JP2024072557A - 電極触媒層、膜電極接合体、および固体高分子型電解槽 - Google Patents

電極触媒層、膜電極接合体、および固体高分子型電解槽 Download PDF

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Abstract

【課題】電解性能を高めることを可能にした電極触媒層、膜電極接合体、および固体高分子型電解槽を提供する。【解決手段】固体高分子型電解槽用のアノード側電極触媒層は、触媒物質と、高分子電解質と、を含み、水銀圧入法により測定される、アノード側電極触媒層のlog微分細孔容積分布が、0.03μm以上0.12μm未満の細孔直径の範囲内にピークを有する。【選択図】図3

Description

本発明は、電解装置用電極などに好適な電極触媒層、膜電極接合体、及び固体高分子型電解槽に関する。
近年、カーボンニュートラルの達成に向けて様々な資源から生成できるCO2フリーなエネルギーとして利用可能な水素を主要なエネルギーとして利用する動きが加速している。中でも、水素の製造もしくは貯蔵の方法として再生可能エネルギーを用いて水やアンモニアの電解や有機物からの脱水素反応を用いた手法が有望視されている。
水電解の手法としては、一般にアルカリ水電解と固体高分子型水電解が知られている。特に、固体高分子型水電解は、高効率運転による小型化が可能な手法として注目を集めている。固体高分子型水電解装置の代表的な構成は、プロトン伝導性の固体高分子電解質膜の両面に電極触媒層が配された膜電極接合体と、さらにその外側に給電体と通電板を有する。固体高分子型電解装置を用いた電解方法としては、有機物電解である有機物と水素もしくはプロトンとの電気化学反応もよく知られている。
水電解および有機物電解のいずれにおいても、アノード側の電極触媒層内では電気化学反応により、下記反応式のように、供給した水が酸化され、酸素ガスが生成する。
反応式:2HO → O + 4H + 4e
この反応で生成した酸素ガスは、アノード側電極触媒層内の空孔を通って、系外へと出ていく。このとき、アノード側電極触媒層内の空孔形成が不十分な場合、反応に必要な水が触媒層内に均一に行き渡らず、触媒の利用率が低下して、電解の電圧が上昇してしまう可能性がある。
特許第6599843号公報 特許第6521166号公報
特許文献1では、水電解用の電極において、触媒層の空孔率を最適化している。しかしながら、例えば1μmを超える細孔直径の空孔が多く存在する場合、そこに水や電解液などの反応溶液が滞留しやすくなり、触媒層全体に十分に反応溶液が行き渡らず、電解特性が低下してしまうことがある。すなわち、細孔直径および全空孔における空孔の大きさの割合に関して、依然として改良の余地がある。
一方、特許文献2では、触媒層内の細孔直径や細孔容積を最適化している。しかしながら、これは燃料電池用の膜電極接合体に向けて最適化しており、求められる細孔の状態は異なる。具体的には、燃料電池のカソード触媒層は、生成した水を触媒層の外へ排出するため、適度に大きい径の細孔が必要となる。細孔径が小さい場合、毛管現象が発生し、触媒層全体へ水が拡がる可能性が大きいためである。一方、電解用の触媒層においては、液体を触媒層全体に十分に拡散させる必要があるため、比較的小さい径の細孔が必要となる。すなわち、電解特性を高める観点において、細孔直径に関して依然として改良の余地がある。
本発明は、電解性能を高めることを可能にした電極触媒層、膜電極接合体、および固体高分子型電解槽を提供することを目的とする。
[1]固体高分子型電解槽用のアノード側電極触媒層であって、
触媒物質と、高分子電解質と、を含み、
水銀圧入法により測定される、前記電極触媒層のlog微分細孔容積分布が、0.03μm以上0.12μm未満の細孔径が範囲内にピークを有する、電極触媒層。
[2]固体高分子型電解槽用のアノード側電極触媒層であって、
触媒物質と、高分子電解質と、を含み、
水銀圧入法により測定される、前記電極触媒層の0.003μm以上10μm以下の細孔径の細孔容積の積算値を全積算細孔容積とし、
水銀圧入法により測定される、前記電極触媒層の0.003μm以上1μm未満の細孔径の細孔容積の積算値を小径積算細孔容積としたときに、
小径積算細孔容積/全積算細孔容積が、85~98%である、電極触媒層。
言い換えれば、水銀圧入法により測定される、前記電極触媒層の0.003μm以上10μm以下の細孔径の細孔容積の積算値を全積算細孔容積とし、
水銀圧入法により測定される、電極触媒層の1μm以上10μm以下の細孔径の細孔容積の積算値を大径積算細孔容積としたときに、
大径積算細孔容積/全積算細孔容積が2~15%である。小径積算細孔容積と大径積算細孔容積との和が全積算細孔容積となる。
[3]繊維状物質をさらに含む、[1]又は[2]に記載の電極触媒層。
[4]上記繊維状物質は、電子伝導性繊維、および、高分子繊維から選択される一種または二種以上の繊維状物質を含み、前記電子伝導性繊維としては、炭素繊維、および、遷移金属元素含有繊維の少なくともいずれか一方を含む[1]~[3]のいずれか一項に記載の電極触媒層。
[5]前記高分子繊維が、主鎖に窒素原子を有するポリマーを含む、[4]に記載の電極触媒層。
[6]前記アノード側電極触媒層内の上記繊維状物質の質量は、上記触媒物質の質量に対して、0.005倍以上0.06倍以下であってもよい。
[7]固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜において対向する2つの面の少なくとも一方に接合された電極触媒層と、を備え、前記電極触媒層が、[1]から[6]のいずれか一項に記載のアノード側電極触媒層である膜電極接合体。
[8] [7]に記載の膜電極接合体を備える固体高分子型電解槽。
本発明によれば、電解特性を高めることができる。
本発明に基づく実施形態に係る電解槽用の膜電極接合体を説明するための断面模式図である。 本発明に基づく実施形態に係る電解槽用の膜電極接合体を構成する電極触媒層を説明するための断面模式図である。 実施例1のlog微分細孔容積分布である。 比較例1のlog微分細孔容積分布である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
以下に示す実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態として記述する特徴に特定されるものではない。実施形態については、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。また、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。
(膜電極接合体)
本実施形態の膜電極接合体10は、図1に示すように、固体高分子電解質膜11と、固体高分子電解質膜11の両主面を両側から挟む、互いに対向して配置されたカソード側電極触媒層12C及びアノード側電極触媒層12Aとを備えている。更に、図1では、カソード側電極触媒層12C及びアノード側電極触媒層12Aの積層方向外側に、カソード側電極触媒層12C、固体高分子電解質膜11、及びアノード側電極触媒層12Aを挟んで、カソード側集電体13C及びアノード側集電体13Aが対向配置されている。集電体はセパレータとしても機能することができ、膜電極接合体10及び一対の集電体13A,13Cが固体高分子型電解槽100を構成している。
(高分子電解質膜)
固体高分子電解質膜11は、固体高分子から形成されている。すなわち、固体高分子電解質膜11は、プロトン伝導性を有する高分子材料により構成され、例えば、フッ素系電解質膜、炭化水素系高分子電解質膜を用いることができる。フッ素系高分子電解質膜として、例えば、デュポン社製Nafion(登録商標)、AGC(株)製Forblue(登録商標)、旭化成(株)製Aciplex(登録商標)、ゴア社製Gore Select(登録商標)等を用いることができる。また、炭化水素系高分子電解質膜としては、例えば、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等の電解質膜を用いることができる。
(電極触媒層)
カソード側電極触媒層12Cとアノード側電極触媒層12Aとの対向方向(固体高分子電解質膜11の厚さ方向;図1では上下方向からの平面視)から見たとき、例えば、固体高分子電解質膜11の外形形状は、これらの電極触媒層12C、12Aの外形形状以上の大きさを有してもよい。また、カソード側電極触媒層12Cの外形形状とアノード側電極触媒層12Aの外形形状とはほぼ同形であってよい。また、後から形成する電極触媒層の外形形状が、先に形成する電極触媒層の外形形状よりも大きくてもよい。
固体高分子電解質膜11の外形形状や電極触媒層12の外形形状は、特に限定されず、例えば、矩形、正方形であってよい。
ここで、カソード側電極触媒層12Cとアノード側電極触媒層12Aとを区別しない場合は、単に「電極触媒層12」と記載する。また、アノード側集電体13A及びカソード側集電体13Cを区別しない場合には、単に「集電体13」と記載する。
図2は、本実施形態のカソード側及びアノード側の電極触媒層12の構成を模式的に示す断面図である。本実施形態では、カソード側電極触媒層12Cとアノード側電極触媒層12Aとが同様な構成となっている。
電極触媒層12は、固体高分子電解質膜11の主面に設けられ、触媒物質21と、高分子電解質23とを含む。本実施形態の触媒物質21は粒子形状の触媒粒子であり、その触媒粒子は、還元反応を行うためのカソード触媒粒子あるいは酸化反応を行うアノード触媒粒子である。
電極触媒層12の片面(図2では下面)は、固体高分子電解質膜11に接している。膜電極接合体を単セルやユニットセルに組み込む場合、電極触媒層12のもう一方の面は、集電体13に接する。なお、図1及び図2では、分かり易くするため、集電体13、13A及び13Cを電極触媒層12から離して図示している。
(触媒物質)
触媒物質21は、例えば粒子形状を備える。アノード側電極触媒層12Aに用いる触媒物質21は、イリジウム、またはイリジウムを含む合金、もしくはイリジウムを含む酸化物から形成されることが好ましい。これらの触媒物質は、アノード酸化反応での過電圧が低い観点において好ましい。
触媒物質21の粒径は、50nm以上10μm以下の範囲内に含まれることが好ましく、100nm以上2μm以下の範囲内に含まれることがより好ましい。触媒物質21の粒径が50nm以上であることによって、アノード側の触媒物質21が導電性担体22に担持されていない場合でも、アノード側電極触媒層12A内での導電抵抗が小さくなりやすい。触媒物質21の粒径が10μm以下であることによっては、触媒物質21の活性が低下しにくい。
ここでの粒径とは、レーザ回折法による体積基準の頻度分布のD50である。
(導電性担体)
触媒物質21は、図2のように、導電性担体22に担持されていてもよい。触媒物質21は、導電性担体22に担持されていてもよい。触媒物質21を導電性担体22に担持する場合、導電性担体22は酸化チタンであることが特に好ましい。導電性担体22として酸化チタンを選択することによって、他の担体を選択する場合に比べて、導電性担体22の電解時の安定性を高くすることが出来るので、アノード側電極触媒層12Aの耐久性を高くすることが出来る。また、酸化チタンの形状は粒子または繊維が好ましく、繊維が特に好ましい。アノード側の導電性担体22の形状を繊維にすることで、アノード側電極触媒層12Aの電極表面空孔率を高くすることが出来る。なお、導電性担体22は、導電性を有して、かつ、触媒物質21におかされないものであればよい。
(高分子電解質)
高分子電解質23は、例えば、プロトン伝導性を有する高分子物質であってよい。プロトン伝導性を有する高分子物質は、例えば、フッ素系樹脂および炭化水素系樹脂などであってよい。フッ素系樹脂は、例えば、Nafion(デュポン社製、登録商標)やAquivion(ソルベイ社製、登録商標)などであってよい。炭化水素系樹脂は、例えば、エンジニアリングプラスチック、エンジニアリングプラスチックの共重合体にスルホン酸基を導入した樹脂などであってよい。また、カソード側電極触媒層12Cとアノード側電極触媒層12Aには、それぞれ異なる高分子電解質を加えてよい。カソード側電極触媒層12Cおよびアノード側電極触媒層12Aには、それぞれ2種類以上の高分子電解質を加えてもよい。
高分子電解質23において、プロトン供与性基1モル当たりの乾燥質量値(当量重量:EW)は、600以上が好ましく、700以上がより好ましい。当量重量EWが600以上であることによって、水の吸収による高分子電解質の膨張が抑制され、電極触媒層内の空孔が減少しにくくなり、電解時のセル電圧の上昇が抑制される。
アノード側電極触媒層12Aにおいて、触媒物質21の重量に対する高分子電解質23の重量の比は、0.05以上0.5以下の範囲内に含まれることが好ましい。比率が0.05未満の場合、触媒物質21同士の結合が弱くなり、機械的耐久性が低下してしまうことがある。一方、0.5より大きい場合、触媒物質21を高分子電解質23が厚く覆ってしまい、触媒活性が低下してしまうことがある。
(繊維状物質)
電極触媒層12は、繊維状物質24を含有してもよい。繊維状物質24は、例えば、電子伝導性繊維、および、高分子繊維であってよい。電極触媒層は、電子伝導性繊維、および、高分子繊維から選択される一種または二種以上の繊維状物質を含んでいることが好ましい。
電子伝導性繊維としては、炭素繊維、および、遷移金属元素含有繊維の少なくともいずれか一方を含んでいてよい。炭素繊維としては、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等が例示できる。遷移金属元素含有繊維の例は、酸化チタン繊維である。
高分子繊維の材料としては、主鎖に窒素原子を有するポリマーが挙げられる。主鎖に窒素原子を含有するポリマーの例は、イミド構造を有するポリマー、アゾール構造を有するポリマーである。
主鎖に窒素原子を有するポリマーは、アゾール構造を有するポリマーであることが好適である。アゾール構造とは、窒素を1つ以上含む複素5員環構造のことであり、例えば、イミダゾール構造、オキサゾール構造である。高分子繊維は、ベンゾイミダゾール構造、ベンゾオキサゾール構造などのベンゾアゾール構造を有するポリマーであることが好適である。主鎖に窒素原子を含むポリマーの具体例としては、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾールなどのポリマーが挙げられる。
高分子繊維の材料はエンジニアリングプラスチックであってもよい。エンジニアリングプラスチックの例は、ポリアミド、ポリカーボネートである。
繊維状物質24は、電解に用いる溶液に溶解したり侵されたりせず、120℃より高い温度における耐熱性を有していることが好ましい。上記物性によれば、電極触媒層中での繊維状物質24の安定性が期待できる。
繊維状物質24は、ナノファイバーであることが好適である。ナノファイバーとは、平均繊維径が1000nm未満であることをいう。
アノード側電極触媒層12Aに用いる繊維状物質24としては、高分子繊維もしくは遷移金属元素含有繊維であることが好ましい。遷移金属元素含有繊維の例は、酸化チタン繊維である。アノード側の繊維状物質24が炭素繊維である場合、電解時に炭素繊維が侵され、アノード側電極触媒層12Aの電極触媒層内の導電性が失われることがある。
繊維状物質24の平均繊維径は、300nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましい。繊維状物質24の平均繊維径が300nm以下であれば、電極触媒層12に含有させる繊維材料として適当な細さが確保される。また、繊維状物質24の平均繊維径が50nm以上であれば、適当な太さが確保されて電極触媒層12の強度が高められ、クラック発生の抑制効果が得られる。
繊維状物質24の平均繊維長は、0.7μm以上40μm以下の範囲内に含まれることが好ましく、2μm以上30μm以下の範囲内に含まれることがより好ましい。平均繊維長がこの範囲に含まれることにより、電極触媒層12の強度を高めることができるから、クラックが生じることを抑制することができ、結果として物理的な衝撃対する電極触媒層12の耐久性が向上する。また、電極触媒層12内に形成される空孔の数を増加させることができ、これによって電解時の物質輸送抵抗を低減させることが可能である。
アノード側電極触媒層12Aにおいて、触媒物質21の重量に対する繊維状物質24の重量の比は、0.005倍以上0.06以下の範囲内に含まれることが好ましい。比率が0.005倍未満の場合、電極触媒層12にクラックが生じることがある。一方、0.06倍より大きい場合、アノード側電極触媒層12A内の細孔直径が大きくなり、電解特性が低下することがある。
(集電体)
集電体13としては、導電性のある材料であればよい。具体的には、カーボンペーパーやカーボン不織布、酸化物や金属の板などが挙げられる。金属の板としては、チタン焼結体などが挙げられる。カーボンペーパーは撥水加工がされていてもよく、酸化物や金属の板は貴金属めっきがされていてもよい。集電体13は多孔体であることが好ましい。集電体13が多孔体であることにより、電解の反応により膜電極接合体から生成するガスが系外へ排出されやすくなる。このことにより、電解時の物質輸送抵抗が低下し、電解性能がよくなることがある。
(電極触媒層の細孔)
電極触媒層12は、細孔を有する。電極触媒層12の中で触媒物質21、導電性担体22、高分子電解質23、および、繊維状物質24が存在しない部分が空隙である。
(水銀圧入法による細孔径及び細孔容積測定)
水銀圧入法により、電極触媒層12の圧力Pと細孔容積Vpとの関係を測定する。水銀は高い表面張力を有するため、直径の小さい細孔に水銀を侵入させるためには、より一層圧力Pを高くする必要がある。
加えられた圧力Pと、その圧力Pにおいて水銀が侵入可能な細孔直径Dとの関係は、Washbumの式として知られる式(1)で表すことができる。なお、以下の式(1)において、γは水銀の表面張力であり、θは水銀と細孔壁面の接触角である。本実施形態では、表面張力γを0.48N/mとし、かつ、接触角θを130°として、細孔直径Dを計算している。
D=-4γcosθ/P … 式(1)
圧力Pは水銀圧入法における円筒モデル化した細孔直径Dに換算される。水銀圧入法による細孔直径Dの測定範囲は、0.003μm以上10μm以下とする。
細孔に水銀を進入させるために加えた圧力Pと、細孔に圧入された水銀の量とから、細孔直径Dと細孔容積Vpとの関係、比表面積等を求めることができる。
なお、水銀圧入法を用いて実際に測定を行うときには、圧入された水銀の容積を相互に異なる圧力Pの印加によって別々に記録する。そして、上記式(1)に基づいて、各圧力Pを細孔直径Dに換算する。また、圧入された水銀の容積と細孔容積Vpとは等しいとして、細孔直径がDからD+dDまでに増加したときの細孔容積Vpの増加分である差分細孔容積dVを、細孔直径Dの対数の差分(d(logD))で除した値、すなわち、dV/d(logD)を、細孔直径Dに対してプロットする。本明細書では、このプロット、すなわち、dV/d(logD)をLog微分細孔容積分布と呼ぶ。
電極触媒層12は、下記条件1及び条件2の少なくとも1つを満たす。電極触媒層12が、条件1及び条件2を両方満たすことは好適である。
[条件1]
条件1では、アノード側電極触媒層のlog微分細孔容積分布は、0.03μm以上0.12μm未満の細孔直径Dの範囲内にピークを有する。ピークが0.03μm以上0.12μm未満の細孔直径Dの範囲に含まれることによって、電極触媒層12は、電極反応に必要な水などの反応溶液が均一に行き渡り、電解特性が向上しやすくなる。
なお、水銀圧入法により測定される、前記アノード側電極触媒層のlog微分細孔容積分布が、0.12μm以上10μm以下の細孔直径の範囲内にピークを有さないことが好適である。この場合には、電極触媒層12において比較的大きな直径の細孔が確認出来ないことを意味するため、反応溶液の滞留が抑制されやすくなり、電解特性がより一層向上可能である。
[条件2]
条件2では、水銀圧入法により測定される、アノード側電極触媒層の0.003μm以上10μm以下の細孔径の細孔容積の積算値を全積算細孔容積とし、
水銀圧入法により測定される、アノード側電極触媒層の0.003μm以上1μm未満の細孔径の細孔容積の積算値を小径積算細孔容積としたときに、小径積算細孔容積/全積算細孔容積が、85~98%である。
条件2は、言い換えると、水銀圧入法により測定される、前記電極触媒層の0.003μm以上10μm以下の細孔径の細孔容積の積算値を全積算細孔容積とし、
水銀圧入法により測定される、電極触媒層の1μm以上10μm以下の細孔径の細孔容積の積算値を大径積算細孔容積としたときに、
大径積算細孔容積/全積算細孔容積が2~15%である。小径積算細孔容積と大径積算細孔容積との和が全積算細孔容積となる。
条件2を満たす場合のように、電極触媒層12に含まれる細孔のなかでも、直径が相対的に小さい細孔が上述の割合で含まれることによって、毛管現象などを利用して反応溶液が均一に電極触媒層12内に拡がり、電解特性が向上しやすくなる。
「製造方法」
(電極触媒層の製造方法)
本実施形態の電極触媒層12は、電極触媒層用スラリー(触媒インク)を作製し、基材などに塗工・乾燥することによって製造できる。
(電極触媒層用スラリーの作製)
電極触媒層を構成する各成分、すなわち触媒物質21、もしくは触媒物質21を担持した導電性担体22と、高分子電解質23と、を分散媒により混合することで触媒インクを作製する。
触媒インク分散媒として使用される溶媒は、電極触媒層を構成する各成分を浸食することがなく、高分子電解質23を流動性の高い状態で溶解又は微細ゲルとして分散できるものあれば特に限定されるものではない。しかしながら、溶媒には揮発性の有機溶媒が少なくとも含まれていることが望ましい。触媒インクの分散媒として使用される溶媒は、水、アルコール類、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、極性溶剤等であってよい。具体的には、水や、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール等のアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ペンタノン、ヘプタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトニルアセトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、メトキシトルエン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤や、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、1‐メトキシ‐2‐プロパノール等の極性溶媒を適宜使用することができる。また溶媒は上述の材料のうち2種類以上を混合させた混合溶媒であってもよい。
また、低級アルコールを用いた分散媒は発火の危険性が高いため、低級アルコールを分散媒として用いる場合は、低級アルコールと水との混合溶媒を用いることが好ましい。更に、分散媒には、高分子電解質23となじみがよい水、すなわち高分子電解質23に対する親和性が高い水が含まれていてもよい。分散媒における水の添加量は、高分子電解質23が分離して白濁を生じたり、ゲル化したりしない程度であれば特に制限されるものではない。触媒物質21、もしくは触媒物質21が担持された導電性担体22を触媒インクにおいて分散させるために、触媒インクに分散剤が含まれていてもよい。
また、触媒インクには、必要に応じて分散処理が行われてもよい。分散処理は、触媒インクに含まれる各成分を分散できる方法であれば特に限定されるものではない。例えば、遊星式ボールミルおよびロールミルによる処理、せん断ミルによる処理、湿式ミルによる処理、超音波分散処理、ホモジナイザーによる処理が挙げられる。
(基材への塗工・乾燥)
触媒インク(電極触媒層用スラリー)を基材上に塗布したのち、分散媒を揮発させる乾燥処理を行うことによって電極触媒層12を形成する。
電極触媒層12を形成する際に用いる基材としては、例えば、電極触媒層12を固体高分子電解質膜11に転写した後に剥離される転写基材が用いられる。転写基材としては、例えば、樹脂フィルムが用いられる。また、電極触媒層12を形成する際に用いる基材として固体高分子電解質膜11が用いられてもよい。
基材への電極触媒層用スラリーの塗工方法としては、例えば、ドクターブレード法、ダイコーティング法、ディッピング法、スクリーン印刷法、ラミネータロールコーティング法、スプレー法などが挙げられるが、特に限定しない。
基材に塗布された電極触媒層用スラリーの乾燥方法としては、例えば、温風乾燥やIR乾燥などが挙げられる。電極触媒層用スラリーの乾燥温度は、40℃以上200℃以下の範囲内であればよく、好ましくは40℃以上120℃以下の範囲内である。電極触媒層用スラリーの乾燥時間は、0.5分以上1時間以内であればよく、好ましくは1分以上30分以内である。
より詳細に記載すると、触媒インク塗布直後の乾燥温度は燃料電池用電極触媒層を作製する場合に比べ、電解槽用の場合には低い温度であることが好ましい。低い温度で乾燥させることにより、乾燥中に触媒インクのミクロな構造変化が生じ、より小さい細孔を有する電極触媒層を作製することが出来る。
電極触媒層12を形成する際に用いる基材として、固体高分子電解質膜11を用いる製造方法であれば、電極触媒層12が固体高分子電解質膜11の面上に直接に形成される。そのため、固体高分子電解質膜11と電極触媒層12との密着性が高まり、また、電極触媒層12の接合のための加圧が不要であるため、電極触媒層12が潰れることも抑えられる。したがって、電極触媒層12を形成するための基材としては、固体高分子電解質膜11が用いられることが好ましい。
ここで、固体高分子電解質膜11は、一般に膨潤および収縮の各度合が大きいという特性を有するため、固体高分子電解質膜11を基材として用いると、転写基材を基材として用いた場合と比較して、電極触媒層12となる塗膜の乾燥工程における基材の体積変化が大きい。それゆえ、電極触媒層12が繊維状物質24を含まない構成であると電極触媒層12にクラックが生じやすい。これに対し、本実施形態の電極触媒層12であれば、仮に基材である固体高分子電解質膜11の体積が電極触媒層12の作製工程において大きく変化した場合であっても、繊維状物質24の含有によりクラックの発生が抑えられるため、電極触媒層12を形成するための基材として固体高分子電解質膜11を用いる製造方法を利用することができる。
電極触媒層12の細孔の大きさおよび分布は、触媒インクの塗膜を加熱する温度、塗膜を加熱する速度、触媒インクが乾燥するまでの加圧条件、繊維状物質24の配合率、触媒インクの溶媒組成、触媒インクを調整するときの分散強度などを調整することによって調整することが可能である。例えば、繊維状物質24の配合率を高めるほど、log微分細孔容積分布のピークに対応する細孔直径Dは大きくなり、全積算細孔容積に対する小径積算細孔容積の割合は少なくなり、全積算細孔容積に対する大径積算細孔容積の割合は多くなる。
「実施例]
膜電極接合体の実施例を説明する。
[実施例1]
まず、カソード用触媒インクを調製した後、高分子電解質膜に塗布してカソード触媒層付き高分子電解質膜を得た。
具体的には、白金ルテニウム担持カーボン触媒(TEC61E54、田中貴金属工業(株)製)、水、1‐プロパノール、高分子電解質(ナフィオン(登録商標)分散液、富士フイルム和光純薬(株)製)、および、カーボンナノファイバー(VGCF(登録商標)-H、昭和電工(株)製)を混合した。混合物に対して遊星型ボールミルを用いて60分間にわたって分散処理を行った。これにより、カソード用触媒インクを調製した。
カソード用触媒インクを、高分子電解質膜(ナフィオン(登録商標)117、Dupont社製)の片面にスリットダイコーターを用いて塗布することによって塗膜を形成した。次いで、塗膜が形成された高分子電解質膜を80℃の温風オーブンに配置し、塗膜のタックがなくなるまで塗膜を乾燥させた。これにより、カソード触媒層付き高分子電解質膜を得た。
続いて、アノード用触媒インクを調製した。
具体的には、酸化イリジウム触媒((株)徳力本店製)、水、1-プロパノール、高分子電解質、および主鎖に窒素原子を有するポリマーのナノファイバーを混合した。高分子電解質の重量は酸化イリジウム触媒の重量の0.2倍とし、ナノファイバーの重量は酸化イリジウム触媒の重量の0.005倍とした。混合物に対して遊星型ボールミルを用いて60分間にわたって分散処理を行った。これにより、アノード用触媒インクを調製した。
アノード用触媒インクを、カソード触媒層付き高分子電解質膜の、カソード触媒層と対向する面の高分子電解質膜面に、酸化イリジウム触媒が1.0mg/cmとなるようにスリットダイコーターを用いて塗布することによって塗膜を形成した。塗膜が形成された高分子電解質膜を60℃の温風オーブンに配置し、塗膜のタックがなくなるまで塗膜を乾燥させた。続いて、100℃の温風オーブンに配置し、10分間乾燥させた。これにより、実施例1の膜電極接合体を得た。
[実施例2]
アノード用触媒インクに加えるナノファイバーの重量を酸化イリジウム触媒の重量の0.01倍に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって実施例2の膜電極接合体を得た。
[実施例3]
アノード用触媒インクに加えるナノファイバーの重量を酸化イリジウム触媒の重量の0.02倍に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって実施例3の膜電極接合体を得た。
[実施例4]
アノード用触媒インクに加えるナノファイバーの重量を酸化イリジウム触媒の重量の0.04倍に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって実施例4の膜電極接合体を得た。
[実施例5]
アノード用触媒インクに加えるナノファイバーの重量を酸化イリジウム触媒の重量の0.06倍に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって実施例5の膜電極接合体を得た。
[比較例1]
アノード用触媒インクに加えるナノファイバーの重量を酸化イリジウム触媒の重量の0.08倍に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって比較例1の膜電極接合体を得た。
[比較例2]
アノード用触媒インクにナノファイバーを加えないこと以外は、実施例1と同様の方法によって比較例2の膜電極接合体を得た。
[比較例3]
アノード用触媒インクを塗工し乾燥させた後、膜電極接合体を、熱プレス機を用いて120MPaで5分間、80℃に保持した以外は、実施例1と同様の方法によって比較例3の膜電極接合体を得た。
[細孔容積Vpに基づく数値の算出]
細孔容積Vpの分布は、水銀圧入法により測定した。具体的には、高分子電解質膜における一方の面のみに電極触媒層が形成された膜電極接合体を用いて、自動ポロシメーター(マイクロメリティックス社製、オートポアIV9510)を用いて、細孔容積Vpを測定した。測定セルの容積は約5cmであり、水銀圧入の圧力を3kPaから400MPaまで昇圧した。これにより、各圧力における水銀の圧入量、つまり細孔容積Vpを得た。水銀圧入の圧力をWashbumの式を用いて細孔直径Dに換算し、細孔直径Dに対する細孔容積Vpの分布関数dVp/dlogDのプロット(log微分細孔容積分布)を作成した。なお、表面張力γを0.48N/mとし、かつ、接触角θを130°とした。そして、このプロットのピークに対応する細孔直径Dを読み取った。
実施例1及び比較例1におけるlog微分細孔容積分布をそれぞれ図3及び図4に示す。
また、各実施例及び比較例のlog微分細孔容積分布のピークの細孔直径Dを表1に示す。log微分細孔容積分布のピークの細孔直径Dの範囲に応じて、ピークの細孔直径の記載の欄を区別している。ピークの細孔直径Dが複数あることは、ピークが複数あることを示す。
なお、log微分細孔容積分布のピークとは0.003~10μmの範囲内において、上に凸の部分の最大値のことである。なお、測定範囲の両端が最大値になる場合には当該両端はピークとは見なさない。
さらに、「上に凸の部分」とは、log微分細孔容積分布のプロットのうち、最大値の両側の最小値が、それぞれ、最大値の値に対して少なくとも0.02cm/g小さい値となる山状の部分のことであり、これよりも最大値と最小値との差が小さい山状の部分は、ピークを与える「上に凸の部分」とは見なさない。
次に、細孔直径Dが0.003μm以上10μm以下である全ての細孔の容積を積算して全積算容積を算出した。また、細孔直径Dが1μm以上である細孔の容積を積算して第大径積算容積を算出した。そして、大径積算容積を全積算容積で除算し、かつ、除算した値を100倍することによって、全積算容積に対する大径積算容積の百分率R(L)を算出した。また、細孔直径Dが1μm未満である細孔の細孔容積を積算して小径積算容積を算出した。そして、小径積算容積を全積算容積で除算し、かつ、除算した値を100倍することによって、全積算容積に対する小径積算容積の百分率R(S)を算出した。結果を表1に示す。
(I-V性能評価)
膜電極接合体の電解性能をI-V性能で評価した。I-V測定は以下に記載の方法で実施した。膜電極接合体のカソード側電極触媒層にカソード側集電体としてカーボンペーパー(GDL 29BC(SGL社製))を、アノード側電極触媒層に白金被膜付きチタン焼結体をそれぞれ配置し、水電解用セル(エフシー株式会社製)に組み込み、4Nmの締結圧にてボルト固定した。
セル両側の流路端から水を1分間に1mLの流速で流し、セル温度を80℃にして、電圧を1.4Vから2.0Vまで変化させながら印加し、このときの電流密度を測定した。
[評価基準]
I-V性能は、1.9Vにおける電流密度の値から、次のような評価した。
・電流密度が1.1A/cm以上のとき:「◎」
・電流密度が1.1A/cm未満1.0A/cm以上のとき:「〇」
・電流密度が1.0A/cm未満のとき:「×」
なお、判定が「×」であっても、実用上の問題はない。
Figure 2024072557000002
[比較結果]
表1に示すように、実施例1から実施例5のいずれにおいても、アノード側電極触媒層のlog微分細孔容積分布は0.03μm以上0.12μm未満の細孔直径の範囲内にピークを有することが認められた。また、実施例1から実施例5のいずれにおいても、全積算細孔容積に対する小径積算細孔容積の百分率R(S)が、85%以上98%以下の範囲に含まれることが認められ、また、全積算細孔容積に対する大径積算細孔容積の百分率R(L)は対して、2%以上15%以下の範囲に含まれることが認められた。
さらに、実施例1から実施例5のいずれにおいても、電解特性が「〇」もしくは「◎」であることが認められた。すなわち、実施例1から実施例5の膜電極接合体は、電解特性に優れた膜電極接合体であることが認められた。
特に、実施例1から実施例3のいずれにおいても、アノード側電極触媒層は0.12μm以上の細孔直径の範囲内にピークを有さなかった。これらの実施例はいずれも電解特性が「◎」であることが認められた。
一方で、比較例1から比較例3のいずれにおいても、アノード側電極触媒層のlog微分細孔容積分布が、0.03μm以上0.12μm未満の細孔直径の範囲内にピークを有さなかった。比較例1から比較例3のいずれにおいても、全積算細孔容積に対する小径積算容積の百分率R(S)が、85%以上98%以下の範囲外であった。比較例1から比較例3のいずれにおいても、全積算細孔容積に対する大径積算細孔容積の百分率R(L)が、2%以上15%以下の範囲に含まれなかった。
比較例1から比較例3のいずれにおいても、電解特性が「×」であることが認められた。このように、比較例1から比較例3によれば、上述した各実施例に比べて、電解特性が低下した。
以上説明したように、電極触媒層、および膜電極接合体の一実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)水銀圧入法により測定される、前記アノード側電極触媒層のlog微分細孔容積分布が、0.03μm以上0.12μm未満の細孔直径の範囲内にピークを有する場合には、毛管現象などを利用して電極触媒層12内に均一に反応溶液が行き渡るようになり、電解特性が向上可能である。
(2)全積算細孔容積に対する小径積算細孔容積の割合が、85%以上98%以下である場合には、電極触媒層12において比較的大きな直径の細孔が少なくなるため、反応溶液の滞留が抑制されやすくなり、電解特性が向上可能である。
(3)水銀圧入法により測定される、前記アノード側電極触媒層のlog微分細孔容積分布が、0.12~10μmの細孔直径の範囲内にピークを有さない場合には、電極触媒層12において比較的大きな直径の細孔が確認出来ないことを意味するため、反応溶液の滞留が抑制されやすくなり、電解特性が向上可能である。
10…膜電極接合体、11…固体高分子電解質膜、12…電極触媒層、12C…カソード側電極触媒層、12A…アノード側電極触媒層、13C…カソード側集電体、13A…アノード側集電体、21…触媒物質、22…導電性担体、23…高分子電解質、24…繊維状物質、100…固体高分子型電解槽(セル)。

Claims (8)

  1. 固体高分子型電解槽用のアノード側電極触媒層であって、
    触媒物質と、高分子電解質と、を含み、
    水銀圧入法により測定される、前記アノード側電極触媒層のlog微分細孔容積分布が、0.03μm以上0.12μm未満の細孔直径の範囲内にピークを有する、電極触媒層。
  2. 固体高分子型電解槽用のアノード側電極触媒層であって、
    触媒物質と、高分子電解質と、を含み、
    水銀圧入法により測定される、前記電極触媒層の0.003μm以上10μm以下の細孔径の細孔容積の積算値を全積算細孔容積とし、
    水銀圧入法により測定される、前記電極触媒層の0.003μm以上1μm未満の細孔径の細孔容積の積算値を小径積算細孔容積としたときに、
    小径積算細孔容積/全積算細孔容積が、85~98%である、電極触媒層。
  3. 繊維状物質をさらに含む請求項1又は2に記載の電極触媒層。
  4. 前記繊維状物質は、電子伝導性繊維、および、高分子繊維から選択される一種または二種以上の繊維状物質を含み、
    前記電子伝導性繊維としては、炭素繊維、および、遷移金属元素含有繊維の少なくともいずれか一方を含む、請求項3に記載の電極触媒層。
  5. 前記高分子繊維が、主鎖に窒素原子を有するポリマーを含む、請求項4に記載の電極触媒層。
  6. 前記アノード側電極触媒層内の前記繊維状物質の重量が、前記触媒物質の重量に対して、
    0.005倍以上0.06倍以下である、請求項4又は5に記載の電極触媒層。
  7. 固体高分子電解質膜と、
    前記固体高分子電解質膜において対向する2つの面の少なくとも一方に接合された電極触媒層と、を備え、
    前記電極触媒層が、請求項1又は2に記載のアノード側電極触媒層である、膜電極接合体。
  8. 請求項7に記載の膜電極接合体を備える固体高分子型電解槽。

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