JP2024074146A - 接着シート及び積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】常温下においてもロール貼り合わせが可能であり、且つ、接着力に優れた接着シート及び積層体を提供する。【解決手段】ベースポリマーと、架橋剤と、下記一般式(1)で表される化合物を含む分子接着剤と、を含む接着剤組成物により形成される接着剤層を含む、接着シート。(RA)x-L1-[L2-Si-(R1)n(OR2)3-n]y(1)(式中、RAは反応性基を含む基を表す。L1は(x+y)価の連結基を表す。L2は2価の連結基又は単結合を表す。R1は炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基を表す。R2は水素原子又は炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基を表す。nは0~2の整数を表す。x及びyは1以上の整数を表す。ただし、(x+y)≧3を満たす。)【選択図】図3

Description

本発明は、接着シート及び積層体に関する。
粘着剤は、家電製品から自動車、OA機器等の各種産業分野において、典型的には粘着剤層を含む粘着シートの形態で、部品の接合や表面保護等の目的で広く利用されている。
近年では、分子接着剤を用いた、強固な接合が得られる接着層について、種々の研究がなされている。
例えば、特許文献1には、基体Aと、基体Bとを、基体Aの表面に設けられたトリアジン環構造を有する特定化合物を含む剤を介して接合する旨が開示されている。
また、特許文献2には、粘着性樹脂を含む粘着剤層上に、特定の反応性基を有する分子接着剤を含む分子接着剤層が積層された接着シートであって、粘着性樹脂は分子接着剤の反応性基と化学結合を形成し得る反応性部分構造を有する接着シートが開示されている。
特許第5083926号公報 特許第6452919号公報
しかしながら、特許文献1に記載の接合方法では、基体との貼り合わせの際に加熱下での貼り合せを要する場合がある。この方法においては、基体(被着体)が熱変形および熱劣化する恐れがあるという問題がある。また、接合に時間がかかり、生産性が劣る場合がある。
また、特許文献2に記載の接着シートにおいては、分子接着剤層とは別に粘着剤層が必要であるため、作製工程が多くなる。
本発明は、上述した状況に鑑みてなされたものであり、作製工程の課題を解決することができ、常温下においてもロール貼り合わせが可能であり、且つ、接着力に優れた接着シートを提供することを目的とする。また、該接着シートを用いた積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、ベースポリマーと、架橋剤と、特定構造を有する分子接着剤と、を含む接着剤組成物により形成される接着剤層を含む接着シートを用いることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
〔1〕
ベースポリマーと、架橋剤と、下記一般式(1)で表される化合物を含む分子接着剤と、を含む接着剤組成物により形成される接着剤層を含む、接着シート。
(R-L-[L-Si-(R(OR3-n (1)
(一般式(1)中、
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、反応性基を含む基を表す。
は、(x+y)価の連結基を表す。
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、2価の連結基又は単結合を表す。
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基を表す。
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基を表す。
nは0~2の整数を表す。
x及びyは1以上の整数を表す。ただし、(x+y)≧3を満たす。)
〔2〕
前記一般式(1)中のRが含む反応性基が、アミノ基、アジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基、ジアジリン基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基及びエポキシ基からなる群から選択される少なくとも1種である、〔1〕に記載の接着シート。
〔3〕
前記ベースポリマーは、前記一般式(1)中のRが含む反応性基と化学結合を形成しうる官能基を有する、〔1〕に記載の接着シート。
〔4〕
前記一般式(1)中のRが含む反応性基はアミノ基であって、
前記ベースポリマーが有する前記官能基は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種である、〔3〕に記載の接着シート。
〔5〕
前記一般式(1)中のRが含む反応性基はアジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基、及びジアジリン基からなる群から選択される少なくとも一種であって、
前記ベースポリマーが有する前記官能基は、-CH、-CH-、―CH<、及び-CH=CH-からなる群から選択される少なくとも一種である、〔3〕に記載の接着シート。
〔6〕
前記一般式(1)中のLが表す連結基が芳香環を含む、〔1〕に記載の接着シート。
〔7〕
前記一般式(1)中のLが表す連結基がトリアジン環を含む、〔6〕に記載の接着シート。
〔8〕
前記接着剤組成物における前記分子接着剤の含有量は、前記ベースポリマー100質量部に対して、0.01質量部以上10.0質量部以下である、〔1〕に記載の接着シート。
〔9〕
前記接着剤層において、前記ベースポリマーと前記架橋剤とが架橋構造を形成している、〔1〕に記載の接着シート。
〔10〕
前記ベースポリマーは、前記一般式(1)中のRが含む反応性基と化学結合を形成しうる官能基を有し、前記官能基と前記Rが含む反応性基が化学結合を形成している、〔1〕に記載の接着シート。
〔11〕
前記接着剤層において、前記ベースポリマーと前記架橋剤とが架橋構造を形成しており、
前記ベースポリマーは、前記一般式(1)中のRが含む反応性基と化学結合を形成しうる官能基を有し、前記官能基と前記Rが含む反応性基が化学結合を形成している、〔1〕に記載の接着シート。
〔12〕
前記接着剤層の厚さが0.01~100μmである、〔1〕に記載の接着シート。
〔13〕
前記接着剤層の全光線透過率が80%以上である、〔1〕に記載の接着シート。
〔14〕
更に支持体を含み、前記支持体の一方の面に前記接着剤層を有する、〔1〕に記載の接着シート。
〔15〕
更に支持体を含み、前記支持体の両方の面に前記接着剤層を有する、〔1〕に記載の接着シート。
〔16〕
更に剥離シートを含み、前記剥離シートの剥離処理面に前記接着剤層を有する、〔1〕に記載の接着シート。
〔17〕
被着体と〔1〕~〔15〕のいずれか1項に記載の接着シートとが接合した、積層体。
〔18〕
2以上の被着体が〔1〕~〔15〕のいずれか1項に記載の接着シートを介して接合した、積層体。
本発明によれば、常温下においてもロール貼り合わせが可能であり、且つ、接着力に優れた接着シート及び積層体を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る接着シートを示す概略断面図である。 図2は、本発明の他の実施形態に係る接着シートを示す概略断面図である。 図3は、本発明の他の実施形態に係る接着シートを示す概略断面図である。 図4は、本発明の他の実施形態に係る接着シートを示す概略断面図である。 図5は、本発明の実施形態に係る積層体を示す概略断面図である。 図6は、実施例の接着力試験に用いた賦形フィルムの模式的な平面図である。 図7は、実施例の接着力試験に用いた賦形フィルムの模式的な断面図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施できる。また、数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際の装置等のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
〔接着シート〕
本発明の実施形態に係る接着シートは、ベースポリマーと、架橋剤と、下記一般式(1)で表される化合物を含む分子接着剤と、を含む接着剤組成物により形成される接着剤層を含む。
(R-L-[L-Si-(R(OR3-n (1)
(一般式(1)中、
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、反応性基を含む基を表す。
は、x+y価の連結基を表す。
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、2価の連結基又は単結合を表す。
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基を表す。
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基を表す。
nは0~2の整数を表す。
x及びyは1以上の整数を表す。ただし、x+y≧3を満たす。)
本発明の実施形態に係る接着シートは、少なくとも上記接着剤層を含む。本発明の実施形態に係る接着シートは、上記接着剤層のみからなるシートであってもよい。本発明の実施形態に係る接着シートは、更に支持体を含み、前記支持体の一方の面に前記接着剤層を有していてもよい。本発明の実施形態に係る接着シートは、更に支持体を含み、前記支持体の両方の面に前記接着剤層を有していてもよい。また、本発明の実施形態に係る接着シートは、更に剥離シートを含み、前記剥離シートの剥離処理面に前記接着剤層を有していてもよい。
従来は、分子接着剤は接合部材あるいは被接合部材の表面に配置されるように接着剤層が設けられてきた。
本発明者らは、分子接着剤による接合は、分子接着剤が有する反応性基と化学結合を形成し得る距離まで、接合したい部材を接近させる必要があることに着目した。そして、ベースポリマーと、架橋剤と、特定構造を有する化合物を含む分子接着剤とを含む接着剤組成物により形成した接着剤層は、分子接着剤がその表面だけでなく、接着剤層中に分散して存在するように設計した。
接着剤層の表面に存在する分子接着剤は、被着対象との界面における接着力向上に寄与すると考えられる。そして、接着剤層中に分散して存在する分子接着剤は、ベースポリマーが有し得る官能基との化学結合形成により接着剤層の弾性率を向上させることができるため、接着剤層の凝集破壊を抑制でき、被着対象との接着信頼性向上に寄与するものと考えられる。
(接着剤組成物)
本発明の実施形態に係る接着剤組成物は、ベースポリマーと、架橋剤と、下記一般式(1)で表される化合物を含む分子接着剤とを含む。
(R-L-[L-Si-(R(OR3-n (1)
(一般式(1)中、
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、反応性基を含む基を表す。
は、(x+y)価の連結基を表す。
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、2価の連結基又は単結合を表す。
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基を表す。
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基を表す。
nは0~2の整数を表す。
x及びyは1以上の整数を表す。ただし、(x+y)≧3を満たす。)
本発明の実施形態に係る接着剤組成物は、単層塗工することで接着剤層を作製できるため、接着剤層の作製工程を少なくすることができる。また、被着体との貼り合わせにおいて、従来の粘着剤層と同様に常温下でのロール貼り合わせが可能となる。
また、本発明の実施形態に用いられる接着剤組成物においては、一般式(1)中のRが含む反応性基(以下、反応性基Aともいう。)と-Si-(R)(OR)3-nで表される反応性基(以下、反応性基Bともいう。)の合計が3以上であるため、一般的なシランカップリング剤よりも一分子あたりの官能基数が多く、一般的なシランカップリング剤を含む粘着剤組成物よりも強接着力が得られると考えられる。
以下、接着剤組成物に含まれる各成分について詳述する。
<ベースポリマー>
本発明の実施形態に係る接着剤組成物は、ベースポリマーを含有する。本発明の実施形態においてベースポリマーは、一般的な高分子化合物であれば特に制限されず、たとえば、モノマーの重合物又は部分重合物である。モノマーは、1種のモノマーであっても、2種以上のモノマー混合物であってもよい。なお、部分重合物とは、モノマー又はモノマー混合物のうちの少なくとも一部が部分的に重合している重合物を意味する。
本発明の実施形態におけるベースポリマーは、通常粘着剤として使用され、粘着性を有するものであることが好ましく、例えば、(メタ)アクリル系重合体、ゴム系重合体、ビニルアルキルエーテル系重合体、シリコーン系重合体、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ウレタン系重合体、フッ素系重合体、およびエポキシ系重合体等が挙げられる。中でも、ポリエステル系重合体又は(メタ)アクリル系重合体が好ましい。
上記ポリマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ベースポリマーは、後述する分子接着剤における反応性基Aと化学結合を形成しうる官能基を有することが好ましい。すなわち、ベースポリマーは、後述の一般式(1)中のRが含む反応性基と化学結合を形成しうる官能基を有することが好ましい。
なかでも、一般式(1)中のRが含む反応性基はアミノ基であって、前記ベースポリマーが有する前記官能基は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
または、一般式(1)中のRが含む反応性基はアジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基、及びジアジリン基からなる群から選択される少なくとも一種であって、前記ベースポリマーが有する前記官能基は、-CH、-CH-、―CH<、及び-CH=CH-からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
ここで、化学結合とは、共有結合、配位結合、イオン結合を含み、分子間力は含まない。化学結合は、共有結合であることが好ましい。
ベースポリマーとしては、例えば(メタ)アクリル系重合体を含むことが好ましい。(メタ)アクリル系重合体の製造に使用されるモノマーとしては、いずれの(メタ)アクリレートでも用いることができ、特に限定はされない。例えば、炭素数4以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを用いることができる。この場合、(メタ)アクリル系重合体の製造に使用されるモノマーの総量に対する、炭素数4以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの割合は、例えば50質量%以上である。
本明細書において、「アルキル(メタ)アクリレート」は、直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを指す。アルキル(メタ)アクリレートが有するアルキル基の炭素数は4以上であることが好ましく、より好ましくは、4以上9以下である。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。
アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、n-ブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、n-テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらは単独でまたは組み合わせて使用できる。
(メタ)アクリル系重合体としては、凝集力、架橋性等の改質を目的として、上述のアルキル(メタ)アクリレートに由来するモノマーユニットの他に、これと共重合可能なモノマーに由来するモノマーユニットを含むことが好ましい。共重合可能なモノマーとしては、窒素含有(メタ)アクリルモノマー、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリルモノマー、カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマー等が挙げられる。
本明細書において、「窒素含有(メタ)アクリルモノマー」は、(メタ)アクリロイル基の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ窒素原子を有するモノマーを特に制限なく含む。「窒素含有(メタ)アクリルモノマー」は、例えば窒素含有環状構造を有する。窒素含有環状構造を有する窒素含有(メタ)アクリルモノマーの例として、例えば、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)、N-ビニル-ε-カプロラクタム(NVC)、4-アクリロイルモルホリン(ACMO)が挙げられる。これらは単独でまたは組み合わせて使用できる。
窒素含有(メタ)アクリルモノマーは、共重合に使用されるモノマーの合計量100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、5.0質量部以上、10.0質量部以上、15.0質量部以上、20.0質量部以上、25.0質量部以上、30.0質量部以上または35.0質量部以上としてもよく、40.0質量部以下、35.0質量部以下、30.0質量部以下、25.0質量部以下、20.0質量部以下または15.0質量部以下としてもよい。
本明細書において、「ヒドロキシル基含有(メタ)アクリルモノマー」は、(メタ)アクリロイル基の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ水酸基を有するモノマーを特に制限なく含む。例えば、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルビニルエーテルなどが挙げられる。
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリルモノマーは、共重合に使用されるモノマーの合計量100質量部に対して、例えば、0.05質量部以上、0.75質量部以上、1.0質量部以上、2.0質量部以上、3.0質量部以上、4.0質量部以上、5.0質量部以上、6.0質量部以上、7.0質量部以上、8.0質量部以上または9.0質量部以上使用してもよく、10.0質量部以下、9.0質量部以下、8.0質量部以下、7.0質量部以下、6.0質量部以下、5.0質量部以下、4.0質量部以下、3.0質量部以下、2.0質量部以下または1.0質量部以下使用してもよい。
本明細書において、「カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマー」は、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつカルボキシル基を有するモノマーを特に制限なく含む。不飽和カルボン酸含有モノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等があげられる。これらは単独または組み合わせて使用できる。
カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマーは、共重合に使用されるモノマーの合計量100質量部に対して、例えば、1.0質量部以上、2.0質量部以上、3.0質量部以上、4.0質量部以上、5.0質量部以上、6.0質量部以上、7.0質量部以上、8.0質量部以上または9.0質量部以上使用してもよく、10.0質量部以下、9.0質量部以下、8.0質量部以下、7.0質量部以下、6.0質量部以下、5.0質量部以下、4.0質量部以下、3.0質量部以下または2.0質量部以下使用してもよい。
ベースポリマーとしては、(メタ)アクリル系重合体に代えて、または(メタ)アクリル系重合体と共に、ポリエステル系重合体を含むことも好ましい。ポリエステル系重合体を含む場合、例えば以下の特徴を有するポリエステル系重合体が好ましい。
カルボン酸成分の種類(若しくは骨格の特徴など):少なくとも、カルボキシル基を2個含むジカルボン酸を含有すること、具体的にはジカルボン酸。前記ジカルボン酸としては、特に制限されないが、例えば、セバシン酸、オレイン酸およびエルカ酸などから誘導される、ダイマー酸が挙げられる。その他の例としては、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、4-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、ドデセニル無水琥珀酸、フマル酸、琥珀酸、ドデカン二酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の脂肪族または脂環族ジカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、2,2’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸が挙げられる。前記ジカルボン酸に加えて、カルボキシル基を3個以上含むトリカルボン酸を使用することもできる。
ジオール成分の種類(若しくは骨格の特徴など):少なくとも、ヒドロキシル基を分子中に2個有するものを含有すること、具体的にはジオール。脂肪酸エステルや、オレイン酸や、エルカ酸などから誘導されるダイマージオール、グリセロールモノステアレートなど。その他としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、等の脂肪族グリコールや、脂肪族グリコール以外のものとして、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
<架橋剤>
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、シリコーン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、シラン系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤、過酸化物などの架橋剤が挙げられる。架橋剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせることができる。
イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基(イソシアネート基をブロック剤または数量体化などにより一時的に保護したイソシアネート再生型官能基を含む)を1分子中に2つ以上有する化合物をいう。
イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートなどが挙げられる。
より具体的には、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(東ソー株式会社製,商品名コロネートL)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(東ソー株式会社製,商品名コロネートHL)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(東ソー株式会社製,商品名コロネートHX)などのイソシアネート付加物、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学株式会社製,商品名D110N)、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学株式会社製,商品名D160N);ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート、ならびにこれらと各種のポリオールとの付加物、イソシアヌレート結合、ビューレット結合、アロファネート結合などで多官能化したポリイソシアネートなどを挙げることができる。
イソシアネート系架橋剤は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。イソシアネート系架橋剤の配合量は、ベースポリマー100質量部に対し、例えば0.01質量部以上、0.02質量部以上、0.05質量部以上または0.1質量部以上であり、かつ、15質量部以下、10質量部以下、9質量部以下、8質量部以下、7質量部以下、6質量部以下または5質量部以下であり、好ましくは、0.01質量部以上15質量部以下、0.02質量部以上13質量部以下、0.05質量部以上10質量部以下である。凝集力などを考慮して、配合量を適宜調整すればよい。
なお、乳化重合にて作成した変性(メタ)アクリル系重合体の水分散液では、イソシアネート系架橋剤を用いなくてもよいが、必要な場合には、水と反応し易いために、ブロック化したイソシアネート系架橋剤を用いることもできる。
エポキシ系架橋剤はエポキシ基を1分子中に2つ以上有する多官能エポキシ化合物である。エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、N,N,N′,N′-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール-S-ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。エポキシ系架橋剤としては、例えば、三菱瓦斯化学株式会社製、商品名「テトラッドC」、「テトラッドX」などを用いることができる。
エポキシ系架橋剤は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。エポキシ系架橋剤の配合量は、ベースポリマー100質量部に対し、例えば0.01質量部以上、0.02質量部以上、0.05質量部以上または0.1質量部以上であり、かつ、10質量部以下、9質量部以下、8質量部以下、7質量部以下、6質量部以下または5質量部以下であり、好ましくは、0.01質量部以上10質量部以下、0.02質量部以上9質量部以下、0.05質量部以上8質量部以下である。凝集力などを考慮して、配合量を適宜調整すればよい。
過酸化物の架橋剤としては、加熱によりラジカル活性種を発生してベースポリマーの架橋を進行させるものであれば適宜使用可能であるが、作業性や安定性を勘案して、1分間半減期温度が80℃以上160℃以下である過酸化物を使用することが好ましく、90℃以上140℃以下である過酸化物を使用することがより好ましい。
過酸化物としては、例えば、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:90.6℃)、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.4℃)、t-ブチルパーオキシネオデカノエート(1分間半減期温度:103.5℃)、t-ヘキシルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:109.1℃)、t-ブチルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:110.3℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジ-n-オクタノイルパーオキシド(1分間半減期温度:117.4℃)、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(1分間半減期温度:124.3℃)、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキシド(1分間半減期温度:128.2℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)、t-ブチルパーオキシイソブチレート(1分間半減期温度:136.1℃)、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:149.2℃)などが挙げられる。なかでも特に架橋反応効率が優れることから、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)などが好ましく用いられる。
なお、過酸化物の半減期とは、過酸化物の分解速度を表す指標であり、過酸化物の残存量が半分になるまでの時間をいう。任意の時間で半減期を得るための分解温度や、任意の温度での半減期時間に関しては、メーカーカタログなどに記載されており、たとえば、日油株式会社の「有機過酸化物カタログ第9版(2003年5月)」などに記載されている。
過酸化物は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。過酸化物の配合量は、ベースポリマー100質量部に対し、例えば、0.02質量部以上2質量部以下であり、0.05質量部以上1質量部以下が好ましい。加工性、リワーク性、架橋安定性、剥離性などの調整の為に、この範囲内で適宜調整される。
なお、反応処理後の残存した過酸化物分解量の測定方法としては、たとえば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定することができる。
より具体的には、たとえば、反応処理後の粘着剤を約0.2gずつ取り出し、酢酸エチル10mlに浸漬し、振とう機で25℃下、120rpmで3時間振とう抽出した後、室温で3日間静置する。次いで、アセトニトリル10ml加えて、25℃下、120rpmで30分振とうし、メンブランフィルター(0.45μm)によりろ過して得られた抽出液約10μlをHPLCに注入して分析し、反応処理後の過酸化物量とすることができる。
また、架橋剤として、有機系架橋剤や多官能性金属キレートを併用してもよい。多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Ti等が挙げられる。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子が挙げられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物が挙げられる。
<分子接着剤>
本発明の実施形態に係る接着剤組成物に含まれる分子接着剤は、下記一般式(1)で表される化合物を含む。分子接着剤は、一般式(1)で表される化合物以外の成分(例えば、重合開始剤)を含有し得る。
(R-L-[L-Si-(R(OR3-n (1)
(一般式(1)中、
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、反応性基を含む基を表す。
は、(x+y)価の連結基を表す。
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、2価の連結基又は単結合を表す。
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基を表す。
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基を表す。
nは0~2の整数を表す。
x及びyは1以上の整数を表す。ただし、(x+y)≧3を満たす。)
は、ベースポリマーと反応する反応性基を含む基を表すことが好ましい。
が含む反応性基(反応性基A)は、アミノ基、アジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基、ジアジリン基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基及びエポキシ基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、アミノ基、アジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基、及びジアジリン基からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、アミノ基及びアジド基からなる群から選択される少なくとも1種が更に好ましい。
は、反応性基Aそのものであってもよく、連結基を介して反応性基Aを有する基であってもよい。
例えば、反応性基Aがアミノ基である場合、Rは、下記一般式(a)で表される基であることが好ましい。
Figure 2024074146000002
一般式(a)中、*は、一般式(1)におけるLとの結合手を表す。
a1は、炭素数1~10の2価の炭化水素基を表す。
mは0又は1の整数を表す。
一般式(a)中にRa1が複数存在する場合、複数のRa1は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(a)中、Ra1が表す炭素数1~10の2価の炭化水素基としては、炭素数2~6の2価の炭化水素基が好ましい。Ra1としては、例えば、炭素数1~10のアルキレン基、又はアリーレン基が挙げられ、具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等のアルキレン基;o-フェニレン基、m-フェニレン基、p-フェニレン基等のアリーレン基;が挙げられる。
なお、本発明の実施形態において、一般式(1)中のRが含む反応性基はアミノ基であって、上述のベースポリマーが有する官能基は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい態様の1つである。
また、本発明の実施形態において、一般式(1)中のRが含む反応性基はアジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基、及びジアジリン基からなる群から選択される少なくとも一種であって、上述のベースポリマーが有する官能基は、-CH、-CH-、―CH<、及び-CH=CH-からなる群から選択される少なくとも一種であることが別の好ましい態様の1つである。
は、上記一般式(a)で表される基、アジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基、及びジアジリン基からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、一般式(a)で表される基及びアジド基からなる群から選択される少なくとも1種が更に好ましい。
一般式(1)中のxが2以上の整数を表す場合、複数存在するRは同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
が表す(x+y)価の連結基としては、芳香環を含む基であることが好ましい。すなわち、Lが表す連結基が芳香環を含むことが好ましい。
芳香環は、芳香族炭化水素環であってもよく、芳香族ヘテロ環であってもよいが、芳香族ヘテロ環であることが好ましく、トリアジン環であることがより好ましい。すなわち、Lが表す連結基がトリアジン環を含むことが好ましい。
トリアジン環を含む基としては、例えば、下記一般式(T1)~(T3)のいずれかで表される基が好ましく挙げられる。
Figure 2024074146000003
一般式(T1)~(T3)中、*は、一般式(1)中のRとの結合手を表し、**は、一般式(1)中のLとの結合手を表す。
は、単結合、又は、-N(RT2)-で表される2価の基を表す。RT2は、水素原子、又は炭素数1~20の炭化水素基を表す。
T2が表す炭素数1~20の炭化水素基としては、例えば、炭素数1~20のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアリール基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等のアルキル基;ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、イソプロペニル基、3-ブテニル基、4-ペンテニル基、5-ヘキセニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロパルギル基、ブチニル基等のアルキニル基;フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等のアリール基;等が挙げられる。
は、-NH-を表すことが好ましい。
は、2価の連結基又は単結合を表す。
が表す2価の連結基としては、-N(RT2)-、炭化水素基、またはこれらを組み合わせた2価の基を挙げることができる。炭化水素基としては、例えば、炭素数が1~20の2価の炭化水素基が挙げられ、炭素数が1~12の鎖状の2価の炭化水素基が好ましく、炭素数が1~10の鎖状の2価の炭化水素基であることがより好ましい。中でも炭素数が1~6の直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基等が挙げられ、プロピレン基が好ましい。
及びRが表す炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、メチル基又はエチル基を表すことが好ましい。
なお、一般式(1)中のRが含む反応性基が、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、及びエポキシ基からなる群から選択される少なくとも1種である場合には、Rは、水素原子を表してもよい。
nは0~2の整数を表し、nは0であることが好ましい。
x及びyは1以上の整数を表す。ただし、(x+y)≧3を満たす。
xは、1~4が好ましく、1又は2が好ましく、2がより好ましい。
yは、1又は2が好ましい。
以下に、一般式(1)で表される化合物を例示するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
Figure 2024074146000004
Figure 2024074146000005
Figure 2024074146000006
Figure 2024074146000007
Figure 2024074146000008
Figure 2024074146000009
Figure 2024074146000010
Figure 2024074146000011
一般式(1)で表される化合物としては、中でも、N,N’-ビス(2-アミノエチル)-6-(3-トリヒドロキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン又は6-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアジドの化合物が好ましい。
分子接着剤は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。分子接着剤の配合量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上がさらに好ましい。0.01質量部以上とすることにより、接着剤組成物中に分子接着剤を添加することによる接着力向上効果が得られやすい。また、10.0質量部以下が好ましく、7.0質量部以下がより好ましく、4.0質量部以下がさらに好ましい。10.0質量部以下とすることにより、分子接着剤同士の自己反応等の意図しない反応が抑制することができ、好ましい。すなわち、接着剤組成物における分子接着剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上7.0質量部以下がより好ましく、1.0質量部以上4.0質量部以下がさらに好ましい。
<その他の成分>
本発明の実施形態に係る接着剤組成物は、塗布性の観点から、溶媒が好ましく含まれる。用いられる溶媒としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、セルソルブ、カルビトール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、オクタデカン)、エステル(例えば、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、フタル酸メチル)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、エチルブチルエーテル、アニソール)等である。
溶媒は、接着剤組成物の固形分濃度が、1~100質量%、好ましくは5~60質量%となるように配合されることが好ましい。なお、固形分とは、接着剤組成物中に含まれる溶媒以外の成分を表すものとする。
接着剤組成物中には、必要に応じて、表面張力の調整の観点から、界面活性剤が添加される。例えば、ノニオン系界面活性剤(例えば、長鎖アルキル鎖とポリエチレングリコールからなるノニオン系界面活性剤)、カチオン系界面活性剤(例えば、第4級アンモニウム塩)、又はアニオン系界面活性剤(例えば、有機カルボン酸塩、スルホン酸塩)が用いられる。
また、接着剤組成物は、光重合開始剤と共に、活性エネルギー線によりラジカル重合するモノマーを含んでいてもよい。活性エネルギー線によりラジカル重合するモノマーは、活性エネルギー線の照射により重合し、活性エネルギー線硬化性樹脂を形成する。重合は、一般式(1)中の反応性基Aを反応させる工程において行われてもよいし、反応性基Aの反応に活性エネルギー線の照射を要しない場合には、反応性基A反応させる工程とは別に、重合反応を行ってもよい。
(接着剤層)
図1に本発明の実施形態に係る接着シート100を示す。図1に示す接着シート100は接着剤層10のみからなる。すなわち、本発明の実施形態に係る接着シートは、支持体を含まない両面接着シートであってもよい。
本発明の実施形態に係る接着剤層10は、上述の接着剤組成物により形成される接着剤層である。
接着剤層は、例えば、剥離処理された面を有する基材を準備し、この剥離処理された面に、上述の接着剤組成物を塗布する。次に、塗布した接着剤組成物の溶媒を除去することで、形成することができる。
本発明の実施形態に係る接着剤層においては、ベースポリマーと架橋剤とが架橋構造を形成していてもよい。なお、本明細書において、上記架橋構造は、ベースポリマーと分子接着剤とが化学結合を形成することにより得られる構造とは区別するものとする。
ベースポリマーと架橋剤の架橋構造を有する接着剤層は、接着剤組成物又は接着剤層を、40~160℃で加熱することにより得られる。加熱時間は、加熱温度、用いる架橋剤の種類や量等によって異なるが、例えば、エポキシ系架橋剤の場合、0.5~10min程度加熱すればよい。イソシアネート系架橋剤の場合は、12~120h程度エージングすることが好ましい。
架橋構造の形成(架橋工程)は、接着剤組成物の溶媒を除去する工程において行ってもよいし、接着剤組成物の溶媒を除去する工程の後に、接着剤組成物の溶媒を除去する工程とは別に、架橋させる工程をさらに行ってもよい。
なお、ベースポリマーと架橋剤を架橋させる工程は、後述の接着シート又は積層体の作製時に行ってもよいし、接着シートを被着体と貼り合わせた後に行ってもよい。被着体との接着力向上の観点から、接着シートを被着体と貼り合わせた後に架橋工程を設けることが好ましい。この場合、被着体との貼り合わせ時には、接着剤層は架橋構造形成前の状態であり柔軟性が高いため被着体への追従性が高く、接着剤層中の分子接着剤が被着体に接近しやすい。そのため、分子接着剤と被着体との反応点が多くなり、被着体との接着力がより向上するものと考えられる。
後述する接着シート又は積層体に含まれる接着剤層は、ベースポリマーと分子接着剤が化学結合を形成していてもよい。すなわち、ベースポリマーは、前記一般式(1)中Rが含む反応性基と化学結合を形成しうる官能基を有し、前記官能基と前記Rが含む反応性基が化学結合を形成していてもよい。
上記反応性基が上記官能基と化学結合を形成している接着剤層は、例えば、Rが含む反応性基、すなわち反応性基Aとして、アジド基を有する化合物を含有する場合には、接着剤層に紫外線(UV:ultraviolet)等の光を照射してもよい。
光(紫外線)照射には、例えば、UV照射装置(例えば、高圧水銀UVランプ、低圧水銀UVランプ、蛍光式UVランプ(ショートARCキセノンランプ、ケミカルランプ)、メタルハライドランプ)が用いられる。そして、例えば200~450nmの紫外線が照射される。照射光量が少な過ぎると、反応が進み難い。逆に、照射光量が多すぎると、ベースポリマーや他層の劣化のおそれがある。従って、好ましい照射光量(光源波長:254nm)は1mJ/cm~5J/cmであり、より好ましくは5mJ/cm~1J/cmである。
また、分子接着剤が、例えば、反応性基Aとしてアミノ基を有する化合物を含有する場合には、例えば、40~150℃の温度で加熱してもよい。加熱の温度は、60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがさらに好ましい。また、反応性の失活を抑制する観点から150℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましく、90℃以下であることがさらに好ましい。
上記化学結合の形成(結合形成工程)は、結合形成を加熱により行う場合には、接着剤組成物の溶媒を除去する工程において行われてもよいし、接着剤組成物の溶媒を除去する工程の後に、接着剤組成物の溶媒を除去する工程とは別に、結合形成工程をさらに行ってもよい。
また、上記反応性基Aと上記官能基との化学結合を形成させる工程は、結合形成を加熱により行う場合には、後述の接着シートの作製時に行ってもよいし、接着シートを被着体と貼り合わせた後に行ってもよい。結合形成を紫外線照射によって行う場合には、後述の接着シートの作製時に行ってもよいし、接着シートを被着体と貼り合わせた後に行ってもよい。
被着体との接着力向上の観点から、接着シートを被着体と貼り合わせた後に結合形成工程を設けることが好ましい。この場合、被着体との貼り合わせ時には、接着剤層は上記結合形成前の状態であり柔軟性が高いため被着体への追従性が高く、接着剤層中の分子接着剤が被着体に接近しやすい。そのため、分子接着剤と被着体との反応点が多くなり、被着体との接着力がより向上するものと考えられる。
また、被着体との貼り合わせ前に結合形成を行う場合、上記反応性基Aは、ベースポリマーが有し得る官能基とのみ反応するが、被着体との貼り合わせ後に結合形成を行う場合、上記反応性基Aは、ベースポリマーのみならず、被着体が有し得る官能基とも反応して化学結合を形成し得るため、ネットワークが複雑化し、より強接着力が得られると推察される。
後述する接着シート又は積層体に含まれる接着剤層は、ベースポリマーと架橋剤が架橋構造を形成しており、且つ、ベースポリマーと分子接着剤が化学結合を形成していてもよい。すなわち、ベースポリマーと架橋剤が架橋構造を形成しており、前記ベースポリマーは、前記一般式(1)中Rが含む反応性基と化学結合を形成しうる官能基を有することが好ましく、前記官能基と前記Rが含む反応性基が化学結合を形成していてもよい。
本発明の実施形態に係る接着剤組成物を用いることにより、架橋及び結合形成後の接着剤層は、接着剤層の中に分散して存在する分子接着剤とベースポリマーとの結合形成により接着剤層の凝集力が向上するため、適度に弾性率を高くすることができ、接着信頼性の向上に寄与する。架橋及び結合形成後の接着剤層の弾性率としては、0.1~10MPaが好ましく、0.2~5MPaがより好ましい。
上記弾性率は、引張圧縮試験機(装置名「AGS-50NX」、株式会社島津製作所製)を用いて、接着剤層を、幅30mm、長さ30mmにカットし、円筒状に丸めたものをサンプルとして使用し、23℃、65%RH(室温)、チャック間距離10mm、引張速度50mm/minの条件で上記円筒の軸方向に伸長して測定される応力-変位曲線の初期傾きから算出して得ることができる。弾性率の測定方法については実施例にて詳述する。
本発明の実施形態において、接着剤層の厚さは、所望の接着力を得る観点から、0.01μm以上であることが好ましく、1μm以上がより好ましく、3μm以上がさらに好ましい。また、生産性の低下を抑制するには、100μm以下であることが好ましく、75μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましい。すなわち、接着剤層の厚さは、0.01~100μmであることが好ましい。
本発明の実施形態において、接着剤層の全光線透過率は80%以上であることが好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。全光線透過率を80%以上とすることにより、例えば、高い透過性が求められる用途(例えば光学用途)に好ましく適用することができる。全光線透過率は、市販のヘイズメーターを使用して、D65光により測定される。ヘイズメーターとしては、スガ試験機株式会社製の商品名「HZ-1」またはその相当品を用いることができる。全光線透過率の測定方法については実施例にて詳述する。
図2に本発明の他の実施形態に係る接着シート101を示す。本発明の他の実施形態に係る接着シート101は、本発明の実施形態に係る接着剤層10と、はく離シート20とを備える。
はく離シートは剥離処理された面を有する基材であってもよい。本発明の実施形態に係る接着シートは、接着剤層と、剥離処理された面を有する基材とを有し、前記基材の前記剥離処理された面が前記接着剤層と貼り合されていてもよい。本発明の実施形態に係る接着シートは、更に剥離シートを含み、はく離シート20の剥離処理面に前記接着剤層10を有することが好ましい。
接着剤層としては、上述の接着剤層の説明をそのまま援用し得る。
剥離処理された面を有する基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニリアルコール等の合成樹脂フィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体等が挙げられる。
剥離処理された面(剥離処理面)は、剥離剤によって処理された面をいう。基材の剥離処理された面は、基材の一方の面に剥離剤を塗布(付与)し、必要に応じてさらに乾燥などさせることによって形成することができる。剥離剤としては特に限定されないが、例えばシリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキル系剥離剤、脂肪酸アミド系剥離剤を挙げることができる。
接着シートは、例えば、前記接着剤層の前記基材と反対側に配置された、剥離処理された面を有する他の基材をさらに有してもよい。このとき、前記他の基材の前記剥離処理された面が前記接着剤層と貼り合されている。
接着シート101は、例えば、剥離処理された面を有するはく離シート20を準備し、この剥離処理された面に、上述の接着剤組成物を塗布する。次に、塗布した接着剤組成物の溶媒を除去することで、接着剤層10を形成することにより得られる。
接着剤層10は、さらに上述の架橋工程によりベースポリマーと架橋剤が架橋構造を形成していてもよく、上述の結合形成工程によりベースポリマーと分子接着剤が化学結合を形成していてもよい。
図3に本発明の他の実施形態に係る接着シート200を示す。本発明の実施形態に係る接着シート200は、更に支持体を含み、支持体30の一方の面に上述の接着剤層10を有していてもよい。図4には本実施の別の形態に係る接着シート300を示す。図4に示すように、本発明の実施形態に係る接着シートは、更に支持体を含み、支持体30の両方の面に上述の接着剤層10a、10bを有していてもよい。
接着剤層としては、上述の接着剤層の説明をそのまま援用し得る。
支持体30はシート状の基材(シート基材)であってもよく、フィルム状であってもよく、発泡体であってもよい。
支持体を構成する材料に特に限定はなく、樹脂(樹脂材料)、ゴム、金属、ガラス、セラミックス、天然繊維等の材料を含んでいてもよい。
また、支持体は単一の材料からなるものであっても複数の材料からなるものであってもよく、単層からなるものであっても複数層からなるものであってもよい。
支持体は、樹脂を含むことが好ましく、樹脂からなるシート(フィルム)が好ましく用いられる。
上記樹脂としては、例えば、例えば、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、オレフィン系アイオノマー樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられ、オレフィン系アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、またはポリアミド系樹脂がより好ましく、アクリル系樹脂が更に好ましい。
アクリル系樹脂としては、例えば(メタ)アクリル系単量体の単独重合体、(メタ)アクリル系単量体の共重合体、(メタ)アクリル系単量体と、これと共重合可能な単量体との共重合体が挙げられる。
(メタ)アクリル系単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸;が挙げられる。
(メタ)アクリル系単量体と共重合可能な単量体としては、エチレン;スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有エチレン性不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体;等が挙げられる。
量産性や価格等の入手のしやすさの観点から、支持体に含有される樹脂としては、アクリル系樹脂の中でもポリメチルメタアクリレート(PMMA)が好ましい。
アクリル系樹脂以外の樹脂としては、例えば、具体的には、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PA(ポリアミド)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、POM(ポリアセタール)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PC(ポリカーボネート)、PES(ポリエーテルサルファイド)等が挙げられる。これらの樹脂の中でも、本発明の効果を有利に発現し得る熱可塑性樹脂としては、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PA(ポリアミド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PES(ポリエーテルサルファイド)が挙げられ、PMMA(ポリメチルメタアクリレート)、PA(ポリアミド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)がより好ましい。
上記樹脂の中でも、好ましい態様として光透過性の熱可塑性樹脂が挙げられ、このような樹脂としてより具体的には、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート(PC)系樹脂により形成されたフィルムが挙げられる。光透過性を有することにより、例えば上述の紫外線照射による結合形成工程を、接着シートと被着体との貼り合わせ後に行う場合に、支持体越しに光照射がしやすくなる。
ゴムとしては、天然ゴム、合成ゴムのいずれであってもよい。上記ゴムとして、例えば、ニトリルゴム(NBR)、メチルメタクリレート-ブタジエンゴム(MBR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、アクリルゴム(ACM、ANM)、ウレタンゴム(AU)、シリコーンゴムなどが挙げられる。これらの中でも、ニトリルゴム(NBR)、メチルメタクリレート-ブタジエンゴム(MBR)、シリコーンゴムが好ましい。
金属としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、チタン、これらのうちの1以上を含む合金等より選択される金属を含む材料が挙げられる。これらの中でも、銅、アルミニウム、又はチタンを含む材料が好ましく、アルミニウム、又はチタンを含む材料が好ましい。
ガラスとしては、例えば、無アルカリガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラスなどが挙げられる。
セラミックとしては、例えば、アルミナセラミック、ジルコニアセラミック、窒化ケイ素セラミック、窒化アルミニウムセラミック、炭化ケイ素セラミックなどが挙げられる。
天然繊維としては、例えば、木材パルプ、綿、麻(例えばマニラ麻)などが挙げられる。
支持体としては、支持体における接着剤層と接する表面が、一般式(1)で表される化合物が有する-Si-(R1)(OR2)3-nで表される反応性基(反応性基B)と反応し得る官能基を有し、分子接着剤と化学結合を形成するように、選択されるのが好ましい。このような支持体を使用することにより、接着剤層との間で高い接着力を得ることができ、支持体と接着剤層との間が剥離するのを防止することができる。
上記の観点から、支持体に用いられる材料は、支持体における接着剤層と接する表面が、炭化水素基、カルボニル基、カルボキシル基、および水酸基からなる群から選択される少なくとも1種の反応性基を有し、一般式(1)で表される化合物と化学結合を形成するように、選択されるのが好ましい。このような支持体を使用することにより、接着剤層との間で高い接着力を得ることができ、支持体と接着剤層との間が剥離するのを防止することができる。
支持体は、必要に応じて、接着剤層と接する表面が表面改質されていてもよい。
表面改質としては、例えば、コロナ処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理等によって水酸基を導入することが挙げられる。
なお、本実施形態において、支持体がシート基材である場合、シート基材の厚さは、強度や取り扱いのしやすさの観点から、1μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましい。また、被着体への追従性、支持体越し光照射による光反応しやすさの観点から、5000μm以下であることが好ましく、3000μm以下であることがより好ましく、1000μm以下であることがさらに好ましく、400μm以下であることがよりさらに好ましく、300μm以下であることが特に好ましい。
接着シートは、例えば、前記接着剤層の前記支持体とは反対側の面が、はく離シートにより保護されていてもよい。
接着シート200は、例えば、上述の接着シート101における接着剤層10のはく離シート20側とは反対側の面と、支持体30とを貼り合わせることにより得られる。
接着剤層10は、さらに上述の架橋工程によりベースポリマーと架橋剤が架橋構造を形成していてもよく、上述の結合形成工程によりベースポリマーと分子接着剤が化学結合を形成していてもよい。
[積層体]
図5に本発明の実施形態に係る積層体400を示す。本発明の実施形態に係る積層体400は、被着体40と、本発明の実施形態に係る接着シート100とが接合した積層体である。本発明の実施形態に係る接着シート100において、接着剤層10は、上述のとおり分子接着剤を含むため、支持体30と被着体40とが、化学結合により接合される。このため、優れた接着力を得ることができる。そのため、支持体30と被着体40とが異種の材料であったり、難接着材料あっても、接着強度に優れ、密着性の高い積層体を形成することができる。
支持体及び接着剤層としては、上述の説明をそのまま援用し得る。
被着体を構成する材料に特に限定はなく、樹脂(樹脂材料)、ゴム、金属、ガラス、セラミックス、天然繊維等の材料を含んでいてもよい。
また、被着体は単一の材料からなるものであっても複数の材料からなるものであってもよく、単層からなるものであっても複数層からなるものであってもよい。
被着体は、樹脂を含むことが好ましく、樹脂からなるシートが好ましく用いられる。
樹脂(樹脂材料)、ゴム、金属、ガラス、セラミックス、天然繊維の具体例としては、支持体を構成する材料として挙げた、樹脂(樹脂材料)、ゴム、金属、ガラス、セラミックス、天然繊維の具体例が挙げられる。
本発明の実施形態に係る積層体において、被着体は、一般式(1)で表される化合物が有する-Si-(R)(OR)3-nで表される反応性基(反応性基B)と反応し得る官能基を有し、分子接着剤と化学結合を形成するように、選択されるのが好ましい。
また、被着体が、一般式(1)で表される化合物が有する反応性基Aと反応し得る官能基を有していることも好ましい。接着剤層の結合形成工程を被着体との貼り合わせ後に行う場合、被着体が反応性基Aとも化学結合を形成することによって、ネットワークが複雑化し、より強接着力となるため好ましい。
支持体及び被着体は、必要に応じて、接着剤層と接する表面が、洗浄処理又は表面処理等の前処理をされていてもよい。すなわち、積層体の製造は、洗浄処理又は表面処理を実施する前処理工程を有していてもよい。前処理は、支持体及び被着体のいずれか一方にのみ行ってもよく、両方に行ってもよい。前処理工程により、支持体と被着体とを接着剤層を介してより強固に接合させることができる。
洗浄処理としては、アルカリ脱脂処理等が挙げられる。
アルカリ脱脂処理は、アルカリ洗浄液で洗浄した後、表面を蒸留水で洗浄し、乾燥させる処理である。
表面処理としては、例えば、コロナ処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理等が挙げられる。
コロナ処理としては、例えば、コロナ処理機により常圧空気中で放電する方式が挙げられる。例えば、コロナ処理は、高周波電源のコロナ表面処理装置を用いて、基材の表面に放電照射することにより実施される。放電出力強度は、好ましくは0.05kW以上であり、より好ましくは0.08kW以上であり、さらに好ましくは0.1kW以上である。
スパッタエッチング処理は、例えば、ガスに由来するエネルギー粒子を基材の表面に衝突させる。基材における当該粒子が衝突した部分において、基材の表面に存在する原子または分子が放出されて反応性基が形成され、これにより接着性が向上する。
スパッタエッチング処理は、例えば、基材をチャンバーに収容し、次いでチャンバー内を減圧した後、雰囲気ガスを導入しながら高周波電圧を印加することによって実施できる。
雰囲気ガスは、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン等の希ガス、窒素ガスおよび酸素ガスからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
印加する高周波電圧の周波数は、例えば1~100MHz、好ましくは5~50MHzである。
高周波電圧を印加する際のチャンバー内の圧力は、例えば0.05~200Pa、好ましくは1~100Paである。スパッタエッチングのエネルギー(処理時間と印加した電力との積)は、例えば1~1000J/cm、好ましくは2~200J/cmである。
プラズマ処理は、例えば、プラズマ放電機により常圧空気中で放電する方式が挙げられる。基材をプラズマ装置内にセットし、所定のガスでプラズマ照射することにより行われ得る。
プラズマ処理の条件は、本発明の効果が得られる限りにおいて、任意の適切な条件に設定され得る。
上記プラズマ処理は、大気圧下で行われるプラズマ処理であってもよく、減圧下で行われるプラズマ処理であってもよい。プラズマ処理時の圧力(真空度)は、例えば0.05Pa~200Paであり、好ましくは0.5Pa~100Paである。
プラズマ処理に用いる高周波電源の周波数は、例えば1MHz~100MHzであり、好ましくは5MHz~50MHzである。
プラズマ処理時のエネルギー量は、好ましくは0.1J/cm~100J/cmであり、より好ましくは1J/cm~20J/cmである。
プラズマ処理時間は、好ましくは1秒~5分であり、より好ましくは5秒~3分である。
プラズマ処理時のガス供給量は、好ましくは1sccm~150sccmであり、より好ましくは10sccm~100sccmである。
上記プラズマ処理に用いる反応ガスとしては、例えば、水蒸気、空気、酸素、窒素、水素、アンモニア、アルコール(例えば、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール)等のガスが挙げられる。このような反応ガスを用いれば、接着性に優れる基材を得ることができる。また、反応ガスと併用して、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の不活性ガスが用いられ得る。
表面処理の種類は、支持体及び被着体を構成する材料に応じて適宜選択することができる。
被着体の形状は、特に限定されず、任意の形状であってもよく、例えば、シート(フィルム)、板状、筐体等であってもよい。また、被着体の表面には凹凸構造を有していてもよい。被着体の表面に凹凸構造を有する場合は被着体の表面の全面に有していてもよく、表面の一部に有していてもよい。例えば、被着体がシートである場合、一方の面に凹凸構造を有していてもよく、両方の面に凹凸構造を有していてもよい。
積層体は、例えば、上述の接着シートにおける接着剤層の支持体側とは反対側の面と、被着体とを貼り合わせることにより得られる。本発明の実施形態に係る接着剤組成物を用いることにより、常温下でも貼り合わせが可能となる。また、貼り合わせローラー等により容易に被着体への貼り合わせが可能である。
本発明の実施形態に係る接着剤層が接着シート又は積層体作製時に上述の架橋工程、結合形成工程を経ていない場合には、被着体との貼り合わせ後に架橋工程、結合形成工程を行ってもよい。被着体との接着力向上の観点から、両工程は、被着体との貼り合わせ後に行うことがより好ましい。
本発明の他の実施形態に係る積層体は、2以上の被着体が、本発明の実施形態に係る接着シートを介して接合した、積層体である。本発明の実施形態に係る接着シートは、接着剤層が上述のとおり分子接着剤を含むため、2以上の被着体が、化学結合により接合される。このため、優れた接着力を得ることができる。そのため、2以上の被着体が異種の材料であったり、難接着材料であっても、接着強度に優れ、密着性の高い積層体を形成することができる。
本発明の実施形態に係る積層体においては、接着剤層を複数有していてもよく、1つの被着体に複数の他の被着体が接着剤層を介して接合されていてもよく、複数の被着体と複数の接着剤層が積層し、複数の被着体が接着剤層を介して接合されていてもよい。
接着剤層及び被着体としては、上述の説明をそのまま援用し得る。
以上説明したように、本明細書には次の事項が開示されている。
〔1〕
ベースポリマーと、架橋剤と、下記一般式(1)で表される化合物を含む分子接着剤と、を含む接着剤組成物により形成される接着剤層を含む、接着シート。
(R-L-[L-Si-(R(OR3-n (1)
(一般式(1)中、
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、反応性基を含む基を表す。
は、(x+y)価の連結基を表す。
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、2価の連結基又は単結合を表す。
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基を表す。
は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基を表す。
nは0~2の整数を表す。
x及びyは1以上の整数を表す。ただし、(x+y)≧3を満たす。)
〔2〕
前記一般式(1)中のRが含む反応性基が、アミノ基、アジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基、ジアジリン基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基及びエポキシ基からなる群から選択される少なくとも1種である、〔1〕に記載の接着シート。
〔3〕
前記ベースポリマーは、前記一般式(1)中のRが含む反応性基と化学結合を形成しうる官能基を有する、〔1〕又は〔2〕に記載の接着シート。
〔4〕
前記一般式(1)中のRが含む反応性基はアミノ基であって、
前記ベースポリマーが有する前記官能基は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の接着シート。
〔5〕
前記一般式(1)中のRが含む反応性基はアジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基、及びジアジリン基からなる群から選択される少なくとも一種であって、
前記ベースポリマーが有する前記官能基は、-CH、-CH-、―CH<、及び-CH=CH-からなる群から選択される少なくとも一種である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の接着シート。
〔6〕
前記一般式(1)中のLが表す連結基が芳香環を含む、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の接着シート。
〔7〕
前記一般式(1)中のLが表す連結基がトリアジン環を含む、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の接着シート。
〔8〕
前記接着剤組成物における前記分子接着剤の含有量は、前記ベースポリマー100質量部に対して、0.01質量部以上10.0質量部以下である、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の接着シート。
〔9〕
前記接着剤層において、前記ベースポリマーと前記架橋剤とが架橋構造を形成している、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の接着シート。
〔10〕
前記ベースポリマーは、前記一般式(1)中のRが含む反応性基と化学結合を形成しうる官能基を有し、前記官能基と前記Rが含む反応性基が化学結合を形成している、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の接着シート。
〔11〕
前記接着剤層において、前記ベースポリマーと前記架橋剤とが架橋構造を形成しており、
前記ベースポリマーは、前記一般式(1)中のRが含む反応性基と化学結合を形成しうる官能基を有し、前記官能基と前記Rが含む反応性基が化学結合を形成している、〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の接着シート。
〔12〕
前記接着剤層の厚さが0.01~100μmである、〔1〕~〔11〕のいずれかに記載の接着シート。
〔13〕
前記接着剤層の全光線透過率が80%以上である、〔1〕~〔12〕のいずれかに記載の接着シート。
〔14〕
更に支持体を含み、前記支持体の一方の面に前記接着剤層を有する、〔1〕~〔13〕のいずれかに記載の接着シート。
〔15〕
更に支持体を含み、前記支持体の両方の面に前記接着剤層を有する、〔1〕~〔13〕のいずれかに記載の接着シート。
〔16〕
更に剥離シートを含み、前記剥離シートの剥離処理面に前記接着剤層を有する、〔13〕に記載の接着シート。
〔17〕
被着体と〔1〕~〔15〕のいずれかに記載の接着シートとが接合した、積層体。
〔18〕
2以上の被着体が〔1〕~〔15〕のいずれかに記載の接着シートを介して接合した、積層体。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。
〔実施例1〕
<接着剤組成物の調製>
(ポリエステル樹脂及びポリマー溶液の調製)
4つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度計、窒素導入管、及びトラップ付き冷却管を取り付け、このフラスコ内に、カルボン酸成分としてテレフタル酸47g(分子量:166)およびイソフタル酸45g(分子量:166)と、アルコール成分として、ポリテトラメチレングリコール115g(分子量:566)、エチレングリコール4g(分子量:62)、ネオペンチルグリコール16g(分子量:104)およびシクロヘキサンジメタノール23g(分子量:144)と、触媒としてテトラブチルチタネート0.1gを投入し、フラスコ内を窒素ガスで満たした状態で撹拌しながら、240℃まで昇温し、240℃で4時間保持した。
その後、窒素導入管及びトラップ付き冷却管を取り外し、真空ポンプに付け替え、減圧雰囲気(0.002MPa)で撹拌しながら、240℃まで昇温し、240℃で保持した。約6時間反応を続け、ポリエステル樹脂Aを得た。ポリエステル樹脂Aは、溶媒を用いずに上記のモノマーを重合させて得た。GPCで測定したポリエステル樹脂Aの質量平均分子量(Mw)は、59,200であった。調製したポリエステル樹脂Aを酢酸エチルに溶解しながらフラスコから取り出し、固形分濃度が50質量%となるポリエステル樹脂Aをベースポリマーとして含有するポリマー溶液を調製した。
(ポリエステル系接着剤組成物の調製)
上記で調製したポリマー溶液中のベースポリマー100質量部に対して、架橋触媒としてジルコニウムテトラアセチルアセトナート(商品名「オルガチックスZC-162」、マツモトファインケミカル株式会社製)を0.197質量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名「コロネートHX」、東ソー株式会社製)を12質量部配合して、さらに固形分濃度が26μmol/gとなるように分子接着剤試薬6-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアジド(株式会社いおう化学研究所製)を1.1質量部配合し、固形分濃度が20質量%となるように酢酸エチルをさらに加えて、ポリエステル系接着剤組成物を調製した。
<ポリエステル系接着シートの作製>
上記ポリエステル系接着剤組成物を、シリコーン剥離処理した38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「MRF38」、三菱ケミカル社製)の剥離処理面に、乾燥後の接着剤層の厚さが3μmとなるように塗布し、140℃で3分間乾燥して接着剤層を形成した。
次いで、厚さ30μm、波長250nmにおける透過率が17%、波長270nmにおける透過率が53%のアクリル系樹脂フィルムにコロナ処理を行い、処理面に接着剤層を貼り合せた。剥離処理されたPETフィルムを剥離し、露出させた接着剤層の表面に紫外線を照射した後、再度、剥離処理されたPETフィルムを貼り合せて、接着シートを作製した。
紫外線照射は、LEDランプ(株式会社クォークテクノロジー製、ピーク照度:45mW/cm、積算光量100mJ/cm(ピーク波長265nm))を使用し、紫外線の照度は紫外線積算光量計(本体装置名「UIT-250」、受光器装置名「UVD-S254」、ウシオ電機株式会社製)を使用して測定した。
〔実施例2〕
<接着剤組成物の調製>
実施例1と同様にして、ポリエステル系ポリマー溶液を調製し、ポリエステル系接着剤組成物を調製した。
<ポリエステル系接着シートの作製>
上記ポリエステル系接着剤組成物を、シリコーン剥離処理した38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「MRF38」、三菱ケミカル社製)の剥離処理面に、乾燥後の接着剤層の厚さが3μmとなるように塗布し、140℃で3分間乾燥して接着剤層を形成した。
次いで、厚さ30μm、波長250nmにおける透過率が17%、波長270nmにおける透過率が53%のアクリル系樹脂フィルムにコロナ処理を行い、処理面に接着剤層を貼り合せて、接着シートを作製した。
〔実施例3〕
<接着剤組成物の調製>
(アクリル系ポリマーの調製)
撹持羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート84質量部、N-アクリロイルモルホリン12質量部、アクリル酸3質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート1質量部を含有するモノマー混合物を仕込んだ。さらに、前記モノマー混合物100質量部に対して、重合開始剤として2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を酢酸エチル70質量部と共に仕込み、緩やかに撹枠しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って1時間重合反応を行って、重量平均分子量(Mw)290万の(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとして含有するポリマー溶液((メタ)アクリル系ポリマー溶液)を調製した。
(アクリル系接着剤組成物の調製)
得られた前記(メタ)アクリル系ポリマーの溶液のベースポリマー100質量部に対して、イソシアネート架橋剤(三井化学社製の商品名「タケネートD-101E」、トリレンジイソシアネート)0.2質量部、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学社製の商品名「テトラッドC」)0.2質量部を配合して、さらに固形分濃度が26μmol/gとなるように分子接着剤試薬6-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアジド(株式会社いおう化学研究所製)を1.0質量部配合し、固形分濃度が10質量%となるように酢酸エチルをさらに加えて、アクリル系接着剤組成物を調製した。
<アクリル系接着シートの作製>
ポリエステル系接着剤組成物に替えて、上記アクリル系接着剤組成物を用い、乾燥後の厚さが10μmとなるように接着剤層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル系接着シートを作製した。
〔実施例4〕
<接着剤組成物の調製>
(アクリル系ポリマーの調製)
実施例3と同様にして、(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとして含有するポリマー溶液を調製した。
(アクリル系接着剤組成物の調製)
実施例3に記載の接着剤組成物溶液の調製において、分子接着剤試薬6-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアジドの配合量を0.2質量部(固形分濃度が5μmol/g)とし、その他は同様にして、アクリル系接着剤組成物を調製した。
<アクリル系接着シートの作製>
ポリエステル系接着剤組成物に替えて、上記アクリル系接着剤組成物を用い、乾燥後の厚さが10μmとなるように接着剤層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル系接着シートを作製した。
〔比較例1〕
<接着剤組成物の調製>
(ポリエステル樹脂及びポリマー溶液の調製)
実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂Aをベースポリマーとして含有するポリマー溶液を調製した。
(ポリエステル系接着剤組成物の調製)
実施例1に記載の接着剤組成物の調製において、分子接着剤試薬6-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアジドを配合しなかったこと以外は同様にして、ポリエステル系接着剤組成物を調製した。
<ポリエステル系接着シートの作製>
上記ポリエステル系接着剤組成物を、シリコーン剥離処理した38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「MRF38」、三菱ケミカル社製)の片面に、乾燥後の接着剤層の厚さが3μmとなるように塗布し、140℃で3分間乾燥して接着剤層を形成した。次いで、厚さ30μm、波長250nmにおける透過率が17%、波長270nmにおける透過率が53%のアクリル系樹脂フィルムにコロナ処理を行い、処理面に接着剤層を貼り合せた。次いで、40℃で1日間エージングして、ポリエステル系接着シートを作製した。
〔比較例2〕
<接着剤組成物の調製>
比較例1と同様にして、ポリエステル樹脂及びポリマー溶液を調製し、ポリエステル系接着剤組成物を調製した。
<ポリエステル系接着シートの作製>
まず、比較例1におけるポリエステル系接着シートの作製と同様にして、シートを作製した。
次に、分子接着剤試薬6-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアジド(株式会社いおう化学研究所製)を0.5質量%(13.1μmol/g)エタノール溶液となるように調製した。
比較例1と同様にして得られたシートの剥離処理されたPETフィルムを剥離し、露出させた表面に、ワイヤーバー#14(ポケット容積37.56cc/m)を用いて、dry厚み30nmとなるように上記分子接着剤のエタノール溶液を塗工し、80℃オーブンで1分乾燥して分子接着剤層を形成した。次いで、分子接着剤層の表面に実施例1と同様の条件にて紫外線を照射した後、シリコーン剥離処理した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「MRF38」、三菱ケミカル株式会社製)の剥離処理面に分子接着剤層を貼り合わせて、ポリエステル系接着シートを作製した。
〔比較例3〕
<接着剤組成物の調製>
比較例1と同様にして、ポリエステル樹脂及びポリマー溶液を調製し、ポリエステル系接着剤組成物を調製した。
<ポリエステル系接着シートの作製>
比較例1において、40℃1日間のエージング処理を行わなかったこと以外は同様にして、ポリエステル系接着シートを作製した。
〔比較例4〕
<接着剤組成物の調製>
(ポリエステル樹脂の調製)
実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂及びポリマー溶液を調製した。
(ポリエステル系接着剤組成物の調製)
実施例1に記載のポリエステル系接着剤組成物の調製において、分子接着剤試薬に替えて、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(商品名「KBM-503」、信越化学工業社株式会社製)を固形分濃度が26μmol/g(配合量0.7質量部)となるように配合したこと以外は同様にして、ポリエステル系接着剤組成物を調製した。
<ポリエステル系接着シートの作製>
上記ポリエステル系接着剤組成物を、シリコーン剥離処理した38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「MRF38」、三菱ケミカル社製)の片面に、乾燥後の接着剤層の厚さが3μmとなるように塗布し、140℃で3分間乾燥して接着剤層を形成した。次いで、厚さ30μm、波長250nmにおける透過率が17%、波長270nmにおける透過率が53%のアクリル系樹脂フィルムにコロナ処理を行い、処理面に接着剤層を貼り合せして、接着シートを作製した。
〔比較例5〕
<接着剤組成物の調製>
(アクリル系ポリマーの調製)
実施例3と同様にして、(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を調製した。
(アクリル系接着剤組成物の調製)
実施例3に記載のアクリル系接着剤組成物の調製において、分子接着剤試薬6-(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアジドを配合しなかったこと以外は同様にして、アクリル系接着剤組成物を調製した。
<アクリル系接着シートの作製>
上記アクリル系接着剤組成物を用い、乾燥後の厚さが10μmとなるように接着剤層を形成したこと以外は、比較例3と同様にしてアクリル系接着シートを作製した。
〔比較例6〕
<接着剤組成物の調製>
(アクリル系ポリマーの調製)
実施例3と同様にして、(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を調製した。
(アクリル系接着剤組成物の調製)
実施例3のアクリル系接着剤組成物の調製において、分子接着剤試薬に替えて、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(商品名「KBM-403」、信越化学工業社株式会社製)を固形分濃度が26μmol/g(配合量0.6質量部)となるように配合したこと以外は同様にして、アクリル系接着剤組成物を調製した。
<アクリル系接着シートの作製>
上記アクリル系接着剤組成物を用いたこと以外は、比較例5と同様にしてアクリル系接着シートを作製した。
〔接着剤層の物性〕
<エージング及びUV照射後の接着剤層の弾性率>
エージング及びUV照射後の接着剤層の弾性率を、引張圧縮試験機(装置名「AGS-50NX」、株式会社島津製作所製)を用いて、接着剤層を、幅30mm、長さ30mmの大きさに切り出し、一方の剥離処理されたPETフィルムを剥離し、露出させた接着剤層を断面積約0.45mmの円筒状に丸めて測定用サンプルとして使用し、23℃65%RH(室温)、チャック間距離10mm、引張速度50mm/minの条件で上記円筒の軸方向に伸長したことによるその変化量(mm)を測定した。これにより、得られたS-S(Strain-Strength)曲線において、接着剤層の初期引張弾性率E0は、2点の引張ひずみ(ε1=5%およびε2=10%)に対応する引張応力をそれぞれσ1およびσ2としたとき、E0=(σ2-σ1)/(ε2-ε1)とした。ここで、引張ひずみεは、チャック間距離をもとに算出する。
ε=(L1-L0)/L0
または
ε(%)=100×(L1-L0)/L0
ε:引張ひずみ(無次元の比または%)
L0:初めのチャック間距離(mm)
L1:伸長後のチャック間距離(mm)
引張応力σは、伸長前の試験片の断面積をもとに算出する。
σ=F/A
σ:引張応力(MPa)
F:測定荷重(N)
A:伸長前の試験片の断面積(mm)。
試料の接着剤層は、以下の方法で作製したものを用いた。
実施例1、実施例3~4、比較例1、及び比較例3~6のそれぞれについては、上記の接着シートと同様に、ただし接着剤層の厚さを15μmとして、さらに、アクリル系樹脂フィルムに代えて、シリコーン剥離処理した38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「MRE38」、三菱ケミカル社製)の処理面に接着剤層を貼り合せして、剥離処理されたPETフィルム/接着剤層(厚さ15μm)/剥離処理されたPETフィルムの積層構造を有する接着シートを作製した。次いで、40℃で1日間エージングして、剥離処理されたPETフィルム/接着剤層(厚さ15μm)/剥離処理されたPETフィルムの積層構造を有する接着シートを作製した。
また、実施例2については、上記の接着シートと同様に、ただし接着剤層の厚さを15μmとして、さらに、アクリルフィルムに代えて、シリコーン剥離処理した38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「MRE38」、三菱ケミカル社製)の処理面に接着剤層を貼り合せして、剥離処理されたPETフィルム/接着剤層(厚さ15μm)/剥離処理されたPETフィルムの積層構造を有する接着シートを作製した。次いで、分子接着剤層の表面に実施例1と同様の条件にて紫外線を照射した後、再度、剥離処理されたPETフィルムを貼り合せて、接着シートを作製した。次いで、40℃で1日間エージングして、剥離処理されたPETフィルム/接着剤層(厚さ15μm)/剥離処理されたPETフィルムの積層構造を有する接着シートを作製した。
<架橋及び結合形成後の接着剤層の全光線透過率>
全光線透過率は、ヘイズメーター(装置名「HZ-1」、スガ試験機株式会社製)にセットして、D65光にて測定した。試料の接着剤層は、弾性率測定と同様に、ただし、シリコーン剥離処理した38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに代えて、厚さ30μm、波長250nmにおける透過率が17%、波長270nmにおける透過率が53%のアクリル系樹脂フィルムを貼り合せして作製した。
〔評価〕
<凹凸賦形フィルムに対する接着力>
(凹凸賦形フィルムの製造)
特表2013-524288号公報に記載の方法にしたがって凹凸賦形フィルムを製造した。具体的には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)フィルムの表面をラッカー(三洋化成工業株式会社製、ファインキュアー RM-64)でコーティングし、当該ラッカーを含むフィルム表面上に光学パターンをエンボス加工し、その後ラッカーを硬化させることによって目的の凹凸賦形フィルムを製造した。凹凸賦形フィルムの総厚さは130μmであり、ヘイズ値は0.8%であった。
製造された凹凸賦形フィルム70の一部について凹凸面側から見た平面図を図6に示す。また、図6の凹凸賦形フィルムの断面図を図7に示す。長さLが80μm、幅Wが14μm、深さHが10μmの、断面が三角形である複数の凹部74が、X軸方向に幅E(155μm)の間隔を空けて配置された。さらにこのような凹部74のパターンが、Y軸方向に幅D(100μm)の間隔を空けて配置された。凹部74のX軸方向のピッチPxは235μm(Px=L+E)、Y軸方向のピッチPyは114μm(Py=W+D)であった。凹凸賦形フィルム表面における凹部74の密度は、3612個/cmであった。図7におけるθaおよびθbはいずれも41°であり、フィルムを凹凸面側から平面視した際の凹部74の占有面積率は4.05%であった。
(被着体の作製)
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)板(厚さ2mm、商品名「アクリライト」、三菱ケミカル株式会社製)および両面テープ(商品名「NO.5000NS」、日東電工株式会社製)を用意した。両面テープから一方の剥離処理された剥離フィルムを剥離し、露出させた接着剤層の表面をPMMA板に貼り合せ、さらに他方の剥離処理された剥離フィルムを剥離して、露出させた接着剤層の表面に凹凸賦形フィルムの平滑面を貼り合わせ、PMMA板/両面テープ/凹凸賦形フィルムの積層構造を有する被着体を得た。
(試験片の作製1)
実施例1、および比較例1~4で得られた接着シートを幅20mmにカットした。剥離処理されたPETフィルムを剥離し、前記被着体(PMMA板/両面テープ/凹凸賦形フィルム)の凹凸賦形フィルムの凹凸賦形表面にコロナ処理を行い、凹凸賦形表面に貼り合わせた。被着体との貼り合わせの際の圧着は、2kgのローラーを1往復して行い、貼り合わせた。次いで、40℃で18時間エージングして、試験片とした。
(試験片の作製2)
実施例2で得られた接着シートを幅20mmにカットした。剥離処理されたPETフィルムを剥離し、前記被着体(PMMA板/両面テープ/凹凸賦形フィルム)の凹凸賦形フィルムの凹凸賦形表面にコロナ処理を行い、凹凸賦形表面に貼り合わせた。被着体との貼り合わせの際の圧着は、2kgのローラーを1往復して行い、貼り合わせた。次いで、接着シートのアクリルフィルム越しに紫外線を照射した後、40℃で1日間エージングして、試験片とした。紫外線照射は、LEDランプ(株式会社クォークテクノロジー製、ピーク照度:45mW/cm、積算光量100mJ/cm(ピーク波長265nm))を使用し、紫外線の照度は紫外線積算光量計(本体装置名「UIT-250」、受光器装置名「UVD-S254」、ウシオ電機株式会社製)を使用して測定した。
(測定)
測定温度条件にて30分静置後に変角度高速剥離試験機(装置名「VPH-H200」、協和界面科学株式会社製)を用いて、90°ピール接着力の測定を以下の条件下で行った。
剥離速度:150mm/分
測定条件:温度:23±2℃、湿度:65±5%RH
<浮き剥がれ>
(被着体)
被着体としては、高透過ガラス(日本板硝子株式会社製、商品名「オプティホワイト」)を用いた。
(試験片の作製3)
実施例1、3~4および比較例で得られた接着シートの剥離処理されたフィルムを剥離し、露出した接着剤層を光透過ガラスに貼り合わせ、アクリル系樹脂フィルム/接着剤層/高透過ガラスの層構成を有する積層体を得た。なお、貼り合せの際の圧着は、オートクレーブ(50℃、0.5MPa、15分)で行った。得られた積層体を40℃に18時間曝して、試験サンプルを得た。
(試験片の作製4)
実施例2で得られた接着シートの剥離処理されたフィルムを剥離し、露出した接着剤層を光透過ガラスに貼り合わせ、アクリル系樹脂フィルム/接着剤層/高透過ガラスの層構成を有する積層物を得た。なお、貼り合せの際の圧着は、オートクレーブ(50℃、0.5MPa、15分)で行った。得られた積層物のアクリルフィルム越しに紫外線を照射した後、40℃に18時間曝して、試験サンプルとした。紫外線照射は、試験片の作製2と同様の条件にて行った。
(測定)
試験サンプルを85℃85%RHの恒温恒湿器に投入し、240H及び1000Hr曝露後のサンプルの浮き又は剥がれ(浮き剥がれ)た面積を測定した。
以下、表1に評価結果を示す。なお、分子接着剤欄の「混合/塗布」は、分子接着剤とベースポリマーとを混合した組成物を用いたものを「混合」、分子接着剤とベースポリマーは混合せず、ベースポリマーを含む層上に分子接着剤が塗布されたものを「塗布」と表している。
また、表1には、エージング処理(架橋剤とポリマーの架橋構造形成処理)や紫外線照射(アジド基の結合形成処理)が、接着シートと被着体との積層前か積層後であるかを併記している。ここで、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを用いた実施例3、4、比較例5、6では、積層前にエージング処理は行っていないが、架橋構造形成にエージング処理を要しないため、便宜的に「積層前」と記載した。
Figure 2024074146000012
分子接着剤を含有しない比較例1の接着剤層及び粘着剤層上に分子接着剤を積層した比較例2の評価結果と比べ、分子接着剤を含有する実施例1の接着剤層の評価結果は、浮き剥がれがなく、接着力が高いことが示された。
実施例1と比較例3とを比較すると、共に接着力は高いが、分子接着剤を含む実施例1の接着剤層の評価結果の方は浮き剥がれ無く、比較例3の評価結果に比べ、界面密着性が向上していることが判る。
実施例1と比較例4の比較により、共に接着力は高いが、分子接着剤を含む実施例1の接着剤層の評価結果の方が浮き剥がれ無く、比較例4の評価結果に比べ、界面密着性が向上していることが判る。
また、実施例2においては、接着剤層と被着体とを積層した状態でフィルム越にUV照射することで、分子接着剤のアジド基がポリマーだけでなく被着体とも反応し、実施例1と比較して密着力向上効果が大きいことが示された。
比較例6及び実施例3は、いずれの接着剤層もポリマーと反応性のある官能基を持つシランカップリング剤(分子接着剤)を用いたものであるが、官能基数が多い分子接着剤を含有する実施例1の接着剤層の結果の方は浮き剥がれなく、比較例6の評価結果に価比べ、界面密着性が向上していることが分かる。
実施例1、比較例1、および比較例4のUV、エージング後の弾性率を比較すると比較例1と比べて実施例1の方が弾性率が高く、分子接着剤が界面密着性と接着剤層の凝集力を向上させることを確認した。また、市販シランカップリング剤を用いた比較例4では凝集力向上の効果は確認できなかった。
本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
10、10a、10b 接着剤層
20 はく離シート
30 支持体
40 被着体
100、101、200、300 接着シート
400 積層体
70 凹凸賦形フィルム
74 凹部

Claims (18)

  1. ベースポリマーと、架橋剤と、下記一般式(1)で表される化合物を含む分子接着剤と、を含む接着剤組成物により形成される接着剤層を含む、接着シート。
    (R-L-[L-Si-(R(OR3-n (1)
    (一般式(1)中、
    は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、反応性基を含む基を表す。
    は、(x+y)価の連結基を表す。
    は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、2価の連結基又は単結合を表す。
    は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基を表す。
    は、複数存在する場合はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基を表す。
    nは0~2の整数を表す。
    x及びyは1以上の整数を表す。ただし、(x+y)≧3を満たす。)
  2. 前記一般式(1)中のRが含む反応性基が、アミノ基、アジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基、ジアジリン基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基及びエポキシ基からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の接着シート。
  3. 前記ベースポリマーは、前記一般式(1)中のRが含む反応性基と化学結合を形成しうる官能基を有する、請求項1に記載の接着シート。
  4. 前記一般式(1)中のRが含む反応性基はアミノ基であって、
    前記ベースポリマーが有する前記官能基は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項3に記載の接着シート。
  5. 前記一般式(1)中のRが含む反応性基はアジド基、アジドスルホニル基、ジアゾメチル基、及びジアジリン基からなる群から選択される少なくとも一種であって、
    前記ベースポリマーが有する前記官能基は、-CH、-CH-、―CH<、及び-CH=CH-からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項3に記載の接着シート。
  6. 前記一般式(1)中のLが表す連結基が芳香環を含む、請求項1に記載の接着シート。
  7. 前記一般式(1)中のLが表す連結基がトリアジン環を含む、請求項6に記載の接着シート。
  8. 前記接着剤組成物における前記分子接着剤の含有量は、前記ベースポリマー100質量部に対して、0.01質量部以上10.0質量部以下である、請求項1に記載の接着シート。
  9. 前記接着剤層において、前記ベースポリマーと前記架橋剤とが架橋構造を形成している、請求項1に記載の接着シート。
  10. 前記ベースポリマーは、前記一般式(1)中のRが含む反応性基と化学結合を形成しうる官能基を有し、前記官能基と前記Rが含む反応性基が化学結合を形成している、請求項1に記載の接着シート。
  11. 前記接着剤層において、前記ベースポリマーと前記架橋剤とが架橋構造を形成しており、
    前記ベースポリマーは、前記一般式(1)中のRが含む反応性基と化学結合を形成しうる官能基を有し、前記官能基と前記Rが含む反応性基が化学結合を形成している、請求項1に記載の接着シート。
  12. 前記接着剤層の厚さが0.01~100μmである、請求項1に記載の接着シート。
  13. 前記接着剤層の全光線透過率が80%以上である、請求項1に記載の接着シート。
  14. 更に支持体を含み、前記支持体の一方の面に前記接着剤層を有する、請求項1に記載の接着シート。
  15. 更に支持体を含み、前記支持体の両方の面に前記接着剤層を有する、請求項1に記載の接着シート。
  16. 更に剥離シートを含み、前記剥離シートの剥離処理面に前記接着剤層を有する、請求項1に記載の接着シート。
  17. 被着体と請求項1~15のいずれか1項に記載の接着シートとが接合した、積層体。
  18. 2以上の被着体が請求項1~15のいずれか1項に記載の接着シートを介して接合した、積層体。
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