JP2024068950A - 端子付き電線製造装置及び端子付き電線製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】適正な防食機能を有する端子付き電線を効率良く製造することができる端子付き電線製造装置及び端子付き電線製造方法を提供する。【解決手段】端子付き電線製造装置7は、圧着端子1を取り付けた電線Wにおいて電線Wの導体部W1の露出部分を含む塗布領域Rに対し液状の防食剤11を塗布する塗布装置8と、塗布装置8により塗布された防食剤11を硬化させる硬化装置9とを備え、塗布装置8は、塗布領域Rに対し防食剤11を射出し塗布領域Rに対向する対向面85を有するノズル81を有し、対向面85は、塗布領域R内において防食剤11を塗布すべき塗布位置Pに対応した複数の射出孔82が形成され、塗布領域Rとなる圧着端子1を取り付けた電線Wの表面に沿った形状を有し、塗布領域Rの全体を覆うように形成されている。【選択図】図4
Description
本発明は、端子付き電線製造装置及び端子付き電線製造方法に関する。
従来、端子付き電線製造装置及び端子付き電線製造方法として、例えば、特許文献1~3に記載されるように、端子付き電線において電線と端子の接合部分に防食剤を塗布し硬化させ、電線と端子の接合部分を外部に対し封止して腐食を防止しようとするもの知られている。
このような端子付き電線の製造装置及び製造方法において、電線における端子の取付部分に対する防食剤の塗布を適切に効率良く行うことが難しい。すなわち、電線における端子の取付部分に対し防食剤の塗布位置を多数設定して塗布を行うと、防食剤の塗布に多大な時間を要する。また、防食剤を塗布すべき領域は、圧着部分や電線の導電体などがあって表面に凹凸があり、防食剤を短時間で正確に塗布させることは容易でない。このため、適正な防食機能を有する端子付き電線を効率良く製造できる製造装置及び製造方法の開発が望まれている。
そこで、本発明は、適正な防食機能を有する端子付き電線を効率良く製造できる端子付き電線製造装置及び端子付き電線製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明に係る端子付き電線製造装置は、圧着端子を取り付けた電線において電線の導体部の露出部分を含む塗布領域に対し液状の防食剤を塗布する塗布装置と、塗布装置により塗布された防食剤を硬化させる硬化装置と、を備え、塗布装置は、塗布領域に対し防食剤を射出し塗布領域に対向する対向面を有するノズルを有し、対向面は、塗布領域内において防食剤を塗布すべき塗布位置に対応した複数の射出孔を形成し、塗布領域となる圧着端子を取り付けた電線の表面に沿った形状を有し、塗布領域の全体を覆うように形成されている。
本発明に係る端子付き電線製造装置及び端子付き電線製造方法は、適正な防食機能を有する端子付き電線を効率良く製造することができる。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
本実施形態に係る端子付き電線製造装置及び端子付き電線製造方法は、図1に示す端子付き電線100を製造する装置及び方法である。端子付き電線製造装置及び端子付き電線製造方法の説明に先立ち、図1に示す端子付き電線100の基本的な構成について説明する。その後、端子付き電線100の製造装置及び製造方法について詳細に説明する。
本実施形態に係る端子付き電線製造装置及び端子付き電線製造方法は、図1に示す端子付き電線100を製造する装置及び方法である。端子付き電線製造装置及び端子付き電線製造方法の説明に先立ち、図1に示す端子付き電線100の基本的な構成について説明する。その後、端子付き電線100の製造装置及び製造方法について詳細に説明する。
図1に示すように、端子付き電線100は、電線Wの端部に端子金具を取り付けた端子付きの電線であり、例えば、車両に使用されるワイヤハーネス等に適用されるものである。ここで、ワイヤハーネスは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の電線Wを一度に各装置に接続するようにしたものである。本実施形態の端子付き電線100は、電線W、圧着端子1及び封止部10を備えている。
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「軸方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「高さ方向Z」という。ここでは、軸方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に直交する。軸方向Xは、圧着端子1が取り付けられる電線Wの延在方向に相当する。幅方向Yと高さ方向Zとは、軸方向Xと交差する交差方向に相当する。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。なお、ここでいう直交は、ほぼ直交を含む。
電線Wは、例えば、導電性を有する線状の導体部W1と、当該導体部W1の外側を覆う絶縁性の絶縁被覆部W2とを含んで構成される。すなわち、電線Wは、絶縁被覆部W2で導体部W1を被覆した絶縁電線である。本実施形態の導体部W1は、導電性の金属、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の素線を複数束ねた芯線である。この導体部W1は、複数の素線を撚り合わせた撚り芯線であってもよい。絶縁被覆部W2は、導体部W1の外周側を被覆する電線被覆である。絶縁被覆部W2は、例えば、絶縁性の樹脂材料(PPやPVC、架橋PE等。耐摩耗性や耐薬品性、耐熱性等に配慮して適宜選定される。)等を押出成形することによって形成される。電線Wは、少なくとも導体部W1の一方の端末において、絶縁被覆部W2が剥ぎ取られており、当該導体部W1の一方の端末が絶縁被覆部W2の端末から露出しており、当該露出している導体部W1の端末に圧着端子1が圧着される。ここでは、電線Wは、線状に延びる延在方向に対してほぼ同じ径で延びるように形成され、導体部W1の断面形状(延在方向と交差する方向の断面形状)が略円形状、絶縁被覆部W2の断面形状が略円環形状となっており、全体として略円形状の断面形状となっている。
圧着端子1は、電線Wを他部品に接続するための部材であり、電気接続部2、連結部3及び電線接合部4を備える。電気接続部2、連結部3及び電線接合部4とは、全体が一体で導電性の金属、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等によって構成され、端子金具5を構成する。圧着端子1は、例えば、電気接続部2、連結部3、電線接合部4等の各部に対応した形状に打ち抜かれた一枚の板金をプレス及び折り曲げ成形することにより各部が立体的に一体で形成される。圧着端子1は、軸方向Xに沿って一方側から他方側に向かって、電気接続部2、連結部3、電線接合部4の順で並んで相互に連結される。
電気接続部2は、導電性部材と電気的に接続される部分である。本実施形態の導電性部材は、例えば、相手側端子(不図示)である。すなわちここでは、本実施形態の電気接続部2は、相手側端子に対して電気的に接続される端子接続部として構成される。電気接続部2は、雄型の端子形状であってもよいし、雌型の端子形状であってもよい。本実施形態の電気接続部2は、雌型の端子形状として図示しており、雄型の端子形状の相手側端子と電気的に接続される。なお、導電性部材は、相手側端子でなくてもよく、例えば、アース部材等の種々の導電性の部材であってもよい。電気接続部2は、相手側端子に対して電気的に接続される端子接続部を構成しなくてもよく、例えば、アース部材等に締結されるいわゆる丸形端子(LA端子)形状であってもよい。
連結部3は、電気接続部2と電線接合部4との間に介在し、当該電気接続部2と当該電線接合部4を連結する部分である。圧着端子1は、電気接続部2と電線接合部4とが連結部3を介して電気的に接続され、当該電線接合部4を介して電気接続部2と電線Wの導体部W1とが電気的に接続され導通される。
電線接合部4は、圧着端子1と電線Wを接続する部分である。電線接合部4は、電線Wの端末で加締められ圧着される。電線接合部4は、基部41、及び、二組の一対のバレル片部42、43、44、45を含んで構成される。基部41は、軸方向Xに沿って延在し、U字状に形成された電線接合部4の底壁となる部分である。基部41には、圧着加工の際に電線Wの端部が載置される。基部41は、軸方向Xの一方側に連結部3を介して電気接続部2が連結される。一対のバレル片部42、43は、基部41から幅方向Yの両側にそれぞれ帯状に延びて形成され、基部41との間に電線Wの導体部W1を包んで加締められ圧着される部分である。一対のバレル片部42、43は、いわゆるBクリンプと称される加締め圧着を行うものとして図示している。すなわち、一対のバレル片部42、43は、電線Wの全周を包んで圧着された状態で、それぞれ基部41側に向けて折り曲げられた状態とされる。そして、この状態で、一対のバレル片部42、43の先端がそれぞれ導体部W1に接触して押し付けられるように加締められ圧着される。なお、一対のバレル片部42、43は、これに限られず、例えばオーバーラップクリンプであってもよい。この場合、一対のバレル片部42、43が電線Wに対して巻き付けられて加締められ圧着された状態で、先端側が互いに重なり合う(オーバーラップする)ように構成されてもよい。一対のバレル片部44、45は、基部41から幅方向Yの両側にそれぞれ帯状に延びて形成され、基部41との間に電線Wの絶縁被覆部W2を包んで加締められ圧着される部分である。一対のバレル片部44、45は、いわゆるオーバーラップクリンプを用いるものとして図示している。すなわち、一対のバレル片部44、45は、電線Wに対して巻き付けられて加締められ圧着された状態で、先端側が互いに重なり合う(オーバーラップする)ように構成される。なお、一対のバレル片部44、45は、これに限られず、例えばラウンドクリンプであってもよい。この場合、一対のバレル片部44、45が絶縁被覆部W2を包んで圧着された状態で、一対のバレル片部44、45の先端が互いに対向して当接するような位置関係で加締められ圧着されるように構成されてもよい。電線接合部4は、基部41と二組の一対のバレル片部42、43、44、45とによって電線Wに対して加締められ圧着される。
電線接合部4は、導体圧着部46、導体露出部47、被覆圧着部48、及び、端部露出部49を有する。導体圧着部46は、基部41の一部、及び、一対のバレル片部42、43によって構成され、電線Wの導体部W1を包んで加締めて圧着する部分である。導体露出部47は、導体圧着部46と被覆圧着部48の間に形成され、基部41の一部によって構成される。導体露出部47では、導体部W1が露出した状態となっている。被覆圧着部48は、基部41の一部、及び、一対のバレル片部44、45によって構成され、電線Wの絶縁被覆部W2を包んで加締めて圧着する部分である。端部露出部49は、導体部W1が一対のバレル片部44、45から延びて露出している部分である。電線接合部4は、軸方向Xに沿って電気接続部2側から反対側に向かって、端部露出部49、導体圧着部46、導体露出部47、被覆圧着部48の順で並んで設けられている。
封止部10は、圧着端子1を取り付けた電線Wにおける圧着端子1の取付部分を外部と封止する部分であり、防食剤を塗布し硬化させて形成されている。圧着端子1の取付部分は、圧着端子1を取り付けた電線Wにおける電線接合部4であり、電線Wの導体部W1が露出する部分を含んでいる。防食剤は、例えば光硬化性の樹脂が用いられる。具体的には、防食剤は、紫外線を照射することで硬化するUV(Ultraviolet、紫外線)硬化型樹脂が用いられる。UV硬化型樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート系の樹脂を用いることができるが、これに限らない。封止部10は、電線接合部4に設定される塗布領域及び塗布位置に対し液状の防食剤を塗布し、塗布した防食剤に対し光を照射して硬化させることにより形成される。
図1のように設置される端子付き電線100において、高さ方向Zから防食剤を塗布して封止部10を形成する場合、電線接合部4における導体圧着部46、導体露出部47、被覆圧着部48及び端部露出部49のうち、導体圧着部46の高さが一番低くなる。つまり、端子付き電線100の設置面から高さは、導体圧着部46が一番低くなる。導体圧着部46では、絶縁被覆部W2が剥がされ、一対のバレル片部42、43により圧着されているからである。このため、端部露出部49は、導体圧着部46より高い位置となる。また、被覆圧着部48は、導体圧着部46より高い位置となる。そして、導体露出部47は、被覆圧着部48側から導体圧着部46側に向けて低くなるように傾斜している。このように、防食剤を塗布する塗布領域は、高さ方向Zに凹凸がある。
次に、本実施形態に係る端子付き電線製造装置の構成について説明する。
図2は実施形態に係る端子付き電線製造装置のブロック図であり、図3は実施形態に係る端子付き電線製造装置において防食剤の塗布位置を示す図である。図4は実施形態に係る端子付き電線製造装置の塗布装置の説明図であり、図5は図4のV-Vにおける塗布装置のノズルの断面図であり、図6は図5におけるVI-VIにおける塗布装置のノズルの断面図である。図7は実施形態に係る端子付き電線製造装置の硬化装置の説明図であり、図8は実施形態に係る端子付き電線製造装置の動作及び端子付き電線製造方法を示すフローチャートである。
図2に示すように、実施形態に係る端子付き電線製造装置7は、端子付き電線100を製造する装置であって、圧着端子1を取り付けた電線Wに対し、防食剤を塗布し、塗布した防食剤を硬化させて、端子付き電線100を製造する。
端子付き電線製造装置7は、制御装置70、センサ部6、塗布装置8及び硬化装置9を備えている。制御装置70は、端子付き電線製造装置7の製造工程における各制御を行うものであり、例えば、CPU[Central Processing Unit]等のプロセッサ、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等のメモリを有するコンピュータを備えて構成される。なお、この端子付き電線製造装置7は、圧着端子1を取り付けた電線Wに対し封止部10を形成して端子付き電線100を製造するものであるが、圧着端子1を取り付けた電線Wの組み立てなどその他の工程を実行する機能を備えていてもよい。
センサ部6は、撮像センサであって、防食剤の塗布及び硬化を行う圧着端子1を取り付けた電線Wを撮像する撮像器である。センサ部6は、例えば、圧着端子1を取り付けた電線Wを上方(高さ方向Z)から撮像し、撮像した画像データを制御装置70へ入力する。なお、端子付き電線製造装置7において、搬送機構などを用い、圧着端子1を取り付けた電線Wを予め設定された位置に正確に配置可能であれば、センサ部6の設置を省略する場合もある。
制御装置70は、塗布制御部72、硬化制御部73及び記録部74を有する。塗布制御部72及び硬化制御部73は、例えば、制御装置70にそれぞれの機能を実行するプログラムを導入することにより構成される。また、塗布制御部72及び硬化制御部73は、それぞれの機能を実行する制御ユニットして制御装置70に個別に設置されていてもよい。
塗布制御部72は、塗布装置8に制御信号を出力し、圧着端子1を取り付けた電線Wの塗布領域Rに対し防食剤の塗布制御を行う。すなわち、塗布制御部72は、防食剤の塗布タイミングに従って、塗布領域Rに防食剤が塗布されるように塗布装置8を作動させる。図3に示すように、塗布領域Rは、圧着端子1を取り付けた電線Wにおいて防食剤を塗布すべき領域であり、例えば、圧着端子1を取り付けた電線Wにおける圧着端子1の取付部分に設定される。この圧着端子1の取付部分は、電線接合部4の範囲が該当する。塗布装置8は、塗布領域R内に設定される塗布位置Pに対し防食剤11の塗布を行う。塗布位置Pは、導体部W1が露出する導体露出部47、端部露出部49に多く設定されている。例えば、塗布位置Pは、導体露出部47及び端部露出部49の全体の範囲、及び導体圧着部46の中央部分に設定される。なお、圧着端子1を取り付けた電線Wの構造などに応じて、図3に示す位置以外の位置に塗布位置Pが設定される場合もある。
図4に示すように、塗布装置8は、塗布位置Pに対し防食剤11を塗布するノズル81を備えている。ノズル81は、例えば、ブロック状を呈し、複数の射出孔82を形成し、射出孔82から塗布位置Pに対し防食剤11を射出する。図5に示すように、射出孔82は、塗布位置Pに対応した位置に形成されている。すなわち、ノズル81が圧着端子1を取り付けた電線Wの上方に位置した場合、各塗布位置Pの上方にそれぞれ射出孔82が位置するように射出孔82が形成されている。このため、それぞれの射出孔82から防食剤11を射出することにより、各塗布位置Pに防食剤11を塗布することができる。
図6に示すように、ノズル81は、本体83及び樹脂部84を有している。本体83は、中空な箱体又はブロック体であり、底面部に複数の射出孔82を形成している。本体83の内部空間は、防食剤11を貯留するタンク831となっている。ノズル81は、タンク831に貯められる防食剤11に対しポンプ又は圧電素子などによって圧力を加えることにより、射出孔82から防食剤11を射出させ、塗布領域Rの塗布位置Pに対し一斉に防食剤11を塗布可能に構成されている。本体83には、防食剤11をタンク831へ供給ための供給管86が接続されている(図4参照)。
本体83の下方には樹脂部84が取り付けられている。樹脂部84は、例えば本体83の底面に取り付けられ、圧着端子1を取り付けた電線Wの塗布領域Rと対向するように設けられている。樹脂部84は、例えば、難接着性樹脂により形成されている。この場合、樹脂部84に防食剤11が接着することを抑制することができる。具体的には、樹脂部84は、シリコーンゴム、ポリプロピレン、ポリエチレンなどにより形成される。
樹脂部84には射出孔82が形成され、射出孔82はタンク831と連通し樹脂部84の下面である対向面85で開口している。対向面85は、圧着端子1を取り付けた電線Wの塗布領域Rと対向する面である。この対向面85は、難接着性樹脂により形成されている。また、対向面85は、塗布領域Rの全体を覆うような大きさで形成されている。これにより、対向面85に形成される複数の射出孔82から防食剤11を一斉に射出し、全ての塗布位置Pに対し同時に防食剤11を塗布することができる。
対向面85は、塗布領域Rとなる圧着端子1を取り付けた電線Wの表面に沿った形状で形成されている。例えば、対向面85は、電線Wの表面が突出している部分では上方へ窪んだ形状とされ、電線Wの表面が窪んでいる部分では下方へ突出した形状とされ、圧着端子1を取り付けた電線Wの表面から対向面85までの距離が一定となるように形成される。具体的には、図6のように、対向面85は、導体部W1が湾曲して突出している形状であれば、湾曲して上方へ窪んだ形状とされ、圧着端子1を取り付けた電線Wの表面から対向面85までの距離が一定となるように形成される。ここでいう一定には、ほぼ一定を含む。このように対向面85が形成されることにより、ノズル81を塗布領域Rに近づけたときに、塗布領域Rの全体に対し対向面85を近づけることが可能となる。従って、塗布領域Rの塗布位置Pに対し防食剤11を正確に塗布することができる。
図2において、硬化制御部73は、硬化装置9に制御信号を出力し、圧着端子1を取り付けた電線Wに塗布された防食剤11に対する光照射の制御を行う。例えば、硬化制御部73は、圧着端子1を取り付けた電線Wに対し防食剤11が塗布された後に、紫外線を防食剤11に照射するように、硬化装置9を作動させる。硬化装置9は、図7に示すように、電線接合部4に対し紫外線を照射する光源91を備えている。光源91により紫外線を照射された防食剤11は、硬化して封止部10となる。
図2において、記録部74は、電線製造に関する制御情報を記録するメモリである。例えば、記録部74は、塗布位置データ、光の照射タイミングデータなどを記録する。
次に、本実施形態に係る端子付き電線製造装置の動作及び端子付き電線製造方法について詳述する。
端子付き電線100の製造は、圧着端子1を取り付けた電線Wに対し封止部10を形成して行われる。図8に端子付き電線製造方法のフローチャートを示す。図8のフローチャートは、例えば、圧着端子1を取り付けた電線Wが塗布位置に配置された時に開始され、制御装置70により実行される。
まず、図8のステップST10(以下、単に「ST10」と示す。以降のステップSTについても同様とする。)に示すように、塗布工程が行われる。塗布工程は、防食剤11の塗布位置Pに対し防食剤11の塗布を行う工程である。例えば、図2に示すように、塗布制御部72から塗布装置8へ制御信号が出力され、塗布装置8が作動する。すなわち、図4に示すように、塗布装置8のノズル81が圧着端子1を取り付けた電線Wの上方の位置に配置され、圧着端子1を取り付けた電線Wに対し予め設定された位置まで近づけて配置される。そして、図6に示すように、ノズル81の射出孔82から防食剤11が射出され、塗布位置Pに対し防食剤11が塗布される。このとき、ノズル81の射出孔82が塗布位置Pに対応して形成されているため、複数の射出孔82から一斉に防食剤11を射出させてそれぞれの塗布位置Pに対して防食剤11の塗布することができる。このため、防食剤11の塗布を効率良く行うことができる。また、この塗布工程では、異なる塗布位置Pへの防食剤11の塗布のためにノズル81を移動させる必要はなく、塗布制御が容易となる。
また、ノズル81の対向面85が塗布領域Rとなる圧着端子1を取り付けた電線Wの表面に沿った形状で形成されているため、対向面85の射出孔82を塗布領域Rに近づけて配置することができ、塗布位置Pに対し防食剤11を正確に塗布することができる。このとき、ノズル81の対向面85と塗布領域Rとの隙間に防食剤11を充填させて防食剤11の塗布が行われてもよい。この場合、塗布領域Rに対し防食剤11の塗り残しが生ずることを抑制することができる。その際、防食剤11が対向面85に接触しても対向面85が難接着性樹脂で形成されるため、防食剤11が対向面85に付着することが避けられ、防食剤11の塗布が円滑に行える。
そして、図8のST12に処理が移行し、硬化工程が行われる。硬化工程は、塗布工程により塗布領域Rに塗布された防食剤11を硬化させて封止部10を形成する工程である。例えば、図2に示すように、硬化制御部73から硬化装置9に制御信号が出力され、硬化装置9が作動する。すなわち、図7に示すように、光源91から紫外線が射出され、塗布領域Rに塗布された防食剤11に対し紫外線が照射される。これにより、防食剤11が硬化し、封止部10が形成される。そして、ST12の硬化工程の処理が終了したら、図8の一連の制御処理を終了する。
以上のように、本実施形態に係る端子付き電線製造装置7及び端子付き電線製造方法によれば、塗布装置8のノズル81の対向面85が塗布領域Rの全体を覆うように形成され、塗布位置Pに対応した複数の射出孔82が形成されている。このため、複数の射出孔82から防食剤11を射出することにより塗布領域Rに対し防食剤を塗布することができる。また、ノズル81の対向面85が塗布領域Rとなる圧着端子1を取り付けた電線Wの表面に沿った形状に形成されている。このため、ノズル81の対向面85を塗布領域Rに近づけて防食剤11の塗布が行え、防食剤11を塗布位置Pに正確に塗布することができる。従って、本実施形態に係る端子付き電線製造装置7及び端子付き電線製造方法は、塗布位置Pに対し正確かつ効率良く防食剤11を塗布することができ、適正な防食機能を有する端子付き電線100を効率良く製造することができる。
また、本実施形態に係る端子付き電線製造装置7及び端子付き電線製造方法は、ノズル81の複数の射出孔82から複数の塗布位置Pへ一斉に防食剤11を射出させて、塗布位置Pに防食剤11を塗布することができる。このため、本実施形態に係る端子付き電線製造装置7及び端子付き電線製造方法は、防食剤11の塗布を効率良く行うことができる。
また、本実施形態に係る端子付き電線製造装置7及び端子付き電線製造方法は、ノズル81の対向面85と塗布領域Rとの隙間に防食剤11を充填させて防食剤11の塗布を行うことにより、塗布領域Rに対し防食剤11の塗り残しが生ずることを抑制することができる。
また、本実施形態に係る端子付き電線製造装置7及び端子付き電線製造方法は、対向面85の表面に難接着性樹脂が設けられることにより、防食剤11がノズル81の対向面85に付着しにくく、対向面85を防食剤11に接触させても防食剤11の塗布を円滑に行うことができる。
なお、上述した本発明に係る端子付き電線製造装置及び端子付き電線製造方法は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係る端子付き電線製造方法は、以上で説明した各実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
例えば、上述した実施形態に係る端子付き電線製造装置7及び端子付き電線製造方法では、塗布装置8のノズル81に樹脂部84を取り付けた構造であったが、ノズル81に樹脂部84を設けずに本体83の射出孔82から防食剤11を射出させて防食剤11の塗布が行われてもよい。このような端子付き電線製造装置及び端子付き電線製造方法であっても、複数の射出孔82から防食剤11を射出することにより塗布領域Rに対し効率良く防食剤を塗布することができ、適正な防食機能を有する端子付き電線100を効率良く製造することができる。
1 圧着端子
7 端子付き電線製造装置
8 塗布装置
9 硬化装置
11 防食剤
81 ノズル
82 射出孔
85 対向面
P 塗布位置
R 塗布領域
W 電線
W1 導体部
7 端子付き電線製造装置
8 塗布装置
9 硬化装置
11 防食剤
81 ノズル
82 射出孔
85 対向面
P 塗布位置
R 塗布領域
W 電線
W1 導体部
Claims (5)
- 圧着端子を取り付けた電線において前記電線の導体部の露出部分を含む塗布領域に対し液状の防食剤を塗布する塗布装置と、
前記塗布装置により塗布された前記防食剤を硬化させる硬化装置と、を備え、
前記塗布装置は、前記塗布領域に対し前記防食剤を射出し前記塗布領域に対向する対向面を有するノズルを有し、
前記対向面は、前記塗布領域内において前記防食剤を塗布すべき塗布位置に対応した複数の射出孔を形成し、前記塗布領域となる前記圧着端子を取り付けた電線の表面に沿った形状を有し、前記塗布領域の全体を覆うように形成されている、
端子付き電線製造装置。 - 前記塗布装置は、前記複数の射出孔から前記塗布領域へ一斉に前記防食剤を塗布可能に構成されている、
請求項1に記載の端子付き電線製造装置。 - 前記塗布装置は、前記ノズルの前記対向面を前記塗布領域に対し予め設定された位置まで接近させ、前記対向面と前記塗布領域との隙間に前記防食剤を充填させて前記防食剤の塗布を行う、
請求項1又は2に記載の端子付き電線製造装置。 - 前記対向面は、難接着性樹脂により形成されている、
請求項3に記載の端子付き電線製造装置。 - 圧着端子を取り付けた電線において前記電線の導体部の露出部分を含む塗布領域に対し液状の防食剤を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程により塗布された前記防食剤を硬化させる硬化工程と、を含み、
前記塗布工程は、前記塗布領域に対し前記防食剤を射出し前記塗布領域に対向する対向面を有するノズルが用いられ、
前記対向面は、前記塗布領域内において前記防食剤を塗布すべき塗布位置に対応した複数の射出孔が形成され、前記塗布領域となる前記圧着端子を取り付けた電線の表面に沿った形状を有し、前記塗布領域の全体を覆うように形成されている、
端子付き電線製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2022179651A JP2024068950A (ja) | 2022-11-09 | 2022-11-09 | 端子付き電線製造装置及び端子付き電線製造方法 |
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- 2022-11-09 JP JP2022179651A patent/JP2024068950A/ja active Pending
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