JP2024072115A - 薄膜トランジスタアレイ - Google Patents

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Abstract

【課題】可撓性基板の曲げに対する薄膜トランジスタの電気的な耐久性を向上することを可能とした薄膜トランジスタアレイを提供する。【解決手段】薄膜トランジスタ12Aは、半導体層21と、ゲート電極25と、薄膜トランジスタ12Aの厚さ方向において、半導体層21とゲート電極25とに挟まれる部分を含むゲート絶縁層22とを備える。ゲート絶縁層22は、体積分率で50%以上の無機化合物を含む。ゲート絶縁層22の厚さは、30nm以上450nm以下である。可撓性基板11の表面11Sと対向する視点から見て、各薄膜トランジスタ12Aのゲート絶縁層22と、その薄膜トランジスタ12Aに隣り合う薄膜トランジスタ12Aのゲート絶縁層22との間の距離が、5μm以上200μm以下である。薄膜トランジスタアレイ10は、有機高分子化合物から構成され、複数の薄膜トランジスタ12Aを覆う層間絶縁層13を備える。【選択図】図1

Description

本開示は、薄膜トランジスタアレイに関する。
表示装置の一例は、一対の保護層、一対の放熱層、可撓性基板、薄膜トランジスタアレイ層、および、表示素子層を備えている。薄膜トランジスタアレイ層は、可撓性基板の第1面に位置し、かつ、可撓性基板における第1面とは反対側の第2面には、第1の放熱層が位置している。表示素子層は、薄膜トランジスタアレイ層上に位置し、かつ、可撓性基板、薄膜トランジスタアレイ層、および、表示素子層を含む積層体が、表示装置の厚さ方向において、一対の放熱層に挟まれている。一対の放熱層は、表示装置の厚さ方向において、一対の保護層に挟まれている。
表示装置では、表示装置の厚さ方向において、薄膜トランジスタアレイ層が表示装置の中立面の近傍に位置するように、各保護層の厚さ、および、各放熱層の厚さが調整される。これにより、表示装置が曲げられた際に、薄膜トランジスタアレイ層に作用する引張応力、および、圧縮応力を抑えることが可能である。結果として、薄膜トランジスタアレイ層が有する曲げに対する電気的な耐久性を高めることが可能である(例えば、特許文献1を参照)。
特開2018-194600号公報
しかしながら、上述した表示装置では、薄膜トランジスタアレイ層が有する曲げに対する耐久性を高めるために、薄膜トランジスタアレイ層以外の層における厚さや、表示装置の厚さ方向における位置が大きく制約される。そのため、薄膜トランジスタアレイ層以外の層に対する前述の制約を緩和するために、薄膜トランジスタアレイ層そのものによって曲げに対する電気的な耐久性を有することが可能な構成が求められる。
上記課題を解決するための薄膜トランジスタアレイは、絶縁性を有した表面を備える可撓性基板と、前記可撓性基板上に配置された複数の薄膜トランジスタと、を備える。前記薄膜トランジスタは、半導体層と、ゲート電極と、前記薄膜トランジスタの厚さ方向において、前記半導体層と前記ゲート電極とに挟まれる部分を含むゲート絶縁層と、を備える。前記ゲート絶縁層は、体積分率で50%以上の無機化合物を含む。前記ゲート絶縁層の厚さは、30nm以上450nm以下である。前記可撓性基板の前記表面と対向する視点から見て、各薄膜トランジスタの前記ゲート絶縁層と、その薄膜トランジスタに隣り合う薄膜トランジスタの前記ゲート絶縁層との間の距離が、5μm以上200μm以下である。有機高分子化合物から構成され、前記複数の薄膜トランジスタを覆う層間絶縁層を備える。
上記薄膜トランジスタアレイによれば、第1の薄膜トランジスタが有するゲート絶縁層が第2の薄膜トランジスタが有するゲート絶縁層から離間するから、薄膜トランジスタアレイが屈曲されたときに、ゲート絶縁層よりも柔軟性が高い層間絶縁層にひずみが集中する。これにより、ゲート絶縁層によって覆われたチャネル部分ではひずみが低減されるため、薄膜トランジスタアレイにおいて、可撓性基板の曲げに対する薄膜トランジスタの電気的な耐久性が向上する。
上記薄膜トランジスタアレイにおいて、前記可撓性基板の前記表面と対向する視点から見て、前記ゲート絶縁層の面積が第1面積S1であり、前記薄膜トランジスタにおけるチャネル領域の面積が第2面積S2であり、前記第1面積S1と前記第2面積S2とが以下の式を満たしてもよい。
S2≦S1≦3S2
上記薄膜トランジスタアレイによれば、第1面積S1が第2面積S2以上であるから、薄膜トランジスタが動作する確実性を高めることが可能である。また、第1面積S1が第2面積S2の3倍以下であるから、薄膜トランジスタアレイが、十分な可撓性を有することが可能である。
上記薄膜トランジスタアレイにおいて、前記半導体層が、酸化物半導体または非単結晶シリコンから構成されてもよい。この薄膜トランジスタアレイによれば、半導体層が酸化物半導体または非単結晶シリコンから構成されるから、薄膜トランジスタアレイの電気的特性を高めることができる。
上記薄膜トランジスタアレイにおいて、前記薄膜トランジスタは、ボトムゲート型の薄膜トランジスタであり、前記薄膜トランジスタは、ソース電極およびドレイン電極をさらに備え、前記ゲート電極は、前記可撓性基板の前記表面に位置し、前記ゲート絶縁層は、前記ゲート電極を覆い、前記半導体層は、前記ゲート絶縁層上に位置し、前記ソース電極は、前記半導体層の第1部分に接し、前記ドレイン電極は、前記半導体層の第2部分に接してもよい。
上記薄膜トランジスタアレイにおいて、前記薄膜トランジスタは、トップゲート型の薄膜トランジスタであり、前記薄膜トランジスタは、ソース電極およびドレイン電極をさらに備え、前記半導体層は、前記可撓性基板の前記表面に位置し、前記ソース電極は、前記半導体層の第1部分に接し、前記ドレイン電極は、前記半導体層の第2部分に接し、前記ゲート絶縁層は、前記半導体層を覆い、前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁層上に位置してもよい。
上記薄膜トランジスタアレイによれば、可撓性基板の曲げに対する薄膜トランジスタの電気的な耐久性の向上が可能となる。
図1は、本開示の薄膜トランジスタアレイが有する多層構造の第1例を示す断面図である。 図2は、本開示の薄膜トランジスタアレイが有する多層構造の第2例を示す断面図である。 図3は、本開示の薄膜トランジスタアレイが有する多層構造の第3例を示す断面図である。 図4は、本開示の薄膜トランジスタアレイが有する多層構造の第4例を示す断面図である。 図5(a)は、本開示の薄膜トランジスタアレイが有する多層構造の第1例を示す断面図であり、図5(b)は、当該薄膜トランジスタアレイの平面図である。 図6は、本開示の薄膜トランジスタアレイの第1例における平面図である。 図7は、本開示の薄膜トランジスタアレイが有する多層構造の第5例を示す断面図である。 図8は、本開示の薄膜トランジスタアレイが有する多層構造の第6例を示す断面図である。 図9は、本開示の薄膜トランジスタアレイが有する多層構造の第7例を示す断面図である。 図10は、比較例10の薄膜トランジスタアレイが有する多層構造を示す断面図である。 図11は、比較例11の薄膜トランジスタアレイが有する多層構造を示す断面図である。 図12は、実施例の薄膜トランジスタアレイにおける層構造を示す表である。 図13は、比較例の薄膜トランジスタアレイにおける層構造を示す表である。 図14は、実施例および比較例の薄膜トランジスタアレイの評価結果を示す表である。
図面を参照して、薄膜トランジスタアレイの一実施形態を説明する。なお、以下に説明する薄膜トランジスタにおけるソースとドレインとは、薄膜トランジスタの駆動回路の動作によって定まるため、第1の電極がソースからドレインに機能を替えてもよく、かつ、第2の電極がドレインからソースに機能を替えてもよい。また、本開示の薄膜トランジスタアレイが備える薄膜トランジスタの型式は、ボトムゲート型でもよいし、トップゲート型でもよい。
本開示の薄膜トランジスタアレイは、薄膜トランジスタが上述したいずれの構造であっても、以下の条件1から条件4を満たす。
(条件1)ゲート絶縁層は、体積分率で50%以上の無機化合物を含む。
(条件2)ゲート絶縁層の厚さは、30nm以上450nm以下である。
(条件3)可撓性基板の表面と対向する視点から見て、各薄膜トランジスタのゲート絶縁層と、その薄膜トランジスタに隣り合う薄膜トランジスタのゲート絶縁層との間の距離が5μm以上200μm以下であるように可撓性基板上に並ぶ。
(条件4)層間絶縁層は、有機高分子化合物から構成され、複数の薄膜トランジスタを覆う。
[ボトムゲート型薄膜トランジスタ]
図1から図6を参照して、薄膜トランジスタの型式がボトムゲート型である場合の薄膜トランジスタアレイの構造を説明する。以下に説明する複数種のボトムゲート型の薄膜トランジスタでは、以下の構成が共通している。すなわち、ボトムゲート型の薄膜トランジスタでは、ゲート電極が、可撓性基板の表面に位置し、かつ、ゲート絶縁層が、ゲート電極を覆っている。半導体層は、ゲート絶縁層上に位置している。ソース電極は、半導体層の第1部分に接し、かつ、ドレイン電極は、半導体層の第2部分に接している。
図1が示す薄膜トランジスタアレイは、ボトムゲート‐トップコンタクト型、かつ、チャネルエッチ型の薄膜トランジスタを備えている。
図1が示すように、薄膜トランジスタアレイ10は、絶縁性を有した表面11Sを備える可撓性基板11と、可撓性基板11上に配置された複数の薄膜トランジスタ12Aとを備えている。薄膜トランジスタ12Aは、半導体層21と、ゲート電極25と、薄膜トランジスタ12Aの厚さ方向において、半導体層21とゲート電極25とに挟まれる部分を含むゲート絶縁層22とを備えている。ゲート絶縁層22は、無機化合物を含んでいる。ゲート絶縁層22の厚さは、30nm以上450nm以下である。薄膜トランジスタアレイ10は、複数の薄膜トランジスタ12Aを覆う層間絶縁層13をさらに備えている。層間絶縁層13は、有機高分子化合物から構成されている。
図1が示す例において、ゲート電極25は可撓性基板11の表面11Sに位置している。ゲート絶縁層22は、ゲート電極25の全体を覆い、かつ、可撓性基板11の表面11Sのうちで、ゲート電極25の周りに位置する部分も覆っている。ゲート絶縁層22の表面22Sには、半導体層21が位置している。ソース電極23は、半導体層21における第1端部と、ゲート絶縁層22の表面22Sのうちで、第1端部に隣り合う部分とを覆っている。ドレイン電極24は、半導体層21における第2端部と、ゲート絶縁層22の表面22Sのうちで、第2端部に隣り合う部分とを覆っている。第2端部は、第1端部とは反対側の端部である。
薄膜トランジスタ12Aの型式は、チャネルエッチ型でもある。そのため、薄膜トランジスタ12Aが形成される際には、半導体層21に対してソース電極23およびドレイン電極24を形成するための導電性の薄膜が形成された後に、薄膜がエッチングされることによって、2つの電極23,24が形成される。
なお、本開示の薄膜トランジスタアレイ10が備える薄膜トランジスタの型式は、ボトムゲート‐ボトムコンタクト型、かつ、チャネルエッチ型であってもよい。この場合には、ソース電極23およびドレイン電極24が、半導体層21よりも先にゲート絶縁層22の表面22Sに形成される。次いで、ソース電極23の一部およびドレイン電極24の一部に接するように半導体層21が形成され、続いて、複数の薄膜トランジスタを覆うように層間絶縁層13が形成される。
図2が示す薄膜トランジスタアレイ10は、ボトムゲート‐トップコンタクト型、かつ、エッチストッパ型の薄膜トランジスタを備えている。
図2が示すように、薄膜トランジスタ12Bは、上述した薄膜トランジスタ12Aと同様に、半導体層21、ゲート絶縁層22、ソース電極23、ドレイン電極24、および、ゲート電極25を備え、さらに、チャネル保護層26を備えている。チャネル保護層26は、半導体層21の表面21Sに位置している。チャネル保護層26は、半導体層21のうちで両端部を除く部分を覆っている。
ソース電極23は、チャネル保護層26の第1端部、半導体層21の表面21Sのうちで当該第1端部に隣り合う部分、半導体層21の第1端部、および、ゲート絶縁層22の表面22Sのうちで当該第1端部に隣り合う部分を覆っている。ドレイン電極24は、チャネル保護層26の第2端部、半導体層21の表面21Sのうちで当該第2端部に隣り合う部分、半導体層21の第2端部、および、ゲート絶縁層22の表面22Sのうちで当該第2端部に隣り合う部分を覆っている。
図3が示す薄膜トランジスタアレイ10は、ボトムゲート‐エッチストッパ型の薄膜トランジスタを備えている。
図3が示すように、薄膜トランジスタ12Cは、薄膜トランジスタ12Bと同様に、半導体層21、ゲート絶縁層22、ソース電極23、ドレイン電極24、ゲート電極25、および、チャネル保護層26を備えている。ただし、図3が示す例では、半導体層21が、ゲート絶縁層22の表面22Sにおける全体を覆い、かつ、チャネル保護層26が、半導体層21の表面21Sにおける全体を覆っている。
ソース電極23は、チャネル保護層26の第1端部を覆い、かつ、薄膜トランジスタアレイ10の厚さ方向において、当該第1端部に連なる半導体層21の側面、および、半導体層21の側面に連なるゲート絶縁層22の側面を覆っている。これに対して、ドレイン電極24は、チャネル保護層26の第2端部を覆い、かつ、薄膜トランジスタアレイ10の厚さ方向において、当該第2端部に連なる半導体層21の側面、および、半導体層21の側面に連なるゲート絶縁層22の側面を覆っている。なお、各層の側面は、各層が備える面のうち、薄膜トランジスタアレイ10の厚さ方向において対向する一対の面間に位置する面である。
図4が示す薄膜トランジスタアレイ10では、図1を参照して先に説明した薄膜トランジスタ12Aに対して画素電極が接続されている。
図4が示すように、層間絶縁層13は、コンタクトホール13Hを有している。各コンタクトホール13Hは、層間絶縁層13の表面13Sからドレイン電極24まで延びている。図4が示す例では、可撓性基板11の表面11Sに直交する断面において、ドレイン電極24の面積が、ソース電極23の面積よりも大きい。画素電極14は、コンタクトホール13H内に充填された第1部分と、第1部分に接続され、かつ、層間絶縁層13の表面13Sに沿って延びる第2部分とを有している。
図5は、図1が示す薄膜トランジスタアレイ10と同様に、ボトムゲート‐トップコンタクト型の薄膜トランジスタ12Aを備える構造の一例を示している。図5(a)は、可撓性基板11に直交する平面に沿う断面における薄膜トランジスタ12Aの断面構造を示している。図5(b)は、可撓性基板11の表面11Sと対向する視点から見た薄膜トランジスタ12Aの平面構造を示している。なお、図5(b)では、図示の便宜上、層間絶縁層13の図示が省略されている。
図5(a)が示すように、薄膜トランジスタ12Aにおいて、ゲート電極25が可撓性基板11の表面11S上に位置し、かつ、ゲート電極25の全体がゲート絶縁層22によって覆われている。ゲート絶縁層22上に半導体層21が位置している。半導体層21の一部がソース電極23によって覆われ、かつ、半導体層21の他の一部がドレイン電極24によって覆われている。
可撓性基板11に直交する断面において、ゲート絶縁層22はテーパー状を有することが好ましい。テーパー状には、順テーパー状と逆テーパー状とが含まれる。ゲート絶縁層22は、図5(a)が示すように、順テーパー状を有することがより好ましい。なお、順テーパー状とは、ゲート絶縁層22の厚さ方向に直交する断面積が、可撓性基板11の表面11Sに向けて単調増加する形状のことである。なお、前述したゲート絶縁層22の厚さ方向に直交する断面積とは、ゲート絶縁層22の外形によって規定される断面積である。これに対して、逆テーパー状とは、ゲート絶縁層22の厚さ方向に直交する断面積が、可撓性基板11の表面11Sに向けて単調減少する形状のことである。なお、前述したゲート絶縁層22の厚さ方向に直交する断面積とは、ゲート絶縁層22の外形によって規定される断面積である。
ゲート絶縁層22の面積は、第1面積S1である。第1面積S1は、ゲート絶縁層22の厚さ方向に直交する断面積のうち、最も大きい断面積である。なお、当該断面積は、ゲート絶縁層22の外形によって規定される断面積である。そのため、図5(a)が示すように、可撓性基板11に直交する断面において、ゲート絶縁層22が順テーパー状を有する場合には、ゲート絶縁層22のうちで、可撓性基板11に接する位置での断面積が第1面積S1である。これに対して、ゲート絶縁層22が逆テーパー状を有する場合には、ゲート絶縁層22のうちで、半導体層21が位置する面の面積が第1面積S1である。
図5(b)が示すように、可撓性基板11の表面11Sと対向する視点から見て、ソース電極23とドレイン電極24との間の距離が、チャネル長Lである。ソース電極23とドレイン電極24とが並ぶ方向に直交する方向に沿う半導体層21の長さが、チャネル幅Wである。薄膜トランジスタ12Aにおいて、チャネル長Lとチャネル幅Wとによって特定される領域が、チャネル領域である。チャネル領域の面積は、第2面積S2である。第2面積S2は、チャネル長Lとチャネル幅Wとの乗算値である。
ゲート絶縁層22の第1面積S1と、チャネル領域の第2面積S2とは、以下の式を満たすことが好ましい。
S2≦S1≦3S2
上記式によれば、第1面積S1が第2面積S2以上であるから、薄膜トランジスタ12A,12B,12Cが動作する確実性を高めることが可能である。また、第1面積S1が第2面積S2の3倍以下であるから、薄膜トランジスタアレイ10が、十分な可撓性を有することが可能である。
図6は、可撓性基板11の表面11Sと対向する視点から見た薄膜トランジスタアレイ10の平面構造を示している。図6は、複数の薄膜トランジスタ12Aの配列における一例を示している。
図6が示すように、複数の薄膜トランジスタ12Aは、ソース電極23が延びる第1方向に沿って等間隔で並び、かつ、ソース電極23とドレイン電極24が並ぶ第2方向に沿って等間隔で並んでいる。第1方向において、薄膜トランジスタ12Aにおけるゲート絶縁層22間の距離が、第1距離D1である。第2方向において、薄膜トランジスタ12Aにおけるゲート絶縁層22間の距離が、第2距離D2である。第2距離D2は、第1距離D1よりも長い。図6が示す例では、互いに隣り合う薄膜トランジスタ12A間の最短距離である第1距離D1が、上述した条件3におけるゲート絶縁層22間の距離Dである。すなわち、第1距離D1が、5μm以上200μm以下であればよい。なお、ゲート絶縁層22間の距離は、各ゲート絶縁層22の可撓性基板11と接する面での輪郭に基づく。すなわち、可撓性基板11の表面11Sにおいて、第1の薄膜トランジスタ12Aが備えるゲート絶縁層22の輪郭と、第2の薄膜トランジスタ12Aが備えるゲート絶縁層22の輪郭との間の距離が、ゲート絶縁層22間の距離である。
[トップゲート型薄膜トランジスタ]
図7から図9を参照して、トップゲート型薄膜トランジスタの構造を説明する。トップゲート型の薄膜トランジスタでは、以下の構成が共通している。すなわち、トップゲート型の薄膜トランジスタでは、半導体層が、可撓性基板の表面に位置している。ソース電極は、半導体層の第1部分に接し、ドレイン電極は、半導体層の第2部分に接している。ゲート絶縁層は、半導体層を覆っている。ゲート電極は、ゲート絶縁層上に位置している。
図7が示す薄膜トランジスタアレイは、トップゲート‐トップコンタクト型の薄膜トランジスタを備えている。
図7が示すように、薄膜トランジスタ12Dは、半導体層21、ゲート絶縁層22、ソース電極23、ドレイン電極24、および、ゲート電極25を備えている。半導体層21の全体が、可撓性基板11の表面11Sに位置している。ソース電極23は、半導体層21における第1端部と、可撓性基板11の表面11Sのうちで第1端部に隣り合う部分とを覆っている。ドレイン電極24は、半導体層21における第2端部と、可撓性基板11の表面11Sのうちで第2端部に隣り合う部分とを覆っている。ゲート絶縁層22は、半導体層21、ソース電極23、および、ドレイン電極24を覆っている。ゲート電極25は、ゲート絶縁層22上に位置している。
なお、本開示の薄膜トランジスタアレイ10が備える薄膜トランジスタの型式は、トップゲート‐ボトムコンタクト型でもよい。この場合には、ソース電極23とドレイン電極24とが、可撓性基板11の表面11Sにおいて間隔を空けて並んでいる。半導体層21の第1端部は、ソース電極23の一部を覆い、かつ、半導体層21の第2端部は、ドレイン電極24の一部を覆っている。
図8が示す薄膜トランジスタアレイ10は、トップゲート‐コプラーナー型の薄膜トランジスタ12Eを備えている。薄膜トランジスタ12Eは、半導体層21、ゲート絶縁層22、ソース電極23、ドレイン電極24、および、ゲート電極25を備えている。
半導体層21の全体が、可撓性基板11の表面11Sに位置している。半導体層21は、第1部分21Aと、第2部分21Bと、第1部分21Aと第2部分21Bとの間に位置する第3部分21Cとを含んでいる。ゲート絶縁層22は、半導体層21の第3部分21Cを覆っている。ゲート電極25は、ゲート絶縁層22上に位置している。ソース電極23は、半導体層21の第1部分21Aから層間絶縁層13の表面13Sまで延びている。ソース電極23は、層間絶縁層13が有する第1コンタクトホール13H1内に形成され、かつ、層間絶縁層13の表面13Sに露出している。ドレイン電極24は、半導体層21の第2部分21Bから層間絶縁層13の表面13Sまで延びている。ドレイン電極24は、層間絶縁層13が有する第2コンタクトホール13H2内に形成され、かつ、層間絶縁層13の表面13Sに露出している。
なお、半導体層21のうち、第1部分21Aおよび第2部分21Bは、第3部分21Cに対してドーパントが高濃度にドープされた高ドープ領域である。半導体層21の型式がn型の場合には、高ドープ領域はn型のドーパントが高濃度にドープされたn領域である。一方で、半導体層21の型式がp型の場合には、高ドープ領域はp型のドーパントが高濃度にドープされたp領域である。
なお、トップゲート‐コプラーナー型の薄膜トランジスタ12Eでは、半導体層21における高ドープ領域は、チャネル領域には含まれない。そのため、薄膜トランジスタ12Eにおいて、チャネル長Lは、ソース電極23とドレイン電極24とが並ぶ方向に沿う第3部分21Cの長さであり、かつ、チャネル幅Wは、ソース電極23とドレイン電極24とが並ぶ方向に直交する方向に沿う第3部分21Cの長さである。
図9が示す薄膜トランジスタアレイ10では、図7を参照して先に説明した薄膜トランジスタ12Dに対して画素電極が接続されている。なお、図9が示す例は、ドレイン電極24のうち、ソース電極23に対向する端部とは反対側の端部が、ゲート絶縁層22から露出している。
図9が示すように、層間絶縁層13は、コンタクトホール13Hを有している。各コンタクトホール13Hは、層間絶縁層13の表面13Sからドレイン電極24まで延びている。図9が示す例では、可撓性基板11の表面11Sに直交する断面において、ドレイン電極24の面積が、ソース電極23の面積よりも大きい。画素電極14は、コンタクトホール13H内に充填された第1部分と、第1部分に接続され、かつ、層間絶縁層13の表面13Sに沿って延びる第2部分とを有している。
以下、薄膜トランジスタ12A,12B,12C,12D,12Eが備える各層をより詳しく説明する。
[可撓性基板11]
可撓性基板11において、薄膜トランジスタ12A,12B,12C,12D,12Eの半導体層21および各電極23,24の少なくとも一方が位置する面が絶縁性を有することが必要である。図1から図9を参照して先に説明した薄膜トランジスタアレイ10では、可撓性基板11の表面11Sが絶縁性を有することが必要である。可撓性基板11は、透明基板でもよいし、不透明基板でもよい。薄膜トランジスタアレイ10が透過性ディスプレイに適用される場合には、可撓性基板11は透明基板であることが好ましい。
可撓性基板11を構成する材料は、有機高分子化合物、有機材料と無機材料との両方を含む有機無機複合材料、金属、合金、および、無機高分子化合物から構成される群から選択される少なくとも一種であってよい。
有機高分子化合物は、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルサルフェン、トリアセチルセルロース、ポリビニルフルオライドフィルム、エチレン‐テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリイミド、フッ素系ポリマー、環状ポリオレフィン系ポリマーから構成される群から選択される少なくとも一種であってよい。
有機無機複合材料は、例えば、ガラス繊維強化アクリルポリマー、または、ガラス繊維強化ポリカーボネートであってよい。金属は、例えば、アルミニウム、または、銅であってよい。合金は、例えば、鉄クロム合金、鉄ニッケル合金、または、鉄ニッケルクロム合金であってよい。無機高分子化合物は、例えば、無アルカリガラスまたはアルカリガラスであってよい。無アルカリガラスは、酸化珪素、酸化硼素、および、酸化アルミニウムを含む。アルカリガラスは、酸化珪素、酸化ナトリウム、および、酸化カルシウムを含む。
可撓性基板11は、単層構造体でもよいし、多層構造体でもよい。可撓性基板11が多層構造体である場合には、可撓性基板11を構成する各層を構成する材料は、それぞれ有機高分子化合物、有機無機複合材料、金属、合金、および、無機高分子化合物から構成される群から選択されるいずれか一種であってよい。
可撓性基板11が単層構造体である場合には、可撓性基板11は、絶縁性を有したフィルムでもよいし、可撓性を有した薄板ガラスでもよい。可撓性基板11が薄板ガラスである場合には、薄板ガラスの厚さは0.5mm以下であることが好ましく、0.1mm以下であることがより好ましい。
可撓性基板11が多層構造体である場合には、導電性を有した箔と、箔上に形成された絶縁層とを備えてもよい。この場合には、絶縁層が、可撓性基板11の表面11Sを有する。
可撓性基板11が多層構造体である場合には、可撓性基板11は、下地基板と、下地基板から剥離可能に構成された剥離層とを備えてもよい。剥離層は、複数の薄膜トランジスタ12A,12B,12C,12D,12Eとともに、下地基板から剥がされる。複数の薄膜トランジスタ12A,12B,12C,12D,12Eを備える剥離層は、別の可撓性基材に貼り付けられてもよい。可撓性基材は、例えば、耐熱性が低い紙類、セロファン基材、布類、再生繊維類、皮革類、ナイロン基材、ポリウレタン基材であってよい。この場合には、剥離層と可撓性基材とは、別の可撓性基板11を構成する。
可撓性基板11が多層構造体である場合には、可撓性基板11は、下地基板とガスバリア層とを備えてもよい。この場合には、可撓性基板11は、下地基板の両面または片面にガスバリア層を有することができる。下地基板が有機化合物から構成されるフィルムである場合には、水分子および酸素分子の少なくとも一方である酸化源がフィルムを透過し、酸化源が薄膜トランジスタ12A,12B,12C,12D,12Eを構成する各層に対して付着することがある。これにより、薄膜トランジスタ12A,12B,12C,12D,12Eの電気的特性が低下する場合がある。
この点、下地基板の両面または片面にガスバリア層を形成することによって、酸化源の透過を抑えることが可能である。ガスバリア層は、無機化合物から形成されてよい。無機化合物は、例えば酸化珪素、窒化珪素、アルミナなどであってよい。なお、ガスバリア層が可撓性基板11の片面のみに形成される場合には、ガスバリア層は、可撓性基板11の表面11Sを含んでもよいし、表面11Sとは反対側の面を含んでもよい。
可撓性基板11が多層構造体である場合には、可撓性基板11は、下地基板と、下地基板の表面を平坦化するための平坦化層を備えてもよい。可撓性基板11が平坦化層を備える場合には、平坦化層が可撓性基板11の表面11Sを含む。あるいは、可撓性基板11が多層構造体である場合には、可撓性基板11は、下地基板と、薄膜トランジスタ12A,12B,12C,12D,12Eを構成する各層と可撓性基板11との密着性を高めるための密着層を備えてもよい。可撓性基板11が密着層を備える場合には、密着層が可撓性基板11の表面11Sを含む。
[電極14,23,24,25]
各電極14,23,24,25はそれぞれ単層構造体でもよいし、多層構造体でもよい。各電極14,23,24,25が多層構造体である場合には、各電極14,23,24,25はそれぞれ電極の下層との密着性を高める最下層、および、電極の上層との密着性を高める最上層を有することが好ましい。
各電極14,23,24,25を構成する材料は、単一材料から構成される金属でもよいし、合金でもよいし、導電性を有する金属酸化物でもよい。各電極14,23,24,25を構成する材料は、相互に異なってもよいし、同じであってもよい。
金属は、例えば、遷移金属、アルカリ金属、および、アルカリ土類金属から構成される群から選択される少なくとも一種である。遷移金属は、例えば、インジウム、アルミニウム、金、銀、白金、チタン、銅、ニッケル、タングステンから構成される群から選択される少なくとも一種であってよい。アルカリ金属は、例えば、リチウム、あるいは、セシウムであってよい。アルカリ土類金属は、例えば、マグネシウムおよびカルシウムの少なくとも一種であってよい。合金は、例えば、モリブデンニオブ、鉄クロム、アルミニウムリチウム、マグネシウム銀、アルミネオジウム合金、アルミネオジムジルコニア合金(Al‐Nd)から構成される群から選択されるいずれか一種であってよい。
金属酸化物は、例えば、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化インジウムカドミウム、酸化カドミウム錫、酸化亜鉛錫から構成される群から選択されるいずれか一種であってよい。金属酸化物は、不純物を含んでもよい。不純物を含有する金属酸化物は、例えば不純物を含む酸化インジウムであってよい。当該不純物は、例えば、錫、亜鉛、チタン、セリウム、ハフニウム、ジルコニウム、モリブデン、タングステンから構成される群から選択される少なくとも一種であってよい。不純物を含有する金属酸化物は、例えば不純物を含む酸化錫でもよい。当該不純物は、例えばアンチモンまたはフッ素であってよい。不純物を含有する金属酸化物は、例えば不純物を含む酸化亜鉛でもよい。当該不純物は、ガリウム、アルミニウム、硼素から構成される群から選択される少なくとも一種であってよい。また、不純物を含む金属酸化物は、水素原子を含む金属酸化物でもよい。金属酸化物中に含まれる水素原子は、金属酸化物中において良好な電子供与サイトを形成することが可能である。
電極14,23,24,25の成膜方法は、例えば、スパッタ法、蒸着法、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法、原子堆積法(ALD法:Atomic Layer Deposition)、印刷法、塗布法などであってよい。電極14,23,24,25の成膜方法は、スパッタ法または印刷法であることが好ましい。スパッタ法および印刷法によれば、他の成膜方法に比べて、生産速度が高く、生産コストが低く、かつ、大面積へ成膜が容易である。電極14,23,24,25を形成する際には、各種の成膜方法によって電極14,23,24,25を形成するための薄膜を成膜した後に、フォトマスクなどを用いたフォトリソグラフィ法によって、薄膜を所望の形状にパターニングしてもよい。なお、印刷法を用いて電極14,23,24,25を形成する場合には、印刷法を用いて電極14,23,24,25を形成するための薄膜を形成した後に、フォトリソグラフィ法によって薄膜を所望の形状にパターニングしてもよい。あるいは、印刷法を用いた場合には、所望の形状を有した電極14,23,24,25を形成することも可能である。
各電極14,23,24,25に適用することが可能な材料の範囲を広げる観点では、各電極14,23,24,25の電気抵抗率が、5.0×10-5Ω・cm以上であることが好ましい。薄膜トランジスタの消費電力を抑える観点では、各電極14,23,24,25の電気抵抗率は、1.0×10-2Ω・cm以下であることが好ましい。各電極14,23,24,25の電気抵抗値を抑える観点では、各電極14,23,24,25の厚さは、50nm以上であることが好ましい。薄膜トランジスタ12A,12B,12Cを構成する各層の平坦性を高める観点では、各電極14,23,24,25の厚さは、300nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましい。
[半導体層21]
半導体層21を構成する材料は、無機半導体でもよいし、有機半導体でもよい。移動度を高める観点、および、信頼性を高める観点から、半導体層21は無機半導体から構成されることが好ましい。無機半導体は、非単結晶シリコン、単結晶シリコン、化合物半導体であってよい。成膜温度を有機高分子化合物から構成される基板の耐熱温度程度まで低める観点では、半導体層21は、酸化物半導体または非単結晶シリコンから構成されることが好ましい。
酸化物半導体は、インジウム、カドミウム、亜鉛、錫から構成される群から選択される少なくとも一種の元素を含むことが好ましい。酸化物半導体は、アルミニウム、チタン、ガリウム、タングステン、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、ハフニウム、プラセオジム(Pr)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)か構成される群から選択される少なくとも一種の金属元素を含んでもよい。
非単結晶シリコンは、例えば、水素化非晶質シリコン(a‐Si:H)、水素化微結晶シリコン(μc‐Si:H)、低温多結晶シリコン(LTPS:Low Temperature Polycrystalline Silicon)などであってよい。
半導体層21の厚さにおける均一性を高める観点では、半導体層21の厚さは、5nm以上であることが好ましい。半導体層21を構成する材料の使用量を抑える観点では、半導体層21の厚さは、100nm以下であることが好ましい。厚さの均一性を高めること、および、材料の使用量を抑制することを両立する観点では、半導体層21の厚さは、5nm以上100nm以下であることが好ましい。さらに、これらの効果を得る実効性を高める観点では、半導体層21の厚さは、10nm以上50nm以下であることがより好ましい。
半導体層21の成膜方法は、例えば、スパッタ法、蒸着法、プラズマCVD法、原子堆積法、塗布法、転写法などであってよい。半導体層21をスパッタ法、蒸着法、プラズマCVD法、原子堆積法、塗布法のいずれかを用いて形成する場合には、半導体層21を形成するための薄膜を形成した後に、フォトマスクなどを用いたフォトリソグラフィ法によって薄膜をエッチングし、これによって半導体層21を得ることができる。なお、印刷法を用いて半導体層21を形成する場合にも、半導体層21を形成するための薄膜を印刷法によって形成した後に、フォトリソグラフィ法によって薄膜をパターニングすることによって半導体層21を得ることも可能であるし、また、印刷法によって所定の形状を有した半導体層21を形成することも可能である。
[高ドープ領域]
上述したように、トップゲート‐コプラーナー型の薄膜トランジスタ12Eでは、半導体層21とソース電極23との電気的な接触、および、半導体層21とドレイン電極24との電気的な接触を改善するために、半導体層21にドーパントがドーピングされる。これによって、半導体層21に、高ドープ領域が形成される。図8を参照して先に説明した例では、半導体層21における第1部分21Aおよび第2部分21Bが、高ドープ領域である。これに対して、半導体層21のうち、第1部分21Aと第2部分21Bとに挟まれた第3部分21Cには、ドーパントがドーピングされていない。これにより、第3部分21Cは、チャネル層として機能する。
半導体層21に高ドープ領域を形成する際には、半導体層21のうち、第1部分21Aおよび第2部分21Bに、例えばプラズマ処理やイオン注入処理などによって、ドーパントをドープする。これにより、第1部分21Aおよび第2部分21Bに、ドーパントが高い濃度でドープされる。この際に、第3部分21Cをレジストなどによって被覆することによって、第3部分21Cに対してドーパントがドープされない。
例えば、半導体層21がn型の酸化物半導体から構成される場合には、アルゴンガスや窒素ガスなどを用いてプラズマ処理を行うことによって、半導体層21内に酸素空孔を増加させることが可能である。これにより、半導体層21の導電率が増大するから、半導体層21に高ドープ領域を形成することができる。また、半導体層21がn型の酸化物半導体から形成される場合には、水素ガスやフッ化窒素(NF)ガスなどを用いてプラズマ処理を行うことによって、水素やフッ素を半導体層21に注入することができる。半導体層21に注入された水素やフッ素がn型のドーパントとして働くから、半導体層21に高ドープ領域を形成することができる。n型の酸化物半導体は、例えば、酸化インジウムガリウム亜鉛(In‐Ga‐Zn‐O)、酸化亜鉛(Zn‐O)、酸化インジウム亜鉛(In‐Zn‐O)などであってよい。
半導体層21が、n型の水素化アモルファスシリコンや、n型の微結晶シリコンから構成される場合には、例えば、ホスフィン(PH)ガスと水素ガスとの混合ガスや、ホスフィンガスとアルゴンガスとの混合ガスを用いてプラズマ処理を行う。これにより、半導体層21に高ドープ領域を形成することができる。
一方、半導体層21が、p型の水素化アモルファスシリコンや、p型の微結晶シリコンから構成される場合には、例えば、ジボラン(B)ガスと水素との混合ガスや、ジボランガスとアルゴンとの混合ガスを用いてプラズマ処理を行う。これにより、半導体層21に高ドープ領域を形成することができる。
[ゲート絶縁層22]
ゲート絶縁層22は、無機化合物を含む。ゲート絶縁層22は、単層構造体でもよいし、多層構造体でもよい。ゲート絶縁層22が無機化合物を含むことによって、半導体層21が非単結晶シリコンまたは酸化物半導体から構成される場合に、半導体層21とゲート絶縁層22との間において良好な界面が形成される。これにより、薄膜トランジスタが優れた電気的特性を発現することができる。ゲート絶縁層22は、体積分率で50%以上の無機化合物を含む。すなわち、ゲート絶縁層22の主成分は無機化合物である。ゲート絶縁層22は、無機化合物と有機高分子化合物との混合物であってもよい。ゲート絶縁層22を構成する材料は、例えば、アクリル樹脂とアルミナ粒子との混合物であって、混合物が体積分率で50%以上のアルミナ粒子を含む。
絶縁性を有した無機化合物は、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどであってよい。無機化合物は、ランタノイドを含んでもよい。ランタノイドは、例えばランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、および、ユーロピウム(Eu)から構成される群から選択される少なくとも一種の金属元素を含んでもよい。
無機化合物の成膜法は、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法、熱CVD法、原子堆積法(ALD法:Atomic Layer Deposition)、スパッタ法、蒸着法、塗布法、陽極酸化法などであってよい。
ゲート絶縁層22は十分に高い抵抗値を有する必要がある。ゲート絶縁層22の抵抗値は、1×1011Ω・cm以上であってよい。ゲート絶縁層22の抵抗値は、1×1013Ω・cm以上であることが好ましい。
ゲート絶縁層22の耐電圧を高め、これによって薄膜トランジスタの駆動中に絶縁破壊が生じることを抑える観点では、ゲート絶縁層22の厚さは、30nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。薄膜トランジスタにおける駆動電圧の上昇を抑え、これによって消費電力の上昇を抑え、かつ、可撓性の低下を抑える観点では、ゲート絶縁層22の厚さは450nm以下であることが好ましく、400nm以下であることがより好ましい。
本開示の薄膜トランジスタアレイ10では、可撓性基板11の表面11Sと対向する視点から見て、上述した条件3を満たすように、ゲート絶縁層が島状にパターニングされている。すなわち、本開示の薄膜トランジスタアレイ10では、薄膜トランジスタごとに個別のゲート絶縁層22を備えている。通常、薄膜トランジスタアレイは、複数の薄膜トランジスタに共通する1層のゲート絶縁層を備えている。これに対して、本開示の薄膜トランジスタアレイ10では、1層のゲート絶縁層が島状にパターニングされ、これによって、互いに隣り合う薄膜トランジスタのゲート絶縁層22が離間している。
本開示の薄膜トランジスタアレイ10では、第1の薄膜トランジスタが有するゲート絶縁層22が第2の薄膜トランジスタが有するゲート絶縁層22から離間するから、薄膜トランジスタアレイ10が屈曲されたときに、ゲート絶縁層22よりもヤング率が低い層間絶縁層13にひずみが集中する。これにより、ゲート絶縁層22によって覆われたチャネル部分ではひずみが低減されるため、薄膜トランジスタアレイ10において、可撓性基板11の曲げに対する薄膜トランジスタの電気的な耐久性が向上する。
上述したように、島状にパターニングされたゲート絶縁層において、各ゲート絶縁層22と、そのゲート絶縁層22に隣り合うゲート絶縁層22との間の距離Dは、5μm以上200μm以下である。ゲート絶縁層22間の距離が5μm以上であることによって、可撓性基板11の屈曲時に生じたひずみが層間絶縁層13に集中し、これによってゲート絶縁層22に生じるひずみを低減することができる。また、ゲート絶縁層22間の距離Dが200μm以下であることによって、薄膜トランジスタアレイ10の解像度が過剰に低くなることが抑えられるから、薄膜トランジスタアレイ10が実用に足る解像度を有することが可能である。
ゲート絶縁層22のパターニングには、例えば以下に記載の方法を用いることができる。可撓性基板11上に絶縁層を形成した後に絶縁層をパターニングする場合には、絶縁層のパターニングにドライエッチング法を用いることができる。また、ゲート絶縁層を塗布法を用いて形成する場合には、ゲート絶縁層22を構成する材料に感光性を付与することによって、材料の塗布によって形成された塗布膜を露光し、次いで塗布膜を現像する。これにより、パターニングされた絶縁層を得ることができる。また、印刷法を用いてゲート絶縁層22を形成する場合には、所定のパターンを有したゲート絶縁層22を一度の処理で形成することができる。また、ゲート絶縁層22を形成するための絶縁膜を可撓性基板11上に成膜する前に、可撓性基板11として、表面11Sにおいて、ゲート絶縁層22を形成しない領域に撥液層を選択的に形成した基材を用いる。次いで、可撓性基板11の表面11Sに塗布法を用いてゲート絶縁層を形成するための絶縁層を形成する。この際に、撥液層が塗布液をはじくから、撥液層のパターンに応じたパターンを有した絶縁層を形成することができる。
[チャネル保護層26]
図2が示すエッチストッパ型の薄膜トランジスタでは、半導体層21上に半導体層21よりも小さい形状にパターニングされたチャネル保護層26が位置する。チャネル保護層26は単層構造体でもよいし、多層構造体でもよい。チャネル保護層26を構成する材料は、絶縁性を有した無機化合物、絶縁性を有した有機高分子化合物、または、無機化合物と有機高分子化合物との混合物のいずれかであってよい。
絶縁性を有した無機化合物は、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどであってよい。無機化合物は、ランタノイドを含んでもよい。ランタノイドは、例えばランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、および、ユーロピウム(Eu)から構成される群から選択される少なくとも一種の金属元素を含んでもよい。
無機化合物の成膜法は、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法、熱CVD法、原子堆積法(ALD法:Atomic Layer Deposition)、スパッタ法、蒸着法、塗布法、陽極酸化法などであってよい。
有機高分子化合物は、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリビニルアルコール、アクリルポリマー、エポキシポリマー、アモルファスフッ素ポリマーを含むフッ素系ポリマー、メラミンポリマー、フランポリマー、キシレンポリマー、ポリアミドイミドポリマー、シリコーンポリマーなどであってよい。有機高分子化合物は、フッ素原子を含んでもよい。
チャネル保護層26を構成する材料が有機高分子化合物と無機化合物との混合物である場合には、当該混合物は、例えば、アクリル樹脂とアルミナの微粒子とから構成されてよい。
チャネル保護層26は、十分に高い抵抗値を有する必要がある。チャネル保護層26の抵抗値は、1×1011Ω・cm以上であってよい。チャネル保護層26の抵抗値は、1×1013Ω・cm以上であることが好ましい。
チャネル保護層26に積層される上層の影響を抑える観点では、チャネル保護層26の厚さは、20nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。チャネル保護層26の可撓性を維持する観点では、チャネル保護層26の厚さは600nm以下であることが好ましく、400nm以下であることがより好ましい。
[層間絶縁層13]
層間絶縁層13は、単層構造体でもよいし、多層構造体でもよい。層間絶縁層13は、上述した条件4を満たす。すなわち、層間絶縁層13のヤング率は、ゲート絶縁層22のヤング率よりも低い。
本開示の薄膜トランジスタアレイ10では、固くて割れやすいゲート絶縁層22を各薄膜トランジスタが個別に備えている。すなわち、各薄膜トランジスタが備えるゲート絶縁層22が、1層の絶縁層が島状にパターニングされることによって形成されている。そのため、各ゲート絶縁層22はゲート絶縁層22よりも柔らかい層間絶縁層13によって覆われ、これにより、ゲート絶縁層22間にも層間絶縁層13が位置する。そのため、薄膜トランジスタアレイ10を屈曲させた際に、薄膜トランジスタアレイ10において生じたひずみの大部分は、固く割れやすいゲート絶縁層22ではなく柔軟性を有した層間絶縁層13によって吸収される。そして、ゲート絶縁層22間の距離Dが条件3を満たすことによって、可撓性と、曲げに対する電気的特性の耐久性とを両立することができる。
層間絶縁層13を構成する有機高分子化合物は、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、シリコーン、ポリスチレン、ポリアクリルアミドゲル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリビニルアルコール、アクリルポリマー、エポキシポリマー、アモルファスフッ素ポリマーを含むフッ素系ポリマー、メラミンポリマー、フランポリマー、キシレンポリマー、ポリアミドイミドポリマー、シリコーンポリマーなどであってよい。有機高分子化合物は、フッ素原子を含んでもよい。
層間絶縁層13を構成する有機高分子化合物は、伸縮性を有した有機高分子化合物であってもよい。伸縮性を有した有機系材料は、例えば、伸縮性エポキシポリマー、伸縮性シリコーン、伸縮性ポリウレタンなどであってよい。
層間絶縁層13のヤング率は、ゲート絶縁層22のヤング率よりも低ければよい。層間絶縁層13のヤング率は10MPa以下であることが好ましく、3MPa以下であることがより好ましい。
層間絶縁層13の厚さは、例えば、500nm以上5μm以下であってよく、1μm以上3μm以下であることが好ましい。薄膜トランジスタの型式がボトムゲート型である場合には、画素電極の電位が半導体層21に影響することを抑える観点では、500nm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。なお、薄膜トランジスタアレイ10が十分な可撓性を有する観点では、層間絶縁層13の厚さは5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。
層間絶縁層13を形成する方法は、例えば、蒸着法、塗布法、印刷法などであってよい。層間絶縁層13を形成する方法は、塗布法または印刷法であることが好ましい。層間絶縁層13はパターニングされていなくてもよいし、必要に応じて層間絶縁層13の一部がパターニングされてもよい。層間絶縁層13の一部をパターニングする場合には、例えば、層間絶縁層13のパターニングによって、上述したコンタクトホール13H,13H1,13H2を形成する。これにより、例えば、図4を参照して先に説明した構造では、ドレイン電極24が層間絶縁層13のコンタクトホールを通じて画素電極14と電気的に接続される。
層間絶縁層13のパターニングには、層間絶縁層13を構成する材料に適した方法が用いられる。層間絶縁層13のパターニングには、例えばドライエッチング法を用いることができる。また、層間絶縁層13を塗布法を用いて形成する場合には、層間絶縁層13を構成する材料に感光性を付与することによって、材料の塗布によって形成された塗布膜を露光し、次いで塗布膜を現像する。これにより、パターニングされた絶縁層を得ることができる。また、印刷法を用いて層間絶縁層13を形成する場合には、所定のパターンを有した層間絶縁層13を一度の処理で形成することができる。また、層間絶縁層13を形成するための絶縁膜を可撓性基板11上に成膜する前に、可撓性基板11として、表面11Sにおいて、ゲート絶縁層22を形成しない領域に撥液層を選択的に形成した基材を用いる。次いで、可撓性基板11の表面11Sに塗布法を用いて層間絶縁層13を形成するための絶縁層を形成する。この際に、撥液層が塗布液をはじくから、撥液層のパターンに応じたパターンを有した絶縁層を形成することができる。
[実施例]
以下、図面を参照して、実施例および比較例を説明する。なお、図10には、比較例10の薄膜トランジスタの断面構造が示され、かつ、図11には、比較例11の薄膜トランジスタの断面構造が示されている。また、図12は、実施例の薄膜トランジスタアレイにおける層構造を示す表であり、かつ、図13は、比較例の薄膜トランジスタアレイにおける層構造を示す表である。また、図14は、実施例の薄膜トランジスタアレイ、および、比較例の薄膜トランジスタアレイの電気的特性に関する評価結果を示す表である。
以下に説明する各実施例および各比較例では、20μmの厚さを有したポリイミド基材と、15nmのSiO層とから構成される多層構造体を可撓性基板として準備した。なお、CVD法を用いてポリイミド基材にSiO層を成膜した。そして、各実施例および各比較例の薄膜トランジスタアレイにおいて、可撓性基板上に8×8の画素配列で、64個の薄膜トランジスタを形成した。
なお、薄膜トランジスタアレイを作製する際には、ポリイミド基材がガラス基板に支持された状態で、薄膜トランジスタアレイを製造するための工程が順次行われる。薄膜トランジスタアレイの製造工程では、薄膜トランジスタアレイが形成されたポリイミド基材をガラス基材から剥離することによって、可撓性を有した薄膜トランジスタアレイ10が得られる。
なお、図12および図13に記載の素子構造のうち、BGはボトムゲート型を意味し、TGはトップゲート型を意味し、ESはエッチストッパ型を意味し、CEはチャネルエッチ型を意味し、CPはコプラーナー型を意味する。薄膜トランジスタの型式が、例えばボトムゲート‐エッチストッパ型である場合には、図12および図13において、素子構造をBG/ESと表記する。薄膜トランジスタの型式が、例えばトップゲート‐コプラーナー型である場合には、図12および図13において、素子構造をTG/CPと表記する。
[実施例1]
実施例1の薄膜トランジスタアレイ10として、図1が示すボトムゲート‐チャネルエッチ型の薄膜トランジスタ12Aを備える薄膜トランジスタアレイ10を作製した。
ガラス基板上に20μmの厚さを有したポリイミド基材が位置し、かつ、ポリイミド基材の上に15nmの厚さを有したSiO層が位置する積層基板を可撓性基板11として準備した。次に、DCマグネトロンスパッタ法を用いて、100nmの厚さを有したAl‐Nd薄膜を可撓性基板11のSiO層上に形成した。この際に、Ndの原子分率が2%であるAl‐Ndターゲットを用い、かつ、スパッタガスとしてアルゴンガスを用いた。次いで、Al‐Nd薄膜上にスピンコート法を用いて感光性ポジ型レジストを塗布した。続いて、マスク露光を行った後に、アルカリ現像による現像を行うことによって、フォトレジストパターンを形成した。次に、Al‐Nd薄膜をリン酸、硝酸、および、酢酸の混合液であるエッチング液を用いてエッチングし、これによってAl‐Nd薄膜のうち、不要な部分を除去した。続いて、レジスト剥離液により、Al‐Nd薄膜からフォトレジストパターンを除去することによってゲート電極25を得た。すなわち、フォトリソグラフィ法を用いて、ゲート電極25を得た。なお、以下において、Al‐Nd薄膜と同様の方法によって薄膜をパターニングした場合に、フォトリソグラフィ法によって薄膜をパターニングしたと記載する。
ゲート電極25が形成された可撓性基板11上に、プラズマCVD法を用いて350nmの厚さを有したSiO薄膜を形成した。この際に、シラン(SiH)ガス、および、亜酸化窒素(NO)ガス、水素(H)ガスを原料ガスとして用いた。次に、SiO薄膜上に感光性ポジ型レジストをスピンコート法を用いて塗布した。続いて、マスク露光を行った後に、アルカリ現像による現像を行うことによって、フォトレジストパターンを形成した。そして、四フッ化炭素(CF)ガスを用いたリアクティブイオンエッチング(RIE)法によって、800μmの第1面積S1を有した矩形状のゲート絶縁層22を形成した。この際に、隣り合う薄膜トランジスタ12Aが備えるゲート絶縁層22間の最短距離を5μmに設定した。
次に、可撓性基板11の表面11Sに、DCスパッタリング法を用いて、30nmの厚さを有したIGZO薄膜を形成した。この際に、InGaZnOの組成を有するターゲットと、アルゴン(Ar)ガスと酸素(O)との混合ガスであるスパッタガスとを用いた。次いで、IGZO薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることによって、半導体層21を得た。
続いて、可撓性基板11上に、DCスパッタリング法を用いて、100nmの厚さを有したAl系合金薄膜を形成した。そして、Al系合金薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、これによってソース電極23およびドレイン電極24を形成した。これにより、チャネル長Lを20μmに設定し、かつ、チャネル幅Wを20μmに設定した。
そして、可撓性基板11に感光性を有したアクリル樹脂をスピンコート法を用いて塗布することによって塗膜を形成し、次いで、マスク露光と、アルカリ現像とを塗膜に対して行うことによって塗膜をパターニングした。その後、パターニング後の塗膜を230℃で焼成し、これによって層間絶縁層13を得た。焼成後の層間絶縁層13の厚さは3μmであった。これにより、実施例1の薄膜トランジスタアレイ10を得た。
[実施例2]
実施例2の薄膜トランジスタアレイ10として、図2が示すボトムゲート‐エッチストッパ型の薄膜トランジスタ12Bを備える薄膜トランジスタアレイ10を作製した。
上述した可撓性基板11のSiO層上に、DCマグネトロンスパッタ法を用いて、100nmの厚さを有したAl‐Nd薄膜を可撓性基板11に形成した。この際に、Ndの原子分率が2%であるAl‐Ndターゲットを用い、かつ、スパッタガスとしてアルゴンガスを用いた。次いで、Al‐Nd薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることによって、ゲート電極25を得た。
ゲート電極25が形成された可撓性基板11上に、プラズマCVD法を用いて450nmの厚さを有した窒化珪素(Si)薄膜を形成した。この際に、シラン(SiH)ガス、および、アンモニア(NH)ガス、水素(H)ガスを原料ガスとして用いた。続いて、マスク露光を行った後に、アルカリ現像による現像を行うことによって、フォトレジストパターンを形成した。そして、リアクティブイオンエッチング(RIE)法によって、1200μmの第1面積S1を有した矩形状のゲート絶縁層22を形成した。この際に、隣り合う薄膜トランジスタ12Bが備えるゲート絶縁層22間の最短距離を5μmに設定した。
次に、可撓性基板11の表面11Sに、DCスパッタリング法を用いて、30nmの厚さを有したIGZO薄膜を形成した。この際に、InGaZnOの組成を有するターゲットと、アルゴン(Ar)ガスと酸素(O)との混合ガスであるスパッタガスとを用いた。次いで、IGZO薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることによって、半導体層21を得た。
そして、可撓性基板11に感光性を有したアクリル樹脂をスピンコート法を用いて塗布することによって塗膜を形成し、次いで、マスク露光と、アルカリ現像とを塗膜に対して行うことによって塗膜をパターニングした。その後、パターニング後の塗膜を230℃で焼成し、これによってチャネル保護層26を得た。
続いて、可撓性基板11上に、100nmの厚さを有したAl系合金薄膜を形成した。そして、Al系合金薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、これによってソース電極23およびドレイン電極24を形成した。これにより、チャネル長Lを20μmに設定し、かつ、チャネル幅Wを20μmに設定した。
そして、可撓性基板11に感光性を有したアクリル樹脂をスピンコート法を用いて塗布することによって塗膜を形成し、次いで、マスク露光と、アルカリ現像とを塗膜に対して行うことによって塗膜をパターニングした。その後、パターニング後の塗膜を230℃で焼成し、これによって層間絶縁層13を得た。焼成後の層間絶縁層13の厚さは3.5μmであった。これにより、実施例2の薄膜トランジスタアレイ10を得た。
[実施例3]
実施例3の薄膜トランジスタアレイ10として、図1が示すボトムゲート‐チャネルエッチ型の薄膜トランジスタ12Aを備える薄膜トランジスタアレイ10を作製した。
上述した可撓性基板11のSiO層上にDCマグネトロンスパッタ法を用いて、100nmの厚さを有したAl‐Nd薄膜を形成した。この際に、Ndの原子分率が2%であるAl‐Ndターゲットを用い、かつ、スパッタガスとしてアルゴンガスを用いた。次いで、Al‐Nd薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることによって、ゲート電極25を得た。
ゲート電極25を形成された可撓性基板11上に、原子堆積法(ALD法:Atomic Layer Deposition)を用いて、30nmの厚さを有した酸化アルミニウム(Al)薄膜を形成した。この際に、トリメチルアルミニウム((CHAl)ガス、および、酸素(O)ガスを原料ガスとして用い、かつ、窒素ガスをパージガスとして用いた。続いて、酸化アルミニウム薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングした。これにより、400μmの第1面積S1を有した矩形状のゲート絶縁層22を得た。この際に、隣り合う薄膜トランジスタ12Aが備えるゲート絶縁層22間の最短距離を5μmに設定した。
次に、可撓性基板11の表面11Sに、DCスパッタリング法を用いて、30nmの厚さを有したIGZO薄膜を形成した。この際に、InGaZnOの組成を有するターゲットと、アルゴン(Ar)ガスと酸素(O)との混合ガスであるスパッタガスとを用いた。次いで、IGZO薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることによって、半導体層21を得た。
続いて、可撓性基板11上に、100nmの厚さを有したAl系合金薄膜を形成した。そして、Al系合金薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、これによってソース電極23およびドレイン電極24を形成した。これにより、チャネル長Lを20μmに設定し、かつ、チャネル幅Wを20μmに設定した。
そして、可撓性基板11に感光性を有したアクリル樹脂をスピンコート法を用いて塗布することによって塗膜を形成し、次いで、マスク露光と、アルカリ現像とを塗膜に対して行うことによって塗膜をパターニングした。その後、パターニング後の塗膜を230℃で焼成し、これによって層間絶縁層13を得た。焼成後の層間絶縁層13の厚さは3μmであった。これにより、実施例3の薄膜トランジスタアレイ10を得た。
[実施例4]
実施例4の薄膜トランジスタアレイ10として、図7が示すトップゲート型の薄膜トランジスタ12Dを備える薄膜トランジスタアレイ10を作製した。
可撓性基板11のSiO層上にプラズマCVD法を用いて45nmの厚さを有した水素化微結晶シリコン薄膜を形成した。この際に、シラン(SiH)ガス、および、水素(H)ガスを原料ガスに用いた。次いで、水素化微結晶シリコン薄膜をフォトリソグラフィ法でパターニングすることによって、半導体層21を得た。次に、半導体層21のなかで、ソース電極23が接する領域、および、ドレイン電極24が接する領域に、ホスフィン(PH)ガスと水素(H)ガスとの混合ガスを用いてプラズマ処理を行った。これにより、半導体層21中に高ドープ領域を形成した。
続いて、可撓性基板11上に、100nmの厚さを有したAl系合金薄膜を形成した。そして、Al系合金薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、これによってソース電極23およびドレイン電極24を形成した。これにより、チャネル長Lを20μmに設定し、かつ、チャネル幅Wを20μmに設定した。
その後、可撓性基板11上にプラズマCVD法を用いて400nmの厚さを有した酸化窒化珪素(SiO)薄膜を形成した。この際に、シラン(SiH)ガス、水素(H)ガス、アンモニア(NH)ガス、亜酸化窒素(NO)ガスを原料ガスとして用いた。続いて、酸化窒化珪素薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることによって400μmの第1面積S1を有した矩形状のゲート絶縁層22を得た。この際に、隣り合うゲート絶縁層22の最短距離を5μmに設定した。
続いて、可撓性基板11上に、100nmの厚さを有したAl系合金薄膜を形成した。そして、Al系合金薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、これによってゲート電極25を形成した。
そして、可撓性基板11に感光性を有したアクリル樹脂をスピンコート法を用いて塗布することによって塗膜を形成し、次いで、マスク露光と、アルカリ現像とを塗膜に対して行うことによって塗膜をパターニングした。その後、パターニング後の塗膜を230℃で焼成し、これによって層間絶縁層13を得た。焼成後の層間絶縁層13の厚さは3μmであった。これにより、実施例4の薄膜トランジスタアレイ10を得た。
[実施例5]
実施例2において、以下を変更した以外は、実施例2と同様の方法によって、実施例5の薄膜トランジスタアレイ10を得た。
・ゲート絶縁層22間距離D:10μm
・層間絶縁層13の厚さ:3μm
[実施例6]
実施例6の薄膜トランジスタアレイ10として、図8が示すトップゲート‐コプラーナー型の薄膜トランジスタ12Eを作製した。
可撓性基板11のSiO層上にDCスパッタリング法を用いて、30nmの厚さを有したIGZO薄膜を形成した。この際に、InGaZnOの組成を有するターゲットと、アルゴン(Ar)ガスと酸素(O)との混合ガスであるスパッタガスとを用いた。続いて、フォトリソグラフィ法を用いてIGZO薄膜をパターニングすることによって、半導体層21を得た。
次に、可撓性基板11上にプラズマCVD法を用いて、350nmの厚さを有した二酸化珪素(SiO)薄膜を形成した。この際に、シラン(SiH)ガス、亜酸化窒素(NO)ガス、水素(H)ガスを原料ガスとして用いた。さらに、二酸化珪素薄膜上に、DCマグネトロンスパッタ法を用いて、100nmの厚さを有したAl‐Nd薄膜を可撓性基板11に形成した。この際に、Ndの原子分率が2%であるAl‐Ndターゲットを用い、かつ、スパッタガスとしてアルゴンガスを用いた。次いで、Al‐Nd薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることによって、ゲート電極25を得た。次いで、ゲート電極25を形成するためのフォトレジストパターンを用いた反応性ドライエッチング法によって二酸化珪素薄膜をパターニングし、これによってゲート絶縁層22を得た。
その後、半導体層21のうちで、ゲート電極25およびゲート絶縁層22に被覆されていない部分に対して、NFプラズマを照射し、これによって過剰にn型にドーピングされた高ドープ領域を形成した。これにより、チャネル長L、および、チャネル幅Wを20μmに設定し、かつ、ゲート絶縁層22間の最短距離を50μmに設定した。
そして、可撓性基板11に架橋剤を含むポリビニルピロリドン(PVP)をスピンコート法を用いて塗布し、これによってPVP薄膜を形成した。次いで、PVP薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングした後に、パターニング後のPVP薄膜を焼成することによって、PVPを架橋させ、これによって層間絶縁層13を得た。焼成後の層間絶縁層13の厚さは、2.7μmであった。
続いて、可撓性基板11上に、DCスパッタリング法を用いて、100nmの厚さを有したAl系合金薄膜を形成した。そして、Al系合金薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、これによってソース電極23およびドレイン電極24を形成した。これにより、実施例6の薄膜トランジスタアレイ10を得た。
[実施例7]
実施例7の薄膜トランジスタアレイ10として、図2が示すボトムゲート‐エッチストッパ型の薄膜トランジスタ12Bを備える薄膜トランジスタアレイ10を作製した。
上述した可撓性基板11のSiO層上に、DCマグネトロンスパッタ法を用いて、100nmの厚さを有したAl‐Nd薄膜を可撓性基板11に形成した。この際に、Ndの原子分率が2%であるAl‐Ndターゲットを用い、かつ、スパッタガスとしてアルゴンガスを用いた。次いで、Al‐Nd薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることによって、ゲート電極25を得た。
ゲート電極25を形成された可撓性基板11上に、原子堆積法(ALD法:Atomic Layer Deposition)を用いて、30nmの厚さを有した酸化アルミニウム(Al)薄膜を形成した。この際に、トリメチルアルミニウム((CHAl)ガス、および、酸素(O)ガスを原料ガスとして用い、かつ、窒素ガスをパージガスとして用いた。続いて、酸化アルミニウム薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングした。これにより、1200μmの第1面積S1を有した矩形状のゲート絶縁層22を得た。この際に、隣り合う薄膜トランジスタ12Bが備えるゲート絶縁層22間の最短距離を100μmに設定した。
その後、可撓性基板11上にプラズマCVD法を用いて、30nmの厚さを有した水素化アモルファスシリコン薄膜を形成した。この際に、原料ガスとしてシラン(SiH)ガス、および、水素(H)ガスを用いた。さらに、水素化アモルファスシリコン薄膜上に感光性アクリル樹脂をスピンコート法を用いて塗布し、これによって塗布膜を形成した。次いで、マスク露光およびアルカリ現像を行うことによって塗布膜をパターニングした後、パターニング後の塗布膜を230℃で焼成することによって、チャネル保護層26を形成した。
続いて、フォトリソグラフィ法を用いて水素化アモルファスシリコン薄膜をパターニングすることによって、半導体層21を得た。また、半導体層21のうち、ソース電極23が接触する領域、および、ドレイン電極24が接触する領域に、ホスフィン(PH)ガスと水素(H)との混合ガスを用いてプラズマ処理を行った。これにより、半導体層21中にn型の高ドープ領域を形成した。
続いて、可撓性基板11上に、100nmの厚さを有したAl系合金薄膜を形成した。そして、Al系合金薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、これによってソース電極23およびドレイン電極24を形成した。これによって、チャネル長Lおよびチャネル幅Wを20μmに設定した。
そして、可撓性基板11に架橋剤を含むポリビニルピロリドン(PVP)をスピンコート法を用いて塗布し、これによってPVP薄膜を形成した。次いで、PVP薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングした後に、パターニング後のPVP薄膜を焼成することによって、PVPを架橋させ、これによって層間絶縁層13を得た。焼成後の層間絶縁層13の厚さは、2.7μmであった。これにより、実施例7の薄膜トランジスタアレイを得た。
[実施例8]
実施例8の薄膜トランジスタアレイ10として、図3が示すボトムゲート‐エッチストッパ型の薄膜トランジスタ12Cを備える薄膜トランジスタアレイ10を作製した。
上述した可撓性基板11のSiO層上にDCマグネトロンスパッタ法を用いて、100nmの厚さを有したAl‐Nd薄膜を形成した。この際に、Ndの原子分率が2%であるAl‐Ndターゲットを用い、かつ、スパッタガスとしてアルゴンガスを用いた。次いで、Al‐Nd薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることによって、ゲート電極25を得た。次に、可撓性基板11上にプラズマCVD法を用いて350nmの厚さを有した二酸化珪素(SiO)薄膜を形成した。この際に、シラン(SiH)ガス、水素(H)ガス、亜酸化窒素(NO)ガスを原料ガスとして用いた。
次に、二酸化珪素薄膜上に、DCスパッタリング法を用いて、30nmの厚さを有したIGZO薄膜を形成した。この際に、InGaZnOの組成を有するターゲットと、アルゴン(Ar)ガスと酸素(O)との混合ガスであるスパッタガスとを用いた。続いて、IGZO薄膜上にプラズマCVD法を用いて50nmの厚さを有した二酸化珪素(SiO)薄膜を形成した。この際に、シラン(SiH)ガス、水素(H)ガス、亜酸化窒素(NO)ガスを原料ガスとして用いた。
次に、二酸化珪素薄膜上にレジストを塗布した後、マスク露光および現像を行うことによって、フォトレジストパターンを形成した。次いで、最上層の二酸化珪素薄膜をリアクティブイオンエッチング法を用いてパターニングすることによって、チャネル保護層26を得た。
フォトレジストパターンを用いてIGZO薄膜をウエットエッチングし、これによって半導体層21を得た。続いて、リアクティブイオンエッチング法を用いて半導体層21の下層である二酸化珪素薄膜をパターニングし、これによって、600μmの第1面積S1を有したゲート絶縁層22を得た。この際に、ゲート絶縁層22間の最短距離を200μmに設定した。
続いて、可撓性基板11上に、100nmの厚さを有したAl系合金薄膜を形成した。そして、Al系合金薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、これによってソース電極23およびドレイン電極24を形成した。これにより、チャネル長Lを20μmに設定し、かつ、チャネル幅Wを30μmに設定した。
そして、可撓性基板11に架橋剤を含むポリビニルピロリドン(PVP)をスピンコート法を用いて塗布し、これによってPVP薄膜を形成した。次いで、PVP薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングした後に、パターニング後のPVP薄膜を焼成することによって、PVPを架橋させ、これによって層間絶縁層13を得た。焼成後の層間絶縁層13の厚さは、2.7μmであった。これにより、実施例8の薄膜トランジスタアレイ10を得た。
[実施例9]
実施例2において、以下を変更した以外は、実施例2と同様の方法によって、実施例9の薄膜トランジスタアレイ10を得た。なお、半導体層21の形成には、実施例7と同様の方法を用い、ゲート絶縁層22の形成には、実施例1と同様の方法を用い、かつ、層間絶縁層13の形成には、実施例6と同様の方法を用いた。
・半導体層21:水素化アモルファスシリコン
・ゲート絶縁層22:二酸化珪素
・ゲート絶縁層22の厚さ:350nm
・層間絶縁層13:ポリビニルピロリドン
・層間絶縁層13の厚さ:2.7μm
[実施例10]
実施例10の薄膜トランジスタアレイ10として、図1が示すボトムゲート‐チャネルエッチ型の薄膜トランジスタ12Aを備える薄膜トランジスタアレイ10を作製した。
上述した可撓性基板11のSiO層上にDCマグネトロンスパッタ法を用いて、100nmの厚さを有したAl‐Nd薄膜を形成した。この際に、Ndの原子分率が2%であるAl‐Ndターゲットを用い、かつ、スパッタガスとしてアルゴンガスを用いた。次いで、Al‐Nd薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることによって、ゲート電極25を得た。
次に、ゲート電極25が形成された可撓性基板11上に、プラズマCVD法を用いて350nmの厚さを有した二酸化珪素(SiO)薄膜を形成した。この際に、シラン(SiH)ガス、水素(H)ガス、亜酸化窒素(NO)ガスを原料ガスとして用いた。続いて、フォトリソグラフィ法を用いて二酸化珪素薄膜をパターニングすることによって、1000μmの第1面積を有したゲート絶縁層22を得た。この際に、ゲート絶縁層22間の最短距離を35μmに設定した。
次に、可撓性基板11上に、DCスパッタリング法を用いて、30nmの厚さを有したZnO薄膜を形成した。この際に、ZnOの組成を有するターゲットと、アルゴン(Ar)ガスと酸素(O)との混合ガスであるスパッタガスとを用いた。続いて、フォトリソグラフィ法を用いてZnO薄膜をパターニングし、これによって半導体層21を得た。
続いて、可撓性基板11上に、DCマグネトロンスパッタ法を用いて、100nmの厚さを有したAl系合金薄膜を形成した。そして、Al系合金薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、これによってソース電極23およびドレイン電極24を形成した。これにより、チャネル長Lを20μmに設定し、かつ、チャネル幅Wを25μmに設定した。
次に、ポリジメチルシロキサン(PDMS)をスピンコート法を用いて塗布し、これによってPDMS薄膜を形成した。次いで、PDMS薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、これによって層間絶縁層13を得た。層間絶縁層13の厚さは3μmであった。
[実施例11]
実施例8において、以下を変更した以外は、実施例8と同様の方法によって、実施例11の薄膜トランジスタアレイ10を得た。
・ゲート絶縁層22間距離D:50μm
・第1面積S1:1000μm
・第2面積S2:500μm
・チャネル長L×チャネル幅W:20μm×25μm
・半導体層21:ZnO
・層間絶縁層13:アモルファスフッ素樹脂
(CYTOP CTL‐809M Mタイプ、AGC(株)製)
(CYTOPは登録商標)
・層間絶縁層13の厚さ:2.5μm
[実施例12]
実施例4において、以下を変更した以外は、実施例4と同様の方法によって、実施例12の薄膜トランジスタアレイ10を得た。
・ゲート絶縁層22間距離D:35μm
・第1面積S1:2000μm
・第2面積S2:500μm
・チャネル長L×チャネル幅W:20μm×25μm
・半導体層21:ZnO
・ゲート絶縁層22:SiO
・ゲート絶縁層22の厚さ:350nm
・層間絶縁層13:PDMS
・層間絶縁層13の厚さ:2.5μm
[実施例13]
実施例8において、以下を変更した以外は、実施例8と同様の方法によって、実施例13の薄膜トランジスタアレイ10を得た。
・ゲート絶縁層22間距離D:50μm
・第1面積S1:2000μm
・第2面積S2:400μm
・チャネル長L×チャネル幅W:20μm×20μm
・層間絶縁層13:アモルファスフッ素樹脂
(CYTOP CTL‐809M Mタイプ、AGC(株)製)
・層間絶縁層13の厚さ:2.5μm
[実施例14]
実施例6において、以下を変更した以外は、実施例6と同様の方法によって、実施例14の薄膜トランジスタアレイ10を得た。
・ゲート絶縁層22間距離D:10μm
・第1面積S1:2400μm
・層間絶縁層13:アクリル樹脂
・層間絶縁層13の厚さ:3.5μm
[実施例15]
実施例8において、以下を変更した以外は、実施例8と同様の方法によって、実施例15の薄膜トランジスタアレイ10を得た。
・ゲート絶縁層22間距離D:10μm
・第1面積S1:4000μm
・第2面積S2:400μm
・チャネル長L×チャネル幅W:20μm×20μm
・層間絶縁層13:アクリル樹脂
・層間絶縁層13の厚さ:3.5μm
[比較例1]
実施例15において、以下を変更した以外は、実施例15と同様の方法によって、比較例1の薄膜トランジスタアレイを得た。
・ゲート絶縁層22間距離D:4μm
・第1面積S1:1000μm
・第2面積S2:500μm
・チャネル長L×チャネル幅W:20μm×25μm
・層間絶縁層13の厚さ:2.5μm
[比較例2]
実施例4において、以下を変更した以外は、実施例4と同様の方法によって、比較例2の薄膜トランジスタアレイを得た。
・ゲート絶縁層22間距離D:4μm
・第1面積S1:1000μm
・第2面積S2:500μm
・チャネル長L×チャネル幅W:20μm×25μm
・層間絶縁層13の厚さ:2.5μm
[比較例3]
実施例15において、以下を変更した以外は、実施例15と同様の方法によって、比較例3の薄膜トランジスタアレイを得た。
・ゲート絶縁層22間距離D:6μm
・第1面積S1:800μm
・ゲート絶縁層22の厚さ:500μm
・層間絶縁層13の厚さ:2.5μm
[比較例4]
比較例2において、以下を変更した以外は、比較例2と同様の方法によって、比較例4の薄膜トランジスタアレイを得た。
・ゲート絶縁層22間距離D:6μm
・第1面積S1:800μm
・第2面積S2:400μm
・チャネル長L×チャネル幅W:20μm×20μm
・ゲート絶縁層22の厚さ:600nm
[比較例5]
比較例3において、以下を変更した以外は、比較例3と同様の方法によって、比較例5の薄膜トランジスタアレイを得た。なお、比較例3では、層間絶縁層13を形成するための方法として、実施例2においてゲート絶縁層22を形成するための方法と同様の方法を用いた。
・第1面積S1:1000μm
・第2面積S2:500μm
・チャネル長L×チャネル幅W:20μm×25μm
・ゲート絶縁層22の厚さ:400nm
・層間絶縁層13:Si
・層間絶縁層13の厚さ:3μm
[比較例6]
比較例3において、以下を変更した以外は、比較例3と同様の方法によって、比較例6の薄膜トランジスタアレイを得た。
・第1面積S1:1000μm
・第2面積S2:500μm
・チャネル長L×チャネル幅W:20μm×25μm
・ゲート絶縁層22の厚さ:25μm
[比較例7]
比較例1において、以下を変更した以外は、比較例1と同様の方法によって、比較例7の薄膜トランジスタアレイを得た。
・ゲート絶縁層22間距離D:25μm
・ゲート絶縁層22:アクリル樹脂
・ゲート絶縁層22の厚さ:500nm
・層間絶縁層13:PDMS
・層間絶縁層13の厚さ:3μm
[比較例8]
比較例2において、以下を変更した以外は、比較例2と同様の方法によって、比較例8の薄膜トランジスタアレイを得た。
・第1面積S1:800μm
・第2面積S2:400μm
・チャネル長L×チャネル幅W:20μm×20μm
・半導体層21:水素化アモルファスシリコン
・ゲート絶縁層22:SiO
・層間絶縁層13の厚さ:3μm
[比較例9]
実施例1において、以下を変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例9の薄膜トランジスタアレイを得た。
・第1面積S1:1000μm
・第2面積S2:500μm
・チャネル長L×チャネル幅W:20μm×25μm
・ゲート絶縁層22の厚さ:25nm
[比較例10]
比較例10の薄膜トランジスタアレイとして、図10が示すボトムゲート‐チャネルエッチ型の薄膜トランジスタを備える薄膜トランジスタアレイを作製した。
図10が示すように、薄膜トランジスタアレイ100は、可撓性基板111と、可撓性基板111の表面111S上に位置するゲート電極125を備えている。複数のゲート電極125は、1層のゲート絶縁層122によって覆われている。ゲート絶縁層122のうち、可撓性基板111に接する面とは反対側の表面122Sにおいて、ゲート電極125の上方に位置する部分には、半導体層121が位置している。半導体層121の一部はソース電極123によって覆われ、かつ、半導体層121の他の一部はドレイン電極124によって覆われている。複数の半導体層121、複数のソース電極123、および、複数のドレイン電極124は、一層の層間絶縁層113によって覆われている。薄膜トランジスタアレイ100において、各薄膜トランジスタ112は、半導体層121、ソース電極123、ドレイン電極124、および、ゲート電極125を個別に有する一方で、ゲート絶縁層122および層間絶縁層113が、複数の薄膜トランジスタ112に共通している。
薄膜トランジスタアレイ100を作製する際には、まず、可撓性基板11の表面11SにDCマグネトロンスパッタ法を用いて、100nmの厚さを有したAl‐Nd薄膜を可撓性基板11に形成した。この際に、Ndの原子分率が2%であるAl‐Ndターゲットを用い、かつ、スパッタガスとしてアルゴンガスを用いた。次いで、Al‐Nd薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、これによってゲート電極125を得た。
次に、可撓性基板11上にプラズマCVD法を用いて350nmの厚さを有した酸化珪素(SiO)薄膜を形成した。この際に、シラン(SiH)ガス、水素(H)ガス、亜酸化窒素(NO)ガスを原料ガスとして用いた。これにより、ゲート絶縁層122を得た。
可撓性基板111の表面111Sに、DCスパッタリング法を用いて、30nmの厚さを有したIGZO薄膜を形成した。この際に、InGaZnOの組成を有するターゲットと、アルゴン(Ar)ガスと酸素(O)との混合ガスであるスパッタガスとを用いた。続いて、フォトリソグラフィ法を用いてIGZO薄膜をパターニングすることによって、半導体層121を得た。
次に、半導体層121上に、DCマグネトロンスパッタ法を用いて100nmの厚さを有したAl系合金薄膜を形成した。この際に、アルゴンガスをスパッタガスとして用いた。続いて、Al系合金薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、これによってソース電極123およびドレイン電極124を形成した。これにより、チャネル長Lを20μmに設定し、かつ、チャネル幅Wを20μmに設定した。
そして、可撓性基板111に感光性を有したアクリル樹脂をスピンコート法を用いて塗布することによって塗膜を形成し、次いで、マスク露光と、アルカリ現像とを塗膜に対して行うことによって塗膜をパターニングした。その後、パターニング後の塗膜を230℃で焼成し、これによって層間絶縁層113を得た。これにより、3μmの厚さを有した層間絶縁層13を得た。
[比較例11]
比較例11の薄膜トランジスタアレイとして、図11が示すトップゲート型の薄膜トランジスタを備える薄膜トランジスタアレイを作製した。
図11が示すように、薄膜トランジスタアレイ200は、可撓性基板211と、可撓性基板211の表面211S上に位置する半導体層221を備えている。半導体層221の一部がソース電極223によって覆われ、かつ、半導体層221の他の一部がドレイン電極224によって覆われている。複数の半導体層221、複数のソース電極223、および、複数のドレイン電極224は、1層のゲート絶縁層222によって覆われている。ゲート絶縁層222のうち、可撓性基板211に接する面とは反対側の表面222Sにおいて、半導体層221の上方に位置する部分には、ゲート電極225が位置している。複数のゲート電極225は、一層の層間絶縁層213によって覆われている。薄膜トランジスタアレイ200において、各薄膜トランジスタ212は、半導体層221、ソース電極223、ドレイン電極224、および、ゲート電極225を個別に有する一方で、ゲート絶縁層222および層間絶縁層213が、複数の薄膜トランジスタ212に共通している。
薄膜トランジスタアレイ200を作製する際には、まず、可撓性基板211の表面211Sに、DCスパッタリング法を用いて、30nmの厚さを有したIGZO薄膜を形成した。この際に、InGaZnOの組成を有するターゲットと、アルゴン(Ar)ガスと酸素(O)との混合ガスであるスパッタガスとを用いた。続いて、フォトリソグラフィ法を用いてIGZO薄膜をパターニングすることによって、半導体層221を得た。
次に、半導体層221上に、100nmの厚さを有したAl系合金薄膜を形成した。続いて、Al系合金薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、これによってソース電極223およびドレイン電極224を形成した。これにより、チャネル長Lを20μmに設定し、かつ、チャネル幅Wを20μmに設定した。
その後、可撓性基板211上にプラズマCVD法を用いて350nmの厚さを有した酸化窒化珪素(SiO)薄膜を形成した。この際に、シラン(SiH)ガス、水素(H)ガス、アンモニア(NH)ガス、亜酸化窒素(NO)ガスを原料ガスとして用いた。これにより、ゲート絶縁層222を得た。
次に、DCマグネトロンスパッタ法を用いて、100nmの厚さを有したAl‐Nd薄膜を可撓性基板211に形成した。この際に、Ndの原子分率が2%であるAl‐Ndターゲットを用い、かつ、スパッタガスとしてアルゴンガスを用いた。次いで、Al‐Nd薄膜をフォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、これによってゲート電極225を得た。
そして、可撓性基板211に感光性を有したアクリル樹脂をスピンコート法を用いて塗布することによって塗膜を形成し、次いで、マスク露光と、アルカリ現像とを塗膜に対して行うことによって塗膜をパターニングした。その後、パターニング後の塗膜を230℃で焼成し、これによって層間絶縁層213を得た。焼成後の層間絶縁層213の厚さは3μmであった。これにより、比較例11の薄膜トランジスタアレイ200を得た。
[評価方法]
[ヤング率の測定方法]
ゲート絶縁層のヤング率、および、層間絶縁層のヤング率を、ISO 14577に準拠したナノインデンター法を用いて測定した。ナノインデンター法では、微小な圧子を薄膜に押し込み、押し込みによる薄膜の変形量から薄膜のヤング率を算出する。ヤング率の測定には、微小硬さ試験機(Hysitron TI Premier、ブルカー社製)を用い、圧子にはダイヤモンド製のBerkovich圧子を用い、荷重変位検出器にはnanoDMA Transducerを用い、かつ、制御方式には荷重制御方式を用いた。ヤング率を測定する際には、表面検出荷重を1μNに設定し、かつ、測定後の後処理において表面補正を行った。測定点数は各層について24点に設定し、かつ、各点において得られたヤング率の算術平均値を各層のヤング率に設定した。なお、ゲート絶縁層のヤング率、および、層間絶縁層のヤング率を、薄膜トランジスタアレイの作製途中であって、各層を形成する工程が完了した時点において測定した。すなわち、各層が、成膜の後に、パターニング、および、焼成を経て形成される場合には、パターニングおよび焼成を経た後の各層についてヤング率を測定した。
[屈曲試験]
可撓性基板の屈曲に対する薄膜トランジスタアレイの電気的な耐性を評価するために、クラムシェル型曲げ試験機(DMLHP‐CS、ユアサシステム機器(株)製)を用いて、0.8mmの曲率半径で50万回の屈曲試験を行った。なお、屈曲試験では、各実施例および各比較例の薄膜トランジスタアレイが凹形状になる方向で屈曲試験を行ったために、屈曲試験時には薄膜トランジスタアレイに対して圧縮の曲げ応力が負荷された。そして、屈曲試験の前後において、以下に説明する評価方法によって電気的特性を評価し、屈曲試験前の電気的特性と、屈曲試験後の電気的特性とを比較した。
[電気的特性の評価方法]
各実施例および各比較例の薄膜トランジスタアレイについて、半導体パラメータアナライザ(B1500A、アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いることによって、伝達特性を測定した。そして、伝達特性から、移動度およびオンオフ比を算出した。また、屈曲試験前後における移動度の減少率、屈曲試験前後におけるオンオフ比の減少率、および、屈曲試験前後における閾値電圧の変化量ΔVthを算出した。
なお、移動度の減少率を算出する際には、屈曲試験前の移動度に対する、屈曲試験前の移動度から屈曲試験後の移動度を減算した差分値の百分率を算出した。また、オンオフ比の減少率を算出する際には、屈曲試験前のオンオフ比に対する、屈曲試験前のオンオフ比から屈曲試験後のオンオフ比を減算した差分値の百分率を算出した。また、閾値電圧の変化量ΔVthを算出する際には、屈曲試験前の閾値電圧から屈曲試験後の閾値電圧を減算した。
閾値電圧の測定、移動度の算出、および、オンオフ比の算出では、まず、ソース電極の電圧を0Vに設定し、かつ、ソース電極とドレイン電極との間の電圧であるソース‐ドレイン電圧Vdsを10Vに設定し、ゲート電圧Vgsとドレイン電流Idとの関係である伝達特性を得た。ゲート電圧Vgsは、ソース電極とゲート電極との間の電圧である。ドレイン電流Idは、ドレイン電極に流れる電流である。この際、ゲート電極の電圧を-20Vから+20Vまで変化させることによって、ゲート電圧Vgsを変化させた。そして、ドレイン電流Idが1mAであるときのゲート電圧Vgsを閾値電圧として測定した。また、上述したゲート電圧の範囲において、オフ領域での平均ドレイン電流Idに対するオン領域の中で最も高いドレイン電流Idの比をオンオフ比と定義した。
なお、電気的特性の評価は、8×8の画素配列のうち、中央に位置する4つの薄膜トランジスタについて行い、かつ、電気的特性の評価値の算術平均値を各実施例および各比較例の薄膜トランジスタアレイにおける電気的特性の評価値に設定した。
[評価結果]
各実施例および各比較例の薄膜トランジスタアレイについて、屈曲試験の前後において電気的特性を評価した結果は、図14が示す通りであった。なお、図14では、屈曲試験前後のいずれかにおいてオンオフ比を測定できない場合、および、オンオフ比の減少率が負の値になる場合に、オンオフ比の減少率が記載されていない。
図14が示すように、実施例1から実施例15の薄膜トランジスタアレイ10では、屈曲試験後において、移動度の減少率が25%以下であることが認められた。また、実施例1から実施例15の薄膜トランジスタアレイ10では、屈曲試験の前後におけるオンオフ比における減少率が95.0%以下であり、かつ、屈曲試験後でもオンオフ比が5桁以上に維持されることが認められた。また、実施例1から実施例15の薄膜トランジスタアレイ10では、屈曲試験の前後における閾値電圧の変化量ΔVthの絶対値が1.0V以下であることが認められた。
このように、実施例1から実施例15の薄膜トランジスタアレイ10によれば、素子構造に関わらず、薄膜トランジスタの電気的特性である移動度、オンオフ比、および、閾値電圧の全てが変動しにくいことが認められた。すなわち、上述した条件1から条件4を満たす薄膜トランジスタアレイ10によれば、可撓性を有する構成において、可撓性基板11の曲げに対する薄膜トランジスタの電気的な耐久性が向上されるといえる。
一方、比較例10,11の薄膜トランジスタアレイ100,200では、屈曲試験後の薄膜トランジスタアレイを走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、ゲート絶縁層122,222に亀裂が生じていることが認められた。これにより、比較例10,11の薄膜トランジスタアレイ100,200では、屈曲試験後において、薄膜トランジスタ112,212における電気的な特性が得られないといえる。
比較例1,2,8の薄膜トランジスタアレイによれば、閾値電圧の変化量ΔVthの絶対値が7.5V以上であることが認められた。また、比較例1,2,8の薄膜トランジスタアレイによれば、オンオフ比の減少率が99.0%以上であることが認められた。
比較例1,2,8の薄膜トランジスタアレイでは、ゲート絶縁層22間の距離Dが5μm未満である。そのため、柔軟性を有した層間絶縁層13が屈曲時のひずみを十分に吸収できず、これにより、ゲート絶縁層22と半導体層21との界面において大きなひずみが生じる。結果として、薄膜トランジスタにおいて欠陥準位などが励起され、薄膜トランジスタにおける電気的特性が劣化すると考えられる。
比較例6,9の薄膜トランジスタアレイでは、屈曲試験前であっても、薄膜トランジスタの電気的な特性が得られないことが認められた。比較例6,9の薄膜トランジスタアレイでは、ゲート絶縁層22の厚さが30nm未満であるから、ゲート絶縁層22が薄膜トランジスタの電気的特性を測定する際の負荷電圧に耐えることができず、これによって薄膜トランジスタにおいて絶縁破壊が生じたといえる。
比較例3,4の薄膜トランジスタアレイでは、オンオフ比の減少率が100.0%であり、かつ、屈曲試験後におけるオンオフ比の桁数が1であることが認められた。比較例3,4の薄膜トランジスタアレイでは、ゲート絶縁層22の厚さが450nmを超える。そのため、屈曲試験によって薄膜トランジスタアレイに生じるひずみが大きくなり、これによって欠陥準位などが励起され、結果として、屈曲試験後において薄膜トランジスタの電気的特性が維持されないといえる。
比較例5の薄膜トランジスタアレイでは、屈曲試験後において薄膜トランジスタの電気的な特性が測定できないことが認められた。比較例5の薄膜トランジスタでは、層間絶縁層13が固くかつ脆い無機化合物によって構成されるから、屈曲試験後において、層間絶縁層13に生じたひずみに起因すると考えられる割れが層間絶縁層13に生じた。そのため、比較例5の薄膜トランジスタアレイでは、屈曲試験後において薄膜トランジスタの電気的特性が測定できないといえる。
比較例7の薄膜トランジスタアレイでは、屈曲試験前においてオンオフ比の桁数が5桁に満たないことが認められた。比較例7の薄膜トランジスタアレイでは、ボトムゲート型の薄膜トランジスタが有機高分子化合物から構成されたゲート絶縁層22を有するから、半導体層21の形成時にゲート絶縁層22が損傷し、これによってゲート絶縁層22と半導体層21との界面が劣化する。これによって、比較例7の薄膜トランジスタアレイでは、屈曲試験前において低いオンオフ比しか得られないといえる。
また、実施例1から実施例11の薄膜トランジスタアレイ10におけるオンオフ比の減少率が、実施例12から実施例15の薄膜トランジスタアレイ10におけるオンオフ比の減少率よりも小さいことが認められた。そのため、オンオフ比の変動を抑える観点では、薄膜トランジスタアレイは、以下の式を満たすことが好ましいと言える。
S2≦S1≦3S2
すなわち、上記式を満たすことによって、可撓性基板11の曲げに対する薄膜トランジスタの電気的な耐久性がより高められるといえる。
以上説明したように、薄膜トランジスタアレイの一実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)第1の薄膜トランジスタが有するゲート絶縁層22が第2の薄膜トランジスタが有するゲート絶縁層22から離間するから、薄膜トランジスタアレイ10が屈曲されたときに、ゲート絶縁層22よりも柔軟性が高い層間絶縁層13にひずみが集中する。これにより、ゲート絶縁層22によって覆われたチャネル部分ではひずみが低減されるため、薄膜トランジスタアレイ10において、可撓性基板11の曲げに対する薄膜トランジスタの電気的な耐久性が向上する。
(2)第1面積S1が第2面積S2以上であるから、薄膜トランジスタが動作する確実性を高めることが可能である。また、第1面積S1が第2面積S2の3倍以下であるから、薄膜トランジスタアレイが、十分な可撓性を有することが可能である。
(3)半導体層21が酸化物半導体または非単結晶シリコンから構成されるから、薄膜トランジスタアレイ10の電気的特性を高めることができる。
10…薄膜トランジスタアレイ
11…可撓性基板
12A,12B,12C,12D,12E…薄膜トランジスタ
13…層間絶縁層
21…半導体層
22…ゲート絶縁層
23…ソース電極
24…ドレイン電極
25…ゲート電極

Claims (5)

  1. 絶縁性を有した表面を備える可撓性基板と、
    前記可撓性基板上に配置された複数の薄膜トランジスタと、を備える薄膜トランジスタアレイであって、
    前記薄膜トランジスタは、半導体層と、ゲート電極と、前記薄膜トランジスタの厚さ方向において、前記半導体層と前記ゲート電極とに挟まれる部分を含むゲート絶縁層と、を備え、
    前記ゲート絶縁層は、体積分率で50%以上の無機化合物を含み、
    前記ゲート絶縁層の厚さは、30nm以上450nm以下であり、
    前記可撓性基板の前記表面と対向する視点から見て、各薄膜トランジスタの前記ゲート絶縁層と、その薄膜トランジスタに隣り合う薄膜トランジスタの前記ゲート絶縁層との間の距離が、5μm以上200μm以下であり、
    有機高分子化合物から構成され、前記複数の薄膜トランジスタを覆う層間絶縁層を備える
    薄膜トランジスタアレイ。
  2. 前記可撓性基板の前記表面と対向する視点から見て、
    前記ゲート絶縁層の面積が第1面積S1であり、
    前記薄膜トランジスタにおけるチャネル領域の面積が第2面積S2であり、
    前記第1面積S1と前記第2面積S2とが以下の式を満たす
    S2≦S1≦3S2
    請求項1に記載の薄膜トランジスタアレイ。
  3. 前記半導体層が、酸化物半導体または非単結晶シリコンから構成される
    請求項1または2に記載の薄膜トランジスタアレイ。
  4. 前記薄膜トランジスタは、ボトムゲート型の薄膜トランジスタであり、
    前記薄膜トランジスタは、ソース電極およびドレイン電極をさらに備え、
    前記ゲート電極は、前記可撓性基板の前記表面に位置し、
    前記ゲート絶縁層は、前記ゲート電極を覆い、
    前記半導体層は、前記ゲート絶縁層上に位置し、
    前記ソース電極は、前記半導体層の第1部分に接し、
    前記ドレイン電極は、前記半導体層の第2部分に接する
    請求項1または2に記載の薄膜トランジスタアレイ。
  5. 前記薄膜トランジスタは、トップゲート型の薄膜トランジスタであり、
    前記薄膜トランジスタは、ソース電極およびドレイン電極をさらに備え、
    前記半導体層は、前記可撓性基板の前記表面に位置し、
    前記ソース電極は、前記半導体層の第1部分に接し、
    前記ドレイン電極は、前記半導体層の第2部分に接し、
    前記ゲート絶縁層は、前記半導体層を覆い、
    前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁層上に位置する
    請求項1または2に記載の薄膜トランジスタアレイ。
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