JP2024012995A - 薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents

薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】可撓性基板の曲げに対する薄膜トランジスタの電気的な耐久性の向上を可能とした薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタの製造方法を提供する。【解決手段】ゲート絶縁層は、有機化合物から構成される第1ゲート絶縁層13と、第1ゲート絶縁層13と半導体層15とに挟まれる第1ゲート絶縁層13よりも薄い第2ゲート絶縁層14であって、無機化合物を含む第2ゲート絶縁層14と、を備える。チャンネル方向における突部13Tの長さがゲート電極層12の長さよりも短く、かつチャンネル方向において突部13Tがゲート電極層12の全体を覆うように、突部13Tがゲート電極層12の積層方向に配置されている。第2ゲート絶縁層14は、突部13Tにおける頂面13S1の全体に接し、かつ第2ゲート絶縁層14と対向する視点から見て、第2ゲート絶縁層14の外縁が頂面13S1の外縁に追従する形状を有する。【選択図】図2

Description

本開示は、金属酸化物半導体層を備える薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタの製造方法に関する。
可撓性基板に形成された薄膜トランジスタは、表示デバイス、携帯デバイス、イメージセンサなどの各種のデバイスに搭載される。
可撓性を有した薄膜トランジスタの第1例は、ゲート電極層の全体を覆うゲート絶縁層を備える。ゲート絶縁層の一例は、ソース電極層、ドレイン電極層、および半導体層に接する上面を備える。ゲート電極層は、酸化チタン粒子や酸化スズ粒子などの無機粒子と、ポリシロキサンやポリアミドなどのポリマーとを含有する。無機粒子とポリマーとを含有するゲート絶縁層は、高い膜厚均一性によって低いゲートトンネル電流を得る(例えば、特許文献1を参照)。
可撓性を有した薄膜トランジスタの第2例は、ゲート電極層の全体を覆う有機ゲート絶縁層と、有機ゲート絶縁層と無機半導体層との間に位置する無機ゲート絶縁層とを備える。有機ゲート絶縁層の一例は、ソース電極層、ドレイン電極層、および無機ゲート絶縁層に接する上面を備える。無機ゲート電極層は、半導体層に覆われる。有機ゲート絶縁層の厚さは、2nm以上50nm以下である。無機ゲート絶縁層の面積は、有機ゲート絶縁層の面積の10%以下である。これによって、第2例の薄膜トランジスタは、可撓性基板の曲げに対する割れの発生を抑制する(例えば、特許文献2を参照)。
特開2021-55049号公報 特開2021-77751号公報
有機ゲート絶縁層と無機ゲート絶縁層とを備えるゲート絶縁層は、高い耐圧性と高い屈曲耐性との両立をゲート絶縁層において実現する。一方、有機ゲート絶縁層と無機ゲート絶縁層とを備える薄膜トランジスタのリーク電流を抑える要請は、高まる一途である。高い屈曲耐性を有しながらもリーク電流を低めることは、薄膜トランジスタの新たな適応範囲を創出し、結果としてフレキシブルデバイスの産業発展を促す。
上記課題を解決するための薄膜トランジスタは、可撓性基板と、前記可撓性基板に位置する素子構造体と、を備える薄膜トランジスタである。前記素子構造体は、ゲート電極層と、ゲート絶縁層と、前記ゲート電極層と半導体層とによって前記ゲート絶縁層を挟む前記半導体層と、前記半導体層の第1端部に接するソース電極層と、前記半導体層の第2端部に接するドレイン電極層と、を備える。前記ゲート絶縁層は、有機化合物から構成される第1ゲート絶縁層と、前記第1ゲート絶縁層と前記半導体層とに挟まれる前記第1ゲート絶縁層よりも薄い第2ゲート絶縁層であって、無機化合物を含む前記第2ゲート絶縁層と、を備える。前記ソース電極層から前記ドレイン電極層に向かう方向がチャンネル方向である。前記第1ゲート絶縁層から前記第2ゲート絶縁層に向かう方向が積層方向である。そして、前記第1ゲート絶縁層は、前記積層方向に突き出る突部を備え、前記チャンネル方向における前記突部の長さが前記ゲート電極層の長さよりも短く、かつ前記チャンネル方向において前記突部が前記ゲート電極層の全体を覆うように、前記突部が前記ゲート電極層の前記積層方向に配置されている。前記第2ゲート絶縁層は、前記突部における頂面の全体に接し、かつ前記第2ゲート絶縁層と対向する視点から見て、前記第2ゲート絶縁層の外縁が前記頂面の外縁に追従する形状を有する。前記半導体層は、前記チャンネル方向における前記第2ゲート絶縁層の両端面、および前記突部の両側面を覆う。
上記課題を解決するための薄膜トランジスタの製造方法は、可撓性基板にゲート電極層を形成すること、前記ゲート電極層を覆うようにゲート絶縁層を形成すること、前記ゲート電極層と半導体層とによって前記ゲート絶縁層を挟むように前記半導体層を形成すること、および、前記半導体層の第1端部に接するソース電極層、および前記半導体層の第2端部に接するドレイン電極層を形成すること、を含む薄膜トランジスタの製造方法である。前記ゲート絶縁層を形成することは、前記ゲート電極層とを覆う有機化合物によって構成された第1ゲート絶縁層を塗布法で形成すること、および、前記第1ゲート絶縁層と前記半導体層とに挟まれて無機化合物によって構成された第2ゲート絶縁層をプラズマCVD法で形成すること、を含む。前記ソース電極層から前記ドレイン電極層に向かう方向がチャンネル方向である。前記第1ゲート絶縁層から前記第2ゲート絶縁層に向かう方向が積層方向である。そして、前記第1ゲート絶縁層を形成することは、前記第1ゲート絶縁層に積層された前記第2ゲート絶縁層をマスクとして前記第1ゲート絶縁層をエッチングして前記積層方向に突き出る突部を前記第1ゲート絶縁層に形成することを含む。前記第2ゲート絶縁層を形成することは、前記チャンネル方向における前記第2ゲート絶縁層の長さが前記ゲート電極層の長さよりも短く、かつ前記チャンネル方向において前記第2ゲート絶縁層が前記突部と共に前記ゲート電極層の全体を覆うように、前記ゲート電極層の前記積層方向に前記第2ゲート絶縁層を配置することを含む。前記半導体層を形成することは、前記チャンネル方向における前記第2ゲート絶縁層の両端面、および前記突部の両側面を覆うように前記半導体層を配置することを含む。
上記各構成によれば、第2ゲート絶縁層の両端面、および突部の両側面が半導体層に覆われるため、第2ゲート絶縁層の端面とソース電極層との接触、および第2ゲート絶縁層の端面とドレイン電極層との接触が抑制される。一方、第2ゲート絶縁層の端面が半導体層からはみ出すことになれば、第2ゲート絶縁層の端面はソース電極層に接し、かつ第2ゲート絶縁層の端面はドレイン電極層に接する。上記各構成によるこれらの接触の抑制は、第2ゲート絶縁層にサブスレッショルドリーク電流の関与を抑制させて、半導体層のみにサブスレッショルドリーク電流の関与を促す。これによって、第2ゲート絶縁層の端面が半導体層からはみ出すことに起因したサブスレッショルドリーク電流が抑制される。また、第2ゲート絶縁層の長さがゲート電極層の長さよりも小さい構成では、ゲート電極層が長いことに起因した第1ゲート絶縁層を通じるゲートリーク電流が発生しやすい。この点、上記構成であれば、第2ゲート絶縁層の長さがゲート電極層の長さよりも小さいことに起因したゲートリーク電流が抑制される。そのため、サブスレッショルドリーク電流の抑制と、ゲートリーク電流の抑制とが相まって、薄膜トランジスタの省電力化が可能ともなる。
上記薄膜トランジスタにおいて、前記チャンネル方向における前記第2ゲート絶縁層の長さと前記半導体層の長さとの合計が420μm以下であり、かつ前記チャンネル方向における前記第2ゲート絶縁層の長さが90μm以下でもよい。
上記薄膜トランジスタの製造方法において、前記チャンネル方向における前記第2ゲート絶縁層の長さと前記半導体層の長さとの合計が420μm以下であり、かつ前記積層方向での前記第2ゲート絶縁層と前記半導体層との重なりが前記チャンネル方向において90μm以下であるように、前記第2ゲート絶縁層と前記半導体層とを形成してもよい。
上記各構成によれば、第2ゲート絶縁層の長さと半導体層の長さとの合計が420μmであり、かつ第2ゲート絶縁層と半導体層との重なりが90μm以下である。このため、第2ゲート絶縁層の面積がチャンネル方向に大きいことに起因した屈曲による電気特性の低下が抑制されると共に、薄膜トランジスタの屈曲耐性が高まる。
上記薄膜トランジスタにおいて、前記半導体層は、インジウムを含む三元系金属酸化物半導体であり、前記半導体層の厚さは、5nm以上100nm以下であり、前記第2ゲート絶縁層の厚さは、5nm以上20nm以下であってもよい。
上記薄膜トランジスタにおいて、前記第2ゲート絶縁層は、酸化物と窒化物とのいずれか一方であり、珪素、アルミニウム、タンタル、ハフニウム、イットリウム、ジルコニウムからなる群から選択されるいずれか1種を含有してもよい。
上記薄膜トランジスタにおいて、前記金属酸化物半導体は、酸化物半導体または非単結晶シリコンであり、前記第2ゲート絶縁層は、酸化珪素であってもよい。
上記構成によれば、可撓性基板の曲げに対する薄膜トランジスタの電気的な耐久性の向上が可能となる。
図1は、薄膜トランジスタの構造を示す平面図である。 図2は、図1の2-2線断面図である。 図3は、製造過程の薄膜トランジスタを示す断面図である。 図4は、試験例の薄膜トランジスタの評価結果を示す表である。 図5は、変更例の薄膜トランジスタの断面図である。 図6は、製造過程の薄膜トランジスタを示す断面図である。
以下、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタの製造方法の一実施形態を示す。
まず、薄膜トランジスタの平面構造、および断面構造を説明する。次に、薄膜トランジスタが備える各層の寸法を説明する。そして、薄膜トランジスタの製造方法を説明する。以下では、図1、および図2のそれぞれを視座として、薄膜トランジスタが備える各層の上面、および下面を記載する。なお、図2は、層構造を説明する便宜上、薄膜トランジスタが備える各層の一部からハッチングを割愛する。
薄膜トランジスタが備えるソースとドレインとは、薄膜トランジスタを搭載した駆動回路の動作によって定まる。このため、薄膜トランジスタにおいて1つの電極層がソースからドレインに機能を替えてもよく、かつ他の電極層がドレインからソースに機能を替えてもよい。
[素子構造体]
図1が示すように、薄膜トランジスタは、ボトムゲート・トップコンタクト型トランジスタである。薄膜トランジスタは、可撓性基板11と、素子構造体とを備える。素子構造体は、ゲート電極層12(図2を参照)、第1ゲート絶縁層13、第2ゲート絶縁層14、半導体層15、ソース電極層16、およびドレイン電極層17を備える。第1ゲート絶縁層13、および第2ゲート絶縁層14は、ゲート絶縁層を構成する。
可撓性基板11とゲート電極層12とは、チャンネル深さ方向Zに並ぶ。チャンネル深さ方向Zは、図1の紙面奥側から紙面手前側に向く積層方向である。ソース電極層16とドレイン電極層17とは、チャンネル長方向Xに並ぶ。チャンネル長方向Xは、図1の左方向であるチャンネル方向である。チャンネル幅方向Yは、チャンネル長方向Xとチャンネル深さ方向Zとに直交する。チャンネル幅方向Yとチャンネル深さ方向Zとに平行であって、素子構造体のチャンネル長方向Xの中心を通る平面は、対称面である。ゲート電極層12、第2ゲート絶縁層14、および半導体層15は、それぞれ対称面に対してほぼ面対称である。第2ゲート絶縁層14と半導体層15との重なりは、対称面に対してほぼ面対称である。半導体層15とソース電極層16との重なりと、半導体層15とドレイン電極層17との重なりとは、対称面に対してほぼ面対称である。
可撓性基板11の上面は、チャンネル方向であるチャンネル長方向Xと、チャンネル幅方向Yとに広がる支持面11Sである。支持面11Sは、第1部分11S1と第2部分11S2(図2を参照)とを備える。第1部分11S1と第2部分11S2とは、チャンネル長方向Xにおいて相互に接する。第1部分11S1の面積は、第2部分11S2の面積よりも小さい。第1部分11S1は、ゲート電極層12の下面と接する。第2部分11S2は、第1ゲート絶縁層13の下面の一部分と接する。
第1ゲート絶縁層13は、ゲート電極層12の上面に接する。第1ゲート絶縁層13は、支持面11Sの全体を覆ってもよいし、支持面11Sの一部分を覆ってもよい。
図2が示すように、第1ゲート絶縁層13の上面は、突部13Tと、基準面13Bとを備える。突部13Tは、第1ゲート絶縁層13の上面において、基準面13Bからチャンネル深さ方向Zに突き出る。突部13Tは、第1ゲート絶縁層13の上面において島状に配置されている。基準面13Bは、第1ゲート絶縁層13の上面において、島状の突部13Tに対する海状を有する。
チャンネル長方向Xにおける突部13Tの長さは、チャンネル長方向Xにおけるゲート電極層12の長さよりも短い。第1ゲート絶縁層13の上面と対向する視点から見て、突部13Tがチャンネル長方向Xにおいてゲート電極層12の全体を覆うように、突部13Tはゲート電極層12のチャンネル深さ方向Zに配置されている。
第2ゲート絶縁層14は、突部13Tと共に、第1ゲート絶縁層13の上面において島状に配置されている。第2ゲート絶縁層14は、第1ゲート絶縁層13の上面において孤立した層である。第2ゲート絶縁層14の下面の全体は、突部13Tの頂面13S1に接する。第2ゲート絶縁層14は、頂面13S1の全体を覆う。
第2ゲート絶縁層14は、第2ゲート絶縁層14とゲート電極層12とが第1ゲート絶縁層13を挟むように、突部13Tを介してゲート電極層12の上面を覆う。第2ゲート絶縁層14と対向する視点から見て、第2ゲート絶縁層14の外縁は、頂面13S1の外縁に追従する形状を有する。第2ゲート絶縁層14と対向する視点から見て、第2ゲート絶縁層14の外縁は、頂面13S1の外縁に一致してもよいし、頂面13S1の外縁よりも頂面13S1の内側に配置されていると共に、頂面13S1の外縁に追従する形状を有してもよい。
半導体層15は、チャンネル長方向Xにおいて第2ゲート絶縁層14の両端面を覆う。半導体層15は、チャンネル長方向Xにおいて突部13Tの両側面13S2を覆う。半導体層15は、突部13Tと共に、第1ゲート絶縁層13の上面において島状に配置されている。半導体層15は、第1ゲート絶縁層13の上面において孤立した層である。半導体層15の下面におけるチャンネル長方向Xの中央部は、第2ゲート絶縁層14の上面に接する。半導体層15の下面におけるチャンネル長方向Xの両端部は、第1ゲート絶縁層13の上面のなかで基準面13Bに接する。半導体層15は、半導体層15とゲート電極層12とが第1ゲート絶縁層13と第2ゲート絶縁層14とを挟むように、ゲート電極層12の上面を覆う。
ソース電極層16の下面の一部分は、半導体層15の上面、およびチャンネル長方向Xにおける半導体層15の側面に接する。ソース電極層16の下面の他部分は、第1ゲート絶縁層13の基準面13Bに接する。ソース電極層16は、チャンネル長方向Xにおいて、半導体層15の基端側の端部である第1端部に接続されるように、半導体層15の第1端部を覆う。
ドレイン電極層17の下面の一部分は、半導体層15の上面、およびチャンネル長方向Xにおける半導体層15の側面に接する。ドレイン電極層17の下面の他部分は、第1ゲート絶縁層13の基準面13Bに接する。ドレイン電極層17は、チャンネル長方向Xにおいて、半導体層15の先端側の端部である第2端部に接続されるように、半導体層15の第2端部を覆う。
ソース電極層16とドレイン電極層17とは、相互に離間している。チャンネル長方向Xにおいて、ソース電極層16とドレイン電極層17との間の長さLchは、ゲート電極長Lgateよりも小さい。半導体層15のなかのソース電極層16とドレイン電極層17との間の領域は、チャンネル領域Cである。チャンネル長方向Xにおけるチャンネル領域Cの長さ、すなわち、ソース電極層16とドレイン電極層17との間の長さLchは、チャンネル長である。チャンネル幅方向Yにおけるチャンネル領域Cの長さは、チャンネル幅である。
なお、1つの薄膜トランジスタのなかでチャンネル幅方向Yの各位置でのチャンネル長が一定でない場合、全てのチャンネル長の平均値が、1つの薄膜トランジスタにおけるチャンネル長である。また、長さLchがゲート電極層12の長さよりも大きい場合、チャンネル深さ方向Zにおいて、半導体層15のなかでゲート電極層12と重なる領域が、チャンネル領域Cである。
[可撓性基板11]
可撓性基板11は、上面に絶縁性を有する。可撓性基板11は、透明基板でもよいし、不透明基板でもよい。可撓性基板11は、絶縁性を有したフィルムでもよいし、支持面11Sに絶縁性を付与された金属箔でもよいし、支持面11Sに絶縁性を付与された合金箔でもよいし、可撓性を有した薄板ガラスでもよい。可撓性基板11は、単層構造体でもよいし、多層構造体でもよい。
可撓性基板11が単層構造体である場合、可撓性基板11を構成する材料の一例は、有機高分子化合物、有機材料と無機材料との複合材料、金属、合金、および無機高分子化合物からなる群から選択される少なくとも一種である。可撓性基板11が多層構造体である場合、可撓性基板11を構成する各層の構成材料の一例は、それぞれ有機高分子化合物、複合材料、金属、合金、無機高分子化合物からなる群から選択されるいずれか一種である。
可撓性基板11が多層構造体である場合、可撓性基板11は、下地基板と、下地基板から剥離可能に構成された剥離層とを備えてもよい。剥離層は、素子構造体と共に、下地基板から剥がされる。素子構造体を備える剥離層は、別の可撓性基材に貼り付けられてもよい。可撓性基材の一例は、耐熱性が低い紙類、セロファン基材、布類、再生繊維類、皮革類、ナイロン基材、ポリウレタン基材を含む。この場合、剥離層と可撓性基材とは、別の可撓性基板11を構成する。
有機高分子化合物の一例は、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルサルフェン、トリアセチルセルロース、ポリビニルフルオライドフィルム、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリイミド、フッ素系ポリマー、環状ポリオレフィン系ポリマーからなる群から選択される少なくとも一種である。
複合材料の一例は、ガラス繊維強化アクリルポリマー、あるいはガラス繊維強化ポリカーボネートである。金属の一例は、アルミニウム、あるいは銅である。合金の一例は、鉄クロム合金、鉄ニッケル合金、あるいは鉄ニッケルクロム合金である。無機高分子化合物の一例は、酸化珪素、酸化硼素、および酸化アルミニウムを含む無アルカリガラス、あるいは、酸化珪素、酸化ナトリウム、および酸化カルシウムを含むアルカリガラスである。
可撓性基板11が有機高分子化合物製のフィルムである場合、可撓性基板11は、ガスバリア層を備える多層構造を有してもよい。ガスバリア層を構成する材料の一例は、酸化アルミニウム、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、炭化珪素、およびダイヤモンドライクカーボンである。ガスバリア層は、単層構造体でもよいし多層構造体でもよい。可撓性基板11は、フィルムの片面のみにガスバリア層を備えてもよいし、フィルムの両面にガスバリア層を備えてもよい。
[各電極層12,16,17]
各電極層12,16,17は、それぞれ単層構造体でもよいし、多層構造体でもよい。各電極層12,16,17が多層構造体である場合、各電極層12,16,17は、それぞれ電極層の下層との密着性を高める最下層、および電極層の上層との密着性を高める最上層を有することが好ましい。
各電極層12,16,17を構成する材料は、金属でもよいし、合金でもよいし、導電性を有する金属酸化物でもよいし、導電性を有する有機高分子化合物でもよい。各電極層12,16,17を構成する材料は、相互に異なってもよいし、同じであってもよい。
金属の一例は、それぞれ遷移金属、アルカリ金属、およびアルカリ土類金属の少なくとも一種である。遷移金属は、インジウム、アルミニウム、金、銀、白金、チタン、銅、ニッケル、タングステンからなる群から選択される少なくとも一種である。アルカリ金属は、リチウム、あるいはセシウムである。アルカリ土類金属は、マグネシウム、およびカルシウムの少なくとも一種である。合金は、モリブデンニオブ、鉄クロム、アルミニウムリチウム、マグネシウム銀、アルミネオジウム合金、アルミネオジムジルコニア合金からなる群から選択されるいずれか一種である。
金属酸化物の一例は、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化インジウムカドミウム、酸化カドミウム錫、酸化亜鉛錫からなる群から選択されるいずれか一種である。金属酸化物は、不純物を含有してもよい。不純物を含有する金属酸化物は、錫、亜鉛、チタン、セリウム、ハフニウム、ジルコニウム、モリブデンからなる群から選択される少なくとも一種の不純物を含有する酸化インジウムである。不純物を含有する金属酸化物は、アンチモン、またはフッ素を含有する酸化錫でもよい。不純物を含有する金属酸化物は、ガリウム、アルミニウム、硼素からなる群から選択される少なくとも一種の不純物を含有する酸化亜鉛でもよい。
導電性を有する有機高分子化合物の一例は、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)、あるいはポリアニリンである。
各電極層16,17は、半導体層15と同一の構成元素から構成され、かつ不純物の濃度を半導体層15よりも十分に高めた層であってもよい。
各電極層12,16,17に適用できる材料の範囲を広げることを要求される場合、各電極層12,16,17の電気抵抗率は、それぞれ5.0×10-5Ω・cm以上であることが好ましい。薄膜トランジスタの省電力化を要求される場合、各電極層12,16,17の電気抵抗率は、それぞれ1.0×10-2Ω・cm以下であることが好ましい。
各電極層12,16,17の低抵抗化を要求される場合、各電極層12,16,17の厚さは、50nm以上であることが好ましい。薄膜トランジスタを構成する各層の平坦性を高めることを要求される場合、各電極層12,16,17の厚さは、それぞれ300nm以下であることが好ましい。
[半導体層15]
半導体層15を構成する材料は、金属酸化物半導体または非単結晶シリコンである。金属酸化物半導体は、インジウム、ガリウム、亜鉛、および錫からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む。金属酸化物半導体は、1種類の金属元素から構成される一元系金属酸化物半導体でもよいし、2種類の金属元素から構成される二元系金属酸化物半導体でもよいし、三種類以上の金属元素から構成される多元系金属酸化物半導体でもよい。金属酸化物半導体は、非晶質半導体でもよいし、多数の微小な単結晶から構成される微結晶半導体でもよいし、多数の微結晶から構成される多結晶半導体でもよい。
半導体層15の光透過率、および電界効果移動度(以下、移動度とも言う)を高めることを要求される場合、半導体層15は、インジウムを含む金属酸化物半導体層であることが好ましい。
一元系金属酸化物半導体は、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化スズである。二元系金属酸化物半導体は、例えば、酸化インジウム亜鉛、酸化インジウムガリウムである。三元系金属酸化物半導体は、インジウムを含む三元系金属酸化物半導体である。三元系金属酸化物半導体は、例えば、酸化インジウムガリウム亜鉛、酸化インジウムアルミニウム亜鉛、酸化インジウム錫亜鉛、酸化インジウムハフニウム亜鉛である。金属酸化物半導体は、金属酸化物を構成する金属元素の他に、他の金属元素として、例えば、チタン、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、タングステン、マグネシウムから構成される群から選択される少なくとも1種の元素を含めてもよい。
金属酸化物半導体の一例は、In-M-Zn系酸化物である。In-M-Zn系酸化物は、インジウム(In)および亜鉛(Zn)を含む。In-M-Zn系酸化物は、アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、ハフニウム、および錫からなる群から選択される少なくとも一種の金属元素(M)を含む。
半導体層15の厚さの均一性を高めることを要求される場合、半導体層15の厚さは、5nm以上であることが好ましい。半導体層15における材料使用量の低減を要求される場合、半導体層15の厚さは、100nm以下であることが好ましい。厚さの均一性の向上、および材料使用量の低減の両立を要求される場合、半導体層15の厚さは、5nm以上100nm以下であることが好ましい。さらに、これらの効果を得る実効性を高めることを要求される場合、半導体層15の厚さは、15nm以上40nm以下であることが好ましい。
半導体層15と電極層16,17との接触抵抗の低減を要求される場合、半導体層15は、電極層16,17と接する部位に、金属や酸化物導電体からなる接触層を備えてもよい。接触層は、半導体層15の上面のなかで電極層16,17と接する部位に表面処理や成膜処理を施すことによって形成される。
[各絶縁層13,14]
第1ゲート絶縁層13を構成する材料は、可撓性を有する有機高分子化合物である。有機高分子化合物の一例は、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリビニルアルコール、アクリルポリマー、エポキシポリマー、非晶質フッ素ポリマーを含むフッ素系ポリマー、メラミンポリマー、フランポリマー、キシレンポリマー、ポリアミドイミドポリマー、シリコーンポリマー、パリレンからなる群から選択される少なくとも一種である。第1ゲート絶縁層13の耐熱性を高めることを要求される場合、有機高分子化合物は、好ましくは、ポリイミド、アクリルポリマー、フッ素系ポリマーからなる群から選択される少なくとも一種である。
第1ゲート絶縁層13は、単層膜でもよいし、多層膜でもよい。第1ゲート絶縁層13が多層膜である場合、第1ゲート絶縁層13を構成する各層の構成材料は、それぞれ有機高分子化合物である。
ゲート電極層12と他の電極層16,17との間のゲートリーク電流の抑制を要求される場合、第1ゲート絶縁層13の厚さは、0.2μm以上であることが好ましい。薄膜トランジスタを駆動するためのゲート電圧の抑制を要求される場合、第1ゲート絶縁層13の厚さは、1.2μm以下であることが好ましい。電流漏れの抑制、およびゲート電圧の抑制を要求される場合、第1ゲート絶縁層13の厚さは、0.4μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
ゲート絶縁層の耐圧性向上を要求される場合、ゲート絶縁層の抵抗率は、1×1011Ω・cm以上であることが好ましい。さらに、第1ゲート絶縁層13の薄膜化を要求される場合、ゲート絶縁層の抵抗率は、1×1014Ω・cm以上であることが好ましい。また、ゲート電極層12と他の電極層16,17との間のゲートリーク電流の抑制を要求される場合、第1ゲート絶縁層13の比誘電率は、2.0以上5.0以下であることが好ましい。
第2ゲート絶縁層14を構成する材料は、長距離秩序を有しない無機化合物を含む。無機化合物は、酸化物でもよいし、窒化物でもよいし、酸化窒化物でもよい。無機化合物は、珪素、アルミニウム、タンタル、ハフニウム、イットリウム、ジルコニウムからなる群から選択されるいずれか1種を含有する。無機化合物の一例は、酸化珪素、窒化珪素、および酸化窒化珪素である珪素化合物、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種である。第2ゲート絶縁層14を構成する材料は、長距離秩序を有しない無機化合物と有機化合物とを含む混合物でもよい。
ゲート電極層12の厚さに起因したクラック発生の抑制を要求される場合、第2ゲート絶縁層14の厚さは、50nm以下であることが好ましい。ゲート電極層12と他の電極層16,17との間のゲートリーク電流の抑制を要求される場合、また第2ゲート絶縁層14を島状に点在させることなく連続膜とすることを要求される場合、第2ゲート絶縁層14の厚さは、2nm以上であることが好ましい。ゲート電極層12の可撓性向上、およびゲートリーク電流の抑制を要求される場合、第1ゲート絶縁層13の厚さは、2nm以上50nm以下であることが好ましい。また、ゲート電極層12と他の電極層16,17との間のゲートリーク電流の抑制を要求される場合、第2ゲート絶縁層14の比誘電率は、3.5以上10以下であることが好ましい。
ここで、第2ゲート絶縁層14は、半導体層15と直接接する。第2ゲート絶縁層14の表面は、チャンネル領域Cを区切る。第2ゲート絶縁層14の表面は、半導体層15との境界を構成する。薄膜トランジスタを動作させる際の捕捉順位であるキャリアトラップの抑制を要求される場合、第2ゲート絶縁層14においてキャリアトラップの要因となる未結合手であるダングリングボンドは、少ないことが好ましい。
素子構造体は、半導体層15のバックチャンネル部を保護する保護層18をさらに備えてもよい。半導体層15のバックチャンネル部は、半導体層15のなかで第2ゲート絶縁層14に接する面とは反対側の面である。保護層18は、半導体層15のバックチャンネル部を覆うように位置する。
保護層18の層構造は、単層構造でもよいし、多層構造でもよい。保護層18は、バックチャンネル部のみを覆ってもよいし、ゲート電極層12、第1ゲート絶縁層13、第2ゲート絶縁層14、および半導体層15を覆ってもよい。半導体層15のバックチャンネル部は、薄膜トランジスタの製造時に用いられた化学物質に暴露されたり、大気中のガスを吸着したりすることによって、半導体層15の電子状態を変えてしまう。保護層18は、半導体層15のバックチャネル部を製造時の化学物質や大気から保護し、これによって薄膜トランジスタの電気特性を安定させる。
保護層18を構成する材料の一例は、無機絶縁化合物、および有機絶縁化合物の少なくとも1つである。無機絶縁化合物の一例は、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、窒化珪素、酸化窒化珪素からなる群から選択される少なくとも1つのである。有機絶縁化合物の一例は、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、エポキシ樹脂、ポリイミド、パリレンからなる群から選択される少なくとも1つである。
保護層18に保護層18を貫通するリーク電流の抑制を要求される場合、保護層18の電気抵抗値は、1011Ωcm以上であることが好ましく、1014Ωcm以上であることがより好ましい。保護層18を構成する材料が、有機絶縁化合物を含有する場合、有機絶縁化合物からなる層の厚さは、0.3μm以上3μm以下であることが好ましい。保護層18を構成する材料が、無機絶縁化合物を含有する場合、無機絶縁化合物からなる層の厚さは、5nm以上100nm以下であることが好ましい。
[素子構造体の寸法]
突部13Tの頂面13S1と、基準面13Bとの間のチャンネル深さ方向Zの長さは、突部13Tの高さである。突部13Tの高さは、ゲート電極層12の厚さ以上でもよいし、ゲート電極層12の厚さよりも小さくてもよい。突部13Tの高さは、第2ゲート絶縁層14の厚さ以上でもよいし、第2ゲート絶縁層14の厚さよりも小さくてもよい。ゲート電極層12の上面と、突部13Tの頂面13S1との間のチャンネル深さ方向Zの長さは、第1電極間厚さである。第1ゲート絶縁層13の基準面13Bと、可撓性基板11の上面との間のチャンネル深さ方向Zの長さは、第1電極周辺厚さである。第1電極間厚さは、第1電極周辺厚さ以上でもよいし、第1電極周辺厚さより小さくてもよい。
ゲート電極層12と他の電極層16,17との間のゲートリーク電流の抑制を要求される場合、ゲート電極層12と他の電極層16,17との間隔が広いことが好ましい。例えば、第1電極周辺厚さが過小となることを抑制する観点から、突部13Tの高さは、第2ゲート絶縁層14の厚さ以上、かつゲート電極層12の厚さ以下でもよい。例えば、第1電極周辺厚さが過小となることを抑制する観点から、第1電極周辺厚さは、第1電極間厚さ以上でもよい。
チャンネル長方向Xにおいて、チャンネル領域Cの下方に位置するゲート電極層12の長さは、ゲート電極長Lgateである。チャンネル長方向Xにおいて、チャンネル領域Cの下方に位置する第2ゲート絶縁層14の長さは、第2絶縁層長Loxである。
チャンネル長方向Xにおいて、チャンネル領域Cを含む半導体層15の長さは、半導体層長Lscである。チャンネル長方向Xにおいて、第2ゲート絶縁層14の端面と、半導体層15の端面との間の距離は、距離ΔLである。距離ΔLは、第2ゲート絶縁層14が半導体層15に覆われる構造を正とし、第2ゲート絶縁層14が半導体層15からはみ出す構造を負とする。
なお、各層12,14,15のなかでチャンネル幅方向Yの各位置でのチャンネル長方向Xの長さが一定でない場合、全てのチャンネル長方向Xの長さの平均値が、それぞれの層12,14,15におけるチャンネル長方向Xの長さである。また、チャンネル長方向Xにおける基端側の距離ΔLと、チャンネル長方向Xにおける先端側の距離ΔLとが相互に異なる場合、2つの距離ΔLのなかの短い方が、薄膜トランジスタにおける距離ΔLである。
第2絶縁層長Lox、半導体層長Lsc、およびゲート電極長Lgateは、[条件1]と[条件2]を満たす。第2絶縁層長Lox、および半導体層長Lscは、[条件3]と[条件4]とを満たしてもよい。
[条件1]Lox<Lsc
[条件2]Lgate<Lox
[条件3]Lox≦90μm
[条件4]Lox+Lsc≦420μm
上述したように、無機絶縁材料から構成される第2ゲート絶縁層14は、有機絶縁材料から構成される第1ゲート絶縁層13と比べて高い剛性を有する。高い剛性を有した第2ゲート絶縁層14は、第1ゲート絶縁層13と比べて、可撓性基板11の屈曲によって大きな歪みを生じてクラックを生じやすい。
[条件1]を満たし、かつ第2ゲート絶縁層14のチャンネル長方向Xにおける両端面が半導体層15に覆われる構造は、可撓性基板11の屈曲による内部応力が第2ゲート絶縁層14に集中することを抑制して、半導体層15に内部応力を分散しやすくする。そして、第2ゲート絶縁層14の引張および圧縮による歪みを軽減する。
特に[条件3][条件4]を満たす構成は、半導体層15が第2ゲート絶縁層14を覆いながらも、第2ゲート絶縁層14における長さの上限が具体的に定められるため、曲率半径が0.8mmほどの屈曲であっても、屈曲前後における電気特性の劣化が抑制される。
ここで、第2ゲート絶縁層14の両端面が半導体層15に覆われ、かつ突部13Tの両側面が半導体層15に覆われる。このため、第2ゲート絶縁層14の端面とソース電極層16との接触、および第2ゲート絶縁層14の端面とドレイン電極層17との接触が抑制される。一方、第2ゲート絶縁層14の端面が半導体層15からはみ出すことになれば、第2ゲート絶縁層14の端面はソース電極層16に接し、かつ第2ゲート絶縁層14の端面はドレイン電極層17に接する。[条件1]によるこれらの接触の抑制は、第2ゲート絶縁層14にサブスレッショルドリーク電流の関与を抑制させて、半導体層15のみにサブスレッショルドリーク電流の関与を促す。これによって、第2ゲート絶縁層14の端面が半導体層15からはみ出すことに起因したサブスレッショルドリーク電流が抑制される。
この際、[条件2]を満たす構成、すなわち第2絶縁層長Loxがゲート電極長Lgateよりも小さい構成では、ゲート電極長Lgateが長いことに起因したゲートリーク電流が発生しやすい。具体的には、基準面13Bと可撓性基板11との間の第1ゲート絶縁層13は、頂面13S1と可撓性基板11との間の第1ゲート絶縁層13よりも突部13Tの高さ分だけ薄い。こうした薄い第1ゲート絶縁層13にまでゲート電極層12が広がるようにゲート電極長Lgateが第2絶縁層長Loxよりも大きくなると、第1ゲート絶縁層13が薄い分だけ、ゲートリーク電流が発生しやすい。この点、[条件2]を満たす構成であれば、ゲート電極長Lgateが第2絶縁層長Loxよりも小さいことに起因したゲートリーク電流が抑制される。そのため、サブスレッショルドリーク電流の抑制と、ゲートリーク電流の抑制とが相まって、薄膜トランジスタの省電力化が可能ともなる。
[薄膜トランジスタの製造方法]
ボトムゲート・トップコンタクト型トランジスタの製造方法は、可撓性基板11にゲート電極層12を形成する第1工程を含む。ボトムゲート・トップコンタクト型トランジスタの製造方法は、ゲート電極層12に第1ゲート絶縁層13を積層する第2工程、および第1ゲート絶縁層13に第2ゲート絶縁層14を積層する第3工程を含む。また、ボトムゲート・トップコンタクト型トランジスタの製造方法は、第2ゲート絶縁層14に半導体層15を積層する第4工程、および半導体層15にソース電極層16とドレイン電極層17とを積層する第5工程を含む。
第1工程において、ゲート電極層12は、ゲート電極層12の形状に追従したマスクを用いる成膜方法によって形成されてもよい。あるいは、ゲート電極層12は、ゲート電極層12となる電極膜を成膜した後に、エッチング法を用いて電極膜をゲート電極層12の形状に加工する方法によって形成されてもよい。
ゲート電極層12の形成に用いる成膜方法は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、レーザーアブレーション法、スピンコート法、ディップコート法、スリットダイコート法からなる群から選択される少なくとも一種である。あるいは、ゲート電極層12の形成に用いる成膜方法は、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、平版印刷法、インクジェット法からなる群から選択される少なくとも一種である。
第2工程において、第1ゲート絶縁層13は、第1ゲート絶縁層13の形状に追従したマスクを用いる塗布法によって形成されてもよい。あるいは、第1ゲート絶縁層13は、第1ゲート絶縁層13となる塗布膜を形成した後に、塗布膜をフォトリソグラフィー法で第1ゲート絶縁層13の形状に加工する方法によって形成されてもよい。
第1ゲート絶縁層13の形成に用いる塗布法は、有機高分子化合物を含む塗布液を用いるスピンコート法、ディップコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法からなる群から選択される少なくとも一種である。塗布法は、塗布液からなる液状膜を乾燥・焼成することによって塗布膜を形成する。第1ゲート絶縁層13の形成にフォトリソグラフィー法を用いる場合、塗布液は、感光性を有したポリマーを含む。
図3が示すように、第3工程において、第2ゲート絶縁層14となる絶縁層が第1ゲート絶縁層13の上面13Sに形成される。第2ゲート絶縁層14の形状に追従したマスクMは、第2ゲート絶縁層14となる絶縁層の上面14Sに形成される。第2ゲート絶縁層14は、第2ゲート絶縁層14となる絶縁層にマスクMを用いたエッチングを施すことによって形成される。この際、第1ゲート絶縁層13は、マスクM、および第2ゲート絶縁層14をマスクに用いたオーバーエッチングによって、突部13Tを形成する。これによって、突部13Tの外縁は、第2ゲート絶縁層14の外縁に追従する。
第2ゲート絶縁層14の形成に用いる成膜方法は、レーザーアブレーション法、プラズマCVD法、光CVD法、熱CVD法、スパッタリング法、ゾルゲル法からなる群から選択される少なくとも一種である。あるいは、第2ゲート絶縁層14の形成に用いる成膜方法は、無機化合物の前駆体を含む塗布液を用いるスピンコート法、ディップコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法からなる群から選択される少なくとも一種の塗布法である。
第4工程において、半導体層15は、半導体層15の形状に追従したマスクを用いる成膜方法によって形成されてもよい。あるいは、半導体層15は、半導体層15となる半導体膜を形成した後に、エッチング法を用いて半導体膜を半導体層15の形状に加工する方法によって形成されてもよい。
半導体層15は、スパッタリング法、ALD法である原子層堆積法、PLD法であるパルスレーザー堆積法、CVD法、あるいはゾル-ゲル法を含むウェット成膜法によって形成される。スパッタリング法は、直流電圧を印加したDCスパッタ法、あるいは高周波を印加したRFスパッタ法を含む。半導体層15は、微結晶化、あるいは多結晶化を行うための熱処理を施されてもよい。また、半導体層15のソース電極層16およびドレイン電極層17との接触する領域の導電率を調整して接触抵抗を下げるために、プラズマ処理法による酸素欠損の生成や、フッ素原子の導入などの処理を施してもよい。
半導体層15のキャリア濃度は、半導体層15を形成する際の雰囲気における酸素濃度を変えることによって変えることができる。半導体層15のキャリア濃度は、半導体層15を形成する際の雰囲気における水素濃度を変えることによって変えることもできる。半導体層15のキャリア濃度は、金属酸化物半導体における金属の組成比を変えることによって変えることもできる。半導体層15のキャリア濃度は、半導体層15に施される熱処理の温度、および雰囲気によって変えることもできる。
第5工程において、ソース電極層16、およびドレイン電極層17は、電極層の形状に追従したマスクを用いる成膜方法によって形成されてもよい。あるいは、ソース電極層16、およびドレイン電極層17は、電極層16,17となる電極膜を成膜した後に、エッチング法を用いて電極膜をソース電極層16、およびドレイン電極層17の形状に加工する方法によって形成されてもよい。
電極層16,17の形成に用いる成膜方法は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、レーザーアブレーション法、スピンコート法、ディップコート法、スリットダイコート法からなる群から選択される少なくとも一種である。あるいは、ゲート電極層12の形成に用いる成膜方法は、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、平版印刷法、インクジェット法からなる群から選択される少なくとも一種である。
なお、保護層18の形成に用いる成膜方法は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、原子層堆積法、パルスレーザー堆積法、CVD法からなる群から選択される少なくとも1種である。保護層18が有機絶縁化合物から構成される場合、保護層18の形成に用いる成膜方法は、上述した成膜方法と、スピンコート法やスリットコート法などの各種印刷法を加えた群から選択される少なくとも1種である。
[試験例]
試験例の薄膜トランジスタとして、チャンネル長である長さLchが10μmであり、チャンネル幅が100μmである、図1から3を参照して説明したボトムゲート・トップコンタクト型薄膜トランジスタを、以下の方法を用いて得た。この際、素子構造体の寸法を下記範囲のなかで変更することによって、各試験例の薄膜トランジスタを得た。なお、上記[条件1]を満たさない寸法範囲では、第2ゲート絶縁層14のチャンネル長方向Xにおける両端面が半導体層15に覆われず、第2ゲート絶縁層14の両端面が半導体層15をパターニングするためのエッチャントなどに曝される。また、第2ゲート絶縁層14の両端面が電極層16,17を形成するための環境に曝される。
[素子構造体の寸法]
・ポリイミド膜の厚さ :20μm
・ゲート電極層12の厚さ :100nm
・ゲート電極長Lgate :30μm
・第1ゲート絶縁層13の厚さ :0.7μm
・第1ゲート絶縁層13の比誘電率 :3.8
・突部13Tの高さ :50nm
・第2ゲート絶縁層14の厚さ :10nm
・第2ゲート絶縁層14の比誘電率 :5.0
・半導体層15の厚さ :30nm
・電極層16,17の厚さ :100nm
・第2絶縁層長Lox :45μm以上240μm以下
・半導体層長Lsc :60μm以上360μm以下
まず、可撓性基板11として、無アルカリガラス基板とポリイミド膜との積層体を用いた。積層体は、無アルカリガラス基板の一側面に形成されたポリイミドワニスの塗布膜を焼成することによって得られた。無アルカリガラス基板の厚さは、0.7mmであった。ポリイミド膜の厚さは、20μmであった。
ゲート電極層12として、アルミニウム合金膜を用いた。ゲート電極層12は、可撓性基板11のポリイミド膜に成膜されたアルミニウム合金膜のパターニングによって得られた。アルミニウム合金膜は、可撓性基板11のポリイミド膜を成膜の対象とし、DCマグネトロンスパッタ法によって得られた。ゲート電極層12は、アルミニウム合金膜に積層された感光性ポジレジスト膜からレジストマスクを形成し、当該レジストマスクを用いてアルミニウム合金膜をウェットエッチングした後、レジストマスクを剥離することによって得られた。ゲート電極層12の厚さは、100nmであった。ゲート電極長Lgateは、30μmであった。
第1ゲート絶縁層13として、アクリル樹脂膜を用いた。第1ゲート絶縁層13は、ゲート電極層12を覆うように成膜された感光性塗布膜のパターニングによって得られた。感光性塗布膜は、ゲート電極層12を積層された可撓性基板11を成膜の対象とし、感光性アクリル樹脂を塗布するスリットコート法によって得られた。第1ゲート絶縁層13は、第1ゲート絶縁層13を形成するためのマスクを用いた感光性塗布膜の露光、および現像を経て、現像後の塗布膜を230℃で焼成することによって得られた。第1ゲート絶縁層13の厚さは、0.7μmであった。第1ゲート絶縁層13の比誘電率は、3.8であった。なお、第1ゲート絶縁層13の比誘電率は、薄膜トランジスタとは別に設けたキャパシタ素子の容量測定よって算出した。
第2ゲート絶縁層14として、酸化珪素膜を用いた。第2ゲート絶縁層14は、第1ゲート絶縁層13を覆うように成膜された酸化珪素膜のパターニングによって得られた。酸化珪素膜は、第1ゲート絶縁層13を積層された可撓性基板11を成膜の対象とし、シランと一酸化二窒素とを原料ガスとするCVD法によって得られた。第2ゲート絶縁層14は、酸化珪素膜のドライエッチングによって得られた。酸化珪素膜のドライエッチングは、第2ゲート絶縁層14の形状に相当するレジストマスクを形成した後、四フッ化炭素ガスを用いたリアクティブイオンエッチング法によって酸化珪素膜の不要な部分を除去した。第2ゲート絶縁層14の厚さは、10nmであった。第2ゲート絶縁層14の比誘電率は、5.0であった。なお、第2ゲート絶縁層14の比誘電率は、薄膜トランジスタとは別に設けたキャパシタ素子の容量測定より算出した。
半導体層15として、酸化インジウムガリウム亜鉛(InGaZnO)膜を用いた。半導体層15は、第2ゲート絶縁層14を覆うように成膜された金属酸化物半導体膜のパターニングによって得られた。金属酸化物半導体膜は、第2ゲート絶縁層14を積層された可撓性基板11を成膜の対象とし、無加熱のスパッタリング法によって得られた。スパッタリング法は、下記条件に示すように、InGaZnO(In:Ga:Zn:O=1:1:1:4)をターゲット材に用い、アルゴン、および酸素をスパッタガスに用いた。
半導体層15は、半導体層15を形成するためのレジストマスクを用い、シュウ酸を含む水溶液をエッチング液として、金属酸化物半導体膜をウェットエッチングを行い、エッチング後の金属酸化物半導体膜を230℃で焼成することによって得られた。半導体層15の厚さは、30nmであった。
ソース電極層16、およびドレイン電極層17として、モリブデン膜を用いた。ソース電極層16、およびドレイン電極層17は、半導体層15の一部を露出するマスクを用いたモリブデン膜の成膜によって得られた。モリブデン膜の厚さは、100nmであった。
保護層18として、アクリル膜を用いた。保護層18は、可撓性基板11、ゲート電極層12、第1ゲート絶縁層13、第2ゲート絶縁層14、半導体層15、ソース電極層16、およびドレイン電極層17を形成された可撓性基板11に感光性アクリル樹脂を塗布し、230℃で焼成することによって得られた。保護層18の厚さは、500nmであった。そして、無アルカリガラス基板からポリイミド膜を剥離することによって、各試験例のボトムゲート・トップコンタクト型トランジスタを得た。
[評価]
各試験例の薄膜トランジスタについて、半導体パラメータアナライザ(B1500A:キーサイト・テクノロジー社製)を用い、伝達特性を測定した。伝達特性から、サブスレッショルドリーク電流とゲートリーク電流とを検出した。なお、サブスレッショルドリーク電流の測定は、ソース電極層16の電圧を0V、ソース-ドレイン電圧を10Vに設定し、ゲート電圧とドレイン電流との関係である伝達特性から得た。ソース-ドレイン電圧は、ソース電極層16とドレイン電極層17との間の電圧である。ゲート電圧は、ソース電極層16とゲート電極層12との間の電圧である。ドレイン電流は、ドレイン電極層17に流れる電流である。この際、ゲート電極層12の電圧を-20Vから+20Vまで変化させることによって、ゲート電圧とドレイン電流との伝達特性を測定した。また、ゲートリーク電流の測定は、ソース電極層16の電圧を0V、ソース-ドレイン電圧を0Vに設定し、ゲート電極層12の電圧を-20Vから+20Vまで変化させることによって、ソース-ゲート間に流れる電流として検出した。
各試験例の薄膜トランジスタについて、クラムシェル型曲げ試験機(ユアサシステム機器社製)を用いて、10万回の屈曲試験を行った後、薄膜トランジスタの伝達特性から、サブスレッショルドリーク電流とゲートリーク電流とを検出した。なお、屈曲試験における曲率半径は、0.8mm、1.0mm、1.3mmを用い、また1つの試験例について3つの試料を用い、それぞれの曲率半径において10万回の屈曲試験を行った。各試験例の評価結果を図4に示す。
図4は、第2絶縁層長Loxと半導体層長Lscとが相互に異なる各試験例の評価結果を第2絶縁層長Lox、および半導体層長Lscごとに示す。
なお、図4において、屈曲試験前のサブスレッショルドリーク電流が10-6A以上、あるいはゲートリーク電流が10-9A以上である試験例に「×」印を付す。屈曲試験前のサブスレッショルドリーク電流が10-6A未満、かつゲートリーク電流が10-9A未満である試験例に「△」印、「○」印、「◎」印のいずれかを付す。具体的には、曲率半径が1.3mmである試験前後の各リーク電流の変化が10%未満である一方、曲率半径が1.0mm、0.8mmでは10%以上の変化が認められた試験例に「△」印を付す。曲率半径が1.3mm、1.0mmである試験前後の各リーク電流の変化が10%未満である一方、曲率半径が0.8mmでは10%以上の変化が認められた試験例に「○」印を付す。全ての曲率半径の試験前後の各リーク電流の変化が10%未満である試験例に「◎」印を付す。
図4が示すように、半導体層長Lscが第2絶縁層長Lox以下の試験例において、試験前のサブスレッショルドリーク電流、あるいはゲートリーク電流の少なくとも一方が試験前の許容される値よりも高いことが認められた。一方、半導体層長Lscが第2絶縁層長Loxよりも大きい試験例において、試験前のサブスレッショルドリーク電流、およびゲートリーク電流が共に低いことが認められた。なお、上記各試験例からゲート電極長Lgateを60μmに変更した別の試験例では、半導体層長Lscが第2絶縁層長Loxよりも大きい例であっても、試験前の許容される値よりも高いゲートリーク電流が認められた。これにより、[条件1][条件2]を満たすことが試験前のサブスレッショルドリーク電流、およびゲートリーク電流を低めることが認められた。
また、半導体層長Lscが360μmである場合、第2絶縁層長Loxが90μm以上240μm以下であると、曲率半径が1.0mm、0.8mmの試験前後で電気特性の低下が認められた。一方、半導体層長Lscが360μmであっても、第2絶縁層長Loxが60μm以下であると、曲率半径が1.0mmの試験前後で電気特性の維持が認められた。また、半導体層長Lscが240μmである場合、第2絶縁層長Loxが120μm以下であると、曲率半径が1.0mm、0.8mmの試験前後で電気特性の低下が認められた。一方、半導体層長Lscが240μmであっても、第2絶縁層長Loxが90μm以下であると、曲率半径が1.0mmの試験前後で電気特性の維持が認められた。これにより、[条件3][条件4]を満たすことが試験前後の電気特性を維持することが認められた。
また、半導体層長Lscが120μmである場合、第2絶縁層長Loxが90μm以下であると、曲率半径が1.3mm、1.0mmの試験前後で電気特性の維持が認められた。また、半導体層長Lscが90μmである場合、第2絶縁層長Loxが60μm以下であると、曲率半径が1.3mm、1.0mm、0.8mmの試験前後で電気特性の維持が認められた。また、半導体層長Lscが60μmである場合、第2絶縁層長Loxが45μm以下であると、曲率半径が1.3mm、1.0mm、0.8mmの試験前後で電気特性の維持が認められた。これにより、[条件1]~[条件4]を満たすことが試験前後の電気特性を維持することが認められた。
[効果]
上記実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)[条件1]を満たす薄膜トランジスタは、第2ゲート絶縁層14の端面が半導体層15からはみ出すことに起因したサブスレッショルドリーク電流を抑制する。
(2)[条件2]を満たす薄膜トランジスタは、第1ゲート絶縁層13が突部13Tを備えることに起因したゲートリーク電流を抑制する。そのため、サブスレッショルドリーク電流の抑制と、ゲートリーク電流の抑制とが相まって、薄膜トランジスタの省電力化が可能ともなる。
(3)[条件1]を満たす薄膜トランジスタは、半導体層15と第1ゲート絶縁層13との密着性を高めるため、上記(1)(2)に準じた効果が薄膜トランジスタの屈曲においても保たれる。
(4)[条件1]を満たす薄膜トランジスタは、第2ゲート絶縁層14の面積がチャンネル長方向Xに大きいことに起因した屈曲による電気特性の低下を抑制すると共に、薄膜トランジスタの屈曲耐性を高める。
上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・[条件1]~[条件4]を満たす構成であれば、チャンネル長方向Xにおける基端側の距離ΔLがチャンネル長方向Xにおける先端側の距離ΔLよりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
・図5が示すように、突部13Tの側面は、頂面13S1の縁から積層方向に連続する形状に限らず、突部13Tの底部に向けて拡径された2段の段差面でもよい。すなわち、突部13Tの側面は、上述した側面13S2と、当該側面13S2の下端から突部13Tの外側に向けて突き出る底側側面13S3とを備えてもよい。半導体層15の端部は、側面13S2と底側側面13S3との間の段差部に接する。一方、半導体層15の端部は、底側側面13S3に接しない。ソース電極層16と、ドレイン電極層17とは、突部13Tの底側側面13S3に直接接する。
この際、図6が示すように、第4工程において、半導体層15となる半導体膜が、突部13Tの頂面13S1、および第1ゲート絶縁層13の基準面13Bに形成される。半導体層15の形状に追従したマスクは、半導体層15となる半導体膜の上面に形成される。半導体層15は、半導体層15となる半導体膜にマスクを用いたエッチングを施すことによって形成される。ここで、第1ゲート絶縁層13は、オーバーエッチングによって、突部13Tの高さをさらに高くする。これによって、第1ゲート絶縁層13の基準面13Bは、基準面13Bよりも可撓性基板11の側に位置する第2基準面13S4に加工される。そして、突部13Tの側面は、突部13Tの底部に向けて拡径された2段の段差面、すなわち側面13S2と、当該側面13S2の下端から突部13Tの外側に向けて突き出る底側側面13S3とに加工される。
・なお、底側側面13S3を備えた薄膜トランジスタは、図5が示すように、半導体層15とソース電極層16との間、また半導体層15とドレイン電極層17との間に、保護層18を備えてもよい。この際、保護層18となる絶縁膜が、半導体膜に形成される。保護層18の形状に追従したマスクは、半導体層15となる半導体膜の上面に形成される。保護層18は、保護層18となる絶縁膜にマスクを用いたエッチングを施すことによって形成される。
C…チャンネル領域
Lch…長さ
Lgate…ゲート電極長
Lox…第2絶縁層長
Lsc…半導体層長
ΔL…距離
11…可撓性基板
12…ゲート電極層
13…第1ゲート絶縁層
14…第2ゲート絶縁層
15…半導体層
16…ソース電極層
17…ドレイン電極層
18…保護層

Claims (7)

  1. 可撓性基板と、
    前記可撓性基板に位置する素子構造体と、を備える薄膜トランジスタであって、
    前記素子構造体は、
    ゲート電極層と、
    ゲート絶縁層と、
    前記ゲート電極層と半導体層とによって前記ゲート絶縁層を挟む前記半導体層と、
    前記半導体層の第1端部に接するソース電極層と、
    前記半導体層の第2端部に接するドレイン電極層と、を備え、
    前記ゲート絶縁層は、
    有機化合物から構成される第1ゲート絶縁層と、
    前記第1ゲート絶縁層と前記半導体層とに挟まれる前記第1ゲート絶縁層よりも薄い第2ゲート絶縁層であって、無機化合物を含む前記第2ゲート絶縁層と、を備え、
    前記ソース電極層から前記ドレイン電極層に向かう方向がチャンネル方向であり、
    前記第1ゲート絶縁層から前記第2ゲート絶縁層に向かう方向が積層方向であり、
    前記第1ゲート絶縁層は、前記積層方向に突き出る突部を備え、前記チャンネル方向における前記突部の長さが前記ゲート電極層の長さよりも短く、かつ前記チャンネル方向において前記突部が前記ゲート電極層の全体を覆うように、前記突部が前記ゲート電極層の前記積層方向に配置され、
    前記第2ゲート絶縁層は、前記突部における頂面の全体に接し、かつ前記第2ゲート絶縁層と対向する視点から見て、前記第2ゲート絶縁層の外縁が前記頂面の外縁に追従する形状を有し、
    前記半導体層は、前記チャンネル方向における前記第2ゲート絶縁層の両端面、および前記突部の両側面を覆う
    ことを特徴とする薄膜トランジスタ。
  2. 前記チャンネル方向における前記第2ゲート絶縁層の長さと前記半導体層の長さとの合計が420μm以下であり、かつ前記チャンネル方向における前記第2ゲート絶縁層の長さが90μm以下である
    請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
  3. 前記半導体層は、インジウムを含む三元系金属酸化物半導体であり、
    前記半導体層の厚さは、5nm以上100nm以下であり、
    前記第2ゲート絶縁層の厚さは、5nm以上20nm以下である
    請求項2に記載の薄膜トランジスタ。
  4. 前記第2ゲート絶縁層は、酸化物と窒化物とのいずれか一方であり、珪素、アルミニウム、タンタル、ハフニウム、イットリウム、ジルコニウムからなる群から選択されるいずれか1種を含有する
    請求項3に記載の薄膜トランジスタ。
  5. 前記半導体層は、酸化物半導体または非単結晶シリコンであり、
    前記第2ゲート絶縁層は、酸化珪素である
    請求項4に記載の薄膜トランジスタ。
  6. 可撓性基板にゲート電極層を形成すること、
    前記ゲート電極層を覆うようにゲート絶縁層を形成すること、
    前記ゲート電極層と半導体層とによって前記ゲート絶縁層を挟むように前記半導体層を形成すること、および、
    前記半導体層の第1端部に接するソース電極層、および前記半導体層の第2端部に接するドレイン電極層を形成すること、を含む薄膜トランジスタの製造方法であって、
    前記ゲート絶縁層を形成することは、
    前記ゲート電極層とを覆う有機化合物によって構成された第1ゲート絶縁層を塗布法で形成すること、および、前記第1ゲート絶縁層と前記半導体層とに挟まれて無機化合物によって構成された第2ゲート絶縁層をプラズマCVD法で形成すること、を含み、
    前記ソース電極層から前記ドレイン電極層に向かう方向がチャンネル方向であり、
    前記第1ゲート絶縁層から前記第2ゲート絶縁層に向かう方向が積層方向であり、
    前記第1ゲート絶縁層を形成することは、
    前記第1ゲート絶縁層に積層された前記第2ゲート絶縁層をマスクとして前記第1ゲート絶縁層をエッチングして前記積層方向に突き出る突部を前記第1ゲート絶縁層に形成することを含み、
    前記第2ゲート絶縁層を形成することは、
    前記チャンネル方向における前記第2ゲート絶縁層の長さが前記ゲート電極層の長さよりも短く、かつ前記チャンネル方向において前記第2ゲート絶縁層が前記突部と共に前記ゲート電極層の全体を覆うように、前記ゲート電極層の前記積層方向に前記第2ゲート絶縁層を配置することを含み、
    前記半導体層を形成することは、
    前記チャンネル方向における前記第2ゲート絶縁層の両端面、および前記突部の両側面を覆うように前記半導体層を配置することを含む
    ことを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
  7. 前記チャンネル方向における前記第2ゲート絶縁層の長さと前記半導体層の長さとの合計が420μm以下であり、かつ前記積層方向での前記第2ゲート絶縁層と前記半導体層との重なりが前記チャンネル方向において90μm以下であるように、前記第2ゲート絶縁層と前記半導体層とを形成する
    請求項6に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
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