2.7mmの誤差が生じる。
これに対して本実施形態では、低音ユニットの鍵5のピッチLpxと、高音ユニットの鍵5のピッチHpxの平均値に基づいてソレノイド8のピッチSpxを設定している。このソレノイド8のピッチSpxについて、図7(c)及び図7(d)を参照して説明する。図7(c)は、低音ユニット及び高音ユニットの鍵5のピッチの平均値Avxを示す表であり、図7(d)は、ソレノイド8のピッチSpxを示す表である。
図7(c)に示すように、低音ユニット及び高音ユニットの鍵5のピッチの平均値Avxは、「(Lpx+Hpx)/2」から求められるものである。例えば、低音ユニットの基準鍵A0からA#0の黒鍵5bまでのピッチLp1(13.4mm)と、高音ユニットの基準鍵F4からF#4の黒鍵5bまでのピッチHp1(13.5mm)との平均値Av1は、13.45mmである。このように算出した鍵5のピッチの平均値Av1~Av10を図7(c)の「鍵のピッチの平均値(mm)」に示している。
一方、ソレノイド8のピッチSpxは、図7(d)に示すように、低音ユニット及び高音ユニットの鍵5のピッチの平均値Avxと略同一の値(平均値Avx±0.05mm)に設定される。このようなピッチSpxに設定したソレノイド8を低音ユニット及び高音ユニットに適用した場合について説明する。まず、図7(e)を参照して、低音ユニットについて説明する。
図7(e)は、低音ユニットの鍵5に対するソレノイド8の配置の誤差Lgxを示す表である。図7(e)の「Spx-Lpx(mm)」の欄には、基準ソレノイド8Aの配置を低音ユニットの基準鍵A0と一致させた場合の誤差Lgxを示している。また、図7(e)の「Spx-Lpx+0.7(mm)」の欄には、基準ソレノイド8Aの配置を基準鍵A0に対して0.7mm高音側にオフセットさせた場合の誤差Lgxを示している。
図7(e)に示すように、基準ソレノイド8Aの配置と低音ユニットの基準鍵A0の配置とをスケール方向で一致させた場合、各鍵5に対するソレノイド8の配置の誤差Lgxは、「Spx-Lpx」で求めることができる。
この誤差Lgxは、「Spx-Lpx(mm)」の欄に示すように、最大でSp6-Lp6(81.9-83.3)=-1.4(mm)となる。これは、基準ソレノイド8Aの配置を低音ユニットの基準鍵A0と一致させた場合、基準鍵A0から6番目の鍵5に対し、ソレノイド8が1.4mm低音側にずれて配置されることを意味している。なお、基準鍵A0から11番目以降の鍵5に対するソレノイド8の配置の誤差も、最大で低音側に1.4mmとなる。
上述した通り、例えばソレノイド8のピッチSpxと高音ユニットの鍵5のピッチHpxとを同一の値にした場合には、低音ユニットの鍵5に対するソレノイド8の配置の誤差が最大で2.7mmになる。これに対し、ソレノイド8のピッチSpxを、低音ユニット及び高音ユニットの鍵5のピッチの平均値Avx±0.5mmに設定することにより、低音ユニットの鍵5に対するソレノイド8の配置の誤差を1.4mm以下に抑えることができる。これにより、低音ユニットの各鍵5に対してソレノイド8の駆動力を適切に伝達できる。
ここで、図7(e)の「Spx-Lpx(mm)」の欄におけるLgxの値は、全て0又はマイナスの値である。即ち、基準ソレノイド8Aの配置を低音ユニットの基準鍵A0と一致させた場合、各鍵5に対するソレノイド8の配置の誤差は、高音側への誤差が無い一方、低音側への誤差が大きくなる。
よって、本実施形態では、基準ソレノイド8Aの配置を低音ユニットの基準鍵A0と一致させるのではく、基準ソレノイド8Aの配置(図2に示す棚板30における低音側シャーシ13aの取り付け位置)を、基準鍵A0に対して高音側に0.7mmオフセットさせている。このオフセット後のソレノイド8の配置の誤差Lgxを、図7(e)の「Spx-Lpx+0.7(mm)」に示しているが、Lgxの値は、プラス側に最大で0.7mm、マイナス側に最大で0.7mmとなる。
即ち、本実施形態では、低音ユニットの鍵5に対する各ソレノイド8の配置の誤差が、各鍵5(全ての鍵5)において0.7mm以下となる位置に低音側シャーシ13aが配置される。これにより、低音ユニットの各鍵5に対してソレノイド8の駆動力を適切に伝達できる。
次いで、図7(f)を参照して、高音ユニットについて説明する。図7(f)は、高音ユニットの鍵5に対するソレノイド8の配置の誤差Hgxを示す表である。図7(f)の「Spx-Hpx(mm)」の欄には、基準ソレノイド8Aの配置を高音ユニットの基準鍵F4と一致させた場合の誤差Hgxを示している。また、図7(f)の「Spx-Hpx-0.6(mm)」の欄には、基準ソレノイド8Aの配置を基準鍵F4に対して0.6mm低音側にオフセットさせた場合の誤差Hgxの値が示されている。
図7(f)の「Spx-Hpx(mm)」の欄に示すように、基準ソレノイド8Aの配置を高音ユニットの基準鍵F4と一致させた場合、各鍵5に対するソレノイド8の配置の誤差Hgxは、最大でSp6-Hp6(81.9-80.6)=1.3(mm)となる。これは、基準ソレノイド8Aの配置を高音ユニットの基準鍵F4と一致させた場合、基準鍵F4から6番目の鍵5に対し、ソレノイド8が1.3mm高音側にずれて配置されることを示している。なお、基準鍵F4から11番目以降の鍵5に対するソレノイド8の配置の誤差も、最大で高音側に1.3mmとなる。
上述した通り、例えばソレノイド8のピッチSpxと低音ユニットの鍵5のピッチLpxとを同一の値にした場合には、高音ユニットの鍵5に対するソレノイド8の配置の誤差が最大で2.7mmになる。これに対し、ソレノイド8のピッチSpxを低音ユニット及び高音ユニットの鍵5のピッチの平均値Avx±0.05mmに設定することにより、高音ユニットの鍵5に対するソレノイド8の配置の誤差を1.3mm以下に抑えることができる。これにより、高音ユニットの各鍵5に対してソレノイド8の駆動力を適切に伝達できる。
ここで、図7(f)の「Spx-Hpx(mm)」の欄におけるHgxの値は、プラス側に最大で1.3mmであり、マイナス側に最大で0.1mmである。即ち、基準ソレノイド8Aの配置を高音ユニットの基準鍵F4と一致させた場合、各鍵5に対するソレノイド8の配置の誤差は、高音側への誤差が大きくなる一方、低音側への誤差が小さくなる。
よって、本実施形態では、基準ソレノイド8Aの配置(図2に示す棚板30における高音側シャーシ13bの取り付け位置)を、基準鍵F4に対して0.6mm高音側にオフセットさせている。この0.6mmのオフセット量は、「Spx-Hpx」の最小値(-0.1)と最大値(1.3)とを平均すること(「(-0.1+1.3)/2=0.6」)から求められる。図7(f)の「Spx-Hpx-0.6(mm)」の欄には、オフセット後のソレノイド8の配置の誤差Hgxを示しているが、Hgxの値は、プラス側に最大で0.7mm、マイナス側に最大で0.7mmとなる。
即ち、高音ユニットの鍵5に対する各ソレノイド8の配置の誤差も、各鍵5(全ての鍵5)において0.7mm以下となる位置に高音側シャーシ13bが配置される。これにより、高音ユニットの各鍵5に対してソレノイド8の駆動力を適切に伝達できる。
以上の通り、低音ユニット及び高音ユニットの鍵5のピッチの平均値Avxに基づいて(Avx±0.05mmに)ソレノイド8のピッチSpxを設定することにより、低音ユニットの鍵5に対するソレノイド8の配置の誤差と、高音ユニットの鍵5に対するソレノイド8の配置の誤差とを平準化できる。また、低音側シャーシ13aと高音側シャーシ13bとが同一の部品であるため、それらの各シャーシ13a,13bの配置を互いに入れ替えた場合においても同様に、各ユニットの鍵5に対するソレノイド8の誤差を平準化できる。よって、鍵盤装置1の部品の種類を低減させつつ、低音ユニット及び高音ユニットの各鍵5に対してソレノイド8の駆動力を適切に伝達できる。
なお、本実施形態では、ソレノイド8のピッチSpxが低音ユニット及び高音ユニットの鍵5のピッチの平均値Avxの±0.05mmに設定されているが、必ずしもこれに限られない。例えば、ソレノイド8のピッチSpxが平均値Avxの±0.1mmの範囲内であれば、低音ユニット及び高音ユニットの各鍵5に対してソレノイド8の駆動力を適切に伝達できる。
また、本実施形態では、低音ユニットの鍵5に対してソレノイド8を0.7mm高音側にオフセットさせ、高音ユニットの鍵5に対してソレノイド8を0.6mm低音側にオフセットさせているが、このオフセットの量は、ゼロでも良いし、0.7(0.6)mmより小さい値でも大きい値でも良い。但し、各鍵5に対するソレノイド8の配置の誤差が最大でも1mm以下になることが好ましい。これにより、各鍵5に対してソレノイド8の駆動力を適切に伝達できる。
また、本実施形態では、低音ユニット及び高音ユニットの2つの領域に鍵5を区分けし、各ソレノイド8を低音側シャーシ13a及び高音側シャーシ13bで支持しているが、必ずしもこれに限られない。例えば、各鍵5を4つのユニットに区分けし、各ソレノイド8を4つの共通のソレノイドシャーシ13で支持する構成でも良いし、各鍵5を3又は5以上のユニットに区分けする構成でも良い。いずれの構成の場合においても、各ユニットの鍵5のピッチの平均値に基づいてソレノイド8のピッチを設定することが好ましい。
次いで、図8を参照して、第2実施形態の鍵盤装置201について説明する。第1実施形態では、鍵盤装置1がグランドピアノを模す電子楽器である場合を説明したが、第2実施形態では、鍵盤装置201がアップライトピアノを模す電子楽器である場合について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図8は、第2実施形態の鍵盤装置201の部分拡大断面図である。
図8に示すように、鍵盤装置201の筐体203は、略直方体状の本体部203aと、その本体部203aの前面から(矢印F側に)突出し、複数の鍵5を支持する鍵盤テーブル203bと、を備える。
本体部203aは、スケール方向(矢印L-R方向)に所定間隔を隔てる一対の側板230aと、それら一対の側板230aの前端(矢印F側の端部)をスケール方向で接続する上側前板231a及び下側前板232aと、それら上側前板231a及び下側前板232aの後方側で一対の側板230aの後端(矢印B側の端部)をスケール方向で接続する後板233aと、その後板233aの上端に接続されて本体部203aの内部の空間(以下「収納空間S1」という。)を塞ぐ天板234aと、を備える。
鍵盤テーブル203bの底面を構成する棚板30は、本体部203aの後板233aまで延びている。棚板30には、第1実施形態と同様のソレノイド8やソレノイドシャーシ13などの各部品が支持される。
本体部203aの側板230aにはファン9が固定され、ソレノイド8を支持する棚板30には、棚板30を上下に貫く吸気口30cが形成される。よって、ファン9を駆動することにより、棚板30の下方側の比較的冷たい空気が収納空間S1内に吸気される。吸気口30cは、ソレノイド8の近傍に形成されるので、吸気口30cから吸気した比較的冷たい空気によってソレノイド8を効率良く冷却できる。
また、ファン9が吸気口30cよりも上方側に配置されるので、ソレノイド8によって温められた収納空間S1内の空気は、ファン9によって生じる気流に加え、自然対流による上昇気流によってファン9を通して効率良く排気される。よって、収納空間S1内に熱気がこもることを抑制できるので、ソレノイド8を効率良く冷却できる。
アップライト型の鍵盤装置201は、後板233aを壁に寄せて設置されることが多いため、例えば後板233aにファン9を取り付けると、鍵盤装置201と壁との間に熱がこもり易くなる。これに対し、本実施形態のように側板230aにファン9を取り付けることにより、筐体203内の熱を効率良く放熱できる。
なお、鍵盤装置201の下側前板232aと後板233aとの間の空間S2には、スピーカなどの各種機器が配置されることがあり、このような場合には、各種機器によって温められた空気が吸気口30cを通してソレノイド8側に供給されることがある。よって、空間S2の空気でソレノイド8を十分に冷却できない場合には、以下の例のような構成としても良い。
例えば、第1の例としては、下側前板232aの上端と棚板30との間に隙間S3を形成すると共に、図9に破線で示すような遮蔽板235a(下側前板232aと後板233aとを繋ぐ板)によって空間S2の上部を塞ぐ構成が例示される。この構成であれば、鍵盤テーブル203bの下側の比較的冷たい空気を隙間S3及び吸気口30cを通してソレノイド8側に供給できる。
また、第2の例としては、隙間S3を省略し(又は隙間S3に加え)、下側前板232aを貫く通気口を形成すると共に、その通気口よりも下側(空間S2内の各種機器よりも上側)に遮蔽板235aを配置する構成が例示される。この構成でも、鍵盤テーブル203bの下側の比較的冷たい空気を、下側前板232aの通気口と棚板30の吸気口30cとを通してソレノイド8側に供給できる。
次いで、図9及び図10を参照して、シャーシ313,413の変形例について説明するが、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図9は、第1の変形例のシャーシ313の正面斜視図であり、図10は、第2の変形例のシャーシ413の正面斜視図である。なお、図9及び図10では、シャーシ313,413に支持されるソレノイド8(図3参照)の図示を省略している。
図9に示すように、第1の変形例のシャーシ313の底面部130からは、板状の放熱板130cが下方に突出している。スケール方向(矢印L-R方向)に延びる放熱板130cが前後(矢印F-B方向)に複数(本実施形態では、4枚)並べられており、この複数枚の放熱板130cを1組とすると、複数組の放熱板130cがスケール方向に並んでいる。これらの放熱板130cは、ヒートシンクとして機能するので、底面部130の熱が放熱され易くなる。よって、シャーシ313に支持されるソレノイド8(図示せず)を効率良く冷却できる。
なお、この変形例のシャーシ313においては、底面部130の開口130b(図3(b)参照)を省略しているが、放熱板130cに加えて開口130bを形成することは当然可能である。
前面部131の下端側には、スケール方向に並ぶ複数の開口131aが形成される。開口131aは、図示しないソレノイド8と前後方向(矢印F-B方向)で対面する位置に形成されるので、ソレノイド8を効率良く冷却できる。
開口131aよりも上方側には、スケール方向に延びる突起131c(溝)が形成される。突起131cは、前面部131の前面から前方に突出しており、複数(本実施形態では、6本)の突起131cが上下に並べられる。これらの突起131cもヒートシンクとして機能するので、前面部131の熱が放熱され易くなる。
後面部132の後面からは、板状の放熱板132i,132jが後方側に突出している。放熱板132i,132jは、スケール方向に延びる(上下で対面する)2枚の板から構成されており、放熱板132iは、後面部132の上下方向中央よりも下側に形成され、放熱板132jは、後面部132の上下方向中央よりも上側に形成される。
放熱板132jよりも上方側には、スケール方向に延びる突起132k(溝)が形成される。突起132kは、後面部132の後面から後方に突出する突起であり、複数(本実施形態では、6本)の突起132kが上下に並べられる。
突起132kよりも上方側には放熱板132lが形成される。放熱板132lは、後面部132の後面から後方に突出しつつ上方に屈曲するL字状に形成される。
これらの放熱板132i,132j,132lや突起132kを後面部132は、ヒートシンクとして機能するので、後面部132の熱が放熱され易くなる。よって、シャーシ313に支持されるソレノイド8(図示せず)を効率良く冷却できる。
図10に示すように、第2の変形例のシャーシ413は、後面部132の上部にファン409を支持するための支持部432mを備える。支持部432mは、スケール方向(矢印L-R方向)において後面部132の複数箇所(例えば、8箇所)に形成される。支持部432mは、スケール方向で所定間隔を隔てる一対の脚部432m1と、それら一対の脚部432m1の上部でファン409が取り付けられる被取付部432m2と、を備え、これらの各部432m1,432m2が後面部132と一体に形成されている。
脚部432m1は、後面部132の上端から上方に延びており、被取付部432m2は、脚部432m1の上端から前方側(矢印F側)に上昇傾斜している。板状の被取付部432m2の上面(後面)にファン409がねじ止めされ、被取付部432m2の中央には、ファン409と対面する貫通孔432m3が形成される。
ファン409は、貫通孔432m3を通して下方側(図示しないソレノイド8側)に向けた気流を発生させる送風機である。このようなファン409をシャーシ413に設けることにより、シャーシ413に支持されるソレノイド8(図示せず)を効率良く冷却できる。
なお、ファン409の向きを変更し、貫通孔432m3を通してファン9側(図2参照)に向けた気流を発生させる構成でも良い。このような構成であれば、ソレノイド8によって温められた空気をファン9から効率良く排気できる。
以上、上記実施形態に基づき説明をしたが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態では、鍵盤装置1,201がアコースティックのグランドピアノやアップライトピアノを模した電子楽器である場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、鍵盤装置1,201は、アコースティックのグランドピアノやアップライトピアノであっても良いし、電子オルガンであっても良い。
上記各実施形態では、棚板30に形成される吸気口30cから空気を吸気する場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、蓋30bに吸気口を形成しても良く、この場合には、吸気口30cを省略しても良い。
上記各実施形態では、鍵5に駆動力を付与する駆動装置の一例としてソレノイド8を例示したが、必ずしもこれに限られない。例えば、鍵5に駆動力を付与する手段は、他のアクチュエータなどの公知の駆動装置を適用できる。
上記各実施形態では、千鳥状に並ぶソレノイド8の駆動力がアーム52を介して鍵5に付与される場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、ソレノイド8の駆動力を鍵5に直接付与しても良いし、ハンマー6などの他の部材を介して鍵5に間接的に付与しても良い。また、ソレノイド8がスケール方向に沿って一列に並ぶ構成でも良い。
上記各実施形態では、ソレノイドシャーシ13の底面部130や前面部131に複数の開口130b,131aが形成される場合を説明したが、これらの開口130b,131aは省略しても良いし、開口130b,131aに加えて他の開口を形成しても良い。また、開口130b,131aをスケール方向に延びる長孔としても良い。
上記各実施形態では、前面部131の開口131aがソレノイド8と対面する位置に形成される場合を説明したが、開口131aは、ソレノイド8と対面しない位置(例えば、ソレノイド8よりも上方側)に形成されていても良い。開口131aがソレノイド8と対面しない場合であっても、開口131aを通る空気によって前面部131の熱が放熱され易くなるので、ソレノイド8を効率良く冷却できる。
上記各実施形態では、ソレノイドシャーシ13の放熱板131bが上下に延びる板状である(各放熱板131bがスケール方向で対面する)場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、放熱板131bがスケール方向に延びる板状に(複数の放熱板131bが上下に対面するように)形成されていても良いし、放熱板131bを省略しても良い。
上記各実施形態では、ソレノイド8を支持するソレノイドシャーシ13が低音側シャーシ13a及び高音側シャーシ13bから構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、複数のソレノイド8を1つのソレノイドシャーシ13で支持しても良い。また、ソレノイドシャーシ13の前面部131及び後面部132にソレノイド8が固定される場合を説明したが、それらの各面部131,132を省略してソレノイド8を底面部130で支持しても良い。
また、上記のようにソレノイド8がスケール方向に沿って一列に並ぶ場合には、前面部131(後面部132)を省略して後面部132(前面部131)にソレノイド8を固定しても良い。更に、ソレノイドシャーシ13を省略してソレノイド8を筐体3に直接固定しても良い。
上記各実施形態では、低音側シャーシ13a及び高音側シャーシ13bが共通の部品である場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、低音側シャーシ13aと高音側シャーシ13bとが異なる部品であっても良く、この場合でも、各シャーシ13a,13bの互いの配置を入れ替え可能にすることは当然可能である。
上記各実施形態では、低音側シャーシ13aに支持されるソレノイド8のピッチと、高音側シャーシ13bに支持されるソレノイド8のピッチとが同一である場合を説明したが、それらのピッチが異なっている(即ち、低音ユニットの鍵5に合わせたピッチで配列されたソレノイド8を低音側シャーシ13aで支持し、高音ユニットの鍵5に合わせたピッチで配列されたソレノイド8を高音側シャーシ13bで支持する)構成でも良い。
上記各実施形態では、低音ユニットの鍵5のピッチと高音ユニットの鍵5のピッチとの平均値に基づいてソレノイド8のピッチが設定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、低音ユニットの鍵5(高音ユニットの鍵5)のピッチとソレノイド8のピッチとを一致させても良い。
上記各実施形態では、ホルダー14がソレノイドシャーシ13(屈曲部132a)に固定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、ホルダー14の後端部分をソレノイドシャーシ13よりも後方側に延長させと共に、その延長部分から下方に(棚板30まで)延びる脚部を棚板30に固定しても良い。また、ホルダー14をシャーシ4のみに固定しても良いし、操作パネル18(基板16)を支える必要が無い場合には、ホルダー14を省略しても良い。
上記各実施形態では、複数のホルダー14a~14dが共通の部品であり、低音側および高音側の各シャーシ13a,13bの配置を入れ替える前後において、ホルダー14a~14dの配置を変更が不要である場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、複数のホルダー14a~14dを別部品としても良いし、各シャーシ13a,13bの配置の入れ替えに応じてホルダー14a~14dの配置(固定金具15や基板16に対する固定位置)を変更しても良い。
また、各シャーシ13a,13bの配置の入れ替えの前後において、各シャーシ13a,13bに共通のホルダー14a~14dを固定するための手段の一例として、複数のねじ孔132b~132hを形成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、ねじ孔132b~132hを複数の貫通孔(又はスケール方向に延びる長孔)とし、その貫通孔(長孔)にホルダー14a~14dをボルト及びナットで固定する構成でも良い。
上記各実施形態では、パネル側突起183、弾性体184、及び蓋側突起190によって操作パネル18と鍵盤蓋19との間の隙間を閉塞する場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、これらの突起183,190や弾性体184(閉塞部)は省略しても良い。また、鍵盤蓋19が筐体3,203に対してスライドする構成の場合には、弾性体などによって開放状態の鍵盤蓋19と筐体3,203との間の隙間を閉塞しても良い。
上記各実施形態では、パネル側突起183及び弾性体184が操作パネル18のスケール方向両端にわたって連続して形成され、蓋側突起190が鍵盤蓋19のスケール方向の両端にわたって連続して形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。突起183,190や弾性体184は、スケール方向で断続していても良い。
上記第1実施形態では、ファン9が後板部35bに取り付けられる場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、ファン9は、側板31(突出部31a)、天板32、前板33、後板34、閉塞板35の天板部35a、背面板36、響板38、又は下板39に取り付けても良い。後板34よりも後方に位置する板にファン9を取り付ける場合には、後板34に通気口を形成したり、後板34を省略したりすることにより、吸気口30cからファン9に向けた気流を生じさせることができる。
即ち、ファン9は、少なくとも棚板30(吸気口30c)よりも上方で筐体3に取り付けられていれば、その取り付け位置は適宜設定できる。よって、ファン9は、必ずしも筐体3の壁に取り付けられる必要はなく、例えば、収納空間S1の内部にファン9を支持すると共に、筐体3の壁に排気口を設け、排気口側に向けた気流をファン9で生じさせる構成でも良い(このような構成の場合には、ファン9と排気口とを繋ぐ排気路を設けても良い)。第2実施形態の鍵盤装置201においても同様である。
上記第1実施形態では、後板部35bのスケール方向中央よりも高音側にファン9が取り付けられる場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、後板部35bのスケール方向中央にファン9を取り付けても良いし、後板部35bのスケール方向中央よりも低音側にファン9を取り付けても良い。
1,201 鍵盤装置
3,203 筐体
30 棚板
30c 吸気口
34 後板
35b 後板部(取付板)
37 大屋根
38 響板
5 鍵
5a 白鍵(鍵)
5b 黒鍵(鍵)
8 ソレノイド(駆動装置)
9,409 ファン
10 スピーカ
13 ソレノイドシャーシ(支持部材)
13a 低音側シャーシ(支持部材)
13b 高音側シャーシ(支持部材)
131 前面部(被固定部)
131a 開口
131b 放熱板(凸部)
132 後面部(被固定部)
14,14a~14d ホルダー
18 操作パネル(パネル)
183 パネル側突起(閉塞部)(突起)
184 弾性体(閉塞部)
19 鍵盤蓋
190 蓋側突起(閉塞部)
3,203 筐体
30 棚板
30c 吸気口
34 後板
35b 後板部(取付板)
37 大屋根
38 響板
5 鍵
5a 白鍵(鍵)
5b 黒鍵(鍵)
8 ソレノイド(駆動装置)
9,409 ファン
10 スピーカ
13 ソレノイドシャーシ(支持部材)
13a 低音側シャーシ(支持部材)
13b 高音側シャーシ(支持部材)
131 前面部(被固定部)
131a 開口
131b 放熱板(凸部)
132 後面部(被固定部)
14,14a~14d ホルダー
18 操作パネル(パネル)
183 パネル側突起(閉塞部)(突起)
184 弾性体(閉塞部)
19 鍵盤蓋
190 蓋側突起(閉塞部)
Claims (20)
- スケール方向に並ぶ複数の鍵と、前記鍵を揺動させる駆動力を複数の前記鍵に付与する複数の駆動装置と、複数の前記駆動装置を支持する棚板を有した筐体と、前記筐体の前記棚板よりも上方側に取り付けられ、前記筐体内の空気を外部に排気するファンと、を備え、
前記棚板は、前記ファンによって前記筐体外の空気を吸気するための吸気口を備えることを特徴とする鍵盤装置。 - 前記ファンは、前記筐体の後方側に向けて排気するものであることを特徴とする請求項1記載の鍵盤装置。
- 前記筐体は、スケール方向における前記筐体の低音側の端部に軸支される大屋根と、前記大屋根の下方に配置される響板と、前記響板の前端側から上方に立ち上がり、前記ファンが取り付けられる取付板と、を備え、
前記ファンは、スケール方向における前記取付板の中央よりも高音側に取り付けられる
ことを特徴とする請求項2記載の鍵盤装置。 - 前記筐体の内部に設けられ、前記響板側に向けて放音するスピーカを備え、
前記筐体は、前記棚板の後端側から前記取付板まで上方に延びる後板を備え、
前記後板の後方側に形成される前記筐体内の空間に、前記スピーカが配置されることを特徴とする請求項3記載の鍵盤装置。 - 前記筐体は、複数の前記鍵の後端側の上面を覆うパネルと、前記パネルの上方側で回転する鍵盤蓋と、を備え、
前記パネル及び前記鍵盤蓋の少なくとも一方は、前記鍵盤蓋の開放状態において前記パネルと前記鍵盤蓋との間の隙間を閉塞する閉塞部を備えることを特徴とする請求項1記載の鍵盤装置。 - 前記閉塞部は、前記パネルの上面に形成されてスケール方向に延びる突起であり、
前記鍵盤蓋の開放状態において前記鍵盤蓋の下端側の後面に前記突起が対面することを特徴とする請求項5記載の鍵盤装置。 - 前記パネル及び前記鍵盤蓋の少なくとも一方は、前記開放状態において前記鍵盤蓋の下端側の後面と前記突起とに挟まれる弾性体を備えることを特徴とする請求項6記載の鍵盤装置。
- 複数の前記駆動装置を支持し、前記棚板に取り付けられる金属製の支持部材を備え、
前記支持部材は、前記棚板から立ち上がる板状に形成され、前面または後面に複数の前記駆動装置が固定される被固定部を備え、
前記被固定部は、放熱用の開口を備えることを特徴とする請求項1記載の鍵盤装置。 - 前記開口は、前記駆動装置と対面する位置に形成されることを特徴とする請求項8記載の鍵盤装置。
- スケール方向で隣り合う前記駆動装置同士の間には隙間が形成され、
前記開口は、前記隙間と対面する位置に形成されることを特徴とする請求項8記載の鍵盤装置。 - 前記被固定部は、前記開口の縁から突出する複数の放熱用の凸部を備えることを特徴とする請求項8記載の鍵盤装置。
- 上下方向に延びる板状の前記凸部がスケール方向に複数並べられ、
前記吸気口は、前記凸部の下方に形成されることを特徴とする請求項11記載の鍵盤装置。 - 複数の前記駆動装置を支持し、スケール方向に並べられる複数の支持部材を備え、
複数の前記支持部材は、互いの配置を入れ替えて前記棚板に取り付け可能に構成されることを特徴とする請求項1記載の鍵盤装置。 - 複数の前記支持部材のうち、一の前記支持部材に支持される前記駆動装置のピッチと、他の前記支持部材に支持される前記駆動装置のピッチとが同一に設定され、
一の前記支持部材に支持された前記駆動装置から駆動力が付与される複数の前記鍵のピッチと、他の前記支持部材に支持された前記駆動装置の駆動力が付与される複数の前記鍵のピッチとの平均値に基づいて、前記駆動装置のピッチが設定されることを特徴とする請求項13記載の鍵盤装置。 - 前記駆動装置のピッチは、前記平均値±0.1mmであることを特徴とする請求項14記載の鍵盤装置。
- スケール方向における前記鍵に対する前記駆動装置の配置の誤差が、複数の前記鍵において1mm以下となる位置に前記支持部材が配置されることを特徴とする請求項15記載の鍵盤装置。
- 複数の前記駆動装置を支持し、前記鍵よりも後方側で前記棚板に取り付けられる支持部材と、前記支持部材に取り付けられ、前記支持部材から前記鍵の上面側に向けて前方に延びるホルダーと、前記ホルダーの前端側に取り付けられ、複数の前記鍵の後端側の上面を覆うパネルと、を備えることを特徴とする請求項1記載の鍵盤装置。
- 同一の構成を備える前記支持部材がスケール方向に複数並べられ、
複数の前記支持部材は、互いの配置を入れ替えて前記棚板に取り付け可能に構成され、
前記支持部材の配置を入れ替える前後において、前記ホルダーの配置を変更することなく、前記支持部材に前記ホルダーを取り付け可能であることを特徴とする請求項17記載の鍵盤装置。 - 前記駆動装置は、ソレノイドであることを特徴とする請求項1記載の鍵盤装置。
- スケール方向に並ぶ複数の鍵と、前記鍵を揺動させる駆動力を複数の前記鍵に付与する複数の駆動装置と、複数の前記駆動装置を支持する棚板を有した筐体と、前記筐体の前記棚板よりも上方側に取り付けられ、前記筐体内の空気を外部に排気するファンと、を備える鍵盤装置における前記駆動装置の冷却方法であって、
前記筐体外の空気を吸気するための吸気口を前記棚板に形成し、前記ファンによって前記吸気口から吸気した空気で前記駆動装置を冷却することを特徴とする駆動装置の冷却方法。
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